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2007/05/17 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第20号
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2007/05/17 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第20号

#1
第166回国会 厚生労働委員会 第20号
平成十九年五月十七日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     広中和歌子君
     山本  保君     澤  雄二君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                西島 英利君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                辻  泰弘君
                広中和歌子君
                森 ゆうこ君
                柳澤 光美君
                澤  雄二君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  武見 敬三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       内閣法制局第四
       部長       近藤 正春君
       内閣府大臣官房
       審議官      飛田 史和君
       総務大臣官房審
       議官       岡崎 浩巳君
       総務省統計局長  川崎  茂君
       財務大臣官房審
       議官       佐々木豊成君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   宮島 俊彦君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     高橋  満君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        岡崎 淳一君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   奥田 久美君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       大谷 泰夫君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       厚生労働省年金
       局長       渡邉 芳樹君
       厚生労働省政策
       統括官      金子 順一君
       社会保険庁運営
       部長       青柳 親房君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、尾立源幸君が委員を辞任され、その補欠として広中和歌子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君外十二名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(鶴保庸介君) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井でございます。
 まず大臣、ちょっと冒頭済みませんが、通告なしで大変申し訳ないんですが、今日の新聞に過労自殺五七%増と、過去最多の六十六人であるという記事が掲載されておりました。この記事に見るまでもなく、私は、労働者の労働条件というんでしょうか、それがどんどんどんどん悪くなってきているような気がしておりますが、所管省庁の大臣としてはどういう御認識をお持ちでございましょうか。
#7
○国務大臣(柳澤伯夫君) 労働災害の中で最もあってはならない過労死というようなものが多くなってきているということは、私も、我々の役所の統計データの発表ということで、よく改めて認識をしたところでございます。
 かねてから長時間労働というようなことで、それを抑制をしなければならないということを申し上げてきましたけれども、それはどうも最近において長時間労働が常態化する傾向があるのではないか、また、特に若者がそうした長時間労働の状況にあって、それが高止まりしたままで動かないという状況が見て取れますので、できるだけそういうようなことはあってはならないということで、私ども、まだ御審議をいただいておりませんけれども、何とかこの長時間労働の抑制のための基準法の改正等によりまして、この状況を早く緩和していくということが必要であるということの取組をいたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、私も昨日報道で見ましたけれども、特に私の地元の掛川市というところの例が映像に映りまして、もちろん亡くなられた若い人に本当にお気の毒だと思ったことと同時に、大変責任が重いということを改めて痛感をした次第であります。
#8
○櫻井充君 大臣、これ今日は通告ないので、来週の火曜日にまた質問時間をいただけるそうですから、これは来週の火曜日でも結構ですが。
 労働省の役人の人たちと話をすると、彼らはやはり問題意識は持っているわけですよ、今の労働条件は本当に悪くなっていると。ところが、彼らの思うとおりになっていかないのは一体なぜなのかというと、経済財政諮問会議そのもの自体が、特にその中の、名指しをさせていただきますが八代さんという方がいらっしゃって、この方が相当、最悪な存在ですね。国会に出てきて答弁されることもなく陰で暗躍されているような感じがしてなりませんが、その経済財政諮問会議の存在というものがこの国の在り方を私は相当ゆがめているんじゃないかなと、そう感じておりますが、大臣としてはいかがお考えでございましょう。
#9
○国務大臣(柳澤伯夫君) 経済財政諮問会議と申します機構は、行政改革の中で官邸、総理大臣の主導ということの趣旨で、特にその中心的な機関として置かれたというふうに認識をいたしております。
 本来の所掌の事柄というのは、財政経済の基本的な政策を決めると、こういうことのはずだと私は思っておるわけでございますけれども、最近におきましては、そういう基本的な方向ということで、どうしてもその方向の下での具体的ないろいろなことにも御方針を示されると、こういうようなことが行われておりまして、私ども、その対応に大変いろいろの形でこの方面で苦心をしているというところでございます。
#10
○櫻井充君 それが率直な御意見だろうと思います。特に厚生労働省がやり玉に上げられて、相当御苦労されていると思うんですよ。
 私は、最近の民間委員の方々を見ていると、四人の連名で様々な意見を出されているんですよ。これはおかしな話ですね。つまり、経済財政諮問会議として意見が出てくるのならば、あれは内閣府設置法に定められている組織ですから、それはそれとして理解はいたしますが、関係のない四人が、関係のないというか、その四人の連名であれだけの見解を述べるという根拠が一体どこにあるのか、私には全く理解できないわけですよ。そういった暴走を本来であれば内閣の中で止めることをしていかないと、僕はこの国の政治の在り方がどんどんどんどんゆがめられていくと思っているんです。
 我々は有権者から選ばれておりまして、何か問題があったときには選挙で落ちるという、そのリスクを抱えております。官僚の方々は官僚の方々で、ちゃんと国家公務員法があって、そこの中でどういう働きをするかという形でやっております。しかし、彼らにはそういうルールがありません。
 特に、内閣府設置法を見てみると、総合科学技術会議という会議がもう一つ設けられておりますが、これは、民間委員の人たちが選出される際に両院の承認を得るとか、それから罷免権があるとか、それからもう一つは守秘義務を課せられているとか、ところが経済財政諮問会議は全くそういうものはないわけですよ。
 ですから、今、国会の手で何とかしたいと思っても、どうしようもなくなってきているというのが現状でして、僕は、本当であればこういう委員会に四人の方に出席いただいて、おまえらの考えていることは一体どういうことなのかということをただしていかないと何ともならないんじゃないのかなと。
 ですから、厚生労働省が幾ら労働者サイドに立って何とかしていきたいと思っても、今悪者になっているのは実は厚生労働省ですから、私はそれがおかしいと思っているんですよ。ですから大臣ね、やはり内閣の中でもう少しきちんとした議論をされて、ああいう形で経済財政諮問会議の民間委員の人たちが、言わば間違った権力を自分たちが持っていると思って暴走しているものを止めていかなければいけないんじゃないかと、私はそう思いますが、いかがでございましょう。
#11
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほども申し上げましたように、この機関は内閣総理大臣主導のしっかりした政治責任に裏打ちされた政策の展開をしなければいけない。かつての内閣法ですと、内閣総理大臣は閣議に対して自発的な提案もできないというような非常に弱い内閣総理大臣という立場にありまして、これはやっぱり改革をしなければいけないのではないかということで、内閣機能の強化あるいは内閣総理大臣の権限の強化、こういうようなことをねらいとしていろいろな改革が行われたわけですが、その一環で出てきたものでございます。
 そういうことで、我々の、日本の政治というものが今まではボトムアップ型であったということなんですが、できるだけトップダウンもやらないと時代の進展にスピーディーに対応できないと。こういう考え方から、そうした目的を持って設置された機関で、それはそれとして時代の要請にこたえる改革であったというふうに私は思っているわけでございます。
 四人の民間議員のペーパーということは最近ではなくて、私の知る限りでは小泉内閣になってから、その前の内閣というのはほとんど期間が短くて、つまり、経済財政諮問会議が活動をした期間というのは短いものですからまだ形成過程にあったということですが、明確なルールあるいは慣例を作って会が進行し始めたのは小泉内閣になってからという記憶でございますが、これはもう四人の民間議員によるペーパーが提出されるということはその当時からのものでございましたので、最近のことということは私はそういう認識ではございません。
 非常にペーパーは出ますけれども、それに基づいて議論が行われるということでございますので、私は私なりに役所のいろいろな検討結果を踏まえて自らの主張は主張させていただいていると。こういうことでありますので、そのペーパーがすべてを壟断しているということでもないと、これはそういう実態にはないということは申し上げさせていただきたいと、このように思います。
#12
○櫻井充君 内閣の一員ですとそういう御答弁しかできないのかなと思っているところがありまして、つまり、私も前段の部分はそのとおりだと思うんですよ。しかし、問題はそこにいるメンバーなんですよ。それから、そこにちゃんとルールがあって、そのルールにのっとってやっていらっしゃるかどうかということだと思うんですよ。僕は、一番大きな違い、やっぱり問題は、彼らに責任があるのかどうかということなんですよ。
 我々は、先ほど申し上げましたが、それは選挙という洗礼を受けますし、それから、官僚の皆さんは国家公務員法の中で、そこの中で枠が決められて、それにのっとってルールがあってそれでちゃんとやっていくわけですよ。しかし、彼らに対してのルールが全くないんですね。私はないに等しいと思っておりますが、そこのところが実は大きな問題であって、それが総合科学技術会議と何でああいう違いになって内閣府設置法の中に定められているのか。これ最近勉強してやっと分かったことですが、そこのところが実は問題なんじゃないのかなと。本当は今日はその点についてもお伺いしようと思いましたが、なかなか資料が全部集まってこなかったので、これは来週の火曜日に続きをやらせていただきたいと。
 ここは、ですが、問題、僕は本質だと思っているんですよ。経済財政諮問会議が今のマスコミ的に言うと正義であって、それの意見に反する人たちがどうも抵抗勢力と言われているというその構図そのもの自体が僕は間違っていると思っております。ですから、そういう判断にならないようにもう少しここの実態をはっきりさせていくということが我々の役割ではないのかなと、そういうふうに考えております。
 その中で、まず一つ、ちょっとイメージとして、私は医者としてしか働いたことがありませんので、今半ば我々議員というのは中小企業の社長と同じようなところでもございます。初めて、何というか秘書という、それから事務の職員の方という、何というんでしょうか、雇用関係を結んでやっている中で四苦八苦しながら事務所を経営しているというところは、ある種中小企業の社長なのかなと思っているんですが。
 本当に大変申し訳ないんですが、大臣の事務所では秘書の方とどういう雇用契約を結ばれているんでしょうか。
#13
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私の事務所も、今委員が御自身のこととしておっしゃられたんですが、事務員というか秘書という名称を名のらせている者と名のらせていない者がありまして、名のらせている者というのは主として渉外的に選挙区の方々とお付き合いをさせていただくという者が大半でありまして、東京の事務所にあって部外の方々とも接触する人、こういうような対外的な活動をする者を秘書という名称を名のらせておりますけれども、それ以外の内部事務をやる者というのは、そういう名刺も与えていなくて職員という位置付けでございます。
 その人とどういう労働契約を結んでいるかということでございますけれども、明文の契約ということではなくて、採用のときに勤務の条件なんかを口頭で申し上げるということでありまして、全員出勤の時間は九時である、原則として終わる時間は五時である、そういう所定時間をつくりますが、もちろん外部の会合等がある場合にはそれに私の代わりに出掛けていくということもございますので、その場合には時間外の勤務をするというようなことも申し伝えて、その理解の下で働いてもらっていると、こういう状況です。
#14
○櫻井充君 うちも同じような状況なんですが、そこの中で、この法律で短時間労働者と定めておりますよね。こういう秘書の方が、うちの秘書なんかもやっぱりちょっと勤務時間、若干違うんですよね。勤務時間というのは、決めている時間はありますが、結果的には今おっしゃるように支援者の人との会合やいろんなことがあったときに出ていくということになってくると、そういう部分を担当している秘書とそうでない秘書と、これ勤務時間が多分違うんですが、これは残業として位置付けるのかどうかという、いろんな問題があると思いますけど、短時間労働者というのはその中に含まれているんですか。つまり、私は今回法律を読んでよく分からないのは、どういう人を短時間労働者として定義するのかということのイメージが付かないんですね。
 そこで、大臣のところの秘書の方、事務職員の方で、こういう人は実は短時間労働者だと、それでこういう人たちは短時間労働者でないという区分けがきちんとできるんでしょうか。
#15
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは所定の労働時間仕事をするという、そういう了解、理解の下で実際に九時に出勤をして五時までは必ずいると、こういうことを私の事務所では通常の労働者としているというふうに言い得ると思うわけです。もうほとんどそうである。それで、あと、このむしろ時間外の、先ほど申したような事情を背景とする時間外の勤務もそれに伴うということであって、通常の労働者の形というのは、私どもの事務所に関してはみんなもう共通の理解がそこで成り立っているということです。
 昔は、何かボランティアの活動をしている人が、私のちょっと違う事務所に、三つ都市がありますので本部を真ん中の都市に置いておりますが、そのそれぞれの都市にもそれぞれの党の支部の事務所と、事務所の人たちの意思でもってそこにも事務所を置いておりまして、その事務職員を置いておりますが、その一人にボランティアをやっている女性が入っていただきまして、その方の場合は明らかに九時―五時ではないという短い勤務時間で、それで合意をして入っていただいたこともありますが、今は交代してそういう形の事務職員はいないと、こういうことでございます。
 したがって、通常の労働者というものと短時間労働者というものがそこで存在するということは、私の事務所の非常にささやかな例ですけれども、そこではまあ一応はっきりしているというふうに認識しています。
#16
○櫻井充君 実態はよく分かるんですよ。実態はよく分かるんですが、この法律の二条の定義を読んでみると、実はその一週間の所定労働時間が同一事務所に雇用される通常の労働者の、要するにその時間よりも比して短い労働者をいうと書いてあるんですね。これはここの中に契約とは定めておりませんし、要するに実態の労働時間なのか、それとも契約の際の労働時間なのかということがまず明記されていないんですね。
 ですから、私はその事務所の人間の中でも、先ほど言いましたが、うちもいろんな業種ごとに担当者を決めておりますので、その業種、例えば中小企業なら中小企業、医療関係者なら医療関係者と、そういうような窓口を持っていて、そうすると、そのときに会合が多かったりとかするとその秘書の方が勤務時間が長いと。そうすると、とにかくばらつきがあるわけですよ、ばらつきが。ですから、そういう場合にはこれは短時間労働者と普通の労働者とどうやって区分けするのか、この法律上から僕は読めないんですよ。
 もう一度申し上げますと、契約上の、契約上時間が短いか短くないかというふうに書いてないですよね、これはね、契約とは書いておりませんから。そうすると、勤務実態なのか契約の段階なのか、まずその点について、この定義のところをもう一度、今の部分でいうとどういうふうになっているのか教えていただけますか。
#17
○政府参考人(大谷泰夫君) このパート労働法におきます短時間労働者というものは、今お話ありましたように、同法の第二条におきまして、一週間の所定といいます、所定労働時間が同一の事務所に雇用されている通常の労働者の一週間の所定労働時間と比べて短いということでルールがあるわけですが、その所定という意味に考えますと、これは実態ではなくていわゆる契約というか、働くときにどういう前提で、例えば三十五時間なのか四十時間なのかということが約束されたかということがまずスタートになるわけでございます。
 その通常の労働者という場合にもいろいろ、言わば明快でないケースがあるわけでありますけれども、その考え方につきましてはもうちょっと砕いた形で通達などでも説明しているわけでありますけれども、いわゆる正規型の労働者をいいまして、具体的にはこれ、社会通念に従うわけでありますが、社会通念に従い、フルタイム勤務の者について当該労働者の雇用形態、その期間の定めのない契約であるかどうかとか、あるいは待遇、それは長期雇用を前提とした待遇がなされているかどうかとか、こういうことを総合的に勘案して判断するということになりますので、今おっしゃったように単純明快ないわゆる通常労働者というような決めがあるわけではありません。いろんな解釈や通達でそこを補っているわけであります。
#18
○櫻井充君 ですから分かりにくくなっているんじゃないのかなと。つまり、昨日この内容をきちんと周知徹底するべきだということを、あれ浮島委員、おっしゃっていましたよね、理事がおっしゃっていたかと思いますが、つまり、対象者がはっきりしなければ自分がそれに当たるかどうかもよく分からなくて、この法律、自分が適用されるかどうかも分からなくなるんだと思うんですよ。
 それがなぜなのかというと、その短時間労働者の定義そのもの自体が結果的には相対的なものになっていて、その所定の要件、それよりも一秒でも短ければそうなるんだというのがこれは役所の説明でしたが、これは極端な例かもしれませんけれども。そうではなくて、ほかの国の中でも絶対的な時間を定めていて、これ以下がその短時間労働者なんだというふうに定めている国もありますから、むしろそういう形で、例えば今四十時間のところもあれば三十五時間のところもあるかもしれないけれども、例えばそれよりも八割以下であるとか、それから若しくは九割以下とか、それよりも五時間短いとか、何かもう少しはっきり数字で書かないと、だれがその短時間労働者に当たるかどうかということが定義されないんじゃないのかなと、そう思いますけれども、いかがでしょう。
#19
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、我が国においてこのパートタイムの労働法を作るとき、当初からのこれは非常に難しい課題であったわけでありますけれども、絶対的な基準というものがつくれず、それは業界横並びでその一つの職務給等のルールがあり、また正社員にもそういったルールが貫徹されている中でそれを行うんであればそれはできたわけでありますけれども、我が国は、正社員においても、もちろんその後発生したパートという形においても、そういう横並びの絶対的な基準がなかったわけでありますので、考えた方法として、例えば時間で一定の線を引くということではなくて、通常の社員と比べてそのパートタイマーの言わば賃金や教育やその待遇を決めていくという、通常の社員と比べるという形でスタートをせざるを得なかったということでありまして、そういったところから、確かにその比較する対象それから比較される側の確定ということでなかなか難しい面があったと思うわけであります。
 しかしながら、そこの考え方については、もうこの法律、平成五年に施行されて以来、通常の労働者それからパートはどういう形に当たるかということについては、相当時間がたってケースはかなりもう整ってきているんではないかということで、一応現時点で、自分がパートタイマーで分からぬ、確かに個人的には非常に分かりにくいということで、これは周知徹底にもっと努力しなければいけませんけれども、個々の事態においてはそういうことのないように努めているつもりでございます。
#20
○櫻井充君 今、津田理事に確認いたしましたが、今はもう横並びにちゃんとなっていると。このでき上がった当時はそうではなかったのかもしれないけれども、今はちゃんと横並びになっているという説明でございましたが、違うんでしょうか。
#21
○政府参考人(大谷泰夫君) 具体的に申しますと、同じある会社のある仕事をしている業があっても、同業他社とじゃ賃金体系が同じかというと、そこはやっぱり違うわけでありますから、それは企業企業でやはりその金額が定まっておりますので、絶対的な金額はやはりその個別の企業ごとにこれは決まっておるというふうに考えております。
#22
○櫻井充君 これ金額のこと書いてませんよ、一つも。これ労働時間ですよ、定義は。全然違うじゃないですか、答弁。
#23
○政府参考人(大谷泰夫君) いや、そういうことで、企業ごとにそれぞれの絶対的な水準が違うので、結局は一律の絶対基準、例えば何時間とか決められないから、通常の社員に対するその言わば比較、均衡ということでこの法律を作ってきたということで、一定の現状のものを前提とした限界があるということは認めておるところでございます。
#24
○櫻井充君 答弁になってないんですが、この定義は労働時間しか書いてないんですよ。賃金なんて一言も書いてませんよ。この法律の中に賃金ってあったかな。賃金はたしか今度の新しいところに賃金という項目が大体されていますが、基本的に申し上げておきますけれども、これはこの法律の根幹ですから、定義というのはね。定義は時間しか書いてないんですよ。時間しか書いてないところで何で賃金を持ち出すんですか。
#25
○政府参考人(大谷泰夫君) 済みません。その横並びの例として賃金を申し上げましたが、実際に通常の社員のいわゆる所定内労働時間がどうかということにつきましても、これもうほとんどが四十時間というふうには承知しておりますけれども、これはルールによって、例えば全社員が三十八時間を所定内労働時間とするとか、それはこの法律でいけば、通常の社員が三十五時間というふうに決めている会社であればその三十五時間がその会社の通常の社員になるということで、やはり企業において全部が四十と決まっているわけではないものでありますから、そういう意味でも、賃金やそういう労働時間について個々の企業において通常の社員は何かという基準を見て、それに対する相対的な均衡というふうにこの法律を組んでおるということでございます。
#26
○櫻井充君 それで、僕は、例えば、じゃちょっとお伺いしたいのは、一時間でもとにかく短ければもうこれは短時間労働者なんですね、一時間でもね。要するに、一週間四十時間なら四十時間の会社でも、もうもっと極端に言いましょうか、五分でも一分でも短ければ、これはもうみんな短時間労働者ですね。
#27
○政府参考人(大谷泰夫君) そういう実例については承知しておりませんが、厳密に言えば、この法律の根拠に基づきますと、所定内労働時間において通常の社員より短い社員を指すわけでありますから、一分でもという表現が私ども取り入れるかどうか分かりませんが、一時間でもと言われれば、もう明らかにそれは通常の労働者よりも時間の短い短時間社員だろうと考えます。
#28
○櫻井充君 そこのところが僕はすごく分かりにくいと思うんですね。ですから、今のように、五分は違うと、だけど、法律上のこの文言から言えば、これは五分も一分も全部当たりますよ。だから、おかしいと言っているんですよ。
 だったら、ちゃんと時間単位で違うとか、今の一時間ならそれはそのとおりだとおっしゃるんであれば、例えば一時間以上とか五時間以上とかそのぐらいはっきり書かないと、要するに短時間労働者かどうかというのは僕は分からないと思うんですよね。大臣、その辺どう思われますか。
 このようなあいまいな書き方を、定義のところですよ、定義のところが極めてあいまいだから、対象者がまずこれ定まってないんですよ。私はそこにまず問題があると思いますけれども、大臣、いかがですか。
#29
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、この定義で私はよろしいんではないかと思うわけでございます。
 それはどういうことかと申しますと、通常の労働者ということは、これはもうそれぞれの事業所で決まるわけでございます。したがって、それよりも短時間の人は短時間労働者と言うと、こういうことだというふうに考えるわけでありまして、そういう短い労働者というのは、短いがゆえにいろいろと、先ほど局長が言うように、賃金を始めとする処遇に差を付けられることが多いと。この差というものをどのように規律していくかということが、短時間労働者を保護しよう、またしっかりした処遇を得さしめようということの目的でございますから、この通常の労働者というものがはっきりすれば、それより短い人は短時間労働者である、で、短時間労働者としての処遇がいろいろ決まってくるんで、その処遇についてより適正なものにしようと、こういうことの仕組みで、別段それでよろしいんじゃないかと私は思うのでございます。
#30
○櫻井充君 ここからは見解の相違ということになるんでしょうが、何回も申し上げますが、はっきり分からないんですよ、自分自身がそこに当たるのか当たらないのかということ、そのもの自体がですね。ですから、周知徹底しようにも周知徹底できないんじゃないのかなと。これはもうこれ以上やってもしようがないので、私はそう感じております。
 今、大臣は、短時間労働者だから差を付けられるんだというお話がありましたが、僕は今も多分ある種短時間労働者だと思っているところがあるんですよ。それは自分の議員としての活動ではなくて、現在、月二回病院で勤務しておりますから、これは私は短時間労働者に当たるんだろうと思いますが、それで、その認識でよろしいんでしょうか。
#31
○政府参考人(大谷泰夫君) 御認識のとおりと思います。
#32
○櫻井充君 しかし、私は短時間労働者ですが、短時間労働者でも通常の人たちよりも賃金はいいですよ、これはですね。そうすると、賃金のいい労働者もいて、賃金が極めて悪い労働者もいて、そこに僕は問題があるんだと思うんですよ。
 じゃ、なぜそういう賃金格差というのが生まれてくるというふうにお考えでしょう。
#33
○政府参考人(大谷泰夫君) 今先生のおっしゃった例は、むしろレアな方であろうかと思います。
 一般的に賃金の格差があるという場合には、パートタイマーの方が通常の労働者に比べて低いというケースが多いわけでありますが、これはいろいろ分析、説明されているところでもありますけれども、正社員と比べて勤務年数が短いであるとか、それからその責任であるとか、言わば蓄積された能力の問題とかいろんな理由があって、統計的に見れば相対的に低いということが言われているというふうに承知しております。
#34
○櫻井充君 本当にそうでしょうか。私にはとてもそう思えないところがあります。
 つまり、何かというと、最近、もう一つ、別にこれ短時間労働者の例ではありませんが、七対一看護が実施されてから、看護師さんに対しての処遇というか条件は極めて良くなっています。青田買いをしているところもありまして、百万円の支度金を出すから、もう卒業したらうちの病院で勤務してくれとか、引き抜きがもうどんどんどんどん行われていて、うちのかみさんが行っている病院で、言わばパート職員だった人も別な病院でもう正職員にするから来てくださいというふうに言われているわけですよ。そうすると、熟練している熟練していないの問題じゃないんですね、僕から言わせると。それは何かというと、あくまで需給関係だけだと思っているんですよ。
 つまり、医者の場合には、需要と供給の関係でいうと、我々の方が、医者の数が足りませんから、とにかく高い給料を払わないと来てもらえないと、そういう実態がある。ですから、今回の七対一看護になった際に、看護師さんがそういう形で厚遇されていく場合もあるというのは、これは明らかに需給関係だと思うんですよ。つまり、バブルの当時のように、あの当時は労働者の方が五百万人ぐらいたしか足りなかったと思いますけれども、そのときにこういう問題が本当に起こっていたかというと、決してそうではなかったはずなんです、このパート労働法というのは平成五年に定められていますから。バブルが崩壊していって、急激に日本の経済が悪くなったからこういうことになったと。
 ですから、これはパート労働者だけではなくて過労死のことも含めて言うと、実は政府は景気がいい景気がいいと言っているけれど、景気がいいわけじゃないんだと思うんですよ。それから、雇用関係が、環境が良くなってきているような話をされますが、結局需要と供給の関係でいうと、そこの部分のバランスが物すごく悪いから、だからいつまでたっても、労働者にとってですよ、労働者が極めて厳しい労働環境にあるんじゃないのかなと、私はそこが一番大きな原因だと思っているんですけれどもね。ここは大臣、いかがでしょう。
#35
○国務大臣(柳澤伯夫君) 要するに、通常の労働者に対して、短時間労働者というものが短時間であるがために賃金を始めとするいろいろな処遇で劣後する。これは、要はそれと違って、櫻井委員がおっしゃるように、いや、決してそうではないよと、通常の労働者よりも時間当たりでいうと高い賃金が払われることもあるよということを御指摘でございますけれども、それはそういうことを別に認めていないわけではないんです。
   〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
 そうではなくて、実際に時間が短いということによって劣後した処遇を受ける、そういう労働者が相対的に多いと。そういう多い労働者についてこれを一定程度保護する、そしてまた彼らのいろんな能力を発揮してもらう、こういうことのためにこの法律は作られているというふうに我々は認識をいたしているわけでございます。ですから、短時間労働者だからといってすべて劣後した処遇を受けているということまで私どもは言っているんではなくて、劣後している処遇しか受けられない労働者が多いから、その労働者について我々はこの法律による手だてを講じようということにしております。
 それでは、そういう事態というのは労働力の需給で変化することはないのかといえば、これはもう明らかに我々は変化すると考えております。変化をするにいたしましても、しかし短時間労働者が短時間労働であるということを理由にして劣後する処遇を受けるということを、それを適正な処遇にしていこうというのが私どものこの法律の趣旨だということで御理解を賜りたいと思います。
#36
○櫻井充君 大臣のおっしゃることはよく分かりますし、いわゆる短時間労働者が今極めて厳しい労働条件にあるんだということも、これは認識しております。
 ただ、そこの中で私は、これは実は短時間労働者だけではなくて、職種間によっても全然違うんだと思うんですよ。例えば、介護なら介護の職員の方が、離職率極めて高いですよね。毎月歓送迎会をやってますよ、ああいう施設はね。だけど、それは何かといったら、極めて労働条件が悪いからですよ。その労働条件を悪くしているのは一体どこにあるのかということをもう一回改めて考えなきゃいけないと思っているんです。
 労働分配率がどんどん下がっていますよね。大企業は利益を上げたって労働分配率下げているでしょう。その一方で何をしているのかといったら、株主に対しての配当をどんどん増やしているじゃないですか。ここのところを変えていかないと、根幹を変えないと、幾ら法律で何とかしなさいといったって、ここの、この部分だけでは、僕はもう絶対変わらない。それよりももう少し、もう一つ大きなところでいえば、労働者に対しての分配率をもう一回ちゃんと上げてやらないと、そこの部分が変わらないと、給料だって何だって上げろと言ったときに上がらないんだと思うんですよ。結局は賃下げのために派遣労働者にしたりとかパート労働者にするわけでしょう、企業が。
 ですが、なぜそういうことを企業がやらなきゃいけないのかということになると、これは小泉・竹中改革の僕は最大の問題だと思いますが、結局のところは、企業が簡単にMアンドAをされるような、株式交換でできるようなシステムをつくってしまった。株価がそれなりに上がらなきゃいけない、株価が上がるためには株主の配当を増やさなきゃいけないと、それだけの話ですよ。そして、そのために労働者がどんどんどんどん苦しい状況に追いやられていって、この部分を本来きちんともう一度解決しないと、ここの部分だけ何とかしましょうといっても私は処遇変わらないんじゃないのかなと。幾ら景気がいい、景気がいいといったって、労働者に対しての分配率が下がったままだったら何にも変わらないと思いますけれどもね。大臣、いかがですか。
#37
○国務大臣(柳澤伯夫君) それぞれ政策について担当する官庁が定められているわけでございまして、一つはマクロ経済政策で経済の活動全般を活発化していこうというところもございますし、また個々の産業分野ごとにその産業を盛んにしていこうという産業政策を担当する役所もあるわけでございます。
 私どもといたしましては、労働行政という立場から短時間労働者について適正な処遇を、均衡ある処遇という形で確保するということに努めたいというのが今回の法律の趣旨でございますし、また、最低賃金法であるとかあるいは労働基準法であるとか、それぞれの我々がここに問題があるということについて、そこにターゲットを絞った、そういう法律の改正による適切な行政の展開ということを期しているわけでございます。
 だから、マクロ経済政策なり産業政策なりが機能しなければ状況の変化というものが基本的に引き起こせないのではないかという労働分配率というマクロ指標をお使いになられての御指摘でございますが、それはそれとしてよく分かっておりまして、そういう向きの政策を担当される方はそれでいろいろ努力をされていると。我々の方は我々の方でこうしたその局面についてできることをやりたいということで、私どもの法律改正をさせていただいてその問題の解決に当たりたいと、こういうことで、総合的な努力の一環として私どもはこの法律を提案させていただいているということでございます。
#38
○櫻井充君 ふろの栓を抜いて水をためようと思ってもたまらないんですよ。そんなようなものですよ、今のやり方はね。厳しい言い方かもしれませんが。
   〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
 じゃ、もう一度お伺いしますが、労働分配率が低下し、株主に対しての配当比率が上がってきているこの国の社会構造は、日本社会に適している構造だというふうにお考えですか。
#39
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私がこの問題に十分な責任を持ってお答えできる立場にいるというわけではないわけでございますが、いろいろな政治家としての経験をさせていただいてまいりましたので、それを踏まえて申し上げさせていただくというそういう前提で申し上げますと、株主の分配率が配当性向が増しているということにつきましては、一つには、日本経済の中で企業というものがほとんど倒れないというようなことが現実にありまして、そういうことで株主が非常にどちらかというと軽視されてきたと。それともう一つは、株主になるということがほとんどキャピタルゲインをねらうというようなことで、本当の意味の株主、安定的な株主、会社を本当に支援をし、また会社が発展することを願っていろいろ発言する株主でない、そういう株主が多くなってきたというようなことはそれぞれに問題がある。前者について言いますと、まあ何と申しますか、実際に大きな会社でも倒れて株券がほとんど紙同然になるというようなこともありまして、株主にもっと報いなければいけないというような機運が出てきたことが構造的にあるのではないかと私は思っております。
