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2007/04/26 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 文教科学委員会 第12号
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2007/04/26 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 文教科学委員会 第12号

#1
第166回国会 文教科学委員会 第12号
平成十九年四月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     林 久美子君     黒岩 宇洋君
     広中和歌子君     山本 孝史君
     水岡 俊一君     芝  博一君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     黒岩 宇洋君     林 久美子君
     芝  博一君     水岡 俊一君
     山本 孝史君     広中和歌子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                大仁田 厚君
                中川 義雄君
                佐藤 泰介君
                蓮   舫君
    委 員
                荻原 健司君
                神取  忍君
                北岡 秀二君
                小泉 顕雄君
                中曽根弘文君
                水落 敏栄君
                鈴木  寛君
                西岡 武夫君
                林 久美子君
                広中和歌子君
                水岡 俊一君
                山本 香苗君
                鰐淵 洋子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       文部科学大臣   伊吹 文明君
   副大臣
       文部科学副大臣  遠藤 利明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡井 敏雄君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房文教施設企画
       部長       舌津 一良君
       文部科学省初等
       中等教育局長   銭谷 眞美君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局長       森口 泰孝君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        樋口 修資君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさ
 せる行為等の処罰に関する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房文教施設企画部長舌津一良君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(狩野安君) 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○水岡俊一君 おはようございます。水岡俊一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 今日は、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律案、いわゆる放射線発散処罰法案について論議をさせていただきたいと思いますが、それに先立ってお願いがございます。
 本日は四月の二十六日で、ちょうど一か月前に能登半島沖で地震が起きました。それに関することと、それから今週全国で実施をされた全国学力・学習状況調査について、若干時間をいただくことをお許し願って質問させていただきたいと、こういうふうに思っております。
 まず、能登半島沖地震でございますが、去る今月の一日、二日、私自身、輪島市門前町の現場を見てまいりました。そして、三つの学校、門前中学校、門前東小学校、門前西小学校を見てまいったところでありますが、比較的落ち着いた様子ではありましたけれども、その後、被災をしたおうちに住む子供たちも学校に来ているはずであります。そういった子供たちに対するケアはどういったふうに行われているのか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
#6
○政府参考人(樋口修資君) 能登半島地震に係ります子供の心のケアについてのお尋ねでございますが、まず、石川県教育委員会におきましては、臨床心理士をスクールカウンセラーといたしまして四月の九日から十三日まで、特に被害の大きかった地区の小学校二校に派遣をいたしました。そして、四月の二十七日、明日から新たに中学校一校にも派遣する予定とお聞きをいたしております。
 私どもこのスクールカウンセラーの派遣につきまして、文部科学省として事業補助を行っているところでございますので、今後も引き続き石川県から追加配置の要請があった場合には、この事業の中で可能な限り対応させていただきたいと思っているわけでございます。
#7
○水岡俊一君 ありがとうございます。
 私は、その学校に参りまして、校長とじかにお話をさせていただきました。職員の様子を見ておりますと、大きな被害を受けている地域ではありますけれども、明るく前向きに対処を行っていこうという教職員集団のそういった意気込みが伝わってきたのでありますが、校長とお話をする中で一番気になることは何かという話題になりましたところ、やはり子供の心が心配だというお話でありました。家をなくしてしまったり、地域が本当に悲惨な状況になった中で、子供たちが本当に明るく元気に学校に通い続けることができるか、あるいは避難所となったところからの通学が本当に続けることができるのか、そういったところが心配だというお話があったところであります。しかし、そういう中にあって、やはりだれしも初めての経験ということで、学校側もどういうふうに対処していいのかという部分は本当に不安になっていたというふうに私は思いました。
