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2007/01/30 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第3号
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2007/01/30 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第3号

#1
第166回国会 本会議 第3号
平成十九年一月三十日(火曜日)
   午前九時四十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成十九年一月三十日
   午前九時四十分開議
 第一 副議長辞任の件
 第二 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、副議長の選挙
 一、日程第二
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 副議長辞任の件
 去る二十六日、副議長角田義一君から辞任願が提出されました。
 辞表を参事に朗読させます。
   〔参事朗読〕
   辞 任 願
 今般参議院副議長を辞任致したいのでよろしく
 お取り計い願います
   平成十九年一月二十六日
         参議院副議長 角田 義一 
  参議院議長 扇  千景殿
#4
○議長(扇千景君) 副議長の辞任を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#6
○議長(扇千景君) これより副議長の選挙を行います。
 投票は無名投票でございます。議席に配付してございます無名投票用紙に被選挙人の氏名を記入して、白色の木札の名刺とともに、御登壇の上、御投票を願います。
 氏名点呼を行います。
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#7
○議長(扇千景君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#8
○議長(扇千景君) これより開票いたします。投票を参事に点検させます。
   〔参事投票及び名刺を計算、投票を点検〕
#9
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十八票  
 名刺の数もこれと符合いたしております。
 本投票の過半数は百十票でございます。
  今泉昭君         二百十八票  
   〔拍手〕
 よって、今泉昭君が副議長に当選されました。
   〔拍手〕
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔参事 副議長今泉昭君を演壇に導く〕
#10
○議長(扇千景君) ただいま副議長に当選されました今泉昭君を御紹介いたします。
   〔拍手〕
#11
○今泉昭君 ただいま皆様の御推挙によりまして、副議長の重責を務めさせていただくことになりました。誠にこの上ない光栄に存じます。その職責の重さを痛感をしているところでございます。
 微力ではございますが、公正を旨として、扇議長を補佐し、議院の円満なる運営に努めますとともに、我が国二院制の下、今後とも本院が国民の期待にこたえてその使命と役割を十分に果たしていけますよう、全力を尽くしてまいりたいと存じます。
 何とぞ、皆様方の一層の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、簡単ではございますけれども、就任のごあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
     ─────・─────
#12
○議長(扇千景君) 日程第二 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十六日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。輿石東君。
   〔輿石東君登壇、拍手〕
#13
○輿石東君 民主党・新緑風会の輿石東です。安倍総理の施政方針演説を含む政府四演説に対し、会派を代表し質問いたします。
 まず、安倍総理の政治姿勢についてお尋ねをします。
 安倍総理は、総理就任直前に出版した「美しい国へ」の本の帯に次のようなことを書いておられます。「わたしは政治家を見るとき、こんな見方をしている。それは「闘う政治家」と「闘わない政治家」である。「闘う政治家」とは、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家のことである。」「わたしは、つねに「闘う政治家」でありたいと願っている。」。闘う政治家、すばらしい表現です。私も拍手を送りたい。しかし、今改めて読んでみて、安倍総理、どう思われますか。国民の目にはどう映っているのでしょう。安倍総理が行ってきたことは、これとは裏返しのあいまいなことばかりではありませんか。
 何事にもあいまいで、何をしようとしているのか、顔が見えないという安倍総理の本質をこれ以上ないほど明らかにしたのが、例の復党問題でした。
 一昨年の八月八日、小泉前総理が郵政民営化だけを争点に衆議院を解散しました。その際に、党の方針に反する人を除名したのです。後継者を自認する安倍総理は、その後、党の方針を変更したのでしょうか、党から追い出した人たちの復党を許しました。自民党にとっては、夏の参議院選挙での票欲しさ、復党した議員たちにとっては二億六千五百万円にも上る政党助成金ねらいであることは明らかであります。
 小泉前総理の改革の旗は受け継ぎたい、しかし小泉改革に反対して自民党を離れた伝統的な自民党支持層の票も戻ってきてほしい。どっち付かずの態度です。しかし、国民はよく見ています。この問題をきっかけに国民の支持率は急降下いたしました。
 続いて、安倍総理の改革への取組が偽物であることを明らかにしたのが、小泉政権から引き継いだ行政改革上の大きな課題、道路特定財源の一般財源化の問題です。
 安倍総理は、昨年十一月の経済財政諮問会議で揮発油税を含めて一般財源化すると発言したにもかかわらず、自民党道路族の反対に結局リーダーシップを示せず、必要な道路は造るという一札を取られました。さらに、法案提出を来年の国会に先送りした上で、玉虫色の方針をのまされてしまったのです。国民はここでまたもや裏切られました。
 さらに、安倍総理は小泉前総理に倣って官邸主導を掲げて、官邸の中に限度一杯五人の総理補佐官を任命しました。また、総理直属の教育再生会議や日本版NSC、つまり国家安全保障会議などを置くと宣言し、首相官邸スタッフも各省庁から公募しました。あなたは議院内閣制の日本を大統領制と勘違いしているのではないですか。
 しかし、肝心のあなた自身のリーダーシップがなく、かといって補佐官権限の根拠法もない状況で宙ぶらりん、官邸は船頭のない船となっています。それぞれ勝手なことばかりやっていて、総理、あなたの顔は陰に隠れてますます見えなくなっています。報道によりますと、つい最近、総理補佐官の権限強化法案の今国会への提出を見送る決定をしたということですが、そうなると官邸の混乱は当分続きそうです。
 安倍総理は、就任早々中国と韓国を訪問し、辛うじて対話の窓口だけは復活させることができました。しかし、このような中国や韓国との首脳会談の再開も手放しで評価するわけにはいきません。安倍総理は、今回の訪中を実現するに当たって、過去の政府が出した村山談話や河野談話を就任前まで自ら厳しく批判してきたにもかかわらず、突然自分の内閣で全面的に受け入れると表明しました。そのこと自体の是非はここではおくとしても、わずかな期間での余りの豹変ぶりに、安倍総理は本当に信念のある政治家なのか、国民は深い疑念を持っているのであります。
 同様に、あなたが就任以来あいまいな態度を取り続けているのが、小泉総理のとき大騒ぎになった靖国神社参拝問題です。あなたは、靖国神社に行くか行かないか、参拝したかしないか明言しないと繰り返し述べています。しかし、一国の総理大臣が国内外ともに大問題となっていることにきちんと答えることができないようではとても務まりません。
 以上、四点について総理の四か月を振り返ってみました。いずれもあいまいなままです。あなたの主張である闘う政治家はどこへ行ったのでしょう。小泉前総理は、郵政民営化、道路公団民営化など、それが良いか悪いかは別にして、自民党や官僚と闘いました。しかし、あなたは何と闘ったのですか。今挙げた復党、道路特定財源、総理補佐官、靖国の四つの問題についてお答えいただきたい。国民は、あいまいな総理ではなく、はっきりと主張する闘う総理を望んでいるのです。
 次に、安倍総理の目指す美しい国について聞きます。
 総理が就任されてたった四か月の間に次々と現れてきたのは、美しい国どころか、政府・与党の旧態依然たる事件やスキャンダルです。
 まず、去年の暮れから安倍政権の主要メンバー、いわゆるチーム安倍のスキャンダルが相次ぎました。お友達内閣、露骨な論功行賞人事のツケが回ってきたのです。
 例えば、安倍総理の肝いりで、前任者の石弘光教授を押しのける形で就任したばかりの本間正明政府税制調査会会長が、去年の十二月二十一日に辞任しました。経済財政諮問会議の民間議員のときから都心の豪華な公務員住宅に、格安料金で、しかも奥さんではない女性と住み続けていると報道されました。そもそも本間氏は、そうした公務員住宅を税金の無駄遣いと批判し、売却の方針を打ち出した張本人であり、しかも当時は、何よりも襟を正すべき、国民から税を取り立てる制度づくりの責任者の一人でした。
 次に、佐田玄一郎前行政改革担当大臣。政治団体が十年間にわたり政治資金収支報告書に多額の架空経費を記載していたと報道され、暮れも押し詰まった十二月二十八日に大臣を辞任しました。
 これらの人々の責任はもちろん重大ですが、それにも増して重要なのが、これら国民を裏切るような人物を次々に要職に任命してきた安倍総理自身の任命責任の問題です。正に総理の資質が問われていると言えます。
 次に、去年相次いだ官製談合事件です。
 特に、去年の一月に発覚した防衛施設庁の官製談合事件では、空調工事をめぐり防衛施設庁関係者三人が東京地検特捜部に逮捕されました。
 さらに、今月に入って、水門工事の入札をめぐり大手メーカーなどが談合を繰り返していたことが発覚し、公正取引委員会は、談合に関与した国土交通省の職員について、官製談合防止法を適用することを決めたということであります。
 こうした官製談合の温床となっているのが、国家公務員の天下りです。
 ところが、政府が今国会に提出を検討している公務員制度改革関連法案では、天下り公務員による口利きなどを処罰する規定は作られたものの、何と関係企業への天下りの制限は、強化されるどころか撤廃されるということであります。これではますます天下りは不正の温床になってしまうのではありませんか。
 あなたは、美しい国を目指すとおっしゃる。しかし、実際には美しくないことばかりです。このような人たちを任命した総理の責任についてどうお考えか、また談合をどのようになくすおつもりか、後を絶たない政治と金をめぐる疑惑への国民の不信にどうこたえるのか、明快な答弁をいただきたい。
 次に、安倍政治の具体的な問題点についてお聞きします。
 我が国が抱える課題はたくさんあります。しかし、安倍政権の実態を明らかにするため二点に絞って議論します。それは、格差と社会保障及び経済対策についてであります。
 安倍政権の内政における最大の問題点は、言うまでもなく社会の様々な場面での格差の拡大です。所得の格差、雇用の格差、大企業と中小企業、都市と地方、教育の格差、数えていったら切りがありません。そこで、私たち民主党では今国会を格差是正国会と位置付け、厳しく追及していくことにしています。
 というのも、こうした格差の拡大の最大の原因が、バブル崩壊以降の長期不況に加えて、小泉政権から安倍政権に受け継がれた競争重視の小さな政府の政策であることは間違いないからであります。そして、これらの格差こそが今日の日本社会が直面している様々な問題や社会不安、犯罪の増加などの根底にあるのです。
 格差をまず雇用の面について見ますと、日本ではこの十年間に正規雇用者が四百万人減った代わりに、パート労働者が五百九十万人増加し、企業で働く人の三人に一人がパート労働者という異常な事態となっています。中でも、幾ら働いても収入が生活保護のレベルにさえ達しないいわゆるワーキングプアと呼ばれる人たちの数は四百万世帯ともそれ以上とも言われ、明日への希望のない生活を強いられています。
 これに対し、安倍内閣は今回の予算の中で、再チャレンジ支援総合プランという枠で一見たくさんの対策を盛り込んでいます。しかし、その中身を見ると、これまでの産業振興策の看板の掛け替えのようなものばかりで、本格的に社員を非正規雇用から正規雇用へ移行するための制度設計となっているようなものはほとんどありません。また、政府が今国会に提出するとしているパートタイム労働法も、その適用範囲は極めて限られています。
 私たちは、今日の日本の社会不安の最大の原因の一つが、こうした非正規雇用のパート労働者の増大などによる終身雇用制の崩壊であると考えています。
 そこで、私たち民主党は、終身雇用を我が国にふさわしいセーフティーネットとして再評価し、長期安定雇用を基本とする新しい雇用法制を打ち立てようと考えています。具体的には、官民とも管理職については徹底した自由競争の仕組みを導入する一方で、非管理職の労働者については終身雇用を原則とする、そうした提案に対し、総理の考えを伺いたい。
 また、去年の六月成立した医療制度改革関連法案は、国民不在の医療改悪以外の何物でもありません。合理的な根拠のない医療給付費の将来設計を基に医療費削減だけを目指したものと言わざるを得ません。
 とりわけ深刻なのが高齢者への負担の増加です。例えば、来年四月から、七十歳から七十四歳までの患者負担を二倍に引き上げるとともに、七十五歳以上については、新たな高齢者医療制度を創設し、加入してもらうことになっています。これらは高齢者の医療の質の低下を招く危険性があります。
 近年、高齢者にとって、医療保険に限らず、年金、介護などの社会保障は、給付は削減され負担は増すという、言わばダブルパンチです。また、療養病床の再編成が行き場のないまま介護の場を追われる人たちを生み出す可能性が高いと指摘されており、また、この改革は最近深刻になっております産婦人科など特定の分野の医師不足にも的確に対応できていません。
 さらに、介護保険法の改正により、去年の四月以降、介護予防への見直し認定を受けた高齢者に対し、ホームヘルプやデイサービスなどのサービスが受けられず、閉じこもりや自殺を招く深刻な事態となっております。
 今、介護施設や訪問介護の現場は深刻な人手不足と離職率の高さに悩んでいます。人材不足を解決し、魅力ある労働環境でプロとして働き続けてもらうためには、介護労働者の賃金や労働条件を改善することが最も重要であり、そういった事業運営が可能な介護報酬が必要です。
 総理自身がまだ若く、家庭環境にも恵まれているせいか、ほとんどこうした問題について意見を述べるのを見たことがありません。しかし、高齢者をないがしろにしてどうして美しい国と言えるでしょう。こうした問題点にどう対応していくか、お聞かせいただきたい。
 さて、内閣府が今月十三日に発表した国民生活に関する世論調査では、日ごろの生活で悩みや不安を感じている人が五八年の調査開始以来最高の六八%にも達しています。悩みや不安の内容では老後の生活設計が五四%と最も高く、特に五十代では約七割を占め、定年を控えた団塊世代などの老後不安を浮き彫りにしております。
 これを受けた形で、年金などの社会保障改革を望む声が前回に比べて一一・四ポイント増の七二・七%にも上がっていますが、憲法改正や教育改革だけに熱心な安倍内閣にはこうした声にこたえるつもりは毛頭ないようです。
 例えば、すべての年金の基礎とも言える国民年金は、未納と未加入者が四百万人を超え、深刻な空洞化が懸念されております。安倍総理は今の保険料制度を維持するべきだと主張していますが、到底現実的とは思えません。全額を税で賄うべきです。
 国民年金の加入対象者であるフリーターやワーキングプアと呼ばれる人たちは、年金保険料を怠けて払わないのではなく、彼らの給料では払い切れないのです。このままだと、年金はセーフティーネットとしての役割を果たせず、社会不安がますます増大するのは目に見えています。
 私たちは、このような国民の年金制度への不安を解消するためには、どうしても年金制度の根本的な作り直しが必要であると考えています。つまり、現在政府が進めようとしている厚生年金と共済年金の統合にとどまらず、国民年金も含めたすべての年金の統合を行い、文字どおりの年金の一元化を実現しなければ、年金のセーフティーネットとしての意味はなくなってしまいます。総理はそのようにはお考えにはなりませんか。
 年金不安を一層増大させているのが、年金資金で造った施設の膨大な無駄遣いや加入記録の不正閲覧といった社会保険庁の相次ぐ不祥事です。
 このため、政府はいったん、改革のため、ねんきん事業機構法案を国会に提出したものの、新たな不祥事発覚によって、無責任極まりないことに自ら撤回し、現在は非公務員型の組織による新しい案を検討していると言われます。具体的にどのような内容になるのか、例えば徴収業務はどこがどのような権限で行おうとするのか、ここで明らかにしていただきたい。
 私たちは、不正と無駄をなくす観点から、社会保険庁と国税庁を統合する歳入庁を設けるべきだと主張しています。これが最もすっきりしていると思いますが、いかがですか。
 このように、安倍総理の言うことは、弱い者には冷たく、格差を拡大するようなことばかりです。その典型が来年度から三年間かけて段階的に廃止される生活保護費の母子加算です。母子世帯の自立を促すというきれい事の理由が付いていますが、そんなことは母子家庭のお母さんが子供を預けて安心して働けるような社会を実現してから言うべきだと思いますが、いかがですか。
 同じことは、去年施行された障害者自立支援法にも言えます。これによって、障害者が自立を目指して働くために施設を利用すればするほど負担が重くなり、多くの障害者が働くのをやめてしまっているのが実情です。このような法律を障害者自立支援法と名付けるのは、たちの悪い冗談としか思えません。平成十八年度補正予算案には、この対策費として九百六十億円を計上しており、一方で負担を重くしながら他方で補助をするという、政策の一貫性、整合性が全くありません。直ちにこの一割負担の部分を凍結すべきだと考えますが、いかがですか。
 強きを助け弱きをくじく、小泉・安倍政権の本質を見事に表していると言えます。
 以上が格差と社会保障の問題です。
 次に、これに関連して経済対策について聞きます。
 今国会に提出された安倍内閣の初の予算案は格差を縮めるどころか、むしろ増幅する予算となっております。
 安倍総理は、上げ潮政策と称して経済成長路線を取り、今回の予算案に減価償却制度の見直しを始めとする法人税減税を盛り込み、露骨に大企業の優遇策を実施しています。安倍総理はこれを、財政再建の切り札であるとともに格差を是正することにもなると主張しています。経済が成長すれば、税収が伸び、給与の形で会社員にも還元されるという理屈です。
 しかし、企業が収益を増大させたとしても、社員の賃上げに反映される保証はありません。企業は競争に勝つため、もうけを更に新しい設備投資や株主への配当に回すことも考えるでしょう。現に、日本経団連は企業の業績向上分は賞与、一時金に反映すべきとして賃上げを強く否定しています。実際、最近の統計でも、企業がもうかっても会社員の給与はほとんど増えず、イザナギ景気超えなどと言われながら、一般庶民にとって景気回復の実感はほとんどありません。
 今回の予算では、税収の増加によって国債の発行額が過去最大の減額となり、政府・与党は、これを上げ潮政策による景気浮揚の結果であると盛んに吹聴しています。
 しかし、現実には定率減税の廃止など、家計への増税の効果がかなり大きいのではないでしょうか。今年一月から所得税、六月からは住民税の定率減税が廃止されるなど、税と保険料を含め、家計への負担の増大は五兆円に上ることになります。要するに、家計の犠牲の上に立った財政改善なのです。しかも、巨額の国債発行は今も続いており、国と地方の長期債務残高は今年度末で七百七十三兆円にも上り、対GDP比で見ますと先進国中最悪の水準となっております。
 また、現在の景気回復は、大企業、中でも輸出企業中心で、中小零細企業までは波及していません。ここに見られるのも格差の拡大であります。
 さらに、今回の予算には、職を失った人、職に就けない人、負担の増加する高齢者や障害者などを支援し、生活の安定を確保するような具体策がほとんど見られません。
 個人と中小企業を勇気付けるために、所得控除制度を税額控除制度へと改め、控除し切れない額についてはその額を給付するという所得税の抜本改革や、オーナー課税の廃止といった中小企業を元気にする改革が是非とも必要であると考えますが、総理の意見を伺います。
 しかも、こうした経済成長政策の背景にあるのは、参議院選挙を意識したこそくな消費税隠しであります。安倍総理の公約どおり、平成二十三年の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランス達成を実現し、なおかつ国民年金の国庫負担率アップに対応するためには、消費税の引上げが避けられません。
 しかし、苦戦が予想される今年夏の参議院選挙をにらんで、消費税の引上げにあいまいな態度を取り続けるためには、うそでも経済成長政策を言い続けることが不可欠なのです。最近では、上げ潮政策によって好調な税収が今後も持続するので、もはや消費税を上げる必要はなくなったなどという声さえ与党の内部から出ています。選挙目当ての露骨なやり方であります。
 しかし、今後、景気の回復に従って長期金利が上昇すれば、税収の増加の効果が相殺されてしまう可能性もあります。だれにも確実に予想できない未来の極めて楽観的な経済状況を前提に実際の経済政策を策定するというのは、とても責任ある政府のやることとは思えません。
 実際、今月十八日、日銀は、まだ日本経済がデフレから完全に脱却していないことを理由に利上げを見送る決定をしました。しかし、その背景には、経済の客観的な分析よりも、日銀の独立性を無視した自民党の中川幹事長や大田経済財政担当大臣の露骨な利上げつぶしがあったことは周知のとおりであります。
 さらに、これにも増して見逃すことができないのは、これに屈服した福井総裁の姿勢です。福井総裁は去年の六月、村上ファンドへの投資が発覚し、当然辞任すべきだったところを政府に擁護してもらいました。今回利上げを見送った理由にこのことが関係しているとすれば、日銀の独立にとって大きな問題だと考えますが、総理の見解を伺いたい。
 ところで、安倍総理は、来る参議院選挙の最大の争点として憲法改正を挙げています。もちろん、私たちも憲法の諸問題について議論することにやぶさかではありません。しかし、それは果たして国会議員が敵味方に分かれて争う国政選挙の争点にすべきものなのでしょうか。しかも、安倍総理は憲法のたくさんの議論の中で何を争点にしたいのかいまだ明示しておらず、このままでは不毛な議論に終わるのは目に見えています。去る十七日の自民党大会直後に自民党の加藤紘一元幹事長も、憲法改正で参議院選を戦うのは大変な間違いだと発言しています。
 憲法改正については、もっと時間を掛け、国民的合意を得て成立させることが重要です。国民は、今国会でも参議院選挙でも、もっと生活に身近な福祉や格差などを問題にすべきだと政府に期待しているのであります。身近な福祉や格差に手を付けず憲法議論をするのは、現実から逃げていると言わざるを得ません。
 私たち民主党は、政治は生活の理念に立っています。来る参議院選挙の争点について総理の見解を伺います。
 次に、外交・安全保障について伺います。
 今、イラクは事実上の内戦状態に入ったとも言われ、毎日大勢の市民が犠牲になっております。アメリカ軍の死者も、イラク戦争のきっかけとなった同時多発テロの犠牲者を上回り、今年の元旦までに三千人を突破しました。
 今月十日、追い詰められたブッシュ大統領は、イラクの治安回復を図るために米軍二万一千人を増派するイラク新戦略を発表しましたが、これはうまくいかなかったこれまでのやり方の繰り返しであります。この政策がアメリカの期待どおりに成功するのか、安倍総理の見通しを是非伺いたい。
 また、この席でブッシュ大統領はこれまでのイラク政策を失敗であったと認めていますが、安倍総理は今なおこれまでの日本政府のイラクをめぐる取組に問題があったことを認めていません。今日のイラクの悲惨な現状を前にして、これが結果に対して責任を負わなければならない政治家としての正しい態度でしょうか。大局的に見れば、他国に先駆けてイラク戦争への支持を表明するなど、イラクでのアメリカの失敗に日本が一役買ったことを否定することはできません。どこが安倍総理の言う主張する外交なのですか。
 また、このことに関連して、日本は現在もイラク特措法に基づいて航空自衛隊をイラクに派遣していますが、この法律の期限が今年の七月に切れます。報道によれば、政府はアメリカのイラク撤退が遅れることを考慮して一年の延長を検討しているとのことですが、日に日に悪化するイラク情勢の中で航空自衛隊の任務は危険を増しています。できる限り早く撤退すべきだと思いますが、いかがですか。
 このような国際情勢の変化もあって、北朝鮮をめぐる外交で日本は次第に厳しい立場に追い込まれています。
 去年の暮れ、一年一か月ぶりにようやく再開された北朝鮮の核開発をめぐる六か国協議も何の成果も上げずに休会し、日本はその中で拉致問題を議題にのせることさえできませんでした。日朝の二か国協議も行われませんでした。これでは、拉致問題の解決を看板に掲げる安倍外交の名前が泣きます。
 さらに、今月中旬、自民党の山崎拓元幹事長が議員外交と称して北朝鮮を訪問し拉致問題について協議しましたが、安倍総理は二元外交だと不快感を示されたということです。北朝鮮に対し、圧力を優先すべきか、それとも対話を優先すべきかということについて、政府・与党内部の意見の不一致が明らかになりました。このような有様で、どうして巧妙な北朝鮮外交を突き崩すことができるのでしょう。総理はこれまでに山崎氏からこの訪朝についてどのような報告を受けていますか、明確にお答えいただきたい。
 拉致問題の解決なくして国交正常化なしは当然の姿勢ですが、核及びミサイルの問題も拉致問題も、解決に時間を掛ければ掛けるほど状況は深刻化します。安倍総理としては今のようなこの膠着状態をどのように打開していくおつもりか、具体的にお答えいただきたい。
 次に、地方分権について伺います。
 国としての活力を生むためには地方が元気になることが不可欠です。そのためには地方分権を一層進めていかなければなりません。これまでに第一次分権改革が行われましたが、地方の自由度の拡大など課題は山積しております。
 さきの臨時国会で成立した地方分権改革推進法に基づき、三年の時限立法で新たな地方分権改革が取り組まれることとなります。この新たな改革において、どのような目標を立て議論するのか、地方分権の推進についての基本的な見解を伺います。
 現状では全く地方の活力が感じられず、過疎地を始め貧しい地域では住民の働き口もなく、人口流出に歯止めが掛かっておりません。
 貧しい地方を応援するのが地方交付税の役割ですが、平成十二年度に二十一・四兆円あった交付税総額は平成十九年度には十五・二兆円になりました。実に六・二兆円、約三割の減です。地方では都市と異なり、税が大幅に伸びているわけではありません。交付税の削減が地方経済を直撃し、また自治体はぎりぎりの財政運営を強いられています。このままではますます都市と地方の格差が拡大するのは目に見えているのであります。
 政府は頑張る地方を応援すると言われていますが、頑張ろうにも財源がありません。地方の間にも勝ち組と負け組が生まれ、工場は海外に出ていって、働く場がないところがたくさんあります。どのように地方で働く場をつくるのかなど、地方が活力を取り戻し、都市と地方の格差がこれ以上拡大しないようしっかりと地方交付税を確保すべきだと考えますが、見解を伺います。
 ところで、参議院に対する総理の認識についてお伺いします。
 参議院は、時として衆議院のカーボンコピーと呼ばれることがあります。しかし、二院制はほとんどの先進国で採用され、安定した政治のためには欠かすことのできない制度であります。とりわけ、今ほど国民生活のすべての分野において税金の使い方、使われ方が問われているときはありません。この分野で参議院の果たす役割は大きいと考えます。
 実際、私たち参議院は、予算先議権を持つ衆議院との役割分担として、決算重視の方針の下、会派を超えて協力し、税金の無駄遣いの監視に力を入れてまいりました。会計検査院法の改正を参議院の議員立法で行うとともに、一昨年以降は参議院独自の調査団を対象国に派遣するなどして、ODAの使い方を追求し実績を上げてまいりました。
 安倍総理は、このような参議院の独自の在り方についてどのような見解をお持ちか、伺っておきたいと思います。
 最後に、教育問題についてお聞きをします。
 総理は、安倍内閣の最重要課題として教育再生を掲げておられます。そこでまず、改正教育基本法について伺います。
 教育は人格の完成を目指すという普遍的な理念に立って行わなければならないことは言うまでもありません。しかし、安倍総理は、いじめ、履修漏れなどの教育現場の実態には目を向けず、タウンミーティングのやらせ質問に見られる世論操作までして改正教育基本法を自公の強行採決で成立させました。この改正教育基本法の理念について改めてお尋ねをいたします。
 また、教育委員会制度の見直しについても見解を求めます。
 次に、首相直属の私的諮問機関である教育再生会議についてであります。設置の目的は何か、どのような方向に日本の教育を持っていこうとするのか、そのためにどのような議論を期待しているのか、教育振興基本計画には何を盛り込むことを想定しているのか、財政措置が保障されるのか、中央教育審議会、中教審との関係をどうするのか、以上の点について総理の明快なお答えをいただきたいと思います。
 さらに、教育再生会議の第一次報告による出席停止措置と教員の免許の更新制についても見解を伺います。間違っても、出席停止で子供たちから愛と信頼を奪い、免許の更新制で教職員から自信とやる気を奪うことのないようにと願わずにはいられません。
 教育は未来への先行投資であり、国民合意の教育改革こそが今求められています。学校に、そして教室に、勝ち組、負け組という教育格差をつくることは絶対に許されません。
 私たち民主党は、人づくりから国づくりを始め、政治は生活であるとの基調に立っています。その上で、政治を国民の手に取り戻すため、今国会を格差是正国会と位置付けました。
 今こそ、子供たちに夢を、青年に希望を、そしてお年寄りには安心を取り戻さなければなりません。何事もあいまいで、愛も信頼も感じることのできない安倍内閣に替わって、愛と信頼の政治と教育を実現するために、もはや政権交代以外にないことを強調し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 輿石東議員にお答えをいたします。
 私の政治姿勢についてのお尋ねがありました。
 総理就任以来四か月、私は、我が国そして国民のために何をなすべきか、ただこの一点で自らの信ずるところのみに従って政治を行ってまいりました。いかなる政治にも批判は付きまといますが、自らの最善と信ずる結論である以上、たじろぐことなく今後とも信念を貫いていく所存であります。
 復党問題についてお尋ねがありました。
 復党された方々は私の所信表明を支持し、私が目指す国づくりについて全力を傾けて協力をしていくことについて同意をされたのであります。党総裁である私の判断で復党を認めることといたしました。これほど明快な理由はないと考えております。これから美しい国づくりに向けて復党された皆さんとともに闘い、政策を一つ一つ実現していくことによって国民の皆様に御理解いただけるものと確信をいたしております。
 道路特定財源の見直しについてお尋ねがありました。
 道路特定財源については、昨年九月の所信表明で述べた方針のとおり、昨年十二月に道路特定財源の見直しに関する具体策を決定したところであります。これは、暫定税率期間の終了に一年先立って具体的な見直しを決定したものであり、特に、揮発油税を含め税収全額を道路整備に充てることを義務付けているこれまでの仕組みを五十年ぶりに改めることとしております。先送りや玉虫色といった御批判は当たらないものと考えております。
 なお、財源が特定財源か否かを問わず、真に必要な道路を造るべきことは当たり前のことではないでしょうか。
 総理補佐官についてのお尋ねがありました。
 世界のグローバル化が進む中で、時代の変化に迅速かつ的確に対応した政策決定を行うためには、大統領制のみならず、議院内閣制においても政治のリーダーシップの下で政策決定を行うことが不可欠であり、総理補佐官の活用を始め、総理を支えるスタッフを一層充実させることにより官邸機能の強化を進めております。
 官邸機能の強化は重要な課題であり、現在行っている取組の状況も踏まえ、その在り方を引き続き検討をしてまいります。
 私の靖国神社参拝についてのお尋ねがありました。
 靖国神社に行ったか行かないか、あるいは行くか行かないかということについては、外交問題化し政治問題化している状況にかんがみ、私が個人として考えるところに従ってあえて宣明しないこととしたものでありまして、決してこれをあいまいにしているのではありません。
 本間政府税調会長や佐田前行政改革担当大臣の任命責任についてお尋ねがございました。
 本間税調会長については一身上の都合で、佐田大臣については政治資金をめぐる問題で結果として辞任を余儀なくされたことについては、国民の皆様に対して責任を感じております。その責任の上において後任を直ちに指名をいたしました。結果を出していくことによって国民の皆様に対し責任を果たしていかなければならない、このように決意を新たにしているところであります。
 天下りについてのお尋ねがありました。
 いわゆる天下り問題については、厳しい批判があることを真摯に受け止め、予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんによる再就職を根絶する必要があると考えております。このため、実効性のある行為規制の導入と監視体制の確立により断固として改革を進めるよう、具体的な案を精査しているところであります。
 談合への対策についてのお尋ねがありました。
 国や地方における官製談合問題の頻発は極めて遺憾であります。官製談合を根絶するためには、まず、さきの国会で改正され、三月十四日に施行された官製談合防止法を徹底して厳正に執行してまいります。また、一般競争入札、一般競争方式の拡大と総合評価方式の拡充を行い、入札契約の改善に全力で取り組みます。
 政治資金の問題についてのお尋ねがありました。
 政治において大切なことは国民の信頼であります。政治家は常に襟を正していかなければなりません。御指摘の一連の政治資金の問題については、自民党総裁として党改革実行本部において検討を進めるよう指示し、既に政治資金規正法の改正を含め議論が行われているところであります。
 さらに、この問題は、政治活動の自由、政治資金の透明性等の観点から、各党各会派において同様に十分御議論をいただきたいと考えております。
 雇用の在り方についてのお尋ねがありました。
 働く現場の在り方に関して重要なことは、終身雇用か否か、正規雇用か否かを問わず、どのような働き方を選択しても、安心、納得して働くことのできる環境を整備することであります。そのため、今国会において、働く人たちのための一連の労働法制の整備に取り組んでまいります。
 具体的には、最低賃金制度を約四十年ぶりに改革し、セーフティーネットとして十分に機能するよう必要な法制度の見直しを行います。また、今般取りまとめた再チャレンジ支援総合プランに基づき、パート労働法を改正し、すべてのパート労働者を対象としてきめ細かく均衡待遇の確保や正規雇用への転換の促進に取り組むほか、いわゆる年長フリーターについては新たな就職・能力開発支援を行うとともに、雇用対策法を改正し、新卒一括採用システムの見直しを進めるなど、雇用機会の確保に取り組んでまいります。
 医療、介護についてのお尋ねがありました。
 高齢化の進行等に伴い社会保障給付の増加が見込まれる中、これまで世代間の公平の確保や制度の持続可能性を高める観点などから、医療、介護について必要な制度改革を行ってきたところであります。これらの改革に当たっては、所得の低い方に配慮するなどの措置を講じてきたところでありますが、今後とも支援を必要とする方々が必要なサービスを受けることができるよう、現場の状況等を十分把握しながら、制度の適切な実施と医療、介護の供給体制の整備を図ってまいります。
 年金制度についてお尋ねがありました。
 国民年金制度については、平成十六年の制度改正により、持続可能な仕組みを入れ込むことができたと考えております。また、国民年金の保険料については、各段階免除制度や若年者の納付猶予制度を導入するなど、負担能力に応じた納付をお願いする仕組みとなっております。政府としては、社会保険方式の下で国民年金の未納・未加入対策の一層の強化を図り、国民の老後生活等の安心を確保してまいります。
 御指摘の全額税方式については、加入者が自らの老後に備えて保険料を支払い、将来の年金権を確保するという社会保険方式を放棄するのが適切か、巨額の税財源をどうするのかなど、数々の論点があると考えております。
 年金の一元化についてお尋ねがありました。
 公的年金の一元化については、民間サラリーマンか公務員かにかかわりなく、将来に向け、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し同一の給付を受けるという公平性の確保などの観点から、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現するため、今国会に法案を提出できるよう作業を進めてまいります。
 なお、御提案の自営業者等も含めたすべての年金の一元化については、公平な保険料徴収のための所得捕捉、事業主負担分の取扱いなど数々の課題があり、制度の一面のみを議論しても意味がないと考えております。
 社会保険庁改革についてのお尋ねがありました。
 社会保険庁については、年金制度に対する国の責任を確保しつつ、新たに非公務員型の新法人を設置し、民間へのアウトソーシングを徹底するなど、廃止・解体六分割を断行するため新たな法律案を提出いたします。
 御指摘の保険料の徴収業務については、強制徴収を含め新法人が厚生労働大臣から委任を受けて行い、民間へのアウトソーシングも活用するとともに、特に悪質な滞納者については、国税庁が委託を受けて強制徴収を行うこととしております。
 なお、民主党の歳入庁構想については、年金保険料と国税とでは徴収の対象が大きく異なること、徴収業務の基本的な性格が異なることから、業務の効率化等の利点は考えにくく、また、社会保険庁を公務員のまま温存することになると考えております。
 生活保護についてお尋ねがありました。
 現行の母子加算を含めた生活保護の基準額は、母子世帯全体の平均的な所得層の消費水準を上回っています。今回の見直しは、この生活保護を受けている母子世帯と受けていない母子世帯との公平性の確保という観点に立って行うものであります。また、激変緩和にも留意しつつ、段階的に行うものであります。
 母子家庭に対しては、引き続き保育を始めとする子育ての支援、生活の支援、就業の支援など、自立に向けてきめ細かな支援を総合的に進めてまいります。
 障害者自立支援法についてお尋ねがありました。
 本制度においては、制度を皆で支えるため、国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則一割の負担をお願いをしておりますが、障害が重い方でも必要なサービスが受けられるよう、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細かな軽減措置を講じております。
 さらに、今般、法の円滑な運用を図るため、現場の声を十分に踏まえ、もう一段の負担軽減措置など、三年間で千二百億円規模の特別対策を講ずることとしており、引き続き法の定着に万全を尽くしてまいります。
 所得税と中小企業に関する税制改正についてお尋ねがありました。
 少子高齢化が進む中、国民が健康や老後に心配なく暮らしていくためには、現役世代、高齢者世代がともに公平に負担を分かち合う税制としていくことが重要であります。御指摘の個人所得課税の控除の在り方など、税の基本構造に係る見直しに当たっては、社会保障給付との関係の整備など、様々な議論が必要であると考えます。
 中小企業税制については、平成十九年度税制改正において、中小企業を留保金課税の適用対象から除外するとともに、実質的な一人会社がオーナー役員への給付を経費として計上することを制限する措置を緩和するなど、企業の活性化の観点から思い切った見直しを行うこととしております。
 消費税の引上げについてお尋ねがありました。
 我が国財政は引き続き極めて厳しい状況であり、今後とも、経済成長を維持しながら国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組んでまいります。
 歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければなりません。
 本年秋以降、本格的な議論を行い、十九年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。
 日銀の金融政策についてお尋ねがありました。
 具体的な金融政策の運営については日銀の専管事項であります。先般の決定についても、日銀が経済・物価情勢を分析し、金融政策決定会合において十分議論した上で、日銀の御判断で政策金利を現状維持されたものと承知をしております。
 来る参議院選挙の争点についてお尋ねがありました。
 私は、施政方針演説で明確に述べたとおり、国民の働き方、暮らしの向上、教育の再生、そして憲法を頂点とする戦後レジームの大胆な見直しなど、いずれの課題に対してもあるべき姿や道筋を国民に示し、実現に向けて全力を挙げて取り組んでいく所存であります。
 また、私は、国民にとって身近な経済や生活の問題から逃避する考えは全くありません。政府は、成長力を強化し、その実感を国民が肌で感じることができるようにするための様々な具体的方策を提案いたします。今国会での徹底的な論戦を通じて国民の皆様に御判断いただけるものと考えております。
 米政府のイラク政策についてお尋ねがありました。
 今般の米政府のイラク政策の発表においてブッシュ大統領は、イラクの安定化と復興に向けた米国の決意を示されたと承知をしております。このような米国の努力が効果的に進められ、良い成果を上げることを期待するとともに、我が国としては今後とも国際社会と協力し、イラクの復興支援に取り組んでいく考えであります。
 政府のイラクに対する取組についてお尋ねがありました。
 当時、イラクは十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反をし続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識の下で、政府としては国連安保理決議に基づき取られた行動を支持したものであります。
 また、国連安保理決議に基づく自衛隊による人的貢献やODAによる支援等の我が国の主体的なイラク復興支援は、イラク政府やイラク国民からも高い評価を受けているところであります。
 イラクからの航空自衛隊の撤収についてお尋ねがありました。
 今後のイラクにおける空自部隊の活動の在り方について、イラクの政治状況、現地の治安状況、国連及び多国籍軍の活動や構成の変化等の諸事情をよく見極めながら、イラクの復興の進展状況などを十分に勘案した上で適切に判断をしてまいります。
 山崎議員の訪朝についてお尋ねがありました。
 山崎議員は政府を代表して訪朝したわけではありません。また、山崎議員の訪朝結果について直接報告を受けておりません。
 北朝鮮問題の解決についてお尋ねがありました。
 我が国は、対話と圧力という一貫した考え方の下、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を一日も早く解決すべく、米国、中国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、総合的に粘り強く取り組んでいく考えであります。
 地方分権の推進についてお尋ねがありました。
 地方の活力なくして国の活力はありません。地方のやる気、知恵と工夫を引き出すには、地域に住む方のニーズを一番よく分かっている地方が自ら考え、実行することのできる体制づくりが必要であります。私は、地方分権を徹底して進めてまいります。
 地方分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めてまいります。
 地方交付税の総額確保についてのお尋ねがありました。
 地方の活力なくして国の活力なしとの考えの下、やる気のある地方が独自の取組を展開し、魅力ある地方に生まれ変われるよう地方分権改革を推進してまいります。
 その際、財政力の弱い地域にあっても、一定水準の行政サービスを提供することができるよう、地方交付税などにより適切に対応してまいります。このため、二〇〇七年度予算にあっては、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税等の一般財源総額を前年度を上回って確保しているところであります。
 参議院での独自の取組についてお尋ねがありました。
 参議院においては、これまでも特に決算審査を重視され、決算の早期提出や、一昨年十月の会計検査院法の改正による随時報告の制度創設など種々の改革を進められるとともに、さきの通常国会において設置された政府開発援助等に関する特別委員会を通じてODA予算のチェックを行うなど、独自の取組を進められていることに対しまして改めて敬意を表します。
 今後とも政府としては、決算の早期提出等により、ODA予算を含め参議院における決算審議の充実等にできる限り協力をしてまいります。
 改正教育基本法の理念についてお尋ねがありました。
 新しい教育基本法では、人格の完成などこれまでの教育基本法の普遍的な理念は大切にしながら、我が国の教育を取り巻く状況の変化を踏まえ、道徳心、自律心、公共の精神など、教育に関する課題の解決に向け必要となる基本理念を規定したところであります。この新しい教育基本法の精神にのっとり、教育再生会議における議論を深め、社会総掛かりで教育改革を一層推進し、教育新時代を開いてまいります。
 教育委員会についてお尋ねがありました。
 教育委員会制度については、期待されている機能を十分に果たしているとは言えず、教育再生会議においてもその在り方を抜本的に問い直すと提言がなされております。今後、教育再生会議での議論を更に深め、その具体的改革案をしっかり形作ってまいります。
 教育再生会議、教育振興計画についてお尋ねがありました。
 教育再生は、私の内閣における国政上の最重要課題であります。そのため、すべての子供に高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障し、公教育の再生を行うとともに、家庭、地域の教育力の向上などの教育の抜本的な施策を推進する組織として、内閣に教育再生会議を設置をいたしました。このような観点から、教育再生会議における議論を深め、社会総掛かりで教育の基本にさかのぼって改革を推進してまいります。
 教育振興基本計画については、教育再生会議の提言も踏まえ、教育改革の具体的施策を盛り込み、改革を実効あるものとしてまいります。その策定や必要な制度改正については中央教育審議会でも必要な検討を行うなど、内閣を挙げて取り組んでまいります。また、歳出歳入の一体改革を推進しつつ、教育再生に必要な予算の充実を図ってまいります。
 出席停止措置と教員の免許の更新制についてお尋ねがありました。
 いじめられている子供を守り、いじめている子供を立ち直らせる観点から、度重なる指導や懲戒にもかかわらずいじめや暴力行為を執拗に繰り返すような子供に対しては、現行法に基づき、毅然として出席停止制度を活用する必要がある場合もあると考えております。その際には、当然、関係機関が協力して指導・サポート体制を取るなど適切な対応が必要であります。
 また、教員の質の向上を図るため、教員が時代の変化や要請に合わした教育を行える能力や資質を確保するよう、教員免許の更新制を導入することが必要と考えております。今国会に必要な法案を提出する考えであります。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(扇千景君) 青木幹雄君。
   〔青木幹雄君登壇、拍手〕
#16
○青木幹雄君 私は、自由民主党を代表して、安倍総理に質問をいたします。
 最初に、我が参議院全体の問題として一言申し述べます。
 昭和二十二年四月二十日、初の参議院通常選挙が行われ、全国区百名、四十六の地方区から百五十名、計二百五十名が選出をされました。一月後の五月二十日に第一回国会が召集され、以来六十年、参議院は今年還暦を迎えることになりました。いろいろな面で節目の年であります。
 当時は、中選挙区主体の衆議院と違って、全県一区と全国から職能代表の議員で構成する参議院は、多様な民意を国会に反映し、行政府を正し、衆議院に対する抑制、均衡、補完の使命を果たしてまいったと自負いたしております。
 ただ、国民の期待に十分こたえ得てきたのか振り返って考えてみますと、いささか内心じくじたるものがございます。二院制の下、国権の最高機関の一翼を担う参議院として、国と地方、加えて国際社会に山積する諸問題に果敢に取り組み、これを解決していく重大な責務を我々は背負っていることを自覚しなければならないと考えております。
 それでは、質問に入ります。
 二院制の下、予算の先議権、優位性を持つ衆議院に対し、参議院の独自性を発揮するため、本院はこれまで党派を超えて決算とODAに全党的に取り組んでまいりました。参議院改革の重要な柱でもあるこの二点について、既に私は一昨年、昨年の二度にわたる代表質問で、参議院としての考え方を明確に示しながら政府の方針を伺ってまいったところであります。
 このことも踏まえ、十分に安倍総理には率直かつ明快な答弁を求めるものであります。
 まず、決算について伺います。
 御案内のとおり、民間の企業経営に当たっては、予算や経営計画などを立てる際、前年度の事業実績である決算を検証し、それを反映させていくことが当然のこととして行われております。決算の後に予算を決定する、この基本的な仕組みは国政にとって本来最も大切なことだと思っております。
 しかし、国においては決算は軽視され続けてまいりました。そこで、この現状を改めて、効果的、効率的な行財政運営のため、決算の重要性を高めることが求められてきたと認識をいたしております。
 こうした中、本院では、平成十五年一月の参議院改革協議会による決算の早期審査のための具体策の合意を機に、その具体化が図られることとなり、既に十六年度決算まで四年連続で通常国会内に審査を終えてまいったところであります。十七年度決算は、会計検査院等の努力により、昨年十一月下旬に国会提出され、本会議で質疑を行い、十二月には決算委員会において全閣僚出席の下、質疑が行われました。
 このように、予算編成前に参議院の決算審査を開始するという仕組みを定着させることで、決算審査を予算へ的確に反映させていくよう努めなければならないと考えております。
 しかし、一昨年の十六年度決算は、臨時国会が秋に開会されなかったため、審査の開始が翌年の通常国会冒頭となりました。そのため、十六年度の決算審査は十八年度予算編成に何ら反映されることがなかったのであります。
 こうしたケースもあることから、秋に決算審査をいかにスタートさせていくのか、法改正を含め、審査の実施の在り方について我々参議院としてもしっかりと議論をしていかなければならないと認識をいたしております。
 また、参議院では、こうした決算の早期審査だけでなく、審査内容の充実や会計検査院の機能強化のための取組も行っており、一昨年には、随時報告を可能とするなど会計検査院法の改正を行いました。これは、会派を超えて参議院が一致結束して立案した議員立法であります。この検査院による国会への随時報告は有識者からも高い評価を得ており、我々としても国会の場で的確に取り上げるよう努めてまいります。
 改めて申すまでもなく、参議院は衆議院とは異なり六年間の任期で解散がないため、じっくりと腰を据え、長期的視野に立った政策効果の検証が可能であります。したがって、今後ともこの参議院の特性を生かし、決算審査の充実化はもとより、より実効性の高い警告決議の採択などを図り、決算に対するチェック機能を強めていきたいと考えております。
 ここで、誤解を招くといけませんので申し上げますが、決算審査の強化は、参議院の独自性の観点からのみで主張しているわけではありません。深刻化する少子高齢化や財政状況の悪化など様々な課題がある中、これらを克服し、我が国が永続的に発展していくためには、決算を予算に反映させ、行財政執行の適正化を図ることが不可欠と考えるからであります。そのために我々は、今後とも、会計検査院の連携協力を得つつ、一層の努力を積み重ねてまいります。政府においても、参議院決算審査に引き続き御協力をいただくよう要望をいたします。
 そこで、以上の点を踏まえて、改めて安倍総理から参議院の決算審査についての御所見を伺うとともに、政府として本院の決算審査を受け予算の効率化にいかに取り組まれているのか、御答弁をお願いいたします。
 次に、ODAについて伺います。
 ODAは、昭和二十九年の開始以来、国際貢献の重要な手段として国際社会の平和と発展に寄与をしてまいりました。
 ODAには、大別すれば二つの機能、役割があると考えております。
 その一つは、飢餓や貧困問題等の解決のため、人道的な立場からなされるODAです。
 今、国際社会は、二〇一五年までに極度の貧困や飢餓の撲滅等八つの目標を掲げ、その達成に向け一生懸命取り組んでおります。我が国も、国際社会の一員として、また世界第二位の経済大国として、引き続き経済協力に積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
 ODAの担う役割の二つ目は、戦略的に活用することで国益の増進を図るという点にあります。
 ODAは我が国にとりまして最も重要な外交手段の一つであります。厳しい財政状況にあって国民の税金を使って実施しているのですから、当然のことながら国益に沿った援助でなければなりません。しかしながら、我が国のODAが戦略的、効果的に使われているかに関しては、到底十分と言えないものがあると私は考えます。
 その一例を挙げれば、記憶に新しいところでは、一昨年、我が国の国連安保理常任理事国入りを目指したG4の枠組み決議案の廃案があります。この要因は、米国の反対などいろいろとありますが、結局はアフリカや近隣国の理解を得られなかったことに尽きると私は考えております。特に、決議の共同提案国に我が国のODA拠出が増加していたアフリカ諸国がなかったのは、誠に残念なことでありました。
 安倍総理は、施政方針で安保理入りへの決意を明らかにされております。そのためにも、過去の事例から学び、ODAがこれまで有効に機能していたのか、まずしっかりと検証する必要があると思います。その上で、今後は、我が国の外交方針に国連等の場で被援助国から積極的に理解や支持をいただけるよう、戦略的にODAが活用されることを期待するものであります。
 そこで、以上を踏まえ、ODAの戦略的な実施についていかに対処されるのか、政府の方針を伺います。
 さて、参議院は、昨年一月にODA特別委員会を設置するとともに、平成十六年度から三年連続で議員を現地派遣し、ODAに関する調査を実施してまいりました。政府には、派遣団の報告書を予算編成やODA施策の立案、実施の際にしっかりと活用していただきたいと思っております。
 しかし、現状では、委員会の場で議員間の意見交換等しかなされていないのが実情であります。そのため、ODA予算を決定する前に派遣議員と政府との間で意見交換を行う場を設けるのも一つの方法と思います。是非、前向きに御検討いただきたい。総理の御所見をお伺いいたします。
 なお、この議員派遣の在り方には、我々としても改めるべき点があると考えております。それは、実施時期の問題です。
 ODA調査は、党派を超えて取り組む重要な課題であるにもかかわらず、派遣の実施はこれまで国会閉会の時期にしか行われてきませんでした。しかし、今後は相手国の事情も考えた上で、適切な時期に実施されるよう努めなければならないと考えております。
 そこで、参議院改革協議会で国会開会中でもODAの派遣を行うことができるよう検討すべきであると、この際、参議院各会派の皆様に提案しておきたいと思います。
 私どもは、今年七月、参議院選挙を控えております。各党、党の命運を懸けた選挙だと言われております。結果は神のみぞ知るでございますが、選挙後も、参議院の大きな柱である決算とODAにみんなで協力して取り組んでいくことをこの際確認しておきたいと思います。
 次に、格差問題について伺います。
 私は、昨年の通常国会の代表質問において、地域間格差問題を取り上げ、日本国内が光と影に二極分化し、格差が広がっているのではないかと指摘をいたしました。政府は、好景気がイザナギ景気を超え六十か月続いていると報告をいたしておりますが、依然として好景気の恩恵は、地域や業種、企業の規模などによりばらつきがあり、限られた人たちにしか及んでいないように思われます。
 政府は、ここへ来て格差という言葉を避けておられるようでございますが、私は格差が存在することは紛れもない事実であると考えています。こうしたことから、格差問題が今国会の大きなテーマの一つとなっております。
 そもそも、経済という言葉は経国済民を略したものであり、国を治めて民を救うという意味であります。経済政策を決定し、実施していく政治は、一部の地域や国民のためにではなく、すべての国民生活の向上のためにあります。
 格差問題は、与党に所属するか野党に所属するかにはかかわらず、政治に携わる者全員で取り組んでいかなければならない大きな課題であります。仮に、政党により違いがあるとするならば、それは具体策の違いでしかありません。国会の場において、各党が国民に分かりやすく十分に議論をし、格差問題に取り組み、経済が好調な今のうちにしっかりと是正していかなければならないと考えております。
 これは一つの島根の例ですが、私の出身地島根県の人口約二万人の隠岐島で、このような話が最近ありました。
 過疎に悩むこの島では、一時期、産婦人科の医師がいなくなってしまったのであります。医師不在の半年間に六十人の妊婦の方が本土に渡って出産をいたしております。現在は自治体や医療機関の努力で何とかお医者さんに住み込んでいただいておりますが、医師不在のとき、往復の旅費や産気付く前に大事を取って入院することによる入院費など、元々所得の低い住民にとって更に耐え難い負担が掛かるようになってしまいました。このため、自治体は乏しい財政の中から約一千万円の助成金を負担をいたしたわけであります。このような話は、決して隠岐島だけでなく、地理的条件の悪い過疎地や離島など、全国各地に随分あると私は思います。
 これに関連した話としては、生まれた子供の保育についても、町の財政が厳しい地方においては十分な予算措置ができず、大都市とは比較にならない保育料を徴収している例も多いと聞いております。これでは、貧しいがゆえに大きな負担を強いられてますます貧しくなり、国民の間の格差が拡大していくだけではなく、今我が国が早急に取り組まなければならない一番大きな問題である少子化も進んでしまうことになります。
 全国どこに住んでいても、安心して子供を産み育てることのできる環境を整えることが少子化対策として最も今必要なことではないでしょうか。総務、厚生両大臣には、全国の実態をよく調査し、しっかりと対応をしていただくことを要請をいたします。大臣の答弁は要りません。
 「美しい国、日本」を提唱する総理は、就任以来、格差を感じている人や地域が多いのは事実であり、すべての国民が景気回復を、構造改革の成果を実感できる政策運営を行っていくと発言をされ、地域間格差の問題については、地方の活力なくして国の活力はない、都市と地方の間における不均衡を是正していくと総理はしっかりと述べられております。
 さらに、企業規模間における格差問題については、活力に満ちた日本経済には全国四百三十万の中小企業の元気が不可欠であるとも述べられております。
 また、国民の所得格差問題については、税制や社会保障制度等を通じた再配分機能が重要な役割を果たしており、これらの制度が持続可能なものであるよう改革を進めていく、正規労働者とパートタイマーなどの非正規労働者の間の均衡処遇の実現に向け、法的整備を含め検討を進めていくと発言され、格差を感じる人がいれば、その人に光を当てるのが政治の役割であると述べ、格差是正に総理はしっかりと熱意を示してきておられます。
 こうした発言から、総理がつくろうとしている美しい国は、すべての国民が安心をして豊かに暮らせる社会を目指すことだと思います。総理は、いかなる政策手段によってこうした社会を実現されるおつもりか、今国会を通じて、国民が安心できるよう親切丁寧に説明をしていただきたいと思います。御所見を伺います。
 次に、環境問題について伺います。
 総理は、「美しい国、日本」の姿の一つに、文化、伝統、自然、歴史を大切にする国を挙げられました。美しい島々から成る我が国は豊かな自然に恵まれ、国民は自然とともに生きてまいりました。自然の息吹が我々の先祖をはぐくみ、その中から日本独特の庭園や世界に誇る日本画、和歌などが生まれ、すばらしい文化が脈々と続いてきております。四季折々の美しい自然が文化、伝統、歴史をつくったのであり、今に生きる私たちはこの自然を守り、後世に伝えていかなければならない大きな責任があると思っております。経済発展による国づくりだけでなく、環境が守られ、整備され、豊かな自然と国民が共存する国づくりを進めることを望みます。
 温暖化の現れでありましょうか、地球的な規模で気象の変動などが各地で見られます。国民の環境問題に対する意識も高い現在、急務となっているのが温暖化対策であります。
 総理は、さきの演説で地球温暖化対策を加速すると言明をされました。我が国には、京都議定書をまとめた議長国としての大きな責任があります。議定書の第一約束期間が来年に迫る中、目標の達成には、国民、政府の総力を結集した取組が必要と考えております。世界一の我が国の環境技術も海外に普及させ、各国との協力も推進すべきです。総理の御決意を伺います。
 昨年九月二十六日に第九十代内閣総理大臣に就任されてから四か月がたちました。
 初めての臨時国会で、我が党立党の原点である自主憲法制定に並ぶ長年の懸案であった教育基本法を成立させ、加えて、防衛庁を省に昇格させる、言わば国家の根幹を成す、歴史に残る政策の実現など大きな実績を残してこられました。
 今、通常国会を迎え、総理は改革を継続し加速させる大きな責務を背負っておられます。憲法改正に向けた手続法の制定や公務員制度の改革、そして喫緊の課題であるいじめ問題などを始めとする教育再生、少子化問題等……
#17
○議長(扇千景君) 時間が超過しておりますので、簡単に願います。
#18
○青木幹雄君(続) 総理が取り組むべき課題は山積しております。
 マスコミ等は内閣支持率の下落を大きな話題として報道いたしておりますが、政治はテレビの視聴率競争ではないのです。もちろん、政治家が真摯に世論に耳を傾け、政治を行っていかなければならないのは当然でありますが、しかし、支持率に一喜一憂して人気取りに走る政治に陥ってしまえば、国益に必ずしも一致するとばかりは言えないと私は考えております。
 総理、私は、人それぞれに生まれ育ってきた環境も異なれば、生来の個性も異なると思っています。あなたはまだ五十二歳という若さがあるんです。総理自身の若さ、個性を十分に発揮し、志を曲げずに、しっかりと腰を落ち着け、安倍カラーを出しながら、真っすぐに「美しい国、日本」の創生に邁進していただきたいと思います。
 そのために、私ども参議院自由民主党はあらん限り総理を支えていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 青木幹雄議員にお答えをいたします。
 参議院における決算審査と予算の効率化への取組についてお尋ねがございました。
 決算を取りまとめた後、国会において御審議いただくことは、国民への説明責任を果たすなどの観点から重要なことと認識をいたしております。この点につきましては、参議院において、これまでも特に決算審査を重視され、種々の改革を進められてきたことについて改めて敬意を表します。
 また、参議院における決算審査の結果を受け、例えば十九年度予算においては、特別会計における約一兆八千億円の余剰金等の一般会計への繰入れや公益法人等の資金規模の見直しによる約一千億円の国庫返納を措置するなどの取組も行っております。
 今後とも、様々な面から予算の効率化に努めていくことが重要であると考えております。
 ODAの戦略的な実施についてお尋ねがありました。
 ODAは、我が国の重要な外交手段の一つであり、国際社会の諸課題の解決や我が国の国益実現のために戦略的に活用していきます。また、国際社会における地位に見合った貢献を行う観点から、ODA事業量の百億ドル積み増しなどの国際公約を着実に実施してまいります。
 安保理改革については、一昨年我が国が目指した決議案の採択には至らなかったものの、我が国の常任理事国入りに対して、アジアやアフリカの途上国を含め、多数の支持を得ております。このような高い評価は、国際社会の平和と繁栄のため、我が国がODAやその他の手段を通じて積極的なリーダーシップを発揮をしていることが大きな基礎となっていると考えております。
 今後とも、私が議長を務める海外経済協力会議が審議する基本方針の下で、我が国にとって好ましい国際環境をつくるべく、ODAを一層戦略的に活用していく考えであります。
 ODA調査団派遣議員との意見交換について御指摘がありました。
 政府としては、三回の派遣団提言を真摯に受け止め、予算案やODA施策の立案、実施に最大限反映するなど、フォローアップに努めてまいります。御提言を踏まえ、派遣議員を含む関係議員から積極的に御意見を伺うようにするとともに、国会での議論を一層深めていきたいと考えております。
 格差是正に向けての政策手段についてお尋ねがありました。
 私は、努力した人と汗を流した人が報われる、達成感を感じる社会にしていくことが重要と考えており、単純に、人々の努力の違い、能力の違いに目をつぶって、結果平等を目指すような社会をつくろうとは思っていません。
 ただ、重要なことは、格差が不公平、不公正な原因の結果生まれたものであってはならないということであります。また、努力が成果に結び付くことを阻害している要因があれば、それを取り除くことが重要であると考えております。
 現在、企業規模や地域間の回復にばらつきが見られるものの、全体としては少し明るい兆しも現れてきております。今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らされていくことが重要であると考えております。
 このため、まずはオープンな経済とイノベーションを通じて成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図ってまいります。
 また、今般取りまとめた再チャレンジ支援総合プランなどを通じて、パート労働者の正規労働者との待遇の均衡化、正規雇用への転換等に取り組み、だれでも再チャレンジが可能な社会の実現を目指してまいります。同時に、しっかりとしたセーフティーネットの構築を進め、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するよう必要な見直しなどを行うとともに、働く意欲を引き出す就労支援を図ります。
 さらに、雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地域支援を活用した中小企業の新事業展開への支援、地方の魅力を生かした活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化等を進めてまいります。
 京都議定書の目標達成のための取組と国際的な協力についてお尋ねがありました。
 地球環境問題への対応は、我が国の知恵と勇気と創造力をぶつけるべき大きな課題と認識いたしております。京都議定書上の目標の確実な達成に向けて、新エネルギーの導入や徹底した省エネルギーの推進など、対策の加速化を図るとともに、目標達成計画の総合的な評価、見直しを進めます。
 また、政府開発援助やクリーン開発メカニズムによる技術移転などを通じて、我が国の優れた環境技術を生かした国際協力を積極的に進めてまいります。
 さらに、国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明示し、今後の世界の枠組みづくりへ我が国として貢献する上での指針として、二十一世紀環境立国戦略を六月までに策定をいたします。(拍手)
#20
○議長(扇千景君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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