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2007/04/26 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 法務委員会 第9号
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2007/04/26 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 法務委員会 第9号

#1
第166回国会 法務委員会 第9号
平成十九年四月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     関谷 勝嗣君
     尾立 源幸君     前川 清成君
     渕上 貞雄君     近藤 正道君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     仁比 聡平君     吉川 春子君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     松下 新平君
     吉川 春子君     仁比 聡平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山下 栄一君
    理 事
                岡田  広君
                松村 龍二君
                簗瀬  進君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                谷川 秀善君
                江田 五月君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                松下 新平君
                浜四津敏子君
                仁比 聡平君
                吉川 春子君
                近藤 正道君
   国務大臣
       法務大臣     長勢 甚遠君
   副大臣
       法務副大臣    水野 賢一君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  奥野 信亮君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、渕上貞雄君、尾立源幸君、愛知治郎君及び仁比聡平君が委員を辞任され、その補欠として近藤正道君、前川清成君、関谷勝嗣君及び吉川春子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 戸籍法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長寺田逸郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山下栄一君) 戸籍法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○松岡徹君 おはようございます。
 民主党が一番バッターでやるのは初めてじゃないかと思うんですが、いろいろと自民党の皆さんに、何か配慮があったそうでございますが、一番バッターということで、戸籍法の一部改正の法律案に対しまして御質問をさしていただきたいと思います。
 私たち自身は、この戸籍法改正について、この改正の動機が、不正請求だとかあるいは不当な目的に使われている事案が多くなって、そして今回の改正に至る背景にもなっているということは私も知っております。それで、今回の改正は、この間、昭和五十一年、前回一部改正ありましたけれども、そのときも実は、不正請求や不正使用という事案が増えてきたと、それに対応するというのが理由でもございました。そして、今回もまた、不正請求や不当な目的による事案が続発しているということに対する対応策として今回の改正案が提案されたというふうに思っています。
 したがって、まず、なぜこの不正請求や不正使用、不当な目的に使われるような事案が起きるのかということであります。それで、まずは不正請求ですね、この背景になった実態はどうなっているのか、昭和五十一年改正時から見れば効果があったのかというふうに思うんですが、いずれにしても、不正の実態というものがまずはどんな実態であるのかということを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(長勢甚遠君) 戸籍法の改正の経過は今先生お話しのとおりだと思います。
 戸籍謄本等の不正請求というのは、他人が戸籍に記載された者本人であると偽って請求をするとか、請求権者でないのに請求の理由を偽って請求権者であるかのように装って請求をしたり、あるいは不当な使用目的を隠して正当な使用目的であるかのように装って請求するというような場合などが考えられるわけであります。また、そういう不正使用ということになりますと、例えば、不正請求によって取得した戸籍謄本等により身元調査を行うとか、あるいは金銭的な利益を得る目的で、不正請求により取得した戸籍謄本等を興信所や探偵社などに売り渡すというような行為などがこれに当たるものと考えております。
 このような不正請求、不正使用に関する実態については、すべて網羅、把握できるわけではございませんが、現行法上は戸籍謄本等の職務上の交付請求に当たるということで理由の記載を要しない、そういう行政書士等の資格者の方々が、職務上必要でないのに職務上請求用紙を用いて不正請求を行うという事件が相当相次いで起きておるというふうな実態にあるというふうに理解をしております。
#8
○松岡徹君 今大臣がおっしゃられました不正請求あるいは成り済ましという事件がありました。
 私は実は、昨年の他の委員会ですが、当時の杉浦大臣に対して、今、長勢大臣がおっしゃっておられました一つの事件についての対応、私、その見解なり取組をただしたところでありますが、それについて長勢大臣にも改めて見解といいますか考え方を、当然引継ぎはされておられるという前提で改めてお聞きしたいと思うんですね。
 今から二年半ほど前でありますから、二〇〇四年の十二月に事件が発覚しました。御存じだと思いますが、兵庫の方の行政書士が、その職務上権限を利用してその目的以外の不当な目的によって戸籍謄抄本を入手すると、それを興信所、探偵社に一通二千五百円から三千円で売り渡していたという事件が起きました。あるいは、その当時の同じく兵庫の行政書士ですが、職務上請求用紙というのがございます、その百枚束になったものを、これを六万円で興信所に売り渡していた。その興信所は、その行政書士に成り済まして他人の戸籍謄抄本を入手していた、こういう事件が起きました。
 私は、そのときに、その事件、私自身は、なぜこのような身元調査のようなことをするのか。他人の戸籍謄抄本を本人の承諾なしに、しかも立場を利用して商いする。一通三千円で売るということは商売にする。買った人間は、全くそういう不正な行為と分かりながら行政書士に依頼して買うわけですから、正当な、真っ当な目的ではないということが想像できるんですね。
 私は、この事件の背景には、戸籍による身元調査ということが考えられるということを申し上げてきました。私自身は被差別部落の生まれでございますので、私たち自身は、差別の大きな原因として、その出自を明らかにし、社会的に差別を受けていく。結婚や就職やその他の場合によって差別を受けるということが、そういう形で不利益を被るという事件は今も後を絶たないんです。そういった差別の道具の一つとしてそういうふうに利用されていくということがあります。
 本来、戸籍というものは何なのかということを、そもそも論というのがあるわけですが、壬申戸籍からずっと始まりまして、私たち自身は、その前身であります水平社の時代から、壬申戸籍そのものが極めて差別的な戸籍のありようであったということで改正等をずっと求める運動をしてまいりました。その間にも様々あるんですが、私も知っている限りでは、戦後になって民主的な戸籍法にスタートしたにもかかわらず、それぞれの全国の市町村が保管している戸籍のところに、部落の人たちのところには新平民というふうに書いていたり、旧えたというふうに記して戸籍を保管していた。あるいは、部落の人たちに赤丸を付けてやっていたというのがずっと残っています。民間のレベルでは、それぞれの末寺、お寺に、それぞれのお寺の中の檀家さんとかいう、そういう名簿があります。そこにもそういうような記載がされているところが近年までございました。
 そういう意味では、戸籍というものは一体何のために要るのかと。すなわち、公証制度であるんですが、それが差別をする道具に使われてしまっているというところはやっぱり大きな欠陥であるというふうに思っておりまして、私たち自身は、その民主的な改正、人権を守るという立場で改正を求めてきました。その流れを受けて昭和五十一年に一つは改正をされているんですね。
 そのときの、当時の民事局長の発言もそうでありますが、昭和五十一年に改正されたときに、戸籍謄抄本記載事項証明書の交付を請求する場合には、請求事由を明らかにしなければならず、それが不当な目的であることが明らかなときには請求を拒むことができることになったと。これは五十一年の改正のときです。
 不当な目的の基準としては、婚外子であることや離婚歴など他人に知られたくないと思われる事項をみだりに探索し又はこれを公表するなどプライバシーの侵害につながるもの、あるいは戸籍の記載事項を手掛かりとして同和地区出身者であるか否かを調査するなど差別行為につながるものなど、戸籍の公開制度の趣旨を逸脱して謄本などを不当に利用する目的を言うと。これ当時の、一九七六年、昭和五十一年十一月五日の民事局長通達なんですね。不当な目的の基準というふうに言っています。
 私は、今回の戸籍法の一部改正する動機となった不当な目的あるいは不正な請求、使用という事案が続発したために、その背景として今回改正するということですから、当然、こういったことが二度と起こらないような改正案になっているのかという視点で是非とも質問をさしていただきたいというふうに思うわけであります。
 そこで、申し上げたように、私はここで、二年半前、二〇〇四年の十二月発覚した行政書士による戸籍の不正入手事件、これは、一人の行政書士が四年間に二千通の大量の戸籍謄抄本を不正にそういうふうに入手して、そして興信所、探偵社に売っていた事件である。あるいは、職務上請求用紙をそのまま束にして、一冊六万円で興信所に売っていた。あるいは、司法書士、弁護士にまでそういった行為があったということがあります。それは兵庫だけではなくて、京都あるいは名古屋あるいは東京、福岡と、全国でそういった事件、事案がこの間増えているんですね。
 昭和五十一年に改正したときのあの目的が十分機能を果たしていなかったということになるんではないかというふうに思うんですけれども、大臣のその辺の認識はいかがですか。
#9
○国務大臣(長勢甚遠君) 五十一年の改正によって、交付請求があった場合に、不当な目的によることが明らかなときは市町村長はこれを拒むことができるという規定を設けたわけでございますが、この改正から約三十年、今たっておるわけであります。その間に、自己のプライバシーにわたる情報を他人に知らせたくないという国民の意識は更に高まったと。また、個人情報の保護が社会的に要請されているという事情にありますし、一方で、今先生おっしゃるように、他人の戸籍謄本等を不正に取得するという事件が続けて発生をし、関係方面からこういうものを見直すべきだという意見が非常に強く出されるに至りました。
 この一つは、やっぱり不当な目的によることが明らかという規定自体が、やや現行法の要件が抽象的なものですから、地域によって扱いが統一されてないというような御指摘もありました。そういうことから、今回、これをきちんとやるようにするためにはどうしたらいいかという観点から今回の改正を提案を申し上げているわけで、今先生御指摘のあったようなことが起きないように、是非この法案を早く整備をしたいと思っております。
#10
○松岡徹君 大臣のその思いはしっかりと受け止めたいと思います。
 残念ながら、こういった事案が、結局、イタチごっこにならないようにしなくてはならない、実のある改正にしていかなくてはならない、そして実のある運用になっていかなくてはならないというふうに思っております。
 もう一つ、そのときに、私は杉浦大臣にも指摘をさしていただきましたが、今回のそういった事件のときに、不正入手した当時の兵庫県関係の行政書士の皆さんは四人ほどおりましたけれども、そのうち、それぞれが行政罰を受けておられます。そして、それなりの社会的制裁を受けておるんですね。そして、その後、行政書士協会は自らの問題として内規をしっかりと厳しく改めたということも聞いております。
 しかし、問題は、職務上の立場を利用して他人の戸籍謄抄本を取って一通三千円で売る、そして職務上請求用紙を他人に転売すると、そして利益を得るという行為は明らかに間違いでありますけれども、それによる行政罰を受けるのは当然であります。しかし、問題は、それを三千円で買ったやつ、そしてその行政書士を唆すとまでは言いませんが、そこに荷担した、要するに、何がこれは問題なのかといえば、行政書士がそういう行為をしたから、自ら守らなくてはならない責務を逸脱した、あるいは不正にそれを利用したということも問題ですけれども、それだけではないと思うんですね。その事件の全容とすれば、すなわち、それを行政書士に依頼した、そして現金を渡して買った興信所、探偵社はどうなるんですか。彼らは何の社会的制裁も受けていませんよ。これは違反ですか、違反じゃないんですか。これは、興信所、探偵社としての探偵業法がこの六月から施行されますけれども、だけど、こういった行為は正しいんですか正しくないんですか。これ、どう思われます。
#11
○国務大臣(長勢甚遠君) 当然、違法な行為だと思います。ただ、現行の戸籍法では、御指摘のように、行政罰である五万円以下の過料の制裁というのが当該請求者一人にしか掛からないということになっておるわけでありますので、今先生御指摘のような事案に対しては厳しくやらなきゃいかぬと思います。
 今回の改正では、制裁は、過料から三十万円以下の罰金ということにいたしました。こういうふうに刑罰化をいたしましたので、当然この刑法総則が適用されることになりますので、事案にはよりますけれども、この戸籍謄本等の不正取得を依頼をしたという者に対しても、これ、いろんな要件が整えば、あればということでございますけれども、そういう場合には共犯者として処罰するということも今回の改正により可能になるものと考えております。
#12
○松岡徹君 今回の改正で、刑罰化するという一歩踏み込んだ罰則規定になっていますので、私もあのとき言ったんですが、今回のこの事件について、何が問題なのか。単なる行政書士がその職権を逸脱したということだけではなくて、全体像を見れば、興信所、探偵社の行為はどうなのかということはやっぱりしっかりとたださなくてはならない。そのことは、私からすれば、そのことが、こういった行為によって不当な部落差別やそういった人権侵害が起きないようにしなくてはならない。そこにつながらなあかぬのですね。
 この事件の一番の被害者はだれなのか。これ、大臣、だれだと思われます、この全体の事件のですね。これは、加害者というか違反をしたのは行政書士であるし、興信所、探偵社ですけれども、この事件の、問題である事件の問題を被る人はだれだと思います。
#13
○国務大臣(長勢甚遠君) 個別の問題ではございますが、一般的に申し上げて、不正に取った人、それから金で取得した人、その取得した人が何らかの形で利用したとすれば、その利用によって、利用の対象になった方で被害を受けられる方が生ずるということはあってはならないことだと思います。
#14
○松岡徹君 そうだと思うんですよ。その一つ一つがどういう被害なのかというのは分かりませんが、いずれにしても、そういうことが考えられるんですね。
 私はこのときにもう一つ、これを利用していた、この行政書士に依頼していた興信所、探偵社の人たちと話しすることができました、直接。その中で、興信所の中に、これとは別に、部落地名総鑑というものが発覚した、所在していたと。私は杉浦大臣にその現物を示しまして、今なおあると。三十六年前に発覚したあの事件、そして法務省がその後終結宣言出したんではないのかと言ったら、杉浦大臣は、あれは終結宣言ではありませんと、引き続き、そういったことが起きれば全力を挙げて取り組みたいということをおっしゃっていただきました。
 その後、昨年は地名総鑑が、全国の部落の所在地を記入した地名総鑑がフロッピー化している、電子化されているというものまで発覚しました。今なおその出自、身元調査をするという日本社会の問題点というものはやっぱり総合的に正していかなくてはならないと思うんですが、しかしそういった行為のやっぱり一つにこの事件はなっていくんではないか。それによって被害を受ける人たちをどういうふうに救うていくのか、守るのかということはやっぱり考えていってほしい観点だというふうに思いますので、それは是非とも大臣に要望をしておきたいというふうに思っております。そういう意味で、私は、そこにまでそういった被害がこれ以上被らないような今回の改正になるべきだというふうに思っております。
 そこで、公証制度としての戸籍法というものがあります。今回の改正で、原則公開を非公開にするというふうにおっしゃいました。この原則公開を非公開にするという理由というものを改めてちょっとお聞かせいただきたい。
#15
○国務大臣(長勢甚遠君) 戸籍の公開制度は、社会生活においてそれぞれの国民の親族的身分関係の証明を必要とする場合には、広く国民の利用に供されることが望ましいというふうに考えられたことから、明治三十一年の旧戸籍法によって創設された制度でありまして、基本的に現行の戸籍法にもこの公開制度という考え方は受け継がれてきておるわけであります。
 ただ、戸籍の記載には、例えば離婚歴など他人に知られたくないと思われる事項も含まれておることから、先ほど来お話がありますように、国民のプライバシー保護のための必要な措置として、昭和五十一年の戸籍法の一部改正によって、戸籍簿及び除籍簿の閲覧制度が廃止されるとともに、市町村長は、戸籍謄本等の交付請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができるということになったわけであります。
 しかし、先ほども御説明いたしましたように、この不当な目的によることが明らかという現行法の要件が抽象的でありますし、地域によって取扱いが統一されていないということもあり、いろんな事件、これを不当に使うという事件も起きました。そこで、今回、個人情報をより適切に保護する観点から、戸籍謄本等の交付請求をすることができる場合を明確にする等の見直しを行う、それとともに、その交付請求の際に、交付請求者の本人確認を行うこと、不正請求行為に対する制裁を強化すること等により、不正な請求を防止する措置を講ずることとしたものでございます。
 ただ、今回の改正案においても、現行法の何人でも戸籍謄本の交付請求ができるという原則の下における戸籍の公開制度を制限する方向で見直すものではありますけれども、その公証機能の役割から、戸籍に記載された情報の第三者による利用を認めるべき場合もあることは当然であります。この点、今回の改正案の下でも、権利行使のために必要な場合など正当な理由がある場合には引き続き第三者請求も認められる扱いでありますので、戸籍の公証機能というものが害されることはないというふうに認識をしておる次第でございます。
#16
○松岡徹君 私は素直に、この戸籍制度といいますか、世界に余り類例のない制度なんで、これが戦前の明治のときから、そして大正、そして昭和に入って幾つか改正されていくんですね。昔のような親族というか、族、氏というものを中心としたもので、そしてその当時は公開ではなくて非公開というのが原則でしたけれども、それが戦後になって公開と。すなわち、公証制度としての性格を戦後になって強めていったと思うんですね。
 ところが、その公証制度の公証制度というそのもの自身の意味は、一体何をだれに証明するのか、そしてその意味はどういう意味を持っているのかということを、やっぱりその辺の観点が欠けると、これは原則公開から非公開、私は、素人の立場からすれば、公証制度というのは、私は日本人で、どこどこに住んで、生まれて、だれだれ、名前は松岡徹ですということを社会の中で認知する、そのことが自分にとっては極めて幸せなことですし、自分のこれからの生活にとっても大事なことです。すなわち、社会秩序としてのルールというものを保っていくための公証制度という側面があるんですね。
 これは、一方で、この公証制度があるというのは、それはその個人の生活や利益につながっていくというものでなくてはならないというふうに思うんです。ですから、そういうことからすると、原則非公開にするというのは私はおかしいと思うんですね。私は日本人、どこに住んでいて、だれだれ、名前は何々ですということ自身は、これは何も隠すことでも何でもないんですね。すなわち、そのことによって社会の秩序が維持されていく機能として存在を承知する、あるいはそのことが個人の利益となって返ってくる、これは正に原則公開という意味の根本だと思うんですが、そういうことからすると、非公開、すなわち知られたくないという気持ちという、極めて対症療法にしか映らないんですね。公証制度というのは本来そうあるべきです。私は、私はどこどこの生まれで何々出身だということを知れたとしても問題はないんです。ただ、それを知ることによって社会が排除するということがあってはならない。おまえは障害を持つからという、あるいは私は部落出身だからといって排除するということがあってはならないんです。私はどこの生まれで何であってもいいわけです。それが公証制度であるはずなんですね。
 そういう意味では、私は、原則非公開にするというのはどうもむしろ見えなくしていくということにつながるのではないかというふうに思うんですけれども、大臣はどう思われます。
#17
○国務大臣(長勢甚遠君) 戸籍制度を設けておる、我が国が置いておる意義というものはおっしゃるとおりだろうと思います。そういう意味で、公開がされて、そのことが自然に受け入れられている社会が一番いい社会であるということはおっしゃるとおりだろうと思います。
 ただ、現実に起きておることは、先生のおっしゃっておる問題だけでなくて、取引上の悪用とかいろんなことも現実には起きておるわけで、こういう弊害はやっぱり取り除く必要があるという趣旨で今回改正をしておるわけでございまして、先生のおっしゃっておること以外の問題も実際には起きておるということも認識をしながら、公証制度の原則は維持をしつつ、より良い戸籍制度を維持をしていかなきゃならないというふうに考えております。
#18
○松岡徹君 全く同感であります。だからこそ、その問題に対処するために、その管理とか運営とか運用というものはしっかりとそういう視点で、個人の利益をも守るというような視点でそういう運用というものもしっかり整備していくということが大事だと思うんですね。
 そうすると、私は、このときの戸籍に載っている情報、この戸籍というのは一人一人の国民の個人情報ですね。この情報はだれの情報なんでしょう。
#19
○国務大臣(長勢甚遠君) 戸籍に記載されている情報はだれのものかという御質問でございますが、戸籍には戸籍に記載されている者の親族的身分関係に係る情報が登録されておるわけでありまして、その情報自体は戸籍に記載されておる者の個人情報の性質を有するものであります。しかし、戸籍はそのような親族的身分関係に関する情報を登録、公証するものでありまして、社会生活においてそのような親族的身分関係の証明を必要とする場合には広く国民の利用に供するということが基本でありますから、このように戸籍に登録されている情報というのは、個人情報ではありますけれども、その情報が社会生活上必要な場合には適切に国民の利用に供することができるように、これを行政が収集をし管理をしておる、そういう性格のものであって、極めて我が国の国民生活上貴重なもの、またその整備というのは十分な意義のあるものというふうに考えております。
#20
○松岡徹君 そこで、そうすると、これを管理するのは、正に国、行政が管理しているんですね。当然のように管理責任がありますし、そしてそれを交付する場合のルールというものをつくるわけですから。
 それで、管理者としての立場で幾つかお聞きしたいんですが、例えば今回の改正で交付請求要件というものが厳しくなりました。要するに、交付する場合、管理者としての行政が請求者から請求が来た場合どのように交付するのかと。すなわち、その請求が正しいのか正しくないのかというのを、その要件を厳しくしたということでありますが、そのときに、例えば本人、今回のやつは本人とか配偶者の場合はフリーパスになっていますね。これは、例えば郵送の場合もありますが、あるいは代理人で、本人の代理人となってやる場合もありますが、例えば代理人の場合は委任状とか、あるいは郵送の場合はどうなるのかというのがありますが、この場合、本人であるということを確かめる手だてというのはどういうようにしているんですか。
#21
○国務大臣(長勢甚遠君) 民事局長から答弁させてよろしいですか。
#22
○政府参考人(寺田逸郎君) この本人の確認をどうするかということでございますけれども、出頭される場合は、確かにおっしゃられますように免許証等で御本人の同一性というものを判断するわけでございますけれども、郵送の場合には必ずしもそういう手だてがございません。これをどうするかは法律レベルでなくて省令レベルでまたいずれ決めさせていただきたい、あるいは通達のレベルにまで落ちる事項もあるかとも思いますけれども。
 例えば、住民票の住所あてに返送するというようなことを相手方が求めておられる場合に、これも一つの本人確認の手段になり得るわけでございますので、必ずしも免許証の写しを同封させるというような、出頭する場合と同じような手だてに限定して要求するかということについてはもう少し幅広く考えてまいりたいと。これは、現実的にはそうならざるを得ないんではないかと。いろいろな御不便との兼ね合いで決めさせていただきたいと思っております。
#23
○松岡徹君 要するに、今回の改正でもまだちょっと心配なところがあります。例えば本人確認する場合ですね。本人が直接窓口に来れば確認できますけれども、郵送とか代理人の場合どうするのかという心配がありますが。
 ただ、そのときでも、本人が来た場合でもフリーパスというのはいかがなものかと思うんですね。例えば、後でも申し上げますが、その請求理由が、今はもう大分少なくなったとは思いますが、それぞれの親族を、交換し合う、まあ言うたら昔の釣書交換とかいうのがあります。こういったことでするのがいいのかどうか。そういう意味では、先ほど言ったようにこの情報自身は個人の情報ですから、たとえ家族であっても、別に自分のお姉さんが結婚するからといって自分がとかいうのも、そこまでやっていいのかどうかというのがあります。そういう意味では、是非ともこれも検討する課題として入れておいていただきたいなというふうに思うんです。
 特に、本人以外でいえば、例えば公用請求があります。公用請求の場合も請求要件が厳しくなりましたから。ただ、心配なのは、先ほども言いましたが、二年半前に起きた行政書士の問題がありますが、その三年ほど前に大阪で現職の警察官が、刑事が、生野警察署という公用を使って戸籍謄抄本、他人の戸籍謄抄本を取ったと。それを結局、興信所、探偵社に流したと。
 このきっかけは、実は、その女性が、我々知るところとなりまして、身元を調べられているみたいだということで聞いたんですね。そうすると、その彼女が住んでいる当該区役所に問い合わせてみると、彼女の戸籍謄抄本が取られていた。その取った相手は、その当時の生野警察という、大阪市内にある生野警察署の公用であったと。で、請求理由は捜査のためと書いてあった。当該の大阪市は、すぐに生野警察に問い合わせして、この捜査とはどういうことですかというふうに聞けば、調べると言った三日後に刑事が逮捕されたと。そのことは新聞にも載りました。
 それをずっと聞いていくと、彼がなぜ彼女の戸籍謄抄本を取ったのか、全く知らないのになぜ取ったのか。それは、自分の知り合いである人間から頼まれたと。それは興信所、探偵社につながっている人たちでした。なぜその興信所は取ったのかといえば、彼女の身元調査をしてくれという依頼があったと。
 実は、彼女はその年の秋に結婚する予定でした。そのために春に釣書交換したんですね。そして、釣書交換した彼女のお兄さんの連れ合いさんの出身地が被差別部落の所在地であったというので、相手がその釣書交換によって身元調べをした。結局、この結婚は破談になったんです。彼女は自殺未遂までしました。もし死んでいれば。この刑事は、結局、有印公文書偽造同行使で逮捕されて懲戒免職になりました。しかし、興信所、探偵社は何のおとがめもありません。これ、一番の被害者は彼女なんですね。結局、破談になってしまったということがありました。その手記も彼女は本に書いていますけれども。
 こういったことが起きる、すなわち、公用の場合ですね、職員が公用で戸籍謄抄本を取得する場合、厳しくなりましたけれども、偽るということはチェックできるんですか。
#24
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、今回の十条の二の二項で公用請求の要件が記載されておりますけれども、請求の任に当たる権限を有する職員が、その官職と事務の種類、それからどういう法律に基づいてこれを行うか、戸籍の記載の利用の目的を明らかにするということで、従来、抽象的な規定になっておりましたけれども、この利用目的等を明らかにするということになりますと相当の制約になるというように考えているところでございます。
 なお、これにつきましては、今おっしゃいましたとおり刑罰法規の適用もございますし、当然のことながら、今おっしゃいました有印公文書偽造等のほかに公務員の職権濫用等の規定も適用になるわけでございますので、そういう事後的なチェックも併せてあるわけでございます。
#25
○松岡徹君 やっぱり今回の改正でもなかなかそういうところまでチェックできるかどうかというのは分からない。要するに、こうやって有印公文書を偽造するのは確信犯ですよ。でしょう。ですから、分からないようにしようとするんですから、それをやっぱり未然に防ぐというのがこれ大事な視点だと思うんですね。だから、公用の場合もこういった抜け道がないように是非とも検討をいただきたいというふうに思います。
 これは同じく士業のところにも行くわけですが、この間の戸籍謄抄本の士業による取得の状況というのを見ました。その中で、今回も士業の皆さんに、いろいろとございますが、特に十条の二のところで、請求する場合に請求要件が規定されています。今までにないことでありますから厳しくなります。しかし、士業についてはそれ以外の場合、請求することができるんですね。例えば利用の目的を明らかにするだけで士業の場合は取れるということがあります。
 特に、それと例えば十条二のところの、この新旧の方で見ましたら、三ページのところの上段にBとあります。第一項の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士、八士業ですね、については、それの職務上の権限を与えているんです。しかし、たとえ職務上の権限であったとしても、前項にある三つの請求要件は必要な場合がありますが、そのときの、Cのところでありますが、第一項及び前項の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士はと、こうなっていますね。ここで抜けているのは海事代理士又は行政書士なんですけれども、この違いは何か、簡単に説明してもらえませんか。
#26
○政府参考人(寺田逸郎君) 一言で申し上げますと、紛争性のある事件を依頼者から受任しているかどうかという違いでございます。
#27
○松岡徹君 そうすると、私は幾つかデータをもらいました。この八士業が職務上の権限で戸籍謄抄本を取得することができるという中で、例えば、海事代理士というのは実際戸籍謄抄本を職務上に取るという例が全くないという場合もあるんですね。わざわざそういった必要のない状態になっているのに、今なお八士業、同等にそういう職務上権限を与えていいんかと、もういいんじゃないの、もう職務上そんな必要なくなっているという、八士業の中にも、方もおるわけですから、それはやっぱり是非とも検討して精査していくべきではないかというふうに思うんですけれども、どうですか。
#28
○政府参考人(寺田逸郎君) この海事代理士の方は、おっしゃいますとおり、ほかの士業に比べてこの戸籍謄抄本の御利用というのは総体としては少ないわけでございます。ただ、仕事の性質上、こういう自分の業務を行うについて、例えば相続関係を調べるような場合が全くないかといえば、それはあるわけなんで、やはりどこで線を引くかは非常に難しい問題でございますけれども、なかなかこの前で線を引くというのは難しいという法律の建前はあることを御理解いただきたいと思います。
#29
○松岡徹君 それも納得のいく説明じゃないんでね。是非、そういうもやっとしたことを言わんと、ちゃんとはっきりさせてほしいと思うんですね。そういう意味では、是非ともそれをはっきりさせるように要望しておきたいというふうに思います。
 時間がございませんので、次に行きたいと思うんですが、その前に、もう一つの要望しておきたいと思いますが、発行するのは、交付するのは行政側でありますから、当然入口のところで正しい請求なのか、そして正しい請求人であるのかということを確認して交付します。しかし、問題は、その交付の実態、例えば、ここは例えば戸籍謄抄本でいい、これは戸籍謄本でいい、これは抄本でいい、あるいは証明書で済むのではないかというものがあるんですね。例えばパスポート。パスポートを取得する場合は戸籍謄抄本又は謄本又は抄本、どっちなんやと。はっきりした方がいいんではないかと。
 すなわち、公証としての証明をする制度の中に、この場合は謄本で十分ですよ、あるいは抄本でいいです、それ以外は要りませんというような、例えば記載証明書で済む場合とがあります。そういったことの実態を是非とも把握していただきたい。特に、これは国や行政の証明だけではなくて、民間レベルでそれが野方図になっているんじゃないかというふうな気がします。是非とも実態を明らかにして、必要でもないものまで取る必要はないんではないか。
 すなわち、公証と言う以上は、何を証明するのかということですから、この場合は謄本で十分です、あるいは抄本で十分ですというようなものを是非とも検討していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
#30
○国務大臣(長勢甚遠君) 戸籍謄本等の交付に当たって、必要な分だけというふうに扱うことをする方がいいのではないかということは法制審議会においてもいろいろ議論があったというふうに承知をいたしております。ただ、具体的なことは必要があれば民事局長から答弁させますが、いろいろ御議論があって、パブリックコメント等も通じて議論をされたようでございますが、結果としてそこまでの改正には今回なっていないというのが今も提案申し上げている内容でございます。
 今後どういう形で議論すればいいか、ちょっと私は申し上げかねますけれども、問題は御提言として受け止めさせていただきたいと思います。
#31
○松岡徹君 是非とも大臣、指示していただいて、やっぱり必要でないものまで証明する必要ないんですから、公証ですから。まずは実態をつかむとかいうことから始まると思いますが、是非ともその辺が整備すべきこれからの課題ではないかと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それで、もう時間がございませんので処罰の問題に行きたいと思うんですが、今回の目玉でありますが、こういった行為を、違法な行為といいますかね、違反をすると処罰規定が強化されました。
 それで、私は言いたいのは、先ほど言ったように、今回の被害者は、こういった不正請求とか不正使用、不当な目的によって行われる事案によって起きる被害というものはだれなのかというのを先ほど大臣に聞きました。その被害は必ずしもすべての人たちが被るとは限りませんが、しかし被害を被るのは個人でありますし、その人がどんな被害を被るのかというのは、私は自らの経験から見ても、そういうのは分かっています。
 そういう意味では、是非ともそこにいかないようにするということ、その被害の実態をつかむと、単なる行政罰ではなくて、そういったことを商いにする、あるいはそれによって不当な就職差別やあるいは結婚差別やその他の不当な被害を被るようなことがあれば、これは厳密に処罰するということが大事だというふうに思っております。
 ただ、問題は、こういったことが把握できない、大臣もおっしゃりました、そして寺田民事局長も先ほどありましたように、要するにこういった不当な行為あるいは不当な目的によって不正請求された事案、これによって被害がどうなるのかということはなかなかつかみにくいんですね。発行する側も分かりません、なかなかね。
 ですから、やっぱりこれを分かるというのは、例えばそれぞれの八士業の協会の人たちも言っていました、分からないと、どんな被害が起きるのか。先ほど生野の警察のことも言いました。もし彼女が自殺しておれば、これは一体どうなるのだ。これは自殺幇助か、いやいや殺人なのか、こう思いたくなるぐらいなんですよ。
 そういう意味では、やっぱり被害がどういうものなのかということまでは言いませんが、これを不当な目的によって、あるいは不正請求によってそれが発覚する。どうやって発覚するのか、そして、ましてやそれがどういった被害になるのか。これを分かるのは私は本人に告知することだ、通知することだというふうに思うんですね。全く本人が知らない、職務上権限を持っている人が本人に承諾なしに取るんですから、本人分かりません。しかし、八士業は当然それぞれの立場、しかも職務上権限が与えられていることは社会の使命としてあるわけですから、必ずしもその人の人権侵害しようと思ってやっているわけじゃないんです。しかし、中には、先ほど言ったように、行政書士とか弁護士とか一部の人たちがそういうふうに使うんです。この被害はつかめないんです。
 そうすると、本人に承諾もなしに発行した場合は、その本人に、こうこうこういう理由であなたの戸籍謄抄本を発行しましたよという本人に通知すれば、本人は心当たりあれば、あっ、それは分かっていますと、こうなるんです。いや、心当たりがないと言えば、なぜですかというふうに聞きに行ったらええ、窓口に聞きに行ったらいいんです。それで初めて不正請求か不正使用かというのが分かると思うんです。
 この本人通知制度というものがなぜできないのか、私はこれが最大の大事な今回の、この戸籍法が一部改正、一部改正としてきたこの背景となった不正使用やこういった事案が増えていることを防止していくということの大事な点だと思うんですけれども、これ、本人通知制度はできませんか、大臣。
#32
○国務大臣(長勢甚遠君) おっしゃっておられる話もよく分かるわけでございまして、このこともこの制度を議論した法制審議会等で大変議論になったと。つまり、積極派と消極派と相拮抗する形で議論があったというふうに承知をしております。
 そこで、パブリックコメントも出しておるわけですが、法制審議会の戸籍法部会の審議あるいはパブリックコメント、いずれも意見が分かれておるという状況でありまして、その結果、この本人通知制度は設けることはしないということになって、この点は申し上げておるわけでございます。
 また、現実にこの市町村窓口における事務処理上の問題ということも実は一つの大きな困難にしておる理由だろうと思うわけでございますが、その点はひとつ今回の改正に関しては御理解をいただきたいと思いますが、被害がなるべく分かるようになった方が、それはあった場合いいに決まっているわけですし、開示という問題もありますが、これからの検討課題だなというふうに思っております。
#33
○松岡徹君 最後になりますけれども、私は個別にこれを法案に書き込まぬでも運用で本人の通知制度というのはできると思うんですね。戸籍謄抄本を発行するとき発行手数料、お金払うでしょう。そのときに、はがき代プラスもっと、五十円か六十円もらったらよろしい。戸籍謄本、今一通幾らですか。三百円か四百円ですけれども、そのときにプラス六十円もらったらいいんです。それで本人に、はがき代出したらいいんです。そうすれば本人に通知制度なんか簡単にできるんですよ。
 そういう意味では、これが大事な、今回の法改正の一番の問題である不正請求をなくしていく、不当な目的に利用させないということの大事な私は点だと思っておりますので、今大臣が、意見の分かれているところですが、積極的に今考えていくと、これからの重要な検討課題だというふうにおっしゃっていただきましたので、是非とも、これは法律改正しなくても、制度で運用でできると思いますので、積極的な検討をお願い申し上げて、終わりたいと思います。
#34
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。
 まず初めに、今回の法改正の背景及び理由について法務大臣にお伺いいたします。
 戸籍は国民の出生から死亡に至るまでの親族的な身分関係を登録してこれを公証する制度であります。今回の改正は、このような戸籍について、現行の公開原則を制限する内容となっております。どのような背景、理由から今回このように見直すこととしたのか、また公開の原則の在り方を改めたのか、お伺いいたします。
 また、最近の戸籍に関する不正事件の件数及びその典型的な事例にはどういうものがあるのかを大臣にお伺いいたします。
#35
○国務大臣(長勢甚遠君) 戸籍の公開制度は、社会生活においてそれぞれの国民の親族的身分関係の証明を必要とする場合には広く国民の利用に供されることが望ましいというふうに考えられたことから、明治三十一年の旧戸籍法によって創設され、基本的に現行の戸籍法にも受け継がれているところでございます。
 しかし、戸籍には、例えば離婚歴など他人に知られたくないと思われる事項も含まれていることから、国民のプライバシー保護のために必要な措置として、昭和五十一年の戸籍法の一部改正によって戸籍簿及び除籍簿の閲覧制度が廃止されるとともに、市町村長は戸籍謄本等の交付請求が不当な目的によることが明らかなときはこれを拒むことができるということとされたわけであります。
 この改正から約三十年の期間が経過をしておりますが、自己のプライバシーに関する情報を他人に知られたくないという国民の意識は更に高まり、個人情報の保護が社会的に要請されるようになりました。
 一方で、他人の戸籍謄本等を不正に取得するという事件が続けて発生をし、戸籍の公開制度を時代の要請に合わせて見直すべきであるという要望が関係各界から強く出されるに至っておるわけであります。また、不当な目的によることが明らかという現行法の要件が抽象的で、地域によって扱いが統一されていないという指摘もございます。
 そこで、今回、戸籍の公証機能の維持に留意しつつも、個人情報をより適切に保護する観点から、戸籍謄本等の交付請求をすることができる場合を明確にする等の見直しを行うとともに、その交付請求の際に交付請求者の本人確認を行うこと、不正請求行為に対する制裁を強化すること等により、不正な請求を防止する措置を講ずることとしたものであります。
 また、最近の不正事件の件数あるいはその典型的な事例という点のお尋ねでございますが、民事局長から答弁させていただきます。
#36
○政府参考人(寺田逸郎君) 事実関係でございますので、私からお答え申し上げます。
 不正取得行為あるいは不正利用でございますけれども、先ほども答弁申し上げましたとおり、一つは本人の身分を偽る、本人でないのに本人であるということでございますが、そのほかに不当な使用目的を隠して請求する場合、あるいは資格者が実際には職務上必要ないのに職務上必要があるということで請求をすると、こういうような場合が典型例でございます。
 網羅的な統計はございませんけれども、私どもの方で平成十六年度と十七年度にかけて調査をいたしましたところ、約一年七か月間でございますけれども、トータルといたしまして九百通を超える不正請求が行われておりました。そのほとんどが士業の方の請求でございまして、そのまたほとんどが行政書士の方の請求でございました。
 この典型例では、行政書士の方が興信所等から戸籍謄本の取得の依頼を受けて、実際には受任事件を処理する必要はないのに必要であると、こう偽って多数戸籍謄本の請求をされたと、こういう事例がございます。
#37
○浜四津敏子君 今のお話では、行政書士の方の不正請求が多いということでしたけれども、これは国民の行政書士に対する信頼にかかわることですから、是非何らかの形で注意喚起をしていただければと思います。
 次に、第三者請求についてお伺いいたします。
 現行戸籍法の十条一項では、戸籍謄本等の戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書の交付の請求をすることができると、何人でも請求ができるということになっておりますが、ただし同法三項で、市町村長は、不当な目的が明らかなときは、これを拒むことができると、こう規定されております。
 すなわち、現行法ではどのような場合に交付請求が認められないことになるのかという、請求を拒否する場合を定めている消極的事情をとらえた規定になっておりますが、これに対しまして今回の改正法ではそれを逆転させまして、第三者による交付請求の要件は正当な理由がある場合にのみ認められるという積極的かつ正当な理由を要求するものと変更されております。
 例えば、第十条の二第一項第一号では、自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合には交付請求をすることができると、こうされておりますけれども、ここで言う自己の権利を行使し自己の義務を履行するためというのは具体的にどのような場合がこれに当たるのか、お伺いいたします。
#38
○政府参考人(寺田逸郎君) 今、十条の二の一項一号の権利義務の要件についてお尋ねがあったわけでございますが、具体的に申し上げますと、例えば債権者が債権を持っているわけでございますけれども、債務者が亡くなってしまう、その場合に一体だれが債務を引き継いだのかということを知るべき立場に債権者があるわけでございます。これは戸籍以外には知りようがないわけでございますので、この債務者の相続人というものを特定するために債務者の戸籍の記載を確認すると、こういう場合が典型例でございまして、同様に生命保険の受取人になっておられる方が、一体その死亡した被保険者の戸籍に記載事項はどういうことが載っているのかということを調べる、これが保険会社に保険金を請求するに当たって当然必要になる事項でございますので、こういうものも当たります。
 また義務は、反対に債権者の方が亡くなる、その相続人を知りたいということで債務者の方がその債権者の戸籍を請求される、こういう例でございます。
#39
○浜四津敏子君 次に、十条の二の第一項各号についてお伺いいたしますが、第三者による交付請求については、自己の権利を行使するために必要がある場合等はこれを認めるようになっております。
 権利を行使するために必要な場合等に関しまして、改正法第十条の二第一項各号に規定されている正当な理由の存在を明らかにする必要があると解されますけれども、交付請求者は戸籍謄本等の交付請求に当たって、正当な理由というこの要件の存在をどのように明らかにすることになるのか、具体例を挙げてお答えください。
#40
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、戸籍の請求というものは非常に大量処理が行われるということを考慮いたしましてこのような規定ぶりになっているわけでございます。
 すなわち、裁判所でございますと個々的にこれを、文書どうで現実にどうなっているのかということの証明を求めるということは可能でございますが、戸籍の場合に一件一件それをやっていたら、とても事務処理上その煩雑さに耐え切れないという問題がございます。逆に、請求者の側の方のお立場を考えてみましても、なかなかそれは大変なことであろうかというふうに思います。
 非常に多くの場合には、この正当な理由ということを明らかにしていただくという、記載だけでそのことが明らかになるだろうと。また、そういう不当な目的をお持ちになっている方は、そういうことをしなきゃならないということについての抑止がそれによって働くだろうというふうに考えているわけでございます。
 そこで、実際には、それぞれの事項に書いてございます要件の存在というのを文書上明らかにしていただく。例えば、先ほど申しました貸金債権の例で申し上げますと、今私が請求する場合ですと、私の方は、これこれにこれこれのお金を貸し付けたと、しかし、その貸し付けた相手方の方が死亡なさったのでその相続人というのを特定して貸金の返還を求めたいということを記載していただくということになるわけでございます。
 ただし、圧倒的多数の場合には何ら疑いが持たれないということになろうかと思いますけれども、しかし、いろいろな事情からその要件該当性がただ書いてあっても疑わしいという場合には、市町村長の方で交付請求者に対しまして更にこれは本当かということを聞くということになりまして、その場合には更に資料を追加して立証していただくという場合がないわけではございません。そういう二段構えの規定ぶりになっているわけでございます。
#41
○浜四津敏子君 そうしますと、戸籍謄本等の交付請求者は、原則として、交付請求用紙に、改正法第十条の二第一項第一号の後段の、権利義務の発生原因及び内容並びに当該権利行使又は義務履行のために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由を記入すればいいと、こういうことになりますけれども、その理由が真実であるかどうかというのは、窓口では形式的には判断できますけれども、今のお答えのように、本当にそれが真実かどうかという実体的な判断は窓口ではなかなか難しいわけですよね。
 何によってそれを判断するのか。個人情報保護の観点から、交付請求書に記載される理由が真実であるかどうかというのは市町村の窓口でどのように担保されることになるんでしょうか。
#42
○政府参考人(寺田逸郎君) この点は、実はこの法律を作る過程におきまして議論のあったところでもございます。
 当然のことながら、今おっしゃいましたように、一件一件証明書たる文書のようなものを添付させて、それによって明らかにさせるということも考えられないわけではないわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、他方で圧倒的に多くの方は不正をやろうということでなく御利用になっておられる現状の下でそこまでの御負担をお掛けするのはいかがかと、行政の側もなかなか事務の処理の上で大変なところを負担してしまうという問題もございます。
 そこで、一義的には、このように文書に記載するということでの抑止力を期待するということがまずございます。しかし、二義的には、先ほど申し上げましたように、市町村長において、疑わしい事情というものが判明した場合に、その交付請求者に資料の提供や説明を求めることができるということでございまして、最後は、これは今回刑罰化を図ったわけでございますけれども、事後的チェックと申しますか、刑罰によってそういうことが行われないような抑止というものを期待すると、この三段構えになっているわけでございます。
#43
○浜四津敏子君 ところで、現行法では、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士等の一定の国家資格を有する者は、職務上、戸籍謄本等の交付請求をする場合は請求の理由を明らかにすることを要しないと、こうされております。
 今回の改正法ではこれを改めまして、弁護士等の資格者も請求の理由を明らかにしなければならないということになっておりますが、これまで必要なかったものがなぜ必要とされるのか。殊に事件の多かった、先ほどの御答弁では行政書士が多かったというお話がありましたが、中には弁護士の例もあり、あるいは司法書士の例もあったかと思いますが、そういうものに限らず、一律全部こういう国家資格を持った者について請求の理由を明らかにしなければならないと、このようにした理由はどこにあるんでしょうか。
#44
○政府参考人(寺田逸郎君) この点もいろいろ御議論があったところでございます。
 一つは、この法律が現行法の下で完全に職務上請求という形でこれまでやってきました実績があるわけでございます。士業の方々は、当然そういう実績を重視してもらって今後もそういうある種の特別の立場というのを維持してほしいと、こういう御意向でございました。ただ、議論の過程では、この士業の方々が職務上請求するとはいえ、御本人の個人情報を保護するという観点からは、通常、職務上利用するというだけでは、やはりその御本人のしょせん代理人という形でしか職務に表れない場合にはそれを優遇するというだけの根拠にはなり得ないんじゃないかという御議論になったわけでございます。現に、今委員もおっしゃったとおり、資格者の中にもいろいろな不都合な例をもたらしているような、そういう方もおいでになるわけでございます。
 そこで、これは法律と、形の上ではございますけれども、原則としては、やはり弁護士さんの方々を含めまして士業の皆さんにも請求の理由の記載を求めるということで個人情報の保護を図るのが筋ではないかという議論にまとまっているわけでございます。
#45
○浜四津敏子君 次に、十条の二の三項と四項の関係についてお伺いいたします。
 弁護士等の資格者による請求につきましては、改正法第十条の二第三項と第四項に規定が置かれております。その中で、第三項では請求に際して依頼者の氏名を明らかにするということが必要とされておりますが、第四項においては依頼者の氏名を明らかにしないで請求できると、このようになっておりますけれども、この三項と第四項の違い及び関係はどのようになっているのでしょうか。紛争性、疑義にわたることについても全部書けということなのか、お尋ねいたします。
#46
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、先ほど私が申し上げました士業の方々についての一種の原則というのが三項に規定されており、それの更に例外が四項に規定されていると、こういう形を取っているわけでございます。
 三項でございますけれども、これは弁護士さんを含めまして、依頼者の方からいろいろな事務の処理を依頼されるわけでございます。例えば契約書を作成してほしいというようなことがあるわけでございますけれども、そういう通常の場面の中では、交付請求書に弁護士さんの場合は弁護士であるという資格を書くことによって、代理請求の形というのは必要ありませんけれども、しかし実質的には代理請求でございますので、御本人の氏名、あるいは御本人の請求をするに当たっての正当な理由があるかどうかということを問題にせざるを得ないので、そういう戸籍の記載事項の確認を必要とする理由を明らかにしていただく、こういう要求をしているわけでございます。
 他方、四項でございますけれども、これは、今委員もおっしゃいましたとおり、弁護士さん等の士業の方のうち一定の方々はその紛争処理に当たられるわけでございます。これは典型的に申し上げますと訴訟事件でございますけれども、相手方が常においでになるわけでございまして、相手方等の様々な情報も当然仕事の性質上必要にされるわけでございます。そういう想定でこの督促が適用される場合には交付請求書に、弁護士さんであれば弁護士であるという、そういう資格を書くに加えまして、どういう事件でどういう手続、例えば損害賠償事件で訴訟をする、損害賠償請求の訴訟手続をするということを明らかにしていただいて、それが戸籍の請求書の記載になりますが、他方、依頼者はどなたであっても明らかにしていただく必要はないという仕切りになっているわけでございます。
 これは当然そういう紛争性を受任されるという仕事の性質から来るニーズがあるわけでございますけれども、依頼者の権利行使の意思というものは、これは当然明確であります上に、そういう紛争性のある事件について弁護士さんが自ら裁判手続その他の紛争処理の手続において依頼者を代理する場合には、争われている権利の実現のために、相手方の戸籍の記載事項を利用してそれを対外的に証明するという必要性が、これが類型的に存在するということを考慮しているということでございます。
#47
○浜四津敏子君 次に、十条の三についてお伺いいたします。
 戸籍謄本等の交付請求者はすべて運転免許証や法務省令の定める方法で自分が本人であるということを明らかにしなければいけないと、こういうことになっておりますけれども、実際に運転免許証を持っている人というのは、運転免許取得可能人口の約七二%、七千八百万人しかおりません。特に高齢者は持っていない人も多くおりまして、運転免許証がない場合でも余り負担を掛けずに証明できるということが大事になってくるかと思いますが、ここで言う法務省令ではどのような確認方法を考えておられるんでしょうか。
 また、郵送の場合にはどのようにして本人確認を行うんでしょうか。
#48
○政府参考人(寺田逸郎君) 具体的に申し上げますと、今、運転免許証を持っておられない方もおられますので、そのほかに、例えば旅券、パスポートでございますとか、あるいは住基カードのようなものが利用できると考えております。これは、基本的には公的な身分証明書で、写真が付いているということになるわけでございます。
 ただ、これもすべて可能ではございませんので、他の書類、例えば健康保険証でございますとか、あるいは民間企業の身分証明書のようなものも複数組み合わせて提示するということによって担保する。あるいは、当然、市町村で非常に小さいところはもう御存じの方もおいでになるので、面識等も決してその方法としては排除しないと、こういうような考えでいるわけでございます。
 また、郵送の場合でございますけれども、これは、先ほども申し上げましたとおり、市町村長が管理しております住民票あるいは戸籍の付票上の現住所に送る場合には、あえてその他の身分証明を求めないということになろうかと思いますけれども、今申し上げましたような書類をコピーして同封していただくというようなことも一つの方法だと、これは具体的にはおっしゃったように省令で確定したいと、こう考えているわけでございます。
#49
○浜四津敏子君 次に、私も弁護士をやっていたときに相談を受けた具体的な例で、例えば、嫌がらせによる婚姻届を出されてしまったとか、あるいは財産のある独居老人の財産をねらって偽の養子縁組を出されてしまったというようなケースが少なからずあったわけでございます。
 婚姻や養子縁組等の届出本人の確認ができなかった届出について戸籍の記載の真実性を担保するという観点から、届出本人の確認ができなかった場合は受理を留保したり、あるいは通知後に一定期間内に本人からの回答がない場合には無効にするというような仕組みは考えられなかったのでしょうか。お尋ねいたします。
#50
○政府参考人(寺田逸郎君) 結論から申しますと、今おっしゃったような御意見もございまして、法制審議会等、この法律を作る過程ではその議論もあったわけでございます。
 ただ、今おっしゃいましたのは言わば厳しい方法ということになるわけでございますけれども、そのような厳しい方法を取りますと、実際には虚偽の届出の割合というのは圧倒的に少数でございますのに、すべて一律に一定期間は留保するということにならざるを得ないわけでございます。圧倒的多数の方はむしろ届出をされてそのまま証明書をもらって、例えばほかの行政手続に御利用になる、社会保険等の手続をなさりたい、そういうようなニーズをお持ちですので、そういう方々にかえって御不便になってしまうわけでございます。
 また、理屈の上でございますけれども、通知を受けた後に実際は届出をしていないというようなことで撤回が許されるということになりますと、この身分関係も非常に法的な安定性を失うということにもつながるという指摘もあったわけでございまして、そこで最終的には今回のように通知はする、そういう言わば誤った届出というのを是正する、そういうチャンスを与えると、こういう考え方に立とうというわけでこのようなところにまとまったわけでございます。
