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2006/12/14 第165回国会 参議院 参議院会議録情報 第165回国会 教育基本法に関する特別委員会 第12号
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2006/12/14 第165回国会 参議院

参議院会議録情報 第165回国会 教育基本法に関する特別委員会 第12号

#1
第165回国会 教育基本法に関する特別委員会 第12号
平成十八年十二月十四日(木曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月十三日
    辞任         補欠選任
     岡田 直樹君     神取  忍君
     西島 英利君     鴻池 祥肇君
     浅尾慶一郎君     広中和歌子君
     岡崎トミ子君     福山 哲郎君
     藤本 祐司君     広田  一君
     山根 隆治君     下田 敦子君
     福島みずほ君     近藤 正道君
 十二月十四日
    辞任         補欠選任
     広田  一君     藤本 祐司君
     山本  保君     山本 香苗君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中曽根弘文君
    理 事
                岸  信夫君
                北岡 秀二君
                保坂 三蔵君
                佐藤 泰介君
                櫻井  充君
                蓮   舫君
                風間  昶君
    委 員
                岩城 光英君
                小野 清子君
                岡田  広君
                神取  忍君
                小泉 昭男君
                小泉 顕雄君
                鴻池 祥肇君
                坂本由紀子君
                中島 啓雄君
                南野知惠子君
                舛添 要一君
                松村 祥史君
                神本美恵子君
                下田 敦子君
                鈴木  寛君
                西岡 武夫君
                林 久美子君
                広田  一君
                広中和歌子君
                福山 哲郎君
                藤本 祐司君
                水岡 俊一君
                浮島とも子君
                山下 栄一君
                山本 香苗君
                井上 哲士君
                近藤 正道君
                亀井 郁夫君
       発議者      西岡 武夫君
       発議者      鈴木  寛君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       文部科学大臣   伊吹 文明君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 塩崎 恭久君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       ・男女共同参画
       ))       高市 早苗君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  鈴木 政二君
   副大臣
       内閣府副大臣   林  芳正君
       文部科学副大臣  池坊 保子君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       小渕 優子君
       文部科学大臣政
       務官       水落 敏栄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 俊史君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       長        山本信一郎君
       文部科学大臣官
       房総括審議官   金森 越哉君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   田中壮一郎君
       文部科学省初等
       中等教育局長   銭谷 眞美君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○教育基本法案(第百六十四回国会内閣提出、第
 百六十五回国会衆議院送付)
○日本国教育基本法案(輿石東君外六名発議)
○地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律
 案(輿石東君外六名発議)
○学校教育の環境の整備の推進による教育の振興
 に関する法律案(輿石東君外六名発議)
    ─────────────
#2
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから教育基本法に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十三日、西島英利君、岡田直樹君、福島みずほ君、浅尾慶一郎君、岡崎トミ子君、山根隆治君及び藤本祐司君が委員を辞任され、その補欠として鴻池祥肇君、神取忍君、近藤正道君、広中和歌子君、福山哲郎君、下田敦子君及び広田一君が選任されました。
 また、本日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として山本香苗君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中曽根弘文君) 教育基本法案、日本国教育基本法案、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案及び学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○小野清子君 自由民主党の小野清子でございます。
 本日は、内閣総理大臣、安倍総理大臣の御出席の下、教育基本法に関する特別委員会の締めくくり総括質疑のときを迎え感無量の思いがいたします。持ち時間十五分という大変短い時間でございますので、早速質疑に入らせていただきます。
 二〇〇六年の世相を象徴いたします今年の漢字は「命」が決まりました。世相を象徴するようなこの命という問題でございますが、自殺に虐待、痛ましい事件が続きます一方で、秋篠宮家の御長男誕生と生まれた命にも注目が集まり、九万二千五百通の応募の中、命が八千三百六十通で一位だったそうでございます。
 総理にとりまして、衆参の特別委員会を通しましての感慨も深めながら、この命について一言お願いをいたします。
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 命というのはもう掛け替えのないものであります。
 特に、今年の一年間を振り返ってみますと、雪害がございました。多くの方々がその雪害によって命を失ったわけでございます。日本もこれだけ発展し地域のインフラの整備も進んだわけでありますが、ただ、まだその中で大雪によって多くの方々の命が失われる、防災の必要性を改めて感じたような次第でございます。
 そしてまた、昨今は、いじめによる子供たちの自殺、子供たちが自らの命を絶つという大変悲しい出来事が続いたわけでございまして、正に命の尊さ、大切さ、改めて感じたような次第でございます。それとともに、今年初めの秋篠宮妃殿下の御懐妊そして御出産、新しい命の誕生がいかに私たちに明るい希望をもたらすか、そんなことも感じたような一年ではなかったかと、こんなように思います。
#6
○小野清子君 国家百年の計といいながらも、激動の変化、そのスピードの速さの中、六十年という歳月を得て今教育基本法が改正されようといたしております。
 伊吹文科大臣におかれましてはどのような感慨をお持ちか、一言お願いをいたします。
#7
○国務大臣(伊吹文明君) 教育基本法の改正については、私などより、文教行政に大変努力をしてこられた小野先生を始めとする多くの方々が私よりももっと深い感慨を持っておられると思いますが、この法律はやはり理念法、基本法でございますので、衆議院、参議院共々、委員会でいろいろ御発言をいただき、御批判をいただいたことをやはり糧として、この理念法の上にいいものをつくっていくと、そして時代に合った日本人をつくっていくという作業の重さの方にむしろおののいているというのが今の私の真情でございます。
#8
○小野清子君 私は、家庭教育の部分、第十条に限って御質問をさせて、中心に御質問をさせていただきたいと思います。
 世の中の変化は、今申し上げましたように、各分野においても大変目覚ましいものがございますけれども、人間は何ら変わらず、未熟な状態でこの世に誕生し、親の庇護の下で人になっていくわけでございます。
 そうした中で、私たち親にとりましても、子供を育てながら親というものを勉強させていただくという認識を私自身も経験をいたしました。みんな未熟の中で、それぞれが力を合わせていい人間に育っていく、その中における教育というもののありようがいかに大切であるかということを、このまず最初の部分の家庭教育に考えるわけですが、男女共同参画型社会という現状の中で、さらにその前には男女雇用機会均等法という法律が一九八五年に世界女性会議において採択をされ、翌年の一九八六年に日本においても施行されたわけでございます。
 それまで閉ざされておりました働く女性の仕事の分野も大変広がりまして、例えばジャンボジェット機とか、あるいはパイロット、そういう方々、船の方ですね、の閉ざされていた分野に女性がどんどん体力、技術、能力があれば入っていける時代になってまいりました。高校進学も九八%、そして女性の大学進学も昨今の数字では四九・八%と大変大きな躍進を遂げ、この二十年間の間に女性の変化というものは男性を超して大変大きなものがあろうかと思います。
 そうした中に生まれてきたのが少子化という問題でございます。働くということと家庭を持つということ、その両立の大変さ、子供を育てるということは母親に係る分野が大変多うございます。そういうことが共同参画型社会の実現ということに現在も移り変わってきているのではないかと思います。
 こうした中で、それでは家庭の条件がどうなっているかと申しますと、核家族と言われますように、四世代、三世代が今核家族になり、そしてまた子供の数が一・二何ということで、家の中でも外でももまれることが大変少なくなってまいりました。福沢諭吉先生が、人は人にもまれて人になるという名言を発していらっしゃいます。もまれる人が周辺にいないで、子供は帰りの遅いお父さんに比べお母さんとたった二人、あるいは外の施設の御協力をいただきながら育つというふうな現状の中で、例えば子供の成長にとってそれがどういうかかわり合いを持ってくるかということは大変大きな問題で、外遊びの中に社会教育的な分野もありました。それが、空き地が全部駐車場になりまして外遊びはできない、遊園地はボール禁止で走り回れないなどなど、子供を取り巻く環境というものは内外、大変大きなものがあろうかと思います。
 要するに、子供時代に大きな筋肉部分を使うとか、大きな声を出すとか、協力してもらう、助け合うというふうな教育的な分野が全く欠け落ちてしまっているというのが今の子供たちの現状でございます。
 ここの中に、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであるというのがその十条に書かれており、必要な習慣を身に付けさせようという中に、働く両親の場合にはなかなか難しゅうございます。
 私は、ここに、短時間正社員労働という問題が今これから日本でも施行されようとしております。そこに大変大きな期待を持っているわけでございますが、さらには、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援する必要な施策を講ずるよう努めなければならないとございますけれども、ここで言ういわゆる家庭に対する支援と必要な施策ということは、具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるか。これは理念法ですから、具体的なものはないとは承知しながらも、御質問申し上げたいと思います。
#9
○国務大臣(伊吹文明君) 今、先生が御指摘になりましたように、教育の再生は、実は少子化問題の裏側にある非常に私は大切な視点だと思います。
 そして、家庭の、家族の再生というのは、何も女性が働きに出たから家族が崩壊しているわけではなくて、多くの方に伺ってみると、特に少子化になるのは、相談相手の御主人が帰ってこないと。女性にすべての重荷を負わせて子育て、そして相談をする人もいない状態で、おじいちゃん、おばあちゃんがいない今御指摘の核家族になっていますから、だから私は、やはり労働基準法の改正とか、そういうことを少しやっぱり考えて家族を復権させていくと。
 そして、その中で、やはりどういう方針で御家庭が子供さんを一義的に責任を持っておやりになるかという、そこの方針を国が介入するということは私は非常に不適当なことだと思うんですね。
 ただ、例えば子育て講座をしてあげて、おじいちゃん、おばあちゃんから教わっていたことを公共的に教えてあげる場をつくってあげるとか、あるいは子育ての悩みを抱えている親御さんに家庭教育のヒントを与えるような冊子を作るとか、地域社会ぐるみで御一緒に話し合う場をつくっていくとか、イメージとしてはそういうことをやりながら、復権を、別の施策、例えば労働基準法とか、あるいは地域で御家庭が三世代で定着できるような条件づくりとか、そういうものの上に立って今私が申し上げたようなことをやっていかないと、なかなかやはり家庭教育というのは復活をしてこないと思います。
 方針を国が押し付けるということだけは、私はやるべきことではないと思っております。
#10
○小野清子君 家庭教育というのは、言わば未来に躍進、あるいは人生を生き抜く、何と申しましょうか、ばねを生み出すような部分であると私自身思っております。しかし、子供たちが動的な遊びから指先のゲーム的なものになっていき、子供たちの成長発達段階というものは大変、どちらかというと、憂うるべきところにあろうかと思います。
 東京オリンピックの、大分前の話ですけれども、当時あれだけ十六個の金メダル取りながら、日本人の体力のなさというものが如実に国民に知らされたのも東京オリンピックでございました。
 文科省の方にお伺いしますけれども、例えば数字を取り始めた、明治までさかのぼりますね、あの辺りと現代の子供たちの身長、体重、胸囲の男女の十三、四、五辺りのどこか一か所でも結構です、お願いいたします。
#11
○政府参考人(田中壮一郎君) 児童生徒の身長、体重に関する推移のデータでございますけれども、小学校六年生でついて見ますと、昭和二十三年に男子百三十・四センチが平成十七年には百四十五・一センチということで十四・七センチ伸びておるところでございます。また、女子につきましても、昭和二十三年には百三十・八センチが平成十七年には百四十六・九センチということで十六・一センチ伸びております。
 体重につきましても、男子が昭和二十三年に二十八・二キログラムであったものが平成十七年には三十九・一キロと十・九キロ増えておりますし、女子につきましては、昭和二十三年二十八・二キロが平成十七年三十九・五キロということで十一・三キログラムの増加となっておるところでございます。
#12
○小野清子君 事ほどさように、もっと幅広く伸びている分野もあるわけです。
 体が成長するときに活動が伴わないと、器は大きくなっても、心臓、肺臓、循環器系のエンジン部分が全くそのままであるということを私は大変ゆゆしいことだと思っております。そういうことから感じまして、活動するスポーツというものの役割が、単に勝った負けたとかではなくて、その人の人生を支える上で大変大きな役割を担うということを感じて今の質問をさせていただきました。
 文化程度が上がれば上がるほど、体を動かさなくていい生活になっていくわけでございます。そこに、なぜスポーツをしなければならないかということは、生涯を支える体力というものがいかに重要であるかということに、先進国はスポーツクラブシステムをつくっているわけでございます。
 文科省の総合スポーツ型地域スポーツクラブの状況を、なるべく短く、現状どうなっているか、お願いいたします。
#13
○政府参考人(田中壮一郎君) 総合型地域スポーツクラブにつきましては、年次計画によりまして、すべての市町村に一か所は造りたいということで推進をしておるところでございます。
#14
○小野清子君 まだ四十七都道府県には行けておりません。やはり、そういうものが主体になりながらと思います。
 最後に、二〇一六年にもう一度東京でオリンピックをと、五十年ちょうどたちますところに、今、東京都知事を中心にしながら都議会の皆さんが一生懸命頑張っておるわけでございますけれども、このオリンピック招致に関して一番大事なところは、国の保証が得られるかどうかということが、当選するかしないかというところに大変大きな役割を持っているわけでございます。
 最後の質問になって恐縮でございますけれども、総理、その辺あたりの御所見を一言お伺いさしていただき、終わらせていただきます。
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今御質問をお伺いをして、かつて東京オリンピックが開かれたときのことを思い出していたわけであります。私はまだ小学生であったわけでありますが、あのときの重量挙げの三宅選手、あるいはまたバレーボールの優勝に胸をときめかせ、日本もこの世界のこういう大きな人たちと金メダルを争えるようになったんだなあ、本当に勇気付けられ、夢を与えられたような気持ちになりました。そのとき、正に日本人の心が一つになり、それから高度経済成長へと進んでいったのではないかと、こんなように思います。そういう意味におきまして、今、東京都の都民の皆さんがこのオリンピックに向けて熱意を持って招致に向けて頑張っておられると、また日本としても是非その招致に向けて努力をしていきたいと、このように考えています。
 今、御下問の国のこの保証の問題でありますが、最近の傾向として、こうした国際的な大会を行うときに、国の保証ということが大きなこれは一つの誘致のための条件になっているということは承知をいたしております。また、今後とも検討していきたいと思います。
#16
○小野清子君 ありがとうございました。
#17
○鴻池祥肇君 おはようございます。
 小野委員の残されました時間を私が担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 今朝早くテレビ見ておりましたら、今日は何の日というのがありました。忠臣蔵の日、こう書いてありました。私、あの歌舞伎が大好きでございまして、いつも見るんです。国立劇場だったらなかなか切符が手に入らない、十、十一、十二とやっていますけれどもね。仮名手本忠臣蔵でしたら、本日は、吉良邸で本懐遂げて、泉岳寺へ引き揚げて、細川邸へ預けられると。この日、歌舞伎では大詰めと書いてありますね、大詰め。
 衆議院では百時間以上、参議院では八十時間ぐらい、この教育基本法改正の議論をいたしました。いよいよ締めくくり総括質疑ですから、大詰めには間違いないと思います。
 私、おととい、十二月十二日の新聞、夕刊ですが、読売ですが、びっくりしたんです。「図書館の本傷だらけ」と書いてあるんですね。切り抜いたり、線引っ張ったりしておるんですね。これ、どういうことなんだろうと、そう思いましたら、私の地元、伊丹市辺りの本屋へ行きますと、万引きは犯罪ですと書いて張ってある。あるいは、在来線、芦屋から三ノ宮の方にJRに乗りますと、普通のおばさんがパン、クリームパンをかじりながら電車に乗ってくる。これ、教育基本法に家庭教育とかこういうのが入っておりますけれども、これ、私はよく聞かれるんですよ。教育基本法、一生懸命改正して、そういったことがなくなるのとよく聞かれるんです。これは、私も政治家で勉強していますから、これは理念法だから、基本法だから、くしゃみ三回何とか三錠のように一発で効かないと、しかし変えなきゃいかぬということで一生懸命やっているわけですから。
 これ、いつごろしみ通って、正しく現場にしみ通って、ああよかったなというふうになるんでしょうか。文部大臣、一つ聞きます。
#18
○国務大臣(伊吹文明君) 先生が今おっしゃったクリームパンをほおばりですか、そのような状況が何年掛かって出てきたかといえば、やはりこれは単に戦後教育の結果だけでは私はないと思います、社会の大きな進展の中で豊饒の中の精神の貧困というのはどの先進国でも起こってくる現象ですから。
 しかし、戦後の義務教育で教育を受けた人は今もう七十になっておりますからね、ほとんどの日本人は戦後教育でやってまいりました。ですから、この理念法を六十年ぶりに変えていただいて、今先生がおっしゃったように、この後に付いてくる法律、そして予算、さらに学習指導要領等の告示、すべてを直して、それで学んだ人が親になり、そしておじいさんおばあさんになり、子供、それで学んだ人が先生になり、その先生に教えてもらった人が先生になり、多分ここにいる者がみんなこの世にいなくなったときにでも、あのときに教育基本法を変えて、そして今の教育はできたから、クリームパンをほおばる人はなくなったと言われるのが教育であって、まあ税金の話とか社会保障の話とか、明日すぐ効果が出てくるというほど政治家としては報われる仕事ではありませんけれども、一番大切な仕事だと思って取り組まねばいけないと思います。
#19
○鴻池祥肇君 ありがとうございました。
 私、三島由紀夫という人の小説が好きでいろんなエッセイなんか読んでいるんですけれども、こういうことが亡くなる年の夏に、亡くなるというのは昭和四十五年の七月ですが、エッセイがありました。私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない、このままでいったら日本はなくなってしまうのではないか、日本はなくなって、その代わりに、無機質な、空っぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目のない、ある経済大国が極東の一角に残るであろうと。こういうことを表現しております。
 これは戦後二十五年の三島由紀夫氏の言ですけれども、六十年経た今も何となくこれ当たっているような気がしますけれども、総理大臣、どう考えられますか。
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、かつて官房副長官当時、小泉内閣メールマガジンの編集長で編集後記を書いていたときに、今、鴻池先生が引用された一文を引用したことがございます。
 この戦後の中で抜け目なくというのは、まあ損得に価値の基準を置いている、そういうイメージがあるわけであります。幾ら経済的に繁栄しても、物で栄えて心で滅んでいくのではないか。そういう国にしないためにも、我々はやはり教育を立て直していく必要があるわけでございます。
 この六十年間、自由民主党はこの教育の基本法の改正はずっと訴えてきたわけでございますが、しかし、先ほど伊吹大臣がお話しになられたように、世代がずっと交代をしていって、現象としていろんな問題が顕著になってこないと、なかなかこれは問題がみんなの認識、共有認識とはならなかったのかもしれないと、このように思います。
 現在、まだ、正にいろいろな問題が顕著になってまいりました。そこで、やはり私たちは、自らを律する精神、道徳やあるいはまた豊かな情操を子供たちに教えていくことの重要性、日本の今までの豊かなこの優れた伝統や、あるいは美しい文化を子供たちに教えていくことの大切さ、公共の精神、こうしたことをやはり教育の基本法に据えていく、書き込んでいくことが重要ではないかと。時間は掛かるかもしれませんが、この教育基本法を改正するまでの時間も長かったわけでありまして、正に小さな努力を重ねて今日に至った、目的岩をうがつ、そんな気持ちで取り組んでこられた皆さんの成果によって、今こうして御審議が行われ、この審議も相当、多少広く深い議論ができたのではないかと。将来、私たちの次の世代の子供たちが日本人として生まれたことに誇りを持ち、そして国際社会においても、さすが日本人はすばらしいと思えるような活動、活躍、貢献をしていくためにこの教育基本法の成立を是非お願いをしたいと、このように思っております。
#21
○鴻池祥肇君 総理、ありがとうございました。
 今回の教育基本法の中には、今までの教育基本法に入っていないものが非常に含まれておる、これは評価するわけでございます。家庭教育あるいは歴史、文化の教育も大事であると。
 今、伊吹大臣もおっしゃいました、戦後教育がすべて悪いんではないというふうにおっしゃったわけではありますけれども、私は大部分はやっぱり戦後教育が悪いと、このように思います。それと、やっぱり子供にゆとりを与えるとか、嫌なことはやらせない、競争はさせない、落ちこぼれはつくらないと、みんなそろって余り賢くない人類をつくっていこうという、何かそんな感じがしてしようがないんですけれども。私はやっぱり、子供というのは、人間の姿形はしておりますけれども、赤ん坊も幼児も小中学生も、まだまだ人の社会のルールといったものについては独学できない立場だと思いますよ。やっぱり、あるときは大人の強制力というか、大人の判断でたたき込まなきゃいかぬことは一杯あると思います。古い言葉かもしれませんが、仁義礼智信、仁は思いやり、義は善悪の判断、礼はあいさつ、智は学ぶこと、信は信ずるものを大事にすること、こういったものを大人の判断で幼児期にたたき込む、小学校でたたき込むと、これがもう随分欠けていたように思いますけれども、大臣、どう思われますか。
#22
○国務大臣(伊吹文明君) 今先生がおっしゃったことは、まあ人間社会の中で言えば普遍的な道徳観のようなものです。ただ、それを例えば、仁義礼智信、まあ忠孝悌とこう続くんでしょうが、それの具体的な解釈ですね、これはやはり人によってかなり違うと思います。鴻池先生のように力あふるる解釈もあれば、私のようにやや冷めた解釈もあるのかも分かりませんから、基本的なやはりこの価値観みたいなものは大切にしないといけないんですが、自分の解釈によってその価値観を押し付けるということだけは、やはり教育を預かっている私の立場からすると、なかなかここでこうだというほどのやはり私は自信が自分にはないと。
 ただ、今先生がおっしゃったことは、もう普遍的な道徳律としてどこの国でも守られるべきことだと思います。
#23
○鴻池祥肇君 ありがとうございました。
 先ほど申し上げましたように、私はやっぱり子供は大人の判断でたたき込まなきゃいかぬときはたたき込まなきゃいかぬという、これをやっぱり世の親、大人が考えなきゃいかぬというふうに思います。教育というのはどういうものだろうかといろいろおっしゃいますよ、みんな。しかし、未熟な子供を立派な大人にするためのことが教育だと思うんですよね。それが何か、すべて子供を楽しますために、嫌なことはさせないために教育、これは私は間違いであると思います。
 そこで、せっかく座っておられますから、ちょっと民主党の鈴木寛先生に、第十七条ですね、教育振興基本計画。これが民主党案では、比較的、まあよその党のを褒めたらいけませんけれども、これがこのまま独り歩きして、またぞろ官僚の手のうちに入って教育がどうなっていくかというのは、僕は心配なんです、政治家として。これについて、鈴木寛先生、どのように考えられますか。
#24
○鈴木寛君 お答えを申し上げます。
 私ども民主党が提出をいたしました日本国教育基本法案でも、第十九条で教育の振興に関する計画というのは盛り込んでございます。
 ただ、今委員も御指摘のとおり、今まで私も五年半、文教科学委員会におりますけれども、学習指導要領とか定数改善計画とか極めて重要なことが文部省の告示、あるいは文部科学省と財務省との間だけで決まってしまうと、これは非常に遺憾なことだと私は思っております。
 したがいまして、今回は、教育基本振興計画の主語を私どもの案では「政府は、」といたしまして、そして国会の承認を得て、それでしかも国民の皆さんに公表しなければいけないと、こういうふうに盛り込んでおります。正に国会の場で、子供たちに何を教え、どういう体制で臨むかと、こういうことを多くの国民の皆さんの代弁者である我々がきちっと議論をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
#25
○鴻池祥肇君 ありがとうございました。
 今のは、政府・与党案にはそれが盛り込まれておりませんけれども、やはり今の鈴木先生の答弁のように、政治がやはりそういったものをきちっと後を追っていくと、これが非常に大事であると思います。
 文部大臣、何かコメントございますでしょうか。
#26
○国務大臣(伊吹文明君) 提出いたしております政府案の第十七条は、今の教育振興基本計画について、計画を定め、これを国会に提出する、報告するとともに、公表しなければならないと書いてございます。
 したがって、議院内閣制の下では当然、行政権は内閣にございますから、私も与党の一員として行政府に入っているわけで、今、鈴木先生がおっしゃったようなことを役人だけで決めさせる大臣や副大臣や政務官であればそのポストにいる値打ちがないわけで、そういう人を安倍総理は選んでおられないと私は思っております。
#27
○鴻池祥肇君 心強い文部科学大臣の御答弁でありました。
 歴史、文化、伝統を大事にしようと、これも本当に織り込まれているということはすばらしいことだと思います。
 そこで、官房長官、皇室典範の話が、総理も官房長官のときにも、私はここで男子一系とか女系、女性天皇と、こういう議論をするつもりは全くありません、時間もありませんし、また内閣委員会でやらしていただきますけれども。これ、秋篠宮家に悠仁親王殿下、九月六日に若様はお生まれになった、この辺りから突然消えてしまったんですね、この話。消えた方が私、いいんですけどね。
 これ、何というんですか、有識者というか無識者という、有識者だ、皇室典範に関する有識者会議というのはまだこれ生きとるんですか、官房長官、日本語でひとつ。
 そんな相談せないかぬことなの。
#28
○国務大臣(塩崎恭久君) もちろん存在はしております。
#29
○鴻池祥肇君 存在はしているって、これは小泉総理の諮問機関でしょう、この有識者会議というのは。それ、安倍内閣になって、まだそのままあるんですか。どうですか、官房長官、どうして後ろを向くの、自分の担当でしょうに。
#30
○国務大臣(塩崎恭久君) それは、総理大臣の諮問機関として存在をしているというふうに理解しております。
#31
○鴻池祥肇君 そのまま安倍総理の諮問機関として存在をしているというふうに、総理も御認識ですか。
#32
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この有識者会議以外にも幾つか小泉内閣時代のものがございますが、それは幾つかはそのまま、廃止ということ、また新しいメンバーということにしない限り、存続はしているということでございます。
#33
○鴻池祥肇君 せっかく安倍内閣になっておりますから、これ変えてほしいと思いますね。私の個人的な意見だけではありません。この有識者会議の結論というのは何か偏っているような感じがいたしますので、もう一度考え直していただきたいということだけ申し上げたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
#34
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 今日は、教育の問題に関して安倍総理に質問させていただきたいと思います。
 まず、今回の教育基本法の改正の理由についてですが、安倍総理はその中で、国民がこの教育基本法の改正を望んでいるんだと、そのことを理由の一つに挙げられていますが、その国民の皆さんがこの教育基本法を改正してほしいと、総理が、御自身がそういうふうに判断された根拠は一体何でございましょうか。
#35
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦後六十年が経過をして、世の中が大きく変化をしてまいりました。かつては日本社会は大家族が中心であったわけでありますが、核家族化をしてきた。そして、御両親とも仕事を持っておられる家庭も増えている中にあって、また地域社会も大きく変わり、地域における教育力が低下をしてきていると、こんな指摘もあるわけでございます。
 また、その中で、いわゆる道徳心、規範意識、公共の精神に欠ける行動が多いではないかという指摘は、これはもう大変多くの方々がしているわけであって、その中で、やはりこの教育基本法を見直しをしていくべきではないかという意見は多々あるわけでございます。私も、自由民主党の幹事長時代あるいは幹事長代理時代に、多くの方々との会合においてそういう声を耳にしているわけであります。
 また、我が党は、例えば自由民主党は、教育基本法を改正をしていくということは、もう既に主張として述べてきているわけであって、その上において選挙で勝利を得ているわけであります。与党の公明党も、我々とともに教育基本法を改正をしていくという中において議論をしてきて、そして選挙を経ているということでございます。当然、その中で、私たちは国民の皆様に対して教育基本法を改正をしていくことの重要性を説く中で御支持をいただいたと、このように考えるのは当然ではないかと、このように思います。
#36
○櫻井充君 選挙で勝利を収めたというふうにおっしゃいますが、昨年の衆議院選挙は、小泉総理は、これは郵政民営化を問う選挙であって、言わば国民投票のようなものだというふうにおっしゃっておられましたが、今の答弁はちょっと違うんじゃないでしょうか。
#37
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私たちは、公約の二〇〇五を示しております。これをよく読んでいただきたい、そのように思います。
#38
○櫻井充君 まあ、そうすると、あの選挙そのもの自体を郵政選挙だ、郵政の民営化を問うような選挙だというような形で喧伝されるということそのもの自体は、私はある種、国民の皆さんを欺いているような気がしてなりません。ここは規範意識ということで考えてくると、果たして本当にそうなのかどうかということは、僕は若干の疑問が残ります。
 なぜそういうことを今日はお伺いしたのかというと、結局は、タウンミーティングそのもの自体が国民の皆さんの声を聞く場面であって、そのもの自体で、国民の皆さんからこういう意見があるから要するに教育基本法改正するべきなんだという根拠の一つにされておったと、私はそう思います。しかしそれは、残念ながらお金を使って、税金を使って世論を誘導していた、世論を操作していた、つまり国民の声をねじ曲げていたと思いますが、その点については総理としていかがお考えでございましょうか。
#39
○内閣総理大臣(安倍晋三君) タウンミーティングでああしたことが行われていたことは、大変遺憾に思うわけであります。しかし、国民の声を聞く機会はほかにもあったわけでありまして、中教審においても議論がなされてきましたし、ここに関係団体の方々が来られていろいろな御意見を述べられたこともございます。
 また、何といっても国民の代表であるこの国会において、これは相当長い時間を掛けて議論を行いました。参考人の方々にもお越しをいただき、また公聴会も行ってきた、こういうことではないかと思います。
#40
○櫻井充君 それでは、もう一つ別な角度からお伺いしておきたいと思いますが、総理は所信表明演説の中でも規範意識という言葉を使われておりますが、総理の考える規範意識というのはどういうものでございましょうか。
#41
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 規範意識というのは、決められているルールやマナーをしっかりと守っていくという意識であります。また、もちろん法律は守っていくということは当然でありますが、法律以前に守らなければいけないものもあるという意識を、認識を持つことも当然であろうと、このように思うわけであります。
 例えば、道路にごみを捨ててはいけない、これは法律にもし、たとえないとしてもそれはそういうことをしないというのが規範意識ではないだろうかと思います。
#42
○櫻井充君 そういう観点に立ちますと、今回のタウンミーティングのやらせというのはこの規範意識の欠如というふうに考えてよろしいんでしょうか。
#43
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このタウンミーティングの本来の目的が国民の皆様との双方向との大切な対話の場であり、この場において私たちが進めようとしている政策を説明し、国民の皆様の生の声を伺う、そういう大切な場にしていくということがこのタウンミーティングの目的であったわけでありまして、この目的に向けて仕事をしていなかったということについては、これはその意味においての規範意識に欠けていたということになるんだろうと思います。
#44
○櫻井充君 このような規範意識の欠けている人たちが規範意識を説くことそのもの自体が私は問題があると思っています。
 まだあります。例えば、昨日はこれ、社民党の福島議員の質問に対して、政府参考人から、まず福島さんはどういうことをおっしゃったのかというと、いじめの問題で、自殺されている子供さんたちがいらっしゃったと、で、文部省の把握ではほとんどいじめによる自殺者はいないんだと。ところが、警察の統計によるとはるかに文部科学省が把握している数よりも多くて、連携するべきなんだというようなことをある方が指摘して、文部科学省はそれに対して、それに対して、自分たちもきちんと連携しますと言っておきながら一年半放置しておりました。
 そして、昨日、そこの中で僕はもっと問題だと思ったのは、その放置したことによって自殺者が、いじめによる自殺者が増えたんじゃないか、若しくはその時点できちんと対応していれば犠牲者は減らせたんじゃないだろうか、そういう観点で福島委員が質問したのに対して、そのことが子供の自殺を誘引したとかそういうことではないと思うと、つまり自分たちの責任では全くなかった。つまり、警察との元々連携を取って現状をきちんと把握しておけば、我々は子供の自殺、そういったものを防げるんじゃないかという観点で質問したら、政府の参考人はこういうような答弁もされているわけですね。
 こういう考え方というのは、規範意識の欠如に当たるんでしょうか。
#45
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨日の答弁において、お約束をしたことをやっていなかったということは、これは私ども先ほどから認めて反省をしているわけでありますと、このように答弁をしているわけでありまして、その前の答弁においても、このように放置をしていたことについては反省をしていると、こう文部省としても申し上げているわけであって、この約束したことをやっていればよかったと、やっていくべきだったと、このように述べているわけでありまして、反省をしていないということでは決してないと思います。
#46
○櫻井充君 反省しているという言葉はありましたが、自分たちがそういう政策、そういうことをきちんとしなかったことがそのいじめの防止には関係なかったんだと、そういう答弁もされているわけです。そちらの内容に関して、そういうその内容に関して規範意識に欠けているんではないのかと私は思いますが、総理としてはいかがでございましょうか。
#47
○国務大臣(伊吹文明君) 先生、済みません。昨日総理がこの場におられなかったので、私が聞いておりました感想を申し上げます。
 お約束をしたことを放置していたということは、これはもうどの人間社会においても誠に恥ずかしいことで、私は、なぜこんなばかなことをほっておいたんだと、きちっとやらにゃ駄目じゃないかということを私は厳しく言ってありますし、私自身もその点は御批判は甘んじて我が省が受けなければならないと。
 その上で、福島先生の御質問は、警察と連絡を取らなかった当該お手紙について、お約束したように警察と連絡を取らなかったことがその後の自殺の数がどんどん増えたということの原因じゃないかという御質問をされたわけですよ。ですから、それについては申し訳ないことだったけれども、にわかにそれが原因であると直に結び付けるということは判断が難しいという趣旨の御答弁をしていたと思います。
#48
○櫻井充君 時間がないのでここはこれで止めますが、しかし、そういう意識だったら、なぜそのいじめの防止やそれから自殺の防止というのを文部科学省がやらなきゃいけないのか私には理解できません。つまり、放置しておいたことそのもの自体が無関係だということであれば、教育行政そのもの自体が文部科学省担う私は資格がないんじゃないかなというふうに思います。
 もう一つ、規範意識の中で、前総理は、公約を守らないことは大したことじゃないと、そう申されました。これは規範意識に欠けておりますか。
#49
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、当時私は、総理の場にあって私が申し上げたことではありませんが、恐らく三十兆円の国債発行について総理がおっしゃったことであろうと、このように思います。
 そのときに、やはり説明が、総理のそのときの説明は十分ではなかったということは総理も御自身がおっしゃっているわけでありますが、総理がした公約というのは、三十兆円の枠をできる限りこれは超えないようにしていくと、そして初年度はそのとおりにしたと、しかしその後は経済状況によっては緊急的な対応もしなければならないということはもう既に総理自身も述べていたことであって、その範囲内でやっていたと、こういうことであって、言わば経済を、せっかく自律的な回復に向かう経済を腰折れさせないということの方が重要であろうということを非常に短い言葉にした結果、誤解を生んだのではないだろうかと、このように思います。
 その後、自律的な経済成長をして、正に税収も増えて、最終年は見事に三十兆円を切ったということではないかと思います。
#50
○櫻井充君 今私が申し上げたのは規範意識に欠けているのかどうかということであって、つまり、今の御説明はそれはそれとして受け止めますが、公約を守らないことは大したことじゃないんだと。つまり、約束したことそのもの自体を守らないことは大したことがない、それは言葉が短かろうが何しようが、一国の総理が、トップの方がそういうようなメッセージを出せば、こうやって規範意識が大事だと、約束を守れと言っても、なかなか皆さん信じられないんじゃないかと。
 改めてお伺いしますが、ああいう言葉というのは規範意識に欠けると私は思いますが、いかがですか。
#51
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その後も、その後、小泉総理もこの言葉については撤回をしておられます。つまり、公約を、我々は正に公に約束をするわけでありますから、それを当然守っていくということは規範意識を守っていくということにもつながるわけでありまして、我々は守るために今後とも努力をしていかなければいけないと思います。
#52
○櫻井充君 今後どうするということではなくて、私はこの発言に関してどうかということをお伺いしているんであって、これがテレビ入っていなきゃもうここで一回止めるところですが。
 なぜ、なぜこういうことをお伺いしているのかというと、伊吹大臣からも何回も何回も規範意識という言葉が聞かれますし、それから総理の所信表明の中にも規範意識ということが書かれているわけですよ。しかし、社会の中で規範意識に欠けると言いますが、私は国会の中でも随分規範意識って欠けているんだろうと思っているんですね。
 じゃ、先ほどのは前総理のお話であったとすれば、例えばそれ復党問題一つにしてみても、国民の皆さんからしてみれば、ああいう形で、私は、私は造反組という言葉は大っ嫌いで、私はむしろあのときに郵政の民営化に反対された方々の方が国益をきちんと重んじて自分の意見を述べられた方だと、私はそういう評価をしておりますし、郵政の民営化というものがいかに失敗であったかというのはあと何年かたてば分かるだろうと、私はそういうふうに思っている立場の人間です。
 それはそれとして、しかし、あの選挙の中でそういう劇をつくって、実は劇をつくって与党は勝利を収められた。今度はその人たちが、どういう目的なのかは分かりませんが、戻られるというようなことに対して、国民の皆さんはおかしいんじゃないかというような声を挙げられております。
 これは、こういう行動というのは規範意識に欠けるというものなんでしょうか。
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの小泉総理御自身の発言については、繰り返しになりますが、小泉総理自身がその発言については撤回をしておられますから、それはそれでいいんだということでは全くないわけであって、それについては撤回をされているということは重ねて申し上げておきたいと思います。
 そしてまた、郵政の問題において昨年の自由民主党の方針と異なった投票行動をされた方々の復党についてでありますが、私自身は総裁選を通じてこの皆さんと国づくりの方向が一致をすれば、私の方向と一致をすれば手伝ってもらいたいと考えていると、こう申し上げて総裁に就任をいたしているわけであります。そしてまた、この方々についても、今回、所信表明、私の所信表明に賛成をする、そして首班指名においても支持をされたわけでありまして、そういう中においては、国会において私どもとしても改革を進めていく、国づくりを進めていく上において一人でも支持の方々、支持をしていただく方々が多い方がいいわけであって、そういう意味において新たに仲間に加わっていただいたということでございます。
#54
○櫻井充君 あとはこれ国民の皆さんの判断ですが、こういうことをずっとやられていて規範意識、規範意識ということを言うことそのもの自体、私はおかしいと思うし、それから今回の所信表明演説の中で、教育基本法の早期の成立を期しますと、そしてそのことによって高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障すると、こうあります。この規範意識というのは一体だれがつくられるんでしょうか。
 つまり、今回僕がどうしても違和感を感じるのは、教育の目標ということをこの教育基本法の中に掲げていることです。その教育基本法の中にこういうものを掲げて、そして規範意識を身に付けさせるんだということになってくると、ある種の価値観を、価値観を国が強要することにはなっていかないんだろうかと。つまり、規範というのは、これは辞書によれば、その社会でそれに従うことが求められる行動などの形というふうに定められていて、私はこれは政府が定めることではないと思っています。
 つまり、その点から考えてくると、このような考え方に立ってこの教育基本法の改正を行ってくるというのは私はおかしいんではないかと。安倍総理の所信表明でもこのような形で述べられておりますが、安倍総理としてはいかがお考えでしょうか。
#55
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それでは、規範意識を持たなくていいというのでしょうか。規範意識というのは極めて社会を構成をしていく上で重要なことであり、子供たちが将来成人して社会人として生活を送っていくためには本人にとっても大切なことであります。それをどこで身に付けるかといえば、それは子供の時代に学校で、あるいは地域で、そして家庭で身に付けていく以外にはないわけであります。みんなが規範意識を持っていない子供でいいと言うのであれば、それはおっしゃるとおりなんだろうと思いますが、そうではないと私は考えているわけであります。
 先ほど申し上げましたように、規範意識というのは一つの、これはイズムでも思想でもないわけでありまして、日本がこの長い伝統や歴史、文化の中で培ってきた常識であろうと思います。この日本の社会を保っていくために、より良い社会にしていくために、また国民が安心して生活をしていくために必要な社会をつくっていくために必要なもの、それはやはり私は規範ではないだろうかと、このように思います。
#56
○櫻井充君 質問の趣旨をきちんと理解して、酌んでいただきたいんです。私は、規範意識がなくていいなんて一言も申し上げておりません。私は、規範意識そのもの自体を政府がつくるような形になってしまうのはおかしいんじゃないかと。つまり、つまり今総理が御答弁の中でおっしゃったとおり、日本の歴史や伝統や文化の中ではぐくまれてくるもの、それがまさしく規範であって、国が法律などそういったものをきちんとこういう形で整備してつくってくるというものとは私は違うと思っている。つまり、政府そのもの自体が提供するものではない。
 なぜかというと、もう一つ申し上げておきますと、先ほどからるる指摘したように、様々な規範意識に欠けるような人たちが今行政運営をされている。そういう人たちが規範意識そのもの自体をつくること、そこ自体が私はおかしいと思っています。いずれにしても、これは極めて大きな問題だと私は認識しています。
 済みません。限られた時間なので、あともう少し質問させていただきますが、今回の教育基本法の改正で社会はどのように変わるんですか。どのように変えるから、その今回の教育再生という、総理の所信表明の中で、まず教育基本法の早期成立を期しますと書いてありますが、むしろ教育現場で起こっていることや、それから御家庭の方々が悩んでいることというのは、教育基本法の改正ではなくてもっとほかのことではないのかなと、そう思うんですが、教育基本法の改正をまずなぜ、このことをやることによって今の教育というものがどういうふうに変わるというふうに総理はお考えなんでしょうか。
#57
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現行の教育基本法が果たしてきた役割、意義についても私は評価をしているわけであります。国民に教育の機会均等を提供し、高い水準の学力を実現したのも事実でございます。しかし、戦後六十年以上を経過した今日、様々な問題が顕在化をしているのも事実でございます。
 その中で、例えば先ほど申し上げましたが、大家族から核家族化していると。また、地域における教育力も低下をしてきています。そして、先ほど議論になったように、子供たちの規範意識、道徳やルールを守っていく公共の精神という、そうしたものがだんだん希薄になっているという、そういう指摘が私はそれは事実ではないだろうかと、このように思うわけであります。
 我々の教育基本法のこの改正案の中には、公共の精神、またあるいは自律の精神も書き込んでいるわけでございます。例えば、いじめの問題については、そういういじめたい、暴れたい、相手を例えば殴ってみよう、そういう気持ちをこれはやはり自律の精神で抑えていく。そして、やっぱりみんなで勉強するクラスにおいては迷惑を掛けてはいけないという公共の精神を、これを教えていくことも必要でしょうし、豊かな情操教育をしていくことも大切でしょう。そしてまた、道徳的な教育をしていくことも大切だろうと。そういうこともこれは書き込んでいるわけでありますし、また日本の国民として、日本の文化やこれは伝統を尊重していく、そういうものをはぐくんできた我が国や郷土に対して愛着を持つ、またそういう気持ちを持っていけば、海外に出たときに日本人として恥ずかしい行動は取るべきではないな、そういう真の私は国際人が育っていくのではないだろうか。また、国際社会の平和や発展のためにも貢献をしていこう、そういう志ある国民をこれは育てていくことにも私はつながっていく。
 そういう言わば基本的な理念や原則を書き込んでいるわけであって、二十一世紀、未来を切り開いていく国民を育成をしていく、教育をしていくに私はふさわしい教育基本法ではないだろうかと。
 ただ、これがすぐにいろんな変化にこれは対処するものではない、あくまでも基本的な理念と原則であるということは申し上げておかなければいけない。しかし、必要性があるからこそ御党もこの改正案を提出をされているのではないだろうかと思います。
#58
○櫻井充君 私も総理も現在の教育基本法で教育を受けた人間です。我々は何か欠陥があるんでしょうか。
#59
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そのように単純化して言うべきではないんだろうと、このように思います。
 先ほどクリームパンを食べているという女性の話が出ましたが、国民みんながそれを食べているわけではないわけであって、そういう現象が出てきているということであって、だからこそ、時代が変わったらその時代に我々は対応していかなければいけないということではないかと思います。
#60
○櫻井充君 時代に対応していく上において、理念そのもの自体を変えるという方法が一つだと思いますし、それから運用といいますか、その現場で変えていくということも一つなんだろうと思います。
 私は今、不登校と引きこもりと拒食症の患者さんの治療に当たっている中で、やはり家庭教育の問題というのはこれ痛感しております。家族の関係が変わるとまた学校に行ける子供たちが随分多くいて、家庭教育そのもの自体を改めて考え直さなきゃいけないとは思うんですね。しかし、今回教育基本法の中に家庭教育という一項目を挙げたからといってそういった問題が解決するかというと、僕は全然違うと思うんですね。ですから、今理念を議論することも極めて大事なことかもしれないけれども、現場にある問題その一つ一つの対応をしていかないと、それこそ早い段階で処置しなければ、もう困ってしまうような出来事というのが起こってきてしまうんじゃないか。つまり、物事には順番があって、むしろやるべき措置が違うんじゃないだろうかという気がします。
 私は、まず最初にやるべきことは、例えばその教育の格差のところで所得格差が、(資料提示)これ見ていただければ分かりますが、所得格差が実は将来の子供の進学もある種規定していて、そしてなおかつ、学歴社会がいいかどうかは別として、このような形が実は格差を固定してしまっているのではないかというふうに考えています。
 これで、パネル見ていただければお分かりいただけますが、所得二百万未満、二百万から四百万ぐらいの方々は、最終学歴、親が子供に進学してほしい学校は専門学校までを挙げられている方が三割ぐらい、若しくは三割を超えているぐらいです。ところが、一千万円を超えている方々というのは、大学とそれから大学院に進学を望んでいる方が実に九〇%もいらっしゃると。つまり、所得によって進学先の希望が違ってきている。そして、このことによって、今の学歴社会であれば、また同じようなことが繰り返されてしまう。
 安倍総理は今回の所信表明演説の中で、要するに、こういったその格差の是正を目指していきますというふうにおっしゃっていますが、本当に総理がおっしゃっているような形のところで、今回の内容で格差が是正されるんでしょうか。
#61
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この格差の是正についてでありますが、まずは日本の経済を成長させていくことが大切だろうと、私はこう考えております。イノベーションとオープンな姿勢によって日本の生産性を高め、そして経済成長をしっかりと力強くしていく、そうしたマクロ政策とともに、今委員が御指摘になりましたような格差に対する対応をしていかなければならない。
 例えば、再チャレンジ支援策によって、一回失敗した人も、あるいはもう一度学んでみようと思う人たちにもそういう機会やチャンスが与えられる社会にしていくことが必要でしょう。そしてまた、例えば正規、非正規の雇用の待遇の均等化に向けての施策を行っていくことも大切だろうと思います。
 また、今御指摘のあった教育の格差につきましては、例えば、私立に対する私学振興において、授業料に対するこれは補助を、授業料の低下をこれは推進をしていくことも必要でしょうし、また、奨学金の制度を充実をさせていくことによって恵まれない家庭の子供たちにも教育の機会がしっかりと提供されるようにしていかなければならないと。このマクロ政策を進めるとともに、当然こうしたきめ細かなそれぞれ個々の対応を行ってまいりたいと考えています。
#62
○櫻井充君 私は、今の中で大きく抜け落ちている点があると思っています。それは何かというと、この社会で変わってきているのは、これが現在ですね、これ労働分配率、要するに賃金ですね、賃金がこの折れ線グラフになってきています。そうすると、今までは日本というのは、企業の利益というのは労働者に分配されておりました。ところが、二〇〇四年ぐらいからどう変わってきているかというと、労働者に対しての分配率が急激に落ち始めてきている。その代わり、じゃこの企業の利益はどこに行っているのかというと、この棒グラフのところが株式に対しての配当金です。つまり、配当の方に回ってきていて、労働者に対する分配率が落ちてきていると。まずこの点が、この国の今までは労働者に対してきちんと給料が払われてきたからこそ、八割中産階級と言われ続けてきた時代だろうと思うんです。ですから、企業の利益がただ単純に上がっていく、景気が良くなっていくとしても、こういう構図がある限りにおいては、私は格差というのは是正されないんだろうと思っております。
 それからもう一つ、正規、非正規のところは、総理も今お述べになりましたが、実態このぐらい違っています。その男性の正社員、これが青いグラフですね。そして男性の非正規がオレンジ色ですけれども、格差は実は年代ごとによって違っていますが、ある年代で言うと、もう二倍ぐらいまでその所得格差が起こってきていると。
 こういう実態を放置していけば、格差はそのまま続いていくし、結局はその所得の低いところの子供さん方の将来もある程度決まってきてしまって、格差が固定する社会になっていくんじゃないのかなと、そういうふうに思いますが、総理の御見解をもう一度お伺いしたいと思います。
#63
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 労働分配率の問題につきましては、今後、経営者側も現在のこの経済の状況にだんだん自信を深めていくことによって労使間でのお話合いが進んでいくのではないかと、このように期待をしているわけでございます。
 そしてまた、先ほど申し上げましたように、教育のそれが現場に及ばないようにしていくためには、やはり先ほど申し上げましたように奨学金をしっかりとこれは充実をさせていく必要もあるでしょうし、私学の振興も必要なんだろうと、このように思います。
 また、いわゆるフリーターと言われている方々がなかなか正規の仕事に就けないという状況にあって、私どもの政府としては二十五万人の常用雇用化プランを進めてまいりたいと、こんなようにも考えておりますが、また、先ほど申し上げましたように、何度でもチャンスのある、機会のある社会をつくっていくことによって、またその中で職業訓練を受けたり、また学び直しをして、自らの意欲において新しい段階にステップアップしていくことができる社会をつくっていくことが私は重要ではないかと思います。
#64
○櫻井充君 それは、お金があればできるということになっていくんじゃないかなと。これは小泉内閣メールマガジン、少子化アンケート、平成十七年の七月に行ったものですが、少子化に歯止めを掛けるのに必要な政策の中の実に七〇%が子育て支援、子育て世帯に対して経済的支援を充実すると。先ほどお示しした四百万円以下の世帯ですと、子供さん、学校に通っている子供さんがいらっしゃった場合、何と所得の半分が教育費なんですよ。ですから、それだけの負担を強いられれば、最終的にはなかなか難しくて、結局は学校に行けなくなるような子供たちも出てくるんだろうと思います。
 その点について、民主党の方として何か対策があれば御答弁いただきたいと思います。
#65
○鈴木寛君 お答えを申し上げます。
 私どもも、日本国教育基本法案を提出する際に、何をしなければいけないのかあるいは我々は何をしたいのかということは、正にこの格差社会においてきちっと機会の平等を保障していく社会を絶対に実現するんだと、こういう思いでございます。
 私どもが提出をいたしました六条におきましては就学前教育の漸進的無償化、そして第八条におきましては高等教育についての無償教育の漸進的導入と奨学制度の充実、こういったことを盛り込んでおります。
 これは、正に我が国は教育費、GDPに占める公財政支出でございますけれども、OECD加盟三十か国中最低でございます。正に、高等教育だけで申し上げましても〇・五%、全体で申し上げても三・五%。せめても、アメリカが高等教育一・二、それから全体で申し上げると五・四でございますから、ここのレベルには速やかに教育基本法でこうした方針を打ち立てることによって実現をしていきたい。正にコンクリートから人づくりへの第一歩として日本国教育基本法案を提出をさせていただいているということでございます。
#66
○櫻井充君 まさしく、教育にお金を掛けないと変わっていかないんじゃないかと。小泉総理は米百俵とおっしゃっていたんですね、どこに消えたのかよく分かりません、もうなくなってしまったのか。
 やはり、まずきちんとした形で教育費を増やしていくべきだと思いますし、それからもう一つは、先ほど総理は格差を是正するような政策を打ち出しているというようなお話をされていましたが、これは平成十三年から十八年にかけて、これ小泉政権時代ではありますが、サラリーマンの所得別に見たときの負担増です。そうすると、四百万、六百万世帯では負担割合は何と一六%なんですが、三千万円ぐらいの世帯だと七・五%しか増えていないんですね。つまり、つまり、格差を是正する是正すると言いながら、税負担、社会保障負担はむしろ所得の低い人たちの方に重くなっているというのが実態なんですよ。障害者自立支援法にしたって、なぜあの障害者の方々に対して一割負担を強いなきゃいけないんでしょうか。そして、株式の配当は、結局は財界から押し切られて優遇税制をそのまま継続するような形になりました。
 つまり、格差を是正する是正するといいようなことを言っているけれども、実際にやっていることは全く逆なんじゃないでしょうか。格差を是正するよりも何よりも、むしろ今やっていることは、大企業を優遇するとか、それから所得の多い人たちを優遇するだけの政策ではありませんか。違いますか。いや、大臣ですよ。
#67
○国務大臣(伊吹文明君) いやいや、ちょっと。委員長が御指名をされておりますので答弁させていただきます。今日はテレビが入っておりますから、誤解を受けるといけませんので。
 確かに、先ほど、民主党の提案者、そして質問しておられる先生御自身も、教育にお金を掛ける、私も今、予算編成のために教育にできるだけ予算を集中していただくべく最大限の努力をしているところです。その結果は補正予算にいずれ現れてくると思います。しかし、テレビの前でそれだけお金を掛けるべきだということであれば、民主党が今議論しておられる新しい政策の中で消費税を上げないと言っておられるわけでしょう。どこを減らしてその財源を持ってきて、どこの税を上げてその財源をはっきりと確保されるかを……(発言する者あり)
#68
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛に願います。
#69
○国務大臣(伊吹文明君) 国民におっしゃらなければ、それは政策論争にならないんじゃないんですか。(発言する者あり)
#70
○委員長(中曽根弘文君) 質疑者以外は静かにしてください。
#71
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、櫻井委員は格差、格差と、このようにおっしゃっていますが、しかし、この五年半、我々は改革を行うことによって、いわゆる失われた十年から力強いこれは成長軌道に乗ることができたんです。やはり経済が成長していくことによってこれは税の自然増収も出てきたわけであって、今このグローバル化した世界の中で、日本は競争に勝ち抜いていかなければ成長もしないし、そしてその成長の果実をみんなで分けることもできないということであります。
 そういう政策の中にあって、しかし、いかに格差を感じないそういう社会をつくっていくかということが難しいわけでありますが、しかし大切なことは、何回も申し上げておりますが、だれにでも何回でもチャンスのある社会をつくっていって、しかしそれは決してお金持ちしかできないということではないわけであって、一回失敗した人も、あるいはまた、努力をしてもう一度勉強しようという人たちに対していろんな支援ができないだろうかということを今我々は総合的な再チャレンジ支援策として取りまとめをしているところであります。
#72
○櫻井充君 それでは、民主党の、どうやってその予算配分するのか、概要だけちょっと教えていただけますか。
#73
○鈴木寛君 お答えを申し上げます。
 先ほどコンクリートから人づくりへということを申し上げましたが、我が国の公共事業支出対GDPはほかの国に比べて二%ぐらい高うございます。これを削ることによって教育でありますとか医療でありますとか人づくりに回していけば、必ずしも増税する必要はないという、こういうふうなことを提案をさせていただいております。
 更に申し上げますと、今年の通常国会におきまして我々民主党は、民主党としてきちっと予算の対案を出させていただいております。総額においても、文教科学予算総額においても政府案よりも八千億高い予算を計上して、なおかつ、全体像として国債の発行高を四千億削減をするという案をきちっと国会にお出しをさせていただいているということも併せて御説明を申し上げたいと思います。
#74
○櫻井充君 どうもありがとうございます。きちんとした根拠もございますので。
 そこで、今総理は、経済成長を遂げてその果実をみんなでと、分配するというようなお話をされましたが、決してそうではありません。
 私は宮城県の仙台ですが、東北はまだまだ経済は良くなっておりませんし、特に中小企業など極めて大変です。大企業そのもの自体が利益を上げているのは、その下請であるとか孫請であるその中小企業そのもの自体の利益率を抑えてやっている、上げていること、それともう一つは、先ほど申し上げましたが、非正規社員を物すごい勢いで増やしていって、そして賃金を抑制しているから、労働者に対しての分配率を落としているから結果的にはその企業が成長を遂げているだけの話、利益を上げているだけであって、経済が成長し、果実は上がっているかもしれないけれど、それが多くの人たちに分配されているわけではありません。そういう認識を持たれているということは、私は、一国のトップとして決していいことでは、ふさわしいとは私は思えませんがね。
 もう一つ、それでは、先ほど改革というふうなお話がありました。構造改革というお話がありました。総理にとって構造改革というのは目的なんでしょうか、手段なんでしょうか。
#75
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど正規、非正規のお話がございました。確かに非正規の雇用者の数が増えていたのも事実でありますが、最近の数字を見ますと、やっと正規の労働者の方が増えてまいりまして、非正規の労働者が減少し始めた、これも事実であります。これは正に、改革を進め、経済が力強く成長している過程で出てきた私は明るい日差しではないかと、傾向ではないかと、このように思うわけであります。
 そしてまた、この経済成長をした果実についてのお話であります。私たちは今大きな借金を抱えています。この経済成長をしたことによって我々は今国債の発行を減額をしているわけでございまして、そういう意味におきましては、借金を返していく、これは国民みんなが子供たちに将来のツケを送らない、これは国民ひとしゅうそれは将来において負担が軽くなっていくということに私はつながっていくわけであります。(発言する者あり)
 そして、最後の御質問でありますが、構造改革は手段か目的か。これは手段であるのは当然であります。
#76
○委員長(中曽根弘文君) 重ねて申し上げます。質疑者以外は静かにしてください。
#77
○櫻井充君 それでは、その構造改革という手段を用いて本当にこの国そのもの自体が変わってきているのかどうか。それからもう一つは、その構造改革そのもの自体が日本の意思で行われているのかどうかということが私は極めて大きな問題だと思っています。
 例えば、これは一九九六年の十一月十五日に日本政府とアメリカ政府と、行革、競争政策に関しての要望書でございますが、そこの中で、雇用政策として、アメリカからの要望書として、できれば、日本の場合には、労働者は、労働者の移動を妨げるある種の特徴を持っているから、それを変えてくれという要望書が来ているわけですね。結果的に、それに沿って平成四年の三月から、改正労働者派遣法が施行されてから労働者の分配率も下がっていますし、それからもう一つは、非正規雇用の人たちがどんどんどんどん増えてきていると。
 つまり、構造改革のときに僕は竹中大臣や小泉総理と随分やりましたが、結果的には、その対日要望書というものがございます、その対日要望書そのもので要望されている社会にどんどんどんどん変わってきているんですよ。ですから、そういう点でいうと、この国の構造改革がもし手段であるとすれば、だれのためにそういう形で変えていっているんでしょうか。
 先ほどの労働者の分配率のところをもう一つ申し上げておきますが、日本の最大の企業の今最大の株主はもう外国人になっています。外国人の株主が二六%もいます。つまり、その人たちを優遇して、そして日本人の労働者の賃金を低く抑えて、結局は日本人が一生懸命働いた対価はほかの国に流れていっているというのが現状ですよね。
 だれのための改革なんでしょうか。対日要望書についてどうお考えですか、総理は。
#78
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま委員が指摘をされました対日要望書というのは、日米規制改革及び競争政策イニシアティブのことであろうと、このように思います。
 日本は正に資源のない中で貿易によって立国をしていると言ってもいいんだろうと、このように思います。日本が輸出をして、あるいは輸入する中において富を得て、日本を豊かにしているわけであります。自由な貿易によって日本は大きな利益を得ている。日米間における貿易の量が増えていくことは当然日本の利益にもなりますし、海外から大きな投資があることは、その投資によって当然雇用も生まれますし、日本の活力にもつながっていくんだろうと思います。
 そういう中で、スムーズにこの日米の経済関係が発展するようにするためにはどんな障害があるかということをお互いがお互いの国に対して意見をこれは述べるというのがこの日米規制改革及び競争政策イニシアティブであって、これは、米側も日本に対して要求を出しますが、日本側も米側に対して要求を出しているわけであります。また、例えば米国は、それはヨーロッパとの間で行っておりますし、日本はヨーロッパとの間でも行っている。それぞれの地域同士がそういうことを行いながら、ある意味では紛争の起こる前に事前に調整をしていると言ってもいいのではないだろうかと。
 そういう意見を我々がすべて聞くわけではありませんし、当然自主的に判断をしていくということは申し上げておきたいと、このように思います。
 また、先ほど海外からの投資がまるで間違っているかのようなお話がございましたが、それは決してそんなことはないわけでありまして、むしろ私は、海外からの投資をもっと増やしていきたいと、こう考えています。
#79
○櫻井充君 海外からの投資は、いい投資と悪い投資があると私は思っています。
 つまり、企業が成長するために持続的に投資してくれる、そういう投資は、本当にこれはウエルカムですよ。ところが、今はそうじゃないんですね。そこの企業のところをMアンドA、乗っ取るとは言いませんが、ある種そこの企業のところからキャピタルゲインを得るとか、それから、資産が多いからその資産を売却してそこで利益をすぐ出せとか、そういう形で、ただ単純に利益を搾取するような形になっていっているのは、私は、これは投資と呼ばないんだろうと思っています。
 ですから、その中で、長期間の投資なのか、それとも短期の利益を目的としたお金なのか。今のお金の動き方を見ると、短期の利益を目的とした、投資と言うべきものではなくて、むしろ投機と呼ぶべきようなものが多くなっているというところに私は問題があるんだろうというふうに思います。
 済みません、時間に、もうすぐ時間なので、ちょっと最後に、別な観点から民主党の発議者に質問させていただきたいと思いますが、うちの死んだおやじが生前言っていたのが、おけがあって、そこに水をためて、その水を自分のところに寄せるとどうなるかというと、おけのへりを伝わって向こう側に行くんだと、むしろ、おけの水は向こう側に押した方が最後は自分の方に戻ってくる。つまり、要するに、人のためにやれば最後は自分のためになるんだからというようなことを言っていて、まあ立派なおやじだなと思っていたら、どうもお釈迦さんの教えだったようなんですね。
 それから、医者としてホスピスなどのかかわりを持ってまいりましたが、日本と外国とのホスピスの違いというのは一体何かというと、宗教観、宗教家がいるかいないかということで全然違ってきています。
 そういう点からすると、日本で宗教教育というのは一体どういうふうにしていくべきなのか、その点について民主党の発議者から御答弁いただきたいと思います。
#80
○鈴木寛君 お答えを申し上げます。
 民主党提出の日本国教育基本法案の第十六条におきましては、「生命及び宗教に関する教育」という条項を新たに盛り込んでおるところでございます。恐らくこれが政府案との最大の違いの一つだというふうに思っておりますが、私どもは、これまでの公立学校におきますいわゆる宗教に対して過度に慎重になり過ぎていたというふうに認識をしております。これだけ命をめぐる大変深刻な事件が続発をしている中で、やはり子供たちに、この十六条の一項で書いておりますが、生きる意義と死の意味というものをきちっと考察をしていただき、命あるすべてのものに対する尊ぶ態度、これを養っていきたいということを盛り込んでございます。
 さらに、サムシンググレートといいますか、大いなるものに対する畏敬の念でありますとか、自然を大切にする心とか、あるいはすべての生きとし生けるものを慈しむ心とか、こうしたものを宗教的感性と私どもは定義をいたしまして、これを涵養していくことに教育現場は何らためらうことなく前向きに取り組んでいただきたい、そのための規定をきちっと盛り込まさせていただいているところでございます。
   〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕
 これは、イギリス等々におきましても、ブレア政権があらゆる世界の主な宗教をきちっとその基本的知識については教えるように、こうしたことも参考にさせていただきながら、この「生命及び宗教に関する教育」の重視をする方向へ、この六十年のきっかけに大きくかじを切っていきたいと、こういう思いを込めてこの条項を盛り込まさせていただいております。
#81
○櫻井充君 ありがとうございました。
 時間になりました。
 その教育基本法その中に、僕は個人的に申し上げると、やはり目標などを掲げる、国がこういった形の人を育てなきゃいけないという、法律上に、理念法なのにこういう目標を掲げてここまで行かなきゃいけないような定める内容という法律は、私は決して認められるものではないと。
 そしてもう一つは、様々な観点でまだまだ議論を尽くすべきところは一杯ありますから、十分な審議をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#82
○神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。
 安倍総理には初めて質問をさせていただきます。
 まず、教育基本法にかかわってですけれども、内閣府のタウンミーティングの調査結果が出まして、これについて総理は、私にも政治的結果責任があるというふうに報道されておりましたけれども、どのような責任を取られるんでしょうか。
#83
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、このタウンミーティングにおける問題が発生していた当時、官房長官でございました。所掌する者として、政治家としての政治的な最終的な責任があると、このように考えてまいりました。
 そこで、昨日、この報告を受けた際に、言わばけじめを付けるという意味において、私として責任を明らかにするということにおいて、総理大臣としての給与を三か月間返納する、国庫に返納するという判断をいたしました。既に私は、行革の精神にのっとって、隗より始めよということで私の給与は既に三割カットされておりますので、その残りになるわけでありますが、そういう形でけじめを付けた次第であります。
#84
○神本美恵子君 私は、お金で済ます問題ではないと思うんですね、これは。
 このやらせ質問によって、委員会の調査報告の中にもはっきりとこれは世論誘導であるというふうに書かれているんですね。世論誘導をして、それを土台にして、だから教育基本法の改正は国民もみんな理解が進んで賛成なんだというようなことで提出された、今そのことの根底が崩れているということはもう明らかだと思うんです。その崩れた根底について、私はもう一回土台からやり直さなきゃいけないんではないかと思っています。
 ですから、例えば、率直な国民の皆さんが、なぜ今教育基本法を改正しなきゃいけないんですかとか、それから、これを変えたら本当に、相次ぐ子供の自殺とか、それから未履修問題もいろいろありますし、教育現場が抱える困難を解決できるんですかとか、それから、はっきりと今、基本法の改正には反対だというような、そういう意見も含めて、もう一回タウンミーティングなり公聴会なり、民主党は最初から全国で、各都道府県で公聴会なりをやるべきだ、そして国会に調査会をつくって一年なり二年なり掛けてじっくり教育問題全般から考え直そうではないかというような提案をしておりますけれども。
 私は、今、当時の官房長官として責任を取るということで、給与ですか、お金を返還されるというふうなことをおっしゃっていますけれども、そういうやり方はちっとも美しいやり方ではないと思いますけれども、いかがですか。
#85
○内閣総理大臣(安倍晋三君) お金で済まそうという言い方は少し失礼ではないですか。
   〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕
 公務員のけじめの付け方の形として減給処分等の処分が決まっているんです。それにのっとって、それにのっとってこういう形で自ら身を処したわけでございます。決してそれはお金で済まそうということではありません。私の責任としての取り方を示したものであります。
 そして、総理といたしましては、このタウンミーティング本来の趣旨であります国民との双方向との対話を実現し、そして私どもの政策を説明し、また国民の皆様の生の声をお伺いする場として、是非タウンミーティングをゼロからスタートさせていかなければならない。そしてまた、運営方法についてもいろいろと御議論がございました。その御議論の中において無駄遣いがあるではないかという指摘もありました。確かに私もそのとおりであろうと、こう考えておりますので、今後、華美にならないように、質素ではあっても中身のあるタウンミーティングを開催をしていくために運営を改善をしていきたいと考えております。(発言する者あり)
#86
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛に願います。静かにしてください。
#87
○神本美恵子君 今御答弁でゼロからやり直すとおっしゃいました。総理、今ゼロからやり直すというふうにおっしゃいましたので、それは形式的なタウンミーティングをゼロからやり直すというのではなくて、少なくともこの教育改革にかかわる教育基本法改正賛成か反対かというようなことについてゼロからやり直すおつもりはありますか。やるかやらないか。
#88
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この教育基本法の改正につきましては、もう長い議論を重ねてまいりました。中教審における議論もありました。そこで、各団体の方々からのヒアリングも行いましたし、中教審においていろいろな方々からのヒアリングを行ったというふうに伺っております。
 そして、私どもも、政党としてもこの教育基本法の改正ということを国民に訴えて選挙を行ってきているところでございます。私はそれを何回も選挙において申し上げてきております。そしてまた、私は総裁選挙の際にも、この教育基本法の改正の重要性を訴えて自民党の総裁にも就任をしているわけでございます。
 そして、何よりも国民の代表であるこの国会において、衆議院において百時間を超える議論がなされている、そして公聴会も行われています。そして、参議院において十分な私は議論を行っておられる、広く深い議論が行われてきていると、私はこのように認識をしているわけであります。その上で、速やかなる成立をお願いをしたいと思います。
#89
○神本美恵子君 もう国民の意見は十分聞いた、ここでも審議をしたとおっしゃいましたけれども、私は、今例を出された中教審とか審議を十分にやってきたと言われるのは、やはり総理自身が一方的な受け止めだけしかされていないなというふうに感じました。
 例えば、各社が世論調査をこの間何度もやってきておりますけれども、それでは今国会に、改正に賛成してもいいけれども、今国会にこだわるべきではないという数字が依然としてずっと高いわけですね。こういう世論に耳を傾けなければいけないのに、そのことは考えずに、今のような、もう十分に審議をしてきたと、土台そのものがつくられた、誘導によってつくられた世論であるにもかかわらず、そのことを見直そうともしない。やっぱり、こういうやり方が私はああいうやらせを生んだのではないかと。やっぱり官房長官としての責任は重大。先ほど、このやらせ質問、タウンミーティングは規範意識の欠如とはっきりおっしゃいましたけれども、総理自身に規範意識がはっきり欠如しているということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
 私はこの教育基本法改正案と日本国憲法との関係についてお伺いしたいんですけれども、総理が官房長官のときに、衆議院の特別委員会で、憲法改正と教育基本法改正は自民党結党の精神、党是だというふうにおっしゃって、その実現に臨んでいるというふうにおっしゃっています。
 総理になられた今も、その自民党結党時の精神、憲法改正を実現するためにこの教育基本法を改正する、それも理由の一つだというふうに御認識ですか。
#90
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘になった憲法改正をするために教育基本法を改正するなんということは、自民党は全く申し上げていないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
 自民党は、結党以来、憲法の改正、そしてまた教育基本法の改正を目指すと、こういうことではないだろうかと、このように思います。
#91
○神本美恵子君 そのためにではなくても、その理由の一つでもありますか。
#92
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、私はよくその意味が分からないのでございます。
 つまり、これは二つの目標であって、それぞれ二つの目標を目指しているということではないでしょうか。これは大変分かりやすい話だと思いますよ。
#93
○神本美恵子君 私は十二月五日にこの委員会で、総理は御出席でありませんでしたけれども、今回の政府法案と自民党の新憲法草案との整合性がチェックされたのかということで伊吹大臣にお聞きしましたら、それは立法者として当然だと、塩崎官房長官も、お二人ともおっしゃいました。
 私は、今の日本国憲法は立憲主義に基づいて制定されたものというふうに理解しておりますし、憲法学の学説でもそういうふうになっております。この立憲主義の象徴の一つとして、憲法九十九条、もう言うまでもないと思いますが、総理も国務大臣も、公務員ももちろんですが、憲法尊重擁護義務が規定されております。今紹介した答弁はこの規定に抵触するのではないか、日本国憲法の立憲主義に抵触するのではないかというふうに思いますが、伊吹大臣と官房長官は当然のことだと、そうではないというふうにおっしゃいましたが、総理、この見解についてどう思いますか。総理、総理。
#94
○国務大臣(伊吹文明君) 私がお答えしてから総理がお答えになると思いますから。
 まず、私は何度も答弁をしておりますように、御提出を申し上げている政府案は現行憲法下でまず提出をしております。しかし、立法を、法案を出す者としてはあらゆるチェックをするのは、これは立法作業としては当たり前のことなんですよ。他の法律とどうだろう、これから出していく法律と大きく違うところはないんだろうかと。だから、今の憲法と違う法律を出したり今の憲法の手続を踏んでいなければ先生の御指摘は当たりますよ。だけど、その手続はきちっと踏んでおりますし、今の法案自体は現憲法を前提として出している。しかし、立法作業の中でいろいろなチェックをしているかというお尋ねがあったから、それはしておりますとお答えをしているということですよ。
#95
○神本美恵子君 私は、経過ではなくて、総理に立憲主義についてどう思うかということをお聞きしたいんですが、いかがですか。
#96
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 立憲主義ということにさかのぼりますと、近代憲法は、主権者たる国民がその意思に基づき国の権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという立憲主義に基づいており、日本国憲法も同様の考え方に立って制定されたものであると、こう認識をしておりますが、ただいま伊吹大臣が答弁をいたしましたように、この教育基本法の改正案は現憲法にのっとって改正案ができているわけであります。その上において草案とそごを来していないかどうかということについてチェックをしているわけであって、それは全く問題はないと思います。
#97
○神本美恵子君 じゃ、その新憲法草案との整合性についてチェックしたときに、もう少し詳しくお聞きしますが、具体的に自民党憲法草案とこの教育基本法改正案のどことどこがどういうふうに違うのかというその整合性、チェックした、何条になるんですか、改正案のですね。
#98
○国務大臣(伊吹文明君) 私がすべての作業を担当しているわけではもちろん広範なものですからございませんが、例えば教育を受ける権利あるいは障害者の人権と教育の関係、いろいろなことも自民党の憲法草案に書いてございます。そういうことはきちっと抜けてないかどうかというのをチェックをするのは、それは当然のことだと思いますが。
#99
○神本美恵子君 障害者の権利と教育を受ける権利ですか。
#100
○国務大臣(伊吹文明君) いや、先ほど来、必要でございましたらそれは一つ一つの条項を参考人から答弁させますけれども、今の日本国憲法、それから自由民主党の憲法草案、その中で、教育基本法、今回提出した教育基本法案と大きく外れたりしているところがあるのかどうかということは、それは当然立法作業者としてはチェックをするわけです。諸外国のものとも突き合わせをしていると思いますよ。
#101
○神本美恵子君 そこだけですかとお聞きしたんですけれども、詳しくは、全部、膨大な量になるんですか。
#102
○政府参考人(田中壮一郎君) お答えを申し上げます。
 法案の作成に当たりましては、関係法令、それから条約等との違背はないかということを調べるわけでございますけれども、その際に自民党新憲法草案についても確認をさせていただいたところでございまして、具体的な条文といたしましては、法の下の平等でございますとか教育を受ける権利、学問の自由、それから憲法八十九条にございます公金等の支出の制限、こういったところについて参照をさせていただいたということでございます。
#103
○神本美恵子君 伊吹大臣、お忘れですか。十一月二十七日のこの本委員会での質疑の中で、大臣はこう答弁なさっているんです。
 国や社会を愛情と責任感と気概を持って自ら支える責務を共有し、これは自民党憲法草案の前文にある、このくだりがございます。ここのところを教育基本法の二条で受けて、二条というのは教育の目標のところですね、そこで受けて、教育のところについては、基本法でございますから、法律として、あっ、ここはどうでもいいですね、まあそういうふうに、この草案の前文の国民の責務というところを改正案の二条で受けているというふうにおっしゃっていますが、それは確かなんですか。
#104
○国務大臣(伊吹文明君) これは、岡田直樹委員の御質問に私がお答えしたくだりを先生は引用しておられると理解してよろしいですね。
#105
○神本美恵子君 はい。
#106
○国務大臣(伊吹文明君) いいですね。
#107
○神本美恵子君 二十七日のです。
#108
○国務大臣(伊吹文明君) それじゃ、そこのところの後を申し上げます。
 したがって、この条項にこの基本法は、現行憲法下においてはこれはもう当然のことですが、新しい自民党憲法草案が国民の御了承を得られても、十分堪え得る内容になっていると理解しておりますと答えているわけでして、自民党の憲法草案には合致するけれども現行憲法と背違するところがあれば、先生の御指摘は当たるんですよ。
#109
○神本美恵子君 背違しているんですよねというふうに私は、自民党憲法草案をつぶさに全部を読んだわけではありません、もちろん。法案、新聞報道でしか見ていませんので。それによると、前文、今紹介したところや十二条において国民の責務ということが非常に強調されております。
 先ほど総理には立憲主義というのはどのようにお考えかと聞きましたら、国民の権利を保障する、そのために国家権力の行使を制限している、それが憲法だと、憲法の立憲主義だというふうにおっしゃいましたが、この自民党憲法草案はこの立憲主義を踏み外すような内容になっているのではないかと私は思っていますので、そういう草案とこの教育基本法が現行、現の日本国憲法に基づいて、その理念を実現するために教育の力にまつべきものであるとして定められた教育基本法改正案の中にも日本国憲法に基づいてというふうに書いてあります。その日本国憲法に基づくというのは、これから変えようとする自民党憲法草案、私は立場が違う、立脚点が違うようになっているというふうに自民党憲法草案を思っていますが、それとの整合性を今ここでまだ改正されていないのに諮って今この法案が提出されているというのは非常に大きな問題だと思いますが、いかがですか。
#110
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、立憲主義でございますが、繰り返しになりますが、主権者たる国民が国の権力の行使の在り方について定めて、そしてもって国民の権利を保障していると、これは正に立憲主義でありますが、当然、自民党のこれは、憲法のこの改正草案においてもこの立憲主義にそもそも当然のっとってできているのは、これは当たり前のことでございます。
 そしてさらに、何回ももう繰り返しになりますが、この議論を聞いておりますと、まるで我々がこの教育基本法の改正案は現行の憲法に違背をしていて、自民党の憲法とこれを整合性を付けている、しかも自民党の憲法はこの立憲主義にも違背をしているという前提に立って質問をしておられますが、その前提は全く違うということをはっきりと申し上げておきたい。
 はっきりしているのは、この我々の改正案は、現行憲法にのっとってこの改正案を出している、これは当然のことでございます。そして、その中において自民党の改正案との整合性においても、これは基本的な精神をこれを引き継いでいる、現行憲法の精神を引き継いでいるわけでありますから、その中で整合性においても問題がなかったということではないかと思います。
#111
○神本美恵子君 総理は違背していないというふうにとらえていらっしゃるかもしれませんけれども、私はこれが抵触するのではないかということで今質疑を申し上げているわけです。
 具体的に、どこがどういうふうに違背しているのではないかということについて、二条の「教育の目標」に関してですけれども、伊吹大臣はこの「教育の目標」の二条のところで、この目標を達成するのが目標であるというふうにこれまで答弁されております。そして、その具体化は各法律、学習指導要領に書き込むことになると。
 では、この二条を受けて学習指導要領にはどのように具体化されるんですか。
#112
○国務大臣(伊吹文明君) これはもう何度もここで御答弁申し上げておりますように、この教育の目的を達成するための大きな目標に向かって学習指導要領を作っていくわけですから、その学習指導要領はこの法律を通していただかなければ学校教育法も改正できないし、学習指導要領の内容もできないでしょう、それは。ここでそれを申し上げたら、また立憲主義の原則にのっとって、国会が立法を通していないのに要請行為をしたというおしかりをまた受けるんじゃないんですか。
#113
○神本美恵子君 私はそんなことは一言も言っておりませんが、この後、下位法である三十三本が関連法として改正が必要だという。必要だということは、そのことを考えているわけでしょう。今おっしゃった答弁以外に学習指導要領は当然書き直していくというふうにおっしゃっているということは、それはここに書き込むことで学習指導要領にこういうふうに書き込もうということは当然想定されて作業が進んでいるわけ、進んでもいないのに、このことだけをぽんと出して、このことによってどうなるのかということを、私たちはそれがいいのか悪いのか判断できないと思います。
 それで、ただし、学習指導要領に書き込んでどういう評定をするかということで、心の中に入っていくようなものについては評価の対象にする気持ちはないというふうにおっしゃっていますけれども、心の中に入っていくようなものというのは、この二条の一項から五項までありますけれども、どれを指していらっしゃるんですか。
#114
○国務大臣(伊吹文明君) 何度も申し上げておりますように、一条から五条まで、先ほどの御質問にもありましたけれども、各々、例えばこの国を愛する、国あるいは郷土を愛する態度、その前の日本の歴史と伝統を尊重しという気持ち、これはどのように尊重するか、どのようにこれを心の中に持っているかということは、それは評価はできないということは何度も申し上げているわけです、人それぞれによってみんな違うわけですから。
 ただ、そういう心根を、違う心根で私はいいと思います、集団ですからね。ですけれども、その心根を養っていく基本的な事象を教える、あるいは事柄を教える、こういうことを指導要領の中に具体的に書き込んでいくということを何度もここで御答弁をしているわけです。
#115
○神本美恵子君 安倍総理は、心と態度は一体的なものでなければならないと、心を養っていく中において、その心の発露としての態度が生まれてくるというふうにこれまで答弁されております。私、全くそのとおりだと思うんですね。
 しかし、この間、参考人の意見を何人かお聞きした中で、参考人によっては、いや、心と態度は別物なんだというふうにおっしゃる方もいれば、いや、それが別だということは思っていることと違う行動をしているということで、それは大変な問題だと、これは宗教者の方がここでおっしゃったんですけれども、私は、心と体が一体のもので行動できる、それが正に人間として解放された姿ではないかと。何かの抑圧を受けたり、何かの規制を受けたりすることによって、心で思っていることと違う行動をせざるを得なくなるというようなことがありますので、総理がおっしゃった、心の発露としての態度が生まれてくるべきだとおっしゃったのは、そのとおりだと思うんですね。
 ところが、今、伊吹大臣は、心は評価しないと。しかし、別のところで、何日かはちょっと記録していませんが、態度は評価できるというふうにおっしゃっております。しかし、心と態度は一体的なもの、心は評価しないけれども態度は評価できるということはどういうことなんですか。短くお願いします。
#116
○国務大臣(伊吹文明君) ですから、日本の歴史と伝統を尊重し、それをはぐくんできた日本の国と郷土を愛する態度を養うと、こう書いているわけですから、そのようなものを学習をし、そして自分なりの、今の先生のお言葉で言えば心をつくっていくそのプロセス、そこに表れてくる学習の態度、そういうものは十分評価の対象になるんじゃないでしょうか。
#117
○神本美恵子君 いや、ですから、先ほどその態度が本当は心で、もう具体例を出す時間がありませんけれども、例えばこの学習している内容、教科書に載っているこの素材について自分は疑義を持っているとか、それにはちょっと反対だというような思いを持っているけれども、態度が評価される、熱心にやって、自ら進んでやらないとそのことが評価につながるといえば、思っていることと態度とはずれてくるわけですよね。そういう規制を掛けていくことになるのではないかということを私は申し上げているんですが。
 時間がありませんので、その次、関連してですね、この二条の部分と、六条に、「学校教育」というところの二項に「教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。」というふうにあります。
 伊吹大臣は、これまでの答弁の中で、この「必要な規律を重んずる」ということは、学習指導要領にいろいろなことを決めていきますから、その学習指導要領に反したような行動が児童の中にあれば、それはそういうふうに指導しなければいけない。指導してきたことに対して、今度は児童がそれに従わないとか学習態度が良くないとか、そういうことが規律として現れてくるわけですというふうに御答弁なさっています。
 ということは、学習指導要領に反したような行動をすることがこの必要な規律を重んじていない行動というふうにとらえられるわけですか。
#118
○国務大臣(伊吹文明君) これも何度も御答弁申し上げているように、教育を受ける者が規律を重んずる云々ということは、学校現場で集団生活をしているわけですから、集団生活のルールを守り、そして弱い人たちをいじめたりそういうことはしないというようなことを、集団生活のルールを学習指導要領に書くわけですね。そして、それを先生方に御指導を願うと。願うけれども、集団生活の規律を守らない生徒に対しては、それは当然守らせるように努力をしていただかなければならないということですから、今のちょっと御質問の趣旨が私はよく分からないんですが。
#119
○神本美恵子君 じゃ、具体的に、この学習指導要領に反した行動をしたら、何か児童生徒にペナルティーが課せられるんですか。
#120
○委員長(中曽根弘文君) 時間が参りましたので、おまとめ願います。
#121
○国務大臣(伊吹文明君) 集団生活の規律を守るように指導しなさいといって、守れない生徒は当然評価、評点が低くなるんじゃないんですか。
#122
○神本美恵子君 時間が来ましたので、私は最後に、もう少し時間があればいろいろ疑義を申し上げたかったんですけれども、私は、先ほどの質問者も、この教育の目標が法律の中にこういうふうに書かれることは、限りなく、憲法の第十九条、思想、良心の自由、それから十三条の個人の尊重と幸福追求という観点から、私は限りなく憲法に抵触する疑いがあるということと、自民党案との整合性チェックしたことは九十九条違反の疑いがあるということを申し上げ、それから冒頭言いましたように、総理……
#123
○委員長(中曽根弘文君) 時間です、時間です。
#124
○神本美恵子君 このタウンミーティングのやらせの上に立ったこの改正案については一度撤回をして一からスタートし直すべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#125
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
 本日は時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
 まず最初に、今回の法案第二条五項におけます我が国を愛する態度を養うという文言について伺います。
 今回、教育の目標にこの文言が入ったことにより、愛国心教育が強要されるのではないかとか、また戦争をする国になるのではないかといった懸念の声が連日ファクスや電話、はがき等でたくさん届いております。
 安倍総理は、こうした懸念を払拭すべく国会の場で、当然ここで言う国には統治機構は含まないんだと、国を愛する心情については内面に入り込んで評価することは当然ないんだと何度も答弁をされておられますが、先ほどのような質問も出ますので、改めて総理の御見解をお伺いします。
#126
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、国際化の中で、日本人も多く海外に出て行ったり、仕事をしたり、あるいはボランティアで活動をしています。その際に、やはり日本人として日本の歴史や文化や伝統をしっかりと身に付けていることも、これは国際人として評価されるのではないかと、このように思うわけでございます。そしてまた、日本人としての自覚、誇りを持つことによって、国際社会において日本人として恥ずかしくない行動を取ろう、そういう思いにもつながっていくのではないか、こんなように考えるところでございます。
 そういう中におきまして、この記述の中において、日本の文化や伝統を尊重し、それらをはぐくんできた我が国や郷土をという書き方をしております。
 つまり、それは正に統治機構としての国ではないということを明確にしているわけでありますし、また、そもそも民主主義国家において統治機構を愛せということは、これは何回も申し上げておりますが、あり得ないことでございまして、統治機構としてということになりますと、これは私の内閣を正に愛せよということを言っているようなことになるわけでありまして、それはあり得ないということは申し上げておかなければならないということでございます。
 そしてまた、その教育におきましても、内面に立ち入って評価をするということはないということははっきりと申し上げておかなければならないというふうに考えております。
#127
○山本香苗君 そこで、伊吹大臣、確認でございますが、内面に入って愛国心があるかどうかを評価することはないと総理が今明言されましたけれども、現場の先生方から、評価しなかったら指導力不足と評価されるんじゃないだろうかと、そういう声が寄せられているんですが、こうした現場の先生の心配は杞憂でしょうか。
#128
○国務大臣(伊吹文明君) 総理がそう言っておられるわけですから、全く杞憂だと思います。
#129
○山本香苗君 明快な御答弁、ありがとうございます。
 国を愛する態度というところばかりが取り上げられておりますが、これ以外に今回の法案の中には、公共の精神、伝統と文化の尊重等といった価値観にかかわることが書き込まれております。
 法案に反対される方々の一部には、もうこの価値観を教えること自体があかんとかいう形で言われる方がいらっしゃいますが、私はちょっとそれはおかしいんじゃないかと思っております。もちろん、価値観の押し付けはいけません。絶対にあってはならないことではありますけれども、現代社会の中におきまして、国家と国民、また官と民、こういったことは、こういう認識はあったとしても公と私と、そういった関係の重要性を教えることが抜け落ちているんじゃないかと思っております。
 公というものは個人に対する社会の意味です。公共の精神を持った私が育っていないんじゃないか、社会の一員であるという意識や、また社会生活を良くするために守るべきモラル、精神的社会資本ともいうべき公徳心、そういったものが国民一般から欠落しつつあるのではないかと考えております。
 先ほどお話に出ておりましたけれども、私も大変びっくりいたしました。つい二日前の夕刊で、大きく「図書館の本 傷だらけ」と書いてございました。各地の公立図書館で雑誌などから写真だとか記事だとかを切り取っちゃうと、専門書に蛍光ペンで勝手に自分の思ったところ線引いてしまうとか、そういうのを館内で職員の方が注意をすると、堂々と何でいけないんですかと反論してくると。公共財産を傷付けちゃいけない、みんなのものは大切にしなくちゃいけないんだと、そういうような社会のルール、社会で生きていくためのルールというものを学ばれていないんじゃないだろうかと。
 ここで言う社会で生きていくルールというのは、先ほど申し上げました公と私との関係を学ぶことにほかならないと思うわけでございますけれども、こうしたことが家庭であったりだとか学校現場であっても教えられていないと。自分さえよければほかは何でもいいんだと、そういうような風潮がはびこってしまえば、住み良い社会、また総理が目指していらっしゃるような美しい国ということは到底実現できないんだと思っております。社会の良き伝統としてのルール、また規範意識、先ほど出ておりましたけれども、こういうものがなくては社会が荒れてしまいます。そういう意味で、公を大切にする、そういうことがかえっては私というものを守ることになると。
 そういう公と私という関係、官と民ではありません、公と私という関係、これを教育の現場でもきちんと教えるべきではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
#130
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、個人の尊厳につきましては、現行の教育基本法におきましてもこの改正案におきましても、改正案におきましては前文でそれは規定をされているところであります。個人は個人として尊厳されなければならないのは当然であります。
 他方、それと同時に、やはり公共の精神というのも、これは、社会を形成していく上においても人間が幸せに暮らしを営んでいく上においても極めて大切であろうと思います。ですから、この改正案においては前文と第二条にこの記述があるわけであります。この公共の精神をみんなが大切にすることによって、個人の尊厳も私は結果として守られていくことになるんだろうと、このように思うわけでありまして、自由気ままに、勝手に、欲望にのっとって自分のやりたいことをみんながやり始めたら社会は成り立たないわけでありますし、それぞれ個人も自らの尊厳を守りながら生活をしていくことも危うくなっていくんだろうと、このように思うわけであります。
 ですから、この個人の尊厳、そして公共の精神、私と公、これは両方とも子供たちに教えていく必要があるんだろうと、この両方があって初めて社会は成り立っていく、個人の尊厳も守られていくということを教えていかなければならないと思います。
#131
○山本香苗君 文科大臣、何かありましたら一言。
#132
○国務大臣(伊吹文明君) 今回お願いをしております法律の第二条三項に今総理が申しましたことが書いてございますが、「正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、」と。ですから、先ほど来いろいろ民主党の委員の方からも御質問がありますが、私の考えている公共の精神というものを押し付けるということは、特に行政権を持っている者は慎重であるべきだと、私は常に自戒をしながら思っております。
 しかし、ルールというものを守っていかなければ組織というものは成り立たないと、そして、組織の最終的に人一人一人がばらばらに動いていては自分たちの乗っている船は沈むわけですから、どういう形で全体にそれを集約していくかというために多数決という原則をたまたま使っておるわけなんですよ、我々は。であるから、多数決の原則にのっとって国民から選ばれた我々は、自分の価値観を人に押し付けることなく、人の意見も聞かなければならないけれども、最終的にはやっぱり憲法のルールにのっとって国家の意思を決めていかなければいけない。国家の意思というより、国民の多数の意見に従って行動していくような社会をつくっていく、これがもう近代民主主義の憲法上のルールなんですね。
#133
○山本香苗君 ありがとうございました。
 今おっしゃってくださった中で、男女の平等という言葉がございました。それにつきまして一点だけ確認をさしていただきたいと思います。
 教育の目標の中に、男女の平等という文言が明記をされたわけなんです。男女共学については、その普及状況からして削除されることになりましたが、男女平等というのがこの教育の目標という第一章の方に書き込まれたことによりまして、より現行法よりも男女平等をしっかり推進していくんだと、そういうふうになるんだと、そういうことでよろしいですね。
#134
○国務大臣(伊吹文明君) 昭和二十二年にこの法律が制定されましたときは、先生御承知のとおり、男女同権ということはまだまだ定着はしておりませんでした。女性には投票権がないような時代だってあったわけですから。そして、その後、共学ということがもう今完全に定着をしてきているわけですから、ここの男女の平等という、二条にこのことを書くことによって更に強くなったという御解釈で、別段私は何ら支障はないと思います。
#135
○山本香苗君 次に、第九条の教員のところについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 今回、独立した九条という形で、教員のことについて規定がされておりますけれども、私は、教育において一番大事なのは人でありまして、子供にとって教師、教員こそ最大の教育環境であると考えております。良い教師なくして良い子供、立派な人材は育たないんだと。
 そこで、総理にお伺いしたいと思いますが、総理は、教師とは、教員とはどういう存在で、どうあるべきだとお考えでしょうか。
#136
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 正に私は教育は人なりと思います。我々は、小学校、中学校、高校、あるいは大学において、それぞれすばらしい教育者と出会うことによって新たな未来が切り開かれていく、あるいは将来にいろんな夢を持ったり、人格が磨かれていくことになるんだろうと、このように思います。
 教師というのはやはり、もちろん専門家として教育において専門的な知識と力量を持っていなければならないわけでありますが、それは初等段階、中等高等段階、それぞれ要求される能力というもの、また性格というものも違うかもしれませんが、やはり特に初等中等段階においては先生の人間的な魅力によって子供たちを導いていくということも私は重要な要素ではないかと。
 私の経験からいたしましても、小学校のときの担任の先生、まだお元気なんですが、卒業して四十周年でもまだみんなが集まる、みんなに慕われていて、その場で先生が短い授業をしてくださって、我々もそれを傾聴する。そういう存在であって、正に生涯の師たる方に巡り合えるかどうかということは、これは本当にその人にとって大切なことだなと思います。つまり、専門的な力量とともに、人間的な魅力が大切ではないだろうかと思います。
#137
○山本香苗君 中国を代表する作家の魯迅が、御存じだと思いますけれども、「藤野先生」という小説を書いております。魯迅が仙台に留学中に厳しくも温かいまなざしを注いでくれた当時の恩師である藤野先生のことを書いた作品でございますが、魯迅が帰国後も常にこの藤野先生の写真を書斎の机の上に飾って、それを見るたびに藤野先生のことを思い出して仕事への意欲をかき立てたと、奮起したと、そういう話があるわけでございますけれども、今の総理のお話でもありますけれども、いかに教員、先生というものの存在が大きいのかということを痛感いたします。
 昨今、指導力不足だとか適性が疑わしいような教員の話ばかりが大きく取り上げられておりますけれども、こうした先生はほんの一部でありまして、私たち現場に行きますと、ほとんどの先生たちが子供たちのためにと、もう一生懸命頑張っておられます。都内で初の民間人校長となった藤原校長先生が月刊誌の鼎談の中で、今の先生たちが三十年前と比べて能力が落ちているわけではなくて、余分な仕事をさせ過ぎていると発言されておられましたけれども、近年、親の在り方も変質しましたし、地域社会が崩れつつある中で子供の数が減ってきたと。そういうふうなことを言われても、減ってきたとしても、先生の仕事は減っていないわけなんです。逆に増えているわけなんです。雑務も多いし、研修しようという意欲があったとしてもままならないと。
 また、今いじめの問題もございます。それに対応しようと現場は大変御苦労をされておられます。先生が一〇〇%子供たちに向き合えるように、教育に専念できるような環境を整える教員へのサポートが必要だと思っておりますけれども、これにつきましては、池坊文部科学副大臣にお伺いさせていただきます。
#138
○副大臣(池坊保子君) 今委員がおっしゃいますように、地域力、家庭力の低下により、そしてまた核家族ですから、今まで家庭や地域が担っていたそうしたいろんな問題がすべて学校に掛かってきております。本当に先生忙しいんですよね。先生は今あかんあかんと言われますが、そんなことない。委員がおっしゃるように、まじめで誠実にやっていらっしゃる方が多いです。やはり私は地域社会の方々の力をおかりしなければならないと思います。
 例えば、平成十九年度から更に強化いたします放課後子どもプラン、これも地域のサポーターによって支えられて行います。また、教職員のOB、また教職員を目指す方々、学生さん、こういう教員サポーター、そういうのをきっちりと体制づくりでしていきたいというふうに思っております。特に、さっき申し上げた放課後子どもプランは地域社会の新たな再構築になるんではないかと思っておりますし、またスクールカウンセラーの充実、教員の相談窓口あるいは指導とか研修を先生方がしたくてもできない今環境にあると思いますので、そのような環境整備もしてまいりますので、どうぞ期待してください。
#139
○山本香苗君 この点につきましては、一昨日、伊吹大臣にも直接要望を行わせていただいたところでございますので、十分現場の声を聞いていただきまして、早急に具体的な対応を、この法案とは別にでも、しっかり取っていただきたいと思っておりますので、重ねて強く要望を申し上げておきます。
 これから団塊の世代の先生方が大量に、言ってみたら定年を迎えられるわけでございます。そのため、現場の先生方も教員不足になるんじゃないかという懸念をされておられますけれども、それだけのためではございませんが、教員の多様化を図るために、社会人の方々を教員として採用するということを前向きにもっと考えていっていただきたいなと思っております。
 報道ベースではございますけれども、教育再生会議において、こういった社会経験だとか人生経験のある、専門性のある社会人の方々を大規模に登用したらどうかという話が出ているということをお伺いしましたけれども、これは非常にいいことじゃないかなと思うんですね。ですから、積極的に進めていただきたいと思っておりますが、総理のお考えをお伺いします。
#140
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど、教師の要件として、専門的な知識を持っており力量を持っている教育者として、そしてそれとともに人間的な魅力ということも申し上げました。この教育の世界以外で様々な経験を積んだ方々もたくさんおられるわけでありまして、そういう方々がやはりそういう経験を基に、そういう様々なバックグラウンドを持っている方々が教育の場においてそういう経験を生かして子供たちを教えていく、自分の経験を子供たちに伝えていったり、いろんな知識を伝えていく、これは大切なことではないかと思います。
 教員免許を持たなくても教壇に立てる仕組みをいたしまして、是非積極的に登用をしていくべきではないかと考えています。教育再生会議におきましても、こうしたいわゆる社会人の方々が経験を生かして教壇で子供たちを教育をしていくということについても議論をしていただいているところであります。
#141
○山本香苗君 今おっしゃられた中で、名前は出てきませんでしたけれども、特別免許制度というのがあるんですね。これ、どれぐらい使われているのかというのを聞きましたら、平成元年にできてから、たった累計で百六十三件しか使われてないんですね。実際やろうと思えばやれる制度はあるんですけれども、実際使われてないわけでございまして、既存の制度をうまくやるというのも限界があるのかなと。しっかり総理のリーダーシップで、こうした制度を変えてでも、しっかりと登用できるような形を取っていただきたいと思っております。
 次に、優れた人材をやはり教員としてどうやって確保していくかということが非常にこれから大変重要な課題となっていくと思うんですけれども、そのうちの一つの重要なポイントとして、それに見合った処遇を確保していくということも重要ではないかと思っております。
 大変私事で恐縮でございますけれども、以前、中央アジアのカザフスタンという国におりまして、ホームステイをしておりました。そのホームステイをしていた先の娘さんもお母さんも学校の先生だったんです。彼女らによりますと、そのときのカザフの学校の先生の給与というのは約三十ドルだったんです。平均のカザフ人の平均月収が百ドルですから、低い方になるわけですね。給与が低いので、大学をせっかく出たとしてもなかなか学校の先生になる人がいないんだということを言っておりました。そう言って嘆いておりましたことを思い出します。給与が高ければいい人が来るというわけではないわけですけれども、その職責に見合ったような水準というのは確保しなくちゃいけないと思うんです。
 そこで、我が国における教員給与制度はどうかといいますと、人材確保法によって一定の公務員よりも高めに設定してあると言われてはおりますけれども、実際は残業手当もなくて、勤務実態から見ても職責から見ても必ずしも高過ぎるというほどのものではないと私は思っておりますけれども、文部科学大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕
 併せてもうちょっと聞きますので。
 その教員給与の在り方につきましてはいろいろ議論があるわけでございますけれども、今年五月に成立いたしました行革推進法におきまして、平成十八年度中に検討した結論を出して、平成二十年四月をめどに制度改正することが規定されています。そのため、現在、中教審の方で、文部科学省の下にある中教審の方でワーキングチームをつくって、そこで検討がなされておりますけれども、今年度中に結論を出すにしても、法律では平成二十年四月をめどに制度改正をするということでございますから、それまでの間はこの法律案の九条の「その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられる」との文言にのっとってしっかりと議論をしていただきたいと思いますが、どういうスケジュールを頭に入れてやろうとされているのか、またどういう覚悟、御決意で臨もうとされていらっしゃるのか、まず文部科学大臣にお伺いしておきたいと思います。
#142
○国務大臣(伊吹文明君) 二つお尋ねがあったと思いますが、まず教員の給与は、先生が御指摘になりましたように、人材確保法によって一般公務員より高く設定をされていると言われております。それ以外に四%の教職調整額というものがあって、これが実質的にいうと超過勤務手当になると思います。
 それで、高いか低いかは、一つはその職務が立派かどうかということによって判断しなければならないんですが、一応やはり比べてみるめどがなければいけませんですよね。ですから、地方公務員の場合はどうなっているかというと、基準財政需要、交付税の算定の中へ入っている基準財政需要では十時間か十一時間の超過勤務手当が設定されていると思います。
 今後大切なことは、教員の先生方が一年を通してどれぐらいの超過勤務手当があるんだと、もっと進んで言えば、人材確保法の優遇部分をみんな外しちゃって一般地方公務員と同じ状態にして、その上で超過勤務手当の金額を実績に合わせてきちっと乗せて、そして地方公務員との間に差があるかどうかということをやっぱり比べてみないといけないと思うんですよ。東京都なんかは交付税をもらっておられませんから財源がかなり裕福なんで、多分、公務員の超過勤務手当というのはかなり手厚く付いているんじゃないかと思いますね。ですから、それと比べると、教員の給与というのは私はむしろ低いんじゃないかという認識を持っています。
 ですから、ともかく実績をまず、実態調査を今年度中にやって、そして安倍内閣ではもう教育が最優先課題ということを総理も言っておられるわけで、総理御自身もいい先生に巡り合うことが最大の教育のポイントだということを言っておられますから、いい先生にはやはり地方公務員の実質手取り額より低いということにならないように私はしたいなと。
 そして、一方で、しかしそのためには資質を磨いていただかなくちゃいけないわけですから、研修制、免許制、あるいは初任の研修の期間が今の一年でいいかどうか等も含めて総合的にやはり検討をして、そして最終的には納税者の御理解を得ないといけませんから、何か教員の皆さんは、ほとんどの方は、私は、先生がおっしゃったように、どんどん御家庭と地域社会にかつてあった仕事を今引き受けながらやっておられますので、総理がおっしゃったように、やっぱり教育の原点はいい教師、人材を確保しなければなりませんから、それにふさわしい資質を持った先生にはふさわしい待遇ができるように頑張るのが私の仕事だと思っております。
#143
○山本香苗君 総理、今の文部科学大臣の御答弁で、総理と同じということで、御意見と同じということでよろしいでしょうか。
#144
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま伊吹大臣が答弁をいたしましたように、先生が安心して教育に専念ができる、そして更に自分の資質をこれは向上させていく、研修等にも取り組んでいく、そういう環境を確保する必要があるんだろうと、このように思います。その中で、実態として地方公務員と比べて現在の水準がどうかということは、実態は調べておく必要があるだろうと、このように思います。
 そして、それに加えまして、やはり情熱を持って更に自分の能力を高め、高い専門家としてのこの実力を持って実績を上げている先生に対しましてはそういう処遇を考えていく。ある意味ではめり張りも付けていくことによって、これはお互いが切磋琢磨をしながら水準が向上していくことにもつながっていくのではないか、そういうことも検討をしていく私は必要があるのではないかと考えております。
#145
○山本香苗君 良き教師によって教育が決まると、良き教師をどういう形で確保していくかということについて、これ時間がもうほとんどございませんので、別の機会でしっかりとまた議論させていただきたいと思いますし、この問題を私としても教育再生の最大のかぎを握っているところだということで全力でこれからも取り組んでまいりたいと思っております。
 以上、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#146
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 政府案が国会に提出されてから七か月半がたち、審議を重ねてまいりました。しかし、最近の世論調査を見ましても、今国会での成立にこだわるべきでないと、徹底審議をしろというのがやはり圧倒的多数であります。しかも、昨日、この特別委員会で参考人や公述人に立った方々が二十人、連名でアピールを出されました。我々の提起した問題が審議をされていないと、慎重審議をしろと、こういうアピールでありまして、大変異例なことだと私は思います。
 なぜ世論は一層の審議を求めているのか。その一つに、今の政府に、文科省に教育の根本法を国会に提出する資格があるんだろうかということを国民が疑問を持っているからだと思うんですね。
 昨日、タウンミーティングの問題の最終報告書が出ましたけれども、恐るべきやらせ、サクラが明らかに一層なりました。私は、昨日、この場の質問で、文部科学省主催の教育改革フォーラムでも言わば集団だましといいましょうか集団やらせと言うべきものも行われていたし、この事業に文部科学省のOBなどが群がっていたということも提起をいたしました。正に法案提出としての資格が問われているんです。ですから、私、総理、責任を取ると言うならば、正にこの法案を撤回をするということが一番ちゃんとした責任の取り方だと思います。
 今、私の部屋にもたくさんの手紙やメールが来ておりますけれども、今朝来ましたメールにこういうのがありました。あるお母さんのメールです。子供たちはずるを最も嫌いますと。やらせ質問には子供たちもあきれ、怒っています。改悪案が採決されると、子供たちは何も信じなくなるでしょう。深く傷付き、希望を奪われるでしょうと。日本の将来は真っ暗です。こういうお母さんのメールでありました。
 ずるはいけないと思っている子供たちにこの法案を今強行することがどういう影響を与えるのか。総理、このメールへの感想を是非まずお聞かせいただきたいと思います。
#147
○内閣総理大臣(安倍晋三君) タウンミーティングの問題についてはタウンミーティングの問題として、昨日、調査結果を発表させていただきました。そして、責任者の処分を行うと、けじめを付けるということもはっきりと申し上げているわけでございます。こうしたことが行われたことは極めて遺憾でありますし、また言わば事なかれ主義の上にこうした出来事が起こったのではないかと、このように思います。そういう精神を基本的に変えていかなければならないと思います。そしてまた、このタウンミーティングについては、国民との大切な対話の場として再びゼロからスタートさせていきたいと考えているところでございます。
 他方、この法案につきましては、もうこの国会で何回も申し上げておりますように、長い間議論をしてまいったわけであります。また、中教審においての議論、そこにはたくさんの関係の団体の方々も来て意見を述べておられます。また、専門家の方々の意見も聴取をしている。あるいは、何といっても国民の代表によって構成をされているこの国会におきまして、衆議院においては百時間を超える審議がなされました。そして、公聴会が行われてきたわけであるのはもう御承知のとおりでございます。この参議院におきましても、八十時間を超える議論をしたわけでございまして、法律案としては基本法としても大変長い時間を掛けて慎重に広く深い議論を行ってきたものと、私はそう考えているところでございます。
 是非とも私は、教育再生のために第一歩となるこの教育基本法の成立を是非目指していただきたいと、このように思います。
#148
○井上哲士君 法案の提出者としての前提が問われていると言ったんです。私は、今の答弁を聞いて子供たちは、ああ、ずるをやっても数と力で押し切ったら許されるんだなと思うに違いないと、本当に残念に思いました。
 法案をめぐる国民の疑問というのは、国家権力や教育行政が教育への介入を強めるのではないかと、こういう不安があるわけですね。
 この点について、まず総理の教育観について聞きますが、教育というのはだれのためにあるのかと。私は子供のためにあると思います。総理もそう思われますか、それとも教育を施す側のためにあると、そうお考えでしょうか。
#149
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは当然子供のために教育はある。子供たちの健やかな成長、そして人格の完成を目指して、我々は子供たちにより良い教育を保障していきたいと、行っていきたいと、このように考えています。
   〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕
#150
○井上哲士君 子供の成長のためにあると言われました。当然だと思うんですね。そうであれば、どういう教育が求められるのかと。私は、教育者と子供の人格的接触を通じて行われるのが教育だと思います。
 ですから、子供の個性に応じて行われるべきものであって、やはりそこは自由や自主性がなくちゃいけません。国家などの行政権力がこれをやれと、あれをやれと指図して介入するのは最もふさわしくないやり方でありますし、戦前の教育というものはそのことが若者や子供たちを戦争に駆り立てた。そのことへの反省から、国家への、教育内容に対する介入はできるだけ抑制的でなくてはならないと、こういうことを定めてきたわけですね。
 総理は、この政府案で管理教育が強まることはないと答弁をされていますが、国家の教育への介入はできるだけ抑制的でなくてはならないと、この立場も確認できますね。
#151
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの答弁でも申し上げましたように、教育は正に人なりでございまして、教師、先生方が専門的な知識、能力を持って、あるいはまた人格を持って子供たちに教育を実施をしていくことが大切だろうと、このように思います。その中で、もちろん先生方の自由な創意工夫が認められるということは当然ではないかと、このように思います。
 一方、国が法律に基づいて社会公共的な観点から教育の内容と方法について一定の関与を行う権限を有することは、これは最高裁の判決によっても認められているところでありますし、また教育行政において教育がより良い方向に向かうべく様々な施策を行うことも、これは当然あり得るということでありますが、しかしいわゆる国が管理を強めていくということには、この改正によってですね、私はならないと思います。
#152
○井上哲士君 国の管理統制にはならないと言われました。しかし、政府案を通せばどうなるかと。
 総理の答弁でいいますと、この法案によって、基本法を変えることによって、法律にのっとって行われる教育行政においては、これは不当な支配にならないんだと、こういうふうに答弁をされました。しかし、今、大問題になっているタウンミーティングも教育行政の中で行われました。やらせ発言が最初に発覚した青森では、その発言をさせられたPTAの会長さんは、非教育的なことをしてしまったと目を赤くして言われているんですね。あるいは、この世間の評判の悪いいわゆるゆとり教育の学習指導要領も、法律に基づく行政だった、教育行政だったわけです。
 ですから、教育行政もやはり誤りを犯し得る、教育行政も不当な支配に当たる場合があると私は思いますけれども、総理は教育行政というのは誤りを犯すことがないと、こういうふうに断言をされるんでしょうか。
#153
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的には、法律にのっとって行うこの教育行政ということは、これは不当な支配ではないであろうと私は考えております。
#154
○井上哲士君 教育行政が誤りを犯すことはないのかと聞いているんですから、答えてください。総理、総理、総理、総理に。
#155
○国務大臣(伊吹文明君) いや、ルールにのっとって委員長が指名しておられますから。
#156
○井上哲士君 総理に聞いてんだから。
#157
○国務大臣(伊吹文明君) 何度も申し上げているように、行政の立場からすれば、法律に基づいて行われるものは不当な支配だと考えて行えば、それこそ憲法違反になります。しかし、行ったものが不当な支配だと考える人がいることは抑えられませんし、それはその方の自由なんです。その場合に、それが不当な支配かどうかは司法で争われて最終的な結論が出るというのが日本国の憲法下の統治のシステムです。
#158
○井上哲士君 子供たちには学ぶ時間というのは一回しかないんです。それを行政が誤ったからそれは司法だ司法だといって、その間に受けた教育は一体どうなるのかと、これが問われているんですよ。結局、私は、行政が我が物顔で教育に指図するような、そういうものになるというおそれをやはり抱かざるを得ません。
 実際、今そういうことで様々な問題が起きているんです。国民の大多数が、今決めるな、慎重審議と考えているわけですから、教育の根本原理と憲法に反するような法案は、私は廃案にする以外ないと申し上げまして、質問を終わります。
#159
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 昨日、タウンミーティングの調査報告をいただきました。国民の血税を二十億つぎ込み、やらせ、サクラ、そして過剰支払の正にオンパレードでございます。しかし、報告書を見まして私驚きましたけれども、やらせた側の実態は全く明らかになっていない。文科省あるいは内閣府のどのレベルまでこのことを知っていたのか、全く書かれていない。これでは報告にはなっていないと、私はそういうふうに思います。しかも、会計処理も本当にでたらめだと。五億を超える請求書が、日付もない、社判もない、代表印もない、こういう領収書が官邸の中に横行していたと、全くあきれるばかりでございます。国民は本当に怒っております。
 今日の全国紙の朝刊の見出しを紹介したいと思います。「「官が筋書き」裏付け」「民意操作に血税浪費」「まるで言論封殺」「業者の言い値」「「国民の声」偽装」「理念いずこ 官製対話」「友人・親族集め「やらせ」」「請負会社「非常識な契約」」「経緯に不明点残す」「特別委終了後に公表 野党が一斉反発」、最後でありますが「安倍政権、薄い危機感」、こういうふうになっております。
 総理はいつも凜としたとかあるいは規範意識ということをおっしゃいます。これだけのでたらめ、不道徳なタウンミーティングが行われたわけでありますので、私はやっぱりこの法案は撤回すべきだ、せめて審議は凍結すべきだ、タウンミーティングはやり直さなければならない、それは当然の責任の取り方。三か月の減俸などではとても、返納では済まない話だというふうに思いますが、このままいきますと、正にこの教育基本法はやらせで作られた法律だと、こういう思いが残りますよ。それでいいんですか。
#160
○内閣総理大臣(安倍晋三君) やらせで作られた法律というのは、少しそれは言い過ぎではないでしょうか。
 タウンミーティングの問題は、先ほど答弁をいたしましたように、昨日、調査の結果を発表いたしました。今後、責任の関係を明確にした上で処分を行ってまいる考えでございます。その中で、私は当時官房長官であったという任にあった者として、最終的な責任、政治的な責任を取る立場として、現在総理でございますが、総理としての給料三か月分を国庫に返納するという責任を取る、そういうけじめを付けたわけでございます。
 そして、一方、この教育基本法につきましては、もう長い議論を行った後に、これは政府として自信を持って提出をさせていただきました。その間、中教審における議論もございました。そして、いわゆる関係の団体の御意見もいただいた、そしてまた専門家の御議論もいただいたわけでありますし、そして、何よりも、国民の代表であるこの国会におきまして、衆議院において百時間を超える議論を行ってまいりました。その間、また地方公聴会、公聴会等も行ったわけでありますし、またこの参議院においても更に八十時間という長い時間を掛けて御審議をいただいたところでございます。
 そういう意味におきましては、それは全く、この教育基本法については、この教育基本法自体が全く根底から問題であるということではないと、このように全くそういうことではないと思います。
#161
○近藤正道君 いじめ自殺のことにつきまして、昨日も福島みずほ議員がいろいろ質問をしておりました。松江のタウンミーティングで木村さんという方が、今から一年半前、文科省のいじめ自殺ゼロというのはやっぱりおかしいと、警察のデータと合わないと、何とか警察と連携を取っていじめ対策をきちっとやってもらいたいと、そういう申入れをしてタウンミーティングで発言を求めたにもかかわらず、これが断られた。先日、木村さんが来られて、あのとき文科省が私の問題提起を真摯に受け止めてくれたならば、あの後いじめは減ったんではないか、自殺は減ったんではないか、そういうふうに言っておられました。それに対して、昨日、文科省の方では、落ち度は認めたけれども責任はない、こんな答弁は私はない。
 先ほども櫻井議員から質問がありましたけれども、大臣にお尋ねをしたい。
 あのときにしっかりと文科省が真摯な対応を取っていていじめに向き合っていたならば、いじめ自殺はもっと減ったはずだ、北海道の事件もいろんな事件ももしかしたら抑えられたかもしれない。そういう意味では重大な文科省には責任がある。その点について明確に責任を認めて国民にやっぱり私は謝罪すべきだ、私はそう思います。どうでしょうか。
#162
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほども櫻井先生の御質問に御答弁を申し上げましたように、あのような手紙で御返事をして、御返事をしたとおりのことをやっていないなんということは、文部科学省であろうとだれであろうと、誠に恥ずかしい許されないことです。ですから、私も強く叱責もしております。そして、ここでおわびをしたと思います。
 その後、御質問があったのは、そのことによってその後のいじめによる自殺が防げたじゃないかというお話でしたから、そういう部分があったかも分かりません、確かに。だけれども、参考人が答弁をいたしましたのは、そのことと、誠に申し訳ないことであったわけですが、手紙を、とおりやらずにほうっておいたことと自殺がどんどん増えたということに対して直接的な因果関係をここで証明するということは難しいという趣旨のことを言ったわけで、決して、ああいうことをやったけれども自分は責任がないとか、そんなことは言っておりませんし、またそんなことを私は許すわけはございません。
#163
○近藤正道君 責任はあるんですか。認められるんですか。
#164
○国務大臣(伊吹文明君) ですから、お約束をしていたことをきちっと実行しなかったことについては当然責任はあります。
#165
○近藤正道君 先ほど神本議員が自民党の新憲法草案と今回の政府案のかかわりを聞きました。私もこれに関連してお尋ねをしたいというふうに思います。
 伊吹大臣の答弁によりますと、政府案は自民党の新憲法草案ともすり合わせがなされて、新憲法草案とも合致する、そごはない、こういうふうにこの間答弁をされました。しかし、現在の憲法と自民党の新憲法草案は理念も哲学も大きく違う。相互に合致するということはそもそも私はあり得ないことだと、こういうふうに私は思っております。
 政府案は憲法よりも新憲法草案に近い、私はそういうふうに思っております。公益だとか公共の秩序を人権の上に置く考え、あるいは個人の尊厳よりも国家を上位に置く考えなど、新憲法草案の方にはるかに私は近いと、そういうふうに思います。
 文科大臣は、新憲法草案前文に、自らが帰属する国を愛情と責任と気概を持って自ら支え守る責務を共有しという文言があります。これは前文でありまして、総理も当時、小委員会の事務局長でこの文言に深くかかわっておられたというふうに思いますが、このくだり、この文言を受けて、伊吹大臣は、政府案二条の国を愛する態度があると、こういうふうにも答弁をされております。
 国を愛情と責任と気概をもって自ら支え守る責務とは、軍隊を保持し、海外での武力行使を可能とする新憲法草案において、国民に対し国防の責務や徴兵制の根拠となるものと言われております。これは、多くの専門家が自民党の新憲法草案に対してそういう評価をしております。
 そこでお尋ねをしたいわけでございますけれども、政府案第二条の国を愛する態度とは、そうした国防教育、国のために命を投げ出す子供をつくるということに直結し、それを意識した概念なんでしょうか。文科大臣の所見をお尋ねします。(発言する者あり)
#166
○国務大臣(伊吹文明君) いや、ちょっと静かにしてください。
#167
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛に願います。
#168
○国務大臣(伊吹文明君) 今、自民党の憲法草案の作成者から不規則発言が出たのは私はもっともだと思います。
 つまり、先生の御解釈は、先生の御解釈は御解釈として結構ですが、例えば今の日本国憲法でも権利と公共の福祉とのバランスをきちっと規定しておりますし、自民党草案にも同じような記述をしているので、権利よりも公益を優先したとかどうだとかというのは、そういう御解釈は、それは結構です。しかし、それは先生の御解釈です。そして、私が何度もお答えしているように、お答えしているように……
#169
○委員長(中曽根弘文君) 時間がそろそろ参りました。
#170
○国務大臣(伊吹文明君) まず、現行憲法下においては、これはもちろん当然のことですがということをまず前提として言っているんですよ。それで、この憲法と現行憲法と、日本国憲法が全く違うということをおっしゃいますが、それはそうじゃございません。
#171
○委員長(中曽根弘文君) 時間が参りましたのでまとめてください。
#172
○近藤正道君 憲法と新憲法草案が違うというのは、それは常識ですよ。
 こういう新憲法草案により近い政府案は認めるわけにいかない。廃案を求めます。
#173
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、今日は総理の御出席で、いろいろありがとうございます。総理にいろいろと聞きたいことがございますので、伊吹大臣にはこれまで何度も聞いていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず第一に聞きたいのは、教育に対する不当な支配の問題でございますけれども、これが非常に問題でございます。これが載っかっていることが問題なので。
 私の郷里広島では、総理も御存じだと思いますけれども、日教組とその背景にある部落解放同盟が大変な働きをして、子供のささいな発言を取り上げて、そして糾弾闘争をしていたということでございますね。そういうことでは、善良な教師を始め一般の人まで巻き込まれて大変な世の中になり、それを止める政治家もいないという状況が長く続いておったわけでございますけれども、そういう意味で、多くの人たちが自殺にまで追い込まれたこの実態を何とかしたかったというのが実態でございますけれども、それで、そういう意味からもこの文言が非常に大きな意味を持つので、是非落としてほしいという要望があるわけでございますけれども、これに対して、落ちなかったと、入っているということについては総理はどのようにお考えでしょうか。
#174
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 教育につきましては、いわゆる中立性、不偏不党性を確保して、国民全体の意思に基づいて行われることが大切であるわけでございます。
 ただいま委員が今までのいろんな問題点について御指摘をなされたわけでありますが、現行法に引き続きまして、改正案においても不当な支配に服することなくと、このように規定をしているわけでありますが、また改正案では、教育は国民の代表者である国会によって決められた法律の定めるところにより行われるべきと新たに規定することによりまして、法律の定めたところにより行われる教育は不当な支配に服するものではないということを明確に出しておるところでございます。
 これによりまして、法律の定めるところにより行われる教育委員会等の命令や指導などが不当な支配ではないということが明確になったということではないかと思います。
#175
○亀井郁夫君 不当な支配を除くために残したんだと言われますけれども、逆に私は、この言葉があっても全然駄目だったわけで、今度の法律では、この仕事は法律及び他の法律によって、定めるところによってやるんだと。確かに行政の分野については言えますけれども、多くの分野では法律は及ばないわけですね、家庭はもちろんですけれども、社会教育についても法律は及ばないことが多いわけでございますけど、そこに不当な支配がどんどん入ってきたら、何か、文科省だけはいいけれどもほかのところは駄目だということになりますから、これについてはどのようにお考えでしょうか。
#176
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま御指摘がございました不当な支配に服してはならない教育というのは、これは教育全体を指すものでありまして、学校教育のみならず、家庭教育、社会教育をも含むものでございます。したがって、家庭教育や社会教育は、教育を行う者自らの責任において毅然として行うことが大切であろうと思います。
#177
○亀井郁夫君 次にお尋ねしたいことは、日本の国を愛する心についてお尋ねしたいと思いますけれども、この前ちょっと総理からお聞きしましたけれども、今日は再度確認したいと思いますけれども、日本人として当然のことでございますけれども、しかし、これが態度になっているというのが非常に問題があると、やはり国を愛する心と素直に言えばいいんじゃないかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
#178
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、教育の目標として、正に我が国の文化や伝統を尊重し、そしてこれらをはぐくんできた我が国や郷土を愛するとありまして、そして他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養っていく。当然、愛する気持ち、心の発露としてのこれは態度でなければならないと、それは当然だろうと。態度さえ示せば、心の中では全然違うことを考えていてもいいということは、教育的にも正にそれは間違っているのではないだろうかと思います。
#179
○亀井郁夫君 今総理の方から、心の発現としての態度だということでございましたから、そういうふうに理解したいと思いますが、我々が日本の国を愛するということでは、国旗を愛するということにつながるわけですが、もっと祝祭日には国旗を揚げることをやる必要があるんじゃないかと思いますけれども、まだ少ないと思いますけど、これについては総理はどのようにお考えでしょうか。
#180
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 祝日における国旗の掲揚におきましては、平成十一年の国旗・国歌法の成立を受けまして、当時の官房長官が国の機関は閉庁日及び祝日に庁舎における国旗の掲揚に努めるよう閣議の場において発言をいたしました。
 平成十三年十二月に、当時官房副長官だった私が副大臣会議の場においてもこの国旗の掲揚の徹底について重ねて依頼をしたところであります。
 祝日における国旗の掲揚において周知を図っているところでありますが、国旗はどの国においても、正にそれはその国の象徴として大切に扱われているわけであります。それぞれの国々がそのように大切に扱っているということを知る上においても、日本の国旗をそのように扱っていくということを子供たちに教えていくことも大切であろうと、このように思うわけでありますから、今後とも国旗が国民の間に定着することを通じて国民のアイデンティティーのあかしとして重要な役割を果たしていくと、このように思います。
#181
○亀井郁夫君 もう一点お尋ねしたいのは、宗教的な情操教育の問題ですけれども、公聴人や参考人が言っていましたけれども、大自然には人知を超えたものがあるんだということを我々は教えられてきたわけでございますけれども、そう育ってきたわけですね。そういうことは全部子供にやっぱり教えていくべきだという考え方が多かったように私は思いますけれども、これがなぜか法案に全く姿を見せていないということについては、どういうことなんでしょうか。お願いいたします。
#182
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、この宗教的な情操について、特定の宗教、宗派から離れて教えていくことはなかなか困難ではないかという議論があったことは、もうよく先生も御承知のとおりなんだろうと思います。
 一方、今、亀井委員が御指摘になられましたように、人知を超えるものに対する畏敬の念を持つことによって、やはりこれは自然や、また他人に対して、社会に対して謙虚な態度を培っていくことにも私はつながっていくんだろうと、このように思います。自分の能力は、これはもうすべてに勝っているんだと、何やってもいいんだという気持ちをこれはむしろ抑えていくことにつながっていくと、このように思うわけでありまして、それはまた道徳を通じて、生命や宇宙の神秘、人知を超えるものに対する畏敬の念を教えていく。一日生活が終わって感謝の気持ちを持つ。おいしいものを食べたときに感謝の気持ちを持つ、手を合わせる、そういう自然な気持ちがそういう中でも私は培われていくだろうと、このように思います。
#183
○亀井郁夫君 最後に一点だけ聞きたいのは、公聴人や参考人から聞いても、六十年来の修正だから、もっと時間掛けてゆっくりやるべきだという声が出ましたけれども、大事なことと私は思いますけれども、これを急いで強引にやるというのはどういうわけなのか、その点についてお聞きしたいと思います。
#184
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この教育基本法の改正については、正にこれは戦争が終わって六十年を経過して、成立からもう相当の年月を経て、いよいよこの国会で御審議をいただいたわけであります。
 この政府案を提出するまでの間も相当な議論を費やしてきたというのは、もうこれは委員はよく御承知のとおりでございます。そしてまた、中教審においても長い議論が行われてきました。(発言する者あり)
#185
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛にお願いします。
#186
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 関連の団体の方々の御意見も聴取をしながら……(発言する者あり)
#187
○委員長(中曽根弘文君) 総理が御発言中です。御静粛にお願いします。
#188
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 専門家の意見も聴取をし、そして何よりも、この国民の代表者で構成をされている国会において、衆議院において百時間を超える議論がなされました。そして、参議院においても八十時間を超える議論がなされ、地方公聴会も行われてきたところでございます。
 そういう意味におきましては、私は、広くそして深い議論が行われたと、このように認識をいたしております。
#189
○亀井郁夫君 それでは、終わります。
#190
○委員長(中曽根弘文君) この際、お諮りをいたします。(発言する者あり)
 御静粛にお願いします。
 教育基本法案につきまして……(発言する者あり)
 ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#191
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
 このまましばらくお待ちください。(発言する者あり)休憩ではありません。このまましばらくお待ちください。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#192
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後四時四十五分開会
#193
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから教育基本法に関する特別委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、広田一君が委員を辞任され、その補欠として藤本祐司君が選任されました。
    ─────────────
#194
○委員長(中曽根弘文君) 教育基本法案、日本国教育基本法案、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案及び学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#195
○蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫でございます。
 まず、昨日提出をされましたやらせ質問が行われたタウンミーティングの調査報告書、正に会期末ぎりぎりのところでお出しになるというところに政府の責任の取り方の姿勢というものが如実に反映されていると私は思わせていただくんですが、塩崎官房長官にお伺いします。この調査報告書のできはすばらしいもので、この報告書を読めば国民が納得するんだと思われておられますか。
#196
○国務大臣(塩崎恭久君) 限られた時間の中で精一杯調査をさせていただいたと思っております。これが国民の皆様方に理解をしていただくことになることを我々としては期待をし、精一杯の調査報告書を作って、ここで責任のある、総理を含め我々の姿勢を、けじめを付け、そしてまたこれから内部の処分というものも考えていこうと、こういうことでございます。
#197
○蓮舫君 発言の依頼が全体の六割、やらせ質問が十五回、四割の七十一回で動員が掛けられていた、一人五千円の発言謝礼金は六十五人に払われていた、ハイヤーの単価を安く装うための改ざんが三十七回、そして会場での大臣の誘導に四万円などの常識を離れた値段設定がされていたわけですが、もうこれだけでもタウンミーティングが、日本の民主主義の根幹を政府が主導して偽装をしていたことが私は明らかになっていると思います。
 報告書では、「不適切な運営が行われていた実態が明らかになった。」としながら、「国民の信頼を」「回復させるべく、その運営の改善を図ることが急務」とまとめています。
 これで終わりなんでしょうか。これからもうやらないんだと、運営の改善を図るんだと、それが政府の責任の取り方、けじめの姿勢ということでしょうか。
#198
○国務大臣(塩崎恭久君) やらないというのは何をやらないというのか、もう一回御質問ください。
#199
○蓮舫君 つまり、やらせタウンミーティングを始め百七十四回全部を調査した。限られた時間でお出しをした。あとは国民の信頼を回復すべく、今後タウンミーティングを行うときにこれまでのような非難されるようなことは行わないということの表れなんでしょうか。
#200
○国務大臣(塩崎恭久君) この委員会でも数々問題点が御指摘をされたわけで、我々としてはそれを含めた実態を今回の調査で表しました。これを踏まえて、こういうことが二度と起きないように新たな方式を考え出して国民との対話をやっていこうではないかと、こういうことを言っているわけでございます。
#201
○蓮舫君 実は、不十分な調査だと、もっと調べられるんではないかと思われる箇所が幾つもあるんですね。
 私たちがこれまでに質問で明らかにさせていただいたことに、静岡で行われた教育改革タウンミーティングで、実際三人の大臣と有識者がゲストだったのにハイヤーは十五台請求されていたと。員数の数を増やすことによって、実際に使われた額を内閣府のお示しになった仕様書、代理店が契約を交わした仕様書に合わせて目的外使用を記載をしていたという不名誉なことがあるんですけれども、今回の調査報告書では、この静岡以外にも、ほかにもハイヤー台数を改ざんして実態と違う値段付けをしていたものが幾つもあって、それが合計約四百三十四万円もあったと。これだけの私は大きな問題だと思うんですが、新しく唯一出てきたものが、そのように目的外使用に使われて精算されてしまった事例が十九件あった。平成十七年度だけで見ましても十一件、タウンミーティングで目的外使用に使われたお金を員数を合わせることによって帳じり合わせを行った事例をお示しになられた。大変な努力が要ることだと思いますけれども、問題は、これで、十一回のうちすべてが、何に使われた経費を何で帳じり合わせていたかというと、全部同じなんです。追加展示関係、百回記念CD―ROM閲覧コーナーの設置等、それと追加運営関係、運営側映像関係機器の設置を行ったと、それでお金を使わなければいけなくなったと。だけれども、仕様書の項目にはこの項目がないから、じゃ何の員数を合わせてそのお金を捻出したかというと、照明・音響代、プロジェクター代、内閣府との事前調整代で帳じり合わせたんですね。これは本当にそうだったんでしょうか。
 これ内閣府にお伺いをしたいんですが、十七年度に行われた十一件のタウンミーティングですべてがこの追加展示関係と追加機器関係のお金、それを照明とプロジェクターと内閣府との事前調整で項目、員数を合わせて、帳じり合わせたんですが、本当にそうだったんでしょうか。
#202
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 資料にお付けしておりますように、精算時の員数が入札時の員数よりも増えているものにつきまして全部調べたところでございます。今、蓮舫委員が御指摘いただきました、これは資料に載っておるんですけれども、一応全部どういうことで増えたのかと、どういう追加工事をしたのかという内容を点検をいたしまして、そうしまして、その増えたものを追加項目としてきっちり示さずにほかの単価項目の中の員数増で処理したもの、これを全部悉皆的に出したものでございます。
 そうしまして、そのときに、点検をいたしますときに経費内訳というものを徴しまして、タウンミーティング室の担当者とか業者とか、まあ記憶も随分薄れている部分もございましたが、一応チェックをいたしまして、こういうことで使ったというものを、この今、蓮舫議員おっしゃいました追加経費の主な内容というところに付けてございます。おっしゃいますように、ちょっと書き方が、百回記念等ということで書いてございますが、中には、例えば国土交通省関係のタウンミーティングの場合は国土交通省関係の展示施設の追加増をロビーで行いましたり、そういった内容が回によりまして区々でございます。したがいまして、そういったような額も回によって若干、若干というか違ってきております。
 ちょっと、これをまとめて書いておりますので、今、蓮舫議員おっしゃいましたように、同じように見えますが、中身はチェックをいたしたところでございます。
#203
○蓮舫君 中身はどうやってチェックされたんでしょうか。領収書ありましたか。報告書には領収書の一枚も添付されておりませんが。教えてください。
#204
○政府参考人(山本信一郎君) 今回、チェックに当たりましては、当時の、先ほど言いましたタウンミーティングの担当者、それから業者、それから業者の方から経費内訳というものを出していただきまして、チェックをいたしたところでございます。
 領収書は付けられておらないものが多かったと承知しております。
#205
○蓮舫君 経費内訳表をお示ししないのはなぜなんでしょうか。
#206
○政府参考人(山本信一郎君) 資料が、資料にまとめ込みましたので付けておりませんが、また中身を必要があればお出しすることは可能だと思います。
#207
○蓮舫君 領収書がなくて、業者の方が提出した経費内訳表が信頼するに足りるというのは、何をもって判断したんでしょうか。
#208
○政府参考人(山本信一郎君) 毎回毎回、その時々に、その回によりましてタウンミーティングの担当者がその会場に前日から乗り込みまして、今の追加工事の施工状況ですとか、いろんな会場の設営状況ですとか、パネルの設置状況ですとか看板の設営状況、こういったものを現地で確認をして毎回やっておるところでございます。それを前提にして、今回もう一回そういう経費内訳も出していただいて再確認をしたというところでございまして、そのタウンミーティングそれぞれの回はこちらの指示どおりにできておりましたので、一応それを前提にしてチェックをさせていただいたという具合に御理解いただきたいと思います。
#209
○蓮舫君 先ほど答弁で記憶が薄れているとおっしゃいませんでしたか。記憶が薄れているのに、担当者が、当時前に入って、看板はこうだった、ああ、こういうふうに立てられた、こういうふうに設営された、大体幾らだろうってお分かりなんでしょうか。
#210
○政府参考人(山本信一郎君) 今申しましたのは、毎回のタウンミーティングの回ごとに担当者が現地に入ってそういうものを確認をしているということを申し上げたところでございまして、記憶が薄れているというのは、今回ヒアリングをしましたときにそういうケースもあったということを申し上げたところでございます。
#211
○蓮舫君 領収書がなくて、業者さんがお出しになられた経費内訳表を、担当者が、ああ、このとおりだったとお分かりになるというのは大変な能力だと思うんですけれども。
 では、お伺いします。
 この内閣府がお示しになられた仕様書で指定した値段で員数が改ざんされていた部分の計算をさしていただきました。そうすると、追加展示関係と追加運営関係、この十一回全部同じなんですけれども、値段が全部違うんですね。静岡の教育改革タウンミーティングでは九十万円、それを員数に掛けている。でも一方で、一番高いのはこれ、鹿児島で行われた災害に強い地域づくりタウンミーティング、これは二百九十万掛かっています。同じいわゆる設置、特別コーナーの設置ですとか、機器を必要になったといいながら、二百万も差があるというのは、これは何ででしょうか。
#212
○政府参考人(山本信一郎君) 今回も確認をしたところでございますが、回によりまして会場のいろんな広さとかも違います。したがいまして、今の百回記念の閲覧コーナーなんかも広さも違いますし、あるいはパソコンの設置台数とかも会場によって違います。
 それから、鹿児島の場合は、このときは防災関係の災害に強い地域づくりタウンミーティングイン鹿児島ということで、例えば国土交通省展示パネルというものもこの回は追加的に展示施設として増加がされております。それから、会場内のライトの増設とかあるいはロビーのライトですとかあるいはパネルですとか、そういったものが回によって違うということでございます。
#213
○蓮舫君 大変記憶が明らかですね。
 国土交通省の場合にはそういうふうに値段が高くなる要因があった。それを百歩譲って認めたとしても、じゃ、経済連携タウンミーティングは二百二十万掛かっているんですよ。じゃ、これはもう経済ですから、経産省だからまた特別にこれはお金が掛かったという説明をされるんでしょうから、その説明自体を聞く時間が無駄なんですけれども。
 いずれにせよ、私は、これはどうしてもっとお調べにならなかったのか。私たちが質問さしていただいたときには、限られた資料で、何があったのか、そこで明らかになることがあるんですが、政府が調べたもので、今内閣府の方とやり取りをして、それでもまだ分からないことがあるので、それを全部明らかにしてお示しをするのが私は調査報告書だと思います。何でこういうふうに、経費内訳がどうのこうのだ、領収書がないんだ。つまり、全部これどんぶり勘定だったと言わざるを得ないんですね。領収書も要らない、もうお金ざっくり言われただけで下ろしますと。
 それは、政府の調査報告書でも、平成十三年度のいわゆる随意契約でタウンミーティングを始めたときには、さかのぼり契約が行われていたと。さかのぼり契約って何ですか。
#214
○政府参考人(山本信一郎君) 日付をさかのぼりまして作成日付としたことをいうものでございます。
#215
○蓮舫君 済みません、もう一度分かりやすく教えていただきたいんですが。
 通常は、契約を行うときに見積額を提示さしていただいて、じゃこれで受注をしていただいて、仕事をしていただいて、請求書をいただいてから精算をするものですが、今の答弁ですと、その見積書と、それと請求書が同じ日に作られたというのはどういう意味ですか。
#216
○政府参考人(山本信一郎君) お答えします。
 報告書の中でも指摘されておりますように、会計課による当時の担当者、請負業者からのヒアリング結果、これを聞きますと、非常に仕事に早くスタートしないといけないということで合意はしたものの、契約書の書面を作るのが若干後手に回ったと、はっきりとした記憶はないが後手に回ったという証言でございます。
 それから、書面上は、このことは完全には、私も調べましたけれども、確認ができなかったわけですけれども、今、蓮舫委員御指摘のように、いわゆる見積りの個々の内訳と精算時の内訳の数字が全く同一でございましたので、さかのぼり契約の実態があった可能性が高いという具合に指摘をされたところでございまして、この報告書の分析のとおりと受け取っていただきたいと思います。
#217
○蓮舫君 つまり、平成十三年度分の一年間のタウンミーティング契約を交わした広告代理店とは、その一年のうちにもう十数回のタウンミーティングをやっている。毎回、数億円単位のものを一年後にまとめて見積書と、それと請求書を同時に作って決算をしているというのは、これはどんなに早くしなければいけない、後手に回ったという説明では納得できないんです。
 なぜならば、内閣府は広告代理店と契約を交わしておられる。その契約書の中には、契約金額の請求及び支払で一回ごとに精算をしなければいけない。広告代理店が一回タウンミーティング終わったら三十日以内に請求をしてもらって、請求をしてもらったら三十日以内に内閣府がお支払をする、一回ごとの契約だと契約書を交わしている。違法じゃないんですか。
#218
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 平成十三年度は前期と後期に分けまして、前期は十六回分を全体の契約を結んでおるわけでございまして、これは一回一回の精算ということにはなっておりませんで、前期全体、それから後期も、後期が三十六回分だったと思いますが、これは全体でございます。それから蓮舫議員、今御指摘の分は、十四年度以降はおっしゃいますように単価契約になっておりまして、一回一回精算をしてやるということになっておるところでございます。
 したがいまして、私申し上げましたのは、十三年度分の見積りの内訳と精算の額が一緒でございましたので、これはどこかの時点で一緒に作ったものであろうという一つの判断の材料になったという具合に理解をいたしております。
#219
○蓮舫君 では、総括してください。
 さかのぼり契約は、これは適正だったと理解しているんですか。
#220
○政府参考人(山本信一郎君) もちろん、会計法によりますと、契約書というのはきっちりと日付を入れてやるというのが原則でございます。
 したがいまして、そういう原則であるべきで、さかのぼり契約というのは、これはやむを得ない事情がある場合はあるとしても、法律に違反するというまではないけれども、好ましくない、適切でないという具合にこの報告書でも指摘をされているところでございます。
#221
○蓮舫君 適切ではないと思います。
 つまり、塩崎官房長官は、この調査報告書で国民の信頼を回復したい、御理解をいただきたいと先ほどおっしゃっておりましたけれども、これを見ても今内閣府の方に細やかに十八分掛けて聞かないと分からないことが幾つもある。しかも、聞いた上での御説明だけで果たして本当に皆さんが納得できるのかどうなのかと、私はこれ疑問視せざるを得ないんですね。
 更にあるんです。これは文部科学省にお伺いをいたしますが、教育改革タウンミーティング八回のうち五回やらせ質問が行っていたことが明らかになりましたけれども、今回の調査報告書の中で、だれが文部科学省の中でこのやらせ質問原稿案を作成をして、だれがその作成していることを了承していたのかという報告がすっぽり抜けていますが、どうしてでしょうか。
#222
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 昨日、タウンミーティング調査委員会が公表した報告書には、教育改革タウンミーティング、八回の教育改革タウンミーティングが含まれておりまして、客観的な事実関係が盛り込まれているところでございます。私どもにおきましては、大臣の指示の下、今回のタウンミーティングの一連の問題につきまして私、総括審議官が調査チームを編成いたしまして、だれがどういう形でどのようにかかわったかにつきまして調査を進めているところでございます。場合によりましてはその方の責任にもつながる問題でございますので、慎重かつ正確に調査を進めているところでございます。
#223
○蓮舫君 官房長官にお伺いします。
 更に追加の調査報告書が出るんでしょうか。
#224
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回、百七十四回、平成十三年六月から今年の九月まで百七十四回行われてきた。これについてでき得る限りの調査をして、そして横並びで全部報告できることは報告しようと、こういうことで昨日の発表になったわけでございます。
 もちろん、今、蓮舫議員が御指摘になったようなそのやらせ質問と言われているものをだれが作ってだれがオーケーしたかというようなことは、当然各役所は把握をしているわけでございます。ただ、それをほかの役所にも全部やって、それを全部一遍に出すかということについては、まだそこにまで調査委員会がそういう結論に至らなかったということであって、調査はもちろんしているはずであります。ですからこそ、処分を直ちにするということで、私も内閣府の職員についての処分についても次官に対して今お願いをしているわけであります。
 いずれにしても、蓮舫議員も、それからこの委員会の議員の皆様方も、そしてまた国民の皆様方も、本当にとんでもないずさんな税金の使い方をし、そしてまたずさんな運営をしてきたということについての怒りは、正直言って我々もびっくりするようなこともたくさん出てくるわけであって、これを今回この国会の審議に資するようにということでぎりぎり昨日出ささせていただいて、これで取りあえず、やっぱり我々としては調査委員会が出してきたものだということでここで一区切り、処分もして、そしてここで次に向けて新しいやり方もこれを基に考えていこうじゃないかというふうに考えているものでございます。
 もちろん、この調査書そのものは国民に対してお示しをしているものでもありますから、今後、これからどういう御議論があるかはまた国会を通じてお話を聞かしていただきたいと、こう思っております。
#225
○蓮舫君 官房長官、問題です。文部科学省は子供の教育をつかさどる省庁です。そこの省内の人がやらせ問題の原稿を作っていたんじゃないか。それに対して今官房長官は、省内では当然把握をしている、でも、それでも今回の調査報告書で一区切りだと、これで国会の質問に資するものだと言いましたが、教育改革タウンミーティングは今私たちがこの委員会でずっと審議をさせていただいている教育基本法改正案の大前提となった国民の声なんですよ。国会の質問に資するものであれば、その八回のうちの五回のやらせ、省内で把握しているもの、それを調査報告書で一番最初に御報告するのが筋ではないでしょうか。
#226
○国務大臣(塩崎恭久君) 教育特では、衆議院でも資料を出ささせていただきました。そして、追加的な御要望もあり、そしてこの委員会からも追加的な御要望もあって、それには委員会の御審議を経て出してきたものでございます。
 今回は、全体として、政府で、中で、百七十四回やっているものでありますから、それを横並びでお出しをして、この教育に関して出すということに関しては、この委員会で何度も私は、追加的な資料についてお出しをいただくのは理事会の方で御議論いただきたいということを申し上げてきたわけでございます。
#227
○蓮舫君 追加的資料を要求を何度もさせていただいたときに、官房長官御自身がおっしゃっているのは、今百七十四回も含めて全部調査報告書を作っているんで、この国会が閉じる前に必ずお出しさせていただくと約束をされて、私たちはそれを信頼さしていただきました。
 で、実際に理事会の中でも私たちは何度も要求をしましたが、内閣府の方の御説明では、今一緒になって調査報告を作っているからそれでお出しをします、今お出しをできるものはありませんという説明だったんですよ。
 なのに、どうして今ここでそういうふうな発言をされ、御答弁をされるのか分からない。つまりそれは、今回もし仮に政府の教育基本法改正案が通った後に出すということで理解してよろしいんでしょうか。
#228
○国務大臣(塩崎恭久君) 元々このタウンミーティングの問題点が出てきたのは、教育改革タウンミーティングからでございました。したがって、この八回分の教育タウンミーティングについて、言ってみれば先行してずっと文科省の中で、そして内閣府との間でやり取りしながら調査を深めてきているわけであります。
 他の役所についての調査は我々がこの調査委員会を始めてからスタートしたものであって、それを全体として、タウンミーティング全体の調査をするということに内閣府としてしたわけで、それは、当然いろいろな問題がありそうだということがこの教育改革タウンミーティングで分かってきたからそういうふうにしたわけでありますが、そこで、全霞が関じゅうのタウンミーティングを洗いざらい見ていこうじゃないかということで今回の調査結果をお出しして、それで、どこかだけを突出して細かくやるというよりはまず全体をやっぱり示すんだということで、今回の調査になったということでございます。
#229
○蓮舫君 どこかだけを突出してとまるで人ごとのように言いましたが、今この委員会で審議をしているのは教育改革なんですよ。そして、その八回行われた教育改革タウンミーティングで、政府が偽装して世論を誘導して、民主主義の根幹を崩したやらせ質問が行われたから、しかもそのやらせ質問の原稿を書いているのは教育をつかさどる、子供たちの教育をつかさどる文部科学省の省内の人だったというところが一番の問題なんです。だから、その省内が把握しているというのであれば、それをこの調査報告書でお出しするのが何よりも優先ではないでしょうか。
#230
○国務大臣(塩崎恭久君) 何度も繰り返し申し上げますけれども、タウンミーティング全体についての調査報告をこの林委員会はマンデートとして受けてやってもらいました。したがって、教育問題については、何度も申し上げますけれども、この理事会の方で追加的に資料を出してくださいということを御議論いただくというふうに言ってまいったところでございます。
 ちなみに、先ほど来、やらせ、確かにやらせ質問はとんでもない話で、二度とやるべきことではないことは間違いないと思っております。八回の教育改革タウンミーティングが行われました。そのうちの五回分でやらせ質問があったということになっています。
 この教育基本法についての意見、これ実は衆議院の松本大輔さんが出してくれて、非常に分かりやすいんであれですが、このときの……(発言する者あり)ちょっと聞いていただけますか。
#231
○蓮舫君 いやいや、それ、質問していません。
#232
○国務大臣(塩崎恭久君) いやいや、先ほど蓮舫議員が、要するにこの国民をだますようなこの教育基本法についての審議を、審議というか、タウンミーティングでの議論をしたというふうにおっしゃったので、これについてもう一回皆さんに正確に言っておきますが、この教育基本法についての意見というのが全体で二十五回、この八回のタウンミーティングの中で二十五人の方々が御発言をされています。
 そのうち実は、そのやらせと呼ばれているやつは三人から出ているんです。それで、自発的に賛成と言った方が四人いて、残りの十七人が反対を言っておられるわけであって、全部の、あたかも全部のタウンミーティングが……(発言する者あり)ちょっと聞いていただけますか。
#233
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛に願います。
#234
○国務大臣(塩崎恭久君) 全部の教育改革タウンミーティングがやらせ質問で塗り固められたかのようなことを言って、国民の皆さん方にそういう誤ったイメージを与えてはいけないということで申し上げているわけで、その他の要するにいわゆるやらせの質問というものがたくさんあったということも皆さんにお知りをいただきたいというふうに思っているところでございます。
#235
○蓮舫君 官房長官、認識が決定的に私どもと違うのは、一回でもやらせがあったら全部の信頼は失墜するんです。たった何回だけだったから良かっただろうという、そんなことではないんですよ。
 この審議で話している大切さ、重要さは問題意識を御共有いただいていると思って、私たちは調査報告書が出るのをお待ち申し上げていました。ところが、その教育改革タウンミーティングで行われたやらせ質問、だれが作ったかは出てこない。今まだ作って、いつ出るか分からない。それは余りにも、私どもの提案あるいは国民の批判の目に真摯に対応していないと指摘をせざるを得ないんですが、今回のいわゆるそのやらせ発言があったタウンミーティングの問題、私は子供たちにとても大きな問題を与えてしまったと思います。
 二つの点で、一つ、大人がうそをついてもいいんだ、やらせをやってもいいんだ、国民の代表の国会、その総理を中心とする内閣府がやっているんだ、何だ、大人がうそをついてはいけないというのは聞かないでもいいんじゃないかと、こういうふうに思えてしまうと。もう一つ、子供も小学生になれば一番身近な税は消費税というところで、百円なんで、何でママ五円付くの、税金を身近に感じる。親も学校もそれを教えていく。この税金はみんなの学校のために、道路のために、いろいろ生活が楽になるように使われているんだよ、政治で。でも、今回のタウンミーティングで明らかになったのは、この税金を政治が無駄遣いしているということ。じゃ、子供たちはこの税に対する不信感さえも今回植え付けられてしまった。
 改めて私は、調査報告書はこれで終わりです、御納得いただきたいでは全く理解できませんし、その前提となっている資料をお出しにならないで、教育基本法改正の審議をこれ以上、打ち切るという、審議、国会の会期も近いからと、そういう姿勢も聞こえてきますが、私はそれは全く理解ができないということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#236
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 午前中の質疑で総理は、国民の多数が慎重審議を求めているということに対して、中教審で議論してきたとか衆議院で百時間などなど、いろいろ言われました。ところが、その中の答弁、何度も今日繰り返されましたけれども、タウンミーティングという言葉も教育フォーラムで意見を聞いたという言葉も総理からはありませんでした。私は非常におかしいと思うんですね。
 衆議院の議論のときに、小坂大臣が何度言ったかと。全国各地で教育改革フォーラムあるいは教育改革タウンミーティングを開催して国民の意見を聞いてきたと、だから出したと、何度も何度も言ったんですが、総理が今日言われなかったというのは、正にこの教育改革フォーラムやタウンミーティングは国民の声を聴いたものでなかったと、こういうことをお認めになったと、こういうことでよろしいですか。
#237
○国務大臣(伊吹文明君) これは、総理の心の中は正に心の問題でございますから私はよく分かりませんが、分かりませんが、総理がここではっきり申し上げたことは、民意の一番の最大のポイントは全国民が参加する選挙だということなんですよ。そして……(発言する者あり)違いませんよ、それは。それ、それが違うといったら憲法を否定することになりますよ。そして……(発言する者あり)
#238
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛に願います。答弁中です。御静粛に願います。
#239
○国務大臣(伊吹文明君) しかも、総理が御答弁を申し上げていたように、自由民主党もそして連立を組んでいる公明党も、教育基本法の改正を行うと、そしてその内容の概要をある程度付けたマニフェスト、選挙公報を出して、そして選挙をやったんですよ。ですから、タウンミーティングというのはそれを補完する、間接民主主義を補完する一つの仕組みですから、そのことに触れなかったから何か民意を聞いていないようなことをおっしゃるけど、そんなことは全然ありませんよ。
#240
○井上哲士君 小坂大臣はそんなことは、補助的なんて言っていませんよ。何度もかんどもこの教育改革フォーラムとタウンミーティングで国民の声を聴いたから出したんだと、何遍も言っているんですよ。それを今になってそれは補助的だなんて、それは正に国民だましだと私は言わざるを得ないんです。
 このタウンミーティングの調査委員会の報告書では、「特に、国民の間で議論が分かれている場合などテーマによっては政府の方針を浸透させるための「世論誘導」ではないかとの疑念を払拭できない。」としておりますが、大臣、この報告書を受けて世論誘導だと、こういうことをお認めになりますか。
#241
○国務大臣(伊吹文明君) 世論誘導というのは私はいささかどうかと思いますが、例えばタウンミーティングにどれだけの方が参加されたのか、そしてそのタウンミーティングがどれだけの方の世論に影響したのかということは、よくそれは調べないといけません。しかし、不適切な世論の形成の一部を担ったということは、それはもう官房長官も認めているわけで、不適切だということはここで申し上げているんじゃないんですか。
#242
○井上哲士君 だから、世論誘導の疑念があるという指摘を受け止めていると、こういうことでよろしいんですか。
#243
○国務大臣(伊吹文明君) 世論誘導というのは、世論というすべてをタウンミーティングで動かせると思われますか。一番大切なことはそうじゃないでしょう。(発言する者あり)
#244
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛に願います。質問中です。御静粛に願います。
#245
○井上哲士君 これは、内閣府が出した調査報告書にこういう指摘があるから、この立場に立つのかということを私は聞いているんですよ。
 私は、昨日も教育改革フォーラムの問題を聞きましたけれども、あれだけのいろんな問題がありながら、独自に調査もしようとしないと。そして、先ほど来の議論の中でも一番の核心の問題も明らかにしないわけですから、全く私は反省をしてないと。こういうお役所に教育の基本法などを変える提案をする資格がないということが改めて明らかになったと思います。
 その上で、これも朝から問題になっています自民党の新憲法草案とのすり合わせという問題でお聞きをしたいと思います。非常に重大問題だと思うんです。
 大臣はチェックするのは当然だと、こういうふうに答弁をされましたけれども、文部科学省が出すあらゆる法案について、一々自民党のこの新憲法草案とすり合わせをしているんですか。
#246
○国務大臣(伊吹文明君) もう何度も何度もここで御答弁申し上げておりますが、まず今出している基本法というのは、現行日本国憲法の下で出しているということは確かなんですよ。しかし、立法をする場合にはあらゆるものとのチェックをしているというのは、これは立法政策に携わった方なら当たり前のことなんですよ。
 具体的に申し上げましょう、それじゃ。
 例えば、日本国憲法十四条では、国民は法の下に平等とあります。そして、この当該法案の関係しているところの四条と自民党の新憲法草案の十四条と、きちっとこれが合っているかということをチェックしているわけです。二十六条においては日本国憲法と自民党の新憲法草案は同じなんですよ。何も変わっておりませんよ。二十三条もすべて学問の自由ということを前提として書かれているんですよ。そういうことはチェックしなけりゃできないじゃないですか。
#247
○井上哲士君 私が聞いたのは、教育基本法以外の文部科学省が提案する法案は一々こういうふうに新憲法草案とすり合わせをしているんです、当たり前だと言われたから、それを聞いているんです。
#248
○国務大臣(伊吹文明君) これは何度も何度も井上先生御自身もそういう言葉を使っておられるでしょう。教育における憲法のようなもので、基本的な理念法案だという重要法案だからチェックをしているんですよ。
#249
○井上哲士君 つまり、ほかはやってないということで確認してよろしいですか。
#250
○国務大臣(伊吹文明君) すべての法律をやっているかやっていないかは、それは私はチェックはいたしておりません。しかし、当該教育基本法というのは大切な教育の理念法ですから、法の下の平等だとか学問の自由だとか教育を受ける権利だとか、それは現憲法においては当然大丈夫だと。自民党の草案ではどうなっているか、それはチェックするのは立法提出者としては当然でしょう。
#251
○井上哲士君 じゃ、チェックしたときに、自民党の新憲法草案とはそごをしたらどうするんですか。
#252
○国務大臣(伊吹文明君) 将来そごをしても、それは現在の日本国憲法の下でこれを出しているんですから、そごをするということは、もし自民党の案に今出すものがそごをするということになれば、それは憲法が変わるかどうか、それは将来の問題でしょう。だけれども、そごをしているところはありませんよ。皆さんは一方的に、何かこの今出している法案が現行憲法と、日本国憲法が全く違うようなことを言っておられるけれども、先ほど日本国憲法、自民党憲法草案の提出者から不規則発言が次々と出ているのは、そういうことじゃないから出ているんですよ。
#253
○井上哲士君 正に憲法に準ずる法案を、今の憲法とは全く違う自民党の新憲法草案とすり合わせようとしたことが大問題なんですね。
 じゃ、聞きましょう、具体的に。自民党の憲法草案の第十二条の「国民の責務」はこう書いています。「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。」と、こうなっているんですね。「公益及び公の秩序」という言葉です。
 十三条の個人の尊重、ここも「国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と、こうなっているんですね。今の憲法十三条にある公共の福祉という概念と公益及び公の秩序という概念は全然違うんです。
 これは、もう憲法学者の中では当たり前の話でありまして、公共の福祉というのは、人権と人権がぶつかり合ったと、そのときにそれを調整する原理なんですよ。それはなぜかといえば、憲法というのは国家権力による人権侵害を許さないと、そういう権力制限規範だからそうなっているんですよ。それをこの自民党案のように公益及び公の秩序にしちゃうと、全く違う意味になるじゃありませんか。正に制限付自由ということになるんです。そういうことになったら、今の政府の教育基本法案にある個人の尊厳というのは、結局この新憲法草案のように正に制限的な尊厳と、こういうことになるんじゃないですか。
#254
○国務大臣(伊吹文明君) なるんですよと先生がおっしゃって、学者の説はこうですよとおっしゃいますが、それは決め付けじゃないですか。今の、今の憲法……(発言する者あり)それこそ決め付けじゃないですか。今、それじゃ、例えば、公共の福祉の範囲内で権利というものは守られると今の憲法では書いてあるわけでしょう。そして、今度の日本国憲法の記述とそこがこういうふうに違うと言うけれども、日本国憲法草案を書いている人はそんなことを意図していないと、こう言っているわけですから……(発言する者あり)それは、それは学者の、それは先生の判断であり、先生が引用しておられる学者の判断なんですよ。
#255
○井上哲士君 それじゃ、なぜ公益の福祉という、今の憲法にあって広く使われてきた、そして裁判の中でも人権相互の衝突調整機能として使われてきた概念なんですよ。それを何でわざわざ公益及び公の秩序に変える必要があるんですか。
#256
○国務大臣(伊吹文明君) 教育基本法の審議をしておりますから、日本国憲法と自民党の憲法草案との対比の議論をしているわけではありませんが、なぜ変える、変えないというのは、それは立法している者の立法意図でしょう、それは。用語の使い方でしょう。変えちゃいかぬという意見の方もあるし、同じ意味を分かりやすく書き直したという意図の人もいるじゃないですか。それは決め付けちゃ駄目ですよ。
#257
○井上哲士君 いや、わざわざ公共の福祉というのは、先ほども申し上げました、裁判の中でもずっと積み重ねられてきた概念があるわけですよ。それを公益及び公の秩序、これに言い換える。結局、秩序に反するようなやり方は許さないということで、正に、言わば権力からの個人の権利を守る今までの規範とは逆になっちゃうんですよ。これは、多くの憲法学者の中でも当然の議論としてされているんです。
 ですから、私が聞いているのは、この教育基本法の政府案の個人の尊厳という言葉がありますけれども、これは正に自民党のある新憲法草案とすり合わしたと言われるわけですから、これはこういう制限的な尊厳ということなのかということを聞いているんです。
#258
○国務大臣(伊吹文明君) これも何度も何度もお答えしておりますが、国や社会を愛情と責任と気概を持って自ら支える責務を共有するというくだりがございますと、ここのところを教育基本法の二条で受けておりますと。そして、教育のところについては、教育基本法でございますから、この教育基本法には法令として異例でございますが前文がございますと書いて、その後、この条項にこの基本法は、現行憲法下においてもこれは当然のことですがと私、言っているんですよ。そして、新しい日本国憲法草案が国民の御了承を得られても十分堪え得る内容になっていると。
 だから、先生の御判断は、あるいは先生が憲法学者はこうだとおっしゃるその憲法学者は、自民党の憲法草案と現憲法草案が全く違うと……(発言する者あり)いや、違うと言っている方がおられるということですよ。我々はそうは思っておりません。
#259
○井上哲士君 それは全く問題ですよ。再三言ってきましたけれども、正に個人の尊厳が、自民党の新憲法草案のいわゆる正に公益及び公の秩序に反しないように、こういう制限が付いたようなものになったら、正に自由な営みとしての教育という問題に大変なことになると。
 私は、正にこういうものとすり合わせてきたものが決して許されることではないと、やっぱりこれは廃案しかないということを申し上げまして、終わります。
#260
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 昨日、タウンミーティング調査委員会の調査報告書をお昼にいただきまして、見ているわけでございます。このタウンミーティング、やらせだけではなくて、やらせないという松江のケース、積極的に発言をしたいというふうに内閣府まで出向いたのに発言を、してもらえなかった、この話もありましたし、さらに、この調査報告書を見ますと、実は伊吹大臣の地元であります京都で昨年の十一月に、会場に入りたいといって応募したにもかかわらず、細工をされて落とされてしまったと、ひどいケースがございます。これは、この調査報告書の中にも紹介をされて、非常に悪質なケースということで紹介されておりますが、今日の新聞にも一部出ております。
 この特定人物を工作をして落としたと、この概要について政府委員の方から御説明いただきたいと思います。
#261
○政府参考人(山本信一郎君) 近藤委員おっしゃいます作為的な抽せんがされていたことが明らかになりました。決して認められないものでございまして、極めて遺憾でございます。
 その調査結果につきましては、この報告書に記載しておりますように、共催者である市の教育委員会の担当者の方から、参加応募者に関しまして、タウンミーティングではない他のイベントにおいて、会場内でプラカードを掲げ、指名されなくても大声を発するなどし、会場が騒然として混乱したため、警察まで動員して退場させたという内容の連絡を受けたところでございます。
 そうしまして、その連絡を受けまして、タウンミーティング室の担当者が会場内の混乱を回避する観点から何らかの対応が必要と判断をして、上司とも協議をして、該当者の応募受付番号の末尾の数字二つを抽せんにおける三つの落選予定数字の中に入れることにより、といいますのは、全体の応募者の観点から三割オーバーするということで、三つ落とすということで、この三つの落選予定数字の中に入れることにより該当者を落選させた。その結果、該当番号の他の応募者についても落選させることになったということが明らかになったものでございまして、以上が概要でございます。
#262
○近藤正道君 もうあきれて私は言葉もないわけでございますが、ある特定の人物とその関係者と見られる者、ある特定の人物とその関係者と見られる者がどうも応募したようだと、この人を落とすために、その人だけ抽せんで落選させるとばれるんで、一定の人を巻き添えにして五十人、約五十人一緒に抽せんで落としたと。ひどい話でございます。
 このタウンミーティングは、親と子の言わば文化について語る。その親子で、子供は小中学生、それと親、セットで応募して初めて応募資格がある。そういう中で、この落選、意図的に落とされた五十名、これは大人二十五名、子供二十五名と、こういう趣旨でしょうか。
#263
○政府参考人(山本信一郎君) 必ずしも親御さんと子供さんがそろってお見えの場合だけではございませんので、その比率につきましては正確にはちょっと今手持ちでは分かりません。
#264
○近藤正道君 親子一組で応募資格があるというんだから、当然そうなんではないですか。
 私、先ほど、そこである特定の人物とその関係ある者というふうにレッテルを張られた人から話を聞きました。非常に怒っておられます。一体、市の役割と、市が何をしたのか、市の教育委員会が何をしたのか、そして内閣府が何をしたのか。つまり、だれがこういう悪知恵を考え付いたのか。子供が大量に落とされているわけですよ。事実関係をどういうふうに把握されていますか。
#265
○政府参考人(山本信一郎君) 調査委員会の報告の中で申し上げましたように、これは共催でございます。したがいまして、市の教育委員会の担当者から、先ほど申し上げました三つの主に項目から成ります情報が、連絡がございました。それを、その連絡を受けて我々の内閣府のタウンミーティング室の担当者が、今、近藤議員が御指摘のような作為的な抽せんを行ったというのがその事実でございます。
#266
○近藤正道君 とにかく、この調査報告書によりますと、いずれにしてもこういう形で作為的な抽せんをしたということは決して認められないということを言っています。もし騒ぎなどがあれば、それは警察で対応すればいいわけで、こんなやり方で排除するというのは全くおかしいと、こう言っています。
 この人に対してはもちろんだけれども、一緒に何のあれもないのにそばづえで落とされた、あなた方の隠ぺい工作のために落とされたこの五十名に対して一体どういう責任を取るんですか。
#267
○副大臣(林芳正君) お答えいたします。
 調査委員長として、また担当の副大臣として、このことが調査の過程で明らかになりつつあったときに、私も委員と同じように愕然とした気持ちでございました。
 ここまで、今委員がおっしゃって、我々の評価の部分を引いていただきましたけれども、この一報を受けたときに、なぜ、じゃ警備を強化すると、以前にもこういうことがタウンミーティングで行われたわけで、そのために警備を強化して、高い経費を使っても警備をやると、こういうこともやっているわけですから、その時点の判断がかなりこれはおかしかったんではないかというのが我々思ったことでございまして、委員が今御指摘があったように、これはもう看過できないことであると、こういうふうに思っております。
 抽せんの必要性につきましては、先ほど政府委員から答弁させましたとおり、定員よりオーバーしておりましたから、これは抽せんをある意味ではこのことがなくても行わなければならなかったと思っておりますが、結果として作為的に抽せんが行われたということで、来られなかった方が親子を含めておられたということについては私からも心からおわびをしたいと、こういうふうに思っております。
#268
○近藤正道君 私は、先ほど関係者にちょっと話を聞いたんですが、この落とされた方に対しては何の、今の現在、おわびの言葉も何もないと。これ、もう場合によってはそれは賠償ものですよ、これは。だから、きちっとこれは謝罪されるんでしょう、当然のことながら、内閣府として一人一人に対して。確認をさせていただきたいと思います。
#269
○副大臣(林芳正君) お答えいたします。
 精査をいたしまして、この抽せんで漏れた方がどういう方であったかということが分かる範囲で、ベストを尽くして、お分かりになった方に対してはきちっと責任者からおわびをさせたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
#270
○近藤正道君 教育にかかわる者としてあるまじき私はことだというふうに思っています。
 その上で私は更にひどいというふうに思うのは、このタウンミーティング、まあこれは親と子のタウンミーティングで、親子で応募資格があって行くんですけれども、会場には小坂前文科大臣そして河合隼雄さんと来られたんですけれども、この会場、つまり小中学生と親がそこにみんな来ているんですけれども、ここの会場でも子供にどうもやらせがあったようです。事実はどうですか。
#271
○副大臣(林芳正君) お答えいたします。
 このいわゆる発言内容の依頼をしたといういわゆるやらせのケースでございますが、これは別途のところに全例十五ケースについてこの調査報告書で書いておりますが、そこを見ていただければ分かるんでございますけれども、この今の京都の件はその中には入っていないと、こういうことでございます。
#272
○近藤正道君 この報告書の中にはこの京都のケースがある。これについては一般参加者の中にあらかじめ声を掛けられた、またこれは大人なのか子供なのかよく分からないんですが、発言者を把握していたということと、発言者席の把握もしていたと、発言内容の把握もしていたと、こういうところにすべて丸が付いているわけであります。だから、当然何らかの形で、大人か子供か分かりませんけれども、まあ半分は子供ですよ、小学校、中学生が大部分だというんだから。ここに前もって働き掛けがあって、そしてその子供が与えられた、定められた席に座って、そして発言をしたと。これを見ますと四、五人発言しているようでございます。
 これはやっぱり正確に把握していただきたいと思うんですが、とにかく、子供にこういうことをさせる、正に教育の衝に当たる文科省が子供にこんなことをさせる。今これだけ大きな問題になっていますんで、関係した子供たちがどんなに心傷付いているか、そのことを考えたことがあるんだろうか。だから、ここはやっぱり是非しっかりと私は真実を明らかにしていただきたいと思うんです。とにかく、五十名みんな落とされた。おかげで二百名の収容の会場は百四十四名しか入らなかった。まだ席があるにもかかわらず、大量に落としたもので、会場にあちこちに空白ができた。そこで子供たちを巻き込んでやらせが行われた。これは文科省として正に言語道断の私はありようではないかというふうに思うんですよ。しっかりと、何があったのか、どういう働き掛けがあったのか、だれがこんなことをやらせたのか、はっきりしていただきたいと思います。
#273
○政府参考人(山本信一郎君) 今の林副大臣から申し上げましたのは、いわゆるこちらから内容を作って、それをお示しして、これでお願いしますといういわゆる発言内容を添えた依頼はなかったと。今、近藤委員おっしゃいましたように、この調査報告書の資料の中にも付けておりますが、今の京都市の親子タウンミーティングでは五人の方に発言を依頼をし、そのうち四人が発言をされたというのが資料として載っておるところでございまして、これは発言のそういった希望者を募ってお願いをしたという内容でございます。この中には中学生や高校生もおりますし、保護者の方もおられるという具合に承知をいたしております。
#274
○近藤正道君 他のタウンミーティングでは、言わば県庁あるいは県の教育委員会等が、県の職員だとかあるいは学校関係者、あるいは教育委員会関係者に働き掛けた。まあ、私は多分にやっぱりその立場、地位を利用しての働き掛けがあったんだろうというふうに思うんですが、子供に対して一体だれがどういうふうに働き掛けたんですか。これは正に非常に、子供に対する働き掛けというのは法的にも様々な規制があって、子供の将来のことを考えて、厳格にその辺のケースというのは規制されていると思うんですが、これはやっぱりしっかりと調べていただきたい。どういう立場の人が、どういうルートで、どんな子供に働き掛けたのか。教師が自分の教え子に、クラスの生徒に押し付けたのか、どうなのか。ここは大臣の地元のことなんだから、とりわけやっぱりはっきりさせていただきたい。ここは、ここははっきりさせてくださいよ。大臣、どうですか、これは。
#275
○国務大臣(伊吹文明君) 今伺っていますと、私の地元だとかどうだとかということは別にしまして、発言をしてくれということを頼んだのであって、発言の内容を振り付けているわけじゃないんですよ……(発言する者あり)いやいや、正確に、正確に聞いてやってください。
 それは、だれも発言する人がいないんじゃそれは会議というのは成り立たないから、どうぞ進んで発言してくださいと言っているわけですから……(発言する者あり)いやいや、正確に聞いてやってくださいよ、言っていることを。(発言する者あり)
#276
○委員長(中曽根弘文君) 御静粛に願います。御静粛に願います。
#277
○近藤正道君 大臣、そういう認定は、評価はおかしいですよ。あなたみたいな言い方をするんなら、それはサクラなんて、動員なんて出てこなくなるわけです、それは。
 いずれにしましても、これは子供が相手のことなんですよ。正に教育的な配慮が最も重視、尊重されなきゃならぬ、そういう領域でこういうことが起こったわけだから、ここは、それは大臣、あなたの名誉のためにもはっきりさせてくださいよ、それ。
#278
○国務大臣(伊吹文明君) これは先生、お互いの名誉のために話さなくちゃいけませんが、例えば五十人、百人集まっているところで君の意見を言ってくださいよと言ったことが何かやらせになるんですか。(発言する者あり)いや、そうじゃないでしょう。質問を作って、これをしゃべりなさいということを言ったら大いに問題ですよ。だから、そこのところをちょっとはっきり説明しなさい。
#279
○副大臣(林芳正君) 繰り返しの答弁になりますが、先ほど申し上げたように、発言内容を示してこれを依頼したといういわゆるやらせの質問は、この回ではなかったということを報告書で明記をしているところでございます。今、伊吹大臣がおっしゃられましたように、発言の依頼というものがあったということもそこに、今官房長から説明したように、あったことでございます。
#280
○委員長(中曽根弘文君) 近藤君、時間です。
#281
○近藤正道君 いずれにいたしましても、大人だけではなくて、最も教育的な配慮が必要な子供たちに教育の衝に当たる人たちがこういう形で、私は広い意味でのやらせだと思うんですけれども、こういうふうにやらせた、これは本当に大きな問題。こういうことも、あるいはやらせた側の責任が全くこの報告書の中にも出ていないということも含めて、この報告書は極めてまだ不十分、こういう中での論議の終局なんてとても認められない、そのことを申し上げまして、質問を終わります。
#282
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。
 非常にタウンミーティングの問題で激した質疑が行われましたけれども、ついでに、そのタウンミーティングについて是非お願いしたいのは、先ほど林委員長からも驚くような、自分自身が驚いたというような表現がありましたけれども、そういうふうなタウンミーティングが行われたわけであって、総理も、大臣なんかもこの問題についてはけじめを付けて次の段階に進みたいということを言っておられたわけですが、けじめの付け方について、総理大臣が三か月返納すれば済むというようなことではないと思うんですけれども、どういうふうな形でけじめを付けようとしておられるんでしょうか。
#283
○国務大臣(塩崎恭久君) けじめの一番は、やはり調査をきちっとやって皆さんにお示しをすることだと思っています。限られた時間の中で精一杯やったつもりでございますが、林委員長を始め一般、外の方にもお手伝いをいただいてやってきたものでございます。これがまず第一。
 そして、これから、この言ってみれば我々にとっては信じられないような、皆様方にとってもそうですが、税金のずさんな使い方、そして運営もずさんであった、国民の信頼を失いかねないようなことがたくさんあった、これについての責任を明らかにするために、かかわった者の処分を直ちにするようにということで、今それをやっているところでございます。そして、二度と起きないための再発防止策をどうするのか、これについても徹底的に考えるように言っております。
 さらに、先ほど総理から申し上げたように、総理の場合には官房長官という立場でもありましたが、平成十三年からのずうっと百七十四回続いてきたことについて、今の立場で責任のある我々がけじめを付けようということでございます。
 そしてもう一つは、やっぱり何よりも、元々このタウンミーティングは国民との間できちっと意見交換の場としてこれを活用していこうというはずだったわけでありますから、これを本当にそういうものであるためにどうしたらいいのかということを、今回の調査の結果も踏まえて新しい手法を編み出して、これからまた様々な政策についての国民の声を聞かせていただく場、そしてまたこちらからの発信の場にするための工夫をしていきたいと、このように考えているところでございます。
#284
○亀井郁夫君 タウンミーティングの結果やらそういうものを考慮しながらでき上がったのがこの教育基本法だとすれば、やはりけじめの付け方というのはこの教育基本法にも絡んだ格好でいろいろ議論されなきゃいかぬ。公聴会にしろ参考人にしろ、いろいろ意見聞きましたよ。だけれども、とにかく話、言わせればいいということだけで、もう本当に、私、ずうっと付き合ってきましたけれども、無力感で一杯でした、本当に。直してくれるんなら話になるけれども、大臣がこの前言われたように、議事録に載っけるためだけに質問しているのかという感じなんですね。
 だから、そういう意味で、この審議の仕方もいろいろ考えて、特にこういった基本法ですから、与党の案がいいかもしれないけれども、もっといいものを作ろうと、民主党からもいい案ができているんですから、それも入れてちゃんとやるべきだというふうな考え方を持つべきだと思うんですが、そういうことは間違いでしょうかね。大臣、お願いします。
#285
○国務大臣(伊吹文明君) 政府提案をいたしているわけですから、提案者の立場としてはこれが一番いいものだと思って出しているわけです。民主党も現在の教育基本法のままでいいとは思われていないからこそ対案をお出しになっているわけです。
 いろいろここで御意見の、何というんでしょうか、交換があり、私どもが出しているものとしての法文作成上の意思ですね。これは将来、このもし国会でお認めいただいた場合に、提出者がどういう意思を持ってこの条文を書いているかという、これは将来の解釈のために非常に大切なやり取りが行われているわけです。
 それと同時に御批判もあります。評価していただいている部分もあります。そして、それをお互いにお話合いをいただいて、院でお直しいただくということについては、これは私どもが口を出すことじゃないんじゃないでしょうか。
#286
○亀井郁夫君 大臣が言われるように、政府提案だから政府としては一番いいというふうに考えているというのは分かりますけれども、そうすると、やはり自民党と公明党がどう考えるかということになるわけですけれどもね。しかし、政府提案は元々自民党と公明党で十分審議されて出されているわけですから一体だと私は思うんですけれども、そういう意味では、自民党はけしからぬといえばそれまでですけれども、やはり党がけしからぬということになるんですかね、こういうことは。もっと自民党と公明党一緒にいろいろ考えたらいいよというようなことは言っても駄目なんですね、だから。
#287
○国務大臣(伊吹文明君) ちょっと御質問の趣旨がよく分かりませんが、我々は、小渕内閣以来、教育を再生するために基本法を直すんだと。先生もその渦の中におられたわけですよ。そして、いろいろ議論を積み重ねて、そして連立を組んでおりますから、お互いに公明党ともすり合わせて最終的にこの案を出した。しかし、いろいろ御批判もあり、評価もしていただき、いろいろやり取りがあったわけですから、そして事実、まあそういうことは日の目を見なかったわけですけれども、修正をお互いにしようかという協議もあったように聞いておりますね。だから、それは院としての良識を持って各政党間でお話をいただければ、私どもはそれに反対だとか乗らないということは言える立場ではございません。
#288
○亀井郁夫君 大臣の立場はよく分かりましたけども、このことをいつまで言っても仕方がないんで、次の問題に移りたいと思います。
 先ほど、時間があったので、あるところに寄って話しておりましたら、子供の教育の問題だけど、子犬の教育の問題に絡みまして、子犬、犬の子の教育をする場合には、犬の子はしかってばっかりおったんじゃ駄目なんで、やっぱり褒めなきゃいかぬと。そうすると、どんどんどんどん犬の子はいろいろ覚えてくると。
 それと同じように、人間についてもそういうことが言えるんじゃないかという話があったんですが、実際に会社なんかでもそうですけども、今はどうもしかる世の中になってしまって、褒めることを忘れてしまっているという話がありまして、考えてみると、この教育基本法案にしろ、教育の基本ですから、子供をもっと褒めながら育てていくということが大事だと思うんですね。ところが、この教育基本法にはそういった褒める、称揚というような言葉はどこにもないんで、何々をしなきゃいけない、しなきゃいけないばかりになっているわけですし、そういう意味ではいろいろと考えさせることがあるんですけども、大臣はどう思われますか。やっぱり、ほかのものでもいいから、いろいろ大臣表彰なんかありますけども、もっと考えていくべきと思いますけども、いかがでしょうか。
#289
○国務大臣(伊吹文明君) 先生おっしゃるとおりだと思います。
 それで、この新しい教育基本法案をお出ししていますが、現在の教育基本法がいいとおっしゃる方もたくさんいらっしゃいますが、現在の教育基本法の中にも褒めてやれという言葉はございませんよね。ございません。ですから、それは学習指導要領やその他で児童を、生徒をどのように指導していくかという中でやっていかなければなりませんし、また学校の教師の先生方がしっかりとした立派な方であるのが一番望ましいわけです。そのために免許制の更新だとかいろいろなことも一方にあります、確かに。
 しかし同時に、その方々の待遇をどうするかということは、私もその責任の一端を担って今予算編成の渦の中にいるわけですから、一方的に締めることばかり考えていちゃ、これは、私はいつもここでしかられておりますけども、時にはひとつ褒めてやっていただきたいと思います。
#290
○亀井郁夫君 よく分かりました。
 今、学習指導要領の話も出ましたけども、学習指導要領にも私の散見する限りでは褒めるということがないわけですね。だから、そういう意味でやっぱり考えていってほしいと思いますので、よろしくお願いします。
 学習指導要領に絡みまして、教科書なんかもそれに従って作られるわけですが、実は副読本というのが横行しているんですね。副読本は実際に町村の場合、建前上は教育委員会が認めるものということになっておりますけども、実際は学校の校長が決めると。しかし、校長先生も、広島の日教組だけ悪いんですけど、日教組上がりの先生が校長先生になっているということになると、ひどい副読本が横行していると。例えば日の丸の旗も、あれは血の赤だとか、白いのは骨の白だとか、そういうことで副読本が作られている、使われているというのが実態だったわけですね。
 そういう意味では、副読本についてもっともっと全社的にチェックしていい副読本が使われるように考えるべきだと思いますけども、これについてはどうお考えでしょうか。
#291
○政府参考人(銭谷眞美君) 副読本についてでございますけれども、副読本につきましては、地教行法の二十三条に基づいて教育委員会が管理をするということになっております。ただ、具体的には、今先生お話しのように、その権限を学校長の方に委任をしているというケースが多いわけでございまして、副読本等につきましては、その教科の教育に本当に資する観点から、校長が責任を持って取捨選択、判断をしていくべきものだと思っております。
 それから、先ほどのお話でございますけれども、学習指導要領の中で子供を褒めるという点につきましては、総則の中に、生徒の良い点や進歩の状況などを積極的に評価をするという旨の記述をして、できるだけ子供たちの良さを引き出すということを指導要領上は心掛けているところでございます。
#292
○亀井郁夫君 今お話ありましたように、副読本については学校の校長がほとんど決めていて、そしてそうなんだということですけれども、私がお願いしたいのは、副読本の管理をもうちょっとしっかりしてやらなきゃいけないということを申し上げたいんで、それについてどうしたらいいか、大臣、是非お願いしたいと思います。
 あと、時間なくなりましたが、教育委員会についても、公聴人や参考人からいろいろな話がありました。人事権もなく予算権もなく、執行権だけの教育委員会ですから、これじゃ困るという意見が多かったんですが、再度お尋ねしますけど、教育委員会を今後改善していこうというお気持ちがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。
#293
○国務大臣(伊吹文明君) 政府としては、既に教育委員会の抜本的な改革を行うというのを骨太方針の中で決めておるわけですね。その場合の抜本的な改革というのはどういうものなのか。
 都道府県教育委員会と市町村の教育委員会、そして国との関係、こういうことを、やはりこれは教育行政の根幹にかかわることでございますから、ここでの御議論もいろいろ参考にして、広くやっぱり意見を聞きながら、物事を変えるときは、必ず意図したことは達成できるんですが、副作用が出てまいりますので、そこのところをよほどよく考えてやらないといけませんので、今のままでいいという問題意識は私は持っておりません。
#294
○亀井郁夫君 民主党の方に、西岡さんにお尋ねしますけど、民主党の案では、教育委員会廃止の方向で案ができていますね。そして学校理事会が中心になるという形でございますけれども、教育委員会をなくしても学校理事会だけでうまくいくものかどうか疑問にちょっと思いますけれども、それについてお答え願いたいと思います。
#295
○西岡武夫君 お答えいたします。
 私どもの日本国教育基本法案におきましては、現在の教育委員会を監査委員会に改組して、その性格は、それぞれの地方自治体にございます選挙管理委員会のような選び方をすることがいいと、このように考えております。そして、地方自治体における教育の責任は、それぞれの首長が、知事、市町村長がこれを責任を持つと。そして、学校現場においては、学校の校長先生そして教員の方々、保護者の方々、地域の代表の方あるいは教育についての学識経験者によって構成される学校理事会において、日常の教育行政については、これを、学校運営については責任を持ってもらうと、そういう仕組みを考えているわけでございます。
 以上です。
#296
○亀井郁夫君 時間がなくなりましたけれども、一つ心配なのは、教育の中立性の問題についてどの程度守られていくかということについては若干疑義がございますけれども、時間になりましたのでこの辺でやめさせてもらいます。
 答えてもらえますか。(発言する者あり)ああ、時間ですか。済みません、どうも、問題提起だけ。(発言する者多し)
#297
○委員長(中曽根弘文君) 岩城君。
#298
○岩城光英君 私は……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
#299
○委員長(中曽根弘文君) 岩城君の動議を議題とし、採決を行います。
 本動議に賛成の方の起立を願います。(発言する者多く、議場騒然)
   〔賛成者起立〕
#300
○委員長(中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、岩城君の動議は多数をもって可決されました。(発言する者多く、議場騒然)
 教育基本法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。(発言する者多く、議場騒然)
   〔賛成者起立〕
#301
○委員長(中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(発言する者多く、議場騒然)
 審査報告書の作成を委員長に一任することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#302
○委員長(中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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