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2007/03/23 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第11号
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2007/03/23 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第11号

#1
第166回国会 本会議 第11号
平成十九年三月二十三日(金曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
  平成十九年三月二十三日
   午前十時開議
 第一 地方税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第三 国際観光文化都市の整備のための財政上
  の措置等に関する法律の一部を改正する法律
  案(衆議院提出)
 第四 平成十九年度における財政運営のための
  公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第五 所得税法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、雇用保険法等の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) 御紹介いたします。
 第一回日中議員会議のため、本院の招待により来日されました中華人民共和国路甬祥全人代常務委員会副委員長の御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。
 ここに、皆様とともに心からなる歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ─────・─────
#4
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 雇用保険法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。柳澤厚生労働大臣。
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(柳澤伯夫君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律において、労働保険特別会計については、雇用保険三事業及び労働福祉事業について廃止を含めた見直しを行うこと、また、雇用保険の失業等給付に係る国庫負担の在り方について廃止を含めて検討することとされており、船員保険特別会計については、必要な措置を講じた上で労働保険特別会計に統合するものとされているところでございます。
 このため、これら同法の規定を踏まえた特別会計改革に必要な措置を講ずるとともに、雇用保険制度の直面する課題に対応するための見直し等を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、雇用保険制度について、失業等給付のうち高年齢雇用継続給付に係る国庫負担を廃止するとともに、平成十九年度以降の当分の間、失業等給付に係る国庫負担について、国庫が負担することとされている額の百分の五十五に相当する額を負担することとし、また、雇用保険三事業のうち、雇用福祉事業を廃止することとしております。
 また、雇用保険の失業等給付に係る保険料率の弾力的な変更幅を千分の二から千分の四に拡大する等の見直しを行うとともに、被保険者資格と基本手当の受給資格要件を一本化し、育児休業給付の給付率を暫定的に引き上げるほか、特例一時金や教育訓練給付についての所要の見直し等を行うこととしております。
 第二に、船員保険制度について、雇用保険制度に準じた見直し等を行うほか、労働者災害補償保険制度及び雇用保険制度に相当する部分をそれぞれの制度に統合し、それ以外の部分を全国健康保険協会に移管することとしております。
 第三に、労働者災害補償保険制度について、労働福祉事業のうち労働条件確保事業を廃止し、事業名を変更する等の見直しを行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日については平成十九年四月一日としておりますが、雇用保険の適用及び給付内容の見直しは平成十九年十月一日、船員保険の統合に関する事項については平成二十二年四月一日から施行すること等としております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。森ゆうこ君。
   〔森ゆうこ君登壇、拍手〕
#8
○森ゆうこ君 私は、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表して質問いたします。
 まず、本題に入る前に、インフルエンザ治療薬タミフルについて伺います。
 柳澤厚生労働大臣は、三月二十日、参議院厚生労働委員会において、タミフルの輸入販売元の中外製薬に旧厚生省薬務担当課長が天下っていた問題について法的に問題ないと答弁されましたが、本当に問題ないと考えておられるのでしょうか。その真意をお聞かせください。
 御存じだと思いますが、平成十四年の薬事法改正において、薬害エイズ等過去の反省から、因果関係が必ずしもはっきりしなくても、予防原則に基づいて国がメーカーに回収命令を出せるなど、医薬品の監視システムが強化されました。また、強化された監視システムが機能するには、厚生労働省職員の中立性、公正性が担保されることが重要であることから、法的にも二年間禁止されておりますが、関連企業への天下りは厳に慎むべきであるということを私自身が当時の厚生労働委員会で確認させていただいております。
