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2007/05/24 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 文教科学委員会 第14号
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2007/05/24 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 文教科学委員会 第14号

#1
第166回国会 文教科学委員会 第14号
平成十九年五月二十四日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     岸  信夫君     小泉 顕雄君
     林 久美子君     平田 健二君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     吉村剛太郎君
     小泉 顕雄君     二之湯 智君
     平田 健二君     林 久美子君
     山本  保君     山本 香苗君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     北岡 秀二君     秋元  司君
     二之湯 智君     小泉 昭男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                中川 義雄君
                中島 啓雄君
                佐藤 泰介君
                蓮   舫君
    委 員
                秋元  司君
                荻原 健司君
                神取  忍君
                北岡 秀二君
                小泉 昭男君
                中曽根弘文君
                二之湯 智君
                水落 敏栄君
                吉村剛太郎君
                鈴木  寛君
                西岡 武夫君
                林 久美子君
                広中和歌子君
                水岡 俊一君
                山本 香苗君
                鰐淵 洋子君
                井上 哲士君
       発議者      西岡 武夫君
       発議者      鈴木  寛君
   委員以外の議員
       議員       亀井 郁夫君
   国務大臣
       文部科学大臣   伊吹 文明君
   副大臣
       文部科学副大臣  池坊 保子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡井 敏雄君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       山中 伸一君
       文部科学大臣官
       房長       玉井日出夫君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   加茂川幸夫君
       文部科学省初等
       中等教育局長   銭谷 眞美君
       文部科学省高等
       教育局長     清水  潔君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        樋口 修資君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本国教育基本法案(西岡武夫君外四名発議)
○教育職員の資質及び能力の向上のための教育職
 員免許の改革に関する法律案(西岡武夫君外四
 名発議)
○地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律
 案(西岡武夫君外四名発議)
○学校教育の環境の整備の推進による教育の振興
 に関する法律案(西岡武夫君外四名発議)
    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、岸信夫君、有村治子君及び山本保君が委員を辞任され、その補欠として吉村剛太郎君、山本香苗君及び二之湯智君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(狩野安君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 学校教育法等の一部を改正する法律案外六案の審査のため、来る三十一日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(狩野安君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 学校教育法等の一部を改正する法律案外六案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官山中伸一君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(狩野安君) 学校教育法等の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案、日本国教育基本法案、教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案及び学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案、以上七案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○北岡秀二君 おはようございます。自民党の北岡秀二でございます。
 まず、法案の審議に入る前に、昨年の教育特の質疑で、私はちょっと、一点だけの質疑でちょっと引っ掛かっているところがございますものですから、改めて関連で質問をさせていただきたいと思います。
 まず、それは私が、ちょうどNHK中継があったものですから、時間の関係で一番最後の質疑で大臣の答弁をいただいて、ちょっと私、その時点でも引っ掛かっていたんですが、時間の関係もあるからそのままにしておいた部分のもう一度の詰めをさせていただきたいと思います。
 質問の趣旨は、いろんな改革をするに当たって、文科省の職員の学校現場への派遣が必要じゃないかと、そういった旨の、やるつもりがあるかどうかという旨の質問をさせていただきました。
 そのとき、大臣の方からは、補助教員として教壇に立たせるということはもう実はやっておりますという御返事を、御答弁をいただきました。ちょっと私、この答弁、現実はそういうところもあったかも分かりませんが、ちょっと趣旨が違うかなという思いもいたしたものですから、まず、去年の段階までで補助教員として教壇に立たせる、どういうふうな状況でどのぐらいの期間研修をされておったのか、まずちょっと、事前に事務的にお答えをいただいたらと思います。
#10
○政府参考人(玉井日出夫君) お答えを申し上げます。
 文部科学省職員の教育行政等の実務研修として、若手に市町村教育委員会等に行ってもらって研修を重ねているわけでございますが、これまでやってまいりましたのは一か月以内ということで、大体、実質は二週間から四週間程度、教育委員会事務局において教育行政の実務経験をするほか、学校あるいは博物館等で学んでまいります。
 そういう中で、できるだけ教育委員会で研修プログラムを具体に定めていただくわけでございますけれども、その中で、状況に応じて学校現場の体験を組み込んでいただいております。
 その実質でございますけれども、二、三日から長いもので二週間といったのがこれまでの実態でございました。
#11
○北岡秀二君 私は、ここに引っ掛かったんですよね。
 私の趣旨は、その当時の趣旨はそういった意味の質問じゃなくて、実質、教壇の上に立ったり学校現場へ派遣されるというのは、もう本当に数週間、これはもう派遣というんじゃないですよね。どっちかというと研修に近いスタイルだろうと思うんです。私が申し上げたことは、いろんな制度改正をしていったり文科省が今後教育行政にいろんな面で切り込んでいくに当たって、ややもすると学校現場というのは一側面閉鎖的なところがあるし、なおかつ教育委員会の問題もいろいろ議論されている過程の中で、文科省自身がなかなかその実態を十分に把握できないところがある。そういったところをカバーする意味で、通常、人事交流という観点の中で本格的に文科省職員を、財政再建の問題や行革の問題がありますから、人員カットという大きな大きな前提があってその辺りの派遣というのはしづらいだろうと思うんですが、こういう大きな大きな節目であるがゆえに、あるがゆえにやっぱり現場へ文科省職員が正式に派遣をされてどんどんどんどん実態というのをいろんな意味で、いいも悪いも含めて掌握する必要があるんじゃなかろうかという観点の趣旨でございました。
 幸いにもというか、以前からいろんな意味で準備はされておったんだろうと思うんですが、今年から正式に約一年間、二名の派遣ということで実際にスタートしたようでございますが、改めて大臣、この辺りの必要性というか取組の重要性、そしてまたなおかつ、その辺りの大臣自身の所見をお伺いをさせていただきたいと思います。
#12
○国務大臣(伊吹文明君) 昨年のあれは教育特の際ですね、御質問があって、そのお考えも文科省としていただいたと言うと恐縮なんだけれども、今お話があったように、静岡県と香川県の中学校に四月一日から、教員免許がございませんとこれなかなか、特殊免許を出さないといけませんので、また文科省の職員だけ特殊免許をお手盛りでというようなことを言われてもこれもまた困るので、取りあえず教育免許を持っている新規採用職員を一年間、二つの中学校へ派遣をしております。
 今後も、現場の実情をよく知るということは非常によろしいことですから、どんどん現場が受け入れてくれればこちらもお願いしなければいけませんが、そういう方向で努力をして、今おっしゃっているように、現場感覚を持った文部科学省の役人の蓄積をしていきたいと思っております。
#13
○北岡秀二君 今後の抱負もある程度おっしゃっていただきましたから、私の方から要望として改めて申し上げたいと思いますが、もう先ほども申し上げましたとおり、どうしても閉鎖的な雰囲気というのはやっぱりぬぐい去れぬところ依然としてあるだろうと思います。
 それと同時に、やっぱり教育委員会から上がってくる案件というのは、かつてのいじめ自殺の問題もそうでございました、そしてまたなおかつ、そのいじめ自殺に関連して文科省がいろいろ情報収集するにしても、昨年私は、我々委員会で北海道のいじめ自殺の現場と家族の皆さん方からいろいろお話を聞かせていただくと、上がってきている情報と実態というのはかなり違うところの錯誤があったような印象もかなり持たせていただいておるんですが、何だかんだ言いながら、現場でどういうことが進行していっておるのか、そしてまたなおかつ、これだけやらなければならないことがたくさんある中で、何が問題で何が大事なことであるかということを掌握する文科省サイドの見る目というのは絶対に必要でございますから、そういう観点からいうと、特に我々一般の人間というのはいろんな職業経験はさせていただきますが、学校現場の中でのいろんな事柄というのはややもすると掌握しづらいところがある中で、是非とも、大臣おっしゃっていただきましたとおり、この辺りの重要性というのは、ただ単に経験するということだけじゃなくて、今後いろんな判断をしていく過程の中で、少なくとも感じ取っている部分を今後の行政の中で生かしていくということは重要な事柄だろうと思います。
 まだまだ私は、初年度で二人というのは人数的にはまだ少ないように思います。予算の壁、そしてまたなおかつ行革の壁というのがあるだろうと思いますが、大臣のその辺りの指導力を基に、来年度以降順次増やしていきながら的確にその辺りの対応ができるような環境をおつくりをいただきたい。この辺りは要望いたさせておきます。
 それと次、本題の領域に入らせていただこうと思います。
 まず、私の方からお配りをいたしております資料ですね。これは七枚つづりの資料を配付をさせていただいております。新聞の切り抜きを、これ過去何年間かのを取りまとめをさせていただいて配付をさせていただきました。
 日本青少年研究所というところが毎年毎年、主に中国とアメリカと日本の十五歳の子供を対象に意識調査をやっておられると。多分大勢の皆さん方が、これマスコミ発表をされまして、こういうふうなタイトルでショッキングな発表をされておられるものですから、教育に関連して、そしてまたなおかつ、我が国日本の現状ということにかんがみて、心を痛めてこの記事を読まれていらっしゃる方、大勢いらっしゃるだろうと思います。
 かつてから、予算委員会から始まって、各委員会でこの発表というのは質問の題材に使われながらやり取りもあっただろうと思います。改めて私は、ここ十年ぐらいで象徴的な部分を取り立てさしていただいたんですが、一番直近の部分では、タイトルだけを読ましていただくと、「日本の高校生 出世欲最低」、「偉くなりたい」、四か国の中でこれはもう最少で八%と、「そこそこの収入でのんびり」と、あるいは「自己中心で刹那的 日本の高校生」、あるいは「男らしく女らしく」の数字も、諸外国と比べて日本はその辺りの認識は最低であると。四枚目、五枚目辺りはちょっとひどい見出しでございますが、「やる気、自信、夢 なし」、「どうなる日本の高校生」と、そしてまた、その後は「「自分はだめ人間」七三%」と、これはこういうふうな形で続いておりますが、私は、当然文科省の内部もこの辺りの調査資料というのは取り寄せて、いろんな意味で分析はされていらっしゃるだろうと思います。
 ただ、この私は統計資料で非常に面白いというか意味があるのは、アメリカと中国と日本と比較をしておると。なおかつ、一部、年によればフランスが入ったりあるいは韓国が入ったりということをされておりますが、我々が通常国内で青少年問題、教育問題を認識をするのとは別に、外国と比較をすることによって、改めて我々の教育環境であったり大人の意識であったり子供の意識を再確認をさしていただく、そしてまた、なおかつ相対をすることによって位置付けがはっきりと認識がされる非常に面白い私はアンケートだろうと思います。
 大臣も、今までこの辺りのマスコミ発表の、あるいは正確な資料等々取られて御感想はお持ちだろうと思うんですが、一連のこの辺りの状況に対してどういうふうな御感想、御所見をお持ちか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(伊吹文明君) この調査項目を見まして、例えば、自己肯定感というのは非常に低い一方で自己中心的であるとか、やや答えも必ずしも整合性が取れていないんじゃないかという感想は持ちましたんですが、特に私の今お預かりしている仕事の立場からすると、社会のために貢献しようという意識が低いとか、あるいは国に対する誇りが乏しいとか、これをアメリカと中国という日本がこれから国際社会の中で生きていかなければならない場合に最も仲よくしなければならないけれども、仲よくしなければならないだけに最も安全保障の対象として考えておかなければならない国に対して非常に劣っているというのは、これはちょっと困ったことだなという印象は持ちました。
 同時に、昨年先生にもお力添えをいただいた教育基本法の改正の二条に、国会の意思としてお決めいただいた豊かな情操、道徳心、主体的に社会の形成に参画する態度、我が国や郷土を愛する態度、こういうものを踏まえて、これから、今回お願いしている緊急に必要とする教育三法、そしてまた予算措置その他踏まえて、我々が正していかなければならない方向についてもヒントがあるなという感覚で私はこの調査を読みました。
#15
○北岡秀二君 私は、前段に聞いてもよかったんですが、本来、私はもう常日ごろ申し上げておりますし、なおかつ安倍総理もおっしゃっておられるだろうと思いますし、多くの政治家の皆さん方も感じていらっしゃるだろうと思うんですが、我が国の特性を考えてみたときに、かつて私も小さいころに勉強をさせていただいたときに、日本という国は資源も何もないんですと、こういう国であるにもかかわらずこれだけの経済大国になり得た。いろんな分析はあるんだろうと思うんですが、大きな大きな柱の一つには、我が国が人材立国であり得たからこそ今日の日本というのもあるんだろうと思うんです。なおかつ、これから将来に向けても、日本という国は、大きな大きな生命線の一つに、国を運営していくという生命線の一つに、人材立国であるという部分を外してはならぬなというふうに私は考えております。安倍総理もそういうことで、内閣の最重要課題は教育再生であるということを標榜しながら今日まで総理をやっていらっしゃる。
 私は、そういう観点から申し上げると、今大臣もいろんな部分で参考にはなるというような話をされておりましたが、正にここの部分が今教育に関連する一番大きな大きな課題じゃなかろうかというふうに私は感じております。
 これはもう話ばかりで申し訳ないんですが、余談でございますけど、私ども、どうしても徳島、私は徳島ですから、徳島の現場でいろいろ意見交換させていただきます。本当に深刻な話や我々自身が協力をしていって解決をしていかなければならない話、たくさん聞かせていただきます。
 その中の一つにもう本当に象徴的な、一、二点御紹介を申し上げると、つい先日、これは教育現場ではないんですが、地元の銀行の新任社員研修、徳島ですから、田舎ですから、銀行が取引先の中小零細企業を対象に社員研修を代行するようなことをやっております。それに初めて就いた担当者の感想を私聞かせていただきました、指導する側の。ちょっと誇張もあるかも分かりませんが、大卒の新入社員を対象に研修をさせていただいたときの印象が、北岡さん、三分の一は動物でしたと、三分の一は小学生レベル、あるいはもう、何というかな、義務教育レベルの感覚でしたと。残りの三分の一がやっと大学を卒業したかなと思えるような人材でしたと。
 これは何をとらえてそういうことを申されたか、広い意味があるんだろうと思うんですが、つくづくと言っていたことは、教えられていない、全然教えられていませんと。当然、礼儀作法から始まってのいろんな規範問題あるいは道徳問題ということなんだろうと思うんですが、教えられていませんということを痛切に言われていました。
 もう一点、私は象徴的な会話の印象を持っていることをもう一つ申し上げると、ある高校の幹部とこれも教育問題について相当深刻にいろいろ腹を開いて話をした。その中の一つに、最近の若い先生どうですかという質問をさせていただきました。そのときに、これも私は象徴的なお答えだったかなと思うんですが、最近の若い先生、大変優秀な先生が入ってきていますというお答えでした。ただ、後に付け足してきた言葉が問題だろうと思うんですが、ただ、大変優秀なんですが、言われたことや指示されたことは確実にやりますと、ただ、それから外の、枠からはみ出した部分に対する対応は苦手な人が多いですと。これも私は、教員の問題というんじゃないんですよ、日本の人材育成の環境の問題を申し上げているつもりなんですが、非常に大きな象徴的な、私はシンボル的な話だろうと思うんです。
 これから我々自身が、教育基本法も改正をいたしました、そしてまた、なおかつ教育三法をこれだけ鳴り物入りでまた審議をしておるという状況の中で、私は、学校教育法の改正でとにかく目標にいろいろ付け加えて、規範意識をしっかりさせるとか、あるいは伝統、文化のその辺りの教育を更に深くやるとかいろいろ書かれておりますが、このたびの教育基本法の改正あるいは学校教育法の改正で、今のこの世論調査の現状も含めてどう改善されていくのか、その辺り、取組の覚悟も含めてお聞かせをいただきたいと思います。
#16
○国務大臣(伊吹文明君) 教える内容を少しずつやはり変えていくと同時に、今先生がお挙げになった調査の多くの項目は、単にこれは学校だけでやれることではやっぱりないんですよね、家庭と地域社会と。ですから、教育基本法では、教育のやはり原点は保護者にあるということをまず国会の意思として明記をしていただいて、そして家庭と地域社会と学校が連携をして子供を教育し育てていくという流れを書いていただいているわけですから。
 今回は、緊急に必要な学校現場のことを取りあえず三つ法案として出しておりますが、いずれ社会教育等を含めて社会総ぐるみで正に取り組まねばならない課題という前提で申し上げれば、今回の教育三法では、御承知のように改正教育基本法を踏まえて、公共の精神など新しい時代に求められる教育の概念を明確にしているわけですから、例えば二十一条の義務教育の目標というのを今回の学校教育法には出しておりますが、その第一号に、規範意識、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う等、こういうことをずっと書いておりますから、この学校教育法を国会の意思としてお認めをいただければ、その下位の法構成の一部である学習指導要領を告示として出すことによって、今先生がおっしゃったようなところで足らざるものを補っていくと。
 そして、先ほどおっしゃった応用、教えてもらったことはよく理解しているんだけれども応用ができないという部分を教師についておっしゃいましたが、正にそういうことを自覚していたがゆえに総合学習という教科を作ったわけですね。つまり、基礎をしっかり教えて、そして現実にそれを応用していく力を養おうとしたわけですよ。ところが、現場の運用で、必ずしも基礎を十分教えられないまま、点数を付けなくてもいい総合学習の時間が目的どおり運用されていなかったという批判がありますので、その辺りの運用の実態についても学習指導要領の中でやはり変えていかなければいけないだろうなと思っております。
 もちろん教える内容が一つあります。しかし同時に、それを教えていただく先生がそういう意識を持ってやっていただかなければなりません。それから、学校現場から教育委員会、そして我々も含めて、一番最初の御指摘にあったように、意識を変えて行政の一体化を図っていかねばなりませんので地教行法の改正案をお願いしたと、こういう構成になっているわけです。
#17
○北岡秀二君 大臣もおっしゃられましたが、私も以前から感じておることの一つに、俗に言われる教育というのは、知育、徳育、体育、三分野があると。体育であるとか知育に関しては、いろんな体系別の分析や取組の窓口というか、かなり整理されている。ところが、徳育に関しては、これは私、政教分離の宗教がタブーとされているところがある部分がかなりひょっとしたら障害になっているのかも分かりませんが、整理されているようで整理されていないところがたくさんあって、私も、今までのやり取りを聞かせていただいても、大臣のではないんですよ、委員会のやり取りを聞かせていただいても、例えば規範意識、これがどこまでを網羅しているかというのを我々認識しているだろうか。
 ちょっと私、辞書で規範という言葉も調べてみたんですが、規範というのは、あくまで行動基準であったり礼儀作法であったり、ややもすると一つの基準を守らなきゃならぬ部分を守りましょうという領域であると。じゃ、我々が目指している道徳、道徳というか徳育の領域は、じゃそれだけなんだろうかと、ちょっと違うんじゃないかなと。たくましく生きていく力を身に付ける、あるいは命に対して、自然に対する恐れの念というか畏敬の念というか、人間として、動物としての底流の一番大事な部分を身に付ける、これはちょっと規範意識の領域じゃないな。
 じゃ、この分野というのは何をもって、どういう手段で指導していっているのだろうと。かといって、じゃ道徳、道徳という我々何気なしに、例えば最近、道徳教科という部分の、教科としての道徳が話題になっていますが、道徳で一体どこまで教えられるのだろうというような問題もございます。言葉だけをとらえると、礼儀作法の問題とか、あるいは今申し上げたようなことですね、思いやりの問題、あるいは道徳もそうですが。
 私、今大臣図らずも言われた、学校でどこまでできるのか、ややもすると我々は学校に何もかも期待をしてしまう、要求してしまう。このたび、基本法を改正した上での学校教育法の改正でございますので、やっぱり根っこの根っこの部分をもう一度再点検、再構築をしていかなければならないという前提から申し上げると、私はこの徳育の領域、もう一度、学校で取り組められる部分の限界、そしてまた、おっしゃった家庭の問題あるいは社会の問題等々、再整理をして、ここからここまでが、まあびしっと決めれるものではないんだろうとは思いますが、少なくとも最低基準として、学校の問題ですよ、あるいは体系的にこの分野は連携してやらなきゃならぬですよ、トータルでやらなきゃならぬですよ。また、なおかつ、規範、礼儀作法ですべてが、我々発言するときに規範意識ということですべてが網羅しているようなちょっと錯誤をしてしまうときもあるんですが、このセクション、このセクション、このセクションがありますよという、その辺りの体系化も私は、今までもある程度やっていらっしゃっただろうと思うんですが、なお一層必要になってくるだろうと思いますので、その辺りもう一度、大臣自身、今後の取組の姿勢、先ほども申されましたけど、改めてもう一度御答弁をいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(伊吹文明君) これは先生、一番人間社会にとって重要なんだけれども、いろいろな価値観あるいは政党の理念を持って行われる政治の中では一番難しい分野なんですね。しかし、民主党があり、公明党があり、共産党があり、自民党があっても、日本で生きている限りは、日本人が共通に持っているものを教えるということは私は当然あっていいと思います。
 具体的に、規範というのは、法治国家ですからまず法律というものがあります。しかし同時に、その国において、長い歴史の中で祖先が試行錯誤の中でこれはどうも不適当だなというものをそぎ落として、これは正しいんじゃないか、みんなで守っていこうよというものを残して、そしてつくり上げてきたものと法律とを合わせたものが私は規範だと思いますね。
 ですから、英国では、あれだけ近代議会制民主主義の母なる国と言われましたけれども、どちらかというと明文法の非常に少ない国であって、つい最近まではコモンローと言われる法に書かれざる規範というのか、その国の約束事のようなもので社会の秩序が守られていたわけですね。ですから、英国の規範と日本の規範とまた非常に違うと思いますし、ましてやアメリカのように人工的に移民をもって、いろいろな規範を持った人たちがつくり上げた国で共通に持つ規範というのは一体何なんだろうというのは、非常につくりにくいからこそあの国は法律を優先に国の社会秩序を守っているわけですね。
 しかし、先ほど来お示しになったこの調査を見て、その国においてすら日本以上に今先生が御指摘になったことを強く意識しているということを突き付けられると、我々はやっぱりかつて、宗教の意識が非常に低いと先生、難しいとおっしゃったけれども、かつて宣教師が信長の時代に日本へ来たときに、どの国の国民よりも日本人は礼儀正しく、そして人に優しく、町は清潔であるという手紙を送っておりますよね、本国に。新渡戸稲造さんは、宗教感覚はこんなに薄いのに、なぜ日本人というのはこんなに社会が整然と秩序正しく保たれているんだろうかという疑問を持った自分の米国人の妻に、武士道というものが宗教に代わるものとして日本にはあるんだということを教えたのが「武士道」という本ですよね。
 商人道というものもありますし、例えば石田梅岩の石門心学のようなものもあれば二宮尊徳や安藤昌益の農業に携わる人の規範みたいなものも日本にはあるわけですから、もう一度やっぱり、こういうものは、こういう人が主張したことはこうだよということを私は教えていくというのが本来の徳目であって、その中でどれを取るかということを、点数化するということはやっぱり適当なことじゃないんじゃないかなという気持ちを持ちながら今先生がおっしゃったことに取り組みたいと思っております。
#19
○北岡秀二君 諸外国の話が改めて出てまいりましたので、私のこれも所感申し上げますけれども、欧米ですね、特に欧米は道徳あるいは生きる力、この領域に関してはかなり宗教がカバーしているだろうと思います。当然、家庭、親の指導による日曜日に教会へ行ったり、あるいは牧師さんといろいろコミュニケーションを取ったり、当然、学校教育の中にも取り入れているところもあるでしょうし、いろんな部分の、システムとして宗教が確立された部分でお教えをいただいている、教えというか学んでいるところがあるだろうと思う。
 ところが、日本の場合はいろんな問題があって、憲法の制約もあるんですが、じゃ行政で正式に、教育基本法の改正のときにも大きな議論になりましたが、どうしても限界点があると。なおかつ、戦後、特にそういう一つの伝統的な部分が断ち切られた部分に相まって、ややそういう宗教でカバーしなければならない部分の心の問題というか徳育の問題が大きな大きな欠陥を来さざるを得ない環境になっていると。
 じゃ、先ほどの、それをどうカバーするかという問題に非常に我々は悪戦苦闘しているし、当然行政サイドもそういう面での悪戦苦闘があるだろうと思うんですが。
 要は、私は、先ほど話がありました、ちょっとある程度体系別にちゃんと整理をして、科学的にと言ったらおかしいんですが、体育の問題であれば、いろいろな体系別の、こういう状況にはこういう運動なりあるいは栄養が必要ですよとかというのがきれいに体系別に分けられている。あるいは、知育の分野でもそれなりにいろいろ積み重ねができ上がっていますが、これから是非とも、徳育の領域に関していろんな制限がある中で、そしてまたこの環境の中で、本格的に文科省としても、地域でできるもの、あるいは家庭でできるもの、あるいは学校でやらなきゃならぬもの、その辺りを、話の中で私もう一点大事なキーワードを言い忘れていたんですが、国家の意思というのは絶対に要るだろうと思います。当然、国家の意思というのを、放任であれば放任がその国家の意思でもいいんですよ。ただ、国の教育である以上、国家の意思というのは基本的には最低限私はその辺りは持っていなければならないだろうし、国家の意思に基づいてのその辺りの体系的な分類分けあるいは体系化を是非とも本格的にやっていただきたいと思います。
 各論の部分で何点か、時間が来ましたから質問をさせていただきたいんですが、もう一点、学力低下の問題です。
 これも配付はいたしておりませんが、国際的な学力比較をされている機関がありますよね。OECDとかあるいはPISAというんですか、理数系を中心に国際比較をされておるその数字というのは何年かに一遍発表をされていらっしゃるんでしょうけど、確実に日本の学力、理数系の学力が落ちてきている。これも先ほど申し上げました、人材立国であるべきはずの日本からすると、大きな黄色信号から赤信号になる傾向性が客観的なデータの上からも確実に出てきておると。
 学校教育法の改正から始まって、先ほどおっしゃられました指導要領の改訂からいろいろあるだろうと思います。改めて、私は、もう今まで何度も何度も質問はありましたが、ゆとり教育の見直し問題の話も含めて、根底から制度、法律を変えるに当たって、大臣の学力を向上させるという観点での決意と思いをもう一度お話しをいただきたいと思います。
