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2007/05/22 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第21号
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2007/05/22 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第21号

#1
第166回国会 厚生労働委員会 第21号
平成十九年五月二十二日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     広中和歌子君     山本 孝史君
     澤  雄二君     山本  保君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     千葉 景子君
     山本 孝史君     富岡由紀夫君
     山本  保君     西田 実仁君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     西島 英利君     山本 順三君
     千葉 景子君     櫻井  充君
     西田 実仁君     澤  雄二君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中原  爽君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                山本 順三君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                辻  泰弘君
                富岡由紀夫君
                柳澤 光美君
                澤  雄二君
                西田 実仁君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       外務副大臣    浅野 勝人君
       厚生労働副大臣  武見 敬三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       内閣府規制改革
       推進室長     田中 孝文君
       内閣府政策統括
       官        藤岡 文七君
       外務大臣官房審
       議官       草賀 純男君
       文部科学大臣官
       房審議官     布村 幸彦君
       厚生労働省医政
       局長       松谷有希雄君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     高橋  満君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        岡崎 淳一君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       大谷 泰夫君
       厚生労働省年金
       局長       渡邉 芳樹君
       厚生労働省政策
       統括官      金子 順一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、澤雄二君、広中和歌子君及び櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として西田実仁君、富岡由紀夫君及び千葉景子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(鶴保庸介君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 少年法等の一部を改正する法律案について、法務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#6
○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君外十名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(鶴保庸介君) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○柳澤光美君 おはようございます。民主党・新緑風会の柳澤光美でございます。
 前回は柳澤大臣に、今後の我が国の雇用政策の進むべき方向、具体的にはどうした雇用形態で、またどのような働き方を目指すのかということを中心に、現状の問題点を踏まえて質問させていただきました。大臣からは、アメリカでも、いっとき喧伝された職業を渡り歩くキャリアホッピングから、長く一つの会社にとどまって自分の技能を磨きキャリアアップを図るようになってきているというお話をされた上で、やはり基本的には安定した職場に長期にわたっているという形を基本に置くべきだと。また、長期安定的な雇用の場というのは、希望する人には絶対確保するという基本を私は揺るがせるべきではないと考えているという大変率直な、私にとっては力強い御答弁をいただきました。私自身の考え方と大臣の考え方という意味では同じ考えが共有できるということで、大変うれしく思います。
 それを受けて今日は、もう大分、衆議院、参議院でも議論を尽くされてきているわけですが、パート労働法の改正内容について何点かお伺いをしたいと思います。
 当初は、一九九三年の法施行以降の大幅な改正だということで、短時間労働者においても正当な評価がなされる中で、均等・均衡待遇といったものの実現を目指す絶好のチャンスであると私自身も大いに期待を寄せておりました。また、時あたかも安倍総理の言うところの再チャレンジ政策とも相まって、パートの差別禁止、均等待遇など処遇改善につながるものだということが喧伝をされまして、多くのパートの皆さんも心待ちにしていた法改正でした。ところが、どうでしょうか、大ぶろしきを広げた割には実際の中身の荷物はかなり小さくなっている、がっかりしたという現場のパートの皆さんからは落胆の声さえ届いています。
 この不満には大きく二つあります。一つは、今回の法改正は、パートの差別禁止についてはかなり限定された一部のパートさんにしか掛かっていないこと、対象が少な過ぎるということです。二つ目は、均衡処遇についても実際のところ実効性の担保という点では懸念される部分が非常に多い、今までとほとんど変わらないのではないか、むしろ悪くなる可能性があるのではないかという声です。
 本委員会の質疑においても、まだまだよく分からない点や課題が多く残っているというふうに思います。そこで、何点かの基本的な部分をお伺いしたいと思いますので、できるだけ簡潔な答弁をお願いをしておきたいと思います。
 最初に、一番引っ掛かっています、私自身が、フルタイムパートの問題です。本法案の短時間労働者の定義は、通常の労働者より所定労働時間が短いとあります。今回の法改正においては、通常の労働者と同視すべき短時間労働者の差別を禁止していますが、フルタイムパートにおいては法的な根拠が全くなく、今回のパート法の対象になっていません。通常の労働者と所定労働時間が同じフルタイムパートに対しても、差別を禁止していくことを明確にすべきだというふうに考えます。
 そこで、お伺いしたいのですが、最初に再度確認させていただきます。
 今回の法案で差別禁止の対象となる通常の労働者と同視すべき短時間労働者は、四%から五%とかいろいろ言われていますが、推計で結構です、何人ぐらいになるのか、人数でお答えいただけますでしょうか。
#10
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の改正法案におきまして差別的取扱いを禁止するに当たりましては、この対象者の範囲というものを審議会でも相当突っ込んで議論しまして、要件を職務と人材活用の仕組みと契約期間と、この三つに明確化した上で作業を進めたわけでありますけれども、こういった要件の固まったというのがこれ昨年の末に議論の結果固まりましたので、これらの要件に沿った過去の統計というのは存在しておりません。そういうことで、これ具体的に人数等で示すデータがないところでございます。
 しかしながら、厚生労働省が把握しておりますデータのうちで先ほど申しましたような要件に合致する推定対象者として最も近いというものが、平成十三年の二十一世紀職業財団の調査でありますけれども、多様な就業形態の在り方に関する調査という、これに基づく数字でありまして、この調査を見ますと、自分が例えば正社員と思うパート、あるいはその正社員から見て自分と同じだと思うパートさんどういう人かというときに、仕事とそれから責任の重さと、残業あるいは休日の出勤あるいは配置転換、転勤の有無、頻度、こういったものを見比べてどうかというふうに聞いた結果として集計しますと、四から五%ぐらいの方々が自分はパートと同視すべきだというふうにそのパートさんそれから通常の労働者、双方がお答えになったわけであります。
 全体のその数字でありますけれども、この平成十八年の調査によりますと、パート労働者が千二百五万人ぐらいいるということは、これ週の就業時間数が三十五時間未満の雇用者数を示す数字でありますけれども、これがまたパートタイマーの数と、完全に千二百五万人が全員がパートタイマーとは限りませんけれども、ほぼ一致するものとみなしまして考えた場合には、例えばこの千二百五万人のおよそ四、五%に当たる数字がこの差別的取扱い禁止の対象者であると推計してもよいのではないかというふうに考えております。
#11
○柳澤光美君 私は人数でお聞きしたんですが、これを、じゃ一千二百五万人で四から五%、最大五%だとしても六十万、四%だと四十八万、この審議の中でもっと実態は少ないんじゃないかと、一%ぐらいじゃないかというお話があります。ただ、最大の五%と見積もっても六十万人、一千二百五万人の中で六十万人しか対象にならない。しかも、その方たちがすべて差別禁止になるわけではない、これから一つ一つ進めていく、最大が六十万人だということは私は確認をしておきたいというふうに思います。
 二つ目に、それでしたら、フルタイムで働いているパートの皆さんは何人になるのか、人数、推計でも結構ですが、今厚生労働省として把握しているか、教えてください。
#12
○政府参考人(大谷泰夫君) フルタイムパートという言葉でありますけれども、平成十五年の就業形態の多様化に関する総合実態調査によりますと、正社員と一日の所定労働時間と一週間の所定労働日数がほぼ同じで、パートタイム労働者その他これに類する名称で呼ばれる者ということで調べました数字が百三万一千人となっております。
#13
○柳澤光美君 百万人を超えている。で、このフルタイムパートの問題というのを私は先に解決すべきじゃないかと、順番が逆じゃないかというふうに強く感じています。
 いろいろ御答弁聞いているんですが、とすれば、今回の法の目的は何なのか。一つは、雇用形態によってある差別をなくす、しかも、なくした上で均等待遇を取る、その上でできるだけ正社員に転換をさせていくということが二大目標だというふうに私は思っています。
 ところが、今回の法案から、一番働いているフルタイムパートの皆さんは外れてしまう。この人たちの差別禁止を厚生労働省としてどうしようとされているのか、簡潔にお答えいただけますか。
#14
○政府参考人(青木豊君) 今委員御指摘になりましたフルタイムパートについてでありますが、フルタイムパートである有期労働者につきましては、今般、御審議をお願いしております労働契約法を、案を作成する段階で労働政策審議会で御議論をいただきました。そこでは、有期契約労働者全般と無期契約労働者との間の均衡を含めた、雇用の実態に応じた労働条件についての均衡の考慮という形で審議は行われました。その際には、労働者代表委員から、就業形態の多様化に対応し、適正な労働条件を確保するため、均等待遇原則を労働契約法制に位置付けるべきだという意見が出され、使用者側の使用者代表委員からは、具体的にどのような労働者についていかなる考慮が求められるのか不明だということで、労働契約法制に位置付けるべきではないという意見がございました。議論の結果、コンセンサスを得ることができませんでした。これを踏まえまして、労働政策審議会においては、労働者の多様な実態に留意しつつ必要な調査等を行うことを含めて、引き続き検討することが適当であるという答申をいただきました。
 この答申を踏まえまして、私どもとしては今後検討を進めていきたいというふうに思っております。
#15
○柳澤光美君 私、三年前に初当選さしてもらって厚生労働委員会に入れていただいて、厚生省と労働省が一緒になって大変範囲が広くなる、ただ一方で、旧厚生部門と労働部門がむしろ一緒になることによって共有をして問題解決を進めるといういい点があると思いますというお話をさしてもらいました。それが、労働分野においても結局、局単位で動いていて、全部法案がそれぞれ別で、審議会も別ですと。で、根幹の部分で日本の雇用政策をどうしていくんだと。
 そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、均衡待遇にそれはもちろん一番すべき方ですよね、フルタイムで働いている方というのは。で、短時間に関して言えば、確かに過去は主婦のパートさんあるいは学生バイトさん、今後は恐らく高齢者で働かれる方、この皆さんは自ら短時間を選んで決まった時間で働きたいと。ところが、ここへ来て増えているのは、むしろ短時間勤務や有期雇用ではなくて、フルタイムで働ける基幹パートであったり新卒パートであったり世帯主パートであったりするわけです。先回その数字もお話をしました。この皆さんというのは、できるだけ正社員の方に転換をしていきたい。とすれば、一番大事なのは、このフルパートで働いていて社員の皆さんに負けないように働けると、正規社員に、この人たちをむしろ率先して転換させるべきだというふうに思いますが、厚生労働省としてはどう考えられていますか。
#16
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御質問もあり、また労働基準局長からお答えしましたとおり、このフルタイムと呼ばれているこのパートの労働者について、その待遇、処遇について今後引き続き検討し改善を図っていかなければならないというわけでありますが、法律の規定ぶりにつきまして申し上げますと、今回の提案申し上げました法案は、今お話のありましたように、労働時間が短いということに着目していろいろな待遇の不均衡あるいは差別等があることについて、それをどう改善していくかという法律でありまして、そういう意味で、この法案の中では、そのフルタイムパートについて、例えば正社員への優先的な転換等について規定することはできなかったわけでありますけれども、ただ、先生の、この法案の歴史、あるいは今おっしゃいましたように、元々短時間の働く方が多かった、しかし今はもう基幹的なところでフルタイムで働きたいという、だんだんその接点といいますか境界線が非常に接近しているわけでありますけれども、今回のこういった均衡処遇の考え方、あるいは正社員への転換というこの考え方につきましては、この法案を提案する立場からは、そうした考え方が極力そういった場で生かされるということを期待しているわけであります。
#17
○柳澤光美君 そういった場でということではなくて、それは厚生労働省として、日本の厚生労働行政として進めるべきであって、私は是非お願いしたいのは、目的と手段があります。目的は何なんだということをきちんと押さえておかないと、手段が目的になってしまう。法案はあくまでも手段なんですね。そうですよね。
 で、冒頭言いましたように、大臣もできるだけ長期雇用で働きたいという皆さんをできるだけそういう転換をさせていきたいと。だからこそ、短時間であっても転換をさせる。私は、是非、この法案には難しいとしても、それが政省令になるのか分かりませんが、どこかにそのことをきちんと明記をした上で周知をしていくということが大切だというふうに思いますが、厚生労働省の見解をお聞かせいただけますか。
#18
○政府参考人(大谷泰夫君) 政省令ということになりますと、御承知のように、この短時間労働者に対して決まった法律に対してその施行をゆだねる委任立法になるわけでありまして、これにそのフルタイムのことを書き込むというのは、これは法制上難しいわけでありますけれども、ただ、さっき御答弁申し上げましたように、こういった考え方が企業の中でできるだけ普及、あるいは、こういった考え方でその処遇を推進していただきたいという考え方を、どういう場かはちょっとまだ確たることを申し上げられませんが、展開していくと、あるいは啓発していくということはあり得るかというふうには考えております。
#19
○柳澤光美君 パンフレット等もやるという、周知のことには力を入れるとおっしゃっていますから、政省令は難しいとしても、やれるだけのことはきちんとしていただきたいということをここで確認をさせていただきたいと思います。
 私はむしろ、少し心配していますのは、経営者というのは短時間勤務を何で採用しているかというと、短時間勤務をさせることによって処遇条件を下げることができると、それを理由として、これが一つですね。それからもう一つは、有期契約をすることによって、雇い止めもひっくるめて非常に雇用調整がしやすい、できるだけそうしたいという思いが非常に強いわけですよ。そうすると、法案が出てくると、その裏をかいくぐろうというふうに、決して疑っているわけじゃないんですが、結果、その実態がたくさん出てくる。
 例えば、今回の法案の内容が下りていくと、そうか、フルタイムパートにしてしまえばこの法案の適用を受けなくても済むというふうに企業が考えるかもしれませんが、そんなことはないって断言できますか。
#20
○政府参考人(大谷泰夫君) この法案の趣旨は、通常の労働者に対し、それを基準としてパートタイム労働者のその処遇なり、そういった労働条件を近づけようということで考えているわけでありますけれども、今おっしゃったように、じゃ、その通常の労働者の方のまた条件が変動することがないかと言われれば、ないと断言することは難しいと考えます。
#21
○柳澤光美君 正直にお答えいただいて大変有り難いんですが、私も本当にその辺を懸念しているんです。職場にいらっしゃるパートの皆さんもその辺を一番懸念している。
 実態とすれば、七時間で契約しているんですが、本人はフルで働けると。しかし、契約が七時間しかできないと。実態は毎日一時間以上の残業になってフルで働いているというパートさんもたくさんいらっしゃるんですよ。
 私は、その声の中から、本当は短時間労働というのは、自分の時間を守ってほしいという本人の希望でやった場合には残業をできるだけしない方がいいんですね。そうしてあげなければ、本人が希望して短時間を選んでいることにならない。それが恒常的に残業になる。そんな中でこんな声もあります。
 七時間で契約をして、残業一時間やる。ところが、一時間の残業に対しては割増しというペナルティーが全く付かない。そうですよね、法制上。でも、働いている人を見れば七時間が契約なんだと。それを働いてくれというのは企業からのお願いであって、たとえ一〇%でも五%でもペナルティーが付いた方がいいじゃないかという声さえ今上がっているんです。
 ということを短時間勤務の場合にはもう一回根幹に入って対応策を取っていかないといけないだろうというふうに私は思いますが、局長、いかがですか。
#22
○政府参考人(大谷泰夫君) 先ほど申し上げましたように、この法案は、通常労働者に比べての処遇を近づけようということで、いろんな条件設定なり、それから事業主に対する義務等を果たしたわけでありますけれども、それを合理的な理由がなくてそれで条件を切り下げる等によって、言わば実際のこれまでの処遇を不合理な引下げを行う、こういった実態についてはどうするかということでありますけれども、これは、法律にそこを明快な別に規定があるわけではありませんけれども、これは一般原則には戻りますが、いわゆる労働条件の、脱法的な理由であるかどうかは別にして、そういう不利益変更を事業主の一存で合理的な理由なく一方的に行う、こういったことはおよそ法的に容認されないと考えておりまして、万が一、そういう合理的な理由のない労働条件の引下げということが行われた場合には、これは個別労働関係紛争解決促進法によりまして紛争解決の援助が受けることができるわけでありますが、そういった援助のあることを周知するとともに、現場でもこういった今回の制度改正について周知していかなければならないと考えております。
#23
○柳澤光美君 いわゆる、局長さん始め厚生労働省の皆さんが大変私は苦労されていることはよく分かっています。ただ、企業が強く反対をしたり抵抗しているということは、非常にその辺が私は心配しているんです。
 あわせてお伺いしますが、これは何回も答弁いただいていますが、私は、経営者というのは、人件費を今、ずっとバブルがはじけて以降、コストとしてしか考えていませんから、少しでも人件費を削りたいということに強引な人員削減というのをしてきました。現実の現場の実態を私はずっと全国を歩いて見てくる中で、気を付けないと、このパート法案の改正により逆に格差や差別が拡大するのではないかという危惧さえ感じています。
 例えば、今回の差別禁止の対象のパートを限定しました。とすると、雇用期間を無期から有期に変更する、さっきみたいにフルパートにする、あるいは現行の社員の転勤や職務内容の条件を理由にパートへの切替えを進める。会社側の一方的な労働条件の不利益変更というのは止まるどころかもっと起きてくるのではないかなと、格差がまだ下手をすると拡大するのではないかなという心配を私はしています。
 もう一度、労働条件の切下げということに対して、厚生労働省としてどういう歯止めを掛けるのか、簡潔にちょっとお答えいただけますか。
#24
○政府参考人(大谷泰夫君) 一部先ほど申し上げましたことと繰り返しになりますけれども、この労働条件の不利益変更、これを事業主の一存で合理的な理由なく一方的に行うということは、これは一般法理でも許されないと考えておりまして、今回の法律改正を背景としまして、もしそういった事態があった場合には、これは個別労働関係紛争解決促進法で紛争解決の援助を図るということがございますし、それから、もちろん御相談いただければ、これは都道府県の労働局で積極的に対応する体制を取ってまいりたいと考えております。
 それから、若干補足になりますけれども、今回の法律改正で格差が広がる、いろんな御懸念がございますけれども、例えば、御承知のように、今、販売業等ではいわゆる正社員に非常に近い、職場の言わば主任をしている、あるいは店長級の職員に対して、これは正社員とは違うことを前提にしながらも、賃金体系を整理して相当明快な人事管理が始まっているわけでありますが、そういった形で整理されていくということであれば、非常に不分明な契約の中で差別禁止対象に、言わば正社員とほとんど分からないような処遇をしていたものを合理的に管理されていくということでありまして、そういう流れが今回促進されるのであれば、それはそれで公正が高まる、あるいは働いている方の納得が高まるということで、プラスの面も生じるのではないかと期待をしているわけであります。
#25
○柳澤光美君 後ほどちょっとお話をしたいと思いますが、私自身スーパーの出身でありまして、UIゼンセン同盟というところから応援をいただいて議員になりました。ですから、職場の実態というのはつぶさに見させていただいておりますし、一番大事なことは、パートで働く皆さんが労働組合、非常に今労働組合が進んでいます。もう三十万を超える皆さんが組合に入っていただいて、それで労使できちんと話していろんな制度がつくられる、これがいいだろう、一番パーフェクトな形だろうと思うんです。ただ、日本の企業はほとんどは組合がない、ほとんどが中小零細の企業ですよね。こういうところにどう目を当てていくのかというのが私は問題だと思っているんです。
 そこでお伺いしたいんですが、これもずっと議論になってきているんですが、今回の法案では非常に狭めてしまっていて、例えば第九条では、賃金について、その賃金、で、わざわざ括弧を付けて、通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除くという表現を取っています。もう一度確認させてもらいますが、この厚生労働省令で定めるもので除くものはなんですか。
#26
○政府参考人(大谷泰夫君) 改正法案の九条に基づきまして厚生労働省令で定めるものを除くということについて考えておりますのは、現時点では通勤手当、それから退職手当、住宅手当、家族手当等を考えているわけでありますが、これを具体的にどういうふうに規定するかは、今後、労働政策審議会において検討を踏まえて定めてまいるというふうに考えております。
#27
○柳澤光美君 一つだけ聞かせてください。
 通勤手当をわざわざ大きく入れています。退職手当は、それは勤務の年数等の有期と無期の関係もありますから多少理解はできないわけじゃないんですが、もう一度確認させてもらいます。パート労働者について通勤手当の支給はどの程度されていますか。
#28
○政府参考人(大谷泰夫君) 通勤手当の支給状況でありますが、これは平成十七年パートタイム労働者の実態調査によりますと、八六・四%の事業所で支給しているというデータがございます。
#29
○柳澤光美君 八六・四%で支給されているんですよね。
 この法案ができることによって、この法案に準ずれば、通勤手当は付けなくてもいいという読み取りをしてもいいわけですか。
#30
○政府参考人(大谷泰夫君) これは現時点でもこれぐらいの普及があるというわけでありまして、この法案の考え方は、反対解釈をすればそれは付けなくていいというふうになるわけでありますけれども、むしろ趣旨は、法律をもって強制することはしていないというだけでありまして、むしろそういった均衡待遇を進めていただくということについて、それを逆行させようというものではないと考えております。
#31
○柳澤光美君 本当に実態を理解されてないなというふうに私は思っていまして、もう一度言います。目的のために手段があるんです。目的が達成されないような手段をつくってしまったら大変なことになるというふうに私は思います。
 今、実態はどうなっているか。人が足りなくなってくると、募集のときに一番目立つのは時給になります。今までボーナスを支給していたところがボーナスをやめて時給に、年収は変えないと、見掛けのボーナスは大きく見せれると、通勤手当も付いていますというよりは、通勤手当をなくしてその原資を時給に入れることによって時給を大きく見せると、私は現象が起きるだろうというふうに思っているんです。その懸念ありませんか。
#32
○政府参考人(大谷泰夫君) 今お話がありましたように、この通勤手当の支給状況につきましても、これは審議会等でも御議論があったんでありますけれども、支給しているといっても、基本給の一部として支給をしているという認識の事業主もあれば、あるいは上限を設けて支給をしているとか、いろいろな形がありまして、現時点でも通勤手当について区々の扱いがされているわけであります。
 この審議会におきまして、この通勤手当の問題については相当議論がございました。ちょっと話が長くなりますけれども……
#33
○柳澤光美君 済みません、分かりました。もう聞いていますんで。
 それだけ審議会の中で経営側から抵抗がある。
 私は、この条文はそもそも努力義務規定なんですよ。こうしてほしいという規定なんですね。とすれば、通勤手当や退職手当等というのをわざわざ除外で条文に入れるということが分からないんです。入れなくていいじゃないですか。できるだけ近づけてくださいと。
 もうこれ以上言っても恐らくあれですから。分かりますよ、皆さんが審議会等でも間に立って苦労されて、努力されているし、今までよりも全然今回の法案は、一歩も進んでないなんて私は決して言いません。でも、せっかく進めるときにこういう条文にしてしまうというのは、元に戻ってしまうおそれがある。もっと言えば悪くなる可能性があるというのを懸念をしています。このことは、本当にこの後、政省令なり何なりのところでもう一回やれる範囲できちんとその辺を押さえていただかないと、もしそうなったときにだれが責任取るんですか。良くしようとして作った法案に基づいて、結果、後退してしまった法案になってしまった。このことだけは強く、時間がありませんから、言っておきたいと思います。
 次に、先ほどからずっとお願いしていますように、今回の法案は非常に難しいんです。九三年に作ったパート法案がなかなかうまくいかなくて、実は指針で細かく書いて進めてきたんです。それでもうまくいかないから今回の法案を作ろうと。ところが、前の法案とか指針よりも、条文上見るともっと限定されて狭くなってしまっている。とすれば、政省令も含めて周知徹底というのを本当に真剣にやらないとどうにもならないという私はすごい懸念を持っているんです。
 もう一度、じゃ、厚生労働省として簡潔に、周知徹底にどういう力を入れるのか、具体的に答弁いただけますか。
#34
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回、新たな規定が盛り込まれて、従来よりもはるかにまた精緻なこれは制度になっていくわけでございます。この法案を円滑に施行するためには、私どもも、もちろん後に戻すような措置で努力するわけでありますが、これ労使双方、関係者に十分御理解いただきまして、現場でも取り組んでいただく、そういう支援をまたしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 そこで、改正法案が成立しますれば、厚生労働省としましては、施行までに具体的な事例や対応方法を分かりやすく解説したパンフレットの作成、配布等により事業主及び労働者に対する改正内容の十分な周知を行うとともに、雇用均等室及び全国に約三百か所設けられております総合労働相談コーナーにおきまして労使双方からの相談に対する懇切丁寧な説明に努め、事業主、パートタイム労働者の理解を進めてまいりたいと考えております。
#35
○柳澤光美君 過去の答弁でも、一つは地方労働局をきちんと使いますと、あるいは地方公共団体の協力も得ますと、ハローワークの窓口でもできますと、だから大丈夫ですと。本当に大丈夫でしょうかね。私は、一つは、本当にその周知という、政省令をもう少し、いわゆる法案じゃないわけですから、政省令もできるだけもっと具体的に書ける範囲まで書く。それから、パンフレット等ももう一回きちんとフォローをする。
 その前に、一つは、パート法の指針というのは今回の法案ができたからといって効力をなくすわけではないですよね。
#36
○政府参考人(大谷泰夫君) 指針につきましては、今後、労政審で中身を固めていかなければなりませんけれども、もちろん、後退するのでなくて、従来あったものに、今回より法規範性の強まったものが出たというふうに考えているわけであります。
#37
○柳澤光美君 それを踏まえて周知徹底をきちんとやっていかないと駄目だろうと。
 そこで、ここをお伺いしたいんですが、労働局を使います、あるいはハローワークを使います、何か問題あったら言ってきてくださいと。調停もあっせんも何でもやりますと。いいですか。働いているパートさんが職場で問題があったのを一々労働局に行くといった場合には、本当に大きな問題があったときですよ。
 今回、一番大事なのは、事業主にも働いているパートさんにも周知をきちんとすると。
 今回、私、一番欠落しているのは、短時間雇用管理者という制度がございましたですよね、このことに触れ方が非常に弱いと思っているんです。
 最初にお伺いしますが、パートタイム労働法の第九条、あるいは施行規則の第二条、第三条、そしてパートタイム指針では短時間雇用管理者について規定しています。短時間雇用管理者の役割はどういったもので、どういう効果を期待して今までやってきたのか、簡潔にお答えいただけますか。
#38
○政府参考人(大谷泰夫君) パート労働法におきまして短時間雇用管理者の設置を求める趣旨でありますが、短時間労働者の就業実態は多様であり、事業主自らがこれらすべて短時間労働者についてそれぞれの就業実態に応じたきめ細かな管理を行うことが困難な面が多いことから、事業所において短時間労働者の雇用管理の改善等を図るための体制を整備する必要があるためでございます。
 この短時間雇用管理者の役割としましては、個々の事業所において中心となって短時間雇用労働者の雇用管理の改善を促進するための措置を講じていただくということを期待しております。
#39
○柳澤光美君 こういう資料が全部出ているんですが、事業主は、常時十人以上のパートタイム労働者を雇用する事業所ごとに必要な知識と経験を有する短時間雇用管理者の選任に努めなければならないということを規定した上で、いわゆる指針に定める事項その他雇用管理の改善に関する事項について、事業主の指示に基づき必要な措置を検討し、実施すること、必要に応じ関係行政機関との連携を行うこと、労働条件、就業管理などに関し相談に応じること、ある意味ではキーマンなんですね。
 今現在、この短時間雇用管理者がどの程度事業所ごとに設置されているのか、設置している企業及び人数等概数が分かったら、できれば割合、どの程度まで進んでいるか、把握している範囲でお答えいただけますか。
#40
○政府参考人(大谷泰夫君) 平成十七年のパートタイム労働者実態調査によりますと、短時間雇用管理者を選任している事業所の割合は四六・三%になっております。
 それで、このパートタイム労働法では常時十名以上のパートタイム労働者を雇用する事業主に対し雇用管理者を選任するように努めることを求めておりますが、平成十七年度までに雇用均等室に事業所から届け出られました短時間雇用管理者の数は四万六千八百七十一人となってございます。
#41
○柳澤光美君 ここまで頑張ってきて四六・三%、半分以下です。
 そうしますと、周知をして、今回は、この短時間雇用管理者の設置については、差別禁止が入ってきます、過料も入ってきます。という新しいことが動きます。私は、この短時間雇用管理者を必置とするというぐらいの本来条文を入れて、そしてこれを一〇〇%やらないと、日本にある非常に多くの中小企業のところは、早く言いますが、雇用管理さえきちんとされていない、だからこれだけ多くの問題が起きている。
 先ほど、局長がおっしゃられたように、大きなところから、労働組合にも入っていただいて、現場に合わせていろんな処遇制度を改善をして転換する仕組みも進んできました。私が一番懸念しているのはむしろ中小のところなんです。特に、事業主の理解が弱い、そのことを分かっている人もいない。私は、介護保険のときに、サービス提供責任者という方が最大のキーマンだという、あっ、キーマンと言って怒られたんだ、キーパーソンだということを主張させていただいたんですが、このことは、私は、今更、法案を変えてくれと言っても恐らくこれは難しいでしょうから、政省令なり何なりでこの短時間雇用管理者を必置をさせて、一〇〇%つくるということを前提にしなければ周知の徹底を図れないというふうに思いますが、いかがですか。
#42
○政府参考人(大谷泰夫君) 先ほど申し上げましたように、この短時間雇用管理者につきましては、今回の法律でも非常に重要な役割を担うということは御指摘のとおりであります。
 このパート労働法におきまして、事業主に対しまして短時間雇用管理者を選任する努力義務を果たしているところでありますけれども、しかしながら、現状として現在選任している事業所がまだ半数に満たない状況にあるほか、今般の見直しで、使用者に対して新たに多くの法律上の措置を求めることとしている中で、この雇用管理の担当者の必置を新たに義務付けるということにつきましては労使間で合意に至らず、今回はその義務化を見送ったという事情もございました。
 しかしながら、御指摘のとおり、短時間雇用管理者は個々の事業所においてパート労働法の趣旨を実現するための中核となるものでありますことから、厚生労働省としまして、引き続き多くの事業所において選任されるように、事業所に対しまして強く働き掛けをしてまいりたいと考えております。
#43
○柳澤光美君 私は本当に修正動議を出したいぐらいの思いなんですが。
 せっかくやろうとしてもう本当に先ほどから問題提起をさせてもらいました。良かれと思ってやっていることが悪い方へ動いてしまう。そのことは、やはり企業の中にそのことをきちんと分かっている責任者を置く、これさえ嫌だと。これさえ嫌だと言って抵抗する。
 ただ、厚生労働省の皆さんが、事務方の皆さんが、その中に入って大変苦労をされて、皆さんからすれば、それでもこうやって進めたじゃないかという思いは、私は決して理解しないわけじゃないんです。でも、少なくとも、九三年にできたパート労働法、そして指針を作って、それを一歩進めようと。ましてや、日本全体が三人に一人、一千六百三十三万人が非正規になっているという中で今回の改正とすれば、ここのところが非常に弱いのではないかと。
 実は、懸念していますのは、皆さんが苦労されているのは分かるのは、これ五月の二十日の毎日新聞の一面に載った記事です。先回、大臣の方に経済財政諮問会議という国の根幹を決めるところで働く者、代表が入らないで、しかも現職閣僚の発言等も非常に大きな抵抗がある、全部弱いところに進んできてしまう。この規制改革会議でも、最低賃金引上げ反対、雇用規制も見直しというような発言の中に、記事の中に、女性労働者については、過度に権利を強化すると副作用を生じる可能性がある、あらゆる層の労働者のすべてに対して開かれた平等な労働市場の確立こそ真の労働改革だという、よく分からないんですが、要は、これ以上、権利を認めちゃ駄目だということだと思うんです。
 その中で、柳澤大臣が大変御苦労していただいているのは分かるんですが、国全体とすればワーク・ライフ・バランスを進めて、これだけの少子高齢化の中で対応していく、是非、大臣にその辺の思いを一言お聞かせいただければというふうに思うんですが。
#44
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回、労働の形態、雇用の形態、就業の形態、いろんな表現がありますけれども、そういうものが多様化している中で非常に大きな部分を占めておるいわゆる短時間労働者、パートタイムの労働につきまして、私どもこれの処遇の均衡化というものを前進させようという思いで、こうした改正案を提案させていただき、委員の先生方に大変御熱心な御議論をお願いしているという状況にございます。いろいろ論点を提起されたわけでございますけれども、今回、法制化をするに当たって、規範力が高まるということで従来指針等におきまして規定をし、指示を出していた、そういうものがこの法律の中に規定をされなくなったということで、何か規定をされなくなったから逆に今度は指針等でやっていたことが危うくなるのではないかと、こういう御指摘、御懸念からの御意見をいただいておりますが、先ほど来、柳澤委員の質問を聞きながら私も考えておりましたけれども、PRあるいは広報あるいは周知徹底、これに当たりましては、今回の法律改正のところをもちろん分かりやすく解説することは必要なんですが、そこだけを取り上げて解説をすると、そこから今度は、取り入れられなかった、指針等で定めたところはもう全くフリーになってしまうということではかえって誤解を生じてしまうんじゃないかという思いを強くいたしました。したがって、広報あるいは周知徹底の方法にはかなり工夫をしっかりして、法律改正で規範力が高まったところはこうだけれども、これは今までどおり指針にとどめ置かれるけれども、指針の規範性というものがちっとも弱くなっているわけじゃない。これは従来どおりだと。
 さらに、趣旨を考えれば、この指針にとどまる部分についても、より一層の行政としての働き掛けをいたしますよというようなことを、総合的に資料の作成等に当たって情報提供をするというようなことを心掛けないと、ちょっと今の御懸念が現実のものになってしまうというおそれもないわけではなかろう、こう思いまして、今御懸念の点はよく理解できますので、周知に当たっての方法についてはしっかりと取り組ませていただきたい、このように考えた次第でございます。
 したがいまして、私どもとしては、労政審の各専門の先生方、また労使の合意をいただいたところで法案を作るということを今後ともしっかりやっていきたいと、こういうように思っておりまして、経済財政諮問会議におきましても、もう具体の法制化、法律化という課題については、私どものこの枠組みというものを揺るがすつもりは私はありませんよということを明確にしているところでございまして、今後ともそうしたことについては、今の委員の御意見等も踏まえてしっかり取り組んでいきたいということを申し上げたいと思います。
#45
○柳澤光美君 本当に率直な御答弁ありがとうございます。経済財政諮問会議あるいは規制改革会議とは、私たちも一緒に、厚生労働省と一緒に闘わしていただきたいというぐらいに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 最後になりますが、短時間労働者の問題というのは、そこを詰めれば七割の方が女性であるということであります。この法案の根幹は、もう男女差別の問題というのが根幹にあるんだということが大きなウエートだというふうに考えています。
 国連の女性差別撤廃条約を日本は二十年以上前、一九八五年に批准しています。その前文には、母性の社会的重要性並びに家庭及び子供の養育における両親の役割に留意し、出産における女性の役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女及び社会全体がともに責任を負うことが必要であることを認識し、とあります。
 しかし、日本の社会はいまだに、妊娠、出産、育児を理由として七割の女性が退職しているのが実態です。その後、それらの人たちが、多くがパートタイマーとして再就職をしている。その処遇は正社員に比べて大変低い。年収で比べれば三割ですよね。出産における女性の役割が差別の根拠となってしまっているというふうに私は考えています。
 今回の改正パート法案の目的部分にも書かれているように、日本社会は急激に少子高齢化が進んでいます。少子化には様々な要因があると思いますが、少なくとも妊娠、出産、育児と仕事とを両立しようとする女性に対して、私は企業や社会が冷たかったのではないかと、出生率一・二六というのは私は女性たちの無言の抵抗だと感じています。
 次世代育成支援対策推進法により国、企業が支援策を進めようとしており、認定を取得した企業名も公表されるようになりました。その一方で、企業に対してはもっと強い強制力を持っていかなければならないと私は考えています。良いことは良い、悪いことは悪い、明確にすることが必要だろうと。その大きな柱が私は今回のパート労働法の改正であり、パートタイマーへの均等・均衡処遇を進めなければならない、少子化改善に向けての取組だというふうに考えています。
 しかし、結果は、一九八五年、男女雇用均等法を作る際に経営者から大きな抵抗があって、こんな法律を作ると日本の企業はつぶれてしまうと言われたというふうに聞いています。そのころと何も変わっていない、場合によってはもっと悪化している。今回のパート労働法についても、同様に経営側からは、局長もお答えになっていたように、大変な抵抗がある。その結果、実効性においては極めて問題が大きい法案だと私は考えています。答弁でも、これが精一杯であり、これ以上は難しいという、言い逃れとは言いませんが、苦しい答弁が続きました。
 しかし、目先の問題にとらわれないで、日本の社会をこれからどうしていくんだという視点で法改正に当たるべきだということを問題提起をして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#46
○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 先週、前回は、総理大臣の本会議答弁を基に質疑をいたしました。今日もそれを踏襲いたしますが、この法案の条文に沿った形で今日はやりたいと思っております。
 主に前半は、今まで質疑の中でちょっと視点が足りないかなと私自身が思っております専門資格あるいは専門職の短時間労働者、このことがちょっと弱いような気がいたしまして、その点についてまず初めに集中的にお聞きします。
 これは八条関係、差別的取扱いの禁止のところにかかわると思うんですが、例えば総務省の労働力調査で、平成十七年、女性の短時間雇用者の多い職業は、一番が卸売・小売業、二番目が医療、福祉の分野になっています。これは、特に介護や社会福祉、障害者福祉の面で女性が多いと実感されると思いますが、私は、実は今医療機関というか病院、ここに非常に多くの短時間労働者がいるということをまず指摘して、その点について聞いていきたいと思っています。
 そこで、まず医療機関の場合、どういう短時間労働者がいるかということなんですが、まず嘱託。これは非常に専門性が高いので、その業種ごとにいろんな労働条件が付けられています。まず嘱託がいるという。私もそうです。それから臨時職員。これもやはり専門職がそれぞれ異なっておりますから、それぞれ単価が違います。専門職。で、臨時採用、そしてパート、アルバイト。これは比較的ルーチンワークに近いところがありまして、単発的なんですね。ここでパート、アルバイトが出てくるわけです。
 先ほど挙げました嘱託や臨時採用あるいはアルバイト、パートというのは、これはすべて今回、審議されております法案に該当する短時間労働者です、すべてがですね。特に専門職の場合は、正職員との業務区別は全くないんですね。ただ、ありますのは夜勤がないとか当直がないとか、そういう違いで、正職員ではなくなってきているわけです。
 これは医療機関が今どうしてそういう短時間労働者が非常に多いのかということは、明らかにこれはもうローコスト化です、病院のローコスト。一つの手としてアウトソーシングですね。請負や派遣が非常に増えていることと、そして二番目が今回ありますような非常勤の採用です。これはもう病院経営上ローコスト化と、人件費の削減ということが主なねらいなわけです。
 初めに、医師以外のコメディカルについてお聞きします。
 私、二、三の病院で調査といいますか調べました。例を挙げますと、看護師全部で四百三十二人中、非常勤が四十九名、一一%、放射線技師や臨床検査技師あるいは理学療法士百三十二人中二十八名、二一%が非常勤、介護の関係、百二十九人中二十八名が、つまり二二%が非常勤、そして事務職は百七十八人中八十二名、四六%が非常勤。つまり、医師以外で八百七十一人中百八十七名、二一%が非常勤、こういうことになっているわけですね。患者さんから見ると、この方は正職員あるいは非常勤あるいは短時間労働と、全く区別付きません。患者さんから見れば同じです。
 で、その短時間労働者、今回の法案に該当する方の、先ほど言いましたように、専門職に限って私、今聞いております。そのミッションですね、使命とか責任とか、そういうことは正規の労働者、正規の職員とその短時間労働者、違いがあるんでしょうか。よろしいですか。
#47
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療機関で働いているコメディカルスタッフ、技術職員、いろいろな職種の方がいらっしゃいますけれども、その働き方もそれぞれの専門に沿っていろいろ違うというふうに承知しております。
 そのミッションでございますけれども、これはフルタイムの雇用の方あるいは短時間労働の方、それぞれで違うのかという御質問でございますけれども、技術職としてのミッション、患者さんに対するその奉仕の仕方といいますか、仕事の仕方ということについては変わらないものだと思っております。
#48
○足立信也君 そうなんですね。患者さんに対しては、やはり病院の職員というのは非常勤であろうが正規の職員であろうが、ミッションとしては変わらない、これが当然皆さんそう思われているでありましょうし、正にそのとおりです。
 じゃ次に、これ医師についてお聞きいたします。
 前々回の質問で、この四月十日に開かれた地域医療支援中央会議に出されました日本病院会の資料、このことに対して柳澤大臣の評価をお聞きしたんですけれども、病院勤務医の実態をうかがい知ることができたと、できるという答弁をいただきました。ですから、それに基づいて、先ほどはコメディカルですが、今回は医師についてお聞きします。
 これは、十五年の四月と十八年の四月を比較した場合に、病院にとって、この管理者に聞いた場合ですね、医師が増えたというところは四九・七%、半分あるんです。確かに増えていると私は思いますよ。医師は増えております。で、減ったが三四%です。ところが、これから質問ですが、病院経営や医師定数などを考慮しないで、地域の医療ニーズに対して良質かつ適切な医療を提供するためには医師は足りているかという設問がございます。これに対する回答、勤務医、五千、済みません、五百七十六の病院管理者ですね、の回答を教えてください。
#49
○政府参考人(松谷有希雄君) 社団法人日本病院会が実施をいたしました医師確保に係る調査におきましては、地域の医療ニーズに対して良質かつ適切な医療を提供する観点から医師数が現実的に足りているかという質問がございまして、これに対する回答でございますけれども、医師が足りていると回答したのは五十三病院、九・五%であり、医師が足りていないと回答したのは五百三病院、九〇・五%という結果となっております。
#50
○足立信也君 先ほど言いましたように、病院管理者から見ると医師は増えているんです。病院の医師は増えている。しかし、足りているかどうかとなると、九〇%以上が足りないと答えているんです。これは何か。二つ考えられると思うんですね。医師の仕事内容が変わったということと、もう一つは、その仕事をやらなければいけない実質人数が減ったということです。このどちらかが考えられるんです。
 勤務医五千六百三十五人が回答しているわけですが、計算しますと、九三%がこれ常勤の医師が回答しています。ほとんどが常勤の医師が回答しております。そこで、勤務時間が増えた人と、三年前に比べてですね、勤務時間が増えた人と減った人の割合及び増えた理由、なぜ勤務時間が増えたのか、この理由の最も多いものを教えてください。
#51
○政府参考人(松谷有希雄君) 先ほどの日本病院会の実施いたしました勤務医に関する意識調査の中で、勤務時間が五年前と比べて変わったかという質問がございまして、これに対して、勤務時間が増えたというふうに回答した者は二千百六十八名、三八・五%であり、勤務時間が減ったと回答したのは九百八名、一六・一%でございました。なお、勤務時間は変わらないと回答された方が二千二百三十六名、三九・七%ございました。
 この勤務時間が増えたと回答された二千百六十八名の方に対してその理由を尋ねていらっしゃいますが、最も多く挙げられた理由は、患者数及び診療時間が増えたほどに医師が増えていないというものでございまして、これが六五・八%となってございます。また、書類を書く時間が増えたというものが五四・七%、会議等が増えたというものが四五・八%、これは複数回答でございますので数が一〇〇%以上になってございますが、そういう状況でございます。
#52
○足立信也君 ポイントだけ繰り返しますね。
 医師は増えているんです。そして、常勤の方の勤務時間も増えているんです。なぜなのか。それは、今ございましたように、患者数及び診療時間が増えたのに医師が増えていないのと、書類を書く時間が増えた、会議が増えたと。これは、特に後者の二つは、主に常勤の医師が負っている内容なんですね。つまり、医師は増えた、しかし勤務時間が増えた原因の多くは、常勤の方にその内容の負担が増えてきているということが今のアンケートの数値から私は言えるんだと思います。
 そこで、これ昨年の医療制度改革のときにデータとして私、出した記憶があるんですが、病院への立入検査で、医師充足状況、平成十六年度の医師充足状況というのがございます。常勤の医師で、病院の患者対医師の比率をきちっと適合しているというのは三五%しかありません。そして、今全国で常勤の医師は十三万一千人、非常勤の医師は十二万三千人ですね。先ほど私、コメディカルのことを申し上げました。大体二割以上が非常勤であると。ところが、医師はほとんど同数ですね、常勤と非常勤が。こういう事態になっているんです。残念ながら、この調査は平成十六年に一回行われただけで、その前も後もどうもないみたいなんですね。
 私の実感として、病院に勤務する医師は非常勤が非常に増えていると思います。これは以前も柳澤大臣と何度か議論しましたが、産婦人科も小児科も明らかに三十代、妊娠、出産を契機として常勤を辞めていかれる、五割以上の方が辞めていかれる。これも明らかに示していることで、病院の非常勤、つまり今回の法案ではパート、短時間労働者ですから、先ほど嘱託のこと、それから非常勤採用、それからパート、アルバイトのこと、すべて含んでいますから、この働く形態の方が医療機関で非常に増えてきているということが実態なんですね。
 その目的は、先ほど言いましたように、ローコスト化。診療報酬はここ十年ずっと下がっているわけですね。そして、となると、患者数を増やしていくしかない。患者数を増やしていくためには医師を始め従業員、仕事にかかわる人を増やしていくしかないわけですね。となると、診療報酬が下がっているわけですから、給料を下げるしかないわけですね。そのためにはどうするか、人件費下げるためにはどうするか。短時間労働者を増やすしかないわけです。短時間労働者を増やしたがために、正規の職員は減ってしまった。正規の職員は責任と負担が増大してきた。会議や資料、先ほどお答えになったとおりです。その結果、どうなったか。正規の方が病院を辞めていくと。
 私は、これはそういう循環になっているんだと思うんですね。これははっきり言うと、専門職の使い捨てじゃないかと私は思っています。こういうことが悪循環として今現実の問題として起きているんだと私はそう解釈しておりますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
#53
○国務大臣(柳澤伯夫君) 病院のお医者様について、常勤というか正規のお医者さんと、いわゆる短時間労働の形を取るお医者さんとの組合せのお話がございました。
 私どもとしましては、日中勤務のみに短時間のお医者さんが勤務されるという場合には、常勤のお医者さんが夜勤をされるというようなことになって、非常にその点きついという面もありますが、同時に、例えば短時間勤務を希望する女性が病院で外来、日中やっていただくということになると、常勤の勤務が入院診療に集中できるというような、これは望ましいというか、そういうことで、常勤の練達の先生が入院診療に集中できれば、病院における治療の在り方としては私どもは望ましい面があるというふうに考えておりまして、ここのところはむしろ専門の足立委員なぞのお考えもお聞かせいただきたい。そういう、うまく本来の病院の在り方からポジティブに評価できる面もあるのではないかと、こういうようにも考えております。
 しかし、私どもは、病院勤務医の先生方の勤務状況が厳しいということは、これはもう本当に認識を十分していると考えておりまして、この先生方の負担の改善を図るために、私どもとして、現在でも拠点病院づくり、あるいは病診の連携を密にするためのネットワークの構築、さらには、先ほど話題になりました事務の負担というようなものについては、コメディカルというか、その他の職種との役割分担と、こういうようなものを様々講じまして、先生方が本来の使命というか、そういうものに時間をお割きいただけるような、そういう環境をしっかり調整をしていかなければならないということを考えて、そういう取組をいたしておるということでございます。
#54
○足立信也君 昨年の参議院にあります少子高齢調査会の第一回目、武見副大臣出席されていたときだと思いますが、民間では、例えば育児、介護のときのワークシェアですね、一人のポストを二人でシェアし合うということができていたんだけども、どうも公務員はないんだということが問題指摘されまして、それは早急に法改正しなきゃいけない、まあそのことが功を奏したかどうかは別にして、今国会で国家公務員と地方公務員、そういういわゆるワークシェアができるように改正されました。
 私は、今の話ですと、結構、医療機関というのは、ある意味ほかの短時間労働者と比べていいのは、自分の意思でというのが相当強いんですね。これはいいことだと私は思っております。やるべきことは、やっぱり短時間正社員、正規の職員で短時間労働、これが働き方の多様性ですよ。まず私は、ここでやる、ここに取り組むべきだと思っております。
 では、次は九条関係ですね。均衡の取れた待遇の確保、ここに行きたいと思います。
 これもやはり総理の答弁で、総理は、待遇改善に関して努力義務であっても行政指導の対象とするんだと、そのようにおっしゃいました。
 そこで、この九条の一項、二項で、特に一項の方は、意欲、能力又は経験等を勘案しと、そして、決定するように努めるものとする。この勘案する努力義務があるわけですね。この勘案する努力義務というのは、行政指導としてどう評価するのか、具体的によく分からないんですが、教えてください。
#55
○副大臣(武見敬三君) 御指摘のとおり、この九条一項でありますけれども、これはパート労働者の働き方やそれから貢献の仕方、これについて評価をして、何らかの形でそれを賃金に反映させようという考え方であります。このパート労働者の職務の内容、職務の成果、それから意欲と能力、それから経験などを勘案して賃金を決定するよう求めるという、正にこれは努力義務という形で設定されております。
 具体的な例を挙げますと、例えば事務の仕事、それから工場の製造ラインの仕事、それから社長秘書の仕事といったような、この三つの職務につきまして、職務の内容を勘案せずに一律の時給としている現状を改めまして、それぞれの職務ごとに賃金を定めるというようにしようと考えております。それからまた、工場の製造ラインの中で組立てを行う職務について、経験によって熟練度が増しても一律の時給としている現状というもの、これも改めようと。そしてそれから、熟練度に応じて賃金を定めるようにしようと、こういう考え方です。
 こういった措置を講じていく場合には、この九条を履行しているものと評価するというふうに私どもは考えております。
#56
○足立信也君 具体的で、よく分かりました。去年の教育基本法みたいに、道徳心をどう評価するんだというのと似たような議論で、勘案してますよと言えば終わるのかというふうな懸念がありますので、具体的に教えていただいて、どうもありがとうございます。
 続きまして、十二条関係、通常の労働者への転換の推進ですね、この項目に入りたいと思います。
 前回、私、OECDの対日経済審査報告書、ポリシーブリーフ、お見せして質問いたしました。つまり、日本は非正規労働から正規になった割合が非常に低いと、そこで労働の二極化が固定してしまっているという評価がありました。
 そこで、この正規労働者への転換の推進に関して、総理は、正社員への転換推進も、まあ三年前じゃないですけど、企業もいろいろだと、その企業によっていろんな考え方があるからということで、一律に同一の措置を強制することはかえって実効性を欠くと、そのようにおっしゃいました。これは、その措置の仕方一つ一つが余りに硬直的な考えにすぎないかなと私は思うんですよ。すべての企業に対して一律に同一の措置を強制するということは、そういうことを提案、質問者もしたわけではなくて、そのことがかえって実効性を欠くというのは、どうも私は納得ができない答弁なんですが、大臣もそのように考えられておられるんでしょうか。
#57
○国務大臣(柳澤伯夫君) 企業における正社員の募集、採用というものですけれども、これは、今委員はいろいろな考え方が企業によってあるからというふうにお取りになられているわけですが、このいろいろというのは、企業の規模であるとか、あるいは状況であるとかというようなことを、むしろ客観的な方を念頭に置いておりまして、例えば毎年、多数の正社員を採用するというような企業に対して、数年に一回正社員を、少数というか、極端な場合には一名ぽつんと採用するというようなのが企業の全体として見たところの実態だということでございます。
 そういたしますと、前者の毎年、正社員を多数採用するようなそういう企業にあっては、むしろ制度を導入しておくというようなことが正社員化を進めるためのありようとして考えられるし、また我々として評価できると。
 それに対して、数年に一回、正社員をもう本当にごく少数入れ替える中小企業のような場合には、この法文をそのまま言うとちょっと大げさになっちゃうわけですけれども、今度、正社員やるから、外の人もやっぱり募集するけれども、君もちゃんと選考の申出をするようにというような格好で周知をするというようなことで、そういう、それぞれ客観的に置かれた企業の状況、それに伴う正社員募集のありようというものに対応したような、そういう方法というのはいろいろであろうと、こういうふうに考えておりまして、そういうようなことから総理もここで答弁をなさったわけですけれども、一律に同一の措置を強制することはかえって実効は上がらぬじゃないかと、こういうことを申したというふうに、私ども検討の結果こうなった理由として、あるいは背景としてそういうふうに考えたと、こういうことでございます。
#58
○足立信也君 これは、短時間労働者から正規、通常の労働者への転換の推進の話ですから、私は今の答弁ですと、会社の客観的な指標としていろいろあると。それは、私はそこでもう既に働いている短時間労働者の方の方がよく知っているんだと思いますよ、会社の状況は。ですから、例えば私は民主党案のように希望を優先しなさいということは言えるんじゃないかと思うんですよ。
 先ほど大臣の答弁で、周知することについて具体的に君もどうだという話を今されました。それであればいいと思うんですよ。ところが、この条文は君もどうだというのはないんですよね。周知すればいいということなので、その君もどうだいということが、つまりそれは優先したらどうかという意味合いだと思うんですね、私は。このことを、周知というのはいろんな手段あるわけですよね。いろんな手段があることの中にそれは当然入るかもしれませんが、やっぱり私たちは、短時間労働者の希望をまず優先しましょうということは入れるべきだという主張をしてきたんですね。そのことだけはお伝えしておきたいと思います。
 その中で、今私が申し上げたようなうちの案ではございますが、総理が、新規学卒者の就職の機会を制限するおそれがあると、こうおっしゃったですね。これは総理は、御案内のように、再チャレンジ支援策ということで言っておるわけですが、就職氷河期にちょうど就職の時期があった方、あるいは団塊ジュニアの方々、この方々が正規雇用への道、それもまた再チャレンジの一番重要なことだとおっしゃっているわけで、それが新規学卒者の就職の機会を制限するというのは何も一律に全部正規に変えなさいと言っているわけでもありませんし、このことは、再チャレンジ支援策と短時間労働者の希望を優先するということが新規学卒者の就職の機会を制限するというふうにおっしゃると、意味合いがまるで逆のことを言っているんじゃないかと私はとらえるんですね。そこのところの説明をもう少し詳しく、再チャレンジとは全然矛盾しない答弁の内容であるということを説明していただけますか。
#59
○国務大臣(柳澤伯夫君) 民主党さんの案もそういうことを配慮しながらのような条件が付いた優先的な採用ということだったかと記憶しておりますけれども、いずれにいたしましても、現に短時間労働という形で事業所にいる人をもう絶対的な優先順位で高めておくと、こういうことはやっぱり硬直的に過ぎる制度ではないかという評価がありまして、その一つの、まあ何というか、硬直的な制度を入れた場合の弊害を分かりやすくするために新卒者をもう完全に排除してしまうというか、そういう何か順番みたいな格好になってしまうというのはいかがだろうかという懸念を多分、総理はここで言われたんだろうと、その限りでそういうふうに言われたんだろうというように思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、再チャレンジ、何度でもチャレンジができる、そういう社会がいい社会。そういうふうに何回も機会が与えられる、一度くじけても、あるいは失敗してもまたチャレンジができる、機会を確保できるという社会がいい社会ということでございまして、したがいまして、その優先順位をもらえなければそういう社会ではないというふうに決め付けるというか、考えてしまうということはちょっと当たらないんではないか。そういうことでなくても、要するにチャレンジができるということでございますから、私は、結果が保障されなければ再チャレンジにはふさわしくないということまで言うことが再チャレンジということではなく、機会が与えられるということで再チャレンジ社会ということの我々の理念と申しますか、そういうものとの整合性は取れているんではないかと、このように考えます。
#60
○足立信也君 今の御答弁で、私、ちょっと腑に落ちたのは、要するに絶対的な優先権を我が党としては主張していると、そういうふうに……
#61
○国務大臣(柳澤伯夫君) 配慮はしているけれども。
#62
○足立信也君 ええ、解釈したと、あるいは曲解したと、あるいは誤解したということであれば、この発言、私はああそうかなと思います。そういうふうにとらえられたんだろうということでございます。
 次に行きます。次はILO条約についてです。
 今まで、短時間労働者については第百号、第百五十六号と、日本はそれぞれ批准しております。その百五十六号条約についてなんですが、この条約の内容には家族的責任を有する労働者ということがございます。内容としては、家族的責任を有する労働者が職業を自由に選択する権利を行使することができるようにすること。そして、雇用条件、社会復帰で家族的責任を有する労働者のニーズを反映すること、こういうふうにあります、条約で。この家族的責任を有する労働者というものはどういう人を指すのかと。そして、先ほど柳澤議員の質問の中で短時間労働者のこの法に該当すると思われる人数とか、一定の目安が出されておりましたが、この家族的責任を有する短時間労働者というのはどれぐらいだと把握されているんでしょうか。
#63
○政府参考人(大谷泰夫君) 百五十六号条約についての今お尋ねでありました。
 この中で、家族的責任を有する短時間労働者とはどういうものかということについては第一条に定義がございまして、「この条約は、被扶養者である子に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについて、適用する。」、それから第二項で、「この条約は、介護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについても、適用する。」というふうに規定されておりまして、これがここで言う家族的責任を有する労働者であるというふうに解釈するわけでありますが、それについて日本にどれぐらいいるかということにつきましては、実はこれにどんぴしゃの数字は現在把握しておりませんが、例えばパートタイム労働者の中での配偶関係等を見ますと、配偶者相手は男子で三五・四%、あるいは女性の場合で配偶者六九・〇%ということで、そういった中から今のような条文に当たる方が決まってくるんではないかというふうに考えています。確定した数字は持ち合わせておりません。
#64
○足立信也君 となると、確定した数値は持ち合わせていないということですが、これは条約上、家族的責任を有する短時間労働者については、先ほど私が申し上げましたようなことをやらなければいけないというふうになっているわけですね。ということは、家族的責任を有しない方と有する方と、これは今まで、例えば指針とか指導内容とか、法的には多分この区別はないと思いますが、家族的責任を有している方、有していない方、そこを見極めてどういうことをやらなきゃいけないというのを今まで指導されたことはあるんですか。
#65
○政府参考人(大谷泰夫君) パート労働者ということに着目して、そのパート労働者の中でいわゆる家族的責任を有する方とそうでない方ということで、指針や指導で使い分けをしたことはなかったと思います。
#66
○足立信也君 いや、そこのないというのがやはり私は問題なんじゃないかと思うんですね。これ条約、一九九五年六月に日本は批准しているわけですね。つまり、この法案ができた一年後ですか。そこで、家族的責任を有する方と有しない方というのが実際どういうふうに分けられて、そこにやらなければならない義務規定とか努力義務とか、そういうことがないというのは、ほとんどこの条約の文面を余り重くはとらえてられないんじゃないかと。
 今実際、以前は家族的責任を有しない方の比率が私は高かったんだろうと思います。でも、今は家族的責任を有している方の方がはるかに多い、この現状があるわけですね。振り返ってこの条約を見ると、これは行政として不十分な対応だったんではないかと私は思うんですが、その点についてはコメントございますでしょうか。
#67
○政府参考人(大谷泰夫君) これはパートタイム労働法のことだけで説明し切ることは難しゅうございまして、私もちょっとそこの当時の全体の労働法制との関係については承知しておりません。批准したということで、これは誠に雑駁な話でありますが、国内の法制についての整合性は取った上で批准したものというふうに考えているわけであります。
 それから、今回、じゃ、パートタイムの労働法がこれとの関係でどうかというふうに申しますと、これは両者のむしろ差異を設けてしているものは条文ではございませんけれども、いわゆる均衡の待遇を図る過程で、職務の言わば事細かに実態を精緻に比較して通常の労働者との関係を図っていく、そして違うものは違うなりにも均衡をしていこうという考え方で進めておりますので、労働者に対して、労働者の言わば選んだその働き方のチョイス、例えばほとんど正社員と同視すべき者、それからある一定期間は同視できるような状態な方、それから職務は一緒だけれどもやはり正社員並みのいわゆる勤務ローテーション取れない方、それから全然違う方、それぞれに応じた対応を今回も講じているわけでありますが、そうしたものは、結果としてこういった考え方と流れとしては矛盾することはないものではなかろうかと思います。
#68
○足立信也君 いろいろ過去に手を付けられてやられたことをいろいろ取捨選択してみたら、多分それに該当するところはあるんではないかという雰囲気の答弁だったと思います。でも、はっきりそれで言えることは、明確に家族的責任を負う方とそうじゃない方という考え方に立脚した行政のかかわりというものが今までやはり私は希薄だったんだと、このことだけは指摘しておきたいと思います。
 そこで、同じくILO条約で百七十五号、これ日本はまだ批准しておりません。この批准に至らない主な理由というものはあるんでしょうか、何か教えてください。
#69
○政府参考人(大谷泰夫君) パートタイム労働に関する条約、ILO第百七十五号条約におきましては、比較可能なフルタイム労働者、この法律でも通常の労働者との比較で構成しているわけでありますが、この比較可能なフルタイム労働者として、パート労働法における通常の労働者と類似の概念が定義されておりまして、これとの比較においてパート労働者と定義する体系を取っていると、いや、比較において定義していくという点では、これは私どものパート労働法と同じ考え方なんでありますが、しかしながら比較可能なフルタイム労働者につきまして、この条約では事業所の外にいる者も含む概念であるということになっておりまして、私どもの考え方では事業所の中で比較し得る通常の労働者を対象にしておりますので、そこにおいて両者の考え方が違っているということで、この条約については基本的に立て組みが違うということで批准できていないところでございます。
#70
