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2007/06/12 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 総務委員会 第21号
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2007/06/12 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 総務委員会 第21号

#1
第166回国会 総務委員会 第21号
平成十九年六月十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任
     高嶋 良充君     前田 武志君
 六月八日
    辞任         補欠選任
     小林 正夫君     高橋 千秋君
     前田 武志君     高嶋 良充君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     芝  博一君 ツルネン マルテイ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 俊夫君
    理 事
                景山俊太郎君
                二之湯 智君
                森元 恒雄君
                伊藤 基隆君
                那谷屋正義君
    委 員
                有村 治子君
                小野 清子君
                河合 常則君
                木村  仁君
                世耕 弘成君
                山本 順三君
                高嶋 良充君
            ツルネン マルテイ君
                内藤 正光君
                増子 輝彦君
                澤  雄二君
                遠山 清彦君
                吉川 春子君
                又市 征治君
                長谷川憲正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高山 達郎君
   参考人
       福島県泉崎村長  小林日出夫君
       山口県柳井市長  河内山哲朗君
       慶應義塾大学大
       学院教授
       前鳥取県知事   片山 善博君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地方公共団体の財政の健全化に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山内俊夫君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、小林正夫君が委員を辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任されました。
 また、昨日、芝博一君が委員を辞任され、その補欠としてツルネンマルテイ君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山内俊夫君) 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査に関し、参考人の方々から御意見を賜ることといたしております。
 参考人の方々を御紹介いたします。
 福島県泉崎村長小林日出夫君、山口県柳井市長河内山哲朗君、ただいま少し航空機が遅れておりますので、後ほど御紹介いたします。慶應義塾大学大学院教授・前鳥取県知事片山善博君、以上の方々でございます。
 河内山参考人は、航空機の到着の遅れのため御出席が遅れておりますが、小林参考人及び片山参考人は時間どおり御出席をいただいておりますので、小林参考人及び片山参考人の順で御意見をお述べいただきたいと思っております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜り、本案の審査に反映さしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様から、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、最初に小林参考人からお願いをいたします。小林参考人。
#4
○参考人(小林日出夫君) ただいま御紹介をいただきました福島県泉崎村長の小林日出夫です。どうぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
 本日は、地方公共団体の財政の健全化に関する法案審議に当たりまして、発言の機会をいただきましたことを大変光栄に思っております。また、常日ごろは諸先生方におかれましては、地方自治発展のために御尽力をいただいておりますことを、この場をおかりしまして御礼と感謝を申し上げたいというふうに思います。
 私の村は、平成十二年に財政破綻をした村ですので、これまでの七年間の経過を踏まえて述べさせていただきたいというふうに思います。
 私たちの全国の町村は、今大変厳しい経済環境、決して豊かさを感じない状況の中で、なお地方交付税が多く削減をする中で、住民サービスの低下にならないように様々な創意工夫をして、様々な事業に、そして行財政運営に努めておるところであります。
 この法律案につきましては、早期に財政の健全化を図るということでは大変いいことだなというふうに思いますが、それぞれの自治体におかれましては、様々な地域性、文化、そして様々な要件が含まれた中でやっております。我々のような小さい自治体は財政的に限られておりますから、その中で今大きな問題になるのは、国民健康保険、介護保険制度、そして医療福祉制度に伴う歳出について非常に厳しいものがあります。
 そうした中でも、なお一層財政を削減したり、経費を削減したりして努めているわけですが、私が一番、この財政再建を努める中で一番気にしていることは、財政再建をやっている間に地域の人がみんな下を向いてしまう、元気がなくなってしまう、せっかく一生懸命財政再建をやっても後ろを向いたらだれもいなかったと、そういうふうにならないようにしたらどうすればいいんだという思いでこれまで努めてきております。
 私たちのような、公債比率二八・八%の破綻で財政再建団体になって、自主的財政再建を努めておりますが、こうして、今私の周りでも一生懸命努めている自治体あります。健全化しようと、健全化に頑張ろうと。しかし、なかなか地域の住民の方も理解をしていない部分がありますが、基本的には、我々が愛国心があるように、郷土愛が住民の方にあります。必ず、我々が真剣に取り組むことができれば、住民の方も理解をしてくれて、我々の今自治体は決して人口も減っておりませんし、元気がなくなっているわけではありません。元気があります。
 しかし、財政再建を進めますと、財政需要額が減ってしまいます。どんどん分母が減って小さくなってきます。収入が減った上に分母が減ります。なかなか財政指数は下がりません。むしろ上がっていく傾向になります。だんだん厳しくなります。
 我々も五年間の財政再建計画を進めてきましたが、これにつきましては、この五年間で地方交付税が七億二千万減っております。私たちの財政破綻は六十八億ですから、約一割強となります。ですから、こうした一生懸命努力をしている自治体につきましては、この法案の施行に当たりましては、様々な要件があるんだと、それぞれの地域はそれぞれの問題があるんだということで、是非そうしたものも考慮して、配慮していただければと、このように思っております。
 平成十二年の財政破綻してからの我々の取組ですが、泉崎の村の人口は約七千です。交通アクセスは非常に、東北縦貫道矢吹インターから五分という大変好条件、利便性に高いところでありまして、雇用の場が非常に多い、昼間人口が、福島県ではただ一つ、村では昼間の人口が増えるという、高校もありませんが、増えております。近隣市町村の雇用の場という、そういう場の担い手をしております。
 そして、昭和三十年代後半から四十年、人口減少に当たりまして、我々の先人は人口を増やそうということで住宅団地を造成しました。雇用の場を増やそうということで工業団地を造成をして開発をしてきました。しかし、高度成長時代は良かったんですが、バブル経済が崩壊しまして、それによって六十八億二千六百万という、工業団地、住宅団地の販売不振で、九七%が販売不振です。
 ですから、夕張市のような内容とはまた違うんですね。今の夕張市のようなところに人が来るか、そしてまた企業が行くかというと、それなかなか難しい話だというふうに思います。今頑張って、六十八億二千六百ありましたが、約六五%、あと二十三億まで来たわけですが、これからが正念場かなというふうに思います。
 我々の財政再建の取組ですが、経費の削減なんというのはこれは当たり前の話でありまして、もう既に七年、我々の執行部の報酬カットはもちろんです、これを続けております。私は、今、公務に当たりましては公用車にほとんど乗りません。自分の自家用車で、自分の燃料で自分が運転して、歩いております。それぐらい地方の自治体の皆さんは努力を今しております。
 ですから、この法案に当たりましても、どうか、一生懸命頑張ろうというところありますから、ひとつそういうことも考慮できるような法案であってほしいなと、このように思います。
 そして、一番やっぱり財政再建をして何が大事だったかといいますと、情報の公開だというふうに思います。今までずっと秘密主義で全部隠しておって、いろんな問題だれも知らなかった。それを情報公開をして、こういう破綻をしていますよと、財政状況はこうですよということを聞いて、先ほど申し上げましたが、皆愛村心が強い。生まれ育った方は強いです。
 ですから、そうしたことにおきましては、財政再建を進める上で、みんなが元気がなくなるような手法でなくて、将来に向けて希望を持てるような、そういう内容であってほしいなと。これはここで、机の上での計算では分からないと思います。それぞれの地域、地域性あります。いろんな諸事情がありますので、そういうことも是非考慮してほしいなと、そういう法案であってほしいなというふうに思います。
 我々の一番の問題であります住宅団地の販売等につきましては、一番は、財政破綻したからといって元気がなくては駄目ですから、金がなくても我々は、銀座の七丁目ですが、日産自動車の本社の隣に拠点を持ちまして、販売ブースを持って取り組みました。そして、銀座でチラシを配り、そしてまだまだ様々なことを職員と考えながら、アイデアを繰り出しながら、通勤奨励金、泉崎に土地を買って東京まで行っても一時間三十分で行きますよ、その通勤費に三百万出します、そういうようなアイデアを出してみたり、そして一番今課題になっております職業紹介所を開設して、東京から来る人に職業を紹介しますよ、住んだ方に職業を紹介しますよと、そういうこともやっております。それが多くのマスコミの皆さんに目に留めていただきまして、これまでテレビでも何回か放映をされましたし、週刊誌、新聞等にも出していただきまして、そういうことを知っていただいてやっと土地が売れ出したという経過がございます。
 ですから、みんな今この厳しい、とにかく厳しい状況の中で、行財政改革をしながら住民サービスを下がらないように頑張ろうと言っている自治体一杯ありますので、どうかこの法案に当たりましては、そうしたことを配慮していただきまして、今、安倍内閣で重要政策課題になっております再チャレンジ、個人や企業ばかりではなくて地方自治体も再チャレンジできるんだ、頑張れるんだと、そういうような環境を是非この中に盛り込んでいただければというふうに思っております。
 これからも我々は皆さんに期待にこたえられるように一生懸命努力をしてまいりますので、この本法案、我々にとって一つの光になるようなお願いを申し上げまして、意見といたします。
 本当にありがとうございました。
#5
○委員長(山内俊夫君) ありがとうございました。
 次に、片山参考人にお願いいたします。片山参考人。
#6
○参考人(片山善博君) ありがとうございます。
 御紹介いただきました、今慶應大学におります片山であります。今日は本当にいい機会を私に与えていただきまして、ありがとうございます。深く感謝を申し上げます。
 といいますのは、私もこの四月まで鳥取県の知事をやっておりまして、その知事をやっております立場から、現在の地方財政危機、特に夕張市に象徴されます財政破綻について真剣に考えておりまして、これをどうやったら夕張のようなことを防げるかということを真剣に考えておりましたので、このたび新しい法案ができまして、それに対して私の考えとか意見を申し上げる機会を与えていただいたということは大変有り難いことだと思っております。深く感謝をしております。
 今日は、お手元に一枚の紙を用意させていただいていると思います。具体的にどういうところにこの法案についての問題点があるのかということをお話を申し上げたいと思いますが、最初に夕張市の財政破綻というものをいま一度振り返ってみたいと思うんです。
 これは、夕張市は一つの象徴でありますけれども、夕張市に似たような自治体というのは全国にもう一杯あるわけでありまして、かなり普遍性のある財政の破綻だととらえております。夕張市を見ますと幾つか破綻の原因が考えられるんですが、大きく分けて私は四つあると思っております。
 一つは、もう一番の当事者である住民の皆さんがほとんど無関心であったということです。これは、会社でいえば株主でありますし、自治体の住民というのはそもそも自治体を形成する一番の当事者であります。ですから、破綻をするということは当事者にとって大変大きな問題でありますし、今現出されておりますけれども、実際自分たちに対する住民サービスというのは著しく低下をするわけであります。ですから、そういう意味で一番はらはらしてなきゃいけない当事者の住民が無関心であったということ、これは非常に地方自治にとっては重大な問題であります。
 その住民の代表であります、納税者の代表であるのが議会でありますけれども、この議会も全く、はっきり言ってもう無為無策、無能であったと私は思います。あれだけの大借金を抱えている、それは執行部が勝手にやったわけではなくて、地方債の発行というのは議会がその都度全部承認をしているわけであります。ですから、承認をしてあの小さな一万四千人の町で三百億円を上回る地方債を発行して残高があるという、全部議会が通過させているわけですね。
 それから、なおかつ夕張の場合には粉飾決算がありまして、一時借入金という名の粉飾のツールを使ってやったわけですけれども、これも議会は分かっているはずなんです。一時借入金の限度額というのは議会が承認しているわけであります。予算書を見れば、ここに粉飾があるというのはだれが見ても分かります。それを見抜かなかったのか、見抜けなかったのか、知って知らないふりをしたのか分かりませんけれども、全くチェックの機能を果たしていないということ、議会の機能不全であります。これも我が国の地方自治体の、夕張ではなくて実は普遍的に見える光景なんであります。
 それから三つ目が、貸手のリスク感覚欠如。なぜ夕張が財政破綻したかというと、借り過ぎ、貸し過ぎなんです。借りなかったら破綻をしないんです。貸さなかったら破綻しないんです。貸したから破綻したわけです。金融機関に大変大きな責任があります。地方債の場合には一応政府のお墨付きがありますので、これを貸すことについてギルティーでは必ずしもないと思いますけれども、粉飾の分を三百億円ぐらい貸し続けていた、毎年貸していた、これは民間の金融機関でありますけれども、これはもう全くギルティーであります。粉飾の加担をしているわけであります、粉飾の共犯であります。
 この金融機関が全くリスク感覚がないということ。あれほど民間企業に対して不良債権の査定などを厳しく行っている金融機関が、事自治体に対しては全くノーリスク、リスク感覚なしで貸し続ける、貸し込み続ける。しかも、昨年の六月に夕張市は財政破綻宣言をしました、独自に。そうしますと、実態が明るみに出て、一体これが何年掛かって返るのだろうかということは金融機関なら大いに不安に思わなきゃいけない。ところが、その直後にまだボーナス資金を貸し込んでいるわけです。破綻をして、もういつ返ってくるか分からないような相手、貸し先にまた追い貸しをしているわけですね。こういうのは経営者の責任はどうなっているんだろうかと私は思うんです。
 今私が申し上げているのは、地方債を引き受けているんじゃないんですね。短期という名前で粉飾の片棒担いでいるわけです。これを財政破綻宣言後も金融機関は唯々諾々とやっているわけですね。こういう実態が今我が国にはあるわけであります。
 それからもう一つは、今日国の方も来られているんでちょっと言いにくい面もありますけれども、国の御都合主義的関与というのがやっぱりあります。政府は地方債に対して関与しています。従来は許可ということで起債の許可していたわけです。夕張の三百億円の地方債残高、全部国の許可を経ているわけですね。人口一万四千人の町に残高が三百億円もたまるほど起債を許可しているわけです。一体起債の許可何だったんだろうかと、起債の許可というのは破綻を防ぐための許可じゃないのか。そうじゃなかったんですね。国が景気対策をやるときにはじゃんじゃん地方に仕事をしろと言ったわけです、借金をして。どんどん許可してやるからどんどん借金しろと。借金政策を慫慂したわけですね。こういうのを私は国の御都合主義的関与、今非常に厳しくて峻厳な態度を取っていますけれども、ついこの間まではどんどんやれ、どんどんやれと言っていたわけですね。これを絶対忘れてはいけないと思うんです。これらが夕張に象徴される自治体の財政破綻の原因であります。
 そうしますと、新しく作る法律というのは、この原因を踏まえて、原因をよくわきまえて、そこから処方せんを作らなきゃいけない。病気と一緒でありまして、治療をするにはやはり原因と症状を見極めなきゃいけない。そこで、じゃ、今回提案されております地方公共団体の財政の健全化に関する法律案が、今私が申し上げたような原因とか症状とかをよく踏まえて作られているかというと、正直申しましてそうなっておりません、残念ながら。
 例えば、どういうことかといいますと、法案の問題点ですが、ステークホルダーズ、すなわち最近市場で言われていますけれども利害関係人ですね、利害関係人がこの法案には登場しないんです。利害関係人だれかというと、貸して返ってこなかったら困る金融機関、全く登場していません。金融機関のリスク感覚がなかったからこんなことになったのに、リスク感覚を取り戻そうというような仕掛けは何にもありません。また同じことです、これは、金融機関垂れ流しになります。
 それから、住民の自覚を促す施策もありません。専ら国に報告する、国に報告するです、計画を作ったら国に報告する。国がまとめて発表するという、こういうスキームであります。一番の当事者である住民が覚せいをしなきゃいけない。ところが、そのシステムは全くありません。唯一あるのは、議会に報告をしなさいというのは書いています。もう通過儀礼です、これは。議会に報告をして、あとは主要な作業は総務大臣に報告をすると、総務省で取りまとめて全部一括して公表すると。ですから、中央集権型になっています。当事者中心型にしなければいけないのに、中央集権型になっています。これは、私は全く地方分権の理念に逆行していると思います。
 金融機関が蚊帳の外に置かれているというのは、これは致命的であります。何の対症療法にもなっておりません。従来、何で金融機関がリスク感覚がないかというと、地方債というのは国が許可したり、今は同意とか承認とかするわけですけれども、国が関与しているから、これは何かいざとなったら保証してくれるんだろうというような漠然とした気持ちがあるんですね。全くありません、これは、政府保証債じゃありませんから。ところが、国がぱんとお墨付きで判こをついているものですから、何か後で破綻をしたときには国がちゃんと面倒見てくれるんだろうと。だから、自治体にはデフォルトはないなんていうことを言う金融機関もありますけれども、全く間違いであります。自治体にはデフォルトあります。夕張市の去年のボーナスのときに、のんきな金融機関が貸したからよかったようなものの、きちっと貸さなかったらボーナス払えませんから、立派なデフォルトなんですね。貸し続けるからデフォルトがないんです。どこまでも貸し続けたら、民間企業だってデフォルトはありません。それと同じことです。
 だから、もう国が、いいの悪いのと、自治体が金を借りるのいいの悪いのなどという、そういうおせっかいはしないで、金融機関が市場の目で見て信用力があるかどうかをチェックするという、まともな姿に戻さなきゃいけない。ところが、この法案では、金融機関は蚊帳の外に置かれております。これは全く致命的であります。
 それから、議会がやっぱり軽視されています。地方分権というのは、最終的には議会が責任を持つということです。国の法律で決めていたものを条例で決める、議会が決めます。三位一体改革で補助金をやめて一般財源にするということは、従来国の官僚が裁量権でもって金の使い道を決めていたのを、今度は自治体が自分の予算で決める、それは議会が承認する。ということは、議会が中心になるということです、地方分権というのは。ところが、この法案は議会軽視であります。議会には単に報告だけしておきなさいよ、あとは全部国がやりますからということです。
 それから、国の場当たり的財政指導を禁じる措置が欠如している。これはさっき言いましたように、原因の一つは国の御都合主義的な関与が原因です、夕張の場合も。そこをなくさなきゃいけない。この法案は、自治体を縛ることは一杯書いていますけれども、国の失敗を踏まえて国を規制する、政府を規制するという発想が全くありません。政府も間違うんです、間違えたんです、かつて。政府が間違えないようにする仕掛けが法律には要る、それは国会の仕事だろうと私は思うんです。
 それから、国による護送船団的財政運営を強化する。これ先ほど言いましたけれども、中身見ていますと、いろんな計画を作りなさい、全部政府に報告をして承認しますという、こういうスキームになっているんですけれども、主役である住民は全くこれも蚊帳の外であります。住民がなぜ夕張のときに無関心であったかというと、まあ言わばお任せ民主主義で、国がちゃんとやってくれているから大丈夫でしょうという、そういう意識なんです。これは自治と全く対極にあります。
 今、地方分権の時代に何が必要かといったら、住民が自分たちの町は自分たちがコントロールして自分たちが責任を取るんだという、この自覚を醸成しなきゃいけないと思うんですけれども、これは全くまた、住民はもう黙っといていいです、国がちゃんとあんじょうしてあげますからという、そういうタイプの法案であります。分権型ではありません。牧民官的というか、護送船団的と言ってもいいかもしれません。
 それから、もう一つ気になるのは、債務返済を最優先しようとしています。債務返済を聖域化しています。非常に不思議なのは、財政破綻したときに債務だけはきっちり返すという仕掛けなんです。これまでもそうですし、これからもこの法案の中身はそういうことを前提にしていると思います。普通、民間企業が財政破綻、まあ債務超過に陥って破綻するときには必ず債務調整があるはずなんです。債権カットがあるはずなんですね。それでもって破綻させるか、再生させるかということになるわけですね。自治体の場合は破綻させるわけいきませんから、再生しなきゃいけない。再生するんなら、なおのこと債務調整が必要になるんです。払える範囲内に債権債務をカットするということが必要になるんです。これは民間企業の再生でも同じことです。
 ところが、この健全化法は、もう必ず債務は返しますと、返させますと。だから、金融機関は全く優遇されています。住民は、増税とか使用料、手数料、負担金などの増徴によって、自業自得だということでその負担を強化されます。ところが、住民と同じようにのんきであった金融機関は完璧に保証されるという。そもそも自治体というのは何のためにあるか、ミッションは何だろうかという、これは住民のために自治体は、住民のために行政サービスをする機関であるべきところが、金融機関に債務をちゃんと払うため、これがミッションになってしまっている。おかしいです、こんなのは。住民ものんきだった、金融機関ものんきだった、だったら同じように三方一両損というのが世の中の常識であります。債務調整を必ず入れるべきです。債務調整を入れれば、金融機関はもっとしゃんとします。しゃんとさせれば、こんな大量に貸し込んだりはしないはずであります。
 最後に一つだけ、私は、国会議員の先生方に是非お願いしたいのは、この法案の中の附則の中に、国等に対する地方団体の寄附金の制限の規定が盛り込まれております。これどういうことかというと、例えば東京都でもどこでもいいんですけれども、自治体が例えば国立大学に何か寄附しよう、寄附講座しようとかいうときに、しちゃいけないということになっているんです、今までも。何の規定でなっていたかというと、地方財政再建特別措置法という昭和三十年ぐらいの法律ですね、これの前身の。そこの附則に書いてあったんです。なぜそんなものを書いたかというと、当時昭和二十年代の終わりは、国なんかに一杯寄附して、それで財政破綻したところ多かったんですね。それをやめさせようというので、昭和二十九年、三十年にそういう規定を設けたんです、当分の間ということで。このたびの財政再建法の中にそれが全くそのまま長らえようとしているんです。今、自治体が国に対して寄附をする、そのことによって、国立大学に寄附をする、そのことによって財政破綻をしているような事例があるでしょうか。
 それからもう一つは、この分権の時代に、都道府県、東京都も含めてすべての自治体は、国立大学や国の機関に対して寄附をすることの是非すら判断できない、そういう能力のない存在だというふうに見ているんです、この法案は。だから、しちゃいけないと。どうしても例外的にする場合は、総務省の役人がチェックしてあげますという、こういう仕組みなんです。今、私が県で知事やっていましたけれども、そんなものを国の役人にチェックしてもらう必要ありません。国立大学と一緒に連携を取り、コラボレーションして、何か地域にとって人材が必要なその講座を設けようなんというときに、国に、国というか国立大学にお金を出すなんというのは真剣に考えます。議会のチェックを、承認を受けます。それで十分です。それは駄目だ、そんなことはしちゃいけない、国の役人がチェックしてあげますと、これで地方分権と言えるんでしょうか。そういう寄附の是非すら判断できない存在だと認定していて、それで、さあ地方分権だなんというのはこっけいであります。これはお役人が自分の権限を守るためにこんなものを盛り込ませているんです。こういうのを排除するのが国会の役目だと私は思います。
 私は、是非お願いしたいのは、こんな規定がそのまま残ったままでこの法律が通ったら、国会は地方分権なんてもう言わない方がいいと思います。ということで、よろしくお願いします。
#7
○委員長(山内俊夫君) ありがとうございました。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#8
○委員長(山内俊夫君) 速記を起こしてください。
 河内山参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変お忙しい中、当委員会に参考人として意見陳述にお越しいただきまして、ありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を承りまして、本案の審議に反映させていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後に河内山参考人にお願いをいたします。
 座ったままで結構でございますので。
#9
○参考人(河内山哲朗君) 冒頭、ちょっとごあいさつだけ申し上げます。
 常日ごろからの地方行政あるいは大変難しい財政の問題等々、先生方には大変お力添えをいただいておりますことを感謝を申し上げたいと思います。このような意見の陳述の機会をいただきましたことを御礼を申し上げたいと思います。
 今日は羽田空港が濃霧で着陸ができませんで、随分いらいらいたしましたけど、片山先生がもうお話しになって、その後に話すのは何となくパンチもないし、論点ももうみんな言われていると思いますけれども、全然お話を聞かずにお話しさせていただくんで、大変ダブってしまうようなことがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 それでは、座ってお話をさせていただきます。
 私は平成五年に山口県の柳井というところの市長になりまして、今もう十四年たちました。なりましたときは三十四歳で、随分若くして市長になりまして、それから今日に至っておりますけれども、この十四年間というものを考えてみますと、私自身の市長としての経験だけで申し上げましても、やはり地方は分権の方向には行き始めておりました。平成五年に衆参両院で地方分権に関する国会の決議が行われましたけれども、地方分権の方向に進みつつありましたけれども、やはり日本の国というのは、中央と地方、かなり協調して政策を実施をしておりますので、分権の方向には行きつつありますけれども、かなり国の意向とか国の施策に地方公共団体、地方自治体は連動して仕事をしてきた、そういうつもりはございます。
 今日のテーマでございます健全化に関する法律の幾つかのポイントについて申し上げたいと思いますが、そういう国とお付き合いをしてきた地方自治体の立場からしますと、まず申し上げたいのは、やはり過去非常に財政出動を余儀なくされた時期に、全国の地方自治体、全国の都市は借金の積み上げを行っております。このことについての落とし前というのをちゃんと付けずに、事後ルールでいろんな指標を持ち出されるということは、若干我々としてはいかがなものかということはございます。
 もちろん国も地方も財政の健全化を図らなきゃならない、あるいは財政を再建をしなけりゃならないという一大方向については一致をしているわけですけれども、片山先生のお話にも若干関係あるかもしれませんけれども、本来的にはやはり分権の時代に財政を健全化するというのは首長であり議会であり、最終的には納税者、有権者が、我が自治体、我が市は少し経常収支の比率が高まっているんならこうこうこういう改革をすべきではないかということを、あるいは起債の残高が積み上がっていれば、今後はやっぱりプライマリーバランスを早く取るようにすべきだというのは、地方自治体が自らの判断と自らの責任でまさしく自ら律するという方の自律的に健全化を行うのがやはり筋だと思っております。
 しかしながら一方で、我々も反省をしなきゃなりませんのですが、分かりやすく自らの財政の状況をこれまで市民に、あるいはひょっとすると議会に、我々首長あるいはいわゆる執行権を持つ者は示してきたか、情報を分かりやすく開示をしてきたかということになりますと、これはいささかちょっと自信がないところがあります。
 これまでは、我々の財政が健全かどうか、あるいはどういう状況にあるかというのは、これは収支がどうなっているかという黒字か赤字かという数字と、それから公債費比率であるとか起債制限比率という数字と、それから先ほど言いました経常収支の比率がどうかとこの三つぐらいで、我が財政はどうであるかというのは判断をしていただくために情報開示していましたけれども、これはなかなか議会の方でも本当にどのぐらいが健全性の限界なのかというふうなことについては、なかなかはっきりした目標値にはなっていなかったんだろうと思います。
 したがいまして、今回いろいろと法律の中で書かれている新たな指標というのが出てくること自体については、我々も、その指標が内部的には昨年に比べて今年は良くなったのかとか、あるいは十年前に比べてどう変わっていくのかという意味では非常に有効な数値の目標だと思っております。
 しかし、先ほども申し上げましたように、これをどこからか急にとやかく言われるというようなものではなくて、やっぱり自律的にやるべきだということはやっぱり大事な点ではないかと。これがやはり自己責任、自己決定、そして最終的には自らがその健全化というものを果たすことによって、市民や有権者、納税者に迷惑を掛けずに行政運営をしていくという、そういう時代だと思います。
 それが一点と、それからもう一点申し上げたいことは、自治体にはやはりそれぞれ特殊要因というのがございます。現在の財政の指標、内容、あるいは今度示される指標というものは、過去に行ったその特殊要因の結果が数字として現れているわけでございます。
 具体的に二、三申し上げますが、例えば平成の大合併で全国の自治体は数が千八百程度に再編をされました。私のところは、小規模合併、一市一町合併ということでございますんで、さほど今から申し上げることが特に目立っているわけじゃございませんが、例えば山口県内で市長会でいろいろと議論しますと、例えば萩市というのは本当に面積が広くなりました。一つの萩市と周りの町や村、合併をしました。そうしますと、過去、これ例えば山口市も全く同様なんですけれども、過去、過疎債であるとか、あるいはかなり手厚く町村についてはやはりいろんな財政措置がされてきたこと、これは手厚くされていますけれども、キャッシュで財政措置がされているものもあれば、今回正に問題となっております起債で財政措置を、財政というか、応援していたこともございます。
 とりわけ、この起債で様々な応援をしてきたことが合併によって新しく誕生した自治体としましては、これはどこが中心ということもないんですけれども、一挙に、全体として見ると、今までは何とか成り立っていたものが一遍に、今回示されるような連結実質収支であるとか、あるいはなかなか難しい概念でございますが、将来負担がどんと大きくなる、これが特殊要因の一つです。ですから、合併という非常に国を挙げて進めてきたことについて協力をしてかなり頑張ったところというのは、全部とは言いませんが、周辺部を合併したところはかなり財政が悪くなっているというようなことがございます。これは特殊要因の一つでございます。
 それから、我が市のことを一つだけ申し上げますと、今私のところは実質公債費比率が一八%を若干超えておりますので、優等生ではございません。この一八%というもののうちの私は三ないしは四ポイント、ですから、三か四引いたものが、特殊要因がなければ私どもの実質公債費比率ではないかと思っているんです。
 その三ポイント、四ポイントというのは何かといいますと、私どもの地域は昔から干ばつ常襲地帯でございまして、温暖多日照なんですが、雨が降りません。それから、河川が非常に短くて流域がないということで、常に夏は水不足の苦労をしてまいりました。平成十年に広域水道事業というのが完成をいたしまして、我々は今、今年はちょっと危ないかもしれませんが、水不足の心配はほとんど飲み水ではしなくて済むようになりました。これは市民にとっては非常に良かったことなんですが、広域水道事業ですから、柳井市を含めた当時一市九町で始めた事業ですが、柳井市の負担割合は約四割程度ありますが、総事業費でいいますと約六百億円ぐらいの大事業を行いました。実は山口県の水ではなくて、山口県と広島県の県境に流れている小瀬川というところの水、弥栄ダムで受け止めた水を我々は供給を受けております。
 ただ、その事業の内容たるや、三十キロ水を引っ張ってきます、導水をします。三十キロのうちの二十キロはトンネルです。それから、広域水道事業ですから、構成する町の隅々まで水を配っていきますけれども、その送水の距離が約百キロございます。したがって、本来は市町村の事務として描かれている水道事業というのはそこまで大規模なものは想定をしていない。水源というのはそんなに遠くにはないだろうということで水道の事業の前提としてあると思いますけれども、これだけ大きな事業をやりますと、やっぱり実質公債費比率でいうとかなり引き上げるようになります。
 したがって、こういうふうに特殊要因というのは一つ一つ挙げていきますと切りはございませんが、そういうものが加味されずに一つの指標だけで市や町の財政というものを決め付けるというのは若干疑問が残ると。したがって、これは今から政令等で示されるものになるわけでございますが、そういうことが十分に加味されたような考え方が取られないといけないのではないかと思います。
 時間がなくなりましたので最後に申し上げたいと思いますが、今後導入をされます連結実質収支比率の中に入ってきますのは、国保会計、介護保険、あるいは病院、下水道等々、市民にとっては非常に大事なものでありますけれども、構造的になかなか黒字にならない事業がたくさんこの中へ入ってまいります。
 私は全国市長会の国保の対策の特別委員長をずっと務めて最近おりますけれども、医療制度改革が今行われておりますが、国民健康保険に関してだけ申し上げますと、全国の数字を積み上げますと、一般会計からの繰入金は最近の数字では大体毎年一兆円を超える繰入れを行っているわけですね。これは赤字だとか黒字だとか、交付税で措置されているとか、いろんな理屈はありますけれども、もう実質的に見た目というか、数字上は一般会計から常にそれだけ繰入れをしなければ運営ができない。それでも赤字の国保はたくさんございます。そういう意味では、構造的に医療保険制度のというか国保の問題点が克服されない限り、連結実質収支比率に入ってくる数字というのは全国的に悪い数字がたくさん出てくると思います。したがって、これは国保だけではございません。
 それから、長年にわたって様々な交付税措置というのがいろんなことをされてきましたけれども、その交付税措置で積み上がってきたものも含めて、いわゆる地方財政を支えているものや地方財政が支出を余儀なくされているもの自体の構造の改革を行わない限り、こういう収支の比率を幾ら出しても私は改善はすることはなくて、逆に改善をしようとしたら、一時期夕張市の事例でそういうことが起こりそうになりましたけれども、財政は健全化できたけれども、町は再建できないというようなことにもなりかねない。それはもうひいてはやっぱり市民の生活や、あるいはイコール国民ですが、国民生活というものをやっぱり不安定にすることになってしまうと。
 そういうことで言いますと、地方財政だけをターゲットにして今法律が作られておりますけれども、よく市長会で市長仲間で話をするんですけれども、国の財政健全化法というのをまず作って、それをまずやってもらって、それと同時に地方の方もやるというぐらいでないと、どうも余り、分かりましたというわけにいきませんねというのが本音としてございます。そんなことも全部加味して法律案の審議が今されていると思いますけれども、是非、地方財政自体の指標を幾ら示しましても、中身をとにかく改革を急いでやらないと、同時にやらないといけないということを市長という立場から感じておりますので、お話を申し上げた次第でございます。
 今後とも、先ほど言いましたように、政令等で定められる項目がたくさんあると思いますので、当委員会の先生方にはしっかり地方の実態、実情というものを踏まえられて、いいものになるように是非御努力を引き続きお願いをしたいと思います。
 以上で意見の陳述を終わります。ありがとうございました。
#10
○委員長(山内俊夫君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○二之湯智君 自民党の二之湯智でございます。
 今日は、三人の参考人の皆様方、本当にお忙しいところありがとうございました。それぞれ特色ある陳述をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、片山前知事、慶應大学教授にお伺いしたいんでございますけれども、夕張市の破綻の原因を四つほど挙げられておりますけれども、常々片山知事は、地方自治体における議会の役割、機能というものが大変重要だと、このようにおっしゃっておるわけでございますけれども、私も地方議会出身でございますけれども、なかなか地方議会に地方自治体の財政の中身をチェックできるだけの能力があるのかないのか、現在ですね、大変それはじくじたる思いがするわけでございます。
 さらにまた、議会の機能強化と申しましても、これもなかなか議会自身からそういう声も沸き上がってこないし、総務省の方も地方自治法で、九十六条一項でもう地方自治体の議会の議決案件を十五項目に縛ってしまって、なかなか地方自治体で一番大事ないわゆる基本計画すら地方自治体の議決案件に組み込んでないと。もちろんこれは二項で条例によって地方の基本計画を議決案件にすることはできるんでございますけれども、なかなか地方議会が、執行部がやっている事業の予算あるいは振興計画をチェックする機能になってないんじゃないかと、このようなことを思ったりするわけでございます。
 そんなことで、議会のもちろん力不足もあるわけでございますけれども、これからの地方自治体と議会の役割、これについてひとつもう一度お伺いしたいと、こう思うわけでございます。
 それと、基礎的自治体のトップでいらっしゃいます河内山参考人と小林参考人にお伺いしたいんでございますけれども、それぞれやはり、私は、住民が、よく景気のいいときはあれもしろこれもしろと、もう随分と地方自治体に要求ばかりの、そういう住民が増えてまいりました。本来、これなんかは自分たちが自身でやったらどうかということまでもお役所が進んでやらなきゃならぬということでございまして、せんだっての夕張市の事業の縮小なんかの項目を見ておりますと、昔は、二、三十年前はみんな地域の自治会とか隣近所がやったことまでもお役所に任せてしまっている。これでは幾らお金があっても足りないと、このように思うわけでございますけれども、一体この地方自治体の住民サービスの最低レベルというのはどの程度までに抑えるべきだということですね。
 それとまた、そのためにも、また住民の要求をある程度抑えるためにも、やはりもう我が町の財政状況はこうなんですということをもっと分かりやすく、もうそれも税理士とか公認会計士とか一部のお役所の人間しか分からないようなそういうデータじゃなくて、もう住民が、本当に普通の方が見てもああ我が町の財政状況は大変だなというふうなことをしないと、やっぱり受益と負担ということがはっきりと分かってこないんじゃないかと、こう思ったりするんでございますけれども、その点に、お二人にお伺いしたいと思います。
#12
○参考人(片山善博君) 今、地方議会の役割とそれから能力の問題についてお話がありましたが、おっしゃったような実態があると思います。これを改善しなきゃいけないと思うんですね。
 幾つかポイントがあると思うんですが、私は一つは、現行の地方自治法が議会に付与している現行の権能でさえ今の日本の地方議会は活用してないと思うんですね。
 例えば、昨今、地方の教育委員会の問題が指摘されました。いじめ、自殺があっても何ら的確な対応できないじゃないかというので、今教育三法が改正になって、その中で地教行法の改正案が出ていると思いますけれども、その中では、文部科学大臣が教育委員会に直接指示をすることができるというふうな規定が入っているんですけれども、ああいうのはもう教育委員会の失敗なんですね、結局。
 何であんなことになるのかというと、教育委員会というのは教育委員が構成しているわけです。教育委員、だれが選んだんですかというと、文科大臣じゃなくて首長が選んでいるわけです。首長が議会の同意を得て選んでいるんです。同意を与えているんです。審議していますかって、全然審議してないんです。最終日にぽっと人事案件出して、右から左へさっと通してしまうことばっかりやっているんです。せっかく審議をして同意をするという権限が与えられているのに、何にもそれを活用してない、単なるこれも通過儀礼にしているんですね。こういうことがまずありますから、今の現行の規定をちゃんと活用するということ、これは最低限です。
 それから、地方自治法の九十六条で議決案件を制限されている。制限されているんですけれども、あれは、あれだけに限りますよという必ずしも限定列挙ではないんです。あれに付加をして、それぞれの自治体の議会で条例を作って議会の権能を増やしたらいいと思うんです。
 例えば、鳥取県議会で私が知事やっておりましたときに、入札問題で発注の方法とかそれから入札参加資格の制限というのを全部首長が決めることになっているんです、首長が、首長だけで。あんな重大な問題を日本の地方自治法は首長が勝手に決めていいことになっているんです。だから和歌山とか福島みたいなことが起こる背景があるわけで、あれではいけないので、公開の場で決めましょうということで条例化しました、事実上、新しい条例を作って。ということもできるんです、やろうと思えば。
 そのためには、議会の事務局の強化が必要です。議員立法をしようにも、いませんとみんな言うんです。だったら、ちゃんとそういう専門スタッフを置いたらいいです。置かなきゃいけないんです。これも鳥取県のことになりますが、鳥取県議会は、これは議会が勝手に、勝手にと言ったら変ですが、議会が独自にこの参議院から有能なスタッフをスカウトしてきまして、三年ほど仕事してもらっていました。そういうこともできるんです、やろうと思ったら。やらないだけなんですね。
 あともう一つは、私は、もう言いにくいですけど、地方議会の議員の選び方と選ばれ方をもうちょっと点検する必要があると思います。選ばれ方、選び方、全部国会議員の皆さん方と同じ条件を課しているわけです。基礎的自治体の議会の議員の要件が国会議員の皆さん方と同じである必要があるでしょうか。もっと兼業、すなわちサラリーマンとか教員とかそういう者が地方議会に出て、日常生活をしながら、仕事をしながら基礎的自治体の行政に参画をするということがあってもいいのではないか。今それは事実上閉ざされています。そこを解除する、これは地方自治法で議会制度の見直しをやらなきゃいけない。分権時代というのは議会が主役だということをさっきも申し上げましたけれども、それならば主役にふさわしい議会の在り方を自治法の改正を通じてやらなきゃいけない、これが私は一番大きな課題だと思っています。
#13
○参考人(河内山哲朗君) お尋ねの基礎自治体として受益と負担の関係であるとかあるいはサービスの水準というのをどういうふうに考えていくか。これはそう簡単な話ではなくて、先生ももう御経験のとおりでございまして、長い間サービスを良くすることについて我々首長も議会も一生懸命努力をしてきた経過があります。それから、それを成り立たせてきましたのは地方財政の仕組み、交付税制度もありますが、ある意味ではやっぱり高度経済成長時代に、財政は厳しい厳しいと毎年言っているんですが何とかなってきたという税の自然増収というか、それがあったと思います。これは明らかにパラダイムは変わったということを首長がまず認識をすることが大事だと思います。
 サービスの水準をどの程度にとどめるべきかとか、どの程度であるべきかというのは、私も専門家ではありませんのでよく分かりませんが、理屈っぽく言いますと、やはり地方自治体の場合は、民間でできることは民間での次の話があるんだろうと思います。だけれども、民間でできることは民間でなんですが、民間ではうまくやっぱりやっていけないことというのは、これはもっと実は公共性の高いことについては自治体がやっぱり頑張らなきゃならない。
 例えば、先ほどの話で病院の話をいたしましたけれども、私のところは市立病院はないんですが、やっぱり大きな総合病院が、これ農協系の厚生連でやっていただいています。やっぱりお医者さんの問題というのは毎年のごとく出てきそうでございます。この春もございました。医師不足の問題みたいなものについては、これはほかのことはさておいてもやっぱり地方自治体、これは国もそうですけれども、やっぱりしっかりやらなきゃならない分野があると思います。そういうふうにやっぱり民生を安定させる、それから人の生き死ににかかわるようなこと、それから将来とも地域が成り立っていくようなコミュニティーを充実させるとか、そういうことはやっぱり地方自治体としてはこれまでよりも頑張らなきゃならないと。
 逆に、これはいろんな事例で私どもも反省しなきゃいけないんですけれども、何か立派な箱物を造ることについては、これはそろそろ抑制的というよりも撃ち方やめというぐらいの宣言をやった方がいいのではないか。もちろん、造らなきゃならないものはございます。しかし、我々、私は最近町づくりという言葉と同時に町使いという言葉をはやらせようと思っているんです。過去に投資してきたものをもっと使おうではないかと。例えば、立派な文化会館があります。文化会館も音楽を聴いたりお芝居を見るだけではなくて、高齢者の健康づくりで毎日民謡大会やったらどうなるかとか、そういうふうにいろんなものを使っていくという発想をこれから持たなければならない。これが今の住民サービスというか、地方の行政の少し方向性としてはそうなんではないかなと思っています。
 最後に一点だけ、柳井でやっていることの、住民の自治能力というのは捨てたもんではないというお話をさせていただきたいと思います。
 市道、市の道だけれどもなかなか余り使われない道というのがありまして、地域の方々にとってみると毎日使う道なんですが、整備が、順番からすると整備の優先順位が低いので整備ができないという道がたくさんございます。私も市長になりたてに、ある自治会長さんが、選挙であれだけ応援したんだからうちの道路何とかやってくれと、こうおっしゃったんです。だけどこれできないんですね。地域の方々にとっては大事だけれども、幹線ではありません。怒られること覚悟で、市も例えば原材料だとか機械を借り上げるとか、そういう費用を出すので、地域の方々にもやっぱり立ち上がって道路を造っていただけませんかと言ったら、半分ぐらいはなかなか納得されなかったですけど、やろうという話になりました。造っていただいて、造り終わったら、私も当時の建設部長も土木課長も道路ができたお祝いの会に呼ばれました。
 それぐらいやっぱり、本当は道路は公共団体が造るべきものなんですけれども、やっぱり自力というものはあるんですね。その仕組みを、ふるさとの道整備事業という仕組みをつくりまして、原材料だとか重機の借上げとかあるいは設計とか、これは市の方で受け持ちますが、実際にやってくださいというのは地域の方頑張ってくださいという事業をやりました。コストだけでいいますと、市が直接公共事業でやるのに比べますとコスト比較でいうと九・七三%です。十倍道ができると。できる地域もあればできない地域もあります。それはやっぱりコミュニティーの力とか、あるいはお百姓さんというのは非常に器用な人が多いですけど、都市住民というのはなかなか弱いと。そういう差はありますけれども、そういうこともございます。
 したがって、やっぱりこれから先のやり方というのはいろいろ考えていく時代ではないかなと。コミュニティーの力を発揮させるような施策というのは大事じゃないかなと思います。
 ちょっと長くなりまして、失礼いたしました。
#14
○参考人(小林日出夫君) 住民への財政とまた村の取り組む姿勢等につきましては、私は、各種のスポーツ大会や各種行事、そして毎月発行しております広報等で分かりやすい円グラフ等を使いまして話をしたり、広報で説明をしたり、そして年に一度、自治組合長会議、区長会議、一緒に集まって、そして村の財政再建の進捗状況とかというものをきちんと話をして理解をしていただいております。
 また、受益と負担につきましては、また最低のサービスはどうなんだということなんですが、これにつきましては、私は常に住民に言っているのは、お金のある人と力のある人はもう構わないよと。しかし、先ほど柳井市長さんも申し上げましたが、どうしても行政の力をかりないと生活できない方、こういう方についてはもう手を尽くそうと、その方が分かりやすいし、そういう形でやっていこうということで常々私は話をしております。
 また、今市長さんからもお話がありましたが、確かに理事おっしゃるとおり、今まではこれをやってくれ、あれもやってくれ、これもやってくれという話でしたが、私のところはもう財政再建中でありますからそれはできないと。まず自分たちで、例えばここの農地が排水が悪いと、だからそこに側溝を入れてくれないかという話になります。しかし、それは駄目だ、まず自分で手で掘ってみて、駄目だったら原材料を出しますよと、だから自分たちでやってくださいと、そういうような説明。また、側溝が詰まった、行政でやれ、そういう話ではなくて、あなたたちが自分たちでやるんであれば我々も行って機械を持っていきますよと、そんな形で理解をしながら今進めております。
 以上です。
#15
○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋でございます。
 本日は貴重な御意見、ありがとうございました。
 私の方からは、まず小林参考人にお尋ねをしたいというふうに思いますけれども、泉崎村はこうした今の状況になったときに、準用団体という道を選ぶのではなくて、自主再建を進められているわけであります。現在の実質公債費比率というのが〇五年度ベースで三〇・一%ということで、本法律案が施行されると財政再生団体になる可能性というのが残念ながら低いとは言えないのではないかというふうに思います。その際、泉崎村の方で、この間、本当に苦労されてこられたわけでありますけれども、その自主的な財政再建への取組に対して本法案が支障を生じかねさせないような、そういった懸念もあるわけでありますけれども、その部分について率直に思いをお述べいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
#16
○参考人(小林日出夫君) 私も実は心配をしております。
 昨年、週刊文春で実質公債費比率で全国でワースト五位、夕張が八位でした。しかし、その報道だけで我々の住民は大変動揺しました。そして、連携でいきますと、私の村も二五〇%を超えたときがあるんです。最初は二五〇%ぐらいありました。しかし、村民の皆さんに我々の姿勢、我々も削減して痛みを感じ、そして村民の皆さんにはできる限り値上げもせず、負担もしないでやってきました。やっと元気になってきたわけですね。ですから、ここでもし、またこの法案が通りまして、もう一度再建団体ですよというような報道とかそういう勧告を受けるとなりますと、これは住民が一番動揺するんではないかなというふうに思います。
 ですから、地域によりましては様々な課題がありますが、文化も違うし、そこに住んでおる方の考えも違います。ですから、是非、今一生懸命取り組んでおる、様々な要因あるんです。我々のところにも日本で三か所しかありません国保の村立病院があります。これは絶対に利益なんか上がるようなはずがありません。そういうことも、様々な要因を、要素を加味をして、そして判断をしていただけないと、何か一生懸命やってもみんなが不信感だけ、そして後ろを向いたらだれもいなかった、元気のない住民だけが残っていたと、そういうことでは困りますので、是非政令等でそういうものに加味する部分があるとすれば、是非それはやってほしいなと。我々も一生懸命やっているわけですから、その点を考慮していただければというふうに思います。
 よろしくお願いします。
#17
○那谷屋正義君 小林参考人が冒頭の御意見言われているときに、財政再建の間に地域の人が下を向いてしまっては一番困るんだという、そんなお話をされたのが今のお答えになっているかというふうに思います。地方公共団体の意見をしっかり聴くということがやはり私はこの法案においても本当に重要なポイントだろうというふうに思いますので、またそのように指摘をさせていただきたいというふうに思っているところであります。
 次に、河内山市長にお尋ねをしたいと思います。
 今少しお話がありましたけれども、柳井市においてふるさとの道づくり事業などを通じて頑張っていらっしゃるということで、先ほど片山参考人の方からも、夕張市の財政破綻の原因のその一つの中に住民の無関心というのが挙げられました。そういう意味では、このふるさとの道づくりというその事業について、市民のパワーをかりながらというか、パワーを一緒にこの道づくり事業に行ったということでありますけれども、こういうふうに住民の意識をいわゆる自治体の財政運営に対して向けさせるというか、関心を持たせるというのには、何かやっぱり工夫というかそういったものが必要なのかなというふうに思うんですけれども、もしお考えがあればお伺いをしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
#18
○参考人(河内山哲朗君) 住民の方々も、日常生活は仕事や日々の暮らしで忙しいわけなんですね。したがって、何もなければ財政の問題に興味、関心を示されない。これはもう、お任せ民主主義の悪いところというのは、これは私どもの自治体にももちろんございます。
 どうやったらみんなのもの、自分たちのこととして考えていただくかということは、やはりある意味ではまないたの上にちゃんと料理をすべき材料が乗っからないとだれもやろうとしないんですね。先ほどの例で言いますと、やっぱり道づくりをやってほしいということを言って、過去であれば、当分待ってくださいとか、少しずつ、言ってみれば百メーター整備しなきゃいけないところを二十メーターぐらい、例えば車の擦れ違いができるように少しずつ整備するということでお茶を濁してきたという面があると思うんです。我々は、やっぱりこれではいつまでたっても市民の意識も変わりませんし、もっと言うとその地域というか、自治体の中の地域ですけれども、の言ってみれば力、力だとか利便性というのはいつまでたっても変わらないと。やろうと思えばこういう方法もあるというのは、やっぱりそういうせっぱ詰まったところから初めて出てくるんだろうと思います。
 今自治体はどこもみんなせっぱ詰まってきつつあるわけですね。したがって、もうこれから先は、やっぱり今までのようにお金を使ってとか国に何かお願いをしてというんじゃなくて、自ら、自ら立ち上がろうというところの話が今からたくさん出てくるだろうと思います。これはやっぱり本当の民主主義だと思うんですね。
 ですから、どうすればそういうものが出てくるかというのは私もはっきり分かりませんが、ある意味では自治体も分権をして、やっぱり身銭、身銭だと思えばいろんな工夫ができるわけです。よく例え話で言うんですが、国の予算書は例えば十億円単位で記載がされている場合がたくさんありますね。一〇〇と書いてあると一千億円。それで今度は県の予算書を、予算の説明を見ると百万円単位で書いてある。そうすると、一〇〇と書いてあるとこれ一億円と。我々の市役所の予算書というのは千円単位で書いていますので、一〇〇といったら十万円なんですね。したがって、我々は十万円というものをどうするかということで一生懸命努力している。それがやっぱり補助金の感覚になってくると、一〇〇が言ってみれば単位が千円なのか百万円なのか十億円なのかでだんだんだんだん無駄遣いになってくる。
 そういう意味ではどんどん税源も移譲して身銭として仕事をしていく、地域の方々も自らが負担しているお金なんだということで立ち上がっていく、これがやっぱり大事なんじゃないかなというふうに考えております。
#19
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
 私、議員になる前は学校で教員をしておりましたけれども、授業でもいろんなものを子供たちに詰め込もうとしても、子供たちの方に問題意識というものがないとこれはなかなか浸透していかないということで、やはりまず一番最初に、何かこの単元をやるときに問題意識をどう子供たちが持つか、このことが今言われた住民の意識というものと何か共通点があるような気もしますけれども、しかし片や生活が懸かっているのと、それから片方は勉強ということで若干条件が違うかもしれませんけれども、この問題についてはやっぱりこれから本当に大きな課題になっていくんではないかなというふうに思いますので、またお知恵がありましたらよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、片山参考人にお尋ねをしたいというふうに思いますけれども、先ほど地方議会の監視機能の発揮の御質問がありましたので、それは私の方はダブりますので省略しますけれども、地方公共団体の財政規律を高めるにはその内部組織、監査委員、議会がそれぞれの立場においてガバナンスを発揮することが重要だというふうに思うわけでありますけれども、これに加えて、先ほどお話ありました金融機関においても、貸手の立場から貸付先である地方公共団体の財政状況を厳しくチェックする姿勢が求められるというお話をさっきいただきました。
 もう一度、その部分について先ほど言い残された部分といいますか、少し付け加えられるところありましたらお願いしたいと思います。
#20
○参考人(片山善博君) 我が国の自治体というのは特徴がありまして、一つは透明性が非常に低いと、これはもう中央政府も同じですけれども、それからもう一つはチェック機能が働かないと、ここが非常に重要なところなんです。
 チェック機能というのは、さっきおっしゃったように監査委員の機能というのがまずあって、これは準内部でありますけれども、それからその外に議会、完全に外じゃありませんけれども、議会というのがあるんですが、いずれも余りうまく機能していないんです。特に、監査委員に至ってはもうほとんど機能していないと言っていいかもしれません。そこで、屋上屋を重ねるがごとく外部監査委員というのを設けていますけれども、これも最近は余り機能していません、正直言いまして。本来議会というものがきちっとチェックをしなきゃいけない、これもしかしうまく機能していないと。ここをどうするのかというのは、先ほど申しましたけれども、それは繰り返しになりますけれども、私は議会制度の見直しが必要だと、地方自治法の改正が必要だと思っております。
 もう一つ、今回の財政破綻で言いますと、一番チェックすべきは金融機関です。やっぱり貸した人が返ってくるかなという、これではらはらする、そこで貸し過ぎとか借り過ぎの歯止めになるんですね。よく自治体の場合に、財務諸表作ってないじゃないかとか連結決算してないじゃないかと、こう言われて、実際今までしていなくて、今改めて連結的なものをやろうとか財務諸表的なものを作ろうと言っていますけれども、実は、何で民間は連結決算をして財務諸表作っているのに自治体は作っていなかったのかというと、それは貸手から求められなかったからなんですね。なぜ財務諸表がずっとできてきたかというと、貸す人がちゃんと出せ、情報公開しろというそのプロセスを経て、それなりのその連結決算だったり財務諸表が形成されてきたんですけれども、自治体の場合は、もう今まで自治省の方に行って許可とかいってもらうことばっかりやっていますから、金融機関の方に説明責任を果たす必要は一切なかったわけです。金融機関の方も求めない。だから、財務諸表ができてないんですね。今ごろ財務諸表作れといってもこれは無理です、やっぱり。形だけは作りますけれども、本当のものはできません。
 なぜかというと、これからもやっぱり総務省の方と財務省の方に行って、この起債いいですか悪いですかといって、同意くださいという、その作業ばっかりやるんです。だから、力の入れ先、向き先が全然違うんです。金を借りて破綻をしないようにするにはだれの方を向かないといけないかというと、一つは当事者の住民です。いいですか、こんな借金重ねて、将来皆さんの負担になりますよということを同意を求めなきゃいけない。もう一つは、貸してくれる人に、私は大丈夫ですからちゃんと貸してくださいということを、真剣にその説明責任果たさなきゃいけない。そこの一番重要なところは全部欠落して、貸してもくれない、担保も出さない、保証人にもなってくれない人のところへ行って一生懸命説明しているわけです。こんなことで金融がうまくいくはずがないんです。
 やっぱり市場に任せるべきだと思います。お上が判こついて、いいの悪いのと言うんじゃなくて、市場が市場の目で見て貸し先は大丈夫かどうかというのをチェックするという、こういう当たり前の姿に戻すべきです。この法案はその当たり前ではありません。やっぱりお上がちゃんとチェックをしてあげますよという仕組みですから、私はこれは駄目だと思います。
#21
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
 これからの議論の視点をいろいろと御示唆いただいた、そんな思いでもございます。
 最後にもう一つ小林参考人にお尋ねしますけれども、本法律案によりますと、今お話を出ていましたように、その四つの財政指標について毎年度、監査委員の監査に付すこととされているわけでありますけれども、このように監査委員の責任がある意味重い、重くなる一方、小規模な町村にとっては、とりわけそうした専門性を持った監査委員の確保や事務局体制の構築はなかなか難しいのではないかなというふうにも思われるわけでありますけれども、現状に照らすと、監査体制の充実強化のためには例えば国によるどういった支援や制度改正が必要というふうにお考えか、お考えがありましたらお願いしたいと思います。
#22
○参考人(小林日出夫君) 私どもの自治体は小さい自治体ですから、現状の中で今のところは十分かなというふうに思います。
 ただ、これまで財政破綻をするまでは首長の息の掛かった人が監査をやっていたという、そういう経過がございます。ですから、そういうものについては、やっぱり国の制度の中できちんとした第三者が監査できるような仕組みができればそうした間違いはないのかなと、そんな思いをしております。
#23
○那谷屋正義君 終わります。
#24
○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 今日は、三参考人、本当に貴重な御意見、ありがとうございました。
 それで、私、たくさん聞きたいことがあるんですが、重複を避けて、今までの委員の先生の方との重複を避けてお聞きをしますが、まず最初に、今の那谷屋委員の最後の御質問に関係するんですけれども、これは片山参考人と河内山参考人、お二人にあえてお聞きをしたいと思いますが、平成九年に地方自治法が改正されまして、施行が十一年だったと思いますけれども、その包括外部監査契約を条例に基づいて導入することが実は可能になりまして、政府としても奨励をしたという経緯がございます。
 ところが、実際に全国の指定都市及び中核都市以外の市区町村で、条例を制定して包括外部監査契約を実際に締結をして、日常的に外部の専門家の、今お話ありましたように監査を自治体の財政状況に入れているところというのは大変少ない。私が聞いたところですと、平成十七年度ですけれども、十三団体しかないと。東京の特別区である港区とか文京とか目黒とか大田も入っているんですが、地方でいうと神奈川県の城山市と大阪府の八尾市と香川県の二つの市というだけなんですね。恐らく河内山市長のところも包括外部監査契約は結ばれてないんじゃないかと思うんですが。
 これは地方自治法で決めたにもかかわらず実際にはほとんど進んでない問題でございますし、進んでいれば、もっと早く夕張市のような問題は明らかになったんじゃないかという思いも私持っているんですが、県知事も御経験された片山参考人の御意見と、現在市長であられるお立場から、もし市長として、いやそれは理論上はやった方がいいんだけどこういう現実的な障壁があるというんであれば、是非教えていただきたいなと思います。
#25
○参考人(片山善博君) 包括外部監査人のお話が出ましたけれども、これができた経緯は、その監査委員が駄目だから包括外部監査委員制度をつくったんですね。本来監査すべき監査委員がほとんど監査しない。特に当時問題だったのは、監査委員事務局でさえ裏金つくっていたということがあって、これは駄目だというので包括外部監査人をつくったんですね。
 私は、これは本末転倒だと思うんです。といいますのは、本来、監査委員が機能を発揮しないんなら、監査委員が機能を発揮するように改善、改革をすべきだったんです。そこに手を付けないで、屋上屋を重ねるがごとく包括外部監査人つくったんですね。
 だから、こういうのをつくっても、元々監査委員に監査をちゃんとしてもらおうという意識のない人たちが運用しているところにまた屋上屋を重ねても、うまくいきっこないんです。なぜうまくいかないかというと、監査委員だれが選びますかというと首長が選ぶんです、議会の同意を得て。その首長が本当に透明性を徹底して説明責任をちゃんとやりましょうねという性根が入っていなかったら、どんな監査委員を選んだって無理です、これは。包括外部監査委員も首長が選ぶんです。
 今どういう現実になっているかというと、弁護士は忙しくて余り割に合わないからやろうとしません。今、公認会計士とか税理士の皆さんがやっています。一種の利権になっているんです、もう、業界団体になって。そうすると、任命してもらわなきゃいけませんから、余り首長に対して厳しいことをびしびし言うと次外されるから、まあまあ穏便にやっておこうということになるんです、どうしても。だって、任命してくれる人ですから、その任命してくれる人のことを厳しくびしびしチェックしないんです。それが人情というものです。ですから、この制度はうまくいきません。
 どうすればいいかというと、もう一回原点に戻って監査委員制度を見直すべきです。首長が任命するんじゃなくて、私は選挙制度にしたらいいと思うんです。オンブズマンがどんどん出てきて、私がチェックしますという人が出てくるようなシステムにしないと、今のままだったら監査委員はやっぱり死に体のままです。と思いますので、中核都市とか河内山さんのところなんかに広めるのは私は余り賛成しません。
#26
○参考人(河内山哲朗君) 遠山先生言われますように、私どものところももちろんこういう包括監査の契約は結んでおりません。
 今、片山先生のお話の中にもありましたが、地方でこういう監査を外部に委託をしようとか、あるいは法律的な専門家に入ってもらっていろんな検討しようといったときに、お医者さんも偏在していますけれども、こういう職業も実は非常に偏在性が高くて、我々も、候補者ってどんな人をといってイメージしたときに、ある意味では地域におられるわけじゃなくて、縁もゆかりもない方が監査の仕事をされるというようなイメージであの法律ができたときに感じました。
 それは、もちろんその監査というものの仕事からすると無関係の方が監査をされる方がいいのかもしれませんが、ある意味では、役所の場合の、特に市役所の場合は、数字が合致しているかどうかというようなことの簡単な話はいいとしましても、やっぱりそういう、何でこういう仕事の進め方しているのかというようなことについては、やっぱり地域の事情とか実情というものも十分踏まえて、今の現行の監査委員さんみたいな方がやっていくのがいいのではないか。
 ただ、完全にその否定をするわけじゃございませんで、我々としては、透明性高く、それからだれからも後ろ指を指されないような仕事をしていくというつもりはございますので、全否定はいたしませんが、現状ではそういう余り、特段の不祥事があれば別ですけれどもね。円満に円滑に、それから監査委員さんからも、私も例月の監査を受けた後なんかはいろいろと御意見も常に承っておりますが、厳しい御指摘も時としてありますが、そういうふうに、まあまあそんな厳しい話ではないけれども御意見もいただいているという中で、そんな必要性感じていないという面もございます。
#27
○遠山清彦君 ありがとうございます。
 それで、ちょっとこの法案から若干外れるんですが、是非今日の機会にお三方に伺いたいと思っていたことがありまして、それはずばりふるさと納税制度の導入について、お三方それぞれのお立場で簡潔に、これをどういうふうに現時点で評価しておられるか。
 報道等されておりますが、政府、総務省内でも研究会をつくって検討して、一説によりますと今年の九月には制度設計の案が政府サイドから出されるということも言われているわけでございます。これはいろんな形態あるかと思いますが、菅総務大臣がおっしゃっているのは、地方税分の一割ぐらいを納税者が指定する居住地とは別のふるさとの自治体に振り分けることができるようにしようとか、あるいは寄附税制を改変して寄附ができるような形にしようとか、いろんな案は、手法はあると思いますけれども、いわゆるこのふるさと納税制度の導入についてどのような評価をされているか。小林参考人からお三方、お聞きしたいと思います。
#28
○参考人(小林日出夫君) 私は、ふるさと納税につきましては賛成です。というのは、一生懸命努力をしていい地域づくりをやろうと、そういう一つの意欲の持てる一つのことだというふうに思いますね。何もしないで、努力もしていなければ、自分の生まれ育ったところのお金を出す、納税をするという気にはなれないと思います。そういう意味では、我々も一生懸命やる気概があると、そういうようには思います。
 ただこれが、ふるさと納税で入ったから、また地方交付税で減ってしまうと、そういうことでは、全くこれではもう何もしない方がよくなってしまいますので。でも、やる気ある、一生懸命努力ができるようなそういう中でのこういう制度であれば、我々は大賛成だというふうに思います。是非やってほしいと思います。
#29
○参考人(河内山哲朗君) 地方と都会の格差を何とかしようという、菅大臣始め関係の方々のお気持ちは誠に有り難いと思っております。賛成か反対かということで言うと、それらの制度をつくられるのは、私としてはそれは御随意にということだと思うんですが、本来的に言うとやはり、先ほど少し申し上げましたけれども、やはり地方交付税制度もかなり老朽化が進んでおったり、あるいは、国税と地方税の割り振りについても本当に今の姿がいいのかというようなことを本格的に考えていく、非常に根本的問題として税制のありようを考えていく中の一つのパーツとしてこのふるさと納税みたいなものもあるというんであれば私もそれは非常にいいことだと思いますが、これだけが出てくるということは、ちょっとこれは、やっぱり何となく地方としてはそんなことだけでは足らないと思う。やっぱり根本的に税源の移譲をする、組替えをする、地方消費税の議論をする、そういうことの方がより大事ではないかというふうに思います。
#30
○参考人(片山善博君) 純粋税制から見て問題が余りにも大きい、多いと思います。
 一つは、税というのはなぜ支払うのかということです。しかもそれは、最終的には強制徴収の権限が伴っているわけです。単純な民間の債権債務とは違うわけですね。対価なく強制徴収をするという非常に厳重なものなんですね。なぜかというと、これは行政サービスと、当該団体の行政サービスと納税者との間に応益関係があるからです。それに基づいて、最終的には強制徴収に至るまでのその強い権限が行政には与えられているわけです。
 ふるさと納税といった場合に、一割を例えばどこか自分の好きなところにということになったときに、行政サービスとの間に対応関係ありますかというと、ないわけですね。ないところに最終的には強制徴収できますかということになると、できないと思うんですね。だから、もう租税の一番の根本のところが私は欠けていると思います。
 それからもう一つは、税は必要最小限にしか取っちゃいけないものです。サッチャーが税は最大の規制だと言いました。そのとおりです。税は国民に対する規制です。ですから、これは最小限にとどめなきゃいけない、国民の痛みは。そうすると、行政サービスするための歳出をできるだけ抑えて、その必要最小限のものを、これはしようがないので強制徴収を伴って納税者から取るという、これが税です。そのときに、一割はどこでもいいですよという話になると、それはもう必要最小限の枠を超えているわけです。余っているということです、これは。実際、今東京都は余っているんです、税が。その余っている税をふるさと納税で解決しようというのは私は邪道だと思います。余っているんなら税率下げるべきです。それが本筋だと思います。
 それから、一番問題だと思うのは、税は行政機関と納税者とを結ぶこれ触媒のようなものです。サービスがあって負担がある。サービスが高い、負担も高くなる、これ嫌だよといって、じゃサービス下げてもいいから負担も下げてくださいと、こういう関係があるわけです。そこで、行政は納税者の方をしっかり見るわけです。納税者の方を見させるこれがツールなんです、税は。そのときに、ふるさと納税が導入されると、もらいたいところはよその方を見るわけです。東京の方を見て、県人会の方を見て、うちに下さいうちに下さいという。今まで行政は、納税者の方を見ないで国の方ばっかり、総務省の方ばっかり見ていた。今度は県人会の方を見るという。やっぱり納税者の方を見ない、住民見ないという。というようなことで私は賛成できかねます。
#31
○遠山清彦君 もう私の持ち時間がなくなってきたので、一言だけ今の片山参考人の御意見にコメントで、私も今の議論は大変参考になりましたし、かなり納得をした部分があるんです。
 一方で、私も地方に行って現場を回りますと、大体地方の自治体は約二千万円ぐらい掛けて一人のお子さんが成人するまでお金を使っているという話がありまして、二千万円掛けて子供を十八歳までしても、その後十八歳から東京に大学で出ていって、大学出た後に就職が結局都会でしかできないと。本格的な納税者になってから自分を育ててもらった自治体には全く貢献するすべがないと、本当はもっといろいろやり方あると思うんですけど。それを、地方税の一割分ぐらいを移譲する形で、個人的な意思を尊重する形でやるのがいいんじゃないかという意見を聞いたことがありまして、これはなかなか地方では受けのいい話になっておりまして、ただ、まだ議論未成熟ですので、今後しっかり、我々も今日のお話も参考に議論していきたいと思っております。
#32
○参考人(片山善博君) 今の議論は非常に俗受けするんです。ですけれども、例えば教育に地方はお金掛けています、子供たちに。それは、しかしちゃんと交付税が入っているんです。税だけでやっているわけじゃないんです。ちゃんと交付税入っています、その段階で。それから、今親が一人で田舎の自治体の世話になっているじゃないか、世話になっているんです。これもちゃんと福祉とかで交付税が入っています。自治体が自前で全部やっているわけじゃないんです。介護保険はちゃんと国から交付金も出ています。医療費もそうです。
 ですから、何も地方が全部自前でやって都会に全部吸い取られているというわけではないんです。きちっとそれは財政調整がうまくいっていればちゃんとできている仕組みになっているんです。もしそれが足らないんであれば、さっき河内山さん言われたように、財政調整の方をもうちょっと深掘りするとか、そこを改善するとかする。それは、すなわち交付税制度をもうちょっと実態に合ったものにするとか、税制を見直すとか、それの本筋で解決すべき問題だろうと思います。
#33
○遠山清彦君 ありがとうございます。
 終わります。
#34
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 さすがに地方自治体の責任者として日夜御努力されているそれぞれの参考人の皆さんのお話ですから、大変聞きごたえがありました。ありがとうございました。
 私は、まず片山参考人にお伺いしたいのですけれども、夕張財政破綻の原因とその教訓というお話、かなり私もそのとおりかなというふうに伺っておりました。で、金融機関の責任について、三方一両損ということも言われましたけれども、夕張が三百五十二億全部返済して、貸手責任は問われなかった、こういう記事が五月に載っておりました。私ももうびっくりしたんですけれども、その際、返済期間の延長とか一部免除が認められると信用不安が広がって他への影響もあるというようなコメントも新聞に載っていたんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
 それと、もう一つ、この夕張の破綻の原因、私はこのとおりかなというふうにも思うんですけれども、一つ、夕張の場合はエネルギー政策の転換ということがありまして、ほかの自治体とはまた違った要因もあると思いますが、その点についても片山参考人の御意見を伺いたいと思います。
#35
○参考人(片山善博君) 金融機関の債務調整、要するに、債権の圧縮などを実際にやると他の自治体が借りられなくなる、信用不安が起きて。だからやっちゃいけないんだということをよく言われるんです。これもよく俗受けするんですね。
 じゃ、それを避けて何が起こっているかというと、というか、金融機関がまじめに真剣に本当に自治体に貸すか貸さないかを検討したときに貸せないというところが出てくるわけですね。それが心配だというわけですよね。それがあっちゃいけないから、債務調整はしないから借りられるようにするんだということなんですけれども、金融機関が真剣に見て貸せない団体に今貸しているということなんです、結局は。貸せないところに貸しているということなんです。それが無理が生じて破綻になるわけですね。貸せないところに貸しちゃいけないんです。
 それからもう一つは、債務調整をするようになると、自治体によっては金利が上がるということを心配するんですね。金利が上がったら借りにくくなるじゃないかと。ところが、財務の内容悪くなったところは金利が上がるのは当たり前なんです、これは。金利が上がることによって借りにくくなって、そこでバランスが取れるわけです。これが市場の裁定です。ところが、それを無視してしまって、財務内容悪いのにもかかわらずちゃんと借りられる、しかも低利で借りられる、こういうふうにしているのが今の国主導の自治体金融なんですね。こんなことを続けているから結局最後は夕張みたいなことになってしまうんです。そうならないうちに、転ばぬ先のつえで、悪くなったところは金利は高くなる、もっと悪くなったら銀行は貸さない、そこで自分たちのところをちゃんときちんとやらなきゃいけないなというので自律作用が働くって、こういうことを取り戻さなきゃいけないと私は思います。
 それから、エネルギー政策との関連は夕張は当然あったと思います。北海道で夕張周辺の赤平だとかいろんなところは同じような状況になっていますから。ただし、だからといって、石炭がなくなったからじゃんじゃんじゃんじゃん炭鉱から観光へということが良かったのかというと、決してそんなことはないと思います。やっぱり素直にずうっと収束さしたら良かったと思うんです。それを無理やり国も支援して、さあ、あれやれこれやれ全部支援しますよといってじゃんじゃんじゃんじゃん起債発行を認めたというのは、やっぱりこれは罪づくりだったと思います。ああいう悪弊をやめて、やはり将来見越して、もう人口が減るんならば、それに、身の丈に合った財政にシフトしていくということを本来はやるべきだったと思います。
#36
○吉川春子君 私は、貸手責任というものを十分問わなきゃならないという形で今の御意見にもそのとおりだと思うんですけれども、もう一つ、市場原理ということ、何回か言葉として出てまいりましたけれども、私は、今の安倍内閣あるいはその前の小泉内閣が進めている地方自治体に対するいろんな問題が、市場原理を導入しているんじゃないかと。私は、そういう地方政治に対して市場原理を導入するということ自体大問題ではないかと。やはり、自民党もかつておっしゃっていた国土の均衡ある発展ということを考えると、市場原理というものとはまた違うんじゃないかと思います、銀行の貸手責任とはまた別の意味でですね。この点については、片山参考人、いかがお考えでしょうか。
#37
○参考人(片山善博君) 私も市場原理だけで自治体が運営されるとは思いません。ただし、やっぱり市場原理も必要だと思います。今まで余りにも市場原理がないです、社会主義的なやり方していますから。
 自治体の金融もやはりある程度市場に任せるということは必要だと思います。貸手でもない人がいいの悪いのと言うんじゃなくて、貸す人が本当にリスクを抱えていいか悪いかは判断するということ、こういう意味での市場にやっぱりゆだねるべきだと思います。
 そうすると、心配するように、必要なことが全くできなくなる団体が出てきます。学校を老朽化して建て替えなきゃいけないところがもう借りられないという、出てきます。それをどうするかというのは、これは今度は財政調整がうまくいっていますかという点検が必要だと思うんです。交付税制度とか税体系がふさわしいものになっていますかということの点検が必要だと思うんですね。全部市場原理に任して今のままでいいんじゃなくて、市場原理に任したときにどうしても立ち行かなくなる、まじめにやっても立ち行かなくなる自治体が出たときに、それは国が財政調整制度をもう少し改善をして、そういうところが必要最小限の行政ができるようにちゃんとあんばいしてあげなきゃいけないという、そういう意味での市場原理外の国の対応が必要だろうと思うんです。
#38
○吉川春子君 ありがとうございました。
 河内山参考人にお伺いいたします。
 先ほど、合併したところがこの法律によって今後更に悪くなるというお話がありました。その点をもう少し詳しく御説明していただけたらと思います。
#39
○参考人(河内山哲朗君) A市とB町というものが合併したときに、その新しい市は当然過去の債権債務は全部引き継いでおります。別にこれは、これが正しい話だというんじゃなくて、A市の方々は、今まで例えば健全財政をずっと維持をされていたとしますね。そうすると、B町と合併をしたときに随分いろんな指標が悪くなったなといったときに、それは不満はA市の方々には残るわけですね。新しい市の首長さんも、いや、合併というのはある意味では十年間ぐらいしないと合併の効果は出ないんだけれども、すぐさまこの合併後三年、四年で新しい財政を評価する指標が出てくると、過去は非常に頑張ってよくやっていたのに何でこういうことになったのかなという、そういう疑問はいろんな方がお持ちだと思います。それが正しいかどうか分かりませんよ。
 そのことも含めて、合併というのはそういうこともあり得るということを前提に合併はしているわけですから、それは後から言うのはおかしいじゃないかという話もございますが、そういう意味合いでございます。
#40
○吉川春子君 本当に、地方公共団体を合併してきまして、千八百切れるのか、ちょっと出るのかぐらいの数になってきまして、この合併というものが本当に地方政治に対してマイナスの影響を与えているということを私は各地を回ってみて強く感じるわけです。それで今のことを伺いました。
 泉崎村の小林参考人にお伺いしたいと思います。
 七億二千万円の交付税が減額されたというお話ですけれども、これは例えば平成十五年の額に比べると何%の削減になるんでしょうか。そして、その交付税が更なる減額ということも目指しているわけですね。それで、ふるさと納税とか新型交付税とか、いろんな次々新しい発想で政府は出してきているんですけれども、ねらいは交付税の削減ということにあるんじゃないかと。それは国のプライマリーバランスの向上とかなんとか、こう言っていますけれども、そういう交付税の削減の今後の方向ということも併せてどうお考えなのか、伺います。
#41
○参考人(小林日出夫君) 私は、今一番問題なのは、我々の上の上部団体である県に行って、来年の交付税どうなりますか、聞きます。分からないと言うんです、来年の数字が分からない。ですから、県でも我々もそうですが、予想を立ててやっているわけですね。我々、平成十二年に財政再建計画書を作ったときには地方交付税の削減は言っておられませんでした。たしか三年目ぐらいからぎゅっと下がったという記憶があります。
 ですから、この地方交付税につきましては明確に、最低限度三年先ぐらいまで、五年先ぐらいまではこういう数字になりますよというきちんとしたその比率も挙げてほしいなと、そうでないとなかなか。三年前にありました、十二月に地方交付税の切捨てがあったわけですね。そして、県の方では一月、休み返上で組替えしたという、そういう経過がございます。それであっては、もう我々、計画も何も立てようない、努力しても、その部分で予想していないものが出てしまうとなかなかそれは難しくなります。
 ですから、地方交付税につきましては、国の財政が大変な状況でありますから減るのはこれはしようがないというふうに思います。しかし、明確な数字、せめて五年ぐらい先までのものは出してほしい、そのように思っております。
#42
○吉川春子君 七億二千万円交付税が減らされて、税源移譲はどの程度あったんでしょうか。
#43
○参考人(小林日出夫君) 私、詳しい数字は分かりませんけれども、本当に我々が努力をしても努力をしてもなかなか追い付かない数字であったというふうに思っております。ですから、先ほども言いましたけれども、やっぱり明確な数字は、比率は出してほしい。それで我々は努力しないんではないんです。それによって努力しますから、ひとつ明確な数字を出してほしいなと、そのように思います。
#44
○吉川春子君 人口一万前後の自治体で一番行われていることはリストラ、人件費の削減、先ほどありましたけれども、人員削減、人件費削減。その中で、議会の議員の数の削減も物すごい勢いで進んでいますけれども、さっき夕張の問題に関してチェック機能という話もありましたけれども、やっぱり議員の質がもちろん問われることは当然なんですけれども、一定の数もいませんと議会のチェック機能というのも発揮できないと思うんですが、泉崎村では議員の数も大変削減されていると思いますが、どのぐらいまでが限界なんでしょうか。やっぱり理想の数というのはどれぐらいなんでしょうか。
#45
○参考人(小林日出夫君) 平成十二年、財政破綻をしたときには十六名おりました。そして、議員自ら十二名、四名削減で十二名になっております。今現在十二名でありまして、九月に改選予定になっておりますが、私は、十二名ぐらいは一番適当な数字ではないかなと、そのように思っております。
#46
○吉川春子君 十二名でもかなり財政負担は大変だし、しかし議員の役割を果たせる数としてはぎりぎりの数かなという印象を持ちます。私も地方議員をやっていました経験がありまして、そのときは三十名でしたけれども、本当に職員の数を削ったり、そして議員の数を削ったり、三役の一時金はカットしたり、こういうことをしながら地方交付税の減額に耐えているというのが多くの、特に都会から遠い自治体の姿ではないかと思います。
 それで、河内山参考人に最後にお伺いしたいと思いますけれども、財政健全化はできても町は存在できないような実態になるという御発言ありました。確かに、今度のその財政再建化法といいますか財政破綻法といいますか、この法律が財政の健全化ということを前面に出して数字の合わせのところだけ重点に置いて進められると、政令でどういう数字になるかということは今分かりませんけれども、そうしたときには、確かにバランスは良くなっても住民サービスその他、もうぼろぼろになるという懸念があるわけですね。そして、町民の方もそこに住んでいられなくてほかへ出ていくということにもなりかねないと思うんです。そういうことと、国の財政健全化法をまず作れとおっしゃいました。そういうことと併せて、この点についての御見解を最後に伺いたいと思います。
#47
○参考人(河内山哲朗君) 先ほど来何度も申し上げていますが、この財政健全化法そのものが私は良くないとか、この指標を示すことが良くないということを申し上げているわけではないんですね、大前提として。それは冒頭に申し上げましたように、自分たちの財政というのは一体全体いいのか悪いのか、良くなっているのか悪くなっているのか、これはやっぱり分かりやすい指標が出てくることは非常にいいと。
 ただ、その上に立って、じゃ何かこの健全化のために一生懸命努力をする首長と議会というものが本当に市民のためにいい仕事をしていることにつながっていくかどうか。これはちょっとそうではないのではないか。借金減らしとか財政再建最優先でやるというのは、市民にとっては、それは実態をよく分かったとしても、それはそう肯定できるものではないということがございます。
 私は、やるべきことは、先ほどから片山参考人もお話しになっていますけれども、やはり地方交付税制度というか、いわゆる財政調整制度も少し、もうなかなかうまく万全のものではなくなっているというようなことの考え方、それから地方は一杯仕事しているわけですから、もう少し税源というものを、配分というものも本格的に見直すべきだということが本当に大事だというふうに思うんですね。
 そのことがない限りは、先ほど申し上げましたように、財政は健全化されたけれども、じゃそれで国民健康保険の事業は良くなったのかといったら、そんなことはないと、更に何か国民にとっては不幸なことが起こるような気がする。あるいは病院はみんな欲しいと思っているんだけれども、財政健全化で病院をなくすというようなことの決断をしたとしてもだれも喜ばない。
 だから、そういうことがこの先懸念をされますので、よく、法律もそうですが、政令等もお考えをいただきたいというふうに思います。
#48
○吉川春子君 終わります。
#49
○又市征治君 社民党の又市です。御三方には御多忙な中、当委員会に参加をいただいて貴重な御意見を開陳いただいておりますことを心から感謝を申し上げたいと思います。
 御三方全部にお聞きできるかどうか分かりませんが、まず初めに小林参考人にお伺いをいたしますが、小林さんはインタビューの中で村政運営の基本的な考えを問われて、第一に情報開示だと、先ほどもおっしゃいました。その理由として、前の村長さんは連続五期、通算七期村長を務められ人望の厚い方だったが、開かれた村政という点では十分とは言えなかった。そのため巨額の負債を抱えながら一部の職員しかそのことを知らず、表面化したときには七千人の村民が右往左往する混乱を招いた。その反省に立って、まあそういうことで情報開示が大切だと、こう述べられているわけですが、そこでお伺いするんですけれども、前村長による大規模なニュータウン開発と工業団地開発自体は目に見える形で、正に村民の目の前で展開をされたわけですね。しかし、その開発の財政的な見通し、危険の面については一般村民は想像できなかった、いや、情報公開されておりませんから知りようもなかったということなんだと思うんですね。
 だけれども、私はこの背景に外部すなわち中央政府による強い長期にわたる政策誘導があった。つまり、開発があなた方小さな村の生きる道ですよ、宅地や工業団地を売り出せば地域が開発、発展し、税収も上がりますよ、またそのために政府が例えば地方債をどんどん許可しますよ、これを使いなさい。こういった情報操作を受けて、村の人たち、もっと言えば過疎と言われる日本じゅうの農山村部全体が政府の言い分を信じてしまった。いや、信じたい気持ちにさせられた、こういうのが真相ではないのかという気がするんですね。
 この点はどういうふうに受け止められたか、御就任後、御自身やあるいは職員からのいろんな話をお聞きになって、政府の施策や情報の影響力というものについてどのようにお感じになっているか、この点、まずお伺いしたいと思うんです。
#50
○参考人(小林日出夫君) 私も、今先生おっしゃったことは一つはあると思います。しかし、先人の方は何とかこの人口減少を止めようと、過疎化を止めようと。そして、働く場所もなかった。私も昭和四十一年に働く場所がなくて東京に来て働いた経験がございますが、働く場所がなかった。そして、税源も確保しようと、そういうことで開発をしてきまして、ちょうど高度経済状況のときには成功したんですね。そして、一度成功しましたからもう一度となったものが思わぬバブル崩壊ということで販売不振になりました。そして阪神・淡路のあの地震も多少は影響になって大阪の方の企業の方は撤退をしました。そういうこともあったことも事実だというふうに思います。
 ですから、村を良くしたい、そういう思いが強くあったのかなというふうに思いますが、ただ、大きなふろしきを広げたからこれを縮めるのは大変だなと、そういう程度の情報は村内に流れていました。私はまさか私がそのふろしきを包む立場になるとは全く予想もしておりませんでしたが、しかし、村民もそういうことは薄々知った中で何とか自分の村は自分たちで立ち直ろうと、そういう意識が芽生えたのは、逆に言うとピンチがチャンスになったのかなと、そのような思いで今やっております。
#51
○又市征治君 ありがとうございました。
 次に、片山参考人にお伺いをいたしますが、今小林村長さんにも伺いましたけれども、自治体の累積債務の原因は中央政府の長年の政策誘導によるところが大きいと私は思うんですね。片山さんも雑誌、論文の中で、国の方から自治体に大量の地方債発行をけしかけた経緯があるというふうにお書きになっておられて、具体的に三つ例示をされております。
 そこで、そうした過去の政府の政策誘導、具体的には起債が有利であるかのごとき一方的な情報操作をした政治責任の反省というのは今回の法案に反映をされているのかというところが問題なんで、この点から片山さんにお伺いをしたいと思うんですが、ちょっと三つまとめてお聞きをさせてください。
 まず第一は、住民への財政情報開示の責任を自治体に課すと言いながら、総務省は法案審議が始まった今も現実は四つの指標の実際の試算値を全く公表してないわけですね。また、数値が幾つ以上なら早期健全化、幾つ以上なら再生開始とされるかすべて政省令待ち、こんな格好ですから我々はここで議論のむしろしようがないという、こういう問題を持っている。常にそんな格好でお役人が全部後を握ってしまっている、こういうことなんで、一年後に数値を公表、二年後には適用開始というのはそういう意味で無謀であって、政府の情報開示責任が果たせない、果たしてない、こう思うんですが、この点、片山さんはまずどうお受け止めになっているかというのが一つ目です。
 二つ目に、国の強い政策誘導はこの法案が通れば、じゃ今後なくなるというものではないんだと思うんですね。だとすると、過去の教訓から今後国が行う政策の自治体への財政的影響を事前にどう開示させればよいというふうにお考えになっているか、これが二つ目であります。
 第三に、過去にも借金を負ってしまった自治体としては累積債務のうちの一定部分は国の政治責任だと、それを新法による四つの指標に算入しないでくれというのが当然の要求だろうと思いますね。この点で片山さん始めとする、さっき全国知事会の主張は画一的な指標ではなく必要に応じて差を設けよ、こういうふうに述べておられたわけでありますが、このアイデアをもう少し具体的にお聞かせいただければ幸い。以上三点です。
#52
○参考人(片山善博君) 最初の、この法案の中に私も気になっていますのは政令委任事項がすごく多いんですね。しかも重要な部分が政令委任事項になっているんです。言わば生殺与奪の権利を握っている部分が政令になっているんですね。それを政省令が全然判明しないから審議できないじゃないかと、こうおっしゃったんですけれども、私はそれこそが国会で法律で決めたらいいと思うんです。何もお役人の政省令に任せないで、大事なことだったら法律事項にされたらいいと思うんです、修正して。それを勝手にお役人が政令で書きたい、省令で書きたいというのをそのまま通してしまうからお役所任せになってしまうんですね。是非、議員の皆さん方がそういう問題意識を持たれたら、これは政令じゃなくてもう法律で書いちゃうと、基本的なことは、枠組みは。細かいことは任してもいいですけれどもね。それが私は立法機関の役目ではないかと思います。
 それから、そうしないと、実はお役所任せにしておくと途中で勝手に変えるんです。実は今までも指標はあったんです、今とは違いますけれども。それを、例えば景気対策とか単独事業どんどんどんどんやれといったときはそれをハードル下げちゃったんです。まあ上げたというか。少々数字が高くなっても健全だよというふうにしてしまったんですね。だから勝手に御都合主義的に変えないようにするには法律できちっと枠組みを書いておくということだと思います。
 それから、自治体の財政運営に対して国がちゃんと情報開示をするということ、これは非常に重要だと思うんです。先ほどどなたかも言われていましたけれども、分権の時代と言いながら実は財政運営に全く予見性がないんです。税はある程度予見できます、固定資産税が来年どうなるかというのは大体分かります。ところが、交付税が来年どうなるかというのは分からないんです。年末の十二月の財務省と総務省の折衝をはらはらはらはらして見ていて、さあどうなるのかなと、あっ、決まったとかいってブラックボックスから出たのをもらうだけなんです。それで、年度が始まってもまだ実は交付税の額が確定しない。こんなので分権時代の財政基盤とは言えません。だから向こう数年大体予見できるようなそういう財政制度にすべきです。そのための地方財政計画の在り方だとか政府の情報公開体制というのをきちっと整えるべきだと思います。
 それから、過去の債務をどうするのかということなんですが、これは、私はそもそもこういう全国画一の基準を設けてこれでもって健全だどうだこうだということには余り賛成しませんので、そもそもその前提としてこういうものにどれを入れたらいいのか悪いのかということは余り考えて実はないんです。
 ちょっと違った観点なんですけれども、過去、政府が借金政策を慫慂して自治体はそれに乗ったんですね。今借金したらお得ですよ、これは後で政府が全部面倒見てあげますよというので、やらにゃ損々というんで、みんなこれに飛び付いたんですね。政府は、私は悪いと思います、そういうことを慫慂したのは。で、今、はしご外してますから。
 だけれど、自治体もよく考えなきゃいけないんです。そんな世の中にうまい話があるはずがないんです。みんなが得する制度なんて絶対あり得ません。しかもそれを約束した政府が瀕死の重傷を負っているときに約束しているわけです。国債何百兆円も持っていて、それで全部政府が面倒見てあげるからなんて、そんなのできっこないんですね。それを全国の当時三千二百あった自治体がみんな信じてしまって、我も我もといって、得だ得だといってむしゃぶり付いたんですね。私は考える力はなかったと思います、自治体に。うまい話は気を付けろというのは、だれでもそうなんです。子供でも知っている話ですけど、自治体は知らなかったんですね。
 だから、まあどっちも悪いんです。だから、これはもう政府は約束を守れないことは約束しない、いったんしたら守る、自治体はどんなうまい話があっても、ちゃんとちょっと待てよと考えて、まゆにつばをして立ち止まるという、こういう生活習慣付けなきゃいけないと思います。
#53
○又市征治君 ありがとうございました。
 これは是非、ここの場で決めろということでございますから、是非与党の皆さん、しっかりと受け止めていただきたい、こう思うんですが。
 最後に、河内山さんにお伺いをいたしますが、今も片山さんからございました、国の場当たり的な財政主導、つまり交付税の先食いで自治体を借金まみれにさせた、そういう反省とか再発防止策、こういったものが全くこの法案に載ってないし、それからまた、今もありましたように、各種基準を法律で決めないで政省令で、政府の御都合主義でやっていってしまう、こういう問題など、大変問題だという御指摘もございました。
 この点について、市長という長年大変御苦労をなさってきた立場から、この点についてどういう御経験などを含めてお考えをお持ちかというのと、もう一つ、私は、もうずっと足りないという場合に、地方交付税は国税五税からの一定の比率を、これは三二%とか幾つか決めていますが、足らざるところはこれはあげにゃいかぬということになっているのに、これを全くやってこなかった政治の失態が、今日の各自治体、もちろんいろんな自治体個別の努力はありますよ、ありますが、先ほどもおっしゃったように、ほとんどの自治体がもう財政ピンチだと、こうおっしゃっておるわけですが、そのことの財源を地方交付税への算入率というものを含めて、これはもう当然必要だというふうにお考えなんだろうと思いますが、その点についての二つお聞きをしたいと思います。
#54
