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2007/06/04 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第32号
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2007/06/04 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 本会議 第32号

#1
第166回国会 本会議 第32号
平成十九年六月四日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十二号
    ─────────────
  平成十九年六月四日
   午後一時 本会議
    ─────────────
 第一 日本年金機構法案及び国民年金事業等の
  運営の改善のための国民年金法等の一部を改
  正する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 両案について提出者の趣旨説明を求めます。柳澤厚生労働大臣。
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(柳澤伯夫君) 日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、日本年金機構法案について申し上げます。
 公的年金制度は、国民の信頼を基礎として常に安定的に実施されるべきものであります。しかしながら、その運営を担う社会保険庁については、事業運営に関する様々な問題が生じたところであり、公的年金制度の運営体制を再構築し、国民の信頼を確保することが不可欠であります。このため、社会保険庁を廃止し、厚生労働大臣が公的年金制度に関する財政責任及び運営責任を担うこととする一方、新たに年金事業の運営業務を行う日本年金機構を設立するため、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、日本年金機構は、厚生労働大臣の監督の下に、厚生労働大臣と密接な連携を図りながら、年金事業の運営業務を行うことにより、年金事業の適正な運営及び公的年金制度に対する国民の信頼の確保を図り、もって国民生活の安定に寄与することを目的としております。
 第二に、機構に、役員として、理事長、副理事長、理事及び監事を置き、その職務及び権限等を定めるとともに、理事会を置くこととしております。
 第三に、機構の役職員の身分は非公務員とし、その報酬・給与及び服務について、所要の規定を設けることとしております。
 第四に、機構の業務運営に関し、被保険者等の意見を反映するための措置や、年金事務所の設置、年金委員の創設、年金個人情報の利用及び提供の制限などを定めるとともに、厚生労働大臣の業務改善命令等の監督規定を設けることとしております。
 第五に、機構の当面の業務運営に関する基本計画の策定その他の機構の設立準備に関する事項を定めることとしております。
 以上のほか、社会保険庁の廃止に伴い、厚生年金保険法等において、社会保険庁長官の権限を厚生労働大臣の権限とし、厚生労働大臣はその権限の一部に係る事務を機構に行わせるとともに、保険料等の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは滞納処分等の権限を財務大臣に委任できることとするなど、所要の規定の整備を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き、平成二十二年四月一日までの間において政令で定める日としております。
 次に、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 公的年金制度に対する国民の信頼を確保し、その安定的な運営を図るためには、社会保険庁の組織の改革と併せて、国民年金事業等の運営の改善を図る必要があります。このため、本法律案を提出し、国民年金事業等について、サービスの向上、保険料の納付の促進、公正で透明かつ効率的な事業運営の確保などの措置を講ずることとしております。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、住民基本台帳ネットワークシステムから被保険者等に係る情報を取得することにより、その氏名及び住所の変更等の届出を原則として廃止するとともに、社会保険と労働保険の手続の期限を一致させることにより、事業主による手続の簡素化を図ることとしております。
 第二に、クレジットカードによる保険料納付制度の導入など、国民年金保険料を納めやすい環境を整えるとともに、その滞納者に対して通常より短期の有効期間を定めた国民健康保険の被保険者証を交付することができる仕組みの導入、長期間にわたって保険料の自主的な納付がない場合に保険医療機関等に係る指定等を認めないこととすること、事業主に対して国民年金制度の周知等について協力を求めることができることなど、関係者や関係制度との連携の下での保険料の納付促進策を講ずることとしております。
 第三に、年金事務費に保険料財源を充当できるようにするとともに、いわゆる福祉施設規定を廃止し、新たに年金教育・広報、年金相談、情報提供等の国民年金事業等の円滑な実施を図るための措置に係る規定を整備するほか、基礎年金番号を法定化することとしております。
 以上のほか、国家公務員共済組合法等関係法律について所要の改正を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日は、平成二十年四月など、改正事項ごとに所要の施行期日を定めることとしております。
 以上が日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。清水嘉与子君。
   〔清水嘉与子君登壇、拍手〕
#6
○清水嘉与子君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました社会保険庁関連二法案に関し、安倍総理に質問をいたします。
 質問に先立ち、先週月曜日にお亡くなりになりました松岡利勝農林水産大臣に対し、心から御冥福をお祈り申し上げ、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。
 さて、安倍総理は、今国会の冒頭、施政方針演説の中で、戦後の日本の繁栄を支え、頑張ってこられた方々の老後に不安が生じないようにすることが私の大きな責務であります、そして、社会保険庁については、規律の回復と事業の効率化を図るため、非公務員型の新法人の設立など、廃止・解体六分割を断行しますと主張されました。
 過去、社会保険庁において、年金の業務外閲覧や、納付率の見せ掛け上の引上げを目的とした年金保険料の不正免除など、規律・遵法意識を全く欠いた不正行為が横行したことは記憶に新しいところでございます。民間出身の村瀬長官の下、改革が進められていますけれども、年金制度を再構築し、国民の信頼を回復するためには、更に法的な対応が必要との認識が高まり、今回の法案提出に至ったものと承知しております。
 それでは、社会保険庁関連法案の質疑に入る前に、五千万件に及ぶ公的年金の納付記録の問題に関して総理の姿勢を確認させていただきます。
 まず、これらの記録は消えた記録ではなく、平成九年に基礎年金番号を一人一番号に統合する作業の過程で、いまだ統合が完了していないもので、その記録はしっかり社会保険庁に残されていることを確認させていただきます。いずれにしても、未統合の量が多過ぎることは事実で、これをできるだけ早くなくすことが必要でございます。
 総理は、社会保険庁が一年以内に五千万件すべての名寄せを完了させることを明言されました。特に、現在の年金受給権者約三千万人全員を対象に、早急に問題のある年金記録をすべて再調査し、その調査結果により本人を特定し、統合漏れの可能性がある旨を本人に通知すること、また本人の申告に基づき年金記録の不足分を検証する際、領収書がなくても、あらゆる手段を講じて不足金額を確認し、その全額を支払うことを固く約束されました。
 さらに、与党としては、国民が受け取るべき年金に関して、現行制度では五年の時効が適用されますが、時効を適用しないようにする弁済策を議員立法で行います。私たちは、年金をもらう人が、もらうべき年金を確実に受け取れるように、行政とともにあらゆる政策を尽くしてまいります。
 総理を先頭に、与党、行政が一体となって真正面からこの問題を受け止め、万全の対策を進めていることを分かりやすく国民の皆様に御説明いただくようお願いいたします。
 さて、社会保険庁関連法案に関してお伺いします。
 まず、日本年金機構法案ですが、これは安倍総理が言われる、社会保険庁を六つに解体し、年金の運営体制を再構築するものです。
 これまで社会保険庁の職員が不祥事を重ねてきたことへの反省から、職員は非公務員とし、勤務形態も民間的なものになります。また、新設の年金新法人は、職員の採用に当たって第三者機関による審査を経るものとされ、審査には人事管理の学識経験者などの意見を聴いた上で採否が決定されます。現在の社会保険庁職員はいったん退職し、新法人に採用されます。また、民間からも多くの職員が新規に採用されることになります。
 そこで、新法人の職員の採用に関してどのような方針で行うお考えなのか、また、民間採用を含めた具体的な人員体制についても御認識をお伺いいたします。
 新法人は、年金の徴収、給付、記録管理などの業務をできる限り民間会社にアウトソーシングすることになっています。業務の効率化という観点から積極的に進めていただきたいとは考えますけれども、国民すべてにかかわる年金業務だけに、個人情報の管理には最大限の慎重を期すべきと考えます。民間委託を進める中で、情報管理をしっかり担保していく方策についてのお考えをお伺いいたします。
 次に、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案についてお伺いします。
 この法案は、年金にかかわる様々なサービスを向上させ、保険料徴収面の手続上の簡素化、多様化による納めやすい環境をつくることが主眼になっています。既にコンビニやインターネットを通じた年金保険料の納付が始められていますが、今回、クレジットカードによる納付を認め、労働保険との徴収事務の一元化や国民健康保険との連携を進めるなどの措置が図られることになります。
 年金の納付率は平成十七年度実績で六七%と、十年前までの約八五%と比べ、依然大きな差があります。今回の徴収面での工夫により、具体的にどういった効果が期待できるのか、また、今年度末の八〇%という納付率目標は本当に達成可能なのか、御認識をお伺いいたします。
 かつて、ずさんだった年金保険料の使用に関しては、厳格に見直されることになりました。この法案では、必要性の精査が厳しく行われ、その使途を年金教育・広報、年金担保融資などに限定しています。また、安易な随意契約を見直し、競争入札を拡大することになっています。
 当然の措置ですが、一方で、国民生活に深くかかわる社会保険病院の整理などについては、地域に配慮した対応が求められます。地域において医師不足や病院の統廃合が進む中、地域医療の空洞化は何としても避けなければなりません。まじめに地域住民の医療にかかわっている病院長、看護部長からは、先行き不透明な状況の中で、職員の採用にも支障を来しているとの訴えが届いております。社会保険病院の扱いについて、御認識をお伺いいたします。
 古代から、日本人は、お年寄りを尊敬し、慈しみ、また困った人がいればみんなで助け合うというふうに、世代間の扶助の精神に富んだ民族でありました。公的年金は、こうした日本人の精神構造を制度化したものでもあります。
 日本で初めて公的年金を意識的に制度化した人物として、保科正之のことが月刊自由民主六月号に紹介されています。この人は徳川家康の孫で、初代会津藩主として民政第一を掲げ、様々な重要政策を断行しています。特筆されるのが、社倉の法と言われるものです。高値で農民からお米を買い上げて藩の倉に蓄え、一定の年齢に達した領民には、生涯お米を不足なく与えました。これにより、独り暮らしのお年寄りでも飢えることなく長生きできたといいます。
 政府におかれては、こうした偉大な先達と根本思想を同じくする公的年金制度について、国民、特に若者に対して理解を深めてもらい、その有利性を分かりやすく説明する努力をお願いいたします。
 今回の制度改革などを通して、国民の皆さんすべてに安心と安定の老後が保障されることを祈念して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 清水嘉与子議員にお答えをいたします。
 年金記録問題についてお尋ねがありました。
 長年まじめに保険料を納めてきたにもかかわらず年金がきちんと給付されないという理不尽なことは、絶対にあってはなりません。このため、国民の視点に立って、できる限り速やかに、かつ、行うべきことはすべて行い、国民の不安の解消に最善を尽くしてまいります。
 具体的には、第一に、基礎年金番号に統合されていない五千万件の年金記録につきましては、今後一年間で被保険者及び年金受給者の記録との突き合わせを行い、同一人の可能性がある方には、その旨と各人の加入履歴をお知らせをし、年金記録の確認をしていただくこととしております。もちろん、現在既に自分の記録に不安や疑問がある方々については直ちに対応いたします。そのために、二十四時間、土、日も通じる全国統一番号による電話相談等の相談体制の拡充を速やかに行います。
 第二に、記録の訂正に際して領収書等の証拠がない方については、第三者委員会を設置をし、そして、社会保険庁の判断だけに任せることなく、申し立てた方のお気持ちに立ちながら公正に判断する仕組みを設けます。また、その際には、元の雇用主の証言等により社会通念に照らして事実と認められるものは認めるなど、適切に対応してまいります。
 第三に、記録の訂正に伴って年金額が増額されたにもかかわらず、時効により全額がもらえないということがあってはなりません。与党提案の特別立法に基づき、すべての方に正しい年金額を全額速やかにお支払いいたします。
 このほか、社会保険庁のマイクロフィルムの記録や市町村の記録とオンライン記録との突合調査も行うなど、万全の対策を講じてまいります。
 また、社会保険庁の年金記録に関する問題については、平成八年の基礎年金番号導入に当たっての設計段階から今日に至るまで、すべての社会保険庁長官を含め関係者には大きな責任があると考えており、私としても大きな責任を感じております。
 このため、今回の問題の発生の原因や責任の所在について、厚生労働省以外の省庁において有識者から成る検証委員会を設置をし、しっかりと調査、検証していただき、その結果を明らかにしてまいります。さらに、こうした問題が二度と生じないようにするためにも、御提案申し上げている法案に基づき、社会保険庁の廃止・解体六分割を実現してまいります。
 新組織の職員の採用についてお尋ねがありました。
 私は、国民の視点に立った抜本的な社会保険庁改革を断行する考えであり、新組織の職員の採用に関しても、社会保険庁の職員をただ漫然と新組織に移すようなことはいたしません。第三者機関において一人一人厳正に審査することといたします。また、新組織にふさわしい意欲と能力がある人材は民間からも積極的に採用して、こういう新しい血を入れることにより、これまでの職場体質を刷新をし、真に国民の信頼を得られる新組織を実現してまいります。
 年金個人情報の保護についてお尋ねがありました。
 日本年金機構については民間企業への外部委託を徹底することといたしておりますが、受託業者には、関係法律において、情報の漏えい、不正利用禁止や安全確保措置が義務付けられることに加え、本法案により役職員に守秘義務を課し、これを罰則で担保しております。さらに、運用面においても、受託業者への立入検査を実施するとともに、監視、監督の厳格化を図り、年金個人情報の保護の徹底に万全を期してまいります。
 国民年金保険料の収納対策についてお尋ねがありました。
 国民年金保険料の納付率の向上は、負担の公平という観点から極めて重要な課題であります。本法案は、クレジットカードによる保険料納付の導入により、従来に増して保険料を納めやすい環境を整備するとともに、保険料未納者との接触の機会を増やすこと等により、納付率の向上に資するものであると考えております。
 納付率については、現状において目標との差が大きいことは承知をしておりますが、被保険者の態様に応じたきめ細かな対策に全力を尽くし、目標の達成に向けて引き続き最大限努力することが必要と考えております。
 社会保険病院についてお尋ねがありました。
 社会保険病院については、平成十七年度以降、施設整備に保険料を投入しないこととし、今後、整理合理化を進めることとしております。整理合理化に当たっては、地域の医療体制を損なうことのないよう、病院が現に地域において果たしている役割をどのように維持していくかを念頭に置きながら、厚生労働省において適切に整理合理化計画を取りまとめさせます。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(扇千景君) 山根隆治君。
   〔山根隆治君登壇、拍手〕
#9
○山根隆治君 民主党の山根隆治であります。
 私は、冒頭、松岡農林水産大臣の御冥福を心よりお祈りを申し上げます。
 さて、大臣死去の報に接し、政府高官が様々な発言をなさっておられます。その中で、私には看過できないものがあります。
 農林水産省所管の緑資源機構による官製談合事件について、東京地検特捜部の強制捜査が始まっていることは周知の事実であります。
 自殺した松岡農相が関連法人から献金を受け取っていた問題を指摘されていることに関し、安倍首相は二十八日夕刻、記者団に対し、本人の名誉のために言うが、捜査当局から松岡農相の取調べを行った事実はないし、これから行う予定もないという発言があったと承知しているとコメントをされました。これは、捜査中の刑事事件について総理大臣が捜査情報を捜査当局の発言を引用する形で意図的に暴露したというゆゆしき事態であります。また、長勢法務大臣は二十九日午前の閣議後の記者会見で、松岡農相への直接の捜査があったという話は聞いていないと語るなど、意図的な情報漏えいが行われております。
 一国の首相が国民の前で取った言動は、動揺していたからとか、軽率だったで済むものではありません。今回の発言が公務員の守秘義務に違反するのは明らかであります。と同時に、法の下の平等を踏みにじる暴挙であります。総理の御見解をお伺いをいたします。
 それでは、ただいま議題となりました年金関連法案について、民主党・新緑風会を代表し、国民の心の底からの怒りを代弁する形で質問をいたします。
 安倍総理は、美しい国を政治目標に掲げ、戦後レジームからの脱却を主張されています。これは、小泉内閣で顕著となった国民の間の格差拡大や閉塞感を、こそくにナショナリズムを高揚させることで覆い隠そうとする隠ぺい策そのものに見えてなりません。安倍内閣の国民生活無視と強権主義は、今回の法案の衆議院における強行採決により、一層あらわになりました。
 公的年金制度は、国民の老後の暮らしを支える世代間の支え合いであります。そして、制度を運営する国に対する揺るぎない信頼感があってこそ、これは初めて成立するものであります。ところが、その年金の支給漏れという重大なミスを目の前に突き付けられているのに、なぜ法案の成立を急ぐのか。やみくもに本法案の成立を強行しようとする安倍内閣の姿勢を厳しく批判しつつ、柳澤厚生労働大臣ほか関係大臣に質問をいたします。
 国民の年金制度に対する信頼が根底から揺るがされています。申すまでもなく、五千万件以上に及ぶ消えた年金納付記録の問題であります。せっかく納めた年金保険料が、いざ受給年齢になったときに、社会保険庁のミスによって、年金の受給額が減るばかりか、場合によっては二十五年の最低加入期間を満たさないとして年金が支給されなくなるおそれがあるという問題であります。
 先日の党首討論で、我が党の小沢代表の質疑に対し、安倍総理の答弁は責任逃れに終始をしておりました。歴代の社会保険庁長官やすべての関係者という表現をもってその責任について他人事のように言及されていることは、一国の総理としての潔さに欠けてはいないでしょうか。
 メールマガジンの中で総理は、社会保険庁による不祥事が国民の信頼を失墜させたことに私は激しい憤りを感じてきましたと書かれていますが、本末転倒ではありませんか。国民は、最終責任者であるあなたに責任を求めているのであります。これでは、国民の怒りにたじろぎ、部下に責任を負わせて自ら保身に走るこうかつな指導者そのものの姿ではありませんか。
 自由民主党の総裁、そして内閣総理大臣という国家の最高権力者に位置する者は、おいしい果実やまばゆい光だけを享受するのではなく、過去からの重い荷物も背負い、時に不条理を受け入れ、暗いやみの中を独り歩く覚悟や勇気が必要であります。また、テレビ中継された党首討論の場では、野党席からのやじに何度も過敏に反応してしまう総理の姿に、国民は、この方に国を任せていて大丈夫なのだろうかという疑念を抱きました。
 総理、あなたの学ばれた帝王学に基づきまして、御自身の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 具体的なお尋ねをいたします。
 このような膨大な未処理記録がなぜ発生したのか、責任の所在はどこにあるのか、担当大臣としての厚生労働大臣にお伺いいたします。
 また、保険料を納付した事実があると申告した国民に対し、社会保険事務所がこれまで証拠がないとして門前払いをしてきたのは言語道断であります。そもそも三十年以上前の昔の領収書を保存しておけというのは、およそ非現実的な話であります。
 民主党は、衆議院において、実際に消えた年金の被害に遭って苦労している方々の実態を具体的に示し、早急に対応策を講じるように求めました。そもそも、正当な権利に基づく裁定がなされていない段階で消滅時効が完成するということは、論理矛盾であります。我が党はいち早く、領収書以外でも保険料の納付の事実を証明できるようにするなどの方針を出してまいりました。一年以上に及び民主党が粘り強く追及しなければ対応策が政府から出てこなかったというのは、全く情けない限りであります。
 政府・与党の対応策で問題なのは、相変わらずの申請主義、つまり国民からの訴えがない限り被害は救済されないことであります。より多くもらえる権利があるのにそのことに気付いていない潜在的被害者はどうやって救済するのですか。一方、訴えがあり、今まで申請に基づき訂正された方は一体何人を数えますか。消えた年金がこれらの対応策で果たして確実に戻りますか。
 さらに、一年以内で調査すると総理は言われましたが、単純計算しただけでも、五千万件の確認作業には一日十七万件の処理が求められます。職員を削減しながら、本当にそのようなことが可能なのでありましょうか。もしそれが果たせなかったときの責任は、国民の前に、テレビの前でもはっきり約束された総理御自身が負うことになるのは当然と思いますが、総理の御見解を改めて伺っておきます。
 また、社会保険庁の記録と市町村の保有する記録を突合するとしていますが、既に保険料納付記録を廃棄した市町村が三百近くもあるとされています。なぜ、記録を保管している市町村がある一方で、これを廃棄してしまった市町村があるのですか。また、市町村の記録が廃棄されたものについては突合は不可能ではないでしょうか。社会保険庁側、被害者双方に記録や証拠がない場合の取扱いについての手続をできる限り早く策定するとしていますが、いつまでに策定されるのでしょうか、お伺いします。
 さらに、対応策の出し方にも疑問があります。なぜ与党の議員立法なのでしょうか。政府が責任を認めるならば、当然内閣から法案を提出すべきであります。総理は閣法では時間が掛かると党首討論で答えていますが、これでは余りに無責任ではありませんか。これらについて厚生労働大臣の見解を求めます。
 当初、対応策を法案として国会に提出するのは秋の臨時国会と言われていましたが、世論調査での内閣支持率急落に慌てたのか、急遽今国会に提出することになったと伝えられています。いかにも選挙目当ての場当たり策だと言わざるを得ず、お粗末の極みであります。
 我々民主党は、消えた年金問題を解決し、国民に安心をもたらすため、衆議院において年金信頼回復三法案、すなわち歳入庁設置法案、年金保険料流用禁止法案、年金記録被害者救済法案を提出をいたしました。これこそ、年金制度への国民の信頼を取り戻し、安心、安定の年金制度づくりに必要なものであります。しかしながら、この三法は衆議院厚生労働委員会で棚上げ状態であり、審議もされておりません。それにもかかわらず、年金機構法案のみ強行採決し、付け焼き刃でほとんど対象者のいない年金特例法案のみを職権で審議しました。私たちは、内容の充実した年金記録被害者救済法を提出しております。なぜ、与党は積極的に衆議院で審議に応じなかったのでしょうか。理解不能であります。
 社会保険庁がいかにでたらめでずさんな仕事をしてきたのか。保険料による無駄な箱物や職員宿舎の建設、公用車やゴルフボール等の物品購入、また監修料事件や事務機器をめぐる贈収賄事件、さらには、昨年発覚した不正免除事件等々を国民は忘れてはいません。
 このような途方もない失態に対し、厚生労働大臣や厚生労働省の幹部はだれか責任を取りましたか。渡辺行政改革担当大臣は、歴代の幹部職員の責任問題をどうお考えでありますか。また、これに関し渡辺大臣は、歴代の社会保険庁長官の退職金を返還させると発言したと伝えられていますが、法律上の根拠はどこに置かれるのか、お伺いをいたします。
 今回の法案について政府は、社会保険庁を分割、解体し、公法人の日本年金機構をつくるのだと強調します。つまり、職員を公務員でなく民間人にするというわけでありますが、職員の給与はこれまでどおり国費で賄われるものであり、実体上は公務員組織と言えます。これでは単なる看板の掛け替えにすぎないのではないでしょうか。しかも、形式上、非公務員組織としたことから大きな問題が指摘されています。つまり、日本年金機構には国会の直接的統制が及ばなくなること、機構から業務委託先の民間企業に対する天下りに法的規制ができないこと、公務員の場合より給与が高くなるおそれがあることなどであります。
 これでは、正に解体とは名ばかりで、実際のところ焼け太り以外の何物でもありません。これらの問題について、厚生労働大臣は反論できますか、お伺いいたします。
 とりわけ問題なのは、政府案で年金保険料の無駄遣いが本当になくなるのかということであります。確かに、年金保険料を福祉事業に充てることは削除しましたが、その代わりに、年金相談や教育、情報提供などの事業費に充てることが盛り込まれました。これでは、またぞろ全国各地に年金相談センターなどの施設を造ることになることが懸念されます。本来、年金保険料は年金の給付にのみ充てるべきであります。保険料無駄遣いの抜け道にならないのかどうか、厚生労働大臣、お答えください。
 歳入庁構想に関して伺います。
 税と社会保険料を一体的に取り扱う徴収機関は、英国、スウェーデンを始め、先進諸国に実例があるにもかかわらず、財務大臣は我が党の歳入庁構想に否定的な見解を述べておられます。財務大臣に改めてその理由をお尋ねをいたします。
 政府案にはほかにも多くの問題点があります。
 社会保険庁の職員は第三者機関で審査した上で年金機構への採用を決めるとのことですが、この際、大幅な人員削減を行うとされております。つまり、政府自らが生首を切ることになるわけでありますが、どのような基準をもって行うのか、職員の士気をどのように保とうとされるのか、お伺いします。
 さらに、職員の引継ぎ規定を設けないことは国家公務員法に抵触しないのか、職員の雇用確保に万全を期すべしというこれまでの累次の国会決議との整合性はどうなるのか、渡辺行政改革担当大臣にお伺いをいたします。
 また、政府の言う六分割により、消えた年金記録の責任の所在があいまいになることや、調査、救済の実施体制が確保できなくなるおそれがあるのではないか、国会の統制の届かない非公務員組織とすることで問題の幕引きを図ろうとしているのではないか、厚生労働大臣の答弁を求めます。
 さらに、国民年金保険料滞納者に対し、市町村は国民健康保険の短期被保険者証を発行することができるとされ、協力してくれる市町村には財政上の配慮をすると言われています。一体、国民の命綱である国民健康保険制度で懲罰的措置を課すことが許されるのでしょうか。国民健康保険の保険料納付率まで低下するとの地方自治体の懸念にはどうこたえるのでありましょうか。こうした措置は導入すべきではありません。厚生労働大臣の見解を求めます。
 年金問題に対する国民の怒りは、消えた年金問題の浮上でこれまでになく高まっております。国民の疑問にこたえないまま政府案の成立を強行すべきではありません。安倍内閣が本当に年金制度への信頼を取り戻そうとするのであれば、民主党が提出した三法案に真摯に向かうべきであります。民主党案を熟読玩味すれば、どちらが国民のためになる提案なのかは一目瞭然であります。自民党、公明党の言う百年安心の年金改革は、実のところは一日も安心できない年金改革でありました。与党の皆さんは、今改めて国民の前に謝罪すべきではありませんか。
#10
○議長(扇千景君) 山根君、時間が超過しております。簡単に願います。
#11
○山根隆治君(続) それとも、三年前の保険料値上げ、給付削減のあの年金改革は、今でも百年安心なのだと強弁できるのですか。厚生労働大臣に伺います。
 七月には、天下分け目の参議院選挙が行われます。民主党は、与党を完膚なきまでに打ち負かし、一日も早く政権交代を実現いたします。私たちの断固たる決意を表明して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山根議員にお答えをいたします。
 松岡大臣逝去に関する私と法務大臣の記者団へのコメントについてお尋ねがありました。
 私どものコメントは、東京地方検察庁において行われた検察庁幹部による記者への発言、すなわち公表された事実に言及したものにすぎません。したがって、捜査に立ち入るようなものでは全くなく、漏えい云々との御指摘はおよそ見当を得ないものであります。
 先日の党首討論での私の答弁等に関連して、私が年金記録の問題について責任逃れをしようとしているのではないかとのお尋ねがありました。
 先日の党首討論をごらんになっていた皆様は御存じかとは思いますが、私は、年金記録の問題に関して、政府のトップは私である以上、その責任はすべて私が背負っていると明確に申し上げております。また、昨日の街頭演説で申し上げたように、政府の責任者として国民の皆様に大変申し訳ないとの思いでございます。この認識の下で、私はこの問題に対して具体的にどのような対策を講じていく考えであるか、御説明させていただきました。そして、そうした具体策を責任を持って行っていくと断言をしたわけでございます。
 国民の不安が高まる中で、今求められていることは非難の応酬に終始することではありません。互いに具体的な案を示しながら、真に国民のためになる対策をつくり上げ、それを速やかに実行に移すことであります。私は、正にその具体策を先般の党首討論の場においてお示しをした次第でございます。今後とも、政治を停滞させることなく、やるべきことをしっかりと実行しながら、国民の負託にこたえてまいります。それこそが政権を担う責任感であると考えております。
 年金記録問題についてお尋ねがありました。
 基礎年金番号に統合されていない五千万件の年金記録につきましては、今後一年間で被保険者及び年金受給者の記録との突き合わせを行い、同一人の可能性がある方にはその旨と各人の加入履歴をお知らせをし、年金記録の確認をしていただくこととしております。なお、その際には適切なシステム開発を行うこと等により、定員の合理化を図りながらも着実に実施をしてまいります。こうした方法を始めとして、年金記録の統合を進めるとともに、国民の皆様には社会保険庁への積極的な問い合わせをお願いしていくことにより万全を期してまいります。
 なお、年金記録の訂正は、年金の裁定時に加え、年金相談など様々な機会をとらえて行われることから、それを人数として把握はしておりませんが、年金記録相談の特別強化体制において昨年末までに御本人の証拠書類により記録の訂正を行った件数は五十五件と聞いております。
 いずれにいたしましても、政府としては、国民の視点に立って、できる限り速やかに、かつ行うべきことはすべて行い、責任を持って国民の不安の解消に最善を尽くしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(柳澤伯夫君) 山根議員にお答え申し上げます。
 最初に、年金記録の未統合の問題の経緯等についてお尋ねがありました。
 基礎年金番号に統合されていない年金記録が残っておりますのは、平成九年にすべての制度を通じて一元的に記録を管理するため基礎年金番号を導入することといたしましたが、その際、現に受給しているかあるいは加入している国民年金、厚生年金、船員保険及び共済組合の記号番号に基礎年金番号を付番いたしました。このため、転職などをする間に過去に加入していた年金の記号番号がそのまま残存し、その後、統合の努力をいたしましたが、今なお五千万件の記号番号が未統合となっているものであります。
 この間、十年間の期間が経過しているにもかかわらず、このように統合の進捗状況がはかばかしくないことについては、当初の制度設計の詰めが不十分であったこととともに、年金事業を運営する当局として大きな責任があると考えております。
 この上は、総理の御指示に従い、今後一年間で五千万件の記録と年金受給者、被保険者の方すべての記録との名寄せを完了させた上で、該当する可能性がある方々に対して、各人の加入履歴をお送りをし確認を求めることにより、記録の統合に全力を傾けてまいります。
 次に、社会保険庁の保有する記録と市町村の保有する記録との突合についてのお尋ねがございました。
 市町村が国民年金保険料の収納業務を行っていた時期に備え付けていた国民年金被保険者名簿は、国民年金法に基づき社会保険庁が保管する国民年金原簿とは異なり、市町村が収納業務を遂行するに当たって納付状況を管理するための当座の帳簿として備え付けていたものでございます。
 平成十四年四月、国民年金保険料の収納業務が社会保険庁に移管されたことに伴いその用途が廃止され、市町村に国民年金被保険者名簿の保存、管理の義務がなくなりました。そのため、その後、各市町村の判断によりこれを廃棄したところもあると承知をいたしております。
 今回、未統合記録の把握の徹底のためオンライン記録の確認を行うこととしておりますが、これは必ずしも市町村の国民年金被保険者名簿と突合する必要があるものではなく、基本は、社会保険庁のマイクロフィルムや紙台帳との突合を行い、補完的に市町村の国民年金被保険者名簿と突合するものであります。現在、市町村には国民年金被保険者名簿の保存をお願いし、補完資料としてできる限り利用させていただくことといたしております。
 保険料の納付に関する記録や証拠がない場合の取扱いについてお尋ねがありました。
 政府としての基本的な姿勢は、領収書等がない場合であっても、まじめに保険料を払っていた方々の気持ちに立って、お話を丁寧にお伺いしながら、様々な資料に基づいて納付があったと認められる場合には記録の訂正を行うという姿勢で臨むことであります。
 このため、年金記録の訂正の可否の判断に当たっては、社会保険庁だけの判断によるのではなく、外部の有識者等から成る第三者委員会を設置し、そこで御本人の申立てを十分に酌み取っていただいた上で公正な判断が行われる仕組みを設け、適切な対応を期することといたしております。現在、こうした趣旨を踏まえて、具体的な委員の人選や個別の事案について検討していただく際の手続等の詳細について検討を進めており、今月中に第三者委員会を設置いたしたいと考えております。
 次に、時効特例法案についてのお尋ねがありました。
 年金記録の訂正に伴って年金額が増額された場合、消滅時効により五年以上さかのぼっては給付することができないという問題がございます。この消滅時効を行政側が主張することについては、その主張が信義則に反して許されない場合もあるが、それは極めて例外的というのが判例の考え方であり、行政上の運用だけで多くの方の権利回復を図ることは難しいのでございます。
 この問題の解決は、国民生活にとって大きな影響があり、特に年金受給者には高齢者の方が多いことから、緊急を要する課題であります。このため、今般、こうした事情を総合的に勘案し、与党が特別の立法措置を講ずるとの決断をされたものと承知しており、その内容については、政府といたしましても、必要な協力をいたしたところでございます。
 次に、非公務員型の公法人の性格についてのお尋ねがありました。
 第一に、日本年金機構と国会との関係については、その業務等について、厚生労働大臣が直接的に管理運営責任を負うため、引き続き国会の監視を受けることに変わりがありません。
 第二は、機構から業務委託先に対する天下りについて、幹部職員に早期退職勧奨の慣行がある中央省庁とは異なり、まじめに働く職員はそれぞれの能力に応じて定年まで勤務できるようにすることによって、機構が押し付け的な天下りをする必要がないこととなると考えております。また、機構の発注契約について、競争入札や企画競争入札を原則とし、その業務の透明性を高めることにより、不明朗な天下りの土壌が生じないこととなると考えております。
 第三に、機構の職員の給与総額につきましては、国からの交付金が国の予算で決められることから、その時点における公務員の給与水準などを参照しながら、適正に算定するものと考えております。
 このようなことから、非公務員型の公法人になることで改革に逆行になるとの批判は当たらないと考えております。
 年金保険料の無駄遣いがなくならないのではないかとのお尋ねがありました。
 政府におきましては、平成十六年三月の与党合意を踏まえ、年金保険料は、年金給付及び年金給付に関連する年金相談等の事業費や事務費以外には充てないという考え方で対処いたしております。
 今回の法案では、御批判のあった「必要な施設をすることができる。」旨の規定を廃止した上で、事業の範囲を限定し、年金相談、年金教育及び広報、情報提供など、真に必要なものを法案に限定的に列挙をいたしております。これにより、厚生年金会館等の施設は今後造られないことが法律上も明らかになっております。
 また、年金事務費のうち、適用、徴収、給付など保険事業の運営に直接かかわる経費は年金給付と密接不可分なコストであり、受益と負担の明確化という観点からも、保険料を充てることとするものであります。これは、他の公的保険や諸外国の例から見ても妥当なものと考えます。
 重要なことは無駄遣いをしないことであり、毎年度の予算を精査するとともに、調達に当たっても調達委員会により厳格な審査を行うなど、無駄の排除を徹底してまいります。また、今後、年金保険料の使途が国民の目に常に明らかになるように、ホームページで予算を公表してまいります。
 日本年金機構の設立後における年金記録の調査、救済に関する責任についてのお尋ねがありました。
 日本年金機構の設立後におきましても、国が公的年金の財政責任、管理運営責任を担うこととなっております。したがいまして、今回の年金記録問題への対応については、機構の設立後においても国が責任を持って対処する考えであり、機構設立により幕引きを図るなどということは毛頭考えておりません。
 国民年金保険料の未納者に対する国民健康保険の短期被保険者証の発行についてのお尋ねがございました。
 国民健康保険の短期被保険者証は、通常の被保険者証と比較して何ら受診の際のサービスが異なるものではなく、有効期間の短い被保険者証の発行を通じて市町村が保険料未納者との接触の機会を増やし、市町村の窓口で保険料納付などを直接働き掛けることを目的として設けられたものでございます。
 今回の措置は、このような国民健康保険の短期被保険者証の機能に着目し、これと同様に、国民年金保険料の未納者に対しても市町村が接触して保険料納付を直接働き掛け、又は免除の案内により年金受給権の確保につなげることを目的として実施するものであります。したがいまして、今般の措置が国民健康保険の保険料の納付に影響を及ぼすことではないと考えております。
 最後に、年金制度の持続可能性についてのお尋ねがありました。
 年金制度につきましては、平成十六年の制度改正におきまして、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能なものとするための見直しを行ったところでございます。また、本年二月に発表した暫定試算では、昨年末に公表された新人口推計の中位推計や近年の経済動向を織り込むと、全体として年金財政が好転しており、最終的な所得代替率は五一・六%と見通されたところでございます。
 なお、年金記録の問題については、総理の御指示に基づき、政府、与党一体となって包括的かつ徹底的な対応を行い、国民の年金事業運営に対する信頼の回復を確保してまいる決意でございます。
 年金財政につきましては、法律の規定に基づき、平成二十一年度までにしっかりと正規の財政検証を行うなど、国民の老後生活等の安心の確保に最善を尽くしてまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺喜美君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(渡辺喜美君) 歴代幹部職員の責任問題についてのお尋ねがございました。
 今回の改革で最も重要なことの一つは、かつての社会保険庁に見られたような無駄遣いは絶対にさせないということであります。そのための取組を徹底し、社会保険庁を抜本的に改革することにより、責任を果たすべきだと考えております。
 また、総理も答弁申し上げているとおり、社会保険庁の年金記録問題については、基礎年金番号導入に当たっての設計段階から今日に至るまで、社会保険庁長官を含め、すべての関係者には大きな責任があると考えております。そこで、この問題に関する有識者から成る委員会を設けると承知しており、その場においてしっかりした調査、検証を行っていくことが重要であります。そして、具体的な責任の取り方の一例として、自主的な退職金の返納についても言及をいたしました。まずは、有識者委員会において事実関係を精査することが前提になると考えております。
 次に、社会保険庁職員の雇用についてのお尋ねでございます。
 私は、総理の指示により、日本年金機構の業務委託の推進と職員の採用に関する基本計画を定める際の学識経験者からの意見聴取について担当することになっております。様々なしがらみにとらわれることなく、国民の目線で、公的年金に対する国民の信頼を回復するため全力で取り組んでまいります。
 次に、日本年金機構設立に際しての社会保険庁の職員の雇用についてのお尋ねでございます。私は、直接の所管ではございませんがお答えいたします。
 まず、職員の引継ぎ規定を設けるかどうかについては、国家公務員法との関係の問題ではなく、政策判断の問題であります。本法案の制度設計に当たり、厚生労働大臣が適切に判断されたものと理解しております。また、具体の職員の採用に関しては、日本年金機構の設立委員が職員採用審査会の意見を聴いて、厳正な審査の上、決定する仕組みとなっております。新組織の職員としてふさわしくない者が、そのまま漫然と採用されることはないと考えております。
 累次の国会決議との整合性についての御指摘は、どの決議を念頭に置かれているのか直ちに判然とはいたしませんが、社会保険庁職員の雇用については、国家公務員法や判例を踏まえ、任命権者である社会保険庁長官が適切に対応されるべきものと承知をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(尾身幸次君) 山根議員からの御質問にお答えいたします。
 民主党の歳入庁構想案についてのお尋ねがありました。
 国民年金は、滞納額が平均約二十万円と少額多数の債権であり、自主的な納付に結び付けることが基本であります。他方、国税は一千万円超の滞納が滞納額全体の約六割を占めており、大口悪質な案件に重点を置いて対応をしているところであります。また、自営業者等の国民年金第一号被保険者約二千二百万人のうち、所得税を申告している者は約三百五十万人にとどまっております。したがいまして、全体として見れば国民年金と国税の徴収対象は大きく異なっていることを御理解いただきたいと考えております。こうしたことから、民主党の歳入庁構想案では、収納率の向上や徴収の効率化に必ずしもつながらないと考えております。
 さらに、政府といたしましては、民主党案は様々な問題が生じた社会保険庁を公務員組織のまま温存するということにつながりかねないという問題があると考えております。
 政府の社会保険庁改革法案におきましては、新たに非公務員型の新法人を設立いたします。さらに、総理の御指示を踏まえ、特に悪質な滞納者については、厚生労働大臣から委託を受けて国税庁が強制徴収を行う道も開かれているところであります。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(扇千景君) 浮島とも子君。
   〔浮島とも子君登壇、拍手〕
#17
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました社会保険庁関連二法案について、安倍内閣総理大臣に質問をいたします。
 まず、質問に入らせていただく前に、先週お亡くなりになられました松岡農林水産大臣に心から御冥福をお祈り申し上げます。
 まず、公的年金制度の運営に対する国の責任についてお伺いをいたします。
 我が国の年金制度は、二十歳以上、すべての国民を加入対象とする国民皆年金制度であり、世代を超えた支え合いの仕組みです。平成十六年度の年金制度改革では、百年安心の年金のために、給付と負担のバランスを均衡させる改革を行いました。しかし、その中で社会保険庁について様々な不祥事や業務運営の問題が明らかになり、当時の坂口厚生労働大臣のいわゆる坂口試案を基に、抜本的に改革する検討が開始されました。公明党は、平成十七年五月に党としての提言をまとめ、改革を一貫して推進してまいりました。年金制度に対する国民の安心、信頼を確保するためには、まず、制度が将来にわたって持続可能であること、そして、制度を運営する組織が国民から信頼されること、この二つが車の両輪です。この二つの条件にこたえるべく、我々与党の改革方針に従い、本法律案が取りまとめられました。
 まず、社会保険庁を解体し、国が公的年金制度の運営に責任を持ちます。そして、具体的な運営の業務は新たに設立する非公務員型の公法人、日本年金機構に担わせます。この法人化で国の責任があいまいになるのではないか、様々な問題が解決されずに残るのではないかとの御指摘もございますが、本法律案では、今後とも一貫して国の責任で公的年金の管理運営を行うことが明確となっており、社会保険庁について明らかとなった問題を一掃できる改革案となっております。
 そこで、日本年金機構の設立後において、国はどのように公的年金制度の運営に対する責任を果たしていくのか、お伺いをいたします。
 次に、年金記録の問題についてお伺いをいたします。
 この問題では、様々な思惑とともに様々な数字が飛び交い、国民の年金に対する信頼をおとしめていると言わざるを得ません。政治の責任とは、未来に責任を持つ政治を実現することであり、国民の不安をいたずらにあおることではなく、国民の不安を解消するものであります。
 この年金記録の問題は、一人が複数持っている年金番号が一つの基礎年金番号に統合されていないことから生じております。基礎年金番号の導入は、この複数の年金番号を一人一つの基礎年金番号に統合する制度改革でありました。この時点で統合されるべき国民年金、厚生年金等の番号は約三億件ありました。その後、基礎年金番号へと統合され続け、現在、残りが約五千万件になりました。しかし、この五千万件のうち二千八百八十万件はこれまでの年金受給者が含まれており、支給漏れなどが生じているのではないか、これが第一の課題であります。
 第二の課題は、残りの二千百二十万件の持ち主がだれかということです。この二千百二十万件は、まだ年金を受給されている方々のものではありませんが、早急に記録の統合は進めなくてはなりません。
 この二つの課題に対し、総理の指示により、年金記録への新対応策パッケージが打ち出されました。このパッケージにより政府はどのようにこの問題に対応するおつもりか、お伺いをいたします。
 次に、年金記録の統合プロセスについてお伺いいたします。
 この問題に対する国民の不安は主に三つあります。一つ目は、この問題がいつまでにどのように解決するのか。二つ目は、年金を納付したはずなのに、社会保険庁などに記録がなく、領収書もない場合はきちんと年金の支給が受けられるのか。三つ目は、記録の訂正がされても、給付を受けるために必要な二十五年間の期間にわずかに足りない方々はどうなるのか。公明党は、この納付期間がわずかに足りない方々に対し、一定期間さかのぼって納付することができる事後追納制度を創設すべきと考えております。
 この三つの不安に対して、どのようにこたえるのか、あらゆる手段を使い、政府の対応を国民に周知徹底していくべきと考えますが、明快な御答弁を求めます。
 次に、年金記録が訂正された場合の対応策についてお伺いいたします。
 年金記録が訂正された場合、過去に遡及して年金給付額が変わります。しかし、現在は会計法の規定により、五年以上前については記録が訂正されても支払うことができません。我々与党は、この五年という制約を取り払うべく、年金時効特例法案を提出いたしました。この法案により、年金記録が訂正された場合、正しい年金額を全額速やかにお支払いすることができるようになると考えています。先週のクエスチョンタイムで総理は明言されたと思いますが、改めてお伺いをさせていただきます。
 次に、年金記録の問題の経緯についてお伺いをいたします。
 この問題は、平成八年の基礎年金番号の制度設計時に、年金番号の統合を継続的に推進し、チェックする仕組みをきちんと導入しなかった社会保険庁、厚生労働省の不作為にあります。とりわけ、当時の、元厚生大臣の菅直人大臣の責任は重大であり、糾弾されてしかるべきであると考えます。
 改めて、基礎年金番号の制度設計時にこの未統合の年金記録を統合させる進行管理の仕組みがあったのかどうか、統合の経緯についてお伺いをいたします。
 次に、年金記録の背景についてお伺いをいたします。(発言する者あり)
#18
○議長(扇千景君) 静粛に願います。
#19
