くにさくロゴ
2007/03/22 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第6号
姉妹サイト
 
2007/03/22 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第6号

#1
第166回国会 財政金融委員会 第6号
平成十九年三月二十二日(木曜日)
   午後二時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     柏村 武昭君     愛知 治郎君
     大塚 耕平君     松岡  徹君
     平野 達男君     犬塚 直史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         家西  悟君
    理 事
                沓掛 哲男君
                中川 雅治君
                野上浩太郎君
                大久保 勉君
                峰崎 直樹君
    委 員
                愛知 治郎君
                泉  信也君
                金田 勝年君
                椎名 一保君
                田中 直紀君
                舛添 要一君
                山下 英利君
                池口 修次君
                犬塚 直史君
                尾立 源幸君
                大塚 耕平君
                富岡由紀夫君
                広田  一君
                松岡  徹君
                円 より子君
                西田 実仁君
                山口那津男君
                大門実紀史君
   国務大臣
       財務大臣     尾身 幸次君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        山本 有二君
   副大臣
       財務副大臣    富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤澤  進君
   政府参考人
       内閣法制局第三
       部長       外山 秀行君
       内閣府大臣官房
       審議官      齋藤  潤君
       金融庁総務企画
       局長       三國谷勝範君
       総務大臣官房審
       議官       津曲 俊英君
       総務大臣官房審
       議官       岡崎 浩巳君
       総務省自治行政
       局長       藤井 昭夫君
       財務大臣官房総
       括審議官     勝 栄二郎君
       財務大臣官房審
       議官       中村 明雄君
       財務大臣官房参
       事官       香川 俊介君
       財務省主計局次
       長        松元  崇君
       財務省主税局長  石井 道遠君
       国税庁次長    加藤 治彦君
       厚生労働省政策
       統括官      薄井 康紀君
       水産庁資源管理
       部審議官     五十嵐太乙君
   参考人
       国際協力銀行総
       裁        篠沢 恭助君
       日本銀行総裁   福井 俊彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十九年度における財政運営のための公債の
 発行の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○特別会計に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、平野達男君が委員を辞任され、その補欠として犬塚直史君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省主税局長石井道遠君外十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案並びに所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として国際協力銀行総裁篠沢恭助君及び日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(家西悟君) 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案並びに所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
 今日は休日を挟んでまた日銀総裁においでいただいておりまして、連日国会にお運びいただいて恐縮でございますが、それだけ日本銀行の動向が大変重要な局面になっているということだと認識しておりますので、是非御協力をいただきたいというふうに思っております。
 初めに、今日は十項目ほど質問を事前に通告申し上げているんですが、財務省の最後の税制の話と農水省の予算の話、時間がもし足りない場合にはそこまで到達しない可能性がありますので、その場合には関係者の皆さんにはお許しをいただきたいというふうに思います。
 もっとも、農水省に最初に申し上げておきますが、今回の予算案に入っている、今日の質問にありますその攻めの農業推進に関連する調査予算二十三億円の中身について本会議でお伺いしましたが、本会議における松岡大臣の回答には全く納得をしておりませんので、今日もし時間が足りません場合には改めてまたお伺いをさせていただくことを申し上げておきます。
 海外の貿易諸制度を調査するために、もちろんそのほかのものも若干入っているとはいえ二十三億円と、外部の専門性を有する調査機関を活用することが効率的かつ効果的であるとのことから計上いたしているところでございますというのが本会議での答弁ですが、これは農水省の皆さんの本来の職務であって、何のためにこの予算が付いているのか全く理解不能でありますので、そのことを冒頭申し上げておきます。
 そして、財務大臣には、やはりこういう予算をもっときっちり査定していただければ、予想外の税収増はもっともっと国債の発行残高削減に回せるのではないかというのが私の基本的認識でございますので、まず来年度予算案の新規国債発行額の減少額の評価についてお伺いをしたいと思います。
 私はもっと減らせるのではないかという認識でございます。いかがでしょうか。
#9
○国務大臣(尾身幸次君) 私どもとしては、思い切って歳出の削減をいたしまして、この公債発行の減額に取り組んだと思っております。
 二〇〇七年度の予算では、一般会計の歳出総額約八十二・九兆円でございますが、税収等は五十七・五兆円でございまして、結果として、歳出総額の約三割に相当する二十五・四兆円を公債の発行によって賄われている状態でございます。
 税収につきましては、二〇〇六年度の四十五・九兆円から五十三・五兆円と、七・六兆円の大幅増加を見込みましたが、国の政策的経費である一般歳出につきましては、高齢化等による社会保障の自然増等がある中で、特別会計改革の影響を除きますと、実質〇・三兆円の増加にとどまっております。
 したがいまして、実質的には、税収上のほとんどを財政健全化に振り向け、歳出削減を徹底した予算であるということをまず申し上げたいと思います。
#10
○大塚耕平君 その御回答は本会議のときにもお伺いしたわけですが、税収増プラスアルファぐらい削減する意気込みがあってこそ対GDP比で一四八%に及ぶ財政赤字を減らしていく端緒になるんではないかと思いますので、これは評価については物別れでございますが、私はもっと削減できるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 また、そのことをしっかりやっていただかないと、結果として、国債の金利負担を軽減するために、意図的か意図せざるかは別にして、やはり低金利に対するインセンティブが財政当局は高まりますので、そのことが日銀の金融政策にも陰に陽にいろんなバイアスとなって影響を与えていると、私はそのように考えております。
 そこで、日銀総裁にお伺いしたいんですが、昨年のこの委員会でもお伺いいたしましたが、金利というのは本来ある一定の平均的な水準に長い目で見ると収まるものではないかなというふうに感じておりますので、一九九〇年代以降の超低金利政策に基づく、そのことに伴う預金者や家計の想定逸失金利というのがどのくらいであったかということをお伺いしたいと思います。
 昨年この席でお伺いしたときには、一九九三年ごろの金利水準を平均とすると仮定した場合ですが、計算上は百八十兆円になるというような御回答をいただいた記憶がございます。それから一年たっておりますので、改めてまた数字をお伺いしたいと思います。
#11
○参考人(福井俊彦君) 昨年お答えしましてから、御指摘のとおり、ちょうど一年かどうか分かりませんが、ほぼ一年たっております。
 改めて、同じ計算方法に基づく御指摘の額を申し上げますと、国民所得統計における家計の受取利子額、これが一九九三年における年間の受取利子額は二九兆円でございます。その後ずっと金利が低下して減ったということであります。
 もし、九三年の受取利子額がその後もそのまま続いたと仮定した場合と実際の家計の低金利による減額された受取額との比較で見たその差額の累計は、二〇〇五年までのところしかまだ計算できませんが、累計で百九十七兆円でございます。
 去年申し上げたかどうか記憶にありませんが、九一年をスタートにしますと、もう少し額が大きくなります。九一年の受取利子額は三十八兆九千億円ということであります。これがそのまま二〇〇五年まで続いた場合を仮定し、それとの比較で実際の受取利子額との差額というのを出しますと、三百三十一兆円ということになります。
 余計なことでありますけれども、家計部門の利子所得の減少がこれまでの低金利政策のマイナス面の一つだということは御指摘のとおりであり、そのことは認識しています。ただ、金融政策の評価は、その家計の利子所得の減少という面だけでなくて、一方で借入金利の低下の影響などを含め経済活動全般に与える効果というものを総合的に判断する必要があると私どもは引き続き考えております。
#12
○大塚耕平君 次にお伺いしたかった超低金利が長期化する場合のメリット、デメリットということも踏み込んで御回答いただいたと思うんですが、おっしゃるとおり、もちろん金融政策というのは上げても下げてもメリットもデメリットもあるということは、それは私自身もそのように理解をしております。したがって、上げる方向も下げる方向も過ぎたるは及ばざるがごとしというのが金融政策の基本だというふうに思っておりますが、昨今の経済状況を見ておりますと、もちろん前回のバブルのときと同じような状況にはなっておりませんけれども、やはり、この委員会でずっと私が申し上げておりますが、異常な金融政策は必ずどこかで異常なゆがみやひずみを生むということを申し上げ続けているわけでございます。
 昨今の状況を見ますと、チャイナ・ショックの原因になった過剰流動性であるとか、あるいは日本の国内における一部の株やあるいは不動産関連の商品の限定的な部分の市況等はやはり何がしかの影響が出ているのではないかなという気がいたしますが、その点について率直な御感想をお伺いしたいと思います。
#13
○参考人(福井俊彦君) 先般二月の政策決定会合で、日本銀行では政策金利水準を〇・二五%ポイント引き上げたわけでありますけれども、先行きの金融政策の運営につきましては、私どもとして引き続き極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持し、そういうふうにしながら経済・物価情勢の今後の変化に応じて徐々に金利水準の調整を行うと、こういう基本方針を堅持いたしております。こうした金融政策の運営は、物価安定の下での持続的な日本経済の成長の実現に貢献するものだと、そういう考えに基づいているものでございます。
 金融政策の運営は基本的には国内経済・物価情勢、これを中心的に見据えながら今後とも判断してまいりますけれども、同時に、より幅広く資産市場の動き、金融市場の動き全体に十分目配りをしながら、本当にこのグローバル化された日本経済、グローバル化された経済と一体となって動く日本経済が今後ともバランスの取れた姿で推移していくようにという視野は決して失っておりません。
 おっしゃるとおり、仮に経済・物価情勢と離れて低金利が長く続くんだという期待が広く定着するような場合には、金融機関や企業などの経済主体はそうした期待を前提として行動することになってしまうというリスクがあります。現にそうなっているという意味ではございません。そういうふうになるリスクがあるというふうに考えられます。もしそうなれば、金融・資本市場において行き過ぎたポジションが構築されたり非効率な経済活動に資金やその他の資源が使われて、長い目で見た資源配分にゆがみが生じ、最終的に息の長い経済の成長を阻害する可能性があるというふうに思います。こうした起こる蓋然性は低くても起こればコストの高いリスクというものに今後とも十分配意しながら金融政策をやっていきたいということであります。
 昨今の世界的な株式市場の調整、上海における株価の下落をきっかけとするものでございました。目下のところ、私どももそうでありますが、世界の中央銀行の多くの方々が見ておりますところは、世界経済あるいは物価の先行きのファンダメンタルズに即座に害を及ぼすというふうなものではないだろうというふうに見られています。マーケットの中で、やはり投資家自身が自ら取りつつあるリスクについての評価を見直して、市場が自律的な調整を今進めている、そういうものだというふうに理解しています。
 ただ、市場の動きは決して安心できない、ともすれば行き過ぎになるし、最終的には実体経済に悪い波及効果を及ぼす危険というのは常にあるものですから、冷静に今後の推移を見ていきたいと、これが基本的な立場でございます。
#14
○大塚耕平君 行き過ぎた金融緩和の影響というのは金融機関の経営にも当然何がしか影響を与えるわけでありまして、先般、あるメガバンクの方と話をしておりましたら、二酸化炭素の排出権の取引の証拠金として数十億ドルの融資を金融機関から受けるとか受けないとかというお話をお伺いしたことがあります。
 これなんかも、実は前回のバブルのときには排出権取引というのはなかったわけでありますが、やはり時代が変われば違うところでゆがみが発生してくると。この排出権取引というのは、もうどうやってその実態を検証したらいいかすらよく分からない分野なんですが、こういうことが私の耳にも仄聞情報として入ってくるような事態でございますので、金融機関の経営にこの行き過ぎた金融緩和というのがどのような影響を与えるのか、またどういうふうな配慮をしなければならないのかを監督官庁の金融庁の担当大臣として、山本大臣に感想をお伺いしたいと思います。
#15
○国務大臣(山本有二君) 超低金利が長期化する場合の金融機関及び預金者にとって想定されるメリットとデメリットいかんという御質問だと思うんですが、まず低金利の経済への影響につきましては、一般論として申し上げれば、例えば設備投資需要の刺激等を通じましてマクロの支出性向を高めるものであろうと考えております。
 このような低金利下では、金融機関にとりましては、まずは景気の回復に伴う信用コストの低減、これがあろうと思います。次に、預金の支払利息の低減など、メリットが考えられております。他方、貸出金の利息収入の減少といったデメリットも考えられるところでございまして、預金者にとりましては、預金の受取利息収入の減少といったデメリットが考えられる一方で、景気の回復に伴う雇用、所得の改善や住宅ローン等の借入金の支払利息の軽減といったメリットもまた考えられているところでございます。
 こうしたように、低い金利水準が金融機関や預金者に与える影響につきましては、委員おっしゃるように一概に申し上げることはできませんけれども、いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、金融機関が財務の健全性を確保しつつ適切に金融機能を発揮するよう、日ごろの検査監督に努めてまいることが大事であろうというように考えております。
#16
○大塚耕平君 必ずしも通告した文書のとおりにお伺いしていないわけでございますが、私がお伺いしたかったのは、金融機関にも超金融緩和の影響というのはまた経営にいろんな面でゆがみを生じさせる可能性があるので、しっかり監督をしていただきたいということを申し上げたくて一つの事例も加えて御質問をさせていただいたわけでございますが、やっぱりこれだけ金余りになりますとそれは何らかの形で運用しなきゃいけないですから、十五年前にはなかった取引で、いろんなことが水面下で起こり始めていると。これは、監督官庁や日銀のお立場じゃない方が耳に入りやすい場合もあるんですね。そのことを申し上げたくてお伺いしましたので、まあ超金融緩和のデメリットとしてまた金融機関の経営が大変高いリスクを伴うことにならないように、しっかり監督をしていただきたいなと思います。
 日銀総裁にもう一つお伺いしたいんですが、今後どういう視点で金融政策を運営していくかという点において、十二月ごろの総裁の御発言と先般の利上げの際の御発言等を比較しておりますと、物価に対する付言の程度が、触れ方の程度が随分変わったような気がするんですが、つまり、随分物価のことを去年の暮れは気にしておられたような気がするんですが、年が明けてから、必ずしも物価だけではないというようなニュアンスで、私は一読者として、新聞の読者やニュースの視聴者として感じ取っているんですけれども、物価に対する見方は多少お変わりになりましたですか。
#17
○参考人(福井俊彦君) 私ども日本銀行が金融政策の運営を行い続けておりますこの途上において、物価の安定に対する理解は基本的に不変だというふうに御理解いただきたいと思います。
 昨年春に量的緩和政策から脱却いたしました時点で、日本銀行としては物価の安定というものは中長期的な理解の上に立つと。それは、あえて政策委員会のメンバーの頭の中にあるイメージを数字で抽出すれば、ゼロ%から、これはCPIでございますが、ゼロ%から二%の範囲内で中長期的に安定的に推移するということを念頭に置いて金融政策をやっていきますと、こういうことでございます。それで、それを前提としながら、現在、幸いにもここまで回復してきました日本経済の回復力を更に本物にしていきたいと、私どもの言葉で言えばより息の長い拡大というものを確保していきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