 加えまして、これは趨勢的な話ですけれども、景気の回復期には株主の分配が相対的に高くなり、労働分配の率が相対的に低くなる傾向があるというようなことも見て取れるというのがこれまでのことでございまして、今回もまたそうしたことが表れているというふうに受け止めているということでございまして、今現に起こっていることが直ちに非常に社会的に問題があるというふうには思っておりません。
 ただ、我々としては、これはもう少し景気がこういう状況が続くんであればやっぱり最低賃金というようなものは引き上げられるべきであるという考え方で、今、最賃法の改正も考えているということでございます。
#40
○櫻井充君 今、御答弁の中で、まず大臣は、私はそこの担当者でないというようなお話をされましたが、内閣の一員ですよね。閣議決定で判も押されていますよね。つまり、これは共同責任を負うはずなんですね。しかも、労働というところの所管省庁の大臣ですから、これはあくまで労働者として労働者が、何というんでしょうか、いい状況で働けているかどうかということを判断される大臣ですよね。そうすると、労働分配率のことに対して、そのことが、下がっていることが今の社会の中で全体としていいか悪いかということをちゃんと判断される大臣ではないですか。ですから、私は今のような御答弁は不適切だと思いますよ。厚生労働大臣としての職種を、仕事を僕は放棄している発言だと思いますが、いかがですか。
#41
○国務大臣(柳澤伯夫君) そういう御指摘であれば、私の質問の聞き方が少し十分でなかったということかと思いますが、私は今、櫻井委員が、株主配当というか株主に対する分配が増えているという社会構造についてどう考えるかというふうに私受け止めましたので、そのこと、そういう向きの発言をいたさせていただいたわけですが、もしそうでなくて、労働分配率そのものについてであれば大体後半でお答えしたつもりですが、前段の断りのところはやや言葉足らずであるということは申し上げさせていただきます。
#42
○櫻井充君 私は、これ通告してありますものね。ちゃんと、労働分配率が低下し、なおかつ株主の配当がということ、これ通告してありますから。ですから、そのことに沿ってこれは質問さしていただいているつもりです。
 もう一度申し上げておきますが、労働分配率そのもの自体が下げ止まらない限り、給料が上がるということ、雇用体系を変更させていくということは僕はかなり難しいことなんじゃないのかなと、そう感じているんですよ。ですから、そこの根幹のところをどう考えていくかであって、そこで随分話は前に戻るんですが、経済財政諮問会議のあの物言いは一体いかがなものなのかという感じがするんですよ。
 そして、この国の方向はですね、この国の方向は株主の優遇税制は一〇%で残ったままですよね。本当は今年で終わるはずだったのに残してしまった。そのために、この国は七千八百億の減収になっております。つまり、七千八百億円あったら、あの障害者自立支援法みたいなあんな厚生労働省で苦労するような制度を作らなくていいはずなんですよ。
 それから、僕は小泉総理からよく島国根性丸出しだと言われますが、しかし、今この国の株主の筆頭は外国人で、二七%も持っているんですよね。ということは、優遇税制を掛けるということは一体我が国の国民に対してなのかというと、必ずしもそうでないということですよ。そして、その一方でサラリーマンの定率減税は廃止したでしょう。労働者に対しての環境だけはどんどん悪くなっているんですよ。株主だけをこうやって優遇しているんですよ。そういう構造が僕は根本的な間違いだと思っているんです。
 所得も減っているだけじゃなくて、可処分所得そのもの自体もまた減っているわけですね。これは、年金制度の改正によって年金の保険料率も徐々に徐々に上がっていくわけですから、毎年自動的にずっと可処分所得が減るような状況になっている中で、労働者に対しての分配率そのものを上げなければ可処分所得が上がることはない。そうすると、個人消費が伸びていかないから景気は低迷する、そして景気はなかなか安定しなければ更にまた企業の収益が増えていかないからまた更にという悪循環になっていくわけでしょう、ここのところは。ですから、私は優遇すべき人たちのところが違うんじゃないのかなと。そこの部分を、根幹をまず変えていかないと何ともならないんじゃないかと。
 その意味で、ですから僕は厚生労働省にもっと頑張ってほしいと思っているんですよ、ここのところは。やっぱり、労働者としてこれだけ一生懸命日本の労働者は働いているにもかかわらず、私は報われてないと思いますよ、本当に。これはどの分野の方々にお伺いしても、一部のバブル的なところのある人たち以外はみんな苦労されている。そこの社会を何とか変えないと様々な問題が起きてくるんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。
 そこで、もう一つ今回の中で、法案の提案の理由説明の中で、短時間労働者の処遇は必ずしもその働きに見合ったものとなっていないというふうに説明されていますが、具体的に言うとどういうところがそのこととして挙げられるんでしょうか。
#43
○政府参考人(大谷泰夫君) 提案理由説明の中の、その短時間労働者の待遇が必ずしもその働きに見合ったものとなっていないということでありますけれども、これは短時間労働者の待遇につきましては、例えば職務と人材活用の仕組みが通常の労働者とほとんど同じというパートの方について、この賃金の決定方法について調べた場合に、正社員と同じであると答えた企業の割合はまだ一四・四%にとどまっておりまして、むしろその水準が七割程度以下と回答している企業が三五・六%ある。言わば仕事もそれからそういう人事や何かも同じなのに七割以下の水準だと、こういう方が、事業所が三五%ある。こういった実態を踏まえますと、言わばその待遇は働きに見合ったものではないと、こういったことが見て取れるというふうに考えております。
#44
○櫻井充君 そうすると、この国はどういう方向に向かっていくのか教えていただきたいんですけど、つまりその働きに見合っていないということは、パート労働者そのもの自体の、これは働きに見合っていないということと若干違いますけれども、パート労働者の数がこのままでまずいいとお考えなのかどうか。つまり、パート労働者を減らさなきゃいけない、そして正規にするべき人たちは本来正規にしなさいという内容のことが書かれていますよね。それ、かつ賃金も全部引き上げなさいというような内容になっているんですが、世界のちょっと傾向を見てみると、これ今日お手元資料をお渡ししておりますが、例えばその二枚目のところにフルタイム、パートタイムの賃金格差の国際比較というのがありまして、ドイツが一番格差が低いわけですが、そういったドイツはどうなっているかというと、格差が低い代わりにパートタイム労働者の割合は少し高くなっているんですよね、ほかの国々と比較すると、これ一枚目見ていただくとお分かりいただけますが。一方で、あのアメリカなどは、実は、ちょっとここに数字がなかったかな、もうちょっと違うところがいいですね。例えばフランスなんかは、これは労働者の、これもフランスも載っていないか。済みません。
 要するに、パート労働者の割合が低くなると賃金格差はある程度付いているんですよ。一方で、パート労働者の数が多い国は傾向として、一般的な傾向として言うと、賃金の格差を物すごく低く抑えようという形で努力しているんですね。
 ですから、多分両方満たされるのが本当は一番良くて、正社員に変わるということがまず一番いいことだと思うんですが、一遍にそのことを多分実現するというのは、今の景気状況や、それから先ほどから何回も申し上げておりますが労働分配率の問題等を考えたときには、なかなか難しいんだと思っているんですよ。
 現実論からいったときに、政府としての目標は、パート労働者の賃金の引上げを最初にやろうとお考えなのか、それともパート労働者から正規雇用に変えるというふうにお考えなのか。その両方一遍というのは非現実的な話ですから、現実論からいうとどちらを考えて今後その政策を取っていこうとされているんですか。
#45
○国務大臣(柳澤伯夫君) 将来に短時間労働者の割合の動向をどういうふうに想定しているかということでございますけれども、私どもは、将来日本の労働力が不足する中で、女性の三十歳から三十四歳を中心とするM字カーブのへこみの部分はもっと引き上がった形でなければいけない。それから、高齢者、高齢者と言うかどうかはともかくとして、六十歳から六十四歳までの労働力率ももっと引き上げなければいけないと、こういうように考えておりまして、そういうことを考えたときに、それではこのような方をフルタイムの労働者というふうに望んでいくことが可能かといえば、それはそうではない。むしろパートタイムのような、そういう形を大いに活用してこの方々の労働力率、労働力化というものを考えていかざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
 じゃ、その処遇についてはどうかといいますと、私どもといたしましては、処遇については、これはもう本当にその方の、パートタイムと一口に言ってもいろいろな働き方ということでかなり実態が異なっているところがございますので、その実態、働きぶりあるいは働きあるいは貢献というようなものに見合った処遇を確保しなければいけないと、こういうことを考えておりまして、今回の法律はそういう考え方ででき上がっているということを私どもは考えているわけでございます。
 したがいまして、まず今このパートの人たちの中で正社員になりたい、長期雇用になりたいという方々の希望がかなえられるようにするということはこの法律にも書いてございます。書いてございますが、じゃ、相対としてシェアダウンを望んでいるかといえば、今冒頭に申したような事情もありますので、そこはなかなか我々として明確な数字をもって申し上げることはできませんけれども、このパートタイムというのの労働形態は非常に良くないというような判断をしてこの問題に取り組むというわけにはいかないと、こういうふうに考えているということでございます。
#46
○櫻井充君 済みません、ちょっと最後がよく分からなかったんですけど。最後、もう一回お願いできますか。
#47
○国務大臣(柳澤伯夫君) 要するに、パートタイムという労働の形態というものがそもそもあってはならないとは考えていないと、こういうことであります。
#48
○櫻井充君 それはおっしゃるとおりだと思いますね。
 例えば、午前中なら午前中忙しいからその部分をパートでという、もうそれはまさしくそのとおりだと思うんです。
 もう一度、ちょっと先ほどの資料の中ではっきりさせておきたいことがあって、日本は要するに賃金格差、これフルタイム労働者と比較して五〇・三%で最低です。なおかつ、日本のように毎年毎年増えていってきているというところもなかなかないわけですよ。つまり、日本の場合にはパート労働者の割合も高いし、それから賃金も低く抑えられているわけですから、労働者にとって劣悪な条件であるということは、これは短時間労働者にとって劣悪な条件であることはこれはもう間違いないことだと思っております。ですから、そこを根本的にどうやって解決していくのかというところで、もうくどいんですが、労働分配率が上がらないとそこの部分はなかなかそうならないんじゃないのかなと。
 つまり、理想と現実があって、理想はここの法律に書かれているとおりかもしれませんが、現実論としたときに本当にそれでやれるのかどうか。何かを削ってもらわなきゃいけないわけでして、私は何を削るんだといったら絶対株主の配当をまず削ってくれと、労働者の分配率をちゃんと上げてくれということにしないとお金は回らないんじゃないかなと、これは私はそういうふうに考えております。
 その上で、大臣がおっしゃったような内容のところが今回新しく条文化されているわけですよ、六条以降ですね。その六条以降定められている中で、努力義務のところもあれば義務規定のところもあるんですが、まず義務規定にしている割にこれ罰則規定がないわけですよ。だから、これはこういうふうなものです、例えば八条なんかのところに差別的取扱いを禁止しろと、これは義務規定で置いておりますが、しかし実際のところは罰則規定がないとなると、本当に実効性があるのかどうかということは僕はこれ担保されていないんじゃないかなと、そう思っていますけれども、この点についてはいかがでしょう。
#49
○政府参考人(大谷泰夫君) 今、第六条とおっしゃったと思いますが……
#50
○櫻井充君 六条でも八条でもいいよ。八条。
#51
○政府参考人(大谷泰夫君) まず八条は、これは八条は言わば義務規定ということで、これは差別禁止を求めた規定であります。
 これ、実際にじゃどうやって実効性を担保するのかということでありますけれども、現在はこういう差別禁止という社会規範というか法律がないわけであります。そこにおきまして今回こういう差別禁止ということを決め、こういう要件まで定めて、これに合致した方については差別禁止になるというふうに法律が定まりますと、まずは当事者間の関係でいいますと、くどくなりますが、事業主はこの法律に基づいた対応をまず事業の中で、経営の中で講じていかなければならない、一つのまずステップであります。それに対して労働者が、いや、事業主はそうかもしれないけれども、自分は納得いかないというときに、今回説明義務というのを課したわけで、自分はそうは思わないが、なぜこういうふうになっているのかということを聞くことができる。それで更に両者で、この法律でいけば自主的な企業内交渉をして、それでも駄目な場合には例えば都道府県の労働局に行っていただいて相談していただくと。その三要件等を精査して、これはやはりこの法律を見てももとっているんではないかということであれば助言なり指導なり勧告をやられるということで、こういう形で実効性を図っていこうというのが今回の法律の考え方であります。
 それから、六条につきましては、これ罰則というか、過料ということを設けたわけでありますけれども、これは文書の交付等の義務に違反した場合に、労働条件に関する文書の交付義務違反については十万円以下の過料を果たすということで、過料ということでありまして、いわゆる行政罰、刑罰ではありませんけれども、これは相当の実効性があるんではないかということを併せて考えております。
#52
○櫻井充君 それでは、今御答弁の中で事業主はそれから労働者はというお話がありましたが、この短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律というのの、事業主は何%知っているんですか。それから、労働者は何%知っているんですか。
#53
○政府参考人(大谷泰夫君) ちょっとお待ちください。
 これにつきまして調査したものに基づきますと、総計で申しますが、内容までよく知っているというふうに答えた事業者が一六・六%、内容についてある程度知っていると答えた事業主が五七・八%、内容までよく知らないが名前は知っているという方が二二と、こういうことが事業所側の認識でございます。
 労働者につきましては、ちょっと調べさせてください。
#54
○櫻井充君 済みません、これは通告していないので火曜日に御答弁いただきたいと思いますが、労働組合のあるところであれば、ある程度のことはこれは組合の人たちは多分知っていると思うんですよ、組合員全員かどうかは別として。ですが、労働組合のないところの人たちが本当にどれだけ知っているかですよね。ですから、今法律で書いてあってこういうふうにしてますから、だから先ほど事業主の人たちもこうだというお話をされるけど、本当に法律みんな知っているかどうかですよ、ここのところは。
 私も本当に恥ずかしい話ですが、今回こういうのがあって、それでうちの雇用形態はどうなっているんだろうかと、そういうことをちゃんとやっていたんだろうかといって思わず調べ直しました。そしたら、私のところにすごく優秀な事務職員の方がいらっしゃって、きちんとしたルールが書かれてました。だから、私はそれで本当にほっとしたんですけど。ですが、国会議員でこの程度ですよ、法律を作っている。これは自分たちの反省を踏まえて申し上げているんですよ。
 ですから、そういう点でいうと、幾ら法律上書こうが何しようが、実効性が担保されるのかどうかということが最大の問題ですよね、ここのところは。ですから、今のような形で幾らお話されたとしても、私は担保されてないんじゃないか。
 ですから、もう少しそういう厳しい規定まで置いたら、それは皆知るところになりますから、そうなってくると状況は変わるんじゃないのかなと、そういうふうに私は思うんですけど、いかがですか。
#55
○政府参考人(大谷泰夫君) 今、お話賜りまして、この法律あるいはこういう制度の存在を知っていただいたと、法案を提案した大きな成果があったというふうに思いますが。
 周知ということになりますと、これは確かに法律の個々について一人一人の労働者の方々に知っていただく、特に今回の改正については是非知って、言わば処遇の改善につなげていただきたいという思いが私どもあるものでございますから、これは極力周知あるいは努めてまいりますし、また、企業内の経営者だけでなくて労働組合の方々にも、これいろんな機会をとらえてまたその企業内で周知していただいてこの法案の実効を上げていただきたいと。
 最後に、刑罰をもって周知せしめるということにつきましては、重い刑罰があるから萎縮して知れ渡るということについては、この労働法制においてはそういうやり方がいいのかどうか。私どもは、やっぱり労使の交渉にまたがることについて重い刑罰で臨むというのは、審議会でももちろん通らない考え方でありますけれども、なかなかそれは通りにくいんじゃないかというふうに考えています。
#56
○櫻井充君 労使の交渉というのが、立場が五分五分であれば僕はおっしゃるとおりだと思いますよ、五分五分であればね。ところが、今は違うでしょう。だって、労働組合の力なんて物すごく落ちてますよ、申し訳ないけれども。ですから、そういうことから考えていったときに、労使の交渉で本当にきちんとできるのかどうかということだと思うんですよ。だから、これが今おっしゃるとおり五分五分であればちゃんとやれると思うけど、私はそういうふうには感じておりません。
 それから、もう一つ、例えばシックスクールのときに、これ文部科学省がちゃんと学校単位で、県単位だったかな、そこにまず周知徹底をしましたとおっしゃってましたが、僕は現場の先生に聞いてみると、もう知らないですよ、みんな。えっ、そういうことになったんですかという感じで全然知らない。
 ですから、その役所、中央省庁からすれば、どこかにはちゃんと伝えましたと、どこどこに伝えましたと。だけど、伝言ゲームはこれは全然うまくいってないんですよ。ですから、その全然うまくいってない伝言ゲームをもってして、だからこれで周知徹底ですというふうにはならないんです。
 ですから、もう一つ考えておいていただきたいのは、どういう形で伝言ゲームのネットワークをつくるのか。そして、その上でどうやって隅々まで知っていただいて、その上で自分たちはこういう権利を有しているんだということをちゃんと理解してもらわないと、幾ら法律に書いてもこのままじゃ何の担保もされてないんじゃないのかなと、そう思います。
 ちょっともう時間がなくなってきたので、それから十一条のところはすごく不思議だったんですが、福利厚生施設って、これ別にこんなところに、使うのに対して差別するなと一行書けばよさそうなのに、何でこれは今度配慮しなければならないという書き方なんですか。
 つまり、不思議なんですよ。福利厚生施設なんて差別するなと言えばおしまいで、これは義務規定でもよさそうなのに、努力義務以下の配慮しなきゃいけないということにしたのは一体なぜなんでしょうか。
#57
○政府参考人(大谷泰夫君) この本法案におきまして、福利厚生施設についての利用の機会を与えるこの配慮義務というふうに定めたわけでありますが、これも審議会で相当議論になった部分でありますけれども、例えば施設というふうに考えますと、これはやっぱり収容能力の問題があるということでありまして、これは措置義務ということになりますと、例えば結果としてその利用ができなかったという場合には、例えばその施設の増設までしなければならないか、こういうようなことまで議論になりますと、ある程度過大な負担になるという賛否のこれ議論になったわけであります。そういった意味で、それは企業として最大限配慮するということにとどまったわけであります。
 ただ、この配慮義務規定というのは、この努力義務規定より弱いというわけではございませんで、この改正法の施行後におきまして、事業主がこのパート労働者に福利厚生施設を利用させるために増設まではできなくてもできるだけ、例えばあるのに利用させないとか、一方、正社員が利用してパートタイマーは利用できないと、そういうことはこれできなくなるわけでありますから、これは普通の努力義務よりはこの配慮義務の方がまだ一歩強いというふうには考えております。
#58
○櫻井充君 今事業主がとおっしゃいましたよね。事業主の意見だけであって、これパート労働者の人たちの意見は反映されているんですか、じゃ、こういう部分に対して。それはおかしいじゃないですか。もうこの時点からですよ、この時点から事業主の方が強いということがはっきりしていませんか。つまり、労働者側だって企業をつぶしてまで何とかしろなんて思ってませんよ、こんな、当たり前のことですけどね。ですから、そういう点でいうと、今のような御答弁で事業主に確認したけどこうだということだと、やっぱりこれは対等に労働者の方が渡り合えないように僕はでき上がっているんじゃないのかなというふうに思います。
 もう一つ、一番大きな問題は、この法律の責務のところで、何条だったかな、今回改正されていませんが、四条だったでしょうか、国の責務というのが定められているのは。国と地方公共団体の責務として、国はとにかくこういうことを短時間労働者に対しての雇用管理の改善等をやるためにとにかく推進するように努めるものとするとして、努力義務として自分たちで書き置いていますよね。国はこの努力義務をちゃんと果たしてきましたか。
#59
○政府参考人(大谷泰夫君) このパート法第四条におきまして、国及び地方公共団体の責務を規定しておりますが、これは短時間労働者が我が国の経済社会において果たす役割の重要性をかんがみ、短時間労働者の雇用管理の改善、促進などに国及び地方公共団体として取り組む必要があるということで責務として定めたわけであります。
 これまで、厚生労働省といたしましては、このパート労働法に基づくまずは指針を策定するとともに、この法律の周知の啓発や相談あるいは事業主に対する助言、助成金の支給等、事業主に対する支援を行うことにより責務をこれまで果たしてきたところでございます。
 また、地方公共団体におきましても、厚生労働省の行ってきた施策と連携しながら、このパート法の周知や相談あるいは講習会の開催を行うと、こういったことで責務を果たしてきていただいているというふうに認識しております。
 ただし、先ほどお話ありましたように、こういった制度がまだ十分周知されてないという御指摘、重く受け止めております。この改正法が成立しますれば、これは引き続き地方公共団体と連携して、この短時間労働者の均衡待遇の実現に向けてより一層の努力してまいりたいと考えます。
#60
○櫻井充君 僕は、国がちゃんとした責務を果たしていないから今のような劣悪な労働条件になっていると思いますよ。ここのところが僕は基本的に言うと最大の問題ではないのかなということを指摘いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#61
○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 短時間労働者法のことをじっくりやろうと思いますが、先週の質問でちょっと私はっきりしたものを残したいというのと、先週かなり尋常な精神状態ではなかったですから確認が取れなかったところがございますので、ひとつその点だけ別に質問させていただきたいと、まず最初に質問させていただきたいと思っています。
 これは何かといいますと、ちょっと復習します。皆さん御存じのように、生命保険それから損害保険で申請がないがために支払漏れが三百六十億あると。これは何も、民間医療保険だけではなくて公的医療保険においても、高額療養費ですね、高額療養費を支給するには被保険者からの申請が必要とされているため支払漏れがあると、この前はっきり答弁されました。これは私は非常に大きな問題だと思っております。
 なぜかというと、民間との格差が余りに激しい。民間は、金融庁から業務改善命令まで出されて、業務停止命令も出ているわけですね。その点が一点。
 次が、これは消えた年金に続いていく問題だと思っているんです。既に保険料を払った時点で高額療養費制度というのは公的医療保険において患者さん側、被保険者側が当然もう得ている権利だと私は思っているんですね。そこのことをもう一回確認したいと思っています。
 健康保険法百十五条、それから国民健康保険法五十七条、要するに自己負担額が著しく高額であるときは高額療養費を支給すると、これは法律に書いてあるわけです。保険者の義務として、ここを私はもう成り立っているんだと思っているんですね。請求があった場合とかいう条件は一切書かれていないわけです。支給要件、支給額その他は政令で定めるとなっているわけですね。そして、政令にはどの程度の費用が掛かった人が該当するかという要件が定められていますが、申請の必要性については書かれていないんですね。省令に支給要件を委任するとは全く書いていないわけですよ。第四十三条に高額療養費の支給に関する手続に関して必要な事項は省令で定めると書いてある。省令で、やっと第百九条、健康保険法施行規則第百九条で申請書を提出しなければならないと書いてあるんです。
 今日、内閣法制局の方をお呼びしたのは、この高額療養費を被保険者が受ける権利、受ける権利というのは、健康保険法、この法律上で既に発生しているんではないかということなんですね。政令に下り、さらに省令のところで申請が必要だと書いてある。この申請というのは本来、被保険者が高額療養費を受ける権利の発生のための必要条件なんでしょうか、それとも単に事務効率上の理由で定められているだけなんでしょうか。そこら辺の解釈をお願いします。
#62
○政府参考人(近藤正春君) 今先生の御指摘ございました高額医療費の問題でございますけれども、今の御質問のときにございましたとおり、確かに健康保険法の百十五条の一項で一部負担金等の額が著しく高額の場合に高額療養費を支給するということが書かれておりますけれども、法律の構成上、実際に具体的な支給を行うに当たっては、御指摘のとおり、政令への委任によって支給要件や支給額その他の事項ということで、さらに省令におきまして高額療養費の支給を受けようとする場合には一定の申請書を保険者に提出しなければならないという形で具体的な手続が定められておりまして、そういう意味では省令において具体的な手続というものが定められておるということで、あくまでも健康保険法の委任を受けて具体的な手続を省令に落としているということであって、その手続規定についてその権利自身をどうこうということではなくて、あくまでも手続がそこで定められている。それで、全体として、手続を踏まえて支給がされるというふうに法律が政省令に委任をしているということだと思います。
#63
○足立信也君 全体として解釈で委任されているから、それは法律から政令、省令まで下りてきて、省令で初めて書いていることが権利発生の必要条件だと今おっしゃったわけですか。その理由は何なんですか。
#64
○政府参考人(近藤正春君) その法律と政令による支給要件というのがございましたので、支給要件に合致すれば百十五条第一項によりまして権利というものの、抽象的なのかもしれませんけど、まだ具体的にお金がもらえるというところではございませんけれども、権利としては確定をされていて、具体的に金額を受け取るというところまでで実際の権利が実現化するということであれば、そうすると、その手続まで踏まえて実現化するという趣旨で申し上げたわけでございます。
#65
○足立信也君 法律上権利はもうできているけれども、それを具体化するために手続や申請が必要だと今おっしゃったわけですが、その必要な理由はなぜなんですか。
#66
○政府参考人(近藤正春君) それは、むしろ健康保険法がそういう考え方で、法律で全部書き切るのでなく、政省令を委任をして、その全体の手続を政省令も踏まえて実態に合わせた政省令を作りながら、それに応じて実際の支給まで持っていくという形でのむしろ法律の作りをしておるから、そういうことだというふうに思います。
#67
○足立信也君 それは、例えば保険者が支払う義務を負うわけですね、申請があった後ですね。それは当然、分かっていることあるいは分からないことって保険者にとってはありますね。その分かっていることあるいは分かっていない、その知っているかどうかというのは、その要件の中に入るんですか、理由の中に。手続、申請が必要だと、申請があった時点で初めて権利が発生してくるんだという解釈の中に、知っていることは、あるいは知らないからと、その理由付けがあるんでしょうか。
#68
○政府参考人(近藤正春君) 直接的な規定ではございませんけれども、健康保険法の中に例えば時効の規定等がございまして、こういう高額医療の費用を受ける権利というのは時効にかかってくるわけでございますので、そういう意味では、具体的に請求していないので多分時効の状態になってくるんだと思いますので、権利的には、一定の要件にきちっと合致したところで抽象的に権利としては発生していくということではあると思いますけれども、具体的な手続をしないと現実のものとして手に支給されてこないということだと思います。
#69
○足立信也君 私が確認したかったのは、今までのやり取りの中で、実際にどれだけの医療費が掛かったか分からないから、申請に基づいてどれだけの医療費が掛かったということがスタートしないと権利は発生していかないんだという説明がかなりあったわけですね。それは事実ですか。その解釈でよろしいんですか。
#70
○政府参考人(近藤正春君) その意味では、保険者の方からすれば、具体的に幾らを払うかということは現実の申請があり、分かってこないと、そういう意味では、具体的な形としての支給を受ける権利に対応する支給ができる状態ではないという意味において、完全な支給の申請がされて初めて保険者が具体的な支給権の実施に当たっての内容をそこで確定していくということだと思います。
#71
○足立信也君 まとめますと、保険者は知り得ない部分があるから、権利は発生しているんだけれども、その権利を行使するというか、そのできる状態にはなっていないと申請が始まらないという説明ですね。
 実際、これは、一般の方は高額療養費って月に八万百円プラス一%ですね。高所得の方でも大体約十五万ですか。これ三割だと考えると、医療費が五十万以上掛かっている方はだれでも発生するというのは保険者はみんな分かっていますよ。知っていますよ、五十万以上の医療費が月々掛かった人はもう既に権利が発生しているって。これは、知り得ないから申請しないと権利がスタートしないという問題じゃないと思いますよ、全部分かっているはずですよ、五十万以上であれば。
 これは、ですから、法の解釈としては、もう法制局の方にお聞きするんではないんです、これ以降ですね、知り得ない部分があるから申請手続がないと当然の権利を行使する段階までスタートしないんだという解釈だと。しかしながら、今、私は、水田保険局長にお伺いしたいんですけれども、保険者が診療報酬表を手にした時点で、これ先ほどの高収入の方でも医療費が五十万円以上であればこれは高額療養費に該当するというのはもう既に知っているわけですよ、ですね。法解釈上知り得ないからということは当たらないんじゃないかということが私のこの高額療養費に関する考え方なんですね。
 そこで、例えば、今、昨年から私も何度か取り上げました病院の未収金問題ですね。これ三年間の推計で八百五十三億に達するという、四病院協会から出ていますね、未収金。この中で、私はほとんどだと思っていますが、高額療養費に該当する方が何割ぐらいいるんでしょうか。
#72
○政府参考人(水田邦雄君) お尋ねの未収金のデータは四病院団体協議会というところがまとめられたものであると思いますけれども、そのうち高額療養費の支給対象となるものがどのくらいになるかということにつきましては記載がなく、私どもとしても承知をしてございません。
#73
○足立信也君 多分知らないということをお答えになると思いましたが、私はいろんなところから、あるいは四病協からも話を聞いて、高額療養費制度に該当するといいますか、高額の方がやはり多いんですね、未収金問題に直接絡んでいる方は。これは、保険者もこの方は高額療養費制度に該当すると分かっているわけです、先ほど言いましたように分かっているわけですよ。そして、既に分かっているから権利は発生しているわけですね。
 具体的にどういうかと。これは時効が二年だという先ほどの話がございましたね。高額療養費に該当する方が払わない、病院は七割の支払が保険者側から入る。当然三割がいったん患者さん側から払われ、そして高額療養費制度を利用したら償還されると、患者さんに。病院側は、患者さんが戻ってくるのは一割だと仮定すると、二割分はずっと未収金で残るということですね。そういうことになりますね。その解釈はよろしいですね。
#74
○政府参考人(水田邦雄君) 三割負担の方といたしまして、七割分が診療報酬として病院に入ると。その後、その三割部分が高額療養費に該当すると、その通常の方の場合でありますと八万百円プラス一%を超える部分が高額療養費で支給されるわけでありまして、その二割というのがどういうところから出たのかよく分かりません。
#75
○足立信也君 ちょっと具体的に言いますね。じゃ、仮に胃がんの手術をして百万円掛かったとしますよね。三割は三十万ですね、単純に考えますと三十万。八万が高額療養費制度だとしますね。本来八万だけ払えばいい。今まで、三月までどうだったかというと、三十万を払って、あとこの差額の分、二十二万円は患者さん側がいただくということですね。そういうことですよね。
 それが、高額療養費を利用しないことによって、病院側の、あるいは高額療養費を利用する方が納めない、病院に払わないことによって、病院の収入は七割で止まったきりなんですね、七十万で。そこが未収金のかなりの分野を占めているわけですよ、ですね。
 で、四月から現物給付に変えましたね。ということは、現物給付の、今私、具体的な例で、病院は本来九十二万入るところが、高額療養費を利用せずに未納、病院に払わない事態で七十万しか入ってこないのが、現物給付になったからこれ九十二万まで入るわけですね、病院には。その差額というのは過去二年にさかのぼって保険者が支払う義務があると私は思いますが、どうですか。
#76
○政府参考人(水田邦雄君) どうもその想定、今突然お話がありましたんでよく理解し切れていないわけでありますけれども、二十二万円というか、その高額療養費で当たる相当額の二十二万円を除した、その最後の患者が払うべき八万円について、これは単純にその未収金ということではないんでしょうか。保険者が払うべき額ではなくて、これ患者が払うべき額、純粋に払うべき額でありますので、これは正に病院と患者の間の診療契約に基づいて患者が支払うべき額、それが支払われていないということで、それは未収金という扱いになるんだと思いますが。
#77
○足立信也君 そこの前提で、未収金の中で、高額療養費に該当する方がかなりの部分を占めている、僕の今まで聞いたところの話です。先ほど知らないとおっしゃったからそういう理論になるんですけれども。大部分の方が高額療養費に該当する方が多いということなんです。
 これ、現物給付になったから、その高額療養費制度に該当する方は自己負担の限度額だけ払えばいいわけですね。あとは保険者との間、医療機関と保険者の間ですね。ですから、病院に関してはほとんど未収はないわけですよ。患者さんのその自己負担分しかないわけですよ、ですね。
 でも、今までは高額だったから、高額療養費を利用せずに、高額療養費制度を利用せずに、自己負担分の、さっきの百万からいくと三十万は病院に払わなきゃいけないから払わなかったわけですね。これが未収金だったわけです。つまり、病院の収入としては七十万しかないわけですよ。そこに二十二万の差が生じているということですよ、三月から四月に。これは権利として、高額療養費制度を利用する権利が被保険者には生じていると、しかも知り得ているわけですよ、保険者はその状況を。だとしたら、二年間の時効の部分にさかのぼって、これは保険者が高額療養費制度に該当した、自己負担限度額を超える部分は医療機関に払う義務があるんじゃないですかという意味です。
#78
○政府参考人(水田邦雄君) なお議論がよく分からないんでありますが、その二十二万円は、言わば高額療養費として患者たる被保険者が今の前提でも受け取ったわけでありますので、その二十二万円はそれは病院があくまでも患者に対して請求すべき金額であって、保険者に二重払いまでさせようというのは、それはちょっと無理なんじゃないかと思いますが。
#79
