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2007/03/15 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第4号
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2007/03/15 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第4号

#1
第166回国会 財政金融委員会 第4号
平成十九年三月十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     岡崎トミ子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         家西  悟君
    理 事
                沓掛 哲男君
                中川 雅治君
                野上浩太郎君
                大久保 勉君
                峰崎 直樹君
    委 員
                泉  信也君
                金田 勝年君
                椎名 一保君
                田中 直紀君
                舛添 要一君
                山下 英利君
                池口 修次君
                尾立 源幸君
                岡崎トミ子君
                富岡由紀夫君
                平野 達男君
                広田  一君
                円 より子君
                西田 実仁君
                山口那津男君
                大門実紀史君
   国務大臣
       財務大臣     尾身 幸次君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        山本 有二君
   副大臣
       内閣府副大臣   大村 秀章君
       財務副大臣    富田 茂之君
       経済産業副大臣  山本 幸三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤澤  進君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      竹林 義久君
       金融庁総務企画
       局長       三國谷勝範君
       金融庁監督局長  佐藤 隆文君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局長      内藤 純一君
       金融庁公認会計
       士・監査審査会
       事務局長     振角 秀行君
       法務大臣官房審
       議官       三浦  守君
       財務省主計局次
       長        松元  崇君
       財務省主税局長  石井 道遠君
       財務省国際局長  篠原 尚之君
       国税庁次長    加藤 治彦君
   参考人
       株式会社東京証
       券取引所代表取
       締役社長     西室 泰三君
       日本銀行総裁   福井 俊彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (財政政策等の基本施策に関する件)
 (金融行政に関する件)
○平成十九年度における財政運営のための公債の
 発行の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告申し上げます。
 昨日、大塚耕平君が委員を辞任され、その補欠として岡崎トミ子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査並びに平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省主税局長石井道遠君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として株式会社東京証券取引所代表取締役社長西室泰三君及び日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(家西悟君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○沓掛哲男君 皆様、おはようございます。
 今日は、先日の尾身財務大臣、山本金融大臣の所信に対して質問をさせていただきます。ただ、尾身大臣の方はこれから日切れでも四法案ございますので、同僚議員からもたっぷり質問しますので、山本大臣の方からさせていただきたいというふうに思います。
 まず、大臣の所信に沿った形での質問を始めたいと思います。
 所信において一番最初のカテゴリーにおいて、「我が国の金融システムをめぐる局面は、不良債権問題の正常化を達成し、」と非常に格好よく大上段の構えで出ておりますけれど、これについて少し質問したいというふうに思います。
 さて、さきにバブルが崩壊しまして、株価や地価の高騰で最も痛手を受けていたのは都市銀行を始めとする銀行でした。多額の不良債権を抱えることとなり、その対策として政府は平成十年から十五年までに公的資金による資本増強を図りました。資本増強したその総額は幾らですか。そして、現在までに幾ら返済されておりますか。そして、残りの返済はどうなるんですか。見込みだけでも結構ですから、述べてください。
 続いて、銀行の不良債権の処理は、銀行の努力もありますが、それ以上に今申し上げたような政府の特別の支援があったればこそであり、それによって現在、大手銀行は過去最高益を上げておりますが、法人税はどれぐらい納めているのでしょうか。
 さて、一般の会社が倒産の危機に瀕したときの国の支援と余りにも格差があるのではないですか。日ごろの従業員の処遇、給与あるいは宿舎の提供などにおいても随分差があるように思いますね。ただ、それでも、昔の私たち若い時代から見れば差は少し狭まったかなと思うんですけれども、正に銀行天国というのが日本の状況じゃないかと思います。
 そこで、質問いたします。この銀行と一般会社に対する政府の支援の格差について、政府はその説明責任を、また、大手銀行がそれを自覚して職務にちゃんと当たるよう指導責任をきちっと果たしてもらいたい。何か銀行天国のようで、立派なところに住み、そして借りに行くと、偉そうにとは言いませんけれども、職務を果たすために一生懸命やっておられるんでしょうけれども、やっぱりこういう国民の税金、そういうものを使ってみんなで支援してきたんだから、それにふさわしいような態度を取ってもらいたいな、そのための金融庁の指導というものをお願いしたい。
 それから二番目、ここが大事なんですけれども、我が国では経済の血液と言われる資金の供給が主に銀行で行われているので、銀行への特別の支援が必要だったんだと、当然のことだとは思いますが、そういうふうに思います。しかし、もし資本市場がアメリカ並みに育成されていたら、アメリカ並みという意味は、家庭等の金融資産に占める、いわゆる資本市場、株式プラス投信ですね、の額の比率というのは、後ほどまた議論したいんですけど、日本は一一%、ドイツが一八%、アメリカが二八%ですね。そういうところで、アメリカ並みの資本市場がちゃんと育成していたら、こんなにまで極端に銀行を大事にしなくても、ちゃんと金融政策が行われ、国民の活動というのが、企業の活動がちゃんと維持されていくんではないかなという、そういう強い思いもするんですが、それに対する大臣の所見をお願いいたします。まず第一にお願いいたします。
#9
○国務大臣(山本有二君) まず、不良債権に関する、銀行に対する公的資金の注入額、既返済額及び返済に伴う国の利益、残額いかんという先生の御指摘についてお答えしたいと思います。
 平成十年から十五年にかけて旧安定化法、早期健全化法及び預金保険法に基づき、三十四行、現在では再編によりまして二十二行でございますが、これらに対し約十二・三兆円の公的資金による資本増強を行ってまいりました。資本増強に係る公的資金の返済等につきましては、合計、先ほど申し上げました十二・三兆円に対しまして、今年の二月末時点で注入額面ベースで八・七兆円が返済されております。残額はそこで三・六兆円というようになるわけでございます。
 なお、既に返済されました八・七兆円に対しまして約一・二兆円の利益、キャピタルゲインが実現しているところでございます。一・二兆円のキャピタルゲインが実現しております。
 公的資金の処分に当たりましては、従来より、公的資本増強行より返済の申出があった時点で預金保険機構のいわゆる三原則、金融機関の経営の健全性、国民負担の回避、金融システムの安定性に照らしまして検討を行い、特段の問題がなければ処分を認めることとしてまいりました。
 さらに、今後の公的資金の処分の方針につきましては、平成十七年十月に公的資金の処分の考え方を発表したところでございまして、納税者の利益の立場により重きを置いて、金融システムの安定化の果実としての公的資金から生じる利益を確実に回収することを基本とすることが適当といった方向性を打ち出しております。
 なお、処分に当たりましては、従来と同様、公的資本増強行の経営の健全性の維持及び市場への悪影響の回避に十分留意するとともに、公的資本増強行の資本政策をできる限り尊重することとしてまいりました。
 当庁としましては、こうした考え方に沿って今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、主要行が過去最高益を記録しておるけれども法人税の支払は一体幾らになっているんだという御指摘でございます。
 主要行の直近決算、十八年三月期における最終利益は約三兆円でございます。過去最高益となっておりますが、過年度における不良債権処理等により課税上の繰越欠損金が積み上がっておりまして課税所得が発生していないということになっております。したがいまして、法人税は納付しておりません。
 で、この納付していないことについてでございますが、主要行が法人税を支払っていないのは将来の課税所得と相殺可能な欠損金が存在することなどが原因でございまして、銀行だけでなくすべての企業に共通した法人税制に従った結果であると理解しております。
 しかしながら、主要行は既に不良債権問題を脱却し業績も回復している状況にございます。今後、速やかに課税上の繰越欠損金が解消され、法人税が納付できるようになることを期待するところでございます。
 次に、一般の会社が倒産の危機に瀕したときと比べて銀行に対しては政府による多額の公的な支援が行われている、政府はその趣旨をよく銀行に自覚させるよう指導義務を負っていると考えているがという御質問でございました。
 国は、旧安定化法や早期健全化法に基づき、銀行に対し公的な資本増強を実施してまいりました。これは当時、不良債権問題が深刻化している中、銀行自身による市場での資本調達が困難となっていた状況下で銀行の自己資本不足の是正が緊急の課題となっていたためでございます。これにより、銀行の自己資本不足を解消し金融システムの安定化を図ってまいったところでございます。
 銀行が担う金融システムは、我が国経済の中で決済機能と金融仲介機能という公共性の高い役割を担っておりまして、銀行は、その公共的使命や社会的責任を強く自覚した上で業務運営に取り組むことが重要であると考えております。
 金融庁といたしましては、金融システムが公共性の高い役割を担っていることを踏まえつつ、銀行等の検査監督に今後しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、不良債権問題の解決のために銀行に対してこれほどの手厚い措置を講ずることになったのは、我が国が過度に間接金融偏重であった面もあるからではないかとの御指摘でございます。
 正にそのとおりだと思っておるところでございますが、我が国の金融システムは、銀行等が仲介する預金貸出しによる間接金融に大きく依存しており、結果として銀行等にリスクが過度に集中しております。これを金融システム全体で幅広くリスクテークが行われるようにすることによって、リスクに柔軟に対応できる経済構造を構築し、我が国経済全体の活性化につなげていくことが望ましいと考えております。このような観点から様々な制度整備を進めているところでございます。
 あわせまして、今後、不良債権問題が再び発生するといったことがないように、各金融機関が適切なリスク管理体制を構築して実効性のあるリスク管理を実践しているか等、金融庁といたしましては検査監督面におきましてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#10
○沓掛哲男君 ありがとうございました。
 では、次のカテゴリーのところに質問を移させていただきたいと思います。
 次のカテゴリーの二行目に、「金融仲介機能の更なる充実を図る観点から、不動産担保・個人保証に過度に依存しない融資や融資手法の多様化を促すことが重要である」というふうに記載されております。
 そこで、不動産担保あるいは個人保証に過度に依存しない融資や融資手法の多様化を促すことが重要であるということですけれども、具体的にじゃどういう手法がそのほかにあるんでしょうか。しかし、いろいろな方法があると思いますが、いずれにしろ不動産担保あるいは個人保証よりはリスクが高くなる傾向にはありませんか。金融機関のリスク管理危機が増大すれば、今度は利用者の負担、いわゆる金利アップなどということになるのではないですか。新しい方法を考えていただくのは大変有り難いけれども、利用者の負担増は極力抑えるようにやっていただきたいと思います。
#11
○国務大臣(山本有二君) 民間金融機関におきましては、地域や中小企業の活性化を図る観点から、適切なリスク管理の下で不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資を推進すること、地域の中小企業等の利用者ニーズを踏まえ、顧客サービスの向上を図ることなどが重要と考えております。
 金融庁といたしましては、地域密着型金融、リレーションシップバンキングの機能強化を推進しておりまして、その中で具体的に、融資審査能力の向上、動産・債権譲渡担保融資等の活用、財務諸表の精度の相対的に高い中小企業に対する融資の推進などを掲げているところでございます。さらに、今国会に提出されました電子記録債権法等の制度整備によりまして売り掛け債権等を活用した融資等の資金調達が促進されるものと期待するところでございます。
 以上でございます。
#12
○沓掛哲男君 ありがとうございました。
 では、三番目のカテゴリーの多重債務問題についてお尋ねいたします。
 昨年の臨時国会で貸金業法の一部改正がなされました。その際、この場での熱心な審議のほか、地方公聴会でも関係者の有意義なお話を聞くことができました。特に心に残ったのは、本当にお金に困ったとき親身になって相談に乗ってくれる人がいてくれたらこんな結末にはならなかったのではないかという事例が幾つもございました。
 二番目に、また年一八%から二九・二%という高金利の金を貸金業から借りている人が千四百万人、そして多重債務に陥っている人が二百万人を超えている、そして自己破産の人が二十万人とのことですが、この多くの人はお金や契約に対する認識が極めて薄く、借りたものは返すことができない、返す意識が大変少ないということを特に地方公聴会で関係者の皆さんからいろいろ聞かされました。
 そこで、内閣に今度設置されました多重債務者対策本部において幾つもいろいろなことをなさるようでございますけれども、その中での特にカウンセリング体制、それから金融経済教育についてお尋ねしたいと思います。
 実は、私の出身の石川県の金沢市の山出市長はこの対策本部の下に設けられております多重債務者有識者会議のメンバーになっているんですけれども、市長が言われるには、これからやはりこのカウンセリングといえば必ず自治体が何らかの役割を果たすようになる、その場合にやはり一律の基準ではなくて、例えば石川県でいえば金沢市のように非常に財政的あるいは人材的に強いところと、石川県でも能登の端の珠洲市は同じ市でも非常に違うんで、やはり一律の基準ではなくてそれぞれに対応した基準が欲しいし、また何らかの形で国の支援もいただきたいということを強く言っております。
 まあ何か言うとすぐ市町村にお願いするようになるわけでございまして、一昨年の秋、幼児がたくさん亡くなったときも、いわゆるボランティア制度をつくってそれへ対応したんですが、そのボランティアの維持についてもどうしてもやっぱり市町村にお願いするという、そういうこともございますので、そういう点で是非このカウンセリング体制について検討する際、お考えいただきたいと思います。
 それから、やはり借りたものを返す、なぜ返さにゃいけないのかということ、また受けた恩に対する感謝、なぜしなきゃならないのかという、そういうようなことがこの場にもよく出てきたんですけれども、やはり幼いときから、少なくも小学校のころからは、やはり借りたらそういうものを返す、そしてまた恩を受けたら感謝する。そして、我々、小さいときから、お金のことを言うとあいつは卑しい人間だというふうに言われました。大学でも民間といろいろ通ずる大学の先生が民間と共同研究なんかをやっていると、プロフェッサーマーチャント、いわゆるマーチャントプロフェッサーとか言ってさげすんだものですけど、そういう時代ではないんですから、やはりそういうお金というものに対しても幼いころからやっぱりしっかりした教育をしていただきたいし、この対策本部というのは大変大切なもので、実効性を是非上げていただきたいと思います。
#13
○国務大臣(山本有二君) 近年深刻化する多重債務者問題への対応のために、昨年成立いたしました改正貸金業法を踏まえまして、昨年暮れ、関係大臣をメンバーとする多重債務者対策本部が設置されました。その有識者会議、先ほど御指摘の金沢市長も御参加いただいておるわけでございますが、ここにおきまして具体的な議論が行われているところでございます。
 多重債務者対策といたしまして検討している様々な課題の中でも、カウンセリング体制の充実は極めて重要な課題であると認識しております。具体的には、既存のカウンセリング機関の充実と関係者の間のネットワークの構築が重要となると考えております。特に、有識者会議では、地方自治体における相談機能の強化が必要との指摘がなされておりまして、具体的にどのような対応があり得るかについての議論が行われているところでございます。御指摘の単に市町村にお任せで各関係機関が傍観者にならないように、このネットワーク構築を大事にしていきたいと私も考えておるところでございます。
 また、多重債務者の発生防止のためには多重債務問題に関する教育が極めて重要と考えております。有識者会議では、学校における教育と消費者に対する教育、それぞれにおいて国民が多重債務問題に関して必要な知識を得るためにどのような取組が必要となるかについて議論が行われているところでございます。
 これらを含めて、具体的な対策を盛り込んだ多重債務問題改善プログラム、これを今春をめどに策定することといたしておりまして、関係省庁も含めまして早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
#14
○沓掛哲男君 じゃ、次の第四番目のカテゴリーについて質問したいと思います。
 今から十年余り前にサマーズ氏、これはクリントン政権の財務長官をやり、ハーバード大学の総長などをなさった方ですけれども、日本人へのアドバイスとして人材の育成と資本市場の育成を挙げておられました。
 家計等の金融資産に占める資本市場、いわゆる株式プラス投信の額ですけれども、その比率は日本では一一・六%、ドイツでは一八・七%、米国では二八・一%となっております。平成十六年から十七年にかけて参議院自民党の政審で講師を呼んでこのことについていろいろ勉強しました。税制等の優遇措置を比較してみても、決して日本は外国に比べて遜色をしていないというような状態だったと思います。
 しかるに、なぜこんなに資本市場の育成が遅れているのか。私なりにやはり考えてみると、一つは、銀行が余りにも日本では強過ぎるんじゃないか。例えば、私も役所にいたころ、公団債の発行をするときも大手銀行の了解を得ないと公団債が発行できないんですよ。それはそれなりに、売り余ったらそこにまたお願いせにゃいかぬということもあるにしても。そういうことが一つ。
 それともう一つは、国民の意識が投機的なことには余り向いていないんではないか。競馬、競輪なんかをやると、あいつは余りいいやつじゃないんじゃないかとか、いろいろ言われる。そういうこと。
 それともう一つは、証券会社の投資家に対する対応がいま一つ足りないのではないか。素人で長年株式投資をして結果的に利益を上げられるというのは十人に一人ぐらいではないかというような、いろいろなこともございます。
 そこで、今回、金融審議会に我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループを設置するとのことですけれども、役所は難解な問題に当たるとすぐスタディグループや対策本部などをつくるんですけど、今回は実効性のある結論を得るようにしていただきたい。そのためにも、例えば株式プラス投信の家計等の金融資産に占める比率をドイツ並みですね、今一一・一%ですけれども、その比率を一八%ぐらいに上げる。そういう目標を立てて、その目標達成のためにこうしていくというような、そういう実効性のある対策を是非やっていただきたいと思います。
#15
○国務大臣(山本有二君) 沓掛議員御指摘のとおり、我が国におきます貯蓄から投資への流れはまだ道半ばでございます。個人の金融資産の過半を現金、預金が占めるなど、欧米と比較いたしますと依然として貯蓄偏重でございます。日本が一〇・八%、ドイツは一八・七%、米国は二七・四%を株式、投資信託が占めておりまして、そういうことからしましてもまだしの感がございます。
 グローバルな市場間競争が激化する中で我が国金融・資本市場の国際的な競争力を強化するためには、貯蓄から投資への流れをより一層確かなものとし、内外の投資家が安心して投資できるような魅力ある市場を構築することが重要でございます。
 このような問題意識の下、先般、金融審議会に我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループを設置いたしまして、金融制度に関する議論にとどまらず、人材、専門サービス、インフラ等、多岐にわたる課題につきまして現場をよく知る市場関係者の方々を中心に幅広い観点から議論していただいているところでございます。
 金融庁といたしましては、このような議論も踏まえまして、貯蓄から投資への流れをより確かなものとしまして、我が国市場を国際化するための方策について検討してまいりたいと考えるところでございます。
#16
○沓掛哲男君 最後に財務大臣にお答えいただきたいんですけれども、包括的な質問ですけれども、全体として景気は回復を続けていると言われています。しかし、最近、落ち着きを取り戻しつつあるように見える株式市場は、先般、中国における株価下落を発端として全世界的な株安となりました。また、ソフトランディングに向かったとも言われるアメリカ経済について、一部の地域で景気回復に鈍化の動きが見られる。
 このように海外経済やマーケットの動向には不安な動きもありますが、我が国及び世界経済の現状と今後の見通しに対する大臣の認識をいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(尾身幸次君) 我が国の経済の現状でございますが、民間需要を中心として息の長い回復を続けているというふうに考えております。個人消費、おおむね横ばいということでございますが、企業部門はいわゆる三つの過剰、設備、雇用、債務が解消して収益の改善、設備投資の増加など、好調さが続いております。世界経済の拡大が続く中で輸出も増加基調にあるというふうに考えております。
 先日、アメリカのポールソン財務長官とも意見交換をいたしましたが、アメリカ経済、また世界経済、日本も含めまして、全体としてのファンダメンタルズは順調であるということで意見が一致したところでございます。
 このマーケットの状況につきましては、そういう中で私どもとしては株価や為替の動向についてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、今後とも株価・為替市場の動向については注意深く見守っていきたいと考えている次第でございます。
#18
○沓掛哲男君 時間が一、二分ありますが、もう時間でございますので、これで終えたいと思います。
 両大臣、適切な御回答、ありがとうございました。御健闘をお祈りいたします。
#19
○峰崎直樹君 おはようございます。
 今日、両大臣にも質問をいたしますが、今日はわざわざ東京証券取引所の西室社長にも来ていただきまして、本当にありがとうございました。今朝はまた、午前中は私どもの部門会議の方にも来ていただきまして、いろいろと御示唆いただき、ありがとうございました。
 そこで、まず最初に、なぜお呼びしたかということはもう御存じのとおりでありますが、東京証券取引所に日興コーディアルグループの、監理ポストに実は十二月十八日以来置かれていたわけでありますが、これが監理ポストから外されて、要するに上場継続になったと。この経過について、どうしてもやはり私どもはなかなか釈然としない問題がありまして、是非今日は西室社長の方からその間の経緯について明らかにしていただきたいと思うんですが。
 まず最初に、上場継続をすることを決められたわけですけれども、それはなぜなのかというところから入っていきたいと思います。
#20
○参考人(西室泰三君) 西室でございます。
 今のお答えでございますけれども、どういたしましょうか、三ページバージョンと半ページバージョンとございますが、短い方でよろしゅうございましょうか。
#21
○峰崎直樹君 短い方でいいです。
#22
○参考人(西室泰三君) はい。じゃ、短い方で申し上げます。
 私どもの株券上場廃止基準というのがございまして、その中の第二条第十一号、第一項のaというところにこういうふうなことが書いてございます。「上場会社が有価証券報告書等に「虚偽記載」を行い、かつ、その影響が重大であると当取引所が認めた場合」、この条項に基づきまして、日興コーディアルグループ、そのグループの件について、廃止基準への妥当性を慎重かつ公正に審議をいたしました。その審査の結果、今申し上げました上場廃止基準には該当しないという結論を得ましたので三月十三日から監理ポストから外したと、こういうことでございます。
#23
○峰崎直樹君 もう一つ、上場廃止基準の項目の中に、その他というところで、銀行の取引の停止、破産手続、そのほかある中で、上場契約違反、宣誓事項についての重大な違反というのがございます。その中で、昨年六月二十六日に日興コーディアルグループの代表執行役社長有村純一さんが、確認書というのを、これは誓約書に準ずるものだろうと思いますが、これを提出されております。これにいわゆる宣誓されていることに対する違反というのは考慮の対象になったんでしょうか、ならないんでしょうか。
#24
○参考人(西室泰三君) ただいまの条項があることは、もちろん私どもの規則でございますから十分に存じております。しかし、廃止基準に直ちに該当するというふうな違反が、先ほど峰崎委員おっしゃられました有村社長の誓約書、それとの比較において、廃止基準ではなくて改善報告書ということで今回要求をしておりますけれども、改善報告書の方でそれについて改善を要求するということにさせていただいております。
#25
○峰崎直樹君 これまた後で振り返りたいと思うんですが。
 それでは、その先ほどの虚偽記載の中で、いわゆる第二条に該当するところでございますが、「上場会社が有価証券報告書等に「虚偽記載」を行い、」と、これは間違いありませんが、「その影響が重大である」という「当取引所が認めた場合」の「重大である」ということについて、これはどういう項目が重大だというふうに理解をされているんでしょうか。
#26
○参考人(西室泰三君) 重大であるという規定の中で、二つあると思っております。
 私どもの考え方で、この従来から判断の基準にしておりますのは、まず、そういう虚偽記載があった場合のその金額が重大な影響を市場に与えるかどうかという配慮がもう一つございます。それからもう一つは、二つ目ですけれども、二つ目は、上場会社が組織的に関与したことが明らかになるかどうかと、この二つの基準を基本的には持っております。
#27
○峰崎直樹君 金額が非常に重大な影響を与えると。今回の日興コーディアルグループはどのぐらいの金額の粉飾であったのかということについて、東証としてはどういう判断をされたんでしょうか。
#28
○参考人(西室泰三君) 金額、具体的に申し上げれば、これは十六年九月中間期、経常利益が百六十一億円、それから十七年三月期、経常利益二百三十六億円、これは訂正金額として三三・五%と三〇・五%、こういう大きな金額であるということは私どもも認識をいたしております。ただし、該当期間であります二年間のうちで、各種の経理項目の中で三〇%を上回っているのはこの二つだけであったということは、ほかの前例と比較いたしますと必ずしも大きくないということで私どもは判定をいたしました。
#29
○峰崎直樹君 それでは金融担当大臣にお聞きしますが、私どもがこの間ずっと、先日は予算委員会でも質疑さしていただきました。〇五年三月期は粉飾額が百四十七億円と、〇六年三月期は百六十七億円と、それ以外にまだNPIHに実は数十億残っているというふうに見ていまして、総計すると四百四十億強だというふうに理解をしておりましたけれども、これ以外には、あらた監査法人がやった追加報告書、いわゆる東京証券取引所が非常に参考にされた資料でございますけれども、それ以外にはこの問題はないと、こういう理解で金融担当大臣としては責任持って発言できるんでしょうか。
#30
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の点でありますが、個別事案に係る監査に関するコメントは差し控えさしていただきます。
 一般論として申し上げれば、先ほどの訂正報告書等に、受理した点についての内容について正しいかどうかの判断を聞くものであろうかと思いますけれども、それは、公認会計士である監査法人の行う監査証明はあくまで企業財務情報の信頼性の確保について重要な役割を担うものであり、適正に行われる必要があると考えておりまして、受理をもって当局として有価証券報告書の記載内容が適正であると判断したというわけではございませんで、要は金融庁としては、提出された財務諸表について、仮に法令に照らして問題がある場合には事後的に訂正を求めるなど、法令に基づき適切に対応していくことになることでございまして、その個別事案に対する評価をしているわけではございません。
#31
○峰崎直樹君 今、個別の日興コーディアル証券というのが市場を揺るがす大問題になっているわけですよね。ですから、こういう問題点を解明していくときに、個別の問題を通じて起きた問題を解明するというのが、これは国会で私ども、一つ重要な役割だと思っているんですよ。そういう限りで、ちょっと一般論でというふうに余り逃れていただくと議論が全然前進しませんし、証券市場を正に世界の証券市場として、今大臣はシティーに、シティーと言ってもあのシティバンクのシティじゃないですよ、ロンドンのシティーに匹敵するような証券市場をつくりたいとおっしゃっているんですから、そのいわゆる観点から今我々議論をしているつもりでございますので、理解をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 そうすると、関東財務局に、あらた監査法人が訂正報告書を出しますね。そのときは、要するに何にも見ないで受理するんですか。必ず、今の何が問題になっているからこの点だけはちゃんと点検、チェックした方がいいよということは、当然それを受け付けるときには、それは大臣、考える、受付のところでまずは点検されて受理されるんでしょう。で、まあこれは問題ないなと、こういうことで受理されたんじゃないんですか。
#32
○国務大臣(山本有二君) 有価証券報告書等の開示書類は、電子開示システム、EDINETを通じまして所管の財務局に提出されることとなっております。これらの書類が提出されれば、自動的にこれは受理されるものでございまして、その受理をもって当局として当該有価証券報告書等の記載内容が適正であると判断したということではございません。あくまで一般論として再度申し上げれば、法令に照らして問題がある場合には事後的に訂正を求めるなどさせていただくというシステムになっているわけでございます。
#33
○峰崎直樹君 しかし、これは非常に難しいなと思います。東証に、私、責めるつもりは全然ないんですが、東証はこの監査法人が監査したことが適正証明で、無限定で付いているわけですよ。その中身は大変、我々からすると、後で少し議論しようと思っているんですが、非常に疑問があるわけです。
 ベル24をなぜ連結にしなかったのか。いや、それは、ベル24という業態は我が日興グループにとって異業種だと。これは、ちょっとこれ入れたら非常によく分からないというような理屈を付けていますよね。いや、しかし、それはセグメント情報ということできちんと分ければいいじゃないかという理屈も成り立つんです。
 何で入れないかというと、そこの買収したときの買収差益がベル24もそれからBBコールも合わせれば一千億超えるんです。これの一千億超えるのれん代をどうやって償却するのかということについて大変大きな問題があるわけです。今このベル24の経常利益は大体我々が想定すると五十億程度ですよ。そうすると、五十億程度のところで、一千億を今これは二十年で償却すると言っていますよ。そうすると五十億ですわ。そうすると、これを例えば、最初にこれ日興コーディアルが言っていたときは三年でこのベル24は上場しますと言っていた、再上場。じゃあ、三年で再上場するんだったら三年でやったらどうですか。
 あるいは、BBコールという会社を買収したとき、これもまたのれん代を持っているんです。何をやるかというと、無形資産、要するにソフトですよ。ソフトウエアというのは二十年でこれ償却するかというと、そうなってないはずです。五年だと言われている。そういうものを足していくと、これは大変問題があるんじゃないかということを我々はずっと言い続けてきたんですよ。だから、ベル24も連結しなさいと言ったんです。それをしないでおいて、いわゆるただし書で書いているだけなんですよ、これ。これが一つ。
 それから、〇五年の三月期決算の前からやっているというのが、これは三十日、一月三十日の日野委員会で報告にあっている。その前からやっているやつも実は、期首のところで六十九億だったでしょうか、そのお金を、いや、これはマイナスにしなきゃいけないと言っているんだけれども、それは監査をして、その企業を監査してやっているわけじゃないんですよ。などなど、この問題について金融担当大臣、このあらた監査法人の中身について、これは我々は今疑問を呈しているんです。
 ずっとこれは、今回だけじゃありません。この間の予算委員会も、その前からもずっと予算委員会やっていますが、そういうことに対しては、もう既に東京証券取引所がこのいわゆる監理ポストにあるやつを、いや、もういいと、大丈夫だと、これは問題ないと、まあ問題ないとまでおっしゃっていませんが、上場廃止にまで至らないというときの重大な判断基準として今おっしゃられたわけです。そうしたら、それは証券市場に対して責任を持っている金融庁としては、それは我々としてはきちんとそこはもう担保していますと、こういうふうに言わないと、これ符節が合わないじゃないですか。証券市場に対する責任は持てないんじゃないですか。その点はいかがでしょうか。
#34
○国務大臣(山本有二君) まずベル24の関連から申し上げますと、実際の連結するか否かについては具体的な個別の案件ですのでコメントできませんが、一般論では、御承知のとおり実質支配力基準、これに基づいて個々の実態に即して判断されるものであろうというように解釈しております。