 その時点その時点における記者会見等におきます私の発言は、主として質問に対してお答えしておりますので、その質問の中身が変わってくる、原油価格がずっと上がっている場合の質問の中身と、原油価格が下落しているとは言いませんけれども、少しかつてに比べて安定的な動きをしている現在とでは質問の中身が変わってきております。それに対する私の答えをつなげますと、物価安定に対する私どもの判断基準が変わったような印象を与えているとすれば、私の答弁の仕方が下手なのでございまして、基本的には中長期的な物価安定をしっかり確保していくということであります。そして、原油価格の変動に伴う刻々たる物価指数の変化につきましては更にきめ細かいコメントを私は加えていると、そういうふうに御理解いただければというふうに思います。
#18
○大塚耕平君 私の個人的な意見ですが、これは財務大臣が塩川大臣であったころからずっとこの委員会で議論している話なんですが、物価というものも余り十年前、十五年前、二十年前の常識でとらえない方がいいんではないかと。つまり、技術革新やらあるいは生産性の向上によって、ひょっとしたらいい物価の低下というものもあるんではないかという議論を随分ここでやらしていただいて、まだ決着付かないまま大臣がいなくなったわけでございますが、ひょっとすると、中長期的に安定的にプラスという、そういう考え方自体も、言わば昔からの基本的な考え方としては分かるんですけれども、もう経済の構造も時代も変わっていますから、必ずしも中長期的に安定的にプラスにならなくても、超金融緩和のデメリットを是正するためには金利を引き上げなければいけない場面もあるのではないかなと。あるいは、必ずしも物価がマイナスだからといって悪いことばかりではないということを申し上げたいと思います。
 また、私たちは政治の場で働かさしていただくということで、それぞれ選挙区に行くといろんな場面に遭遇するんですが、いや、本当にこの十五年間の超金融緩和によって何が起きているかというと、大体二十代の後半から若い世代の人たちは、金利というものに対する感覚がもう全く僕たちと違うんですね。例えば、高校生や中学生がお年玉もらって、それを郵便局や銀行に預けて、三年ぐらい我慢すると金利が付いて、その金利で買いたい物を買うとか、もうそんな感覚全くないです。したがって、手にしたお金はすぐ何かに使うか、それこそちょっと株でもやってみようかという感じになっているんですね。
 そういう皮膚感覚で感じ取っている超金融緩和の、これを必ずしもデメリットと言うつもりはありませんけれども、超金融緩和の影響というのは恐らく日銀がお感じになっている以上のものがあるというのが私の皮膚感覚ですから、物価が中長期的に安定的にプラスになるという、そういう言わば、あえて固定観念と申し上げますけれども、固定観念にとらわれることなく、今の物価の安定ないしは微妙な物価の下落というものは必ずしも悪いものではないかもしれないということも念頭に置いて金融政策を運営していっていただきたいなというふうに思いますが、その点についての御感想をちょっとお伺いしたいと思います。日銀総裁にお願いいたします。
#19
○参考人(福井俊彦君) 私ども、物価の安定につきましては、これはあえて常にかなり深掘りしながら、物価が上がることも下がることも、基本的に何か問題がありやしないかという目で判断を加えてきております。
 ただし、物価が下がったから、あるいは物価が上がったからといって、即全面的にこれをいいとか悪いとかいうふうに色分けすることも非常に危険だなというふうに思っておりまして、なぜそうなっているかということの理由を明確にまずつかむこと、そして、極めて限られた理由で物価が上がっている、下がっているという場合には、それは一時的なものであるかどうか、一時的なものであっても、それが害のあるものであるのかないのかと、そういうふうに、かなりきめ細かく判断しながら、最終的には中長期的な物価安定の理解の概念と矛盾しないかどうかと、こういう判断を絶えず繰り返しているということでございます。
 日本銀行ですので、物価が低けりゃ低いほどいいというふうに先験的に思っているわけではありません。逆に、物価が少し上がるということに対して過度に神経質になって、我々は引締めバイアスを持っているに違いないと、こういうふうに思い込まれ過ぎるのも非常に良くないことだなというふうに思っております。
#20
○大塚耕平君 いずれにしても、適切な金融政策の運営に御尽力いただきたいと思いますが、やはりこれから日銀が金利を引き上げるというような予測が出るたびに、財務省ないしは政府との関係が問われる場面が数年間続くであろうなと個人的には思っておりますので、そこで、今後そういう事態が生じた場合に議論が混乱しないように、現時点で私自身整理の付いていない問題について、率直に今日意見交換をさしていただきたいと思うんですが。
 それは、お手元に配らしていただきました資料がございます。議決延期請求権を政府が行使された場合に、その後一体どういう展開で何が起きるのかということは、実は余り何度も過去にこのことが起きているわけではありませんし、というか一度しかなかったわけでありますので、少し想像力をたくましくして、幾つかの展開を想定して御意見を伺いたいなと思うんですけれども。
 そもそも、実は今日財務省、財務大臣に、今の日銀の金融政策は国債管理政策上の考え方と整合的であるかということをお伺いする予定であったわけですが、これはまあお伺いしても、いや整合的ですというお答えしか多分返ってこないと思いますので。で、整合的であれば、日銀が何らかの金融政策の変更をしようとしたときに待ったを掛けるということは、それはあり得ない話なんですね。しかし、日銀法の第十九条に議決延期請求権が規定されているということは、これは必ずしも整合的でないから待ったを掛けるわけでありまして、そういう前提に基づいて幾つかお伺いをしたいと思うんですが。
 さきの本会議で、日銀法第四条の日銀と政府の政策が常に整合的であるべきであるという、この規定は努力規定か義務規定かということをお伺いしたときに、内閣法制局は、これは義務だというふうに明確に御回答になりました。とすると、この私のお配りした絵をごらんいただきたいんですけれども、政策決定会合一、二というのは、ある時期の一回目、そしてその次の政策決定会合という意味でありますが、政策決定会合一回目が行われるときに議決延期請求権を政府が行使した場合、これは第四条の義務規定をしっかり果たしていなかったということにならないでしょうか。これは財務大臣にお伺いしたいと思います。
#21
○国務大臣(尾身幸次君) 今、議決延期請求権につきまして御質問がございましたが、先ほど、私としては聞き捨てにできないお話が一つございましたので、申し訳ございませんが、この点について一つコメントというか問題提起をさしていただきたいと思います。
 今委員は、先ほど私どもが財政健全化に全力を尽くして六兆三千億の財政健全化をしたというふうに申し上げましたときに、まだ歳出削減努力は足らないと、こういうふうにおっしゃいました。これは予算委員会の議論あるいはこの財政金融委員会の議論におきましても、例えば福祉の切捨てをし過ぎではないかとか公共事業も切り捨て過ぎではないかとか、あるいは教育費、科学技術、中小企業等についてはどうかという、非常にそういうお話がございまして、全体として予算削減努力が足らないという話は余りなかったように思います。したがいまして、今のそういうことと比べてもし予算削減努力が足らないというのであれば、どういう項目についてもっと切り込むべきであるという委員の御意見を、今すぐではございませんが、何らかのときに是非お聞かせをいただきたいと、こういうふうに思います。
 それから、この議決延期請求権等に関しましては、平素私どもは日銀と意見調整を十分にしておりまして、この議決延期請求権というのは、基本的には法文ではそうなっておりますが、原則として行使をしない立場で、金利の決定等の具体的政策については日銀にお任せするという考え方でございまして、現在の物価安定下での順調な経済成長を金融面から支えていただきたいということは申し上げておりますけれども、具体的な金利の水準の在り方については、基本的には日銀で決めていただくべきであるというふうに考えております。
#22
○大塚耕平君 いや、決めるのは日銀だというのは分かるんですけれども、日銀法四条は義務規定だというわけですから、政府と日銀の十分な意思疎通が常に行われている状態で政策決定会合が開かれるというふうに私は理解していますから、そこで議決延期請求権を行使するということは、それまでの意見調整が十分ではなかったということですので、義務規定に反するのではないかということをお伺いしたんですが。
 それでは、ちょっと実務的に詰めさせていただきたいんですが、確かに、行ってみたら、政府の関係者が政策決定会合に行ってみたら、そこに提出された議案は昨日まで聞いていた話とはちょっと違うニュアンスのものが出てきたということであれば、ちょっと待ってくださいという延期請求権、これは分かるんですね。それは分かります。
 そういう観点で申し上げると、これはもし総裁や財務大臣で実務的なところまではということであれば参考人の方で結構なんですけれども、議案を提出するしないについて、政策決定会合の前に提出するかもしれないよというあらかじめの告知ということは日銀から政府に対して行われるんでしょうか、行われないんでしょうか。簡単にお願いします。事実関係でいいです。
#23
○政府参考人(勝栄二郎君) そういう告知はいただいておりません。
#24
○大塚耕平君 そうすると、告知をしていない中でいきなり提示をするということですから、昨日まで聞いていた話と違うというニュアンスで議決延期請求権をそこで行使するというのは、これは分からないではないです、分からないではないです。
 さて、そして、議案を提出した段階で、あるいは提出しようとする段階で、これは先般、一昨日も大久保さんが質問していただいた話にかかわってくるんですが、その段階で初めて議決延期請求権を行使するかどうかを会場から、政策決定会合の会場から政府に連絡をして、政府の出席者が確認を取って指示を仰ぐという、こういう手順であるということでよろしいですか。
#25
○政府参考人(勝栄二郎君) 先般の決定会合の場合は、議長から提案が行われましたときに、政府の代表者から中断を提案しまして、それでその間に、中断時間の間に政府委員、政府の代表者が控室に戻りまして、それでその場合には、前回は随行者が本省と連絡を取ったという次第でございます。
#26
○大塚耕平君 ということは、議案が提出されたら常にそこで中断があるわけじゃなくて、中断を政府の方から、政府の出席者から、中断してくださいという申出をしないと中断しないということですね。
#27
○政府参考人(勝栄二郎君) はい、そのとおりでございます。
#28
○大塚耕平君 そこで、中断をして連絡を取って、いや、これは議決延期請求権を行使しなさいという指示があれば、指示があればそこで行使をするということだと思いますが、その場合、議決延期請求権を行使するしないの判断はだれに仰ぐことになるんでしょうか、連絡を受けた政府サイドとしては。
#29
○政府参考人(勝栄二郎君) 議決延期請求権の行使は、法律上、財務大臣及び経済財政担当大臣、両方にありまして、したがって、その両大臣が一致して行使するものだと思っています。
#30
○大塚耕平君 一昨日の話とも関係があるので、大体の数字でいいんですけれども、そうすると、財務大臣と経済財政担当大臣のお二人に判断を仰ぐということは、政府委員、政府の出席者が日銀から連絡を取って両大臣につながるまでの間に大体何人ぐらいの方がその情報を知り得ることになるんでしょうか。
#31
○政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。
 そのケース・バイ・ケースだと思いますけれども、基本的にはその出席者、随行者及び大臣と、あとその秘書官とか、極めて限られた範囲だと思っています。
#32
○大塚耕平君 今のお答えも、先般、大久保さんがホットラインをちゃんと用意してくださいと言ったこととも関係があるんですけれども、ケース・バイ・ケースですというのは、これは驚きですよね。
 例えば、大臣が海外に出張しておられることだってあるわけですよね。一体、どういうルートでだれが連絡を取って最終的に大臣の判断を仰ぐのかということは毎回毎回明確にして、情報を知り得る立場にいる人がだれとだれとだれだということは、これは後で国会で問われたときに、知り得る立場にいた人はこういう立場の人たちですということを全部明確にしていただけるようにするべきではないかと私は思いますが、その点については大臣はいかがでしょうか。
#33
○国務大臣(尾身幸次君) 基本的には財務大臣と経済財政政策担当大臣の二人でございまして、どういうチャネルで来るかは別として、私のところに現場にいる副大臣から参りまして、私と経済財政担当大臣二人が決めるということでございまして、あとの人は単なる連絡係であります。
#34
○大塚耕平君 いやいや、大臣、それは理解しています。決めるのは両大臣なんですが、その過程で、連絡、メッセンジャーをやる人たちが一体何人ぐらいいて、それはだれなのかということがそれはケース・バイ・ケースでよく分からないということでは、その途中で情報リークが起こり得るのでそこは明確にされた方がいいですよという提案なんです。それについてはいかがですか。
#35
○国務大臣(尾身幸次君) これは、関係者全員が要するに公務員法の規定によって守秘義務がございまして、そのときそのときに、どういうふうにするかは別として、責任を持って私がその状況を聞いた上でその議決延期請求権を行使するかどうかは決定するということでございます。
#36
○大塚耕平君 まあ水掛け論ですからこのぐらいでやめておきますが、もちろん決定されるのは両大臣だということは理解しています。皆さんに守秘義務が掛かっているということも理解しています。しかし、現実に先般のようなことが起きるわけですから、やはり後でしっかりその情報がどういう人たちを経由して流れたかということをトレースできるように伝達ルートは明確にしておくべきだという提案だけは申し上げておきます。何かありますか。
#37
○国務大臣(尾身幸次君) この委員会でも先般議論になりまして明快になったと思いますが、日銀の方から金利の引上げ、俗語で言う金利の引上げについて提案があった時点、つまり副大臣がそれを聞いた時間はNHKの放送があった時間の後でございまして、私どもとしては放送の前にそのことを知っていたわけではありません。この点は前回この委員会で明確にしたところでございまして、そういう前提の下で御議論をいただきたいと思います。
#38
○大塚耕平君 その前提は前提なんですけれども、転ばぬ先のつえと申しますか、今後のことも考えると、しっかり確認を取って、そういうだれとだれを経由して伝わるかということを明確にしておくべきだということを申し上げているわけであります。
 それと同時に、もし大臣がそのことを前提にとおっしゃるんであるならば、これは日銀にも跳ね返ってきますけれども、日銀総裁はNHKが憶測で流したんではないかというふうに言っておられますけれども、これは報道機関も報道機関なりのプライドがあるでしょうから、必ずしも、何も根拠なしでそういう報道をするということは報道機関の体質としてちょっと考えにくいなという部分もあって、そう、まああることはあるんですが。やはり、日銀内部でも事前に、今日は、今日はひょっとしたら提案があるかもしれないということについて、そういうことを知り得る立場にいる方々というのは一体だれとだれとだれなのかということについては明確にして、後であらぬ嫌疑を掛けられないような厳格な運営をしていただきたいということを、これは要望をしておきたいと思います。
 その上で、お配りした資料にちょっと目をまた転じていただきたいんですが、議決延期を仮に請求してこれを行使した場合、この絵にありますように、この点々のところは実際にはしなかったという意味で点々にしてあるんですが、政策決定会合の一回目のときに政府が議決延期請求権を行使しました。そのため議決が延期されました。延期されて、その次のときにはこれは議決をされるわけですが、これ実務的にちょっと確認をしておきたいんですが、再度同じ提案に対して議決延期請求権を行使するということが、これはあり得るんでしょうか。
#39
○政府参考人(勝栄二郎君) 済みません。この御質問については事前通告をいただいていませんので、一般論と申し上げますと、法律上ですけれども、妨げる、その再提案をですね、妨げる条項はないと思っています。
 また、一般論と申し上げますと、その前の決定会合との間で、ここに、先生のその資料に書いてありますけれども、追加的経済指標の発表あり、ない場合二つありますけれども、経済情勢の例えば相当な変化があるかもしれませんし、そういうものを全部含めますと、やはり一概に再提案できないということもないと思っています。
#40
○大塚耕平君 確認ですが、この法律を作るときに、新日銀法を作るときに、同じ提案に対して議決延期請求権を二度、三度行使できるのかということについては、明確な法解釈上の共通認識はなかったということでいいですかということが一点と。
 それから、ここに書いてありますが、前回の会合で議決延期された提案は、再提案しないと、それは提案されていることにならないのかどうか。つまり、提案されたんだけれども、議決延期請求権が行使されたので、もうそれは提案された状態で次の委員会にかかって、再度議決延期請求権が行使されなければ即議決に入れるのかどうか、ここはいかがでしょう。
#41
○国務大臣(尾身幸次君) この趣旨は、そのときの経済情勢に応じて日銀の政策決定会合で提案をされ、また議論をされ、政府の方も、そのときの経済・財政状況を全部総合的に考えて議決延期請求権、これは例外的なものでありますからそれを使うというようなことは原則想定していないんでありますが、それを使うかどうかの判断はするわけでありまして、前回提案されたものが一か月か二か月後の経済の状況が変化する中でそれが生きているとか、あるいは、一遍提案したもんだからまた提案がなされたものであると自動的にみなされるということはないと思っております。
#42
○大塚耕平君 いや、そこは大臣、重要なところで。
 しかし、議決延期の請求権ですから、提案されたものは、それは事実として残っているという理解で僕はいたんですけれども、そこはいかがですか。再提案がされないと議決できないんですか、いったん提案されたものについては。
#43
○政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。
 議決延期請求権を行使しますと、そこで、政策決定会合で採決を採ります。自動的に延期されるわけではございません。仮にその決定会合で採決の結果、それがそのテーマとして、その議題についての採決を延期しましょうということになりますので、その会議においてはもう、その何と言うんですか、提案の機能が果たされたと思っています。
#44
○大塚耕平君 別に私も何か明確な回答があってお伺いしているわけじゃないんです。今後、こういうことが起こり得て大変混乱を来すと、海外から見て、一体日本の金融市場の中央銀行と財務省の関係はどうなっているんだというふうにならないように、今のうちにきっちり私たちも共通認識を持たしていただきたいということなんですが。
 しからば、ちょっと違う視点で申し上げますと、財務大臣は一か月も二か月もとさっき申し上げましたけど、政策決定会合、二か月も空くことはないと思いますので、前回議決延期請求された後に九人の審議委員の皆さん、政策委員の皆さんはその間、次の会合までに政府とどういう関係に置かれるのかということですが、三月九日の本会議での法制局長官の答弁をここの下に書きましたとおり、議決延期請求権は、政策委員会の議題について一定の期間の検討や政策委員会に対し十分な説明を行う機会を確保するための仕組みと、こういうふうに答弁されたわけですね。
 そうすると、次の会合までに政府の関係者が九人の政策委員に対して何かこの説明行為とか説得行為、つまり個別に接触するということはあるんですか。
#45
○参考人(福井俊彦君) 大変恐縮でございますが、今の御質問の前に、日本銀行で今話題になっております金融政策そのもの、金利の変更でございますね、これは政策委員会のメンバーで議論して、最終的に、例えば私が多数意見をまとめて提案するという場合、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針として提案しているわけであります。それに対して、仮に政府の方から議決延期請求があり、政策委員会がそれはもっともだということで議決延期に応ずるということになれば、この政策は採択しないと。つまり、次回の政策決定会合まではこの政策は採択しないということでありますので、次回の政策決定会合におきましては、さらにその次の政策決定会合までの調節方針ということを新たに議論して、新規に提案するということになります。
 したがいまして、議会の法案のように、こう何といいますか、審議未了のまま継続審議ということとは形式的には合わない概念だということをちょっと御理解いただきたいと思います。
#46
○大塚耕平君 今のは非常に重要な御答弁で、であるとすれば、議決延期請求権という言葉から私たち及び市場関係者が受けている印象と随分この実態は違って、要は拒否権と、ちょっと言葉がきついですけれども。その提案された議案をいったんそこでシャットアウトして、次までは今までどおりにやるということですから、提案された議題を、まあ言わば否決権と言ってもいいかもしれませんが、拒否権と言ってもいいかもしれません。そういうものであるということですね、実態的には。
#47
○参考人(福井俊彦君) 拒否権とまた違いますのは、拒否権というのは、いったん発動されますと本当にその議案は拒否されます。ところが議決延期請求権は、この日銀法第十九条の三項に、議決延期の求めがあったときは、政策委員会は、その求めについての採否を決定しなければならないと。つまり、延期請求に応じるかあるいは応じないかということを自ら決めろという法律になっています。
 したがいまして、そういう意味では拒否権ではないと。やはり、日本銀行自身としても次回の政策決定会合までに改めて考え直すかどうかとその判断を改めてするという、そういう余裕をこの法律は残しているわけでございます。
#48
○大塚耕平君 そうすると、次回までに改めて判断をするというときに、先ほどの質問に戻りますけれども、政府はその場で議決されると困るわけですから、困るというか、それは待ってくれということですから、皆さんが分かりましたということで議決をしません。そうすると、九人の審議委員に、政策委員に対してその後、政府は何らかの説得工作を行うんですか、それとも全く接触しないんですか。
#49
○国務大臣(尾身幸次君) 今、日銀総裁がお話になりましたように、議決延期請求権を行使した場合には、議決が自動的に延期されるわけではございませんで、この請求の採否を日銀政策委員会が多数決で決定することでございます。したがいまして、その時点で議決延期請求権行使を認めるということを政策委員会が決めればそうなりますし、もしこれが否決されればこの政策委員会の決定は政策委員会として決定となると、こういうことでございます。
 その前の月にやったそういう手続は、次の月の政策委員会会合の議案提出その他に形式的には全く影響を及ぼさないものであると、別物であるというふうに考えております。
#50
○大塚耕平君 そうすると、いや、今の財務大臣の御説明は分かります。ということは、議決延期を請求して、この議決延期請求を認めるかどうかということをその場の九人の皆さんが、じゃ認めましょうということをそこで採否を採るわけですから、そこでオーケーということになったということは、事実上、事実上その提案が否決されたのとしかし同じ効果があるという理解でよろしいですか。
#51
○国務大臣(尾身幸次君) 提案をされたけれど、議決延期請求権が出されて、その議決延期請求権が採択されたということでありますから、提案そのものは採択されないということになると思います。
#52
○大塚耕平君 私がこれ何をお伺いしたいというか、何を疑問に思っているかというと、先ほど来の、この次の会合までの間に九人の政策委員に対して説得工作があるのか接触があるのかというところは今のところ全然御回答が出てきてないんですが、つまり、もし次の政策決定会合までの間に政策判断にかかわるような追加的な重要な経済指標の全く発表がないままにですね、ないままに次の会合を迎えたときに、前回は、前回は賛成するであろう方々が、これは想定ですから何とも言えませんけれども、次回はもし反対に回ったとすれば、経済環境が全く変わらないのに、政府が議決延期請求権を行使したという事実だけをもって判断が変わるというその現象が生じるわけですね、現象が生じるわけです。それは理解いただけますよね。勝さん、これは理解いただけますよね、私が今申し上げたことは。
#53
○政府参考人(勝栄二郎君) 議案の提案は各委員も提出できると思っていますけれども、それに対して仮に議決延期請求権の議案を提出した場合に、政府が、決定会合は自らの意思でそれを判断しますので、もちろん政府の出席者は票を持っていませんので、ということで、あくまで決定会合の判断だと思っています。
#54
○大塚耕平君 いや、だから、禅問答のようで恐縮なんですけれども、結局、経済環境に対する判断は九人の委員の方それぞれが、環境が変わらなければイエス、ノーは変わらないはずではないかということを私は申し上げているんです。イエス、ノーが変わらないはずの中で、一回議決延期請求をして延びたときに、その間に全くその政策に影響を与える経済指標が発表されないにもかかわらず、ある方の判断が例えばイエスからノーに、ノーからイエスに変わった場合に、その方は政府が議決延期請求権を行使したという事実だけをもって判断が変わったことになるわけですね。(発言する者あり)いやいやいや、ほかに何にも出てこなければですよ、ほかに何も出てこなければ。単純化すればです。
 だから、つまり、経済環境に対する判断をするのが政策委員の役割なわけですから、議決延期請求権を行使した段階で、あるいは行使する前と言ってもいいかもしれませんが、いったん採決する意義というのは私はあると思うんですよ。その時点における判断。しかし、それをそのまま決定事項として実施するかどうかということに対しての実施延期だったら分かるんですね。
 これは、なぜ今日こんなことをお伺いしているかというと、今後この問題をめぐって恐らく、スムーズにいっているときはいいですよ、スムーズにいかなかったときには財務省ないしは政府と日銀の関係をまたマスコミの皆さんにいろいろ書き立てられるわけですね。そのときに混乱がないようにもう一回再整理をしていただきたいというのが質問の基本的な趣旨なんです。
 この議決延期請求権を行使するということが、もし言葉どおりならですよ、言葉どおりならば議決延期を認めたということですから、これ延期ですから、ということは、同じ提案に対してもう一度は議決をするというのが言葉の語感から受ける常識的な感覚ですよね。でも、さっきのお話ですと、その議決延期請求権を認めるかどうかをいったん採択して、それは言わばチャラになったんだという大臣の御説明ですから、そうするとこれは議決延期ではなくて、いったんその議案は否決されたのと同じ効果を持つわけですよね。だから、この議決延期請求権のその法的意味というものが、実はこの新日銀法が作られたときに、まあいろいろ議論はされたと思うんですけれども、そのとき議論されていろいろ解説された内容と、今、まあ二〇〇〇年に一回だけ行使されましたけれども、あるいはこれから行使されるかもしれないという中において、我々がニュースを聞いて受ける印象と実態と大分乖離しているんではないかということを申し上げたいんです。
 これは、じゃ、もしどなたかお答えいただけるようであれば。
#55
○参考人(福井俊彦君) 議決延期請求権と申しますのは、その日の政策決定会合で幾つかの議案の提出があったといたしました場合、その中のどの議案に対して議決延期請求が出てくるかという問題なんでございます。
 例えば、ちょっと極端な例を申し上げますと、金利を引き上げるという提案と、逆に引き下げるという提案と両方出たといたします。そして、政府の方から利上げに対して議決延期をすべしと、こういう提案があった場合で、政策委員会のメンバーが政府の延期請求はもっともであるということでこれを受け入れた場合には、金利を引き上げるという提案は議決には付さないと、これはもう論理的に、議決を延期しておりますのでこの議決には付さないと。
 だけども一方で、金利を下げろという提案があれば、これは当然議決に付します。そして、これが通れば、現状維持ではなくて今回は金利を下げるという結果になります。ところが、この金利を下げろという提案に対して政策委員会がこれを否決いたしますと、結局のところノーチェンジと、結果としてノーチェンジと、次回の政策決定会合で、その時点から更にその次の政策決定会合までの期間の金融調節方針について新たに議論をすると。
 で、その間に状況の変化というのが全くない場合とおっしゃいましたけれども、現実にはやはり多かれ少なかれ状況の変化は当然ありますし、先行きの経済の読み方についても変わります。それを織り込んで議論すると。
 ただし、政策委員会の一人一人のメンバーが前回の、つまり議決延期請求があったときの政策委員会においてどういう意見を開陳しどういう議論を展開したかということは、議事要旨、議事録でかなり詳細にディスクローズされます。したがいまして、その後の新しい政策委員会において各委員の議論の展開に一貫性があるかないかと、経済情勢の変化も織り込んだ上での一貫性があるかないかということは透明性を持って御確認いただけると。それ以外の要素で議論が曲げられるというふうな独立精神に欠ける政策委員がいるかどうかということも御確認いただけると、そういう仕組みになっていると思います。
#56
○大塚耕平君 おっしゃりたい意味はそれなりに理解しているつもりですので、しかし、今までの御説明をお伺いすると、議決延期請求権というのは、語感から申し上げれば否決権までとは申し上げませんが、議案取下げ権と言った方がよくて、その議決延期請求という言葉からストレートに伝わってくるその実務的な流れと、実際に起きている実務的な流れには少しギャップがあると、このことは市場に誤解を呼ぶ可能性があるということを一つ指摘さしていただきます。
 その上で、これは内閣法制局に伺いますが、三月九日の長官答弁ここに書いてございますけれども、一定の期間の検討や、政策委員に対し十分な説明を行う機会を確保すると、この説明はだれがするんですか。その政策委員に対して政府側がするんですか、それとも日銀の中でもう一回政策委員に対して日銀の事務方が説明をするんですか。これはだれが説明するんでしょうか。
#57
○政府参考人(外山秀行君) お答え申し上げます。
 説明を行う機会をだれがするかということでございますけれども、この議決延期請求権の立法趣旨についての平成九年五月二十八日、参議院本会議における当時の橋本総理大臣の答弁によりますと、議決延期請求権は、「政府として、政策委員会の議題について一定の期間の検討や政策委員会に対し十分な説明を行う機会を確保するために必要な仕組みとして考えたもの」ということでございますので、政府として行うというふうに理解をしております。
#58
○大塚耕平君 これは、個別に行うんですか、それとも九人の皆さんに対して、全員を前に政府はこういう考え方だというふうに行うんですか。ここは私個人は非常に重要な点だと思っていますので、明確にお答えください。個別に接触をしてお一人お一人に説明するのか、九人に対して説明の機会を持つのか。
#59
○政府参考人(外山秀行君) お答え申し上げます。
 正確に申し上げたいと思いますけれども、正に当時の総理大臣答弁のとおりというふうに解しております。すなわち、政府として政策委員会に対し十分な説明を行う機会を確保ということでございます。
#60
○大塚耕平君 ということは、個別に、公式、非公式に接触して、議決についての政府の考え方を伝え説得をするという行為は法律は想定していないという理解でよろしいですね。もう一回確認させてください。
#61
○政府参考人(外山秀行君) 制度の運用や実態につきまして、私の立場から特段申し上げることは差し控えるべきというふうに考えております。
 当時の立法趣旨につきまして申し上げますと、先ほど来申し上げましたように、政策委員会に対して十分な説明を行う機会ということでございます。
#62
○大塚耕平君 玉虫色の御答弁をされたというふうに理解をしておりますが。
 私が今日、こういう禅問答のような質問をさせていただいているのは、この議決延期請求権を含んだ新日銀法が作られたときには、言わば政府、財務省側のメンツもあって、この議決延期請求権というものを入れることによって双方痛み分けのような決着だったのかなという気がするんですが、事財政赤字がこういう状況になり、超金融緩和がこのように長く続いて、これから先一年なのか二年なのか分かりませんが、再三にわたり、ひょっとすると、この金融緩和の状況を変更させるに際し、この議決延期請求権が実際に行使されたり話題になることがこれから出てまいりますので、そこであらぬ日本の金融市場や中央銀行に対する嫌疑を掛けられないように、しっかり実務のところを整備していただきたいということであります。
 今の法制局の御説明を私なりに理解すれば、個別には接触しないというふうなことをおっしゃっているやに思いますので、ということは、今回の情報リークの問題も一緒ですけれども、そうであるとしたら、政策決定会合から政策決定会合の間に九人の政策委員の方々はどのような言わば会合にだれと出席をするのか、大変息苦しい生活になって恐縮でございますが、そういうこともきちっとフォローしていただかないと、ある政策委員の方は政府のそれなりの方と個別に会って会食をしていたとか、そういうことになりますと、これはその方に決して他意はなくても、市場の透明性や公平性に対して疑義を呼ぶ可能性もあり、またそういう局面であるということを申し上げたいわけであります。
 そういう局面であることを十分認識していただいて、この議決延期請求権が実は実態的には議案取下げ権に近いものであるということ、つまり語感とはちょっと違うということ。それから、もし議決延期請求権が行使されたときには、次の会合までの間に、それは政策委員会九人に対して政府がなぜ議決延期請求をしたかという十分な説明を行う機会を確保するための仕組みですから、実際にそれを行わなきゃいけないわけですね。いつどうやってそれを行うのか。
 つまり、この政策決定会合一から二の間にもしそういう会合が公式に持たれなければ、一体何のために議決延期請求権を行使したのか。これは答弁内容と実態が異なってくるわけでありますので、そういうことに対する実務的な取り進め方についてもしかるべく明確にしていただいて、市場の皆さんに誤解を呼ばないような努力をしていただきたいなということを申し上げたいわけであります。
 今日はそのほか幾つも質問を用意していて、そこまで到達できないのは誠に恐縮でございますが、私自身は、今後の中央銀行の在り方と、それから日本の金融市場に対する海外からの、内外の関係者からの信頼を得る、得ないという点において、非常にマニアックな話題ではありますが、重要な話題だと思っておりますので、十分に御努力いただきたいということを申し上げ、そのことについての感想を財務大臣と総裁に一言ずつお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
#63
○国務大臣(尾身幸次君) 私どもは、基本的には金融政策については物価安定の下で順調な経済回復を支えていただきたいということは申し上げておりますが、金利水準をどうするかというような具体的問題については基本的には日銀にお任せをしているという考え方でございまして、そう、この議決延期請求権を頻繁に使うというようなことは想定をしていません。
 したがいまして、極めて臨時異例のものとして先回使われたというふうに聞いておりますが、今後そういうことがそう頻繁に起こるとは全く考えていないということを申し上げさせていただきます。
#64
○参考人(福井俊彦君) 簡単にお答え申し上げます。
 私ども、政府とふだんから連絡を密にし、経済金融政策の大きな方向性、その背景となる経済物価情勢について十分意思の疎通を図らせていただきたい、具体的な金融政策は日本銀行政策委員会の責任において決定させていただきたいと、こういうふうに思います。
 議決延期請求権というのは、今大臣の言葉のとおり、めったに発動されるものでないというふうに私どもも理解しておりますが、仮に万一発動される場合には、私どもその場でこの延期請求に応ずるかどうかを政策決定会合で決めなければなりませんので、当該政策決定会合の場においてなぜ請求なさるのかということを詳細に御説明いただく必要があるわけであります。事後的な説明では我々は物事は決められないと、こういうふうに考えております。
#65
○大塚耕平君 もう質問は終わりますが、今日、事前にこの資料は議事録に掲載を希望するとは申し上げておりませんが、多分これがないと議事録読んでも分からないと思いますので、もし理事の皆様方の御了解が得られれば、議事録掲載を希望して、私の質問を終わらせていただきます。
#66
○委員長(家西悟君) 理事会で協議させていただきます。
#67
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。どうぞ両大臣、またお役所の皆さんもよろしくお願いをいたします。
 まず、山本金融担当大臣に冒頭御質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、大臣の例の秋の貸金業、グレーゾーン撤廃に向けての大英断、これについては私も高く評価しております。しかしながら、残念なことに、今回の峰崎委員がずっと追及をされております日興コーディアルグループの上場維持、廃止の問題については、早くから証券用語で言う手じまいを、リードされたのかどうか分かりませんが、援護射撃をされまして、結局のところ日本の証券市場にグレーゾーンを残してしまったのかなと、こんな感想を持っておることをまず指摘をさせていただきたいと思います。
 その上で、今朝の新聞報道のネットバンキングを利用した不正引き出しの件で冒頭に質問させていただきたいと思います。
 これは御承知のとおり、議員立法で預金者を保護するために法案が可決されたものでございますが、残念ながら、当時このインターネットバンキングでの預金者の保護については見送られて手が付けられておりませんでした。私たち民主党は、やはりインターネットバンキングでも不正引き出しがあった場合に保護の対象にすべきだと、こういうふうに強く申し上げてきたわけでございますが、残念ながら与党の皆さんはそうは考えられずに今日に至っておるというわけでございます。
 まあ議員立法ですから直接金融庁に責任があるということではないんでしょうが、当然その立法化の過程においては十分すり合わせをされておるはずですから、やはり責任があるんだなと思っております。