○足立信也君 これは去年、相当議論したと思うんですね。保険者には、減免措置をする義務がある、それから未収金が出た場合に強制徴収の義務も、義務という、できる権利があるわけですね。医療機関側にはないわけですね。このことはもう昨年議論したから、もうそのとおりなんです。要は、この三月から四月にかけて償還払いから現物支給に変わった。そして、償還払いの時代に当然高額療養費制度を利用する権利が持っていた患者が利用しなかった、行使しなかった。その方が病院にお金を払わなかったという事態がある。その部分は遡及して保険者に支払う義務があるんじゃないかという話を私はしているんです。
 それ以上難しかったら、今日は短時間労働者の件で私はもっとやりたいことありますので、そういう問題点の指摘なんです。それは御理解いただけると思うんですが。
#80
○政府参考人(水田邦雄君) その二十二万円は、あくまでもそれは被保険者たる患者に発生したものであって、その患者が遡及して保険者に対して高額療養費を請求するということはそれはあり得ると思いますが、それは病院が、保険者に対して遡及して請求するというのは、これはやはり高額療養費の受給権は被保険者、あるいは被扶養者たる患者にあるわけでありますので、遡及できるのもそれもやはり基本的にはそれは患者であろうかと思います。
#81
○足立信也君 分かりました。
 じゃ、二年間さかのぼって、遡及して、今まで高額療養費を利用しなかった、それによって病院へ支払ってこなかった方については、しっかりチェックをして、そして高額療養費制度を利用するように指導されるんですか。
#82
○政府参考人(水田邦雄君) ちょっと今の急な御提案ですので、どのように受け止めたらいいのかよく分かりませんが、いずれにしましても、未収金問題につきましては、これから関係者、当事者集まりまして、具体的にどうするか、どう対応するか、検討の場を設けるということで準備をしておりますので、幅広く検討をしていきたいと思っております。
#83
○足立信也君 検討してください。
 三月からと四月からで、償還払いと現物払いになった時点で、これは大分、高額療養費制度そのものを利用できる権利というものは、実際に利用する頻度が相当違ってきていると私は思うんです。だから、それは国民の権利の問題ですよ。ですから、二年間、時効が二年であるならば二年間遡及して、それは高額療養費制度を利用してくださいと、これは言うべきことなんですよ、国民の権利ですから。そういうことを私は提案している。是非お願いします、検討を。
 いよいよ短時間労働者の質問に入りたいと思います。
 先ほど、うちの我が党の櫻井議員が言っておりましたが、私も読めば読むほどよく分からないんです、やっぱりこの法律がですね。読めば読むほど分からない。誤解を恐れず言いますと、これからずっと私の質問でそれを構築していくつもりですが、本来私は要らない法律なんじゃないかとはっきり言って思っているんです。それは読めば読むほど混乱してきたからであって、そこで、先ほどの議員の質問とはちょっと違う聞き方なんですが、法律というのは、それを対象としている、該当する方というのがあるわけですね。例えば、今、総務省の労働力調査ではパートタイム労働者は千二百五万人という数出ていますね。この法律が対象としている国民の、あるいは労働者は何名なんですか。
#84
○政府参考人(大谷泰夫君) 先ほどの櫻井委員との議論のこれ連続になるわけでありますけれども、パート労働法が適用されます短時間労働者の定義は、一週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比して短い労働者というふうにされているところでございます。つまり、パート法上の短時間労働者となるかどうかは、比較すべき通常の労働者とのバランスにおいても相対的に決まるものでありますから、言わば絶対的な何時間という基準で決めているわけではないので、総数として何名というふうに確定することは、これ難しいわけでございます。
 しかしながら、今引用されました総務省の労働力調査でありますが、これは調べ方の定義としては、平成十八年において、週の就業時間が三十五時間未満の者が千二百五万人というふうに調べたわけでありまして、三十五時間未満の者が千二百五万人ということで、ある程度の目安の数にはなるというふうには考えておりますが、ちょっとさっきの説明にもありましたように、もしある事業所が、正社員、通常の労働者が三十五時間という会社であった場合には、その方はパート労働者ではなくて言わば通常労働者になるわけでありますから、この千二百五万人につきましても、くどいようでありますが、全員がこの法律の対象の短時間労働者じゃないと、こういう整理になるわけでございます。
#85
○足立信也君 想定でもいいんです、大体どれぐらいかなというのはあるはずなんですね。それをお聞きしたいんですが、例えば、これはもうもちろんパートの方、アルバイトの方いますね、これ派遣社員の方も当然いますよね。派遣社員の中には、派遣会社から見れば正規の職員で、派遣されている側から見れば非正規、派遣社員の方いますね。それから契約社員、今高齢社会になって定年退職後の契約社員という方一杯いますよね、こういう方も該当するんだと。あるいは嘱託、私なんかも今嘱託で非常勤でやっています。そういう人もいるだろう。そして、当然のことながら短時間正社員、短時間労働の正社員という方もいらっしゃるだろう。これらはすべてこの法律の対象になっているんですか。
#86
○政府参考人(大谷泰夫君) これ一個一個のケースについて区分けしてお答えしなければならないわけでありますけれども、短時間正社員ということから申しますと、これ、その事業所にいわゆる通常の労働者として例えば四十時間という方がおられない、通常の方が三十五であれば、これはいわゆる三十五時間労働者でもこれは正社員でありますから、こういう方は短時間正社員になりませんが、一般にはその事業の例えば四十時間の所定内労働時間の企業で三十時間とか三十五時間という時間で、あとは正社員と同じ処遇で働いている方はこれは短時間正社員ということで、これはパートタイム労働者に含まれるわけでございます。
 じゃ、派遣がどうなるかといいますと、これは派遣労働者に対しましても、この法律のもちろん対象は及ぶわけでありまして、派遣元との雇用の関係で所定内労働時間が派遣元の会社の通常の正社員よりも短いということであれば、これは形式的には派遣元との関係においてはパートタイム労働法の適用があるということになりますけれども、より突き詰めて考えますと、派遣先との関係においては、これはそういう関係にはない、派遣元との関係でパートタイム労働者になると。請負につきましても、請負元との関係でそうなるということでございまして、実際に、ですから非正規社員と一般的にくくられている中で、そのうちの何人がいわゆるこの法律の対象となるパートタイム労働者になるかということになりますと、これは個々に定めていかなければならないわけで、実数をどんぴしゃで申すということはなかなか難しいということでございます。
#87
○足立信也君 正規、非正規に限って今の御答弁をちょっと私なりにまとめますと、短時間正社員も通常の正社員に入り、なおかつこの法の対象者になるということだったと思うんですね、今のお話は。そのとおりでいいんじゃないかと思いますね。じゃ、そこまで。
#88
○政府参考人(大谷泰夫君) もうちょっと詳しく言いますと、事業所によりますが、そういうケースが多かろうというふうに思います。
#89
○足立信也君 分かりました。
 平成十七年のデータですけれども、女性の短時間雇用者の多い職業、一位が卸売・小売業で二七・二%、二番目が医療・福祉の一五・四%なんですね。確かに私の周りは相当この短時間労働者というか非正規というか、非常に多いですね、今ね。
 実際これ、短時間正社員と言えるのかどうか。大体病院は三交代でやっています。患者さんの入院ベッドの管理のために準夜帯だけ毎日やる人っているわけです。毎日夜働くというのは、これはやっぱり労働基準法の問題がありますから、大体週四日なんですね。四、八、三十二時間。それで、四十時間の人に比べると、これ明らかに短時間正社員なんですね。こういう人もいれば、当然、今まで議論に何度もなってきました、小児科は三十代で大体半分の方が辞められると、常勤をですね。産科に至っては五六%の方がもうお産を取り扱わない、つまり常勤じゃなくなるという事態ですね。
 この人たちはどうやっているかというと、大体週ごとにいろんな病院で外来をやっていますね。あるいは、夜はまた違うところで当直したりしていますね。非常勤の形か、アルバイトの形か、特に最近多いのは大学院生ですね。昼夜開講の大学院とか働きながら大学院に通うとか非常に多いです。この方々は、それこそ毎日違うところに行っていますね。こういう方の労働の管理義務というのは、どの雇用者側に該当するんでしょう。そういう非正規でアルバイトをやっている、あるいは非正規でも何でもないアルバイトの連続、あるいは正規でありながら派遣の形で夜だけ当直を依頼されるとか、そういう方の場合の労働の管理というのはどこが責任を持つんでしょうか。
#90
○政府参考人(大谷泰夫君) 一般的に申しますと、一人の方がいろいろな事業主のところで短時間の労働をしておられるということになりますと、それは包括的にどこか一か所でということではなくて、それぞれの事業主との関係において、この法律でいえば、パートタイム労働法の言わば対象になっていくということでございます。合算された対象という形ではならないと思います。
#91
○足立信也君 ということは、それぞれの判断でしょうが、例えば常勤で週五日勤めているとしますね。依頼、契約に基づいて夜働きに行くと、そのまま次の日も当然働くわけですね。そこで、一日当たりの労働時間あるいは週のトータルの労働時間が割増し賃金の該当になるという形、ケースありますね、当然。そこのところの労働の管理というのは、本来常勤であるところと、派遣されて夜間あるいは昼間、日直、当直をやられる、そのどちらになってくるんですという話なんですよ。
#92
○政府参考人(青木豊君) 労働時間につきましては、労働基準法にも適用がございますけれども、複数就業している場合については通算して労働時間管理をするというのが法律の規定になっているわけでありますが、基本的にはここの規定というのは同一の、特に当初想定されておりましたのは、同一の企業において、労働基準法は事業場ごとの適用でありますので、同一企業内の別の事業場にある場合に、そういうのを通算して管理をしろと、こういう趣旨だったということであります。
 しかし、今御指摘になりましたように、別の事業主で働いているという方が随分増えてきてまいりました。そういう場合にどうするのかということでありますが、我々の考え方といたしましては、例えば一日の八時間の管理をして、それを超えたら時間外労働として割増し賃金を払えという規定が法律上、労働基準法上あるわけでありますが、それは、八時間を超えることとなる、つまり今のお話でいえば後の方の事業主がそういう義務を負うということになるだろうというふうに思っております。
 しかし、これは今申し上げましたような事情で法律が作られているわけでありますので、そういう意味では当初想定していたものとはかなり違うのではないかなという思いは持っておりますけれども、今の規定上は、そういうようなことになっているというふうに理解しております。
#93
○足立信也君 分かりました。所定の八時間を超えた場合はその後の方ということははっきりしました。
 そこで、冒頭、私言いましたように、これなかなかこの法律の立ち位置といいますか意味が余り私ははっきりしないというのは、この短時間労働者の雇用管理のこの法律の中に、基本方針そして指針というのがはっきり出ていますね。その中で、労働基準法や最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの遵守がもう当然うたわれています。そのように監督されているんだと思います。
 そこで、それぞれちょっとお聞きしたいんですが、割増し賃金率は今二五%以上、休日は三五%以上ですけど、これ、短時間労働者と言われている人の中でも、当然、一日においては割増し賃金の対象になる方はかなりいらっしゃるわけですね。それが、二五%以上を支払われていないという事業所はどれだけあるかというその割合は把握されていますか。
#94
○政府参考人(青木豊君) 割増し賃金については法定の労働時間を超えた場合に払うということでありますので、パートの人が、ここは所定労働時間は非常に短いわけでありますけれども、短い場合であっても法定労働時間を超えた場合ということでありますので、通常は、余り時間外労働のための割増し賃金を払うという事態は一般の労働者に比べて出現する場面は少ないかと思いますが、いずれにしても、労働基準法上の適用はパートに対しましても等し並みに共通してあるということであります。そういうことでありますので、私どもとしては、パート特有の問題ではございませんので、一般的に労働者が法定時間を超えて労働する場合の割増し賃金の支払について労働基準監督機関として指導をいたしておるわけであります。
 そういうことで、全体、立入り等を含めて十二万件ほどの監督指導件数がございますけれども、そういった違反については、三十七条違反、割増し賃金支払違反は十七年度で二万事業場、一七%の違反率ということを承知をしておりますけれども、パートに限って、パート労働者に限って特に集計をしているということではございませんので、それを分別しての数字は持ち合わせておりません。
#95
○足立信也君 恐らくそうだと思うんですが、私、資料を用意したものが過去四回、私が知る限りの過去四回の調査ですね、パートタイム労働者の調査。その中で経時的に追えるようなもの、実施者が一番左に書いていますね。その調査期間それから対象者、経時的に追えるもの、あるいは特徴のある調査結果といいますか、これをこう一応列挙してみたんですね。
 だから、今おっしゃったようにパートに絞ったデータというのはないだろうという想定の下でやっているんですが、しかしこれは、この法律の中の指針で基準法をしっかり遵守することとなっていて、でもパートタイマーに関してはそのデータはありませんと言われると、これは行政としてしっかりやってきたのかなという、先ほどの櫻井議員の話と通ずるところがあるわけですけど。少なくとも、遵守することと法律上で書かれてあるわけですから、これはパートタイマーとしてはどれだけ時間外、一日の所定の八時間以上どれだけ働いていて、それが割増し賃金がしっかり支払われていないというようなことはやっぱり押さえられて当然だろうなと私は思っているんですよ。
 そういう観点で聞いていきたいと思うんですけれども、この表の中では、やっぱり時間外労働というのは、この例えば上から二段目の時間外労働のところは、本人の事情を考慮して時間外労働をさせているというのが七割あるわけですね。しかも、その一個下を見ると、パートの方に残業を期待している率、正社員がですよ、パートの方の残業を期待しているというのは四割超えているわけですね。こういうことがある。だとしたら、やっぱりそこは調べていないといけないんじゃないかと私は思っているんです。
 次にお聞きしたいのは、これ年次有給休暇なんですね。有休の消化率といいますか、どの程度の方が消化しているのだろうかと。このデータはどうでしょうか。
#96
○政府参考人(青木豊君) この委員がお触れになりました年次有給休暇につきましても、一般労働者につきましては取得率は平成十七年四七・一%というふうに承知をいたしておりますけれども、パートタイム労働者についても同様にもちろん年次有給休暇の取得については法律上も保障されておりますし、その取得促進ということもやっているわけでありますけれども、パートタイムを分別してパートタイム労働者に関する取得率というのは特段把握してはおりません。
#97
○足立信也君 いや、そうだと思うんですけど、やはり例えば労働基準法を遵守しなさいってなったら、やっぱりそこは行政の監督責任は僕はあるんだと思うんですね。これ以上聞いても恐らく同じだと思うので、例えば健康診断は実施しているかとか、この件も恐らくパートに分けてはないですよね。まあまあ、いいです。ないですよね。
#98
○政府参考人(青木豊君) 確かに私ども、健康診断についても同様でございますが、私どもはパートであるから適用しないとか、一般労働者のみ適用するという、そういう法体系でありませんで、およそ労働者であればそれぞれ健康診断なりあるいは年次有給休暇なり、あるいは法定労働時間を超えた場合のものについては一般労働者と同様にパートでもきちんと法に定められた権利あるいはそういった事業主の義務、そういったものは均てんされるわけでありますので、特段私ども行政といたしまして分けて対処をするということにはなっておりませんので、そういう意味でパートのみを分別して集計をするというようなことを特段行政としていたしているというわけではないのでございます。
#99
○足立信也君 私と全く一緒なんですよ。すべて労働者は皆同じじゃないかと私は思っているから、この法律はなぜ必要なんだろうという一番最初の話に戻ってくるんです。私自身はそういうふうに思っているんですね。
 ただ、あえてこの短時間労働者という抜き出した状況がありますからね、先ほども質問にもありましたように。だから定めている、抜き出して定めているわけですね、法律を。だとしたら、それに基づいて、じゃ正規の方はこうだ、パートの方は実態はこうだと、労働基準法の遵守されている率はどうだということは把握されていてしかるべきだと私は思うんですよ。
 私は、全体として働く者として同じ、基本的人権もそうですし、労働基準法は遵守しなければいけないのも当然のことですよね。私はそういうふうに思っているんですよ。それも何もかも、やっぱり要はこの短時間労働というものが働き方は個人の意思によるものであると、働き方の選択はですね、この大原則があって、労使で話し合って契約がしっかり結ばれていると、そして労働者の権利が保障されているという状況であれば、やはり私は働く者は一緒で、同じ考え方の対処でいいんだと思っているんですね。わざわざこの法律がある以上それに基づいた監督指導、これは今のお話を聞くと、私はあえて言いますと不十分ではないかなという気がしているんです。
 そこで、この調査の一覧を大体皆さん理解されたと思いますが、今問題になっている差別禁止に関してはですね、この一番上の段の正社員との職務の同一性という欄の中に書いてあって、この四・七%というのは、事業所の方は四・七%の方がそう判断されている。残業等の拘束性や責任の重さも含めて正社員と同じ仕事をしているというのが、事業所の方は四・七%。ちなみに、正社員の方は四・一%、パートの方は五・〇%、これが大体四、五%という政府の答弁にずっとなっているわけですけど。
 これで、じゃ続いて私は各国との比較をしたいんですけれども、本来、例えばアメリカはこの短時間労働者に関する法律とかはありませんね。各国等はどういうふうになっているか。私が持っている資料ではフランス、ドイツ、イギリス、アメリカなんですけど、ここ十年程度、正規の雇用者とそのパートの割合というのはどういうふうに変化しているんでしょうか。教えてください。
#100
○政府参考人(大谷泰夫君) フランス、ドイツ、イギリス、アメリカにおきますパート労働者の全労働者に占める割合でありますが、OECDの統計によりますと、ドイツについては増加が見られますものの、フランス、イギリス、アメリカについては顕著な傾向は見られないところでございます。
#101
○足立信也君 顕著な傾向は見られないというのは、多分横ばいに近いということなんでしょうか。
 で、もう一つ、例えば五月十四日の日経新聞に、大阪大学のこれ政府の格差の議論のところでよく出てこられます大竹教授のコメントがあるんですけれども、アメリカの所得の格差拡大は高所得者の所得が増えている、日本の特徴は低所得層の所得が低下している、これが格差の原因であると。当然、先ほどの質問にもありましたように、バブル崩壊後の不況の時代に非正規雇用あるいはパートというものが導入されてきたが、本来景気が回復しているんであれば、今ここでやるべきことは正規あるいは正社員への回帰だと思うんですね。
 そこで各国のことを今お聞きしたわけですけど、じゃ、今挙げられた国の中で、パートという働き方をされた方が正規、正社員へ復帰あるいは新たになるこの割合の変化はどうなんでしょうか。
#102
○政府参考人(大谷泰夫君) フランス、ドイツ、イギリス、アメリカのうち、フランスのみがパート労働者から正社員への転換を希望する労働者に対して優先権を付与するという法制度を有しており、他の諸国につきましてはこのような権利性を法制度上設けていないというふうに承知しております。また、これらの諸国におけるパート労働者から正社員への転換の割合の数字につきましては承知いたしておりません。
 なお、我が国における正社員への転換の数字につきましては、これ平成十七年の労働政策研究・研修機構の調査によりますと、四五・一%の事業主が正社員への転換制度があると答えておりまして、二三・三%の事業主が適用事例もあるというふうに答えているところでございます。
#103
○足立信也君 各国に関しては正社員への転換の割合に関しても把握されていないということなんですが、ちょっと先に質問をしている項目に飛びますと、今までのデータを見ておりますと、日本はここ五年あるいは六年程度、パートの方の比率というのはほとんど横ばいですね。それに対して、非正規雇用というのはずっと増え続けていますよね。大分先になりますけどね。
 この増えている方というのはどういう働き方の方々が増えておられるんでしょう。
#104
○政府参考人(大谷泰夫君) 総務省の労働力調査特別調査それから労働力調査によりますと、平成十三年とそれから平成十八年の数値を比較した場合に、非正規の職員それから従業員はトータルで三百十七万人増加しているわけでありますが、その内訳を見ますと、パート、アルバイトというグループは二十七万人の減、マイナスであります。一方、派遣社員が八十三万人の増、あとその他ということで、これは契約社員あるいは嘱託その他が含まれているというふうに考えますが、これが二百六十一万人の増ということでございまして、パートよりもむしろ派遣社員や契約社員等、その他のものが増加してきたというふうに考えられております。
#105
○足立信也君 今ちょっと飛ばしてお聞きした理由は、先ほど各国はほぼ横ばいだとありました。日本はやっぱり非正規の方が増えているわけです、今のお話のように。ほとんどが派遣とその他、その他というとよく分かりにくいんですが。となると、正社員に変わっていく率というのは、各国で考えると、当然非正規雇用を選んだ方もいらっしゃるわけですから、正社員になる方もある一定程度いるから横ばいなわけですね、ですよね。それが日本は非正規が増え続けているということは、やはり正社員への転換といいますか、新たに正社員になるといいますか、という率が、先ほど挙げた各国に比べるとやはり低いんではないかと私は思っているから、今ちょっと質問の順番を変えてお聞きしたんですね。
 先ほども例を挙げましたが、バブルの崩壊後に、これはある時期、やむを得ざるような部分もあって、あるいは企業の論理かもしれませんが、増えてきたこの非正規雇用、中でもパートの働き方、そして、今の時点でやるべきことはいかに正規への回帰を図っていくかということだと私は思っているんです。これが一番重要な部分ではないかと思うんですね。
 先ほど成長戦略のこと、櫻井議員からありましたけど、これは要は、日本に欠けてきたのは何かというと、トリクルダウンですよね、大きな企業が利益を上げ、それが中小の企業へ回り、そして最終的には雇用されている方に回っていくと、この論理が、所得再分配機能が日本は元々低いですから、そういうトリクルダウン方式で潤ってきたわけですね。ところが、先ほどの指摘のようにその考え方、企業の倫理が変わったんだと思うんですが、上層部にある方が利益を独り占めしてしまうというような状況の中で、雇用されている側の人まで回っていかないという事態になっているんだという理解だと思うんですね。これは本田宗一郎さんも、経営者になったら、経営者が考えるべきことはその従業員、社員の家庭を守ることだとおっしゃった言葉がありますように、以前はそういう倫理観があった、企業の倫理としてもあったんだと思うんです。それがなくなってきたから、一部の上層のところにとどまってしまっている、下流まで流れてこないと。
 じゃ、その企業の上層部の問題だけかというと、これは青森県の給食費の問題のように、払えるのに払っていないという、これは一般の国民にもそういう倫理観は確かに失われてきたのかもしれないけれども、私は、今景気が本来回復しているとすれば、いかに正規の、短時間労働の正社員でもいいですが、正社員へいかに戻していくのかというのが非常に大事なことだと私は思っていますので、その点を指摘させていただきました。
 次からは、本会議で代表質問、我が党の代表質問に対する総理の答弁の中から、多少気になる文言が随所に見られますので、そのことをちょっとお聞きしたいと思います。
 まず最初に、総理の答弁から、フリーターなど若年者を中心とした非正規雇用の増加は将来の格差拡大や少子化につながるおそれがあるということをおっしゃっていました。これは、現実は、非正規雇用の増加が現時点では格差拡大や少子化の原因ではないという、将来のおそれはあるということを言われていますから、現実はそうじゃないという認識だろうと思うんですが、大臣の方もそう考えられておられるかということを確認したいと思います。お聞きしたいと思います。
#106
○国務大臣(柳澤伯夫君) 非正規雇用の増加の現象についてのまず認識が前提としてありますが、これにつきましては、経済の置かれている構造的な変化というものが一つ背景にあると同時に、そういうものの中で非正規雇用が増加するには、やはりそれを受けて立つ労働者側の価値観の多様化ということも背景にあったと、こういう認識で、企業、労働者、双方のニーズからこうした現象が出現したということでございます。
 それで、そういうことで非正規雇用の増加があるわけでございますが、それが今の格差としてとらえられるかというと、これは我が国の所得格差を示す指標として仮にジニ係数というものを取った場合には、これは先ほど委員もお触れになられた大竹教授なぞもそうだし、また政府の見解もそうなんですけれども、やはり高齢世帯の増加であるとか、あるいは世帯人数、世帯の人員数の縮小というようなことで説明が付くという見解でございまして、したがいまして、この非正規雇用の増加というこの現象は分かって、それは低い賃金でということは分かるんですが、日本の経済社会全体の所得格差まで引き起こしているかというと、そういう要因よりも、今申したような高齢化世帯であるとか、あるいは世帯の人数の縮小の方にむしろ、で説明が付くので、まだそこのところまではマクロ的には行っていないと、こういう認識が背景にあるんだろうと思います。
 そういうようなことで、このくだりについては、むしろ将来の格差拡大ということを引き起こすという、そういう懸念を訴えておられるものと考えております。
 それからまた、少子化についても、今フリーターの人たちが子供を持つ、産む、そういうところまで仮に行っていないということであれば、それがそのまま本来子供を持つべき、持つべきと言うとまたしかられるかもしれない、持てる、そういう年齢に達したときにはそれが少子化に結び付いてしまうと、そういう懸念をここのくだりでは申し上げているのではないかと、このように理解をいたしております。
#107
○足立信也君 今の御答弁は、格差拡大については現時点ではそうではなくて、やっぱり将来の問題であると、少子化については余り言及されなかった、だと思いますが、この点、今から分けてお聞きします。
 ジニ係数の話が出ましたけれども、どうしても、あのデータ三年ごとに調べているんですが、二〇〇二年のものが最終になっていまして、二〇〇五年のものがいまだに出てきません。幾ら要求しても、まだ調査中あるいはデータの整理中ということでいまだに出てこない。これは二〇〇〇年を超えてからの変化がいかに大きいかということが大事なわけで、私は、二〇〇五年のデータが出た時点で更にもう一度格差については、格差拡大については検討したいし質問したいと思っておりますが。
 これ、OECDの昨年の対日経済審査報告書です、ポリシーブリーフ二〇〇六。この中に書かれていることは、安倍政権のポイントとなる政策に直接結び付くようなことが一杯出ております。その中で、もう私がかいつまんでここに関連しているところだけ申し上げますと、生産年齢人口において所得格差が拡大していると、日本は。日本の相対的貧困率はOECD諸国の中で最も高い部類に入っていると。主な要因は、労働市場における二極化の拡大であると。このデータによりますと、十年前は一九%だった非正規労働者が三〇%以上になった。パートタイム労働者の賃金はフルタイムの四〇%であるというようなことが書かれています。そして、非正規労働者から、先ほどの議論でありましたように正規になる率が低い、ほかの各国に比べて低い、これは労働市場の二極化を固定してしまっている。更に悪いことに、日本は民間、特に民間の教育費が非常に掛かる。これが理由で二極化した、固定された二極化が更に世代間を超えて、世代を超えて引き継がれているというようなことが書かれています。このデータに基づけば、やっぱり非正規の増加、非正規雇用の増加というものが格差社会の原因の一つであると、原因の一つですね、一つにあると私は言えるんではないかと思っておりますが、このデータ、今私が話しただけでどうかとは思いますが、こういう対日経済審査報告書二〇〇六でそういう指摘があるということを踏まえて、格差社会に絞って非正規雇用の増加がその原因の一つであるとは考えられる、あるいは言えるんではないでしょうか。その点についていかがでしょう。
#108
○国務大臣(柳澤伯夫君) ですから、先ほども申し上げましたとおり、この日本の経済をマクロ的につかまえてジニ係数というものの推移を見ますと、これはもう随分前からずっと漸増的に緩やかな上昇を示していたと思います。
 そういうことで、この緩やかな上昇を示すというものを、これはそういう体制をどう解すべきかということについて、私どもといたしましては高齢者世帯の増加という人口動態要因と世帯人数数の縮小という家族形態の変化要因というもので説明ができると、マクロ的にそういうふうな説明をした方がむしろこの傾向を読み解くにふさわしい解釈であると、こういうことだろうと思うわけであります。
 したがって、今のこのジニ係数の上昇というものをすぐにマクロ的にこの非正規雇用の増加ということに結び付けるという、このことはまだ必要ないというか、そういう状況にあると、こういうことだろうと思うんですね。
 ですから、これがずっと続いた場合には、更に先ほど申した二つの要素以上に大きな要因として挙げなければならない事態もあり得るかもしれない。こういうことで、将来、そのことはやはり心配、懸念をされると、そういうことをやっぱり防がなきゃいけない、こういう認識だろうと思います。
#109
○足立信也君 やっぱり二〇〇五年、あるいは今回、調査を行われたのは二〇〇六年だったかもしれませんが、そのデータが今までのトレンドとどう違うかというのがやっぱり一番大きいんだと思います。これは私も分析してまたお聞きしたいと思います。
 後半部分の少子化のことなんです。これは予算委員会で大臣にお聞きしましたけれども、将来の、将来、少子化へ関係するかもしれないということではなくて、今現実の問題として大きく関係していると私は予算委員会で指摘しましたけど、ちょっと繰り返しになります。
 これは厚生労働省の労働経済の分析ですね、昨年の、労働経済の分析で二十代後半の男性では、これ、配偶者を持つ率、要するに結婚しているかどうかですね、正規の労働者が三四・四%持っている、三人に一人ですね。ところが、非正規の労働者は一四・八%、七人に一人しか結婚してない。パート労働者は一〇・二%、十人に一人。これは明らかに雇用形態によって、男性に限ってですけれども、結婚する率ですね、配偶者を持つ率が明らかに違うと、三人に一人から十人に一人まで違うわけですから。これが一点。
 それからもう一つ、これも予算委員会で資料を出して説明しました。二十一世紀成年者縦断調査、これは経時的に二十歳から三十四歳までですか、フォローしている率ですけれども、二十歳から三十四歳の女性では子供を産んだ、第一子を産んだ割合、子供を産んだ割合ですよ。正規の社員が四〇・七%、四割ですね、が子供を持った。しかし、非正規は二七・七%ですね、一〇%以上少ない。さらに、第二子を望むかどうか。第二子を望む割合は正規の社員が七一%、七割。ところが、非正規の社員は四三%。三〇%も違うんですね。子供を、実際に第一子を産んだ、あるいは第二子を望むかどうかも、この働き方に、この形態によってこれだけ違うという。
 これ、この現実で非正規雇用の増加が少子化の一因であるとなぜ言えないのか。やはり、少子化の大きな、結婚の率も三倍以上の差があって、子供を持つ率も三割近い差があると。非正規雇用の増加が少子化の一因ではないと思っておられるのか、本当にそう思っておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。
#110
○副大臣(武見敬三君) ただいま委員御指摘のとおり、この平成十八年版の労働経済の分析において、総務省就業構造基本調査を基に集計した結果によりますと、確かに配偶者のいる男性従業員の割合を就業形態別に見ますと、二〇〇二年、正規の従業員が六七・二%、非正規の従業員が五三・〇%でございまして、非正規従業員の方が正規従業員よりも有配偶率が低いというのは事実でございます。
 また、第四回の二十一世紀成年者縦断調査の結果におきまして、第一回から第四回までの三年間に結婚した男女の割合を結婚前の仕事の正規、非正規別に見ますと、男では正規が一五・二%、非正規が六・三%、女では正規が一六・八%、非正規が一四・九%となっております。
 同様に、三年間に第一子を産んだ妻の割合を妻の出生前の仕事の正規、非正規別に見ますと、正規が四〇・七%、御指摘のとおりでございまして、非正規が二七・七%となっております。
 したがって、これらの調査を踏まえて見た場合に、こうした非正規で結婚率及び第一子を産む可能性ともに正規よりも低いという、そういう確認ではないかと思います。
#111
○足立信也君 それを踏まえて、やはり少子化に大きな影響をこの働き方、雇用形態というものが少子化へ拍車を掛けているというか、原因の一つであるということは言えないでしょうか、今のデータに基づいて。
#112
○国務大臣(柳澤伯夫君) 現在の少子化というものがどういう背景で生じているかということについてですけれども、この問題はやっぱり複合的ないろんな要因があるだろうと思うわけでございます。そういうことで、この非正規雇用の現在の大きさというものもその一因であるわけだということは今言われたわけですけれども、じゃ、すべてがそういうことであるかというと、そういうことまで言い切るだけのことは今現在の少子化の説明要因としてそういうふうにとらえるべきかということでもない。
 しかし、こういう非正規雇用は明らかに少子化に結び付いていくわけですから、これまで将来にわたって非正規雇用の増加というものが進んでいく場合には、それはもう非常に少子化の問題にも大きな要因として立ち現れてくるであろう、こういうことであろうかと思います。
#113
○足立信也君 共通認識であろうと思います。
 何度も繰り返しておりますが、やっぱり働き方の選択は自らの意思によるものであって、そして短時間であろうが短時間正社員というような制度もやっぱりきっちりあるわけですから、私はノンレギュラーと言われるような、そういう呼称されるような事態はやっぱり余りふさわしくないと思っていますので、働き方の選択は多様であるべきでありますが、可能な限り正社員、正規の職員へ戻っていくという方策が大事なんだろうと思っています。
 総理大臣の発言に基づいて、あと八条、九条、十二条という予定はしているんですけれども、もう時間がそれほどありませんので飛ばします。
 そして、厚生年金の対象者の拡大ということもおっしゃいました。その中で、余り積極的ではないかのような発言も大臣、総理の方からありましたので、ちょっとその厚生年金に関して少しだけお伺いしたいと思います。
 総務省の行政評価・監視結果、勧告がございました。これで厚生年金への加入漏れが六十三万件から七十万事業所ですね、あると。そして、そこへ従事されている従業員として将来この厚生年金を受け取れない可能性のある方は二百六十七万人だということが発表されて、そのことが勧告があったという事実がございます。それについてだけ、最後の残りの時間でお聞きしたいと思います。
 まず、二点あると思うんですが、雇用関係にある者が厚生年金の強制適用となる要件と、そして今総務省が発表されたこのデータ、二百六十七万人、これと対応するような厚生労働省としての調査結果はあるんでしょうか。その点をお聞きしたいと思います。
#114
○政府参考人(渡邉芳樹君) 入口のまず厚生年金制度の適用事業所のルールだけ、まず先に私から申し上げたいと思います。
 厚生年金保険法第六条におきまして、次の各号のいずれかに該当する事業所若しくは事務所又は船舶を適用事業所とするとして、第一号として、いわゆる法定十六業種ですが、物の製造から最後には社会福祉事業、更生保護事業に至るまで列記してございます。そのほかに、第二号として、国、地方公共団体、法人の事業所又は事務所であって、常時従業員を使用するもの、第三号は船舶と、こういうことでございますので、総じて言いますと、法人事業所については規模、業種を問わずすべての事業所が適用事業所となると。個人事業所については、常時五人以上の従業員を有する製造業など十六の適用業種の事業所と、こういうふうになっております。
