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2007/05/24 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第22号
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2007/05/24 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第22号

#1
第166回国会 厚生労働委員会 第22号
平成十九年五月二十四日(木曜日)
   午後三時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     富岡由紀夫君     山本 孝史君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     山本 順三君     西島 英利君
     澤  雄二君     山本  保君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     野村 哲郎君
     辻  泰弘君     犬塚 直史君
     森 ゆうこ君     松下 新平君
     山本  保君     谷合 正明君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                西島 英利君
                野村 哲郎君
                藤井 基之君
                犬塚 直史君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                松下 新平君
                柳澤 光美君
                山本 孝史君
                谷合 正明君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   衆議院議員
       青少年問題に関
       する特別委員長  小宮山洋子君
       青少年問題に関
       する特別委員長
       代理     やまぎわ大志郎君
       青少年問題に関
       する特別委員長
       代理       高井 美穂君
       青少年問題に関
       する特別委員長
       代理       伊藤  渉君
       青少年問題に関
       する特別委員長
       代理       石井 郁子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  武見 敬三君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       松野 博一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法
 の一部を改正する法律案(衆議院提出)
    ─────────────
#2
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、富岡由紀夫君、澤雄二君、山本順三君、南野知惠子君、森ゆうこ君及び辻泰弘君が委員を辞任され、その補欠として山本孝史君、谷合正明君、西島英利君、野村哲郎君、松下新平君及び犬塚直史君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(鶴保庸介君) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は既に終局しております。
 本案の修正について小池君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小池晃君。
#4
○小池晃君 私は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、日本共産党及び社会民主党・護憲連合を代表して、修正の動議を提出します。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
 これよりその趣旨を説明します。
 パート労働者は千二百万人を超え、今や基幹的な労働力として雇用されているばかりか、パート労働から得る収入は労働者の生活を基本的に支えるものとなっています。にもかかわらず、正社員とほとんど同じ労働時間や仕事であっても、賃金や労働条件の面で均等な待遇を受けていない実態があり、これを抜本的に改善することが強く求められています。若者の多くがパート労働者として働いている現状からしても、この格差是正は喫緊の課題と言えます。
 ところが、政府の対応は、パート労働者に通常の労働者と同じ権利を保障した一九九四年のILOパート労働条約にいまだ署名も批准もせず、これまで差別の禁止や均等な待遇の実現に背を向けてきました。今回の政府案も、パート労働者の差別を是正するものとはなっておりません。
 本修正の目的は、パート労働者などの均等待遇を法案に明記するなど、格差是正を実現するための措置をとるものであります。
 以下、提案する修正案の骨子を説明します。
 第一に、パート労働者の多くが有期労働者であることから、有期契約を理由に通常の労働者と差別してはならないことを明確にするため、法の対象に有期労働者を加えます。
 第二に、すべてのパート労働者及び有期労働者を対象とした上で、通常の労働者との均等待遇の確保を法案に明記し、差別的取扱いの禁止を規定します。
 第三に、通常の労働者を募集、採用する場合、現に雇用する同種の業務に就いているパート労働者及び有期労働者で希望する者については、優先的に応募する機会を与えなければならないこととするとともに、優先的な雇入れの努力義務を課すこととします。
 第四に、通常の労働者から申出があった場合、申出に係る期間、短時間労働者として雇用するための措置を講ずる努力義務を課すこととします。
 第五に、事業者への規制を強化します。パート労働や有期労働を理由に通常の労働者との差別的取扱いをした場合や正社員への優先的応募の機会を与えない場合、厚生労働大臣が行う勧告に従わない場合には、これを公表し、勧告に従うよう命令できる規定を新たに置きます。
 以上述べて、趣旨説明とします。よろしく御賛同くださいますようお願いいたします。
#5
○委員長(鶴保庸介君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#6
○柳澤光美君 民主党の柳澤光美でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、内閣提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
 反対の理由の第一は、差別的取扱い禁止の対象範囲が狭い上に、その要件が妥当性を欠く点であります。
 差別的取扱い禁止対象範囲については、パート労働者の四、五%程度ではないかとの答弁からも分かるように、対象が非常に狭く設定され、これでは法案が成立しても、ほとんどのパート労働者にとっては処遇改善につながりません。安倍内閣が推進する再チャレンジ施策のためのアリバイづくりの改正とも言えます。
 反対の理由の第二は、差別的取扱い禁止対象者以外に対する均衡処遇が考慮義務、配慮義務にとどまっている点です。
 賃金についてはその均衡を考慮する義務、福利厚生についてはその均衡処遇を配慮する義務にとどまり、その上、均衡考慮の対象となる賃金には通勤手当や退職金が含まれないこと、配慮義務の対象となる福利厚生には慶弔見舞金などが含まれないことなど、中途半端な均衡処遇規定となっています。特に、通勤手当のように職務を遂行するに当たって必要不可欠となる手当が均衡処遇の対象とならないことは問題であると考えます。
 反対の理由の第三は、法案の実効性を確保するための体制の整備がされていない点です。
 新たに設けられる均衡処遇に関する義務規定の違反に対しては罰則規定が設けられていないため、法案の実効性は担保できないと考えます。
 政府は、行政指導により実効性を確保するとしていますが、これまでの雇用均等室によるパート労働法に基づく指導、勧告は過去五年間一度も行われなかった実態から考えても、実効性が担保されるわけがありません。ただでさえ心もとない雇用均等室の業務遂行体制に紛争解決援助の規定に基づく助言、指導、勧告等の業務が追加されれば雇用均等室がパンクすることは目に見えています。
 反対の理由の第四は、法改正に伴う正社員の労働条件不利益変更に対する懸念と、その対策の不備である点です。
 パート労働者の処遇を正社員の処遇に近づけるため、パート労働者の処遇引上げではなく、正社員の処遇引下げで対処しようとする事業主が出てもおかしくはないと考えます。政府は、労働条件の合理的理由のない不利益変更は許されないという一般法理を根拠に、そのような懸念には及ばない旨答弁していますが、果たしてそのような楽観的な姿勢で大丈夫なのか、正社員への不利益変更の禁止を法案に明示する必要があったのではないか。
 反対の理由の第五は、本法の対象とならないフルタイムパートに対する法整備が不十分である点です。
 パート労働法の対象となる労働者は、同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者と定義されるため、いわゆるフルタイムパートについては適用対象ではありません。考え方によっては通常の労働者に一番近いとも言えるフルタイムパートについて、その労働環境、均衡処遇が保護されないのでは欠陥法案と言われても仕方がありません。早急にフルタイムパート、有期労働契約者等の均衡処遇を図るための法整備を検討し、実現していく必要があると考えます。
 以上、申し上げまして、反対討論といたします。
#7
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対、日本共産党、社会民主党・護憲連合提案の修正案に賛成の立場で討論を行います。
 本法案は十四年ぶりとなる改正案であり、多くのパート労働者が期待してきたにもかかわらず、その内容は、圧倒的多数のパート労働者の願う均等待遇とはほど遠いものとなっています。
 以下、政府提案に反対する理由を述べます。
 反対する第一の理由は、均等待遇への実効性が余りにも乏しいことです。通常労働者として均等処遇するとした八条の通常の労働者と同視すべきパート労働者の対象は、大臣が答弁したパート労働者の四、五%よりも少なく、しかも、その判断は事業主にゆだねるとしており、限りなくゼロに近いことが質疑の中で明らかになってきました。また、九条の職務内容同一パート労働者の均衡待遇についても、勘案すべき点にパート労働者の意欲を盛り込むなど事業主の恣意的判断にゆだね、同じ賃金表を適用するよう努力するだけで、格差是正していく上で何の歯止めもないものとなっています。いわゆるフルタイムパート労働者は、法案の対象にすらなっておりません。
 第二の理由は、本法案が均衡待遇という考え方を取ることで、パート労働者の間に新たな格差、差別を持ち込み、それによって格差の固定化が生まれる危険性があることです。しかも、今回の法案を理由に、転勤や配転ができない正社員をパート化するなど、その処遇を悪化させ、労働者全体の労働条件を引き下げることにもなりかねません。
 第三の理由は、福利厚生の処遇について、今回の政府案は配慮義務であるにもかかわらず、給食・休養施設及び更衣室に限るという、これまでのパート指針よりも狭くなり、大きな後退となることです。参考人からも人権侵害だとの厳しい批判が出されました。少なくとも健康の保持又は業務の円滑な遂行に資する施設利用は差別的取扱いを禁止すべきであります。
 反対の第四の理由は、有期雇用労働者を均等待遇、差別禁止の対象から除外していることです。パート労働者の八割は有期雇用労働者です。有期雇用契約は、非正規労働者の雇用の不安定と低い労働条件を固定化する原因ともなっています。この有期労働者を継続的な業務に細切れ的に従事させ、安い労働力として使用するという雇用調整が放置されていることは重大です。
 日本共産党は、人件費削減のための有期雇用は最初から認めず、何度も契約更新を繰り返すような働かせ方を禁止することなどを求めています。実際に均等待遇を実現するためには、有期雇用労働者を対象とすることこそ現実的な解決の道であることを確信するものであります。
 以上申し述べて、討論といたします。
#8
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、内閣提出短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に反対し、共産党、社民党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
 政府提出案に反対する第一の理由は、差別的取扱いの禁止の対象となるパート労働者が極めて限定的であり、厚生労働省も差別禁止の対象となる人数を把握していないという、ずさんで根拠のない法律であるからです。政府案は三つの高いハードル、職務同一短時間労働者、人材活用、期間の定めのない労働契約をクリアしなければ差別禁止の対象とならず、多くのパート労働者を救済する内容とはなっておりません。また、差別的取扱いの対象は雇用主の判断に任せられ、既に差別禁止の対象には当たらないという事業主からの判断を言い渡されたパート労働者もおり、高い三つのハードルをクリアしたとしても実効性が極めて低いものとなっており、大変問題です。
 特に、期間の定めのない労働契約を差別禁止の要件にすることは、不安定な有期契約労働者が更に増加し、この法改正をきっかけに雇い止めや細切れ雇用への不利益変更を余儀なくされる可能性さえあります。これではパート労働者の処遇が底辺に張り付けられ、格差が固定化することとなります。
 第二に、パートタイム労働者の約七割は女性です。四月から施行された改正均等法では、募集、採用、昇進に当たって転居を伴う転勤を要件とすることは間接差別として禁止されました。にもかかわらず、このパート労働法においては、配転、転勤の有無を基準とする日本型均衡処遇ルールを基に作られており、改正均等法の間接差別の概念が全く生かされておりません。
 第三に、大多数のパート労働者が対象となる均衡処遇が努力義務にすぎないからです。実効性が期待できないばかりか、逆に差別禁止の対象ではないという理由で差別を放置しても許されるということになりかねません。
 第四に、福利厚生が厚生労働省令で定められた三つの施設に限定されるということも問題です。三つの施設以外にも、同じ職場で働く労働者として、業務の円滑な遂行に資する多くの福利厚生制度があります。これは、パートタイム労働者の現状を全く反映していない点が問題です。
 パート法の審議中であった五月二十一日、規制改革会議、再チャレンジワーキンググループ、労働タスクフォースが、「脱格差と活力をもたらす労働市場へ」という意見書を発表しました。内閣総理大臣の諮問である規制改革会議のワーキンググループの出した意見書は、有期雇用の雇い止め法理を否定する立法、同一労働同一賃金の否定、職種別賃金の否定など、具体的に提言しています。政府は、明確に労働者を守り、労働市場において女性の差別的取扱いがなされぬよう、パート法改正において指針を後退させないことや、均等待遇など明記するなどが必要でしたし、今後も毅然とした方針を示すべきです。
 フルタイムパートの問題や有期雇用の問題など、厚生労働省は、問題視をしていながら何も手を打たないという態度も許せません。一九九三年の法制定以降、初めての大幅なパートタイム法改正であり、大きな期待が寄せられてきました。しかし、今回の改正では、差別是正の実効性がほとんどないばかりか、逆にパート労働者への差別や格差を拡大、固定化しかねないものであると言わざるを得ません。
 社民党は、同一価値労働同一賃金の観点に立ち、パート労働者の均等待遇の確保、差別禁止の取組をより一層強め、すべてのパートタイム労働者と一緒に待遇改善のため、今後とも、政府に働き掛け、取り組んでまいります。
 また、共産党と共同提出した修正案については、パートタイム労働者全体の待遇改善を一歩進めるものであることから賛成いたします。
 以上、両案に対する討論といたします。
#9
○委員長(鶴保庸介君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、小池君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#10
○委員長(鶴保庸介君) 少数と認めます。よって、小池君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#11
○委員長(鶴保庸介君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立信也君。
#12
○足立信也君 私は、ただいま可決されました短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、本法の内容について、事業主、労働者等に対する周知徹底に努めるとともに、均等・均衡待遇の確保のためにとるべき措置等について具体的かつわかりやすい事例を示す等、事業主に対する指導を行うこと。特に、差別的取扱い禁止の対象となる短時間労働者の要件については、雇用の実態を踏まえ、労使双方にとって公正な運用が行われるよう十分配慮しつつ、その範囲が明確となるよう、判断に当たって必要となる事項等を示すこと。また、短時間労働援助センターによる助成金の支給等により、事業主に対し、十分な支援に努めること。
 二、短時間労働者と通常の労働者との均等・均衡待遇の確保を更に進めるため、参考となる先進的な雇用管理事例のほか、職務分析の手法や比較を行うための指標(モノサシ)について内外の情報を収集するとともに、事業主に対し、それらを提供することにより、その取組を支援すること。
 三、法の実効性を高める観点から、都道府県労働局の雇用均等室においては、事業主に対する報告徴収をはじめとする行政指導の強化や調停の活用を図ること。また、本法の円滑な施行を図るため、都道府県労働局の雇用均等室等について、専門家の配置を含めた体制を整備すること。
 四、いわゆるフルタイムパート(所定労働時間が通常の労働者と同じである有期契約労働者)についても本法の趣旨が考慮されるべきであることを広く周知し、都道府県労働局において、相談に対して適切に対応すること。また、我が国における短時間労働者の多くは、労働時間が短いことに加え、有期労働契約による問題が多い実態を踏まえ、有期契約労働者と通常の労働者との均等・均衡待遇の確保を進めるため、有期契約労働者に関わる問題を引き続き検討すること。
 五、正社員の労働条件について、本法を契機として合理的理由のない一方的な不利益変更を行うことは法的に許されないことを周知するとともに、事業主に対して適切に指導を行うこと。
 六、長時間労働が常態化している男性正社員の働き方の見直しを含め、短時間労働者と通常の労働者の双方において、仕事と生活の調和の実現に向け、仕事と家庭の両立がしやすい職場環境の整備を進めること。あわせて、短時間正社員制度が社会的に定着するよう一層の取組に努めること。
 七、昭和六十一年度の税制改正により、百三万円を境とする所得の逆転現象が解消されているにもかかわらず、今なお、就業調整が相当数の短時間労働者によって行われている現状にかんがみ、誤解に基づく就業調整が行われることのないよう、短時間労働者や事業主などに対する現行税制についての周知徹底に努めること。
 八、正社員以外のあらゆる労働者の処遇の改善を図るため、その労働条件及び雇用管理状況の実態把握を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#13
○委員長(鶴保庸介君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#14
○委員長(鶴保庸介君) 全会一致と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、柳澤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。柳澤厚生労働大臣。
#15
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#16
○委員長(鶴保庸介君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#18
○委員長(鶴保庸介君) 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。
#19
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま議題となりました雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現下の雇用失業情勢は、全般的には改善が進んでいるものの、フリーター数が依然として多い等の若者の雇用問題や、地域における雇用情勢の改善の遅れ等の課題があります。また、人口減少等が見込まれる中で、今後とも我が国の経済社会の安定等を図る観点から、これらに的確に対応した雇用政策を講ずる必要があります。
 このため、働く希望を持つすべての人の就業の実現を図ることを明確化するとともに、青少年の応募機会の拡大、雇用情勢が特に厳しい地域への支援の重点化等のために必要な措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、雇用対策法の一部改正であります。
 人口減少等の経済社会情勢の変化に対応した就業の促進を図ることをこの法律の目的として追加するとともに、国の実施すべき施策として、青少年、女性、高齢者、障害者等の就業促進対策を追加することとしております。
 また、青少年の能力を正当に評価するための募集・採用方法の改善等により、その雇用機会の確保等を図ることを事業主の努力義務とするとともに、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けて、労働者の募集、採用に係る年齢制限の禁止について義務化することとしております。
 さらに、外国人の適正な雇用管理等を図るため、事業主による外国人の雇用状況の報告を義務化するとともに、外国人の雇用管理の改善等を事業主の努力義務とすることとしております。
 第二に、地域雇用開発促進法の一部改正であります。
 地域雇用開発のための措置を講ずる地域について、現行の四類型を、雇用情勢の特に厳しい地域である雇用開発促進地域と雇用創造に向けた意欲の高い地域である自発雇用創造地域の二類型に再編し、支援を重点化することとしております。
 最後に、この法律の施行期日については、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、青少年の雇用機会の確保に係る事業主の努力義務の部分等については、平成十九年十月一日施行としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#20
○委員長(鶴保庸介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#21
○委員長(鶴保庸介君) 児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院青少年問題に関する特別委員長小宮山洋子君から趣旨説明を聴取いたします。小宮山洋子君。
#22
○衆議院議員(小宮山洋子君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び主な内容を説明いたします。
 本案は、子供の尊い命が奪われる児童虐待事件が平成十六年の児童虐待防止法の一回目の改正後も減少するに至っていない現状を踏まえ、適切かつ確実な児童虐待の防止等を図るため、所要の措置を講じようとするものです。
 次に、本案の主な内容につきまして、説明いたします。
 第一に、都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、保護者に対し、児童を同伴して出頭することを求め、児童相談所の職員等に必要な調査等をさせることができるものとすること。
 第二に、児童虐待を行っているおそれがある保護者が立入調査や出頭要求に応じない場合に、児童虐待が行われている疑いがあるときは、裁判官の発する許可状により、児童相談所の職員等に児童の住所等を臨検させ、又は児童を捜索できるものとすること。
 第三に、虐待を受けた児童の一時保護又は保護者の同意による施設入所措置の場合にも、児童相談所長等が保護者に対して面会又は通信を制限できるものとすること。
 第四に、裁判所の承認による施設入所措置がとられた場合、都道府県知事は、児童虐待を行った保護者が、児童への付きまとい又はその住居等の付近での徘回を禁止することを命ずることができるものとし、この命令違反につき、罰則を設けるものとすること。
 第五に、児童虐待を行った保護者が都道府県知事の指導勧告に従わなかった場合には、都道府県知事が虐待を受けた児童の一時保護等その他の必要な措置を講ずるものとすること。
 以上が、この法律案の提案の趣旨及び主な内容です。
 御賛同くださいますようお願いいたします。
#23
○委員長(鶴保庸介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#24
○清水嘉与子君 自由民主党の清水嘉与子でございます。
 本日の朝刊にも、埼玉県で二十二歳の実母が三歳の子供を虐待して、そして今意識不明の重体になっているというようなニュースが出ておりました。こうした悲しい事例をなくすために法律を作っていろいろ手当てをしているわけでございますけれども、それがなかなか直らない、少なくならない。大変残念に思っております。
 この児童虐待防止法、平成十二年に制定され、そして十六年の改正、さらに今回の改正と、衆議院の青少年特別委員会で審議され、大変熱心にされて非常に成果を上げてきたことを、本当に皆様方の御努力に敬意を表する次第でございます。
 この児童虐待防止対策につきましては、児童福祉法、そして児童虐待防止法の下に、発生予防から、その起きた虐待の早期発見、早期対応、そして保護、支援、そして家族との再統合まで一連の流れの中で施策が進められてきているというふうに思っておりますけれども、本日も両案が審議されるわけでございまして、そうなんですけれども、何か今日は理事の申合せによりまして、発議者だけに質疑をするということになったようでございますので、多少皆様方の守備範囲を超えるところがあるかもしれませんけれども、お互いに児童虐待防止のための審議でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 その二つの法律なんですけれども、要保護児童全体の福祉という点からは児童福祉法が、そしてさらに児童虐待防止という点からは児童虐待防止法がということに整理されているというふうに思うんですけれども、それぞれの具体的な施策の中で、ちょっとその辺が分かりにくい点があるんですね。
 そこで、まず発議者の皆様方に児童福祉法と児童虐待防止法とのかかわり、どのように整理して法案を検討していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#25
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) 先生の今御指摘のとおりでございまして、昨今の日本の状況というのを見るときに、児童虐待というものが本当に頻繁に起こるようになってきてしまっていると、そういう社会情勢を受けた上でこの児童虐待防止法というのが制定された経緯でございます。
 御質問のとおりに、児童福祉法というのは児童の健全な育成にかかわる措置全般を定めたものでありまして、この児童虐待防止法は、その児童虐待に特化して、その枠とまた並列のような形で作った法律と理解すればいいんじゃないかなと思っております。
 具体的には、児童虐待防止法では、児童虐待の定義、通告制度、児童の安全確認、その他の児童虐待を受けた児童の保護のための措置等が具体的に定められております。一方で、児童福祉法の方では、児童の一時保護、児童虐待を受けた児童の施設入所措置、児童虐待を行った保護者への指導等が定められております。
 いずれにいたしましても、児童虐待防止法と児童福祉法が、この措置、連携、連動することによって初めて児童虐待の防止等に関する施策が推進されるものと考えております。
#26
○清水嘉与子君 今御説明のことなんですが、児童虐待防止法では保護者あるいは同居人による虐待と、どちらかといえば家庭の中で起きてくる暴力、虐待のことが中心になるように思いますけれども、最近では児童福祉施設の中におきます虐待というのがかなり問題になっているわけでございます。
 幾つかの事例がもう挙がっていると思いますけれども、職員による暴力でありますとか、あるいは職員による性的な不祥事というようなことがニュースに上がっているわけでございまして、もちろん保護者という中には、現に監護しているという意味から福祉施設の職員等も読めないことないんですけれども、しかし、例えば高齢者虐待防止法のように、家庭も施設も、そこにおきます虐待問題について両方対象にするということもあるのではないかと思いますけれども、今回の改正法審議の中では、この問題についてはどんなふうな御議論があったのか、お伺いしたいと思います。
#27
○衆議院議員(高井美穂君) 実は、今回の改正案の作成に当たっては、前回、平成十六年度の改正のときに積み残しとなりました二つの課題、児童の安全確認と安全の確保を実効的に行うための方策と、あと親権喪失の制度の在り方に関するものと、この二つの大きな問題に大変時間を要しました。そして、児童福祉施設内における虐待事例に実はどう対応するかということについて、十分な時間を取って検討することができなかったという反省もございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、本当に児童福祉施設内での虐待は深刻な問題となっているということをすべての委員が承知をしておる中で、その中で今回の改正案の附則の二条二項において、政府に対し、児童養護施設等における虐待の防止を含む児童養護施設等の運営の質的向上に係る方策の検討を行わせることとしているというふうに入れてあるところでございます。
#28
○清水嘉与子君 今後の問題かと思いますけれども、やはりそういうところで働いている職員の処遇の問題でありますとか、それからやっている仕事の中身からいきまして、職員自身もいろんな意味で心の病を得たり、いろんな問題があるかと思いまして、将来の問題、これからの問題としてやはり少し御検討もいただかなきゃいけないかなというように感じているところでございます。
 次に、前回の改正のときに、十六年の改正のときに、ちょうど岸和田の事件があったときだったんですよね。だもんですから、虐待を受けている児童の安全確保のために速やかに警察官に援助を求め、立入調査をするようにすべきだという大変強い議論がある一方で、しかし、裁判所の許可なく警察官が立ち入ることについてはやっぱり憲法三十五条との問題もあり、これは少し慎重にするべきじゃないかといった議論もありました。結果的には今のように警察署長への援助要請、そして警察官の職務執行法等、現行法の枠内で立入検査というふうな、収まった経緯がございます。
 さらに、このたびは裁判所の許可を取り付けて立ち入ることができるようにする改正をするわけでございますけれども、つまりそれは今の現行法では対応できないような問題が出てきているからなのかなという感じもするんですが、その辺の実態を教えていただきたいと存じます。
#29
○衆議院議員(伊藤渉君) 委員御指摘のとおり、現行法の枠組みにおきましては、御指摘のとおり、児童の安全を確認するための手段として児童虐待防止法に基づく立入調査が、また児童の生命、身体に危害が切迫した場合には警察官の職務執行法に基づく立入りが認められているところでございます。
 しかし、昨年実施された約二百件の立入調査のうち、保護者の執拗な反対、扉の施錠等によって立入調査ができなかった事例が十件弱程度あったことからも分かりますように、現行法の枠組みでは児童の安全確認又は安全確保が困難を極める事例もありまして、このような事例にどのように対応するかが問題となってきたところでございます。
 この問題は平成十六年の法改正時におきましても、今御指摘のとおり議論されたところでございまして、同改正法では、その附則に、児童の住所又は居所における児童の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、これについて検討をし、必要な措置が講ぜられるものと規定をされていたところでございます。
 今般の改正案では、この検討条項を受けまして、裁判官の許可状を得て、必要とあれば解錠等の実力行使を伴う臨検、捜索の制度を設けることとしておりまして、これにより現行法の枠組みでは立入調査ができないような事例に対しても十分に対応できるようにして、児童の安全確認又は安全確保を一層確実なものとしようとするものでございます。
#30
○清水嘉与子君 改正の御趣旨は分かったんですけれども、今回の改正によりまして、虐待のおそれはないにもかかわらず、例えば単に不登校でありますとかあるいは学校に行かせていないというだけで虐待が疑われ、そして出頭要求でありますとか強制立入りといった事態にならないだろうかといったような心配も実は行われているわけでございまして、そういった心配に対してどんなふうにしてお答えしたらいいでしょうか。
#31
○衆議院議員(石井郁子君) 不登校の状態の子供の問題につきましては慎重な対応が求められるというふうに思います。
 児童の健康、安全への配慮を怠っているというような場合があって、児童が登校を希望しているにもかかわらず保護者が登校させないというようなときには、児童虐待防止法二条三号に規定しておりますその他の保護者としての監護を著しく怠ることに該当すると考えられるわけでございます。しかし、保護者が児童の状態を見ながら適切な監護を行っている、そういうようなケースももちろん多いわけでございますから、単に不登校であると、学校に行かせていないということをもって児童虐待とされることはないと考えております。
 この点につきましては、不登校であることをもって児童相談所に通告がなされるということが全くないとは言えないということがあるものの、今回の改正案におきましては、通告を受けた児童相談所等に対して、学校の教職員らの協力を得つつ、通告があった児童との面会等の措置を講ずることを義務付けております。適切な監護がなされているケースについては、それらの措置がとられた段階で児童虐待がないということが明らかになって、出頭要求や立入調査に至ることはないと考えているところでございます。
#32
○清水嘉与子君 そんな、そういう御心配には及びませんということをはっきり申し上げられるかと思いますけれども、そういう心配もありますということもお伝えしたいと思います。
 それからなお、虐待されているおそれがあるということで立入調査をする、そしてさらに次にはまた再々出頭要求をし、そしてまた拒否されたら今度は臨検、捜索というふうになっているわけでございますけれども、この立入調査というのと臨検、捜索、実態的な違いがありますか。
#33
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) これは、立入調査というのは、これ行政調査でございますので、実力行使というものを伴わない、罰則という間接的な規定を設けたことによってその実効性を担保しようとするものであります。
 臨検、捜索というのはこれに比べまして実際に物理的な実力行使を伴うものでありまして、具体的には解錠等を行うという、かぎを開けてしまうというようなことを拒否された場合にそういった実力行使を伴うものであるという区別でございます。
#34
○清水嘉与子君 この立入調査のときにも、これまでのあれでも、虐待されているおそれが本当に緊急なものであれば、これ、かぎを開けることができるような仕組みになっているわけですよね。
 私、臨検とか捜索という言葉が、する人がこれやっぱり児童相談所が前面に立ってやるわけですよね。職員は児童相談所の職員ですよね。そういう中で、強権的に、強制的にするんだというお話ではございますけれども、そういう言葉を使わなきゃいけないのかなというのをとっても私は疑問に思いまして、できれば、実際にはそういうことになるのかもしれませんけれども、実態として余り中身は変わりないんじゃないか、そうするとわざわざこういう言葉を使わないでいいんじゃないかなという気がいたしたものですから。
 これはどうしてもこういう言葉を使わなきゃいけないのでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#35
○衆議院議員(小宮山洋子君) やはり、実力行使を伴う立入りにつきましては臨検という言葉を使うのが通例であるということなんですね。私も、清水議員がおっしゃるように、こういう物々しい言葉は余り使いたくないと思ったのですが、ただ議論をしている中で、超党派で議員立法で作りましたけれども、私たちの中でもこれは福祉が前面に立ってあくまでも子供の安全を確保をするためということで、ただそのときに、どうしても児童相談所の人だけではなかなか立ち入れない困難なケースに、例外的なそういう場合において警察の援助を受けて子供の安全を確認し、安全を確保するために今回設けたということでございますので、言葉は物々しいですが、あくまでも、警察権力がずかずかというよりは、福祉的手法でやるところを警察がバックアップをして、例外的にどうしてもしようがない場合においてこれをやるということで、言葉遣いにつきましては、これは法律用語でございますので、御了解をいただきたいというふうに思っております。
#36
○清水嘉与子君 これ、同じ児童虐待防止法の中の法律用語なんでしょうかね、ちょっとその辺は私まだ疑問がありますけれども。
 それから、今度の改正では、まず出頭要求あり、そして駄目だったら今度は立入りをし、そして拒否されたらまた再出頭要求をし、拒否されたらまた今度は臨検、捜索と、それには裁判所の令状、許可状が要ると、こうふうになるわけですけれども、何かこれだけ見ているとすごい時間が掛かりそうな気がしてならないんですけれども、本当にもうせっぱ詰まった状況の中で、こういう手続をずっと初めからやっているとすごいことになるんじゃないかという気もしますが、これは実態としては大丈夫なんでしょうか。
 ごめんなさい。通告しませんで、申し訳ありません。
#37
○衆議院議員(高井美穂君) 今回の改正で、現行制度において一部の事例であるけれども安全確認が困難なケースが存在するということを踏まえて、今回新たに司法の関与による立入捜査を制度化したわけでございます。
 清水委員がおっしゃられる趣旨というのは大変私たちも議論をいたしまして、今回の改正の施行後、大多数のケースについては引き続き現行の立入調査により対応するものでありまして、強制的な解錠を行う立入調査はあくまでも例外的な措置として、従来の制度では対応困難なケースに限って実施をいたすこととしております。
 新制度によるこの手続がどの程度日数を要するかということに関しては、大変個別のいろいろな事情に応じて異なるというふうに想定されるため、具体的に何日とか申し上げることは大変困難ではありますが、いずれにせよ、本当に御指摘があったとおり、関係者がやっぱり連携をして、迅速に、できるだけ子供を早く助けるため手続等を進めることが重要でございまして、改正法が成立した暁には、現場における円滑な制度の運用がなされるように、関係省庁が連携し、立入調査の実施に関するマニュアル等を作成して、それによりできるだけ迅速な対応をするということで期待をしておるところでございます。
#38
○清水嘉与子君 警察庁の資料によりますと、十八年の虐待で死亡した子供が五十九名というふうに聞いております。厚生労働省で虐待による死亡例を検証しておりまして、これ十六年には五十八例、同じような件数の人たちが虐待されて亡くなっているわけでございますけれども、この厚生労働省の検証によりますと、五十八例中児童相談所がかかわっていたのは三二%、三分の一ですね。あと三分の二は、あとは学校で虐待を疑っていたけれども児童相談所につなげなかったとか、あるいは全くそういう問題はないんじゃないかというふうに思われていたような事例でございます。つまり、事前にそういう、そこまでいく子供でもほとんど把握されていないというのが実態なんですよね。
 発生予防のためにはどうしても問題事例をどうやって把握するかというのがかぎになると思うんですけれども、この辺については何か有効な手段がありますでしょうか。
#39
○衆議院議員(伊藤渉君) 厚生労働省が実施をしました死亡事例の検証報告、これを見ますと、今委員御指摘のとおり、平成十六年の死亡事例では、五十三事例中児童相談所がかかわっていなかった事例は約七割、三十六事例に上っておりました。したがって、虐待死という痛ましい事件の防止のためには、一つには、通告体制の強化、これを図ると同時に、そもそも虐待の危険性のあるケース、とりわけ虐待死のリスクの高い乳児期の子のケースについて早期に把握をして介入をしていくことが重要であると認識をしております。
 まず一つ目の通告の体制、この強化という観点からは、前回、平成十六年の改正によりまして、市町村も虐待通告の通告先となったところでございます。現在設置が進められております要保護児童対策地域協議会、この強化を進めることが必要であると考えております。
 また二つ目には、虐待リスクのあるケースの早期発見、介入につきまして、単に虐待通告を待つということではありませんで、訪問などにより積極的に発見に努めることが重要であると考えております。
 厚生労働省においては、今年度より、生後四か月まで全戸訪問事業、略称ですが、こんにちは赤ちゃん事業というものもスタート、普及を図るとともに、そこで発見された支援等を必要とするケースについては育児支援家庭訪問事業などに確実に結び付けていくことが大切であると考えております。
#40
○清水嘉与子君 今おっしゃいましたように、前回の改正で児童虐待にかかわる通告義務を非常に拡大したこともあるんだと思いますけど、確かに児童相談所が対応した件数も年々増えている。恐らく顕在化しているんだろうと思いますけど、三万四千四百七十二、十七年ですが、そういうふうになっているわけでございます。
 この検証の問題の中でも、特に病院等その虐待児発見の機会の多いところはしっかり通告しろみたいなこと書いてございましたけれども、特に病院だとか保育所だとか学校、幼稚園、こういった虐待児をもう発見する機会の多いところで早くきちんと通告してもらうようなことをもう少し徹底しなきゃいけないかなというふうに感じがしております。
 確かに市町村等もその通告の先になったわけでございますけれども、例えば何かあって、警察だったら一一〇番というのがあって、そこに連絡できるわけですね。ところが、児童相談所、市町村、何とかかんとか言って、なかなか何番、どこにしていいか分からない。確かに私たちも余り、児童相談所って大体引っ込んでるところにありますし、行ったこともない人がたくさんいると思うんですね。例えば、虐待何番、一〇〇番でも何でもいいんですけど、何かそんなようなことをして、それ子供だけじゃありませんね、今障害者もあれば高齢者もあればDVもあるし、いろんな問題があったときに、やっぱり緊急性を要するときにそんなことをしたらどうかなという感じもいたしますけど、そんなのどうですか。
#41