#20
○国務大臣(伊吹文明君) 先生がおっしゃったように、日本はやはり良き人材によってここまで国際社会を生き抜いてきたということはもう間違いのないことですから、その人材を多面的に養成をし直していくと。これはもう社会のあらゆる部分のいろいろなひずみが子供たちに集まってきて今の状況をつくり出しておりますから、単に学校だけというわけにはいきませんけれども、私の所掌している責任分野としては、火曜日に、総理出席の下で与野党を通じておっしゃっていただいたように、教師の数をもう少しやっぱり確保すると、そして教師にやっぱり良き人を得ると、その代わり教師もそれに甘んじずに自己研さんを積んでもらうと。まず、学校分野ではこれが原点だと思います。そして、授業時間を増やしていくのがいいのか、今の授業時間の中でもう少し効率的にカリキュラムを組むという方向を学習指導要領の中で打ち出していくのがいいのか、これをやっぱり考えなければいけませんね。
 今回、その準備を国会として、先ほど先生は国家の意思とおっしゃったけど、国家の意思というのはないんですよ。これは国民の意思なんですよ。国民の意思というのは国会が決めるんですよね。ですから、国会でその方向をやっぱり打ち出していただくということをお願いしているのがこの三法の改正をお願いしている基本にある考えなんです。
 ですから、それをやりながら是非、一番最初に先生が正におっしゃった、原点である人材をしっかりとつくり直していくということをやりたいと。そのために、私は、今非常に危険な兆候があると思いますのが、目先、産業化ができるもの、つまり研究開発ですぐに産業化ができるものが非常に効率的でいいもので、乏しい教育予算をそちらに切り分けろという流れがありますけれども、そんなことをしてしまったら将来の産業化をつくり上げていく基礎的な人材の育成に回るお金がもっと少なくなりますから、私は、これは何としても頑張らにゃいかぬなと思っておるわけで、是非この辺りは与野党を含めてひとつ御協力を願いたいと考えております。
#21
○北岡秀二君 今の最後の方はおっしゃるとおりでございますので、つい先日も西岡先生ですか、市場原理でどうだこうだという話をされておられましたけれども、正にこの教育の分野あるいは研究の分野もそうでしょうから、予算面と、これから制度改正に伴って当然、人の問題も頭数の問題も入ってくるでしょうから、是非とも重大なる決意の下に、今後のその基本的なところの道を開いていただきたい。スタートのときですから特に大事でございますので、道を切り開く根っこの方向が決まれば後は継承していくことになりますので、その辺りは是非とも今のお話のとおり、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 ちょっと時間が経過しましたので、あと各論の部分で、地教行法のところで、このたびの改正で、今まで教育委員会の目的というのが明記されていなかった。私どもも自民党の中で、教育委員会の設置自体の行政的なそれを規定する法律の中に教育委員会の目的がないのはおかしいじゃないかということをよく議論をさせていただいておりました。改めて今度の改正案の中に基本理念を規定をしたと、文言としてもいろいろ書いております。これは、現状をかんがみて、どういう必要性からこの基本理念を改めてここで書き出したのか、そしてまたその基本理念を書き出すことによって何を変えようとしているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#22
○国務大臣(伊吹文明君) 現在の地教行法というのは、正に先生がおっしゃったように、基本理念を本来書くべき一条にそれがないんですよね。これは何というのか、行政手順法みたいな内容になっちゃっていますので、やはりこういうことは適切ではございませんので、先般改正をいただいた教育基本法の十六条ですね、これに国と地方が教育行政は適切な役割分担の下に行うということを基本法に書いているわけですから、それを引きまして、今回一条の二で、地方公共団体における教育行政の基本理念として、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国と適切な役割分担及び相互の協力の下で公正かつ適切に行っていただくという教育委員会の本来のあるべき役割を明記したと、こういうことでございます。
#23
○北岡秀二君 ちょっともう一点、今私が質問したことで付け足してお答えをいただきたいのですが、今の話の中に入っているかも分かりませんが、大臣自体、新しく基本理念を付け足したことによって教育委員会、特に教育委員会ですよね、どういうふうに変わっていただくことを望んでいらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(伊吹文明君) 今申し上げましたことを書き足して、そして、これはいろいろ議論があったわけですが、文部科学大臣の是正要求と指示の項目を新たに付け加えました。
 本来、私は、こういうことをする前に、教育委員会を任命された地方自治体の長、そしてその任命を承認された地方議会そのもの、これが地域住民の代表として教育委員会をしっかりとやっぱり常に見定めて、住民の地方自治の力として、国が決めたようなことを守っていない教育委員会については地方議会でやっぱりやり玉に上げてもらわなくちゃいけないんですよ。それを全然なさっていないということに大きな問題があります。
 今回、こういうことをわざわざ今先生が御指摘のように一条に書き加えましたけれども、法治国家でございますので、法律を改めなければ法律以外の勝手な行動をすることは許されません、この国では。しかし、法律を改めたからすべて直るかどうかというと、やはり教育委員のその意識を根本から直してもらわないといけない教育委員会があるということですね。
 やはり、日本の未来を担う子供たち、自分たちがこの世の中に生み出した命を預かっているんだという意識をもう一度私は教育委員会にも持ってもらいたいし、その教育委員会を任命された首長、承認された地方住民の代表である地方議会の私は奮起を期待したいと思っております。
#25
○北岡秀二君 確かに、私も地方議会経験をしておりますので、ややもすると、まあまあ離れて十二年たっていますから現状じゃなくてかつての話なんですが、箱物とか、あるいは目に見えるものにどうしても地方の政治家も行ってしまう、そのエネルギーがですね。で、目に見えない部分に関してはちょっと取組が弱い部分があって、私はもう徳島の方へ帰ったときには、教育というのは大事ですよと。その辺りを政治の大きな大きな、安倍総理も最重要課題の一つに入れているものですから、是非とも入れていただきたいということを啓蒙活動はさせていただいておりますが、おっしゃるとおりのような現状だろうと思います。
 ただ、もう以前から議論になっておったことの一つ、それともう一つ、自民党の中でもいろんな案を決めたことの大きな大きな教育委員会に関するテーマというのは、無責任体質をどう打破するか。そしてまた、なおかつ、潜在的には能力は持っているんでしょうけど、教育委員さんにしてもしかるべき人材が登用されていることは間違いないし、なおかつ、事務局サイドにしても優秀な職員が大勢いらっしゃるだろうと思います。しかし、全体としては、先ほど話したいじめ自殺問題等々をかんがみましても、結果的には、表に出てくることは無責任体質しか出てこないと。じゃ、これは一体何が問題なんだろうと。その責任をしっかり取れるようなシステムをつくるのには何をやったらいいんだろうかなというような議論がたくさんありました。
 要は、権限の問題と、あるいはその辺りの責任の規定の問題しっかりして、その辺りもうちょっと、いろんな意味で権限を持たすと同時に責任も並行して持たすという部分が最終のテーマなんだろうと思うんですが、是非ともその辺り更に強力に、これからということでございますので、実質変わっていくように御指導をいただきたいと同時に、ただいまお話がございました、そしてまたかつてからも議論がございましたが、地方分権の流れがどんどんどんどん進行しておって、この教育委員会の問題を始め教育行政全般の問題も、地方のことは地方でという流れが片やあると。なおかつ、これだけ教育問題が大きな問題で、国家として、あるいは国会として、いろんな部分の切り込みもやっていかざるを得ない現状にある。その辺りの整合性で、もうかつてから議論になっております。国がどこまで関与すべきか、あるいは地方分権の流れをどこまで尊重すべきか。
 私は、もう先に私の意見は申し上げますが、確かに地方分権の流れというのは大きな時代の流れとして是認することだろうとは思うんですが、しかし、かといって、もうかつてから参議院独自の問題として言われておった、参議院が国の大事な部分だけを参議院改革で扱うべきだと、それは外交、防衛、教育だというようなことの話もございました。すなわち、教育というのは、地方分権にも限界があることは間違いないだろうし、国が何もかも地方にすべてお任せをすることによって、人材立国としての前提ということも含めて、やっぱり関与すべきラインというのはしっかり持っていなければならないというのを私は感じておるんですが。
 改めて、先ほどおっしゃられた国と地方の役割分担、今まで何度も何度も答弁はされたでしょうけど、ちょっと突っ込んだ意味で、角度を変えてでも結構でございますから、大臣の今後の取組姿勢も含めて、思いも含めて御発言をいただいて、ちょっと早めかも分かりませんが、私はあと感想を言ってから質問を終わらせていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(伊吹文明君) 大きな基本的な私の考えは、先生がおっしゃったことと全く同じでございます。どこまで国が関与をしていくのか、あるいは地方の地域の特殊性、あるいは地方の特色をどのように出していくのかについては、各政党みんな、各々持っている政治に関する理念というのか、政策を判断する物差しによって少しずつ違ってまいりますので、少なくとも義務教育という全国民一律に教え込む部分については、今は議院内閣制で我々自民党、公明党が政権を預からせていただいておりますが、そこはやはり、できるだけ私は自分の思いを抑えてやっているというのが正直なところです。
 しかし、今の状況は余りにも、何というのか、困ったことが起きたときに、国と言うべきか文部科学省と言うべきかの発言、あるいは児童生徒への救済の手の差し伸べ方の権限が私は少ないなと。それから、予算的にもかなり制約されているなと。もう少し予算があればもう少しこういうことがやってあげられるのに、例えば格差のある地域についてはどうだったかということがあるんですが、これはまあこれから、正におっしゃった、安倍内閣において新しい教育改革のスタートをこれからするわけですから、ここでうまい基盤をつくっておけば、後はその上に改良をしていかなければいけないんで、ここ二年ぐらいの責任は非常に重いなと思いながら取り組んでいるということでございます。
 それから、もう一つあえて申し上げれば、先生は地方行政の御経験も長いんですが、県と市町村との教育委員会の関係をどうするかということは、これはよほど地方でよく考えて、県は地方分権のことをおっしゃいますけれども、市町村に対する権限移譲だと全く違うことをおっしゃいますので、この辺はやっぱり、子供のことを中心にもう一度私は見直すべき部分とそうじゃない部分があるんじゃないかという感じも持っております。
#27
○北岡秀二君 おっしゃるとおりですね。私も言われるとおり感じます。
 この分野、この分野というのは教育の再生という分野は大事な事柄であるだけに、ちょっと言葉は悪いかも分かりませんが、言葉の遊びに惑わされてしまう部分がたくさんございます。
 地方分権というのも、言葉の遊びと言うと、表現するとこれは誤解を生みますのであれですが、すべてが正義の味方のように聞こえる。地方分権イコール正義の味方なんだと。なおかつ、権限移譲というのももうすべて善というふうにややもすると聞こえる。片や、今大臣おっしゃったように、県が権限移譲、権限移譲言いながら、実態、県と市町村の関係どうなんだというと、相反することを平気でやっているような傾向もあることも事実です。
 ですから、私は今、ちょっと言葉が適切でないかも分かりませんが、表面的な言葉のニュアンスに左右されるんじゃなくて、例えばもう一つ思い出しましたけど、最近の制度改正のことを取ってマスコミは、国家の関与を更に強化しようとしているとかセンセーショナルな表現で、国民に誤ったというか、ややもすると一つの断片的な部分の情報提供をしていただきます。なおかつ、行政サイドもそういう部分には非常に弱いものですから、ちょっとこれは謙虚に対応しなきゃならぬなという思いになる可能性もなきにしもあらず。
 私は是非ともお願い申し上げたいのは、大臣、先ほどの基本姿勢は私は間違いないだろうと思いますし、大事な部分の改正であるがゆえに、無責任なきれい事に惑わされることなく、私は、国家の将来を今大きく大きく決めていこうとしている状況でございますので、是非ともその辺り、惑いなく、しかし、かつ、責任、使命感をしっかり持って今後の教育行政の方向付けをしっかりとやっていただくことを再度お願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#28
○荻原健司君 おはようございます。今日はどうぞよろしくお願いします。
 今朝、長野県の小学生の修学旅行の国会見学で少し子供たちにごあいさつといいますか激励をさせていただいて、今日こちらに寄らせていただきました。その際、水岡委員ともお会いをいたしまして、水岡委員にとりましては、先生と非常に深い御縁のある学校だということで、この委員会審議の際は非常に厳しい顔をされている先生がそのときは大変なにこやかな笑顔だったということが非常に印象的でございました。国会見学も今非常に真っ盛りでございますけれども、国会といえば衆議院もありますし参議院もある中で、我々の良識の府と呼ばれている参議院を選んだという意味では、やはり子供たち、学校の先生方も非常に見る目があるなというようなところを今日感じさせていただきました。
 さて、今日は、早速質問に入らせていただきたいと思いますけれども、私の質問の柱といたしましては、やはり学力の基礎となります体力ですね。今子供たちの体力低下というのは非常に深刻な問題だと思っておりますし、また一方では、子供たちが肥満傾向にあるというようなことが言われております。一言で言えば私は運動不足じゃないかなと、こういうことだと思っているわけなんですが。今、こういった原因は、スポーツ環境が良くない、又は子供たちの外遊びの環境が失われてきたというようなことがやはり原因ではないかなというふうに思っております。これが、今日の質問の柱として質問をさせていただきたいと思っています。
 まず、昨年の教育基本法の改正も含めまして、私もこの文教科学委員会の一員として活動させていただく中で、やはり教育の質を上げていくためには何が重要なのかということは、もうある意味一点に限られているのかなと。これは多くの皆さんがおっしゃるとおり、とにかく先生の質を上げるのが一番であるということはもう皆さんお考えいただいているとおりだと思いますし、だからこその今回の法改正に対しましては、私も大いに賛成をしたいと思っております。
 それでは、先生いわゆる学校の教員、どんなこれは仕事なのかなということを考えますと、私としてはやはり、人をつくっていただいている仕事だ、これは国からしっかり任されていただいて人をつくっている仕事なんだろうな、人づくりを任されている、そういう職業なんだろうなと、こういうことを感じるわけなんですが、だからこそその立場というのが明確にされているわけでございますし、国家資格といいますか、いわゆる教員の免許が与えられているということでございます。ですから、やはり先生方も、国から人づくりを任されている、そういう立派な仕事なんだということを自負していただきたいと思っておりますし、多くの先生方が、そういう自負又はプライドの下に職務に当たっていただいているということを私はよく分かっているつもりでございます。
 しかし、中には、新聞を開きますと先生方の不祥事ということも見られる。こういうことを考えますと、先生方、もう少しプライドを、自覚を持っていただきたいなと。こういうことが先生方の信頼の低下につながっているのではないかということを考えると残念でならないわけなんですが、また一方では、やはり今の保護者、いわゆる子供を持つ保護者の理不尽な姿というのも各所で随所に見られるようになってきたかなというふうに思います。
 もう大臣も御存じのとおり、いわゆる給食費の未納問題を見ますと、こんなことがあるのかなと私も頭を傾けるといいますか、何かこんなことがあってはいけないのではないかと思うわけなんですが、こういったことは典型的な例ではないかなと思います。いろんな先生方のお話を伺いますと、そういう理不尽な何か要求をしてくるような保護者が増えてきたということで、それに対応しているだけでもう先生方が疲れてしまうというような現状もあるというようなことを伺っております。
 かつては、学校で先生にしかられたと家で報告をすると、それはおまえが悪いことをしたからだろうとまた親からげんこつを食らう。しかし、今では、学校でしかられたと親に報告をしますと、うちの子供が何をしたんだ、説明しろというようなことを逆に保護者の方が乗り込んでくるというようなケースもよく聞いています。私の知人でも、お母さんが授業中に乗り込んできまして、先生の胸ぐらをつかんで、外出ろ、話聞かせろなんということで、すごいけんまくだったというような現実があるということも聞いております。ですから、非常に親の立場も大きく変わってきたのかなというふうに思っておるわけなんですが。
 まず最初に質問なんですが、モンスターペアレンツ、教育関係の本ですとか雑誌なんか読んでいますとモンスターペアレンツなんという言葉が最近ちょっと随所に見られるようになってきたんですが、モンスターペアレンツ、大臣は何か聞いたことがありますでしょうか。
#29
○国務大臣(伊吹文明君) 今の先生の、ずっと最初からの御質問の流れで答えを教えてくだすったんだと思うんですけれども、どうも無理難題、怖いことを言ってくる保護者というか御両親ということなんでしょう。
 それから、もう一つ私は面白いなと思ったのは、ヘリコプターペアレンツというのがありますよね。子供の上を常にぐるぐるぐるぐる回って、子供離れができない親もいると。その親も昔小さな子供だったわけですから、やっぱりその子供が大きくなってモンスターペアレンツになっているわけですから、新たなモンスターペアレンツを生み出さないように改正教育基本法によってしっかりとした教育をやりたいということでございます。
#30
○荻原健司君 ありがとうございました。
 特にアメリカ辺りではヘリコプターペアレンツと、とにかく子供の上をぐるぐる回って、何か問題があればぱっと下りてきて非常に過保護ぶりを見せ付けるというのが何かヘリコプターペアレンツなんていうようにも呼ばれているそうでございますけれども、大臣もモンスターペアレンツという言葉に対しましては十分よく御存じいただいているということでございます。
 先ほども申し上げましたとおり、やはり給食費を納めないと。我々税金で払っているじゃないか、学校は義務教育で無償化なんだろう、教育費何で払う必要があるんだ、うちにはそんな払う金はないと言って外国製の高級車で乗り付けるというような親もいらっしゃるということで、私は大変、こんなことがあってはならないというふうに思っているわけなんですが。
 そういう、何というんでしょう、今の親の姿を、先ほどモンスターペアレンツのお話ではありませんけれども、今の親の姿というのは大臣自身がどういうふうに見られているのか。多分、大臣がお子さんのころや、また御自身がお子さんを育ててこられた背景も含めて、何か変わってきたのではないかなというような、ちょっともし感想があればお聞かせいただきたいと思います。
#31
○国務大臣(伊吹文明君) 全体としては、昔がということを言い出しますと、だんだんお互いに年を取ったようなことになっちゃうんですが、ローマ時代の洞窟の中にも、昔、このごろの若い者は困ったものだと書いてあるわけですから。
 だから、いろいろ特別なお父さん、お母さんはおられますけれども、そういうお父さん、お母さんが一番困らせているのは、自分の子供が学校でそういう親を持っていてどういう目で見られるかということなんですよね。子供のためにと思って無理難題をやっておられることが、結局子供のために良くないということなんですね。給食費を納めない親がいるからといってその子供が小さくなる学校というのはやっぱり寂しいんで、もちろん親もそういう姿勢を取ってもらっちゃ困るわけですけれども、子供がそのことでいじめられたり区別されないように学校現場に私はよく注意はしているんです。しかし、大きな流れからいうと、確かに昔に比べるとそういう親が多くなってきているということは事実なんじゃないでしょうか。
#32
○荻原健司君 確かに、私も子供を持つ親ではありますので、何といいましょうか、学校にすべてを任せるのではなくて、やはりすべては親の責任に掛かっているのかなということを自負しながらやっているつもりですけれども、先ほど大臣からも、今そういった何かちょっと変わった保護者が増えてきているのではないかなと実感としては感じているというお話をいただきました。やはり、こういったモンスターペアレンツなる言葉が出てくる背景にも、そういった傾向が徐々に徐々に増えているから、だからこそだと思うんですね。
 やはり、いろんな先生方のお話を伺いますと、もうそういう理不尽な要求を突き付けてくる保護者とのそのやり取りだけでもう疲れてしまうと。学校によっては、それに対して何か対応マニュアルといいましょうか、やはりそういった理不尽な要求についてどういうふうにして対応すればいいのかというようなことも考えている学校もあるそうなんですが、私は、こういう傾向というのは今後やはり時代がどんどんどんどんたてばたつほど、減りはしないと思うんですね。やっぱり、そういう親というのは更に何か増えてくるんじゃないかな。
 そうすると、もうこれは個々の学校の対応ということではなくて、やはり教育界全体挙げて、そういう親についてちょっと注意をして取り扱えるような仕組みといいましょうかね、何か方策をやはり考えていかなければならないのではないかと思いますけれども、お考えはおありでしょうか、お願いいたします。
#33
○国務大臣(伊吹文明君) これは荻原先生、十年、十五年は減らないでしょう。しかし、三十年、四十年だったら、こういう親をつくらないために今教育再生をやっているわけですからね、いつまでもこんなことが続いちゃ困るわけでございます。
 その十年、十五年程度の間どうするかということ、その中で学校の先生をどう守ってあげるかということ、これは各都道府県・市町村教育委員会と同時に文部科学省の責任でもありますので、教育長会議その他でいろいろなことを私どもも申し上げて、マニュアルというか参考にしていただきたいと思いますが、私の感じは、いろいろな実現不可能な要求や無理難題は、毅然として、やっぱり受け入れちゃ困りますよ。それは駄目だということを言わなければいけないし、先生のところだって一杯いろいろなの来るんじゃないですか、寄附をしてくれだとか広告をしてくれだとか。そういうのはみんな断らないとやっぱり駄目ですよね。
 それから、その次に大切なことは、担任の教師を孤立させないということですね。学校が、先ほど北岡先生の御質問にもありましたけど、教育委員会と学校がとかくきれいな言葉についつい流されて、子供の人権と言われると発言ができないというのはやっぱり困るんでして、おかしなことを正しい言葉に置き換えていろいろ要求したりなんかしてくるという場合に、立ち向かった教師は必ず校長以下学校が一体となって守ってあげると、その学校を教育委員会がやっぱり守ってあげなければならないと。さらに、地域ぐるみで、例えば学校協議会というものがありますが、地域が協力してやっぱり学校を守ってあげると。それでも手に負えない場合はやっぱり警察の御厄介にならざるを得ないと、これはもう当然のことだと私は思いますけれども。
#34
○荻原健司君 やはり学校を守る、又は先生方を守る、更には地域や子供たちを守るというような観点で、是非そういったところにも力を入れていただきたいと思っております。
 さて、趣旨といいますか、先ほど冒頭に申し上げました今日の質問の柱というところに移りたいと思っておりますが、私、日ごろ議員活動を通じて仕事柄いろんな方々にお会いをいたしますけれども、多くの方々に、やはり子供たちにルールを守るというような規範意識、あきらめないとかくじけないというような精神力であるとか、又は友達と仲よくするとか、あいさつができるようにしようとか、又は先輩、後輩を敬う、そういったことを身に付けるためには、やっぱり荻原さん、スポーツが一番ですよねというようなことはよく言われます。たまたま私がスポーツ選手だったから多くの皆さんがそういうふうに言ってくれるのかどうか分かりませんけれども、多くの方が口をそろえてそういうことを言っていただいているというのは、やはり実感としてもうやっぱりそう思っているんだろうということなんだと思いますけれども。
 安倍総理もよく、子供たちには規範意識を身に付けさせたいというようなお話をされます。私としても、スポーツを通じた青少年健全育成に力を入れているところでありますし、それを通じてやはり規範意識又はルールの尊重、一言で言えばスポーツマンシップですね、スポーツマンシップを持ってもらえるように活動をしているところでございます。その意味においても、やはり国としても更にスポーツ振興を図っていただきたいと思いますが。
 学校教育の中でも、当然体育また運動部活動もあると思いますけれども、まず教育基本法、ちょっと併せてお伺いしたいと思いますけれども、また、学教法等の一部改正する法律案、この中に、やはり学校教育の中で体育、スポーツやらせるんだという、その根拠になっている部分というのを教えていただきたいと思っております。
#35
○政府参考人(銭谷眞美君) まず、教育基本法でございますけれども、改正されました教育基本法の第一条におきまして、教育の目的として、人格の完成と心身ともに健康な国民の育成ということが規定をされております。それから、第二条の第一号、ここは教育の目的を実現をするための教育の目標として、知徳体を一体として規定をしておりまして、このうち、豊かな情操と道徳心を培うこと、健やかな身体を養うこと、この規定は正に体育やスポーツが重要な役割を果たすというふうに考えております。このほか、この二条におきましては、第二号に、自主及び自律の精神を養うこと、三号に自他の敬愛と協力を重んずることなど、体育によってはぐくまれる様々な事柄が規定をされているところでございます。
 それから、今回御提案申し上げております学校教育法の改正案におきましては、第二十一条の八号、これは義務教育の目標を定めた規定の部分でございますけれども、この二十一条の八号におきまして、「健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。」、こういう規定を設けてございます。
 学校における体育の指導は、主としてこの規定に基づいて行われるということになろうかと思います。特に、今回この八号におきましては、運動を通じて体力を養うという文言を新しく追加をいたしております。運動の重要性を明示的に規定をしたということでございます。
 なお、改正教育基本法の二十一条の第一号には、自主、自律及び協同の精神それから規範意識を養うということも目標として規定をいたしております。これらは、学校教育におきまして体育を通じても養われるものと考えております。
#36
○荻原健司君 ありがとうございました。
 ですから、今局長から御答弁いただいたとおり、やはり学校教育の中で体育をどうして設けているのかというのは、ただ単に子供たちの体力を付けさせればそれだけでいいということじゃないということですよね。いわゆる、それを通じていろんな規範意識を持たせようとか、仲間を大切にしようとか、そういうことも含めて体育というものがなされているということなんだと思います。
 ですから、私は、スポーツ又は体育というのは体も動かすし体力もしっかり養うことができるし、いろんな規範意識を持ったりすることができるということですから、まあ一石二鳥ということではなくてもう三鳥、四鳥も本当にいいことずくめではないかなと思っているわけなんですが。
   〔委員長退席、理事中川義雄君着席〕
 そこで、お伺いをしたいと思っておりますが、先ほどもちょっと冒頭申し上げましたけれども、やはり学力の基礎となる体力、その体力というのが今子供たちはもう低下の一途をたどって、上がる傾向が見られないと。これは、ちょっと私も深刻ではないかなと。又は、子供たちが肥満傾向にあると、年々増加していると。一言で言えば、やっぱりこれは運動不足なんだろうなということを考えるわけなんですが、言い換えれば、今の子供たちは不健康と言ってもいいのかなと。又は、今のといいますか、不健康な子供たちを我々がつくってしまっているのではないかなとも考えます。そうすると、国の医療費だとか非常に大変な中で、これから子供たちが大きくなって、弱い体を持って、不健康な体を持って成長していってもらうんじゃこれは困るというふうに思っているわけなんですが、まずその辺りの認識を簡単に、簡潔にいただければと思います。
#37
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたように、私ども毎年、体力・運動能力調査を実施をさせてきていただいておりますけれども、昭和六十年以降一貫して子供の体力が低下しております。また、肥満児が増えているというのも実情でございまして、こういった事柄が生活習慣病などの健康面や、あるいは意欲や気力の低下といった精神面など、子供が生きる力を身に付ける上で悪影響を及ぼすほか、将来的に社会全体の活力が失われる事態が懸念されると考えているところでございます。
 このために、こうした子供の体力の向上あるいは肥満傾向児の減少に向けて、家庭、学校、地域全体を通じて、社会全体の取組として、私ども、この体力向上に向けた取組を進めていく必要があるだろうと考えておるところでございます。
#38
○荻原健司君 ありがとうございます。
 社会全体で取り組むということは本当にもっともなことだと思いますけれども、子供たちの日々の限られた生活の中では、やはり学校で行うといいましょうかね、というのは重要なことなのではないかなと思います。そういう意味では、こういった体力低下、肥満傾向にあるということも解決していかなければならない。こういうことをいわゆる学校教育の中でどういうふうにしていくのか、また学習指導要領の中にどういうふうにして落とし込んでいくのか、何かお考えがあればお願いいたします。
#39
○政府参考人(樋口修資君) 体力低下でございますとか肥満傾向の問題につきましては社会全体の取組が必要でございますが、とりわけ学校教育活動全体を通じた取組が必要でございます。
 私ども、学校におきます体力の向上につきましては体育の授業の充実を図る必要があるということで、この体育の授業の充実につきましては、始業前でございますとかあるいは休み時間を活用したり、特別活動、運動部活動等を通じまして望ましい運動習慣を身に付けさせることが重要であると考えているところでございまして、私ども、次期学習指導要領の今改訂に向けての審議を進めているところでございますので、ここで専門的な議論を深めてまいりたいと考えているところでございます。
#40
○荻原健司君 ありがとうございます。