#115
○政府参考人(青柳親房君) 後段の七十万事業所について、社会保険庁においてどのように把握をしておるかというお尋ねにお答えをいたします。
 社会保険庁におきましては、厚生年金の未適用の事業所につきまして、適用を進めていくために事業所の業務実態、それから従業員の勤務形態を個別具体的に把握するというふうに努めておるところでございます。具体的には、雇用保険の適用事業所のデータあるいは法人登記のデータ、こういったものを活用いたしまして、事業所の業務実態等を個別具体的に、個々に把握をした上で加入促進に努めるということでやっておりまして、平成十六年度からは、特に把握した個々の未適用事業所について、その後の適用事業所を継続的に管理するという形で進めております。この結果、個別具体的に把握しております未適用事業所の数でございますが、平成十八年三月末現在で六万三千五百三十九事業所でございます。
 なお、一点、七十万事業所との違いについて一言申し上げさせていただきますが、七十万は一定の前提に基づきまして推計をされた数というふうに承知をしておりますので、社会保険庁においては、繰り返しになりますが、個々具体にどこどこの会社という形で把握しておる数、先ほど申し上げた六万三千五百三十九事業所でございます。
#116
○足立信也君 分かりました。後段の部分は来るべき法案の審議のときに更に詳しくやりたいと思いますし、残りの質問は次回、来週へ回したいと思います。
 どうもありがとうございました。
#117
○委員長(鶴保庸介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十二分開会
#118
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として澤雄二君が選任されました。
    ─────────────
#119
○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君及び厚生労働省職業能力開発局長奥田久美君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#121
○委員長(鶴保庸介君) 休憩前に引き続き、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#122
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 パート労働法の改正について御質問させていただきたいと存じますけれども、冒頭、働き方ということで、やはり一つ大きなテーマでもございます外国人労働者のことについてお伺いをしておきたいと思います。
 さきに厚生労働省としての案を出され、また経済産業省としても案を出されたということをお伺いをいたしております。またそれは勉強させていただきたいと思いますけれども。それを受けた形で、先ごろ、五月十五日でございますが、長勢法務大臣が、私案という形ではございますけれどもお考えを出されていて、これまでの政府の方針である単純労働者についての受入れというのは規制をするという基本的な考え方があったわけですけれども、それにある意味で踏み越えたような、受入れの目的を現行の国際技能移転に限定せずと、国内で必要な労働力確保に資するものに転換するという考え方を示しておられるわけでございます。
 そこで、このことについての、この考え方についての今日段階での評価ということについて、大臣の方からお示しいただきたいと思います。
#123
○国務大臣(柳澤伯夫君) 外国人研修技能実習制度の見直しにつきましては、昨年末に規制改革・民間開放推進会議第三次答申におきまして、実務研修中の研修生の法的保護ということ等について、遅くとも平成二十一年の通常国会に関係法案提出等必要な措置を講ずるという意見の表明がございまして、私どもの役所といたしましても、先般五月十一日、今委員御指摘のように、研究会の中間報告の取りまとめがございまして、そしてこの中間報告を踏まえて、今後関係省庁と協議していくという段取りになっているところでございます。
 そういう中で、法務大臣の発言が五月十五日でございますが、ございましたが、これも、これから入管行政を担当する法務省で議論をするよう指示したいという趣旨でこの御自身の考えを示されたというふうに理解をしているところでございまして、いずれにしましても、これもまた法務省内部での議論、突っ込んだ議論を期待しているということになっておるところでございます。
 いずれにしても、いろんな意見がこれから省庁の協議の中で調整をされていくということでございまして、私どもとしては、そういうものに参加をしていく観点から法務省内の検討状況についても見守っていきたいと、このように考えているところでございます。
#124
○辻泰弘君 昨年の六月に副大臣会議がございまして、政府として単純労働者については今後も受入れを認めないという基本方針は堅持すべきであると、こういうことで、政府の方針が今までそれはそれで来ているというふうに私は理解しておりますけれども、その具体的な対応ということが求められる厚生労働大臣として、今の時点で結構ですけれども、この長勢大臣の単純労働を容認という方針についてどうお考えか。
#125
○国務大臣(柳澤伯夫君) 単純労働者の受入れにつきましては、私どもとしては従来、若者、女性等の雇用の機会を妨げ、労働市場の二層化等の悪影響が生ずる、また、低賃金分野の温存等、生産性向上であるとか産業構造の高度化というものが阻害されるということ、それから、ヨーロッパ等の例に見られますように、滞在の長期化や定住化につながって、社会的問題の発生を防止するとの前提が担保できない等の懸念があるというふうに考えております。
 そういうことでございますので、労働力の確保についても、午前中の御議論でも申し上げましたように、若者、女性、高齢者などのすべての人の意欲と能力が最大限発揮できるような環境整備を図ることによって多くの国民の就業参加を図っていくことが大事だと、こう考えております。
 そういう観点から、単純労働者の受入れによる以上のような考え方から、これは極めて慎重な検討が必要であると、このように考えておりまして、その考え方は変わっておりません。
#126
○辻泰弘君 私も、この問題は非常に深い考察が必要だと思います。やはり、日本の社会が本当にそれだけ均等性というものを追求し得るのか、平等性というものを追求し得るのか、それだけ国民意識があるのかということもありますし、やはり長い目で見た外交関係にもかかわってくる。やはり、いいときだけ入れて後は出ていけというふうな、そういった例がヨーロッパでも散見されるわけですけれども、そういったことにもつながり得ることでございますので、やはり基本的に私自身は今までの政府の考え方というのを了とするわけでございますけれども、いずれにいたしましても、法務大臣という、正に厚生労働省の御出身の、それなりにそのことに熟知をされて、かつまた今日法務大臣という要職におられる方が公式の場で見解を出されたということは、やはり一つ大きな影響を持つことでもございますし、受け止めるべきことでもあろうかもしれません。
 また、法務省の中でも、元労働官僚の法務大臣は研修、実習制度の立案に深く携わり、その問題点もよく知ると、現制度の枠内の改革にとどめようとする経産、厚労両省の議論に一石を投じる思惑があっただろうと法務省の中の方が語っているという報道がございますけれども、いずれにいたしましても私自身は内容には反対でございますけれども、しかし、やはり一つのテーマとして、厚労省が出され、経産省が出され、法務大臣が出されたという中において、このことはやはりこの委員会においてもしっかりと審議をしていかなければならないと、このように思うわけでございます。
 そこで、私として御要請を申し上げたいのは、やはりせっかくこれだけ法務大臣というお立場の下で明確に文書まで出して記者会見に臨んでおられるわけでございますので、是非御見解をこの場でもお聞きして、伺って、またできれば御質疑もさせていただきたいと、このように思うわけでございますけれども、是非理事会で御協議をいただいてお取り組みいただければと思いますので、委員長にお願い申し上げます。
#127
○委員長(鶴保庸介君) 後日、また理事会で協議をいたしたいと思います。
#128
○辻泰弘君 お願い申し上げます。
 それで、いわゆる非正規雇用ということについてお伺いをしておきたいと思っています。
 かねがね非正規雇用というものの統計を厚労省にお伺いいたしましても、なかなかにわかに来ずに総務省に回ると、こういうことがございまして、そこ自体一つ問題があると思っておりますけれども、まあ統計的な意味では総務省であると。失業率もそうなっているわけですね。有効求人倍率は厚労省であるけれども、失業率は総務省であると。前には都道府県ごとの失業率を出すべしと、こんな議論も四、五年前にはさせていただいたことございますけれども。それはともかくといたしまして、現時点で非正規雇用というものをとらえている統計というのは総務省が出しておられるものがあって、雇用形態別雇用者数の推移というものが出ているわけでございます。
 そこの中で、非正規の方々が千七百万、正規が三千四百万、トータル五千百万と、こういったようなことが最近の数値として出ているわけでございます。その中で、パートが七百九十二万、アルバイトが三百三十三万、派遣社員が百二十八万、契約社員・嘱託が二百八十三万、その他百四十一万ということになっておりまして、パート、アルバイトが計で千百二十五万と、これは十八年の平均と、このように出ておるわけでございます。
 それでお伺いしたいと思いますのは、この非正規職員の、非正規の職員の方、従業員の方という中にパート、アルバイトとかがあるわけですが、この概念といいますか、統計を作られる上でのその分類の仕方について、まずお示しいただきたいと思います。
#129
○政府参考人(川崎茂君) お答え申し上げます。
 労働力調査と申しますのは、全国約四万世帯を対象として毎月行っている統計調査でございますが、お尋ねのパート、アルバイトなどの雇用形態につきましては、勤め先における呼称、どのような名称で呼ばれているかということによって調査をしております。
 非正規の職員、従業員として集計しておりますものは、雇用者のうちで、いわゆる正規の職員、従業員以外の者ということでございますが、具体的な例示を申し上げますと、パート、アルバイト、それから労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員、嘱託及びその他と回答した者、これをすべて合計したものを非正規の職員、従業員として集計しているものでございます。
#130
○辻泰弘君 いや、だから呼称ですべてやっているということですね、それ以外はないという。そうすると、本人の自覚というか職場での呼ばれ方がすべてを制していると、こういうことなんですね。なるほど。まあそれも、いいような悪いようなといいますか、それしかないといえばそうかもしれませんけれども、やはり私はこの今の、パートは今回でございますけれども、非正規雇用というものが問題となっているときに、やはり実情がどうなっているのかというのは大事なところだと思うわけでございます。
 私自身は、この統計というものは、本来厚労省が責任を持って、作るのをお手伝いいただくのはいいにしても、やはりしっかり持っているべきことだと私は思うわけでございます。そこから具体的に、パートは今回でございますけれども、派遣があったり請負があったり、そういうことにつながってくるわけで、後でも個別のことで申し上げることもあるかもしれませんが、やはり実態を調べておくということから政策が展開されてくるわけでございます。
 そういった意味において、今の総務省のお話は、統計を取られるお立場からすると、それなりにある意味では理解できるというところもあるわけですけれども、しかしそれを超えて、やはり一定の定義の下でトータルとしての日本における非正規の方々がどういうふうになっているかということは、厚生労働省の責任において持っているべきだと、このように私は思うんですけれども、この点について、厚生労働省、いかがですか。
#131
○政府参考人(高橋満君) 今の労働力調査という、ある意味ではオールラウンド、全体を把握する調査としての御説明があったわけでございますが、そういう中で正に多様な雇用形態というものがこの中に含まれておる。パートでありますとか派遣でありますとか、あるいは契約社員でありますとか、そうしたもろもろの個々別々のそれぞれの実態については、またそれぞれの対象ごとに必要に応じて実態調査なりアンケート調査なりを通じてその実態については把握に努めておるところでございます。
#132
○辻泰弘君 大臣、大臣としての御見解をお伺いしたいんですけれども、今申し上げた非正規雇用の内数が、千七百万の内数がパート、アルバイト、派遣、契約とかあるわけなんです。それは総理府の、今は総務省ですね、統計があって、それはそれで悪いわけじゃない、それは御努力いただいていると、こう思います。
 しかし、やはり今次、パート労働法ですけれども、非正規の問題が大きくクローズアップして我々の対応が求められているときに、やはりその実態はどうなっているのかということを、私は、統計はもちろん総務省がノウハウをお持ちだろうから、それはそれで依拠されるのはいいにしても、やはりどういうことになっているのかということを、もっとその先を行くぐらいの思いでやはり厚生労働省がその状況の実情を知っているべきだと私は思うんです。
 いつも私は残念に思いますのは、この数字のこと、厚労省だと、厚労省だと聞いたら、いやそれはうちじゃないんですって総務省に行くわけなんですよ。総務省に行くとこういう話で、総務省の方はもうある意味では統計的な、技術的なお考えでやっていらっしゃるわけで、それはそれで理解もするんですけれども。しかし、やはりそこはちょっと私は断絶しているといいますか、そこが本来の厚労省が政策を講じていくときに踏まえている部分と、断絶をしていて、実情を何か本当に把握した上でやっていこうというふうなものに見えてこないんですね。
 ですから、私は、失業率のこともそうだったんですけれども、総務省がノウハウを持っていらっしゃるのはそれはそれでいいんだけれども、そのことを活用しながら、厚労省としてこの非正規雇用の定義を一つしっかり持った、呼称だけじゃなくてある程度のことを持って、そして実際それは事業所に入ってチェックする権限を持っていらっしゃるわけですから、そういったことのノウハウも加味しながらやはりしっかりとしたそういった非正規雇用の統計を作って、そして、お聞きすれば厚労省が、いやこれは総務省と作ったけれどもこういうことだというふうに示してくださるような、そういう状況にしていただきたいと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
#133
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私も辻委員のおっしゃったことに賛成と、こう言いたいところなんでございますけれども、実は統計ということには非常に一つの確固としたルールがありまして、これはもう辻委員も御案内のことだと思いますけれども、統計を各省で取るということはどんなもんだろうかと、それから各省が勝手に統計を取るというようなことは重複があって無駄になるではないかというようなことで、非常に、どちらかというと行政改革的な観点と言っていいでしょうか、そういう観点からむしろ一元化一元化というような方向が出ているように私は感じております。
 したがいまして、今職安局長の方から話させていただきましたように、それぞれの法の体系を考えて、対象とするところについてどういう方法がありましょうか、より的確につかむ方法を工夫して、これにちゃんとした輪郭をつかむための努力はするということですけれども、統計ということになると、もうどちらかというと総務庁、旧総理府統計局の傘下に我々があるということでございまして、重複をして統計を何か取るということは非常に難しいということで、非常に私も問題意識は持っているんですが、ここで肯定的な答えをするというわけにはどうもいかないんじゃないかという気がして今御答弁申し上げている次第です。
#134
○辻泰弘君 重複を避けるというのはそれはそれで理解するんですけれども、そのことの意味は、政府の一機関が出したものであれば、それは我がものとするということでもあるべきだと私は思うんですね。ですから、その総務省が出した雇用に関する統計を厚生労働省は自らのものとして、私どもが要求したらこれは厚生労働省が、これは総務省の統計だけれどもこうなんだというのを出すという、少なくともそれでなかったらおっしゃったことにももとるものではないかと私は思うんですね。
 ですから、私は、実はこれはいろんなことにもつながっていると思っていますけれども、この問題一つ取ってもということになるんですが。
 やはり、今おっしゃった大臣の言うことを、私は独自で持つべきだと思いますけれども、しかし、要は新たに作るわけじゃなくて、総務省が持ってらっしゃるものにあるいは厚労省の現場のチェックというか、あるいは厳密な定義があり得るわけですね。そういったものを当てはめてより精緻なものを作るということなんですけれども、しかし、そこまでいかないにしても、大臣のことを百歩譲って受けるとしても、少なくとも政府の一部局が、総務省が、ある意味では厚労省の思いも受けた形で出しているものであるとするならば、私どもがこの非正規雇用についての統計を出してくれと言ったときに、厚生労働省から出すべきだと私は思います。で、これは総務省が作ったものだということは、それはそれでやむを得ないと思いますけれども、その点はどうですか。
#135
○国務大臣(柳澤伯夫君) ちょっと、辻委員の御議論のポイントが私十分理解できているかどうかおぼつかないんでございますけれども、もとより我々は、この非正規雇用者の実態ということを数字的に議論をするときにはこの総務省の統計に依拠するほかないわけで、それに依拠していろいろ考えさせていただいているということでございます。
 ただ、何というか、クレジットをどこにするかということになれば、やっぱり総務省のものは総務省ですということを名のらざるを得ないということでございまして、そこのところは是非御理解を賜りたいと思います。
#136
○辻泰弘君 私、一つ、これは厚生労働省のみならずですけれども、役所の対応の一つ大きな問題点だと思っています。今後ともこの点については主張していきたいと思いますが、時間もあれなので、偽装請負のことでお伺いしておきたいと思います。
 まず、偽装請負がこの中にどこにあるのかということも考えたんですけど、恐らく、請負労働者ということで、正規の職員、従業員の中なのかあるいはパート、アルバイトのところに入っていらっしゃるのかということで、やっていることは結果として派遣であったとしても、偽装請負ということである限り、現実にはこの統計の中に、その中に入っているんだろうと思うんですが、それはともかくとして。
 請負労働についてガイドラインを出すという話をされていました。六月に出すということをおっしゃっていましたけど、そのことの進行状況を教えてください。
#137
○政府参考人(高橋満君) 御指摘の製造業におきます請負事業の適正化及び雇用管理改善にかかわるガイドラインでございますが、現在、研究会におきまして、六月をめどに策定するべく鋭意検討作業を詰めておるところでございます。
 今現在、検討しております内容のあらあらの部分でございますが、適正化ということに関しましては、労働関係法令の遵守でありますとか労働・社会保険への適正加入といったような点、また雇用管理の改善につきましては、できるだけ安定的な雇用を確保していくという観点あるいは福利厚生、教育訓練等に取り組むことに関します、これらの取組に関する事項につきまして、請負事業主向け、また発注者向けそれぞれのものを策定すべく御議論をいただいておるところでございます。
 また、このガイドラインの策定に当たりましては、やはりこれが使われるということが、活用されるということが大事でございます。その意味で、これに沿った事業主の主体的な取組を促すためのチェックリストというものも併せ検討し、策定をするべく現在作業を進めておるということでございます。
#138
○辻泰弘君 ツーリトル・ツーレートと言われて久しいものがありますけれども、これもツーレートの最たるもので、一番必要なときに間に合っていないといいますか、ずれた対応だと思いますけれども、とにかく早く出して、しっかりと是正に向けて取り組んでいただくように申し上げておきたいと思います。
 それで、パートのことに入るんですけれども、そもそもパート対策ということでいろいろな報告書があり、建議があり、今日に至ってそれらが法制化に至っているわけですけれども、その過程で、やはりパート対策の一つとして年金の適用拡大ということが一つの大きな柱になっていたわけでございます。これはまだ審議にはなっておりませんけれども、一元化法案の中に入っているということになっているわけですけれども、しかし私は、本来このパート対策ということで今回の法案とセットの形であるべきだったと。そもそも年金法案ももっと早く出すべきだというか、我々からすれば三年前にやるべきだったと思っていますけれども、それはともかくとして、なぜ、共済の一元化に付けて、それは法律的には厚生年金法ということになるかもしれませんけれども、しかし、パート対策ということで今まで幾つも建議や報告書があった中の一つの大きな柱になっていたものを、パート労働法の改正が今度あるときに、やはり本来そこの中に加味して、ドッキングさせた形でパート対策としてやるべきだと、そういった意味での均等待遇というものを貫徹するべきだったと私は思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#139
○政府参考人(渡邉芳樹君) 若干の経緯もございますので、まず先に御答弁さしていただきます。
 御指摘のパート労働者に対する厚生年金の適用拡大につきましては、厚生年金制度の適用範囲を拡大することにより、できる限り多くの被用者に同じ厚生年金制度を適用していくというものでございます。これは、今般の一元化法におきましては、例えば公務員を厚生年金に取り込むというふうに、同じように厚生年金被保険者の範囲を広げるということであるというふうに理解をしております。
 また、もう一つ、これは先生も今御指摘のとおり、もし法律的に位置付ければ厚生年金法の一部を今のままではいけないのではないかと、こういう御議論になりますので、ごらんいただけますと、当然に、関係の条文が第十二条というところで、公務員や何かを適用除外していたのと同じようなところに臨時雇用の方々の既存の適用除外条文というのがございますので、そういうところの見直しというテクニカルな問題もあったということがございます。
 最後に、もう一点申し上げますと、経緯でございますが、昨年十一月三十日、経済財政諮問会議におきまして総理の方からも、一元化法案の提出と併せ実現できるよう、このパートの社会保険適用問題も調整を進めるよう御指示をいただいていると。
 以上のような背景から、被用者年金一元化法案の中に盛り込んだところでございます。
 この法案そのものは多岐にわたる内容を含んでおりますので、今年に入りましてからも様々な論点について政府・与党間で詰めて、そして四月に国会提出さしていただいたという流れでございます。
#140
○辻泰弘君 いや、私はそんなことは分かっているわけで、それは分かった上で聞いているわけです。やはりパート対策ということで非正規雇用の方々の均等待遇を図っていくということを眼目としてやっているわけですから、私は率直に言ってそのことについても、パートの部分について熱意が感じられないというのが率直な思いなんですね。
 だから、本来パートの均等待遇ということを考えるならば、その年金のところも一元化は現実問題、政治的には多分今国会には来ないんでしょう。とすれば、やっぱり余計にそうなるわけですけれども、やはりそういった意味でもっと早くそれを達成するという意味合いからも、早くパートの、このパート労働法の改正というところにむしろ付けてそこで対応すべきだと思っているんですけれども、大臣、いかがですか。
#141
○国務大臣(柳澤伯夫君) これはパート対策ということの契機というものも、例えば再チャレンジの施策のリストとして挙げられたということもございますけれども、それ以前からずっと手掛けております年金の改革のときに、実は附則でもってこの点に触れた条項もありまして、そういう意味ではやはり年金制度としての課題という意識も強かったということでございます。
 したがいまして、そうした経緯の下で今回、年金制度の被用者年金の一元化の中で、同じ国会でございますので提出をさせていただいておりますので、早々と今国会はというようなことではなくて、是非御審議をいただいて今国会での成立をお願い申し上げる次第でございます。
#142
○辻泰弘君 私はやはり一元化の法案も四月にずれ込んでどんどんどんどん提出が遅れたわけですけれども、そのこと自体、このことも一つのテーマとして遅れたことがあるのかもしれませんが、いずれにしましても、今次取組を見たときに、やはり本当にパート労働者に対する対策というものを、そういった社会保険の適用も含めて進めていこうという、この法案自体も対象が狭くて非常に熱意が感じられませんけれども、それらも併せて考えるときに極めて消極的だと言わざるを得ない、このことを御指摘申し上げておきたいと、このように思うわけであります。
 そこで、今次法案の内容についてお伺いしていきたいと思っております。
 私どもといたしますと、基本的にすべてのパート労働者の均等待遇原則を法制化するようにと、こういった思いを持って主張してきたわけでございますけれども、政府案においては正社員と同視できるごく一部のパート労働者についての差別禁止が盛り込まれたけれども、大多数のパート労働者は均衡の努力義務にとどまっていると、こういった状況で、極めて対象が限られているということを私どもしては非常に極めて不十分だということで、反対の根本にその理由があるわけでございます。
 そこで、この対象が四、五%ということになっているようですけれども、その根拠は、統計になっているんでしょう、何から取っていらっしゃるのかということ、その根拠を簡単で結構ですからお示しください。
#143
○政府参考人(大谷泰夫君) ただいまお話のありました差別的取扱い禁止の対象となりますパート労働者の人数でございます。
 これは、その人数を直接示すデータというのは残念ながら存在いたしません。その理由といたしまして、これは今回差別的取扱いを禁止するに当たりまして、どういう方々がいわゆる通常の労働者と同視できる、同じかということをこれ審議会でも非常に御議論をいただいている中でその要件が定まってまいりました。
 その一つが職務ということで、仕事の内容や責任が同じかどうか、それから人材活用の仕組み、これは人事異動やその異動の範囲であります。それから契約期間、こういう三つの明確化をして定めましたので、言わば過去においてそれにいわゆるどんぴしゃの統計が存在しなかったということでございます。
 しかしながら、厚労省が把握しておりますデータのうちでいわゆる推定することのできる対象者として最も近いものとしましては、平成十三年に厚生労働省の外郭団体二十一世紀職業財団が実施いたしました多様な就業形態のあり方に関する調査による数字ということがございまして、この中を見ますと、一つは、さっき申しました三要件に極めて類似した三つの分類でありますが、責任の重さが同じかパートの方が重いこと、あるいは二つ目として、残業、休日出勤が同じかパートの方が多いこと、また三つ目として、配転や転勤等の取扱いが同じこと、こういうことを含めて、同じ仕事をしているパートのいる割合はどうかという質問に対して四、五%という回答結果がございました。
 これまでの、いろんなところ、国会も含めて御説明申し上げておりますが、四、五%というのはこの調査結果を踏まえての言わば近似的な数字であろうかと考えております。
#144
○辻泰弘君 それで、一応それを前提とせざるを得ないということだとして、今回のパート労働法により事業主が講ずる措置という表でかねて御説明いただいたことがあるんですけれども、すべてのパート労働者の中で、職務が同じパート労働者がどれぐらい、職務、人材活用の仕組み、運用等が同じパート労働者がどれぐらい、そして今の正社員と同視すべきパート、四、五%と。この四、五%以外の数字をちょっと示していただけますか。
#145
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、今申しましたグループが四、五%でありますけれども、あとは、正社員と職務と人材活用の仕組みが同じパートの人がいるというふうに回答した事業所が一五%あるということで、いわゆる四つ分類しましたけれども、その二つ目のグループは一五%ぐらいいるであろうと。それから、あと、職務が同じ正社員がいるというふうに回答されたパートの方は五〇%おられるということで、職務が同じであろうというふうに見られるパートタイマーが五〇%であろうと。
 そうなりますと、その残りが、職務が同じ正社員がいないというパートタイマーであろうかということで、こういった区分でございます。
#146
○辻泰弘君 私どもとしては、その四、五%というのは極めて限られていると数字的に見ても言わざるを得ないわけでございます。せめて一五%ぐらいであれば一歩前進というふうに認めてもいいかなとも思いますけれども、しかし四、五%じゃ本当に、何か極めて、やりたくもないけれどもやらざるを得ないみたいな、そんなことが如実に現れているような、そのように受け止めざるを得ないわけでございます。
 そこで、私は、このことを具体的に見ますと、今四、五%の正社員と同視すべきパート、そして、職務、人材活用の仕組み、運用等が同じパート労働者一五%という、少なくともこの一五%ぐらいのところまでは差別的取扱いの禁止が課せられて、本来、今回の法改正の意味があるというふうに私は思っているわけなんです。
 何ゆえこの部分について禁止の義務まで掛けられなかったのか、このことについて簡単に御説明ください。
#147
○政府参考人(大谷泰夫君) 我が国におきましては、企業における正社員の賃金その他の待遇は、その一時点の職務だけでもなく、また長期の人材活用等を前提として設定されているわけでございます。
 今回の均衡、均等の考え方は、そのパート労働者が比較対象とすべき通常労働者と同じであるか、あるいはどれぐらい状況が近いかということで判断していくわけでありますが、その結果として、今回、いわゆる通常の労働者と同じだという方につきましては、これは差別禁止でありますから、例えば退職金の支給であるとか住宅の貸与や財形の融資、こういった正社員と全く同じ処遇をこれ求めることになるわけでございます。そうなりますと、やはりある程度の長期の雇用を想定した、通常の労働者ならではのこれ待遇を含めまして差別的取扱いの禁止の義務を果たす要件というものが設定する必要があったということでございます。
 しかしながら、今お話のありましたように、いわゆる一五%とおっしゃいましたけれども、職務と一定期間の人材活用が通常の労働者と同じであるパート労働者の賃金について、やはりもう一歩、言わば差別禁止には至らないまでも、より近接したいわゆる均衡というものが必要ではないかということで努力義務を考えたわけでありますけれども、ちょっと実情を調べますと、平成十七年のパート労働者実態調査によりまして、今言いました職務と人材活用の仕組みが正社員とほとんど同じパートという方について、その賃金の決定方法が正社員とまだ同じであるというところまではなかなか行っておりませんで、全体の一四・四%にすぎなかったということで、今回はそういった方々については努力義務ということで設定したところでございます。
 しかしながら、今申しましたように、職務と人材活用の仕組みが同じであるという方々につきましては、これ、理念的には究極的にいわゆる同一労働同一賃金を目指した差別的、今回、取扱い禁止にかなり近いグループであろうと考えておりますので、今後の課題としてこれは重要なテーマとして認識しているところでございます。
#148
○辻泰弘君 職務と配置が同一で期間が違うと、こういった方々についてのことで、今、今後の課題だというふうにおっしゃったわけですけれども、私は、ここは期間の違いだけであるわけで、その期間というものの中でやはり差別的取扱いの禁止というものが貫徹されるべきだろうと私は思っています。
 そういった意味で、今局長からお話ございましたけれども、大臣も、この点は四、五%でしかないわけなんですね、パート労働者の中の。やはり一五%という、期間の違いはあれども職務、配置が同一の短時間労働者については、やはり本来差別的取扱いの禁止が貫徹されるべきだと私は思いますので、そのことに向けてのお取り組みをしていただきたい。そのことについて、大臣の御見解を求めたいと思います。
#149
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今局長が答弁したとおりでございまして、このグループの人たちについては賃金の決定方式を同じにしてくれということを努力義務として課しているわけでございます。そうしたことで、できるだけ差別禁止の規制というか、そういう義務と同じような取扱いになることを期待をいたしているというのはそこに現れていると思いますが、なおこうした問題については今申したような方向で更に取組をしていかなければならないと、このように考えております。
#150
○辻泰弘君 要は差別的取扱いの禁止の領域をどんどん広げていくという、その精神に立ってこれからも取り組んでいただくように、そのことを申し上げておきたいと思いますが。
 同時に、今賃金のことをやったんだということでおっしゃるわけですけれども、これとても実は努力義務でしかないわけなんですね。これはなぜ義務にできないのかと。やはり、せめてここの部分も義務化を図るべきだと私は思っているわけなんですね。職務、配置が同一の場合の賃金の決定、同一決定であるべきだと、このことについて義務化、今おっしゃったことに尽きるのかもしれませんけれどもね。やはり義務化すべきだと。なぜ努力義務に収めたのかと、このことについて簡単に御説明ください。
#151
○政府参考人(大谷泰夫君) 先ほどの答弁でちょっと少し触れた部分もございますけれども、こういった、現在、先進的な特に企業においてこの職務、それから一定期間の人材活用、同一な方々に対して、独自の賃金決定方式を取り入れられて非常に合理的な人事管理をしておられるという例はかなり認められたわけではありますけれども、それでもまだそれは全体の約一四・四%にすぎなかったということでありまして、これは今後、この努力義務で引き続き各企業にお取り組みをいただくということで、今回の段階で一挙に義務というふうにするには若干早過ぎた、時期尚早であったというふうに考えておりまして、審議会の議論の経過でもそういったことであったということでございます。
#152
○辻泰弘君 大臣にお伺いしておきたいと思います。
 この職務、配置が同一の場合の賃金の同一決定のところの努力義務ですけれども、やはり義務化に向けて進めていくということでお取組を求めておきたいと思いますが、そのことについてお願いします。
#153
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今局長が言いましたとおり、現状が一四・四%ということでございますので、これをいきなり義務化、つまり一〇〇%に持っていくということにはかなりの懸隔があって、行政としては大変いろいろな問題を生ずるという懸念もあります。したがって、努力義務でこれをある水準まで上げた、そしてそれが実現された暁においてそれを一〇〇%を求めていくと、こういう手順が想定されるわけでございまして、そういう方向で我々は取組を進めてまいりたいと、このように考えます。
#154
○辻泰弘君 今の一五%だとかいう数値を言われますけど、今までが遅れて放置されていたというふうに理解すべきであって、今までがおかしかったんであって、そのことを御指摘申し上げておかなければならないと思います。
 それからもう一つ、それ以外といいますか、分類的にはそれ以外のパートの方々に対しても、職務の内容、成果、意欲、能力、経験等を勘案して賃金の決定に努めると、こういう努力義務になっているわけでございますね。ここも私は努力義務じゃなくて、義務であるべきだというふうに思っています。そのことについても、大臣、取り組む方向でお願いします。
#155
○国務大臣(柳澤伯夫君) この点になりますと、また原点に戻るわけでありまして、我が国の賃金の性格、これが、職務給ではなくて、かなり長い期間を視野に入れた将来のその人材の活用というようなことを視野に入れて今日ただいまの賃金も決定されるということでございますので、努力義務を課していくということを当面の取組として、そうしたことで進めざるを得ないということについても御理解をいただきたいと思います。
#156
○辻泰弘君 要は、これ、法律を見ましても、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めるものとすること、こういうふうになっているわけですね。しかし、勘案して賃金を決定するように努めなければならないということぐらいは言っても、それですぐ罰則が来るということにはまだ時間は掛かるんでしょう。だから、そういったことで、やはりそれぐらいの強い言い方をしなかったらなかなか直っていかないと私は思うんですね。ですから、この点についても勘案して努めると、こうなっているわけですけれども、しかし私はやはり、努力義務ではなくて、義務規定であるべきだったと、このように思っている、このことを申し上げておきたいと思っております。