 もちろん、医薬品産業の振興は二十一世紀の我が国産業の発展と国民の福祉にとって大変重要であり、現在策定中の新医薬品産業ビジョンの完成が待ち望まれていますが、医薬品は一方で重大な副作用があり、産業振興部門と監視部門を切り分け、監視システムをしっかりと機能させなければならないと思いますが、医薬品の安全性について責任を持っている大臣としていかなる御所見をお持ちなのか、官僚の作文ではない大臣御自身のお考えをお聞かせください。
 また、昨日の次官の会見で、タミフル服用と異常行動の因果関係について、従来から主張してきた否定的という判断を事実上撤回した真意について併せてお伺いします。
 御自身の言葉だと問題発言になるというおそれをお持ちなのかどうか分かりませんが、最近、大臣の政治家としてのリーダーシップあふれる言葉をお聞きすることができないような気がします。先日も、喫緊の課題である無過失医療補償制度や、悪化する労働環境改善のための労働基準監督局の体制強化について質問いたしましたが、与党の先生方でさえ大臣のリーダーシップのなさを嘆く始末でした。リーダーとして責任を持って決断し実行する、そして結果責任を取る、これが政治家の役目であり、そうでなければ政治家など要りません。
 さて、我が国の雇用情勢は、失業率が五%を上回った平成十三年から十五年にかけてのどん底の状態からは改善しつつあり、一月の失業率を見ると四・〇%と、失業率の数字自体は改善しつつあります。しかし、問題は中身であります。特に若者の失業率について、二十四歳以下の失業率は一月の時点でも八・四%と全年齢平均の倍以上であり、若者の雇用情勢はいまだに大変厳しい状況にあります。また、非正規労働者の割合は上昇し続けており、平成十八年には雇用者の三三%を占める状況になっています。
 こうした点を踏まえれば、政府は雇用失業情勢の改善が進んでいるというものの、若者を中心にして雇用情勢はいまだに厳しいものがあると言わざるを得ません。
 特に、若者で増加しているフリーターは、平成三年のバブル期に約百万人であったものが、平成十七年には二百一万人に達しております。厚生労働省の調査によっても、所得が低くなるに従って未婚率が高くなる傾向にあることから、フリーターの増加は少子化を助長することになり、ひいては、年金など社会保障制度の崩壊につながることが懸念されるものであります。また、内閣府の推計によると、若年の非正規雇用者をこのまま放置しておくと、将来失う所得はGDPの約一%に上るとされております。したがって、若年者雇用対策は我が国の経済社会の将来を左右する喫緊の課題であると言えます。
 我が国の労働力人口がこれから減少していく中で、経済社会の活力を維持していくためには、こうした若者を始めとして、女性、高齢者、障害者など働く希望を持つ国民全員が働ける場をつくっていくことがこれからの雇用対策の課題であり、私たちの責任ではないでしょうか。政府は、雇用対策法の一部改正案により、言わば小手先の対応をしようとしていますが、私ども民主党は雇用基本法案を準備し、これらの課題を国家の将来にとって重大な問題であると考えて抜本的に取り組もうとしております。
 さて、雇用保険制度は、こうした働く人たちにとって、不幸にも失業してしまった場合のセーフティーネットとして必要不可欠な制度であります。また、やる気と能力がある限り何度でも挑戦できる社会、私はこれをトランポリン型社会と呼んでいますが、その実現のためには、新たなチャレンジを支援する仕組みとして雇用保険制度を活用することは大変重要なものであると考えます。
 こうした観点から見ると、今回の法案は、フリーターなど被保険者になれない若者たちが放置されてきたことなど、時代の変化に対して遅きに失した部分や不十分な部分が目立つと言わざるを得ません。
 そもそも今回の法案は、私が述べたような長期的な雇用対策、中でも若年者雇用対策に関するビジョンを欠いた、正に、行革推進法に国庫負担と雇用保険三事業などの見直しが規定されているから致し方なく実施したというべき理念なき改正ではないでしょうか。厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 今回の法案においては、高齢者雇用継続給付に係る国庫負担を廃止するとともに、当分の間、失業等給付に係る国庫負担を本来の負担額の五五%に削減することとしております。失業等給付についての国庫負担は、雇用対策に関する国の責任を具現化するものであり、軽々に削減するべきものではないと考えます。また、このような措置を講ずることにより、働く人たちのセーフティーネットである雇用保険制度の安定的な運営に支障は出ないのでしょうか。
 今回の措置に関して、国庫負担の削減と雇用保険制度に関する国の責任について、厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 また、国庫負担を削減するほか、保険料率の弾力条項の範囲を見直して保険料率を引き下げることが予定されています。雇用保険財政が改善したのであれば、その恩恵は保険料率の引下げにより労使に利益を還元すべきであり、ある意味当然の改正であると言えます。更に言わせていただければ、国庫負担を引き下げるのであれば、むしろ労使の保険料を政府提案より更に引き下げた方が消費を刺激するなど経済に良い影響を与えるのではないでしょうか。厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 今回、ようやく雇用保険三事業の見直しが盛り込まれました。今回の法案では、雇用保険三事業のうち、雇用福祉事業を廃止するとともに、雇用安定事業及び能力開発事業の対象として、「被保険者になろうとする者」を加えています。
