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2007/04/20 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第19号
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2007/04/20 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第19号

#1
第166回国会 本会議 第19号
平成十九年四月二十日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十九号
  平成十九年四月二十日
   午前十時開議
 第一 武力紛争の際の文化財の保護に関する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 海洋基本法案(衆議院提出)
 第三 海洋構築物等に係る安全水域の設定等に
  関する法律案(衆議院提出)
 第四 消費生活協同組合法の一部を改正する等
  の法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、産業活力再生特別措置法等の一部を改正す
  る法律案、中小企業による地域産業資源を活
  用した事業活動の促進に関する法律案及び企
  業立地の促進等による地域における産業集積
  の形成及び活性化に関する法律案(趣旨説明
  )
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。甘利経済産業大臣。
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(甘利明君) 初めに、産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国経済は、足下の景気は回復基調であるものの、人口減少社会の到来、国際競争の激化等、成長の制約要因を抱えております。こうした制約を克服するため、経済成長戦略大綱では、イノベーションによる生産性向上や地域経済の活性化等により年率二・二%以上の実質経済成長を目指しております。
 経済成長戦略大綱を実現をし、我が国経済が持続的に発展していくためには、中長期的な生産性の向上を図ることが必要であります。このため、産業活力の再生を図るとともに、産業技術力の強化のための措置を講ずる必要があります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、事業者の取組への支援です。サービス産業は雇用やGDPの七割を占め、地域経済の中核であり、その担い手の大半は中小企業でありますが、その生産性は低いのが現状です。このため、事業分野別の指針を新たに策定するとともに、会社法特例や税制等により生産性向上を促します。また、技術革新や異分野連携を行う企業を支援対象に加えていきます。
 第二に、包括的ライセンス契約により許諾された特許権等の通常実施権を契約単位で一括して登録できる制度の創設であります。通常実施権の登録がなされれば、特許権等の保有者が変わった場合でも通常実施権者の地位が保護されるため、通常実施権の登録方法の選択肢が増え、特許権等の活用が増えることが期待をされます。
 第三に、地域の中小企業等の事業再生の円滑化です。地域の金融機関の不良債権比率はいまだ高く、また小規模倒産が増えつつあります。このため、事業再生の期間中のつなぎ融資資金に対する債務保証制度等を創設し、地域の事業再生の円滑化を図ります。
 第四に、イノベーションを支える産業技術力の強化です。研究開発を経営戦略の一環として位置付ける技術経営力の強化に関し、産業技術力強化法の基本理念等に規定を置くとともに、独立行政法人産業技術総合研究所及び独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務に関連業務を追加するなどの措置を講じます。
 続きまして、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 中小企業の景気回復は遅れており、また地域によって回復の足取りに差が生じております。
 このため、景気回復の流れをより豊かなものとし、地域経済の自律的な活性化を図るため、地域の特色ある農林水産物、産地の技術、観光資源といった地域産業資源を活用した中小企業による事業活動を支援するための措置を講ずることにより、地域経済の主な担い手である中小企業の事業活動を促進することが必要となっております。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、主務大臣が、地域産業資源を活用した事業の促進により、地域経済の活性化を図るための方針を策定いたします。
 第二に、この方針に基づいて都道府県知事が地域産業資源の具体的内容等を示した構想を作成し、主務大臣がこれを認定いたします。
 第三に、都道府県知事の構想において指定された地域産業資源を活用して商品の開発等を行う中小企業の事業計画を個別に主務大臣が認定し、中小企業信用保険法の特例等の支援措置を講ずることとしております。
 最後に、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 地域によって景気回復に差が生じていることに加え、経済社会の構造的な変化が進む中、地域経済の活性化を図るためには、安易な財政支出に依存せず、地域が自律的、持続的に成長できるような基盤を確立することが喫緊の課題となっております。
 自律的な発展基盤を強化するためには、地域が自らの強みを生かして、関係者の力を結集しつつ、新たな企業立地等を通じた産業集積の促進を図り、地域に所得と雇用を生み出すことが極めて重要です。
 このため、その特色を踏まえ、産業集積の形成等に主体的かつ計画的に取り組む地域に対し、国としても総合的な支援を行うことが必要です。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、都道府県及び市町村が、地域の関係者と組織する地域産業活性化協議会において、産業集積の形成等に関する基本計画を作成することといたします。そして、国の同意を得た基本計画に基づき、企業立地等を行う事業者に対し、設備投資減税や貸し工場の整備等の支援措置を講じます。
 第二に、国の同意を得た基本計画に基づき、工場立地法に係る規制権限の市町村への委譲や農地転用手続の迅速化等の措置を講じます。
 第三に、広域的な物流網等の基盤整備、地域の雇用対策、産学連携の推進等の関係省庁が行う施策との連携を図り、効果的に企業立地等を促進することとしております。
 以上がこれらの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小林温君。
   〔小林温君登壇、拍手〕
#7
○小林温君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案について、質問をいたします。
 我が国経済は、安倍内閣が発足した昨年九月以降も引き続き順調に回復基調にあります。この回復は、安倍内閣のこれまでの取組が適切なものであり、効果を上げているものと評価をしたいと思います。
 安倍総理が唱える美しい国づくりのためには、その基盤となる活力に満ちた経済が不可欠であり、そのために、持続的な成長に貢献するイノベーションの創造、生産性の向上を実現することが重要なかぎとなります。つまり、既存の経済活動に対して新しい技術を取り入れて新たな価値を生み出し、経済的、社会的に大きな変化を起こすことにより、更なる成長の原動力となることが期待されているわけであります。
 また、戦後の荒廃の中から、資源を持たない日本が驚異的な経済成長を実現した我が国及び国民の才能と努力、そして潜在力を再認識することが必要であり、このためには人材、企業、地域資源など限りない可能性を引き出し、これを発展させていくことも重要な課題であります。
 私は、昨年、経済産業省の大臣政務官として新経済成長戦略の策定に参画いたしました。この戦略に肉付けをし、昨年七月に経済成長戦略大綱が取りまとめられました。今国会に提案されている三法案は、イノベーションによる生産性の向上や地域経済の活性化などにより、年率二・二%以上の実質経済成長を目指す大綱の柱となるものであり、正に美しい国づくりに向けた基盤を構築するものとして早急に成立をさせ、実施に移すことが必要であると考えます。
 それでは、具体的な質問に移ります。
 まず、産活法などの改正は、経済成長戦略大綱の実現のための法改正という位置付けをされていますが、大綱が目標とする二・二%の実質経済成長のため、これら法案に加え、制度改正や予算、税制など、大綱の施策全般を着実に実現をしていくことが必要です。これらの施策の進捗状況について、具体的にお聞かせください。
 安倍内閣の大きな政策の柱である成長戦略を実現する上では、イノベーションの創出が大きな政策課題だと思います。ここで言うイノベーションとは、単なる技術革新ではなく、創造的破壊により経済社会に大きな変革を起こし、新たな価値を生み出すもの、そしてその循環を実現していくことだと考えます。甘利大臣の考えるイノベーションによる経済成長の姿についてお聞かせください。
 イノベーションの創出には、独創的な研究開発、画期的なビジネスモデルの構築が活発に行われていくことも必要です。今では世界的な大企業になった日本の家電や自動車メーカーも、創業時はベンチャースピリットにあふれた典型的な中小企業でした。我が国の産業競争力の強化のためには中小企業が引き続き重要な役割を担うこととなりますが、中小企業は残念ながら経営資源が限られており、優れたアイデアや技術があっても事業化にたどり着くまでには限界があるため、国による適切な支援が必要です。中小企業に対してどのような支援策を講じていかれるかお聞かせください。
 こうした研究開発の促進とともに、それによって創出された知的財産の創造、保護、活用が重要です。特許制度は公開を前提に権利を保護することが基本となっていますが、一方で、事業戦略や先進技術に関する情報についてはできるだけ公開したくないというニーズがあるのも事実です。この知的財産の保護と活用のバランスを知財戦略の中でどのように進めるべきか、甘利大臣のお考えをお聞かせください。
 今後の経済成長のためには、ベンチャー企業が果たす役割も極めて重要だと思います。我が国でもようやくベンチャー企業が様々な産業分野で活躍するようになってきました。今後は、イノベーションの担い手のベンチャー企業を政策的にどう誘導していくかが重要になっていく段階だと思います。大企業よりもベンチャー企業の方が自由な発想でビジネスに取り組むことから、市場を大きく変えるような創造的破壊を起こしやすいことは、グーグルを始めとするベンチャー企業が世界を席巻する例からも明らかです。政府として成長戦略を進める中で、ベンチャー企業が生まれ、成長し、市場を活性化していくという好循環をどのようにつくっていくお考えか伺います。
 一方、挑戦にはリスクも伴います。失敗を恐れぬベンチャー精神を持った起業家が次々と生まれる土壌がベンチャー先進国には必ず存在します。ベンチャースピリットの醸成には、失敗をしてもやり直しが利く経済社会システムをつくり上げることが必要不可欠です。政府としては、再チャレンジ担当大臣を任命し、その対策に積極的に取り組まれていますが、山本大臣にイノベーションを促進する上での再チャレンジへの対応策について伺いたいと思います。
 最後に、企業立地促進法案についてお伺いします。
 昨日、甘利大臣の地元である綾瀬市でサントリーの新工場の竣工式があり、甘利大臣とともに参加させていただきました。この新工場は、人と自然と響き合う都市型工場をコンセプトに、工場の建設段階からクリーンエネルギーの導入や建設資材のエコ調達、排ガス対策型の建設機械の使用等、環境負荷の低減に努めています。また、敷地内の公園の一般開放や地域の美化運動などへの積極的な参加など、正に地域の人と自然が調和した工場を目指しています。
 そこで、甘利経済産業大臣に伺います。
 これからの企業立地を考えるに当たっては、このように地域との共生を図っていくことが重要であると思いますが、本法案においてこの点はどのように配慮されているのでしょうか。
 我が国は、急激に進展する少子高齢化と労働力人口の減少、中国、インドを始めとする新興工業国の追い上げと国際競争の激化など、持続的な経済成長に立ちはだかる幾つものハードルに直面しています。こうした厳しい状況を打開し、日本国民が今後とも安全で安心で豊かな暮らしを享受していくために、今回の法案に盛り込まれた各種の施策をしっかりと実現することが急務であることを再確認させていただいて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(甘利明君) 小林議員の質問にお答えをさせていただきます。
 まず、経済成長戦略大綱の施策の進捗状況についてお尋ねがありました。
 大綱の施策といたしましては、本三法案を含めまして三十二本の法律案の国会への提出、そして百項目のアクションプラン等の策定、さらに三千九十二億円の関連予算の確保など、その具体化に向けて着実に進捗をいたしております。
 次に、イノベーションによる経済成長の姿についてのお尋ねがありました。
 人口減少、国際競争の激化の中で持続的な成長を達成するためには、イノベーションの創出、すなわち技術革新のみならず、広く社会のシステムや国民生活などにおいて独創的な取組を導入することで生産性を高めることが必要だと考えております。経済成長戦略大綱に盛り込まれた施策を着実に実行に移し、イノベーションによる経済成長のための環境整備に努めてまいります。
 次に、中小企業によるイノベーション創出についてのお尋ねがありました。
 中小企業による研究開発や新事業展開は我が国産業の競争力の源泉でありまして、従前より各種支援法等を通じまして資金面、ノウハウ面での支援を行ってきております。さらに、今回提出をしました中小企業地域資源活用促進法案によりまして、地域資源を活用した研究開発や事業化への支援を展開をしてまいります。
 次に、知的財産の保護と活用のバランスについてのお尋ねであります。
 企業等が持つ技術につきましては、特許権やノウハウとして適切な保護を図り、その戦略的な活用を促すことが重要であります。このために、知財戦略事例集や先使用権制度ガイドラインの普及等を通じまして企業等の戦略的な知的財産の管理、活用を促してまいります。
 次に、ベンチャー企業への支援についてのお尋ねであります。
 我が国経済の活性化に重要なベンチャー企業の開業や成長を支援するために、最低資本金規制の撤廃であるとかエンジェル税制の拡充、そして販路開拓支援等を行ってまいりました。今後とも挑戦する起業家を応援をし、ベンチャー企業によるイノベーションと市場の活性化を図ってまいります。
 最後に、工場と地域の共生の重要性と本法案における配慮についてお尋ねがありました。
 企業立地の促進に当たりましては、環境や地域住民との調和を図ることが重要であります。法律の基本方針におきましてこの点を明記する方針であります。また、自治体の基本計画におきましても、環境保全等への配慮事項を盛り込むことが必要であります。こうした枠組みで地域との共生を図ってまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(山本有二君) 小林議員からイノベーションを促進する上での再チャレンジ施策についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、挑戦にはリスクが伴います。ベンチャースピリットを発揮し、イノベーションを促進していくためには、失敗しても何度でも再チャレンジができる社会を構築することが必要不可欠でございます。そのため、政府では昨年末に政府の取組を再チャレンジ支援総合プランとして取りまとめ、その中で再チャレンジする起業家に対する支援を充実させました。
 具体的には、再チャレンジする起業家に対する金利優遇等を内容とする再チャレンジ支援融資制度や保証制度の創設、不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資手法の促進、再チャレンジする起業家に対する専門的な相談窓口の全国的な設置等に取り組んでいくこととしております。
 このように、再チャレンジする起業家への支援を充実させ、我が国経済社会に再チャレンジする機運を醸成することでイノベーションを促進していくことができるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(扇千景君) 小林正夫君。
   〔小林正夫君登壇、拍手〕
#11
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。
 私は、ただいま議題となりました経済成長戦略大綱関連三法案につきまして、関係大臣に質問をさせていただきます。
 我が国の経済は、景気の回復が続いているとはいうものの、回復の動きが弱いため、いまだ多くの国民が景気回復を実感するにはほど遠い状況にあります。しかも、改善には大きなばらつきが見られ、政府の大企業中心の優遇策もあって、大都市圏以外の地域や中小企業は取り残されようとしております。
 こうした大都市圏以外の地域や中小企業の景気回復の現状とばらつきの原因について、どのように認識しているのか、経済産業大臣にお聞きします。
 安倍内閣の経済政策の基本は経済成長政策です。経済全体が成長すればあらゆる問題が解決される、消費税も上げなくても済むという理屈です。しかし、人口減少社会に入り、国際的な経済競争も一層激しくなっている中、明確な青写真もないまま成長成長と呼ぶ総理の姿に違和感を覚えるのは私だけでしょうか。
 社会の不平等がかつてなく広がっている今、重要なのは成長よりむしろ公正な分配です。取り残されつつある弱者を、努力が足りないと突き放すのではなく、温かく支える政策です。せっかくの景気回復の果実を国民のみんながひとしく分け合う仕組みをつくることが今正に重要だと思いますが、経済産業大臣、いかがですか。
 さて、本三法案は小泉政権末期に作られた経済成長戦略大綱に沿って作られたものです。しかし、現状のままでは、この大綱の実現は、地域間格差、企業間格差の存在を前提に経済成長を図るということになりかねません。一体いつになったらこうした格差が解消されてすべての国民が景気回復を実感できるようになるのか、経済産業大臣の見解を求めます。
 また、今回提出された三法案のうち二本が取り残されつつある中小企業や地方企業の活性化を目指すもので、一応格差への批判を考慮した形となっています。しかし、その内容を見ますと、深刻化する今日の格差を解消するためには全く不十分だということをまず明確に述べた上で、具体的な質問に入りたいと思います。
 まず、産業活力再生特別法は、平成十五年、当時の厳しい経済状況の中、企業の過剰設備、過剰債務問題の深刻化に対応して、商法上の合併等再編手続の簡略化を図るなど、抜本改正した時限立法で、本来、来年三月末の期限が来れば廃止を含めて見直しすべきものです。
 当時とは経済状況も変わり、同法による計画認定件数も減少し、その一方で、小泉・安倍内閣を通じて、過剰な規制緩和による安易な企業合併・買収や不正な企業会計の問題もクローズアップされています。こうした中で、今回、この法律を廃止せず、見直し、存続させることにした理由は何か、経済産業大臣にお伺いします。
 改正案では、現在の四つの計画類型に追加して、新たに技術活用事業革新、経営資源融合の二つの計画を創設することにより、事業再編のみならず、イノベーションによる生産性向上に取り組む事業者を支援しようとしています。しかし、安倍総理もよく使うイノベーションという片仮名言葉の意味はいま一つはっきりしません。通常のイノベーションの訳語である技術革新とどこがどのように違うのか、ここで改めて経済産業大臣に明確な説明を求めます。