 それで、もう一つ、賃金のところで、通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除くということになっているわけなんですけれども、何ゆえ通勤手当を含めないのか、このことについて御説明ください。
#157
○政府参考人(大谷泰夫君) この通勤手当につきましても、これ、審議会で、労政審議会の雇用均等分科会で議論する中で、これは労働側からは、いわゆる実費弁償的なものでもあるということで非常に強い要望があったところでございます。一方、実態を見ますと、しかし、それが通勤手当として明確に支給されている例もあれば、それ、給与の中に組み込まれている、あるいは一部がその上限を持って組み込まれている、いろんな例があったところでありまして、今回それをまだ法律で言わば一律に織り込むということはできなかったところでありますけれども、これは今後の課題として残ったということでございます。
#158
○辻泰弘君 これは通勤手当をどう扱うかということで、一年前にカナダの社会保障協定のときに、年金局長と質問してやり取りしたことありますけれども、現行の標準報酬の中には、通勤手当は生計費の一部に充てるという昭和二十七年の通知でしょうか、そのことが援用された形で今の標準報酬月額の中には通勤手当が入っているわけなんですね。その本をたどれば、生計費の一部に充てられているという、こういうところから流れてきているわけですよ。ですから、そのことを現実に適用されている厚生労働省として、すなわち通勤手当は生計費の一部というふうに位置付けたもので今は規定しているわけですよ。その厚生労働省がその生計費の一部であるところの通勤手当を今回のこの賃金から外すという、そのことは非常に理屈が通らないと思いますし、現実問題として通勤手当というものは、やはり当然ですけど、そこに行くのに必要に決まっているわけで、むしろこれを外すことによって、結局もう賃金もその中から払えよと、賃金の中から自分で見ろよと、こういうふうなことにもつながるわけでありまして、私はやはり通勤手当についての同等性というものを本来貫徹されなければならないと、このように思っているわけなんです。その点について御見解いかがですか。
#159
○政府参考人(大谷泰夫君) 今委員からお話ありましたように、この通勤手当につきましては、今回の議論の中でも賃金のいわゆる本体について最もまた重要なテーマとして今回議論がされたわけでありまして、かなりの事業所でもいろんな形で取り組んでいただいているという実態もありますので、今回は法律で一律の措置を求めるというふうには至りませんでしたが、やはり今後の課題としましては、これは最も次の有力な項目として、今後ともこの通勤手当の取扱いについては検討を続けるべきものと考えております。
#160
○辻泰弘君 でも、とはいえども、これは法律事項でしょう。どうなんですか、これ法律で決まっているんでしょう。
#161
○政府参考人(大谷泰夫君) 通勤手当を言わば今回法律で強制するということにはしなかったということでございます。
#162
○辻泰弘君 いや、法律の中に除くというふうに書いているんじゃないんですか。
#163
○政府参考人(大谷泰夫君) おっしゃるとおりでありまして、その法律の賃金の中にはその概念としては含めていないわけでありまして、それは払う必要はないということでなくて、ここで言っている対象となる賃金には含めていませんけれども、これは実際の支給についてを、それを言わば止めているわけではございません。その賃金の定義の中から除いているだけでございます。
#164
○辻泰弘君 しかし、通勤手当も、やはり当然同一性といいますか、あるいは同じように支払われるべきであって、このことを今の論理を追求していくと、短時間労働者は通勤手当について一般の正規の労働者と違っていいということにもつながりかねないわけですね。通勤手当というのは私どもは生計費の一部だと思っていません。私どもは実費弁償だと思っています。だけど、その議論は実は本当は別にある。そのことは、結局今の標準報酬月額自体の算定に通勤手当が入っているという、私自身前に言いましたけれども、税法上は非課税扱いに十万円になっているわけですけれども、しかし標準報酬月額に入っているから遠いところから通っていらっしゃる方は高いランクの保険料率を払うと、たしか四、五ランク違うとおっしゃっていたと思いますけれども、そういった実際自分の実入りにならないことでそれだけ保険料が変わってきて、その分将来年金給付が上がるからいいじゃないかという、そういう議論じゃないと思うんですよね。
 だから、そこの部分の不合理性はまた議論させていただきますけれども、しかしそのこととの関連においても、私は、このことについては実はどちらにとっても均等待遇で入れるべきだと思うわけです。すなわち生計費の一部というふうに、すなわち労務の対価、対償というふうに通勤手当を見ても当然その中に入るべきだと思いますし、実費弁償という意味、勤務に伴う実費弁償だと、こういったとらえ方をしたとしても、やはりその部分についての同等性は、同一性は確保されるべきだと、このように思いまして。
 いずれにしても、この部分についての除外するということは私はおかしいということを強く申し上げますとともに、お聞きしておきたいことは、今度の改正を受けて省令で定めることとしている事項というのがペーパーとして出していらっしゃるんですね。この中に、厚生労働省令で定める事項の中に通勤手当が入っているんですけれども、これはどういう意味でしょう。
#165
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、賃金という定義をする中で、言わば今回の賃金というふうには当たらないという例示の中に、通勤手当、退職手当、住宅手当、家族手当、こういったものはここで言う賃金に当たらないという、言わば除外を省令で定めたわけでありまして、それを支払うべきでないという別に除外規定ではございません。
#166
○辻泰弘君 私どもが見方がちょっと足らないのかもしれませんが、通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除くと書いてあって、そのアンダーラインが厚生労働省令で定めるものとなっているわけですね。その中の、それが厚生労働省令で定める事項となっている中に通勤手当が入っているわけですよ。
 ですから、通勤手当というのは除くと書いてあるのに、その省令で定めるものの中に通勤手当が入っているって、これはどういうことなんですか。
#167
○政府参考人(大谷泰夫君) これは法律の書き方になるわけでありますけれども、賃金というものについてはこれ義務付けているわけでありますから、今回、そこを除いたものは義務付けではないということで除外されているわけでありまして、それについて、言わばこの法律で払ってはいけないということではなくて、言わば今回、同列に扱えという義務付けの中には入っていないということでございます。
#168
○辻泰弘君 ということは、政令で通勤手当についても何かコメントするという、コメントするってあれですけれども、書き込むことがあるということですか。
#169
○政府参考人(大谷泰夫君) いや、そこは特段考えておりません。
#170
○辻泰弘君 そうすると、ちょっとよく分からないですね。なぜ厚生労働省令で定めるものってアンダーラインがあるものの解説の中に通勤手当が入ってくるんですか。
#171
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、その他の例示として入っているわけでございます。
#172
○辻泰弘君 ちょっと、その他の例示って、通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものと書いてあるわけですよね。その他の厚生労働省令で定めるものの具体的な例示として通勤手当が入っているわけですよ。それはどういう意味ですか。
#173
○政府参考人(大谷泰夫君) この条文でありますけれども、結局、事業主は通常の労働者との均衡を考慮して、いわゆる職務の内容や成果等を含めていわゆる賃金を決定するように努めるものとすると書いてあるわけでありますが、そこで言う賃金の中には、これは賃金といいましても非常に不明確でありますので、その中に通勤手当が入っているわけではないということでありますから、言わば均衡を考慮して払わなければいけない義務の中には、これは通勤手当は入っていないという定義を入れているわけでございます。
#174
○辻泰弘君 私が聞いているのは、この厚労省が出している、省令で定めることとしている事項という、法三章関係のみというこのペーパーがあるでしょう、このことに、その中で厚生労働省令で定めるものとアンダーラインを引いてあって、その説明が右にあるわけでしょう。だから、通勤手当を除くって書いてあるわけじゃないですか。その他の厚生労働省令で定めるものの中に通勤手当が入っているわけですよ。これはおかしいじゃないかと言っているんです。
#175
○政府参考人(大谷泰夫君) これは賃金の中に含める含めない、これはやっぱり定義上の疑義があるものですから賃金と書いてありますが、その賃金の中には通勤手当、退職手当その他省令で定めるものは入っていませんということを言わば確認的に書いているわけでございます。
#176
○辻泰弘君 だってここに、後で見てもらったらいいですが、厚生労働省令で定める事項と書いてあって通勤手当が入っているんですよ、このペーパーはね。厚生労働省令で定める事項に通勤手当、入っているんですよ。違いますか。そうでしょう、これ、普通そうだとしか読めないじゃないですか。厚生労働省令で定める事項の中に通勤手当書いてあるんですよ、これ。
#177
○政府参考人(大谷泰夫君) 繰り返しになりますけれども、例示なので、そこは省令で明快に書くということで、ここに書く内容は何かということで、このお示しした資料の中には、省令でもう一遍はっきり書くものはこうだという例示を繰り返しこれは書いているんだと思いますが。
#178
○辻泰弘君 だから、省令で通勤手当のことを書くのかと聞いたら、書かないとおっしゃったからそうなったんじゃない。書くんだったらそれでいいんですよ。どうなんですか。
#179
○政府参考人(大谷泰夫君) さっき、失礼しました、政令でと言われたものですから、省令でこれは除きます。
 今、確認のために申しますが、通勤手当、退職手当、住宅手当、家族手当、こういったものは賃金にはここでは含んでいないということを確認のためにこれは省令で明記したいと考えます。
#180
○辻泰弘君 私、政令って言い間違えたかもしれないけれども、ここで、ここ読んでいるんだから、それはそれ分かるでしょう、それは。そこはおかしいですよ。だから、最初からそう言ってくださればいいんです。要は、その通勤手当のことも省令の中に書くということですね。それはそれで、あれでしたら、私はそれは間違っていると思いますけれども、その政府としての論理性は一応一貫したということで、一応そこは終わっておきたいと思います。
 さてそこで、もう一つ、これも言い古された議論ではありますけれども、期限の定めのない労働契約、それについての有期雇用の契約の反復更新の問題ですけれども、その基準が明らかじゃないということがございました。そのことについて基準を出されるというふうに聞いておりますけれども、やはりはっきりさせないと。社会通念上相当と認められるというふうな大臣も御答弁されていますけれども、率直に言ってなかなか通念がどうなのか。大臣の御発言によると、これから通念をつくっていくんだというふうな感じになるわけで、そうすると最初はどうするのかというのが分からないわけでございます。
 そういった意味で、基準をやはりいつ出されるのか、そのことについて明確に分かるようにしていただきたいと思うんですが、その点についてお願いします。
#181
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘のありましたこの有期契約の反復更新、反復更新した結果、無期契約とみなすという、こういうことについて、これははっきりとした基準を設けなければ現場で混乱が起きるという御指摘でございます。
 この期限の、期間の定めのある労働契約が反復更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視し得ることが社会通念上相当であるか否か、この判断につきましては、現時点では、これまでの判例、裁判例等を踏まえつつこれ解釈運用していくことになりますけれども、それは、例えば中身として申し上げますと、更新回数について一定の数字を示すということはできないわけでありますけれども、考慮される判断要素といたしましては、業務内容の恒常性、臨時性、あるいは正社員との同一性、これが一つであります。次に、労働者の契約上の地位の基幹性や臨時性、それから次に、継続雇用を期待させる言動等当事者の主観的な態様がどうであったか、それから更新手続の厳格性、他の労働者の更新状況、こういった事項についてより精査して定めていかなければなりませんが、これは行政といたしましては、本法案が成立いたしますれば、これ改正法施行までの間にできるだけ早い時期にこうした裁判例を踏まえた判断の考え方を通達上整理して周知に努めたいと考えております。
#182
○辻泰弘君 これはできるだけ早く出さないと、やはり現実に機能しないと思うんですね、やっぱり周知徹底が大事ですから。そういった意味で早急に、例えば年内とか、それぐらいが当然だと思うんですけれども、半年以上あるわけですから、年内ぐらいをめどとして取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがですか。
#183
○政府参考人(大谷泰夫君) 御指摘のとおり、遅くとも年内にははっきりお示ししたいと考えております。
#184
○辻泰弘君 その点についてはそのことを求めておきたいと思います。
 それから、フルタイムパートの議論が昨日もございました。そのことについて、大臣も、残念だったというふうな御指摘があったと思います。
 そもそも、今回の法律の中で、フルタイムパートについては対象となっていないということになるわけでございまして、その点について、今回の法制度が対応できていないということはやはり問題だというふうに指摘をしつつ、昨日も大臣の方は、今後取り組んでいきたいというふうなことをおっしゃっていたと思うんですけれども、このことに向けての御決意を改めてお伺いするとともに、具体的にどういうふうに取り組んでいくのかということですね、そのことについてもお示しいただきたいと思います。
#185
○国務大臣(柳澤伯夫君) フルタイムパートと申すべきものは、辻委員もその言葉から何を指しているのかという感がなさると思うんです。フルタイムパートタイマーということになりますから、一体どういうことかということなんですが。
 私どもとしては、いわゆるフルタイムパートにつきましては、期限のある、期間のある労働契約、つまり有期の契約労働者というとらえ方をいたしておるわけでございます。そして、この有期の契約労働者の問題として、その方々と、今度は期限、期間のない定めによる方々との均衡をどのように図っていくかという問題としてとらえておりまして、この問題は、労政審の労働条件分科会におきましても実は審議が行われたのでございますけれども、労使間の間で十分に取りまとめの段階に至るまで議論が熟しませんで、結局、引き続き検討することが適当であるという答申をいただいたわけでございます。
 したがいまして、引き続き検討を行うことは明確であると考えておりまして、私どもの役所といたしましては、この分科会におきまして検討が更に深まって、できる限り早い機会に必要な法的整備がなされるよう努力をしていきたいと、このように考えております。
#186
○辻泰弘君 この問題も早急に取り組まなければならない課題だと思います。その方針で臨んでいただきたいと思います。
 それから、かねてのいろいろな報告などを見ますと、フルタイム正社員とパート非正社員のバイパスとしての短時間正社員制度を広げていくことが有効だと、こういった考え方が出されておりました。なかなか難しい問題かもしれませんが、マニュアルなどを作ってやっていらっしゃるところがあるようですけれども、このことについても、やはり研究会でも指摘されているように、推進していくべきだと思いますが、このことについての決意を簡単にお述べください。
#187
○政府参考人(大谷泰夫君) この短時間正社員制度でございますけれども、これ平成十四年のパートタイム労働研究会の最終報告において、多様な働き方を行き来できるという仕組みを社会的に醸成していくために、こういったフルタイム社員それからパート、非正社員の間にこういう短時間正社員ということを置いて、その推進を考えたところでございます。
 この後、厚生労働省では、平成十五年にこの研究会を設け、短時間正社員制度の導入につきまして検討を重ねて、その経過として、今御指摘いただきましたが、平成十八年には短時間正社員制度導入マニュアルというものを取りまとめるとともに、事業主団体において傘下企業への周知に取り組んでいただいているところであります。
 さらに、本年度は、事業主団体に委託してこの短時間正社員制度について傘下企業を対象として意識調査などを行うとともに、この傘下企業の中からモデル企業を選定して短時間正社員制度の導入に実際に取り組んでもらうということを内容とするモデル事業を実施することとしております。
 厚生労働省といたしまして、今回のこのパート労働法の改正を機に、この短時間の勤務する者の対応について企業の関心が高まることを促すよう、特にこの法案の差別禁止の取扱いというのは短時間正社員の普及にも資するものと考えておりますので、その普及に努めてまいりたいと考えております。
#188
○辻泰弘君 もう一点、今回のパート労働法改正によって処遇がむしろ悪化するんじゃないかという懸念が現実にはあるわけなんですね。例えば、このことによって契約更新が打切りになるとか、転居、引っ越しができないからといって非正規にむしろ引き下げられるというような懸念も指摘されているわけなんです。そのことについては不利益取扱いだということをおっしゃっているわけで、その救済策も言われるわけですけれども、そのことについての認識と対応について簡単にお示しください。
#189
○政府参考人(大谷泰夫君) 労働条件の引下げということになりますと、これが事業主の一存で合理的な理由なく行われることはおよそ法的に容認されないものというふうに考えております。仮にこの法律改正、この施行に先立ちまして、例えば事業主とパート労働者との間で労働条件の水準について紛争が生じた場合に、これは個別労働関係紛争解決促進法に基づきまして都道府県労働局長の助言、指導や紛争調整委員会におけるあっせんの対象となり得るものでありまして、こういった事案につきましてはまず労働局に御相談いただきたいと考えております。
#190
○辻泰弘君 大事なポイントだと思いますので、個別労働紛争の解決また救済のこともしっかりとお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。
 そこで、あと一つのポイントとして就業調整のことについてお伺いしたいと思います。
 財務省並びに総務省からも来ていただいているんですけれども、時間も恐縮ですけどそれほどございませんので、まず財務省の方から。
 よく百三万円の壁というのが言われるわけですけれども、昭和六十二年の配偶者特別控除を設けたことによってその逆転現象は解消されていると。そのことについてのコメントを簡単にいただけますか。
#191
○政府参考人(佐々木豊成君) 今御指摘の百三万円の壁という問題でございますけれども、現行の所得税法は配偶者のパート収入が百三万円以下の場合には納税者本人は三十八万円の配偶者控除の適用を受けることができます。また、配偶者のパート収入が百三万円を超えまして百四十一万円以下である場合には、納税者本人が合計所得金額が一千万円以下であれば配偶者の所得の増加に伴いまして三十八万円から控除額が減少する形での配偶者特別控除の適用を受けることができます。
 御指摘のように、この配偶者特別控除は昭和六十一年度税制改正において設けられたものでございますが、これは、パートで働く主婦の所得が一定額を超える場合に配偶者控除が突然適用されなくなり、かえって世帯全体の税引き後手取り額が減少してしまうという逆転現象を解消するために消失控除という形で設けられたものでございます。この消失控除方式の配偶者特別控除の導入によりまして、税制上の税引き後手取り額の逆転現象は解消されているものでございます。
 その後、平成十五年度税制改正におきまして配偶者の特別控除の上乗せ部分の廃止が行われておりますが、ただ、このときも世帯の税引き後手取りの逆転現象に配慮するという観点から、消失控除としての配偶者特別控除の仕組みは引き続き存置されております。したがって、現在におきましても税制面では世帯の税引き後所得の逆転現象は生じていないということになっております。
#192
○辻泰弘君 総務省の方も、住民税の関係で、九十八万、百万、百三万というポイントがあるんだろうと思うんですけど、そのことについて簡単に御説明いただけますか。
#193
○政府参考人(岡崎浩巳君) パート労働者の個人住民税でございますけれども、まず、所得割につきましては、パート労働者本人の給与収入が非課税限度額であります百万円を超えた場合に課税をされます。
 なお、年額四千円の均等割につきましては、パート労働者の給与収入が百万円以下の場合でも、居住地によっては課税される場合がございます。すなわち、生活保護級地区分三級地にあっては九十三万円、二級地にあっては九十六・五万円超の場合に均等割四千円だけを御負担いただいております。
 次に、パート労働者の配偶者に対する配偶者控除の額でございます。
 個人住民税は三十三万円でございますが、その適用関係につきましては所得税と同様でございまして、パート労働者の給与収入が百三万円以下の場合には、その配偶者に対して配偶者控除が適用されております。
 また、パート労働者の給与収入が百三万円を超えて百四十一万円以下の場合には、かつその配偶者の合計所得金額が一千万円以下であればということですが、配偶者特別控除が適用されると。この辺は所得税と同じ仕組みになっております。
#194
○辻泰弘君 実は、今回、このパート労働法のことで税制の、あるいは社会保険のことをちょっと調べましたところ、やはりこの問題に行き着いたんですけれども、かねてより言われている問題でございますけれども、やはりまだその百三万に張り付いている、そこで就業調整をしているという方が多いわけなんですね。
 これは最近の、平成十四年の厚生労働省への最終報告とか、あるいは調査結果などに出ている分析がある。ちょっと古くはありますけれども、しかし多分現状もこれが、ほぼ似たようなことが続いているんじゃないかと。すなわち、百三万円で就労調整をしていると。ただ、税制上は今お話ございましたようにそれを超えても世帯全体としての所得は減らないということになるわけですが、ただ配偶者手当が百三万円を要件としていればそこでがくっと変わるわけですから、その部分は残り得るわけですけれども、しかし少なくとも税制上それがクリアされているということについて誤解されていると、誤解して就業調整していることが分かるという分析が厚生労働省から出ているわけですよね、五年前にね。多分今もそれと似たような状況であると。
 ここで言いたいのは、やはり少なくともそのことは、税制上はクリアされているんだということが十分伝えられていないんだろうと思うんですね。パート労働の研究会の最終報告でも、現在の税制についてまず正しい理解を促していくことが重要であると。現行の税制に対する誤解から就業調整を行っていると考えられると、こういうふうになっているわけです。
 ですから、そのことについて、時間があれなんで、本来は財務省ももっと、大蔵省ももっとこのことについての国民への普及というか周知徹底に努めるべきだったと思いますし、厚生労働省も当然だったと思うんですけど、今日までこのことについてどう取り組んでこられたか、それから今後どうされるか。本当は財務省にお聞きしたいけど、まあ今日は厚労省に聞きます。
#195
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘ありましたように、パート労働者が本来必要のない就業調整をしている部分があるとすれば、これはパート労働者にとっては自らの労働を通じて家計収入を増やす機会を逸していることになる、また企業にとっても、雇用しているパート労働者の能力を十分に活用できていないと、こういうことになるわけでありまして、今御指摘のとおり、こういう誤解に基づく就業制限が起こらないようこれらの周知を行っていくのは大変大切なことであると考えております。
 これまでの取組についてははかばかしいものがあったとは思えませんが、今後、例えば今回のパート法が成立させていただきますれば、そういったパンフレットの中でこういった就労調整につきましても十分な周知に取り組んでいきたいと考えます。
#196
○辻泰弘君 こういったことが十分、昭和六十二年からですからもう二十年たっているわけですね。そのことがまだ十分行き渡っていないということは、政府のトータルとしてのやはり責任ということにもなろうと思うんです。
 大臣におかれましても、やはりいろんな面で折に触れて、こういうことをむしろ大臣から発信していただくことがあっていいことだと思うんですよね、やはり大臣には記者が付いて回るんでございますから。だから是非、大臣からも折に触れてこのことについてむしろアピールしていただきたいと、そのように思うんですけど、いかがでしょうか。
#197
○国務大臣(柳澤伯夫君) 百三万の壁というのは、私ども、中小企業を回りますと、その中小企業の経営者の皆さんから、年末のこの就業調整に遭って労働力不足で困っちゃうんだよというようなことで、切実な訴えも聞かされるわけでございます。
 それを背景にして、今申したように、この税制の改正をしましてそういうものでないようにいたしたわけでございますので、その周知徹底については私どもとしても、今回のパート労働法全体の改正の、ある意味でその機会を活用してこのPRにも努めてまいりたいと、このように考えます。
#198
○辻泰弘君 この間改正したんならそれでいいかもしれませんけれども、もう二十年前なんですからね。それで、会社も誤解して、多分それは自分の希望でという意味のことをおっしゃっているのかもしらぬけれども、本人にとっては課税が発生しますけれども、言ったように配偶者控除は続くわけですからね。会社にとっては社会保険の適用と違って会社には関係ない話ですからね。
 だから、そういう意味においてはそこも誤解があって、今おっしゃるのは多分現実のことをおっしゃっていて、税制改正は二十年前というか、そのギャップが実は恐縮ながら大臣の中というか、大臣の身の回りでも埋まっていないような状況があるわけです。だから、そのことを、埋めることを大臣自らやってくださいと、そのことなんです。
#199
○国務大臣(柳澤伯夫君) そのように努めてまいりたいと思います。
#200
○辻泰弘君 そのようにという意味は、私が言ったようにいろんなところで発信をしていただくということなんですよ。やはり、もう二十年前だけれども、こうなっているんだから。ですから、そういった意味での就労調整は全く誤解に基づくものだということをアピール、発信してほしいと、そのことなんです。そこを明確にしてください。
#201
○国務大臣(柳澤伯夫君) そのようにいたします。
#202
○辻泰弘君 私が何か言えば全部そのとおりにしていただくんなら、もっといろいろ言いたい思いがいたしますけれども、それはもう時間がございません。
 それで、年金のことも聞こうと思いましたけれども、また時間を取りたいと思いますが、百三十万というのが今まで被扶養者の認定基準ですね、そういうことになっていたわけですけれども、今回九万八千円というのを設定して、十二か月になると百十六万七千円になるわけだけれども、ある意味でそこに張り付くということも懸念はあり得るんですけれども、その点についてはどうか、コメントをしていただきたいと思います。
#203
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今回の見直しの中で、サラリーマンの被扶養者のパートの関係につきまして、従来でございますと百三十万ということで、それ以上収入がありますと一気に国民年金一号被保険者で一万四千円の負担が発生するということで、就業調整があるのではないかと、こう言われていた部分でございますが、今申し上げましたように、約百十七万というところで厚生年金適用の道が開けるということでございます。これもよく御当人の御理解を賜らなきゃいけないのですが、本人の意欲と能力に応じて当面の収入と将来の年金の両方を増やすことができる一つの道筋ができるのではないかと思います。
 政府・与党における議論の中でも、百三十万円の壁と言われているところに風穴を空ける効果が出てくるのではないかという、そういう積極的な側面の評価も得てやっておりますので、速やかに法案の御審議を賜り、可決いただければ、そういったメリットについて様々な形で周知広報に努めてまいりたいと思っております。
#204
○辻泰弘君 やはりあらゆる皆さん方に被用者のその所得比例の部分までも併せ持った年金を受給していただくと、こういった方向がやはりあるべき姿だと思いますので、そのことに向けてもお取り組みいただくように求めておきたいと思います。
 残余の質問ございますけれども、時間が参りましたので、以上で終わります。
#205
○島田智哉子君 民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。よろしくお願いいたします。
 政府の資料によりますと、パートタイム労働者は昭和四十年の百六十八万人から、平成十八年には千二百五万人と、およそ七倍に増えて、現在は雇用者全体の五人に一人がパートタイム労働者という計算になります。就業形態の多様化が進み、日本経済を支える労働力としてパートタイム労働者の重要性は高まっております。
 ただし、パートタイム労働者は、男性が増えてはきているものの、七割が女性であり、正社員との賃金を始めとする処遇格差については、女性差別が姿を変えた間接差別と、そういう指摘もあります。そのために、パートタイム労働対策は男女雇用機会均等法と同様、性差別の観点からも重要な課題になっていると思います。
 そこで、私からは、パート労働対策の実効性確保に向けた問題、課題について、厚生労働省の性差別に関する意識、また都道府県労働局雇用均等室の業務の在り方、そして現行法及び改正案の問題点という三つの観点から、視点から順次お聞きをしてまいりたいと思います。
 これまでの質疑を通じましても、パート労働法の実効性を確保する上において、その大変大きな役割を担っているのは都道府県労働局であり、またその中にある雇用均等室であるということを認識をいたしました。この雇用均等室については、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の第一線機関であり、パート労働法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等を踏まえ、女性がその能力を十分発揮していくために働きやすい環境をつくるとともに、職業生活と家庭生活との両立を図ることができるような環境を整えるために設置をされています。こうした課題の根底にあるのが社会意識、社会構造に根深く残る性差別であり、これを解消することが均等行政を所管する厚生労働省の重要な使命の一つではないかと思います。
 まず、この点について、大臣に御見解を伺いたいと思います。
#206
○国務大臣(柳澤伯夫君) 男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮することができる社会を実現することは政府を挙げて取り組むべき課題であります。
 厚生労働省といたしましても、こうした社会の実現に向けて、男女共同参画基本計画などに基づき、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策などに取り組んでいるところでございまして、今後とも、働く上での性による差別がなくなるように努力してまいりたいと考えております。
#207
○島田智哉子君 そこで、性差別の解消に向け、助言、指導を行う立場にある厚生労働行政において、性差別そのものをどのように認識されていらっしゃるのか、この点についてお聞きしたいと思いますが、その前に、四月十日の本委員会におきまして、生活保護受給者等就労支援事業について、昨年度まで全額一般会計で行われた事業を、今年度から半分を雇用保険特別会計から負担することになった背景、経緯、そしてその根拠をお聞きいたしました。そして、そのやり取りの中で、その根拠となる資料について、委員長始め理事の皆様に御配慮をいただき、四月二十四日に厚生労働省より提出していただきました。
 この資料についてお聞きをいたしたいと思いますが、まずは、改めてこの事業の内容、そして財源区分の変更を行ったその根拠の御説明をお願いいたしたいと思います。
#208
○政府参考人(高橋満君) 生活保護受給者に対します自立支援に向けた取組ということで、平成十七年度から各自治体におきまして自立支援プログラムを導入をいたして、これを通じて自立就労支援策を講じておるわけでございますが、その一環といたしまして、福祉事務所とハローワークの連携によってきめ細かな就労支援を行います生活保護受給者等就労支援事業を実施してまいってきておるわけでございます。
 これは、ハローワークと福祉事務所が一緒になって生活保護受給者の方々に対して自立に向けた、まずは個別に面接をしてその対象者の状況、ニーズを的確に把握をしていくと、これに基づきましてナビゲーターによります担当者制のきめ細かな就職支援、あるいはトライアル雇用の活用、公共職業訓練の受講あっせん等々、適切な就職支援メニューを実施することによって就労による自立を支援していこうと、こういうものであるわけでございます。
 今申し上げましたように、十七年度から事業を開始したわけでございますが、事業実施一年余経過する中でいろんな個別の支援事例が積み重なってきたわけでございます。こうした支援事例というものを私ども会議等の場を通じまして把握をいたしたわけでございまして、そうした中で、就労経験を有しておる対象者が大変多いという、一定の規模でおられるということが判明をいたしたわけでございまして、こうした就労経験を有しておられる方はある意味では雇用保険の被保険者であったとも考えられるわけでございまして、そうした判断の下に、十九年度におきましての予算措置といたしまして、従来の経費の半分を労働保険特別会計でも負担をするという形で、一般会計と労働保険特別会計で折半で負担をしてこの事業を実施することといたしたところでございます。
#209
○島田智哉子君 そして、その御提出いただいた資料を委員の皆様にお配りさせていただいておりますが、資料一でありますけれども、その資料について御説明ください。
#210
○政府参考人(高橋満君) 御指摘の当委員会の各委員の皆様方に御配付申し上げました資料でございますが、今のような経過の中で、この全国会議等の場を通じて把握をいたしました支援事例というものを一覧表の形で整理をさせていただいた形で資料を提出をさせていただいたわけでございます。
 支援事例につきましては、それぞれの局なり担当者なり、異なる形式で整理をされたものであるわけでございまして、雇用保険の被保険者であったかどうかということについてまでの項目ということは記されておらないわけでございます。ただ、就労経験というものが一定程度把握をされておると、こういうことで、そうした就労経験の内容とそれに基づいての雇用保険の被保険者であった可能性というものを推測をいたしまして整理をさせていただいたところでございます。
 結果はごらんのとおりでございまして、全体七十事例を取りまとめたわけでございますが、そのうち被保険者であったであろうと推測される事例が四十事例あったということでございます。
#211
○島田智哉子君 その就労経験とある右の部分ですけれども、被保険者であったと考えられるにマル、被保険者であったと考えられないにバツとされているわけですけれども、局長の御答弁では可能性ですとか推測ですとかそういったお言葉がありましたが、アルバイト、バツ、ウエートレス、マル、ホール、美容室、マルとるる書かれておりますけれども、これは可能性ですとか推測でよろしいんでしょうか。もっと明確に確認が必要だったのではないでしょうか。
#212
○政府参考人(高橋満君) 確かに、御指摘のとおり、この被保険者であったかどうかというマル・バツの判断の部分は、把握をいたしました就労経験というものに準拠をする形で、推測をした上で記載をしたというものでございます。そういう意味では、あくまでも推測ということでございます。
 この事業を実施していく上で、この就労経験というものを把握していくということは、御本人のこれからの就労支援を考えます場合、大変重要な情報でもあるわけでございまして、こうしたことを通じて、できるだけ、何と申しますか、きめの細かい実情の把握ということに努めていく必要があろうかというふうに思っておりますが、雇用保険の被保険者であったかどうかということまで、どこまで把握するかというのは、全体の中でそこまで必要かどうか我々も十分検討しなきゃいけないとは思っておりますが、やはり、就労支援に結び付けていく、就労に結び付けていくという中で必要な情報を十分把握していく努力が必要かなというふうに思っております。
#213
○島田智哉子君 やはり、前回局長が答弁でもお述べになりましたけれども、今後この事業を的確に運営していくという意味でも今年度においてはしっかりと把握していくべきではないでしょうか。武見副大臣、いかがでしょうか。
#214
○副大臣(武見敬三君) 委員御指摘のとおり、この生活保護受給者等就労支援事業の予算区分の変更につきましては、この全国会議等で把握した支援事例から把握した対象者の就労経験等により判断したものでございます。
 ただ、今後、事業を的確に推進していくためには、やはりこうした対象者の属性や、それから支援のノウハウ、こういったことをより丁寧に把握していくことが重要だというふうに私も考えます。このために、今現場からの定例又は随時の業務報告によって対象者の属性をより詳しく把握するとともに、具体的な支援の好事例やノウハウを収集、蓄積をし、全国会議などを通じて担当者間でこうした情報を共有していくように努めてまいりたいと思います。
#215
○島田智哉子君 よろしくお願いいたします。
 それで、本日、この資料を基にお聞きしたいのは、この左の部分の対象者のケースというところなんですね。私も初めてこの資料を見せていただいてその表現に本当にびっくりいたしました。
 例えば、二十八番で「「もらえるものはもらわなきゃ。それに、就職しなくても保護は打ち切られないでしょ」と悠長に構える」五十五歳の男性、三十番には、「SSS」と書いてありますけれども、「寮内で就職活動を怠けることで有名な五十五歳の男性」、三十四番にあります「愚痴とマイナス意見ばかりの生活保護に甘える男性」と。決して揚げ足を取ろうとか重箱の隅をつつこうというつもりはありませんけれども、それにしても表現が生活保護受給者をべっ視しているのではないかと、そんな印象を正直持ちました。
 それに、これは幾ら何でも、厚生労働行政を担い、職業安定部局として御認識を疑問を持たざるを得ない表現がございます。一つは、十三番の「ホステス経験のみの一見モデルのようなフィリピン女性」と。生活保護受給者の就労支援、生活支援と一見モデルのようなとは何の関係があるんでしょうか。
 もちろん、局長の責任で本委員会に資料を提出されているわけですけれども、局長、いかがでしょうか。
#216
○政府参考人(高橋満君) この支援事例の一覧に関する資料でございますが、現場におきます報告事例に基づいて、先ほども申し上げましたように、整理をいたしたものであるわけでございますが、御指摘がありました部分の表現につきましては、ある意味では支援担当者の覚書のような性格の記述であるわけでございましょうけれども、しかし、それをこういう形で、十分なチェックなしにそのまま資料中に記載をしてしまったということにつきましては、誠に不適切な表現を用いて整理をしてしまったというふうに思っておりまして、まずもっておわびを申し上げたいと思います。
 この点は、支援担当者の方々が端的な表現で本人が抱える問題点のポイントでありますとか支援の内容における特徴的な事項というものを記述をしたということであるわけでございましょうが、しかしこういう表現がこうしたことに該当するのかどうか、大変疑問な点があるわけでございまして、ましてや、こういう形で資料として御提出してしまったということについては今申し上げたようにおわび申し上げますとともに、今後このようなことがないように十分に身を引き締めて対処をしてまいりたいと考えております。
#217
○島田智哉子君 厚生労働省では、重要な会議の場において、当たり前のようにこのような性に特有な表現を付け加えることに何ら問題意識をお持ちになっていないのでしょうか。この文書の中では、一見モデルのようなとは局長は何を基準にされているんでしょうか。
#218
○政府参考人(高橋満君) 私がどう考えるかという以上に、やはりこういう表現を社会的にどう受け止められるのかということかと思いますが、まあ一般論的に申し上げますれば、やはりこの一見モデルのようなという表現は、容姿に関することに結び付きかねない表現であるということも考えられるわけでございまして、そういう意味では表現としては必ずしも適切ではなかったというふうには思っております。
#219
○島田智哉子君 大臣の予算委員会での御答弁の根拠となる資料、しかもわざわざ理事会で御協議いただいて委員会に提出された資料です。何よりも雇用機会均等行政を担う厚生労働行政としての認識としてはいかがなものなんでしょうかと。
 そこでお聞きをいたします。
 男女雇用機会均等法第五条では、性別を理由とする差別の禁止が規定され、具体的には指針で示されております。労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針第二の二の(二)のロについてお聞かせください。
#220
○政府参考人(大谷泰夫君) 男女雇用機会均等法第五条に関する指針において、募集又は採用に当たっての条件を男女で異なるものとすることを雇用均等法違反となる措置の例としてお示ししているところでございます。その中に、募集、採用として、例示として幾つかのものがその事例として挙げられているわけであります。その中に、一つがその容姿端麗というような言葉があるわけでありますけれども、これは募集、採用の場面において、女性についてのみこのような条件が付されているという事案が多く見られたものから、通達においてこういうものは不適切であるということで示したということでございます。
#221
○島田智哉子君 それから、労働者派遣事業関係業務取扱要領第六の(二)の(イ)について、また職業安定法第五条の指針、平成十一年労働省告示第百四十一号、第四の一の(一)についてお聞かせください。
#222
○政府参考人(高橋満君) 御指摘の指針でございますが、個人情報の取扱いに関します労働者派遣法第二十四条の三にかかわる派遣元指針並びに職業安定法第五条の四にかかわります指針でございますが、いずれも派遣元事業主や職業紹介事業者等が求職者等の個人情報を収集するに当たりましては、業務の目的の範囲内で収集しなければならない旨、定めておるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、人種、民族、社会的身分等、社会的差別のおそれのある事項、思想及び信条、労働組合の加入状況に関する個人情報については収集してはならないことといたしておるところでございます。
#223
○島田智哉子君 正にその要領にも明記されているように、容姿、スリーサイズは差別的評価以外の何物でもありません。
 そこで内閣府にお聞きをいたします。
 第二次男女共同参画基本計画の中で、国の行政機関の作成する広報・出版物等における性差別につながらない表現の促進との項目がございます。この趣旨の御説明をお願いいたします。
#224
○政府参考人(飛田史和君) お答えいたします。
 第二次男女共同基本計画九の二、メディアにおける男女共同参画という項目がございます。そこの趣旨でございますが、国の行政機関自らが国民等に対して広報等を行う場合、そこに盛り込まれた文字やイラスト、写真等の表現が男女共同参画の観点、視点に照らして適切なものとなるよう配慮する必要があると、そういう趣旨でございます。
#225
○島田智哉子君 今回の場合は、広報物や出版物ということではありませんけれども、しかし国会に提出された資料ですから、ある意味むしろそれよりも重いのかもしれません。
 この厚生労働省の記述について、内閣府としての御見解をお聞かせください。
#226
○政府参考人(飛田史和君) 今御指摘ございました九の二につきましては、国の行政機関が公表するという趣旨のものであるかと思います。
 この文書の性格でございますけれども、具体的に男女共同参画の推進と、厚労省の方からも御指摘ございましたけれども、そういうものを意図しているということは必ずしも言えないというふうに考えておりまして、そういった意味で、私どもが何かこういうものが適切であるかないかと言う立場にはないんではないかというふうに考えております。
#227
○島田智哉子君 そうなんでしょうか。大臣の予算委員会での御答弁の根拠となる重要な検討を行う場で、ホステス経験のみの一見モデルのようなとは言語道断であります。しかも、そのことに何ら問題意識を持つことなく、国会への提出資料に平然と記述されている。そうした認識を基に果たして、均等法の中で性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとする、更に言えば、男女共同参画基本法第三条での言われている基本理念に基づく行政を行うことができるんでしょうか。そうした疑念を私は持ちます。
 労働担当副大臣のお立場から武見副大臣の御認識をお聞かせください。
#228
○副大臣(武見敬三君) 御指摘のとおり、十分に吟味をしないままにこうした資料の中にこうした事柄が記載されてしまったと、それがそのまま国会に提出されてしまったということについては、本当にこれ遺憾なことだったというふうに思います。
 今後、職員に対しましても、この男女共同参画基本計画、この理念をきちんと踏まえて十分に意識を深めるよう徹底いたしまして、こうしたことが起こらないように私自身も指示を徹底させていきたいというふうに思っております。
#229
○島田智哉子君 是非そのようにお願いいたします。
 もう一つだけ、この提出いただいた資料を拝見して、もう悲しくなるような表現がその下の方にあるんですけれども、十四番で、「問題児を抱えたフィリピン国籍の女性」と。問題児と、厚生労働省が政策的にお使いになる言葉として、問題児と。何をもって問題児とされているんでしょうか。
#230
○政府参考人(高橋満君) 問題児という言葉の定義そのものは必ずしも明確ではないというふうに思いますが、一般的にこの問題児という言葉で表される概念といたしましては、ルール違反を繰り返したり社会性に欠けた問題行動などを繰り返して教育上特別な配慮を要する児童を指すものではないかというふうにも考えられるところでございます。
 今回のこのケースにつきまして、現場の方の担当者に確認をいたしましたところ、支援対象者のお子様が学校において問題行動を繰り返して、支援対象者御自身も子供を問題児と呼んでいたということでありますとか、子供から目を離さないように学校から言われているということから、就労に当たりまして特に子供の状況についての配慮がやっぱり大きなポイントであると、こういうようなことで報告事例でこのような表現を使用したとのことだと承知をいたした次第でございます。
#231
○島田智哉子君 この出していただいた資料の文言は、各委員の先生方も見ていただくと本当に驚かれる文言がたくさんあると思うんですけれども、その一つ一つのことではなくて、今回のパート法についてももちろんなんですけれども、男女雇用機会均等法について、そしてまた障害者基本法についても、あらゆる差別があってはならない、それが大原則ではないんでしょうか。しかも、そうしたことを先頭に立って指導する立場にある厚生労働省が国会に提出されたこの資料にこのような表現が平然と書かれていること自体、私は理解に苦しみます。
 こうした厚生労働省の姿勢について、大臣に御見解をお聞きいたしたいと思います。
#232
○国務大臣(柳澤伯夫君) 厚生労働省は、内閣府の男女共同参画局とともに、性差別等の解消に向けて率先して取り組む立場にございます。御指摘の資料の表現につきましては、支援対象者のケースの内容を端的に表す表現を心掛けたというか、そういう意図が背景にあってなされたことかも分かりませんが、このような、十分のチェックを経ずして国会にこのような表現のままに提出をされたということは極めて遺憾であると、こういうふうに考えます。
 今後、職員に対しまして、性差別等の解消に向けて率先して取り組む立場にあることの自覚を促しながら、深い意識を持って業務に当たり、二度とこのようなことのないよう徹底を図ってまいりたいと考えます。
#233
○島田智哉子君 よろしくお願いいたします。
 では次に、先日の本会議での総理の御答弁の中に、国として指導によってその実効性を確保していく、行政として適切に指導していくと、指導という表現が何か所かございました。一般に、指導する側と指導される側、親子の関係であっても職場の関係であっても、指導する側が範を示してこそそれが成り立つのは当然のことではないかと思います。
 それで、今回の改正案でも、第二十一条で、紛争の解決の援助として、紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告することができるという規定が新たに設けられております。また、現行法十条、改正案では十六条に、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する報告徴収、助言、指導、勧告という規定がございます。こうしたパート労働法における行政指導の現状と、今後の行政指導の在り方についてお聞きしたいと思います。
 まず、改正案十六条、二十一条の報告徴収、助言、指導等について、具体的にはどの部署の機関が担当することになるんでしょうか。
#234
○政府参考人(大谷泰夫君) 改正法のパート法第十六条に基づく助言、それから指導、勧告につきましては、これは雇用均等室を中心に労働局全体で対応していくことになると考えております。
 また、その改正法のパート法第二十一条に基づく紛争の解決の援助、これも雇用均等室で対応することとなります。
#235
○島田智哉子君 この都道府県労働局雇用均等室の業務の在り方につきましては、二月十五日の本委員会の中で私が直接視察をさせていただきました状況に基づいて質問させていただきました。その中でも、具体的に二十五条カードについて取り上げさせていただきました。この二十五条カード、雇用均等法第二十五条に基づく報告徴収、助言、指導、勧告を実施した場合にその内容を記録し、業務の進捗状況を管理するためのとても重要な文書ですが、それが私が参りましたある労働局の雇用均等室では、二百五十九件のうち三十七件が未作成であっただけでなく、視察のときの説明ではそうしたことはないと説明されたと。このことに対して武見副大臣からは、担当副大臣として具体的に是正する努力をするとの御答弁がございました。
 まず、事実関係についてその後確認いただけましたでしょうか。
#236
○副大臣(武見敬三君) 二月十五日に質問をちょうだいしました。この平成十七年度における二十五条カードの未処理事案、この件に関しましては質問があった後すぐに未処理であった労働局に指示をいたしまして、作成をさせました。
#237
○島田智哉子君 十八年度についてはそのような事実はございませんでしたでしょうか。
#238
○副大臣(武見敬三君) 十八年度分について調査をしたところ、すべて適切に作成していること、これ確認しております。
#239
○島田智哉子君 私が参りましたのは今年の二月です。そして、お尋ねした具体的案件は十七年度のケースでありまして、つまり十七年度も、十八年度の途中までのおよそ一年十か月にわたってそうした事実が把握されていなかった。室長も、しかも十七年度と十八年度では室長がお替わりになっていますから、お二人ともその事実を確認すらされてこなかったということでございますけれども、この室長の管理体制も含めてどのように御対応いただけたんでしょうか。武見副大臣、お願いします。
#240
○副大臣(武見敬三君) このカードの管理体制については、実は本年の四月、この業務取扱要領、これを改正をいたしました。それで、ここで、四月に局長通達という形でそれを徹底させていただいたわけでありますけれども、これはいろいろと議員からの御指摘、これを踏まえてやりました。
 そこで、まず第一に、そのカードの処理状況を的確に把握できるように、室長の決裁年月日、これを記載する欄、新たに設けました。それから二つ目に、雇用均等室長は、全体の進行状況を管理するとともに、職員間で実態把握や指導事項に差が生じないよう報告徴収や指導内容について確認するよう明記したところでもございます。また、二月の全国雇用均等室長会議及び本年度より新たに室長になる者に対する研修において、業務の進行管理の徹底を指示しております。
 そして、今後とも、室長に対する適切な指示、指導等を通じまして管理体制の徹底を図ってまいります。
#241
○島田智哉子君 すぐに、そして的確な御指示と御指導ありがとうございます。
 それから、現行法十条に基づく行政指導の実施状況についてお聞きをいたします。
 まず、この十条、改正案では十六条になりますが、その趣旨、それから行政指導を行うかどうかの基準について御説明ください。
#242
○政府参考人(大谷泰夫君) パート法の十条の規定でありますけれども、本法の目的を達成するために、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るために必要があると認めるときに、事業主に対し報告を求め、又は助言、指導、勧告をすることができるというふうにしたものでございます。
 この報告の徴収を行う場合につきましては、これ事業所訪問、それから相談等を端緒としたものなど様々なケースがありますが、短時間雇用管理者の選任状況や、選任されている場合はその業務の実施状況、労使の話合いの促進のための措置の実施状況等を聴取しております。
 また、現状を申し上げますと、助言を行う場合は、指針に規定された事項も含めましてパート法に違反する状況が確認された場合、事業主に対し口頭又は文書により行うというふうにしているところであります。
 それから、今度は指導でありますが、この指導を行うケースにつきましては、助言の対象となった事案のうち、改善を行うためには強い要請が必要と認められるものにつきまして、事業主に対して文書の手交あるいは郵送により行うというふうにしているわけであります。
 更に進んで勧告を行うケースでありますが、これは指導の対象となった事案のうち、改善を行うためには更に強い要請が特に必要と認められるものについて、事業主に対して文書の手交又は郵送により行うと、こういったことになっているわけであります。
#243
○島田智哉子君 そこで、資料二にございますけれども、事前に全国都道府県労働局の均等室ごとの報告徴収、助言、指導、勧告、それぞれの件数を資料として御提出いただいております。
 例えば、資料二の一の直近の十八年度を見ますと、報告徴収実施件数、全国で二千七百九十二件、助言件数は千七十八、指導、勧告ゼロとありまして、その中でも都道府県ごとの件数のばらつきが非常に気になります。もちろん、対象事業所数も違いますから一概に比較はできないにしましても、それにしましても報告徴収が一年間に一けたというのが秋田、三重の二県、助言についても一けた県数が八県ございまして、福井県については一件、高知県は二件と、これは一年間の実績です。
 例えば、秋田県は報告徴収が四、助言が八、三重県が報告徴収八、助言六。この実績をどのように評価すればいいのか。秋田県や三重県についてはパートタイム労働者の比率が低いのか、あるいはそのほかの業務が多過ぎてなかなか手が回らないのか。この点について、厚生労働省では全国の均等室業務について行政監察を行っていらっしゃいますが、この秋田、三重についても平成十七年に行政監察が行われているようですけれども、この監察結果はいかがだったでしょうか。
#244
○政府参考人(大谷泰夫君) 事業主への報告徴収、これは労働者からの相談を端緒にしまして行う場合あるいは事業所訪問の際に行う場合など、様々なこれ機会をとらえて行うことから、これ毎年その件数については変動があると考えておりまして、確かに非常に少ない事例も御指摘いただきましたけれども、最終的にこういった結果になったものというふうに考えております。
 秋田労働局でありますけれども、これ行政監察を行いましたが、そのときには、各職員は法及び指針等についての理解を更に深める努力が必要というふうに指摘しているわけであります。これは、従来から雇用均等室職員に対して適切に研修は行っているところでありますけれども、これ新たにパート労働法の担当になるなら更に法律等の理解を深める必要がある場合もあり得ますために、適切な施行の体制となりますように、なお一層職員の研さんに努めてまいりたいと考えております。
 また、秋田でありますけれども、秋田労働局の行政監察におきましては、パートタイム労働対策の推進に当たり、労働局内部の積極的な連携を図るべく努力が必要であるというふうに指摘されているわけでありますけれども、これは、パートタイム労働法の対応につきましては、雇用均等室を中心に労働局全体で対応することとなっておりまして、連携が十分になされていないということが確認されたということによるものでありますけれども、これも今後、労働局全体での適切な施行体制となるよう、なお一層の連携に努めてまいりたいと考えております。
 それから、三重県の事例も今御紹介あったと思いますが、三重労働局への行政監察におきまして、当局はパートタイム労働者の比率が高いこともあるということで、これにつきまして三重県の管内の事情を認めた上での指導を行ったということでございます。
#245
○島田智哉子君 事前に両県の監察結果、概要をいただいておりますけれども、秋田については、報告徴収後、指導内容や指導事項の該当条文、講ずべき措置について速やかに検討できるよう室内体制を工夫するとともに、各職員は法及び指針等についての理解を更に深めるよう努力するとございまして、事業主や労働者に対してではなく、各職員は法や指針について理解を深めるようにと。つまり、理解されないで指導されていたということになるんでしょうか。また、パートタイム労働対策の推進に当たり、労働局内各部の積極的な連携を図るべく努力が必要であると、このように指摘されていると。しかし、その翌年が十八年の報告徴収四であり、助言八ということです。
 それから、三重県の監察結果でも、当局はパートタイム労働者の比率が高いこともあり、労働局としてのパートタイム労働対策の推進が求められることから、労働局内各部の積極的な連携を図り、相談会の開催や広報等に取り組む努力が必要であると指摘されながらも、しかし、その翌年、報告徴収八、助言六と、これはどこに問題があるとお考えでしょうか。
#246
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、それぞれ指導、行政監察を行いました結果で、それぞれの雇用均等室について、例えばさっきお話がありましたように、恐らく監察の中で職員の理解が低かった例を認めた、あるいはその労働局の中である意味で雇用均等室がほかの部と十分な連携をしないで仕事をしていたということで、そういった結果、業務の言わば推進が十分でなかったと、こういったことを指摘したものであろうというふうに考えるわけであります。
 その結果、次の年に、それで徴収がどうなったかということでありまして、徴収につきましては、やはり相談を端緒にして行う場合もありますけれども、こちらから出向いていって、いろんなその訪問の際に見付けるということもありますけれども、これは相談を端緒にしてそれが始まるということもありまして、どうしてその次の年少なかったか、ちょっとこれは、もうちょっと分析してみなければ分からないわけでありますけれども。
 いずれにいたしましても、今回こういうパート労働法についての制度改正を今検討しているわけでありまして、特に、非常に今回の制度につきましては従来よりも精緻な仕組みになるわけでありますから、これはいろんな相談等も増えるものと考えておりますので、これは体制を引き締めて臨まなければならないというふうに考えております。
#247
○島田智哉子君 是非、体制を引き締めてやっていただきたいと思いますけれども。
 それで、助言の内容についてお聞きしたいと思いますが、この十八年度の実績千七十八件について、衆議院での大谷局長の御答弁では、細目については把握しておりませんと言い切っていらっしゃいましたが、第十条の二で、厚生労働大臣の権限は都道府県労働局長に委任することができるとされていることを承知しておりますけれども、それにしましても、助言の細目について把握されていないということでよろしいんでしょうか。問題があるから助言をされているというわけですので、細目を把握されていないということは問題を把握されていないということだと思いますが、問題を把握されないで何をどのように政策に反映させられるんでしょうか。
 そこで、私の方から、この中の東京労働局の平成十五年から十八年度の助言の内容細目について資料請求をさせていただきました。確認のためにお聞きをしておきたいと思いますが、パート法カードについて、しっかりと管理されておりますでしょうか。保存期間五年間、その五年間分について確認いただいておりますでしょうか。
#248
○政府参考人(大谷泰夫君) 現行パート法第十条に基づきまして、確かに、行われた助言について、私の方で詳細については把握していなかったということでございます。
 ただ、この規定に基づきまして助言等を行った場合には、これ、パート法等カード等に記録することとされておりまして、その管理は適切に行われているものと考えておりまして、その労働局における助言等結果について、パート法カードのほか、事業場台帳に記載することで足りることもありますけれども、いずれかにはこれ記載されているものというふうに考えております。
 それから、先ほどのこのパート法の十条に基づく指導の中身でありますけれども、これ、ほとんどが短時間の雇用管理者に関してのものであったということでございまして、そういったことについて、これまで言わばこの短時間雇用管理者についてのもの以外にはいわゆる指導実績はここへ記載されてなかったということでございます。
#249
○島田智哉子君 今後しっかりとお願いをしたいと思います。
 それで、担当局長が把握されていないとされております細目内容について、取りあえず今回、東京労働局の内容を資料請求いたしました。
 提出いただいた資料の三によりますと、このお手元の三によりますと、平成十五年度の助言件数十二、そのすべてが短時間雇用管理者十二件、十六年度二十九件のうち二十八件が同じく短時間雇用管理者、そのほとんどが九条に基づく助言であります。
 例えば、九条以外の六条の文書交付、七条の就業規則の作成など、そのほかについての助言は行われていないのはどういった理由からなのか、私は疑問に思いました。恐らく、全国について調べたとしても同じ結果になっているのではないでしょうか。
 そもそも大谷局長は、そのこと自体を把握されていないわけですから疑問をお持ちになることすらなかったんだと思いますが、どのようにお考えですか。
#250
○政府参考人(大谷泰夫君) 各県の雇用均等室との間におきましては、これは助言のカード、そういったデータを個々に私がもちろん見るということはありませんけれども、これは全国会議のそういう機会とか、折々の機会をとらえて担当課の方でもいろんな情報交換、意見を交わしているわけでありまして、そうした流れについて承知はしているわけでありますけれども。
 今お話のありました東京の雇用均等室から出ましたそのデータの中でも、ほとんどこの短時間雇用管理に関するものであったということでありますが、この辺りの背景について若干申し上げますと、これまで労働局に対しましては、パート法の施行に関して、一つは、法や指針の趣旨及び内容について周知啓発を重点とした対策を推進して、事業主による自主的な取組を促進することによって短時間労働者と通常の労働者の間の均衡処遇の浸透あるいは定着を図ること。それから、法九条にこの選任が規定されている短時間雇用管理者は、短時間労働者の雇用の改善等に当たり、その事業所における自主的な取組体制のかなめであると。室においては、その選任の促進はもとより、その選任された短時間雇用管理者が適切にその業務を担当するよう必要に応じて指導すると、こういったことを中心に取り組んでいます、また取り組むように指示してきたということによる結果であろうかというふうに思いますけれども、今お話ありましたように、今回の改正におきましても、文書交付、それから、むしろ今回、賃金とか処遇について詳細な今回改正が検討されているところでありますから、もちろん短時間雇用管理者についてのものだけではなく、新しい仕組みについて、これはまず周知に努め、また上がってきた事案については、私ども本省でも詳細に把握してその後の行政に生かしてまいりたいというふうに考えます。
#251
○島田智哉子君 十条に基づく助言等については、例えば六条については労働基準部、八条の指針については、それぞれの内容に応じて労働基準部、職業安定部、雇用均等室、そして九条については雇用均等室と、現行ではこのように業務分担をされているようにお聞きしておりますが、労働基準部、職業安定部が行った件数、内容はどのようになっておりますでしょうか。
#252
○政府参考人(大谷泰夫君) 労働基準部及び職業安定部が行った指導に関しましては、これは雇用均等室で取りまとめて厚生労働本省に報告するように指示しておりまして、その助言の件数全体の中に労働基準部及び職業安定部で行った助言も含まれていることにはなると思うわけでありますけれども、個別の両部の件数や内容については承知していないところでございます。
#253
○島田智哉子君 承知していないと。まあ非常に残念ですけれども、この現行の報告徴収にしても助言、指導についても、これは明らかにお粗末であるとしか言いようがないと思います。しかも、その状況を把握しようとされないことが私には理解ができません。
 今後も、改正案十六条については労働局長に委任することになるんだと思いますけれども、その場合においても、その行った助言や指導についての細目についてはしっかりと厚生労働大臣が把握できるようにシステムの整備を行っていただきたいと思いますけれども、まずこの点について武見副大臣、いかがでしょうか。
#254
○副大臣(武見敬三君) 御指摘のとおり、従来、パート法に基づく助言、指導、勧告の内容について把握してこなかったということは、やっぱり十分な対応とは言えなかったというふうに私も認識しています。
 改正法施行後におきましては、この改正パート法で定められた事業主に課せられた義務といったことがあります。どのような助言、指導などを行ったかについて、こうした内容を把握することとしたいと、かように考えております。
#255
○島田智哉子君 仮にこの改正案が成立したとしますと、都道府県労働局また雇用均等室の業務内容も責任も現行よりもはるかに大きくなるわけです。しかし、現行法においてもこのような状況の中でそうした業務を担うことが現実に可能なのか、私は非常に懸念を持ちます。そして、その背景には、労働局内の各部の正に縦割りの弊害があるのではないかと思っております。
 総理が先日の本会議で答弁されたように、行政指導によって実効性を確保していくということであるとするならば、この現行の都道府県労働局の組織の在り方について抜本的な見直しの検討が必要であると思います。大臣の御見解をお聞かせください。
#256
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、島田委員の方から、私どものこのパート労働法の主たる行政の手段といたしまして助言、指導、報告徴収等があるということでございますが、その運用ぶりについて様々な御指摘をいただきました。
 パート法の施行につきましては、従来から都道府県労働局におきまして雇用均等室、これは今回この担当局の出先でございますが、それと労働基準部それから職業安定部、この三部室が分担をして実施をしてまいりました。しかしながら、今回のパート法の改正後におきましては、こういうように分担ということではなくて、雇用均等室を主担にするということにいたしまして、もちろん、労働基準部、職業安定部にも分担をしてもらわなければならない事務がございますので、それにつきましては十分この両部と連携を図らせていただいていくことになりますけれども、いずれにしても、雇用均等室が主としてこの施行を担当するということを明確にしていかなければならない、このように考えます。
 今後、議員からの連携不十分との御指摘も踏まえまして、この三つの行政が縦割りのそしりを受けることなく、一層の連携を図って、円滑にかつ真剣にこのパート法改正が所期の効果を発揮するように、厚生労働本省から労働局を指導してまいりたいと考えております。
#257
○島田智哉子君 是非、そのようにお願いいたします。幾ら法律を改正しましたとしても、その実効性が確保されなければ意味がないわけです。是非、そのようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 それから、実効性の確保ということで見ますと、改正案では紛争を解決するための手段として行政型のADRを整備するとしております。このことによって男女雇用機会均等法と同様の仕組みとなるわけですけれども、しかし、今回の改正法では、行政指導の勧告に従わなかった企業に対する企業名公表制度が盛り込まれておりません。この企業名公表制度は、平成九年の男女雇用機会均等法改正で導入されたわけですけれども、その実効性を確保するための措置の強化として、勧告に従わない場合の企業名公表制度については今回の改正案では盛り込むべきだったのではないかと思いますけれども、あえて盛り込まなかった理由についてお聞かせください。
#258
○政府参考人(大谷泰夫君) 労働法制の中で義務の履行を確保するという措置として、これは今回、パート労働法のこの案は、都道府県労働局長による助言、指導、勧告ということであるわけでありますけれども、ほかの制度では、今御指摘のように、公表制度というものも設けられている例があるのは御指摘のとおりでございます。
 この公表制度でありますが、これは事業主にとって社会的信用にかかわる重大な不利益を与える可能性があるということでありまして、その創設に当たりましては、言わば、その保護される法益とそれから守られる権利、この比較考量を慎重に行っていかなければならないと考えるわけであります。
 この改正案におきましては、これ義務規定を今回幾つかかなり詳細な新しいものを設けるわけでありますが、それがまだ、恐らく新しく市場で創設されて運用されるということになるわけであります。まずはそれが履行されるように内容の周知を図り、事業主の理解を高めるとともに、その履行が確保されるように、先ほど御指摘いただきましたが、都道府県の労働局長による助言、指導、勧告を適切に行うということで図ってまいりたいと。まずはその施行状況を見守った上で今後の検討課題というふうに考えております。
#259
○島田智哉子君 次に、短時間労働援助センターの業務の見直しについてお伺いをいたします。
 現在、短時間労働援助センターに指定されている二十一世紀職業財団、それから各都道府県に設置されております各地方事務所において、現行法第十五条に基づき様々な業務が行われております。調査研究、事業主等に対する講習、情報提供、助成金の支給と。
 そこで、まず二十一世紀職業財団におけるパートタイム労働に関する相談件数及びその相談内容の内訳についてお聞かせをください。さらに、そのほかの実施業務、事業とその実績についてもお伺いしたいと思います。
#260
○政府参考人(大谷泰夫君) 短時間労働援助センター、ここでは二十一世紀職業財団が指定されて担っているわけでありますが、そこは、短時間労働者の雇用管理の改善等の援助を行うこと、その他、短時間労働者の福祉の増進を図ることを目的として設立された法人でありますが、これまで事業主支援として、短時間労働者雇用管理改善等助成金の支給、また、労働者、事業者等に対する情報提供、相談援助の実施、さらに、パートタイム労働を希望する未就業者等を対象としたガイダンスやパートタイム雇用管理改善セミナーの開催等を行ってきたところであります。
 具体的に、平成十七年度におきましては、相談・問い合わせ件数が一万九百四十七件でありまして、その主な内容としましては、社会保険、労働保険、税金等に関する相談が多かったというふうに報告されております。そのほか、短時間労働者雇用管理改善等助成金の支給ということで、事業主団体が七十団体、中小企業事業主が八十八件であります。また、短時間労働者の職業生活に関する相談会の開催千四百九十八件、さらに、雇用管理改善セミナーの開催二百三十一回、こうしたところを行ったところでございます。
#261
○島田智哉子君 今回の改正案では、短時間労働援助センターの業務の見直しを行うとしているわけですけれども、これについて、これまでの説明では、行政改革の観点から大幅に業務を縮小してそのスリム化を図るとしております。これにより短時間労働援助センターの業務は情報収集、資料提供と助成金の支給といった最小限の業務に絞り込むようですけれども、パート労働に関する調査研究や事業主等に対する講習等廃止される業務について、厚生労働省としてこれをどのように評価し今回見直すことにしたんでしょうか。各業務、事業について今後ほかの機関が行うことになるのかも含めて、お聞かせください。
#262
○政府参考人(大谷泰夫君) 短時間労働援助センターにおきましては、これまで短時間労働者の職業生活に関する調査研究や雇用管理の改善等に関する講習等を実施してきたところであります。これらの取組は短時間労働者の雇用管理の改善に一定程度効果を上げてきたものというふうに考えております。
 しかしながら、今御指摘ありましたように、この改正法案におきまして、この短時間労働援助センターにつきましては、行政改革あるいは指定法人改革という観点から指定法人でしか実施できない業務のみに特化するということとされたわけでありまして、具体的には均衡待遇の取組を進める事業主に対する助成金の支給等の業務を引き続き行い、支援していくということになるわけであります。