○衆議院議員(石井郁子君) 児童虐待防止法の第五条では、児童の福祉に職務上関係のある者は児童虐待の早期発見に努めることとされておりまして、具体的には、学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士というのが明記されているところでございます。このほか、歯科医師などもその職務上児童虐待を発見しやすい立場にあると。それで、第五条の児童の福祉に職務上関係のある者に該当すると理解するところで、近年、児童虐待対応のためのマニュアル策定など自主的に取組が行われているということは承知しております。
 ですから、今後はこうした職種の方々にもより一層児童虐待問題について関心を持っていただきたいと。国や地方公共団体において要保護児童対策地域協議会への参加を求める、そういう取組を進めていくことも大事だというふうに考えているところでございます。
 平成十二年の児童虐待防止法の制定以来、児童虐待についての一般の方々の意識が大変深まってまいりました。虐待通告もそれで増加しているところは御案内のとおりですけれども、疑わしいと思ったらやっぱりちゅうちょなく通告できる体制づくりというのはより一層求められているというふうに思っております。前回の改正の際に市町村が通告先に加えられまして一般市民も参加できるわけですが、そういう体制強化が図られたところであります。
 更にというか、より迅速に実施されるように、委員から御指摘のように、児童相談所ってなかなか遠いところにあるというお話もありましたけど、虐待対応窓口の周知徹底を図らなけりゃいけないと思いますし、それから、チャイルドラインというのがございますので、様々な電話相談窓口、そういうところとの連携強化を図っていくことも重要だというふうに考えているところでございます。
#42
○清水嘉与子君 今度の改正によりまして、通告を受けた市町村あるいは福祉事務所の長、さらに児童相談所所長、その通告受けたら必ず安全確認のために必要な措置を講ずることがこれ義務化されたわけですけれども、これ今までは努力規定だったわけですね。これが義務化されまして、どのようなことが、効果が期待できるのか、また実際に現場でこれどんなふうに対応できるのか、ちょっとイメージが分からないんですけれども、通告を受けますとどういうふうな効果が期待できるでしょうか。
#43
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) 委員御指摘のとおりに、現行の八条にもこの努力義務規定として安全確認を行うということは決められているわけでありますが、実際にそういう規定があるにもかかわらず、児童虐待で犠牲になる子供たちの数というのはある一定数まだ残っているところでありまして、そのことを受けまして、今回この努力義務規定を義務規定と一段強いものに変えさせていただいたわけでございます。
 具体的には、安全確認を目視、面会等によって確実に行うということを義務付けるものでありますから、当然このことによりまして確実に発見が行われ、そして児童虐待の実態というか措置ですね、その後の措置というものを確実に行っていける方向に向かうと思います。
 なお、この法改正を行おうとしているわけですが、その前に先立ちまして児童相談所の運営指針というものが改定されておりまして、児童の安全確認については、児童を直接目視することにより行うことを基本とすると、こういうものがもう既に改正が行われているという事実もございまして、これらによって虐待事例の深刻化を防ぐことが期待されるところであります。
#44
○清水嘉与子君 それでは最後でございますけれども、この附則に三年後の見直し規定が付けられております。まだたくさんの思いがあって皆様方もお付けになったのかなと思うんですけれども、この三年後の見直し規定の思いを少しお伺いしたい。それで私は質問を終わりたいと思います。
#45
○衆議院議員(高井美穂君) 前回の改正の、平成十六年の児童虐待防止法の改正時においては、児童の住所又は居住における児童の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策と、親権の喪失等の制度の在り方と、この二点が積み残されたことはさっき申し上げました。そして、このうち前者について、今回この臨検等の制度の創設が改正案に盛り込まれたわけでございまして、後者について結論が今回得られることができませんでした。超党派の議員のこの児童虐待防止法の見直し勉強会としましては、親権の一部停止、一時停止制度の必要性の問題も含め、親権制度の在り方全般について引き続き問題意識を持っておりまして、深い議論が必要だということを感じているところでございます。
 今回、改正法案の附則の二条一項において、政府が親権に係る制度の見直しについて検討を行うことというふうに規定しておりまして、改正案が成立した場合には、この親権制度の在り方は、そのものが大変民法の改正にわたり得る広いものでございますから、法務省の法制審議会等においてこの問題が議論されることを期待しておるところでございます。
 そういうわけで、三年後の見直しということ、その親権制度の在り方、この三年間の間に法制審の方で深い議論をしていただく。家族の在り方、親の在り方、様々な、地域の在り方、家庭の在り方、広い意味で議論していただいて、三年後にまた前向きな結論が出せればという趣旨で、今回、このように盛り込ませていただきました。
#46
○清水嘉与子君 終わります。
 ありがとうございました。
#47
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。
 議員立法でこういう形で提案され、それから阿部、自民党の筆頭と、それからうちの津田筆頭との間で、議員間でこういう意見交換をする場をつくった方がいいんじゃないかということでございまして、それはそれとして物すごく意義のあることではないのかなと、そう思っております。一方で、がりがりやるなと言われておりまして、がりがりやるということがどういうことか私にはよく理解できませんが、いつもどおりの調子でやらせていただきたいなと、そう思います。
 まず、法律を読ませていただきましたが、児童虐待の中には大きく四つに分類されているかと思います。それは身体的虐待ですね、それから心理的虐待、性的虐待と、それからもう一つ、ネグレクトというのがあります。そうすると、今申し上げた冒頭三つのものは、それはそれとして読み込めるんですが、ネグレクトの部分はこの条文の中のどの部分で読み込むことになるんでしょうか。
#48
○衆議院議員(伊藤渉君) ネグレクトにつきましては、児童虐待防止法第二条第三号、委員も御承知のとおりかと思いますが、「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。」、これがいわゆるネグレクトを指していると承知をしております。
#49
○櫻井充君 これは書き方によるんだと思うんですが、今四つのものが一般的に言われているわけであって、むしろそれを定義の中できちんと書いてしまって、それの補足説明みたいに書いた方が本当は分かりやすいんじゃないのかなと思っているところがあるんですよ。
 それはなぜかというと、あるテレビ番組で、たしか子供さんが九人ぐらいいらっしゃった方で、それで、おなかから以下熱湯に入れて、何とか年金か何かをせしめようとした家族がいました。そのときに、この両親にはその親権がないと判断され、ある施設に行ったんですけれども、その施設の長の方が、ほかの子供さんは虐待を受けた形跡がありますかというレポーターの質問に対して、体に傷がないのでほかの人たちは虐待を受けていなかったと思いますと、そういうレポートだったんですよ。たまたまその番組にいたもんですから、ちょっとコメントさせていただいたのは、ネグレクトというのがあって、体に傷がないから虐待を受けてないわけじゃないでしょうねという話をしたら、そのレポーターの方が、長男に対しては極めて教育熱心ではあったけれども、あとはほかの子たちに対してはもう全く育児放棄のような状況であったと。
 つまり、これは僕は、やはり結局は、長男を除けばすべてが虐待を受けていた事例だと思いますが、その施設の人ですら、そこでそういう形でプロでやられている方すら、そういったことに対しての認識が、僕はあのレポートを見ていて不十分なんじゃないだろうかと。
 そうすると、せっかく法律を作った際に、もう少し分かりやすくするためには、こういうふうにまず四型に分類されるんですと、体に傷がなくても虐待を受けている場合があるから、ちゃんとそこは理解してくださいというような作りにした方が、これは法律上書くのか、あとはパンフレットのようなものでやるのか、もう一度これは検討が必要だと思いますが、一般的に今の法律の作り方が極めて分かりにくいので、役所にやってもらうと、議員立法のときにはもう少し素人でも分かるように書かれた方がいいのではないのかなと、そういう感じがしております。
 もう一例、私のところにこの間インターンシップで来られた大学生の子供さんですが、親から、これは言葉の暴力だと思いますが、子供が喜んで帰ってきても何が悪い、かにが悪いとさんざん責められて、その子供さんはもう笑顔を失い、高校一年から不登校になりました。その後引きこもりまして、それでも本人は、これじゃ駄目だと思って、結局大検を通って四年遅れて今大学に通っていらっしゃいますが、本当に能面のようなんですよ、表情が全くない。それはなぜかというと、家に帰って喜んだ顔をすると親が不機嫌になると、そういうことがあるわけです。
 ですから、そういったもの、そのもの自体も基本的に言うとこれ虐待でして、その人たちに対してどういう形でアプローチをしていくのかということをもう少し社会の中で認識してもらうためには、この辺のところをもう少し工夫する必要性があるのではないかなと、そういう感じがしております。これは感想です。
 それからもう一つ、じゃ、ちょっと順番違いますが。児童虐待の早期の発見のために、特にネグレクトなんですが、歯科診療が極めて有効な場合がございます。
 お手元に資料をお配りしておりますが、これは東京都のホームページに載っておりますが、齲歯の所有率が全然まず違うと。つまり、虐待を受けていることを被虐待児と一般児と比較していただくと、まず虫歯の所有率が違っていると。それからもっと違うのは、一人の平均の未処置の歯の数でして、これはもう圧倒的に違うわけですね。
 体に傷がある場合には、我々のような内科医でもそれはよく分かりますし、私は今まだ保育所の嘱託医をやっておりまして、そうすると、体に傷があったりとか、それからひどいアトピー性の皮膚炎があったりすると、なぜこういうことになっているんだろうかと、ここの家族はどうなのかということを尋ねているんですね、保育所の関係者に。ただし、それは体の表面上何かあった場合には我々は分かりますが、ところが、ほかのことについては全く分からない。
 これは子供を育てた経験がある方よくお分かりですが、親が何もしないと、子供に一番影響が出るのは恐らく歯だと思うんですね、自分で歯磨きできませんから。そうすると、ここに出てきているような数字上の結果になるので、歯科健診というのは僕は極めて有効なんだと思っているんです。
 一枚めくっていただいて、じゃ健診制度って今どういうふうになっているのかというと、一歳六か月と三歳は、これは子供というのはこれ厚生労働省の所管になるらしく、これは母子保健法でカバーされているんですね。これは医科の健診も歯科の健診も受けられると。
 ところが、四歳以降はどういうふうになっているかというと、学校、幼稚園に行っていれば、これは文部科学省の領域なので、学校保健法で年二回の健診を受ける権利があると。義務ではなくて僕は権利だと思っていますが。
 私が今嘱託をやっております認可保育園の場合には、これは厚生労働省の所管によって児童福祉法の範疇に入りまして、年二回、やはり健診を受ける権利を有しております。
 ところが、無認可保育園や未就園児というのは、所管省庁がないものですから、健診を受ける権利すら有していないと。これは、歯科だけではなくて医科の健診ももちろん受けられないわけです。そうすると、体に傷があるということを発見できればもっと早期に発見できるはずなのに、こういう健診のシステムになっていることも僕はすごく問題なんじゃないのかなと、そういうふうに思うんです。
 その意味で、五条のところに早期発見等というふうに書いてありますが、そこの中で、一つは、先ほど歯科医師はほかの職務に関係するからそれで読み込めるという答弁でしたが、東京都やそれから広島市、私が知っているだけでも二つありますが、もっと多くの地域で実は児童虐待の防止のプログラムを作ってもうやっているわけですよね。そうすると、それだけの取組をやっている業界があって、医師と歯科医師はこれは法律上全く別ですから、ここの条文の中に本来であれば歯科医師と書くのが私は筋ではないのかなと、そう思いますが。
 それと、もう一つは、今申し上げましたが、健診制度に不備があるので、こういった問題についても是非取組をいただきたいなと思いますけれども、いかがでございましょう。
#50
○衆議院議員(石井郁子君) 今御説明いただきましたように、歯科健診が児童虐待の早期発見に有効であるということは承知しておりますし、大分一般的な認識にもなってきているかというふうに思います。
 本当にいろいろ御説明いただきましたけれども、委員の方がいろいろ取り組んでおられて、こういう実態もお示しいただきましたことを本当に感謝申し上げますけれども、一応、私どもの提案の中では、第五条、「児童の福祉に職務上関係のある者」として、「学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士」という法律上直接規定されまして、歯科医師については、これは先ほども申し上げましたが、児童と接触し治療を行う機会が多いことから、通常は、児童の福祉に職務上関係のある者に含まれるという理解で今回は来たわけでございますけれども、今御提案でございますので、またこれは私どもとして受け止めて生かしたいと私個人的には思いますけれども、これまた委員長、いかがでございますか。
#51
○櫻井充君 ちょっとその他大勢にされるのは僕は気の毒だと思います、ここは。ここは是非、本当は修正してほしいところですが、なかなか条文上、いろいろ手続があって難しいことは承知しておりますので、この次の改正のときにはこれは文言を入れてほしいのと、それから、早期発見のところで是非、乳幼児期の健診制度をもう一度きちんと見直していただきたいなと。小学校に入ってしまえば、あとはこれ学校保健法になりますので、健診は義務化、義務化も義務化ですが、健診を受ける権利を有しておりますけれども、今申し上げましたとおり、三歳以降入学前の部分は、変な話ですが、子供たちが所属しているところによって、健診を受ける権利を有している子供もいれば、その権利すらない子供たちがいるというところにすごく問題があるんだろうと思うんです。
 先ほど、立入検査を行うとか様々なことがありましたが、むしろ健診制度をきちんとするとどういうことが起こるかというと、その健診を受けた際にまず早期に発見できるというメリットがあるだけではなく、健診に連れてこない家族そのもの自体に何か問題があるのではないかと。そうすると、今厚生労働省は四か月の子供たちのところを全部回るようなお話がありましたが、それよりも、そういったところで来ない子たちに対して、家族に対して、おかしいんじゃないかと思って立入検査をやる方がよほど効率的なんだろうと、そういうふうに思います。
 ですから、その点で是非、ここの児童虐待の早期の発見等という中で、今の健診制度などをきちんと行えるシステムを、今の縦割り行政の中でいうとなかなか難しいので、どこかで担保しなければいけないから、ちょっとそこら辺も御検討いただければ有り難いなと、そう思います。
#52
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) 委員の御指摘は私もごもっともだと思って聞かせていただきました。
 現行がどうなっているかというのをもう一度だけ整理させていただきたいと思いますが、現在は母子保健法に基づく一歳六か月児健診及び三歳児健診の中で、歯科健診も併せてですが、行われております。また、一部の市町村において行われている二歳児、四歳児、五歳児等の乳児に対する、歯科健診も含めてですが、健診というのが行われていると。さらに、御指摘のとおりに、学校保健法に基づく毎学年の歯科の健診、健康診断等々が行われているという状況でございます。
 また、それ以外に、こうした歯科健診の結果については母子健康手帳において六歳までは継続的に記録が可能である。自治体によっては小学校就学以降においても継続的に活用できるような取組の実施が見られるほか、歯科診療歴をICカード化するといった先進的な取組がなされているというのも聞いております。
 地域保健と学校保健については、その実施主体が異なることからなかなか確かに連携は難しいんですけれども、こうした先進的な取組が広がっていくことを期待しておりますし、また、委員が御指摘いただいたことは十分受け止めながら、これからまたしっかりと検討させていただきたいと思います。
#53
○櫻井充君 地域でそれぞれ取り組まれるということは、それは地域で子育てをこの町は物すごく一生懸命やりますということでいいことだと思いますけど、地域ごとによって子供たちが受ける権利そのもの自体が違うということが僕は問題だと思いますし、それから、これはどこの所管省庁だからというところが本当はすごく問題がありましてね。小学校に入ればその子供たちの健やかな健康維持というのは文部科学省が責任を持つのかもしれません、第一義は基本的に親ですがね。ですが、そうしてくると、三歳までが厚生労働省で、その先がということになったときに、だれが本当の意味で責任を取らなきゃいけないのかと、これは国としてね。その省庁が、それだからこそ我が党は子ども省ということを申し上げているのかもしれませんけれども、どこかの省庁がきちんとした形でイニシアチブを取ってやっていくんだということにならないとなかなか難しいんじゃないかなと、そう思います。
 ですから、要するに認可保育園の人がどうだとか未就園児がどうだとかいう行政のことではなくて、少なくとももう六歳まではだれかが面倒を、面倒という言い方はおかしいかな、きちんとした形で健やかに健全に育成されるようなことを道筋をつくっていきますということも検討事項の中に加えていただきたいと。そして、その上の一つが、今象徴的に申し上げたのがこれは健診制度であって、だれが責任を持つのかということが極めて大事なことではないのかなと、そういうふうに思っております。
 もう一つは、先ほどちょっと一つ飛ばしましたが、だれが虐待を認定するのかとか、どういう形で見付けてくるのかというのがすごく難しいんだと思うんですね。東京都のホームページ、東京都の資料などによりますと、これは虐待じゃないかといって通報された場合に、四分の一程度が虐待であって、そうでないものもあったとかいろんなことがあったとすると、本当に通報していいのかどうかも分からないとか、そういうことも出てくることから、絶えず子供がだれかの前にきちんと来てチェックできるというシステムをつくっておくということの方が私は早期発見に有効なんだろうと思うんですね。
 もう一つ、その前に戻って、暴力を振るった場合、児童虐待としてとらえる要件というのは、済みませんが、法律上どこに書かれていて、だれがどのような形で判断されることになるんでしょう。
#54
○衆議院議員(高井美穂君) 御指摘の件は、親が児童に暴力を振るった場合、通常は児童虐待防止法の第二条第一号の、児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えることと。すなわち、この身体的虐待に該当するというふうに考えております。
 その判断をどこが下すのかということにつきましては、一般的には児童の安全確認義務を負う市町村、福祉事務所又は児童相談所所長などが通告に係る行為が児童虐待に当たるかどうかを判断することになるというふうに考えられます。
#55
○櫻井充君 そうすると、要件は、ここの二条に定められていることがこれが要件だということになるわけですね。
 そうすると、外傷が生じている場合に、昔のあの星飛雄馬の世界ではありませんが、スパルタ教育だといって親がちょっと殴ったりしたような場合、これが親からすればおれの教育方針だといった場合に、これは児童虐待というふうに扱われるのかどうかとか、ここの解釈ってすごく難しいんじゃないのかなというふうに思うんですね。
 ですから、そうすると、ここの部分の、二条の一項だけを取り上げて根拠にしてくるというのは要件とするとかなり僕は厳しい、厳しいというのは、判断を下すのがすごく難しいんじゃないかと思いますが、改めてその点、いかがですか。
#56
○衆議院議員(小宮山洋子君) それはしつけとの関係ということもあるかと思うんですけれども、児童虐待防止法の第十四条第一項に、「児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなければならない。」と規定してございまして、こうしたしつけの必要性が児童虐待を容認する理由にならないということをこちらの方で表しております。
 民法上の懲戒権というのは親が子のために行うべきものでございまして、子を死に至らしめたり、子の身体に傷害を負わせたり、心理的な虐待を加えるなど、児童虐待に当たる行為が懲戒権の行使として許容されないということは明らかでございますので、先ほどのところに加えてこういう形で、子のためにならない、そういうものはしつけとは言わないということ、この辺りで読んでいただきたいというふうに思っております。
#57
○櫻井充君 正直言って、ちょっと外傷を負った子が来たときに、この子が虐待を受けているかもしれないかどうかという判断ってすごく難しいですよね。臨床の現場にもし、これ小宮山委員長、こう書かれたときに、本当に現場で判断できるのかどうか。我々、役所には、この要件でどうやって判断するんだということをよくやられていたと思いますが、お作りになられる側になるとそうおっしゃられますが、本当にこれで分かるのかなと。つまり、もしほかの人たちに書かれるとすると、このほかの、下にもう少し細かい要件を付けないと、なかなか伝わらないんじゃないだろうかなと。
 もう一度申し上げますが、現場で、例えば保育所の人なら保育所の人がこの子に傷が絶えないといった際に、何をもってして判断するかだと思うんです。親の方針で勝手にその辺で遊んでおけといって自由奔放に遊んでいたら生傷が絶えないのかもしれないし、それが親が子供の子育ての放棄につながっているのか、自由奔放に育てるのかとか、そういった部分というのは境界線ってすごく難しいんだと思うんですよ。
 だから、そうすると何を規定してくるのかというと、最終的にはですよ、最終的には、僕の感覚で言うと、子供がきちんとした形で成長しているのかどうかというところに最後は行き着くのかなと。つまり、先ほど大学生の例を申し上げましたが、精神的に何か病んでいるようなことがあるかどうか。例えば、ちょっとしたことでおびえるとか、そういう子供のところの、子供を見た上での判断ということの方が極めて大事になってきていて、そういう点でいうと、もう少し要件をきちんと足してやらないと、なかなか一般の人には分かりにくいんじゃないかなと。自分自身としてはそう感じるので、是非、そこももう少し御検討いただければ有り難いなと、そう思いますが。
#58
○衆議院議員(小宮山洋子君) おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、櫻井議員もたくさん議員立法を作っていらっしゃるのでお分かりだと思いますが、法律にどこまで細かく書き込むかというのはもろ刃の部分もございまして、法律では今回こういう形で書きましたので、あとは厚生労働省とか担当のところでしっかりとマニュアル、手引書とかいろいろな形で、大分児童虐待防止についても皆さんの御関心も高まっているし、役所の方としてもいろんな取組もしてきていますので、いろんなノウハウもある程度蓄積をされてきておりますから、法律でやる部分と、あと運用上しっかりとやっていく部分と、そこでかみ合わせていくことではないかなというふうに思っております。
#59
○櫻井充君 それはおっしゃるとおりです。目的のところに、でも、その心身の成長及び人格の形成に重要な影響を与えるというふうに書いてあるわけですから、そのことが最大の問題なんですよね。別に暴力を受けようが何しようが、極論ですよ、これは、暴力を受けようが何しようが、人格の形成がゆがまないで真っすぐ育って、ちゃんと社会できちんと生活できてしまえば実はいいのかもしれないけれども、問題になるところは一体何なのかというと、まさしくその目的のところに書かれているところであって、我が国における将来世代の育成にも懸念を及ぼすことということなんだろうと思うんですよ。そうすると、子供のその部分に関してこういうことが考えられる場合とか、そういうことを置くことそのもの自体は目的に書かれているので僕は書くことは可能なんじゃないのかなと、個人的にはそういうふうに思っております。
 それから、その判断がどこが下すのかというところで、先ほどるる挙げられましたが、先ほどちょっと資料を調べていたら、本当に日本のシステムでできるのかなと、これ済みません、通告しておりませんので。
 これは大阪の例を挙げますと、日本の場合に、大阪府の場合には人口六百二十万いて、ここの子ども家庭センターなんですが、そこにワーカー一人当たりどのぐらいのケースを今受け持っているのかというと、二百二十五ケース受け持っていると。そのうち児童虐待が二十三ケースであると。
 ところが、アメリカの場合にはどのぐらいかというと、これは虐待ではないと思うんですが、十二ケース、それからほかの国々も、イギリスで一人当たり二十ケース、それからニュージーランドが大体、非行も含めて三十ケース、それから韓国で十八ケースぐらいだと。
 そうすると、日本のワーカーの方々の仕事量が極めて多くて、そこに判断を下せと言っても、なかなかその調査も何もできなくてすごく大変なんだろうと、そう思うんです。そこはよく御存じだと思いますが。
 その点について、今後の見通しとして、済みません、これ通告しておりませんが、予算とそれから人の配置、どのように変わっていくことになるんでしょうか。
#60
○衆議院議員(小宮山洋子君) 例えば、児童福祉司の数なども本当に足りないんです。
 今回、ちょっとやり残した部分として、親の指導のところをきちんと盛り込めなかったということなどもあるんですが、これもソーシャルワーカーとか、特にファミリーソーシャルワーカーとか、ほとんどいないわけなんですね。ですから、ドイツなどと比べても三十分の一ぐらいしかそういう専門職がいないということもございまして、ただ、そうは言っていられませんので、先ほど申し上げたように、超党派でこうやって立法をすると同時に、やはり予算措置、そう一足飛びには行きませんけれども、予算の要求も超党派でやはりチームで行っておりまして、昨年の暮れにも厚生労働省と総務省に要請をいたしまして、わずかずつですけれどもそこのところを改善されるようにしていっているということがございますので、法律を作ることと、また予算措置など運用上そこをしっかり働かせていくことと、これは別に衆議院だけでやることではございませんので、是非、櫻井議員も御協力いただきまして、一緒にその辺りを要請をしながら、やはり少しずつでもそこを増やしていかないと、人数が少ないからできないとは言っていられませんので、人数とやはり専門職の質を上げていくことと両方急務だということはこのかかわっている議員はみんな承知をしておりますので、可能な限りそこは議員として予算の獲得などにも働き掛けをし、今年度も初めて補正予算でもこの児童虐待に関するところを盛り込みまして少しずつ改善をしているところでございます。
#61
○櫻井充君 本当に大変御苦労さまでございます。敬意を表したいと思います。
 そこで、もう一つは、どういう人が本当にカウンセリング等に当たった方がいいのかということでいうと、実際、今臨床心理士の方々が随分一杯いらっしゃるわけであって、僕はその中の人たちの一部の人たちがある部分で特化してしまってこの分野に関してやるようなシステムをつくっちゃった方がいいんじゃないかなと。
 僕は臨床心理士会の敵のように思われているところがありますが、それは何かというと、やっぱり医療の分野や、それからこういう虐待の分野であるとか、それから労働のところであるとか、様々なところでやっぱりその心理的な部分でかかわってくるかかわり方というのは違うと思うんですよ。それを一律にすべての人に同じような形で資格を与えてしまうものはなかなか無理があるんじゃないかなという気がしているんですね。
 仮に、もちろん一律に全部国家資格を与えたとしても、その後、専門分化して専門性を持ったところで、それなりのまた資格か研修か分かりませんが、やらないとなかなか難しいんじゃないのかなと、そういうふうに思うんですよ。
 そうすると、どういう人たちに対して今後やってもらうのかとか、その辺のビジョンを構築しておかないと、例えば今教育三法が議論されていますが、どういう人材を育成していくのかというところにつながっていくわけであって、社会の問題があるとすればこういう人たちが今後必要ですねと、それを、できれば、本来であればその検討事項の中に書き込んでくるというのがあると、私たちはここまで検討しているんだということが分かると思うんですね。前回の法律にはここは検討事項ですと書かれていると。
 法律を読ませていただく中で、今、小宮山委員長から話がありましたが、親のカウンセリングですよね。結局、暴力を振るった親がいて、その親が変わらない限り、子供を幾ら一回保護し、子供のところのその心の傷がいえたとしても、もう一つ、これ悲しいさがですが、見ていると、幾ら暴力を振るわれても、やっぱり子供は親が大好きなわけですよ。そこのところをやっぱり親は僕は理解してもらわないと困るなと思うんですが、親のカウンセリング体制等をつくっていかないと、これは問題の本質はやっぱり解決しないんじゃないかなと。
 それと、おととい少年法の質問に立たせていただきましたけれども、少年非行の中の三割が児童虐待を受けている子なんですよね。そこの場でも、少年法のところでも申し上げましたが、少年法の今の作り方は、非行を犯した少年に対しての健全育成の責任を第一義的には国が負うシステムになっていると。そこのところをそういう形でやっているところに実は問題があって、子どもの権利条約の十八条でしたっけ、あそこに定められているように、本来は、第一義は保護者が負うことになっていますから、その点でいうと、もう少し、保護者に対しての責任を共有する、強要するだけでは駄目ですから協力していく、何と言ったらいいかな、あなた方は駄目な親だからこちら側で矯正して何とかしますということではなくて、立場上いったらあなた方も社会の中ですごく苦労されているんでしょうと、だったらそこのところはどうしていきましょうねという、やっぱりそういったカウンセリングのシステムを早急にやらなきゃいけないですよね。それはもう、昨日電話したときにそうお話しいただきましたし、そうすると、やはりその検討事項のところに書き加えていただきたいなと、そう思っております。
 それはそれでもう仕方がないので、これは次に行くとして、もう一つ、資料のところの一番最後のページを見ていただきたいんですが、虐待を受けている家庭の状況、これは東京都の福祉保健局からのデータになりますが、一人親家庭が三一%、それから経済的困難が三〇・八%、それから孤立、夫婦間不和、育児疲れというふうに続きますが、そこの中で、今度は一人親家庭の中で併せて見られるほかの状況の上位三つを挙げてくださいと、これもうほとんど同じようなものが挙がっているんですが、その第一位が経済的困難なんですね。つまり、経済的困難が様々な面で社会をゆがめていて、子供たちにすごく苦労を与えるようなことになっているわけですよ。
 そうすると、もう一つ早急にやらなければいけないのは、この経済的困難者に対してどういう手だてを取っていくかと。今極めて生活保護等も厳しくなっていく中で、どういうことをやっていけばいいのかなとお考えでございましょう。
#62
○衆議院議員(伊藤渉君) 今委員御指摘いただいたとおり、改めて申し上げますと、平成十七年度、厚生労働省が実施をしました児童虐待の死亡事例の検証結果、この中で、虐待により児童が死亡した家庭は、一つ、今委員御指摘されたとおりですが、一人親の家庭あるいは未婚の家庭が多い、あるいは地域社会との接触がほとんどない、また三つ目には、さっきおっしゃっていただきました、経済的にも厳しい状況にある家庭が多いと指摘をされているところでございます。
 したがって、実効性の高い児童虐待防止対策を実施するに当たっては、こうしたハイリスクの家庭に対しきめ細かな対応が重要であると我々も認識をしております。御指摘のように、経済的困難を抱える場合には、児童扶養手当や生活保護などの経済的支援に確実につなげていくことも重要であると思います。
 あるいは、育児不安や精神的不安定の場合など、児童虐待につながる事例について、虐待の未然防止を図る観点から、相談体制の強化を図っていくことも必要だと認識をしております。一つは、地域子育て支援拠点の整備を図る、あるいは、先ほど来申し上げているとおり、生後四か月までの赤ちゃんのいる家庭を全戸訪問をしていく、この十九年の四月から始めている事業でございますけれども、こうした積極的に訪問をして、こちらからアプローチをしていく、こうしたことが重要だと考えております。さらに、虐待を行った保護者については、児童相談所において精神科医等との連携の下で、児童心理司や児童福祉司がカウンセリングを行うなどの体制が整備されてきているところでございます。
 これまで適切に相談に応じることのできる体制が順次進められてきてはおりますが、一方で、質量ともに十分でないところも承知をしておりますので、予算面も含めて我々としても全力を尽くして、この辺を十分な対応が取れるよう拡大に尽力していきたいと考えております。
#63
○櫻井充君 ちょっと済みませんが、体制整備をしておりますというお話ですが、それでは、実際何割ぐらい体制が整備できたというふうにお考えなんですか。
#64
○衆議院議員(小宮山洋子君) 用意していないことは私が答えなければいけないということになっておりまして、何割という形にはなかなか明らかになっていないということは御承知の上での御質問かと思います。
 徐々にこれを整備しなければいけないということで、厚生労働省を始め市町村なども取り組んではおりますが、まだ予算面も人的な面も足りないのは十分分かっておりますので、先ほど申し上げたように、足りない足りないと言っていては何も進みませんので、そういう意味ではこうやって超党派で、なるべくこういうことに関心を持っている議員がその予算面などについても力を入れて、体制がもっと整備を迅速にされていくように努力をしていきたいということでございます。
#65
○櫻井充君 済みませんでした。
 ただ、少年法のところの議論でもそういう親のカウンセリングが必要でしょうと言ったらいろんな言い訳をされて、ここの法律で読むとか、それから、たしか児童福祉法の部分でもやっておりますとか様々言われたので、それでは非行少年の親に対してカウンセリングを行った場合とそうでなかった場合で再犯率がどのぐらい違うのかとか、それから、これはニュージーランドなんかは家族とかいろんな人たちが相談できるようなシステムをつくっていて、そしてそういう場合にはやはり再犯率が低いとか、それから日本のデータですが、非行を犯した少年の中でいうと、家族の仲のいい人たちの方が再犯を起こさないという自信が持てるとか、そういうデータもあるんですよね。だから、僕は大事なので、その親との関係どうですかと聞くと、あるようなさも言い方をしてくるものですから、法務省にも、じゃ今みたいなデータがあるんなら出してみろと言ったら何もないと言われました。
 ここは本当に、私は別にこれで責めているわけでも何でもなくて、実際、今一番やらなければいけない分野なんだと思っているんです。私は今でも、申し上げますと、不登校と引きこもりと拒食症の患者さんの治療をやっております、現場で。現場でやっているからどのぐらい大変かはよく分かっております。ですから、そこの中でやりながら、何とも進んでいかないところに大きな憤りを感じていて、それこそまさしく我々が中心になって本当にやっていかなければいけない分野なんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。
 いろいろ相談事というか質問したい点もありますが、様々な事情がございまして今日はここで質問をやめさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#66
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 本法案、衆議院の青少年問題特別委員会の関係の議員の皆さんが正に超党派で作業を進められた。勉強会も、何か聞くところでは月二回、十三回開かれたというふうに聞いております。そういう御努力重ねて超党派で法改正にこぎ着けたということについて、最初に心から敬意を表したいというふうに思っております。
 その上で、いろんな質問ありましたので、重複することは割愛しながら質問していきたいと思います。
 最初に、元々この法律は二〇〇〇年に制定をされまして、二〇〇四年に改正されて、今回二度目ということになるかと思うんですが、二〇〇〇年に児童虐待防止法ができて以来も児童虐待事件は後を絶ちません。〇五年度に児童相談所で対応した児童虐待相談件数は三万四千四百七十二件、これ九〇年からの十五年間で実に三十一・三倍ということであります。この児童虐待防止法施行前の九九年から六年間で約三倍になっています。法制定後七年たちましたが、なぜこの虐待が減らないのか、むしろ増加しているのか、その問題についての認識をまず伺います。
#67
○衆議院議員(石井郁子君) 私も最初の児童虐待防止法から今日までかかわってまいりまして、本当に法制定七年たったなという感慨もございますし、またなかなか減らないということで歯がゆい思いも当然しているところであります。
 しかし、やっぱり法整備ができたことで随分前進した面はそれぞれあるというふうに思うんですが、そこはおきまして、まず児童相談所における児童虐待の相談件数は、平成十二年、今いろいろお話ございましたけれども、一万七千七百二十五件から、平成十七年度三万四千四百七十二件と、ほぼ二倍でございます。引き続き増加の傾向にあると。
 私たちは、その背景としましては、やっぱり核家族化の進行、親子を取り巻く環境の変化等、養育力の不足している家庭が増加しているということは一つ否めないということがあると思います。
 それからもう一つが、今申し上げましたように、児童虐待防止法の制定及びその後の改正で、児童虐待にかかわるこの通告制度が普及したことによりまして、関係者のみならず広く国民にこの児童虐待の認識が深まりました。児童虐待が疑われるケースの通告が大変増加したということも考えられると思います。
 そのほかいろいろあるんですけれども、やはり早期対応、早期発見というようなことの認識が深まりましたし、それから、先ほどの委員の質問の中でありましたけれども、しかし虐待はやっぱり親が子にするというケースが圧倒的なんですよね。そういう意味での親へのケアとか指導ということがこれからの大変な重要な課題だというふうに思うんですけれども、また社会全体の問題としても考えなきゃいけないことがなおあると思いますが、児童虐待防止対策と、防止という観点での充実強化をなおやっぱり図っていくということが共通の私たちの認識として持っているところでございます。
#68
○小池晃君 そこで、要するに児童虐待防止法ですから、児童虐待がなくなると、少しでも減らしていくということが目的だと思うんですが、今回の改正によりまして、この間増加しているようなケースに適切に対応していけるというふうにお考えでしょうか。そこについて説明をお願いします。
#69
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) 平成十六年に改正をさせていただいたときに積み残しになっておりました課題として、先ほど来答弁させていただいているとおり、児童の安全の確認等を実効的に行うためにどうすればいいかという問題、そして親権の問題と、この二点がございました。
 今回の改正によって、この児童の安全の確認等を実効性を持たせるということにつきましては、ある程度これは進むものと私たちは考えております。具体的なものは先ほど来御説明しておりますので割愛しますが、その立入りから臨検等々にまで行くということでございます。
 なお、御指摘のように、この児童虐待防止対策の根本的な解決というのはこれは予防でございまして、その予防の中にも虐待を行う親を生じさせないように支援をしていく、この発生の予防と、さらに虐待を行ってしまった親自身への教育をして再発を予防していく、この二点が重要だと考えております。
 こうした予防対策として、児童福祉分野のみならず保健、教育など様々な分野において取組をしているところではございます。それぞれの対策の強化を図るとともに、各地域ごとに横断的に対策を実施していくことが必要だと考えております。
#70
○小池晃君 さらに、本改正で、第四条の国及び地方公共団体の責務に、虐待を受けた児童等に対する医療の提供体制の整備を加える、こうしております。これは非常に大事ではないかなと思っているんですけれども、具体的に提出者、発議者としてどのようなことを期待、想定されているのか、お答えください。
#71
○衆議院議員(高井美穂君) 現在、児童虐待対応に対して、医療機関については児童虐待を受けたと思われる児童を発見した際に通告をためらう事例が見られるということ、それから虐待を受けた児童に対する著しい情緒、行動の問題とか、精神障害への治療的かかわりなど専門的な対応ができる機関が少ないということが課題としてあると指摘されております。
 そのために、地域の事情に応じて、やはり児童虐待を受けたと思われる児童について、医療機関から児童相談所それから市町村保健センター等の適切な機関に必要な情報が迅速に提供されるシステムをつくらなくてはならないということを考えております。それから、虐待を受けた児童に対して適切な医学的な評価、治療が行われるための体制の整備も必要だというふうに思っております。
 先ほど来、櫻井委員の質問の中にも、医療機関等の連携、体制整備というのも本当に必要だと思いますし、歯科医師の方からの情報というのも貴重なものだというふうに感じておるところでございまして、今回の改正においては、これらの医療提供体制を整備すべき旨を明確化はしたところではありますけれども、よりおっしゃったような趣旨を踏まえて体制整備が進むように、また情報の連携が取れるように頑張ってまいりたいというふうに思っております。
#72
○小池晃君 今お話あったように、虐待を受けた子供たちに対する医療ケア、精神的ケアというのも非常に大事だと思うんです。
 その点で、少年院の在院者に対する法務省の法務総合研究所のアンケート調査で、やはり虐待を受けた経験のあるという方が非常に高率を占めていまして、きちっとケアされていればこんな結果にならなかったんじゃないかということで本当に心痛む結果が出ているんですが。
 現在、児童相談所で必置義務となっているのは、これは児童福祉司だけであります。児童心理司や医師については運営指針において置くことになっているだけで、虐待児のその後のケアにも配慮していかなければいけないと思うんですけれども、児童心理司あるいは医師の配置についてこれは積極的に進めるべきではないかと考えますが、発議者の御意見をお聞かせください。
#73
○衆議院議員(伊藤渉君) 委員御指摘のとおりだと思います。
 まず、現状、児童相談所の児童心理司や医師については、子供に対する診断や心理検査のほか、虐待を行った親への親指導など、児童相談所が子供や保護者への適切な援助方針を決定するに当たり極めて重要な職員と認識をしております。
 こうした中で、例えば児童心理司について見ますと、まだまだ全体的な人数は少ないわけですが、着実に増員は図られておりまして、平成十八年度においては九百四十一人、児童虐待防止法制定前の八百十六人と比べると、少数の中ではありますが、一・二倍にはなっているところでございます。
 なお、この児童福祉司と同様に配置基準を設けるべきとの御指摘ではございますが、例えば地域によって児童福祉司が行う家庭訪問への同行を行っていたり、障害者相談所や知的障害者更生相談所と兼任で行っている地域もあるなど、地域の状況によって多様な実態がありまして、全国一律の基準を設けるということについてはなかなか難しい点もあるとは聞いております。
 いずれにしましても、必要な職員が適切に配置されますよう、どのような施策が適切なのか、我々立法府としても行政府と一体となってこの点については検討していくべき課題と考えております。
#74
○小池晃君 さらに、この法案について懸念の声も寄せられておりまして、委員の部屋にもファクスなども来ているんではないかと思うんですね。先ほども御指摘ありました。私の部屋にもメールやファクスが来ております。
 ちょっと紹介すると、この方、現在、小一の不登校の息子がいます。息子はアスペルガー症候群です。聞くところによると、この法案が通ると、不登校というのはネグレクトというふうにイコールにされて児童相談所の保護の対象になる可能性があると聞きました。学校へ行ってないからといってそのような対象になるのは親子共々、正直不安ですと。どうか不登校イコールネグレクトといったようなことが法案で起こらないように働き掛けてくださいというようなメールが来ているんですね。ほかにもいろいろと同様の趣旨で来ています。
 提出者にこういうことが起こらないように運用すべきだというのは当然だと私は思うんですが、こういう不安を抱えている方に心配ないんだということを是非御説明いただきたいと思います。
#75
○衆議院議員(石井郁子君) いわゆるネグレクトとは、児童虐待防止法の第二条三号でこのようにしています。「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。」というふうになっているわけです。
 子供が登校を希望しているにもかかわらず保護者が登校させないというようなケースというのは保護者としての監護を著しく怠ることに該当すると考えられますけれども、家庭内で不登校の子供の状態を見ながら適切な監護が行われているというケースが多いと思いますけれども、それはネグレクトには該当しないと言えると思います。もちろん、不登校イコールネグレクトと短絡的に考えて、不登校というだけで保護が必要と判断されることなどはあってはならないわけでございまして、不登校の原因がネグレクトと疑われる場合は適切に確認されなければならないというふうに思います。
 今回の改正において、市町村福祉事務所の長及び児童相談所による児童虐待を受けたと思われる児童の安全確認が努力義務だったのを改めて、安全確認のために必要な措置を講ずることが義務化されたところでありまして、したがって、子供の不登校の原因が虐待によるものかどうかということについては児童相談所等により適切に確認が行われるというふうに考えているわけでございます。
#76
○小池晃君 ありがとうございました。
 児童虐待の相談件数については非常に増加しているわけですけれども、氷山の一角であると同時に、ほとんど児童相談所がかかわっていないケースがあるというふうに言われておりまして、やはり体制づくりというのは非常に重要だと。先ほど、予算については超党派でという御意見は正にそのとおりだと思います。我々も是非そういう立場で要求をしていきたいというふうに思っておりますが。
 やはり同時に、過去の事件の検証という点では、専門委員会が社会保障審議会の下につくられてはいるんですけれども、個人情報にかかわる問題などについては情報の収集が困難だというような声もお聞きをしております。体制も十分とは言えないというふうに聞いております。やはり過去の事件の検証をしっかり進めていく上でも、第三者機関を設置するなどの体制の整備が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#77
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) これは委員御指摘のとおりだと思います。本当に痛ましい事件が続く中で、私たちもそういう問題意識を持っているからこそ改正、改正と続けているわけであります。
 このような認識の下に、国におきましては、平成十六年より、社会保障審議会児童部会の下に外部の第三者から成る児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会、これを設置いたしまして、児童虐待による死亡事例等の分析、検証及び二回にわたる報告書の作成を行ってまいりました。一方、御指摘のとおり、地方公共団体においてはいまだ死亡事例の多くについてこの検証作業が行われていないという状況にございまして、今回の改正案においては検証作業の責務を規定することにしたところであります。
 なお、地方公共団体において検証作業を行うに当たっては、情報収集や守秘義務の観点などから、各自治体の児童福祉審議会において第三者によってこれが行われることが適当だと考えております。
#78
○小池晃君 本改正で、虐待が疑われるときに児童相談所の職員等が安全確認、臨検又は捜索、こういう規定が設けられて、一方で、虐待を行った保護者に対しては、都道府県知事の勧告に従わなかった場合ですけれども、一時保護、施設入所等必要な措置を講ずると、面会や通信の制限を行うというふうにしておりまして、虐待児の安全の確保という点ではこれは一定されると思うんですが、大事なことはその虐待を行った保護者に対するケアをどう進めていくのかということだと思います。
 本改正十三条では、施設入所等の措置を解除しようとする際には保護者に対する指導の効果等を勘案するとされておりますが、ここで言う指導というのは具体的にどのようなことを想定されておられるのか、御答弁を願います。
#79
○衆議院議員(高井美穂君) 御指摘のとおり、児童虐待の問題をやはり解決するためには子供を保護するということは一番でございますが、虐待をした保護者自身の養育態度、生活態度を変えて再発防止を図るということが何よりも重要だと思っております。
 保護者指導、親指導につきましては、養育方法の改善に関する助言や生活上の問題解決に関する助言などを内容とした児童福祉司による指導のほかに、児童相談所や保健所、民間団体などが実施するグループカウンセリング、それからマンツーマンによるトレーニングなど専門的なプログラムということも取り入れて、やはり多様な形で実施しなくてはならないというふうに思います。
 しかしながら、過去、保護者に対するアセスメントが十分でなくて安易に施設入所の措置解除が行われて死亡につながった事例がございますので、今回の法改正では施設入所等の措置を解除しようとする際には保護者に対する指導の効果等を勘案するという規定を創設をいたしまして、保護者指導やその効果についてのアセスメントの実施を求めることとしたところでございます。もっと深い様々な専門プログラム等の研究も進めてまいりたいというふうに考えております。
#80
○小池晃君 さらに、改正案で新たに先ほども指摘しました臨検の制度を創設されて、この言葉の響きについては私もちょっと先ほどと同様の感想を持ちますが、しかし、この実施に当たっては、裁判所や警察との連携というのは非常に重要だと思います。児童福祉司とか児童相談所の職員のみならず、きちっとこういう問題について理解ある者をやはり警察官、裁判官などの中にも増やしていく、それからやっぱり病院あるいは保育所、学校、こういう虐待を発見する契機となり得る場所において関係者の研修を行う、理解を広げるということが非常に重要だと思いますが、こういう点での連携を図っていくために一体何が必要とお考えか、お答えください。
#81
○衆議院議員(伊藤渉君) 改正案によって創設される臨検につきましては、司法、警察にもかかわる全く新たな制度であることから、関係省庁間で十分協議を行いましてマニュアルを作成するとともに、関係者に周知徹底を行い、円滑な事務遂行ができる体制を構築をすることが重要であると認識をしております。
 また、児童虐待に関係する機関である病院、保育所、学校などについては、現在、それぞれの分野ごとに関係団体や教育委員会などにおいて児童虐待に関する理解を深めるための研修が実施をされているところであり、今後より一層の充実を図ることが必要だと考えております。
 さらに、各地域において分野横断的に関係機関の連携を強化をしまして、早期発見、早期対応を図っていくことも重要でございます。現在、要保護児童対策地域協議会においては、研修、事例研究などが進められておりますが、こうした取組を進めることも有効であると考えております。
 いずれにしましても、児童虐待対応を効果的に実施するために、児童福祉分野にとどまらず、関係分野が一体となって取り組んでいくことを必要と考えておりますし、我々としてもその後押しをしていきたいと、そのように考えております。
#82
○小池晃君 ありがとうございました。
 最後の質問ですが、日本子ども虐待防止学会なども、やっぱりこの問題については社会全体の仕組み、家庭の在り方、それ自体にまで踏み込んだ検討が必要だと提言をされております。その点で言いますと、〇六年の国民生活白書では、ゼロ歳児を持つ共働きの夫婦では、妻の育児時間四・二時間に対して夫は〇・七時間、家事時間は妻三・四時間に対して夫は〇・一時間というふうになっている。さらに、共働きの世帯において妻が育児を行う理由は、六二・三%が夫が忙しいからと。私、びっくりしたのは、週に六十時間以上働く男性の割合というのは、実は独身者とか子供のいない既婚者よりも、子供を持っている既婚者の方が割合が高いんですね。これはびっくりいたしました。
 やっぱり多くの家庭で母親に全部家事が集中して、父親はいつもいないと、長時間労働だと。やっぱりこういう働き方というのが底辺にあってこの虐待の問題も起こっているわけですから、こういう働き方を変えていく社会づくりが求められていると思うんですが、提出者の御見解をお聞かせください。
#83
○衆議院議員(石井郁子君) 委員御指摘のとおりでございまして、本当に社会全体の在り方として考えなければ、やっぱり虐待の問題、本当に根本的に解決につながらないと思います。ただ、今の御質問は、しかしこの法には直接どうこうということではないと思いますし、法改正に当たって超党派の議員でそういう点も含めていろいろ議論はしてきたところではございますけれども。
 最初の質問に戻りますけれども、虐待はやっぱり減らないと、日本の社会で。それは通告制度、いろいろな法整備の影響もあったこともありますけれども、ますます今日、そういう虐待を生み出すような家庭環境というか、そういう基盤というものがあるんじゃないかという点には目を向けていかないと、本当にこの虐待問題、子供たちのこういう深刻な虐待をなくすことにならないというふうに思います。
 私も女性で共働きしてきましたから、本当に日本のやっぱり共働きというのはいかに母親に子育てが集中するかということがありますし、もっともっと父親が子育てに参加する社会、そのためにも労働時間の短縮ですね、そういうことが本当に進まないといけないし、先ほども、虐待を受けている家庭の状況では一人親とか経済的困難というのがあると、それがもう大きな要因を占めているということもデータとしても出されておりますし、ですから、そういう経済的な困難、福祉的な問題、そしてまた育児の困難ということに対してやっぱり社会的な支援、政治の支援ということがこれからますます必要ではないかというふうに私は考えているところでございます。
 以上です。
#84
○小池晃君 ありがとうございました。
 終わります。
#85
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 提案者の皆さんは本当に児童虐待について取り組まれ、改正法を超党派で作り上げられたことに私も心から感謝と敬意を表したいと思います。どうもありがとうございます。一緒に頑張りましょうという感じですが。
 改正法案で想定している、警察の支援を受けた立入調査はどの範囲までかということについて、今まで質問も出ております。これは、従来同様、児童相談所職員への同行、保護者への説得、児童相談所職員に同行、保護者の妨害を受けたり子供への加害が想定される際の住居への立入り、警察署で待機といった範囲なのか、それとも、地方自治体から要望があるように、迅速な家への立入りの際の解錠、錠を解くという、警察署や警察官の判断で立入調査まで含まれるのか、いかがでしょうか。
#86
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) 今御指摘いただいたのは、これは二つに分けるべきものだろうと思っております。
 現行法における立入調査というものは、改正しようとしている中でもそのまま盛り込まれている理念でございますから、同じでございます。
 それに加えまして、臨検、捜索というものが今回あったわけでございまして、これは、現行法で認められている立入調査が拒否されて、かつその後の都道府県知事からの出頭要求にも応じない場合において、児童虐待の疑いがあるときに裁判官の許可状を改めていただいて、その上で、解錠などが一番代表的でしょうけれども、措置を行う立入り、児童の捜索を可能とするものでありまして、この臨検、捜索の実施主体は都道府県知事、具体的には児童相談所の職員でありまして、警察署長や警察官の判断で行われるものでは決してございません。警察署長や警察官は都道府県知事からの求めに応じて、臨検、捜索を実施する児童相談所の職員等に同行してその他の必要な援助をすると、このように決めているところであります。
#87
○福島みずほ君 この委員会の中でも不登校とネグレクトの区分けは可能かという質問が出ておりまして、私も、不登校の子供を抱える方たちからも是非きちっと聞いてほしいという連絡を受けました。
 不登校の相談については、本人や家族から相談を受けてから動くのか、それとも児童相談所がネグレクトと判断した場合に動くのか。これは五月十五日に東京都を相手取った裁判で、就学義務違反によるネグレクト、過剰医療による、精神的虐待による児童相談所の一時保護は誤りだと父親が訴えたようなケースも出てきております。
 例えば、いきなり児童相談所職員が家庭を訪れるよりも、スクールソーシャルワーカー派遣などを通じて親の警戒心を解くとか、いろんな工夫が必要だと思いますが、この点についてどうでしょうか。
#88