○浮島とも子君(続) 社会保険庁をめぐる様々な不祥事、そして今回の年金記録問題など、社会保険庁は不祥事の百貨店とまでやゆされております。なぜそのようになってしまったのか。それは、社会保険庁という組織の無責任体制、ガバナンスの欠如がすべての原因であります。特に、地方事務官制により、一つの組織であるにもかかわらず、あたかも複数の組織であるかのような体を成しておりました。このような組織は解体してしまうほかにはありません。そして、国民のための真のサービスの組織をつくり上げていくしかほかありません。その意味で、本法律案は、年金記録問題の解決のためにも必要不可欠であります。
 そこで、この年金記録を始めとする様々な不祥事、問題の背景となってきた組織的原因、本法律案によりその組織的原因を根絶することができるのか。そして、職員団体と社会保険庁との覚書及び数多くの確認事項は平成十七年一月二十七日までにすべて破棄したとのことですが、その後、覚書や確認事項は一切ないか、改めてここで確認をいたします。明快な御答弁を求めます。
 社会保険庁改革は、これまで与党が責任を持って進めてまいりました。本法律案は、社会保険庁を解体し、新たに創設する日本年金機構に業務を担わせ、すべての問題の原因であった組織を抜本的に変革する法案です。
 私は、この法案の早期成立、そして更なる改革の推進を強く訴えるとともに、最後に、総理の年金に対する国民の信頼回復に向けた決意をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 浮島とも子議員にお答えをいたします。
 公的年金制度の運営に対する国の責任についてのお尋ねがありました。
 今回の改革案では、非公務員型の日本年金機構を設置をし、能力主義、実績主義に立って、規律の回復と事業の効率化を徹底することとしておりますが、併せて、公的年金制度に関する国の責任はしっかりと堅持することとしております。具体的には、国が引き続き保険者として公的年金の運営や財政に関する責任を担うとともに、機構の業務や予算については国が直接管理監督するなど、国民が信頼、安心できる公的年金制度とするための体制を実現してまいります。
 五千万件の年金記録問題についてお尋ねがありました。
 基礎年金番号に統合されていない五千万件の年金記録につきましては、今後一年間で被保険者及び年金受給者の記録との突き合わせを行い、同一人の可能性がある方にはその旨と各人の加入履歴をお知らせをし、年金記録の確認をしていただくこととしております。また、被保険者の方への対応については、ねんきん定期便により、三十五歳、四十五歳、五十八歳の時点において各自の加入履歴をお送りし確認を求めるとともに、毎年のお知らせにより未統合記録への注意を呼び掛け確認を求めてまいります。
 年金記録の統合プロセスについてお尋ねがありました。
 年金記録の統合については、国民の不安を解消するため、できる限り速やかに対応する必要があります。このため、未統合の五千万件の記録については、先ほど申し上げましたように、今後一年間で記録の突き合わせを行い、同一人の可能性のある方へ通知を行います。また、社会保険庁及び照会をされた方双方に記録、証拠がない場合の取扱いについては、第三者委員会を設置をし、社会保険庁の判断だけに任せることなく、申し立てた方のお気持ちに立ちながら公正に判断する仕組みを設けてまいります。
 なお、記録の訂正がされても給付を受けるために必要な期間を満たさない方の取扱いについては、記録問題を超えて年金制度そのものの在り方にかかわる事柄であり、制度論としての議論が必要であると考えております。
 さらに、国民への周知については、新たに作成するチラシや全年金受給者に対して年一回送付する年金振り込み通知書において年金記録の確認を呼び掛けるとともに、政府広報を始め、できる限り多くの媒体により政府の対応を分かりやすく周知、広報してまいります。
 年金時効特例法案についてお尋ねがありました。
 年金記録の訂正に伴って年金額が増加されたにもかかわらず、時効により全額がもらえないということがあってはなりません。今回の特別立法によって、年金記録が訂正された場合、すべての方に正しい年金額を全額速やかにお支払いすることが可能となります。法案が成立をした暁には、その広報や周知に万全を期すとともに、申出のあった方への丁寧で迅速な対応を徹底させます。
 基礎年金番号制度設計時についてお尋ねがありました。
 基礎年金番号の導入に当たっては、導入前に約三億件の記録があった中で、所期の計画に従い基礎年金番号を国民一人一人に通知しましたが、導入直後には未統合の記録が約二億件存在しておりました。その後、他の制度等の加入歴の有無を照会する統合作業により、基礎年金番号に統合されていない記録の件数は漸次減少してきましたが、いまだに五千万件の未統合記録があります。こうした統合方法の企画が番号導入前に十分に検討されたか、また、その後の進捗状況等を管理する対応は十分に行われていたかといった点に大いに反省すべき点があるものと考えています。
 こうした今回の問題の発生の原因や責任の所在については、厚生労働省以外の省庁において有識者から成る検証委員会を設置をし、しっかりと調査、検証していただき、その結果を明らかにしてまいります。
 社会保険庁における問題発生の原因と職員団体との覚書等に関するお尋ねがありました。
 社会保険庁におけるこれまでの様々な問題の構造的背景としては、組織体質が内向きで閉鎖的であり、適正な組織管理が不足していたという問題があったと考えております。今回の改革案は、こうした構造問題を十分踏まえた上で、その一掃を図り、真に国民の信頼を得ることができる新組織を実現しようとするものであります。
 なお、職員団体との間で多数の不適切な覚書や確認事項を取り交わしていましたが、平成十七年一月までにすべてを廃棄し、その後は一切取り交わしていないと聞いております。
 公的年金に対する国民の信頼回復に向けた私の決意についてお尋ねがありました。
 社会保険庁においては、これまでも様々な問題を引き起こしてきましたが、今回クローズアップされた年金記録の問題は、今までにも増して国民の信頼を損ねる重大な問題であります。このため、今般、この記録問題の解決に向けて、保険料を払った人にきちんと年金を給付するための一連の対策を発表しましたが、規律の回復、事業の効率化、適正な運営を実現するためには、組織の在り方についても国民の視点に立った抜本的な解決が不可欠であります。
 このため、今回の改革案では、公的年金に関する国の責任は堅持しつつ、新たに非公務員型の日本年金機構を設置するとともに、民間企業への外部委託を徹底するほか、悪質な滞納者への強制徴収を国税庁に委託するなど、廃止・解体六分割を断行いたします。また、機構の職員についても、意欲と能力がある人材を民間からも積極的に採用した上で、能力主義、実績主義を徹底させ、これまでの親方日の丸的な職場体質を一掃いたします。
 今後とも、公的年金に対する国民の信頼をしっかりと確保できる抜本改革の完遂に向けて、引き続き最善を尽くす決意であります。
 以上であります。(拍手)
#21
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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