○足立信也君 そうでしょうか。先ほど私、専門職の短時間労働者ということで病院の例を挙げましたが、事業所の外だという方が相当数おられますよ。ここも取組が私、足りないところじゃないかと思いますが、私は、この百七十五号が批准できない最大の理由は第十条じゃないかと思っていまして、フルタイム労働からパートタイム労働への転換、又はその逆の転換が任意に行われることを確保するための措置、ここにあるんじゃないかと。このことが今回の改正案でも一番、特に野党議員の方を中心に足りないと、それでは足りないというところに入ってきているんではないかと、私はそのように思っております。
 次に行きます。
 十五条、十六条及び第五章として書かれております短時間労働援助センターについてお聞きいたします。
 今回、現行法では短時間労働援助センターの業務の第一に挙げられていた短時間労働者の職業生活に関する調査研究、これが今回削除される。この、私は非常に重要だと思うんですが、調査研究というものはどこが行うようになるんでしょうか。
#71
○政府参考人(大谷泰夫君) 短時間労働者の職業生活に関する調査研究につきましては、これ特定の団体に行わせる業務ではなくなるわけでありますが、仮に今後、厚生労働省としてこれらの調査研究が必要となる場合には、厚生労働省所管の独立行政法人や民間の調査研究機関を活用して実施することになるというふうに考えております。
#72
○足立信也君 私、前回の質問のときに、短時間労働者に対する就業形態あるいは処遇、主な四つの検査を列挙をして皆さんにお示しいたしました。
 そこで、今申し上げましたように、このセンターの業務の第一に調査研究が挙げられていたんですね、今までは。そこで、この四つの今までの調査のほとんど規模は私、同じだと思いますが、今日は資料として出しませんでしたけれども、この実際の調査研究のそれぞれの決算額というものを教えてください。
#73
○政府参考人(大谷泰夫君) 御指摘のありました四件の調査研究事業の決算額でありますが、まず一つ目、平成十四年二月に二十一世紀職業財団が発表しました多様な就業形態の在り方に関する調査、これは決算額が三百七十二万八千円であります。それから、二つ目の平成十八年一月に二十一世紀職業財団が発表しましたパートタイム労働者実態調査、この決算額は四百六十五万六千円であります。それから三つ目、平成十八年六月に労働政策研究・研修機構が発表いたしました正社員とパートタイマー等の均衡処遇に関する意識調査、この決算額が四百四万九千円であります。四つ目の平成十八年七月に労働政策研究・研修機構が発表いたしました多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査、この決算額は千五百一万五千円でございました。
#74
○足立信也君 ちょっと質問を飛ばします。
 そこで、この四つの今の調査ですね、調査期間一か月、一か月のものが多いですし、それから人数、先ほど言いましたように、対象者は四千人から五千人、まあ大体変わらないんですね。
 そこで、金子政策統括官にお伺いしますが、この最後の、最後のといいますか、平成十七年十二月の調査、報告は十八年だと思いますが、これだけが極めて高額なんですね。四倍近いですね。これはどうしてなんでしょうか。
#75
○政府参考人(金子順一君) 今御指摘をいただきました調査でございますが、これは独立行政法人労働政策研究・研修機構において実施したものでございます。
 この調査は、実は対象といたしました事業所が一万社、それからその事業所で働く労働者十万人に対して郵送でアンケート調査を実施したものでございます。
 本調査に要した経費が他の調査に比べましてかなり多くなっているという御指摘でございますが、これは、当該法人から聞いているところでは、一点目として、統計的な精度を高めるために標本設計に当たって手間の掛かる方法を採用したということ、それから、対象がこれはパートタイム労働者だけではなくて非正規全般ということでございまして、特に直接雇用以外の外部から受け入れている人材、請負でございますとか派遣、こうしたものも含めましてその企業に聞いているというようなことで、調査自体が非常に網羅的、総合的なものであったと。こういうようなことで、調査の内容、実施方法が他のものと異なるということで経費が掛かったというふうに承知をしているところでございます。
 ただ、今委員から御指摘がありましたように、回答者数という意味での調査対象者数はそんなに変わっていないということでございまして、これは、端的に申し上げれば、一万社に出したわけですけれども、有効回答率が八・七%というような数字であったというようなことで、この辺が低かったというようなことが原因になっているというように承知をしているところでございます。
 なお、この実施に当たりましては外部の民間の業者に委託をして実施しておりますけれども、実施に当たりましては一般競争入札を行った上で適正にこれを実施したと、こういうように承知しております。
#76
○足立信也君 今の話で、統計の手法も変えたということがございました。でも、これは実際に回答された方の数が余り変わらないので、これによってそんなに、四倍近いお金が掛かるとは思えません。主な違いは対象の郵送者がほかのところより多かったと言いますが、それで一千万円以上も増えるのかという疑問もございます。この点は、またいずれ質問する機会があったらと思います。
 ほかのところは、私、気になっているのは、これは先ほどから何度も言いますが、短時間労働援助センターの業務の一番に調査研究が入っているわけですよ。ところが、今の話ですと、やられているのが二回しかないんですね、二回しか。じゃ、ほかの年度は、これ実際、その調査研究というのは恐らく予算を組んでいると思うんですが、ほかの年度の予算と、実際に調査はやっていないんですが、決算額、それを教えてもらえますか。
#77
○政府参考人(大谷泰夫君) ここで言います短時間労働援助センター、この指定を受けておりますのが二十一世紀職業財団でございまして、この二十一世紀職業財団にその時期に応じてパートタイムに関する調査を委託したわけでありますが、ほかの年度におきましては、これは御承知のように、この団体は男女雇用機会均等法の仕事も所管しておりまして、過去の経緯を見ますと、各年、専ら、例えばポジティブアクションに関する調査であるとか企業と女性との関係、あるいは管理職のキャリア形成、職場におけるハラスメント等々、逐年、そちらの方の事業の方が調査等の実績は上がっておったというふうに承知しております。
#78
○足立信也君 これからますます、この労働実態の調査研究というのは私は必要になると思っています。この部分が、この法案が成立したらこの七月から削除される状況になるわけですね。ほかの機関を使って、機構を使って継続される、やられるということですが、これはやっぱり定期的に確実にやってもらいたいなというのが私の希望でございます。
 そろそろ終わりにしますが、この法案の審議、私、冒頭に、誤解を恐れず言わせていただければ、この法案、要らない法案じゃないかということを申し上げました。それは、例えばアメリカはないわけですけれども、やはり本人の意思に基づいてというのが大前提だと思うんですね、この短時間労働に関しては。本人の意思があって、その契約が雇用主と交わされていると、そして労働基準法を遵守しなければいけないという決まりもあるわけですね。そのことがきっちり果たされていれば、私はやっぱりこれは何のための法案かなと、ずっと読んで、よく理解できないということを最初言いました。私はそういうふうに感じます。
 あえて言うならば、この短時間労働、その中には嘱託もあり、正に非常勤の部分もあり、短時間の正社員の部分もあり、パートもアルバイトもあり、よく分からないくくりの中で特殊な労働形態をこれつくり上げているわけですね。このことは、かえって私はその特殊な労働形態というのを固定してしまう危険性があると思いますし、逆に言うと、雇用主がその特殊な労働形態に逃げ込んでいる事態だと。特に医療機関なんか私はそうだと思っているんですね。これはやむを得ない、収入がもう上限があるわけですからやむを得ない、でもそこに逃げ込んでいる余地を与えている。
 指針は先ほど変わらないという説明がありました。行政の指導監督が行き届いていれば、私はあえて、これは本当に必要なのかなという気がいまだにしております。もっと言うならば、これは行政の指導監督、あるいはそれをすべて果たせなかった、先ほど責任を有する、短時間労働者のことでもそうです、家族的責任のこともそうです、私はやっぱり指導監督が行政として十分じゃなかったのかなと。違う言い方をすれば、行政の自己弁護のための法案じゃないかなと、そういう気が私はしております。このことをあえて申し上げて、私の質問を終わります。
#79
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 時間が限られておりますので、端的に御質問していきたいと思います。
 まず、昨日、規制改革会議がまた余計なものを発表したわけでございまして、新聞等にも出ているわけでございます。ただ、看過できないことがございますので、大臣にちょっと聞いておきたいと思います。
 一つ、パートタイム労働法についても出ております。通常の労働者との差別的取扱いの一切禁止を定めるパートタイム労働法改正案が今国会へ提出されたところであるがと。それはそのとおりでございますが、その通常の労働者と同視すべき短時間労働者であっても、通常の労働者との間には賃金の決定方法等についてやはり大きな差異があるのが現状である、よって同法所定の対象をいたずらに拡大することには慎重であるべきであると、このように言っているわけでございます。
 差異があるから是正を図って格差を正していこうという精神であるにもかかわらず、差異があるから、それは現状を追認して迎合して格差の是正はむしろ十分やらないという、そういう論理的帰結というのがどうなっているのかというのは根本的によく分からないし、八代さんというのは安倍総理が選出された方ですけれども、こういった方が主導されている政策運営というのは、根本的には安倍総理の選任になるわけですが、根本的に私はおかしいと思っていますけど。
 いずれにしても、前回、私がお伺いしたときに、正社員と同視すべきパート、四、五%ということでしたけれども、それを一四、五%に拡大すべきだということを私、申し上げたときに、そういう方向でやっていくということを局長もおっしゃって、大臣もそういうふうな骨子でおっしゃっていたわけですね。しかし、これは全く逆行していることなんですね。
 そのことについて、やはりこれはもちろん一つの部門の見解ではありますけれども、しかし少なくともこれには今の時点で厚労省としては全く正反対の見解であると、このことをはっきりさせていただきたいと思いますが、いかがですか。
#80
○国務大臣(柳澤伯夫君) そのくだりを見ているわけでございますが、私どもといたしましては、通常の労働者との間に賃金決定の方法等についてこれを差別を禁止していくという方向というか、そういう内容の法律案を出しているのでございますので、政府が出している法律案を否定的に論ずるというようなことが政府の部門で幾ら諮問の機関といえども言うというのは、私は不適切極まることだと思っております。
#81
○辻泰弘君 同時に、局長に、今の大臣の言葉もあれですけれども、前回、要は職務と人材活用の仕組みが同じであるという方につきましては、理念的には究極的にいわゆる同一労働同一賃金を目指した差別的取扱い禁止にかなり近いグループであろうと考えておりますので、今後の課題としてこれは重要なテーマとして認識していると、こういうことだったわけなんですね。今は賃金のこともあったわけですけど、差別的取扱いについてやはり近づけていこうという御趣旨だったと思うし、私はそれはいいと思うし、私の思いでもあるんです。だから、そこに根本的に背馳しているという考え方なんですね。そこの部分、局長も一言お願いします。
#82
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の法案の趣旨、それからその方向性につきましては、先日申し上げたとおりでありまして、政府部内でもし違う考え方があるならば、これは必要な調整をしなければならないと考えております。
#83
○辻泰弘君 何ですか、調整をするということですか。
#84
○政府参考人(大谷泰夫君) 政府部内で、外部に出る意見が最後、出ていくところでは違う意見がないようにしていかなければならないと考えているわけであります。
#85
○辻泰弘君 厚労省としては、前回、私がお聞きしたことで変わっていないと、その方針でいくということでいいですね。
#86
○政府参考人(大谷泰夫君) 私どもとしましては、この間申し上げた考えを変えるつもりはございません。
#87
○辻泰弘君 もう一つ、やはり非正規雇用で大きいことですけれども、派遣の部分でございます。
 私どもとしては、そもそも製造業への解禁というものが問題だったと、今日的な状況につながったと思っておりますから。そういった意味では、原則規制というところに戻すべきだというふうに思っているわけですけれども、まあもう原則規制で、政府もあれですけれども。
 いずれにいたしましても、私、昨日のを見ますと、港湾運送、建設、警備という今まで認められていない業種についても適用拡大を言い、また三年の期間も撤廃しようと、こういったことであって、むしろ派遣を拡大していこうという考え方なんですね。今日的に、全く私は今の非正規雇用の問題を本当に直視しない発想といいますか、根本的におかしいと思っているんですけど、その派遣労働については大臣、どうですか。
#88
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもは、現在の派遣の期間の問題、それから適用を除外している業種があるという枠組み、これらについて、これを変更するというようなことを考えているということはございません。
#89
○辻泰弘君 さっき私、はっきり言えてなかったかもしれませんけれども、私どもとしては原則規制で、政府の方は原則自由、例外規制と、こういうことになっているんだと思いますけれども、私どもとしては原則規制に、元々のポジティブリストに戻すべきだと、こういうことになるわけでございますけれども。
 もう一点、解雇の金銭解決なども出ていまして、何かしばらく、何か月前かの議論に戻ったような感じがいたしまして、改めてお聞きしておきたいと思うんですけれども、いわゆる自己管理型労働法制、ホワイトカラーエグゼンプションですね、この議論を大分して、結果としてお出しにならないということになったわけです。しかし、こういった規制改革の会議のいろんな論調を聞くと、また、またぞろ出てくるんじゃないかというふうにも思ってしまうので、大臣の答弁を私なりにフォローをさせていただいて、ホワイトカラーエグゼンプションについては厚い高い壁を乗り越えていくことはもうほとんど不可能に近いという判断をして提案する考え方を放棄したと、次にまたすぐ出してくるんじゃないかということを言われるけれども、そういう考え方はないと、こういうふうにおっしゃっているわけです。
 ですから、この今回の労働法制の改革の取組の中での取組は一応もう断念したということだと理解しておりますから、私は、新たにまた取り組まれるということは将来的にはないとは言えないんでしょうけれども、しかし、少なくとも今回の取組の一環として、例えば今度の臨時国会だとか来年の通常国会に出すという、そういう流れではないというふうに理解していますけど、それでいいですか。
#90
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、このホワイトカラーエグゼンプションというのは本来導入すべきだという考え方を持っているわけです。
 ところが、その国民の理解というものがこれが十分ないと、こうしたことというのは非常に円滑に施行されるということが期待できないわけでございまして、何というか、残業代ゼロ法案という、何と申しますか、我々には困った宣伝が世の中に定着してしまって、これをあの段階で突き破るというのはこれはもう非常に難しいと、こういう判断をいたしまして、今回の労働法制一連のもので、たくさんの項目にわたって改正案を出させていただきましたけれども、その中に入れるということは断念せざるを得なかったと、こういうことでございます。
 したがって、じゃ、すぐ何か、臨時国会、次の臨時国会に出すかと言われれば、そういう考え方はありませんということをはっきり言わせていただきましたけれども、また事態の推移に応じて、私どももよく研究もしまして国民の皆さんにより理解がなされるような、そういう説明の仕方等々が工夫されるというようなことがあれば、これを再提案させていただくということもあり得るというふうに考えておりますが、その時期がいつかと。少なくとも臨時国会ということはもうあり得ないと私、思いますけれども、それ以後の機会についてまで私ここで確定的に申し上げることは適当でないと、このように考えている次第です。
#91
○辻泰弘君 そうすると、今の確認ですけれども、もう一度御提起されるときは、今まで審議会とかでいろいろな御議論をした上でやってこられたわけですけれども、そのプロセスはまた経るということでいいですか。
#92
○国務大臣(柳澤伯夫君) それは結局、内容によるんだろうと思いますね。このままで非常に国民の理解が、やっぱりそういうものは必要じゃないかみたいな話になれば、もう同じ内容のことを何回も、まあ形式的には確認の付議ということはあり得るかもしれませんけれども、内容について御審議いただくということは、内容が変わるということでないと大変審議会の先生方にも礼を欠くことになるのではないかと、このように思いますので、したがいまして、今の委員の御質疑に対しては、これは内容いかんによるのではないかと考えているということを御答弁申し上げる次第です。
#93
○辻泰弘君 大分、未練たっぷりという感じでございますけれども、しかしおっしゃっている意味は、当初四百万円以上ということでしたけど最後は九百万円以上ということになって、適用対象が大分限られてきたというところはあるかもしれませんが、しかし、例えば九百万円以上ということになって考えたときに、管理職一歩手前という方が、一、二時間で仕事を終えて帰るということが実際にあるのかどうかという、そういうことがあるわけで、大臣は、理想、導入すべきだと、こうおっしゃいましたけど、根本的に問題があるということを御指摘を申し上げておきたいと思いますし、やはりまだ端的に言えば、参議院の結果によっては導入を企図されていると、このように思わざるを得ない、このことを御指摘申し上げておきましょう。
 それからもう一点、最低賃金についても余計なことを言っているわけでございます。不用意に最低賃金を引き上げることは、労働者に失業をもたらし生活をかえって困窮させることにつながるというようなことまで言っているわけですね。そしてまた、そもそも労働者の権利を強めればその労働者の保護が図られるという考え方は誤っていると、そこまで明言しておって、じゃ、どうやったら労働者の保護が図られるというふうに考えるのかというのがよく分からないままで、そこの部分だけ押してきているという、学者が作られたとしては非常にへんぱな論理だと思いますけれども。
 いずれにいたしましても、安倍総理も最低賃金について引上げを実現していきたいと、このようにおっしゃっている中において、この部分にも、やはり政府の今は取組姿勢と全く背馳する考え方になっているんじゃないかと思うんですけれども、この点については大臣、どうお考えですか。
#94
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもといたしましては、今回、最低賃金の要素である生計費の問題につきまして、生活保護との整合性を考慮するということをこの新しい改正法案で御提案させていただいておるところでございます。
 それから、私どもの方だけではなくて、成長力底上げ戦略推進円卓会議におきましても、中長期的な引上げ方針というものを念頭に生産性の向上を考慮した仕組みの中で政労使の合意形成を図っていこうと、こういうような動きも現にあるわけでございまして、したがいまして、中長期的にも日本の最低賃金を引き上げていこうという方向については、内閣の全体の考え方の下で、そういうものをしっかりと受け止められるような環境整備も政策的に努力をするということと相まってこの方向を進んでいこうと、こういうふうに考えているわけでございます。
 そういう中で、それはまあこの言い方そのものが何か経済論的に誤りかと言われれば、それはこのとおりのことが起こればそうだろうと、こういうことになりますんですが、政府全体が、先ほども言ったように、そういう方向、最低賃金を引き上げようという方向で、その環境整備をどうやってしていくかという政策的な検討をしているさなかに、分かり切ったこととは言い条、そういう努力を全くしないことを、あるいはその効果が上がらないことを前提にした議論をするということも適切を欠くなと、こういうように思っております。
#95
○辻泰弘君 いずれにいたしましても、このパート労働法の適用対象拡大への努力というのは絶対必要だと思うし、また派遣労働というのはこれ以上対象拡大すべきじゃないし、むしろ見直しを図っていくべきだということ、そしてホワイトカラーエグゼンプションはもうあきらめていただきたいと、また最低賃金はしっかりと引き上げていこうと、このことはしっかりと申し上げておきたいと、このように思います。
 さて、そこで一つ区切りまして元々のところに戻らせていただきますけれども、一つ前回の質問の積み残しがございまして、時間がございませんのでかいつまんだ質問になりますけれども、まず五月十七日に障害者施策推進本部があって、そこで安倍総理は、障害者の自立と社会参加には雇用、就業が重要な柱となると、このようにおっしゃっていて、そのこと自体は結構な御認識だと思っております。
 そこで、これもまた先ほどお話ございました成長力底上げ戦略の中に、障害者雇用促進法制の整備ということで、短時間労働、派遣労働を活用した雇用促進を図るための障害者雇用促進法制の整備と、こういうのが出ているわけでございます。それを踏まえて、障害者雇用率にパートの方の算入をしようじゃないかというふうな考え方もあるやにお伺いしているわけでございます。
 しかし、この考え方でいきますと、やはり正社員の雇用というものを、せっかく増えている状況があるとお伺いしておりますけれども、それにむしろ反するといいますか、せっかく正規で四万人を超える障害者の就職が進んでいる中で、かえって非正規にとどめてしまうということもあろうかと思うわけで、そういった意味では軽々にすべきではないと、このように思っているわけですけれども、このことについてのお考えをお伺いしたいと思います。
#96
○政府参考人(岡崎淳一君) 障害者の方の短時間労働への雇用の問題でございます。
 現在、その障害者雇用法制の研究会等でやっておりますが、その中でも、その短時間労働等を進めていく中で正規雇用等への移行ができるような環境も必要ではないかと、こういうお考えも一方ではございます。しかしながら、一方では、その障害の種別によりましてはやはりフルタイムで働くことがなかなか難しいと、短時間労働でないと働けないと、こういう方も多いというのも事実でございます。そういう中でこの問題をどう考えていくかということだろうというふうに思っています。
 それからもう一つは、現在の障害者雇用促進法制の中で法定雇用率の対象になっている方、これは、いわゆる現在、パート労働法等で言っているパート労働者の概念の中の方も実は入っておりまして、雇用保険法の一般被保険者になるかどうか、要するに週三十時間以上働いているかどうかで区切っております。したがいまして、先生から今おっしゃっていただきました四万件につきましても、これはそういった意味では、何というんですか、雇用保険法の一般被保険者に当たるような形で働いている方、これも入っていると、こういう状況でございます。
#97
○辻泰弘君 そうすると、このパートの方々は法定雇用率に算入するという、それはまあ四分の三未満の方ということになるかもしれませんが、そのことというのは具体的なスケジュールはお持ちなんでしょうか。
#98
○政府参考人(岡崎淳一君) 現在、研究会で検討していただいておりますが、研究会の先生方にはこの夏ごろをめどに報告を取りまとめていただきたいと、こういうふうにお願いしております。その後、審議会等を経まして、成案が得られれば法案を提出すると、こういう順番になっていくというふうに考えております。
#99
○辻泰弘君 そうすると、来年の通常国会に出る可能性があるということだと思いますけれども、やはりこの点は、ちょっと統計的なことは先ほどお話があって、もうちょっと勉強しなきゃいけませんけど、いずれにしても障害者の就職が促進されていると、このことは結構なことで、コメントにありますように、障害者の働きたいという意欲の高まりと、企業側の取組の拡大と、ハローワークにおける取組の強化と、この三つが相まって伸びてきたんだということをおっしゃっていて、それは結構なことなんですけれども、そういう状況であるならば、余り安易にやることによってかえってこの正規雇用というものを阻む可能性があると思いますので、その点については十分御留意をいただきたいということを申し上げておきたいんですけど、大臣、一言お願いできますか。
#100
○国務大臣(柳澤伯夫君) その算定対象とした場合に、安易にそこに流れてしまって正社員としての雇用が阻害されるのではないかという委員の御懸念でございます。私どもといたしましては、そういったことも含めてこの研究会での専門的な御検討、またさらに労政審での御検討の結果を見守ってまいるということで、今現在、何か結論を持っているということではございませんので、今後そうしたことは当然議論の対象になろうと思いますので、それらを踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
#101
○辻泰弘君 その点についてはしっかり目くばせをしていただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。
 それと同時に、関連しまして、障害者の法定雇用率に関連して、三月二十日に私が質問させていただいた難病患者の方々についても雇用率の対象にすべきだということを主張させていただきまして、大臣が、障害者雇用促進法の精神に即した方向で検討できないかという御提案でございますので、御提案を受け止めまして検討をさせていただきたいと、このように言っていただいているんでございますけれども、今後このことについてお取組をしっかりとやっていただきたい、重ねて申し上げたいと思いますけど、そのことについての御見解、御方針をお願いしたいと思います。
#102
○国務大臣(柳澤伯夫君) そのときの答弁を変えるとか、そういうことは全くないわけでございまして、私どもとしてはこの課題を整理しまして、そしてまた、先ほど申したように、適切な対応を念頭に、その中身を考えてまいりたいと思います。
#103
○辻泰弘君 是非、取組を進めていただくように申し上げておきたいと思います。
 それでは、時間が限られておりますので、パートの年金適用拡大についてお伺いしておきたいと思います。
 私、冒頭、前回のときに申し上げましたように、パートの方々に対する均等待遇、格差是正を図っていく上で、やはり年金の適用拡大というのは非常に大きなポイントだったわけで、この部分が今回の対応とは別に、国会で今回は恐らく成立しない被用者年金一元化の法案、そのことに入っているというのは、私は根本的に違っているというふうに申し上げましたけれども、まあそれはそれとして、そのことに思いを持って若干御質問したいと思います。
 それで、今回の正社員と同視すべきパートの方々が四、五%と、こういうことだったわけでございます。千二百二十六万人とすれば四、五%ということになるわけで、その六十万ですか、そういうことになるんだろうと思いますけれども、今回の適用対象は十万から二十万ということになっているわけです。ですから、単純にいくと何%と出るわけですけど、一応何%ですか。
#104
○政府参考人(渡邉芳樹君) 私ども今議論の対象としておりましたのは、十六年改正以来の検討の経緯の中で、週所定労働時間が二十時間以上の方を基本としつつ、正社員に近い雇用の実態の方々に厚生年金適用の拡大をしていこうと、こういうことでございましたので、中小企業に対する当面の適用猶予ということを加味いたしますと四十万人程度が十万人から二十万人程度になるのではないかと、こういうふうに申し上げております。
 したがいまして、私ども、従来、念頭に置いておりましたのは、二十時間以上から三十時間未満のパートの三百十万人程度の方々の中で十万人から二十万人程度と、こういうふうに理解をさしていただいて、説明をさしていただいておりました。
#105
○辻泰弘君 正社員と同視すべきパートというのが四、五%というわけですから、全体のパート労働者の中のそういう位置付けになっているわけですね。だから、年金についても全体の中で何%かというのを一応言ってください。
#106
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今申し上げましたような数字で、単純な割り算を私どもいつも使っているわけではございませんが、十万人から二十万人でございますので、四%から五%ぐらいというのは別に当たっておるのではないかと思っています。
#107
○辻泰弘君 いや、そうじゃなくて、その私が言ったパート労働者全体の中でどうかという意味合いです。四、五%というのは正社員と同視すべきということで議論しているわけですね。それとの見合いで、パート全体の中で今回の十万、二十万がどうかという、もう単純な話です。
#108
○政府参考人(渡邉芳樹君) 既に千二百万人余りと言われるパート労働者の方々の中で三百万人に上る方々が既に適用をされておられますので、その千二百万人を分母としてこの十万人から二十万人と対比したパーセンテージというのは、算術的には簡単でございますが、今回の性質を示すにはいかがなものかと考えております。
#109
○辻泰弘君 おっしゃる意味は分かりました。
 そこで、いずれにしても適用対象の拡大というのは非常に微々たるものにとどまっていると言わざるを得ないわけでございます。実は、五年ほど前に私もこの点を質問したことがあって、二十時間以上又は年収六十五万円以上にすべきだということを四、五年前に申し上げたことがあるんですが、それでいくと四百万人の適用、今おっしゃったとおりですね、二千八百億の事業主負担増になるけれどもということになったわけです。しかし、今回の対応は十万から二十万、二百億から三百億ということで、本当に微々たるものでしかないと、このように言わざるを得ないわけでございます。
 そして同時に、適用の基準が二十時間以上、月額賃金九万八千円以上、勤務期間一年以上、学生適用除外、それから中小企業は別途、法律の定めるときまで適用猶予すると、こういうことになっているわけでございまして、極めて限定的になっているということを言わざるを得ない。とりわけ、その法律ですべてが書いてあるわけなんですね。普通だったらば政令とかでゆだねるような部分を法律でがんじがらめにしているということで、この九万八千円という額も法律事項になっております。そういった意味で、極めて動かしにくいように作ってあると。それだけ反対が強かったことの反映だろうとは思いますけれども、やはりそういったことを乗り越えて、やはりパートの年金適用拡大についての均等待遇、格差是正というものを図っていただきたかった。とりわけ、再チャレンジの目玉にもなっていたわけですから、その点については本当に極めて消極的な対応と言わざるを得ないと、このように思っているわけでございます。
 そういった意味で、この法律では今国会で審議されないんでしょうけれども、大臣、このこと、非常に限定的な適用拡大でしかないということについてやはり認識をお持ちいただいているかということと、今後やはり拡大していくということで、当然それが今度のパート労働法の改正の精神でもあると思うんで、そのことは確認したいと思いますけれども、いかがですか。
#110
○国務大臣(柳澤伯夫君) 正社員化するということを片方で考えておりまして、それとまた、年金は年金、厚生年金としてのこれに取り込むかどうかということについては、現在の被保険者のことも考えて、これが整合的にならないといけないということでございます。
 したがいまして、今委員がちょっと、自らの構想でございましょうか、申したような六十五万まで下げるということになった場合なぞに、現在の被保険者がその方々も仲間として考えていけるものかどうかと、こういうことが問題としてあり得るだろうと思うわけでございます。
 現在、私どもの判断というものは、月額九万八千円、年額にいたしまして百十七万くらいのところを仲間に入れていただくということが適切だという判断をいたしました。今後、またいろいろな状況の変化と、あるいは年金、被保険者等の意識というもの、さらには労働市場の状況等を勘案して、その変化に応じて、またそのときそのときで適切な判断をしてまいりたいと、このように考えます。
#111
○辻泰弘君 二十時間以上、六十五万の年収以上というのは、私が言っているだけじゃなくて、かねてよりいろいろと議論になってきたわけで、今回の厚労省の資料にもちゃんと出ていることで、一つの考え方であるということで、やはり私はそこぐらいまでは行くべきだと、このことを申し上げておきたいと思います。
 最後に、学生も適用除外ということになっているわけなんですね。しかし、ここに資料もらっていますけれども、学生については、アルバイト収入を基礎として厚生年金による長期の所得保障を行う必要性は必ずしも高くないと、だから適用除外にするんだと、こういうふうになっているわけです。しかし、学生についても、基本的に国民年金、二十歳以上であれば掛けることになっていて、なるがゆえにこそ納付特例が設けられたと、こういうことになっているわけですね。
 やはり、よくおっしゃるように、社会保険方式になっているわけですから、それはやっぱり、そういった被用者としての限度を超えた働き方があったら、その部分が報酬比例に反映するというのは当然の理屈であって、これをあえて適用除外とするということであれば、そもそも学生を年金の適用除外にするということであるならばまだ理屈は分かるんですけれども、ここだけ風穴空けるというのは私はおかしいと思います。その点についての見解を求めたいと思います。
#112
○政府参考人(渡邉芳樹君) 学生を始めとして、この皆年金の体制の下で、個々の被保険者の属性に沿って、国民年金というものを適用すべきなのか、それとも厚生年金を適用すべきなのか、そこの区分の問題であるわけでございます。
 もとより、審議会の中におきましても、あるいは各方面でもそうした属性に着目するという議論のデメリットも指摘をされてきたところではございますが、他方、今委員御指摘のように、今後の長期保険としての年金に加入する際の区分として、卒業後の対応が考えられる学生について果たしてどうすべきなのかという点は、やはり最終的にも御議論があったところでございまして、そういう中で、私ども、政府・与党の協議の中で、また事業者の様々な雇用実態というものをヒアリングする中で、政府・与党として、学生については、その立場の特性というものから、属性にかかわる判断ではございますが、適用除外にすべきという判断に至り、私ども提出したわけでございますが、全体的にそれによって大きな適用対象の変動があるというふうには見ておりませんが、こうした判断も含めて、国民的に関係各方面も含めて御理解賜れる安定的な新制度ということで、是非、御理解賜りたいと思っております。
#113
○辻泰弘君 年金制度のやはり根本的な考え方としておかしいと、このことを申し上げておきたいと思います。
 時間が参りましたので、以上で終わります。
#114
○委員長(鶴保庸介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
#115
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、千葉景子君及び西田実仁君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君及び澤雄二君が選任されました。
    ─────────────
#116
○委員長(鶴保庸介君) 休憩前に引き続き、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#117
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。
 今日は、パート労働法はパート労働法なんですが、最近の要するに法律の決められ方というんでしょうか、制度の決定の仕方、まず、ここを直していかない限り、直していかない限りまともな政策にならないんじゃないのかなと、そう思っております。
 それで、まず私の考え方を基本的にお話ししておきますが、要するに、国会議員と違って選挙の洗礼も受けず、それから官僚のように国家公務員法の縛りがあるわけでもなく、自分たちを有識者と勝手に名のって好き放題やっていて、何の処罰も受けないような、そういう人たちが権力の座にいることそのもの自体が今の政治を私は最大ゆがめていると、そう感じております。
 まず、その典型的な例からお話をしたいと思いますが、これは二〇〇一年ですが、二〇〇一年に当時の規制改革委員会の委員長であった宮内さんが、ACCJ、在日米国商工会議所のパーソン・オブ・ザ・イヤーに選出されたと。つまり、これはアメリカの商工会議所から表彰を受けるぐらい、そういう形でされる方ですから、アメリカにとっては極めて都合の良かった方なんだろうと思うんですね。
 この人は、なぜかというと、長年にわたる規制緩和や構造改革に向けた積極的な活動、これが認められたということになってきていて、今、規制改革会議で、今、規制改革会議に変わりましたが、本当にこの改革が我が国のためになっているんでしょうか。
#118
○政府参考人(田中孝文君) 当時、二〇〇一年の時期に設けられました規制改革委員会は、当時の行政改革推進本部の下に、本部長である総理の決定により、規制緩和の着実な推進を図るために設置されたものでありまして、委員会におきましては、事後チェック型の行政への転換に伴う既存ルールの見直し、情報公開、消費者のための必要なルール作りなどを始めとして、国民の立場から数次にわたり規制改革に関する論点、見解を取りまとめていただいたものと考えております。
#119
○櫻井充君 国民の立場で議論されている方が、なぜアメリカの商工会議所からパーソン・オブ・ザ・イヤーに選ばれなきゃいけないんですか。
#120
○政府参考人(田中孝文君) 商工会議所がどのような意図でそういう賞を贈呈したかという点については、詳細を存じておりません。
 一応、当時の在日米国商工会議所の贈呈した旨のホームページに書かれていることを引用させていただきますと、十年余りにわたり政府や民間組織による努力が続く中で、宮内会長は総合規制改革会議の議長を務めるなど主導的な役割を果たしてこられたということで、そうした点が評価されたように記述してございます。
#121
○櫻井充君 すごく他人事のような気がしてならないんですね。
 つまり、今のこの国の制度そのもの自体が言わば外圧によって変えられていっているということを考えると、明治の時代に戻ったのかなと。開国をしてから五十年間、不平等条約は改正されませんでしたが、今まさしく、戦後六十年たっても不平等条約みたいなものがずっと続いているんじゃないのかなと、私は個人的にはそう感じております。
 その上で、じゃ、まず外務省にお伺いしておきましょうか。
 僕は労働法制を調べていくと、最終的には九六年の、日本における規制緩和、行政改革及び競争政策に関する日本政府に対する米国政府の要望書、これが提出されてから大きく変わってきているんですね。
 では、まずこの当時、どういうアメリカとやり取りがあってこのようなものが提出されたのか、御説明いただけますか。
#122
○副大臣(浅野勝人君) 十一年前にアメリカ政府がどのような考えの下に要望書を提出してきたのか、アメリカ政府の意向を代弁する立場にありませんが、あえて申し上げれば、日本の規制緩和や行政改革、競争政策に関して、当時のアメリカ政府が抱いていた懸念や関心事を要望書という形式に取りまとめて提出してきたものと理解をしております。
#123
○櫻井充君 それは、アメリカ政府として提出されたのは、それはアメリカ政府の自由だと思いますよ。しかし、それは提出してくる前に何回か日本政府とアメリカ政府の間でやり取りがあったはずですよね。これは外務省にお伺いしておきますが、これが提出される前、何回、日本とアメリカとでやり取りがあったんでしょう。
#124
○副大臣(浅野勝人君) この要望書は外務省から内容を振り分けて所管官庁に配付をしておりまして、その後それを踏まえて協議をしておりますが、今、櫻井先生の御質問は、九六年にこれが出てくる前にどういう経過があるかという御質問でございます。
 これより三年前の九三年に、日米包括経済協議の場でもアメリカ側は自ら提出してきた要望書を踏まえて日本側との協議に臨んできておりましたので、一般的に申し上げれば、その後も、九三年のスタートをして以降、九四年十一月十五日、九五年十一月二十一日にも日本政府に対して要望書が出されております。そういう経過の中で九六年の要望書も同様の趣旨から提出してきたものと受け取っております。
#125
○櫻井充君 それでは、これそのもの自体、提出された際に、恐らくじゃなくて当然のことながらこれは議論されているはずであって、そのときの議事録を提出していただけないでしょうか。
#126
○副大臣(浅野勝人君) 要望書が提出された経緯について私、答えますけれども、さらにそれを踏まえて、九三年の十月二十二日の第一回から九六年の二月二十六、二十七日までに八回会合が日米間で持たれて協議が行われております。その内容のやり取りについては、これはこの問題だけではございませんで、相手国との関係もございまして、公表することは一般的に原則として避けさせていただいております。
#127
○櫻井充君 その原則は、何にのっとってそういう原則を決められているんですか。
#128
○副大臣(浅野勝人君) 外交上の協議につきましては、櫻井先生御指摘のこの問題だけではなくて、ほかの案件についても個々のやり取りについては従来から申し上げることを控えさせていただいております。
#129
○櫻井充君 それはどういう理由からですか。
 それからもう一つ、その理由付けは相手国があるからというその話なのかどうか分かりませんが、その法律上の縛り、そういったものは一体どこに根拠があるんですか。つまり、私が申し上げておきたいのは、本当に外交上の理由でそれを公表できないのか、外務省の交渉下手がばれてしまうことが困るから公表できないのかといえば、私は後者のために外務省が全部隠し続けているのではないかという感じがするんですが、いかがでしょう。
#130
○副大臣(浅野勝人君) 相手国との信義、もう一つは国益上の配慮、主にはこの二点からそのような原則を貫かさせていただいております。
#131
○櫻井充君 国益上そのようなものというのは、何をもってしてその国益としているんでしょうか。つまり、外交上の交渉事すべてが全く公表されないというのは、これは僕はおかしな話だと思いますよ。つまり、国会で議論する際に国会議員に情報が公開されないなんというのはどうしてでしょうか。ここは、国会というのは日本の中の最高機関ですよ。その我々がなぜそれを知り得ないで、官僚が全部それを握りつぶすんでしょうか。副大臣、おかしいと思いませんか。
#132
○副大臣(浅野勝人君) やり取りの議事録を、例えば私がどこか外国へ行って副大臣の立場で、最近の例ですと、例えば連休中、一、二のアジェンダがあってモンゴルを訪問し、大統領、首相、外相、官房長官、カウンターパートの副大臣と会談をしてまいりましたけれども、その個々のやり取りの議事録について公開をすることは控えさせていただいておりますが、その内容の概要については、もちろん国会審議が最優先でありますし、例えば記者の方々から記者会見、記者懇談その他で問われれば、申し上げられる範囲の誠心誠意の対応をさせていただいております。
#133
○櫻井充君 分かりました。それでは、概要をお示しいただけますか。資料として提出していただけますでしょうか、八回行ったということですから。
#134
○副大臣(浅野勝人君) 今、私がどこまでどういうふうに一体、櫻井先生に資料として提出できるのか、これは情報公開でも不開示の理由として認められている部分もございますので、ぎりぎり先生の御意向に沿えるような検討、努力をさせていただくということで御了解を賜ります。
#135
○櫻井充君 了解いたしました。
 そうであるとすれば、私は、これ実は先週から質問通告しておりました。そして、そのときに資料を出してほしいというお話をした際に、破棄したと、ないかもしれないというふうにまず言われました。外交文書として大事なものであるはずのものが破棄されていて見付からないと。こちら側は、それでは強硬手段に出まして、通告せずに、通告せずにそれじゃやるしかないですねという話をしたら、急に昨日になったら見付かったと、見付かったけれども、しかしそれは提出できないという話だったんですよ。
 今日になったら全然違う答弁ですね。これはどうしてこういうことになるんでしょうか。
#136
○副大臣(浅野勝人君) 今日になって答弁が違うかどうかは、私は認識はございません。私の認識で申し上げておりまして、どういう外務省のその任にある者が櫻井先生と接触をしてきたのか、詳細の報告を受けておりませんけれども、資料その他について今御要請でございますから、この件だけに限らず、とりわけ外交防衛委員会などではよくある資料請求のたぐいと同じように、私は、国会審議を最優先、尊重するという立場から、できるだけの開示、それは櫻井先生個人に対する在り方というよりは、国民に対する義務というような立場からお答えをさせていただいているつもりであります。
#137
○櫻井充君 答弁になってないと思いますよ。
 言っておきますが、これは極めて大事なところなんですよ。つまり、この国の根幹が対日要望書によって大きく大きく変えられて──ちょっと、やめた。ふざけるなよ、あれ。質問聞いてもらってないじゃないか。
#138
○委員長(鶴保庸介君) お続けください。
#139
○櫻井充君 浅野副大臣のお隣におられる方、私が質問している際に何でしゃべるんですか。
#140
○政府参考人(草賀純男君) 御質問の点につきまして少し内容上の打合せを、御説明を副大臣にさせていただいておりました。
#141
○櫻井充君 それは国会審議を冒涜していませんか。私が質問しているときに、その質問内容を答弁される方がちゃんと聞いていないことじゃないですか。物すごい失礼じゃないですか。
#142
○副大臣(浅野勝人君) 委員長。
#143
○櫻井充君 いや、あなたに聞いていません、副大臣じゃありません。
#144
○委員長(鶴保庸介君) 外務副大臣にお答えをいただきます。浅野外務副大臣。
#145
○副大臣(浅野勝人君) 委員の質問に対してできるだけ誠意ある、中身のある答弁をしたいという、させたいという意思の表れと御理解を賜りたいと存じます。
#146
○櫻井充君 質問の内容を聞かないでどうしてそれの答弁ができるんですか。
#147
○委員長(鶴保庸介君) 櫻井さん、御質問をいただければと思います。櫻井充君。
#148
○櫻井充君 人が質問している最中にお話をされていて、それで聞けることなんでしょうか。そういうことですか。つまり、何回も何回も先ほどからお話をされていますよね。こちらだってこういう形で質問したくなかったんですよ、元々。
 だから、私は、随分前からこの経緯について説明してほしいと。なぜこういうふうに申し上げているのかというと、先ほど、先ほど言いましたが、結局は対日要望書によって本当に急激な勢いでこの国は変わっていっているわけですよ。この九六年のところの要望書の中に、その派遣労働法のところだって、ポジティブリストからネガティブリストに変えろとか、いろんなこと書かれているわけでしょう。それに従ってちゃんと変わってきているわけですよ。それが本当に国益なのかどうかということですよ。
 今の労働環境は極めて悪くなってきていて、結婚できない人だって、三十五歳以上で男性、三割もいるんですからね。そういう社会をつくってきている根幹は一体何なのかというと、私からすると、余りに一方的な不平等条約ではないのかなという気がしてならないわけですよ、調べていってみるとね。ですから、どういう交渉事をされていたのか、そのことについて私は知りたいんですよ。保険の分野でもそうですよ。保険の分野だって、第三分野に関してはアメリカから、相互乗り入れしちゃいけないとか、そういうことも言われてきているわけですよ。
 だから、交渉はどういう交渉だったのかということを私は調べたいと思っているんですね。これは国民の利益につながると私は信じているから、そういうものの資料を請求しても、破棄したかもしれないというふうに言われて出してこなかったんですよ。ここは僕は最大の問題だと思いますよ。
 そして、ましてやマル秘と言われるその重要な案件であったとすれば、なぜ、破棄したかもしれないと、そういうことを外務省の役人が言うんでしょうか。これが外務省の役人のやっている、私はこれ国益につながることとはとても思えませんがね。副大臣、いかがですか。
#149
○副大臣(浅野勝人君) もし安易に破棄をしたというようなことを委員会で答弁をしたとすれば、私はちょっと承知しておりませんが、それは軽率なことで、十分内容を、十一年前、十三年前のものとはいえ、よく精査をしてお答えすべきであると認識をします。
#150
○櫻井充君 これは国会ではなくて、だから委員会のための準備として出してほしいとお願いしたんですが、結果的にはそうだったんですよ。
 それから、副大臣ね、僕は日米林産物協議のところも調べましたが、日本政府に、外務省に聞くと、これは出せないと言うんですよ。でも私、これ持っていますよ。それは別なところからちゃんと、もうアメリカの、ちょっと正確なところ忘れましたが、もうホームページ上に掲載されているんですよ、日本との、どういう結果になっているかって。日本政府に頼むとそれは出せないと言われ、そして、アメリカの一般にだれでも見れるようなそこのところにちゃんと掲載されていますよ。だから、それを全部がその外務省の役人が外交上の機密、外交上の機密と言って握りつぶしていることそのもの自体が私は問題だと思っております。
 いずれにしても、これだけで今日は終わらないので、今度、外交防衛委員会に行って続きはやらせていただきますけれども、まずきちんとしたやり取りを、やり取り、うちの事務所とのやり取りの中でどういうことになっていたのか、まずこれはきちんとお調べいただきたいと思います。その上で、概要は、向こうはマル秘で全然出せないという話だったのに、今副大臣の方からはもっと前向きな御答弁いただけるんであれば、最初からそういう形で言われれば全然違うんですよ。ですから、まずちゃんとその経過をお調べいただいて、その上でその概要で出せるものはきちんと出していただきたいというふうに思います。
#151
○副大臣(浅野勝人君) 個々の分野の、例えば当時の規制改革その他、それは個々の所管官庁の方が、あるいは国会答弁ということであれば個々の事項を所管する省庁の方が適切にお答えをなさる方がベターだとは思いますが、一般的に申し上げれば、それらの交渉事の全省庁の言わば外務省は交渉の窓口になっていることでもあります。それだけに、出させていただけるものがどこまでどうかということを、ちょっと真剣に検討さしてください。
#152
○櫻井充君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、今副大臣からそういう御答弁がございました。九六年当時、厚生労働省はこのことに対してどのようなやり取りをしたんでしょうか。
#153
○政府参考人(高橋満君) 今委員御指摘のありました一九九六年の米国政府の要望書が出された後、承知しておりますのは、その後、十一月十九及び二十日に東京におきまして作業部会が開催をされたと。その際に、当時の労働省も参加をいたしておるということは承知をいたしております。ただ、その際の作業部会におきましてどのようなやり取りが行われておったのかということについての関係の資料については、私どももいろいろ探したわけでございますが、残念ながら残っておらないということでございます。
 ただ、この九六年の米国政府の要望書が出されます以前に、同じ年の三月におきまして、政府におきまして規制緩和推進計画というものが閣議決定をされております。その中で、派遣事業につきまして対象業務の大幅拡大、不適切な業務以外は対象業務とするとともに、派遣労働者保護のための措置を講ずる等の意見を尊重し、この意見はその前年に行政改革委員会から提出された意見でございますが、この意見を尊重し、引き続き制度の在り方を検討するという政府としての閣議決定を行っておるわけでございまして、したがいまして、そうしたスタンスの中でのやり取りが行われたのではないかというふうに推測をいたしております。
#154
○櫻井充君 不思議なんですが、そのときにやり取りされた資料というのは残ってないというのはなぜなんですか。つまり、これだけ大きな要望書が突き付けられ、しかも項目も随分挙げられておりますよね。そして、過去五年間の対日要望書等の取扱いを見てみると、十一月ぐらいに両国間で交換をし、その後、五月か六月ぐらいにお互いに調整して報告書を出すということになっているとすれば、この要望書に対しての見解を出していないはずがないと私は思っているんですが、この要望書に対しての、じゃ見解は出していないんですか。
#155
○政府参考人(高橋満君) この要望書全体は、御指摘のように雇用政策の部分も含んでおりますが、それ以外に多岐にわたる内容を含んだ要望書であると承知をいたしております。そういう中で、政府としてどういう形でこの要望書に対する回答と申しますか、政府としての考え方を文書で提出されたのか、ちょっと私どもでは承知をいたしておりませんが、少なくとも、先ほどお答えいたしましたとおり、この雇用政策にかかわる事項で私どもの旧労働省時代のその関係の資料というものが現時点では残っておらないということでございまして、大変申し訳ございませんが、お答えはできかねるということでございます。
#156
○櫻井充君 だって、浅野副大臣はこういうのは各省庁個別に取り扱ってというお話をされているわけですよ。ということは、雇用政策に関して言えば、これは労働省がちゃんと回答作っているわけでしょう。そして、それをあとは政府全体で取りまとめてこの要望書に対してこういう見解ですと、回答ですと、これ渡しているんじゃないんですか。
 じゃ、改めてお伺いしておきますが、この要望書に対しては、日本政府として何も反応しなかったんですか。
#157
○副大臣(浅野勝人君) 一般的に申し上げれば、我が方の規制改革措置その他、当時、議論の対象になった事柄は、アメリカの見解も参考にしながら日本政府が主体的に取り組み、日本政府の主体的な判断で取りまとめをしていったものと理解をしております。
#158
○櫻井充君 済みませんが、これ外交上の一般的な礼儀として、要望書が来たときに何の返事もしないということはあるんでしょうか。要望書を受け取っておしまいですか。逆に言えば、日本の要望書をほかの国々に提出して何の返事も来ないというのは、これ日常茶飯事、当たり前のことでしょうか。
#159
○委員長(鶴保庸介君) 速記をお止めください。
   〔速記中止〕
#160
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
#161
○副大臣(浅野勝人君) 今、当時のことをできるだけトレースしている者から説明を聞いたところによりますと、もちろんアメリカ側からこういう要望書が出てきているわけですから、それは各省に振り分け、各省の見解、そしてまた各省が関係省庁とも協議しながら、その議論は当然このそれぞれの協議の場では反映をさせております。しかし、この要望書に対して一つ何々、二つ何々といって日本側が文書をまとめて回答したという経緯はないとのことであります。
#162
○櫻井充君 そうしますと、要望書が提出された際に全く無視するということは、これはあり得ないことですよね、今のお話ですと。そうすると、この要望書を受けて各々の省庁で話合いをしたということは、これは残って、一般的に言えば残っているということになるんですね。
#163
○副大臣(浅野勝人君) 各省庁がどういう扱いを、その十一年前の文書をどういう管理をしているかについて、私が今ここで自信を持ってお答えすることは到底困難であります。
#164
○櫻井充君 この問題は改めてお伺いさせていただきたいと思いますが、外交的なものの要望書があって、それに対して日本政府として何も回答しないということが本当にあるのかどうか。一般的に言うと、だれかに物事をお願いしておけば、そうすると、それに対してできるできないという回答があるのは、私はこれは一般的儀礼からいえば当然のことではないのかなと、そういうふうに思います。
 それで、もう一つは、国内の問題で何点かお伺いしておきたいと思いますが。
 経済財政諮問会議、それから規制改革会議、この人たちは、先ほど申し上げたとおり、選挙で選ばれたわけでもなく、国家公務員法で規制されているわけではありません。その人たちが余りに強くなってきているところに僕はすごく問題があるんじゃないのかなと、そう思います。
 例えばですね、例えば、これは平成十九年の第三回の経済財政諮問会議、今年の二月の十六日に行われたものですが、そこの中で八代委員が、構造改革特区の機能強化、これが大事だと。民間委員が各省庁と直接交渉して、そのときにどれを選ぶかということについても民間の有識者の方が決定するような仕組みづくりを是非お願いしたいと、経済財政諮問会議のメンバーがこういうことを言っているわけですよ。
 それからもう一つ、市場化テストに関していっても、このとき、同じ日ですが、各府省にこのようなテストを拒否する正当な理由などないんだと、こういうことも全部言っていて、自分たちが市場化テストをやれと言うと各省庁はそれに従えというようなことまで言われているんですね。こういうことを本当に認めていていいのかどうか。
 まず、その八代さんという方が、果たして、果たして経済財政諮問会議のメンバーとして適切な方なんでしょうか。
#165
○政府参考人(藤岡文七君) お尋ねの点は二点あろうかと思います。
 まず、経済財政諮問会議の機能でございますが、経済諮問会議、様々な議論がなされてございます。いわゆる骨太の方針を取りまとめることなどを通じまして、適切な経済財政運営や構造改革の着実な推進に貢献しております。
 その議論は、先ほど先生おっしゃいました有識者議論の意見を活用しながら、総理、関係大臣等の議員間の合議の下に進められてきたということを承知いたしてございます。また、そういう骨太の方針の手続などを通じまして、政府として最終的な政策決定は閣議等を通じて内閣の責任で行われているものでございます。ということでございますので、御理解を賜りたいというふうに考えております。
 次に、八代議員でございますが、八代議員は、正に個人として、その経歴に関しまして、経済財政政策に関する優れた識見と、また様々な分野の視野をお持ちの方ということで、安倍内閣の成立に伴いまして、昨年十月より諮問会議の議員をお引き受けいただいているものでございます。
 そういうことで、今後とも、適切な経済財政運営や構造改革の着実な推進に向けた審議のために引き続き御尽力を賜りたいというふうに理解をしてございます。
#166
○櫻井充君 じゃ、直接接している方はそういうふうにお考えなのかもしれませんが、私は彼の話、考え方を直接聞いたことがございません。
 委員長にお願いしておきますが、当委員会で、どのような労働政策についての考えをお持ちなのか、参考人招致をして意見を求めたいと思います。御検討いただきたいと思います。
#167
○委員長(鶴保庸介君) 後刻、理事会で協議をいたしたいと思います。
#168
○櫻井充君 まだ僕はその経済財政諮問会議のメンバーが適切でないと思っておりますが、キヤノンの御手洗会長は偽装請負もしていたわけでしょう。こういう方が労働問題を語る資格があるとお思いでしょうか。
#169
○政府参考人(藤岡文七君) キヤノンの偽装請負の件につきましては、一部報道がなされているとは承知してございますが、この法律は厚生労働省が所管されておりますので、私の方からお答えする立場にはないと考えております。
 御手洗氏でございますが、正に先ほども八代議員の件について申し上げましたが、御手洗氏につきましては、個人として、正に経済財政政策に関する優れた識見と国際的視野を持ち、また経済界でも御活躍ということでございまして、委員をお引き受けいただいているということでございます。
 正にそういうことで、今後とも諮問会議の審議のために御尽力を賜りたいというふうに認識いたしております。
#170
○櫻井充君 今のお話ですと、個人がこの場に来て話をしない限り、なかなか説明いただけないような御答弁であったと私は理解いたします。
 そこで、委員長、また改めてお願いしておきますが、経済財政諮問会議の民間委員である御手洗氏の、同じように参考人招致を求めたいと思います。
#171
○委員長(鶴保庸介君) 後刻、理事会にて協議をいたします。
#172
○櫻井充君 次に、規制改革会議についてお伺いしたいと思いますが、これは五月二十日付けの新聞に載っておりましたが、規制改革会議が最低賃金上げることに対して反対するということを表明されましたが、僕はよく分からないんですが、こういったことの議論というのは、もう今やその最低賃金の法案が国会の方に提出され、これから審議されるのかどうか分かりませんが、こういう状況の中で規制改革会議がこのようなコメントを発するということは、一体どういう権利でこのようなコメントを提出できるんでしょうか。
#173
○政府参考人(田中孝文君) お尋ねの件でございますが、五月二十一日付けで、規制改革会議の下部組織としてつくられました労働タスクフォースというところが労働法制の見直しに関する意見書を提出しております。同タスクフォースにおきましては、再チャレンジを可能にする社会を実現する観点から、今後、会議の任期であるほぼ三年間に取り組むべき労働分野の規制改革の課題につきまして検討を進め、現段階での考えを発表したものでございます。
 お尋ねの最低賃金につきましては、政策課題というのではなくて一般的な問題として、不用意に最低賃金を引き上げることが、かえって労働者の、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させることにつながるおそれがあるという趣旨の一般的なコメントを中に表記しているものが、最低賃金の引上げに反対であるというように報道されたものでございます。
 最低賃金につきましては、報告書の中自身で最低賃金の引上げ自体に反対しているものではないと承知してございます。
#174
○櫻井充君 私が申し上げているのはそういうことではなくて、これから正に国会で審議されるかされないかという場面で、法案までもう出されている中で、なぜ規制改革会議がこういうような見解を述べるんですか。もうこの人たち、意見言わなくたっていいじゃないですか。
#175
○政府参考人(田中孝文君) 繰り返しになりますが、今の提出されている法案とか、そういうものについて意見を述べたものではなくて、三年間にわたる今後の検討課題について、その方向性についての現在のタスクフォースとしての見解を述べたものでございます。
#176
○櫻井充君 それでは、三年間どういう議論をしてきたのか、議事録をすべて提示していただけますか。
 特に、規制改革会議の問題点を挙げておきますが、こういうワーキンググループの議事録が開示されておりません。今、情報公開の中で、本来は情報公開されるべきものが情報公開されていないという最大の問題があって、言いたい放題言って、あとは陰からまとめて出してくるようなやり方をしてきております。これは、この間、教育問題で教育委員会制度、これはもう経済のことに全く関係ないところにも、規制改革会議のメンバーの中の一部の人たちだけがちょっと議論をして、そういうような意見を出してきているというところに僕は根本的な問題があるんだろうと思っているんですよ。
 それでは、三年間議論したんであればそのときの──三年間って言ったじゃないですか。首振らないでください。あなた三年間って言ったじゃないかよ。
#177
○政府参考人(田中孝文君) はい。
#178
○櫻井充君 どういうことですか、じゃ。
#179
○政府参考人(田中孝文君) 三年間議論してきたというのではなくて、任期これから、本会議は今年の一月の末に発足いたしまして三年の任期ということになっておりまして、数か月過ぎましたけど、残る三年弱の間、こうした方向で審議していくのだという方向性について議論したということでございますので、新しい会議の三年間の議事録があるということではございません。
 それから、よろしゅうございますか、続けて。
#180
○櫻井充君 もういいです。
 大臣、こんなやり方でいいんですか。つまり、いろんな場面でいろんな議論をするのはいいんだという多分答弁になるのかもしれませんが、こんなことやっていて本当にいいんですか。つまり、厚生労働省の中には、厚生労働省の中できちんと労働政策審議会というのがあって、そこでいろんな代表者が出て議論をしているんでしょう。これはちゃんと代表者を集めて議論しているんでしょう。何でこんなものまでやらせなきゃいけないんですか。こんなの税金の無駄遣いですよ、僕から言わせれば。そういうことをまずやめさせることから始めないとどうしようもないんじゃないですか。厚生労働大臣として、厚生労働大臣としてどう思われますか、こういうこと。
#181
○国務大臣(柳澤伯夫君) 規制改革というものが、私の記憶するところでは、日本の経済がバブルが崩壊して非常に不況になったときに、財政も相当傷んでいましたので、これ以上、財政政策で財政の出動を期待するということができなくなった。そのときに、規制、当時は緩和と言っておりましたけれども、規制緩和ということでもって供給側の対策をすることによって日本経済をもっと正常に戻していくということが企図されました。当時、行政改革の一環という位置付けもあったんですけれども、むしろそうしたことで、規制改革というのは経済政策として位置付けられるというようなことが行われました。それがずっとここ十年以上にわたって非常に、依然として同じようなトーンで追求をされていると、こういうことでございます。
 そういうようなことで、規制改革というものについては依然として大きな日本の経済政策的な側面から効果が期待されるということで推進をされているということですが、それはどういうシーンでもってやられているかというと、今るる内閣府から説明がありましたように、規制改革会議ということで行われているということでございます。それが、最低賃金というようなことについて、これも規制といえば規制かもしれませんけれども、容喙をするということはちょっとどういうことかしらんと、私も若干いぶかりの気持ちもありますけれども、とにかくそういう位置付けの下で何か発言をしたということでございます。
 もとより、それは、そういうことを意見として言うということですから、意見を封じるわけにはいかないということで、私どももそういうことの発表があったということを事実として受け止めざるを得ないわけですが、午前中の審議でも申し上げましたように、その最低賃金については私ども、現に最低賃金法の改正案を国会に提出をいたしておりますし、また、中長期的には、内閣そのものに置かれている底上げ戦略の方でも中長期的にこれを引上げの方向で考え、そしてそれを現実に受け止め、実現できるように生産性を向上していくと、こういう観点からいろんな政策が議論されていると。
 そういうようなときに、分かり切った経済論を、何か最低賃金を上げれば、それを賄えない企業はつぶれて雇用が維持できなくなるという、まるで、何と申しますか、何とも言い難い当たり前のことを何でこの機に言わなきゃならないかということを考えまして、私は誠に不適切な意見表明であるということを申し上げた次第です。
#182
○櫻井充君 ありがとうございます。
 不適切なんですよ。不適切な人たちが不適切な会議を開いていることそのもの自体が不適切なんですよ。これ税金で運用されているんですからね、だからこんなことやめてもらったっていいんです。私はこれ税金の無駄遣いだと思いますよ。
 先ほどから参考人招致ばかりして申し訳ないんですが、今度は規制改革会議の草刈議長、この方も参考人として来ていただきたいと、私はそう思っております。
 もう一つ。今までその規制改革会議の中でずっと議長を務めてこられていましたオリックスの宮内氏も是非来ていただいて、どこが国益だったのかということも、改めて私はお伺いさせていただきたいと思います。
#183
○委員長(鶴保庸介君) 後刻、理事会にて協議をいたしたいと思います。
#184
○櫻井充君 もう一つですが、厚生労働省の下にというんでしょうか、労働政策審議会というものがたしかつくられているかと思いますが、そこの中で、過労死は自己責任と主張されている方がいらっしゃいますが、この方はどのような経緯でこの労働政策審議会のメンバーになったんでしょうか。
#185
○国務大臣(柳澤伯夫君) どなたということを申し上げませんが、委員もあえて御言及になられなかったかと思うんですが、いずれにいたしましても、労政審の労働条件分科会の使用者代表委員である方につきましては、労働問題に対する見識があり、使用者を代表する委員にふさわしい方ということで任命をされているところでございます。
#186
○櫻井充君 使用者の代表者としてふさわしいという根拠はどこにあるんですか。
#187
○国務大臣(柳澤伯夫君) それは、現実に企業経営において手腕を振るっておられるというようなことであるとか、あるいはその企業における労働問題のいろんな取扱いについても見識の高い実績を残されているとか、あるいはその他外部に向かっての意見表明等の実績においても傾聴すべき御意見を吐かれているということで、通常こうした方については選任がされているということでございます。
#188
○櫻井充君 企業経営でねとおっしゃいますが、あの方は日本郵政株式会社の今、社外取締役に就任されているんですよ。社外取締役というのは、一般的に言うとその企業と利害関係のない方になる、取引をされてない方になるんですよ。しかし、この方は、この方は社外取締役に就任されてからも今の郵政公社と取引されているんですよ。僕はこれ物すごい、今そういうお話をされますが、それからもうこの間、数字を見てびっくりしましたけど、もう郵政公社と相当な取引があるし、それ一回だけじゃありません。その後、談合ではないのかと思われるような数字で落札されているものもありましたし、随意契約もあったし、ちょっと不可思議な、不可思議な契約の更新、まあ価格が増えていくんですが、そういうことをされている方が本当に私は適切な方なのかどうかというのはちょっと疑わしいところがあると思って見ております。
 是非、委員長にまたお願いですが、ザ・アールの奥谷氏を、どういう考え方を持ってこの労働政策審議会で発言されているのかお伺いさしていただきたいので、参考人として招致をお願いしたいと思います。
#189
○委員長(鶴保庸介君) 後日、理事会にて協議をいたしたいと思います。
#190
○櫻井充君 もう最後ですが、私は今日、るる申し上げてきましたが、この国の規制改革の在り方そのもの自体が私はこの国のためになっているとはとても思えません。結局、戦後六十年からなかなか脱却できないのかなと。日本が経済的な優位に立ったから日本そのもの自体をパッシングした方がいいと考えているのかどうか分かりませんが。
 今回、不平等と私は考えておりますが、その条約を見ながら、先人たちが一生懸命頑張って不平等条約を変えてきた歴史を調べてまいりました。そこの中で、やはり青木周蔵さんとか、それから一番有名なのは陸奥宗光さんかもしれないし、小村寿太郎さんかもしれませんが、先人たちが努力をして日本の自治というものを回復してきたという歴史的な経緯があって、今の日本というのが果たしてそういう状況にあるのかどうかというのを我々は改めて考えてこなきゃいけないんじゃないのかなと、そう思います。
 そして、その上でこの国の政治の在り方そのもの自体が、何回も申し上げますが、責任のない方々が勝手にいろんな発言をして、そしてしかもそれが、僕はマスコミは物すごい許し難いところがありますが、彼らの言っていることが正義であって、そのことに対して異を唱えれば、特に一番は厚生労働省ですが、そういった厚生労働省なら厚生労働省そのものが抵抗勢力と言われて悪者にされているという現状そのもの自体を変えていかないと、私はきちんとした労働環境というものがつくっていけないんじゃないのかなと、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#191
○津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎であります。
 このパート労働法の質疑も三日目を迎えておるわけでございまして、予定では今日、終局をする予定になっておりますが、様々な点でまだ十分内容が解明できていない点があるだろうというふうに思っておりますので、大臣中心に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、このパート労働法案、いわゆる、この改正案については、今月の九日に総理も出席をして参議院の本会議における趣旨説明、質疑が行われ、本日、三日目の委員会質疑が行われるわけでありますが、大臣、なぜ、今国会に政府から数多く提出された法律案、百八十本近くございます、内閣提出法案。その中で、ここ参議院においては、衆議院と異なり、パート労働法改正案をたった六本しか指定できない重要広範議案扱いというふうにしたその理由について大臣の認識をお伺いします。
#192
○国務大臣(柳澤伯夫君) パート労働法の改正は安倍政権の掲げる再チャレンジ支援策の大きな柱として位置付けられておりまして、五月九日の参議院本会議におきましても総理から、近年、増加しているパート労働者について、その待遇を働き、貢献に見合ったものとして、さらに、正社員として働くことを希望する労働者には、その希望や努力が実現される仕組みを整備するということが喫緊の課題だと、こういう認識が示されたところでございます。
 パート労働を始めとして、正規、非正規を問わず、どのような働き方を選択しても労働者が納得して働くことのできる環境の整備を行うことというのが政府にとりましても今国会非常に重要な課題であるということ、そういうことでございまして、その関連で、最低賃金法の改正あるいは労働基準法の改正あるいは雇用対策法の改正など、働く人たちのための労働法制の関係の法案を提出しているところでございます。パート労働法改正案はその言わば中でも非常に重要な位置付けを私どもといたしてもいたしまして、御審議をお願いしているものでございます。
 それを勘案していただきまして、参議院におきましても、今、津田委員の御指摘のように、わずか六本しかない重要広範議案ということで位置付けられたということは、私どもの理解というか位置付けに対して非常に、御努力の結果、そうした位置付けをいただいたことということについては大変有り難いというふうに考えております。
#193
○津田弥太郎君 答弁としてはそういうふうに答弁せざるを得ないだろうと思うんです。
 確かに、非正規と正規の格差が拡大をし、パート労働者への著しい不合理な差別が常態化をする中で、今回のパート労働法改正がそうした現状の是正に大きな役割を果たすのではないか、クエスチョンマークです、期待したんです。大臣は、今正にそういう重要な役割を果たすというふうにおっしゃった。しかし、しかしですよ、この今回出された、政府から提出されましたこのパート労働法改正案というのは期待外れなんです。むしろ、新たなパート間の差別を生み出すんではないか、先ほども指摘がございました。むしろ、大きな問題を抱えている。
 しかも、驚くことに、内容的に大きな問題を抱えているにもかかわらず、政府では、今大臣もおっしゃいましたように、安倍総理の再チャレンジ施策の目玉的な扱いになっている。これは大変大きな問題である。大臣、内容がすばらしいんじゃなくて、極めて重要な法案にもかかわらず、余りにもお粗末な法案だからこれは大変な問題だという形で指摘をしたということを、私の方はそういう認識でいるということを是非御認識をいただきたいなというふうに思うわけであります。
 さて、この衆参両院における議論を通じまして、本法案には、先ほど申し上げましたように、数多くの問題点が指摘をされてまいりました。その中でも、特にこの法案の実効性の乏しさ、このことは何よりもまず指摘をしなければならないというふうに思っております。つまり、この法案が成立したとして、果たして本当に涙を流して喜ぶようなパート労働者が一体、日本に何人いるだろうかという根源的な疑問が今も解消されないんです。
 例えば、差別的取扱いの禁止の対象となる労働者、衆議院において我が党の議員からこういう質問がありました。三要件を満たすパート労働者は日本に一人でもいるのかという、いるならいると明言してほしいという質問をしました。それに対して大臣や大谷局長は、少なくとも一人はいるという明確な答弁はついぞ返ってこなかった。覚えています。政府の答弁は、中小企業の事業主や業界団体から問い合わせがあるので、恐らくは対象者が存在しているのであろうというものであります。私はあきれ返るばかりです。この件については、前回、福島みずほ議員からツチノコを探しに行くようなものだ、ツチノコ探しだという話もございましたが、私も正に同感なのであります。
 そこで、確認します。このお手元にお配りした資料の一枚目、パート労働法の改正で賃金がどう変わるか。(資料提示)大臣、見ています、見ています。これ、ごらんください。これ、まず確認です。これは厚労省が作成した資料ということで間違いないですか。イエスかノー。
#194
○政府参考人(大谷泰夫君) 私どもで作成した資料でございます。
#195
○津田弥太郎君 これまで、正社員並みに働いても、経験積んでも時給八百円でしかなかったパートの人たちはという文言が表題の下に書かれています。この資料の中で、差別的取扱いの禁止の対象は、この左の上の正社員と同視できる働き方のパートのAさん、ツチノコのAさんですね、この方を指しているわけですが、このAさん、法案が改正されると、厚労省の資料によれば、短時間正社員扱いとなり、すべての待遇が正社員並みになる、そして賃金が正社員と同じ時間当たり千二百円になり、退職金や賞与も支給されるようになるということで、バラ色の未来が開けているようであります。
 さて、このAさんです、ツチノコじゃありません。本当に日本に少なくとも一人は実在するんでしょうか。これまでの事業主の問い合わせがあったからいると思うなんという答えはもういいですよ、しなくて。例えば、こういう業界にいるということも含めて、大臣、明言していただきたい。
#196
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回の改正法案の第八条の差別的取扱いの禁止の対象になる事例というものについて、私ども、まず統計的には、かねてから申し上げておるように、どんぴしゃりの統計はないという事実を踏まえまして、それでは近似的に今まで調査をしたものの中にそうしたものがないかということで、かねてから申し上げておりますように、二十一世紀職業財団の調査の結果を引きまして、四、五%というところが近似的にこの人たちに当たるのではないか、こういうことで申し上げてきたわけでございます。
 それに対して、調査を今からでもしたらどうかと、こういういろいろな方々からの御指摘もいただいたわけでございますけれども、これはやはり調査とかヒアリングにおきまして名のり出る事業主がいるということはこれは想定し難い、こういうことを考えますほかに、今度は逆に、パート労働者からの一方的な指摘だけでそういうように判断するといったこともこれはやっぱり適切さを欠くおそれがあると、こういうようなことから、これからこうした法案を提出をして、それを差別禁止としてある意味で義務化をしていくということになる事態を受けますと、なかなかこれからの調査ということでは所期の調査目的というものも確保できないのではないか、こういうようなことで、その旨、御答弁も申し上げたところです。
 じゃ、具体的な何か聞き合わせをしたらどうかというような御指摘もありまして、私ども、まあそういうことがあったからというわけではないんですけれども、事態の推移の中で、担当課が事業主団体等からのいろいろな訴え掛けというものを聞きますと、いかにも今回、差別的取扱禁止規定について、こういう自分のところの労働者だとこれに該当するのではないかというような傘下企業からの問い合わせが寄せられているというようなこともその団体からお聞きすることになりまして、そういう言わば状況から見て、確かに我々が今後、差別的取扱いの禁止をするそういう対象の労働者というものがいらっしゃるということについて私どもとして心証を当然得たと、こういうこともございます。
 また、実際に、衆議院におきます参考人の中にはそうしたことを例として挙げられる等、国会審議の、衆議院の段階でしたけれども、中でいろいろ参考のことをお述べになる中で、まあこの人は伝えられる資料による限りはそうした我々が差別禁止の対象としているそういう方なんだろうなということを推定するような例も挙げられておりまして、そういうことで、今ここで津田委員のこの御質疑に対して具体的に答えろということで、なかなかそれに、ここにいますということで御提示できるというようなお答えでないかもしれませんけれども、我々としてはそういう対象者が、今言ったようないろいろなことを勘案する中で、いないというようなことは考えにくいというふうに正直考えているところでございます。
#197
○津田弥太郎君 いないようなことは考えられないというのは、これ、考えにくいか。これ、この今回の改正案の最大のコアの部分の話なんですよ、今の部分というのは。これで、考えにくいとかそういう話ではなくて、間違いなくいるという話じゃなきゃ、これ、話が展開できないじゃないですか。これじゃ、この審議進められませんよ。
#198
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、そういう御質疑の、何というか、お言葉でございましたので、そういうことは考えにくいです、確かにいらっしゃるというのが我々の確信ですということを申し上げたということでございます。
#199
○津田弥太郎君 大臣から間違いなく一人以上はいるんだと、私が言っていることに違うというんだったら、もう一回言ってください。
 いいですね。いるというふうにおっしゃったから話を進めます。いないということだったら、もうこれでこの委員会はもうこれ以上進める必要ありませんから。じゃ、いるということで話を続けさせていただきます。
 それでは、続けて、この資料に基づいてお尋ねをしたいと思います。
 この資料の一番下の一般パートのDさん。A、B、C、DのDですよ。これは今回の四類型の中で、正社員と職務も異なるパート、正社員と職務も異なるパートを指しているというふうに思われるわけですね。このDさんは、今回のこの改正案が成立をしますと、経験の長さを買われて時給が五十円アップする、いいですね、ということですが、このDさんというのは実在の人物ですか。
#200
○政府参考人(大谷泰夫君) この資料でありますけれども、今回の法律改正について、例えばパートタイムの労働者も四つの区分ができたわけでありますし、非常に、どういう方にどういう処遇の改善なり、差別禁止なり、均衡処遇が図られるか非常に分かりにくいということもありまして、分類してそれぞれのグループごとの記述をしたわけでございます。
 それで、このDさんのケースは、さっき御指摘ありましたように、職務も異なるというグループの方を指しているわけでありまして、これは、時給八百円でしかなかったパートの人たちは点々々というのはこれも例示、まあパートタイムの方はいろんな賃金、地方でも違いますから、あるわけでありますが、ここは一つの例示として、こういった方についてこういったことも考えられるという例示を申し上げたという資料でございます。
#201
○津田弥太郎君 それじゃ、続いてお伺いしますね。
 この一般パートの中で、このDさんのようなケースはおよそ何割、総計何人程度というふうに見込んでいらっしゃいますか。
#202
○政府参考人(大谷泰夫君) この割合につきましては、調査によりまして、職務が同じ正社員がいると答えた方、いないと答えた方の区分で、五〇%がその職務と同じ正社員がいないと答えたわけでありますので、およそ五〇%程度がこのDさんに対象するグループであろうかと考えております。
#203
○津田弥太郎君 人数、人数。
#204
○委員長(鶴保庸介君) 局長、お続けください。
#205
○政府参考人(大谷泰夫君) そうなりますと、仮に現在のパート労働者の数、おおむね千二百万人程度であるとするならば、その五割程度、六百万人程度がこのDさんの対象ではなかろうかと思います。
#206
○津田弥太郎君 さて、資料の二枚目を見ていただきたいんですが、これは公正取引委員会の所管になるわけですが、不当表示という概念があるわけです。この公正取引委員会のホームページから抜粋した漫画、非常に分かりやすい漫画であります。
 大臣、よく見てください。字がちっちゃいんで気を付けて、この言葉を一つ一つよく読んでいただきたいというふうに思うんですが、これを見ていただくとお分かりのように、雑誌の広告に飲むだけで見る見る背が高くなるという商品が載っていて、実際に購入したところ効果が全くなかったというものです。これは不当表示の中でも特に優良誤認という類型になるわけですが、一般論で言えば、内容について実際のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示ということになるわけです。
 この一枚目のパート労働法の改正で賃金がどう変わるかというこの今回の資料、私にはどう考えても不当表示の典型のようなケースに思えてならないわけであります。つまり、例えば一般パートの場合ですと、今回の法案にはわずか努力義務が書かれているだけであり、この法案が改正されれば六百万人の人たちが五十円アップする。今、六百万人って大谷局長言ったんです。
 これは、厚労省の願望としては分かるんですが、強制力も根拠も全くない。これはまあ、恐らく与党の皆さんも私と同意見ではないかというふうに思うんですが、あたかも一般パートの皆さんすべてに時給五十円のアップを約束するような書きぶりになっているわけです。正にパートの皆さんをだまして法案への支持を集めようという点では、これは不当表示の典型的手法なんです。
 これはまあ、不当表示の対象となる商品という点では、法律案ですから、商品とは違いますから、含まれないことはこれは当然だとしても、仮に商品の場合だとすれば、不当表示の疑いのある場合、事業主には合理的な根拠となる資料を公正取引委員会に提出することが求められることになるわけですが、この法案が商品としたならば、この一枚目の資料の合理的な根拠として、柳澤大臣は公正取引委員会に何を提出し、どのような説明を行われるか、御見解をお聞きしたいと思います。
#207
○国務大臣(柳澤伯夫君) どの法律案でもそうでございますけれども、入り組んだ法律の文章というのを読んですっと分かるということはなかなか期待しにくいような、そういう今日の状況でございます。
 そういう中で、私どもとしては法改正の趣旨というものをできる限り分かりやすい形で、場合によって提供をしたり、あるいは場合によって説明の資料として使用をさせていただくというようなことも、法案の説明をしていく場合の便宜としてそうしたことをさせていただいているということでございます。
 今回の、今、津田委員から御提示のありましたこの一枚の簡単なこの資料でございますけれども、これもそうした努力の一環でございまして、こうしたものの常として、ある意味で、いろいろ複雑な条件というようなことについては、これを入れますとなかなか分かりにくくなるというようなことの中で、かなり枝葉を取ったところでできるだけ直接的に事柄を分かりやすくさせていただくということの中で、ややこの正確性ということについては犠牲にせざるを得ないということもございましてこうした表現になっているものでございまして、そういう趣旨のものであるということで、是非これについて御理解を賜れれば有り難いと、このように考えます。
#208
○津田弥太郎君 御理解賜りません。
 これね、この時給八百円でしかなかったパートさんが、このAさんの場合は千二百円にって書いて丸してあるんです。あと、もうみんな同じ。Dさんも五十円アップで丸してあるんです。五十円アップするかもしれませんとか、五十円アップかクエスチョンマークとか、まだそれだったらまだ分かるんですよ。一般に、我が日本国の国語によれば、五十円アップ、丸ってしたら、五十円アップしますと、あえてこれを、この意味を言えばそういう言葉になるんですよ。
 でも、さっきから申し上げているように、このDさん、一番数の多いDさん、六百万人いるって大谷局長おっしゃったこのDさんが五十円アップする、このパート労働法改正案だったら分かりますよ。今、この法案の中身を三日目審議している中で、このDさんたちが、六百万人のDさんたちが五十円アップするという根拠は何にもない。にもかかわらず、五十円アップ、丸と書いてある。これ、納得できません。もう一度納得のいく説明してください。
#209
○政府参考人(大谷泰夫君) この資料でございますが、今御指摘いただきましたように、クエスチョンマークであるとか、なるかもしれないとか、そういう語尾を正しく付けていたら間違いではなかったということで、そこは御指摘のとおりでありまして、この表記については反省するところがございます。
 この資料は、この資料でもって今回の法律改正のねらいを、ちょっと今、口頭説明しながら使わしていただいたものでありますけれども、そういうものであっても正確を期すべきであったということは御指摘のとおりであります。
#210
○津田弥太郎君 だから、私は、公正取引委員会の不当表示に掛かりますよと。今、大谷局長がお認めになったように、六百万人の人が五十円上がるわけじゃないんですよ。だから、この法律を分かりやすく説明するのは結構ですよ。分かりやすく説明するとしたら、一般パートのDさんたちはほとんど変わりませんと書くのはこの改正案の趣旨に基づいた説明の仕方なんですよ。Aさんとこは、それは可能性が、大臣が一人以上はいるとおっしゃったから、それは全く不当表示じゃないかもしれない。しかし、Dさんはそういうことでしょう。
 この法律の今回の改正案の中身についての認識、余りにも法案の実際の中身と宣伝文句が違い過ぎる。これじゃ悪徳不動産と同じになっちゃう、厚生労働省が。とんでもない話です。強く抗議を申し上げておきたいと思います。
 次に移らせていただきます。
 特に重要な問題がございます。今回の審議の中で、差別禁止が及ぶ対象は一人も存在しないという意見がある一方で、政府からは例の財団の調査の四、五%が近似値、先ほども大臣おっしゃいました。それに対して野党の質疑の中では、期間の定めのない契約を交わしている比率を掛ければ一%を切るんじゃないか、こういう指摘も行われたわけであります。
 大臣が一人は存在する、まあ以上ね、一人じゃないですね、一人以上は存在する、関係業界に間違いなくあるというふうに聞いたということでありますから。それにしても、安倍内閣が再チャレンジ可能な社会をつくるという重要政策として掲げ、今回の法改正はその目玉の一つということを踏まえれば、私は大変お粗末だと言わざるを得ない。
 この差別禁止の対象者が極めて少ないということに加えて、この委員会で再三指摘をされたフルタイムパート、これが本法案の対象に含まれていないという決定的な欠陥でございます。これはもうたくさんの人から指摘がされました。
 柳澤大臣に確認をしたいんですが、先月、四月四日の衆議院における我が党の内山議員の質問に対し大臣は、事業主がパートを雇う理由として二つの理由を挙げました。一つは人件費が割安だということ、もう一つは一日の時間帯の中で忙しい時間帯が限られているという場合にパートが効率的だと、二つのことをおっしゃった。これ、この答弁で間違いないですね、大臣。簡単に一言。
#211
○国務大臣(柳澤伯夫君) 平成十七年のパートタイム労働者実態調査を多分、念頭に置いて私、そのときにお答えしているかと思いますが、この調査によりますと、事業主がパート労働者を雇う理由といたしましては、今委員から御指摘のありましたように、人件費が割安とする事業主が六六・五%、また一日の忙しい時間帯に対処するためという理由が四〇・二%、また業務が増加したからという方もいらっしゃいまして、その方が三二・八%というような、そういう調査の結果になっているということを、そのほかにもいろいろ率の低いものとしてございますけれども、代表的な率の高いものとして御答弁として引用させていただいたのがその二つ、また今日は第三位までの三つということでございます。
#212
○津田弥太郎君 ということは、今調査でもありますし、大臣御自身も、人件費が安いということが一番大きな理由だろうということは大臣御自身も認識されているという理解でよろしいですね。
#213
○国務大臣(柳澤伯夫君) この点はもうちょっと基本的な非正規の増えた理由というときに、私は、先般もこの委員会で申し上げましたように、企業の側で世界的な競争の中での経済の構造変化に対応するために非正規というものを活用する度合いが多くなったと。それからまた、それを受け入れる側の労働者の側にも自分が正社員としてよりも非正規社員としてうまく時間を使いたいというようなそういう選択、主としてこの形態の労働を選ぶという側もあったけれども、それはどちらかが主な強い理由かと言われれば、私は前者であると考えますという答弁をさせていただいております。
#214
○津田弥太郎君 後段におっしゃった点は後で議論させていただきます。
 つまり、人件費が割安だということがパートを雇う上では最大の理由になっている。このパート労働者の働き方そのものも正規労働者と同程度の労働時間が多いんです。企業の側でも一日の時間帯別の繁忙にかかわらず同一人数でパートのみをローテーションさせたりしている、こういう事例は多いんです。
 私は、一日の時間帯で忙しい時間が限られているということがパート労働者を企業が採用する最大の理由であるならば、これはパート労働者の側にも短い時間であれば自分は働くことが可能である、先ほど大臣、後段でおっしゃったわけですけれども、そういうニーズがあるわけですから、働き方の多様性ということで肯定的に受け止めることも可能かもしれないと思います。しかし、現実には、パートを雇うということは大部分が労働コスト削減の単なる便法になっている。そうであるならば、通常の労働者と比べ労働時間が短いということのみに決定的な意味があるわけではなく、正規労働者を念頭に置いた労働法制のセーフティーネットからこぼれる人をどうやって救済すべきであるか、このことが今回の法改正に求められた最大の論点であるはずでした。
 大臣、分かりますよね、私の言っていること。
 現在の我が国は、正に安き労働者のたたき合いになっているんです。パート、有期、派遣、請負、そして今外国人労働者です。私は、給料が安いということが企業の最大の競争条件になることをどうやって避けていくか。公正競争という言葉がよくあるわけですが、この公正競争というのは技術力や商品開発力あるいは営業力、生産性向上による価格競争等で行うものであって、いやしくも人件費のたたき合いで行うものではない。人件費というのは正に生きている人間の問題であります。そのたたき合いで企業間競争が行われるというのは正に、正にこれはあしき競争ではないかというふうに考えるわけであります。
 この格差拡大の問題が広く言われるわけですが、非典型労働者の問題を考えるときに最大の論点であるのがこの問題というふうに私は認識をしているんですが、大臣の認識をお伺いします。
#215
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほどもお答えさせていただきましたように、今日、非正規雇用者が増加しているという背景は、グローバリゼーション、つまり国際的競争場裏において企業がそうした経済構造の変化にどう対応していくか、それと労働者側の価値観の多様化というものが背景にあるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 前者につきましては、たたき合いという委員の仰せでございまして、そういう面も現象的にはあるわけですが、私は、やっぱり人件費あるいは賃金というようなものを考えるときに、今の経営者というのは常に、この近隣のもうちょっと低賃金の国に進出をした場合とやはり彼此勘案せざるを得ないという側面もあるんだろうと思うわけでございます。
 したがって、完全に閉じた我が国だけの労働市場あるいは経済の市場というものであれば、今委員が仰せのように、これはもう、ちょっとある種のダンピング競争が行われているんではないかというような立論も成り立ち得るというふうに思うわけでございますけれども、私はもちろんそういう面も全く否定するわけではありませんけれども、しかしながら私が見聞していろんな経済の方々の意思決定というものを考えるときに、常に、自分がもし海外に進出していったらこの品物が幾らでできるかという意味で、間接的にそうした労賃の安い国における人件費ということもある程度は念頭に置いていろいろ考えていかざるを得ない。
 この辺りがなかなか、私ども、今労働賃金というものをもうちょっと上げる中で、消費というものを力強いものにしたいという経済運営を考えながらもなかなかその辺りのところがうまく展開していかない、そういう背景には今言ったような状況がある、これをどうしていくかという、そういう我々は問題意識を持っているということを是非御理解賜りたいと思います。
#216
○津田弥太郎君 何をおっしゃっているか分からない。
 要は、現実の取引の中でチャイナプライスという言葉はございますよ。チャイナと同じ値段で作ってくれるならおたくに仕事出しましょうと、こういう話になれば、当然、それを受けた会社は、チャイナと同じ価格で物を作るためにはチャイナの人たちと同じ労働条件で働かせなければならないという、そういうことが出てくるわけです。
 ということで、今の様々な労働条件のより安い労働力、より安い労働力、正規従業員ではなくて派遣あるいは外国人、そういう形で底が抜けちゃっているんですよ。だから、今回の法案も、幾つかある法案と合わせて底が抜けた状況を少し底上げしようという意味合いが私どもは期待をしていたんです。
 大臣も、確かに経営者の方々の様々なそれも大変な事情は分かるけれども、そこはやっぱり、日本で人を雇って商売をやる以上は最低限のものはきちっと守ってくださいよ、出すものはきちっと出してくださいよというふうに理解をしている、だからこの法案を出したという理解でよろしいんですか。
#217
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもはそのように是非御理解を賜りたいと、このように思っているわけでございます。
 余り時間を取っては失礼なんで、るる申し上げることは避けたいと思いますけれども、そこのところは、生産性であるとか、あるいは製品の最終的な質であるとかという、そういう価格外の競争力というものを重視していただいて、最低賃金、それからまたこのパート労働法等を通じまして、私どもとしては、賃金の引上げというものが実現できるように、その法的な言わば基盤づくりをさせていただいておるというつもりでございます。
#218
○津田弥太郎君 分かりました。
 具体的なちょっと数字をお尋ねをしたいというふうに思います。
 正社員とパート労働者の所得格差については本委員会でも既にもう何回も触れられておりますが、このパート労働者の中で、期限の定めのある契約を締結をしている労働者と期限の定めのない契約を締結をしている労働者について、一時間当たりの所定内給与額だけでなく、年間給与その他特別給与額も合わせた平均額、それぞれ男女別でどのような数字になっているでしょうか。
#219
○政府参考人(大谷泰夫君) 平成十七年度の賃金構造基本統計調査によりますと、有期契約のパート労働者の一時間当たり決まって支給する現金給与額は、男性が千七十四円、女性九百五十六円となっております。また、期間の定めのない契約のパート労働者につきましては、男性が千六十三円、女性が九百二十六円となっております。
 また、年間賞与その他の特別給与額について申し上げますと、有期契約のものにつきましては、男性が三万八千八百円、女性が三万六千三百円、それから期間の定めのない契約のものにつきましては、男性が二万五千八百円、女性が三万八百円となっているところでございます。
#220
○津田弥太郎君 ちょっとその数字の根拠をお聞きしたいんですが、少なくとも私の経験でいうと、有期のパートと無期のパートでは一般的には無期のパートの方が賃金が高いんではないかというふうに推測をしていたんですが、今の大谷局長の説明では有期のパートの方の方が賃金が高いというふうに説明をされましたけれども、それは間違いないですか。
#221
○政府参考人(大谷泰夫君) この賃金の統計につきましては、職務内容等々のものが分からないわけでありますので、額面だけでこの統計を引っ張りますと今言ったような数字になったところでございます。
#222
○津田弥太郎君 短時間労働者で現存している方々でいえば、例えばいわゆる育児休業の後に短時間勤務をされる方とか、あるいは介護のために短時間勤務をされる正社員だとか、そういう方々が入ってくるわけですよ、当然として、当然として。それで、そういう方々も含めた計算をしているのかどうか。根拠は、今おっしゃった男性、女性でそれぞれそんなに大きな違いはないわけですが、十円から三十円ぐらい違っていますよね、二十円くらいですか。それはどういう分析されています。
#223
○政府参考人(大谷泰夫君) さっき申し上げましたように、この統計そのものがそういう職務の内容とか、今おっしゃったようなどういう条件で、例えば期間の定めのある労働、定めのない労働について、あるいは定めのなかった労働について、そういった背景等これは捨象されておりますので、ちょっとその個々の含んでおる数字の背景については現在、手持ちの数字を持っておらないところでございます。
#224
○津田弥太郎君 有期、無期というのは大変重要なところなんですね、先ほど大臣もおっしゃっておりましたけれども。ここのところが実はこのパート労働者の労働条件の改善ができない。ほとんどの方が有期で働いているんですね。
 だから、ここのところの状況をしっかり把握しないで本当は議論を進めてはいけないんだと思うんですが、まあ時間が限られておりますから更に深めていきたいと思いますが、既に統計で明らかになっておりますように、パート労働者の七割が有期雇用である。さらにはフルタイムパートと呼ばれる、所定労働時間が通常の労働者と同じ有期の契約労働者には看過できない差別的待遇が散見されていることなどを踏まえるならば、私は、問題の本質というのは、今回の法案の、正にこの有期労働にあるのではないかというふうに考えるわけです。そうであるからこそ、正社員と同視できる働き方をしていた有期労働者が、週三十九時間労働の場合には今回の法案で救済をされ、正社員と同じ週四十時間労働の場合には直接の法律上の救済を受けないということは、これは理解できない。
 大谷局長、例えば正社員と同じ労働時間を働いていることにより本法の対象とならないフルタイムパートの方々が、例えばですよ、所定労働時間を週一時間短くしてください、週一時間ね、正規従業員の労働時間よりも一時間短くしてください、そのことで私はパート労働法上の、今回の改正法の救済を直接に受けたいということで事業主に申し出た場合は、事業主はこれを拒むことはできないという理解でよろしいですか。
#225
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘の事例はいわゆるフルタイムパートに関するものでありますけれども、繰り返し申し上げておりますが、これらの方々はフルタイムの有期契約の社員でありまして、短期、短時間の労働者でないためにこのパート労働法の適用はないものの、その改正法に基づきまして、事業主がパート労働者について、その働き、貢献に見合った公正な待遇を実現する観点から正社員との待遇の均衡を図る場合に、雇用している労働者全体の納得性、公平性を考えますれば、法律によって措置を求められていないフルタイムの有期契約社員の雇用管理に当たりましても、この改正パート労働法の考え方が考慮をされるべきものでありますし、また企業の雇用管理の実態を考えましても、当然そういうふうにしていただくことが望ましいと考えているわけでございます。
 したがいまして、今御指摘の事例の場合に、週の所定労働時間を短縮するまでもなく、本当は正社員との均衡の取れた待遇の確保が望まれるところでありますけれども、仮に、今お話しになったような、その一時間削って、例えば所定労働時間が正常の社員だったのに、パート、この法案の対象になりたいというケースが出た場合でありますけれども、これは基本的には労働契約の変更となりますために労使の話合いによるわけでありますが、その合意がなされればそのような取扱いにはなりますが、一方、事業主が同意するところまで義務を果たすかというと、この法律の枠組みではなかなか難しいと思います。
#226
○津田弥太郎君 今みたいな話をこういうのにちゃんと載せるのが重要なんですよ。本当にフルタイムパートの人たくさんいるんですよ。
 大谷局長、一時間労働時間を短くしてほしいというのは、いっそ時間給でお金をもらっているわけですから可能なことなんですよ、一時間短くしてほしいと。だけれども、一時間短くしても、実はこの救済を得ることができるなら収入は増えるわけですよ。労働時間が減って収入が増えるなんて、そんないい話はないわけ。そういう話を大いに宣伝をしてこそ、こういう宣伝、この効果があるわけですよ。このDさんみたいな話を幾ら言ったって、これ、ないわけであって、私は、局長、今みたいな話を大いに書いてほしいんです。だから、事業主の皆さん、一時間短くして、みんなをもっと賃金高く上げてください、こういうふうに言っていただければ実効性がより確保されるわけですよね。より多くの人たちが適用されていくわけですよ。そのことを私は指摘をしているわけで、こんな可能性のないDさんの人たちのことを挙げてほしくはないということを指摘をしておきたいというふうに思います。
 さて、このフルタイムパートの待遇が向上しないというこの問題であります。その最大の理由はこの有期労働という問題を指摘をさせていただきました。大臣は、この有期というのは企業側からすればやむを得ないんではないかというお話もされました。
 事業主に自ら待遇上の不満を述べてしまったら、契約が更新してもらえない、そういう不安感で多くのいわゆる有期労働契約をされているパートタイマーの方々は言えないんです。事業主の方々に待遇改善をしてほしいと言えないんです。
 ですから、期間の定めのない労働契約における解雇は、これはもう御案内のとおり、基本的には解雇権濫用法理が確立をされております。また、期間の定めのある労働契約についても、反復更新という場合には契約の更新拒絶について同法理が類推適用されるということは確かであります。しかし、これはハードルが極めて高い。
 大谷局長は、法改正後にはフルタイムパートの方についても、雇用均等室だけでなくて、全国三百か所の総合労働相談コーナーで相談に応じるというふうに答弁をされておりますよね。うんうん、うなっている。そうした相談自体が、果たしてこの有期労働で働いているパートタイム労働者はその相談をしに行けるだろうか。これ極めて難しい。相談したことで契約が更新されないんではないか、あるいは、相談したとして待遇が改善をされるという法的根拠はないわけです。しかも、最近は契約期間は一年なんというのはむしろ例外、二か月、三か月、どんなに良くても半年、長くて半年というのがせいぜいであります。この有期契約労働者の雇用というのは、これは大変不安定な状況というふうに認識をしております。
 そこで、半年以下の契約期間を結んだ労働者のうち、自らの希望で有期契約を結んだという、そういう労働者の比率はどれくらいになっていますか。
#227
○政府参考人(大谷泰夫君) 契約期間を限定して、自らの希望で有期契約を結んだ労働者の比率について調査したというものがないわけでありますけれども、パート労働者が雇用期間を定めて就労している理由としましては、これ平成十七年の有期契約労働に関する実態調査がありまして、これによりますと、例えば、正社員として働きたいが個人的な事情により勤務時間、日数を短くしたいからというもので、これが三〇・八%、また、契約期間が自分の希望に合っていたから、契約満了後は辞められるからと答えた方が一九・五%と、こういったデータはございます。
#228
○津田弥太郎君 だれも、大臣もさっきちょっとおっしゃった有期のことで、要は、個人的な事情で私は五時間ぐらい働きたいという人はいるかもしれない、それはいるでしょう。だけど、有期でいいと思っている人というのは果たしているだろうか。それが自分のライフワークに合っているとすればそういう形でずっと働きたい。二か月とか三か月ということを望んでいる労働者は、大臣、御自分の良心に、胸を、手を当ててみて、そういう労働者、たくさんいると思いますか。いかがですか。
#229
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今委員が言及されたような期間ということになりますと、これはもう極めて例外的だろうと思いますね。私が想像するのは、あるコンピュータープログラムを会社が変更する等の場合に、若干請負的な面もありますけれども、それを契約、雇用契約という格好でやる場合にそれをどのぐらいの期日でやるかというようなケースをいつも想定しておりますが、まあ余りないんじゃないかと思いますね。
#230
○津田弥太郎君 それでは、関連してお尋ねをさせていただきます。
 パート労働者に関する雇入れ通知書のモデル様式というのは昭和五十七年十二月に通達で出されたものが最初のようでありますが、そのときからモデル様式には雇用契約期間に関する記載欄が設けられていたようであります。
 そこで、お聞きをしたいんですが、この通知書に雇用期間の有無の欄が創設されたことにより、この通知書に雇用期間の有無の欄、その創設されたことにより、それまで期間の定めのなかったパート労働者が有期の契約に切り替えられたり、あるいは新たに仕事に就くパート労働者が有期契約となる割合が高まっていったとの意見があります。これについて、具体的な検証を行ったことあるかないか、お答えください。
#231
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘になりました雇用雇入れ通知書のモデルでありますが、このモデル様式によりまして労働条件を明確化していくということで、あいまいな条件によって使用するという前近代的な労使関係を正し、透明性や労働者の納得性を高めるものになると考えたところでありますが、実際にこの昭和五十七年前後、これによりパート労働者が有期契約となった割合が高まったかどうか、数字的な検証は行っておりません。
#232
○津田弥太郎君 分かっておらない。これは大事な問題なんですね。この有期契約か無期かという部分、これ、もうすべてに引っ掛かってくる話なんですね。調べていない、非常にお粗末。
 さて、先週の火曜日の質疑で大谷局長は、今回の法改正の最大の論点、まだ一週間前の話ですからよく覚えていらっしゃると思うんですが、こう答弁された。パート労働者だからという理由で一律の待遇となりやすく、結果として働きに見合った待遇となっていない、あるいは納得を得られないというふうにおっしゃいました。これはそっくりそのまま有期労働者に置き換えることが可能なんです。つまり、有期労働者だからという理由で一律の待遇となりやすく、結果として働きに見合った待遇となっていない、あるいは納得を得られない。
 大谷局長、うんうんとうなっている、うなずいているということなんですね。この有期契約労働者の問題につきましては、先週の委員会の局長からは、労働政策審議会労働条件分科会でも審議が行われたが、労使の間で十分に取りまとめの段階に至るまで議論が熟さなかった。結局、引き続き検討することが適当であるとなったというふうに答弁をされましたよね。この労使の間で合意がなされなかったという意味は、これは当然ながら労働者は有期契約労働者と正規労働者との均等・均衡待遇を求め、経営側がこれを拒否したというふうに理解をしております。問題は、この経営側がノーと言ったら法改正に取り組めないようでは、何のための厚生労働省なのかということです。特に、今期は過去最高益を更新する企業が続出しているわけですから、そうした企業利益を労働者に還元すべきなんです。
 そこで、大臣にお聞きをします。
 一つ目、有期労働に関する問題について、今後具体的に何年後を目途として法改正を行うつもりでしょうか。
 二つ目、法改正までの間についてお尋ねをいたします。有期労働の雇入れ期間について、その期間に明確な根拠がないまま、いつでも更新を拒否できるという形で企業が労働者に対して悪用していることについて、強い指導を厚生労働省は行っていただけるのかどうか。大臣の、二点お答えをいただきたいと思います。
#233
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、有期労働に関する問題に関しましての法改正の将来見通しでございますけれども、有期労働契約につきましては、有期労働契約が良好な雇用形態となるようにすることが重要であるという認識が基本にございます。有期契約労働者と無期契約労働者との間の均衡を含めました労働条件に関する労働者間の均衡につきましては、労政審から労働者の多様な実態に留意しながら必要な調査等を行うことを含め、引き続き検討することが適当と、これは何回も申し上げていることですが、答申がございました。
 現時点において、具体的な検討時期を定めているわけではありませんけれども、今後、この答申を踏まえて必要な検討を進めるということでございまして、関係の皆さんにおきまして強い認識というか意識を持っているということで、その中で検討が進められるということでございます。
 次に、有期労働契約を締結する使用者に対する指導についてでございますけれども、この問題をめぐって、特に有期労働契約の雇い止め等をめぐる紛争を未然に防止するように図るために、労働基準法に基づきまして、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準というものを大臣告示の形で定めております。
 具体的にこの基準におきましては、契約締結時の契約の更新の有無等の明示、それから契約期間満了日の三十日前までの雇い止めの予告、さらに雇い止めの理由についての証明書の交付、また契約期間はできる限り長くする努力といった、労働者が予期せぬ更新拒否によって不利益を被ることがないようなルールを定めているところでございます。
 この基準に関しましては、リーフレット等を活用してあらゆる機会を通じて事業主等に周知を行っておりますが、さらに、雇い止め等に関する問題事案を把握した場合に必要な助言、指導を行いますと同時に、監督指導時におきまして、基準に適合していない事実を認めた場合には更に必要な指導を行っているということで、この有期労働契約にかかわる使用者に対する指導に万全を期していきたいと、このように考えております。
#234
○津田弥太郎君 二問目はいいです。一問目は役人言葉なんですよ。これ、有期労働の問題、きちっとやらなかったらこの法案完成しないんです。だから、大変不満です。ここは本当に、この問題が、しっかり答えていただかないことには極めて納得ができません。
 時間がちょっと経過をしておりますんで一問飛ばして、端的な答弁をお願いしたいと思うんですが、正社員と同視できる働き方をしているかどうかの検証の問題です。
 全期間というふうになっている意味、この全期間、当該期間の一部で人材活用の仕組みが異なる場合は長期的な人材活用の仕組みが同じであるとは言えないという答弁がございました。それでは、正社員と同視できる働き方をしているパート労働者が定期的に単純労働を短期間やらされ、そのために法案の差別禁止の対象から除外されるような経営側の意図的な脱法的な措置は決して認めない。
 これ、現実にあるんです。ふだんはコアの仕事としては正社員と同じ仕事をしていて、段取り替えのときに、正社員が段取りの仕事をしていて、パートタイマーが、言ってみれば、清掃、片付けをしているというような場合はあるんです。そうすると、そのコアじゃない部分で清掃、片付けをしていることを理由にこれは違うんだというふうに言われたら、これはもう完全にこの抜け穴探しになっていくわけであります。
 こういうことは絶対認めないというふうに明言をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#235
○政府参考人(大谷泰夫君) 改正法案の第八条等によりまして、職務の内容や人材活用の仕組みが正社員と同じであるかどうかの判断に当たりましては、まず一つ、職務の内容でありますけれども、これは臨時的、付随的な業務まで含めて重なることまでを求めるものではございません。正社員の業務のうち、コアとおっしゃいましたその基幹的な業務をパート労働者も担っているかどうかを見るということになるわけであります。
 それから、人材活用の仕組みについて申し上げますと、人事異動の範囲が正社員と一〇〇%合致しているというようなこれは比較ではなくて、一つは、正社員が経験する職務の範囲がパート労働者と比べて広いことが明らかであるとか、あるいは、正社員には部門間の異動があるがパート労働者にはないとか、正社員には転居を伴う転勤があるがパート労働者には転居を伴う転勤がない。こういったいずれにも当てはまらない場合を指すことを予定しているわけであります。
 今御指摘がありましたケースでありますけれども、人材活用の仕組みにつきまして今述べた内容を判断基準としているわけでありますから、一時期、パート労働者にコアと関係ない部分で通常の労働者と別の業務を経験さしたとしても、それのみで社員と人材活用の仕組みが異なるということにはならないというふうに考えております。
#236
○津田弥太郎君 分かりました。
 大臣、続いてお尋ねをしたいと思うんですが、これまで何回か質問が出た正社員の労働条件の切下げの問題です。
 つまり、この改正案に違反しないためには、パート労働者の労働条件を上げるか正規社員の労働条件を下げるかと。まあ言ってみりゃそのどっちかで、目的は、この法違反にはならないという、つまりやってはならないことを企業が絶対やらないという保証はどこにもないわけです。ですから、この一般法理に照らして、こういう理由のない不利益な取扱いで禁止をされるということを明確に答弁をいただきたいと思いますが。
#237
○国務大臣(柳澤伯夫君) 労働条件の引下げ防止の措置につきましては、本改正法案に特段明記していないところではありますが、明確な規定がございませんでも、労働条件の不利益変更を事業主の一存で合理的な理由なく一方的に行うことは、およそ法的に容認されないものと考えております。
#238
○津田弥太郎君 断言していただきました。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、この比較の尺度の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
 実効性ある今回の法案をするためには、どうしても同一価値労働同一賃金の考え方を生かしていくことが不可欠であります。均等、均衡の比較のための物差しづくりが重要性を増していくわけであります。厚労省として、今後ともそうした先進事例の情報収集、提供を行っていくということは明言されておるわけですが、事例紹介だけでは不十分です。物差しづくりについて、業界団体の取組促進を含め行政としても指導を強めていただきたい。
 この物差しづくりの検討の場をつくるということも含めて前向きな、役人言葉ではない本当に前向きな見解を述べていただきたいと思います。
#239
○国務大臣(柳澤伯夫君) そもそも、今回の改正におきまして、通常の労働者との均衡を考慮してということを更に徹底していこうという考え方の下で、一体均衡とは何かということについて検討を積み重ねてきたのでありますが、我が国における雇用の実態、これはまあ職務給でないということですが、そういうことから、現実味のある物差しについて合意を得るに至らなかったということでございます。そこで、本改正法案は、それに代えて、働き方の違いごとに具体的な待遇の水準を決めるという方法ではなくて、そのような水準の設定に相当するような均衡待遇のための措置ということを事業主に課す、そういう体系にいたしたわけでございます。
 しかし、今、津田委員から御指摘のとおり、パート労働者の均衡待遇の更なる徹底、推進ということのためには、この尺度の重要性は十分私ども認識しているところでありまして、厚生労働省といたしましては、繰り返し申し上げましたとおり、今後とも情報の収集をして、まあこれは正直申して実態の方が変わるということも必要でございます。しかしながら、我々としても、いかにしてこの尺度によって均衡を実現する方途を我々のものにするかということにつきましては、いろんな機会を設けて私ども取り組ませていただくつもりでございます。
#240
○津田弥太郎君 分かったような分からないような、いつもそうやって煙に巻くことが上手で、やっぱりやるならやる。それは必要なことだってお認めになっていらっしゃるんですから、大臣、もう今の時代ははっきり言うというのは大事なことですよ。御忠告を申し上げておきたいと思います。
 なお、与党の方の出席者が非常に少ないんで、これ以上質疑を続けるかどうか、ちょっと警告を発しさせていただきますね。
 時間がなくなってきました。文科省から見えていると思います。
 イギリスでは、日本の社会とか公民という教科の中の一つとして、市民科という教育課程の中で、日本の中学に相当するところで労働世界における権利と責任ということで、例えばこの正規労働者とパート労働者の差別待遇を禁止すること、そういうことについても教育をしているというふうに聞いております。
 文科省としては、今回のパート労働法改正によって、中学の授業においてこの正規労働者とパート労働者の差別待遇の禁止といった内容をきちんと盛り込むことになるのかどうか、お答えください。
#241
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 最初に、イギリスのお尋ねでございますけれども、イギリスの市民科という科目、それが、ナショナルカリキュラムにおいて十四歳から十六歳までの段階では、消費者、雇用者、被雇用者の権利と責任について理解させることというふうに規定されております。それを踏まえて教授計画という、この教授計画は法的拘束力はないものでございますけれども、その中の学習活動例としては、アルバイトをしている生徒が自らの被雇用者としての権利と責任について議論することというところまでは把握できたところでございます。
 現在の日本の教育についてでございますが、中学校の社会科の公民的な分野におきましては、国民生活と経済という項目の中で、雇用と労働条件の改善につきまして、勤労の権利と義務、労働組合の意義、労働基準法の精神と関連付けて考えさせることというふうにまず学習指導要領で規定してございます。
 それを踏まえまして、中学校の教科書におきましては、例えば現在働いている人のうち三人に一人は正社員ではないパートタイムや派遣などの労働者であり、その割合が増えている傾向にあること、またアルバイト、パートタイム労働は時間は自由になるが雇用は不安定であること、それからアルバイト、パートタイム労働者、日雇など、不安定な条件の下で働く人々の雇用の安定も大切な課題となっていることが教科書に記述されているところでございます。
 今後、今回の法改正の趣旨というものが法律の制定後、中学校社会科において教育内容の充実につながるよう努力をさせていただきたいと考えております。
#242
○津田弥太郎君 よろしくお願い申し上げます。
 私の質問が終わった時点でまだ与党がこんな状況だと、これ以上進行できないことをもう一度警告をさせていただきます。
 最後に、私の思いを述べさせていただきます。
 これまで指摘をしてきましたように、今回のパート労働法の改正案は、法律の条文を読む限り極めて実効性に乏しいことは事実であります。もちろん、そのことに対する強い不満はあるわけですが、あえて好意的にとらえるならば、行政の過度の介入が行われることによる弊害を避けることができる、そのように理解するしかないかもしれない。加えて、法案に強制力がないことにより、結果として個々の労使関係が試されていくことになるかもしれない、あるいは試されていくことになるというふうに思われるわけであります。
 すなわち、法律に強制力がないために、これまで以上に経営者とそこで働く労働者の間で、不毛な対立ではなく真摯な意見交換が恒常的になされていくことが大切になってくるということであり、そのためにはやはり私は、健全な労働組合があらゆる事業所に結成されていくことが必要だというふうに考えるわけです。もちろんそれは、欧米のような機能的、横断的な組合か、企業別組合かは別であります。
 具体的に言えば、例えば我が事業所のパート労働者のAさんは差別禁止の労働者の要件に該当するのかどうか、そうした判断を適切に行うためには、目に見える労働組合があることが最も大切であります。自分で自分のことはなかなかできないんです。労働組合があれば、Aさんを何とかしようと会社と真摯に話し合うことができるんです。つまり、経営者にとって安く使うことがいいことではないんだ、均等や均衡といった時代の流れに沿った改革をすることが不可欠であるとともに、一方で、労働者にとって、自分だけ労働条件が向上をすればよいのではなく、お互いがお互いを引き上げていくという意識が私は求められているものと考えるんです。
 そのためには、当然一人では無理でありまして、憲法に保障された労働三権を具現化するための自主的な労働組合、労使関係の中で解決をしていくことが最も望ましいわけであります。そして、そのことは、パートタイマーの方だけに限らず、非正規の労働者の労働条件全体の引上げにもつながっていくわけであります。
 強制的に法律でやることも必要ではありますが、それだけだと私は、偽装請負など抜け穴探しになってしまう。そうではなく、労使がともに法の趣旨を守っていこうという機運を高めること、これが不可欠であり、厚生労働省としてもそうした啓蒙活動を労使に徹底していただきたいというふうに強く考えているわけですが、最後に大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。
#243
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私、パート労働というものを考えるときに、識者によっていろんな議論がありました。それを余りたくさんは読んでいないわけですけれども、一、二、読ませていただいてなるほどと思ったくだりに、パートの問題というのは一時期、前は完全に語弊があって、誤解のないようにお願いしたいんですが、言わば女子供の問題であったと、こういう描写、表現をしている識者がございました。全く私はそういう時代もあったんだろうと思います。
 しかし、今現在、そういう状況にはない。したがって、私どもは真っ正面からこのパートあるいは非正規の労働というものに取り組んでいかなければいけない、そういう時代になったんだと、こういう指摘もございまして、私ども今回のパート労働法の改正も、今委員、いろいろ御指摘をいただきつつも、やや温かいお言葉もいただいたわけでございますけれども、そうしたことの努力の一環ということで是非御理解を賜りたいと、このように考えます。
 その際、一番大事な問題は、労働組合がやはり、例えば説明を求めたいという労働者がいたときにそれを取り次ぐというような、そういう働きもそこにあってしかるべきではないか。なかなか本人がそれを申し出るというのには困難、抵抗があるんではないかというような、実に現場の実情にお詳しい委員のお言葉として重く受け止めたわけでありますが、私どもも、そのような観点から、健全な労働組合がもっとこうした方々をその傘下に加えられるということは望ましいことだと、このように考えております。
 現に、そうした努力が行われているということを私どもは非常に頼もしい動きだというふうに思っておりまして、今回の春闘におきましても、これは非正規の処遇の均衡化ということの一つの御努力かと思いますけれども、賃金の引上げについて非常に、正社員あるいは正規の組合員以外のそういうパートの方々の賃金水準についても、これを労使交渉の俎上にのせていくというような御努力があったやに伺っているわけでございますが、是非ともこういう労使関係の全体につきましても、健全な労働組合を通じて労使の話合いが緊密に行われ、そういう中でこの問題が現実に実効性ある形で解決をされていく、必要に応じて修正をされていく、そういうことを強く期待をいたしたいと、このように考えております。
#244
○津田弥太郎君 終わります。
#245
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 最初に、昨日、規制改革会議が提案した労働法制の提案文書について、先ほどのちょっと議論もありましたので、お聞きをしたいと思うんです。
 先ほど室長は、この提案というのは一般論であって、特定の法案について言及したものではないというような趣旨で発言をされました。しかし、これを見ますと、最後のところにパートタイム労働法と明記してありまして、これについては、今国会へ提出されたところであるが、同法所定の通常の労働者と同視すべき短時間労働者であっても、通常の労働者との間には、賃金の決定方法等について、やはり大きな差異があるのが現状である。よって同法所定の対象をいたずらに拡大することには慎重であるべきであると。正にパート法そのものについて言及しているじゃないですか。先ほどの答弁との関係、いかがですか。
#246
○政府参考人(田中孝文君) 誤解が生じたとしたらおわび申し上げますけれども。
 先ほどは、新聞で報道されている最低賃金の引上げに反対しているということに対して具体的に最賃法のことについて言及したものではないという、ここのところに関しては、先ほど御説明したように、不用意に最賃を引き上げるということに関しては、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮化することにつながるという一般論を書いてあるというふうに御答弁したつもりでしたが、誤解を生じたようでしたらおわび申し上げます。
#247
○小池晃君 しかし、今正にこれは、この法案は国会で審議されているわけですよ。しかも、その中で、野党としてはこれは問題点を指摘をしていますし、政府の方からは、厚生労働省の方からはできるだけこの均等の対象を拡大すべくやっていくんだという答弁されているわけですね。それは、我々としては是認していません、非常に不十分だと思うけれども、政府答弁としては拡大すると言っているときに、規制改革会議は全く百八十度異なる見解を出す。こういうことがまかり通っていいんですか。そんなことを承知でこれを提案されたんですか。
#248
○政府参考人(田中孝文君) 本文書の性格について先ほど少し答弁いたしましたが、この文書につきましては、二月二十三日の第二回規制改革会議において設置が認められました労働タスクフォースという下部組織において、今後三年間に行うべき規制改革の課題を検討するという観点から、現段階の意見を取りまとめたということでございます。
 したがいまして、現段階では規制改革会議そのものの意見ではございませんが、いずれにしても、その報告書の最後のところに、労働分野においては、以上のような観点から、新しい時代にふさわしい労働システムの在り方について、今後三年間検討を進めていくことにするということを、その性格を明らかにしているところでございます。
#249
○小池晃君 大臣、正に今審議されているパート法案について厚生労働省の国会答弁とも百八十度異なるような見解が出されているわけですよ。しかも、それだけではない。同一労働同一賃金にも反対。最低賃金を引き上げることにも反対。しかも、中身を見ますと、例えばこんなことも書いてあるんです。行政庁、労働法・労働経済研究者などには、このような意味でのごく初歩の公共政策に関する原理すら理解しない議論を開陳する向きも多い。当会議としては、理論的根拠のあいまいな議論で労働政策が決せられることに対しては、重大な危惧を表明せざるを得ないと考えていると。ここまである意味なめられたような文書を出しているわけですよ。
 大臣、やっぱりこれは、私、むしろ私なんかは、これはもう財界の利益のみを根拠にしたあいまいな議論で、労働政策にこういう規制改革会議が介入してくることには重大な懸念を私は持つわけですが、これだけの中身を出されておいて黙っているわけにはいかないんじゃないんですか。私は、今正にパート法の審議もやっているんですから、その中で、全く政府見解と違うことが規制改革会議から出てくる中で、これは法案審議なんかできませんよ。これを撤回しなければ、私はこの法案審議はできないと思いますが、撤回を求めるべきじゃないですか。
#250
○国務大臣(柳澤伯夫君) 委員の御指摘は私といたしましても理解するところであります。先ほど来申し上げておりますように、この法案を出し、また担当の省のみならず、内閣におきましても、そういう最低賃金の問題について将来、中長期的にこれを引き上げる方向でその条件をいかにして整えるかということについて議論をいたしている、そういう状況の下で、政府のこの一部門の末端の組織といえども、こうしてその方向性において全く違うようなことを意見表明するということは、これはもう随分異例のことであると思うし、適切さを全く欠いていると私は考えております。
 小池委員の方からは、この撤回を求めるべきと、こういうふうにおっしゃいますけれども、これは規制改革会議の下のグループの、更にその下のまたタスクフォースということでございますので、ちょっと私どもとしてはそれほど大きく相手にすべきことでもあるまいと、このように考えております。
#251
○小池晃君 しかし、報道ではこれが規制改革会議の提言であるかのような報道がされているわけですから、これは一般的にはそう受け止められている。
 しかも、中身見ますと、例えば最高裁判例についても、最高裁の判例が社会経済的に合理的な結果をもたらしているかどうかを政策判断の観点から厳格に検証することもある、こうまで言っているんですね。最高裁判例までこれけ散らすようなとんでもない議論が、これは末端、末端とおっしゃるけど、政府の中枢でしょう、正に今、そこから出されてきている。私は余りに異常だと思います。
 こういうことに対しては、きっちり厚生労働省としてもやっぱり物を言っていくべきだし、私は、これ、法案審議やっているさなかですから、しっかり大臣としても、採決、今提示されていますが、まだ採決されるわけじゃないんで、これしっかり、こういうことはもう言うなということを言っていただかないと、私はこれは国会審議にも重大な影響を与えるというふうに申し上げたいと思います。
 それから、中身に入っていきたいんですが、これは「雇用融解」という最近出された本で、パート労働者の実態が出ているんで、ちょっとそこから今日、話をしたいんです。
 この本で紹介されている百円ショップの大手のザ・ダイソー、大創産業のパート労働者に対する解雇ルールの問題を取り上げられているんですが、ここでは一万人のパート労働者が働いて、正社員の店長が一人で複数店を統括していると。二千四百店舗というから一店舗当たりパート四、五人で運営しているわけです。このパート労働者の雇用契約書には、棚卸しの際に在庫の紛失率は一%を下回ることと、上回ったら雇用契約を解除できるという規則があるそうなんですね。実際に関東のある店舗の女性パートは、〇五年夏の棚卸しでロス率が一%を上回ったら、退職強要されて、抗弁したものの、その場で退職願を書かされて、表向き自己都合退職ですけれども、事実上解雇されたというんです。正社員の店長は常時いない状態なんですね。ところが、そのロス率一%を超えた損失責任を、その店舗で働くパート労働者に事実上の解雇という形で取らせているわけです。
 厚生労働省にお聞きしたいんですが、ロス率一%以上は解雇、雇い止め、こういうふうに業務上の成績を雇用契約の要件とするというのは、これ社会通念上からも認められないのではないですか。
#252
○政府参考人(青木豊君) ちょっと具体的な事例について今この場で御質問がありましたけれども、労働契約においていかなる労働条件を定めるかは、これは、法令あるいは強行法規、あるいは公序良俗、そういったものに反しない限り当事者の合意にゆだねられているというふうに考えております。その中で、解雇事由として、成績が振るわない、能力が不足しているというようなものを解雇事由として定めている例というのはそう少なくないと思います。
 これについては、成績不振を解雇事由とすること自体は、それをもって直ちに公序良俗違反で無効だということにはならないというふうに思いますが、しかし一つは、今お示しになった例がちょっと、度数率一%というのがどの程度のところかちょっとにわかには判じかねますが、通常のロスが生ずるようなものであれば、そういったものが合理性があると言うのはなかなか難しいのではないかとも思いますが、それは具体的な事情を見てみないとなかなか分からないと思います。
 また、さらに、解雇事由が具体的に定められて、それが有効であるということでありましても、今度、その解雇事由に基づく解雇というのがすべて有効とされるというわけではないというふうに思っております。解雇については、今ほど申し上げましたように、個別具体的な事情、そういうものに照らしまして、現在、現行法の労働基準法十八条の二の規定によりまして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効とされておりますので、これに従って個々具体的な事情を勘案して判断されるということだというふうに思っております。
#253
○小池晃君 百円ショップっていうのは、在庫管理は極めてラフなんですね。要するに、レジなんかも百円のものを何点買ったというような形でしかやっていませんから、いわゆるPOSシステムみたいなのはほとんど導入されていない。そういう中で一%のロス率というのは、かなりこれはもう当然ぐらいのことなんだというのが関係者の話なんですよね。万引きの問題なんかもあります。そういう中でそれが全部労働者の責になっているというのは、これは非常に重大だと私は思うんですが。
 法案に関連してお聞きしますが、この例えばダイソーというのは、正社員というのは幾つかの店舗を掛け持ちしている店長だけなんです。それ以外は全部パートなんですね。こういう職場のパート労働者というのは、今回の法案でいけば八条の要件にも九条の要件にも該当する労働者はいないということになってくるわけですね。
#254
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘がありましたような事例につきましては、正社員である店長と従業員の職務がもう異なるという場合が多いと想定されますので、そのような場合は正社員と同視すべきパート労働者、あるいは職務と人材活用が同じパート労働者というものはこれは存在しないというふうになると思います。
#255
○小池晃君 こういうダイソーのように同視する正社員がいないパート労働者というのは救われないわけで、一方で非常に無法な解雇、雇い止めなんていうのが行われているというのがこれが現実なんですよ。トラブルがあれば労働行政へというけれども、結局、現状では裁判で何年も掛かってということになるし、圧倒的なパート労働者は裁判などやっていられない。結局、泣き寝入りしている人が僕は本当にたくさんいらっしゃるんだと思うんです。これが現実だと思います。
 さらに、賃金の問題、九条にかかわって質問したいんですが、大臣の答弁では、この九条の賃金については正社員と同じ賃金表を適用するよう努力義務を課すというふうにしているんですが、同じ賃金表を適用するというのはどういう内容を指しているんでしょうか。
#256
○政府参考人(大谷泰夫君) 賃金の決定の関係でございますけれども、この改正法案の第九条第二項におきましては、職務内容と中期的な人材活用が通常の労働者と同じパート労働者について、正社員と同一の方法により賃金を決定するよう努めることを求めているわけであります。
 他方、現実には、正社員は年功賃金である一方、パート労働者は地域相場によって設定した採用時の賃金のままであるなど、賃金の決定方法が全く異なっていると、こういった場合も少なくないと。したがいまして、第九条第二項の措置で考えておりますのは、例えば正社員の職能給体系に合わせてパート労働者も職能給による支払とするとか、また、正社員が歩合制であった場合には正社員の歩合制に合わせてパート労働者にも歩合制を導入する、こういった措置から始め、賃金表の体系を正社員に適用されているものに近づけていく、これが一つであります。また、正社員と同じ賃金表を適用することにより、時間の短いパート労働者であっても正社員の時間比例賃金としていく、こういったことを考えているところでございます。
#257
○小池晃君 同一労働同一賃金じゃなくて、同一方法あるいは同じ賃金表ということで、何の目安も設けないで比例で適用するということになると、結局、事業主の判断によって正社員とパートの格差というのは付けることが可能になってくるわけです。
 丸子警報器の判例では、パートと正社員の労働内容は同一なのに賃金格差を設けているのは均等待遇の理念に違反するもので公序良俗違反だと、正社員と比較して八割以下は裁量の範囲を超える、こう断罪したわけですが、九条の規定からすれば、少なくともこの丸子警報器判決の八割を最低基準とするなどもう最低限の歯止めとなるものがなければ、幾ら同じ方法、同じ賃金表といっても格差はどんどん広がるだけなんで、やっぱりそういう最低限の歯止めは必要なんじゃないですか。
#258
○政府参考人(大谷泰夫君) この賃金の決定につきまして、今回、九条二項の考え方は、その職務内容とそれから中期的な人材活用、これを併せてみて考えていくようになるわけでありますが、この最低賃金制度につきましては、制度がセーフティーネットとして十分機能するように最低賃金法の改正案を今国会に提出しているところでありますが、そもそもこの最低賃金法はパート労働者に対しても当然適用になるものでありますので、既にパート労働者について適用されるこの最低賃金法が形成されているところであります。
 今回の、今のお尋ねの関係について特に申し上げますと、パート労働者の就業の実態が極めて多様であるという我が国の現状におきましては、パート労働者の賃金の決定について、最低賃金を上回る一定の水準を定めて強制するといった手法によりましては、かえってその働きや貢献に見合った公正な待遇とはならなくなるおそれが大きく、そうした方法によることは考えていないわけでありますが。
 例えば、パート労働者は正社員の何割の賃金とすべきか。つまり、どの程度の働き方の違いに応じてどの程度の待遇差が認められるかにつきましては、平成五年にパート労働法を制定して以降、有識者による検討を行ってきたわけでありますけれども、我が国における雇用管理の実態に見合った、いわゆる現実味のある水準についてなかなか合意が得られているという段階ではないということでございます。
#259
○小池晃君 いろいろとおっしゃったけれども、結局、合意がないんでできなかったというだけの話ですよね。最低賃金の問題で言っているんじゃないんですよ。正社員との賃金格差の問題でやっぱり一定の歯止めが必要じゃないかと言っているんですよ。
 私、やっぱり八条の対象が極めて限定されるだけじゃなくて、九条の要件についても非常に限定的であり、実効性に乏しいということを改めて今お話を聞いても感じるわけです。
 特に、この勘案すべき点に意欲というのがあるわけですね。これは事業主側の恣意的判断にゆだねられる、単なる評価基準じゃないわけです。九条が適用になるかどうかという要件に意欲というのが入ってくれば、残業、休日出勤あるいは配転に応じるのかどうか、ここまで判断要素となりかねない。一層過酷な労働条件を強いることになることは明白ではないかと思うんです。
 この意欲ということについては、これは削除すべきじゃないですか。
#260
○政府参考人(大谷泰夫君) 改正法の第九条におきまして、パート労働者の職務の内容、それから成果、意欲、経験、能力等を勘案して賃金を決定するよう努めるべきこととしているわけであります。
 このうちの今御指摘のありました意欲につきましては、これは事業主の主観に基づくものではなくて、総合的かつ客観的な判断がなされるべきものでありまして、評価の要素、基準等については客観的な説明ができるということが求められております。例えば、あるスーパーで短時間労働者が遅刻、欠勤がなく勤続した場合に、当該労働者の意欲を勘案して精皆勤手当を支給すると、こういったことが想定されるわけであります。
#261
○小池晃君 今のような基準では非常に恣意的な判断になってくる危険性、極めて高いし、私はこういうものは持ち込むべきでないということを改めて申し上げたいというふうに思います。
 それから、本案というのはパート労働者の処遇改善のためだというけれども、実態としてどうかというと、パート労働者と通常労働者との格差はむしろこの間拡大をしています。
 〇六年の賃金構造基本統計では、パート労働者の平均賃金額は中小企業よりも大企業の方が低くなっています。景気回復は大企業中心なのに、実際にはその利益は労働者に回っていない。更にパート労働者は差が開いているという実態があります。
 そこで、お聞きしたいんですが、パート労働者の賃金水準がどのように決まってきているのか、その中に占める最低賃金の要素、これは大きくなってきているんじゃないか、その点についてお聞かせください。
#262
○政府参考人(大谷泰夫君) パート労働者の賃金の決定要因についての実態でありますけれども、平成十六年のパートタイマー・契約社員に関する総合実態調査によりますと、パート労働者の採用時の賃金決定要素として、同じ地域、職種のパートの賃金相場とする事業所が六四・四%でありまして、これが最も高いものであります。次いで、パート、契約社員の在籍者の賃金が、これが四三・九%、仕事の難易度によるというものが二八・〇%、また地域産業別最低賃金というものは二一・二%となっております。
#263
○小池晃君 この調査、三年前にも行われていますが、最賃を要素とするという数字が一四%から、今お話あったように、二一%に上がってきています。六四%という同じ地域の同業同一職種の賃金相場というのも、結局その地域の最賃という場合が多いと思うんです。
 私、いろいろと実態お聞きしましたけれども、例えば大阪の労働者、大阪労連の方に聞いたんですけれども、パート労働者の方が団交でその均等処遇を求めると何と言われるか、そんな賃金のところはどこにあるねんと、周り見て自分のところだけ良くはできないじゃないかと、時間給は隣のスーパーと比べて遜色ないはずだと、その証拠にあんたたち安いと言うけど辞めないだろうと、こういう返事が、これは使用者側から返ってくると言うんですよね。これが実態だと。
 結局、大阪の例でいうと、最賃額の七百十二円を基礎にして、最低ラインに学生アルバイト、その少し上にパートが置かれてパート相場はできていると、そこに張り付いているという実態があるんだと。しかし、八割は有期雇用ですから、これは安い賃金でも我慢するしかないという実態があるんだと。こうした中でまともな生活ができる賃金確保するために、解決方法としては、やはり同一価値労働同一賃金ということをルールの原則にしっかり据えるとともに、全国一律最低賃金制を確立する。最低賃金、まともに暮らせる水準、私たちとしては時給千円以上ということ提起していますが、これが本当に必要なんだろうと思うんです。
 その点で、今この国会に提出されています最賃法案ですが、生活保護に係る施策との整合性に配慮すると、そういう規定でしかない、確実に最賃が引き上がる根拠は示されておりません。厚労省としては、これ、どの程度の金額が上がると考えているのか。もう生活保護との関係ということでいっていくと、全国のアンバランスという点ではかえって大きくなる危険性あるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
#264
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金制度は、今るるお話にありましたように、賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして十分機能しているというふうに思っておりますし、今後とも、安全網として一層適切に機能することが求められているというところであります。
 このため、今お話ありましたように、今回の改正法案では地域別最賃については生活保護との整合性も考慮するということを明確にしまして、その最賃額までの賃金の不払についての罰金額の上限を五十万円に引き上げるということで、より一層この最低賃金制度が適切に機能するようにしたいというふうに考えております。
 お話ありました最低賃金の具体的な水準につきましては、これは公労使三者構成の地方最低賃金審議会における地域の実情を踏まえた審議を経て決定されるものであります。今回の法案が成立した暁には、各都道府県の地方最低賃金審議会においてこの法改正の趣旨に沿った議論が行われて、その結果に沿って現下の雇用情勢等を踏まえた適切な引上げ等の措置を講ずることとしております。
 また、成長力底上げ戦略推進円卓会議におきまして、生産性の向上を考慮した最低賃金の中長期的な引上げ方針について政労使の合意形成を図って、その合意を踏まえて生産性の向上に見合った引上げを実現したいというふうに考えております。
 今お話にありました全国一律、まあ千円というお話もありましたが、そういうことにつきましては、急に最低賃金額を大幅に引き上げることにつきましては、これは中小企業を中心として労働コスト増により事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われる面があり、非現実的だというふうに思っております。
 最低賃金を全国一律の制度とすることについては、これは最低賃金は労働者の最低限度の水準の賃金を保障するものであります。地域によって物価水準等に差がありまして、生計費も異なるということから、その水準につきましても地域によって差があるものでありまして、全国一律に最低賃金を定めることは適当ではないと、やはり各地域の実情に応じて決定されるべきであるというふうに考えております。
#265
○小池晃君 中小企業の問題について言えば、中小企業支援としっかりセットでやっていけばいいわけでありまして、やはり世界の流れ見てもやっぱり全国一律ということになっていると思いますので、そういう方向でやるべきだということは申し上げておきたいと思います。
 それから、ダブルワークの問題についてお聞きしたいんですが、これはやっぱり最低賃金低過ぎるということで、幾ら一つの仕事でまじめに働いても生活できないと、そういうことでダブルワークの方が増えている。三月にも質問いたしましたが、その際の答弁では、〇四年の就業構造基本調査で約八十一万人ということでした。
 大臣にお聞きしますが、このダブルワーク、マルチジョブホルダー、こういった働き方がなぜ広がっているというふうに認識をされているか。
#266
○国務大臣(柳澤伯夫君) マルチジョブホルダーあるいはダブルワークのそうした労働形態がどうして発生しているのかと、あるいは広がっているのかと、こういうことですけれども、御指摘のように、一つの就業で得られる収入だけでは生活できないということのために複数の就業を掛け持ちしなければならないという例があるとすれば、それは決して望ましい働き方とは言えないと、このように考えております。
 したがいまして、私どもは、非正規労働者の待遇の改善ということに向けまして、本改正法案、さらには最低賃金法の改正法案等を国会に提出いたしておるところでございまして、これらによりまして本当に働き方に見合った公正な待遇が実現されると、こういうことに向けて取り組んでいるところでございます。
#267
○小池晃君 ダブルワークの労働者の実態、今日、資料をお配りしております。これは大阪労連が低賃金で働く労働者に家計簿とか食事内容などを報告してもらう生活証言運動・家計調査をやっているので、その一例です。
 これは公立学校の臨時事務職員の四十三歳の女性なんです。これは専門学校生と小学生の二人のお子さんがいらっしゃるシングルマザーなんですね。この方は一日六時間、週六日間学校事務の仕事をされていて、その収入が基準内賃金のところに書かれていますが、月六万五千八百九十八円。これでは生活成り立ちませんから、ダブルワークで、その他賃金ってところに四万八千七百五十円とあります。これは衣料品の検品のパートをやられている、その収入なんですね。これは二つ合わせて一日十時間近く働いてようやく月収が十一万円余り。ですから、児童手当と児童扶養手当などを含めてやっと十六万六千円何がしで、これで食いつないでいるということなんです。このときは違うんですが、トリプルワークするときもあって、そのときは朝五時半から宅配便のパートをすることもあるんだというんですね。
 二枚目に食事、一月間どんなものを食べたかという記録があるんですが、一日の食費は三人で千二百円というふうに決めているそうです。食事見ますと、朝はトーストとコーヒーだけ。日曜はもう朝御飯食べない。それでも生活厳しいということで、夕食は実家で食事をするというのは四回出てくるんです。お子さんこれから大きくなってきて、学費が一層増えてくるので本当に大変だというお話を聞いています。
 私、こういう働き方、本当に今特別じゃなくなっているようなんですね。全労連のアンケートでは、ダブルワークしている人の六二・八%が収入のためだというふうに回答している。一つの仕事、毎日六時間、週六日やって、それで暮らせないんですよ。だから、それ以外にまたパートやらなきゃいけない、こういう働き方が今本当蔓延しているわけです。
 私、こうした暮らしをしなくてよいようにするのが政治の責任だと思うんですが、大臣、率直に、こういうダブルワークで本当にお母さんが一生懸命子育てしているという姿見て、どういう感想お持ちになりますか。政治として、今何が必要だと大臣思われますか。
#268
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもは、先ほども申し上げましたように、こうした時間給ということにつきまして、これを引き上げる方向性を出すと、実現するということのために今回のパート労働法の改正もお願いをしているわけでございますし、また最低賃金法の改正ということによりまして、今ちょっとこのにわかの計算ですから、最低賃金との関係がどうなっているかということでございますけれども、できるだけこれを引き上げまして、そしてダブルジョブが必要であったとしてももうちょっと本業によりまして賃金が確保できる、そういう方向での努力をしていきたいということで、今いろいろ御提案を申し上げているというところでございます。
#269
○小池晃君 この方の場合、これ公務パートですからね、今回の法案の対象にすらならないわけですね。
 私、本当に根本的に見直す必要がある。やっぱり同一価値労働同一賃金という原則と、最低賃金、先ほど否定されたけれども、やはり本当に安心して暮らせる水準まで引き上げていくということがどうしても必要だというふうに思います。その点で、やっぱりこういう実態にこたえる法案になっていないんだということは重ねて指摘をしたいと思うんです。
 それから、福利厚生についてもお伺いしたいんですが、何度もこの間議論をされていて、私、聞いていてもどうしても納得できないんですが、例えばこの政府案というのは、パート指針の内容より狭いわけですよね。省令に書くのは給食、休憩室、更衣室で医療施設すら入らないわけですよ。
 例えば、医療施設、健康を守ることにパートと正社員に違いはあるんでしょうか。私、これは全くないと思うんですね。あるいは、仕事にかかわる施設にそれを利用する権利、パートと正社員に何で違いがあるんですか。これ説明していただきたい。
#270
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の福利厚生施設につきましては、これは従来から指針に定められておりました。指針の方では、給食、医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の施設全般をうたっているわけでありますが、その中でも法律をもって更に高いレベルの規範として定めたものが今言った三つでありますけれども、これはそれが三つだけでいいということでなくて、それは法律上、より質の高いレベルで定まったということで、残る指針の内容につきましても、今後ともこれは維持していくという考え方でありますので、特に、そういった意味で差別したものではなくて、今回、その職務に直接付随したものとしての今三つの施設について特に法律で定めたということでございます。
#271
○小池晃君 三つの施設も配慮義務にとどまっているわけですが、その指針にほかは残すんだとおっしゃるけれども、指針ではほとんど実効性がなかったということが参考人質疑でも言われているわけです。
 私は、この間議論されていますが、今回、法律上の努力義務とすることと、これまでの指針の努力規定というのはどう違うのかというのはこれ非常に分かりにくい、どう違うのか。厚労省は、その違いというのをこれは事業主にどういうふうに説明するつもりなんですか。事業主がいると思って、こうなんですと説明してくださいよ。
#272
○政府参考人(大谷泰夫君) このパート労働指針でありますけれども、これはその法律に根拠を置くとは申しましても、厚生労働大臣がその裁量の範囲内において定めたものであります。
 その法律に根拠を有する努力義務とは正当性や社会規範性の観点でこれは違いがあるということで、やはり国会で議決いただいたものに対する規範というものについて大きな価値を認め、またそれを私どもは事業主にも説明し、その尊重について訴えてまいりたいというふうに考えます。
#273
○小池晃君 非常にこれは現場が混乱する危険があると思うんです。
 それから、慶弔手当や貸付制度などの福利厚生も均等処遇にすべきだという要求は切実だと思うんですね。うれしいこと、悲しいことがパートや正社員で違うはずがないんですよ。これは本来同一であるべきなんです。
 実際に、慶弔見舞金については、正社員では八八%に対して、パート労働者で既に七一%適用されているわけですから、既にある程度の水準まで来ているわけですね。これは労使合意で外したというけれども、元々これ配慮義務で義務規定じゃないわけですから、厚労省は決断すればいいだけの話じゃないですか。私は、同じ処遇が望ましいという考えを持つのであれば、せめて慶弔手当とか貸付制度なども配慮義務に入れる、どうしてこれができないんですか。
#274
○政府参考人(大谷泰夫君) 慶弔見舞金についての実情は、今先生のおっしゃるとおり、かなりの企業で、正社員で八八、パート労働者で七一%ということで、既にそういう給付が行われているということは御指摘のとおりであります。
 このような施設以外の福利厚生につきましては、先ほどの全体でいいますと、正社員と同視できるものについては、これは差別的取扱禁止規定により正社員と同一の扱いを求めることになるわけでありますが、それ以外の場合における均衡処遇の中でどうするかということで、これは審議会でも相当慎重な検討が行われたわけでありまして、事業主の方からは、福利厚生というのは事業主が人材の確保や長期定着等の観点から広い裁量の下に実施しているものであって、その実施について法が介入すべきでないという意見が強かったわけであります。しかしながら、パート労働者を代表する意見としては、本来、労働者の働き、貢献に関係のない待遇であるから、労働者間で取扱いに差があることはある種の身分差別のようなものでもありと、あらゆる福利厚生を対象として均衡待遇の確保を図るべきだと、こういう議論がありまして、この二つの意見が対立したわけであります。
 今回の決着としましては、福利厚生の中でも職務に関連性がある施設ということで、今回、さっき申しましたような給食施設や休憩施設や更衣室、こういったものについては今回の措置の対象とすることは合理的だという判断に至ったわけでありますけれども、慶弔見舞金とか慶弔休暇などにつきましては、法が介入して実施させるというところまでの合理性には合意が得られなかったということで、今回は見送られたということでございます。
 しかしながら、これは、こういう法で介入してまで強制はできなかったということでありますけれども、そういった職場において正社員に提供するそういった処遇であれば、それは同じ職場でパートタイマー、パート労働者にも提供すべきだという意見もありまして、これは今後の課題としても検討していかなければならないテーマだというふうに考えております。
#275
○小池晃君 差別をなくすために法に書くんですよ。それをやらないというのは、私は本当に大きな後退だと思うんです。
 それから、短時間正社員制度の問題なんですが、フルとパートの行き来ができる仕組みという点で非常に有効だと言われています。私たちは、均等待遇を前提として、子の養育とか家族の介護などを理由にして労働者の申し出た期間、短時間労働者として働くことができる制度を提案もし、修正案も準備しているんですが、今回の法案においてはなぜ短時間正社員制度導入を位置付けなかったのか。これは企業も一律には拒否してないはずなんですね。これ促進することで合意できたんじゃないんですか。
#276
○政府参考人(大谷泰夫君) 短時間正社員についてでありますけれども、今回、法律改正には盛り込んでおらないわけでありまして、今どのような内容をこの法案に盛り込むかということについて定かではないわけでありますけれども、パート労働者の待遇が公正なものとなっていないということを今回の改正では問題意識として検討を行い、労働政策審議会で今回の改正案というのがまとまったわけでありまして、そういった意味で、言わば均衡に差があるから縮めるという見地からの目的とはちょっと違ったのか、審議会においても特段、今回、短時間正社員について法律を盛り込むという議論はなかったわけであります。
 しかしながら、この短時間正社員につきましては、これは非常にこれからの雇用の中で重要かつ、特にパートタイム労働法、今回の法律の成果としましても差別禁止対象の方々がこういう短時間正社員に近い処遇、あるいはそういった処遇になっていくことも大いに期待されるということで、その普及啓発には努めてまいりたいというふうに考えます。
#277
○小池晃君 均等室の体制問題についてもお聞きしたいと思うんですが、これは全国で二百三十六人だということなんですけれども、いろいろと事情をお聞きすると、各局で短時間労働者担当の人は一人、大きな県で二人程度というふうに聞いています。
 実態を聞きますと、神奈川県では、これは全国でもパート労働者比率が高いんですが、女性労働者百二十五万人の五五%、六十九万人、二人に一人超えているわけです。その神奈川県の均等室でも短時間労働者の担当は一人しかいないというんですね。一人当たり六十万人、七十万人のパート労働者に対応するというわけで、一人で全部をやるわけじゃないわけですが、これで足りるのか。もちろん全体で、局を挙げてやるんだと、協力してやるんだとおっしゃるけれども、やっぱり中心でパートのことだけしっかり考えると、責任を持つという人が今のように各県一人、二人しかない、こういう体制で、大臣、これからやろうとしているパートの人たちの相談にこたえる、均等の方向に持っていく、こんな仕事ができるんでしょうか。ここは抜本的に強化しなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#278
○国務大臣(柳澤伯夫君) 雇用均等室におけるこのようなこれからの課題に取り組む体制の問題ですけれども、私どもとしては、まずノウハウの蓄積ということにつきましては、男女雇用機会均等法に基づく指導、それから平成十五年のパート労働指針改正以降の均衡待遇の概念についての周知、こういったことで、それなりにと私ども経験を蓄積させていただいてきたと、このように考えております。
 問題はマンパワーということで、今そこの点、委員の御指摘にもあったわけですけれども、私どもとしては、都道府県労働局内の連携にまず万全を期すとともに、必要な体制整備につきましても、これからこの局内のやりくりというようなことを通じて努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#279
○小池晃君 さらに、体制問題で、今回見直しされる短時間労働援助センターについてもお聞きします。
 これ委託を受けてきたのは二十一世紀職業財団なんですが、ここにもパート労働者がいると聞いています。業務委嘱者という呼び方だそうですけれども、全員社会保険に未加入だというんですね。なぜ社会保険未加入なんですか。
#280
○政府参考人(大谷泰夫君) ただいま御指摘のありました財団法人の二十一世紀職業財団に確認しましたところ、財団で業務委嘱者と称されております非常勤職員の平均勤続年数が、五月一日現在で五年三か月というふうに承知しております。また、これらの業務委嘱者について、一日七時間、月十五日勤務というふうにしておりまして、社会保険の被保険者資格要件を満たしていないということで社会保険に加入していないというふうに聞いております。
#281
○小池晃君 パート労働者支援するセンターのパート労働者が、社会保険適用しないようにぎりぎりの労働条件で雇っているって、私これ本当にどうなのかと、支援する財団がこんなんでいいのかというふうにこれ率直に言わざるを得ません。
 業務の縮小に当たってパート労働者の雇い止めというのはこれはなかったんでしょうか。今後もないと言えるんでしょうか。
#282
○政府参考人(大谷泰夫君) 二十一世紀職業財団の労働者の雇用の問題につきましては、使用者である財団が一義的に判断し責任を負っているというふうに承知しております。
 昨年度、過去の例を申しますと、一件、過去におきますと雇い止めということはあったということは承知しておりますけれども、特に昨年度、雇い止めの問題がございまして、これ本年三月に財団と労働組合の間で行われました団体交渉におきまして、平成二十年度の事業実施が見込まれる場合には、できるだけ早い時期に業務委嘱契約を行い、極力、雇い止めを回避するよう努力することということを両者間で確認したというふうに聞いております。
#283
○小池晃君 今後もそういう問題、起こらないんでしょうね。私、パート労働者の相談に応じるところがこういうふうに、まるで見本にならないような、社会保険適用しない、あるいは身分も不安定ということに置いておくというのは非常に重大な問題だということは指摘をしたいと思うんですが。
 まあそういう問題点はさておき、長年、事業を委託して、ノウハウも積んできたところなんですね。なぜこういう、わざわざ別の団体に委託をしてしまうのかということなんです。
 これ神奈川の実績を聞きますと、相談千件を超えている、セミナー五十回、事業主への研修十回。パート労働者の環境整備のための仕事を担ってきているわけですが、先ほど言ったように、均等室の体制は非常に不十分なわけです。にもかかわらず、こういう重要な事業の委託を打ち切るということでやめてしまって、果たしてきちっと事業が継続できるんですか。
#284
○政府参考人(大谷泰夫君) 短時間労働援助センターの業務についてでありますけれども、これは昨今、行政改革あるいは指定法人改革という見地から、特にこれは規制改革・民間開放推進三か年計画といった計画の中でもその改革の必要性が決定されまして、この均衡待遇の取組の支援のために不可欠な業務のみに特化をするというふうになったものであります。
 これまでの業務で二十一世紀職業財団に蓄積されておりますノウハウにつきましては、これは財団独自の業務において今後とも生かされていくものというふうに考えております。
#285
○小池晃君 ここのところはしっかり引き継ぐ必要があると思うんですが、私、非常に問題だと思うのは、この短時間援助センターの調査研究事業の停止というのは、これは法案の事項のはずなんです。ということは、その施行は七月なんです。ところが、既にこのセンターへの委託は現場では今年四月に打切りになっているんですね。法が施行する前に既に事業をやめているということになるわけですよね。法が想定した事業の停止を既に現場では実行されちゃっているんです。こんなことが許されるんですか。
#286
○政府参考人(大谷泰夫君) この短時間労働援助センターの業務のうち雇用福祉事業として行ってきましたものにつきましては、これ平成十九年四月一日に予定されておりました雇用保険制度の見直しの中で、パート労働法における指定法人業務の精査を行い、廃止することとしたものでありまして、実際には四月二十三日に施行になったわけでございます。
 この改正法案におきましては、事業主に均衡待遇の確保という新たな措置を果たしますことから、この改正法案施行後にその支援のための助成金の支給業務を開始するということになっておるところでございます。
#287
○小池晃君 いや、私、これちょっと経過おかしいと思うんですね。
 大臣、もしもこのまま法律成立すれば相談業務というのは増えるわけだけれども、その相談業務は委託やめてしまう。しかも、いろんなことを理由にして、法案が成立する前に早々と実態としては業務委託が打ち切られている。こんなことが許されるんでしょうか。
#288
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、要は今局長からお話をさせていただきましたとおり、今般の業務の見直しにつきましては、この今パート労働法の改正だけによって引き起こされるものではないということでございまして、先ほど、雇用保険法の改正に伴ってもう雇用福祉事業であるとか労働福祉事業の見直しが行われていると、こういうことでもございます。
 指定法人の業務については、今回、真に必要な最小限度のものにするとした閣議決定が行われておりますので、その内容を踏まえて行ったと、こういうことでございます。
 その一方で、改正法案に基づいてパート労働者の均衡待遇の確保に取り組む事業主支援につきましては、むしろここにこそこの団体の力を特化するという考え方の下でその充実を図っているということでございます。
 したがいまして、こうした背景の下で業務の見直しが行われていることから、法案成立後に行うべきとのお考えは必ずしも当を得ていないと、このように考えております。
#289
○小池晃君 現在の均等室の体制で新たな要求にこたえるのは極めて困難なわけですから、やはりしっかり相談業務続ける保障、責任があるというふうに思いますし、私は、法案の成立待たずに、法事項であるこの事業の打切りということが先行的に現場で起こっているということは、これは何というか、法治主義という点から見ても非常に問題があるんじゃないかなということは指摘をしたいと思います。
 最後に、ちょっとこれは緊急の問題で一つお聞きしたいんですが、中国残留孤児の支援策についてであります。
 これ大臣は、四月十二日の当委員会で私の質問に対して、拉致被害者の方々との比較では共通する要素もあるが、異なる要素も相当あると答弁されました。
 異なる要素、私もあると思うんです。異なる要素と言うのであれば、最大の要素は、北朝鮮の拉致被害者というのは北朝鮮の責任だということです。それに対して中国残留孤児は、戦時中の責任、敗戦後の棄民政策、あるいは早期帰国義務を実施しなかったこと、自立支援義務を実施しなかったこと、正に日本政府の責任だという点が大きな違いだと思うし、その点でいえば、拉致被害者に対する支援の水準よりも低い水準であっていいはずがないというふうに思うんです。
 それから、新たな支援策の内容が報道されているんですが、非常に水準が孤児が求めている水準からほど遠いんですね。
 私は、新たな給付金制度と言うけれども、生活保護と同一水準であるということ、それから自助努力して得られた収入が収入認定されて、その分の給付が削られるという問題があります。これは孤児が働いて自分でお金を稼ごうと思っても、それが全部収入認定されて削られる、これでは日本人としての尊厳を回復できるものではないと。それから、孤児に配偶者がある場合、あるいはその遺族への給付も報道を見る限りでは見当たらないんです。
 大臣、今報道されているようなこういう中身で、安倍首相が指示した、日本に帰ってきて本当によかったと言えるようなものになっていると考えるんですか、これお答えいただきたい。
#290
○国務大臣(柳澤伯夫君) 中国残留邦人の問題につきましては、委員も御承知のとおり、訴訟が提起されておりまして、これまで八地裁で判決が出ていますけれども、神戸地裁の判決を除きましてすべて国側勝訴、言い換えますと、国に法的責任はないと、こういう判決が出ているわけでございます。
 それで、そういう法的問題、あるいは判決、そういう裁判の問題とは切り離して中国残留邦人に対して新たな支援策を考えなさいと、こういう安倍総理からの指示をいただきまして、そしてまた、その際に、指示内容として、これからの進め方と申しますか、手続面につきましても言及をいただいておるということでございます。一つは、有識者会議を開催して議論をするようにということと、与党でかなりいろいろ議論を重ねてきておるということもあるので、そのようなことを踏まえての与党との調整もするようにと、こういうようなことで指示をいただいたところです。
 したがいまして、この指示に従いまして、現在、有識者会議での御議論を進めていただいておるところでございまして、その後にまた与党ともよく相談して、夏ごろに取りまとめをしたいということでございます。
 したがいまして、報道を今御言及になりましたけれども、そのようなことについては私どもが知るところではない、報道を通じて知っているということでございまして、これから先、今のような順序に従って議論を詰めていきたいと、このように考えているところでございます。
    ─────────────
#291
○委員長(鶴保庸介君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、西島英利君が委員を辞任され、その補欠として山本順三君が選任されました。
    ─────────────
#292
○委員長(鶴保庸介君) 引き続き、質疑を続けたいと思います。
#293
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 五月二十一日付けで規制改革会議が提言をしております。この委員会で先ほどから質問が相次いでおりますが、中身がすさまじい中身ですので、私も質問させていただきます。
 報道によりますと、同会議は今月内にまとめる一次報告に提言を盛り込み、今後三年の任期中に実現する構えとなっております。これがもし、こういう提言そのものを許していいのかというぐらい私はひどい中身だと思っております。余りにひどいので読み上げさせていただきます。
 労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている。不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させることにつながる。過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となるなどの副作用を生じる可能性もある。正規社員の解雇を厳しく規制することは、非正規雇用へのシフトを企業に誘発し、労働者の地位を全体としてより脆弱なものとする結果を導く。一定期間派遣労働を継続したら雇用の申込みを使用者に義務付けることは、正規雇用を増やすどころか、派遣労働者の期限前の派遣取りやめを誘発し、派遣労働者の地位を危うくする。長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは、脱法行為を誘発するのみならず、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって生産効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる。
 強行規定による自由な意思の合致による契約への介入など真に労働者の保護とならない規制を撤廃することこそ、労働市場の流動化、脱格差社会、生産性向上などのすべてに通じる根源的な政策課題なのであるという中身です。
 戦後、労働基準法が締結をされ、強行規定として労働者の権利を守ろうとすること、その六十年間の取組を真っ向から否定するような中身の噴飯物だと考えますが、大臣の感想をお聞かせ願いたいと思います。
#294
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、わざわざ福島委員、貴重なお時間を充てられましてお読みいただいた様々なこのくだりでございますけれども、私どもの考え方ともかなり懸隔があるということを申し上げたいと思います。
 私どもといたしましては、このただいまのパート労働法にいたしましても、今後提出する最低賃金法の改正にいたしましても、およそそのような考え方とは違う方向で、私どもとしては、労働者の適切な待遇の改善、そしてまた、それを通じた日本経済の発展に寄与したいと、このように考えているところであります。
#295
○福島みずほ君 局長、感想いかがでしょうか。
#296
○政府参考人(大谷泰夫君) 私どもとして、現在このパート労働法を提出し、ここでるる述べた考え方について、まだこの法案で完成してないところはあり、課題は多々あるところでありますけれども、そういった方向については決して今のところ変えるつもりはないところでありまして、この考え方と仮に違う部分があるとすれば、政府部内で調整していかなければならないと考えております。
#297
○福島みずほ君 すさまじい中身で、パート法のところは、先ほどもありましたが、このように書いてあります。同法所定の通常の労働者と同視すべき短時間労働者であっても、通常の労働者との間には、賃金の決定方法等について、やはり大きな差異があるのが現状である。よって同法所定の対象をいたずらに拡大することには慎重であるべきである。私たちは、この対象者がいないんじゃないか、極めて限られているんじゃないかと根本的な批判をしています。ところが、経済財政諮問会議は同法所定の対象を拡大することには慎重であるべきであると真っ向から反対なんですが、法案が提出され審議しているときにこのような提言がされることは、国会の立法機関に対する挑戦であるとすら私は考えます。
 局長、いたずらに対象を拡大することは慎重であるべきである、この提言いかがですか。
#298
○政府参考人(大谷泰夫君) このペーパーは規制改革会議の中のワーキンググループの中のタスクフォースのものであるというふうに承知しておりまして、現時点でここで私が政府部内の意見のすり合わせについては申し上げることは難しいわけでありますけれども、ただ、この表現につきまして、その同法所定の対象をいたずらに拡大することには慎重であるべきであるという考え方は、この場で申し上げた私の考え方とは反対の考え方ではなかろうかというふうに感想を持ちます。
#299
○福島みずほ君 労働者派遣法に関しても、かつて御手洗経団連会長が直接雇用義務はなくすべきだ、事前面接については解禁すべきだという発言をしています。それについては、私たちも大変批判をいたしました。ところが、この提言は全く一緒で、労働者派遣事業法については全面的に解禁すべきだ、直接雇用義務はなくすべきだ、事前面接は解禁すべきだという中身です。あと、最低賃金法にしても、解雇権の濫用法理の見直しにしても、有期労働契約についてもすさまじい中身が書いてあるわけですが、青木局長、この規制改革会議の提言をどうお考えになるでしょうか。
#300
○政府参考人(青木豊君) 今お触れになりました点のほかにも、例えば労働政策の立案について、これまでやってきた労働政策審議会についても触れております。そういったことについては、私どもとしては、やはりそういったこれまでやってきたような公労使、とりわけ労使が納得して十分議論をしていくというようなことが大切だというふうに思っておりますし、そういう意味では、あるいはまた労働政策の基本として、労使間の交渉力の格差などがあるということを前提にしていろんな政策が考えられるということも余り触れられていないというようなこともあったりしまして、そういった点など、労働政策の在り方として納得できない点が含まれているというふうに考えております。