 私はかねてより、雇用保険の無駄遣いを直ちにやめ、雇用保険制度を活用した若年者雇用対策の充実について主張してまいりました。政府はこれまで、雇用福祉事業と称し、建設に四百五十五億円を掛けたスパウザ小田原を始めとした勤労者施設を乱立させ、それを信じられない低価格で売り払うなどの保険料の無駄遣いを行ってきました。これは正に、国民の貴重な雇用保険の原資に巣くう天下り官僚の国家への背信的な行為として、多くの国民のはらわたが煮えくり返る思いをしているものであります。
 一方で、若者など被保険者となろうと努力する者の支援については放置してきたと言わざるを得ません。今回の改正により、雇用安定事業及び能力開発事業において若者の支援を充実するつもりなのかもしれませんが、余りにも時代の変化への対応が遅れており、雇用保険三事業の在り方を見直すのが遅きに失したのではないでしょうか。また、過去に保険料の無駄遣いは総額幾らになるでしょうか。過去の反省とともに、これらの点について厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 今回の法案は、これら雇用保険三事業や国庫負担の見直しといった行革推進法の規定を踏まえた見直しのほか、雇用保険制度において幾つか見直しが行われています。
 まず、現在、短時間労働者とそれ以外の方で分けている一般被保険者の区分を統一し、現在、短時間労働者の方にとって不利になっている失業した場合の基本手当の受給要件も統一することとされています。いまだに雇用保険制度の根幹たる給付である基本手当の受給資格要件が労働時間により違っていることは大変不合理なことであり、今更ながらの改正ではありますが、現在、短時間労働者として働いている方にとってプラスとなる改正ではあります。しかしながら、雇用保険制度の適用範囲自体が今回拡大されるわけではありません。雇用保険制度の適用範囲は、週所定労働時間二十時間以上かつ一年以上の雇用見込みがあることが要件とされていますが、こうした雇用保険の適用範囲を見直していくことも、雇用保険制度が真に必要とされるセーフティーネットとして機能するためには必要なのではないでしょうか。厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 さらに、今回の法案では、若年者の能力開発を促進するため、教育訓練給付の支給要件の緩和をし、当分の間、教育訓練給付を受けたことがない者に限り、支給要件期間が一年以上あれば支給を受けることができることとしています。確かに、これにより若者の自発的な能力開発が促進される面はあるかもしれません。しかしながら、真に支援が必要なのは、雇用保険の被保険者にもなっていないフリーターやニートなどの若者ではないでしょうか。こうした若者の能力開発を支援するための施策を抜本的に拡充していくことが必要だと考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
 雇用保険三事業の見直し等によって、雇用安定化資金の残高は十九年度には九千四百四億円と見込まれます。この際、英国ブレア政権が成功した若年者ニューディール政策を参考に、社会的投資として明確なビジョンの下、大胆に資金を投入してはいかがでしょうか。スパウザ小田原や私のしごと館の建設に大胆に資金投入したことを考えれば容易にできると考えますが、いかがでしょうか。
 また、失業した方などが受ける公共職業訓練の内容については、激しく変化する我が国の経済と産業の構造に対応できていないのではないでしょうか。せっかく教育訓練を受けても、その技能が民間企業のニーズに合致しないのであれば、全くのお金の無駄遣いであると言わざるを得ません。民間の力を活用するなどし、民間企業のニーズに対応した訓練内容の見直しが不可欠かと思いますが、厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 また、この法案では少子化対策の一環として、育児休業給付の給付率を休業前賃金の四〇%から五〇%に暫定的に引き上げるとしています。育児休業期間中の所得保障を拡充すること自体は大変結構ですが、そもそも、残念ながら育児休業を取らずに離職をしている人が多いのが現実であります。第一子を出産した母親の七割近くが出産半年後には無職となっているというデータもあります。また、育児休業が取れないのは、育児休業期間中の所得がないという以上に職場の理解が得られないなどの理由を挙げる方が多くなっています。このような状況下では、たとえ育児休業給付の給付率を引き上げたとしても、育児休業をそもそも取れない人にとっては何の恩恵にもなりません。これでは少子化対策、育児休業の取得促進策としては全く不十分だと思いますが、いかがでしょうか。厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 民主党は、格差社会の是正を正面からとらえ、意欲と能力のある人が少しでも真っ当な評価を受け、働くことができる社会の実現に向け総合的な対策を盛り込んだ格差是正緊急措置法案を三月一日に衆議院に提出したところであります。
 私個人としても、子供を育てながらこれまで働いてきた経験を十分に生かして、少子化対策や若年者雇用対策についても重点的に取り組んでいきたいと思いますが、雇用保険制度を始めとする雇用対策は少子化対策の礎ともなりますし、また公的年金制度の安定化の糧ともなるという広い視野に立って、より深みのある制度改革を行うべきことを改めて主張させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、森ゆうこ議員からは、厚生労働省の元職員が製薬企業に就職していることに関してのお尋ねがございました。
 厚生省のOBが人事院の定めるルールに従った上で、その専門知識を生かすことができる民間会社に行くということは、少なくとも現行法では特段違法、不当ではないと私は理解をいたしております。御指摘の薬剤は、服用者などの異常行動を、目下調査の見直しを行おうとしているものでありまして、この段階でその薬剤とこの人物の関係を云々することということは、私は現段階では適当ではないと、このように考えます。
 しかしながら、いずれにいたしましても、私どもの薬事行政、特に監視活動は国民の安全を第一とするものでございます。特定の人物の利害でそれを揺るがすようなことは断じて許されないところでございます。したがいまして、この人物であろうとなかろうと、そうしたことが疑われるようなことであれば、今議員が質問演説の中で指摘されたようなことも念頭に置きながら厳正に対処してまいる、そういうことによって、国民の薬剤への安全性の確保、それからまた厚生労働行政に対する信頼の確保、これの維持発展に努めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、タミフルと異常行動の関係について御質問がございました。
 これまでのタミフルに関する副作用報告につきましては、死亡に至らなかったケースも含めまして全体を再度精査し、その後、薬事・食品衛生審議会において検討をしていただくことにいたしました。これまでの死亡例の検討の結果としては、因果関係については否定的ということでございましたが、今後、検討を進める中でこの判断が変わり得る可能性は否定できない、そういうことと考えております。
 次に、今回の改正法案の趣旨についてお尋ねがございました。
 今回の雇用保険制度の改正は、二つの趣旨を持つものでございます。第一は、御指摘のとおり、行政改革推進法を踏まえた国庫負担の在り方などの見直しを行うというものでございます。そして第二に、当面する課題により的確に対応するということでございます。
 その第二の中身といたしましては、一つ、短時間労働者とそれ以外の労働者により取扱いの異なっていた被保険者資格の区分の統一を行うこと、第二に、育児と仕事の両立の支援を拡充するための育児休業給付の給付率の引上げを行うこと、第三に、若年者雇用対策等の観点からの教育訓練給付の支給要件の緩和と雇用安定事業等の対象者の拡大、このようにして若年者の雇用対策の前提としての教育訓練を充実しよう、そういうことを行うものでありまして、単に行政改革推進法に規定されたことを実施するだけの法律案ではないということを御理解賜りたいと思います。
 国庫負担の削減と雇用保険制度に係る国の責任についてお尋ねがありました。
 国庫が失業等給付に係る費用の一部を負担しているのは、失業が政府の経済政策あるいは雇用対策と無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うべきであるとの考え方に出るものでございます。
 今回の措置は、行政改革推進法の趣旨を踏まえ、かつ現在の雇用保険財政の状況、それから過去の国庫負担等の国庫負担率の縮減方法、こうしたものに照らしまして、雇用保険制度の安定的運営を確保できるということを展望しながら、当分の間、本来の負担額を引き下げることとしたものでありまして、国の責任についての基本的な考え方は毫も変わるものではありません。
 国庫負担の引下げに代わる保険料の更なる引下げについてお尋ねがありました。
 今回の改正におきましては、国庫負担について当分の間、引下げを行う一方で、労使による失業等給付に係る保険料率も平成十九年度から〇・四%引き下げる予定といたしておりまして、行政改革推進法の規定に対応し、国庫負担と労使の保険料負担の双方に配慮した改正内容となっているのでございます。
 雇用保険三事業の見直しについてお尋ねがありました。
 雇用保険三事業につきましては、改正法案において、まず雇用福祉事業を廃止するとともに、若年者等に対する支援の重点化の観点から、事業の対象に被保険者になろうとする者、現に被保険者ではない者を含みます、そういうことを明定しまして、彼らを対象としてジョブカフェ等の施策を行うこととしたところでありまして、今後ともこうした方向で不断の見直しを行ってまいりたい、このように考えます。
 また、過去の無駄遣いとの御指摘でございますけれども、雇用保険三事業で実施してきた事業につきましては一定の役割は果たしてきたと考えておりましたが、今回、行政改革の観点からこれら事業の見直しを行ったというところでございます。
 雇用保険の適用範囲についてお尋ねがございました。
 雇用保険制度は、自らの労働による賃金で生計を維持している労働者について、失業時に必要な給付を行うことにより、生活の安定を図りつつ求職活動を支援するための制度でございます。その観点から現在の要件は適切なものと考えておりますが、今後、議員の指摘のように、就業形態の一層の多様化に対応し、その適用範囲について引き続き検討してまいりたい、このように考えております。
 若年者の職業能力開発についてのお尋ねがございました。
 今回の改正におきましては、若年者の能力開発促進の観点から、先ほども触れた点も含めまして、教育訓練給付の支給要件である被保険者期間を、三年以上から、初回に限っては一年被保険者であればそれはもう対象になるというような、一年以上に拡大することといたしております。
 また、雇用保険被保険者となっていないフリーター、ニート等の若者についても、一般会計を含め、企業実習を先行させる職業訓練の創設等を盛り込んだいわゆるフリーター二十五万常用雇用化プランを推進するとともに、地域において若者の自立を支援するいわゆる地域サポステ、地域若者サポートステーションの箇所数を二十五か所から五十か所に倍増する等により、能力開発の取組を進めてまいります。
 公共職業訓練の在り方についてお尋ねがありました。
 公共職業訓練におきましては、企業の人材ニーズの変化に的確に対応するために、ハローワークの求人の動向、事業主団体及び事業主からのヒアリング等を踏まえまして、地域における人材ニーズを把握、分析し、物づくり系の訓練コースについて企業実習を積極的に取り入れるなど、訓練コースの改廃やカリキュラムの見直しを実施するとともに、ホワイトカラー系の職種について民間教育訓練機関等への委託訓練の活用に努める等、多様な訓練の実施に努めているところでございます。
 最後でございますが、育児休業の取得促進策についてお尋ねがありました。
 政府といたしましては、妊娠、出産等を理由とした不利益取扱いを広く禁止した改正男女雇用機会均等法に基づく指導、次世代法に基づく企業の行動計画の策定、実施の促進などによる育児休業を取りやすい職場環境の整備、先般発足した「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議におけるあらゆる観点からの効果的な少子化対策の再構築についての検討などの取組によりまして、育児休業を希望する方が気兼ねなく利用でき、妊娠、出産しても安心して働き続けることができる職場環境の整備に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
#10
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#11
○議長(扇千景君) 日程第一 地方税法の一部を改正する法律案
 日程第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長山内俊夫君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔山内俊夫君登壇、拍手〕
#12
○山内俊夫君 ただいま議題となりました日程第一及び日程第二の両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、去る二十日に質疑、採決が行われました地方税法の一部を改正する法律案は、上場株式等の配当及び譲渡益に係る軽減税率の適用期限の延長、住宅のバリアフリー改修に係る固定資産税の特例措置の創設、電気自動車等の低公害車に係る自動車取得税の特例措置の見直しと延長を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化、信託法の制定に伴う所要の規定の整備等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、地方団体間の税収格差を縮小するための施策、地方への税源移譲を円滑に行う必要性とその意義、上場株式等の配当等に係る軽減税率の特例を延長する理由、バリアフリー特例措置を持家居住者に限定した理由、昨年の法改正に対する附帯決議の実施状況等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉川春子委員、社会民主党・護憲連合を代表して又市征治委員より、それぞれ反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、三項目から成る附帯決議が付されております。
 次に、昨二十二日に質疑、採決が行われました地方交付税法等の一部を改正する法律案は、平成十九年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずることとするほか、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の償還方法を変更し、あわせて、地方交付税の算定方法を簡素化するとともに、地方交付税の単位費用の改正等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、地方交付税の予見可能性を高めるための取組、頑張る地方応援プログラムにおける地方交付税活用の是非、地方行革の努力成果を地方税財源の充実につなげる必要性、新型交付税導入が小規模団体や旧産炭地域の地方団体の財政に与える影響及びその対策、公的資金の補償金を伴わない繰上償還の周知徹底と手続のルール化等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉川春子委員、社会民主党・護憲連合を代表して又市征治委員より、それぞれ反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(扇千景君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#14
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#15
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百九十四  
  賛成              百六  
  反対             八十八  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#16
○議長(扇千景君) 日程第三 国際観光文化都市の整備のための財政上の措置等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長大江康弘君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔大江康弘君登壇、拍手〕
#17
○大江康弘君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国際観光文化都市の整備のための財政上の措置等に関する法律の実施の状況にかんがみ、その有効期限を平成二十九年三月三十一日まで延長しようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#19
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#20
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百九十五  
  賛成            百九十五  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#21
○議長(扇千景君) 日程第四 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案
 日程第五 所得税法等の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長家西悟君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔家西悟君登壇、拍手〕
#22
○家西悟君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案は、平成十九年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び年金事業等の事務費に係る国庫負担の特例に関する措置を定めようとするものであります。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案は、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、減価償却制度、中小企業関係税制、住宅・土地税制、組織再編税制、信託税制、納税環境整備等について所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、プライマリーバランスの黒字化の見通しとそのための施策、金利上昇局面における今後の国債管理施策の在り方、国の貸借対照表に係る責任の所在、税制の抜本改革に向けた政府の取組、減価償却制度の見直しによる経済効果、中小企業の円滑な事業の承継に向けた税制の拡充策等、熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して尾立源幸委員、日本共産党を代表して大門実紀史委員より、それぞれ両法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終了し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、所得税法等の改正案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(扇千景君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。富岡由紀夫君。
   〔富岡由紀夫君登壇、拍手〕
#24
○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対する立場で討論を行います。
 まず、特例公債法案に反対する理由を申し上げます。
 第一に、この法案が将来世代、すなわち私たちの子や孫の世代に赤字のツケを回す法案であることであります。私たちの子や孫は、増税や社会保険料の負担増といった大きな負の遺産を背負わされているのです。
 国と地方の借金は、財投債、政府短期証券等を含めると、平成十九年度末には千五十八兆円になります。国民一人当たり約八百三十万円の残高になります。赤字国債はこれからも発行が続けられ、借金はこれからも増加するのに対して、少子化により人口が減少しますので、一人当たりの借金残高は確実に増加することが見込まれます。
 政府は、財政赤字は問題である、先進諸国と比較してもGDPに対する債務残高比率は最悪である、増税は避けて通れないと声高に叫んでいます。確かにそのとおりです。しかし、ちょっと待っていただきたい。このような危機的財政赤字の状況をつくったのはだれなのですか。自然に財政赤字はできたのでしょうか。
 この赤字をつくったのはほかならない政府そのものであります。無駄な予算の使い方はなかったのでしょうか。私は、まずこの責任を明確にすべきだと考えます。政策の失敗を反省していただきたいと思います。二度とこのような失敗の歴史を繰り返さないよう、原因をしっかりと究明し、国民に対し説明責任を果たすべきであります。政府のつくった赤字のツケを国民に増税や社会保険料の負担増といった形で押し付ける前に、是非お願い申し上げます。
 第二に、今回の法案においても九百六十七億円もの年金保険料を社会保険庁の事務費に流用しようとしていることであります。
 これは、年金保険料は年金給付にしか充当しないというこれまでの原則を逸脱するものであります。この年金保険料の事務費流用は、平成十年度より税収不足を理由に始められましたが、政府は景気の回復による税収の増加をうたうのであれば、早急に税金で負担するという本来の原則に戻すべきであります。
 次に、所得税法等の改正案に反対する理由を申し上げます。
 第一に、今回の法案が格差是正に何も寄与しないという点であります。
 三月二十日の財政金融委員会での私の質問に対し、財務大臣ははっきりとそう答弁されました。これだけの格差が問題になっているときに、格差是正策を税制改正に織り込まなくてよいのでしょうか。例えば、企業間格差についてはどうでしょうか。大企業の一部は最高収益を上げる一方で、中小企業や地方の企業は赤字に苦しんでおります。こうした大企業は、収益を上げるために下請企業に対する発注価格をたたき、部品や原料の単価をたたき、従業員を解雇し、正規社員から非正規社員へ切り替え、別会社化等による給与体系の切替え等を実施しております。
 こうした中小企業いじめ、従業員いじめによって上げた最高収益は、役員報酬や株主への配当として支払われております。二〇〇一年度と比較して二〇〇五年度は、雇用者報酬が三%減少しているのに対し、大企業の役員報酬は八八%の増加、配当金は一七七%の増加となっております。ワーキングプアや中小企業の犠牲により、大企業はいわゆる国際競争力を高めているのです。こういうことで得られる国際競争力は美しいものと言えるでしょうか。大多数の国民の犠牲によって得られる一部大企業の収益、国際競争力は美しいと自慢できるものなのでしょうか。
 政府は、法人税率の更なる引下げも検討しているようですが、そもそも法人税率が引き下げられて喜ぶ企業はどれだけあるでしょうか。言うまでもなく、法人税は利益を上げている黒字企業が課せられる税でございますが、黒字企業は全体の約三割しかありません。七割は法人税を払いたくとも払えない赤字企業なのです。勝ち組企業だけを優遇する法人税率の引下げも美しいと威張って言えるものではないと思いますが、どうでしょうか。
 また、個人の所得格差、資産格差の問題もあります。定率減税の導入に合わせ、平成十一年度改正で高額所得者の所得税の累進税率の引下げが実施されました。累進税率が五〇%と四〇%の部分が三七%になり、それぞれ八万人、十九万人の人がこの減税の恩恵にあずかることができました。しかし、これらの人の国民全体に対する比率はわずかに〇・〇六%、〇・一五%となっており、ごく一部の高額所得者だけが喜んだにすぎません。大多数の一般国民には関係がなかったのです。定率減税は廃止されましたが、この所得税の累進税率は戻されませんでした。
 資産格差を是正する機能のある相続税も同様です。平成十五年度改正で高額相続資産に対する相続税率が七〇%から五〇%に引き下げられました。しかし、この恩恵にあずかれる人は年間わずか五十人程度しかおらず、国民全体に対する比率は〇・〇〇〇〇四%であります。
 このように、所得再分配機能を持つ所得税の累進税率、資産再分配機能を持つ相続税の累進税率は弱められております。これでは、所得格差、資産格差は拡大する一方であり、金持ち優遇と言うほかはありません。この税不足を補うために低所得者層に相対的に負担の大きい消費税を引き上げることだけは御勘弁いただきたいものであります。
 第二に、個別制度にも問題点が散見していることであります。
 再チャレンジ支援寄附金税制として、障害者や母子家庭の母を雇用する企業に対する寄附金の税制上の優遇を掲げておりますが、どうして障害者や母子家庭の母が再チャレンジなのか。障害者や母子家庭の母は失敗した人とでも言うのでしょうか。障害者や母子家庭の母に対する税制上の支援は必要ですが、これを再チャレンジと言うのは不適切な表現と言わざるを得ません。
 また、一人オーナー会社の役員給与の損金算入制限措置の中途半端な見直しをなぜ今回行うのでしょうか。我が党は、そもそも不公平な税制であるこの役員給与の損金算入制限措置の撤廃を求めております。これに対して、政府・与党の方針は極めて場当たり的な対応であり、税制の抜本的見直しの議論を平成十八年度決算の実績を踏まえ秋口から行うという政府の方針とも矛盾しております。
 以上、二法案に反対する理由を申し述べましたが、格差の問題は国内だけの問題ではありません。一部の人々への富の集中は世界規模で生じております。経済市場がボーダーレス化している現在、世界的な富の集中、偏在は大きな問題を生じさせております。一部資産家がヘッジファンド等を通じて敵対的企業買収を行ったり、莫大な資金を使って為替、金利、株式等のグローバル市場での攪乱を行った例もあります。
 政府に対しては、是非この問題をG7、G8等でも議論していただきたいということを要望いたしまして、私の討論を終了いたします。(拍手)
#25
○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。
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#26
○議長(扇千景君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#27
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#28
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百九十八  
  賛成              百八  
  反対              九十  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#29
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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