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1947/05/25 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第49号
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1947/05/25 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第49号

#1
第002回国会 本会議 第49号
昭和二十三年五月二十五日(火曜日)
    午後二時三十四分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第四十五号
  昭和二十三年五月二十五日(火曜日)
    午後一時開議
 質問
 一 肥料問題に関する緊急質問(田口助太郎君提出)
 二 戰爭危機に対する緊急質問(和田敏明君提出)
    ―――――――――――――
 第一 引揚同胞対策に関する決議案(河野金昇君外二十九名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 自由討議
    ―――――――――――――
 一、自由討議の問題 衆議院議員選挙法の改正について
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 質問一、肥料問題に関する緊急質問を許可いたします。田口助太郎君。
    〔田口助太郎君登壇〕
#4
○田口助太郎君 わが國を眞に平和で民主的な國家に再建する第一歩は國民生活を安定せしむることであり、また國民生活を安定せしめる第一の條件は食生活の安定充実にありますことはいまさら申し上げるまでもないことであります。しかるに、わが國民の食生活は未だ一向に改善されず、日々の生活は食生活のみにおわれておる状態であります。この不合理な、悲惨な國民生活の中からは、健全なる思想も、ゆたかな文化生活も起らないのは当然でありまして、また経済の復興にありえないのであります。この環境を打破して、平和な民主主義國家を建設するために、連合國軍におかれましては、世界的に著しく不足しておる食料の中から多量の食糧を放出せられ、また大多数の農民は、あらゆる悪條件を克服して三千五十五万石の供出割当を完遂したのであります。また本年度は一割の増産を達成すべく縣命に努力されておるのであります。しかるに政府は、この連合軍の好意と農民の涙ぐましい努力に対して、いかなる施策をもつてこたえんとするのでありましようか。
 逼迫した食糧事情を打開する途は、單なる公平なる分配にあるのではなくて、國内生産の増加にあるのであります。しかして農業生産の増加は、單なる掛け声だけの一割増産運動だけでは、断じて達成できないのであります。進にその目的を達するためには、それを裏づけるだけの農業生産資材、特に肥料の確保がなければならないのであります。しかるに、片山内閣並びにその延長である芦田内閣の肥料対策は、実に貧困であり、不誠意極まるものといわなければなりません。(拍手〕
 戰爭のために破壊され、老朽した工場施設は、吉田内閣当時において、すでに硫安工場十八、その生産能力百二十万トン、石炭窒素工場十五、その生産能力三十八万トン、過燐酸工場二十二、その生産能力百三十万トンに復旧いたしておるのであります。この、せつかく復旧した生産能力さえも、片山内閣や芦田内閣では完全に稼動せしむることができず、最も重要な窒素肥料においても、未だに六割程度の生産をあげているのにすぎないのであります。この事実こそは、政府の肥料対策の貧困と誠意の欠如を雄弁に物語つているものと思うのであります。(拍手)
 しかも片山内閣は、現在の米債を決定する際に、春肥として窒素肥料を基準施肥料の半分、反当り稻作については五貫五〇〇匁、甘藷については二貫三〇〇匁、馬鈴薯については四貫六百匁、蔬菜については五貫二百匁の配給を公約しているのであります。從つて現在政府においても、当然この公約は嚴守する義務があるのであります、政府は、この公約を完全に履行することができるでありましようか。
 私の調査によりますと、一月から四月までの生産実績は、政府の不誠意による電力・石炭等の手当ての失敗によつて、四十五万四千トンに減少しておるのであります。從つて、五月と六月の生産が計画通り二十二万一千トン生産することができましても、なお十一万七千トンが不足するのであります。その上、工場から農家に渡るまでの輸送機関――石灰窒素は元肥が使用する関係上、遅くとも六月中旬までに農家の手に渡らなければ本年の米作には間に合わないのであります。これらの点を考慮いたしますと、施肥時期までの公約を果たすことはとうてい不可能であろうと思うのであります。この点について、政府の確実なる見透しと、その責任を承りたいと思うのであります。もし、この公約が施肥時期までに完全に履行されないならば、一割増産運動は單なる精神運動に終わり、來年度の食糧事情にかえつて悪化するおそれがあるのであります。從つて政府は、いたずらに根拠なき配給基準量の引上げを吹聽して、情勢拡張に專念することなく、公約の履行に最大の努力を沸われんことを要望しておきます。
 次にお尋ねしたいことは、最近増加の傾向にある粗悪肥料の製造・横流し等に関する事件についてであります。化学肥料は、石炭とともに最重要点産業の取扱いを受けて、乏しき資料・資材の中から、あらゆる産業を犠牲にして優先的割当てを受けているのであります。これは肥料が農産業の原動力であり、祖國再建の基盤をなすものであるからであります。從つて、肥料の生産に携わる者は、その使命と責任の重大性を強く自覚して、原料・資材の効率的運用、技術の向上、作業能率の増進等について、あらゆる面の合理化を強力に推進し、食糧増強に寄與しなければならないのであります。しかるに、最近大会社における粗悪肥料の製造や横流し等の不正事件が著しく増加しておりますことは、まことに遺憾とするところであります。
 参考のために二、三の実例をあげてみますならば、信越化学武生工場の石炭窒素の中には、窒素全量十六%の保証票が添付してあるにもかかわらず、実際は五%内外より含有していない不正品が二千百四十五トン、その價格一千五百八十三万余円の厖大な数量が、滋賀、京都、福井、島根等の肥料配給公團支所において発覚したのであります。またその後、同工場で製造した同様の不正品が五百トン、その價格三百六十九万余円のものが滋賀縣の農家に配給されていることが発見されております。なお同工場においては、勤労奉仕用として、二百八十袋の石炭窒素を不正手続きをもつて長野縣下に発送し、しかも書類には二百四十袋と記載し、現物は二百八十袋あつたことも、数日前に発覚したのであります。また日東化学八戸工場においては、遊離硫酸一五%を含有している、恐るべき有害な硫安が、千二百トン肥料公團の手によつて発覚しているのであります。経営協議会の決議によつて、工員一人あたり二貫目の硫安の持ち出しを許可し、多量にやみ流しをしておつた事実も発覚しておるのであります。また中越電気滑川工場では、工員の生活補給金獲得の名目のもとに、石炭窒素を大量に横流しをしている事実もあるのであります。
 以上は、單に二、三の実例を申し上げたのにすぎないわけでありまして、成分の不足、有害成分の含有、量目の不足、水増し等の粗悪製品の製造の事例や、配給部門における横流し、やみ賣り等の事件は、実に多いのであります。政府は、かくのごとき天人ともに許しがたき不正事件に対し、いかなる処分を行い、またいかなる防止手段を講ぜんとしているのかを承りたいのであります。特に、最も多量に不正肥料を製造し、しかも何回もかくのごとき不正事件をやりました信越化学の事件については、具体的にその解決方法を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 信越化学の粗悪品は、最近に発見したものだけでも、肥料配給公團から支拂を受けた代金が三百十四万余円の多額に上るのであります。これは滋賀縣の農家で発覚した五百トンの不正肥料を加えますと、実に二千万円に上る莫大なる金額を不当に利得しておつたことのなるのであります。從つて、その解決策については、断じてあいまいであつてはならないのです。殊に事件は、過失によるものではなく、粗悪品であることを十分に知りながら故意に販賣しておつたものと断ぜざるを得ないのであります。