 そういった意味では、子供の心のケアということでカウンセラーの派遣、大変有り難いと思いますが、それで十分なのかという部分もありますので、今後、県とのお話によって、加えて補充をしていただけるものならば是非ともお願いをしたいということでありますし、またそこで、私、大事な点は、子供たちに日常的にかかわるのはやっぱり教職員ですね。この教職員にその子供たちとどういうふうにかかわっていくのかというノウハウというのは、これまでは余りなかったと思うんですね。そういった意味では、教職員にそういうノウハウをきちっと伝えていくということも非常に大きな課題だと思うんですが、その点はいかがですか。
#8
○政府参考人(樋口修資君) ただいまのお尋ねでございますが、石川県の教育委員会におきましては、四月に入りまして、能登半島被災地におきます子供たちの心のケアについての教職員を対象とした研修会を実施をさせていただきました。先生も御訪問されたとお聞きいたしております輪島市立の門前東小学校と穴水町立の穴水小学校におきましてそれぞれ研修会を催しまして、金沢大学の専門家の先生によります子供たちの心の理解と教育的ケア、対応についての実務的な研修をさせていただきまして、教職員の共通理解を図りながら、子供たちの心に対応するような今取組をスタートさせていただいているところでございます。
#9
○水岡俊一君 大臣、ちょっとお願いがあるんですが、今お話しいただいたように、金沢大学の専門家の御教示もいただいて取り組んでいただいているということはよく分かったんですが、子供たちにどういうふうに接していくのかということは、これは本当にノウハウとしては非常に少ない、これまでに蓄積されたものは非常に少ないと思うんですね。そういった中で、新潟県の中越地震の際、あるいはそのほかの地震、また十二年前にさかのぼれば阪神・淡路大震災のそういった経験を踏まえて、学校の現場でそういったことに携わった経験者がいるはずだと思うんですね。そういった経験者からのノウハウを是非石川県にも伝えるというようなことというのは重要なことだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#10
○国務大臣(伊吹文明君) 非常にそれは先生がおっしゃるとおりだと思います。
 それで、子供の身近に接している保護者、あるいは学校の先生も当然それに含まれるわけですが、心のケアのためにどういうことをするのかというリーフレットみたいなものを、約三万枚といったですかね、三万セット、石川県の方を通じて配付をしていると伺っておりますが、人を出して、例えば先生のお地元の兵庫県の教育委員会に人を出せということは私の権限上は言えませんので、要請をして、そしてそういういろいろな事例もあると思いますから、できるだけお伝えをして、そしていい結果になるように努力をしたいと思います。
#11
○水岡俊一君 ありがとうございます。
 すべては子供たちのためということで、是非御理解をいただいてお力をいただきたいと、こういうふうに思っております。
 そこで、私、門前中学校というところに参りましたときに、非常に新しい近代的な学校でありましたけれども、校舎と体育館とがつながった非常にユニークな学校でありました。その体育館と学校の間に大きな支柱が何本も入っておりまして、これが非常にこの校舎を支えている屋台骨だというふうに思って見ておりました。しかし、その柱に大きな亀裂が入っておりまして、校長も大変心配をされておりました。
 こういった被害が至るところに、そういった学校施設に出ているんだろうというふうに思いますが、その点について修復は進んでいるのかどうか、この点についてお願いします。
#12
○政府参考人(舌津一良君) お答えいたします。
 この地震によりまして、石川県など五県で二百十六施設につきまして被害があったわけでございますけれども、文部科学省では、この被災した学校施設の早期復旧につきまして、三月二十八日に文書を発出しました。その中で、事前着工あるいは安全対策を行うようお願いをしているところでございまして、現在すべての学校で授業が行われているところでございます。
 これら被災した施設の復旧につきましては災害復旧費の国庫補助を行うこととしておりまして、例えば、昨日でございますけれども、局地激甚災害に既に指定されておりまして、通常三分の二の補助率のところをかさ上げするなどの対策を講じるということで適切に対応していこうというふうに考えておるところでございます。
#13
○水岡俊一君 対策の方途は分かりました。
 それで、私がお聞きをしたのは、これらの三つの小学校、あるいはほかにも、穴水町の方もありますし、そういったところの被害が出ている部分については修復が行われているのかどうか、それをお聞きしたいんですが。
#14
○政府参考人(舌津一良君) 文部科学省では、被災、地震直後でございますけれども、現地に専門家をもう既に派遣しておりまして、いわゆる構造上非常に危険な状態なものがあるかどうか、これを応急危険度判定と申しておりますけれども、そういうようなことをもう既に行っているところでございまして、その中で、いわゆる特に危険な、構造上危険な状態に今あるというものは、ないと言うとちょっと語弊があるんですが、そういうような危険性の大小につきましては既に判定をしておりまして、まあ大丈夫だろうというふうな感触を持っているところでございます。
 いずれにしても、復旧につきましては早めにやる必要があるということで、現在、市町村におきまして災害復旧の事業計画を策定しております。連休明けでありますけれども、これを受けまして、いわゆる災害査定と申しておりますけれども、現地調査を実施し、国庫補助金を交付するというようなことを速やかにやっていきたいというふうに思っております。
 お尋ねの、学校の今その柱がどうなっているかというのは、大変恐縮でございますが、今私の手元の中にはないということでございます。
#15
○水岡俊一君 それでは、委員会終了後でも結構ですので、直接確認をいただきたいというふうに思っております。子供の命にかかわる問題でもありますし、教職員も大変心配をしていることだと思うので、専門家が大丈夫だというふうに判断をしていただくことが一番重要でありますし、その関係の情報は是非入れてほしいというふうに思います。お願いします。
 そこで、全国学力・学習状況調査の方の話に参りたいと思いますが、二十四日に行われました。全国で二百三十三万人の小中学生を対象とした調査が行われて、約六十億円が投じられたというふうに私は聞いておるところでありますが、この調査、大変私たちも批判をしてまいりましたし、問題があるんではないかというふうに申し上げておったところですが、現実的には計画どおり行われたということで、大体において問題はなかったようにお聞きをしております。
 そういった中で、私、一つだけ有り難いなと思ったことがありました。それは、普通学級に在籍をする障害のある児童生徒に対しては、時間延長であるとかあるいは教員の補助、それから、かねがね申し上げておりました日本語指導が非常に重要な外国籍の子供たちが学んでいる場合もございますし、そういった子供たちに通訳のボランティアの補助あるいは時間の延長とか、そういったことの配慮がなされたというふうにお聞きをしたところであります。文科省のそういった配慮に私は大変感謝をしておりますし、子供たちにそういった状況の中でもせめてもの救いだったかなというふうに思っております。私からも感謝を申し上げたいと、こういうふうに思っております。
 そこで、心配をしていたことがやっぱり起きました。それはどういうことかというと、この学力テストに先立って多くの問題集が発行されるんではないか。その問題集をとことん子供たちにやらせるということでテストの結果を上げようというような、そういった動きもある。それから、東京都の一部の学校では、学校で直前に手作りの予想問題集を作成して子供たちに解かせているというような報道もあったようであります。校長によると、塾などに行かず、テスト慣れをしていない子も実力を出せるようにしてやらないといけないというような、まあ親心というか先生心というか、という気持ちであっただろうとは思いますが、これはどうなのかなと私たちは思っているところであります。
 気持ちはよく分かりますけれども、これまで文科省がおっしゃってきたその学力調査の本当の目的にはこれは合致しないことではないかというふうに思いますが、こういった点数を上げるということに重きを置くような学校の体制がそこここに見受けられるというような実態については、これは文科省、どういうふうに受け止めておられるんでしょうか。
#16
○政府参考人(銭谷眞美君) 今週火曜日に実施をいたしました全国学力・学習状況調査は、児童生徒のふだんどおりの学力、学習状況を把握いたしまして、それを分析をし、これからの教育の改善に資するために行っているものでございます。各教育委員会や学校におきましても、結果を活用することによりまして、それぞれの教育委員会、学校における教育指導の改善を図るということを期待をしているものでございます。
 したがって、ただいまお話がございましたけれども、点数第一主義の考え方による学校のランク付けといったようなことは、これは避けなければならないわけでございますし、また、予想問題集などによります事前の特別の練習、こういったことを必要とするものでもないわけでございます。こういったことで、この全国学力・学習状況調査のその趣旨でございますけれども、この趣旨というものを御参加をいただいております各教育委員会に対しましても御理解いただくように、私ども、更に努めていかなければいけないというふうに思っております。
#17
○水岡俊一君 点数第一主義に結び付くんではないかということを申し上げてきたわけでありまして、この先、結果が公表されるという段においては更に懸念されることが出てまいります。
 昨日の朝日新聞の社説に載っておりました、「全国学力調査 格差を広げないように」というそういう題で出ておりますが、その中に私が申し上げたいことが正に書いてありました。「文科省は結果を都道府県ごとに公表するのにとどめる。しかし、学校ごとの成績を含む詳しい結果は、市町村の教育委員会と学校に伝えられる。それを市町村や学校が公表するかどうかは、それぞれの判断にゆだねられた。」、こういうふうに書いてあります。
 これは、これまでの当委員会でのお話の中でもそういったことについては確認をされてきているところでありますが、学校ごとあるいは市町村ごとの成績が発表されるということについての懸念は今の段階においてどういうふうにとらえておられるか、ちょっとお聞きをしたいと思いますが。
#18
○国務大臣(伊吹文明君) 朝日の社説というのは私は読んでおりませんが、大体新聞名を挙げると社説のトーンがすべて分かってしまうというような日本のマスコミの在り方は私はややいかがかと思いますよ。
 率直なところ、この調査を実施するに当たっては、各都道府県教育委員会と文部科学省の中で、今先生が御懸念になっているようなことも踏まえて、私はきちっと話をさせております。その話の内容は、これはあるがままの児童生徒の学力を把握をして、これからの教育行政あるいは教科書の在り方、教育課程の在り方等の参考にするためにやるものですから、作って点数を上げる性格のものじゃないということをまずはっきりとさせておくようにと、そしてその上で、国としては全体の数字と都道府県の状況は公表いたしますと、で、各々の市町村、学校の名前は公表を、明らかにするというような公表はしないでおこうという約束で都道府県教育委員会と我々の間の約束が行われて、都道府県教育委員会はそれを受け入れてやっておられるわけですよ。
 ですから、もう先生のお手元に行っていると思いますが、十八年の六月の事務次官通知ということがありまして、この中にそのことはもうかねてから明記されているわけですね。で、この取扱いを前提として各教育委員会は当然参加をしているわけですから、個々の市町村名とか学校名というものは、市町村にゆだねられているというのは、私は必ずしも正しい記述ではないと思いますね。
#19
○水岡俊一君 大臣、そこで、大臣のお気持ち、それから文科省の考え方、私なりに理解をしているつもりなんですが、そこで、今教育界で心配をされていることは、ある議会でこの情報について公開をするようにという請求がなされたり、あるいは情報公開制度によって請求がなされたり、あるいは公開をするように訴訟が起こされたりとか、こういうことが今起こっているわけですね。このテストが正に行われた今、こういった公開請求に堪え得ることができるのかということについて私はちょっと心配をしているんですが、その点についてはいかがでしょう、大臣。
#20
○国務大臣(伊吹文明君) 今申し上げたような、この実施のかなり詳細な、先生のお手元にも行っていると思いますが、これずっと詳しく読んでいただくと、そういう前提で教育委員会と文部科学省がこれをやって、この全国統一の学力テストをやるという合意にはなっていないんですよ、個別の学校名を出すというようなことはね。
 ですから、仮にそういう請求が行われたとしても、まず私たちとしては、情報公開法五条の六号ですか、の規定からこれはお断りをするというのが当然の筋なんであって、もちろん司法の場で争われるかも分かりませんよ。しかし、そのときには、お手元に行っている我々と都道府県教育委員会とのその合意の内容、これを実施するに当たっての、それがやはり公判の有力な私は資料になると思います。
 ですから、少なくとも社会の木鐸と言われる立場にある人たちがゆだねられているというような断定的な記事を載せられるということが、そういう今御懸念になっているようなことをむしろ助長するおそれが私はあると思いますよ。
#21
○水岡俊一君 大臣の今の御答弁を聞きながら、私なりに安心をいたしました。そういった意味で、これからの推移を見守りながら、また問題が起きたときには当委員会で論議をさせていただきたいと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本題の放射線発散処罰法案について質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)御心配なく。
 この法律案、大変難しい法律案だと思いますが、私は非常に重要な法律案でもあると思いますし、私自身も実は関心がございます。というのは、放射性物質あるいは核物質というのは、私たちの身の回りに本当は全くないように見えていて、そこここにたくさんある物質でありますので、私たちは見えないものについての危機というのは改めて考えていく必要があるという、そういう観点でこれは非常に重要な問題だというふうに思っております。
 そこで、そもそもの問題を少し共通理解をしたいと思いますが、この法律案の中で、放射性物質をみだりに取り扱うこと、それから、原子核分裂等装置をみだりに操作することということが挙げられております。このことを具体的に言えば、どういうふうなことを想定しているのか、お尋ねをしたいと思います。
#22
○政府参考人(森口泰孝君) 先生お尋ねの法案でいいますと、第三条一項に「放射性物質をみだりに取り扱うこと若しくは原子核分裂等装置をみだりに操作すること」というふうにございますけれども、これにつきましては、いわゆる社会通念上、正当な理由があると認められない方法で放射性物質等を取り扱い、原子核分裂等装置を操作することということでございますが、これを具体的に申し上げますと、一つは放射性物質をみだりに取り扱うことと、これに該当する行為といたしましては、例えばですが、容器に詰めたプルトニウム等の放射性物質を町中でまき散らすと、そういったような行為が想定されると思います。また、原子核分裂等装置をみだりに操作することと、これに該当する行為としては、例えば小型の核爆発装置、こういったものを爆発させる行為と、こういったものが想定されると思います。
#23
○水岡俊一君 今の放射性物質をみだりに取り扱うことというのは、確かに放射性物質をちまたに持っていって、見えないところで人命に大きな損傷を与えるような、人体に損傷を与えるような、そういったことが想定をされるということでありますが。
 私が関心があると申し上げたのは、実は私、学生時代に原子炉で研究をしていた時代がありました。蛍光エックス線分析というのをやっておったんですが、原子炉の中に物質を送り込んで、放射線を浴びたものをまた取り出して、そしてそれを研究するという、そういうことをやったんですが、そういった中で非常に怖いなと思ったのは、原子炉から返ってくる、要するに汚染された物質というのは熱くもないし光っているわけでもないし、全く分からないんですよね。ですから、物すごく高いレベルの放射性物質であっても、自分の身の回りをだれかが持って歩いていても全く分からないということでありまして、実際には体にフィルムを張ったりしてどれだけ被曝をしているのかということを測りながらやったんではありますが、大変危険な実験であったことを覚えております。私も、教授から三年ぐらいは子供をつくるなと、こういうふうに言われたぐらいでありまして、研究施設におけるその被曝の危険度というのは非常に大きいものだったというふうに覚えております。
 そういった意味では、これ実は伊吹大臣の母校である京大の原子炉研究所で私、研究をしていたんですが、そういった部分で、今、商業施設としての原子炉だけじゃなくて、研究施設としての原子炉というのもあるんですね。そういった中で私が懸念をするのは、プルトニウムであるとかウラン235であるとかコバルト60であるとか、そういう放射性物質だけじゃなくて、そういう放射能に汚染をされた二次的な物質というものの管理も大変重要な問題だろうというふうに思うんですね。
 今、放射性物質をみだりに取り扱うことという対象の中にはこういった二次的な汚染された物質等のことも入っているのかどうかということ、あるいは、それらについての管理等については今どういうふうな状況になっているのか、もし分かればお答えをいただきたいと思います。
#24
○政府参考人(森口泰孝君) 先生お尋ねのいわゆる放射性物質に汚染されたもの、これも当然この法律上の対象になるということでございます。
 それから、そういった、いわゆる放射性廃棄物と言っておりますが、それの管理につきましては、これは法令上の規定がございますので、それにのっとりましてしっかり管理をされておるというふうに考えてございます。
#25
○水岡俊一君 しっかりと管理をされていると言われながら、全国の研究施設あるいは病院の古い倉庫であるとか古い保管庫であるとか、そういったところから汚染をされたものが度々発見をされているというのが実態ではないかというふうに思うんですね。ですから、それが今のところは低レベルであったということで大きな問題にはなっていませんが、やはり今、犯罪性のあることに特化をして考えているわけですが、そういった汚染物質がちまたにあるんだという認識はやっぱり強く持っておかなきゃいけないし、今の研究施設であるとかあるいは商業ベースで動いている原子炉であるとか、そういったところからの汚染物質等についても、これは十分に兵器に転用できる部分もあると思うので、これは気を付けていかなきゃいけないんだろうというふうに思っておりますが。
 もう一度またそもそも論に戻ってまいりますが、法律案の中で処罰対象はあくまでも放射線の発散等により人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた場合というふうにありますが、危険が生じたというのはどういうことのレベルを言うんでしょうか。
#26
○政府参考人(森口泰孝君) 先生お尋ねの危険ということでございますが、これは法律上は危険犯と言っておりますけれども、いわゆる具体的な法益の侵害がなくても処罰できるということでございまして、ここにございますように、身体又は財産に対する危険の発生があれば足り得るということです。
 具体的に申し上げますと、例えば容器に詰めたプルトニウム等の放射性物質をまき散らす、そういう行為があった場合には、それを行っただけでその放射線被曝による人の障害でありますとか放射性物質が付着して汚染されたものがいろんなものの価値を毀損する、そういう危険が生ずるわけでございますので、繰り返しでございますが、そういったまき散らす行為を行っただけでこの危険ということの対象になるというふうに考えてございます。
#27
○水岡俊一君 処罰対象をはっきりさせるというときには行為の中身をやっぱり明確にしなきゃいけないというのは、これは法律の中の非常に重要事項だというふうに思うんですね。そういう意味からすると、その危険を生じさせる、あるいは、その後にちょっと出てくるんですが、放射線の発散の予備行為というようなもの、これがどういうことであるのかというのは、もう少し具体的であるいは広範な、要するにいろんな犯罪と見受けられるような、判断をされるような事象はどういうことであって、それはどういう処罰に結び付けるかというのは、これは重要な問題ですが、もう少し詳しくお願いできませんか。
#28
○政府参考人(森口泰孝君) 先生お尋ねの放射線発散の予備行為でございますけれども、これにつきましては、これは法案の第三条の三項に書いてあるわけでございますけれども、これがどういう場合に該当するかということでございますけれども、これは法案三条一項の構成要件、これを実現するために、客観的に相当な危険性が認められる程度の準備がなされるか否か等を個別具体的に判断するということでございますので、例として申し上げるにとどまると思いますけれども、例えばでございますけれども、犯罪の方法を計画したり、それから犯行の機会を探したり、下見に行くと、こういった行為、あるいは犯罪に係る資金を調達する行為、また犯罪を行う者を募集し、訓練し、その役割分担を決める行為、犯罪に用いる物質、放射性物質とか機器等でございますが、これを調達する行為、こういったことが第三条三項の予備罪に該当して処罰されると、そういう可能性があると考えてございます。
#29
○水岡俊一君 この放射性物質にかかわって、様々な犯罪を防いだりあるいは安全な取扱いにかかわる法律というのはほかにも幾つかあるというふうに思っておりますが、そういったものと合わさった中でこういったものは対処していくんだろうというふうに思うんですね。
 しかし、そこで、ちょっと通告はしていないんですが、放射性物質を手に入れる、それは犯罪に使える程度の放射性物質を手に入れるということは国内ではなかなか難しい部分があろうかというふうに思うので、事犯罪ということにかかわると、諸外国から日本に密輸をしてくるという問題というのは、これ出てくると思うんですね。こういった問題については、この法案はその対象としているんでしょうか。もし分かればお願いします。
#30
○政府参考人(森口泰孝君) この法案自身は、いわゆる今申し上げたようなその調達する行為、犯罪に係る物質を調達ということも当然あり得るわけですから、密輸かどうかという点は別途の法律にゆだねる部分があろうかと思いますけれども、そういうテロの意思を持ってそういう物質を調達すると、そういうことがあれば、当然この法案の対象になるということだと思っております。
#31
○水岡俊一君 近年、やはりテロに核物質を使うということというのは非常に心配をされている部分でありますので、ごくこの法案にかかわっては、核物質を輸入をしてくる、あるいは何らかの違法的な手段で日本に持ち込むということは当然ながら考えられるわけでありますので、そういった辺りの法整備について、あるいは法を解釈しながら当局でその調査あるいは取締りに当たるということは十分必要なことだろうというふうに思います。
 文科省の担当局がどの程度の範囲なのかというのはちょっと私には詳しく分からないところでありますが、縦割りの中でだれもタッチをしていなかったというようなことのないように、これは政府を挙げて取締り等やっていただきたいと、こういうふうに思っております。ややもすれば、そんなことになりかねないことが多いというふうに私は思っております。
 最後に大臣にお尋ねをしたいんでありますが、核物質やそれ以外の放射性同位元素あるいは汚染物質、そういったもののセキュリティー対策をひっくるめて原子力防護という言葉があるようであります。この原子力防護というような意識の中で問題となるのは、国民に対して情報を公開すべきだという考え方と、あるいは、みだりにという言い方がいいのかどうか分かりませんが、すべての情報を開示することによってあえて危険が国民に振りかぶるという問題もあると思うんですね。これは非常に両方の論理がぶつかるところだろうというふうに思いますが、これらについて、大臣としてはこの法案を提出するに当たって御所見があればお聞きをしたいと思いますが、どうでしょう。
#32
○国務大臣(伊吹文明君) これは先生、大体政策はすべてバランス論なんですよ。だから、両方のバランスを取ってやっぱりやっていくということで、知る権利を重視する余り、安全保障の問題だとか、あるいは国家の、最終的には国民のもっと大きな安全保障の問題だとか安全だとかという問題が侵されるというときには情報は最低限の公開にとどめると。しかし、同時に、そのことを重視する余り、本来の知る権利を侵害するところまでをそういうことを理由にしてやっちゃいけないということ、それを政治家があるいは当事者がどの程度わきまえているかということに懸かるんですね。
 ですから、さっきの学習、全国学力調査の結果も、国は全体の数字と県単位のことしか言わない、県は市町村の単位のことしか言わない、市町村は個々の学校名は明らかにしないということはちゃんと約束してあるわけですよ。ただし、じゃ、自分のところの市町村が、自分のところの結果は全国平均よりはるかに高いですよということを言えば、なるほどうちの教育は良かったなという鼓舞をするということもありますよね。逆に、個々の学校が自分の判断でうちの点数は何点ですというところまでは規制はしていないというのとよく似たことなんですね。
 だから、序列化をするという先生のさっきの御質問、朝日の社説のことをおっしゃいましたが、そういう意味での公表はさせないということをこちらがしっかり持っていれば、あとは個人の情報を個人がどう処理するかということについては、個々の学校や市町村に任せてあげるというのがやっぱり地方分権のルールなんですね。それと同じことがここにも言えると私は思います。
#33
○水岡俊一君 学力調査に立ち戻ってのお話をいただきましたので有り難いと思っておるんですが、時間がなくなりましたので、私も最後にしたいと思います。
 私が申し上げたいのは、情報を公開すべきだという部分と、安全を守るために情報を公開すべきでないという考え方、これはもうバランスだというお話は正にそのとおりだというふうに思います。ただ、私たち国民一人一人にとってみれば、この原子力の情報に関しては、私は情報は少ない方だというふうに思うんですね。やっぱり、それは商業ベースの実験炉だけでなくて、研究施設の実験炉も重要な役割を果たしておりますけれども、そういったことも含めて、国民にやはりきちっとした情報公開をするということが大前提にありながら、テロ行為に結び付くような情報はしっかりと守るというような、そういう切り分けをしていただきながら国民の安全を守っていただきたいと、こういうお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#34
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 国民の安全を守りつつ、一方で、自由が不当に抑制をされたり、研究活動の萎縮が起こるということは避けなければなりません。その角度から何点かまず質問をさせていただきますが、この法案の基になります核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約の第三条では、「犯罪が単一の国において行われ、容疑者及び被害者が当該国の国民であり、当該容疑者が当該国の領域内で発見され、かつ、他のいずれの国も第九条1又は2の規定に基づいて裁判権を行使する根拠を有しない場合には、適用しない。」と、こういうふうになっております。
 要するに、この条約は純粋な国内犯には適用されないということになっているわけですが、この締結に伴う国内法整備である本法案では、純粋な国内犯も処罰対象としているということになっておりますが、この理由はどういうことなんでしょうか。
#35
○政府参考人(森口泰孝君) 条約の第三条でございますが、繰り返しでございますけれども、犯罪が単一の国において行われ、容疑者及び被害者が当該国の国民であり、当該容疑者が当該国の領域内で発見されたようなケースについては除外しているわけでございますが、これはその部分、純粋の国内の犯という意味ではこれは各国の国内問題ということでございまして、これは各国の判断にゆだねると、そういうことから条約を適用しないということを定めたものでございます。これは条約としての性格上そうなっておるわけでございます。
 ただ、実際に国内でその担保措置を考える場合におきましては、そのようなケースであっても、当然ながら人の生命、身体又は財産に対する危険、これを生じさせることは何ら変わりないわけでございまして、そのようなケースも含めまして法案の対象としていると、そういうことでございます。
#36
○井上哲士君 同じような規制法で、放射線障害の防止に関する法律がございますが、この第二条では規制の対象になる放射性同位元素を定義をして、そして政令と告示によってこの同位元素の数量や濃度について種類ごとに下限を定めております。
 ところが、本法案の第二条で放射性物質を定義しておりますけれども、こういう規制の下限については定めていないわけですね。そうしますと、従来のこの障害防止法では規制されないような低濃度の放射性物質の所持や廃棄が、こちらの法案によって処罰の対象になるんではないかという懸念があるんですが、これはどうでしょうか。
#37
○政府参考人(森口泰孝君) 今先生の御質問という意味では、そういう下限値を設けている部分以下の放射性物質、それについてもこの法案の対象となるわけでございます。
 それで、その趣旨でございますけれども、この法案の目的としては、放射性物質等による人の生命、身体又は財産の被害を防止し、公共の安全を確保すると、これがこの法案の目的でございますので、その放射性物質の下限値を設けるということではなくて、個別のその事案ごとにそのような危険が生じたか否かを判断していくと、そういう趣旨からこの法律上は下限値を設けていないと、そういうことでございます。
#38
○井上哲士君 そうすると、いわゆる故意等を持たない形でこの下限値以下の廃棄行為などは、こっちの法案、この法案では対象にならないと、こういうことで確認していいですか。
#39
○政府参考人(森口泰孝君) 故意のない犯罪と、そういう意味ではこの法案自身は故意犯のみを処罰の対象としておりますので、今先生の御指摘のような誤って行為をしてしまったと、そういうことについてはこの法案で処罰されることはございません。
#40
○井上哲士君 さらに、この法律案では放射線発散等の行為の予備を行った者についても処罰対象としておりますが、これまで大規模なテロ行為などの予備罪が適用されたという例はあるんでしょうか。その場合はどういうような要件だったのか。いかがでしょうか。
#41
○政府参考人(森口泰孝君) 大規模なテロに関して予備罪が適用された事例ということでは、先生御承知のとおり、平成七年に発生しました地下鉄サリン事件があるわけでございます。これに関しましては、サリン生成プラントの建設等に携わった者が刑法の第二百一条の殺人予備罪の成立ということで認められた事例がございます。
 これは具体的にどういう事例であったかということでございますけれども、平成八年の東京地裁判決におきましては、被告が考案したサリンの生成工程に基づいて、サリンの標準サンプルの合成に成功しております。また、サリン生成に必要な化学薬品等を大量に購入している。それから、サリン生成プラントの設置予定建屋が既に完成している。生成の各工程の稼働に必要な機器類の選定を開始している。ヘリコプターによる散布計画実行のため、その操縦免許を取得させる目的で教団幹部を米国に派遣していると。こういった諸般の事情に基づきまして、殺人罪の構成要件実現のため実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当な危険性が認められる程度の準備が整えられたと、そういうことから殺人予備罪の成立を認めた例がございます。
#42
○井上哲士君 今、予備罪、殺人予備罪の適用をされたときに認定された事実等についてもあったわけですが、そうなりますと、本法案における予備罪の適用なども同様の要件が求められていると、こういうふうに聞いてよろしいでしょうか。
#43
○政府参考人(森口泰孝君) この予備罪につきましては、客観的に相当の危険性が認められる程度の準備がなされたか否か等を個別具体的に判断するということでございますので、例として申し上げますと、犯罪の方法を計画したり、犯行の機会を探したり、下見に行くといった行為、それから犯罪に係る資金を調達する行為、犯罪を行う者を募集し、訓練し、その役割分担を決める行為、犯罪に用いる物質、放射性物質、機器等を調達する行為、こういったことが第三条三項の予備罪として処罰される可能性があると、そのように思っております。
#44
○井上哲士君 最初に申しましたように、安全を確保しつつ、濫用によって国民の自由などが不当に制約されるということはあってはならないことでありますので、その点、改めて強調しておきたいと思います。
 あと、残りの時間で、先日発表されましたアレルギー疾患に関する調査研究報告に関連をして幾つかお尋ねをしたいと思います。
 子供のアレルギーの疾患について、全国の公立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校を対象にした初の全国調査として発表をされました。関係者は、早く結果を公表してほしいということで大変待ち望んでいたものでありまして、やっと出てきたという思いなんですが、まず調査結果の概要と評価についてお聞きしたいと思います。
#45
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
 今回の全国調査の結果といたしましては、児童生徒の各種アレルギー疾患の有病率といたしまして、ぜんそくのお子様が五・七%、アトピー性皮膚炎のお子様が五・五%、アレルギー性鼻炎が九・二%、アレルギー性結膜炎が三・五%、食物アレルギーが二・六%、アナフィラキシーが〇・一四%という調査結果でございました。
 また、各疾患ごとの学校における取組の現状につきましては、例えばぜんそくに関しましては、発作などの緊急時の対応や連絡体制について共通理解を図っているという学校の割合が五八・〇%にとどまっていた。あるいは、アトピー性皮膚炎に関して、温水シャワー等の設備の充実を図っている学校の割合は一四・八%であった。アレルギー性鼻炎、結膜炎に関しまして、特に花粉の飛散時期やほこりの多い日の体育の授業や屋外活動への参加の際に配慮していると答えた学校の割合が二九・四%にとどまっていたということが明らかになったわけであります。
 この調査の結果、どの学校にも、どのクラスにも各種のアレルギー疾患を持つお子さんがおられるという可能性があるということ、そして、アレルギー疾患を持つ児童生徒に対する学校の取組は現状においては必ずしも十分ではないということが明らかになったわけでございまして、私どもといたしましては、今後、専門家による調査研究会を立ち上げまして、学校生活管理指導表というもの、アレルギー版の学校生活管理指導表を作成いたしまして、学校における運用の手引等も専門家の意見をお聞きして作りまして、各教育委員会や学校にこれを周知させまして、教育上適切な配慮がアレルギー疾患を持ったお子さんになされるように私どもとしても取り組んでまいりたいと思っております。
#46
○井上哲士君 初めて全国的調査が行われたということは非常に重要でありますし、今後の対策の抜本的強化が行われるということで関係者は非常に期待をしております。
 今もありましたように、どのクラスにも何らかのアレルギーを持った子がいるという前提でのいろんな取組が必要かと思うんですが、今も少しお話はあったわけですが、この調査結果を踏まえて、文部科学大臣としてはどのような対策を強化をしていかれるのか、少しお願いをしたいと思います。
#47
○政府参考人(樋口修資君) 今後の対応いかんということでございますが、文部科学省といたしましては、各教職員がアレルギー疾患に対するまず認識を深めていただきたい。そして、学校において適切な対応が取れるように、私ども、今回の報告書を全国の国公私立のすべての小中高等学校、中等教育学校、調査対象は公立学校でございましたが、国公私のすべての学校に送付をさせていただくと。そして、教育委員会が今後行います養護教諭を始めとした教職員に対する研修会におきまして、本報告書が活用されるよう促してまいりたいと考えております。
 また、学校が医療機関との連携を一層強化いたしまして、医学的な根拠に基づく取組を進める必要があるということで、医師の診断に基づく取組を進め、学校における取組が安全、確実で効率、効果的なものとなるようにする必要があるだろうと思っているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、アレルギー版の学校生活管理指導表をまずは専門家によってお作りいただいて、それの効果的な適用というものを、学校現場できちんとした教育上の配慮に基づいた取組が促されるよう、私どもとしてもそういった取組を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
#48
○井上哲士君 現場で御苦労されている養護教員の方々のお話も聞いたんですが、これはかなり学校や地域によって取組に相当の格差があるわけですね。ですから、きちっと実態や認識を徹底することが必要でありますが、同時に、分かっていてもできないいろんな状況もお聞きをしております。例えば、先ほど、アトピー性皮膚炎を持つ児童生徒で非常に効果の高い温水シャワーの整備が一四・八%にとどまっているという調査結果もございました。これなどは、正に現場の先生の努力ではどうしようもない話になっているわけですね。
 例えば、こういう温水シャワーの普及という点で、そもそも効果についてどう認識をされ、更に普及を促進する上ではどういうことをお考えなんでしょうか。
#49
○政府参考人(樋口修資君) 今アトピー性皮膚炎のお話がございましたが、この皮膚炎のかゆみの原因といたしましては汗とかほこりによる刺激が知られておりまして、アトピー性皮膚炎の児童生徒に対します学校における温水シャワー浴に関しましては、諸学校では、特に春から夏にかけて昼休みに実施した事例においてこの皮膚炎の改善が見られたという報告があると承知しております。
 私どもは、今回の実態調査におきまして、温水シャワーを設置している学校の割合が一四・八%にとどまっているわけでございますが、学校に温水シャワーを設置するかどうかは、これは学校の設置者の判断にゆだねられているところでございまして、私どもは、今回の報告書をまずは学校の設置者と各学校に配付をいたしまして、この温水シャワーの効果というものについてのまずは周知を図りますとともに、今後、学校におけるこの先進的な取組事例というものを私ども収集し、それを各学校にお伝えしながら、各学校においてこういう温水シャワー浴の効果というものを踏まえた対応を促してまいりたいと思っておるわけでございます。
#50
○井上哲士君 特に夏場など、子供はもうかゆくて勉強に身が入らないと。近くにいる子はもう家に帰って浴びるというような対応をしているところもあるようでありますけれども、これは是非更に促進をしていただきたいと思うんですね。
 もう一つ、給食の対応の問題ですが、食物アレルギーへの対応について、完全給食を実施している学校の多くは医師の判断等に基づいて配慮をしているということであります。これを更に広げることは重要だと思うんですが、同時に、学校給食というのはやはり教育の一環でありまして、この調査の中でも、みんなと一緒に給食を楽しみたいという子供の声も出ております。正に、そういうのにこたえた教育的配慮が必要だと思うんですが、必ずしもそうなっていない事態もあるんですね。
 例えば、お聞きすると、牛乳が飛び散って体に付いたらいけないという子供について、配慮する余り給食のときに校長室でその子は食べさせていたというのがあるんですが、これは配慮のようで大変子供にとっては苦痛なわけですね。保育園では問題なかったということを保育所の先生が言ったことによって解決したということも聞いたわけですが、医学的配慮とともにこの教育的配慮をしっかりするということも徹底する必要があると思うんですが、この点いかがでしょうか。
#51
○政府参考人(樋口修資君) 御指摘のような事例については私ども承知はしておりませんが、基本的には、学校給食の実施方法は、まずは各学校の設置者が適切に判断していただきたい。食物アレルギーを持つ児童生徒に対しましては、個々のお子さん方の状況に応じた献立の工夫など、適切な対応を行うことが必要であると認識をしております。
 それで、私どもは、通知で様々、この食に関する指導ということについてはいろいろと通知をさせていただいておりますが、この「食に関する指導の手引」というものの中にも、私ども、食物アレルギーを持つ児童生徒に対する学校給食の対応について、保護者や主治医と十分な連携を取って、医師の指示によって個々に応じた弾力的な対応をしていただきたいとお願いをしているところでございまして、具体的には、可能な限り原因食品、アレルギーの原因となる食品を除いた給食を提供する、あるいは別の食品で代替した給食を提供する、あるいは家庭からの弁当持参を認めるなどの、そういった個々に応じた弾力的な対応をお願いをしたい。
 そして、今御指摘がございました、こういった医学的な配慮だけではなくて、他の児童生徒がやはり特別のアレルギー食を食べておられるということでの不信に思ったり、それから当該児童生徒がそのことによっていじめや仲間外れになることがないよう配慮いただくということで、食物アレルギー対応食を提供する場合はできる限り一般献立に近づけるとか、あるいは他の児童生徒と同じ食器に盛り付けるということなどの教育的配慮を行うように、今、各学校現場、この「食に関する指導の手引」の中にもそれを盛り込まさせていただいているところでございますので、そういった配慮に基づいてやっていただくようにこれからも促してまいりたいと思っております。
#52
○井上哲士君 そういう配慮が必ずしも徹底していないということもありますので、是非強化をしていただきたいと思うんですが、そういう配慮も含めて、実際の現場でいいますと、養護教員の役割は非常に重要になっております。
 幻とまでは言いませんが、第八次教職員定数改善計画があったときには、この定員数についても、複数配置の基準は、小学校八百五十一人を八百一人以上、中学校八百一人以上を七百五十一人以上に改善する計画だったわけで、やはり養護教員の配置というものの強化が必要だと思うんですが、この点いかがでしょうか。
#53
○政府参考人(銭谷眞美君) アレルギー疾患への取組のみならず、学校における保健、安全、衛生の面で養護教育の担う役割というのは、これは大変重要でございます。
 今お話ございましたように、第七次までの教職員の定数改善計画の中で養護教諭につきましても、例えば第七次では総数九百七十四人の定数改善を行ってきたところでございます。
 現在まだ第八次の定数改善という計画が実現できないでいるわけでございますけれども、御案内のように、養護教諭も含めた公務員の総人件費改革の中で今後教職員定数をどうするかということは私ども大変大きな課題だと思っております。
 こういった状況の中で、養護教諭の有効な活用、あるいは今後どういうふうにこの定数問題を考えていくのか、これは私ども十分これからも検討してまいりたいと思っております。
#54
○井上哲士君 せっかくこういう報告書が出たわけでありますから、是非養護教員の強化について強く求めておきたいと思います。
 最後に、保護者にはなかなか情報がありませんで、今の自治体や学校の対応が全国的な規制に基づいたものと思いがちなわけですね。もっと保護者の皆さんにいろんな情報提供を、例えばホームページの活用なども含めてやるべきだと思うんですが、その点と、もう一つは、特にアトピー性皮膚炎について非常に費用が、除去食、治療費も掛かります。是非学校病として指定にしてほしいという声も非常に強いわけでありますけれども、この二点についていかがでしょうか。
#55
○政府参考人(樋口修資君) 今、ただいまの御指摘でございますが、私ども、アトピー性皮膚炎についてはこのような冊子を、また、ぜんそくのお子さんについてはこの「健康管理マニュアル」というものを資料として作成させていただいておりまして、各学校に周知をさせていただいておりますが、保護者の方々までにはまだ十分行き届いていないということがございます。
 文部科学省のホームページにも今回こういったものを立ち上げまして、また、教育委員会や学校にもホームページを持っておられるケースが多うございますので、そういったところにもこういったものをホームページ上掲載していただくようにこれから要請をさせていただきたいと思っております。そのことを通じまして、各保護者の方々にも、こういったぜんそくやアレルギー性皮膚炎を持っておられるお子さん方、アトピー性皮膚炎を持ったお子さん方についての啓発を促してまいりたいと思っているわけでございます。
 また、御指摘の、特にアトピー性皮膚炎についての学校病の指定のお話がございましたが、御案内のとおり、要保護者につきましては医療扶助がございます。準要保護者にかかわる問題が学校病として手当てするかどうかという問題になるわけでございますが、御案内のとおり、アトピー性皮膚炎というのは長期間の治療を要する問題ということがございますし、また様々な重症度の児童生徒がおりまして、学習に支障を来す重症度の認定には私どもとしては更なる知見の蓄積が必要であろうかと思うわけでございます。また、地方公共団体がこれを実際に実施する場合には多大な財政的な負担の問題もございますので、こういったもろもろのこともございますので、私どもとしては、現段階においては慎重な対応が必要であろうかと考えているところでございます。
#56
○委員長(狩野安君) 井上哲士君、もう時間です。
#57
○井上哲士君 大変要望強いので、是非よろしくお願いします。
 終わります。
#58
○委員長(狩野安君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(狩野安君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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