くにさくロゴ
2007/06/14 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 総務委員会 第22号
姉妹サイト
 
2007/06/14 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 総務委員会 第22号

#1
第166回国会 総務委員会 第22号
平成十九年六月十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     二之湯 智君     山東 昭子君
     山本 順三君     武見 敬三君
 ツルネン マルテイ君     芝  博一君
     澤  雄二君     山口那津男君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     山東 昭子君     二之湯 智君
     武見 敬三君     山本 順三君
     山口那津男君     澤  雄二君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     高橋 千秋君     輿石  東君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 俊夫君
    理 事
                景山俊太郎君
                二之湯 智君
                森元 恒雄君
                伊藤 基隆君
                那谷屋正義君
    委 員
                有村 治子君
                小野 清子君
                河合 常則君
                木村  仁君
                世耕 弘成君
                山本 順三君
                輿石  東君
                芝  博一君
                高嶋 良充君
                内藤 正光君
                増子 輝彦君
                澤  雄二君
                吉川 春子君
                又市 征治君
                長谷川憲正君
   国務大臣
       総務大臣     菅  義偉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高山 達郎君
   政府参考人
       総務省行政評価
       局長       熊谷  敏君
       総務省自治行政
       局長       藤井 昭夫君
       総務省自治行政
       局選挙部長    久元 喜造君
       総務省自治財政
       局長       岡本  保君
       総務省自治税務
       局長       河野  栄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方公共団体の財政の健全化に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山内俊夫君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告申し上げます。
 去る十二日、ツルネンマルテイ君が委員を辞任され、その補欠として芝博一君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山内俊夫君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山内俊夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に二之湯智君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山内俊夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案の審査のため、本日の委員会に総務省行政評価局長熊谷敏君、総務省自治行政局長藤井昭夫君、総務省自治行政局選挙部長久元喜造君、総務省自治財政局長岡本保君及び総務省自治税務局長河野栄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(山内俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(山内俊夫君) 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○森元恒雄君 おはようございます。
 一昨日行われました参考人の質疑を踏まえて、何点か大臣にお聞きしたいと思います。
 まず一点目ですが、国と地方の財政状況どうかという点については、かねがね財務省は、国の方が地方よりも財政事情が厳しいんで地方も協力してもらいたいという声があるわけでございますが、そうであれば、今回のような地方団体の財政再建法制を整備する前に、国の財政に対してそういう再建の枠組み法を作る必要があるんじゃないかと、こういう意見がございますが、その点について総務大臣のお立場でどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(菅義偉君) 国と地方の財政状況を比較をすれば、基礎的財政収支など、単純に数値上は国の方が悪いと、こう言えるのは委員御指摘のとおりであります。国と地方では金融、経済、税制等の権限の差があることから、単純に比較はできませんけれども、例えばOECD国でも債務残高は国が地方より大幅に大きくなっております。
 大切なのは、やはり国と地方が歩調を合わせて財政再建に取り組んでいく、このことだというふうに思います。国においても、基本方針二〇〇六において公共投資、社会保障、さらには人件費、教育、ODAなど、幅広い分野にわたって厳しく歳出を抑制をいたしており、基礎的財政収支の黒字化に向けて国と地方双方が歩調を合わせて歳出抑制に努めていくべきである、このように考えております。
#10
○森元恒雄君 今もちょっとお話ございましたように、主要国は、財政が悪化したときに足りない分はほとんど国がかぶると、地方の方には単年度で赤字を出させないというような方針を取っておるというふうに理解しておりますが、そういう中で、日本は国も地方も応分の財源不足を背負った状態で今まで来ておるわけでありまして、それだけ地方の方が諸外国に比べれば苦労しているということかと思いますが。
 そんな中でも、しかし国よりも比較的、借金の比率とか残高の割合とか様々な指標が地方の方が、数字で確かに見る限り少しいいのは、私はいろんな要因があると思いますけれども、その一つには、自己決定権が極めて限られておって、与えられた枠組みの中でしか財政が運営できないという限界が制度的にあるというのが一点と、もう一つは、様々な指標、実質公債比率だとか経常収支比率とか、そういうような指標が示されておって、ある程度のところまで来れば黄色信号、これ以上は赤信号というようなことが関係者に非常に分かりやすくなっていることが歯止め装置として利いているんじゃないか。それに比べて、国の方には地方と同じような指標が見受けられませんけれども、こういうことについて地方財政を預かる大臣としてどうお考えか、御所見をいただければと思います。
#11
○国務大臣(菅義偉君) まず、債務残高などについては地方が国よりも悪化していないのは、やはりマクロの観点から、先ほど申し上げましたけれども、諸外国も含めて、一般論として、国と地方では金融、経済、税制等の権限の差があることから地方の債務残高は国よりも小さい、このことが望ましいというふうに思っています。
 こうした観点も踏まえて、毎年度の地方財政対策においてできる限り地方の債務が拡大しないように対策を講じてきている、このことも大きな要因であるというふうに思います。
 そしてまた、個々の財政運営の側面からは、今委員から御指摘がありましたけれども、赤字地方債の発行が法令上制限されている、あるいは経常収支比率、実質公債比率、起債制限比率などの財政指標が悪化しないように各団体がそれぞれ財政運営を行ってきた、こういうものが御指摘のようにこの要因として考えられるというふうに思っています。
#12
○森元恒雄君 これは所管外ですから、何といいますか、要望というか意見として申し上げたいと思いますが、是非、国の方にもやっぱりそういうものがあってしかるべきではないかと私は個人的な意見としてかねがね思っておりますので、閣僚のお一人として御尽力いただければ有り難いなと思っております。
 それから、参考人の方々からの意見の中にもありましたが、地方団体の財政が悪化する要因、これはいろいろ様々であります。しかし、地方団体をトータルとして見て、大変財政が厳しい状況に昨今なっておりますが、それは、個々の団体の財政運営のまずさというよりも、専ら国の財政方針によるところが大きいんじゃないかというふうに私は思うんですね。
 そういう個々の団体の非を改めさせるといいますか、そのまずさを正していくということについては今回の法案は有効かと思いますが、国の制度とか政策の結果によって地方財政が悪化するということについては、今回のこのこういうような措置では有効に機能しないんじゃないか。こういう点について、じゃ、どういう措置を考えるべきかと、こういうことについて大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#13
○国務大臣(菅義偉君) 地方財政全体について申し上げるならば、バブル経済崩壊後に、国、地方を通じた景気対策、あるいは社会保障費の増加などによって多額の借金、借入れを行ってきたことが経営の悪化の大きな要因であるというふうに思っています。これは、我が国の経済財政運営によるものが大きいというふうに考えています。また、個々の団体につきましては、自らの責任において政策選択をしてきた結果、他の団体と比べて財政が悪化をしている団体というのもかなり多く見られるところであります。
 いずれにしましても、今回の法案は、今後更なる地方分権を進めていくためにも、従来にも増して地方団体の財政規律を確立をしていくということは極めてこれ大事なことだというふうに思います。同時に、我が国の経済財政運営においても安定的な経済成長を努めつつ、基本方針二〇〇六に沿って歳出を厳しく見直すなど、財政健全化に向けて引き続き努力をしていく、このことが私どもは大事だというふうに考えています。
#14
○森元恒雄君 地方団体の側には、私は、今日の財政悪化の原因は、バブル崩壊後の景気対策としての公共事業の追加に対する地方のそれなりの協力という面での借金の増額、そしてその後の財政健全化路線、歳出削減路線の中での地方交付税の大幅削減というふうなことで、とりわけてひどい放漫な財政運営をしないでおっても、まじめにという言い方はどうかと思いますが、やるべきことをやっておった中にもかかわらず財政が極めて窮迫してきていると、こういう状況があり、それはやっぱり自分たちの力だけではこういう状況を何ともし難いという思いが非常に強いと思う。特に、交付税の削減がこれ以上続けばもう尋常の手段でやっておったんでは行き詰まってしまうという声さえあるわけでございまして、そういう中で、将来に向かってこういう措置が必要だということは十分分かりますけれども、地方団体の再建にだけスポットを当てた施策が強化されていきますと、やっぱりそういう思いがますます地方の側に強くなりかねないんじゃないかなということも思います。そういう点について大臣としてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
#15
○国務大臣(菅義偉君) この地方財政が悪化したのは、先ほど申し上げましたけれども、国の経済財政運営、その要因というのは非常に大きいというように思っています。
 今回の法案は、個々の地方団体に責任をすべて押し付けるという観点で提出するものではなくて、当然マクロの地方財政についても基本方針二〇〇六に沿って歳出見直しだとかあるいは地方税財源の充実確保に努めるなど、財政健全化に努力をしていくところであります。特に、十九年度の地方財政についてでありますけれども、交付税の法定率を堅持をし、そして地方税、交付税の一般財源総額を確保し、昨年と比較をすると約五千億円ほど上回っておるところでありますし、また地方債発行残高の縮減ということも今回行いました。こうした形で健全化への取組というのは今後進めていきたいというふうに思っております。
 また、今回法案を提出しておりますのは、地方分権を進めていく中でやはり財政規律というものは極めて大事であると、そういう観点からでありますことを改めて申し上げさせていただきます。
#16
○森元恒雄君 地方もこの財政窮迫に真剣に取り組まなければいけないということは事実でありますが、しかし過去五、六年間の削減額を見ましても、国に比べて地方の方がはるかに実質的な額では削減額は大きいわけでございまして、私もいろんな市町村長さんにお話を伺っていますと、自らの報酬を一、二割カットするというのは全国的にざらでありまして、そんな中である町では何と三役の報酬を五割カットと、もう懲罰に等しいようなカットをしている。それで果たして生活できるんですかとお聞きしたんですけれども、そうでもしないと職員や住民の方に納得、御理解いただけないと、自ら範を示さなければいけないという決意の下にやっているんだと、こういうお話ございましたが、なかなかそういう実態がよく浮かび上がってこないというか、合併で少なくなったといえ千八百ありますので、実情が国レベルでよく分からないんじゃないか、理解されてないんじゃないかと。また、団体ごとにはかなりの格差が生じてきておりますし、特に財政力の弱いところは交付税削減の影響をもろに受けて大変追い詰められた状況にあるというようなことをしっかり担当の大臣として御理解いただいた上で国としてのしっかりとした対策を講じていただきたいと、これはお願いをしておきたいと思います。
 それから次に、先日の参考人の意見の中で、地方分権の流れからすれば自己決定、自己責任というのが基本であると。そうであれば、この再建についても国が極力関与しないで、むしろ地方の自主的な判断、決定にゆだねていくべきじゃないか、その中で特に議会が重要な役割を果たすべきではないか、議会の関与について今回の法案はいかがなものかというような意見があったわけでございますが、この点について、地方分権との関係で今回の法案、どのような配慮をしておられるのか、お聞かせいただければと思います。
#17
○国務大臣(菅義偉君) 地方分権というのはこれから正に極めて大事なことであって、これは多くの皆さんもその推進というのを期待をいたしているところであります。ただ、この地方公共団体の財政については、従来にも増してその財政規律を確立をして、住民の皆さんによるチェックという自治本来の機能を効果的に行っていく、このことが大事だというふうに思います。
 こうした観点から、今回のこの法案におきましては、財政指標というのを毎年議会に報告した上で公表するとともに、財政健全化計画を議会の議決を得て策定をすることを義務付けるなど、基本的なルールを定めたものであります。また、国等の関与については、あくまで当該団体における議会や住民の前向きな取組を喚起するための慣行などであって、当該団体の自助努力を促し、あるいは確実な財政の再生を図る観点から必要最小限のものであるというふうに私どもは考えております。
 いずれにしろ、本法案というのは、地方分権の推進という観点を踏まえ、財政健全化に向けたそれぞれの団体における議会の役割を重視をしていく、そういう中で立案したということで御理解をいただきたいと思います。
#18
○森元恒雄君 分かりました。
 もう一点、その参考人の意見の中に、地方団体の財政の規律は自己決定とともに市場の判断にゆだねるのが望ましいんじゃないかと、こういう意見がありました。特に金融機関の貸手責任を追及するということが市場原理が働くことにつながっていくんではないかと、こういう意見がありましたけれども、このことについての御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(菅義偉君) 地方公共団体の債務に金融機関の貸手責任を問うべきじゃないかと。そういう債務調整の問題につきましては、昨年の十二月にまとめられました新しい地方財政再生制度研究会報告書において、地方行財政制度の抜本改革が進展した場合における地方財政の規律強化における選択肢として評価をできるものの、一方で、債権者が債務調整に応じる動機付けとなる仕組みや財政力が弱い地方公共団体の資金調達の在り方、こうしたことに対して課題があり、今後これらの課題について検討が必要である、こういうことにされております。これらの課題につきましては、現在、債務調整等に関する調査研究会におきまして議論をいただいておるところであります。
 私としましても、やはりこうした地方分権改革の議論をする中でこうした債務調整というのはやはり私は検討されるべきだというふうに私自身も考えております。
#20
○森元恒雄君 今お話しのように、貸手責任を追及して、場合によっては債務調整あり得べしということになりますと、当然金融機関の貸出し態度が変わってきて、地方団体の信用力、財政状況をつぶさに審査した上で条件を決めると。今お話しのように、そうなれば財政力の弱い脆弱な団体の金利負担が増えるというのは当然考えられるわけでありますが、そういう問題点と同時に、より根本的には、国と同様、地方団体にも課税権があるわけでありまして、ここのところが民間企業なんかとは根本的に違う点だと思います。
 そういう中で、しかし、財政が行き詰まったら借金棒引き、金利棚上げとか、そういうような措置が講じられるというようなことは地方団体の本質に照らしていかがなものか。特に憲法上の保障された財産権にかかわってくる問題になるんじゃないかと、こういう見方もあるというふうに承知しておりますが、この点について大臣としてはどういうふうに御認識しておられるでしょうか。
#21
○国務大臣(菅義偉君) 先ほども申し上げましたけれども、やはり自治体が緊張感を持って行うためにはやはりまた債務調整というのは一つの考え方であるというふうに私は思っています。しかし、今委員から御指摘がありましたように、このことを導入することによって、財政力の弱い団体においては資金調達の問題が出てくる、あるいはまた憲法の問題が出てくる、そういう中で、今私どもは、その債務調整等に関する調査研究会においてそうした問題を今研究をしていただいているというところでありますので、御理解をいただきたいと思います。
#22
○森元恒雄君 それから、地方団体の財政の悪化、いろんなケースがありますが、せんだっての夕張のケースにも見られますように、一般会計というよりも、その周辺の特別会計であったり公社であったり、あるいは第三セクターであったりと、そういうようなところで過大、過剰な借金を抱え事業が成り立たなくなったというような場合に本体そのものが揺らいでくるというようなケースがほとんどむしろじゃないかなという気もするわけであります。
 今回の再建法は、こういう実態から見て、地方団体がかかわっている様々な分野をトータルとして健全にしていこうという発想だと思いますが、もう少し具体的に、そういうことにこの法案はどういうふうに有効に機能するのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
#23
○国務大臣(菅義偉君) 今委員から御指摘がありましたけれども、公社や、あるいは第三セクター、地方公共団体、別人格の法人である、こういうことの赤字や負債は一義的には当然そういう団体で解消すべき責任があるわけですけれども、しかし、現実的にはどうなっているかといえば、そうした団体の設立団体として、また損失補償契約などを通じて、公社や第三セクターの債務を一般会計が実質的には負担をするという、そういうことになっているというふうに思っています。
 そういう意味においては、本法案では、実質的負担についても将来負担比率としてとらえておく、このことが必要ということで、とらえられるようにしたところであります。この法案を契機にして、それぞれの地方団体においては、その設立した公社あるいは損失補償を行っている第三セクター、これらの経営状況について実態に即した評価というものが必要になるというふうに思います。こうしたことによって、公社や第三セクターの経営状況の悪化が地方公共団体の財政悪化につながり得る状況を未然に把握をして、財政悪化というものを食い止めることが可能になるだろうと、このように考えております。
#24
○森元恒雄君 先ほども申し上げましたように、公社なり第三セクターの方が悪化の原因をつくっている部分が大きいと私は思いますが、そうであれば、やっぱりそこに対するもう少し歯止め措置も併せて強化する必要があるんじゃないかと。
 例えば、今ちょっと大臣がおっしゃられましたが、損失補償ですね。これは、地方団体が債務保証をできる範囲は法律で限定されておりますが、それと実質的に同じような効果のある損失補償については何ら制限がないと思います。損失補償をやれば、その実質債務は地方団体そのものがかぶることになるわけで、ここが何といいますかルール化されない限り、規制されない限り、結局、原因をつくっていくことは断ち切れないんじゃないかと。
 そういういろんな指標をつくることによって事後措置を十分措置するということは大事だと思いますが、同時に、その前に未然に防いでいくための手当てということも必要ではないのかなと、こういうふうにも思いますが、もしその辺について何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(菅義偉君) 今委員から御指摘がありましたように、現実問題として、公社だとかあるいは第三セクターについてそれぞれの地方自治体が損失補償を行っていると。しかし、そのことについてはなかなか表に出ていない、最悪の状況になってそうした責任が出てくると。その一つの例が夕張であったわけでありまして、私どもは、その中間の団体、中間地点においてもそうしたものが明らかになるように今回法案として中に入れさせていただいたわけでありますけれども、委員が御指摘のとおり、そうした損失補償に制限を加えるというのも一つの考え方ではないかなというふうに思います。
#26
○森元恒雄君 あわせて、私は、地方団体そのものに対して金融機関の貸手責任を追及することは少し考えなければいけない、慎重でなければならない部分があるかと思いますが、逆に、人格が別の公社なり第三セクターについては金融機関の貸手責任をもっと追及してもいいじゃないかと、こういうふうに思うんですね。ただし、そのときに一つの隘路になるのが今の損失補償の位置付けだと思います。
 損失補償があっても貸手責任を追及できるというならいいんですけれども、そうでないと、結局、金融機関の貸手責任の議論をしてみても実効がないということにもなるわけでございまして、この点についても、研究会で議論がされているとすれば、少し詰めた議論をお願いしたいなと思います。
 次に、歳出削減と地方自治体としての本来の役割をどう果たしていくべきかということとの関連についてお聞きしたいと思いますが。
 先ほど申し上げたように、自治体は課税権があり、ある程度決まった税収というものが毎年入ってくるわけでありますので、財政を立て直すためには、極端なことを言って、何も仕事をしなければ多少は時間掛かっても立ち直ることは可能。ここがまた民間と決定的に違うところであります。しかし、それであれば何のための自治体か分からない、こういうことであります。極端にはそういうことですけれども、その限界といいますか、財政の規律を守るということと本来果たすべき住民サービス、行政事務をしっかりと実施するということとの兼ね合いが大変問題ではないのかなというふうに思うんですね。
 五、六年、地方団体は本当に歳出削減で必死に努力をしております。そろそろ、ぜい肉は落としたけれども、もうこれ以上財政が窮迫してくれば事業の中身に立ち入って削減、縮減をしていかなけりゃいけない、こういうような状況に私はかなりのところが追い込まれつつあるんじゃないかというふうに見ておりますけれども、財政にスポットを当てて健全化云々というのは議論しやすいわけですが、事業の中身についてしっかりとしかるべき役割を果たしているのか果たしていないのかというようなことについての評価、チェックということはなかなか難しいかと思うんで、こういうことについて、今回のことは今回のこととして、別途何かしかるべき手だてというものがないものかというふうに思うんですが、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#27
○国務大臣(菅義偉君) 財政の健全化に向けた取組につきましては、それぞれの団体が徹底して歳入歳出を見直す、そういうことが必要でありますし、本法案においては、財政状況の悪化の要因分析、そうしたものを踏まえながら、財政健全化計画や財政再生計画を策定をすることとされております。そうした過程で適切な歳出の見直しが行われるべきであるというふうに思います。また、法令で定められた事務など基礎的な行政サービスを確保するということは、これ当然なことでありまして、計画上可能な範囲で地域の実態に合わせて必要となるサービス等についても一定程度確保する、このことが考慮されてしかるべきであるというふうに思います。
 いずれにしろ、歳出の中身の検証につきましては、それぞれの団体の議会や住民によってなされること、このことが基本であると思います。総務省としましても、財政再生計画の同意基準において歳出削減に係る基本的な考え方を示したり、また類似団体や財政悪化の要因が類似している団体の取組状況など、そういう情報を提供する、こうしたことを行って適切な歳出の見直しが行われるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#28
○森元恒雄君 ちょっと別の話になりますが、先ほども申し上げました、団体間の財政格差が非常に最近広がってきております。特に、脆弱な団体は交付税の削減の影響が大変深刻な状況でございまして、この格差が広がったことに対する国の責任というか、格差是正に向けた国が果たすべき役割というものが大変重いと思いますが、取り組む姿勢について、方針について大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#29
○国務大臣(菅義偉君) 交付税につきましては、国、地方それぞれ非常に厳しい財政状況踏まえて、基礎的財政収支の改善に向けて歳出削減に取り組んだ結果として抑制をされてきております。地方にとって厳しいものでありますけれども、財政再建のためある意味でやむを得ないものであったというふうに考えております。
 一方、ここ数年景気が良くなってきていますから、地域間の財政力格差が非常に委員から御指摘がありましたように広がっているということも事実であります。私どもとすれば、全国どこに行っても教育、福祉など一定水準の行政サービスを受けられる、そうしたことを保障するのが私どもの仕事、役割だというふうに思っております。このために、十九年度一般財源総額を確保し、昨年度を上回る五千億円の総額を確保することができたわけでありますけれども、更に偏在の小さい地方消費税というのをやはり地方税の私は根幹に据えるべきだというふうに思っております。
 現状でいえば、東京都は景気の回復に伴ってこの四年間で約一兆四千億ぐらい地方税が増えています。しかし、財政力の低い地方の団体というのは、八つの県足しても千四百億円、十分の一でありますから、やはり私は、今委員から御指摘がありましたけど、地方間の格差が出てきているということは否定をすることができません。そういう中で、ここは財務省とも協力をして、この問題について私どもの中で、事務方で研究会を今つくっておりまして、それぞれ検討させていただいているところであります。
 ただ、私の基本というのはやはり地方は仕事六、そして国は四ですから、本来であればそれに伴った形で税が配分されるのが当然だというふうに思いますけれども、当面は五対五、一対一を目指して私どもは努力をさせていただいていますし、それと同時に、垂直の調整だけでなくて、やはり地方間の水平調整というんですか、そうしたことも必要な時代だというふうに私は認識をいたしております。
#30
○森元恒雄君 是非そういう方向で御尽力をいただきたいと思います。
 次に、これも参考人から意見がいろいろありましたが、地方団体の財政再建だけではありません、全体について自己規律を働かせる手段は何かということを考えた場合に、これはやはり主権者である住民の監視の目、チェックの目が行き届くかどうかということでありますから、その前提として情報がしっかりと公開されるということがなければ判断のしようがないわけでございまして、そういう意味で情報公開というのが極めて大事な点だと私は思います。
 ただ、地方団体が情報を公開しないで従来やっているのかといえば、決してその中で仕事をしてきた私から見てもそういうことはないと思うんです。ただし、じゃ何が問題かといえば、なかなか一般の人にぱっと見て聞いてそれがどういう意味を持っているのかということが分かりにくい、抽象的な形での情報公開であればなかなか関係してない者には即断できにくいのも事実だと思うんですね。ですから、情報の公開の具体的な方法についてこれからもいろんな面で一段と工夫をしていく必要があると思います。
 今回の法律もそういう流れの中の一つだとは思いますが、この情報公開に対する大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#31
○国務大臣(菅義偉君) やはり私も、情報公開というのは極めて大事だというふうに思っております。そして、それも今委員からいろいろ御指摘されましたけれども、住民の皆さんにとって一目瞭然というんですか、分かりやすいものじゃなきゃならないというふうに思っております。
 本法案におきましては、全会計を通じた赤字を発掘する連結の実質赤字比率や、あるいは公社、第三セクターを含む実質的負債を示す将来負担比率などの財政指標を整備をし、毎年度議会に報告をするとともに公表するということになっておりますので、それぞれの自治体において住民の皆さんは、自分のところの市町村の状況がどうであるか、そうしたものが一目瞭然に私は理解をできるようになるというふうに思っております。
 それと同時に、やはり自分の町と同じぐらいの団体の町はどうなっているのかという、類似の市町村、そういうものについても比較ができるような指標というものを私ども今広報しておりますけれども、更にこの法律によってできるようになるというふうに思います。
 さらに、都道府県、市町村の詳細な財政情報が示されております決算カードあるいは類似する団体間で主要な財政指標を容易に比較できる財政比較分析表、特別会計の状況や公社、第三セクターの状況も含め、それぞれの団体の総合的な財政情報を一覧性をもって開示する財政状況一覧表、こういうことを今度のことによって公表する仕組みになっております。
 こうした取組を通じて、更に地方公共団体の財政情報というのが分かりやすくなるだろうというふうに考えております。
#32
○森元恒雄君 もう一点、財政指標の具体的な算定ですが、このことは法律の中でも政令等にゆだねられておりまして、これからの作業になるんだろうと思いますけれども、その指標を決める際には、是非、一つは地方団体の意見を十分に聴いて決めていただきたいという点と、もう一つ、千八百の団体もその規模から状況様々でありますので、一律に基準を設定して当てはめるというふうなことになりますといろいろ支障も出てくる面があるんじゃないかと、こういう心配もいたしますので、やっぱり差を設ける必要があるんじゃないかというふうに思うんです。この点について大臣にお聞かせいただければと思います。
#33
○国務大臣(菅義偉君) この財政指標や基準にかかわる政省令でありますけれども、各地方公共団体がこの制度全体を前提として平成二十年度の予算編成に当たることができるよう、年内に整備をしていきたいというふうに思っています。ただ、その策定また運用に当たっては、地方公共六団体からの意見についても十分伺った上で策定をしたいというふうに思います。いずれにしろ、それぞれの地方公共団体の理解を得ながら制度の円滑な導入というものを図っていきたいと考えております。
#34
○森元恒雄君 是非そうしていただきたいと思います。
 その上で、やっぱり一つお願いをしたいのは、そういうふうに具体的な基準が決まりますと、それに当てはまるところは自動的にというか当然に法が適用されて、強制的にといいますかそういう扱いを受けることになる、指定をされてなるわけですが、そうしますと、これまで自らの判断で、我が市、我が町の財政を何とかして立て直さなければいけないという必死の思いで再建に取り組んでいるところが、ある時点からは国の管理の下にという形で強行的にいろんなことが進められていく。そうなれば、先ほど来心配していますように、財政を立て直すのは、事業をやめればそれは立て直りますが、それでは何のために、住民にいろんなサービスを提供する役割の地方団体として何をやっているんだと、こういうことになるわけでありまして、大変そういうことを心配している向きがございます。
 是非、地方団体の自主的な取組というものがある程度評価されるような法の運用ということが必要ではないのかなというふうに思うんですけれども、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#35
○国務大臣(菅義偉君) 現在の実質赤字比率につきましては、再建団体にならなければ起債が制限される基準というのは、都道府県については五%、市町村というのは一律二〇%、そして実質公債費比率に基づいて許可団体となっているのは、単独事業の起債制限されるものについては全団体一律でそれぞれ一八%、二五%、三五%、また実質赤字比率に基づいての起債の許可団体の基準も定められています。
 基本的にはそうしたことに基づいて行っていきたいと思いますし、財政の健全化についてはできる限りそれぞれの団体が自主的に行うものが基本であるというふうに思っておりまして、実際に厳しい財政状況の中でも自主的な財政再建に取り組んでいる団体というのは数多くあるということも私自身理解をいたしております。こうしたこの法案により財政指標に基づく健全化に向けた目標がより明確になるわけでありますので、より一層の財政の健全化に取り組んでいただきたい。
 いずれにしろ、基本的には今までのものを基本にしながら、また個々、自主財政再建に取り組んでいる地方公共団体も数多くあるわけでありますから、そうしたことも配慮しながら行っていきたいと思います。
#36
○森元恒雄君 最後に、一点お願いしておきたいと思いますが、先ほど来申し上げている中、また参考人の質疑の中でもありましたが、例えば病院の赤字とか国保の赤字のように、当該自治体の財政運営のまずさでそういう問題が起こっているとは言い切れない、外的な要因、地域的な事情からやむなくそういう赤字になっている部分がある。これはやはり国としてもしっかりとした、制度を改正したり政策を改めるところがあれば改めていただく必要があろうと思いますし、そういう外部的要因で窮迫しているところについては、殊のほか、やっぱり自主的な努力だけでは問題解決しないわけですから、そういう事情も考慮して、弾力的、柔軟に法を運用するという姿勢を是非取っていただきたいなと、これはお願いをしておきたいと思います。
 終わります。
#37
○内藤正光君 おはようございます。民主党・新緑風会、内藤ですが、四十五分間いただきましてこの法案についていろいろ議論をさせていただきたいと思いますが。
 まず冒頭、この法案に対するスタンスを簡単に申し上げさせていただくならば、一点目といたしましては、公営企業や地方公社と自治体との関係を踏まえて、フローのみならずストックの指標を導入をしたこと、客観的な指標を導入したこと、そしてまた第二点といたしましては、財政に関する情報公開の徹底を通じて地方の財政規律を高めようとしていること、そしてまた第三点といたしましては、早期是正措置を導入をしたこと、こういった点を踏まえて私は一定の評価をしたいと思います。
 その上で、しかしまだまだ確認をしなきゃいけないことはたくさんありますので、以下に質問をさせていただきたいと思いますが、まず、ストック指標の導入について確認をしたいと思うんですが、新しい地方財政再生制度研究会の資料によりますと、このストック指標の導入に際しては、今回導入することになった将来負担比率のほかに、将来負担返済年数だとかその他数多くの候補が挙げられて議論をされたというふうに聞いております。そういった中、将来負担返済年数については、経常経費の削減により償還能力を向上させるインセンティブが働くということで、こちらに大きく軍配を上げているというか評価をしているわけなんです。そういった議論があったにもかかわらず、なぜ最終的にストック指標として将来負担比率を用いることになったのか、その経緯並びに理由についてお尋ねしたいと思います。
#38
○国務大臣(菅義偉君) まず、今回の法案の中で、フローの指標に加えてストック指標を用いる、これは、それぞれの地方自治体の財政状況というのをガラス張りにすることについて、極めてこれは大事だなということで、私ども導入をさせていただきました。そして、その際に、幾つかの償還能力を示すものの案を検討しましたけれども、今回の法案については、他の比率との整合性が分かりやすくするべき、そういう観点ってこれ大事だというふうに思いまして、標準財政規模を用いた将来負担比率を採用しよう、そういうことにしたところであります。
#39
○内藤正光君 他の指標というのは三つのフロー指標ですね、それとの整合性が分かりやすいと。もうちょっと具体的に、政府参考人でも結構なんですが、教えていただけますか。
#40
○政府参考人(岡本保君) 今御紹介いただきましたように、他の、今回導入いたします指標、フローの指標におきましても、基本的には標準財政規模に対するそれぞれの、実質赤字でございますとか連結赤字の規模といったものを比較させることが、その住民の方々、あるいは議会におきますいろんな議論を行っていただきます際にその団体の財務状況を実感としてとらえていただける、あるいは従来伝統的にそういうふうに各地方団体にもそういう指標に取り組んでまいりましたので、分かりやすいのではないかということがございます。
 そういう意味で、将来の負担がどの程度のものかということを考えます際にも、従来から各地方団体のいろんな指標として使ってまいりましたものが、標準財政規模といったものを分母に使って、それに対してどのぐらいの比率になっているのかということが行われてきたということがございますので、将来の負担規模につきましても、あるいは年数といった議論につきましても、規模と比較しながらそういう議論ができるということでございますので、今回、将来負担比率という形で標準財政規模を分母として使うという指標を採用させていただきました。
#41
○内藤正光君 分かりました。
 では続きまして、具体的な指標の算定方法だとかあるいはまた基準値を二つ設けることになっておりますが、その決定方法について何点かお伺いしたいと思いますが、総務省さんの方でこういう調査があろうかと思います。第三セクター等の状況に関する調査、その結果が昨年の末、十二月二十七日に出ているんですが、これを見ますと、第三セクターに関する調査なんですが、こう書いてあるんです。調査対象は七千九百四十一法人。その中で、公共団体から貸付金を受けている法人は全体の一三・七%、その貸付残高は四兆四千億あったと。さらにまた、公共団体が損失補償契約あるいはまた債務保証契約をしている、そんな団体いろいろあるんですが、その債務残高が九兆四千億あったということなんです。合わせれば十四兆円ぐらいだと思いますが。
 私が指摘したいのは、これらのリスクをも勘案しなきゃいけないということで将来負担比率というものを導入したんだろうと思います。では、じゃ、その将来負担比率の計算、算出方法は一体どうなっているのと、この法文見ますと、第二条の目的にいろいろ書いてあるんですが、特に将来負担比率については第二条の四項ですよね。イ、ロ、ハといって実際に組み込んでいく数字がいろいろ書いてあるんですが、ほとんどすべてのものの後にこう結ばれているんです、総務省令で定めるところにより算定した額と。すべてがこれで結ばれているんです。はっきり言ってよく分からないんです。
 特に大事なのは、二条の四項のヘだと思うんです。これが私が申し上げたところだと思います。第三セクターだとかそういった、公営企業のそういった持っているリスク、これをこのストック指標の中に組み込んでいくんだと。これもやはり同様です、こう書いてあるんです。一般会計等において実質的に負担することが見込まれるものとして総務省令で定めるところにより算定した額と。はっきり言って何を言っているか分からないんですね、どういうふうな算定方法になるのか。
 そこで、お尋ねしたいんですが、実質的に負担することが見込まれるものというものを総務省令で具体的にどういうふうに定めていくのか、お答えいただけますか。
#42
○政府参考人(岡本保君) 御指摘のございました将来負担比率は、地方団体の一般会計等の地方債現在高などの確定債務のほかに、御指摘のような第三セクターにかかわります損失補償などの将来負担というような一般会計の負担が生じ得る未確定の債務をとらえるということとしております関係から、一定の評価が必要になるというものでございます。
 第三セクター等に係ります損失補償につきましては、一般会計等において、今御紹介いただきましたように、実質的に負担することが見込まれるものというふうに法文に書かせていただいておりますが、その例えば具体的な判定方法としましては、基本的には、その当該法人の経営状況に応じた債務の償還能力を評価して、当該法人の償還能力を超える部分をとらえるということが基本的な考え方ではないかというふうに考えております。
 具体的には、例えば土地等の、それを売却するといったような販売用の不動産を持つ法人につきましては、不動産価格の著しい下落といったようなことが見込まれる場合には、その売却によって債務を償還できないということが見込まれる部分に着目して、その法人の業務の性格に留意してその額を計算するということを省令で定めていきたいというふうに考えております。
#43
○内藤正光君 ちょっと分かったような気もするんですが、ただまだ全体的なイメージがつかみかねているところがあります。
 例えば、銀行破綻のときに、破綻懸念先だとかいろいろランク分けをして、そのランクに応じて何割かの、二〇%とか四〇%引当金を積まなきゃいけないというふうにしたんですが、そういうイメージになるんですか。もうちょっと詳しく教えていただけますか。
#44
○政府参考人(岡本保君) 今例えば少し御紹介させていただきましたように、地方団体が抱えております大きな債務といったようなものの場合には、一番大きく考えられますのは、第三セクターやあるいは土地開発公社等で抱えている一番典型的なものは土地だろうと思います。
 したがいまして、今その土地の例を御紹介申し上げましたけれども、その流通を予定している土地の言わば評価といったものが、その時点におきまして、もしもそれを売却するその時点で一定の法人の債務としてその償還能力を超えているという場合には、その不動産の売却といったことを時価で行っていくということになりますので、その売却によってどのような資産価値があるのかということを計算することで、その将来の負担といったものを計算していこうということでございます。
 いろんな、例えば銀行等で、今先生御紹介いただきましたような掛け目の議論というのがございますけれども、地方団体が抱えております公社、三セクといった場合に、一番大きな問題になるのは多分土地であろうと思っております。
#45
○内藤正光君 土地が大きくクローズアップされたわけなんですが、経営状況については何らかの判断はするんですか。
#46
○政府参考人(岡本保君) おっしゃいました経営状況といいましたものが、例えば今申し上げました土地を流通させる、そういうものであれば、その土地の、まあそれがどのぐらい売れているかということが一つの状況になろうかと思います。
 また、多くの場合の第三セクター等が行っておりますものは、大体地方団体が五〇%、一〇〇%出資をしてやっているようなものにつきましては、いろんな地方団体の施設の管理でありますとかそういうようなものが多くございますので、そういうものにつきましては、その当該施設の維持管理費と収入といったものを比較してやるということになると思いますが、そういうものが大きな額になるということは、通常余り見込まなくてもいいのではないかというふうに思っております。
#47
○内藤正光君 じゃ、何というんですか、そのリスクというのは、判断するにおいては大体土地が一番大きなウエートを占めると、土地の評価、これが一番大きな判断を占めるという理解でよろしいんですか。
#48
○政府参考人(岡本保君) 第三セクター等の場合で考えますと、一番大きなものは先ほどから申し上げておりますように土地ではないかというふうに考えております。
 あともう一つは、まあこれは将来負担比率ではありませんけれども、連結の実質赤字といったようなものの場合には、例えば先ほど来御議論ございますような下水道でございますとかあるいは病院といったような、公営企業が行っております部門におきます赤字といったものが注意をしなければいけない、我々がそういういろんな指標を設定します際の大きな判断をする要素の重要なものだと思っておりますが、将来負担比率で一番大きなものは、やはり土地が一番キーポイントなのかなというふうには思っております。
#49
○内藤正光君 何かちょっとしっくり落ちないところがあるんですよね。
 例えば、いろいろな観光施設だったら、やっぱり入場料収入とかそういったものも総合的に勘案して判断しなきゃいけないと、土地だけで判断するというのは私は可能なのかなという、ちょっと疑問に思わざるを得ないんですが、それでもやはり土地ですか。
#50
○政府参考人(岡本保君) 今委員御指摘ございました、例えば観光の第三セクター等があります場合には、今も御紹介いただきましたようにその観光の事業収入といったことについて、その事業の見込みといったことを判断する必要があると思いますが、先ほど来私申し上げておりますのは、今地方団体が多く抱えております公社、第三セクターといったものの場合のほとんどの形態において、今いろいろな損失補償の額でございますとか貸付けといった額の御紹介がございましたが、その大きなものは土地に係るものでございますので、先ほどから土地のものが一番そういう意味での大きな要素ではないかというふうに申し上げさせていただきました。
#51
○内藤正光君 ではちょっと視点を変えまして、早期健全化基準だとか財政再生基準、これも設定しなきゃいけないんですが、この設定も政令で定めるというふうになっているんですが、この二つの基準を定めるに当たっての基本的な考え方、教えていただけますでしょうか。
#52
○国務大臣(菅義偉君) その際には、本法案に定められております財政の早期健全化及び財政の再生の規定の趣旨にのっとって検討していくわけでありますけれども、具体的には、市町村については二〇%以上、都道府県については五%以上の赤字比率になった場合、再建団体にならなければ起債が制限される現行の再建制度の運用、さらにこの地方債協議制の下で実質公債比率が一八%以上でこの許可団体となって、二五%以上で単独事業等の起債が制限されるという現行の地方債制度の運用など、こうしたものを基本にしながら四つの比率間の整合性を勘案した上で今後検討を進めていきたいと思っています。
#53
○内藤正光君 公債費比率のこともおっしゃっていただいたわけなんですが、一昨日の参考人質疑で、柳井市長の河内山参考人がこうおっしゃっていたんですね。
 その市の公債費比率は一八%をちょっと超えるところにあると。しかし、そのうちの三%は特殊要因だと。何が特殊要因かというと、やはり水道事業が莫大にお金が掛かるというんですね。かなり水源が遠い、その遠い水源から延々とトンネルの中を通してまでも水を引っ張ってこなきゃいけない。これによって公債費比率が三%ぐらい上がってしまっているというふうにおっしゃっていたんですが、まあこれも一つの事例にすぎないとは思うんですが。
 各自治体にはそれぞれの事情があるかと思うんですが、そういった事情を、各自治体の事情を勘案する形でこの基準値は設定するのかどうか、これも併せて教えていただけますか。
#54
○国務大臣(菅義偉君) この財政指標や基準に係る政省令でありますけれども、本案の規定にのっとって各地方団体が前提とする二十年の予算編成に当たることができるよう、年内にこれは整備していきたいというふうに思いますし、その際、それぞれの団体の財政の実態をできる限り正確に把握することを算定方式にしたい。
 一部の公営企業について、供用開始後の一定期間、構造的にやむを得ない資金不足、あるいは住民に対して誤解を招かないよう指標及び基準の策定に当たっては適切に考慮していく必要があるだろうというふうに思いますけれども、個々の地方公共団体の事情、今委員から指摘されましたけれども、考慮することは基本的には想定はしておりません。
 しかし、いずれにしろ、この健全化基準の策定及び運用に当たっては、地方公共団体の意見というものも十分これ伺った上で判断をしていきたいと思います。
#55
○内藤正光君 私は、この法案の一つの大きなポイントは各種財政指標の具体的な算定値であり、そしてまた二つの基準値の設定にあることは否定できないんだろうと思うんです。ところが、これらがすべて政省令にゆだねられてしまっていると。言ってみれば、我々、この総務委員会では中身が白紙のままで賛否を示さなきゃいけないと、ブランクチェックに対して私たちはサインをしなきゃいけないという状態に置かれているんだろうと思うんです。
 一昨日の参考人質疑でも片山参考人がやはり批判していたのは正にそこなんです。いや、細かなところを政省令にゆだねる、これは仕方ないと思うんです。しかし、仮にも今回の法案の大きなポイントなんですね、この各種財政指標の算定値だとか、あるいはまた基準値の設定の仕方。少なくともこの法案に考え方なり方向性を示すべきじゃないのかというふうに思うんです。
 大臣は地方議員をやられていてお分かりいただけるかと思うんですが、やはり自治体で条例を決めるときに、こんな中身はすべてお役人任せですよなんという形で条例決めませんよね。もっと具体的な中身を議員で議論しますよね、議会で。そこでちょっと大臣に、今は行政の側に立つ立場ですからこの方がいいのかもしれませんが、一議員という立場で、この大事な部分をすべて政省令にゆだねてしまったままの法案提出の在り方についてどのようにお考えなのか、お考えを率直にお述べいただきたいと思います。
#56
○国務大臣(菅義偉君) まず内藤委員に御理解をいただきたいのは、私どもそれを今策定をするについて、先ほど申し上げましたけれども、現況の市況、これは今それぞれの地方公共団体がその指標に基づいて様々な運営を行っているわけでありますから、そうしたものを私、踏まえるということがこれ大前提であります。それと同時に、この指標によって非常に大きな影響を受けるということもこれは事実でありますので、そこについては地方六団体を中心として、地方の意見というものを十分私も伺った上で策定をさせていただきたい。ここについてはまず御理解をいただきたいと思います。
 そして、一議員の立場ということであれば、私が地方議員のときに、国が様々な政策を決定をしてそれについて地方が付き合ったもの、たくさんありました。そうしたことも含めて、多分委員と同じ気持ちだというふうに私は思います。
#57
○内藤正光君 ということであれば、私は、この政省令で決定する前というのは難しいのかもしれませんが、少なくとも決定したその後に、改めてこの委員会にその決定に至った経緯なりなんなりを報告してやはり議論をする場を持つべきだと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
#58
○国務大臣(菅義偉君) それは当然のことだと思います。
#59
○内藤正光君 委員長もしっかり今の大臣の言葉を受け止めていただきたいと思います。基準値あるいは財政指標の設定に際しては、その後この委員会に諮っていただくということで、また議論をさせていただくということでお取り計らいをいただきたいと思います。
 さて次に、ちょっとテーマを変えまして、地方分権改革との整合性について一つ二つ質問をしたいと思うんです。
 この法案を作る基となった新しい地方財政再生制度研究会の報告書を読めば明らかなように、地方分権改革においては財政規律の強化、これが今回の法律で決められていることなんですが、それと地方税財源の充実というのは正に車の両輪だということなんですよね。実際に、この報告書でも冒頭からそのことをおっしゃっている。両方が同時並行的に制度設計されていくことが必要だとも明言しているわけです。ところが、今回の法案は車の両輪の片一方だけなんです。財政規律の強化。地方に言わせれば、強化されるけれども自由度が何も来ない。私はこれは地方分権改革に反するんじゃないのかと。一つの輪っぱを置き去りにしたまま進もうとしているのが今の状態だと思うんです。地方税財源の充実、その上での財政規律の強化だと思うんです。規制だとか強化ばっかり地方に押し付けられて、裁量が何一つ地方に与えられない、私はこれは異常だと思うんです。
 政府の骨太方針二〇〇七、見てみますと、いろいろ書いてあるんですが、新分権一括法案を三年以内に国会に提出すると。決めるんじゃなくて単に提出ですね。そのほかにも、国、地方の財政状況を踏まえつつ云々って書いてあるんですが、結びの言葉は地方債を含め検討すると。あるいはまた、いろいろ格差がある、その格差の縮小を目指すと。何とまあ、ちょっと心もとないんですね。やはり車の両輪だという意識が本当にあるのかどうか。財務省からのいろいろな圧力もあるのかもしれませんが、やはり私はこれでは地方分権改革って進まないんだろうと思うんです。
 そこで、大臣に確認したいんですが、地方税財源の充実については、検討するというんではなくて、この法案の施行、平成二十一年ですか、決算からですよね、そのときまでに私は措置されてしかるべきだと考えるんですが、大臣のお考えをお尋ねします。
#60
○国務大臣(菅義偉君) まず、基本的に、先ほども申し上げましたけれども、今地方は仕事を六やっています。国が四の比率です。しかし、税というのはこれ逆で、地方が四で国が六になっています。これは正にそういう中で六対四に、仕事の量に合って財源があるというのがこれは当たり前のことだというふうに思いますので、そのことについて私どもは強く求めています。しかし、当面として六、四から五対五、一対一、このことについて私どもは正に全力で今これは主張をしております。
 そして、同時に、今委員から御指摘がありましたけれども、地方分権改革推進委員会がこの四月一日からスタートしました。そして、国と地方の役割の明確化、そしてその中で権限、財源、税源を地方に移譲すると、それに併せて。そうしたことを踏まえる中で三年以内に地方分権一括法の国会提出という、そういうことで地方分権については今進んでいるところでありまして、そうしたものを私ども確立する中でやはり地方財政の規律というものをこれは確立しないと、地方分権のときに私は間に合わないというふうに思っていますので、こちらだけ先行ということでなくて、私ども地方分権を推進をする、そこで税財源の移譲、それと同時に、そうした段階の中でやはり地方が財政規律を確立をするという、そうしたことというのは私は当然車の両輪、今委員が言われましたけれども、そういう方向でやはり進めていきたいというふうに思っていますし、そうした方向で何としても実現するのが私の役割だというふうに私は思っています。
#61
○内藤正光君 大臣がお述べいただいた決意を具体化するために全力で一層取り組んでいただきたい、お願いを申し上げます。
 さて、次に、監査体制についてお尋ねしたいんですが、この第三条でも明記されているように、財政指標の公表に際しては監査委員による審査を義務付けるなど、監査委員にいろいろな仕事なり義務なりがこの法案では明記されているところなんですが、そこで大臣、ちょっと率直にお尋ねしたいんですが、本法施行後における監査体制の果たすべき役割というのは、あるいは責任というのは私は格段に重くなると思うんですが、大臣はいかがお考えでしょう。これちょっと事前には言ってないんですが。
#62
○国務大臣(菅義偉君) 現在機能しているかどうかということを考えると、私はやはり疑問にこれ感じています。そういう中で、今回の法案において、地方公共団体の赤字や将来の財政負担の状況も含めた財政指標というものを整備をし、こうした指標の議会への報告や公表に際して監査委員の審査に付することといたしておりまして、この指標を監査委員が適切に審査する能力というものが強く求められるというふうに思っています。
 監査体制の強化につきまして、平成十八年この地方自治法の改正によって地方公共団体の実情に応じて監査機能の充実を図る観点から、識見を有する者から選任する監査委員の定数を増加することができるようにされたところでありますし、また、昨年の八月、地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針においても、こうしたことを踏まえて監査委員には地方公共団体外部の人材を登用することを原則とする、こういうことを実は要請をいたしているところであります。
 私は、今後ともこの監査委員制度の体制の充実が図られるよう、必要な情報提供だとか、あるいは助言制度の充実強化を努めてまいりたいと思いますが、いずれにしろ、監査委員制度というのはこれから極めて私は大事になるというふうに思っています。
#63
○内藤正光君 ところが、この監査体制については地方自治法で明記されているんですよね、地方自治法で。百九十五条以下、数条にわたって明記されていると。議員と、あと識見を有する者ということですね。
 ただ、実態はどうなのかというと、私も東京でこの公会計制度の見直しに取り組んでいる地方議員の方にちょっと現状はどうなんですかと確認してみたんです。やはり余り変わっていないんですね。大体議員が二人ですよね。その議員も、第一党、第二党、つまり与党ですよ。そして、じゃほかの二人はというと、大体役人OBが二人だとか、あるいは役人OBが一人で地方の名士。その名士がたまたま有資格者であることもあると。しかし、有資格者であるから選ばれたんではなくて地域の名士だから選ばれたという、これが現状ですよ。こんなので緊張感ある監査ができるかといったら、できっこないですよ。
 そして何よりも、これは片山参考人がこれまた指摘されていたんですが、これ監査の指名というのは首長なんですよ。首長がその監査委員を任命する。自分のやることをチェックしてもらうわけですから、厳しい人を選ぶか。よほど、よほどやっぱり奇特な人でもない限り、そんな自分にああだこうだと厳しく言うような人を選ぶかって、選びはしませんよ。これもすべて地方自治法で定められているんですよ。
 だから、私が申し上げたいのは、何で今回、この法案の提出に伴って地方自治法の改正にまで踏み込まなかったのか。特に、監査体制の充実強化という観点で私はそうすべきだったと思うんですが。少なくとも私は、片山参考人は選挙で選出すべきだとおっしゃっていたんですが、それも一つ。しかし、少なくとも選任に当たっては、有資格者であることとか、そういったことを義務付けることぐらいできたと思うんです。
 その辺の監査体制の強化という観点で、地方自治法の改正ということで大臣にそのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#64
○国務大臣(菅義偉君) 監査体制が今のままでは極めて不十分であるという認識を私、示させていただきました。その中で、十八年度のこの自治法改正の中で監査機能充実の観点からそれなりの改正をさせていただきました。
 しかし、今委員御指摘がありましたけれども、これから地方分権を推進をしていく上で、やはり監査委員がより高い専門性を発揮する、そしてまた実効あるチェックをするということがますます私は大事になってくるというふうに思っています。
 そういう中で、次の地方制度調査会、近いうち立ち上げたいということを私申し上げておりますけれども、その中で地方の自立と責任を確立をするように、監査機能の更なる充実強化、こうした方策についてこの地方制度調査会の中で検討をお願いしたい、こうしたことを私は行っていきたいというふうに思っています。
#65
○内藤正光君 その調査会の中で検討したことを踏まえて、地方自治法の改正に生かしていくという理解でよろしいんですか。
#66
○国務大臣(菅義偉君) そのとおりです。
#67
○内藤正光君 その中に、まだこれからの議論をまたなきゃいけないんですが、少なくともチェックされる立場の首長が選ぶということはやはりおかしいということ、そしてまた、やはり資格を持っていない人がその任に当たるというのは、ちょっとやっぱりその機能を発揮できないんだろうということは十分踏まえられるだろうということは予想していいわけですね。
#68
○国務大臣(菅義偉君) この二十九次の地方制度調査会におきましては、これは当然そうした立ち上げる中で、今申し上げましたけれども、この監査機能の充実強化というものを私自身はお願いをしたいと、そしてそれを踏まえて自治法の改正までいければいいというふうに、私はそのことについては思っています。
 そういう中で、これとは別に、今現在のこの監査委員は議会の同意が必要ということにはなっていますけれども、私も議員をやっていましたし、今もそうだと思いますけど、さっき言われたような形で監査委員が選任されているということも事実でありますので、それで私は、今回この地方制度調査会の中で充実強化というものを是非検討していただきたい、そしてその中の方向を得ていただく中で自治法の改正までいきたいと、そう思っているところであります。
 そのメンバーには、当然これ、国会議員の代表の方も選ばれるわけでありますので、それぞれの政党にも今お願いしておるところでありますので、是非、監査機能の強化というものを私は極めて大事だというふうに思っていますことを是非認識をいただきたいと思います。
#69
○内藤正光君 監査の点では最後の質問にしたいと思うんですが、そういう地方自治法が改正されて監査体制が強化されればいいんです、すぐ強化されればいいんですが、やはりそれにはまだ何年か待たなきゃいけない。しかし、この法案はもう施行されてしまうわけですね。じゃ、それまでの間、どうやって監査体制を強化していくのかというのがちょっと不安になるわけなんです。
 この法案の目的規定にこう書いてあるんですね。当該計画の実施の促進を図るための行財政上の措置を講ずることによりと。当然、この監査体制の強化のためにこういう措置が、何らかの措置が講じられるというふうに理解してよろしいんでしょうか。最終的には地方自治法の改正を通じて監査体制の強化をする、これがゴールだと思いますが、そこまでのつなぎとして何らかの措置は国として考えていらっしゃるんでしょうか。政府参考人でも構いませんが。
#70
○政府参考人(岡本保君) 分権の進展に伴いまして、今御指摘のように、地方行政のあらゆる分野で効率性の運用の確保あるいは透明の向上というのが必要になります。監査委員の果たすべき役割は極めて重要ということで、高い専門性が求められるということでございます。
 また、今回の法律で新しい四つの指標を設けまして、その四つの指標のそれぞれ根拠となる、その帳簿などを見ながらそれをチェックしていただくという意味で、監査委員が自らの権限を十分に行使できるよう、まずは各地方団体で自治体経営に関する高い識見や専門的な知見のある者を選任して、実効性のあるチェックを果たすための取組を図っていただくようということが肝心だと思います。
 また、人材確保に支障があるというような問題がありますれば、必要な情報提供、助言といったものを行いながら必要な支援というものを検討していく必要があるというふうに考えております。
#71
○内藤正光君 最後のところで人材上の問題に触れられましたが、率直に申し上げまして、こういう都市部は人材上の問題は何とかクリアできるんだろうと思います。しかし、財政破綻に瀕している地方、ちょっと誤解を恐れずに言うならば、やはりそれにふさわしい人材が本当に十分に確保できるかというと、ちょっとやはり困難に突き当たるんだろうということも容易に想像できるわけなんです。
 そういったところをサポートする意味で、様々な情報提供なりをしていただくということでよろしいですね。確認です。
#72
○政府参考人(岡本保君) 今御指摘のようなことも含めまして、そういう人材の確保に支障があるような地域についてお手伝いをしていくということが必要であると思っております。
#73
○内藤正光君 残りあとわずかとなりましたが、最後の項目といたしまして、この夕張財政破綻問題を通じていろいろなことを議論してみたいと思っております。
 一言で申し上げますと、今回の夕張財政破綻における責任追及というのは極めてあいまいなままに終わってしまったなというふうに思っているんです。私は、今後の財政規律強化のためには、やはりそういったところを振り返って反省すべきところは反省しなきゃいけないと思うんです。
 そこで、まずお伺いしたいのは、この夕張市における財政破綻の責任は一体だれなのか。いろいろ考えられます。議会なのか、市長なのか、あるいは行政の会計責任者なのか、あるいは国なのか、あるいはまた貸手なのか、あるいはまた住民なのか。大臣の率直なお考えをお尋ねします。
#74
○国務大臣(菅義偉君) 夕張市があのような状況になったというのは、炭鉱の閉山などによって人口が急減をしたと、そして歳入が大幅に減少したにもかかわらず、行政サービスの水準の見直しだとか組織のスリム化、こうしたものを行ってこなかった、また一方で、観光事業などへ過度な投資を行ってきた、さらに不適正な財務処理を行って多額の赤字を抱えることになった、これが夕張の私は一連の経緯だったというふうに思います。
 そういう中で、だれに原因があるかと、そういうことについては、やはり赤字財政を拡大してきたという、財政を行ってきたという、やはりこの市長を始めとする市当局の責任というのは大きかったというふうに思いますし、またそのことをチェックできなかったというんですかね、それはやはり議会あるいは監査の責任も私はあるというふうに思っています。
 私ども、また国や北海道でありますけれども、これについても、一時借入金などを悪用した不正、不適切な財務処理、これをチェックできなかったという、このことについても私たちの、国や北海道というのは一定の責任があるというふうに実は思いますし、さらに、私はこう申し上げたんですけれども、産炭政策だとかあるいはリゾートの政策、そうした変更もあったという意見もありました。私ども、全くないということを胸を張って国は言える状況じゃないということを現地で申し上げたのでありますけれども、しかし、今申し上げました過程の中で、やはり赤字を拡大させてきたという夕張市の、基本的には夕張市と議会で決めることでありますから、そこの責任はやはり極めて大きいというふうに思いますし、私が現地を訪れたときに、市長はもちろんですけれども、議会の議長と副議長から、私どもがそういうチェック機能ができなかったということで私に対しておわびがあったということも事実であります。
#75
○内藤正光君 それは、大臣から市長を始めとする市当局の責任もあったということなんですが、衆議院の審議で局長は、この点、例えば処罰できるのかという質問に対してこうお答えになられているんですね。会計における手続規定に対する違反であって処罰というところまではいかないということなんですが、ただ、厳然とした事実が幾つかあるわけですね。これは赤字を隠すという目的で行われた意図的な粉飾行為なんです。単なるとはおっしゃってないんですが、手続規定違反、その正にその繰り返しが夕張をして破綻に追いやったと、これもまた事実です。
 そして、悪意がなかったとか私腹を肥やすつもりはなかったというんですが、じゃ民間もたまに粉飾決算します。でも、じゃ粉飾決算を図った人たちが一個人の私腹を肥やしてやろうかというと、別にそういうことはないんです。会社を守ろう、彼らは夕張市を守ろうということでやったというのであれば、会社の粉飾行為も会社を守ろうという思いでやったわけです。そういう意味で、この夕張市の粉飾行為と民間の粉飾行為というのは私は同じだと思うんです。にもかかわらず、にもかかわらずこの夕張市の粉飾行為については何ら処罰できないという現行法というのは私はどこかおかしいと思いますし、これでは本当に財政規律が強化できるのかなという疑問を持たざるを得ないんです。
 そこで、大臣、ちょっと率直にお答えいただきたいんですが、こういった粉飾行為を処罰できないというこの現行法をどのようにお考えでしょうか、お答えいただけますか。
#76
○国務大臣(菅義偉君) 現行の地方自治法、財務会計上手続違反に対する罰則規定というのは設けられておりませんけれども、会計職員などが故意又は重大な過失によってそれぞれの地方公共団体に損害を与えた場合は賠償責任というものがこれ設けられております。また、住民監査請求だとか住民訴訟の制度が設けられておりますし、また、虚偽の公文書作成等によっては刑法の規定もこれあるわけであります。
 ただ、ここを、現在の法律の中で粉飾行為にあったかどうかということを、その行為そのものを事実を確認をして処罰するのはなかなかやはり難しいのかなというふうに現実問題として私も考えています。
#77
○内藤正光君 実は、この点ももっと深く議論してみたいんですが、時間の関係もありますので、それはまた別の機会に議論させていただきたいと思います。
 最後になろうと思うんですが、貸手についてお尋ねしたいんですね。
 大臣は前向きな答弁をされるというふうにちょっと理解しているんですが、一時借入金って一体何なのと、借入金、何なのといったら、税収が入るまでの一時的な借入れですよね。だから、大体、普通借りたらすぐ返しますよね。これが一時借入金ですよね。ところが、この夕張市においては残高が三百億円、標準財政規模の何と八倍ですか。普通だったらおかしいと思うんですよね。金融機関がその異常さに気付かずに貸し続けたのかというと、そんなことないと思うんです。やはり、ちょっと何かあるなと知った上で貸し続けてきた。でも、なぜ貸し続けてきたのかと。モラルハザードですよね。漠然と、国は最後保証してくれるんだろうという中でどんどんどんどん、じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ貸し続けてきた。自治体への融資というのはなぜか市場原理が働かないんです。それのみか、これまた片山参考人もおっしゃっていたんですが、そんなモラルハザード一杯の銀行への債務返済を優先する余りに、幾つかの弊害というか、幾つかの犠牲を強いているんです。
 大きく言えば二つだと思います。一つは、長期間、この夕張市の場合だったら十八年間か十九年間ですか、これにわたって自治体機能が低下せざるを得ない、やりたいことできないわけです、自由に。そしてもう一つは、住民に最低水準の行政サービス、あるいは高い負担、これを強い続けるわけですよ、十八年間にもわたって。私はこれはおかしいと思うんです。住民の視点で考えたら、私は債務調整というのはあってしかるべきだと思うんです。債務調整があれば、やはり貸手のチェックが働くわけなんです。常識的な市場原理がそこに働くわけなんです。
 大臣の債務調整に関するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#78
○国務大臣(菅義偉君) 私も何回か申し上げていますけれども、例えば夕張市が、確か昨年の六月ですよね、財政再建団体になるということを議会で発言をした、しかし七月は前の年と比較してボーナスが五%上乗せされたと。もしこれが債務調整があった場合、果たして銀行が融資したかどうかということは、これはあり得ないことだというふうに思いますよね。しかし、地方自治体の在り方、全国を考えた場合に、この債務調整というものを導入した場合、財政力の弱い地方自治体については資金調達が非常に厳しくなるという問題も、一つ大きな問題としてあるわけであります。
 私は、これ全体を所管をする大臣として、そうしたことも含めてやはり検討すべきだということで、今研究会を実はお願いをしているところでありまして、やはり地方自治体といえども、やっぱり緊張感を持って財政運営というのは必要だというふうに思っていますので、先ほど委員から御指摘のありました監査委員の問題だとか、あるいはこの監査委員の強化ですね、それと債務調整の問題というのは、私は、今地方分権改革推進委員会で七人の委員の皆さんに議論をいただいていますけれども、そこでもしっかりと取り上げていただきたいと思っているところであります。
#79
○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋でございます。本委員会で何度となく御質問をさせていただく中で、今日も三十分間お時間をいただいて質問させていただきます。
   〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕
 初めは、本法案とは少し離れておりますが、この間、五月の連休中の外遊先で大臣が制度創設の構想を発表されたいわゆるふるさと納税制度がこの間、いろいろな議論を呼んでいるわけであります。また、この六月一日には第一回目の研究会も開催されたという報道がありました。
 このふるさと納税制度についてはいろんな評価があります。単に参議院選挙目当ての地方対策であるとの皮肉含みの批判から、限界集落の問題を始め待ったなしの危機的な状況にある地方を何とかしたいという気持ちを具体化するための手段というような評価、本当に様々あるところであります。また、今になって我こそがふるさと納税構想の発案者であると学者や政治家までもが先陣争いをする図が展開されているというふうな状況だというふうに思います。
 実は、私はその学者とは全然違いますが、これと同じような課題について、昨年十二月六日の本委員会の地方分権改革推進法案の参考人質疑におきまして、全国町村会副会長の島根県斐川町長の本田氏に対して親孝行税というものを実は提唱させていただきました。
 都市圏で生活する地方出身者はふるさとの現状に心を痛め、何かをしたいという思いを抱いているという、大臣もこの見解よく述べられるわけでありますけれども、この思いには、私も本当に正面から何かできないかなという思いはあるわけであります。しかし、その実現の方策は実は大臣の言われているふるさと納税とは全く対極にあるという、その違いを明確にしながら、三点に絞って御質問をしたいというふうに思います。
 まずは、交付税制度との関係であります。
 ふるさと納税制度が文字どおりの仕組みであるとするならば、個人住民税の分割納付であり、ふるさとに納付された住民税も、その七五%はいわゆる基準財政収入額に算入されることになるわけであります。そうすると、当然、そこに交付される、これまで交付されるべきであった交付額が減らされてしまうというのが、これまでのいわゆる公式の中から生み出される心配になるわけであります。
 ところが、大臣は、この納税の導入によって住民税が増えた地方公共団体の交付税を減額しないという考え方を、実は福岡で講演されたときにもお話しされています。しかし、交付税制度というものは、私も勉強をまだしたてではありますけれども、そんなことが本当に制度的に通用するのかどうかというのが非常に疑問であります。この部分について納得できる答弁をいただきたいと思います。
   〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕
#80
○国務大臣(菅義偉君) 今、このふるさと納税制度について委員からいろんな御意見をいただきました。多分これ、多くの国民は、やはり自分のふるさとだとか、あるいは自分がいつも行っている大好きな場所だとか、あるいは赴任した、いろんなそれぞれの土地に対して思い出というのがあると思います。そうしたものを何らかの形で形にできないのかなということでこの制度を私提唱させていただいておるわけでありますし、それと同時に、この国の地方自治体を所管をする大臣として、今やはり地方から若い人たちが東京に出てきている、しかし、それがなかなか固定化されて、地方は高齢者の方ばかりになってきてしまっている、それが現実だと思います。
 しかしまた、これは非常に私はいいことだと思いますけれども、多くの都市で生活をする皆さんにも、やはりロハスだとか、様々な自然と共生をしたい、そういう方もたくさん出てきていることもこれ事実であります。
 私は、やはり人とお金の流れ、そうしたものを実現することによってそうした都市と地方の交流が進んで多くの国民の皆さんがふるさと意識を持ってくれるならば、これはこんなに私いいことはないというふうに思っております。
 そういう中で、先般、福岡に行ったときに、その市長の方からだったと思いますけれども、交付税の話が出ました。私は、そうしたふるさとだとか自分の大好きな場所に貢献をしたい、あるいは応援をしたいという、そうした国民の皆さんの思いを生かす中で、去る六月一日、ふるさと納税研究会というのを立ち上げました。交付税算定の取扱いについて、こうしたふるさと納税の趣旨というものを踏まえれば交付税の減少をしないようにするのが私は当然だというふうに思っておりますので、制度も含めてそこの中で検討していただきたい、そういうことであります。
#81
○那谷屋正義君 まだ今の制度の中で本当にそれができるのかなということと、それから、この間、総務省は交付税の仕組みそのものをできるだけ簡略化していきたい、分かりやすくしていきたいというふうに言っているにもかかわらず、またこうしたことの中でこの法の仕組みを変えるとなると非常にまた分かりにくくなってくる部分も出てくるのかなというふうなちょっと心配がある、こういうふうに思います。
 次に、これもよく指摘されているわけですけれども、そもそも個人住民税の分割納付などということがいわゆる地方税理論として成り立ち得るのかどうかということであります。
 総務省の今言われたふるさと納税研究会の開催という報道資料によれば、生涯を通じた受益と負担とのバランスという問題意識が示されているわけでありますけれども、しかし現在、国も地方も予算は単年度主義の収支均衡を原則とするものでありますから、そういう意味では、この地方税理論の基本である受益と負担という概念に年度間の概念が入り得るということは本当に違和感を持たざるを得ないというのが正直な感想であります。
 しかも、そもそも法人二税の地域間格差の調整こそが、まあ本丸という言葉を使うならばそれにふさわしいわけでありますけれども、ふるさと納税のレベルで都市と地方部が仮に争うようなことがあったら、結局何も改善しないまま地方間の対立構造だけが残ってしまったというようなことが想像できるところであります。
 第一回のふるさと納税研究会で、ふるさと納税は地域間の財政力格差の調整の切り札にはならないという委員からの御指摘もあったという報道があります。幾らふるさとに対する思いにこたえるためとはいえ、やはり都市と地方間の税源、税収配分にかかわる無用のあつれきを引き起こすだけでなくて、これまでの地方税理論の基本中の基本を覆してまでふるさと納税を研究する意義というのが本当にあるのかどうかということについて、なかなか理解に苦しむところであります。
 思いというのは私も先ほど申し上げましたように分かるわけでありますから、やはり正しい手段をもって実現されるべきだというふうに思うわけでありますが、端的に答弁をいただけたらと思います。
#82
○国務大臣(菅義偉君) まず、この問題についてちょっと整理してお話をさせていただきたいと思いますけれども、私は、この委員会でも何回か申し上げていますように、国と地方の問題というのは、やはり一対一に当面することが私の最大のこれ目標であります。それと同時に、今まで私ども総務省というのは、国と地方の問題だけ、財源の、税源の問題をやってきました。しかし、ここ数年景気が良くなってきて、やはり私は地方間の財源調整というのもこれは必要だというふうに今思ってきています。
 基本的には国と地方をまず一対一にして、そして同時に、東京に法人二税が集中をして、東京は先ほど申し上げましたけれども、四年間で一兆四千億円税収が、税が増えているんです。しかし、地方の財政力の低いところの県は八つ足しても千四百億円、十分の一なんです。そして、このことが子供の医療費等にも大きく影響してきているわけでありますから。
 私は、福岡に行ったときに、地方の皆さんは小学校に入るまで医療費が無料と言ったら、そんなことないと、うちは三歳までだと言う市長さんもいました。しかし、東京は中学校を卒業するまで無料にこれなるわけですから、そうしたことが全国で果たして平等上いいのかどうかというのが私はこれは非常に実は疑問に持ちまして、私どもの総務省としてこれ初めてですけれども、地方間の水平調整というものを私はすべきだということを今提案をいたしております。これが実は私の基本的な考え方であるということを御理解をいただきたいと思います。
 そして、このふるさと納税で私は財源調整ができるとはこれは全く思っていません。しかし、今の現状として、地方から出てきている若い人たちは地方に帰らない、地方は高齢者の方ばかりになってしまうと。この固定したものを私どもはやはり何らかの形で解消していかなきゃならない。そのときはやはり私は、こうした仕組みというのが私は必要だというふうに実は思いました。
 それと、現在の一月一日住所地主義の受益と負担の考え方というのは昭和二十五年にできたやつなんです。果たしてこれでいいかどうか。私は、事務方は私の案に対して、非常に当初、今の一月一日の住所地主義に固執をしていて、かなり激論を私しましたけれども、こうしたことも当時と比較をして、人の流れというのは、あるいは人生の生活様式というのはそれぞれによって大きく変わってきていますから、私はこうしたものを是非一石を投じたいというように思いました。
 そして、こうしたことによって、那谷屋委員も当初親孝行税ですか、とにかく全国がふるさと意識を高揚していただくならば、私はこれは一つの大きな将来を考える上で、地方の活性化も含めて寄与するんではないかなと思いまして、私はいろんな批判されることは、これはあえて承知の上でこうしたことを提唱させていただいたところでありますので、是非こうしたことも御理解をいただきたいと思います。
#83
○那谷屋正義君 思いというのは理解をするところでありますが、しかし先ほど申し上げましたように、いわゆる受益者負担の原則というものに対しまして、本当にそのことがこのやり方が合っているのかどうかということについて、本当は今日は税務局長においでいただいてそのことについてもお答えいただこうと思ったんですが、大臣の思いが大変熱い思いでございましたので、ちょっと時間がなくなりましたので、申し訳ありませんが質問を省略させていただきますけれども。
 もう一つ、実はその熱い思いの中に、こんな問題があったらどうするんだということでちょっと幾つか例を挙げさせていただきたいと思います。
 そもそも今のような思いがあるのであれば、三位一体の改革というふうな名をかりて総務省が財務省と手を組んだのか、いわゆるどこかで落としどころを仕組んだか分かりませんけれども、交付税総額の削減をやはり無理押ししてきたという構造がどうしても引っ掛かるわけであります。私が提起しました親孝行税というのは交付税制度を補完するための国税でありまして、決して限られた地方税の中での不毛なパイの奪い合いというようなものではないわけであります。
 例えば大臣のふるさとの秋田市。秋田市は東京から送られるふるさと納税分が来たとします。それよりも、今度は秋田市内から県内の地方部へ持ち出されるふるさと納税分の方が多くなるかもしれないという、こういった矛盾も起こってくるんではないかなというふうに思います。要するに、大変財政に苦しむ地方団体間でありますから、どっちが貧しいんだとかというような本当に不幸極まりない財源の分捕り合戦になってしまうんではないかなというような思いもあります。
 そこで、交付税制度の本質というものを考えましたときに、地方から出てきて東京等で働く人々が生み出すその税収を地方に仕送りすること、そしてどのような地方においても最低限の生活が送れるといういわゆる財源保障機能を果たすことでありまして、今ある交付税制度自体が、いわゆるゆがみを生まない形でのふるさと納税の理念がやっぱり生かされているのではないかということで考えるべきだと、こういうふうに思うんですね。だからこそ、法人二税の地域間格差を是正するとともに、国全体の格差をなくす方法として交付税総額をしっかりと確保していくということが何より優先されるべきだというふうに思うわけでありますけれども、これについて答弁をお願いしたいと思います。
#84
○国務大臣(菅義偉君) 今の意見については全く私も同感でありまして、やはり総額確保というのは、私、総務大臣としての私のこれ最大の仕事だというふうに認識をいたしております。
 その上で言わせていただくならば、ふるさと納税というのは、私は、全国にそういうふるさととかそういう思いを何らかの形で実現をできる、そういう仕組みにして、正に日本のいい思いというんですかね、そうした心が全国に伝わればいいなというふうに思っていますので、私は簡単で分かりやすく使いやすい制度にしてほしいということも実は研究会の中で申し上げました。
#85
○那谷屋正義君 この問題についてはまた後日ゆっくりと議論をさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、地方財政健全化法案についての御質問をさせていただきますけれども、もう残りが十二分になってしまって、三十分というのはあっという間になってしまいましたが、幾つか質問を省略させていただく中で、今回、地方団体が総務大臣の同意なしの財政計画を策定することということは事実上無理ではないかというふうに思うんです。つまり、規定では、総務大臣の同意を求めることができるというふうにされているわけでありますけれども、しかしこの同意が、できる、そしてさらに地方分権に配慮したというような言いぶりをされているわけであります。このことは、本当にそのことができるのかどうか。
 といいますのは、総務大臣の同意のない財政再生計画を策定する場合には地方債の発行ができない、再生振替特例債の発行ができないというような状況になるわけであります。どう見ても、この同意のない財政再生計画を策定するというのはなかなか厳しいというか難しいんではないかというふうに思うわけであります。この国の同意規定というのが地方分権に配慮しというふうになっているわけでありますけれども、このようにできる規定にしたということ、本当にそれができるのかどうかということ。そして、地方分権に配慮したというふうに言っていますけれども、それができっこないのにそういう言い方をされているということに対して、何となくきれい事過ぎるんではないかというふうに思うわけでありますけれども、その部分について答弁をいただけたらと思います。
#86
○国務大臣(菅義偉君) 国と協議をし同意をすることによって今委員御指摘のありました再生振替特例債だとかあるいは地方債の発行を制限を受けながら財政の健全化、国の同意を得ずに地方債の発行の制限を受けながら財政の再生を図るか、それぞれ地方団体の判断にゆだねることでありますけれども、それはその財政再生の段階において正にそれぞれの団体の徹底した自助努力によって再生計画を策定をすると。
 そういう中で、地方の公共団体の判断を尊重してこういう制度をつくったわけでありますけれども、それはあくまでも地方がその気になれば私はできないことはないんじゃないかなというように実は思います。いずれにしろ、その選択制という形にさせていただきました。国の同意を得るにはやはりそれなりの私どもも責任もあるということでありますので、地方分権ということを考えたときにはやはりそうした二つの再生の仕方があっていいのかなと思いました。
#87
○那谷屋正義君 今回の法律案では、財政再生計画に総務大臣の同意を得た財政再生団体は、今申し上げましたように、総務大臣の許可を受けて、償還年限が財政再生計画の計画期間内である地方債、いわゆる再生振替特例債を起こすことができるというふうにされているわけであります。しかし、その前の段階の財政健全化計画の策定段階では、実はこの特例債の発行が記述もありませんし、認められていないということであります。
 しかし、この段階であっても財政健全化のアプローチ手法を増やすという観点からすれば、資金繰りのための特例的な地方債の発行を認めるべきではないかなというふうにも考えられるわけでありますけれども、その点についてどのようにお考えかということと、もう一つは、財政再生計画においていわゆる再生振替特例債が起こすことができるわけでありますけれども、現行の再建法では利子補給にもその部分が認められているわけですが、この利子補給というものについて支援措置を講じる必要はないのかどうか、この二点についてお尋ねしたいと思います。
#88
○政府参考人(岡本保君) 今回の法案は、財政の健全化の段階を御指摘のように早期の健全化ということと再生という二段階に分けております。
 現行の再建法で行っております言わば再建というものは、端的に言えば後段の方の再生の段階におおむね該当していくんだというようなイメージでこの制度はつくられているわけでございますが、そういう意味でいきますと、この再生の段階というのは、財政状況の著しい悪化によって自主的な財政の健全化を図るということがもはや困難になって、国の関与等によって確実な財政の再生を図ることが必要だということから、収支不足額を確定して必要な資金を確保して、その再生計画に大臣の同意を得て振替特例債を発行できる、こういうことにいたしているわけでございます。
 一方、早期健全化の段階といった場合には、それに至る前に言わば予防的にその自主的な財政の健全化を図っていただくというのが今回の制度の導入趣旨でございますから、再生段階のように特例的な地方債を認める意義は乏しい、したがって国の関与も基本的にはないということと対応した制度といたしているわけでございます。
 また、旧法で、いわゆる本再建の際に、いわゆる今回でいいます再生振替特例債のようなものに対しまして利子補給の制度を設けております。これは、当時の昭和二十九年の地方財政の状況がこの再建法によりまして都道府県の約七割、市町村の約三割といったようなものが再建団体になる、そういう状況を踏まえまして、その背景の中でこういう制度的な財政支援といったものについて法制の中で明示することが必要だったという、そういう状況を反映しているものというふうに理解をいたしておりまして、この法案におきましてはそういうことを規定としては設けておりませんが、財政再生団体の財政状況、個々具体の状況を踏まえまして、真に必要な場合には所要の措置を検討していくことになるものというふうに考えております。
#89
○那谷屋正義君 利子といっても、私の貯金通帳のように一万円の利子とかそういうのと全然違いますから、やっぱりその利子も相当大きなものになりますからね。ですから、やっぱりその利子に対しても優遇措置というものがもう本当にどうしても必要なところにおいては是非それが認められるような形というものを検討いただければというふうに思うわけであります。
 最後の質問になりますけれども、今同僚の内藤委員からもありました監査委員についてでありますが、今回の法律案では、地方公共団体の財政の健全化を図る措置と併せて監査体制を充実強化する措置が盛り込まれています。一つは、健全化判断比率を公表する際に監査委員の審査を義務付けているということ、もう一つは、財政健全化計画、財政再生計画等を策定する際に外部監査を行うことを義務付けているわけであります。そして、この監査制度は大変重要であるということも先ほど大臣が述べられたところであります。
 しかし、これ私、参考人にもお尋ねをしたんでありますが、先ほども内藤委員からもありましたけれども、自治体が様々あるわけでありますけれども、やはり小さな自治体の中ではそうした人材を見付けるということ、あるいはそれにかかわる費用だとか、先ほど費用の話は出てきませんでしたけれども、そういう意味でやはり一定の補助というものがこれから必要になってくるんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 地方自治法では、都道府県、指定都市及び中核市に対して包括外部監査契約を行うことを義務付けているわけでありまして、今年二月の調査結果では、これら団体の全部が包括外部監査契約を締結しているというふうになっています。しかし、これら団体以外の地方公共団体は千七百九十三団体あるわけでありますけれども、そのうち包括外部監査条例を制定している市町村はわずか十三団体ということになっています。また、指定都市及び中核市以外の市区町村のうち、個別外部監査を実施するために条例を制定している団体は〇五年度末で四十三団体にすぎず、取組としては非常に低い状況になっています。
 菅大臣は、衆議院総務委員会の方で、総括外部監査を義務付けている団体の範囲を拡大すべきというふうな発言をされる一方で、また全国に義務付けるというのはどうかという答弁も行われているわけであります。このことは実態を踏まえた手堅い答弁だなというふうには思うわけでありますけれども、しかし本法案では、財政健全化計画等を策定する際、団体の規模を問わず、すべての団体に個別外部監査が義務付けられているわけでありますから、この目的というふうなことを考えれば、最終的には全地方公共団体が包括外部監査を受けられるような仕組みを目指すべきではないかというふうに思うわけであります。その点についてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。
 そしてもう一つは、そのためにも、冒頭申し上げましたように、外部監査に要する経費にかかわる交付税措置の拡充というもの、こういったものを頭に入れながら、監査委員の都道府県における今度は監査委員そのもののプール制の検討ですとかあるいは監査委員会事務局の体制強化、こうしたことが考えられてくるというふうに思いますけれども、総務省のこの辺りの指導性の発揮が強く求められていると思いますが、いかがでしょうか。
#90
○国務大臣(菅義偉君) 今現状について那谷屋委員からいろいろ御指摘をいただきました。私自身も、これから地方分権改革を推進していく中でこの外部監査というのは極めて大事だというふうに考えておりまして、先ほど内藤委員に申し上げましたけれども、次の地方制度調査会においては地方の自立と責任、そうしたものを確立するために監査機能の更なる充実強化、ここについて検討を実はお願いをさせていただいているところであります。
 そしてまた、この外部監査が義務付けられている都道府県あるいは指定都市、また実施している市町村の外部監査、そうした経費については私ども普通交付税あるいは特別交付税で今措置をさせていただいておりますけれども、制度の検討を踏まえながら必要な経費についてはしっかりと対応させていただきたいと思いますし、プール制等も含めて全国にそうした仕組みができるように私は考えているところであります。
#91
○那谷屋正義君 監査の重要性について大臣がこの間ずっと言われているわけでありますから、是非そうした条件整備についても御検討いただいて、いい形になっていただくことを希望したいというふうに思います。
 この法案については、先ほど内藤委員も言われたように、実は肝心なところが政令にゆだねられているということで、これはあんこがないにもかかわらずあんパンとして味見をさせられてしまったというような、何か何なんだというような、そんな思いもあるわけでございます。そういう意味では、やっぱりもっともっと時間を掛けてこうしたものが法案としてこの国会に提出されてくるべきであり、やはり重みのあるものが数字としては出てこないにしても、一定こういう方向性でというふうなことが分かるような形での法案というものが本当はなければいけないのではないかというふうに思うところであります。
 一昨日の参考人も、もう少し丁寧に実態を踏まえて制度化をするべきだというようなお話がございました。やはり生煮えかつ見切り発車的な提案内容になったことというものについては総務省に猛省を促しつつ、私の質問を終わりたいと思います。
#92
○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。よろしくお願いを申し上げます。
 最初、この法案の審議から少し離れますけれども、今全国民が一番関心を持っている、心配していることについて質問をさせていただきます。それは、もう五千万件の宙に浮いた記録を始めとする年金の問題でございます。
 この年金の記録を公平、公正の立場で確認をするという第三者委員会の設置が、当初厚生労働委員会であったのが総務省に移されました。総務大臣は大変だと思いますけれども、できる男のところに仕事はたくさん来るのかなということで頑張っていただきたいということで。
 もうこの総務委員会で大臣にこの問題をお聞きするの、もしかしたら今日が最後かもしれないので、この問題、最初に少し質問をさせていただきたいというふうに思います。
 統合されていない年金が自分のところに戻ってくるか戻ってこないかというのはもう受給者にとって一番重要な問題でありますけれども、そこで、その戻ってくるか戻ってこないかの最後の関所といいますか、それを実現してくれるのがこの第三者委員会であります。改めて、最初に伺いますけれども、この設立の趣旨、目的について教えてください。
#93
○国務大臣(菅義偉君) 実は、私、総理からこのような指示を受けました。年金記録の確認について、御本人の立場に立って申立てを十分に酌み取り、様々な関連資料を検討し、記録訂正に関し公正な判断を示すことを任務とする第三者委員会を総務省に設置をしていただきたい、この第三者委員会は国民の立場に立って国民の信頼を回復するように努めていくことが必要である、今後官房長官と相談しながら早急に準備を進めていただきたい、こうした総理からの指示でありました。
 正に、社会保険庁に記録がなくて、そしてまた領収書の証拠もないという方に対して、申立てをされた人たちの思いというものを十分に酌み取り、御本人の立場に立って確認する目的で設置をされると、このように私も考えております。
#94
○澤雄二君 この年金問題は、本当に国民は怒っています。例えば、政治学習会であるとか時局講演会とかって、少し高いところからお話をするときには余り感じないんでありますが、先週、同窓会に出てまいりました。同窓会でありますから、澤君という間柄でありまして、最初二、三人の女性、ですから主婦ですね、来て、この話が始まりました。その次の瞬間にはもう三十人ぐらい周りがだあっと取り囲まれて、怒号なんですね。本当に国民の皆さんは怒っていらっしゃる。
 この第三者委員会というのは、最後に自分のところに戻ってくるか戻ってこないかということを判断してくれるところでありますから、私は、ここに申立てに来られた方については基本的には全部お返しをすると、この関所は渡さないための関所ではなくてお返しをするための関所だと。それは、ルールその他あるかもしれないですけれども、基本的にはそういう精神でこの第三者委員会というのは考えないと、今の国民の皆さんの怒りというのはとても収まらないんじゃないかと思うんですが、もう一度大臣、お願いします。
#95