 今お尋ねのありました今回廃止した業務でありますけれども、これ、このまた新しい法律の施行ということになりますと、行政サービスが低下につながることのないように、例えば相談業務につきましては、この雇用均等室あるいは全国三百か所の総合労働相談コーナーで受け付ける、あるいは関係のこれから団体にもお願いしまして必要なセミナー等を開催するということで、実際に今回の法案の施行に十分な体制を講じていきたいと考えております。
#263
○島田智哉子君 パート労働者の納得性の向上、公正な待遇の実現を掲げるのであれば、相談窓口を増やすことの方が重要であって、改正法とは関係ない行政改革を旗印に相談窓口を集約化しようとする今回の見直しはむしろそれに逆行するんではないでしょうか。
 七十分にわたり質問させていただいてまいりましたけれども、やはり総理が本会議答弁で強調された、国としても指導によって実効性を確保していくとされたその御答弁と残念ながら現状の体制には大変大きな乖離があると思えてなりません。今後の実効性の確保については私どももしっかりと監視をしてまいりたいと考えておりますし、厚生労働大臣としてもそうした姿勢を臨んでいただきたいと要望して、そして大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
#264
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回のパート労働法の改正でございますけれども、これは今の雇用形態の多様化ということが進展する中で、パート労働者という方々について処遇の均衡を図り、そしてその方々に大いにこれから能力を発揮してもらうことが日本経済の発展にとってもまた社会の安定あるいは国民の福祉の観点からもこれは必要であると。そういうふうに、今委員が御指摘になられたように、総理自身のある意味肝いりの改革ということで取り組んでまいったわけでございます。
 そして、その成案を得る過程におきましても、実は労政審の先生方にも真剣な検討を行っていただきまして、随分長い間の時間も掛けてようやくここに到達したと、そういうプロセスがあったわけでございます。そういう中で私どもはようやく法案化を成し遂げて、そして今、こうして国会の御審議をお願いしているわけでございまして、この法案の重要性、それからそれに掛ける私どもの期待というものは非常に大きいものがあるわけでございます。
 ところが、今こうして委員が本当に七十分の長きにわたりましてその施行体制というものの数々の問題点を御指摘いただいたということでございまして、私もずっと耳を傾けておりましたけれども、とても私どもがこの法律案に掛けた気持ちというものが、本当に実施の段階で万全が期し得るかということについては、本当に今委員が指摘されたように数々の問題があるというふうに私自身認識をさせていただきました。
 そういうことでございますので、今回はこのパート労働法の施行につきましては、都道府県労働局の体制としては雇用均等室を中心にこの施行に取り組ませていただきますけれども、性根を入れてやるように指示をして、我々のねらいとする所期の効果を上げるようにしっかり取り組ませていただきます。
#265
○島田智哉子君 ありがとうございました。
#266
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 おとといの質疑、昨日の参考人、そして今日の質疑も通じて、今求められているのは、やはりパート労働者だというだけで賃金や福利厚生などで差別されている実態を正して、本当の意味での均等待遇ということを近づけていくということだろうと思います。
 これに対して安倍首相は、本法案について、先ほど大臣も総理肝いりだとおっしゃいましたが、これ、すべてのパートを対象としてきめ細かく待遇改善していくんだと答弁をされた。しかし、やっぱり審議通じて、本法案はそうしたパート労働者の願いにこたえるものになっていないということをつくづく感じるわけであります。
 そこで、まずお聞きしたいのは、差別禁止規定を設けた八条一項の、通常の労働者と同視すべきパート労働者の対象が一体どれだけいるのかという、この議論です。
   〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
 これ、二十一世紀財団の調査を基にして、対象となるのはパート労働者の四、五%だという大臣の答弁に対して、これはおととい吉川議員も、同じ調査で期間の定めのない雇用と答えた方が二一・一%だったので、四、五%に〇・二掛ければ一%もないんじゃないかと、こういう提起もいたしました。
 大臣は、そのとき答弁として、四、五%にすぐ掛けて正しいのかというふうに答えたんですが、要するに、二つの要件で四、五%だと、じゃ三つ目の要件掛けたら一%切るじゃないかという考え方自体は、これは別に間違っていないんじゃないかと。何ですぐ掛けちゃいけないんですか。なぜ正しくないというふうにおっしゃったのか、説明してください。
#267
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、この三つの要件というか、私どもがこの二十一世紀職業財団が実施した多様な就業形態の在り方に関する調査というもので、四、五%の者は配転、転勤等の取扱いが正社員と同じと回答したものでありますから、そういう同じといったんされたものにまた〇・二ですか、というものを掛けるというよりも、それはまあ、四、五%というとあと残りは九六とか九五なんですね、そういうところと全く一視同仁で掛けるという掛け算は正しいのかという疑問を私は申し上げたということに尽きます。
#268
○小池晃君 いや、意味がよく分かりません。だって、三つの要件があって、そのうちの二つを満たしているのが大体四、五%だというのがあの結果だと思うんですよ。それとは別に、三つ目の要件でこれが二一%だってあるんだから、考え方としては、三つの要件満たせばそのカテゴリーになるんであれば、その三つ目を掛けて大体一%を切るぐらいじゃないのかと、考え方はそうなるんじゃないですか。
#269
○政府参考人(大谷泰夫君) 二つの要件が最初にあって、三つ目の要件でというふうにちょっと今お話があったんですが、実はこの十三年の調査項目は、その幾つかの要件が重なって聴いている。といいますのは、その当時、こういった期間要件について今回の法律改正のような区分というものはなかったわけでありますから、ある意味で包括的に聴いているようなものがあって、それで幾つかの数字が重なっているわけでありますが、平成十三年度の調査項目は何を聴いたかといいますと、仕事と、それから責任の重さと、残業や休日出勤があるかということと、配転、それから転勤の有無それから頻度、これが自分が正社員と同じかということを聴いているわけであります。
 この配転や転勤の有無、頻度を答えるときには、これは有期の人であっても、恐らくこれは、自分はそこについて正社員と同じだと答える人のケースというのは、自分が例えば一年とか三月の方はそう答えるはずがないということで、これに答えられた方というのは、もうかなりの方がその中で自分は正社員並みと考えたということで、これはその統計として別に取った全体の全数の中で、その二割が期限の定めなくて八割があるということを、これは違う母数になるわけでありますから、そこは掛けるわけにいかないということで、むしろ最初の四、五%という、そのアンケートの丸を付けたその部分の方が蓋然性は高かろうというふうに申し上げているわけであります。
#270
○小池晃君 今の説明というのは、もう恣意的解釈というのの見本みたいな話だと思うんですよね。勝手に推測ですよ、これ。これ、丸付けた人はきっと、自分は有期だから、これは有期だから自分は該当しないんだろうと思ったに違いないという、勝手に推測しているだけの話で、私は統計の見方としては非常にこういうのは一番悪いやり方だと思いますよ。
 で、大臣ね、大臣は、どんぴしゃじゃないけれどもこれ近似値じゃないかというようなこともおっしゃっているんですが、いずれにしても、まあ何%になるのかという議論はともかくとして、四、五%よりもこれ少なくなるということは、これは少なくとも間違いないんじゃないですか。このくらいちょっとはっきり認めてくださいよ。
#271
○国務大臣(柳澤伯夫君) それは私もなかなか難しいと思うんです。(発言する者あり)いや、要するに、この四、五%ということになると、あと九六なり九五%はいらっしゃるわけですね。そうして、そういう人たちの中で、何と申しますか、非常に有期の方の比率が多くて、この四、五%の人たちは有期の比率が非常に少ないという、そういう分布だってあり得るわけでございます。
   〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
 というのは、今、雇・児局長が答えたとおり、これは、ほぼもう期間の定めのない方々か、あるいはそれに同視すべき方と同じぐらいだろうと、こういう推測をしているということと併せてお聞きいただければ私はお分かりいただけるかと思いますが、どうしてもこれよりも、四、五%というのは、有期の方がこの中にもう絶対いないと言えないという意味ではこれより目減りするだろうということについては、私もそれを絶対ないとは言い切りませんので御随意、御随意と言っては恐縮ですが、そういう解釈に、どのくらいかというのは分からないということを申し上げているという意味で、委員の御指摘については私は全否定はいたしません。
#272
○小池晃君 いや、これ結構大事な問題でしょう。だって、この法案で差別禁止の対象になるのはどれだけなのかと。それを御随意にというのはちょっと無責任ですよ。やっぱりこれは大事な問題だし、しっかり言うべきだと思います。これで、そういう大事な問題のところで恣意的な解釈やるというのは、私は制度や法案に対する国民の信頼を本当にゆがめることになると思いますよ。こういったところはきちっとやっぱりしなきゃいけない。
 昨日の参考人質疑でも、そんな人には会ったことがないとか、いるんだったら教えてくださいという、そういう声出ているわけですよ、現場で実際に。そういう事例を扱っているような弁護士さんであるとかあるいは労働組合の方からそういう声が出ているわけで、私はやっぱりそういう声にしっかり耳傾けるべきだというふうに思います。
 しかも、この同視すべき三要件の中に配置変更が見込まれることというのは、これは重大だと思うんですね。配置変更に応じられないような家族的責任を有する労働者の差別につながるのではないかということについてはどうお答えになるんですか、局長。
#273
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の差別禁止の対象をどう定めるかということにつきましては、これ、基本的に均衡処遇を全体にかぶせていく中で、しかし、通常の労働者と同視できる人はどういう人かということをまず確定しなければいけないということで、例えば同じ職場にいて一時的に業務的には同じことをしていても、しかし一方はその本社が採用していろんな場所を経験してそして今そこにいる人もいれば、いろんなケースがある。そうすると、同視するべきはどういう方かということについて、これは審議会でも相当精緻な議論を、これは過去、歴史的にもどういう人を同視すべきかという議論があったわけであります。
 ここで、今回正社員と同視して、その処遇についても、これは退職金から住居手当からみんな同じだという人はどういう人かということになりますと、これは我が国の雇用システム全体、正社員のこれは雇用システムも見渡して、ある程度の長期の雇用を想定してこれは人材育成を行うとともに待遇の決定が行われているということから、通常の労働者と同視すべきであるかどうかという主張として、このある一時点でない、職務内容以外の長期的な見方が要ると。そのために、三要件と申しますけれども、職務が同一であるということ、それから無期契約又は有期契約であっても、実質的に無期契約となっている場合であって長期雇用を前提としていること、それからその人材活用を同じようにされている、こういった要件を備えたわけでありまして、そういったことが同視するべき人というさっきのルールの中では必要かつ十分なものであったのではなかろうかというふうに考えているわけであります。
 しかしながら、これまでの参考人の質疑それから御議論の中で若干、先生方に誤解はないと思いますけれども、議論の中に誤解が生じやすいのは、何かパートタイマーはその転勤要件というか、転勤をしないと正社員並みではないと、こういったちょっと誤解が一部にあるような気がいたします。
 これは、同じ事業所において自分が正社員並みであるといった場合に、対象となる方々と同じであるかということを比べているわけでありまして、その比較対象の方が、それが転勤していない方であれば、それはその方と同じであれば、それで差別禁止の対象になるわけでありますから、言ってみれば、その通常の労働者の中に転勤する方されない方、むしろいろんな方々がいて、むしろそれはその通常の労働者の中にもいろんなその働き方があるべきであるという昨日参考人の御意見もありましたが、そういう中で比べていくというわけでありますから、正にその配置転換が必要だからその家庭責任を有する労働者差別というふうに一概には言えないんではないかというふうに考えております。
#274
○小池晃君 いやいや、それは私の言っていることに答えてないと思うんですけれどもね。
 要するに、一般労働者の場合でいうと、家族的責任を有する労働者が転勤に応じられないという場合に、それを理由とした不利益取扱いというのは許されないはずだと思うんですよ。ところが、短時間労働者の場合というのは、それをもって一律に同視すべき労働者からはこれ排除されちゃうと、これは権利の侵害になるんじゃないですか。今の説明からいっても私そうなると思いますが、いかがですか。
#275
○政府参考人(大谷泰夫君) これ、権利の侵害と申しますよりも、くどいわけでありますけれども、ある意味パートタイムで相当期間お勤めになった方が、自分はどう考えても通常の労働者と同じであると考えた場合に、同じである人というのはどういうところで比べるのかというこれを尺度にしたわけでありまして、その尺度が、さっき言いましたけれども、職務と人材活用の仕組みとそれから期間ということがあったということで、そのことそのものが権利侵害になるというよりも、それは、そこが確認できれば差別禁止の対象になるという、これでその権利が創設されるのではないかというふうに考えております。
#276
○小池晃君 今の説明でも、ちょっとその権利侵害だということに対する答えになっていないと思います。
 更に危惧されるのが、この法改正きっかけにして、正社員の中から転勤に応じられない人をパートに変更してその賃金と労働条件引き下げる危険があるんじゃないか。パート労働者の処遇改善のための法改正によって正社員の労働条件が悪化するということはあってはならないと思うんですが、一般法理でどうなっていますという話じゃなくて、今回の法案の中にそうならないような担保というのはあるんですか。
#277
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の法律の中に今申し上げた部分の明確な規定はありませんけれども、これは労働条件の不利益変更を事業主の一存で合理的な理由なく一方的に行うということは、およそこれは法的に容認されないものでありまして、万が一正社員の労働条件が合理的な理由なく引き下げられた場合には、この個別労働関係紛争解決促進法に基づく紛争解決の援助が受けることができるということで、そういった局面で打開されると考えております。
#278
○小池晃君 およそあってはならないと言うんですけれども、その一方的な不利益変更というのは、じゃ、その個別労使紛争の中で、実態としてはどうなっているんですか。たくさんあると思うんですが、実態を御説明してください。
#279
○政府参考人(宮島俊彦君) 御質問の正社員からパート労働者への不利益変更の相談件数ということについては、これは把握できておりません。十七年度に都道府県の労働局の総合労働相談コーナーに寄せられた民事上の個別労働紛争相談のうち、労働条件の引下げということに関するものは二万八千六十二件というような件数になっております。
#280
○小池晃君 実際にはこういう表に出てきたものだけでも非常に多数の理不尽な不利益変更がまかり通っているわけです。
 実例をちょっと紹介したいと思うんですが、栃木県の東武グループの子会社の株式会社東武スポーツ、ここは二〇〇二年の二月に正社員のキャディー職二十数名に対して、一年契約のキャディー契約書への押印、提出を迫りました。提出しない場合は四月以降契約終了、つまり解雇すると、こう脅して正社員から契約社員になる契約書を提出させているんです。これは、賃金も二四%大幅減額されることを隠して、定年退職まで安心して働けます、給料もさほど変わりませんと、こう説明していたんですね。これは、宇都宮地裁の判決では、会社側の本人同意があったという主張を退けて、旧労働条件による労働契約に基づき期間の定めのない労働契約上の権利を有すると、こう認定されています。しかし、会社側はこんな明白な事実があっても控訴して、いまだに団交にも応じない、五年掛かっても未解決なんですね。
 仮に裁判にならなくても、正社員のパート化、一方的な不利益変更なんというのは、もう一杯起こっているわけですよ、実際には。こんなことで、一般法理でできませんから大丈夫です、どこが法律上困難なんですか。実態見ればこんなことがどんどんどんどん出てくる危険がますます増すんじゃないですか。いかがですか。
#281
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の法律改正によって、これは均衡の考え方でありますから、本来、通常の労働者にパートタイムの労働者をどう近づけようかとする中で、一方で正社員側にどういうことが起きるかということで、私どもとしては、先ほど申しましたように、従来の正社員の雇用にこのパート法そのものが悪影響を及ぼすというよりは、そちらにパートの処遇を近づけるということで実態を期待しているところでございます。
#282
○小池晃君 いや、駄目だと思いますね。
 しかも、今の議論は現にいる労働者の例ですが、新規採用についてどうなのか。この法改正きっかけにして、今後これから雇用する者のうち転勤できない労働者は正社員としないでパートにすると、そういうルールを作った場合は、転勤できる労働者以外はパートというふうになってしまうことになっていく。転勤という例じゃなくても、配置転換であっても職務の責任であっても要件に少し差を付けてそういう採用ルールというのを作ってしまう、法改正きっかけに企業側がそういう採用方針に変えていく、こんなことが許されるんですか。
#283
○政府参考人(大谷泰夫君) 政府といたしましては、その企業や経済の活動全体が底上げされて、正社員とパート労働者双方の労働条件が改善される中でその均衡待遇が確保されることが望ましいと考えているところであります。
 しかしながら、今おっしゃったような形があるのかということで、もし、このパート労働法の改正が理由でそういうことが起きるということであれば、それはその転勤等を強制する理由として適切なものであるかどうか極めて疑わしいと思うわけでありますけれども、ただ、必要がある転勤要件であれば、それが問題あるとまでは言い切れないということだと思います。
#284
○小池晃君 結局何も言えないということじゃないですか。企業がそういう採用ルールにしても何も言えないと。何のための労働行政か。私は、この法案がかえって正社員も含めて労働条件悪化させる危険すらあるということを今の答弁を聞くと本当に思いますよ。
 しかも、この対象は一体どういう人たちなのかということで、衆議院の論議で局長は、大手のスーパー等においては人事管理が先行して徹底されているから今回の差別禁止の対象みたいなものはもうほとんど存在しないんだという答弁をされているんですが、だから、結局、この法律できても、大手企業なんかはもう雇用管理が行き届いていて、パートはパート、正社員は正社員と職務もきっぱり分かれていると、だから結局余り大手の企業のパート労働者には対象者がいないと。専ら中小企業が中心ということに実態としてはこれなっていくものになるんじゃないですか。その点はいかがでしょう。
#285
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、衆議院の御審議の中で委員の側から、自分の知る、そういった大手の企業だったかと思いますが、そういうところにはそういう者がいないという指摘、そして、だからして世の中にはこういう差別禁止の対象なんかいないという御議論があったときに申し上げた一つの例示でありますけれども、これは本法案を取りまとめるに当たりまして審議会の中でも大いに議論をしたわけでありますが、その際、中小企業の関係者からは、この差別的取扱い禁止規定を盛り込むことについて相当これは否定的な反応が繰り返し示されたところであります。
 また、衆議院の参考人のときにもコメントがありましたけれども、中小企業の団体に対しましてはこのパート法についてやはり自分の企業について不安があるということで相当の問い合わせ等があるということについて議論があったということで申しますと、対応している企業もあれば、特に中小企業、これは理由としましては、先ほどの三要件というのがございましたけれども、職務の内容は同じであって特に転勤とか配置転換が中小の企業であれば余りない可能性が高いということになりますと、実はその三要件のうちの一要件はもう最初から中小企業の中では同じになる可能性が強いということになりますと、むしろ大企業よりも中小企業の中に、雇用管理が徹底していないこともありますが、そういう転勤や配転という要件については初めからパートの方と正社員が同じということで、そういう意味でその対象者がいるのではないかという議論もありまして、そういった意味で中小企業については事によると存在するのではないかという議論があったということを紹介したわけであります。
#286
○小池晃君 いずれにしても、今のお話聞くと、これは結局、大企業の場合はこういう同視すべき労働者というのはそもそもいない、あるいは三要件という点では中小企業の方がむしろ適用されやすいということでいうと、余り大企業には影響を与えないような基準にむしろしたのかなというような疑問すら私、持つんですね。
 大臣、大企業では余りその対象者がいないような仕組み、それでパート労働者の処遇の改善を図るといっても、それで本当に実効性が図れるというものになっていくのか。その点については大臣はどんなふうに考えていらっしゃるんですか。
#287
○国務大臣(柳澤伯夫君) 改正法案は、パート労働者の待遇を公正なものにしていくため必要な措置を事業主に求めるものであります。
 実態を見ますと、雇用管理の進んでいる大企業には問題事例が相対的に少なく、雇用管理が遅れている中小企業に問題が仮に多いとすれば、その結果としてそれぞれの大企業や中小企業で負担が異なる結果になるということでありまして、何かねらい撃ち的な意図に基づく立法であるという御指摘は当たらないと、このように考えます。
#288
○小池晃君 結局、だから今の話でいけば、やっぱり大企業だって一杯問題事例あるわけですよ。それを三要件、同視すべき労働者なんという仕組みを持ち込んだがために非常にいびつな格好になって、本来救われるべき労働者が救われないということに私はなっているんじゃないだろうかというのを今のお話聞いても大変感じるわけです。入口から多くのパート労働者が対象とならない、しかも、その上、それに三要件という厳しい条件をかぶせれば、差別禁止の対象者というのは私は限りなくゼロに近づいていく危惧すら覚えるわけですよね。
 しかも、現場のお話を聞くと、これは均等待遇以前のノンルールの働き方みたいなのがはびこっております。
 具体例を紹介したいんですが、東証一部上場の外食産業大手のゼンショーが経営している牛丼チェーンのすき家というのがあります。ここで、昨年、東京のアルバイト従業員六人が解雇されました。六人は二か月ごとの雇用契約を自動更新されて、二年から五年働いて、労働時間は通常の正社員並みです。だから、そもそもこういう労働者は今回の法案の対象にすらなりません。店舗に正社員はいない。店はアルバイトだけでやっている。突然の解雇通告に、労働組合である首都圏青年ユニオンに加入をして、交渉の結果、九月末に全員の解雇撤回と職場復帰実現した、こういうケースです。
 厚労省にお聞きしますが、こうしたパート・アルバイト労働者の解雇や雇い止め、こういう相談は年間どのくらい寄せられているんでしょうか。
#289
○政府参考人(宮島俊彦君) 御質問のパート労働者に限って解雇、雇い止めが相談件数がどうかということについては把握しておりませんが、先ほども申しました平成十七年度の一年間に都道府県労働局の総合労働相談コーナーに寄せられた民事上の個別労働紛争相談のうち、解雇に関するものは五万二千三百八十五件、雇い止めに関するものは五千八百七十七件となっておるところでございます。
#290
○小池晃君 相談件数全体十七万件で、そのうちパート三万件、派遣・契約社員が二万件ということをお聞きしているんですが、そういう数字はありますよね。
#291
○政府参考人(宮島俊彦君) 総相談人員ということになるんですが、十七万六千四百二十九件でございまして、正社員の相談が五一%で八万九千八百九十一件、パート・アルバイトが一八・二%で三万二千百七十九件ということになっております。
#292
○小池晃君 パート、非正規で全体の四割超しているわけですね、高い比率なんです。しかも、雇い止めの相談というのは、これは相談すること自体大変難しいケースが多いと思うんですが、しかし六千件近くもある。しかも、これもほんの氷山の一角で、ほとんどは権利すら知らされずに泣き寝入りしているという実態だと思うんです。
 解雇に加えて、このすき家では、法律上規定されている残業代の二五%以上の割増しをこれは一切払ってなかったことが分かりました。過去二年間の未払賃金を解雇中の休業手当とともに支払って、昨年十二月分からはすべてのアルバイト従業員の残業代を法律どおり割増しで支払うようになったというふうに聞いています。
 問題は、このすき家は、過去の未払分については全員に支払っていないんですね。割増し分を乗せない残業代しか支払ってなかった。だから明白なんです。だから、法律上は、過去二年間分は全労働者にさかのぼって支払う義務があるはずなんです。首都圏青年ユニオンは、全員分のサービス残業代の支払を求めております。
 基準局長にお伺いしますが、厚労省としてはこういう場合はどういう指導をするのか。この場合はサービス残業明らかなわけですから、これは全労働者規模にわたって是正指導すべきじゃないですか。
#293
○政府参考人(青木豊君) 個別の案件についてはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、今委員がお尋ねになりましたこういう場合の、ケースについてでありますけれども、労働基準監督機関が行う法違反に対する是正勧告というのは、もう最終的に司法処分に付するということもあり得ることを背景とするものでございます。したがって、遡及是正につきましても、賃金不払事件として立件するに足りる客観的な確証が得られたものに限って指導を行っております。
 このような考え方に基づいて、監督時におきまして、労働時間についての記録、あるいは賃金台帳など様々な書類を点検、確認しまして、また更に関係者から必要な事情を聴取するなどにより、事実関係を明らかにしました上で必要な指導を行っているものでございます。
#294
○小池晃君 さらに問題なのは、昨年九月以来、すき家はサービス残業の是正と未払分の支払を求める労働組合首都圏青年ユニオンとの団交を拒否し続けて、既に八か月を過ぎています。それまでは団交してきたんです。ところが、サービス残業問題が出てきたら突然団交拒否なんです。
 政策統括官、来ていただいているんですが、一般に正当な理由なく団交を拒否することは許されないはずでありまして、こうした事業主に対して厚労省としてはどう対応しているのか、こういうケース、問題なしと言えるのか、お答えいただきたい。
#295
○政府参考人(金子順一君) これも個別の事案のことでございまして、しかも今、労働委員会におきまして係属中ということでございますので、本件についての具体的な答弁というのは差し控えさせていただきたいわけでございますが、その上であくまで一般論として申し上げますと、今委員から御指摘がありましたように、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否するということになりますと、労働組合法第七条におきまして規定をしております不当労働行為に該当するということでございまして、法におきまして禁じている内容になると、こういうことでございます。これは当然のことではございますが、組合員の方がパート労働者の方であっても変わりないと、こういうことでございます。
#296
○小池晃君 このサービス残業の監督指導における結果では、どういう産業に多いのか。例えば、今取り上げた外食産業などはどうなのか。また、パート労働者、短時間労働者のサービス残業というのはどの程度あるというふうに把握されているのか、お答えいただきたいと思います。
#297
○政府参考人(青木豊君) 外食産業におけるパート労働者の賃金不払残業の状況についての統計的なデータは保有しておりません。しかし、平成十七年における監督指導結果を見ると、飲食店に対しましては二千六百十三件、監督指導を実施いたしました。そのうち何らかの労働基準関係法令違反が認められたものは七四・六%、千九百五十件というふうになっております。
 いずれにしても、私どもは監督指導を適切に実施していきたいというふうに思っております。
#298
○小池晃君 今パート労働者のサービス残業の実態はお答えなかったんで、そういう統計はないのかなと思うんですが、UIゼンセンの調査では、独身パート労働者の三人に一人がサービス残業を強いられているという回答もあります。
 やはり労働基準法違反のサービス残業については、企業名の公表や、あるいはその未払分倍額払いにするなどといった二度と起こせないような法改正、仕組みが必要だと私は思いますが、もちろん過去分も厳格に指導すべきだと思うんですけれども、特にやっぱりパート労働者などが多い、アルバイトが多い業界に対して特別に調査するとか、根絶のための具体的対策というのは必要なんじゃないですか。その点はいかがですか。
#299
○政府参考人(青木豊君) これ、賃金不払残業というのはもう労働基準法に違反をする、あってはならないものであります。私どもとしても、平成十五年五月に賃金不払残業総合対策要綱を策定いたしまして、こういったものに基づきまして、毎年賃金不払残業解消キャンペーン月間を設定いたしまして、企業全体として労使の主体的な取組を促すということをやっておりますし、また重点的な監督指導を実施するということもいたして、そういった賃金不払残業の解消に向けた対策を推進しているところでございます。
 パートタイム労働者につきましても、昨年の賃金不払残業解消キャンペーン月間中に実施した無料相談ダイヤルにおきまして相談が寄せられております。総数でいきますと、パート・アルバイトについては六・五%ということでありますが、こういうこともございますので、今後ともパートタイム労働者を含めてこれらの対策を積極的に進めて賃金不払残業の解消に取り組んでいきたいというふうに思っております。
#300
○小池晃君 具体例の紹介をいたしましたけれども、法案の中身の問題でもう一回戻りますと、やっぱり均等待遇ということを言うのであれば、これ、有期雇用の労働者を対象としなければ、やはり多くの非正規雇用というのは救われないだろうというふうに思うんです。いわゆるフルタイムパートの問題についても、短時間正社員という枠ではくくれなくても、有期雇用という枠ではこれは法の対象とすることもできるわけですね。ところが、本法案はむしろ有期雇用の労働者は同視の対象から外すなどと、私逆行だと思うんです。
 大臣にお伺いしたいんですが、安倍政権の再チャレンジ支援の目玉だとまで言うのであれば、やっぱりこの際、有期雇用の労働者もしっかりこの枠組みの中に含めていくということをなぜやらなかったのか。これ、やっぱり当然やるべきだというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
#301
○国務大臣(柳澤伯夫君) この有期契約労働者と無期契約労働者との間の均衡を含めた労働条件に関する均衡の問題というものにつきましては、私どもとして労政審の審議をお願いしたところでございます。この審議におきましても、労働者代表委員は就業形態の多様化に対応して均等待遇原則を労働契約法制に位置付けるべきだという意見でございました。これに対して、使用者代表委員は、具体的にどのような労働者についていかなる考慮が求められるのかが不明であり、労働契約法制に位置付けるべきではないと、こういう意見がそれぞれにありまして、この間にコンセンサスができ上がるに至らなかったということでございます。
 しかしながら、ここに問題があるということは労政審の委員の間にもしっかり認識がございまして、労働者の多様な実態に留意しつつ必要な調査等を行うことを含め、引き続き検討することが適当であると、こういうことを答申にうたっていただいたのでございます。
 今回は法制化を見送ることになりましたが、今後、この答申を踏まえ、検討を深め、法制化に向けて努力をしていきたいと、このように考えます。
#302
○小池晃君 今後今後と言うのではなくて、やっぱり今回の法案でそれ入れるべきだというふうに思いますし、私どもはそこが本法案で修正すべき点だということを申し上げたいと思います。
 それから最後、ネットカフェ難民、日雇派遣の問題について。
 三月十五日の当委員会で、私、質問いたしまして、大臣は望ましい労働の形態とは言えないというふうにそのとき答弁されて、あの質問は結構報道もされまして、非常に話題になってきています。
 大臣、その後の大臣の認識の発展、これを踏まえて、改めてこのネットカフェ難民、日雇派遣の実態についてどうお考えか、お答えください。
#303
○国務大臣(柳澤伯夫君) これはそういうことがあるとすれば、それはもう全く望ましくないと私は考えておりまして、まず実態を把握する必要があるという観点からこのことについて検討を進めているわけでございます。
 そうした方は、その外見からは一般の終夜営業の喫茶店利用者と区別が付かないことからなかなか、どうした実施方法でもってこの実態に接近していくかということにつきましては、困難があるようでございます。
 こうした中で、派遣元事業主やNPO団体等の協力も求めまして、今後、その実態の把握に努めていく予定でありますけれども、具体的な調査の実施方法につきましては、現在関係の方々と協議をさせていただいているところでございまして、今後とも鋭意検討をして実態把握に努めたいと、このように考えています。
#304
○小池晃君 既にこの問題では独自の調査もやられておりまして、昨日厚労省にはお渡ししましたけれども、今度の日曜日に東京の明治公園で全国青年大集会というのが開かれる予定で、その実行委員会である首都圏青年ユニオンや日本民主青年同盟などがネットカフェ暮らしの実態調査というのをやっています。これは全国三十四の店舗を利用している若者から聞き取り調査やっています。この中にはリアルな実態幾つも紹介されていまして、仕事を辞めて二年近くネットカフェに住んでいる、あるいは夜はいつも満室でスーツ姿の人が半分だといった実態も出ているんですね。
 私、二つ提案をさせていただきたいのは、一つはやっぱり、ネットカフェ難民問題について調査はいろいろと大変だ大変だとおっしゃるんですけど、まずはどういう問題なのかということをとにかく生で把握をしていくと。だから、私、大臣行かれたっていいと思うんですよ。私も実際行ってきて、ああ、こういうものなんだって自分で体験したんですよ。やっぱり真っ先にちょっと行って、どういう実態なのか、この首都圏青年ユニオンなどの調査も参考にしていただいて、これは状況がどうなっているのか把握するということを厚労省としてまずやっていただきたいと。全体像じゃなくてもいい、どういう問題点があるのか、どういう実態調査をやればいいのかのヒントでもつかむような、そういうことが今必要なんではないかと。
 それからもう一つは、厚労省として、このネットカフェなどで暮らさざるを得ないような人たちに対するその悩みにこたえる。あるいは、親御さんたちも大変心配しているわけですね。だから、フリーダイヤルの電話窓口つくるとか、あるいはそれこそインターネットを利用して相談窓口を緊急につくる。そういう窓口を通じて寄せられた声からまた実態が分かるという効果も私はあると思うんですね。これは緊急にでもできることではないかと思うんですが、是非検討していただけませんか。いかがですか。
#305
○政府参考人(高橋満君) インターネットカフェ難民、ネットカフェ難民の実態ということにつきまして、今大臣からもお話、答弁ございましたとおり、実態把握に向けて今様々検討いたしておるわけでございますが、そういう検討しているプロセスの中でも、私ども、相談活動を行っておられるNPOなどの関係者からもヒアリング等行っておるところでございまして、いずれにしましても、実態の把握については様々な形で把握をしていきたいと思っております。
 また、私ども、ハローワークに是非職業相談においでいただくということ、このハローワークの利用をいろんな形で呼び掛けをさしていただきながら、ハローワークの持つ就職支援機能というものに、是非その利用を考えていただくべく我々も努力をしていきたいと思っておりますし、ハローワークにおきましても、こういう方々は住居を失っておる方もおられるという意味では、より安定した雇用に結び付けていく上で、住み込みでありますとか寮付きの会社の求人というものも有効になるわけでございまして、そうした求人も鋭意確保しながら必要な情報提供をしていく。また、安定した雇用に向けた就職のための様々な支援措置というものもあるわけでございますので、そうしたものも効果的に講じながら、就職支援に向けた努力というものを私どももしっかり対応していきたいと考えておるところでございます。
#306
○小池晃君 ハローワーク行けと言うけど、行けるんだったらもう既に行っていると思うんですよね。それは行けない実態があるからこういう人たちが生まれているわけで、今までの施策の延長線上では救えないと思うんですよ。だから、私が言ったような緊急の取組でも、まず手掛かりでも、何か厚労省としてこれやっているんだということが、何かちょっと少しは答弁あるのかなと思ったらないんですけれども、是非ちょっと検討していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
#307
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 昨日の参考人からもありました二〇〇二年七月厚生労働省パートタイム労働研究会最終報告によると、呼称パートについては問題であるという報告がされております。一般的にパートという概念が、短時間労働者という意味だけでなく、正社員でない者という意味で用いられている実態があることを示しているというふうになっております。
 しかし、このいわゆる呼称パートについては、今回手付かずで放置になっております。放置し続けてよいのか、その点について答弁お願いします。
#308
○政府参考人(大谷泰夫君) いわゆる呼称パートでありますけれども、これは御承知のとおり、パート労働法上の短時間労働者の定義を拡大すべきという意見もありますけれども、パートと呼べば適用になり、別の呼び方であれば対象とならないといった問題もありますことから、通常、その方法が有期契約であるという性格に着目して、有期契約労働者の問題としてこれは整理する必要があるというふうに考えるわけであります。
 この有期契約労働者の均衡待遇につきましては、労働政策審議会労働条件分科会におきましても審議が行われまして、労働条件に関する労働者間の均衡の在り方について、労働者の多様な実態に留意しつつ必要な調査等を行うことを含め、引き続き検討することが適当であるという答申をいただいているところでございます。
 これの引き続き検討を行うことにつきましては、一昨日、本委員会でも大臣より御答弁を申し上げたとおりでありますけれども、厚生労働省といたしましては、さらにこの労働条件分科会におきまして検討がなされ、できる限り早い機会に必要な法的整備がなされるように努めてまいりたいという考えでございます。
#309
○福島みずほ君 有期の問題については後ほど聞きますし、今有期のことなど聞いておりません。呼称パートということについて聞いているわけで、問いに対して答えをわざとねじ曲げているとしか考えようがありません。有期のことなど聞いておりません。後ほど聞きます。
 私が聞いたのは、呼称パートという問題について、つまり、厚生労働省自身が二〇〇二年の報告書ではっきり言っているわけです。つまり、パートという概念は、短時間労働者という意味ではなく、正社員でない者という意味で用いられている実態があることを示している。これは一般の人もそうですよ。パートというのは正社員でないという意味で使われていて、正社員より長く働く人も、正社員でなければパートとみんな思っているわけですよ。
 この問題について、有期かどうかじゃないですよ。呼称パートの中には契約期間の定めのない人もいます。ある人もいます。
 この呼称パートについて、なぜ手付かずで今日まで放置し、かつ今回のパート法に盛り込まないか、答弁ください。
#310
○政府参考人(大谷泰夫君) 今、最初の前段で申し上げましたように、この呼称パートの問題につきましては、これはさっき申しました見地から労働条件分科会において審議をいただいているということでありまして、このパートタイムの労働法につきましては、むしろ労働時間が短いということに着目しての労働条件の均衡等整備に資するということでありまして、私どもの方で提案しておりますこのパート法につきましてはそういった取組でありますから、それ以外のいわゆる労働条件につきましては、現在、別途分科会で検討しておるということで御理解賜りたいと思います。
#311
○福島みずほ君 いや、理解が全くできません。
 要するに、パートと呼ばれている人たち、正社員でない人たちをどうやって差別をなくして応援するかという視点がないので、昨日の参考人からも、何かばらばらで全体のビジョンが見えないと厳しく批判されたのは本当にそのとおりだというふうに考えています。なぜ呼称パートを除外するか。
 それから、八条の短時間労働者という概念ですが、午前中も櫻井委員からも質問がありました。短時間労働者という概念について、これはパートの指針では、例えば、所定労働時間が正社員とほとんど同じパートタイム労働者は正社員としてふさわしい処遇をしてください、パート指針、所定労働時間が正社員と比べては短いものの、その程度が一割から二割程度までには至らないパートタイム労働者のこととされているとされています。
 じゃ、三時間、三割ほど少ない人はどうなるのかという点などについてはどうなんでしょうか。
#312
○政府参考人(大谷泰夫君) このパートタイム労働法に言います短時間労働の考え方でありますけれども、これは基本的に絶対の四十時間とか所定内労働の時間の基準があるわけではございません。
 これは、この法律の立て組み上、通常の労働者と均衡を取るという考え方に立ちますから、通常の労働者と比べるということになるわけでありまして、その通常の労働者についての考え方について、朝方の御議論もありましたけれども、その会社自身が四十時間ということで通常の社員であれば、それはその数時間短い人ではそれはもう短時間労働者になりますが、その会社自身が通常の社員が三十五時間ということであれば、これはその三十五時間が通常の社員の基準になるということでありまして、そこは相対的に決まっていくわけでございます。
#313
○福島みずほ君 そうしますと、短時間労働者というこの法的概念は、通常の正社員よりも労働時間が短ければ全部入るんですか。
#314
○政府参考人(大谷泰夫君) この法律要件としましては、その同一事業所における通常の労働者よりも所定内労働時間が短いということが唯一の要件でございます。
#315
○福島みずほ君 八条の一項による短時間労働者ということなんですが、そうしますと、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が通常の労働者と同一であれば、労働時間が半分であってもこれに当てはまるということでよろしいですね。
#316
○政府参考人(大谷泰夫君) これにつきましては、今の労働時間の定義についてはそういうことになりますので、それ以外の部分が、三要件が全く同じであれば、それは例えば週二十時間勤務の差別禁止の労働者という形態はあり得ると考えております。
#317
○福島みずほ君 審議会の中での労働者委員からも出ておりますが、なぜ賃金などについての比例原則を厚生労働省は採用しないのでしょうか。
#318
○政府参考人(大谷泰夫君) このパート労働法の賃金の考え方でありますけれども、これは絶対的な賃金の職務分析による基準というものがないという中で、その職場において通常の労働者との均衡において考えていかざるを得ないということで、今比例的に何割とか、ある職場で、例えばここは七割とか八割ということを法律で一義的に決めるということは、これはなかなか難しいと考えております。
#319
○福島みずほ君 私は、賃金に関しては、やはり家族責任があるので短く働きたいが、時間に合わせて賃金は保障してほしいと多くの人は思うと思います。ですから、丸子警報器事件もそうですけれども、時間単位においてどうかという概念をすべき。ところが、福利厚生だとか通勤手当や、それは労働時間に関係なくその事業所で働く労働者であれば、これはきちっとやるべきであるというふうに考えておりますが、このような考え方についてどうお考えでしょうか。
#320
○政府参考人(大谷泰夫君) 賃金につきましては、それぞれの事業所内におけるまた判断、労使のまたバランスというものがあろうかと考えております。それから、今のそういうものでない、福利厚生とかそういったことにつきましては、これは個々の項目にはよりますけれども、そういった比例原則ではなくて、その項目項目によってそれが全く同一であるのか、そういったことについて決めていくことができると思います。
#321
○福島みずほ君 丸子警報器事件、この委員会でも何度か取り上げましたが、時間給に直した場合にその差が余りあるのは、これは公序良俗違反と、これは厚生労働省は是認をされるわけですね。
#322
○政府参考人(大谷泰夫君) 判例を是認するかどうかという表現は不適当であると思いますけれども、今回の差別禁止の言わば法律の立て方にかんがみまして、丸子警報器のような事件であれば、かなりの蓋然性として我々としては差別禁止事例というふうに考えてもいいんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
#323
○福島みずほ君 丸子警報器事件は差別禁止事例でありますが、あの判例は、正社員とパートタイマーの人たちの一時間当たりの労働単価を、賃金を比較しているという点もあると思うんですね。そうしますと、一方が八時間、一方が六時間だとしても、単位時間当たりに直して極端な差がある場合は、これは比例原則の観点から問題だと考えますが、いかがですか。
#324
○政府参考人(大谷泰夫君) 丸子警報器に引き付けて申し上げますと、私どもの今回の提案している法案であれば、それが差別禁止に当たるというふうに要件が言わば事実認定されれば、むしろ十分の十ということで、時間当たりでいけば十分の十であると。それが例えば一日の時間で六時間であれば、八時間に対する六ということで八分の六であるということは、言わば時間当たり十分の十というふうに考えているわけであります。
#325
○福島みずほ君 八条についてですが、これが差別取扱いの禁止ですが、転勤要件については、正社員の中でも、例えば転勤はあるとされながら、すべての正社員が転勤があるわけではありません。だとすれば、この転勤要件については、転勤のない正社員との比較になるということでよろしいのでしょうか。
#326
○政府参考人(大谷泰夫君) この転勤ということについての考え方でありますが、まずもう一度この原点に立ち返って議論をしますと、そのパート労働者が通常の労働者と同視すべきと考えるときに、先ほどの職務あるいは契約期間とは別に、転勤を含めた人材活用の在り方が同じかどうかということを見るときに、同じ人に、言わば対象とすべき人に準拠しようということであります。
 ということになりますと、その対象とすべき労働者がもし転勤をしない人であるとするならば、これは転勤する必要がないわけでありまして、言わば転勤要件という言い方が、私どもちょっと誤解を招くと考えているわけでありますが、転勤は必須なのではなくて、その比べるべき通常の労働者が、それが転勤しているということであればその方と比べるべきでありまして、その同じ職場に比べるべき労働者で転勤する人といない人がいて、そこの職務内容がもし同じであれば、転勤しない人と比べて差別禁止を判断するということはできるというふうに考えているわけであります。
#327
○福島みずほ君 この配転、転勤の有無を基準とする日本型均衡処遇ルールをやるということは、残業、配転、転勤の有無で処遇を分けるのは間接差別に当たるというふうに考えます。パート労働指針は、労働基準法、最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの労働関係法令を遵守してくださいと企業に言っております。私たちが改正したというか、男女雇用機会均等改正法では転勤要件は間接差別になっておりますし、厚生労働省も省令としてきちっと認めておられます。事業主に対して労働法令を遵守せよというのであれば、この転勤要件をこの条文に入れることは間接差別に当たるのではないですか。この間もお聞きしましたが、納得しませんので、お聞きします。
#328
○政府参考人(大谷泰夫君) この男女雇用機会均等法と間接差別との関係でありますけれども、これ今お話がありましたように、昨年改正されました男女雇用機会均等法の中で、これは三つの類型を間接差別として限定的にそこでまずは法律で定めたわけであります。
 ただ、そこの考え方にありましても、総合職の募集、採用において、例えば支店、支社もない場合に、全国転勤要件を果たすといった、この不合理な転勤要件を果たすということが禁止されたわけでありますけれども、合理的な理由がある転勤要件を果たすことまでは、去年の法律改正の際にもこれは禁止されていないというふうな解釈でございます。
 今度、翻りましてパート労働法でありますけれども、この法案の差別的取扱い禁止の対象者の判断に当たりまして、この転勤を含む人材活用の仕組みが同一であると要件を定めているわけでありますけれども、これは均等法の間接差別に該当するような転勤についてまで正社員とパートと同一かどうかということを比べるという趣旨ではないわけであります。
 なお、その人材活用の仕組みの要件につきましては、正社員と同一と判断されるために転勤が必要とされているものではなくて、転勤が、これ先ほど申しました、ない正社員との比較も、これは当然あり得るわけでありますから、今回のパート労働法について、間接差別を前提として、言わばその要件を設定したという御批判は、これは当たらないんではないかと考えております。
#329
○福島みずほ君 圧倒的に女性がパートが多くて、転勤要件や、こういうふうにすることが、結局パートの構造にメスを入れることにはならないと、この点は極めて問題であるというふうに思います。
 八条に関して、どの一体だれがこれに当たるのかというのは、この委員会でも参考人からも指摘がありました。日経新聞では、ある大手スーパーでは該当者はゼロだという回答を、そこはやっております。一体どこにいるのか。今日も辻委員の方からもありましたが、厚生労働省として統計を取るべきではないか。
 これについて、八条にどんな人が当たるのか、どれだけの人が当たるのか、これについて改めてお聞きしますが、厚労省として調査あるいは統計を取られたんでしょうか。
#330
○政府参考人(大谷泰夫君) この八条に該当するパート労働者の方がどれぐらいおられるかということで、これにつきましては再三御議論をいただいているところでありますけれども、その要件を定めるに当たりまして、これは昨年暮れまで審議会で、公労使三者で、どういう要件が最もまあ言わば公平であるか、合理的であるかということで、これぎりぎりまで議論があって、その段階でセットされた三つの要件でありますので、その三つの要件がどんぴしゃであるデータがその時点であったわけではないわけでありまして、繰り返しになりますが、過去にあったものの中で最も近似値というか、それがうかがい知れるものの一つの尺度として現在申し上げているわけでございます。
 そこで、じゃ、今の時点で、その三要件で調査をすることについてということになるわけでありますけれども、これは結論から申しますと、なかなか難しいんではないかと考えております。
 幾つか理由がございまして、例えば、この法律でもうこれは差別禁止ではあってはならない法律違反ということで確定した三要件でありますから、これ事業主にアンケートで聞いたところで、おたくに差別禁止がいますかといって、いるというふうに答える回答はなかなか期待できないだろうと。一方で、その労働者が過去のデータから見ましても、それは自分はやっぱりこういった要件に当たるというふうに判断される方も多いわけでありますが、その辺り、そのアンケート調査みたいな形ではなかなかこれ仕組めない。
 委員も御承知のとおり、訴訟とか個々の事実認定で、これはぎりぎり確定される要件であるわけでありまして、そういう意味で、今再調査して、じゃ、正確なデータが取れるということにはなかなかならないというふうに考えているわけであります。
#331
○福島みずほ君 この八条は結局無力じゃないですか。今の答えは、もう怒りを通り越して、何かもう笑い転げるほどひどい答弁ですよ。つまり、差別禁止が当たるから、企業はこんなアンケートに答えないだろうという答弁でしょう。こんなんだったら私たちは、差別禁止をしてパートタイマーの人たちの差別をなくしたい、これ安倍内閣の、安倍政権の目玉ですよ。でも差別禁止の人たちは、アンケート取っても、企業は差別禁止に当たっているから出てこないだろうという答弁ですよ。どこにいるのか、ツチノコを探しに行くのかという話ですよ。存在しないものを、存在しない人、データとして出てこない人を差別禁止したところで、どういうことですか。全く理解ができない。
 逆に言うと、法律家として非常に恐れるのは、差別禁止って八条にする、じゃ、実は反対解釈でそれ以外は差別禁止、法の網が掛かんないんですよ。だから、結局差別容認法案にこれがなるということですよ。ありもしないツチノコのために私たちは差別禁止をやるんですか。
#332
○政府参考人(大谷泰夫君) 今、前提において若干誤解があったのではなかろうかと思いますが、簡単に調査をしてアンケート調査等で得られるような項目ではないというふうに申し上げたわけでございます。これで参考人の質疑等、衆議院等でもあったわけでありますけれども、これ中小企業の経営者等に問い合わせますと、やはり自分のところはそうではないかということで問い合わせなどが相当あるということで、その実態が存在しないということではなくて、それについて数が確定して申し上げることができないということが一つ、申し上げているのが一つであります。
 それから、その次の反対解釈というふうにおっしゃったわけでありますけれども、この法案には、これ均等法案と均衡法案というのは基本的には違う種類の法案でありまして、均等法案というふうになりますと、これは男女雇用機会均等法はそうでありますが、均等法案に反するものはそうでないという反対解釈が成り立つわけでありますが、この私どもの法案は基本的に均衡法案でありますから、違うものをどう接近するかということを定めているわけで、同一なものは同一であるというふうに今回差別禁止にしましょうと言っているわけでありますが、均衡法案という立て方になりますと均等でないものは均衡で処遇するということが法の原則になるわけでありまして、言わばここは原則はこれ均衡からスタートしている法案ということで、さっきおっしゃった均等でないものはナッシングということではない法案の立て組みだというふうに是非御理解賜りたいと思います。
#333
○福島みずほ君 均衡も均等も差別をなくすということじゃないですか。一番のポイントは差別禁止ですよ。パートの中における差別をなくしてほしい、これがパートで働く人たちの願いだし、個人で裁判やるのはとてつもなく大変なので法律がそれを応援しようということじゃないですか。
 結局答弁の中で、調査をする時間はなかった、三要件が審議会の中でできたので、いとまがないから調査をする時間はない。今からやったってそれは出てこないという答弁だとしたら、八条は一体だれのための、何のためのなのかですよ。実際、パートの人たちは分かんないわけじゃないですか。最後、裁判をやれば裁判で決めると言うけど、裁判がやれる労働者がどれだけいるかというのは、司法的救済がどれだけ大変か、最高裁まで争うのにどれだけ大変かということは物すごくよく私は分かりますよ。できないということですよ。八条が無力だということであれば、パートの人たちに届かない条文ですよ。それを差別禁止だ、でもそれはどこにいるのか、データは取ってないし、これから出てこない、今日に至ってもデータなんて出てこないじゃないですか。
 少なくとも、なぜこんなに急いでこんなにデータの裏付けのない法案を作る必要があるのか、全く理解することができません。時間を掛けてきちっとした差別禁止をやるべきなのに、何で大急ぎで作らなければならないのか、それは強く抗議をしたいと思います。
 それで、福利厚生についてお聞きをいたします。
 これは、パートの指針についてはもっと広範囲に福利厚生について規定をしています。福利厚生施設について正社員と同様の取扱いをしてください。パート指針です。給食、医療、教育、文化、体育、レクリエーション等の福利厚生施設の利用については、パートタイム労働者に対しても正社員と同様の取扱いをするようにしてくださいと書いてあります。ところが、今回の法案では、十一条で「配慮しなければならない。」、しかも厚生労働省令で局長は三つしか言いません。
 このパート指針を大幅に後退する中身になるということについて、なぜ後退しているのか全く理解ができませんが、いかがですか。
#334
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回法律で明記するものが三つになったということでありまして、これも、従来の指針であったものがこれ国の法規範として、配慮義務としてむしろ格上げになったわけでありまして、そこについては、言わば設置義務について現状よりもこれは強化されているというふうに考えるわけでありますし、それから、指針は今後の議論になりますが、それ以外にあったものは今回廃止するわけでありませんから、従来のものは引き続きこれは指針としても存在して企業に、これを事業主に求めていくということは変わらないと考えますので、そういう意味で今回法律に明記されたものだけが生き残るということではないということを御理解賜りたいと思います。
#335
○福島みずほ君 法律では限定していません。厚生労働省で限定するからそこは問題で、厚生労働省令で限定しないでくれということを言っているわけです。
 指針でははっきりいろんなもの等とやって、同様の取扱いをするようにしてくださいと言っているんですよ。だとしたら、十一条は、昨日参考人からも出ましたが、限定しないで配慮しなければならないとすればいいじゃないですか。
 つまり、ロッカーの話がありました。ロッカーはというか、ロッカーはできれば、トイレで着替えるというパートの人たちは困るわけで、ロッカーはやっぱりあった方がいいわけですよね。だけれどもスペースの関係でないのであれば、配慮したけれどもできないという反論ができるじゃないですか。
 つまり、条文は「配慮しなければならない。」となっているわけで、配慮をしたという立証を企業がやればいいわけですよ。だとすれば厚生労働省令で三つに限定する必要は全くないと考えますが、いかがですか。
#336
○政府参考人(大谷泰夫君) まず、前提には、法律に基づく指針に存在しているものについてそれを法律で配慮義務に格上げしたということで、その三つに格上げされたものについては、現行よりも企業の配慮しなければいけない度合いというものは、これは強まったというふうに考えるところでございます。
 また、その配慮につきましても、これは確かに配慮をしたということの判断はいろいろ御議論があるところでありますけれども、例えば今回の配慮義務という考え方であれば、施設に余裕があるのに使わせないとか、そういうようなことはこれはあり得ないというところはもう法律ではっきりしているわけでありますから、そのスペースがあるのに使わせないというような事例があったような場合に、これは、もしそういう事例があって事業主との交渉が成り立たなければ、これは労働局に御相談いただければこれは配慮が必要であるという判断が下されて、必要な指導まで勧告等があると思うわけでありますが。
 一方で、配慮ということの限界というのは、じゃ全員収める場がないので増築しなければならないといった場合に、そこが企業の経営上無理だったということを言った場合に、それが配慮義務としての限界かどうかと、こういったところで表れてくると思いますが、少なくとも現行の指針よりは前進しているものと考えております。
#337
○福島みずほ君 いや、それは違いますよ。だって、現行の指針は、給食、医療、教育、文化、体育、レクリエーション等の福利厚生施設の利用については同様の取扱いをしてくださいと書いてあるわけですよ。ところが答弁で、十一条について、配慮すべきものは厚生労働省令で決める、限定することに法案上なっています、しかも厚生労働省令で言っているのが三つだと言っているじゃないですか。
 とすると、これは明確に後退ですよ。つまり、法律上、厚生労働省で決める三つ以外は、三つについて配慮せよというふうに書いているわけだから、それ以外については配慮しなくてもいいことになりますよ。
 とすれば、今局長が言うように、ロッカーについても様々なものについてもレクリエーションについても配慮すべきということであれば、それは厚生労働省令で限定すべきではないと言っているんですよ。いかがですか。私は、差別禁止をしてほしい、でも百歩譲って配慮しなければならないということであれば、厚生労働省令でなぜ限定するのか。指針よりなぜ狭めるのか。
#338
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、一昨日もこちらで申し上げましたとおり、それについて審議会の席でも相当の御議論があったところであります。
 そこで、まず前提として、今回指針が廃止になるのであれば、三つだけが配慮義務になってあとは消滅するわけでありますが、指針にあるものは今回はもう、これから指針はこれで決めていくわけではなくて、全部存置されているわけでありますから、そこにおいては変わらないと。
 しかし、法が介入してそれは配慮すべきだというふうに明記したものが三つということで、従来全部あったものの上に三つ強化されたということでありますから、その前の状態の方が処遇として良かったという御批判については理解しかねるわけであります。
#339
○福島みずほ君 いや、これ明確に後退ですよ。だって、指針が残っているにしても、法律ですよ、国会で作った法律の方が指針よりも強いわけでしょう。厚生労働省令は三つに限定して、福利厚生施設についてはそれだけ配慮すると、配慮すべきだってやるんだったら後退ですよ、指針の方が広いんだもん。首ひねっていらっしゃる。だったら何で、理解ができない。指針の方を全部法案に載っけるか、厚生労働省令で限定しなきゃいいじゃないですか。指針と同じ中身を入れて何が悪いんですか。
#340
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、いろいろ項目のある中で、法が介入しても、これはもう実施を担保するということについては、これは法律で省令にゆだねると書いたわけでありまして、それがその三項目でありますけれども、ほかのものがこれ消滅するわけじゃありませんので、ほかのものは従来どおりの言わば指針として生き残るわけでありますから、決して後退していないと考えるわけであります。
#341
○福島みずほ君 何のためにパート法作るのか、全く理解ができません。厚生労働省令を三つに限定することに強く反対をしていきます。指針にあるんだったら書けばいいじゃないですか、後退しないというんだったら書けばいいじゃないですか。同じように指針が大幅に後退をしているので、そこも問題にいたします。
 十二条が正社員に転換する条件を法案で決めております。ところで、指針はもう少しいいことを書いてくれているんですね。正社員に応募する機会を付与してください。指針です。正社員を募集しようとするときは、現在雇用している同種の業務に従事しているパートタイム労働者に対して、あらかじめ募集を行う旨と募集の内容を周知するとともに、正社員として雇用されることを希望するパートタイム労働者に対し、応募する機会を優先的に与えてください、それから、指針の十、正社員へ転換するための条件を整備してください。指針はここまで書いているんですね。
 しかし、法案は、応募する機会を優先的に与えるということは全く法案にはありませんし、条件整備についても指針が細かく書いているようなことは書いてありません。これは明確に後退ではないですか。
#342
○政府参考人(大谷泰夫君) これは先ほどの指針と法案との関係について同じ議論になるわけでありますけれども、私どもの審議会での議論の経過から見ましても、なかなか法律化できなかった項目は、言わば従来、法律改正何度か試みてとんざしているわけでありますが、その中で指針としてできるだけの方向を定めたと。しかし、今回の法律改正の議論の中でそれを何とか法律化しようということで労使が合意して、法律化できるものは法律の規定での法の介入によって強制をすると。しかし、そうでないものは引き続きおさらいをしていこうということになっているわけでありまして、そういう意味で、今回も転換につきまして、もちろん従来の姿勢を後退させるわけではありませんが、法によって担保しようというやり方について、これは労使も合意できた項目はこの三つということでありますから、やはりその法律に一部、格上げという言葉が適切かどうか分かりませんが、明記したということが、他のものを言わば削除するという意味にはならないということに考えているわけであります。
#343
○福島みずほ君 明確に指針の後退になっているという点について、このパートがなぜ後退したのかというふうに思います。その点がまず問題です。
 それからもう一つ、パート指針があっても実はパートの人たちの格差是正にならなかったという現実があります。パート指針にあった努力義務規定は機能しなかったけれども、そのパート指針の努力義務規定によって成果は上がったのでしょうか。調査はしていらっしゃるんでしょうか。努力義務規定、配慮規定で成果のあったものを提示してください。
#344
○政府参考人(大谷泰夫君) 指針についてのお尋ねでありますけれども、このパート労働法に基づく事業主の努力義務の実施状況につきましては、平成十七年のパートタイム労働者実態調査におきまして調査を行っております。この調査の結果を平成十三年の同様の調査結果と比較しますと、その法律上の努力義務につきましては、例えば労働条件を文書で明示している割合は、平成十三年の五二・九%から十七年には八七・五%に伸びています。また、就業規則の作成に当たりパート過半数組合又は過半数代表者からの意見聴取を行った割合は、平成十三年の二四・四%から平成十七年には五七・四%に伸びております。
 次に、今お尋ねの指針でありますが、指針上の努力義務につきましても、賃金の昇給決定要素について個人の職業能力の向上が、これ平成十三年の五一・八%から平成十七年には七二・七%へ、また、個人のこれまでの業績が、平成十三年の二六・三%から平成十七年には五一・六%と伸びております。また、賞与制度の適用状況が、平成十三年の四五・五%から平成十七年には六五・七%と伸びているわけであります。こういった意味で、指針につきましても一定の改善が見られたという調査がございます。
#345
○福島みずほ君 賃金格差が少しも縮まらないことと、パートで働く人たちが非常に増えていると。女性は二人に一人、二十四歳以下だと三人に一人、非正規ですし、格差がむしろ拡大をして人数がとても増えていると。私は、この努力義務規定で実効性が本当に上がっているのかというふうに思っています。
 ですから、今回の法案で努力義務規定が書いてありますけれども、それがどれほどの効力があるのかという点についてはいかがでしょうか。
#346
○政府参考人(大谷泰夫君) この法案の努力義務規定でありますけれども、これは過去の例を見ましても、先ほど申しましたように、努力義務についてこれは一定の成果が上がっているという実績は申し上げました。
 今回、かなり新しいまた詳細な切り口で努力義務規定が入っているわけでありますけれども、今回やはり法律でその事業主が努力すべき内容を明定しているわけでありまして、これは現行法に比べてもより具体的な内容となっておりますとともに、これは努力義務でありましても、都道府県の労働局長の助言あるいは指導、勧告という行政指導の対象にしておりますので、こういったことで努力義務によって更に処遇が改善されるということが見込まれると考えているわけであります。
#347
○福島みずほ君 福利厚生にちょっと話が戻って済みませんが、先日も慶弔休暇について質問をいたしました。法律になじまないということの答弁がありましたけれども、一生においてそんなにたくさん取るものではありません。また、もちろん短いパートの人もいらっしゃるかもしれませんが、それだとしても、慶弔休暇すらこの法案は言及できないというのは非常に問題だと考えています。
 その点について改めてお聞きすることと、その他の福利厚生に対して、パート労働者の意欲に対してどのように働き掛けていくのか、あるいは均衡処遇の実現に向けて、パートタイム労働者が差別的な扱いを受け、是正すべき福利厚生には何があると認識していますか。
#348
○政府参考人(大谷泰夫君) この改正法案におきましては、法律上の配慮義務としての均衡の確保を図るべき福利厚生の措置等規定したわけでありますけれども、これら以外の措置でありましても、これ、通常の労働者が受けている措置についてこれはパート労働者も受けるようにする、できるようにすることは、これは均衡の観点から当然望ましいものというふうに考えておりまして、今回審議会で出た幾つかの論点を含めまして、これは今後の重要な課題として取り組んでいきたいと考えるわけであります。
 いずれにしましても、これは職場において公平な配慮を行うことでそれが円滑な業務遂行に資するということに考えているわけでありまして、今回法律で強制することになじまなかったということにつきましても、これは職場における御尽力を賜るよう啓発に努めてまいりたいと思います。
#349
○福島みずほ君 条文の中にそういうものがないので非常に心配をしているわけです。
 職場の中で、この間紹介した鴨桃代さんのブックレットの中にも、パートさん、派遣さんなどと呼ばれ名前で呼ばれない、机の名札が正社員はフルネームで書かれるのに派遣は派遣のHとしか書かれない、仕事で必要な会議や研修に参加できない、業務上必要なパスワード、アドレスなどが与えられない、職場旅行に参加できない、誕生祝い、クリスマスケーキなどの祝い事の対象にならない、社員名簿に載らない、正社員にはブレザー、同じ仕事をしている非正規にはジャンパーが支給される。
 よく、名札の例えばリボンの色が違うとか、机がちゃんと与えられない、ロッカーがない、あるいは食堂で正社員の人たちに与えられる補助とそれからアルバイトの人たちとその補助が違うとか、そういう日常的なことが実は非常に差別でとても働きづらいと思うという、そういうことはよく私たちは聞くわけですが、このパート法案は、そういう様々な差別、同じように働いているわけですから、基本的には差別禁止あるいは配慮すべきとばしっとやるべきなのに、極めて限定的なので、その点について厚生労働省としては、そういういろんな待遇上の差みたいなことをどのように具体的に解決されようとお考えでしょうか。
#350
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の改正におきまして、パート労働者の処遇の改善について相当多くの項目の改善を見たところでありまして、これは審議会の席でも労使の議論の中で、事業主側も相当の配慮をされたというふうに見るわけでありますけど、しかしながら、すべての希望が合意されたというわけではありません。
 そういう意味で、法律的な強制になじまないというようなものもあれば、まだ時期尚早という、いろんな種類の未合意のものがあったわけでありますけれども、しかしながら、そういった様々な論点につきましては、今後とも引き続きこの制度の改善の中で検討を続けていくわけでありますし、それから啓発等、この事業の周知を図る中でそういった議論があったことは紹介し、啓発してまいりたいと考えております。
#351
○福島みずほ君 十条の教育訓練のところも、二項で、いろんなものを考慮して努めるものとするという程度なんですね。これだとやっぱり研修に入れない、会議に入れないという事態が起きるんじゃないか。
 自民党の席からも、差別しちゃいかぬとか、この間も通勤手当ぐらい払ったらどうかという意見がやっぱり出ました。賃金は一番シビアですが、ただ、そういう通勤手当なんというのはもう払うのが当たり前なのに、条文上、この間も言いましたが、九条でわざわざ通勤手当と退職手当は除外がされています。両方私は必要だと思いますが、通勤手当についてはこれはもう必要なものなので、厚労省としてはこれはもう払うべしという行政指導をとことんやるべきだと思いますし、先ほど私が挙げたような事例は、検討とかじゃなくて、もう本当に行政指導でびしばしと言ってほしい、もう指針とか省令作ってやってくれと思いますが、いかがですか。
#352
○政府参考人(大谷泰夫君) 行政指導というものにつきましては、これはいろんな制約というものがあるわけでありまして、これはやはり労使含めて全体のコンセンサスを高めていく中で実現していかなきゃならないと考えておりますが、ただ、そういった議論のプロセスというものは、その都度の改正のための、次の前進のまた一つの課題になって残っていくというふうに考えます。
#353
○福島みずほ君 終わります。
#354
○委員長(鶴保庸介君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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