○参考人(河内山哲朗君) 最近、どの自治体の首長さんに聞きましても、私も同様ですが、予算を組むのが大変になったとみんな言っているわけですね。いつから大変になったかというと、それは自治体によって違いますけれども、大方の人が言われるのは、やっぱり平成十六年度ショックですね。地方交付税というものを大きくやっぱり減らしたときですね。ですから、ごくごく普通にまともにやっていても本当に大変な状況だということで、今全国的に財政にしりに火が付いているという状況です。
 これを何とかするためには、又市先生言われましたように、これはやっぱり交付税制度というか、地方財政計画も含めまして、より実態に合った算入、だからこれは我々もちょっと悪いところがありまして、これも交付税で見てください、これも交付税で見てくださいといってずっと要望してきましたので、非常にもう膨らみに膨らんでいるんです。膨らんでいるんですけれども、地方交付税制度自体は、その根幹は変わっていませんから、毎年毎年、本来必要な額に係数を掛けて総額は変わらないと。そうすると、やっぱり予算の組みようがなくなって組めなくなってくるという状況がずっと続くと思います。したがって、抜本的に地方の財政調整制度というのは、これはもう見直しをしなきゃならないという前提で、この法律と同じ時期にやっぱりやっていかなきゃいけないことだと思います。それが一点と。
 それから、過去の経験ですけれども、まあ片山前知事から言われますと、本当にそのとおりなんですけど、我々も、ばかだったとは言いませんけれども、本当に大変な時期があったんです。景気が悪くて国を挙げてやっぱり景気対策をやらなきゃならない。即効性があるものというのは、当時ではやっぱり公共事業を積み上げるしかないと。私も市長になりましたのが平成五年で、あのころから総合経済対策みたいなのが始まりましたから、もう年度途中で補正予算の、いろいろとやらないかやらないかという話は度々来ましてね。すぐできるのは、例えば下水道事業なんかというのは用地の確保が必要ありませんから、地下を掘っていきますからね。そうすると下水道の普及率が私どものところ低かったから、いやこの際やった方がいいと。
 やっぱりそれは後から考えるとどうだったかなというのはありますけれども、決して無駄な事業に使ったわけではありませんけれども、それは本当にもう国を挙げてやっていたというときに地方も乗っかったというのは、我々も反省事項の一つとしてあると思いますが、当時としては、やらなければ自分のところだけ、例えば割を食うといったらおかしいですけど、競争し合ったところはありますね。ですから、そういう意味では反省点だと思います。
 そのころに、私はやっぱり一つだけ申し上げるならば、何か箱物で、これで市長の手柄にしてやろうというような事業に補正予算とか何か地総債で乗っかったというのは、なるべく避けてきたつもりです。しかしながら借金は増えました。ということでございます。
#55
○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
#56
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
 今日は本当にお忙しい中おいでいただいて、貴重な御意見を伺いまして、思うところがたくさんありまして、ちょっと私も何をどう取りまとめてお伺いをしていいのか困るぐらい、極端な言い方しますと、暗たんたる思いというか、地方自治の将来ということを考えたときに余りにも問題の根が深過ぎるという気がするわけですけれども、そういう中で小林参考人もそして河内山参考人も一生懸命頑張っていらっしゃるということで、一方では大変何か光明を見いだしたということで、ますます頑張っていただきますように御期待を申し上げたいと思うわけでありますけれども。
 私は、よくこういうときに申し上げているんですけれども、地方自治、全然プロでも何でもありませんが、たまたま前職がフィンランドの大使ということでございまして、小さな国で一生懸命みんなが自治に取り組んでいる姿というのを見てきますと、日本の自治とは何かもう質的に画然たる差があるという気がするわけですね。日本には自治がない、地方自治はないんじゃないかというふうに私は思っておりまして、もし仮に憲法を改正するんだったら、あの憲法の中にわずか地方自治四条しか書いてありませんけれども、あそこのところをまずきちっと書き直すことから始めてもらいたいなと思うぐらいの気持ちがあるわけですが。
 そういう中で、特に片山参考人、知事という立場でおられたわけで、国の自治省の御出身でもございますし、いろんな立場から地方自治を見てこられたと思うんですけど、今道州制の議論が一方でありますよね。この法案とはちょっと離れてしまいますけれども、私は、個人的にはむしろ道州制を飛び越えてしまって連邦制のような国家を考えたらどうなんだろうかと。というのは、日本人というのは本当に変えることが下手くそで、なかなか小さな改善を積み重ねていくということができない国民性のような気がしまして、何かどこかでがらっと変えなきゃいけないんじゃないかというような気がしまして、ひとつ一番先に片山参考人に、何かその辺の地方自治の抜本的な改善策についての御意見があったら伺いたいと思いまして、よろしくお願いいたします。
#57
○参考人(片山善博君) 私も実は自分で長年地方自治に携わってきまして、日本に本当に地方自治があるのかという疑問を実は持っているんです。制度はあります、建前はありますけれども、実際に本当に地方自治が運営されているんだろうかという気がするんですね。
 例えば、合併をしました、これは地方分権を進めるためだという触れ込みで合併したんですね。地方分権を進めるというのはどういうことかというと、先ほど私繰り返し言いましたけれども、地方分権というのは、住民に一番近いところに判断権をゆだねるということなんですね。首長にゆだねるんじゃないんですね。首長に権限移譲して財源を移譲するんじゃなくて、最終的には住民に近いところに判断権をゆだねる、これが地方分権なんですね。したがって、住民に一番身近なところはだれですかというと議会になるわけです。だから、議会が一番のその主役にならなきゃいけないということを申し上げているんですね。分権の受皿を作るために市町村の基盤を整備しなきゃいけないという触れ込みなんですね。そのときに住民は全く蚊帳の外なんです。それから、議会もわき役なんですね。議会が反対しないように反対しないように制度設計ができてあるんです。そして国主導で、それで、合併したら特ですよ、合併特例債で借金ができますよ、また、政府がまた面倒見ますよって、こういうスキームなんですね。それで、あれよあれよという間に、いつの間にか合併できて、さあ基盤整備ができましたって、これが本当に自治だろうか。自治というのは、自分たちの町はどういう程度の規模で、どういう権能があって、どういう仕事をすればいいかと自分たちで決めるのが自治なんです。そういうことを全く抜きにして官製主導の分権自治というのは、もうお笑いぐさなんですね。
 今、道州制の議論が出ています。これは、もう市町村合併一段落したからさあ次は道州制と。同じ文脈なんですね。今、都道府県はいろんな問題抱えています。何が問題かというと、やっぱり透明性が低いとか、それからチェック機能が働かないと。質の問題なんです、質が悪いんです。で、道州制にしたら質が良くなりますかというと、結局ずうたい大きくなるだけなんですね。まず質を改善しなきゃいけない、そういうところに手が付いていないんですね。
 それからもう一つは、自治体の質が悪いというのは何が原因かというのは、いろいろありますけれども、一方では国のおせっかいも多いわけです。国の問題なんです、総務省も含めて、特に総務省も含めて。だから、国の改革が必要なんです、分権を進めようと思ったら。ところが、国は何にも変えようとしないで、自治体にさあ変われさあ変われ、ずうたいだけ大きくなりなさいというのが今の分権の論議なんですね。
 私は、道州制というのは、この間、北海道の道州制特区をきっかけにして道州制のあれを作られましたけれども、特区の。あんなのは全く道州制じゃありません。道州制というのは国の在り方を変えることなんです。それは、長谷川先生がおっしゃるように連邦制まで行くケースもあるでしょうし、そこまで行かないケースもあるでしょうけれども、中央政府の解体、再編が実はセットでないといけない。中央政府は何ら変わらないで自治体の規模だけ大きくしようって、これは全く分権とはなりません。
 いい機会ですから、是非、道州制は中央政府の解体、再編、本当に中央政府として必要なものに純化をして、残余のものは、内政に関するものは全部自治体、道でも州でもいいですけれども、自治体にやらせるというぐらいの大きなグランドデザインを描いてやられたらいいんではないかと思います。
#58
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 続きまして、小林参考人と河内山参考人に、今日の意見陳述ではこれ最後の機会だと思いますので、いろいろ御質問にお答えをいただきましたし、その前にも意見をお聞かせをいただいたわけでありますけれども、最後に、繰り返しになっても結構なんですけれども、これだけはやってくれよとか、これだけは聞いてくれよというものがありましたら、別にお訴えを聞こうというのではなくて、現場の正に責任者としてこんなばかなことがあってたまるかという怒りでも結構でございますので、一言ずつお願いを申し上げたいと思います。
#59
○参考人(小林日出夫君) 私は今、そういう声が出ないのかなというふうに待っておったんですが。
 実を言いますと、この国の在り方そのものが縦割りになっています。そこにかなりのいろんな問題があります。例えば、我々が今財政再建を進める中で今支障になってきているものが一つあります。それはなぜかといいますと、病院の問題です。村立病院の問題です。
 医師がいません。間もなく七十五になる医師が一人いますが、今月一杯でもう一人の常勤医師が辞めてしまう。病院の制度をどうするんだと、病院をどうするんだと。先ほど市長さんも言いましたが、医療機関があればこれはいいにこしたことはありません。しかし、やむを得ずこれがやめるようなことになったときに、そこに私どもで一つ問題があります。それは何かといいますと、平成十一年度で療養病棟を新しく建築をしております。それが四億近いものが掛かっております。それをそのときに、もしここでやめざるを得なくなったときに問題が心配されるのは、じゃそのときの補助金どうするんだと、そして今残っている債務をどうするんだと。債務一括償還、補助金返還、こんなことがあったら、もう前にも後ろにも進みようがなくなります。
 ですから、この辺の規制を、きちんとやっぱりこの法律の中でそういうときにはそれは緩和しますよと。そういうものがないと、改善しようとしても改善できない。私たち、正直言うとここで三年遅れてしまっています、この問題が根っこにありまして。ですから、こういうものもこの法律案の中できっちりとやっぱり審議をしていただきまして、いかないと、総務省は総務省、厚生省は厚生省なんて話になったんではこれはどうにもなりませんので、その辺を一つの考えで対処していただけるようにお願いをしたいと、このように思います。
 以上です。
#60
○参考人(河内山哲朗君) 国会も会期末が近づいていますのでこの法律もいずれ採決をされるんだと思いますが、もうこの期に及んでというのは遅過ぎるかもしれませんが、地方の、ひょっとすると地方自治体の生き死にに関係するようなこんな大事な法律を、やっぱり地方の団体で、こうやって参考人として意見陳述をさせていただくのは有り難いんですけれども、もう少し丁寧に実態を踏まえて立法、制度化というのを私はやっぱりやるべきだと。これはすべての、この法律だけではなくて、地方六団体としましてもあるいは市長会としましても、地方にかかわる法律についてはやっぱり積極的に、もちろん事実上意見を述べるというんではなくて、やっぱりある意味では国、地方のちゃんとした協議の場でやっていくという法制化を、これ今、地方、財政の関係でずっと求めてまいりましたけれども、こういう立法措置についてもやっぱり地方団体の関与を是非お願いをしたいと思っております。
 それから、昨年十一月に、私たち市長会として、代表としてフランスの市町村長大会というのに行きまして、シラク大統領から、今度大統領になったサルコジさんから、閣僚も十五人ぐらい来賓で来ているんですね。やっぱり地方というものを、フランスのような、中央集権国家と言われるフランスでさえ、今の時代というのはやっぱりニア・イズ・ベターで、とにかく地方がちゃんとしっかりしないことにはそれこそ国としては駄目なんだということを、非常にやっぱり分権的になっているんですね。
 これは参議院の先生方に是非本気で御検討いただきたいんですけれども、フランスは御承知のとおり、地方議員と、あるいは地方の首長と国会議員は兼職ができます。日本の参議院に当たるんでしょうか、フランスの上院は別名、今、地方の庭と言われているんですね。立派な庭園がございますけれども、何とか元の宮殿ですけれども、そこに上院が置かれていますけれども、地方の庭なんです。地方のそれこそ長い間いろんな仕事をやってきた人が、最終的には財政制度についても、それから立法、もちろん立法府ですから立法についても直接関与して、それで分権を進めていると。
 ですから、これはもう憲法事項なのかもしれません、憲法事項だと思うんですけれども、やっぱりそういう意味では、本当に日本の国柄を変えていこうというときには、国と地方六団体が対立する関係はおかしいわけなんです。一緒になってやっぱり実態というものを踏まえて国を変えていく、あるいは地方の制度を変えていくというのが望ましい姿だと思いますので、是非、参議院として独自性を発揮をされるためにも、そんなことも是非本気で御検討いただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 以上でございます。
#61
○長谷川憲正君 大変ありがとうございます。
 おっしゃるとおりだというふうに私は思うんですよね。日本は世界の中では極端な中央集権国家だと、少なくも先進国の中ではこんな中央集権が進んじゃった国は他に例がないということをもっと自覚をすべきだと思いますし、それから法案作りも政府が提案をしてくるということばっかりが多いんですけれども、おっしゃるように、こういう大事な法律というのは政治主導でやるべきであって、まずは皆さん方のお話を伺って、ここの場で原則を作って、それを政府とすり合わせをしていくというような本当は法案の作り方が一番いいんじゃないかなと私も思うところであります。
 大変有意義な御意見をちょうだいしまして、本当にありがとうございました。お礼を申し上げます。
 終わります。
#62
○委員長(山内俊夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 本日は貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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