 次に、連結子会社増加に伴う減少高として、いわゆる連結財務諸表に関することでございますけれども、十七年三月期の訂正報告書において、連結剰余金計算書に連結子会社増加に伴う減少高が記載されていることは承知しておりますが、個別案件についてコメントはできませんので一般論で申し上げますと、会社が他の会社の支配を獲得した日から当該他の会社は会社の子会社となり、原則として、その時点から連結子会社として当該期の連結財務諸表に当該連結子会社の損益等が反映されることとなると解釈しております。
 そして、先生御指摘の、またこの連結調整勘定の償却を二十年にしたことに関連しまして、十七年三月期の有価証券報告書において、連結調整勘定の償却が原則として計上後二十年間の均等償却を行っておりますとの記載は承知をしておりますけれども、これも個別でございますのでコメントを差し控え、一般論として申し上げれば、連結財務諸表原則において、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本との相殺消去に当たり、その差額は連結調整勘定としてその計上後二十年以内に定額法その他の合理的な方法により償却しなければならないものというように考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、こうした点、金融庁当局で具体的な中身についての調査というような御指摘だろうというように思っておりますけれども、これについては余りにも個別でございますのでコメントを控えさしていただきたいと思っております。
#35
○峰崎直樹君 今ずっとお話を聞いていて、もう本当に原点のところは実質支配基準なんでしょう。そうしたらベル24も一〇〇%の子会社だったんじゃないですか、NPIHの。そうしたらそれも連結しなきゃおかしいんで、今九九・三%ぐらいですけれども、実質的に資本の支配というのが貫徹しているわけですよ。ですから、そういう意味でいうと、なぜしないのかと言ったのは、さっき言ったように二十年でその連結勘定のぎりぎりまでやっても五十億毎年償却しなきゃいけないんですよ。ところが、実質的な経常利益は五十億ちょっとなんですよ。ということは、これを十年だ、あるいは五年だ、三年だでやったらとてもこの会社はもたないんですよね。とんでもないことをやっているわけですよ、やっぱりこのベル24の売却というのは。
 そのことを実は、ある意味では金融庁はあの五億円の課徴金だけで、しかもあれは〇五年三月期だけなんですよ。そのために東証はそのことだけをとらえて調査をしたんですよ。あの調査委員会、日野調査委員会もそのときだけを調査をしたんですよ。しかし、それ以外にもたくさんあるじゃないですかということを言って、そのことに対しては、いや個別の問題で、個別の問題でと言っているうちにもう、いや、これはもう上場もできますよというふうにどんどんどんどん変化していっているんですよ。
 何か金融庁、金融庁の姿勢として、このいわゆる日興コーディアルグループをかばっているようにしか思えないところがあるんですけれども、そう言うと、きっとそれは反発されて、いや、そうではありませんとおっしゃられるんだろうと思うんですが、大臣、そう思いません。ずっと私そのことを追及しているんだけれども、しきりに百六十七億、百四十七億に対する五億円は分かりましたと、百六十七億についてはどうなんですか。これもまだ答弁もらっておりません。今申し上げたように、ベル24の買収過程全体を通じた問題点も、これもまた明らかになっていません。そのプロセスの中における、間における相場操縦の問題も、インサイダー取引かもしれないという、これについても後でまた申し上げますけれども、どうしてもEB債を発行したときには、私は必ずこれは相場操縦になるというふうに確信しているんですけれども、そのことに対する答えもなかなか出てこない。
 本当にある意味では非常に不誠実だというふうに思いますし、こんな状態へ置いておいたら、東京が世界の金融市場の中でロンドンやあるいはニューヨークに匹敵するようなそういう市場にしたいという、私、山本大臣と熱意や思いを一つにするんですけれども、そうならないんじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#36
○国務大臣(山本有二君) 二月二十二日の委員会で峰崎委員が御指摘になりました点もこの点であり、私の方としましては大変示唆に富む御意見だろうというようには思います。
 しかしながら、あくまでこれも個別にわたる事案でございまして、特に監視委員会の案件でございまして、その監視委員会がどう考えてきたか、どうこれから考えるかにつきましては、私と大臣とは別組織ということになっておりますので、当局からまた関連した話はお聞きいただくということにしまして、私としては答え難いところでございます。
#37
○峰崎直樹君 ちょっと時間がありません。先にまた東証の方に移らせていただきますが、今のはこの金額の問題のところで、粉飾の問題というのは四百四十億足らずじゃないですよと、背景にはもっとでっかい問題がありますよということを申し上げました。そういう意味で、私は東証の、今回は東証が依拠するものはこれしかありませんと言われたら、そうだなと。その大本が、金融庁がこういう問題しか今のところ明らかにしていないものですから、そういうふうになっていくというのはやむを得ない面があるんですが、これは金融庁に私は責任があると思っております。
 もう一つの問題は組織的関与なんですよ。
 今朝もちょっと部門会議でも質問させていただきましたけれども、あの日野調査委員会の中でも、もう明らかに組織的な関与があったというふうに断定しているわけですよね。
 これは報道が伝えるところでございまして、今、報道各社と東京証券取引所の側は相当やはりいろんなやり取りされているので、もしかすると、それは報道が勝手にやったんだということかもしれませんが、報道の伝えるところによると、二月二十三日に、日興の財務責任者が不正会計に関与しているならば十分に組織的と東証幹部が発言されたと聞いている。どうなんです。この点、そういう意味でいうと、日野委員会も実はもう既に、これは十分組織的にやりました、有村社長の責任においてもこれは免れないということをおっしゃっているんですよ。
 にもかかわらず、いや、組織的ということには、組織的関与があったとは認められないというのは、何かそれは、我々からすると、東京証券取引所は身内に甘いんじゃないのかなと。身内というのは、日興コーディアル証券というのは皆さん方の株主ですよね。株主だからどうもやっぱりかばっていらっしゃるのかなという、あらぬ、痛くもない腹が探られるというのはこのことじゃないかと思うんですが、社長、その点についてどのような考え方を持っていらっしゃいますか。
#38
○参考人(西室泰三君) まず、身内論でございますけれども、私ども、身内を大事にするというような意識は一切持っておりません。
 それで、一つだけ峰崎委員にお願いしたいのは、先ほどおっしゃられた日野委員会の調査報告書は、はっきりとあの中で記載されているとおり、特定の案件、つまり、NPI、NPIHあるいはベル24、それに伴う案件についてだけをこの報告書は調査して報告するよと書いてあるわけですね。ですから、そこで言っている問題と、それから上場を廃止するかどうかというのは、上場しておりますのは日興コーディアルグループ全体でございます。それとの間で、組織の責任の取り方その他はおのずと違っているというふうに私どもは考えざるを得ないと思います。
 先ほど申し上げた、直接、あの中で、日野委員会の報告書の中での関与と言われているもの、これの度合いについて私どもも精細に聞き取りもやらせていただきました。残念ながら、関係者、一応ボランタリーではございましたけれども、私どもの調査に協力もいただきましたし、分かる範囲の、公開されている資料もしっかりと見させていただきましたが、残念ながら、組織的に日興コーディアルグループがこの粉飾と言われるような虚偽について関与したというエビデンスは私どもは認められなかったということでございます。これは記者会見のときにも申し上げましたけれども、グレーであるという心証は明らかにございます。しかしながら、クロであるというふうに断定するわけにはいかないということでございます。
 それから、今おっしゃられた、二月の二十三日ということではっきり日にちも指定されて、それで東証幹部の発言というのが某新聞には書いてございますが、それに基づいて社内の調査を行いました。
 幹部というのは、どの辺から上が幹部とおっしゃっていただけるのかよく分からなかったものですから、執行役員以上だけではなくて、関係する部長クラスまではやりましたが、その辺までは幹部だろうと。いずれも、そういうふうなことを記者に対して言った覚えはないし、そういうことはないと。
 それで、一番幹部として関係のありそうなのは、私、それともう一人は自主規制最高責任者の長友と、この二人です。私はロンドンに行っておりまして、ロンドンからまだ飛行機に乗らない状況です。ロンドンではそういう御質問は日経さんから受けておりません。長友は九州に出張いたしておりまして、東京にはおりません。出先の日経さんの記者から御質問はいただいておりません。それ以外の幹部も今申し上げたとおりでございます。
 以上です。
#39
○峰崎直樹君 日野委員会の調査報告に、CFOをやっておられた山本さん、それからNPIの会長をやっておられた平野さん、これは明確に、これは意図的に、これは問題だということは断定されていますよね。これは間違いないんですか。
#40
○参考人(西室泰三君) 全部の文面についてもう一度思い返すことはできませんけれども、私が読ませていただいた範囲では、平野さんについては明らかにそうだというふうに断定をされていると思います。それから、CFOについての断定の仕方は、それとはグレードが違ったように私は読んでおりました。
#41
○峰崎直樹君 そこで、西室社長、あるいは今日参加されている皆さん全部そうだと思うんですけれども、日本の持ち株会社というのは権限だけはしっかり持つんですよ、子会社に対しては。責任だけは、実は、いや、それは子会社の社長がやったことでと、こうなっちゃう。これなら経営者天国が本当にますます大きくなっていくばっかりで、そこに働いている従業員の労働組合なんかは、いつかホールディングに、どこかに吸収されたら、いつの間にか労使関係でだれが相手になるのか分からなくなるような、そういう問題がずっとこれは起きてきているんですよ。ということは、平野さんという方はNPIの会長さんです。もちろんこれは、日興、NCCの常務役員もやっておられました。
 要するに、トータルとして、やった場合には、当然CFOもそこに参加をされているし、CEOもあるいは会長さんをやっておられた方もみんな、言わばホールディングカンパニーの頂点に立っている人というのはみんなこれ責任があるんじゃないんですか。だから、平野さんがやったということは、それは取りも直さず組織的に全部トータルとしての日興グループがやったというふうにみなす以外に我々は方法がないんじゃないんでしょうかね。そういうふうに見方を変える必要があるんじゃないんですか。
 そうでなければ、次々とまた、これはホールディング、ホールディングで、これはもう、わかしお銀行を親会社にして合併した三井住友銀行なんというのがありましたけれども、あれもひどかったけれども、ホールディングカンパニーの上にまたホールディングカンパニーをつくっていくような、だんだんだんだん見えにくくなってくるんですよ。
 何でこんなものが次々できてくるかといったら、権限があって自分たちの責任が逃れられる仕組みをつくっているからですよ。そのことを、今回これを認めてしまうと次々と、ああそうかと、ホールディングカンパニーのCEOは自分の子会社や孫会社がやったことに対しては、それは責任を負わなくていいんだと、こういうふうになっていくことを助長しませんか。
#42
○参考人(西室泰三君) ホールディングカンパニーという会社のコーポレートガバナンスの在り方そのものについての基本的な御批判そのものは、私がお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 また、もう一つ申し添えれば、私どもの東京証券取引所も今年のうちにホールディングカンパニーをつくって、その下に市場運用会社と、それから自主規制法人をその下に持つという形にさせていただきます。
 これは、今、峰崎委員がおっしゃられましたような責任逃れのつもりは全くございません。そういう事業運営をするという方が市場に対して、分かりやすいコントロールと分かりやすい市場運営ができるということを確保し、担保できると思うためでございます。
 したがいまして、概論、全体論として今のような御批判を受けるということにつきましては、個別の東京証券取引所の責任者としては極めて考え方が違うと申し上げざるを得ないということでございます。
 それで、話を戻しまして、日興コーディアルグループに関してでございますけれども、日興コーディアルグループのCFOと、それからその執行役員の一人が本件についてかかわっているというふうな指摘があった。それは日野報告書で出ているとおりでございますが、まず、CFOに関しては、その関与そのものが、個別具体的に明らかにそれをオーケーしているというふうな書き方はしていないように私どもは読みました。平野さんについては、もう確実に全体のスキーム作りについても関与し、やっているというふうに書いてございます。平野執行役員というのは確かにコーディアルグループの執行役員ではございますが、グループ全体の組織的と言われた場合に、この方の行為あるいは意図的な行為というものが、断罪する、グループ全体を断罪する原因にはならないだろうと言わざるを得ないというふうに私どもは思いました。
#43
○峰崎直樹君 結局、グレーだということですね。あの日野調査委員会のときも、何かグレーというような話があった。
 これは検察庁にちょっとお聞きするんですけれども、このグレーだ、グレーだというのは調査の、まあ法務省来ておられると思うんですが、グレーだ、グレーだと言ってどうしても解明できないわけですよ。やっぱり、それは調査権限を持っているそのところがしっかりやっぱりこれ本当に事実解明しないと分かんないと思うんですけれども、法務省、検察庁はどんなような対応取るんでしょうかね、取っているんでしょうか。
#44
○政府参考人(三浦守君) お答えいたします。
 お尋ねは、検察当局の捜査に関することであろうかというふうに考えられますが、どのような事件をどのように捜査するかということにつきましては、検察当局におきまして法と証拠に基づいて判断する事柄でございまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 あくまでも一般論として申し上げますと、検察当局は法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処するものと承知しております。
#45
○峰崎直樹君 それじゃ、また東証にもう一回戻らせていただきますが、もうカネボウとか西武が廃止になったと、これは私は外形的に非常に分かりやすかったと思うんですけれども、ライブドアと対比したとき、我々はライブドアよりもこっちのグループの方が悪質だと言い続けてきたんですよね。これは我々、今日、今朝の、午前中の会合でそういう意見あったところなんです。東証として、ライブドアと比較したとき、なぜライブドアは上場廃止になり、こちらは上場維持になったのか、御説明いただきたいと思います。
#46
○参考人(西室泰三君) まず、カネボウさんの場合と、それからもう一つの西武さんの場合について御認識いただきまして大変ありがとうございます。
 ライブドアに関しまして申し上げれば、ライブドアは元の、元のというか、その当時のですね、代表取締役などが経常損失を計上すべきところを多額の経常利益を意図的かつ組織的に計上をして、証券取引法違反、虚偽記載と、その嫌疑で証券取引等監視委員会によって告発をされております。第二に、そのライブドア社及びライブドア社の代表取締役らが証券取引法違反、これは偽計取引及び風説の流布、この嫌疑でも告発、起訴されております。これは明らかに組織的な関与があったというところでございます。
 それから、経理的な、あるいは損益の問題でございますけれども、四半期財務諸表について監査法人は意見表明の手続すらできなかったということがございます。つまり、その時点において重要な会社情報そのものについての開示が全く行われないという状況が継続している、このような会社を上場維持することはできない、これが上場廃止にいたしました理由でございます。
#47
○峰崎直樹君 いろいろたくさんおっしゃられたんですけれども、赤字の企業が黒字で粉飾したと、こういう点がございましたね、一つの要件として。これからはその黒字の会社をより黒字に見せ付ける粉飾は、そうすると対象にならないというふうに理解しているんですか。
#48
○参考人(西室泰三君) まず、赤字の会社は黒字にというふうに申し上げたつもりはございません。どういう粉飾が行われたかという、これの告発、刑事訴追そのもののこれの理由について御説明申し上げまして、私どもの判断基準として、赤黒逆転をすることを意図した場合ということは明示的には考えておりません。黒字が、もう黒字の金額が変わったということも、これはそれだけで決めるわけにはいかない。それぞれの場合において、粉飾と言われるようなものが起こったときのその規模、それからその影響、市場に対して株主の方々が企業の業績を見るときにどんなふうに見られるかということ、そういうことも含めて私どもは判断させていただかざるを得ない。それが上場の継続か廃止かということの判断の基準であるというふうに申し上げたいと思います。
 したがいまして、金額の問題、パーセンテージの問題で一律に決めるものではないということでございます。
#49
○峰崎直樹君 そうすると、重大な影響を与えるのはだれに対して与えるんですか。
#50
○参考人(西室泰三君) 基本的には、現在の株主及び将来の株主ということに私どもは考えております。
#51
○峰崎直樹君 どちらを重視されるんですか、現在の株主と将来の株主を。
#52
○参考人(西室泰三君) 両方を重視させていただいております。
#53
○峰崎直樹君 ここは、要するに証券市場をきちんとしていきたいということですよね。これ、日興コーディアルというのは、まあグループ会社ですけれども、基本的には証券会社なんですよ。そうすると、証券市場をつかさどっている企業が粉飾決算を起こしたと、間違いありませんね。しかも、その組織的、意図的にやった部分は間違いなくある。それはどの程度までかというのは意見が分かれるところですけれども。
 そうすると、これは、現在の株主にとって見るよりも、日本の証券市場の三大証券の一つの会社がこんなひどい状態を起こしていて、五億円の課徴金、これだけで済んでしまった、上場も維持されたと、こういうふうになっていくと、ああ、日本の証券市場ってそんなものかというふうに、この業態によるということの影響というか、私はやはり証券市場をつかさどっているその証券会社というのは非常に大きな影響、悪影響を与えたというふうに思うんですが、そういう悪影響は考えられませんでしたか。
#54
○参考人(西室泰三君) 上場審査に当たりまして、私どもそういう、今、峰崎先生御指摘のような問題というのは社内でも論議をよくいたしました。しかしながら、審査の中で最終決定に至る段階では、業種というものをその配慮の中に入れるべきではないと判断をいたしております。
 すなわち、先ほど先生御指摘のとおり、日興証券という証券業務がメーン、その中の証券業務と直接関係がない子会社の事件で、それを分けて考えるということよりは、トータルで見て、日興コーディアルグループという上場されている会社、それについての判断、それは業種が証券会社だからという判断をするべきではないと私どもは判断をいたしまして、最初から予見を持たず、その業種によらず、そういうふうな言い方をして判断するよというのは公開をしているところでございます。
 それから、もう一つ申し上げます。海外の投資家の評価ということにつきましては、私どもは十分な説明ができる判断をしたというふうに思っております。
#55
○峰崎直樹君 たくさんまだ質問したいんですけど、そのプロセスの中でちょっと私も気になった点が一点あります。これはある新聞が、東証幹部の二十四日の発言として、多くの法律家の意見を取ったが、全部、上場廃止だったと答えたとあるわけですが、こういう事実はあったんですか。
#56
○参考人(西室泰三君) 私どももそれを見ましてびっくりいたしました。先ほど先生御指摘になられました二十三日の発言と称するもの、二十四日の発言と称するもの、いずれも東証幹部と書いてございます。先ほど申し上げましたような判断基準で、幹部というのはどこまで言うのかというのを少し広めに取って、全員に聴取をいたしました。そして、全員から、そのような回答をした覚えがないとはっきり言っております。
 それで、二十四日は、私、日本に戻った日でございますから、確かにおりましたし、日経の記者さんにもお目に掛かったと思いますが、そのときにそういう発言をするはずがないというのは、ほかの幹部も同様ですけれども、上場廃止の可否についてリーガルオピニオンを弁護士さんにお願いしたというのは一つもございません。どの時点でもございません。
 したがいまして、そういうことが本当にそうであるのかどうかについて、私どもとしては極めて不思議に思っておりますんで、抗議をさせていただいております。
#57
○峰崎直樹君 ということは、リーガルオピニオンを取ってはいないということですね。ああ、そうですか。そんな全くやってもいないことをやっているというんなら、これはどちらが正しいのか、一遍どこかであれしなきゃいけませんね。
 金融庁にちょっとお聞きします。二月二十七日に行政当局筋は廃止の方向は覆らないと明らかにしたとされていますが、こういう事実はあったんですかね、金融庁。
#58
○国務大臣(山本有二君) 個別の上場銘柄に係る上場の取扱いにつきまして、証券取引所において取引所関係規則に照らして判断される事項であり、そもそも金融庁が判断する立場にはございません。
 また、こうした行政当局筋という、金融庁と明記されていないと思っておりまして、金融庁の中でこうした判断をした部門はないというように思っております。
#59
○峰崎直樹君 このちょっとプロセス、ずっと振り返ってみるときに、二月二十七日にいわゆるあらた監査法人から出てまいりました。その何日後でしたか、六日の日だったと思うんですが、三月の、いわゆるシティがTOBを、そのときに金融担当大臣が、いや、日本の会社を守るんじゃなくて日本の市場を守るんだと、こうおっしゃったわけですね。
 そのときに、我々が聞くところによると、三月九日に日興は上場廃止へと、こういうふうにある新聞、また間違えたのかもしれませんけれども、でたらめ打ったのかもしれないけれども、打ったわけです。ああ、九日に。六日、シティが上場といって、九日に上場廃止。これ、どっちがタイミングが早かったか分かりませんが、そうこうするうちに、シティがTOB掛けるという話を聞いて報道された後に、実は、いや、どうも日興の上場廃止は延びそうだと。そして、翌週の月曜日、十二日になったわけです。
 ということは、どうもシティのTOB、シティに、こんなに安い千三百五十円であんなところに売っ払って、このお行儀の悪いシティに売るというのは、これはとても腹立たしいとだれが思ったか分かりませんが、ちょっと私なんかもこうやって追及していることがシティに何か安い値段で売ることに手をかしてしまったかなといって内心じくじたる思いがあるんですが。
 しかし、いずれにしても、このプロセスによると、この九日に上場廃止というのは、これは後で本当にそうだったかどうかをお聞きしたいんですが、このプロセスの中で何か、七日、八日、九日、十日、十一、十二、大きな何か変化があったように思えてならないんですが、その間、政治家からのだれかの圧力だとか行政当局からの圧力だとか、そういうものは東証社長、ございましたでしょうか。
#60
○参考人(西室泰三君) 興味深くストーリーをお伺いいたしました。
 九日というところでは、たしか具体的に言えば読売新聞だったと思いますけれども、違ったら御勘弁いただきたいんですが、読売新聞でございますよね。だとすれば、その前の日に読売新聞のキャップとちゃんと話をいたしました。彼は、どうしてそういう記事を書かなきゃいけないかというのは、ほかの主要二社が書いてしまったから書かざるを得ないと私は思って書きますよと通告をしに来たんで、我々は全く決めていないのに何でそんなことをするんだと、新聞会社あるいは新聞社の今の記事の取り方と報道の仕方というのはそういうものなのかとお説教をしたにもかかわらず、お書きいただいたということであるということをあえて申し上げます。
 それから、その間にシティさんのTOBの話が出てきました。これは私どももそういう話があるとは全く分かっていませんでしたから、これにどう対処すべきかというのは問題にいたしました。しかしながら、TOBを掛ける、それの結果がどうなるということ、その後の進展がどうなるというふうなことを、我々の上場廃止か否かという決断に影響をさせるべきではないというふうにはっきりと判断をいたしました。
 もう一つ、一番最後におっしゃられた政治家さんあるいは行政当局からの圧力のようなもの、あるいは誘導、サジェスチョン、一切ございません。これだけは天地神明に誓って申し上げられます。
#61
○峰崎直樹君 あったら大スキャンダルですよね。いや、ありましたというのはないんだろうと思っていたんですが。
 山本大臣と西室社長、これ西日本新聞という新聞の三月十三日付けで、事前に言っておりませんでしたので、三月十三日付けの西日本新聞にこんな記事が載っているんですよ。
 約一か月前の二月七日の夜、二月七日という、複数の金融関係者は東京都内の料理店で東証の西室泰三社長と山本有二金融相が密談していたと証言する。読みますよ。日興の上場は維持できませんかと金融相はずばりと本題に切り込んだと。金融庁にすれば、経営責任の明確化を拒み続けた日興の金子昌資前会長と有村純一社長が昨年十二月下旬に辞任を決意したことで一定の達成感があったというふうに言いながら、そうはいっても日興は大手証券の一角だと、追い詰めて市場から消してしまえばいろんな混乱も起きるだろうと。これに対して、西室泰三社長は、無理な相談ですねと。ふだんは軽妙な話術が持ち味の西室社長の表情に笑みはなく、取り付く島がなかったと、金融関係者という、という何かこう、西日本新聞もこれ結構立派な新聞社だと思いますので、そういう事実があったかどうか、お答えをいただければと思います。どちらでも。お二人とも。
#62
○参考人(西室泰三君) 非常に面白いお話を聞かせていただき、ありがとうございます。
 もしもそういうことがあったら、私は取り付く島もないということに多分なったと思いますが、私、山本大臣との会話は何回かはございました。それは否定はいたしません。しかし、日興さんの上場を継続するかどうかについては、山本大臣も一切おっしゃらないし、私も一切何も申し上げておりません。
 本件については、もう一つ申し上げれば、東証が決めさせていただきますということはもっと前の時点で申し上げて、それについて異存はないよというふうにも伺っております。したがいまして、どっちに決めるかということについて山本大臣から何かお話があったということは一切ございませんので、したがいまして、私の態度もそんな変な態度をする余地がなかったということでございます。
#63
○国務大臣(山本有二君) 上場及び上場廃止についてのすべての権限は東証にあるという私は金融大臣としてのポリシーを持っているつもりでございまして、それに関して何らかの影響を与えるようなことがあっては絶対にならないということで去年からずっと推移しておりまして、全くそういう事実はございません。
#64
○峰崎直樹君 マスコミ報道を全部真に受けてやっているわけじゃないんですが、余りにもタイミングよく、今おっしゃられたように、やっぱり二月七日の日にはお会いになられたんですかね。会ったこと何度かあるとおっしゃっていますが、七日の日の夜はお会いになっていることは間違いないですか。
#65
○参考人(西室泰三君) いろんな方にお会いした中で、山本大臣とももちろんお会いはしておりますけれども、日にち、時間その他、何でしたっけ、小料理屋でございますか、そういうふうなことについて私は一々申し上げたり、あるいは確認など、それの日にちの確認等についてお答えはできないということを、ほかの方の件について聞かれても申し上げたいと思います。
 一つだけ公開情報になりましたのは、昨晩、安倍総理と一緒の会食に出たというのは新聞に書かれましたから、これは事実でございますが、それ以外については、いまだかつてどなたと会食をしたとか、どんな話をしたとかいうことをディスクローズすることはしないという主義にしております。誠に申し訳ございません。
#66
○峰崎直樹君 今、昨日、安倍総理とお会いになられたんですか。
#67
○参考人(西室泰三君) いや、読売新聞に書いてあります。
#68
○峰崎直樹君 いやいやいや。実は、安倍総理の問題というのは、私もこの日興コーディアルと大変、日興コーディアル問題では何か安倍総理との会話はありましたか。
#69
○参考人(西室泰三君) それ、非常に興味深い御質問なんですけれども、どういう御関係がおありになるのかよく分かりませんが、日興コーディアルに関するお話は、もちろん何人もいる席でございますから、明らかにいたしました。
 非常に難しいデシジョンだけれどもこういうことにしました、それからあと、マスコミの大半の予想と違ったことを書いたものでいろいろな御批判を受けておりますというところまでは言いましたけれども、安倍総理はにこにこ笑っておられただけでおしまいでございました。
 以上です。
#70
○峰崎直樹君 なかなか興味深いなと思ったんですけれども。
 というのは、有村純一社長と家族ぐるみの付き合いだということを有村社長が方々で言っていらっしゃるんですよね。それ以上分かりませんから、それ以上我々も追及する材料を持っているわけじゃないんですけれども、今のお話を聞いていて、にこにこお笑いになっていたというようなお話も聞いていて、なかなか興味深かったかなと思います。これはまた引き続き……。
 そこで、これもそろそろ、今日、西室社長、ありがとうございました。本当に朝早くからいただきまして。私、取りあえず社長の方は結構でございます。
#71
○参考人(西室泰三君) どうもありがとうございます。
#72
○委員長(家西悟君) 西室参考人、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
#73
○峰崎直樹君 それでは、山本担当大臣に、この問題、もうそんなにこの問題ばっかりやっているともうほかの質問ができないものですから、我々も大変困っているわけですけれども、まあ問題がある以上は追及せにゃいかぬと。
 そこで、今、会計監査に関しては二つ同じものがあるわけです。正しいと言っているのは、旧中央青山監査法人が出した〇五年三月期、〇六年三月期。そして、あらた監査法人がその訂正報告書を出した〇五年、〇六年三月期と二つございます。もちろん中間期もある。これ、どうするんですか、これは。両方正しいというのを市場に出して今広げているんですよ。どちらかが間違っているとしか言いようないんですよね。どうなさるんですか、これ。
#74
○国務大臣(山本有二君) 個別の監査に関する具体的コメントは差し控えさせていただきますが、事実関係について申し上げれば、日興コーディアルグループが提出した〇五年三月期及び〇六年三月期の有価証券報告書につきましては中央青山監査法人の適正意見が付されているところでございまして、日興コーディアルグループはこれらの有価証券報告書の財務諸表等の訂正を行い、訂正報告書を先般提出したところでございますが、これにはあらた監査法人の適正意見が付されているところでございます。
 それぞれ一般論で申し上げますと、企業財務情報の信頼性の確保につきまして重要な役割を担うべき公認会計士あるいは監査法人が、仮にその職責を果たさず、適正な監査を行っていなかったとすれば、法令に基づき職業専門家としての責任が問われていくものと考えているところでございます。
 以上でございます。
#75
○峰崎直樹君 当然、その適正意見を出したところに今度は不適正意見を出させている、そして間違えていましたということを言われる、どこがこれ、どういう結末にするのかをはっきりしないと、これ我々もどうしようもないんですよね。今、二つ正しいというふうに言っているものが財務局に全部開示されているわけですよ。ですから、これ早くきちんと処理される必要があるし、なぜそういうことが起きたのかということについての解明もしていく必要があるんじゃないかと思いますが、改めてその点、簡単で結構ですけれども、決意を伺いたいと思います。
#76
○国務大臣(山本有二君) 一般論としては、虚偽のある財務書類を作成した等について職業専門家としての責任が問われ、また財務関係書類について整序が行われていくというようなふうに思っておりますが、それについて注視していきたいというように思っております。
#77
○峰崎直樹君 なかなかその責任をきちんと明確にしていくという姿勢が出てこない。だから、この日興コーディアルの問題も含めて、どうしてもやはり金融庁は市場を守るんじゃなくて、いわゆる会社を何か擁護していくように見えて、どうしてもやはりこれまでの戦後日本の金融行政、あるいは大蔵省を中心とした護送船団行政というのはどうしてもそういう業者寄りに進んでいくのかなという感じがしてならないもので、その点を早く、市場法を作ったわけでしょう、金融商品取引法というのは。だから、その市場法に基づいてこれから行政をやっていかなきゃいかぬというふうに転換を早く図ってもらわなきゃいかぬなと思っております。
 時間がもう、ややこれだけで一時間過ぎました。実は、監査問題に関して実は昨年の十月に、ニッコウはニッコウでもJALの日航について私は質問をいたしました。これも今私ども、ダブルニッコウで、ニッコウのもう一つの方について新しい事実が出てまいりましたので、この点について財務大臣にお伺いしたいと思います。
 多分、これも個別の問題だからというので、なかなかまともに答えてもらえないのかもしれませんが、少なくとも財務大臣、これは政策投資銀行というのは、このたび日本航空に六百億ですか、それの追加融資をするというふうに言っていますが、その正にメーンバンク中のメーンバンクですね。財務大臣に伺いたいのは、これはもう質問の項目の中に具体的に書いておきました。日本航空のメーンバンクともいうべき政策投資銀行の設備投資研究所に一ノ宮士郎という研究員がおられるんだそうです。その方が「利益操作の研究」、正に今のテーマにいい、即した題ですけれども、要するに利益をどうやって操作するかというものの研究の中に「不当な財務報告に関する考察」、是非勉強してみたいなと思っているんですが、二〇〇三年二月に出されたものの論文の中で、日本航空の会計処理について次のように指摘されているんです。いろいろあった中で、それ以外にも他の決算期に見られた機材購入時での値引きなどに関連する機材関連報奨費の処理や長期為替先物予約に係る為替差損の簿価算入などの問題も利益操作の疑いがある。
 機材関連報奨費の問題は御存じですよね、一機百億円で買ったと、しかし十億円値引きしてくれたと、百億円で買ったことにして十億円は利益に計上したと。これをずっとやり続けてきたわけです。これは日本航空だけじゃなくてANAも一時期までずっとやっていたんです。今はさすがにこれは問題だということで指摘されて元へ戻ったんですけれども、その余波はまだ続いているんです。
 そのことは別にいたしまして、こういうふうにメーンバンクの研究員の方が、こういうやり方は正にこれは利益操作、不当な財務報告に関する考察の中の一考え方として、粉飾決算をやっているんじゃないんですかということを指摘をしているんですよね。今は直ったかどうか分かりませんけれども、しかしその余波はずっと続いています。
 こういうところに引き続いて政策投資銀行がその追加融資をするというのは、追い貸しになってくるんじゃないんだろうかと、本当これは大丈夫なんだろうかというふうに思うんですが、この点いかがでしょう。
#78
○国務大臣(尾身幸次君) この御指摘の論文があるということは聞いておりますけれども、個別企業の会計処理について私どもとしてはお答えする立場にないということを御理解いただきたいと思います。
#79
○峰崎直樹君 今度、委嘱審査のときに多分政策投資銀行の方が来られると思いますので、その方にも直接お聞きしていった方が早いかなと思いますが、財務省、これは政策投資銀行に対する監督責任を持っているわけですから、この点はきっちりと是非監視の目を強めていただきたいなというふうに思っております。多分そういう答えしか出てこないだろうというふうに思っておりました。
 本来であれば、ここから格差問題に移りたいんですが、三十分間という時間で、あと世界同時株安とそれからそれ以外の問題もあるんで、もう日銀総裁、今日お呼びしていますので、いや、決して逃げないでくださいね、財務大臣に格差の問題について是非議論をしたいと思ってやっているんですが。先にじゃ世界同時株安の問題で日銀総裁に、大いに財務大臣にもこれ聞くことありますのでよろしくお願いしたいと思いますが、後で平野委員の方からもきっといろんな質問があると思いますが、その前座だと思って。
 最初に、二月二十七日から始まった世界同時株安の連鎖、チャイナから起きた、中国から起きたというふうに言っていますが、昨日はどうもニューヨークから起きているということのようでありますけれども、この連鎖は、原因は一体どこにあるというふうにお考えでしょうか。
 時間もありませんので、たしか前回日銀総裁に二十二日に来ていただいたときに、G7の会合があったときに、ヘッジファンドに対する規制をきちんとすべきじゃないかという意見があるんだけれども、その点についてどうかというようなことの一緒に質問をいたしました。世界のヘッジファンドの規模はどんなに動いているのかなと、その関連で日銀が〇・二五%に引き上げたということについてもこれは原因があるのかなと、こういった点をちょっと今日はお聞きしたいと思いましたので、まず日銀総裁からお聞きして、財務大臣も、その辺りどのように考えておられるかお聞きしておきたいと思います。
#80
○参考人(福井俊彦君) たくさんの御質問を一挙にいただきましたので、どこからお答えすればいいかと思いますが、いずれも簡潔にお答えいたしますれば、世界同時株安、これは前回のG7のコミュニケの中にも、世界経済が順調に推移していても、金融市場の中でかえってリスクの感覚が甘くなって偏ったポジションを取るというふうなことがあれば、これは将来問題を起こす可能性があるというウオーニングを出しています。
 今回の株の下落、最初は上海の株を出発に、そして昨日はニューヨークの株の下落がきっかけになっていたということでありますが、それぞれがそういうきっかけはあるにしても、やはり大きくはG7のウオーニングがバックにあって、株式市場を中心に世界の様々な市場が自律的な調整を進めていると、今そういうふうに一般的には理解されているというふうに思います。
 それから、ヘッジファンドでございますが、これは九〇年代以降、ヘッジファンドの資産規模とか、あるいはヘッジファンドの数そのものが急激に増えているというのは委員御指摘のとおりでございます。どれぐらいかというのは、なかなかこういうものの正確にはつかみにくいんですけれども、総資産規模で一兆ドル程度に達しているという民間の推計もあります。我々も大体そんなところかなという、勘どころとしてはとらえています。
 ヘッジファンドの活動については、プラス、マイナス両面ある。プラスの面としましては、他の市場参加者と反対方向の取引を行っておりますので、これは市場の流動性を高めたり、裁定機会をいち早く見付けて市場の効率性を向上させると。もっと言えば、世界全体としての資源配分の効率性を図るというプラスの面、そういう役割を果たしておりますが、同時に裏の面で、やはりヘッジファンドはかなり投機的な動きをするということでありますので、金融資産価格のボラティリティーを高めている面もあると。こういうプラス、マイナス両面からきちんと評価をしていかなきゃいけないというふうに思います。
 中央銀行といたしましては、かなり幅広い観点から今後とも適切に情報収集をしていきたい。そして、ヘッジファンドの直接の取引相手方というのは、投資家であったり金融機関であったりいたします。こうした直接の、ヘッジファンドの直接のこの取引先相手がきちんとファンドのリスクをよりよく監視できるように、関係者間の情報の流れを促すような動機付けをきちんと行っていかなきゃいけない。中央銀行の立場からは、いきなり規制ということではなくて、そういうマーケットの中で様々な動機付けを与えていくという役割かなというふうに思っています。
#81
○委員長(家西悟君) 財務大臣。
#82
○参考人(福井俊彦君) あっ、もう一つありました、済みません。
#83
○委員長(家西悟君) じゃ、福井総裁、そのまま続けてください。
#84
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行の金利の引上げとの関係はどうかというふうなお尋ねがございました。
 私どもは、日本銀行は主として国内の経済・物価情勢というものを中心に政策判断をしているということでありますけれども、同時にこうした世界の金融の流れ、特にリスクが偏ってとられてはいないか、偏ったポジション形成がなされていないか、そうしたことの大きな巻き戻しがあれば、これは改めて経済、物価という実体面に悪い跳ね返りを起こすリスクがあると。このことはいつも念頭には置きながらやっておりますが、主として国内の経済・物価情勢を中心に判断しております。日本銀行の前回の金利の引上げが今回の株価調整と直接のつながりを持っているというふうには考えておりません。
#85
○国務大臣(尾身幸次君) 先日発表されましたGDPの統計におきましても、十二月のGDP、年率五・五%増となっているように、我が国経済のファンダメンタルズは順調な回復過程にあると考えております。
 また先日、三月五日に米国のポールソン財務長官とも会談をいたしましたが、その際にも日米経済あるいは世界経済のファンダメンタルズは順調であるという点で一致したところであります。まあ、株価は様々な要因を背景にマーケットにおいて決定されているものでございまして、現在及び今後の株価の現実の水準や変動要因等について言及は差し控えさせていただきますが、株式市場の動向等については、これまでも、そしてこれからも注意深く見守ってまいりたいと考えております。
#86
○峰崎直樹君 日銀総裁、いろんなことを一遍に言っちゃったんであれですが、キャリートレードというのがございますね、円キャリートレードあるいはグローバルキャリートレードと言ったりするんでしょうけれども。株価ががっと大幅に値下がりすると、昨日も五百円、五百一円ですか、下がっていましたが、日経平均で。そうすると円高になるんですね、ぽんと。で、債券の値段がもちろん高騰していく、金利は下がってくると。そこは非常に相互に連携しているんだろうと思いますが。そうすると、当然、日銀が潤沢に資金供給をしていること、〇・二五が〇・五〇になっても、私はまだそれは低いし、もっと正常な金利水準に上げるべきだと思っている一人なんですけれども、しかし、それ以上そういうことが起きる危険性というのは非常に濃厚だと。そこの、いわゆるキャリートレードに与える影響というのは相当あるんではないかと思ったんですが、全く、先ほどのように〇・二五%上げても、これは関係ございませんと、こういうふうに言い切れるのかなというのがちょっと非常に疑問に思っているんですが、そこら辺はどのように考えていますでしょうか。
#87
○参考人(福井俊彦君) 委員がまさしく御指摘のとおり、金融市場が非常に安定した状況、つまり、特に為替相場の動きなどについてボラティリティーが低いと、安定した市場にあるということを市場関係者が認識した場合には、国際的な資金の移動というのは金利差につれて動く部分が多くなると、そういう自然な性格を持っておりますし、過去数年を振り返りましても現実にそういう現象が起こっていると。
 しかし何かのきっかけで市場に不安定性が出てくる、我々の言葉で言えばボラティリティーが上がるというふうな状況になりますと、そうしたいったん取られたポジションが逆戻りが起こって、それが他の市場にも連鎖的な反応を起こすと、これまた委員がまさしく御指摘になったとおりでございます。
 問題は、市場ですからいつもなぎのように静かということはないわけで、巻き戻しという局面が起こりましても、それが市場全体が自律的に吸収できるということで新たな均衡点に到達し、さらに次の段階では実体経済とまた金融市場とが平仄の合う形で動くと、これが望ましい姿でございます。
 金融政策、日本銀行に限りませんで、過去の金融政策、いずれも基本的には国内の経済・物価情勢を中心に判断を続けていっておりますけれども、今御指摘のような点も含めて、市場に一方的なリスクが偏っていないか、その巻き戻しのリスクというのはどの程度の危険があるかというふうなことは、ひとしく念頭に置きながら進めていると。それがうまく、判断が正当であれば、市場で変動が起こっても市場の中での自律的な調整で終わるということでございます。
 昨年の五月、六月に一回、グローバルリスクリダクションと言われておりますけれども、リスクの取り過ぎの修正が行われました。実体経済に悪い影響を世界的に与えないで調整が終わったわけでありますけれども、今起こっております調整についても同様に、実体経済に悪い影響が及ばずに市場が自律的にそのショックを吸収していくというプロセスを我々は期待している、今後の状況は冷静に見守っていきたいと、このようなことでございます。
 なお、円キャリートレードと言われておりますが、様々な取引がありまして、恐らく委員の念頭にお持ちであるのはかなり投機的な取引、確かにヘッジファンドを含め短期的なさや取りをねらう投機的な資金がかなり介在していると。フューチャーの取引とか先物契約でそれが行われていて、それがある程度今巻き戻しが行われていることも事実でありますが、円キャリートレードという場合にはもう一つございまして、日本の機関投資家とか日本の一般個人でございますが、これは我々の言葉ではホームバイアスの解消とこう言っているんですけれども、以前は全部貯蓄は国内で持っていた。これがやはりグローバル化の中で、国境を越えて様々な形で貯蓄を持つようになり、現在は海外で比較的金利の高い債券とか、あるいはもう預金の場合もあります。それから、海外の株式投資信託等々に幅広く投資を展開し始めていまして、これも広い意味では円キャリートレードになります。これは状況によりけりでありますけれども、短期の投機的なヘッジファンド等のお金とはかなり性格が違って、ちょっとしたきっかけで急激な巻き戻しが起こるというふうなものでもないと。様々な取引が含まれているということも十分注視しながら、我々状況を見させていただいております。
#88
○峰崎直樹君 正にそうだろうと思うんですけれども、十分いろんな取りようあるんだろうと思うんですが、大体、しかしどのぐらいの規模で動いているのかというその実態について、今おっしゃられたように投機的なものがあれば実際に個人が投資したり、機関投資家がきちんとしたリスクを取りながらやっている場合もあるんだろうと思うんですよ。しかし、そこら辺が全然こう分からない。それがある意味では我々非常に、そこから規制をしたらどうだというドイツのような意見が出てきたんだろうと思うんですが。
 そこで、金融担当大臣、こういった点について、やはりある程度グローバルに、これ日本だけでやるというふうにはなかなかいかないと思うんですけれども、そういう規制というものは必要性というものはあるというふうにお考えでしょうかね。
#89
○国務大臣(山本有二君) ヘッジファンドの規模につきましては、その資産規模及び数ともに急速に増加していると言われているものと承知しております。こうしたヘッジファンドに対する規制の在り方については、国際的にも様々な見解、議論があるというように認識しております。
 金融庁といたしましては、ヘッジファンドの動向につきまして、投資家保護、市場の公正性、透明性の確保、システミックリスクの回避といった観点から注目しておりまして、これまでも、実態把握に努めるとともに、金融商品取引法によりファンド持分の販売、勧誘、投資運用、開示面で規制を整備するなど、投資家保護や市場の公正性、透明性の確保を図り、ヘッジファンドに投資あるいは融資を行っている金融機関に検査監督を通じて適切なリスク管理を求めるなどして、システミックリスクの回避を念頭に置いた間接的なアプローチを実施しております。
 多面的な対応をこれから取っていかなければならないところでございますが、今後とも、G7を含めた国際的な議論も踏まえまして、海外当局や国際機関とも連携しつつ適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
#90
○峰崎直樹君 時間も余りないんで、本来であれば、アメリカのサブプライムローンというんですか、住宅ローンの中の劣後の非常に低いものが非常に最近どこか倒産したというような話も聞いておりますしね、その扱っている。実体経済そのものが非常に、アメリカの場合はモーゲージの金利が下がることによってその差額分が消費に回るという、摩訶不思議な経済だなというふうに私自身思っているんですが、これ逆の回転をし始めたときにどうなのかなという、そういう意味でアメリカ経済に対する不安もあるわけですけども、それはもう今日、あれしません。
 そこで、私は、金融取引に対して、アメリカのあの有名な経済学者のトービンさんという人がトービン・タックスというのを出されているんですよ。とにかく、回数はどのぐらいやっているか分からない、どのぐらいの規模をやっているか分かりませんけども、そろそろ国際的に金融取引に対して、極めて低い税率で結構ですから、回数に応じてそのトービン・タックスを導入することが考えられていいんじゃないんだろうかというふうに、先ほど、今、金融担当大臣もG7等でというふうにおっしゃいました。そういう提案がされて、なかなかその実現が非常に進んでいないんですけども。
 私、昨年の十月にフランスにちょっとお邪魔したときに、フランスで新たに航空機に乗ったときに国際連帯税というのを掛けています。これは恐らく二十二、三か国に広がってきて、要するに、エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラス、全部価格が違うんです。国内も全部そうであります。そういうところへ税を掛けて、それは何に使うかというと、途上国に対する、いわゆる連帯ですから、途上国に対する支援に使う。
 私は、そういう意味で、あっ、これも一つの面白い方法だというふうに思ったんですけども、面白いというか、非常に重要な方法だと思ったんですが、トービン・タックスというものは、一回、もう非常に極めて低い税率で結構ですから、普通の庶民が、先ほどおっしゃったホームバイアスを避けていくような投資にまで掛ける必要は、掛かってももう微々たるものしか掛かんないようなもので結構ですが、そういうことを導入していくというのをG7辺りで日本から提案したらどうなんだろうというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。三人の方からお答えください。
#91
○国務大臣(山本有二君) 大変有意義な御指摘であろうというように思っております。投機的な為替取引の抑制等の観点から、為替取引に税を課そうとするトービン・タックスという提案があることは承知しております。
 しかし、このトービン・タックスの導入につきましては、その効果、現実的な執行の可能性など、様々な論点について慎重な検討が必要でないかとも言われております。これまで、OECDやG7におきましても、トービン・タックスの効果に対する疑問や、投機的な資本移動とその他の取引とを区別することは不可能であり、また、グローバルな執行が難しいといった実務上の問題点が指摘されているところでございます。
 なお、二〇〇一年にフランス、二〇〇四年にはベルギーでほかのすべてのEU加盟国での実施を条件として施行する旨の立法がなされておりますけれども、まだ実施はされておりません。
 先生の御指摘は大変有意義なものだというように思っております。
#92
○国務大臣(尾身幸次君) このトービン・タックスにつきましては、今、山本大臣からも御指摘がございましたが、課税の根拠やその効果、あるいは様々な実務上の問題点が指摘されておりまして、その導入につきましては慎重な検討が必要であると考えております。
#93
○参考人(福井俊彦君) この投機的な為替取引とか資金取引が余り無秩序に行われた場合には最終的なシステミックリスクを生み、世界の実体経済あるいは個々の国の実体経済に悪い影響を跳ね返すということで、中央銀行の間でも大変な関心事項でございます。
 そして、おっしゃったトービン・タックスにつきまして、ノーベル賞受賞で有名なトービン博士の提案でもあり、かねてより中央銀行仲間でも話題に上っております。この原案というのは、極めて低い税率でいいけれども短期の為替取引に対して課税をすれば、少し秩序維持に役に立つんではないかという提案だというふうに認識しております。
 税当局とは違います我々のかなり実務的な立場でこの考え方をいつも検討しておりますけれども、仮に極めて低率の税、課税の仕方であっても、やはりこの取引への課税というのは、流動性の高い効率的な市場をつくっていくという目的と相反する部分がどれぐらいあるかということで、なかなか答えが見いだせない。
 もう一つは、やっぱり、難儀なことに、タックスヘイブンというのが世界にありまして、こういうグローバル化した金融取引を考えますと、タックスヘイブンはいいと、それ以外の国が足並みをそろえて課税するということでは、かえって市場にひずみが生ずるのではないかとか、いろいろ悩んでいるというのが実情でございます。
#94
○峰崎直樹君 この問題は是非検討していきたいし、また議員の皆さん方にも考えていただきたいと思っているんですが。
 実は、今日はちょっと、スティグリッツという方が、「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」、あるいは世界に格差をまき散らしたグローバリズムの正体、三部作ございまして、私も興味深く読ませていただきました。世界銀行の副総裁をやられていました。世界銀行、あるいはIMF、ワシントン・コンセンサスと言われているものが一体何もたらしているのかということで、非常に大きな格差を結果的にもたらしているし、その格差というのは、後でちょっとお話ししますが、アメリカが最も一番もたらしているわけなんです。
 その中で、ちょっと財務大臣、黒田総裁が出ていますADB、アジア開発銀行ですね、そこでこの間、あるPSIという国際公務員労連の方が来られまして、是非このADBとこういうNGOが連携して、そしてアジア開発銀行が進めていく様々な融資、出資、様々なところありますが、そういうものに対して協力関係が今非常に密接になってきているんです。これは聞いていて本当に良くなっているなと思うんですが、できればフィリピン・マニラにADB、私も行ったことありますが、そこの中で、お金は全部そういう組合持つから、NGOが持つから、そこでその事務所をこう、いわゆる机を置かしていただいて、そして、いわゆるこういったものに対して、例えばフィリピンの水の問題で民営化して大失敗していると、こういったものについてNGOならどういうことを考えるのかとか、そういう提言をいろいろやり取りしていたらしいんで、そういったところをもう少しADBがきちんと受け入れてくれると非常に有り難いと、こういう要請がちょっとございました。
 これは私、スティグリッツの本を読みながら、そういう世界のグローバリズムが進んでいる中で、それぞれの地域ごとでNGOの方々と十分連携していくというのは非常に必要なことなんじゃないかなと思って、今日一問加えさしていただいたんです。
 財務大臣、いかがでしょう。そういったことについて、ADBの総会は今年京都であるというふうにも聞いておりますので、日本は大変な出資であり、人材まで派遣しているわけですから、そういう点を是非強力に主張していただきたいと思うんですが、どうお考えでしょうか。
#95
○国務大臣(尾身幸次君) アジア開発銀行が様々な関係の国家、国、政府、それから様々なNGOなどと必要に応じて対話を行うことは、一般論としては意味があることだと考えております。
 ただ、個別のNGOとの対話について、アジア開銀の独自の判断で行われるこれはべきことでございまして、私どもとしてこれにコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#96
○峰崎直樹君 それでは、あと十分間しか残りませんので、今度は格差の問題について、資料をまず見ていただきたいなと思います。
 四ページ。一ページから三ページまではこの間の日興コーディアルの流れを、これはおさらいをいたしませんので、これはまたいつか別に見てください。
 この間、格差問題がこれから非常に大きくなるということを、私なりにも資料その他を見させていただきました。
 一番最初に、四ページの上に出ていますのは年齢別のジニ係数の推移です。すなわち、これまでは、いや、格差は拡大しているというけれども、これは高齢化しているからそうなんだと、こういう要因だったんです。ところが、二〇〇五年という数字が出てまいりまして、一番直近の数字ではございますが、その数字を見ると、二十五歳未満あるいは二十五歳から二十九歳のところはジニ係数が上がってきているわけですね。これはもちろん再分配前の実態だったようでございますが、その意味で高齢化に匹敵するぐらい、若年層が非常に拡大しているというのが出てきております。
 それから、下の数字は、税経通信に載っていた数字で面白いなと思ったんですが、一九九七年から二〇〇一年にかけてアメリカで発生した労働所得増加分の所得階層別のシェアということで、何とその一番てっぺんのちょっとやや左に九九・九から一〇〇%、すなわち〇・〇一%の方々で七・七%の労働所得を取っている。あるいは、一%以上になってくると、〇・一%以上になってくると、一六・二と七・七を足したらもう約四分の一は一%の人が取っていると。
 同じことを実は今日は、もうばたばた何度も言うんですが、先日、国税庁長官官房企画課から申告所得税標本調査という、私も、ああ、これはいいことを去年指摘しておいてよかったなと思ったんですが、税金の高額所得者を公表するのをやめた。そのために、これは実態が分からなくなったら困るぞということで、この所得種類別に、階層別にどのぐらいいわゆる所得階層が分布しているんだということで、この中身で見ると、株式の譲渡益というのが、譲渡所得というのがすごいなというのが改めて分かったんですけれども。ずっと株式譲渡益のところに、金額は、これは税金じゃありませんので、譲渡所得が二兆六千五百十一億八千三百万円、この金額の人数が三十一万四千百六十三人なんですけれども、そのうち百億円を超える譲渡所得を取った人が七人、金額にして二千億と。こういうような、まあ細かいことはこれ以上言いませんが、本当に所得が経済をいわゆる自由な経済というか、小泉・竹中路線が進めてきた経済成長至上主義というふうに私ども時々言うんですけれども、その結果、アメリカでどんなことが起きているのか、日本ではどんなことが起きてきているのかということは、本当に格差がどんどん拡大をしてきているということを私自身もこの数字を見ることはできるんですが。
 五ページ以降は、日本の所得税、住民税、社会保険料負担の実態ということで、これは所得階数を一から十分位まで分けて、これは個票を使って分析されているんですね。一橋大学の田近先生外財務省の総合研究所でやっていらっしゃいます。
 この数字、全世帯というところを見ていただくと分かるんですけれども、平均世帯の所得が五百八十万。税負担というところで所得控除率というのは、その五百八十万のうち全部のその所得控除になっているのは何割あるかと、六一%。課税されるのは三八・七%だということですね。非常にもういわゆる課税ベースが少なくなっているということ。
 そして、見ていただきたいんですけれども、租税負担率というのは、まあ一分位なんかはもうゼロですからいいんですけれども、十分位のところだけがぽんとはね上がるようになっている。しかし、これはあれが入ってまいりませんね、勤労所得を中心にしたものしか入ってないはずですが。
 隣に社会保険の負担率を、負担を見ていただくと、一分位からも間違いなくこれはばっちり取られるわけでありまして、社会保険の負担率は〇・〇七三、七・三%ということでございます。ごらんになっていったら分かるんですけれども、一分位の一番低い人の社会保険料負担率は〇・一二一です。一二・一%です。ところが、ずっとこれが下がってまいりまして、一番高い十分位は〇・〇六三と。要するに、社会保険料というのは、定額制、医療費なんかも国民健康保険とか上限がストップされているものですから、非常に逆進性がこれは高いということを表しているわけです。税と社会保険の負担率はどのぐらいになっているかということを一番右端に出ておりまして、本当にこの低額所得者の方々は、これは本当に、言ってみれば所得再配分機能が全く効いてないということを示しているんじゃないんだろうか。
 本当は一、二、三、その後の次のページも説明したいんですが、もう一つずらずらと説明させていただきます。
 一番最後の八ページ見てください。今度は低所得者の純所得移転ということで、OECD各国で五分位に分けて、一番低い人たち、まあもう低所得者ですけれども、この方々にどれだけの所得移転が行われているのかというのを調べたわけです。スイスが正にゼロという状況になっているんですが、日本は、負担は右側の方ですね、直接税、社会保険料、所得移転が左なんです。この所得移転の大半は年金だと言われています。つまり、階層別のいわゆる所得移転が行われているんです。世代間のいわゆる移転なんですね。世代内の移転というのが全くといっていいぐらい効いていないと、こういうふうに言われています。
 ジニ係数、調べてみると、税による所得再配分機能というのは極めて最近は落ち込んでいる、これも本当は財務大臣に聞きたかったところなんですが。社会保障におけるジニ係数が、比較的その再配分を機能しているんですが、それはもうひとえに年金なんですよ。年金は実は世代間の助け合いになっていますから、世代内では全く効いてない。こういうことを実はこの表は表しているんですが、これは私がぐじゅぐじゅ言ってもしようがないんですが、そういう格差がもたらされた現実社会で何が起こっているのかということは七ページ見てください。教育です。
 これは耳塚さんというお茶の水大学の先生が、学校外教育費支出月額別の算数学力の平均値、これは学校教育以外ですから、塾、家庭教師、こういったもので、これは小学校六年生の平均値です。人口二十五万都市で六千人ぐらいを対象にしたとおっしゃっていますが、ごらんになっていただいたら見事に相関しているんですよ。お金がある人は塾や家庭教師にあり付けるから、数学の成績ですけれども、これは七十八・四点取っていますよと。全く掛けない人は三十五・何ぼですよと。
 それから、その次のページ見てください。世帯所得別の算数学力の平均値、これを見ていただいても、一千万円以上あるいは近くなればなるほどこれは上がっていく。それから、母親の学歴別・世帯所得別の算数学力平均値、何で母親取ったんだというのはいろいろあるかもしれませんが、これは今日は時間ありませんので、円さんにいつか説明したいと思いますが、その数字を見てください。はっきりと、いわゆる一千万円以上で母親が大卒である方が一番いわゆるこの学力が高いというんです。
 そして、家庭学習時間帯別・世帯所得別算数学力の平均値を見ていただくと、これもいわゆる一千万円以上の人たちのところがいわゆる百二十分、時間多くて結構高くなっていると。
 教育というのは、正にどんな人間でも学力を付けて、そしてその所得格差を是正するために、スタートラインとしては、教育によって貧困層も実は富裕層も同じ条件で頑張っていける条件がそれだと言われていたのに、明らかにもう階層別消費がもう始まっているんじゃないですか。
 つまり、私学に行かせる、塾やそういったところに行く、そういった人のところだけがどんどん伸びていく。いや、時によってはアメリカに留学させる、高校時代から、英語がもう非常に重要だから。そうすると、その人はもう初めからハンディキャップとしては高いわけですよ。ということは、いかにこの所得再配分機能をきちんと持って、そしてこういう学力、教育にきちんと付けていかなければ、私は日本の格差問題というのはますます深刻になっていくということの本当は今日は論戦をやりたかったんですけれども、一方的な説明だけに終わってしまいました。時間が限られています。また、これは財務大臣、金融担当大臣、是非まだこれから議論ありますからしっかりと、参議院は議論をする場でございますので、そういった点について指摘をさせていただいて、今日は私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#97
○委員長(家西悟君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#98
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#99
○西田実仁君 公明党の西田でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 また今日、東証の西室社長にも大変お忙しい中、また御足労いただきまして誠にありがとうございます。
 今日、大臣所信に対する御質問ということで、この所信の中にもございましたとおり、我が国の市場を金融・資本市場の国際金融センターとしての魅力を更に向上させていくことが重要であると、こういう御指摘があって、私もそのとおりだろうというふうに思うわけであります。
 山本大臣におかれましては、今年一月八日にロンドンに行かれまして、その際、イギリス大蔵省の経済担当大臣とかイングランド銀行の総裁とか、あるいはロンドン市長とも会談をなさって、シティーに匹敵する東京国際金融特区構想を打ち出したと報道されております。毎日新聞なんかのインタビュー記事も拝見をさせていただきましたけれども、その特区とするかどうかは別としても、魅力ある、国際的に魅力のある市場をつくっていこうという御構想を打ち出されたんだというふうに思っております。
 確かに、東京のマーケットはニューヨークに次ぎまして株式時価総額を誇っておりますが、外国企業の上場数とか見ると、これはもうニューヨークが四百五十社とかシティーが三百三十社でしょうか、東京は本当にその十分の一程度、こういう現状にございます。
 そういう意味では、この魅力ある国際的な市場をつくっていくことによって、海外企業の上場を増やして、また国内金融資産の優良投資対象を増やしながら、外国金融機関も誘致して国際金融都市東京というものの盛況を図っていくと、こういう御趣旨じゃないかと思うんですが、今日は大臣の貴重な御意見として、大臣が御構想されている今の思いを、この東京マーケットを国際的な魅力あるマーケットにしていくという点で、まずお伺いしたいと思います。
#100
○国務大臣(山本有二君) 私の認識の背景にあります数字を少し申し上げたいと思います。
 世界と日本の株式時価総額についてでございます。一九九〇年に世界の時価総額が八・九兆ドルございました。うち東京が二・九兆ドル、言わば三〇%のシェアを占めておりました。二〇〇六年、去年で見ますと、世界の時価総額が四十九・九兆ドルございます。うち東京が四・六兆ドル、一〇%を切ってしまいました。言わば、その意味において、時価総額だけの面から考えれば世界の中に占めるシェアが三分の一になったと、こういう現状がございます。そしてまた、証券市場における時価総額の伸びで考えてみますと、一九九〇年と二〇〇六年を比較したとき、東京はこの十五年間に一・五八倍、上海が五十五・六九倍でございます。また、シンガポールは十一・二一倍、香港は二十・五七倍。つまり、アジア関係が急激に伸びております。そして、ニューヨークも五・七三倍という数字でございまして、ロンドンは四・四六倍、ともに、それぞれ世界の経済成長とともにストックマーケットにおけるそういう資金も環流されているという、そういう現状がここ十五、六年で見られるわけであります。
 しかし、その地球的な繁栄の勢いに若干東京は取り残されているという認識が私にございまして、そこで何をどうすればいいのかということでございます。報道等で金融特区という言葉が出ているようでございますが、自分が常々申し上げているのは、ロンドンのように高度な金融機能を集積させることによって日本全体の発展につなげていきたいということでございまして、いわゆる特区とは異なる意味合いを持つものと考えております。少子高齢化が進み、人口減少時代の到来を迎える中、今後とも我が国が経済成長を続けていくためには、一人当たりの所得の向上を目指す必要がございます。こうした観点から、これまでのように製造業だけに頼るのではなくて、高付加価値を生み出す金融サービス業を中核的な産業として位置付けていくことが必要だろうというように考えております。
 また、グローバルな市場間競争が激化する中で、我が国金融・資本市場の国際的な競争力を強化するためには、貯蓄から投資への流れをより一層確かなものとし、内外の投資家が安心して投資できるような魅力ある市場を構築することが重要であろうと考えております。こうした問題意識の下、先般、金融審議会に我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループを設置いたしまして、金融制度に関する議論にとどまらず、人材、専門サービス、インフラ等、多岐にわたる課題について幅広い観点から議論していただいているところでございます。
 金融庁といたしましては、こうした議論も踏まえまして、我が国市場の国際競争力の強化に向けた方策について検討してまいりたいと考えるところでございます。
#101
○西田実仁君 これは確認ですけれども、この東京の国際金融市場にしていこうということにつきましては、金融庁の今のお話の審議会と、あと総理がお作りになっているこのアジア・ゲートウェイ戦略会議、また経済諮問会議のスタディグループというんでしょうか、この三つのところで同じようなテーマでやっていると思いますが、これは今後のスケジュールというか、それを、三つそれぞれ研究して、いずれ一つにしていくんでしょうけど、どんな感じでお考えなんでしょうか。
#102
○国務大臣(山本有二君) まずは官邸のアジア・ゲートウェイは、アジアについての成長と日本の関連をやっておられまして、それから経済財政諮問会議の専門家委員会につきましては、言わば学識経験的な発想からそうしたアプローチをされておられます。で、金融庁の金融審議会は実務家、つまり国際取引やストックマーケット関係者を中心にして、さて、この実務家的発想からすると何が必要で何が不足しているかというようなことについての具体的な検討をやっていただいております。これを統一的に六月ぐらいまでには整合性を持たせたいと、それぞれの、根本さんや塩崎さんと私で協議をしておりまして、それぞれのまとめが出た段階で話合いをする予定になっております。
#103
○西田実仁君 この東京が国際金融都市として発展をさせていく、マネーマーケットを国際的に魅力のあるものにしていくという発想は大変に結構だと思いますが、これ過去を振り返ってみますと、こうした言い方っていうんですかね、東京が国際金融都市として発展させるその可能性が高いという主張は、八〇年代後半に中曽根内閣の民活の柱としてまず登場したという経緯があろうと思います。御案内のとおり、四全総とか首都改造計画あるいはそのときのオフショア市場の創設、こうした経緯がございました。
 しかしながら、この構想の後、プラザ合意の円高に始まり、地価の上昇、またNTT株の公開による株式投資熱、いわゆるバブルですね、結局、資産の、バブルを招来した経緯というのがございました。
 今回の、今大臣の思いを教えていただきましたけれども、この中曽根民活のときの考え方とどう違うのか。また、六月に向けてというお話がございましたけれども、そうしたことを実現していくために予算等、どの程度掛かるものなのか。この辺、もし御説明できるところがあればお話を伺えればと思います。
#104
○国務大臣(山本有二君) 中曽根内閣当時、またその近傍でレーガノミックス、サッチャリズムというような改革もあっただろうというように思いますし、また最近の国際取引におけるグローバル化の進展は著しいものがございます。そういうようなことを踏まえますと、必ずしも中曽根内閣当時の環境とは違う要因がかなりあろうというように思っております。
 特に、一九八五年から八九年代、イギリスでは金融サービス部門の経済に与える寄与率は三〇%弱でございました。製造業も同じく三〇%弱でございます。しかしながら、極端に英国病という時代がこれから進展していきまして、もう製造業はほぼ、今も十年前も寄与率はゼロに近いものがございます、経済成長に対して。それに対しまして金融サービス部門のその寄与率は、今やイギリスにおきます寄与率は六〇%になっておりまして、その意味でサッチャーからメージャー、ブレアと来まして、ブレア政権下で二〇〇〇年からのビッグバン、これの新しいシティー、キャナリーワーフという地域に金融拠点を移すことによって新たな段階にこのイギリス経済が入ったと、こういう見方がございます。
 その意味で、わずか十年の中からのこの急成長、金融セクターの急成長というものを学習、主にしていきたいとこう考えるところでございまして、これに対して、まあイギリス政府が予算等を使っているというのはまあ言わば環境整備のための予算であろうと思っておりまして、主たるその主人公は民間の金融機関がどういう態度を取られるかということに懸かっておりまして、その意味におきましては、政府としてはやや後ろに下がらなければならないんでありましょうが、今の段階でイニシアチブを取っていただける民間金融機関等についてはございませんので、まあイギリスの例を倣うならば一つのメッセージとして送ることが現在大事であろうという考え方に立っております。
#105
○西田実仁君 まあこの中曽根民活との違い、今お話しいただきましたが、その十年後ぐらいに今度は第二次橋本内閣ではいわゆるビッグバン構想というのが提唱されまして、明確に総理の指示として二〇〇一年には東京市場をニューヨークやロンドンに匹敵する国際金融資本市場にするという指示が当時出されておりました。キーワードは、もう有名になりましたけれども、フリーとかフェアとかグローバルと、こういう大変に正しい方向だったと私も思います。
 しかしながら、このビッグバン自体は外為法改正を機にかなり急激に動いたと思いますけれども、当時の金融機関の収益力がまあ余り、正直言って弱かったということを背景にしながら、九七年十一月、まあ七月から始まりましたけれども、金融危機というのが起きまして、その後多額の公的資金を注入する、こういう経緯がずっとあったわけですね。その後再編成が行われて、今メガバンクが利益を計上できるようになってきたと、こういうことでございますけれども。
 基本的な、本質的な問題でありますけれども、今回、そういう意味では三度目のこの東京を国際的な金融資本市場として魅力あるものにしていこうという御構想でありますけれども、やはり本質的に日本の金融機関の収益力、あるいは国際競争力というものが本当に充実しているのかどうか、これはメガバンクの十年前の統合前の決算と比べても、まあ資金量は当然増えていますけれども、利益率ということでいうと必ずしも胸を張って言えない状況にもあると。
 そういう意味で、外国の金融機関も含めて東京マーケットを魅力ある市場にしていこうというときには、当然競争力のある海外の金融機関が日本に来てそこで切磋琢磨しようということを意味しているんだと思いますけれども、この日本のこういった金融機関の収益力の現状をかんがみて、今回こそ、ある意味でそのグローバリゼーション、今回はそういうグローバリゼーションに本当に堪え得るのかどうか、この辺、どうお考えでしょうか。
#106
○国務大臣(山本有二君) 橋本内閣当時から起きた現象は、過剰流動性の中で不良債権を生じてしまったというシステムリスクの問題がありました。しかし、あの学習によりまして自己資本比率についての規制あるいは金融機関が学んだ経験からして、土地バブルへの警告判断というような観点から、あのときと同じ轍を踏むことはもはやないだろうというように思っております。
 そしてまた、イギリスにおける繁栄は、イギリス自国企業だけでリスクテークをしているというよりも、むしろウィンブルドン現象と言われるように、英国以外の金融機関が英国、特にロンドンのシティーに参加することによっての雇用の拡大や成長の確保ということにつながっているということを考えたときに、我が国も、都市機能的にはもはやロンドンとほぼ互角に戦えるわけでありますし、あとはそのほかの要因がそろえばそうしたことも夢ではないという発想の下に行われるわけでございまして、橋本行革のとき、あるいは橋本総量規制緩和のときからすれば随分環境は変わっているだろうというように認識しておりまして、より具体的に話が進んでいくことができるのじゃないかという期待感を持っております。
#107
○西田実仁君 ということは、国際的な競争を激化させることが、より国内の金融機関の収益力の向上につながる、こういうお考えでよろしいんでしょうか。
#108
○国務大臣(山本有二君) これは必ずそうなるとも言えませんけれども、民族的な資質、特にリスクテークをしやすい発想の国々と安全第一に考える国々とは、当然やはりそこに企業行動においてもやや異なるところがあろうというように思います。
 しかし、やはり同じマーケットの中で、それぞれ同じ立場で収益を競うということになりますれば、これまでのビジネスモデルだけでは済まないという部分がありまして、そこにイノベーションを期待するわけでありまして、特に製造業に比べますと、人材においても、また営業あるいは経営あるいは管理についても、すべて製造業と金融業を比べますと国際化の方は製造業が進んでいると言われておりまして、その意味において新たな段階に日本の金融業界も人材等、能力等、開発が進めば当然伍して戦える段階に来るという期待感は持っておる次第でございます。
#109
○西田実仁君 そういう期待感の裏で、現実に起きている、先ほど来からお話ある日興コーディアル事件とか、あるいは企業と監査法人との癒着というんでしょうか、そういう問題、いわゆる不祥事が続発しておりまして、これはもう言うまでもなくビッグバンの精神にもどう見ても反している事例が続発をしていると。こういう現状ですと、国際金融都市東京というのはなかなか、論じることさえなかなか難しい現実も正直言ってございます。こういうフェアどころかコンプライアンスの徹底そのものが必要というような、非常にある意味では大変寒い現実がございますけれども、これについてはどうお考えでしょうか。
#110
○国務大臣(山本有二君) これも個々の事象を取り上げればそのようにお感じになるかもしれませんが、やはり全体のマクロで考えていくことによって私は十分可能であろうというように思っておりますし、特に規制におきます物の考え方はここ数年で随分変化があるのではないかと思っております。特に、アメリカにおける規制機関との交流あるいはイギリスにおける規制機関との交流、それぞれ綿密になされている時代になりました。
 私も、SECのコックスさんやUKFSAのマッカーシーさんにもお目に掛かれるというように努める、これからしばしば努めていきたいとも思っておりますし、そんなことを考えましたときに、その交流において規制の共通性等々が論じられる時代が来るわけでございまして、日本だけが緩い規制であったり、あるいはきつい規制であったりすることのないような時代が到来するというように期待しておるところでございます。
#111
○西田実仁君 そこで、今日は西室社長にもお越しいただいておりますので、東証さんにお聞きしたいと思いますけれども。
 先ほど東証に上場している外国企業の話をさせていただきましたが、外国企業の東証上場が進まないということのみならず、上場を廃止するという外国企業も相次いでいるのも、これ現実だろうと思うんですね。これについて、なぜそうなっているのかということはいろんな議論がありますので、必ずしも証券取引所だけに問題があると言い切れないとは思いますけれども、東証のお立場でこういう現実についてはどんなお考えでしょうか。
#112
○参考人(西室泰三君) 西室でございます。
 今の御指摘の問題、具体的に申しますと、東証の外国企業の上場が一番多かったのは一九九一年で、百二十七社を数えました。それが現在二十五社に減っております。非常に急速にこの十数年の間に減ったというのは事実でございます。
 それと比較いたしますと、先ほど大臣からもお話ございましたように、ニューヨークにしろ、あるいはロンドンにしろ、非常に大幅に海外上場が増えていると、そういう現実がございます。これは明らかに東京市場が魅力を失ったということであろうかと思います。
 東京市場の魅力が何であったか。一九八〇年代後半、特に上場が一番増えたときに、日本の正にバブル経済のピークでございました。日本の経済は、これから先も成長するであろう非常に大きな期待がございましたので、それを期待しての上場というのが残念ながら裏切られたというのが海外の大きな会社の動きでございました。
 また一方、東証としての反省を申し上げれば、そのときにどういうふうな形の受入れ方をしたかと申しますと、海外企業の日本への上場ということについて、基本的には個人の株主に対する便宜を図る、逆に言うと、機関投資家の売買を期待しないで日本の国内の個人投資家売買を期待したというふうな形の東証のアレンジがございました。これは、そのときには良かったのかもしれませんけど、その後の世界の中での金融の動きを見ると、明らかに間違っていたというよりは時代に即していなかったということがあったと思います。
 そのほかに、無理をしても東証に上場しようという経済環境があった中では、必ずしも手間が掛かる、日本語に翻訳するのが大変だ、いろいろ規制もあって難しいマーケットだというのを、それを無理に無理を重ねて上場されておられたところが抜け落ちてしまったという面もございます。
 そういういろんな意味の反省を込めまして、私どもといたしましては、東京マーケットがやはり世界に向かって開かれているマーケットだという情報発信と同時に、内部のいろいろな規制その他の変革も行っております。これから先、反転して、そして海外の上場を増やそうというための手段をいろいろ講じているところでございまして、成果がなかなか出ないのが残念でございますけれども、今年は少しは増えてくると。
 二つのターゲットを持っております。
 一つはアジア地域、先ほどアジア・ゲートウェイ構想、その他いろいろ話題に出ましたけれども、アジア地域の企業の上場を何とかインバイトしたい。特にアジア企業の成長を担う、エマージングマーケットと申しますが、成長していくアジア企業の上場ということで、昨年の十一月にマザーズにマザーズ・グローバルというのをつくりました。これは、なぜマザーズ・グローバルをつくったかといいますと、それぞれ外国企業が上場される、しかも小さい成長していく企業でございますから、リスクが日本の企業と違ったものがございます、それぞれの国のリスクもございます。それが最初からちゃんと分かるように、つまりリスクマネーを供給していただくという個人投資家、そういう方々に最初からこれは外国の企業が上場しているんだねというのを御理解いただいて投資をしていただく、そのためには少し規則も変えてございます。そういうことを一つ手を打って、更にアジアを中心にして上場企業を増やそう。
 もう一つは、実は欧米のブルーチップ銘柄、これがその抜け落ちた約百社のほとんどでございますので、これをもう一度帰ってくるように頑張りたいということで、新聞などで報じられているようなブルーチップ銘柄も日本に戻ろうかと。
 つまり、日本に上場することが意味があるんだと、意味が二つあるだろうと思います。
 一つは、日本の個人金融資産一千五百兆円、それを始めとして、今朝ほど大臣からもお話がございましたように、株式市場に向かっている個人金融資産が少な過ぎる、それがトレンドが変わってくればはるかに大きな資金供給が期待できるというマーケットにしていくということが一つございますし、それからもう一つは、やはり日本の市場そのものの中でプレゼンスを確保することが外国企業にとって有利であるという状況、つまり日本の経済そのものがこれから成長していくんだから、その一翼を担うというふうな形での進出というものを期待したい、そういうふうに考えていろいろとやっております。
 以上でございます。
#113
○西田実仁君 そういう中で、一方、東証としては上場問題を抱えながら、同時に主要国の証券取引所との提携についても進めようとなさっておられると思います。今の魅力ある市場にしていくというところでの様々な施策の中にも、こうした東証自体のグローバリゼーションということもあろうかと思いますが、この点についてはどんなお考えでしょうか。
#114
○参考人(西室泰三君) グローバルに開かれていく市場を形成するために私どもとしてはやらなければならないことがたくさんございますけれども、具体的に申し上げて三つ大きく取り上げて見さしていただきたいと思っております。
 まず一つは、東証そのものの市場の信頼性を確保するために東証の自主規制機能というものを更にはっきりと独立性が確保できるように、しかも内容が優れている、そういう自主規制機関であるということを内外に分かるように示す必要があるというふうに思っております。それを一つの重要な目的として、今年の六月に株主総会で方向付けを決めさせていただいて、金融取引法、多分七月に施行していただけると思いますので、それが施行された後で十月一日を期して持ち株会社方式に変えさしていただき、持ち株会社の下に今度の金融商品取引法で許されました自主規制法人というのを独立の形でグループの中に持つという形にしようというのが一つの方策でございます。
 それから二つ目は、システムそのものの増強と近代化というよりは、世界最先端の取引システムをなるべく早く導入していくということだと思います。
 香港から始まった世界の同時株安が世界を一巡りしました。その過程の中で、東証は幸いに安全でございましたけれども、ニューヨークも、そしてロンドンがございましたし、それからその他幾つかの市場で市場の一時閉鎖あるいは機能低下、そういうものが見られました。その中で東証は何とかつなぐことはできましたけれども、ただ、東証が持っている現在のシステムというのは世界的には遅れています。それを全面的に入れ替えるという作業を次世代システムの構築という名目でやらせていただいております。約三百億ぐらいの投資を三年間でやって、二〇〇九年に世界最高水準のものを築き上げようと。これが二つ目でございます。
 それから三つ目に、我々が考えておりますのは、そういうふうなバックグラウンドで世界に比肩できるような仕組みをつくって、それができる前から世界のほかの取引所との提携を深めて我々の上場商品を更に拡大し、そして商品の広さと厚さについても東証は魅力的だと、国内の投資家の方だけではなくて、海外の投資家の方にも思っていただくと、そういうことをやっていくということが三つ目でございます。
 よろしくお願いいたします。
#115
○西田実仁君 そうした東証自体の体制の改革とか、様々なグローバリゼーションということがどんどん進んでいくという一方で、今大臣からお話がありましたとおり、東京の国際金融マーケットとしての魅力を高めていくという。東京に金融面においてもかなり、そういう意味ではかなり魅力のあるインフラが育っていくということによりなっていくんだと思うんですね、加速度的に進んでいくと。
 そうすると、日本国内にある証券取引所はどうするのかと、その再編成の問題というのも一方にあろうかと思うんです。金融面での東京、ちょっと言えば一極集中みたいなことと、一方では各都市に証券取引所があった方がいいんじゃないかという大臣のお考えもちょっとメディアに出ていたようでありますけれども、こうした東京のマーケットを国際的に魅力のある市場にしていくということがどんどん進んでいくという一方で、それぞれの地域のこの証券取引所をどういうふうにしていくのか。国内の証券取引所の再編成の問題につきまして、現状でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(山本有二君) 量においても質においても圧倒的な存在でございます東京証券取引所、それを中心にしまして業務の提携やあるいは共通化によって、それぞれの地域の証券取引所も独自の地域経済を担う主要機関としての証券取引所の存在としては尊重しながらも、そこに関連をしていくということは大事なことだろうというように思っております。
 特に、福岡の証券取引所における自主規制機関における事務方は一人か二人しかいないという現実を考えてみましても、当然そこにおける審査判断についての自主規制提携は東証とやっていっていただかなければ具体的には難しいという面もあろうと思っております。
 そうしたことを考えながらも、例えば御党から提案がございましたアジア・ゲートウェイにおける拠点を関西にというような提案は、それはそれでかなり具体的ないい御提案でないかというようにも思っております。今、アジア・ゲートウェイ担当の根本さんのところでもそのことを踏まえながら研究に入っているというように聞いておりますし、これから東京だけが経済的中心ではないという意味において、それぞれの地域がそれぞれの特色を生かしながらの金融機能の拠点となり得るという日本になれば、なおよろしいんじゃないかというように思っております。
#117
○西田実仁君 ありがとうございました。
 最後に、五分ですけれども、西室社長はこれで結構でございます。ありがとうございました。
 中小企業向けの動産担保融資についてちょっとお聞きしたいと思いますが、この担保という概念がこれまでとはやっぱりだんだん変わりつつあると。あえてざくっと申し上げれば、債権者のための担保から債務者のための担保、つまり会社がもう本当に厳しくなったときに最後、担保でどうするかという話ではなくて、在庫にしましてもそれを使って中小企業が資金調達をしていくという積極的な意味での担保、債務者が活用できる担保、こういう考え方というのに少しずつツールも含めて変わってきているんだろうと思うんです。
 そこで、中小企業向けのこの動産担保融資について、いわゆるリレーショナルバンキング、リレバンの中において、金融当局としてもどういうふうに位置付けておられるのか、これをお聞きしたいと思います。
#118
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきましたように、中小企業向けの資金供給の円滑化と、こういう観点から動産担保の活用といったようなことを含めまして、融資手法の多様化を図るということが重要であるというふうに認識をいたしております。
 この動産担保融資につきましては、中小企業等の多くが動産、言わば在庫等を中心としたものを有しているという状況でございますけれども、これまでは必ずしも十分に活用されてこなかったということでございます。したがいまして、動産担保融資の推進というのは、中小企業の言わば資金調達手段を従来以上に多様化するという効果があるものというふうに認識をいたしております。
 金融庁は、御案内のとおり、平成十五年度から地域金融機関に対して地域密着型金融、リレーションシップバンキングの機能強化というのを推進しておりますが、その中で動産担保融資の推進など、不動産担保あるいは個人保証に過度に依存しない融資手法というものを推進しているわけでございます。
 現実に最近の事例といたしましては、在庫を活用した、動産担保として活用した融資手法が広がりつつあるということでございます。例えば、海産物の卸売業が昆布等の在庫を活用した事例とか、あるいはフカひれの加工業者が在庫であるフカヒレを活用してABLを実行したと、こんなケースが出てきているところでございます。
 今後とも、金融庁といたしましては、動産担保の活用など、不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資手法というものの推進、多様化に努めてまいりたいと思っております。
#119
○西田実仁君 是非そこはどんどん進めていただきたいと思いますが、この動産担保融資を本当に普及していこうと思うと、やはり金融庁による適格担保の認定ということが大変重要な要素になってくるんじゃないかというふうに思うんですね。
 新BIS規制の実施に伴う告示がございますけれども、そこで適格その他資産担保の中には船舶、ゴルフ会員権、航空券のみが列記されていると認識しておりますけれども、特に中小企業向けということでの動産担保融資をもっと広めていくために、もうちょっとこうした限定列挙のところをもっと広げていく必要もあるんじゃないかと、こう思いますけれども、いかがでございますか。これを最後の質問にさせていただきたいと思いますが。
#120
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘の点につきましては、今手続を進めておるところでございますが、広げる方向でその作業をしているということでございます。
#121
○西田実仁君 終わります。
#122
○平野達男君 民主党・新緑風会の平野でございます。
 まず、冒頭、損害保険会社十社に対する行政処分についてお伺いをしたいと思います。
 ほとんどの損害保険会社が、今回は第三分野商品に係るという領域が限定されていますけれども、不払がかなり大量に発生したと、それに対しての行政処分が下されたということであります。ここに至るまで相当の多分検査をしたと思いまして、率直に言って金融庁の皆さんにはもう本当に敬意を表します、その部分に関しては。ただ、今回の行政処分につきましては、本当にこれでいいのかなと思うようなところが何点かございますので、以下ちょっと簡単に質問をしていきたいと思います。
 まず一点目は、今回のまず大ぐくりの話として、担当大臣に聞きますけれども、これだけの十社、前には大手として二社がもう既に行政処分が出されておりますけれども、こういう行政処分を出されたということに対して、私は損保会社にそもそも根本的に何か大きな欠陥があるんじゃないかなという感じがするんですが、これちょっと通告申し上げておりませんでしたけれども、山本大臣に、こういう処分が出されたということに対して、そもそも損害保険会社のどこに問題があるかということについてのちょっと御見解をお聞きしたいと思います。
#123
○国務大臣(山本有二君) 今般、第三分野商品に係る不適切な不払が判明した損保会社十社に対し、業務改善命令を発出いたしました。そのうち六社に対しましては、それに加え、一部業務の停止命令を発出したところでございます。
 保険金の支払というのは保険会社の基本的かつ最も重要な責務の一つでございまして、多数の損害保険会社において第三分野商品に係る不適切な不払が判明したことは極めて遺憾でございます。各社におきましては、今回の処分を厳粛に受け止め、まずはこのような事態が生じた原因等について徹底的に分析していただきたいと考えております。その上で、契約者の立場に立って適時適切な保険金支払を行うよう、抜本的な業務の改善に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#124
○平野達男君 こういう損保会社というのは根本的に保険金はできるだけ払いたくないという、そういう体質があるんじゃないですか。
#125
○国務大臣(山本有二君) 収益を図る必要がございますので、その点、株式会社等においてはすべて競争における原理として、まあ収入は得て支出はできるだけ少なくという原理は一般論ではそのとおりかもしれませんが、ソルベンシーマージン比率も十分に整っているわけでありまして、その意味では、必ずしも払いたくないという率直な、そういう物の考え方には立っていないというように思っております。
#126
○平野達男君 だから、単純に言えば、今申し上げたように、収益を上げるためにはできるだけ顧客を多くして、保険金の支払を少なくすれば収益は上がるわけですよ。では、その中で何が起こってくるかといったら、できるだけとにかく顧客を一杯集める。これはもうとにかく、いろんな不都合なことはできるだけしゃべらないというどうしても傾向になるんだろうと思うし、払う側についてはできるだけ厳しく厳しくというか、そういう体制になるんだろうと思うんです。
 それは、性善説に立つか性悪説に立つかという問題はありますが、基本的に損保会社とか生命保険会社というのはそういうものだという認識に立って、私は、これ行政というのはやっぱり考える必要があると思うんですが、そこまで担当大臣としてそうだと言うわけにはいかないかもしれませんが、御感想をちょっとお伺いしておきたいと思います。
#127
○国務大臣(山本有二君) 金融の世界は信用が第一であろうと思います。短期的な収益を収めるためにはそういうような力が働くかもしれませんが、長期的に会社を維持存続、発展させるためには、やはり商品における信用性を確保することというのが何より大事なことだろうというように私の方は思っております。
#128
○平野達男君 今回の行政処分についても、私、ずっとこう見ますと、損保会社と金融庁はいろいろやっているんだろうと思うんです。だけど、顧客の中から一体何が起こったかというのは、これだけのいろんな行政処分のペーパーありますけれども、余り伝わってこないんですね。わずかに伝わってくるのは何かといいますと、上記報告徴求により認められた十社の保険金の不適切な不払事例は以下のとおりということで、まとめて四つにくくりをやって出しているだけなんですよ。こういう不払の問題については基本的には保険会社がちゃんと責任を持つべきだ、それは金融庁もちゃんと監督しますよということなんですが、一番大事なのは、顧客が今一体ここ、どういうことで不払になったのか、どういう事例があったのかということをできるだけやっぱり詳細に知るということが大事じゃないですかね。それで、自分たちの顧客がこういうことで、自分たちのことは自分たちで守るということになるわけだから。
 ということの原則に立ち返りますと、今回のこの不払の不適切な事例というのはこういう形で、くくりで報告するんじゃなくて、各保険会社、千百九十事例とか百四十事例とか言われますけれども、全部、これはプライベートな情報保護の問題もあるでしょうからやり方あるかと思いますが、やっぱりできるだけ顧客に、どういう事例でどういうことで不払になったんだということについてはぎっちり知らしめるということが大事じゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#129
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきましたように、一般的に契約者等の保護の観点から、保険会社から様々な必要な情報を適切に開示するということは極めて重要であるというふうに思っております。今般発出いたしました業務改善命令の中にも、契約者保護、利便性の改善、強化の一環といたしまして、苦情に関する情報の透明性を向上させるということを求めております。
 また、例えば昨年業務改善命令を打ちました三井住友海上におきましては、例えば、毎月苦情等の件数及び概要を公表するといった積極的な情報開示に努めているという例もございます。また、不払の見付かったその他の社におきましても、不払の概要を公表し、顧客への連絡対応を行うといった対応をいたしております。どういった種類のどういうカテゴリー、どういった類型のその不適切な不払があったかということを公表しているということでございます。
 御指摘の不適切な不払事例の開示でございますけれども、契約者等の保護に向けた取組の中で、こういったことで各社が言わば自主的にベストプラクティスを競い合うというような形で進んでいく、その中で業界標準といったものが形成されるということが大変重要ではないかと思っております。
#130
○平野達男君 だから、それはまだ業界の立場に立っている見方だと私は思うんですよね。だから、業界はそういうことで、その情報開示も業界側に任せるということじゃなくて、顧客側の判断にゆだねるための情報開示をしたらどうですかということを言っているんですよ。それは業界に任せられないんですよ。ここまでの範囲の中で顧客の中にすべての情報を開示して、顧客の方で、要するに、あるいは消費者の方で保険会社の中でこういうことがありましたと、損保会社の中でこういうことがあったんですよということを判断してもらうような情報を提供したらどうですかということを言っているわけです。その判断の情報の提供をするものさえ全部損保会社に任せたら、本当の顧客保護というか、消費者の立場に立ったと言えないじゃないですか。
 私は、冒頭に、一番最初に言ったのは、保険会社はやっぱり保険金払いたくないですよ、払わない方がもうかるに決まっているんだから。だからこんな不払問題が起こってくるわけで、そこの問題に対しては、まず一義的には保険会社と金融庁が、ちゃんと保険会社がしっかり対応する、金融庁も監督するというのはそうなんだけれども、やっぱり顧客というのは契約の段階からもう情報に対しては非対称というか、情報の非対称性の問題というのは何回もいろいろこの場で議論しましたけれども、ない、かなりの格差があるはずなんですよ。だけど、そんな定款が読んだって分からない。分からないんだけど、こういう事例があるというのは正直読みますよ。分かるもの、あっ、こんな事例があるんだって。定款のこんな分厚い何かよりも、こういういろんな不払の問題の事例の方がよっぽど契約するときには顧客分かる。
 恐らく、こういうものを開示すると、一時的にやっぱり保険会社、解約が殺到しますよ。だけど、そういうものを乗り切ってやっていかないと本当の体質改善は私できないんじゃないかと思うんですよ。担当大臣、どうですか、そこは。
#131
○国務大臣(山本有二君) 御指摘のそういう観点は重要であろうと思っております。
 アメリカにおける各州においての苦情の現実的な開示が行われていると聞いておりますし、そうした点を州政府がやっているということを考えたときに、どこの機関がどういった形で開示するのが適当かという問題があろうと思います。今のところ、それぞれ努力をしていただいている、特に業務改善についての懸命な努力を要求しているところでもございますし、そういった点も含めまして、今後十分に検討していきたいと思っております。
#132
○平野達男君 いずれ、業は、もう業界というのは先ほどのような体質がある、体質というか、どうしてもそうなっちゃうんだという前提で考えれば、やっぱりどこか限界があるんだろうと思うんです。だから、本当に顧客の立場に立つとなれば、本当は業界の方から離れて別な組織をつくるとか、そういったことも併せて本当は考えにゃいかぬと思うんですが、今差し当たっての問題は、これから来た苦情については開示しますよという話なんですが、今まであった事例もこれはやっぱり公表したらいいですよ、できるだけ詳細に。何でこんな、どういう対応でこうなったのか、これをまずがっちりやった方がいいですよ。やって、そしてそれが実は業務改善命令なんかよりも損保会社に対しての一番厳しい行政措置というか、に私もなると思うんです。担当大臣、そこをもう一回だけお聞きしたいと思います。
#133
○政府参考人(佐藤隆文君) 先ほど私のお答え、ちょっと舌足らずであったかもしれませんけれども、既に起きました不適切な不払の事例等につきまして類型化あるいはカテゴリー化して、その重立った事例等については公表をしているということでございます。
 そういった中で、情報提供によって、自分も実は同じようなカテゴリーに該当するのではないかというような契約者の方がいらっしゃれば、是非そういうことはおっしゃっていただいて、それをきちんと真摯に会社の側で受け止めて対応すると、こういう流れが重要であろうと思います。
#134
○平野達男君 繰り返しになりますけれども、その情報開示の部分についても、カテゴリー化するにしても何にしても、全部保険会社がやっているということが問題だと言っているんです。もう全部、要するにどういう開示をするかどうかも含めて、第三者機関か何かに頼んで、こういう事例がありましたと、どういうふうにやったらいいでしょうかという意見ぐらい聞いてみたっていいじゃないですか。何もかにもとにかくそれはもう保険会社の方にやらせますからいいじゃないですかという答弁では、これはちょっと違うと思いますよ。大臣、どうでしょうか。
 それから、あともう一つ、余り時間があれですから。
 これ、第三分野商品に限られていますが、こうなってきますと、ほかの分野もうんと気になりますよね。これ、どうなんでしょうか、これからの検査体制については。併せてちょっと。
#135
○国務大臣(山本有二君) 保険商品というのは極めて日常関心の深いところでもありますし、情報の非対称を是正、改善するためには、委員御指摘のそうした根本的な立場の違うところからの開示というのがより公正な開示になることは間違いないと思います。
 ただ、そこへ行くまでの過程として、各保険会社自体のコンプライアンスや経営努力や、あるいは開示責任というものも徹底しなければなりませんし、そうした全体を含めて今後どうするかについても御議論、御指摘があった点についても研究していきたいというように思っております。
#136
○平野達男君 いずれ、不払というのは一種の詐欺行為だと思うんですよね、これはね。それを、あと、要するに業務改善命令とか何か、あと業務停止命令出しましてそれで終わりということにはならないはずなんですよ、本来は。これ知らなければ、顧客は要するにもう泣き寝入りですよね。これをどういうふうにするかということについては、やっぱり顧客をもっと大事にすると。自分たちで判断するための材料を、客観的な材料を出すということを是非やっていただくよう重ねて要望申し上げます。この件については、またいつか機会があればまたやっていきたいと思います。
 では次に、日銀総裁おいでいただきまして、どうもありがとうございます。
 今日は例の政策決定会合につきまして、どうも市場の予測性といいますか、低下してきているんじゃないかとか、総裁の役割というのは、一つの市場とのコミュニケーションだと思うんですが、それがどうもうまく機能していないんではないかというような、いろんな指摘があるんですが、そういう指摘に対して、まず総裁の御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
#137
○参考人(福井俊彦君) 私自身を含めまして日本銀行からの情報発信、そして市場とのコミュニケーション、これは金融政策の透明性を高める上で非常に大切なことだというふうに思っています。
 金融政策の透明性を高めるということは、政策の有効性を高める上でも、あるいはいわゆる説明責任をきちんと果たしていく上でもこれは欠かせないことでございます。日本銀行で実際この点を強く意識しながら具体的に行動しておりますことは、展望レポートやあるいは議事要旨、記者会見などを通じまして、この国会での御説明も含むわけでございますが、経済・物価情勢の判断や金融政策運営の基本的な考え方について丁寧な説明を施していく、現にそういうことをやってきているということでございます。
 具体的にいつ何をやるかというふうな、中身にかかわる政策判断と申しますか、具体的な政策判断は、これは毎回の金融政策決定会合において、その時点で利用可能なデータ、情報を基に九人の政策委員が討議して決めるものでありまして、こうした枠組みでございますので、具体的な政策のタイミングなどはあらかじめ示唆することはあり得ないということでございます。
 そうしたことをもしいたしますと、市場が自らの経済、物価についての考え方と日本銀行の経済・物価情勢判断とすり合わせて金利を形成するという一番大切なメカニズムが機能不全になってしまう。市場との対話というのは、私どもも情報を、経済・物価情勢あるいは金融政策運営の基本的な考え方という意味で情報を提供いたしますけれども、市場は、それと自らの判断とをすり合わせて市場金利を形成するという形で私どもの方に逆に情報を返してくださる、双方向のコミュニケーションというものが大事だと。時々我々は市場は鏡だと申し上げておりますけれども、市場が鏡であるのは、そういうプロセスを経て初めて本当の鏡になるということでございます。
 実は、一月の決定会合のときと、つい直前の二月の決定会合のときでは、事前の雰囲気が随分違っていたことは私も率直に認めます。あの一月の会合では、日本銀行の物事の決め方がこうした合議制の下での意思決定だということについて十分、あるいは十分な上にも十分理解を浸透させるということがまだできていなかったというふうに振り返って思っています。そのために、マーケットの方もそうですが、メディアの方でも具体的な政策のタイミングを言い当てるというふうなことに焦点がかなり強く当たり過ぎた嫌いがあったというふうに思います。
 これは、恐らく長い間、量的緩和あるいはゼロ金利というものを続けた結果、プラスの領域で普通に政策金利が動くという経験が長年欠落をしていまして、お互いに不慣れであったということがあると思います。それからもう一つは、最近は強弱入り乱れて経済指標が出るという、少しこう複雑な環境の中で経済・物価情勢をめぐる判断が、我々から見ても、あるいは市場の方から見ても微妙であったというふうなことも影響しているかと思います。
 幸い、二月、直前の会合では、事前の思惑に基づく報道はなされなかったと、市場もごく自然な形で金利形成を行うことができたというふうに思っておりますけれども、完璧であったかどうか。これから先、市場との対話を、今申し上げましたとおり双方向の有意義なものとしたいと。我々としては市場はやはり鏡としてあってほしいというふうなことで、合議制による意思決定という仕組みについての本質的な理解を更に深める努力を我々としてしていきたいと、市場の方でもより深い御理解を賜りたいと、こういうふうに思っております。
#138
○平野達男君 今重要な、私にとっては非常に重要な発言があったんじゃないかと思うんですが。
 一つ確認ですけれども、日銀総裁はいろいろ記者会見するときはある程度次の政策決定会合で、政策決定会合毎月ありますね、次の政策決定会合ではこういう方向に行くだろうという予見性は全く持ってやらないんでしょうか。
 つまり、その場の雰囲気は、総裁が議長ですから一応分かっているわけです。お分かりになっているわけです。私の理解では、合議制なんですけれども、大体総裁は次の政策決定会合では、会議の雰囲気分かっていますから、そういったことを頭に置いた上で、こういう決定をしたときにショックがないようにするという、そういう前提でまず市場コミュニケーションされているんではないかと思っていたんです。
 ところが、今の総裁のあれではそういうことではないんだと。全く予見性はなくて、むしろいろんなことをやりながら市場がどういうふうに来るかということを吸収するためにやっているんだと、そういうお話だったんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
#139
○参考人(福井俊彦君) 委員の頭の中で誤解はないと私信じておりますけれども、経済情勢ないしは物価情勢、それから金融政策の、何といいますか、大きな運営の枠組みと、これは展望レポート等で明らかにしております。これはマーケットと我々とがまず共有すると。だけれども、マーケットはマーケット、つまり市場参加者それぞれが御自身の判断に基づくやはり見通しを持っておられる、そこではすり合わせが行われる。すり合わせが行われた結果、市場参加者はそれぞれに政策についてある予見性を持たれるでしょう。これは我々の関知しないところでございます。
 一方、我々の方は、個々の政策委員が最後に会議に臨むぎりぎりのところまで勉強し、頭の中を練り直して出席されますので、そういう意味で、議長としても予断を持って臨むと皆さんの討議の中から本当に新しい付加価値を引き出すことができなくなってしまうわけであります。したがいまして、予断を持たずというのは私自身が自らに強く言い聞かせながら動いていると、こういう意味のことでございます。
#140
○平野達男君 分かりました。
 そうしますと、合議制だということで、極論を言いますと政策決定会合の判断というのはその瞬間まで分からないんだと。市場は、要するに、あとは各市場が各々、いろんな各々の判断で予見性を持って行動していると、これはこれで市場原理からいってその姿でいいんだと、そういうことでよろしいんですね。
#141
○参考人(福井俊彦君) 改めて申し上げますけれども、時々、報道ベースの文言を読んでおりますと、日本銀行から情報を出して市場に織り込ませるというふうな表現が時々あります。これは明確に間違いでございます。経済情勢、物価についての判断は率直に申し上げますけれども、次に何があるかということについては一切申し上げないと。我々中央銀行仲間での言葉で言えば、何といいますか、交通信号は出さないと、トラフィックライトはともさないと。日本銀行としてはこれを徹底的にやりたいと思っていることであります。
#142
○平野達男君 私自身も一つ何か頭がちょっとクリアになったような感じします。はい、分かりました。
 じゃ、今直前まで分からないという話だったんですが、政策決定会合、二月の二十一日だったと思うんですが、昼にNHKのニュースが流れたんですね。これは海外のメディアが結構大きく取り上げていまして、ブラックアウトというのはこの間、峰崎委員もちょっと、ルール等あって、お話がなされましたけれども、本来であれば政策決定会合の会議中にああいう報道がされること自体異常なことなわけですね。だから、あれはなぜああいう報道がなされたのか。これは日銀の中でちゃんと検証されましたでしょうか。
#143
○参考人(福井俊彦君) 決定会合開催中のことでございました。私どもも大変驚きましたし、かつ大変遺憾なことだというふうに思っています。一言で申し上げれば、ああいう報道は憶測に基づくものではないかというふうに思っています。
 日本銀行ではこの金融市場調節方針を決定する日、つまり決定会合開催中ということになりますけれども、開始のときから決定内容を公表するまで、記者クラブで内容を公表するまでの間は日本銀行の出席者は原則として外部と接触しないと、こういう厳しいルールを設けております。そのことは同時に、政府からの御出席をいただいている方々に対してもルールの趣旨を十分お伝えして、厳格な機密管理を、情報管理をお願いしているところでございます。
 私、議長席から見ておりまして、このことは厳格に守られているというふうに常々確認しております。したがいまして、ああいう情報がなぜ起こるか、なかなか不可思議なところがありまして、恐らく憶測に基づくものではないかというふうに思っております。
#144
○平野達男君 それはNHKにやっぱり確認すべきじゃないでしょうか、まず一番目の問題は。
 そもそも、ああいう報道はなされないんだという、天下のNHKが知らないということ自体がおかしいんですよね。ブラックアウトルールがあって、そういうこと自体が外に漏れるということもあり得ないし、憶測でやるということもおかしいんですよ。で、海外のメディアは、これは完全にリーク、どこかで情報が漏れたと。天下のNHKですからね、あれは。昼間、しかも昼休みですよ。これはやっぱりなぜああなったのか。憶測でというふうに、今総裁そういうふうに言われましたけれども、本当に憶測なんですかね。それすらもやっぱり確かめるべきだと思いますよ。
 それから、NHKに対しては、ああいう報道をすること自体が全く異常なことなんだと、きっちり抗議しないと駄目なんじゃないでしょうか。あれを信じた人は、市場のルールの人、市場の人は、こういうことは今の段階でこんなことあり得ないというふうに思っている人もいるかもしれませんが、すぐにその段階から動くわけでしょう。実はもっと前に、NHKがああいう報道する前にだれかがそういうことの情報を持っていたかもしれないんですよ。そうすると、これは場合によったらインサイダー取引ということまでつながるという可能性もいろいろ想像されるわけです。一説には、どうも財務省が何か携帯電話で取ったんじゃないかと、連絡して取ったんじゃないかとかね、いろいろ言われているわけです。
 財務大臣、NHKがニュース流れたのはごらんになりましたね。あれ、どう思われましたか。何か財務省が、財務省発じゃないかというふうに言う人もおるんですが、そうですとはなかなか財務大臣は言えないでしょうけれども。財務省、どうですか。
#145
○国務大臣(尾身幸次君) 私どもはかねがね日銀とは連絡を密接に取っておりまして、経済の動向等についての意見交換はしております。その上で、この経済の順調な発展を金融面から支えていただきたいということは申し上げておりますが、金利の具体的な水準については正に日銀の政策決定会合の専管事項でございまして、私どもはその決定にお任せをしているという状況でございます。
#146
○平野達男君 私も何も確証を持って言うわけじゃないんですが、どうも日銀のその政策決定会合のときにもう携帯電話でやり取りしていたという話もちらちら伝わってくるんです。それも財務省の担当ですよ。だから、そういうこと自体、今のルールの中では携帯電話持ってきてこういうふうにコミュニケーションすること自体、原則として、先ほど総裁言っておられましたね、これは禁止されているということなんで、財務省、そこの実態は把握しているんでしょうかということを今お聞きしたわけです。
#147
○国務大臣(尾身幸次君) 実態については、私の知る限り、今申し上げたとおりであります。
#148
○平野達男君 何も申し上げていないからお聞きしているんですよ。
#149
○国務大臣(尾身幸次君) この経済情勢等につきましてはいろんな意味での意見交換をしておりますが、金利の具体的水準の決定は日銀に任せられておりまして、日銀の決定を尊重するというのが私どもの考えであります。
#150
○平野達男君 財務省としてはそういう携帯電話での日銀の政策決定会合の現場と財務省との間での決定会合進行中でのコミュニケーションはないと、携帯電話でもやっていないと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
#151
○国務大臣(尾身幸次君) 財務副大臣がその政策決定会合のメンバーでございまして、そこで私どもとしては一般的な意見は申し上げていると思います。
#152
○平野達男君 私の質問に答えなかったら私もあと質問しませんよ。全然答えていないじゃないですか。
#153
○委員長(家西悟君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#154
○委員長(家西悟君) 速記を起こしてください。
#155
○平野達男君 私がお聞きしたのは、日銀政策決定会合の中の状況というのは、の会議進行中のときには外部との連絡というのは一回遮断されているんだと、原則として遮断されていますと、ないんだというふうに先ほど総裁からお聞きしました。ところが、いろいろ伝えられるところによると、財務省の担当官が携帯電話で一応、一応やり取りをしていたという話も伝わってきますと。
 これは財務大臣にはまだ、財務省にはこれ通告していません。通告していないんですが、先ほど来総裁のやり取りの中でお聞きしたと思いましたから、財務省の方ではそういう事実、把握していますかということをお聞きしたわけです。現段階で分からなければ分からないで結構なんです。把握していないなら把握していないでいいんです。
#156
○国務大臣(尾身幸次君) 携帯電話の云々については、私自身は少なくとも存じ上げません。
#157
○平野達男君 いずれ総裁、最初の質問に戻りますけれども、なぜあの報道がされたのかということについては、これはぎっちりやっぱり詰めておく必要があるんじゃないでしょうか。
 というのは、もうフィナンシャル・タイムズなんかはそのことをかなり記事にして、日銀の信頼性が崩れているんじゃないかということを指摘していますよね。それで、要するにもうあれをだれかが早く知っていたと。あの状況の中では、特にあの状況の中ではどっちに動くか分からない状況ですよ。ところがあれが、総裁が金利提案をしますよという提案が出たということが外に出ただけで市場が、その情報をやった人は動くんですよ。それはもう総裁が一番御存じでしょう。そういうことが起こったかもしれないんですよ。だからあのNHKの報道は問題なんです。単なる憶測でやったとしてもNHKの責任は大きいですよ、これは。ああいう状況の中で憶測でやったというのはだれだ、だれだって、そんな憶測でやったのは。そういうこと自体もNHKの、私は総裁、日銀としては問題にしなくちゃならないと思います。
 これは日銀の問題なのか財務省の問題なのか金融庁の問題なのか分かりません。こういうことに対しての何かもう、ちょっと問題の、多分総裁はもう問題の深さというのはよくお分かりになっていると思うんですが、もうちょっとやっぱりぎっちり対応すべきじゃないでしょうか、どうでしょうか。
#158
○参考人(福井俊彦君) 恐らく、私どもが一番強い問題意識を持っていると。もうあのニュースが流れた瞬間に日本銀行のメンバーは一様に強い緊張感を持ってあのニュースを見たんです。どうしてかと申しますと、おっしゃるとおり市場関係者が、正式の政策決定を発表される前に少なくとも迷うだろうし幾らかの混乱を生む可能性があるというふうに感ずるからであります。したがいまして、二月の政策決定会合直前までの情報は一月に比べまして整々と進んだと思いますけれども、政策決定会合最中のあの一点の情報だけは非常に遺憾に思っています。
 したがいまして、二月の会合が終わりました後、政策委員のメンバーを含め政策決定会合に出席をするすべてのメンバーの間で再度情報管理に対する申合せ、強い確認をいたしました。そのことを政府にもお伝えして、政府にもお願いしてございます、今後二度と起こらないように。そういうことを私どもはきちんとやっております。
#159
○平野達男君 まずやることは、まず情報の外への漏えいというか、あるいは財務省、伝えられるところの財務省の携帯電話があったのかどうか知りませんが、そういったことも含めて、事実関係をまずしっかり把握することですよね、まず一点目は。
 それからもう一つ、NHKが報道したということなんですよ。これはNHKの無知によるものなのか、国営放送の。これは大変なやっぱり問題だと思いますよ、私は、これは。これを何も知らないままあの段階で報道したというのは、これは国内に対する、市場に対する影響だけじゃなくて、世界的にも大きな問題になっちゃったわけですよ。そういうことに対して、何らかのNHKとの接触も持っていないというのも私は問題だと思いますよ。どうでしょうか。
#160
○参考人(福井俊彦君) 報道機関の在り方を我々の方から批判的に申し上げる前に、何といっても情報元は我々でございますから、その情報元の管理を念には念を入れてきちんと締めると、そこからスタートしているということであります。
#161
○平野達男君 もちろん、そこはもうそのとおりです。ただ、いずれにせよNHKさんとも、あれはどういうもの、インパクトとかいろんな影響をもたらすかということについてはやっぱり彼らにもちゃんとした意識を持ってもらわなくちゃ困りますよね。私もあれ見たとき、ああ金利、あれっ、政策決定会合終わったんだっけと一瞬思いましたからね、あのときは。昼休みに流れてね。あれっ、でもあれ午後じゃなかったかと思ってびっくりしました、私も。
 まあ、そういうことがあったということでありまして、是非これ、NHKさんとも、これ日銀さんがやるんでしょうか、どこがやるんでしょうかね、これやっぱり一回話やるべきだと思いますよ、ここは。これに対しても繰り返しちょっと強く申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 円キャリートレードという、急にまた本筋の、本筋じゃなくて、本筋とかあれとかという問題じゃないんですが、話に戻りまして、今国際収支はずっと黒字を続けております。本来であれば、国際収支の黒字が続けばやっぱり円高基調になるはずだということなんですが、二〇〇四年でしたかね、最後に大きな為替介入があって以来、失礼しました、二〇〇一年の第一クオーターですね、ここで十四兆、十五兆の為替介入があって以来、為替介入が全くありません。
 実は、その前に、毎年と言っていいぐらい一九九九年から為替介入が繰り返されてきているんですね。それで二〇〇四年から全くないんです。この間、為替相場がどうなっているかといいますと、傾向としては、今ここ何日間はまた円高に移りましたけれども、何となく円安基調に来ているんですね。で、その一方で貿易収支は黒字を続けてきている。当然、為替介入の必要性は全くないと。
 この原因は何だろうかなということなんでありますが、どうもここで円キャリートレードの話がちょっとここで出てくるわけです。つまり、金利差を利用して円を売って、そしてドルあるいはユーロに替えて資金を運用するということで、これがまたいろんな株価の方にも影響を与えているということなんですが、財務大臣にお伺いしますけれども、為替相場の話はいろんな要素があってなかなか一概に論じられないという話なんでしょうが、この二〇〇四年以降、為替介入を全くする必要がなかった、しかも円安基調に動いているということについては、財務大臣どのような認識をお持ちでしょうか。
#162
○国務大臣(尾身幸次君) 為替相場は経済のファンダメンタルズを反映すべきであるというのが私どもの考えでございまして、これはマーケットに任せる、したがって私どもとしては、為替相場の具体的水準については一切コメントをしないということでやってきておりまして、この点については是非御理解をいただきたいと思います。
#163
○平野達男君 そのとおりだろうと思いますけれども、要するにここに絡んでくるのがやっぱり日銀政策、要するに金利決定がやっぱり微妙に絡んでくるんだろうと思います。だから、いまだにまだ、今回、オーバーナイト物、コンマ五%まで金利上げたわけですけども、アメリカとの金利差というのはかなりまだ大きいわけでありまして、まだまだこの円キャリートレードというのは私も具体的にどういうものか分かりませんが、その金利差を利用してお金がやっぱり動くんだろうというふうに思うんです。
 で、これからいろんな金利政策を決めるときに、今日は株価の話がいろいろ議論になりましたけれども、株価よりも私は為替の方がやっぱり重要じゃないかなという感じを持っているんですが、この為替の動向という、為替に対する影響ということもやっぱり考える必要があるんじゃないかなと思うんですが、総裁は、そのことに対してどのような御認識をお持ちでしょうか。
#164
○参考人(福井俊彦君) 為替相場が市場の中でどういうふうに形成されるかと、為替に対する介入というものがない場合、フリーにマーケットで為替レートが決まる場合の理論付けというのはいろいろ試みられてきておりますけれども、いつの時代にも通用するぴったりとした理論がまだ確立されていないと思います。
 ただ、大まかに言いますと金利差、諸外国間の金利差というものはかなりの要素ではないかと。もう一つは、おっしゃいましたとおり経常収支の黒字、赤字と。特にその累積額ですね。どの国が累積どれだけの経常黒字か、逆に経常赤字かというふうなことの為替相場への影響と。大きく言えばこの二本の柱でいろいろと従来からも検証されかつ理論付けも試みられてきています。
 で、かつては経常黒字の累積、経常赤字の累積というものがかなり影響力が強いように見えた時期がございました。しかし、最近、グローバル化の中で、特に金融・資本市場の自由化も進み、国境を越えて資金、資本の移動が厚みを持って、かつ敏速に動くようになりました以降は、次第に金利差の影響が勝るような感じで為替相場に影響を及ぼしてきているというふうに実感としては思われます。
 特に、最近のように、世界の経済見通しあるいは物価情勢の見通しについて市場の中で安定感を持って見られると。そうなりますと、どこの為替市場あるいは株式市場、債券市場を見ましても、余りレートの大きな変動が予測されないと。我々の言葉で言えばボラティリティーが低いという状況になりますと、ますます資金移動、資本移動について金利差の影響が強まってきている、こういうふうな感じでございます。
 したがいまして、おっしゃいましたような円キャリートレード、これはあらゆる資本取引の中でごく一部のものをとらえていると思いますけれども、その動きにつきましても、やはり市場が落ち着いている間は内外金利差によってそのキャリートレードの起こる度合いが、あるいはそのインセンティブが強まっているということは確かだというふうに思います。
 金融政策の運営は、あくまで国内の経済・物価情勢良かれと、そこに焦点を当てて運営していきますけれども、今はこういうふうにグローバル化され、経済もそして市場も国際的につながった中で政策効果を発揮していくということでありますので、そうした内外の資本の流れいかんということも念頭に置きながら政策運営をやっていく。これは世界の中央銀行の共通の考え方になっているというふうに思っております。
#165
○平野達男君 財務大臣にお聞きしますけれども、私はもう非常に単純でして、円高傾向になったらば円を売りますと。市場で円を売るということで為替介入するわけです。
 先ほど言いましたように、日本はもう貿易黒字、いや国際収支の黒字をずっと続けています。介入は全くなし。その前は、繰り返しますけれども、小刻みに何回も何回も大量にわたって介入しているわけです。介入しないにもかかわらず、黒字であるにもかかわらず円安傾向が続いている。じゃ、今まで介入してきて抑えていたものが円安になる、円安基調になって推移してきているというのは、何かがそれ崩壊しているんじゃないか。
 そうすると、やっぱり円キャリートレードということで、円を売って通貨を、まあ市場でこれ何十兆規模か分かりませんが、それが行われているということが非常に大きな要素だというふうに私は単純に判断してしまうんですが、財務大臣、そこはどのようにお考えになりますか。
#166
○国務大臣(尾身幸次君) いわゆる円キャリートレードと言われているものでありますが、低い金利で円を調達してドルやユーロの高金利通貨で運用するということであると承知しておりますが、このようないわゆる円キャリートレードだけを取り出せば、円を売って高金利通貨を買うということになりますから、円安要因の一つになると考えられます。
   〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
 しかしながら、実際の為替相場は、いわゆる円キャリートレード以外にも様々な要因で変動いたしますので、円キャリートレードが為替相場にどのような影響を与えるかを申し上げることはなかなか難しいと考えております。
#167
○平野達男君 いずれ、為替に関する話ですから、いろんな明確なことはなかなか言われないということは分かりますが。
 ここに来て、いわゆる金利政策というのが改めて、国内政策だけじゃなくて、やっぱり私はいろんな意味であちこちに大きな影響を与えるんじゃないかなという印象をちょっと持ちましたんで、質問をちょっとさせていただきました。
 じゃ、この件については、ちょっとこれで一回、いったん切らせていただきます。
 今の景気の動向を見ますと、GDPの伸びは設備投資に引っ張られて伸びているということでありますが、これは総裁にお聞きしますけれども、設備投資は基本的に、今の消費を抑えて将来の消費に備える、あるいは将来の外需というか輸出に備えるという、そういう面があると思うんですが、この設備投資というのはどちら、基本的に将来の輸出向けの設備投資が中心なのか、それとも内需拡大というか、国内消費ですね、もっと言えば国民消費、その増大に向けての設備投資だという認識なのか。これはどちらの御認識をお持ちでしょうか。
#168
○参考人(福井俊彦君) 今、日本の国内で盛んに行われています企業の設備投資は、大企業から中堅・中小企業まで相当すそ野が広くなっております。したがいまして、ねらいとするところは企業によって随分違いがあるなというふうに思いますが、私の感じておりますところは、やっぱり多かれ少なかれ、このグローバル化された世界経済全体の展開の中で直接、間接、ビジネスネットワークを張り巡らしながら、個々の企業にとって最善と思われる投資機会を現在、将来にわたってきちんとつかんでいくと、そして確実に付加価値を上げて収益を上げていくと、これがねらいになっているというふうに思います。
 したがいまして、余り限定しないで、輸出向けかあるいは国内向けかというお話がございましたけれども、恐らく世界の消費市場の中で消費者の要求水準が非常に高いのは日本の市場でありますから、ここから目線を離すことはないと思うんですけれども、しかしマーケットの拡大という点ではグローバルにやはりシェアを広げながら、どこの市場においてもきちんと販売成績が将来的には上げられるように、そして企業として付加価値を確実に我が物とすることができるように将来を見据えた投資が今の時点で先読みしながら行われていると、こういうふうに思っています。
#169
○平野達男君 私は、過去の国内総生産のいわゆる国民消費の率の推移を見ますと、ほとんど五五%前後でずっと固定されているんですよね。アメリカは大体六七%ぐらいから最近では七〇%ぐらいで、これほぼ、これも大体、率はそんなに大きく変動しなくて、変動する要素が一番大きいのはやっぱり設備投資ですね、過去のGDPの推移を見ますと。
 そこで、これから日本の経済成長ということを考えていくときに、やっぱり国民消費、国内消費、国民消費ですね、最終消費がどのようになっていくんだろうかということがやっぱり非常に重要なんだろうと思います。その動向が、それを判断するかぎが、今の設備投資というのはどっち向いているんだろうかということだろうと思うんです。
 これが例えば輸出、いろんなマスコミの論調からいいますと、やっぱり輸出だと、輸出志向だということで、輸出向けのいろんな設備投資をしているんだという論調がちょっと多いんですけれども、もしこれが輸出向けだということでありますと、これは先ほどの為替相場とか何かでいろいろ変動するリスクがまた掛かってきますから、やっぱり本当の意味での成長ということに結び付いていかないということだろうと思うんです。
 ですから、ここについてはやっぱりある程度の、今の現状をやっぱりしっかり分析して報告して、報告というか見解を示していただく必要があると思うんですが、どうでしょうか。
#170
○参考人(福井俊彦君) なかなか難しいところは、やはり企業が将来にわたってきちんと自らの競争力を保ちながら設備投資をしていくという場合に、ただ輸出向けだけというふうに絞って本当にいいかというのをどこの企業でも考えておられると思います。
 やはり、一番高い技術を施して付加価値の一番高い商品を自ら生み出すことができるということが、将来、企業がほかの国の企業あるいはライバル企業に打ち勝っていく決め手となる道でありますので、そういう意味では日本国内の要求レベルの高い消費者市場を抜きにして、企業が専ら外向きに設備投資をしていくということは考えられないし、我々、個々の企業に伺っておりましてもやっぱりそういうふうに言っておられます。したがって、ある種の自然なバランスというものが取れていくんじゃないかと。
 先進国の経済見ていましても、GDPに占める個人消費の比率というのが比較的似通っているんでございます。
 ちょっとアメリカは別でございまして、恐らく委員の御指摘、別でございまして、日本は今五七%ぐらいであります。ヨーロッパ、ユーロエリアはもう本当、日本と全く同じ五七%、カナダが五六%、イギリスがちょっと高くて六二%なんですが、我々まあ大体ヨーロッパと日本は同じだと思っています。カナダも同じ。アメリカだけが七〇%と日本に比べて十数%高い。
 これは非常に不思議に思っていたんです。余りそう変わらないはずなのに、なぜこんなに違うのかなと思って調べましたら、これがすべてではないと思うんですが、アメリカの医療費が民間の医療保険に掛かっています。これがまたかなり高額でありまして、お医者さんに掛かったとき自分も払いますけれども民間の医療保険が払ってくれるんですが、これが個人消費にGDP統計では数えられていまして、ちょうど日本とアメリカの消費のウエートの差額の十数%のほとんどをこれで語り尽くすというぐらいの感じです。だから、余り消費構造はそんな大きな違いは先進国の間ではないのかなというふうにも思っています。ちょっとまだ勉強未了であります。
#171
○平野達男君 日本の場合は、医療は政府最終消費支出の方に計上されますから、その差額ということですね。ああ、分かりました。私もちょっとそこは後でちょっとフォローしてみたいと思います。ありがとうございます。
 そこで、やっぱりヨーロッパも日本もGDP比に占める個人消費の比率は大体似たようなものであるというお話がございましたけれども、やっぱり経済が安定的に持続的に成長していくためには個人消費がやっぱり伸びなくちゃならないということなんだろうと思います。その個人消費が伸びるためにはやっぱり使う側の給料が伸びなくちゃ駄目だということで、今度は労働の分配率の話に行くわけですけれども、この労働分配率がそろそろ下げ止まったという話もございますが、いや、一方にまだまだ厳しいと。少なくとも私の方の岩手県なんかのいわゆる地方ではもう全然まだまだ厳しい状況が続いていますから、給料が上がったとか云々という感じは全くしないわけです。
 この労働分配率は今後どのような動きで見ておられるのか。まず、一般論としてのお話と、併せてもう一つ気になるのは、団塊の世代が今度はリタイアされますね。団塊の世代がリタイアすることによって高報酬、高い給料をもらっていた方々の年齢階層がどっといなくなってしまうということがあって、それが全体の労働分配率にも影響してくるんじゃないかという、そういう指摘をする方もおるわけです。この辺についての総裁の御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
#172
○参考人(福井俊彦君) 日本の労働分配率の過去の系譜を恐らく委員はよく御承知の上での御質問だと思うんですけれども、非常に労働分配率は九〇年代の初めのころ上がりまして、高止まりして、そして九〇年代の終わりから二〇〇〇年代の初めにかけて急激なリストラを進めて労働分配率が急激に下がったと。以後は余り大きな変化は見ておりませんが、最近までのところを見ておりますと、この下がったレベルから極めて緩やかに労働分配率が上昇しつつあるやに見えると。まだそこのところは上昇していきますというふうに明確に申し上げられない程度の強さ、あるいは弱さで、やや上昇トレンドが最近見え始めてきているということだと思います。
 御承知のとおり、国際競争が大変厳しい中で企業は固定費を抑えると、この姿勢が非常に強い。労働組合の方でも日本の場合はまだ雇用の確保の方にややウエートが置かれていて、この春闘からは少しずつ違ってきていると思いますが、賃金に対する要求姿勢というのがまだ比較的緩和的であるということがありますので、しばらくの間は急激に労働分配率が上昇するということは予見しにくいと思いますけれども、緩やかであっても着実な今の経済の拡大を今後とも長く続けていけば、確実に言えますことは、やはり労働需給が一層タイトになると、企業としてはますます質の高い労働力を求めていかざるを得ないという状況ですので、やはり労働分配率は緩やかに上がる傾向というものを次第に明確にしていく可能性は強いなというふうには見ています。
 ただ、今のところ、そうだと、確実にそうだと言えるだけのエビデンスは持ち合わせていないというふうな状況だと思っています。
#173
○平野達男君 今、貯金のない世帯が随分増えているということなんですけども、仮に労働分配率が、どういう形で労働者に分配されるのか、配分されるか分かりませんが、仮に給料が上がったとしても、もう一つここで悪いことばかり話して申し訳ないんですけれども、今、年金制度についても非常に不安だと、医療の制度について、医療費も将来どれだけ掛かるか分からないということでどうしてもそれは貯蓄に回るんじゃないかという、そういう指摘もあって、労働分配率が仮に上がったとしても消費にまで回るにはまだ相当のタイムラグが出てくるんじゃないかというようなことを指摘する方もいますが、そこに対してはどのような御見解をお持ちでしょうか。
#174
○参考人(福井俊彦君) 消費が安定的に伸びるための基本的な前提がやっぱり二つあると思います。一つは、まだ働いていて所得を受け取り続ける人たちにとっては、恒常所得といいますか、将来にわたって安定的に所得がどういうふうに伸びるかと、これが一番大事な点だと思います。それから、リタイアが近い人、あるいはもうリタイアした後の方からとってみれば、将来の生活の基礎的な安定ということが確保されていると、その上で持っている貯蓄をどう使っていくかという話になります。
 したがいまして、将来の社会保障制度、なかんずく年金制度について、ある種の安心感を持って長続きする仕組みがきちんとあるんだという保障が大事だという点はそのとおりだというふうに思います。
#175
○平野達男君 最後は、結局政府のマクロ経済政策の話に行くんですけども、政府は今回、新しい成長ステージということで、成長路線だと、実質成長率二%若しくはそれより高い成長率を今後五年間に実現するというようなことを言っているわけです。その成長率を実現するためには、やっぱり何といっても、これは私はこの間予算委員会でも言いましたけれども、個人消費がどうなるんだということがやっぱり大きなファクターだろうと思うんです。だから、片っ方で生産性向上、生産性向上といって供給サイドの話ばかりしかしませんけれども、本当につくったものをだれが消費するんだと。当面の間は設備投資で、外需で伸びて、外需というか設備投資でGDPは伸びるかもしれませんけれども、長期的に見ればやっぱり国民の生活の方に戻していかないとGDP全体の伸びに、安定的な伸び率は確保できないんだろうと思うんです。
   〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
 ところが、この個人消費というのは、将来的にどうなるかのみならず、今でさえ、今、労働分配率がどうなるかというのが予測が付かない。それから、あと、仮に上がったとしても、私はやっぱり将来に対する不安を一杯持っている人がいますから、簡単に消費に回るといってもなかなか考えられないんですね。もっとこれ現実的に物事を見る目というのはやっぱり大事じゃないかなと思うんです。悲観的になるというのと、リアリスティック、リアリズムというか、現実的に物を見るというのは違いますよね。どうも今はとにかく数字ありきの中でぽんと出してしまいまして、二%ないし三%とかという数字をもう数字設定してしまいましたけども、どうも実態が付いていっていないんではないかなという感じがしますが。しかも、その数字は安倍内閣が成る前の一年前に内閣府が出した提示よりもワンポイントぐらい高いんですよね、実質成長率。ぽんと数字が上がって高めの数字を出しているということもありましてね。
 いよいよもってこれは本当どうなのかなということで、最後に総裁にお聞きしますけども、やっぱり私は、そういう、これからの経済見通しをどう立てるかというのはもう最終的には経済の財政運営にもかかわってきます。高い成長率で見るか、保守的に低めで見るかによって財政再建をどういうスピードで進めていかなくちゃならないかということにもかかわってきますね。そのことを、いろんな、そういう意味で長期見通しというのを、これはなかなか立てづらいんですけれども、しっかり立てるということが重要だと思いますが、そのときにやっぱりキーになるのは、やっぱり需要面がどうなるんだということについてもっとしっかり議論をしていく必要があるんじゃないかなと思うんですが、それに対しての総裁の御見解をお聞きして、私の質問を終わります。
#176
○参考人(福井俊彦君) 企業が生み出します物とかサービスは最終的にやはり消費者がエンジョイするということによって経済は完結するわけですので、おっしゃるとおり、将来の消費がどうなるかということは非常に大事な点でございます。
 その一つが、おっしゃいましたとおり、最終的な生活の保障という意味で年金制度がきちんと完結しているということが大事なんですけれども、一方、いかに消費者がお金を使うかという点になりますと、実は日本の消費のレベルというのはやはり相当高いレベルにあって、普通に言う消費者市場というのはかなり成熟化していると、こう言われています。したがいまして、ここから先は非常にニーズの多様化する様々な消費に企業はきちんとこたえられていけるかどうかと、こういうことになると思います。
 人口が減る中で、やはり成長率、潜在成長率をきちんと上げていくということは基本的に大事なことだと思うんですけれども、それは単に数字の話だけではなくて、ここから先は多様な消費の需要が芽生え、それに対して企業が多角的にこたえられていくという、そういうクオリティーを伴った成長でなきゃいけません。つまり、それぞれの持ち味のある人々がこの社会の中で持ち味のある行動ができ、それがいろんな形の消費として、企業から見れば需要が見えると、こういう形に持っていかなきゃいけないというふうに思います。
 したがいまして、マクロの数字で成長率が幾らということはまだその出発点だというふうな気がいたしております。
#177
○平野達男君 ありがとうございました。終わります。
#178
○国務大臣(山本有二君) 委員長。
#179
○委員長(家西悟君) 山本内閣府特命担当大臣。
#180
○国務大臣(山本有二君) 先ほど、西田委員の質疑の中で、福岡証券取引所の自主規制の担当者の人数を一人か二人と答弁させていただきましたが、実際は八人で、うち兼務が三名でありましたので、訂正させていただきます。
#181
○大門実紀史君 共産党の大門でございます。
 前回に続きまして、シティグループについて質問させていただきます。