 さて、この法律を活用して生産性の向上に取り組もうとする事業者は、具体的にどのような要件を満たせば計画が認定されるのか、お伺いいたします。
 さらに、これまで計画の認定を受けた企業は大企業中心であり、今般の改正においても大企業中心になるのではないか懸念されます。もっと中小企業にも活用しやすいようにしていくべきではありませんか。認定の在り方について、経済産業大臣にお伺いします。
 近年、景気回復を反映して企業の倒産件数に改善が見られ、都市銀行の不良債権比率は、平成十八年九月期で一・五%にまで低下してきました。しかし、地方銀行の不良債権比率は、平成十四年三月期の八・〇%から十八年九月期の四・四%と低下しているものの、依然として高い水準にあり、景気回復が地方企業まで及んでいない実態が浮き彫りになっています。
 今こそ地域の中小企業の再生の円滑化が求められており、今回の改正でも、経営が悪化して私的整理中の会社の資金調達や手続の迅速化への措置が盛り込まれています。具体的には、事業継続のためのつなぎ融資への債務保証制度が設けられ、裁判外紛争処理機関、いわゆる認証ADRが関与した場合に裁判官の単独調停が可能となるなどの措置が新たに創設されます。
 しかし、これらの措置により、本当に私的整理中の中小企業が十分な融資を確保することが可能になるのか、どのような融資の基準が設定されるのか、また事業再生手続の迅速化がどの程度図られるのか、経済産業大臣の答弁を求めます。
 現在の法律では、ライセンスを与えた企業が倒産した場合に、ライセンスを受けた企業が特許法における通常実施権の登録をしていないとライセンスを使用できなくなる可能性があります。新たな登録制度では、特許の権利者が替わっても契約企業が引き続き特許を利用できる制度になりますが、現行法とは異なり、具体的な特許番号が特定されず、ライセンスを受けた企業の名称、内容、範囲が非公開となります。これでは、第三者は登録内容をほとんど確認することができないことになります。登録の対象となる実施権の特定方法、公示制度の在り方についてどう考えているのか、経済産業大臣にお聞きします。
 次に、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案についてお尋ねいたします。
 長期の不況に加えて、小泉内閣以来の地方切捨て政策の影響で地方の中小企業は疲弊しており、資金や技術面でリスクの高い研究開発に取り組むことが困難な場合があります。特に、地域資源を活用するための研究開発や、特産物や観光資源に恵まれない地域の中小企業をどのように強化、支援していくのか、経済産業大臣にお聞きします。
 近年、中小企業経営者の高齢化が進む中で、後継者が存在しないために廃業する中小企業も少なくありません。二〇〇六年の中小企業白書では、廃業社数が年間約二十九万社あるうち、約七万社は後継者がいないことを理由とした廃業であると推測されます。また、廃業する七万社の雇用が完全に喪失された場合を仮定すると、失われる従業員の雇用は毎年約二十万人から三十五万人に上ると推測されており、産業活力の維持向上のため、あるいは雇用確保の観点からも事業承継問題への取組が不可欠と考えます。
 中小企業は地域経済の活性化や雇用創出の役割を担っていることを踏まえ、中小企業の事業承継の円滑化に向けて政府はどのような対策を講じていくのか、また、雇用の確保については経済産業省と厚生労働省が共同して取り組むべきと考えますが、経済産業大臣及び厚生労働大臣の考えをお伺いいたします。
 さて、中小企業の活力に関して、直近の大きな課題としてクローズアップされているのは、いわゆる二〇〇七年問題です。我が国は世界に先駆けて超高齢化社会を迎えつつあり、団塊の世代が今年から順次定年を迎えます。熟練した技能や高度な技術、知識を有する労働者が急激に不足し、これまで地域中小企業内に蓄積されてきた優れた技術が急速に失われていくことであります。
 人材の二〇〇七年問題が地域の産業経済に与える影響についてどのように分析しているのか、また、地域の産業経済の活力を向上させていく観点から、今後、二〇〇七年問題にどのように取り組み、地域中小企業の人材確保と技能継承を実施していくのか、経済産業大臣及び厚生労働大臣にお伺いいたします。
 次に、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案についてお尋ねいたします。
 工場立地や設備投資の動向を見ると、かつて海外への生産拠点シフトが加速していた状況に変化が見られ、ここ数年は国内への工場立地や設備投資が増加に転じており、工場の国内回帰が進んでいると言われています。例えば、工場立地件数は二〇〇二年の八百四十四件から二〇〇五年には千五百四十四件に増加しています。とはいえ、地域間のばらつきが見られ、東海、関東など工場立地の増加が顕著な地域がある一方で、北海道や四国など立地件数の増加がほとんど見られない地域も存在しているのが現状です。
 工場の国内回帰の原因をどのように分析し、今後の工場立地についてどのような見通しを持っているのか、経済産業大臣の答弁を求めます。
 本法案には、支援策として工場立地法の特例措置が盛り込まれています。工場立地法における工場の緑地や環境施設面積の規制は、工場と地域住民の生活環境の調和を保つための措置でありますが、近年、規制導入時と比べ技術進展等の状況が変化し、一部において規制緩和の必要性も指摘されています。
 本法案が成立しますと、市町村に権限が移譲され、緑地面積率を〇%超えから一五%以下の範囲で認めることが可能となりますが、企業立地を急ぐ余り、本来の目的である生活環境の保持がおろそかになるおそれはないか、環境大臣に見解を求めます。
 あわせて、規制緩和の方向が強まっている現状についてどのような受け止めをされているのか、お伺いします。
 経済成長を図っていくことは、我が国の国力の維持拡大につながり、大変大事なことであります。しかし、経済成長がすべての問題を解決するものではないことを忘れてはなりません。
 戦後六十余年を振り返るとき、我が国は高度成長時代等を経て経済大国の仲間入りし、繁栄を成し遂げてきましたが、その過程において、経済優先によって公害や環境の問題が置き去りにされた時代もありました。
 今の時代について言えば、我が国は、企業が国際競争に勝てるようにはなりましたが、労働問題は置き去りにされているということであります。具体的には、非正規雇用者の増大、慢性化した長時間労働、長時間労働がもたらす過労死や精神障害の増大、国際的に著しく低い最低賃金や時間外労働割増し率等であります。
 私たちは、過酷な労働がもたらす犠牲の上に国際競争に勝てるようになったことを忘れてはなりません。
 今回提出された経済成長戦略大綱関連三法案においても、ただ単に企業の成長を目指すのではなく、そこに働く人が安全で安心して働ける労働環境と緑地の確保など、地域の生活環境が確保されなくてはならないことを指摘し、働く人や生活者の視点に立った政治は民主党にしかできないことを訴え、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(甘利明君) 民主党の小林議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、景気回復の現状とばらつきの原因についてのお尋ねであります。
 我が国経済は民間主導の息の長い景気回復を続けていますが、いまだ景気回復を十分実感できない地域や中小企業が多く見られます。地方につきましては、公共事業や第一次産業への依存度が高いこと等が原因と考えられます。また、中小企業については、原料価格や人件費の増加を価格に十分に転嫁できないこと等が原因と考えられます。
 次に、経済成長と格差解消についてのお尋ねがありました。
 景気回復の果実を国民が広くあまねく配分を受けることは大切だと思っております。経済成長戦略大綱の実現によりまして、地域、中小企業の活性化等を通じた安定した経済成長を図ると同時に、格差の固定化を防ぐ成長力底上げ戦略にも積極的に取り組んでまいります。これによりまして、経済成長の成果を雇用拡大や所得の増加という形で経済社会の各層に広く行き渡らせることができると考えております。
 次に、産業活力再生特別措置法を存続した理由についてのお尋ねがありました。
 我が国が人口減少下で経済成長を持続するためには、一層の生産性の向上に取り組むことが重要であります。また、企業倒産の増加や地域金融機関の不良債権処理の遅れなど、地域再生に正面から取り組むことが重要であります。そこで、イノベーションによる生産性向上と地域の中小企業の早期事業再生を通じた産業活力の再生を目指すため、本法を見直し、存続することといたした次第であります。
 続いて、産業活力再生法におけるイノベーションの意味についてのお尋ねがありました。
 イノベーションとは、狭い意味では技術の革新を、そして広い意味ではあらゆる分野の制度や仕組みの刷新を意味するものと考えております。本法案では、広義のイノベーション、すなわち技術の革新だけではなく、これを新製品などの市場に結び付ける取組であるとか革新的なビジネスモデルの創出等、生産性の向上につながる事業の革新を幅広く支援をいたしてまいります。
 産業活力再生法における認定要件と、中小企業の活用も念頭に置いた認定の在り方についてのお尋ねであります。
 産業活力再生法では、生産性や財務健全性の向上、雇用への配慮等を認定の要件としており、企業規模にかかわらず認定を受けることができます。ちなみに、平成十五年以降に経済産業省が認定をしました百五十九件の計画のうち、二十六件が中小企業が認定を受けたものであります。
 また、中小企業は、担い手のほとんどであるサービス産業等を念頭に事業分野別指針を策定をいたします。その際、認定要件を事業者に使いやすく、かつ適切なものといたします。さらに、中小企業への周知にも努めてまいります。
 続いて、つなぎ融資の基準と事業再生手続の迅速化についてのお尋ねであります。
 つなぎ融資の基準は各金融機関において設定されるものでありますが、今回創設をする債務保証制度は、私的整理中のつなぎ融資に後ろ向きになりがちな金融機関の融資を促進するものであります。また、事業再生手続につきましては、今回の改正で裁判手続の簡素化を図り、調停委員会を組織せずとも裁判官だけによる調停を可能として迅速化を図っております。
 次に、包括的ライセンス契約登録制度における特定方法と公示制度の在り方についてのお尋ねであります。
 ライセンス対象の特許権は、包括的ライセンス契約で対象とされた製品等に用いられるものを一体として特定することを考えております。また、ライセンスを与えた企業名及びその登録件数を公示することによりまして、特許権の取引をする者が事前調査によって登録内容を取引相手を通じて確認することができ、取引の安全にも十分配慮した制度であると考えております。
 続きまして、地域資源の活用への支援についてのお尋ねであります。
 地域資源を新商品につなげるための実用化研究開発を支援するために、地域の産学連携による地域資源活用型研究開発事業を創設をいたします。また、各地域における新たな地域資源の掘り起こし、地域資源がないところはないと思います。それをしっかりと掘り起こすことが大事であります。これに向けて、地域ぐるみで行う地域資源に関する研究会や調査事業に対し支援を行ってまいります。
 続いて、中小企業の事業承継及び雇用確保についてのお尋ねがありました。
 中小企業の事業承継の円滑化は、地域経済の活力維持や雇用確保などの観点から極めて重要であります。これまで講じた税制、予算、融資等の施策に加えまして、非上場株式等に関する税制措置など、更なる支援の枠組みを総合的に検討してまいります。また、企業立地促進法による支援を厚生労働省と連携を講じまして、雇用創出を促進をしてまいります。
 次に、二〇〇七年問題への取組に関するお尋ねであります。
 いわゆる二〇〇七年問題に関し、中小企業の人材育成と技能承継を図ることは極めて重要と認識をいたしております。このために、昨年度から、地域の産業界と高専等が連携をしまして、中小企業の若手技術者を育成する事業を実施しております。さらに、本年度から、工業高校にものづくり人材の実践的教育を導入する事業を立ち上げてまいります。
 最後に、工場の国内回帰の原因と今後の工場立地の見通しについてのお尋ねがありました。
 国内回帰の原因といたしましては、景気回復傾向に加え、部材産業の集積や優れた技能を有する人材の確保、そして知的財産の流出防止等を企業が重視していることが挙げられます。企業が国境を越えて立地地点を選択する中で、企業立地促進法に関する施策を関係省と一体となって全力で取り組み、国内立地の動きを一層促進してまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(柳澤伯夫君) 小林正夫議員から私へ二問御質問をいただきました。
 地域の雇用の確保における経済産業省との連携についてどう取り組んでいるかということでございます。