 なお、しかし、どうしてもそうしてほしい、つまり、絶対に自分は自分が出頭しない限りは届出というものを受け付けてほしくないというニーズも、これも十分理解できるところでございますので、これは不受理申出というのを一般化してそういうニーズに対応したいと、こう考えているわけでございます。
#51
○浜四津敏子君 次に、改正法二十七条の二第三項によりますと、あらかじめ、自らを届出の本人とする縁組、認知とか養子縁組、養子離縁、あるいは婚姻、離婚等の届出が出された場合であっても、自分が自ら出向いて届出をしない限り受理しないように申し出ることができるということになっております。
 この規定は不正届出を防ぐためには大変効果的だと思っておりますが、国民の多くの方はこうした規定があることを知りませんので、国民の皆様へ十分PRして周知徹底していただきたいと思いますが、どのようにされますでしょうか。
#52
○政府参考人(寺田逸郎君) 戸籍は実際には市町村の窓口で事務を行っておりまして、非常に一般的に使われる制度でございますので、広く広報が必要だろうと考えております。
 施行期日も、公布の日から一年六月を超えない範囲内で政令で定める日という比較的長い期間をいただいているわけでございます。その間に、ホームページ、ポスター、リーフレット等は当然でございますけれども、特に市町村における広報紙等を通じて周知を図る、あるいはメディアでもそれぞれいろいろな形でこの周知のための報道を行っていただくように図りたいと、このように考えています。
#53
○浜四津敏子君 最後に、これはある方から御相談を受けた件なんですけれども、いわゆるシングルマザー、つまり結婚していないで子供を持っている女性がその子供の父親でない男性と結婚することになったと。その男性と子供と養子縁組をすることになった。その場合には、日本の法律によれば養子縁組というのは夫婦で養子を縁組をすると、こういうことになっておりますから、要するに実母とその結婚する男性と子供との養子縁組ということになるわけですけれども、その場合、戸籍謄本には、シングルマザー、実母をAとしますと、実母A、それから婚姻した夫をC、子供をBとしますと、実母A、養父C、養母A、子供Bと、こういうふうに書かれるわけですね。つまり、子供にとっては実母と養母二人書かれる。母親からしますと、何で自分は実母なのに養母と書かれるのかと。もちろん嫡出の地位を取得するためだということは分かりますけれども、戸籍の記載上は事項欄に養子縁組したということを書けば済むことであって、何もわざわざ四角に囲んで養母と、実母と並べて養母と書く必要はないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。これ、何とか救済手段ないんでしょうか。
#54
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、夫が妻の嫡出子でない未成年の子と養子縁組する場合には、夫婦共同縁組するということは民法の規定上決まっているわけでございますので、戸籍もそれが、共同縁組が正しくなされたということを明らかにしなきゃならない、これは最低限の要請でございます。
 それで、現在の戸籍では当然、共同養子縁組でございますので、養父母欄には養父だれだれ、養母だれだれということが分かるようになっているわけでございます。これは民法上やむを得ないところであろうと考えておりますが、おっしゃるとおり、戸籍の記載方法で全くそうしなければいけないのかどうかということについては検討の余地がないわけではない、もう少し時代の要請に応じて記載方法自体は検討していくところがあってもいいというように考えておりますので、また検討させていただきたいと思います。
#55
○浜四津敏子君 よろしくお願いいたします。
 終わります。
#56
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 質問をいたします。
 戸籍には、個人の年齢とか氏名、出生・死亡年月日、婚姻、死亡による婚姻解消、離婚、養子縁組、離縁、認知等本人及び家族のプライバシーが分かるわけです。個人の出生から死亡まで身分関係の変動が逐一分かる戸籍を原則公開にしてきた日本の戸籍制度というのは、いかに利用者本位であるか、プライバシー保護について配慮を欠いていたかというふうに言われてきました。今回、公開制度を見直して原則非公開にするという法改正は、遅きに失したとはいえ、当然であると思います。しかし、個人情報コントロールについては不十分さが残るということをまず最初に指摘いたします。
 私は、嫡出推定について質問をさせていただきたいと思います。
 民法七百七十二条は、離婚の日から三百日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定され、前夫の子とされます。その結果、前夫が収監中であろうが長期海外滞在中であろうと、離婚後の妊娠も前夫の子とみなされるため、様々な矛盾が起きます。これを変更するには裁判、調停が必要です。
 こうした問題を解決するためには早急な法改正が必要ではないかと思いますが、大臣、いかがお考えですか。
#57
○国務大臣(長勢甚遠君) 御指摘の問題が今いろいろ議論があるようでございますが、民法第七百七十二条一項、婚姻中の子はその婚姻中の夫の子とするという嫡出推定の規定は民法の根幹を成す規定でございまして、早期にこの身分関係を確定するという意味で意義のある規定であるというふうに理解をしております。
 そういう意味で、民法の根幹にかかわる規定でございますので、慎重な議論が必要ではないかというふうに思っております。
#58
○吉川春子君 法務省は通達で一部改善を図ると聞いておりますが、それはどういう方法でしょうか。
#59
○国務大臣(長勢甚遠君) 離婚後三百日以内に出生をされるという場合にありましても、いろんな事情の方が実はおられるだろうと思います。今回考えておりますのは、離婚後に懐胎をされるケースについては現行の民法の規定の範囲内で対処できるケースだと思いますので、今回考えておりますのは、離婚後に懐胎したことが医師の証明によって明らかな場合には裁判を経ないで前夫以外の戸籍として入れるということが窓口で可能になるような取扱いにするということを今検討をいたしております。
#60
○吉川春子君 具体的な事例でお伺いいたします。事務当局でも結構ですので、お答えいただきたいと思います。
 まず、ケース一ですけれども、Aさんは夫のドメスティック・バイオレンス、暴力を恐れて十年も身を隠して生活していたときに今のパートナーと出会い、我が子を出生しました。翌年、裁判で離婚が成立しましたが、この子の戸籍を作るためには前の夫に自分の子でないと認めさせる必要がありますが、裁判で夫に居どころをつかまれれば暴力が再燃すること等を恐れて、出生届けをいたしませんでした。この子が高校生となり海外への修学旅行にパスポートが必要になったんですが、取得できないで困っていると。
 こういう事例は今大臣の言われた通達で救済できますでしょうか。
#61
○政府参考人(寺田逸郎君) 旅券を取得できるかどうかということは、これは外務省の話でございますので、それを除きまして、戸籍の取扱いはどうなるかということでございますけれども、基本的には、先ほど大臣が申しましたように、今回通達で検討しておりますのは七百七十二条の第一項から外れる、つまり離婚後に懐胎したケースでございますので、婚姻中に懐胎、出生されたお子さんについては通達では対象としないものというように私どもとしては考えているところでございます。
#62
○吉川春子君 今の事例は救済されないということでした。
 続いてこの件について伺いたいんですけれども、ドメスティック・バイオレンス被害女性の再婚後の戸籍の閲覧は元夫ができるんでしょうか。それと、子の出生と親子関係不存在の訴えなど、裁判所で夫と会うなどの危険を冒さなくてはなりませんけれども、女性の保護についてはどうなっているか、お伺いします。
#63
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、戸籍でございますけれども、今閲覧とおっしゃいましたが、閲覧は既に……
#64
○吉川春子君 閲覧じゃなくて、済みません。交付、交付、間違えました。
#65
○政府参考人(寺田逸郎君) 昭和五十一年に廃止されておりますが、今の、この戸籍法の十条の謄抄本の請求でございますけれども、現行法の下においては、これが不当な目的であることが明らかかどうかという問題になります。場合によってはこれに当たるという判断をされることもあります。
 ちなみに、今度の改正法案におきましては、これは純粋な第三者請求でございますので、権利の行使等に当たらないということであればこれは請求することができないように改められるわけでございます。
 それに、さらに、裁判所での扱いでございます。これは裁判所で現にどうなっているかということでございますけれども、親子関係不存在確認の調停裁判で女性が前夫と会うことを望まない、こういう事件でございますけれども、例もあるようでございます。その場合には、家裁の方では実務上、待合室のフロアを分ける、その他、夫と顔を合わせないでも済むような措置をいろいろと御検討になって現におやりになっておられるようでございます。
 この場合に限らず、裁判所においては当事者が身の危険を感じるために裁判手続にいろいろ支障が出るというような事態は、これはあってはならないということでございますので、私どもも、裁判所の方とよくお話をいたしまして、こういう場合について適切な措置がとれるように努力をしてまいりたいと考えております。
#66
○吉川春子君 戸籍等によって今後はつかまれることはないんですけれども、裁判所ではどうしてもいろんな関係でつかまれるおそれがありまして、これを大変被害女性は恐れております。今後とも十分なる配慮を是非法務省においてもしていただきたいというふうに思います。
 それで、さっきの通達との関係で、ケース二について伺います。
 Bさんは十年の結婚生活後、夫から離婚を言い渡されて迷っていましたが、その後新しい夫と出会い、離婚をいたしました。再婚禁止期間六か月を守って再婚しましたけれども、非常事態で切迫流産で帝王切開をして出産したと、子供は超未熟児で二百八十一日目に生まれたという例なんですけれども、こういう例はさっきの通達で救済できますでしょうか。
#67
○政府参考人(寺田逸郎君) あくまで七百七十二条の一項の離婚後の懐胎ということが証明できるかどうかということがポイントでございますので、今のようなケースでも、離婚後に懐胎することを証明していただけるんであれば戸籍の窓口において出生届を認めるという、こういう考えでいるわけでございます。
#68
○吉川春子君 それから、ケース三ですが、Cさんは夫が長期海外滞在中、あるいは長期収監中というか服役中ということでもいいんですけれども、に新しいパートナーと出会い、出産をしました。その後に離婚が成立したというような場合は、さっきの予定されている通達で救済できますでしょうか。
#69
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、収監中に他の男性との間で子供ができたというのは、典型的に親子関係不存在確認の訴えが出されるケースでございます。
 これは、形式的に、やはり離婚後であれば行政的な段階でも確定的な証明書が得られるということで、私ども通達の対象にしたいと考えているわけでございますけれども、収監されているかどうかということについて、それはやはり離婚前の問題を扱う場合には、これは裁判所でそういうことを決めていただくということでないとやはりちょっと難しいというように私どもでは考えているところでございます。
#70
○吉川春子君 こうした明らかに前夫の子ではないと分かる場合でも、予定されている通達では救済できないということですが。
 法務大臣、お伺いしますけれども、私は、この通達は一定の改善であると、その点は評価しているんですけれども、離婚後ということが要件とされますと、実際に救済されるそのパーセントはどの程度とお考えでしょうか。
#71
○国務大臣(長勢甚遠君) 先ほど来お話がございますが、今問題になっているのは離婚前の懐胎について、三百日以内に出生をしたというケースについて裁判の負担が重いかどうかという御議論であるかと思います。
 これは、先ほど、最初に申し上げましたように、民法の根幹にかかわることでございますので、離婚前の懐胎については裁判所の判断にまつべきであって、戸籍の窓口で判断を迫られるというのはちょっと難しいというふうに私どもとして考えているわけでございます。
 お尋ねは、どれくらいのことになるかということでございますが、なかなか正確な統計というのはないわけでございますが、最高裁の協力を得て、家庭裁判所における親子関係不存在確認、認知、嫡出否認に関する事件の一部、全部はなかなか網羅的に見れませんので、調査いたしましたところ、出生証明書の記載などから、大体この一割ぐらいの方々が今回の通達の対象となるのではないかというふうに考えております。
#72
○吉川春子君 離婚後という要件を付されますと、実際にはその離婚がなかなか難しいんですよね。そして、やっぱり夫が拒否してなかなか離婚に応じない、妻の場合もあるかもしれませんが、夫が拒否する場合も多いし、それから、先ほど申しましたドメスティック・バイオレンスなどでは、本当に離婚したいんだけれどもできないというケースがもう多数でございまして、そういうことを考えますと、やはり、取りあえず通達で救済するということは必要だと思うんですけれども、九割が救済されないということになりますと、やはり不十分さがあると思うんで、より広範な場合を救済するためには法改正というものがどうしても必要になってくるのではないかと思いますが、この法改正ができない理由、さっきおっしゃいましたけれども、やはり救済するためには法改正を是非行うべきだと思います。もう一度その点お伺いします。
#73
○国務大臣(長勢甚遠君) いろんなケースがあると思いますので、先生おっしゃっているようなケースも当然あると思います。
 三百日以内にお生まれになった方、子供がすべて救済すべきだということであるかどうかがまず議論されるべきではないでしょうか。もちろん、その場合に、場合によっては法改正ということも、社会通念上そういうこと、いわゆる救済すべき人があるということであれば、社会通念上そういうことがあるということであれば、何らかの法的措置というものも検討されるべきであるとは思いますが、一割だからまずいとかという考え方は私は不適切なんではないかと。まず社会通念上、離婚前に懐胎された人たちすべてが許されるべきだと、救済されるべきだとは思っておりません。
#74
○吉川春子君 許されるべきではないと、これはどういう意味でおっしゃったのでしょう。
 続けてお伺いいたしますけれども、報道によりますと、法務大臣は、法改正しない一つの理由として、貞操義務なり性道徳なりという問題は考えなければならないとおっしゃっておられます。これはどういう意味なのでしょうか。民法の規定には、憲法二十四条にもかかわらず、戦前の家族制度が引きずっている規定が幾つかあるわけで、この憲法の両性の本質的平等とぶつかる規定もあるわけですよね。それはそれとして、貞操義務というのはどういう意味なんでしょうか。
#75
○国務大臣(長勢甚遠君) 当然、婚姻中は夫も妻もお互いに対して貞操の保持義務を負うというのは、講学上も裁判例上も私は当然の義務だというふうに理解をしております。そして、現在の七百七十二条一項の規定はそのことを背景として設けられている制度だと私は理解をしておりますので、そういうことも慎重に検討をした上でこの問題は議論すべき問題ではないかということを申し上げたわけでございます。
#76
○吉川春子君 性道徳ということも言われていますが、それはどういう意味です。
#77
○国務大臣(長勢甚遠君) やはり一般的に言われておる性モラルの退廃というようなことが世間で話題になっているわけで、そういうことがこういう問題に絡んでいる可能性もあるのではないかということも含めて議論すべきだというふうに思っております。
#78
○吉川春子君 民法七百三十三条の再婚禁止期間についても政府は一向に法改正を行わないわけなんですけれども、これも性道徳とか貞操義務とか、そういうことと関係があるんでしょうか。
#79
○国務大臣(長勢甚遠君) 私の先ほど御指摘になった記者会見での発言は七百七十二条に関連して申し上げたことでございまして、七百三十三条について私がそのことについて申し上げたわけではございません。
#80
○吉川春子君 そうすると、法改正の必要はありますよね。
#81
○国務大臣(長勢甚遠君) この七百三十三条の再婚禁止制度ですか、再婚期間の制度については、先生御案内のとおりだと思いますが、嫡出推定の重複ということとの関係もあって、私は父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐという合理的な理由に基づく制度であるというふうに一応思っております。
 かつ、やっぱり民法の規定をめぐって、親子関係、家族関係をめぐっては今幾つかの議論があります。それぞれみんな連動しておる制度である、ものであると思いますので、民法における家族なり結婚というものについての体系全体として一体的に見直しするべきだろうと思います。
 そういうことについて、かつて法制審でも議論があったようでございますが、今回、その後、社会的に、全体を一体的に民法の体系を全部変えた方がいいんじゃないかという議論が社会的に一般的になっておるというふうに私は思っていないわけでございまして、将来どういうことになるかはそれは分かりませんが、現在はそういう状況ではないというふうに考えております。
#82
○吉川春子君 時間が来たので、私これで終わりますが、この規定はもう戦前からある規定でして、その後の社会的な変化とか、あるいは婚姻の形態、家族の形態の変化とか、いろいろ社会情勢も変化をしてきているわけでございまして、こういう古い制度、まあアンシャンレジームと言うかどうかは別ですけど、古い制度の下で今特に女性たちが大変苦しんでいるわけですね。それに対応しようとして一部通達で救済しようという、その点については評価いたしますけれども、やはり根本的にこれが時代に合わなくなってきているし憲法二十四条の規定とも合わなくなっていると、だからやっぱり法改正をして根本的に改めるべきだということを強く主張して、委員長、終わります。
    ─────────────
#83
○委員長(山下栄一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として松下新平君が選任されました。
    ─────────────
#84
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 戸籍法の改正でございますが、冒頭、松岡委員の方から、この間の戸籍の不正取得あるいは不正利用の実例を指摘をしながら、そのことによってどういう事態が起こったのか、そういうことを根絶するためにも今回の戸籍法の改正がやっぱりしっかり行われていかなければならないという、そういう話がございました。
 今までは、だれでも取れる、そして不正の目的があったときにこれをチェックできると、こういう仕組みだったわけでありますが、今度はかなり利用を厳格にすると。先ほど法務大臣は三重の縛りというようなことを言っておられました。一つは、正当な理由をしっかり明記させるということ、そして二つ目が、市町村長には、場合によっては更に踏み込んで、本当かどうか、理由が本当かどうかチェックをして、不正な目的があった場合にはそれを却下する、こういう第二の歯止めを設けたと、そして三番目に刑罰で抑止をすると、この言わば三重の縛りがあるんだということでよく分かりました。
 これはそれで一つ大きな前進だというふうに思いますが、逆に、理由を明記させる、そして二番目のおかしな場合には却下をすると。だから、おかしなときには市町村長はいろいろ、まあ根掘り葉掘りということではないけれども、ある程度聞くことはできる。これは不正取得をあるいは不正利用を防止するという点ではいいですけれども、窓口がきちっとしていないと、非常に人によって対応をやっぱり異にして、簡単に出す場合と根掘り葉掘りいろいろ聞かれる場合と、その対応が違ってくるんではないか。そのことによって市民に対するサービス低下ということが出てくる、そういう危険がありはしないかという、そういう逆な心配を持つわけです。
 私は、この改正を基本的に是とする立場で、窓口が混乱しないように、どういうふうにきちっとした統一的な対応ができるような、窓口の担当者によって対応がばらばらにならないような対応をどういうふうに取っていくのかということは大変私重要な課題だというふうに思うんですが、この正当な理由の点と、もう一つ、本人確認の点も一つあると思うんですよね。この二つについてどういうことを法務省としては考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#85
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、これまでも戸籍の取扱いにつきましては、これはもう全国、全部の市町村の仕事でございますので、市町村によっても取扱いが異なる、あるいは市町村の中でも担当者によってあるいは取扱いが異なることもあるというような御指摘もあったわけでございます。
 私どもは、この法律が、言ってみれば実体的な要件を課せば課すほどそういう窓口における負担というのは大きい、あるいは扱いの差というのは大きくなるわけでございますので、今回こういう形で交付についてある種の制約を掛ける、本人確認についてもそういう厳しい取扱いをするということでございますが、それを、何といいますか、標準的にかつ実効的にやるというのはかなり難しい作業だなということは自覚しているところでございます。
 私どもの戸籍の取扱いについては、全国の戸籍事務の取扱いを行っている方々との間の協議会もあるわけでございますし、様々な形での連絡もあるわけでございますけれども、法務局から市町村への指導も含めまして、今申し上げたような点を通達の形で明らかにする、あるいはまた、いろいろ事情が出てきた際には再度協議をさせていただいて、また標準的な在り方についても決めさせていただく、こういうような作業を繰り返しやっていかなきゃならないだろうというように考えているところでございます。
#86
○近藤正道君 是非、窓口で混乱が起こらないように十分な対応方が行われますようお願いをしたいというふうに思っています。
 そして、次の質問でありますが、先ほどの議論でもありますけれども、戸籍の不正取得、不正利用、これを根絶させるための重要なポイントとして本人通知制度をやっぱり導入すべきではないかと、こういう話が、議論がございました。
 これは法制審議会でもかなりけんけんがくがくの議論があったやに聞いておりますが、しかし今回は結論として見送られてしまったと。また、本人通知制度以外にも交付請求書の開示請求を認めるという制度も、これもまた不正取得、不正利用を防止する一つの抑止力にはなるんだろうというふうに思っておりますが、これもどうも今回必ずしも確立しているというふうには思えない。
 そこで、先ほどの松岡議員の話と連動するんですけれども、何とか、これで終わりということではなくて、戸籍の不正取得、不正利用を本当の意味で根絶するために、更に今後とも本人通知制度あるいは交付請求書の開示請求について検討を深めていただきたい、こういうお話がございました。
 法務大臣、前向きの御答弁をされたというふうに私は思っておるんですが、実はこの点について、衆議院の法務委員会の附帯決議の中で、第八項でこういうふうに記載されております。「本法の施行状況及び他の関連制度における扱いに照らし、第三者が不正に戸籍の謄抄本を交付請求することを防止する更なる措置の導入の是非について検討を行うこと。」、これが附帯決議になっておりまして、法務大臣は、趣旨を承ったと、こういうふうに多分当時御答弁されたんだろうというふうに思っています。
 そこで、改めてお尋ねいたしますけれども、法務省としては、第三者が不正に戸籍の謄抄本を交付請求することを防止する更なる措置について現在どのようなお考えを持っておられるのか、承りたいというふうに思います。
#87
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほど大臣から申し上げましたとおり、この点は、この改正案をめぐる法制審議会でも是非それぞれかなり強い御意見がございましたし、また第三者から寄せられましたいろんな御意見の中にも様々な御意見があったわけでございます。
 私どもの検討の中では、これは請求者側とその対象となる戸籍のデータを記載されている者との間に利害対立があるわけでございますけれども、それぞれどういうバランスがいいのかということを相当議論して今回はこういうことに落ち着いておりますが、確かに請求の対象になっているデータに記載されている者の利益というのをより保護すべきだというお考えも十分に理解できるところであります。
 ただ、この点は個人情報一般の問題といたしまして、戸籍に限らず、ほかの住民票でございますとか様々なデータの開示請求をした際に、その開示請求をした者を明らかにするという仕組みがどう構築されるかという共通の問題の一つでもあるわけでありまして、戸籍だけが突出して、こういうことについて積極的な仕組みを今構築するのはどうかというようなところが最終的には決め手の一つになったわけでございますので、おっしゃいました附帯決議にありますとおり、他の制度の在り方というようなことも十分に視野に入れながら、今後検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
#88
○近藤正道君 次の質問でありますけれども、改正案では、婚姻等の届出に当たって届出人の本人確認ができなかった場合、届出人に対して婚姻等の届出がされたことを通知することとしておりますけれども、この通知は当該住所に、届出人の住所に発信することで足りると、こういうふうに記載になっております。しかし、単に通知を発信するだけでは、本人確認がされなかった人がきちんと通知を受理されたかどうか分からないのではないか、こういう疑問がございます。
 まず、本人確認ができなかった場合の通知を発信主義とした理由をお聞かせいただきたいと思います。
#89
○政府参考人(寺田逸郎君) これは先ほども少し触れたところでございますけれども、この通知というのは、結局のところ強い効果を持たせようということにいたしますと、おっしゃるとおり、まず到達したかどうかを確認する、御本人から通知の受領後何日間に異議があるかどうかというようなことも更に確認すると、これが一番徹底した考え方でございます。
 ただ、そういう考え方を取りますと、少なくとも到達することを確認するまでの間、あるいは、さらにそれから異議の申し出ることができるものとして設定され得る期間、こういう間は、逆に届出を正当にされた者にとっては効果を発生させるということを待たされるわけでございます。圧倒的多数の方は普通に正当に届出をされて、しかも届出後直ちに、むしろ他の目的のためにその戸籍を、届出をした後の謄抄本を利用されるということが現実でございますので、そういう全体のバランスから考えますと、やはりここはそういうことで、後に訂正をするというチャンスを直ちに与えるという効果にとどめた方が合理的だろうということでここも発信主義にしておりますし、さらに、この通知を受けた方の反応ということを無視して効果を発生させると、こういう制度を取っているわけでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたとおり、言わば、個人にとってはそんなすぐに効果が発生するということはどうでもいいんだと、むしろ私にとっては戸籍に誤った記載をされないことの方が重要だという方もおいでになるわけでございます。そういう方のためには、今回は別の選択肢として、不受理申出制度というのを一般化して、私はとにかく何があろうと、婚姻届を出されようと、私自身が婚姻届を出さない限りは婚姻届の受理をしないでほしいという、そういう要望というものにマッチした仕組みというものをまた別に用意したと、こういう関係に立つわけでございます。
#90
○近藤正道君 不受理申出の制度は、それはそれでまた別に議論するとして、今の点なんですけれども、やっぱり圧倒的に多くのケースはこういう場合に当たらない、本人確認ができるケースなんだろうというふうに思いますが、しかし、数は少ないけれども、やっぱり本人確認ができないケースがあります。
 今のような発信主義で行けば、これは本人に成り済ました場合とか、あるいは虚偽の住所を届出したような場合の対応がやっぱりできないんではないか。私は、やっぱり役所の事務処理を優先させているんではないかなという、そういう思いがぬぐえないわけでありまして、せめて本人確認ができないときには配達記録等を利用する、例えば配達証明付きでやるとか、私はそんなにそのケースが膨大だというふうには思えない。だから、本人確認ができないときには、せめて配達証明付きでやっぱり到達を確認をする、そのぐらいのことがあっても私はよかったんではないかというふうに思いますが、どうですか。
#91
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるような事務処理を優先したわけではございませんけれども、事務処理上の考慮をいたしたことは、これはもう事実でございます。
 様々な考慮のバランスの上に今の制度が当面は合理的だと、こう考えて改正案をお出ししているわけでございますので、今後、そういうような、実際に通知が行ったけど届かないケースというのがかなりあるということになりますと、制度としては機能しない。その制度だけですべての不都合というのをシャットアウトしようというつもりはございませんけれども、しかし、それにしてもその制度が機能しないということになりますとまずいので、その点は運用の面で十分にこれを監視いたしておりまして、必要に応じて、またおっしゃるようなことも検討したいと考えております。
#92
○近藤正道君 役所の事務処理を優先させたということを事実上お認めになって、なおかつ、実際やって、その弊害があった場合には考えるということでありますが、私は、数はそんなに多くないわけでありまして、役所の事務処理としてもそんなに膨大なものでもありませんので、確認ができない場合にはやっぱり到達主義、配達証明付きの文書送付、これをやっぱり是非検討すべきではないかと、こういうふうに思います。
 最後の質問でありますが、今回、不受理申出制度というものをつくったと。私もよくこの制度、以前の通達の制度を利用させてもらった一人なんですが、今回、通達の不受理の期間、これは六か月だったんだけれども、今回の改正案では不受理の期間を特に設けなかった、設けない、いったん出せば、その後ずっと不受理ということなんですが、これはこれでまたちょっと問題なんではないかと。
 何でその、六か月がいいか悪いは別として、いったん出したらもう不受理期間を特に設けない、これでいいのかなという少し私懸念があるわけなんですけれども、なぜ六か月から今度は一挙に期限の定めのないものにしてしまったんですか、理由を聞かせてください。
#93
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、一言で申し上げますと、この不受理申出の制度の位置付けが変わったということでございます。
 今までの不受理申出の制度といいますのは通達上の制度でございますけれども、具体的に危険がある場合に、そういう実際に損害が発生することを防止するための、取りあえず法律上ないけれども、でき得る制度ということで構築してございます。したがって、期間も一定のものでございますし、必ずしも制度上すべての市町村で徹底しているわけではございません。
 ただ、今回の場合は、先ほど申し上げました、通知をした、その通知の効果の議論との関連で、やはりこの効果だけでは十分ではない、つまり本当に誤った届出というのが効果を生じないようにどうしてもしたいんだという利用者の方々のニーズがもしあるとすれば、それを受け止める制度としては、この不受理申出というのをもう少し幅広い効果を持ったものとしてつくらざるを得ないわけでございます。
 したがいまして、これもおっしゃるとおり、逆にそういう不都合があろうかということも考えられるわけでございますけれども、具体的に危険があるときに不受理申出をするという従来の制度というのは、これは他方、今後も通達上維持することも可能でございますし、言わば並列的な制度として運用することも十分可能でございますので、運用状況も十分に見て、また私どもとしていろいろ検討をしていきたいと、こう考えております。
#94
○近藤正道君 終わります。
    ─────────────
#95
○委員長(山下栄一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。
    ─────────────
#96
○委員長(山下栄一君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 戸籍法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#97
○委員長(山下栄一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。
#98
○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました戸籍法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    戸籍法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 戸籍制度が我が国の社会において、国民の親族的身分関係を登録・公証するという国民に身近な制度であることにかんがみ、特に、本法による戸籍の公開制度の見直し及び戸籍の記載の真実性を担保するための措置について周知徹底を図ること。
 二 第三者に対する戸籍の謄抄本の交付や運転免許証等を有しない者の本人確認が的確に行われるよう、全国統一的かつ適切な運用に努めること。
 三 弁護士、行政書士等の資格者が戸籍の謄抄本を交付請求する場合における業務上の必要性の判断については、各資格者の業務に照らし個別に行うこと。
 四 本法による戸籍制度の整備に伴い、市町村の事務負担が過重になることのないよう、必要な措置を講ずること。
 五 戸籍事務のコンピュータ化の完成時期に合わせて、個人情報の管理・保護に万全を期し、戸籍情報の社会的な性格の違いに応じた公開の在り方について検討を行うとともに、戸籍に記載すべき情報の在り方についても引き続き調査・研究を行うこと。
 六 本法の施行状況等を注視しつつ、虚偽の届出を行った者に対する制裁の実効性の確保や第三者による戸籍謄抄本の不正請求防止策について引き続き検討を行い、必要に応じて刑罰等につき見直しをすること。
 七 本法の施行状況及び他の関連制度における扱いにも配慮し、戸籍謄抄本の不正請求・使用事案による被害に伴う諸問題についての対応策を幅広く検討すること。
 八 民法第七百七十二条の運用に関しては、生まれてくる子の立場に配慮し適切な措置を検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#99
○委員長(山下栄一君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#100
○委員長(山下栄一君) 全会一致と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、長勢法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長勢法務大臣。
#101
○国務大臣(長勢甚遠君) ただいま可決されました戸籍法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#102
○委員長(山下栄一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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