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2007/02/20 第166回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第166回国会 本会議 第7号
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2007/02/20 第166回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第166回国会 本会議 第7号

#1
第166回国会 本会議 第7号
平成十九年二月二十日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成十九年二月二十日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員臼井日出男君及び太田誠一君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 公益認定等委員会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
 航空・鉄道事故調査委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長提出)
 尾身財務大臣の平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに菅総務大臣の平成十九年度地方財政計画についての発言並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(河野洋平君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました臼井日出男君及び太田誠一君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 これより表彰文を順次朗読いたします。
 議員臼井日出男君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員太田誠一君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(河野洋平君) この際、臼井日出男君及び太田誠一君から発言を求められております。順次これを許します。臼井日出男君。
    〔臼井日出男君登壇〕
#6
○臼井日出男君 このたび、院議をもって永年在職議員の表彰の栄を賜りましたことは、議会人としてまことに光栄に存じます。
 これもひとえに、先輩、同僚の皆様方の御指導のたまものと厚く御礼申し上げます。また、昭和五十五年の初当選以来、変わらぬ御支援をくださいました地元千葉県民の皆様はもとより、身近で政治活動を支えてくださった支持者の皆様や友人の温かい励ましと御協力により、今日まで議員を続けることができましたことを衷心より感謝申し上げます。(拍手)
 二十八年前に政治家を志して以来今日まで、みずからの政治姿勢をもって政治家としての基本を私に示してくれた父臼井荘一を目標としてまいりました。私は、常に父から受け継いだ政治信条である、「まず己を正し、真面目に働く者が正しく報われ、恵まれない人々が国の力で確かに救われる社会づくり」にみずからを照らし合わせて、おのれを律し、政治活動を続けてまいりました。
 二十五年の議員生活の中でも、国防のかなめである自衛隊を擁する防衛庁の長官、法の整備や法秩序の維持によって国民の権利を守る法務省の長である法務大臣の要職につき、日本国民の安心、安全のために力を尽くすことができたことは望外の喜びであります。(拍手)
 特に、長年の懸案であった防衛庁の省昇格が成ったこの年に表彰を受けることができましたことは、感激の至りであります。
 さて、我が国は、二十一世紀に至り、新たに二つの大きな課題を持つこととなりました。その一つは、日本の縮みをいかに克服し、国力を維持発展させるかであり、いま一つは、地球レベルの環境問題をいかに解決し、地球環境保全と人類の生存を守っていくのかであります。
 今、日本には一部に将来への不安と閉塞感がありますが、これを払拭し、日本ほど恵まれている国家はないという誇りと自信をすべての国民が持てるようにすることが私たち国会議員の責務であります。
 また、世界の中の日本という意識を持ち、国際社会の一員として、時には先頭に立って環境問題を初めとしたあらゆる分野で日本が重要な役割を担っていかなければならないと思います。
 私は、これからも常に初心に立ち返り、厳しい政治課題に対して全力で挑戦してまいりたいと存じます。
 今後とも、議員各位の一層の御指導、御叱正を賜りますようお願い申し上げ、お礼の言葉といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#7
○議長(河野洋平君) 太田誠一君。
    〔太田誠一君登壇〕
#8
○太田誠一君 ただいま、先輩同僚議員各位より、院議をもって永年在職の表彰を賜りました。まことにありがとうございます。(拍手)
 この栄誉に浴することができましたのは、地元福岡都市圏の有権者の皆様方、ともすれば波風を立てることの多かった私でございますが、大変広い心で包容をしてくださったこと、そして、福岡そして東京の後援会の皆様方が何事があっても温かく支えてくださったこと、そしてまた、私事にわたりますが、家族、親族、事務所のスタッフが私にかわって苦労を背負ってくれたことによるものであります。先輩同僚議員各位の皆様方初め、大変長くお支えをいただきました皆様方に、心から改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 私は、終戦の年の十月生まれでございます。ぎりぎり戦後の生まれでございます。安倍晋三総理も戦後生まれでございますが、ぎりぎり私も戦後の生まれでございます。私どもは、ともすれば戦前、戦後ということにこだわるわけでございますが、どうしてそういう区分にこだわるのかといいますと、いまだ私たちは太平洋戦争の総括ということを終わっていないということではないでしょうか。
 太平洋戦争に至る道は、後で思えば狂気のさたというほかないわけであります。これを国の統治、国のガバナンスという角度から総括するとすれば、当時の陸軍省、海軍省初め行政府の各省はばらばらに分立割拠していて、内閣が一体となって一元的に物事を決定することができない状態だったとされております。
 各省の分立割拠が国を破綻させるということがどうしても私の頭を離れなかったのでありますが、行政改革担当大臣を拝命いたしました一九九八年、中央省庁再編を中心とする十七本の法律を立案する際に私が執着をいたしましたのは、内閣が実際に一元的に物事を決定し、総理大臣が各省を一体のものとして指揮するということはできないものかどうかということでありました。
 そのため、行政府の長として総理大臣が持つべきリーダーシップ、そのリーダーシップの正しさ、正当性が明らかになるように、内閣法の一条と二条を書きかえました。さらにこれを補強するために、幾たびにも及ぶ閣議決定を積み重ねたのであります。
 もう一つは、行政府の各省は、従来から特殊法人や特別会計という道具立てを使って、めいめいが野方図に借り入れをふやし、肥大化し、必然的に今日の財政危機がもたらされたと言われております。このプロセスは、どこか太平洋戦争に至る道筋に相通じるところがあるように思えてなりません。
 そこで、自由民主党の行革本部長を拝命いたしました二〇〇一年、特殊法人全体を一気に整理する法律を与党の議員提案として出し、成立させていただきました。この法律が根拠となって、その後の道路四公団や政策金融機関の改革に道が開かれたと自負をいたしております。(拍手)
 また、一昨年、自由民主党の特別会計改革の責任者としていただきました。三十一あった特別会計を統合的に運用する案をまとめましたが、その案は、そのまま昨年成立した行革推進法の中心部分としていただきました。また、これから提案される法律にもなっております。
 こうして積み上げた改革のための立法でありますが、なお十分なものとは言えないのであります。山登りで言えば、三合目といったところであります。行政府各省の分立割拠を克服するには、さらに一層大きな一歩を踏み出さなければならないと考えております。
 しかし、それにしても一定の成果を上げることができましたのは、心の広い、感性のすぐれた先輩同僚各位がかなめの場所にそれぞれおられたからであります。少数ではあるけれども、勇気と情熱を持った同志議員の皆様の協力があったからであります。そしてまた、改革の対象といたしましたほかならぬ各省の担当官の皆さんが、私どもとの激しい討論を経て、その主張を受け入れた後においては、むしろ果敢に根回しに動いていたことによります。
 私どものこの政治、行政の場は、みずから問題を解決する力というのを潜在的には持っているのであります。どこかで心の切りかえができさえすれば、この国を襲おうとしておる大きな困難に立ち向かうことができるのではないか、このように考えております。
 人口の急速な減少、途方もない国の負債、近隣諸国との緊張関係、自分さえよければという生き方に走りばらばらになりがちな人の心、普通ならば克服できない困難ばかりであります。しかし、ひるむことなく、お互いに頑張ろうではありませんか。どうかこれからもよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 公益認定等委員会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
 航空・鉄道事故調査委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件
#9
○議長(河野洋平君) お諮りいたします。
 内閣から、
 国家公安委員会委員
 公益認定等委員会委員
 労働保険審査会委員
 中央社会保険医療協議会委員
及び
 航空・鉄道事故調査委員会委員長及び同委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 内閣からの申し出中、
 まず、
 国家公安委員会委員に長谷川眞理子君を、
 公益認定等委員会委員に大内俊身君、佐竹正幸君、池田守男君、袖井孝子君、出口正之君及び時枝孝子君を、
 労働保険審査会委員に坂本由喜子君及び平岡昌和君を、
 中央社会保険医療協議会委員に遠藤久夫君、白石小百合君及び前田雅英君を、
 航空・鉄道事故調査委員会委員長に後藤昇弘君を、
 同委員に首藤由紀君及び松尾亜紀子君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、
 公益認定等委員会委員に水野忠恒君を、
 航空・鉄道事故調査委員会委員に遠藤信介君及び楠木行雄君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
#12
○議長(河野洋平君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員細田吉藏君は、去る十一日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 細田吉藏君に対する弔詞は、議長において去る十六日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに運輸委員長 議院運営委員長 日本国有鉄道改革に関する特別委員長等の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等細田吉藏君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
#13
○加藤勝信君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長提出、公職選挙法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#14
○議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長提出)
#16
○議長(河野洋平君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長今井宏君。
    ―――――――――――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔今井宏君登壇〕
#17
○今井宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 地方選挙においては、現行法上、選挙運動のために頒布できる文書図画は、通常はがきのみが認められております。
 本案は、地方公共団体の長の選挙において、候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため、国政選挙と同様に、選挙運動用のビラの頒布を認めようとするものであります。
 本案の主な内容は、
 第一に、地方公共団体の長の選挙において、選挙運動のために使用するビラを頒布することができることとし、その枚数について定めるものとしております。
 第二に、ビラの作成費用については、任意的選挙公営制度として、都道府県知事及び市長の選挙においては、それぞれ条例で定めるところにより、無料とすることができることといたしております。
 なお、本案は平成十九年三月二十二日から施行するものとし、施行日以後告示される地方公共団体の長の選挙について適用することといたしております。
 以上が、本案の趣旨及び内容であります。
 本案は、本日政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会において全会一致をもって起草、提出したものであります。
 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに国務大臣の発言(平成十九年度地方財政計画について)並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#20
○議長(河野洋平君) この際、内閣提出、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を財務大臣から求め、平成十九年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を総務大臣から求めます。財務大臣尾身幸次君。
    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕
#21
○国務大臣(尾身幸次君) ただいま議題となりました平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について御説明申し上げます。
 平成十九年度予算においては、税収が増加する中においても、徹底した歳出削減方針を貫き、多くの経費を平成十八年度当初予算より減額し、一般歳出の増加をできる限り抑制いたしました。
 この結果、新規国債発行額について、平成十八年度当初予算に比べ、過去最大の四兆五千四百十億円の減額を実現しましたが、我が国の財政状況は引き続き厳しい状況となっており、特例公債の発行等の措置を講ずることが必要であります。
 本法律案は、厳しい財政事情のもと、平成十九年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び年金事業等の事務費に係る負担の特例に関する措置を定めるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成十九年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとするなどの特例措置を定めております。
 第二に、平成十九年度において、国民年金事業、厚生年金保険事業及び国家公務員共済組合の事務の執行に要する費用に係る国等の負担を抑制するため、国民年金法、特別会計に関する法律及び国家公務員共済組合法の特例を設けることとしております。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本法律案は、現下の経済財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、減価償却制度、中小企業関係税制、住宅・土地税制、組織再編税制、信託税制、納税環境整備等につき所要の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、我が国経済の成長基盤を整備し、国際的なイコールフッティングを確保する観点から、減価償却制度の抜本的見直しに係る所要の改正を行うこととしております。
 第二に、中小企業関係税制について、中小企業の財務基盤の強化を図るため、特定同族会社の留保金課税制度の適用対象から資本金一億円以下の中小法人を除外する等の見直しを行うこととしております。
 第三に、住宅・土地税制について、税源移譲に伴い住宅ローン減税制度の政策効果の少なくなる中低所得者に配慮して、その控除期間の延長等の特例を創設するとともに、住宅のバリアフリー改修促進税制の創設等を行うこととしております。
 第四に、組織再編税制について、会社法により三角合併が可能とされることに伴い、親法人株式を対価として交付する場合にも課税繰り延べが認められるよう、適格合併の要件を見直すこととしております。また、信託税制については、新信託法による新たな信託類型等に対応した税制を整備することとしております。
 第五に、納税環境整備として、電子証明書を有する個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度の創設等を行うこととしております。
 その他、所得税の寄附金控除の控除対象限度額の引き上げ、企業の子育て支援に係る特例の創設、移転価格税制に係る納税猶予制度の創設、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に対する税率の特例の一年延長を行うこととしております。
 また、農用地利用集積準備金制度の廃止等、既存の特別措置の整理合理化を図るとともに、住宅用家屋に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の特例等の期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長するなど所要の措置を講ずることとしております。
 以上、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(河野洋平君) 総務大臣菅義偉君。
    〔国務大臣菅義偉君登壇〕
#23
○国務大臣(菅義偉君) 平成十九年度地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、平成十九年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
 極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、基本方針二〇〇六に沿って、歳出全般にわたり見直しを行い、その抑制に努めております。一方、地方交付税の現行法定率分を堅持しつつ、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額を確保することを基本としております。
 また、地方財政の健全化に資するため、交付税特別会計の新規借入を行わないこととし、既往の借入金について計画的な償還を行うこととしています。
 その上で、引き続き生じる財源不足については、特例地方債の発行等により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにしております。
 以上の方針のもとに、平成十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十三兆千二百六十一億円となり、前年度に比べ二百四十七億円の減となっております。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 最近における社会経済情勢等にかんがみ、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に対する税率の特例措置の適用期限の延長、高齢者等居住改修住宅に係る固定資産税の減額措置の創設、電気自動車等の低公害車に係る自動車取得税の税率の特例措置の見直しを行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化を行うほか、信託法の制定に伴う所要の規定の整備等を行うこととしております。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成十九年度分の地方交付税の総額につきましては、十五兆二千二十七億円を確保するとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の償還方法を変更し、あわせて、地方交付税の算定方法を簡素化するとともに、単位費用の改定を行うほか、政府資金等の繰り上げ償還に伴う補償金の免除措置の創設、地方特例交付金の拡充、地方公務員共済組合の事務に要する費用に係る地方公共団体の負担の特例措置の延長等を図るため、関係法律の改正を行うこととしております。
 以上が、地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに国務大臣の発言(平成十九年度地方財政計画について)並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#24
○議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明及び発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。御法川信英君。
    〔御法川信英君登壇〕
#25
○御法川信英君 自由民主党の御法川信英であります。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し、安倍総理大臣並びに尾身財務大臣に質問をいたします。(拍手)
 まず、いわゆる特例公債法案についてお尋ねをいたします。
 平成十九年度予算案においては、税収が増加する一方で徹底した歳出削減方針を貫き、多くの経費を前年度当初予算より減額し、一般歳出の増加をできる限り抑制しております。まず、平成十九年度予算案において、具体的にどのような歳出削減をしているのか、財務大臣よりお聞かせください。
 また、こうした削減努力の結果、新規国債発行額について、約四兆五千億円という対前年度比で過去最大の減額幅を実現いたしましたが、我が国の財政が依然として厳しい状況にあるという事実は何ら変わっておりません。平成六年度以降、特例公債の発行が半ば恒常化している中、家計に例えると、年間の支出の四割近くが借金によって賄われている状況であり、国の財政運営にとっては大変に危機的な状況であると考えます。
 加えて、戦後最長の景気回復を続けているとはいいますが、財政の硬直化の是正が進んでいないことは、将来起こり得る景気の後退局面における財政の弾力性の必要性にかんがみても、甚だ心もとない状況であると言わざるを得ません。
 そこで、このように毎年、特例公債を発行しなければならない状況を、国家財政の基本原則を定めた財政法上の基本精神に照らし、どのようにお考えになられるのか、財務大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、今後の財政運営について伺います。
 このような特例公債の発行は、間違いなく、将来の世代に負担を先送りしております。国民の財政赤字に対する関心も非常に高まっており、財政健全化に向けたさまざまな目標が掲げられ、活発な議論が随所でなされております。
 そこで、財務大臣に伺います。基礎的財政収支の黒字化や債務残高対GDP比の引き下げに向けた今後の財政運営について、その計画や方針を国民に明確に御説明ください。
 次に、国債の適切な管理についてお尋ねをいたします。
 新規国債発行額が対前年度比で過去最大の減額幅であったとはいえ、過去に発行した国債の借りかえのための借換債の発行予定額が本年度においても約百兆円あるなど、大量の国債を発行しなければならない状況はいまだ続いております。現在、我が国の長期債務残高は、平成十八年度末においても対GDP比一五〇%程度となる見込みであるなど、他のOECD諸国との比較においても極めて異常な状態にあると言わざるを得ません。国債金利の動向は、金融市場の動向のみならず、国民経済全般に大きな影響を持っております。今後も大量の国債発行が見込まれる中、政府として、金融政策との関連も含め、どのような国債管理政策を進めていくつもりなのか、財務大臣にお伺い申し上げます。
 次に、いわゆる所得税法案についてお尋ねいたします。
 近年、我が国の内外を取り巻く経済情勢は大きく変化をしております。このような中で、税制に求められる役割はますます増大しており、二十一世紀における社会や経済構造の変化に柔軟かつ的確に対応していくためには、中長期的な視点から総合的な税制改革を推進していくことが喫緊の課題であります。こうした税制改革の中では、まずは我が国経済の国際競争力を強化し、その活性化を図るとともに、歳出削減を徹底して実施した上で、安定した社会保障財源を確保し、それを将来世代への負担の先送りとせずに実現していくことが重要であります。
 こうした取り組みの一環として、平成十九年度税制改正では、経済活性化のための税制措置が講じられております。特に、約四十年ぶりと言われる減価償却制度の抜本的見直しを行おうとしていることは、我が国の成長基盤を整備する観点から、大変意義深いものと考えます。今回の税制改正がどのような形で我が国経済全体の活性化につながるのか、財務大臣の見解をお聞かせください。
 また、我が国の経済の活性化を促進するためには、大企業のみならず、地域経済の基盤を支える中小企業が活性化されることが大変に重要であると考えます。全企業の九九%を超える中小零細企業が元気になることが、日本の経済全体の底上げにつながります。今回の税制改正では中小企業に対しどのような措置を講じているのか、財務大臣の説明を求めます。
 最後に、今後の税制改正について伺います。
 経済の活性化を進めることが重要であることは今申し上げたとおりでありますが、同時に、我が国の厳しい財政事情のもとでは、歳出削減を進めたとしてもなお対応し切れない負担が生じてくる可能性は率直に認める必要があります。少子化、高齢化が進展し、また基礎年金の国庫負担割合の引き上げが予定されているなど、今後も社会保障費の増加が見込まれる中、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、安定した財源の確保が重要な課題となっております。消費税を含む税制の抜本的改革をどのように進めていくのか、総理の見解をお聞かせください。
 健全な財政運営と公平な税制の確立は、安倍内閣が掲げている美しい国づくりの根幹とも言うべき重要な課題であります。国民の理解と支持を得ながら、その実現のために内閣が一丸となって邁進されることを心より御期待申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#26
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御法川信英君にお答えをいたします。
 税制の抜本改革についてお尋ねがありました。
 我が国財政は極めて厳しい状況であり、経済成長を維持しながら、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組む覚悟であります。
 こうした観点から、歳出削減等の改革を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない負担増に対しては、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げに要する財源を含め、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければなりません。
 このため、本年秋以降、本格的な議論を行い、十九年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕
#27
○国務大臣(尾身幸次君) 御法川議員からの御質問についてお答えいたします。
 十九年度予算案についてのお尋ねがありました。
 十九年度予算案においては、税収について五十三・五兆円と、七・六兆円の大幅な増加を見込んでおります。その一方で、国の政策的な経費である一般歳出については、公共事業において十八年度当初予算比三・五%の縮減を行うとともに、ODAにおいて四・〇%の縮減を行うこととしております。また、社会保障において、制度改革により二千二百億円程度の抑制を行うこととするなど、徹底した歳出削減方針を貫き、一般歳出を四十七・〇兆円にとどめております。これは、電源開発特別会計の仕組みの変更に伴う〇・三兆円の歳出増加を除けば、対前年度比で見て〇・三兆円の増加にとどまっており、実質的には、税収増のほとんどを財政健全化に振り向けているということであります。
 この結果、新規国債発行額については、四・五兆円減の二十五・四兆円となり、議員御指摘のとおり、過去最大の減額幅を実現したところであります。
 特例公債発行についての財政法上の考え方についてお尋ねがありました。
 財政法においては、国の歳出は租税をもって賄うことを財政の基本原則としておりますが、公共事業のように、その受益が長期にわたるような歳出については、いわゆる建設公債を発行することが認められているところであります。
 したがって、財政法は、政府に対し、少なくとも租税と建設公債による収入の範囲内に歳出を抑えるべく歳出削減に取り組むことを求めているものと考えられ、特例公債のような特別の立法措置による公債を発行せざるを得ない現下の状況は財政法上の例外に当たり、財政健全化の観点から是正していかねばならないものと考えております。
 今後の財政運営についてのお尋ねがありました。
 我が国の財政状況は、国、地方を合わせた長期債務残高が、平成十九年度末で対GDP比一四八%になると見込まれ、主要先進国の中で最高の水準にある一方、所得の中で、租税及び医療保険等の保険料の支払いの比率をあらわす国民負担率は、平成十九年度において三九・七%であり、主要先進国の中で実質的に最低水準にあります。
 端的に申し上げれば、我が国は、債務残高が主要先進国の中で最悪の水準である反面、国民の負担をあらわす国民負担率は最低の水準ということであり、このような財政の姿について、財政制度等審議会は、中福祉・低負担ともいうべき状態と指摘しております。
 こうした状況を踏まえれば、子供や孫の世代に負担を先送りしないためにも、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていかなければなりません。したがって、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指し、まずは、二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出歳入一体改革に取り組んでまいります。
 今後の国債管理政策の運営方針についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、新規国債発行額は対前年度比で過去最大の減額を実現したものの、今後とも国債の大量発行が見込まれる中、確実かつ円滑な国債の発行及び中長期的な調達コストの抑制には細心の注意を払う必要があります。
 そのために、まず重要なことは、財政健全化の推進により国債に対する信認を確保していくことであり、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指し、まずは、二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出歳入一体改革に取り組んでいく必要があります。
 その上で、市場との対話を重視しつつ、市場のニーズ、動向等を十分に踏まえた国債発行、国債の保有割合が低い個人や海外部門の保有促進等による保有者層の多様化、年限の長期化、多様化による将来の借りかえ需要の平準化等の債務管理の進展といった国債管理政策の適切な運営に引き続き努めてまいります。
 なお、金融政策については、現在の景気回復を持続的なものとするため、経済を金融面から支えていただくことが重要と考えておりますが、具体的な金融政策運営は日銀にゆだねられており、政府がコメントすべきではないと考えております。
 今回の税制改正と我が国経済の活性化についてのお尋ねがありました。
 経済がグローバル化する中で、どの国に企業活動の拠点を置くかを企業が決める時代、すなわち企業が国を選ぶ時代になっています。そういう中で、日本という国家が企業活動の拠点として選ばれるようにするためには、税制において少なくとも国際的なイコールフッティングを確保することが重要であります。
 減価償却制度については、他の先進諸国はすべて一〇〇%まで償却ができますが、日本だけは今まで九五%までしか償却ができないという仕組みとなっておりました。このため、平成十九年度税制改正において、国際的なイコールフッティングの確保や経済活性化の観点から、この仕組みを撤廃することとしております。
 我が国経済は、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる状況にあり、こうした中で、経済活性化により企業の体質強化や競争力強化を後押しすれば、家計部門にも好影響があるものと考えられます。
 すなわち、労働市場の状況を見ると、失業率は二〇〇二年度の五・四%から昨年十二月には四・一%まで改善し、有効求人倍率も一九九九年度の〇・四九倍から昨年十二月には一・〇八倍まで上がっており、企業活動の活発化により労働需給がタイトなものとなれば、賃金が上昇し、消費の拡大、さらには経済全体の活性化につながると期待しております。
 中小企業に対する税制改正についてお尋ねがありました。
 我が国経済の発展のためにも、経済活力の源泉である中小企業が健全に発展していくような政策に力を入れていくことが極めて重要であります。
 こうした観点から、平成十九年度税制改正においては、主として次のような改正を行うこととしております。
 まず、先ほども申し上げましたとおり、減価償却制度を抜本的に見直し、一〇〇%償却できるようにします。これは、中小企業を含めた日本の企業の競争力の強化に役立つものと考えております。
 次に、留保金課税制度は、同族会社が利益を配当せず内部に留保した場合に、通常の法人税に加えて追加的に課税する制度ですが、その適用対象から中小企業を除外することにより、資本蓄積を促進します。
 また、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入を一部制限する制度について、会社の利益とオーナーへの給与との合計額が八百万円以下となる場合には適用除外としていたものを、中小企業活性化の観点から、これを千六百万円に引き上げます。
 さらに、生前贈与を行う際に贈与税の負担が大幅に軽減される相続時精算課税制度について、中小の同族会社の事業承継を円滑にするため、自社株の贈与の場合に、親の年齢要件を六十五歳から六十歳に引き下げるとともに、非課税枠を五百万円上乗せし、三千万円にいたします。
 こうした改正により、中小企業については、平年度ベースで約千八百億円程度の減収を見込んでおり、法人と個人事業者を合わせた約二百七十万の中小企業に効果があるものと見込んでおります。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(河野洋平君) 池田元久君。
    〔池田元久君登壇〕
#29
○池田元久君 民主党の池田元久です。
 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案並びに公債発行特例法案について、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)
 まず、安倍総理大臣に、現在大きな焦点となっています格差について、現状認識をお尋ねしたいと思います。
 安倍総理大臣は予算委員会等で、二十代、三十代の人たちには格差が増加している傾向があるとは述べました。しかし他方、格差があると感じている人たちや地域が存在すれば、そういうところにも光を当てていくと繰り返し述べております。極めてあいまいです。問題を正確に把握してこそ対策を立てることができます。格差の存在、拡大について総理大臣の考えは一体どうなのか、端的に示していただきたいと思います。
 安倍総理大臣は、経済が成長すれば、雇用の拡大と、非正規雇用者に正規雇用者への道を開いていく、また、格差の問題では、経済を下支えしている人たちの基盤を強化して上昇させていくと楽観的に述べています。
 果たしてそうでしょうか。成長が続けば雇用は拡大していくでしょう。しかし、非正規労働者や下支えをしている人々が取り残されることはないのでしょうか。むしろ現実は、ここ数年、正規労働者を非正規労働者に大きく置きかえることによって、企業を中心に景気が回復してきたのではないでしょうか。格差を軽視し、経済が成長すれば格差は解決できると幻想を振りまいてはいけないと思います。
 安倍総理大臣の成長戦略とか上げ潮路線とか、言葉は躍っております。不明確な点もありますが、どうやら減税と規制緩和で企業の競争力を高めることに重点を置いていると思われます。政権内部では、それを八〇年代のアメリカのレーガン政権のレーガノミクスになぞらえる者もおります。
 しかし、レーガノミクスは、大規模な減税を実行したものの、成長率は期待したほど上がらず、財政再建どころか財政赤字は拡大したという結果に終わっております。
 安倍総理大臣、あなたがとろうとする政策の道筋を示していただきたい。成長なくして財政再建なしなどと抽象的な表現ではなく、わかりやすく説明をしていただきたい。そして、その実現可能性もおっしゃっていただきたいと思います。
 さて、所得税、住民税の定率減税が廃止されて、ことし六月から一・七兆円の負担増、増税が行われる一方、提出された法案では、減価償却制度や同族会社向け税制の見直しなど、それだけで今年度五千五百億円余りの企業優遇の減税を行うことにしています。
 ここ四、五年、企業収益は上昇する一方、雇用者の報酬は総じて減少傾向にあって、対照的です。自公政権がサラリーマンに増税し、企業に減税するというのは、租税政策としてあべこべではないですか。格差是正に逆行するのではないか。説明をしていただきたいと思います。
 政府税調は答申で、今後の検討課題として法人税の実効税率の引き下げを真っ先にうたう一方、与党税調は大綱で、〇七年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的な改革に取り組むとしております。
 日本経団連の御手洗会長は、ことし初め提言を発表しました。その中で、法人税の実効税率を一〇%程度引き下げる、その一方で、財政再建のため、消費税を二%程度引き上げることを提言しています。金額にすれば、法人税の減税に必要な財源も消費税の増収額も四兆円余りで、ほぼ同額です。消費者、国民の負担で法人税の減税を行う勘定となります。これが美しい国を目指す財界指導者の考えでしょうか。
 御手洗会長は政府の経済財政諮問会議の議員です。安倍総理大臣、総理は御手洗氏の考えを支持されるのかどうか、明確な答えをいただきたいと思います。
 また、法人税の実効税率の引き下げと消費税の引き上げについてどう考えるのか、安倍総理大臣にお尋ねをしたいと思います。
 次に、個別の問題についてお尋ねをします。
 上場株式の配当と譲渡益の軽減税率が一年延長されます。この軽減措置は、〇三年当時、株式市場の低迷や金融機関の不良債権問題に対応するために五年間の時限措置として導入されたものです。預貯金、債券などの利子には二〇%の税率がかかっていますが、株式の譲渡益と配当は一〇%に軽減されております。
 しかし、株式市場も低迷を脱し、不良債権も大方片がついた現在、軽減措置を延長する理由はほとんどありません。金持ちほど株式保有率が高いことから、軽減税率は金持ち優遇と批判をされております。また、利子所得者は大変不公平に感じていると思います。自民党幹部は、延長しないと株価は絶対に下がると言ったそうでありますが、これはまさにオオカミ少年のたぐいではないでしょうか。私は、激変緩和措置を講じた上で、軽減税率は直ちに廃止すべきだと思います。答弁をいただきたいと思います。
 次に、企業減税の内容を見ていきたいと思います。
 今年度のいわば目玉である減価償却制度の見直しでは、企業の設備、建物は現行の九五%から一〇〇%まで償却が認められることになります。しかし、一番恩恵を受けるのは、設備を多く持つ重厚長大の産業です。成長分野のソフト産業や中小企業への恩恵は少ないと見られます。その効果をどのように見込んでいるか、お伺いをしたいと思います。
 一方、ベンチャー企業への投資に対する優遇税制、いわゆるエンジェル税制として、株式の譲渡益にかかる税額を半分にする特例を二年延長することや、対象となるベンチャー企業の要件を緩和することなどが盛り込まれています。しかし、九七年度に制度ができてから、エンジェル税制の対象となった会社の数は、直接株式投資で見ると九年間で八十三社にとどまっており、同様の制度を持つイギリスなどと比べて大変物足りない状況です。
 そこで、私は、株式譲渡損については期限をつけずに繰越控除を認めるとともに、他の所得との損益通算を認めるなど大幅な拡充をすべきだと思います。お考えを伺いたいと思います。
 次に、寄附金控除の控除対象限度額を総所得金額等の現行三〇%から四〇%に引き上げることにしていますが、これに関連して、〇一年から創設された認定NPO法人制度について触れたいと思います。
 非営利活動法人は、保健、福祉、環境保全を初め国際人道活動など、近年重要な役割を果たしています。しかし、寄附金控除の対象となる認定NPO法人は、日本全国でわずか五十一が認められているだけです。私も、年末にその数の少なさに驚きました。これは、全国の都道府県で認められた二万九千九百余りのNPO法人の〇・一七%にしかすぎません。認定法人が少ない理由をどのように認識しているのか、聞きたいと思います。
 また、認定NPO法人となるための要件が十一以上もあります。公益的活動に対する個人の寄附を促進するため、認定のハードルを下げるべきだと思います。お答えをいただきたいと思います。
 そもそも、税金を集める立場の国税庁が、税収を減らすことになるNPO法人の認定権限を持っていることに無理があると思います。税の観点ではなく、NPOの公益性を十分に検討できるほかの機関に認定権限を持たせるべきだと思いますが、どうでしょうか。事柄の性質上、財務大臣ではなくて、総理大臣のお考えを伺いたいと思います。(拍手)
 次に、年金についてお尋ねします。
 以前、予算委員会で、年金保険料の無駄遣いは戦後これまで、何と六・三兆円以上に上ることを明らかにいたしました。年金保険料は、九八年度から財政再建を理由に年金の事務費に充てられており、政府は〇八年から、国民年金法などを改正して、これを恒久化する方針です。年金保険料は年金給付にしか充当しないというこれまでの原則から逸脱しているわけで、財政が改善すればもとの原則に戻るのかどうか。また、事務費の節減状況を明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、道路特定財源についてお尋ねをいたします。
 政府・与党は、昨年七月閣議決定されたいわゆる骨太の方針に基づき、道路特定財源の見直しについて年内に具体案をまとめることにしていました。しかし、政府・与党は、昨年十一月から十二月にかけて調整を行ったものの、具体的な結論は出せませんでした。そして、〇八年に所要の法改正を行うとして、またも問題を先送りにいたしました。
 この問題をめぐって、安倍総理大臣は、十一月三十日の経済財政諮問会議で、現行税率は維持しつつ、揮発油税を含めて道路特定財源を見直しの対象として改革したいと述べました。しかし、政府・与党の合意では、党内の反対に押されて、揮発油税の見直しは明記できませんでした。
 安倍総理大臣、総理は、どこが骨抜きになっているのかと強弁されたようでありますが、これが先送り、骨抜きでなくて何でしょうか。明快なお答えをいただきたいと思います。
 また、道路特定財源の大半を占める揮発油税の一般財源化についてこれからどのように進めるのか、総理の明確な考えを示していただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、道路特定財源をめぐる今回の政府・与党の動きで、安倍内閣は、官邸主導どころか、それが腰砕けになり、迷走したと評されております。安倍総理大臣が強い指導力を示す場面はなく、総理のリーダーシップが問われていると思います。総理の考えをお聞きしたいと思います。(拍手)
 また、官邸といえば、最近、にわかづくりのプロジェクトチームや政策会議などが相次いでつくられています。役割も余り整理がつかない乱立状態で、与党の幹部からも危惧の声が出ております。また、教育問題では、政府の規制改革会議と教育再生会議が、文部科学省の教育委員会に対する権限をめぐって真っ向から対立しております。
 これらを見て、安倍内閣はしっかりと政権の運営ができるのか、その政権担当能力は大丈夫かと、私たち民主党、そして多くの国民は思わざるを得ません。安倍総理御自身の率直な考えをお伺いしたいと思います。
 以上の質問に対しまして、真っ正面から明確に答弁していただきますようお願いして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 池田元久議員にお答えをいたします。
 いわゆる格差問題についての考え方についてお尋ねがありました。
 私は、努力した人と汗を流した人が報われ、達成感を感じる社会にしていくことが重要と考えており、単純に、人々の努力の違い、能力の違いに目をつぶって、結果平等を目指すような社会をつくろうとは思っておりません。
 ただ、重要なことは、格差が不公正、不公平な原因の結果生まれたものであってはならないということであります。また、努力が成果に結びつくことを阻害している要因があれば、それを取り除くことが重要であると考えております。
 我が国の所得格差を示す指標であるジニ係数は、長期的には緩やかな上昇を示していますが、これは、高齢者世帯の増加という人口動態要因、あるいは世帯人員数の縮小などの家族形態の変化要因などが寄与している部分が大きいと考えられます。
 他方、世代内の格差を見ると、高齢者層の所得格差が最近低下してきている一方で、二十歳代、三十歳代で格差の拡大度合いが大きくなっています。
 その背景としては、フリーターといった若年層の非正規雇用者の増加など、雇用形態が多様化していることも影響していると考えられます。こうした非正規雇用者の増加が将来の格差拡大につながるおそれがあることから、注意が必要であると考えられます。
 成長が続いても非正規雇用者等が取り残されることはないのか、また、私がとろうとする政策の道筋をわかりやすく示せとのお尋ねがありました。
 安定した経済成長を続けることで、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせるというメカニズムは、現在の景気局面においても引き続き有効であると考えています。
 したがって、今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることであります。このため、まずは、革新的な技術、製品、サービスなどを生み出すイノベーションと、アジアなどの世界の活力を我が国に取り入れるオープンな姿勢により、起業や設備投資の促進等を通じ、生産性を向上させ、成長力の強化を進めるとともに経済全体の底上げを図っていきます。また、種々の施策によってこれを補強します。
 具体的には、正規労働者との均衡処遇を進めていくためのパートタイム労働法の見直しや、セーフティーネットとして十分に機能するようにするための最低賃金制度の見直しを行います。非正規雇用の状態で正規職員になりたいと思っている方々が正規雇用にかわっていけるよう、新たな就職・能力開発支援などを行います。
 また、雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地域資源を活用した中小企業の新事業展開への支援、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化等を進めます。
 さらに、働く人の観点から成長を考えるという意味で、今回、働く人全体の所得、生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防ぐことを目指す成長力底上げ戦略を取りまとめたところであります。
 今後、官民一体となって政策の具体化に向けて取り組んでまいります。これにより、我々が今進めている新成長戦略は、だれも置いていかない成長であるということを示してまいります。(拍手)
 財政健全化との関係につきましては、今後とも、経済成長を維持しながら、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組んでまいります。
 こうした取り組みを進め、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高の対GDP比率を安定的に引き下げることを目指し、まずは二〇一一年度には、国と地方を合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化します。
 このように、成長力強化と財政健全化の双方を車の両輪とするバランスのよい経済財政運営を一貫性を持って継続的に行ってまいります。
 租税政策と格差是正に関してお尋ねがありました。
 定率減税は、平成十一年当時に景気対策として導入された暫定的な負担軽減措置であり、こうした導入の経緯や経済状況の改善を踏まえ、半減、廃止をしたものであります。
 また、平成十九年度税制改正においては、我が国経済の成長基盤を整備する観点から減価償却制度の抜本的な見直しを行うとともに、住宅・土地税制の見直しなど国民生活に配慮した措置を講じています。これにより、経済の活性化が図られ、さらには家計部門にも好ましい影響があるものと考えられます。
 いずれにせよ、さきに述べたように、今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせることであると考えています。
 このため、まずは、イノベーションとオープンな姿勢により成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図ってまいります。
 日本経団連の御提言、法人税及び消費税についてのお尋ねがありました。
 御指摘の提言は、税制改革についての経済界としての一つの御意見と承知しております。
 いずれにせよ、本年秋以降、本格的な議論を行い、十九年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。
 こうした税制改革に向けた検討の中では、御指摘の法人税や消費税も含め、各税目がそれぞれ果たすべき役割を見据えながら、税体系全体のあり方を検討する必要があると考えております。
 認定NPO法人制度についてのお尋ねがありました。
 認定NPO法人制度については、NPO法人制度の発足後、日が浅いこともあり、財政基盤の脆弱な小規模なNPO法人が多いことから、こうしたNPO法人にとって認定要件が複雑であり、また申請手続の負担が重いとの御指摘がありました。
 こうした御指摘を踏まえ、平成十八年度税制改正において、認定要件について、小規模NPO法人に対する簡易な判定方式を創設するとともに、申請手続の負担軽減等の見直しを行ったところであります。さらに、公益法人制度改革に伴い、寄附金税制全般の見直しを図る中で、総合的な検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、認定NPO法人の認定は、国税の優遇措置について全国一律の基準で認定するものであることから、諸外国における実態等を踏まえ、国税庁長官が認定する制度としております。認定に当たっては、客観、明確な数値基準によるものとしており、国税庁が認定権限を持っていることに無理があるとの御指摘は当たらないと考えております。
 道路特定財源の見直しについてお尋ねがありました。
 道路特定財源については、昨年九月の所信表明で述べた方針のとおり、昨年十二月に「道路特定財源の見直しに関する具体策」を決定したところであります。
 これは、暫定税率期間の終了に一年先立って具体的な見直しを決定したものであり、特に、揮発油税を含め、二十年の通常国会において所要の法改正を行い、税収全額を道路整備に充てることを義務づけているこれまでの仕組みを五十年ぶりに改めることとしており、先送りや骨抜きといった御批判は全く当たらないと考えております。
 私の内閣の政権担当能力についてのお尋ねがありました。
 取り組むべき課題があれば、放置することなく、必要な政策を議論すべきであり、目の前の政治課題に対して直ちに行動を起こすのが私の内閣の政治姿勢であります。
 その議論の過程においては、さまざまな立場から活発な議論をいただくことが、政治運営に活力を生み、真に国民の負託にこたえる道であると信じております。その上で、いかなる政策も、最終的には総理である私が決断を行います。今後とも、決断と行動で政権運営に当たってまいります。
 民主党の皆様に私の政権運営能力に心配をしていただく必要はないと思います。民主党の皆様は、民主党の政権担当運営について御心配をいただければと、このように思っております。(拍手)
    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕
#31
○国務大臣(尾身幸次君) 池田議員の御質問にお答えいたします。
 上場株式等の配当と譲渡益の軽減税率についてのお尋ねがございました。
 二〇〇七年または二〇〇七年度末に期限が到来する上場株式等の配当、譲渡益に係る軽減税率については、適用期限を一年延長して廃止することとしております。
 これは、その間に、市場の混乱を回避するための特例措置や金融所得の損益通算範囲の拡大策等について検討を行った上で廃止することにしたものであり、適切な措置であると考えております。
 減価償却制度の見直しの効果についてお尋ねがありました。
 平成十九年度税制改正における減価償却制度の見直しは、我が国経済の成長基盤を整備する観点から、現在の制度を国際的に遜色のないものに見直し、投資の促進を図ろうとするものであり、見直しの効果は重厚長大産業のみならず、サービス業や中小企業にも及ぶものであります。
 具体的には、今回の見直しによる減収額五千百十億円のうち、千四百億円は中小企業に対するものと見込んでおります。また、減価償却費の損金算入額の実態を業種別に見ると、サービス業の割合は一七・六%と運輸通信公益事業に次いで高い割合となっております。
 エンジェル税制についてのお尋ねがございました。
 将来の我が国経済を支えるベンチャー企業の育成は、今後の経済活性化を図る観点から重要な課題であり、近年の税制改正においてエンジェル税制の拡充を行ってきております。
 平成十九年度改正においては、株式の譲渡益を二分の一に軽減する課税の特例を二年延長するとともに、適用対象企業の要件を緩和し、従来、製造業中心であったものを、サービス業や小売業等にも拡大し、確認手続を合理化することにより、エンジェル税制の拡充を図ることとしています。
 議員御指摘の無期限の繰越控除については、原則三年の更正処分の除斥期間との整合性、災害による損失の場合の繰越控除でも三年が限度となっていること等から見て困難と考えます。
 また、損益通算の対象範囲の拡大については、まず、金融所得全体の損益通算範囲について議論し、結論を得るべきものであると考えております。
 いずれにしても、今回の改正により、個人投資家による投資が一層促進され、将来の我が国経済を支えるベンチャー企業の技術革新や競争力強化が進むことを期待しております。
 年金事務費についてお尋ねがありました。
 年金事務費については、国の厳しい財政状況にかんがみ、平成十年度以降、保険料財源を充当する特例措置を講じてきたところであり、平成十九年度においても、引き続き国の財政状況が厳しいことから、特例措置を継続することとしています。
 一方、平成二十年度以降については、社会保険庁改革を機に受益と負担の明確化を図るとの観点から、国の財政状況にかかわらず、これまでの特例措置を恒久化することとしています。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
#32
○国務大臣(甘利明君) エンジェル税制の拡充についてのお尋ねがありました。
 先ほど財務大臣からも答弁がありましたが、平成十九年度税制改正において、ベンチャー企業の重要性にかんがみて、ベンチャー企業の要件の緩和、さらには、資金調達の円滑化の観点から、ベンチャー企業が投資を受ける前に要件を満たすかどうかを確認する制度の導入についての拡充を行い、加えて、株式譲渡益の二分の一圧縮特例の期限延長を行うということといたしておりまして、一層の活用を促進していく所存であります。
 なお、実績は、八十三社と御指摘をいただきましたが、一月三十一日時点で八十九社であります。
 ベンチャー企業は、イノベーションの担い手としても我が国経済の活性化にとっても重要でありまして、今後とも税制の拡充を含めて全力で取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
#33
○国務大臣(柳澤伯夫君) 池田議員から私への御質問は、年金事務費の節減状況についての御質問でございました。
 保険料を充てている年金事務費等は、十九年度の予算におきまして、前年度比五%減の二千三十九億円としておりまして、引き続き、無駄遣いを排除するための取り組みを徹底してまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(河野洋平君) 西村智奈美君。
    〔西村智奈美君登壇〕
#35
○西村智奈美君 民主党の西村智奈美でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成十九年度地方財政計画について質問いたします。(拍手)
 民主党は、今国会を格差是正国会と位置づけ、これまで自民党政権のもとで拡大した格差を是正し、国民の生活を向上させることを目指しております。
 これに対して、安倍総理の格差問題への関心は低く、格差を感じている人もいるだろうと渋々認めても、まだ他人事のようです。率直に格差の存在を認めて、成長力底上げなどというまやかしの政策課題ではなく、格差問題への対応策を早急に示すべきではありませんか。本日議題となっている二法案及び地方財政計画も、格差問題への対応策を全く示していない代物です。
 安倍内閣を含めた自公政権は、格差是正どころか、格差拡大に拍車をかけかねない措置を着実に実行してきました。これまで、年金課税の強化など、個人に対する増税を繰り返し行い、ことしの一月からは所得税の定率減税が廃止、六月からは住民税も続く予定です。
 安倍総理の就任以来初めてとなる税制改正でも、企業に対する減税が中心で、個人に対する減税は小粒なものにとどまっております。当然、今回の地方税法にもこれといった施策は見当たりません。安倍総理は、今後も個人負担にツケを回しながら企業減税を行うのですか。総理の答弁を求めます。
 次に、自治体間の財政格差への対応策について質問します。
 景気回復と言われますが、地方の景気は依然として低迷しております。過疎地など条件に恵まれない地域などでは、税財源を確保することが切実な問題となっているんじゃありませんか。そうした中で、富める自治体とそうでない自治体との間の財政格差の問題が指摘をされております。
 過去数年間、自民党政権は、中央政府の赤字を地方につけかえるなど、地方に対して厳しい財政運営を求めてきました。平成十六年度から三年間の地方交付税及び臨時財政対策債削減額は五兆一千億円に上ります。平成十九年度予算でも、自治体が受け取る地方交付税の総額は、前年度に比べ、約七千億円も削減されております。そして、地方財政計画の規模そのものは、国の一般会計が二年ぶりの増額となるにもかかわらず、六年連続で前年度を下回っているのです。
 昨年十二月に成立した地方分権改革推進法には、民主党の働きかけにより、「地方税財源の充実確保」という文言が盛り込まれました。安倍総理は、この法律に基づいて、今後どのような方法で自治体の税財源を確保しようとしているのでしょうか。特に財政力の弱い団体に対する方策についてお答えください。総理の明確な答弁を求めます。
 地方の税財源の充実確保が喫緊の課題となっている中、政府は、地方交付税の一部を人口と面積を基準に配分する、いわゆる新型交付税を導入するとしています。これは、経済財政諮問会議及び地方分権二十一世紀ビジョン懇談会での議論を経て浮上したものですが、自治体関係者のだれ一人として直接この場での議論に加われませんでした。懇談会の座長だった大田大臣は、とうとう議事録を公開しませんでした。
 言うまでもなく、交付税は財政調整機能を担っています。地方自治体が受け取る交付税の額を大幅に変え、地方の財政を混乱させてしまうようなことがあってはなりません。
 総務省は、新型交付税導入による交付税への影響額について、都道府県分については明らかにしていますが、市町村分についてはいまだに具体的な数値を明らかにしていません。市町村が受け取る交付税の額はどのように変わるのですか。また、市町村に関する具体的な試算結果をいつまでに国会に対して提示するのですか。総務大臣の答弁を求めます。(拍手)
 政府は、頑張る地方応援プログラムなるものを実施し、政府が頑張ったと認めた自治体には、頑張りの成果を交付税の算定に反映させるとしています。(発言する者あり)黙ってください。しかし、政府に本当に求められているのは、頑張りたくても頑張れない自治体の現状を現場第一主義で把握し、自治体間の格差を是正するため、財政力の弱い過疎地など、頑張っても結果を出しにくい自治体に対して何らかの支援を行うことでしょう。
 ところが、政府がそうした自治体現場の要望にまるきりこたえていないことは、先般スタートした頑張る地方応援懇談会の初回、現役首長の皆さんから異論が出されたことからでも明らかです。二月十七日には私の地元新潟市でも懇談会が開催されましたが、人口流出が続いている地方は頑張っても成果を出せず、都会のひとり勝ちになるのではないかなど、運用方法を懸念する意見が続出したということです。
 そもそも、頑張る地方応援プログラムという、ごろだけはいい施策の内容が全然はっきりしません。総務省は、農業産出額、出生率など九つの指標を頑張りの成果として交付税算定する方針だけは示していますが、地方自治体がどれだけ頑張ったら交付税算定にどれだけプラスされるのかという具体的な基準を全く示していません。
 そこで、総務大臣に伺います。
 例えば、たまたま前年度より少しだけ指標の数字が上昇したような場合でも、頑張ったと評価されて交付税算定にプラスされるのですか。また、人口減少のペースダウンに成功した自治体は、指標自体がプラスにならなくても評価されるのでしょうか。プログラムの内容が私たちや自治体に伝わるよう、総務大臣に具体的な答弁を求めます。
 頑張る地方応援プログラムの中には、特定分野の事業の頑張りを地方に求めるものが含まれています。つまり、本来使い道を限定しないで交付すべき地方交付税を、地方自治体が特定の事業を行った場合にお金を出す補助金のように扱うものと言えます。これは下手をすると、地方の自由度を高めるという地方分権の流れに逆行するものとなりませんか。二月十三日の予算委員会で安倍総理は、地方に対して、国が余計なことに口出しをしないという仕組みもつくっていかなければいけないと答弁していますが、このプログラムは総理の答弁と矛盾しませんか。総理の答弁を求めます。
 また、このプログラムには、自治体が何らかのプロジェクトを実施することを国に申し出ると、一年間で一自治体当たり三千万円まで支給される措置が盛り込まれています。プロジェクトといっても具体的な定義はなく、自治体が申請すれば、ほぼ自動的にお金がもらえる仕組みです。竹下内閣で行われたふるさと創生資金を思い出したのは私だけでしょうか。安倍内閣が古い自民党に回帰していることを実にわかりやすく示していますね。しかし、これは単なる地方へのお金のばらまきではないのですか。総理の答弁を求めます。(拍手)
 次に、交付税特別会計借入金の償還計画について質問します。
 政府は、交付税特別会計借入金のうち地方負担分の約三十四兆円について、二十年間の償還計画を定めた上で償還を実施するとしています。しかし、償還計画は、償還額を毎年一〇%ずつふやし、計画の最終年度である平成三十八年度に約三・五兆円を償還するという非現実的なものです。この計画は、今後我が国が経済成長を続け、税収を伸ばし続けるといういわゆる上げ潮路線を前提につくられていますが、今後二十年間、経済成長し続けるという保証はどこにもありません。単に償還を先送りする無責任な計画です。こういうのを絵にかいたもちと言うのを御存じですか。本当にこのような計画で償還可能かどうか、総務大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、児童手当の財源について質問します。
 政府は、今回、児童手当の支給額を引き上げるとしています。対象はゼロから二歳の乳幼児のみ、また、支給額を引き上げるといっても、第一子と第二子の支給額を第三子に合わせて現在の月五千円から一万円に引き上げるだけです。それだけの措置で子供を安心して産み育てられる社会を構築できるのか、甚だ疑問です。
 また、この措置の財源のうち地方負担分については、地方特例交付金を増額することで工面するとしております。しかし、これは平成十九年度に限った措置であり、与党の税制改正大綱によれば、平成二十年度以降の財源は「税制の抜本的・一体的改革の中で検討する。」とされています。政府は、平成二十年度以降、どのような財源から児童手当を支給しようとしているのですか。厚生労働大臣の答弁を求めます。
 柳澤厚生労働大臣は、産む機械、子供二人以上が健全という発言について弁解したとき、少子化問題にしっかり取り組むと決意を述べておられましたよね。今、その決意が本物だったかどうかが問われているのですから、平成二十年度以降の財源の見通しもきちんと示してください。
 最後に一言申し上げます。
 これからスタートする第二期地方分権改革は、中央政府の権限を温存したい官僚や族議員などから、これまで以上に激しい抵抗が予想されます。しかし、総理からは、そうした抵抗を突破して分権をなし遂げるという明確なメッセージも熱意も全く感じられません。それは、新年度の予算案、法案、いずれにも真の分権改革につながるようなものがなく、頑張る地方応援プログラムや新型交付税などの言葉の目新しさだけでお茶を濁していることからも明らかです。
 総理が分権改革に向けての熱意と明確なリーダーシップを示せない以上、民主党はいつでもそれにかわる用意があることを述べ、私の質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#36
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 西村議員にお答えいたします。
 税制改革についてのお尋ねがありました。
 年金課税の見直しについては、世代間及び高齢者間の公平を図る観点から、負担能力に応じた税負担を高齢者に求めることとしたものであり、その際、標準的な年金以下の収入のみで暮らす高齢者世帯については、同水準の給与収入を得ている現役世代よりも軽い税負担となるよう配慮を行っているところであります。
 定率減税は、平成十一年当時、景気対策として導入された暫定的な負担軽減措置であり、こうした導入の経緯や経済状況の改善を踏まえ、半減、廃止をしたものであります。
 また、平成十九年度税制改正においては、我が国経済の成長基盤を整備する観点から減価償却制度の抜本的な見直しを行うとともに、住宅・土地税制の見直しなど国民生活に配慮した措置を講じています。これにより、経済の活性化が図られ、さらには家計部門にも好ましい影響があるものと考えられます。
 いずれにせよ、今後の税制改革においては、所得税、法人税など各税目が果たすべき役割を見据えながら、税体系全般にわたる見直しを行っていく必要があると考えております。
 地方税財源の充実確保についてのお尋ねがありました。
 今後、地方分権改革を進めるため、国と地方の役割分担や国の関与のあり方を徹底して見直してまいります。その上で、役割分担に応じた地方税財源の充実確保等の観点から、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めるとともに、地方公共団体間の財政力の格差の縮小を目指してまいります。
 その際、財政力の弱い地域にあっても、一定水準の行政サービスを提供することができるよう、地方交付税などにより適切に対応してまいります。
 頑張る地方応援プログラムは地方分権の流れに逆行するのではないかとのお尋ねがありました。
 頑張る地方応援プログラムは、特定の事業に限ることなく、魅力ある地方を目指す自治体の取り組みを幅広く支援するものであります。また、交付税は使途を特定されない一般財源であり、このプログラムを含め、全体として算定された交付税の使途は自治体の創意工夫にゆだねられます。したがって、地方の自由度を高める地方分権の流れに逆行するとの御指摘は当を得ず、また、予算委員会での私の答弁とは何ら矛盾はいたしておりません。
 頑張る地方応援プログラムは地方への自動的な資金の付与ではないかとのお尋ねがありました。
 頑張る地方応援プログラムは、地方行革や地場産品のブランド化など、地方独自のプロジェクトに取り組む自治体に対して、その取り組み経費についてまず支援を行います。このプログラムの基本は、行政改革の実績を示す指標や製造品出荷額などの客観的な成果指標を用いて交付税の割り増し措置を行うものであり、地方への金のばらまきとの御指摘は当たりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣菅義偉君登壇〕
#37
○国務大臣(菅義偉君) 西村議員から三つ質問がありました。
 まず、新型交付税についてであります。
 新型交付税の導入に当たっては、各地方公共団体の財政運営に支障が生じないように、変動額を最小限にとどめることにいたしております。
 現在、各地方公共団体と試算結果についての確認を行っており、確認ができ次第、速やかに試算結果を公表いたします。
 次に、頑張る地方応援プログラムについてお尋ねがありました。
 頑張る地方応援プログラムの交付税の支援措置として、全国的かつ客観的な指標が全国標準以上に向上した地方公共団体に対して、その程度に応じ、交付税の割り増し算定を行います。
 具体的な算定方法については、地方公共団体の御意見も十分に踏まえながら、例年七月末に行う普通交付税の決定まで検討いたしてまいります。
 最後に、交付税特別会計借入金の償還計画についてお尋ねがありました。
 交付税特別会計借入金は、交付税の持続可能性の確保の観点から、できる限り早期に償還することが必要であります。
 このため、現在、平成三十八年度までとしております償還期間を変更しないこととし、また、平成十九年度の一般財源総額確保の観点も踏まえ、平成十八年度補正予算における償還額五千三百三十六億円から毎年度段階的に増加する形で償還計画を策定したところであります。
 今後、安定的な経済成長に努めつつ、歳出の効率化努力や歳入確保の努力を続けていくことにより、計画に沿った償還に努めてまいります。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
#38
○国務大臣(柳澤伯夫君) 西村議員にお答え申し上げます。
 私に対しましては、児童手当の乳幼児加算に関する平成二十年度以降の公費財源につきましてお尋ねでございます。
 平成十九年度に乳幼児加算をしましたけれども、その財源は、十九年度予算の中で、いわば基金の取り崩しで手当てをした。したがいまして、二十年度以降は財源がどうなるのかという観点の御質問でございます。
 西村議員も御指摘をいただきましたように、平成十九年度、与党の税制改正大綱におきまして、少子化対策のために国、地方を通ずる必要な財源の確保について、税制の抜本的、一体的改革の中で検討するとされておりまして、このことを踏まえ、政府・与党におきまして今後検討を進め、地方の負担分も含めて適切に対応してまいる所存でございます。御心配は御無用でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○議長(河野洋平君) 谷口隆義君。
    〔谷口隆義君登壇〕
#40
○谷口隆義君 公明党の谷口隆義でございます。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました特例公債法案、所得税法等の一部改正案、地方財政計画、地方税法の一部改正案並びに地方交付税法等の一部改正案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をさせていただきます。(拍手)
 平成十九年度税制改正に関しましては、減価償却制度を国際的にも遜色のない制度へと抜本的に見直すことや、ベンチャー育成に効果の高いエンジェル税制の拡充など、安倍内閣が進める成長力を高める基盤を構築するものとなっております。
 減価償却制度に関しましては、景気回復が継続し、大幅な企業収益を確保している中で、企業への減税を優先しているのではないか、あるいは家計や賃金にはその恩恵が回ってこないとの声が聞かれますが、国際競争力確保の観点から極めて重要であると考えております。
 しかし、私は、格差の固定化への懸念が叫ばれておる中で、成長の果実を広く国民に分配していくための施策を適切に講じていくことも極めて重要であると考えております。総理並びに財務大臣の見解を賜りたいと存じます。
 その他、十九年度改正では、我が国経済を支える中小企業に関し、留保金課税を廃止することや相続時精算課税制度の特例を設け、親から子等への贈与に関し取引相場のない株式等について年齢要件及び非課税枠の拡大を図るなどして、事業承継に係る税制を大きく拡大していることは、中小企業の実情に照らして、適切な対応であると高く評価をするところでございます。
 公明党は、従来から、日本経済を支える中小企業に目線を合わせる政策提言を行ってまいりました。諸問題がある中で、特に、事業継続の前提である事業承継税制については、実情を十分に踏まえつつ、また諸外国の例も参考にしながら、抜本的な税制改革とあわせ、見直しを検討していくべきではないかと考えております。
 総理の中小企業税制並びに抜本的な事業承継税制についてのお考えをお聞かせいただければと存じます。
 次に、平成十九年度特例公債法案に関連してお伺いをいたします。
 着実な財政健全化及び大幅な税収増により、我が国財政は大きく改善し、二〇一一年度プライマリーバランス黒字化の目標に向け、着実に前進をしております。
 しかしながら、我が国の財政は、なお平成十九年度末で公債残高が六百七兆円程度に達する見込みであるなど、依然厳しいことには変わりがありません。今後とも、昨年末に決定した骨太方針二〇〇六に基づいた歳出改革を進めていくとともに、あわせて行政の無駄ゼロの推進を図っていくことが重要であると考えますが、改めて総理の財政健全化に向けた決意をお伺いしたいと存じます。
 平成十八年度税制改正で決定した国から地方への税源移譲及び定率減税の廃止についてお伺いをいたします。
 三位一体改革の一環として決定した国から地方への税源移譲が本年より始まりました。また、定率減税の廃止が本年より実施に移されます。
 具体的には、国の所得税は一月より、地方の個人住民税は六月よりそれぞれ施行され、地方税に関しては大半の方がふえることになるわけであります。税源移譲に限れば、国と地方を合わせた所得課税全体では負担額は変わらないのでありますが、多くの国民の方にはまだまだ十分周知徹底がなされておらない。国民の御理解をいただく意味からも、政府を挙げて一層の広報活動に努めていただきたいと存じます。
 この点、財務大臣、総務大臣おのおのの立場からどのようにお考えか、定率減税を廃止するに至った考え方並びに税源移譲の意義等とあわせて、国民にわかりやすく御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、平成十九年度地方財政についてお伺いをいたします。
 ようやく我が国の経済も回復の軌道に乗ってまいりましたが、都市部を除いては景気回復の足取りが重く、地方税収の増加の恩恵も十分に及んでいないのが現状であります。多くの自治体では、職員の削減や給与水準の引き下げなど、徹底した行政改革に取り組むことにより、ようやく必要な財源が確保できる厳しい状況に置かれているのであります。
 平成十九年度においては、地方の窮状にこたえ、地方公共団体が安心して財政運営するための必要な財源が確保できたのか、総務大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、新型交付税でございますが、地方交付税の算定方法を抜本的に簡素化するため、平成十九年度より新型交付税を導入することとなっております。
 しかしながら、人口の少ない過疎団体等からは、人口を算定基準とする新型交付税の導入により交付税額が大幅に減少し、財政運営ができなくなるのではないかと不安の声が上がっております。
 このたびの新型交付税の制度設計に当たっては、できる限り変動額を少なくすることを基本的な考え方にしたとは聞いておりますが、制度導入に当たっては、過疎団体の財政運営に支障が生じないような仕組みにすべきであると考えます。総務大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、地方公共団体の繰り上げ償還についてお伺いをいたします。
 これまで、高金利の公的資金を補償金なしに繰り上げ償還して公債費負担を軽減することは、地方公共団体から長年にわたり強い要望があったわけであります。
 我が党の地方議員からの強い要望も重ねて受けまして、公明党も、政府は地方公共団体の繰り上げ償還に対して支援を行うべきと強く主張し、その結果、平成十九年度から金利五%以上の金利の地方債を対象に補償金なしで繰り上げ償還を行うということが地方交付税法の改正案に盛り込まれることとなったわけであります。このことは、金利負担にあえぐ地方公共団体の負担を軽減し、地方財政の健全化に大いに貢献するものと評価をいたしております。
 その上で、今回の繰り上げ償還は五兆円規模になると聞いておりますが、この措置によってどの程度地方の負担が軽減されるのか、また、それにより地方財政の健全化に資するものになるのかどうか、総務大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 一方で、今回の措置は、行政改革や経営改革を行う地方公共団体が対象になると聞いております。何らの行革努力を行わず漫然と財政運営を行っている地方公共団体まで対象とする必要はないと考えますが、要件が余りにも厳しくなって、繰り上げ償還の規模が予定していた水準に届かないということになってしまっては意味がないわけであります。
 それぞれの団体におけるこれまでの行政改革の取り組みも考慮に入れるなど、各地域の実情を踏まえて行政改革の取り組みを評価し、多くの地方公共団体を措置の対象にすべきと考えますが、総務大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 最後に、地方分権の推進についてお尋ねをいたします。
 昨年の臨時国会におきまして地方分権改革推進法が成立をいたしました。平成十九年度には、地方分権改革推進委員会の審議が本格化し、いよいよ新しい地方分権改革がスタートをいたします。ただ、地方分権をめぐる議論は、どうしても国と地方公共団体間の役割分担や税財源配分の見直しに焦点が当たってしまいがちであります。
 しかしながら、国と地方の役割分担や税財源配分の見直しは、あくまで、いかに地域住民に対する行政サービスを効率的に向上させていくのか、このことのための手段であって、地方分権が最終的に目指さなければならないのは、地域住民の声を行政に反映し、それぞれの地域のニーズに合ったサービスがそれぞれの地域において効率的に提供される住民本位の行政制度を築き上げることにあると考えるわけであります。
 このような観点から、地方分権が実りあるものになるように今後の取り組みを進めていく必要があると考えますが、総理及び総務大臣の御所見と御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#41
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷口隆義議員にお答えをいたします。
 成長の果実の国民への分配等についてお尋ねがありました。
 今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせることであると考えております。
 このため、まずは、イノベーションとオープンな姿勢により成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図ってまいります。また、種々の施策によってこれを補強してまいります。
 具体的には、正規労働者との均衡処遇を進めていくためのパートタイム労働法の見直しや、セーフティーネットとして十分に機能するようにするための最低賃金制度の見直しを行います。非正規雇用の状態で正規職員になりたいと思っている方々が正規雇用にかわっていけるよう、新たな就職・能力開発支援などを行います。
 また、雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地域資源を活用した中小企業の新事業展開への支援、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化等を進めてまいります。
 さらに、働く人の観点から成長を考えるという意味で、今回、働く人全体の所得、生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防ぐことを目指す成長力底上げ戦略を取りまとめたところであります。今後、官民一体となって政策の具体化に向けて取り組んでまいります。
 中小企業税制及び事業承継税制についてお尋ねがありました。
 我が国経済の発展のためにも、経済活力の源泉である中小企業が健全に発展していくような政策に力を入れていくことが極めて重要であります。平成十九年度税制改正においては、留保金課税制度の適用対象から中小企業を除外するなど、中小企業の活性化のための改正を行うこととしております。
 また、中小企業の事業承継の円滑化も重要な課題と認識しております。事業承継税制のあり方については、事業承継の実態を把握し、課税の公平にも留意しながら、今後の抜本的な税制改革の議論の中で検討していきたいと考えております。
 財政健全化に向けた決意についてお尋ねがありました。
 我が国財政は、引き続き極めて厳しい状況にあります。歳出削減を一段と進め、財政の無駄をなくすとの基本方針は、私の内閣においていささかも揺らぐことはありません。今後とも、経済成長を維持しながら、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組んでまいります。
 そのため、税の自然増収は安易な歳出等に振り向けず、将来の国民負担の軽減に向けるなどの原則を設けて、歳出改革を計画的に実施し、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにいたします。
 こうした取り組みを進め、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高の対GDP比率を安定的に引き下げることを目指し、まずは二〇一一年度には、国と地方を合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化いたします。
 地方分権の推進についてお尋ねがありました。
 地方の活力なくして国の活力はありません。地方のやる気、知恵と工夫を引き出すには、地域に住む方のニーズを一番よくわかっている地方がみずから考え、実行することのできる体制づくりが必要であります。私は、地方分権を徹底して進めてまいります。
 地方分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与のあり方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣菅義偉君登壇〕
#42
○国務大臣(菅義偉君) 谷口議員から六つの質問がありました。
 まず、税源移譲などの周知についてであります。
 税源移譲は、地方分権を進めるため、地方にできることは地方にという方針のもと、三位一体改革の一環として行うものであり、これにより、所得税と個人住民税を合わせた税負担額は税源移譲で変わらないように制度設計をいたしております。
 また、定率減税の廃止については、平成十一年に景気対策として導入された暫定的な負担軽減措置であり、経済状況の改善を踏まえ廃止したものであります。
 これらの改正による所得税と個人住民税の税額に影響が出る時期が異なることなどから、税額の変動について、納税者の十分な理解が得られるよう、国と地方が協力して周知徹底を図ってまいりたいと思います。
 次に、地方公共団体が必要な財源の確保についてお尋ねがありました。
 地方財政の厳しい状況を踏まえ、基本方針二〇〇六に沿った歳出の見直しを行う一方で、財政力の弱い地域にあっても、一定水準の行政サービスを提供することができるよう適切に対応する必要があると考えております。
 このため、平成十九年度に当たっては、交付税の法定率分を堅持するとともに、地方公共団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税等の一般財源総額を、前年度を五千億円上回って確保いたしているところであります。
 次に、新型交付税についてお尋ねがありました。
 新型交付税の制度設計については、人口が少ない地方公共団体ほど人口一人当たりの行政コストが割高になることなどを反映するとともに、離島や寒冷地における特別な財政需要を適切に算定する仕組みを確保することなどによって、過疎団体を含め、いずれの地方公共団体においても財政運営に支障が生じないよう、変動額を最小限にとどめておるところであります。
 次に、公的資金の補償金なし繰り上げ償還等の効果についてお尋ねがありました。
 五兆円規模で行われる繰り上げ償還等によって地方公共団体が免除される補償金の総額は、約八千億円程度と見込んでおります。
 これにより、地方公共団体の公債費負担が軽減され、財政の健全化が図られるとともに、徹底した地方行革の推進が図れるものと考えております。
 次に、繰り上げ償還の対象団体についてお尋ねがありました。
 対象となる団体は、今後五年間の財政健全化計画を策定することとなっておりますが、その評価に当たっては、これまでの行政改革の実績も考慮することを予定いたしております。
 より多くの地方公共団体が徹底した行政改革を推進し、公債費負担の軽減が図れるよう、繰り上げ償還の対象団体を設定してまいりたいと考えております。
 最後に、地方分権の推進についてお尋ねがありました。
 総理の、地方の活力なくして国の活力なし、この考え方に立って、やる気のある地方がさまざまな行政分野で自由に独自の施策を展開し、魅力あるそれぞれの地域をつくることが重要であると考えております。
 昨年十二月に成立した地方分権改革推進法に基づいて、国と地方の役割分担を徹底して見直しをし、権限や財源を地方にできる限りゆだねることによって、新たな地方分権改革を推進し、地方の自立と責任を確立するための取り組みを行ってまいりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕
#43
○国務大臣(尾身幸次君) 谷口議員の御質問にお答えいたします。
 成長の成果を広く国民に分配していくための施策についてお尋ねがありました。
 総理の御答弁にもありましたとおり、経済成長の成果を経済社会の各層に広く行き渡らせるためには、オープンな経済とイノベーションを通じて成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図っていく必要があります。
 例えば、今回の税制改正においては、国際的なイコールフッティングの確保や経済活性化の観点から、減価償却制度の見直しを行うこととしております。
 こうした取り組みにより、景気回復を持続させることで、経済活動を活発化し、労働市場がタイトになることを通じて、家計部門にも好影響が及ぶものと考えられます。
 経済社会の活力を高めていくためには、機会の平等のもとで、努力した人が報われるようにするとともに、格差が不公正、不公平な原因によって生まれ、固定化することのないようにしていくことが重要と考えております。
 働く意欲と能力のある人が、活躍の場を広げて、成長力の担い手となっていけるよう、再チャレンジ支援や成長力底上げ戦略等の施策を推進してまいります。
 定率減税の廃止の考え方、税源移譲の意義及びその広報活動についてお尋ねがございました。
 定率減税は、一九九九年に、当時の厳しい経済情勢の中で、臨時異例の景気対策として導入された負担軽減措置であります。その後、二〇〇六年度の経済見通しにおいて消費が一・八%増加し、経済全体も二・〇%の増加を見込むなど、経済状況が一九九九年当時とは全く異なり、大幅に改善している中で、二〇〇六年、二〇〇七年の二年にわたって段階的に半減、廃止をしたものであります。
 税源移譲は、地方分権を推進するため、三位一体改革の一つとして実施されたものであり、個々の納税者については、所得税と住民税を合わせて見れば、税負担が基本的に変わらないよう設計されております。
 税源移譲の実施に当たっては、所得税と住民税の課税方式が異なるため、給与所得者や年金受給者の大部分の方は、二〇〇七年一月以降の源泉徴収から所得税が減り、同年六月から住民税がふえることになります。
 このように時期的なずれは生じるものの、二〇〇七年度の所得税と住民税を合わせた税負担は、定率減税に伴う負担増を除けば、二〇〇六年度と基本的に変わりません。
 このような税負担の変動については、新聞広告、雑誌広告などの政府広報による周知、ホームページによる周知、給与所得者向けのチラシを作成し、企業に周知を徹底するなど、積極的な広報を実施しているところでありますが、今後とも、国民の十分な理解を得られるよう、一層の努力を行ってまいります。(拍手)
#44
○議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#45
○議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣 安倍 晋三君
       総務大臣   菅  義偉君
       財務大臣   尾身 幸次君
       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君
       経済産業大臣 甘利  明君
       国土交通大臣 冬柴 鐵三君
       国務大臣   溝手 顕正君
       国務大臣   渡辺 喜美君
 出席内閣官房副長官及び副大臣
       内閣官房副長官 下村 博文君
       総務副大臣   大野 松茂君
       財務副大臣   田中 和徳君
ソース: 国立国会図書館
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