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2007/06/18 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 内閣委員会 第19号
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2007/06/18 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 内閣委員会 第19号

#1
第166回国会 内閣委員会 第19号
平成十九年六月十八日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十四日
    辞任         補欠選任   
     加藤 敏幸君     黒岩 宇洋君
 六月十五日
    辞任         補欠選任   
     松下 新平君     松井 孝治君
     風間  昶君     山本 香苗君
 六月十八日
    辞任         補欠選任   
     木俣 佳丈君     松下 新平君
     山本 香苗君     風間  昶君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤原 正司君
    理 事
                秋元  司君
                鴻池 祥肇君
                朝日 俊弘君
                工藤堅太郎君
    委 員
                佐藤 泰三君
                末松 信介君
                田村耕太郎君
                竹山  裕君
                林  芳正君
                山谷えり子君
                神本美恵子君
                主濱  了君
                松下 新平君
                風間  昶君
                亀井 郁夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
   参考人
       富士電機ホール
       ディングス株式
       会社相談役
       日本経済団体連
       合会労使関係委
       員長       加藤 丈夫君
       千葉大学法経学
       部長       新藤 宗幸君
       兵庫県立大学大
       学院応用情報科
       学研究科准教授  中野 雅至君
       財団法人総評会
       館理事長
       行政改革推進本
       部専門調査会委
       員        丸山 建藏君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(藤原正司君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、加藤敏幸君が委員を辞任され、その補欠として黒岩宇洋君が選任されました。
 また、去る十五日、松下新平君が委員を辞任され、その補欠として松井孝治君が選任されました。
 また、本日、木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として松下新平君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤原正司君) 国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の方々から御意見をお伺いいたします。
 本日は、富士電機ホールディングス株式会社相談役・日本経済団体連合会労使関係委員長加藤丈夫君、千葉大学法経学部長新藤宗幸君、兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科准教授中野雅至君及び財団法人総評会館理事長・行政改革推進本部専門調査会委員丸山建藏君に参考人として出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、加藤参考人、新藤参考人、中野参考人、丸山参考人の順序でお一人十五分以内で御意見を述べていただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言をいただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、加藤参考人からお願いいたします。加藤参考人。
#4
○参考人(加藤丈夫君) 加藤でございます。よろしくお願いいたします。
 私は長年、富士電機という電機会社で長く人事・勤労関係の仕事に携わってまいりまして、二〇〇四年までの四年間会長を務めてまいりました。現在は相談役をしておりますが、日本経団連では二〇〇三年から労使関係委員長を務めております。そうした経験に基づいて国家公務員法改正案について意見を述べさせていただきたいと思います。
 第一に、能力主義、実績主義に基づく人事管理制度についてでございますが、日本経団連ではかねてから国家公務員の人事管理について、第一に年功序列の人事慣行を見直すこと、第二には職務遂行能力、実績評価に基づく人事管理のための新たな評価手法を導入すること、第三に適正な評価に基づく抜てき、降格、配置転換を実施することを提唱してまいりましたけれども、今回の政府案が能力・実績主義に基づく人事管理制度の確立を明記した点については評価できると考えております。今後、この基本方針に沿って、できるだけ速やかに新人事制度をスタートさせるように努力していただきたいと考えております。
 特に近年、優秀な若手公務員の士気の低下、退官が目立つと聞いておりますし、また、法文系の学部卒や法科大学院卒の優秀な学生が公務員を志望しない風潮があると聞いておりますけれども、新人事制度の確立によってこうした傾向に歯止めを掛けることを期待しております。
 新人事制度の導入に当たって、民間企業で能力主義、実績主義に基づく人事制度の実施に取り組んだ経験から、次の三点を指摘しておきたいと思います。
 第一には、当然のことながら、評価結果は任用や昇進などの配置だけでなく、給与や特別手当、賞与でございますが、これらの処遇に積極的に反映させるべきだと思います。特に賞与については、期間内に努力して成果を上げた者に対しては額の面で報いることができるような制度設計をしていただきたいと思います。
 人事評価を行うに当たっては、評価項目とその内容をオープンにすべきであり、さらに評価結果については、なぜそのような評価になったかの理由を含めて本人に説明できるようにしていただきたいと思っております。
 もう一つは、現在のように国家公務員の総人件費抑制の中で能力主義、実績主義を導入しようとすれば、ややもすれば制度は減点主義に陥る可能性があると思います。制度の目的の一つが公務員のやる気を起こさせるということにあるのであれば、財源の問題もございますが、あくまでも加点主義を貫くということで運用していただきたいというふうに考えております。
 次に、公務員の再就職に関する規制の改正でございますけれども、これも日本経団連では、国家公務員の再就職管理について、第一に、役職定年制を導入し、希望する者に定年までの雇用が選択できる複線型人事制度を設けること、第二に、再就職管理の一元化を行うために透明度の高い人材マッチングシステムを導入することを提唱してまいりましたが、今回の政府案で再就職管理の一元化を打ち出した点は評価できると考えております。新設される官民人材交流センターはこれが効果的に機能するような仕組みづくりが重要だと考えておりまして、今後、この経過を見守ってまいりたいというふうに思います。
 民間の企業で人材の採用にかかわってきた経験から申し上げますと、豊富な経験を積んだ国家公務員が民間企業で活躍できる場はたくさんあると考えております。特に、現在、企業経営の重要な課題になっています一つは国際化の推進、二つ目にはCSR、コーポレート・ソーシャル・リスポンシビリティーへの取組の問題、第三には、コーポレートガバナンスの確立というテーマでは公務員としての経験が大いに生かされることになると考えております。
 もちろん、押し付け的な再就職あっせんや特定の利益誘導をねらった人材招聘を厳しく排除することは当然のことでありまして、政府案にも盛り込まれておりますが、監視体制の整備やルールに違反した者への罰則を明確にする必要はありますけれども、一方で、優秀な人材が広く民間企業で活躍できる機会を増やしていくことは重要だと考えております。その意味で、国家公務員の再就職を厳しく制限して実質的に再就職ができなくなるような取組というのは国民経済全体にとってマイナスになるのではないかと思います。
 日本経団連では、かねてから官民の垣根を低くして活発な人材交流を行うということを提唱してまいりましたけれども、今回のセンターが運営面で高い透明度を維持して人材の交流に前向きの役割を果たすことを期待したいと思います。
 ただ、今回は、国家公務員のいわゆる出口管理について一つの方向が示されましたが、できるだけ速やかに入口管理の見直しにも取り組んでいただきたいと考えております。
 日本経団連では、T種公務員は内閣の下で一括採用すべきであり、既採用のキャリア社員については、一つは一定の官職以上にある職員の内閣による一元管理、二つ目に課長補佐以上の職員を対象とした定期的な府省庁間のローテーションの導入を提唱しておりますけれども、今後、センターの仕組みづくりと併せてこの課題に取り組むことが公務員制度の改革にとって重要だというふうに思っております。
 私の意見は以上でございます。
#5
○委員長(藤原正司君) ありがとうございました。
 次に、新藤参考人にお願いいたします。新藤参考人。
#6
○参考人(新藤宗幸君) 千葉大学の新藤でございます。
 現在上程されております国家公務員法等の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきます。
 国、地方にわたって現行公務員制度に多くの問題点が生じており、その改革が必要であるのはもはや自明であると言えます。ただし、公務員制度は国の基幹的行政制度の一つですが、それ自体として存在するのではなく、行政組織制度、予算制度、地方制度、行政処分や行政手続の制度などとの整合性を視野に入れつつ改革が行われるべきだと考えます。その意味では、公務員制度改革基本法的なものが前置されるべきであると考えます。しかし、本日は、政府提出法案に対する所見が求められているわけですから、時間も限定されておりますので、他の基幹的制度を視野に入れつつ、以下の三点について述べさせていただきます。
 第一点は、国家公務員の職階制に関する法律の廃止及びその根拠となっている現行国家公務員法第二十九条の削除についてです。
 今回の法案をめぐる国会内外の論議は、専らと言ってよいほど公務員の再就職規制の在り方に置かれているように思います。これについては後ほどまた述べますが、そのような中で、ほとんど議論なく職階制に関する法律が廃止されようとしております。現行法に職階制の規定が定められ、職階制に関する法律が制定されていても完全実施に至らなかった経緯は省きますが、どこまで詳細な職務と職級の分類を行うかは検討を要するとしても、職階制の廃止は時代の求めに逆行してはいないでしょうか。
 国家行政組織法を基準法として、各省設置法令は、省、局、課等の組織単位ごとの所掌事務を定めています。しかし、ポジションの責任と権限とは何かについては明文上の規定を置いておりません。HIV薬害事件で、当時の厚生省薬務局生物製剤課長が業務上過失致死罪で起訴されております。生物製剤課さらには薬務局を弁護する気持ちなど毛頭ございませんが、生物製剤課長、薬務局長の権限と責任とは何かは法的には不明であります。
 こうした公務員制度並びに行政組織制度が、無責任の体系と言われる日本の行政の根幹を形成していると言えます。それは、今正に重大な政治行政問題となっている年金問題にも当てはまります。社会保険庁長官、地方社会保険局長、社会保険事務所長等の権限と責任に明文上の規定を置いていたならば、ここまでの事態の悪化は避けられたのではないか。職階制の廃止については法案から削除し、時代状況と日本の行政組織に適合する職階制を、国会、内閣、さらに民間の英知を結集して探るべきだと言えます。
 第二点は、採用、昇任、降任、転任、免職等に関する法案の規定です。
 まず、これまた議論が再就職規制に偏っているためか、法案から全く見えないのは、公務員制度改革と言いつつも、現行の入口選別によるいわゆるキャリアシステムをどうするのかです。将来的昇進可能性を入口で決定している現行公務員制度は、戦前期官吏制度を事実上引き継ぐものであり、行政省内に隠れた身分制をしいているとしか言いようのないシステムです。それが職員のモラール、モラルにダメージを与えていることは、九〇年代の旧大蔵省高級官僚や外務省のいわゆるキャリア、ノンキャリアにわたる不祥事に表れております。
 再就職規制の前提とされている早期退職勧奨制度の根源もこの入口選別にあると言わねばなりません。昇進可能性を当初から制約している現行のT種、U種、V種の試験区分を学歴区分の試験制度に改め、入省後の一定期間を経過した後に能力判定を客観的に行うシステムに改めるべきです。
 また、今回の法案では、官職にかかわる標準的職務の遂行能力を定め、それによる昇任、降任、転任、さらには免職を制度化するとしています。これは、二〇〇一年十二月の公務員制度改革大綱以来の流れです。しかし、これを導入するならば、正に先に述べた大くくりであれ、職階制の実施と一体で考えるべきことです。
 また、職員からすれば、勤務条件の変更に係る事態が生じますから、当然、労働基本権の保障、少なくとも労働協約権の保障を制度化せねばならないはずです。日本政府は、ILOから度重なる勧告を受けているのであり、国際標準に国内制度を適合させるべきです。もちろん、労働協約権の対象をどこまでとするかについては議論が残ると言えます。ただし、給与にまで及ぼすとすれば、他方で財政民主主義と適合させねばなりません。したがって、この場合には、人事院の民間給与実態調査を充実させ、人事院に標準値を示させるシステムを整える必要があると言えます。
 さて、第三は、再就職規制、つまり天下り規制の在り方と、そのために設けようとしている官民人材交流センターについてです。
 現在、問題視されている緑資源機構、国土交通省の問題だけでは決してありませんが、早期退職勧奨制度と、いわゆるお土産付き天下りが官製談合事件の温床になっており、天下り規制の強化が必要であるのはもはや社会的合意であると言えます。しかし、今回の法案における再就職規制は果たして実効性を持っているのか、甚だ疑問の点がございます。
 法案では、それぞれの官庁による再就職のあっせんを禁止し、内閣府に設置する官民人材交流センターが職員の離職後の就職のあっせん、援助を行うとしております。また、従来の人事院の事前規制を撤廃し、その代わりとして、再就職後二年間は離職前五年間に担当した職務に関する働き掛けを出身官庁にしてはならないとしております。さらに、再就職等監視委員会を内閣府に設置し、再就職規制の適用除外、再就職後の活動に対する監視を行うとしております。
 しかし、法案に即して問題点を指摘をしておきますと、第一に、官民人材交流センターは、官庁から独立していかに求人情報を集めるのかです。センターが再就職をあっせん、支援する対象者はほぼ五十歳以上の公務員と想定されますが、規制権限や補助、融資等の権限を離れて考えるとき、民間企業は果たして官庁の管理職、幹部であったがゆえに受け入れようと考えるでしょうか。もっと若い有能な人材を求めるはずです。ここに正に天下り問題の根幹があって、各種の行政権限が官庁に高度に備わっているゆえに天下りを受け入れてきたと言えます。
 本年四月二十四日の「公務員制度改革について」なる閣議決定は、あっせんの対象職員に関する必要なキャリア及び人的情報把握のため、センター職員は人事当局と必要に応じて協力するものとするとしております。しかし、求人情報が各省官房からこうしたルートを通じてセンターに渡れば、センターなる新たな就職の舞台がつくられるとしても、実態は変わらない。もう少し言えば、現行の各省によるあっせんにカーテンを掛けるようなものだと言ってもよいのではないでしょうか。
 第二に、官民人材交流センターは、在任中の職員の再就職をあっせんすることになっています。逆に言えば、職員が退職したならば、その日から多様な官庁時代に培ったコネクションを用いて再就職することは全く規制の対象となっておりません。これは明らかに法的規制の盲点であって、これを利用しようとする動きが生じるはずです。
 第三に、官庁の大臣官房が再就職のあっせんをすることは禁じているものの、退職官僚が再就職のあっせんをすることには何らの規制も掛かっていません。一種の影の官房長がつくられ、そこを通じた再就職、天下りが行われることも十分に想定できます。
 第四に、退職手当通算予定職員は、法の建前からいえば出向であって、原籍のある官庁に戻ることになっております。しかし、このいわゆる出向先で退職し、当該独立行政法人等の役員あるいは関連法人の役員に就くことがあり得るし、現にそのような状況が存在しています。しかし、これへの規制が抜け落ちております。
 第五に、これとの関連で、独立行政法人、特殊法人からの営利企業等への再就職は法案では規制の対象外とされていますが、昨今の官製談合事件、そこまで言わないにしても、随意契約による営利企業等への発注の多さは正にそれが規制されていないからだと言えます。
 第六に、再就職した人間が二年間は過去五年間の職務に属するものに関して依頼等をしてはならないとしておりますが、実際問題として、退職高級官僚がセールスに歩くわけではないし、官庁側が口利きの記録簿を整備し公表するとは到底考えられず、実効的意味を持っているのか疑問と言わざるを得ません。要するに、官民人材交流センターによる再就職規制が何やら万能薬であるかのような言説が流布していますが、子細に検討するならば、再就職規制に実効性を持っているとは考え難いと言えます。
 再就職、天下りの解決のためには、入口選別、年功序列の人事運用、早期退職勧奨の根本からの見直しが必要です。それをベースとした新たな公務員制度の構築を検討しつつ、しかし現時点において規制を実施するならば、現行の人事院による事前の規制、承認の範囲を拡大することです。営利企業はもとより、特殊法人、独立行政法人、公益法人への再就職を内閣から高度に独立した機関の事前承認制の下に置くことではないでしょうか。また、特殊法人、独立行政法人からの再就職に別途法的規制を加えることであると言えます。それでもなお口利きがなくなるとも思えません。これに対しては、片山善博知事時代の鳥取県が試みたように、口利きの記録簿を義務付け、かつ公表する制度を整備することであると思います。
 現行公務員法の枠内においても、年功序列と早期退職勧奨の慣習を改めることは可能であります。定年までの就業を当然とした人事運用を図ればよいことです。ラインの長とは別に各種の専門職をつくる、当然のことですが年功序列の給与体系を改める、入口選別をやめる。これらを同時に実施するならば、公務員定数や総人件費に甚大な影響は出ないはず。どこまでが官であり、どこからが民なのか判然としない独立行政法人や公益法人などのグレーゾーンの巨大な体積自体が問われているのであり、この改革のためにも運用面の改革に緊急に着手するべきではないかと思います。
 最後に、民間労働市場における正規就業と非正規就業の格差の拡大やリストラが問題視される一方、公務員の世界の安定性が世上の関心となっております。私は、公務の世界の安定性を否定するものではありません。ただし、こうした状況の中で、退職予定公務員のみを対象とし、多大な予算と人員を配置した再就職あっせん機関を設置することは、世論を逆なでするようなものではないか、そのように申し上げたいと思います。
 以上でございます。
#7
○委員長(藤原正司君) ありがとうございました。
 次に、中野参考人にお願いいたします。中野参考人。
 どうぞお座りください。
#8
○参考人(中野雅至君) 兵庫県立大学大学院准教授の中野でございます。
 本日は、参考人として意見陳述を行う機会をいただきまして、誠に光栄に存じております。
 私は、厚生労働省に十四年間勤めました後、公募で現在の職場に移りました。現在は、行政の情報化や公務員制度を中心に研究を行っております。本日は、これまでの経験を踏まえまして、現行の公務員制度の問題点、政府案の評価の二つについて意見陳述したいと思っております。
 まず、現行の公務員制度の問題点についてですが、大きく分けますと二つあると考えております。
 一つ目は、採用から退職管理まで各省ごとになっている、いわゆるセクショナリズムの問題であります。今更言うまでもありませんが、日本の行政の大きな課題として、各省が国益ではなく省益を追求するセクショナリズムを挙げることができます。セクショナリズムをもたらす要因は幾つかあると思いますが、私は、退職管理が各省ごとになっていることで多くの公務員が省益に取り込まれるというふうに考えております。各省が自らの専門知識に基づいて対立するような、そういうセクショナリズムは決して悪いとは思わないのでございますが、各省の意見の対立の背後に再就職先の確保も含めて様々な利害が関連していることが今日の大きな課題となっておると考えております。そんなことを考えますと、様々な改革メニューの中でも、各省ごとの退職管理こそが最もプライオリティーの高いものだというふうに考えております。
 二つ目の問題点は、再就職先や省益というものは各省別で非常に個性的になっているにもかかわらず、公務員全体といたしましては、どの省に所属しようが、どこに勤務しようが、どういう実績を上げようが、余りにも労働条件が一律平等になっているということでございます。公務分野では、民間企業と異なりまして、仕事の評価基準がたくさんございます。役所や公務員の場合、効率性や利益だけを追求するというわけにもいきません。効率性のほかにも、平等性や有効性など様々なものを追求しなければならないことから、役所や公務員の仕事の評価は簡単ではありません。また、大半の組織ではラインを中心に集団で働くのが一般的ですので、個々人の成果を測ることは非常に難しいと思います。さらに、OECDの調査でも、公務分野におきましては過度の成果主義は機能しないというふうな結果が得られております。これらのことを踏まえますと、極端に労働条件に差が付くことは余り望ましいとは思いません。
 しかし、これらのことを割り引いて考えましても、現状は余りにも労働条件に差がないと思います。採用試験、採用年次を中心に、処遇が年功に重きを置き過ぎていること、勤務評定制度が事実上機能していないことなどから、信賞必罰の人事ができておりません。総じて言えば、部内均衡に気を配り過ぎていると思います。最近はその反省の上に立って徐々に改善が加えられておりますが、一層の努力が求められます。
 また、認識すべきなのは、このように一律平等過ぎる労働条件が民間との著しい違いを生み出しており、それが公務員批判の一つの要因になっているということです。
 バブル経済崩壊以降、民間企業では成果主義の導入や雇用の不安定化が起こっております。これの善悪はさておくにしましても、公務の世界ではバブル経済崩壊以降も年功序列の処遇がなされてきましたし、部内均衡が相変わらず重視され続けました。その中でも最も大きな違いは、民間では終身雇用制度が崩壊した結果、雇用が不安定化する一方で、公務分野では身分保障が厳然としているということです。
 確かに、仕事の性格上、公務員の身分保障は求められると思います。試験任用を公務員制度の中心に置く限り、身分保障もセットにして考えるべきではありますが、現行法においても勤務実績などを分限処分の基準にしていることから考えると分かるように、専門能力の発揮や生産性の高い仕事というのも身分保障の一要件だと思います。その意味では、官民の労働条件をもっと近づけるような努力が求められます。
 このような状況を考えますと、公務分野では業績評価や能力評価が難しいという意見もあるでしょうが、人事評価を任用、給与の中心に置くことで、公務分野においても労働条件の多様化を促すべきだと思います。
 第二に、政府案の評価について幾つか総論的に述べさせていただきたいと思います。
 まず第一に、国家公務員の退職管理の一元化、能力評価など、これまでなかなか進まなかった改革が進んだことは高く評価されるべきだと思います。
 これまで、九七年の公務員制度調査会の意見、二〇〇一年の公務員制度改革大綱など様々な改革案が出されてきましたが、十年間以上の長きにわたって実行に移せなかったことを考えますと、法案の提出に至ったこと自体、高く評価されるべきだと思います。
 第二に、政府案が包括的な改革を目指しているという点についてです。
 今年四月二十四日に閣議決定されております「公務員制度改革について」というペーパーを見ますと、公務員制度改革をパッケージとして進めていくとされていまして、今回の再就職の内閣一元化の後に、総合的な公務員制度改革を推進するため、基本方針を盛り込んだ法案を次期通常国会に提出するとしております。このように、包括的な改革を視野に入れてプライオリティーの高いものから順次実施していくという視点は非常に重要だと思います。
 公務員制度改革の論点は、大まかにとらえましても、定員管理や組織編成を含めた公務員制度の管理手法、それから採用、昇進の基本原則の在り方、それから幹部公務員の在り方、再就職問題、給料制度、人事評価制度、身分保障、能力開発、労使関係の在り方、それから中央人事機関の在り方も含めて十項目が考えられます。しかも、これらの制度は相互に依存しておりまして、単一分野の改革で瞬時にすべての課題を解決することは恐らく不可能だと思います。例えば、公務員の再就職についても、定員数や組織活性化、それから公務員の職業選択の自由という制約がある中で、早期退職勧奨という雇用慣行や各省別の採用などが関連しております。これらの課題を解決するためには、様々な改革案を総合的に実施していくことが必要であります。また、人を扱っている以上、短期的に物事を解決することは難しい側面があり、粘り強く改革を実施していくことが重要であると思います。
 このような観点から政府の取組を見ますと、組織活性化や定員管理などの制約あるいは官民交流の促進という観点から、早期退職勧奨を維持しつつも、定年延長やスタッフ職制度の創設を検討するなど、様々な分野の改革を総合的に実施することで課題の解決を図ろうという姿勢が見られるところが非常に評価されます。
 このように、適度なスピード感を持ちながら総合的な観点から改革を実施していくということは、公務員制度改革の複雑さを考えますと、非常に重要だと思います。公務員制度改革の複雑さや難しさは、諸外国においても変わりません。そのため、諸外国の事例を見てみますと、総合的なパッケージやデザインを描けないまま、まず人員削減から手を付けるというところが多くございまして、その結果、思ったような結果が得られておりません。他方で、公務員制度改革が複雑で簡単に手を付けられないということを理由にして改革を先送りするというのも許されるものではありません。今回の政府案は、このような両極端な対応を退け、複雑な公務員制度改革に正面からぶつかりながらもグランドデザインを視野に入れて現実的に改革を推し進めようとしている点が非常に評価されます。
 第三に、政府案のバランスの良さについてです。
 それは、公務員の再就職の扱いに表れています。様々な不祥事もあり、公務員の再就職については厳しい目が注がれております。他方で、公務員といえども職業選択の自由は認められるべきです。また、官に眠っている人材を有効活用したり、官民交流も進めなければいけません。さらに、組織の活性化や定員削減も求められております。このような相矛盾する要素から成り立つ連立方程式の解として政府が厳しい事後規制と退職管理の内閣一元化を打ち出したところは、非常にバランス感覚としても優れていると思います。
 第四に、これまで徐々に進められてきましたが、官民交流という概念を中核的なものとして打ち出したところも評価されます。その具体的な表れが、事前規制から事後規制への方向の明確化です。確かに、事前規制が撤廃されることで官民癒着が起こるのではないかという問題もあると思いますが、今回はそれに見合った厳しい事後規制が導入されております。
 これからの時代、より少ない公務員でたくさんの仕事をするためには、民間資源を有効に活用することが求められます。また、労働力人口自体が少なくなることを考えると、官民を区別せず、働ける人を有効に活用していくことが求められます。更に言えば、民間企業でも役所でも仕事のできる人の評価は似通ってきつつあります。与えられた予算と人的資源の中で最大の効果を上げるという意味では、経営能力が求められていることは官も民も変わりません。実際、米国などでは経営能力を頼みにして、非営利、それから営利法人、全部渡り歩く人がいます。そういう時代においては、官民交流がもたらす弊害を除去する措置を講じた上で、官民を積極的に交流させる方向に進む方がメリットは大きいと思います。
 次に、政府案の各論について幾つか述べたいと思います。
 まず第一に、今回の法案で退職管理を各省管理から内閣管理に移したところは非常に評価できます。第二に、各省による再就職のあっせんが禁止される対象として非営利法人まで含めたという、この点も非常に評価されます。第三に、天下りに焦点が集まる一方で看過されておりますが、人事評価を人事管理の原則の基礎としたことは画期的なことでございます。
 このような観点から、政府案というのは非常に優れたものだと考えております。
 最後に、公務員制度改革は、政治改革や行政改革に続く大きな改革でございます。新しい公務員制度の下で、公務員が誇りを持って働くことができる環境の整備を望むばかりであります。
 本日は、意見を述べさせていただける機会をいただきまして、誠にありがとうございました。
#9
○委員長(藤原正司君) ありがとうございました。
 次に、丸山参考人にお願いいたします。丸山参考人。
#10
○参考人(丸山建藏君) 総評理事長の丸山でございます。
 私は、公務員組合の役員をやってきた立場から、働く者の立場で意見を申し上げたいと思います。
 私は、審議されております国家公務員法等改正案は、本質的に重要な問題点が三つあると受け止めております。一つは、これからのあるべき公務員像や、公務員の役割を含む公務員制度全体の抜本的な改革の方向が示されていないことであります。二つは、いわゆる天下りの行為規制について、勧奨退職など人事管理を改めないと実効性が危ぶまれることであります。三つに、能力・実績主義の人事管理では、使用者権限が強まる一方で、労働基本権の在り方を含む労使関係制度の改革や人事評価制度の考え方が示されていないことであります。
 このうち、私は、能力・実績主義の人事管理を中心に意見を述べたいと思います。
 私は、能力・実績主義の人事管理に反対するものではありません。ただ、個々人の仕事を評価し、それを処遇に結び付け、これを実効あるものにするには、評価者と被評価者、労使の関係など、十分な条件整備が必要だと思うわけであります。その点で、改正法案には幾つかの疑義があります。
 その第一は、人事行政の中立公正性についてであります。
 中央人事行政機関として人事院と内閣総理大臣があるわけですが、改正法案ではこの所掌事務を見直し、内閣総理大臣が標準職務遂行能力、採用昇任等の基本方針、人事評価に係る事務を所掌することになっております。任用や人事行政全般の基準と実施が使用者である内閣総理大臣、各府省大臣にゆだねられますと、政治が公務員の人事に介入をし、中立・公正性が損なわれる危険性が高まるわけであります。政治から公務員の地位、官職を保障する中立・公正性が確保できるようにしていくべきであります。
 第二は、新たな人事評価制度の確立が不可欠であります。
 今回の改正法案は、任用、給与、分限がすべて人事評価に基づくことになっております。そのための新たな人事評価制度は現在試行中のものを整備する、このようでございますが、どのようなシステムになるのか、いつ本格実施となるのか、どのように活用するのかが現段階では全く不明確であります。これでは評価される側の公務員は不安でありますし、使用者として無責任と言わざるを得ないと思います。
 新たな人事評価制度は、任用や給与を活用するだけに公平公正、透明で納得性のあるものにする必要があります。そのためには、特に評価の基準の周知、本人への評価結果の開示、職員代表等が参加をする苦情処理制度の整備が不可欠であります。政府はこれを明確にするべきでありますが、試行の現段階では不透明です。この実行は年功主義の強いキャリアやいずれ管理職的立場に立つそういう人たちが多い霞が関、本省から範を示すべきと思います。
 次に、人事評価の勤務条件性と労使協議についてです。
 政府は、人事評価に関して勤務条件ではないという見解のようであります。そこに疑義があるわけであります。評価基準に基づいて個々人をAあるいはBに評定し、その結果で人事を個別に行うことは確かに人事管理権限です。しかし、評価の結果が人事や給与の処遇に影響するわけですから、どのように評価が行われ、それがどのように活用されるのかは、すなわち評価や任用の基準、昇給昇格の基準は切り離すことができないわけでありまして、勤務条件性を含んでいるというふうに思います。したがって、基準や運用の仕方については労使の交渉、協議事項であると考えるわけであります。
 そして、能力・実績主義の人事給与管理を行うには評価される側の理解と納得が不可欠であります。評価によってそれぞれが弱点を克服し、モチベーションを高め、成果に結び付ける、それがこの目標ですから、使用者が一方的にやるべきではないと思います。その意味で、人事評価にかかわるシステム設計に当たりましては職員団体と十分に協議をし、合意を得るべきであります。民間では労使交渉に加え、労使協議によって創意工夫を重ねているわけですから、公務も労使協議制を整備することが重要な課題と言えます。
 第三は、能力・実績主義人事管理と労使関係制度の改革は不離一体であります。
 能力・実績に基づく人事管理がスムーズに機能するためには、これまでのように使用者側の一方的な関係性ではなく、労使双方が対等の関係性の中で話し合う交渉、協議によって物事を決定していくシステムが必要です。今回の改正法案で、使用者、当局の人事管理権限が強化されるにもかかわらず、公務における労使関係の改革の方向性が一切盛り込まれておりません。極めて遺憾なことと受け止めております。本来、能力・実績主義と労使関係の改革はセットで行うべきであります。労使関係の改革はこれと切り離し、先送りすることは認められないことであります。
 四月の二十四日の閣議決定で、労働基本権の在り方は専門調査会の審議を踏まえ、引き続き検討するとし、渡辺大臣は、労働基本権を付与する方向で検討すべきとの考えを表明されております。これ自体は、これまでに比べ一歩前進と言えますが、明確ではなく、不十分と思います。能力・実績の導入は、公務の特性を踏まえながらも、民間企業と同じように能力と成果で人事、給与を行うわけですから、公務員にも同じような権利を保障すべきです。この点は、ILO勧告に基づいて公務の労使関係を改革するとの方針を改正案に明記すべきと考えます。
 公務員制度の抜本改革の必要性にかかわって、改正法案の慎重審議を求めたいと思います。
 今回の改正法案では、具体的な人事制度の中身はすべて先送りとなっています。例えば、官民人材交流センターの制度設計は官房長官の下の有識者懇談会へ、人事評価制度の中身は政令へ、労働基本権の在り方は専門調査会へといった具合です。これらを見れば、今回の法案がいかに拙速なものであるかが明らかであります。
 政府は、四月二十四日の閣議決定で、総理の下に有識者による検討の場を設け、全体パッケージとして改革を進めるための検討を行い、来年の通常国会に国家公務員法等改革基本法を提出するとしています。そうしますと、この有識者による検討の結果や労働基本権にかかわります専門調査会の最終報告を踏まえ、改めて総合的で具体的な法改正が行われることになります。今回の改正法案は、公務員制度の部分改正で、不十分な点がたくさんあるだけに、慎重な審議を尽くしていただきたいと思います。
 最後に、総理の下の有識者による検討の場には、労働界代表の参加を要請したいと思います。
 今申し上げましたように、総理の下に設置される検討の場は、抜本的な改革に向けたものと言えます。今、我が国は多くの制度改革が進められております。公務部門も、事務事業に加え、人と組織の改革が待ったなしの状態であります。公務員制度は、立法や司法と並ぶ行政の在り方にかかわります。その改革は、国民が安心して暮らせる土台づくりでもあります。この改革には広く国民の声を反映させる必要がありますし、働く者を代表する参加を要請しておきたいと思います。
 私の意見は以上であります。
#11
○委員長(藤原正司君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○末松信介君 自民党の末松信介です。
 今日は、四人の参考人の先生方には、お越しをいただきまして大変有益なお話を聞かしていただきましたことに、心から厚くお礼を申し上げます。印象として、お二人賛成、お二人反対というふうにまずは受け止めさせていただきたいと思うんですけれども。
 それで、私、まず基本的なことをお聞きをしたいんですけれども、最近、公僕という言葉、余り使わなくなったなと、耳にしなくなったなということを思うんですよね。それで、今は国家公務員T種、いわゆるキャリアと呼ばれる方々ですけれども、非常に高い志を持って、自分が国を引っ張って、そして世界の中の日本がどうあるべきかという、そういう大きな視点を持っておられるわけなんですけれども、しかし、同時に、早い時点で、支配階級的なそういう意味合いというのを持ち始めると、そして、支配者対被支配者という、そういう感覚というのが出てくるんだなということは、何となく伝わってくるものがございます。
 公僕というのを広辞林で調べましたら、パブリックサーバント、公衆に奉仕する者、公務員などの総称となっております。官僚というのはこれ、行政の執行者、官吏、役人とも書いているんですが、特に政策決定に影響を与えるような上級の公務員というように広辞林では書かれているわけなんですけれども、官僚もまた公務員でありまして、キャリア、ノンキャリアの区別なくこれから人事評価をしていこうということなんですけれども、官僚という言葉というのは、これからも、諸外国には当然存在しておるんですけれども、残り続けると先生方は思われるか。また、残り続けさせるべきかということをお考えか。官僚制度をどういうように変えていくべきかということを、まず四人の先生にちょっと冒頭、簡単でも結構ですから、お伺いしたいと思います。
#13
○参考人(加藤丈夫君) 私は、特にT種公務員について、国の政策執行にかかわる重要な立場として今後もその立場というのをしっかり守っていただきたいと思うし、先ほど優秀な学生が公務員を志望しなくなっているのは心配だというふうに申し上げましたけれども、是非この改革を通じて国を背負う高度な政策判断のできる官僚がこれからもしっかり育っていくことを期待しています。
#14
○参考人(新藤宗幸君) 私は、先ほども申し上げましたが、入口でのT種、U種、V種という選別は、もう昇進可能性を前提にしている選別はやめるべきだと。現にU種試験の合格者の九九%近くが大卒であります。かつての高等文官試験あるいは私どもが大学を出るときの上級職甲という時代とは全く違うわけでありまして、したがって学歴区分の試験を行い、その後、一定期間後に能力判定を客観的にやるべきだと。
 ただ、官僚という言葉、ビューロクラットという言葉は私は残っていかざるを得ないだろうと。それは、なぜならば、現代のこの国が極めて複雑な機能を政府は発揮していかなくてはならないし、その正に政策、事業案等の準備をするテクノクラートを必要としているわけでありまして、その意味では官僚という言葉は残ると思います。
 以上です。
#15
○参考人(中野雅至君) 今回の改革案では採用試験や採用年次にとらわれない実力主義の人事が行われるということですので、近未来的にいいますと、採用試験によるそういう言葉遣いの違いというものはなくなっていくんだろうというふうに認識しております。ただし、民間企業を見ましても、最近は厳選採用とか早期の時点からの経営幹部への登用みたいなものが起こっておりますので、民間では逆のことが生じておるということでございます。
 そういうことを考えますと、今後、今の日本の官僚制度というのは幹部公務員制度としては非常に中途半端なところにありまして、イギリスとかフランスの場合には公務員法上にちゃんと幹部公務員というのを位置付けておりまして、それに基づいて幹部公務員を育成しております。それに対して、現在の国家公務員の世界では三級一号俸への採用試験にすぎなくて、実際は運用でエリート官僚を育成しているということだと思います。
 そういう意味でいいますと、幹部公務員を制度化するのか、あるいはこれをなくすのかという方向で、どちらかの方向に行くのかで相当議論があるというふうに考えております。
#16
○参考人(丸山建藏君) どういう組織もそこをリードするリーダー役は必要なわけでありまして、国におきましても優秀な人材を育成しなければならないと。そういう意味では官僚あるいはリーダーは必要だというふうに思っております。
 ただ、これまで指摘されておりますように、いわゆるこのキャリアシステムはセクショナリズム、縦割り行政あるいは官業癒着、いろんな問題を起こしているわけです。そういうものをどういうふうに国民に信頼あるものにしていくかという点で考え方を整理する必要があると、このように思います。
#17
○末松信介君 ありがとうございます。
 四人の先生方の言葉を重く受け止めたいと思うんですけれども。前の首相の小泉さんというのはやっぱり演説のときに必ず言ってたのは、官僚の既得権益の打破だということをずっと演説で言っておられましたんで、正に、官僚は残るけれども既得権益はやっぱり守ってやるということはこれ駄目だと、つぶしていかなきゃならないと、そういう社会に変えようという、その点では四人の先生方の御意見、一致するなということを私も思ったわけであります。
 それで、実は、新藤先生からT種、U種の話が出ましたんですけれども、私も国土交通委員会におりましたんですけど、急遽内閣委員会に入ってまいりまして、今質疑に立っておりますんですけれども、地方公務員にこういった今回の官民人材交流センターとか新たな人事評価制度、既にやっている自治体もあるんですけれども、こういったものについて、地方自治体まで合わせていかなきゃ駄目じゃないかと。先輩の、総理までお務めになった方も、これ地方公務員はどうするんだという話が最初に出ましたですよ、今年の四月ごろでしたかね。
 私思うんですけれども、既に地方公務員の場合はキャリア、ノンキャリアというのは存在していないわけですよね。私の兵庫県では、実は前の副知事は、実は高校卒業なんですよ、高卒なんです。だから、全く頑張ってもなれない、絶対なれないという、そういう可能性を残さない制度というのは、私は間違っていると思っているんです。だから、今回のやり方でキャリア、ノンキャリアなしに、採用年次や採用種別というのは問わず、頑張れば報われるという制度に変えようということは正しいなと思うんです。
 ただ、地方公務員の場合は六十歳まで、ほぼ定年、お勤めになります。と同時に、七級以上の方は、どうされますかというようなお尋ねが退職前の秋ごろあるんでしょうけれども、まあ県税所長だったら主任クラスで残られておられるというような、そういう甘い面も実は存在をしているわけなんですね。
 それともう一つは、今おっしゃったように、キャリア、ノンキャリアの問題がないということで、この三つが既に存在をしておりますので、私はちょっと国家公務員と地方公務員制度というのは、これはなかなか一致させることは難しいという、すぐ同じ舞台で、レベルで考えることは難しいかもしれませんけれども、ただ、国民は、いろんな不祥事等々については極めて地方公務員の不祥事というものに対して敏感に反応すると。国家公務員はやっぱり非常に遠いところで起きるわけなんですね、問題というのは。そういう眺め方をしておると、そう思います。
 したがって、私は地方公務員についても将来的にこうした人事評価なり、あるいは官民の人材交流センターというものを設置していくかどうか、その必要性について先生方にちょっと、簡潔で結構ですので、御答弁をいただきたいと思います。
#18
○参考人(加藤丈夫君) 先ほども少し申し上げましたが、日本経団連ではかねてから官民の人事交流についてお互いの垣根を低くした積極的な交流をすべきだということ、そして、イコールフッティングという言葉を使って交流の活発化ということを提唱しておりますけれども、それは国家公務員も地方公務員も同じだと思います。
 ただ、現在進めている国家公務員の改革をそのまま地方公務員に広げていくということについてはいろいろな問題があるし、まだ解決しなきゃならない問題があると思いますので、やがて地方公務員にまでも広がる問題だと思いますけれども、まずは国家公務員の問題をきちっと整理すべきだというふうに思っています。
#19
○参考人(新藤宗幸君) 末松先生御指摘の問題というのは、よくそれなりに分かります。ただし、入口でその選別をしているわけではなくて、学歴区分の試験であり、それから年功序列を取っているわけではない。ただ、部長級まで行くと、六十歳まで勤めないで一年ぐらいを残して外郭団体に行っているというのは、多くの県レベルでは、あるいは政令市ではほぼそのとおりだと思います。
 ただ、今問題になっているのは、国家公務員の正に言うところのキャリアシステムを前提にした早期退職勧奨とその後のいろんな再就職、そこに様々な腐敗というかスキャンダルの温床が生まれるから社会的な問題になっているのであって、そこの議論に当面は私は絞るべきだろうと。
 それから、地方公務員といっても、四十七都道府県、十七の政令市、それ以外の市町村、これは非常にバラエティーがあります。また、いわゆる一般市のレベルでいえば、例えばこの近くでいえば、埼玉県志木市の前市長の時代から試みられているような、いわゆるキャリアというのは職業公務員としての公務員だけではない部分も加えた職員機構をつくろうという動きも出ておりますので、そこは相対的に分けて考えるべきだと私はそう思っております。
#20
○参考人(中野雅至君) まず退職管理に関しましては、地方公務員は恐らく国家公務員ほどシステマチックに退職管理を行っておらないと思いますので、同じような厳しい事後規制が要るのかどうかというのはちょっと疑問に感じております。
 それから、二つ目は人事評価でございますが、これは地方公務員も当然導入されるべきだと思っております。現在、国家公務員の、今正に法案で議論されておりますが、その前に既に鳥取県では人事評価を行っておりますし、もっと厳しいところで見ますと、北海道庁なんかは分限処分と人事評価を絡めておりますので、非常に厳しい人事評価がなされておるというところで、各県、各市によって非常に多様性が見られるというところだと思っております。
#21
○参考人(丸山建藏君) 地公にはいわゆる天下りというのはあるんだろうと思いますけれども、国公のようにキャリアシステムというふうに制度化、やや制度化されたものはないというふうに私は仲間から聞いております。そういう意味では、国からまず優先して範を垂れるべきだと、このように考えております。
#22
○末松信介君 ありがとうございます。
 私も先生方と考えが一緒で、やはり条件が違うんです、環境が違うんですよね。まずはここをきちっとやってということで。
 ただ、割合、県民は、国家公務員制度でキャリアとノンキャリアと、そういう言葉の違いって分からないんですよね、何でそんなに早く辞めちゃうのと言う。新大阪から東京まで、新大阪を出発して東京が事務次官となったら大体早い人だと名古屋で降りちゃうと、もう遅くとも新横浜では降りてしまうということが、その意味が分からないんですよね、これが。気が付けば何とか財団法人行っているとか、何とか法人行っているというようなことが起きてくるということで、何かいい思いしているんじゃないかという、そういう向きというのがありますんですけれども。
 私は、とにかくこの有為な人材をどう活用するかということで、人材の交流センターつくって、しかも透明感を持たすという、口利きについても厳しい制約を設けるということになっていますんですけれども、期待を寄せたいと思うんですけれども、一部先生方と御意見違うところあるんですけれども。
 それで、ちょっとまた原点に戻るんですけれども、公務員制度改革というのは、一九六二年ごろに第一次臨時行政調査会で話合いが持たれまして、このときにも既に国家公務員の公務の民主的で能率的な運営を保障するが、公務員の現状は相当懸け離れているという、そういった指摘がありました。そのころから人事管理の確立や能力主義、実績主義、信賞必罰を励行、退職後の再就職あっせん一元化ということは答申に出されていたわけでございます。
 それで、第二次臨調を経て、一九九〇年に省庁再編などの道をも付けて、そしてこの一括管理システムの動向を見ながら一括採用は検討しようじゃないかということで、しかも人事慣行についてもこれはどうすべきかという、そういった議論がなされてきたわけなんです。ようやく二〇〇〇年の十二月の行政改革大綱で公務員制度改革が重要課題となって、二〇〇一年にこの公務員制度改革大綱ということに正式につながってきたわけなんですけれども、非常に長い歴史があるわけなんです。
 先生方の方がずっと我々よりよく勉強されておられますんですけれども、先ほど話がありましたけれども、それは私も思うんですけれども、この能力等級別について考えると、現在の公務員法第三十三条一項にもこう明記されています。すべての職員の任用は、この法律及び人事院規則の定めるところにより、その者の受験成績、勤務成績またその他の能力の実証に基づいてこれを行うと。国家公務員法第七十二条には、勤務成績の評定として、職員の執務について、その所轄庁の長は、定期的に勤務成績の評定を行い、その評価の結果に応じた措置を講じなければならないと明記されているわけなんです。
 だったら、やろうと思えばできたはずなんですけれども、先送ってきた、運用されなかったと。こういう歴史があるんですけれども、今回、なぜかちょっと違うなと思うのは、具体的に安倍総理がパンドラの箱を開けてしまったという感じを受けているんです。だから、私は、慎重という言葉を使えば、これは優柔不断と取られてしまうなということは思います。そして、検討という言葉を使っていけば、こいつはやる気がないなということを受け止めてしまうと、これだけの歴史を繰り返していますので。
 私、このことにつきまして、一体どういうように、過去の、繰り返し繰り返し試行錯誤してきて、今も人事の、試行錯誤はされていますけれども、人事評価については。こういう苦労の歴史について、なぜ実らなかったのかということ。このことと、今後この制度改革を行っていくわけなんですけれども、高いハードルが出てくるわけですけれども、衆議院の審議を見て、中で、更にここをこうしなきゃならないという点、新たにこうしなきゃならないという点がありましたら、我々が考えなきゃならぬのですけれども、今日は参考人の先生方なので、御提案がありましたらちょっとお話をしていただきたい。なければ結構なんですけれども。これは加藤先生と中野先生に、じゃ、ちょっとお話をお願いいたしたいと思います。
#23
○参考人(加藤丈夫君) 私も今回の件で、公務員制度改革大綱から始まった幾つかの改革の案について拝見をさせていただきましたけれども、いずれの案もかなり大胆な改革が盛り込まれている。ただ、それが今まで十分な効果が発揮できなかった。今回のこの改正案は、そういう意味での改革を実行に移す第一弾だという点で、やっぱりこれは実行をするということが極めて大事だと思っています。
 なぜそのことができなかったかといいますと、私の感じでは、ルールはあるんだけれども、やっぱり長年培われてきた年功序列の人事慣行だと思います。この慣行を改めるということが今度の改正の一つの大きいポイントだろうというふうに思っています。
#24
○参考人(中野雅至君) 公務員制度改革は、人を扱う問題であるがゆえに非常に反対なども大きくて、なかなかこれまでもコンセンサスを築きにくいという面がありまして、そういう観点からいいますと、よく今回はここまで本当に通したなというふうに感じております。どこの国の制度もそうなんですけれども、非常に精緻にできておりまして、いろんな人事と給与が絡み合ったりしまして、非常に複雑にでき上がっているものですから、メリットとかデメリットの予想が非常に付けにくいと、こういうこともありまして、なかなか改革まで進まなかったのかなというふうに感じております。
 今後は、退職管理という非常に重要なところとそれから能力評価という非常に中核になるものを二つ入れておりますので、この二つを核にしまして、今後、定員管理の在り方とか、あるいは幹部公務員とか、あるいは人材育成をどうするのか、そういったところも重点的に絞りながら、あるいは労働三権の在り方、これ一番重要だと思うんですけれども、こういったところを進めていかなきゃいけないというふうに考えております。
#25
○末松信介君 ありがとうございます。
 新藤参考人と丸山参考人にお伺いしたいんですけれども、現在、国と地方の借金七百七十兆円ございます。道州制調査会というのが開かれております、自民党の中で。一応まとめていこうということなんですけれども、マニフェストに入るかどうかは、これは安倍総理がお決めになることなんですけれども。その中でも道州制を、これを導入することは構わぬけれども、今の地方特有の借金をどうするかというスタートラインの具体的な財政基盤の数字を議論せずして、危険じゃないかという話も出たんですよ、指摘もあったわけなんです。
 それで、今、この七百七十兆円ある財政赤字の中で、公務員給料において総額抑制は避けては通れないと思います。行財政構造改革の基本というのはやはり、基本的にはできるだけ、これは行政サービスの限界点をきちっと定めにゃいかぬだろうし、サービスの中身も点検せにゃいかぬということだと思うんですけれども、公務員数についてもできれば削減を当然やっていかなきゃならないということになるんですけれども。この総額抑制は避けて通れない問題と思われるんですけれども、今後の少子高齢化における時代において低成長が予想される社会の中で、財政再建を念頭に置いていかなる公務員制度の構築方法があるのかということを新藤先生と丸山先生にちょっとお話を聞きたいと思います。
#26
○参考人(新藤宗幸君) 極めて大きな問題で、簡単にお答えできる話ではないのですけれども、まず大前提として、私は、八百兆円近い債務を積み上げた責任がどこにあるかは議論はおいておくにしても、やはり果敢に、少なくとも税の、中央、地方の税目の問題と、それから税率の引上げ、端的に申し上げれば消費税をもっと完璧な付加価値税に改めた上でというふうに申し上げたいですが、これは避けられないんじゃないですか。
 つまり、入ってくるものの方の話をもはや抜きにして、したがって出る総額の抑制だ、その話が決して私ども普通の市民のサービスに、生活にとってプラスにならない、ダメージになる部分の方がかなり多いのではないか。ここは、私はいろいろと申し上げてまいりましたが、責任を持って付加価値税をきちんと大規模に導入をする、その上で、いわゆる政府の責任領域を単に縮小するという話ではなくて、大胆に政府が基本的なことをやるのだという方向で考えるべきで、それに沿った職員機構というものをまたその段階で考えるべきだと、そう思います。
#27
○参考人(丸山建藏君) どれだけの公共サービスを提供するか、あるいは受けるかというのは政治が決めることであり、国民のまた需要にこたえることでもあると、こういうふうに思います。公務の範囲と役割はそういう意味ではそういう政治の場で決められるんだろうと、こう思います。そういう中で、やっぱり良質でしかも効率あるサービスをしてほしいと、これには働く者もこたえていかなけりゃならない、こう思っております。
 ただ、良質なサービスを提供するには良質な人材が必要なわけでございまして、そういう質のいい人材をどう確保するかということもかかわるわけでございまして、単に総人件費で人を削減したり給与を抑制したらそれでいいんだということにはならないということを申し上げておきたいと思います。
#28
○末松信介君 ありがとうございます。
 丸山先生、新藤先生、特に丸山先生からは労働基本権の付与のことについてのお話ありましたし、もちろん連合なりのお話はいただいておるわけなんですけれども、これは確かに専門調査会においていろいろと議論をされていて、十月ごろですかね、一応何か基本的な話はということで出てくるということを渡辺大臣、総理もまたそのように語っておられるわけなんですけれども。
 大分時間なくなってきたんですけれども、私も昔、県議になる前はサラリーマンしていまして、当然労働組合に参加していました。指名ストも入ったこともございます。ただ、一つは思想的な問題じゃなくてやはり労働の対価の問題、給料をやっぱりきちっと上げて評価してほしい、上げてほしいということ、それと職場の環境というのをやっぱり良くしてほしいという、この二点がございました。そういった中で、統一労組懇へ組合が参加していくということでもう大もめにもめたことを実は記憶をしておるわけなんですけれども、大変いい勉強をさしていただいたと私は思っています。
 県議になってから自治労なりのいろんな組合の方々のお話も聞くことあったんですけれども、さて県立病院の赤字ということで言ってみたら、どういうことかなということを思うんですけれども、一つはやっぱり給与費が非常に高いという問題が出てきます、これは致し方ないところもあるんですけれども。高度医療をもう一つは公立病院でやっているということも、これが赤字の原因でもあるわけなんですけれども。
 ただ、MRAの機械なんかを償却せないかぬわけですけれども、やはり職員団体、組合とは言えませんから職員団体と、病院だったら管理局長さんとの話合いの中で交渉を行って、大体一人十人ぐらいだ、この機械は十人ぐらいだなというようないろんな形でやはり一つの慣行、話合いがなされておるというこれ実態があって、職員団体は一つの赤字の要因かなということを、具体的にそういったお言葉を聞いたことがあったんですよ。私はまあそんなものかなということを思ったわけなんですけれども。ただ、公務員としての顔と労働者としての顔というのは二つありますんで、どこかでやっぱり折り合いを付けていかなきゃならぬということが私の思いであります。
 したがって、労働基本権につきまして団結権は認められていると、ただ警察や自衛官とか消防の方はちょっと適用は避けていただきたいんですけれども。この協約締結権、労働協約の締結権云々ということにつきましてはまだ認められておりませんけれども、今後しっかりと我々も、時代は変わっていきつつありますんで、見ていかなきゃならないなということは抱いておりますんですけれども、こういうことについて加藤参考人は、この労働基本権の付与につきましてどのようにお考えか、ちょっと御見解を承らしていただきたいと思います。
#29
○参考人(加藤丈夫君) 私も実は現在行政改革推進本部の専門調査会の委員の一人でございまして、昨年の秋から検討に参加をしております。先ほどもお話がありましたように、この四月に改革の方向で見直すべきであるということで委員会としての方向を示して、現在具体的な問題についてシミュレーションを行って検討を深めているところです。今どうあるべきかというのは、委員の一人として検討に参画していますので、ここでは個人的な意見をちょっと控えたいと思いますけれども、ただこの公務員制度改革の問題、いずれはこの労働基本権の問題とのかかわりは持ってくると思います。
 ただ、今の公務員制度改革の問題は、やはり先ほど来議論がありますように国としての喫緊の課題だと思いますので、後から追い付いてくる問題かもしれませんけれども、このことを先行してきちっと取り組むべきだというふうに考えております。
#30
○末松信介君 中野先生からも、一言ありましたらちょっとお答えいただけますか。
#31
○参考人(中野雅至君) 今回、能力等級法案を入れておりますので、その流れから考えますと、労働基本三権の付与については前向きに検討すべきだというのが筋だと思います。警察とか監獄、消防職員、これは続いて制限すべきだと思うんですけれども、一般職の非現については前向きに検討すべきだと思います。
 その際注意しなければいけないのは、一般非現の国家公務員に付与しますと恐らく地方公務員も同じような話になってきますので、人数あるいは行政サービスの量から考えますと地方公務員の一般非現に当たった場合どうなるのかと、そういうところは相当シミュレーションしないと難しい問題が出てくるというふうに思っております。
#32
○末松信介君 時間が迫りまして最後の質問になろうかと思いますけれども、中野先生も御指摘がありましたけれども、若い人の官僚離れが進んでおる、本年度の志願者数は昨年度より約一五%減っておると。特に顕著なのは東大卒の官僚離れであって、九〇年度三百十六人だったのが、二〇〇五年度には百六十二人に減っております。また、志願者だけでなくて、キャリアの退職者も過去五年間で二百九十二人、年平均六十人の方が自分の都合で退職していると。このような現象は時代の流れということも言えるんですけれども、ある面で税金使ってそこまで知識人にしてきたという、そういった面においてはこれは国家としては大きな損失でございます。官僚志望の人たちを増やしていくために、公務員制度改革において何が必要かどうかということをお尋ねしたいんです。
 いろいろと見ていましたら、まあ村上さんのように、一つは自由になって資金をためたいという方もおられますけれども、多くの方は第一番はやっぱり自分の持っている専門分野の知識を生かしたいということですけれども、やはり国家のために奉仕をしたいということは第二希望に挙がってきておりました。これは中野先生も書いておられたあの文章、本の中、エコノミストだったかな、隣に書いておられましたので私も読んだんですけれども、志ある人はおるわけなんですけれども、なぜ離れていくのか、どういう歯止めを掛けていくべきかということについて、中野先生と、そうですね、新藤先生のお言葉をいただけたら幸いでございます。
#33
○参考人(中野雅至君) 済みません。私も辞めた一人なので、国家の損失だと、税金の損失かもしれないですけれども。
 なかなか、今役所にいますと、仕事が非常に忙しい割には、次、自分がどうなるのかというのが非常に見えにくいというところと、仕事の中身が、自分がやっている分野に加えて、行政改革とか組織改革とかあるいは様々な雑務も含めて、なかなか自分の思ったような仕事ができないという、社会保障をやりたいと思って入ってきても、なかなか社会保障だけでき切れないというところもありまして、そういったところもあって辞める人が増えているのかなという気はします。
 戻すためにはいろんなことが考えられるんでしょうが、今回出したような官民交流というのはやっぱり一つの大きな考え方だと思っておりまして、これからやっぱりアメリカ型みたいになるのが望ましいのかどうかは分かりませんけれども、やっぱりある程度政官財、それから学者も含めて、マスコミも、こういったところを渡り歩くような人を育成していかないと、全体を見れるような人材はなかなか育たないんじゃないかなというふうに私は考えております。
#34
○参考人(新藤宗幸君) 昨年、一昨年来からそういう御指摘ずっとありますけれども、ある意味で私は当然だろうと思うんです。お亡くなりになりましたが、城山三郎さんがかつて「官僚たちの夏」という、これは通産官僚をモデルにしたものですけれども、要するにナショナルゴールが非常に明確である、先進国に追い付き追い越していく、そのために我々が中心に立たねばならないのだと。こういうときには確かに、国あるいは国家への貢献でそれなりの頭脳を持った人間が集まってくる、これは当然だと思います。
 ところが、ポスト近代化もいいところでございまして、一方において、官僚機構が今やるべきことの目標というのが非常に不明確になってきている。こういうときには、むしろもっと就職を探そうという、それなりの優秀な学生たちは、自分の能力がそれなりに発揮できるという、いろんなことが国内のみならず国際的に開かれているわけであって、そちらに向かっていくのは当然だろうと、私はそう思います。
 ですから、そういう中でなお確保しようと思うならば、私が先ほど申し上げましたような職階制を明確にするということです。アメリカの官民の交流ということで申し上げても、その職の専門性が明確になっていれば民との交流も比較的容易になるであろうと、そういうことです。
#35
○末松信介君 先生方四人のお話を承りまして、本当にありがとうございました。十分に参考にさせていただきたいと思っています。感謝申し上げます。終わります。
#36
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
 今日は四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。先週の木曜日にお願いして急遽日程をつくっていただいたという、御無礼を承知でのお願いでございました。ありがとうございました。しかも、これは私が言うべき話ではないのかもしれませんけど、この法案の審議の行方がいまひとつ不透明な中でこういう参考人という機会をつくることについて、もしかするとお怒りではないかという気もいたしまして、大変恐縮しております。
 さはさりながら、せっかくの機会でありますから、まずは最初に四人の参考人の皆さんに共通してお尋ねしたいことがあります。
 この法案が具体的な課題に上がってきましたときの私の率直な印象は、やっぱり、公務員制度改革というのは、えっ、こんなものだったのと。先ほど来お話があったように、既に具体的な話になってからでも、二〇〇一年からですから、六年、七年たっているわけですね。その中では、賛否両論を含めていろんな議論がされてきて、結構おもしろいというか議論もあったと思っているんです。ところが、それが紆余曲折するうちに、何か法案としていったんまとまったけれどもそれは提出されないままぐちゃぐちゃっとなって、またぞろ出てきて去年は中馬さんがこうするああするという話をしたけども、それがまたすうっと消えていって、今度は大臣が代わって急遽頑張るという形で出してきたと。
 どうもその中身が、これでいいんだろうかと。先ほど来お話があったように、来年の通常国会には公務員制度改革の基本方針も含めた言わば基本法的なものを出すと、こうおっしゃっている。それならそれで、まずそれちゃんと出せやと、その上でこの部分についてはどうするこうすると、こういう議論があってしかるべきじゃないかと、私はいまだにそう思えてなりません。
 その率直な疑問を、先週でしたか、渡辺担当大臣にぶつけました。こんなふうに私、質問しました。今回提出された法案は公務員制度改革全体の中でどんなふうに位置付けられるものなのか、それは果たして妥当なものなのかということについてお尋ねをしました。そうすると、そのお答えはこういうお答えでした。今回は公務員制度改革の全体パッケージとして考えていく中での能力・実績主義と再就職規制の導入だった。なぜこの二つから始めたのかというと、まさしく今ある様々な公務員制度における弊害というものがこの二つを導入することにおいて除去される、こういう観点だと、こう自信を持ってお答えになるんですね。
 彼は何事にも自信を持ってお答えになるので、この点ばかりじゃないんですけれど、本当かいなと。私は、いや、次の改革のいいステップになるんならそれはそれで認めることにやぶさかではないんですが、下手をするとこんなことをつくったがために次の改革が障害になってくるということだってあり得るわけですね。そういう意味で、もっと全体像をきちっと踏まえた上で、これがどういう位置付けになるのかということを明確に説明してほしかったんですが、何度求めてもきちっとしたお答えにならない。残念であります。
 そこで、今日は四人の参考人の皆さんにそれぞれ、今私が素朴に思っているこういう中身を今、国会で審議して成立させることについて、本当にこれでいいのか、何でこういうことになっちゃったのか、下手すると障害物になるのではないかという点について、それぞれの御意見を伺いたいと思います。
#37
○参考人(加藤丈夫君) ただいま御指摘ありましたように、この二つの問題を解決すると大きな障害が全部除去されるとは私も思いませんけれども、ただ、今回の能力・実績主義人事管理それから再就職の規制というのは、今やはり社会的に問題になっている私は解決すべき喫緊の課題だと、これはこれから手を付けても全体の公務員制度改革のマイナスになるとは思いません。
 先ほど来お話がありますように、今回の法案は一つの、何といいましょうか、スタート台に立ったということで、これから中身を詰めていくことは一杯あるわけですけれども、これは一定の時間を掛けてきちっと詰めていけば、全体の公務員制度改革の中で整合が取れたものになっていくというふうに思っております。
#38
○参考人(新藤宗幸君) 二〇〇一年の十二月、小泉内閣の下で公務員制度改革大綱が決定されましたが、それ以前、つまりお亡くなりになりました橋本龍太郎さんが行革担当大臣で、この辺りから今回の公務員制度改革についての議論が始まっていくわけですね。私は自分の本にも書きましたけれども、この公務員制度改革という極めて国の重要な制度の改革案の作成が、橋本さんの時代から、さらに公務員制度改革大綱を決定してその後法案要綱の作成にまで至りますけれども、密室の下で行われた。従来の戦後のいろんな節々ございましたけれども、公務員制度というものの重要性にかんがみて、それなりに公開の場で審議会等諮問機関を設けてそこで議論してきたはずなんです。ところが、今回はとりわけ密室で、行革推進事務局の中で行われ、しかも、お亡くなりになった橋本さんとの関係があったと私は思うんですが、旧通産官僚の、経済産業省官僚の一部がこの原案の作成にかかわった、この辺りからボタンの掛け違いが起きてきているんだろうというふうに思います。
 今おっしゃいましたように、私は取りあえず天下り規制の問題を行うというのは別に反対はいたしませんけれども、しかし、これを行うならば同時に、先ほど来申し上げましたように入口選別の話を明確にしなさいと。それから、天下りは事後規制でやろうといってもほとんど無理なんであって、第三者機関を通じた事前規制を強化すると、こういう形ならば今直接の処方せんとしては役立つんではないか。
 ただ、それにしても従来のこの七年間、八年間の公務員制度改革の案の作られ方をいったん、もう一回自省をして、より公開の場で、今、日本の公務員制度に何が問われているのか、最も問題なのはキャリアシステムをいかに改革するか、透明化するかということですので、そこを前提にして、本来ならば練り直したものを来年、通常国会というのはもうすぐなんだから、ある意味でもうすぐなんだからそこで議論していただきたいというのが私の偽らざる気持ちです。
 以上です。
#39
○参考人(中野雅至君) まず、能力等級でございますが、これはもうこの間ずっと長く議論されてきた問題でして、先ほど申し上げましたように現在の公務員制度が持っている二つの問題点、その一つである労働条件の多様化、これと密接に絡まっておりますので、非常に重要な点であると思います。
 それからもう一つは退職管理ですけれども、これもたかだか退職管理という意見もあるかと思いますが、やっぱりセクショナリズムの根幹になっているのは意見の対立ではなくて、やっぱりそこに利害が絡んでいることだと。その利害の根幹が退職管理だということを思いますと、この二つを取り上げたというのはなかなかセンスはいいと思います。
 もう一つ、公務員制度改革で恐らく難しいのは、人事院の在り方と労働三権付与の在り方、ここがやっぱり非常に難しい問題でして、三権を付与するとやっぱり人事院の在り方をどうしても議論しなきゃいけない。この十年間ぐらい、人事院の在り方をめぐってなかなか議論が進まなかった。諸外国の事例を見ても、やっぱり公務員制度改革で一番最初に入るのは人事院の在り方です。人事院をどうするかというところからまず議論が入るんですけれども、やっぱりここは、人事院勧告を中核にして今の公務員制度はほとんどでき上がっておりますので、ここに手を付けるとなかなか短期間では恐らく手が付かないんだと思います。
 そういうことを考えますと、まず能力等級と退職管理から手を付けたというのは、現実的な対応策としては非常に優れていると私は考えております。
#40
○参考人(丸山建藏君) 私ども労働界といたしましては、改革のテーマは幾つか持っております。民主的で公正中立な公務員制度をつくってほしいと、これはある意味で政と官の関係改善、こういうことから始まりまして、今焦点になっておりますキャリアシステムの在り方あるいは天下りの問題、そして能力・実績と給与、人事の在り方、新しい労使関係、いわゆる労働基本権付与の問題、さらには代償措置、人勧制度の問題の廃止、そしてさらに中央人事行政機関の在り方、再編の問題などについて全体を改革してほしいと、こういうふうな考え方を持っております。
 そういう意味では、今回の課題はその中の部分的な問題でございまして、本来、委員おっしゃられましたように、基本法、パッケージ法が先にあって、それはスケジュール法ですから、それをまずやっぱりきちっとして、その中で一つ一つ法律を改正して全体の枠をつくると、こういうことが私は順序だというふうに思います。
 ただ、喫緊の課題でこの二つ、いわゆる能力・実績、再就職の二つをやるにしても、その問題をやっぱりしっかり整理しないと、私が危惧いたしますのは、本当に天下りはなくなるのか、あるいは公正で透明なそういう再就職になるのか、国民から見てそれが本当にいいことだというふうになるのかが疑念を持つわけであります。それは、もう言われておりますように、勧奨退職の在り方やあるいは採用の在り方や、そういう問題にもかかわるからであります。
 また、能力・実績評価の人事の問題ですが、二〇〇一年のとき私も担当いたしておりまして、与党のある政治家は、民間と同じように信賞必罰の給与、人事管理をやるんだと、だとすれば、民間と同じように労働基本権を付与するから、それで皆さん方はしっかり論議できるかと、こういう問題提起をいただきまして、それならということで私たちは一生懸命論議をして関係者と協議をさせていただいた経過がございます。そういう意味でも、本当に能力・実績の評価、人事管理をやるには、労使コミュニケーションを始めとして、その在り方を抜本的に変えると、こういうことが必要ではないかというふうに思っております。
#41
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
 それでは次に、新藤参考人にお尋ねしたいんですが、実は今もちょっと話が出ましたけれども、今回、人事院の機能と役割をぐっと小さくして、逆にというか、相対的に内閣総理大臣の機能を強化するということがはっきりと出てきているわけですね。もちろん、新藤参考人は内閣機能の強化というのはある意味で必要だというお考えだということは承知しているんですけれども、ただ私は、こういう人事権あるいは人事評価にかかわる問題等について、人事院という言わば比較的独立性、中立性の高いところから、正に雇用主というか、雇っている当の本人のところへ集中するということは非常に危険性があるというふうに思っているんですね。
 それで、先日渡辺大臣にお尋ねしましたら、今回の改正において内閣総理大臣の所掌事務について三点明記したことがあると。その第一は、標準職務遂行能力及び採用昇任等基本方針に関する事務を明記した、第二に、職員の人事評価に関する事務を明記した、第三に、職員の退職管理に関する事務を明記した、この三点を明確に強調されて、むしろこのことが大変はっきり書いていいことだと、こうおっしゃっていた。
 しかし、このように内閣あるいは内閣総理大臣に所掌事務を明記して権限を強化することについて私はかなり危惧を感じているんですけれども、一方で、幾つか大事な課題は先送りしていると、ここの部分だけ先行して決めちゃうというのはいかがなものかと思っているんですが、参考人の御意見をお聞かせください。
#42
○参考人(新藤宗幸君) 先ほど来議論出ております二〇〇一年十二月の公務員制度改革大綱をめぐって、それ以降ですが、そこの一つにあったのは、明らかに人事院の解体ということでございました。ですから、二〇〇二年段階でいえば採用試験すら各省別で行うという案が出てきたのは皆様御承知のとおりだと思います。そして、人事院から研修権限すら奪うというのも出てきました。
 したがいまして、任命権者に人事権限が明確にするべきだと、それが今お話しになりましたような首相の権限強化にストレートに結び付いているんですけれども、私が申し上げたいことは、いわゆる職業公務員の政治的中立性あるいは専門的能力の判定の客観性というものは第三者機関にゆだねるべきであると。
 私は、かねてより、公務員制度改革を本気に行うんならば、局長級以上を政治的任命職にせいと、とりわけ事務次官という職はなくせというふうに度重ねて言ってまいりました。そういう改革を行ったときの政治的任命職の範囲内について首相が権限を持つのは当然の話でありますけれども、いわゆる職業公務員の、言わば今のこの法案に出ているような形に首相が権限を持つことは非常に私は、政治的中立性の問題、あるいは標準能力の基準を首相サイドでつくるということまで含めて、いわゆる科学的人事行政にそぐわない事態が生じるおそれの方が多いというふうに思っております。
 以上です。
#43
○朝日俊弘君 もう一点、参考人から見ると小さな問題になるかもしれませんが、気になっているもう一点があるんです。教えてください。
 今回、再就職の問題を官民人材交流センターというのでやろうと。これも内閣府に置く。内閣府に置かれる特別の機関だと、この中で中立にやるんだと、こうおっしゃるんですけれども、それが一つ。もう一つ、監視委員会をつくる。これも内閣府に置く。これは内閣府の中の審議会等というところに位置付けるものとして置く。両方とも、人材センターが内閣府にあって監視委員会が内閣府にあって、これでうまくいくのかねという質問をしたら、いや、うまくいかせるんだと、こうおっしゃるんですけれども、この点について何か御意見があったら御示唆ください。
#44
○参考人(新藤宗幸君) 冒頭の意見でも申し上げましたけれども、私は、官民人材交流センターという名称の下に、要するに退職予定のキャリア公務員を対象とした再就職あっせん機関をつくることには異論を持っております。しかも、それが内閣府、首相を主任の大臣とする内閣府に置かれるということは、実際問題として言えば、求人情報はいったんそこへ集まる。その意味で、各省からの直接のあっせんではないという外形がつくられるということだろうと、そう思います。
 それから、監視委員会も、もし本当に退職後のあっせん等の、口利き等の禁止ということで言うならば、先ほど私が申し上げたような、口利きのきちんとした記録簿、その公開ということを前提にして、その上で監視委員会を少なくとも内閣府の外に設けることが妥当なんではないか、そう考えております。
#45
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
 質問を一区切りしますけど、監視委員会の下には監察官も置くんだ、当然事務方も置く、それ全部内閣府でやるっていうんで、その中でどうするんだろうという質問をしたんであります。是非御関心があれば議事録を見ていただくと有り難いと思います。
 さて、次の問題として、丸山参考人にお尋ねします。
 先ほど少し冒頭の意見陳述でもおっしゃったことなんですが、私もちょっと引っ掛かっていることが一つあるんです。先週の木曜日でしたか、今日はこっちに座っていますけど、林議員が向こうの副大臣席に座っていて答弁されたことなんですけど、それで、能力・実績主義について、政府としてはこんなふうに整理をしていますということをおっしゃいました。
 そのときに、勤務条件制度というものとこれまでの様々な代償措置との関係が対応する関係になっているんだけれども、今回の人事評価というものは直接この勤務条件には当たらないという御説明をされました。先ほどの参考人の御意見を聞いていると、いやそれはなかなかそうはいかないんじゃないかと、こういう御意見でした。私もそんな簡単にクリアに分けられるのかなという疑問がありまして、そうしたら、いやいや、これは最高裁判決以来の判例でもあるんだと、こう自信を持ってお答えになったんですけど、ちょっとこの点について、私自身もいまだに疑問ですし、本当は直接やり取りしてもらうといいのかもしれませんが、それはできませんから、参考人から改めてその点について問題の指摘なり疑問点の提示なりをお願いしたいと思います。
#46
○参考人(丸山建藏君) 今度の評価、能力・実績と勤務条件性の問題について論議はされているというふうには伺っております。
 職務遂行能力を内閣が政令で定めて、それを各府省が実施をする、それを評価で実施するに当たっては、活用するのは任用と給与と分限だと、こういうことになっております。人事評価に係る問題は、実績評価に係るその給与は人事院が別に定めると、こういうふうに任用と給与を切り離すと、だから、任用の方は管理運営事項で、そして給与の方は勤務条件性があると、こういうふうに区分けされたのが今回の考え方ではないかと思います。
 これは、二〇〇一年の十二月に閣議決定された際の能力等級制度と考え方は似ているわけです。すなわち、能力等級という、能力を評価する、そのこと自身は私は管理運営事項、いわゆる勤務条件性はないと思います。しかし、その評価した結果を給与や任用あるいは分限にまでも活用すると、こういうことになりますと、一人の人間が、おまえの能力はこれだけだよと、しかし任用するときはこうでと、こういうふうに区分けすることは本来できないわけでございまして、私は一体で考えるべきだと、こういうふうに思っているわけであります。そういたしませんと、一体だれが責任を持って評価をし任用するのかと。私は、評価をするのも任用するのもそれを用いるのも現場の管理者なんですね、あるいは人事権者なんです。そう考えますと、この二つを切り離しては私は能力・実績の給与人事管理は機能しないと、このように思っているわけであります。
 また、判例では勤務条件ではないんだと、こういうふうに評価はなっているというお話でございますが、これは、下級裁の地方裁では勤務条件だよと、こう言い、高裁では勤務条件ではないよと、こう言っている。これは既に四十年も前の話でございます。当時の公務員の生活の実態からすれば、まだやっぱり給与を上げてほしい、こんな成熟化した社会ではございません。そういう意味でも、勤務評定にかかわる労使紛争があったことも事実です。同時に、それは特昇や一時金に扱うと、こう言っても現実的には余り機能しない。
 そういう中での、歴史的なことの流れの中の話でありますから、今日の事態で判例を云々というのは、私は、改革の視点から見ても時代に合わないのではないかなと、このように考えております。
#47
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
 幾つかまだ質問を残していますけれども、ちょっと中途半端な時間になりますので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
#48
○風間昶君 公明党の風間でございます。
 今日は、お忙しいところ、四参考人の先生方、ありがとうございます。
 公務員制度改革というのは、私は、官民癒着の防止と、そしてキャリアシステムの廃止、この二点がきちっと内容に盛り込まれなければならないというふうに思っております。そういう意味で、今回のこの法案は、公務員個人の行為を罰則で規制して、そして各省個別の再就職をあっせん禁止して、官民交流人材センターで一元的に再就職管理を行うという一方で、人事院による事前承認制を廃止ということになっている仕組みになっていると私は思っていますが、そこで、この公務員個人の行為規制と官民人材交流センターによる統一的再就職管理、この二つで新たな天下り規制になるというふうに私は思っているわけでありますけれども、このことについて、四参考人の先生方から御意見いただければ有り難いというふうに思います。
#49
○参考人(加藤丈夫君) 御指摘のように、一つのポイントがやはり再就職の規制、管理の在り方の問題だと思いますけれども、先ほど来御意見ありますように、このセンターをどこに置くかということが一つ問題だというふうな御指摘がありましたけれども、私は、内閣府に置いて全然構わないんではないかなというふうに思います。
 一番大事なことは、再就職に当たって各省庁の許認可権限を切り離すということが一つ重要なんで、今回の法案でそのことが一つ明確になったという点では評価すべきだというふうに思っています。
#50
○参考人(新藤宗幸君) 冒頭で申し上げましたけれども、形上は天下り規制の体裁は整えているけれども、しかしこのセンターがいわゆる公平に、しかも透明な形でもって、それぞれのそれまで所属していた官庁の権限と懸け離れた形で就職のあっせんをするのかといえば、非常に多くの疑問が生じておりますので、まず今の実態にカーテンを掛けるというか、ふたをするというか、そういう感じであろうと私は思いますし、それから、ちまたの声というのは、何でハローワーク使わないのというのがちまたの普通の人の感覚です。何で高級官僚のために国の、この赤字だ赤字だと言っているときに、予算と人員を使ってそんなセンターつくらなきゃならないのというのがちまたの声なんでありまして、そのことをやはり先生方はお聞きになっていただきたいと、そういうふうに思っております。
#51
○参考人(中野雅至君) 世の中全体が事前に規制する社会から事後規制の社会に移って、事後行政の社会に移っておりますので、そういうような流れとか、あるいは官民交流のメリットを考えますと、事後規制に比重を移した政策の方が優れていると私は思っております。
 これは天下りの定義によるんですけれども、やっぱり各省の予算とか権限を背景にして再就職することがこれやっぱり天下りだと、それが再就職という言葉との違いだと思っておりまして、私は、再就職自体はなくならない、あるいは途中でいろんなところに移る人、それ自体はなくならない、ただ、いわゆる権限とか予算を背景にして特定の関連法人に行くところは、これはどんどんどんどんなくなっていくと。その意味で、今回、民間法人だけではなくて非営利法人まで対象に入れたということは、これほとんどが独法に再就職しておりますので非常に大きな規制だというふうに、改革だというふうに私は思っております。
#52
○参考人(丸山建藏君) 各省で勧奨退職を行うという、後進に道を譲るという形で肩たたきをやるわけです。そして、再就職をセンターに依存する。その関係というのは一体どういうふうになるのか、ここがなかなか見えないところでございまして、そういう意味で、本当に機能するのかマッチングするのかどうか、あるいは本人がその意に添って能力やそういうものを発揮できる、そういうところになるのかというところが私は非常に素朴な疑問でございまして、これが機能するというのには相当のやっぱり工夫、時間が掛かるのではないかなと、こう思っております。
#53
○風間昶君 ありがとうございます。
 民間企業から各省庁、各職員への働き掛けは自由、民間企業は官民交流センターを通じて自由に天下りを受け入れ、そういう意味では、外観上、天下りのイニシアチブが官から民に移っているだけで官民の癒着がなくならないというふうに私は思うんですね。そういう意味で、官民人材交流センターへの一元化というのは再就職の手続、その手段の透明化になる点では望ましいんだけれども、本当にその官民癒着の防止と直結するのかどうかということだと、直結するものではないというふうに思うわけです。
 そういう意味では、先ほど新藤先生もおっしゃっていましたけれども、センター業務の透明性をどう図るかということが極めて大事でありますし、もう一つは、官民交流センターが再就職をあっせんする際に官民癒着防止の審査を行うことが是非私は必要だと思っているんですけれども、法案には具体的にはそこが書いていないわけでありますから、そこをどうやってこれから担保を取ることが大事かというふうに私は思うんですが、そこの点について四参考人の方々に御意見をいただければ有り難いというふうに思います。
#54
○参考人(加藤丈夫君) 先ほど来議論がありますように、国家公務員が省庁別の採用になってきたわけですから、それぞれの公務員が一つの役所とのかかわりが深くなっている、退職まで深くなっているというのはこれもう当然のことでございまして、再就職に当たってもそのことが前提になっているということは、これはもう現状ではしようがないことだと思いますけれども、そういう中で、先ほど来申していますように、一つ新しい機関をつくってこれまで勤めてきた省庁別の管理と切り離してやるというところに私はやはり意義があるんだろうというふうに思います。
 それで、先ほどハローワークの話もありましたけれども、やはりその中で一番大事なのはここに設けられる監視機能の問題でして、この監視体制をどういうふうに充実していくのか、事後のチェック体制をこれからきちっとつくることが重要だというふうに思っています。
#55
○参考人(新藤宗幸君) いわゆる、私には非常に想像し難い世界なんですけれども、人材センターが非常に多くの求人情報を持っている、そこへ退職予定の公務員が行けばそこから選べるというふうに一般的にはイメージされるのかもしれませんが、しかし、例えば、固有名詞を挙げても構わないと思うんですけれども、公共事業官庁の局長あるいは技官のかなりの幹部が、じゃ、そこの求人情報を見に行ったときに銀行の何かの職があったと、それをアプライして取るでしょうか。結局、私は取らないと思うんですね。結局は、天下り問題のその最も基本は、別に若い方の問題じゃないんです。ある一定年齢以上の、要するに早期退職勧奨の対象になる、キャリアシステム上なる、そういう部分の話ですので、私はこのセンターをつくっても、ほとんど実態的な変化はないだろうと。
 にもかかわらずこれをやるならば、最低限、正に勤めた後の、再就職した後の出身官庁との関係に関する規制をきちんと強化する、そのためにも、先ほど申し上げたような口利きに対してきちんと公文書として残す、あるいはそれを公開する、そういう制度的な整備をやることであって、監視委員会をつくればそれで済むということでは私はないと思っております。
 以上です。
#56
○参考人(中野雅至君) 今回の法案では、現職職員の求人活動の規制でありますとか、退職職員の働き掛けの規制など事後規制は事前規制にも増して非常に厳しいものが導入されておるということで、この事後規制がどこまでこの規制どおりに、この現行法どおりに動くのかどうかというのが一つ論点になるだろうと思います。
 あとは、人材バンク経由の再就職の透明性みたいなものをやっぱりはっきりさせるということで、特に、関連の法人とか関連のあるいは会社とか、そういったところに何人ぐらい就職しているかとか、そういったものをよく世間に示して、国土交通省から全く違った独法とかあるいは全く違った民間会社に行っている人が増えれば、これは単なる各省の予算や権限に基づいた再就職ではないということがはっきりしますので、そういった透明性を確保しながら癒着を防止していくというのが一番妥当ではないかというふうに考えております。
#57
○参考人(丸山建藏君) 単純に考えまして、受け入れる先が、能力のある、使いたいという人なら別ですけれども、そうでないとすれば、権限や何らかのメリットなしには私は受け入れないというのが実態だと思います。先輩の中に行かれた方も、いわゆる天下りされた方は非常に苦悩されておることも私はかいま見ております。
 そういうことを考えますと、各省の勧奨退職をやめるなら別ですけれども、やめてもこれは残ると、こういうふうに考えるなら、少なくとも早期勧奨退職をどのようにやっぱり是正していくのか、あるいは専門スタッフ職等についてどういうふうに、いわゆる年次別逆転人事を容認していくのかと、キャリアの人たちもそれをのみ込んでいけるのかと、そういう問題や、多様な就労形態を整理をして、年金支給開始まで大丈夫だと、生活はできるぞと、こういうものをつくってやるのか、そういう上でなおかつ再就職の適正化を図る事前事後の規制もあって、そういうふうに考えないと、ただ一つだけ、再就職規制だけぱんとやればこの問題が解決するという、そういうふうにはならないのではないかと、このように考えております。
#58
○風間昶君 お話を伺っていますと、正にパッケージとしての改革、極めて大事でないかというふうに今、聞かしていただきまして思ったわけであります。今回のこの再就職規制、それから能力・実績主義に加えて、やっぱり官民交流の部分、あるいは公募制、定年延長、労働基本権という、このつながっていくこととしてのやはり制度改革基本法みたいなものが当然必要だなということを私も感じるわけであります。
 そこで、官民交流ということだけ取り上げてみますと、官民交流の抜本的拡大というのはますます私は望まれているんじゃないかというふうに思うわけであります。しかし、今の、天下りが全部駄目、つまり官から民という人的流れはすべていけないという、そういうイメージは、今後の交流拡大を阻害することにならないのかという考え方も出るかと思うんですけど、この点について御意見いただければ有り難いと思いますけど。
#59
○参考人(加藤丈夫君) 冒頭の意見陳述でも申しましたように、民間企業にいる立場から見ますと、これからの事業展開に当たって、国家公務員として豊富な経験を積んだ人たちの活躍する場というのはますます多くなると思うんですね。
 先ほど例に挙げました、企業としての国際化の推進ですとかCSRとかコーポレートガバナンスということについて、これはやはり公務員としての経験が役立つ。むしろ、こういう方たちをたくさん企業に受け入れやすくするということが全体の経済活性化にもプラスになるなと。いろいろな規制が、これが今問題になっていることとの関連ですけれども、事前規制を強める、それから実質的に再就職が難しくなるようなルール作りをするということは、かえってマイナスになってしまうんではないかなというふうに思います。
#60
○参考人(新藤宗幸君) 私も、いわゆる天下りと再就職というのは、やっぱり相対的に分けて考えるべきだと思うんですね。国家公務員というか、どこかの省の職員になった。それが、しかし、こういう省庁の行政の世界ではなくて、自分の元々の知識あるいはそこで培った経験というものも含めてほかへ出ていきたいと、それが民間企業であるかもしれないし、国際機関かもしれないし、あるいはNPO等かもしれませんが、これはこれとして、どんどん私は推奨したらいいのではないか。
 問題は、権限を、この権限の中には規制権限もあれば補助や融資の権限等々非常にありますが、これを一種バックにして、そしてある特定のところへ再就職している。現にそれが各省別に特殊法人であり公益法人であり、さらにまたそのグループ傘下にある民間企業であったりしている、ここの問題だと思うんですね。これについて、要するに権限等を背景にした再就職についてどういう規制を加えるのか。
 元々は、私は、独立行政法人や公益法人の整理をちゃんとせいと、あるいは許認可権限の整理をせいというふうに申し上げたいんですけれども、物すごく話があちこち行ってしまいますので、それはちょっとここでおいておいて、言わば、そういう傘下の、一種の、そこまで含めた一家的な部分へ再就職するということについては、事後規制なのではなくて事前に第三者機関が審査をしろと、そうでない限りなくならないというふうに申し上げたいと、そう思います。
#61
○参考人(中野雅至君) 極端に事前規制を強めますと、官民交流といいますか、ほとんど再就職もままならないという、六十から六十五までの年金が出るまでの間どうすればいいんだという、極端な話こういうふうになってくるんだと思います。
 権限に絡んだところには行けないというふうになりますと、例えば日本の公務員の場合ですと、何年の公務員白書か忘れましたが分析しておりますが、諸外国に比べて許認可権限を持っていて、プラス、アドホックにプロジェクトを担当し、プラス、政治の世界の補助機能も果たしている、これだけたくさんの機能を果たす幹部公務員って恐らく日本だけだと言われておりまして、そういうことを考えますと、権限の及ぶ範囲と広くとらえますと、ほとんどもうどこも駄目だということになってきまして、それが五年間というふうになりますと、ほとんど人材有効活用できない。
 それどころか、今イギリスなんかで最近問題になっていますが、幹部公務員のオファーがほとんど埋まらないと。条件が悪いということですね。ニュージーランドも同じように公務員制度改革の後起こっておりますが、こういったことも起こりかねないと、そういうことも十分視野に入れながら改革を行う必要があるというふうに考えております。
#62
○参考人(丸山建藏君) 現状の制限をしている中にあっても、やっぱりいろんな不祥事を起こしているわけです。それを規制なし、センターの方に持っていっちゃったら本当に大丈夫かよと、こういうところがやっぱり私は一番心配しているわけです。
 問題は、やっぱりキャリアの人たちのありようの問題なんですけれども、それは主に政策の企画立案と執行に責任を持つ、そういう優秀な人材を育成していくわけですが、そういう人材をどのように確保していくのか、国として、政府としてどのように確保していくのかというところに私はこの問題が行き着いてしまう、そういうふうに思っておりまして、官民交流は私はやらなきゃならぬと思いますけれども、そこはやっぱり国民の目から見ても公平、納得ができる、そういうものにしていただきたいと思っております。
#63
○風間昶君 ありがとうございます。
 能力・実績主義の部分で、現行の人事院による事前承認制を廃止するということがあるんですけれども、この労働基本権の制約の代償措置である人事院の事前承認制を廃止するということは本当にどうなのかなというふうに私は思うんですけれども、四参考人にこのことについて御意見をいただければ有り難いというふうに思います。
#64
○参考人(加藤丈夫君) 新人事制度については、まだそれほど具体的な内容が決まっていないように思いますので、今のところは能力主義、実績主義に基づく人事制度を実行するという段階だと思いますので、その範囲で私はこれを是非進めたい、それを進める中で人事院の役割も改めて決まってくるんではないかなというふうに思います。
 一つ申し上げたいのは、先ほど来、若手の優秀な学生が公務員になりたがらない、あるいは優秀な官僚の士気低下と退官が目立つと、その辺の、一つではありませんけれども、やはり今の若い人たちの価値観として、一生懸命やったことについて具体的に目に見える形で報われるルール、これは官民問わずに共通した感覚なんではないかと。今までの説明では、頑張れば次官の道も開けるよと、局長、審議官の道もあるんだということの説明がなされてきましたけれども、今の若い人たちに対する動機付けとして、そういうことでは納得できないのではないかと。
 それは、単に任用面じゃなくて、給与その他の処遇面でも努力したところが報われるんだというところを、公務員という特殊性は一つあるにしても、そういう考え方を取り入れた人事制度、人事院のこれからの取組もそのことを検討課題に入れていただきたいなというふうに思っています。
#65
○参考人(新藤宗幸君) 何分にも、今回の法案というのは政令事項にゆだねるという部分が多過ぎまして、一体どういう政令が、仮にこの法案が通ったとして、どういう政令が出るのかよく分からない、したがって全体像が描きづらいという部分がございます。
 ただ、そういうことを含めて申し上げますと、少なくとも日本が科学的人事行政ということを言い出したのは、要するに戦後改革によって、つまり戦前期官吏制度の下においては政治から完全に中立的な形でもって官吏制度はつくられてこなかった。それを、問題は、いかに改革するのかということが戦後改革の、公務員制度改革の一つの重大な焦点であったわけでありまして、私は、先ほどもちょっと申し上げましたが、少なくとも公務員であることをほぼ唯一の職業とする職業公務員については、これは正に中央人事行政機関、政権から距離を置いた中央人事行政機関に多くの標準の設定等々をゆだねるべきであろうと。
 しかし、他方において、日本の公務員制度に今正にこういう時代だからこそ欠けているのは、余りにも職業公務員が強過ぎると。副大臣制度は設けたものの、依然として事務次官会議が日本の意思決定に重大な影響力を持っている。この事務次官会議について言えば何の法的根拠も存在しないという、こういう実態があるわけでありまして、ある一定、私はいつも局長級以上と申し上げている、これ全部カウントしてもせいぜい百三十程度でしかないのですが、ここは政治的任命職にせいと。そういう幹部の部分について政権が指揮監督するのは当然だとしても、職業公務員のところにそれはあってはならないし、中央人事行政機関をきちんと確立して、そこで標準をきちんと決め、あるいは管理をしていくべきだと、私はそう思っております。
#66
○参考人(中野雅至君) 人事院の事前承認から事後行政に移すということにつきましては、恐らく、人事院の第三者性というものと例えば内閣のグリップの強さ、こっちのどっちを取るかということだと思うんですけれども、現実に人事院の承認の中にも例外は非常に多いものですから、第三者性がどこまでこれ機能しているのかというのは非常に疑問なところがあります。代償性というのも恐らく第三者性ということだと思います。
 今度、内閣府にいろんなものをつくるというのは、確かにいろんな問題をはらんでいるとは思います。これはどこの国の改革でも同じなんですけれども、やっぱり内閣のグリップを強めながら、職業公務員の自主性とかあるいは政治的中立性、これをどう担保していくかというこのマトリックスをかくのが非常に難しいと言われておりまして、諸外国どこでも苦悩しております。ですので、今後は恐らくここら辺は大きな課題になってきて、幹部公務員の独立性も含めまして、それから内閣の主導性ですね、その二つの矛盾をどう埋めていくのかというのは大きな議論になるとは思います。
#67
○参考人(丸山建藏君) 人事院の権限を政府に持っていく、こういうことでございまして、いわゆる使用者自身が人事交流、いわゆる天下りの問題を処理すると、こういうことになりますと、本来やっぱりその中にいる人たちがどういうふうに論議をして整理するかが重要だというふうに思います。
 私は、人事院の代償措置、労働基本権制約のところで運動してきた経験からいたしまして、当局は使用者責任を果たそうとしない。また、そういうことがあるゆえに組合側も現状の既得権益擁護という主張になる。言葉は悪いですけれども、お互いに第三者機関におんぶにだっこしてしまう。そこのところが国民から見れば非常に奇異に映ると、こういうことだったんだろうと思うんです。
 そういう視点からいたしますと、労使が本当に知恵を出し合って創意工夫して、相互に責任を持つ、そういう体制づくりが重要なのであって、今度の人事院の権限を政府に持っていくということであれば、政府自身が本当にどういうふうにするのか、あるいはそこを動かすキャリアの皆さん方が本当にこの再就職問題をどうするのかという声が聞こえてこない限り、私はなかなか思うようにはいかないのではないかというふうに思っております。
#68
○風間昶君 ありがとうございました。終わります。
#69
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。
 四人の参考人の皆さん、御苦労さまでございます。いろいろと貴重な意見をありがとうございました。
 これまでいろいろとお話が出ておりましたんですが、まず第一点、話に出ておりましたけれども、これについては基本法を来年作ると言っているんだけれども、政治に対して筋を通していくということが大事なんですから、政治に筋を通すという観点から考えた場合に、こういうふうに先にこの問題をやるんじゃなしに、もっと基本的な問題、基本法を作って、それからやった方が国民に理解しやすいんじゃないかと私は思うんですけれども、これについて四人の方に御意見を伺いたいと思います。
#70
○参考人(加藤丈夫君) 先ほど申し上げましたけれども、公務員の基本法の問題は非常に重要な取組だと思いますけれども、今の能力主義・実績主義人事制度の導入と、それから公務員の再就職問題というのは、これを先行して解決する、これは正に国としての喫緊の課題だと先ほども申し上げましたけれども、そのことはこれから取り組む基本法と矛盾をしないし、その中の重要な一環を成すものだというふうに理解しております。
#71
○参考人(新藤宗幸君) 私は、理想的なことというか基本的には、先生がおっしゃるように基本法をきちんと、枠組み法を明確にして、そこの中でキャリアシステムであるとか採用の仕方であるとかということを含めて、出口の規制等も個別に、具体的にどうするのかということを公開の場でまず審議してやるべきだろうと、そう思っております。
#72
○参考人(中野雅至君) 全体パッケージについて、まず四月二十四日の閣議決定の公務員制度改革についてという文書で大体示されておりますので、基本法という形にはなっておりませんが、全く見取図を示していないということではないとは思います。時間の制約の関係から、恐らく、プラグマティックに一つ最初処理してその後というふうに考えたのだと思います。
 それから、なかなか基本法の方向が見えにくいというお話なんでございますが、公務員制度につきましては中央省庁再編時にもある程度書かれておりますし、それからこの間の官から民、それから中央から地方、それから内閣主導という流れが相当はっきりしていますので、恐らくその中でしか改革も行われないということですので、それほどその基本法の個別具体的な中身に入らなくても、ある程度その閣議決定文書で中身は分かるのではないかというふうには思います。
#73
○参考人(丸山建藏君) 先生おっしゃるように、基本法が先で、その枠組みをつくって進めるというのが一番いいと私も思っております。
 この問題は、経済財政諮問会議に渡辺大臣がポンチ絵で示された図がございまして、非常に分かりやすいことだと思っておりますが、あのことをもう少しやっぱり具体化して体系的に整備をすること、本来、この法律を通すに当たってそのことをやっぱりしっかりと国民に約束をすると、そういうことがなければ、部分的なものだけが先というのは私は腑に落ちないというふうに思っておりまして、とりわけ、それは能力・実績をやるとすれば労使関係制度を見直していただきたいということを主張しているところでございます。
#74
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
 その次にお聞きしたいのは、公務員の試験の場合、T種、U種、V種という格好で採用試験をやっておるわけですね。今度の場合は、そういった採用試験の種類によって後は区別しないんだと書いてあるけれども、実際には、T種の人はキャリアですね、いわゆるキャリアについての扱いは変わらないだろうと思うし、これからも変わらないと思うし、おかしいと思うんですが。
 本当は、T種、U種、V種なんて言わないで、せめて民間でやっているように学歴別の採用試験ぐらいでやって、後は局長になるところの職員を教育するためには課長クラスのときに試験して選んでいくという格好でやっていくという、そういうことをやればいいと思うんですけれども、なかなかそうはいかないと。その背景にはどうしてもキャリアの人の早期退職勧奨制度があるというのが一番大きな問題で、この制度をやめてしまうと言えば一番いいことだと思うんですけれども、そこは何も書いていないんで、そのためにいろいろとセンターつくったり監視委員会つくったりということをつくっているんだけど、これはどうも首尾が一貫していないような気がしてしようがないんですけれども、このキャリア制度について、やめることについてはどのようにお考えでしょうか。四人の方にお聞きしたいと思います。
#75
○参考人(加藤丈夫君) 今お話しのように、キャリアシステムの見直しについての検討は必要だと思いますが、今、私どもの間で議論をしていますのは、これからの国際間のいろいろな交渉、協議事項がますますシビアになってくる。日本が取り組まなきゃならない難題というのがこれからたくさん出てくる。そのとき、本当に国益を代表して外国の、あえて手ごわいといいましょうか、交渉相手と闘ってきちっと国益を守り切ってくれる人、これは政治家の皆さんでもありますし、特に優れた官僚に期待するところが非常に大きい。今、T種、U種、V種という制度を機械的に整理をして単に区別をなくすということでそのことが本当に守れるんだろうかと。
 先ほど来、本当に優秀な人たちが公務員を志望して、そういう国益を代表するような人材に育っていってほしい、そのことは一つ踏み外せない大事な問題だというふうに思っています。
#76
○参考人(新藤宗幸君) 先ほどの冒頭でも申し上げましたが、現行の試験区分というのは戦前期官吏制度の高等文官、普通文官、さらにはその下の属だ、雇だと言っていた、この身分関係を実質上引き継いでいるというふうに思えるわけです。
 私は、現代的な社会において、正に現実問題として、昇進可能性を入口でもう、あなたは事務次官になれるかもしれない、しかしあなたはせいぜい地方局の課長まで行けばいい方よという、こういうばかばかしい制度を初めから設定していたのでは、優秀な人材もあるいは国のために働こうという人材もますます出てこなくなるだろうというふうに思っております。ですから、学歴区分で試験をし、一定年限のところで管理職として登用する試験を行うと、こういうことが必要になってくるんだろうと。
 それからもう一つは、例えばイギリスでいえば、今のイギリス労働党というか与党が官僚機構の中に占めているポストというのは大体百五十ぐらいございます。ですから、議席三百としても半数以上がそれぞれの官庁の中に入っているわけですね。そういう場合に、エキスパートの補佐官といいますか専門職をそれぞれ雇っていけばいろんな問題が政治的な責任の所在を明確にして解決し得るわけですから、そうした方向に解決もするべきだと。
 今申し上げたようなことも含めて、だからこそ、先生先ほどおっしゃいましたような、基本法が前置されて、そこから細かいことが考えられるべきで、あっちこっち何かばんそうこう張っているような法律の作り方というのは、私は妥当であるとは思っておりません。
 以上です。
#77
○参考人(中野雅至君) 早期退職勧奨につきましては、定年延長とかスタッフ職制度の整備などによって将来的にはなくなっていくものだと思っています。ただ、短期的にはなかなかなくすことも難しいんだと思います。これ、全面的になくしますと、組織の新陳代謝を阻害して新規採用の抑制につながりますので、今すぐ早期退職勧奨をなくすのは無理だと思います。
 これ、恐らく公務員の管理の枠組みの話になってきまして、現行は組織編成も含めて全部国会事項になっていて、例えばほかの国に比べて省庁再編もやりにくいですし、あるいは定員管理が掛かっておりますので、何人雇えというのは全部決まっておりますので、こういうきつい枠組みがありますと、早期退職をなくしてしまいますとどうしても新規抑制につながらざるを得ない。どうしてもこの早期退職勧奨をやめろという話であれば、管理の枠組みを変えざるを得ないと。
 恐らく今考えられるのは、人件費とかその役所の運営費も含めて総額の経費で全部コントロールしてしまう、国会で例えば厚生労働省幾らというふうに管理して、その中で組織編成からそれから定員の数からすべて各省に任せる、権限移譲してしまう、こういった枠の中でやりますと早期退職勧奨というのもある程度はドラスチックに減ってくる可能性はあるというふうには思います。
 以上でございます。
#78
○参考人(丸山建藏君) T種試験合格者は非常に優秀で私は頑張っていると、こういうふうに思っております。ただ、入口で、入ったときにT種で入って、先ほども話が少しございましたが、新幹線に乗っていく人とV種のように鈍行に乗っていく人と、最初からもう行く先は同じで、それがチームで仕事をしているゆえに非常にキャリアは大丈夫かよと、こういう話が出てくるというのは思っております。
 そこには、年功的に上がっていく、卒年次ごとに扱われていくというルールになっておりまして、端的に言えば後輩には使われないと、こういうことを、いわゆる逆転人事をどうするかという問題に突き当たるわけだと思います。ピラミッド型を変えて円筒形のものにしていくということになれば、この場でも論議があったと思いますけれども、膨大もない人件費が掛かるじゃないかとか、いろんな弊害が出てくることは事実でして、そういう意味で、それを何でやるかといったら、能力・実績の評価で選別するんだと、こういうふうに言われているわけで、分かりやすいんですけれども、言葉では簡単ですが、これを本当に実行させるには相当の政府内における論議や苦悩がなければ私は実行し得ないんではないかなと、こう思っております。
#79
○亀井郁夫君 今度は実績主義を採用するということが大きな柱になっているわけですけれども、民間企業だと、同じように同期で入っても、一人の人間が社長になってもほかの人間はそれまでに辞めていくということは全然やっていないんだし、そのような実績主義を基にしてやらなきゃ会社は発展しないということなんですから、考えてみたら一緒、同じことなんですね。
 ところが、役所だけは、キャリアだけ、大学時代の成績が良かったというだけで、そのときの、二十二、三歳ぐらいのときの試験だけで、各省庁とも二十二ぐらいで採って、それを特別に育てていくという格好でやると。そのために早く、同期の下の人間を早く辞めさせにゃいかぬと、一人の人間を次官にするために。せいぜい二年ですよね、次官も。そうすると毎年出るわけじゃなくって、そうすると、早く辞めさせにゃいかぬという形で早期退職勧告やると。早期退職の勧奨やろうと思えば、権利が付いていろいろと悪いことにつながってくるということなんですから、そこさえ割り切ってしまえば、何もかも民間と同じようにそこだけやってくれれば簡単なことなんですね。やる気になりゃできるんです。
 民間だって、戦前は今の役所と同じようなやり方だったのが、戦後、私自身民間おりましたから知っていますけれども、三十数年前からもうずうっとそういうことを努力しながらやってきているということでありますから、同じ苦労をすればいいと思うんですね。
 そういう意味で、能力主義について今のやり方では、本当に形だけ能力主義をやってキャリアだけは生かしていくというんじゃ何にもならないと思うんですけれども、この実績主義の採用についてどのようにお考えですか。
#80
○委員長(藤原正司君) どの参考人にお尋ねですか。
#81
○亀井郁夫君 四人に。
#82
○参考人(加藤丈夫君) 今御指摘のように、能力主義、実績主義というのが、公務員の場合、民間企業とは違った物差しで行われなければならないということは当然だと思いますし、そういう面での新しいルール作りが必要だと思いますが、非常に大切だと思っていますのは、私は、例えば若手の公務員、これはT種でもU種でもいいんですが、自分がどうやって、どういうふうに頑張ればどんな道筋で昇進していくのかということが実は本人にも分からないのではないか。これからの能力主義、実績主義というのは、そういう道筋、こういうふうにやればこういうふうになるんだという、少なくとも道筋が示されるような能力主義、実績主義であるべきではないかと。そのことが、先ほど来問題になっているモラルの問題、全体としての公務員制度の活性化につながるんではないかと、そういうふうに思っております。
#83
○参考人(新藤宗幸君) 公務員の世界であろうが、民間であろうが、私ども大学の教員の世界であろうが、能力主義を前提にして組み立てていくというのは当然の話だと、そう思います。
 ただ、問題は、我々の世界ですらある昇格人事をするときに本当にその論文がそれに値するかどうかというのはなかなか評価するのは難しいのですが、まして公務員の世界における評価基準というものをどう設定するのか、その評価基準の設定に少なくとも客観性をどう持たせるのかということを考えるべきではないかというふうに思っております。
 それから、入口の話を再度申し上げれば、今のT種、U種、V種と、あれは別に能力主義じゃないですね。教えている側から見ると、もう本当にかつてのような意味での話で、意欲とかそういうことではない。だから、それをもっと取り入れた採用、そういう意味の、能力という言葉は適切かどうか分かりませんが、そういう試験制度に切り替えるべきだと、そう思っています。
#84
○参考人(中野雅至君) まず、一点目でございますが、せっかく制度を入れたわけでございますから制度どおり運用する、これが一番大切だと思います。公務員制度の場合、えてして運用ベースですべて変わってしまうということが非常に多いものですから、そこはしっかり運用させるべきだというふうに思います。
 それから、二つ目でございますが、OECDの調査などでも、公務員の場合、成果主義を入れましても、余り厳格な成果主義を入れても機能しないと。大体真ん中にいる九割ぐらいは、試験任用で入ってきている、それほど差はないと、能力に。ですので、差を付けるべきことがあるとすると、上五%と下五%を厳格に評価する。これが一番重要だということで、上五と下五というのを余り定量的指標にこだわらず、定性的にちゃんと議論して選別すべきだというふうに思います。
 それから三点目でございますが、やっぱり成果主義を入れる場合には、一番最初は幹部公務員に入れるべきだと。人的資源と予算権限を持っている局長級クラスから成果主義をちゃんと入れていかないと、末端の公務員というのはなかなか、成果主義と言われましても、何をもってして成果と言うのか、何をもってして能力と言うのかと。これ恐らく能力評価というのはなかなかできないと思いますので、まず分かりやすい幹部公務員からしっかりやっていく、これが一番重要だと思います。
 以上でございます。
#85
○参考人(丸山建藏君) 能力・実績主義は必要だというふうに思います。そのためにはやっぱり条件整備が必要だというふうに私は主張しております。
 なぜ現行制度の下でも、いわゆるメリットシステムでも機能しなかったのかと、こう考えますと、一つは、給与の流れで言えば、職務職階と任用のところの基準が明確にならないまま進んできた。そういう意味で、給与・人事システムを明確につくり直さなければならないというのが一つ。
 それからもう一つは、勤務評定があったわけですけれども、これが機能しなかった要因はいろいろありますけれども、そういう、恣意的であったり、あるいは評価をどういうふうに使うかというのも定かでなかったり、いろんな問題があった中での評価システムですから、新しい時代に見合う評価システムを二つ目につくらなければならない。
 そういう上に立って、それを動かすのは人でございますので、評価される者とする者との関係、端的に言えば労使関係を改めて改革していくという、少なくともこの三つが能力・実績を入れる条件整備として最低必要だというふうに思っております。
#86
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
 民間の場合はやはり苦労しながらいろいろやってきているわけですね。だから、役所だけできないことはないんだから、これを参考にしてやっていくべきだと私は思いますけれども、今度人事院から外して内閣府に官民交流センターをつくり、更には監視委員会をつくるというような格好で新しくつくるわけですね。
 今ある人事院でも、既に経団連を通じて採用、募集があればあっせんするという格好で今六十人ぐらいは行っていますけれども、総理府のやつは一人だったですけれども、わずかなことでございますけれども、しかし、そういう機関があるんですから、なぜ人事院ではまずいのかということをもう一回考えてやるべきであって、むしろ新しく内閣府につくって官僚の組織を増やすよりは、さっきハローワークの話が出ましたけれども、別に役人だからって特別な扱いはせぬでもいいんじゃないかと思いますけれども、せめて人事院ぐらいでいいんじゃないかと思うんですけれども、別につくることについてはどうお考えですか。四人の方にお尋ねしたいと思います。
#87
○参考人(加藤丈夫君) 先ほども申しましたように、許認可権限を持った各省庁とのかかわりをいったん切った人材あっせんという場が大切だと思いますし、そのためには、これは人事院が機能しなかったと言うつもりはありませんけれども、従来よりも権限を強く持った組織ということが恐らく求められてこういう組織の案になったんだろうというふうに思います。
 ですから、今社会的に問題になっているいろんな不祥事その他をきちっと断ち切るという面で、あっせんの機能についても監視機能についても従来以上の権限を持てる機能ということで、今回の案については私はいいんではないかなというふうに思っています。
#88
○参考人(新藤宗幸君) 従来の人事院の事前規制というのは、長いこといわゆる営利企業に再就職する場合の事前審査、承認であって、特殊法人、独立行政法人等への役員として再就職することは野方図で行われてきたわけですね。ですから、千人近く毎年退職するとして、人事院審査に掛けられているのがその一割いるかいないかという実態が続いてきた。
 今度これを、すべて人材センターに一元化しようと。発想はそれはそれなりに全く理解できないことはないのですが、何度か繰り返し申し上げましたけれども、一体、その求人情報はそのセンターはどうやって集めるのかということですよね。直接のあっせんがどうも世上の批判を浴びている、それをやればやるほどスキャンダルを生み出しがちである、だったらもう一つ何か首相の下に機関つくればいいんではないかと、そうしたらその批判も和らぐだろうかという、そういう私は印象を受けてしようがないんです。ですから、現に営利企業への再就職の審査を人事院はやってきたわけですから、これを拡大しろというふうに申し上げたい。
 それから、別にこれは再就職を制限する話では決してなくて、私は、六十五歳まで、まあまた六十五まで延長したらまた年金が今度七十だという話になっても困るんですけれども、六十五まで定年延長していいと思っていますよ。ただし、そのときは、公務員の世界だけやらないで民間にもきちんとそのことを守らせるという、そういうことと一緒にやらないとまた官民格差という批判になりますけれども、それでいいと思うんです。
 そして、何でもかんでも官の縮小だとか政府の領域の縮小だ、小さい政府がいいかのように言うけれども、決してそんなことはない。少なくとも、人の命に敏感にかかわる部分についてちゃんとやりなさいと。そういうことの守備範囲論との兼ね合いで、別に何でもかんでも小さくすればいいというわけではありませんから、極端なことを言えば六十五歳までの定年延長を認めてもいいと思っています。
 以上です。
#89
○参考人(中野雅至君) 今回の再就職につきましては、人事院から移したというよりも基本的には各省から内閣府に持っていったというふうなことですので、これは大きな改革だと私は思います。今までほとんど各省の予算と権限を盾に再就職してきたものですから、これを人事院でも若しくは内閣府でも違うところに移したというのはそれなりの大きな意義があります。
 分かりにくいのは、とにかく官民人材交流センターの詳細設計ができていないということ、それから、実際にまだ結果が出ていないので今の時点では何とも申し上げようがないのですが、基本的には透明な制度設計にして、それで結果が出たときに、役所と全く関連のない、関連省庁とは全く関連ないようなところに行って活躍する人も出てくれば、これは何年後かに画期的な改革であったというふうに見直されることもあるというふうに考えております。
#90
○参考人(丸山建藏君) 政府に権限を移す、こういうことになるわけですから、先ほども申し上げましたように、政府自身が本当にいわゆる利益誘導型にならないかということを考えるときに、各省が本当にそれを受けてやれるかというところが私は最大の問題だと、こういうふうに思っております。
#91
○亀井郁夫君 最後になりましたけれども、あと四分ばかり時間がありますから四人の方にまたお尋ねしたいんですが、こういう法案が提案されていますけれども、これについては賛否両論いろいろあるようでございますけれども、それぞれの立場から、これはこの法案についてどういう点を希望するというような点があれば、希望する点ないのか、何か希望する点があれば、こういう点について考えてほしいということを言っていただけませんでしょうか。四人の方にお願いします。
#92
○参考人(加藤丈夫君) 実行に当たってこういうことを考えていただきたいということは一杯あるんですけれども、私は、先ほども申しましたように、公務員制度の改革大綱以来いろいろなところでの提案がなされ、提唱がなされてきて、どうも言われている割に実行が伴わないで随分来てしまった。今回のことについては是非先送りせずに、ひとつ改革の第一歩として実行に着手していただきたいというふうに思っています。
#93
○参考人(新藤宗幸君) 先ほども冒頭で申し上げましたが、今回の法案から、いわゆる現行公務員法の二十九条並びに国家公務員の職階制に関する法律が削除ないし廃止ということがいつの間に、どれほどの深みを持った議論の下にこれが法案に書かれたのかよく分かりませんが、これは逆に削除するべきであると、そういうふうに思っております。
 それから、官民交流センターにつきましては、もはや繰り返し申し上げませんけれども、そうではない、私は実効性に甚だ疑問を持っておりますので、むしろ今の人事院の事前審査を強化するという形で社会のいろんな不信の目をぬぐうべきではないか、そういうふうに思っております。
#94
○参考人(中野雅至君) 今回の改正案の中では、能力等級とか、それから各省管理から内閣管理の一元化など、これまでなかなかできなかったことが入っているものですから、早期に成立させて、とにかく次の包括的な法案に早く議論を移してほしいというのが一点でございます。恐らくその包括的な法案の方が、労働三権の問題と人事院の在り方ですとか、あるいは内閣主導と公務員の中立性の問題でありますとか、なかなか専門的で難しい話が一杯あるものですから、そういったところに一刻も早く軸足を移して、基本的なグランドデザインを描いてほしいというふうに考えております。
 以上でございます。
#95
○参考人(丸山建藏君) 公務員バッシングが厳しい中で、公務員が働きがいのある仕事と職場、そういうものになるように、この改革を皮切りに構造的、抜本的な改革につなげていただきたいと。二つ目は、公務員労働法制を、国際化時代でございますので、ILO勧告がございますし、国際基準、ILO基準に沿って整備をしていただきたいと。この二つだけを要請しておきたいと思います。
#96
○亀井郁夫君 以上で終わります。ありがとうございました。
#97
○委員長(藤原正司君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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