 そこで、今回、毎日新聞によりますと、被害総額で三億一千三百万、件数で百九十九件。主要銀行から信組までで百五件で一億七千四百万、郵政公社で九十四件で一億三千九百万、このような内訳になっておりますが、まず大臣、私どもはこれは故意過失、そういったものがなければやはり保護の対象にすべきだというふうに思っているわけですが、改めて大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#68
○国務大臣(山本有二君) インターネットバンキングにおける不正払戻しにつきましては重大な懸念を持っておるところでございます。
 当庁では、昨年三月、情報セキュリティに関する検討会を設置いたしました。ここでは、犯罪手口に係る情報を網羅的に収集した上で各種対策の有効性を検証しまして、その検討結果を各金融機関に還元しております。また、今年一月には監督指針を改正いたしまして、インターネットバンキングに係る内部管理態勢等につきましては監督上の着眼点の明確化を図ったところでございます。そういったことを通じまして、各金融機関に情報セキュリティー対策の一層の向上を促しているところでございます。
 他方、補償についての話でございますが、現状では不正払戻しにつきまして金融機関側に過失がある場合には補償を行っているケースもありますけれども、いずれにいたしましても、補償するか否かは各金融機関の経営判断に現在ゆだねられるところでございます。
 インターネットバンキングも預貯金者保護法の対象として金融機関の補償原則とすることという御提案は大変貴重であろうというように思っておりますけれども、まず、ATMとは異なりまして、利用される端末が金融機関の管理下にないという点がございます。また、電子商取引一般との整合性について考慮する必要もございます。金融実務に係る幅広い観点からの検討が今後必要であろうかと思っております。
 したがいまして、これらの点について、まずは金融関係団体や金融機関が主体的に検討を行うことが期待されるところでありまして、金融庁といたしましてもそういった議論の高まりを注視してまいりたいというように考えております。
#69
○尾立源幸君 時代が違うとはいえ、三億円強奪事件というのが私の子供のころにあったわけですが、もう既に三億というような数字も上っておりますし、それでちょっと利用者として理解できないのが、金融機関それぞれが対応がまちまちだということですね。補償すると言ったところは四十二件、補償検討中としたところは二十五件、これを除くと補償したのは二四%なんですけれども、ネット専業銀行などでは原則補償を打ち出しておりますし、一方、郵政公社のように規約上原則として補償しないというような、利用者というか、金融機関の利用者にとっては非常に分かりづらいんです。せっかく金融商品取引法という横断的なものを作って、利用者にとって分かりやすい法律を作っていただいたわけなんですけれども、これじゃ何のことだか分からないというふうに私は感想を持っておりますが、いかがでしょうか。
#70
○国務大臣(山本有二君) そうした尾立議員の問題意識は各金融機関もそれぞれ共有しているところであろうというように思います。
 今後、インターネットバンキングという、広がりを見せるだろうと予測しますので、今後そういった議論が高まることを期待しつつ、見守っていきたいと思っております。
#71
○尾立源幸君 是非、被害がますます大きくならないように、うちに手を付けていただきたいなと、私たちもその方向で検討していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、財務大臣にお聞きをさせていただきたいと思います。
 特に、所得税法等に関してまず聞かせていただきたいと思うんですが、法人税の中で、今回減価償却費の見直し、もう既に何度も議論になっておりますが、どうもメリットを受けるのは大企業だけじゃないかというふうな声が多く、中小企業は余り関係ないと、こういうふうに多くのところから意見が出ておるんですけれども、そこで、実際どのような企業にどのくらいの減税効果があるのか、試算をされていれば、大臣からその試算結果をお聞かせいただきたいと思います。
#72
○国務大臣(尾身幸次君) 経済がグローバル化する中で、どの国に企業活動の拠点を置くかということを企業が決める時代になりました。すなわち、企業が国を選ぶ時代になったというふうに考えております。そういう中で、日本という国家が生産活動や事業活動の拠点として選ばれるようにするためには、税制の面においても国際的なイコールフッティングを確保することは重要であると考えております。
 このような観点から、十九年度税制改正におきまして減価償却制度の抜本的見直しを行ったところであります。つまり、ほかの国はほとんど一〇〇%まで償却できるルールでございましたが、日本だけが九五%までしか償却できない、五%は残存価値として残さなければならないというルールになっておりました。これをほかの国並みに一〇〇%償却をできるようにしたと、こういうことでございます。
 今回の見直しによる平年度の減収額は五千百十億円でございまして、そのうち、中小企業に対するものが千四百億円、大企業に対するものが三千七百十億円と見込んでおります。
 この減価償却費の損金算入額の業種別の割合を平成十七年度の実績で見ますと、最も高いのが運輸通信公益事業で一八・五%、次いでサービス業が一七・六%、機械工業が一〇・〇%となっておりまして、この見直しによる減収額五千百十億円にこれらの割合を機械的に掛け合わせますと、業種別の減収額は、運輸通信公益事業で九百五十億円、サービス業が九百億円、機械工業が五百十億円と推計されるわけでございます。
 このように、今回の見直しの効果は、重厚長大産業のみならず、サービス業や中小企業にも及ぶものでございまして、これにより、中小企業を含めた日本企業の競争力の強化、経済の活性化が図られるものと考えております。
#73
○尾立源幸君 そこまで私もお聞きしておるんですけれども、今お話にありました運輸通信共益事業ですか、サービス業、機械工業などは比較的この減税効果が多いということなんですが、中小企業の資本金や従業員数など、もう少し細かい、そういったシミュレーションというか試算はございませんでしょうか。
#74
○国務大臣(尾身幸次君) 全体の五千百億円のうち、中小企業に対するものが千四百億円の減税効果になっておりまして、中小企業関係者からも実はこれは非常に高く評価されているところでございます。
#75
○尾立源幸君 ちょっと質問がかみ合わないんですが、中小企業の更なる内訳がないのかということでございます。といいますのも、大企業全体で三千七百十億、中小企業のやっぱり二・五倍とか三倍近くになるわけでございまして、評価されるということですから、もう少し従業員数とか資本金、売上げ等で中小企業の更なる分析がないのかということなんです。
#76
○国務大臣(尾身幸次君) 現在のところ、そういう数字は実は取っておりません。
#77
○尾立源幸君 峰崎議員からも先日もありましたけれども、もう少し政策効果をきちっと図っていただいた上でこの政策を打っていただきたいなということをまず要望としてこれは申し上げておきたいと思います。
 その次に、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度、これまたもう富岡議員から先日も話がございましたが、八百万から千六百万に基準額を引き上げるということでございます。
 しかし、これ昨年からでございます、昨年というか、今年度からですか。まずその結果も出ないうち、正に舌の根も乾かぬうちに朝令暮改のように変えるということが、やはりいかに決めたときに拙速であったかということの現れではないかと思います。まず、この点を私は厳しく申し上げたいと思います。
 それともう一点、この法人税の世界と所得税の世界を混同していると、ごっちゃにしているというのが私からの指摘でございますし、もしこの給与所得控除のメリットが大きくて、法人にそのメリットをダブルで取らせるのが法人成りした結果駄目だというのであれば、もう少しその給与所得控除というものを抜本的に私は見直すべきだと、こう思うんですけれども、大臣、御意見お聞かせください。
#78
○国務大臣(尾身幸次君) 御質問のいわゆる一人オーナー企業の役員給与の損金算入制限制度につきましては、いわゆる一人オーナー企業の役員給与の支給につきまして、経費の二重控除に相当する部分を損金不算入することで課税上の弊害を防止するものでございまして、従来からの法人税制の考え方に沿ったものでございまして、税理論上問題があるとは考えておりません。
 法人が支給する役員給与につきましては、従来から不相当に高額な役員給与等について損金不算入とするなどの対応を講じてきているところでございまして、本制度もこの考え方に沿った対応であります。
 また、この制度は、昨年五月施行の新たな会社法におきまして資本金一円でも株式会社の設立が可能となり、法人設立が容易になることを踏まえまして、個人事業者が節税を主たる目的として法人成りを行うインセンティブを抑制するという観点から、特定の形態の法人に着目した制度とする必要がありました。
 仮に御指摘のように広く給与所得控除を見直す場合には、特定の形態の法人のオーナーのみに着目した措置を講ずることは困難でございまして、経費の二重控除にピンポイントで対応する制度にはならないものと考えております。
#79
○尾立源幸君 それでは、ちょっと質問通告をしておりませんが、一円、また一ドルとか、いろんな通貨で会社をつくれるのは世界じゅうどこでもあるわけでございますが、そういう国々でも全部こんなことをやっているんですか。
#80
○政府参考人(石井道遠君) お答えを申し上げます。
 今申し上げましたように、今回の一人オーナー会社の役員給与の損金不算入制度の問題でございますけれども、これは一方で損金算入が会社段階で認められる、それから更に給与所得控除の適用があるという二重控除の排除のための趣旨でございます。
 それで、今お尋ねのアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、これらの国にこのような制度はございませんけれども、これはそもそも、これらの国には我が国の給与所得控除のような給与所得者に対しまして給与所得に連動して上限なく概算で費用を控除するという仕組みがそもそもございません。したがいまして、経費の二重控除の状況がその国によって異なっているというふうに考えております。
#81
○尾立源幸君 世界にはないと、特殊な税制だということ、それとやはり今私指摘しましたように、所得控除自体が何かやはりいびつなんじゃないかということでございます。抜本改革というのであれば、まずこの所得控除というものを見直した中で、あるべき税制をしっかりとやっていただきたいと。法人税と所得税をごっちゃにするようなことは二度とやってほしくない、まだ存在しているわけでございますが、即刻廃止をしていただきたい、これは私の要望として申し上げたいと思います。
 その次に、電子申告の確定申告の問題でございます。
 今回の法案の中で、電子証明書を取得した個人の電子申告に係る所得税額の特別控除というので、これ五千円でしたですかね、新たに創設をされることになりますけれども、まずこの個人が、そもそも個人で電子申告を行う場合、幾ら費用がおおむね掛かるのか、教えていただきたいと思います。
#82
○政府参考人(加藤治彦君) お答え申し上げます。
 電子申告の利用に当たりましては、その前提としまして電子署名が必要でございますので、その電子署名のための経費が必要になっております。これは、具体的に申し上げますと、電子証明書付きのICカード及びそのICカードリーダーが必要でございます。
 まず、電子証明書につきましては、基本的に一番普及しておりますのが住民基本台帳カードを利用するものでございまして、これに電子証明を付けますと、全体で千円から千五百円程度、これは自治体によって異なっております。それから、ICカードリーダーも、これも店舗によって若干の差はございますが、大体三千円から四千円程度ということで、この両者を取得していただく、それで大体おおむね五千円程度の費用が電子申告のために必要になるというふうに考えております。
#83
○尾立源幸君 私も確定申告をしなければいけなかったので、やろうかなと思って準備をしたんですけれども、なかなかぎりぎりだったもので、電子証明書を取るのに日数が掛かるということで間に合いませんでした。それで、税理士さんを経由すれば署名が必要ないということで税理士さんにお願いしようかなと思ったら、これまた事前に税務署に登録をしておかなきゃいけないということで、これも間に合いませんでした。
 大臣、御自身はどうされました。
#84
○国務大臣(尾身幸次君) 残念ながらまだ使っておりません。
#85
○尾立源幸君 今年は何か全体の五%ぐらいをめどにというふうに、目標にというふうに聞いておるんですけれども、税理士さん経由のものから始めて徐々に広げていこうということでございますけれども、この辺、普及度というのはどんなふうに今後、例えばこの五千円の控除、今度創設した場合にどのぐらいを、これまた政策効果でございますが、それと電子申告による経費の節減効果というんですかね、パーセンテージと効果というものを教えていただけますか。
#86
○政府参考人(加藤治彦君) オンラインの普及促進という政府全体の目標の下で、私ども、最終的に五〇%を電子申告目指すと。これは政府のいわゆる手続を五〇%程度電子化するということの一環でございますが、私ども、それを達成するために行動計画を立てておりまして、平成十八年度の目標は全体の二%を、手続の二%程度を電子申告でということで行ってまいりました。幸い今のところ、ほぼその見通しを達成できると思っております。
 それで、電子証明書の控除の方は平成十九年度税制改正ということで来年以降の適用になりますので、いずれにいたしましても、そうした諸措置も相まって、十九年度は全体の三%、その後、二十年度八%、二十一年度二二と、計画的に底上げを図っていく目標を立てております。
 具体的な経費の節減の問題につきましては、これはまだ初期段階でございますので、これは相当程度普及した段階で事務の効率化等々の大きな成果は出ると思いますが、今のところまだそこまで試算は進んでおりません。
#87
○尾立源幸君 分かりました。お試し版というような、今、形なんでしょうかね。
 二%とおっしゃいました。私、五%と聞いていたんですけれども、間違いでしたか。
#88
○政府参考人(加藤治彦君) 二%でございます。
#89
○尾立源幸君 これは、私、峰崎議員とこの前、秋、韓国にインボイス制度の話や事業者番号の話で視察に行ったんですが、韓国では個人の申告の場合、八〇%ぐらい電子申告が普及しているということでございます。我が国、まだお寒い限りでございますが、手続が非常にややこしいというのをまず感想で申し上げたいですし、いろいろ買わなきゃいけないと、カードリーダーや何やかやとか、非常にそのハードルを越えるのは私も大変でした、結局断念したということですが。もっとやりやすい方法を考えていただきたいと思います。
 ここで重要なことは、住基番号を使うということでございますね。
#90
○政府参考人(加藤治彦君) 電子証明を取っていただくということで、その一つの方策として住民基本台帳カードを活用する方法があるという、それが一番今メーンでございます。ただ、それ以外の方法も、例えば税理士会が、いわゆる電子認証という公的な認証制度を何らかの形で利用していただくというのが必要だということは、私ども、それはお願いをいたしております。
#91
○尾立源幸君 分かりました。
 次に、尾身大臣にお聞きしたいんですけれども、抜本的な税改革は秋以降ということでございますが、ちょっと気が早いんですけれども、前倒しでお聞きをしたいと思います。特に消費税についてお聞きをしたいと思います。
 ただ、その前に、この前、所信表明をこの場でお聞きいたしたんですけれども、その中で、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行い、平成十九年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組むと、非常に強い決意でおっしゃいました。おお、すごいなと私も思って聞いておったんですが。
 そこで、平成十九年度を目途に抜本改革を実現させ得るということは、平成二十年三月までに抜本改革のための法案を国会に提出し、成立を期すということでしょうか。平成十九年の秋から議論を始めるという御予定ですので、半年しかその場合ないんですけれども、このような短い期間で税体系の抜本的な改革が本当に可能なのかどうか、ちょっとこの文言がじゃ間違いなのかどうか、その点改めて確認させていただきたいと思います。
#92
○国務大臣(尾身幸次君) 今御存じのとおり財政事情非常に厳しいというお話を申し上げておりますが、七月ごろに判明をいたします十八年度決算の状況、あるいは医療制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえまして、秋以降、本格的、具体的な議論を行い、十九年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的な改革を実現させるべく、取り組んでまいりたいと、こういうふうに申し上げているわけでございますが、これに関連する法案の提出につきましても、このような方針の下で具体的に検討していくことになると考えております。
#93
○尾立源幸君 そういたしますと、平成二十年三月、つまり今ごろまでには抜本的なものを出すということですね。
#94
○国務大臣(尾身幸次君) ええ、そういう抜本的な改革を実現させるべく取り組むという方針の下で法案の提出についても具体的に検討してまいりたいと考えております。
#95
○尾立源幸君 この文言は、実現させるべく、べくというのは努力目標なんですかね、実現させるという意味なんですか。
#96
○国務大臣(尾身幸次君) 努力目標でございますが、努力は努力でちゃんとやるつもりでおります。
#97
○尾立源幸君 それじゃ、先ほど申し上げましたように、半年間しかないわけですから、早急に、この予算終わった後には、これは議院の責任になるんでしょうが、政府の方と一緒に、こっちは税の特別委員会なるものをやはり立ち上げてしっかり議論をしていかなきゃいけないなと、このように思っておるわけでございます。
 その次、もう一つ、その中で消費税、消費税ということでもう何度も出ておりますけれども、消費税が下がるということはないんでしょうから、恐らく上げるというような議論がほぼ含まれていると思うんですが、その中で、先ほど言いました調査、峰崎議員と行ってきたんですけれども、韓国の場合、この消費税について大変厳しく正確に捕捉をしております。益税の問題や脱税の問題を防止するためでございます。
 そこで、インボイス制度というのが導入されておりまして、御承知のとおり、事業者ごとに番号が付いておりまして、売上げと仕入れが税務署のコンピューターの中でマッチングができるということでございます。A社の売上げがB社の仕入れとしてそれに掛かる消費税がぴったんこ、一ウォンまで合っていましたですよね。その単位まで合わせるということをやっておるわけでございますが、今後その五%が、まあ何%に上がるのか分かりませんけれども、こういう制度を、仕組みをつくっていかないと、益税や脱税やそういった部分が防止できないのではないかと私は思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#98