 今御答弁をいただいた中で、体育の授業の中でというようなお話もいただいたわけなんですが、それでもやはり子供たちの学校教育の中での授業時間数というのは、これ当然限られているわけですよね。
   〔理事中川義雄君退席、委員長着席〕
 これは、一〇%増やすというようなお話もありますけれども、この限られた時間の中でやはり充実をさせていく、これは大変難しいことだと思うんですが、どうでしょう、もう少々、その時間の確保ということについてもう少しお願いいたします。
#41
○政府参考人(樋口修資君) 先生御案内のとおり、小中学校におきます体育の授業は年間九十時間でございます。週平均三時間程度ということが今の現状でございます。
 私ども、現在、中央教育審議会におきまして、学習指導要領全体の見直しを検討する中で議論がなされる、体育の授業時間についてもその取扱いが議論なされることになると思っているわけでございますが、ただ一点、体育の授業ということは、この体育の授業だけでなく、学校教育活動全体を通じて子供たちの体力を向上させていこうということで、先ほど御指摘申し上げましたように、始業前とか休み時間に外遊びの時間をきちっと設けていく、あるいは特別活動、総合的な学習の時間、運動部活動、様々な活動領域において、そういった活動を通じて全体として子供の体力の向上のための時間を確保していく必要があるだろうと思っております。
 また、体育の授業の効率、効果的な推進のためには、外部指導者の専門家を入れまして体育の授業を充実するなどの取組も行ったり、あるいは小学校の高学年の場合は、体育専科の教員を積極的に活用するということで子供の体力づくりを推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#42
○荻原健司君 ありがとうございました。
 年間を通じて九十時間と。私のときも、もう少し多かったなと思いますが、私はかつてスキーの選手をやっておりまして、年間を通じて三百六十五日ぐらいだったと思いますので、今の子供たちというのは、それに比べれば当然のことですけど、九十時間かというようなことをちょっと考えさせていただきました。
 先ほど御答弁いただいたとおり、やはり学校教育の中で、授業時間数の中で、やはり限られた時間しかないと。それを補うために朝の時間を使ったり、休み時間等もあるかもしれませんし、さらにはやはり運動部活動というのがあるんだと思います。ですから、やはり私は、今の子供たちをめぐる問題を解決していくためにも、この運動部活動というのをもう少し元気を取り戻していただきたいなと。やはり現状では、部活数というんでしょうか、クラブ数が減っているというのは現実だと思っているわけなんですが、この運動部活動が元気がないというようなことに対して、大臣、どんなお考えがあるか、ちょっと伺えればと思いますけれども。
#43
○国務大臣(伊吹文明君) 各々のちょっと立場で、非常にそれは難しい御質問じゃないですかね。先生はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#44
○荻原健司君 この後にいろいろとお話をさせていただこうと思っていたんですが、やっぱり私も仕事柄いろんな方とお会いをしますし、やはり学校の先生にもお話を伺います。先生方は、基本的には忙しい中で部活動の顧問になるというのは、それはやっぱり喜んでやっていただいている方も多数おられると思いますが、一方では、できたらちょっと勘弁していただきたいなという先生方も現実におります。やはりそういう場合には、先ほど御答弁いただきましたけれども、外部の指導者の方に来ていただいて子供たちの運動部活動の面倒を見ていただいているというところもあります。ただ、その際には、外部の方に来ていただいているものですから、いわゆる月謝といいましょうか、子供たちから月幾らというのをやはり徴収をしているそうなんです。やはり余計な負担が掛かっているというのも現状なんです。
 ですから、やはり我々が子供のころ部活動で一生懸命やっていたころとはまた状況が大きく変わってきたのではないかな。その中で、やはり学校の先生方が忙しくなってきた、できたらちょっと部活動を勘弁していただきたいな、そういう意味で、今学校の運動部活動が少し衰退しているというのが私の認識だと思っておりますけれども、大臣、もし。
#45
○国務大臣(伊吹文明君) まず、多分そういう話になるだろうなと思ったので私はちょっと逡巡したんですが、教師という職は、職業であると同時に、やはり一般の職業とは少し違うんですね。師という言葉が付いておりますからね。
 ですから、使命感を持って、特に部活動というのは、先ほど政府参考人が申しましたように、単に体力とかということだけじゃなくて、グループとして活動していくために必要な要素、それから努力をしなければやっぱり報われないということが分かってくる。そして何よりも、自分一人では決して、特にチームプレーの場合はできないので、どんなにワンマンのピッチャーであっても必ずほかのメンバーがいるからできるんだと。複合競技だって一緒でしょう。そういうことをやはり教えていただくわけですね。
 私は、京都の地元の少年スポーツ団の名誉顧問のようなことをボランティアでやっておりますけれども、この人たちが寝食を忘れてお金も何ももらわない中で少年スポーツの指導をやっておられる中で、実は少年に教え込んでくれていることはとてもたくさんあるんですね。学校の部活動というのはそういう要素があると思います。
 ですから、今、部活手当というのは先生御承知のように出ております。これが十分かどうかという議論はございます。ですから、これを少し増やさなければならない。あるいは、火曜日にずっと議論があったように、先生全体の数をやっぱり増やす中でそういうことを考えていくと。ですから、単に教師に強制的に、顧問になってもらうことは非常にいいことなんですよ、いいことなんだけど、なれということだけでは、金で釣るというのは余りいい言葉じゃないですが、なってくれということだけではやっぱりなかなか難しいなと。
 だから、使命感とそして報酬と両々、違うようなものですが、相まってやっぱり進めていかなければいけませんので、私ができるのは精神論じゃなくてやっぱり経済的報酬の部分ですから、そこは一生懸命やりたいと思うんです。一生懸命やったけれども、精神論を持っていただけないというんじゃこれまた困りますので、両々やっぱりバランス感覚を持ってやるということだと思いますけれども。
#46
○荻原健司君 ありがとうございました。
 やはり精神論だけではなくて、よく言われるのが、もう子供たちのためを思えばやってくれと、頑張ってくれと、そういうことではなくて、やはりそのためにはちゃんとした裏付けが必要ではないかということももう既に大臣から御答弁をいただいたところなんですが。
 まず、そもそもの認識としてちょっと認識を共有したいところなんですが、部活動の顧問になるというのは、指導に当たるというのは先生の職務範囲の中に入っていますか。
#47
○政府参考人(銭谷眞美君) まず結論を申し上げますと、運動部活動の顧問になるということあるいは部活動の指導を行うというのは先生の職務の中に含まれるものでございます。
 運動部活動を含むこの部活動というのは、希望する生徒によって行われる教育課程外の活動ではございますけれども、学校の計画に基づいて学校の管理下における教育活動としての性格を持っているわけでございます。学校の先生は、児童生徒の教育をつかさどるというのが学校教育法の先生の職務でございますけれども、その教育の意味するところは、この教育課程の内外を問わず学校の教育活動全般にわたるものでございまして、部活動の指導も先生すなわち教諭の職務に含まれるものでございます。
#48
○荻原健司君 ありがとうございました。
 教育課程外ではあると、しかし先生の職務の範囲には入っているというようなお話をいただいたわけなんですが、やはり、先ほどちょっとお話をさせていただきました。先生の仕事は忙しい、できたら部活動の担当になりたくないな、どちらかといえば運動も苦手だし、子供たちは元気がいいですからね、それに対応して一緒にやるのも一苦労だというような方々もいるのが現実であると私は思っているんですが、今の先生方は、運動部活動の顧問になるとか又は指導に当たるというような、そういうまず意識ですよね、先生方の意識というものはどんなものか。何か、例えばみんなが積極的にやりたいと思っているのか、半分ぐらいはどちらかといえばやりたくないと思っているのか。何か、そういったような調査をしたことがございますでしょうか。
#49
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
 私ども文部科学省におきましては、平成十三年度に運動部活動の実態に関する調査をさしていただいております。そこの中で、先生で運動部の顧問になっておられる方々に顧問の悩みということでアンケート調査をさしていただいたことがございます。その結果でございますが、中学校、高等学校の運動部活動の顧問共通のことでございますが、校務が忙しくて思うように指導できない、それから自分の専門的指導力、スポーツ競技についての専門的指導力が不足をしていることを痛感している、あるいは自分の教材研究とか自由な時間等の妨げになっているという回答が多かったわけでございます。
 こういったことで、私どもは、教員をサポートしながら専門的な技術指導ができる外部指導者の運動部活動への積極的な活用ということをこれを契機に取り進めているところでございます。また、御案内のとおり、先般の教員勤務実態調査でも、運動部の顧問は、顧問をしていない教員に比べて一時間ほど残業時間が長いという実態もあるわけでございます。
#50
○荻原健司君 ありがとうございました。
 平成十三年の調査ということでございますので、時間がありましたら、こういったことを的確にまた調査していただければと思っております。
 悩みを聞いたら、忙しさがあると、また自分の指導力でいいのかどうかというようなことを考えていらっしゃるというようなお話もいただいたわけなんですが、確かに忙しさというのは本当にあると思うんですね。やはり、週末なんていうと予選会とかいろんな各種大会があります。学校の先生方も当然家族があり、休息も持ちたいと思っているところで、そういう子供たちに付いていかなきゃいけない。又は、ちょっと大人数の部活動の顧問なんかなりますと、自分の四人乗りの乗用車だとこれはちょっとまずいと。ですから、ちょっと自分も少し大型のワゴン車ですかね、買わなきゃいけない、これもう完全に自腹でやっているわけですよね。だから、本当に非常に負担ということを考えると、これはやっぱり大変だろうなというようなことだと思います。
 先ほど大臣から、もう精神論だけじゃいけないと、子供のことを思う、ためであれば我慢してやれというような時代じゃないというようなこともお話しいただいたとおりでございますし、私もそのとおりだと思います。
 先ほど、またもう一つ悩みの中に、自分の指導力で十分なのかどうかというような悩みもある。先日、有村委員から御指摘がありました員外免許担任でしょうかね、だから、(発言する者あり)免許外教科担任ですか、免許外教科担任。ですから、本当は私はこの分野は得意じゃないんだけど、でも教えなきゃいけない。だから、まあちょっと言い方は悪いですけど、嫌々ある意味教えている先生が、子供たちが教えられている。こういう状況が例えば運動部活動の中にもあれば、やっぱり指導するのもちょっとなというのでは先生も気の毒だと思うんですね。子供も気の毒だと思うんですね。両方にとっていいことはない。ですから、やっぱりとにかく子供たちのために一生懸命指導したい、子供たちが本当に元気で又はいろんな各スポーツで活躍してもらいたいという人に教えてもらうことほどやはり双方にとって幸せなことはないのかなというふうに思っております。
 そういう中で、今回の法案の中にも、やはり先生方の給与にめり張りを付けると。副校長とか主幹とか指導教諭、こういうものを新設して、職務を新設して、なべぶた型の給与体系から少し差を設けていくというようなことも伺っているわけなんですが。
 先ほど、もう精神論だけじゃ駄目だと、また金で釣るようなことも余り良くないんじゃないかというようなことを大臣からいただいたわけなんですが、それでも先生が報われる制度、部活に出たら、その手当だけ付けるんじゃなくて、それについては、いろんなその知識も学ばなきゃいけないと思いますし、車の費用とかそういうことを私は言っているわけではないんですが、やはり頑張った先生は報われるんだというような制度を更に考えていただきたい、力を入れていただきたいと思っておりますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。
#51
○国務大臣(伊吹文明君) お金というか報酬については先ほど来先生とのやり取りで申し上げたようなことなんですが、あとは、報われるかどうかというのは、まあ給与とやっぱり人事なんですね。ですから、人事をどうしていくかというのは基本的にはやはり各教育委員会に任せられている。そして校長の評定において行われるわけですけれども、部活等に熱心な先生についてその辺りをどう考えるかというようなことは、教育委員長会議や担当の課長会議というのはありますから、国会でもそういう御意見があったということは申し上げたいと思います。
#52
○荻原健司君 ありがとうございました。
 質問としては今日は以上で終わりなんですが、最後、感想をちょっと述べさせていただきたいと思っています。
 先ほど人事でというようなお話も伺って、これは確かにいろんな地域で、私とすればスキーをやっておりましたからよく分かっているつもりです。やはり、かつてスキー選手だった方が教員になられた。その方が、都市部というところではなくてやはりスキー選手がいるような、そういったところに配置をしていただいて若い選手たちの面倒を見ていただいていると、やはりそういった人事で対応していただいているという現状もよく分かっておりますので、またそういったところに適材適所という意味でも是非大臣からもお願いをしたいと思います。
 さて、今日は特に学校教育の中でというようなお話をさせていただいたわけなんですが、やはり頑張った人が報われるというのは、これはもう学校の先生だろうが何だろうが、どんな世界でも必要なことだと思うわけなんですね。特に、今日は文教科学委員会ということもありますし、私はかつてスポーツ選手をやっておりましたので、ちょっと最後申し上げたいと思いますけれども。
 やはり指導者が、まあスポーツというところからちょっと言わせていただくと、私は日本のスポーツというのはいまだ指導者は報われてないのが現状だと思っています。私がスキーの選手を終わって、少しは指導者になろうかなという気持ちもありました。でも、結果的に指導者の道は目指しませんでした。なぜかといえば、指導者では、ちょっと言い方は悪いんですけれども、飯食えないからですね。しかし、現状では、そういう方々が本当に熱心に現場現場、持ち場持ち場で頑張っていただいています。
 しかし、こういう傾向が長く続けば、私は、オリンピックを始めとする世界大会で日本の選手が優秀な成績を上げる、いい成績を上げるというのはこれからなくなっていくと思います。
 二〇一六年、東京へオリンピックを呼ぶと、そして文部科学省さんもそれを後押しをするというようなことだと思いますけれども、仮に東京でのオリンピックが成功しても、私は、成功というのは日本の選手が活躍することだと思うんですね。メダルを取ってくれるのが本当の成功だと思います。招致がうまくいったのが成功じゃないと思っているわけなんですが。ただ、この現状が続けば、指導者が報われない今の現状だけでは、オリンピックでのメダルというのはこれからますます減る一方にあるのではないかなと、こういう心配をしています。
 具体的に言いますと、今、中国の水泳のシンクロナイズドスイミングのコーチは日本のコーチなんですね。井村さんといって、かつての日本のシンクロの選手にメダルを取らせていただいた非常に優秀なコーチ、それが今は中国の選手を応援していると。非常に批判は多くありました。いわゆる日本を売ったとか日本を捨てたと。本当に、非常にかわいそうだなと思って見させていただいたんですが、やはり私は、聞けば、あんなに多くのメダルを取らせた優秀な指導者であるにもかかわらず全く報われていないというのが現状ではないかなと。
 これは各競技団体に言わなければいけないことかもしれませんけれども、やはりスポーツをつかさどる文部科学省さんにも是非考えていただきたいんですが、ナショナルチームのコーチでさえも、日当、井村さんのお話では二千円ぐらいでやってこられたそうなんですね。それを考えると、例えば、じゃ中国からそういう依頼が来たと。それなりにしっかり保障、手厚い保障をしますと言われれば、それはどう考えても行くというのが普通だと思うんですよね、それはやっぱり、プロの指導者は仕事ですから。私は、全く中国に行くというのは何の不思議もありませんし、逆に、自分を高く評価してくれるところであれば、もし私が指導者だったら世界じゅうどこでも行ってもいいかなというふうに思っているわけです。
 ですから、そういう意味においても、やはり当然、先生方ももちろんそうです。部活動で頑張っている先生方も含めて、そういう頑張っている方々が報われる制度というものを更に考えていただきたいと思っておりますし、充実をさせていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終了させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#53
○委員長(狩野安君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#54
○委員長(狩野安君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、二之湯智君及び北岡秀二君が委員を辞任され、その補欠として小泉昭男君及び秋元司君が選任されました。
    ─────────────
#55
○委員長(狩野安君) 休憩前に引き続き、学校教育法等の一部を改正する法律案外六案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#56
○水岡俊一君 民主党の水岡俊一でございます。午前に引き続いて、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 荻原委員の方から部活動のお話をいただきまして、本当にうれしい思いをして聞いておりました。部活というのは教育課程の中にはないけれども、教員の仕事の中にあるんだというお答えもあって、私の教員時代の記憶をたどってみても、部活動が一体何十%占めていたのかなというふうな思いもあるところです。
 そこで、部活の手当の話がちょっと出たので、是非この際、確認をしておきたいと思うんですが、文科省の方で部活の手当というものについて、現在の状況、どれぐらい支払われているのか分かれば教えていただきたいんですが、どうでしょう。
#57
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、運動部に限らず部活動の顧問をする教員の方には、各都道府県の条例によりまして、土曜日、日曜日などの部活動指導につきまして部活動手当が支給をされております。この支給額は県によりまして若干の差異がございます。国は、一日四時間程度の部活動指導につきまして日額千二百円を基準として国庫負担するとともに、各都道府県の負担分について地方交付税措置をしているということでございます。
#58
○水岡俊一君 ありがとうございます。
 局長、月曜日から金曜日についての部活動はどうなんでしょうか。お願いします。
#59
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、教員の給与等につきましては、その教員の職務と勤務態様の特殊性から、教員には時間外勤務手当の支給はなじまないという考え方に立ちまして、勤務時間の内外にまたがって包括的に評価して一律に本給の四%に当たる教職調整額を支給をいたしております。
 したがいまして、平日の月曜から金曜までの部活動が勤務時間外において行われた場合でも、この教職調整額で言わば考慮をされているということから、部活動手当というものは支給をされないということになっております。
#60
○水岡俊一君 予期せぬお答えがありまして、教職調整額のことをお答えいただくとはちょっと思ってなかったので、ちょっとびっくりしたんですが、部活動の指導が教職調整額の対象であれは含まれるというようなふうにも取れるような御答弁ですが、この問題はちょっと、しっかりと論議をし始めるとまたこれだけで二時間ぐらいは優に掛かろうと思いますので、少し後に回したいと思いますが。
 大臣から、精神論だけでは駄目でしょうと、金で釣るというのもおかしいけれども、教員の使命感に対してやはりきちっとした報酬も考えなきゃいけないんじゃないかというようなお話がありましたが、大臣、土曜日、日曜日、四時間以上に限って千二百円の報酬というのはいかがなものでしょうか、大臣。
#61
○国務大臣(伊吹文明君) そこが使命感と私が申し上げたゆえんのものでございます。
 先生のお気持ちはよく理解しておりますので、私も私なりに努力をさせていただきます。
#62
○水岡俊一君 もう荻原委員もよく御存じで、本当に部活動を一生懸命やっていただいている先生方が、何もこの千二百円が欲しくてやっているわけじゃないということは、もう皆さんよくお分かりだと思うんですね。
 私も部活動を指導しながら、手当が若干出るということで受け取りもいたしました。しかし、本当の気持ちは投げ返したいというか、そういう気持ちで一杯でありました。四時間も五時間も炎天下であろうが、もう真夏のあの体育館の中であろうが、一生懸命子供たちと走り回ってする仕事に対して千二百円かと。まあ県によっていろいろありますが、それほど多くの差はありませんし、恐らく私は多くの教員のその日の通勤手当すら出ていないというふうに思っております。正に使命感のみでありますし、いいことか悪いことかは別にして、多くの教員が自腹を切って車を購入したり、そういったいろんな面で部活動を支えるということを多くの教員が頑張っているという状況の中で、これはやっぱり考えていかなきゃいけないというふうに思うんですが、これ、部活動の指導はこの免許の一つの大きな要素として考えるおつもりは局長ございませんか。
#63
○政府参考人(銭谷眞美君) やはり、教員の免許は教科というものを中心に現在構成されているわけでございます。ですから、この部活動というのは、先ほど来お話が出ておりますように、教員の教育活動として、その職務としてその指導を行っていただくわけでございますけれども、免許そのものはやはり教科中心ということでございますので、部活動の内容等について、もちろん教員養成段階あるいは講習の段階で学ぶということはそれはあると思いますけれども、免許の主たる内容というわけではないと思っております。
#64
○水岡俊一君 私、教育大学出身でありますけれども、少し余分に大学に行かせていただいたので五年間参りましたが、五年間の中においてただの一回たりとも部活動指導にかかわるような講義を受けたこともありませんし、実習もありません。また、もう皆さん御存じのとおり、教員採用試験にもそんな項目はございません。そして、免許にもそのことはかかわりがないという状況の中で教員の仕事だと言われる。しかし、日常の業務で超過勤務になっても、それは支払対象ではないと言われる。土曜、日曜は、四時間以上になったら一定の額、つまり三時間でやめたらないんですよ。
 そういうような現場の実態の中で、部活動というものをどうとらえるか。もういい加減にきちっとした考え方を文科省としてこれは持つべきですよね。やっぱり、それは勉強、座学だけじゃなくて、スポーツを通して人間形成をしていきたいと、あるいはそのことが重要だということはもう荻原さんのお話にもあったとおりでありますし、そのことに異論を挟む人はだれもいないはずなんですね。しかしながら、そのことについてきちっと手当てをするということが、あるいは文科省としてきちっと考え方を持つということがいまだにできていない、いまだにできていないということに、これは日本として非常に恥ずかしいことだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#65
○国務大臣(伊吹文明君) そういうことを考えていないわけじゃないと思うんですよ。まあ率直に言うと、今の国家財政と地方財政の中でどういうふうに仕組んでいくかということだと思いますね。
 いずれ、これは予算編成過程で、先般の総理出席の第一回目のこの委員会の質疑でもいろいろな面から教育予算の充実のお話がございました。ですから、我々の仕事は、理屈でこうだ、こうすべきだということを言っているだけじゃ、行政というのは何にもやってない評論家と同じことになっちゃやっぱり駄目なんですね。
 ですから、評論は評論のお立場があるように、行政には行政の立場がありますから、何から手を付けていくのか。定数の問題もありますし、給与の問題もありますし、それから今のその部活の手当の問題もありますし、余りに大臣が替わったから一度にすべてやれとおっしゃられても、やっぱり税負担の問題もありますから、先生の今のお気持ち、これは私も共有しているということで御理解をいただいて、御一緒に協力して、予算その他についてまず風穴を空けていかなければいけませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
#66
○水岡俊一君 誤解があってはいけませんので申し上げると、お金を出していただきたいということを考えてほしいと言っているわけではなくて、やっぱり学校教育の中で本当に多くの部分を占めているということをみんなが認めているわけだから、まずそのことについてきっちりと文科省として考え方を持ち、あるいはその指導ということについての指導力をどう高めていくかとか、あるいは教員になる方々にそういったものをどうやって身に付けていただくかとか、そういったことをこれから考えていかなきゃいけないと。そういうことを考えるのが免許制度だと私は思うんですね。そういう思いを持ちながら、今日は午前中の審議を聞いておりました。
 本題に入ってまいりたいと思いますが、現在、日本で免許の更新制という言葉を聞くと、皆さんだれしもが思うのは運転免許証でございますね。運転免許証の更新というのはぴんとくるということでありますが、日本でそのほかに更新をしなきゃいけないような免許というのはどういう免許があるのか、文科省の方、お分かりであればお答えをいただきたいと思います。
#67
○政府参考人(銭谷眞美君) 我が国におきまして免許更新制を採用している国家資格といたしましては、先生からお話のございました運転免許のほか、水先人の免許、それから狩猟の免許、それから海技士の免許などを承知をいたしております。
#68
○水岡俊一君 それらの免許の更新要件というのは大体どういうものか、教えてください。
#69
○政府参考人(銭谷眞美君) 運転免許については御案内のとおりだと思いますけれども、先ほど申し上げました三つの免許について申し上げますと、まず水先人の免許でございますが、有効期間満了の一年以内に水先免許更新講習の課程の修了が必要でございます。なお、この講習時間は十二時間以上というふうに承知をいたしております。それから、狩猟免許では、視力や聴力等に関する適性検査の合格が必要というふうに承知をいたしております。それから、海技士免許でございますが、これは身体検査と、そのほか一年以上の乗船の履歴又は更新の三か月以内に海技免許状更新講習の課程の修了が必要というふうに承知をいたしております。
#70
○水岡俊一君 そのほかにも幾つか更新をしなければいけない更新制が導入をされている免許というのはあるようでありますが、私はそれを調べてみて思ったのは、ほとんどが、身体の適性検査であるとか、あるいは技能が落ちていないかという実技的な検査等がほとんどだというふうに思いました。
 それから、もう一つ感じたことは、免許を所有している人が数十万人にも上るようなそういった免許状の更新制というのは、これはないんじゃないかというふうに思いますが、これはどうでしょう。
#71
○政府参考人(銭谷眞美君) 運転免許については、これは本当にたくさんの方が取得をされているわけでございますけれども、ちょっと水先人、狩猟免許、海技士免許につきましては、取得者の数については把握をいたしておりませんが、数としてはそれは教員に比べると少ないというふうに思います。
#72
○水岡俊一君 実際には、恐らく数十万人が所有をしている免許状をもし更新制にしたとしても、更新に係る制度それから費用、そういったものを考えると現実的ではないということで今まで導入をされていないという理由もあったのではないかというふうに思いますが、ここに来て、教員免許の更新制をどうしても入れるというお考えがそこにあるわけですけれどもね。
 その教員免許の更新制導入の目的というのをちょっと改めてお伺いをしたいんですが、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(伊吹文明君) 教員の目的というのは、法案提出の際にも私はお話をいたしましたように、人間の性格だとかというものは、なかなかこれはもう変えようとしても変えられませんので、そこを無理に変えようというものじゃなくて、やはり知識、技能、こういうものの刷新を図るということで、実はこれは、しかし水岡先生、御党も更新の提案をしておられるわけでしょう、更新という意味では。ですから、御党の提案者にも同じことをお聞きいただきたいと思います。
#74
○水岡俊一君 後ほど聞かせていただきたいと思います。
 今、大臣は、性格というのは変わらないだろうけれども知識とか技能とかという言葉をお使いになりました。これは私は、そこに伊吹文科大臣のやっぱりきちっとした思いがあるんだというふうに私なりに理解をしているんですね。
 これはどういうことを言っているかというと、実は安倍総理は、これまでの衆議院の本会議等でこういうふうにおっしゃっている。教員がその時々、必要な知識、技能を確実に身に付けることは教育の充実を図る観点から極めて重要、十年に一度、資質、能力を刷新する教員免許更新制の導入が必要というふうにおっしゃる。すべての先生が最新の知識、技能を身に付け、十年に一度の教員免許更新により資質と能力を改めて磨くことは教育再生に資するもの、こういうようなお話があった。これは、総理と大臣との間には大きな差があると私は見たんです。
 それで、あえてそこでお聞きをしたいのは、資質とは一体何のことなんだろうということなんですよね。資質というのは、これは調べてみますと生まれ付きの性質とか才能なんですよ。つまり、生まれ付きの性質とか才能を刷新するというのは、これまたどういうことなんでしょうね。これ、人間改革をしてしまうというか、何か人物を変えてしまうということに……
#75
○国務大臣(伊吹文明君) いや、違う、違う。それは広辞林がいろいろ、それは違いますよ。
#76
○水岡俊一君 はい、じゃ、大臣からお答えをいただきたいと思います。
#77
○国務大臣(伊吹文明君) いろいろな辞典等に資質というのをどう書いてあるかを参考人からちょっと後ほど申し上げさせますが、これは先生、資質というのは大言海だとか広辞林だとかでいろいろ書き方が違います。
 ただ、私が申し上げているのは、国際化が進み、価値観がどんどん変化して、自然科学も進んでまいりますから、やはり本来生徒に教えるべき最新の知識を持ってもらうと同時に、生徒を把握する力、これをやっぱり身に付けてもらいたいということで、私の考えと安倍総理の考えは、私は資質という言葉の使い方についてはそんなに変わってないと思います。
 しかし、先生がおっしゃったことで私と全く違う考えを持っているのは、再生会議だと思います。それは、再生会議はこの教員免許制を使って教員を排除するという考えを持っているわけですよ。それは私はやっぱりおかしいと思うんで、駄目な先生が教壇に立ってもらうということは、これは生徒児童のために困るわけですから、これは分限でやるべきことであって、本来、免許の更新という知識、技能に当たるものは、それはやっぱり研修で磨いていくべきものだと、そういう意味で私は知識、技能ということを申し上げているわけです。
#78
○政府参考人(銭谷眞美君) 実は、教育職員免許法自体が第一条に「この法律の目的」として、「この法律は、教育職員の免許に関する基準を定め、教育職員の資質の保持と向上を図ることを目的とする。」というふうに、まず規定をいたしてございます。ここで教員に求められる資質というのは、通常私どもは、教職に不可欠な力量の総体というふうに解してございます。具体的には、教育的な愛情、使命感や豊かな人間性、教科の指導力、生徒指導の力といったようなものの総体であるというふうに理解をいたしております。
 そして、先ほど来大臣の方から御答弁を申し上げております知識、技能でございますけれども、これは資質の主な要素が知識、技能であるという認識でございます。今回の免許更新制は、この知識、技能の刷新を図るということを目的とするものでございまして、それによりまして資質が向上するものと認識をしているわけでございます。
#79
○水岡俊一君 局長に丁寧なお答えをいただきましたが、そこで気になってきたのは、じゃ刷新という言葉ですね。刷新という言葉、僕も分からないので辞書を引いてみました。広辞苑によりますと、刷新、弊害を除いて事態を全く新たにすること。例えば、政界を刷新する、誌面を刷新する。これはよく分かりますよね、この刷新という言葉。
 この資質の刷新というのは、これどういうふうに理解するんでしょう。例えば、今資質をそういった総体の力だというふうにおっしゃいましたが、実際には資質というのは私たちはどういうふうに使うかというと、例えば今の教員としての資質があるかどうか、作家としての資質があるかどうか、医師としての資質があるかどうかと、こういう話ですよね。そういうような資質というふうに、辞書がどう書いてあろうが、そういうふうに皆さん、ほとんど百人が百人ともそういうふうにお考えになる中で、これを全く新しくするという言葉で刷新というふうに言うと、これは一体何なんだろうというふうに私は思うんですが、いかがでしょう。
#80
○国務大臣(伊吹文明君) いや、私も国会議員としてそう資質のある方じゃございませんので適切な答弁じゃないかも分かりませんが、作家としての資質あるいは国会議員、政治家としての資質というのは、その人がやはり政治家として持っている広範な知識あるいは厚み、この厚みというのは、心の厚みをつくっていくためには、やっぱりいろいろな過去の、何というんですか、教養の積み重ねのようなものありますから、だから、何を刷新するかといえば、今までそうやって積み重ねてきたけれども、事態の、周りの状況の変化によって古くなっているものをこそぎ落として新しいものを付けていくということだと思います。
#81
○水岡俊一君 局長の御答弁の中には資質を保持するとか向上させるとかというお話があったので、それは私は理解できます、それはね。作家としての資質を更に磨きを掛けるとか、医師としての資質に磨きを掛ける、向上させるということは理解ができますが、刷新という言葉は、私も複数の辞書を引いてみたんですよ、ほとんど同じことしか書いてない。つまり、全く新しくするということというふうに書いてあることから見ると、これはそぐわないなという気持ちをすごく持ちました。
 ですから、今朝の北岡委員のお話もありましたが、何か表面的な言葉のニュアンスに惑わされないようにしなきゃいけないなということを改めて私は思ったんですが、何か文科省のおっしゃりたいことは刷新という言葉ではなかったんではないか、もう少しちゃんとした適当な言葉があったんじゃないかというふうに思いますが、どうでしょう。
#82
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど来申し上げておりますように、世の中が時々刻々と変化している中で、十年に一度、教員が生徒に教えるべき最新の知識と生徒を把握をして効果的に教える技能、これを身に付けるということによりまして、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにするということがこの免許更新制の導入の趣旨、目的でございます。
 この場合、刷新という言葉を使ったりもするわけでございますけれども、刷新というのは、古いそういう知識あるいは技能というものをそぎ落として新しい知識や技能を身に付けるという意味で用いているところでございまして、用語の使い方としてこれが最も適切かどうかということはあろうかと思いますが、意味している内容はそういうことでございます。その知識、技能を身に付けることによりまして資質の向上というものが図られていくというふうに私ども考えております。
#83
○水岡俊一君 局長のお気持ちあるいは大臣のお考えというのは私なりに理解をしているつもりですが、これはやっぱり適当で私はないと思います。一度、文科の関係の国語学というんですか、言語学の専門家に聞いてみてください。これはおかしいですよ、やっぱり。
 これは、そういった意味ではどうしてこういう言葉が出てきたのかと私なりに考えてみると、教育再生会議の中で出てきている言葉ではないのかなというふうに心配をするところがございます。例えば、総理の社会総掛かりという言葉、これは本当に受け止め方として前向きにとらえたい言葉ですが、これも教育再生会議で出てきていて、教育再生会議が意味している中身というふうに考えると、私たちは、はてちょっと待てよというふうに考えなきゃいけないというふうに私は思っているところであります。
 いずれにしても、本当にこの教員の免許制度を変えていくという重大なこの局面で言葉の使い方というのはやはり重大な問題でありますし、本当の文科省の真意がほかにあるんであればほかの言葉にすべきだと私は思っております。
 そんな中で今、教員の資質をどうやって向上させるかというお話も若干出てきたわけでありますが、そこで民主党の発議者が今日はお二人座っていただいていますので、民主党の教免法の改正案を出しておる中で、民主党は教員免許、修士を卒業した者に与えるというような考え方を持っていますよね。そこで、なぜ修士にするのかという辺りを是非お聞かせをいただきたいんです。どうぞよろしくお願いします。
#84
○西岡武夫君 お答え申し上げます。
 この問題は、実は長い本来ならば経緯がございまして、委員御承知の人確法という法律ができた当時から、この法律、人確法という法律と一緒に教師の養成制度、教員の養成制度を抜本的に変えなければいけないという議論が当時からあったわけでございます。これがセットになって初めて意味を持つものであると。ところが、残念ながら教員養成の問題につきましては今日までこれが実現をしていないままに、人確法も当初の目的が大きく現在それてしまいまして、ほとんど有名無実になりつつあるという非常に残念な状況にあると。こうした中にあって、私どもは改めてここで教員養成制度を抜本的に改革することが今最も求められていると。
 その理由は幾つかございますけれども、一つは、一体、専門職としての教師、この立場を考えましたときに、子供さんを学校にやっている保護者の皆さん方の学歴が既にもう大学卒の方が過半数を占めるという状況になっていると。そうした中にあって、教師の専門性とは一体何なのかということが一つ大きな問題であるというふうに思います。
 それともう一つは、教師にふさわしい学力というものを果たして今の四年制の学部段階で身に付けることができるのか。
 もう一つは、教師というお仕事は正に人間形成そのものにかかわる、まあ私、自分が日ごろから思っているんですけれども、これほど崇高なお仕事はないと思うんですね。この人間形成にかかわる仕事をしていただいている、また、それに携わるからにはより高い学力、知識、技能というものが求められるだろうと。これを学部の四年間の間に身に付けるというのは、物理的、時間的にも無理があるのではないかと。
 現に、委員も十分御経験になって御承知のとおりに、いかに多くの知識を持っておられる先生でも、これを教えるということと知識がたくさんあるということとはちょっと違うんですね。教え方が上手な先生というのは、私自身の体験からいいましても、また、私の兄弟の中でもいろんな先生に遭遇して、そういう関係からも経験がございますけれども、非常に教え方のうまい先生というのはおられる。また、人間性豊かな先生という方もおられる。
 そういうことを考えますと、子供たちの立場からいたしますと、学校に行ったと、新しい先生が四月の初めに教壇にお立ちになったと、その先生も子供たちにとっては正に先生なんですね。十年、二十年やっておられる長い経験を持った先生も今日から教壇に立たれた方も同じ先生であるということを考えれば、教員養成に力を入れることこそが教育の基本的な問題ではないだろうかと私どもは考えまして、特に、教師として教壇に立って子供たちに教えるという正に教育の、私は余り技術という言葉は適当ではないと思うんですけれども、教育の仕方というものを、御承知のように、現在のように二週間とか四週間で身に付けるというのは非常に困難だろうと。
 私はかねがね、まあ最低、どんなに少なくても半年は必要じゃないかと思っていたわけでございますけれども、今回、私ども民主党の案としては一年間の教育実習を行うと。一年間ということになりますと、教師になろうとしておられる御本人も、自分が学校の先生として適しているかどうかということも十分自覚されるといいましょうか、ということもありますし、これを考えますと、四年間の中に一年間教育実習というのを持ち込むのは非常に難しいと、時間的に。
 それと、一般の大学の教育以外に教育課程の、非常に教師を目指される方々は過重な負担なんですね。一般の大学の教育課程というものをやりながら、教科を学びながら教育課程を学ぶということは非常に過密なスケジュールになっていると。
 それともう一つは、これだけ学問の進展が目覚ましい状況の中で、より高い学問水準を身に付けてもらうと、先端的な学問の水準を身に付けてもらうということを考えますと、やはりここでは修士課程ということが最低限求められるのではないかと、このように考えたわけでございます。
#85
○水岡俊一君 ありがとうございました。
 私事で毎回恐縮ですが、私は教育実習を合計二か月しました。それは、最初の免許状を取得するときに一か月の実習がありましたし、副の免許状を取るときに二週間の実習が要りましたし、それから、私は後で小学校の免許状も取りましたので、このときに二週間また要りました。合計八週間やったのでありますが、私自身振り返ってみると、もっとやりたかったなという思いも実はあります。オリエンテーションをしながら、もうあっという間に子供たちと別れなきゃいけないときがやってきて、自分が本当に子供たちと何をやったのかなと、何を子供たちの中に、自分の中に見付けることができたかなということを考えると、やはり短いなという思いを持ちました。
 それから、一つ、大臣、僕申し上げたいのは、私の仲間、多くの仲間が一緒に教育実習を受けました。教育実習が終わると、はっきり分かれるんですよ。何としても教員になりたいという友達と、やっぱり自分には何だかちょっと向かないなという顔つきをする友達と、はっきり分かれるんですよ。やっぱり、その後に、教員採用試験の準備に掛ける熱意であるとか、そういったものも変わってくるということで、教育実習というのは、本当に大きな大きな、自分にとっても、その教員になるという一つの過程の中にとっても大きなハードルだというふうに私は思うので、今後もこういった観点を是非お考えをいただきたいなと、こう思っているところであります。
 重ねて民主党の発議者にお聞きをしますが、民主党は、採用されてから八年ぐらいをめどにして改めて大学院で一年間の研修を行うことを一つ考えていると、こういう法案を出されました。この点についてのお考え、それから、その一年間の中身としては例えばどんなことが想定されるのか、是非お聞かせをいただきたいと思います。
#86
○鈴木寛君 お答えを申し上げます。
 御指摘のとおり、教員の皆様方には、実務に就いて八年たった段階で教職大学院等でもう一回、その八年間を総括し、そして自分の資質、能力というものを更にどう磨いていくのかと、そういうことも考えていただき、そして学び直していただく、そういう機会をつくりたいと思っております。
 具体的には、学校経営、正にこれから教頭先生あるいは副校長に今度なればなるんでしょうけれども、そうしたやっぱり学校をどういういい学校にしていくか、このスクールマネジメントという方向に進んでいきたい、あるいは進んでいかれることに適した方、こういう方のためのコースでありますとか、あるいはスーパーティーチャーという言葉がありますが、例えば算数を教えさせたら本当にどんな子でもうまく分かるように、そうした教科指導をもっと究めていきたいとか、あるいはやっぱり生活・進路指導と、今、いじめの問題、心の問題、いろいろございます、それからやっぱり中学生にもなれば、これから将来どういうふうに自分の人生をつくっていくのかと、こういったことの指導それからカウンセリングというようなこともこれから非常に重要になってくるかと思いますが、そうした三つぐらいのコースを学んでいただいて、そしてその結果、専門免許状を取得をしていただこうと、こういうふうに思っております。
 私どもは、今回のこの教員免許改革法案において、やはり先生方が一番望んでおられるのは、確かにお給料とかもあるかもしれませんけれども、やっぱり自分をもっともっと高めていきたいという思いをほとんどの方は持っておられると思います。そうした皆様方に是非、そういう思いを持っているすべての教員の皆さんにチャンスをお与えをしたいというふうに思っておりまして、でありますので、任命権者にも、この教員免許改革法案の中では、大学院修学、専門免許状取得のための機会を提供する義務をやっぱり課すと。それから、当然そうなりますと一年間修学のために教員は現場を離れなきゃいけませんから、当然その分は定員できちっと補充をしなければいけない、こういうふうに思っております。さらには、特別の奨学制度も設けて、万全の体制、環境を整えて、もう一回自分の資質、教育力、指導力を磨き直してくださいと、こういうことを盛り込んでいるところでございます。
 これだけ十分な機会を提供し、そうした機会がありながら、十年経過してもなお免許状を取得しないという教員、まあこういう教員はほとんどいないとは思いますが、そういう教員に対しては、演習を含む約百時間の講習を義務付けて、その講習も嫌だ、受けない、あるいは修了できないと、こういう方は、その何というんですか、教師を続ける意欲としてこれはいかがなものかということでございますので、そこは免許を失効させていただくと、こういう考え方で、教員の八年たった、本当に学校における中核な人材にこの三十代になっていくわけでありますけれども、その前段階でそういう研さんのチャンスをきちっと確保しようということを考えているところでございます。
#87
○水岡俊一君 ありがとうございました。
 私も民主党案に多少かかわった人間として、やっぱり私たちは専門職としての学校教諭、教員の専門性、そういったものに着目をしたいという思いがそこにあったということが今の御説明でもお分かりだというふうに思うんですね。
 そこで、教育の専門性という言葉については、これは文科省の方はどういうふうにとらえておられるのか、是非この機会にお聞かせをいただきたいと思います。
#88
○政府参考人(銭谷眞美君) 専門性ということでございますけれども、教員に求められる専門性というのは、やはり児童生徒に教育を授けるために必要な知識と技能ということになろうかと思っております。
#89
○水岡俊一君 それでは、その専門性という問題について、短い言葉でありますけれども、そういった理解をしたとして、そういったものを高めるために政府は三十時間の講習をというようなお話がございました。すべての教員が自信と誇りを持って教壇に立てるように三十時間の講習を受けると、こういうことでございますが、この講習内容についてはどういったことをお考えになっているんでしょうか。
#90
○政府参考人(銭谷眞美君) 昨年の七月に出されました中央教育審議会の答申におきましては、免許更新講習の内容について、一つは、使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項、二つには、社会性や対人関係能力に関する事項、三つには、幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項、そして四点目には、教科・保育内容等に関する事項、こういった事項を含めることが必要と、こういうふうに答申をしているところでございます。
 具体的には、教育をめぐる最近の状況、教員としての服務等の在り方、あるいは児童生徒あるいは保護者との人間関係、職場の人間関係、さらには子供理解、あるいは生徒指導、教育相談、キャリア教育、さらには各教科、道徳、特活の教育内容、あるいは指導法、ICT教育教材の活用、さらにはそれぞれの教科の最新の専門的な内容と、こういったようなことが基本的には考えられるわけでございます。
#91
○水岡俊一君 今お聞きをしました内容というのを考えてみますと、現在行われている十年経験者研修、これと比較をしてどうなんだろうかということが大きな問題になるというふうに思っています。文科省としては、十年の経験者研修をどのように評価をされて、この三十時間の講習とどんなふうな関係を持とうとされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#92
○政府参考人(銭谷眞美君) 十年経験者研修は、公立学校の教員を対象に教育公務員特例法に基づきまして実施をされているものでございます。公立学校の十年を経験された先生方に対しまして、それぞれのある意味では得意分野づくりを促すといったような観点から運用を今されているところでございます。
 十年研修は、学校内でのいわゆる校内研修、これが大体二十日間ぐらい、校外での研修が二十日間ぐらいという内容で実施をされております。実態としても、校外研修は十七、八日程度実施をしているところが多いように把握をいたしております。十年を経験をした公立学校の先生につきまして、それぞれの得意分野を言わば深掘りをするといったような形の研修が各都道府県、政令市の教育センターを中心に講習としては実施をされているというものでございます。
 一方、免許更新制に基づきます更新講習は、国立、公立、私立すべての教員に基礎的な資質能力を共通的に身に付けさせる、そういう制度として構想されているわけでございまして、教員として必要な最新の知識や技能というものを学んでいただいて、言わばその知識、技能を新たにまた身に付けていただいてそれからの教員生活を送っていただくという、そういう制度でございます。講習時間は、先ほど来お話し申し上げておりますように三十時間以上ということでございますので、十年経験者研修よりは時間的には短いということになるわけでございます。
 なお、先ほど申し上げましたように、十年経験者研修の校外研修は主として各教育委員会の教育センター等で実施をされているわけでございますが、免許更新講習は教職課程を有する大学が開設者となって実施を、そこが中心となって実施をするというふうに今法令上は考えているところでございます。
 実施機関、それから教授の内容、それから十年研修は修了認定というのは特にありませんが、そういったようなことで両者は異なる性格を有しているというふうに理解をいたしております。
#93
○水岡俊一君 教育の専門性、教員の専門性ということはどういうことですかとお尋ねをし、そしてそういったものを講習で、講習内容の中に盛り込みながら教員の教育力を高めていくということにつながっていくんだろうと私は思っているんですが。
 今お話の出た十年経験者研修というのは、御案内のとおりに、二十日プラス二十日、四十日間、全部をやらないにしても、一日六時間にすると二百四十、二百四十やらないにしても二百時間を超える講習があるわけですよね。これは大変な労力を使って、あるいは時間を費やして教員の人たちはこの研修を受けているわけですね。この研修の中身が、最新の知識であるとか、あるいは重要な事項であるとか、あるいは時代が要請している例えば子供のいじめ問題であるとかカウンセリングの問題であるとかということを除いてするはずがないと私は思うんですね。
 現に、これは滋賀県で行われている十年経験者研修の中身を少し御紹介をしたいと思うんですが、全員の共通研修として、一つは、教職員のためのメンタルヘルスの講義を受ける、自己の振り返りとキャリアデザインということで講義をし、演習を受ける、それからコーチングを生かした生徒指導という講義、演習を行う、それから発達障害児の理解と支援という講義、演習、研究協議を行う、いじめ問題への対応とその指導という講義、研究協議を行う、その講師は大学から招いた講師もあり、臨床心理士もあり、現場の先輩もい、そういった中でやっている研修で、その費やす時間について大変負担だということを除いては、これは私はそれなりに意味のあることだと思うんですね、中身を追求していけば。
 それが、二百時間を超えてやられている内容に更に加えて三十時間をすることによって、すべての教員が自信と誇りを持って教壇に立てるようになるための三十時間って何なんだろうと私は思うんですよ。十年経験者研修をどう評価するか。どう、この研修を意味付けるのかということと、教員の免許更新制に使われる三十時間というものは趣が違うとはおっしゃったけれども、これは理解できないですね。ちょっと短く端的に答えていただきたいと思いますが。
#94
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど来申し上げておりますように、免許更新制における免許更新講習は、免許を取得をして九年目ないし十年目の国公私立のすべての教員の方を対象に、教員として必要とされる知識や技能について最新のものをまた身に付けていただくためのそういう講習でございます。これにつきましては、修了認定等も行うものでございます。
 一方、十年研修は、十年を超えた、十年を経た先生方が、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの得意分野を深掘りをし、それぞれ個々の教員の力量に応じた研修を各任命権者において実施をしているものでございまして、やはり趣旨、目的等につきまして、性格も含めて異なるものであると思っております。
 ただ、その内容等につきましては、免許更新講習というものが今後制度化された際には、この十年研修につきましてもその在り方等については、引き続き存続する中で更新講習とのかかわりについては一部柔軟化等の方向で見直しを行うということも必要になってくるかとは思っております。
#95
○水岡俊一君 何だか、どんどんがっかりするようなお答えですね。
 言いたいことはちょっと山ほどあるんですが、まず、十年研修も残しながらその三十時間もやるというところにどういう意味があるのかなと。更に教員に過重負担を掛けるということになりはしないのかな。二百時間を超える中できちっと、専門的なことあるいは時代が要請することをきちっと盛り込んでいけばいいことでありますし、そういったことを考えていくべきだと思いますが。
 少し、じゃ問い方を変えましょう。その三十時間の講習内容ってこれだというのをちょっと言ってくださいよ。どんなことが今、免許更新をしなきゃいけない三十時間なんですか。短くね。
#96
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど申し上げましたように、教員として必要とされる知識、技能について共通的な内容で講習を行うものでございます。教科の指導法、教科の指導内容あるいは児童生徒理解、学級経営、こういった教員として共通に必要とされる内容について三十時間の講習を受けていただくというのが免許更新講習でございます。
#97
○水岡俊一君 ちょっと局長も苦しいんだろうと思いますけどね。いやそれは、ちょっとやっぱりこれは答弁にはなっていないと思いますよ。やっぱりこれは、きちっと教員の免許制をどうするかということの本質から論理が組み立てられていないということをそれはちょっと露呈しているんじゃないですか、それは。私は、そういう意味でもっと、外部の圧力は別にして、文科省の確固たるそれこそ自信と誇りを持ってやってほしいと私は思いますよ。
 確かに、教員が十年を迎える、つまりは中堅として活躍しなきゃいけないという立場に置かれるときに、多くの勉強をしなきゃいけないということは私も思うんですよ。それというのは、でも、例えば三十時間あるいは五十時間受けたとしても、もっと百歩譲って百時間受けたとしても、そういうものを講習の中ですべてカバーするということはまずできないですよ。これはやっぱり日々の取組の中で、自己研さんもあるでしょうし、仲間同士の高め合いもあるでしょうし、また、力のある、指導力のある大学の先生なりの指導も受けながらやっていくということも、これは必要なんでしょう。でも、教員というのはばかではないですから、自分たちでレベルアップしたいという思いそれから自分たちが研修をしたいという意欲、そういったものを大事にする中でこそこれは実現するものだと私は思うんですね。
 そこで、講習内容についてどうかという問題は、今言ったように論理がどう組み立てられているかということの大きな表れだと思うからこそ、ちょっとまた自分の話で恐縮ですが、お話を申し上げたいんです。
 どういうことを言うかというと、つまり教員に求められる、じゃ中堅の教員として、あるいはベテラン教員としてどういうことが求められるかというのを、学校の教員を経験した人と学校以外から見ている人たちと、これは大分ずれが僕はあると思うんですね。それはもうしようがないですよ。それをやっている人と、それを外から見ている人、あるいは親の立場から思う気持ちってありますから、それはずれがあるんですよ。
 例えばの話をしますね。私が教員だったころを思い出して考えてみますと、六校時の授業が終わります。ピンポーンとチャイムが鳴ります。六校時の授業が三時十分に終わりました。理科の授業が終わりました。子供たちが礼をして出ていきました。残念ながら割れたビーカーがあるのでそれを片付けて、それが薬品の瓶に影響を及ぼしていないかということをチェックをしながら理科室でがたがたやっていると、もう掃除が始まって全校ざわざわとしている。
 しかし、そういう中にあって、先日もやけどの事故が起こったから、ごみ焼き場にすっ飛んでいって、子供たちがそういったやけどを負わないようにちょっと監視をしなきゃいけないと思ってすっ飛んでいくんですよ。そうしているうちに子供たちがやってくるんです。先生、先生、トイレが詰まってる。じゃ、トイレが詰まってるんだったらちゃんとこういう器具を使って取れと、こういうふうに指示をするじゃないですか。そしたら、やりますと言って、やった。先生、今度は何かお菓子の袋とかたばことか出てきた、どうしましょうと、こうまた、じゃすっ飛んでいく。
 そういっている間に、終わりの学活の、学級活動の時間になる。そうすると、今日はどうしても次の野外活動のための実習費を集めなきゃいけない。そういうお願い文書を子供たちにちゃんと配らなきゃいけないから、それを持ってすっ飛んで上がっていく。それを配りながら、子供たちの顔を見ながら、いつもお金がなかなか納められなくて困っている子がどんな顔をしているのかということも少し気になりながら見てなきゃいけない。そうして、その終わりには、次の学習発表会のクラスの出し物についてちゃんと指示をしておかなきゃいけない。
 こうやっているうちにチャイムが鳴って、今度は部活動が始まる。部活動が始まっていると、呼びに来るわけですよ。先生、先生、今日の練習は試合の形式をするから、先生審判してくれないと困るんだと言うから、また走っていって審判をする。そうしていると、校内アナウンスで、水岡先生、すぐ会議室へ来てくださいと。何か。修学旅行の企画会議ですよ。企画会議で、修学旅行をどうやってやるんだ、何か子供たちに参加学習的なことをできないかとかという企画をし、そしてそれをレポートを書く。レポートを書かなきゃいけない、これはいつまでに書かなきゃいけないか、あさってまでには書かなきゃいけないと言っているときに、子供たちは部活が終わって下校する。下校すると、今度は、自転車通学ですから、事故が起きないようにまた交通指導に出ていかなきゃいけない。
 こういうのが学校六時間目が終わってからの教員の一こまですよ、これが。こういう中にあって、教員の専門性であるとか、あるいは中堅教員の信頼であるとか、あるいは頼りになる教員、先輩格としてやっていかなきゃいけないという資質を磨かなきゃいけないわけですよ。
 だから、こういうことを文科省の方には是非考えていただいて、そういう教員を支援しようではないかと、教員の力を高めて、それが子供に向かうようにもっともっと支援してやろうじゃないかということがあるんなら、僕は五十歩も百歩も譲って、そういう免許の更新制もそれは考えようということになるわけです。
 だからこそ、民主党の案の中には、教員の力を高めるためにどういう支援の仕方があるのか、それは裏付け教員の話もあるし、あるいはそういった機会をちゃんと保障していこうとかいうことをやっているわけですから、是非このことについてはお考えをいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#98
○国務大臣(伊吹文明君) 今、水岡先生のおっしゃったのは、是非、ある教師の一日というのでビデオに撮って、そして多くの納税者に私は見せるべきお話だと思います。
 それで、先ほど来、西岡先生もお話しになりましたし、民主党案というのは、水岡先生、非常に私は立派だと思いますよ。しかし、立派だけでは行政はできないんですよ。それは何かというと、まず、修士課程までやるということは、今は六十歳定年で人事管理が行われているわけでしょう。そこへ二年間の教師養成期間の延長がまず始まるわけでしょう。これは、実質的に二年間の定年制延長をしないとできませんよ、学校現場は混乱しますから。で、一年間大学院へ行かせるのはいいですよ。その間、代替教員の準備をしなければなりませんね。だから、やっぱりお金が掛かるんですよ、これ。そういう全体の予算の中で、納税者の理解を得ながらどうやっていくのかということができ上がって初めて政策になるんですよ。アイデアだけならだれでも言えるんですよ、問題はね。
 ですから、今いろいろな苦しい財源状況の中で、民主党の案のいいところも我々は参考にさせていただくと私は再三申し上げているわけです。その中で折り合いを付けながらやっていかなくちゃいけないんです。だから、今の参考人との間のやり取りをなさったことも、今回は私立学校も含めて、公教育の一端を担っている私立学校を含めて、すべての教員について十年間のブラッシュアップと、先生が正におっしゃった、一番大切なことは職場で経験しながら学ぶ、頭をぶっつけながら磨いていくということなんですよ。我々も政界に入って、同じ目に遭ってここまで来ているわけですよね。それは学校現場でも同じことなんですよ。そういうことも含めて、今までやってきたこと、そして知識が古くなってきたことを私学も含めて十年目に一度研修をしてみようと。
 公立は十年目があるから、じゃ別だというわけにはいきません、これは、教員免許というのは私学も国立もみんな同じですから。だから、そこでひとつまとめてやっていこうと。だから、国家資格というならば、今言った公立に課されている十年研修は公立という立場の人たちが受ける十年の研修なんですよ。ですから、教員免許というものは私学、公立同一の免許でやっているわけですから、それは十年目に一度、実現可能な、フィージブルな形でブラッシュアップをしようということなんです。
 先生が今ずっとおっしゃった学校現場の大変さというのは、私もよく理解しています。ですから、民主党案でおっしゃっているいいところも取りながら、やはり現実との調和の中で一歩一歩進んでいくというのが、これは行政を預かっている者の宿命なんです。ですから、理想をなくしてしまえば行政はできませんから、いい理想を与えてくだすったというふうに私は受け止めているんですよ、民主党案は。しかし、理想だけでは現実は生きていけないということも理解していただいて、その調和の上に物事を進めていくということですから、先生のさっきの御経験は是非民主党もビデオでも作成してみんなに見てもらうと、そして納税者の理解をやっぱり得ていくということが大切だと思います。
#99
○水岡俊一君 理想だけではというお話は、それはそのとおりだというふうに思っております。でも、だからこそ我々は理想を持ち続けたいと、私たちはね。野党でありますから、理想をやっぱり持ち続けたい。
 それから、教育予算が莫大なものが要求されるよという御指摘もそのとおりだというふうに思っております。今御紹介になられたそれだけのことだけではなくて、例えば、八年、九年、十年に受け入れる大学院の設備をどうするかということを考えただけでも、日本の教員養成大学やら教育学部を持つ大学を大編成しなきゃいけないという物すごい壮大な計画なんですよね。それを我々は持っているということを是非御理解をいただきたいと、こういうふうに思っているところであります。
 そろそろ時間もなくなってきましたので次の話題に行かしていただきたいと思いますが、これはちょっと局長にお願いをしたいと思うんですが、恥ずかしながら──是非とも御発言ということですから、じゃ、是非。
#100
○西岡武夫君 委員のお話と伊吹大臣のお話を承っておりまして、理想と現実ということを大臣おっしゃったんですけれども、先ほども私申し上げたように、この問題は決して理想ではないんですね。あるべき姿なんです。今やらなきゃいけない。先ほど私申し上げたように、この課題は三十年前に既に課題になっているわけです。今までやらなかったんです。やろうと思えばやれるんです、何事でも。教育は総理大臣が国政の最重要課題と言っておられるわけですから、伊吹大臣はまあお立場上いろいろおっしゃれない点はあるかもしれませんけれども、理想ではなくて現実としてやらなきゃいけないんです。
 やろうと思えば、例えば私の経験から言いますと、私学振興助成法という法律は当時はとてつもない法律だったわけです。三年間でやったんです、これは。あるいは人確法という法律も、あらゆるすべての公務員、教育職の公務員を除く皆様方の大反対の中で作り上げた法律なんです、政策なんですね。これも発案をしてから立法するまでの間にわずか二年間でやったんです。やろうと思えばできるんです。このことを是非御理解をいただきたい。
#101
○国務大臣(伊吹文明君) いやいや、簡単にお答えします。
 西岡先輩のおっしゃることは政治家として拳々服膺しなければならない。やはり政権の最優先課題と安倍総理も言っているわけですから、みんなで力を合わせて安倍総理がどこまでやるかを我々もサポートしたいと思いますし、同時に西岡先輩もかつて文部大臣をやられたわけだし、政権与党の教育行政の中枢を担っておられたんだから、過去にやろうと思えばやれたとおっしゃっているわけですから、大いに御協力をお願いしたいと思います。
#102
○水岡俊一君 だんだん話がおかしくなってきました。
 局長にお伺いをしたいのは、先ほど恥ずかしながら御紹介をしました教員の一日の一つのこまの話をしました。
 今、文科省は、アウトソーシングという言葉それからボランティアという言葉がお好きなようで、こういったことで教員の子供たちに向き合う時間を増やそうではないかという御提案があるわけですね。それが一つの新しい職であるとかいうことの設置の一つの目的、理由だというふうに私なりに理解もするんですが、例えば、例えばですよ、今私が申し上げたような教員の一こまから見て、アウトソーシングできることがあります。ボランティアを使うことができるところがあります。多少はあるかもしれませんね。その点については何かお考えがあれば聞かせてください。
#103
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど水岡先生の教員時代のお話、私もやっぱり学校の先生というのはいろんなお仕事があるんだなと思って伺わせていただきました。本当に水岡先生、いい先生だったんだなというふうに思った次第でございます。本当に水岡先生のような先生に付いて勉強できたら、そういう子供は本当に幸せだなと。多くの教員の方はそういう御苦労を、またお仕事をされておられるんだなというふうに思った次第でございます。
 そこで今、文部科学省で教職員の勤務実態調査を実施をいたしました。そして、先生方、どういう内容のお仕事をして、どのぐらいの時間毎日働いておられるのかというのを調査をしたわけでございます。結果、大変先生方の時間外の勤務、いわゆる残業時間が多いということが分かりました。それから、先生方のお仕事の中で子供と直接向き合う、こういう時間以外の時間が多いということも分かったわけでございます。
 私ども今考えておりますのは、こういう多忙な教育現場の先生方への応援体制ということは必要だと考えておりまして、特に教員が子供と直接向き合う時間を確保するためには、もちろん教職員の増員というのが一番いいわけでございますが、それに加えまして、例えば教員の事務的な職務のアウトソーシング、いろいろな調査とかそういうものが多いということも言われておりますので、そういった教員の事務的な職務のアウトソーシング。それから、教員の方のお仕事について、言わば地域の方とかボランティアの方、そういう方が御協力できる部分もあるんではないかということで、ボランティアの活用といったようなことも含めて、これから教員の子供と向き合う時間を確保するための方策についてよく検討していかなければならないと思っているところでございます。
#104
○水岡俊一君 いろいろ思いはあるんですけれども、子供と向き合う時間を増やしたいという思いというのは本当にみんな強いんですよ。この時期にといいますか、私は教員をやってから何十年かたって、このときにそういう論議をするなんて思いもしなかったからあれですけれども、子供と向き合う時間がないということで、私は何度校舎の陰で泣いたか分かりません。これは本当にお恥ずかしいことですが。例えば、部活動でもそうなんですよ。子供たちともっとかかわってやれたら、この子たちの力を引き出してやることができたのにと思う中で、いろんなことに巻き込まれながら時間がなくなってしまった。あるいは、子供の悩めるその時間を少しでも少なくすることができたんじゃないかという反省の思いで本当につらい思いもした覚えがございます。
 そういった意味からすると、今文科省がそういった意味で子供と向き合う時間をということをおっしゃっていただくことは本当に有り難いんですが、それが本当にそれに結び付くのかどうかということは、これは本当に追求していかなきゃいけないというふうに思うんですよ。もう今日は余り時間もございませんから、また次の機会にじっくりとお話をさせていただきたいと思いますが、一つ紹介をしておきたいと思うんです。
 文科省そして政府はよくイギリスのお話をされますよね。イギリスがかなりのお手本になっているように思うので、ちょっと私、イギリスの例をちょっと引いてみますと、イギリスでは二〇〇三年にワークロードアグリーメントというのが、先生との間にアグリーメントが交わされているんですね。その中でこういうことが書いてあります。イギリスにおいて明示をされた、つまり教員が行わなくてもいいですよと、このことは教員の仕事ではありませんよということをお互いに確認した文書があるんです。そこに書いてあることをちょっと読んでみます。
 一つ、児童生徒や親からお金を集めること、児童生徒の欠席を調査すること、大量のコピーを取ること、児童生徒や親あてに定期的に出す便りのワープロ打ちをすること、コピーを取ること、配付すること、教室の飾りを準備したり掲示したり取り外したりすること、公的な試験や学校内試験の試験監督をすること、休んだ教員の代替の管理をすること、ICT機器やソフトウエアの注文やセットアップやメンテナンスを行うこと、消耗品や備品の注文を行うこと、教材や備品のリスト作成、保存、管理を行うことなどなど、まだたくさんあるんです。つまり、教員という仕事はこういうものであって、それにもう全身全霊をつぎ込んでくださいよという体制がそこに私はあると思うんですよ。
 ですから、本当に文科省が子供たちと向き合う時間を増やすために何かの施策を考えたいんだというのであれば、現実的でそして効果のある方法を考えなきゃいけないと。これでなかったら恥ずかしいですよ、本当に、国際的にも。私は、そういうふうに思っています。そういったことを申し上げて、今日の私の質問は終わりたいと思います。またよろしくお願いします。
#105
○蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫でございます。今日は質疑時間をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど私どもの同僚の水岡議員の質問に対して、とても見識、良識ある伊吹大臣の御答弁とは思えなかったんですが、私どもの案に対して、アイデアだけならだれでもできるんだと、あるいは理想を持つことはもちろん大事だと思われますが、理想だけでは現実は動かないと答えられました。確かにそうでしょう。でも、人を育てる教育においては、私たちは崇高な理想を持って、その理想に近づけるために現実の制度設計を変える仕組みを御提案をさせていただいておりますので、理想を持たなくて現実を変えていくというのは、これは妥協なんですよ。改めてこれは、申し訳ございませんが、私ども民主党の発議者にお伺いをしますが、これはアイデアだけではないんだということをちょっと一言御答弁いただけますか。
#106
○鈴木寛君 お答えを申し上げます。
 まず、私どもは法案という形で提出をさせていただいております。これは衆議院、参議院の法制局の皆様方にも大変に御尽力をいただいて、そして調査室の皆様方、そして多くの学者の皆様方からもお知恵をかりて、正にこの国会に、アイデアだけではなくて、きちっとすべての制度との調整、調合を取りながら提出をさせていただいているということなんです。
 それと、もう一つ申し上げますと、私は六年間この文教科学委員会に所属をさせていただいております。西岡先生も中曽根先生も御一緒させていただきましたけれども。この六年の間でも二回やっているんですよ。
 一つはロースクール。これも大変な改革でありました。しかし、国民の皆さん、司法改革という文脈の中で、法科大学院という世の中に、アメリカにはありましたけれども、日本に全く存在しなかった法科大学院というものをつくり、今では六千人掛ける二、一万二千人の方々がそこで学んでいらっしゃるわけであります。そして、その定員をどうするのか。既存の司法試験の合格者と新しい法科大学院の合格者と、これはもちろん段階的に、すべての制度というのは新しい制度を導入する移行期間というのがあるのは当然でありまして、そうしたことを的確にやっていけばいいわけであります。
 それから、これも文教科学委員会で議論をさせていただきまして実現をいたしましたが、薬剤師。これも、六年制という法案をこれは文部省がお出しになって、そして我々で、そのための手当てはどうするんですかと。確かに、それを実現するためにはいろいろ大変なことがあります。しかし、これはやらなければいけない。命を守る薬剤師という大変大事なお仕事だ。
 ということで、いろんなノウハウは既にこの文教科学委員会の議論の中をもう一回ごらんいただければ幾らでもあるんだと。結局は、私はやる気の問題、気概の問題だと思います。
 何で六十年ぶりに、戦後初めて教育基本法を改正する、我々はそれに対して日本国教育基本法案、出させていただきました。少なくとも国民の皆様方には、六十年ぶりの改革をやれなければ、それはこの議論、この国会、私は意味がないと、このように思っております。
 結局、政治家が主導でやらないと、教育改善運動をやっているわけじゃないんですよ、教育改革運動をやっているんです。今までの土俵の上でどういういいことができるのか。これは、私も大臣も以前公務員やっておりましたが、それは公務員の方にお任せをすればいい。しかし、土俵自体を変えるというのは、そういう思いで私も正に国民の皆さんから直接信託を受けてこの委員会の場に立たせていただいているわけでありますけど、それこそ正に政治的リーダーシップで、いわゆる既存の役人の常識を取っ払って、本当に教育のために、日本の将来のために何がいいかと、そういう議論をさせていただいて臨ませていただいているということでございます。
#107
○国務大臣(伊吹文明君) ちょっと、ちょっとそれは、一方的なことは駄目だよ。
#108
○委員長(狩野安君) 伊吹文部科学大臣。
#109
○国務大臣(伊吹文明君) じゃ、委員長のお許しをいただいて。
 鈴木提案者から今お話がありましたが、ロースクールや薬剤師とは今回の御提案はけたが違います。それはもう、けたが違う、もう大変大きなものです。
 私は、先ほど来申し上げているように、理想がなければ政治をやっている値打ちはないと、これは私は申し上げているんです。しかし、理想だけでは政治はできないということです。
 つまり、どういうことかというと、今おっしゃっていることが、法律としてお出しになったということが、理想じゃなくて、現実的提案じゃないんです。これは先ほど正に水岡先生がおっしゃったように、受入れ大学院の整備をすればどれぐらいのお金が掛かり、そして二年間の定年延長により国と地方のお金がどれだけ掛かり、一年間の大学院進学でその間の代替職員がどれだけ増員になり、どれだけのお金が掛かり、その総額はこれだけでありますと、その財源をこのように調達をいたしますと、それで初めて政策になるんだということを申し上げているわけです。
#110
○鈴木寛君 まず、定年延長の議論ではございません。確かに財源は掛かります。で、これは私ども民主党におきまして、正にコンクリートから人づくりに予算を振り向けていくんだと。要するに、日本という国はGDPの三・五%しかこの教育にお金を使っていないと。これはOECD三十か国中三十番目ですよ。これでどうして教育改革と言えるんでしょうか。
 したがって、私たちは、もちろんいろいろ、行政改革も大事、いろんなことも大事だけれども、やはり教育というのは一番大事だということで、OECD平均の五・二%に引き上げるという方針を大議論の末決めております。
 しかも、(発言する者あり)いや、財源は持ってこれます。私どもは、平成十七年度の予算、平成十八年度の予算できちっと対案という形で全部積み上げさせていただいて、どの部分を切るかということも全部お示しして対案を出させていただいております。自民党さんではできません。なぜならば、官製談合も直せないし、それから天下り規制もできない。この無駄遣いを除くだけで六兆円の財源が出てくるということは出ています。その兆の議論をしなくても、この修士化に伴う恐らく財源の増は二千億円から三千億円ぐらいだというふうに計算をいたしております。
 この六年間をもう一回振り返っていただきたいんですけど、結局小泉政権のときに、義務教育国庫負担制度の中で、正に二分の一負担を三分の一負担にへずられて、そして教育費、教育人材確保のための予算を逆の意味でとんでもないカットをしているわけであります。その水準にもう一回きっちり戻して、そして更にその無駄遣いを削って、年間二千億なり三千億の予算をきちっと手当てをしよう。(発言する者あり)いや、もちろんそうです、それは。だからこそ地方も、いつも大臣がおっしゃっているように、国の、国家の決める法律というのは地方も教育現場もありとあらゆる現場を拘束するわけであります。
 その中で、正にそうした予算もその五・二%に増やすという中で十分吸収をできるという裏付けを持って臨ませていただいておりますので、是非その点は御理解をいただきたいと思います。
#111
○蓮舫君 今の大臣と民主党の発議者の答弁を聞いてお分かりいただけると思いますが、もっと民主党案を理解していただくために、もっと政府案を私どもが理解するために、たっぷりと審議時間を取っていただきたいということをあえてこの場でまず言わせていただきたいと思います。
 それと一つだけ。先ほど、銭谷局長の御答弁なんですが、私どもの仲間の水岡議員の質問に対して、水岡先生はさぞかしいい先生だっただろうなと感想を述べられました。感想を述べられる時間があるんであれば、私どもの質問した内容、どういう研修をもってしたら先生の資質が向上するのかという具体的な内容にお答えをいただける時間だったと思っております。改めてその部分は是非、今後答弁をされるときには御配慮をいただきたいということを、ここで一度言わせていただきたいと思います。
 今日は、教育委員会制度について質問させていただきたいと思います。
 まず、大臣には、昨年の、随分とこれも時間を取ってやり取りをさせていただきました教育基本法改正案について、あの審議をしたときをちょっと思い出していただきたい。
 大臣が一番よく例えとして、比喩としてお使いになられたのが、靴の上から足をかいているようなものだと。これは、昨年、教育基本法並びに私どもの提案した日本国教育基本法を話したときに、いじめの問題、未履修の問題、正に未曾有といいますか、これまであってはいけないということが現実問題として出てきた。特に子供の命の問題という、あってはならないことも現実として出てきた。だからこそ教育を変えよう、同じスタンスで審議をさせていただきましたが、残念ながら、文部科学省、文部科学大臣としては教育委員会を通してでしか学校の実態を調査や指導することができないから、だから、靴の上から足をかいているようなものだと。これはもう非常に素直な大臣の御答弁だったと思い、私どももそこは共有をさせていただきましたが、今回の政府案が仮に通って教育三法が改正された場合、この靴は脱げるんでしょうか。
#112
○国務大臣(伊吹文明君) 靴が脱げるという意味がどういう意味かというのはちょっと慎重にお答えをしないといけないと思うんですが、学校現場を例えば把握するというふうにこの靴を脱ぐという言葉を理解しますと、これはやはり、一方で、教育に対して時の政権政党が構成している内閣がどの程度把握をするべきなのかというのは、非常にこれは微妙な問題を含んでおりますから、あえて教育委員会や学校現場が、憲法に定められた国会が決めた法案を生き生きと体して活動をしてくれる状態になるかどうかというふうに理解をして、お答えをしたいと思います。
 まず、教育委員会の責任体制を今回は、先ほど来自民党からも御質問があったように、その役割というものを一条に明記をしております。そして、十分その責任が果たせない場合はどうするかということで、文部科学大臣の是正要求あるいは指示権ということを盛り込んでいるわけです。しかし、一番大切なことは、それ以上に私はお願いをしたいのは、学校を管理している教育委員会はどなたが任命をされているのかということ、教育委員は。で、どなたがその任命を承認されているのかということ、ここが十分機能をして、そして私どもが是正要求や指示、つまり未履修だとかいじめの放置だとか責任のなすり合いだとかということを地方の自治の中で止めていただくのが一番よろしいんです。
 それがそうなっていない現実があるから、私は靴の上から足をかいているようにと申し上げたんで、今回、先生、何事もそうなんですが、法治国家ですから、法律の枠組みを整備せずに勝手なことはできません。特に、権力を持っている者は最も注意をしなければならないことです。しかし、法改正をしたからすべてができるというわけではないんですよ。その法改正を受けて、現実に責任を担っている人がどれだけの意識を持って動いてくれるかということに懸かっておりますから、私も全力を尽くしますが、教育委員会ももう一度意識改革をしていただいて、教育委員を承認されて、地方住民の代表として機能されている地方議会もしっかりしていただきたいと思っております。
#113
○蓮舫君 今、大臣が極めて慎重な物言いで安心をしましたけれども、恐らく四十九条、五十条の国の関与の在り方、それと地方分権の在り方、これは改めて整理をしてまた質問をさせていただきたいと思いますが、あえて今大臣も御指摘をした、本来機能すべき教育委員会が機能をしていなかった、それが結果として大きな社会問題となってしまった。この教育委員会の委員の意識を変えることが、やはり今回の政府案では随分重きを置いておられると思うんですね。
 じゃ、そこで改めて、今回の法案では教育委員会の責任体制の明確化というのを、文部科学省がペーパーを作って私どもにいただきましたけれども、じゃどう具体的に教育委員会は変わるんでしょうか、教えていただけますか。
#114
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の地教行法の改正案におきましては、教育委員会の責任体制の明確化ということで、幾つかの諸点について改正を行っております。
 まず、教育委員についてでございますけれども、現在、教育委員の責務については、現行の地教行法上、特段の規定がないわけでございますので、地教行法の改正案におきまして、十一条の第六項におきまして教育委員の責務を明確化し、教育委員会の責任体制の明確化を図ったところでございます。
 それに先立ちまして、第一条の二という規定を設けまして、地方教育行政の理念自体につきましても規定を設けたところでございます。これは、改正教育基本法第十六条におきまして、教育行政につきまして規定が設けられたことを受けまして、地方公共団体における教育行政の基本理念を定めたところでございます。
 なお、このほか、今回の地教行法の改正におきましては、教育委員会がより高い使命感を持って責任を果たせるように、教育委員会の活動状況の点検、評価、これは第二十七条でございます。それから、市町村教育委員会の指導主事の設置の努力義務化、これは第十九条でございます。こういった規定を設けまして、教育委員会の責任体制の明確化や体制の充実等を目指しているところでございます。
#115
○蓮舫君 第一条の二で基本理念を設けて、そして第十一条の六に服務規定というのを新設されているんですね。
 十一条の六項の服務規定は、「委員は、その職務の遂行に当たつては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第一条の二に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。」、つまり、あえてこういうふうに重要な責任を自覚するんだと、教育行政の運営がちゃんと行われるように意を用いなければならないんだと規定したということは、重要な責任を自覚しなかった、あるいは意を用いていなかった、そんな現実があるという反省の下からなんでしょうか、確認させてください。
#116
○政府参考人(銭谷眞美君) 昨年来、地方における教育行政の中心的な担い手でございます教育委員会につきまして、いろいろ問題点の指摘があったのは事実でございます。とりわけ、合議体としての教育委員会を構成する教育委員につきましてその職責を果たすこと、これが求められていたわけでございます。
 教育委員会は、委員から成る合議体の執行機関でございますので、その合議体を構成をいたします教育委員につきまして、その職責を果たすために、正にその責務を今回明確化し、各教育委員の方々がそういう観点から職務を果たしていただくことを促しているものでございます。
#117
○蓮舫君 他方、地教行法は現行法の既に第四条の一項で、地方公共団体の長が選ぶ委員は、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関して識見を有する者が議会の同意を得て任命される。つまり、現行法規でも大変優れた方が委員に選ばれているんですね。それを更に重要な責任を自覚すると書き込むことは、ちょっと私、分からないんですよ。つまり、現段階でも高潔な方が選ばれている、文化に優れている、学術に優れている、さらに、重要な責任を自覚する方が、条文に書くことで機能するんでしょうか、現実的に。
#118
○国務大臣(伊吹文明君) これは、先生がおっしゃっていることはごもっともでございます。
 政党も、一人一人を見ると非常に立派な理念を持ってしっかりした方々なんだけれども、一つの政党になると御主張がばらばらだということはよくあることなんですよね。ですから、やはり委員会として、どんなに立派な人でも合議体としてしっかりやってもらわないと困るわけです。
 ですから、そのことを申しておるわけで、先ほど私は全体として一番最初の先生の御質問にお答えしたように、法構成をして、そして法律改正をして、促し規定を設けて、こういうふうにお願いしますと言っていますけれども、一番大切なことは、頭だけ良くて見識があるけれどもなかなかみんなと調和してやってくれないとか、そういう人をやっぱり選んでもらっちゃ困るわけなんですよ。現場のことをよく理解してやってくれる人をきちっと選んでもらわないといけませんので、これはやはり、法律というのは運用とその中にいる人の意識によってすべてが違ってまいりますから、我々も心してやりますけれども、そういう意図でございます。
#119
○蓮舫君 今大臣のおっしゃっているように、選んでもらったら困るような人が実際に委員にいて問題を起こしたという実例もありますけれども、残念ながら国としては首長さんが委員を選ぶときにそこに口出しをすることはできないわけで、これは首長の判断になってくるんですけれども、今回の法改正が仮に行われても、教育委員会の委員の任期というのは四年でございますから、来年の四月から文部科学省はこの法律を変えたいとしておりますけれども、来年の四月一日時点ですべての教育委員の任期が切れるわけではないので、ここがどうなっていくのかなと思うんですが、法律が変わったからといって、重要な責任を全員が自覚するわけじゃないわけです。その部分で、四十八条、新法ですね、法案の四十八条の四に教育委員会という項目を新たに入れているんですね。ここで、文部科学大臣又は都道府県委員会の指導、助言、援助として、教育委員会の委員に集会や講習会、研修に関し指導、助言を与えるという規定も、これも細やかに設けられているんですが、これ、先ほどの水岡委員の研修とまたダブるかもしれませんが、これまで、例えば地方のどことは言いませんけれども、教育委員会、教育委員というのは、ある種名誉職みたいな、おらが村の偉い人だからなるんだ、そういう方たちが、じゃ積極的に教育行政に関与するかって、残念ながらできなかったような方たちにどうやって講習でもっと動いてくれと促すことができるようになるのかなと思うんですが、そこを御説明いただけますでしょうか。
#120
○国務大臣(伊吹文明君) これは、先生、確かにおっしゃったように、この法律が施行されて教育委員をすぐに一新するというようなことはできません、それは。しかし、これだけ社会問題になって法律を変えて、今、蓮舫先生がそうして鋭い質問をしておられる、こういうことはすべてやはり一般の人の目に映っているわけなんですよ。その映っている中で、相変わらず鈍感なことを続けている教育委員はやっぱりいないと考えた方が私はいいと思いますよ。それでもなお、いるじゃないか、いるじゃないか、悪いのがいるじゃないかというのは、国会で言わなくても、私は、地方自治の力の中でそんなことをした首長は次の選挙に落ちますよ、そんな人をほうっておいた、そんな人をそのままにしておいた地方議会の議員というのは落とさなきゃおかしいんじゃないんですか。それが地方自治の力というものですよ。
#121
○蓮舫君 分かりました。
 ちょっと、この教育委員会について大臣と議論をさせていただきたいと思うところが幾つかあるんですけれども、今回新たに二十六条、事務の委任というのも新設しているんですね、政府案では。これ、事務方、局長の御答弁で結構なんですが、この二十六条の事務の委任をあえて今回入れられた理由をちょっと簡潔に教えていただけますか。
#122
○政府参考人(銭谷眞美君) 現行の地教行法二十六条の一項におきまして、教育委員会の権限に属する事務は、教育委員会規則で定めるところにより、その一部を教育長に委任することができるものとされております。
 しかしながら、教育委員会、五人、六人の委員で構成されるこの教育委員会の会議が形骸化しているんではないかとか、責任感が本当に皆さんお持ちなのかとか、そういうことから、この五人のあるいは六人の委員で構成される合議体としての教育委員会がしっかりその責任を果たしていただく意味におきまして、教育委員で構成する教育委員会の会議において、基本的な方針の策定とか活動の点検、評価、あるいは教育委員会規則の制定、改廃、学校等の設置、廃止、教職員の人事等、教育委員会自らが行うべきと考えられる重要な事務については、教育長に委任することができない事務として今回二十六条の二項において規定をしたものでございます。
#123
○蓮舫君 ありがとうございます。
 つまり、今回のこの二十六条を設けるということは、これまで、本来現行法の地教行法二十三条で教育委員会の職務権限というのがるる述べられておりますけれども、これが合議体として実は成り立っていなくて、実務的に、物理的に教育長が処理をしてきた事柄があったから、だからあえて合議体として機能してもらいたいからこの項目を設置されたと私は理解をさせていただけるんですが。
 現行の二十三条の五、教育委員会の職務権限では、教育委員会が学校の組織編制や教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関することの事務を管理すると。つまり、これはいじめの問題ですとか未履修の問題ですよね。これを合議体として本来教育委員会がきっちりと管理をして問題を起こさないようにしなければいけなかったんですけれども、本当に、じゃこれまで行ってきたのか。
 内閣府が行ったアンケートがあるんですね。平成十七年の十月に行われたものなんです。学校というのは、正に子供たちの学力を高めるために頑張っていただける、親の立場としてみたら、塾に頼らないでいい公教育というのが一番望まれているものなんです。残念ながら、今の格差というと、お金があるないで塾に行ける数も限られてきますから、子供が平等なスタートになかなか立てないという現実もありますから、だから公教育の再生を私たちはしていただきたい。
 その部分では文科省は学習指導要領を出しておりますけれども、それを実際に守らせる、守っていただく、高めるというのは現場ですから、都道府県や市町村の教育委員会が正に事務を動いているかどうか、教育長に委任して、ある種、合議体が機能していないかどうかというのは大きなところなんですが。
 内閣府のアンケートを見ますと、学力に関して現在の学校教育に対する満足度を保護者に聞くと、非常に満足していると満足しているの合計がわずか一三%なんですよ。一方で、どちらとも言えないが四三・九%。不満、非常に不満の合計が四三・二%。つまり、どちらとも言えないとか不満と思っている人だけでもう八割いると。この時点で既に、教育の受益者である子供たちの学力、お子さんを育てていらっしゃるお母さんが公教育に期待するものに対して残念ながら今の教育委員会は私は動いてこなかったんではないのかなというのが一つ指摘をさせていただくんですが。
 教育委員会が教育行政の執行機関として学力にどうやってこたえていけばいいんだろうか、どうやって事務をきっちりとつかさどっていけばいいのだろうかというところで、大臣にお伺いしたいんですが、教育長に委任する事務をこうやって、これは委任できない、これは委任できるというような法改正をしなければいけないこと自体が、もう私は教育委員会制度自体、根本にもっとメスを入れなければいけないと思うんですが、委任できないという事務を設けることで教育委員会って動いていくんでしょうか。
#124
○国務大臣(伊吹文明君) 委任できない事務を設けるんじゃなくて、委任できる事務を限定するということです。ですから、先生のお言葉をかりれば、名誉職的に地元の名士が云々という先ほどお言葉がありましたが、そういう人たちが集まって、実際は教育長がすべてを切り回して、あとはお飾りになっている状態は困るんですね。ですから、教育長が事務管理、事務職のトップとしてやっていただくのは、もちろん教育委員に入っていらっしゃるわけですけれども、これだけですと、あとはあなたの責任、あなた方の責任なんですよということを明確にしたということなんですね。
 学校現場に満足をしていないというのは、この数字を高くしなければなりません。これはもうおっしゃるとおりです。ですから、私どももいろいろ努力をいたしますが、一方で、やはり先ほどモンスターペアレンツの話がありましたけれども、御家庭でどれだけのことをやはり教育、子供を保護する者としてしているのかという上に学校をそしっていただかないと困るという面もあるんです。
#125
○蓮舫君 正にその問題意識は共有をさせていただいております。ただ、すべての親御さんが、いわゆる教育とかしつけはもう学校に任せておけばいいんだというような、自分たちの家庭教育を放棄していると私は思っていないんですね。頑張っても頑張ってもなかなか時間が取れなくて、育児に割ける時間、教育に割ける時間がないんだという方たちは、また違う形で法律が、政治家が環境を整備しなければいけないと思っている。たった一部の問題点を相対化というか一般化して、それがすべての問題なんだというような論は極めて感情的だと私は思っております。
 教育委員会についてなんですが、その制度を見ると、私はどれだけ民意を反映することができるんだろうかというのを考えさせていただきます。
 つまり、大臣が度々おっしゃるように、教育委員を任命する首長、あるいはその承認をする議会を構成する議員は選挙という洗礼を受けますから、常日ごろから問題が起きたときに、民意はどこにあるんだろうか、何を求めておられるんだろうか、教育行政はどうあらなければいけないんだろうかという意識は高まっていると思うんですが、残念ながら首長や議会を構成する議員たちは教育行政の執行機関にはなれないんですよ。それは政治的に中立性を担保した教育委員会が行うことですから、自分たちがどんなに、あっ、この教育行政はこう変えた方がいいんじゃないか、この問題が起きたからこういうふうに変えた方がいいんじゃないかと思ったとしても、それは教育委員会の仕事なんです。
 じゃ、教育委員会の四年間任命された人たちは選挙という洗礼を受けないでどれだけ民意に近い判断をされるのか。一度任命をしたときには判断をしてもらえると思っていたけれども、四年という長い間に首長が想定し得ない動きしか取らなかったときにはどうなのかなというと、やはり私は、民主党は今回、教育委員会を廃止という思い切った、制度設計を抜本的に変えるという提案をさせていただきますが、大臣がおっしゃるように、中立性を担保するといいながら、実は中立性を担保しておきながら、委員の資質いかんで最も民意から離れる教育委員会というのができ上がってしまう危険性もあるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#126
○国務大臣(伊吹文明君) 今の教育委員制度にはもちろん解任規定もありますし、最終的には地方自治の私は力に期待したいと考えているんですが。
 民主党案には民主党案のいいところがあります。これは私は否定しません。しかし同時に、困った点があるんです。教育委員会制度にもいい点もありますし、先生がおっしゃったように極めてまずい点もあります。要は、長所と欠点をこうお互いに比較検討して、どちらが被害が少ないかという判断を与党としてはしているということなんです。
   〔委員長退席、理事中川義雄君着席〕
#127
○蓮舫君 これも内閣府の調査なんですけれども、文部科学省、文部科学大臣は問題がある場合には指導をされているとは思うんですけれども、今学校教育法施行規則第三十三条で就学校変更の要件及び手続の公表というのがありまして、市町村の教育委員会は、中略しますが、その指定した小学校又は中学校を変更することができる場合の要件及び手続に関し、必要な事項を定めてこれを公表するものとすると規定しているんです。ところが、内閣府が各学校に行ったアンケートの結果だと、この三十三条を実施する予定がないと回答した教育委員会が全体の一四・八%だったんですよ。これは法律違反なんです。
 あるいは、閣議決定で守ってくれと言ったものに対しても、例えば、今文部科学省はいじめへの対応とか通学の利便性などの地理的な理由とか部活動など学校独自の活動など、変更の理由として相当と認められるものについてはどの市町村においても就学校の変更が認められてよいとの解釈を示しているんですね、これ閣議決定で。いじめがあるから学校変わりたい。本当は変われないんだけれども、教育委員会の判断でこれ変えさせてあげてください。ところが、アンケートを内閣府が行うと、五五・九%の市区が拒否する場合があり得ると回答しているんですよ。だから、どんなに中立性とか独立性といっても、国が最低限守ってほしいと言ったものに対して、今アンケートを取ると、法律を違反していたり、閣議決定を守らないと答えるような市区や学校が出てくるという問題もあるんですが、これはどうお考えでしょうか。
#128
○国務大臣(伊吹文明君) これは先生、政治的中立性とはちょっと問題が違いますね。国と地方との間の、地方自治の権限と国の教育に持つ責任というか、国の法体系の中で地方が国の決定にどう対応していくかという問題、今おっしゃったことはね。
 これは、実質的には先生がおっしゃったように法律違反ですよね、これは法律の下部の省令ですから。そのときに、やり方が幾つかあるんですね。それはおかしいじゃないかと、おれたちの任命した、承認した教育委員としてはどうなんだと。地域住民の立場からいうとそういうことはやってもらっちゃ困るという力で直していくというやり方と、それだけの努力をなすってなおうまくいかない場合に、現在はまだ法律が通っておりませんから、地方自治法の一般則で是正要求をするというやり方とがあります。
 ところが、現在の地方自治法による是正要求は、残念ながら今回の地教行法の仕組みとは違って、具体的内容を伴わずに、しかもそれについてどうするかは地方自治体の判断にゆだねられているわけですよ。ですから、今回こういう改正をお願いしたということでございます。
#129
○蓮舫君 ありがとうございます。
 今おっしゃることはよく分かります。ただ、国が守ってほしい、法律も含めて、政省令も含めて守ってない教育委員会があった場合に、それはどこかでおかしいゆがみが生じて、結果として子供に悪影響が出ては絶対いけないんだという思いで、恐らく教育委員会の責任の明確化を文部科学省さんも今回法改正で提案してこられているとは思うんですが、やっぱりその法律を見てみると、重要な責任を自覚してくれとか、あるいは自分たちの教育委員会の仕事が、事務の管理、執行の状況について点検、評価を行って報告書を公表するとか言っていますけれども、自分たちが自分たちの仕事を点検、評価して出したときに、自分たちに都合の悪いことを出すのかどうなのか。これは去年のいじめの実例を挙げなかったということのいわゆる教訓を全く得ていない法律だと私は実は思っているんですけれども、果たして本当に期待し得る教育委員会の再生につながるのかどうなのかというのが、実は私、まだ疑問なんですね。
 これは昨年、十八年の十二月に政府の規制改革・民間開放推進会議が第三次答申で「現在の教育委員会制度は、明らかに民意に対して鈍感になっていると言わざるを得ない。」、厳しい指摘をされている。
 そうすると、この法改正でこの厳しい指摘に大臣は自信を持って、いや、もう鈍感じゃなくてもっと敏感になるんだ、変わるんだ、教育委員会は責任を自覚して動くんだ、学校の事務をもっと管理するし、子供の問題に敏感になっていくんだと自信を持って、まあ当然言えなければいけないんでしょうが、言えるんでしょうか。
#130
○国務大臣(伊吹文明君) それは言えるようになるための法律的な仕組みを提案したということです。あとはそこにいる人たちの意識の問題ですから。それほど鈍感な人を相変わらず教育委員に置き続けているということであれば、その議会や首長は、次の選挙で落とせない主権者であれば、その程度の主権者にはその程度の自治体ということになるんじゃないんですか。
#131
○蓮舫君 極めて、大臣がおっしゃっているのは、民主主義が物すごく進んで機能している場合だと思うんですね。首長がどんなに訳の分からない委員の任命をしても次の選挙で落ちるんだということなんでしょうけど、今、実際、市民の意識が高ければ、法律では、現行の地教行法では解職請求もできるわけですから、それはもっと市民の意識を高めたり、首長の意識を高めたり、行政機能が動くように、監視機能が働いた場合には国は関与する必要なんて全然ないんですよ。
 残念ながら、それが今まだ未成熟といいますか、まだ全国で到達しているラインが違うから、国がこうやって今問題意識の議論をさしていただいていると思うんですね。
 続いて、民主党さんにもお伺いをさしていただきたいんですが、教育における地方分権の推進に関する調査結果で、全国八百二の市で聞いているんですが、七百四十八の市から回答があったとき、市の教育委員会について選択可能な制度ですべきである。今回は、政府案は、教育委員会は選択にもしないで持続させるんだ。民主党はなくすんだ。でも、その間の選択可能にすべきであるという意見が最も多くて五四・八%だった。現行制度を維持すべき、三四・五%。これ、政府法案はこの方式ですね。で、民主党が言っている廃止すべきという意見は、残念ながら一番低くて六・二%なんです。
 これはあくまでもアンケートの結果ですが、今回、民主党さんでは教育委員会を廃止すると決定した。これ、簡単とはいかないんでしょうが、簡単で結構ですが、御説明いただけますでしょうか。
#132
○西岡武夫君 お答えいたします。
 私どもが今回教育委員会を廃止するということを御提案申し上げておりますのは、元々、教育行政について行政委員会という仕組みが好ましいのかどうなのか、実はこういう議論を政府内部でも是非していただきたかったんですけれども、これが欠落を今までしていたと思うんです。私どもは、これは望ましくないと。これは公安委員会にも実は波及する課題でございますけれども、ここでは教育委員会に限って議論をいたしておりますので。そのように考えております。
 世界的にも、教育行政について行政委員会の仕組みを取っておりますのは、私寡聞にしてアメリカとカナダぐらいではないかというふうに記憶をしておりますけれども、このアメリカにおいてさえ、これを是正するという方向に動きつつあるというふうに私は仄聞をいたしております。
 なぜ私どもが今回、こういう提案を申し上げているかと申しますと、一つは、責任の所在が明確になるという意味は、予算編成権、予算の執行権、それと人事権、これが一本になって初めて行政の責任というのは明確になると。これがばらばらになっておりますと、責任の取りようがないという基本的な考え方に基づいております。
 それと、簡単にということでございますけれども、お許しをいただきまして、この私どもの案に対して、政治的中立性について疑問があるという御議論があるやに聞いております。しかし、今の教育委員会の教育委員を任命するのは都道府県知事あるいは市町村長でございますから、これはある意味では政治的中立性というのは虚構だと思うんですね。偽装だと思うんです。
 例えば、話はちょっと飛びますけれども、教育再生会議でいろんな意見が出ると、これがあたかも国民的な議論のように取り扱われていろいろマスコミには出てくる。これは間違いなんですね。間違いなんです。これと同じようなことが教育委員会の制度にも言えるのではないかと。やはり、知事や市町村長は選挙で洗礼を受けるわけでありますから、これぐらい民主的なことはないと思うんです。それを、ちょっと視線をずらして政治的中立性を装うということは、これは大きな間違いだ、こう私は考えております。
 したがって、教育委員会を廃止いたしまして知事が責任を持つ、市町村長が責任を持つ、そして教育委員会を改組してこれについての監査を行う委員会を設ける。現在の教育委員会に属しておられる職員の皆さん方は非常に熱心にやっておられるんです。この方々はもちろん、当然、知事に責任が行くわけですから、その下で教育行政をこれまでどおりに行っていただくと、こういうふうに私どもは考えているわけでございまして、是非、政府におかれてもこの私どもの考え方を取り入れていただきたいなと念願をしているところでございます。
#133
○蓮舫君 分かりやすいのは、政治的中立性を担保というところで教育委員会があるんですが、その教育委員のメンバーを選ぶのが首長ですから、選ぶ段階で政治性というのは実は反映されるんじゃないか、その部分で、政治的中立って何なんだという議論はもう少し深めさせていただきたいんですけれども。
 今、西岡発議者がおっしゃられた民主党案では、さらに教育監査制度を取り入れようというのも、これペアで法案の内容になっておりますが、こちらについても御説明いただけますか。
#134
○西岡武夫君 これは完全に第三者の立場で、教育行政が的確に行われているのか、今御指摘がございました政治的な中立性が侵されていないのかというようなことだけではありませんけれども、教育行政一般についてこれを客観的に監査をし、その結果を公表しということも法律の中で明記しているわけでございまして、これは十分監査委員会がこれに対する責任を取ることができるように私どもは制度として仕組んであるわけでございます。
#135
○蓮舫君 本来、ここで伊吹大臣に私どもの案についてお伺いをして議論を深めたいところなんですが、残念ながらあと五分となりましたので、この議論、またの機会、たっぷりと質疑をさせていただく前提でまた質問をさせていただきますが。
 ちょっと一つだけ確認をさせていただきたいのが、今、教育再生会議の話もありました。私は、教育再生会議でお話しになられていること、伊吹大臣は全く違った考えを持っていると先ほどこの会議に対しておっしゃいましたが、全く同じ意見です。(発言する者あり)それは経済ですか。ええ、いいです。
 この間、五月十一日に教育再生会議の合同分科会が行われた後に山谷えり子首相補佐官が記者会見で発言をされたのが、特設教科をつくりたい、これは徳育を教えていくんだ。
 これ、内閣府にお伺いしますが、どうしてこういう発言、その前に文科省にお伺いします。特設教科という言葉ってあるんでしょうか、教育行政において。
#136
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、教育課程は、教科と道徳、特別活動、総合的な学習の時間によって編成するというふうに学校教育法施行規則二十四条で定められておりまして、現行法令上、特設教科という言葉は用いられてはおりません。
#137
○蓮舫君 では、内閣府にお伺いしますが、これはどういう経緯で出てきた発言なんでしょうか。
#138
○政府参考人(山中伸一君) お答え申し上げます。
 道徳の教科化ということにつきましては、教育再生会議の中の特に学校再生について議論しております第一分科会というところで議論が行われているところでございます。
 第一分科会の中では、知徳体、調和の取れた教育の実現と、そういう中で道徳の時間というものを充実していこうという議論が行われておりまして、その中で、例えば徳育といった名称で教科化してはどうかといった議論が行われているところでございます。教科といいます場合、例えば点数による評価を行うとか、そういうことが従来といいますか、一般の教科では行っているところでございますけれども、徳育といった形で教科化した場合には、こういう一般的な教科とは異なって、点数による五段階といった評価は行わないといった議論も行われているところでございます。
 そういう意味で、通常の教科とは違う形での教科としての位置付けというものをしたらどうかという、そういう流れの中で通常の教科との違いを明らかにするといった、そういう議論の中で特設教科といった表現をしたらどうかというふうな議論が行われているというものでございます。
#139
○蓮舫君 言っていることは分かるんですけれども、一体それが何なのかが分からないというのが正直私の感想なんですけれども。
 つまり、大臣がいつも言われるように、民意の代表である国会議員が集まった場所で、今教育をどうしようかと正に本音で私どもも対案を出しながら審議をさせていただいて、今回の学教法改正案の中でも教育の目標を達成するべきことに規範意識を入れたり、子供たちにそういう倫理、道徳をどうするんだという議論をこれから、今させていただいているときに、一方でメディアに今注目があるかもしれませんが、再生会議で聞いたこともない特設教科というのを提案していくんだというような、一体どっちが本当に議論をしていることか、私、分からなくなるんですけれども、ちょっとこれ、最後、大臣、整理しておいていただけますか。
#140
○国務大臣(伊吹文明君) まず、蓮舫先生、誤解のないように申し上げておきますが、先ほど水岡先生に私がお答えをしたのは、十年目の研修によって駄目教師を排除するという分限の問題に立ち至るような再生会議の考えは私は取らないと、そこは違うよということを申し上げている。それに、私の考えに沿って今回は法案を出しているということです。
 それで、再生会議は、これは閣議決定でできて、西岡先輩からはいろいろ御批判もありますが、いろんな分野の人たちが集まっていろいろおっしゃっている御提言の場なんですから、政治的には非常に重いと思いますけれども、先生が一々それを気にされて国会で取り上げられれば取り上げられるほど存在価値が高まってくるわけですよ。
 つまり、国の仕組みとしては、そのいろいろおっしゃったものを安倍総理や私が、いいことはいい、困ることは困ると判断をさせていただいて、そして法案を提出する内閣として法案を作成して、国会が決めなきゃ何もできないわけですから、それは御心配になることはございません。
#141
○理事(中川義雄君) 蓮舫君、時間ですので短くお願いします。
#142
○蓮舫君 はい。
 最後に一言言わせていただきますけれども、取り上げるから注目を浴びられる、じゃ取り上げないでそのまま再生会議が自分たちの言いっ放しの報告書をまとめて総理に上げて、総理が御納得をされて文部科学大臣にこれで法改正をしろって指示をされたら困るので、その部分は御理解をいただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
#143
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
 今回の法案審議におきましては、本当に我が国の将来を託す人づくりにかかわる極めて重要な審議でございます。参議院におきましては今週から本格的に審議がスタートをしたところでございますけれども、将来に禍根を残すことのないよう、しっかりと議論を更に掘り下げてまいりたいと思っておりますので、長時間にわたっておりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今日は、またいろいろと質問する機会もあると思いますので、学教法の改正案を中心に質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 今回の学教法の改正案の一つのポイントに学校評価というものがございますので、その点からお伺いをさせていただきますが、今現在におきましても、学校では、既に平成十八年に文部科学省が作ったガイドラインを参考にして、評価項目だとか指標だとか、そういうものを自由に取捨選択しながら評価を行っております。実際、もう自己評価につきましては公立の小中学校の九九・七%実施されておりますし、外部評価についても徐々に導入が進んできていると伺っております。
 そうした中におきまして、今回の学教法改正案の第四十二条におきましては、文部科学大臣が定めるところにより学校評価を行うということが規定をされておるわけでございますが、そこでお伺いをさせていただきたいわけでございますけれども、この文言が入ることによりまして今まで行ってきた学校評価というものがどう変わるのでしょうか。今までのやり方にどのような変化がもたらされるということになるんでしょうか。
#144
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、学校評価につきましては、小学校あるいは中学校の設置基準等におきまして自己評価の実施、公表について努力義務が規定をされているわけでございまして、学校評価そのものについて定める規定というのは法律上はないわけでございます。今回、学校運営の改善を図る上で学校評価の重要性にかんがみまして、その根拠となる規定を法律に置くべきとの中教審の答申等を踏まえまして、第四十二条に学校評価に関する規定を設け、法律上位置付けたものでございます。
 この学校教育法の改正案の第四十二条におきましては、各学校が文部科学大臣の定めるところによりまして学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図ることと規定をいたしております。具体的なこの学校評価の在り方につきましてはこれから文部大臣が定めをするわけでございますけれども、この定めにつきましては、国会での御議論等も参考にしてよく検討をしていきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、この四十二条の規定を受けまして、自己評価や保護者等による外部評価が更に定着するように促していくというような考え方で進めていきたいと思っております。
#145
○山本香苗君 そこで大臣、お伺いをさせていただきたいわけなんですけれども、今小学校設置基準などに書いているものはきちんと法律上の根拠規定を持ったということなんですが、ここにおきまして「文部科学大臣の定めるところにより」とありますけれども、いわゆるガイドラインの中に例示しております評価項目や指標といったもの、これを全国的に一律に決めて、それを必ず守らなくちゃいけないという形を強制することはないんだということでよろしいんでしょうか。
#146
○国務大臣(伊吹文明君) 先生おっしゃるとおりの御理解で結構だと思います。
 今、参考人が申しましたように、ここの御意見等も参考にさせていただいて、法案が通りましたら私の方で各教育委員会に通知をいたさねばならないんですけれども、それはあくまでやはり目安とか基準とか項目とか、そういうものを示すわけでして、それに応じて各教育委員会が創意工夫をして今回のことは実施するわけですから、先生がおっしゃっているような御懸念のような指示を私はしちゃいけないことだと思います。
   〔理事中川義雄君退席、委員長着席〕
#147
○山本香苗君 大臣、その「文部科学大臣の定めるところにより」という言葉があることによりまして、今大臣がおっしゃっていた、明確に、そういった懸念はないんだということなんですけれども、法令でがちがちに縛るようなことはないんだよと。いわゆる評価内容、実施方法ということに関してはいろいろと通知をされるかもしれませんけれども、評価項目だとか指標だとか、今ガイドラインで例示をされているようなものにつきましては法令で縛ることはないんですよということでよろしいですね。
#148
○国務大臣(伊吹文明君) それを全国一律、こういう基準であるからこれを上回ったらいいとか悪いとか、そういうものではございません。
#149
○山本香苗君 いわゆる評価項目だとか指標などのいわゆる評価内容などについて、今言ったような形で法令で縛ることにしてしまったら、上からの基準をどれだけ達成したかというような評価になってしまうんじゃないかという懸念が現場にございましたので、あえて何度も確認をさせていただきました。心配ないということでございますね。
 ところで、今おっしゃられましたように、今回の法改正で新たにこの規定が盛り込まれたということでございますけれども、既存のガイドラインのことにつきまして、それを見直すことになるんでしょうか。また、見直すというのでありましたら、どういうやり方でガイドラインを見直していくことになるんでしょうか。
#150
○政府参考人(銭谷眞美君) 文部科学省では、昨年の三月に、義務教育諸学校における学校評価ガイドライン、これを策定をいたしました。
 これは、学校の教職員によります自己評価や保護者等によります外部評価について、学校や教育委員会における取組の参考に資する意味で、評価項目などにつきまして目安となる事項を示しているものでございます。
 学校の自己評価や保護者等による学校関係者評価の更なる定着と推進を図るためには、私ども、今回の法律案についてお認めをいただきましたら、このガイドラインにつきましても見直しを行うということを考えております。
 見直しを行うに当たりましては、今回の改正案についての国会での御議論も参考にしつつ、学校の校長先生や教育委員会の関係者、保護者の方々も委員として御参加をいただいております学校評価の推進に関する調査研究協力者会議というものを私どもつくっております。こういう専門家会議で更に議論を深めましてガイドラインの改定の内容を検討していきたいと、こういうふうに思っております。
#151
○山本香苗君 今回の学校評価の規定の最大のポイントは、今、前段で申し上げたようなことではなくて、その後段の評価を行った後、いわゆるその「評価を行い、」の後段のところの「その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずる」というところにあるんだと思っておりますが、そのような改善措置をとるための前提となるのが公表でございますけれども、まだ、そういった公表が徐々に進んできているとはいえ、自己評価ですら、自己評価をやっているという学校の、公立学校のうちの全体の約六割しかできていないということでございます。
 また、日本PTA全国協議会の義務教育に関するアンケート結果報告書によりますと、そもそもこの自己評価というものをしているということを見たことも聞いたことがないという親が、保護者の方が八割という非常にお寒い状況にあるわけですが、この公表が進まなければ、結果に基づいて改善措置を講ずるということができないということになると困ることなので、まず文部科学省として、何でこの公表が進まないのか、何がネックになっているのか、また、文部科学省としてこの点をどう認識されておられるのかということをお伺いします。と併せて、今後、評価結果の公表を進めるためにどのような手だてをお考えでしょうか。
#152
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生からお話がございましたように、自己評価はほとんどの公立学校において実施をされているわけでございますが、その公表率はまだ六割弱でございますし、また保護者の間で評価結果の認知度、これも低いわけでございます。
 その理由といたしましては、これまでやっぱり自己評価の内容が単なる教員アンケートとか学校行事の反省などにとどまっており、十分に公表できるほどの内容になっていないケースもございます。あるいは、学校評価がまだ制度の熟度が高まっていないために公表段階までまだ行かないかなと、こういうふうに判断している学校もあるようでございます。また、学校便りなどで折々公表に取り組んでいるつもりに学校はなっていても、それが保護者の方に十分に伝わっていなかったり、学校評議員のみに結果を公表しているといったような例もございます。
 学校評価を実効性あるものにする上で結果の公表を促すということは、ただいま御指摘がございましたように、大変重要なことだと思っております。このことから、昨年三月に作りました義務教育諸学校における学校評価ガイドラインにおきましても、自己評価の結果の公表方法などについて目安を示すなどして、自己評価結果の公表の促進に努めているところでございます。
 なお、今回の学校教育法の改正案におきましても、第四十二条の学校評価の実施とともに、第四十三条におきまして、学校に関する情報を保護者等に積極的に提供することについて新たに規定を設けたところでございます。
 今後、学校評価の具体的な在り方につきましては、先ほど来申し上げておりますように、更に検討を深めてまいりたいと、こう考えているわけでございますが、その際には、学校評価の結果をそれぞれの学校の工夫によりまして公表するということを促してまいりたいと思っております。
#153
○山本香苗君 衆議院の参考人質疑の中におきましても、いわゆる公表しなければ評価をする意味はないんだと、でも、マイナスも表に出るので現場は嫌がるんだというような声もありました。しかし、そうとはいえ、学校現場の方でもやらなかったら学校は良くならないんだという意識も芽生えつつあるところでございますので、この流れをうまく利用していただきまして、促していっていただきたいと思っております。
 また、保護者や地域の方々が評価に加わっていくいわゆる外部評価というようなものも、評価をやっていくその中にインボルブしていくことによって、またそれがやられている、そういう評価が行われている、公表されているということが周知されていくということからしても、そうした学校関係者による外部評価というものの導入も実情に応じながらやっていただけるようにしていただきたいと思っております。
 さて、この評価結果につきまして対外的に公表するというのがなかなか今難しいいろんな理由をおっしゃっていただきましたけれども、私は、外に出してはなくても、教育委員会には何らかの形で報告がなされているのかなと思っていたんですが、担当の方にお伺いしますと、教育委員会にそういうことを報告しているというのは全体の三六・一%しかないというような数字を聞きまして、大変驚きました。
 こういう現状を文部科学省としてはどう認識されていらっしゃって、これからどう改善を促そうと思っていらっしゃいますか。
#154
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、学校の自己評価を実施をいたしまして、その結果を教育委員会等の設置者に提出をしている学校は、公立学校の場合三六%程度でございます。大変まだ低い割合でございます。
 学校評価というのは学校運営の改善に資するという大きな目標があるわけでございますけれども、それを実効性あるものとするためには、教育委員会にしっかりと結果を報告をし、報告を受けた教育委員会はそれに基づいて必要な支援あるいはアドバイスを行っていくということが重要かと存じます。
 今後、学校評価の具体的な在り方については、改正法の第四十二条の規定によりまして文部科学大臣が定めることとされておりますけれども、その際、設置者である教育委員会が学校評価の結果を受け取り、それを踏まえ、必要な措置を講ずるように促すような方向で検討をしていきたいというふうに思っております。
#155
○山本香苗君 この四十二条の後、四十三条は、先ほどおっしゃっていただきましたように、この学校運営の状況に関して情報を積極的に提供していくという規定が入っているわけでございますけれども、これ、先ほどの四十二条の評価のことと同じく小学校の設置基準の中にも入っていたわけでございますが、本当にここが、この積極的な情報提供というのが現場できちんとできるように進めていくということが今後非常に重要なことではないかと思っております。
 あくまでやり方というのは学校現場の方に任されているとはいえ、いろんな点で文部科学省としてサポートできる点もあるんじゃないかと思いますが、この点につきまして具体的にどういったサポートをしていこうとお考えでしょうか。
#156
○政府参考人(銭谷眞美君) 改正教育基本法の十三条に、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力について規定が設けられておりまして、学校は家庭、地域と連携協力して教育を進めていくということが必要になってくるわけでございます。そのためにも、学校の情報について家庭、地域と共通理解を推進をしていくということが必要かと存じます。今回の学校教育法の改正案の四十三条におきましては、こういった観点も踏まえて、学校に関する情報を保護者等に積極的に提供するということについて規定を設けているところでございます。
 文部科学省では、昨年策定をいたしました学校評価のガイドラインの中で、学校が提供する情報の例というものを参考にお示しをしているところでございます。こういった情報を住民の方、地域の方に提供したらどうでしょうかという参考例をお示しをしているところでございます。また、こういった提供する情報の資料作成等に係る効率的な方法について今調査研究を進めているところでございます。
 今後、各学校がその情報を広く保護者や地域住民の方に提供して、学校と家庭、地域の連携協力が進むように、こういった私どもの調査研究の成果等も是非学校関係者の方々に提供できるように更に調査研究を進めていきたいと思っております。
#157
○山本香苗君 是非そこのところは積極的にやっていただきたいと思っております。
 次に、副校長その他の新しい職の創設につきましてお伺いをさせていただきたいと思っております。
 今回、副校長、主幹教諭及び指導教諭といった新たな職を創設をすることになりますが、これがどのように現場の教師の方々の活力を引き出すことにつながっていくのでしょうか。先ほど具体的なお話がございましたけれども、そうした現状を踏まえた上で、こういった新しい職を創設した場合にどういうふうになるんだというところを分かりやすく御説明をしていただけますでしょうか。
#158
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の学校教育法の改正案第三十七条における新しい職の設置は、校長、教頭以外は同じ教諭といういわゆるなべぶた型の組織を改めまして、学校が抱える課題に校長を中心として組織的、機動的に対応する体制を整備するというものでございます。
 副校長や主幹教諭が権限と責任を持って担当する校務を組織的に取りまとめることによりまして、効率的に処理することができるとともに、他の教員の組織的に学校運営に参画する能力も向上することになると考えております。
 また、指導教諭につきましては、研修会における指導、助言や他の教員の授業への指導、助言を行うことによりまして、個々の教員の具体的な授業力も向上するということが考えられるわけでございます。
 新たな職を設置をいたしまして力量ある教員を職制上適切に位置付けることができるようにすることによって、教員の意欲も高まり、ひいては教師の活力を引き出すということに資するものと期待をしているところでございます。
#159
○山本香苗君 正直、このことにつきまして一番最初にお話を伺ったときは、本当にこれは大丈夫なのかなと、どういうふうな形でうまくできるのかなというのがなかなかうまくイメージができなくて、党の会合でも何度も何度も議論をしていたわけでございますけれども、結局、校長先生、教頭先生、いろんな先生方はいらっしゃいますが、この教師の方々、きちんと連携が取れているところというのはやっぱり学校運営がうまくいっているところになるわけですけれども。
 今回、この新しい職というものを創設するわけですが、必ずしも絶対置かなくちゃいけないというわけではなくて、置くことができるという規定ですので、運用に当たって、ここは物すごく重要になってくると思うんですけれども、この連携がうまく取れるような形で、決して教師の間が分断されることがないように都道府県におきまして十分配慮ができるような仕組みを考えていかなくちゃいけないと。もうこれはこの法律作ったでは終わらない話だと思っておりますので、いろんな御意見があるとは思いますけれども、これからもしっかりフォローを私たちもしていかなくちゃいけないと思っております。
 その中で、ちょっとこの間現場に行きましたときに声が上がってきたわけなんですが、指導教諭というものが今回入りますけれども、それと指導主事というのが教育委員会にいらっしゃいますが、どちらもほかの先生方に対して指導、助言をできるような力を持っておられる方、所属、いらっしゃるところは違ってもそういう方ですよね。実際、指導主事については、教師の方がなっていらっしゃる場合が、特に都道府県の教育委員会なんかには大半がそういう状況で多いわけですよね。
 そうなると、任命する側からすると、いわゆる指導主事と指導教諭というものがあって、それをどういう形ですみ分けをさせて、どういう形でこの役割分担させて、責任等はどういうふうな形になるのかと、指導主事にせよ指導教諭にしろ、どういうふうに任命したらいいのかといった、そういった戸惑うような事態も生じてくるんじゃないかという声が現場にありましたが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#160
○政府参考人(銭谷眞美君) 指導教諭と指導主事についてお尋ねがございました。
 まず、今回、学校教育法改正案の三十七条の十項に基づき置くことといたします指導教諭は学校に置かれる教員の職の一つでございます。児童の教育をつかさどり、教諭その他の職員に対して教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行うというのが職務でございます。まず、学校の中に置かれる職でございます。
 それから、指導主事でございますが、これは地教行法の第十九条第三項に設置の根拠がございまして、教育委員会に置かれる職員でございます。指導主事は、学校における教育課程、学習指導、その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事をする教育委員会の職員でございます。文字どおり教育委員会の専門的な職員でございます。
 すなわち、指導教諭は、学校の教員として自ら授業を受け持ち、所属するその学校の子供たちの実態等を踏まえまして他の教員に対して教育指導に関する指導、助言を行うと、こういう職でございます。一方、指導主事は、教育委員会の職員として当該教育委員会が所管をいたします学校全体の状況を踏まえまして、それぞれの学校の校長や指導教諭も含めた教員を対象として教育指導や学校の組織編制等の専門的な事項について、学校、校長、教員に対して指導、助言を行うと、こういう立場でございます。
 それぞれの教育委員会に置かれる職員、学校に置かれる職という、その点の職務を踏まえまして、各任命権者におきましてふさわしい方をそれぞれ指導教諭、指導主事に任命されることになるというふうに考えております。
#161
○山本香苗君 もちろんどういう形で任命するかというのは、我々があれやこれや言うわけじゃなくて、任命権を有する都道府県の教育委員会の方がしっかりと決めていくことになるんですけれども、この指導主事、いらっしゃるところは教育委員会と学校現場ですとか、そういう話ではなくて、その二つの関係性がはっきりしていないと、例えば給与の面であったりだとか、また実際その指導する場面においてどっちがどういうふうな形で責任持つのだとか、そういうことがあって現場で混乱するんじゃないですかということだったんです。
 衆議院からこの今日に至るまでのいろいろ議事録を読ませていただきましたけれども、その中で新しい職の役割や位置付けについては、まあ大臣、今、国はガイドラインのようなものを、局長は成功事例みたいなものをとおっしゃっていますけれども、そういうものをこれから示していきますよと御答弁をされておられますけれども、そのガイドラインのようなものを作る過程において、是非この指導主事と指導教諭といったところの役割分担とか責任とか、そういったものも明確にしていこうという視点も入れていただいた上で是非作っていただきたいなと思いますが、どうでしょうか。
#162
○政府参考人(銭谷眞美君) 指導主事と指導教諭につきまして、それぞれの職務の内容、それから具体の仕事の進め方等について、誤解のないように、周知については工夫をしてまいりたいと思っております。
 先ほど来申し上げておりますように、指導主事は、教育委員会の職員として学校を計画的に訪問したり、あるいは学校の要請を受けて訪問をして専門的な事項について校長や教員に対して指導、助言を行う。指導教諭は、学校の中の職員として、言わば指導のベテランといいましょうか、指導者として、自ら授業を行うとともに学校内の先生方に対していろいろな助言をすると。こういう立場を、それぞれの立場がよく分かるような周知の仕方について考えてまいりたいと思っております。
#163
○山本香苗君 今回新しい職を創設することによって、まあ役職が上の者が言うから正しいんだ、何も言えない、下の人が言えないとか、そういう雰囲気にはならないよう、またあくまで役割分担でお互いがそれぞれ力を出し合って、更に学校教育の充実がより一層図られるように十分配慮をしていただきたいと思います。
 また、午前中からも今日も何度も大臣御自身がおっしゃっておられましたけれども、教員の数というもの自体をしっかりと増やしていかなくてはならないなということを我が党としても感じておりますので、是非また年末に向けまして、大臣のしっかりとしたリーダーシップに期待したいと思っておりますので、我々もしっかりと頑張らせていただきたいと思っております。
 学教法のもう一つのポイントになりますのが、大学等の履修証明制度というものが入っておりますけれども、今回、大学や専門学校、高専などが特別な教育プログラムを履修した者に対して証明書を交付できるということになるわけでありまして、これ非常に期待をされているところでもございます。
 そこでなんですが、ここにおきまして履修しましたと、履修証明書、こういうものを出されたときに、これはいわゆる履歴書というものに対してどういうふうな形で記載をされて、それがどういうふうに扱われることを期待されていらっしゃるんでしょうか。
#164
○政府参考人(清水潔君) 履修証明制度についてのお尋ねでございますが、大学であれば学校教育法改正案第百五条により、当該大学の学生以外の者を対象とした特別の課程を編成し、これを修了した者に対して、修了の事実を証する証明書を交付することができるとするものであります。
 先生御案内のように、履歴書の資格欄にどのような事項を記載するかについては、法令上特別の定めがあるわけではありませんで、履歴書を何のために用いるかということとの関連で、一般的には自分のアピールとして有効かどうかという記載者の判断にゆだねられているところであると思われますが、基本的に、その場合に具体のプログラムとその履修証明が社会的に認知され、そしてそれが社会的にも評価されるということが重要な要素だろうというふうに考えております。
 したがいまして、文部科学省といたしましては、本制度の普及と同時に社会的評価を高めるためのそれぞれの資質の向上をどう図っていくかということにつきまして、この制度をお認めいただきますれば、その普及と同時に予算面での支援も行っていきたいというふうに考えております。
#165
○山本香苗君 成長力底上げ戦略、再チャレンジの取組の一環として進められているジョブ・カードという制度というものが今いろいろと議論をされておりますけれども、ちょうど昨日、それを実現するための具体的な施策を検討する構想委員会というものが初めて会合を持たれたということを伺いましたが、今局長の方からお話ありましたけれども、社会的にきちんと認知されると、いろいろ、就職だとかいろんな転職だとかそういうときに本当にこれがばねになるようなものというものになるのであれば、このジョブ・カードというものと大学等の履修証明制度というものがきちんとリンクしていくような形も考えていくことも一つ重要なことではないかと思っておりますが、これはどういう形でリンクさせていくというふうにお考えでしょうか。
#166
○副大臣(池坊保子君) 山本委員がおっしゃいましたように、昨日二十三日、ジョブ・カード制度について内閣府のジョブ・カード構想委員会というのが初めて検討会を開始いたしました。その中においては、ジョブ・カードは、フリーターや就職困難者、新卒者等を対象にして、職業能力形成に資する教育プログラムを履修した際、資格検定試験の結果や教育プログラムの履修歴などを記載する、そうすることによって求職活動を速やかに活性化していきたいということで今検討が進められております。
 今おっしゃいますように、履修証明書があっても求職にそれが結び付かなければ何にもなりませんから、今、学校教育法改正案第百五条によって履修証明制度というのが新たに創設されまして、大学、専門学校等が社会人等を対象として特別の課程を形成し、これを履修した者に対して履修証明を交付するわけです。で、しただけで終わってしまうのでは何の意味もないじゃないかとおっしゃることは確かにそうですので、これは社会的評価が得られるように、これから経済界などにも働き掛けてリンクをさせるような努力をしてまいりたいと思います。履修をした、これで終わりということには絶対いたしません。
#167
○山本香苗君 力強い御答弁、ありがとうございます。
 実際、ジョブ・カードに、副大臣がおっしゃられますように、ジョブ・カードに書き込んだとはいえ、それが実社会において本当に役に立つというか評価されるものにならなくてはいけませんので、内容が一番大事だと思います。制度運営については、国としては、大学と専門学校等で行われる創意工夫を生かすために必要最小限の枠組みだけをお決めなされるということでございますけれども、是非広く社会のニーズを的確にとらえていただきまして、きちんと社会で通用するものにしていただきたいと思っております。
 ちょっと行ったり来たりで申し訳ないんですが、先ほど局長、今回こういった形でやった場合、きちんとそういうふうな社会で通用するものになるように応援するために予算措置についてちょっと言及されましたが、もうちょっと詳しく教えていただけますでしょうか。
#168
○政府参考人(清水潔君) 平成十九年度の予算額として、私ども、社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラムというようなことで十七億六千万円を計上させていただいております。
 これは、正に先生御指摘がございましたように、そのためにどれだけ、まずその教育プログラムを体系的にどう構築していくかということにつきまして、そしてそれを質を高めるための工夫と併せて、関係の団体、例えば職能団体でありますとか地方公共団体、あるいは地場の企業等との連携を図り、その当該地域あるいは社会のニーズを十分踏まえた再チャレンジに資するような、そういうプログラムの研究開発実施を応援する、そのための予算措置を計上しているということでございます。
#169
○山本香苗君 是非、今副大臣からも力強い御答弁をいただきましたけれども、この大学等履修証明制度というのは、この団塊世代の方々がこの後、普通に会社を辞められた後にこういったことを地域の大学でやっていくということも非常に興味を持っていらっしゃるところもあると思いますし、本当に広く進めていただきたい、本当に実質的に社会で認知をされるものにしていただきたいと思っております。
 ちょっと再チャレンジという観点から関連した質問を最後にさせていただきたいと思っているんですけれども。
 平成十七年の四月からいわゆる高卒程度認定試験制度というのがスタートしておりますけれども、この試験につきまして、ちょうど去年の十一月に、教育特のときに、我が党の松議員が大臣にも御質問をしたと思うんですけれども、いわゆるこの高卒程度認定試験というのに合格しても、履歴書にはいわゆる中卒括弧高卒程度認定試験合格という形でしか、そういう形でしか書けない形にはなっておりますが、大臣も、最終学歴というところは中学、何々中学卒、ただし高卒認定試験合格ということは明記されて、それで高校と同じ扱いをするようには文部科学省として最大限の努力はいたしたいと思いますと御答弁してくださっているわけでございます。
 今回、このような再チャレンジの取組として大学等の履修証明制度だとかジョブ・カードというものもいろいろ出てきて、まあこれも大事だとは思うんですけれども、この高卒程度認定試験がより一層広く社会において高卒と同等の扱いがなされるということを図っていくことというのは物すごく重要なことじゃないかと思うんですが、文部科学省として高卒程度認定試験、これを今後どういう形で新たに推進するための取組をやっていただけるかということをお伺いしたいと思います。
#170
○副大臣(池坊保子君) 今、山本委員の御指摘のように、学校教育法五十六条一項では、高校を卒業しなかった人たちが大学受験ができない、これは困るということで、きちんとちゃんとした高卒認定試験合格というのを出しております。でも、この場合に、就職するときに高卒とは違うのではないかと、差別されるのではないか、そういうことがないように、関係機関や経済団体などに積極的に文部科学省といたしましても働き掛けております。
 平成十八年二月に、自治体や企業に対してアンケート調査を実施いたしました。この結果によりますと、この高等学校卒業程度認定試験というものに対する意識ですけれども、企業は、高卒と同様である、そういうふうな認識をしているのが四六・九%です。そしてまた、学歴で差は付けていない、つまり高卒とこの認定試験は同等とみなしているというのが七七%でございますから、これによって差が付いていることはないと思いますけれども、これからもそのようなことがないように適切な処理、積極的に企業、自治体に働き掛けてまいりたいと思っております。
#171
○山本香苗君 今日は学教法に関していろいろと枝葉も聞かせていただきましたけれども、いろいろとやり取りをさせていただきました。また、地教行法ほかの免許法につきましては別の、機会を改めまして質問させていただきたいと思います。
 終わらせていただきます。
#172
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 二回目の質問ということになりますが、今日は教育公務員特例法の改正案に盛り込まれております、いわゆる指導が不適切な教員の人事管理の厳格化という問題について質問をいたします。
 この指導が不適切な教員の人事管理という問題は、二〇〇一年の地方教育行政法の改正を受けて既に都道府県で行われております。今回それを厳格化をするということであるならば、この地方教育行政法改定以降の状況がどうなっているのか、これを十分に検証し、問題点を正すことが必要だと思います。
 そこで、まずこの指導が不適切な教員の定義の問題についてお聞きをいたします。
 これは、衆議院では定義について三点挙げられまして、そして精神疾患などはこの指導が不適切な教員には含まれないと、こういうふうに答弁をされておりますが、この点まず確認をしたいと思います。
#173
○政府参考人(銭谷眞美君) 精神性疾患などの心身の故障によるものであって、病状が回復せず、今後も職務遂行に支障がある場合には、長期休業を要する場合には、指導改善研修の対象とするのではなく、医療的措置によって対処すべきであると、こういうふうに考えております。
#174
○井上哲士君 定義に入らないということでよろしいですね。
#175
○政府参考人(銭谷眞美君) そのように考えております。
#176
○井上哲士君 私ども調べますと、この精神疾患など病気によるものも指導が不適切な教員だと定義しているところが全国で六府県三政令市あります。例えば、福島県は精神障害等により指導力を発揮できない教員。大阪府、疾病等により指導力が発揮できない教員。島根県、神経・精神疾患により教育活動に支障を来し人事上特別な措置が必要と認定された教員など、精神障害や疾病を明確に対象にしているわけですね。さらに、病気を対象としているか不明なものも十九県五政令市あります。
 この問題は衆議院でも私どもは指摘をしたわけでありますけれども、明確に定義には入らないという文部科学省の答弁があったわけでありまして、それと違う実態がある。これについては関係府県などに対して何らかの是正の措置はとられたんでしょうか。
#177
○政府参考人(銭谷眞美君) 文部科学省が行いました指導力不足教員の人事管理に関する取組状況調査という調査におきまして、指導力不足教員の定義に精神疾患や疾病等によりまして指導力が発揮できない教員を含めている事例は九府県市教育委員会でございました。
 その理由につきましては、これらの教育委員会に確認をいたしましたところ、いずれも、まずその教員の指導が不適切な状態について、その原因に関係なくまず幅広く対象とすると。その上で、認定の過程の中で、精神疾患等が疑われる場合は医師の診断を受けさせ、精神性疾患が明らかになった場合には、その教員は指導改善研修の対象とするのではなく、医療的措置を講じることとしているとのことでございました。すなわち、この場合、例えば地方公務員法の第二十八条第二項に基づく分限休職処分といったようなことになることが考えられるわけでございます。
 したがいまして、これら九府県市におきましては、いわゆる指導力不足教員の認定に当たりましては、精神性疾患の方は指導改善研修の対象としていないということでございましたので、これまでその定義の変更について指導は行っていないところでございます。
#178
○井上哲士君 これは本当に受ける教員の立場に立って考えていただきたいと思うんですね。
 今認定して、その後この研修の対象にはしないんだと、こういうふうに言われました。しかし、教員にとって教えるということは人格と人格でぶつかるわけですね。そこで、この指導が不適切な教員というふうに認定をされ、もう研修の対象の枠に入る、そのこと自身がプライドが傷付いて非常に大きなストレスになります。
 今、働く人の中に様々な精神疾患が広がっておりますし、教員の中にも非常に増えております。専門家に聞きましても、うつ的な症状が出るという人は、むしろ責任感が強くて頑張り屋の方、こういう方に出るというわけですね。そして、そのときに、医学的に一番やってはいけないことは、もっと頑張れと励ましたり、あなたの指導力が不足しているということであれこれ注意をすると。これは少なくとも精神疾患についてはむしろ症状を悪化をさせていくというのが大体医学的に言いますと私は到達点だと思うんですね。
 ですから、やはり定義そのものから外して、そして適切な医療を受けて病気を治せるような温かい対応をすべきだ、こう思うんです。そういう性格を持った問題だという、そういう認識は、局長、おありでしょうか。
#179
○政府参考人(銭谷眞美君) 指導改善研修が必要となる教員には、明らかに精神疾患である方は含まれないということは、先ほど来御説明を申し上げておりますように、現在においても各教育委員会においてそのような取扱いがなされております。
 文部科学省といたしましては、今回の法律案がお認めをいただきました後、教育公務員特例法の第二十五条の二に基づきまして、指導が不適切な教員の認定の参考となるガイドラインを作成をすることといたしておりまして、その中でこういったことを明らかにしてまいりたいと思っております。
#180
○井上哲士君 私は、やっぱり定義そのものから外すべきだと思います。
 しかも、精神疾患等が明らかな場合は研修の対象としていないというふうに言われましたけれども、私は、これは実態を把握されていないんじゃないかと思うんですね。
 私どものところにこのような訴えが参りました。
 これ、三重県の方でありますけれども、私は二〇〇四年度に指導力不足と三重県教育委員会に認定され、その年度一年間の指導力不足教員の校外指導力向上支援研修を受けさせられた者ですと。私と同じくその年度にその研修を受けていた十三人の教員のうち、少なくとも三人はうつ病のため休職したり病院へ通っていたりしていた精神疾患があった人で、そのことはもちろん教育委員会も現場の校長や市町村教育委員会からの報告や研修が始まってからの本人たちの言動からも分かっていたはずのことです。その三人のうち二人は、一年間の研修の後にも現場復帰が認められず、うつ病も治癒せずに、一人の方は入退院を繰り返す中で、睡眠薬を多量に飲んでの自殺行為までやってしまったと。この方は家族に発見されて幸い一命は取り留められたそうでありますけれども、私は、余りにも悲惨なことだと思うんですね。
 実際は、こういう精神疾患の方も研修の対象になって、うつ病の方も研修をさせられて、自殺未遂までもするようなことが実際起きているんじゃないでしょうか。なぜこういうことになっているんでしょうか。
#181
○政府参考人(銭谷眞美君) 個々具体の事例につきましてすべて承知をしているわけではございませんので、ただいまの件についてこうだと申し上げるのは難しいわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、指導改善研修が必要となる教員は、明らかに精神性疾患である者は含まれないということは、これはガイドラインを作成する中で明らかにしていきたいと思っているわけでございます。
 なお、今回の教特法の改正の中でも、任命権者は、指導が不適切な教員の認定に当たりましては、教育学、医学、心理学その他の児童等に関する指導に関する専門的知識を有する者の意見を聴かなければならないということを規定をいたしておりまして、医学的な観点からの専門家の意見、こういうものは十分に聴いた上で認定をするということになるわけでございます。
 したがいまして、冒頭申し上げましたように、精神性疾患が医師の診断等によりまして明らかになった場合は、その教員は指導改善研修の対象とするのではなくて、医療的措置を講じるということになるわけでございます。
#182
○井上哲士君 この問題は実は二〇〇一年の地教行法の改正のときにも随分議論になり、その後、施行に当たっての通知でも対象に入らないんだということは明確に書かれているわけですね。しかし、実際に都道府県が出しているこの定義の中には幾つかのところでは書かれていると。そして、研修には実際やっていないんだと言われましたけれども、私たちのところにはそれとは違う実態の告発もあるわけです。
 ですから、こういう状況をやはりそのままにしたまま今回の法改正というのは、私はとんでもないことだと思うんですね。やっぱり精神疾患や病気の方はそもそもこの定義に入れないんだ、そしてもちろん研修の対象にしないんだということを私は更に厳格にしっかり徹底をし、指導をするべきだと思いますけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。
#183
○国務大臣(伊吹文明君) 今、参考人とのやり取りを聞いておりまして、文部科学省としては精神疾患の人は含まれないということを明確に言っておるわけでございますから、二十五条の二に基づく指導が不適切な教員の認定の参考になるガイドラインを出すときに、今政府参考人が申したことは明確にすべきことだと思っております。
#184
○井上哲士君 具体的には、このガイドラインはどのようなことをお考えなんでしょうか。
#185
○政府参考人(銭谷眞美君) 法案がお認めいただきましたときに、任命権者の参考となるようなガイドラインを作成をすることとしておりますけれども、ガイドラインの具体的な内容につきましては、例えば指導が不適切な状態の認定基準でございますとか、指導が不適切な教員の認知、申請等の手続、指導改善研修の意義や方法等、あるいは指導改善研修終了後の措置などの事項につきまして盛り込むことを今考えております。
#186
○井上哲士君 制度の大枠がつくられましても、先ほど申し上げましたように、地教行法の議論のときには違うような実態が起きているわけですから、私、もう少し具体的な中身を示していただかないと今回の法改正自身の議論にも堪えられないと思うんですけれども、もう少し更に具体的なことを答弁願えますか。
#187
○政府参考人(銭谷眞美君) 指導が不適切な教員に対する人事管理の今回の法制化に伴いまして、全国的な教育水準の確保を図る観点から、認定基準等関連する仕組みの在り方を提示するために、私ども調査研究会議を設けましてガイドラインを作成をしていきたいというふうに思っております。
 まだ今後ガイドラインの内容については詰めていかなければなりませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、ガイドラインといたしましては、指導が不適切な教員の人事管理システムの趣旨及び経緯でございますとか、全国的な取組の現状と課題とか、あるいは指導が不適切な状態の認定基準でございますとか、指導が不適切な教員の認知、申請の流れでございますとか、指導が不適切な教員の認定及び判定のための専門家の会議の設置についてでございますとか、指導改善研修につきまして、その計画あるいは研修の期間、内容、指導方法等について、さらには指導改善研修終了時の認定、指導改善研修終了後の措置といったようなことにつきまして、法の趣旨を踏まえたガイドラインを作成をしていきたいと、こう思っているところでございます。
#188
○井上哲士君 もう少し詳しい中身を出していただかないと、一体どういう運用がされるのかさっぱり見えてきません。大体、二〇〇一年以降のこの間の取組の中でも、先ほど来問題点を言いましたけれども、認定基準、手続自身もやはり不明確、不透明だと思うんですね。
 先ほど三重の方の手紙を紹介をいたしましたが、続けてこう書かれておりまして、私も現場復帰が認められずに退職に追い込まれたのですが、県教委に情報公開を求め、担当者に聞いて、その理由を明らかにさせても、基準に達しなかったとのことだけで、私の指導力の中でどの分野がどの程度不十分なのか明確にならなかったと、こういうふうに言われております。この方は、私は日の丸・君が代にも反対したことがあるからと、こんなことも言われておりましたが、そんなことが不適切教員の認定の中であれば重大なことでありまして。
 大体、この指導不適切というふうに認定をされ、現場から離れるなど評価をされ、そして研修する、このこと自体が教員にとって私は不利益になると思うんですが、不服申立てということができないということにもなっております。
 ILO、ユネスコが教員の地位に関する勧告を出しておりますが、その四十五号で、教職における雇用の安定と身分保障は、教員の利益にとって不可欠であるということは言うまでもなく、教育の利益のためにでも不可欠なんだと、こういうふうに言っております。そして、六十四号の教員の評価については、教員の仕事を直接評価することが必要な場合には、その評価は客観的でなければならず、またその評価は当該教員に知らされなければならない。そして、教員は、不当と思われる評価がなされたときに、それに対して不服を申し立てる権利を持たなくてはならないと、こういうふうに言っております。
 今の三重の方の訴えもありましたけれども、理由が明確に示されない、そして不服の申立てができない。私はこの勧告に反する内容だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#189
○国務大臣(伊吹文明君) まず、先生、私も身体障害者の人たちの団体の会長をボランティアでやっていますが、知的発達障害とか身体障害というのは非常に外見的に分かりやすいですよね。しかし、精神障害があるかどうかというのは、本人もはっきりおっしゃらないし、なかなか客観的に、あるいはその日の状態によって認定しにくいということはあると思います。
 ですから、先生がおっしゃっているように、そのことを理由に不適格教員とするということは、参考人が申しましたように、あり得ないことなんですが、不適格教員とした後、精神障害、精神疾患があったと分かった場合の扱いをどうするかということについては、先ほど来御答弁しているとおりだと思います。したがって、その辺のことはガイドラインを書くときにきちっと書き分けてやらせるようにしたいと思います。
 それから、今の不服の申立ての件ですけれども、先ほどこれも参考人が申しましたように、本人から意見を聴く、同時に専門家や保護者からの意見を聴くという客観性の担保ということは、これはもう必要不可欠のことでありますが、同時に、教職にある方は、これは地方公務員法の四十九条の二の当然対象になりますから、御承知のように、人事委員会あるいは公平委員会というんですか、への申立ては当然できるということじゃないでしょうか。
#190
○井上哲士君 その研修対象になった時点で教員にとってはこれは大変な不利益処分になる、しかしその研修対象になったこと自体については不服申立てができないのは問題ではないかと、こういうことを申し上げているんです。
#191
○国務大臣(伊吹文明君) 研修対象になったことが不利益かどうかは、これは先生、むしろ研修対象になって研修をお受けになって、職場へ復帰できる道が開かれるわけですから、そのこと自体が不利益だとは私は考えておりませんけれども。
#192
○井上哲士君 最初にも申し上げましたように、教員にとってこういうそもそもの認定がされること自体がやはり大変な問題なわけです。そして、それに対していろんな意見がある、これはやっぱりしっかり聴く場というのは、これは制度としてやっぱりつくるべきだと思います。
 時間もありませんので更に進めますが、この認定だけじゃなくて、研修の中身もいろんな問題があります。
 ある県の研修実態を、受けた方の報告書を見て非常に驚いたんですが、テーマは主催事業による補助的業務と環境整備作業ということをこの認定を受けた方が研修を受けているわけですね。中身見ますと、アシ原遊歩道の造成、カニ観察の遊歩道を所員と一緒に百メートル前後造成したと、しりもちをついたり、長靴に水が入ったり、鼻水が出たり、まるで土木工事のようだったというように書かれて、さらに花の除去、リヤカーの荷台、外枠の作成、雪かき、倒木の運搬と焼却、テーブルの作成、自転車の点検、野鳥観察所等の撤去、土管の点検と移動と。
 これが指導力不足教員の研修と果たして呼ばれるのかどうか、見せしめであり懲罰ではないかという私は思いもするわけですが、文部科学省としてはこのいわゆる指導が不適切という教員の研修とはどうあるべきだとお考えなんでしょうか。
#193
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の教育公務員特例法の改正案におきましては、第二十五条の二第三項におきまして「任命権者は、指導改善研修を実施するに当たり、指導改善研修を受ける者の能力、適性等に応じて、その者ごとに指導改善研修に関する計画書を作成しなければならない。」と、こういうふうに規定をいたしております。
 具体的な研修の内容は、私どもが一律にどのようにあるべきかを示すということでなくて、個々の教員の状況に応じまして各任命権者が適切に定めるべきものと考えております。
#194
○井上哲士君 このような土木作業が指導力不足を解消するための研修として適切だと私にはとっても思えないんです。
 研修の中身はこれだけじゃありませんで、様々な声、私どもへ寄せられておりますが、これもまた別な方の訴えでありますが、研修の不当性は山のようにありますと言った上で、研修の中身のつらさ、毎日のように駄目教師だと責められ、自尊心をずたずたにされました、復帰される判定を行政が握っていて、これで復帰できると思っているのかと従順になるように締め付けます、とにかく人権無視の言動ばかりの毎日で、今でも急に研修の醜さを思い出し、落ち込むことがあります、トラウマがかなり深くあることを感じます、周りの職員にも研修に行かされるかもしれないと恐怖心を植え付けているのを肌で感じますというのが私どもに来た訴えでありました。そして、この中で、教師を辞めろと言われたことも度々ありましたというふうに述べられているわけですね。
 私は、このように様々その現場の中で人権無視と思われるようなことがやられている、トラウマとなるほど厳しいことがやられてきた、こんなことが決してこの教員の指導力向上に役立つ研修としてはとっても思えないわけですね。
 大臣、現に今行われているこういう研修というものがどうなっているのかということをしっかり調べて、やっぱり不適切なものを正すということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#195
○国務大臣(伊吹文明君) 今先生がおっしゃった実態があるのかどうなのかは、ちょっと私は定かにしておりませんので参考人からお答えをさせますが、研修の内容というのは基本的には各教育委員会が考えてやることですけれども、余りにも、先生がおっしゃったのが真実であればですよ、そのことだけがすべての研修であれば、それはやっぱり適当じゃないでしょうね。しかし、今おっしゃった研修以外にいろいろなものが組み合わされているんじゃないでしょうか、実態は。その辺りは参考人がもし知っておればお答えをさせてやっていただきたいと思います。
#196
○政府参考人(銭谷眞美君) 先生御指摘のような研修については実は承知をしてないわけでございますが、研修の内容の是非につきましては、やはり研修全体のプログラムを見て判断をする必要があって、一概に評価をするというのは難しいところがあろうかと思います。
 今、私どもが把握をしております指導改善研修の実施方法につきましては、個々の事例の程度や内容に応じて様々でございますけれども、各都道府県ではおおむね以下のように実施をされているというふうに私ども受け止めております。
 まず、教員研修センター等におきまして、指導担当教員等が当該対象となった教員のために適切な研修計画を立てると。その教員は、この研修計画に沿って、例えば指導方法に関する知識が不足するとされた者については具体的な指導方法に関する講義の受講とか、こういったようなことを経まして、校長や指導主事が付き添うなどの一定の条件の下で学校での授業に補助的にかかわってその指導力の改善状況を確認をすると。さらに、必要な内容について研修を行い、一定の受講期間をまた経まして、再度学校での授業にかかわると。こうした取組を実施をして、最終的には任命権者が専門家等の意見を参考にして研修終了後の措置について決定を行うといったようなやり方で指導改善研修が行われていると承知をいたしております。
 文部科学省としては、この法案をお認めいただければ、研修の内容というのは先ほど申し上げましたように任命権者の責任において作成をし実施をするわけでございますけれども、各都道府県等において取り組まれている指導改善研修の内容も踏まえながら、各任命権者の参考となるような、そういうガイドラインの中で、そういう指導改善研修の内容についても提示をしていきたいということを今検討しているところでございます。
#197
○井上哲士君 研修の全体の枠は今お話がありました。しかし、その中で現実に私どものところに様々、先ほど申し上げましたようなおよそ指導力向上に結び付かないような研修が行われているという実態を私ども聞いているんです。
 ですから、やっぱりしっかり調査をしていただいて、もちろん個々まですべて国が決めるということではないと思います。しかし、こういう不適切なものについてはやっぱり正していくということを是非やっていただきたいし、こうした問題が改善をされないままに、とにかく人事管理の厳格化ということが行われますと、運用によれば大変なやはり事態ということになるわけでありますから、こういうことの問題を改めて指摘をいたしまして、時間ですので質問を終わります。
#198
○委員長(狩野安君) この際、お諮りいたします。
 委員外議員亀井郁夫君から学校教育法等の一部を改正する法律案外六案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。
 それでは、亀井君に発言を許します。亀井郁夫君。
#200
○委員以外の議員(亀井郁夫君) どうもありがとうございます。
 国民新党の亀井でございますが、ただいま皆さん方の御好意によって発言の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。久しぶりに文教科学委員会で発言できるということで本当にうれしい限りでございますけれども。
 最初に、教育免許のことに絡んで一つ問題提起したいのは、無免許の問題です。去年の暮れに、教育基本法の問題に絡んで質問したことがあるんですが、そのときにはちゃんとやっていますよという話だったんですけれども、非常に今問題がありますので、このことについてちょっとお聞きしたいと思うんです。
 教師の資格というのは、言うまでもなく、教師一般として資格が与えられるんじゃなくて、特定の教科ごとに与えられるわけですね。だから、それ以外のものについては、ただ、教育職員免許法によって、附則二条ですか、当該学校の校長及び教諭の申請によって、一年以内に限り、当該教科の免許を持たぬ者が担任することが認められるということになっておるわけですけれども、事実は一年以上になっているとかいうことで、また全然申請されていないと。校長先生が県の教育委員会に隠しているというケースが非常に多いものですから、こうした事実についてどうお考えなのか。広島の場合もそういう事実がありましたので、このことについてどうお考えか、大臣にお尋ねしたいと思います。
#201
○国務大臣(伊吹文明君) 広島の事例は、基本的にはやはり広島の教育委員会がきちっと措置されなければいけないことだと思いますが、先生はもうこの分野の御専門なのでよく御承知のように、免許法の附則の二項ですね、これは、各都道府県教育委員会は、校長及び教諭の申請により、一年以内の期限に限り、今おっしゃったように、免許状を有していない教諭が教科の教授を担当することが許可できるということが書いてありますので、今先生がおっしゃったように、一回の申請であるにもかかわらず、一年を超えて担当させたりするようなことはもうこれは全くの法令違反であって、厳正に対処していただかなければなりませんし、法令遵守義務違反ということで関係者を処分するということは広島の教育委員会当然できるわけですから、これはきちっと対処していただくべきだというのが文部科学省の公式の見解と理解していただいて結構です。
#202
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 今、大臣のお話を聞いて安心しましたが、広島では二年前にこの問題が、ある心ある先生の告訴によって発覚しまして、それで県全体として調べて、ある程度是正されて、そして処罰も行われたんですけれども、文科省の方にそのことが報告があったのかどうかよく知りませんが、それは報告ありましたですか。
#203
○政府参考人(銭谷眞美君) 広島県におきまして、過去に県立高校において免許外申請を怠っていたということがあったことについては報告を私どももらっております。
 それで、昨年十一月の二十八日でございましたですか、教育基本法に関する特別委員会におきまして、先生から無許可の免許外教科担任にかかわる御質問がございました。
 私ども、ただいま大臣からも御答弁ございましたように、一年以内の期間を限って免許状を有しない教諭が教科の教授を担当することを許可できるわけでございますので、その許可を受けないで無許可の免許外教科担任という実態があればこれは大変遺憾なことでございますので、先生の御質問の後、実態把握のための調査を行いました。それで、その結果、広島県以外で四県で無許可で免許外教科担任が行われていたということが明らかになりました。
 それで、文部科学省といたしましては、これらの県に対しまして速やかに免許外の許可申請を行うように是正指導、是正のための指導を行いまして、これら四県におきましては今は許可を得て免許外の担当をしているということになっております。
#204
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 今のお話で四つの県が分かったということでございますけど、この問題は去年問題になった未履修の問題以上に問題だと思うんですね。無免許でやるということは、内科の医者へ行って外科の手術をしてもらうのと同じようなことですからね、教えてもらう子供がかわいそうですから、これは真剣にやらなきゃいけない問題だと思いますけれども、そういう意味では、先日の有村先生が出された資料を見ましても随分県によってばらつきがありますけれども、こんなに数がばらつくのはおかしいんだと文部科学省は思わなきゃいけないと思いますね。過疎地の学校においては当然先生の配置が十分じゃないから一年間の猶予を得てやるケースが多いと思うんですけれども、この問題については文部省を挙げて真剣に取り組んでもらわなきゃいけないと思うんですが。
 そういう意味で、四つの県が分かったというんだけれども、その後どうなっているか、そういうフォローはしておられるんですか。
#205
○政府参考人(銭谷眞美君) 四つの県と申しますのは、免許外教科担任の申請を怠っていた事例があった県でございます。ですから、免許外教科担任を行う場合には許可が要るわけでございますので、その許可を取っていなかったというのが四つの県で事例があったということでございまして、これらの県におきましては私ども指導いたしまして免許外の許可申請というのは今は行われております。
 問題は、この許可をもらいながら、許可をもらっているわけではございますが、免許外教科担任の許可件数自体が、ただいま先生お話がございましたように、少なからずあるということでございます。
 それで、数につきましては、例えば公立の中学校における免許外教科担任の許可件数は平成十七年度では九千七百二十件ございました、公立の中学校でございますけれども。この数につきましては、高等学校の方が十七年度は三千四百三件ということでございまして、中学、高校合わせますと一万三千百二十三件、平成十七年度、免許外教科担任の許可の件数としてはあったということでございます。これは年々数としては減ってはきております。減少の傾向にはあるわけでございますけれども、へき地や小規模等の事情でその教科担当の教員確保が困難な場合の例外的な措置として各県で許可をしているという実態でございます。
 こうしたやむを得ない場合を除き免許外の教科担任の解消に努めるよう私ども各都道府県の教育委員会に対しましていろいろと指導を行ってきているところでございます。内容といたしましては、許可に係る具体的な審査基準を定めまして、申請許可の手続及び運用を適正に行うこと、計画的な人事配置、非常勤講師の配置などの措置を講じること、校務分掌、授業時間数の配分の工夫等によりまして、免許外教科担任の解消に向けた教育委員会の取組を促しているところでございます。
#206
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 今の例ですけど、北海道なんか千八百件も挙がっているんですよね。それに対して、広島県でも十三件、隣の鳥取県で五件。鳥取県の五件なんか考えられませんよね。さっきの四県の中に入っているかどうか知りませんが、佐賀県も五件ということで、こんなに大きな差があるということは不自然だと思うんですね。財政的に非常に厳しいからという面もあるんでしょうけれども、本来先生を配置しなきゃいかぬところに、鳥取県なんかは十分に配置しているということですけど、本当に数の少ないところは十分先生を、免許のある先生を配置しているんですか。考えられませんね。どうですか。
#207
○政府参考人(銭谷眞美君) 私ども、先ほど申し上げましたように、人事配置、非常勤講師の配置などの措置によりまして、免許外教科担任の解消に各都道府県それぞれ御努力いただいているところでございます。引き続き、その解消に努めるように私ども更に促してまいりたいと思っております。
 今御指摘の県につきましては、さらに、どういう解消にお努めいただいてきているのか、そういった実情をむしろ把握をしてみたいと思っております。
#208
○委員以外の議員(亀井郁夫君) ひとつ、よく注意してこれやってください。というのは、一部のマスコミではこの問題をキャッチして、未履修以上の問題だと、この次の大きな問題なんだと言って取り上げようとしているところもありますよ。そういうことですから、是非とも真剣に取り上げてやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それで次に、教育委員会の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、教育の問題は今各県の自治事務になっておりますけれども、大臣、これでよろしいと思われますか。
#209
○国務大臣(伊吹文明君) この点については先ほど蓮舫委員ともう少し議論をしたかったんですが、その時間が得られませんでしたんですが、これは先生、いろいろな考え方がございます。
 民主党の案も教育の責任は国にあるとありますから、本来この考えを貫いていけば、一番分かりやすいのは、かつて西岡先輩が我が党におられたときに我々が教えてもらったように、義務教育の教員は国家公務員にすべきなんです。これは国がすべてやるということですね。
 次に考えられるのは、国が責任を持って、そして民主党案のように知事にやらせるという場合は、これは国に責任がある限りは法定受託事務でなければならないんですね。法律によって国の本来の仕事を地方に渡すと。すると、法定受託事務の中でどの程度地方自治として変化というか色を付けられるかということは、極めてやっぱり私は地方自治との間では難しい問題が起こってくると思うんですね。だから、国に教育権がある限り、知事がこれを行うというのは、本来、私はやはり少し自己矛盾があるんじゃないか。ここのところは、民主党の北神さんという衆議院議員が、衆議院の審議のときに非常に整理をしたいい議論をされました。私は感銘を受けて聞いたんですが。
 そうすると、我々の事務は、過去からの、我々の提案している今の法構成は、地方自治事務という従来の流れを前提にしながら、しかし国の是正あるいは指示権を出しているわけですから、先生がおっしゃっているように教育権が完全に国にあるという前提に立てば非常にあいまいな提案ですね。ですから、教育基本法にも、そして学校教育法にも、それから地教行法にも、それを貫く精神というのは教育が国と地方との分担によって行われるという書き方を取っているわけです。
 だから、立法論としては私はこれで筋が通っていると思いますが、地方自治事務というものについて先生的感覚でいけば、教育権が国に本来あって、もっと国が表に出てしっかりやれという意味からすると、地方自治事務という事務の置き方は極めて国の指導力を発揮しにくい事務分担になっているということ、これは法律論としていえばおっしゃるとおりです。
#210
○委員以外の議員(亀井郁夫君) そういう意味では非常に問題があるところですから……
#211
○国務大臣(伊吹文明君) いやいや、それは先生のお考えからいえば問題があると。
#212
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 問題がある。だから、大臣の立場に立ってもいろいろ意見のあるところですから。
 こういう問題を、むしろ自治事務かどうかということで、今から考えると、十一年ですかね、地方分権推進法が提案されたときに直されたんですよね。私なんか出たばかりの国会議員でしたが、これはおかしいということで随分議論したものですよ。そうしたら、有馬大臣だったけれども、もう全然変わりませんと、従来どおり変わらないんですという話でやられましたけれども。
 やっぱり今、これは教育の問題は、防衛の問題や外交の問題なんかと同じように国が責任を持つべきものなのかどうなのかということをもう一回よく考えて議論して決めるべきではないかと私は思うんですけれども、そうすれば筋道がずっときれいに立つわけですよね。
#213
○国務大臣(伊吹文明君) 先生の政治理念とお考えからいうと、御主張どおりだと思います。しかし、ここにいらっしゃる各党いろいろ御意見があるところで、国民にもいろんな議論がある中で、国と地方が分担をしながらやるということが決まっているわけでございますので、先生の御意見は御意見として筋の通った御意見だと思います。
#214
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 次に、自治事務だとした場合にはなかなか国として容喙できないと、事の内容について容喙できないというところがありますけれども、どの程度まで容喙できるのか、御意見を伺いたいと思います。
#215
○国務大臣(伊吹文明君) これは一般論としていえば、地方自治法という地方自治の基本法がございますから、この中では自治事務については是正要求ができるという一般則が書かれております。
 しかし、それ以外に、自治事務であっても各法律によって国会の承認を得て書かれた場合には、是正要求を各法に移して自治事務の範囲内で要求ができるということと指示ができるということとがございます。したがって、現在提案している法律は、地方自治事務の一般則によるのではなくて、地教行法という個別法による文部科学大臣の是正要求と指示ということをやらせてほしいということを国会にお願いしているわけでして、この今回お願いしている特に是正要求は、地方自治法による一般の是正要求とは違って、具体的にここを変えてほしいということを付記して地方教育委員会にお願いをすると。そして、それをやったということを、地方教育委員を任命された自治体の長と、そしてそれを承認された地方議会に通知をして、皆さんが選ばれた教育委員会はこういう是正要求を受けておられますよと、地方自治の力を発揮してしっかりやってくださいということが付いている。
 一般則は、是正要求をした場合に、それにこたえるかこたえないか、またどういう内容なのかということについては要件がないんです。だから、今回そこは割に細かく書いて法律でお願いをしているということです。
#216
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 今を去る九年前ですか、平成十年に是正指導が行われて、広島県のひどい教育もようやく今いい方向に動いておりますけれども、これは文科省のおかげだと思いますけれども、ただ、是正の要求か、それから指示だとかいろいろできるんだけれども、これに対する担保をどういう形で求めていくかということが法文上はっきりしているといいと思うんだけれども、どう見てもその条文がないものだから、これについてはどのように考えたらいいんでしょうか。担保ですね。
#217
○国務大臣(伊吹文明君) 一番の担保は先ほど民主党の蓮舫先生とやり取りをしたことに私は尽きると思うんですが、今回お願いしているのには必ず地方議会の力を期待しているわけですね。ですから、地方議会にもその内容を通知をいたしますので、自分たちの承認した教育委員会がそのような状態であるということについて地方自治の自浄能力を発揮していただくというのがやっぱり担保の一番の穏やかな、しかし一番重要なポイントだと思っております。
#218
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 実際に今、指示なり要求があった場合に、それに従って教育委員会がちゃんとやってくれればいいんですけれども、教育委員会によって全く無視してやるというところもあるんですね。
 私の経験では、文科省が非常に優秀な県だと言われた兵庫県ですね、兵庫県は立派な県だと思っておったら、とんでもない。文科省から事務次官が通達を出したら、全く逆の通達を配っていると。中身は例の学校評議員制度の問題とそれから学校の職員会議の問題でしたが、職員会議は校長先生の上にあったんだけれども、それはいかぬと、下にしなきゃいかぬということと、学校評議員は校長先生が自由に選べるわけですよね、そういうふうにやりなさいというのを、従来どおり職員会議は校長先生の上にしなさいと、そしてまた職員会議の議を経て学校評議員を選びなさいといって出しておったのが、文科省知らなかったんですが、それが全部通知出しておったんですよね、県の教育長は。それじゃおかしいじゃないかといって問題にして、それで直してもらったのが、あれ平成十三年か四年か、そのころですけれどもね。
 例えば、北海道に行ったときも、北海道の教育長も、当時は通達を出すんですよね。出すけれども、同じ日に課長が全く逆の通達を出すんですからね。それで、みんな課長に従ってやるというようなことをやっているのが分かりましたけれども。
 やはりそういう意味で、よくよく見ていかないと、文科省は何も知らないうちにやられているというケースがあると私は思うんですよ。そういうことについて、ひとつ。
#219
○国務大臣(伊吹文明君) 教育行政に大変通暁しておられる亀井先生の御経験からの御発言ですから拳々服膺させていただきます。
 それで、今おっしゃった例は、やはり助言、援助の範囲の中のことであったと思うんですね。助言、援助というのは、やはり先ほど来お話があったように、未履修の問題だとかいじめの問題だとか言われたときも、私はどうも靴の上から何かかいているような気がすると言ったのは正にそういうことなんですよ。
 しかし、今回は法律に是正要求と指示ということを明記するわけですから、これが発動されたら新聞にもうでかく出ますよ、当然。そして、国会でも大問題になりますよ。それでもなお、今先生がおっしゃっているようなしたたかなことをやるような教育委員会がいたら、よっぽどのものですわ、それは。そんなことを許している地方住民がいたら、水岡先生のお地元でそんなことは私は起こり得ないと思いますけれどもね。
#220
○委員以外の議員(亀井郁夫君) そういうことがあっては困るんですけれども、戦後六十年たったときに、まだまだそういう教育委員会が現実にあるということで、そのことを問題にしたい、指摘したいんですよね。こういうことで自治事務だということで割り切るんなら、逆に思い切って県知事の仕事だということにすれば、逆の言い方ですよ、そうしたらむしろ、地方が責任持ってやるんですから、もっと真剣にやるんじゃないですか。この辺、どうですか。
#221
○国務大臣(伊吹文明君) それは、亀井先生、先ほどの民主党の蓮舫委員とのやり取りにあったように、民主党案には民主党案のいいところはあります。それは私、認めているんです。しかし、欠点もあるんですよ。それと同時に、今の我々の提言しているのも、いろいろまだるっこしい、不十分なところがあるんですよ。それでもそれを受忍というか、我慢しながらでも守らなければならないものがあるということなんです。
 ですから、先ほど、一番最初にお話ししたように、国に教育権があるということを明記されているということは一つの考え方として非常に筋が通っているんですよ、民主党の案は。しかし、それであれば、法定受託事務である知事に渡して、知事の力に期待し、地方自治の力に期待するというのは自己矛盾じゃないかと。知事に渡す限りは、これは国家公務員にしろという西岡先生のお話の方が筋としてはきちっと論理が立つんですよ。ですから、知事に渡すということは、やはり国会の中で選ばれる総理と違う権限を持っているわけですからね、直接選挙で議会とは別に選ばれてくるわけですから。これは先生、やっぱりよほど慎重にしないと私はいけないと思いますね。
#222
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 分かりました。
 それで、今、教育委員会が気の毒なのは、予算権もなければ人事権もない。県の教育委員会は人事権を持っていますけれども、市町村の教育委員会は全く人事権はない。そうすると、教育委員会といってまとめて言っているけれども、県と市は違うんですけれども、しかしそういった委員会の在り方が、人事権も予算権もなくて執行権だけあるというふうな変な形になっているので、なぜなのかと思って法文探してみたんですけれども、これまた分からないんですよね、僕には。あれ、大臣、どう考えておられるんですか。
#223
○国務大臣(伊吹文明君) やはり、それは教育委員会の地方行政組織としての特例というんですか、国家公安委員会も同じ立場だと思うんですけれども、警察予算の編成権と執行権も基本的には知事が持っていますよね。ですから、予算というのはやっぱり地方自治の建前から一か所に集中をして、そしてそれを住民代表である議会が承認し、その執行を監視するという建前の中で教育委員会も一つの行政の執行機関として位置付けられているわけですね、第三者機関ではあるけれども。ですから、それは確かにある意味ではおかしいねと。
 しかし、それ、さっき言ったように、ある面では先生のおっしゃっていることは正しいけれども、ある意味ではまた困った問題が生ずると。さっき私が申し上げたのと同じことで、教育委員会に人事も予算もすべて集中するというやり方を取りますと、これは教育委員もすべて選挙で選ばなければならないし、地方には二つの自治体ができるということになるわけですよ。それはやっぱりどうだろうなということで、結局今のような仕組みになっている。まどろっこいことがあることは、私は全く先生と同じように考えております。
#224
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 大臣と同じような考え方、似たところあるものですからなんですけど。
 予算権も人事権もないというところで、予算権について、設備投資なんかは知事に任してもいいかもしれぬけれども、だけど普通の執行業務に絡む日常の予算については、直接委員長が議会に提案するぐらいの主体性を持って責任持ってやるようなことを考えたらいいと思うんだけども、それについては今回提案されてないからね。どうでしょう。
#225
○国務大臣(伊吹文明君) これは、亀井郁夫先生の政治理念に基づけば今のような御提案は一つの流れとして出てくると思いますが、これは地方行政の在り方、地方自治の在り方の根幹にかかわることでございますので、一つの御提言として伺わせていただいておきたいと思います。
#226
○委員長(狩野安君) 時間です。
#227
○委員以外の議員(亀井郁夫君) 今日は狩野先生、ありがとうございました。
#228
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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