 地域におきます雇用の確保と産業の振興というのは密接不可分の関係にあると考えておりまして、相互に連携協力していくことが必要であることは御指摘のとおりと思います。
 このため、今国会に提出いたしております地域雇用開発促進法の改正案におきまして、地域雇用対策と産業施策とを総合的かつ効果的に講ずるよう努めるということを明記しておるところでございまして、今後、相互の連携を深めながら、実効ある形で雇用の確保を進めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、いわゆる二〇〇七年問題への取組についてお尋ねがございました。
 団塊の世代の方々が引退過程に入る中で、熟練技能の受け手となる人材の確保、技能の円滑な継承が、御指摘のとおり、殊に中小企業において重要課題となっていると考えております。
 このため、厚生労働省といたしましては、技能継承のための人材確保や能力開発に取り組む中小企業に対しまして各種の相談援助や助成の実施を行っており、また、若者を現場の中核的人材として育成するための実践型人材養成システムの普及等に努めているところでございます。
 今後とも、中小企業における人材確保と円滑な技能承継を支援してまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣若林正俊君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(若林正俊君) 小林正夫議員から私に二点お尋ねがございました。
 まず、緑地面積率の特例と生活環境の保全についてのお尋ねでございます。
 この法律案は、地域の環境の保全が図られることを前提に、条例により柔軟に緑地面積率を設定することを可能にするものであると承知いたしております。したがいまして、この法案の施行に当たっては、こうした法案の趣旨が地方公共団体に周知徹底され、生活環境の保全が図られることが必要である、このように考えております。
 次に、規制緩和と環境保全についてのお尋ねがございました。
 本法案による緑地率の特例は、御指摘の公害防止技術の発展等を踏まえたものであり、各種規制制度について今日の状況を踏まえて適宜見直しをする必要があることについて認識いたしております。しかし、環境行政全般について見れば、今日も様々な課題を抱えており、環境の保全に対する国民のニーズも高まっていることから、これに応じて環境法制の必要な強化拡充には十分な努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(扇千景君) 松あきら君。
   〔松あきら君登壇、拍手〕
#16
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案の、いわゆる経済成長戦略大綱関連三法案について、関係大臣に質問をいたします。
 今回の大綱関連三法案は、大綱の実現のためのより具体的な政策を規定するものであり、戦略実現の大きな一歩です。今回の三法案を各関係省庁が十分に連携し、より確実に具体的に実行していけば、地域、中小企業の底上げを通じて格差是正にもつながっていくものと確信をしております。
 しかし、一部には、成長戦略を推進すると、経済社会における地域格差、企業間格差など、様々な格差がより拡大するのではないかという不安の声があるのも事実であります。
 そこで、甘利大臣にお伺いします。
 大臣は、成長戦略を大綱関連三法案により実現していく中で、格差への懸念をどのように払拭されるおつもりでしょうか。具体的に国民がイメージできるように御説明ください。
 日本がここまで成長できたのは、日本の根幹を支える中小企業があったからこそであり、そうした意味では中小企業の未来は日本の未来と言っても過言ではないと思います。私は、これまで日本を支えてきた頑張る中小企業の方々が、意欲をかき立てられ、多様で希望が持てる社会をつくり出していくことが重要だと思います。
 甘利大臣にお伺いします。
 地域の中小企業を支援するため、これまでも様々な支援策が実施されてきましたが、こうした施策は中小企業に対してどの程度有効だったのでしょうか。
 今般、既存の支援策に加え、地域産業資源を活用した中小企業の事業活動に重点化して支援策を講ずる理由は何か。また、これにより、どの程度新商品・サービスの開発や市場規模が期待できるのでしょうか。
 さらに、中小企業が地域資源を活用して多様なビジネスを展開していくためには、従来の商品開発支援にとどまらず、事業化まで一貫して税制等の措置を含めて支援していくことが重要であり、その点が本施策のポイントの一つであると理解をしておりますが、こうした継続的な支援を行うためにどのような支援体制を構築されるお考えかもお聞かせください。
 確かに、産業再生機構が三月に解散し、大手都市銀行の不良債権比率は五分の一以下となりました。しかし、昨年、倒産件数は小規模企業の倒産を中心に五年ぶりに増加をしており、地域再生はこれから本格化すると思われます。私ども公明党が掲げる三つの重点施策のうちの一つがこの地域の再生です。
 甘利大臣にお伺いします。
 私としては、産業再生機構のノウハウが地方にも広く展開されるよう、各県に設置された中小企業支援協議会の機能を強化することが重要だと思います。さらに、産業再生機構で活躍した人々の活用や中小企業が再チャレンジしやすい仕組みができるよう、地域の再生、特に中小企業の再生について今後どのように取り組まれるおつもりか、お聞かせください。
 地域の活性化にとって観光サービス業の振興は重要です。観光サービスにより地域のイメージが広く知られるようになれば、単に国内外から観光客が集まるだけでなく、映画などのロケ地に活用される相乗効果や地域経済への波及効果も生まれます。そのためには、地域ごとに独自性のある観光資源が発掘され世界じゅうに発信されるよう、観光サービス業の力が向上していくことが不可欠です。
 そこで、冬柴大臣にお伺いします。
 今回、観光資源や観光サービス業にも着目して施策を講ずると聞いております。地域の観光資源が発掘されるよう観光サービス業の力が向上するために、どのような目標を掲げ、どのように取り組まれていくおつもりなのか、大臣の方針をお聞かせください。
 さらに、税制面からの支援も極めて重要であると考えます。
 例えば、オーストラリア、アイルランドなどでは、国内での映画ロケ撮影費用に対する税額控除が行われております。実際に、多くの製作会社が、税金の高いカリフォルニア州から税制優遇措置を導入しているカナダやオーストラリア、ルイジアナ州などに流出をしております。このような税制優遇措置を導入することにより、海外に対して日本が映画撮影の重要性を理解しているあかしとしてアピールでき、さらに、海外作品のロケを日本で行うことなどで日本の観光産業の発展にも寄与するところが大きいと思われます。
 このような税制面からの支援をし、国際競争の波にさらされている地域経済、さらに観光資源開発を促進すべきであると思いますが、尾身財務大臣の御所見をお伺いします。
 また、三法案には、地域活性化のための施策として、地域がそれぞれの強みを生かした企業立地促進の取組に対する支援措置が用意をされております。企業立地は今や国を選びません。各地域はグローバルな立地競争を勝ち抜いていかなくてはなりません。このような状況の中で、各地域が企業立地を促進し雇用の場を確保することは、地域が自立的に発展していく上での前提であり、この施策に対する地域の期待も大きいと聞いております。
 一方、地域間では企業立地競争が過熱し、巨額の補助金や地方税の減免措置によって企業誘致を図ろうとする動きが見られ、このような競争は、結局は予算に余裕のある自治体に有利であり、地域格差が広がるおそれがあるとも指摘をされております。地域間の格差是正には企業立地の遅れている地域に集中的な支援策を講ずる必要もあるのではないかという議論もあります。甘利大臣の御所見をお伺いします。
 今回の大綱三法案は、イノベーションを促進しながら、頑張る地域や中小企業の発展を応援する枠組みだと承知をしております。特に今回の法案の中で、地域や中小企業の独創的な頑張りを体系的に応援するということは、格差解消のためにも大切なことと思います。関係各省が連携を図り、戦略の成果が着実に国民や事業者の方々に届くようお願いして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(甘利明君) 松議員から七問の御質問をいただきました。
 まず、成長戦略を実現する中での格差への懸念についてのお尋ねであります。
 成長によりまして経済全体のパイを大きくしていかなければ、社会保障の財源を確保することもできませんし、格差を是正することもできないと考えております。
 今回提案をしました大綱関連三法案は、中小企業の再生や地域経済の活性化を促進するものでありまして、これにより、雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせることができると考えております。
 次に、これまでの中小企業支援策の効果についてのお尋ねがありました。
 定量的にすべてを算定することはなかなか難しいことと思いますが、全国四百三十万の中小企業の活力を高めることこそが我が国経済の活性化のための重要なかぎでありまして、経済産業省といたしましては、従来から中小企業への円滑な資金供給など様々な施策を実行しまして、その経営基盤の強化や経営の革新等に一定の効果を上げてきたものと考えております。今後とも、あらゆる政策手段を用いまして、中小企業対策に万全を期してまいります。
 次に、地域資源を活用した中小企業の事業活動に重点化して支援する理由についてのお尋ねであります。
 地域経済の活性化を図りますためには、それぞれの地域が公共投資依存型からの脱却をし、その強みを生かしていくことが重要であります。そのために、本法案におきましては、地域の強みである産地の技術、地域の特色ある農林水産品あるいは観光資源といった地域資源を活用しまして新商品開発などにチャレンジをする中小企業を支援することとしたものであります。
 次に、本法案によりどの程度の効果が期待できるのかについてであります。
 本法案では、地域資源を活用して新商品、新サービスの開発、市場化に取り組む中小企業を支援することによりまして、五年間で千の事業を創出することを目標にいたしております。あわせて、中小企業による先駆的な取組の成功がその地域資源の周知性を高めて、地域ブランドの形成につながるなどの多様な効果をもたらすものと期待をいたしております。
 次に、中小企業の地域資源を活用した商品開発までの支援体制についてであります。
 中小企業地域資源活用促進法案に基づく支援におきましては、商品開発に対する資金面の支援に加えまして、事業化に向けたマーケティング面での支援、設備投資に対する税制面での支援などによりまして、ビジネスプランの構築から事業化まで一貫して支援をする仕組みを導入することといたしております。
 次に、中小企業の事業再生への取組についてであります。
 全国各地の中小企業再生支援協議会は、これまで一万社以上の相談に応じまして、千二百社以上の再生計画の策定を支援をしております。地域の中小企業の再生において中核的な役割を果たしてきたわけであります。今年度より、各協議会の活動を支援する全国組織を設置しまして、産業再生機構出身者も含めた人材ネットワークの構築など、機能強化を進めてまいります。
 最後に、地域格差是正に向けての企業立地の遅れている地域への集中的な支援の必要性についてのお尋ねであります。
 本法案では、予算や交付税措置におきまして、有効求人倍率や財政力指数に配慮し、厳しい地域をしっかりと支援をしてまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣冬柴鐵三君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(冬柴鐵三君) 松議員から地域資源を活用した観光振興の取組の考え方についてお尋ねをいただきました。
 各地域において歴史や伝統、文化、産業、自然などの地域資源を活用した観光振興を図ることは、観光立国を推進していく上で重要であります。本年一月から施行されている観光立国推進基本法にもその旨が明記されております。
 このたびの中小企業による地域資源を活用した事業活動の促進に関する法律案は、中小企業が地域資源を生かし、地域ならではの土産品や体験プログラムの開発等を行う事業を支援するものであり、魅力ある観光地の形成にも大いに資するものと考えております。
 国土交通省といたしましても、こうした取組を図りながら、地域資源を生かした魅力のある観光地づくりを進め、二〇一〇年訪日外国人旅行者数一千万人の目標の達成を始め、観光立国の実現を図ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(尾身幸次君) 松議員の御質問にお答えいたします。
 映画ロケ撮影費用に関する税制優遇措置についてお尋ねがございました。
 地域経済の活性化や観光資源開発は重要な課題であると考えておりますが、我が国において御指摘のような優遇措置を導入することにつきましては、一つは政策手段として税制を用いることがふさわしいかどうか、さらに、地域経済の活性化、観光資源の開発などの政策目的に対してどの程度の効果が見込まれるかなどといった観点から、慎重に検討する必要があると考えております。(拍手)
#20
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#21
○議長(扇千景君) 日程第一 武力紛争の際の文化財の保護に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長狩野安君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔狩野安君登壇、拍手〕
#22
○狩野安君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、武力紛争の際の文化財の保護に関する条約、同条約の議定書及び第二議定書の適確な実施を確保するため、武力紛争の際に被占領地域から流出した文化財の輸入を規制するとともに、正当な理由なく、戦闘行為として条約等の保護を受ける文化財を損壊する等の行為につき罰則を定める等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、条約で保護する国内の文化財の対象範囲、本法律案による文化財保護の有効性、輸入された被占領地域流出文化財の回復請求期間の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#24
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#25
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百八十三  
  賛成            百八十三  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#26
○議長(扇千景君) 日程第二 海洋基本法案
 日程第三 海洋構築物等に係る安全水域の設定等に関する法律案
  (いずれも衆議院提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長大江康弘君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔大江康弘君登壇、拍手〕
#27
○大江康弘君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、海洋基本法案は、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、その基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするほか、基本計画の策定及び施策の基本事項について定めるとともに、内閣に総合海洋政策本部を設置しようとするものであります。
 次に、海洋構築物等に係る安全水域の設定等に関する法律案は、海洋構築物等の安全及びその周辺海域における船舶航行の安全を確保するため、海洋構築物等に係る安全水域の設定等について所要の規定を整備しようとするものであります。
 委員会におきましては、二法律案を一括して議題とし、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、法案提出の背景と総合的な海洋政策の必要性、海洋資源開発と海洋環境保全との調和、海上保安庁の組織体制の強化等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、順次採決の結果、二法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、海洋基本法案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(扇千景君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#29
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#30
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百八十四  
  賛成             百八十  
  反対               四  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#31
○議長(扇千景君) 日程第四 消費生活協同組合法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鶴保庸介君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔鶴保庸介君登壇、拍手〕
#32
○鶴保庸介君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近の消費生活協同組合を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、その経営における責任体制の強化等を図るとともに、組合員の保護の観点から、出資金額の基準の設定等共済事業の健全な運営を確保するための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、生協の経営・責任体制強化の重要性、共済事業の健全性を確保するための具体的方策、公共性の高い活動に対する支援の必要性、医療事業等における員外利用限度の考え方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#33
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#34
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#35
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百八十四  
  賛成            百八十四  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#36
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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