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1947/05/27 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第51号
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1947/05/27 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第51号

#1
第002回国会 本会議 第51号
昭和二十三年五月二十七日(木曜日)
    午後二時四十五分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第四十七号
  昭和二十三年五月二十七日(木曜日)
    午後一時開議
 第一自由討議(前会の続)
 第二 消防法案(治安及び地方制度委員長提出)
 第三 ソ連領からの復員促進に関する請願(第一九一号)
 第四 在外同胞引揚促進の請願外三十六件(第四五六号)
 第五 大相撲本場所に際し國技館借用に関する請願(第一一〇号)
 第六 在外同胞引揚促進の請願(第六六四号)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○山下榮二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、森幸太郎君提出、主食配給の見通しについての緊急質問を許可されんことを望みます。
#4
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 主食配給の見通しについての緊急質問を許可いたします。森幸太郎君。
    〔森幸太郎君登壇〕
#6
○森幸太郎君 私は、主食配給の見通しにつきまして、芦田総理大臣、永江農林大臣に対しまして緊急質問をいたしたいと存じます。
 食糧問題はまことに現下日本におきましては重大なる関心事でありましてこの問題を取扱う上におきましては、最も慎重を要することと考えるのであります。私は、この問題につきまして真重に考慮をいたした結果「この際ぜひとも首相並びに農林大臣の所見を質さなければならぬ立場に立ち至つたことを、はなはだ遺憾に存げるのであります。われわれへは、超党派的に食糧対策議員連盟を設けまして、政府の食糧対策に対しましてあらゆる角度からこれを支援してまいつているのであります。わが国の再建が、すべての角度から、まず食糧の充実、生活安定ということを第一要件と考えまするために、われわれ議員は、超党派的に食糧対策議員連盟をつくつて、政府の施策に応援いたしておるのであります。
 今二十三米穀年度は、まさにその中間にありまして、この十月の末期、端境期をどうして切り抜けるか。これが、昨年度の実績から考えて見ましても、最も慎重に行われていかなれればならぬことと考えるのであります。事重大であることは、国家の食糧対策が一たび誤りますと、非常な影響を国民全体に及ぼすことは御承知の通りであります。
 かつて澁澤大蔵大臣が、供出完納を国民に要求せられまして、一千万人の餓死ができる、どうか農家諸君、一日も早く割当の供出をしてもらいたいと、切なる要求をせられました結果は、今日ほとんど公然と行われておるところのやみ屋の発生となつたのであります。また生産者は売り惜しみ、消費者はやみによつてもこれを買わなければ、一千万人の餓死者の中に加わつてはたいへんだというので、大騒ぎをしたことは、皆さん御承知の通りであります。昨年片山内閣のときに、平野農林大臣が、十一月の端境期には、二十五日の欠配やむを得ないということをこの議場において発表されました結果、たちまちやみ相場が奔騰いたしまして、国民の協力を求められたことが逆効果となつて、食糧の危機がますます加わり、あらゆる手段を講ぜられたのでありますが、結局するところ、連合軍の特別なる好意によつて放出を得まして、その危機を免れたことは、皆さん御承知の通りであります。
 かくのごとく重大なことでありますから、私はこの問題を取扱うことにつきましては、慎重に考慮をいたしたのでありますが、この際やむにやまれず、ぜひとも総理大臣の御所見を伺い、また主務大臣であるところの農林大臣の所信を質されなければ、われわれ食生活の上におて非常なる不安を助成すると考えまして、ここに質問をいたす次第であります。
 諸君、永江農相は地方遊説におきまして、四月八日並びに四月二十日に、十月まで、いわゆる今年の米穀年度内には、決して遅配はさせない、またできるだけ代替も行わないようにいたしたい、大豆紛のごときは、これをみそ・醤油の原料にまわして、米麦中心の主食配給をいたしたい、また砂糖が今日代替として輸入食糧として配給されてあるが、なるべくこの砂糖の代替もやめたい、でき得べくんは、十一月よりは二合八升の配給をいたしたいと考えておるということを申されたことは、すでに世間周知の事実となつております、また芦田総理大臣も、四月の十一日に沼津において二合八升の配給をすべく計画を進めさせておると言われたことが、新聞紙上に博わつております。まことに総理大臣並びに主務大臣の、二合八勺の配給をしてやろう、それを考えておるという、この明朗なる宣博は、国民の食生活の上におきまして非常に朗らかな気持をもたせたのであります。しかして私は、ここにお尋ねいたしたいことは、総理大臣は、片山内閣後において、それを承け継がれたときにおいて、はたしてほんとうの食糧についての引継ぎをおやりになつたか。また永江農林大臣は、波多野農相から食糧事情についての事務の引継ぎをなされたのであるか。十月まで遅配がない、こうお話になつたが、今日、御承知とは存じます。あるいは御承知でないかもしれませんが、四月末日現在におきまして、北海道ほか十二県に遅配があります。この遅配が、五月において取返しがついておりません。しかるに、十月までは断じて遅配欠配なしということを確信をもつてお話しになつておる。私は決していい加減なことをもつてお尋ねするのではない。総理大臣並びに農林大臣は、先ほど申しましたこの言葉を、ほんとうの確信をもつてお話になつたのであるか。もし確信なくして、一時的の人気取りのような宣博とあつたならば、われわれは断じてこれは許すことができぬのであります。(拍手)
 今あなた方の、政府のおもちになつておる材料によつて、以下申し上げます。今政府の米倉を開けてみますと――実はこういうことは申し上げたくないのでありますけれども、匹百万石の米しかありません。そのほかに、連合軍より月々に輸入いたします物の身代りとして凍結された米が三百五十万石、これは自由勝手に使えない米であります。この四百万石の米によつて、六月から十月までの間、国民をどうして養つていけるのでありますか。
 本年度の米穀需給推算におきまして、新しき麦において四百万石、じやがたらいもにおいて八十五万石、早掘のさつまいもにおいて九十万石、早出しの米において百二十万石が予定されておるのであります。これらの二十三年度生産のじやがたらいもは、まだ土の中にあります。さつまいもはまだ苗であります。米は苗代から本田に今移植されんとしているときでありかますから、これらの大体六百九十五万石を当てとして本年度の米の需給推算が立つておるのでありますが、その間外国より、適合軍の好意によりまして百八十余万トンの食糧の輸入を予定し、懇請されているはずであります。この百八十余万トンの食糧が、すでに約八十万トン三月までに輸入されておりますので、今後四月より十月までの七箇月間にならしてみますと、毎月約十七万トンずつぐらいの外国食糧を輸入しなければいけないことになつているのであります。ところが、これは相手のあることでありまして、五月のごときは、十五万トンを初め計画されてあつたのが五万トンに修正されました。その五万トンが、実際は二万トンしか輸入ができておりません。六月も十五万トンでありますが、これがまた十万トンに変更されて、あるいはおそらく、五月のごとく二万トン内外の輸入ではないかと考えられるのであります。
 そうしますと、月々約四百四十万石の米が要ります。先ほど申しました三百五十万石というものは凍結米であります。これは御承知の通り、輸入されるところの外国食糧だけではあまり単純になるというので、これを凍結いたしまして、連合軍の許しを受けて、これを月々放出してもらつて、米と外国食糧との混合率を保つていくわけであります。かかに三百五十万石の凍結米が許されたといたしましても七百五十万石――まだ本年のですも麦も先が遠いのであります。この七百五十万石がかりに許されるといたしまして、この六月、七月に一箇月四百四十万石ずつ要るといたしますと、一体七月の中ごろには何を食うのですか。すでに四月の末において、一府十二県の欠配・遅配がある。そうして倉を開ければ四百万石、凍結米をもらつて七百五十万石しかありません。この先とれるところのです類、麦を相手として、どうして二合八升が企画できますか。
 私はこれを思うときに、あまりにも人気取り散策のために、月々出さなければならぬところの米を放出し過ぎてしまつて、その結果、しまいには米なくして、ほとんど小麦の粉、大豆粉、砂糖によつて生活をしなければならぬように片寄らしてしまつたことになつたと思うのであります。この事情は、決して私の牽強附会ではありません。食糧管理局において、確かにこの数字は調べられておるのでありますが、おそらく農林大臣も御承知のことと存じます。それであるのに、安閑と二合八升を、来年度からやるの、あろいは十月まで遅配・欠配はしないの、大豆粉は調味用にまわすの、あるいは米麦中心にやるのというようなことで、国民をお喜ばしになるということは、どこに根拠があつてそういうことをお話になるのでありますか。私は親しく農林大臣と御挨拶する機会がなくて、初めてこういうところで御挨拶して、こういう憎まれ口をきくことは、言うべからざることとは思いましたけれども、黙つておれないので、私は事実を言う。ぜひあなた方の責任を糾さなければならぬ、こう実は考えて立つたのでございます。
 しかるに、ここに問題があることは、当初需給推算におきまして、農家に還元する米――脱落農家に対して五、百十六万五千石の米が予定してありました。これは田園をつくる面積の少いために、やつていけない人に出す米であります。ところが昨年の供出の結果、俗に言う裸供出として保有米を割いて供出した人がたくさんあります。その人々に対しては、少くともこの五百十六万五千石によつてこれを救済せなければならない。そうせなければ再生産ができません。今年の働きができません。しかるに五百十六万五千石が、百六十万石程度しか農村に還元できないのであります。私はこれを聴いて驚いた。町の人もお困りだがこの農業生産に従事しておる農家が、一日に一合や、四升や、五升の配給をもらつて働きがつかない。当初五百十六万五千石を予定してあつたものが、今ようやく百六十万石程度しか出せないといううことに至つては、私は農業者に対してまことに申訳がない。それじや再生産ができない。
 そうしてまた、私がここに心配いたしますことは、外国から小麦の輸入を受けて、早速これを間に合わそうといたしましても、荷揚してから精麦所に渡して、これを製粉するには、相当の期間がかかるのでらります。そういうことを考えますと、この七百五十万石の米に、あわて返つて、外国から懇請して輸入を受けましたところが、それがなかなか間に合わない。一日も早くじやがたらいもが大きくなつてくれることを希望しますけれども、これは時日を要します。この七月末から八月こ来る食糧危機を逃れんとする確信を政府はおもちになつているかを私は聴さしてもらいたいのであります。
 こういう情勢でありますから、炭鉱に動く人、重労働をやつている人の労務加配なんか、とても米ではもつていけません。小麦粉をもつてまいりますか、お砂糖でももつてあいりますか、とても腹のふくれるような主要食糧を労務加配に出すことのできないことは、数字の上で明らかであります。こんなことで、すべての産業が国家再建の御用に立つようにどうして活動できましようか。
 私は、農業に還元配給がないということは、農家がまた食い急ぎをすることになると思います。一面において一割増産を叫んでおりますが、一割以上は食い急ぎをしやしないかということを心配するのであります。ものは足らぬようになると、ますます足らぬようになることを、私は心配するのでありましで、入気気とりの政策から、各月に按分して配給すべき米を、六月から七月にかけて食つてしまうのでありますから、新米のとれるまでは全然米がない。ほかの代用食糧でいかなければらぬと考えられるのであります。これは輸入の不足に対して善処努力をしなかつた結果と存じます。また連合国が、日本の食糧が足らなんだら、いつでも何とかしてくれるだろうという、連合国の好意に甘えすぎたために、なすべきことをなさなんだ、打つべき手を打たなかつた結果ではないかと思います。しかも、二合八升の配給可能のごとく宣伝して国民を欺騙した、無責任なる態度は、断じて許すことができない。もし総理大臣に政治的良心があるならば、この責任を明ちかにしなければならなんぬと私は思うのであります。政府は、私が申し上げましたこの数字に対して、この事実に対して、否定されるか、あるいは肯定されるか。肯定されるならば、この二合八升の増配ということは、どこから出た数字であるか。いたずらに不可能なことを可能なるがごとくに宣伝して、国民を欺騙して、しかも結果において食糧の危機に追いこんでしまうというような、こんな政治ほど国民に対して残忍きわまるものはないと断じていいとわたしは存じます。この際私は、総理大臣並びに農林大臣に、責任上の御答弁を承りたいと思います。(拍手)
  〔國務大臣永江一夫君登場〕
#7
○國務大臣(永江一夫君) ただいまの森君の御質問にお答えいたします。今御質問になりましたように、政府は本議場を通じましても、またその他の機関を通じましても、本米穀年度、すなわち十月までは、ただいまの配給基準量であります二百五升に関しましては、欠配並びに遅配の起きないような方針をとつて、これを確保すると私は申し上げたのであります。そこで、ただいま北海道以下十一府県における遅配についてお尋ねがございましたが、確かにその現象は起きております。その理由について一応申し上げます。北海道以下十一府県において遅配の起きまし夫主える原因は、すでに政府がこの前の議場において、総理大臣及び私から申し上げておりますように、国内生産の主食をもつていたしましては絶対量が不足でありまして、この点は、われわれが国内の主食の生産について全国の農民諸君の御協力を得て、あくまで供出の完納と並びに増産について格段の御協力を願うという原則のもとに、連合軍に対しまして好意ある食糧の放出を願つて、これで絶対量の不足を補つていることは、皆さんの御承知の通りであります。従つて、今お話がありました点につきましては、四月あるいは五月について、当初関係方面から示されました輸入食糧の量におきまして、かなり食い違いができたのであります。これは、今私がここで申し上げますことは、一応政府といたしまして関係方面と折衝しまして、その得たる数字を根拠として配給計画を立てているのでありまして、その結果、いろいろなる事情によリまして、輸入食糧が所期の方針通りにはいつてまいりませんために、その地域々々におきまして、政府は手持ち米の操作によつて、その不足分を補う方法をとつておるのであります。従つて、今北海道以下十一府県に起きております遅配の現象は、これは県内におきます。あるいはそのプロツクにおきます主食の操作のための、いわゆる操作上の時間のずれであります品から、これは絶対に埋めてまいります。これは従来、昨年及び一昨年起ましたような相当長期の遅配をそのまま棚上げにするというような、遅配の本質的なものとは違つておるのであります。あくまで操作の上で起きた一時的な現象でありまして今十一府県の中で、すでにこの遅配は埋まりつつあるのであります。政府は責任をもちまして、この遅配は必ず埋めていきます。今申し上げたように、これはその県内あるいはそのブロツクの食糧操作の上の時間のずれでありまして、これはあくまでも政府の責任において埋めてまいるつもりであります。
 なお今後の見透しについて、政府はしばしば新米穀年度、すなわち十一月から増配の計画ありとして国民を喜ばしておるが、これは責任ある態度ではないという点につきまして、私の考えを申し上げます。
 すなわち、今森君がお示しになりました数字は、私は大体これを肯定いたします。一応六月一日現在の政府の持越米から算定いたしますと、ただいま森君お示しになりました数字のごとく、大体本年の十月末までの供給高は、合計が千四百八十万内外であります。これに対しまして所要高は、いろいろ算定の方法がありますけども、政府で今考えております所要高を総計いたしますと、二千百五十六万石余になるのでありまして、その開きは、今お示しのように、六百七十万石以上が不足になります。この不足分はもちろん連合軍の好意ある放出にまたねばならぬのでありますが、これをトンに換算いたしまして、今後一箇月十七万トン以上の輸入がなければ、そこに穴があくではないかという御趣旨でございましたけれども、御承知のように政府がこの配給につきまして二合五升の基準量を確保するということを明言いたしました基準は、繰返し申し上げますけれども、国内の生産量が絶対に足らないのでありますから、何としても、われわれがまずみずからの力によつて得たる食糧を基準にしなければなりません。そこで政府は、一割増産を、かなり困難な事情を克服いたしまして、国民諸君の協力によつて達成するという方針を立てまして、今諸般の具体的な施策を実施中でございます。従つて、本年初めて行いましたところの事前割当の下部に参透いたしますに従いまして、私どもは全力をあげまして、事前割当に加えますのに、さらに一割増産を行つて、本年の麦あるいは米の増産を期しておるのでありまして、その増産分について全然触れずに、数字だけで御検討願いたのでありますが、政府の考えておりますことは、この増産分に全力を注ぐという方針であります。従つて、これらのものをにらみ合わせますることが第一であります。第二の点は、御承知のように、外国電報がすでに明らかに示しておりますように、アメリカにおきましては陸軍の予算として、新年年から一四四〇カロリーを基準とするところの主食の確保について非常に熱心に御検討の結果、これがアメリカの議会を通過いたしすと、アメリカにおきまする予算の年度は七月以降でありまして、森君も十分御承知のように、七月以降における輸入食糧が非常に増加してまいるのが例年の例でありますから、本年示されておりますところの数字によりましても、私どもは七月以降の外米の輸入については、かなりこれを確信しておるのであります。従つて、今申し上げましたところの需給関係におきまする十月までの六百七十六万石余は、これらの輸入食糧と、前に申しましたところの一割増産の成果とを合わせますならば、十月までは必ず二合五升の基準量は配給し得るという数字の上に立つて、私どもは政府の所信を明らかにしておるのであります。
 なお、次にお尋ねになりました新栄穀年度、すなち十一月以降の配給について、二合八升ということを言うておるが、これはいかなる根拠によつて言うておるかという御説でございますが、これまた先ほど申しましたように、一四四〇カロリーを確保するというアメリカ議会の決定が裏づけになりますならば、米一合の換算は五〇〇カロリーでありますから、一四四〇カロリー、は二合八升になるのでありまして、政府はこの方針に準じましてい国内における主食の増産と併せまして、外国の放出せられますところの物資のいわゆる数字的な根拠に基いて、できるだけ新米穀年度からは二合八升、の配給を行いたい、こういう数字を明らかにした次第であります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#8
○國務大臣(芦田均君) 森君より、多年の蘊蓄を傾けた、きわめて正確な数字に基く御質問を拝聴いたしました。まことにまじめな、超党派的な御議論であることに、私は深く、打たれたのであります。数字上の質問に対しては、主管大臣たる農林大臣よりそれぞれ答弁をいたしました。この上私より数字についてお答えする必要はないと存じます。従つて、私の政治の責任についての御質問にお答えいたします。
 私どもが、国民に対して前途の食糧不安を除去するために、どういう態度をとるべかという問題であります。もし政府の責任者が、常に国民に向つて、もうやがて食う米はないぞ、ないぞと、全国にふれ歩くことが、はたして国民にどういう影響を与えるか。(拍手、発言する者あり)われわれは、根拠なきことを言つておるのじやありません。根拠なきことを言つておるのじやない。ちやんと数字に基いて、その見透を言つておる。現にアメリカの議会に出ておる。あの予予算をごらんなさい。最近には四億ドルという食糧購入の予算が出ておる。さらに、日本再建のために一億五千万ドルの経費が、近いうちにこれは必ず通ります。二、三日前に一億五千万ドルという回転基金、これは日本に対する食糧もしくは綿花その他の重要資材を輸入するための回転基金であるが、このように、昨年に比べてはるかに多額の経費が日本再建、食糧輸入のための予算として出ておる。(拍手)これが私は、ある根拠ある数字より、日本の食糧については連合軍が十分に責任を負うといろ確実なる言明を得ておる。それを基礎にして国民に真実を述べ、国会で答弁することは、政治家としての当然の責任であり、また、何らその間において政治責任に欠くるところはないと確信しております。(拍手)
    〔森幸太郎君登壇〕
#9
○森幸太郎君 永江農林大臣は……。
    〔発言する者多し〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。静粛に願います。
#11
○森幸太郎君(続) 農林大臣は、一割増産を計画しておる、こういう御答弁があつたのでありますが、それは来年度の食糧にまわる米でありまして、いかに一割増産されましても、早出し米は百二、三十万石を出ないのであります。倉を開けてみて四百万石くらいしかないこの米で、どうして端境期が越えられようかという心配なんです。
 われわれは、これを心配いたしまして今総理大臣の言われたように、ないぞないぞと国民を威しつけることのよくないことは、よく知つておる。けれども、ないものを隠して、こういう政策をとつているから心配するなという安心を与えるならいいが、総理大臣品は、今アメリカの議会が始まつておる、八月からは好転するようにお話になりました。しかし、この間米国農務省からここへ来られた両博士の言葉はどうでありますか。日本の食糧は足りない、足りないが、世界の食糧も足りないのだ、日本は自給自足を考えなければならな、いつまでも外国依存の気持もつて食糧問題を考えてはいかぬということを言つておるのではないか。を担当しておるのではない。全世界の食糧の足らない国に対してアメリカは考えておる。アメリカの議会でいくら予算を盛られても、それで日本に食糧が輸入されるというように甘く考えてはいかぬと考えるのであります。殊に、外国から輸入されまする量を五万石と考えましてそれが二万石しか来ない。六月の割当も、あるいは十万石とあるのが五万石に減らされるかもしれません。このずれをいかにしていくかということが問題です。予定通り十七万石ずつ輸入してくるならよろしい。しかし、こつち考えても相手のあることで、向うの都合もあることだから、それに対する善処を考えなければならぬ。
 一府十一県に対して遅配がある。これは農林大臣もお認めになりました。それにはいろいろ事情もあるでよう。輸送関係もあるでしよう。供出の関係もあるのでしよう。しかし、政府はすべての責任をもつておる。どんな事情があろうとも、一府十一県に遅配を起したといことは政府の責任であります。私は、こういう事情だからいたしかたない、ああいう事情だからいたしかたないということは、農林大臣として無責任な答弁だと思います。
 また、もつと一割増産をするなら、一割増産をするようにしなければならぬ。一昨日、肥料に関する私どもの質問に対して、商工大臣は、それは意見の相違だと言つてしまつた。こういうような不親切、こういう官僚的な考え方では、あなた方とわれわれが協力していく上において、私はよろしくないと思う。肥料の生産が商工省で十分にいかなかつたならば、農林省は迷惑するから、これはどうしていつたらよかろうといつて、審議会でもつくつて、目的通り肥料を生産するならいい。これは見解の相違でありましてと、木で鼻をくくつたような答弁をされましては、一割増産を叫ばれましても、一割増産はできない。これで五百十六万五千石の農家の還元配給は一体どうなる。これが問題でする
 現内閣は、外資導入だ、あるいは貿易の開始だ、クレジットの設定だ、二合八升の配給だとおつしやる。しかし、これはアメリカがおつしやつておる。アメリカが日本占領目的を達成する上においては、外資導入も必要だし、クレジツトもしなければならない。二合八升で一四四〇カロリーくらい日本国民に食わさなければならぬ。しかるに、そういう方法を考えらとおつしやられた今の政府には、その受入態勢もできていない。それができていないで、アメリカからの輸入食糧で二合八升の配給ができるというりような甘い考え方では、国民は安心してあなた方にお任せできないということを申し上げるのであります。(拍手)
    〔国務大臣永江一夫君登壇〕
#12
○國務大臣(永江一夫君) 今重ねて森君からお尋ねになりました第一点の、一応政府が二合五升の配給計画を立てて、その中に連合軍の放出食糧を予定しているが、それが予定通り来ないで、そこに時間のずれが起きた場合には非常に困る、政府はそういう際にいかなる方針をとるかとい点に対しましては、私どもは御承知のように凍結米をもつているのであります。これは七月以降十月までの四箇月間の米食い率をできるだけバランスいたしいために、御承知の通り凍結米をもつているのでありますが、外国から輸入いたします食糧が、どうしても予定通り参りません場合は、六月以降は、政府はこの凍結米を放出いたしまして、これを埋めていくつもりであります。但し、凍結米で六、七月を埋めますと、八、九、十月は、一箇月に配給せられる米の率、すなわち米食い率が減つてまいるのでありますが、この点は、外国食糧に依存しておりまする現状におきましては、やむを得ぬことでありまして、政府の当初の計画は、あくまでも米食い率は各月に平均いたしたい、こういう考えで凍結米をいたしておるのでありますが、時間のずれに対しては、六月以降は凍結米を放出する考えであります。
 第二の、遅配について重ねてのお尋ねでありますから、誤解のないように申し上げておきます。すなわち、輸入食糧を予定しておりまする地域におきまして、輸入食糧が予定の期日までに放出されない場合には、その面を埋める必要があるのであります。これが予想以上に多量になりまする場合には、県内の他の地方から穴のできましたところにもつてまいりますその米の操作が、自由に円滑に行われているところでは、遅配は行われておりません。しかしながら、これが十分に行われないところでは、一時的な現象として遅配ができておりまするが、絶対量においては、必ず遅配を埋めるだけの数量はその県にあるのであります。絶対に遅配は埋めてまいります。
 第三の点は、いろいろお説がありますけれども、先ほど申しましたように、わが国の主食は絶対量が不足しているのでありますから、どうしてもその不足分は外国に依存しなければならないのであります。従つて総理大臣がここで御説明になりましたように、アメリカの議会の予算を当てにしてはいけないという御議論をなさつたのでありますけれども、絶対量の不足しておりまする今日は、私どもは、一番信ずべきアメリカの議会の裏づけというものを、やはりわれわれの計算の中に入れていかなければならぬと思います。(拍手)
     ――――◇―――――
#13
○山下榮二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第三号)及び昭和二十三年度特別会計暫定予算補正(特第二号)の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#14
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第三号)、昭和二十三年度特別会計暫定予算補正(特第二号)、右両予算案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員会理事川島金次君。
    〔川島金次君登壇〕
#16
○川島金次君 ただいま上程されました昭和十三年度一般会計暫定予算補正(第三号)、同じく特別会計暫定予算補正(特第二号)この両案に関する委員会の審議の経過並びに結果を、できるだけ簡単に御報告申し上げます。
 申し上げるまでもなく、この両予算案は、四月並びに五月分に続いての暫定六月分予算であります。その総額並びに内容等につきましては、言うまでもなく四月並びに五月分と大体同一の額であります。経費の積算も、これまた現行の物価水準あるいは給与水準等によつたものであります。なお歳入の方の計算も、租税その他一般歳入も、原則として現行の制度によつたものであります。従つてこの予算は、年間を通じての月割額見込額でありますことは言うまでもないのであります。その一般会計についての総額を申し上げまけと、歳入出それぞれ二百五十八億八千四百余万円であります。特別会計の方は、歳入で五百七十六億二千余万円、歳出は五百六十六億六千余万円こういうことになつております。詳しく申し上げたいのでありますが、これも省略いたしまして、この予算案の詳細の内容につきましては、すでにお手もとに配付されました予算書がございますので、それを御参照願いたいと思います。
 この両案は、去る五月十五日に予算委員会に付託されまして、前後八日間にわたつて、各委員からきわめて熱心な審議が続けられたのであります。この審議の途中において、問題となつておりまする軍事公債の利払問題、あるいは来るべき本予算に絡んで、これまた重大な問題の焦点となつております税制改正の問題、あるいは鉄道の特別会計におけるところの独立採算制の問題、あるいは新しい予算に伴う労働者の一般貸金の問題等について、各委員から熱心かつ深刻な質問などがあつたのでありますが、これまた詳細は速記録に讓らしていただきたいと思うのであります。かくして質問が終了いたしましたのは昨日でありまして、本日午前十時から委員会を開会いたしまして、まず討論にはいつたのであります。この討論にはいりまして、民主自由党を代表いたしまして上林山榮吉君から、六月暫定予算も、これまた四月、五月に続いて小出しの予算案を出されるのではまことに遺憾である、なお来るべき本予算の編成に対しては、大いに自分から警告をする点がある、こういう事柄を申し述べられまして、本案に賛成をされたのであります。今上林山君からの警告についての一、二を拾つてみますと、軍公利払延期等のあいまいな政策をもつて国民大衆、金融機関を犠牲にしてはならない、税制改革も何ら国民の負担を軽減してはおらぬではないかというようなことが、おもなる警告の項目であつたのであります。続いて共産党を代表して野坂參三君から予算に対するところの全面的な返上論がございました。この返上論の中心をなすものは、この予算が、四月並びに五月に続いて六月もまた同様に勤労大衆を犠牲にして、資本家本位の極端な階級予算である、こういう事柄と、もう一つは、四月も暫定、五号も暫定で、六月も暫定、このような予算案の出し方は議会の審議権を無視するのではないか、こういつた立場において、わが共産党は、この予算案を返上してすべからく政府の組直しを要求する、こういうような反対意見が出たのであります。これに対しまして採決をいたしました結果、ただいま申し上げました共産党の野坂君から出ました返上論の意見は、きわめて少数をもつて否決となりまして、原案は大多数をもつて可決確定をみた次第であります。
 以上へ簡単でございますが、御報告即し上げます。
#17
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしした。
     ――――◇―――――
#19
○山下榮二君 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略して、この際繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。
#20
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異論ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せたれました。
 日程第二 消防法案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。治安及び地方制度委員会長坂東幸太郎君
    〔坂東太郎君登壇〕
#22
○坂東幸太郎君 ただいま上程せられました、治友及び地方制度委員会の起草並びに提案にかかりまする消防法案につきまして、その起草並びにその結果を簡単に御報告申し上げます。
 御承知の通り消防組織法は、すでに昨年政府案としてでき上つたのでありまするが、消防法は、昨年議員提出といたしまして、われわれ委員会が出しましたが、残念ながら時日がないために参議院で審議未了となつておつたのであります。そこでわれわれ委員会は、その責任上、一月二十九日にこの案を取上げまして、ただちに小委員を九名任命いたしましてその起草に着手したわけであります。すなわち小委員の名前を申し上げますと、川橋豊治郎君、門司亮君、小暮藤三郎君、千賀康治君、笠原貞造君、松澤兼人君、坂口主税君、中垣國男君、大石ヨシエ君の九名で、小委員長は出橋君であります。
 さて本消防法案は、すでに成案といたしまして議員諸君に配付し通りでありますが、その要点を申し上げますと、本消防法の特異性は、警察と全然分離した点であります。御承知の通り、従来消防は警察の一部分でありましたが、この法律におきましては、これを全然警察と引離しまして、独立の存在としたわけであります。また従来日本の消防は、予防に関しましてはあまり重さを置いておりませんが、この消防におきましては、火災予防に非常に重点を置いた次第であります。また第三点は、すなわち消防側に広大なる職権を附与した次第であります。しかしてこれは、第一章から第九章まで四十八条で、さらに別表がついております。その重要な点を少しあげますると、火災予防に必要なる措置権を消防に与える。その次には、火災予防に必要なる資料を提出せしめるところの権利を与える。
 次には、火災予防に関する検査及び立入権を与える。また火災が発生した場合においては、人命にも危険と認められるものの処理権を与える。建築物等に対して許すまたはた許可権ある行政庁といえども、消防側の同意を必要とすることにしたのであります。また消火もしくは延焼防止または人命救助上必要があるときには、各種の権利を制限し得る消火用水に関する処置権を与えたのであります。その次は、消防側の義務に関する規定におきまして、おもなるものを申し上げまするならば、第三十一条で、放火及び失火の疑いあるときは、これを警察側に通報するところの義務を命じました。また第三十五条におきましては、放火、失火の調査については、その主たる責任者としたことであります。……
 委員会におきましては、去る五月十八日、配付しました通り起算しました案を、小暮藤三郎君の動議によりまして、満場一致をもつてこれを提案することにした次第であります。
  右、簡単ながら御報告申し上げます。(拍手)
#23
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#25
○山下榮二君 議事日程の順序を変更して、日程第三ないし第六の四件を繰上げ一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
#26
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第三、ソ連領からの復員促進に関する請願、日程第四、在外同胞引揚促進の請願外三十六件、日程第五、大相撲本場所に際し国技館借用に関する請願、日程第六、在外胞胞摂揚促進の請願、右四請願を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長安東義良君。
#28
○安東義良君 ただいま上程に相なりました請願四件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。
 外務委員会は、五月十八日請願第一九一号及び第四五六号を、また五月二十日第六六四号をそれぞれ審議いたしました。右三件は、いずれも在外同胞引揚促進に関する請願でありますので、一括御報告いたします。まず、政府当局説明員より引揚げに関する状況を聴取いたしましたが、その説明によりますれば、目下在外同胞の残留者は、ソ連地区において六十九万二千、満州、中共地区において六万五千に上つており、鋭意引揚促進に努力しております、日本側といたしましては、一箇月十六万の受入態勢を準備しておりますが、ただいまのところ、それだけの引揚げは不可能のようであります、五月中には大体四万五千の引揚げを予定しておるとのことであもます。次いで、本件の審議をいたしましたが、かかる多数の残留同胞の困難なる境涯と、留守家族の心情は、まことに同情にたえないものがありますので、本請願を採択することに決定いたしました。よつて外務委員会は、本請願を本院において採択し、かつこれを内閣に送付せらるべきものと認めた次第であります。
 次に、大相撲本場所に際し国技館借用に関する請願(第一一〇号)につきまして、五月二十日、外務委員会は関係者の出席を求め、審議いたしました。紹介議員佐藤觀次郎君の請願趣旨の説明によりますれば、大相撲本場所は年年必ず国技館において行なわれてきたが、昭和二十年十二月より関係方面の使用するところとなり、その後昭和二十一年十一月に、一回使用することができただけで、施設その他の事情により使用不可能となり、昭和二十二年夏秋の二回は、明治神宮外苑で本場所開催のやむなきに至つたのであります、しかるところ、大相撲本場所は国技館をもつて至正とする伝統的気分が強く、国技館を離れることは力士の精神作用に多大の影響を与えるばかりでなく、雨天順延等となる関係から、力士の最高の調子を保持することも困難で、観衆も本場所気分を十分味うことができない、ついては、国民大衆の健全娯楽として認められておる大相撲の本質にも鑑み、国技館を従前のごとく一月、五月の年二回定期的に借用し得るように援助されたいというのであります。よつて、本件主管庁である特別調達庁の政府委員の説明を聴取しましたところ、目下使用中の関係方面において、国技館用の際、大相撲開催のため一、時借用はできる旨の了解になつておるから、関係庁並びに請願者側からも、さらに請願趣旨の達成に努力することといたしたい旨説明がありました。
 次いで本件の審議に入り、すでに関係庁でも趣旨達成に努力するとのことでもあり、本件を採択するほどのこともないではないかとの意見もありましたが、討論の結果、大相撲の大衆娯楽としての地位にも鑑み、本請願を採択するのが妥当であるとの意見が多数を占めましたので、本請願を採択することに決定いたしました。よつて、本請願は本院において採択し、かつこれを内閣に送付せらるべきものと認めた次第であります。
 この段御報告いたします。(拍手)
#29
○議長(松岡駒吉君) 日程第三ないし第六の各請願は委員長報告の通り採択するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます、よつて右各請願は委員長報告の通り採択するに決しました。
     ――――◇―――――
#31
○山下榮二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、行政官庁法等の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#32
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 行政官庁法等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。
#34
○松原一彦君 ただいま議題に上りました行政官庁法等の一部を改正する法律案につきまして決算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 行政官庁法、経済安定本部令、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律及び建設院設置法の規定は、それぞれ本年四月三十日または、五月二日をもつて効力を失うこととなつておりましたので、これに代るべき国家行政組織に関する法律を制定する必要があつたのでありますが、種々の事情のためこの法律を五月三日から施行することが困難となりましたので、御承知のように、さきに国家行政組織に関する法律の制定施行までの暫定措置に関する法律案を可決いたしまして、これによつて行政官庁法等の効力が五月三十一日まで延長せられたのであります。しかしてこの間、内閣は国家行政組織法案を去る五月十日国会に提出せられたのでありますが、なおこれと一体をなす各省設置法案は未だ提出を見るに至つておらないのであります。このため、かりに国家行政組織法案が五月末日までに成立いたしましても、各省設置法案の全部を同時に制定施行いたしまよすことは、きわめて困難なる事態に相なりましたので、現在行われている暫定措置を、さらに六月三十日まで延長いたし、その間に国家行政組織法案並びに各省設置法案の審議を完了せんとするものであります。
 本委員会は、以上の事情に鑑みまして、本日午前中政府当局の説明を聴取の上、質疑並びに検討を省略いたしましてただちに採決に入り、全会一致をもつて原案通り可決いたしたのであります。
 以上、決算委員会の報告を終ります。(拍手)
#35
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案は委員長報告の通り決するに例異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#37
○議長(松岡駒吉君) これより前会に引続き自由討議を行います。坪川信三君、発言者を指名願います。
#38
○坪川信三君 民主党は、長野重右ヱ門君を指名いたします。
#39
○議長(松岡駒吉君) 長野重右ヱ門君、発言を許します。
    〔長野重右ヱ門君登壇〕
#40
○長野重右ヱ門君 私は、民主党を代表いたしまして、自由討議の課題でありまする衆議院議員選挙法改正の問題につきまして私の意見並びにこれに対しまする私の考え方について申し上げ、同僚諸君はもとより、国会を通じて国民諸君の批判を受けんとするものであります。
 さきに本院におきましては、政界の腐敗を防止し、選挙の公正を有するために、政治資金規正法案を可決いたしたのであります。この政治資金規正法案の中には、衆議院銀選挙法の中に含まれておりますところの、公職の候補者に関しまする幾多の問題が織り込まれておるのでありまして、これに従つて、当然選挙法の改正も必要と相なつてまいるのであります。本院におきましては政党法並びに選挙法改正に関する特別委員会におきまして、今これらの問題が審議を続けられておるのでありまして、かかる機会に、自由討議の課題としていろいろと広く意見を求められますることは、まことに適切なる処置と思うのであります。
 さきの第一国会におきましても、また第二会国会におきましても隠退蔵物資の調査や不当財産の取り調べによりまして、醜い政治家の裏面が白日のもとにさらけ出されておるのであます。多額の政治資金が、右翼の地下組織的なる人物から政党や政治家に献金せられ、日本政界の腐敗は、ただに国内のみならず外国にまで宣伝いたされておるのであります。これが最も根本的なる原因はどこにあるか、言うまでもなく選挙にあまりに多くの金を要することであります。
 四月二十五日であつたと思います。毎日新聞の社説に、「安易に流るる選挙法改正」の見出しのもとに、最近の選挙費用は一落二当、すなわち百万円なら落選、二百万円なら当選が常識のように言われておると指摘いたさおておるのであります。もとより私は、かかる事実を知らないのでありまするけれども、いかに多くの金を要するかということの示唆に富むものと思うのであります。しからば、どうすれば金の要らない選挙を行うおとができるか、しかも国民の政治への関心を呼び起し、新しい憲法のもとに民主的なる公民意識を高めることができるかということを、お互いは真剣に考えなければならないのであります。
 ここにおいて、徹底せる選挙公営を行つたらどうかという意見が大きく浮び上つてくるのであります。従つて、今回の選挙法の改正につきにましては、第一にはいわゆる選挙区の別表をどうするか、第二には投票の方法をどうするか、すなわち連記でいくのか、あるいは単記でいくのか、第三には、この徹底せる選挙公営をどうしてやるか、この三つの問題を深く検討していかなければならないのであります。
 一昨日来、民自党の岩本君並び社会党の竹谷川君より、この選挙公営の問題つきましては、いろいろと述べになつたのであります。すなわち両君は、徹底せる選挙公営で臨んで、お互いの自由意志に基くところの選挙運動を一切やらないようにしてはどうかということを提起いたされたのであります。はたして現在の段階におきまして、この完全なるところの公営を行うことができるかどうか。もとより私は、選挙公営の徹底につきましては双手をあげて賛成をいたすものではありますが、現段階においてそれが可能であるかないかということも、また深く検討しなければならない事柄であると思うのであります。しかしながら、この問題につきましては後ほど述べることにいたしたいと思います。
 第一の投票方式の問題でありますこれにつきましては、過般岩本君は単記制を採用すべしということを主張いたされておるのに対しまして社会党の竹谷君は中選挙区連記制でいくべきであるということを主張いたされておるのでります。両君のいろいろのお説によりまして、これらの長短の問題につきましてはいろいろとお述べになつて、すでに御承知の通りでありますから、私はこれを繰返そうとはいたしません。しかしながら、この連記制の問題につきましては、竹谷氏は、この前の連記が非常に芳しくなかつたといつことは、大選挙区でやつたから芳しくなかつたのである。今度中選挙区でこれを行うということになれば、決してこの前のような結果を見ることはない、すなわち民主政治を確立していく上においては、この制限連記制によるべきものであるということを、強く主張いたされておるのであります。しかし私どもは、いろで、と考えてまいりますときに、すなわち、過去明治二十一年分総選挙のときの状態、あるいはそれらの諸般の資料によつて考えまするときに、この連記制に同調することはできないのであります。従つて、投票方式の問題につきましては、私は民自党の岩石本君が述べられましたように、単記の自署主義によるべきである、こう考える次第あります。もちろん、その他記号式投票制を採用したらどうかという問題もあります。現にオーストラリア並びにアメリカ等におきましては、これがとられておりますが、今日のわが国の政治段階からいきまして、これは無理なことであります。またギリシャにおいてとられておりますような消極選挙制、すなわちこれは、きらいだという者に投票をする、そうして、その投票はマイナスとなつて現われてくるというような方法もありますが、これも今日採用すべき事柄ではなくて、すなわち投票方式につきましては、今申しますような単自署主義一本でいくべきものであると考えております。
 次に、第二の別表の問題であります。御承知のように、人口の異動に伴いまして、定員等の問題も相当考えていかなければならないのであります。しかしながら最近では、ほとんど選挙のたびに別表が改正をいたされているというような状態でありまして、こういうことを考えましたときに、彼の明治二十三年の大選挙区、あるいは大正八年の小選挙区、大正十四年の中選挙区と、三回にわたつて改正をいたされておるのでありまするが、人口の異動があるからといつて、そのたびごとにこの別表を改正するということは、どうであろうか。すなわち、諸外国におきまするところの例を考えてみましても、ある一定の期間はそのままといたされておるのでありまして、大選挙底、ならよいのだ、あるいは小選挙区ならよいのだ、これなら金がかからないボスの横行やあるいは買収が盛んになるというが、それは防止の方法があると唱えられておるのでありまして、いろいろの意見がありますけれども、私は現在の段階におきましては、いましばらく別表をそのままにしておくのがよいのではないかと考えるのであります。
 その次には、最初申し上げました選挙公営の問題であります。この選挙公営の問題は、単に金がかかるからということで行わるべきものではないと思うのであります。すなわち、徹底せる選挙公営を行いまするならば、選挙運動の公正を確保するということを第一に考えなければならぬ。第二には、何人といえども容易に立候補ができて、選挙運動の機会均等をはかるようにいたさなければならないのであります。第三は、選挙は申すまでもなく戦いであります。戦いであるということを、お互いは忘れてはならないと思うのであります。従つて、いつもフレッシュな気持をもつて選挙運動ができ得るように、そうして国民の政治への関心を高め、候補者の識別と判断とがすべての選挙人に遺憾なく徹底する方法をとらなければならないと考えるのであります。従いまして、この選挙公営の徹底をはかります上におきましては、選挙公営以外の運動を禁止しなければいこの選挙公営の徹底を現実にはかることはできないのであります。そういたしました場合には、先ほど来申し上げますように、新鮮なる選挙運動をやることができるか。選挙が低調になつてくるのみならず、脱法行為その他の潜行運動がますます熾烈になるということでありますならば、選挙公営を行います意義もまた消滅してまいるのであります。
 そこで私は、この選挙公営の限界をどこにおくかということが深く取り上げられなければならない問題であると思います。すなわち、技術の可能性あるいは能率の問題、あるいは国家及び地方財政との総合的勘案のもとにこれらを解決しで、それによつて生じます弊害についても十二分に考えていかなければならないのであります。殊に選挙公営を行います場合においては国民の莫大なる負担と資材の消耗があり、かつまた選挙関係者の極度の労働と十分の用意のもとに進められていかなければならないのであります。
 今、諾外国における選挙公営の実情を調べてみますとアメリカにおきましては、わずかにオレゴン、フロリダ両州におきまして、キャンディデータス・パンフレツトを発行しております。
 すなわち、わが国におきまするがごとき選挙公報を発行いたしておりますのみでありまして、コロラド州におきましては、候補者の氏名並びに経歴等を新聞に公告するとい程度であります。またイギリスにおきましては、選挙公報を発行いたしておりません。しかして、わが国のごとく公立学校の無償利用でありますとか、あるいは無料郵便物の取扱いにつきましても、わずかに重量二オンス一回限りを認めておるというような始末であり、ラジオ放送におきましても、政党の幹部のみに許しておるというような有様でありましてむしろ現在とられつつあります公営方式が、これらの先進国家より進んでおると言い得るのであります。もちろん、これらの国家におきましては、こうした徹底せる選挙公営はいたしておりません。しかしながら、さきに本院において可決いたしましたような政治の腐敗防止の制度は徹底いたしておるのであります。
 かように考えてまいりますと、選挙公営を徹底すべしということについては一応の賛意を表することができますが、これら先進国家において、何がゆえに徹底したる公営をやらないのか、それは選挙の本質に鑑みてやらないのか、あるいはその他の理由によつてやらないのかといことも、十分検討していかなければならかいと思うのであります。従いまして私は、これらの事柄を前提といたしまして、可能なる範囲において選挙公営の徹底をはかり、かつまた一面、候補者それ自体のお互いの自由なる意思に基く運動も若干認めるようにしてはどうかと考えるのであります。
 しからば、この公営の方法としてどういうことをやるかということでありますが、これにつきましては、まず演説会の問題であります。この点につきましては、竹谷君あるいは岩本君が述べられしたましたように、当該都道府県の選挙管理委員会が、あらかじめ人口五千以上、また交通その他の情勢に鑑みて、ここにおいては行うべきものであると考えましたる場所において、立会演説会を公営するということであります。この立会演説会につきましては、もとよわ立候補者以外のものを参加せしめることについては同意できないのであります。これらの場所及び回数につきまして、今申しまするようりに、管理委員会においてこれを決定いたしまするととに、一面また、個人の自由なる意思に基くところの演説会を三十回ないし五十回程度に認めていつたらどうか。これは町村の公営ではありません。岩本君が申されましたのは、この演説会も公営にて、候補者はからだだけ行けばそれでいいようにしたらよいという御提議でありましたが、私はそうではなくて、候補者自身において考え、そして宣伝等もそれらによつて行わんとするものであります。
 もとより、徹底せる公営によつてお互いのからだだけがそこに足を運べばいいということでありまするならば、至極結構ではありますが、しかしながら、そうした場合においてて、はたして正しい演説会が行われるか。言いかえますならば、お互い得心がいきまするところの演説会が行われるでありましようか。町村によりましたならば、社会党以外は大きらいだ、ほとんど社会党に塗りつぶされておる所もありましようし、また民主党以外はきらいだというような町村もあるのであります。そういう場合に、公営の演説会をして、だれだれ個人の演説会をお前の方で設営をしろということになりましたときに、ほんとうの意味においてそれができるかどうかを考えましたならば、大いに考えさせられると思うのであります。
 また選挙をやりましたる場合に、突如としてあの町村に行こう、この町村に行こうと、いわゆる機動的に演説会を行うということも考えられるのでありまして、いたずらにこれも公営にするということは、いわゆる十分なる関心を求めて、自己の欲する十分なる政治運動ができない。選挙の本質か離れるものがあると考えまするから、私はこれらに対して、いわゆる三十回ないし五十回は、おのおのの自由意思に基いてそれぞれの町村において演説会のできるように措置すべきものであると考えるのであります。もちろんその場合において、回数を制限することはよくないことだ、回数は無制限であつていいじやないかという議論もありするが一面、こうして公営を行い、その他ポスター等いろいろの宣伝をいたしまする場合において、回数を制限いたしませんことは、かえつて公営の選挙を崩壊いたさせまするので、ここにおいて、ある程度の回数の制限をいたしたらよかろうかと思うのであります。
 またポスターの問題でありまするが、御承知のように現在は千枚でありまするが、これを二千枚にしろ、あるいは三千枚にしろというような説もあります。しかし私は、大体これを倍加する、すなわち二千枚程度にする、但し、これをはります場合においては、ドイツにおいて設けられておりまするように、それぞれの町村において、このポスタ―のはり場所を指定いたしまして、それぞれの町村の、いわゆる自治体の選挙管理委員会にポスターを送付いたしましたならば、いずれも公平に、しかも親切に、しかも選挙民に徹底するように、一定の場所にこれをはりつける、すなわち町村の美しさを保ちまする上から言つても、そうすることが当然であろう考えるのであります。
 次には選挙公報の問題でありまするが、私は、この選挙公報を発行すべし、こう唱えるのであります。選挙公報を八苦いたしまするとともに、現在行つておりまするところのはがきの問題でありまするが、これに対して岩太君は、これをもつと増やせ、三万、五万に殖やせということを一昨日お述べになりましたが、私は、徹底せるこの選挙会報を発行いたすよなりにいたしまして、はがきは全廃すべきものであると考えておるのであります。(拍手)
 また選挙放送に関しましては、御承知の通り、これに対してもいろいろと御提議がありました。これは岩本君らが提議いたされましたようで結構であります。すなわち、この選挙期間中、候補者は三回以上ラジオ放送ができる、しかもなるべく同一選挙区の者を同じ日に行うようにして、有権表の選択を十分にやることができるようにするという方法を考えてみたいと思います。それとともに、単なる政見のラジオ放送のみではなくして、すなわちその運動期間中におきましては、ニュースの後等におきまして、その選挙区におきまするところの候補者の氏名、年齢、経歴及び政見等の発表を行うようにいたしたらよかろうと考えております。次には新聞広告の問題であります。この新聞広告の問題につきましても、もつと寸法を殖やして、そうして回数を増加いたしまして、現行通り新聞広告を公営でやるようにすべきであると考えておるのであります。かようにして公営の徹底をはかりまするとともに、第三者の運動は厳禁すべきものであると私は考えます。しかも、あのトラックの上からどなり歩いたり、あるいは選挙当日、その近くにおいて、だれだれさんを頼みますとか、はなはだしきに至つては候補者みずからおじぎをするというようなとは、国会議員の品位を傷つくるものでありまして、これは断固やれないように法定すべきであると考えるのであります。これが個人の選挙運動に対しますところの徹底であります。
 次に政党の問題でありまするが、選挙公営を強化いたしますると同一の趣旨に基きまして、個人単位の選挙運動を団体単位の選挙運動に切替えて、団体の自主的なる統制によつて選挙の公正を期するという意味合、かつまた健全なる政党の発展を期するとい上から、政党が行いまするところのラジオ放送、あるいは共同主催の立会演説会、新聞広告等につきましても、国家がこの費用を負担するか、あるいは便宜の供与をなすべきものであると考えておるのであります。
 以上は、私の選挙公営に対しまする構想でまするが、先ほども申しましたように、かくいたしますることは、国家は莫大なる費用の負担となりまするのみならず、かえつて候補者の乱立になるというようなきらいもあるのであります。従つて、この国家や地方団体あ負担をいたしまするその費用の一部負担といたしまして、若干の予納金――そのときの物価あるいは候補者数等を勘案いたしまして、若干の予納金制度を認めるということにして、そうして届出と同時にこれを納付するということも、また考えていかなければならにことであると思います。
 その他の問題といたしましては、地方自治体法三十四条に制定いたされておりまするまうに、不具者等に対しするところの代理投票制も採用いたしたいと思います。また不在者投票の事由を拡大いたしまして、投票の民主化をはかるということも考えていかなければならないのであります。これら選挙運動のために使用いたしまするところの自動車につきましても、無制限にいたしておいていいのであるか。もちろん、費用の点から抑えられていくのでりますが、ある候補者は五台も六台もの自動車を使う、ある候補者はわずかに一台の自動車が雇いきれないというような状態では、真の選挙運動の公正を期することができないのでありまして、これらの問題についても当然考えておかなければならないことだと思うのであります。
 次には、兼職禁止の職にある者が立候補できないようにしたらよかろうということであります。これにつきましては、民自党の岩本君から御提議に相なつておるのであります。すなわち、現在検察官であるとか、裁判官であるとか、あるいは税務官吏であるとか、いわゆる被選挙権をもたない者は当然でありますが、兼職してはいけないと言われておりますところの、公選によります。議員でありますとか、あるいはその他の官吏の者、こうしたものが立候補する場合には、まず辞職をしてかかれ、そして兼職のままにおいて立候補をすることはよろしくない、これが岩本さんの御提議であります。これは候補者の濫立を防ぎ、真にわれこそはと思わん者のみによつて立候補をすることが当然であるというお説であります。もちろん、それらの問題につきましては一応の理屈は立つのでありますしかしながら、私どもが種々考えましたとに、元来選挙の本質でありまする民主政治の理想の上から、でき得る限り多く者に被選挙権を与えて、でき得る限り立候補の機会を与えるという意味合からいたしまして、妥当であるかどうかということを十分考えてかからねばならないのである。先ほど来も申しまするように、選挙運動の上に特別の利益を与えるとか、あるいはまた選挙民に特別の圧力を与えるものに対しましては、すでに被選挙権が停止いたされておるのでありまして、ただ単に濫立を防ぐというような意味合からこういう方途を講じますることは、理論上根拠がないのみならず、’選挙の理想並びに機会均等の原則に反するものであり、かつまた行過ぎではないかと思われるのであります。
 同様棄権に対しまする問題もそうであります。これも民自党の岩本君から御提議に相なりましたが、投票は国民の義務である、行かない者には罰金のようなものを課して金をとるか、あるいは一定の期間被選挙権、選挙権を与えないようにしてはどうかということであります。これは現在ベルギーにおいて行つておりまするが、他の国家においては行つておらないのであります。それも一応の理屈が立つとは思いまするけれども、選挙に行かないという場合には、病気の場合もありましようし、またやむを得ない一身上の事情からもそういうことがあるのでありまして、一応に棄権をしたから、こういうような制裁を法定することにつきましては、国民の政治意識の高揚、すなわち投票に対しまするところのいろいろな便宜を供与するとか、あるいは投票方法の改善、すなわち先ほども申しましたように、不在投票とか代理投票とかいつたような問題でこれは解決せらるべきでありますし、また候補者の濫立等につきましては、当然政党の発達によつて、これらを自主的統制でもつて行わなればならないのでありまして、政党法を制定すべしという声が生まれておりまするけれども、これらの問題と関連をいたしまして、十二分に考慮すべき事柄であると考えるのであります。
 以上、いろいろと申し上げました選挙公営の徹底につきましては、私も双手をあげて賛成をする。しかしながら、実行不可能なことをきめまして、どういう結果になるか。かえつて訴訟を続出せしめたら、紛糾いたすのみでありまして、今私が申し上げましたる構想は、現在の日本の段階から見て、国民の政治意識を高揚し、そうして政治への関心を高めていく上において、一つの線を引いて、こういう方法で行つたら、どうかということなのであります。かかる重大なる選挙法の改正につきましては、国会は唯一の立法機関であるということのみによつて、われわれがわれわれのみによつてこれを決定することについてはどうかと思うのであります。すなわち、投票される者、あるいは投票する者、一般の国民、すべてがこの選挙法の改正に関心をもつて、どうすればいいかという結論を見出すべきものであると考えておるのであります。従つて、これにつきましては公聴会のようなものを設けるか、あるいは他の方法によりまして、広く国民諸君の意見もまた取入れていかなければならないと考えておるのであります。私は、こういうような意味合から、すなわち政治資金規正法の成立とともに、政界の粛正、国民の政治への関心を高めることを強調いたしまして、新しい民主政治が生成発展していきまするように、その他の諸君も言われましたるごとく、この問題はどこどこまでも超党派的に、しかも多くの意見を求め、国民の十分なる意向も確かめて決定すべきものであると確信しておるのであります。
 以上、簡単でありましたが、私の衆議院議員選挙法改正の問題に対する自由討議を終ることにいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○山下榮二君 自由討議はこの程度に止め、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#42
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし一と呼ぶ者あり〕
#43
○議員(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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