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2007/06/13 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第16号
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2007/06/13 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第16号

#1
第166回国会 財政金融委員会 第16号
平成十九年六月十三日(水曜日)
   午後一時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     岸  信夫君     関谷 勝嗣君
     尾立 源幸君     小川 勝也君
     大久保 勉君     森 ゆうこ君
     山口那津男君     澤  雄二君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     関谷 勝嗣君     岸  信夫君
     山下 英利君     末松 信介君
     小川 勝也君     尾立 源幸君
     直嶋 正行君     松下 新平君
     森 ゆうこ君     大久保 勉君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         家西  悟君
    理 事
                沓掛 哲男君
                中川 雅治君
                野上浩太郎君
                大久保 勉君
                峰崎 直樹君
    委 員
                泉  信也君
                岸  信夫君
                椎名 一保君
                末松 信介君
                田中 直紀君
                舛添 要一君
                尾立 源幸君
                広田  一君
                松下 新平君
                円 より子君
                澤  雄二君
                西田 実仁君
                大門実紀史君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        山本 有二君
   副大臣
       内閣府副大臣   大村 秀章君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤澤  進君
   参考人
       日本公認会計士
       協会会長     藤沼 亜起君
       明治大学大学院
       会計専門職研究
       科長・教授    山浦 久司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○公認会計士法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、山下英利君、直嶋正行君及び山口那津男君が委員を辞任され、その補欠として末松信介君、松下新平君及び澤雄二君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(家西悟君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、理事に大久保勉君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公認会計士法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本公認会計士協会会長藤沼亜起君及び明治大学大学院会計専門職研究科長・教授山浦久司君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(家西悟君) 公認会計士法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。山本内閣府特命担当大臣。
#8
○国務大臣(山本有二君) ただいま議題となりました公認会計士法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 本法案は、企業活動の多様化、複雑化、国際化、監査業務の複雑化、高度化、公認会計士監査をめぐる不適正な事例を踏まえ、組織的監査の重要性が高まっている状況に対応するため、監査法人制度等について見直しを行うものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、監査法人の品質管理、ガバナンス、ディスクロージャーを強化するため、業務の執行の適正確保や業務の品質管理の方針の策定及びその実施のための業務管理体制を監査法人が整備することを義務付けるとともに、監査法人の社員資格を公認会計士以外の者に拡大し、また監査法人による情報開示を義務付けることとしております。
 第二に、監査人の独立性を確保し、その地位を強化するため、監査人の独立性に関する制度を充実するとともに、監査人が財務書類に重要な影響を及ぼす不正、違法行為を発見した場合における当局への申出制度を導入することとしております。
 第三に、監査法人等に対する監督や監査法人等の責任の在り方の見直しとして、課徴金納付命令や監査法人に対する業務管理体制の改善命令など行政処分を多様化させるとともに、有限責任組織形態の監査法人制度を創設することとしております。また、外国監査法人等に係る届出制度を整備することとしております。
 以上がこの法律案の提出理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
#9
○委員長(家西悟君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#10
○委員長(家西悟君) 速記を起こしてください。
 これより質疑に入ります。
 本日は、公認会計士法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人として日本公認会計士協会会長藤沼亜起君及び明治大学大学院会計専門職研究科長・教授山浦久司君の御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々にごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 両参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしたいと存じておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず藤沼参考人、山浦参考人の順でお一人二十分以内でそれぞれ御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきお願い申し上げます。
 なお、参考人及び質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず藤沼参考人からお願い申し上げます。藤沼参考人。
#11
○参考人(藤沼亜起君) 藤沼でございます。
 今回、国会審議の場におきまして公認会計士法改正法案に対し意見を陳述する機会を与えていただいたことを感謝申し上げます。
 まず、上場会社の監査の職責を担っていた公認会計士に有罪判決が下されるという一連の会計不祥事が相次いで発生し、公認会計士監査の信頼性が大きく問われる事態を招いたことに対しまして、遺憾の意を述べさせていただきます。
 政府は、バブル経済崩壊後、我が国経済の再生を目指して、貯蓄から投資へとの金融政策の下に諸施策を展開されてこられました。経済は明るさを取り戻し、個人金融資産が資本市場へと流れを変える兆しが見えてきた状況下でこのような事件が発覚したことは誠に残念であります。私どもは、社会の厳しい批判を厳粛に受け止め、まず、我々会計監査のプロフェッションが自らの努力により自己の監査業務の充実向上を図り、公認会計士監査の信頼性確保に精力的に取り組む決意であります。
 改正法案につきまして意見を陳述する前に、昨今の一連の会計不祥事を踏まえて、協会が取り組んでおります自主規制施策について御説明させていただきます。
 まず第一に、協会は、監査事務所の品質管理体制の向上を図るために、監査事務所の業務運営体制を監視、監督する品質管理レビューを充実強化してまいりました。具体的には、品質管理レビューアーを十名体制から二十名体制に増強するとともに、昨年四月から適用されております監査に関する品質管理基準に基づき、レビュー基準やレビューツール等を整備いたしました。