 肥料取締法によりますと、肥料を販賣する場合には、必ず工場において分析試験を行い、その結果に基いて、一俵一俵に成分含有量の保証票を添附することになつているのであります。しかるに、保証票には窒素含有量一六%と記載してあるにもかかわらず実際にはわずか四、五パーセントの低品位のものであつたのであります。しかも、一日とか二日の生産のものでありましたならば、檢査係の不注意か怠慢によつて出荷したものと見ることもできるのですが、本件の場合は、同工場の生産能力の三箇月分に当たる厖大なる数字であります。從つて、いかに善意に解釈いたしましても、檢査係の不注意によつて出荷したものと見ることができ得ないのであります。從つて、会社の最高幹部までが、肥料と称することができ得ない粗悪品であることを十分に知りながら、故意に販賣して、不当に利益を得たものと断ぜざるを得ないのであります。
 從つて本件は、肥料取締法第九條違反であるばかりでなく、詐欺罪を構成するものと思うのでありますが、取り締まりの任に当たります官廳は告発の処置をとつたのか、また檢察廳はいかなる処置をとつたのか、承りたいのであります。また民事的、行政的解決策として、窒素肥料五%のものとして、肥料配給公團に対しては、その差額千三百四十八万余円を返還し、農家に配給したものについては、差額を肥料をもつて追加補給するに決定したとのことでありました。その代金の返還、肥料の補給は現実に完全に履行されておるかどうか。また発覚した不正肥料の中には、窒素含有量四%のものが非常に多かつたように聞いておるのでありますが、何ゆえ五%として処理したか、その理由を承りたいのであります。なお政府の交付する補給金は、規格の成分を有するもののみに対してのみ支拂うべき性質のものであると思うのであります。しかし政府においては、五%のものとして補給金を計算して交付したとのことでありますが、かくのごとき、肥料ということのでき得ない粗悪品に対して、何ゆへに補給金を交付したのか、その理由を承りたいと思うのであります。また五百トンの分については、補給金の返還を命じてないと聞いておるのでありますが、その事実の有無、理由を明らかにしていただきたいと思うのであります。かくのごとき不明朗なる決算策は、政府部内でのもみ消し運動によるものであると、巷間ではうわさされておるのでありますが、その眞偽について併せて御答弁願いたいと思います。
 次にお尋ねしたいことは、かくのごとき粗悪肥料の製造、不正取引の激増に対して、政府はいかなる防止手段を講ずる考えであるかについてであります。現在不正肥料を取締る法規は、化学肥料と見るべきもののなかつた明治三十二年に施行された肥料取締法だけであります。かかる時代後れの法律をもつて、超重点産業にまで発展した肥料工業を取締ることは、不可能であります。最近のごとき粗悪肥料の氾濫の原因は、確かに法律の不備による点も少なくないと思うのであります。從つて、速やかに現実に即した肥料取締法を制定する必要があると考えるところでありますが、政府の準備があるかどうかを承りたいと思うのであります。
 また粗悪肥料の増加は、單に法律の不備ばかりによるものでなく、檢査制度の欠陷による点も少なくないと思うのであります。すなわち、肥料の檢査は農林省の所管に属し、中央肥料檢査所と、各都道府縣に一、二名の檢査員を設置し、檢査を行うことになつているのでありますが、檢査員の不足、檢査器具の不備等によつて、完全なる檢査を実施し得ない状態でございます。從つて、この機会に檢査員を充実し、檢査器材を急速に確保するとともに、肥料工場における自主的檢査制度を改めて、各工場に檢査員を駐在せしめ、出荷前に嚴重なる檢査を行い、粗悪肥料の製造を未然に防止すべきであろうと思うのでありますが、政府の所見を承りたいと思います。
 次に、肥料行政の一元化の問題についてお伺いしたいとおもんます。現在の肥料行政は、生産部門は商工省で、配給・檢査の部門は農林省でそれぞれ所管しているのであります。この肥料行政の不統一が粗悪肥料の増加と生産の停滯の本質的原因であろうと思うのであります。肥料に対しても最も熱心にして利害関係の多いものは農民であります。從つて、農民の立場を真に理解できるものでない限り、肥料の増産も、不正品の防止も、また改良もでき得ないのは当然であります。この見地に立つて肥料行政の一元化を強力に断行しない限り、生産の増加も、粗悪品の一掃もあり得ないと思います。政府は、この肥料行政の一元化の問題について、いかに考えておられるのか、その所信を承りたいと思います。
 最後にお伺いしたいことは、肥料價格についてであります。政府は、近く運賃を初め諸物価の改訂を企画されているようでありますが、肥料價格については、いかになされる考えでありましようか。もちろん、所物価の改訂に伴い肥料の生産者價格は当然改訂されるものと思うのでありますが、消費者價格については、いかになさるおつもりであるかを承りたいと思います。万一、消費者價格を引上げるごとき暴挙をあえていたしますならば、それはゆゆしき問題であることは、米價決定の事情、現行米價の性質等を考えますれば、まさにここであらためて申し上げる必要もないのであります。
 また、生産者價格を引上げる場合においても、特に考慮していただかなければならない点があります。それは、近く生産者價格の改訂があるものと予想いたしますと、生産者は何とか口実を設けて、價格改訂の時期まで出荷をしぶるようになりますことは、当然考えておかなければいけないことであります。現に石灰窒素の半製品であるカーバイドの四月の生産実績は、近來にない好成績であつたのでありますが、これに反して、この製品である石灰窒素の生産実績は非常に低下しているのであります。この矛盾した現象は、あるいは價格の値上がりを待たんとする悪質なる生産サボではないかとさえ思われるのであります。一握りの肥料でも多く必要とする最需要期にあたり、生産サボや滯貨が起きましたならば、食糧生産に重大なる支障を來すことは当然であります。從つて、かかる事態の発生じないよう政府においては万全の処置をとられんことを強く要望いたして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)
    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#5
○國務大臣(水谷長三郎君) ただいまの田口議員の御質問中、商工大臣に関係のあると思われる部分につきましては、御答弁を申し上げたいと思います。
 政府が本年春肥といたしまして農村に公約いたしました稻肥反当、窒素肥料、硫安といたしまして五貫五百目、燐酸肥料、化燐酸石仄二貫目を履行いたしますためには、本年一月から七月までの期間に起きまして、國内におきまして硫安五十二万二千九百トン、石灰窒素十三万七千六百トン、過燐酸石灰五十一万六千トンを製造する必要があるのでございまして、この計画諸般の措置を講じてまいつておるのでありますが、本計画のうち、一月から四月までの計画と実績とを比較いたしますと、次に述べるような数字を示して、実績は計画を上まわり、順調を示しているのでございます。すなわち一月から四月の合計、硫安は、計画二十六万四千九百トンに対しまして、実績は二十六万五千二十トンで、二百二十トンの上まわりでございます。石灰窒素は計画五万八千六百トンに対しまして、実績は六万一千六百九十八トンで、プラスは三千九十八トンでございます。過燐酸石灰は、計画三十万トンに対しまして、実績は三十二万一千二百十七トンでありまして、二万一千二百十七トンの上まわりでございます。なお硫安のごときは、五月計画八万六千トンに対しまして、十万トンを突破する勢いを示して、まことに喜ばしい次第であります。このことは、農村に対しましてそれだけ早く公約肥料を届けることができるのであります。かような次第で、本年春肥といたしまして公約いたしました肥料は、必ず計画通り生産できることを確信しておる次第であります。
 第二は、信越化学武生工場の件でございますが、同工場は、昨年八月から十月におきまして、御指摘のごとき事件を起した事実がありましたので、農林省と連絡の上、その後始末に当つたのでありますが、かくのごとき低品位石炭窒素二千百四十五トン、金額にいたしまして一千三百三万円は、本年三月末限りをもちまして、肥料配給公團へこの返済方を完了した次第でございまして、同社は不当取得はいたしておらないのでございます。なお本件責任者といたしまして、会社側の工場長及び副社長の懲戒退職をとらせました。なお、このような事故を起しました原因につきましては、調査團を派遣いたしまして、その設備の老朽化並びに技術上の欠点を発見したのでございまして、会社に対し目下嚴重改良方を命じておる次第でございます。なお附加えますが、この武生工場は、地方農民諸君の要望によりまして、その出資をもちまして、このたび信越化学から独立いたしました新しい工場を設立するというような案件が、目下もち上つているのでございます。
 さらに最後に、肥料行政一元化の問題でございますが、昭和十五年以來、化学肥料の生産行政は農林、商工両省の共管となりまして、行政上種々の問題を起しましたので、肥料増産上の見地からこれが解決をはかりました結果、昨年六月、化学肥料の生産行政は商工省に一元化いたし、配給行政は農林省といたしまして、経済安定本部、商工、農林三者一体となりまして、肥料行政の円滑なる運営を期することとなつたのでございます。その後の状況は、きわめて円滑に運ばれておりまして、現在何らの支障も感じておりません。今後とも現在の状態で運営していきたいと存じておる次第でございます。(拍手)
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
#6
○國務大臣(永江一夫君) ただいまのお尋ねのうち、私に関係のある点をお答えします。
 今商工大臣からお答えいたしました信越化学の不正肥料事件につきまして、その後取調べました結果、大体この不正の肥料につきましては、その品位を保証成分五%とみなしまして、價格は五%相当分に引下げ、かつ事故品といたしまして、その價格の八割と決定いたしました。そうして、公團に返還せしめるようにいたしました。農民諸君には、その引下げました八がけの價格において配給をいたした次第であります。
 なお、給付金の点についてお尋ねがございましたが、これまた品位五%相当分につきましては、ただいまお話の不正肥料の分は十六分の五とみなしまして、それだけの分は補給金を拂つておるのであります。これは今いろいろお話がありましたように、懲罰の意味において補給金をやらなくてもいいではないかという御意見でありましたけれども、一應やはり補給金の制度がありまする以上は、この制度の規則に從いまして、やはり肥料増産の上において、不正のありましたものにこれを処分するという法規のありません限りは、五%相当分は補給金として支拂つたのであります。
 なお肥料取締りにつきましては、今だんだん例を出してお話になりましたように、いろいろ不正な点があるので、やはり肥料取締法を改正してはどうかという御意見につきましては、まつたく同感でありまして、今政府はその準備中であります。なお、お話の中にあります檢査員を各工場に駐在せしめたらどうかという点でありますが、この点は、相当予算措置におきまして費用がかかりますので、なお研究をしてみたいと思うのであります。
 肥料行政機構につきましては、今商工大臣からお答えをいたしましたように、最初一元的でありましたものを、生産の責任は商工省、配給は農林省とわけまして、せつかく緊密な連絡をとつて行つておるのでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
 肥料の價格の点について最後にお話がありましたが、この点は、パリテイ計算によります米債の決定が行われるのでありまして、この点につきまして肥料の價格というものは非常に関係があります。從つて、これは補給金によつて肥料の價格を今のままで抑えておく方がいいのか、あるいは若干の値上げを認めて、そうしてこれが米價に織りこまれていくことがいいかということは、一般の物價に非常に関係がありますので、政府は、この本予算決定と同時にこれらの点を決定いしたい、こう考えております。(拍手)
    〔田口助太郎君登壇〕
#7
○田口助太郎君 重ねてお尋ねいたします。
 まず、商工大臣から御答弁がございました計画量を上まわつておるというお話でありますが、この計画というのは非常にあいまいでありまして、あとからできたものにくつつけてつくつたような計画であると聞いております。特に五月などでは月平均八万六千トンになつておりますのに、一月、二月、三月というものは非常に減らした計画をつくつておる。これは最初こうではなかつたのか、あとからこういうふうに改訂された、そうしてつじつまを合わせたのだと私は聞いておりますが、その点についてお伺いしたいと思います。
 また肥料は、決してつくつただけでは米の生産にはなりません。農家に配給して、それが利用されて初めて効果があるのであります。現在ペーパー・プランとして、かりにできておりましても、農家の手に渡りますのが、現在時期を逸しております。ほとんど一箇月以内に使わなければ、もう田植えの始まつておる所もあります。從つて、時間のずれというものは実に重要であります。輸送機関のずれあるいは石灰窒素は、九州でさえも六月中旬までに使わなければ本年度の間に合わないのです。從つて、官僚はよくペーパー・プランを示して、これでいいのだと言いますが、決してそうではない。農家の手に確かに施肥時期までに配給できるかという点に私は重点をおいて伺つておるのであります。
 また信越化学の武生工場の事件について、商工大臣は大体五%のものとして返還させているということでありますが、滋賀縣の農家で発見されたものが五百トンあります。これについては、解決策がまだはつきりしてないようでありますが、この五百トンはどのよう解決されたかを聽きたいのであります。また五%としてなぜ政府は計算したか。あの中には四%のもが非常に多かつたのに、どうして五%として計算したか。四%のものも、五%のものも、六%のものもあつたので、その中間をとつたとおつしやるでありましようが、現に四%で配給を受けている農家も多数あります。それらの人たちが五%で計算されることは非常に不利でありますが、これらの現実に四%の配給を受けた農家に対していかなる救済手段を講ぜられんとするかを伺いたいのであります。
 また補給金は、一應不正品だけれども、増産上やつたと農林大臣は御答弁になりましたが、現在乏しき資材をつかつてつくるのであります。そのつくつたものが、割合の肥料より少い窒素を含んでおるものに対して、どうして國家の大切な補給金をやらねばならないのでしようか。私は、かくのごとき不正品に対しては、断じてやる必要はないと考えます。かくのごときは、私は詐欺罪であるとさえ思つておるのでありますが、かくのごとき不正、粗悪な肥料の増産をわれわれが防遏することが先決問題である。かくのごときものに補給金をやるということは絶対に間違つているということを私は深く主張するものであるます。
 また本件については、行政上の処分ばかりでなく、司法上の処分をどうしたか。あるいはつくつたのは技術の拙劣もあつたでしよう。しかしながら、発送する場合においては、一々分析表をつけてやらなければならない。しかも三箇月の生産量全部が低品位で送られている。これはつくる過程においては故意か過失かわかりませんが、とにかく発送するときは悪意でやつたとみることが当然であります。從つてこの点に対しては、生産者が悪意であるか、故意であつたかを調査したかどうか。あるいは悪意であつたならば、農林省において、肥料取締法第九條、あるいは詐欺罪で告発するのが当然でありますが、その処置をとつたかどうかということを私は農林大臣に重ねてお伺いいたします。(拍手)またこの点はほんとうに法律上檢察廳においてどういうふうに取扱われたかも、農林大臣が知つておる限りにおいて御説明願いたいし、また法務総裁の法律上の見解及び手続等も承りたいのであります。
 それから最後に、肥料行政の一元化の問題でありますが、非常にうまくいつておると言われておりますが、それらの具体的事情は、説明いたしますと長くなりますから割愛いたしますが、とにかく現在生産の停滯、需給バランスの不均衡があり、粗悪肥料が非常に出てある。こういう点を見ても、ただ商工省は、計画通りに数量だけ上げればいい、低品位のものでもいいという立場でつくつておる。計数上のつじつまを合わせるのに一ぱいである。ほんとうに農民のことを考えてつくつておらない。ただ安本の計画と結びつけるためにつくつておるという点で、私は商工省で生産行政をやることは反対であります。私は決して円滿でないと考えますので、再考されて一元化されんことを切に希望いたしまして私の再質問を終りたいと思います。(拍手)
    〔國務大臣水谷長三郎登壇〕
#8
○國務大臣(水谷長三郎君) ただいまの水谷さんの再質問の第一点は、先ほど私がお答えいたしました通りでございまして、春肥に関しましては必ず公約どおり肥料は生産いたしますということは、いつた通りであります。(「配給だ配給だ」と呼ぶ者あり)配給のことは農林大臣に譲ります。
 それから第二点は、五%に計算した根拠でありますが、農林省からの御報告によりますと、大体六%のものが多いように報告を受けておりましたが、われわれといたしましては、念のために五%の八掛でやつたのでありまして、この点もひとつ御了承願いたいと思います。
 さらに第三点の一の元化の問題でありますが、これは見解の相違であります。
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
#9
○國務大臣(永江一夫君) ただいまの肥料の配給の点についてお答えいたしますが、春肥につきましては、大体六月末までに九〇%は生産農家に配給できることを申し上げます。なおあと一〇%につきましては、でき次第これを行いたいと思います。
 なお第二の滋賀縣下におきまする不正肥料についての五百トンの処置はどうしたかということにつきましては、いずれ調査をいたしましてお答えいたします。なお價格の点は、今商工大臣からお答えした通りであります。
 それから、信越化学の不正者についていかなる法的処置をとつたかということでありますが、これは縣から告訴をいたしまして、ただいま檢察廳で取調中でありますから、その結果のよつてまた御報告いたします。
     ――――◇―――――
#10
○議長(松岡駒吉君) 質問第二、戰爭危機に関する緊急質問を許可いたします。和田敏明君。
    〔和田敏明君登壇〕
#11
○和田敏明君 いわゆる米ソ問題は、わが國においては、一方にはこれが戰爭危機にまで発展することが必至であるという極端な不安感があります。また他方においては、米ソ戰爭があつたほうがいい、あれば民族の再起が可能であると、ひそやかにこれを期待する、愚かなやからがおります。これら二つの傾向は、國家の再建を害し、民族の前途を誤るものであることは、言うまでもありません。今こそわれわれ國会なり政府なりが、理想と良識の上に立つて、正しい國際情勢を國民に知らせて、いわれなき不安感を一掃し、かつ戰爭を希望するフアシズムの萠芽を圧殺しなければならない。こういつた見地から、私は政府の所信を質さんとするものであります。
 われわれは、米ソはここ当分戰わずという見透しをもつのであります。資本主義と共産主義とイデオロギーの相違が戰爭の原因であるといつた素朴な戰爭観に、われわれはあくまで反対いたします。戰爭の原因は常に経済的要因によるものであるが、現在米ソ両國の間には、戰爭に訴えてその解決をはからねばならないような経済上の利害対立は存在しないのであります。しかるに、わが國の新聞には、米ソの対立が尖鋭化していると、センセイシヨナルに戰爭挑発的な報道を続けてきたものが多かつたのであります。
    〔発言する者多し〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#13
○和田敏明君(続) この傾向は、地方新聞に特に顕著に現れています。
 米ソの問題が毎日の新聞をにぎわしていたさなかに、芦田首相はその施政方針演説で、人類は今また第三次世界大戦のまぼろしにおびえているという声明をされたのであります。これは責任ある政府当局の言明であるだけに、戰爭危機に対する國民の不安を深めたことは否定できないのであります。この不安は、健全なる常識では判断することのできないような、ばかげた深刻さを示しております。相当のインテリでさえ、米ソ戰爭の不可避性を信じてどうせ戰爭ともなれば、無防備國家の日本が、これに巻きこまれることは必至とみて、大都市からの疎開、沿岸地方から避難を考えたり、すでにこれを実行したりした連中もあるようです。いろいろのデマが乱れ飛ぶので、企業規模の拡大を差控え、またはこれを縮小した人も少ないようです。不安感の深まるところ、デカダニズムと享楽の風潮を助長するのは、きわめて自然の勢いであります。さながら戰爭前夜の模様を呈し、これがいかに國家の再建を妨げたかは、想像にかたくないのであります。
 われわれが最も恐れるのは、戰爭危機説がフアシズムの擡頭によき口実を與えている事実であります。軍國主義華やかなりしころの迷夢さめやらぬやからは、米ソの破局が近づくにつれて、日本の再軍備が許されるであろうし、從つて、日本の軍國主義國家としての再現ができるといつた、ばかげた、笑うべき妄想をたくましくしています。こういつたことを積極的に聳動している、偏狭で痴愚なる愛國者も出現しているようであります。現に、最近のあるアメリカ雑誌には、米ソの場合には、日本人の大部分は、米國人の指導のもとに、昔からのモスコーの敵に対し喜んで武器をとるであろうとか、旧特攻隊の操縦士で、対ソ戦において米國のために一役買おうということを申し出ておるものがあるということを報道しております。もつともこの雑誌は、好戦的青年将校の存在することが非常な危険であるということを警告してはおるが、ともかくこのように書いているのであります。かかるやからが、かりに存在するとしたならば、新憲法の……。
    〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#15
○和田敏明君(続) 無防備國家宣言の條項に違反するはもちろんのこと、ポツダム宣言の精神を犯すものでありまして、われわれ深く恥辱とするところであります。かかる傾向を打ち砕くために、われわれは徹底的に闘わなければなりません。今にしてかかるフアシズムの萠芽を摘み取らなければ、日本は再び誤まれる歴史の轍を踏むことは明らかであります。
 われわれは、基本的には、あらゆる戰爭に絶対反対の立場をとるものであります。思うに戰爭は、過去の歴史が教えるごとく、常に一部少数者の利益、多数人民の犠牲において遂行されるからであります。また、いかなる戰爭にも巻きこまれることを回避しなければなりません。けだしこのことは、一兵をも持たせぬ非武装國家として当然とるべき途であります。
 イタリアの総選挙の結果、人民戦線派が破れ、キリスト教民主党が勝つたので、世界が靜かになつたといいます。しかしながら、実は世界はもともと靜かだつたのであります。一部の戰爭挑発者が世界を騒がせていたにすぎないのであります。だれも責任ある政治家で、人民戦線が勝つたら戰爭を始めると言つた人は一人もないではありませんか。さればこそ、最近には米ソ覚書の交換、スターリン、ウオーレスのやりとり等が行われて、世界はあげて平和への努力を続けております。この好機をとられえて、政府は正しい國際情勢を國民に披瀝して、必要以上の不安感、いたずらなる不安感を一掃し、フアシズムの擡頭を抑えねばなりません。われわれはこのように考えるのでありますが、首相の所見をお伺いしたい。今日、日本の首相が、世界平和に確信の上に立つて國際情勢を説くことは、必ずや世界の平和愛公人民に大きな反響を與えずにはおかないでありましよう。なぜならば、國際社会において、小國は常に正しい意見を思い切つて言うことができる立場に置かれておるからであります。
 第二には、平和会議の早期開催についてお伺いしたい。戰爭危機の問題と平和会議は、密接不離の関係にあります。平和会議も開けないくらい戰爭危機が切迫しておるという考え方があります。この意味からも、一日も早く平和会議を開かれることは、國民をあげての熱望であります。芦田首相は、本院でも、平和會議の見透しはつかぬとしばしば言明しています。また新聞によつては、平和会議が無期延期だ、あるいはたな上げだとも報道しています。われわれは、かかる報道は信じないのであります。もう戰爭が終つてから三年近くになります。國民はあげて平和條約の早期締結の一大運動を全國に展開しようではありませんか。國家の独立性と民族に自主性のないところに偉大なる進歩はあり得ないのであります。これが、われわれが平和條約を熱望する第一の理由であります。連合軍の権威と庇護に対しては、國民は尊敬と感謝をささげておるが、これになれては、國民の強い民主主義化は期待し得ないのであります。ポツダム宣言に予見された健全なる民主主義國家として新生するために、ぜひとも独立自主の精神を確保しなければならないのであります。
 次には、われわれ日本の当面する政治的、経済的、社会適所困難を、單に國内的立場からばかりでなく、廣く世界的規模において解決しようと考えるものであります。殊にインフレーシヨンの高進と生産の不振によつて特徴づけられている経済上の困難を、この観点から解決せんとするものであります。もちろんわれわれは、現在の與えられた段階と條件のもとにおいて、この困難を克服するための努力を続けねばならないのであります。しかもこの問題は、平時状態の将來、すなわち、國際貿易の再開と國際交通の回復という、平和條約の締結後の新たなる條件のもとで、國際的規模において解決される部分がきわめて多いのであります。このためには、現在の鎖國的状態から解放され、世界の一環として廣い國際的視野に立つことを切望するのであります。
 第三には、平和会議を持たずに、なし崩し的に平和状態へ移行する方式には、わが國民は満足しないのであります。日本人は形式を尊重する國民であります。実際的な解決よりも、証文をほしがる國民であります。最近、平和條約のない平和ということを、たれ言うことなく言い出しておりました。日本人は、言葉の魔力に簡單に魅惑される國民であります。かつてA・B・C・D戦線という造語に魅せられて、それを目の敵にしたために、今日の悲惨な運命を生んだものであります。「鉄のカーテン」とか、あるいは「コールド・ワー」などという、他人の造語を無批判に受け入れるという癖があるが、平和條約のない平和、この新しい造語を、われわれは受け入れることはできないのであります。われわれは、一日も早く準禁治産的の状態から開放されて、國際的な法人格を取返したいのであります。
 一体、平和会議の開催を阻む米ソの対立は、われわれ敗戰國の與かり知らぬところであります。平和会議の参加國とか、あるいは議事手続の問題等は、彼らみずからの手によつて解決し、連合國は一体となつて対日平和会議開催への努力をいたされんことを切望する次第であります。
 最近のスターリン、ウオーレスの覚書交換によつてみても、米ソの対立懸案で、外交的手段で解決不可能な問題はあり得ないということがはつきりしました。特に対日平和会議についても、最近中國、英國、豪州方面においても、これが早期解決を強く要請する声が上げられていることは、われわれが最も意を強うするゆえんであります。芦田首相は、私がるる述べ來つた國民の平和会議開催に対する熱望と輿論に聽き、この輿論を背景に、連合國に向かつてこれを強く要請する措置を講ずべきでありましよう。正しい國民の声を関係方面に取次ぐのは政府の役目であります。理解ある連合諸國は、必ずやわれわれの期待に反しないものと信じて疑いません。
 大分皆様からやじがありましたが、しかしながら、この世界をめぐる基本的な対立に対するわれわれの態度をはつきりしておき、われわれは絶対に戰爭に訴えないという基本的態度を説明しておくことは、われわれの責務であるります。(拍手)私が先ほど申し上げたように、最近一部にフアシズムの傾向が擡頭しつつありますが、このフアシズムこそ、いわゆる保守反動の線につながるものであります。この見地から、私はあえてこの質問をいたした次第でありもす。
 以上、私が述べた二つの点について、芦田首相の答弁を求める次第であります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#16
○國務大臣(芦田均君) 和田君にお答えします。
 最近の國際情勢が緊迫を告げていおるという情報は、われわれの多大の関心をもつ点であることは、申すまでもありません。殊にわが國の地理的條件に鑑みて、最近における國際関係の緊張が、國民大衆の間に多くのうわさを生み、関心の的になつていることも、よく了解せられるところであります、しかしながら、この國際情勢の緊迫にかかわらず、政府の見るところによれば、米ソ両國の間に近く戰爭の起き得るごときことはとうてい信じ得られない、かように考えております。和田君よりのこの問題について種々御意見の発表があつたうちに、わが國内においては軍國主義的、フアツシヨ的な傾向があつたのでありますが、私どもは、わが國の民主化事業は、新憲法制定以來着々としてその効果をあげつつあつて、今日わが國内に軍國主義的な、フアツシヨ的な勢力が擡頭し來つたとは考えておりません。
 なお第二の質問に対しては、講和條約の早期締結はわが國民多数の熱望であるという意味を表示せられて、われわれもまつたくこれと同感でありまして、わが國の民主化がルートに乘つて着々と進行し、民主國家、平和的國家の建設の基礎がますます日とともに強固ならんとする今日、わが國民一致の要望である早期平和のこの熱望は、必ず連合諸國の十分な理解を得るものと期待しておる次第であります。(拍手)
#17
○議長(松岡駒吉君) 先ほどの田口君の質問に対して、法務総裁から答弁したいと申出があります。法務総裁。
    〔國務大臣鈴木義男君登壇〕
#18
○國務大臣(鈴木義男君) 田口君の御質問は、信越工場武生工場の不正肥料配給事件の司法処理はどうなつているかということであつたようであるが、私としては、この報告を受けた記憶がありませんので、檢察局長を呼びまして尋ねましたところが、本廳としても、この報告をまだ受けておらないそうでありまして、すべて全國の事件は全部本廳に報告されるのではないのであります。この稟伺事件に限るのでありまして、取調べた上お答えをいたします。
     ――――◇―――――
#19
○議長(松岡駒吉君) 日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 異議なしと認めます。
 日程第一、引揚同胞対策に関する決議案を議題とします。提出者の趣旨弁明を許します。川合彰武君。
    〔川合彰武君登壇〕
#21
○川合彰武君 ただいま議題となりました引揚同胞対策に関する決議案の趣旨弁明をいたします。私ども、本院の海外引揚同胞促進に関する委員会の者は、今回のソ連よりの同胞の引揚が再開されるに際しまして、期せずして引揚同胞対策に関する決議案をつくろうではないかというような意見がまとまりまして、今回、委員長である河野金昇君ほか委員一同の名前をもちまして、ここに本議案を提出した次第であります。
 まず最初に、わたしは引揚同胞対策に関する決議案の案文を朗読いたします。
   引揚同胞対策に関する決議
  数百万の海外同胞が本國に帰還し得たことは連合國当局の絶大なる同情によつた者であることを日本國民は深く感謝し、更に七十余万の海外残留同胞を本年結氷期までにぜひとも帰還完了せしめられるよう連合國当局に懇願してやまないのである。
  しかしこれからの引揚同胞が速やかに正常な國民生活に復帰することは、國内の現状からして決して容易なことではない。彼らは家も土地も職業も失い、殊に多年海外にあつたため本國に人間的関係少く、從つて、信用も薄いため就職することも企業を起すことも容易なことではない。これを本國にいた國民と同じように待遇したならば、その非常に大きな差等がつけられる結果になることは明らかである。從つてこの差等をできる限り少なく、速やかに彼らを自立更生せしめることは絶対に必要であり、また連合國の好意に副う所以である。
  よつて衆議院は引揚同胞更正のため次の如き対策を積極化すべきことを決意し、政府もまたこの決議に副い善処せられんことを要請してやまない。
 一、引揚同胞対策を合理的に処理するために強力なる審議機構を設立すべきである。
 二、今後の引揚者復員者に対しては帰還の日より一箇年間各種の税金を免除すべきである。
 三、引揚者復員者の知識と技術を活かし、且つ彼らに希望を達せしめるために、機会を均等にし、門戸開放の政策をとる必要がある。これがため勤労希望者には職業を、事業経営希望者には資金資材と企業権を、就農希望者には土地資金と農具を計画的に配当する措置を講ずるとともに、これから引揚者復員者に対する社会保障的制度を設けるべきである。
 四、引揚者の大部分は住宅を持たないから、これに住宅を與うるために、余裕住宅ならびに國有建物の開放等の措置を講ずるべきである。少なくとも二十万戸の住宅を緊急に建設する必要がある。
 五、引揚者が海外において喪失した財産については、戰爭犠牲者負担を公平化する原則に基き、國家はできる限りの方途を講ずるべきである。
 六、遺家族、留守家族に対しては、その実情に即して、援護を積極的に行うべきである。
  右決議する。
以上が引揚同胞対策に関する決議案の案文でございます。
 すでにこの決議案の案文によりまして、皆様方はこの決議案の内容をとくと御了解願つたものと私は了承するのであります。私ども、わけて私自身は海外から引揚げたものではありますまいが、終戰以來今日まで、ほぼ六百万人の同胞が海外から引揚げてまいつたのであります。中には再起いたしまして、その今日の新日本建設に参画しておる者もあるのでございますが、しかしながら世間におきましては、あれは引揚者だというように、ひがまれるような立場に立つた者も少なくありません。また今日幾多の犯罪が行われておりますが、その犯罪者の中に、海外から引揚げた者が相当あることも、私どもは認めざるを得ないのであります。そういうようなことに陷つた原因を考えたときに、この決議案の中にありますように、國家としてこれから引揚者に対するところの施策がはたして十分であつたかどうかということを、われわれは考えざるを得ないのであります。
 本國におつた者と海外から引揚げた者とが、そこのいろいろな條件が違つておるといたしますならば、私は、海外から引揚げた人たちが不幸な結果に陷るということは、けだし当然だろうと思うのであります。從いまして私どもは、第一國会当時より、國会がかかる問題に関しましては熱意を寄せ、そしてまた國民のひとしく待望するところのソ連よりの引揚げその他に関しましては、これを認めるにやぶさかではありませんけれども、今日待ちに待つたソ連より引揚げが開始されたことを機会に、私どもは一層國会の意思を鮮明にする必要があるのではないかというように存ずる次第であります。
 そこで私どもは、まずこういうような引揚同胞対策に関しては総合的な施策を必要とするであろう、かかる観点からいたしまして、私どもは、ぜひともこの引揚同胞対策を合理的に処理するために審議機構を設置して、そうして全面的に解決策に乘り出すと同時に、また積極的な施策、救済策、更生策を講じなければならぬと考えるのであります。
 次に私どもは、今後の引揚者に対して、一箇年間各種税金を免除するということを行いたい、かように考え、すでに私ども海外引揚同胞の特別委員会におきましては、実はこの立法の成案化を急ぎつつあるような次第であります。私どもは、これに関しましては、議員提出といたしましてぜひとも本院に上程し、皆様方の御賛成を賜りたい、かように考えておる次第でございます。
 第三項といたしましては、社会保障的制度を設けるというようなことでありますが、さようにむずかしく考えるまでもなく、私どもは、あらゆる面におけるところの機会均等、そして就職あるいはまた農業につくといつた面において、國家は十分なる補償を與えてもらいたい。現在就職あるいは就農の場合に、いろいろな制約の條件が法的にまた実際的に行われておるということは、私から申し上げる必要はないのであります。そういうような制約の條件を除去いたしまして、そして就職の希望者に職業を、農業につかんとするものに対しては土地を、農具を、資金を、資材を與えるようなことをぜひともやらねばならない、かように考えるのであります。
 第四の住宅問題でありますが、これは單に海外からの引揚者のみならず、戰爭犠牲者すべてに共通する問題であります。最近の問題といたしましては、おそらくこれは皆様も関心をもたれる問題でありますが、樺太からの引揚者のうち、約十万六千人というものは無縁故者であります。つまり帰るべき故郷がない、よるべき家がないという人が、十万六千あるそうであります。そのために、これを政府は北海道あるいは東北六縣に配置するというような計画を立てておるそうでありまして、そのために、北海道では約十億の金を政府に要求しておる。ところが政府は、わずか三億円しかこれを供給しない。從つて、樺太から帰るころの、北海道に土地を求める人たちは、家なくして住まなければならぬというような結果になつておるのであります。單にこれらは今回送還される人ばかりでなく、今まで帰つた人たちも、家がなくて困つているのであります。あるいは親類に、あるいは縁故者のところに住んでおつた場合において、畳が針の山というような感じをもつことは、私自身も経験したところであり、また海外から引揚げた人たちの、おそらく大多数が経験したところであります。從いまして私は、内地における戰爭犠牲者以上に、海外からの引揚者に対する住宅の問題の解決に対しては一層の努力をせねばならないというように考え、しかも具体的に私たちは、一年間に少なくとも二十万戸の住宅を建設してほしいという希望を申しておわるわけであります。
 さらに第五の問題といたしましては、これは大きな問題であります。おそらく皆様方が、選挙の演説に、あるいはまた時局の講演会においでになつたときにおいて、必ずこれは取上げる問題であります。すなわち、海外においてきました私どもの財産をどう処置するかという大きな問題であります。この根本的な解決というものは、おそらく平和会議後でなければできないとは存じます。しかしながら、現在のものにおいても、政府の考え方いかん、あるいはまた立法機関の動き方いかんによつて、ある程度かかる問題の解決ができるのではないかというように考えるのであります。
 最後の項目の遺家族、留守家族に対して、その実情に則して援護を積極的に行うべきであるということに対しては、皆様は、私から申し上げるまでもなく、すでに御同感であられると思うのであります。要は、皆様方が地方においでになり、あるいは講演その他においでになる場合に、必ずこの問題は取上げる問題だろうと思うのであります。しかしながら、從來からの経過を見まするに、この問題に対するところの政府の熱意と努力がはたして十分であつたあろうか、また國会の活動が十分であつたかどうかということを、私どもは自己反省すべき必要があるのだろうと考えるものであります。
 こういうような問題でありますので、超党派的に、そうしてこの数多き同胞のために、皆様方はこの決議案に満場一致をもつて御賛成の上、同時にまたこの決議案の内容をぜひとも実現に移すように、ご努力を賜らんことを切に希望いたしまして、私の提案理由の説明といたします。(拍手)
#22
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 この際、厚生大臣より発言を求められております。厚生大臣竹田儀一君。
    〔國務大臣竹田儀一君登壇〕
#24
○國務大臣(竹田儀一君) ただいまの御決議の御趣旨には、誠に御同感を禁じ得ぬものがあります。申すまでもなく、終戦当時約六百六十万を越えました外地在留邦人の引揚げ帰國は、わが國の当面いたしました一大課題でありまして、これが一日も速やかに完了いたしますことは、全國民のこぞつて念願いたしたところであります。年末におきましては、ともかくもソ連地区を除く他地域の引揚げは一應完了の運びに至つております。
    〔議長退席、副議長着席〕
引揚げがこれまで推進いたしましたことは、偏えに連合國当局の絶大なる支援の賜として、深く感謝しておるところであります。しかしながら、終戦後三年になんなんとする今日、なお六十五万を越える多数合同胞が海外に残留しておりますことは、はなはだ遺憾に存ずるところでございます。留守宅御家族の方々の御心痛はいかばかりかと、御同情にたえません。政府におきましては、是が非でも引揚げ全般を今年一ぱいに完了せしめたいと固く決意をしております。今後とも、引揚げ促進について関係方面とも密接な連絡を保ち、全力を傾注してまいる所存でありまあす。
 引揚同胞の國内定着後の厚生補導は、政府のたえざる関心事でございます。從來とも、引揚者の援護厚生をはかるため、関係各省とも協力いたしまして、就職の優先的斡旋、帰農、入植の便宜供與、住宅の供與、生業資金貸付、その他の融資による生業の確保、應急家財等生活必需物資の特配、生活保護法の積極的活用による困窮者の保護等各般の対策を講じてまいりました。今後も引揚者の特殊事情を十分考慮いたし、ただいまの御決議に盛られました要望にこたえて、万全の措置を講じたい所存でございます。
 なお、今回の引揚げ開始にあたり、樺太引揚者の中に無縁故者が予想以上の多きに上つておりますので、これが受入れ援護に遺憾のないよう、急速に対策を講じたいと思つております。ただいま川合君からお話のありましたごとく、今日の対策を急速に具現いたしますことは、財政、物資その他いろいろ障害があるのでありまして、なかなか容易ならざることでありますけれども、お説の通りこの問題は、わが國といたしましては、ぜひとも万難を排して実行していかなければならぬ事柄だと思いますので、私どもは、閣僚諸君の御盡力を得て、ぜひともこれが実現に邁進したいと思います。
 政府といたしましては、以上申し述べました通り、御決議の御趣旨を十分に尊重いたしまして、引揚者の援護につき万全を期したいと考えております。同時に國民諸君におかれましても、温かい同胞愛をもつて引揚げ者の更正を積極的に御援助くださる憂、切にお願いいたしたいと思います。以上、御決議にこたえまして所信を披瀝いたしました次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#25
○副議長(田中萬逸君) これより衆議院議員院議員選挙法の改正について自由討議に入るのでありますが、政党法及び選挙法に関する特別委員会において、本法の改正に関し調査研究をすすめております。本問題を自由討論に附して議員諸君のご意見を承りたいとのことで、議院特別委員会の委員長吉川兼光君から発言を求められております。これを許します。政党法及び選挙法に関する特別委員長吉川兼光君。
    〔吉川兼光君登壇〕
#26
○吉川兼光君 選挙法の改正については、政党法及び選挙法委員会におきまして、四月十三日に選挙法に関する小委員会を設けまして、二十五人の委員を小委員に煩わすことになりまして、五月六日に第一回の小委員会を開きました。そこで竹谷源太郎君を小委員長に選任し、さらに理事といたしましては栗山長次郎君、笹口晃君、長野重右エ門君、佐竹晴記君の四委員を煩わすことになつたのであります。爾來、五月七日に第二回、二十日に第三回、二十二日に第四回、さらに二十四日に第五回と、継続して小委員会を開いたのであります。
 その委員会におきましては、各党より小委員になられておりまする諸君の、きわめて熱心なる審議が継続されておるのでございますが、この選挙法は、申し上げるまでもなく日本民主化の過程におきまして最も重大なる國会における立法の一つになると考えまするがゆえに、小委員会の懇談会におきまして、本会議における自由討議の議題として、皆様の率直なる御意見を拜聽いたしまして、小委員会の審議をさらに有効ならしめたいというのが、本日の自由討議に対する出題の趣旨にほかならないのであります。
 申し上げるまでもありませんが、金森博士などに言わせますると、この選挙法の発達の史上におきまして、学者の間等において問題になつておりまするのは、選挙法の改正といいまするのは、選挙法に最も関係の深い國会においてこれを独占されておる、すなわち、國会議員は、多くの立法に対して、きわめて公平な立場に立つものでございまするけれども、選挙法に関する限りは、非常に切実なる関係におかれておる、從つて、從來の選挙法改正の歴史の上からこれを見ますと、その改正は、多くの場合、時の政治の政治力に相当の影響を受ける、ないしは國会が一般大衆の考えと必ずしも符節を合するような意味において選挙法に臨まないということがあり得るということを、学者は言つておる。私は、その節には必ずしも全幅的に同感を表すものではありません。けれども、少なくとも学者の間においてそういう談論が行われているということを、われわれはあらかじめ知つておくべきではないかという点においては、確かにそのように考えるものでございます。
 われわれは、この日本民主党の上におきまして、特に政治の民主化の面におきまして重大なる役わりわ持ちますところの衆議院議員の選挙法というものが、一党一派の党利党略のために作られるようなことが、もしあつたといたしましたならば、それは日本の民主政治の発達の上におきまして、ぬぐうべからざる汚点と考えなければならないのではあるまいかと存ずるのであります。そういう意味において、小委員会におきましては、竹谷小委員長を初めといたしまして、きわめて公平な立場から、日本の民主改革を推進する大きな役割といたしまして、選挙法の改正の草案をつくらんとしておるような次第であります。皆様におかれましても、繰返す必要もないのでありまするけれども、超党派的な立場におかれて、この選挙法に対する忌憚のない御意見、御注文を御発表賜りたいと存ずるのであります。
 簡單ではありますが、一言提出の趣旨を申し上げる次第であります。(拍手)
#27
○副議長(田中萬逸君) 小澤佐重喜君、発言を指名します。
#28
○小澤佐重喜君 民主自民党では、まず第一に岩本信行君を発言者として指名いたします。
#29
○副議長(田中萬逸君) 岩本信行君、発言を許します。
    〔岩本信行君登壇〕
#30
○岩本信行君 選挙法改正につきまして、民主自民党を代表して申し上げるのでありますが、ただいまお話しのありましたように、超党派的によりよき選挙法をつくり上げたいということで特別委員会を開かれており間するから、私はもちろんわが党の方向はお話において、私の考えておりまする意見を素直に申し上げまして、御批判を受けたいと考えるものであります。
 しかして私は、選挙法それ自体の改正の意見を申し上げる前に、まず一つこのことを考えてみたいと思います。それは、新憲法発布を契機といたしまして、現在のわが日本はいわゆる昭和維新に直面してるという、この事実を考えてみたいのであります。すなわち、新憲法が施行されてから第一回の國会を、明治二十三年以來続けておりました九十二議会の続きとして九十三國会と言うか、あるいはまた第一回國会と言うかについては、わが國も識者間においても相当論議せられたのでありますけれども、先ほど申したような考え方から、いわゆる現在の日本は昭和維新に直面している、こういう建前から、第一回國会と言うことになり上つた。
 この事実を考えてみますると、すなわち國そのものは続いておりまするけれども、すべての制度をこれから建て直す、いわゆる再出発をする、こういう建前になるのでありまするから、この諸制度の建て直しに携わるところの國会議員というものが、これは実にいわゆる公務員という中においての一番重要なる公務員であるという建前であると考えなけれがなりませんので、私は第一回國会において、國家公務員法が制定されたそのときに、まずもつて代議士を最高とするところの、その他すべての地方の首長及び議員というようなものを包合したるところの、廣い意味の公務員法をつくるべきであると考えたのでありますが、遺憾ながら國家公務員として、通称官吏だけが扱われた、これは満足な姿ではないと思うのであります。
 そういう意味の國会議員でありますから、これを選挙すると言うことは、これは國民の義務である、選挙は國民の義務であると考えたいのであります。從いまして、棄権をした、投票に行かなかつたという人に対しては、何らかの制裁を付してよろしい、こういうふうに考えていきたいのであります。すなわち制裁を付す方法といたしましては、私案ではありますけれどもが、すなわち次の一期間選挙権被選挙権を停止するような考え方もどうかと思います。あるいはまた、これは極端になるかもしれませんけれども、いわゆる義務を放棄したということを罰するという意味ではございませんけれども、いわゆる公営費の一部を放棄者に納付せしめるというような行き方も考えてはどうか、こういうふうに考えるのであります。
 ただいままで申し上げましたようなことは、選挙改正それ自体ではございませんけれども、これから申し上げまするところの選挙改正法に対する考え方の基礎條件として、かようなことを冒頭に認識しておきたいと、かように存ずるのであります。
 そこで、まず私が取上げたいことは、選挙区と投票方法の問題であります。これは昨年の九十二議会におきまして、私も委員の一人として、各方面からずいぶん聽かされたのでありますが、私は、それらの各方面の意見を総合いたしまして、まず現行法でありますところの中選挙区、單記、この制度をあくまで支持したいとと考えるのであります。もちろん、大選挙区にするか、中選挙区にするか、あるいは小選挙区にするかという、この行きかたに対しては、一利一害はありまするが、しかしわが國の現状といたしましては、たとえば交通が不便である、自動車が不足である、紙が足りない、こうした事実から鑑みまして、中選挙区を適当とする、こういう結論を申さざるを得ないのであります。もちろん、小選挙区にはそれ自体の特徴はございますが、これまたあまりに人物を選る上において範囲が狭すぎるというきらいがあるのでありまして、私は選挙区制の問題については、日本の状態から考えて、中選挙区というものが最も適しておるという考えであります。
 しかして、單記、連記の問題であります。これが昨年の議会でもずいぶん論議されたのでありますが、しかし、実際にやつてみて、初めて試みました連記制というものは、完全に失敗したと私は思つています。どういうふうに失敗したかは、各位もご体験済みのことであると存じんます。まず三人連記という場合において、自分が目指す理想の候補というものは、大体において初筆に書く、このようであります。二番目になればどうなるか、もちろん理想の候補を選るのではありますけども、だんだんその意味が軽くなつてきて、どうも女にお付き合いで一票入れようという事実があつたのであります。その次はまた学校の先生に、子供が世話になつている関係で一票付きつきあおうという、こういう現れが現実にあつたのでありまして、すなわち初筆の候補は、これは目指すところの理想の候補を上げておりますけども、二番目、三番目はついでに書くという、こうした現れが現実にあつたのである。私どもの地方においては完全にあつたのでありまして、こういう行き方では、この大切な公務員を選ぶ上において、まことに遺憾なことであると考えるのでありまして、要するに單記一本やり、國政を委任しようという白紙委任状を出すものは、この人のほかないという見地に立つて書かすために、私はあくまでも單記制を主張したいと考えるのであります。
 次に私は賣名的立候補者を抑制する必要があらう、この問題を取上げてみたいと考えるのであります。從來の体験におきまして、四百六十六人の定員に対して三千何百人の立候補者が立つたということは、國政に熱心なるあまりの立候補でありまするから喜ぶべきことではありますけれども、中にはいわゆる賣名の人も相当あつたとみられる事実があるのでありますから、私は、この大切な選挙を有意義からしむるために、賣名の候補を抑制する手段を考えてみたいと思うのであります。
 その具体的方法といたしまして、まず第一に取上げたいことは今日兼職禁止となつておる職種に現在あられる方が衆議院議員に立候補する場合においては、これは辞職してから出なければ立候補できない、かようにしたい考えであります。すなわち、すべて投げ捨てて代表してみるという熱意があるならば、当選したら辞職する、こう簡單な考えは許さない、完全に辞職をして、命を張つて立候補するという行き方をとりたいと考えるのであります。いわゆる兼職禁止になつておりまする兼職そのものの数も多いのでありますけれども、それはすべてこの範疇に入れて扱つてみたいと考えるのであります。
 次は、法廷得票数に達せざるものはいわゆる供託金を没収される今日までの制度でありますが、これをさらに高めまして、たとえば現在供託金が五千円でありますがこれをいずれの方法でか高める意味において扱つてみたい。これは別の意味において抑制でありますこれは從來行われておることでありますが、この点も、高める意味において取上げてみたいと思うのであります。
 さらにまた、これから申し上げる、他のお方も必ず言われますところの公営の拡充、すなわち選挙を國営にするという行き方が論ぜられると思うのでありますが、私もあとでその点申し上げるのでありますが、そういう意味合いにおいて、いわゆる公営費の一部を立候補者自身が負担する、いわゆる公営費の納付金の制度をとつていくということは考える必要があると思います。ただ、その額を二万円にするか、三万円にするかというようなことは、これは追つて委員会においてご相談があると存じますが、私はいわゆる賣名候補抑制の意味においてもこうしたいことを取上げていきたい、かように存ずるのであります。
 次は選挙運動の問題でありますが、これは今日の委員会における重点でございます。選挙公営を拡充するということはこれは何人もの異議のないというところであります。ただ私は、冒頭に申しあげましたように重大な意義を考えるときに、公営一本やりという原則をつくり上げたいと考えるのであります。もちろん、そこには幾多の困難もございましようが、まず原則的には公営一本、こうゆうことで進みたいと考えます。
 しからば、その手段はどうかということになれば、これは他のほうから論ぜられますから、きわめて省略しますが、たとえば講演会を立会演説、いわゆる公営の演説一本にするという考え方も一つの論議であります。またそうやりたいのであります。これに対しては反対もあります。演説会を唯一の武器にするのであるから、立会演説の回数を制限されては困るという議論もあります。一應納得ができますれども、私は、それをカバーする意味において次の條項を行うならば問題は解消すると存じまして、二、三の点を取上げてみたいと存じます。
 すなわち、演説会は立会演説一本でありますから、回数は万点ではございません。そこで、その万点でないのを調整するために、まず第一回に取上げるのはラジオ放送のことでありますが、このラジオ放送は、從來のような行きかたでなく、すなわち、選挙が國家の重大なる仕事である考えなすとき、少なくとも選挙期間中におきましては、重要なるニユースを除いた以外は全部を停止いたしまして、候補者の意見を録音によつて数回選挙中に放送するということを取上げたいのであります。しかもその取上げ方は、同一選挙区候補の分を一括して一定時間に行うという行き方でまいりたいのであります。すなわち、今日は神奈川縣の分だというだけでなく、その縣の何区のものが何時より何時までに至る、こういうふうに一定いたしまして、取りまぜでなく、選挙区のものだけを一括いたしまして、一定時間内にこれを放送するということになればその選挙区のものは、せめてその時間だけは仕事をやめて聽いてみるということになろうかと思うのでありまして、こういう行き方をとりたいと思います。特にラジオ放送については、個人の分をさように回数録音によつて行うと同時に、政党の政網政策についても、これまた数回にわたつて――これはもちろん全國放送でございますが、そういう行き方をとたらどうかと思うのであります。
 次には公報であります。戦時中のように――紙不足の関係もございましたが、一隣組へ一部というような行き方でなく、一家庭に対しまして、政党の分も各候補者の分も一部ずつは必ず届けるという行き方をとりたいし、さらにこれを配布するところの費用を節約するために、郵便によつてあて名を書いて届けるという方法を省略いたしまして、一括して市町村役場に届けて、市町村役場から、あて名はないけれども、それを戸ごとに配布させるよう行き方をとりたいと考えるのであります。
 次は新聞廣告の問題でありますが、これまた候補者及び政党の分を必ず選挙管理委員会においてもれなく取上げるという行き方であります。
 次は、はがきの問題でありますが、これは暫定処置であります二万枚を、少なくとも三倍の六万枚くらいに扱わせれば、そして先ほど申し上げましたように、ラジオとか、はがきとか、公報とか、こういうものが具備いたしまする場合においては、演説会のほうが相当きゆうくつであつて、すべて全部をかみ合わせて考えますときには、相当な選挙運動になりえると考える。しかも、こうすることによつて選挙費用の節約というものが実現するのである。委員会においても、この問題については、いろいろ議論がおありで、参考になる点が多いのでありますが、私は、ただいま申し上げましたようないろいろの調整によつて、あるていど完全なる選挙運動が行えるものであると考えているのであります。
 その他の問題として取上げたいことは、たとえば資格審査の事でありますが、もちろん、今日のわれわれが公職に適するかどうか審査を受けることは当然でありますけれども、一度すでに審査をうけてパスをしている者は――今まで二度も三度も審査を受けている方が大部分ありますが、一度審査を受け、既往においてパスいたしております者は、それ以後の異動の事項だけを届けて審査を受ける、今まで届けてパスしている問題は、今後省略してよろしい、こうゆう行き方で取上げてもらいたいと考えているのであります。
 次は、いつも問題になりますが、名簿脱落者で、これをどう修正するかであります。選挙権がかくのごとく大切になりました今日におきましては、私は、違つておちていたという事実が発覚、証明されるならば、選挙の直前において、すなわち選挙の前の日まで、ある種の証明を届ければ名簿を補正できる、こういう行き方をぜひとも取上げたいと考えているのである。
 それから身体障害者すなわち病気のために投票ができないものに代理投票を認めたいと考えるのであるが、しかし、これを無條件に認めることになれば、病人のいそうな家を見つけて歩いて代理を志願するというものが出てきては困るから、この場合には同一家族内にある者を代理に出す以外は代理を認めないという行き方がどうであろうか、かように考えるのであります。しかして、一番問題の公営を徹底するということは、選挙費用をなるべく軽めたいというところが本質でありまして、実際の選挙の費用の悩みは、運動員に対する飲食物というものが本質的には一番重要であろうと考えられますので、運動員といえども、飲食物を現物では何人にも共輿しないという建前を取りたいのです。たとえば、正式の運動員に対して弁当をくれないということは問題でありますが、それは手当てによつて、本人の自発的方法によつて食事をしてもう。要するに、何人にも飲食物を共輿しないようという建前をとつていきたいと私は考えるのであります。
 二、三の点について申し上げましたが、私は冒頭に申し上げたように、選挙法ということは政党政派の問題ではありませんので、これから皆さんの開陳せられる意見を総合いたしまして、協調できる面は協調してよりよき選挙法を樹立いたしましていわゆる昭和維新の諸立法をこれから創造するという任務を果たすべき候補者のあり方についての完璧を諸君とともに期したいということを申し上げまして私の意見を終ります(拍手)
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#31
○笹口晃君 本日の自由討議はこの程度に止め、明二十六日定刻より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#32
○副議長(田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決定いたしました。
   本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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