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど、総理指示というのを私あえて読まさしていただきました。総理は、申立てを、御本人の立場に立って申立てを十分に酌み取りということも私のこの指示の中にありますし、国民の立場に立って対応し、国民の信頼を回復せよと。ということは、私はやはり年金を、納めていただいた方には当然、それを私どもは年金をお支払をするというのがこれは当然の役割でありますから、そうしたことについて公平、公正にこの指示の趣旨に基づいての私は第三委員会であると、このように考えています。
#96
○澤雄二君 この第三者委員会は、中央に中央の委員会というのがあって、それで地方には地方の委員会をつくられると、そういう二本立てだというふうに聞いておりますけど、それ、それぞれ中央、地方は一体いつごろ立ち上がるのか、また地方については何か所ぐらい委員会を設置される予定なのか、教えてください。
#97
○国務大臣(菅義偉君) まず、この三者委員会の体制についてでありますけれども、現在検討をいたしておりますが、概略の考え方として、まず今月中に中央にこの第三者委員会というのを立ち上げたいというふうに思います。そしてそこで、今申立てをされています方々の問題についてそこで確認作業をさしていただいて、そこで一定の方向性を出したいというふうに思います。そこの過程によって、多分この類型ごとにそれなりの問題点が浮き彫りにされてくるのじゃないかなというふうに思います。
 そこで、その確認の方向というんですかね、指針というんですか、そういうものをある程度できた段階で全国の都道府県に、国民の皆さんはやはり身近なところが一番ですね、利便性の観点から考えてもそこで私は対応すべきだというふうに思っておりますので、最低限各県には設置をしていきたいと考えております。
#98
○澤雄二君 すべての都道府県に設置をされるということでございますが、今大臣も丁寧に説明をいただいたんでございますが、一つ心配されるのは、多分様々な例が出てくると思います。その様々な例に対して四十七都道府県で違う答えを出したときに、そしてそれが情報として伝わったときにもっと恐ろしい国民の反撃が来るんだと思いますので、十分いろんなサンプリングといいますか、事前に東京でいろんな例を経験をされて、それでガイドラインみたいなものを作られて、場合によっては地方の委員の人たちには研修会をやるぐらいのことをやって徹底をしていただきたいなというふうに思います。
 それで、一つここでお願いがあるんでございますが、それでももしかしたら判断が異なることがあるかもしれないというふうに思います。それで、一つこれは提案といいますかお願いでありますけれども、地方の委員会で申立てに対してノーという答えを出したものについては、その地方でそのまま最終判断にするのではなくて、一回全部東京に送って、東京でこれは本当にノーでいいかどうかということを、全国的なレベルでこれは判断として妥当であるかどうかということを東京で決めていただけないかなという提案でございますけれども、どうでしょうか。
#99
○国務大臣(菅義偉君) 中央でその判断の基準というんですかね、それをある程度のものを範疇ごとに作って、そしてそのことで、全国やはり公平、公正でなきゃなりませんから、全国で基準が異なるようなことは絶対なってはならないと思います。しかし、また同時に、そこの基準の中にない事例というのもこれ当然出てくるだろうというふうに思っていますので、地方で判断、確認ができないものについてはやはり中央で確認をするという、そういうことも私は必要だというふうに考えております。
#100
○澤雄二君 地方で判断ができないものについては是非東京に上げていただきたいんですが、それと併せて、今お願いをしましたように、ノーと判断したものについてはもう一回東京で最終的にチェックをすると、それぐらい丁寧にこの問題については取り組んでいただきたいなというふうに申し上げます。
 それから、次にこの第三者委員会の体制ですけれども、一体どれぐらいの人間が申立てに来るということを想定されているのかということについては、今分かりませんけれども、ちょっと参考になる数字を申し上げますので参考にしていただきたいというふうに思います。
 社会保険庁では、このいろんな問題が起きてから、去年の八月から年金記録相談の特別強化体制というのがしかれております。それで、分かりやすいために丸い数字に全部まとめてしまいますけれども、今年の四月までにどれぐらいの方が相談に来られたかというと二百万件、だからこの場合は二百万人と言ってもいいと思いますが、相談に来られました。そして、このうち確認ができなかったもの、つまり記録にはない、それから領収書もお持ちでない、ほかの手段でもなかなか確認ができないというのが二万件であります。
 つまり、すごく丸い数字で言うと約一%、それから、これも単なる数字合わせでございますが、五千万件のうち一%がもし領収書その他で判断できない事例だというふうに考えると五十万件、人口比で割ると東京は五万件ということになります。これを申立てを処理できる体制があるかないか、立てるかどうかということでございます。
 それから、こういう数字もあります。例の五千万件の数字の記録の中には百歳を超えている方が百六十二万人いらっしゃいます。ところが、実際に、今人口統計で百歳を超えている方は三万人しかいらっしゃらない。ということは、約百六十万の方が亡くなっているわけですよね。ということは、その五千万件のうちの百六十万件で百歳以上の方が亡くなっていると、その方たちは御遺族の方が相談に来られて申立てに来る。御遺族の方たちというのは、多分、本人じゃありませんから、一体いつごろどういう年金だったとかっていうことがほとんど分からないので、多分第三者委員会にほとんど相談、審査にかかってくるんではなかろうかというふうに思います。ですから、この百六十万件というのが全国でありますから、東京がどれぐらいですか、十分の一だとすると十六万件ぐらいの方が相談に来るかもしれない。そうすると、さっきよりも多い体制が必要だということであります。
 ちなみに、九十歳以上の方は四百五十万人、例の五千万件の中でいらっしゃいます。この方たちはちょっと数字を取っていないので、どれぐらい生存しているかというその比較はできないんですけれども、四百五十万だとすると東京では四十五万人ということであります。つまり、そういう方たちが一気に申立て、相談に来られる可能性があるということですね。
 月曜日からフリーダイヤルの電話相談が始まっていて、新聞によりますと、二十四時間で四十七万件の着信があったと、しかし対応ができたのは一万七千件ですと。オペレーターの数をこのときは五百三十人だったんですが、八百三十に増強するということをお決めになって、今それは進んでいるそうであります。仮に倍になったとしても、一万七千件の倍ですから、処理ができるのは二万四千件。一日に四十七万件の着信があって、倍の体制でも二万四千しか対応できないということになると、いいと思ってやったことが、もうこれはテレビニュースで現れているわけですが、掛からないといって国民の不満が更に大きくなってきているんでございます。これはまだフリーダイヤルの相談だからまだ収まるかもしれませんが、この第三者委員会については正に最後の望みの綱をみんなここに押し掛けてきますので、この体制については是非十分に検討されて準備に入っていただきたいなと。最初からその何十万人もの相談を受ける体制をつくる必要はありませんけれども、これで足りなければここ、ここで足りなければここという体制を七段ぐらい考えていただいて準備万端していただければ有り難いなと思うんですが、大臣の御決意を。
#101
○国務大臣(菅義偉君) 先ほども申し上げましたけれども、申立てをされた御本人の立場に立って私どもはこの確認等を対応させていただくと。そういう中で、やはりある程度混乱、またこれ以上不安を増殖しないように、基本的な考え方をまとめた中でしっかりと万全の体制を取って国民の皆さんから不安を解消し、そして信頼を得られるような、そうしたものに私もしたいと思っていますので、その責任というのは私ども非常に重いものだということに今感じております。
 そしてまた、メンバーには弁護士の方とかあるいは税理士の方、特に年金問題に精通した社労士の方もたくさんいらっしゃいますので、そうした公平、公正、専門性を有した方の全面的な御協力をいただきながらしっかりと対応させていきたいと、こう思っています。
#102
○澤雄二君 二週間前ですが、社会保険労務士会の東京都の大会に参加をしてまいりました。そのときに、全国の会長の大槻会長がスピーチの中でこういう話をされていました。そのスピーチをされた日ですけれども、今日、新聞記者が五人私のところに来た、五人とも同じ質問をしたと。それは、五千万件の処理を一年間でできますかという質問を五人の記者が全部された。私はその五人の記者に言下の下に同じ答えをしました、できますと。全国の社会保険労務士が一斉に立ち上がったら、一年とは言いません、半年でやってみせます。これはうそか本当か分かりません。でも、そういう決意を大槻会長は述べておられました。ですから、場合によってはその社会保険労務士の方のバックアップ、そういう体制を取りますよということも表明されていますが、含めて考えていただいて、万全の体制を取っていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 第三者委員会についての最後の質問でありますけれども、第三者委員会の判断というのは最後には厚生労働省、つまり社会保険庁に対してあっせんという形ですることになっていますよね。このあっせんというのが、国民の目から見たら、やっぱり何だ最後は社会保険庁が判断するのかという目で見てしまっていますし、もう既にテレビ、新聞の報道では、最終的には厚生労働省、社会保険庁が決めるんですよと、あなたの年金がもらえるかどうかはという形で報道をされています。
 ですから、今日ここでお聞きしたいのは、そんなことはないと、最終的には第三者委員会の決定がそのまま通るんですよという大臣の気持ちを是非述べていただきたいなと思っております。
#103
○国務大臣(菅義偉君) この第三委員会のこの判断については、同委員会から私ども総務省に報告されて、私ども総務省から労働省にあっせんすることに手続的にはなりますけれども、当然同じ政府内でありますから、私どものあっせんというものについては十二分に尊重してくれると、このように私は考えております。
#104
○澤雄二君 大臣、うなずいてくださるだけで結構でございますので、十二分に尊重するということは、基本的にはひっくり返るということはありませんよというふうに判断してよろしいでしょうか。
#105
○国務大臣(菅義偉君) 私たちはそういうことを考えております。
#106
○澤雄二君 全部丸であります。
 次に、もう一つ、これは前から総務省が所管でございましたけれども、年金記録問題の検証委員会について質問させていただきたいと思います。
 この検証委員会についても、まずその役割、何を検証して何を明らかにするのかということについて教えてくださいますか。
#107
○国務大臣(菅義偉君) ちょうど今日、第一回目の検証委員会を開催をいたします。座長には前の検事総長、松尾現弁護士にお願いをいたしました。その七人の委員の中に、今、澤委員から御指摘がありました東京の社労士会の会長の方にも委員としてお引き受けをいただいております。
 いずれにしろ、そうした七人の委員の皆さんには年金記録問題の発生の経緯、それと実態、原因、責任の所在、こうしたことについての調査、検証というものを早急に行っていただきたいというふうに思っております。そして、この検証委員会におきましては、年金、この記録問題発生の原因がどこにあったのか、社会保険庁に組織でどのような構造的な問題があったのか、こういう点も含めて、隅から隅まで徹底して調査、検証していただきたいというふうに私は考えております。
 そして、国民の皆さんに包み隠さず客観的な事実を公表し、原因を究明することによって今後の対策というのも私は出てくるだろうというふうに思っています。
#108
○澤雄二君 こういう社会保険庁の年金の問題がいろいろ起きている、それがどうして起きたのかという原因を究明するということでございますんですが、一体どの辺までさかのぼって検証されるつもりでしょうか。
#109
○国務大臣(菅義偉君) 少なくとも、今回の問題がどのような経緯、原因によって生じてきたのか、正にできる限りさかのぼって調査、検証していきたいというふうに、することをお願いしたいというふうに思っています。
#110
○澤雄二君 聞き漏らして。どこまでさかのぼるとおっしゃったんですか。
#111
○国務大臣(菅義偉君) 今回の問題が発生をしたその経緯だとか原因、そういうものを生じたかについて、できる限りそれはさかのぼって検証していきたい、こう思います。
#112
○澤雄二君 千四百三十万という数字が新しく問題になりましたけれども、昭和二十九年以前の旧台帳でコンピューターに入力されていない番号というのがございます。
 それは、昭和二十九年以降厚生年金に加入しなかった人、それから、これは新聞報道されていますけれども、若しくは少し間を置いて加入をされた方、それから、引き続きずっと加入をされた方が千四百三十万でございますから、実は五千万の中に入っている方もかなりいます、いますが、二十九年の旧台帳で、以降厚生年金に入っていない人はコンピューターに入っていない可能性が高いんであります。
 その方たちはどういうことかというと、二十九年までですから、受給資格がないと判断をされている、それから、当時は脱退一時金をもらってしまったというような人がいる。だけど、二十九年で厚生年金はやめたけれども、実はその後国民年金に入った人がいるかもしれないんですね。そういう検証は今のところできないということになっています。ですから、さかのぼるとしたら、その旧台帳まで本当はさかのぼっていただきたいというふうに思います。
 それから、例えば、これは新聞で読んだ記事でございますけれども、昭和十七年に厚生年金制度ができたときのある年金の担当者の方がこういうふうにおっしゃったという記事が載っているわけでございますけれども、今集めた年金というのは支払うのは四十年先だと、四十年先までこの金を置いておくのは無駄じゃないかと。それが何を意味されているかというのはよく分かりません、それしか書いていませんから。だから、それは運用した方がいいと言われたのか、もっと別のことを考えろとおっしゃったのか、使ったって四十年後は分からないと、まさかそんなことはないと思いますが。つまり、そういう問題もさかのぼっていかなければ多分検証はできないのかなということがありますので、できるだけ、できれば昭和十七年までさかのぼって検証をしていただくということが、多分この問題がどうして起きたかということが分かるんだと思います。
 それに関連して質問いたしますけれども、検証される中身は実は私は二つあると思います。
 さっき大臣が言われたように、制度とか仕組みみたいなものもやはり検証しなきゃいけないというふうに思います。紙の台帳というのも新旧二つありますし、国民年金にもそれぞれ新旧の台帳がありますし、それから、いわゆる電算機化といいますか、そういうものも、磁気テープで打った時代もあればマイクロフィルムに収めた時代もあれば、コンピューターに入れたものもありますから。ですから、ほとんど最初までさかのぼらないとこの問題は実は検証ができない、そういうシステム的なことを一つ検証することがあるんだと思います。
 それからもう一つは、社会保険庁、最初に申し上げたとき、昭和十七年にできたときの年金の担当者の独白から発するのかどうか分かりませんけれども、言われている社会保険庁の体質そのものですね、こういうものもやっぱり検証の対象になるんだろうというふうに思います。
 これは野党の皆さんの攻撃が厳しいときに与党側が苦し紛れに言い返すことでよく言っていることがありますけど、それは労使協定といいますか、労使ではありませんけれども、社会保険庁の総務課長と自治労の、あれは何というんですか、自治労国費評議会、自治労国費評議会と社会保険庁の総務課との協定でございますけれども。
 私、百ぐらい読ませていただきましたけど、驚くべき約束が一杯あって、その中で一番びっくりしたのは、窓口装置、ですからコンピューターでありますけれども、四十五分たたいたら十五分間休むというのがあります。その三項目下に、それ以上に、五千タッチたたいたらもう窓口装置には触らないと。五千タッチというと、普通にたたくと三十分で終わるんだそうです。私は一文字ずつ入れていくから、それでも一時間で終わってしまう。打っても一日一万タッチ以上はしないことを目標にすると書いてあるんです。つまり、それしか仕事をしなければ、あれだけ大きな、膨大な記録は処理できないのは当たり前であります。ですから、そういう体質にもやっぱり検証のメスを入れていただきたいと思うんですけど、どうでしょうか。
#113
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来申し上げていますけれども、事実関係をまず明らかにするというのはこれ非常に大事なことだというふうに思っています。
 今委員から御指摘がありましたけれども、社会保険庁の組織的体質の問題、これについて様々な問題があるということも私、今十分承知をいたしております。検証委員会におきましては、こうした年金記録問題発生の原因として社会保険庁の組織、体質の問題にかかわってどうか、そういうことも、いわゆる事実関係を究明する、原因を究明していく、その中で様々な問題というのは当然私は浮き彫りにされてくるだろうというふうに考えております。
#114
○澤雄二君 今大臣が最後に言われた、いろんな面から古い歴史までさかのぼって原因究明をされると問題の所在が言われたように浮かび上がってくる、どこに問題の所在があったかということが分かってくると。国民が一番期待しているのはここから先で、責任の所在が分かったときに、原因の所在が分かったときに、これにどう対応されるのかということが実は国民が一番知りたいことでありますし、欲していることでありますけれども、大臣の御決意を。
#115
○国務大臣(菅義偉君) こうした事実関係、そして原因を究明していくと、おのずとこの責任の所在というのは明らかになってくるだろうというふうに私は思っています。その対応につきましては、委員会の報告を受けて政府としてこれは検討していくという形になるだろうというふうに思います。
 まだ、この検証委員会のスタートする段階から具体的にどうということはこれ差し控えさせていただきますけれども、やはりそうしたことも極めて重要なことだというふうに思いますし、私は、この検証委員会とそして第三者の委員会、これが二つ車の両輪のような形で回転をすることによって、国民の皆さんの年金に対しての不安を解消し、そして信頼を取り戻すことができると、こう思っておりますので、その責任というものは極めて重大に考え、そして、第三者委員会についてはこれからスタートするわけでありますけれども、しっかりとした体制を整えて行いたい、こう思います。
#116
○澤雄二君 国民の声は、歴代の社会保険庁の長官がこれだけ退職金を渡り歩いてもらっているよという報道がされるたびに、その金は返せと。それから、多分、電話のオペレーターその他、これからも莫大な費用が、幾ら掛かるか分からないぐらいの費用が掛かってくると思います。それは年金の費用から出すことはできないでしょうと。だとすると、税金から出す、税金から出すということも我々が払っているお金から処理をしなきゃいけない。だから、国民の気持ちとしては、そういう声はあちこちから聞くわけですが、もう今までの社会保険庁に勤めた職員の給与だって返させろと、そこから払わせろというような声もあるぐらい、国民の声というのは怒りに渦巻いていると。
 だから、冷静に判断をして、冷静に行動しなければいけないんでありますが、国民というのはそれぐらい怒っているということを背中に感じていただきながら、その責任の所在が分かったときに対応をきっちりやっていただきたいというふうに思います。
 済みません。今日は、法案の質問の準備もいろいろしていて、皆さんにも大変御迷惑を掛けましたけれども、できなくなって、次に何かの機会があったら質問をさせていただきます。
 これで終わります。
#117
○委員長(山内俊夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時四十五分開会
#118
○委員長(山内俊夫君) ただいまから総務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として輿石東君が選任されました。
    ─────────────
#119
○委員長(山内俊夫君) 休憩前に引き続き、地方公共団体の財政の健全化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#120
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 大臣に、夕張の一時金借入返済額を公表しない理由について伺います。
 夕張市は、赤字隠しに使われてきた三百六十二億円の一時借入金を北海道からほぼ全額融資を受けて、その受けていたお金を金融機関に対して四月二日に元利完済したと報じられています。
 私が伺いましたところ、総務省は、返還した金額、金融機関名など一切を公表を拒否いたしました。この健全化法案は、夕張の教訓に学んで、地方自治体の財政破綻を防ぐために事前から透明性を高め、情報公開を行うという趣旨ではなかったのでしょうか。一月二十六日に我が党議員団が菅大臣に夕張問題で申し入れた際も、借入金など市の財政状況を明らかにする点について、当然のことだとおっしゃっておられます。
 金融機関名、返済金額、利率を国民に公表できない理由が何でしょうか。
#121
○国務大臣(菅義偉君) 夕張市におきましては、平成十九年度に新たに北海道から低利で三百五十三億円を借り入れ、平成十八年度の一時借入金を償還したというふうに聞いています。この北海道の低利融資により、財政再建期間が短縮するというふうに理解をしています。
 今、吉川議員からお尋ねの昨年度における金融機関からの借入金額については、夕張市において、情報公開条例の非公開情報に当たることから公表をしていないというふうに私も承知をしております。財政に関する情報開示は重要であると考えますけれども、その具体的な運用については夕張市が判断することであると思いますが、私は公表してしかるべきだと思います。
#122
○吉川春子君 是非公表をさせるように大臣の方からも働き掛けていただきたいと。普通の自治体ではないいろいろな影響力をお持ちだと思いますので申し上げておきたいと思います。
 それで、夕張市は返済期間延長や返済の一部免除などの金融機関の貸手責任を全く問わないで、道から借入した金額を金融機関の返済に充てたことについて、専門家は、夕張市に返済能力がないことを知っていながら不正に融資に加担したとすれば、金融機関も貸手責任を追及されて当然だと指摘をされています。
 夕張市の再建計画は、全国最高の負担、最低のサービスという内容であり、住民が高齢化する中、安心して暮らせる住民への行政サービスが提供できない状況にあり、そのために人口が減少していくということもあると思います。経営見通しのない第三セクターへの貸手責任の追及、一部免除や返済期間の延長などの措置についても、総務省は市に対し指示も指導もしなかったと伝えられておりますが、そうだったのでしょうか。金融機関の貸手責任を一部果たさせれば、財政に若干の余裕も生まれて住民サービスを向上させることも可能です。法的には指導ができるというふうに私は理解しております。
 全国最高の負担、最低のサービスという計画を総務大臣は承認されたわけですけれども、住民は大きな犠牲を負うけれども貸手は無傷でいいという理由はないと思います。その点、もう一度大臣の御見解を伺います。
#123
○国務大臣(菅義偉君) 地方自治体の財政運営はそれぞれの責任において行われるものでありまして、財政再建も夕張市の責任で行われるのが基本であるというふうに考えます。夕張市は、不適正な財務処理を行いつつ、赤字を隠して一時借入れを行ってきました。夕張自身も債務を全額履行することを前提として財政再建計画を作成しているということを私承知しておりますけれども、私自身もこの夕張問題の過程の中で、私どもの事務当局に、この貸手側の責任についても、そこについては徹底をして話をすべきだということを私は大臣として指示をした経緯があります。
#124
○吉川春子君 そして、指示をして、その結果どうなったんでしょうか。
#125
○国務大臣(菅義偉君) ただ、結果的には、この問題についてはあくまでも夕張市そのものの問題なわけでありまして、ただ私は、そうしたことを言うだけのことはあるということで、私の判断で事務当局に私が指示させたということです。
#126
○吉川春子君 事務当局は、この大事な大臣の指示をどう受け止めて、どう実行したんですか。
#127
○政府参考人(岡本保君) 大臣の御指示を受けまして、夕張市の当局にそういうことについての検討のお話をさせていただきました。それを踏まえまして、夕張市において、再建計画においては、基本的にこれまでの債務を全額返済するという基本的な考え方の下に再建計画の策定に入られたというふうに承知をいたしております。
#128
○吉川春子君 昨日もかなり参考人からも厳しい意見が出たんですけれども、いかなる場合でも貸手責任を問うという形で私は申し上げているのではなくて、この夕張に限定した場合、余りにも貸手責任というものが問われなければ理不尽ではないかということもありまして、私どもも何回か予算委員会その他で追及をしてまいりましたけれども、やはり市民が全面的にその犠牲は被る、しかし貸手責任は全く問われないと、これは本当に理不尽だというふうに思います。
 その点について、やっぱりこれは理不尽だというふうには大臣お考えですか。
#129
○国務大臣(菅義偉君) 私、そう思いましたから、そのような指示を実は事務方にしたわけであります。そういう中で、この債務調整問題というのを更に検討するべきだということで、私は省内にその研究会を立ち上げたという経緯があります。
#130
○吉川春子君 こればかりやっているわけにはいきませんので、本当に理不尽だというふうに私は思うわけです。
 それで大臣、もう一つ伺いますが、別の問題ですが、参考人質疑で小林日出夫泉崎村長が、破綻の下で自主再建を選択して必死に頑張ってきたとおっしゃいました。しかし、今度の財政再建法の基準が画一的に作られて再生団体となるのは耐えられないと述べておりました。泉崎村は実質公債費比率三〇・一%であり、基準によっては再生団体になってしまうおそれがあります。
 現行法の下で自主的な再建に取り組んでいる団体が再建団体とされて自主再建の道を閉ざされてしまうということを私は恐れるわけですけれども、そうならないという保障はありますか。
#131
○政府参考人(岡本保君) 福島県の泉崎村の現在の実質収支比率、十七年度の決算では一・三の黒字というふうに伺っております。また、起債制限比率、公債費比率等につきましても、今後の健全化基準あるいは再生基準の決定の内容に従って決まってくるものでございますので、現段階で泉崎村が健全化団体に入るのかあるいは再生団体に入るのかということを確たることとして申し上げることはできません。
#132
○吉川春子君 だから、入らないということもおっしゃれないわけですよね。
 泉崎村は平成十二年当時、実質赤字比率が二七・七%でした。現在、一般会計はおっしゃるように黒字になっています。それが今度の法案で新たに三つの基準が作られて、連結実質赤字公債比率や公債比率とかが基準を超えた場合に早期健全化計画あるいは再生計画などが義務付けられます。基準を超えたら計画策定が義務であり、策定しなければ法違反とされます。泉崎村のようなこれまで自治体の自主的な取組が独自財政再建の方向、道を閉ざす法案であってはならないと、そのことを強く指摘しておきます。
 それで、私は、同僚委員からも話が出ましたけれども、政令事項に全部その重要なことがゆだねられているという点で、一点だけ大臣の見解を伺いたいと思うんですけれども、これはやっぱりこういうことは国会軽視なのではないか。非常にその自治体に対しては死命を制するといいますか、そういう重要な基準について全部政令にゆだねられて、そしてこの審議をしているときにはその基準すらも出てこないということは、やはり国会は国権の最高機関である、唯一の立法機関であると、こう定められているこの憲法の趣旨に照らしても国会軽視だと思うのですけれども、大臣の見解を伺います。
#133
○国務大臣(菅義偉君) 私ども、この審議の中で考え方について申し上げました。現行のそれぞれの規定を重視をしながら、そして円滑にこの健全化法に基づいて移行できるように、そうしたことを十分今までのものを考慮しながら円滑に移行すると、そういう中でこの委員会を通じて私ども答弁をさせていただきました。そして、そのいわゆる数値を決定をする際には、地方の六団体の皆さんと十分相談させていただきながら決めさせていただきたいという話もさせていただきました。
#134
○吉川春子君 やはり政令に委任するということは国会の審議を空洞化するという、一般的にもそういうことがありますので、私はここは強く指摘をしておきたいと思います。
 それで、公営企業の不良債務についてお伺いいたしますけれども、資金不足、不良債務を抱えている公営企業はどの程度あるのでしょうか。交通事業、病院、下水道の三事業について数字を明らかにしていただきたいと思います。
#135
○政府参考人(岡本保君) お尋ねの交通、病院、下水道事業に関しまして、平成十七年度の決算で見てみますと、それぞれ不良債務、公営、下水道事業を経営している地方団体は、交通事業は八十五団体、病院事業は五百八十九団体、下水道事業は千七百二団体ございますが、このうち不良債務や実質赤字を生じている団体は、交通事業におきまして二十七団体、全企業数の三一・八%、病院事業では九十三団体、同じく一五・八%、下水道事業におきましては七十六団体、四・五%という状況でございます。
#136
○吉川春子君 続けて数字を伺いますけれども、現在、公営企業の経営健全化計画を策定している団体はどれだけありますか。
#137
○政府参考人(岡本保君) 現在、工業用水道、地下鉄、病院の三事業につきまして健全化計画をそれぞれ通達に基づいて行っておりますが、工業用水道につきましては一道府県、地下鉄事業につきましては四市町村、病院事業につきましては十五市町村という状況でございます。
#138
○吉川春子君 地方財政健全化法案には資金不足比率が政令で定める基準を超えた公営企業に対して経営健全化計画が義務付けられておりますが、現在、資金不足比率が一〇%以上の場合、起債は許可制ということで経営健全化計画に自主的に取り組んでいます。
 公営企業の資金不足比率の基準も政令によるもので、この基準はどういうレベルになるんでしょうか。こういう団体に配慮した基準を考えていくのでしょうか、伺います。
#139
○政府参考人(岡本保君) 公営事業につきましては、今委員御指摘のように、資金不足比率によりまして地方債の許可のラインを一定設定させていただいております。この新法に基づきまして、個別の公営企業ごとの経営計画を作っていただくというものにつきましては、現在地方債の協議制度の下で行っておりますラインも参考にしながら、そのラインを設定していくということになると存じます。
#140
○吉川春子君 その基準の決め方なんですけれども、地下鉄などは初期投資が物すごく莫大であって、建設のための起債の返済もあり、一定期間は資金不足が大きいわけです。ちょっと大きな表にはしていないんですけど、そちらからいただいたので、初期投資がもうこんなに大きくて、そしてその後の収入はこう横になっていくから、何年か、あるいは十何年かというのは非常に赤字が続いていくという投資もあるわけです。こういう時期に基準を超えたと判断されたら、地下鉄事業の運営を無視したものになってしまうのではないでしょうか。
 連結実質赤字比率にカウントしていく場合も、当然、政令で決められる基準はこうした公営事業の運営の実態に配慮したものでなくてはならないと思うんですけれども、その点はいかがですか。
#141
○政府参考人(岡本保君) 今の委員御指摘のように、公営企業につきましては、地下鉄の例をお示しいただきましたが、例えば下水道でも、それぞれ立ち上がり時期にその基本的なインフラ投資に時間が掛かるという事業がございます。この公営企業の先ほどお話ございましたラインの設定に当たりましては、それぞれの公営企業の構造的な経営収支といったもの、あるいはその不良債務の初期の段階で発生するといったような特性に着目しながら、そのラインといったものは御指摘のように考えていくということであろうかと存じます。
#142
○吉川春子君 菅大臣にお伺いいたしますけれども、病院とか交通など、住民の必要が非常に強いものですから地方自治体が公営企業で行っております。特に過疎地の交通、病院などは採算性が取れないものが圧倒的に多いわけですね。一般会計から現在赤字補てんを行っているのに、再建計画を作成させられて起債の制限を受けるとなると、事業が続けられなくなると思うんです。
 私は、やはりこういう公営企業の中に市場原理をかなり適用して、それで一定の赤字だともう駄目ですよと、黒字を出してくださいと、こういう採算重視の方向に今度の法案が持っていかれる可能性があるんじゃないかと。それを自治体の側は敏感に察知して、赤字を解消するためには事業を縮小するとか廃止せざるを得ない、あるいはその公営企業を守るためにはほかの行政サービスを削らなくてはならない。
 そういうことになりますと、この法律案が、交通機関も病院も、そもそも赤字を出すような公営企業というものはもう今後はやめてくれと、財政健全化だけが目的、だけがとは言いませんけれども、それに非常にウエートを当てた自治体の財政運営がなされていくのではないか、そういう危険性はありませんか。
#143
○国務大臣(菅義偉君) 危険性はないかといえば、私はないというふうに思います。
 それは、そもそも地方公営企業上、例えば病院事業などにおける救急医療に要する経費、あるいは能率的な経営を行ってもなお採算を取ることが客観的に困難な経費、こうしたものについては一般会計等が負担をすることとされておりまして、地方交付税で措置が講じられておるところでありますから、そうした意味合いにおきまして、公営企業といえどもやはり徹底した歳出削減に努めると同時に、どうしても困難な場合には、今申し上げましたけれども、交付税措置を講じさせていただいているところでありますので、今委員が御指摘をされましたこの法案と公営企業の在り方との関連というのはないというふうに考えます。
#144
○吉川春子君 公営企業は、採算重視ということを前面に出すのではなくて、住民のニーズに沿ってそれが存続できるようにすると、そういう答弁と伺ってよろしいですか。
#145
○国務大臣(菅義偉君) 例えば、今申し上げましたけれども、救急医療だとか極めて大事な問題について、どんなに効率的な経営をやっても客観的に困難だと、そう思われる点については、私ども、一般会計が負担を現実にしていますので、それに対して地方交付税措置というものを現在取らさせていただいていることは是非御理解をいただきたいと思います。
#146
○吉川春子君 その地方交付税がどんどんどんどんパイが少なくなっているということにまた帰するわけですよね。最初に質問しましたのでしませんけれども、そういう中において、やっぱり公営企業もそういう形で縮小、廃止というふうにならざるを得ないということを大変私は懸念をしております。
 ですから、自治体病院、下水道、バスなどの交通事業の会計は全国的にも採算が取れない自治体が多いわけです。今回の財政再建法によって大幅な見直しに追い込まれる、そういう基準を超えた場合の計画作成の義務化、国への報告義務、国の勧告など、こういう自治体への関与を強めていくものだということを強く指摘して、時間ですので終わります。
#147
○又市征治君 社民党の又市です。
 一昨日の参考人質疑で、福島県泉崎村の小林村長は、巨額の負債を引き継いで再建に苦心している教訓から、村政運営の基本は第一に情報開示だと、こんなふうに述べられました。村民は目の前で開発が行われたわけですけれども、財政的見通しを楽観をした。それはなぜか。それは、もう政府が、開発こそがあなた方の生きる道だ、地方債どんどん許可するから使いなさいというわけで後ろ盾をする、あるいは情報操作をした、こう言ってもいいんだろうと思うんですね。だから、過疎と言われる農山漁村はどこもわらをもつかむ思いで政府の宣伝に乗ってしまって、結局政府から借金の山をつかまされてしまった、こう言っても過言でないんじゃないか。元自治省におられた片山前鳥取県知事も、国の方から自治体に大量の地方債発行をけしかけた、こう断定をされています。
 菅大臣、そこで、あなたは自立自立と、こうおっしゃっているわけですが、その前に、自治体のこんな過大な負債について過去の政府の政策誘導とか情報操作、この責任の問題、どんなように思われますか。
#148
○国務大臣(菅義偉君) 地方財政全体が悪化したのは、先ほど来申し上げていますけれども、バブル経済崩壊後の税収の低迷や、あるいは社会保障関係、これはいろんな自治体の長の皆さんから、ここ数年大幅に増加してきていると。そういう中で、国、地方を通じた景気対策に対して地方が協力をしてきた、このことも私は大きな要因だということに考えております。それはやはり我が国の経済財政運営によるところが大きな原因だと、このことについては私、認めさせていただきます。
 しかし一方、それぞれの団体の財政運営というのはそれぞれの責任で行われるべきものでありまして、実態としても個別団体の財政状況にはかなりの幅がありますし、これはそれぞれの団体の財政運営の結果でもあるというふうに思います。片山前知事もそのことは様々な機会に発言をしております。
 いずれにしても、今回こうした法案を提出しているのは、今後更なる地方分権を進めていくために、従来にも増して地方団体のそれぞれの財政規律というものは極めて大事である、そういう中で今回法案を出させていただきましたので、是非とも御理解をいただきたいと思います。
#149
○又市征治君 この法案で算出しろと言われる四つの財政指標は、圧倒的な政府の影響によってもたらされた結果でもあるわけですね。だから、大きな政策力、財政力、情報力を持つ政府こそ、一つの政策、例えば起債の充当率アップが自治体にどういう財政的結果を生むか、事前にやっぱり説明責任があることをむしろこの法律で明示すべきではなかったか、こう思うことが一つ。
 また、翌年度の我が自治体の交付税がぎりぎりまで分からない、せめて数年分の、まあ数年はともかくとしてもね、予想額を示せと、こういう地方六団体からずっと要求をされてまいりました。このことについてどうなのか。交付税の額といえば、この法案による指標の作成にも使うわけでしょうから、この点はどうお考えなのか。この点、引き続きお伺いします。
#150
○国務大臣(菅義偉君) 政府政策のこの情報提供につきましては、現在でも定期的に、閣議決定をいたしております骨太の方針や進路と戦略などによって、今後我が国の経済財政政策が提示をされております。総務省としましても、地方六団体との意見交換や事務レベルでブロックごとにもこの会合を行っておりまして、そうしたものを通じて政府の方針の情報提供に今努めているところであります。現状でもできる限りの対応を行っておりますので、法律の規制というのは必要がないのではないかなというふうに思います。
 また、今委員から交付税の予見可能性を高めることの指摘がありました。私も全くそのとおりだというふうに思います。十九年度におきましては、交付税の法定率分を堅持するとともに、特別会計借入金の計画的償還に着手など、総額の決定方式というものをできる限り分かりやすくいたしました。また、新型交付税を導入して抜本的な簡素化にも着手をしました。さらに、将来の交付税額について地方団体が見込みを立てやすくするように、参考となる推計方法を先般地方団体に示したところであります。現在、ブロック会議の場などを活用して周知を図っております。
 いずれにしろ、私自身も地方に行ってよく言われますのは、来年の見通しさえ付かないと、少なくとも三年ぐらい何とかしてほしいというのが地方自治体の皆さんの、長の声でありますので、このことにつきましては、御指摘のとおり私どもも全力で予見可能性を高める努力をさせていただきたいと思います。
#151
○又市征治君 総務省は、新しい指標のうち三つの実際の試算値を公表していませんね。具体的な定義すら細部はあいまいです。しかも、数値が幾つ以上なら早期健全化なので、幾つ以上なら再生開始とされるのか、これがどうもすべて政省令だというんでは、実際上法案審議にならぬわけですね、これ。
 仕方がないので、一般会計のみの指標に比べて公営企業を加えるとどのように変わるのか、取りあえず今まで出している比較できる指標、つまり従来の起債制限比率から新しい実質公債費比率へのアップ率を自治体ごとに比べてみたいと思うんですが、まず市町村平均ではどのぐらいアップすることになりますか。
#152
○政府参考人(岡本保君) 従来の起債制限比率と実質公債比率の差は、例えば一部事務組合に対するその当該団体の負担でありますとか、あるいは企業会計の償還金に占める一般会計の負担といったものがあるわけでございますが、一般的に起債制限比率と実質公債比率の間では四、五%程度の差が出るというふうに考えております。
#153
○又市征治君 平均で四、五%ということですが、じゃ、具体的に個々の市町村ではどうなるか。法案によって実質公債比率を適用すると、従来の起債制限比率に比べて五ポイント以上高くなるところは何市町村なのか。また、一〇ポイント以上高くなるところは幾つあるのか。例として、通告してありますが、東北六県あるいは北信越五県のこの市町村でちょっと説明をいただきたいと思うんです。
#154
○政府参考人(岡本保君) 実質公債比率が起債制限比率より五%以上あるいは一〇%以上高くなる市町村につきましては、お話をいただきました青森県と富山県、それから東北、北信越の十一県で試算をしてみました。
 青森県におきましては、全市町村四十団体中、五%以上が二十五団体でございます。その二十五のうち一〇%以上なのが二団体でございます。富山県では、十五団体中、五%以上の上昇をするのが十団体、一〇%以上になるのはございません。東北、北信越十一県におきましては、三百九十九団体中、五%以上になるのが二百三十四団体、一〇%以上になるのはそのうちの二十六団体というふうに考えております。
#155
○又市征治君 私は、現行法からの変化がどこにどれほど強く出るかを聞いたわけで、今の答弁の数値で十分でありますが、つまり単純に推測すれば、東北、北信越十一県の市町村の、今最後にあった数値をおっしゃいませんでしたが、五ポイント以上上昇するのは五八・六%、約六割ですね、これが健全化団体に指定されるかもしれない、特にそのうち六・五%ぐらい、つまり二十六団体は再生団体に指定されるかもしれない、こういうことであって、実は二〇〇六年改正の現行法の下でも既に実質公債費比率が適用され、その比率が一八%を超えたために起債許可制に入っているのが一般市町村で四百四団体、二二%にも上っているわけですね。これは言わばこの法案の予行演習だったのかなと、こんなふうに思いますが、法案では、政令による物差しの加減一つで恣意的な、しかも現行よりも大変大規模な統制になりかねないということになるわけですね、これは。この点は答弁は要りませんが、指摘だけしておきたいと思います。
 そこで、もう一つの指標、この連結実質赤字比率には公営企業の不良債務を加算するというわけでありますが、しかし、さっきからも出ていますように、病院や下水道や交通など、過疎地などによってはこんなものを独立採算でやっていけないというのはこれ常識の話ですよね。
 新しい指標を推測できる数値がないとおっしゃるので、それに近い数値でお願いをしますけれども、今、赤字の公営企業はどれほどあって、連結すると加算されるパーセントはどれほどになるというふうに見ておられるのか、この点をお伺いをします。
#156
○政府参考人(岡本保君) 現在、十七年度決算ベースで不良債務、実質赤字が生じております公営企業を経営する地方公共団体は、病院事業、下水道、交通で例を取ってみますと、病院事業におきましては九十三団体、下水道事業におきましては七十六団体、交通事業におきましては二十七団体ございます。
 今、正に委員お話ございましたように、連結実質赤字比率につきましては今後政令で定めることを予定しておりますが、またそれぞれの赤字につきまして、御指摘ございますように、それぞれの事業の特性に応じて、立ち上がり時期等の一定の赤字といったものをカウントするということも今後の検討で必要であろうと存じておりますが、そういうことを抜きに単純に、今申し上げました団体について不良債務の額を標準財政規模と比べますと、この不良債務の額が標準財政規模の一〇%を超える団体は、病院事業におきましては十五団体、下水道事業におきましては十団体、交通事業におきましては六団体ということでございます。
#157
○又市征治君 つまり、フェリーを運営している大分県の姫島村、国東半島のすぐ横の方ですね、が一五%アップになるのを始め、おおむね離島の村が危険水域に入る。これはもう常識の話であります。その数値そのままでないにしても、この類似した物差しで一律に健全化団体や再生団体に指定するぞと、こう言われたら、これらの自治体は病院をつぶしたり、あるいはバスや連絡船を廃止、あるいは民間任せにしなきゃならぬ。これ民間も引取り手がないんですね、これね。下水道はもう止められないから、結局は料金を二倍にとかといったこんな値上げを考えるということしかなくなるわけですね。これでは過疎化にますます拍車を掛けるということになるほかないんですよ。この点は強く御指摘申し上げ、その点の認識はそこは共有されているんだろうと思うんですが。
 さて、そこで大臣にお伺いをしますが、だからこそ全国知事会の主張は、画一的な手法ではなく、必要に応じて差を設けよと、こう述べておられるわけでありまして、もっともだろうと思うんです。住民生活に不可欠なこうした公営企業によって生じている不良債務、例えば病院、下水道、村営フェリーであるとかバスについては、例えばですが半額だけ算入するとか、また十年間は算入しないとか、様々なやっぱり考慮をして当たり前ではないのか、こう思うんですが、どういうように検討なさるおつもりなのか、この点お伺いしたいと思います。
#158
○国務大臣(菅義偉君) 本法案の趣旨が地方公共団体の財政状況を総合的に把握をするという、こういうことを踏まえるならば、公営企業を含め地方公共団体全会計の資金不足というものを漏れなく把握をして公表するのが私は基本だというふうに考えます。
 その際、公営企業のうち下水道事業においては、事業実施に多額の建設投資がこれは必要で、事業開始後の一定期間というのは構造的にやむを得ず資金不足になる、こうした事情は指標の算定に当たって適切に考慮をしていく、こういうことが必要だというふうに思います。また、病院事業など住民生活に密着した事業については、全国的な経営状況や地域の実態などを踏まえながら、具体的な基準の設定を行っていきたいというふうに思います。
 いずれにしろ、今委員から御指摘のありました公営企業に係る資金不足、これの具体的な算定方法については、地方公共団体と十分にこれ相談をさせていただきながらその検討を進めていきたい、このことをお約束をさせていただきたいと思います。
#159
○又市征治君 今おっしゃったことに反論ですけど、法律ですから、むしろ、今大臣はこれは適切に考慮をしていきたいとかと、もう言葉でいろいろとおっしゃるけど、人替わりゃ全然違っていくわけで、運用するのは役人なんですよ。ここが問題なんで、だから研究するのはいいんですけれども、むしろ法案出す前に、公開でもっときちっといろんな意見を聴いてやるべきじゃないのかということを私は強く求めておきたいと、今後のことも含めて求めていきたいと思うんです。何か法案通すために、それは十分考慮をします、これはいろいろと検討いたしますと、こんなのは全然信用できない。そういうことを申し上げにゃならぬわけで、菅大臣はそう思っているかもしらぬけれども、次の人はそうは思わないかもしれないわけでありまして、やっぱり法律にできるだけ丁寧にしていくということが大事だと思うんです。
 そこで、私が政府は基準を全然示さないんだと、こう言ったら、参考人の片山前知事は、過去の地方債の乱発だって、国が自分の御都合主義でハードルを下げて、起債充当比率を高くして自治体を借金財政に誘導したんだ、今度の基準は法律に書き込むべきだ、国会で是非修正して書き込んでもらいたいと。だから、与党の皆さんも一緒にこれはやりましょうよとこの間申し上げたんですが、私は正にそのとおりだと思うんですね。
 大臣、そこで、一年後に数値を公表、二年後には適用開始というのは、ちょっと何ぼ何でもやっぱり無謀だと思うんですよ。せめて慣らし運転で数値の試算だけをやっぱり三年か五年掛けてやって、その間に数式の再検討をするなど、自治体とじっくり協議すべきではないか、こういうふうに思うんで、これからやりますというのは私はちょっと違うんじゃないか。この点について、御見解を伺います。
#160
○国務大臣(菅義偉君) この制度を施行するに当たっては、制度を前提とした予算編成機会を付与するなどの配慮は必要でありますけれども、地方公共団体の財政の規律の確保と健全化のために、やはりできる限りこれ速やかに施行するというのが私は望ましいというふうに思っています。このため、健全化比率の公表は公布後一年以内に、他の義務付け規定については平成二十年度の決算に基づく措置から適用をさせていただくことにいたしました。
 総務省としまして、制度の円滑な実施が行われるよう、必要な情報というものを提供を地方公共団体に対しても示しながら、また意見も聴きながら取り組んでいきたいと考えています。
#161
○又市征治君 これはもう終わりにいたしますが、法律を通してしまってから期限を切って協議するぞとかというのでは、自治体の自主性が全然違うと思うんですね。さっきも大臣、一番冒頭のところで地方分権の推進とかとおっしゃるわけだが、一方でそういうふうにおっしゃいながら、この法案の中身、この手法というのは、私はまだ全く中央集権的手法そのものだと、こういうふうに指摘せざるを得ない、こう思うんですね。
 やっぱり、本来、もちろん私たち全体が地方団体の財政危機、今後どうやって少しでも解決をしていくか、みんなだれもがその認識ではみんな一致しているんですが、やはり、これは私もずっと言い続けてまいりましたが、足らざるところはむしろ交付税率を、前にも大臣ともやりましたけれども、交付税の算入率を高めてもやっぱり確保すべきだ。
 正にこれから少子高齢社会で、本当に高齢社会になっているところほど大変な金が掛かるのに、この間から言われているように、面積掛ける人口でやりますなんて、この間、佐渡島へ行きましたよ。行ったら、七百人一年間に就職していくというわけですよ。七百人就職していくんだが、実は佐渡島に残るのは二百人だと、五百人みんな外へ出ていきますと。もう交付税下がる一方だ、高齢化だけして金だけが掛かっていく、こんな農山漁村が山ほどあちこちにある。こういうのをやっぱり交付税をきちっとしていくということなどがないと、これいろんなこと言われても、ただ単にこれをたたいていく、何か物差しだけ持ってしゃくし定規にやっていく、こんな格好じゃ話にならない。
 こういうことを率直に申し上げて、もう時間来ましたから、三十秒ほどあるんですけれども、私はこれで、この意見だけもう一遍改めて申し上げて、今日の質疑を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#162
○委員長(山内俊夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#163
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に対する反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、法案は、四つの健全化判断基準の一つでも早期健全化判断基準を超えた場合、健全化計画の策定を義務付けるなど、財政再生団体になる前の段階から国への報告義務、総務大臣の勧告などを行い、政令で定める判断基準を超える自治体が健全化計画、再生計画などを策定しない場合、総務省は、違法として、地方自治法二百四十五条の五に基づき自治体に是正要求を行うものです。
 財政の健全化を示す指標を公表し、議会に報告することは、住民が自治体の財政状況を把握し、住民の監視を強める上でも必要なことです。しかし、自治体財政の健全化はあくまで自治体の判断で自主的に行われるべきものです。本法案は、国による自治体への関与を幾重にも強化するものであり、憲法の定める地方自治の原則に反するものと言わなくてはなりません。
 第二に、法案は、総務省が判断する四つの基準をどういうものにするかは政令にゆだねています。これでは、各々の団体の具体的な状況は無視され、総務省の定める全国一律の基準によって早期健全化計画などの計画策定が義務付けられることになるからです。場合によっては自治体の死命を制する判断基準をすべて政令とし、行政府の恣意的な意思にゆだねることは、国権の最高機関である国会軽視です。国民主権の原則からも、基準については国会で慎重に審議の上定めるべきものであると思います。
 第三に、法案は、公営企業の資金不足比率が政令で定める経営健全化基準以上の場合、健全化計画策定を義務付け、その結果、病院、交通事業など公営企業の大幅な事業見直しが行われ、住民、公共サービスの低下を招くおそれがあることです。
 公営企業は、初期投資が莫大で、収入も公共料金という性格から、長期赤字の運営を余儀なくされ、公共性と経済性を経営の原則としており、運営は厳しい状況にあります。そもそも、交通、病院、下水道などは、採算性第一の民間株式会社ではできない事業を公営企業として行っているものです。本法案は、地方公共団体に採算の範囲でやることを押し付けるものです。このように市場原理を公営企業に持ち込むことは、地方自治体の役割を投げ捨てるものにほかなりません。
 政府は、全国どこでも暮らしていけるナショナルミニマムを保障できるように、地方交付税によってその財源を保障する責任を負っています。本法案は、プライマリーバランスの改善のためと称し、地方交付税削減のために、夕張の財政破綻を奇貨として更なるリストラを地方自治体に押し付ける結果になることを指摘して、討論を終わります。
#164
○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に反対の立場から討論を行います。
 小泉改革政治の後半から、企業の利益代表や新自由主義の人々から自治体の破綻法制をつくれという議論が出てきました。しかし、これは、財政危機に陥った自治体の住民を支援する目的ではなく、病院、地方交通などの公営企業や、学校給食、清掃事業、文化、スポーツ、一般窓口事務までも営利企業の手に明け渡し、それらサービスを自由に値上げや廃止にし、公有財産をたたき売るなど、総じて誤った市場化をするための破産宣告がねらいであり、地域社会に一層の荒廃をもたらすでしょう。夕張市がスケープゴートにされていますが、中央政府の甘言に乗せられて全国の自治体が過大な開発事業や箱物造りなどを行ったのです。そのツケが現在の自治体財政の危機であることは十二日の参考人質疑でも明らかにされました。
 政府は、今になって自治体に新しい財政指数の作成、公開を求め、その数値次第で自動的、機械的に健全化計画や再生計画を事実上義務付けるというのですが、その前に、政府こそ自治体を過大な借金行政へと強烈に政策誘導した責任を取り、同じ失敗を未然防止するため公正な情報提供を自らに義務付けるべきです。
 以上が反対の基本的な理由ですが、さらに、政府は四つの財政指標の試算値すら明らかにせぬまま、最も核心の部分を政省令という密室で恣意的に決定し、かつ、いつでも変更を可能にする仕組みとなっており、これは現行法の改悪です。しかも、再生団体に対する国の財政的な支援措置も確約することを拒否し、旧法に比べ国の一方的な裁量権だけを強めています。今後どれだけの団体が該当させられるのか分かりませんが、経済界の要求を考えれば、健全化指定団体、再生指定団体を多くつくり出し、市場原理にさらすことが目的かと疑わざるを得ません。
 中央政府による統制の強化や市場競争への投げ出しではなく、政府の責任を含む情報公開と住民や議会による監視の強化を通して、住民主導による主体的な財政再建、自治の再生につながる本当の再建支援法制を強く求めて、反対討論といたします。
#165
○委員長(山内俊夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#166
○委員長(山内俊夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、那谷屋君から発言を求められておりますので、これを許します。那谷屋正義君。
#167
○那谷屋正義君 私は、ただいま可決されました地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び国民新党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。
 一、地方分権の観点から、地方公共団体が財政健全化に自主的・主体的に取り組めるよう、国の関与は必要最小限にとどめること。
 二、財政指標の算出方法や早期健全化基準・財政再生基準等を政省令で定める際には、地方公共団体の財政規模及び権限等を考慮し、画一的な指標・基準とせず、地方六団体の意見が十分反映されるようにすること。また、公営企業については事業の性質上、やむを得ず赤字が生じる場合があること等に留意すること。
 三、財政再生団体が収支不足額を振り替えるために発行する再生振替特例債については、公的資金の充当等、必要な支援措置を講ずるとともに、地方債残高の縮減にも配慮すること。
 四、地方公共団体における財政指標の公表、財政健全化計画等の策定等に際しては、財務状況を正確に把握することが不可欠であることから、弁護士・公認会計士等の有資格者の監査委員への登用等の方法により、監査委員の独立性及び専門性を高めるための方策について検討するなど、監査委員制度及び外部監査制度の充実強化に努めること。
 五、地方公共団体において、貸借対照表その他財務書類の整備を促進する措置を講ずることにより、地方独立行政法人、地方三公社、一定の出資法人等を含めた資産及び負債の状況等を総合的に把握できるようにするとともに、統一的な地方公会計基準について早急に具体的な検討を進めること。
 六、金融機関の貸し手責任が問われていることにかんがみ、金融機関等の法人情報保護の観点に留意しつつ、民間資金も含めた地方債の引受けの状況について、実態を明らかにするよう努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#168
○委員長(山内俊夫君) ただいま那谷屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#169
○委員長(山内俊夫君) 全会一致と認めます。よって、那谷屋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、菅総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅総務大臣。
#170
○国務大臣(菅義偉君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと思います。
#171
○委員長(山内俊夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#172
○委員長(山内俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト