くにさくロゴ
2007/01/31 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第4号
姉妹サイト
 
2007/01/31 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第4号

#1
第166回国会 本会議 第4号
平成十九年一月三十一日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成十九年一月三十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。草川昭三君。
   〔草川昭三君登壇、拍手〕
#4
○草川昭三君 公明党の草川昭三です。私は、公明党を代表して、安倍総理の施政方針演説を始めとする各大臣の演説に対し、質問をするものであります。
 今日、我が国の財政を健全化させることは最大の政治課題であります。私は、平成十九年度予算はその健全化に向けて大きく前進したものだと評価をしております。国債発行額は実に四兆五千億円も減額され、過去最大規模となりました。それに伴い、国債依存度も急速に低下し、あと少しで三割を切るところまで改善をしております。
 このように、国債発行額を大幅に削減できた要因としては、イザナギ景気を超える長期の経済成長に伴い税収が増加したことや、厳しい歳出削減努力がなされたことなどが挙げられると思います。その税収の増加幅は七兆六千億に上り、過去最大になる見通しとなっております。
 この税の自然増収分は、そのほとんどが国債発行額の削減に振り向けられ、高齢化等で増えざるを得ない社会保障予算の増加分は、公共事業やODAなどの経費の削減によって賄われています。これは財政健全化を第一にしたものであり、正しい政策選択であったと評価をしています。
 そこで、税収の増加の要因についてお尋ねをいたします。平成十六年度以降の増収の柱は法人税となっていますが、それは単なる景気拡大によるものなのか、非正規労働者の増加で労働分配率が下がり企業収益が改善したことによるものなのか、円安による収益増が寄与したものなのか、あるいはそれ以外の要因なのか、政府の見解をお尋ねをいたします。
 こうした税収の増加によって、当面の財政健全化の目標である二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化は達成が確実になったと言われております。一般会計の基礎的財政収支は、平成十八年度には十一兆円不足をしていると言っていましたが、来年度は四兆四千億円となり、一気に七兆円近く改善をいたしました。しかし、七兆円を超える税収の増加が今後も続くとは限らず、それを過度に期待することは危険ですらあります。
 二〇一一年度までには基礎年金の国庫負担の引上げという大変高いハードルもあります。総理は、このハードルをクリアして黒字化を達成するほどの増収が今後も続くと予測をしておられるのでしょうか。その根拠を伺いたいと思います。仮に、想定をした自然増収が得られない場合、歳出削減だけで黒字化を達成できるかについても併せて御答弁をお願いをいたします。
 平成十四年二月以降、構造改革に努めたこともあり、我が国の経済は回復しています。しかし、率直に申し上げて、実際に町を歩いてみるとそうした景気回復を肌で感ずることはできません。
 こうした背景の一つには、好調な企業部門に対して家計部門の所得の伸びに力強さがないことが挙げられると考えます。我が国の企業が厳しい国際競争にさらされるとともに、将来の成長に備えた設備投資や株主への利益還元等、様々な対応が求められていることは理解できます。しかし、今後の経済成長を確かなものとするためには、家計が受け取る所得が増加し、それとともに消費が増加するというメカニズムを働かせる仕組みがこれは大変大切だと思うわけであります。今後、景気回復の果実をどう被雇用者に波及をさせていくのか、総理の見解をお伺いをいたします。
 地方交付税についてお伺いいたします。
 財政健全化に向け、政府は地方交付税交付金について抑制に努めております。実際、平成十九年度予算では地方自治体への配分額は十五兆二千二十七億円と四・四%削減をしています。しかし、その配分方法については、制度改革を伴う見直しにはほとんど踏み込んでいません。
 地方税収を見ると、東京などの大都市といわゆる地方の間では大きな格差があり、地方交付税を配分しても大都市のみが財政力を付けていくという問題が発生しています。これまでどおり、ただ地方交付税を総額で抑制していたのでは、地方自治体間の格差は開くだけであります。量の改革の一方で、地方ごとの財政力の格差を解消するなど、質の改革に踏み込む必要があるのではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 次に、補正予算の在り方についてお伺いをいたします。
 平成十八年度の補正予算では、地方自治体への合併補助金を九百八十四億円計上しています。これは、市町村合併の推進のため、昨年三月末までに合併をした市町村に今後十年の間に交付するものです。総務省の試算では、十年間で千五百億円の交付を見込んでいると聞いております。この補助金は政府の約束ですから計上するのは当然ですが、今回の補正予算でその三分の二を交付することになりました。昨年三月に締め切ったことを考えれば、今年から来年にこの補助金の交付額が急激に膨らむことは容易に予想できたはずですが、総務省は、十八年度当初予算でも十九年度予算の概算要求でもほとんど計上していませんでした。
 御存じのとおり、補正予算は本予算とは異なり、歳出の上限であるシーリングの対象とはなりません。本予算で計上すれば総務省予算のほかの歳出をその分だけ減らさなければなりませんが、補正予算なら他の総務省予算に影響はありません。補助金を速やかに出すのは必要ですが、本来は当初予算で措置をすべき経費とも考えます。財務大臣のお考えをお聞かせください。
 政策評価制度についてお尋ねをいたします。
 これまで参議院は、行政監視委員会において政策評価やその見直しをテーマに調査を行ってまいりました。本会議においても、平成十五年に政策評価に関する決議、あるいはまた平成十七年には政策評価制度の見直しに関する決議を行うなど、政策評価制度の運用に強い関心を持ってまいりました。
 既に政策評価制度の導入から六年が経過をしました。政策評価を行った結果、具体的にどの程度節減効果があったのでありましょうか。また、公共事業等の見直しはどの程度行われたのでありましょうか。国民に分かりやすく説明をしていただきたいと思います。総理の御答弁をお願いを申し上げます。
 諸外国では、評価と予算をリンクさせた業績予算が導入されていると聞いております。一方、我が国では、総務省が政策評価制度を所管していることから、評価と予算をリンクさせる仕組みがありません。現在、財務省は、概算要求時における政策評価調書の提出を求め、予算編成に反映をさせる独自の取組を行っていますが、この際、政策評価の結果を予算編成に反映させる仕組みをきちんと作るべきだと考えます。総理の見解をお伺いをいたします。
 また、各府省から公表をされる政策評価書は量が膨大である、それに加え、内容が大変難解な文言となっております。もっと国民に分かりやすく説明をするための工夫をする必要があると思いますが、併せて御見解をお願いを申し上げます。
 環境政策について伺います。
 総理は、過日、欧州を歴訪された際に、地球温暖化対策に向けた努力と国際連携を強く働き掛けたと伺っております。来年は我が国がG8サミットの議長国となります。今後とも外交の場において環境先進国としてのリーダーシップを発揮し、国際的な枠組みづくりを主導するためには、我が国自身が来年に迫った京都議定書の国際約束を確実に達成し、加えてポスト京都議定書の新たな枠組みを提示することが重要だと考えます。
 そこでお尋ねをいたしますが、昨年十一月、若林環境大臣は、ナイロビで行われました地球温暖化対策のための国際会議、COPMOP2において、京都議定書目標達成計画の着実な実施を通じてマイナス六%の温室効果ガス削減約束を確実に達成する決意を表明されました。
 一方、安倍総理は、施政方針演説では、京都議定書目標達成計画に基づく地球温暖化対策を加速するとは述べられた、加速するとは述べられましたが、目標を達成するとは言明されませんでした。これは、現段階で政府に確実な目標達成の見通しが立っていないということなのでしょうか。その理由をお聞かせください。さらに、今年六月までに策定をされる二十一世紀環境立国戦略の中に目標達成のための新たな方策及び長期的な地球再生のための具体策を盛り込むお考えがあるのかどうか、お答え願います。
 また、今後、ポスト京都議定書の国際的枠組みをどのように構築されていくお考えなのでしょうか。現在、アメリカは京都議定書から離脱をしておりますけれども、米国の方針にかかわらず、G8サミットなどの場で新しい枠組みを独自に提示をするお考えがあるのかどうかも併せて御見解を賜りたいと思います。
 外交・防衛問題についてお伺いをします。
 去る一月十一日、中国が自国の衛星を弾道ミサイルによって破壊する実験に成功したとの情報が米国からあり、これに対し塩崎官房長官は記者会見で、中国側に事実関係と意図の説明を求めると述べました。今回の実験を機に宇宙空間で米国と中国が無益な軍拡競争に走ることになってはいけないというのが日本国民の率直な願いだと私は思います。また、中国が古い気象衛星を爆破したことで、気象衛星などを損傷させる可能性のある破片が無数に衛星軌道にばらまかれ、国民生活にも影響が出てくることの心配が指摘をされております。
 そこで、中国の今回の実験について安倍総理はどのような認識を持っておられるのか、まずお尋ねをいたします。
 その上で、仮に我が国の衛星が他国によって破壊された場合、国際法上いかなる扱いになるのか、さらに、日本の領域外の宇宙で衛星が攻撃を受けた場合であっても、武力攻撃事態法上の武力攻撃事態や武力攻撃予測事態に該当する場合があるのかどうか、見解をお尋ねいたします。
 さらに、私は、宇宙の平和利用の観点から、日本として今後、宇宙空間において他国の衛星を故意に破壊をする行為を明確に禁止をするというように各国に働き掛けをすべきであると思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか、見解をお尋ねを申し上げます。
 次に、平成十六年の四月に改正されました油濁損害賠償保障法に関して問題提起をしたいと思います。
 この改正によって、十七年の三月から、我が国に入港する百トン以上の船舶は船主責任賠償責任保険、いわゆるPI保険への加入が義務付けられました。当時、北朝鮮船舶の加入率がわずか二・八%と極めて低かったことが大きな話題となりました。
 この改正法が規定をいたしました保険の対象は、一つが船舶から油が流出した場合の汚濁海面及び陸岸の清掃費用であり、二つ目が船舶が沈没若しくは座礁しスクラップとなった場合の船骸撤去費用です。
 言い換えれば、この二つにさえ加入しておけば我が国へ入港できるということになります。そこで、一部の外国船舶の中には、この二つだけしか保険の手当てをせず、その上、当該船舶が日本の海域にいるときのみ保険が適用になるという必要最低限の保険手当てで入港してくるのがあります。
 当然のことながら、船舶が事故に遭遇して引き起こす損害はこの二つに限りません。船舶同士の衝突で人命が失われることもまれではありません。船舶が港湾施設や水産物の養殖施設に衝突し、損害を与えることもあります。ところが、一部の外国船の保険では、いずれも支払の対象外となってしまいます。これを自動車保険に置き換えて考えれば、人身や物損の保険には加入せず、保険の特約部分だけに加入をしているようなものなのです。現に昨年、このような外国船舶が北海道の漁船と衝突し、漁船の船長が亡くなるという痛ましい事案が発生をしておりますが、この際にも十分な賠償を得ることができませんでした。
 海洋国家である我が国が広く外国の船舶に門戸を開放すべきであることは言うまでもありません。しかしながら、事故を起こし、我が国国民の生命や財産に損害を与えながら何の責任も取らない外国船舶があるというのは許されることではありません。
 そもそも、国際水準の保険の手当てができないような船舶は安全管理体制そのものが不十分と考えるべきではないでしょうか。したがって、法律で決められた安全についての立入検査、いわゆるポートステートコントロールの実施の際、船主責任の保険手当てについて国際水準に合致するよう外国船舶に指導すべきであると考えますが、見解をお伺いをします。
 人権擁護法案についてお尋ねをいたします。
 人権擁護法案につきましては、平成十四年の通常国会に政府案が提案をされましたけれども、継続審議を繰り返した後、衆議院解散に伴い未了、廃案となりました。人権意識の高まりとともに、各分野における人権救済制度の確立は大きな課題となっております。人権侵害を受けた人たちが泣き寝入りをするというような状態が放置されることがあってはなりません。実効的な救済が図られることが急務であります。
 昨年の通常国会においては、小泉前総理より、政府・与党内で更に検討を進め、人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるよう努める旨の答弁があったところであります。この問題には、これまでの国会審議も踏まえ、与野党が議論を進めた上で、早期に私は実現を図ることが望ましいと考えます。安倍内閣の人権擁護法案提出に向けた取組について、総理の御見解をお願いを申し上げます。
 次に、来年にその実施を控えました日本版SOX法の現状についてお尋ねをいたします。
 昨年六月に成立をしました金融商品取引法は、その中に企業の内部統制制度を義務付ける条項が含まれているため、日本版SOX法とも呼ばれております。通常なら準備期間に一年半から二年は掛かると言われていますが、残り一年余りとなった現在でも、いまだ準備に手付かずの企業が相当数に上っていると報じられております。内部統制制度に対する企業の認識不足もありますが、何といっても制度の構築に相当な多額の費用が掛かることが大きな要因と言われております。
 さらに、内部統制制度を構築した後も、仮に財務報告書に虚偽の記載がされていることが発覚すれば、経営責任者は五年以下の懲役、五百万円以下の罰金が科せられることになり、また企業には五億円以下の罰金が科せられることになり、大きな不安が広がっております。
 実施を急ぐ余り、企業側の体制が不十分なままスタートをすれば、違反企業の続出となりかねません。そうなれば、かえって市場の信頼を失うおそれすらあります。来年四月の実施時期の延期を含めて、企業側の体制整備の状況をよくチェックしながら柔軟な対応をすべきと考えますが、総理の見解をお尋ねを申し上げます。
 次に、三角合併についてお伺いをします。
 昨年の五月に施行されました会社法、この中に三角合併の条項が盛り込まれておりますが、本年の五月、いよいよこれが解禁となります。三角合併のねらいは、我が国への外国資金の導入を活発化させ、経済全体を活性化させようとするところにあります。一方で、三角合併の乱用で敵対的買収が行われたり、我が国の高度な技術が流出することも懸念をする声が上がっております。
 特に、経済界からは敵対的買収を警戒して、新法の制定を含めて要件の厳格化を求める意見が強く出されております。余り厳格にすれば、本来の資金導入に支障を生ずるおそれもあり、要件の線引きは難しいものがありますが、政府の率直な見解を伺いたいと思います。
 具体的には、株主総会の議決方法で、通常の合併の特別決議ではなくより難しい特殊決議を求める、こういう意見などが上がっておりますが、この点について政府のお考えをお聞かせください。
 また、税制については、買収対象会社とその株主に対する課税はどのようになされるお考えですか。原則は課税の繰延べを認める方針と伺っておりますが、外国企業がペーパーカンパニーなどを使って買収する場合の課税についてはどのようにお考えでしょうか。三角合併につきまして、総理並びに財務大臣の御見解をお伺いをいたします。
 放課後子どもプランについて伺います。
 昨年一月の本会議場で、私は東京都江戸川区のすくすくスクールを紹介して、地域の人たちの協力による子供の居場所づくりの全国的な展開を提言いたしました。その際には、小泉前総理から前向きな御答弁をいただきました。安倍総理もこれをしっかりと引き継いでいただき、平成十九年度予算案には文部科学省と厚生労働省が連携して総合的な放課後対策を行う放課後子どもプランの創設が組み込まれております。
 昨今の子供たちを取り巻く社会環境の悪化や急速な少子化の進行を考えるとき、このプランは誠に時宜を得た施策であり、我が公明党としても高く評価をいたします。地域の教育力を再生し、総理の掲げる美しい日本、美しい郷土を実現するためにも、放課後子どもプランを全国に推進していくべきと考えます。総理の改めて御決意をお伺いをいたします。
 次に、テレビ放送の地上デジタル放送への移行に伴う課題について伺います。
 現在のアナログ方式によるテレビ放送は平成二十三年七月までに終了し、デジタル方式に完全に移行することとされております。地上デジタル方式への移行のメリットとして、字幕放送など高齢者や障害のある方々へのサービスが充実することが挙げられております。
 そこで、移行に当たり、高価なデジタルテレビやチューナーの低廉化や、特に社会的弱者と考えられる世帯に相応の配慮が不可欠と考えますが、総理の御所見をお伺いをいたします。
 また、デジタル化に伴い、アナログ対応テレビ等の大量破棄も予想されています。短期間に大量の廃棄物が発生すれば、環境への影響も懸念されることになります。こうした廃棄物の増加の見通しと、その対応策についても御答弁をお願いを申し上げます。
 最後に、健康保険料の負担をめぐって、一部の地方公務員に対し実質的なやみ手当と言われても仕方がない厚遇、厚い待遇が行われている実態について、安倍総理並びに関係閣僚にお尋ねをいたします。
 健康保険料の負担割合は労使折半が原則であります。ところが、一部の地方自治体が職員の負担分を軽減していることを御存じでしょうか。
 全国の地方公務員は、地方公務員等共済組合に加入しておみえになります。しかし、歴史的経緯から、都市部を中心に六十七の市町村職員が、医療保険に当たる部分のみ共済組合とは別に独自の健康保険組合に加入をしておみえになります。このうち六十五の市町村職員が加入をする十六の健康保険組合で、保険料負担が労使折半とはなっていない問題があるんです。すなわち、事業主である市町村の負担が五割を超え、その分、被保険者である市町村職員の負担が軽減されているのであります。中には、市町村が六六・七%、職員が三三・三%と、市町村側の負担分が職員側の負担分の二倍に上っていることもあるのです。
 問題は、このような健康保険に対する市町村の負担分が住民の税金で賄われているということであります。
 厚生労働省の資料に基づき、軽減された保険料を計算したところ、その額は六十五市町村の合計で年間約二百五億円にもなることが判明いたしました。このまま放置をすると、十年間で二千億円、二十年間で四千億円もの巨額の財政負担となります。都市部の市町村における財政負担ですから、これを例えば保育所の整備等の少子化対策等に振り向ければ、都市部における子育て支援施策の更なる充実ができるはずであります。
 これは、全国で千八百十四市町村のうち六十五市町村だけに見られる問題であり、大多数の市町村においては本来の原則である労使折半の負担が行われております。つまり、これは市町村間の不当な格差の問題でもあります。
 地方公務員等共済組合の加入者約三百十一万人のうち約一割の三十一万人が、一人当たり約六万五千円の税金による負担軽減という厚遇を受けているのです。これが、世間がほとんど知らない中で行われているとするならば、実質的なやみ手当と言われても仕方がないと思いますが、いかがでしょうか。
 そこで、柳澤厚生労働大臣にお尋ねをいたします。
 規約により事業主負担割合を増加できるという健康保険法百六十二条の規定は、労使自治の下で、事業主に対し民間企業に勤める従業員の福利厚生を促すことにねらいがあるものと考えます。一方、地方公務員は、地方公務員法等により税金で福利厚生が保障されております。にもかかわらず、健康保険法の規定がこのような公務員にも適用されていることについて、どのようにお考えになられるのか、厚生労働大臣の御答弁をお願いします。
 次に、菅総務大臣にお尋ねいたします。
#5
○議長(扇千景君) 時間が超過しております。簡単に願います。
#6
○草川昭三君(続) 地方公務員の健康保険組合は、昭和三十七年の地方公務員等共済組合法の制定時における経過措置として認められているにすぎません。今日、地方財政の借入金残高が……
#7
○議長(扇千景君) 草川君、時間が来ておりますので簡単に願います。
#8
○草川昭三君(続) 約二百兆円にも達していることはよく知られた事実であります。当の地方公務員がこのことを知らないはずはありません。このようなときに、市町村職員の負担を軽減し、その分、住民の税金で穴埋めをする措置が四十年間もわたって続いているのです。
#9
○議長(扇千景君) 草川君、簡単に願います。
#10
○草川昭三君(続) このことは、額に汗して働く勤労者の国民の感情からいっても許すべきことではありません。
 一部地方の公務員が厚遇されている現実を……
#11
○議長(扇千景君) 草川君、簡単に願います。
#12
○草川昭三君(続) どのように総理もあるいは総務大臣もお考えなのか、この際お伺いをして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。以上です。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#13
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 草川昭三議員にお答えをいたします。
 法人税が増加した要因についてのお尋ねがありました。
 近年、企業収益の改善により法人税収が大幅な増収となっております。その要因は様々でありますが、主として、各般の構造改革への取組を通じて金融機関の不良債権問題が正常化してきたことに加え、企業部門における過剰雇用、過剰設備、過剰債務が解消するなど企業体質が改善する中、輸出や設備投資が回復するなど、民間需要中心の息の長い景気回復が続いてきたことがあります。
 増収の見通しと、歳出削減のみによるプライマリーバランス黒字化の実現可能性についてお尋ねがありました。
 今後の基礎的財政収支を考えるに当たっては、経済動向等により税収等は大きく変化し得ることなど、不確実性に十分注意する必要があります。また、御指摘のとおり、基礎年金国庫負担割合の引上げが予定されていることなども考慮すると、二〇一一年度までに基礎的財政収支を黒字化させることが歳出削減のみで確実に実現可能と現時点で判断することは適切ではないと考えております。
 ただ、いずれにせよ、経済成長を維持しつつ、歳出削減等を徹底して実施することがまずもって重要であり、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにいたします。こうした取組を進め、まずは二〇一一年度には国、地方を合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化させてまいります。
 企業から家計への波及についてお尋ねがありました。
 今回の景気回復は、企業部門の体質を強化する中での回復であったため、正規雇用の回復の遅れ、地域間での回復のばらつきなどの課題が残されていることは事実であります。こうした状況の下、雇用情勢の改善には広がりが見られるものの、賃金の伸びが緩やかなものとなっており、家計部門で景気回復の実感が乏しいと指摘される要因の一つにもつながっていると考えられます。今後、景気回復を持続させる中で、企業の経営環境の改善が更に進み、労働市場がタイトになることを通じて賃金が上昇していくことを期待をしています。
 現在、失業率、有効求人倍率の改善が見られる中で、ボーナス、初任給など、少し明るい兆しも現れてきました。今後、日本経済に新たな活力を取り入れ、現在の景気回復基調を更に息長く持続させることで、企業から家計へ、また日本全体に回復を力強く広げていくことが必要であります。
 地域間の格差解消と地方交付税改革についてお尋ねがありました。
 今後とも、財政力の弱い地域にあっても一定水準の行政サービスを提供することができるよう、地方交付税などにより適切に対応してまいります。また、地方分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めるとともに、地方公共団体間の財政力の格差の縮小を目指します。
 政策評価制度についてお尋ねがありました。
 政策評価によって、評価法施行後平成十七年度までの四年間で、公共事業等について百六十四事業、約三兆二千億円の事業が中止されるなど、重点化、効率化が行われてきております。引き続き政策評価の効果的活用により政策や事業の見直しを進め、効率的な行政の実現を図ってまいります。
 政策評価の結果を予算に反映させる仕組みをつくるべきではないかとの御指摘がありました。
 そうした仕組みの必要性については議員御指摘のとおりであると考えております。政府としては、予算、決算と政策評価の連携強化の観点から、予算書及び決算書の表示科目について見直しを行い、平成十八年度中に検討、検証を終え、平成二十年度予算をめどに新たな表示科目による予算編成を実施してまいりたいと考えています。
 政策評価書についてお尋ねがありました。
 国民への説明責任を果たす上で、政策評価の結果を分かりやすい内容とすることは重要であります。政策評価書においては、冗長を避けながら正確な情報を提供することはもちろんでありますが、これと同時に、簡潔で分かりやすく、かつ親しみが持てる要旨を公表するなど、国民にとって行政を身近なものとして説明するため更なる工夫を講じてまいります。
 京都議定書の目標達成についてお尋ねがありました。
 地球環境問題は、世界に冠たる環境先進国である我が国が積極的に世界をリードすべき大きな課題であります。中でも、地球温暖化問題は人類の生存基盤にかかわる最も重要な問題であると認識をいたしております。地球温暖化への取組として、まず京都議定書上の目標を確実に達成することが必要であります。新エネルギーの導入や徹底した省エネルギーの推進など、対策の加速化を図るとともに、目標達成計画の総合的な評価、見直しを進め、目標の確実な達成に向けて全力を挙げてまいります。
 二十一世紀環境立国戦略の内容についてお尋ねがありました。
 本戦略は、個別分野の政策方針にとどまらず、国内外挙げて取り組むべき環境政策全体の方向を明示する中期的な基本方針となるものであります。この戦略により、我が国として今後の世界の枠組みづくりに貢献をいたします。具体的な戦略の内容につきましては、六月までに十分議論を重ねて取りまとめます。
 京都議定書後の国際的枠組みづくりとG8サミットなどを通じた我が国の貢献についてお尋ねがありました。
 地球温暖化への対応には、米国、中国、インドを含む主要排出国による最大限の削減努力を促す実効性のある枠組みを構築することが何よりも重要であります。現在、国連の下では、米国を含むすべての国が参加する長期的協力に関する対話の実施など、将来の枠組みづくりに関する議論が本格的に始まっています。また、G8の関連でも気候変動に関する対話が実施されています。我が国としては、二〇〇八年の日本サミットに向けて、G8での議論に有意義な貢献を行い、そこでの議論が米国等の主要排出国も参加する国際的な将来の枠組みの形成につながるよう、主導的な役割を果たしていく考えであります。
 中国の弾道ミサイル発射による人工衛星破壊についてお尋ねがありました。
 本件に関しては、我が国より中国側に対し宇宙の安全利用及び安全保障上の懸念を申し入れるとともに、事実関係及び中国側の意図について説明を求めました。これに対し、中国側からは宇宙において一回の実験を行ったとの説明はありましたが、事実関係についてはそれ以上の詳細な説明はありませんでした。中国側の説明は、破片についての御指摘の点も含め我が国の懸念を払拭するものではなく、引き続き中国側に透明性のある説明を求めてまいります。
 我が国の衛星が他国によって破壊された場合についてお尋ねがありました。
 御指摘のような事例は、事実関係によるもので、一概に申し上げることはできませんが、一般論としては宇宙条約等の国際的な基本ルールに合致しない可能性は高いものと考えています。また、武力攻撃事態対処法に言う武力攻撃とは我が国に対する外部からの武力攻撃を言いますが、特定の事例がこれに該当するかどうかについては、個別の状況に応じて慎重に判断すべきものと考えております。
 宇宙空間における人工衛星の破壊行為の禁止についてお尋ねがありました。
 宇宙空間において国際法に合致しない形で他国の衛星を破壊する行為は、国際社会としても懸念すべきものであると考えております。我が国としては、宇宙空間における軍備競争が行われないよう、様々な国際的な場での議論に積極的に参加してまいります。
 船舶油濁損害賠償保障法についてのお尋ねがありました。
 同法の改正により、社会問題となった放置座礁船に対する我が国独自の対策として、漁業被害等の流出油による汚染損害及び船骸撤去の費用について保険を義務付けたものであります。これ以上の保険の締結を求めることについては、国際的な動向を踏まえつつ適切に検討してまいります。
 人権擁護法案についてお尋ねがありました。
 人権擁護法案については、これまでも様々な議論がなされてきたところであります。まずはそうした議論を一つ一つしっかりと吟味しながら、慎重の上にも慎重な検討を行うことが肝要と考えております。
 いわゆる日本版SOX法、内部統制報告制度についてお尋ねがありました。
 金融資本市場の信頼性を確保するためには、上場企業の財務内容等が適正に開示されることが重要であります。内部統制報告制度については、来年四月以降開始する事業年度から実施することが法律で定められております。政府としては、企業の体制整備の状況に留意し、その周知徹底等に努め、各企業の準備が円滑に進むよう万全を期してまいります。
 三角合併の要件及び決議方法についてお尋ねがありました。
 三角合併は、敵対的買収を容易にするものではなく、企業の組織再編の選択肢を広げることにより、その競争力を高め、もって我が国が国際経済をより活力に満ちたオープンなものとするために設けるものであります。したがいまして、この制度については、基本的にその意義を生かす仕組みとすることが肝要であると考えます。かかる観点から、特別決議を原則とする我が国会社法の体系を踏まえて、三角合併の着実な実施に向け準備を進めてまいりたいと考えております。
 放課後子どもプランの推進についてお尋ねがありました。
 地域の大人の幅広い協力を得て、放課後等の子供の安全で健やかな居場所づくりを行う放課後子どもプランは、地域の教育力の再生を図る上で大変重要な施策であります。このため、平成十九年度予算案では、全国の小学校区での実施を目指し、所要の経費を盛り込んでおります。本プランの全国的な推進を始め、子供たちが地域社会の中で心豊かで健やかにはぐくまれる環境づくりに政府全体として全力で取り組んでまいります。
 テレビ放送の地上デジタル放送への移行についてお尋ねがありました。
 私も、昨年十二月一日に開催されました地上デジタル放送全国開始記念式典に出席をいたしました。地上デジタル放送への移行が着実に進展する中、受信機の多様化や価格の低廉化は着実に進んでいると認識をしております。視聴者にとって更に購入しやすい価格帯が実現されるよう、引き続き、受信機メーカー、放送事業者等、関係者とともに努力をしてまいります。また、その際、御指摘の社会的弱者と考えられる世帯への配慮の必要性についても慎重に検討していきたいと考えております。
 アナログ対応テレビの廃棄物への対応についてお尋ねがありました。
 アナログ対応テレビの廃棄物については、ここ数年増加傾向にあります。ただし、今後については、デジタルテレビやアナログ対応テレビが継続して活用できるデジタルチューナーの普及状況にもよることから、その予測は困難であります。いずれにせよ、廃棄されるテレビについては、家電リサイクル法に基づいてリサイクルを進めており、今後もリサイクルが適切に行われるよう対応してまいります。
 地方公務員の健康保険組合についてのお尋ねがございました。
 御指摘のように、一部の市町村の健康保険組合において事業主の保険料負担割合が高くなっていることは、地方公共団体の合理的な財政運営の観点などから適切とは言えず、住民の理解も得られないものと考えております。関係地方公共団体に対しては、保険料負担の見直しや共済組合への移行に向けた取組を早期に進めるよう強く求めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(尾身幸次君) 草川議員からの御質問についてお答えいたします。
 合併市町村補助金の計上の在り方についてのお尋ねがございました。
 合併市町村補助金は、合併後の市町村のまちづくりを円滑に推進することを目的とするものでありますが、平成十七年度末の十八年度当初予算編成過程において本補助制度の改正の検討を同時並行的に行っておりました。このため、改正後の新制度を前提とした各市町村の事業計画に基づいて補助金所要額を見込むことが困難でございました。
 しかし、当初予算作成後に新制度を前提とした各市町村の事業計画が具体化したことから、その内容を踏まえまして、住民票を交付するための電算システムの統合や消防ホースの規格の統一化といった、合併後の住民生活に支障を生じさせないために、本年度緊急に実施する必要がある事業に要する追加的補助金額を補正予算に計上したところでございます。
 三角合併に関する税制についてお尋ねがありました。
 三角合併に対応した税制措置については、成長力強化に向けた対日投資の促進や企業経営の選択肢の拡大といった産業・投資政策上の要請や、課税の中立公平の観点を踏まえ、平成十九年度税制改正において、内外無差別を原則に、三角合併についても既存の合併と同様の要件を満たした場合に課税繰延べが認められるよう、適格合併の要件等を見直すこととしております。
 具体的には、合併法人の一〇〇%親会社の株式のみが株主に交付され、かつ合併法人と被合併法人の間で事業に関連性のあること等、既存の合併と同一の適格要件が満たされる場合に、被合併法人及びその株主に対し合併時の課税を繰り延べることとしております。
 したがいまして、御指摘のような、事業を行っていないペーパーカンパニーを買収のための合併法人とした三角合併の場合には、事業関連性の要件を満たさないことから、外国企業か国内企業かにかかわらず、課税の繰延べは行わないこととしております。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(柳澤伯夫君) 草川議員から、地方公務員への健康保険法の適用についてお尋ねをいただきました。
 地方公務員には、本来、健康保険法が適用されませんが、昭和三十七年の地方公務員等共済組合法の公布の際、現に健康保険組合が組織されていた地方公共団体については引き続きその組合から医療給付を行うこととし、経過措置として組合の存続が認められてきたところでございます。
 健康保険組合でありますと、事業主と被保険者が保険料を折半で負担することが原則となります。ただし、労使の合意により両者の負担割合の変更は可能となっているところでございますが、労使で話し合った上で労使双方が、総理のただいまの御指摘に照らしても、適切だという水準で保険料をそれぞれに負担すべきものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(菅義偉君) 地方公務員の健康保険組合についてお尋ねがありました。
 地方公務員の健康保険組合については、合理的な財政運営の観点から、関係地方公共団体に対し保険料負担の在り方の見直しを求めてきておりますが、草川議員御指摘のとおり、そのような実態が存在していることも事実であります。そうした健康保険組合におきましては、事業主であります自治体の保険料負担割合が労使折半の場合と比べて高くなっております。
 総務省としましては、昨年の七月に都道府県知事あてに、保険料負担の見直しや共済組合移行に早期に取り組むことを強く要請の文書を出しておりますけれども、議員の御指摘を受けまして、更に徹底をしてまいりたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(扇千景君) 谷博之君。
   〔谷博之君登壇、拍手〕
#18
○谷博之君 民主党の谷博之です。私は、民主党・新緑風会を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 総理は所信表明演説の中で、福沢諭吉の「出来難き事を好んで之を勤るの心」という言葉を取り上げましたが、この福沢諭吉や幕末明治の日本の夜明けを築いた人たちの中でも、特に吉田松陰や高杉晋作を尊敬されていると聞いております。その松陰をさかのぼること二百年前、江戸時代の前期に、貧困の中で苦学して大成した伊藤仁斎という思想家がおりました。松陰にも大きな影響を与えた彼は、富貴に惑わされず貧苦にもくじけず、清貧を守って折り目正しい一生を、積極的に、上機嫌に送りつつ、人のために、人と和して生きるという倫理観を実践した人でありました。私は、彼こそが正に美しい国の国民が目指すべき生き方をした人物であったと思います。
 しかし、総理、今の世の中は全く逆になっているとは思いませんか。自分のために、自分だけが金もうけをして、折り目もなく、消極的に、不機嫌にさえ生きている人の住む社会になっているとは思いませんか。最低限のルールさえ守ればモラルなんか守らなくてもいい。極端な規制緩和とあらゆる面に自由競争を導入することですべてをよしとするそうした勝手な社会になろうとしているとは思いませんか。また、あなたは美しい国という言葉だけを羅列しつつ、逆にそうした社会をつくろうとしているのではありませんか。総理、お答えください。
 総理、あなたは幹事長代理のときに、堀江さんの成功は小泉首相の改革の成果、ホリエモンのような偉大な起業家が出てきたのは小泉改革のおかげと持ち上げていました。あなたの目指す教育改革は、あのライブドア元社長の堀江被告のような若者をどんどん世の中に送り出すということなのでしょうか。モラルなき競争社会となった我が国の現実に対する総理の認識と、総理の教育改革が目指す理想の人物像について改めてお伺いいたします。
 次に、人口減少時代の国の基本的方向について伺います。
 総理はシュリンキングポリシーという言葉を御存じでしょうか。市街地に空き家が増えて様々な問題が発生している事態を悲観せず、むしろ絶好のチャンスととらえ、緑地や森林など自然に戻すといった取組で、急速な人口減少に直面しているドイツでは、自治体が連邦政府の財政支援を受けて積極的に地域再生を行っています。生物の多様性、あるいは安全性とか美しさとかゆとりを取り戻し、町の質を高め魅力的な空間へと変えようとしているのです。同じ人口減少社会でも、閣僚が女性を産む機械や装置に例える我が国の情けない状況とは雲泥の差であります。
 私は、このシュリンキングポリシー、つまり創造的縮合政策の発想を福祉や農政にも当てはめ、単なる切捨てではない、五十年先、百年先を見据えた、前向きで積極的な政策を展開していくべきだと考えますが、総理の所見を伺うとともに、許し難い暴言を吐いた厚労大臣の罷免を強く求めるものでありますが、総理の御見解を伺います。
 人口減少は、設備投資に必要な資金減少を引き起こすので、賃金上昇、消費拡大のチャンスだと言う人がいます。無駄な公共事業や基地をなくし、福祉や農業、教育に重点配分する政策に百八十度転換すべきです。これを実現できるのが民主党政権です。政官業の癒着から逃れられない自民党には一日も早く政権を降りていただき、政権交代を実現するしかありません。
 次に、安倍内閣の後ろ向き政策、福祉切捨ての象徴である二つの具体的問題についてお伺いいたします。
 その一つは難病対策であります。
 昨年秋、厚労省が示したパーキンソン病と潰瘍性大腸炎患者の一部を医療費公費負担の対象から外す方針について、私は民主党難病対策推進議員連盟の事務局長として、同僚議員とともに財務、厚生労働両省に反対の申入れを行いました。その結果、二つの疾患の削減は、来年度は行われないことになりましたが、再来年以降については定かではありません。
 今後どのような日程で再検討するのか、また、特定疾患対策懇談会の提言をどう扱うのか、罷免を求めている厚労大臣に聞いても仕方がないことではありますが、辞任がうわさされている厚労大臣、お答えください。
 この制度は、本来、国と都道府県で半分ずつ負担することとなっていますが、実際には国は三割しか負担しておりません。栃木県など自治体独自の指定疾患を削減する動きも出ています。この改善についても強く申し入れたところでありますが、わずかに七億円、三%程度増加した予算案で自治体の超過負担を幾ら軽減できるのか、厚労大臣、具体的にお示しください。
 さらに、私たち民主党は、医療費の公費負担制度を難病患者に対する福祉制度とするため、必要な法制化について検討することを厚労省に申し入れました。私は、当選以来、ずっとこれを提案し続けています。現在、安倍内閣としてどのような青写真を描いているのか、総理、お答えください。
 そもそも、数ある難病のうち、どの疾患を公費負担の対象とするのかは医師だけで決めるべきものではありません。一方、患者や家族の代表や行政代表も含む難病対策委員会は五年間に一度も開かれないまま、この一月に任期が切れ、改選手続に入っています。これは行政の不作為ではありませんか。医師以外の委員枠を維持し、早期にこれを開催するよう強く求めるものでありますが、厚労大臣の御答弁をお聞かせください。
 私は先日、SMA、脊髄性筋萎縮症という難病団体の方々から陳情を受けました。SMAは難病中の難病と言われるALSの類縁疾患でありながら、医療費の公費負担対象には該当せず、高額の医療費に苦しんでいます。先日、テレビで放映された、筋肉が骨になってしまうFOPという病気も難病中の難病であります。ほかにも多くの希少疾患の患者、家族が医療費の公費負担を求めて一日千秋の思いで運動を続けています。
 医療保険や介護保険、障害福祉が軒並み給付減、負担増となる中で、こうした疾患に光を当てられないで何が選択と集中なのでしょうか。こうした希少疾患の早期指定について、総理並びに厚労大臣の明確な御答弁を求めます。
 次に、障害者自立支援法について伺います。
 政府は今回、三年間で約一千二百億円規模の利用者負担の軽減措置や事業者への激変緩和措置を打ち出しました。そして、その理由は様々な意見に対応するためと説明し、実態を調べた結果とは言っておりません。つまり、このことは、厚労省はいまだに実態を直視していない証左だと言わざるを得ません。
 重度障害者の在宅介護給付は、障害者自立支援法で義務的経費となりましたが、あくまで障害程度区分で規定される範囲内でしかありません。その結果、自治体の独自予算の有無に生死が懸かる状態が続いています。在宅重度障害者地域生活支援基盤整備事業の柔軟な運用を含め、きめ細かな地域生活支援が必要だと思いますが、厚労大臣に伺います。
 法施行前、身体障害者の平均負担額は月八千四百円と見積もられていました。が、しかし、施行後にDPI日本会議が行ったアンケートでは、平均額は約二万円となりました。所得が低い障害者に対して、重度の方ほど負担が増える応益負担の仕組み自体に無理があるのです。また、運営費を削減して作業所や通所施設の運営を行き詰まらせていることも、地域自立支援という理念と逆行するものであります。
 軽減策でお茶を濁すことなく、早急に一人一人の生活実態を把握し、応益負担の撤回と所得保障を含めた制度設計を見直すべきだと考えますが、総理並びに厚労大臣の明確な答弁を求めます。
 障害者の法定雇用率や障害者自立支援法などは障害認定が要件になっているために、障害手帳のない難病患者や学習障害、注意欠陥多動性障害児・者の人たちには職業紹介を受けられず、就労政策も利用できません。特に若年患者には雇用機会もなく、福祉制度の対象にもならず、制度の谷間に置かれ続けています。再チャレンジ政策の下、これらの方々に対する具体的な就労支援策について、総理並びに厚労大臣にお伺いをいたします。
 次に、年金問題について伺います。
 社会保険庁の解体案は、我々民主党が言い出したことであります。総理、年金問題に詳しいと自負するあなたが官房長官という要職にいた折、なぜねんきん事業機構法案を提出したのですか。あなたのせいで年金改革が丸一年遅れたではありませんか。
 総理は所信表明の中で、高齢者の多くが加入し未納率四割の非常事態にある国民年金については全く触れずじまいでした。働き方が多様化した今、転職のたびに厚生年金から国民年金に切り替えるのは大変面倒です。また、昨年十二月、出生率が一・二六に下方修正された結果、現役収入の五〇%を年金給付水準とした与党の百年安心という約束はもはや破綻したも同然であります。国民年金も含めた公的年金の抜本改革が求められていることについて、総理はどのように考えておられますか、お答えください。
 総理は所信表明の中で、パート労働者への厚生年金の適用拡大に触れられました。現在は労働時間週三十時間以上を加入対象としている中で、パート労働者は一千二百六十六万人、そのうち女性は約七割を占めています。適用対象を週何時間まで広げるお考えなのですか。アドバルーンだけに終わらぬよう、御答弁を総理、厚労大臣から伺います。
 次に、教育改革について伺います。
 私は、今後の教育改革は、国家統制、権限強化の方向ではなく、国際的な方向である子どもの権利条約と日本国憲法の精神を生かした、すべての子供たちへの教育条件の整備充実、機会均等を実現するため、保護者や地域の広範な人々との連携を日常的なものとし、地域に開かれた、根差した学校を目指して、現場からの教育改革を更に進めていくことが重要だと考えておりますが、総理及び文科大臣の御認識を伺います。
 いじめや自殺の問題が深刻になる中、教育委員会の消極的な対応が批判されています。
 そうした中で、規制改革会議では、教育委員会の設置義務の徹底が一度は盛り込まれたものの最終答申で後退、教育再生会議では、保護者代表の参加を義務化すべきとの意見が出たにもかかわらず、先日の第一次報告書では盛り込まれませんでした。また、第三者評価機関の設置がうたわれていますが、学校に対する第三者評価機関と同じ組織のことなのかはっきりしません。総理の所信表明でも責任の所在を明確にするというだけで、住民や保護者、児童が安心できる改革内容を示してはいません。
 総理は教育委員会を具体的にどう改革したいのか、また、文科大臣は第三者評価機関をどこに設置すべきとお考えなのか、見解を求めます。
 また、教員免許更新制に至っては、再生会議と中教審の意見が対立しており、今後、関連法案提出に向け、どのように政府・与党内での合意形成を図るのかが不明です。やり方によっては、教師を追い詰め、ストレスを増やし、ついには教員を自殺にまで追いやるような悲惨な結果にならないのか、極めて心配です。文科大臣の見解を求めます。
 最後に、農政について伺います。
 今年は戦後農政大転換の年であります。政府は、担い手対策の名の下に農家を耕作面積で足切りし、施策を大規模経営体に集中させることで中小・兼業農家を離農させ、農地を集約させようとしています。さらに、それと同時並行的に、農業大国オーストラリアとの自由貿易協定交渉を本格的に始めようといたしています。我が国の現在の食料自給率四〇%はイギリスやドイツの半分であり、韓国でさえ四九%もあり、日本は先進国で最も低い状況にあります。日豪FTAを締結して、二〇一五年度までに食料自給率を政府目標どおり四五%まで引き上げることができると本気でお考えなのでしょうか。総理お得意の安全保障上、我が国の食料自給率は十年後に何%必要だと考え、そのためにどのようにしようとしているのか、お答えください。
 今回の農林水産関係予算は七年連続の減少です。しかも、その大半は担い手に集中し、非担い手向けの施策は五年間の農地・水・環境保全対策と三年間だけの産地づくり交付金などになってしまいました。農地の半分に当たる二百万ヘクタールを耕す非担い手農家が営農意欲を失い耕作放棄地が増えることは、地元栃木県の農村を回ってみても明らかです。さらに、構造改革不況によって農村地帯では兼業収入も近年大幅に減っています。安倍自民党農政は、今正に戦後施策の大転換を行い、比較的均質だった日本の農村に巨大な格差をつくり出そうと考えているように思います。総理はどうお考えですか。
 もっとも、下げ止まらない米価の現状では、担い手の将来も明るいものではありません。担い手は果てしない規模拡大を迫られていますが、どこまで拡大すれば経営が安定するのか、どれほど借金をしなければならないのか見通しが立たず、規模拡大意欲は衰えを見せています。そのことは二〇〇二年の農業白書でも既に警告されており、今度の農政の大転換により一層担い手の規模拡大意欲は減退し、農業は崩壊すると私は危惧しております。このことをどうお考えですか。
 また、政府は、農山漁村活性化推進法を今国会に提出するようでありますが、そのために新設する農山漁村活性化交付金はわずかに三百四十一億円です。その陰で、従来あった地域活性化のための交付金四百十五億円は廃止になっています。法案を作りながら予算を削減するということは、一体どんな了見なのでしょうか。
 以上二点、農水大臣の明確な御答弁を求めます。
 JA全中、全国農業協同組合中央会は、昨年六月、次期参議院選比例区候補者の支援のための当面の取組についてという文書を発し、組織一丸となって、まだJA全中専務職にあった組織内候補の後援会づくり、カンパ活動などを進める取組を指示しています。JA全中はまた、部長クラスの幹部三人を特命休職として選挙対策に当たらせるとうわさされております。形式上、全国農政連の推薦候補でありますが、指摘した文書がJA全中の連名で発信されていることを見ても、JA全中の直営選挙の様相が極めて濃いと言わざるを得ません。
 農協は、農業協同組合法に基づき、組合員農家のための最大の奉仕をすることを目的とする非営利団体です。中でも、JA全中はその組合の健全な発達を図ることを目的として設立され、農政の実施に深くかかわっています。このような公益性の高い法定団体が特定政党の候補者を応援する政治活動を行うことは、農協法の趣旨に反すると同時に、農協の中立性への信頼を失いかねないと言わざるを得ません。この点についての農水大臣の御見解を求めます。
 さらにまた、農協の職員が五千人のリストラを、改革を余儀なくされている中で、勤務時間中に職務上のラインを通じ、様々なこうした後援会加入やカンパ用紙の活動をさせられているということについて……
#19
○議長(扇千景君) 谷君、時間が超過しております。簡単に願います。
#20
○谷博之君(続) インターネット上で明らかにされております。こうした事柄について、組織ぐるみの事前運動に当たるのではないかと危惧をいたしますが、総務大臣にその御所見をお伺いいたします。
 最後に、農協法の理念や公職選挙法に反するような事前運動を本来業務に優先して続けていると、消費者である一般国民の信頼をも失いかねない事態になることを危惧しております。
 そうした中で、全農家への戸別所得補償を一兆円規模で行うという民主党の提案こそが……
#21
○議長(扇千景君) 谷君、簡単に願います。
#22
○谷博之君(続) 農業農村を崩壊のふちから再生させ、自給率を向上させる道であるということを強く申し上げ、私の質問を終わりといたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷博之議員にお答えをいたします。
 美しい国と競争社会に関してのお尋ねがありました。
 私が目指す日本の姿は、世界の人々があこがれと尊敬を抱き、子供たちの世代が自信と誇りを持つことができるように、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた「美しい国、日本」をつくることであります。自由な社会を基本とし、規律を知る凜とした国であります。先般取りまとめた「日本経済の進路と戦略」においても、日本が目指すべき経済社会の姿として、自律の精神が尊重され、自由で規律ある市場の下で民間の力が十分に発揮される社会を目指しております。
 教育改革が目指す理想の人物像についてお尋ねがありました。
 教育は、個人の多様な可能性を開花させ、志ある国民を育てるものであります。これがひいては品格ある「美しい国、日本」をつくることにつながるものと考えております。このため、公共の精神や自律の精神、道徳心といった価値観をしっかりと子供たちに教えていくことが必要であります。また、社会総掛かりで教育改革に取り組み、豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間を育成してまいります。
 シュリンキングポリシーについてお尋ねがありました。
 我が国は、今後本格的な人口減少を迎えることが見込まれておりますが、社会保障、農業、地域再生などの政策において、人口減少社会の到来に適切に対応し、国民がゆとりある質の高い生活を送ることができるよう取り組んでまいります。
 一方、更なる少子化の進行は我が国の社会経済全体に大きな影響を及ぼすことから、社会経済の活力を維持していくためにも少子化対策を戦略的に実施していく必要があると考えております。
 厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。
 私は、厚生労働大臣の当該発言は極めて不適切な発言だと思います。厚生労働大臣に対し厳重に注意をいたしました。閣僚の発言は重く、今回の発言によって多くの女性の心を痛めたことに対し、私も深くおわびを申し上げます。柳澤大臣も深刻に反省をしており、今後、常に国民の立場に立った厚生労働行政を進めることにより、国民の信頼を得られるよう全身全霊を傾けて職務を全うしてもらいたいと考えております。国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げまして、御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
 難病患者に対する医療費の公費負担制度についてのお尋ねがありました。
 難病患者の方々の医療費については、現在、予算事業として公費負担を行っておりますが、御指摘の法制化に関しては、難病患者の方々の中にも賛否両論の意見があることから、更に関係者の御意見をよく聞きながら検討してまいります。
 希少患者の早期指定についてお尋ねがありました。
 難病のうち医療費の公費負担等の対象となる特定疾患については、医学、医療の専門家から成る懇談会において選定しております。患者、御家族の実情を把握しながら、また科学的な見地を大事にしながら、公正な議論を行い適切に対応してまいります。
 障害者自立支援法についてのお尋ねがありました。
 本制度においては、国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則一割の負担をお願いをしていますが、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細やかな軽減措置を講じております。さらに、今般、法の実施状況として把握したデータや現場の声も踏まえ、もう一段の負担軽減措置や作業所の支援措置など、三年間で千二百億円規模の特別対策を実施することとしており、引き続き法の定着に万全を尽くしてまいります。また、法の附則において、就労の支援を含め障害者が所得を確保できるようにするための施策の在り方などについて検討をすることとされており、今後更に検討を進めてまいります。
 難病患者や発達障害者に対する就労支援策についてお尋ねがありました。
 国民一人一人が日々の生活に対し、誇り、生きがいや充実感、明日への希望を感じられることが大切であり、難病患者や発達障害者の方々も含め自立して生活できるようにしていくことが重要であると考えております。このため、障害者の就労支援策においては、障害手帳の有無にかかわらず、それぞれの方の障害の状況に応じて様々な支援を実施し、また強化しているところであります。
 社会保険庁改革についてお尋ねがありました。
 社会保険庁については、事業運営に関して様々な問題が生じたことを受けて、運営体制全般を刷新して新たな行政組織として再出発できるよう、昨年の通常国会に、ねんきん事業機構法案を提出いたしました。しかしながら、その後再び国民の信頼を損なう問題が生じたことから、規律の回復と事業の効率化を更に徹底すべきとの国民の声をしっかりと受け止め、非公務員型の新法人の設置など、社会保険庁の廃止・解体六分割を断行することとし、新たな改革法案を今国会に提出してまいります。
 公的年金制度の抜本改革についてお尋ねがありました。
 国民年金も含めた公的年金制度については、平成十六年の制度改正において、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入等により、持続可能な仕組みを入れ込むことができたと考えております。また、年金財政においては、人口だけでなく経済の長期的な動向がどうなるかが重要であり、法律の規定に基づき、定期的に年金財政の状況を検証いたします。その一環として、昨年十二月に公表された新人口推計や平成十六年改正時より好転している近年の経済動向などを踏まえた暫定試算を急ぎ行わせており、まとまり次第公表する予定であります。
 パート労働者への厚生年金の適用拡大についてのお尋ねがありました。
 パート労働者への厚生年金の適用拡大については、再チャレンジを支援し、被用者としての年金保障を充実させる観点などから具体的な検討を進めているところであります。今後、幅広い関係者からの意見聴取の結果も踏まえ、週労働時間を始め勤務期間の長さ、月収の水準など総合的な観点から、厚生年金の適用にふさわしい対象者の範囲について適切に判断してまいります。
 地域に開かれた学校を目指して現場からの教育改革を更に進めていくべきとのお尋ねがありました。
 私は、保護者や地域と連携しながら学校運営や教育活動を展開していくことは重要と考えております。このため、国においては保護者などに対する学校の情報公開を進めております。また、保護者や地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会制度や学校評議員制度を導入しているところであります。今後とも、これらの取組を推進して、地域に開かれた学校づくりを進めてまいりたいと考えております。
 教育委員会改革及び第三者評価機関についてのお尋ねがありました。
 教育委員会制度については、その在り方を抜本的に問い直すとの教育再生会議報告を受け、更に議論を深め、教育に対する責任の所在を明確にし、国民の皆様から信頼される教育行政の体制を構築する具体的改革案を形作ってまいります。教育委員会に対する第三者評価機関については、教育再生会議において、教育委員会の外部評価委員会を都道府県、市町村段階に置くことについて検討することとされており、地方の教育行政がきちんと評価されることとなるよう、教育委員会制度全体の改革の中でしっかりと検討を行ってまいります。
 食料自給率についてのお尋ねがありました。
 食料の安定供給を確保していくためには、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これに輸入と備蓄とを組み合わせることが必要です。将来的な食料自給率は、供給熱量の五割以上を国内生産で賄うのが適当と考えています。これを前提に、政府としては実現可能性を考慮して平成二十七年度における食料自給率目標を四五%と設定し、消費、生産両面からの取組を重点的に行ってまいります。
 なお、豪州とのEPA交渉については、豪州が農業大国であることから、国内農業への影響を十分に踏まえ、日本として最大限の利益を得られるよう政府一体となって取り組んでまいります。
 農業政策についてのお尋ねがありました。
 農業従事者の高齢化、兼業化により、かつては均質だった農業構造が変化している中で、生産性や品質の向上などの課題を解決するためには、意欲と能力のある担い手に施策を重点化することが不可欠であります。このため、担い手に対象を絞った新たな経営安定対策が農業の体質を強化する上で最善の方法と考えており、農村の活性化を図るため、その他の施策の展開と併せて、活力ある農業農村を築いてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(柳澤伯夫君) 谷議員から私に対しまして八点につきましてお尋ねがございました。
 お答えに先立ちまして、私、谷議員の御質問の中で、私の先般講演の中での言葉に触れるくだりがございました。私は、過日、講演の中で誠に不適切な表現を用いまして、この表現によりまして女性の方々を深く傷付けたことがございました。この点につきまして改めてここで深くおわびを申し上げます。大変申し訳ありませんでした。
 まず、難病対策でございます。昨年十二月の特定疾患対策懇談会の提言につきましては、与党等から、患者の生活実態等により配慮し、現在事業の対象となっている者に対して医療の継続が図られるよう措置を講ずるよう、更に検討を求めるという経過がございました。このため、引き続き患者団体等関係者の意見も幅広く伺いながら、慎重に検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、難病対策委員会についてのお尋ねがありました。
 厚生労働省の難病対策委員会は、職種ごとの委員構成が決まっているわけではありませんが、医師、患者、行政、学識経験者等によりまして構成されております。委員会の会議につきましては、今後とも必要に応じて早急に開催してまいりたいと考えております。
 特定疾患治療研究事業の地方自治体の負担に関するお尋ねがありました。
 特定疾患治療研究事業の国の事業費については、平成十五年度以降毎年増額しており、来年度予算案におきましても、厳しい財政状況の中、一般歳出の伸びを上回る高い伸び率を確保いたしております。この国の予算の下で、地方自治体の負担、特に超過負担がどうなるかの見込みにつきましては、正確な事業費の見込みが難しいことから今具体的にお示しすることはできませんが、今後とも事業の適正かつ着実な推進に努めてまいります。
 希少疾患の特定疾患への早期指定についてのお尋ねがありました。
 現在、特定疾患治療研究事業及び難治性疾患克服研究事業の対象疾患は、医学、医療の専門家から成る特定疾患対策懇談会におきまして選定することとなっております。昨年十二月に開催されました同懇談会では、今年度中に疾患の選定について議論を行うとの意見も示されたところでございまして、これを踏まえまして新たな難病指定についての検討を進めてまいりたい、このように考えております。
 重度障害者の地域生活支援についてのお尋ねがありました。
 障害者自立支援法におきましては、特に重度の障害者の方々を対象として新たなサービスを創設いたしております。また、その費用を負担する仕組みにつきましても、より重度の方に厚く配慮したものといたしております。また、今般新たに関係者の意見と調査データを踏まえまして策定いたしました特別対策におきましても、地域で暮らす重度障害者を支援するため、二十四時間のホームヘルプサービス提供体制の整備を図るとともに、住まいの場であるケアホームの整備のための助成等を行うことといたしております。
 障害者自立支援法についてのお尋ねがございました。
 利用者負担につきましては、先ほど総理からもお答えがありましたとおり、これまでにもきめ細かな軽減措置を講じてまいりましたが、さらに、今般の補正予算及び十九年度予算におきまして、関係者からの御意見だけでなく、これまでに得られたデータをも踏まえて、もう一段の負担軽減措置を講ずることといたしております。法の趣旨の定着に今後におきましても最大限の努力をいたしてまいりたいと、このように考えております。また、法の三年後の見直しにつきましては、今後更に幅広く検討を進めてまいります。
 難病患者や学習障害等の発達障害者に対する就労支援についてのお尋ねがありました。
 難病患者や発達障害者につきましては、障害手帳をお持ちにならない方の場合でも、障害者雇用促進法に基づく職業リハビリテーションの措置の支援対象となっております。その中で、ハローワークにおけるきめ細かな職業相談・紹介、障害者職業センターにおける専門的な職業リハビリテーションなどの就労支援に取り組んでおります。これらの方々に係る福祉施策と連携をしながら、より実効性の確保に努めてまいる所存であります。
 最後に、パート労働者への厚生年金の適用拡大についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、総理がお答えしたとおり、現在、社会保障審議会年金部会におきまして幅広い関係者からの意見聴取を行っているところでございます。こうした結果も踏まえまして、週労働時間を始め、勤続期間の長さ、月収の水準など総合的な観点から、厚生年金の適用にふさわしい対象者の範囲について検討を進めてまいる所存であります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(伊吹文明君) 谷議員から三つの質問がございましたので、逐次お答えをいたしたいと思います。
 まず最初に、現場からの教育改革についてのお尋ねがございました。
 学校教育を具体的にどう進めていくかにつきましては、保護者や地域住民の参加や協力を得ながら開かれた学校づくりを進めるという御質問の趣旨は、先ほど総理も御答弁を申し上げましたように、政府の方針と一致をいたしております。また、行政府としては憲法や条約を尊重するのは、これは当然のことであります。予算等の現実の制約の中で最大限の努力をしてまいりたいと思います。
 一方、御指摘のございました、これらの条件整備の下で、何を教え、児童生徒に基礎学力と規範意識を身に付けてもらい、国際化時代に対応できる日本人をつくっていくためにはどうするかについて、先般国会でお認めいただきました改正教育基本法に基づき学習指導要領の見直し等を進め、教育の責任の所在が明確になるような教育行政を確立するために、関係法令を国会に提出いたしたいと考えておりますので、御審議をお願いいたしたいと思います。
 その教育委員会改革及び第三者評価についてもお尋ねがございました。
 議員の御指摘のように、未履修、いじめ等につきまして、教育の責任の所在が誠に不明確であるという御指摘もございますので、信頼される体制を構築すべく、中央教育審議会等の御議論を受けまして、改正法を国会に提出させていただきたいと思っております。
 第三者評価機関をどこに置くかにつきましては、教育に対する最終責任をどこが負うかということについていろいろな御意見があることを承知いたしておりますので、広く意見を伺いながら、この第三者評価機関をどこに置くかを決めて国会にお諮りしたいと思っております。
 最後に、免許更新制度でございますが、教育の原点は良き教師にあることは言うまでもありません。私の立場からしますと、教師に努力を期待するだけではなく、教師の方々にも広い意味で教えがいのある条件を整備するのが私の責任であると思っております。したがって、更新制度は教員の立場だけではなくて教育を受ける児童生徒の立場からも考えていただかなければなりません。教員が時代に合った資質を備えることにより学校教育が一層充実したものになりますように、教育再生会議の提案もいただいておりますので、中教審にこれをお諮りして国会に法案を提出したいと考えております。
 その際に、一方で、私としては、頑張っていただいている大多数の教員の方々の処遇や、教える以外の事務負担の軽減にも配慮しなければなりませんので、免許制とこれが両々相まって良き教師をつくっていくように努力をいたしたいと思っております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣松岡利勝君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(松岡利勝君) 谷議員にお答えさせていただきます。
 三点であったと思います。
 まず、農政改革についてのお尋ねでありますが、十九年度から実施いたす予定であります品目横断的経営安定対策の対象となる担い手につきましては、将来的に他産業並みの所得を確保し得る農業経営に発展していく努力を促すとの観点から、一定の規模要件を設けまして、それ自体を規模拡大のインセンティブとするとともに、対象となった担い手は、諸外国との生産条件の格差から生じる不利を補正するための支払を受けることができるとともに、市場価格や収量の変動に伴う収入の変動の影響を緩和するための支払を受けることができるなどの経済的メリットを、法律に基づき、将来にわたって受けることとなります。
 さらに、このような品目横断的経営安定対策と併せまして、スーパーL資金等の無利子化、無担保無保証によるクイック融資、融資残補助の実施、担い手への農地集積面積に応じた実績払いの導入、担い手に対する新たな税制特例の創設等といった斬新な手法によりまして、担い手のメリットを大幅に充実強化することとした次第であります。
 このような所得の安定も含めた経済的メリット等を受けることによりまして、対象となる担い手は、自らの経営の向上に向けて、農産物の品質の向上などのほか、思い切った規模拡大にも取り組むことができるものと考えております。
 したがいまして、認定農家、法人経営等に加えまして、単独では規模要件に達しない小規模の農家の方々にも一定の要件をクリアして集落営農という形でまとまっていただくなど、そういったことによりまして様々な形の担い手の体制が構築され、集落の再活性化も図られるなど、我が国農業農村の大きな発展につながるものと考えております。
 いずれにいたしましても、小規模農家切捨てではなくて、たとえどんな小規模の農家の方でも一定の御努力をいただくことによりまして担い手となり得る、正に日本農業の総合力を最大限に発揮していくための政策であります。
 次に、地域活性化に関連する予算の減額についてのお尋ねでありますが、過疎化、高齢化の進展により活力低下が続く農山漁村の活性化を図るため、居住者や滞在者を増やすという新たな視点から、今国会にいわゆる農山漁村活性化法案の提出を予定いたしております。
 本法案に関連する十九年度の交付金三百四十一億円につきましては、今までにない形で農、林、水の事業が一つの計画で一体的かつ弾力的に実施できること、廃屋利用など既存施設の活用や地域提案メニューの採用など柔軟な仕組みとなること、市町村への直接補助が可能となり市町村の主体性が生かされることなどから、これまで以上に事業の効率的実施やコストの縮減が期待できること等を総合的に勘案して計上したところでございます。
 なお、平成十九年度予算におきましては、本交付金の創設と併せまして、地域の資源でありますバイオマス利活用のための交付金の創設などを行い、これまでにも増して充実した予算額の確保を図るとともに、より集中的、効率的な運用に努めることにより、農山漁村の活性化を総合的かつ積極的に推進することといたしております。
 最後に、全国農協中央会の政治活動についてのお尋ねでありますが、農協組織につきましては農業生産力の増進及び農業者の経済的、社会的地位の向上を図ることを目的とする団体であり、このような目的の達成に資する限りにおいて行う政治活動については、他の法人と同様、公職選挙法や政治資金規正法に抵触しない限り認められるものと認識いたしております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(菅義偉君) 事前運動についてのお尋ねがありました。
 選挙運動については、公職選挙法の第百二十九条において、立候補等の届出日から選挙期日の前日までに限られており、それ以前に行うことはいわゆる事前運動として禁止されておりますが、これに当たらない後援会活動については政治活動として認められております。
 個別の事案が公職選挙法に違反するかどうかについては、具体の事実に即して判断されるものであり、総務省として具体の事実関係を承知する立場にないので、お答えは差し控えさせていただきます。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(扇千景君) 野上浩太郎君。
   〔野上浩太郎君登壇、拍手〕
#29
○野上浩太郎君 自由民主党の野上浩太郎です。私は、自由民主党を代表して、安倍総理に質問をいたします。
 安倍総理は、昨年九月、国民の大きな期待の中、戦後生まれ初の内閣総理大臣に指名されました。そして、総理就任直後、まずは中国、韓国との首脳会談を再開させ、多くの国民が懸念していたアジア外交を立て直し、昨年の臨時国会においても、教育基本法の改正、防衛省設置法案など国家の基本にかかわる法律を次々と成立させました。安倍内閣は、わずか発足後四か月で新しい国づくりに向け大きな一歩を力強く踏み出したのであります。
 さて、戦後六十年、日本を発展させてきた様々な制度や枠組みが次第に疲弊してきており、新しい時代に対応できるものにつくり直していかなければなりません。また、昨今、これまでの日本では考えられない痛ましい残虐な事件が数多く発生し、どこか少し日本という国がおかしくなってきているのではないかと漠然とした思いを抱くのは、国民の共通の思いではないでしょうか。
 これらを解決するためには、もはや小手先の対処療法では解決できないのは明らかであります。国家の基本、国家の根幹に立ち返り、新しい時代の日本はどのような国を目指すのかを示していかなければなりません。正に新しい国家像を明確にし、そのために必要な改革の中身とプロセスを国民に示し、断固として進めていくことこそが、現在の日本が抱える問題を解決し、国民生活の改善につながっていくものであると確信をいたします。
 総理が目指す新しい国づくりに向け、私たちは与党の一員として全力で総理をお支えしてまいりますので、総理は信念を貫かれ、果敢に邁進されんことを御期待申し上げ、以下、質問に入ります。
 少子高齢化が加速度的に進む中で、将来に安心を感じることができる社会保障体制を構築していくことは極めて重要です。国民の意識調査を見ても、年金、医療、介護といった身近な社会保障問題への関心が大変高く、私の地元富山県でも、年末行われた世論調査で、景気対策を抜いて医療、高齢者福祉の充実、そして子育て支援が上位となりました。我々政治家は、こうした国民の要望にこたえるため、長い将来を見据えて、財源に裏打ちされた現実的な制度設計をしていかなくてはなりません。
 そういう中で、平成十七年の出生率は一・二六となり、昨年から日本はいよいよ人口減少社会に突入しました。少子化が進み、社会保障制度の担い手が不足し、制度自体が破綻してしまうことは何としても食い止めなくてはなりません。また、少子化は経済の成長や社会全体の活力にも影響する我々が直面する最も重要な課題の一つであります。私自身も、この少子化問題は県議会議員のときからライフワークとして取り組んでまいりました。昨年秋には個人的にも三人目の子供を授かり、正に子育て世代として同世代の生の声の真っただ中におり、この声をしっかりと反映させなければならないと日々感じているところであります。
 総理は、施政方針演説の中で、更なる少子化に対する本格的な戦略を打ち立てると明言しておられます。まずは、その具体策も含め、子育て世代に対し強いメッセージを送っていただきたいというふうに思います。
 次に、少子化対策の予算規模についてでありますが、社会保障給付費全体のうち、高齢者関係費の占める割合が約七〇%であるのに対し、児童・家族関係給付費はわずか四%以下にとどまっております。このことは、私自身、平成十七年二月の予算委員会でも指摘したところでありますが、極めて低い水準です。また、対GDP比で比較しても西欧諸国などと比べると五分の一の規模となっておりますが、これは西欧諸国では少子化対策を単に出生率の低下に対応するという位置付けではなく、子供や家族に対して社会的に支援する家族政策として位置付けているからであります。
 今後の大きな課題として、正に未来を担う子供たちに対する投資である児童・家族関係給付費の割合を高めていくという決意が必要であると思いますが、総理の所見をお伺いいたします。
 また、私は、少子化が進む根底には家族の価値や地域のきずなが弱まってきていることがあると思います。いま一度、日本が大切にしてきた、みんなで支え合い、そして信頼し合える社会をつくっていくことが重要であると考えます。この家族の価値や地域社会のきずなの再生をしていくことの重要性についての所見と具体策をお伺いいたします。
 また、昨年、私は財務大臣政務官を務めさせていただきましたが、現在の長勢法務大臣が、当時官房副長官として座長を務められ、政務官会議でプロジェクトチームをつくり、家族と地域のきずなの再生について提言を行いました。この提言は、昨年決定された新しい少子化対策にも反映され、家族ときずなを重視する少子化対策に大きく踏み出したものになりました。
 その提言の一つに、少子化について国民運動的な盛り上がりをつくり出していくことが重要であり、家族や地域の人々が触れ合う機会を増やし、国民的議論を喚起する契機とするため、家族の週間や家族の日を定めることなども提言しました。この家族の日を始めとした国民運動としての盛り上がりを醸成していくことについての具体策を総理にお伺いいたします。
 昨年は出生数、婚姻数とも増加が見込まれ、少子化問題にも明るい兆しが見られるところであります。安倍政権において、この流れが更に加速され力強い歩みとなることを願ってやみません。
 次に、総理が今国会の最重要課題に位置付けられた教育再生についてであります。
 言うまでもなく、教育は国家百年の計であります。と同時に、現在学校に通っている子供たちとその親にとっては緊急の課題です。私も小学生を持つ親としてこのことを切実に感じているところであります。つまり、あるべき姿、理念を高く掲げ、その実現に向けた方策を明確にするとともに、今現場で起こっている問題をどう解決していくかについて具体的に示していくことが必要です。
 そういう中で、昨年の臨時国会では約六十年ぶりに教育基本法が改正されました。正に高い理念がうたい上げられたわけでありますが、この成立により教育の何が変わるのか、そして、総理は教育の理念、あるべき姿として何を第一に考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
 そして、緊急の課題としてはいじめ問題が挙げられます。今この瞬間にも苦しんでいる子供たちがおり、できる限り早急にその状況から助け出さなくてはならないのです。このいじめ問題については、そもそも実態把握すらきちんとなされておらず、総理が教育の再生に焦点を当てなければいじめの実態把握や対応が更に遅くなったことも考えられます。政府としては一刻も早い対応が求められますが、その緊急対応策についてお伺いをいたします。
 同時に、教育現場における改革も議論され、ゆとり教育の是正、教員の質の向上、教育委員会の在り方の見直しなどについて実効ある改革が今後着実に実を結んでくるものと期待をしておりますが、今国会での法改正も含め具体策をお伺いします。
 総理は、教育改革は社会総掛かりで取り組まなければならないと述べておられます。学校だけでなく、家庭、地域社会も一体となって取り組むことが大切であり、正に教育は我々大人の責任であるということを自覚しなければなりません。
 私は、年末に、自民党の国会議員でつくるアジアの子供たちに学校をつくる会という議員連盟の活動の一環としてカンボジアに行ってまいりました。この議員連盟は、毎月寄附金を積み立て、学校を建てることができない貧困に苦しむアジアの子供たちに学校を造って贈呈する会であります。この会は十年前に発足した会であり、実は安倍総理は、総理就任前はこの会の会長でありました。これまでにカンボジアを始めアジア地域に計六校の小学校を贈呈しており、今回は七校目であります。
 そこで何より印象的だったのは、交流した多くの子供たちの強い目の輝きであり、学ぶことを心から喜んでいる純粋な思いでありました。子供たちは、本来このような純粋な思いを持っていることを改めて強く感じ、日本の教育問題を考えるときにもこの子供たちの原点に立ち返ることが大切だと痛感しました。そして、この思いにこたえることが我々すべての大人の責任であり、総理が述べておられるように、教育再生が社会総掛かりでの取組になることを強く願うものであります。
 次に、景気、経済について伺います。
 先般、「日本経済の進路と戦略」が発表されました。今後五年間のうちに名目経済成長率が三%以上となり、二〇一一年には基礎的財政収支の黒字化を達成し、財政再建が着実に進展する姿が想定されています。決して子供たちの世代に大きなツケを先送りしないという安倍政権の強い決意が感じられる政策提示であると高く評価していますし、私も昨年、財務大臣政務官として同じ思いで職務に取り組んだところであります。
 また、景気は全体として見ると高度成長期のイザナギ景気を超えたと言われるように、長期的な回復を続けております。しかしながら、私も毎週地元富山県に帰り生の声を聞いておりますが、強く感じることは、地方経済、そして中小零細企業の状況は依然として大変厳しく、景気が良いのは大都市と大企業だけではないかということであります。
 そこで、政府に一つお願いしたいのは、日本全体のマクロの数字と併せて、きめ細かなミクロの分析にも力を入れていただきたいということであります。具体的には、現在行われている各種の地域別や企業の規模別、業種別の分析を更に強化、統合し、景気判断の材料にすべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 そして、一方では、企業の好調が家計に波及せず、個人消費が低迷するといった問題があり、またフリーターやパートタイム労働者など、所得格差が固定されるという問題もあります。これらの諸問題の解決のためには、経済をしっかりと成長させることにより全体の底上げを図っていくことが重要であると考えます。
 総理は、大都市、大企業の景気回復をどのように地方経済、中小零細企業の景気回復につなげていくのか、そしてその成果をどのように家計に波及させ、個人消費を拡大し、さらには所得格差の固定化をどう是正していくのか、御所見を伺います。
 さて、総理は施政方針演説の中で地方の活力なくして国の活力なしと明言され、地方では大きな期待が高まっております。
 総理は、逆さ地図を御存じでしょうか。正式には環日本海諸国図と言っておりますが、中国、ロシア、韓国など日本海を取り囲む対岸諸国に対し、日本の重心が日本海にあることを強調するため、北と南を逆さにして大陸から日本を見たユニークな発想の地図であります。
 私の地元富山県は、日本海側のほぼ中央に位置するという地理的優位性を生かして、環日本海時代の玄関口を目指し、対岸諸国と幅広い分野の交流を進めてきました。さらには、現在までに対岸諸国と日本海沿岸の十二府県による連携と協力も図られております。また、現在建設中の東海北陸自動車道が来年全線開通しますと、日本海側と太平洋側がつながり、アジアに向けての物流の拠点となることも期待されております。
 総理は、日本が人、物、資金、文化、情報の流れにおいて魅力ある国となり、日本がアジアと世界の国の中で中核的な役割を果たすアジア・ゲートウェイ構想を掲げておられます。アジアの時代を見据え、政府に先駆けて地方で既に始まっているこの環日本海構想と国家戦略であるアジア・ゲートウェイ構想を連携させる視点が必要であると思いますが、御所見をお聞かせ願います。
 また、都市と地方の不均衡を考えるときに、公共事業を重点投資し、基幹的な交通インフラなどを整備して、競争条件を整えていくことは必要不可欠であります。例えば、北陸沿線住民の念願でもある北陸新幹線などは、政府・与党合意では平成二十六年末の完成が予定されておりますが、地方再生のためには一日も早い全線開通が必要であります。日本の基幹インフラである整備新幹線についての総理のお考えを伺います。
 また、昨年、地方分権改革推進法が成立いたしましたが、地方が自立し、自ら実行するための必要な財源確保も重要な課題であります。
 総理は、地方公共団体間の財政力格差の縮小を目指すと述べておられますが、例えば、大都市圏への税収偏在の是正、交付税の在り方や硬直性が指摘される補助金の改革、頑張りが報われるインセンティブの働く仕組みづくりも大切です。地方自立に向けての必要な財源確保策についてお伺いいたします。
 このほかにも、地方再生のためには様々なテーマがあります。中心市街地の再生、観光の振興、日本の基盤を守る農林水産業の振興なども待ったなしであり、正に地方からのトータルな成長戦略をつくり上げていくことが魅力あふれる新しい日本をつくり上げることにつながることを確信するものであります。
 総理は、施政方針演説の終わりに、困難な問題にひるまず、あえてそこに挑戦していく覚悟と決意を示されました。その総理の力強いリーダーシップの下、新しい時代の日本の未来が力強く切り開かれていくことを願い、私も情熱と志を持って全力を尽くしてまいることをお誓いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野上浩太郎議員にお答えをいたします。
 今後の少子化に対する本格的な戦略についてのお尋ねがありました。
 子供は国の宝であり、安心して結婚し、子供を産み育てることができる日本とするとともに、家族のすばらしさや価値を再認識することも必要であります。
 今後、児童手当の乳幼児加算の創設、育児休業給付の引上げ、延長保育など多様なニーズへの対応、長時間の時間外労働を抑制するための取組の強化といった政策に加え、すべての子供、すべての家族を大切に、を基本的な考え方に置き、制度、政策、意識改革などあらゆる観点からの効果的な対策の再構築、実行を図るため、子供と家族を応援する日本という重点戦略を打ち立てます。
 児童・家族関係給付についてのお尋ねがありました。
 平成十九年度予算におきましては、極めて厳しい財政状況の中で、出産前後や乳幼児期の経済的支援の充実を始め、働き方の見直し、若者の自立支援、地域子育て支援の充実など、児童・家族関連施策の充実を盛り込んだところであります。今後、これらの政策を実行に移すとともに、先ほど申し上げた新しい重点戦略の策定を行います。
 家族の価値や地域社会のきずなを再生していくことの重要性と、その具体策についてお尋ねがありました。
 少子化対策を進めるためには、生命を次代に伝えはぐくんでいくことや家族の大切さ、すばらしさが理解されることが重要であります。子供を家族がはぐくみ、家族を地域社会が支える、そのような社会であってこそ各種の支援策が効果を発揮するのであります。このためには社会全体の意識改革も必要です。
 御指摘の家族・地域のきずなを再生する国民運動などを積極的に推進してまいります。御指摘の国民運動においては、家族の日や家族の週間を定め、家族がともに過ごす時間を増やしていくことなどを呼び掛けてまいります。あわせて、多世代が参加し、家族や地域での交流の喜びが実感できるような行事等も積極的に開催してまいります。
 教育基本法改正の意義と教育の理念等についてお尋ねがございました。
 新しい教育基本法は、道徳心、自律心、公共の精神など、我が国の未来を切り開く教育が目指すべき目的や理念を明示することにより、国民の共通の理解を図りつつ、社会総掛かりで教育改革を推進するための第一歩となるものであります。
 現在、いじめを始めとして子供たちのモラルや学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下などの問題が指摘されています。こうした教育に関する課題の解決などに向け、新しい教育基本法の理念の下、教育再生会議の議論を踏まえつつ、教育改革の具体的な取組を進めてまいります。教育は個人の多様な可能性を開花させ、志ある国民を育てるものであり、これがひいては品格ある「美しい国、日本」をつくることにつながるものと考えております。
 いじめ問題への政府としての緊急対応策についてお尋ねがございました。
 いじめ問題への対応に当たっては、問題を隠すことなく、学校を挙げていじめの早期発見、早期対応に取り組むことが重要です。関係機関の協力の下、出席停止措置を含め毅然とした対応を行う必要がある場合もあると考えています。この対応については、教育再生会議の提言も踏まえて、速やかに通知を発出いたします。また、いじめの定義の見直しなどを行い、的確な実態把握を進めるほか、夜間、休日でも子供の悩みを受け止めることのできる電話相談の全国実施や、スクールカウンセラー等による集中的な教育相談を行います。
 教育改革の具体策についてお尋ねがございました。
 改正教育基本法や教育再生会議の第一次報告を踏まえ、関係法律の改正案を今国会に提出することに加えて、教育振興基本計画の早期策定など、教育再生に向けて全力で取り組むことが必要です。具体的には、学習指導要領の見直しなど、すべての子供が必要な学力を身に付ける機会を保障し、また、教育免許の更新制の導入や適正な評価の実施などを通じて教員の質の向上を図り、さらには、教育に対する責任の所在を明確にし、国民から信頼される教育行政の体制を構築することなど、教育再生に向けて全力を挙げて取り組みます。
 政府の景気判断についてのお尋ねがありました。
 二〇〇二年初めから始まった今回の景気回復は息の長いものとなっておりますが、地域別や企業規模別、業種別の回復のばらつきなどの課題が残されていることは事実であります。その一方で、失業率、有効求人倍率の改善が見られる中で、ボーナス、初任給など、少し明るい兆しも見えてまいりました。
 今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に、また日本全体に回復を力強く広げていくことであります。景気判断に当たりましても、地域別の賃金や失業率の動向、企業規模や業種別の業況など、ミクロの動向にもきめ細かく注意を払いながら分析を強化してまいります。
 景気回復をどのように地方経済、中小零細企業、家計に波及させていくのかについてお尋ねがありました。
 日本経済の現状を見ると、企業規模や地域間の回復にばらつきが見られるものの、全体としては少し明るい兆しも現れてきております。今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせることであると考えております。
 このため、まずはオープンな経済とイノベーションを通じて成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図ってまいります。また、今般取りまとめた再チャレンジ支援総合プランなどを通じて、パート労働者の正規労働者との待遇の均衡化、正規雇用の転換等に取り組み、だれでも再チャレンジが可能な社会の実現を目指します。同時に、しっかりしたセーフティーネットの構築を進め、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するよう必要な見直しなどを行うとともに、働く意欲を引き出す就労支援を図ります。
 さらに、雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地域資源を活用した中小企業の新事業展開への支援、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化等を進めてまいります。
 アジア・ゲートウェイ構想についてのお尋ねがございました。
 アジアなど海外の成長や活力を日本に取り入れることは二十一世紀における持続的な成長に不可欠です。そのためにも、アジアや世界の人材や情報などが日本に集まり、日本から世界に発信されていく開放的で魅力ある日本をつくっていくことが重要です。
 このため、私は総理就任に際し、人、物、金、文化、情報の流れにおいて日本がアジアと世界の懸け橋となり、ともに成長していくアジア・ゲートウェイ構想を打ち出しました。現在、五月の取りまとめに向けてその具体化を進めているところであります。この構想においては、我が国のそれぞれの地域がアジアとの結び付きを強めることも重要課題として位置付けており、御指摘の環日本海構想のような地方独自の取組や魅力ある地方を創出する観点からも極めて重要であると考えます。
 整備新幹線についてお尋ねがありました。
 整備新幹線は、累次の政府・与党申合せに基づき着実に整備を推進してきたところであり、今後とも、平成十六年政府・与党申合せに基づき、整備新幹線の着実な整備を推進してまいりたいと考えています。
 地方自治体に向けての必要な財源確保についてお尋ねがありました。
 地方の活力なくして国の活力なしとの考えの下、地方分権改革を徹底して進めてまいります。その際、財政力の弱い地域にあっても一定水準の行政サービスを提供することができるよう、地方交付税などにより適切に対応してまいります。
 また、地方分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めるとともに、地方公共団体間の財政力の格差の縮小を目指します。
 さらに、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムを四月よりスタートさせ、前向きに取り組む地方公共団体を地方交付税により積極的に支援してまいります。(拍手)
#31
○議長(扇千景君) これにて午後一時二十五分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十六分開議
#32
○議長(扇千景君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。池口修次君。
   〔池口修次君登壇、拍手〕
#33
○池口修次君 民主党・新緑風会の池口修次でございます。
 民主党の三人目の質問者として、安倍内閣総理大臣の施政方針演説を中心に質問をさせていただきます。
 まず、端的にお聞きします。安倍総理が目指しているのは「美しい国、日本」であり、その中心は戦後レジームからの脱却であることは、言葉としては分かりました。美しい国を目指すことに反対する人はいないと思いますが、問題は美しい国の中身です。そして、安倍総理が現在の日本をどのように見ているかです。
 昨年は流行語にまでなった格差社会という言葉ですが、その問題の本質は今年になっても全く改善されていません。イザナギ景気を超えたと言われる好景気の中、その恩恵を全く感じることができない、むしろ生活を切り詰めざるを得ない多くの国民の皆様のことを考えますと、今国会は国民の皆様の生活実態について議論を深め、真に格差是正を目指す国会とすべきと私は考えますが、総理の優先順位は、現在直面している格差の是正より戦後レジームからの脱却、すなわち憲法改正なのですか、まず伺います。
 また、最近、政府・与党内では、タウンミーティングでのやらせ質問の発覚、郵政造反組の復党、総理が任命した本間税調会長、佐田行革大臣の辞任や、女性を機械に例え少子化の責任を押し付けた、厚生労働大臣として全く不適任な柳澤大臣の暴言など、矢継ぎ早に美しくないことが続いています。
 昨年の新内閣発足からはや四か月がたった現在、総理は、日本は美しい国に向かっていると思いますか。また、午前の質疑で柳澤大臣の罷免を考えていないということですが、柳澤大臣は厚生労働大臣として適任だと総理は考えているのか、明確に答えてください。
 さて、冒頭で言及しました格差是正の在り方について引き続き質問をさせていただきたいと思います。
 総理は、就任時の所信表明演説の中で、「額に汗して勤勉に働き、家族を愛し、自分の暮らす地域やふるさとを良くしたいと思い、日本の未来を信じたいと願っている人々、そしてすべての国民の期待にこたえる政治を行ってまいります。」と発言しましたが、それは私も全く同じ気持ちであります。
 しかし、ここ数年の実情としては、小泉前総理の聖域なき構造改革が、政府の構造改革ではなく、国民の所得構造を変革させ、格差拡大を助長してきました。消費税や法人税の増税はありませんでしたが、法律を無視した定率減税の廃止や配偶者特別控除の廃止などはサラリーマンの生活を圧迫し、理念なき社会保障制度の改悪は、生活を圧迫するとともに国民の不安を増大させています。
 昨年末に実施されたマスコミの世論調査でも、景気は回復しているとの政府の判断について、実感がないと答えた人が七八%にも達しています。さらに、所得などの格差が大きくなっていると思う人は七四%にも上がっております。国民の八割近くが景気回復を実感できておらず、七割以上が所得格差は拡大していると感じているのです。
 平成十九年度予算においても、企業減税、庶民増税と言われるように、国民の負担を増やす一方、引き続き富裕層あるいは大企業に対する優遇政策を進めています。
 内閣府の国民経済計算確報によれば、平成十二年度以降、家計の可処分所得は急激に低下しました。平成十一年度と平成十七年度を比較すると、国民可処分所得はプラス四・一兆円と増加していますが、その内訳は、家計の可処分所得が十六・五兆円と大幅に減る一方、民間法人企業が八・四兆円、一般政府が三・六兆円の増加となっています。すなわち、イザナギ景気を超えたと言われる景気の実態は、家計の負担を増やし、その犠牲の上で銀行や大企業の利益や政府の歳入が増えているにすぎないことがデータで証明されています。
 こうした中で、いわゆる上げ潮路線は企業の利益がいずれ家計に波及すると見込んでいるようですが、いつ家計に波及し、家計を起点とする好循環が実現するのか、明確な答弁を求めます。
 また、労働の規制緩和により、一九九〇年には労働者の五人に一人だった非正規雇用が、今や三人に一人の割合にまで増加しているのは周知の事実であり、更なる格差拡大の要素は増え続けています。総理はこうした状況にどのような見解を持っていますか。
 また、総理は、小泉前総理の格差社会のどこが悪いの発言にもあったように、競争至上主義の下では格差拡大はやむを得ないと考えますか。政治の役割は、市場がつくった格差をできるだけ縮小する努力をすることだと考えます。併せて答えてください。
 以上のような格差社会の現状において、本来、政府が中心となって推進していくべきなのは、現在の格差拡大サイクルを制度面から修正するのと同時に、格差縮小の具体的政策を打ち出していくことだと思っています。
 昨今では、正社員と同等の仕事量をこなしている非正規労働者が増えてきています。ある調査では、職務がほぼ正社員と同じパート労働者がいると答えた事業主が四二・五%もいたと報告しています。しかし、現在政府が格差是正の具体案として考えているパート労働法の改正では、職務内容だけでなく、責任、転勤まで正社員と同等の扱いで、さらに雇用契約期間も実質無期契約でなくてはいけないなどと、処遇差別の禁止のために厳しい条件が課されています。その条件を満たす方々はパート労働者全体のごくわずかです。果たして、これが格差是正の大きな第一歩となり得るのか大きな疑問がありますが、総理はどう考えますか、答弁を求めます。
 一方、一般のパート労働者に対してですが、政府案では均衡処遇を確保するという言葉を一方で使いながら、肝心な賃金の決定や福利厚生など重要な部分は努力義務となっています。これでは、パートタイマー約一千百万人以上の大半を占める一般のパート労働者への処遇改善の効果は極めて薄いように思われます。最終的に完全義務化しなくてはほとんど実効性がないと思いますが、総理の見解を求めます。
 家計が厳しい状況にあるのは非正社員だけでなく、正社員の方も同様です。御存じのとおり、労働分配率は低下し続け、サラリーマンの給与も、イザナギ超えと言われる劇場景気の好調さの陰で、伸び悩むどころか減少傾向にあります。国税庁の調査を見ても、民間サラリーマンの平均給与は、ピークの平成九年の四百六十七・三万円から平成十七年の四百三十六・八万円と、約三十・五万円も減少しています。できるだけ少ない人手、できるだけ少ない人件費で、できるだけ多くの仕事をこなそうとする企業の競争至上主義の結果が余りにも際立ってきてしまっています。
 給料の減少にとどまらず、膨大な仕事量のしわ寄せが労働環境にも影響しています。ILOの調査によると、一週間に五十時間以上働いている労働者の割合は、日本が二八・一%で、二位の米国の二〇%を引き離し、断トツで世界一の残業大国となっています。また、総務省の労働力調査を見ると、二十代後半から四十代後半までの男性のうち、おおむね四人に一人若しくは五人に一人の残業時間が過労死認定基準の目安となっている月八十時間を超えています。さらに、それに伴う残業代不払の問題も残っており、今や、サービス残業、サービス労働が美徳であるかのように、おかしな風潮さえ見受けられます。
 年休取得率、これも年々減少しています。厚生労働省の調査では、年休取得率は平成七年の五五・二%から平成十七年には四七・一%まで落ち込んでいます。仕事の絶対量、現場の緊張感を目の前にして、自発的に有給休暇を取ることさえ難しいのです。
 こうした現状があるのに、なぜホワイトカラーエグゼンプションなのですか。まずは、サービス残業の廃絶や有給休暇取得など現在の労働基準法を守らせるように指示を出すべきだと思いますが、総理の見解を求めます。
 総理は、今年初頭の記者会見で、ホワイトカラーエグゼンプションは労働時間を減少させ得るもので、少子化対策にとっても必要と言いながら、十六日夜の記者会見では、サービス残業を奨励する結果になってはならないと認識を一転させ、法案提出を踏みとどまるようではあります。その急転ぶりから見ても、現場の現状認識がかなり不足しているとしか言いようがありません。アメリカから要望されているからといって、その程度の認識で国民の生活に深刻な影響を与える法案提出を安易に考えることの見識を疑います。
 そこで、改めて質問させていただきます。本国会も含め、この残業代ゼロ制度法案を近い将来提出するつもりですか。あるのでしたら、国民や労働者の理解が必要と繰り返し言われているようですので、この機会に国民の皆様が納得いく、十分に説明してください。明確な答弁を求めます。
 もう一点、もし今国会でホワイトカラーエグゼンプション法案が見送られるなら、セットとされている残業割増し率引上げ等の改革も見送られる可能性があると報道されています。しかし、本来であれば、後者の改革こそが格差社会や劣悪な労働環境の現状打開のために必要なものであります。もちろん、同様に最低賃金の引上げやパート労働法の改正なども急務であり、民主党としては更にニート支援法や労働契約法、雇用促進関係の具体的政策案を用意してあります。是非、今国会では、民主党案を含め、真に労働者の視点に立った議論をしていこうではありませんか。総理、民主党案を含め議論していくと約束してもらえますか、答えていただきたいと思います。
 それでは、安倍政権の目玉の再チャレンジ支援総合プランについて幾つか質問をします。
 新聞紙上も報じているように、再チャレンジ支援総合プランは、小粒、中途半端、効果不透明であります。そこで、少し調べさせていただきました。昨年十二月二十五日に閣議決定されたとされる再チャレンジ支援総合プラン行動計画には二百四十項目ほどがリストアップされていますが、その中で新たに始められたプログラムは約百十項目ほどでした。つまり、残りの過半数はすべて既存のプログラムで占めているということです。しかも、それぞれのプログラムは各省庁に分割され、全く一体感がありません。
 総理、このようなばらばらのプログラムをかき集め、再チャレンジ支援という言葉だけで漠然とくくり、まるで一から壮大な事業を立ち上げたように見せていますが、単なる格好付けにしか見えません。
 中でも、就任当初意気込んでいたフリーター・ニート対策も、フリーターの定義すら定まらないまま意気消沈し、六十弱のプログラムのうち新規のプログラムはわずか十五項目です。それにかかわる予算も、どんなに多く見積もって計算しても約二百五十億円、新規のものでいえば八十億円ほどです。予算の多い少ないだけで政策が決まるわけではないですが、何よりプログラムも個々ばらばらで熱意が感じられません。
 我々民主党は、以前からフリーターを対象とした段階式の就労支援プログラムを提案しています。四か月ほどのカウンセリングと就業のウオーミングアップに始まり、六か月ほどで民間企業・団体での就業訓練に移り、それで就職できなかった場合でも、再就職活動プログラムを引き続き行って、必要に応じて手当を支給、職業訓練中は賃金をもらえ、協力企業には委託費などの助成を施すようにするつもりです。やるのであれば、成果が顕著に現れるような包括的かつ自主的な案が必要だと思います。
 そこで総理、今後、フリーターやニートをどう定義し、どのように就業支援に取り組んでいくつもりか、見解を求めます。
 また、格差拡大に大きく関連し、現在社会保障分野において最大の課題とされているのは少子高齢化問題であり、それに伴う年金問題であります。
 二〇〇四年の年金改定時に、将来も現役世代の収入の五〇%以上の給付を確保すると政府は約束しました。しかし、昨年末の将来人口推計の発表により、その約束の履行は既に危うい状態になっていることが分かっています。また、昨年秋の内閣府の世論調査では、日常生活で悩みや不安を感じる人が六七・六%で過去最悪となり、そのうちの半数以上の人が老後の生活設計を悩みの要因として挙げています。そして、七割以上の人が社会保障制度の改革を求めているという結果も出ています。多くの国民の皆様が現在の不確かな年金制度に不安を覚えているのは否定し得ない状況です。
 民主党は、安心できる年金とするために、消費税を年金目的財源として充当することで、セーフティーネットを張るべきことを強く提案しています。
 安倍総理は、自分の著書の中で、年金制度は絶対に破綻しないと豪語されています。年金問題は、負担と給付のバランス、すなわち負担を増やすか給付を減らすことで解決できると考えておられるのか、説明を求めます。
 最後に、自動車関係諸税の見直し、すなわち道路特定財源の一般財源化について質問します。
 この問題は、小泉総理が提起したものの、結果、実現できず、昨年末に安倍総理が唐突に言い出した問題です。当時、内閣支持率が低下していたこともあり、支持率回復をねらった政策とマスコミは受け止めました。十二月八日に政府と与党の合意が成立しましたが、マスコミは合意内容について、先送りだ、これでは一般財源化とは言えないと評価しています。ただし、納税者である自動車ユーザーの評価は若干違うのではないかと私は思っております。理屈を無視した一般財源化と比べれば、財源の使途についてまじめな議論がされたと思います。
 しかし、合意の最大の問題点は、自動車ユーザーの声が全く無視されたことです。自動車ユーザーの主張は、本来の徴税目的である道路の整備以外に使うのであれば暫定税率を廃止すべきとの声であり、一千万名を超えるユーザーが賛同し署名しました。行革推進法では、第二十条で、一般財源化を図ることを前提としながら納税者の理解を得つつとなっています。安倍総理は、納税者たる自動車ユーザーの理解を得られない一般財源化を進めるつもりなのか、明確な答弁を求めます。
 そもそも、自動車ユーザーは長年にわたり過大な税負担を甘受してきました。現在では九・二兆円に膨らみ、そのうち六・五兆円が道路特定財源です。さらに、高速道路を利用するために高額な利用料金を必要とし、その総額は二・六兆円です。合わせて十二兆円の負担は消費税でいえば五%相当であり、今まで文句を言わず負担してきたユーザーは最も善良な納税者と言えます。負担を甘受してきた一番の理由は、道路を整備するためという受益者負担の原則です。今回、受益者負担の原則を崩すのであれば、ユーザーが過大な税を負担する明確な理由を説明してください。
 また、自動車ユーザーは担税力があるのだから、使い道が変わっても今の税額を下げなくていいのだという意見があるとも聞きます。確かに、昔は裕福な人しか自家用車は持てない時代がありました。しかし、今は自動車は生活の足であり、公共交通機関が発達していない地方では車なしでは生活できません。それは、市町村別の保有率で、茨城県千代川村が世帯当たり三・九台、中野区が〇・二九台と十倍以上の差があることでも明らかです。総理は自動車ユーザーは担税力があるから税率を維持してよいとの意見に賛同をしますか、答弁を求めます。
 今年の秋から税制の抜本改革の議論をスタートすると表明しています。自動車関係諸税については様々な問題点が指摘されています。例えば、今や生活必需品である自動車に対し、取得、保有、走行の各段階で合計九種類にも及ぶ税金が課せられている、自動車取得という同一物、同一行動に対して二種類の課税をするという不合理が放置されている、燃料税に消費税を掛ける二重課税の問題、暫定税率といいながら三十年以上続いている等です。自動車関係諸税を抜本的に改革し、簡素でユーザーが理解できる税制とする考えはありませんか、答弁を求めます。
 関連して、高速道路料金引下げに関して質問します。
#34
○議長(扇千景君) 池口君、時間が来ておりますので、簡単に願います。
#35
○池口修次君(続) 今回の見直しに関する具体策の中に、高速道路料金の引下げなど、新たな措置を講ずることが盛り込まれました。かつて小泉総理は、日本道路公団に税金を投入することは無駄な道路を造ることになるとの理由で、高速道路事業への税金投入をやめました。今回、再度税金投入を検討するわけですが、それがきちんと高速道路料金引下げに直結するものであれば納税者の理解は得られるというふうに考えております。
#36
○議長(扇千景君) 池口君、簡単に願います。
#37
○池口修次君(続) そこで、総理に聞きます。
 以前の道路公団への丸投げの公的資金投入ではなく、債務の返済と高速道路料金の引下げを厳密な計算に基づいた上での税金投入とすることを行ってください。約束を、答弁を求めます。
 また、高速道路料金の引下げは、利用者の利便性を上げるだけでなく、輸送コストの削減効果を有効に活用すれば地域活性化の力水になるなど、多重の意義があります。
#38
○議長(扇千景君) 時間です。簡単に願います。
#39
○池口修次君(続) 民主党は以前から高速道路の無料化を主張していますが、そのステップとして、この際、料金を半額にするぐらいの制度設計をすべきと思いますが、高速道路料金引下げに対する総理の考えを聞きます。
 以上、ここ数年、国民の皆様は小泉前総理のパフォーマンスを楽しんでいたようですが、国のかじ取りの機能としての政府への期待は薄まっています。
#40
○議長(扇千景君) 池口君、簡単に願います。
#41
○池口修次君(続) その懸念を払拭するために、ここにいる国会議員だけでなく、むしろ国民の皆さんに対して日本社会の現状と政府の対応について真摯に説明されることを強く要請して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#42
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 池口修次議員にお答えします。
 政策の優先順位についてお尋ねがありました。
 私は、施政方針演説で明確に述べたとおり、国民の働き方、暮らしの向上、教育の再生、そして憲法を頂点とする戦後レジームの大胆な見直し、いずれの課題に対しても正面から全力で取り組んでまいります。二者択一ではないと思います。政府は、成長力を強化し、その実感を国民が肌で感じることができるようにするための様々な具体的方策を提案いたします。今国会での徹底的な論戦を通じて、国民の皆様に御判断いただけるものと考えております。
 日本は美しい国に向かっているのかとのお尋ねがありました。
 総理就任以来、四か月でありますが、教育の憲法とも言える教育基本法を戦後初めて改正するとともに、国の安全保障を担う防衛庁の省への移行を成し遂げました。また、中国、韓国の首脳とも胸襟を開いて話し合う関係を築くこともできました。私にはこの四か月で美しい国づくりに向けて大きな一歩を踏み出せたという確かな手ごたえがあります。
 ただし、美しい国づくりはまだまだ始まったばかりであります。今国会においても、財政健全化への意思を明確にした平成十九年度予算案や改正教育基本法を踏まえた教育再生関連法案を始め、美しい国づくりのため、一つ一つ課題に全力を尽くしてまいります。
 厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。
 私は、厚生労働大臣の当該発言は極めて不適切な発言だと思います。厚生労働大臣に対し厳重に注意をいたしました。閣僚の発言は重く、今回の発言によって多くの女性の心を痛めたことに対しまして、私も深くおわびを申し上げます。柳澤大臣も深刻に反省をしており、今後、常に国民の立場に立った厚生労働行政を進めることにより、国民の信頼を得られるよう全身全霊を傾けて職務を全うしてもらいたいと考えております。国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げまして、御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
 企業から家計への波及についてお尋ねがありました。
 過去の景気回復局面を見ても、経済の拡大に伴い、人材確保の観点から賃金も上昇しております。今後とも景気回復を持続させる中で、企業の経営環境の改善が更に進み、労働市場がタイトになることを通じて賃金が上昇していくことを期待したいと考えております。
 現在、失業率、有効求人倍率の改善が見られる中で、ボーナス、初任給など少し明るい兆しも現われてきています。今後、日本経済に新たな活力を取り入れ、現在の景気回復基調を更に息長く持続させることで、できるだけ早期に企業から家計へ、また日本全体に回復を力強く広げていく必要があると考えております。
 非正規雇用についてお尋ねがありました。
 近年、企業、労働者双方のニーズにより多様な働き方が広がっています。重要なことは、正規雇用か否かにかかわらず、どのような働き方を選択しても安心、納得して働くことのできる環境を整備することであります。このため、フリーター二十五万人常用雇用化プランを推進するとともに、今国会において、正規労働者との均衡処遇の実現等を図るためのパートタイム労働法の改正、最低賃金制度の見直しなど、働く人たちのための一連の労働法制の整備に取り組んでまいります。
 いわゆる格差問題についての考え方についてお尋ねがありました。
 私は、努力した人と汗を流した人が報われ、達成感を感じる社会にしていくことが重要と考えております。単純に人々の努力の違い、能力の違いに目をつぶって、結果平等を目指すような社会をつくろうとは思ってはおりません。
 ただ、重要なことは、格差が不公正、不公平な原因の結果生まれたものではあってはならないということであります。また、努力が成果に結び付くことを阻害している要因があれば、それを取り除くことが重要であると考えております。その意味において、私は、勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、だれでも何度でもチャレンジ可能な社会をつくり上げることが重要であると、このように思っています。
 パート労働法についてのお尋ねがありました。
 パート労働者の方々にも様々な形態があります。会社の中で管理職としての役割を担い、あるいは担い得るような正社員と同一な就業実態の方から短い時間補助的な仕事をする方まで千差万別であります。他方、労働法制は罰則を伴う強制規定から努力義務規定まで様々あり得るわけであります。法制的にどのような対応をすべきかは、パート労働者の就労の実態に応じ検討すべきものと考えております。
 このため、政府としては、差別的取扱いの禁止と均衡待遇の確保の組合せにより、すべてのパートタイム労働者を対象として、きめ細かく待遇を改善するパートタイム労働法の改正案を今国会に提出してまいります。また、パート労働法に基づき事業主が講ずべき措置については、努力義務を含めて、すべて都道府県労働局長による助言、指導、勧告の対象とし、法の実効性を確保いたします。
 労働時間法制の問題についてお尋ねがありました。
 私は、国民一人一人の暮らしという観点に立って考えると、現在、長時間労働の抑制を図り、仕事と生活の調和を実現することが求められていると考えます。いわゆるサービス残業などの法違反については、重点的な監督指導を徹底し労働基準法の遵守を図るとともに、働き方の改革に力を注いでまいります。また、働き方の問題については、働く人たち、国民の理解を得ることが不可欠であります。労働時間法制の在り方については、現在検討をしているところであり、様々な議論を踏まえた上で適切に判断してまいります。
 労働法制の改革についてお尋ねがありました。
 だれもが安心、納得して働くことのできる環境を整備するため、今国会において最低賃金制度の見直し、パートタイム労働者の公正な待遇の実現、若者の雇用機会の確保、労働契約法制を始め、働く人たちのための一連の労働法制の整備に取り組んでまいります。
 なお、民主党案の取扱いについては、国会での御議論の問題と思いますが、まずはその具体的な内容を明らかにしていただきたいと思います。
 フリーター・ニート対策についてのお尋ねがありました。
 いわゆるフリーターやニートの若者については、どう定義するかが問題ではなく、支援が必要な若者がいれば、それぞれの置かれている状況に応じてきめ細かな対策を講じていくことが必要であります。
 今国会においては、雇用対策法の改正案を提出し、新卒一括採用システムの見直しを進めます。また、いわゆる年長フリーターに対しては、新たな就職・能力開発支援に着手するとともに、ニートの若者に対して地域の関係機関等のネットワークによる支援を進めるなど、包括的な支援を行います。このほかにも様々な手だてを講じて、我が国の将来を担う若者の雇用の支援をしっかりと進めてまいります。
 年金制度についてお尋ねがありました。
 公的年金制度については、平成十六年の制度改正において、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入等により、持続可能な仕組みを入れ込むことができたと考えております。
 また、年金財政においては、人口だけでなく経済の長期的な動向がどうなるかが重要であり、法律の規定に基づき定期的に年金財政の状況を検証いたします。その一環として、昨年十二月に公表された新人口推計、平成十六年改正時より好転している近年の経済動向などを踏まえて、暫定試算を急ぎ行わせており、まとまり次第公表する予定であります。
 なお、民主党案の全額税方式による最低保障年金については、加入者が自らの老後に備えて保険料を支払い、将来年金権を確保するという社会保険方式を放棄するのが適切かなど様々な論点があると考えております。
 道路特定財源の一般財源化と税率維持の理由についてお尋ねがありました。
 今回の道路特定財源の見直しに関する具体策においては、厳しい財政状況の下、財政事情の下、現行の税率水準を維持しつつ、一般財源化を前提とした見直しを行うこととしております。この中で、真に必要な道路整備は計画的に進めることとし、また、高速道路料金の引下げなどによる新たな措置を講ずることとしており、自動車関係諸税を負担しているユーザーの理解を得ていきたいと考えています。
 これに加えて、現下の厳しい財政事情や環境面への影響にも配慮し、平成二十年度以降も現行の税率水準を維持することとしており、単に自動車ユーザーは担税力があるので税率を維持してよいと考えているわけではありません。
 自動車関係諸税についてお尋ねがありました。
 自動車関係諸税については、自動車の取得、保有、燃料の消費に着目して各種の税を課すこととしていますが、各税にはそれぞれ創設の経緯、課税根拠があり、国、地方の貴重な財源となっております。自動車関係諸税の在り方については、このような現状や自動車の環境に与える影響、厳しい財政事情等を十分に踏まえる必要があると考えております。
 高速道路料金の引下げについてお尋ねがありました。
 高速道路料金の引下げなどによる既存高速ネットワークに係る新たな措置については、昨年十二月の道路特定財源の見直しに関する具体策において、二十年の通常国会において所要の法案を提出することとしており、どのような方法で行うのかを含め、検討を進めることとしております。いずれにせよ、高速道路の新規建設や道路民営化会社の経営支援を目的とするものではありません。(拍手)
    ─────────────
#43
○議長(扇千景君) 小斉平敏文君。
   〔小斉平敏文君登壇、拍手〕
#44
○小斉平敏文君 私は、自由民主党を代表し、総理に質問をいたします。
 安倍総理は、昨年九月、内閣総理大臣に指名をされ、所信表明演説で美しい国づくりを目指し国政運営を行っていくことを表明されました。その後、電撃的に中国、韓国を訪問され、途絶えていた両国との首脳会談を行い、外交上最も大きな懸案の一つであるアジア外交の再構築に見事に着手をされました。内政では、臨時国会において、教育基本法の改正、防衛省設置法、地方分権改革推進法を始めとする国家百年の大計の基本となる法律が成立をいたしました。
 本年は、こうした成果の上に、美しい国づくりに向けて、教育の再生、憲法改正手続法の制定を始め、当面する諸課題に取り組んでいくとのことでありますけれども、私ども与党の一員として総理を全力でお支えいたしてまいります。リーダーシップを発揮をされ、果敢に前進されることを期待してやみません。
 ただし、質問に入ります前に一言申し上げたいことがございます。
 我が国経済情勢は、新経済成長戦略により戦後最長となる六十か月に及ぶ好景気の持続を達成したとの報告があります。私ども選挙区におりまして、この好景気、いささかも実感するものがございません。それは一体どこの話であろうか、地方に住む国民一人一人が疑問に思っておるのではないかと思います。このような地方の声にも耳を傾けて、国民こぞって参加をする美しい国づくりができますよう、強く御要望を申し上げたいと思います。
 安倍内閣に今後解決が期待される課題として、我が国の安全保障上最大の脅威である北朝鮮がございます。
 昨年、北朝鮮は国際社会の制止を振り切り核実験を強行いたしました。この事態を受けて六者協議が再開されたものの、何らの進展もなく終了をいたしております。早期再開に向けて関係各国は外交努力を重ねておりますが、次回の協議においては、各国が一致結束し、成果を上げるよう万全な体制で臨むことを期待をいたしております。
 この問題で政府は、国連安全保障理事会における北朝鮮制裁決議の全会一致の採択をかち取られる等、主張する外交を展開されてこられましたけれども、これにとどまらず、新たな決議や更なる圧力も辞さない決意で政府は北朝鮮の核放棄への道筋を具体化していただきたいと思います。
 また、国民の多くは拉致問題のいっときも早い解決を期待をいたしております。先日の東アジア首脳会談の議長声明では、総理のリーダーシップにより拉致問題に取り組むことが明記をされ、北朝鮮に対し強い意思を示すことに成功いたしました。
 核やミサイル、拉致など、北朝鮮問題の全面的解決に向けて政府としていかに取り組んでいかれるのか、方針をお伺いをいたします。
 この問題の解決には北朝鮮への影響力の強い中国の働き掛けが不可欠であり、中国との連携強化も必要であります。ただ、中国は国防費が十八年連続で一〇%以上の伸びであることから、大きな脅威になっておるとの指摘もあります。主張する外交を提唱する総理として、日中関係のあるべき姿をいかに描いていらっしゃるのか、またあわせて、本年より防衛庁の省昇格が実現をいたしましたが、中国の軍備増強への対応策はどうなっておるのか、お伺いをいたします。
 国内では、新年を迎えてからも残忍な犯罪が相次ぎました。戦後六十有余年が過ぎて、戦後教育の問題が一気に噴き出しているように思われます。
 思い返しますと、私たち団塊の世代の多くは中学や高校を卒業してすぐに親元を離れ、都会に出てまいりました。戦後、食に窮した時代に育ち、しっかりしたしつけも受けないままに都会で独り暮らしを強いられ、今やその子供の世代が親となっております。伝統的なしつけを受けないままに二世の世代が過ぎ、三世の世代が育ちつつあります。こうした環境の変化も家庭教育を崩壊させてきたのではないでしょうか。学校における教師も同じ環境で育ってきており、戦後教育とともに高度経済成長、核家族化という大きな変化が進みました。
 現在進められておる教育再生会議の役割には大いに期待をいたしております。家庭では子供のしつけをしっかり行い、人として当然の倫理観を養い、高い規範意識を身に付けさせることが非常に大切であります。そして、学校教育を充実することは大きな教育上の課題でありますが、それとともに、学校教育と家庭教育を結ぶ地域の教育力を高める対策も要ると思います。また、子供たちの登下校の安全確保も必要であります。
 総理は、子供たちを取り巻く家庭、学校、地域の教育環境をどのようにとらえ、それをどのように充実させていかれるのか、そして、教育上の問題へいかに対処されるお考えなのか、教育再生会議での議論も踏まえて御認識をお聞かせを賜りたいと思います。
 一月十七日の自民党大会で、総理は、地域の活性化なくして国の活力はないと述べられ、今後の取組に全国から参集した党員の大きな期待が寄せられました。私も、地方の活性化こそが、今内閣と国会に課せられた喫緊の課題であると認識するものであります。
 今、地方は都会と比べて大きな格差にあえいでおります。私の選挙区宮崎県を例に取れば、産業活性化の基盤となる社会資本の整備が後れておることが挙げられ、過疎化などの要因となっております。新幹線どころか高速道路もまだ整備されていない。物や人の移動に都会では考えられないほどの時間が掛かるのが現実であります。
 また、一昨年の台風十四号で被害を受けた国道や県道はいまだ完全に修復されておらず、今また大きな自然災害が起これば、またしても人命が失われる危険な状態にあります。当時大きな被害を受けた椎葉村、また同じような災害があったら村そのものが消滅すると言う人さえおるんであります。村がなくなるということは、山や河川が荒れることにつながり、その結果、川下の町や海が荒れることを意味します。川があふれ、山が崩れ、町や集落が襲われ、生活の基盤を失う不安の中で暮らしておる地方の住民の声に耳を傾けていただきたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 昨年十二月、道路特定財源の見直しに関する具体策が決定されましたが、移動手段を車に頼る地方では不必要な道路は全くありません。まだまだ道路建設を必要とする地方が存在するのであります。
 政府として、この現状をどのように見ておられるのか。さらに、災害に強い道路網の整備は急務だと思いますが、どう取り組まれておるのか、お考えをお聞かせを賜りたいと思います。
 社会保障の問題も深刻であります。
 日本全国で、医師の偏在や専門医の不足など地方医療も大きな問題が指摘をされております。我が宮崎県でも、医学部卒業者の県外への就職、そして過疎地域での小児科医の不足が深刻であります。これは、日本の地方はほとんどそのとおりであります。福祉・医療行政では、小児科医、産科医の充実、救急医療の確保等、地域医療提供体制の環境整備が、今後、総合的に進められていくとは考えますけれども、地方ではまだまだ十分ではありません。早急に対策を具体化してほしいというのが地方の切実な声であります。総理は、このような声にこたえて、どのような対策を進められるお考えか、お聞かせを賜りたい。
 また、療養病床削減に伴って生じる退院患者の受入先の問題もございます。我が国の発展を支えてきた高齢者に対して、情のある医療体制は維持される必要がございます。高齢者の受入れ体制の整備に関してしっかりと対応していただきたいと存じます。この点に関して、総理の御認識をお伺いいたします。
 次に、農業についてお伺いいたします。
 地域の活性化、環境保全、食の安全、安心の上からも農業問題は非常に大きな課題であります。
 宮崎県と岡山県で鳥インフルエンザが発生をいたしました。とりわけ、宮崎県は全国有数の二千二百万羽の飼育数を誇る養鶏の盛んな県であり、昨日、新たに発生の疑いがあると発表された新富町が確定であれば、移動制限区域内の飼育数は新富町の三百五十万羽を加えて四百十五万羽、県の総飼育数の二割に上り、壊滅的打撃となります。
 発生農場による早期通報がなされ、宮崎の清武や日向市、あるいは岡山の高梁市、また県当局、政府も適切で迅速な判断による蔓延防止策を行っており、感染経路の究明に全力を挙げております。にもかかわらず、インフルエンザは続いて発生をいたしております。県や市町村、あるいは生産農家の必死の対応はもはや限界の状況であります。何とか国の支援をお願いしたいという県民、生産農家の血の叫びが届いており、感染源、感染経路が究明されないままでは廃業を考えるしかないという生産農家も現に現れております。
 総理の方針にもございます再チャレンジできる社会の構築という観点からも、まずここに最大限の対応を御要望申し上げる次第であります。
 感染源については、清武町と日向市のウイルスは中国で発生をしたウイルスとほぼ同一の遺伝子を持っており、渡り鳥が持ち込んだとする見方が強まっておりますけれども、それならば、広く東南アジアやロシア等との連携も必要ではないかと思います。
 感染源、感染経路の究明体制、また、国際的な協力体制をどうしていくのか、あわせて、出荷を停止しておる移動制限区域内の養鶏場、関係する加工流通業者や販売関係者への支援策、損失補償等についてどうお考えか、お伺いをいたします。
 また、農業全体に目を向けますと、我が国農業は、国民の食を守ってきただけではなく、自然景観や災害防止等にも大きな役割を果たしてまいりました。しかし、農業人口は減少し、高齢化の進展は急速に進んでおります。WTOなど国際ルールが厳しくなってきていることもあり、政府は、品目横断的経営安定対策を導入するなど対策を講じておるところであります。
 一方、オーストラリアとのEPA交渉など、進展によっては我が国農業に壊滅的被害をもたらすことも考えられます。
 国連は、九五年には五十七億人だった世界の人口は、二〇二五年には八十億人に増加すると予測をいたしております。それにもかかわらず、農業生産率は低下をし、年間六百万ヘクタールの土地が砂漠化し、土地の劣化も急速に進んでおります。また、八億人が飢餓状態にあると言われており、世界的な食料危機が叫ばれておる中、我が国の農業を永続的に発展させることは必須の課題であります。労働に見合う所得が保障されれば後継者は確実に育ちます。総理の農業問題に取り組む姿勢をお伺いをいたします。
 林業も、地球環境や防災、景観等で果たす多面的役割はよく承知されているものの、中山間地の過疎化や高齢化が進み、放置林や植栽未済地が増加をして、防災上も大きな問題となっております。その最も大きな要因が木材価格の低下であります。対応策はいろいろ講じられておりますが、林業問題の根本である価格低下への取組と、林業の将来の見通しをお聞かせ賜りたいと思います。
 また、地域資源を生かし、国産バイオ燃料を現在のガソリン消費量の一割程度、六百万キロリットルまで生産拡大するという総理からの指示を受けて、現在、農林水産省が中心となって工程表の作成を進めておると聞いております。実現に向けてどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
 同様に、水産業をめぐる状況も大変厳しいものがございます。漁業生産金額はここ十年間で約三割も減少いたしております。漁業生産量の低下と魚価の低迷の中で、沿岸漁業では漁業者の減少と高齢化の進展が進み、漁業経営体も十年間で約二割減少をいたしております。また、沖合・遠洋漁業におきましても、経営体の約半数以上が債務超過となっております。正に、我が国の水産業は塗炭の苦しみの中にあります。この認識と対応策についてお伺いをいたします。
 私は、日本のあるべき姿を形として創出されようとする総理の姿勢を高く評価をいたします。美しい国づくりへ堂々と歩を進め、厳しい国際情勢を力強く乗り切っていかれることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#45
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小斉平敏文議員にお答えをいたします。
 北朝鮮問題の解決に向けてのお尋ねがありました。
 我が国は、対話と圧力という一貫した考え方の下、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を一日も早く解決すべく、総合的に粘り強く取り組んでいく考えであります。二月八日から再開されることが決まった六者会合においては、米国、中国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し核放棄に向けた具体的な行動を取るよう強く求めていきます。同時に、六者会合においては引き続き拉致問題も取り上げてまいります。
 中国との関係についてお尋ねがありました。
 私は、就任直後、中国を訪問し、首脳レベルで胸襟を開いて話合いを行い、関係を改善いたしました。今後とも、両国国民にとって互いに利益となるよう、戦略的互恵関係を築いてまいります。そのため、幅広い分野で具体的協力を積み上げ、共通の戦略的利益を拡大していくとともに、様々な課題にもしっかりと対応していく考えであります。同時に、日中間において、首脳レベルを含め様々なレベルでの交流を一層進展さしてまいります。
 中国の軍備増強についてお尋ねがありました。
 中国の国防予算は、これまで十八年連続で二けたの伸び率となっております。中国軍の戦力の近代化が推進されていると認識をしていますが、そうした活動については依然として不透明な点があると考えております。我が国としては、国際社会の懸念を解消するためにも、中国が軍事面における透明性を向上させることが重要であると考えております。先般の弾道ミサイル発射による人工衛星の撃墜のような事例も含め、今後とも中国側に働き掛けを行ってまいります。
 教育上の問題への対応等についてお尋ねがございました。
 我が国の教育は、戦後、機会均等の理念を実現し、国民の教育水準を高め、また時代の要請に対応しつつ、社会発展の原動力となってきました。一方、この間、社会状況が大きく変化する中で、いじめを始めとして子供たちのモラルや学ぶ意欲の低下、子供を取り巻く家庭や地域の教育力の低下といった問題が指摘されています。
 このため、教育再生を内閣の最重要課題とし、新しい教育基本法の理念の下、教育再生会議での議論も踏まえつつ、社会総掛かりで教育改革を一層推進し、教育新時代を開いてまいります。
 具体的には、新しい教育基本法を踏まえた関係法律の改正や教育振興基本計画の策定を行うほか、すべての子供に必要な学力を身に付ける機会を保障するため、ゆとり教育を見直し、学習指導要領を改訂し、公教育の再生に取り組んでまいります。また、教育現場がいじめ問題に正面から立ち向かうことを徹底します。教育免許更新制の導入などの教員の質の確保や放課後子どもプランの全国展開、さらに「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進などに取り組んでまいります。
 道路整備についてのお尋ねがありました。
 地方においては、災害に強い道路網の構築、高度医療施設等への広域的なアクセスの強化や日常生活を支えるための地域ネットワークの確保など、道路の整備に対するニーズは極めて高いと考えています。このような道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に精査し、引き続き重点化、効率化を進めつつ、真に必要な道路整備を計画的に進めてまいりたいと考えています。
 地域医療提供体制についてのお尋ねがありました。
 医師の偏在により、一定の地域や産科、小児科など特定の診療科において必要な医師が確保できない状況に対しては、医師が集まる拠点病院づくりや拠点病院と診療所との連携体制の整備など、限られた医療資源の効率的な活用体制を構築し、改善を進めてまいります。また、救急医療についても、初期小児救急の当番制による開業医の活用や新たな医療計画に救急医療を重点的に位置付けることにより、地域の実情に応じた救急医療体制を整備し、安心な地域医療を確立してまいります。
 療養病床についてお尋ねがありました。
 療養病床の再編成に当たっては、医療の必要性の低い方々を受け入れている療養病床を平成二十三年度末までの間に老人保健施設等に転換し、継続して入所できる受皿とすることで対応することとしており、各都道府県において策定する地域ケア整備構想に基づき、受皿の整備を計画的に進めてまいります。
 鳥インフルエンザについてのお尋ねがありました。
 鳥インフルエンザについては、最近、宮崎県や岡山県での発生があり、政府としては両県に対し万全の支援を行うこととしております。蔓延の防止、国民への正しい情報の提供はもとより、御指摘の感染経路の究明や生産者等への支援の的確な実施が極めて重要であります。このため、関係国や国際機関と連携しながら感染経路の究明や蔓延防止策の検討を進めるとともに、発生農場を始め、影響を受ける農業者等への的確できめ細かな支援に努めてまいります。
 農業問題への取組についてお尋ねがありました。
 私は、農業は新世紀の戦略産業としての大きな可能性を秘めていると考えています。意欲と能力のある農業者に施策を集中し、将来にわたり国民に安定的に食料を供給できる体質の強い農業の実現を目指します。また、歴史と文化、美しい景観をはぐくんできた農業農村の活力を引き出すことも重要であり、バイオマス利用、輸出の促進といった新たな取組や、都市と農山漁村の交流の促進など、総合的に政策を推進し、可能性と活力のある農業農村を築いてまいります。
 林業問題についてお尋ねがありました。
 国産材の立木価格の低迷に対しては、流通の効率化と需要者側のニーズにこたえた供給を進め、国産材の利用拡大を図ることが重要と考えております。このため、昨年九月に閣議決定した森林・林業基本計画に基づき、山元からユーザーまでの国産材の安定供給体制を整備することにより、林業、木材産業の再生に取り組んでまいります。
 国産バイオ燃料の生産拡大についてのお尋ねがありました。
 バイオ燃料などバイオマスの利活用は、地球温暖化の防止、地域の活性化や雇用に加え、農林水産業の新たな領域を開拓するものです。国産バイオ燃料については、技術開発を進め、中長期的には稲わらや木材などを原料とすることも視野に、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表を本年度中に作成するよう指示したところであります。今後、バイオ燃料の利用率を高めるための施策に重点を置き、積極的に取り組んでまいります。
 水産業の現状認識と対応策についてのお尋ねがありました。
 水産業は、漁業者の減少、高齢化や漁船の老朽化など厳しい状況にある一方、世界的に水産物の需要が高まるなどの情勢変化に直面をしております。本年三月の水産基本計画の見直しに当たっては、水産資源の回復を図るとともに、漁船漁業及び水産物流システムの構造改革や輸出促進を始めとする政策改革を断行し、水産業の発展を図る所存であります。(拍手)
    ─────────────
#46
○副議長(今泉昭君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#47
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 まずお聞きしたいのは、政策を論じる前提ともいうべき二つの問題です。
 第一は、柳澤厚生労働大臣の、女性は子供を産む機械という発言についてであります。
 この発言は、女性の人間としての人格と尊厳を根本から否定する暴言であり、厳重注意で済む話ではありません。問われているのは総理の人権感覚、憲法感覚であり、柳澤厚生労働大臣の罷免を求めます。もし罷免できないというのなら、安倍内閣全体の人権へのモラルが柳澤大臣と同じレベルということになるではありませんか。
 第二の問題は、政治と金についてであります。
 現職閣僚や政党の幹部にまで広がった事務所費疑惑に、今、国民の大きな批判が高まっています。政治資金規正法には、政治資金が国民の浄財であり、その透明性を確保し、いやしくも国民の疑惑を招くことがあってはならないと明記されています。
 我が党以外の政党が国民の税金である政党助成金をますます重要な政治活動資金にしている現状では、政治資金の中身の透明性について国民の目はとりわけ厳しいものがあります。疑惑を掛けられた閣僚や政治家は、保管が義務付けられている領収書と帳簿を公表するなど、自ら率先して事実を国民の前に明らかにすべきではありませんか。
 総理は、政治家は常に襟を正していかなければなりません、各党各会派において十分議論されることを期待しますと、まるで人ごとのように述べられました。しかし、事は自分が任命した閣僚の疑惑です。首相として何をどうするつもりか、具体的にお答えください。
 さて、あなたの施政方針演説から伝わってきたもの、それは現憲法の下、第二次世界大戦後、日本国民が営々として歩んできた営みへの根本からの否定そのものであります。
 戦後世界は、第二次世界大戦を経て、再びあのような戦争をしてはならないという痛切な思いから出発し、それが国連憲章に結実しました。それらと直接響き合い、二度と悲惨な戦争の当事者にはならないと宣言したのが憲法九条でした。そして、その値打ちが今ほど日本でも世界でも輝いているときはありません。イラクから帰国した陸上自衛隊のある幹部は、犠牲者がゼロだったのは憲法のおかげだ、憲法九条は変えない方がいいと語っています。
 アメリカのイラクへの先制攻撃と引き続く軍事占領は、いよいよ破綻に瀕しています。イラク国民の死者は数十万人、米兵の死者も三千人を超えました。一月二十七日には、イラクからの撤退を求める大規模な集会がワシントンで開かれました。今日の国際社会は、アメリカを含む世界の諸国民と大多数の政府がイラク反戦と国連憲章に基づく平和への大きな流れをつくり出したように、戦争のない社会を強く求めています。どんな超大国でも軍事の力だけで世界を支配することはできない、このことが世界の前で明らかになりました。総理はこうした一連の事実をどのように受け止めておられますか。
 先ごろナイロビで開かれた世界社会フォーラムでは、戦争のない世界への先駆けとして憲法九条の役割が注目され、世界にとっても戦争と軍隊を放棄する九条が有効だとの考えが共有されました。総理は国際社会において新たな模範となる国になりたいと述べましたが、そのために必要不可欠なのは、アメリカに付き従って海外への自衛隊派兵を続けることではなく、憲法九条に基づく政治を進めることではありませんか。その憲法に基づく戦後体制を時代に合わなくなったとする総理の立場は、正に世界の流れに反した逆流でしかありません。それは、国際社会の模範どころか、アジアと世界からの孤立の道であります。
 日本共産党は、憲法改悪反対、九条を守れの一点で国民的な多数派をつくるために力を尽くすとともに、九条改定と一体の改憲手続法案の廃案を強く求めるものであります。
 国民の暮らしはどうでしょうか。
 総理は、大企業、大資産家への応援はこれまでに例を見ないほど明確に述べられました。四十年ぶりの減価償却の見直しであり、証券課税の優遇措置の延長であります。空前の利益を上げて我が世の春を謳歌する巨大企業と大資産家に、その利益にふさわしい負担を求めることこそ政治の責任ではありませんか。
 ところが、国民には、高齢者への課税強化に加え、定率減税の半減に続く全廃で一層の負担増が押し付けられています。この負担増は所得税だけにはとどまりません。昨年六月に起きた住民税負担の大幅増が再び繰り返されようとしています。
 大企業は、内閣府のミニ経済白書ですら指摘するように、空前の利益を役員と株主で独占し、その富をつくり出した従業員、労働者への分配を減らしています。その結果、憲法二十五条に明記されている最低限の生活すら破壊する格差と貧困が広がっているのであります。
 とりわけ、今急速に広がっている若者の貧困は、日本社会の未来にかかわる重大な問題であります。少なくない若者が、アパートも借りられず、インターネットカフェと言われるパソコンといすが置いてあるわずか一畳ほどの空間に寝泊まりしているという衝撃的な実態が生まれています。懸命に仕事を探し、ちゃんと働いているのに貧困から抜け出せないのです。総理は、世界第二の経済大国である日本でこんな事態が起きていることを異常だとは思われませんか。
 働いている人の三人に一人、若者や女性ではその半分がパートや派遣、請負、アルバイトなど不安定な働き方を強いられています。そのほとんどが年収百五十万円以下だと言われています。これらは決して自然現象ではありません。これまでは認められていなかった派遣労働が合法化され、最初は限られた職種だけだったのがほとんどの業務にまで広げられるという、自民党、公明党の政治が行ってきた雇用のルールの規制緩和が原因でした。
 そして、この規制緩和を最大限に利用して空前の利益を上げたのが巨大企業群でした。昨年の本院予算委員会でも取り上げましたが、労働者派遣法に基づけばとうの昔に正社員となっていたはずの人たちが、身分は派遣のままで、正社員と同じような仕事をしているのに正社員の半分以下の賃金で違法に働かされています。しかも、それが松下電器やキヤノンなど日本を代表する企業に蔓延しているのであります。
 総理は、いわゆるワーキングプアと言われる人たちを前提にコストあるいは生産の現状が確立されているのであれば、それはもう大変な問題であろうと答弁されました。この答弁は大変重要であります。問題は、それを正すために何をなすかであります。
 総理は、法違反は厳正に取り締まるとも言明されました。法律が厳格に運用されれば、製造業では一年、その他の業種では三年、同じ事業所で派遣労働者として働いてきた人たちは数万人単位で正社員への道が開かれます。総理の言明どおりに法律を厳格に実行し、正社員への道を開くよう求めるものであります。
 日本経団連の会長で、違法な偽装請負が大問題になっていたキヤノンの御手洗会長は、私と総理が議論をしたその日の夕方の経済財政諮問会議で、自らの違法行為を反省するどころか、法律の方を変えるべきだと主張しました。飲酒運転で捕まった運転手が、法律が厳し過ぎるから飲酒運転を認めるような法律に変えてくれと、そう言っているのと同じことであります。
 総理はこうした主張に絶対にくみするべきではありません。不退転の覚悟で、法律の厳正適用を求めるものであります。
 今、内政でも外交でも、その行き詰まりの根源にあるのは、憲法を頂点とするシステムではなくて、逆に憲法をないがしろにしてきた自民党政治そのものであることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#48
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 市田忠義議員にお答えをいたします。
 政治資金規正法の事務所費の問題についてお尋ねがありました。
 御指摘の事務所費を含む政治資金の在り方の問題について、私は自民党総裁として党改革実行本部において検討を進めるよう指示をし、既に政治資金規正法の改正を含め議論が行われております。この問題は、政治活動の自由、政治資金の透明性の観点から、各党各会派において同様に十分議論をしていただきたいと考えております。
 現閣僚の事務所費についてお尋ねがありました。
 安倍内閣の閣僚については、御指摘の件につき、法にのっとった処理がなされているとの報告を受けております。また、国会においてもその旨を明らかにしております。
 厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。
 私は、厚生労働大臣の当該発言は極めて不適切な発言だと思います。厚生労働大臣に対し厳重に注意をいたしました。閣僚の発言は重く、今回の発言によって多くの女性の心を痛めたことに対し、私も深くおわびを申し上げます。柳澤大臣も深刻に反省をしており、今後、常に国民の立場に立った厚生労働行政を進めることにより、国民の信頼を得られるよう全身全霊を傾けて職務を全うしてもらいたいと考えております。国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げて、御理解を賜りますようにお願いを申し上げます。
 憲法第九条に関連して、イラクを始めとする国際情勢の受け止め方についてのお尋ねがありました。
 国際社会をめぐる状況は、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘い、地域紛争の多発など、大きく変化しています。私は、世界の平和と安全なくして我が国の平和と安定もないとの認識の下、国際的な課題に対する我が国の貢献を強化し、世界の中で期待される役割と責任を果たしていくべきだと考えております。このような考えの下、イラクについては、自衛隊による人道復興支援活動やNGOとも連携したODAの活用により、我が国としてふさわしい支援を行ってきたところであります。
 憲法九条及び憲法に基づく戦後体制についてのお尋ねがありました。
 憲法の基本理念である民主主義、平和主義、基本的人権の尊重は、憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであって、将来においてもこれを堅持すべきものと考えております。
 他方、現行憲法が制定されてから六十年が経過しており、実態にそぐわない面があるのであれば見直すべきと考えております。憲法九条についても、我が国の安全保障の在り方や国際社会の平和と安全への貢献との観点に照らし、その規定ぶりについて十分な検証が必要だと考えます。アジア地域や世界の平和と安定に積極的に貢献をし、国際社会から信頼を得るためにも、新しい時代にふさわしい憲法の在り方を追求していくべきであります。与野党において一層議論が深められ、方向性がしっかりと出てくることを期待をいたしております。
 減価償却制度及び証券税制についてお尋ねがありました。
 今般の減価償却制度の見直しは、我が国経済の成長基盤を整備する観点から、現在の制度を国際的に遜色のないものに見直し、投資の促進を図ろうとするものであり、整備の除却までの期間全体を通じて見れば、税負担の総額は見直しの前後で変わりません。また、この制度の見直しの効果は、大企業のみならず中小企業にも及ぶものであります。証券税制については、現行の軽減税率を一年延長して廃止することとしております。
 こうした点を踏まえれば、これらの改正は大企業や大資産家を優遇するものではないことは明らかではないでしょうか。
 若者の貧困についてのお尋ねがありました。
 フリーターなど若年者を中心とした非正規雇用の増加は、一部にはそれらを自ら選択する者もあるとのことですが、将来の格差拡大につながるおそれもあり、十分な注意が必要であります。このため、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等を推進し、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減らすとともに、正規労働者と均衡処遇の実現等を図るためのパートタイム労働法の改正、最低賃金制度の見直し等により、経済的に困難な状況にある方々の所得、生活水準の引上げを図り、格差の固定化を防いでまいります。
 労働者派遣についてお尋ねがありました。
 派遣受入れ期間の制限を超えて派遣労働者を受け入れることは違法であり、またこれを未然防止する観点から、派遣先に派遣労働者に対する雇用契約の申込みを義務付ける仕組みを設けております。これらに違反する派遣先に対しては厳格に指導をしてまいります。
 偽装請負についてお尋ねがありました。
 いわゆる偽装請負については、労働者派遣法に違反するものであり、法律の規定に基づき、監督指導や悪質な違反が認められた事業主に対する厳格な対応等を徹底し、偽装請負の解消に最善を尽くしてまいります。(拍手)
    ─────────────
#49
○副議長(今泉昭君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
#50
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、安倍総理に対して質問をいたします。
 社民党は、今国会をストップ・ザ・格差社会国会、ストップ・ザ・憲法改悪国会と名付けて、政府・与党の格差社会を拡大する政策と憲法改悪の動きを全力で変えていく決意をまず申し上げます。
 まず、ストップ・ザ・格差社会国会についてです。
 総理の施政方針演説は、政府・与党の政策そのものが格差をつくり、拡大をさせている張本人であるということを全く無視しています。不平等な税制をつくり、労働法制を規制緩和し、福祉や公共サービスや地域を切り捨てていっていることこそが格差を生み出し、拡大をさせているのです。政治の根本が間違っているのですから、それを変えていく以外に格差をなくしていくことはできません。
 再チャレンジはまやかしです。まず、雇用の再生が必要です。
 日本版エグゼンプションは、一日の時間規制をなくす残業代不払法案、過労死促進法案です。総理は、家で過ごす時間は少子化対策にとっても必要だ、そう述べました。これは、現実が全く分かっていない発言です。会社員で帰りたいときに帰れる人がいるでしょうか。三十代の子育て世代の四分の一は月の残業時間は八十七時間です。働く人の現状が全く分かっていない総理に政治を任せるわけにはいきません。日本版エグゼンプションは、今国会はもちろんのこと、参議院議員選挙後も上程しないということでよろしいですね。
 パート労働法にも問題があります。正社員的パートのみを対象とするもので、ほとんどすべてのパート労働者の人々は切り捨てられてしまいます。パート労働者の待遇改善には全く役立たず、パート差別野放し法案です。総理、いかがですか。
 社民党は、どこでどんな仕事をしていようと最低時給千円以上を保障するような法制度を提言しています。しかし、この提言を実現しても、年に二千時間以上働いても年収二百万円です。少なくとも年収二百万円以下の人をなくしていくことが今の社会に求められているのです。総理はこのような提言を実行していく考えをお持ちですか。
 経済財政諮問会議は労働ビッグバンを提唱し、労働者派遣法の改悪などを提言しています。女性が産む機械でないように、労働者も働く機械や商品ではありません。労働ビッグバンは働く人々を不幸にします。やめるべきです。総理、いかがですか。
 第二に、生活の再生が必要です。
 安倍政権初の税制改正は、二〇〇七年度に実施される減税の九八%が減価償却制度見直しなど企業ばかりを向いています。他方、個人に対しては、労働分配率が低下し、定率減税が全廃されました。正に企業栄えて個人が滅ぶという状況です。上げ潮政策は全くのまやかしです。個人の生活が滅んで、一体どこに社会の未来があるでしょうか。美しい国とは冷たい国ですか。
 再チャレンジ再チャレンジと言いながら、なぜ生活保護における母子加算を三年で廃止し、児童扶養手当を減額しようとしているのですか。これはシングルマザーと子供の命綱を断ち切っていくもので、断固反対です。
 障害者自立支援法についても、現場から悲鳴が上がり、自殺者すら出ています。この法律の廃止が必要だと考えますが、いかがですか。また、国連で障害者差別禁止条約が合意をされました。日本はこれを早急に批准をすべきです。また、国内法的には障害者差別禁止法が必要だと考えますが、いかがですか。
 第三に、地域の再生が必要です。
 全国で自治体の崩壊が進んでいます。先日、雪降る夕張市に行ってきました。ナショナルミニマムの確保すら難しくなっています。夕張市が財政破綻の自治体のシンボルであるとするならば、それを地域再生のシンボル、希望のシンボルとなるようにしなければなりません。国に責任はないのでしょうか。北海道に責任はないのでしょうか。総理、いかがですか。
 次に、ストップ・ザ・憲法改悪についてです。
 総理は、今度の参議院選挙は憲法が争点であると述べています。社民党はこれを受けて立ち、とことん対決をしていきます。
 自民党新憲法草案は、海外で自衛隊が米軍とともに戦闘行為をすることを可能にします。そのために集団的自衛権の行使を研究し、憲法を変えようとしているとしか言いようがありません。そうではないですか。「硫黄島からの手紙」という映画を見ました。あのような惨状こそが、二度と戦争はしたくないという戦後日本の決意を生み出したのです。そして、総理の憲法改正への決意と行動は正にその決意を否定し覆すことであり、日本の平和と民主主義を正に破壊するものです。
 ところで、ブッシュ大統領はイラク戦争について大量破壊兵器があるとしたことは間違いだったことを認め、自ら責任を認めました。なぜ日本政府は間違いだったことを認めず、責任も認めないのですか。明確にその責任を認めてください。
 沖縄では、米軍再編の名の下に北部に新たな基地を造ろうとしています。明確な基地の強化です。絶対に許されません。
 また、改憲手続のための国民投票法案の成立も認めることはできません。
 共謀罪とゲートキーパー法についてお聞きします。
 条約を批准した国で新たに共謀罪をつくった国はノルウェー以外にないと聞いていますが、事実ですか。密告義務法案は市民が弁護士などに相談する権利を侵害すると考えますが、いかがですか。このような重要な法案を日切れ扱いにして、三月末までに拙速に成立させようとすることは大問題です。
 今国会では、学校教育法案などの教育関連法案が改悪されようとしています。学校の先生の免許更新制は物言わぬ教師をつくっていくでしょう。そのような中で子供たちが伸び伸び育っていくでしょうか。子供たちは先生を尊敬できるでしょうか。国家が教育をいじってろくなことはありません。
 格差社会と憲法改悪はコインの表と裏です。
 アメリカでは、格差社会の中で雇用のない貧しい地域の若者がイラクへ出兵しています。日本でも、格差が拡大し、戦争ができる憲法に変えられれば、アメリカと同じ状況になるでしょう。そして、物言えぬ社会づくりも、国家の教育への介入も、戦争ができる憲法改正もつながっているのです。
 次に、男女平等についてお聞きをします。
 柳澤大臣は女性を産む機械と発言をしました。これは最低の言ってはならない発言です。このような発言をする厚生労働大臣の下で審議をすることはできません。辞任をすべきです。また、安倍総理にも任命責任があります。柳澤大臣を罷免すべきです。総理、いかがですか。
 次に、民法改正についてお聞きをします。
 民法の規定に、結婚後二百日、離婚後三百日以内に生まれた子供は結婚中に妊娠したものと推定する、このような規定があります。しかし、これが現実に合わず、子供やお母さんに対して非常に負担を掛けております。見直しの必要があると考えますが、いかがですか。
 政治とお金の問題についてですが、総理の演説は「李下に冠を正さず」というもので、全くの他人事です。事実は明らかにされるべきです。政治資金規正法を改正し、事務所費について領収書の添付を義務付けるべきだと考えますが、いかがですか。
 官製談合や天下りを禁止し、政官業癒着や税金の無駄遣いをなくすことは当然だと国民は考えています。どうですか、できますか。
 総理の言う美しい国とは、働く人、パートや派遣で働く人、シングルマザー、子供たち、障害者、高齢者の人たちをたたき落としています。国民の暮らしを見ず、自治体を崩壊させ、田や森は荒れたまま。日本を物言えぬ社会にし、憲法を改悪し自衛隊が海外で米軍とともに戦争できる社会にしようとし、一人で美しい国と悦に入っているにすぎません。
 社民党は、美しい国ではなく、温かい国をつくります。そのことを申し上げ、私の質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#51
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福島みずほ議員にお答えをいたします。
 労働時間法制についてお尋ねがありました。
 労働時間については、長時間労働の抑制を図り、仕事と生活の調和を実現することが必要と考えており、御指摘の発言はこうした趣旨を申し上げたものであります。働き方の問題については、働く人たち、国民の理解を得ることが不可欠であります。労働時間法制の在り方については、現在、検討をしているところであり、様々な議論を踏まえた上で適切に判断してまいります。
 労働契約法についてお尋ねがありました。
 労働契約法制は、労働契約の内容が労使合意に基づいて自主的に決定され、円滑に継続するための基本的なルールを明確化するものであり、紛争の迅速な解決や未然防止に役立つものと考えております。具体的内容については、御指摘のようなものではなく、労使双方が安心、納得して働ける内容となるよう検討しております。
 パート労働法についてのお尋ねがありました。
 パート労働者の方々にも様々な形態があります。会社の中で管理職としての役割を担い、あるいは担い得るような正社員と同一な就業実態の方から短い時間補助的な仕事をする方まで千差万別であります。他方、労働法制は罰則を伴う強行規定から努力義務規定まで様々あり得るわけであります。法制的にどのような対応をすべきかは、パート労働者の就労の実態に応じ検討をすべきものと考えます。
 このため、政府としては、差別的取扱いの禁止と均衡待遇の確保の組合せにより、すべてのパートタイム労働者を対象として、きめ細かく待遇を改善するパートタイム労働法の改正案を今国会に提出してまいります。また、パート労働法に基づき事業主が講ずべき措置については、努力義務を含めて、すべて都道府県労働局長による助言、指導、勧告の対象として法の実効性を確保いたします。
 最低賃金についてのお尋ねがありました。
 今国会に提出する改正法案においては、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分機能するよう、地域別最低賃金について生活保護との整合性も考慮することを明確にしております。
 最低賃金額を御指摘のように抜本的に大幅に引き上げることについては、中小企業を中心として労働コスト増により事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われる面もあり、非現実的であると考えます。
 労働市場改革についてのお尋ねがありました。
 人口が減少する中で、高い成長を維持しつつ、国民の生活の質を高めることが重要であります。このため、複線型でフェアな働き方を実現させ、働く人一人一人が働くことへの誇りや生きがいを感じられるよう、ワーク・ライフ・バランスや再チャレンジ支援の観点から、今までの働き方を見直すことに加え、経済の活力を維持できるような環境の整備を図ることが重要と考えております。
 生活保護や児童扶養手当についてのお尋ねがありました。
 現行の母子加算を含めた生活保護の基準額は、母子世帯全体の平均的な所得層の消費水準を上回っています。今回の見直しは、この生活保護を受けている母子世帯と受けていない母子世帯との公平性の確保という観点に立って行うものであります。また、激変緩和についても留意をしながら段階的に行ってまいります。
 また、平成十四年の改正による児童扶養手当の見直しについては、母子家庭の母に対する自立支援に主眼を置いた改革の一環として、子育てや生活支援策、就労支援策、養育費の確保策の充実と併せて実施したものであります。
 障害者自立支援法についてのお尋ねがありました。
 本制度は、就労支援の強化や地域移行の推進など、障害者の方々が安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指すものであります。また、制度を皆で支えるため、国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則一割の負担をお願いをしていますが、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細かな軽減措置を講じております。さらに、今般、法の円滑な運用を図るため、現場の声を十分に踏まえ、もう一段の負担軽減措置など、三年間で千二百億円規模の特別対策を実施することとしており、引き続き法の定着に万全を尽くしてまいります。
 次に、障害者権利条約についてお尋ねがありました。
 本条約は、昨年十二月十三日、第六十一回国連総会の本会議において採択されました。我が国は本条約の起草段階から交渉に積極的に参加してきたことから、本条約の署名、さらには締結に向けて、国内法制度による実施措置を含め、必要な検討を行ってまいります。
 いわゆる障害者差別禁止法についてのお尋ねがありました。
 障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し、支え合う社会をつくっていくことは重要な課題です。平成十六年の障害者基本法の改正において、既に障害による差別禁止が障害者基本法の基本的理念等に明示されております。差別禁止法制の在り方については、今後、条約の締結に向けて必要な検討を行う中、慎重に検討してまいります。
 夕張市の財政再建についてお尋ねがありました。
 地方自治の財政運営はそれぞれの責任において行われるものであり、財政再建も夕張市の責任において行うことが基本であります。もちろん、財政再建に当たっては、住民に対する基礎的な行政サービスの提供を続けていくことがその前提となります。夕張市があらゆる分野で徹底した歳入歳出の見直しをする中にあっても、私は、高齢者と子供には特段の配慮を行うことが必要であると考えています。市民生活にも長期にわたり大きな影響が生じることから、一定の行政サービスの維持、財政再建の早期かつ確実な推進のため、北海道とも緊密に連携し、地域の再生に向け必要な支援を行ってまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 国の理想、形を物語る憲法は、日本が占領されている時代に制定され、六十年が経過しました。私たちは、二十一世紀にふさわしい日本の姿や理想を反映した新しい憲法を自らの手で書き上げるべきと考えています。
 こうした中、急激に変化する国際情勢の現実を直視しつつ、我が国が世界の平和と安定に積極的に貢献をし、国際社会の信頼を得ることは、正に今後の日本にふさわしい姿であり、追求すべき価値であると考えます。憲法改正を論ずる際に、この視点を避けることができないのは当然のことであります。
 いずれにせよ、新しい時代にふさわしい憲法の在り方について、今後、与野党において議論が一層深められ、方向性がしっかりと出てくることを願っております。
 イラクと大量破壊兵器に関してのお尋ねがありました。
 イラクが過去、実際に大量破壊兵器を使用した事実や国連査察団が数々の未解決の問題を指摘したこと等にかんがみれば、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信ずるに足る理由があったと考えます。
 当時、イラクは十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識の下で、政府としては安保理決議に基づき取られた行動を支持したものであります。
 国際組織犯罪防止条約を締結するに伴い、新たに共謀罪を作った国についてお尋ねがありました。
 本条約を締結するに伴い、共謀罪に関して新たに国内法を整備した国として、現時点で把握しているところではノルウェー以外にブルガリアがあると承知をしています。ただし、そもそも、米、英、独、仏等の主要国は、本条約の採択前から既に共謀罪又は参加罪を有していたと承知をいたしております。
 マネーロンダリング防止のための新たな法整備についてお尋ねがありました。
 マネーロンダリング防止のための新たな法整備は、我が国におけるマネーロンダリング対策及びテロ資金対策上重要であるばかりでなく、国際社会との連携した取組という観点からも必要不可欠なものであります。政府としては、御指摘の弁護士等と依頼者との関係にも十分に配慮した内容とし、今国会に早期に法案を提出いたします。
 教員免許更新制についてお尋ねがありました。
 教員免許更新制は、教員が時代の変化や要請に合わせた教育を行える能力や資質を確保し、教員の質の向上を図るための制度であります。これにより、自信を持って教壇に立てるようになり、教員が更に子供たちから尊敬と信頼を得られるようになるものと考えております。
 厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。
 私は、厚生労働大臣の当該発言は極めて不適切な発言だと思います。厚生労働大臣に対し厳重に注意をいたしました。閣僚の発言は重く、今回の発言によって多くの女性の心を痛めたことに対し、私も深くおわびを申し上げます。柳澤大臣も深刻に反省をしており、今後、常に国民の立場に立った厚生労働行政を進めることにより、国民の信頼を得られるよう全身全霊を傾けて職務を全うしてもらいたいと考えております。国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げまして、御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
 離婚後三百日以内に出生した子を前の夫の子と推定する民法の規定についてお尋ねがありました。
 御指摘の民法の規定及びその運用については、現在各方面でなされている様々な議論の状況等も視野に置きながら、見直しの要否を含め、慎重に検討を行ってまいります。
 政治資金規正法の事務所費についてお尋ねがありました。
 御指摘の事務所費を含む政治資金の在り方の問題について、私は自由民主党総裁として党改革実行本部において検討を進めるよう指示をし、既に政治資金規正法の改正を含め議論が行われています。この問題は、政治活動の自由、政治資金の透明性等の観点から、各党各会派においても同様に十分御議論をいただきたいと考えております。
 官製談合や天下りの問題についてお尋ねがありました。
 国や地方における官製談合問題の頻発は極めて遺憾であります。官製談合を根絶するためには、まず、さきの国会で改正され、三月十四日に施行される官製談合防止法を徹底して厳正に執行してまいります。また、一般競争方式の拡大と総合評価方式の拡充を行い、入札契約の改善に全力で取り組みます。
 天下り問題については、予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんによる再就職を根絶するため、厳格な行為規制を導入いたします。(拍手)
#52
○副議長(今泉昭君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト