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2007/06/14 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第17号
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2007/06/14 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 財政金融委員会 第17号

#1
第166回国会 財政金融委員会 第17号
平成十九年六月十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     大野つや子君
     舛添 要一君     佐藤 昭郎君
     澤  雄二君     山口那津男君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     椎名 一保君     山本 順三君
     末松 信介君     山下 英利君
     松下 新平君     大塚 耕平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         家西  悟君
    理 事
                沓掛 哲男君
                中川 雅治君
                大久保 勉君
                峰崎 直樹君
    委 員
                泉  信也君
                大野つや子君
                岸  信夫君
                佐藤 昭郎君
                椎名 一保君
                田中 直紀君
                山本 順三君
                尾立 源幸君
                富岡由紀夫君
                広田  一君
                円 より子君
                西田 実仁君
                山口那津男君
                大門実紀史君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        山本 有二君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  土屋 正忠君
       法務大臣政務官  奥野 信亮君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤澤  進君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局長       三國谷勝範君
       金融庁監督局長  佐藤 隆文君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局長      内藤 純一君
       金融庁公認会計
       士・監査審査会
       事務局長     振角 秀行君
       総務大臣官房審
       議官       門山 泰明君
       総務大臣官房審
       議官       椎川  忍君
       法務大臣官房審
       議官       後藤  博君
   参考人
       日本公認会計士
       協会会長     藤沼 亜起君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○公認会計士法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、片山虎之助君、末松信介君、舛添要一君、松下新平君及び澤雄二君が委員を辞任され、その補欠として大野つや子君、山下英利君、佐藤昭郎君、大塚耕平君及び山口那津男君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公認会計士法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公認会計士法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、参考人として日本公認会計士協会会長藤沼亜起君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(家西悟君) 公認会計士法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○田中直紀君 おはようございます。自由民主党の田中直紀でございます。今日は、公認会計士法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 四十五分いただいておりますが、主に法律案、そしてまた関連いたしまして東京証券取引所の件についても後半伺いたいと思っております。
 まず、改正案の必要性と緊急性でございます。
 平成十五年の五月にこの公認会計士法等の一部改正案が全面的に改正をされておりますし、公認会計士の使命、責務、職責というのが明文化されましたし、また、独立性の問題についても法の中で明記してきておるところであります。また、監査法人も、監視・監督機能というものの充実を図ったところでありますが、引き続き改正をすると。必要性につきましては趣旨説明でお伺いをいたしておりますが、会期も会期末で非常に少なくなってきておるときに、この法案がどうしても必要だという緊急性について、金融担当大臣の方からお伺いをいたしたいと思います。
#9
○国務大臣(山本有二君) 企業財務情報の適正な開示を確保すること、そのことは我が国金融・資本市場の信頼性を高めていく上で不可欠の意識でございます。
 昨年成立いたしました金融商品取引法におきましては、四半期報告制度あるいは内部統制報告制度の整備等の措置を講じたところでございます。企業財務情報の適正な開示を確保していくためには、そのほかに、財務諸表を監査する立場の監査人の側においても会計監査の充実強化を図ることが重要でございます。こうした要請や近年の監査をめぐる不適正な事例にかんがみますと、監査業務の複雑化、高度化等を踏まえた組織的監査の重要性の高まりに適切に対応することが急務であると考えるところでございます。
 今般提案させていただいております法案と企業側の取組とが相まって、企業財務情報の適正な開示の確保につながること、これを期待してこの公認会計士法の改正をお願いしたところでございます。
#10
○田中直紀君 平成十五年の法改正の後、関連の法案の絡みも出てきておると思いますが、一方で、大変やはり金融市場の中で不祥事も出てきておると、こういう事態を背景にしておるんではないかと思っております。
 今回の改正が、監査人の独立性と地位の強化、あるいは監査法人に対する監督強化ということになっておりますが、平成十五年五月以降、金融関係でどういう不適正な事案が出ているか、どういう種類のものが散見されるか、この点について事務局の方から伺いたいと思います。
#11
○政府参考人(三國谷勝範君) 最近、資本市場におけるディスクロージャーの重要性、これにつきましては大変関心が持たれているところかと思います。前回改正した後におきましても、例えば株主状況でございますとか、あるいは粉飾といった事例があるわけでございます。
 その中で、やはりこれからの監査法人、組織的な監査の在り方につきましては、前回の改正の上に更に一段と検討を重ねる必要があるのではないかと考えたところでございます。制度の見直しでございますので、刻々動く資本市場の進化に対応していくように今回も所要の見直しをさせていただいているところでございます。
 なお、先ほど大臣から申し上げましたように、昨年、金融商品取引法、これを施行いたしまして、内部統制でございますとか四半期開示とか、企業サイドの様々な改定を行ったわけでございますが、今回は監査法人サイドの改正ということでございまして、こういった大きな監査法人に対する期待の高まりの中でこの改正案をお願いしているものでございます。
#12
○田中直紀君 平成十五年の五月の前回の改正以降、いわゆる不祥事といいますか、不適正な事案というのは何件ぐらいで、どういう内容かを伺っております。
#13
○政府参考人(三國谷勝範君) 公認会計士法に基づく処分事例ということで御説明させていただきますと、例えば平成十六年には名義貸し、自己脱税といったものもございますが、さらに平成十六年に過失による虚偽証明、それから平成十七年には著しく不当な業務運営、故意又は過失による虚偽証明、十八年におきましては過失による虚偽証明、これが三件ほど、それから故意による虚偽証明、過失による虚偽証明は四件でございました、そういったことが最近生じている次第でございます。
#14
○田中直紀君 どの程度の、金融庁から見て、企業あるいは監査法人あるいは公認会計士の不手際といいますか、そういう中でどういう事件としてとらえるか、あるいは不適正であるかと、こういう問題を把握して今回の改正が必要であるという緊急性をもっと御説明いただかないと、これだけ審議をして会期内に成立を果たそうと、しようと、こういう我々もその緊急性の問題につきましてもっとよく話を、御説明をいただかないと審議も熱が入らないんではないかと思いますが、大臣、どうですか。
#15
○国務大臣(山本有二君) 特に昨今の監査法人、会計士さんのいわゆるビジネスに対する取組のマインドの問題が強くあるように思っております。
 それは、みすず監査法人が解散するという事態になりましたことは、カネボウ事件に端を発する中央青山の言わば犯罪的な虚偽証明ということから端を発しているわけでございますが、ひいて今日までその影響がございます。それは、言わば上場企業について、少しでも何らか問題点が指摘されたときの監査法人としての責任の在り方というものが問われているわけでございます。いまだに三月決算の有価証券報告についての言わば監査報告がなされていない上場企業もございます。
 ということはどういうことかといいますと、監査法人が、少しでも循環取引等あるというような認定がございますと、もうその監査を引き受けないと。既に何年も、十年も二十年も引き受けて、ともに会社の成長を見てきた言わば同志であると信じておった監査法人が、もう我々のせいで監査法人の解散や清算という事態になることに対して非常に慎重な態度を取っているというようなことを考えてみますと、少し勇気を持ってやっていただかなきゃなりません。そうでないと、今の証券市場や企業活動に大きな影響がございます。というようなことから、もはや待ったなしという状況が一方でもう喫緊の課題としてございます。
 更に申し上げれば、今、欧州における同等性評価、こういったことから考えますと、欧州の証券市場から上場をあきらめて帰ってくる日本企業もございます。ということは、我々監査業務を携わる者としては、世界での監査における品質が各国と同じであるという自信は我が国ではありますが、外から見たときに、このような仕組み、法律が正確にできていないということにおいての我々における対外的なデメリットというのはもはや待ったなしでございます。その意味では、昨日も欧州委員会の担当の委員が来ておりましたけれども、法案は成立したかということを私は尋ねられておるわけでございまして、その意味におきましては大変今緊急、必要性は強いというように思っている次第でございます。
#16
○田中直紀君 現状、監査法人がどういう状況にあるかと。一部、監査難民なんという言葉も聞かれたところでありますが、昨年の、大臣が言われたようにカネボウ粉飾決算事件がありまして、中央青山監査法人の業務一時停止がございました。
 公認会計士・監査審査会の方、お出掛けですか。
 四大監査法人を調査をしたところ、不適切な、大変不十分な業務運営始め見られたと、一年間改善をしっかりしてもらうと、こういう勧告を出しておると思いますが、この一年間でどのような改善がしっかり行われたかということをちょっと御説明いただきたいと思います。
#17
○政府参考人(振角秀行君) それでは、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 今先生御指摘のように、公認会計士・監査審査会におきましては、昨年カネボウ事件等がございましたものですから、四大監査法人に対して検査に入りました。その結果、監査の品質管理のための組織的な業務運営が不十分だということで、昨年六月、金融庁長官に対しまして業務改善指示というのを出しておるところでございます。これに基づきまして、金融庁の方におきましては七月に業務改善指示を出されたというふうに承知しているところでございます。
 それで、公認会計士・監査審査会としましては、本年度、十八事務年度の検査基本計画に基づきまして四大監査法人の改善状況についてフォローアップ検査というのを実施することとしております。
 個別の検査の実施状況については、従来からちょっとこれはコメントは差し控えさせていただいているところでございますけれども、公認会計士・監査審査会としましては、四大監査法人は金融庁長官による業務改善指示というのに基づく改善策の実施に現在鋭意取り組んでいるものというふうに承知しているところでございます。
#18
○田中直紀君 先ほど大臣の方から、海外から大変そういう面では不安を感じられると、こういう状況、説明ありましたけれども、監査法人の方でどれだけの改善がなされたかということを説明しなければ、これはどこの企業においても、国内においても不安が、更なるこの法案を成立したとしても、その背景にあるものが御説明がなければ、これはいかんともしようがないんではないかと思いますし、更にお伺いしますけれども、一年前には業務運営全般あるいは独立性、監査契約の新規締結・更新、あるいは監査業務の遂行、監査調書、監査業務に係る審査、品質管理システムの監視、共同監査、組織的監査等に関して不十分なものが認められたと、一年間しっかり監査法人は改善をしてもらわなければ、一年後、行政処分をやりますよと強い姿勢で臨んでいるわけですね。
 それ一年間どういうふうになりましたですか。それを御説明いただかなければ、事態は改善されてないんではないですか。
#19
○政府参考人(振角秀行君) お答えしたいと思います。
 先ほど言いました、個別の検査の実施状況については従来からちょっとコメントは差し控えさせていただいているところでございますけれども、この一年間の状況については我々としても注視しているところでございまして、本年の六月末を目途にそのフォローアップ検査の結果を取りまとめ、できれば公表したいということで今考えておるところでございます。
#20
○田中直紀君 金融担当大臣はどう感じられていますか。監査法人がこの一年間どれだけの努力をして不安を払拭したかと、こういうことについて御説明をちょっといただきたい。
#21
○国務大臣(山本有二君) 監査法人の皆さんは、魅力ある職場をつくりたいという努力をしていただいておると同時に、これからは被監査会社、これについてしっかりとした監査をやろうという意気込みに燃えておられます。その意味において、この法案改正が大変強いエールになることは間違いございません。
 田中委員の御指摘のように、監査法人の内部でどういった体制組みがされているかにつきましては、新しいこの法案成立後では監査法人は品質管理部門を強化をするというように内部で考えておられまして、従来の現行制度でありますと、品質管理部門におけるメンバーについての代表社員あるいは常任理事等の配置においてと改正後の配置とでは全然体制が違うというように思っております。
 そういった事柄から考えますと、言わば、お互い監査法人の内部でもローテーションの中で優秀な社員の配置が品質管理に置かれていくということが確実視されることになるわけでございまして、単に監査が事実上行われて、それで巨大監査法人のブランド化で済まされていくというような安易な形ではなくなると。監査法人の中で二重、三重のチェック体制がしかれ、そして監査実務においての最後の結果の監査報告が大変品質の高い、世界じゅうから評価できるような、そんなような結果が見いだされるというような監査法人の体制になるというように確信をするところでございます。
#22
○田中直紀君 なかなかその一年間の成果が具体的に、そしてまた今後多くの方々に信頼されるような環境になったんだと、こういうものをもうひとつ力強く御説明いただくと有り難いと思います。
 証券取引等監視委員会の方はいらっしゃっておりますか。
 平成十八年の四月二十一日ですから、もう一年前のことでありますが、監査法人の責任の在り方についてということを建議を行われました。一年前、大変そういう面ではカネボウ事件始め不祥事が多発した時期でありますので、非常に危機感を持ってこの意見を金融庁に述べられたんだと思います。
 後半の方で、監査法人による厳正な監査を確保していくためには、民事・行政責任のほか刑事責任を含めた監査法人の責任の在り方を検討してもらわなきゃ困るよと、こういう文章にはなっておりますが、まず、この意見というものはどういう形の内容で述べられておるか、御説明いただきたいと思います。
#23
○政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。
 証券監視委員会は、証券市場の公正性、透明性を確保する上で監査法人が果たす役割の重要性ということにかんがみまして、今委員御指摘ございましたけれども、監査法人による厳正な監査を確保していくという観点から、昨年の四月に、民事・行政責任のほか刑事責任を含めた監査法人の責任の在り方について総合的に検討を行い、必要かつ適切な措置を講ずる必要があるという旨の建議を行ったわけでございます。
#24
○田中直紀君 金融庁からどういう返事がございました。
#25
○政府参考人(内藤純一君) この建議を踏まえまして、その後も、先ほど委員御指摘のようなカネボウ事件のほか、日興コーディアル、いろいろ様々な開示関連の事件が起きております。その中で、金融審議会公認会計士制度部会におきまして非常に真剣な検討が行われたというふうに聞いております。
 その報告によりますと、非違の抑止等の観点から、監査法人に対する刑事罰を導入する可能性を否定するものではなく一つの検討課題ではあるがということで、これについては将来の検討課題としつつも、そのほか行政処分の多様化でありますとか課徴金制度の導入というようなことが図られるというふうなことでございまして、私どもといたしましては、問題のある監査法人に対する責任追及といいますか、責任を求めるというようなそういう体制、手段、そういうものは格段に厳格化されてきたものだというふうに思っておりまして、今般の法案においてもそれが適正に反映されているものというふうに考えております。
#26
○田中直紀君 いや、金融庁の中で検討されているという前提のお話なんですが、正式に金融庁からこの意見に対してどういう具体的な回答があったか、いつ回答をいただいたかということをちょっと伺っておきたいと思います。
#27
○政府参考人(内藤純一君) それは、私どもの方は建議をいたしまして、それを踏まえて、今申し上げましたように、金融審議会において検討をされたということでございます。
 それで、金融審議会における言わば回答といいますのが、金融庁から何か事務的に監視委員会の方に回答があるというよりも、それを踏まえた上で金融審議会の場で検討されてこの部会報告という形でまとめられたというふうに承知をしておりまして、それを受け止めて我々としてはそういう今の認識をお話をいたしたということでございます。
#28
○田中直紀君 いや、金融審議会というのは金融庁の中の機関でありまして、あくまでも証券取引等監視委員会がこれだけの危機感を持って建議をしているわけでありますから、金融庁の中での審議は審議としましても、しっかりした見解を、これだけの建議をしているわけでありますので、金融庁はその後どういう回答をされましたか、この委員会に。
#29
○国務大臣(山本有二君) 要は、この改正案に刑事罰を入れるかどうかという検討でございます。
 それにつきまして、金融審議会で、公認会計士制度部会報告、昨年の十二月二十二日にしっかりとしたこの法案についてのまとめをいただきましたところ、刑事責任の在り方では、非違の抑止の観点から、監査法人に対する刑事罰を導入する可能性が否定されるべきでなく一つの検討課題であるが、非違事例等に対しては、以下に述べる課徴金制度の導入を始めとする行政的な手法の多様化等により対応することをまず求めていくことが考えられるということでございます。
 そこで、もし監査法人等に刑事罰、両罰規定あるいは直罰規定を導入したならばどうかというようなことは、内部的に内閣法制局とかなりの度合いあるいは法務省側とも詰めてまいりました。そして、その上で、実態的に監査法人や公認会計士さんが刑事罰を入れた場合と入れざる場合というような場合分けの実務上の運用等についても予測や検証、あるいはヒアリング等もやってみました。
 その結果、課徴金等行政処分の多様化でまずは市場の健全性を確保することに重点を置いた方がより適切な効果があるのではないか。特に、現状における公認会計士さんの言わば自信喪失的な状況からすると、今はそれがベストであろうと。そして、今回の課徴金制度の運用や実務状況等を検討しながら、将来にわたる検討課題として、この刑事罰の導入ということをやや先に考えた方がむしろベストな市場の運営ができるという判断の下に、今回の改正案につきましては入れなかったという事情でございます。
#30
○田中直紀君 ファイナンシャルゲートキーパーの規制、監督というような問題についても今後いろいろ考えていかなきゃいけない環境ではないかと私は思っておりますが。
 その関係で、日興コーディアル証券の連結決算修正について若干伺いたいと思います。
 最近は、証券会社も各家庭に、私、東京の方でありますが、非常に営業攻勢を掛けていろいろな支店が金融商品を販売するために、私のところも宣伝が入ってくるわけでありますが、その中に日興証券も来るものですから、五億円の課徴金を支払ったということだけでこの日興証券の問題がしっかりクリアしているのかどうかなと、これは身近な話でありますが、そんな思いもありまして若干伺っておきたいと思います。
 確かに上場は維持されたわけでありますけれども、当時、東京証券取引所は、グレーな会計であったと、こういうような判断から上場廃止には至らないであろうということなんですが、会計処理の中でグレーな会計というのがあり得るのかなというようなことも、私は企業人でもありますので、感じております。
 連結というのは、連結納税と連結決算とあるわけでありますが、連結決算の方は有価証券報告書との関係が出てくるわけですね。ですから、当然、連結納税というのは子会社一〇〇%というものにおいて納税していくんでしょうけれども、有価証券報告書というのは、既にもうあらゆる子会社においても、支配力を持っておる基準においてしっかりとすべて報告をしていくということが当然な状況でありますので、一部、どこまで連結、子会社をしていくんだというようなことでありますが、一部議論もありましたが、私は、支配をしている会社はすべて連結決算にこれ入れていかなけりゃ粉飾決算ということになると思います。
 そういう中で、どれだけこの問題が払拭されたのかということについて、大臣でも担当でも結構でありますが、御説明いただきたいと思います。
#31
○国務大臣(山本有二君) 日興コーディアルグループは課徴金納付命令を受けたことを踏まえまして、投資家や投資家グループの顧客に対し、開示資料においておわびを行っているものでございます。また、その子会社であります日興コーディアル証券も顧客あてに、おわびと報告とする文書や信頼回復への決意についてとする文書を送付しているものと聞いております。
 個別企業の個々の取組につきまして、当局としてコメントすることは差し控えさせていただきますが、証券市場の信頼性というものは市場仲介者として公共的な役割を担う証券会社自身の信頼性に大きく依存するものでございますので、金融庁としましては、証券会社が社会的信頼を確保し、適切に業務を遂行することが重要であろうというように考えるところでございます。
 委員御指摘のとおり、今後、この課徴金を払えば済むというような意味ではありませんけれども、日興コーディアルグループの反省というのは、今後もしっかりこうしたことが再発防止が行われているかどうか、そういう観点から我々も注視して見ていきたいというように思っております。
#32
○田中直紀君 証券取引等監視委員会でどう把握、この問題についてされておるかということも含めますが、東京証券取引所の方で上場廃止するか維持するかという問題の中で、決定をしたときに西室社長は、これは当然、課徴金五億円を支払うという行政処分を受けたわけでありますが、当然この判断以降、この会社がいかに改善をしていくかということの報告書をこれからまた求められるでしょうと、そういうものを見ながら安心して上場が維持されるということが理解されると、こういうことを記者会見でも言っているわけでありますので、課徴金制度とこの上場維持とはまた別なんだと。しかし、その背景にある皆さんの不安はそういう形で払拭されていくんではないかということなんですが、証券取引等監視委員会ではどう把握されておりますか。
#33
○政府参考人(内藤純一君) 課徴金で処分をしたということについては、既にいろんな形で御説明をしているところでございます。
 今後の問題につきまして、個別の問題というふうに掛かってまいりますので具体的なことは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論で申し上げますと、私どもとしては、開示検査課という課もございまして、開示内容については日々市場の状況を監視をしているという形で鋭意取り組んでおります。
 最近の事情で、やはりいろんな開示関係の問題が頻発をしておるということで、いわゆる運用の問題としては発行会社そして会計監査人の立場からも非常に厳しいチェックが行われているということで、連結の範囲の見直しも含めた訂正もいろいろ行われているというふうに考えておりまして、そういった状況を今後も引き続き注視していきたいというふうに考えております。
#34
○田中直紀君 連結決算の企業も非常に増えてきておるところでありますし、非上場も、そしてまた上場会社も相当な数求められてきておるんではないかと思います。
 昨日、参考人の方で監査報酬の件で、合併して増資をして株主が非常に多いという場合には、非上場でも連結決算を求められると、こういう状況でどのぐらい掛かっているのかなというようなことがありました。昨日は、八百万から九百万というような監査の報酬が認められるということでありますから、これはもう上場会社でなくても大変な日数を掛けて連結決算をしております。当然上場会社が関係しておりましたらもっと手間も暇もあるいは報酬も、日興はどのぐらい払ったでしょうかね、監査報酬について把握しておられますか。大変な、そういう面では連結決算、連結納税もそうでありますが、時間も掛かっておりますから、企業も相当な負担をしてやっております。
 したがいまして、逆に言いますと、連結決算がグレーな会計ということはあり得ないんですよ。相当な日数を、時間を掛けて、支配しておる会社をすべて、株主構成ではなくて、時間とお金も掛けてやっているわけでありますから、上場を維持してきたわけでありますから、もっともっと個別にこの日興コーディアルグループの状況というものを把握をして、金融庁もあるいは関係者も、上場してよかったなと、維持をしてよかったなということを皆さんが理解するような、そしてまた各家庭にいろいろと最近宣伝に来ていますよ。そういうものも信用できるのかなということになるわけでありますけれども、今のところせっせせっせとほかの証券会社とも競争をしているんでしょうけれども、各家庭に聞きますと、もうどんどん証券会社から各家庭にビラが入ってくるというような時代になったけれども、どうなんでしょうかねと、こういうことでありますが、大臣、それから担当者、どうでしょうか。
#35
○国務大臣(山本有二君) 本来、金融資本市場はマーケットメカニズムというものがありまして、不正を行ったり、あるいは過失ででも利用者や顧客に迷惑を掛ければ、そこで淘汰されるというのが一つのメカニズム原理であろうと思います。
 その意味におきまして、なお市場経済原理のいわゆる淘汰メカニズム、悪いやつは排除されて、いい人だけが残ってくるというような進化の法則的な市場原理における非常に大事な点というものを考えたときに、田中委員のおっしゃることが大変重要なことであろうというように思います。それは独り行政当局だけではなくて、参加メンバー全体としてこの市場における進化の法則が維持されなければならないというように思っておりますので、そんな意味で消費者あるいは顧客、そういった人たちが利用しなければ、むしろそれは淘汰は原則スピーディーなものとなるだろうというように思いますので、両々相まって我々全体としてこの市場の進化論というものを大事にしていきたいというように思っておる次第でございます。
#36
○田中直紀君 この法案も、昨日の参考人の方から、継ぎはぎだらけで、金融市場を維持していくためにその都度補修工事をしてきておるような感じだと、こういう御説明がありましたが、引き続きやはりこの金融市場の信頼性を高めるために、今回の法案を成立を果たしながらも、引き続き検討課題が多いんではないかと、こういうふうに認識をいたしておりますので、検討していただきたいと思います。
 その中で、ファイナンシャルゲートキーパーの規制、監督という課題もあると思います。一部金融庁も検討されておると、こういうことでありますが、具体的には、金融市場の担い手あるいはそれにかかわる非常に密接な方々に対しては、やはり利益相反や不正への関与というものをしっかりと監視をしていかなきゃいけないということが言われております。その中には今回問題になっております監査法人も加わるんではないかと思いますし、格付機関や証券アナリストのようないわゆる投資家の意思決定に非常に深くかかわってくる分野については、刑事罰については今回見送ったと、こういう法案の趣旨はお伺いいたしましたけれども、しかし投資家の意思を決定するのに非常に影響のある分野の方々といいますか、役割を果たしておる分野については、やはり一定の私は規制や監督が必要だというふうに思いますし、諸外国もそういう動きが出てきておると伺っておりますが、最近の金融庁の御検討はどうなっておりますか。
#37
○国務大臣(山本有二君) アナリスト、格付機関等のいわゆるファイナンシャルゲートキーパーと申しますのは、投資家の投資判断に資する情報を提供する重要な役割を果たしていることは申すまでもありません。したがいまして、投資家が安心して取引できるより良い金融資本市場を構築するためには、投資家の適切な投資判断に資するように、これらのファイナンシャルゲートキーパーが適切な情報提供を行う制度が必要でございます。
 そのためには、まず、それぞれの主体が高い自己規律を維持することが求められているわけでございますが、それに加えまして、規制、監督による更なる規律付けが必要か否かにつきましては、提供する情報が投資判断に与える影響の程度や自主規制による規律の有無等、幅広い観点から、なお研究する分野が幅広くございます。
 そういった点から、今後検討を加えてまいりたいというように考えておるところでございます。
#38
○田中直紀君 ありがとうございました。
 じゃ、終わります。
#39
○中川雅治君 我が国では、貯蓄から投資へとのスローガンの下、資本市場の整備を図るための取組を推し進めてまいりました。資本市場の国際的な魅力、信頼性を高め、幅広い投資家が安心して参加できる厚みのある市場を整備していくことが重要でありまして、こうした観点から、昨年の金融商品取引法においては、内部統制報告制度や四半期報告制度を導入するなど、企業のディスクロージャーの強化が図られたところであります。
 これらを通じて我が国資本市場の魅力と信頼性が向上することが期待されるところでありますが、これに合わせて、今回、公認会計士法改正案が提案されています。ディスクロージャーに対する信頼性を確保していくため、企業側の取組に加えて、公認会計士、監査法人といった企業の財務書類をチェックする側についてもより一層の業務の充実強化を図ろうということであると考えますが、ディスクロージャーの信頼を確保し、我が国資本市場を真に魅力あるものとしていくとの観点から、今回の公認会計士法改正案がどのような位置付けを持つものなのか、まず最初に大臣の考えをお伺いしたいと思います。
#40
○国務大臣(山本有二君) 御指摘のとおり、企業財務情報の適正な開示の確保というものがこの金融資本市場の信頼性におきましては何より一番の重要な課題でございます。昨年成立いたしました金融商品取引法におきまして、四半期報告制度、内部統制報告制度、こういった措置を講じたわけでございますが、企業財務情報の適正な開示を確保するには、財務諸表を監査する立場の監査人の側におきます会計監査の充実強化を図ることがその前提として大事でございます。
 今般、公認会計士法改正案を提案さしていただいたのは、この法案と企業側の取組が相まって、それでもって企業財務情報の適正な開示の確保になり得るというように考えるところでございますので、車の両輪としてのこの公認会計士監査あるいは監査法人の役割、そして組織的な監査の重要性の高まり、こういったことと企業側の取組とが車の両輪のごとく機能することを期待して改正に臨んだところでございます。
#41
○中川雅治君 現在の監査法人制度は昭和四十一年に創設されたものでありますが、監査法人の業務には、制度導入当初には想定されていなかった複雑化、高度化の進展が見られるところであります。
 監査法人に所属する人員を見ましても、社員が数百名超、所属公認会計士全体で二千人弱という監査法人も出現をしている、そういう状況でございます。このような状況の下で監査の質を確保していくためには、監査法人の社員である個々の公認会計士が監査証明業務を的確に執行することと併せて、監査法人内部における審査などの品質管理体制が適切に機能していることや監査法人の業務運営に関する意思決定が的確に行われていることといった、言わば組織運営の適正性が極めて重要になってきていると考えます。一方で、監査法人の内部組織の在り方は、各法人の規模や業容等に応じて適切な形は様々でありまして、法令で一律の組織、機構の設置を義務付けることは、監査法人が体制整備を行う自律的な取組を阻害しかねないと考えます。
 今般の改正案におきましては、監査法人が適切な業務管理体制を整備し、それを実施することを義務付けていますが、これは基本的に業務管理のための機能を求めるものであり、特定の組織、機構の設置を法令で義務付けるものではないと理解をしておりますが、それでよろしいか、お伺いいたします。
#42
○政府参考人(三國谷勝範君) 会計監査の質を確保していくためには、担当の公認会計士個々人による監査業務の適正な執行と併せまして、監査法人における適切な品質管理体制等の構築、運用が重要と考えております。
 こうした観点から、今般の改正案におきましては、監査法人に対し、業務の執行の適正を確保するための措置、業務の品質管理の方針の策定及びその実施などの業務管理体制の整備を求めることとしております。これは、御指摘のとおり、監査法人の機能の整備を求めるものでありまして、特定の組織、機構の設置を法律上義務付けるものではございません。
#43
○中川雅治君 監査法人をめぐる状況の変化を踏まえますと、監査法人を構成する人員についても見直しを行うべき時期に差し掛かっていると考えられます。
 現在、監査法人において、社員となる資格を有するのは公認会計士に限られています。これに対して、諸外国の監査事務所では、一定の上限の下でCPAでない者にも社員資格が認められています。監査法人については、監査先の企業活動が複雑化する中で、従来の人員構成や業務方法では時代の要請に追い付けない部分もあると考えます。特に、例えば経営、財務、それから内部統制、ITなどの分野に係る業務が増大しておりまして、それに対して社員資格が公認会計士のみに限られているというのでは、強い監査を行うという観点からも限界があるというふうに考えられます。
 また、監査法人の運営につきましても、最終的には監査を担う法人であることから、職業専門家である公認会計士が中心となるべきことは当然でありますが、適切な業務管理体制の整備ということを考えたときに、公認会計士だけを社員として組織することが適切かとの問題があると考えます。したがって、監査法人の社員資格が公認会計士でない者にも拡大することについては評価をいたしますが、一方で、そういった者が社員となることに伴い、例えば公認会計士でない社員が監査法人の運営を支配するようなことは回避しなければならないと考えます。
 この関連で、公認会計士でない者が社員となる場合の公認会計士でない社員の割合について、法律案では百分の五十以内で内閣府令で定める割合と規定されていますが、諸外国ではどのようになっているのか。初めから高い比率でスタートするのではなく、状況を見ながら徐々に水準を上げていくと、こういった対応が重要であると考えますが、どの程度の水準を考えておられるのか、お伺いいたします。
#44
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査事務所の社員に占める公認会計士でない者の割合につきましては、各主要国におきまして、例えば五〇%や二五%といった上限が設けられているものと承知しております。アメリカは五〇%、イギリス五〇%、フランス二五%、ドイツ五〇%と承知をしております。
 監査法人におきまして適切な業務運営を確保し実効性のある組織的監査を実施していくためには、監査法人において広範な知識と経験が求められます。このため、今般の改正案におきまして社員資格を拡大しているところでございます。その一方で、今般の改正案では、監査法人制度が本来公認会計士監査を組織的かつ適正に行うために設けられたものであることにかんがみまして、監査法人の社員に占める公認会計士でない者の割合に上限を設けることとしているところでございます。
 上限は、御指摘のとおり、百分の五十以内となるよう内閣府令で定めることとしておりますが、一つには、主要国の制度におきまして上限が五〇%又は二五%とされている点、次に、我が国において初めて導入される制度である点等を考慮しつつ、二五%とする方向で検討してまいりたいと考えているところでございます。
#45
○中川雅治君 今回の改正案では、公認会計士、監査法人に対して業務や財産の状況について公衆への開示を義務付けることとされています。条文を読ませていただきますと、実際に開示がされる内容については内閣府令に委任されています。
 公認会計士、監査法人と一概に言っても、個人事務所から大手の監査法人までその実態は多様であります。さらに、今般の改正案の下では、有限責任形態の監査法人が出現することとなっておりまして、開示の観点からも無限連帯責任形態の監査法人とこれら有限責任形態の監査法人とを同列に扱ってよいのかという論点があると考えます。結果として過剰なルールとなることのないよう、きめ細かな開示ルールの整備が適切であると考えますが、具体的にどのような事項の開示を求めるのか、現時点でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#46
○政府参考人(三國谷勝範君) 会計士、監査法人によります適切な品質管理体制等を確保していくに当たりましては、会計士、監査法人自身の透明性を高めることで自主規律を働かせ、その中で各公認会計士、監査法人の自律的な取組を促していくことが有効であると考えているところでございます。
 こうした観点から、今般の改正案におきましては、まず監査法人に対しまして業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧を、公認会計士に対しましては業務の状況に関する説明書類の縦覧をそれぞれ義務付けることとしているところでございます。
 具体的な開示項目につきましては、これは諸外国の動向等も踏まえながら、今後の内閣府令の策定作業の中で検討していくことになりますが、例えば業務の状況に関するものといたしましては、業務の概要、業務管理体制の整備、運用に関する状況が考えられるところでございます。財産の状況に関するものといたしましては、それぞれの形態によりまして、無限連帯責任形態の監査法人、ここにおきましては売上高の状況、有限責任形態の監査法人におきましては貸借対照表、損益計算書等の計算書類、こういったものの開示を求める方向で検討してまいりたいと考えております。
#47
○中川雅治君 最近の企業財務情報をめぐる問題事案を見てみますと、公認会計士が経営陣と共謀しているようなケースや経営陣からの懇願を断れないケースなどがあったようであります。人と人との関係においてそういった厳正な立場を維持し続けることはなかなか難しいわけでありますが、公認会計士、監査法人は専門職業士として厳正に企業の財務状況をチェックしていく立場にあることから、このようなことがあってはならないと考えるわけであります。
 監査人の独立性を確保するための重要な手段の一つとして、ローテーションルールがございます。公認会計士が七年以上同一の企業を監査した場合には二年間のインターバルを取ることを義務付けるというもので、平成十五年改正で手当てがなされました。
 一方、公認会計士協会のルールでは、大規模監査法人において上場会社を監査する主任会計士については、継続監査期間五年、インターバル期間五年とされているところであります。今回の法律案では、これを法律上の枠組みとすることとされておりまして、このことは監査人の独立性を担保する上で意義のあることと考えますが、日本公認会計士協会のルールとそごが生じないようにすることが実務の視点からは重要であると思います。
 これに関連して、今般の改正案における大規模監査法人の範囲と主任会計士の範囲について具体的にどのような内容が考えられているのか、お伺いをしたいと思います。
#48
○政府参考人(三國谷勝範君) 今般の改正案では、日本公認会計士協会の自主規制ルールを踏まえまして、大規模監査法人で上場会社の監査を担当する主任会計士に関して、継続監査期間五年、インターバル期間五年のローテーションルールを法定化することとしております。大規模監査法人の具体的な規模につきましては、現在の自主ルールが上場会社の監査業務を百社以上実施している監査法人を対象としていることを踏まえまして、これと整合的な形で内閣府令に定める方向で検討してまいりたいと考えております。
 主任会計士の具体的な範囲につきましては、これも内閣府令マターでございますが、一つは、業務を執行する社員のうちその事務を統括する者、それから当該被監査会社に係る監査の審査に責任を有する者、これを含める方向で検討していきたいと考えております。
#49
○中川雅治君 このローテーションルールにつきましては、監査法人の社員である公認会計士の交代のみならず、監査法人自体の交代を行うべきではないかという議論がございます。しかしながら、監査法人の交代制を義務付けた場合、監査人の知識、経験の蓄積が中断され、非効率が生じるとともに、交代に伴うコストが監査人、被監査会社の双方に生じます。また、企業活動の国際化や監査業務における国際的な業務提携の進展する中、我が国の監査法人のみが交代制を義務付けられた場合、国際的な整合性に支障が生じかねないと思います。また、大手監査法人がこの八月からは三つだけになる状況の下で、監査法人が交代することがどれだけ現実的かという問題もございます。
 こうしたことから、私は監査法人の交代制については慎重な対応が求められると考えますが、金融庁の考えをお聞かせいただきたいと思います。
#50
○政府参考人(三國谷勝範君) ローテーションルールは、監査人の独立性確保のための一つの手段でございまして、これをどのような範囲で義務付けるかにつきましては、利点と問題点とのバランスに配慮した上で決定する必要があるものと考えております。
 監査法人自体のローテーションにつきましては、一点目といたしまして、監査人の知識、経験の蓄積が中断されるのではないか、二点目は、監査人、被監査会社に交代に伴うコストが生じるのではないか、三点目は、主要な先進国で監査法人のローテーションが行われていない現状において、仮に我が国の監査法人のみがローテーションを行うこととした場合には、国際的に活動する被監査会社に対する監査について実務上の問題が生じ得るのではないか、四点目は、大規模監査法人の数が限定されている中で、監査法人の交代は実務上困難と考えられないかといった問題点が指摘されているところでございます。
 少なくとも現状において、監査法人自体のローテーションを導入することにつきましては、御指摘のとおり、慎重な対応が必要であると考えているところでございます。
#51
○中川雅治君 監査人と企業との関係では、監査人が高い独立性を保持しようとしても、それに見合う強固な地位が約束されなければ厳正な監査は望めないわけであります。特に、監査をしている企業において財務書類に重要な影響を与えそうな不正、違法行為がなされていることを発見した場合には、それを是正させることができるだけの地位がこの監査人には求められます。この点、会社法においては、遅滞なく不正、違法行為を被監査会社の監査役等に報告しなければならないこととされていますが、それだけでは十分ではないという指摘もございます。
 今般の改正案では、監査人の不正、違法行為発見時の対応について当局への申出制度に係る手当てがなされていますが、そのねらいは、当局が情報を収集するという点にあるのではなく、監査人が強固な立場から被監査会社の不正、違法行為の是正を求めていくことを可能とする点にあるというふうに私は考えるわけでございますが、そのような理解でよいか、お聞かせいただきたいと思います。
#52
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査を充実強化する観点から、被監査会社に不正、違法行為が存在する場合に、監査人が被監査会社との関係において強固な地位に基づき適正に監査を行えることが重要であると考えております。
 今回の改正案では、このような考え方を踏まえまして、監査人が財務書類に重要な影響を及ぼす不正、違法行為を発見した場合であって、監査役などに報告するなど被監査会社の自主的な是正措置を促す手続を踏んでもなお改善が図られないと考えられるときには、当局への意見の申出を求めることとしているものでございます。
 本制度は、監査人が監査に臨むに当たりまして、財務書類に重要な影響を及ぼす不正、違法行為の是正を一層の実効性を持って被監査会社に求められるようにすることを主眼とするものでございまして、御指摘のとおり、当局が情報収集を行うことを主眼としたものではございません。
#53
○中川雅治君 監査人は、被監査会社の財務書類の適正性確保に影響を及ぼすような不正、違法行為を発見した場合には、まず被監査会社の監査役等に通知することが求められています。一方、その通知を行った後も被監査会社において適切な是正措置が図られず、財務書類の適正性確保に重大な影響を及ぼすおそれがある場合には当局に意見申出をすることとされております。
 このように、一段階目の被監査会社への通知の際には財務書類の適正性確保への影響について重大であることが要件となっていない一方、二段階目の当局への意見申出の際には、財務書類の適正性確保への影響が重大であることが要件とされています。この差異が設けられている理由についてお尋ねいたします。
#54
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、金融商品取引法第百九十三条の三の箇所でございますが、ここは、監査人の地位や監査の実効性を強化する観点から、まず第一項におきまして、監査人に対して、財務書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実を発見した場合の対応として被監査会社への通知をまず求め、次に二項におきまして、その通知に係る事実が財務書類の適正性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがあると認める場合であって被監査会社による是正が見込まれないときに監査人に当局へ意見申出をすることを求めているものでございます。
 この制度は、当局の情報収集というよりも、監査人の地位強化を主眼とするものでありますことから、一つには、監査人が発見しました不正、違法行為等のすべてについて当局への申出を求めることはせず、むしろ、監査人による一定の取組にもかかわらず会社側による是正が図られないなど、当該不正、違法行為等が財務書類の適正性の確保に影響を及ぼす蓋然性が高くなった段階で当局への申出を求めることとしたものでございます。御指摘の重大な影響というような要件を加重しているのもこうした考え方の一環でございます。
#55
○中川雅治君 次に、昨日の本会議そして参考人質疑でも一つの大きな議論の対象になっておりますインセンティブのねじれへの対応の問題についてお伺いをしたいと思います。
 監査の実務に携わる方々からは、厳正に監査を行うべき相手方の経営陣から報酬をもらわなければならないという制度にはいわゆるインセンティブのねじれの問題があり、公認会計士、監査法人の地位の強化はこのねじれを解決しなければ真の解決が図られないという主張がよくなされるわけでございます。また、諸外国との比較において、我が国の監査報酬が少ないことの一因もこの点にあるという話も聞くところでございます。
 この点、諸外国においては、監査報酬の決定について経営者を監視する立場に立つ監査委員会に責任を持たせることにより克服を図る方向にあると理解しておりますが、我が国では、会社法上、監査役等の同意権にとどまっております。監査報酬の決定権を監査役等に付与することについて、金融審議会の報告では、関係当局の早急かつ真剣な検討が行われることを期待とされているところであります。
 昨日の法務大臣の答弁でも、法務省は直ちに会社法の改正作業に着手する状況にはないようであります。金融大臣として、この問題について今後どのように取り組み、どのように関係当局に働き掛けていかれるのか、お伺いをしたいと思います。
#56
○国務大臣(山本有二君) 監査人が被監査会社の経営者との間で監査契約を締結し、監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われるというインセンティブのねじれを克服するため、監査人の選任議案の決定権や監査報酬の決定権を監査役に付与すべきであるという議論がございます。
 昨年末に取りまとめられました金融審議会公認会計士制度部会の報告におきましても、委員御指摘のとおり、会計監査人の選任議案及び報酬の決定に係る監査役等の同意権の付与を定めた会社法につき、関係当局において早急かつ真剣な検討が更に進められることを期待したいという提言がなされております。
 他方、この点につきましては、監査役等に監査人の選任議案への同意権を付与した会社法が昨年五月に施行されたばかりでございまして、その効果をまずは見極める必要がありますこと、それから取締役や監査役など会社の内部機関の間における業務執行権等の分配の在り方にかかわる問題もございまして、会社法上の十分な検討が必要であること等の指摘もございます。
 金融庁といたしましては、このインセンティブのねじれの克服は、これはもう避けられない重要な課題であるというように認識しておりまして、ただいま申し上げました論点も踏まえつつ、会社法制を所管する法務省と十分意思疎通を図りながら適切に対応してまいりたいと考えるところでございます。
#57
○中川雅治君 大臣の御認識を伺いました。是非この問題の克服に向けて御努力をいただきたいというふうに思います。
 次に、監査法人に対する監督、監査法人の責任の在り方についてこれからお伺いをしていきたいと思います。
 監査の充実強化を図っていくためには、虚偽証明などの違反行為が適切に抑止されていくことが重要でありますが、現行制度上、監査法人に対する行政処分は戒告、業務停止命令、解散命令の三類型しかありません。解散命令は極端な事例にしか適用がないだろうとすると、多くの場合、行政処分の選択肢は戒告か業務停止命令のいずれかに限定されることとなると考えます。戒告は言わば厳重な注意であり、違反に対する抑止手段として十分でないケースがあると考えます。一方、業務停止命令につきましては、特にこれを大手の監査法人などに対して行った場合、その監査法人の他の善良なクライアントに多大な影響が出ることが懸念されます。
 違反行為を行った監査法人に対しては、実態に応じてきめ細かく、かつ実効性を持った対応が重要と考えますが、そのようなことが今般の改正で可能となるのか、金融庁にお伺いいたします。
#58
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、現行法上、監査法人に対する行政処分の類型は、戒告、業務停止命令、解散命令の三つに限定されております。他方、御指摘のとおり、監査法人による虚偽証明等の非違につきましては、行政上の責任を追及する手段を多様化し、事案に応じた厳正かつきめの細かい対処を可能とすることが重要と考えております。
 これらを踏まえまして、今般の改正におきましては、行政処分の類型といたしまして、一つは業務管理体制の改善命令、二点目は、違反行為に重大な責任を有すると認められる社員が一定期間当該監査法人の業務及び意思決定の全部又は一部に関与することの禁止命令、これを追加しますとともに、公認会計士、監査法人の虚偽証明について課徴金制度を導入することとしております。
 金融庁といたしましては、これらの新しい枠組みを通じまして、違反行為の実態に応じたきめ細かく、かつ実効性を持った対応を図ってまいりたいと考えております。
#59
○中川雅治君 今の答弁の中で課徴金制度の創設についてお話がありました。行政処分の中に金銭的な手段を含めることは有益であると考えますが、この課徴金制度の詳細についてお伺いします。
 まず、課徴金の金額については、相当の注意を怠ったことによる虚偽証明が認定された場合には、認定された虚偽証明期間に係る監査報酬の一倍、故意による虚偽証明が認定された場合には一・五倍とされています。このように、相当の注意を怠ったことによる虚偽証明の場合と故意による虚偽証明の場合とで今申し上げたような差異を設ける理由付けについてお伺いいたします。
#60
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、課徴金につきましては、違反行為に伴い受け取ります監査報酬額を金額計算の基礎に置くこととしておりまして、また相当の注意を怠ったことによる虚偽証明の場合には、認定された虚偽証明期間に係る監査報酬額を課徴金の金額とする一方、故意による虚偽証明の場合には、認定された虚偽証明期間に係る監査報酬額の一・五倍を課徴金の金額としているところでございます。
 このように、相当の注意を怠った場合と故意による場合とで差異を設けています理由は、故意による虚偽証明の場合、公認会計士又は監査法人は積極的、能動的に虚偽記載に加担したものと考えられ、相当の注意を怠った場合に比べまして抑止がより困難であると判断されるためでございます。
#61
○中川雅治君 また、違反行為に対して処分時点からさかのぼって課徴金納付命令を行うことができる期間については、証券取引法の課徴金制度では三年間とされていたところでありますが、公認会計士法案の課徴金制度では七年間とされています。証券取引法の三年に対して、公認会計士法案で七年の除斥期間とした考え方をお伺いしたいと思います。
#62
○政府参考人(三國谷勝範君) 除斥期間をどの程度とするかにつきましては、できるだけ真実の事実関係を発見した上でこれに法的効果を及ぼすべきとの要請と、一方で、法的安定性との間でバランスを考慮する必要があるわけでございます。
 公認会計士監査における虚偽証明につきましては、被監査会社の虚偽記載の事実が固まってから更なる調査が必要と考えられますことから、一定の長さの除斥期間を確保することで実効的な違反行為の抑止を図ることが妥当と考えられるところでございます。
 改正案では、こうした考え方の下に、一つには会社法に基づく会計帳簿や監査基準に基づく監査調書の保存年数が十年であること、二点目は証券取引法上の公訴時効が七年であることなどを参考としつつ、課徴金制度の除斥期間を七年としたところでございます。
#63
○中川雅治君 この公認会計士法案における課徴金制度では、違反行為に対して原則として課徴金納付を命じなければならないこととした上で、一定の場合には課徴金納付を命じないことができることとしております。この規定の趣旨をお伺いいたします。
#64
○政府参考人(三國谷勝範君) 改正案におきましては、公認会計士、監査法人の業務の状況、再発の蓋然性、被監査会社への影響等を踏まえまして、個々の違反行為に対して実効的かつきめの細かい対応を可能とする観点から、一定の行政処分を行う場合には課徴金納付命令を行わないことを可能としているところでございます。
 具体的には二つございますが、まず、違反の態様等が軽微である場合でございます。課徴金を賦課するに及ばない場合といたしまして、故意に基づく虚偽証明であって、財務書類における虚偽が当該財務書類全体の信頼性に与える影響が比較的軽微であると認められる場合、次に、相当の注意を怠ったことに基づく虚偽証明であって、注意を著しく怠った場合以外の場合に課徴金納付命令を行わないことを可能としております。
 次の類型でございますが、重大な違反等に伴いまして課徴金以外の行政処分を課す場合でありまして、その処分自体が当該公認会計士又は監査法人に一定の相当な経済的負担をもたらすことによりまして十分に行政目的が達せられる場合でございまして、具体的には、既存業務に係る業務停止命令が行われる場合、それから解散命令又は登録の抹消が行われる場合、こういった場合にも課徴金納付命令を行わないことを可能としているところでございます。
#65
○中川雅治君 この扱いは是非恣意的にならないようにお願いをしたいと思います。
 今般の改正案に盛り込まれていない内容として、監査法人に対する刑事罰の問題があります。
 この点、金融審議会においては、監査法人に対して刑事罰を及ぼすことが非違の抑止の観点からも必要であり、士業における自主規律の向上にも資するのではないかとの指摘が一部あったと聞いておりますが、刑事罰の導入には信用失墜のリスクや所属公認会計士の離散など大変大きな問題が指摘されております。両論あるということでございます。
 今回、刑事罰の導入が見送られた理由及び現時点における金融庁の考えを確認させていただきたいと思います。
#66
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査法人に刑事罰を導入することにつきましては、一つには、非違の抑止などの観点からも必要であり、士業における自主規律の向上にも資するとの指摘があった一方で、他方、監査法人の信用失墜、所属公認会計士の離散等のリスクが大き過ぎるのではないか、また法的にもなお広範な検討が必要ではないかとの指摘等があったところでございます。
 このため、昨年末に取りまとめられました金融審議会公認会計士制度部会の報告におきましても、監査法人に対する刑事罰導入の可能性につきましては、一つの検討課題であるが、非違事例等に対しては、最終的には、課徴金制度の導入を始めとする行政的な手法の多様化等により対応することをまず求めていくことが考えられるとされたところでございます。
 今回の法案におきましては、このような考え方を踏まえまして、刑事罰の導入を見送る一方で、公認会計士、監査法人の虚偽証明に対する課徴金制度を導入することとしており、他の行政処分の多様化と相まって公認会計士、監査法人の非違の抑止が適切に図られていくものと考えているところでございます。
#67
○中川雅治君 監査法人の行政責任、刑事責任についてお聞きしてまいりましたが、民事責任に関しては、現行制度上、監査法人の組織形態は無限連帯責任形態に限定されています。大手監査法人では社員数が数百人を超えるところもあり、無限連帯責任を求めていくことは現実的でなく、また、諸外国では有限責任形態の監査法人も容認され、一般化していると聞いております。
 今般の改正案では、監査法人の有限責任化の道を開いておりますが、その考え方をお伺いいたします。
#68
○政府参考人(三國谷勝範君) 現在、監査法人の民事上の責任形態は無限連帯となっておりますが、これは、昭和四十一年に監査法人制度が創設された当時の考え方に比べまして状況が変わってきております。例えば、社員が数百人を超えるような大規模な監査法人が出現している、こういった現状等にかんがみまして、有限責任形態の監査法人制度も認めていくべきだとの考え方でございます。諸外国におきましては、有限責任形態の監査事務所の設立が一般化していることも事実でございます。
 こういった点を踏まえまして、現実に即し、かつ国際的にも整合的な制度整備を図る観点から、現行の無限連帯責任形態に加えまして、非違行為に関係のない社員の責任を出資の範囲に限定する有限責任形態の監査法人制度を今回導入することとしているものでございます。
#69
○中川雅治君 監査法人の有限責任化の道を開くことは重要なことでありますが、一方で、有限責任化に伴い、投資被害を受けた者の救済がおろそかになるようなことがあってはなりません。また、監査を行う監査法人がどういう財務状況にあるかを被監査会社の投資者が知ることができることも重要であります。一方で、有限責任形態の監査法人制度の選択に当たって過剰な要件を課すことは適切でなく、また中小監査法人でも選択が可能な枠組みとすることが重要と考えます。
 これらの双方の要請を踏まえ、有限責任形態の監査法人に係る要件について、今般の改正案がどのように定めているのか、お伺いいたします。
#70
○政府参考人(三國谷勝範君) 改正案におきましては、監査法人の財政的基盤の確保を通じて被害者保護を図る観点から、有限責任組織形態の監査法人につきましては、一つは最低資本金規制を設けますとともに、二点目は原則として供託を義務付け、三点目は、計算書類の開示を求めながら、一定規模以上の監査法人には監査報告書の添付を義務付けるなどの財産要件を設けました上で、当局への登録を求めていることとしているものでございます。
 また、監査人の緊張感を維持し、監査の質を確保する観点から、虚偽証明事案に関与した業務執行社員につきましては無限連帯責任を維持することとしているところでございます。
#71
○中川雅治君 会計監査の充実強化を図るためには、監査法人の自律的な取組や専門職業士団体としての日本公認会計士協会によるレビューなどと併せて、当局によるモニタリングが重要な役割を果たしております。この点に関しては、前回の公認会計士法の改正を受けて平成十六年に公認会計士・監査審査会が設立され、公認会計士・監査審査会は、日本公認会計士協会によるレビューの報告を受けて、その報告内容を審査し、必要に応じ自ら監査法人等に対する立入検査等を実施しております。
 この点については、日本公認会計士協会による品質管理レビューを前提とした間接型を改めて、公認会計士・監査審査会による直接型の検査を導入すべきではないかとの議論もあると承知しております。しかしながら、専門職業士団体としての自主規律が最大限発揮されることが、監査の質の確保の観点からも、監督の効率性の観点からも重要と考えており、当局による過度な検査はかえって監査の現場の効率性などを阻害することにつながりかねないと危惧しております。
 今般の改正案において、公認会計士・監査審査会の検査権限について見直しが行われておりますが、どのような考え方に基づいてこの見直しが行われているのか、お伺いいたします。
#72
○政府参考人(三國谷勝範君) 現在、金融庁長官が有します監査事務所に対する一般的な報告徴求及び立入検査の権限のうち、日本公認会計士協会が行う品質管理レビューの報告に関するものは、公認会計士・監査審査会に委任されているところでございます。
 改正案におきましては、この基本的な枠組みは引き続き維持しながら、これまでの実務の状況等を勘案いたしまして、二点、一つは新設の監査事務所で品質管理レビューを受けていない場合、二点目は品質管理レビューに対して監査事務所が協力的でないなどのためにレビュー結果の報告に支障が生じている場合などの例外的なケースに限定いたしまして、公認会計士・監査審査会が品質管理レビューを介さずに報告徴収や立入検査を行うことができるよう権限委任の範囲の見直しを行っているものでございます。
#73
○中川雅治君 先ほども申し上げましたように、監査の質の維持確保の観点からは公認会計士・監査審査会による検査が有効に機能することが重要と考えますが、一方で、公認会計士・監査審査会による検査については、公認会計士監査が萎縮する原因になっているのではないか、公認会計士監査をマニュアル化の方向に導くのではないかとの批判もあると聞いております。
 検査の現状及び今後の方針について、公認会計士・監査審査会としてどのように考えているのか、伺います。
#74
○政府参考人(振角秀行君) 私の方からお答えさしていただきたいと思います。
 公認会計士・監査審査会は、今御指摘のように、日本公認会計士協会が行う品質管理レビューに関する報告の内容を審査しまして、その結果、必要かつ適当であると認めるときには、監査の品質管理が適切に実施されているかどうかという観点から、監査事務所等に対する検査を実施しているところでございます。
 この検査の結果は、検査対象となりました監査事務所に個別に通知しているほか、監査業務の質の確保向上に資すると考えられる場合には、検査等で把握した監査の品質管理上の問題点を取りまとめて広く関係者に示しているところでございます。四大監査法人につきましては平成十八年六月に、それ以外の中小規模の監査事務所の監査の品質管理につきましては平成十九年の三月に公表しているところでございます。
 公認会計士・監査審査会としましては、こうした取組が監査の信頼性の確保向上につながると考えておりまして、今後とも、日本公認会計士協会による品質管理レビューを前提にすることを基本としまして、法令等にのっとり適切に検査を実施していきたいと思っている所存でございます。
#75
○中川雅治君 我が国金融資本市場の健全性を確保していくためには、我が国において提出される有価証券報告書等に関し外国監査事務所が行う監査業務についても、その品質管理などが適切になされていることが必要と考えます。この点、米国やEUは、域外の国の監査事務所に対して登録を求め、一定の規制を及ぼすことを可能にしていると聞きます。
 今般の改正案においては、外国監査事務所が届出制度の対象となり、我が国当局が必要に応じて立入検査等を行うことが可能な枠組みとなります。ただ、仮に各国の当局が一つの監査事務所に対して重複して検査を実際に行うこととなると、その監査事務所は検査漬けとなり、非効率な面が生じることが懸念されます。
 したがって、今般の改正が成立した場合には、新たに創設された外国監査事務所に対する権限を背景として外国当局との間で協議を進め、例えば相互の取決めなどに基づき効率的な監査の枠組みを工夫し、過剰な検査等を排除していくことが重要であると考えますが、金融庁としての考えを伺います。
#76
○国務大臣(山本有二君) 今般の改正案におきましては、金融商品取引法による開示規制の対象となります外国会社等の監査を行う外国監査事務所につきまして、我が国当局への届出を求めた上で、必要な指示、報告徴求、立入検査の制度を整備さしていただきました。
 外国監査事務所に対する検査等の具体的な進め方につきましては、委員御指摘のとおり、できるだけ効率的な枠組みとなることが適切であると考えております。外国監査事務所の母国における法制等を踏まえつつ、必要に応じて母国当局とも意見交換を進め、適切な枠組みを工夫してまいりたいと考えておりますので、御協力よろしくお願いいたします。
#77
○中川雅治君 ありがとうございました。これで終わります。
#78
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立でございます。
 大臣には昨日に引き続き、連日御苦労さまでございます。
 まず冒頭、ちょっと質問通告をしていないんですけれども、大臣のぶち上げられました東京のシティー化構想をちょっとお聞きしたいなと思っております。
 その経緯とか思いとかをちょっとお聞かせいただきまして、今どういう状況でこの構想の具体化に向けて進んでいるのか。金融庁の方で何か勉強会を御用意されているというふうに聞いておるんですけれども、大臣が述べられて足りないところは金融庁の方で御説明いただければと思っておりますので、まずは、私もこれは大変興味を持っておりますし高く評価しておりますので、是非お聞かせいただきたいと思います。
#79
○国務大臣(山本有二君) まず一つには、日本の国の現状として少子高齢化でございます。その宿命的な環境の中で経済成長を遂げるという課題に対してどう対処するか。答えは、一人当たりのGDP生産を上げていくということではなかろうかというように思っております。
   〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
 そうした観点から、世界の一人頭のGDP比を検討いたしますと、一位がルクセンブルクでありまして、約日本の倍ございます。二位がアイルランド等々でございまして、十番以内にいらっしゃる国々は、いわゆるニッチマーケットを問わず、メーンマーケットを問わず、すべて金融市場としての位置付けが明確にございます。言わば製造業、第一次、第二次、第三次産業というような分け方以外に、一つ、金融市場を持つことによる金融機関の職業従事者における生産効率の高さ、言わば収入の高さということがあり得るだろうというように判断をいたしております。
 そういう観点を前提といたしまして、次に検証すべきが、いわゆる流動性の問題でございます。世界における流動性、一九九〇年には約八・九兆ドルございました。そのうち日本の市場が担っている時価総額は約三割でございました。それが二〇〇六年現在では世界の流動性は四十九兆ドル、そのうち日本の担っているシェアは一割を切りました。ということになりますと、五倍の流動性の高さが十五年間であった、その中で三分の一に機能が低下をしている。掛け合わしますと十五分の一、我々はもう世界から置いていかれたというようなイメージが残るわけでございます。
 と同時に、さらにもう一つの観点として、収益力の点を見てまいります。そうしますと、金融機関における収益力は、全世界を六百と仮定した場合に、約七割が北米と西ヨーロッパでございます。アジアにおける我が国はその収益はわずか五%少々で、アジア全体としましても非常に低い数字でございます。つまり、この金融産業という分野におきましてはアジアは非常に劣った収益力でございます。そんな中で我々アジアの代表として頑張っていく必要があろうというのは、北米や西ヨーロッパに文化も非常に近いという点からして、我々が頑張る以外にこのアジア経済の中での位置付け、高い文化を誇る、あるいは情報産業としての我々として金融産業を育成するということは今でしかできないのではないかというような観点でございます。
 そして、最後になりますが、いわゆるロンドンもそれほど昔から金融機関が盛んではありません。言わば二〇〇〇年当時、ブレア政権当時から行った施策によって約雇用が二百万から三百万人、新規雇用をカナリーワーフというところを中心にイギリスは成功している事例でございます。つまり、ブレア政権の中におきますブラウン財務長官とエド・ボールズさんという副大臣が行ったいわゆる金融機能強化のビッグバン、二〇〇〇年におけるビッグバンの成果がいわゆるここに現れているのではないかというように考えるところでございます。
 その意味におきまして、各国にそういう成功事例がもうかなり具体的にあること、そして日本においては一九九〇年以前にはかなりの金融機能を果たしていたという事実、そして現在、千五百四十一兆円を誇る個人金融資産が現在まだあること、そしてイギリスと違って製造業もまだ日本を代表するリーディングカンパニーであるということ等々を組み合わせましたときに、十分可能性の高い私は金融機能強化ということの位置付けがあると、こう考えておりました。
 そこで、内閣として今後どういうことができるかを相互に検討した結果、官邸の中にアジア・ゲートウェイという部門を内閣補佐官を中心として研究をしていこうではないか。そしてもう一つは、経済財政諮問会議の中に専門家委員会を設けて金融機能強化ということを図っていくメニューをつくっていただいてはどうか。そして私の部門では、金融審議会の中にスタディグループを設けまして、それで勉強をしていただきまして、六月十三日に中間論点整理というものを発表させていただきまして、我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループというもののまとめをさせていただきました。
 まず、魅力ある市場の前提として、多様な商品サービスの提供を通じた厚みのある市場の形成、二番目に、市場参加者の高い自己規律に支えられた市場機能の十全な発揮ということを前提といたしまして、制度を含むインフラ、特に規制環境というものを十分整備をしなければならないというように考えておりまして、その意味におきまして、今回の公認会計士法の改正案というものもこの制度を含むインフラの中に位置付けられる重要な課題であろうというように考えたところでございます。
 以上、概括的に申し上げました。
   〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
#80
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 そうすると、まず大臣の個人的な思いが前々からおありだったということでしょうか、まず出発点は。
#81
○国務大臣(山本有二君) 個人的な思いだけではなくて、およそ市場関係者、そして研究者、学者の皆さん、そしてそれぞれ行政の中にいらっしゃる皆様もこのことは、表に出すか出さないかは別として、意識されていたというようなふうに思いますし、私は、世界の今の現状、特にヨーロッパにおける経済成長の中身を見ましたときに、非常に日本と異なる点ということの違いから、去年の秋口ぐらいから私なりに研究させていただいたことの現われであるというように思っております。
#82
○尾立源幸君 個人的なという意味が悪く取られたのかもしれませんが、そういう意味じゃなくて、リーダーシップを大臣として発揮していただいているという意味で私は非常にいいことなんじゃないかなと思ってお聞きしました。
 みんなが思っていることが潜在的にあって、それを実現させるのが正に政治家としての、大臣としての役割だと思いますので、非常に私はそういう意味で高く評価をさせていただいているというわけでございます。是非頑張っていただきたいと思います。
 それで、同じように私も問題意識を持っていました。たまたま竹村健一さんとこの前お話しする機会があって、ある数字を並べられたんですね、三・五、七、一四と。白板があればいいんですが、三・五、七、一四。これを全部倍にしていけば、三・五は七になって、七が一四になるんですけど、これは何の数字かというと、これ昨今の世界の例えばGDPの平均の伸び率が三・五と竹村さんはおっしゃいました。七は何かというと、これは貿易の伸び率らしいんですね、世界の。一四が金融における成長率ということで、やはり大臣がおっしゃったように金融の生産性といいますか成長率が非常に高いもので、やはり我が国でもこういう部分で強みを発揮していくべきだということでございました。私もそのように思っております。
 東京のシティー化ということも一つのアイデアでしょうし、また日本は非常に日が明けるのが早いといいますか、一番早いファーイーストでございますので、特区のような形で、時差を利用して北海道に金融の特区をつくる、そんな話もされておりましたので、まあ峰崎委員もいらっしゃいますけれども、そういうアイデアもどんどん出していって実現できればなと、こんなふうに思っておるということをまず申し上げたいと思います。
 そこで、そういう前提で、同じような思いでやっていただいているという前提なんですが、昨日もお話をいたしました。正にインフラの構築という意味で今回の公認会計士法の整備もあるんだと思いますが、しかしながら、金融市場の第一のやっぱり責任者というのは私は財務情報を出す経営者が負うべきだというふうに思っています。これは異論のないところだと思います。それを補完する形で取引所があったり監査があったりということだと思うんですけれども。
 そこで、今回、六月の十日の日経新聞で、日曜日版だったんですけれども、開けてびっくりといいますか、いい方向へ進んでいるなとこれも思ったんですけれども、「金融庁」と書いてありまして「課徴金引き上げ検討」、つまりディスクロージャーの虚偽の部分に関して制裁をどんどん強めていこうということを検討されていると、こんなふうに記事が出ておったんですけれども、この辺りの検討状況、公にできる部分があれば教えていただきたいんですが、よろしくお願いします。
#83
○国務大臣(山本有二君) 金融資本市場の信頼性を確保していくためには、企業財務情報等の適正な開示を確保していくことが極めて重要な課題でございます。その一義的な責任を負うのは各企業の経営者であるという御指摘はそのとおりでございます。この観点から、昨年成立いたしました金融商品取引法におきまして、有価証券報告書等の虚偽記載罪に関する法定刑の上限引上げ、財務報告に係る内部統制の強化など、経営者側の責任の強化策を講じたところでございます。
 これらに加えまして、御指摘のとおり、より実効的な違法行為の抑止を図る観点から、開示義務違反等に対する課徴金につきまして、その水準を引き上げるべきとの議論があるわけでございます。金融庁といたしましては、金融商品取引法の課徴金制度の在り方につきまして、独占禁止法上の課徴金制度の見直し結果も踏まえつつ、今後検討していきたいと考えておるところでございます。
#84
○尾立源幸君 素早い引上げ検討というのは評価するんですが、金商法の審議のときに、私も含めて多くの皆さんがまだまだ手ぬるいんじゃないかと、こういうふうに指摘したことがあると思うんですけれども、そのときは余り積極的ではなくて、今になってみたいな、ほら見ろみたいな感じなんですけれども、この点、大臣どうですか。
#85
○国務大臣(山本有二君) 金融庁としましては、より多様な、多元的な制裁措置というものの武器を持つというのは、大変私どもにとりましては有り難い、そして規制の実を上げるには効率的なツールであろうというようには思っております。
 他方、刑事罰との整合性あるいは自主規制との整合性、そんなことを考えましたときに、むやみに制度化された場合の市場における評価、こういうことを考えたときに慎重にならざるを得ない、その相克の中で今模索をしているというところでございます。
#86
○尾立源幸君 最初にシティー化構想をおっしゃった大臣です。やはり世界的な潮流を見ながら、是非こういった課徴金の額についても水準を合わせていただかないと、日本だけやはり何か甘いマーケットだなと、こういうふうに思われればシティー化構想はとんざしてしまいますので、是非その点はよろしくお願いをいたします。
 さて、そういう意味で、もうずうっと議論が続いております会計士の独立性の強化の問題ですが、第十四回金融審議会公認会計士制度部会の十二月十八日付け、総務企画局の発行のレポートを見せていただきましたが、これは最終報告だと思うんですが、ここで監査人の独立性については、一層強化する観点から、例えば監査人の選任議案の決定権や監査報酬の決定権を監査役に付与していくことが適当であると。実はこれは、案の段階ではこういうふうに書いてあったんですね、監査役に付与していくことが適当であると案の段階では書いてあったんですが、実際の報告書では、関係当局において早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したいという、期待したいという表現にちょっとトーンダウンを私はしているように思うんですが、これ、なぜこの案から最終報告にかけて表現が後退したのか、その辺りを教えていただきたいんですが。
#87
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、議論の過程でございますけれども、昨年十二月十八日の部会におきましては、「例えば監査人の選任議案の決定権や監査報酬の決定権を監査役等に付与していくことが適当である。」との案文で報告書案の議論がなされたところでございます。
 しかしながら、同日の部会会合におきましては、この点につきまして複数の委員から、一つは、取締役や監査役など会社の内部機関の間における業務執行権の分配の在り方等にかかわる問題であり、会社法制上の十分な検討が必要なのではないか、あるいはまた、監査報酬の決定に必要となる実務的な作業により、監査役の本来業務である監査業務に支障が生じるのではないか等の慎重な意見が出されたところでございます。
 これらの議論も踏まえまして、十二月二十二日の部会会合では、「会計監査人の選任議案及び報酬の決定に係る監査役等の同意権の付与を定めた会社法につき、関係当局において早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したい。」との表現で、ここは全会一致にて報告書が取りまとめられたものでございます。
#88
○尾立源幸君 そうすると、案の段階で異論が一部から出たので、全会一致になるように表現を直したということなんですかね。
 それで、私、ちょっとこういう制度部会の事務局なんかやったことないので分からないんですが、この「適当である。」というのはどのぐらいの意味があるんですか。それと「期待したい。」というのとはどう違うのか、ちょっと教えてもらいたいんですけど。
#89
○政府参考人(三國谷勝範君) 日本語の表現でございますので、全体の文脈の中におきましておのずからニュアンスが違ってくるわけでございますが、適当であるという場合には、一般的には、いろんな判断がある中で、そういった一つの判断というのが文字どおり適当であるのではないかといったようなケースが多いと思います。
 それから、期待されるというのは、そういった方向性につきまして、文字どおりその意思というものを、そういう方向に進むことを期待すると。文字どおり、日本語の表現としてそのような全体の文脈の中で使われているということかと思います。
 定型的な法文と違いまして、定型的にこれをこう解釈しなければならないというほどの強い縛りではないと思います。
#90
○尾立源幸君 私も余りよく分からないんですけれども、そうすると、官僚の皆さんの中ではこの大体の意味がお互い通じ合うと、こういうことなんですかね。
#91
○政府参考人(三國谷勝範君) 決して私どもは中だけで通用するような文言ということではなくて、やはりこの時代、広くやはり一般に我々の考え方あるいは審議会の考え方が分かるような、そういうことには工夫してまいりたいと考えております。ただ、審議会でございますので、様々な御意見をお持ちの方がいらっしゃいます。そういったいろんな議論を踏まえて一つの案、これは完全に一致の場合もあれば、大体としてのコンセンサスと、いろんなこれも形態があるわけでございますが、全体の今回の報告書は、公認会計士法の改正の方向性につきましては二十二日の報告案で基本的な枠組みをいただいたというものでございます。
#92
○尾立源幸君 分かりました。いずれにしても、法務省との立場の違いというのが大きなものだと思うんですけれども、よくよく考えてみますと、この報告書の中でも述べられておりますが、やっぱり会社法の世界と証券取引法、今でいう金商法の世界はやはり重なっているようで重なっていないと。目的も違います。そういうものを一つの監査役というところで結節点として両方を機能を負わせるというのにやはり若干無理があるのかなと思っております。あっちを立てればこっちは立たずということだと思うんですけれども。
 そういう意味で、会社法の世界からいいますと、監査役にこの監査人の選任権や報酬の決定権を与えるのは監査というものの実務や経理の中がよく分からないのに難しいというようなことをおっしゃっている反面、同意権を与えると。同意権というのは物事を分かった上でオーケーとかオーケーじゃないとか言うことじゃないんですか。物事が分からずに同意というのは僕はあり得ないと思うんですけれども、そういう意味で、法務省の、今日、方は来ていらっしゃいますかね、ここで、審議会の中でおっしゃっていることは私矛盾すると思うんですよね。中身が分からないから選任や報酬の決定はできない、しかし同意はいいよというのは、これはどういうことなんですかね。
#93
○政府参考人(後藤博君) 今の委員の御指摘の審議会の報告の件につきましては私どもで直接担当しているものではございませんので、会社法の制度について御説明させていただきたいと思いますが、私どもでは、同意権、監査人の選任の議案に対する同意、あるいは会計監査人の報酬についての同意権、これは監査役に認められております。この点につきましては会社法の制度の中で、例えば会社法の三百八十一条の二項で、監査役は取締役等々に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができるという規定がございます。さらには、内部統制の仕組みということで、取締役会において監査役が職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における使用人に関する事項であるとか、その他、監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制等を整備することと、こうなっておりますので、これらの制度の下で監査役は今の、会計監査人の選任議案に対する同意権あるいは報酬に対する同意権を適切に行使すべきものというのが会社法の仕組みであると思っております。
 私どもでは、監査役が報酬を決定すること自体、そのことは取締役との権限の分配の問題から、業務を執行するのは取締役であって、監査役はその取締役の業務執行をモニタリングする機関であるというのが会社法全体の仕組みでございますので、その仕組みの中で同意権にとどまらず決定権限を与えるのがいいかどうかは、これは実務の状況等も踏まえてなお検討すべきものがあると、こういうふうに考えておるところでございます。
#94
○尾立源幸君 金融庁にお聞きしますが、今私が引用しました委員のこの岩原さんというのはどういう立場の方で参加されているんですか、岩原委員。
#95
○政府参考人(三國谷勝範君) 岩原先生は商法学者でございます。非常にこの会社法に通暁されておられます商法学者でございます。
#96
○尾立源幸君 そうすると、今の法務省の方、商法学者ですごくよくやっていらっしゃる、これ読まれていますか。
#97
○政府参考人(後藤博君) 申し訳ありません。部会の議事録については私まだ読んでおりません。
#98
○尾立源幸君 何でこんな大事なことを読まれないんですかね。正にこういう議論をしているわけです。
 二十一ページですよ。今申し上げました部分ですけれども。ここに、二十一ページの五行目以下ですね。「実質的な問題でありますが、これはもう前回も申し上げたところでありますが、選任や報酬について、監査役に同意権だけでなく決定権を与えるということで、実際上、どれだけ会計監査人等の独立性を高めることができるか。これが一番の実質的な問題だと思います。」。ここはいいですね。その次、「もし、監査役が単独でこのようなことを決定しなければならないとしますと、監査役は各会計監査人等の監査業務の評価をするだけではなくて、内部統制を含む会社の監査業務がどれくらいの仕事量になるのか。あるいは、何よりも会社の財務状況等を考慮して、監査報酬をどれぐらいのレベルで交渉していくかといったことを決定しなければならないと思います。」。そのとおりです。「さらに言えば、会計監査人と依頼する業務の内容やその報酬につき交渉をするという必要も出てくるわけでありまして、監査役単独でそういったことができるのかどうか。特に会社の経理部門との協力がないと、恐らく難しいのではないかという気もいたしますが、そういった経理部門等の使用人に対する指揮命令権のない監査役が単独でそういうことができるのかといった問題があり得るかと思います。」。
 そういう意味で、非常に監査役が監査人を決定したり監査報酬の提案をするのは難しいということをおっしゃっているんですね。なのに、なぜ同意はできるんですかということを私は聞いておるんです。こういうことが分からないと、いいか悪いかという判断はできないんじゃないんですか。でなければ、経営陣の言う、取締役、代表取締役が言う人を追認するだけじゃないですか、その同意権というのは。何をもって同意する同意しないと言えるんですか、こういうことを分からずして。
#99
○政府参考人(後藤博君) 先ほど御説明いたしましたように、私どもも監査人の例えばどういう方を会計監査人選ぶか、あるいはどれだけの報酬を支払うのが相当か、こういうことは中身を理解した上で監査役が同意すべきだと思っておりますし、そのことはできるような仕組みを会社法で備えなければならない、そのことも備えなければならないものでありますし、そのために、先ほど申し上げたような仕組みを会社法で持っていると。ここは、確かに岩原先生はこういうふうに御発言になっておられますけれども、このことがそのままそうであって、だから同意も非常に形式的な同意しかできないんではないかということは、それは私どもは理解が違っていると思っております。
#100
○尾立源幸君 金融庁はこの点をどういうふうにとらえられたんですか。
#101
○政府参考人(三國谷勝範君) 金融審議会の部会でございますので、それぞれの皆様方がそれぞれの御意見をいろんな形で展開されるということは、これは当然のことであろうと考えております。いろいろな問題につきまして様々なそれぞれの視点から議論が行われました。今回の問題につきましても、適当であるというそういった考え方もある一方で、今のような御議論、そういった中で私どもとして部会からいただきましたのが最終的な文言という形になったわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、インセンティブのねじれ、これにつきましては基本的にこれから先の問題として今後も検討していかなければならない課題だと考えておりまして、法務省さんとは十分これからも意思疎通しながら対応してまいりたいと考えております。
#102
○尾立源幸君 午前の質問はこのぐらいにさせていただきまして、一時からの続きにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
#103
○委員長(家西悟君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#104
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公認会計士法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#105
○尾立源幸君 午前に引き続きまして、監査役の同意権について、もう少し議論をさせていただきたいと思います。
 お昼の間に後藤審議官もお読みになっていただいたということでございますので、改めてこの同意権というのは、今始まったばかりでございますのでなかなかその実態で、この同意権が得られた結果どうなったかということは待ってみないと分かんないと思うんですけれども、もう一度この同意権についての御説明をしていただけますか、審議官。
#106
○政府参考人(後藤博君) 会計監査人の選任議案それから会計監査人の報酬に対する監査役の同意権でございますけれども、同意権を行使するためには、当然ながら会計監査人のすべき監査の内容あるいは会社の財務の状況等々、適切な判断をするための情報を集めた上で監査役が同意権を行使すると、こういう仕組みになっておるものと私どもは理解しております。
 したがいまして、監査役につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、事業の報告を求める権限であるとか、あるいは監査役が独立して実効的な監査をできる体制を内部統制として会社で、取締役会で定めそれを開示すると、こういう仕組みを取っておるところでございます。これらの仕組みに基づいて、監査役がこの会計監査人の選任議案あるいは監査人の報酬についての同意権を適切に行使すべきものであるというふうに考えております。
#107
○尾立源幸君 お話をお聞きしておりますと、まあ極端な例が提案権になろうかと思いますが、その同意権ともうほとんど私はニアリー・イコールといいますか、ほとんどその大部分の前提は重なっているんではないかと。ただ、最終的な責任がどっちにあるかぐらいの程度にしか、私はこの同意権が本当に行使されるならばその程度でなければならないんではないかと思っておるんですが、審議官、どうですか。
#108
○政府参考人(後藤博君) 形式的には決定権と同意権でございますと、決定権は最初から監査役のところで内容を決定すると、同意権の方は取締役なり担当者の方で決めてきたものについて同意をするということですので、イコールかといいますと、イコールとは言い難いかと思いますけれども、実質的には監査役に相当の責任があり、監査役としては自分の職責を果たした上で適切に同意権を行使すべきであると。そういう意味では、実質的にはかなり近いものがあると私どもは思っております。
#109
○尾立源幸君 ようやく議論がかみ合ってまいりましたけれども、そういう意味で若干この岩原委員ですか、がおっしゃっていることは、何か同意権ですと何かほとんど仕事をしなくてもいいような、そんな印象にここの文章では見えるんですけど、そうじゃないと、ちゃんと相当程度の中身を監査役自身もしっかり認識してこの同意権を行使すると、こういうことでよろしいんですか。
#110
○政府参考人(後藤博君) その議案の内容あるいは報酬の額が適切かどうかということを判断する意味では、実質的に監査役が情報を集めた上で判断すべきであると。その点では、岩原先生がおっしゃっている中では若干そごはあるかなと思いますが、ただこの議事録の中では、会議録を見せていただきましたが、岩原先生がおっしゃっている中には、自分で決定をするとなると交渉までしなければならないというようなことが出てまいりまして、外部との交渉まで含めてすべて監査役がやると、こういうことになりますと、これは若干、監査役の方の体制、取締役との権限の分配の関係、これは問題になろうかと思いますので、その点では岩原先生のおっしゃっていることもそういう面があるということは私ども思いますけれども、実質的には今、尾立委員のおっしゃったとおりだと思います。
#111
○尾立源幸君 じゃ、この提案権から同意権、この差はもう少しで、もう一歩のところだという認識でいいわけですね。なら、是非、会社法早めにこのギャップを埋めるべく改正をしていただきたいというのが私の希望でございますし、一方、いやそれはなかなかということになると、解決策としては、それまでの間どうするかというところでまた大臣にお聞きしなければいけないんですが、まあ世界的な流れの中でこの監査役の、監査人の選任権というのが与えられるのが通常なわけでございますけれども、今、そうじゃない状況にあると。
 そこで、どうするんだということなんですね。法務省に期待をするという考え方と、できることはうちでやろうという、こういう考え方もあろうかと思うんですが、大臣、今議論お聞きになっていらっしゃいまして、どういう御感想をお持ちですか。
#112
○国務大臣(山本有二君) 法務省は法律専門家、特に民事、刑事の専門家の多いところでありますので、法体系ということを考えたときに、執行権と監査権という区分けは截然とされていると思います。その意味で、報酬決定やあるいは監査人の選任ということにおけるその区分のことを考えたときに、非常に難しい面に遭遇するということは理解をしております。
 また、実務上の要請も、かなり今のままでというような意見が恐らく経済界の中には渦巻いているということの環境の中でどう考えるかということでありましょうから、現実にこの法案に改正として着手するということに対しては、甲論乙駁、まだ検討の余地があるという事情は分かるというように思っております。
 そういう中で、尾立委員のこのねじれ、インセンティブのねじれをどう解決していくかということでございますけれども、これは監査役による経営陣、使用人に対する報告徴求権が設けられていること、あるいは取締役会は監査役の職務が実効的に行われることを確保するための体制について決定しなければならないとされていることというようなことも加味して、できる限り監査法人や監査役の地位を高めるようなメッセージを我々としては可能な限り打っていくということが肝要じゃないかというように思っております。
#113
○尾立源幸君 ちょっとまだ物足りないんですけれども、会社法の中でなるべくその地位を高めるという話で、いろいろお話もされました。その状況も分かります。しかしながら、外から見て、広い世界から見て、そういう細かいことを言っても恐らく通じないと思うんですよね。それがまさしく信頼性につながってくると思うんです。ああなっているから、こうなっているからいいじゃないかという、いろいろ説明をするということ時点でもうその信頼性を得る第一歩が、前提条件が崩れちゃうんじゃないかと思うんです。つまり、説明をくどくどしなければならないようなマーケットはやっぱり信頼されないというふうに私は思います。
 そこで、大臣にこういう考え方もあるんではないかと。当然この部会の報告書も読まれておられると思うんですけれども、昨日参考人として出席くださった山浦委員、こんなことをおっしゃっております。まあ会社法は会社法で置いておきましょうと、我々のできる範囲でやりましょうというような提案でございます。証取法ないし金商法のルールが上場会社を中心とする会社の監査について特別に規定するとすれば、例えば監査役に監査人の報酬に関する議案の提案権とか何か特別な規定みたいなものを設けることができるかどうか。例えば伝統的な大陸法系のガバナンス機能を取っているドイツでも、監査委員会制度というのは上場会社には特別に規定しているわけです。
 こういうことで、つまりは、これから金商法なわけですが、そっちの世界で上場会社に限って少し会社法とは別の規定を設けることでこのギャップを、要は世界から見て不透明だと言われているこの部分を埋めることが私できるんではないかと思うわけです。
 また、相澤幹事、この方は法務省の方ですかね、方も同様のことをおっしゃっております。まあ御本人たちがなかなかできないからということなのかもしれませんが、証取法監査について、現在、証取法上、何ら特段手当てがなされているわけではありませんけれども云々ということで、別の法体系の中で、手続上の要件の加重等できないわけではないと思いますというふうに、法務省の方からもこう言っていただいているわけですね。まあ御自身の方でやっていただくのが一番なんですけれども、金融庁にできるんじゃないかと、こういうふうにおっしゃっているわけです。また、それで、御本人様、法務省の方ですが、監査役制度には恐らく限界がございますともおっしゃっているんですが、そういうことなんですかね、正直な感想かと思います。
 また、八田先生、この方もやはり、何となくおかしいよねという部分を払拭すべきという意味での独立性の保持、あるいは何となくそれじゃ許せないよねという、こういう一般の人がおかしいと感じることはやはり直すべきだというような建設的な提案も多くの方からいただいております。
 大臣、こういった提案含めて、私も強く申し上げておりますが、どうですか、金融庁の方で特別な枠組みというのはできないんですか。
#114
○国務大臣(山本有二君) 金融庁の所管法の中で何ができるかについては、直接的にこのインセンティブのねじれに関するテーマで議論をしたことはございませんが、先ほどの参考人の意見の中で、金商法で、上場会社に限ってこういうような措置をとるというのも一つのアイデアだろうというように思いますし、また監査法人が新興市場の企業に対しての監査契約を解除したということになりますと、上場基準、上場審査の中で証券取引所が意見を聞くというような制度も同時にございます。そうしますと、上場のときに一体こういうことがどうなっているかということを審査するというのも一つではないかというようにも思っております。
 いずれにしましても、市場全体の関係者でともに、こういう監査役、監査法人の地位を上げていこうという機運が醸成されたときにはアイデアが具現化してくるだろうというように思っている次第でございまして、早くそういった日が近いことを望んでいるところでございます。
#115
○尾立源幸君 是非、シティー化構想じゃございませんが、是非大臣のリーダーシップでやっていただきたいと、このようにお願いを申し上げたいと思います。
 ちなみに、大久保委員を中心に昨日も塩崎官房長官に御質問いたしました公開会社法という、大きなこれは枠組みになっていきますが、そこまで我々は準備しておるんですが、そこまで行かなくとも、ちょっと規定を加えるだけで、一行、これはすばらしい、透明性、また独立性が私は構築できるんではないかと思っておりますので、是非やっていただきたいと思います。もう一回答弁お願いいたします。
#116
○国務大臣(山本有二君) 是非、具体的なアイデアをいただければ検討に入りたいと思います。
#117
○尾立源幸君 ありがとうございます。さすが世界に目を向けていらっしゃる大臣だなと心から感謝申し上げます。
 それでは、監査難民の話、先ほどちょっと、新興市場で今打ち切られるようなところが出てきておる。これは元々監査に堪え得ない、堪えることのできない会社であるということも私はあると思うんですね。だから、必ずしもすべてを難民というふうに定義するのはよくないと思うんですけれども、実際みすずがこの七月末をもって解散をするということで、当然、この株主総会では今、そろそろ始まりますね、これから次の監査人をきちっと選んでいかなきゃいけないということになっておりますが、金融庁としてはこの辺り、どの程度引継ぎといいますか、交代がうまく順調に進んでいるというふうに御理解されておりますでしょうか。
#118
○政府参考人(三國谷勝範君) みすず監査法人におきましては、これまで他の監査法人との間で七月末を目途とした社員及び職員の移籍に向けました協議を進めてきているものと承知しております。また、これら人員の移籍と併せまして、監査を担当してきたクライアント企業等を原則としてその監査チームの移籍する先の監査法人に引き継ぐ、そういった手続も進めてきているものと聞いております。
 そこで、現状でございますが、これは六月十二日十七時の段階で、みすずの調べということで申し上げたいと思いますが、みすず監査法人の調べによりますと、これまで同法人が監査を担当してきた三月期決算上場会社、これは四百社強ございますが、このうち約九六%が既に公認会計監査人について適時開示を済ませていると聞いております。なお、一方、三月期決算会社以外の会社を含めますと、これは上場会社全体、六百社強ございますが、これは現段階では約八割が適時開示済みということと聞いております。
 みすず監査法人は引き続き他の監査法人等の協力を仰ぎながら、業務の移管を更に促進していく意向と承知しております。私どもといたしましても、真摯に開示に取り組もうとしている企業等が監査を受けられない事態が生ずることのないように、日本公認会計士協会を始めとする関係者、こういった方々とも連携を図りながら、そういった関係者の努力、こういったものについても十分注意を払いながら対応してまいりたいと考えております。
#119
○尾立源幸君 六月十二日時点の数字を御報告いただきました。しかしながら、三月決算時点ではまだ四%が、というと決まっていないということですか。十六社ですか。
#120
○政府参考人(三國谷勝範君) 六月十二日時点でございます。したがって、今後のこれらの数値が最終的にどういう姿になるか、現時点でその具体的な数値を申し上げることは困難でございますけれども、みすず監査法人はこれからも更に業務の移管を促進していきたいと、こういうことで頑張っていると承知しております。
#121
○尾立源幸君 今回、中央青山監査法人が業務停止命令を受けたことによってこういう一連の流れがずっと続いておるわけなんですけれども、今後こういう監査法人が不祥事を起こすということは可能性はゼロではないわけですよね。やはりこういうことは起こり得るというふうに想定はしておかなきゃいけないと。そのときの受皿となり得る監査法人がしっかりあるのかというのも、これはマーケットの信頼性の私は一つでもあると思うんです。
 そういった意味で、今もるるお話ございましたように、日本の会計監査法人業界、寡占状態ということで、四百人以上の公認会計士が所属するところが四つで、今後は三つになりますし、二百人から四百人未満が一法人、あとはすべて百人未満の監査法人ということで、何か、底抜けといいますか、中間層が全然ないということでございます。
 私、これ実際に経験したんですけれども、相談を受けたこともございます。やはり業績が悪いから、監査証明を出せないから監査を引き受けられないという意味ではなくて、クライアントの方からこの監査法人にはもういろんな意味で、能力、またコミュニケーションの面で見てもらいたくないと、違うところに替えたいといったときに、ほかの三大監査法人はもう、今みすずの引受けで手が一杯一杯で到底引き受けられないというふうな形で断っているわけなんです、実際。こういう状態はおかしいと。
 そこで、何がこのクライアントにとって、会社にとって起こるかというと、じゃということで、もう一段小規模の、中規模の監査法人が見付かればまだいいんですが、そうじゃなくて、一法人しかないわけですから、あとはすべて、百人未満の監査法人に頼んだとすると、それだけで会社の信用ががくんと落ちるということなんです。つまり、株式の値段にそれが反映されて、監査法人のせいで株価が下落すると。こんな私ばかなことがあっちゃいけないと思うわけなんです、単に監査法人を替えただけでですね。こういうことも起こり得るということがあるんで、何とか中程度の三大監査法人の何かあったときの受皿となれるようなところをしっかりとつくっていくべきだというのが私の主張なんです、もう一つの。
 そういう意味で、今回の法改正にはまだ不十分だということでございますが、今後どのような対策を、中程度の監査法人を、これは合併して一つになれというような強権的なことは当然できないわけでございますし、また分割してばらばらになれとも言えないんでしょうけれども、どういう対策が金融庁また行政として考えられ得るのか、教えていただきたいと思います。
#122
○国務大臣(山本有二君) 個々の監査法人の規模等につきましての点について、行政が言及したり政策的誘導を行ったりすることは必ずしも適切ではございません。適正な業務を行う中堅、中小の監査法人が、金融資本市場や企業から適正な評価を受けて、ノウハウ、人員、組織等の点で発展していくことがこの監査体制全体に重要なことであろうと考えております。
 監査法人の規模も含めまして、会計監査に係る制度全体の姿につきましては、引き続き当庁としましても検討を重ねてまいりたいと考えるところでございます。
#123
○尾立源幸君 例えば、ローテーションルールなどで今回はどういうような配慮がされているんでしょうか。
#124
○政府参考人(三國谷勝範君) 今回、監査法人の例えば有限責任形態、こういったものも新しい制度として創設することでお願いしているわけでございますが、例えば、そういった場合でありましても、いろいろな規模に応じました取扱いというのを行っているわけでございまして、最低資本金や供託金、こういったものは一定額に社員数を乗じたという形で、その規模のゆえにそういった有限化が難しいとかといったことにならないようなまた配慮をしているところでございます。
 それから、ローテーションということでございますと、これは大規模監査法人につきましては、主任につきまして、五年継続した場合には五年のインターバルということにしておりますが、中規模監査法人の場合には、規模的にはそれでは実際問題としてなかなか対応できないような場合があると。したがって、五年、五年のルールも一定の規模以上のところに求めるとか、そういった形でかなりのいろいろなところで実際の監査法人の規模にも配意した制度をこの中に盛り込んでいるところでございます。
#125
○尾立源幸君 具体的に、それで中小に対するローテーションルールはどうなるんですか。配慮とか規定を盛り込むというふうにおっしゃっておりますが、もう一度詳しく御説明ください。
#126
○政府参考人(三國谷勝範君) 大会社等に対しまして、七年の監査を継続しました場合には、これは二年のインターバルと、大規模監査法人の場合には、主任の場合には五年継続いたしましたら五年間のインターバルを設けると、こういった違いが、大規模監査法人とそれ以外のところではそういった違いを設けているところでございます。
#127
○尾立源幸君 ちょっと改めてその大規模の定義をもう一度教えていただきたいと思います。
#128
○政府参考人(三國谷勝範君) これは、今後の府令マターにもなるわけでございますが、大体上場会社を百社以上監査しているかどうか、この辺を一つのメルクマールと考えております。
#129
○尾立源幸君 上場企業百社というのが一つの線引きで、これ以上あると大規模監査法人ということですね。そういうことでよろしいですね。はい、分かりました。
 そのほかには、資本金の有限責任の導入、最低資本金が人数割りというようなことでございます。是非この辺は、今後、先ほど申し上げましたように、監査法人が替わることで株価は下落して一般投資家が、何のまたこれ責任もない一般投資家が多大な損を被るというようなことがあってはならないと思っていますし、こういうのというのはまた損害賠償の対象になるのか私は分かりませんけれども、余計なまた話が出てまいりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 次、課徴金の話に行きたいと思います。
 今回、課徴金という制度が新たに導入されたわけですけれども、ここでちょっとお聞きしたいのが、これいただいているもので、公認会計士、監査法人に対して、違反行為を適切に抑止する観点から利得相当額を基準とする課徴金を賦課ということで、故意の場合が監査報酬の一・五倍、相当の注意を怠った場合が一倍というふうに書いてあるんですけれども、まず、これでいいわけなんですが、利得相当額というのはどういう意味なんですか。
#130
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査報酬額と考えております。
#131
○尾立源幸君 そうすると、私のイメージでは、利得というのは何かもうけた分というような、普通に考えるとそういうニュアンスなんです。例えば、談合をやった場合に、あれ課徴金というんですか、取られますよね。あのときは受注額の一〇%を返せと。それはなぜかというと、当然原価が掛かっていますから、工事代金の、鉄骨や人工さんやいろんなものが掛かっていますので、その受注額の一〇〇%を返せということにこれ等しいですよね、この今の規定ですと。そこの点、もう一度説明していただけませんか。
#132
○政府参考人(三國谷勝範君) 独占禁止法と公認会計士法の場合では、課徴金でもその着眼点はやはり実態に応じて異なるところがあろうかと思います。独禁法の場合には、例えばそういったことがなかりせば百円なら百円だったものが、そういった例えば談合することによって値段が上がると、そういったところの、これは独禁法の専門部局ではございませんのでややラフなところがあるかもしれませんが、そういった形から一〇%という形にしていると承知しております。
 一方、監査の方でございますけれども、その虚偽証明につながる監査をすることによってそれだけの収入を得たわけでございますので、その部分は全体の利得相当額と考えておると、こういうことでございます。
#133
○尾立源幸君 そうすると、これ監査というのは組織的にやっているので、そのトップの会計士の中にも主任という人が、また責任者がいて、あと従業員がいるわけなんですけれども、その従業員の人たちには監査報酬ということでどんどん払っていきますよね、やはり月々のお給料ということで。それは監査法人にとってみればコストなわけなんですよね。それまでやっぱり返せというのがこの趣旨なんですかね。
#134
○政府参考人(三國谷勝範君) 企業から監査によって得た利得ということでございまして、その先その利得がいろんな形に使われているかもしれませんが、着眼点といたしましては、当該虚偽証明につながる監査をしたと、したがってその利得はその監査報酬額という考え方でございます。もちろん、いろいろなケースがありました場合に、例えばいろんな一つの監査法人が多数の会社をしている場合に、その虚偽証明を行った対象会社に係る分のみでございます。
#135
○尾立源幸君 相当これ厳しい話になるんじゃないかと思います。つまり、ほとんどの場合人件費ですから、もう社外流出しているわけですね、法人からは。それで、監査報酬額、例えば一千万なら一千万をそのまま丸々返しなさい、更には一千五百万ですね。一・五倍というと相当これは厳しいと思いますので、これが悪いという意味じゃないんですけれども、この課徴金の納付命令の出し方が濫用されないようにというのがやはり大事な点になってくると思いますが、その辺の歯止めは今どんなふうに検討されておりますのでしょうか。
#136
○政府参考人(三國谷勝範君) 今回の課徴金の導入というのは、まさしく実態に応じてきめ細かく抑止を図るための措置として導入するものでございます。現行の制度でございますと、戒告、その次は業務停止、その次は解散という、こういう三つの手段しかございませんでした。こういった中で、諸外国の例を見ましても、やはり課徴金といった形でそれぞれの実態に応じた抑止を図っていくという考え方でございます。
 そういった場合に、この課徴金というのがある意味では重過ぎる場合もあれば、それはそれ以上に重い制裁措置を講じることによって、課徴金自体が必要なくなるのではないかという、こういう二つの類型が考えられるわけでございまして、したがって一つの類型といたしましては、違反の形態等が軽微な場合には、それは他の処分があれば課徴金を課さないことができると。
 もう一方の形態といたしましては、例えば既に昨年もございましたが、既存の業務を停止してしまうあるいは解散命令をしてしまうと。これは課徴金以上の相当重い実質的な経済制裁措置でございますので、そういった処分が行われた場合には課徴金を併せて課さないこともできることとすると、こういった制度でお願いしているところでございます。
 もとより、この課徴金の発動というものがきめ細かく、一方で乱に流れないようにということにつきましては、私どもも十分心して対応をしてまいりたいと考えております。
#137
○尾立源幸君 また、こういう場合はこのぐらいにというような、そんな表はお作りになって、なられるんですよね、ケース・バイ・ケースの表というんですか。
#138
○政府参考人(三國谷勝範君) 現在法案を御審議していただいている段階でございますが、前回、公認会計士法の改正を行いましたときにもその考え方というのはお示しさせていただきました。今回、制度がこういった形になりますと、この制度改正に応じた基本的な考え方、ただ、最終的にはこれは個別の事案によるところがございますが、そういったことにつきましては検討してまいりたいと考えております。
#139
○尾立源幸君 また是非よろしくお願いをいたします。
 それでもう一点、昨日も本会議で代表質問で聞かしていただきました。やはり十分な監査時間が日本の場合世界と比べて見劣りをしているんじゃないかという問題でございまして、大臣の方からこの質問に対して、日本公認会計士協会と連携しつつ、監査時間の見積りに関する研究報告等の成果を監査計画の策定に適切に活用するなど、監査時間の確保のための環境整備に努めてまいりますと、こういうふうにお答えをいただいているんですけれども、これをもう少し具体的にお教えいただけませんでしょうか。
#140
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査に当たりましては、やはり適切な監査計画を策定した上で、その計画に沿って適切な水準を確保していくということが重要と考えております。日本公認会計士協会におきましては、監査時間の見積りに関します研究報告等が公表されております。これにいろいろな傾向が出ておりまして、例えばこれまでのところ内部統制関係に関する時間が比較的少ないのではないかといったようなこともございますけれども、今後また新たな内部統制といったものも導入されますと、そういったものに現実的に対応した監査時間を適正に確保していくということが課題になってくるかと考えております。
 いずれにいたしましても、協会のこういった研究成果、こういったことの内容が、また成果が実際の監査計画の策定に適切に活用されていくこと、これは最終的には行政というよりもそれぞれの監査法人とクライアントの努力の結果と思いますが、そういったものが適正に反映されていくような、そういった環境づくりということにつきましては私どもも意を用いてまいりたいと考えております。
#141
○尾立源幸君 会計士協会がその研究をしているというのは私も知っております。報告書もあるのも知っております。それを金融庁さんとしてはまず利用をして環境整備に努めるという、環境整備というのは何をするんですか。
#142
○政府参考人(三國谷勝範君) 私ども行政部門が民間の活動に最終的な、こうする、ああすると言うのはおのずから制約があること、そこは御理解いただきたいと思いますが、例えば、こういった監査の傾向の把握でございますとか、あるいは状況の調査とかこういったことの周知とか、そういった形を通じまして日本の監査が適正に行われる。その中には、監査時間の確保、適正な監査計画、こういったものも入ってこようかと思いますので、私どもなりにそういったことを考えてまいりたいと思います。
 なお、環境整備の一例といたしましては、財務書類の作成に当たり監査にどのような対価を支払ったかにつきまして透明性を確保する観点から企業等による開示の充実等を促すこと、これが私どもとしても考えられるところでございます。
#143
○尾立源幸君 一義的には当然民間のやることですから直接介入はできないんですけれども、この監査時間の見積りに関する研究など、これは金融庁の方で、例えば先ほどシティー化構想があるということでその勉強会、そんな中でやるということはできないもんですかね。
#144
○政府参考人(三國谷勝範君) この問題とまたこの監査研究成果の公表というのは、どこの場ということではなくて、私どももこういった傾向とかあるいは開示の充実、こういったことにつきましては、またいろんな場を通じて必要に応じお話しさせていただくとかということを通じまして、こういった問題に私どもなりにできることは対応してまいりたいと考えております。
#145
○尾立源幸君 会計士協会は会計士協会でやっていただいて、金融庁としては金融庁で実態把握を是非やっていただければと思っております。よろしくお願いをいたします。
 次、監査法人の情報開示について今回新たな規定が設けられておりますけれども、私もやはり監査法人自体のディスクロージャーというのも、当然これは大事なことだと思っております。そういった意味で、この規定は今回賛成しておりますが、じゃ、どういったことをディスクローズするのかというところで具体例をまだここでは見えておりませんので、お話しいただきたいと思います。
#146
○政府参考人(三國谷勝範君) 今回、公認会計士につきましては業務の状況、監査法人につきましては業務及び財産の状況に関する説明書の縦覧を義務付けることとしております。このうち、財産の状況に関する事項でございますけれども、これは無限なのか有限なのかによっておのずから差異が出てくると考えておりまして、無限責任形態の監査法人につきましては、売上高の内容等を考えているところでございます。なお、これは例えばEUの第八次指令というのがございますが、そこでもこの売上高等の開示が求められているところでございます。
 一方、有限責任形態の監査法人につきましてはこれは有限という形でございますので、こういった売上高の内容等に加えまして、貸借対照表、損益計算書等の計算書類、こういったものも縦覧を求めることとするほか、一定規模の監査法人につきまして、監査証明を受けているときはその当該監査報告書等も開示を求めることを考えているところでございます。
#147
○尾立源幸君 それでは、有限責任監査法人と無限責任監査法人、さらに監査を受けている法人と、いろいろ違ってくるということですよね。
 例えば有限責任監査法人のBS、PLというようなことをおっしゃいましたけれども、これもピンからキリまであるんですけど、どの程度を考えていらっしゃいますか。
#148
○政府参考人(三國谷勝範君) BS、PL自体は規模には、一応それぞれやはりその企業に、監査法人によって異なるかと思いますが、そのBS、PLの基本は、大きくても小さくてもそれは基本的に共通しているんだと思うんです。
 したがって、その規模のもちろん属性も加わりますけれども、財務諸表というものを法人の実態に即して適正に表す、あるいはPLも同じようなことでございまして、これはやはり財務諸表というものの基本的な性格ではなかろうかと考えております。
#149
○尾立源幸君 いや、詳しさの程度をちょっとお聞きしておるんですが、BS、PL、どの程度の詳しいものの添付、開示ですね、義務付けられるのかということです。
#150
○政府参考人(三國谷勝範君) その辺の細目につきましては今後の検討ということで、いろいろこれからいろんな事例等も調べながら、私どもの方としても適正な開示が行われますように研究、検討してまいりたいと考えております。
#151
○尾立源幸君 そういった意味で、今有限について聞きましたが、無限責任の方に関してはまだいまだに無限連帯なわけですので、当然その情報開示の在り方もこれ私は違うのかなと思っておるんですが、その辺はいかがですか。
#152
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、無限の場合には個人が属人的に、最終的に連帯責任を負っていく形態でございますので、人的組織という状態でございますので、現在のところ、その財務状況の内容につきましては、売上高等の状況、こういったものを中心に考えているところでございます。
 ただ、有限になりますと、会社の財産が最終的に事故があった場合に、そういった被害者と申しますか、そういった方々に対する担保でございますので、財務諸表等の開示を求めていくと、こういう違いでございます。
#153
○尾立源幸君 そうすると、無限責任、監査法人の場合は売上高程度ということでよろしいですか。
#154
○政府参考人(三國谷勝範君) これも、これ細目は今後の検討課題ということになるんですが、総売上高の内容という形になります。
 ちなみに、これもEUの第八次指令、幾つか項目がある中で売上高という、EUの事例を申し上げますと、法定監査報酬、他の保証業務からの報酬、それから非監査業務からの報酬ごとの内訳、それから監査事務所の重要事項を示す財務情報といったものがありますが、こういったものも踏まえながら、我が国として適正なものを定めていきたいと考えております。
#155
○尾立源幸君 そうすると、売上げの内訳は分かりましたが、そのほかに何かまた追加がされたように思うんですが、その他の財務状況、もう一回教えていただけますか。
#156
○政府参考人(三國谷勝範君) EUの場合に、業務と財務と両方ございまして、業務につきましてはそれ以外にも法的な構造とか数項目がございます。現在のところ、財務としては総売上高の状況ということが大体諸外国の一つの流れかと思いますので、こういったもの、これが大体基軸で、これが中心になるという具合に考えております。
#157
○尾立源幸君 またそこで過度なものになりますと、じゃ、やめちゃえということでますます中小がいなくなってしまうということになりますので、その辺も適切に配慮をしていただきながら決めていただきたいと思いますし、あと、共同事務所になったらこれどうなるんですか。
#158
○政府参考人(三國谷勝範君) 共同事務所というのが個人の事務所ということでございますと、これは業務の状況という形になります。
#159
○尾立源幸君 分かりました。
 それでは、次に、公認会計士の数の、先ほど申し上げました監査法人と当然関係してくるんですけれども、公認会計士そのものの数の議論を少しさせていただきたいと思います。最後でございます。
 今、公認会計士として登録されているのが一万七千人ということでございまして、そのうち監査法人に勤めているのが約九千人ということで、残りの八千人近くは個人事務所なりその他の業務をやっておるということで、過去からずっと見ておりますと、大体この比率というのはある程度一定していると思うんです。
 一方、上場会社の数も見てみますと、やはり同じような形で、公認会計士の数と上場会社の数というのは割と比例的に伸びてきているというふうに見受けられます。しかしながら、一方、要求される業務というのは、御承知のとおり、国際化をし、さらに様々な会計基準が新たに連結を始めどんどんどんどん複雑になってきているという中で、そういう意味では比例的に伸びるだけでは私は追い付かないんじゃないかと思っておるんです。
 そんな中で、今、現状、金融庁の方としては、公認会計士の数というものについてはどういう御認識をお持ちなんでしょうか。
#160
○政府参考人(三國谷勝範君) 数でございますけれども、数値を御説明させていただきますと、現在、平成十九年三月末で、公認会計士登録者数は一万七千二百五十八名でございます。このうち、監査法人に所属する公認会計士は、平成十九年三月末において八千四百十名。それ以外に、日本公認会計士協会によりますと、現時点で上場会社監査事務所として登録している個人会計事務所に所属する公認会計士は、これは平成十九年五月末において九十人となっているところでございます。
 御指摘のとおり、公認会計士、監査法人の業務が増加、複雑化する中で、監査、これを魅力ある仕事としていくためには、まずはこの監査の信頼性を確保していくことが必要でございます。
 私どもといたしましては、公認会計士に関する数の問題でございますが、この公認会計士が果たす役割は極めて重要と考えていますので、我が国全体として質の確保を図りながら監査業務に従事する公認会計士の数を確保していく、これが重要と考えておりまして、私どもとしてもまたこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
#161
○尾立源幸君 最後になりますけれども、ちょっと私の知識不足なんですけれども、この数というものに関しての目標値みたいなものは政府としてはお持ちなんですか。
#162
○政府参考人(三國谷勝範君) 明確な政府としての目標数値ということではございません。ただ、一方、平成十四年に金融審議会の公認会計士制度部会報告の中では、例示といたしまして、平成三十年ごろまでに公認会計士の総数を五万人程度の規模と見込むことが考えられると例示がございます。それが今、現段階で特段の目標ということではございませんけれども、いずれにいたしましても、質を維持しながら数を増やしていくと。これは、先般の公認会計士法で公認会計士試験制度の改正を行いました。改正後、実施後もまだ日が間もないわけでございますが、これは私どものほかに審査会の方といたしましても一緒になりながら、この問題の改善に今後とも一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
#163
○尾立源幸君 以上で私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#164
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。
 専門家の尾立委員の後、素人の私、広田一が質問させていただきますので、お気軽に御答弁をしていただければというふうに思います。
 先日、金融庁の企業開示課に教えていただいたことがございます。それは、山本大臣と私のふるさと、我が高知県に所在する監査法人の数なんですけれども、これは何とゼロでございました。そして、しかも高知にいる公認会計士さんの数は幾つかというふうにお聞きしますと、十一名しかいらっしゃいません。このことを一つ見ましても、この会計士の世界におきましても地域間格差があるかなというふうに改めて実感をしたわけでございます。
 先ほど尾立委員の方から、世界に目を開いたシティー化構想、大臣のことを高く評価をされたわけでございますし、私も同感でございますけれども、右目ではシティー化構想を見詰めながら、是非とも左目ではリレーションシップバンキング、更に更に力を入れていただいて、これから金融において地方を活性化していくと、そういう意気込みで頑張っていっていただきたいなと思いました。
 それでは、早速質問に入りたいと思いますけれども、その前にまず、これまでも議論もありましたけれども、旧中央青山、現みすずの解体の教訓とその影響につきまして、今日は昨日に引き続きまして、藤沼参考人、大変お忙しい中御出席をしていただきまして、本当にありがとうございます。この件についてお話をお聞きしたいと思います。
 今回のみすず解体の教訓といたしましては、監査法人の二極化、寡占化の問題が挙げられると思います。このことにつきましては、金融審の報告でもございましたように、四大監査法人などが巨大化し過ぎて、人的な信頼関係を基礎として互いに業務をチェックするという組織的監査が働きにくくなっていると、そういった一方で、小規模監査法人については、高知の場合はないんですけれども、組織的監査が整備されていないと、こういったような弊害が指摘されているわけでございます。
 今日の日経新聞の中で、みすず顧客の上場四百二十社の監査変更先ほぼ固まるというふうな記事の中でも、みすずの解体に伴いましてより一層、大手法人と中堅の業容格差を一段と広げる結果になっているというふうな記事もございます。
 そこで、この寡占化の傾向につきましては、昨日の参考人質疑におきましても、藤沼参考人の方から国際的な傾向であるというふうなお話もございましたので、その海外の事例と比較して、日本の寡占化の特徴とまた原因、そして、これまた先ほど尾立委員の質問の中で、金融庁に対しまして中程度の監査法人の育成についてどうかというふうな御質問もございました。
 これについては大臣の方から、政策誘導的にこれを進めるのはいかがなものかというふうな趣旨の御答弁があったんですけれども、そうなってくると、協会の果たす役割というものがますます大きくなっていくと思いますので、こういった中程度の育成も含めまして、監査法人の二極化、寡占化の原因、また中程度の監査法人の育成の在り方について御所見をまずお伺いをしたいと思います。
#165
○参考人(藤沼亜起君) 藤沼でございます。
 寡占化の原因はこれは国際的な問題でありまして、先生のおっしゃるとおり、日本だけではなくアメリカでもヨーロッパでも寡占化、四大法人の寡占化というのが現実にあるわけでございます。
 その理由は、一つは企業側にあると思いまして、それが上場会社ですと、やはり、こういう言い方はあれかどうか分かりませんけれども、大手の事務所に監査していただきたいという、こういうブランド志向というのがあるのが一つだと思います。
 もう一つ、日本においてどうして四大法人なのかということは、これは四大法人の提携先であるビッグフォーと連携していますから、どうしても日本も四大という形で、組織再編成が行われて四大法人ができてきたということがあるわけです。
 日本の特徴は、監査専業業務、専業の会計事務所、監査法人ということで、これは外国の事務所は会計事務所ということで、監査ももちろんありますけれども、税務もあるし、コンサルティング、アドバイザリーもあると、こういうようなことで、日本の場合、監査専業ということで、じゃ、なぜ中小が育たなかったのかというと、そこと比較的関係しておりまして、中小で監査専業の監査事務所をやれといっても、なかなか監査のお客様だけでは収益基盤が整わないというようなことで、監査専業の事務所は四大法人としてはやっていけるけれども、中小ではなかなかやっていけないと、そういうような事情があってなかなか大きな中小事務所が出てこないというのが現状にあります。
 それでは、じゃ、今後どうするのかという問題なんでございますけれども、公認会計士協会としては、大手事務所が、従来はクライアンツの規模とかあるいは業種とかそういうことに関係なく、デパートみたいに何でもかんでもみんな自分でやろうというようなところがありまして、ただ、環境が、今監査の現場が非常に忙しくなっているということと、また来年から内部統制、四半期報告とか、そういうような新たな業務も加わりますので、多分、大手の法人は、公開会社を主に、しかもそれも大手のところあるいは国際的な事業を営んでいるところが中心になって監査業務をやっていくのではないかと。
 そういうことですと、中小の方が、比較的小規模な上場会社ですとか、あるいは学校法人ですとか、中小の事務所でもやれるような仕事にある程度仕事を拡大することができると、そういう面で、我々としては大手法人のトップの方と、やっぱりそういう方向で行かなくてはいけないのではないかということで、その辺の考え方のすり合わせはある程度合意できているわけでありますけれども、それをいかに中小の方に、実際の方に仕事を広げていくかと、それが一つの課題であるというふうに思っております。
 以上でございます。
#166
○広田一君 現在の監査の現場の状況につきましては、また後ほど御質問をさせていただきたいと思いますけれども。
 これからは、大規模監査法人につきましては公開会社を中心に行っていくというところですみ分けをますます進めていくと。で、すり合わせは行っているというふうなことでございますけれども、これを何らかの協会としての考え方としてきちっと内外に示して、これを計画的に実行していくと、そこまで踏み込んだ、具体的な計画まで上げていくようなお考えはあるんでしょうか。
#167
○参考人(藤沼亜起君) 協会として何かそういう指示をするということはできない、あなたの仕事はこういうことに集中しなさいという形で指示することはできないと思いますけれども、一応、協会の執行部としての考え方を協会の機関誌の座談会で述べたり、いろんな形でメッセージを出しております。
 それと、また中小事務所の支援ということを協会考えておりまして、中小事務所等施策調査会というものを設置いたしまして、中小事務所の代表者の方に集まっていただいて、そこでは積極的にそういうような自分たちでも対応できる事務所の獲得と業務に集中するようにと、集中するような体制を取ってほしいというようなことはメッセージとして出しております。
 以上でございます。
#168
○広田一君 続きまして、今回のみすず解体の教訓の一つとして、昨日も参考人質疑の中で議論がありましたけれども、縦割りの弊害というものが挙げられると思います。
 昨日の参考人質疑では、山浦参考人の方から、一匹オオカミとか、士の気質、体質を持ち続けたまま中小事務所の統合で大きくなったという経緯から、様々な運営とか監査の業務において統一性といったものが欠如したと、そういうことから縦割り意識の弊害がもたらされたのではないかというふうな指摘があったわけであり、また藤沼参考人の方からも、同趣旨の東京と大阪の事例を出しながら、この点についての言及がございました。
 こういったことを踏まえまして、協会としても様々なレビュー等を通じて、内部統制体制といったものを確立しようというふうに考えているんだろうというふうに思いますけれども、その辺についての取組を少しちょっと具体的にお伺いできればと思います。
#169
○参考人(藤沼亜起君) 監査事務所の業務運営体制につきましては、これは監査事務所の品質管理基準というものができまして、それを受けて協会としては具体的な実務指針を作って、監査事務所に業務運営体制をきちっと構築するようにと、こういう形で指導をしております。
 そういう面で、昨年の六月末に、公認会計士・監査審査会の、四大法人については四大法人の検査結果の報告がありまして、これを受けて金融庁から業務改善指示がありまして、各事務所は業務運営体制、かなりまじめに改善のアクションを取っているということだと思います。
 協会も、大手法人だけではなくて、中小の事務所につきましても、先ほどの中小事務所等施策調査会の下に、中小事務所の代表者が集まる協議会をつくって、その中で事務所の品質管理体制が着実に改善するような指導を行っております。
 以上でございます。
#170
○広田一君 続きまして、この縦割りの弊害に関連しまして、金融庁と、また藤沼参考人の方にも少しお伺いしたいんですけれども、今回、法改正がございまして、無限連帯責任の方から法三十四条の十の五とか六などによりまして有限責任監査法人というものが設立できるようになります。そういう中で、こういうふうに制度変更をすることは時代の流れの中で私も結構だというふうに思いますけれども、その前に、やはり今この現状の、無限連帯責任の現状評価についてお伺いをできればと思うんですが。
 そもそも、この無限連帯責任といいますのは、監査法人の社員が虚偽の説明をした場合の不法行為に基づく損害賠償責任につきまして、監査法人の財産だけでは損害賠償債務を完全に賠償できない場合は、すべての社員は連帯して監査法人の債務を弁済する責任を負うことであるというふうになっております。
 この制度の期待するところはまさしく、そもそもその縦割りの弊害をなくしていくんだということにあったんだろうと思います。つまり、監査法人の人的関係に基礎を置きまして、組織的規律と相互監視の下で組織的監査が適切に行われることを目指してこの無限連帯責任というものがあったわけでございますけれども、これがなかなか機能していなかったというふうな現状があろうかと思いますけれども、この制度が導入されたねらいと、そして今の現状の結果認識につきまして、まず御所見をお伺いしたいと思います。
#171
○政府参考人(三國谷勝範君) どのような制度にも、その長所もあれば、逆にその問題点もあろうかと考えております。
 現在の無限連帯責任ということにつきましては、一つの合名会社的な思想でございまして、最終的には人的にその会社の債務を完済することあたわざるときは全員で責任を負うということでございますが、一方において、これだけ大規模な監査法人ができますと、この結果といたしまして、そういった監査に全然関係のない社員まで自動的にすべての無限連帯を置くという制度、これはまたこれで今日の時世に沿うかという問題があるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういった社員が数百人を超えるようなそういった監査法人が出ている現状にかんがみまして、やはり有限責任形態の監査法人制度も認めていくべきだということの指摘がございました。また、諸外国におきましても、有限責任形態の監査事務所の設立が一般化しているわけでございます。また、会社法におきましても、今般、持ち分法会社の中に新たに合同会社というものもできまして、私ども、今回の法律の中でも、この有限責任形態の監査法人につきましては合同会社の条文を相当準用させながら新しい仕組みをこしらえさせていただいているところでございます。
 ただ、一方におきまして、有限ということになりますと、その責任につきましてこれまでの無限とは異なるところが出てまいりますので、一方においては最低資本金あるいは供託の制度、それから実際に関与した社員は引き続き無限になると、こういった数々のそういったこの移行に伴います措置を講じた上で有限責任制度というものを導入させていただいているものでございます。
#172
○広田一君 導入の経緯等のお話はよく分かりました。
 今のこの代表監査法人の実態においては合わないということ、また諸外国の例から今回有限責任の制度が導入されたということなんですけれども、もう少しちょっと実態の理解を深めるために、確かに大手の代表監査法人についてはそうかもしれないですけれども、中小の監査法人については、この無限連帯責任というものを導入することによって当初の目的のような組織的規律と相互の監視といったものが機能されているというふうにお考えになっているのか否か、この点の現状認識についてお伺いしたいと思います。
#173
○政府参考人(三國谷勝範君) 組織の規律とガバナンス、こちらの方はこちらの方で今回相当の手当てもさせていただいているわけでございます。
 今回は、監査法人に対しまして、品質管理方針でございますとか内部の体制につきましてもきちんと整備するよう求めているところでございます。
 一方、こちらの方の有限、無限という形につきましては、その監査法人が債務を完済することあたわざるときに、その最終的な責任をだれが負うかということでございます。無限の場合には、あらゆる社員がすべて連帯して負うわけでございます。有限の場合には、関与しない社員は自分の出資の範囲内でございますが、一方、監査に関与した社員は引き続き無限にするという形でございます。このことによりまして、監査法人のガバナンスディシプリン、それと大規模化に応じましたこの適切な監査法人の在り方というもののバランスを図った上でお願いしていると考えているところでございます。
#174
○広田一君 引き続き、無限連帯責任の一つの効果、目的というふうなところにつきましても、今後さらに見ていただいて、機能が発揮されますように御努力もお願いしたいと思います。
 続きまして、先ほど藤沼参考人の方からもお話がございました監査現場の実態につきましてお伺いをしたいと思います。
 具体的にはいわゆる監査難民ということについてなんですけれども、それこそ今日の日経新聞におきまして、先ほども少し御紹介をさせていただいたんですけれども、今回、みすず顧客の上場四百二十社、三月期決算のことにつきまして、監査変更先がほぼ固まると。これは業界全体の対応が実ったということで、結果として監査難民企業の多発は回避された格好であるというふうな報道がございますけれども、藤沼会長、こういった理解でまずよろしいんでしょうか。御見解をお伺いしたいと思います。
#175
○参考人(藤沼亜起君) みすずさんが業務を停止するという話が二月にあったわけですけれども、それ以降、私どもは一番気にした点は、三月末の監査がきちっとできるのかどうかということと、その後、三月末の決算会社で六月の株主総会に監査人の選任で問題が起きることがないのかどうかと、その辺のところをきちっとやっていきたいということで、協会の中でも、それに対して、もし監査の引受手、担い手である監査事務所が現れない場合に備えて、会員の中から監査希望事務所の募集をいたしましてそのリストを作ったというようなことと、あと、相談窓口をつくって、監査事務所が見付からない事務所がもし相談に訪れた場合には相談に乗ると、そういうようなことをしていたわけでございますけれども、幸い、今の段階で、一部の雑誌に書いてありますように、大量の発生とか、そういうようなことはないのではないかと。ほぼ日経さんの記事と同じように、かなり冷静に推移しているというふうに理解しております。
#176
○広田一君 監査難民につきましては冷静に推移をしているということで、当初懸念されたような事態はまさしく回避をされたというふうな趣旨のお話がございましたし、これは私たちにとっても一安心ということだろうと思います。
 そのことを踏まえた上で若干ちょっと具体的にお伺いをしたいんですけれども、この四月から公認会計士協会の自主規制ルールで運営されております上場会社監査事務所登録制度といったものがございます。この制度によりまして、協会に登録し、審査体制などについては協会のチェックを受けないと上場会社を監査するのが難しくなると。聞くところによりますと、このチェックのハードルが高いということで、外資系の監査に特化するなど、上場企業の監査を断念する監査事務所が数例あるというふうにお聞きをいたしております。つまり、監査を受けることができない上場会社と、上場会社を監査できなくなる監査法人が発生するということが懸念されるわけでございますけれども。
 そこでお伺いしますが、東洋経済によりますと、四月一日現在で、上場企業約三千九百社の監査をしている事務所が二百七十八あると、このうち約六割の百六十事務所が先ほど言いました上場会社監査事務所登録制に申請をして、その一方で、三十三事務所が辞退届を出していると。比率に直しますと一一・八%ということで、結構数的には、多いか少ないかはちょっと私この手の道の素人でございますので軽々に判断できないんですけれども、一〇%を超える事務所が辞退届を出しているというふうなことになっておりますけれども。
 この現状について、本日現在でどういった辞退届の数になっているのかということと、併せまして、その辞退をした企業がこれまで見ていた上場会社は一体何社あって、この会社についてはどのような対応がなされているのかについてお伺いをしたいと思います。
#177
○参考人(藤沼亜起君) 公認会計士協会は、自主規制で、四月一日以降、上場会社を監査している事務所については上場会社監査事務所登録部会というものを協会内に設置しまして登録を受け付けております。
 これ締切日は七月十五日でございますので、あくまでも中間の数字でございますけれども、六月十三日現在、登録事務所は百六十事務所であります。合計数は二百七十八という事務所でございますけれども、今のところ登録は百六十、解除届けを出した事務所は五十六事務所あります。監査法人六、個人が五十でございます。
 五十六というのは少し多いような感じがいたしますけれども、これは昨年みすず監査法人が、中央青山監査法人が業務停止になったときに、個人の事務所の方で、いわゆる監査の、いわゆる一時監査人ということで監査を受けた個人の事務所、まあ監査法人もありますけれども、そういうところが多くて、今回そういうような事務所が今後監査をやらないというようなことで、そういう面ではある程度予想の範囲内であったということでございます。
 それで、そういうような解除届けを出した事務所五十六事務所の中で、じゃどういう会社、幾つぐらいの会社の上場会社があるのかということなんですけれども、それは合計で八十四社あります。ただ、八十四社ありますけれども、そのうち七十七が共同監査ということになっておりますので、そういう面でこの八十四があるからといって全部八十四が監査の事務所が探せないということではなしに、かなりの程度探されております。ですから、そういう面でここの中から監査難民が出るというようなことは大きく想定されないのではないかというふうに思っております。
#178
○広田一君 どうもありがとうございます。
 先ほどの新聞報道、またちょっと具体的にお伺いしましたけれども、そういった状況からも監査難民については大きく出ることは想定していないというふうなことがよく理解できたわけでございます。
 それでは、引き続きまして、これも先ほど尾立委員の方から若干関連した質問があったんですけれども、このような状況の中で、会計監査の現場というのは非常に慢性的な人手不足に陥っているというふうなことが聞かれるわけでございますけれども、そのちょっと実態につきまして御説明を願いたいと思います。
#179
○参考人(藤沼亜起君) 人手不足ということは事実でございまして、これは過渡的な部分もあるのではないかというふうに思っています。
 今、やはり監査の品質管理をきちっとやらなくてはいけないということで、特に時間が掛かっているのはいろんな書類、監査調書等の文書化とか、そういうことに物すごく時間が掛かっているということはあります。そういうようなことと、あと監査事務所内における品質管理レビューとか、協会の品質管理レビューとか、いろんな形の品質チェックがあるものですから、それの対応に追われていると。そういうようなことで、かなり監査の現場では、業務量が増えて、なおかつ内部のいろんな品質管理のためにかなり文書化等の作業量が増えているから毎晩かなり遅くまで仕事をしているというような、こういうような声が聞こえているわけでございますけれども、その辺のところは過渡的なものと、あと恒常的な部分があると思いますけれども、これは事務所で資格試験を受かった者以外のいわゆる試験の準備をしている人たちを採用するとか、そういうふうな形で徐々にその仕事のやり方を変えるようなことによってある程度業務量を減らしていくと、こういうような取組をしていると思います。これはもうちょっと時間が掛かるのではないかというふうに思っております。
#180
○広田一君 どうもありがとうございました。
 会長の方からは、非常に品質管理に伴う文書化等で多忙を極めているというふうなお話がございましたし、あと人手不足の要因といたしましては、そのほかにもやはり一連の会計不祥事で監査業務等に対する社会的な信用が低下したことであるとか、訴訟リスクが高いんじゃないかとか、そういったものが挙げられるのではないかなというふうに感じるわけでございます。
 そこで、ちょっと金融庁の方にお伺いしたいんですけれども、今回の法改正で、こういった過渡的というふうなお話もあったんですけれども、監査業務の人材不足解消のような対策が講じられているのかどうか、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
#181
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、やはりこの監査の現場が人手不足になっているという指摘がございますけれども、やはり監査を魅力ある仕事として人手を確保していくためにも、まずは監査の信頼性を確保していくことが重要であると考えております。今回の法案におきましては、独立性の確保でございますとか、各般の信頼性の確保のための施策を法案化してお願いしているところでございます。
 一方で、その公認会計士の数の確保の問題でございますが、これはさきの公認会計士法改正におきまして、大幅な公認会計士試験制度の見直しを行っているところでございます。これが施行に移されてからまだ間もないところでございますけれども、この新しい試験制度を更に内容等を改善、工夫を加えながら、質を維持しながら数を確保していくと、こういうことに取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、やはり公認会計士監査が果たすべき社会的役割は大変重要であり、これが我が国全体としての資本市場の信頼につながるものと考えております。
 引き続き、そういった質と量の確保、さらには信頼性の確保、こういったことに、そういった制度面プラス執行面も加えまして、この監査に実際に携わる人たちともいろいろ連携すべきところは連携しながらこの問題に対処していきたいと考えているところでございます。
#182
○広田一君 どうもありがとうございます。
 続きまして、これに関連してなんですけれども、実態はともかくとしまして、ちょっとメンタルの面でまた会計士の皆さんが萎縮するんじゃないかというふうなことの一つとして、法案第二十八条の二の規定で、公認会計士の就職の制限についての規定がございます。
 これは現行の監査業務に携わった企業だけではなくて、連結会社まで再就職できなくなるというふうな規定でございますけれども、これは監査法人の信頼を取り戻すために必要な措置であるというふうに理解をするわけでございますけれども、こういった規定によって何かまた萎縮するような事態は起きないのか、さらには、実際現状において、この連結会社に就職している実態というのはどのように把握されて、これが多分問題になるから今回就職の制限というものを加えたというふうに考えるのが普通なんですけれども、実態を踏まえられてこのような制限規定を置かれたのか、併せてお伺いしたいと思います。
#183
○政府参考人(三國谷勝範君) 具体的にこれまで連結会社にどの程度の就職をしているかということにつきまして、数字として私どもが把握しているわけではございません。今回の改正は、そういった面もさることながら、やはり物事の考え方として、この制度改正のときにこの規定を整備させていただいているものでございます。
 御案内のとおり、企業会計というのは従来は単体でございましたが、今は連結の時代に入っております。たまたま連結の中に入っても単体では違うということで就職制限するという時代ではございませんでして、一つの連結グループに入っているのであれば、一定期間でございますけれども、監査証明業務に関与した公認会計士がその連結グループに入るということは、これは監査の独立性という観点から改善すべきということで、物事の考え方として提案させていただいているものでございます。
#184
○広田一君 実態はともかく、物事の考え方として規定をしているというふうなことでございますけれども、できる限り、何か監査業務の世界は住みにくいなというふうに現場の方が思われないように、是非とも御配慮等をしていただければと思います。
 次に、ちょっとまた藤沼参考人の方にお伺いしたいのが、会計監査人の意識の変化でございます。今回の様々な会計不祥事等を踏まえて会計監査人の意識の方がどのように変わっていったのか。私自身、ある証券・会計不祥事を起こしました会社の方、取材をさせていただきました。その取材をしてお聞きをしますと、かつてとは立場が全く逆転をしたなというふうなことを実感をしているわけでございます。それまでは、なあなあとは言いませんけれども、非常に信頼関係に基づいてあうんの呼吸でいろいろな業務が進められていたような感があったわけでございますけれども、今は、いろいろ資料等を出し渋りますと、最後は、うちはもう監査報告は出しませんからと、いつ手を引いても構いませんというふうな、ずばりとは言わないまでも、それに似たようなお言葉をいただきながら非常に緊張感を持って業務をしている実態があるわけでございます。
 こういうふうなことを考えますと、誤解を恐れずに言えば、本来は、法改正というふうなことをしてどんどんどんどん規制というものを縛るということではなくて、個々の会計士さんが公認会計士法の第一条にあるような公認会計士の使命、職責というものを全うすれば、私は余計な規制強化は必要ではないんじゃないかと。それこそ、会長がよく言われるように、まさしく自主規制を行って、行政はその補完に徹するというふうなことがあるんじゃないかなというふうに思います。
 これは、今回、証券・会計不祥事の起きた会社を見る会計士さんがそのような意識を持って臨んでいると、非常に意識の変化が見られていた一つの実例でございますけれども、しかし、それとは違うように、今回みすずさんのこういった解体等も踏まえまして、実際は、それに伴って多くの会社については、その見てもらった会計士さんに伴って顧客企業の多くが同じ監査法人に移るというふうな事態が実際起きているわけでございまして、結果的にはこれまでと何も変わらない監査が行われるんじゃないかというふうな懸念も一つは出されているわけでございますけれども、一連のこの事件を踏まえて、現場の長といたしまして、どのような意識の変化が起きているのかというふうなところをお聞かせ願えればと思います。
#185
○参考人(藤沼亜起君) 今の監査事務所側の意識変化というのは、かなり大きな意識変化が起こったのではないかというふうに思っております。
 二〇〇一年のエンロン事件の後のアメリカも全く同じでございまして、やはりああいう事件が起きると、それに対応した法律的な対応策が取られるというようなことから、監査の現場では物すごい緊張感が高まりまして、アメリカの場合にはアンダーセンが崩壊したということになるわけですけれども、先日、私もアメリカに行きましてアメリカ会計士協会の上の方と議論をしてきたわけですけれども、やはりアメリカでもあの事件が一つのウエークアップコールだというふうに彼らは言っているわけですね。
 日本の場合も、正にみすずさんの解体という形に最終的にはなったわけですけれども、一連の非違事例がありまして、これはかなり大きなウエークアップコールではないかというふうに私は思っておりまして、それに対応して監査事務所も、二度と、いろんな粉飾決算等を認めるようなことになると事務所全体に迷惑が掛かるということで、かなり緊張感のある仕事をしているのではないかなというふうに思います。
   〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
 そういう面では、これが一過性のもので、先に行ったらまた忘れるということではなしに、やはり資本市場がそれだけ、何といいますか、大きな存在になってきているわけですから、個々の国民が資本市場に大きな、投資信託とか株式投資とかそういう形で自分のお金を投資するという時代になってきているわけですから、そういう面でやっぱり経済環境はますます資本市場が大きくなるということになるわけですから、監査のいわゆる厳格性というものが正に求められていることだと思いますので、この辺のところは、将来粉飾決算がゼロになるということはあり得ないと思いますけれども、ただ、かなり監査人側では対応体制が著しく改善するのではないかというふうに思っております。
 一方、企業ですけれども、企業もそれなりに監査人との緊張感が出てきたということは事実なんですけれども、今回、相談窓口を設けて企業からの相談を受けているわけですけれども、中にはやはり、監査人と意見が合わないから自分の意見に同調してくれるような監査人を探したいから探してくれないかとか、監査報酬の値上げを言われたんだけれども、一番安いところを探したいから何社か紹介してくれないかと、そういうふうなことで、非常に現状認識が甘いようなところもありまして、そういう面ではこれからは、企業側は特に、企業側のガバナンスの強化ということに私どもは期待したいというふうに思っております。
#186
○広田一君 どうもありがとうございます。
 最後の方で、企業側の意識の変化、お話もいただきました。私も実際お話を聞く中で、本当に厳しい監査をやられた上でも、経理担当の方のお話を聞きますと、やはりそれぐらいやらないとこれから世間の信頼は得られないだろうというふうなお話と同時に、監査報酬にしても、これまでよりもどんと支払ってもきちっとした監査を受けなければいけないというふうなお話を聞くにつれ、インセンティブのねじれの話もこれまであったんですけれども、それとは違うような状況もあるところにはあるのかなと。
 ただ、全体的には、このインセンティブのねじれ、監査報酬の在り方については様々な問題があると思いますので、後ほど、奥野政務官にも来ていただいておりますけれども、この点についても質問をしたいというふうに思っておりますが、本当に藤沼参考人、今日は大変お忙しいときにありがとうございました。藤沼会長につきましては私の質問は以上でございますので、御退席を願えればと思います。
#187
○理事(峰崎直樹君) 藤沼会長、ありがとうございました。御退席ください。
#188
○広田一君 先ほど藤沼参考人の方から企業側の意識の変化のお話がございました。
 それに関連しまして、日本版SOX法への対応についてお伺いをしたいと思います。
 法的な措置による企業側の意識改革を促す一つの要因として考えられるのがこの日本版SOX法への対応だと思います。
 これは、財務報告の適正性を確保するためには、会計監査の適切な監査と同時に、会社側の財務報告に係る内部統制の確立が車の両輪にならなければならないということで、会社側は平成二十年四月から始まるこの日本版SOX法に対応するために準備に大わらわなわけでございますけれども、まず、この日本版SOX法の意義、目的は何か、財務報告の適正性を確保して投資家を保護するというふうなことになろうかと思いますけれども、この件についての御所見をお伺いしたいと思います。
#189
○国務大臣(山本有二君) 御案内のとおりでありますが、内部統制報告制度は、ディスクロージャーをめぐる昨今の不適切な事例につきまして内部統制が有効に機能していなかったのではないかという指摘があったことなどを踏まえまして、財務報告に係る内部統制の強化を図ることを目的として、昨年成立いたしました金融商品取引法において導入されたものでございます。
 財務報告に係る内部統制の充実は、個々の企業に業務の適正化、効率化を通じた様々な利益をもたらすとともに、適正な開示の確保等を通じてディスクロージャーの信頼性、ひいては金融資本市場に対する内外の信頼性を高めるものと考えるところでございます。
#190
○広田一君 ディスクロージャーを通じた内外の信頼性を高めるというふうなお話がございました。それを私も第一義というふうに考えるわけでございますけれども、ただそれだけでは、これもちょっと各会社の社員の皆さんともお話をしたんですが、なかなか社員のモチベーションが上がっていかないと。ひいては、今不祥事を起こした企業は世間の目があるということでこのことについても緊張感があるような感じがしますけれども、これとてやっぱり継続的にできるかどうかもいささか不安なところがあるわけでございます。特に、現場現場に行けば行くほどその意識が薄くなるようなというふうなことを感じているということを担当者もおっしゃっておりました。
 そういった意味で、私は、担当業務の改善とかリスクの発見、それに対する対応などを通しまして業務の効率化を図って企業価値を高めていくんだと、そのことがひいては会社を存続、発展させることにつながって従業員の幸せにつながっていくんだと、そういうふうな位置付けがなければ、なかなか財務報告の適正性を確保して投資家を保護していくと、内外の信頼をかち取るというふうなことにもつながっていかないんじゃないかなというふうな思いをいたしますけれども、大臣の御所見をお聞かせ願えればと思います。
#191
○国務大臣(山本有二君) 内部統制報告制度の対象となる各上場企業は、平成二十年四月以降開始する事業年度から、内部統制報告制度の実施に向けまして、現在、財務報告に係る内部統制の現状把握や整備などの準備を進めているところであろうというように存じております。
 財務報告に係る内部統制の整備等につきましては、各企業において着実かつ計画的な取組が進められることが重要であると考えておりまして、各企業の準備が円滑に進むよう、金融庁といたしましても制度の周知徹底等に引き続き努めてまいる所存でございます。
#192
○広田一君 ちょっと次の質問にも関連する御答弁をいただいたんですけれども、制度の周知徹底というふうなことと同時に、その目的の一つとして、最終的にはやはりこのことをやることによって企業価値を高めて会社を発展させることがひいては今の社員にとっても大変重要なんだと、これが社員の幸せにもつながるんだというふうな意味合いもあるんだということを是非とも踏まえた上で様々な取組をしていただきたいと思います。
   〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
 そういう中で、金融庁さんとしても、今のこの各企業の取組状況についても把握をされているというふうに思うんですけれども、各社とも日本版SOX法対応の委員会を立ち上げて、その下にプロジェクトチームを設置して様々な作業をいたしております。内部統制の構築に必要な手順とか日程などを記した基本計画及び方針の決定、内部統制の現状把握のために、社員さんにアンケートして全社的な内部統制整備状況を把握した上で決算・財務報告に係る業務を様々な分野で文書化をして業務プロセスを把握していると、そして、そこで把握された不備については適時是正の対応を行っているというふうなことをやっております。
 それで、先ほど大臣の方からも少しお話があったわけでございますけれども、こういった業務ということについては本当に必要なことでございますけれども、一方で、湯水のごとくお金が出ていって費用に今頭を悩ましているというふうなお話を聞きます。その原因の一つとして、企業会計審議会が出した実施基準があいまいではないかということだと思います。
 例えば、財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例として、統制環境とかリスクの評価、対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング、ITへの対応ということで四十二項目掲げられているんですけれども、これをちょっとざっと見ましても確かにそのとおりだなというふうには思うんですけれども、非常に表現があいまいであろうかというふうに思います。よって、こういうものをやるコンサルの方も考え方がまとまらなくて、各社とも独自の解釈をしているのが現状です。
 大臣の方は、そういうふうに各会社でそういうのは自主的に取り組んでいただきたいというふうなお話があったんですけれども、ただ、解釈というふうに言えば聞こえはいいんですけれども、言い方を換えれば、それぞれ勝手に判断をしようとしていると。そういうことによって、担当者の方に聞いたんですけれども、これを担当する人は当然、それが正しいかどうか大変不安になるというふうなことで、もっと具体的なものを提示をしていただけないかというふうなのが各会社の本当に大きな多数の声だというふうに思いますけれども、この点についての現状認識と基本的なお考え方をお示し願えればと思います。
#193
○政府参考人(三國谷勝範君) 内部統制の基本的考え方でございますが、四つの目的と六つの基本的要素、これをそれぞれの事業に適用させてやっていくということでございます。
 元々、各企業によりまして取り巻く環境や事業の特性、それから規模等は様々でございまして、この内部統制報告制度を実施していくに当たりましては、それぞれ各企業のいろんな置かれている状況、実情というのがあろうかと思います。それに応じまして、創意工夫を凝らしながら、その企業に合った内部統制を進めていただくということが、これが重要であると考えております。
 一方、企業会計審議会は、基準を示しました一方で、そういったことを更に、実務的なものもニーズがございまして、実務の要請を踏まえました実施基準といったものも策定させていただいているわけでございます。この中には内部統制報告制度を実際に適用していくための指針はできるだけ具体的に示したつもりでございますけれども、ただ一方で、これ余り過度に細分化しますとまた逆にそれが拘束するというところの兼ね合いが重要かと思っております。
 ただ、しかしながら、私ども、こういったものの周知に努めますと同時に、さらに、今後でございますけれども、言わばQアンドAみたいなものの公表も考えられないかということも考えているわけでございます。これはむしろ、これまで当局に寄せられました照会等に対しましてその回答事例のうち先例的に価値があると認められるようなもの、これを、余り大きなものというよりも、そういったものをまとめて公表することが考えられないかといった点、あるいは、日本公認会計士協会におきましても、内部統制監査に係る実務指針の策定作業、こういったものも進めているところと承知しております。
 いずれにいたしましても、この内部統制報告制度、大変重要な制度でございます。制度導入時でございますので、これから様々な課題も乗り越えていかなければいけませんけれども、私どもとしては、御指摘のとおり、この制度の周知徹底と、実質的な価値のあるものにしていくために、今後、いろいろなニーズにもできるだけの対応をしていきたいと考えているところでございます。
#194
○広田一君 どうもありがとうございます。
 本当にこの制度の周知徹底もしていただかなければなりませんし、まさしくそれぞれの会社ごとの自主的な取組で結構なんですよというふうなこともPRをしていただきたいし、QアンドAも作られるということなんで、その取組にも期待をしたいというふうに思いますけれども、さはさりながら、やっぱり企業に合った取組というのも大事なんですけれども、私はそこはもう少し広げて業界としての取組まで持っていけないのかなというふうなことを思うわけでございます。
 これについては、ちょっと山本大臣に御提案なんでございますけれども、金融庁からほかの関係する業界、省庁に対して、強制的に言うことは無理かもしれないんですけれども、やはりそれぞれの業界に合った具体的な評価項目の作成について、例えばホテル業界だったらホテル業界、鉄道業界だったら鉄道業界というふうな形で、そういうふうな取組を促す要請をしていただきたいというふうに思うんですけれども、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
#195
○国務大臣(山本有二君) 内部統制は、おっしゃるようにかなり個々、産業別あるいは企業別で異なる観点があろうと思います。広田委員おっしゃるように、そこで最小公倍数、共通項を抽出して、そしてそこで客観的に評価し得るものがあるならば、そうした取組というのは有効だろうというように思います。その意味で、御提案に対しまして検討をしてみたいというように思っております。
#196
○広田一君 是非ともよろしくお願いします。
 最後になりましたけれども、監査報酬の決定につきましてお伺いをしたいと思います。
 この点につきましては、るる午前中からも、また午後も議論がございました。やはり最終的には監査役会で決定する、監査報酬については決定するような仕組みづくりが必要じゃないか。そのためには、会社法の改正等も視野に入れて取り組んでいくべきではないかというふうな提案があったわけでございますけれども、一方で、これ是非御検討というか、むしろ逆に、私のような法律についてむとんちゃくな者に御指導も含めて教えてもらいたいんですけれども、今回の会社法というのは定款自治というふうに言われておりまして、会社法の成立でかなり自由に定款を定めることが可能になりました。
 よって、会計監査人に支払うべき報酬等につきましては、定款、株主総会決議によって定める必要はないという会社法の解釈が一方ではございます。しかしながら、それは逆に言えば、定款で定めることを妨げるものではないというふうな解釈も成り立つんではないかなというふうに思います。
 よって、定款変更することによって監査役等に監査報酬の決定権、若しくは監査報酬の承認を株主総会に付与すると、そういうふうなことも会社側の判断によって可能になるのではないかなというふうに思いますけれども、奥野政務官の御所見をお伺いできればと思います。
#197
○大臣政務官(奥野信亮君) 監査人の報酬に関しましては、会社法においては、御指摘のとおり会計監査人の報酬は取締役ないし取締役会が決定することというふうになっております。しかしながら、委員御指摘のとおり、会計監査人の報酬の決定を定款の定めによって株主総会の権限とすることも可能であるというふうな解釈をしております。
 いずれにしましても、私はちょっとはみ出して申し上げますと、企業で経営をしてきた経験からいいますと、やはり監査役とか監査人の役割とか報酬とかというものはガバナンスの観点からもう少ししっかりとした仕掛けというか組立てを時間を掛けてやっていくという必要性があるんではないかなと、私自身はそういうふうに思っておりまして、そんなことも役所の中で今議論をしているところでございます。
#198
○広田一君 この点につきまして、弁護士でもあられる山本大臣には、解釈によって、この定款によってこれまで議論があったような、監査役の方に監査報酬の決定権と、また株主総会でそれを決定するというふうな仕組みが導入できるというふうな解釈が成り立つかどうか、御所見をお伺いできればと思います。
#199
○国務大臣(山本有二君) 監査人が被監査会社の経営者との間で監査契約を締結して監査報酬が被監査会社の経営者から支払われるという、いわゆるインセンティブのねじれを克服することということにおいては何らかの方策が必ず必要でございます。
 先ほど奥野政務官から答弁ございましたように、会計監査人の報酬の決定を定款の定めにより株主総会の決議事項とすることは会社法上は可能でございます。御指摘の点一つのアイデアではないかというように評価をしております。一方で、監査報酬の決定を株主総会の決定事項とすることにつきましては、会社側のコスト負担の増大、会社実務の機動性の阻害といった問題点もあるというように承知しております。
 いずれにしましても、会社の内部機関の間における監査報酬の決定に係る権限の分配の在り方を規律しているのは会社法でございまして、金融庁としては、インセンティブのねじれの解決に向けて関係当局において早急な検討が進められることを強く期待しております。
 あとは、実際に経団連加盟の大企業にも私自身も提案してみました。現実に役員報酬の中に監査役報酬も入っております。そんな意味におきまして、今後それを細かく規定するということが果たしてインセンティブのねじれを確実に解消することになるのかどうか。これは実務上、また今後検討の課題だということで、直ちには賛同はいただけませんでした。しかし、今後何らかは考えていく必要があろうということはおっしゃるとおりでございます。
#200
○広田一君 以上で私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#201
○富岡由紀夫君 民主党の富岡でございます。よろしくお願いいたします。
 今、広田委員からお話あった件で、ちょっと忘れないうちにお伺いしたいんですけど、いろんな企業経営者の方と会って、役員報酬の中に監査役報酬が入っているというのは、その監査役というのはその会社の中の監査役ということですよね。そういうことですよね。
#202
○国務大臣(山本有二君) そのとおりでございます。
#203
○富岡由紀夫君 ちょっと質問の中にインセンティブのねじれについては入れていなかったんですけど、ちょっと流れの中でお伺いしたいんですけれども。
 インセンティブのねじれを解消する一つの手段として、監査法人、若しくはその監査人を選ぶときに、監査役、若しくは監査役会とか監査委員会とか、そういったところを通してやったらどうかという話もありますけれども、それも確かに一つのやり方だと思うんですけれども、そもそも取締役会と監査役、その会社の中の監査役、監査役会、そこも私は非常にインセンティブのねじれがありまして、私の経験からいうと大体取締役から選ばれた監査役というのはイエスマンばかり集まっていまして、あと企業ガバナンスでいうと社外監査役を選べとか、そういう話ありますけれども、そういった人たちも選べるのは結局仲よしグループのお互い、こうした、何というんですか、気心の知れた大人の世界でやっているのがほとんどでございまして、会社法のこれは範疇になるんですけれども、そもそも企業ガバナンスを、監査役をつくること、監査役会をつくること、監査委員会をつくることによって、すべてそれがやればガバナンスができるということ自体が、私はまずそこを、そういう、何というんですか、夢物語みたいなものを前提に考えることはやるべきじゃないと私は思っております。
 株主総会自体も形骸化しておりまして、今敵対的買収の防衛策をいろいろと入れておりますけれども、これはもう株主が本当にばかにされたような状況でございまして、経営者側のいいような防衛策がどんどん入れられてしまっているということで、株主のいろんな、何というんですか、権利がどんどん、物言う株主が出てきておりますけれども、それはまだまだ少ないんじゃないかなと私は思っております。
 ですから、監査役会で監査法人を選ぶところをちゃんとやればそれだけで済むという議論じゃ私はないというふうに思っておりますので、その点について御見解がもし、御意見があれば、御感想があればお伺いしたいと思います。
#204
○国務大臣(山本有二君) いわゆる日本型経営の典型が、仲よしグループでの各役員の選任、そして形骸化した株主総会であろうというように思っております。これは売上げとはほとんど関係ないような気がいたします。
 しかし、今後、国際的な企業間競争、こういったものに入ってきますと、ある一定規模から上になると、もはや仲よしグループだけで済まない形になっているというように思っております。その意味では、欧米型のかなりドラスチックな改革、人事における改革やそういう仕組み、組織における改革が当然私は、好むと好まざるとにかかわらず宿命として襲ってくる要請だろうというように思っております。
 その意味におきましては、早く邦人企業がそうした脱皮して機能的な監査の体制に入っていくことが国際競争力や国際金融機能の強化ということにつながるだろうと思っておりますので、是非ともおっしゃることを実現していきたい、インセンティブのねじれを解消したいというように思っております。
#205
○富岡由紀夫君 一部のところは確かにそういう本当に外部監査というか、そういう目で監査している監査役もいますけれども、そうじゃない人が多分まだまだ上場企業という、一流企業という中でもたくさんおりますので、そこは余り過信すると本来の目的が達成できないということがございますので、そういったことも、これは法務省ともよく連絡を取りながらしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 まず、ちょっと問題に入る前に、昨今の報道でNOVAがいろいろ不祥事件を起こしまして、悪徳商法、これコムスンもそうですけれども、こういった、何というんですか、一般国民が、消費者が詐欺的被害に遭うケースが非常に多くなっております。これは別に今始まったわけじゃなくて昔からずっとあるわけでございまして、これはもう、何というんですか、管轄が違うというふうに是非思わないでいただきたいんですけれども、抵当証券の問題とか、あと消費者金融の問題とか、金融庁管轄の問題も消費者が泣かされている問題たくさんございます。
 こういった消費者が被害に遭う案件がどうしていつまでもなくならないのか、何でいつもこういう事件がずっと続きっ放しなのか、どういうふうに、どこが一番の原因だというふうにお考えでしょうか。金融担当大臣に、もしお考えがあればお伺いしたいと思います。
#206
○国務大臣(山本有二君) この原因究明は簡単ではないだろうというように本当に思います。算数が分かってないから多重債務者が多く発生するかというと、そうじゃなくて、もう当然元利償還のときに、二〇%金利で借りて、百万円を二〇%で借りて一年間に十五万円しか払わなければ元金は減らないわけですから、ということが分かっていながらどんどん借りていく人たちが多い。正に金融教育だけにおっかぶせるわけにもいきませんし、社会的にアドバイザーというものが不足している、そういうことだけにおっかぶせるわけにもいきません。それからまた、悪徳商法、連鎖販売というような販売側のこうかつさ、あるいはその犯罪性の複雑化と巧妙さというものの犯罪における悪質性の進展もあるかもしれません。
 これだけでもないわけでございまして、というようなことを全体からしてみますと、やはりそこにはお互いの人間としてのネットワーク、社会の健全性を維持するための強固さというものが私は欠けているように思っておりまして、その意味におきます健全な人たちのネットワークを強化するということが何より大事であろうというように考えております。
#207
○富岡由紀夫君 概念的にはそのとおりだと思うんですけれども、具体的に私は何か手を打つべきだというふうに思っているんですけれども。まあ幾つかあるんですけれども、そのうちの一つとして、当局に、いらっしゃる前で、当局のできることでお願いしたいと思うんですけれども、やはりいろんなこういう消費者から、問題があったときにクレームとか苦情が来ますよね、消費者センターとか、もしかしたら金融商品の関係であれば金融庁に直接来るケースもあろうかと思いますけれども。そういったとき、これはマーケティングの理論ではもう当然なんですけれども、一つのクレームがあればその後ろには十倍、百倍、千倍の物言わぬ、何というんですか、そういうクレームを言いたい人が一杯いるわけでございまして、そういったときの対処が遅いんじゃないかと本当に思います。
 消費者金融のときもそうでしたし、今回のNOVAとかコムスンの問題もそうです。もう早い段階からいろんなところに苦情が来ているのに、なかなか重い腰を上げないと。早く対処すればそれだけ、その後経過した間に被害者が拡大しないで済んだわけですから、やはり是非、この行政を携わる当局の立場としてでは、そういった問題があったときは、一つの案件があったら千倍の問題が起きているんじゃないかと、そのぐらいの感覚を持って対処していただきたいなと、そうすべきだと私は思うんですけれども、それについてもし御意見があれば、大臣にお伺いしたいと思います。
#208
○国務大臣(山本有二君) 自由の確保された市民社会の中でどれだけ国の規制機関が関与すべきかというのは、かなり以前からの歴史的テーマでもございました。
 警察におけるいわゆる桶川事件に典型的に見られますように、危険の予告、これに対する対処の方法、あるいは児童相談所におけるDVのためによる子供たちの被害というようなことにおける予告も随分そうした観点がございます。
 その意味において、我々が対処するべきというのは、苦情をどう察知するかという点でございますが、私は、今回強く考えておりますことは、今内閣の中で提案をしていることがございます。それは、アウトリーチ型の行政というものを取ることができないのかということでございます。どういうことかといいますと、ブレア政権の中でコネクションズというものを始めまして、役所が単に看板を掛けて相談窓口というものを掲げるのではなくて、言わば家庭訪問をしながらその行政施策を全うしていくというやり方でございます。これは日本においてもございまして、足立区における生活保護世帯へ戸別に訪問しまして自立を促したことによって、六十世帯中四十世帯が生活保護から脱却して自立的な雇用の、就職を得られたというような例から見ましても、新しい施策でございます。
 この意味におきまして、そうした苦情があればアウトリーチ型で対処するというような行政的な手法を取り入れることが私も大事だというように考えているところでございます。
#209
○富岡由紀夫君 是非、積極的に早期に、そういった動きがあったときには、察知したときには動きを取っていただきたいなというふうに思います。
 そして、ちょっと関連して、後で質問しようと思ったんですけれども、生損保の広告ルールということで事前にお話ししていたんですけれども。
 今回、NOVAなんかも毎日すごい宣伝をしておりましたよね。英会話、通うならNOVAみたいな、いろんなキャラクターの漫画を使ったり、非常に国民が安心して、何というんですか、簡単に利用できるような、そういう錯覚に陥るような広告をばんばん打っていましたけれども、これもやっぱりこの被害拡大の大きな要因の一つになっているんじゃないかと私は思っているんですけれども、それと同じようなことが生保、損保の業界にも非常に私は起きているというふうに思っております。
 不払問題、未払問題が今調査中ということで、この後、もし時間あればお伺いしますけれども、そういった発生の要因の一つとしても、何というんですか、安易に国民が広告を見て契約をしてしまうと、保険を買ってしまうといったことが大きな原因の一つになっているかというふうに思っておるんですが。
 例えば、だれでも入れると。三十代、四十代、五十代、六十代、七十代、八十代、だれでも入れますよというふうに宣伝していますけれども、それは入れることは入れるかもしれないけれども、前提として、ちゃんとそういった死亡保険金とか損害保険金が出るという前提でそういうみんな見ているわけなんですけれども、本当に、払ったはいいけれども期待する保険金がちゃんと出るのかといったところの説明が全くない誇大広告というか、国民をだますような広告が非常に多いと私は思っております。
 これを放置するのは、やはりさっき言った消費者が被害を受ける大きな原因になっていると私は思っておりますので、是非厳しい、広告、そういった国民を惑わすような、錯覚に陥れるような、保険に入ればだれでも、八十歳でも死んだときにかなり保険金が出るような、そういう虚偽まがいの、これはまさしくNOVAがそういったことで今回は処分を受けたわけですけれども、保険業界にもそういった、今もテレビ見ているだけでもたくさんありますから、是非、監督官庁の長としてその点に注意をおもんぱかっていただいて厳しい対処をしていただきたいと思いますが、御意見あればお伺いしたいと思います。
#210
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきました広告ルールでございますけれども、保険業法の施行規則におきましては、保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、保険契約等に関する事項であってその判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、誤解させるおそれのあることを告げ、又は表示する行為、こういうものを禁止いたしております。また、金融庁で作っております監督指針におきましても、保険の広告等の適切性を確保するために、実際の保険商品よりも優良、有利と誤認させる表示の防止、あるいは募集用資料等の表示内容審査が漏れなく行われるための体制整備といったことを求めているところでございます。金融庁といたしましては、各保険会社において十分な体制整備が行われ、適切な広告表示が行われるよう、引き続き適切に監督してまいりたいと思っております。
 御指摘いただきました、例えば一見有利であるかのようなところだけを強調して宣伝するといったようなことにつきましてもこれは検討の対象となっておりますけれども、金融庁の方で開催をさせていただきました広告の基準に関する勉強会というところで、有利なところだけを強調するような広告はふさわしくないと、あるいはほかと比べたときに有利な点、不利な点、客観的に述べる、それから不利な点についても小さな字で書くといったようなことではなくて、きちんとしたバランスの取れた表示をすると、こんな着眼点を含めまして中間報告をしたところでございますけれども、これを踏まえまして今業界団体の方で具体的なルールを検討しているという状況でございます。
#211
○富岡由紀夫君 書面ならちっちゃく書くこともできるかもしれませんけれども、十五秒とか三十秒ぐらいのテレビコマーシャル、CMの場合は本当にそこまでちゃんと注意喚起できるのかといったところがありますから、私は、テレビというのは非常に影響力は大きいですから、そこのところはまた違った観点で、そもそもそういう注意喚起はもう時間的な制限があってできないんだというのであればそういう広告はするなと、禁止だというぐらいの強い、何というんですか、ものを持っていないと、これは被害がまたまた減るどころか拡大してしまう可能性が非常に多いというふうに思っております。
 七十代、八十代、入れますよと。保険金払うのはだれだって払いますけれども、実際、保険料を払うのはだれでも払いますけど保険金が出るかどうかというところまでちゃんと説明のない広告がまかり通っているような、こういう詐欺を、何というんですか、そのまま許しているような国では私は美しい国ではないというふうに思っておりますので、今の中間答申を更に発展させて、厳しい広告規制、日本の消費者が保護されるような在り方を目指していただきたいというふうに思いますので、山本大臣に、その点を踏まえて御意見、御感想をもしあればお伺いしたいと思います。
#212
○国務大臣(山本有二君) 私も、保険についてどのような商品が有利か不利かということをパンフレットで見ましても分かりません。そこで、保険業協会の会長さんに、比較広告をやっていただきたい、特に、入りたい人の年齢、性別あるいは疾病の有無、こういったことの基本的条件を置いたときにどういう選択ができるかということが可能かどうかということの意味での情報提供、こういったものをお願いしたところでもございます。そんな意味で、市場の中で選択の幅が広がる、そして商品の適正性を感知できるというような、顧客側に立った情報提供をお願いしているところでございます。
#213
○富岡由紀夫君 今、是非そういうところをお願いしたいと、いろいろと検討を進めていただきたいと思います。
 今、生保協会のお話ありましたけれども、生保協会の会長に明治安田の社長が再びなるということで、記事、今日出ていたんですが、今まさしく調査中で不払の問題が取り上げられている中に、経営責任というか業界の責任というのはどうなんですか。もううやむやのうちに、また時がたてばその一番中心人物だった人が、関係した人たちがまた戻ってきちゃうということで、この業界の秩序というか、そういったものはどのようにお考えなんでしょうか。
#214
○政府参考人(佐藤隆文君) 生保協会の会長人事につきまして、御指摘いただきました明治安田生命の方は副会長になられるという報道であったかと存じますけれども、この生保協会の人事につきましては協会自身が決定をするということでございまして、当局の方から直接コメントを申し上げるということではないかと思います。全体といたしまして、保険協会の公共性を踏まえた上で適切な人事が行われるということが重要であろうかと思います。
#215
○富岡由紀夫君 協会がやることだから知らないというんじゃなくて、協会だけじゃなくて業界全体を管理監督している立場でございますから、そういう立場で、この人事について知らないよ、存ぜぬよというんじゃ、これは私はおかしいんじゃないかというふうに思いますので、是非、そこはちゃんとけじめを付けろと、この問題をちゃんと責任を明確にしろといった姿勢を監督官庁である金融庁は私は取るべきだというふうに思いますが、山本大臣、いかがですか。
#216
○国務大臣(山本有二君) 生保不払、損保不払、あるいは損保における付随的な保険金の支払漏れ、あるいは第三分野の不払等、平成十六年以降度重なる不祥事がございます。その意味において襟を正してもらわなきゃならぬということはもう当然のことでございます。そこで、さらに生保におきましては本年の十一月ごろまでになおの調査を求めておりまして、これが明らかになりました後に、しっかりした私は経営の方針、再発防止、協会としての対応をしっかりやっていただけると期待しておるところでございます。
 先ほども御指摘のありましたように、保険会社におけるこうした不祥事を撲滅することと同時にまた利用者を保護すること、さらには、こうした不心得なる経営者や企業が自由資本市場の中でやがては淘汰される仕組みというものをどうつくるかということの御指摘だろうというように思いますが、まさしく消費者、利用者、こうした人たちも一体となって、このステークホルダーの中からそうした新しい価値観や制裁措置というものが見いだされれば一番私は適当だろうというように思いますが、取りあえず免許制を取っております生保にしっかりとした改善措置、改善計画、これを立ててもらって実行すること、これを今後、十一月以降求めていきたいというように考えているところでございます。
#217
○富岡由紀夫君 不払の実態を調査しているというふうに今お話、説明を受けましたけれども、最近何か新たな調査の進捗、もしあればお伺いしたいと思いますけれども。
 その中の一つとして、新聞記事で、名義貸しをした保険の受取、失効返戻金というんですか、その取扱いについて不払に該当するのかしないのか金融庁が調査している中で、金融庁に報告すべきかしないか業界によってばらつきがあるというような報道があるんですけれども、本当ですか、それは。
#218
○政府参考人(佐藤隆文君) 最近の進捗の一つといたしまして、生命保険会社におきまして、いわゆる保険金の支払漏れ等につきまして、私どもの方で本年二月に全社に報告を求めたということで、その調査が、四月に各社から一応その中間的な報告がなされましたけれども、現在調査がまだ進捗中ということでございます。
 その中で、御指摘いただきました架空契約あるいは名義借りといったものについてのお話でございますけれども、本年二月の報告徴求の中で、四月に各社から調査の進捗状況を報告されたわけでございますけれども、現在なお各社において調査が続けられているということで、遅くとも本年の十一月ごろまでには調査をすべて終了するというふうに報告されておりますけれども、一般論といたしまして、失効返戻金の支払漏れと、こういう範疇がございますけれども、こういうことが起きている背景といたしましては、御指摘いただきました架空契約等の不正契約の存在といったものも考えられるところでございます。
 当局といたしましては、支払漏れや失効返戻金等が発生した原因や、保険業法に違反する行為の有無といったことを含めて、今後、報告内容をしっかり精査、分析してまいりたいと思っております。
#219
○富岡由紀夫君 失効返戻金の不払いもちゃんと全部調査しろということで指示を出しているということですか。
#220
○政府参考人(佐藤隆文君) 私ども、二月に改めてその報告徴求全社に対して掛けましたのは、その点も含めまして統一的な基準でしっかりと報告を出すようにと、こういう趣旨で出させていただいたわけでございまして、現在各社においてそういう基準で調査を行っているということでございます。
#221
○富岡由紀夫君 先ほどの、国民を、何というんですか、だますような広告の話にも通ずるんですけれども、生損保商品が非常に複雑化していて、これもそういった、何というんですか、国民が理解できないようにしている要因の一つだと思うんですけれども。
 実は、私自身もけがしまして保険の適用を受けたんですけれども、保険漏れしているんじゃないかという通知のあれが来ました。ああ、そうだったのかということで今、再調査をしているところなんですけれども、こういうことを思うと、私自身もやっぱり、そんな付随契約、どういう契約があるのかなんて分かりませんよね。先ほど山本大臣もおっしゃっていましたけど、分かりません、どれが有利な保険なのか不利な保険なのか分からないと。
 じゃ、そんなことをみんな国民分かっているわけないんだから、それはやっぱり国の規制として、余りそういう不利になる、複雑な商品はつくるんじゃないといったことも言っても私はいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうかね。自由な市場だからそんなのは規制すべきじゃないというふうに言うのかもしれませんけれども、それが国民をだます、国民に不利なことを生じさせる、何というんですか、要因を含んでいるんだとすれば、私は検討に値するんじゃないかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか、感想というか思いをお伺いいたします。
#222
○国務大臣(山本有二君) これは難しい質問でありまして、デリバティブ、特に金融商品のイノベーションを日本国内でできないかということを検討している観点からしますと、単純な商品以外は許さないという姿勢は、言わば金融イノベーションの中では非常に逆行する立場になるかもしれません。しかし、金融商品取引法の消費者保護の観点からすれば、そっちの方が安全でありますし、また監督する方も非常に楽に監督できるというようなメリットもあるだろうと思います。
 今後、そうしたことを踏まえながらその御指摘については考えていきたいというようには思いますが、基本は自由な商品開発というところにあるだろうと思っております。
#223
○富岡由紀夫君 どういうふうにやったらいいのかは分かりませんけれども、自由なところは確かに、そこは駄目よというわけにはいかないんであれですけど、そういった一部のプロ向けの商品とやっぱりそうじゃない商品というのが分かるような、混在しているようなコマーシャルを打たれたり、いろんな商品説明をされたんじゃ、やっぱりこれは大変な消費者被害がまだなくならないと思いますので、そういった明確な、分かるような商品識別ができるような仕組みというか、そういったことも今後是非御検討をいただきたい、もしくは業界に要請をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 とうとう公認会計士法の質問に入らせていただきますけど、時間がないんでどれがいいかあれなんですけれども。
 まず、今の現行法制の中で監査法人が、社員が無限連帯責任を実際に負った例というのがどのぐらいあるのか、教えていただければというように思います。
#224
○政府参考人(三國谷勝範君) 現時点で把握している限りにおいて、これまでのところ、監査法人が被監査会社の株主等から損害賠償請求を起こされたことなどによりまして債務を完済することあたわざる状態になりまして、監査法人の社員が無限連帯責任を負う結果に至った事例はこれまでのところはないと承知しております。
#225
○富岡由紀夫君 ないんですか。というお話だと、何というんですか、今後、次の議論に進もうと思ったんですけど、あれなんですけれども、余り、じゃ、そういうふうに無限連帯責任がある意味というのがないというふうに理解することになっちゃうんですけど、それでいいんですか。無限連帯責任の意味というのは何なんですか。だれがメリットがあるんですか。
#226
○政府参考人(三國谷勝範君) ただ一方で、現実に係争中の案件は結構ございます。つい最近でもある事案につきまして監査法人が解散に至った事例もございます。こういったものも係争中のものがあって、そこで法人が債務を完済することができなくなりますと、これはその個人が連帯して責任を負うということに至る理論的な可能性はあるわけでございます。
#227
○富岡由紀夫君 理論的な可能性はあるけど今まではなかったということでございますか。今、急にそういうのがたくさん発生しているんですか、今進展中の案件がいっぱいあるという理解なんですか。今まではなかったけれども、これからは出てくる可能性が非常に高いという理解でよろしいんでしょうか。
#228
○政府参考人(三國谷勝範君) これは紛争の解決でございますので、途中で和解により解決されるもの、あるいは最終的な判決に至るものまでいろんな形態のものがあろうかと思います。
 傾向といたしましては、昔に比べますと最近はいろいろな訴訟の事例も多くなってきていると思っております。また最近は、係争もある一方でいろいろな、大きなところではございませんけれども小さいところで解散しているといったような事例も出てきているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今度の、これまでの監査法人制度を無限のみということではございますと、すべての人が自己に関係のないところまで一生、その法人がなくなったときにそれをしょって歩くということ、これにつきましてはある程度の規模、大規模化した監査法人が出てきている状況におきまして、実際に監査に携わった方は連帯といたしましても、仮に関与しなかった社員には出資を限度として、責任をそこまでの範囲にとどめると。それ以外にも様々な工夫をした上で有限の道を開いているということでございます。
#229
○富岡由紀夫君 今回の法改正の目玉で有限責任を選択できるということが非常に大きく取り扱われているわけですけれども、平成十五年度の改正で指定社員制度がこれできるようになりましたけれども、これを実際に適用しているというか利用している会社というのはどのぐらいあるのか、そういった運用状況についてお伺いしたいと思います。
#230
○政府参考人(三國谷勝範君) 指定社員制度というのは、前回の改正で導入されました、相手の、被監査会社との関係でのまあ一種の有限化みたいな制度でございますけれども、これ、当庁といたしまして業界全体の詳細な意味での実態を把握しているわけではございませんが、大手の監査法人に確認いたしましたところ、四大監査法人が行っている約一万五千社の監査証明業務のうち、約三分の二に当たる約一万三百社、この監査証明業務につきまして指定社員制度を利用した指定証明が行われていると承知しております。
#231
○富岡由紀夫君 随分やっていらっしゃるんですね。指定証明を、そのやり方を取った、指定社員制度を利用している場合の監査先企業というのは、どういうメリットがあるんですか。監査法人はメリットあるのかもしれませんけれども、監査先企業は何かプラス面があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#232
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査法人は今言ったような仕組みでございますけれども、相手方のクライアント事業会社が直ちにこのことによって直接の効果を受けるというその直接的なものはないかもしれませんが、一方では、指定社員といったような形におきまして非常にその社員の責任等もそこは明確になるわけでございまして、そういった意味でこの制度がいろんな形で活用されているものと承知しております。
#233
○富岡由紀夫君 今の話だと、監査先企業のメリットはないということでございますね。
 じゃ、この監査先企業にメリットないことを、これ監査法人はメリットあるかもしれませんけれども、現行の指定監査制度を導入しようとしたときに、この手続についてちょっとお伺いしたいんですが、これはあれですか、監査法人の方から監査先企業に対しては、同意を求めたり、そういったことを許可を得たりしないで、勝手に指定社員制度をこれから導入するという、そういったことができるんでしょうか。
#234
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査法人側で書面によりまして相手方に通知するという、そういう仕組みになっております。
#235
○富岡由紀夫君 メリットのないことをクライアント、監査を受ける企業に対して通知するだけでそれが導入できちゃうというのはちょっと非常にバランスが悪いんじゃないかと思いますけど、どうでしょうか。
#236
○政府参考人(三國谷勝範君) 一つの契約の中で指定証明という制度、これが書面による通知という形で活用されているものと承知しております。
#237
○富岡由紀夫君 よく意味分からなかったんですけど。
 監査先企業にとってはメリットないと、逆に損害賠償の範囲が狭まっちゃうということで不利になるというふうに思いますけれども、不利になるようなことが監査法人から通知するだけで勝手に決められちゃうということは、私は非常におかしな片務的な内容になっているんだというふうに思いますけれども、何かよく、詳しくその辺の説明をお伺いしたいと思います。
#238
○政府参考人(三國谷勝範君) 全体としては監査契約の中で、監査契約というものでクライアントと監査法人が契約が行われるわけでございます。その中におきまして、この指定証明につきましては、監査法人側が指定をしたときはクライアントに対しましてその旨を書面により通知すると、こういう仕組みになっております。
#239
○富岡由紀夫君 いや、それは今聞いたんで、同じことを答えていただかなくていいんですけれども、それは今言ったように片務的じゃないでしょうかとお伺いしているんですけど。
 三國谷さん、ちょっとお答えできないようなんで、山本大臣、お伺いしたいと思います。どうでしょうか。
#240
○国務大臣(山本有二君) 指定社員になりますと無限責任社員であります。そうしますと、その事業会社、被監査会社との間での意識の連帯と、さらには業務における集中度というものが、逆に被監査法人、すなわちお客さんの会社の方からは是非とも逆に指定社員制度でうちはやってほしいということになる私は制度ではないかというように思っておりますし、現実にそこに信頼性というものはその間において初めて吐露される情報も数多くあるというように判断しておりまして、実務慣行の中から出てきた私は制度でないかというように評価しておりますが。
#241
○富岡由紀夫君 今のお話だと、指定されて初めて無限連帯責任が出るというようなことなんですけど、指定しなくたって無限連帯責任はクライアントとその監査法人若しくはその監査法人の担当者との間ではそういう契約が成り立っているというふうに思いますけれども、指定するとかえってそれが狭まってしまうという理解なんですけど、今の御説明だと逆の説明なんですけれども、ちょっと違うんじゃないかと思いますので、ちょっともう一度お答えお願いしたいと思います。
#242
○国務大臣(山本有二君) 指定社員以外の社員は出資の範囲内で責任を負うことになるわけでありまして、特定の監査証明について業務を担当する社員を指定し、当該指定社員のみが業務を執行し法人を代表するとともに、被監査会社等に対して無限責任を負うこととなる制度でございます。
 ということは、特定の監査証明について業務を担当する社員を指定した場合、そこに無限責任が発生する、それ以外はすなわち出資の範囲の中で有限責任になると、こういう理解でございます。
#243
○富岡由紀夫君 本当にそれでいいんですか。僕は違うと思いますけど。
#244
○国務大臣(山本有二君) そうかなあ。
#245
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のお話は、現行の指定証明制度と今回導入する特定証明のその二つがあるというその上での話で、前段の現行制度における指定証明の話、被監査法人、クライアントとの関係における有限責任下の問題という、こういうことかと思います。
 現行の指定証明制度でございますけれども、クライアント以外、いわゆる一般の投資家等に対しましては、現行の無限責任制度というのは現行は変わっておりません。クライアントとの関係におきまして、指定社員はクライアントとの関係で無限ではございますけれども、クライアントとの関係におきましてはそれ以外の社員は有限であると、こういう仕組みでございます。
 ただし、これは全体契約は、クライアントとそういった会社の基本的な契約に基づいて、これは双方の合意の上にこういった契約が行われているわけでございますので、そういった中でこの制度が活用されているということでございます。
#246
○富岡由紀夫君 いや、ちょっとお伺いしたのは、山本大臣が言ったように、指定社員制度を導入したら無限連帯責任がその担当者との間にできるという、指定社員の制度を利用して初めてできるという御説明だったんですけど、それでいいんですかということです。
#247
○国務大臣(山本有二君) あくまでそれは監査契約の中身の問題でございますので、監査会社の方で勝手に指定すれば自動的という、そういうオートマチックな話じゃございません。監査契約の中身の問題だろうというように思います。
#248
○富岡由紀夫君 三國谷さん、それでよろしいんですか。
#249
○政府参考人(三國谷勝範君) 大きな大枠といたしましては、今申し上げたとおり、クライアントと監査法人の契約、こういう中で基本的な枠組みが決まると。
 その中で指定証明制度を採用するかどうかということになるわけでございますが、この部分におきましては、監査法人側が書面より通知することによってクライアントとの関係においては無限と有限に分かれるということになるわけでございますけれども、それは大きな基本的なクライアントと監査法人の枠組みの中において行われるということでございます。
#250
○富岡由紀夫君 委員長、ちょっと、答えていないんで是非お答えいただきたいんですけれども、その指定社員制度を利用した場合にのみ初めて担当社員との間の無限責任が出るという、生じるというお話だったんですけれども、それでいいんですかという問いに対して答えていただいてないんで、是非ちょっと委員長の方からも御指示をお願いしたいと思います。
#251
○委員長(家西悟君) しっかり答えてください。
#252
○政府参考人(三國谷勝範君) 指定社員制度、これは平成十五年の公認会計士法改正により導入した制度、この部分でございますけれども、これは特定の監査証明について業務を担当する社員を指定し、当該指定社員のみが業務を執行し、指定した場合でございますが、当該指定社員のみが業務を執行し法人代表するとともに、被監査会社等に対して無限責任を負うこととする制度。したがいまして、被監査会社等の関係におきましては、指定社員以外の社員は出資の範囲内で責任を負うことになると、こういう制度でございまして、その前提の上に今申し上げているものでございます。
#253
○富岡由紀夫君 だから、その無限責任は指定しないと生じないのかということなんです。そこを答えていただきたいんです。
#254
○政府参考人(三國谷勝範君) この制度を指定しなければ基本的には無限責任でございまして、これを指定したときにそれ以外の人が無限から外れると、こういうことになります。
#255
○富岡由紀夫君 だから、逆なんですよね。
 指定社員制度を導入すると、クライアントからすると無限責任の範囲が狭まるんですよ。だから、先ほどの山本大臣の御説明と違っちゃうと、それはもう無理もない、その書いてあることが間違っているのでしようがないかもしれませんけれども。今そういうふうにおっしゃっていたんで代弁いたしますけれども。
 要は、おかしな話なんですよね。クライアントからすると、無限責任の範囲が狭まってしまうことを通知だけで済まされちゃうというおかしな話でございまして、本題は、現行制度も少しそういうおかしなところがあると。それを今度有限責任を選択できるというお話ですけれども、この場合はどうなんですか。クライアントの方から、何というんですか、クライアントに対してやっぱり事後通知だけで有限責任が勝手に選択できちゃうんですか。お伺いしたいと思います。
#256
○政府参考人(三國谷勝範君) 今回、有限責任化の法人を認めるに当たりましては、これが有限責任でございますので、まず投資家にとってもよく見えるように、それから、まずディスクロージャー等につきましても所要の整備をしておりますし、それから、有限化いたしますと、これは人的財産というよりも会社の財産ということが大変大きな意味を持ってまいりますので、財務諸表等の整備、それから最低資本金、それから供託、こういった各般の制度を設けました上でこの制度を設けておるわけでございます。また、有限責任形態の法人であることは、しっかりそれは名称も含めまして外部に知悉するようにいたしまして、そういった牽制の中でこの制度が活用されることを想定しているわけでございます。
#257
○富岡由紀夫君 聞いたことだけお答えいただきたいんですけれども、この有限責任を選択するときに、クライアントに対する事後通知だけで済んじゃうんでしょうかという質問です。そこだけお答えいただきたいと思いますが。
#258
○政府参考人(三國谷勝範君) この今回の制度につきましては、有限責任形態の監査法人でございますので、基本的には自動的に有限化になるわけでございます。ただ、そういった指定がされないような場合でございますと、この場合には全社員が指定されたものとみなすと。そういった指定がされない旨が証明されたときということでございますが、平たく言いますと、だれも指定しないことであれば全員が指定社員ということで……
#259
○富岡由紀夫君 そんなこと聞いていない。
#260
○政府参考人(三國谷勝範君) したがって、それはもう……
#261
○富岡由紀夫君 ちょっと止めてもらってもよろしいですか。よく分からない。
#262
○委員長(家西悟君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#263
○委員長(家西悟君) じゃ、速記を起こしてください。
#264
○富岡由紀夫君 ゆっくりしゃべっていいですから。
#265
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、監査人の緊張感を維持し監査の質を確保する観点から、今回におきましても、虚偽証明事案、これを行いました業務執行社員につきましては、この方々は無限連帯責任を維持することとしていると、これが基本でございます。その方々につきましては、業務を執行する社員ということで指定をするということでございます。
#266
○富岡由紀夫君 いや、そんなことを聞いているんじゃなくて、有限責任体制を取る場合にクライアントに対して事後通知だけで済むんですかって、そういうふうにお伺いしているんです。
#267
○委員長(家西悟君) ちょっと速記もう一回止めてください。
   〔速記中止〕
#268
○委員長(家西悟君) じゃ、速記を起こしてください。
#269
○政府参考人(三國谷勝範君) 有限責任形態の法人につきましては、その法人自体が基本的には有限責任ということでございます。ただ、しかしながら、その中で実際の業務の執行社員につきましては無限連帯を維持していると、こういうことでございます。
#270
○富岡由紀夫君 だから、クライアントの関係をね。ちょっと理事さん、行って……
#271
○委員長(家西悟君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#272
○委員長(家西悟君) じゃ、速記を起こしてください。
#273
○政府参考人(三國谷勝範君) 何度も恐縮でございます。
 今度の新しい有限責任形態の場合には、これまでの制度のような、申出というようなそういうことではなくて、自動的に指定は必要ではないということでございます。
#274
○富岡由紀夫君 だから、クライアントに対する事前通知は必要なのか、事後通知だけでいいのかということで、全然答えていただいていないんですけど。
#275
○政府参考人(三國谷勝範君) 必要ございません。失礼いたしました。
#276
○富岡由紀夫君 早く言っていただければいいんです。
 これはクライアントにとっては、投資家にとっても今回の有限責任を選択すると私は不利になると思うんですよね、責任を追及できる限度が、連帯責任の限度が狭まるわけですから。それを事後通知だけで済ますような制度というのは、投資家に対してもこれは非常に不利なことになる法案じゃないかと思うんですけれども、違いますか。
#277
○政府参考人(三國谷勝範君) 今度の有限形態の法人につきましては、名称も含めて誤認防止措置というものも講じておりまして、なおかつ、最低資本金とか供託という制度を設けておりまして、その上でクライアントと有限責任監査法人が契約をすると、こういうことになっております。したがいまして、有限化に伴いましても、いろいろな対処策も講じながらこの制度を導入しようとしているものでございます。
#278
○富岡由紀夫君 ちょっと止めてください、答えていただいていないんで。不利になるのか不利にならないのか、その辺について触れていただいてないんで。
#279
○委員長(家西悟君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#280
○委員長(家西悟君) じゃ、速記起こしてください。
#281
○政府参考人(三國谷勝範君) 無限の場合には無限の場合の債務の責任の分担の仕方、有限の場合には有限の場合のいろんな仕組みがあるわけでございます。無限連帯社員の数が全員ではなくなるという意味におきましては、その意味では有限より無限の方が幅は広いところはございますけれども、一方で、有限化する場合に当たりましては、一つはディスクロージャーの整備でございますとか、最低資本金、供託、そういったまず会社の第一段階におきましていろんな資本充実策、こういったものも構築しました上で、誤認防止措置も講じまして、その上で有限の道を選択できるようにしているものでございます。
#282
○富岡由紀夫君 止めてください。有利になるのか不利になるのかという答え、全然答えていただいていないんで、それができるまで。
#283
○委員長(家西悟君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#284
○委員長(家西悟君) じゃ、速記起こしてください。
#285
○政府参考人(三國谷勝範君) 有限には有限のそういった備えあるいは誤認防止措置、そういったものを講じた上である、無限は無限でそういった仕組みがある、それを全部事前に分かった上で被監査企業が監査法人と契約をすると、こういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、この仕組みの中でどの監査法人とクライアントが契約するかというのは、そういったことを踏まえてクライアント側において判断する事柄でございます。
#286
○富岡由紀夫君 それを判断して契約を結べって言うんですけど、今結んでいるクライアントはどうするんですか。今の話だと、事後通知だけで、明日から私どもは有限責任にしますよ、それを事後通知だけでそれが成り立っちゃうという話なんで、これはクライアントにとっては不利なんじゃないんですか。若しくは、第三者の投資家にとっては非常に責任の範囲が限定されるわけですから不利になると思うんですけれども、この点についてどうなのか、明確にお答えいただきたいと思います。それがもし答えられないんであれば、また委員長、止めていただきたいと思いますが。
#287
○政府参考人(三國谷勝範君) この法律が、今御審議いただきまして、またその後施行するまでにはまだ時間もあるわけでございますが、そういった中で、被監査企業には制度的には選択権があるわけでございますが、一方において、監査法人との契約というのは、やはりそれまでの監査法人が培いましたノウハウとか信頼、そういった関係においても結ばれているのかと思います。有限責任形態を取るような会社が質的にもまた立派なところであれば、当然ながらそういった契約が継続されるという具合に考えております。
#288
○富岡由紀夫君 止めてください。全然答えていただいてないので。
#289
○委員長(家西悟君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#290
○委員長(家西悟君) じゃ、速記を起こしてください。
#291
○政府参考人(三國谷勝範君) 有利か不利かということを、一概にどちらが有利かということは言えないということでございます。有限は有限でいろんな制度を講じております。無限は無限でそれぞれの制度をやっているということでございます。
#292
○富岡由紀夫君 民事訴訟なんかで損害賠償請求を起こした場合に有利なのか不利なのか、お答えいただきたいと思います。クライアントにとって、第三者、株投資家にとって有利なのか不利なのか、そこのところに限ってお答えいただきたいと思います。
#293
○政府参考人(三國谷勝範君) 投資家にとりまして、最終的な無限責任社員の数が限定されるという意味におきましては、その場面をとらえて申し上げますと、責任の度合いは今よりは少し狭まると思いますが、一方で、有限責任の場合には、最低資本金でございますとか、供託金とか、その前段階で資本の充実策等を講じておりますし、かつ財務諸表等のディスクロージャー等も行っているわけでございます。そういったものをすべていろいろ制度として、今回、有限化に伴います制度を併せ講じながら、このような制度をお願いし、提案しているということでございます。
#294
○富岡由紀夫君 いや、僕は、今の指定社員制度がそういうことをクリアして、通知してやっているんだったらいいかもしれませんけれども、今の話だと指定社員の、現行の指定社員制度だって、そんな資本の積み増しとか何もやっていないわけですよね、条件ないですよね。若しくはディスクロージャーの条件とかは何もないですよね。ないけれども、一方的に通知するだけで指定社員制度がもう適用されちゃっていると。クライアントからすると、何というんですか、投資家からすると無限責任の範囲が狭まっているということがあるから、事前にそういう説明、お話を伺ったから今質問しているんですけれども、今回の有限責任もそういうことになるんじゃないんですか。
 選択権があるというのは、後で監査法人とのクライアント契約をどんどん変えられればいいんですけれども、変えられないんじゃないんですか。事後通知だけで勝手に一方的に有限を選択できちゃうというお話ですから。そうなったときに、投資家というのは一方的に、損害賠償、民事訴訟をしたときの、何というんですか、耐えられる財産の資力が限定されるわけですから、不利になっちゃうんじゃないかというふうに思っているんですけれども、どうなんですか、今の話。
#295
○政府参考人(三國谷勝範君) それぞれの監査法人がどれだけのそういった力があるかということにつきましては、どちらの方がどうであると一概には言えないところがございます。無限には無限のそういった連帯という最終的な制度がございますが、有限は有限で資本の充実を始め各般のこうした措置を講じているということでございます。
#296
○富岡由紀夫君 一概に言えないというのはどういうことなんですか。じゃ、ちゃんと資本金の充実とか供託金の充実というのは無限で今まであったところが今度有限にすると狭まりますと、その分に見合う分だけ条件として付けるという、そういうことでございますか。
 結果としてクライアントと第三者、投資家からとってみて責任の範囲が狭まることがないという、そういう条件を供託金なり資本金なりに条件付けをすると、上乗せの条件をするというふうに理解してよろしいんですか。一概にそういうこと言えないということはそういうことですよね、そこで調整するということですか。
#297
○政府参考人(三國谷勝範君) ケースによると思いますが、まず法人段階で第一次的なストックにつきましては今回の有限責任の方がそれだけの充実した措置を講じているということでございます。その次に、それがはじけました場合の連帯の範囲でございますが、これも、無限の場合であれば全員でございましたが、これまでの場合には実際に業務に関与した社員、この者には無限が、連帯責任が続くわけでございます。
 したがいまして、有限と申しましても、現実にその業務を執行した者につきましてはこの無限が、連帯責任は引き続き継続すると、こういう仕組みになっております。
#298
○富岡由紀夫君 答えていただいてないんですけれども、その無限が有限に狭まったときに、第三者若しくは投資家若しくはクライアントがその責任を追及できる範囲が狭まるというふうに私は、そういう面で不利だというふうに思っているんですけれども、それを不利を覆すだけの資本金の積み上げとか供託金の積み上げをじゃやるんですか、その点についてお伺いしたいと思います。
#299
○委員長(家西悟君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#300
○委員長(家西悟君) じゃ、速記を起こしてください。
#301
○政府参考人(三國谷勝範君) 無限連帯責任社員の数が減るという意味におきましては、この改正により有限化をすればその部分が数が減って不利になるというところは、そこはそういったところがあろうかと思います。
 一方で、それに対しまして有限責任形態の場合でありましても、最低資本金あるいは供託制度、そういったものを義務付けることによりまして、これまでにはそういったものがなかったところにそういったものを義務付けることによりまして、投資家保護も図りながらこの制度の導入をお願いしているものでございます。
#302
○富岡由紀夫君 だから、最初にそういうふうに言ってくれればいいんですけれども。
 だから、不利になる分を打ち消すだけの供託金なり最低資本金をちゃんと条件付けてくれるんですねと、そういうことをお伺いしているんですけど、その点についてはどうですか。
#303
○政府参考人(三國谷勝範君) そこで、投資家保護を図る観点から、今般は最低資本金規制、それから原則として供託の義務付け、それから計算書類の開示を求めると、こういった財産要件などを設けた上で当局への登録を求めることとしているということでございます。
#304
○富岡由紀夫君 だから、そこは不利にならないようにちゃんと条件を明確に決めていただきたいと。今決まっているところはあるんですか、その条件については。その条件をどのぐらいのことを想定しているのか、想定している部分を教えていただきたいと思いますが。
#305
○政府参考人(三國谷勝範君) これは今後の政省令の過程で検討する話でもございますけれども、例えば最低資本金でございますと、社員の数に百万円を掛けた程度の最低資本金は必要、供託金は社員の数に二百万円を掛けた程度の供託はお願いしたいと。ただ、供託につきましては別途保険契約等があればそれで代替できるところもございますので、そういったものでの代替も可能にすると、こういったような制度を考えているところでございます。
#306
○富岡由紀夫君 供託金に代替できる保険金の保険料というのはだれが払うんですか。
#307
○政府参考人(三國谷勝範君) 供託に代えて保険にする場合はこれは監査法人の選択でございますので、監査法人が保険料を払う形になると思います。
#308
○富岡由紀夫君 供託金は社員が払うわけですよね。どうですか。
#309
○政府参考人(三國谷勝範君) 額の決め方は、規模の問題がございますので、社員の数に応じますけれども、供託をすることは監査法人が行うものでございます。
#310
○富岡由紀夫君 じゃ、監査法人のところで供託して、保険も監査法人で掛けるということでございますという話だと、さっき言った個人財産のところが、何というんですか、今まで無限責任だった分が狭まるという話に対して、その分を全部監査法人の方で面倒見ると、そういう理解でよろしいんですか。
#311
○政府参考人(三國谷勝範君) そこのところで充実を図って投資者保護を図るということでございます。
#312
○富岡由紀夫君 分かりました。
 是非投資者にとって不利にならないように、ちょっとこんなので時間取っちゃったんですけど、そういうお願いしたいと思います。
 ちょっともう時間なんであれなんですけれども、不正、違法行為を発見したときの問題なんですけれども、先ほど来議論ありましたのでもう説明はいいんですけれども、監査人から当局へ意見を申し出ないといけないというケースがございますけれども、財務諸表に影響を及ぼす場合は、是正されない場合はやらないといけないという話なんですけれども、例えばこういうケースはどうなんでしょうかね。
 会社で談合していたことが発見されちゃったと、既にそれはもう改正の余地がないと、もう既にやったという事実は間違いない事実でありまして、この違法行為を発見しちゃった場合について、これは当局への報告義務、若しくは訴えたり、訴訟したり、摘発したり、そういったことをしなくちゃいけないのか。守秘義務との観点でその辺の明確な基準があるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
 談合なんかでそれがあったという事実が出ると、これはレピュテーションリスク、風評が下がって、私は、売上げが減って財務内容についても影響があるというふうに思いますので、その点については当局への報告義務若しくは摘発義務があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
#313
○政府参考人(三國谷勝範君) その行為が財務計算に関する書類の適正性に影響を及ぼすおそれがある事実に該当する場合には申出義務ということになります。
#314
○富岡由紀夫君 今も言った談合みたいな場合は申し出しないといけないという理解でいいんですか。
#315
○政府参考人(三國谷勝範君) 個別事案によるところでございます。最終的には、それが財務計算に関する書類の適正性に影響を及ぼすか否かによって該当するか否かが決まることになります。
#316
○富岡由紀夫君 本当はもっとやりたいんですけど、時間になりましたので、これで質問を終わります。
#317
○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉でございます。
 まず最初に、公認会計士の人数に関して質問したいと思います。
 尾立委員の方からも質問がございましたが、現在、公認会計士の人数は約一万七千人ということでありまして、将来この人数を増やしていきたいと。じゃ、どのくらい増やしていきたいか。これははっきりしていないが、例示としまして、平成三十年に五万人にすると、こういった例示もありました。
 この点に関して質問したいんですが、例えば諸外国におきまして、アメリカでしたら、私の記憶でしたら三十五万人の公認会計士がいると、ヨーロッパにおきましても日本以上の公認会計士ということであります。ですから、公認会計士の人数を増やすべきであるというのは分かりますが、本当にそういった公認会計士の人数が確保できるのか、このことに関して質問したいんです。
 資料によりますと、今から十年前の平成八年三月が約一万七百八十七名ということで、昭和六十年が七千六百二十八人ということです。ですから、同じようなカーブで上昇したとしましても、恐らくは平成三十年で二万五千とか二万六千ぐらいじゃないかなと勝手に計算しました。それを約倍の五万人にするというのはやはり相当大きい変化であると思います。
 ただ、アメリカの三十五万人に比べましたら、それでも低いということでありますから、この点に関しまして、具体的な増加の目標はどういう形か、若しくはそれが実現可能か。さらには、どういう形で、量を確保することも必要ですが、さらには質を確保するか、こういった点に関して御質問したいと思います。
#318
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、平成十四年の金融審議会公認会計士制度部会報告の中では、例示といたしまして、平成三十年ごろまでに公認会計士の総数を五万人程度の規模と見込むことが考えられるとしているところでございます。ただ、これは政府としての特別の目標数値という位置付けではございませんが、基本的には、この御指摘のとおり、公認会計士の質を維持しながら数を確保していくということは大変重要な課題であると考えているところでございます。
 このような観点から、平成十五年に公認会計士法の改正が行われておりますが、ここでは社会人等にも受験しやすい制度ということで、従来三段階五回の試験でありましたものを一段階二回に簡素化する、あるいは一定の実務経験者に対する短答式の試験の科目免除制度、あるいは科目合格制度と申しまして、一つ一つの科目ごとの合格制度といったものを導入いたしまして、それから公認会計士登録に必要となる実務経験は試験の合格の前後を問わないこととすると。これまでは、二次試験が受かりましてから実務補習といったものが必要だったわけでございますが、前後を問わないと、こういった各般の措置を講じているところでございます。
 この制度が始まりましてからまだ間もないわけでございますけれども、これは公認会計士審査会の方におきましても、この制度の改善にこれからも一生懸命努めてまいりまして、この質を維持しながら量を確保していくことにつきまして努力してまいりたいと考えております。
#319
○大久保勉君 公認会計士は言わば社会のインフラと私は思いますので、是非、質及び量を増やすことに全力を挙げていただきたいと思っております。
 続きまして、じゃ、公認会計士はだれが必要としているのか、これはやはり企業だと思います。大企業、中小企業、さらにそこに資金を投資します、資本家で、株主であったり場合によっては融資をする金融機関であったり、こういった人たちがどうしても必要なインフラとして公認会計士があると思います。
 また、公認会計士制度は、つまり会計制度といいますのは、企業自身がグローバル化するに従いまして、日本だけではなくてアメリカ若しくはヨーロッパの会計基準と非常に連関していく必要があると思います。
 そこで質問は、これは大臣に質問したいと思います。
 国際的な会計基準の収れん、いわゆるコンバージェンスが着実に進行しておりますが、一説によりますと、といいますか多くの人が言っていますが、日本の会計は国際的に孤立しているんじゃないかと。特に、日系企業でアメリカ等に上場した場合は、日本の個々の企業は日本の会計基準を使っていますと。ですから、アメリカの会計基準とは必ずしも等しくないと。ヨーロッパにおいても同じように、日本の会計基準だから質があたかも悪いですよと言いたげなコメントが付いているケースもあります。
 これは私は非常に恥ずかしいことだと思います。ですから、日本の会計基準に対して今後どういうふうにしていきたいのか、このことも含めまして、大臣の認識及び決意を承りたく思います。
#320
○国務大臣(山本有二君) 我が国の会計基準は、ここ十年余りで金融商品の時価会計、退職給付会計、企業結合会計の導入など、急速に整備が進められておりまして、既に国際的な基準と比べましても基本的に遜色のない高品質なものになっていると認識しております。一方、金融資本市場のグローバル化等を背景にいたしまして、近時、会計基準の国際的なコンバージェンス、いわゆる収れんを図る動きが加速化しております。
 我が国の会計基準設定主体であります企業会計基準委員会、ASBJにおきましても、現在、EU等で使用されております国際会計基準の設定主体であります国際会計基準審議会、IASBや、米国財務会計基準審議会、FASBとの間で会計基準の相互のコンバージェンスに向けた取組を積極化しているところでございます。
 したがって、御指摘にありましたように、我が国の会計基準が国際的に孤立している状況にあるとは考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、金融資本市場の重要なインフラである会計基準につきましては、国際的な動向も踏まえつつ、引き続き不断に整備が進められることが重要であるというように考えるところでございます。
    ─────────────
#321
○委員長(家西悟君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、椎名一保君が委員を辞任され、その補欠として山本順三君が選任されました。
    ─────────────
#322
○大久保勉君 大臣は、国際的に遜色がないという認識であると。もちろん大臣という立場でありましたら遜色があるとは言えないと思いますが、でも、この委員会でも日興コーディアルの問題を議論しましたし、ライブドア、カネボウ、粉飾決算がこの一、二年で相当発生していますですね。こういった状況で本当に遜色ないという認識でよろしいんですか。
#323
○国務大臣(山本有二君) 一月にUKFSA、ロンドンの金融庁の高官とこの件につきまして意見交換をしたことでございました。高官は、日本の会計基準については過去には大変不安があったが、現在はもはや国際的な水準に達しているという評価であるというように言っていただきました。特に、世界の四大監査法人と系列化し、そこに提携を図っているという点においてはもはや心配はない。ただ、それぞれの国の事情、商慣行、こういった特徴を受けて、誤解や、共通を図らなければならない部分については課題があるだろうというように言っておられました。
 昨日もEU委員会の高官が来られまして、それで協議をしたわけでございますが、現在のところ、今、EU委員会としては、カナダ、アメリカ、日本について現在の実情を把握しようとして日本を訪れたというわけでございまして、工程表にのっとって順次会計基準のコンバージェンスを進めている過程でございまして、現在の目標では今年末にもほぼ合意的なまとめができるのではないかというように考えるところでございます。
#324
○大久保勉君 大臣の答弁でしたら、UKFSA、いわゆる金融サービス庁というんですか、その長官が、日本も最近は問題がなくなったと。これは社交辞令もあるかと思います。もちろん、五年、十年前に比べたら急激に良くなっているのは事実でありますが、まだまだ完全じゃないと思いますから、大臣の方は引き続き注視してもらいたいなと思っております。
 物事は完全はありません。特に民間に関しましては非常にきっちりし出しておりますが、まだ公会計、地方自治体とか若しくは独法会計とか、こういった分野に関してはまだまだのところがあります。ここは後の方で質問していこうと思っています。
 じゃ、国際会計基準との違いということで、例えば国際会計基準に関して、保険会社の債務を含めた時価会計をするというのが国際会計基準で決まって実施されようとしておりますが、日本の場合はこういったことが可能でありますか。もし会計のコンバージェンスが進んでいるということでしたら、即刻保険の債務に関しても時価会計を導入すべきでありますが、そういうふうになっているんでしょうか。大臣に質問します。
#325
○国務大臣(山本有二君) 保険会社の資産のうち、例えば有価証券につきましては現在でも……
#326
○大久保勉君 債務です。保険会社の債務です。
#327
○国務大臣(山本有二君) ちょっと、その前提をちょっと置かせてもらっているので。
 もう一回言いますと、保険会社の資産のうち、例えば有価証券につきましては現在でも時価評価で行われております。一方、保険負債の評価方法につきましては、国際会計基準審議会、IASBにおきまして、保険負債の将来キャッシュフローを現在の金利水準を基に現在価値に割り引く評価方法が提案され、議論されてきております。
 保険監督者の国際的な集まりでございます保険監督者国際機構、IAISにおきましても保険負債の評価方法に関する同様の議論が行われております。
 金融庁といたしましては、こうした保険負債の評価の考え方は、保険会社の資産、負債を整合的に評価し、その財務状況をより適切に把握することにつながることから、基本的に支持できるものと考えるところでございます。
 今後、更に議論を要する技術的な点、論点も多々存在しておりまして、引き続きIAIS等を通じまして国際的な議論の中で検討してまいりたいというように考えておるところでございます。
#328
○大久保勉君 分かりました。IASB若しくはIAIS等、平仄を合わせて債務サイドの時価会計も検討していくと。ということは、実行のタイミングも国際的に平仄を合わせると。同じタイミングということでよろしいでしょうか。イエス、ノーでお願いします。
#329
○国務大臣(山本有二君) その点につきましては今後検討させていただきます。
#330
○大久保勉君 ここが問題なんですよね。検討しています、ところが実行は後回し、これはコンバージェンスとは言えないんですね。つまり、勉強しているふりをして、時間稼ぎだけしていて、実際は実行しない、これが金融庁の行政じゃないですか。大臣、そのことに対する認識を問います。
#331
○国務大臣(山本有二君) この点につきまして、私どものこのコンバージェンスの認識の仕方は、必ずしもヨーロッパ型にすべてを預けるという形ではなくて、まずは日本型で主張をしていきたいという基本的な姿勢を持っております。そして、更に英語圏との言語の誤差によって認識が違うという点を詰めるという二番目の物の考え方をしておりまして、三番目に、どうしてもカナダ、アメリカ基準がヨーロッパと合致し、また今後企業活動における不利が予測されるときにはやはり譲っていくという姿勢も大事だろうというように思っております。
 そんな点を総合評価して今後検討が必要だろうというように考えるところでございまして、直ちに今結論を出すということにはならないように思っております。
#332
○大久保勉君 現在、IASBとかIAISでは実施のタイミングが議論されているというのが私の理解です。そういった段階で、日本は英語圏じゃないから実施のタイミングはまだ議論の俎上に上っていないと、これが日本のやり方です。こういう考え方こそが国際標準じゃないということなんですね。どうして会計に日本語と英語の違いがあるんですか。数字の評価に対しては言葉の違いは基本的にはないはずなんですよね。ですから、その辺り、大臣自身は自分でもう少し調べてもらいたいと思うんですね。
 これは、金融庁としまして、事務方は非常に厳しい現実があります。保険の時価会計を、債務サイドの時価会計を導入しましたら、まだ含み損がある生命保険会社もありますから、一律に、じゃ、あしたからやるとは言えないのは事実なんです。ところが、株式の上昇等も出てきまして保険会社に体力が付いてきましたので、もうそろそろいつ実行するかというのを議論していかないといけないと思うんです。是非これは大臣のリーダーシップを期待したいです。やはりうみを出すことも必要ですし、痛みがないと国際標準には付いていけないと思います。
 じゃ、続きまして、これもある意味では厳しい問題かもしれませんが、いわゆる公認会計士の相互承認の問題だと思います。
 現在、一万七千人の公認会計士を将来は五万人にすると。アメリカは三十五万人です。アメリカの経済力は日本の二倍としましたら、その半分の十七万人というのはアメリカと同じ基準でしたら必要な公認会計士の数かもしれません。じゃ、そこにどうやって達成するのか。これは非常に難しいと思うんですね。急激に増やそうとしたら質が落ちてしまうと。こういったことを考えましたら、日本人でも米国公認会計士の資格を持っている方は一杯います。こういった人を取りあえず参入させてくると。もちろん、いろんな勉強もしてもらう必要がありますから、いろんな予備的な試験は必要でありますが、最終的に相互承認という形で行っていくことも一つの手だと思うんです。このことに対して大臣の御認識を聞きたいと思います。
#333
○国務大臣(山本有二君) まず、公認会計士は企業財務情報の信頼性を確保していく上で極めて重要な役割を果たすものでございまして、我が国で監査業務等を適正に行うに足る質の高い人材をまずは確保していくことが重要であると考えております。
 御指摘の相互承認というところでございますが、外国の公認会計士に相当する資格を有する者に対して我が国の公認会計士試験に関係なく我が国に公認会計士資格を認めるというような認識で臨むということになりますれば、各国における試験制度や合格の難易度には差があると考えられているところが一つ、監査業務等を行う上で十分な理解が必要となる会社法制や税制等の内容も各国で様々であるという問題点もございます。
 なお、我が国の公認会計士試験は外国籍の者でも受験が可能となっておりまして、平成十五年の公認会計士法改正によりまして試験体系の大幅な簡素化を図るなど、多様な者が受験しやすい制度に見直しを行ったところでもございます。
 そんな意味で、今後、質を落とさずに増やす努力をなおしてまいりたいと考えているところでございます。
#334
○大久保勉君 もう少し厳密に言いますと、公認会計士のベースになっていますのが会計基準です。会計基準、日本の会計基準と国際会計基準がいわゆるコンバージェンス、収れんする、同じになりましたら、ヨーロッパで会計を行っている人間、会計士も日本で行うことはほとんど問題ないと思うんですね。だから、そういった意味では、参入障壁はそんなに高くないと思うんです。もしあるとしたら、日本独特の商法であったり、若しくは税法であったり、こういった分野に関してはきっちり勉強してもらう必要がありますから、じゃ、その部分だけ試験をしてもらうと、こういう形も必要だと思うんですね。この辺りに関して柔軟な対応が必要だと思いますが、もう一度大臣に答弁をお願いします。
#335
○国務大臣(山本有二君) コンバージェンスが徹底されて、ほぼ国際的な取引における基準における評価が支障ないというような段階になりますれば、委員御指摘のとおり、相互承認というのはむしろ国際分業的観点からしても、また国際協調的観点からしましても、非常に能率のいいやり方であろうというように思っております。
#336
○大久保勉君 ありがとうございます。是非こういったことを検討してもらいたいなと思っています。
 公認会計士の人数に関しては、需要に関しては相当増えていくと私は考えております。といいますのは、企業会計だけではなくて、地方自治体であったり大学であったり病院であったり、いわゆる会計の専門家のニーズに対しては相当ニーズがありますから、供給することがまず重要だなと思っているんです。
 また、若干質が悪い方がもしいたとしましても、いわゆるOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングという形で実務経験を積み重ねながら非常に専門性を高めていくという手もあると思うんですね。この辺り是非柔軟に考えることも必要だなと思っております。
 じゃ、次の質問に入ります。
 大臣の方は東京シティー構想を提唱されておりますが、日本の会計基準若しくは公認会計士制度自身が日本独自のものであったり、若しくは日本が孤立しましたら、せっかくのすばらしい構想ですが、いわゆる仏作って魂入れずというふうになると思うんですね。ですから、こういったことに関して実質が伴う形で改革を行ってもらいたいと思うんです。このことに対する大臣の認識及び決意を是非とも聞きたいなと思っております。
#337
○国務大臣(山本有二君) この日本の金融機能強化について、ちょうど昨日、金融審議会のスタディグループ中間論点整理の発表がありました。その中でしっかりとこの点の認識を記していただいておりまして、高度かつ国際的な金融商品・サービスの提供、利用のためには、国際金融取引等に精通した法律、会計専門家等周辺サービスに従事する人材を育成強化し、その厚みを増していくことが重要という指摘でございます。
 正にこのとおりでありまして、仏作って魂入れずとならないように、今後こうした周辺人材の質の高い人たちを増やす努力をしていきたいというように思っております。
#338
○大久保勉君 じゃ、続きまして、「フラット化する世界」という本があります。実は、昨年読んだ本の中で最も面白いと感じた本の一つなんです。これはトーマス・フリードマンが書いた本で、世界的なベストセラーです。日本でもベストセラーになっていると思います。何が書いてあるかといいましたら、いわゆる世界がフラット、つまり一体化しているという現状が描写されております。米国企業においては、事会計、決算業務に関しましてはインドで積極的にアウトソーシングしているといった状況があります。その結果、生産性が向上していると。
 実は、二年前にODAの視察でインドに行ってまいりましたが、現地の企業若しくは大使館と話をしましたら、世界銀行の決済機構がインドにある、若しくはアメリカの生命保険会社の決済業務がインドで行われているということが説明されました。特に、アメリカ企業におきましては、ニューヨークタイムで日中に業務を行い、ニューヨークが夜になった段階で電算装置をすべてオンラインでインドに送ります。インドでいわゆる業務決済を行いまして、ニューヨーク、朝になった段階ですべての業務が完了してまたサービスできると。言わば二十四時間体制になっているということ。さらには、賃金がアメリカの十分の一以下である。昔は、物の国際化というのはできまして、サービス業に関しては国際化ができないということだったんですが、いわゆるIT技術の進化によりましてサービス業に関しても国際化ができているという状況なんです。これがアメリカの経済の強さであるといったことが書かれておりました。
 これは、日本でもこういった現実があるかということで私は調べました。実は、私も過去にアメリカ系の企業に勤めておりまして、日本にいる外資系は同じようなことを行っております。日系企業に関してはまだアウトソーシングは非常に少ないという状況なんです。
 そこで、競争上不利になるのかなと思いまして、どうして日本企業でこういったことができないのかと。もしかしたら、いわゆる行政上の問題、いわゆる金融行政でそういったことが許されていないのか、若しくは日本の会計制度の問題か、若しくはそもそも日本の企業のカルチャーの問題か、言葉の問題か、いろんな要因があると思うんです。
 この辺りに関して大臣の御認識、また将来にわたってどういうことを行っていきたいか、このことに関して質問したいと思います。
#339
○国務大臣(山本有二君) 近年、米国企業が会計業務等をインド等に積極的にアウトソーシングしているとの情報は御指摘のとおりでございます。
 こうしたアウトソーシングの背景につきまして、当庁としては必ずしもその実態を把握しているわけではございませんが、委員御指摘のとおり、人件費の安さ、英語圏であること、米印の間にはちょうど昼夜逆転の時差があること、米国のオフィスが退社時間を迎えるころにインドのオフィスが始業時間を迎えるという作業効率のメリットがあるというようなことがございます。
 こうした事情にかんがみますと、我が国金融機関にとりまして、米国企業と同様にインド等にアウトソーシングをするメリットがあるかどうかという点はこれから検討しなければなりませんが、金融機関等が適切なリスク管理の下、外部委託を含む各々の創意工夫によりまして、経営の効率化や多様な顧客ニーズへの対応等を図っていくことは望ましいことであるというように認識しております。
#340
○大久保勉君 「フラット化する世界」の中に、この本の中には日本の例もありまして、実は金融業界は余りアウトソーシングをしておりませんが、建設業界ですか、には設計図を手書きでかいたものを大連に送って、そこで電子化して日本に送り返してくると、こういった業務が行われているということなんです。また、コールセンターの一部も中国若しくはオーストラリアで稼働しているということです。
 ここは、いわゆる金融機関というのは金融庁が厳しい規制をしています。だから、なかなかアウトソーシングができなくて、その他の業界、建設業界であったり若しくは流通に関しては、比較的自由にこういったIT化のメリット、グローバル化のメリットを取っているということがあるんじゃないかという仮説もあります。その辺り、是非、山本大臣のリーダーシップで金融業界も効率化をしていくと、付加価値の高い業務を国内で行い、いわゆる生産性を上げていく、このことが私は是非必要だと思っています。
 アウトソーシングするということは、もしかしたら雇用にとってマイナスになるんじゃないかと思われますが、私は逆だと思っています。つまりコモディティーといいますか、非常に単純作業は中国とかインドに出しますが、付加価値の高い分野はどうしても日本でやらないといけない分野があります。いわゆるフェース・ツー・フェースのものであったり商品開発。この機能というのは実はロンドン・シティーが行っている業務なんです。そのことによってロンドン・シティーの金融の生産性は極めて高くなっています。是非、東京でもこういったことを実現してもらいたいなと思っています。
 もし大臣の方でコメントがございましたら、お願いしたいと思います。
#341
○国務大臣(山本有二君) インドの人々の能力の高さはつとに知られております。特に、コンピューターのソフトにおけるSEのインドに占める世界の割合というのはかなりのものがございます。日本でも、就労ビザを取ってこの日本で働いていらっしゃるソフト会社も、かなりインドの方々が貢献をいただいております。そんな意味で、インドという国との連携強化という、また国際分業の姿勢というのは大事であろうと思っております。
 ロンドンでも邦人企業、有力な証券会社が現地法人をつくって活動しておりますが、五十三か国の方々がそこで働いておられるわけでございますが、特にデリバティブの開発におけるインド人はほぼ五〇%のシェアを占めているというように言っていただきました。ということであるならば、正にこの国際金融センター機能強化におけるインドの方々の活躍の場というものを将来予測していく必要があろうというように考えているところでございます。
#342
○大久保勉君 じゃ次に、会計士の問題に行きますと、同じように公認会計士の仕事を海外にアウトソーシングできないのか、若しくは監査法人の仕事、若しくは税理士の仕事を一部海外でやってもらうと。こういった例は、先ほどの「フラット化する世界」でアメリカではもう一般化しているということで描写されています。
 日本においてどうしてそういうことができないのか。もしかしたら公認会計士法の問題点もあるんじゃないかと思いますが、この辺りに関して、現在の認識及び将来どういう形に変えていきたいか、もしコメントがございましたら大臣の意見をお聞きしたいと思います。
#343
○国務大臣(山本有二君) 我が国の公認会計士が監査証明を行うに当たりまして、海外の公認会計士も含めて他の監査人を利用することは一般的に行われているところでございます。監査の手続等を定める監査基準の具体的な手続に沿って行われている限り、法令上も基本的に認められているところでございます。海外の公認会計士以外の者を補助者として利用することにつきましても、我が国の法令上、特段の制約は基本的に存在しないものと考えられております。
 監査証明業務の執行に当たりましては、我が国の公認会計士が最終的にその品質等に責任を有するものでございますので、実務上はそうしたケースは余り一般的でないのかもしれませんが、いずれにいたしましても、アウトソーシングする場合の法律上の問題点はさほどないように思っております。
#344
○大久保勉君 分かりました。法律的には可能であるということですね。
 恐らくは、日本の会計制度が国際会計基準とほぼイコールになりましたら、インドでも若しくは中国でも、場合によってはヨーロッパでもアウトソーシングしやすいと思うんですね。そういう意味で、会計基準をコンバージェンスすること自身が日本の会計における競争力を高める、更には日本企業の生産性を上げるということになると思います。私は、この辺りは非常に重要な問題ですから、東京シティー化構想と同じような、東京シティー化構想を推し進めるためのインフラ整備ということで、是非、大臣の方で認識され、また実行を期待しております。
 じゃ、続きまして、金融商品取引法との関連で会計制度に関して質問していきたく思っております。
 まず、大臣に質問いたしますが、課徴金納付命令に関して質問をいたします。
 金融商品取引法の内部統制制度、いわゆる日本版SOX法により、経営者が管理体制などをまとめた評価報告書の監査法人による内容チェックが必要になっております。もしこの場合に、監査法人が故意若しくは相応の注意を怠ったことによりまして不適切な評価を行った場合、課徴金納付になると思います。このことに対して、これは事実か事実じゃないか、また理由に関して質問したいと思います。
#345
○国務大臣(山本有二君) 今般の改正案では、違反行為がやり得とならないようにすることを通じまして、違反行為の防止という行政目的を達成する観点から課徴金制度を導入することといたしました。
 課徴金納付命令の対象となりますのは、公認会計士、監査法人が財務書類につきまして虚偽証明を行った場合でございます。ここに言う財務書類の中には、財産目録、貸借対照表、損益計算書、その他財務に関する書類を言うとしております。内部統制報告書は、財務報告に係る内部統制の評価等について記載したものでございまして、財務に関する書類という概念の中に含まれます。
 したがって、公認会計士、監査法人が、故意により虚偽のある内部統制報告書を虚偽のないものとして証明した場合、あるいは相当の注意を怠ったことによりまして重大な虚偽のある内部統制報告書を重大な虚偽のないものとして証明した場合には課徴金納付命令の対象となると考えております。
#346
○大久保勉君 分かりました。対象になるということなんですね。
 ここで私は問題だと思いますのは、いわゆるBS、PLとか、そういった数値に関して証明するのは比較的簡単なんです。ところが、いわゆるガバナンスを評価するというのは非常に難しいと思うんですね。特に、金融商品取引法がスタートしまして、これから評価しましょうといいましたら、どういう形で評価していくんだと、それが正しいか正しくないか、企業サイドもはっきりしていませんし、また監査法人もどれがいいかというのははっきり分かりませんから、非常に難しいと思うんですね。特に、相当の注意を怠った場合は罰則だと、じゃ相当の注意というのはどこまでが相当の注意だということで、非常に疑問も多いかと思います。
 ここは厳密な意味で通告を行っていませんから、この相当の注意を怠った場合と、この辺りに関してもし定義がありましたら、金融庁に確認したいと思います。参考人の方、お願いします。
#347
○政府参考人(三國谷勝範君) 現実の証明の場面におきまして、これは企業会計審議会の監査基準あるいは公認会計士審査会の監査の実務指針、こういったものに照らして適正な監査が行われたかどうか、これが基準になると思います。その中で、相当な注意を怠ってかつ重大な虚偽のある場合には、この対象になり得るということでございます。
#348
○大久保勉君 私、金融審の議事録を全部読んでいませんが、金融審の中でいわゆるガバナンスの評価に関してはほとんど議論されていないんじゃないかと思います。また、抽象的なことは議論されていますが、具体的なことはないと思いますから、本当にそれでいいんですか。
#349
○政府参考人(三國谷勝範君) 監査の方は、企業会計審議会の方の監査基準、それから公認会計士協会の監査の実務指針、こういったものに即して監査が行われるということでございます。
#350
○大久保勉君 実務指針に関して、評価報告書ですか、日本版SOXの評価報告書に関して実務指針がありますか。私はまだ見たことありません。
#351
○政府参考人(三國谷勝範君) 現在、日本公認会計士協会におきまして内部統制監査に係る実務指針の策定作業を進めているものと承知しております。
#352
○大久保勉君 そうじゃないですか。今やっている最中なんですね。ですから、正確な答弁をお願いします。この部分に関して、非常に微妙な部分ですから、きっちりQアンドAとか、若しくはちゃんとした実務指針を出した方がいい分野だと思っております。
 続きまして、お配りしました資料一と二に関して御説明、質問します。地方自治体のデリバティブ利用が進んでいますという日経金融新聞と日経公社債情報の記事です。
 どうしてこういうものを取り上げたかといいましたら、地方自治体自身が、仕組み債に関しましては一年間で二千五百億円のデリバティブ、仕組み債取引を行っています。これは金額的には倍増しているという状況です。具体的には、新潟県が五百八十五億、兵庫県が五百五十億、大阪が三百億、こういった仕組み債を出しています。
 どうして問題、問題といいますか、事実として注目すべきかというのは、リスクがあるということです。例えば、川崎市の例が出ていますが、川崎市の仕組み債は、二十年物の金利と二年物の金利の金利差が〇・七五%以下になった場合は金利が五%になると。恐らく最初は〇・二五%とか、非常に低いと思います。ところが、ある条件で五%まで金利が跳ね上がってしまいます。ある意味では、金利の形状に賭けるものです。こういった商品はどういうふうな影響があるかといいましたら、この商品を導入したときの市長さんは金利が低くて良かった良かったと、ところがある状況で金利が急に五%になって後任の市長さんは何だと。最終的には財政上の負担になりますから、預金を取り崩したり、場合によっては住民税を上げるということになります。
 こういったことが実際に起こる可能性がありますから、警鐘を鳴らす意味でこういった質問をします。もちろん、これはデリバティブ取引がすべて悪いとは私は思いません。適切にリスクを認知できればいいと思いますし、またこういった商品が適切に開示されていたらいいんです。今日は公認会計士法の質疑ですから、開示に関して特に問題にしたいと思います。
 現在の地方自治体、公会計におきましては、こういったものに関して一切開示はされません。また、時価評価もなされていないと思います。ですから、この辺りは非常に後で問題になるんじゃないかと思います。実際これは、こういった例は日本だけでありませんで、過去に、一九九〇年代にアメリカのカリフォルニア州にオレンジカウンティーという地方自治体がありました。ここは投機的な取引を行いまして、地方自治体がデフォルト、破産したという事例があるんです。日本でも起きないとは限りませんから、今の段階でちゃんとした法的整備若しくは会計的整備が必要じゃないかということで質問したいと思います。
 次のページ、資料二に関しましては、地方自治体の仕組み預金、運用というケースで表が付いています。神戸市は四百七十三億五千万円のこの種の預金を行っておりますし、大阪市が二百十億、北九州市百五億、福岡県百億と。委員の皆さんの出身の市町村もこういったものを導入している可能性があります。こういったものに関して本当に住民に対して開示されているか、この辺りが極めて重要だと思います。
 じゃ、こういった認識を踏まえまして総務省に質問しますが、この日経金融新聞若しくは日経公社債新聞の記載されている内容に関して、これは事実であるかどうか、まず確認したいと思います。
#353
○政府参考人(椎川忍君) ただいま御質問のありました仕組み債ないし仕組み預金の実態でございますけれども、私ども、十九年一月末において調査を実施しておりまして、その結果によりますと、仕組み債につきましては、七府県七政令市、これは十九年四月に政令市に移行したところを含むわけでございますけれども、合計十四団体が発行したことがございまして、その発行額は、平成十七年度約一千二百億円、平成十八年度約一千三百億円となってございます。仕組み預金につきましては、三県五政令市五十市区町村の合計五十八団体が導入をしておるということでございまして、預金額の合計額はその時点で約一千六百億円ということで、おおむね記事は事実に沿ったものではないかというふうに思っております。
#354
○大久保勉君 じゃ、総務省に質問しますが、こういった取引を行った地方自治体の担当者はリスクを十分に理解されていると思われますか。イエス、ノーでお答えください。
#355
○政府参考人(椎川忍君) 当然、担当者は複数の会社から提案を受けたり、あるいは説明を受けたりして有利なものを選択しているというふうに承知しておりまして、それなりに情報をきちんと把握して判断しているものというふうに考えております。
#356
○大久保勉君 二社から若しくは三社から提案を受けているからリスクを理解していることにならないはずです。基本的にこの種の商品に関しましては、じゃこの取引を解約した場合は幾ら得になるのか損になるのか、いわゆる時価会計の情報、場合によっては、金利がどういう形で動いた場合に幾ら最大限損をするのか、確率的な統計を使いまして、信頼区間、例えば九八%を超えた段階でどの程度の最大のリスクがあるかと、こういったことをきっちり金融機関の場合は管理しています。その程度まで理解しないと本当の意味で理解しているとは言えないはずなんです。ですから、地方自治体の認識は非常に足りないんじゃないかと思います。
 一例で言いますと、私の地元、資料二の表がありますその右側の下の方で、大刀洗町、久山町、志免町、こういった町が導入しておりますが、実際にデリバティブを理解しているとは到底思えません。ですから、この辺りもう少しきっちりとした指導をされた方がいいんじゃないかと思います。
 そこで、金融庁に質問したいと思います。
 金融商品取引法上、地方自治体にデリバティブ商品を販売する場合には、適合性の原則、また地方自治体の行為能力、こういったものをチェックして販売しないといけないはずです。この点に関して金融庁はどのような認識であるか、質問したいと思います。
 じゃ、参考人でも構いません、ここはまず。
#357
○政府参考人(三國谷勝範君) 金融商品取引法におきましては、投資者保護の徹底を前提としつつ、金融商品取引に関しますリスク管理を適切に行えると考えられる者をいわゆるプロ、特定投資家と位置付けまして、特定投資家との取引につきましては、適合性の原則や説明義務など、情報格差の是正を目的とした行為規制の適用を除外しております。
 御指摘の地方自治体でございますが、同法上、地方自治体は特定投資家として位置付けられる予定でございますが、個別の地方自治体の選択によりまして、一般投資家へ移行して行為規制による保護を受けることも可能であります。その場合、金融商品取引業者等は、地方自治体との関係でも、適合性の原則や説明義務の規制等を遵守することが必要となります。
#358
○大久保勉君 いわゆる特定投資家か一般投資家か、いわゆるプロかアマかということですが、この財政金融委員会でも大きな議論をしたと思うんです。ここで注目したいのは、地方自治体はすべてプロですと、まずプロからスタートして、相手の方の選択によってアマチュアになることができるということですね。でも、むしろこういう状況でしたらプロからアマに行くことはほとんどしないと思いますし、業者の方でそういったことを説明することはないと思いますから、むしろ小さい市町村に関しては、あなたは一般投資家ですと、アマチュアですと、ただ、ある一定の要件でプロ、つまり特定投資家に移行することができますと、そういうふうにすべきじゃないかと思います。このことに関して金融庁はどう考えますか。
#359
○政府参考人(三國谷勝範君) ここは、言わばプロからアマへの移行可能な特定投資家といたしましては、政府系機関でございますとか地方公共団体、あるいは上場会社、こういった実態のあるところは、一応特定投資家といたしました上で、その上でアマへの選択を認めているということでございます。地方公共団体も全体としてこの範疇に入るものと考えているところでございます。
#360
○大久保勉君 非常に不十分な答弁だと思います。
 じゃ、企業、例えば三菱商事とこちらに載ってます大刀洗町が同じなんですか。つまり、財務担当者はいないんですよ。計算ができるはずないです。また、新潟県とかいろんな県がありますが、県レベルでもそういった専門家はほとんどいないはずなんです。ですから、この辺りはきっちり注意しておかないと、後で日本版オレンジカウンティーが発生したとしましても、それは金融庁の行政上の責任だと私は思います。
 大臣、この点に関して大臣の感想を聞きたいと思います。
#361
○国務大臣(山本有二君) 投資家保護、消費者保護の観点からしますと、地方自治体の資産運用という点におきましては、ひいては投資者、投資家、消費者となる市民一般にかかわる問題であろうというように思いますので、リスク管理については正確性を期していただきたいというように思っております。
 その意味で、所管は総務省の方にあるわけでございますけれども、言わばリスクのある商品デリバティブに関して、プロとしての要件を備える、すなわちリスクテークできる資産について、更にその管理のディスクロージャー等が完璧に行われる環境があり、そして議会も監査委員会もそれが能力的に十分チェックできるというような体制になるところがプロとしての運用をしていただければ、大変有り難い結果になるだろうというように考えております。
#362
○大久保勉君 ありがとうございます。
 じゃ、総務省の方に質問しますが、地方自治体の会計処理に関しましては、企業会計原則に比べて極めて遅れていると思うんです。やはり、この辺りをきっちり制度整備をしない限りは、住民に対する説明責任が果たし得ないと思うんです。この辺り、総務省の認識及び今後の対応に関して質問したいと思います。
#363
○大臣政務官(土屋正忠君) 御質問にお答えいたします。
 御承知のとおり、地方公共団体といっても種々あるわけであります。例えば、都道府県、四十七都道府県がありますし、さらに市町村に至っては、三百六十万人の横浜市から二百人の青ヶ島まで、このような多様なところでありまして、この中における、今委員の御指摘のようないわゆるデリバティブを含めたような財務能力を十分一律に持つということはなかなか難しいわけであります。
 そういう前提に立ちまして、一方で今御質問のありました公会計についてでありますが、総務省としては、数年前から公会計にいわゆる民間企業並みの公会計を、単式簿記である今の地方自治体、地方公共団体の財務に適用するようにガイドラインを定め、指導してきたところであります。今後とも、このような方向を見ながら、いわゆる税金を財にした公会計でありますから、どのような形がいいのか、今後引き続き研究し、指導していきたいと思っております。失礼しました、助言していきたいと思っております。
#364
○大久保勉君 ありがとうございます。是非実行をお願いしたいと思います。
 一点だけコメントを伝えたいんですが、地方自治体も民間企業並みの会計原則が必要だと、開示が必要だということなんですが、一例を挙げます。
 民間企業でしたらすべていわゆる外部監査人がいます。いわゆる公認会計士が外部監査をしております。ところが、千七百九十三ある一般の市及び町村におきまして、外部監査人がいるところは何人か御存じですか。多分質問通告してませんからお分かりじゃないと思いますが、わずか十三です。千七百九十三のうち、外部監査を受けているのは十三なんです。こういった実態がありますから、まずは公認会計士をきっちり活用しまして、外から見てもおかしくないといった会計制度を確立することが是非必要だと思うんです。
 是非、政治家として、このことに関して決意表明をしてもらえたら助かります。
#365
○大臣政務官(土屋正忠君) ただいま御指摘のありました外部監査制度でございますが、外部監査人を、包括的に外部監査をしなければならないという地方公共団体の基準がございます。一般の市町村においてはそのような規定はないわけでございますが、様々なところで公認会計士や税理士など、どのような形でアドバイスを求めるかという任意的な努力も始まっているところであります。
 私が二年前まで市長をやっておりました武蔵野市では、サイズは十四万ぐらいで、人口規模からいきますと市町村で二百十番目ぐらいの規模なんですが、そこにも公認会計士の力をかりて公会計への努力というものが平成十一年度から既に始まっているところであります。
 したがって、ばらつきはありますが、委員御質問の趣旨に従った公会計への移行並びに、移行といいますか試行、並びに公認会計士の活用、こういったことについては、それぞれ今模索が始まっているところであります。
#366
○大久保勉君 分かりました。
 次の質問に参ります。
 これは、同じく日経金融新聞の六月八日、資料としては配付しておりませんが、読み上げますと、半世紀以上続いてきた地方自治体と金融機関の契約慣行が一地方裁判所の判決というアリの一穴により揺らぎ始めている。具体的には、横浜地裁は昨年十一月、川崎市が第三セクターの債務について金融機関と結んだ損失補償契約、この補償というのは補い償うという漢字です。損失補償契約を無効とする判断を下した。地方自治体が債務保証、これは保証というのはギャランティーの保証です。債務保証をすることは財政援助制限法で禁じられているが、損失補償、いわゆる補い償うことに関しては、一九五四年の旧自治庁行政課長の回答を根拠に財政援助制限法の対象外とされてきたということなんです。これは非常に大きな判決だと思います。いわゆる地方自治体の、自治庁の課長が損失補償は問題ないと。ところが、それが裁判所によって否認されたということです。
 これは金融界におきましても同じような事例がありまして、日債銀とか長期信用銀行の子会社に対して銀行が経営指導念書というものを出していました。ところが、実際、この経営指導念書は何の役も立たないことになりました。
 恐らく、今回の損失補償というのも、裁判所がもう無効ですということで通告したと思うんです。まず、この判決に対する総務省の御見解を聞きたいと思います。
#367
○政府参考人(門山泰明君) お答えいたします。
 ただいま御指摘がございました財政援助規制法第三条におきましては、債務保証を原則禁止しているわけでございますけれども、この場合の債務保証といいますのは、主たる債務を前提とし、その債務が履行されない場合に、代わって弁済をした者に対しては本来の債務者に対して求償権を獲得すると、こういう形態の債務保証のことと考えております。
 また、この債務保証といいますのは、弁済期が来ますと代位弁済する点におきまして損失が生じた場合にのみ補償する損失補償とは異なりまして、また主たる債務の前提をしないという点においても損失補償と異なるということで、このように債務保証と損失補償というのは別個のものであるという認識は一つございます。
 ただいま御指摘の平成十八年十一月十五日の横浜地裁の判決でございますけれども、このケースは、川崎市が行いました損失補償協定、このケースでは協定と言っておりますけれども、この損失補償協定につきまして、裁判所としては、民法上の保証契約とは言えないまでも、それと同様の機能、実質を有するとして、財政援助制限法三条において禁止されている保証、ギャランティーの保証契約に含まれると、こういう解釈を示したところでございます。
 ただ、この裁判所の判断は、一般的に損失補償契約ないし損害担保契約と、こういうふうに言われる契約にはいろいろな形態、内容のものがあると、そういうことを前提としておっしゃった上で、川崎市が締結いたしました本件の協定、この具体の協定につきましていかなる実質的な内容を持っているかと、こういうことを判断したものと理解しております。
 そういう意味では、あくまでも法律の解釈という点でございますけれども、一般的に損失補償契約を否定したものというふうには理解しておりませんので、当該判決を受けまして直ちに従来の法律解釈を変更するというべきものとは考えておらないところでございます。
#368
○大久保勉君 裁判所は、経済的に何か損が出た場合に補うということは実質的な連帯保証とかギャランティーと同じでしょうと、そのギャランティーというのは財政法上禁止されているんでしょうと、実態的にはそんなことはやっちゃいけないでしょうと、当たり前のことを言っているんです。それを総務省は、いや、法律の形態が違うからこれはいいということでこれまでずっと続けてきたんです。
 私は裁判所の意見が極めて常識的だと思うんです。金融機関もどうして第三セクターにお金を貸しているか、それは地方自治体がギャランティー、保証しているからということで行っているはずなんです。この辺りは、ところが今回の裁判で、いわゆる損失補償、補うタイプの補償は無効ですよと言ってきたんです。これは金融機関にとっては極めて重要な判決なはずです。
 現在、第三セクターへの銀行の融資は五兆一千億あります。そのうち、損失補償を取って融資しているのは二兆三千億です。この損失補償が無効になりましたら、金融機関としては第三セクターに対する生の与信になります。第三セクターというのは御存じのとおり非常に状況が悪いところもありますから、金融検査上は破綻懸念債権として認定しないといけないところもあると思います。さらには、第三セクターだけではなくて全国の住宅公社、いわゆる公社に関しても、公社に対する融資の半額が損失補償という形になっています。これは地方金融機関にとりましても極めて大きい問題ですから、金融庁はこのことに関してどういう認識か、まず大臣の認識を聞きたいと思います。
#369
○国務大臣(山本有二君) 金融機関によります第三セクター向け与信は、一般の民間企業向け与信と同様の基準に基づきまして、事業の収益性や継続性の見通し、償還能力等を総合的に勘案して判断されているものと承知をしているところでございます。
 したがいまして、損失補償は信用補完の手段として重要な勘案要素ではあるわけでございますけれども、その存在のみを理由として与信判断が行われているわけではないと理解しております。
 地域銀行の十九年三月決算を見ますと、不良債権比率が四・〇%とピーク時の半分以下に減少するとともに、自己資本比率が初の一〇%台である一〇・四%に上昇をしておりまして、財務の健全性は引き続き着実に改善しているところでございます。
 したがいまして、全体として第三セクター向け融資を原因として地域銀行の急激な経営悪化が懸念されるような状況にはないわけでございまして、いずれにしましても、各行の財務の健全性の状況につきましては引き続き注意深くモニタリングしてまいりたいと思いますが、直ちにこの第三セクター向け融資を中止する方向で考えていくということにはならないというように思っております。
#370
○大久保勉君 一点確認したいことがあります。第三セクター単体では破綻懸念先です。そこに親の自治体の方から損失補償があります。その場合はすべて破綻懸念であると、つまり損失補償はないという認識でよろしいですね。大臣、お願いします。
#371
○国務大臣(山本有二君) そのとおりです。
#372
○大久保勉君 分かりました。
 つまり、損失補償はないものとして第三セクターの財務内容によってきっちり見ていきましょうと。これは極めて重要なことでありますから、これが本来のあるべき姿なんです。裁判所も損失補償はないということなんですね。
#373
○国務大臣(山本有二君) ちょっと、もう一回いいですか。
#374
○大久保勉君 違ったんですか。がっかりしますけど。
#375
○国務大臣(山本有二君) いや、違ってはないんですが。違ってはないです。
 もう少し限定的に物を言わせていただきますと、この横浜地裁の判決を受けて、第三セクターに対して行う損失補償について優良保証として金融庁の検査で扱うということについての御質問というように限定していいですか。
 ということになりますと、金融検査マニュアルにおきましては、履行確実性が極めて高い保証等が付されている債権につきましては、回収の危険性又は価値の毀損の可能性のない債権、非分類債権として取り扱うとしています。したがいまして、地方公共団体の損失補償契約につきましても、保証の履行確実性が極めて高い場合には優良保証等に該当し、当該損失補償契約で保全された債権は非分類債権となるわけでございます。
 しかしながら、損失補償契約といいましても様々な形態のものがあることは事実でございまして、金融検査におきましても個別の契約内容を慎重に精査した上で、金融機関における自己査定が適切に行われているかどうかについて引き続き検証していきたいと考えるところでございます。
#376
○大久保勉君 つまり、履行の確率が非常に高い損失補償に関してはちゃんとした自治体の信用力を勘案しますということなんですね。
 でも、矛盾するんですね。もう一つの法律、いわゆる財政援助制限法ですか、この法律は保証しちゃいけないと、つまり法律が禁じているんですね。禁じていることに対して、裁判所もそのとおりだと言っているんです。だったら、損失補償で履行の可能性が高いような契約というのは違法じゃないですか。大臣、認識を。
#377
○国務大臣(山本有二君) 地方自治体が第三セクターをつくるというのは、必ずしもいわゆる収益性を考えた事業ではございません。むしろ、公益的な観点からの事業が多いものであるというように思っております。
 その点におきまして、金融機関からの融資というものも、当然機動性のある融資を求めるときには必要なことであろうというように思います。その点において、必ずこの財政援助制限法で原則的に禁止と言って一律に禁止をすれば、地方自治体のいわゆる機動性というものが損なわれる可能性があります。そこで、個々、ケースを判断しながら、金融機関もその融資についての融資基準等を精査しながら、私の方といたしましては、いわゆる一般企業向け融資と変わらない、そうしたセンスで融資している以上、この財政援助制限法、原則禁止というものに必ずしも当たるものではないというように思っております。
#378
○大久保勉君 大臣は、いわゆる短期で一時的なものだったら、まあそれは原則から外れてもいいでしょう、例外的にオーケーですと。そういう理解は仮に認めたとしましても、二兆三千億損失補償の契約があるというのは一時的でも少額でもないはずなんです。こういった実態をまず直視すべきなんです。これをきっちりやりませんと第二の不良債権問題になって、後で大変なことになると思います。
 どうして今警鐘を鳴らすのかといいましたら、日銀は金利を少しずつ上げようとしています。金利が上がった場合に一番最初に影響を受けますのは、収益が上がらない、資産が塩漬けの第三セクターであったり若しくは住宅公社です、三公社。こういったところが大きな問題になる前に、金融庁はきっちり金融検査でチェックしてもらいたいなと思います。
 時間がありませんので次に行きまして、最後の質問に行きたいと思います。
 一昨日の会見ですが、スティール・パートナーズのウォーレン・リヒテンシュタイン代表は十二日の都内での会見で、買収防衛策は株主平等の権利を奪うと語りました。また、日本の産業界で事前警告型の防衛策を導入する企業が増えていることについて、世界の中で最悪な手法と批判しております。
 以上二点に対しまして、山本金融担当大臣の御所見を聞きたいと思います。
#379
○国務大臣(山本有二君) スティール・パートナーズのリヒテンシュタイン代表が十二日に会見を行いましたことは、報道等により承知しております。個別事業者の個別事案に関する発言内容について当局としてコメントすることは差し控えさしていただきます。
 一般論として申し上げれば、企業の買収防衛策の導入は、会社法や証券取引法上の規定に沿って適切に行われる必要がございます。具体的に申し上げれば、金融資本市場の信頼性を確保するため、企業買収等に当たり、取引の公正性、透明性や投資家保護が十分に図られることが重要でございます。
 金融庁といたしましては、会社法制を所管する法務省等とも十分に連携を取りつつ、投資家保護の観点から必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えるところでございます。
#380
○大久保勉君 まだ非常に抽象的なんですけれども、私は株主平等という原則が重要だと思います。つまり、一定の人に第三者割当てをすると株価が希薄化することによって既存株主の権利を害すると、これは株主平等じゃないはずなんですね。また、MSCBとかそういった転換社債を発行して急激に株価が増えて希薄化すると、こういったことに関しては厳に厳しく規制すべきじゃないかと思うんです。
 このことに対して法務省の意見及び大臣の意見を聞きまして、最後の質問といたします。
#381
○政府参考人(後藤博君) 今委員御指摘になりましたように、具体的に買収防衛策が発動されますと、新株あるいは新株予約権が発行されることによって特定の株主が有する株式の経済的価値が下がり、かつ議決権割合が減少するという結果となる場合が想定されるわけでございます。具体的な事案によっては、会社法の二百四十七条で許されないとされている不公正な方法による発行ということに当たるかどうかということが争点となるわけでございます。
 この点につきましては、裁判例において、株主全体の利益の保護という観点から、新株予約権の発行を正当化する特段の事情がある場合には、例外的に、経営支配権の維持確保を主要な目的とする発行も不公正な発行には該当しないという判断が示されておるところであり、一定の条件の下では許されることになるものと理解しております。
 いずれにいたしましても、いわゆる買収防衛策の適否は個別具体的な防衛策の内容を踏まえた個々の事案ごとの判断によるものであり、法務省としては、ただいま申し上げたような観点から各会社において買収防衛策を導入するか否か、導入する場合の内容をどのようにするかについては適切な判断がされることを期待しております。
#382
○国務大臣(山本有二君) まずは一般論としまして、こうしたスティール・パートナーズほかファンドの時代的な役割というのは、市場に流動性と効率性を与えるという大変いい面を持っております。他方で、法律の中で株主平等というものの要請は当然ございます。
 したがいまして、特にこうした第三者割当て、新株発行、こうしたものについて過度な規制を加えるということについては、若干の手続等、今の現行法における手続で株主総会の適正な議決を経た場合には、私はなお許される防衛策ではないかというように考えるところでございます。
#383
○大久保勉君 株主平等も大切ですが、一般論としてグリーンメーラーに対して日本の市場は厳しいということも指摘しまして、私の質問を終わります。
#384
○委員長(家西悟君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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