 協会は、各監査事務所の品質管理体制が整備され、それが有効に機能しているかどうか、監査人の独立性のチェックを含め、厳しい品質管理レビューを実施しております。
 第二に、監査人の独立性の確保の観点から、国際水準並みの倫理規則を整備いたしました。具体的には、監査事務所に所属する公認会計士を対象とする規則と企業等に所属する公認会計士を対象とする規則、さらに、両者を共通する規則を網羅した包括的な倫理規則を策定しております。特に、監査人のローテーションを強化し、上場会社百社以上を監査する大規模監査法人の監査責任者には米国並みに五年、五年のローテーションを実施しております。
 第三に、協会は、会員に年間四十単位の専門研修の受講を義務付けておりますが、監査を担当する会員に対して、当該継続的専門研修の中に、職業倫理四単位と監査の品質管理四単位の科目受講を強制いたしております。
 さらに、公認会計士監査の信頼性の回復には上場会社を監査する事務所の品質管理体制を充実強化することが最重要課題であるとの認識の下に、本年四月から上場会社監査事務所登録制度を導入しております。
 当該制度は、上場会社を監査する事務所に対しまして、協会に設けた上場会社監査事務所部会に登録を義務付け、協会の品質管理レビューを強化し、上場会社監査事務所の品質管理体制の充実を図り、もって上場会社の財務報告の信頼性を確保する制度であります。
 当該登録制度の特徴は、制裁的措置の採用であります。具体的には、品質管理レビューの結果、監査の品質管理体制に重大な欠陥が発見された場合には、当該指摘事項を上場会社登録事務所名簿において一般に開示するとともに、当該指摘事項に対して適切な改善措置を講じない監査事務所については、上場会社を監査するにふさわしい品質管理体制を整備、運用していないとして登録を取り消し、未登録事務所名簿に記載し、社会に開示するという措置を採用しております。その意味では、登録制度は上場会社を監査している会員にとって相当に厳しい自主規制策であります。協会は、このように、自主規制策により公認会計士監査の信頼性の向上を図るため最大限の努力をしてきておりますので、協会の取組に御理解と御支援をお願いいたします。
 今回の公認会計士法改正案につきまして、意見陳述させていただきます。
 改正案には、協会が長年にわたり要望してまいりました事項も盛り込まれておりますが、全体としては厳しいものであると受け止めております。しかし、協会としては、改正案を厳守し、かつ自主規制の強化策を推進し、公認会計士監査の信頼性向上に一層努力していく決意でございます。
 最初に、金融審議会において今後の検討課題とされましたインセンティブのねじれの問題につきまして、早急な御検討をお願いしたいと存じます。
 現行会社法の下では、財務諸表の作成責任者である経営者が会計監査人の選任議案提案権や監査報酬の決定権を有しております。これは、経営者から監査人の独立性確保という観点から重要な問題であると考えております。米国では、社外取締役で構成される監査委員会にこうした権限が付与され、監査人の独立性が確保されております。米国のサーベインズ・オックスレー法においては、公認会計士に対し相当厳しい規制強化が図られましたが、同時に上場会社のガバナンス強化の措置も講じられております。
 会社法の分野でありますが、是非とも監査役会に会計監査人の選任議案提出権及び監査報酬の決定権を付与することを検討していただきたいと存じます。その際には、監査役会の独立性及び専門性の強化が一体となった措置が必要であると考えております。これらを一連の課題として御検討をお願いしたいと思います。
 次に、今回の改正案について、協会の二つの重要要望事項が受け入れられたことに対しまして、感謝申し上げます。
 その一つが、監査法人の有限責任制の導入であります。
 会計不祥事が判明し、監査人に責任がある場合に、関与監査人が無限責任を負うことは当然といたしましても、監査法人に勤務する他の社員が連帯して無限責任を負う制度は監査法人の一般社員に過重な負担を強いるものであり、公認会計士が監査業務を敬遠する大きな要因となっております。
 有限責任制は欧米諸国では既に導入されている制度であり、協会は従来から有限責任制導入を強くお願いしてまいりました。平成十五年の改正公認会計士法におきましても、民事法制等においていわゆるリミテッドパートナーシップ制度の一般的な導入等が図られることになった場合には、所要の措置を講ずることを検討する旨の附帯決議が行われております。有限責任制の導入は、我が国の監査基盤の強化に大きく貢献するものと考えております。
 二つ目は、今回の改正案に刑事罰が織り込まれなかったことであります。
 金融審議会におきまして刑事罰の導入が検討されましたが、協会は、刑事告発されただけで監査法人が実質的に崩壊するとして、その導入に強く反対してまいりました。エンロン事件におけるアーサー・アンダーセン、みすず監査法人の自主解散を見ましても、協会の懸念は現実化しております。
 欧米諸国では、監査事務所は一般民事法に基づき設立されている関係から、監査事務所にも刑事罰が適用される法制になっている国もありますが、監査事務所が事務所の信用に対して強い脆弱性を持つという特殊性を考慮し、具体的に適用された実例はないと言われております。改正案ではこうした諸事情を考慮したものと受け止めております。
 協会は、改正法案を受け入れ、監査の品質回復の向上に全力を挙げて取り組んでいく所存でございますが、改正法案の運用につきまして次の点に御配慮を要望したいと思います。
 第一に、行政罰の運用であります。
 改正法案では、刑事罰の導入に代わって行政罰の多様化が図られ、従来の行政罰、戒告、業務停止、登録抹消又は解散命令に加え、課徴金と業務管理体制の改善命令が新たに追加されました。協会は、刑事罰の導入に代えて、課徴金等の導入により行政罰の多様化が図られたことはやむを得ないものと考えております。しかし、監査人が萎縮し、行政の顔色をうかがいながら監査業務を遂行するという監査環境にならないよう、次の点を強く要請いたします。
 まず、課徴金は単独でもまた他の行政罰と重複してでも科すことができる柔軟な規定となっております。したがいまして、課徴金を含む行政罰につきましては、量刑基準等を整備し、その運用の透明性と公正性を確保していただきたいと存じます。
 次に、今回新たに導入されました業務改善命令の一環として、重大な責任を有すると認められる社員について、一定期間その職務に従事することを全部又は一部禁止することができるとされております。当該業務禁止命令の運用につきましても、対象となる重要な社員の範囲及び禁止される職務の範囲等につきまして、明確な基準を適切かつ公正な運用をお願いいたします。
 第二に、改正案では、監査法人等に対する報告徴収、立入検査権限の公認会計士・監査審査会への委任が規定されております。現行制度では、協会が品質管理レビューを実施し、その報告を受けた後に、必要と認めた場合には審査会は監査事務所の立入検査を実施できるというシステムになっております。
 現在、監査事務所は、監査事務所内の品質管理レビュー、業務提携している海外大手事務所の品質管理レビュー、協会の品質管理レビュー、公認会計士・監査審査会の報告徴収、立入検査、また米国の公開会社監査監視審議会、PCAOBへ登録している我が国の監査事務所については米国審議会の品質管理レビューの対象となると、幾重もの品質管理レビューを受けており、過重な検査チェック体制下にあります。審査会の検査権限が現状以上に拡大強化されますと、各事務所は品質管理レビュー漬けとなってしまうことを危惧しております。
 その意味において、政令により公認会計士・監査審査会の権限が拡大され、協会の報告を待たずに任意に監査事務所に立入検査が行われることのないよう、強く要請したいと存じます。
 協会は、現在品質管理レビュー体制を増強し、上場会社監査事務所登録制度を導入する等、自主規制により公認監査の信頼性確保に精力的に取り組んでおります。財務情報の信頼性の確保は、第一義的には会計監査のプロフェッションである協会の自主規制が中心になって遂行され、行政は自主規制の不足する面を補充するという間接規制が本来の在り方であると考えております。行政当局におかれましては、公認会計士業界の自主規制を充実強化する方向で公認会計士法の改正案が適用されることをお願いいたします。
 バブル経済崩壊後、企業のビジネスリスクが拡大し、これに対応して監査リスクが高まってまいりましたが、こうした監査をめぐる著しい環境変化に公認会計士監査が必ずしも適応できなかったことを反省しております。しかし、財務情報の信頼性確保は、公認会計士の努力のみで達成できるものではありませんので、協会はすべての関係者に対しまして総合的措置を講じていただきたいとお願いしてまいりました。
 昨年六月に成立いたしました金融商品取引法により、内部統制報告書や経営者確認書が導入され、財務諸表の作成者である経営者の責任体制の強化が図られることになりました。また、ここ数年、複雑化してきた企業活動に対応し、会計基準や監査基準も整備されつつあります。協会も倫理規則の整備や品質管理レビュー体制の強化充実等の自主規制施策に取り組んでおります。
 その意味で、財務報告の信頼性を確保する総合的な基盤が整備されつつあり、関係者の御努力と御理解に深く感謝しているところであります。協会は、こうした基盤整備の上に立って、自主規制機能を発揮し、資本市場の信頼性確保に全力を投入する所存であります。
 私の三年の会長任期は本年七月まで残すところあとわずかになりました。この三年間、いろいろな事件が発覚し、社会の批判や期待にこたえるため自主規制策の強化に全力を挙げて取り組んでまいりました。
 私は、長年の監査業務の経験や国際会計士連盟等の経験を踏まえ、会計士監査の信頼性確保には、会計プロフェッションである公認会計士の自主規制にまず基盤を置かなければならないと確信しております。
 今、公認会計士業界は、公認会計士の社会的使命を自覚し、自主規制を強化し、公認会計士監査の信頼性回復に最善の努力をしております。今後とも、引き続き公認会計士業界に対する支援、御鞭撻をお願いいたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#12
○委員長(家西悟君) ありがとうございました。
 次に、山浦参考人にお願いいたします。山浦参考人。
#13
○参考人(山浦久司君) 御紹介いただきました明治大学の山浦でございます。
 本日、公認会計士法改正案につきまして、当委員会で私の意見を述べてよいという機会をいただきまして誠にありがとうございました。
 さて、私の意見の骨子につきましては、お手元のレジュメに述べております。また、本日申し上げたい改正案についてのポイントにつきましても、箇条書でありますけれども、書かせていただきました。順にそれらに従いまして、これより私の意見を述べていきたいと思っております。
 かがみ文にも書かせていただきましたけれども、公認会計士は、正に資本市場の番人として毅然たる姿勢で企業の財務諸表の適正性を判断することが求められております。その意味で、今般の公認会計士法の改正案は、公認会計士の身分的規律の枠組みを強めるとともに、監査業務にかかわる際の責任の在り方を国民の立場に立って一層明確にしたものと理解しております。
 以下、金融審議会、公認会計士制度部会の議論に加わった者としての立場から、今回の法案について、幾つかの重要な点について意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず、第一条の二において、公認会計士が独立した立場において公正かつ誠実に業務を行うことを求められるとしている点につきまして、特に監査業務という視点からは大原則を規定したものと理解しています。また、監査業務がとかく密室の行為となり、それだけに、いったん監査人の判断に誤りがあったのではないかという疑惑が生じますと、監査に対する信頼が一挙に崩れる結果となります。その結果が、株式市場の株価の下落とか日本国の市場に対する海外の投資家からの敬遠とか、いろんな問題となって現れてきますし、また世界的には、エンロン事件の後に発生したような世界的な同時株安と、こういった問題も出てくるわけでございます。
 したがって、独立性は監査人自身の公正な判断を担保するというだけでありませんで、外部利害関係者の監査に対する信頼のよりどころとなる、言わば環境整備規制といいましょうか、公認会計士が監査人として仕事をする上での大原則を規定したものと理解しております。
 また、関連しまして、監査人が監査終了後に監査先企業に就職したりすることは、外部者の目からは公正性を損なった判断があったのではないかと見られますし、また実質的にそのような関係が予定されたりしますと、公正な判断にゆがみが生じる可能性もあります。さらに、監査人間の、例えば先輩、後輩の関係等で圧力が掛けられるおそれもあります。
 そういった意味で、就職の制限規定をこの法案は設けておりますけれども、その法案の規制先が連結子会社等にまで広げられたということについては当然と考えている次第でございます。
 恐らく、この独立性にもう一つかかわってくるのは、今、藤沼参考人からも最初に指摘があったんですけれども、いわゆるインセンティブのねじれという問題かと存じます。これは、公認会計士法の改正マターというよりは、むしろ会社法とかその他の法との関連で検討されるべき問題だと思いますけれども、やはりこういった問題についても総合的に検討されるのがしかるべきかと存じ上げます。
 続きまして、監査法人の組織関連の規制について意見を申し上げます。
 今般、有限責任制の監査法人を認めようとしているのでありますけれども、現実の監査法人の大規模化、これは社員相互の業務監視を不可能にしております。その結果、無限責任制それ自体がかなり非現実的なものとなっております。
 ただ、一般の立場からいいますと、有限責任制が投資家への例えば賠償責任等の免罪符となってはならないわけでありまして、一定の設立条件、例えば最低資本金とか供託金、損害保険の加入制度とか、あるいは指定有限責任社員制、こういったものを併せて規定してこの有限責任制の弱点をサポートしようとしている、この仕組みについては我々評価をしております。
 また、いったん有限責任制の監査法人を設立しても、ガバナンスの確立など一般の株式会社と同様の組織運営の在り方が求められるわけでありまして、これらは更に内閣府令等で細則を詰めていく必要があるのではないかと思っております。
 また、公認会計士の非資格者を特定社員として監査法人に参加させることにつきましては、特に最近の監査業務における高度の専門的知識や技術を求められる現実をかんがみれば、自然の成り行きではないかと考えております。特に、法律関係あるいは高度情報処理技術、ITですね、それとかファイナンス関係とか、あるいは国際税務等々、多様な人材、多様な知識あるいは技術を集結させて、それらを総合して監査業務を実施しなければならないという現実を考えますと、このような人材を集め、また監査法人の運営に参加させるメリットは大きいと考えております。
 もちろん、監査業務が公認会計士のコアの業務であるということを考えますと、こういった特定社員の資本参加についての制限であるとか、あるいは業務に関する制限であるとか、あるいは登録審査等の一定の歯止め、こういったものは必要でしょう。もちろん、これらは更に内閣府令等で詰めていく必要がある点だと思っております。
 続きまして、業務管理体制でありますけれども、監査法人がより現代的な組織に生まれ変わるためには、一流企業並みのコーポレートガバナンスの体制、リスクマネジメントを含めた内部統制の構築と運営、その上でのしっかりした品質管理システムの確立が求められるわけでありまして、その意味で、業務管理体制の充実をより強く求めることにしたのは歓迎されるところであります。特に有限責任制の導入との関連で申し上げましても、こうした内部管理体制の充実に関する改正提案は、監査法人の社会的責任の一環としても特筆されるところであります。
 その他としまして、一つだけ私見を申し上げますと、実は、公認会計士法というのはこれまでかなり継ぎ足し継ぎ足しで規定の充実を図ってきております。監査法人関係の規定が第三十四条関係でまとめられているのでありますけれども、条文の構成が、例えは悪いのかも分かりませんけれども、古い旅館の増改築みたいな姿になっておりまして、是非とも次の改正では通し条文にして整理を図っていただきたいなと、こう思っている次第でございます。
 続きまして、ローテーションの問題であります。
 上場会社については、今、藤沼参考人から御紹介ありましたけれども、五年の執務期間、そして五年のインターバルという形に改正案は持っていこうとしているわけで、これが長いか短いかという点につきましては、私自身は実務家ではありませんので定かではありません。ただ、基本的には、定期的にフレッシュな視点で監査体制を組み直すこと、これは監査の品質管理のために必要と考えております。
 ただ、一点、このようなローテーションが現実的ではない小規模な監査事務所については実は悩ましい問題が残るのでありまして、事実上このローテーションというのは、大規模な監査法人、大規模とまで言わなくてもある程度の規模の整った監査法人でしか動かないということにつきましては、例えば中小の監査事務所について、会計士協会が品質管理レビューやあるいは業務に関する審査のあっせんといったものでサポートするとともに、例えばローテーションが組めるような一定の規模にまで誘導するといったことも一つの方策かと思います。
 いずれにしても、このローテーションや品質管理体制など、大手法人の管理強化と比べて小規模な監査事務所が見劣りすることも事実でありまして、この点、今後の制度改革の課題となるのではないかと私自身は思っております。
 続きまして、説明書類の縦覧と外部監査の問題であります。
 監査法人に与えられた監査業務の独占的権限の付与の見返りとして社会に対して説明責任を果たすということは、監査法人の責任の一つと理解しております。また、今般、有限責任制が導入されますと、一般の株式会社と同じく法人内容の開示と、一定規模以上の法人については計算書類の外部監査が求められるのも、これも当然ではないかと思っております。現実問題として、大手の監査法人の組織規模は、かなり大きな企業と、株式会社の組織と大差ないぐらいの業務内容を持っておるわけでありまして、そういった視点からもやはり開示責任というのはもっと強化されていくべきではないかと思っております。
 ただ、一般の株式会社と異なりまして、取引の相手とかあるいは外部利害関係者の範囲とか種類、それから利害関係の中身も違いますので、開示内容については今後府令で詰められるべきものと考えております。
 続きまして、行政処分の多様化、それから課徴金の問題でありますけれども、これについても先ほど藤沼参考人から御指摘ありました。現在の法律では、戒告、登録抹消、あるいは業務停止、解散命令、こういったものがありますけれども、やはり今般の旧中央青山監査法人の処分に見られますように、なかなか大手の法人についてはこの行政処分の体系では思い切った手をちゅうちょすることもあり得るのかと思います。そういった意味では、もう少しシームレスに行政処分の体系を組み立てるといった意味で、業務改善命令を間に加える、そしてさらに経済的な制裁として課徴金制度を入れるということにつきましては、自然の成り行きではないかと思っております。
 これに関連しまして、課徴金の金額について、これについては、これが多いとか少ないとか、そういったことを私自身は特別な見解を持っているわけではありませんけれども、今後、この課徴金制度の実際の運営状況を見まして更に検討を加えられる余地があるのではないかと思っております。
 それから、公認会計士制度部会で刑事罰の問題が取り上げられました。
 部会では賛否両論がありまして、今回の改正法案にはこの刑事罰は盛り込まれておりません。少なくとも、刑事罰がなくとも実際に大手の監査法人が自主解散まで行ったという、こういった例もあることからすれば、慎重論ということは現時点では正解ではなかったかと思います。
 ただ、これについても、やはり今後の実際の監査をめぐるいろんな事例等をかんがみまして、先々また検討を要することになるのではないかと思っております。
 それから、最後でありますけれども、その他として二点挙げさせていただきたいと思っております。
 一つについては、公認会計士・監査審査会の在り方でありますけれども、特に監査法人の監査業務に対する品質管理の会計士協会によるレビューに対するモニタリングという位置付けであります。
 この監査業務の社会的な位置付け、影響度、品質管理に失敗した場合の経済的な影響度、そういったものを考えますと、この審査会の権限の範囲についても、単にモニタリングだけでなく、それを超えて直接の立入検査とか、そういったことまで入っていくのも一つ方向性としてあり得るのかなと思っております。ただ、やはりそれにも増して、日本公認会計士協会の自主規制と合わさって、監査業務に対する間接的な監視機能の向上、これがやはり将来的には必要とされる点ではないかと思っております。
 最後でありますけれども、私自身、会計大学院の運営に携わっている者の立場から一言お願いを申し上げたいのは、ますます今後、公認会計士のスキル向上と数の増大が望まれるわけでありますけれども、今回の会計士法の改正案には試験制度等は入っておりません。この点、今後の試験制度改正の折に是非とも会計大学院の教育体制、これを一層活用する方向で御検討いただけたらと思っております。
 以上、私見でありますけれども、法案についての意見を申し上げさせていただきました。
#14
○委員長(家西悟君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#15
○中川雅治君 藤沼参考人、山浦参考人、大変貴重な御意見を拝聴いたしまして、今後の審議の参考になります。どうもありがとうございました。
 それでは、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今回の公認会計士法の改正で残された課題の一つは、先ほどから両参考人のお話がございましたように、いわゆるインセンティブのねじれの問題の解消あるいは克服であるというふうに思います。
 昨年五月施行の会社法では、監査報酬などをめぐり、監査役に新たに取締役の提案への同意権を与えたわけでありますが、提案権と同意権を入れ替え、監査役権限を強化すべきだとの声は少なくありません。このようになれば監査人が監査役の負託にしっかりこたえることができるようになり、私もこうした形が望ましいというふうに思っております。
 先ほど本会議で民主党の尾立委員から、この点、法務大臣の方に質問がありました。本日の長勢法務大臣の参議院本会議での答弁では、昨年施行の会社法によってどうなるのか、ちょっと様子を見てそれから判断するというようなことでございまして、一刻も早く会社法の改正をするんだと、こういうような状況ではないというふうに受け取ったわけであります。
 このせっかくの機会でございますので、両参考人に、これはやはり会社法の問題だというふうに私は思うわけでございますが、その点をもう一度確認していただきたいということと、一刻も早く改正すべきであると、こういうふうに主張されるのかどうか、この委員会の場で明確に御見解を出していただいたらどうかなというふうに思います。両参考人にお伺いしたいと思います。
#16
○参考人(藤沼亜起君) どうもありがとうございます。
 私ども監査人にとって、独立性というのは業務を実行する上でバックボーンになるものだと思っております。企業が財務諸表を作成すると、それを公平な第三者の立場として、独立した会計専門家がその財務諸表のユーザーの利益を考えて、基本的に独立の立場で監査証明を行う。したがって、監査人は企業のお抱え会計士ではないわけでございまして、その辺のところの原則をきちっと維持することが大事なのではないかというふうに思っております。
 今回、会社法の関係で、企業のガバナンスに関係することだからこれは会社法の世界だということなんですけれども、やはり監査という立場からはこの問題を避けて通ることはできないのではないかというふうに思っております。監査を、仕事をする上で会社の経営者と財務諸表の修正事項を議論して、これを認める認めないという議論をした後に監査人の選任の問題だとか監査報酬の決定の議論、これを経営者でやると、これ完全にやはりインセンティブのねじれがあるというふうに思っておりまして、これは資本市場がますます重要になるこの日本の中で、このインセンティブのねじれは緊急に解決していただきたいというふうに私は思います。
 それと、あと監査役でございますけれども、一般論で言えば、監査役の人事というものは、企業の全体的な人事の中で決められているということがありまして、監査役の適格性といいますか経営者からの独立性の問題、あるいは専門性の問題、強いて言えばその監査役をサポートするスタッフの充実度の問題、こういうものも一緒に解決していただかないと、本当の意味でのガバナンス強化、会計監査の充実というところに向かわないのではないかというふうに思います。
 以上でございます。
#17
○参考人(山浦久司君) 基本的には藤沼参考人と同じ意見であります。
 特に、日本の企業のコーポレートガバナンスを考えますと、本来、株式会社というのは株主の所有物でありまして、株主が基本的な方針、経営方針等々、それから人事も含めて決定すると。そのために株主総会があるんですけれども、長い慣行の中で株主総会が事実上形骸化しているという指摘も多々なされます。
 そういった中で、このインセンティブなねじれを克服するために、監査役の独立性を更に強化する、実はそこまで行ってもなおまだ問題が残るというのは、やはり今、藤沼参考人の方で御指摘があったように、監査役の選任そのものについてまた経営者からのいわゆる独立した立場の選任が保たれるかどうか、そういった意味でやっぱり非常に悩ましいというか、芋づる式にいろんなところに波及していく問題であります。
 当面の解決策として、一歩一歩という意味では、監査役の報酬等を含めた監査役と直接の交渉、そして監査役からの提案権まで、まずそれが一つ、第一歩かなと。それで完全に解決するというふうには私理解しておりません。
 以上でございます。
#18
○中川雅治君 ありがとうございました。
 次に、監査の充実を図り、監査に対する投資家等の信頼を向上させるためには、違反行為や不適切な監査が行われた場合には制裁といいますか行政処分をしまして、同時に損害賠償を含めて責任の追及をしっかりしていかなければならないというふうに私も思うわけであります。しかしながら、一方で、公認会計士や監査法人が負う責任とかあるいはリスクといいましょうか、これが余りにも過酷というか膨大なものになる場合には、公認会計士という職業自体が敬遠されてしまうということにもなりかねないというふうに思うわけであります。
 今回の改正で課徴金制度が創設されるわけでありますが、運用で課徴金制度が余りにも厳しいものになったり、あるいはあいまいな運用になってどういうふうになるのか分からないというようなことになりますと、これは非常にリスクが大きい職業ということになりますし、またこれから訴訟で、公認会計士や監査法人に莫大な損害賠償額が裁判で確定していく、こういうことも予想されるわけなんですね。それがもう余りにも莫大で、もう到底支払能力を超えるようなそういう額になるというような、リスクが非常に高いそういう職業だということになりますと、角を矯めて牛を殺すといいますか、そういう結果にもなりかねないと思うわけであります。
 よく、産婦人科のお医者さんが訴訟リスクが高いということで敬遠されて、今、産科のお医者さんが不足をしているというようなことが社会問題になっているわけでございますが、そんなようなことが公認会計士の世界にも起こってくるということになると、私はこれもまた問題だというふうに思うわけであります。
 この点についての日本公認会計士協会としての御見解といいますか、あるいは藤沼参考人としての御意見があればお伺いしておきたいと思います。
#19
○参考人(藤沼亜起君) 今、監査の現場では、特に現場を預かる若手の会計士、かなり夜遅くまで、十一時、十二時ごろまで仕事をして、特に監査調書の整理とか、文書化に非常に追われておりまして、そういうようなことでかなり長時間労働ということが言われております。
 実は会計士協会は、こういうような若手の会計士、特に職場離れが起こっているという話があるものですから、これは、公認会計士協会の会長とあと大手の監査法人の理事長が共同声明という形で、いわゆる監査の担い手である会計士の職場離れが起きないようにということを訴えたということがありまして、そこの原因を探ってみますと、一つはやっぱり全体的な面でやはりこのごろ粉飾事例等が非常に多かったというようなことと、みすず監査法人の自主的な解散というようなこともあると。そういう中で公認会計士の監査、役割は非常に重要だということは分かっているんですけれども、それと見合いの報酬があるかどうかとか、そういうような問題、要するにリスクと自分たちの業務から得られる報酬とを考えて、結構若手の一部にはある程度悲観的な感じになっている人たちもいるということは事実でございます。
 ただ、今回の改正案の中で良い点は、有限責任制が導入されるという改正案になっておりまして、これについては、従来までは無限連帯責任という、ほかの諸国ではないような制度が残っていたという、これが有限責任になるということで、監査法人の社員で業務に直接関係ないんだけれどもそれに巻き込まれてしまうというリスクがなくなったという面では、これはいい方のことではないかなと。
 課徴金のことは、これは有限責任との引換えみたいなところがあるとは思うんですけれども、これは運用方法を公平に運用していただきたいなということは思っていまして、この課徴金はある程度必要ではないかというふうには感じておりますけれども。といいますのは、刑事罰の適用とかあるいは業務のいわゆる停止ということになりますと企業を巻き込んでいろいろ社会的な混乱が大きくなるものですから、そういう面では、課徴金というのは監査法人だけということになりますので、もちろん企業にも課徴金が科されるとは思いますけれども、そういう面である程度限定されるということではいいんですけれども。
 課徴金が悪意の場合一・五ということで、通常は悪意で虚偽記載に荷担するというのは非常に例外的なケースだと思いますので。ただ、過失でもって監査上の問題を発見できなかったというような場合に課徴金を科すという場合に、課徴金の今のつくりが、単独でも課徴金を出す場合もあるし、あるいはほかの行政罰と重複しても出せるという形になっておりますので、例えば戒告ぐらいな比較的軽微な過失の問題でも課徴金が科されてしまうというような運用をされますと、特に中堅とか中小の事務所は、逆にそれにおびえてしまって監査をしない方がいいんじゃないかと。というのは、監査報酬というのは基本的に人件費ですから、自分がそれでもって生活しているだけの話でございますので、それが持っていかれるということは生活できなくなってしまうというようなところがありまして、これはルールを、量刑のルールを明確にしていただいて、公正に運用していただきたいというふうに思っております。
 あと、損害賠償なんですけれども、これは海外では損害賠償は非常に多くて、欧米の特に監査訴訟が多いところについては、全体報酬の一八%ぐらいがリーガル関係のコストであると、こういうふうに言われているわけです。これは弁護士費用とかいろんなコストも入った上で、売上高の一八%ぐらいがリーガルコストであるという。
 そういうところにまだ日本は行っておりませんけれども、現在、公認会計士協会が中心となって行っております職業損害賠償保険、これはこの二、三年ずっと赤字続きでございまして、保険料が上げていかなくてはいけないというようなことになっておりまして、そういう面では、将来的には、イギリスとかオーストラリアの議論にあるように、キャップ制の問題だとか分割責任制度とか、そういうようなことを議論しなくてはいけないことが将来出てくるかも分からないということで、これについてはやはり会計士の後進育成という観点からも将来の検討課題であるのではないかと、そういうふうに思っております。
 以上でございます。
#20
○中川雅治君 ありがとうございました。以上で終わります。
#21
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。
 今日は藤沼会長、山浦参考人、どうもありがとうございます。
 私の方から、インセンティブのねじれということではもう大分お話も出ておりますし、今日、本会議でも質問させていただいたので、若干そこは飛ばしますが、一番やはりこの部分が根本的に解決されない限り、なかなか企業の粉飾決算というのも本当の意味でなくなっていかないんじゃないかなと、こういう思いを持っておりますことをまずお伝えをしたいと思います。
 それと、もう一点。この資本市場の、山浦先生、番人とおっしゃったわけですが、当然この企業と監査人との間にも監査市場というかマーケットがあるのが私は健全だと思っておりまして、企業の成長とともにそれにふさわしい監査法人が選べるといいますか、お願いできると、こういうのが健全ではないのかなと、こう思っております。
 そういった意味で、これまで四大監査法人が上場企業の八割近くを占めておる、いわゆる寡占状態になっておったわけなんですけれども、これを何とか、やはり企業のライフステージといいますか、成長に合った形で監査法人がパートナーとして組んでいけるような、こういうのが大事ということでございます。
 そこで、今回の会計士法の改正の中にはちょっとその視点が欠落しているんではないかと。つまり、金融庁の方ともお話ししておりますと、もうこの寡占化の流れというのは世界的な潮流で食い止めようがないんだぐらいのことをおっしゃるわけなんですね。私はそうじゃないと思います。一歩進んだ世界の流れは、やはり寡占化していくとどうしても監査の継続性という意味で問題が出てくるので、やはり中小監査法人もしっかり育てていこうというのが大きな流れになっていると思うんですけれども、そのためにどうすればいいのか、どういう具体的な対応があるのかと。
 先ほど、ローテーションなんかで若干中小監査法人への配慮が必要だみたいなお話もございましたけれども、両参考人にこれから我々がそういう点で考慮していくべき中小監査法人育成の方策、具体例を御提示いただければと思います。
#22
○参考人(藤沼亜起君) 日本の中小事務所の問題というのは、これは海外比較しても、海外でも寡占化はしていますけれども、多分日本の方がもうちょっと悪い状況ではないかというふうに思っています。
 といいますのは、これは昨年のデータなんですけれども、五百億円以上の売上高がある四大法人、これは解散を決定しました中央青山も入っているわけですけれども、大体それぐらいの規模なんですけれども、その後がいきなり十億から二十億が三法人ですか、それと、その後が五億から十億が三法人ぐらいと、合計で五億から二十億が五法人ぐらいしかないという状況でございます。
 これがあらた監査法人が新たにできまして、そういう面では百億とかそれぐらいの事務所が一つできたわけですけれども、それと、あと中堅の事務所が合併をいたしましてもう少し大きくなったという程度で、この中堅の事務所の受皿がないという状況があります。これは深刻な問題でございまして、せめて五十億ぐらい、できれば百億ぐらいの事務所が四、五個あれば、監査法人の大手が何か問題があったときにも受皿になれるということだと思うんですね。そういう面で、中小の事務所の育成が非常に重要ではないかというふうに思っております。
 これは、一つは今の状況で、これは大手法人側に一つこれはお願いしていることであるし、また大手法人もそれはそのとおりだというふうには言っているわけですけれども、一つは大手が大から小までいろんな監査の契約をずっとやってきてしまったということがあります。大学の、いわゆる学校監査のことでも独法というようなことでも、大手がやり過ぎて非常に安い金額で仕事を引き受けてしまったみたいなこともあります。
 そういう面で、大手が本来注力しなくてはいけない、公開会社でしかも大規模、できれば国際的な事業を営んでいる会社、こういうようなところをメーンにやって、むしろ中小に、国内の事業で中小の事務所でも担当ができるというような業務を、ある程度仕事のすみ分けをするようなことができれば非常に中小の方でも仕事ができていくようなことになるのではないかと。今、大法人も、御存じのように、来年から内部統制の仕事、四半期報告というようなことがありますので、ただでさえ忙しい状況でございますので、その可能性はあるのではないかというふうに思っております。
 あと、中小事務所自身が、今回有限責任ということになりましたので、かなり合併の意欲が出てきているのではないかというふうに思っておりまして、私どもは、中小の事務所の合併というものを進めていきたいというか、協会が勝手に合併しろと言うわけにいきませんので、これは推薦したり、あるいは促進させるような施策を取っていきたいというふうに思っております。
 あと、中小事務所はやっぱり人手というか人材不足なところがありますので、業務をきちっと監査していく上で、やっていく上でやっぱり足りないところ、あるいは協会としていろいろ支援しなくてはいけないことが出てくると思いますので、公認会計士協会としては、中小事務所等施策調査会というものをつくりまして、中小事業向けのいろんな監査ツールを作ってやるとか、そういうような施策を一方やっておりまして、中小事務所が監査の品質管理のレベルアップができるようなことを今一生懸命やって、中小事務所の強化を図りたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#23
○参考人(山浦久司君) 我が国の監査法人の現状は、ある意味ではこれまでの日本の監査制度の歴史的な背景がどうしてもこのような状況になったんじゃないかと思うんです。
 と申しますのは、我が国では外部監査というのは、最初は証券取引法監査ということで上場会社クラス、やっぱり大きな会社です。それから、その次に入ったのが商法の会計監査人監査と、やっぱりこれも大会社ということで大きな会社。そういう大会社を監査するというのが我が国の監査制度の仕組みの根本にあったために、どうしても組織化といいましょうか、監査業務を的確に行うためにはある程度の人の規模も必要ですし、それから、例えば海外に企業が業務展開をすると、それに合わせてネットワークを使って監査法人が、そういったネットワークに入った監査法人はどうしても有利になっていくとか、そういう言ってみれば監査制度の背景がベースにあると思うんですね。その意味では、むしろ我が国の中小、特に小規模な事務所あるいは監査法人というのはむしろよくやっているなというぐらいの理解を持っております。
 ただ、今後もっと市場化が進む、それから公認会計士の監査がもっといろんな各方面に浸透していくと、単にこれはもう制度だけじゃなくて任意の監査としてもいろんな分野に入っていくと。となりますと、この今の監査法人の体制はもっと専門分野に分かれていって、もちはもち屋といいましょうか、例えばITに強い監査人が集まった監査法人があるとか、あるいは起業、つまり会社を起こす段階での、そういったところへのアドバイスに優れた、そういった視点を持ち、非常に強くサポートするような能力に優れた監査人が集まっているとか、いろんな意味での分野別の専門家が入ってくると思うんですね。
 少なくとも、今、藤沼参考人が指摘された、大手の法人がかなりの部分の監査業務を担っているという現実は、個人的な見解ですけれども、先ほど申しました、これは制度的な背景をベースにしている。ただ、今後、我が国の監査の広まりの方向次第では、中小の事務所の方にむしろいろんなタイプの事務所ができてくる可能性があると思っております。
 むしろ、その中で監査の品質を含めたしっかりした監査体制を求めているわけでありますので、それはどの程度の規模が適正なのかというのは、実はこれまだ検証されていないんですね。ただ、少なくとも小さなところでは今求められているような監査の品質を保つというのはなかなか難しいと思うんです。ですから、先ほど私、冒頭の参考人意見ということで申し上げたのは、その欠陥をサポートするために、例えば会計士協会が審査の代わりをするとか、またそういった仲立ちをするとか、あるいは品質管理レビューでもってある程度のリーダーシップを発揮するとか、そういうことでもってこの中小の法人を育成していくということもやっぱり一つ大事なことかと思っております。
#24
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 それで、あとそれぞれに一問ずつお聞きしたいんですが、藤沼会長には、実はインセンティブを、ねじれもそうなんですが、いつも会社法をどうこうという話が出てきて、会社法の改正がなされない限り望ましいガバナンスができないと、こういうことになっているわけなんですけれども、公開会社と未公開会社では随分要請されるクオリティーというか、ガバナンスの質を含めて違うという前提で、我々、今、公開会社法というものをいっそのこと準備した方がいいんじゃないかと、まだその中身はここで御提示するというわけではないんですけれども、そういった考え方が必要な時期に来ているんじゃないかなと思っておるんですけれども、会長の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#25
○参考人(藤沼亜起君) これは私の個人的な意見でございますけれども、やはり海外では公開会社、パブリック・インタレスト・カンパニーと、アメリカなんかはそういうふうに言っているわけですけれども、株主等、やっぱりステークホルダーが多い上場会社とそれ以外の会社というのはやはり分けて考えるべきだという考え方があると思うんですね。
 そういう面で、今回の公認会計士法の改正の議論の中で、金融審議会の中でも、やはりインセンティブのねじれは公認会計士法の中で解決することができればということで、これは皆さんいろいろと努力したわけなんですけれども、やはり会社法という、いわゆる法人の組織形態を扱う法律があるわけですからそちらの方でということで、何か政府の法律の中で非常に、きちっと法律案を作るという段階でやっぱりこれは法務省管轄、こっちは金融庁管轄と、こういうようなところのが若干いろいろジレンマがありました。
 そういう面で、私は尾立議員のおっしゃるように、個人的な意見でございますけれども、公開会社法というものがあって、そこで法人のガバナンス等を議論するというのは必要なことではないのではないかというふうに思っております。
#26
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 最後に、山浦参考人に。たくさんの生徒さんというか学生さんを教えていらっしゃると思うんですけれども、若い人たちが意欲を持ってこの業界に入ってこないような状況はよろしくないわけでございまして、是非動機付けをしていただきたいと思いますが、その中で、公認会計士試験制度の話を少しさせていただきますと、十五年の改正ですか、試験制度が大胆に変わりまして、一般教養といいますか、以前は大学教養程度というような縛りがあったと思うんですけれども、今はそれが外れたという点で、それで果たして本当に間口が広がったのかということ。私は、逆に変に試験ばっかりできる人が、特訓をして試験には受かるけれども、一般常識なり教養がない人がこの業界に入ってくるのは私はそれは良くないことだと思っておりまして、その辺の御心配がないのかということと、もう一つ、今、法科大学院、弁護士になるためにはこれはもう義務付けられるようになりますが、会計大学院はそういう位置付けではございません。この問題点というか、この制度ができてお感じになっている部分があったら教えていただきたいと思います。
#27
○参考人(山浦久司君) ありがとうございます。
 まず、今日、会計士が監査業務をコアとしますと、監査業務を実施するためには実にいろんな教育の背景が必要なんですね。その教育背景につきましては、やはり大学の教育というのは私はもう捨て難いし、是非とも必要だと思っております。また、そうでなければ、恐らく高度に発達した企業を、それを独立の立場から、また倫理観を持って監査を実施するというのはまず無理ではないかと。そういった意味では、やはり大学教育の大事さというのは是非とも試験制度の中にも反映させてもらいたいと思っております。
 それから、実は今、公認会計士の試験のレベルなんですけれども、従来、大学卒業、学部の卒業ですね、その程度ということであったんですけれども、現実問題として、今出されている出題の内容は、これは大学の学部じゃ無理なんです、教えるのが。
