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2007/01/29 第166回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第166回国会 本会議 第3号
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2007/01/29 第166回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第166回国会 本会議 第3号

#1
第166回国会 本会議 第3号
平成十九年一月二十九日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成十九年一月二十九日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員愛知和男君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(河野洋平君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました愛知和男君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員愛知和男君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(河野洋平君) この際、愛知和男君から発言を求められております。これを許します。愛知和男君。
    〔愛知和男君登壇〕
#6
○愛知和男君 ただいま、院議をもちまして在職二十五年の永年表彰を賜りました。この上ない光栄であり、感激ひとしおでございます。
 このたび表彰をいただくことになったのも、長年にわたって支援をしてくれた家族を初め後援会の皆さん、選挙区の皆さん、そして先輩同僚議員の皆様方のおかげでございます。改めて大勢の皆様に厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 思えば、私の政治家としての人生には多くの波乱がございました。
 私ども夫妻が、子供がいなかった愛知揆一夫妻の養子になったのがそもそもの始まりでございました。その当時、私は大手鉄鋼会社のサラリーマンをしており、政治家になるつもりはなかったのでございますが、養父愛知揆一が田中内閣の大蔵大臣在職中に肺炎で急死するというハプニングが起き、急遽、私が後継指名を受けることになりました。何しろ全く新しい世界であり、さらに、当時はロッキード事件で世間は大変荒れていたときでしたし、また、それまで宮城県とは御縁のなかった私たち夫妻にとって、選挙運動は困難をきわめました。三木内閣による任期満了での総選挙までの丸三年、選挙区をひたすら歩き続ける毎日でございました。
 政治家としてスタートしてからも波乱続きでございました。自民党政権の崩壊、細川内閣、羽田内閣、村山内閣、そして自民党と公明党の連立内閣と政権は目まぐるしく変化し、また、私自身のことでは、田中派の分裂、さらに竹下派の分裂、自民党離党、そして復党と政界の荒波にもまれましたが、それでも、その中で環境庁、防衛庁の長官を初め多くの要職をやらせていただいたのは、先輩同僚議員のおかげ以外の何物でもございません。
 特に、終生忘れられないのは、二〇〇〇年の総選挙で議席を失い、そのまま政界を引退せざるを得ない状況に追い込まれていた私が、一昨年の九月、小泉首相の手による突然の解散・総選挙に際して、当時の二階自民党総務局長や武部幹事長の御配慮によって候補者として公認していただき、さらに当選の栄誉に輝いて政界復帰をなし遂げることができたことでございます。(拍手)
 多くの先輩同僚議員からいただいてきた数々の御厚情に対して、感謝の気持ちをあらわす適切な言葉を探すことができない思いでいっぱいでございます。
 私は、現在、憲法調査特別委員会の理事として、憲法問題という日本国家のあり方の基本にかかわる問題に取り組んでおりますが、この課題を初め、美しい国をつくるための諸課題に今後も全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、謝辞といたします。
 本当にありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#7
○議長(河野洋平君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。小沢一郎君。
    〔小沢一郎君登壇〕
#8
○小沢一郎君 民主党の小沢一郎でございます。
 安倍総理の施政方針演説に対し、民主党の掲げる生活維新の理念、政策と私の所信を申し上げながら、総理の御意見を伺います。(拍手)
 戦後日本の中流社会は、世界で最も豊かで、最も平等な社会と言われ、長い間、日本人の誇りでもありました。ところが、小泉・安倍政権の六年間で、日本は世界で最も格差のある国になり、安定と安全を誇ってきた日本社会は根底から覆されようとしております。
 所得、雇用、教育、福祉など、あらゆる面で格差が拡大し、地域間、企業間、個人間の格差は、もはや個人の努力ではどうしようもないほど広がってしまいました。勤労者の三分の一は非正規雇用であり、サラリーマンの四人に一人は年収二百万円以下、四世帯のうち一世帯は預貯金が全くないという惨状であります。生活保護を受けている人たちは、昨年までの五年間で三二%も急増いたしました。
 その結果、日本は今や、生活保護を要する所得以下で暮らしている絶対的貧困層の比率も、平均所得の五〇%以下の所得しかない相対的貧困層の比率も、先進国で最悪クラスになってしまいました。安倍総理が内閣の重要課題の一つとしている教育でも、GDPに対する学校教育費の比率は先進十カ国中最下位であります。
 今日の日本社会の変容ぶりは、世界の超高級ブランド店が東京に次々とオープンする一方、満足な食事ができない勤労者や、十分な医療を受けられない地域が急増していることを見れば、歴然としております。
 安倍総理は、憲法改正こそがことしの参議院選挙の争点であると強調されております。また、総理在任中に何としても憲法改正を実現すると再三発言しておられます。もちろん、憲法は国の最高法規ですから大事な課題ではありますが、民のかまど、つまり国民生活の現状を直視するならば、国民の生活を立て直し一新する、生活維新こそが、今全力で取り組むべき最重要の政治課題であります。(拍手)
 今、政治がなすべきことは憲法改正なのか、生活維新なのか、この国会で徹底的に議論した上、参議院選挙で国民の審判を仰ぐべきであります。まず、これについて総理の御意見をお示しください。
 なぜ格差がこれほどまでにひどくなったのか。自民党と官僚の支配する戦後政治は、冷戦構造の崩壊後、機能不全に陥り、あらゆる制度が改革を迫られました。しかし、自公政権は、政官業の癒着ともたれ合いの中で、抜本的な制度改革に手をつけることができず、市場原理、自由競争の美名のもとに、強者の論理、弱者切り捨ての政治を推し進め、専ら国民に負担の増大を強いることで財政の帳じりを合わせようとしてきました。
 政治のあり方そのものを変え、さまざまな制度を土台からつくり直さなければ、格差を是正することはできないのであります。
 政治は生活であります。どんなに立派なことを言い、どんなに大きな事業を行っても、民のかまど、国民の生活が向上しないのであれば、よい政治とは言えません。また、政治は本来、社会的、経済的に弱い人たちのために存在するものであります。あえて極論すれば、強い人たち、いわゆる勝ち組には政治が手を差し伸べる必要はなく、むしろ、勝ち組に経済や社会を支配させないように公正なルールを定めなければなりません。
 私たち民主党は、この二つの原点をしっかりと踏まえ、国民の生活維新をなし遂げたいと考えております。そのためには、企業や業界、団体への支援を通じて間接的に国民生活の向上を図るという戦後政治のやり方を根本的に改め、企業や業界、団体を経ずに国民の生活を直接支援する仕組みをつくらなければなりません。行政の権限と財源も、できるだけ国民生活に身近なところに移す必要があります。それが、自民党政治とは決定的に異なる民主党の改革理念であります。(拍手)
 私たち民主党は、以上の理念に基づき、国民が互いに自立し、透明で公正なルールに基づいて、さまざまな人たちが共生できる日本をつくり上げたいと考え、既に先月、党内の議論を重ね、基本政策を決定いたしました。
 内政では、政府が公正なルールを策定、運用することで、自由で開かれた経済社会を実現すると同時に、その前提として、雇用、社会保障、食料等の面で日本型セーフネットを構築し、格差を是正することを最重要課題といたします。
 外交では、一つには、人間と人間、国家と国家の共生、つまり日本及び世界の平和の確保を、もう一つには、人間と自然との共生、つまり地球環境の保全を日本が率先して進めていくことを国是といたします。特に、米国とは本当に対等な真の同盟関係を築かなければなりません。その一方、中国、韓国を初めアジア諸国との多角的な信頼関係の確立に全力を挙げてまいります。
 そのような八分野にわたる基本政策のうち、内政問題に絞って喫緊の課題について私たちの基本方針を申し上げながら、総理の御見解をお尋ねいたします。
 最初に申し上げたいのは、何といっても人づくり、教育の問題であります。
 資源の乏しい日本にとって、人材こそが最大の財産であるにもかかわらず、今日の日本社会は、まさに心の崩壊、教育の崩壊としか言いようのない状況であります。子殺し、親殺し、兄弟姉妹の殺し合い、子供たちのいじめ、自殺など、耳をふさぎたくなるような事件が毎日起き、恥の文化とも言われる日本人古来の高い道徳性は失われてしまったように見えます。
 これはすべて、子供たちの問題ではありません。私たち大人の責任であります。その苦い自覚の上に立って、子供たちに正しいしつけと教育を行い、自立したよき日本人を地道に育てていく以外に、日本社会を立て直す方法はありません。
 私たち民主党がさきの臨時国会で日本国教育基本法案を提案したのは、そのような問題意識に立ち、現行教育制度の致命的な欠陥を是正しようとしたものであります。つまり、占領政策の一つとしてつくられた戦後の教育制度は、国も地方自治体も、だれも教育の責任を負わないという無責任体制であり、教育問題をここまで深刻にした最大の原因であると考え、国、地方、保護者の責任を明確にしようといたしました。
 しかし、自民、公明両党が強引に成立させた改正教育基本法は、教育改革の根拠規定さえなく、占領下でつくられた現行教育制度をそのまま前提としております。無責任体制が何も変わっていないことは、先月まであれほど論議になった学校でのいじめ問題や必修科目の未履修問題で、国も地方自治体もだれも責任をとらず、教育現場に責任を押しつけただけに終わったことを見れば明らかであります。
 総理は、戦後体制からの脱却の課題として、憲法改正と並んで教育再生を掲げておられますが、総理の教育再生論は教育問題の本質から外れているのではないでしょうか。さきの国会での党首討論に続いて、改めて総理の御認識をお聞かせください。
 次に、雇用の問題について申し上げます。
 冒頭申し上げましたように、格差の拡大は既に危険水域に達しております。強者と弱者の二極化が進むと、結果として、不公正が固定化し、社会のバランスが崩れて、モラルが崩壊してしまいます。幾らまじめに働いても、弱者として脱落していくならば、道徳的に退廃するのは当然のことであります。
 実際、小泉・安倍政権下では、イザナギ景気超えの好景気といううたい文句とは裏腹に、勤労者の賃金は下がり続け、医療保険料や年金保険料も払えない世帯がふえております。それでもなお、安倍内閣は、サラリーマンの残業代不払い法案を作成し、国民の反発を受けるや、法案提出を参議院選挙後に先送りするという見え透いたやり方でごまかしております。
 また、パートやアルバイトなどで働く若い人たちが増加し、かつ正規社員と非正規社員との間で賃金や待遇の格差が拡大、固定化している問題も、これ以上放置しておくことはできません。
 民主党は、これまで、均等待遇を掲げてパート労働法改正案を二回国会に提出しましたが、残念ながら、自民党の協力を得られませんでした。しかし、今ここで、非正規社員の正社員化を進めると同時に、パート労働者に正社員と均等の待遇を保障する措置を講じないと、手おくれになってしまいます。民主党は、今国会に再び法案を提出する予定であります。
 私たちは、ベテラン勤労者が意欲のある限り、定年後も何歳になっても働くことのできる生涯雇用こそが、高齢社会への最も有効な対応策であり、生きがいのある人生そのものであると考えております。また、女性が結婚や子育てにかかわりなく働くことができるように、子育てをしながら働く環境を整え、子育て後に再就職できる仕組みもつくらなければなりません。
 そういった仕組みを実現するためにも、労働法制は、あくまでも終身雇用を柱として維持していくべきであります。終身雇用というと、何か古い日本社会の遺物のように思う人が多いかもしれませんが、決してそうではありません。豊かな平等社会を目指してきた日本人の知恵であり、今日の社会でも通用する、雇用における立派なセーフティーネットの仕組みなのであります。もちろん、それは、より高い所得、より高い地位を目指す自由競争を妨げるものではありません。
 労働法制の基本の考え方について、総理の御見解をお示しください。
 三番目は、年金についてであります。
 国民の将来不安の象徴ともなっている年金制度の改革は、一刻の猶予もならない事態になっております。各種世論調査では、国民の関心は、常に年金を中心とする社会保障制度の改革がトップになっていますが、政府自身の調査でも、八割以上の国民が現在の公的年金制度を信頼しておりません。毎月の年金額が四万円以下の人が四百万人もいる上、現役世代は、国民年金で四百万人、厚生年金で二百七十万人が保険料未納あるいは年金未加入だとされております。それは、現行年金制度に対する国民の不信感を端的にあらわしているものであります。
 それらの未納者、未加入者は、将来、無年金あるいは低年金になる可能性が極めて大きいわけであります。加えて、出生率は政府の予測を大幅に下回り続けています。これでは、年金制度の瓦解は時間の問題であります。政府・自民党は厚生年金と共済年金だけを一本化しようとしていますが、公的年金制度の根幹である国民年金の制度危機を放置するものであり、パート労働者等の年金問題を解決することにもなりません。
 私たち民主党は、国民年金も厚生年金も共済年金も、また国会議員の互助年金も、例外なくすべての年金を一元化して、すべての国民が一つの年金制度に加入する新しい年金制度の創設を提案しております。その土台は、すべての高齢者に生活の基本部分を賄う金額を確実に給付する最低年金保障であり、それは、全額、税で賄います。
 その財源を賄うために、私たちは、これまで、消費税の税率を三%引き上げることを考えておりました。しかしながら、小泉・安倍政権の六年間で、国民の負担は、消費税率に換算すると三・五%に当たる九兆円もふえたのであります。例えば年収四百万円の世帯では、既に九万円近くも増税になっております。しかも、この一月から所得税の定率減税が完全に廃止され、六月からは地方税でも完全に廃止されます。さらに、税金だけでなく、年金保険料と介護保険料も同様に引き上げられ、国民の負担は一層増大することになります。
 そのような家計の実態を見れば、今、消費税を引き上げることは、多くの国民の家計を破綻させ、格差をさらに拡大させることは明らかであります。したがって、私たちは、当面、財政的にはどんなに苦しくても、消費税を現行の五%に据え置き、諸制度の抜本改革と、それによって行政の無駄を省くことに全力を挙げ、そこから財源を見出すべきだと考えております。
 そして、現行消費税は、五%相当額をすべて基礎年金の財源に充てます。それにより、年金財政は間違いなく飛躍的に安定します。もちろんその分、他の財源は不足する勘定でありますが、後に申し上げますような制度改革によって、不足分をはるかに上回る財源確保が可能になります。
 政治は、このようにして、弱い立場の人たちを基準にして行っていくべきなのであります。そうしないと、セーフティーネットの制度をつくる意味がなくなってしまいます。
 年金制度の改革のビジョンとその財源について、総理のお考えをお聞かせください。
 四番目の問題として、地域社会の振興策について申し上げます。
 全国を歩いてみると、地方の惨状は目を覆うばかりであります。特に、政府・自民党の農政の失敗により、農村地域はコミュニティーとして成り立たなくなってきております。休耕地は埼玉県の面積に匹敵する三十八万ヘクタールに達し、食料自給率は四〇%にまで落ち込みました。
 それにもかかわらず、政府は、新年度から、四ヘクタール以上の農地を持っている大規模農家だけを対象に補助金を支払う新制度を導入しようとしております。しかし、その農業政策は、小規模農家を切り捨てるだけでなく、地方そのものを見捨てることになると思います。日本のよき伝統の源であり、日本人の心のふるさとでもある地域社会を崩壊に導いてしまいます。
 民主党は、地域社会の崩壊を防ぐために、耕作面積にかかわらず、米、小麦を初めとする基幹農作物について、生産農家の生産費と市場価格との間に差額が生じた場合、その不足分を各農家に直接支払い、再生産を保障する戸別所得補償制度の導入を提案しております。それにより、食料自給体制を確立し、安全で質の高い農産物を供給するとともに、WTOや二国間の貿易交渉においても我が国がリーダーシップを発揮することができるようにいたします。
 この制度は約一兆円の財源を見込んでおりますが、従来の個別農産物補助金四千億円、農業土木費七千億円などを見直すことでも十分に確保することができます。しかし、実際には、国内はもちろん海外でも、生活レベルの向上に伴って日本の安全で良質な農産物への需要がふえており、日本の農産物の競争力は以前に比べ格段に高まっております。したがって、生産農家の所得補償に要する財源は、予想より大幅に少なくて済むと私自身は考えております。
 それ以上に、農林水産業を中心とする地域社会の最大の問題は、若い人たちの働く場がないことであります。
 行政機構を抜本的に改革することにより、日本を明治以来の中央集権国家から分権国家へとつくり変え、真の地方分権を実現することで、地域の活性化を図り、雇用の場をふやすことが最も有効な手段であります。補助金などの制度を廃止し、それに相当する額を地方に自主財源として一括交付するという私たちの政策は、まさに、地方分権、地域振興に不可欠のものなのであります。
 また、地方経済を活性化するためには、労働人口の約七割を占める中小企業の再生、活性化を実現しなければなりません。欧州では二〇〇〇年にヨーロッパ小企業憲章を制定し、小企業は欧州経済の柱であり、雇用の源泉であり、ビジネスアイデアの大地であると明記しましたが、優秀な中小企業に支えられてきた日本こそ、その理念を実現すべきであると考えます。
 そのために、民主党は、早期に中小企業憲章を制定し、中小企業が能力を十分に発揮して、大企業とも公平、公正に競争できる環境を整備するよう提案をいたします。(拍手)
 ここで、私たちの生活維新に伴う財源について、まとめて申し上げます。
 第一には、国から地方自治体への補助金と交付税の仕組みを根本的に変え、その金額をすべて地方に自主財源として一括交付し、権限も地方にすべて移譲いたします。一括交付金化によって税金の無駄遣いをなくすだけで、六兆円相当の財源を確保することができるのであります。それに伴い、中央に対する地方の陳情等の行政経費はほとんど不要になり、中央省庁においては、事業の箇所づけ等をするための人員、経費が不要になります。そこで浮く財源も相当の額になると思います。
 また、国家公務員の人件費削減で一兆円削減できるほか、特殊法人、独立行政法人の原則廃止、特別会計の廃止により四兆円程度の財源を確保できると思います。
 私たち民主党は、さきに申し上げた年金改革、農業の戸別所得補償政策に加え、少子高齢化社会に対応して、六兆円規模の子ども手当、六千億程度の同居手当などを創設して子育てを支援する考えでありますが、これも、今申し上げた諸制度の改革を本当に行えば十分に財源を確保できると考えております。(拍手)
 最後に、政治家と政治資金のあり方について総理にお考えをお尋ねするとともに、私から一つ提案を申し上げたいと思います。
 言うまでもなく、民主主義は政治家に対する国民の信頼があってこそ成り立つものであります。ところが、先月、佐田行政改革担当大臣が政治資金の不正経理問題で辞任したのを初め、松岡農水相らについても政治資金をめぐる疑惑が指摘されております。
 それにもかかわらず、いまだに事実関係が解明されず、安倍総理は、閣僚の任命権者、自民党総裁として説明責任を果たしていません。それどころか、実態の解明を指示することもなく、現行政治資金制度の不備という建前に逃げ込み、批判をかわそうとしております。
 制度改正は説明責任を果たした上で行うべきであります。それができない場合は、政治責任をとっていただくしかありません。
 角田先生が政治資金の報告書不記載問題で参議院副議長を辞任されたのも、関連資料を紛失してしまい、十分に説明し切れないというその一点で政治責任をとられたのであります。院と政治の権威を守るための御決断に敬意を表したいと思います。
 また、それ自体の違法性の有無は別として、資金管理団体の事務所費について、透明性の問題が指摘されております。現行政治資金規正法では事務所費の詳細は公表しなくてもよいことになっていますが、今話題になっている国務大臣、与党の役員、また、野党とはいえ私を含めて、この際、責任ある立場の政治家はすべて、少なくとも事務所費については詳細を公表することにしたらいかがでしょうか。それが最もわかりやすい解決策であり、国民の政治不信を取り除くことになると思います。そうしないと、この重要な国会で、まともな論戦を始めることができないのではないでしょうか。
 政治資金問題の核心は、どこから幾ら寄附をいただき、何にどれだけ使ったかをすべて明らかにすることであります。それにより、税金を納めている国民と、それぞれの政治家に寄附している人たちが、みずから直接チェックし、その適否を判断することができるのであります。
 私は、以前から資産について公表しておりますが、すべての事務所費について、支出の詳細だけではなく、その領収書及び関係書類も含めて、いつでも公表する用意があります。国務大臣、与党役員の事務所費公開については安倍総理も御異論はないとは存じますが、御所見をお伺いいたします。(拍手)
 もう一つ、安倍総理は、施政方針演説で、女性の活躍は国の新たな活力の源だと述べられましたが、あなたの任命した厚生労働大臣は、一昨日、講演で、女性は子供を産む機械だと発言したと報ぜられております。女性の人権、生き方に関するお二人の考え方は根本的に異なっており、少子化問題を考える上で到底見逃すことはできません。子育て支援担当大臣である厚労大臣の発言が事実であるとするならば、何と釈明しようとも、政治家である以前に、人間として許されないことであります。任命権者としての総理の御見解をお伺いいたします。
 私は、二〇〇七年の政治決戦に、私のすべてをかけて戦うと繰り返し宣言してまいりました。これ以上、国民に負担を押しつけ、格差を拡大させると、日本社会は手の施しようがなくなると判断しているからであります。それに歯どめをかけ、政治、経済、社会の大転換を実現するためには、七月の参議院選挙で私たち野党が国民の過半数の支持を得なければなりません。
 民主党は、一丸となってこの政治決戦に勝利し、弱者切り捨ての政治に終止符を打ち、格差社会を是正する生活維新を実現することを国民の皆様にお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小沢一郎議員にお答えをいたします。
 今国会で論議すべき最重要課題についてのお尋ねがありました。
 私は、施政方針演説で明確に述べたとおり、国民の働き方、暮らしの向上、教育の再生、そして憲法を頂点とする戦後レジームの大胆な見直し、いずれの課題に対しても、正面から全力で取り組んでまいります。二者択一ではないと思います。
 政府は、成長力を強化し、その実感を国民が肌で感じることができるようにするためのさまざまな具体的方策を提案いたします。今国会で徹底的に議論していただくことを期待いたします。私も、論戦を正面から受けて立つ覚悟でございます。(拍手)
 教育再生についてお尋ねがありました。
 私が目指す「美しい国、日本」を実現するためには、次代を背負って立つ子供や若者の育成が不可欠であり、教育はそのすべての基礎をなすものであります。
 教育に関する課題の解決に向け必要となる基本理念が規定されている新しい教育基本法を踏まえ、教育に対する責任の所在を明確にし、信頼される教育行政の体制を構築することを含め、関係法律の改正に取り組むなど、社会総がかりで教育改革を推進してまいります。
 労働法制の考え方についてお尋ねがありました。
 働く現場のあり方に関して重要なことは、長期雇用か否か、正規雇用か否かを含め、どのような働き方を選択しても、安心、納得して働くことのできる環境を整備することであります。
 このため、今国会において、希望する方が正規雇用に移行しやすくする仕組みの整備、パート労働者の均衡処遇の実現、女性、高齢者の就労支援を初め、働く人たちのための一連の労働法制の整備に取り組んでまいります。
 年金制度についてのお尋ねがありました。
 年金制度については、平成十六年の制度改正において、上限を固定した上での保険料の引き上げ、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入、基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げ、積立金の活用等により制度を持続可能なものにするための見直しを行ったところであります。
 また、公的年金の一元化については、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現するため、昨年十二月の政府・与党の取りまとめ内容に基づき、今国会に法案を提出できるよう作業を進めてまいります。
 御提案の全額税財源による最低年金保障については、加入者がみずからの老後に備えて保険料を支払い、将来年金権を確保するという社会保険方式を放棄するのが適切かなど、数々の論点があります。
 また、現行の消費税収を基礎年金の財源に充てることについては、現在、消費税収は地方消費税分を含めても約十三兆円であり、約十九兆円の基礎年金給付費を賄うことができないだけではなく、国や地方自治体の財政に深刻な影響を与えるおそれもあります。
 政府としては、平成十六年の年金制度改正において構築した枠組みにのっとり、定期的に年金財政の状況を十分に検証し、長期的に安定した制度運営を図ってまいります。(拍手)
 農業政策へのお尋ねがありました。
 農業従事者の減少、高齢化等による農業の生産構造の脆弱化が進む中で、農政の最重要課題は、構造改革を進め、生産性や品質の向上などの課題の解決を図ることであります。
 十九年度から導入する担い手に対象を絞った新たな経営安定対策は、農業の体質を強化する最善の方法であり、農村の活性化を図るためのその他の施策の展開とあわせて、農業、農村の活力を引き出してまいります。
 御指摘の民主党案は、農業の体質強化にはつながらず、現状の構造をそのままにするものと考えております。
 地方分権についてお尋ねがございました。
 地方の活力なくして国の活力はありません。地方のやる気、知恵と工夫を引き出すには、地域に住む方のニーズを一番よくわかっている地方がみずから考え、実行することのできる体制づくりが必要です。私は、地方分権を徹底して進めてまいります。
 地方分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与のあり方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めてまいります。
 中小企業対策についてのお尋ねがありました。
 全国四百三十万の中小企業の元気は、地方そして日本経済全体の活力に不可欠であります。
 政府は、中小企業の経営の革新、創業の促進を図るとともに、取引の適正化など経営基盤を強化すること等を中小企業政策の基本的な考え方としております。
 かかる観点から、地域資源を活用した中小企業の取り組みへの支援、再チャレンジをする起業家への支援、不動産担保や個人保証に過度に依存しない融資などにより、中小企業の頑張りを力強く応援してまいります。
 財源についてお尋ねがありました。
 地方への一括交付金化で六兆円、国家公務員の人件費削減で一兆円、特殊法人、独立行政法人、特別会計の廃止で四兆円の財源を確保するという御提案ですが、項目を並べているだけで、その具体的な内容、方法が不明です。実現可能性に大きな疑問があると言わざるを得ないと思います。
 極めて厳しい財政状況のもと、私の内閣では、歳出削減を一段と進め財政の無駄をなくすという基本方針に基づき、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組んでまいります。また、徹底してぜい肉をそぎ落とし、無駄ゼロを目指す行政改革を進め、筋肉質の政府の実現を目指します。
 政治資金をめぐる問題や政治資金規正法の事務所費についてお尋ねがありました。
 政治資金をめぐる問題は、常に政治家が襟を正して当たらなければならない問題であります。佐田議員の件については、法にのっとって適切に行わなければならない収支報告に不適切な処理があったことから、同議員からその責任をとって辞職したい旨の申し出があり、私も、その判断を重く受けとめ、これを了としたものであります。佐田議員が結果として辞任を余儀なくされたことについては、国民の皆様に対して責任を感じております。
 なお、松岡大臣については、御指摘の件につき、法にのっとった処理がなされているとの報告を受けております。
 私は、自由民主党総裁として、政治資金の事務所費の公表のあり方等について、党改革実行本部において検討を進めるよう指示しており、既に議論が行われているところであります。
 さらに、この問題については、政治活動の自由、政治資金の透明性等の観点から、御党においても御検討されることも含め、各党各会派においても同様に十分御論議をいただきたいと考えております。
 厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。
 厚生労働大臣の発言については、その場で大臣みずから直ちに不適切であった旨述べたと聞いております。私としても、不適切な発言と考え、今後誤解を生じないように大臣に厳しく注意を促したところでございます。
 子供を産み育てるということは崇高な営みであり、母親の子供に注ぐ愛情はかけがえのないものであります。こうした家族のすばらしさ、価値について今後しっかりと再認識をしていくことを、運動を国民的に進めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(河野洋平君) 中川昭一君。
    〔中川昭一君登壇〕
#11
○中川昭一君 私は、自由民主党を代表して、安倍総理の施政方針演説に対し、質問をさせていただきます。(拍手)
 総理は、最初の国会において、美しい国づくりを高らかに宣言されました。国の骨格をなすものは、憲法、安全保障、教育であります。総理は、最初の国会で、教育の憲法とも言える教育基本法の改正をなし遂げ、また、安全保障のかなめとなる防衛省を実現しました。このことは、美しい国づくりの礎を築く大きな第一歩でありました。(拍手)
 平成十九年度予算案もまた、時代の節目を画するものとして高い評価が得られるものと確信しております。
 新しい年を迎え、我々は、美しい国づくりの具体的な方策を明示しながら、さらに大きな一歩を踏み出さなければなりません。
 私は、前段で国の骨格にかかわる政策について、後段では「日本経済の進路と戦略」に沿った具体個別的な政策について、総理にお伺いいたします。
 まず最初に、憲法改正についてお伺いいたします。
 今国会では、衆参両院に憲法調査特別委員会が設置されました。憲法改正手続法案は、一刻も早い成立が望まれます。法案成立後、衆参両院に設置される憲法審査会では、あるべき憲法の姿について十分な審議が尽くされるものと考えます。
 総理は、年頭の記者会見において、私の内閣で憲法改正を目指したいということは、当然、参議院選挙でも訴えていきたいと述べられております。具体的に、現行憲法のどこをどのように改正し、よりよい憲法としようとお考えなのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、外交についてお伺いします。
 安倍総理は、就任早々、中国、韓国を電撃的に訪問し、一部に言われていたアジア外交への懸念を見事に払拭いたしました。また、そのさなかに発表された北朝鮮の核実験実施に対し、総理の強いリーダーシップのもと、我が国は、国連安保理決議の全会一致での採択に主導的な役割を果たすことができました。
 総理はまた、新年早々にはヨーロッパ諸国を歴訪いたしました。これらの訪問先の選定には、総理が言う主張する外交が反映されたものと思います。民主主義、基本的人権、市場経済、法の支配といった普遍的価値を共有する米国、豪州、インド、英国、フランス、ドイツ等の欧州各国などと手を携えていこうとする総理の方針には、全面的に賛成であります。総理には、堂々と、主張する外交を推進していただきたいと思います。(拍手)
 今、我が国外交の最大の課題が北朝鮮問題であることは衆目の一致するところであり、拉致、核、ミサイル問題の全面的な解決が一日も早く待たれます。
 拉致問題は、世界的異常事件の一つであります。我が国は北朝鮮に対し対話と圧力で臨むことが基本方針でありますが、北朝鮮は対話をみずから閉ざしているため、我が国は諸外国とともに圧力をかけていかなければなりません。
 長い間、家族の方々や関係者は、大変な御労苦を強いられ、高齢化し、疲れ切っておられます。もはや、家族や関係者だけの問題ではありません。政府は、我が国の最重要政策の一つとして認識し、国の威信をかけて取り組んでいくべきです。総理も、各国首脳との会談の際には、必ずこのことに言及し、拉致家族もその対応を高く評価しておられます。私も、党の拉致問題対策特命委員長として今後とも全力を傾注していく覚悟でありますが、改めて総理の御決意をお聞かせください。
 本年一月九日、念願の防衛省への移行が実現いたしました。また、自衛隊の国際平和協力業務が本来任務となりました。これは、日本の防衛政策と世界の平和と安定を考える上で、極めて意義深いものであります。
 ところで、日本の防衛は、自衛隊の防衛力と日米安保体制が一体となって我が国の安全を確保し、アジアと世界の平和と安定のために貢献していく態勢となっております。集団的自衛権やミサイル防衛など、真の日米同盟関係を今こそ確立すべきであります。そのため、米軍再編問題の処理を急ぎ、日米間の情報共有、対話、共同行動など、同盟関係の一層の深化が必要であると考えます。
 中国の宇宙での軍事活動は、一般生活の情報通信への影響も懸念され、また、東シナ海の海洋軍事行動などの拡張政策も含め、不透明性が拡大し、脅威が増しております。
 総理は、こうした国際情勢の変化に有効、迅速な対応をするため、日本版NSCをつくって、外交・安保政策を官邸主導で行おうと考えていますが、この種の組織につきまとう縦割り行政と情報収集体系の問題をいかにさばくかが問題であります。
 これらの諸問題は、安倍総理のリーダーシップの発揮いかんにかかっています。防衛政策についての総理のお考えをお聞かせください。
 イラクの安定は、日本の国益にとっても極めて重要であり、中東地域が混乱すれば、エネルギー問題等、世界はもとより、日本にも大きな影響が及びます。我々は、国際社会と協力して、イラクの安定のために、今後もイラク特措法を延長してでも、現在行っている日本のイラクへの人道復興支援活動は継続していくべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 さきの臨時国会におきまして、積年の課題であった、新しい時代にふさわしい教育基本法の改正が実現いたしました。これは、極めて大きな教育改革の第一歩であったと思います。改正教育基本法に示された理念のもと、今後、具体的な改革を進めていくことは、国の将来を決める最重要課題であります。
 また、世界で頑張っている日本人に対し、各国、とりわけ途上国の皆さん方は大きな期待と信頼を寄せております。教育改革を推し進めることは、本人の目標達成や日本の活力ある国づくりに必要なだけでなく、世界へのさまざまな貢献のためにも、教育改革を断固としてなし遂げ、日本人力を高める必要があります。
 折しも、教育再生会議から第一次報告が提出され、授業時間増による子供の学力向上、教員免許更新制や不適格教員対策、学校の責任体制の確立による信頼回復、社会総がかりでの教育再生、さらには教育委員会の改革も含め提言されたところでありますが、頑張る教員を評価、支援する方策も含めまして、教育改革に対する総理の御決意をお尋ね申し上げます。
 教育とは、学力、体力、徳力を高め、主体的に国家及び社会の形成者としての資質を養い、社会の規律を学ぶことであります。子供の学力や体力は低下し、また、いじめにまつわる自殺などの悲惨な事件が続いております。いじめ問題への対応は喫緊の課題であり、社会全体の責任として、子供たちをいじめから守り通すために全力を尽くす必要があります。
 その一方には、教職員組合などが関係した不適切な教育現場の実態があります。
 北海道教育委員会が行ったいじめ実態調査をめぐって、北海道教組が各支部に対してこの調査に協力しないよう指示文書を出していたという報道がありました。学校現場において、上司である校長の命令に部下である教員が従わないことは、明らかに公務員法違反であります。
 また、私の地元帯広市におきましては、子供たちのいじめを防止させるべき教師が、組合に加入していない教師とは口をきかないなど、教師間の陰湿ないじめを行っている実態もあると聞いております。
 入学式や卒業式の国旗掲揚、国歌斉唱を妨害するような一部の教職員の行動は、法令違反であり、社会的通念を逸脱しております。
 先日、文部科学省から公表された学校給食の未納状況に関する調査によれば、学校給食を受けている約一千万人の児童生徒のうち約十万人もが未納状態であります。経済的に負担が困難である保護者については、生活保護のほか、就学援助制度も利用できます。ところが、未納の約六割は、経済的な理由ではなく、保護者の責任感や規範意識の欠如に原因があるとされております。
 学校で起きているこうした事態について、総理はどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 次に、公務員制度改革についてお尋ねをいたしますが、その前に、政治と政治資金をめぐる問題につきましては、国民からの政治に対する不信感を一刻も早く払拭し、政治の信頼回復のため、事務所費の透明化のあり方につきましても、党としても現在真剣に検討を進めているところであります。
 もとより公務員は、国や地方の行政を遂行するための責任と誇りを持つことが前提で、その制度は、時代の流れや科学技術の進展等に伴い変化する国民のニーズに十分対応でき、かつ簡素である必要があります。また、公務員の不作為をなくし、活気とやる気がみなぎる職場環境の整備も重要な観点であると考えます。
 新たな公務員制度の考え方は、第一に、頑張った者が報われる能力・実績主義の導入、第二に、天下りを排除する人事・給与構造の再構築と再就職管理の適正化、第三に、人口減少社会に入って有能な人材を有効に活用するための官民の人材交流という三本柱に集約されると考えます。
 公務員の労働基本権については、それを付与することにより、公務員としての責任と誇りの醸成に資するという考え方もありますが、政府専門調査会での結論はいつまでに出るのでしょうか。さらに、仮に公務員に労働基本権を付与する場合、身分保障や分限処分との関係はどうなるのか、総理のお考えをお聞かせください。
 次に、一月二十五日に閣議決定されました「日本経済の進路と戦略」に沿った個別具体的な政策についてお伺いいたします。
 我が国の財政状況は、国、地方を合わせた債務残高が平成十八年度末で約七百六十兆円、しかも、なお増加いたします。真の財政再建は、将来世代に責任を持ち、先進国で最大の対GDP比債務残高を安定的に引き下げることであり、二〇一一年度の国、地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化は、単なる一里塚にすぎません。
 我が国の経済財政運営は、成長なくして財政再建なしを基本理念として堅持しています。景気回復の足取りは遅く、都市と地方の間、企業規模等によるばらつきや賃金の伸び悩みによる家計消費の低迷など、依然としてデフレ脱却に向けての懸念材料が存在し、今回、日銀が利上げを見送るという適切な判断をしたのも、このことによります。我々は、経済成長と財政健全化を車の両輪とした総合的な施策に取り組む決意を改めて確認すべきであります。
 「日本経済の進路と戦略」は、まさに、これまでの改革努力の上に未来への明るい展望を示そうとするものであります。まず、好調な企業部門に支えられた景気が中小企業、家計へと波及し、消費者が真に景気を実感できるようにするためのスケジュールについて、総理のお考えをお伺いいたします。
 「日本経済の進路と戦略」において、我が国が目指すものは創造と成長の実現であるとの方向性を示しております。
 その成長の潜在力を引き出す手段としてイノベーションが必要でありますが、それは、単なる技術革新ではなく、創造的破壊により、独創的な考え方や独創的な技術を要素に、経済的、社会的に大きな変化を起こし、新たな価値を生み出すことであります。
 総理の描くイノベーションに基づく新成長経済の姿について、具体的なイメージをお聞かせください。
 我が国は、エネルギー、環境保全、エンバイロンメント、経済成長、エコノミーの三つのEを同時に実現していくことが必要であります。
 このために最も必要なのは、省エネであります。日本の最先端の省エネ技術を活用して、アジア地域のエネルギー需要の急増に歯どめをかけるとともに、世界のエネルギー安全保障や地球環境問題の解決にも寄与することができます。
 また、我が国は、安全性を前提に、一貫して原子力発電の推進を図ってまいりましたが、二酸化炭素を排出しない原子力発電は、今や、世界各国において再評価されるようになりました。
 さらに、バイオマスの利用、活用も重要になってまいりました。
 ことしから、北海道十勝等で本格的なバイオの実証実験が開始されますが、バイオ重視の世界の流れの中で、資源のない日本がバイオに力を入れるのは当然のことであります。
 また、バイオマスの一層の利活用は、農林水産業の新たな領域を開拓するものであり、農林水産業、農山漁村の活性化や国土、農地の保全の観点からも重要であります。このため、税制や補助金など多方面にわたる支援策の検討が必要であります。
 先般、総理は、国産バイオ燃料を現在のガソリン消費量の一割程度、六百万キロリットルまで生産拡大するため政府全体で検討するよう指示されたと伺っております。
 エネルギー総合戦略にどのように取り組んでいくのか、総理にお尋ねいたします。
 経済連携協定、EPAは、経済のグローバル化が進み、WTOを中心とする多角的自由貿易体制を補完する二国間協定として、経済連携を中心とした二国間の関係強化に寄与するものとして推進しています。
 政府は、今後二年間でEPA締結相手国等が少なくとも十二以上になることを目指していますが、特に豪州につきましては、主要な農産物の関税を撤廃すれば国内農業、地域経済、さらには消費者にも与える影響が極めて大きいこと、WTO交渉との関係、豪州以外の国との関係などに対し十分な配慮のもと、交渉に入ることにいたしました。
 また、一月十四日に、日中韓三国投資協定交渉の開始について合意されております。さらには、スイス、湾岸諸国といった国々との交渉開始が決定されました。
 これらEPAをめぐる我が国の戦略について、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、地域活性化に関する政府の取り組みについてお尋ねいたします。
 昨今、財政や経済の悪化に苦しむ地域は少なくありません。内閣には、地域経済の好転を目指す新たな地域活性化策を国政の最重要課題として実施していただきたいと思います。
 政府には、こうした地域の厳しい現状に目配りしながら、地域の実情に沿って中小企業、大学、自治体等が一体となった自発的な取り組みに対し、国は全力を挙げて支援するので、地域の側もぜひ頑張ってもらいたいというメッセージを、できるだけ早く全国各地域に伝えていただきたいと思います。
 そこで、今国会で審議予定の法案や予算案として具体的にどういったものが用意されているのか、中小企業への思いも含めまして、地域活性化に向けた総合的な施策の展開について、総理にお伺いいたします。
 我が国は、世界じゅうから食料を大量に輸入し、豊かな食生活を享受してまいりました。一方で、我が国のカロリーベースの食料自給率は約四〇%で、先進国中最低の水準であります。
 また、我が国は世界最大の農産物純輸入国でありますが、これは、農産物という形で間接的に水資源を輸入していることでもあります。これらの農産物をつくるのに必要な水を仮想水と呼びますけれども、我が国は仮想水換算で六百四十億トンもの膨大な量を輸入していることになります。世界では、農業用水を初めとする過剰取水による自然環境、生態系への影響も指摘されております。このような状況を考えれば、地球全体の環境保全の観点からも、農産物自給率向上に一層努力すべきと考えます。
 本年四月から、一連の農政改革が実施に移されます。とりわけ新たな経営安定対策は、意欲と能力のある担い手を確保し、従事者の減少、高齢化が進展する国内農業の体質強化を図るためのかぎとなる施策であります。この対策の導入を契機に、経営感覚にすぐれた担い手の育成を加速化すべきと考えます。
 民主党は一見耳ざわりのよい農業政策を主張しておりますが、その内容にはさまざまな問題があります。
 すべての農家を対象にし、現在の農林水産予算の中から約一兆円もの税金を投入して所得補償を導入すると言っていますが、これは単なるばらまき政策で、従事者の減少、高齢化の進行など脆弱な農業構造は改善されず、将来の世代がやる気を起こすような体質の強い農業はつくれません。
 また、食料の完全自給を達成するとも主張しております。食料自給率の向上は重要な課題でありますが、完全自給となりますと、我が国の農地の二倍以上もの農地が新たに必要になってくるなど、全く非現実的であります。さらに、農産物自由化の促進も主張しております。
 我が国農業の構造改革が待ったなしの今、政府としては、民主党のような非現実的な政策ではなく、実効性のある現実的な農政を推進し、国民の信頼と支持を得ることが必要不可欠であります。このためにも、今後の農業、農村のビジョンを国民にわかりやすく示し、農政の推進に当たるべきと考えますが、総理のお考えをお尋ねいたします。(拍手)
 次に、農林水産物の輸出促進策についてお尋ねします。
 日本食が世界じゅうで一大ブームになっており、また、中国を初めとするアジア諸国においては、安全で、おいしく、味も一級品であるリンゴやナシ等が大変よく売れております。さらに、今後、中国向けの米輸出も期待されます。
 こうしたチャンスをとらえ、みずからが生産したものをみずからの戦略をもって輸出し、海外の消費者から評価を得て販売することは、我が国農林水産業の活性化に大きく貢献するものであります。既に、私の地元北海道十勝では、長芋を東アジア各地に輸出し、高い評価を受けるとともに、販売価格を安定させ、農家経営の安定へとつなげています。
 総理は、施政方針演説におきまして、農林水産物、食品の輸出額を二〇一三年までに現行の三倍の一兆円規模とすることを目指すというお考えを表明されましたが、さらなる輸出の拡大目標に向けてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。
 また、森林・林業については、木材の自給率が最近少し上昇しておりますけれども、環境対策を初め、国民生活の中に木を取り入れることが、緑を豊かにし、総理の掲げている美しい日本につながってまいります。そうした観点から、地球温暖化防止を含め、国土の三分の二を占める森林整備の加速化に向けた取り組み方針を総理にお伺いいたします。
 さらに、国内水産業にあっては、資源状況が悪化する一方、漁業者の減少など脆弱化が懸念され、消費者も水産物の安定的確保に不安を抱いております。排他的経済水域は海洋体積世界第四位の日本のこの立場を十分活用し、我が国水産業の思い切った政策体系を見直すべきと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 経済社会を安定的に支える税制に向けて、昨年末に与党税制改正大綱を取りまとめました。十九年度改正におきましては、具体的には、我が国経済を強化すべく、減価償却制度の抜本的見直しや中小企業の留保金課税の撤廃、地域産業活性化支援税制の創設等を行いました。また、寄附金税制を充実させたほか、住宅関係等も含め国民生活に配慮する税制措置を講じました。
 我が国財政は危機的状況にあり、将来にわたる一般会計の徹底した歳出削減や特別会計改革による約二十兆円の財政寄与及び経済成長による自然増収だけでは応じ切れない財政需要については税制改革により対応し、税制は、基礎的財政収支の黒字化だけではなく、将来増加が見込まれる社会保障費等も踏まえ、債務残高を引き下げ得る体質を備えなければなりません。その上で、本年秋以降、早期に、本格的かつ具体的な議論を行い、平成十九年度をめどに、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでいくことも大綱に明記されました。
 平成十九年度税制改正の基本的考え方及び今後の税制改正について、総理のお考えをお伺いいたします。
 道路特定財源につきましては、小泉政権以来の改革の最重要課題の一つであり、安倍政権におきましても、総理のリーダーシップのもと、与党・政府において具体策の取りまとめに至ったところであります。
 今回の具体策は、制度創設以来、約五十年にわたり変わることのなかった道路特定財源制度の歴史的大改革であり、今後とも、国や地方、納税者のことを十分に踏まえて取り組んでいただきたいと考えます。
 揮発油税は、総理が生まれた昭和二十九年に初めて議員立法により、昭和四十一年には石油ガス税が法律改正により、さらに、昭和四十六年には自動車重量税が中川一郎大蔵政務次官の政府答弁により、それぞれ道路特定財源とされました。
 そこで、改めて、今回、「道路特定財源の見直しに関する具体策」を実現するに当たっての総理の決意をお伺いいたします。
 公的年金制度については、年金改正で構築された仕組みのもと、国民皆年金の理念を堅持し、少子高齢化にも対応できる揺るぎないものとしていくことが必要であります。また、官民の公平性を確保し、より安定した制度とするための厚生年金と共済年金の被用者年金一元化などの重要課題も山積しております。これらの諸課題について、総理の所見をお伺いいたします。
 民主党の年金改革案は、混迷を深めております。これまで、民主党は、基礎年金の全額税方式、年金目的消費税(三%)の導入を声高に主張してまいりましたが、先日発表された案では、年金目的消費税の導入はどこかに行ってしまいました。みずからの提案の根幹に、さしたる説明も全くありません。
 しかも、基礎年金を全額税方式にするためには、平成二十一年度ベースで約十六兆円もの巨額の税金が新たに必要となりますが、この巨額の財源をどう手当てするのでしょうか。民主党は、消費税率は現行を維持と繰り返すばかりであります。
 社会保険庁改革は、与党が責任を持って進めてまいりましたが、自治労国費評議会職員のたび重なる不祥事を踏まえ、さらなる検討を加え、昨年末に改革方針をまとめました。
 公的年金の運営体制を再構築し、国民の信頼を回復するため、社会保険庁は廃止・解体六分割いたします。そして、必要最小限の管理部門のみ国に置き、運営業務を非公務員型の新法人に行わせます。さらに、一般的な保険料徴収を初め、民間にできる業務は積極的に民間委託することにし、組織人員を最小限にし、一層の合理化、効率化を図ります。新たな運営体制が発足した後、その状況の推移を見ながら、新法人のあり方、存続の可否も含め、三年をめどとして引き続き抜本的な検討を行います。
 そこで、社会保険庁改革に向けた総理の御決意を改めてお伺いいたします。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 我が国の合計特殊出生率は低下の一途をたどっており、平成十七年は一・二六と国際的に最も低い水準となっていますが、多くの国民は、結婚したい、子供は二人以上持ちたいと考えており、それがすべてかなうと仮定すれば、出生率は最大一・七五程度になるという試算もあります。人口減少にいたずらにひるむ必要はなく、これに対抗していくことが必要であります。
 総理は、就任時に、子育てフレンドリーな社会づくりを掲げ、また、施政方針演説では、まさに、少子化に対し、さらに本格的な戦略を打ち立てることを表明されております。今後の少子化対策をどのように進めていくのか、総理の具体的なお考えをお伺いいたします。
 総理は、施政方針演説の中で、パートタイム労働法の改正を明言されました。パートタイム労働者であっても、働きに応じた公正な待遇を受けるとともに、正規雇用への転換が促進されることは、安倍内閣が推進する、チャンスにあふれ、何度でもチャレンジが可能な社会の構築のために重要なことと考えます。パートタイム労働者の正社員との均衡待遇、正規雇用への転換の促進に向けた取り組みを強化すべきであります。
 若者の雇用情勢については、景気の回復や政府の積極的な取り組みにより、全体として改善傾向にあります。特に、大学生の就職状況はバブル期に匹敵する売り手市場になっていると言われております。
 しかし、九〇年代の経済が低迷している時期に学校を卒業した若者たちは、企業の採用抑制の中で、希望しながらも正社員になれず、やむを得ずフリーターとなり、そのまま年長化している人も多いと考えます。就職活動が成功するかどうかは、本人の能力や意欲に加えて、その時期の景気の動向、企業の採用意欲等に大きく影響されるものであり、卒業する時期による運、不運があることは否定できませんが、そのまま不本意に人生を過ごしていくようなことがあってはならないと考えます。
 これら雇用をめぐる問題にどのように取り組むのか、総理のお考えをお伺いいたします。
 終わりに、総理の施政方針演説を振り返ると、意欲、価値観、個性、能力、自律といった言葉が多く使われております。これは、総理が国民を信頼し、期待して国の発展を目指そうとしているからだと私は理解しております。(拍手)
 フランスの細菌学者、ルイ・パスツールは、チャンスは準備している人に訪れると言っておりますけれども、私たちは、国民がだれでも目標を設定し、挑戦すれば目標達成できる社会を目指します。そして、仮に達成できなければ、セーフティーネットが機能し、そして、だれもが何度でも再挑戦していける社会を目指します。同時に、社会経済システムを改革することにより格差は是正され、活力ある日本になることを確信いたします。
 アインシュタインが称賛した日本人の謙虚、質素などの美徳を保ちつつ、誇りと自信を持った国民によって、見える部分、見えない心の部分もともに真に「美しい国、日本」が実現されるよう、私たちは安倍総理を先頭に全力を挙げて努力することをお誓いして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 中川昭一議員にお答えをいたします。
 憲法改正に関するお尋ねがございました。
 私は、次の三つの観点から、憲法を改正すべきであると主張してまいりました。第一に、現行憲法が占領下で制定されたこと。第二に、制定から六十年を経て、新しい価値観、時代にそぐわない条文を見直すべきであること。第三に、私たち自身がこの国の形を語り、新しい時代を切り開いていくエネルギーを持つべきであること。
 こうした背景を踏まえ、自由民主党は、立党五十年を機に、新憲法草案を取りまとめ、発表いたしました。今後、与野党において議論が深められることを強く期待しております。
 拉致問題の解決に向けての決意のお尋ねがありました。
 拉致問題は、現内閣の最重要課題であります。拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ません。
 拉致被害者に向け政府のメッセージを放送する、拉致容疑事案の真相究明に向けた捜査、調査を推進するなど、引き続き政府一体となって総合的な対策に取り組んでまいります。
 私は、各国首脳との会談の場において、常に北朝鮮による拉致問題を強く訴えてまいりました。こうした取り組みの結果、拉致問題に対する国際社会の理解は進み、国際的な圧力が高まっています。引き続き、関係各国との連携を強化し、対話と圧力という一貫した考え方のもと、北朝鮮に対し、すべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国を強く求めてまいります。(拍手)
 防衛政策についてのお尋ねがありました。
 世界とアジアのための日米同盟は、我が国安全保障政策のかなめであります。我が国の平和と独立、自由と民主主義を守り、そして日本人の命を守るために、日米同盟を一層強化していく必要があります。
 米国と連携して、弾道ミサイルから我が国を防衛するシステムの早急な整備に努めます。
 在日米軍の再編については、抑止を維持しつつ、負担を軽減するものであり、沖縄など地元の切実な声によく耳を傾け、地域の振興に全力を挙げて取り組むことにより、着実に進めてまいります。
 世界の平和と安定に一層貢献するため、時代に合った安全保障のための法的基盤を再構築する必要があると考えます。いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な類型に即し、研究を進めてまいります。
 中国との関係においては、我が国の平和と独立、国民の生命、身体、財産の保護を第一義として、戦略的互恵の立場で対応してまいります。
 以上のような我が国を取り巻く安全保障に関する諸問題に対し、縦割り行政を排し、総合的かつ戦略的観点から政治の強力なリーダーシップにより即座に対応できるよう、官邸の司令塔機能の強化に向けた体制の整備に取り組みます。あわせて、内閣の情報機能の強化を図ります。
 イラクへの人道復興支援活動の継続についてのお尋ねがありました。
 依然厳しい状況が続くイラクに対しては、我が国としてふさわしい支援を継続してまいります。
 御指摘のイラク特措法の延長につきましても、イラクの政治状況、現地の治安状況、国連及び多国籍軍の活動や構成の変化等の諸事情をよく見きわめながら、イラクの復興の進展状況なども十分に勘案した上で、適切に判断してまいります。
 教育改革に対する決意についてお尋ねがありました。
 教育再生を内閣の最重要課題とし、教育再生会議における議論などを踏まえつつ、社会総がかりで、教育改革を一層推進し、教育新時代を開いてまいります。
 具体的には、新しい教育基本法を踏まえた関係法律の改正や教育振興基本計画の策定を行うとともに、すべての子供に必要な学力を身につける機会を保障するため、ゆとり教育を見直し、公教育の再生に取り組みます。また、教育現場がいじめ問題に正面から立ち向かうことを徹底いたします。さらに、教員免許更新制の導入などの教員の質の確保や信頼される教育行政体制の構築などに全力を挙げて取り組んでまいります。(拍手)
 いじめ問題を初めとした学校で起きている事態についてのお尋ねがありました。
 いじめは、人間として絶対に許されないことであります。子供たちに規範意識をしっかり身につけさせ、学校が安心して学べる楽しい場所となるよう、社会が一体となっていじめ問題に正面から立ち向かう必要があります。
 また、教職員は、使命感や責任感を持って教育に臨む必要があります。御指摘のような教職員組合などの不適切な事例については、各教育委員会において、法律にのっとり、その排除に毅然として対処すべきものと考えます。
 さらに、学校給食の円滑な実施には、保護者が学校給食の意義を十分理解するとともに、適切な負担をすることが不可欠です。今後とも、学校給食の未納が生じないよう、各学校や教育委員会等においてしっかりと対応していくよう求めてまいりたいと考えております。
 専門調査会のスケジュールについてお尋ねがありました。
 公務員の労働基本権の問題については、行政改革推進本部のもとに設置された専門調査会において、昨年七月より検討を行っているところであります。佐々木座長のもとで精力的に議論が進められており、早期に方向性を整理し、中間的な取りまとめをいただきたいと考えております。
 公務員の身分保障等についてお尋ねがありました。
 公務員の身分保障や分限制度については、公務の中立性、安定性の確保のため設けているものであり、地位の特殊性と職務の公共性から制約がなされている労働基本権とは直ちに対比して論ぜられるべき事項でないと理解しております。
 他方、公務員制度については、御指摘の分限制度など多くの課題を抱えており、国民の信頼を再構築するためにも断固として改革を進める必要があると考えております。(拍手)
 企業部門から中小企業、家計への景気の波及についてお尋ねがありました。
 過去の景気回復局面を見ても、経済の拡大に伴い、人材確保の観点から、賃金も上昇しております。今後とも、景気回復を持続させる中で、企業の経営環境の改善がさらに進み、労働市場がタイトになることを通じて、賃金が上昇していくことを期待したいと考えております。
 現在、企業規模や地域間での回復にばらつきが見られるものの、全体としては少し明るい兆しもあらわれてきており、今後、「進路と戦略」に沿った取り組みを行うことにより、日本経済に新たな活力を取り入れ、現在の景気回復基調をさらに息長く持続させることで、企業から家計へ、また日本全体に回復を力強く広げていく必要があると考えております。
 イノベーションに基づく新成長経済の姿についてのお尋ねがありました。
 イノベーションとは、単に技術革新だけではなく、サービスの分野やビジネスプランを含め、広く社会のシステムや国民生活などにおいても新しい考え方や取り組みを導入することにより、今までとは違う画期的、革新的な成果を上げることであります。
 日本が人口減少社会を迎える中でも、絶え間ないイノベーションによって生産性を高めていくと同時に、国民の大きなニーズである医療、福祉、環境、エネルギー、文化、ライフスタイルなど、さまざまな価値や市場を生み出すことが可能になります。
 私は、イノベーションの力により、創造と成長を実現し、活力とチャンスと優しさを備えた経済社会である新成長経済を構築してまいります。
 エネルギー戦略についてのお尋ねがありました。
 資源の少ない我が国にとって、地球環境問題に対応しつつ、エネルギー安全保障を確保していくことが必要です。
 このため、技術開発等により省エネルギーを推進するとともに、国産バイオ燃料の利用率を高めるための工程表を策定するなど、新エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。
 加えて、原子力の推進、石油等の資源の確保、アジアへのエネルギー・環境協力等、エネルギー政策を総合的、戦略的に推進してまいります。
 EPAをめぐる我が国の戦略についてお尋ねがありました。
 我が国のEPA戦略としては、東アジア諸国との交渉を重要な課題と位置づけ、交渉を積極的に進めてまいります。今後の交渉相手についても、平成十六年十二月に策定した基本方針にのっとって、有益な国際環境の形成や経済利益の確保等に留意して決定してまいります。
 豪州とのEPAは、日豪間の戦略的関係を強化し、資源・エネルギーや食料の安定供給に資するといったメリットが期待されています。一方、豪州は農業大国であり、日本の農業への影響を十分に踏まえ、取り組んでまいります。
 こうした観点から、攻めるべきは攻め、守るべきは守るという姿勢で、日本として最大限の利益を得ることができるよう、政府一体となって交渉を進めてまいります。また、WTO交渉における我が国の主張や他の農産物輸出国との関係も考慮しつつ、取り組んでまいります。
 また、こうしたEPAの取り組みに加えて、日中韓投資協定の早期締結等を通じて、経済、貿易分野での中国、韓国との関係の一層の緊密化と発展を図っていく考えであります。
 地域活性化についてのお尋ねがありました。
 地域の活力なくして国の活力はありません。地域活性化は、安倍内閣の最重要課題であります。そうして、その基本となるのは、やる気のある地域が独自の取り組みを推進し、知恵と工夫にあふれ、魅力ある地域に生まれ変わるための努力を政府全体で応援していくことであると考えております。
 このための施策として、まず、成功、失敗事例や支援策によく通じた専門家が出張相談を行う制度の創設を初め、国のワンストップ相談窓口の設置、さらには、みずから考え、前向きに取り組む自治体を地方交付税により応援する頑張る地方応援プログラムなどにより、各地域の創意工夫を応援していきます。
 これらに加え、具体的な支援策として、都市再生、地域再生、中心市街地の活性化、構造改革特区などを発展、継続させるとともに、広域ブロック地域による自立・活性化戦略に対し、基盤整備に係る交付金等により総合的に支援するほか、農山漁村の活性化を図るため、都市から農山漁村へ訪れたり、住んだりする人々をふやすための取り組みを促進します。
 また、地域資源を活用した中小企業の新商品開発や特色のある企業立地等を支援するとともに、雇用情勢が特に悪い地域と雇用創造に向けた意欲が高い地域に支援を重点化し、地域雇用の再生を図るなどの施策を考えており、今国会に、これらに関連する九本の法案の提出を予定しております。
 政府としては、近々、こうした地域活性化策を国民の皆様にわかりやすくお示しし、全国の各地域へ、地域のやる気を支援していくという強いメッセージを発信していきたいと考えています。(拍手)
 農業・農村政策のビジョンについてお尋ねがありました。
 農業が秘めている新世紀の戦略産業としての大きな可能性を引き出すため、意欲と能力のある農業者に施策の集中化、重点化を図り、将来にわたり、国民に安定的に食料を供給できる、体質の強い農業の実現を目指します。
 また、バイオマス利用の加速化、輸出の促進といった新たな取り組みや、都市と農村の交流の促進など、総合的に政策を推進し、可能性と活力のある農業、農村を築いてまいります。
 農林水産物の輸出促進策についてお尋ねがありました。
 農林水産物の輸出拡大は、農林漁業者の経営安定はもとより、地域経済の活性化、日本食文化の海外発信にも大きく貢献するものであり、我が国農林水産業の明るい展望を切り開くものと考えております。
 先般、長年の懸案であった中国への米の輸出について、中国政府との間で事実上の合意に至ることができました。(拍手)
 今後とも、輸出先として有望な国との検疫交渉を進めるなどの輸出環境の整備や、日本食、日本食材の海外への情報発信などを積極的に実施してまいります。
 森林・林業についてのお尋ねがありました。
 国土の三分の二を占める森林は、国土保全や地球温暖化防止等、多様な機能を有していることから、美しい森づくりを推進し、緑豊かな美しい国土を子々孫々まで伝えていくことが重要と考えております。
 このため、国産材の需要拡大を図りつつ、間伐の推進などの取り組みを加速化し、多様で健全な森林の育成に政府一体となって取り組んでまいります。
 水産政策の見直しについてのお尋ねがありました。
 水産行政においては、本年三月に、基本的施策を定めた水産基本計画の見直しを行うこととしています。
 見直しに当たっては、排他的経済水域を生かした資源の回復のほか、漁船漁業及び水産物流通システムの構造改革や、輸出促進を初めとする思い切った政策改革を断行し、国際競争力のある水産業を構築する所存でございます。
 税制改革についてのお尋ねがありました。
 税制については、我が国の二十一世紀における社会経済構造の変化に対応して、中長期的視点からの総合的な税制改正を推進します。
 こうした取り組みの一環として、十九年度においては、我が国経済の成長基盤を整備する観点から、減価償却に関する税制度を約四十年ぶりに抜本的に見直すとともに、中小企業関係税制や住宅・土地税制などの改正を行います。
 今後の税制改革につきましては、本年秋以降、本格的な議論を行い、十九年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見直しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。
 道路特定財源の見直しについてお尋ねがありました。
 道路特定財源については、昨年十二月に策定した「道路特定財源の見直しに関する具体策」に基づく見直しを行います。
 特に、揮発油税を含め、税収全額を道路整備に充てることを義務づけられているこれまでの仕組みを五十年ぶりに改めることとし、来年の通常国会に所要の法案を提出いたします。
 年金制度についてのお尋ねがありました。
 年金制度については、平成十六年の制度改正において、上限を固定した上での保険料の引き上げ、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入、基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げ、積立金の活用等により、制度を持続可能なものにするための見直しを行ったところであります。
 また、被用者年金の一元化については、昨年十二月の政府・与党の取りまとめ内容に基づき、今国会に法案を提出できるよう作業を進めてまいります。
 今後とも、定期的に年金財政の状況を十分に検証しながら、国民皆年金の理念を堅持し、国民の老後生活等の安心を確保してまいります。
 社会保険庁改革についてお尋ねがありました。
 社会保険庁については、残念ながら国民の信頼を失いました。規律の回復と事業の効率化を徹底するため、年金制度に対する国の責任を確保しつつ、新たに非公務員型の新法人を設置し、民間へのアウトソーシングを徹底するなど、廃止・解体六分割を断行してまいります。
 このため、新たな改革法案を今国会に提出し、真に国民の信頼を得ることができる新組織を早期に実現してまいります。
 今後の少子化対策についてのお尋ねがありました。
 子供は国の宝であります。安心して結婚し、子供を産み育てることができる日本とするとともに、家族のすばらしさや価値を再認識することも必要であります。
 今後、児童手当の乳幼児加算の創設、育児休業給付の引き上げ、延長保育など多様なニーズへの対応、長時間の時間外労働を抑制するための取り組みの強化といった政策を着実に実行に移すとともに、「すべての子ども、すべての家族を大切に」を基本的な考え方に置き、制度、政策、意識改革などあらゆる観点から効果的な対策の再構築、実行を図るため、「子どもと家族を応援する日本」という重点戦略を打ち立てます。(拍手)
 雇用をめぐる問題についてのお尋ねがありました。
 政府としては、今国会にパートタイム労働法改正案を提出し、それぞれの就労実態に応じ、差別的取り扱いの禁止と均衡待遇の確保の組み合わせにより、すべてのパートタイム労働者を対象として、きめ細かく待遇を改善するとともに、正規雇用への転換を促進することとしております。
 また、いわゆる年長フリーターなどについては、新たな就職・能力開発支援を行うとともに、雇用対策法を改正し、新卒一括採用システムの見直しを進めるなど、我が国の将来を担う若者の雇用機会の確保に取り組んでまいります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
#13
○副議長(横路孝弘君) 松本剛明君。
    〔松本剛明君登壇〕
#14
○松本剛明君 民主党の松本剛明です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、施政方針演説について、総理、そして厚生労働大臣、防衛大臣に質問を申し上げます。(拍手)
 もし答弁が不十分であれば、時間の範囲内で再質問をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 私たち民主党は、公正な社会、ともに生きる国を目指してまいります。それは、子育てでも老後でも安心して暮らせる社会であり、まじめに働く人が報われ、子供たちが希望を持てる、日本らしい国であります。
 今、良質な中間層が厚かった日本のよさが失われ、格差が拡大をしています。必要なことは生活維新、格差の是正であり、私たちは、格差是正緊急措置法の提出の準備を進めております。
 政府は景気回復と喧伝をしておりますが、一人一人の暮らしに目を向ければ、そうは思わないと言う多くの人々の声が聞こえてこないでしょうか。生活実感を真摯に受けとめ、政策を展開することこそが求められております。
 田中元経企庁長官が、時の内閣は霞が関との距離、米国との距離ではかられる、こうおっしゃいましたが、その視点から安倍政権の政策を検証すると、米国路線、官僚寄りの方向性が見えてまいります。総理がおっしゃる美しい国、中国語で美国と書いたらアメリカのことになりますけれども、まさかそういうことではないと思いますが、日本の政策は日本の政治で決めていただきたいと思っております。
 国民の皆様には、国会の論戦を通じて、日本らしさの再構築なのか米国路線の加速なのか、政治主導なのか官僚任せなのか、民主党なのか自民党なのか、我が国の進路を選択していただきたいと思っております。(拍手)
 以下、順次伺ってまいりたいと思います。
 第一の米国路線は、外交政策です。
 イラク問題における政府の対応は、宮沢元総理も、米国支持の姿勢はいささか踏み込み過ぎている、こう警鐘を鳴らした小泉政権の路線を踏襲したままです。
 民主党は、イラク戦争には大義がなく、自衛隊派遣に反対をしてまいりました。今も残っている航空自衛隊の早期撤退を求め続けております。
 大量破壊兵器に関する情報が誤っていたことはブッシュ大統領も認めておられます。これまでのイラク政策を誤りとする米国民の民意も示されたところであります。
 久間大臣は、会見で、現内閣もその当時の判断としては正しかったと言っている、こう述べつつも、個人的な感じとしては、あのときも間違いであるというような感じを持っていたと言われたと伝えられています。
 良心に基づく率直な感想とも言えますけれども、これだけ重大な判断で、なおかつ結果においては誤りがあったことが明らかになっている事案で、直接にかかわっておられる閣僚がそこまで言われるのであれば、誤りを認めて政策を改めるべきだと考えております。入り口が正しかったかどうかというのは大変大切な問題であります。そうでなければ、誤りを認めないのであれば、責任ある閣僚の個人的な発言で済まされる問題ではなく、大変不適切だと思います。
 総理は、これからも正しかったと言い続けるおつもりなのか。英断をもって開戦の判断はやはり誤りだったとお認めになる気はないでしょうか。久間大臣の御発言に対する御所見もあわせて伺いたいと思います。
 また、久間大臣には、この御発言の真意を承りたいと存じます。
 米国議会は、大統領のイラク増派に反対をしております。総理は、ブッシュ大統領の方針を支持されるのでしょうか。自衛隊派遣について、防衛大臣は、米国が増派を決定したから引き続きやるという短絡ではなく、こうおっしゃっておられますけれども、総理はいかがでしょうか。延長を含め、基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
 同時に、活動状況について、事後的であっても説明をされるべきだと思いますが、全くなされておりません。改めるお考えがおありかも伺ってまいりたいと思います。
 北朝鮮の問題は、我が国こそ拉致問題の当事者であって、核・ミサイル兵器の開発、保有のリスクに直接さらされており、最優先課題であります。
 米朝間の金融協議の動静が報じられ、六者協議も再開をされるという話が出ているようですが、我が国の主張はどうなっているのでしょうか。まずは事態の凍結でもやむなしとするような方向に流されているように見えます。関係国の思惑、利害が本音でずれていることはよくあることですが、その上で、いかにして主導権を確保して協力体制を構築するのか、戦略が大変重要であります。総理がどのような道筋を描いておられるのか、答えていただきたいと思います。
 中国との関係では、民主党は、中国共産党との間に交流協議機構を設置して政党間交流を深め、国益に資するように北朝鮮問題での協力を要請するなど努めておりますけれども、懸案事項は山積みになっております。人工衛星破壊実験への対応、海洋権益、領土をめぐる問題や、感染症、環境など国境を越える問題などにどう取り組んでいかれるのか、御所見を承りたいと思います。
 また、ロシアについては、日本漁船拿捕事件やサハリン・パイプライン事業でのロシア政府の動きなど、とても友好的とは感じられない事案が続いて起こっておりますが、日ロ関係の停滞をどのように打開していかれるのか、総理の方針を伺います。(拍手)
 外交演説の外交の三本の柱のうち、これまでの国連が国際協調に変わっておられます。私たちは、将来の世界の平和のために、課題はあるものの、やはり国連の枠組みを生かせるようにしていくべきであるというふうに考えております。政府は国連に対するスタンスを変えられたのでしょうか。また、常任理事国入りを粘り強く進めるというのは遠い課題に位置づけた、こういうことなのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 第二の米国路線は、経済政策であります。
 我が国の経済の持続的な成長のためには、企業から家計へ景気回復の恩恵を広げる必要があることは言うまでもありません。
 ところが、企業の利益増大が家計に回らない構造がはっきりしてまいりました。過去の例は参考になりません。今や、企業は株主のために利益確保に走り、その裏腹の買収防止に懸命で、米国の企業の行動パターンと同様に、ふえた利益の大半を配当増と自己株式買収に費やしております。人件費には一向に回ってこず、米国のように投資も後回しになることすら懸念をされます。生産性の向上と人件費の伸びが乖離をして、労働分配率が低下をしております。
 総理も年初に賃上げを呼びかけておられますが、これは構造的な問題であって、精神論で解決するものではありません。具体策をもしお持ちであるなら、お示しをいただきたいと思っております。
 加えて、自公政権は、定率減税の全廃や、年金、医療、介護の保険料、自己負担の引き上げで家計に大きな負担を押しつけ、まだことしも続けようとしています。これでは消費拡大に期待できるはずがありません。
 他方、企業に関しては、さまざまな減税を維持拡大してきております。話が出ている法人税率引き下げは、黒字の大企業に相当の手元流動性があることを考えれば、企業負担軽減から設備投資へつながるのか、疑問符がつくところであります。
 私たちは、効率性と公平性が両立する格差是正を目指していますが、今の政策の方向は、格差是正のためにも、経済にとっても、逆の方向であります。総理は、子供と家族を応援するというのであれば、この家計いじめをおやめになるべきだと思いますが、これからもお続けになるつもりなのかどうか、お答えをください。
 あわせて、会社はだれのものか改めて問い直す必要がある、こういう認識から、私たちは市場、企業の制度の見直しの検討に入りましたが、政府は株主主権とも言える路線をさらに強化していかれるのかどうか、見解を伺いたいと思います。
 いわゆる上げ潮路線については、同じく企業減税により成長を促そうとしたレーガノミックスで財政赤字が拡大をしたように、リスクが高く効果も疑わしい政策であると考えますが、総理の御見解を伺います。
 消費税引き上げがあるような様子も見せておられますが、代表なくして課税なしと尾身大臣が大見えを切られました。それなら、選挙前にこの国会でしっかり議論しようではありませんか。消費税引き上げに対する総理の意思を改めて伺いたいと思います。
 また、私たちは、公正な市場の確保は極めて重要だと認識しており、そろそろ行き過ぎたマネーゲームの領域に足を踏み入れているのではないかと懸念をしております。国際競争力の観点からも、我が国の強みは、ものづくりを中心とした地道な積み重ねにあり、長期的視点に立った投資と人材育成に基づく日本的経営によって培われてきたのではないでしょうか。総理の御所見を承りたいと思います。(拍手)
 ただいま中小企業のお話は多少お聞きをいたしましたけれども、施政方針演説には、中小企業政策は見当たりませんでした。中小企業こそ経済、雇用の中核であるはずで、大企業の利益の伸びがほとんど中小企業に波及をしない現状は、企業規模間格差、ひいては地方格差の拡大にもつながってきております。
 中小企業の再チャレンジというのは何なんでしょうか。人々の暮らしを支える中小企業は、安定的な経営ができるようにしっかりと支援をすることが大事ではないか、このように思うわけで、具体的なお考えをぜひお示しいただきたいと思っております。
 第三の米国路線は、社会保障などの社会政策であります。
 我が国の社会保障は、国民皆保険を初め、国民に安心を提供してきたと評価をされていますが、今、崩壊の危機に瀕しております。医療、介護などの社会保障は負担ばかり増加をして、内容がどんどんお粗末になっております。
 医師不足の問題は、全国的に深刻な実態が次々と明らかになっています。医療費抑制をねらった昨年の診療報酬の改定は、看護師が確保できずに病棟閉鎖に追い込まれる事態も引き起こしております。来年の改定で変更するようですが、地域医療への甚大な影響を考え、そこから地域格差が広がったことも考え合わせると、この間の混乱に政府は重大な責任があります。
 高齢者にとって、自己負担の引き上げも大きな不安であります。リハビリの一律打ち切りや実質的な三カ月での退院強制により行き場を失った人も出てきている、こういう状況であります。
 介護についても、昨年の介護保険法改正で、現場は危機的な状況に陥っています。サービスの削減、介護器具の貸しはがしが横行し、利用料の自己負担に耐えかねて利用できなくなった人もおります。また、低賃金や過酷な労働条件を背景に、制度を支える介護スタッフの人手不足が深刻です。介護療養型医療施設の廃止も受け皿のめどが立っておらず、このままでは行き場のない高齢者がほうり出されることにもなります。
 昨年の施行から問題が噴出した障害者自立支援法の問題についても、いよいよ行き詰まってこられたのか、この補正予算から基金を積んで対応されるようですが、そもそも、障害の重い人ほど負担を課すという考え方、制度そのものに問題があるのではないでしょうか。民主党は法案提出を準備していますが、制度改正をするお考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
 社会保障などについては、主に財政を理由に制度の変更が続いてきています。しかし、その財政見通しも、昨年の私たちの国会論戦で明らかになったように、作為的なものでありました。何よりも、本来の使命を果たせなくなっては何の意味もありません。産科医不足で、子供を産めと言われてもますます産める環境ではなくなっているというのが母親たちの素直な感想であり、総理の言われる子育てフレンドリーな社会というのは、最初からつまずいているではないですか。
 このような国民生活の根幹を支える医療、介護の現場から悲鳴が上がっているのを総理はお感じになっておられるでしょうか。早急に実態調査を行い、対策を講じるべきだと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。
 雇用に関して、具体的にお伺いをいたします。
 非正規雇用では、待遇に大きな格差があり、生涯賃金で四千六百万円程度しか稼げないという推計もある一方、二人の子育てに四千万円以上、老後の夫婦のために二千万円の資金がめどとの試算もあります。到底、結婚して子供を育てることなどできません。
 非正規の著しい増加の主因は、たび重なる派遣法制の変更にあります。制度創設に携わった有識者からも、常用雇用の代替は想定しておらず、原点に立ち返るべきだとの声も上がっております。企業にとって人は財産であるはずで、本当のプラスはどこにあるのか、派遣法制のあり方を改めて根本から見直す、検討することを考えてみませんか。総理の御見解を伺いたいと思います。
 パート法制については、民主党がパート労働者の均等待遇促進法案を二年続けて国会に提出をしてまいりました。取り上げてこなかったのは与党であります。民主党の後追いながら、今回、やっと前進をするわけですが、パート労働者の処遇を改善し本当に格差を是正するには、対象を限定したりせず、均衡待遇確保の努力義務にとどめずに、均等待遇をしっかりと法制化し、正社員への転換促進を実効性のあるものにすべきであります。民主党案をベースに議論をしたらいかがでしょうか。御提案を申し上げますが、総理の御所見を承りたいと思います。
 あわせて、米国直輸入の、名称も日本語にもならなかった、ホワイトカラーエグゼンプションについて、そもそも日本の労働の実態にかんがみればふさわしくないものと判断すべきと考えますが、今回は見送っても、いずれ選挙が終わったら導入をするということなのでしょうか。総理のお答えをいただきたいと思います。
 労働政策審議会は、地域別最低賃金の決定基準として生活保護との整合性も考慮すべきと提案をしています。民主党は、地域別最低賃金が生活保護水準を超えた金額となるよう、千円を目指して引き上げることを提案いたしますが、最低賃金制度の抜本的な見直しについて、安倍総理の見解を伺います。
 安倍政権の労働政策の背景には、経済財政諮問会議から聞こえてくる労働ビッグバンの考え方がうかがえます。労働市場改革専門調査会が設置されてそこで検討されるようでありますが、政策を決定するなら、働く現場の声が届くようにするべきであります。過労死は自己責任の問題と言い放つ人がいるような現状を私は大変憂えております。働くのは人であり、物ではありません。
 また、労働関係の法律違反が指摘をされているあたりから法改正の要請が出ているようですけれども、規範意識を重んじられる総理は、まさかそのような声に従うことはないと思っております。
 労働ビッグバンに対する総理の御所見を伺いたいと思います。
 教育については、教育に投入する資源について伺います。
 我が国の教育にかける公財政支出が先進国中最も低い水準にあることは、昨年の国会審議で繰り返し指摘をしてまいりました。奨学金制度が不十分であることから、我が国の保護者の負担は重く、限界に来ています。教育を重視すると言うなら、ぜひとも言行を一致させて教育に資源を投入するように求めます。御答弁を願います。
 以上、暮らしにかかわる社会保障や労働、教育についてただしてまいりましたが、根本的な問題として、政治がしっかり責任を持つのか、責任を持たずに市場原理にゆだねてしまうのかが問われています。健康保険など、米国より進んでいるのに我が国が後退をすることはないと思いますが、国民の皆様にぜひ判断を願いたいと思います。(拍手)
 官僚寄りで何よりも問題になるのは天下りであります。
 総理は、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんによる再就職を根絶するため、厳格な行為規制を導入すると言われましたが、これは、小泉政権の最後に担当大臣が示した案をとるということなのでしょうか。その内容であれば、極めて立件が困難な口きき行為を形式上禁止し、監視機関を設置する体裁を整えることと引きかえに、ただでさえ不十分な現行の二年間天下り禁止措置を撤廃する、まさに改革に逆行するものであります。
 民主党が行った予備的調査によれば、二〇〇五年の四月時点で、公益法人など四千近い団体に二万人以上の役職員が天下り、六兆円を超える補助金などが配られています。
 民主党は、官製談合や随意契約、天下り問題を徹底的に追及してまいりました。我が党の長妻議員を中心にかねてから国会でも問うてきた水門工事をめぐる談合疑惑も、公正取引委員会が国土交通省に官製談合防止法を適用するに至りました。
 民主党は、行為規制を導入するとともに天下りそのものの規制を強化する、両面からの規制が必要であると、既にさきの国会で提案をしております。先進国にない、省庁が天下り先をあっせん、仲介するという日本型天下りの仕組みもやめるべきであります。官僚機構の問題でありますから、行政府の長である総理が指示をされればできることであります。いかがでしょうか。本気で天下りをなくそうとされておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
 年金については、民主党は、与党と違って、現行制度からの抜本的な改革を考え、国民年金もそのままにしておくということではいけない、このように考えております。
 今回、お話がありましたが、自民党のように、自公政権のように消費税三・五%分を国民に押しつけて、それがゆえに、我々は、国民の生活に目を向けるがゆえに、これ以上は国民から取ることはできないということで、歳出削減を年金に振り向けること、このようにしたわけであります。これを声高に批判するというのは、自分たちのやっていることにそのままボールが返ってくることを言っているということがおわかりにならないとすれば、よっぽど政策への理解を欠いているとしか申し上げようがありません。(拍手)
 もう一つ、いつまでたっても直されない年金保険料の流用についても御指摘を申し上げます。
 自民党の方が国会で、我々は、この年金の保険料、国民の皆様の大事な年金の保険料は年金の給付以外には絶対に使わないと発言をしたんです。民主党の追及で、巨額の保険料の浪費に使われた条文を削除することにもなりました。
 ところが、この国会で、削除する条文にかわって、かえって広く流用できる条文を提起し、また年金事務費に保険料を使える、今年度分と次年度分以降の二法案を提出の予定をされておられます。約束をほごにせずに、年金の保険料は年金の支給以外には使わない、この鉄則をぜひ打ち立てていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
 社会保険庁は、不祥事が頻発し、年金制度に対する国民の信頼を失墜させている大きな要因となり、廃止は当然の帰結だと私どもも考えています。
 政府提出のねんきん事業機構法案は、みずから看板のかけかえと認め、撤回に至りました。当時の官房長官であった総理は、責任者としてみずからまとめた法案に問題があったとお認めになったのか、お聞かせいただきたいと思います。
 政府から今国会に提出予定の社保庁改革法案も、解体六分割を強調しておられますが、社保庁を独立行政法人のような公的法人に移行させる、またまた看板のかけかえということはないのでしょうか。
 最大のポイントは、今の社会保険庁に保険料として入ってくる厚生年金、国民年金合わせて年間二十一兆円、この扱いを利権化するかどうかであります。厚生労働省からしっかりと切り離すことが必要で、民主党が主張する歳入庁構想の採用の話も一時はあったようでありますが、厚労省官僚の抵抗に押されて断念をされたのでしょうか。
 実現をすれば、完全に社保庁の解体となります。アメリカ、イギリス、カナダ、スウェーデンなどでも、税金と一緒に保険料を集めています。もちろん、歳入庁から民間委託が可能な事業は徹底して民間委託をしていただければいいというふうに私どもは考えております。
 納めたはずの年金の保険料が消える。社保庁の信じられない不祥事が続々と明らかになっています。厚生年金や国民年金の保険料を納めたのに、納付記録がなくなっている。記録ミスなどの判明が多発をしていますけれども、恐らくまだまだ氷山の一角であります。
 民主党の再三にわたる指摘にも、社保庁は、ポーズをとるばかりで、事態を深刻に受けとめようとしていません。ねんきん定期便など、悠長な姿勢では間に合わないのであります。解体前の最後に緊急事態宣言を出して、全被保険者、全受給者に納付記録を送付して、緊急に点検をお願いし、被害者の救済を進めるべきだと思います。
 国民の皆様にもお願いをしておきたいと思います。お近くの社会保険庁で御自身の記録をチェックしてください。残念ながら、今の社保庁は信用できません。みずから防衛をしていただくほかない、このように思っております。(拍手)
 政治主導を実現するためには、信頼が最も大切であります。
 昨年末に佐田前行革担当相が、政治資金収支報告書の虚偽記載が明らかになって、閣僚を辞任されました。その後、必ずしも正確な表現ではありませんが、ほかにも事務所費に不明朗な点があるとする報道が相次ぎました。小沢代表や私にも事務所費に何か問題があるかのごとく言われましたが、私たちは、報道各社に対して、またテレビに出る機会をとらえて、既に適切に処理している旨、内容も含めて御説明を申し上げております。
 説明責任を果たさなければならないことは当然であります。その上で、現行法制では、怪しげな処理も正当な処理も区別がつかないということは明らかになってまいりました。私自身も、事務所費を悪用するとは考えもつきませんでしたが、残念ながら、可能であると言わざるを得ません。
 領収書の添付の範囲の拡大、費目の見直しなど、この国会で政治資金規正法改正を速やかに実現し、政治資金の透明度を高める必要があります。自民党の中から煩雑さを嫌うという声が出ているという報道がおありのようですけれども、自民党総裁としての安倍総理の御所見をお示しいただきたい。あわせて、説明責任、説明のあり方について、小沢代表からお聞きをしたことについても、総理から御答弁をいただきたいと思っております。
 代表に続いて、柳澤厚生労働大臣の御発言について伺います。
 女性を子供を産む機械や装置と表現されたと聞き、信じられない思いであります。発言を撤回するとか、取り消すとか、誤解を招いたとかいう話ではなくて、そのように思っていたこと、人として、驚き、嘆き、憤っております。厚生労働大臣は、出産から子育て支援、女性の働き方、少子化の問題など、母親と子供に関する問題を広く深く所掌しておられるわけであります。注意をしたというお話があったようでありますが、職務の本質にかかわる問題で、それに適しているかどうかということが問われる問題だと認識をしております。
 総理はどのように思っておられるのか。不適格な大臣をどうすべきかは総理もよくおわかりのはずでありますから、御答弁を願いたいと思います。
 また、柳澤大臣の方からも御所見を承りたいと思います。
 施政方針演説をお聞きいたしましたけれども、イノベーションやアジア・ゲートウェイ構想など、安倍カラーと言われる部分は御就任時の所信表明から変わらない表現というふうにお聞きをいたしました。四カ月で前進がないのか、これからと言われても、リーダーシップやスピード感を感じることは難しいわけであります。
 まず、喫緊の課題である中国の残留孤児の問題について、御自身で判断をしていただいたらいかがでしょうか。高齢の当事者の方々の置かれた状況を考えれば、政治決断が必要であります。
 以上、論点を絞って質問をしてまいりましたが、伺いたいことは山積をしております。
 ここまで申し上げてきたように、政策は大半が米国発、時々民主党。その民主党案も、そのまま取り入れていただければいいのですが、形だけの骨抜きになっています。政権交代をしていただいた方が国民のためだと私は感じております。
 与党の方々から、民主党の政策に対して、一方的に内容を歪曲して批判をする声が聞こえてまいりますが、政権与党なんですから、まず、いい政策をつくって実行してください。国民が見ております。国会の場で建設的に議論をさせていただきましょう。
 まずは、この質問に対して、正攻法とか正面からとかそういう言葉は要りませんから、具体的に御答弁をいただきたいと思います。
 御答弁によっては再質問を行うことを申し添えて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松本剛明議員にお答えをいたします。
 対イラク武力行使に関する政府の見解及び久間防衛大臣の発言についてお尋ねがありました。
 当時、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反をし続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。そのような認識のもとで、政府としては、安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであります。
 久間大臣も、防衛大臣としてこの政府の立場を支持、踏襲することを確認いたしております。
 米政府のイラク政策に対する政府の見解についてお尋ねがありました。
 今般の米政府のイラク政策の発表において、ブッシュ大統領は、イラクの安定化と復興に向けた米国の決意を示されたと承知をしております。
 このような米国の努力が効果的に進められ、よい成果を上げることを期待するとともに、我が国としては、今後とも、国際社会と協力し、イラクの復興支援に取り組んでいく考えであります。
 イラクへの自衛隊の派遣についてお尋ねがありました。
 今後のイラクにおける空自部隊の活動のあり方については、イラクの政治状況、現地の治安状況、国連及び多国籍軍の活動や構成の変化等の諸事情をよく見きわめながら、イラクの復興の進展状況なども十分に勘案した上で、適切に判断してまいります。
 自衛隊のイラクでの活動状況を明らかにすることについてのお尋ねがありました。
 活動状況を明らかにするに当たっては、活動している自衛隊員はもとより、国連及び多国籍軍の要員の安全に十分に配慮することが必要であることから、定期的に輸送回数、輸送物資等の区分、輸送物資の累計重量をまとめてお示ししているところであります。
 今後とも、まずもって要員の安全確保や運用を最優先事項とし、国連や各国の動向などにも留意をしながら、可能な範囲で活動状況をお示しするよう努めてまいります。
 北朝鮮問題に関する六者会合に向けての政府の方針についてお尋ねがありました。
 北朝鮮による核保有は断じて容認できません。我が国としては、近く再開される予定の六者会合において、米国、中国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、核放棄に向けた具体的行動をとるよう強く求めていきます。
 同時に、六者会合においては、引き続き拉致問題も取り上げてまいります。
 中国との関係についてお尋ねがありました。
 私は、就任直後、中国を訪問し、首脳レベルで胸襟を開いて話し合いを行い、関係を改善しました。今後とも、両国国民にとってお互いに利益となるよう、戦略的互恵関係を築いてまいります。
 そのため、幅広い分野で具体的協力を積み上げるとともに、御指摘のような課題の解決に向けて、首脳レベルを含め、率直な意見交換を重ねてまいります。
 日ロ関係についてお尋ねがありました。
 ロシアは大事な隣国であり、日ロ関係の発展が両国に恩恵をもたらす潜在的な可能性は大きなものがございます。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針にのっとり、領土問題の解決に粘り強く取り組むとともに、幅広い分野での関係の発展に努めてまいります。
 我が国の国連に対するスタンス及び安保理常任理事国入りについてのお尋ねがありました。
 我が国は、従来より、日米同盟や近隣諸国等との関係強化に加え、国際協調を外交の基本方針としてきましたが、その中でも、国連については、最も包括的で普遍的な国際機関として重視してきており、引き続き積極的に関与していく考えであります。
 我が国の安保理常任理事国入りについては、できるだけ早期の安保理改革の実現を目指して、引き続き取り組んでまいります。
 景気を企業から家計へ波及させるための政策についてお尋ねがありました。
 今後、景気回復が実感できるようにするために重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせていくことであると考えています。
 このため、まずは、オープンな経済とイノベーションを通じて成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図ってまいります。
 また、今般取りまとめた再チャレンジ支援総合プランなどを通じて、パート労働者の正規労働者との待遇の均衡化、正規雇用への転換等に取り組み、だれでも再チャレンジが可能な社会の実現を目指してまいります。
 同時に、しっかりしたセーフティーネットの構築を進めるため、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するよう必要な見直しを行うとともに、働く意欲を引き出す就労支援を図ってまいります。
 さらに、雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化を進めてまいります。
 税制改正と社会保険料等の見直しに関し、お尋ねがありました。
 税や保険料等のあり方は、負担が低ければいい、負担がふえるのは問題という単純な考え方で論ずるべきではなく、社会保障における給付と負担のバランスなど、それぞれの制度の置かれている状況、背景などから考えるべきであります。
 平成十九年度税制改正においては、我が国経済の成長基盤を整備する観点から、減価償却制度の抜本的な見直しを行うとともに、住宅・土地税制の見直しなど、国民生活に配慮した措置を講じています。これにより、経済の活性化が図られ、さらには家計部門にも好ましい影響があるものと考えられます。
 定率減税は、平成十一年当時、景気対策として導入された暫定的な負担軽減措置であり、平成十八年度税制改正において、こうした導入の経緯や経済状況の改善を踏まえ廃止をしたものであります。
 また、社会保険料等の見直しは、社会保障給付が増加する中で、制度の持続可能性を高めるなどの観点から、所得の低い方には配慮しながら実施してきたものであります。
 会社と株主主権に関するお尋ねがありました。
 株式会社は、株主の出資により成り立っていますから、第一義的には株主のためのものであると言うことができますが、他方で、会社には従業員や取引先等のさまざまな利害関係者が存在しており、会社の活動にとって、こうした関係も重要であると考えております。
 今後とも、我が国の社会経済情勢や我が国を取り巻く国際環境に適合し、その中での株式会社のあるべき姿を見据えた法制度を構築してまいります。
 いわゆる上げ潮路線についてのお尋ねがありました。
 お尋ねは財政健全化と経済成長の関係についてのものと考えますが、財政健全化に向けては、成長なくして財政再建なしの理念のもと、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組みます。歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにします。
 このように、成長力強化と財政健全化の双方を車の両輪とするバランスのよい経済財政運営を、一貫性を持って継続的に行ってまいります。
 消費税引き上げの意思についてお尋ねがありました。
 我が国財政は引き続き極めて厳しい状況であり、今後とも、経済成長を維持しながら、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組みます。
 歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければなりません。本年秋以降、本格的な議論を行い、十九年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。
 我が国企業の強みについてのお尋ねがありました。
 ものづくりは、我が国が長期的視野に立って技術開発や人材育成を行ってきた結果蓄積された、技術、技能、知識、ノウハウのいわば結晶であり、我が国企業の国際競争力の源泉であります。
 グローバル化によって資本が自由に国境を越えて移動をする中にあっても、我が国企業の強みが維持発展されるような取り組みを進めてまいります。
 中小企業の取引や経営安定化についてお尋ねがありました。
 中小企業は、我が国経済社会の活力の源です。政府としては、従来より、大企業が下請事業者に対して代金の支払い遅延や減額などの不公正な取引を行わないよう、下請取引の適正化に取り組んでいるところであります。
 加えて、中小企業への円滑な資金供給等により、中小企業の経営の安定化に取り組んでおります。
 今後とも、中小企業が不利な立場に置かれることがないように万全を期してまいります。
 障害者自立支援法についてお尋ねがありました。
 本制度は、就労支援の強化や地域移行の推進など、障害者の方々が安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指すものであります。
 また、制度を皆で支えるため、国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則一割の負担をお願いしておりますが、障害が重い方でも必要なサービスが受けられるよう、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細やかな軽減措置を講じております。
 さらに、今般、法の円滑な運用を図るため、現場の声を十分に踏まえ、もう一段の負担軽減措置などの特別対策を講ずることとしており、引き続き法の定着に万全を尽くしてまいります。(拍手)
 医療、介護についてお尋ねがありました。
 高齢化の進行等に伴い、社会保障給付の増加が見込まれる中、これまで、世代間の公平の確保や制度の持続可能性を高める観点などから、介護、医療などについて必要な制度改革を行ってきたところであります。
 これらの改革に当たっては、所得の低い方に配慮するなどの措置を講じてきたところでありますが、今後とも、支援を必要とする方が必要なサービスを受けることができるよう、現場の状況等を十分把握しながら、制度の適切な実施を図ってまいります。
 また、医療、介護などの供給体制についても、引き続き現場の実情を踏まえて、きちんとした対応を行ってまいります。
 派遣法制についてのお尋ねがありました。
 最近の非正規雇用の増加傾向は、経済・産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきていることが一因と認識しています。
 これまでの労働者派遣法の改正は、こうした意向に沿った必要なものであると考えております。
 今後とも、労働者派遣制度については、その施行状況や関係者からの意見を十分に踏まえながら、適時適切に検討を行ってまいります。
 パート労働法についてのお尋ねがありました。
 パートタイム労働者の待遇を働き、貢献に見合った公正なものとすることは、国民一人一人が安心し納得して働ける社会の実現のため、また、我が国経済の活力の維持のために重要な課題です。
 このため、政府としては、パートタイム労働者の就労実態は多様であることから、差別的取り扱いの禁止と均衡待遇の確保の組み合わせにより、すべてのパートタイム労働者を対象として、きめ細かく待遇を改善するパートタイム労働法の改正案を今国会に提出してまいります。
 ホワイトカラーエグゼンプションについてのお尋ねがありました。
 働き方の問題については、働く人たち、国民の理解を得ることが不可欠であります。労働時間法制のあり方については、現在検討をしているところであり、さまざまな議論を踏まえた上で適切に判断をしてまいります。
 最低賃金制度の見直しについてお尋ねがありました。
 今国会に提出する改正法案においては、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するよう、地域別最低賃金について生活保護との整合性も考慮することを明確にすることとしております。
 また、不払いに係る罰金額の上限を大幅に引き上げるとともに、労働者が監督機関に対して申告した場合、不利益な取り扱いを行うことを罰則をもって禁止することとしており、これにより実効性が強化されるものと考えております。
 なお、最低賃金額を御指摘のように単純に大幅に引き上げることについては、中小企業を中心として、労働コスト増により事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われる面があり、非現実的と考えております。(拍手)
 労働市場改革についてのお尋ねがありました。
 人口が減少する中で、高い成長を維持しつつ国民の生活の質を高めることが重要です。
 このため、複線型でフェアな働き方を実現させ、働く人一人一人が働くことへの誇りや生きがいを感じられるよう、ワークライフバランスや再チャレンジ支援の観点から今までの働き方を見直すとともに、経済の活力を維持できるような環境の整備を図ることが重要と考えております。
 教育に投入する資源についてお尋ねがございました。
 教育再生は内閣の最重要課題と位置づけており、社会総がかりで教育の基本にさかのぼった改革を推進し、教育新時代を開くためにも、教育予算の内容の充実は重要であります。
 このため、平成十九年度予算案においては、奨学金事業の拡充、全国学力調査の実施、放課後子どもプランの実施など、めり張りをつけて、真に必要な教育予算についてその充実を図っているところであります。
 天下りについてのお尋ねがありました。
 いわゆる天下り問題に対して国民の厳しい批判があることを真摯に受けとめ、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんによる再就職を根絶する必要があると考えています。
 中馬元行政改革担当大臣が提示された案も考慮しつつ、さまざまな観点から検討を加え、実効性のある行為規制の導入と監視体制の確立の具体化に向けて内容を精査してまいります。
 天下り規制の強化についてお尋ねがありました。
 天下りにつきましては、ただいまお答えしたように、押しつけ的なあっせんによる再就職を根絶する必要があると考えております。各省庁の行う再就職の紹介がそのような内容にならないようにしていく必要があると考えています。
 このため、行為規制の導入と監視体制の確立について検討を進めているところであり、実効性のある改革を行ってまいります。
 年金保険料についてお尋ねがありました。
 年金保険料については、これまで、年金福祉施設等の整備に充てない旨お答え申し上げてまいりましたが、これは、年金保険料は年金給付及び年金給付に関連する年金相談、情報提供等の事業費や事務費以外には充てないという考え方で対処するものであります。
 今後とも、こうした考え方に立って、今国会に提出する法案に所要の規定を盛り込むとともに、無駄をなくすための取り組みを徹底いたします。
 社会保険庁改革についてのお尋ねがありました。
 社会保険庁改革については、昨年の通常国会にねんきん事業機構法案を提出しましたが、その後再び、国民の信頼を損なう問題が生じたところであり、このため、規律の回復と事業の効率化をさらに徹底すべきとの国民の声をしっかりと受けとめ、非公務員型の新法人の設置など、社会保険庁の廃止・解体六分割を断行することとし、新たな改革法案を今国会に提出してまいります。(拍手)
 なお、民主党の歳入庁構想については、年金保険料と国税とでは徴収の対象が大きく異なること、徴収業務の基本的な性格が異なることから、業務の効率化等の利点は考えにくく、社会保険庁を公務員のまま温存することにしかならないものと考えております。
 年金記録についてのお尋ねがありました。
 年金の支給を決定する際には、従来から、個別に御本人に年金の加入履歴等を確認していただいた上で決定しておりますが、昨年八月から、年金記録相談の特別強化体制をとり、すべての被保険者等の御疑問にお答えをしているところであります。
 今後とも、年金に対する信頼が損なわれることのないよう、記録の管理や相談等に万全を期してまいります。
 政治資金規正法のあり方についてお尋ねがございます。
 既に小沢代表にお答えをいたしておりますが、政治において大切なことは、国民の信頼であります。政治家は、李下に冠を正さずとの姿勢のもと、常に襟を正していかなければなりません。
 私は、自由民主党総裁として、御指摘の点を含む政治資金のあり方については、党改革実行本部において検討を進めるよう指示し、既に議論が行われているところであります。
 さらに、この問題は、政治活動の自由、政治資金の透明性等の観点から、各党各会派においても同様に十分御議論をいただきたいと考えております。
 厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。
 厚生労働大臣の発言については、その場で大臣みずから、直ちに、不適切であった旨述べたと聞いております。私としても、不適切な発言と考え、今後誤解を生じないように、大臣に厳しく注意を促したところであります。
 中国残留孤児についてお尋ねがありました。
 中国残留孤児の方々は既に高齢化しており、これまで多くの御苦労があったと認識しております。
 こうした状況に十分に配慮し、来年度予算においては、自立支援のためのきめ細かな取り組みを一層推進することといたしました。
 今後とも、当事者の方々の地域における生活の状況等にもつぶさに目を向け、その支援が行き届いたものとなるよう努力してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
#16
○国務大臣(久間章生君) 松本議員にお答えいたします。
 米国等の対イラク武力行使に関する私の発言についてのお尋ねがありました。
 私の発言は、当時、閣外にあって感じた感想として述べたものであり、総理がお答えしたとおり、政府としては米国等による対イラク武力行使を支持しており、私も、防衛大臣として、この政府の立場を支持、踏襲しております。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
#17
○国務大臣(柳澤伯夫君) 松本議員にお答え申し上げます。
 私は、去る一月二十七日、島根県松江におきまして講演をいたしました。その講演の一部におきまして、人口推計の説明をいたしました。その際、女性と人口の関係につきまして、女性の方々を傷つける不適切な表現を用いました。国民の皆様、特に女性の方々に対しまして申しわけないと存じ、ここに改めて深くおわびを申し上げます。
 今後は、安倍内閣のもとで、子どもと家族を応援する重点戦略の具体化などを含め、少子化対策のために全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
#18
○副議長(横路孝弘君) 松本剛明君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。松本剛明君。
    〔松本剛明君登壇〕
#19
○松本剛明君 与えられた持ち時間の範囲で再質問をさせていただきたいと思います。五点にわたって質問をさせていただきます。(拍手)
 まず一つは、イラク戦争の問題でありますが、国連決議を今おっしゃっておられましたけれども、国会でも、有名な大量破壊兵器の論議があったではありませんか。開戦の大きな理由だったわけであります。
 私どもは、久間大臣の今の答弁はもっと本音で語っていただきたいと思いますけれども、せっかく米国でも状況が変わりつつある今だからこそ、政治家として、やはり過ちは一度整理をして次へ進む、こういう決断をするチャンスだと思えばこそ質問をさせていただいたわけで、もう一度御再考をいただけないか、質問をさせていただきたいと思います。
 二つ目は、企業から家計にどうやってお金を回すのかというふうにお聞きをしたのに、企業をこうする、ああするという話ばかり御答弁をいただいたような気がいたします。
 あわせて、一つだけ申し上げておきたいと思いますが、定率減税は景気回復の一時的なものとおっしゃいましたが、当時の小渕総理が、恒久的なもの、こうおっしゃった。亡くなった小渕総理に対しても、また法律に書いてあることに対しても、答弁としては形になっていないというふうに申し上げざるを得ません。官僚の振りつけた答弁としか言えないのではないでしょうか。
 消費税の引き上げについても、改めてお聞きをいたします。
 財務大臣が、代表なくして課税なしとおっしゃったんです。そうであれば、やはり選挙に先立って税制のあり方をお示しいただきたい、このように申し上げるのが第三点であります。
 四点目は、天下りの規制であります。
 あっせんがよくないというのであれば、その文脈からは、あっせんをやめさせたらいいではないですか。押しつけ的なあっせんをなくすとおっしゃいますが、少なくとも我々は、今政府から、今行われている仲介、あっせんが押しつけだと聞いたことはありません。ということは、今の天下りは全部オーケーだと言ったに等しい答弁だというふうに今受け取りましたけれども、そういうことでよろしいのでしょうか。
 そして、年金記録の消失についても申し上げたいと思います。
 人のやることであるから、ミスがゼロだとは言いませんが、例えば、五十八歳、通知をされた方々で一割近い方が、私の記録は違っているんではないかと訂正要求を出しているんです。尋常じゃない事務の処理が行われているわけであります。
 そして、先ほど、受給をするときに記録を確認するとおっしゃいましたが、その後の判明ミスで、受給者の方でも十一万人の方が受給額が変更になっているんです。お役所の説明をどのようにお聞きになられたのかわかりませんけれども、実態をぜひ見ていただきたいと思っています。
 障害者自立支援法の問題でも、もうこれは質問いたしませんが、リハビリの問題でも、我々に対して役所は、きめ細かく対応すると官僚はしますが、現場では必ず大変なことが起こっているわけであります。
 今回も、そのことを踏まえて、現場の声を聞いてどうすべきかということで御提案をさせていただいていることを踏まえて、御質問に回答いただきたいと思っています。
 イラクの問題が第一、そして企業から家計へ回る方法が第二、消費税が第三、そして天下りが四つ目で、年金記録の消失が五つ目、五点御質問をさせていただきました。
 御答弁をお願いいたしますが、時間の範囲で私にはもう一度質問する権利がありますので、場合によってはさせていただくことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) イラクについての再質問でございますが、既に私が先ほど答弁したとおりでありまして、当時、イラクは、十二年にわたりまして累次の国連安保理決議に違反をし続けたわけであります。国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとしなかったのは、御承知のとおりであります。最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかった。こうした認識のもとで、政府としては、安保理決議に基づいてとられた行動を支持したものであります。(拍手)
 続きまして、家計いじめについての再質問でございますが、我々は、いわゆる家計いじめというような認識は全く持っていないわけでありまして、これも既にお答えをしたとおりでございます。
 我々は、平成十九年度税制改正においては、我が国経済の成長基盤を整備する観点からも、減価償却制度の抜本的な見直しを行うとともに、住宅・土地税制の見直しなど、国民生活に配慮した措置を講じています。これにより、経済の活性化が図られ、さらに家計部門にも好ましい影響があるものと考えています。
 また、定率減税については、平成十一年当時に景気対策として導入したということについては、私が申し上げたとおりでございます。平成十八年度の税制改正において、こうした導入の経緯や経済状況の改善を踏まえ廃止をしたものというのは、もう答弁をしたとおりでございます。
 続きまして、消費税についてでございますが、消費税につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければなりません。本年秋以降、本格的な議論を行い、十九年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見直しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。
 このように、消費税を含む税体系の抜本的な改革を行っていくと述べているとおりでございます。
 続きまして、天下りについての再質問があったわけでございますが、天下りにつきましても、先ほど申し上げましたように、これも繰り返しになるわけでありますが、いわゆる予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんによる再就職を根絶する必要がある、この観点から取り組んでまいりますことをお約束を申し上げるところであります。
 そして、年金記録についてお尋ねがあったわけでありますが、これも先ほど既に答弁しているとおりでありまして、昨年八月から年金記録相談の特別強化体制をとっているわけでありまして、すべての被保険者等の御疑問にお答えをしているところであります。
 今後とも、年金に対する信頼が損なわれることのないよう、記録の管理や相談等に万全を期してまいります。(拍手)
#21
○副議長(横路孝弘君) 松本剛明君からさらに再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますから、ごく簡単に願います。松本剛明君。
    〔松本剛明君登壇〕
#22
○松本剛明君 ただいまお聞きをした五つの点も、細かい数字などを私は聞いた覚えはありません。御自身の御判断でお答えをいただけると思ってお聞きをさせていただいたんですが、あちらこちらから紙が出てきて、それを集めてお読みになっておられるようでありますが、結局、なぜもう一度御質問をさせていただくのかということになってしまうと思います。
 二点だけお聞きをさせていただきます。
 一つは、天下りの問題、先ほど申し上げました。あっせん、仲介は、官僚機構のトップである総理がやめる気になればできるはずなんです。指示を出される気があるのかどうかを私はお聞きをさせていただいているわけであります。
 それから、年金記録の消失については、今のままでは大変なことになる、間に合わない、解体前に一つやるべきこととして、緊急事態でやるべきではないかということを申し上げたわけで、政治判断をされるかどうかということをぜひおっしゃっていただきたいと思います。
 これで私も質問の機会がなくなりますので、あとは、政治資金規正法に対する答えについても、柳澤大臣の問題についても、答弁には納得をしていないということ。それから、最低賃金の問題については、米国ですら、世界で一番低かった米国がこれで日本を抜いて、日本は最低水準になろうとしているわけであります。政治判断の問題だからお聞きをしているということをぜひ御理解いただきたいということも、あわせて申し上げたいと思います。
 以上二点について、御答弁をお願いいたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 天下りについて、いわゆる押しつけ的な天下りについて、それを根絶する、私は根絶をしてまいる、このように申し上げているとおりでありまして、やる気があるかないか。まさにやる気があるから根絶するということをお約束を申し上げているわけであります。やる気があるかないか。やる気があることを答弁するのは当然であります。
 年金記録についてさらにお尋ねがあったわけでありますが、年金に対する信頼が損なわれることのないように、当然、この記録の管理や相談等に万全を期していかなければならない、その考えで今後とも取り組んでまいります。(拍手)
     ――――◇―――――
#24
○加藤勝信君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明三十日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#25
○副議長(横路孝弘君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○副議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣 安倍 晋三君
       総務大臣   菅  義偉君
       法務大臣   長勢 甚遠君
       外務大臣   麻生 太郎君
       財務大臣   尾身 幸次君
       文部科学大臣 伊吹 文明君
       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君
       農林水産大臣 松岡 利勝君
       経済産業大臣 甘利  明君
       国土交通大臣 冬柴 鐵三君
       環境大臣   若林 正俊君
       防衛大臣   久間 章生君
       国務大臣   大田 弘子君
       国務大臣   塩崎 恭久君
       国務大臣   高市 早苗君
       国務大臣   溝手 顕正君
       国務大臣   山本 有二君
       国務大臣   渡辺 喜美君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  下村 博文君
 出席政府特別補佐人
       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君
ソース: 国立国会図書館
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