 シティのCEO、チャールズ・プリンスさんが度々来日をされておりますし、在日支店の責任者の、これは新聞報道ですけれども、ダグラス・ピーターソンさんが金融庁の幹部とかなり親しくお酒も飲んだりしているという報道もございます。何かと今世間を騒がしているシティでございますけれども、金融庁と今どういう関係にあるのかということが気になるわけですが、山本大臣はこのシティグループの関係者とお会いになったことございますか。
#182
○国務大臣(山本有二君) 先ほど例に挙げられましたチャールズ・プリンスさんが、就任以降、一度大臣室を表敬に来られたことがございます。
#183
○大門実紀史君 シティグループ全体、いろんな方が、大臣だけではなくて五味長官とも度々お会いして、会っているとか、今なぜシティグループは金融庁の幹部の皆さんと個別に何度も会っているのか。どういうことなんでしょうかね。
#184
○国務大臣(山本有二君) シティグループのどなたがどなた、金融庁のだれと会っているのかについては、私の方は存じ上げません。
#185
○大門実紀史君 余り特定の外資と、いろいろあると思いますけれども、お酒を飲んだり、そういう関係はどうなのかというふうに思いますので、後の質問にもかかわるかと思いますので、一言申し上げておきました。
 資料をお配りいたしました。今日、シティグループ、CFJの個人情報の流れの、これは説明資料でございます。以前からサラ金問題の関係で個人情報の流れを指摘してきましたけれども、これが海外にまで流れているという説明資料でございます。右側が全情連とかJDBの信用情報機関でございまして、通常サラ金は、そこにお金を借りにきた人の顧客情報を照会して、多重債務でないかとか与信はどうなっているかを照会して回答を得るということでございます。
 その消費者金融、サラ金の中にCFJがあるわけですけれども、CFJの中でどうなっているかといいますと、データベース化をしております。このデータベースまでは各消費者金融、サラ金はみんなやっていると思います。問題は、以前も指摘しましたけれども、それを特定の分析をして、その人は不動産を持っているかどうかとかいろいろ分析をして、下にあります目的別リストを作ると。これが今のところ分かっているのがアイフルとCFJということで、去年の質問で指摘をしたわけです。ターゲットリストとか、CFJの社内ではカモリストと、カモ、お客さんをカモと呼んで、カモリストというふうに呼んでいるそうでございます。これ、確認をいたしました。
 本来、この目的別リストも、といいますか、この分析とか、これは過剰与信、つまり、これ以上貸しちゃいけないと、この人にはというために使われるものが、貸すために、あるいは最悪の場合は不動産を取るために使われてきたというのは、もう数々の事件が物語っているところでございます。これが、例えば前回指摘した、東京都業者の違法取立てをやっているクリバースに信用情報が流れるとか、後でシティの問題で報告してもらいますけれども、シンガポールで処分を受けるとか、当然シティグループとしてはアメリカのシティにこういう顧客情報を交換していると。そして、後で触れますが、中国の大連には、顧客情報を送って、現地の中国人を人件費が安いということで雇って、日本人の取立てをさせるということも、情報がつかんでいるところでございます。
 この全体像に基づいて一つ一つ質問をしたいと思いますけれども、まず、前回、このクリバースの関係で、二月二十二日だったと思いますけれども、質問いたしまして、CFJの信用情報がこのクリバースに流出して、それを信用情報機関でありますJDB、ジャパンデータバンクが一週間の利用停止処分をしたという質問をして、指摘をいたしました。そしたら、もうその当日、CFJ自身が、それまで幾ら問い合わせをしても隠していたわけですけれども、CFJ自身が公表をいたしました。そういう処分がありましたということで、二月二十三日付けで、これはもうホームページにも載っておりますが、公表をいたしました。
 この公表文を読みますと、前回私が佐藤局長とやり取りしたことに私は疑問を抱きました。全部読みませんが、何を書いてあるかといいますと、これはCFJ、自分で発表した、ホームページに載っているやつですけれども、二〇〇六年四月から七月にかけて、ローン債権の一部を登録貸金業者、つまりこのクリバースですね、クリバースに譲渡した際、顧客ファイル、ハードコピーに誤って顧客信用情報が含まれましたと、で、ジャパンデータバンクから、これは信用情報交換契約に違反するということで、一週間の停止処分を受けましたということが書かれています。十二月一日より七日間、私が指摘したとおりでございました。で、一週間利用できないという処分を受けたわけですけれども、ここにいろんな疑問点があります。
 まず、金融庁との関係で確認したいのは、ここにも書いていますし、もう御存じだと思いますが、関東財務局にこの利用停止処分については既に報告をしておりましたと、お客様には影響がなかったため、公表はしませんでしたと、関東財務局には報告をしてましたということがCFJ自身が言っております。私はあのとき、報告が来てないと、ただ、金融庁は把握はしていると、それならばちゃんと報告を受けるべきではないかということで指摘をしたわけですね。報告を受けていたなら受けていたと、なぜあのときはっきりと言わなかったんでしょうか。
#186
○委員長(家西悟君) どなたがお答えになります。金融庁佐藤監督局長。
#187
○政府参考人(佐藤隆文君) CFJの方から任意の報告が関東財務局に対してあったということでございました。私、先般答弁させていただいた時点で、私ども金融庁の方ではそういうことを把握しておりません、私自身は把握しておりませんでしたので、ああいうお答えをさせていただいたということでございます。
#188
○大門実紀史君 関東財務局ですよね、質問通告もしておりますよね。しかも、局長が、責任ある局長が知らなくて、私の質問に分からないで答えて、あんな一般論云々だとか、そんないい加減な答弁をされたんですか。
#189
○委員長(家西悟君) 挙手お願いしますよ。金融庁佐藤監督局長。
#190
○政府参考人(佐藤隆文君) 先般の御質問でございますけれども、JDBの方から報告があったかというお尋ねであったやに記憶しておりまして、恐らくその文脈の中で、私は報告を受けてないというふうにお答えしたのではないかと思います。
#191
○大門実紀史君 大事な問題なんで確認しておきますけど、そういうふうに勘違いしようが何しようが、私は、申し上げたのは、このCFJに対して報告を求めるべきだと、これをはっきりと申し上げているわけで、JDB、両方からだっていいですけどね。だから、余りそういう苦し紛れみたいなこと言わないで、謝るなら謝ると、報告を受けてなかったから勘違いしたとならいいんですが、余りそれをいろいろ言わないで、私に対してははっきりと、報告を受けてないから、だから私、報告を受けるべきだという質問したわけですから、そこはきちっとしておいてもらえますか。
#192
○政府参考人(佐藤隆文君) 関東財務局に任意の報告があったことにつきまして、私自身が御質問にお答えする時点で認識を持っておらず、結果として、全体として見たときには不正確なお答えであったということであろうかと思います。この点につきましてはおわびを申し上げます。
#193
○大門実紀史君 最初から素直にそう言ってもらえればいいわけでございます。
 私、この中身の方が、もっと更に中身が気になるのは、ここにはこう書いています。これ正確に読み取らなきゃいけないと思っているんですけれども、CFJは大量の債権をもちろん持っています、サラ金ですからね。そのローン債権の一部を、一部をこのクリバースに譲渡した際、譲渡した際、信用情報も一緒に誤ってと書いていますが、本当に誤ってかどうか分かりませんが、含まれていたと。つまり、クリバースにCFJ全体の、一部かどうかもありますが、とにかくCFJからクリバースに譲渡した債権の全部について信用情報を含めちゃったと、こう書いてあるわけですね、こう書いてあるわけです。つまり、債権譲渡した中の、その中の一部じゃなくて譲渡したもの全部に信用情報が含まれていましたと、こう書いてあるわけですね。これが一部かどうかというのはちょっといろいろ、CFJ全体からすればそれは一部かも分かりません、一部かも分かりませんが、とにかくクリバースに移ったもの全部について信用情報がくっ付いていったというふうに書かれているわけです。これ非常に重要なことでございまして、クリバースに行った中の一部じゃないんですね、譲渡したもの全部に信用情報がくっ付いていったというふうに読み取れます。
 これは関東財務局の報告はもうその後、今もう把握されていると思いますけれども、まず一部といっても、前回私が指摘したように一千億規模でございます。大量ですね、大量だと私は思います。これは、どれぐらいの数だったのかということは報告を受けておられるのか。もう一つは、誤って、誤って信用情報を移しちゃったと書いていますが、どう誤ったのかと、何を誤ったのかと、この辺もちゃんと報告を受けておられますか。
#194
○政府参考人(佐藤隆文君) 公表された事柄に加えまして若干の追加的な情報を報告受けておりますけれども、その個別の業者の個別のやり取りのお話でございますので、公表されている以上のことをこの場でお答え申し上げることは差し控えたいと思います。
#195
○大門実紀史君 一千億規模と言われています。これは正確な数字ではありませんけれども、恐らく九万口が二つで十八万口といいますと、一口五十万としても一千億に近くなるわけですから。これは、このクリバースという業者は東京都登録業者で、小さな貸金業者でございます。そんな一千億規模の債権を買う資金があるわけがないと思います。つまり、ほぼもう二束三文かあるいはゼロで、ゼロで受け取った可能性もあるわけです。
 なぜそんなことをするかというと、シティグループが今上場する上で、このCFJと、コーディアルもそうですけれども、いろんな関係でいくとCFJは非常にお荷物になっていると。このCFJが持っている不良債権は早く処理しなければ自分たちの上場にかかわるという事情が背景にあって早く処理したいと。場合によっちゃ、これ飛ばしの可能性もあるわけです。
 ですから、いずれにしても金額はともかく、大量の口数、つまり大量の人数の信用情報がクリバースに行った可能性が極めて濃厚だということでございます。したがって、そういう個別の中身は今日おっしゃらなくて結構なんですけれども、そういうものであるかないか、大量の信用情報が送られたんじゃないかとか、あるいは誤ってと後から言っていますけれども、本当に誤ってなのかと、分かっていて付けたんではないかというところは確認されるべきだと思いますが、いかがですか。
#196
○政府参考人(佐藤隆文君) これは、前回のお答えでも申し上げたことでございますけれども、個人情報保護法あるいは貸金業法規制法に基づきまして、必要な場合には報告徴求を行うということでございます。
 本件を含めまして、今申し上げましたような法令違反に関する重大な疑義が提起された場合には報告徴求命令を発するといった可能性も含めまして、事実関係の把握に努めるということでございます。
#197
○大門実紀史君 是非やってもらわなきゃ困ると思うのは、クリバースのことです。
 前回、私は悪質な取立てについて指摘をいたしました。その後、宮城県の方なんですけれども、これ時効なのに支払請求をずっとされていた方です。面白いことに、私が二月二十二日に質問いたしました。それが夕刊各紙に出ました。翌日、さっき言ったCFJ自身が信用情報で自ら発表しました。これも新聞に載りました。そしたら、途端に請求がストップをしました、しました。三月十二日まで、もう請求来なくなったんですが、十三日、また請求が始まっております。ちょっと話題、みんなが忘れたころになってまた請求をしていると。しかも、三月二十日には和解してやるから金払えと、こんなことをやっておりまして、これは時効を知っていながらサラ金が取り立てるというのはもう過去からずっとやられてきた犯罪的な手口ですけれども、こういうことをやっているところでございます。
 何も直そうとしていない、そういう業者でございます。そこにそういう大量の情報が行ったとしたら、しかも個別のいろんな情報も含めて、目的別リスト的に行ったとしたら大変な事態がこれからこのクリバースで事態が起きるということもありますので、一般的な話ではなくて、もう二回目でございます、私が指摘するのは。後々大問題になる可能性が非常に高いところでございますので、必ず報告徴求と検査、調査を求めておきたいというふうに思います。
 シンガポールの話に移ります。
 これは〇四年と〇六年に、これはシティグループの銀行の方ですけれども、同じく個人顧客情報に関連して処分を受けていると思いますが、内容を説明してくれますか。
#198
○政府参考人(佐藤隆文君) まず平成十六年の処分の方でございますが、シティバンク在日支店は、業務に係る情報処理を当行シンガポール支店が管轄するデータセンターに外部委託をいたしております。平成十六年の二月に、当該センターが日本の顧客情報約十二万三千件を含むデータを搬送中にこれを紛失するという事故が発生いたしました。これに対しまして、六月十一日に、銀行法第二十六条に基づきまして私どもの方から在日支店に対して、顧客情報の取扱い・保護に係る管理体制の確立などについて業務改善命令を発したところでございます。
 それから、平成十八年の方の処分でございますが、これは十八年の五月、シンガポールにおけるシステム開発時のプログラムミスによりまして顧客の取引データが誤って重複処理されたことによってシステム障害が発生いたしました。約九万七千顧客の口座取引に二重入出金やあるいは未記帳が生じたということでございます。これに対しまして、七月十四日に銀行法第二十六条に基づきましてシステム開発・運用等に関する管理体制の整備などに係る業務改善命令を行ったということでございます。
#199
○大門実紀史君 もうシティグループ全体が、サラ金だけではなくて、非常に情報管理に対してずさんなグループだと言わなければならないというふうに思います。
 それがシンガポールの話ですが、中国の大連の話をいたしますと、これは大連そのものがいろんな金融センターとしていろいろ活動を始めているわけですけれども、シティのこの大連のセンターには、今現在はちょっと分かりませんが、私が把握した段階では、日本人はもう十数人で、あとはもうほとんど中国人がいると。日本語をしゃべれる中国人を雇って、人件費が安いということですね、そこから日本の債務者に取立てをさせると、催促、取立てをさせるということが行われているという情報をつかみました。
 金融担当大臣、山本大臣にお伺いしますけれども、こういう形というのは、ほかのサラ金はやっておりませんですけれども、やってないと思いますが、どう思われますか。
#200
○国務大臣(山本有二君) 金融機関の個人情報が海外に流出していることについての言及でございます。
 金融機関が個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、たとえ委託先が海外にある場合でも、個人情報保護法により、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、当該金融機関が委託先に対して必要かつ適切な監督を行うことが義務付けられるべきものだと考えております。
 これを踏まえて、金融庁におきましては、金融分野における個人情報保護に関するガイドラインを定めまして具体的な監督の在り方を示すなど、金融機関の個人データの委託先が海外に所在する場合におきましてもその管理が適切に行われるよう促しているところでございまして、当庁といたしましては、これらの規定に基づき、検査監督の中で問題があれば、厳正かつ適切に対処してまいりたいと考えております。
#201
○大門実紀史君 シティの戦略は、日本の邦銀も含めていろいろ展開していくということになりますと、こういう、この仕組みというのはこれはサラ金だけではなくて、例えば日本で富裕層に対していろいろ営業をやろうと。すべての日本人の情報がこういう形で、ほかの形も含めて海外に流れる可能性が、私は指摘せざるを得ないと。サラ金の債務者だけではございません、シティグループそのものの体質、やり方でございますので。
 こういう点で、内閣府、来ていただいて、お聞きいたしますけれども、個人情報がこんなに海外に平気で流れていくというのは、外国と比べて日本の現状はどうなんでしょうか。また、どういうふうにそれは改善していかなきゃいけないか、教えてもらいたいと思います。
#202
○政府参考人(竹林義久君) 現在の個人情報の保護に関する法律におきましては、EU等と異なり、国際的な情報の移転のルールについては明示的に定めていないところでございます。しかしながら、個人情報の取扱いについて定めましたOECDのプライバシーガイドラインに即したものとなっていると考えておりまして、このガイドラインにつきましては、加盟国がこれに準じた対応を取ることを勧告しているものでございます。
 我が国におきまして個人情報取扱事業者が事業を行う限り、他国に個人データを移転する場合におきましても、委託先の監督等が義務付けられるとともに、第三者提供が制限されるという状況になっていると思います。国際的な情報の移転につきましては、現在OECDあるいはAPEC等でも議論が進められているところでございまして、私どもの方におきましても、この国際的な動向を見ながら考えていくと。
 現在、この法律自体は一昨年、十七年の四月に完全施行されておりますが、国民生活審議会の個人情報部会におきましても法の施行状況のフォローアップをするとともに、その中におきまして、国際移転ルールについても検討課題ということで現在検討を進めていると、そういう状況にございます。
#203
○大門実紀史君 要するに、OECDは、センターをつくったり、委託する相手の国の個人情報の保護の法制度とかシステムがどういうふうに、きちっとなっているかどうかを審査して、審査にオーケーならばそこにセンターつくっていいですよとなっていますが、日本はそれがないものですから、そういう個人情報の管理の弱い国、緩い国にどんどんアメリカなんかは、日本といいますか、つくっていけばそこでいろんなことがやれるという、野放しになっちゃっているわけですね。そういうところで、日本の法制がそうなっているからそういうことができるわけですけれども、それが今問われているということですので、これは至急、急がなければいけない課題だというふうに思います。
 次に、前回このシティ、CFJの不当労働行為について触れましたけれども、更に分かったことが、今年の一月に賃金の不払を起こしておりまして、前社長のスティーブン・バードさんが書類送検をされております。これは厚生労働省に確認いたしましたけれども、幾ら言っても公表できないということですので、私の方で東京地検方面から事件番号を確認したら、実際に書類送検をされておりました。今年の一月でございます。
 取立てから個人情報からこういう不当労働行為から、何をやっているのかと、このシティグループはというふうに厳しく指摘せざるを得ない、そういうモラルの低下した、しかし非常に大きなアメリカの大グループでございます。
 山本大臣は、またお会いなさることあると思いますけれども、このシティのトップと、是非、日本で商売するならまず襟を正せということを是非伝えてほしいと思いますが、いかがですか。
#204
○国務大臣(山本有二君) そういう機会が得られれば、是非伝えておきたいと思っています。
#205
○大門実紀史君 シティの動向は、もう今、日本の注目でございますので、本当に起きている、案外アメリカのトップは知らなくて、シティも、聞いてみますと、日本のいろんな、CFJもそうですけれども、上の方はアメリカ人、外国人が多いんですけれども、中間層以下はみんな日本人らしいですね。そういう形でございますので、ただ幾つかのところは、もうトップの日本の、外国人トップが指揮してやらしているということもありますけれども、アメリカのトップにきちっと伝えていただいて、こういうことを早く正してほしいということを伝えていただくことを再度お願いして、私の質問を終わります。
#206
○委員長(家西悟君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#207
○委員長(家西悟君) 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。尾身財務大臣。
#208
○国務大臣(尾身幸次君) ただいま議題となりました平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について御説明申し上げます。
 平成十九年度予算においては、税収が増加する中においても徹底した歳出削減方針を貫き、多くの経費を平成十八年度当初予算より減額し、一般歳出の増加をできる限り抑制いたしました。
 この結果、新規国債発行額について、平成十八年度当初予算に比べ過去最大の四兆五千四百十億円の減額を実現しましたが、我が国の財政状況は引き続き厳しい状況となっており、特例公債の発行等の措置を講ずることが必要であります。
 本法律案は、厳しい財政事情の下、平成十九年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び年金事業等の事務費に係る負担の特例に関する措置を定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、平成十九年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとするなどの特例措置を定めております。
 第二に、平成十九年度において、国民年金事業、厚生年金保険事業及び国家公務員共済組合の事務の執行に要する費用に係る国等の負担を抑制するため、国民年金法、特別会計に関する法律及び国家公務員共済組合法の特例を設けることとしております。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 政府は、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、減価償却制度、中小企業関係税制、住宅・土地税制、組織再編税制、信託税制、納税環境整備等につき所要の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、我が国経済の成長基盤を整備し、国際的なイコールフッティングを確保する観点から、減価償却制度の抜本的見直しに係る所要の改正を行うこととしております。
 第二に、中小企業関係税制について、中小企業の財務基盤の強化を図るため、特定同族会社の留保金課税制度の適用対象から資本金一億円以下の中小法人を除外する等の見直しを行うこととしております。
 第三に、住宅・土地税制について、税源移譲に伴い住宅ローン減税制度の政策効果の小さくなる中低所得者に配慮して、その控除期間の延長等の特例を創設するとともに、住宅のバリアフリー改修促進税制の創設等を行うこととしております。
 第四に、組織再編税制について、会社法により三角合併が可能とされることに伴い、親法人株式を対価として交付する場合にも課税繰延べが認められるよう、適格合併の要件を見直すこととしております。また、信託税制については、新信託法による新たな信託類型等に対応した税制を整備することとしております。
 第五に、納税環境整備として、電子証明書を有する個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度の創設等を行うこととしております。
 その他、所得税の寄附金控除の控除対象限度額の引上げ、企業の子育て支援に係る特例の創設、移転価格税制に係る納税猶予制度の創設、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に対する税率の特例の一年延長を行うこととしております。また、農用地利用集積準備金制度の廃止等既存の特別措置の整理合理化を図るとともに、住宅用家屋に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の特例等の期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長するなど所要の措置を講ずることとしております。
 以上が、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#209
○委員長(家西悟君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#210
○野上浩太郎君 自由民主党の野上浩太郎でございます。
 所信の質疑に続きまして、大変お疲れさまでございますが、早速二法案の質疑について入らせていただきたいと思います。
 まずは、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に関連しまして、基本的な財政運営についてお伺いをしたいと思います。
 今年の一月に、安倍内閣においては初となります経済財政運営の中期方針の日本経済の進路と戦略が策定をされました。この中で、財政健全化の目標といたしまして、二〇一一年度には国、地方の基礎的財政収支を確実に黒字化させ、二〇一〇年代半ばにかけては債務残高GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることを確保することとされています。
 これまで、プライマリーバランスの黒字化の時期につきましては、平成十七年度の骨太の方針におきましては、本文で二〇一〇年代初頭と、参考資料においては二〇一二年という記述がありました。また、翌平成十八年の骨太の方針のときには、本文に二〇一一年という記述があったわけであります。
 そして、今般、この中期方針に具体的な期限付きの目標というものが書かれているということは意義深いというふうに思うんですけれども、一方で、これは何ゆえに二〇一一年度なのかと、あるいは二〇一〇年代半ばなのかという、これを財政健全化の節目にしているのかと、この時期についての国民の理解が進んでいないところがあるんですね。
 当然、少しでも早く前倒しにしてやるべきだという声もありますし、いや、二年や三年や五年ぐらいちょっと後ろ倒しになっても、ソフトランディングしてもいいんじゃないのという声もあったりするんですけれども、まずは二〇一一年と、あるいは二〇一〇年代半ばということを財政の健全化の節目としている意義につきまして、大臣に見解をお伺いしたいと思います。
#211
○国務大臣(尾身幸次君) 今後、二〇一〇年から一五年ころにかけまして、いわゆる団塊の世代を含めまして、これまで我が国の労働力人口の中核でありましたベビーブーム世代が基礎年金の受給者となるなど、高齢化が大きく進展すると見込まれております。
 具体的には、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によりますと、二〇〇六年の六十五歳以上の人口割合が二一%であるものが、二〇一五年には二七%まで上昇すると見込まれているわけでございます。これに伴いまして、社会保障関係経費は経済の伸びを上回って増大することが見込まれるわけでありますが、そうした中で社会保障制度の持続可能性を確保していくためには、これらの時期を一つの節目として財政の健全化を進めていくことは極めて重要であると考えております。
 こうした点を踏まえまして、先般閣議決定されました日本経済の進路と戦略に示されているように、二〇一〇年代半ばにかけて安定的な経済成長を維持しつつ、債務残高のGDP比を安定的に引き下げることを確保することを目指し、まずは二〇一一年度までに、国、地方合計のプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、財政健全化を着実に進めたいと考えている次第でございます。
#212
○野上浩太郎君 正にそのとおりだと思うんですが、私も、去年、財務省の政務官をやらせていただいて、財政健全化について携わらせていただいたんですけれども、感じるのは、やっぱり国民の皆さん、とかくこの財政健全化の目標というのは、ちょっと難しいというような感じがあって敬遠しがちな部分がありますので、大臣におかれましては、時をとらえて、国民の目線に立って、分かりやすい言葉で国民にこのことをしっかりと伝えていっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 さらに、プライマリーバランス黒字化についてでありますけれども、政府がこの二〇一一年度におけるプライマリーバランスの黒字化へ向けた確固たる姿勢を示すためには、今後の各年度において行う予定の施策についての工程表というものをやっぱり明示することが望ましいのではないかというふうに思います。
 確かに、進路と戦略の策定の際には、内閣府の試算で二〇一一年までの日本の経済財政の姿が定量的に示されているところがありますし、財政の削減額につきましては、これは二〇〇六年度の骨太方針に示されているものが前提となっているわけでありますけれども、これは必ずしも具体的根拠が示されていない部分もあります。より具体的な工程表を示すことによってその決意というものをしっかりと示していくということが大事だと思いますが、大臣のその部分についての見解をお伺いしたいと思います。
#213
○国務大臣(尾身幸次君) 我が国の厳しい財政状況を踏まえますと、子供や孫の世代に負担を先送りしないためにも、安定的な経済成長を維持しつつ、先ほど申し上げましたように、二〇一〇年代半ばにかけて債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指して、まずは二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化する、そういう目標で歳入歳出一体改革を進めていきたいというふうに考えております。
 さはさりながら、歳入改革一体化を進めるに当たりまして、非効率な歳出を放置したまま負担増を求めるということになれば国民の理解を得ることは困難でございまして、今後とも、歳出改革に引き続き取り組んでいく必要があります。この分野における歳出改革の具体的な取組の内容は基本方針二〇〇六に定められているとおりでございます。
 また、今後とも増加する社会保障給付や少子化への対応等につきましては、国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引上げのための財源も含め、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにする必要がございます。
 このような考え方の下、七月ごろに判明する二〇〇六年度決算の状況や、医療制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行い、二〇〇七年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいりたいと思います。
 先ほどのお話の工程表につきましては、今後、各年度において行っていくべき具体的な施策につきましては、基本方針二〇〇七等において可能な限り整備していくこととしたいと思っております。
#214
○野上浩太郎君 是非、前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。
 次に、国債管理政策についてお伺いをしたいと思いますが、ここ数年は低金利でございましたので、国債の利払い費、比較的抑えられてきたわけでございますが、昨年、ゼロ金利が解除されましたし、これから景気回復局面が続いていきますと、緩やかに金利が上昇していくということも想定をされるわけでございます。ひいては、国債の利払い費が大幅な増加を招きかねないという状況も考えられます。
 例えば、十八年度予算とこの十九年度予算案を比較しても想定金利が〇・三ポイントぐらい上昇しているということでありますが、国債利払い費の抑制のためにも、やっぱり適切な国債管理政策を行って、国債の信認を確保することを通じて金利が急上昇しないようにしていかなければならないと。
 今後、金利の上昇局面を迎えるという明らかにここ数年とは違う環境、状況の中で政府はどのような国債管理政策を行っていくのか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#215
○国務大臣(尾身幸次君) 金利の動向は景気の動向等様々な要因によって変動するものであり、今後の動向については一概に申し上げることは困難でございますが、依然として国債の大量発行が見込まれる中におきまして、確実かつ円滑な国債の発行及び中長期的な調達コストの抑制には細心の注意を払う必要があると考えております。
 そのために、まず第一に重要なことは、国債に対する信認を確保するために、引き続き財政の健全化を推進していくことであると考えております。その上で、市場との対話を重視しつつ、市場のニーズ、動向等を十分に踏まえた国債発行、国債の保有割合が低い個人や海外部門の保有促進による保有者層の多様化、あるいは年限の長期化、多様化による将来の借換え需要の平準化といった債務管理の進展等、引き続き国債管理政策の適切な運営に努めていきたいと考えております。
#216
○野上浩太郎君 ありがとうございます。
 これは明らかに状況が変わってまいりますので、これは財政運営につきましての大きなポイントの一つだというふうに思っておりますので、適切な対応をお願いしたいというふうに思います。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案に関連してお伺いをしたいと思いますが、十九年度のこの税制改正は、これ経済の活性化が一つの大きな柱となっております。その経済の活性化を進めるためには、これはもう言うまでもないことでありますが、我が国産業の基盤を支える中小企業がこれは元気になることが重要であります。これなくしては日本経済の足腰の強い成長というものはないというふうに思っております。
 まずは、この平成十九年度の改正において、中小企業関係の税制措置がこれは相当充実していると言ってもいいと思いますけれども、まずはその内容とそれぞれの減収見込額について、簡潔に御説明いただきたいというふうに思います。
#217
○副大臣(富田茂之君) 今、野上先生御指摘のように、我が国経済の発展のためにも、経済活力の源泉である中小企業が健全に発展していくような政策に力を入れていくことが極めて重要であると考えております。こうした観点から、平成十九年度税制改正におきましては、主として次のような改正を行うこととしております。
 まず第一に、減価償却制度につきまして、他の主要先進国はすべて一〇〇%まで償却できるが、日本だけは今まで九五%までしか償却できないという仕組みとなっていたものを、国際的に遜色のない制度とするよう、新規取得資産について、耐用年数経過時点に一〇〇%を償却できるようにする、これは中小企業を含めた日本企業の競争力の強化に役立つものと考えております。
 次に、留保金課税制度は、同族会社が利益を配当せず内部に留保した場合に通常の法人税に加えて追加的に課税する制度でありますが、その適用対象から中小企業を除外することにより、資本蓄積を促進するようにしております。
 三番目に、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入を一部制限する制度につきまして、会社の利益とオーナーへの給与との合計額が八百万円以下となる場合には適用除外としていたところでありますが、中小企業活性化の観点から、これを千六百万円に引き上げることといたしました。
 そして四番目にですが、生前贈与を行う際に贈与税の負担が大幅に軽減される相続時精算課税制度につきまして、中小の同族会社の事業承継を円滑にするため、自社株の贈与の場合に、親の年齢要件を六十五歳から六十歳に引き下げ、非課税枠を五百万円上乗せして三千万円といたしたところであります。
 こうした改正による平年度ベースの減収額は、中小企業につきましてでありますが、減価償却制度では約一千四百億円、留保金課税制度では約二百七十億円、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入制限では約百三十億円、相続時精算課税制度は二億円程度と見込んでおりまして、法人と個人事業者を合わせて約二百七十万の中小企業に効果があるものと見込んでおります。
#218
○野上浩太郎君 これは中小零細企業に大きな効果があるということですが、今お話のあった減価償却制度の見直しについてでありますけれども、これはもう正に約四十年ぶりというものでありまして、我が国の成長基盤を整備する上で大変意義深いものだというふうに思っております。
 今の御答弁では、大体一千四百億円ぐらいの減収額が中小企業に対して見込めるということでありますが、これ経産省の試算によると、例えば設備投資が約七千億円、あるいはGDPが約一兆円増加するというような試算もあるわけであります。
 一方で、これ多少技術的なことになるんですけれども、これしっかりと円滑に進めるために重要な部分なんでお聞きしたいと思うんですけれども、今回の改正で、これはフラットパネルディスプレー製造設備を含む、これは三設備を対象に耐用年数の短縮化を先行させておるわけでございますが、これはその他の減価償却資産全般の見直しについてはどうなっているのか。
 さらに、これは耐用年数の資産区分というのは大変細かくなっておりますし、特例のこの申請手続も非常に煩雑でございますので、これらの簡素化に対しては今後どう取り組んでいくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#219
○政府参考人(石井道遠君) 今回の減価償却制度の見直しにおきまして、法定耐用年数に関しましては今先生御指摘のとおり、フラットパネルディスプレー製造設備など三設備につきまして耐用年数の短縮を行っております。
 これは、昨年十二月の政府税制調査会の答申におきまして、特に技術革新のスピードが速く、実態としても使用年数の短いものについては、早急に法定耐用年数の短縮を図るべきであるとされたことを踏まえた措置でございます。
 今お尋ねの、その他の減価償却資産全般にわたる見直し、特に法定耐用年数及び資産区分の見直しにつきましては、同答申におきまして、使用実態を十分把握した上で、簡素化等の見直しをしていく必要があると指摘されておりまして、今後平成二十年度の税制改正に向け検討すべき課題であるというふうに考えております。
 このような観点から、法定耐用年数に関しましては、昨年、関係省庁と共同で減価償却資産の使用実態についての調査を行ったところでございますが、一部の資産区分に係る使用年数の実態につきまして十分なデータが得られなかったことから、現在引き続き補完的な調査を行っております。
 したがいまして、法定耐用年数につきましては、このような調査結果を踏まえまして具体的な見直し作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それからまた、資産区分につきましても、実態調査の結果使用の実態がないと認められるものについて廃止するなど、簡素化に向け必要な見直しを行っていきたいと考えております。
 あと、耐用年数の短縮特例など各種特例の申請手続、これの簡素化の御指摘がございました。
 これにつきましては、具体的にどのような点について改善が必要なのか明確でない点もございますので、以上の見直しと併せまして、今後の税制改正作業の中で関係者から具体的な要望内容を十分に聞いていきたいというふうに考えております。
#220
○野上浩太郎君 しっかり対応していってください。
 次に、事業承継税制についてお聞きをしたいと思いますが、平成十九年度改正では、これは贈与税の相続時精算課税制度の特例を創設をしておりまして、これはまあ評価をしたいというふうに思っておりますが、今般、これは中小企業の事業承継の局面における活用が期待されております取引相場のない種類株式について、その活用を図る観点から、相続等における評価方法を明確化するということになっておりますが、これはどのように明確化していくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#221
○政府参考人(加藤治彦君) お答え申し上げます。
 今御指摘ございました取引相場のない種類株式でございますが、これにつきまして、特に中小企業の事業承継に活用が期待されているという三類型、一つが配当優先の無議決権株式、それから二番目が、株式ではございますけれども、実質的な中身が社債に類似しているという社債類似株式、それから拒否権付株式と、この三類型につきまして、今般、国税庁においてその評価方法を明確化いたしました。
 具体的に申し上げますと、まず無議決権株式につきましては、本来、原則として議決権があるかないかということは財産価値に影響しないという立場を取っておりますけれども、納税者が相続により取得した株式のうち無議決権株式についてはその五%までを評価減することを認め、ただしその場合、その評価減した分は他の議決権のある株式の評価額に加算すると、全体としては同じ価値になるというやり方、その方法も納税者が選択によって使うことができるというふうにいたしております。
 それから、配当優先株式につきましては、評価方法、類似業種比準方式という方式で評価する場合には、株式の種類ごとに配当金額が変わってくる場合はその違う株式ごとに評価できるようにいたしました。
 それから、社債類似株式については、これはもう社債に準ずるということで発行価格を基に評価するということを明確にいたしました。
 拒否権付株式につきましては、これはもう普通株式と同様だということで評価するということにいたしておりまして、これにつきましては本年一月一日以降に開始した相続から適用するということを明確にいたしております。
#222
○野上浩太郎君 ありがとうございます。
 この事業承継の円滑化というのはやっぱりこれは中小企業の雇用の維持ですとか技術の確保はもちろんのことでありますけれども、商店街のこれは空洞化の防止などの観点からも重要な課題であるというふうに思っております。この課題については今自民党の部会でも小委員会を設置をしまして議論を始めているところでございます。
 この事業承継税制については、やっぱりこの中小企業の事業承継を円滑化する観点から、まずその実態を十分踏まえつつ、しかしそれは抜本的な見直しを検討していくべきだというふうに思っておりますが、尾身大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#223
○国務大臣(尾身幸次君) 事業承継は中小企業の方々の最大の悩みの一つでございまして、中小企業の事業承継の円滑化は重要課題としてとらえ、様々な観点から総合的な対応が必要であると考えております。
 このような観点を踏まえまして、十九年度税制改正におきましては、中小企業における早期かつ計画的な事業承継の取組を支援、促進していくため、取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度の特例を創設することといたしました。
 具体的には、事業承継をするために、取引相場のない株式等の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度につきまして、贈与する方の年齢要件を六十五歳以上から六十歳以上に引き下げるとともに、非課税枠を二千五百万円から三千万円に拡大したところであります。
 この事業承継につきましては、特に成功した中小企業の方々、現に事業をしておられる中小企業の方々にとりまして大変大事な問題でございまして、私どもは、この実態をこれからも把握しながら、課税の公平さにも留意しつつ、今後抜本的な税制改革の議論の中で真剣に検討していきたいと考えております。
 野上委員が、今、自民党の中でこういう面の対策について御検討いただくということは大変に有り難いことでございまして、大いにこういう点、議論をしていただきたいと考えている次第でございます。
#224
○野上浩太郎君 是非事業承継のために、本当に大きな意味を持ちますので、しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに思います。
 平成十九年度税制改正では、今議論しました減価償却制度の見直しですとかあるいは特定同族会社の留保金課税制度の見直し等々、やっぱり中小企業に配慮した経済の成長基盤を整備する措置を講じている一方で、住宅・土地税制の見直しなど、これは国民生活にも配慮したものになっているというふうに思います。
 そして、大切なことは、先ほど日銀総裁との議論の中で労働分配率の話ですとか消費の話がございましたが、このような取組を通して経済の成長の成果がしっかりとこれは家計に波及をさせていくということだというふうに思っておりますが、そのための施策とプロセスについて、これは財務大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。
#225
○国務大臣(尾身幸次君) 経済がグローバル化する中で、どの国に経済活動の拠点を設定するかということを企業が決める時代になりました。つまり、企業が国を選ぶ時代になったということであります。そういう状況の下において、少なくとも税制面で企業にイコールフッティングな条件を提供することが最低限必要であるというふうに考えまして、減価償却制度の問題あるいは同族会社の留保金課税の問題などなどについての改正案を今般決めたところでございます。
 そういう中で、企業活動、経済活動が活性化して、経済、最近順調な発展段階にあると考えておりますけれども、これによりまして企業の体質強化とかあるいは競争力強化が実現され、そしてそのことによって労働需給がだんだんタイトになり、そして賃金なども含めた家計部門への波及が、経済へのプラス要因の波及が進んでくるというふうに考えているわけでございまして、これをしっかりと進めて、消費の拡大、ひいては経済全体の活性化を実現したいと思っております。
 さらに、今回の改正では、中低所得者の住宅ローン減税額を確保するための特例の創設とか、住宅のバリアフリー改修も促進するというような税制の創設など、国民生活にも配慮した改正を行っているところでございまして、私どもとしては、企業、家計共々に順調な回復を遂げ、国民生活が向上するようにこれからも頑張っていきたいと思っております。
#226
○野上浩太郎君 ありがとうございました。
 正に、経済成長の果実を家計に波及させていくということは、これはもう日本が抱える現在の課題の大きな課題の一つでございますので、これは強力に推進をしていっていただきたいというふうに思います。
 あと、次に少子化と子育て支援税制について少しお伺いをしたいと思いますが、今回の税制改正においてはこの企業の子育て支援税制が創設されたということで、これは一定の評価をしたいというふうに思っておりますが、更に本格的な少子化対策税制が望まれているわけであります。例えば、フランスではこれはN分N乗方式というものを取られているんですけれども、これは夫婦共有財産制度が前提となっておりますので、我が国の制度とはこれは前提が違うということがございます。
 我が国の今の税体系において考えられ得る抜本的な少子化対策税制につきましては、例えば子供の扶養控除の拡大ですとか税額控除の新設なども考えられると思いますけれども、我が国の税体系の中での現実的な少子化対策税制の方向性についての見解と今後の取組について、尾身大臣はもう大臣就任前からこの少子化対策につきまして熱心に取り組んでおられましたので、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#227
○国務大臣(尾身幸次君) いわゆる人口問題研究所の予想によりますと、今後、日本として何も対策を講じなければ五十年後、二〇五五年には人口、今の一億二千八百万が九千万人を切ることになる、百年後には四千五百万人を切るというような推計があるわけでございまして、これが現実のものになるということは、日本という国家にとっては許されないことであるというふうに考えております。したがいまして、人口増加対策といいますか少子化対策については国を挙げて取り組んでいかなければならないと思っておりまして、国、それから地方、あるいは企業、社会、全体が総力を挙げて人口増加対策を実現していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 企業の子育て支援に係る特例として、事業所内の託児所施設の割増し償却制度なども今年、十九年度に創設をすることをしているわけでございますが、その中で、税制について、フランスのN分のN乗にするとか、あるいは扶養控除制度を引き上げるとか、いろんな案があるわけでございます。
 今、政府で、子どもと家族を応援する日本という、この重点戦略をまとめるということにしておりまして、これは六月ごろには中間報告が出されると思いますけれども、このような議論を踏まえつつ対応していきたい。
 フランスなどでは、三十年前は日本と同じ出生率でございました。この三十年の間に日本は一・二四にまで下がり、フランスは二・〇の出生率で、人口もフランスは増加をし、日本は人口減少社会ということが言われているわけでございますが、資金の面においてどうなっているかというと、実はフランスはGDPの三%を子育て、少子化対策に使っている、日本はこの比率が〇・七%でございまして、財政は厳しい折でございますけれども、フランス、つまり人口が増加しつつある国と比べて少子化対策がまだまだ十分でないというような状況でございます。
 そういう中で、私は先般の少子化対策のプロジェクトチームの皆さんに対しましても、この人口対策をやるために一体どのくらいお金が掛かるのか、よくしっかりとこの要望なり計算をして数字を出してほしい、まあ数字を出していただいたからといって直ちにこれを予算化するということではありませんが、数字を出してほしいということを申し上げました。
 いずれにいたしましても、財政が非常に厳しい状況でございますけれども、今のこのプライマリーバランスを回復するという目標でありますけれども、その中の前提としては、高齢化対応をする、それから国庫負担率を三分の一から二分の一に上げるということに加えて、少子化対策も考えた上で、それを含めた上での財政再建というものを実現していかなければならないというふうに考えておりまして、この問題についても大きな国家の課題として、税制も含め、それから予算面も含め、我々として本格的に取り組んでいかなければならないと考えておりまして、今、野上委員のおっしゃったようなことで、いろいろと検討して対応していきたいと考えております。
#228
○野上浩太郎君 大変力強い御答弁を本当にありがとうございます。是非、尾身大臣のリーダーシップを心から期待したいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 ちょっと時間の関係上、通告の順番をちょっと変えさせていただきますが、都市と地方の財政力の格差問題についてお伺いをしたいというふうに思います。隣に東京の中川先生がおられますので、ちょっとやりにくい部分もあるんですけれども。
 昨今、これは地方公共団体間の財政力格差が拡大をしてきておると。例えば景気回復による個人所得に応じた税収増も、例えば法人二税もこれは経済活動の活発な都市部に集中するわけであります。平成十九年度の税制改正大綱においても、「法人二税を中心に税源が偏在するなど地方団体間で財政力に格差があることを踏まえ、地方の自立を促しその安定した財源基盤を構築する観点から、地方の税財源を一体的に検討していく必要がある。」と記述をされたわけであります。
 こういう状況に対して尾身大臣は、今国会での本会議ですとか予算委員会等でも、地方団体間に財政力格差が大きい状況があり、今後総務大臣と相談しつつ真剣に取り組んでいく旨の答弁をされておりまして、評価をしたいというふうに思っておりますが、この地方団体間の財政力格差の問題について、それでは例えばどんな具体的な検討課題が考えられるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#229
○国務大臣(尾身幸次君) この国と地方の財政を考える際に、まず二つ問題がありまして、国と地方のどっちが財政が厳しいかということと、それから各地方公共団体の間で格差がどうであるかという二つの問題がございます。
 いつもこの地方関係のことを重視する国会議員の皆さんからは、とにかくもっと地方交付税を増やせとか、国からもっと地方にお金を出せという一般論的な総論としてのお話がございます。
 しかし、よく見ると、この国と地方の財政状況を十九年度の予算ベースで比較をいたしますと、債務の残高の税収に対する比率、国が債務残高六百七兆円、それから地方交付税などを地方に移転した後の税収が三十九・八兆円でございまして、債務残高と税収の比率が十五・三倍であります。それに対して地方は、債務残高が百九十九兆円、地方税に地方交付税を加えると五十六・四兆円の収入でございまして、この比率が三・五倍でございまして、十五・三倍と三・五倍の格差がある。つまり、この税収に税外収入も加えて比較いたしますと、国の方がはるかに厳しい財政状況になっております。
 また、この一般会計のプライマリーバランスで見ますと、十九年度につきましても、国が四・四兆円の赤字であるのに対して地方は全体としては五・四兆円の黒字になっておりまして、国は、全体としての地方、総体としての地方よりも極めて厳しい財政状況にあります。このような状況でありますんで、地方も国と同様の厳しい歳出改革を行うことによりまして地方交付税を抑制していく必要が一般論として全体としてはあると考えております。
 他方、個別の自治体を見ますと、地方税収が十分に確保できない自治体がある反面、東京のように大幅な財政余剰が発生する自治体があるなど、自治体間の財政力格差が大きい問題になっていると考えております。具体的に言いますと、例えば、東京都においては十八年度の基準財政収入が基準財政需要を一兆四千億上回っているわけでございますが、この東京の財源超過額は、最も財政状況が悪い八つの県、島根、高知、鳥取、長崎、秋田、宮崎、沖縄、和歌山の全体の財源不足額の合計と大体同じであると、こういうことでございます。
 こういう状況にかんがみますと、今後地域間の財政格差の問題に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。具体的な検討課題としては、地方税のうち地域間の偏在が著しい法人事業税及び法人住民税の偏在是正などが考えられますが、いずれにしても、これは私どもだけでは決められる問題ではございませんで、総務大臣とも相談しつつこの問題につき取り組んでいきたいと考えておりまして、是非委員の皆様の御理解をお願いを申し上げます。
#230
○野上浩太郎君 正に日本の国の形を決めていく問題でございますので、しっかりとした取組をお願いします。
 次に、電子申告についてお伺いをしたいと思いますが、私も昨年、確定申告会場に行きましたり、税務署を幾つか視察をさせていただきました。電子申告の促進についても取り組まさせていただいたわけでございますが、今般の税制改正でも所得税の特別控除という形で対応をしているわけであります。
 電子申告につきましては、もう御案内のとおりで、添付書類の別送の問題ですとか、カードリーダー、認証基盤の問題など幾つかの課題がありまして、これは昨年の十八年三月にオンライン利用促進のための行動計画も公表をされているわけでございますけれども、その取組状況をお伺いしたいと思いますし、更なる普及に向けた取組を併せてお伺いしたいと思います。
 またあわせて、これも電子化による税務手続の効率化というものは、これは今後も進めていくことが重要なんですけれども、一方で、経済の国際化ですとか電子商取引の市場拡大など税務行政を取り巻く環境は大きく変わってきておりますので、これは、その人材の育成ですとか、また適正な人員確保も含めて、これ執行体制をしっかりと充実させていくということも大切だと思いますが、この二つ併せてお聞きをしたいと思います。
#231
○政府参考人(加藤治彦君) お答え申し上げます。
 まず、電子申告でございます。
 これは、先生御指摘のように、オンライン利用促進のための行動計画に基づきまして強力に推進をいたしております。既に、具体的には、今年の場合、税理士関与の場合の納税者本人の電子署名を省略する。それから、e―Taxを利用した還付申告書の処理期間を平均六週間ぐらい掛かるものを三週間程度に短縮する。それから、今国税庁ホームページで確定申告書の作成コーナーがございますが、ここに入っていただくと直接e―Taxに送信できる。あと、受付も確申期は二十四時間行うというようなことで今回対応をいたしております。さらに、今先生からも御指摘がございました十九年度の現在御審議いただいております税制改正の中で、電子証明書の取得につきましては特別の控除制度を創設するということが盛り込まれております。また、先生も今おっしゃいましたが、電子申告の場合の添付書類の問題もございますので、これも基本的な添付書類につきましては、明細書化をすることによって送付を省略できるようなことも盛り込んでいただいております。
 これからいろんなことを更に推進していくということで、当然会計処理のIT化も一体で進めていただく必要がありますので、そうしたことの研修会や税務相談を進めていく。それから、これは来年、平成十九年分の確定申告からになりますけれども、税務署に来所をした方につきましては電子署名なしでも、そこで本人確認をするという前提で電子申告ができるとか、幾つかの方法を考えております。さらにこれからも一生懸命努力してこのオンラインの普及に努めてまいりたいと思っております。
 それから、二点目のお尋ねでございますが、税務を取り巻く環境が非常に複雑化しているということで、私ども、これはおっしゃいますように電子取引等々いろいろ、その効率化、ITの利用とかアウトソーシング等でいろいろ効率化を図っておりますけれども、まあそれを上回る勢いで企業の方も非常に取引が複雑化している、国際化が進んでいるということもございます。また、経済の成長、それからいろんなこと、要因がございますが、例えば所得税の申告件数も平成七年には千九百万件でございましたが、十年後の十七年には二千三百万件というふうに四百万件も増大しておるわけでございます。
 先ほど言いましたように、いろんな努力をする中で、しかしやはりどうしても必要な対応というのは組織的に行っていかざるを得ないということでございまして、まあ機構の問題もございますが、特に人材の確保、特に定員の確保ということで私どもも努力をさせていただいております。本年もそういうことで多くの官庁、公務員の純減が進められる中で、国税職員については若干の増員もいただいております。今後とも、税務行政を取り巻く環境、ますます厳しくなってまいると思いますので、定員の確保については努力してまいりたいと思っております。
#232
○野上浩太郎君 ありがとうございました。これで質問を終わります。
#233
○中川雅治君 続きまして、自由民主党の中川雅治でございます。
 平成十九年度予算案におきましては、税収増の中で歳出抑制の努力を行うことにより、一般会計のプライマリーバランスが四・四兆円の赤字にまで改善し、国、地方の合計のプライマリーバランスもGDP比でマイナス〇・六%の赤字にまで縮小する見込みとなっているわけであります。国、地方合計のプライマリーバランスは、四年前の平成十五年度におきましてはマイナス五%を超える赤字であったことを踏まえれば、かなりの改善であると言ってよいと思います。
   〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
 このような傾向が続けば、政府が当面の目標としている二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化は容易に達成できるのではないかとの楽観的な見方も出てきているようであります。もう財政再建は大丈夫だというふうに思っておられる方もいるようであります。まあ国会議員の中にも、もう財政再建は終わったよというようなことまで言う方もいたんで、私としましては大変びっくりした次第であります。
 しかし、今後、高齢化に伴う社会保障に要する経費の増加や、基礎年金の国庫負担割合の引上げなどの要因を考えれば、私は財政の先行きは決して楽観的な状況ではないというふうに思うわけであります。
 先般閣議決定されました日本経済の進路と戦略の参考資料として内閣府が作成した試算によりますと、二〇一一年度に三・九%の名目経済成長率が実現した場合に、今後五年間で十四・三兆円の徹底した歳出削減を行えば、国、地方合計のプライマリーバランスがGDP比プラス〇・二%の黒字になるという見込みが示されているわけでありますが、今後の名目経済成長率が二%程度である場合には、十四・三兆円の歳出削減を行ったとしても、二〇一一年度における国、地方合計のプライマリーバランスはGDP比マイナス〇・四%の赤字になるという姿が示されております。
 こうした試算結果を踏まえ、今後、国、地方合計のプライマリーバランスの見通しについてどのような認識をお持ちであるのか、尾身財務大臣の見解をお伺いいたします。
#234
○国務大臣(尾身幸次君) 今、中川委員のおっしゃいましたとおり、この日本経済の進路と戦略の試算におきまして、先ほどのお話のようなシナリオが、二つのシナリオが描かれているわけでございます。
 一つは、新成長経済移行シナリオ、移行シナリオといいますか成長シナリオといいますか、そういうものでございますが、それが実現されて三・九%にまで成長率が上がり、そして世界経済も順調な状況になったときにはプライマリーバランスは一・四兆円の黒字になる。それから他方、経済の成長率二%余りで、かつ世界経済も順調でなかったような場合には、いろいろ努力してもプライマリーバランスがかなりのマイナスになると、こういうシナリオでございまして、これをそのまま見ますと、ああうまくいけば財政再建は終わったなとか、二〇一一年プライマリーバランス黒字化の目標はもうすぐだなというような印象を持たれる方もおられるというふうに思っております。
 ところが、実は、この進路と戦略のこの計算の根拠には、高齢化に向かうという、それに伴う社会保障費の増大というのは計算に入っておりますし、それから年金の国庫負担率を三分の一から二分の一にする、そのために二・五兆円負担が増えるということも計算に入っているわけでございますが、実は少子化対策というのが全く入っておりません。
 今、人口問題研究所の見通しによると、今何もしなければ五十年後には九千万人を切る、百年後には四千五百万人を切るというような推定をされているわけでございまして、これを現実のものにするわけにいかない。もし本当にそういうことになったならば日本という国は衰退してしまうに違いないと私は考えております。
 ですから、このシナリオにプラス、人口をどんどん減少させたままでそして見掛けの財政がプライマリーバランスが黒字になったらいいということではなしに、これは、五年後に黒字になっても、二十年後、三十年後には物すごく大きな赤字になる要因を抱えるわけでございますから、やはり人口対策、人口増加対策にもある程度のお金を使って、少なくとも人口が大幅に減少する方向が現実のものにならないような対応をしなければならない。財政的なお金の面で借金のツケを残すのも、人口減少という形でその借金といいますか、そういうツケを後世に残すのも私は同じことであると考えておりまして、むしろ人口減少という形でツケを残す方は、長いスパンの話でありますから、取り返しが付かないようなことになる。
 したがって、このことの対策をどうしても財政再建の中に組み込んで考えていかなければならない。これに要するお金を考えますと、そう簡単に財政再建の道のりは楽ではないというふうに考えているわけでございます。
 それから、実はもう一つ要因がありまして、今は御存じのとおり、国債金利非常に低い水準にあります。しかしながら、外国と日本の金利差を比べますとこれから予断を許さないものでございまして、今五百兆円余りの国債がありますから、金利が一%上がれば、ざっと計算すると五兆円の負担増になると、一%で五兆円というのが大体のめどでございまして、その点も考慮に入れなければならない。
 したがって、この二つの要因を今の進路と戦略の中に見込んだ上で現実的に可能な道筋を、シナリオを考えていかなければならないというふうに考えておりまして、これからの議論でございますけれども、是非これは国民全体に御理解をいただきたいというふうに考えております。
#235
○中川雅治君 尾身大臣の御認識を伺いまして、改めてこの財政再建の厳しい道のりというものを感じ取ったわけであります。
 今、国民の皆様方にもこの点よく理解していただきたいという大臣の御発言がございましたが、全くそのとおりだと思います。やはりこの点についてのPR不足と、なかなかいい話でないものですから、まあなかなかこう政治の方で浸透させていくという努力がなかなか出てこないという面もあろうかと思いますが、やはりこれは国のかじ取りを誤らせてはいけないという見地からもしっかりやっていかなければならない問題だと思います。
 そして、今、尾身大臣の少子化対策に懸ける意気込みも伺いまして、大変心強く思ったわけでございます。また、先ほど野上委員の質問に対しましても、国の方が地方より財政事情が厳しいというお話も十分に伺ったわけであります。
 この点について少し具体的にお聞きしたいと思うんですけれども、今、足下では、確かに国、地方合計のプライマリーバランスが改善している。といっても、国と地方とで内訳を見ますと、十九年度で地方は既にGDP比プラス一・一%、約六兆円程度の黒字であるのに対し、国はマイナス一・七%、約九兆円程度の赤字となっております。内閣府の試算では、二〇一一年度の国、地方それぞれのプライマリーバランスの見通しが示されておりますが、それによれば、二〇一一年度に三・九%の高い名目経済成長率が実現するとの前提で、基本方針二〇〇六で定められた十四・三兆円の徹底した歳出削減を行った場合、二〇一一年度において、地方はGDP比プラス一・五%の黒字である一方、国のプライマリーバランスは依然としてマイナス一・二%の赤字になるとの見通しとなっているというふうに承知しているわけであります。
 したがって、国のプライマリーバランスの黒字化を実現するためには、更にGDP比一・二%に相当する収支の改善が必要ということになるわけであります。国の財政運営の信認を維持するためには、国のプライマリーバランスについて、これもやっぱり黒字化を目指していく必要があると考えるわけでありますが、これについてどのような認識でおられるのか、財務大臣の御見解を伺いたいと思います。
#236
○国務大臣(尾身幸次君) これについては正に中川委員のおっしゃるとおりでございまして、私どもとしては、地方だけではなしに、トータルとしての地方だけではなしに、国のプライマリーバランスを黒字化をする。で、これも債務残高の対GDP比を縮小していくということでいきませんと、仮に国ベースだけで考えてみましてプライマリーバランスがプラス・マイナス・ゼロであっても、この金利の動向と成長率の動向によっては雪だるまの状態が解消しないと、金利の方が成長率より高ければ雪だるまが解消しないということにもなるわけでございまして、少なくとも対GDP比の国のプライマリーバランスが、対GDP比の国の債務残高が減少する方向で、雪だるまの大きさが小さくなる方向で問題を解決していかなければならない。
 そのためには、もちろん不要な歳出をもう縮減をする、血のにじむような努力も必要であると考えておりますし、この十八年度の決算の状況が分かり、そして医療制度改革に伴う負担の実績が判明する夏以降、秋にかけまして、この歳入改革の抜本的、本格的な体制を取っていくということがどうしても必要でありまして、今申し上げました国のプライマリーバランスをどうしても黒字化するということを十分視野に入れながら、国民の皆様の理解を得ていきたいと考えております。
#237
○中川雅治君 このプライマリーバランスとか基礎的財政収支という言葉がなかなかもう広く一般の国民の皆様方に、どういう意味なのかなかなか御理解いただけないと思うんですね。プライマリーバランスの黒字化というと、これでもう財政再建は終わったのかと、終わりなのかというふうに思う方が結構多いと思うんですね。
   〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
 プライマリーバランスが黒字化するという意味は、結局、利払い費とか債務償還費を除いた歳出と税収等の差額、これが均衡するということでありまして、国債費に相当する金額については、仮にプライマリーバランスが均衡したとしても、その部分は引き続き新たな公債発行が必要となるということで、やっぱり債務残高は増加し続けていくということになるわけであります。
 ですから、そこのところが、プライマリーバランスの黒字化ということで何か債務が減っていくような誤解を生じさせるようなことが結構多いと私は思っておりまして、この点もやはりきちんとPRといいますか、こういう問題なんだということを示していくことが必要ではないかというふうに思います。
 それと、やはり今でも国債というものがこれだけ増えていましても、国の国債だけで五百四十七兆円と、国、地方合計で七百七十三兆円と、十九年度末でこういうような金額に達する見込みなわけですけれども、先進国で見ましてもこんな国はない。しかしそれでも、何が不都合なんだと、何で困るんだという、そういう人はいまだにいるわけなんですね。
 そういう意味で、やっぱり国債がこんなに増えたら国民生活あるいは国民経済にこんなに、こういう影響があるんですよと、将来世代も含めてこういうことになるんだということをやっぱりきちんと言っていかなければならないと思いますが、この点について、財務大臣としてはどういう分かりやすい御説明をされたらいいのか、お伺いしたいと思いますが。
#238
○国務大臣(尾身幸次君) 今のお話のとおり、国、地方を合わせた債務残高七百七十三兆円はGDP対比で一四八%、GDPの一四八%の債務残高になっております。この一四八%という数字は実は世界一高いわけでございまして、日本の次がイタリーの一二〇%、ヨーロッパの国々やアメリカは大体六〇から七〇%ぐらいの水準でございまして、債務残高が世界一高いという状況にあります。
 他方、所得の中で租税及び社会保障負担、雇用保険の掛金とかあるいは医療保険の掛金、年金掛金などを全部合わせた社会保障負担と租税負担を合わせた国民負担率、日本は三九・七%、約四〇%でございます。この数字はアメリカよりも高いわけでありますが、アメリカは三二%でありますが、アメリカは国の医療保険がございませんで、国民皆保険制度ではございません。したがって、個人のお医者に掛かっていて自分で保険金を払っているというような実情でございまして、それを考えると四〇%ぐらい、日本と同じくらいになります。あとヨーロッパの国々は大体五〇%から六〇%ぐらいのいわゆる国民負担率になっております。一番高いのはスウェーデンの七〇%でございまして、年金も医療も心配ない国スウェーデン、高福祉の国スウェーデンは、実は百万円の所得に対して七十万円を租税とかあるいは社会保障負担という形で国とか地方公共団体に納めているというのが実情でございます。
 こういう状況に対して日本は、財政制度等審議会におきまして、この膨大な財政赤字が存在することによって、国民全体の受益と負担が乖離して、中福祉低負担とも言うべき状態になっていると。この中福祉低負担という状態が将来にツケを残すことになるということを指摘しているわけでございまして、この辺りを皆様に御理解をいただきながら、同時に成長なくして財政再建なしということで、経済活性化と財政再建を両立させつつ、二〇一〇年代半ばにかけて債務残高GDP比を安定的に引き下げることを目標に、二〇一一年までにプライマリーバランスを確実に黒字化させるという目標を進めていきたいと考えている次第でございます。
#239
○中川雅治君 それでは、次の質問に行きたいと思います。
 予算委員会の質疑などを聞いておりましても、また今、隣の野上委員も質問をされておられたわけでありますが、東京と地方の格差が広がっていると、税収で見ても県民一人当たり所得で見ても東京は恵まれていると、地方は疲弊しているから東京と地方の税源の調整が必要であるという意見が多く出ているわけであります。尾身大臣も今、そういったような御答弁がございましたが、統一地方選挙や参議院選挙を控えて、地方選出議員からこのような声はますます大きくなってくるのではないかというふうに思います。
 国会議員は、数の上では地方選出議員の方が東京選出議員より圧倒的に多いわけでありまして、東京の声はなかなか国会に届かないなというように思いますので、私は、この委員会で東京の事情を、あるいは東京の声を申し上げておきたいというふうに思います。
 今、尾身大臣も、これは予算委員会の方でも御答弁になりましたけれども、国の方が地方より厳しいという状況を考えると、地方の人件費抑制等、国並みの抑制努力をしていただきたい。しかし同時に、地方の間での格差というのが非常に深刻でございます。その問題は、国として、国家全体として調整をするということに真剣に取り組まないといけないと、こう述べられているわけであります。
 そこで、私は、是非お願いなんですけれども、抜本的税制改正の中で、国と地方、さらに地方の各自治体間、さらに言えば東京と地方の税源をどうしていくのかということを考えることはもちろん必要だと思うわけですけれども、単純に、東京は恵まれているのだから、東京は一人勝ちしているんだから、東京の税源を召し上げて地方に配分しようという、ちょっと感情的とも言っていいような議論が進むことのないようにお願いをしたいというふうに思うのであります。これは、今もそういう御発言ありましたし、先日の予算委員会でも、東京都の税収が来年度八千億円も増えており、あたかも東京一人勝ちのような指摘がございました。
 しかし、一たび景気が後退すれば大きく税収が減ってしまうのも東京の特性でございます。平成六年度の税収は平成三年度の税収より一兆円落ちたということもあるわけです。また、トレンドを見ますと、東京への集中の度合いは確実に低下しているのであります。ここは結構誤解なんですね。どんどん東京への集中の度合いが増えていっているんではないかというふうに思っておられる方が多いと思うんですが、バブル期の平成元年は、都道府県全体の税収の二〇・六%が東京に集中していたのでありますが、十七年度は一七・七%に落ちています。さらに、法人事業税の分割基準見直しや住民税の税率フラット化により、税の東京への集中度はかなり縮小していくと思われます。
 更に申し上げれば、税の偏在度を表すものとして、人口一人当たりの税収が比較されることが多いようであります。確かに、直近の十七年度決算を見ても、税収だけを取り出せば東京都は全国平均の一・八倍と高くなっております。
 これはよくいろんなところでグラフが出るわけでありますが、しかし、地方交付税を加えた一人当たりの一般財源で見ますと、東京はほぼ全国平均並みであります。ですから、税収と地方交付税を加えた自由に使えるお金が東京よりも多い道府県は二十二団体あります。このように、交付税を通じて財源調整は十分機能していると言ってもよいのであります。
 人口一人当たり税収というデータや表、グラフが本当によく出されるわけでありますが、東京だけが突出しているというデータだけを出すんですね。地方交付税を加えた税収プラス地方交付税のデータというのは出ないことがありまして、やっぱりフェアな数字を出してフェアな議論をすべきであるというふうに思うわけであります。
 一方的にしばらくしゃべらせていただきますと、次に、こうした財源配分の議論を行うときは大都市特有の課題や財政需要を十分考慮すべきだと思います。
 東京には三百万人を超す昼間流入人口がありますし、朝夕の混雑時の旅行速度は東京区部で時速十八・八キロということで、全国平均の半分でマラソン選手以下ということになっているわけであります。
 また、東京は、合計特殊出生率は一・〇〇と全国平均一・二六よりずっと低く、全国最低であります。ですから、少子化対策や子育て支援についても他の道府県よりお金を掛けなくてはならないわけですね。ですから、中学生までの医療費を無料化している区もありますし、東京都も三割負担分の一割を負担することとしました。これは、東京都はお金が余っているからするんではなくて、子育て支援にそれだけお金を掛けなければならない事情があるからであります。
 更に申し上げれば、道路、空港、港湾など東京への投資がもたらす効果は、東京だけにとどまらず全国に大きく波及するものであります。こうしたインフラの整備は東京のためだけではなくて全国的な経済効果をも考えて進められているわけであります。例えば、区部を走行する大型車の三分の一は通過交通でありますし、また、国内線の利用者の三割以上が羽田に集中していますし、東京港で扱う輸入貨物の六割以上が他県で消費されているわけであります。
 税財政制度の見直しに当たっては、今申し上げましたように、我が国全体の成長の原動力となる大都市の役割という大局的な見地も忘れないでいただきたいと思うのであります。
 要するに、東京と地方との税源配分の見直しの議論は、東京だけ独り勝ちしていてけしからぬという感情的な議論ではなく、いろいろな角度からのデータをよく見てフェアに冷静に、しかも、国全体のことを考えての大局的な議論を積み重ねて進めていただきたいと思いますが、フェアにやります、冷静にやりましょうと、こうおっしゃっていただければいいんで、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#240
○国務大臣(尾身幸次君) 中川委員の熱弁を大変感銘を受けながら聞かしていただきました。
 特に、大都市特有の課題があること、子育て支援等についてこれから東京が頑張らなきゃいけないというようなこと、いろいろとお話を伺いまして、私どもも東京の発展は日本の発展につながるということも十分理解をしているつもりでございまして、先ほど申し上げましたような地域間のバランスを考えることが大変大事だと思っておりますが、東京の方々にもよく理解をしていただいた上で、あるいは私どもも東京の事情をよく理解をした上で、総務大臣とも相談をして適切に対応をしてまいりたいと考えております。
#241
○中川雅治君 ありがとうございました。
 大変満足のいく答弁でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、野上委員も触れられましたけれども、中小企業承継税制のお話でございます。
 十九年度の税制改正につきましては、私は全体として大変評価しておりまして、もちろん賛成するものでございます。
 問題は、昨年十二月十四日に決定されました与党の平成十九年度の税制改正大綱に記述されておりますこの「来年秋以降、」というのは今年ですね、今年の秋以降、「早期に、本格的かつ具体的な議論を行い、平成十九年度を目途に、少子・長寿化社会における年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組んでいく。」と、こういう大きな課題であります。もちろん、この「消費税を含む税体系の抜本的改革」というわけですから、所得税、法人税、相続税と、あらゆる税目にわたって見直すことになるんだろうと思います。
 私は、この委員会でも、税による所得再分配機能、資産の再分配機能を現状より強化していく必要があるんではないかということを指摘したわけであります。今日は繰り返しませんが、例えば相続税については、現在は百人亡くなると四人しか相続税を納める人はいないという状況でありますから、昔は十人近くいたときもあるわけであります。ですから、一般的に言えば、もう少し課税ベースを広げてもよいというふうに思います。
 しかしながら、都市農業を営む人とか、特に地価の高い都市部の中小企業の事業承継が可能になるように、こういったところはきちんと十分に配慮をしていくべきだと。ですから、こうめり張りを付けるといいますか、特に十九年度の与党の税制改正大綱におきましても、この中小企業の事業承継につきましては、「相続・贈与税制全体のあり方とともに、幅広く検討する。」と、いろいろ前文がありますけれども、ということになっておりまして、これからの大きな論点になると思います。相続税を払うために、日本を支える中小企業のものづくり技術やサービス業のノウハウが承継されなくなるということであれば、日本としては大きな損失であります。
 具体的に申し上げますと、中小企業のオーナー経営者にとって、非上場株式に掛かる承継時の相続税の負担は非常に重いわけであります。我が国の現行制度では、非上場株式の減額割合は一〇%でありますが、これは事業用の土地の減額割合八〇%に比べて極めて低くなっております。国際的に見ても、例えばフランスでは土地、株式とも七五%の減額、イギリスでは株式は一〇〇%減額となっておりまして、我が国の非上場株式に掛かる減額割合はかなり低いと言ってよいと思います。そのため、非上場株式に掛かる相続税の思い切った減税が必要であるというふうに考えますが、まず経済産業副大臣に御見解をお伺いしたいと思います。
#242
○副大臣(山本幸三君) 中川先生おっしゃるとおり、相続で事業の承継がなされないということになると、正に日本経済の一番のすそ野が失われるわけでありまして、これはもう是非避けたいというふうに思っております。そうすることによって、経済の活力が維持され、雇用の確保につながるわけでありますので、あるいはまた将来の税収につながるわけでありますので、これを是非拡充していかなければならないと考えております。累次やっていただいておりまして、この十九年度税制改正ではかなり前進もいたしました。相続時精算課税制度の自社株式特例の創設や、種類株式の評価方法の明確化等が盛られました。
 しかし、御指摘のとおり、特に非上場の自社株については軽減措置の水準が低うございます。今御指摘ありましたように一〇%ということでありまして、これは過去の経緯が少しあったことは承知しておりますけれども、しかし、やはりこの水準は世界的に見ても低いというように私どもは考えておりますし、中小企業の経営者からもそういう声が強うございます。
 したがいまして、検討課題に上げて具体的に明記していただいたところでありますので、来年度の税制改正では是非これを大幅に拡充したいというふうに思っておりますので、先生方のお力添えを賜りたいと思います。
#243
○中川雅治君 非上場株式の減額ですね。ここがかなり大きな焦点になってくるんではないかというふうに私は思います。尾身大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#244
○国務大臣(尾身幸次君) この事業承継の問題は、税制、相続税のために事業の円滑な承継ができないという意味において、中小企業の皆さんの、特に自営業の皆様の最大の悩みの一つであるというふうに私自身も感じております。
 そういうわけで、様々な観点からこの事業承継の円滑化のための対策を取る必要があると考えていますが、今の御指摘の取引相場のない株式に係る相続税の特例も含めまして、この事業承継税制の在り方について関係の皆様の声を聞きながら、実態を把握し、課税の公平にも留意しながら、真剣な検討を続けていきたいと考えているわけでございます。
 これは長年の懸案事項でございますから、私どもも真剣に取り組みますが、与党の皆様におかれましてもこの問題を、特に中川委員もこの問題の専門家でもございますから、ひとつしっかりと御議論をいただいて、国民全体が納得できるような形のものをお考えをいただき、それを実現をしていくと、こういうことは大事であると思っておりまして、これからも関係の皆様の御意見を十分聞きながら対応してまいりたいと思っております。
#245
○中川雅治君 どうもありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#246
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今回のこの国税二法につきまして、尾身大臣にお聞きしたいと思います。
 まず、この小泉政権における財政改革ということと、この安倍政権における財政改革ということでは、当然時期も異なることもあるんですけれども、課せられたこの改革の課題というのが当然違ってくるんだろうというふうに思っております。
 私自身のまとめ方で申し上げますと、小泉財政改革というのは二つの条件、すなわち新規国債発行枠を三十兆以下にするということ、また消費税は上げないということで、不況下における緊縮財政を徹底をするということによる財政改革がテーマであったと思います。そこにおきまして、とりわけ民間企業が、いわゆる三つの過剰と言われる過剰雇用、過剰債務、過剰投資、こうしたことから、この三つの過剰ということで三Kと仮に申し上げますと、この三Kからの脱却ということを民間企業が行ってまいりまして、経済が復活してきたんだろうと、こういうふうに思うわけでございます。
 最初に尾身大臣にお聞きしたいのは、この安倍政権におきまして、この財政改革の課題は小泉改革とはどこがどう違ってくるのかという御認識をまずお聞きしたいと思います。
#247
○国務大臣(尾身幸次君) 安倍内閣におきまして、成長なくして財政再建なしという大きな考え方がございます。つまり、経済の成長を実現しつつ財政再建を進めていきたい、つまり財政再建と経済成長は矛盾するものではなくて補完をするものであるという考え方でございまして、この経済の活性化をしっかり実現をする、同時に財政再建も実現をすると、こういうことでございます。
 今、委員のおっしゃいました国債発行額、小泉政権の課題といいますか実現したこと、国債発行額を三十兆円以下にする、そして消費税を上げないと、こういう二点に集中してきた。おっしゃるとおりのこともよく理解はできるわけでございますが、しかし、今年、十九年度のじゃ財政がどういうことかといいますと、この財政の規模が一般会計で八十三兆円であります。
 この収入の内訳を見ると、税収が五十七・五兆円、公債が二十五・四兆円で三十兆円を切った公債発行でございますが、なお全体の財政規模の三〇%を超えているというような状況でございまして、しかもいわゆるプライマリーバランスもまだまだ国、地方を合わせて赤字であると、こういう実態になっておりまして、まだGDPに対する債務残高が雪だるま的に増えるような構造になっているということは否めない事実でございまして、私どもは、この点をプライマリーバランスの黒字化とともに達成をしていくためにこれからも全力を尽くしたいと思っております。
#248
○西田実仁君 正にこの雪だるまをいかに小さくしていくのかという先ほどお話もございました。
 そこの国債残高の膨脹ということについてどう考えるかをお聞きしたいと思いますが、今回、この特例公債法の第二条四項のところを見てまいりますと、特例公債につきましては速やかな減債に努めるというふうになっているわけでございます。しかしながら、現状を見ますと、平成十七年度の時点で建設公債とこの特例公債の残高は既に逆転をしておりまして、特例公債の方がもう建設公債よりも残高としては増えていると、こういう現状でございます。
 なぜこうなっているかといえば、特例公債におきましては一九八五年に差し当たりの政策として六十年償還ルールというものを適用しているわけでございますが、差し当たりの政策と言いながらもずっと差し当たりが続いてきておりまして、その結果、この特例公債の残高というものが建設公債よりも上回ってしまっていると。
 そうしますと、今回この特例公債の第二条第四項にあるような速やかな減債に努めるというのは、これは特別だよということで特にこの記載がなされてきているわけにもかかわらず、こうした特例公債残高が増えてしまっている。過去、平成六年だったでしょうか、記憶が正しければ、六十年償還ルールではなくて、二十年償還ルールというふうに特別減税の際にやっていたということも承知しておりますけれども、基本はずっと六十年償還ルールで、特例公債の残高がどんどん増えてしまっている。
 この法律にあるような速やかな減債に努めるという記述と、現状がむしろ建設公債よりも特例公債の残高が増えてしまっているという、この辺についてどうお考えになりますでしょうか。
#249
○国務大臣(尾身幸次君) 財政法では、建設公債は発行が認められているわけでございます。例えば道路とか港湾とか空港とか、後世代がそれを活用するものであるという意味において認められているわけでございますが、特例公債についてはその都度国会の議決を経て御了承をいただくと、こういうことになっておりまして、通常、これは原則的には認められないものでございます。
 その特例公債の残高の方がいわゆる建設公債よりも多くなってきているということは、財政の状況が非常にアブノーマルであるというようなことであると私どもは自戒をしておりまして、二〇一一年度に、先ほど来のお話のとおり、国、地方のプライマリーバランスを確実に黒字化させることを目標にしているわけでございまして、同時に、プライマリーバランスそのものが黒字化したとしても、利払いを含みます財政収支は依然として大幅な赤字が続き、国と地方を合わせた長期債務残高も極めて高い水準にあるということでございまして、これを何としても少なくしていかなきゃいけない。
 そういう中で、日本経済の進路と戦略におきまして、二〇一〇年代半ばに向けて国、地方を通じた収支改善努力を継続して一定のプライマリーバランスの黒字幅を確保して、債務残高GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることを確保することを目指していきたいというふうに考えている次第でございます。
#250
○西田実仁君 正にこの、先ほど中川委員からも御指摘ございましたけれども、プライマリーバランスの均衡あるいは黒字化といっても、これは一里塚にすぎないわけでございます。
 お手元にお配りさせていただきました三枚目の方ですけれども、国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算というのが財務省から出されております。これを見ても一目瞭然でございますが、国家の財政においてプライマリーバランスの均衡というのは、家計に例えれば、生活費は収入で賄うけれども、住宅ローンなどの借金の元利返済は新たに借入れを起こして返済していくということになっているわけでございまして、これが健全でないことはだれが見ても明らかなわけでございます。
 所信のときにも御説明いただきましたが、新規国債発行額は過去最大の減額になっていることは事実でございます。しかしながら、お手元のこの仮定計算見ていただくと分かるように、この新規国債発行額が二十五兆になった一方で、その後ろには百十三兆円もの国債が満期を迎え、要償還額としてなっております。このうち、償還財源があるもの、現金償還というのはいろいろ足すと十一兆円ぐらいしかないわけでございまして、借換えによる償還が九十九兆八千億円にもなっていると。つまり、ネットで見ますと、十一兆円しか現金で返さないのに新規二十五兆円借りていると、こういうことになるわけでございますので、国債残高は十四兆円分ぐらい増えていくと、こういう構造になっていくんだろうというふうに思います。
 この償還財源は六十分の十しか積み立てられていかないわけでございますので、今後新規国債発行額が極端に言えば十兆円以下にならなければ、これは国債残高は減らないということに単純に考えればなるわけですけれども、これだけ大幅な歳出カットとかなかなか難しいというのもまたよく理解もできるわけでございます。
 そこで、先ほど大臣がおっしゃったように、成長なくして財政再建なしと、こういう成長促進型の財政再建ということになるんだろうと思います。私もそれはそうだろうというふうに、正しいんだろうというふうに思うわけでございます。
 そこで、この成長、じゃどんな成長によって財政再建をしていくのかということが次に焦点になってくるんだろうと思います。
 昨年、政府税制調査会におきまして、今後の検討課題の一つとして法人実効税率の引下げの問題が提起されたというふうになっておりまして、ここで法人税率の一律引下げに関してのお話をさせていただければと思います。
 この法人税率の実効税率どうするか、これから決めるということはもうよく重々承知した上で、一つの議論として是非大臣の方からいろいろと教えていただければと思っておりますけれども、法人の実効税率が四〇%を仮に三〇%に下げた場合には、これは決して一〇%法人税率を下げたということではなくて、当然二五%下げているわけですね、四〇から三〇ですから。その上で、仮に四〇から三〇に下げたときに、同じ法人税収を上げていくにはどうしたらいいのか。これは、単純な算数で計算しますと、企業の収益が三三%増えなきゃならないわけですね。ですから、法人実効税率を下げたときに、法人税収が全国おしなべて、平均して三三%増益と、そのぐらい成長を促すと、法人実効税率が、四〇から三〇に実効税率を下げたときに、というふうにならなければ税収が不足するというか足りなくなるということになるわけなんです。
 しかし、三三%の増益というのはかなり高い。法人実効税率を四〇から三〇に下げただけでそんなに効果があるものなのかというには、私はやや魔法に近いものがあるんじゃないかというふうに単純にいえば思うわけでございます。
 また、企業減税が成長率をどの程度押し上げるかというのは、これまた多分世界一優秀なエコノミストでもなかなか正確には予想できないんだろうというふうに思っておりまして、今後の検討課題の一つとしてという前提でございますのでお答えにくいのかもしれませんが、この法人実効税率を引き下げるという場合のコスト・ベネフィット分析ということについて大臣どうお考えか、教えていただきたいと思います。
#251
○国務大臣(尾身幸次君) この法人実効税率につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、企業が国を選ぶ時代になりました。ですから、日本の企業といえども、また外国の企業といえども、どこに生産活動の拠点、事業活動の拠点を置くかということは自分で決める。つまり、日本の大企業といえども、これから設備投資をしたり事業活動の拠点を置くときに日本を選ぶかどうかは分からない。中国とかあるいはインドとか、あるいはほかの国々を選ぶかもしれない。そういう中で、つまり企業が国を選ぶ時代になった中で、日本という国が企業活動の拠点として選ばれるような魅力ある国にならなければならないというふうに考えております。
 そのためには、税率の問題、それから技術の問題、人材の問題などなどいろんな要因を考えるわけでありますけれども、少なくともこの税制については、イコールフッティングの、ほかの国とイコールフッティングの税制を構築する必要がある。つまり、税制面で少なくとも条件が日本だけ悪いというようなことは避けなければならない。
 そういう意味で、減価償却の償却率を一〇〇%にするという改正を今度するわけでありますが、実効税率で見ますと、日本は大体四一%、アメリカと並んで世界一高い。ドイツが今約四〇%で同じ水準なんでありますが、ドイツは最近これを三〇%に下げるというような話も聞いているわけでございまして、あと、アメリカ三五%、フランス三三%、イギリス三〇%、中国三三%、韓国二七%というような水準になっているわけでございまして、世界全体のいわゆる企業誘致競争の中で、世界的な傾向としてその法人税率を下げるという傾向にございます。
 さはさりながら、そういう先ほど述べた要請はございますけれども、それじゃ簡単に日本の法人税率を下げられるかというと、これは今の財政厳しい状況の中でそう簡単にいかないという、言えば背に腹は代えられないという事情もございまして、ここで四〇%を、四一%を三〇%に下げたらどういう経済効果があるかというようなことを申し上げると、尾身財務大臣は下げるつもりになっているんじゃないかというようなことを誤解を招きかねないわけでございますし、したがいまして、四〇%を三〇%に下げればどのくらい企業活動が活発化して、税収がその面から増えるか。他方、四分の三になるわけでありますから、それが減る、そこをどうするかというような問題を総合的、立体的に考えて、先ほどの企業が国を選ぶ時代になったということを踏まえながら考えていかなければならない問題であろうと考えておりまして、なかなかその辺をどう考えていくかは今後私どももしっかり勉強させていただきたいと思うところでございます。
#252
○西田実仁君 正に企業が国を選ぶ時代になってきているということはもうそのとおりだろうというふうに思っておりまして、そういう中で、今私が一つの議論として大臣から教えを請うたのは、正にこの法人税率を引き下げたことで税収がその限りで企業増益になって穴埋めができるかどうか、これはやってみなきゃ分からない、それはそのとおりだと思うんです。
 ただ、議論として申し上げれば、これ、法人企業のうち税金を納めているのは全体の三割ということになりますし、法人税率を一律引き下げて、その分法人税だけで増益による税収増というのもなかなか難しいんじゃないかと、こう考えると、負担する候補はだれかと。こういうふうに考えますと、もうこれは明らかに個人所得税か消費税しかないというふうに大体なるわけですね。ほかにも細かいこといろいろありますけれども、大きく言えばそういうことになる。
 しかし、じゃ、その個人が、あるいは家計がそういうことを負担できるのかどうかということで、お手元にこの表一から表六までの表を作らせていただきました。
 これは日本とドイツとアメリカをそれぞれの各国統計から抜粋をいたしまして作成したものでございまして、ベースは名目になっております。なぜ名目か、普通はこの手のものは実質でやるということは承知しておりますけれども、日本のデフレということをより鮮明化し、また独、米においてもディスインフレになっているということも勘案して、名目GDPで記載をさせていただいております。
 表一を見ていただきますと、日本の個人消費の内訳、また全体の名目GDPもございますが、この二〇〇六年、一番下の名目GDPが五百七兆ですけれども、十年前の九七年、五百十五兆円をまだ下回っているという状況であります。それに伴いまして、家計最終消費支出を見ても、ようやく二〇〇六年、若干上向いていますけれども、十年前とそんなに変わらない水準であるということ。所得の伸びがゼロということに対応して消費の伸びも大したことないと、こういう対応がすぐ見て取れるわけであります。
 一方、一番右側に参考として国民総所得というのがございますが、これは海外からの所得受取超過ということも含めた所得になります。この九七年のところを見ていただきますと、名目GDPとの差額が、今申し上げました所得の受取超過になりますが、これが大体七兆円。二〇〇六年にはこれが十五兆円になっていると。これは何を意味しているかというと、企業とか資産運用のグローバリゼーションということによって、海外からの所得受取超過が倍増していると、七兆円から十五兆円になっていると、こういうことであります。これは国内の生産には必ずしも直結していないと。分かりやすく言えば、今日本の大手企業の連結で見た場合の営業利益は、年々比率は高まっていますけれども、三割は海外で上げているわけであります。その海外で上げている利益につきましては、じゃ国内の雇用がそのまま増えるのかというと、直接的にはなかなか増えない。その部分が今国民総所得と名目GDPとの差額として大変に増えてきているということが見て取れると思います。
 次のドイツの個人消費。ドイツをなぜ挙げているのかといえば、これはこの一月から消費税率が三%引上げになりました。一方で、法人税率を、先ほど大臣もおっしゃっているように、引き下げているという背景がございましたので、あえて比較をしているだけでありますけれども、これを日本と比べてみてすぐ見て取れることは、日本とは異なって、ドイツの場合には名目GDPは増えている、そして消費も増えていると、こういうことが見て取れます。
 ちょっと時間の都合でアメリカは省かせていただきますが、二枚目の表四を見ていただきますと、しからば、この日本とドイツの労働分配率がどうなっているのかということを、要素価格による国民所得を分解する形で示させていただいております。
 この一国の付加価値がどう分配されているかというのをそこで見ているわけでございますけれども、一番左側の日本の国民所得は、雇用者報酬と財産所得、企業所得というふうに分けられるわけでございますけれども、この雇用者報酬を見ていただきますと、二〇〇六年、二百六十兆になっておりますけれども、この九四年、一九九四年とほぼ同じというか、そこにほぼ横並びですね。雇用者報酬はそういう数値になっております。労働分配率はそういう意味で下がってきて、今いろいろと話題になっておりますけれども。ドイツの方も労働分配率は同じように下がってきている。大体ドイツの、右側ですけれども、ドイツの被雇用者所得と財産所得、企業所得というのを見比べてまいりますと、被雇用者所得は国民所得増加分の二割強しか増えていないという、八割が企業所得。こういうことがありまして、今メルケル政権の下で労働分配率も上げていこうというようなことが大変に動きとしてあると承知をしているところでございます。
 その下の表五、日本の所得分配状況・内訳を見ますと、雇用者報酬の内訳、賃金・俸給ですけれども、これを見ていただきますと、二〇〇二年ぐらいから二百二十兆円前後にずうっと賃金・俸給は停滞していると。九七年のときには二百四十兆円もあったわけですけれども、今回、二〇〇五年では二百二十兆。
 で、右側の雇主の社会負担を逆に見ていただきますと、マクロで見ると意外と社会負担増えてないということが分かるかもしれません。
 その更に右側の財産所得を見ますと、これはかなり衝撃的になっておりまして、十八兆ありました、家計純利子は九四年には十八兆ありましたけれども、まあ、低金利というのは今最近に始まったことではなくてずっと前からどんどん低金利になっていたわけですけれども、その影響もありまして、二〇〇三年、二〇〇四年、二〇〇五年と、それぞれもう支払超過に家計純利子はなっていると、三兆円ですね。ですから、家計の純利子の所得というのは、九四年から比べますと二十二兆円消滅をしているということになります。
 一方で、その隣の家計受取配当というのが二兆円から六兆円に増えている。つまり、いわゆる貯蓄から投資へという流れもあるんだと思いますけれども、家計受取配当はプラス四兆円と。ただ、ネットで見ますと、二十二兆円消滅して四兆円増えているという、十八兆円減っていると、こういうような様子が見て取れるわけでございます。
 今、長々とちょっと説明させていただきましたけれども、マクロ全体で見たときに、法人税率を引き下げる、それをだれがじゃ負担をするのか、企業だけでできるのか。なかなか、魔法のような、三三%増益の企業がそんなに一杯急に出てくるのかと。これはなかなか多分難しいだろうと。実際三割の企業しか法人税は負担していない。となれば、家計がそれを穴埋めすることにマクロとしてはなるんではないかと思われます。
 しかし、それに堪え得るような今家計の状況なのかと見ますと、今、私が長々とちょっと説明させていただきましたけれども、なかなかその負担をできるような状況には今ないんではないかというふうに私は率直に思うわけでございまして、今ちょっとるる説明させていただきましたけれども、こうしたことを背景にして、先ほどと同じ質問になりますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#253
○国務大臣(尾身幸次君) 法人税率、ドイツは四〇%の法人税率を三〇%まで下げる、他方、消費税一六%を一九%まで上げると。これをセットといいますか、やるというようなことを聞いております。
 で、ドイツの場合には、私も詳しくは存じませんけれども、EUに東ヨーロッパの国が入ってきた。安い賃金の労働力があり、かつ、いわゆる技術水準やなどもほぼそんなに違わない。そういう意味で、法人税率を下げないと企業が外国に行ってしまうということで、法人税率を下げて消費税率を上げる、そしてそれによって企業を国内に残して、生産活動の拠点としてドイツ本体を残していくというような考え方で、そういう税制改正を国民の皆様が理解をしているのではないかと推測するわけでございます。
 日本の場合には、私はかねがね、企業が国を選ぶ時代になったというふうにいろんなところで申し上げておりますが、そのいわゆるホローイングアウトというか、企業の国外流出というのが一時と比べますと少し止まっている。つまり、国内である程度基本的技術を温存していないと世界的な競争ができないという配慮も私はあるかと思っておりますが、そういう中で、企業が国を選ぶ時代になったということの認識といいますか、そういうものがまだそう深刻ではないために、ドイツと違ってなかなか国家的なコンセンサスが得られないという状況であります。
 しかし、全体としてはドイツのような状況には、グローバリゼーションの中で、世界経済、グローバリゼーションの中で、そういうことを考えていかなければいけないのかなと。しかし、他方で、財源の問題もありますし、国民の皆様の理解という点もありますから、その辺りは今年のこの夏以降の税の抜本改正の中で、これは法人税、所得税、あるいは資産課税、消費税などなども含めた全体の税制抜本改革の中でいろいろと議論を戦わしながら方向性を出していきたいと考えている次第でございます。
#254
○西田実仁君 正にこの日本とドイツ、まあドイツの今話をしていただきましたけども、先ほど私が表で日本とドイツの単純な名目GDPと家計消費の比較をさせていただいたときにお示しさせていただいたとおり、ドイツの場合は日本と違って、過去十年間を見ても名目GDPは着実に成長している。その中で家計消費も着実に伸びている。二%ぐらい伸びているわけでございまして、そういう背景の中で消費税率を上げながら法人税率を下げて、企業が国を選ぶ時代に対応している。また、それに堪え得たというふうに私は認識しておるんですね。日本は、でもそうではない今状況にあるということをお訴えさせていただく表だったわけなんです。
 つまり、私が訴えたいのは、法人税率が低いから成長するのではなくて、成長しているから法人税率を下げられると私は思っておるわけですけども、いかがでございましょう。
#255
○国務大臣(尾身幸次君) 私どもは、したがって、経済活性化を進めながら財政再建を進めたいと、こういうふうに考えているわけでございまして、今の経済の実態、あるいは今、ドイツが成長しているから法人税率を下げられるというお考えもよく理解をいたしましたが、そういうことも含めましていろいろなことを考えながら、経済の活性化と財政再建を両立していくという考え方の下に、国民の皆様の御意見も聞きながら進めてまいりたいと考えている次第でございます。
#256
○西田実仁君 正に今おっしゃっていただいたとおり、成長しているから法人税率を下げられるという場合の成長は、何が成長するのかが大事なわけでありまして、輸出とか設備投資だけではなく、これからもずっと持続的にそれだけで経済を引っ張れるかというと、決してそういうことではないだろうと。当然、家計をやはり強くしていかなければ、個人消費を強くしていかなければ、持続的な成長にはならない。
 また、ある意味で国籍のない、いつでもいろんな海外に行ける産業ももちろん大事ですけど、一方で、国内のこのサービス産業とか、引っ越しのできないところのサービス産業、これを付加価値を高めていくということによって税収を上げていくという意味での成長をして、それで安定的に成長していけば、これは法人税率を引き下げて競争力を増していくということも可能になってくるんだろうというふうに思いますけれども、少なくとも今の現状の、今のマクロの日本の経済の状況、先ほど家計の状況を見ていただいたとおり、今はちょっとなかなかそういう時期にないんじゃないかと私は思っているわけなんです。
 最後、まとめでございますけれども、この秋以降にというお話も再三なさっておられまして、これからいろいろ議論が始まってくるんだと思いますけれども、法人税制、法人優遇税制最優先を何か既定事実のようにして議論を出発することは多分ないと思いますけれども、少なくとも政府税調の方で出ているもんですから、何かいかにもそういうふうにとらえている節もあるので、いやそうじゃないということだと思いますが、それを確認したいと思っていますが、そうした法人優遇税制最優先を既定事実として行うのではなくて、所得税とか消費税、社会保障も含めた国民負担率、今後の財政再建目標、目標年度も考慮した潜在的国民負担率の議論として展開をしていただかなければならないと、またそうすべきではないかと私思いますけども、最後、大臣の御意見をお伺いして終わりたいと思います。
#257
○国務大臣(尾身幸次君) もちろんおっしゃるとおりであると考えておりまして、経済の活性化、それから国民負担率の比較、あるいは社会保障の動向、あるいは人口対策などなど、総合的に考えて、この財政再建も大きな課題でございますから、そういうことも全部含めて慎重に検討した上で方向性を出していきたいと考えております。
 今日は大変有意義な御示唆をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
#258
○西田実仁君 以上です。
#259
○委員長(家西悟君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時散会
ソース: 国立国会図書館
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