 例えば、一つの例を取りますと、財務会計の基準だけを取りましても、専門学部の例えば二年間ぐらいではとても教え切れません。結局、現実の試験のレベルが大学卒業プラスアルファというのが実際でありまして、そのプラスアルファの部分を今まで専門学校が担っていると、教育をですね。そして、反復訓練しながら受験生が合格を目指していくという。で、大体平均しますと一年から一年半ぐらいを余分に勉強しているわけです。その部分を会計大学院はもっと体系的な、しかもこういう高度の専門職業人に必要な教育内容を教える。例えば、一つの例ですけれども、英文の財務諸表を書ける、読める、そして英文でもって例えばコミュニケーションとか、そういったものができる、海外の投資家とですね。そういったときにメッセージを送ることができると、そういったことを要するに保証しようとするような試験制度じゃないわけですね。
 ですから、実際は今、一つの例なんですが、例えばIT関係とか今の法務関係とかファイナンス関係とか、もういろんな高度の知識なりスキルなりが必要な中で、今のこの試験制度の在り方というのはやはりそれを担保するようなものになってない。それを担保しようとするのが会計大学院でありまして、できるだけ会計大学院レベルまでの能力を備えた人がこういった専門職業人として育っていくということがやっぱり必要ではないかと思っています。
 最後になるんですけど、私どもの学生だけを見ましても、決して会計士になることを嫌がっておりませんし、むしろ希望を持って勉強に励もうとしております。これは、会計士という仕事の役割といいましょうか、重要性を学生自身がよく分かっておりまして、今の反面教師といいましょうか、こういった事件が起きれば起きるほど会計士の仕事って大事なんだということを理解しておりますので、そのリスクというか、報酬に見合ったそういったものが確保できればもっと学生は希望を持って入っていけるんではないかと思います。
#28
○尾立源幸君 ありがとうございました。
#29
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。
 今日は両参考人、本当に貴重な時間、ありがとうございました。短い時間でございますけれども、何点か質問させていただきたいと思います。
 最初に、昨年六月三十日に、公認会計士・監査審査会ですか、新しい組織できて、四大監査法人の品質管理についてその結果が報告されたわけでありまして、その中身は非常に私たちにとってショッキングなもので、四大監査法人についても、もうすべてが今の社会の求めている良好な品質基準を満たす監査法人はただの一つもないと、こういう非常に厳しい結果でございました。
 四大監査法人がそういうことであるとすると、中小監査法人も含めて、本当にこの現状を率直に申し上げて、両参考人、どのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#30
○参考人(藤沼亜起君) 昨年の六月末に四大法人の検査結果が公表されました。特に、検査結果で焦点が当てられたのは、四大事務所の業務運営体制が問題であるということで幾つかの指摘を受けたわけですけれども。
 監査法人側にも、業務運営体制という面では、やはり監査法人というと、法人という名前が付いていますから、企業と同じようにやはり大小の、一般的には理事長というようなことまで言っているわけですけど、トップがいて、その下にきちっと組織立った業務運営・管理体制が整えられていると、こういうことであるべきだったんですけれども、やはり監査法人の歴史で、合併というもので大きくなってきたという歴史がある。と同時に、地方事務所も、地方事務所を監査法人に参加してもらうと、そういう形で事務所がどんどん大きくなっていったと。こういうような途中経過があって、必ずしも全国一律の業務管理体制になっていないというような部分があって、東京は東京、大阪は大阪だとかという形でばらばらみたいなところがあったということは事実でございます。
 そういう面で、今回、業務改善指示が金融庁から出ましたので、それに合わせて各事務所も業務管理体制を一本化した形できちっとしたものにしようということで改善策、昨年から一年掛けてやっておりまして、その改善の状況を金融庁にも最近報告したという話を聞いておりますので、そういう面では、厳しい指摘であったと思いますけれども、業務体制の改善のための大きなかじ取りができたということで、今かなりそういう点では進歩が、改善が図られているのではないかというふうに思います。
#31
○参考人(山浦久司君) 御指摘の点につきましては、二つの面を考える必要があると思うんです。
 一つは、品質管理基準そのものが生まれて間がないということですね。なかなかこの考え方なりこの仕組みなりを監査法人が導入するためにはまだもう少し時間が必要だったのかなと思っております。したがいまして、昨年の段階では二年目まで行かない状況で、やはり無理ないなという気が最初の報告書を見まして感じた次第です。
 それからもう一点は、監査法人の性格なんですけれども、今、藤沼参考人が御指摘もありましたけれども、今の監査法人というのは、ある意味じゃ個人の士業の方々の集まりなんですね。ましてや、さらに無限責任制で、さらに合併に次ぐ合併を続けて今日のような形になってきたという意味では、ある意味では一匹オオカミ的な方々が集まっていらっしゃるという点も確かなんです、特にトップクラスの監査人の方々はですね。そうしますと、一つのセクションでもって一国一城という形で、なかなか組織横断的あるいは体系的に品質管理のための改編というか改組をすることが難しいというのが現実なんですね。ですから、そういった意味では公認会計士・監査審査会のああいう報告が出たのは正にいい機会というか、あれが突破口になりまして品質管理の改革を進めていければ、それは良かったなと思います。
#32
○峰崎直樹君 むしろ藤沼参考人からそういう話が聞けるかなと思ったら、むしろ山浦参考人の方からお聞きできて、つまり、今の公認会計士業界の構造的な問題点というのは、どうもそういう独立独歩の会計士さんを中心にして、それも寄せ集めと。一部トーマツという監査法人の東京はそうでないんだというふうにある本でちょっと読んだことがございますけれども。そういう意味での、そこが直らないと、あるいはそこにメスが入らないと、この品質管理基準というのも直っていかないんじゃないかなという思いをちょっとしてたんで、今の山浦参考人のお話聞いていてなるほどなと思ったんですが、藤沼参考人、今の指摘についてはどのように考えておられますでしょうか。
#33
○参考人(藤沼亜起君) 山浦参考人のお話のとおりの部分があると思います。そういう面で、これは弁護士事務所、弁護士法人もそうなんですけれども、やっぱりプロフェッショナルですから、当初の形はそれぞれが仕事を持ち寄って監査法人をつくったという経緯があります。だから、それが部門別に一塊のグループができるとか、地方事務所は地方事務所でできるというような、そういう歴史を抱えているということが事実でございます。
 ただ、昨年の末の時点でいろいろ厳しい御指摘を受けました。ただ、監査事務所の品質管理という基準というものが、山浦参考人のお話で明らかになりましたように、比較的最近の基準でございまして、事務所がそれを基本的に事務所の中の組織体制に入れていくという、そこら辺の時間の問題があったのかなというふうに思っておりまして、それとやっぱり、東京と先ほど大阪と言いましたが、大阪とは違うとか広島とは違うとか、そういうようなところもありまして、それは昨年の検査報告が出た、それをベースに各事務所、大胆な見直しを今進めているところだと思いますので、これはそれなりに対応できるのではないかというふうに思っております。
#34
○峰崎直樹君 そうすると、そういう現状で、今改革途上だと。とすれば、ちょうどアメリカのサーベインズ・オックスレー法が終わった後に、アメリカはPCAOBですか、それをつくって体制を強化していますよね。見ると、日本の公認会計士・監査審査会の体制は、検査官が大体四十名前後だと。一方で、アメリカの方はこれまたけたが違って数百名と。
 だから、そういう意味でいうと、日本のいわゆるこれまで大蔵省の護送船団行政の下で進んできた監査、まあ残高証明を取るようなものだというぐらいにしか思われていなかった、ちょっとそれは言い過ぎたかもしれませんが、そういう公認会計士業界をこれはやっぱり相当やはり厳しく、きちんとやはり監査、審査をしていくという体制の強化が求められているというふうに思うんですが、この点、両参考人、どう思われますでしょうか。
#35
○参考人(藤沼亜起君) アメリカは、確かにエンロン、ワールドコムの以降の後、企業改革法というものができまして、監査規制という問題では、PCAOBという組織ができたわけです。これは、もちろんこの監視委員会がかなりの数のいわゆる職員を擁して、そこの中に多くのCPAが、何百人というCPAがいるわけですね。
 アメリカの場合には、日本と違ってこれは全世界にこれは網を掛けるということですから、何もアメリカだけの上場会社ではなくて、アメリカの資本市場で資金調達している会社の監査をしている事務所は全部登録しなくてはいけない。と同時に、アメリカの資金調達している会社の海外の子会社、その会社の監査をしている事務所もPCAOBのレビューの対象になるということで、スコープが物すごく広いんですね。だから、そういう面で、アメリカの場合には今、日本の事務所のレビューをやろうかというような話、やっているという話ですけれども、日本語対応の職員がいると、CPAがいるとかということで、そういう面では大きく、いわゆる量と資金的な面でも人的な面でもかなり大きな組織になっていると。
 日本は、御承知のように、アメリカみたいに会計士が三十五万人もいるということではありませんので、日本は一万七千人のCPAと、あと六千人ぐらいの準会員でございますので、その中で、監査するところに仕事が欲しいのに監視される方にCPAをそんなに一杯やっていると監査する人がいなくなってしまうという、こういう問題がありますので、やっぱり対応方法は違うよりしようがないんではないか。
 では、いかに効率的にできるのかということは、やはりそれは会計士業界の自主規制がまずきちっと機能して、それを効率的に監視するシステムが一番よろしいのではないかというふうに我々は信じているわけでございまして、そういう面で、協会の品質管理レビューをやった上で審査をして、問題があれば報告徴求なり立入検査をする、こういうシステムが一番効率的ではないのかと思いまして、今そのような形で運営されているのではないかというふうに思っております。
 それとあと、自主規制の大事なことは、特に先ほど中小事務所のことについてお話ししましたけれども、やはり監査の現場に行って、監査事務所に訪問していろんな問題点を発見すると、中小事務所自身がどういうことをしたら業務改善できるのか、そのツールを協会で準備してやらないといけないんですね。そういうふうにしないと、やっぱり中小事務所の監査のレベルもアップしていかないんですね。だから、そういう面で自主規制で品質管理レビューして、それで問題点があればそれはもちろん指摘するわけですけれども、それと同時に、放っておかないで、それに対応したサポートもしてやるというツールを作ってやると、こういうようなことで品質管理の向上につなげたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#36
○参考人(山浦久司君) まず、その公認会計士・監査審査会の検査部門の適正規模というのはどの程度かというのはちょっと判断しづらいんですけれども、ただ絶対的な数からしますと、PCAOBの数に比べれば確かに少ないです。
 それで、例えばイギリスであるとか、あるいは今般、EU全体での統合的な監視機構の組織が動き始めたんですけれども、そこに属している各国の監視機構の検査員の数、そういったものと比較しまして、日本の審査会の検査員の数が少ないかというと、必ずしもそうではないと思います。むしろ逆に言いますと、アメリカの方が突出しているなという気がします。
 その上で、やっぱり審査会のレビューの対象というのは上場会社を監査する監査法人であると。その上場会社の数を比較しますと、やはり日本というのはかなり大きな数になっておりまして、それを監査する監査人もたくさんいる。ただ、絶対数は確かに少ないんですけれども、少なくともそういう上場会社の数は多いと。そういった意味では、今の体制で十分かというと、もう少しあってもいいんじゃないかなという気はします。ただ、それがじゃどの程度かというのは、私自身としてはちょっと判断付かないということでございます。
#37
○峰崎直樹君 まだまだたくさん、監査難民の問題とかいろんなことで聞きたいことがあるんで、特に藤沼参考人にはまた法案審議のときにも参考人として出ていただければ、恐縮なんですが。
 今日最後に、多分質問の最後になると思うんですが、監査報酬のことでお聞きしたいんですが、公認会計士協会がお調べになった監査報酬を調べてみますと、十億円未満の売上高の企業、要するに小さな企業というか、上場企業ですけれども、そのときに、単独決算の場合が三百八十四万円、連結で八百十九万ということで、十億円未満の売上高の企業はそういう金額と。で、一兆円を超すと、これは連結決算でございますが、平均で九千五百五十一億五千万、一兆円を超えてないんですね。
 藤沼参考人はたしか世界的な国際的な会計士協会の会長さんもやられていたんですが、この水準をずっと見て、今、最低のところと最高を見たんですけれども、どうも一兆円を超すような巨大なコングロマリットといいますか、国際的な企業は、これは言ってみると非常に、九千五百五十一万五千円と──ごめんなさい、さっき変なけたを言いましたけれども、一億円、監査料超えてないですね。これはべらぼうに安いんじゃないかなという気がするんですが。また、売上高が十億円未満も単独決算だけど三百八十四万と、これ本当にこの監査でやっていけるのかなというふうに思うような監査なんですが、この監査料の国際的なレベルから見た現状を見てどう思っていらっしゃるのか。
 それと、昨今のいわゆる不祥事が起きてきている会社ですね、粉飾決算とかその他起きている会社を見ると、どうもいわゆる新興企業、いわゆるできたばっかりでまだ売上げもそう大きくない、そういう企業と、やたらでかい国際的にも大きな巨大企業が粉飾決算を起こしていると。どうもそれ、このいわゆる監査報酬の量と何か非常に相関関係があるんじゃないかなというふうに思えてならないことがあるんですが、藤沼参考人の御意見を伺って、私、終わりたいと思います。
#38
○参考人(藤沼亜起君) 監査報酬のレベルというのは、監査時間に時間当たりの、これチャージレートと言うんですけれども、単価を掛けたやつ、その合計で決まるわけでございますけれども、監査時間についても単価についても、これはアメリカとの比較なんですけれども、両方ともかなり見劣りがするということは事実でございます。
 約八千億から一兆円の企業についての実績の比較を最近やってみたわけですけれども、時間については約二分の一、単価についても約二分の一というのが数字でございまして、そういう面でかなり日本の方は安いということになっております。
 ですから、私の方は、まず単価の方は横に置いて、やはり時間をきちっと増やさなくてはいけないということで、これは私が会長に就任した三年前から国際比較のデータを外にお出しして、やっぱり時間を増やさなくてはいけないと、こういうことを伝えているわけですけれども、時間も増やすのも簡単ではないというところがあるわけですけれども、やはり時間、単価、もうそれぞれやはり上げていかないと、やはり国際的な資本市場をつくるというようなところを言っているわけでございますので、やっぱりその重要なインフラである監査の水準もやっぱり国際レベルにしなくてはいけないということを非常に実感しております。
 あと、企業の不祥事が出るというのがあるわけですけれども、企業の不祥事というものはそれぞれ理由がありまして、一般的には経済的理由が非常に多いと思うんですけれども、やっぱりバブルの崩壊の後、いわゆる不良な資産とか不良ないわゆる事業を引きずっていたところが、それをきちっと認識して損失を認識しなくてはいけないということになって、一応損失の繰延べをやっていたところがついにばれてしまったというようなケース、これは非常に古いパターンで、カネボウみたいなケースだと思うんですね。
 一方、新興企業、これは、日本のバブルの崩壊後、やっぱり経済活性化のためにベンチャービジネスを育てなくちゃいけないということで新興市場が出てきた。その場合の上場のルールが、比較的というよりも大分上場のルールが甘かったと。こういう会社は、どちらかというと内部管理体制だとか経営者のいわゆる信頼性とかそういうところに問題があって、いわゆる上場のときに大金持ちになったわけですけれども、株価が維持できない、業績が悪化すると。そうすると、新興企業同士でお互いに売上げを付け合っていわゆる粉飾決算を演出したというケースが幾つか出てきたわけです。そういう面で、これら従来から監査を受けていないような会社がいきなり新興市場のマーケットに出てきたと、こういうようなところがあって、この辺のところで何点かが目立つようになったと。
 だから、新興市場全体がいけないということではなしに、そこにやっぱりどうしても目立つ会社が出てきたということではないのかなというふうに思っていまして、ですから、監査法人もその辺のところは今非常に厳しく、特に仲間内の取引というようなことは、監査人だまされるわけですね。ほかの企業と売上げを付け合いっこしていて、監査の確認書を出しても正しいという数字が返ってくるわけですから、お金も振り込んでくるわけですから。
 そういう面ではなかなか手の込んだことをやるわけでございまして、その辺のところは、やっぱり内部統制の監査とかそういうことが進むにつれて更に精度は上がっていくのではないかというふうに思っています。
 以上でございます。
#39
○峰崎直樹君 どうもありがとうございました。
#40
○委員長(家西悟君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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