○衆議院議員(高井美穂君) 御指摘のとおり、長期にわたり子供が登校しない場合、児童相談所は保護者、子供本人から相談があった段階で対応を開始することが一般的であるというふうに思ってはおります。
 こうした場合において不登校相談として対応することとなりますけれども、一見この不登校に見える場合であっても、家に閉じ込め、子供の健康への配慮を怠っている場合などはネグレクト等の児童虐待に該当し得ることでありますので、学校等からの通告によって児童虐待として対応する場合もあるとは認識をしておりますが、先ほど小池委員の質問にもありましたとおり、やはり不登校であるという単にその理由だけで安易に、やはり直ちにネグレクトというふうに該当するようにはならないというふうに認識をしております。
#89
○福島みずほ君 離婚の相談などで弁護士として行くと、例えばたまたまそのお子さんが不登校だったりすると、学校に行かせようとして例えばちょっと争うとか口論になったりとか、やっぱり実態としてはいろんなことが起こり得ると。そうすると、やっぱり親も必死だし、子供の言い分ももちろんあるわけで、問題が何かあるからこそいろんなことが起きるわけで、これがネグレクトや虐待というふうにストレートになると、やはりちょっとそれは違うんだと、監禁したと言われるけど、そうではなくて、違うんだというのもあると思うんですね。
 その辺、もう一言お願いいたします。
#90
○衆議院議員(高井美穂君) おっしゃるとおり様々な複雑な事例があると思いますが、不登校かこのネグレクトに当たる登校禁止かの判断に関しては、児童相談所において保護者、子供本人との面接、それから家庭環境、家族の状況等の調査、学校関係者への聴き取りなど総合的に判断するものであると思います。
 この判断の重要なポイントとしては、繰り返し申し上げますけれども、子供の意思でありまして、子供の意思に反して登校させないことが明らかになればネグレクトに該当するということでございますので、慎重にやはりケースをきちんと見ながら対応したいというふうに思っております。
#91
○福島みずほ君 児童相談所運営指針、平成十三年版では、現場の運用は、あくまで登校していない児童本人又はその保護者からの相談に基づき援助活動を開始することを原則となっていたのが、この主語が消えて、不登校の相談を受け付けた場合は、教育機関と十分な連携を取った上で対応すると変わったということがあります。
 ですから、児童相談所が何らかの形で動かざるを得ない場合があることは分かりますが、突然児童相談所職員が家庭を訪れるというよりも、さっき言いましたスクールソーシャルワーカー派遣などを通じてちょっと徐々にやるといった運用上の工夫は必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#92
○衆議院議員(伊藤渉君) 若干繰り返しになりますが、長期にわたって子供が登校しない場合は、児童相談所は保護者、子供本人から相談があった段階で対応を開始する、これが一般的なんだろうと思います。個別具体的にいろんな状況があると思いますが、一般的にはそういうことなんだろうと思います。
 こうした場合において、不登校相談として対応することとなるわけですけれども、不登校の場合であっても、例えば家に閉じ込め、子供の健康への配慮を怠っている場合などはネグレクト等の児童虐待に該当し得ることから、学校等からの通告によって児童虐待として対応する場合もあると、そのように考えております。
#93
○福島みずほ君 警察の支援を受けて親子分離した際の子供へのケアについてどうお考えでしょうか。
#94
○衆議院議員(石井郁子君) 児童虐待の対応というのは、子供の生命、身体の安全に直結することもあることから、子供の保護が最優先に行われるべきものだというふうに認識しております。
 こうした子供の保護を最優先にした対応というのは、保護者との峻烈な摩擦が生じる、対立関係を招くとの指摘もあるところでございますけれども、こうした介入的アプローチに関しては、むしろ介入を契機として保護者側の変化につながる、新たな関係構築が可能になる、そういうケースも見られるという報告もあります。また、最近では、児童専従組織を設置して、対立関係が生じる調査や一時保護などの初期対応を担当させる一方で、その後のフォローについては別の担当者が対応する、そういう役割分担をしている児童相談所も増加しております。
 いずれにしても、親子再統合に向けて児童相談所と保護者との関係が確保されるということが重要でありまして、個々のケースの状況や各地域の実情に応じた適切な対応が図られるべきものだと考えております。
#95
○福島みずほ君 今日、委員会でもまた出てダブって済みませんが、児童養護施設や児童自立支援施設で児童が二重虐待されないための施策についてお聞きをいたします。ここ十年間、報道されただけでも、全国各地の六十八の児童養護施設などで施設内虐待が行われております。
 これはどういう体制をつくるかについて是非御意見をお聞かせください。
#96
○衆議院議員(やまぎわ大志郎君) この児童養護施設に保護者のいない子供あるいは保護者から虐待を受けた子供が入るわけですけれども、そもそも社会的弱者としてどうしても逃げ場がなくてそこに入ってきた子供たちでありますから、こういった子供たちが入った、入所した施設において更に虐待を受けるなんということは、これはもう絶対にあってはいけないことだと、我々、皆さん、そういう認識は持っているところでございますが、御指摘のとおり、残念ながらこういうケースというのはあるということもまた認識しております。
 このような施設内虐待の未然防止あるいは早期発見に資するために、現在でも、苦情解決窓口の設置、責任者の配置、第三者委員の設置等による苦情受付体制を整備、順次しているところでございますし、また子供がいつでも相談や意見表明ができるよう、子供の権利や子供の相談先となる児童相談所のケースワーカーの担当者を記した児童の権利ノートを子供に渡す等の取組、あるいは施設が第三者評価を受けること等によって支援の質の向上や運営の透明性を図るなどというような権利擁護が図られる体制づくりが進められてはおります。しかしながら、昨今、施設内虐待が後を絶たないということを踏まえますと、このような対策では不十分だという認識に基づきまして、制度的な対応も含めて施設内虐待の防止を図るための方策を更にこれは検討する必要があると認識しております。
 今回の改正では、このため附則において、施設内虐待の防止を含む児童養護施設等の運営の質的向上に係る方策に関し、検討し必要な措置を講ずる規定を設けているところでありまして、今後政府において速やかに検討作業が進められることを我々としても期待しております。
#97
○福島みずほ君 ありがとうございます。
 施設を巣立った人たちのケアについてお聞きをいたします。これはどのようになされるのか。虐待され保護された子供たちが成長し施設を離れた後も継続したサポートが必要なのではないか。
 児童養護施設出身者の居場所をつくる若い人たちのグループ日向ぼっこが、新宿区にある自立援助ホーム新宿寮の一部を借りて例えばスタートをしました。やはり、お互いの体験を語り合う座談会や高卒認定試験の学習会、社会保障制度や消費者金融への調査などの勉強会を企画しているということで、施設というのももちろん年齢がたてば巣立っていかなければならないわけで、その継続したサポートなどについて御意見をお聞かせください。
#98
○衆議院議員(高井美穂君) 御指摘の点、大変重要だと思っております。
 施設を退所した子供たちは、言わばそこから新たな人生のスタートを切ることになるわけでございますが、その際、進学、就職、それから住まいの確保など、自立に向けた様々な支援が必要だというふうに考えています。子供たちが転職や結婚、子育てなど、人生のいろいろな場面で悩んだときに相談できる場所としても、児童養護施設、自立援助ホームが実家として、実家というような形で役目を果たすことは大変重要であるというふうに考えておりまして、こうした施設等において相談支援を行う体制の充実強化が更に進めることが必要だと思っております。
 そして、本法案の附則におきましても御指摘があったような件を盛り込んでおります。児童養護施設等に入所した児童に対する自立の支援、更なる充実を速やかに検討し必要な措置を講ずることというふうに書いており、この規定に基づきまして、退所後の継続した支援、相談支援の在り方等も含め自立支援の充実を図られることが必要だというふうに思っております。
#99
○福島みずほ君 法改正で従来以上に児童相談所と警察が一緒に動き、一時保護することが増えることが想定されます。児童相談所と親との関係の修復について、どのようにお考えでしょうか。
#100
○衆議院議員(伊藤渉君) 児童相談所と親との修復。
 例えば、虐待を受けたケースでありましても、親子の分離、子供の心理的な負担を行う行為でございます。まして立入調査が行われた場合には、より深く心理的な外傷を受けることもあり得ると思います。こうしたことから、親子分離をした際には、子供自身のせいで親と離れて生活をすることになったわけではないこと、また親子が分かれて生活することの必要性などについて、子供の心情に即して丁寧に説明することが必要であると考えております。
 このように、子供が受ける心理的外傷の危険性にかんがみまして、親子分離の当初やその後の各段階に応じて専門家によるきめ細かなケアが行われているものと現在認識をしております。
#101
○福島みずほ君 虐待をした親の支援はどのような体制を取るべきかについては、他の委員からも質問がありました。そのとき様々な施策を先ほど高井美穂議員がおっしゃってくださったんですが、心理療法や親教育だけではなく、さいたま市などが行っているホームヘルプなど具体的な親支援の在宅福祉サービスなども必要ではないかと。児童福祉法では子育て支援事業として法定化されましたが、実施している自治体はまだ一部です。
 改めて、親への支援についてお聞きをいたします。
#102
○衆議院議員(石井郁子君) 本当に親への支援というのがやっぱり重要だと、まだまだこれから充実させていかなきゃいけない課題だということは十分認識しているところでございますが、児童虐待の防止に当たっては、まずは児童虐待の発生を予防するということが肝心、重要だと。育児不安を抱える保護者に対してやっぱり適切な支援を行う、子育ての孤立化を防止していくということが必要だというふうに考えております。
 各地で子育てに関する相談、子育て親子の交流の場を提供する地域子育て支援拠点の整備が進められていますけれども、まだ始まったばかりのところが多いと思いますが、本年度からは新たに生後四か月までの全戸訪問事業がスタートしました。直接家庭に出向いて相談に乗る仕組みがスタートされているところでございます。
 虐待を行った保護者に対しては、児童虐待防止法の十一条において、虐待を行った保護者に対する指導が適切に行わなければならないと定められました。児童相談所においては、児童福祉司による指導が行われると、児童心理司や精神科医によるカウンセリング等が実施されています。今お話しのように、地域によって保健所や児童養護施設などが専門的なプログラムを実施しているところも出てきているところです。
 しかし、こうした保護者に対する指導、援助、それは今言わば始まったばかりというふうなところもありますし、地域の実情に応じて実施されていると。実施内容、実施状況、ばらつきがあります。民間などもいろいろ創意的な取組をしているところも聞いておりますけれども、今後、より実効性の高い指導、援助を実施していけるような保護者指導の標準化を進めると、より有効なプログラムの開発等をやっぱり進めていかなきゃいけないということを認識しているところでございます。
 いろんな実例あるんですけど、それはおきまして、こういう状況だと思います。
#103
○福島みずほ君 この厚生労働委員会でかつて児童相談所の視察に行ったことがあります。東京都でしたけれども、そこは、虐待に遭った子供もいれば、そうでない子供もいれば、あるいはたまたま親や保護してくれる大人がいないために一時的にいわゆる預けられる子供もいれば、実に様々な子供がいました。それから、年齢も御存じばらつきがあります。職員は必死でやっていますし、また親との対応にも非常に忙殺をされると。一番大きなキャパシティーを持っている東京都のその児童相談所ですらこういう状況なのだということをとても思いました。元気一杯の子供たちが勉強したり遊んだり暮らすには、とても正直まだまだ本当に不十分だということを思いました。
 もう一つ、児童養護施設なのですが、ここを卒業した子供のうち、大学進学をする子供が本当にいないと。それで、御存じ児童養護施設だと個室がなくて、必ず共同室というか、個室ではないんですね。高校ぐらいになると、狭くても個室が欲しいなとか、勉強部屋の個室が欲しいな、三畳でも欲しいなと思うんじゃないかと、非常にプライバシーが欲しいと思うと思うんですね。
 その点では、なかなか児童相談所や子供のセンターや児童養護施設に対する子供の予算の掛け方や、それはやっぱり不足している。児童養護施設に入って、やっぱり大学には本当に行っていないんですよね。それは、ちょっと質問通告をしていないのですが、やはりそこから子供たちは巣立っていくので、こういう子供に対するケアの予算や仕組みについて意見を聞かせてください。
#104
○衆議院議員(小宮山洋子君) おっしゃるとおりだと思っております。先ほど申し上げた昨年の暮れに超党派で予算要求をしたときにも、その点も、特に社民党の保坂議員などもよく調査をされて強くおっしゃいまして、私たちも主張をいたしましたし、今回そういう意味も含めて、附則のところにその自立支援、これから先のことについても書き込ませていただきましたので、またここのところは、この改正に取り組みました超党派の勉強会、議員の集まりは解散はいたしませんので、法改正は一つのステップでございまして、またるるこの委員会でも御指摘があったことについても、予算措置やらしっかりした自立支援のところについても、大学進学も本当に今出ているお金がわずかで、ほとんど現実問題として行けない状況もありますので、そこも改善をしていけるように、これも先ほども申し上げましたが、参議院の皆様も是非力を合わせて一緒に後押しをしていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#105
○福島みずほ君 どうありがとうございました。
 終わります。
#106
○委員長(鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(鶴保庸介君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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