 いろんな意見は意見として、私どもも労働政策については十分現状を調査し分析し、あるべき姿として我々なりに追求していきたいというふうに思っております。
#301
○福島みずほ君 おっしゃったとおり、労働政策の立案について次のようにあります。主として正社員を中心に組織化された労働組合の意見が、必ずしも、フリーター、派遣労働者等非正規労働者の再チャレンジの観点に立っているわけではないとしています。
 しかし、全国ユニオン、参考人として来てもらいましたが、鴨桃代さんなども審議会に入っており、今の審議会が何も変更や反省や検討の必要がないとは私は思いませんが、このようなことを規制改革会議に言われる筋合いはないと。規制改革会議のこの労働タスクフォースは経営者側の弁護士しか入っておりません。私は、今の厚労省の審議会が何も問題がないとは言いませんが、経済財政諮問会議に働く人の代表が一切入っていない。労働タスクフォースは経営者側弁護士がやっている。この人員構成は、そんなことを言う立場にないだろうというふうに非常に怒りを持っていますが、いかがですか。
#302
○国務大臣(柳澤伯夫君) 福島委員から今回のタスクフォースの人員の構成について御言及をいただきましたけれども、私ども、そういうことに言い及ぶまでもなく、本当に先ほど来申し上げましたとおり、およそそうした考え方と異なる法律改正案を現在の内閣の下で閣議決定をして政府案として提出させていただいているわけでございます。よくよくそういうことを考えて物は言ってほしいと、このように申し上げざるを得ないわけであります。
#303
○福島みずほ君 力強いお言葉ですが、かつて規制改革会議が労働組合の団体交渉権の制限を提言したときに、これに関して、労働組合の団体交渉権を制限するものとして項目が削除されたということがかつてあります。
 是非お願いしたいのは、その時点は、厚生労働省は、憲法はすべての国民に団結権や団体交渉権を認めているから、少数組合を排除する理屈は成立しないと反対をしていらっしゃいました。今回、経済財政諮問会議が出した提言についても、厚労省の見解すらも踏みにじるものが山ほど入っておりまして、是非、特に労働者派遣事業法における直接雇用義務をなくすとか、あるいは全面解禁のことや、事前面接の解禁や有期雇用に関する提言や強行規定に対する提言、いろんなことは、これは憲法の生存権を踏みにじるものだと。割増し賃金を引き上げることはよくないという提言などを憲法の生存権の規定から認めることはできないというふうに考えております。
 大臣、この規制改革会議の最終答申に対してきちっと批判をし、ともに粉砕していただけるようお願いしたいんですが、個別的な点について是非、例えばこの点とこの点とこの点、生存権の観点からおかしいと。少なくとも最低賃金とパート法と労働者派遣法は明確に今の厚労省の立場と違うわけですから、これに対して削除要求を一緒にしていただくというか、一緒じゃなくても結構ですが、是非削除要求を果敢にされるよう要請したいと思いますが、いかがでしょうか。
#304
○国務大臣(柳澤伯夫君) この今の文書は、先ほど雇・児局長からお答え申し上げましたとおり、また前の方の御質問のときに私自身も申し上げましたように、規制改革会議の再チャレンジワーキンググループの労働タスクフォースという、そういう方々による意見ということでございます。いずれ、これ規制改革会議の何らかの公式書面ということになる暁には、それは我々としても意見を強く申し上げたいと、申し上げるべきだと、このように考えております。
#305
○福島みずほ君 報道では規制改革会議が提言となっておりますし、ペーパーも、冒頭に規制改革会議というふうにペーパーがなっております。また、これは記者会見をやっておりまして、福井秀夫政策研究大学院大教授がきちっと記者会見しておりますし、また報道によれば、月内にまとめる一次報告に提言を盛り込み、今後三年の任期中に実現する構えと強く指摘がされています。
 こういう労働法制に関する考え方をやっぱり許してはいけないと。強行規定を要するになくしてしまうわけですから、いずれ盛り込まれればとか、提言されればというレベルではないと考えますが、いかがでしょうか。
#306
○国務大臣(柳澤伯夫君) 福島委員からいろいろ御注意をいただきました。我々も、我々の考え方に従って閣議決定までいただいて法案を提出をしておる、それから、これまでの労働政策からくるもろもろの法律改正も閣法という形で閣議の決定を経て御提案をしてきたと、こういうこともございます。
 そういう中で今回この文書がどういう道行きをたどるかは私まだ分からないわけですけれども、規制改革会議というものは、何と申しますか、我々と同じ系統に属するということでもありませんので、したがいまして、その文書ができ上がるときに我々との調整をするということには多分ならないだろうと思います。したがいまして、私どもとしては、事実上、でき上がる過程でも強く働き掛けていきたいと、このように考えております。
 なお、この会議の提案に基づいて規制改革の三か年計画というものができ上がって、それが閣議決定の対象になりますので、その段階に至ればこれは閣内での調整というのは当然行われるわけですので、そういうものに対しては私どもとしてしっかり取り組んでいきたいと。
 ただ、意見表明の段階では、何かちょっと私どもの手の届かないところで作成されるということもありますが、事実上、私どもはこれに対して、今委員はともに闘おうというお呼び掛けでございますが、その点はともかくといたしまして、我々のこれまでの労働施策に携わってきた考え方を基本として、しっかり物を言ってまいりたいと、このように考えております。
#307
○福島みずほ君 規制改革会議が今まで害毒をまき散らして、先ほど櫻井委員が言った税金の無駄遣いだという点も、私は全く同じ考えです。これが、月内にまとめる一次報告に提言を盛り込みと、今後三年の任期中に実現する構えとなっているので、このような諮問機関の表現をやはり労働法制を考える私たち、厚生労働省は絶対に許すべきではないと考えるので、強く物を言っていきたいというふうに最後おっしゃっていただいたので、お互いに強く文句を言っていって、社民党とすれば、規制改革会議は有害無益なものであり、存在そのものも問題だけれども、こういう労働法制についての考え方を表明することができるということについて大変危機感を感じております。強く是非、厚労省は六十年間の重みを懸けて是非粉砕の先頭に立っていただきたいと強く要望しておきます。
 次に、先ほど津田理事の方から指摘のあったこのチラシについて、私も確認答弁をしていきたいと思っております。
 これは、正社員と同視できる働き方のパートのAさんは、短時間正社員扱いとなり、すべての待遇が正社員並みにと書いてあります。すべての待遇ということでよろしいですね。
#308
○政府参考人(大谷泰夫君) この四角の中は正に差別禁止対象のパート労働者でありますので、すべてということは、これは言わば退職金から住居手当も含め、すべてというふうに考えております。
#309
○福島みずほ君 これはもうすべてということで理解をさせていただきます。
 管理職パートのBさんという部分に、時間比例の賃金となることが原則、同一労働同一賃金と書いてありますが、このとおりでよろしいですね。
#310
○政府参考人(大谷泰夫君) これは言わば正社員と職務が同じで、それから人材活用の仕組みも一定期間同じという方についての言わば表現であります。その賃金が、これは左のコラムほどすべての要件において同じではありませんけれども、賃金の決め方を同じにするということで、これは究極的には、決め方が同じであれば同一労働同一賃金のところまで持っていくというのが究極のこの理想であります。
#311
○福島みずほ君 究極の理想とおっしゃいましたが、これ厚労省が作っているチラシですから、九条の点に、九条ですね、九条で同一労働同一賃金、時間比例の賃金となるということでよろしいですね。
#312
○政府参考人(大谷泰夫君) これはちょっとまた説明するとくどくなりますけれども、この同一労働同一賃金という私どものこの考え方の整理は、その職務とそれから人材活用を合わせてそこは判断しますけれども、究極的にはそういったものを目指して企業で配慮を願いたいということが書いているわけであります。
#313
○福島みずほ君 究極的にということでしたが、ここに時間比例の賃金となることが原則、同一労働同一賃金と入っておりますので、その立場で強く頑張っていただけるように期待をしております。
 どのようにこれを実現されるのでしょうか。
#314
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、この法律につきまして、確かに努力義務、あるいは最初の差別禁止はこれは強行規定でありますけれども、あとの二つの右の括弧、下の括弧は努力義務ということであります。
 これについては、今回の法律におきまして、まず事業主が今回の制度の趣旨を十分理解して、まずはそういった労働の条件を改善していただくということが一。それから、そうでなかった場合に、その労働者自身がやはり法律の制度を十分周知していただいて、事業主に説明義務を今回課しておりますので、その決定について説明してもらうということが二。そして、そこでまず調わなかった場合には、企業内の自主的な交渉において解決していただくということが次のステップでありますけれども、あと、この法律におきまして、そこでも両者の意思が合わないということであれば労働局に御相談いただいて、これは指導、助言、勧告を得て、あるべき姿に持っていっていただくということがこの法案の趣旨であります。
#315
○福島みずほ君 労働者だけではなくて、使用者の側に、時間比例の賃金となることが原則、同一労働同一賃金ですよとはっきり指導していただくということでよろしいですね。
#316
○政府参考人(大谷泰夫君) 法律の趣旨については、機会をとらえて説明していきたいと考えております。
#317
○福島みずほ君 八条の事業主の判断について改めてお聞きをいたします。
 五月十七日の局長答弁で、事業主にアンケートで聞いたところ、おたくに差別禁止がいますかといって、いるというふうに答える回答はなかなか期待できないだろうという答弁がありました。何度も委員会の中で繰り返したように、差別禁止は事業主の判断のみにゆだねられ、差別に対し無力な法律となっております。
 実際に、自分が差別禁止対象となるのではないかということで事業主に問い合わせたパートタイム労働者の人がいます。やはり事業主は、差別禁止対象になるのは無理ではないかと言われたそうです。その例は、例えば業務内容が多岐にわたる、これ銀行に勤務している人です、対外的な業務もしている、勤務時間は五時間。二十八年間勤務したうち四百円しか時給は上がっていない、この二十八年間の間。ボーナスは社員で八十一万円、それに対してこの人は一万八千円。福利厚生として、交通費の支給とともに、一度の定期健診以外の退職せんべつ金、結婚祝い金、出産祝い金、家族慶弔金、疾病見舞金、災害見舞金、訪問看護療養付加金、家族訪問看護療養付加金、家族出産育児付加金などパート労働者には適用されていません。食事手当が支給されていましたが、百円カットされ、これは正社員並みだということです。
 この人は、自分はこれに当たりますかと言ったら、無理ではないかと言われたそうです。このような場合、どのような救済が考えられるのでしょうか。
#318
○政府参考人(大谷泰夫君) 前回の御審議の際にアンケート調査という話を申しましたのは、これは実数を把握する方法として一遍のアンケート調査では事業主が正確に、言わば禁止に反しているということを答えるわけでありますから、数字を得ることはなかなか難しかろうと申しまして、これはあくまで調査の話でございます。
 今回の指摘の例でありますけれども、これはあとは当事者間で、今回、制度が改正されますれば、それぞれの情報を持った上で、まずは説明義務を果たしていただき、その確認するというところから入るわけだと思いますけれども、さっき御説明申し上げたことと繰り返しになりますけれども、それで両者が合意できない、企業内で自主的に解決ができないということであれば、これは都道府県の労働局に申し出ていただきまして、これは助言、指導、勧告、そして最終的には調停といったこともあり得るかというふうに考えているわけであります。それから、その先を申しますと、それでも解決が得られないときには訴訟の利用ということになると考えております。
#319
○福島みずほ君 二十八年間働いて四百円しか時給が上がっていないと。新人の研修や指導もしているわけですね。
 じゃ、最後は訴訟という形の今答弁なんですが、もっと行政は、どっちか分からない、あるいは事業主は無理じゃないかというようなケースに関して、これは積極的に指導、助言等をしていただくということでよろしいんですね。
#320
○政府参考人(大谷泰夫君) 都道府県の労働局に申し出ていただきますれば、例えば職務の違い、あるいは人材管理の違い、あるいは契約の期間について必要な情報を得て判断材料を与えるものというふうに考えております。
#321
○福島みずほ君 ちょっと済みません。判断材料を与えるものというのは、今労働局などがよくやっている行政に対してちゃんと指導をするという意味でよろしいですね。
#322
○政府参考人(大谷泰夫君) おっしゃるとおりです。
#323
○福島みずほ君 フルタイムパートの扱いについて再度お聞きします。
 三要件を満たした四十時間、四十を超えている労働者に対して、四十時間あるいは四十時間を超えている労働者に対しては、当然差別禁止の取扱いとなるということでよろしいですね。
#324
○政府参考人(大谷泰夫君) この四十時間を超えて働いた労働者について、ちょっと幾つかの種類がありますので一概には申し上げられないわけでありますけれども、本法案の対象となりますパート労働者の判断といいますのは、実労働時間ではなく、労働契約上定められた所定労働時間を通常の労働者と比較するということで行います。
 したがいまして、残業等があって実労働時間が週四十時間以上となっておりましても、所定労働時間が通常の労働者よりも短ければこれは本法案の対象となる、短ければそれは本法案の対象となるパート労働者でありますが、そして三要件を満たせばそれは差別禁止の対象者となるわけであります。
 逆に、実労働時間がどうであれ、所定労働時間が通常の労働者と同じということであれば、これは呼び方のいかんを問わず、この改正の対象とならないということであります。
#325
○福島みずほ君 私が聞いたのはそういうことではなく、四十時間、四十時間を超えている労働者に関して当然差別禁止の取扱いとなるんですねということです。
#326
○政府参考人(大谷泰夫君) フルタイムのいわゆる疑似パートと申しますか、そういうケースであれば、これは本法案の対象にはなりません。
#327
○福島みずほ君 いや、この法案の対象にならないことは分かっているんです。四十時間を超えている労働者に対しては当然差別禁止の取扱いとなりますよねという確認答弁をお願いします。
#328
○政府参考人(大谷泰夫君) これ、今回の法律の対象がやはり通常の労働者と比して短い労働時間の労働者ということでありますから、これ、考え方というものは是非そういうふうに企業で御理解いただきたいとまでは申し上げますけれども、当然にこの法案が労働者の対象になるかというと、それはやはり差別禁止という強行規定は対象にならないと言わざるを得ないと思います。
#329
○福島みずほ君 いや、短ければ当然差別禁止になって、フルタイムだと差別禁止が当たらないというのは非常に変な話なわけで、これはフルに働いているパートだと差別禁止が及ばないというのはやっぱり理解できない。
 今局長は、当然差別禁止が及ぶという理解を事業主はしていただきたいというふうにおっしゃいました。この法律が及ばないということについては、この法律が変だとは思いますが、という厚労省の考え方は分かりましたが、差別禁止は当然及ぶということでよろしいですよね。
#330
○政府参考人(大谷泰夫君) くどくなりますが、この差別禁止というのは、これは法律に基づくいわゆる強行規定でありまして、そういう意味で、そういったものが法律の根拠なく適用されることはできないわけでありますから、そういった考え方を各事業所で御理解賜りたいとまでは申し上げますけれども、この法律に基づいて、さっき言った対象外の者まで差別禁止だと言うことは難しいと思います。
#331
○福島みずほ君 じゃ、フルタイムパートは差別禁止の考え方が及ぶということでよろしいですか。
#332
○政府参考人(大谷泰夫君) そのフルタイムパートということにつきましては、繰り返しこの御審議でも御意見を賜っているところでありますけれども、ここで言う差別禁止の対象ではないと言わざるを得ません。
#333
○福島みずほ君 いや、私は実は確認答弁を取りたいんですね。つまり、フルタイムパートについて、じゃ、差別の禁止の考え方はフルタイムパートにも及ぶのは当然ではないかということについてはいかがですか。
#334
○政府参考人(大谷泰夫君) この法律の根拠をもって一刀両断にそういうことを判断することはできないと、これはそういうことになるわけでありますが、あえて申せば、例えば同じ事業内に一時間の違いでさっきおっしゃったようなケースがあった場合に、これはこの法律では処理もちろんできないわけでありますけれども、仮定の議論になりますが、裁判等の中で争いになった場合に公序良俗という判断が登場するという可能性はあるとは思いますけれども、それは当然といいますよりも、個々の事実認定なり、そういった裁判所の判断に基づくものと考えます。
#335
○福島みずほ君 パート指針は、強行規定がなくてもいろんな指針設けていますよね。とすれば、私は、フルタイムパートに関してはやはり差別禁止は妥当ではないとかいうことを例えば指針に盛り込むということは十分合理的だと考えますが、いかがでしょうか。
#336
○政府参考人(大谷泰夫君) この差別禁止という規定は実は非常に厳しい規定でありまして、言わば事業主がそういう方を雇用していれば、くどいようでありますが、退職金から住居手当まで正社員と全く同じにし、そういうことをこれは強行的にしなければいけないという規定でありますから、そういう意味で、そういう重い義務を法律の根拠なしにいわゆる事業主に強いるということは、これは難しいと考えますけれども、今お話がありましたように、そういった考え方を事業主の間で普及するべきだと、そういったことであれば、それは考え方の問題として別途、検討する余地があると思います。
#337
○福島みずほ君 考え方が普及すべきだということであれば、指針やあるいはガイドライン、そういうものに是非、厚労省として盛り込んでいただきたい。いかがでしょうか。
#338
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、そうはいっても、この差別禁止というのは非常に厳しい概念でありますから、その扱いにつきましては、これは関係者の理解も得た上で進めなければ、なかなか一気にはここで申し上げるのは難しいと思います。
#339
○福島みずほ君 短時間パートだったら厳しい厳しい差別禁止が及んで、フルタイムパートになってしまったら差別禁止が及ばないというのはやっぱり非常に変なんですよ。それは、パートを短時間労働と位置付けた厚生労働省のたまたまの便宜のためだけであって、その厚労省の便宜のために、生きている人間が何で差別禁止が及ばないかと。考え方からすれば、さっきから局長おっしゃっているとおり、差別はない方がいい、あるべきでないという考え方はやっぱり及ぶべきなんですよ、フルタイムパートだとしたら。だとしたら、すべてについて厳密に差別禁止というふうにしなくても、フルタイムパートにしたらできるだけ差別がないように扱うべきだといったことや、書きぶりはいろいろあるかもしれませんが、指針に是非盛り込んでいただきたい。いかがですか。
#340
○政府参考人(大谷泰夫君) くどくなりますが、この差別禁止につきましては、その差別禁止という内容の強行性の問題もありますけれども、この三要件の中には契約の期間という要素がありまして、期限の定めはないか、あるいは期限の定めがあっても、それが繰り返すことによって期限の定めのないものに準ずるものだというところから比較をしているわけであります。
 そういった意味で、フルタイムの有期契約社員の在り方、あるいはそのフルタイムの契約なりパートの方がどういう形であるのか分かりませんが、やはり個々に議論してみないと、一くくりでここで論じるのは難しいんではないかと考えています。
#341
○福島みずほ君 厚生労働省の役人の人も、公の場以外では、それはそうですよねという感じだと思うんですね。それやっぱりおかしいですよ、だれが考えても。
 だったら、百歩譲って、八条に準じてできるだけ差別のないものとして取り扱うべきだ、この指針でも結構ですよ。フルタイムパートに関して、全く何の言及もしないのではなく、やはり何とか差別が少なくなるようにということを厚労省としては努力していただきたい。それを指針なり何らかの形で出していただきたい。いかがですか。
#342
○政府参考人(大谷泰夫君) フルタイムパートといいますか、そういった働き方についての考え方は、これは別途、労働政策審議会でも今後検討されていくということになると思われますので、そういった中でも、今回の法律の考え方というものは御議論の対象になるのではないかと期待するわけでありますが、ここでそこを断定的に言うのはなかなか難しいと思います。
#343
○福島みずほ君 先ほど局長は、差別禁止の考え方が望ましいというふうにおっしゃいましたので、差別禁止の考え方が望ましいということを是非喧伝していただきたい。それはいかがですか。
#344
○政府参考人(大谷泰夫君) パートタイム労働者に対して、まあ喧伝といいますか啓発することはもちろん私どもの仕事でありますけれども、ひとつこういったところについては、更に精緻な議論があると考えておりますので、一概にここでそこを断言するのははばかりたいと思います。
#345
○福島みずほ君 だって、さっき局長は差別禁止の考え方が及ぶことが望ましいとおっしゃったじゃないですか。国会の答弁でそうおっしゃっているんだったら、国会の答弁で言うのと宣伝するのと同じことだと思いますけれど。
#346
○政府参考人(大谷泰夫君) 考え方を申し上げるのは、もちろんこういう形でやぶさかではないわけでありますが、それが指針であるとか、そういう法規範的なものになってきますれば、これはその手続を経て関係者の理解の上で行わなければならないということで、そこに手続がまだあるということを申し上げているわけであります。
#347
○福島みずほ君 是非、指針に盛り込んでくださる手続をちゃんとやってくださるよう心から要請いたします。
 更新の反復についてですが、有期の場合、更新の回数や継続雇用を期待させる言動などを参考に考慮するとのことですが、どのように周知徹底するのでしょうか。是非、有期の更新を繰り返していることや、更新の期待方があるものについて、是非、期間の定めのないものにするとか、指針に入れる条文のただし書の中に含めるなど、だれが見ても分かるようにできないんでしょうか。
#348
○政府参考人(大谷泰夫君) この有期労働契約が更新されることにより、無期労働契約と実質的に異ならない状態になっているかどうかにつきましては、これはその裁判例において、更新回数のほかに、かつてここで申し上げたことがありますが、業務内容の恒常性や臨時性、また正社員との同一性、それから労働者の契約上の地位の基幹性、臨時性、それから継続雇用を期待させる言動等当事者の主観的な態様、また更新手続の厳格性、他の労働者の更新状況、こういった事項を考慮して判断されるということを考えておりますが、こういったことを参考に、今後、通達においてその判断基準を示すとともに、例えばその具体的な事例や対応方法について分かりやすく解説したパンフレットを提供するであるとか、事業主あるいは労働関係団体についてもそういった情報を提供して自主的な取組を支援していくとか、そういったことであらゆる周知徹底に努めたいと考えております。
#349
○福島みずほ君 是非指針の中に入れるなど、だれが見ても分かるように是非検討をよろしくお願いします。
 三要件を満たす通常労働者の比較について確認を一ついたします。
 これは以前、私も質問しましたが、パートタイム労働者の比較は三要件を満たしていない通常労働者との比較でよろしいでしょうか。つまり、通常労働者とパートタイム労働者の比較について、三要件を満たす通常労働者と三要件を満たしていない通常労働者がいる場合、パートタイム労働者の比較は三要件を満たしていない通常労働者の比較でよろしいでしょうか。同じ労働者とは差別をしてはいけないという概念であるということでよろしいですね。
#350
○政府参考人(大谷泰夫君) これは以前ここでも申し上げたことあると思いますが、三要件という言い方をしますと若干誤解が生じます。要するに、その職場で比較すべき通常の労働者を見た場合にその三つの要件で見るということを言っているわけでありますから、例えば三要件といいましても、この間たしか申し上げましたけれども、仕事の内容が同じで、それから人材管理も同じだということであった場合に、期間でどう見るか、あるいは、いわゆる人材運用の中で転勤があるかないかと見た場合に、ちょうど比べるべき正社員の中、通常の社員の中に転勤している者といない者があったということであれば転勤していない者で比べてよいと、そういった意味でそこは考えていくということでございます。
#351
○福島みずほ君 福利厚生についてですが、施設のみに限定していること、配慮規定としていることなど問題があります。
 均衡処遇の実現に向けて、パートタイム労働者が差別的な扱いを受け、是正すべき福利厚生には何があると認識していますか。
#352
○政府参考人(大谷泰夫君) お答え申し上げます。
 均衡処遇の実現に向けまして今後是正すべき福利厚生、どういうものがあると認識しているかということであります。
 健康の保持、それから業務の遂行に必要な施設の利用につきましては、これは取扱いを異にする理由はないということで、まずは今回の改正法案に基づきまして厚生労働省で規定する予定の給食施設、休憩室、更衣室についての均衡を書く、これはまず必要と考えております。その上で、これは現行の指針でも規定しておりますが、医療、それから教養、文化、体育、レクリエーション等の福利厚生施設などを中心に、これも均衡処遇の実現に向けた取組を行っていきたいと考えます。さらに、慶弔見舞金あるいは慶弔休暇など、これら以外の福利厚生でありましても、通常の労働者が受けている措置についてパート労働者も受けるようにするということは、これは均衡の観点から望ましいことというふうに考えておりますので、これらについては均衡待遇の確保について今後の課題として我々も検討を重ねていきたいと考えております。
#353
○福島みずほ君 三点おっしゃいましたが、三点目の検討を重ねていきたいというのではなく、是非三でおっしゃったことを二のレベルで広げていく対象にしていただきたいと考えますが、いかがですか。
#354
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回、法律の介入をもって規定することは合意が得られなかったわけでありますけれども、今後どういった形でこれを推進するかについては、事業主、労使についてまた相談をして、できる限り推進の方向で進めていきたいと考えております。
#355
○福島みずほ君 パート指針が後退をしないように、あるいは福利厚生については、特に施設については、パートか正社員か区別する理由がない、あるいは福利厚生については基本的に是正すべきものであるという観点から頑張ってくださるようお願いいたします。
 次に、不利益変更についてお聞きをいたします。
 パート法改正後に、期間の定めのないパートの有期契約への切替えや労働条件を下げるなど、不利益変更がなされることが予想がされます。NGO団体、働く女性の全国センター、非正規雇用労働者の労働条件の不利益変更は正社員より多いという結果がホットラインの結果出ております。
 ですから、これについて、不利益変更がなされないようにするには行政としてどのような対応を想定しているのか、労基署や均等室などの対応はどうなっているのか、相談業務について、これは総合労働相談への研修、周知徹底は行われるのか、それについてお聞かせください。
#356
○政府参考人(大谷泰夫君) 労働条件の引下げ防止の措置につきましては、これは本改正法案には特段明記していないところでありますけれども、これは、明確な規定がなくても、労働条件の不利益変更を事業主の一存で合理的な理由なく一方的に行うということはおよそ法的に容認されないというふうに考えておりまして、この趣旨につきましても今後、事業主に対して十分な周知に努めてまいりたいと考えております。
 また、今御指摘がありましたように、各都道府県の労働局それから総合労働相談コーナー、その他行政関係部局におきましてもこういった趣旨は徹底してまいりたいと考えます。
#357
○福島みずほ君 パートタイムに対する差別の解消という観点からですが、この委員会でも間接差別のことについて、間接差別が横行している、つまりパートタイム労働者、有期契約労働者であるからという差別だけではなく、主婦であるとか女性であるという間接差別が数多く横行しているという実態をどうするのか、その認識を厚生労働省として持っているのか、それを踏まえ法律や行政、業務を行っているのか、いくのかについてお聞かせください。
#358
○政府参考人(大谷泰夫君) 間接差別につきましては、これは昨年の男女雇用機会均等法の改正の中でも十分に御審議賜りまして、三つの要件を定めて、現在それが施行されております。それから、その際の議論の中で、このパートタイムの労働者についてどう考えるかということで、これは労働時間が異なることによる格差の是正という見地から取り組むということになり、今回、法案を提出させていただいて、その格差の是正に取り組んでいるところでございます。
 このパートタイムの労働者の七割が女性であるということを考えましても、今回の法案が実効性が担保され普及されることになりますと、それはそういった、ひいてはこの間接差別の是正にも寄与するものというふうに考えております。
#359
○福島みずほ君 前述した銀行のBさんの勤務先では、フルタイムパート以外のパートタイム労働者に対しては、配偶者の扶養控除範囲内で住民税が掛からない年収百万円以内で働くように年収管理表が配付されております。このように、パートタイム労働者は家計補助的労働という意味合いが強く、賃金や待遇面で差別してもよいというふうになっております。そのためのパート法であるというふうに思っております。このような年収管理表の配付や、それから家計補助的だ、女性だから、主婦だからいいのだという、このようなことに関してきちっと厚労省は認識を持ち改善をしていただきたいと思いますが、どのように取り組まれるのか、お聞かせください。
#360
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘ありましたその家計補助的労働であるということで、特段そういう文言による制度や指導があるわけではありませんけれども、今回の法律改正の中身をごらんいただきますと、パート労働者にもいろんな態様があって、その家計補助的労働という中にも、例えば職務がもう異なる仕事の、家庭の、言わば家事の連携を図りながらパートをしておられる方、あるいはもうほとんどデータイムに、その一日の仕事のほとんどを仕事に費やしている方、いろんな方があるわけでありまして、そういった働き方に応じた今回、処遇の改善を講じているところでありまして、そういった意味で、そういう家計の状況に応じた対応も図られていくということに寄与するのではないかと期待しているわけでありますけれども、私どもの所管しております男女雇用機会均等法、あるいは育児・介護休業法、あるいは今回のパート労働法の改正等を合わせまして、今御指摘のありましたようなことについて貢献していきたいと考えております。
#361
○福島みずほ君 両方の側面からよろしくお願いします。
 転換制度についてですが、機会を与えるだけの内容で一体何が変わるのか、今後の転換制度の在り方についてですが、今後どのように転換制度について取り組んでいくのか、是非前向きにこうやるということでよろしくお願いします。
 というのは、街頭アンケートをやったNGOのグループからのアンケート結果では、やはり正社員との均等待遇を希望するとか、正社員になることを希望するという人がやっぱり多いんですね。ですから、それはもう当たり前のことで、この転換制度について是非実効性があるようにということをお願いをしたいのですが、厚労省の取組の決意を教えてください。
#362
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の法律改正の中でも通常の労働者への転換制度を導入するということで、例えば正社員を雇用しようと考えている場合に、既に雇われているパート労働者の方に事前にその機会があるということを周知する、あるいは職場の中で新たに通常の労働者を配置しようとした場合に、そういう状況、情報を周知する、あるいは社内でそういう研修や試験制度を設ける、そういったことについて必ず取り組むようにと、こういった義務が入ったわけであります。これが、そういうパート労働者の中でそういった意欲と能力を有する方の採用についてこれが寄与することを期待するわけでありますが、こういった措置の徹底については、私どもも法案の施行の中で図っていきたいと考えております。
#363
○福島みずほ君 実は、不利益変更やいろんなときともありますが、試験制度を形式的に設けるけれども実際は皆落としてしまうとか、そういう事例を実はよく聞きますけれども、そういう点についての歯止めや指導というのはあり得るのでしょうか。
#364
○政府参考人(大谷泰夫君) 近時、パートタイムの正社員登用ということで、数千人単位で行っている企業もかなり出ているというふうに聞いておりますけれども、最終的にその試験が単に形式の、いわゆるダミーのようなものであってはならないと考えておりますけれども、その試験においてその能力が公正に判断される試験を実施していただくということが重要と考えております。
#365
○福島みずほ君 大臣に最後にお聞きをします。
 今回のパート法の改正で、ILO勧告で指摘されていることを満たし、ILOパート条約を批准できる内容だと大臣は認識されているでしょうか。
#366
○国務大臣(柳澤伯夫君) ILO条約というお話ですが、これは百七十五号条約、つまりパートタイム労働に関する条約というふうにお受け取りをさせていただきました。この場合、パート労働者を定義付けるに当たりまして、比較可能なフルタイム労働者という、パート労働法の、ということは、通常の労働者と類似の概念だというふうに受け止めていますけれども、この条約におきましては、事業所内にそういう方がいない場合、事業所の外にいる者と比較するという概念になっております。この点がパート労働法の通常の労働者、すなわち事業所内にいるということが要件になっている我々の法律の通常の労働者とは異なるわけでございます。
 一般に職務給が定着しているという状況を背景に事業所横断的な労働市場が形成されているヨーロッパとは異なりまして、我が国におきましては事業所ごとの雇用管理により賃金等が決定されているわけでございますので、事業所を超えて、通常の労働者を定義付けているこの条約とはおのずから制度が異なってくるということでございます。したがいまして、現状では適切な国内担保措置がとり得ませんので、パートタイム労働に関する条約は批准できないし、これが今回の法律で批准できるような状況になるというふうには考えておりません。
#367
○福島みずほ君 パート条約を批准できる法案であるべきだということを申し上げ、私の質問を終わります。
#368
○委員長(鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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