○国務大臣(尾身幸次君) まず、消費税を含む税体系の抜本的改革と申しておりますが、これは、所得税、法人税あるいは資産課税、その他全体についての議論をするということでございまして、その中の一つの項目に消費課税が入っているということで御理解をいただきたいんでございまして、そこだけに焦点を当てるという考え方は私ども持っておりませんので、これは是非御理解をいただきたいと思います。
 インボイスの問題につきましては、仕入れ税額控除の際に税額を明記した請求書などの保存を求める制度でございまして、仕入れに掛かる消費税額について、より適正な計算が可能となること等を通じて消費税制度の信頼性の向上等に資する面があると考えております。
 他方で、免税事業者からの仕入れについては仕入れ税額控除が認められないことになりますので、免税事業者が取引の中間段階から排除されかねないといった面もございます。インボイス方式の下では、課税当局による事業者の所得の把握が容易になるのではないかという見方がありますが、インボイス方式は仕入れに掛かる消費税額を把握するための仕組みであり、消費者に対する売上げなども含めた事業者の所得全体の把握に役立つという性格のものとは必ずしも言えないわけでございます。
 なお、この仕入れの事実を証明する書類の保存がなければ仕入れ税額控除ができないという点につきましては、現行の請求書等保存方式も同様でありますので、この点でインボイス方式の方が事業者間取引の把握の面で特に優れているとまでは言えないと考えております。
 いずれにいたしましても、消費税の在り方については、先ほどの税の抜本的改革の中で検討を深めていく必要があると考えております。
#99
○尾立源幸君 まあやらない理由はいろいろあるわけなんですけれども、透明性が増すという意味でインボイス制度というのは私は非常に優れた制度だと思います。まあ一般論ということでございまして、なかなか否定的なお話ではあったんですけれども、私どもは、この税率をアップするときにはこの辺をしっかりやっておかないと国民的な理解は、今でも益税があるんじゃないかだとか、課税漏れがあるんじゃないかと言われておりますので、是非この辺は力点を置いて私も主張しておきたいと思います。
 そしてもう一点、これも一般論でお聞きいたしますが、税率が、消費税の税率が高いとき、一〇パーとか一五パー、御承知のとおり、この消費税には逆進性の問題というのが存在しております。低所得者ほど所得に占める消費税の割合が高くなって、お金持ちほどその割合が低いと、こういうことになるわけでございますが、これを緩和するための措置として複数税率や戻し税と、こんな考え方があるわけでございますが、まず大臣に、仮に消費税が一〇パーとか一五パーみたいな高率になったときに生活必需品等々に関して同じように消費税を掛けていくのがいいのかどうかも含めて、その辺の御見識をお伺いしたいと思います。
#100
○国務大臣(尾身幸次君) 消費税は、所得に対して見るといわゆる逆進性を有するという見方もございますが、そもそも消費に対して比例的な負担を求める税目でございまして、消費税の負担額で見れば高所得者がより多くの負担をしているということにも留意する必要があると考えております。
 いずれにしても、所得に対する負担が逆進的かどうかという所得再分配の問題は、消費税だけを取り上げて議論すべきものではなく、所得税を始めとする税制全体、さらには社会保障制度や少子化対策等の歳出面も含めた財政全体で判断すべきものであると考えておりまして、所得税を含む税制全体として見れば累進的であるということ、それから、低所得者については高所得者よりもより多くの社会保障の受益を受けているということにも留意する必要があると考えております。
 御指摘の生活必需品の消費税に相当する額を低所得者に給付する制度につきましては、消費税の負担のみを取り上げて広範な補償措置をとることは、少子高齢化の進展に対応して、社会共通の費用をその構成員が広く公平に分かち合うことを目指して行われてきたこれまでの税制改革の趣旨に反するのではないか、それから、既存の社会保障給付との関係、例えば生活保護とか児童手当等との関係をどう考えるか、低所得であることのみをもって資産保有状況等に関係なく一律に現金を支給することについて適切と言えるか、厳しい財政事情の下で財源の手当てをどうするか、給付を適切に行うための執行体制をどのように構築するかなどといった様々な問題があると考えておりまして、これらの問題を総合的に考えていかなければならないと考えております。
#101
○尾立源幸君 お話をお伺いしておりますと、仮に消費税が上がった場合でも、そういった複数税率や還付するような戻し税みたいなものは余り取らないというように聞こえたんですけれども、そういう考えですかね、平たく言えば。
#102
○国務大臣(尾身幸次君) 余り平たく言えないような問題でもございまして、いろんな種目の税制、それから社会保障、いろんな政策を総合的に考えていかなければならないというふうに考えておりまして、税の部分だけを取り出していくということではなしに、国全体の税体系、また社会保障体系、少子化対策、社会資本の整備などなど、科学技術や教育も含めまして、そういうものを総合的に考えていかなければならないんじゃないかなというふうに考えております。
 先ほどの議論にございましたが、この財政、歳出の方の縮減が足らないという、もっと切り込むべきであるという議論ももちろんございまして、それを切り込めばいわゆる歳入改革はやらなくてもいいのではないかという議論も片方であるわけでございますから、その辺りも含めまして総合的に考えていかなければならないと思っております。
#103
○尾立源幸君 済みませんね、所信表明演説を絡めて聞いてしまったので言いにくいのかなと思うんですけれども、消費税の持つ一般的な特徴についてお聞きをしているわけでございますので、余り丸くしないでずばっと答えていただきたいなと思います。
 そこで、そういった低所得者、高所得者に対する影響額ということが一般的には言われておるんです。そこで、よもや複数税率に行かないように、行くんじゃないかと、行かないでほしいなと、そのことを私はちょっと申し上げたいと思っております。
 といいますのは、御承知のとおり、この消費税の前は物品税がございました。ぜいたく品に、毛皮や宝石、懐かしい時代でございますが、そういうものに高い税率で税金を掛けておりましたけれども、これは非常に価値判断が入ってくるということで難しかったと思うんです。特に、今回の消費税についても同じような問題、何が生活必需品で何がそうでないのか、同じ食料品でもどうなのかということが、多分複数税率を取った場合は出てくると思うんですね。
 そんな中で、混乱する例を一つ挙げさしていただきたいと思います。
 昔、物品税というのがあったころは、レコードはこれ課税だったというふうに私も記憶しておるんですけれども、しかしながら、教育に配慮して童謡は、童謡のレコードは非課税だったと、こんなことだったわけですね。そこで、皆川おさむさんの「黒ネコのタンゴ」、子門真人の「およげ!たいやきくん」、この課税、非課税の論争があったというふうに聞いております。
 大臣、これどう決着が付いたか御存じですか。
#104
○国務大臣(尾身幸次君) その点の詳細については存じ上げませんが、昔、個別物品税というのがあったものを一般的な消費税という形に直した時期に、個別物品税なるものはほとんど全部廃止をいたしました。ということは、その商品の中身について価値判断を入れて、その趣味の問題も含め、いわゆる倫理性の問題も含め、そういうものに価値判断を入れることは、税制で入れることは良くないという考え方もあって一律の率を掛ける消費税になったというふうに考えております。したがいまして、そういう昔のレコードの内容によって税率が違うという時代に戻るのは私自身としてはどうかなと思っております。
#105
○尾立源幸君 突然の質問でお答えになれないのはもちろん分かった上なんですけれども、何を申し上げたいかというと、まあ結果だけ、皆さんも興味があるでしょうから。「黒ネコのタンゴ」は歌謡曲扱いで課税、「およげ!たいやきくん」は童謡扱いで非課税と。全く私にはこれ分からないんですが。
 同じような問題が複数税率などを考えた場合には起こってくるということを申し上げたいんです。ある食品に対しては課税、そうじゃないものは非課税、こういうことをまたどんどんどんどんやっていかなきゃいけない。またこれが業界団体との癒着の原因にもなるわけですから、絶対この複数税率というものは導入されないようにしていただきたいと。秋以降ですからちょっと気が早いですが、あらかじめ申し上げたいと思います。
 次は、もう一つ新たなテーマで議論をさせていただきたいと思います。
 これはちょっと法案とはもう全く関係のない世界なんですけれども、先ほど来、社会保障も含めた税の抜本改革というのをおやりになるというふうにお聞きいたしましたのでなおさら都合がいいわけでございますが、まず格差が拡大しておるというふうにずっとこの国会でも議論がされてきました。大臣も当然、格差はあるということは、これ御認識は一緒だと思いますが、じゃ格差は拡大しているのかどうかということですね、この辺についての基本認識をちょっとお伺いしたいと思います。
#106
○国務大臣(尾身幸次君) 格差の問題、所得の格差の問題については、いわゆるジニ係数でいろいろと比較も行われ、傾向も見ているわけでございますが、全体として国際的に見ると日本は依然として格差については中くらいの位置にいると、そしてややジニ係数が上がっている、その影響は主として高齢化の影響によるんだというふうに考えております。他方、資産の格差については、日本はほかの国よりも非常に平等の度合いが高いというふうに言われているわけでございます。
 格差の問題について重要なのは、機会の平等の下で努力した人が報われる社会をつくっていくということでございまして、努力してもしなくても一律に同じ結果を保障するということは、社会の活力の点から問題が多いと考えております。したがいまして、格差については不公正、不公平な原因の結果生まれるものであってはならないし、また、格差が固定化することは避けなければならないというふうに考えております。
 こういうことから、就職氷河期に就職困難に直面した若者を含め、働く意欲と能力のある人が活躍の場を広げて成長の担い手となっていけるような、再チャレンジの支援とか底上げ戦略等の施策を推進していく必要があるというふうに考えております。
 また、税制の再配分機能につきましては、所得に関する格差を是正するという効果がございますが、同時に、経済社会の活力を高め、機会の平等の下で努力した人が報われるようにするということとのバランスにも配慮していく必要があると考えております。このような考え方にも留意しつつ、税制の再配分機能の効果の在り方については、この抜本的、一体的な税制改革を議論する中で、税制の再配分効果の在り方について、公平、中立、簡素、さらに活力といった税制の基本的な原則に照らして幅広く議論をしてまいりたいと考えております。
 その際、この税制等の歳入面とも併せまして、社会保障、少子化対策等の歳出面も併せて政策全体としての再分配機能をどう考えていくかということも全体として総合的に配慮していく必要があると考えております。
#107
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 ちょっと質問を二つに分けちゃいましたんで、二つ目の質問の方ももう答えていただいたもので、二問目の質問は、税による再配分機能についてはどのような御認識ありますかということをお聞きしようと思ったんですが、もう今お答えになったんでそれは飛ばしておきますが。
 格差はあって、若干というか広がりつつあるのかなと、こんな平たく言えば御認識ということでよろしいですか。
#108
○国務大臣(尾身幸次君) ええ、先ほどお話ししましたように、高齢化の影響によってジニ係数が上がっているということは事実であるというふうに考えておりますが、先ほどのように、公平、公正な対応をしていく、したがって、結果の平等を求めるんではなくて、機会の平等という考え方を相当程度入れていかなければならない、そしてまた、格差がそういう意味で固定化しないように再チャレンジの機会もいろんなところでなければならないと、このように考えております。
#109
○尾立源幸君 それで、客観的なデータでちょっとお話をさせていただきたいと思うんですが、厚生労働省が発表しております平成十四年度所得再分配調査報告書というデータでございますが、まず、残念ながら、これは十七年分がまだないということなんで十四年でしか議論ができないということでございます。
 それで、皆さんのお手元に資料で配らせていただいている一ページ目、三年ごとにこの統計を取っていらっしゃるということでございまして、平成十四年「所得再分配による所得格差是正効果(ジニ係数)」というやつでございますが、平成十四年で、当初の所得はジニ係数が〇・四九八三、再分配所得はジニ係数が〇・三八一二ということで、改善度が二三・五と出ております、一番下の行でございますが。
 その改善がどういう要素によって行われたのかというので次のコラムでございます。税と社会保障による再分配所得ということで二つに分けておりますが、ジニ係数で見ますと、税による再分配所得というのは〇・八%でございまして、社会保障は二一・四%で、圧倒的にこの再分配には社会保障が効いているということで、税による所得の再分配機能が非常に落ちているということが読み取れるのではないかと思います。
 実は、これは東大の神野先生のお話でございますが、昔からそもそも日本は財政的な面での再分配機能というのは高くなかったんだと、しかしながら、日本的な雇用慣行等々でそれは何とか維持されておったんだけれども、新自由主義といいますか、いわゆる構造改革をばんばんやったことでこの再分配機能が落ちていっていると、こんなことも言われておりますので、そのお話どおりの結果が出ているんだと私も思っております。
 大臣、先ほどおっしゃった税による所得の再分配機能でございますが、実際、機能していないと私はこれを見て思うんですが、どのような御感想をお持ちですか。
#110
○国務大臣(尾身幸次君) これは見方だと思いますが、全体としてほかの国と比べた場合に、日本は国民負担率が低いということがございまして、それで、その低い負担率の中で所得課税それから消費課税がほかの国よりはるかに低くて、法人課税がほかの国と比べて高いという特徴がございます。相続税についてはちょぼちょぼというか、高い国も低い国もあるわけでございますが、ですから、そういう中で今ジニ係数に表れている格差がいわゆる広がってきているというのも事実でございまして、その辺をどういうふうに考えていくか、税制の問題、社会保障制度全体の問題を総合的に考えて方向を出していかなければならないというふうに考えております。
#111
○尾立源幸君 いろんな見方があるんでしょうけれども、ここで私がお示ししたこの税による効果というのは、二・九から〇・八に落ちているわけですね、寄与割合が。そういう意味では、私は確実に税の所得再分配機能が落ちていると、このように見ておるわけでございます。
 そこでもう一点。じゃ、社会保障による再分配の効果をもう少し分析させていただきますと、これも年金が大きく割合を占めておりまして、これは実は現役世代から高齢者世代への再分配がほとんどでございまして、現役世代間の社会保障の再分配というのが行われていないと、こんなふうにデータが、ここにはちょっと詳しいのを持ってきておりませんが、と言われております。
 厚生労働省さんは、今私が申し上げたことに対してどのような認識をお持ちでしょうか。
#112
○政府参考人(薄井康紀君) お答え申し上げます。
 平成十四年の所得再分配調査によります世帯の所得で見た場合の、税、社会保障の再分配前の当初所得のジニ係数に対しまして、社会保障によりまして改善度二一・四%というのは、お示しいただいている資料のとおりでございます。社会保障給付の約七割が高齢者関係給付でございまして、その負担は現役世代が中心でございますので、御指摘のように現役世代から高齢者への再分配と、こういうものの要素が大きいというふうに考えておりますけれども、一方で雇用保険あるいは児童関係の給付と、こういったものもございますので、現役世代の中でも一定程度の再分配は行われていると考えているところでございます。
 この所得再分配調査の中で世帯員単位の年齢階級別のジニ係数というものも出しているところでございますけれども、社会保障によりますジニ係数への効果というものを見ますと、確かに六十五歳以上の年齢階級では四〇%を超えて大きいわけでございますが、一方で六十歳未満の年齢階級におきましても、これ年齢階級によりまして異なるわけでございますが、四%から一二%程度、こういった効果が見られるところでございます。
#113
○尾立源幸君 今御説明いただきましたが、まずこれは注文なんですけれども、平成十七年のこの報告書というのはいつ出てくるんでしょうか。まずそれを教えていただきたいと思います。
#114
○政府参考人(薄井康紀君) これは国民生活基礎調査のデータを基に、この所得再分配調査、改めて整理をいたしているわけでございます。例年、その調査結果から若干時間がたってできるということで、十九年度のうちには整理をし、御報告できると思いますが、まだちょっとスケジュールは立っておりません。
#115
○尾立源幸君 まず、遅いということを申し上げたいと思います。いつ出るのかも言えないということなんですかね。十九年度というのは、二十年の三月三十一日までにということですか。
 厚生労働省さんは昨今も何か急に昔のデータを出されたりして、データを意図的に隠しているんじゃないかと思われるような行為も見受けられるわけです。委員長ね、HIVのときもそうでしたですよね。まさか都合の悪いのを出したくないということで遅らせているということがないように、もう一度時期をはっきり言ってください。
#116
○政府参考人(薄井康紀君) 集計結果、国民生活基礎調査のデータを基に今分析をしているというか、そのためのデータを今整理しているところでございます。私どもとしても、決してデータを隠したり、そういうことを考えているわけではございませんで、できるだけ整理を早く進めたいと思っておりますが、今日の時点でいつちょっと公表できる段取りになるかというところを申し上げられないということは御理解をいただきたいと思います。
#117
○尾立源幸君 過去の例があるじゃないですか、平成十四年とか十一年の。これはいつ出たんですか。
#118
○政府参考人(薄井康紀君) 今手元にこれまでいつちょっと公表したかというのを持ち合わせておりません。後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
#119
○尾立源幸君 今、電子政府ということで、いろんな予算を使ってこういったデータもデジタル化されているわけでございます。したがいまして、私が申し上げたいのは、平成十一年や十四年の実績よりも絶対早く出してください。そのことをまずお願いします。どうですか。
#120
○政府参考人(薄井康紀君) まだ私自身もどういうふうな形で調査結果が整理できているかというのを承知をいたしておりませんので、できるだけ早く私どもとしても作業はしたいと思っております。
#121
○尾立源幸君 今、世の中的にはこの問題が大変大きく取り上げられているんです。関心事なんですよ。やっているんですか、この作業は、そもそも。
#122
○政府参考人(薄井康紀君) 国民生活基礎調査の結果のデータを基にいろんな集計、そういった分析の作業をやっているということでございます。
#123
○尾立源幸君 今答えられないということであれば後ほど知らせていただきたいと思います。その場合、申し上げましたように、必ず過去を上回るスピードで出していただきたいと、お願いします。
 それで、ちょっと論点がずれてしまいましたけれども、七割近くが現役世代から高齢者の方への所得再分配だということで、あと三割が現役世代間じゃないかというふうにおっしゃっておりますが。
 それでは、現役世代内の所得再分配の機能として生活保護というのがあると思います。この生活保護というのは当然非常に一部の方しか受けられないわけでございますが、でも今問題になっているのは、生活保護世帯以下のいわゆるワーキングプアという方たちが四百万世帯ぐらいあるんじゃないかと、こういうふうに言われております。しかしながら、こういったワーキングプアの方も実は年金保険料というのは負担しておるわけなんですね。そうですよね。
#124
○政府参考人(薄井康紀君) ワーキングプアの定義というのはなかなか、あるわけでございますけど、例えば働いておられて、会社で厚生年金あるいは健康保険の適用になっておられるという方につきましては社会保険料の負担がございます。
#125
○尾立源幸君 こういった方々も社会保険関係の費用を負担しているということで、私はそういう意味で、現役世代間の中でも再分配機能が働いていないんじゃないかなと、逆に所得の低い人が社会保険料等を負担することによって、どう言えばいいんですかね、自分が本当は保護を受けてもいいような人までもが現役世代間で負担をしなければならない、こういう状況に陥っていると思うんですが、いかがですか。
#126
○政府参考人(薄井康紀君) 現役世代の中で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、現役世代におきましても社会保障によります所得再分配の効果というのは、高齢者ほどではございませんけれども、出ておるところでございますので、そういう意味では社会保障による、まあこれは保険料とそれから給付と両方組み合わせての議論でございますけれども、所得再分配の効果はある程度あろうというふうに考えております。
 ただ、おっしゃられるように、比較的低所得の方でも社会保険の適用を受けられる方、こういう方につきましては社会保険の負担があることは事実でございます。社会保険の方では、例えば国民年金で申し上げますと、いわゆるフリーター等の方につきましては保険料を当面お納めいただかない仕掛けというのも先般作らしていただきましたし、あるいは所得の低い方につきましては保険料が、例えば国民健康保険でいきますと減免があると、こういった形になっているところでございます。
#127
○尾立源幸君 先ほど税の部分と、今社会保障の部分でお話をさせていただきました。何が言いたいかというと、この税や社会保障で現役世代間の所得の再分配機能が非常にいびつな形になっている、また働いていない、こういうことではないかと私は、財務大臣、思っておるわけです。
 そこで、いわゆるこの働いていないところの低所得者に対して、新たな私はこれ政策が要るんじゃないかなと、こういうふうに思うわけでございますが、例えば、税の部分で何か再分配を促進するような施策があるとすればどんなことが考えられますですか。
#128
○国務大臣(尾身幸次君) このワーキングプアというのがなかなか私は実態が私自身よく分からないところでございますが、例えば二十代、三十代の独身の方が、生活保護の世帯と比べて、正に生活できないような賃金しかもらっていないというそういう方々がどのくらいおられるのか、その辺がよく分からないわけでございまして、いわゆる生活保護をもらうにふさわしいような人たちが生活保護をもらうということで生活の最低限は保障している、しかし、独身のワーキングプアと言われている方々が一週間に五日間働いて、そして、そういう方々が生活できないような実態になっているのかどうか、その点については、よく調査をした上でこれに対する対応を考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
#129
○尾立源幸君 私が申しました、四百万世帯とも言われているというふうに、私も伝聞でございまして、確かにはっきりした数字はございません。
 逆に言うと、じゃあ、一般論で低所得者に対する税の、税制上の優遇点、何かありますかというふうに質問を変えさせていただきます。
#130
○国務大臣(尾身幸次君) 課税最低限という水準があって、これは我々としては、税制面では税をいただかないということになっているわけでございまして、それでは課税最低限以下の人たちに対して生活保護世帯のような対応をするのかということになると、これは生活保護の基準というのがまたありまして、本当に生活できない状態の方々に対しては生活保護というシステムの中で最低の生活を保障するということでございますから、税制上は、税を納めていない非課税世帯、非課税の方々に対して要するに対応することはなかなか難しいかなと思っております。
#131
○尾立源幸君 これは冒頭にも申し上げましたように、日本では所得控除というのが大きくて、非課税限度額というのが高いということにもいろいろな議論があると思うんですけれども、ですから、もう課税最低限が高いがゆえに、そもそも税を払っていない方にはどうしようもないというのが多分お答えではないかと思いますが、いかがですか、大臣。
#132
○国務大臣(尾身幸次君) 日本の課税最低限、三百二十五万円でございまして、これは相当高い水準だなというふうに私自身の自分の生活実感から見ると考えております。
#133
○尾立源幸君 ということで、その三百二十数万円ですか、以下の方にはもう今の制度上ではどうしようもないわけですね。所得控除を増やそうが何しようが、そもそも税を払っていないわけですからどうしようもないと。
 そこで、私どもが今考えているのは、税額控除制度をもう少し充実したらどうかと、こういうことでございます。ただ、税額控除も、税がない人にはそもそも控除したところでどうしようもないわけでございまして、この辺りの議論を少しさせていただきたいと思います。
 まず、所得控除と税額控除の効果ということで二ページ目に若干表を作らせていただいております。横軸に課税される所得金額、縦に所得税率という、例えばということで書かせていただいておりますが、平成十九年分、所得控除でどういう効果があるのか、また税額控除を導入した場合にどういう効果があるかと、こういうのを表にさせていただきました。
 新たに十万円の所得控除を導入した場合の減税効果ということで、百九十五万円以下の五%の所得税率の方には当然五千円と、税が軽くなるというわけでございますが、一千八百万円超の方に対しては、同じ十万円でも四万円のメリットがあると、こういうことになるわけでございます。
 一方、税額控除の場合は、フラットと。例えば二〇パーのところで考えた場合ですね、二万円の税額控除を入れた場合、どの所得階層にもずっと二万円の減税効果があると、こういうふうになるわけでございます。
 そこで、今問題なのは、例えば百九十五万円以下ということで、この方たちのまず所得税というのが、例えば百万円の所得があった場合に、五%ですと五万円ですか、五万円ですね。で、二万円の税額控除を導入すると、五万引く二万で三万円の税負担になると、こんな計算になるわけですけれども。
 次、三ページを見ていただけますでしょうか。
 これは実際イギリスでやっているケースなんですけれども、ちょっと月収十六万円の万円がダブっておりますけれども、月収十六万円でボーナスなしの場合、年収百九十二万円の方の場合ですね、どんなことになっておるかといいますと、所得税額は十六万円掛ける五%で月額八千円ということにさせていただきたいと、全く所得控除がない場合。
 それで、イギリスの場合に、年間八十七万円ぐらいの税額控除があるということで、月当たり七万円の税額控除が出てまいります。
 そうすると、今までの日本の場合ですと、所得控除に頼り切っておりますと、八千円までしかメリットは受けられないわけでございますが、税額控除に直した場合には、納税額の八千円から七万円を引いた六万二千円が、これ実際に現金で還付されているんです、されるようなこういうシステムになっております。これを還付付き税額控除といいますけれども。
 大臣、こんな制度、初めてではないと思うんですけど、ごらんになっていると思うんですが、どのような感想をお持ちですか。
#134
○国務大臣(尾身幸次君) アメリカやイギリスにおきまして、低所得者層に対する経済的支援という観点から、就労や子育てに着目をして課税最低限以下の低所得者に対する給付を行う制度が実施されているというふうに聞いておりまして、ただいまのお話のとおりだと思います。
   〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
 ただし、諸外国におけるこういう制度は、税額控除と組み合わされているものの、実は歳出としての性質を有するものであるわけでございます。
 還付付きの税額控除と今おっしゃっておりますが、我が国の税法では、還付は一度払った税金を払い戻すものでございまして、御指摘のようなものは還付ではなくて給付であるというふうに言えると思います。
 このような仕組みを我が国に導入することがどうかということにつきましては、アメリカの場合には日本のような包括的な生活保護制度がない。それからイギリスでは、かつて極めて深刻な失業問題があったときに、これに対応するという政策課題があったということなど、各国それぞれに異なる社会的背景があることを考えなきゃならないと思っております。
 そして、そもそも、所得控除を整理して税額控除を導入することにつきましては、所得控除と税額控除の考え方や税負担の軽減効果が異なるわけでございまして、所得控除の機能である担税力の減少への配慮をどうしていくか、また、どのような政策目的を達成するために新たな税額控除を設けるかといった点についての検討が必要であると思っております。
 したがいまして、アメリカやイギリスのように、一定の低所得者に対して税額控除できない部分を予算で給付すると、お金を差し上げるという仕組みを設けることについては、既存の社会保障制度、生活保護とか児童手当との関係をどう考えるかとか、あるいは低所得であることだけをもって、資産がたくさんあっても、それに関係なく一律に現金を支給するということが適切と言えるかどうか、厳しい財政状況の下で財源手当てをどうするか、あるいは不正受給を防止するなどの公正な給付を行うための執行体制をどうするかというような問題点がございまして、極めて慎重に議論を行う必要があると考えております。
 したがいまして、御指摘のような仕組みについては、今申し上げたような留意点や問題点が多くあるため、直ちに具体的なことをお答えする状況にはないというふうに考えております。
#135
○尾立源幸君 だからこそ、財務省さんと厚生労働省が一緒になってこの問題を考えていただかなければならない。そういう意味で今日お呼びをさせていただいておるわけでございます。
 歳出でやるのか、減税でやるのかということでございますけれども、受け取る方からすれば、どっちでもいいんです、そんなことは。しっかりと生活できるようになることが大事でございまして、省益とか縦割りのことは余り言われないでいいし、絶対一緒になってやっていただきたいということでございますが。
 もう一つ、その財源をどうするかということでちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 一橋大学の田近教授と財務省の八塩研究官の論文によりますと、基礎、配偶者、老齢、三控除を廃止した場合に、それを一律税額控除、今申し上げたシステムに変換すると、年間一人当たり七万四千円、これは大したことはないんですね。月額約六千円ぐらいですので、余りワーキングプアの方への、ワーキングプアというとまた定義の問題があるので、低所得者の方の生活支援にはならないんですけれども、この論文では三控除を廃止するだけでその金額が出てくるということでございますが。
 今おっしゃいました正に歳出でやっている部分、厚生労働省の皆さんが。七ページ、八ページ、資料を見ていただきたいんです。各種手当一覧、正に歳出でやっている部分でございますが、生活扶助等々のもので生活保護制度、括弧で書いてありますが、一番右端、予算額、年間二兆円を使っているんですね。あと、児童手当、児童扶養手当云々がございますけれども、相当なこれ金額を歳出としてやっております。こういったものを新たに整理をし直すこと。地方でもやっています。私、大阪市に聞いたんですが、結構これだけ一覧表がございまして、いろんなものをやっておりますが、そういうものをこの際きれいに整理をしてもう少しシンプルなものにしていくべきじゃないかな、そして財源も捻出できるんじゃないか、こんなふうに思っておるわけでございます。
 そこでもう一つ、生活保護の問題を取り上げさせていただきたいと思います。
 今、生活保護の方々が早く就職をして頑張ってもらって、生活保護の状態から抜け出るようにということでいろいろと厚生労働省さんの方でも応援プランを作られているみたいなんですけれども、実は見ていただきたいんです。ページ四でございます。
 生活保護費と収入増加の関係ということで、(A)の部分が最低の生活保護費を支給されている場合、それで、その方たちが働いた場合、(B)ということです、勤労収入。やはり公平感から生活保護費を丸々もらうというわけにいかないんで、減額されちゃうんですね。そうすると、勤労収入が一万円の方で結局手取りは十万六千三百三十円、勤労収入、頑張ったから九万円働いて得ました。この方が実際の手取りは十二万九十円ということで、たった一万三千七百六十円しか増えないと、こんな今制度になっております。これでは、頑張って九万稼いでも一万三千円しか増えないんだったら私は働かないんじゃないかな、こんなふうに思うわけでございます。
 それで、一方、五ページを見ていただけますですか。これを税額控除制度に切り替えた場合、計算式等々は余り申し上げませんけれども、税額控除で一律、(C)という欄を見ていただきたいんです、七万。収入がそれぞれ(A)ということであります。こうした場合に、税額控除を入れることで実際の手取りは七万九千五百円から十五万五千五百円と七万六千円も増えるということで、私は、こういうふうな制度になればもっと頑張って働く人も増えてくるんじゃないかと、結果として歳出全体が抑えられるんじゃないかと、こういうようなアイデアを持っておるわけでございます。これは実際にイギリスでもやられておりますし、アメリカでもやられております。
 私は、こういう時代がもう目の前に来ているんじゃないか、今までの制度では駄目なんじゃないかと、こんなふうに思っておるわけですが、大臣、一言感想を。ちょっと早口で申し上げたんで理解できるかどうかあれですが。
#136
○国務大臣(尾身幸次君) 感想といってもこれは公式見解みたいになりますんで、極めて難しいんでありますが、生活保護の人々がもう生活保護をもらっていても働きたくなるようなインセンティブを与えるようなシステムにしなければならないという点では正に同意見でございます。今のシステムがそれで一〇〇%いいかということになると、改善の余地があるのではないかと考えております。
#137
○尾立源幸君 非常に前向きな意見で、ありがとうございます。
   〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
 それで、もう一点、ただ、いいことばかりじゃございませんで、マイナスの部分もございます。それは不正受給という問題です。結構、税額控除といいますが、還付されるものが多額になりますので、不正にこういう受け取る人たちも出てきているということなんですね。アメリカでは社会保障番号制度が導入されておりまして、不正受給というのを防ぐということで頑張っておるんですが、それでもやはり三〇%ぐらいいるんじゃないかというふうなことも言われております。
 そこで、まず納番制を導入すると不正受給の解決策になるのかどうか、財務省のお考えをお聞かせいただければと思います。
#138
○政府参考人(石井道遠君) 今委員が御指摘になられましたアメリカのその状況でございますけれども、このEITCに関しまして、議員がおっしゃるとおり、二〇〇二年に米国財務省内国歳入庁が公表しました報告書におきまして、過誤支給あるいは不正受給約三〇%に上っているという執行上の問題が指摘されております。
 具体的には、一九九九年に、EITC全体の申告額約三・七兆円、三百十三億ドルでございますが、このうちの約一兆円から一兆二千億、ドルで申しますと八十五億ドルから九十九億ドルの過誤支給、不正受給があるのではないかということが言われております。
 その要因について、アメリカ自身のその同報告書の中におきます分析では、まず一つは、EITCのこのアメリカの仕組みが、金額が児童の人数によって変わってくる、その対象となる児童が納税者と一年のうち半年を超える期間同居していなくちゃいかぬという要件があるようでございますが、実際にこの要件が満たされていないにもかかわらず支給をされるというような例、これが約二五%程度あるというふうに聞いております。
 それから、今委員がおっしゃられました納番との関係でございますが、対象者数が約二千二百万人と極めて膨大で、支給額の基礎となる勤労所得金額を誤って申告されて十分なチェックができないというようなケースが二一%ぐらいあると。その他いろいろな、両親が、二人が重複して児童について適用を受ける等々、いろんなケースが報告されております。
 以上のとおり、同報告書によりますと、相当程度のものが納税者番号制度だけで十分チェックできないというようなことを理由として発生している部分がございまして、納税者番号制度にかかわる部分も二割強ございますけれども、これがどうしてそういうことが発生しているのかということまではちょっと私どもよく分かりません。
#139
○尾立源幸君 確かに納税者番号制度で完璧とは言えないということなんですけれども、ちょっとまたこれ最近気になるニュースが飛び込んでまいりました。厚生労働省が平成二十三年度から年金医療など社会保障に関する個人情報を一元管理する社会保障番号制度を導入すると決めたと報道されました。ただし、この番号は納税者番号等は利用しない、また別の社会保険関係だけで利用するということなんですけれども、先ほど申し上げました住基番号というのもございますよね。
 で、将来、これは私の夢なんですけれども、こういった還付付きの税額控除を入れた場合、やっぱり番号が要るわけです。そうすると、それぞれがばらばらな番号をまた使ってやるということになります。特にこの厚労省さんの場合、この番号をつくるのに一千億を掛けるというふうなことも報道されておるんですね。一方、住基ネット、これは今まで幾ら掛かったんですかね。
 この答えをいただいて、ちょっと私もう時間がなくなりましたので、是非、財務大臣、今一千億掛けてまた番号をつくるとか言っているんですよ。いいんですか、こんなの。──まあまあちょっと答えは待っていただきたい。で、住基ネットあります。住基ネットは先ほど確定申告でもう若干利用し始めているということなんで、そういう状態です。また別のものをつくるというのは私はもういかがなものかと思うんですけれども、厚労省さんと財務大臣に最後お答えをいただきまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。
 あと、金融大臣には日興の件は時間がないのでできませんけれども、また別の機会にさせていただきたいと思います。
#140
○政府参考人(薄井康紀君) 委員御指摘の新聞報道でございますけれども、平成二十三年度に社会保障番号導入というたしか見出しであったかと思いますが、そういう形でまだ決めたということではございません。
 で、実は先週の金曜日に経済財政諮問会議がございまして、その席に厚生労働大臣が臨時議員として出席をいたしまして、医療等のIT化の推進の一つの柱として、希望者を対象といたしまして健康ITカード(仮称)の導入に向けた検討を行うと、こういうことを申し上げさせていただいたところでございます。
 これにつきましては、平成十九年度中に基本構想であるとか個人情報保護の対策など、こういったことについて検討いたしたいと考えておりますが、その際、そのカードにいわゆる社会保障番号、こういうものを記載をするということも検討の対象になると考えるわけでございまして、カードの検討の中で番号を導入した場合のメリットあるいは問題点、費用対効果、こういったところについて検討したいと、こういうことを考えているところでございます。
#141
○委員長(家西悟君) 時間が来ておりますので、端的にお願いします。
#142
○政府参考人(薄井康紀君) なお、昨年七月のいわゆる骨太二〇〇六におきまして社会保障番号の導入などについても検討を進めるということは書いてございまして、これを受けまして関係省庁連絡会議の報告というのがまとまっております。それが先ほどおっしゃられた一千億とかこんな数字があるものでございますが、その中で、社会保障番号以外の分野でこういうふうなものを利用するということにつきましては、メリット、コスト、こういったものを踏まえながら国民の理解を得ることが不可欠であると、こういう御指摘がございます。また、どういうふうな番号がいいのかということにつきましても、この連絡会議の報告の中で整理してございますが、これから十分議論をしていくことだろうと考えております。
#143
○国務大臣(尾身幸次君) このIT化の時代に、この番号制の問題については、国民の視点から見ると一つの番号であらゆるすべてのものに通用するような共通のものをつくる、そのことが大事であり、かつプライバシーの問題をきちっと守るということが大事で、この二つの観点をしっかりと原則論にいたしながら政治主導でつくっていく必要があると考えております。
#144
○尾立源幸君 よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#145
○大門実紀史君 大門でございます。
 長い時間お疲れさまでございます。私が最後の質問ということになります。
 もう既に様々な角度で議論がございました。私、三年前から格差と税、所得再分配については質問してまいりまして、今日は最後に格差と税、所得再分配と思っておりましたけれども、尾立さんがたっぷりもうやり尽くされましたので、聞いても同じ答弁が出てくるんではないかというふうに思います。
 それでは一言申し上げていいでしょうか。尾身大臣はかなり答弁書をしっかりと長く読んでお答えになりますけれども、私、何か大臣と議論しているよりもその答弁書を書いた課長補佐と議論しているようなむなしい気がいたします。やっぱり政治家同士の議論でございますんで、できるだけ自分の言葉で思ったことを自由にお話をいただきたいというふうに思っているところでございます。
 幾つかそうは言っても格差と税について残っている点、触れられていない点だけ質問したいと思いますけれども、政府も尾身大臣もよく結果の平等よりも機会の平等ということを重視するとおっしゃいますけれども、私は格差の固定化を防ぐためには結果の平等と機会の平等と両方やらなければいけないというふうに思います。そうしなければ、お金持ちの子供の方が学歴が高くなるという問題も指摘されているわけですから、格差が再生産されるのではないかと思います。こんなことは経済でいえばイロハのイなんですけれども、谷垣大臣のときはこの結果の平等については、つまり所得の再分配ですね、配慮はしなければいけないということをよくおっしゃいましたけれども、尾身大臣はこの結果の平等について消極的ということなんでしょうか。
#146
○国務大臣(尾身幸次君) 答弁書を読んでいるというお話でございますが、私は実は答弁書もかなり直しておりまして、役人の書いたものをそのままここに来て読んでいるわけではございません。ちゃんと直して、自分の思うとおりの文章に直させて、それを読んでいるわけでありますから、現象的には読んでいるように見える場合でも十分私の意思が相当入っているというふうに御理解をいただきたいと思います。
 格差の問題でございますが、私は、やっぱり活力ある社会をつくり上げるということも大事であり、かつ格差が固定しないということも大事であり、セーフティーネットも大事であるというふうに考えておりまして、結果の平等ではなしに機会の平等ということがより大事だというふうに考えておりまして、そういう方向でいろんな税制その他の制度についてしっかりとしたものにしていかなければならないと考えております。
#147
○大門実紀史君 その答弁書を直されるとかえって長くなっちゃったりするんじゃないかと思いますけども。
 お手元に資料をお配りをいたしました。予算委員会でも配った資料でしたが、時間がなかったので余り大臣と議論ができませんでしたので、一枚目、二枚目は予算委員会で配らせていただいた資料でございます。
 証券優遇税制に関連して言えば、これは、所得が高い人ほど、超富裕層ほど金融所得が多いという資料でございます。国税庁の資料でございます。したがって、いろいろ言っても、今回の証券の優遇税制はこういう所得の多い人ほど減税になる、優遇になるというのはこれを見ただけで明らかだというふうに思いますので、特に議論はする気はございません。
 二枚目の方なんですけども、これが今まで余りなかった資料かと思います。日本は累進税という形を一応取っておりますが、もうそれが超富裕層に行きますと崩れ始めているという資料でございます。
 予算委員会のとき、大臣にお聞きいたしました。なぜ五千万を超えると負担率が下がるのかと。大臣は、僣越ですからということでお答えいただけませんでしたけど、これは僣越どころか国税庁の資料ですので、大臣、改めてどうお考えかお聞きしたいと思います。
#148
○国務大臣(尾身幸次君) 先日、委員からこの資料を見せていただきまして、これが五千万程度の最高所得階級の場合に下がっているということはきちっと頭の中に入りました。これは、上場株主の譲渡益所得について一〇%の軽減税率が適用されていることも影響していることの一つであるというふうに考えております。
 これにつきましては、勤労性所得との税負担のバランスの問題、あるいは預貯金の利子との課税の中立性の問題等々を考えまして、かつ簡素で分かりやすい税制にする必要があるということで、一年後に二〇%の標準税率に直すということを決めておりますが、一年後というふうに決めましたのは、金融所得の間の損益通算範囲の拡大を進めることが必要でありますし、また、この間におけるいわゆる、何といいますか、激変緩和措置といいますか、それによります株価の低迷等の現象が起こってはいけないという考え方の下に必要な措置を考えてそれをやり、そして一年後にこれを廃止する、一年間延長するということを決めたものでございまして、この点については御理解をいただきたいと思います。
#149
○大門実紀史君 今大臣もおっしゃられるとおり、これはどう考えても、なぜ下がるのかというと、もう証券優遇税制しか考えられないと。これには源泉分離が入っておりませんので、申告ですから、それを入れると更に下がるというふうに思います。ほかの国は総合課税になっていますからこういうことがない。一応、累進、緩くなったといっても累進があるわけですが、日本はこういう事態に今なっていると。特に、先ほど申し上げました、一部の超高額所得者のところに金融資産が集中しているもんですから、そこにがばっと減税が行くもんですからこういう数字になってしまうということでございます。つまり、証券優遇税制が日本の累進税を今崩壊さしているということを表す資料でございます。
 次の資料、あと三枚ございますが、これは細かくは後で見ていただければいいんですが、外国と比べてもかなりの優遇になっていると。一枚目が株式譲渡ですけど、一億円あった場合、外国に比べてかなり優遇になっています。二枚目が、五千万の場合でもそうですね。仮に少額の二百万の場合でも、外国、逆に言うと外国よりも重くなってしまうというところがあります。いろいろゆがみが出ている税制ですので、本来ならば今回延長すべきじゃないというふうに思います。
 私、この問題、昨年も取り上げましたけれども、当時財務省はもう延長しませんというふうに言っていたわけですが、どういうわけか延長ということになって、その理由は何か証券の活性化とか云々ということを言われるんでしょうからもう聞きませんけれども、非常にゆがんだことになっているということを踏まえて、もうすぐにでもやめるべきだということを申し上げたいと思います。
 全体として、日本経済全体で何が言えるかといいますと、労働分配率がずっと、大企業が幾らもうけても労働分配率が下がっています。つまり、労働者の賃金や雇用に分配されないと。どこに分配されているかというと、株主の配当とか役員の給与や報酬ということになるわけですね。その分配されたものに更に減税をしてあげるということですから、本当に、何といいますか、やることが逆さまの、格差を是正しようということに対して逆さまの方向になっているということと、株主資本主義といいますか株価資本主義も必要以上に助長しているのがこの証券優遇税制だというふうに思います。
 税金の問題は非常に極めて、すぐれて政治的な問題でございまして、どこから税金を取るか、どこに増税するかということですから、政党の立場がはっきり分かれるという問題でございますから、もう選挙で審判を仰ぐということになるし、間もなくそういう時期が近づいているということだけ申し上げておきたいというふうに思います。
 予算委員会でも取り上げましたので税制の問題はこれぐらいにして、残った時間、国民のお金の使い方を違う側面から取り上げたいというふうに思います。JBIC、国際協力銀行の問題でございます。
 実は今日、午前中、参議院でODA特別委員会がございまして、このJBICのお金の使い方のだらしなさについて指摘をいたしました。
 一つは、昨年、参議院でODA調査団を派遣して、その一団で私や民主党や自民党の皆さん、超党派で行ったんですけれども、インドネシアに調査行ったときに、私たちが聞き取りをした村長さんにJBICが現金を渡したという問題で、これ昨年の特別委員会で指摘をして、麻生大臣も、買収と疑われるようなことは厳に慎むべきだとおっしゃって厳しく注意されたわけですが、今年の二月にまた、また同じインドネシアでJBICが、円借款事業の記者会見のときに記者に、新聞記者たちに、マスコミに現金をまた配りました。これ国会での指摘や大臣の答弁を無視したものとして今日、午前中、厳しく抗議をしたわけでございます。
 午前中、総裁からいろいろ言い訳はあったんですけれども、これは参議院の特別につくったODA調査団の派遣団の指摘も生かさなかったという点と、お金をばらまく日本という、マスコミにも取り上げられましたから、恥さらしをJBICが繰り返したというふうに思います。
 まず、このことへの謝罪の言葉が午前中は聞かれませんでしたけれども、総裁来ていただいていますが、まず一言、まずおわびをされるのが筋ではないかと思いますが、いかがですか。
#150
○参考人(篠沢恭助君) 昨年、参議院のODA調査団がインドネシアに行かれました際に、コタパンジャン・ダムの御視察の際に近辺の村長さんのところでお話がありました際、JBICが雇っておりますコンサルタントが村長さんにいわゆる電話通信代を、まあ千円前後と聞いておりますが、のものを渡したということがございまして、その点は調査団の報告書並びに参議院のODA特別委員会で御指摘を受けまして、これにつきましては現地に厳しく、その誤解を招くことのないようにというふうに指導をいたしたところでございますが、今般は、またジャカルタ市内で地下鉄を含みます日本の円借款と日本の技術でこの高速鉄道をジャカルタに通すという大変画期的な事業が進み始めましたので、この点についてのPRということで新聞記者を集めました。ジャカルタのというかインドネシアの運輸省の方などから、現地観光としてわざわざ集まっていただいた新聞記者には交通費を幾らか差し上げるようにというようなアドバイス等もございまして、そのような手はずを整えたということでございましたが、これもまた先生が御指摘のとおり、他に誤解を招きやすいことでございます。
 このように、二度にわたりまして同じような御指摘をいただく結果となりましたことについては誠に遺憾と思っております。この点、御心配を掛けましたことについては、私、指導が至らなかったというふうに考えておりますので、おわびを申し上げます。
#151
○大門実紀史君 やっとおわびの言葉が出ましたけれども、謝れば済むという問題ではございません。また、千円とかいう言い方されましたが、現地では大金でございまして、現地の村では月収の四分の一に当たります。記者会見で配られた二千七百円というのは記者の二日分ぐらいの日当に当たりますので、単に電話代とか交通費ではございません。
 私、余りJBICには興味はなかったんですけれども、二回もこういうことがあるということで俄然関心を持ちまして、この際、徹底的にJBICを取り上げてみたいというふうに思います。今日はその一回目ということでお聞きをいただきたいと思いますが。
 要するに、諸問題の根底には、それは現地の習慣とか何だとかいうよりも、JBIC自身のモラルの低下といいますか、何といいますか、なあなあ主義といいますか、かなり旧態依然としたものがあるんではないかと思います。それを如実に示すのがJBICの会議費、JBICそのものの会議費の問題です。
 JBICに平成十六年度、十七年度二年分の会議開催申請書の資料の提出を求めました。ここにあるのがその国内分でございます。相当な量ですけれども、これはまず六十日以内に出せるものということで、全体約六千件以上あるそうですけれども、そのうちの千二百二十一件、千四百二十二枚の、ここにあるのはそのうちの国内分の四百六十七件。ちなみに、海外分が七百五十四件あるそうです。金額では、国内分が千二百九十万円、海外分が、円換算するのに時間が掛かるのでということですが、後で出してもらいたいと思います。
 まず、先に出されたこの千二百二十一件でございますけれども、これは出しやすいものということで先に出されましたけれども、これは特に何か都合のいいものだけ先に出したということはございませんね。
#152
○参考人(篠沢恭助君) 資料、何分私どもの銀行、円借款業務それから国際金融業務、多岐にわたった業務を、また国際的にも、国際機関との関係、あるいは途上国政府との関係、あるいは日本の企業との関係等含めましていろいろ多岐にわたるものですから、会議費はおのずから大変多くの件数になっていくわけでございますが、今回某所からこの資料請求、情報公開の請求を受けました際に、まず情報公開に当たりましては、その公開の基準があるわけでございますが、一応その相手方の、会議費使用の相手方の方に御迷惑の掛からないようにする必要がございますので、実名が出ていきます方につきましては一人一人、このような経緯であなたの実名をお出しすることになりますということをチェックをしてから資料を出す必要がございます。
 一方、一部の方につきましては、情報開示上、不開示の基準に該当される方がありまして、このようなケースにつきましては墨塗りをして情報公開請求に応じるということが決まっているわけでございますが、何分件数が多うございますので、今回主として、この墨塗りのケースでありますと、相手方に一人一人資料が出ることについてのチェックをお願いをする必要がございませんので、この墨塗りケースなどを中心として先に情報公開としてそのようなものを提出させていただいたと、こういう経緯でございます。
#153
○大門実紀史君 そうすると、後から出てくるのは、ここにあるのはみんなほとんど墨塗りですけれども、名前がつぶされていますが、後から出てくるのは相手を確認して名前が出てくるものというふうに承知をいたします。
 いずれにせよ、情報公開ですから、国会の要求ですから、速やかに作業をして出してもらいたいと思います。
 取りあえず、出てきた千二百二十一件についてお聞きをいたします。
 この国内分が四百六十七件、海外が七百五十四件の会議申請書です。そういう会議をやったと、こういう会議をやるという申請書です。これは、朝食、昼食を伴うものが国内でいきますと二百三十三件、夕食、お酒を伴うものが二百四十四件。会議費といいながら、四百六十七件すべて飲食が伴っております。日付も見てみますと、休日や盆休み、正月を除くと毎日。一日に七、八件とか、多いときは十件を超えると。それが毎日、夜の飲食が続いているわけですね。よく体がもつなと思いますけれども。しかも、これは先に提出された五分の一でございますね。この五倍あるということになると相当の飲食、全部飲食が絡んでおりますけれども、飲食ですので、だと思います。
 JBICというのは、こういう飯を食ったりお酒を飲まないと会議ができないんでしょうか。
#154
○参考人(篠沢恭助君) 私どもの銀行では、先ほど申しましたように、円借款業務及びいわゆる国際金融業務を実施する上で必要と認められる外国政府、国際機関の要人、あるいは国内のもろもろの有識者等との情報あるいは意見交換というものを業務上の必要によって行っているわけでございますが、その際、昼間、行内でいわゆるワーキングアワーに会議を行うということも無論多々ございますが、そのほか、相手方の都合等により業務時間外の時間も活用するということ。すなわち、朝早くの朝食会形式あるいはワーキングランチ、あるいは夕食を取りながらの会合と、いろいろな形で、しかも先ほど申しましたように、世界各地の駐在員事務所等がありますところで、あるいは私自身で申しますと、例えばIMF総会でございますとか、あるいはアジア開発銀行総会でございますとか、多くの国際会議の場に出席した場合などもやはり各方面の方といろいろな時間を活用して会合をするということでございます。
 多数の職員が多数の業務に、また多数の地域でそのような会議を伴う業務活動をしているというふうに御理解いただければ有り難いというふうに思います。
#155
○大門実紀史君 全然、国内でやっていることでそういうのは余り成り立たないというふうに思います。しかも、九九%、相手の負担なしでJBICが負担をしております。これは、もう会議じゃなくて接待じゃないかと言われても仕方がない形です。夜の飲食については、二百四十四件ですか、金額はこの出てきた分だけでやると八百五十万円と。五分の一の資料で八百五十万ですから、全体で四千万を超えるんじゃないかと思います。
 具体的にこれ見てみました。資料を見ると、少人数での会食も多いし一対一もあります。しかも、相手が、あの人とちょっと一杯みたいなものも入っておりますし、JICAのだれかとJBICの職員が一対一で話しているのも会議にして夜、飲み食いをしているということになっていますし、官僚への接待もあります。経済産業省が出てまいります。活魚料理ととやというところですね。経済産業省の資源エネルギーの課の課長と課長補佐が資金金融部の次長、課長、調査役と六万円近く使って会食をしています。
 これは、いわゆる問題になった官官接待というふうにも取られますし、どうして経産省の役人と意見交換するのをこういう飲み屋でやらなければいけないのか。これはどういうことですか。
#156
○参考人(篠沢恭助君) 私ども、これにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、私どもの銀行に与えられました諸業務を実施をしてまいります上で必要な各方面との情報、意見交換の機会というものが非常に貴重なものでございまして、これを実施しているわけでありまして、そのような目的でございますので、私どもといたしまして接待というようなことは考えていないところでございます。
 大学でございますとか研究機関の方でございますとか、あるいは企業の方、マスコミの方、NGOの方、非常にいろいろな多岐にわたる方々と情報交換の必要を持っておるわけでございますが、公務員の皆さんからもいろいろな情報を受け、また指導を受けということございますが、昼間のワーキングアワーに全部片付かない、相手方の都合によりましてこの業務時間外の時間に是非会ってもらいたいと、会いましょうと、こういうようなことは多々あるということで御理解をいただきたいと思います。
#157
○大門実紀史君 いや、多々はあっては困るんですよ。もう常識外です、今どき。これだけ厳しく、国会も官庁も支出が厳しくチェックされているときに、そんな平気な答弁しちゃ駄目ですよ。
 ちなみに、財務省にお聞きします。
 財務省は、この会議費の支出について明確な基準を設けられていると思いますけれども、特に夜の飲食というのはこんな形で認められていないと思いますが、簡潔に答えてくれますか。
#158
○政府参考人(香川俊介君) 財務省におきましては、会議の性格が政策の企画立案あるいは周知広報に資する情報交換や意見聴取等を目的とする場合に会議費を支出しているところであります。
 御質問の夜間の飲食を伴う会議費の支出でございますが、主として外国政府及び国際機関の職員との意見交換等、外交活動、外交儀礼上の必要がある場合に行っております。
#159
○大門実紀史君 つまり、JBICを管轄する財務省自身は、海外からお客さんが来たときだけ夜の飲食を伴う会議は認めましょうと、しかも金額も一万円から二万五千円以内を目安とすると、厳しい基準を設けております。JBICは、日本人同士でも官庁でも使い放題に使っているということでございます。
 なぜこんなことが好きに今どきやられているのかですね。JBICの規定というのは、今総裁が言われたようなことになっているから、ずぶずぶでみんな使っているんだというふうに思います。私は、この際、JBICの会議費も各中央省庁並みに厳しいきちっとしたものにすべきだと。
 篠沢さんは、言いたくありませんけれども、九五年の二信組の問題で官官接待とかいわゆる接待スキャンダルが起きたときに、大蔵省で主計局長として監督責任を問われて処分を受けられている方ですね。その方がまたこんなことをルーズにやらしているとなると、私は二重三重に問われるものがあると思います。
 もう一つお聞きしたいのは、黒塗りになっているんですけれども、これは個人情報保護だそうですけれども、中央省庁の公務員は公表するということで、確かにいただいたのにお名前が入っております。今回提出された、私に提出された千二百二十一件の中に、国会議員が関係するのは一件だという報告をいただいています。これは海外で一つのグループだけにJBICが慰労を兼ねて、視察をしてもらったんで、JBICの案件を視察してもらったんで慰労のために食事を提供したという報告は受けておりますけれども、私も海外で何回もJBICの案件を視察しましたけれども、接待してもらったことはございません。
 国会議員は特別公務員でございますから、中央省庁の人間が公表して、なぜ国会議員だけは公表しないのか。公職者は個人保護一般から外れるはずでございますから、この国会議員のグループについて、いつどこの国でどの党のどの議員か、名前を明らかにしてほしいと思います。
#160
○参考人(篠沢恭助君) まず、先ほど財務省からの御答弁ございましたが、私ども現場の業務実施機関としまして必要な細々した情報取り、意見交換等が必要であるということで、実施機関としてそのような必要なものを行っているということについて是非御理解を賜りたいと思うわけでございます。責任を持ちまして、私、これらの会議費の運用が乱に流れないようにきちっと行内を指導してまいりたいと思っているわけでございます。
 次に、国会議員が含まれているかという御質問でございましたが、私どもといたしましては、情報公開に当たりまして、国家公務員のように一般の慣行として名前を出すというふうに決められております場合を除きまして、原則として会議の出席者名、個人名が特定される件については公にしない前提で会議を開催をしております。
 この点について、相手方と当行との信頼関係というようなことで、率直な意見交換あるいは情報収集といったようなことに影響を及ぼさないようにそのような形を取っているわけでございます。この点、御理解いただきたいと思います。
#161
○大門実紀史君 じゃ、それにも異論がありますし、また何度でもやりたいと思いますけれども、少なくとも政党名は、これは個人情報とは別でございます。何党だったのかと、これは答えられると思いますが、いかがですか。ちょっと簡潔にお願いしますね。
#162
○参考人(篠沢恭助君) 個人的情報と、それからやはりそれの母体となります機関の、まあ党ということでございますが、そのようなことにつきましても付随しておりますので、どうかお許しをいただきたいと思います。
#163
○大門実紀史君 いや、私は許しても国民が許しませんよ。今どきこういうことを秘密でして、全部黒塗りにして、会議費という名目で飲食代が使い放題と、こんな官庁ございませんから。こんな役所、今どきないですから、独立行政法人として。これはもう厳しく問われると思います。今日はこれぐらいにしておきますけれども。
 あと、私、JBICに大変関心を持ったというのは天下りの問題。篠沢さんそのものも大蔵省の天下りですけれども、JBICからいろんな団体に天下りをしていると、民間企業あるいは財団法人に天下りをしていると。
 こういうことが全部ひっくるまっていろんなことが起きているというふうに思いますので、そういう問題を引き続き取り上げていくということを申し上げたいと思いますし、今日はそういう答弁をされましたけど、至急内部でそんなことが許されるのかどうかということをきちんと常識で判断をしてもらいたいというふうに思います。今日はこれぐらいにしておきたいと思います。
 これで私の質問を終わります。
#164
○委員長(家西悟君) 他に御発言もないようですので、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#165
○委員長(家西悟君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、柏村武昭君及び大塚耕平君が委員を辞任され、その補欠として愛知治郎君及び松岡徹君が選任されました。
    ─────────────
#166
○委員長(家西悟君) これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#167
○尾立源幸君 私は、民主党・新緑風会を代表して、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対する立場で討論を行います。
 まず、特例公債法案に反対する理由を申し上げます。
 第一に、この法案が将来世代に赤字のツケを回す法案であることであります。
 平成十九年度予算において、政府は、新規国債発行額を過去最大の四・五兆円減額し、二十五・四兆円に抑えたと胸を張っておりますが、これは歳出の抜本改革という本来あるべき手段によって実現したものではなく、景気回復による税収増や国民に負担を押し付ける定率減税の廃止等によって実現したものにすぎません。政府がこれまでの財政運営の失敗を省みず、将来世代に赤字のツケを回す法案であることに変わりはありません。
 第二に、速やかな減債に努めるという法案の趣旨から逸脱していることであります。
 現在、五百四十七兆円に上る公債残高の半分以上を特例公債が占めており、平成十九年度予算においても新規公債発行の八割に当たる二十・二兆円が特例公債であります。特例公債については、これまでも毎年度の法案で速やかな減債に努めるとされてきたものの、実際には建設公債と同様に六十年償還ルールが適用されており、速やかな減債に努めるとは言い難い状況が三十年以上も継続しています。特例公債の残高増大をこのまま放置することは将来世代に赤字のツケを回すことにほかならず、政府は法案の趣旨にのっとった速やかな減債ルールを早急に講ずべきであります。
 第三に、今回の法案においても九百六十七億円もの年金保険料を社会保険庁の事務費に流用しようとしていることであります。
 年金保険料の流用は、年金財政を不安定化させるだけでなく、国民の年金制度への不信を増大させるものであります。政府は平成二十年度から国民年金などを改正してこれを恒久化する方針でありますが、これは、年金保険料は年金給付にしか充当しないというこれまでの原則を逸脱するものであり、到底認められるものではありません。政府は、財政が好転次第、早急に税金で負担するという本来の原則に戻るべきであります。
 次に、所得税法等改正案に反対する理由を申し上げます。
 第一に、今回の法案そのものが欠陥法案であることであります。
 格差是正や少子化対策など税制をめぐる課題が山積する中、重要なことは国民の将来不安を解消するための真の税制改革を実現することであります。このため、税の議論に当たっては何より国民の信頼が大前提であることは言うまでもありません。しかし、昨年、政府税調会長であった本間氏をめぐる不祥事が明るみに出て以降、政府は会長の交代という形で幕引きを図っただけで、こうした不祥事を招いた安倍総理の任命責任についてはうやむやのままであります。不祥事を起こした会長の下で進められた税制改正論議は信頼性に欠けるものであり、このような過程を経て作られた法案は欠陥法案そのものであります。今すぐ撤回し、議論そのものをやり直すべきであります。
 第二に、理念なき法人税減税を先行させていることであります。
 政府は、減価償却制度の抜本的見直し等により、経済が活性化され、さらに家計部門にも好ましい影響が波及するとしています。しかし、具体的な経済効果はもちろんのこと、家計への波及効果も示されないなど、正に法人減税を正当化するための議論と言わざるを得ません。減価償却制度の見直しが必要であることは否定しませんが、多くの国民が政府のビジョンなき増税に耐えている中で、この時期に本当に行うべきなのか、いま一度検討すべきであります。
 重要なことは、格差是正、少子化対策を積極的に行うことであり、理念なき法人減税だけでは経済活性化はあり得ません。個人に負担を押し付け法人を減税するという政府の姿勢には断固反対であります。
 第三に、いわゆる一人オーナー企業の役員給与の損金不算入制度について、政府の失敗を認めず、場当たり的な対応による見直しを行うことにあります。
 この制度は、政府が昨年、関係者に対する十分な説明もないまま唐突に提案し、国会審議においても数々の問題点が指摘される中で導入されたものであります。言わば強引に導入したにもかかわらず、本法案では、適用除外基準を八百万円から千六百万円に引き上げることで適用企業が二万社から三万社になるなど、中小企業に配慮した内容であると政府は説明しています。しかし、税理士会からは、当初から五十万から六十万社に影響が及ぶとの指摘があるなど、政府試算はそもそも説得力に欠けるものであったと言わざるを得ません。国会審議に十分に耳を傾けず導入したこの制度は、見直しという場当たり的な対応ではなく、即刻廃止すべきであります。
 以上、二法案に反対する理由を申し述べましたが、安倍内閣の無駄遣いを放置したままの場当たり的な財政運営、上げ潮路線に基づく理念なき税制改正など、安倍内閣に対する国民の不信と不満は限界にまで達しています。
 私は、将来世代に借金をツケ回しすることなく、そして、格差社会を放置して経済社会の混乱を招くことのないよう財政改革及び税制改革に真剣に取り組んでいくことが必要であると考えております。このことを強く訴えて、私の討論を終わります。
#168
○大門実紀史君 日本共産党を代表して、公債特例法案並びに所得税法等改正案に対し、簡潔に反対討論を行います。
 公債特例法案に対して反対する理由は、本法案が、空前の利益を上げる大企業に対し更なる減税をし、超富裕層への優遇税制を続けながら巨額の赤字国債の発行を認める内容であるからです。給付、徴収事務などへの保険料の流用を認める内容も本法案に盛り込まれており、賛成できるものではございません。
 次に、所得税法等改正案についてですが、第一の反対理由は、大企業の利益が家計に波及しないことが経済の根本問題になっているにもかかわらず、国民には今年も定率減税の廃止による負担増を押し付け、大企業には減税の大盤振る舞いという、問題を更に深刻にさせる逆さまの政策になっていることです。
 第二の理由は、政府税調ですら期限到来とともに廃止と言っていた上場株式の譲渡益及び配当への軽減措置の一年延長など、富裕層への優遇措置を継続した点です。審議の過程で七千五百億円以上の大減税になることも明らかになりました。このことは、格差の拡大に拍車を掛けるものにほかならず、国民の理解が得られるものではありません。
 以上、反対理由を述べて討論といたします。
#169
○委員長(家西悟君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次採決に入ります。
 初めに、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#170
○委員長(家西悟君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#171
○委員長(家西悟君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、大久保勉君から発言を求められておりますので、これを許します。大久保勉君。
#172
○大久保勉君 私は、ただいま可決されました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 少子・高齢化やグローバル化が進展する中、中長期的な財政構造健全化と経済社会の活性化の必要性が一層増大していることにかんがみ、今後の経済・社会の動向にも留意しつつ、歳出の重点化・選別化に努めるとともに、税制に対する国民の理解と信頼、税負担の公平性を確保する観点から、所得・消費・資産など税体系全般にわたる課税の在り方についての抜本的見直しを行い、社会経済構造の変化に対応しつつ持続的な経済社会の活性化を実現するための税制の構築に努めること。その際、円滑・適正な納税を確保するため、制度面・執行面における十分な検討を行い、必要な納税環境の整備に努めること。
 一 社会的に重要性を増している非営利活動を更に促進するという趣旨等にかんがみ、特定非営利活動法人に対する寄附金税制の在り方については、その実態等を十分踏まえ、引き続き検討すること。
 一 租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。
 一 新信託法の施行に向けて、信託税制については、その具体的な取扱いを早期に取りまとめ、周知徹底を図ること。また、新信託法で可能となる多様な信託の利用実態を踏まえ、信託制度の健全な発展及び適正・公平な課税の実現のため、引き続き必要に応じた見直しを行うこと。
 一 急速に進展する高度情報化社会において、経済取引の国際化・複雑化及び電子化等の拡大に見られる納税環境の変化、調査・徴収事務等の業務の一層の複雑・困難化による事務量の増大、納税者の納税意識の維持・向上の必要性にかんがみ、更には、徴税等真に必要な部門には適切に定員を配置するという政府の方針に配意し、今後とも国税職員の処遇の改善、機構・定員の充実・確保を行うとともに、職場環境の整備及び事務に関する機械化の充実に特段の努力を払うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#173
○委員長(家西悟君) ただいま大久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#174
○委員長(家西悟君) 多数と認めます。よって、大久保君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、尾身財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。尾身財務大臣。
#175
○国務大臣(尾身幸次君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
#176
○委員長(家西悟君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#178
○委員長(家西悟君) 特別会計に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。尾身財務大臣。
#179
○国務大臣(尾身幸次君) ただいま議題となりました特別会計に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 本法律案は、行政改革推進法を踏まえ、特別会計の廃止及び統合、一般会計と異なる取扱いの整理、企業会計の慣行を参考とした特別会計の財務情報の開示その他所要の措置を講ずるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、行政改革推進法において定められている特別会計の廃止及び統合をすべて盛り込み、現行三十一ある特別会計を平成二十三年度までに十七とすることとしております。
 第二に、余剰金の処理や借入金規定などの一般会計と異なる取扱いを整理するため、各特別会計法ごとに個々に定められていた会計手続を横断的に見直し、第一章総則に各特別会計に共通する規定を定め、第二章各節に各特別会計ごとの目的、管理及び経理についての規定を定めることとしております。
 第三に、資産及び負債の状況その他の決算に関する財務情報を企業会計の慣行を参考として作成、開示することを法定化するなど、特別会計に係る情報開示を進めるための規定についても整備することとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#180
○委員長(家西悟君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト