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2006/11/22 第165回国会 参議院 参議院会議録情報 第165回国会 少子高齢社会に関する調査会 第3号
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2006/11/22 第165回国会 参議院

参議院会議録情報 第165回国会 少子高齢社会に関する調査会 第3号

#1
第165回国会 少子高齢社会に関する調査会 第3号
平成十八年十一月二十二日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月八日
    辞任         補欠選任
 ツルネン マルテイ君     蓮   舫君
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君     岩本  司君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         清水嘉与子君
    理 事
                荻原 健司君
                川口 順子君
                中原  爽君
                足立 信也君
                島田智哉子君
                鰐淵 洋子君
    委 員
                有村 治子君
                沓掛 哲男君
                山崎  力君
                岩本  司君
                主濱  了君
                林 久美子君
                松下 新平君
                森 ゆうこ君
                山本 香苗君
                小林美恵子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   参考人
       明治大学法学部
       教授       石井美智子君
       出産ジャーナリ
       スト       河合  蘭君
       聖路加国際病院
       女性総合診療部
       部長・生殖医療
       センター所長   佐藤 孝道君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○少子高齢社会に関する調査
 (「少子高齢社会への対応の在り方について」
 のうち不妊治療及び生殖補助医療)
    ─────────────
#2
○会長(清水嘉与子君) ただいまから少子高齢社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、ツルネンマルテイさんが委員を辞任され、その補欠として岩本司さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(清水嘉与子君) 少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題とし、不妊治療及び生殖補助医療について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、明治大学法学部教授石井美智子さん、出産ジャーナリスト河合蘭さん、聖路加国際病院女性総合診療部部長・生殖医療センター所長佐藤孝道さんに参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、大変御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして本当にありがとうございます。
 参考人の皆様方から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、不妊治療及び生殖補助医療について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、議事の進め方でございますけれども、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、石井参考人からお願いいたします。石井参考人、どうぞ。
#4
○参考人(石井美智子君) 石井でございます。
 本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、法律を研究している者として、法的観点、特に家族法を専門としておりますので、親子関係の問題を中心にお話をさせていただきたいと思っております。
 我が国は生殖補助医療の盛んな国の一つでございます。しかし、生殖補助医療を規制する法律につきましては、クローン人間を禁止している法律がある以外、何もございません。ところが、これまで余り長い間問題は起きなかった。問題のデパートと言われるアメリカと比べて問題が起きていないということは大変幸いなことでございましたが、近年になりまして幾つかの問題が表面化してきております。潜在的にはもっと多数の問題があるのではないかと考えております。
 この生殖補助医療の問題を考える上でまず考えなければならない問題としては、人間の尊厳の観点から問題を考えなければならないということがございます。生命の操作はどこまで許されるのか、人をつくるという事柄がどこまで可能なのかということでございます。
 法的に見ますと、まず、胚の法的地位ということが問題になります。体外受精が可能になる以前は、体外にヒトの胚が存在するということはございませんでしたので、その法的地位ということは全く考えられてきませんでした。ところが、体外に置かれることによって、その破壊行為、意図せざる行為、その操作ということが可能になってきました。それに対してどのように法的に規制するのかということについても、何も今のところ規制がございません。
 例えば、その体外にある胚を壊した場合に、それは殺人ではないとは言えますけれども、かといって、物だから器物損壊罪に当たると考えるのもおかしなことであろうと思いますが、特にこれを定める法律はないわけです。胎児については堕胎罪という規定がありますけれども、胚を壊した場合にどのような罪になるのかということは定まっていない状況であります。
 また、その胚、胎内にある場合に、体外受精で行った場合に戻す胚の数によって懐胎される胚が多数に上ってしまって多胎になるという問題が一つ大きな問題としてあります。その場合に、胎内で胚を減らすという減数手術ということが行われておりました。そのようなことが認められるのか、それは中絶との関係でどのような扱いになるのか、どのような場合に認められるのか、この問題も未解決のままであります。
 また、胚というものは体外にあるので譲渡が可能になっております。実際に売買が行われて、アメリカでは行われておりますが、そのようなヒトになる可能性を持った存在の売買、そのようなことが許されるのか、どのような条件でそれが譲り渡すことが認められるのか、無償性原則という医療における人の臓器の取扱い、それとの関係でどう考えるのか。我が国でも、現実には人工授精の場合の精子というものは一定の、これは対価ではありませんが、一定のお金が払われて授受されているということは確かであります。
 また、胚を研究に利用するということ、これがもう一つの問題になっております。この問題については、一昨年の総合科学技術会議で一定の方針が出されまして、今厚労省、文科省等でヒトの胚を用いた研究、それをつくり出すことの研究がどこまで許されるのかということが議論されておりますけれども、一番の問題として議論されてきたのはES細胞、アメリカではブッシュ大統領が胚の保護という観点からES細胞の研究は認められないという立場を明らかにしておりますけれども、我が国は一定の条件の下に研究は認められております。ES細胞をつくるときには胚を破壊してつくるということが問題になるわけでございます。
 また、生命の操作、生命の選別という観点では、つくられた胚、戻す前に、その胚に遺伝的な問題がないかどうか等の着床前診断を行うという問題がございます。どこまで、どのような場合に許されるのか。今年になりまして、産婦人科学会は習慣性流産の場合にも認めるという方針を出しましたけれども、どのような場合に許されるのか。これの使い方によっては、最近デザイナーベビーなどという言葉も言われますように、望む子供をつくるという、そういう形で使われる危険性もあるという問題がございます。
 このような人間の尊厳から考えて、どのような場合に、どこまで生殖補助医療というものは許されるのか、その規制をどうするのかという問題も多数ありますが、私は、生殖補助医療の特徴として一番考えなくてはいけない問題は、その結果子供が生まれる、一人の人間が生まれるということだと思います。その子供の保護をどうするのか、その点が一番重要だと思います。そして、その保護という観点で考えます場合、その保護者が決まっているということが第一だと考えます。その保護者が決まるということは、だれが父か、だれが母かということが決まっているということが必要だということにつながると思います。
 私の問題関心に近いということでもございますので、本日はその問題を中心に話させていただきたいと思っております。
 お配りいただきましたレジュメの四枚目に表が付いておりますように、体外で胚をつくるということが可能になりました結果、多様な生殖が可能になっております。こんなことが行われるのかというぐらい、机上の空論と思われるようなことも現実には行われている。クローンは分かりませんけれども、もう生まれているといううわさもあるところでございます。
 そして、だれの卵子を用い、だれの精子を用い、だれが懐胎したかによって、だれが親かということが分からなくなってしまうということが起きているということであります。そのうちの幾つか、六例だけを少し図を示しまして、だれの精子を用い、だれの卵子を用い、だれが懐胎するかによって、子供がどのように生まれるかということを示しました。後ほどこれを参考にしていただきながら裁判事例などを考えていただくために、具体的に我が国で問題になった事例を取り上げております。
 このような多くの問題を抱えている生殖補助医療でございますので、諸外国は法律をもって規制しております。法律という点では、一つは、どのような生殖補助医療が認められるのか、その範囲を特定すると同時に、どのような条件でそれを認めるかという手続的な問題もきちんと定めるということであり、他方で、その結果生まれた子供の親子関係を明確にする、そういう法律を作って規制しているということであります。
 そこに幾つかの国を挙げました。
 アメリカの例が挙がっておりますが、アメリカは連邦国家で、このような行為を規制する法律というものを作ることはなかなか難しいところであります。ここに挙げましたのは、統一法と書いてあるのは法律ではありません。州でばらばらになるものを統一するために統一案というものが示されている、そういうものでございますが、これも親子関係について定める案というもので示されているということでございます。二〇〇〇年に出されました統一親子関係法におきましては、代理母については両案併記という形になって、認める場合、認めない場合、両方の案が示されております。
 オーストラリアは、ここも生殖補助医療の大変盛んな国で、早くにその規制法、不妊措置法と、その結果生まれた子供の地位法というものを作ってビクトリア州は問題に当たっております。
 スウェーデンは、一九八四年にそれまで行われていた人工授精に対処するためにその法律を定め、AID、夫以外の精子を用いた人工授精によって生まれた子供の父親が夫となるということと同時に、子供に出自を知る権利を保障する、そのような法律を定めました。一九八八年に体外受精法が作られましたが、この時点では卵子の提供による体外受精は認められていませんでしたが、二〇〇二年の改正で卵子提供による体外受精も認めると同時に、体外受精の場合についても出自を知る権利を認めるというそういう法改正が行われています。
 イギリスは、一九九〇年にワーノック報告を受けまして、全面的な生殖補助医療に関する法規制を行いました。ヒトの受精及び胚研究に関する法律に基づきまして認可庁を設け、その認可庁の下で認められた生殖補助医療が行われるというシステムになっております。精子提供、卵子提供による体外受精、胚を提供される場合等も認めておりますし、代理母については営利のものは認められませんが、非営利のあっせん、これは認められておりまして、数少ない代理母が行われている国の一つかと思います。
 フランスは、一九九四年に生命倫理三法と言われるものですが、もっとより広い生命倫理にかかわるような医療、そういうものを全面的にとらえる包括的な法律を作って規制しております。二〇〇四年に改正されましたけれども、ここでも制限的に生殖補助医療、卵子提供の場合も含めて認めておりますが、代理母は禁止されております。
 それに対して、ドイツは一九九〇年に胚保護法、これはまさしく先ほど申しましたように法的に明らかでない胚、これについて保護するという、刑罰をもって保護するための法律を作っております。ドイツはこの法律によって卵子提供等の生殖補助医療は行えない、刑罰をもって禁止されるということになっております。
 オーストリア、スイスはドイツに近い法律を作っておりますが、スイスが特徴的でありまして、スイスは、ここも連邦であるということから法的なシステムの関係ということがあると思いますが、憲法に生殖補助医療にかかわる規定を置いているということが特徴的でありまして、その憲法に基づいて生殖医療法が制定され、二〇〇一年から施行されておりますけれども、スイスも卵子提供、代理母等は禁止、制限的な法律になっております。
 このように欧米諸国は法律によって規制しておりますけれども、我が国は、先ほど申しましたように、法律はございません。規制としてございますのは日本産婦人科学会による会告による自主規制でございます。不妊学会等の会告、規制もございますが、主として機能しているのは産婦人科学会の会告であろうと思います。そこには一番最初に出された会告の年月日が書かれておりますが、今年の四月にまとめて改正したものが示されております。
 体外受精、胚移植については、一九八三年に第一号が生まれた、そのときにそれを受けた形で作られております。そのように、問題が起きるたびにその問題に対処するための学会の会告というものが出されているという状況であり、全面的な生殖補助医療について専門家がどう考えるのかということをまとめた形で示されているものではありません。そして、会告は会員に対してのみ意味を持つものでありますが、その会員においても違反した行為が行われているということは最近も問題になった状況であります。
 また、会告においては、卵子提供、代理母等が認められておりませんけれども、海外に行ってそのような行為が行われているということも近年明らかになっているところであります。
 このような状況に対しまして、我が国におきましても、法的な対応、何らかの規制が必要であるということで国の検討も行われております。
 御承知のように、まず厚生科学審議会の専門委員会で二〇〇〇年十二月に報告書が出されております。その報告書の基本的考え方は、生まれてくる子の福祉を優先する、人を専ら生殖の手段として扱ってはならない、安全性に十分配慮する、優生思想を排除する、人間の尊厳を守る。この基本原則に従って利用できる生殖補助医療としては、AID、提供精子による体外受精、提供卵子による体外受精、提供胚の移植、代理懐胎は禁止するという考え方、そのような考え方に基づいて、法律を含む規制の体制を三年以内に整備するようにという報告書をまとめましたけれども。
 それに基づきまして厚生労働省の下の生殖補助医療部会におきましては、具体的な手続の検討、検討課題としては、提供精子、卵子、胚による生殖補助医療の実施、提供条件、設備の基準、管理体制等について検討した報告書が二〇〇三年四月に出され、また生まれた子供の親子関係については、法制審議会の親子法部会において検討がなされまして、二〇〇三年七月に、中間試案ではありますけれども、生んだ女性を母とし、生殖補助医療に同意した夫を父とする、精子提供者は父とならないという基本的な考え方に基づく立法の方向というものが示されておりますが、いまだ立法案も国会に上程されていない段階であるということは皆様御承知のとおりであります。そして、このような法案準備が遅れている中で、現実に問題が多数起きているという状況でございます。
 六番の方をごらんいただきたいと思いますけれども、具体的な問題として、訴訟社会でない我が国においても訴訟が起きているということが明らかになりました。
 まず、父はだれかという問題につきましては、一枚目の図の二番目のAID、夫以外の精子を用いた人工授精、これは一九四九年に第一号が生まれて、もう随分前から一万人以上の子供が生まれていると言われているわけですが、もう一万二千にはなっているとかいろいろ言われております。その子供の父がだれかということなのでございますけれども、通常は、戸籍上、生殖補助医療に同意した夫の子となっております。事件は、離婚したときに、その子供の親権をめぐって、どちらが子供を引き取るかということをめぐって争いになりました。
 まず、平成十年九月十六日の東京高裁で判断された事件というのはそのような事件で、母親は、夫は精子が用いられていないので父ではない、自分だけが母親であるという、親として子供を引き取る権利があるという主張をしましたけれども、裁判所は、AIDに夫が同意した場合、夫が父となり、だれもそれを否定することはできないという考え方を示しました。我が国で初めて裁判所が高裁としてAID子の父は人工授精に同意した夫であるという考え方を示しましたけれども、裁判所は親権については母に認めましたので、裁判の意味というものは少し弱いものだと思われます。
 それに対しまして、平成十年十二月十八日、この事件も新聞で大きく報道された事件でありますけれども、これは不妊治療を行っていた夫婦の間に生まれた子供、AIDで生まれたのですけれども、夫は自分の子ではないと主張して裁判で争った。裁判所は、夫はAIDに同意していなかったということを認めて、夫の嫡出否認の訴えを認めました。その結果、子供は法律上、父のいない子になっている。提供者が分からないとその父が分からない、また、分かったとして果たしてその人を父とできるかという問題も残ります。
 さらに、父につきましては、最近大きな問題となりました、夫の死後に夫の精子を用いた生殖補助医療によって生まれた子供の父をどうするかという問題でございます。
 これについては、最高裁で三つの判決が出されております。そこに松山事件、東京事件、大阪事件と、これは私が勝手に名付けたものでありますが、松山事件というものが一番有名でありますけれども、松山事件におきましては、松山地裁は認めませんでした。それに対して高松高裁は、死んだ父を父とするということを認めました。ところが、今年の九月四日、最高裁判決は、死んだ人の精子で生まれた子供についてはその父を定める法律がない、立法によって定められていない現段階においては父とすることは認められないという考え方を示しまして、子供の訴えを認めず、この子供は法律上、父がいないということになりました。その最高裁判決に従って、東京事件、大阪事件においても同様の判断が示されております。
 このような死後生殖につきましては、多くの国は確かに法律によって禁止しております。イギリスは、事件を受けまして、法的な親子としての効果は発生しませんけれども、二〇〇三年の法律で、身分登録、出生証明書に父と記載する、死んだ人を父と登録することを認める法律が成立しております。
 次に、母の方の問題です。
 これが最近大変問題になりましたけれども、代理懐胎の場合には、母は依頼した女性か、産んだ女性か、遺伝的につながった女性かということが問題になりますけれども、我が国におきましては、産んだ女性ではなく依頼した女性、この女性を母とした出生届を役所が受理しなかった、それに対する不服の申立てとして裁判事件は起きております。
 まず、大阪の方の事件で、平成十七年五月二十日に、産んだ人が母であって、産んでいない以上その人を母とする出生届は認められないという判断が示され、これは最高裁でもその判断が維持されております。
 それに対しまして、今年の九月二十九日に、あの向井さんの事件におきまして東京高裁は、ネバダ州の裁判所で向井さんを母とするという判決が出ている、その判決に基づいて向井さんを母とする出生届を受理すべきであるという、そういう考え方を示しました。
 我が国の場合は、依頼した人が母になりたいと言って申し立てている事件でありますけれども、アメリカにおいては子の奪い合いの事件も起きております。有名なベビーM事件、また一九九三年にはジョンソン事件という借り腹の方の事件も起きております。
 奪い合いで両方が求めている事件はまだ子供にとっては救いがあるんですけれども、事件としては、子供が障害を負って生まれた場合に両方ともが引取りを拒否した事件も起きておりますし、養育料の支払を求められた父親がそれを拒否した裁判で、最終的に最高裁ではその父の責任を認められましたが、一審判決においてはだれの子でもないというそういう判決が出て、世界的にも話題になったこともございます。
 代理懐胎をめぐってはいろいろな問題が起きております。そして、これにつきましても諸外国の多くは禁止しておりますし、営利のあっせんを禁止している国も多いところであります。
 アメリカでは行われているという印象で伝えられていますけれども、アメリカでも代理懐胎契約を無効として定めている州は少なくありません。我が国の人が行って行っているネバダとかカリフォルニアでは禁止されていないということであって、アメリカの多数が認めているというわけではありません。
 また、代理懐胎によって生まれた子供については、イギリスでは特別の親決定手続という手続が定められておりまして、養子でもなく実子に近い形ということになると思うんですが、生まれた後で裁判所で依頼者夫婦が自分たちの子として認めてもらう手続によって自分たちが法律上の親になるという手続が定められております。また、アメリカでも、統一親子法においては、事前に裁判所で認めてもらって依頼者夫婦が親になるという手続が定められている州もあります。
 今申しましたのは法律上だれが親になるかということでございますが、法律上親になる人を決めるというのは、だれが養育の責任を負うかということであります。しかし、実際に血縁の父、母がだれかということは別問題であります。生まれた子供が実際の生物学的な親を知りたいと思う、我が国でもAIDで生まれた子供の、人たちの会というものがつくられていると聞いております。その子供が出自を知る権利、アイデンティティーを確立するために、だれが親であるかということを、法的に親としての責任を問うこととは別に、出自を知るための、知りたいという権利を保障するもの、先ほど申しましたように、スウェーデンがいち早く、一九八四年にAIDによって生まれた子供の出自を知る権利を保障し、体外受精についても二〇〇二年法で認めております。スイスも認めております。オーストリア、デンマークも認めております。イギリスは一九九〇年に精子提供、卵子提供等の生殖補助医療を認めましたので、その子が十八歳になるまでにどのような情報を子供に開示するかということを検討してまいりましたが、二〇〇四年に規則が作られまして、その結果、提供者の個人を特定する情報につきましても、二〇〇五年四月一日以降の提供者については開示を認める、それまでの人については提供者が自分の情報が知られるということを分かっていませんでしたので、それを承知した上で提供した人ということで二〇〇五年四月一日以降ということになっているのだと思います。
 このように、我が国でも大きな問題になってきております事例が多数生じております。それに対して何も規制が行われていないというのは問題だと思います。生殖補助医療は子供を持てない夫婦が子供を持つことが可能になった、その点では確かに福音と言えると思います。しかし他方で、その結果、生まれた子供が法的に親を持てない子供、そういう子供をつくり出しているという現実でもあります。
 最初にも申しましたように、この問題を考えるときには子の福祉ということが第一に考えられなくてはならない問題だと思います。私は、早急な立法による生殖補助医療の規制ということをお考えいただきたいと思います。
 以上でございます。
#5
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、河合参考人にお願いいたします。河合参考人、どうぞ。
#6
○参考人(河合蘭君) 河合と申します。出産ジャーナリストと、出産を専門にしているフリーのライターとして二十年くらいやってまいりました。たくさんの女性に産むことについてまた産めないことについて話を伺ってきましたので、もうたくさんの方たちの声をここにお伝えできればと思って今日やってまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の不妊治療との、今日のテーマは不妊治療ということでいただきましたので、かかわりを簡単に御説明させていただきます。(資料映写)
 私は子供が三人おりまして、一人目の出産で実にこの国の出産と育児にたくさんの問題があることを感じたものです。それを出発に、主に出産、産んだ人、産む人、産みたい人のための取材を重ねてまいりました。そして、この国の産科や母親といったテーマにいろいろな問題があることを思ったんですが、しかし、不妊症ということに関しましてはなかなか実は手が出ませんで、と言いますのは、赤ちゃんができない方が私のように次々に産んでしまったような者をどう見るだろうかということが気になっておりました。そして、三十代はそんな気持ちを持っていたんですが、四十代になったころに、そろそろ妊娠しにくくなってくる時期であると、ここら辺でその方たちに話を聞きに行く勇気が出てきまして、そして不妊というテーマに取り組み始めたわけです。
 最初に回しましたものの中で大きかったのが、朝日新聞社の週刊誌アエラで不妊治療のシリーズをやっていたんですけれども、その中で特に全国の不妊治療施設のデータを集めるということをいたしました。二〇〇三年の年末から二〇〇四年にかけてなんですけれども、ちょうど体外受精をする施設が爆発的に増えた年でした。大変な数になりまして、全国二百五十九施設から戻りがありまして、そしてこれが大変なことになりました。
 なぜかといいますと、私が先生方にいただきたかったデータというものが日本のデータの出し方の矛盾とぶつかってしまったんですね。
 国際的には、妊娠率というのは分母を採卵の数と取って分子を元気に赤ちゃんが生まれた数と取るということを知りまして、これでなければ実質的な妊娠率は出ないなと思ったんですね。というのは、妊娠反応が薬で出ただけでは赤ちゃんにならないわけですから、ちゃんと生まれなければならないであろうと。また、採卵をしたけれども受精卵ができなかった、胚ができなかったという場合には、胚移植をできないわけですから、これもやっぱり採卵、そこで数が減ってしまう。その分もかなりあるということを聞きまして、そしてまた、年齢別に妊娠率というのは出されるべきであろうと。
 これ、後でもお話しするんですけれども、非常に大きな差が、二十代、三十代、四十代と劇的に数が変わってまいりますので、そこの施設の妊娠率を知っても余り意味がない、自分の年代においての妊娠率を知らなければ女性の参考にならないと思いまして、そういったデータを求めましたら一斉に全国の先生方からおしかりを受けまして、何でそんなデータを出さなければいけないんだというふうに言われまして、その対応に約一か月間、朝日新聞の社員よろしく朝から夜中まで詰めておりまして電話を受けました。
 しかし、その体験の中で、一人の先生と時には一時間くらい長電話をしましたので、全国の不妊治療をなさっている先生からもうもろもろのいろいろな不妊治療が抱えている問題を聞くことができたんですね。大変な経験を、結局は良い経験をさせていただきました。
 そこから幾つか取材をしまして、今年の四月に「未妊―「産む」と決められない」というNHK出版生活人新書からの本を出しまして、そしてまた一つ不妊治療の予防というものが大事なんではないかということを非常に考えるようになりました。
 また、それから、その前後ですね、女性ファッション誌が非常にたくさん出産関係の記事を最近作っておりまして、その企画段階の相談から執筆からいろいろな仕事をしてまいりました。こんな中からお伝えしていきたいと思っております。
 女性ファッション誌に出産ブームが起きているのではないかとひそかに思っております。例を挙げてみました。
 一番下のイラストは二〇〇四年のもので、私が知る限り最初、これが大分はしりとして最初にあったんではないかなと思います。人気のイラストレーターさんの絵なんですけれども、女性が「ここで妊娠したら走れねー」と言いながらハードルを跳んでおりまして、同期レースというゲートをくぐっていきます。男性が先にひょいひょいとゲートに入っていくところですね。なかなか産めないよねというきつい感じが出ているんですけれども。
 二〇〇五年十一月号の水色のきれいなプールに赤ちゃんがこちらに泳いでくる、クレア、文芸春秋社の唯一の女性ファッション誌としてできたクレアですけれども、この表紙をごらんいただきたいと思います。女性たちの気持ちが非常に変わってきたんではないかと私はこの表紙を見て思いました。「人生を変える巨大プロジェクト 母になる!」というタイトルで、赤ちゃんがこちらに向かって泳いでおります。これ大変反響があったようでして、そしてちょうど一年後の二〇〇六年十一月号、つい先月まで店頭にあった号ですけれども、右上にあります、女の子の赤ちゃんがネックレスをしている表紙がありますが、これが一年後に再び出産特集、同じタイトルです。「母になる!」、サブタイトルは「自分史上最高のミラクル」というふうにありまして、このクレアというのは特集主義でして、本当にこの一冊開きますとほとんど母になる特集でございます。大変なボリュームでやって、そして、クレアも、ラヴィドゥトランタン、これはちょっと休刊中ですけれども、こういった雑誌は大体、出産特集を組む雑誌の特徴としましては、三十代前後の読者、そして働く女性、これが特徴になっております。女性誌は、大体数年刻みで違う媒体を持っているんですけれども、それから、働く女性、働かない女性ということでまた媒体が違うという世界なんですが、その辺りの女性たちに関心が高まっているということです。しかし、しかしですね、さあ産もうという話なのかなと思うと、よく見ると違うんですね。私が編集部から求められたテーマというのはいつも同じなんです、一体何歳まで産めるのと、もう必ずこれが断トツに強い要求としてあります。これが一番三十代前後の女性たちが今知りたいことです。
 卵子のピークというのは、三十五歳から高齢出産ということで三十五という数字が有名なんですけれども、体外受精のデータを見ますと、皆さんも御存じかと思いますけれども、三十三のところにピークがあるかなという感じに見えます。それが大分知れ渡ってきまして、卵子ピーク三十三歳の衝撃と書いてしまいましたけれども、こういうものが各誌どんどんどんどん出てきていまして、しかし、まだその少し手前の女性たちが読者として多いわけで、まだ産みたくないと思っていて、締切りを教えてくださいと言っているわけですね。その締切りぎりぎりまで待つときに、卵子の老化を遅らせる何かないでしょうかと。何かあるはずですというふうに編集部から私は言われるんですね。先生たちに聞いてもないよと言われるんですけれども、でも何かつかんできなさいというふうに要求されてきました。書いてもいいですけれどもまゆつばになりますよという話をいつも繰り返してきたわけです。
 ある人気の女性誌の編集者の方は排卵と書いてあると売れますと、そういうふうなことまで言っていて、非常に卵子に対する関心というのは高いんですけれども、しかし、関心高く、情報を集め、努力をすれば時間を引き延ばせるだろうと。つまり、引き延ばしたい、まだ産みたくない、その段階にあるんだと思います。
 このように、情報をたくさん取りながら妊娠の時期を引き延ばすという期間を私は未妊というふうに名付けたんですけれども、まだ妊娠していない人、産まない人ではなくて、産んだ人ではなくて、まだ産んでいない人、そのうち産もうと思っている、だけどまだ産まない、今産まなくてもいいということはいつでも産まなくてもいいということで時間がたってしまう人たちがたくさんいるという、働く女性の中に特にいるということが見えてまいりました。
 英語にインファーティリティー、スタリリティーという不妊を表す言葉があるんですけれども、サブファーティリティーという言葉もあるということを最近、文春新書の放生勲先生という方の本で知りました。一番軽い不妊という意味だと思いますけれども、妊娠する力が十分あるのに妊娠しない状態。例えば、まだまだ産みたくない、時間を引き延ばしたいとどうしても心が思ってしまう、頭が考えてしまう。幾ら掛かるんだろう、仕事はどうなるんだろう、次々に負の連想が頭の中で一杯になって、頭は物すごく動いているんだけれども、その分生殖の方向にはエネルギーが全然向かわないという方たち、こういう方たちの状態なんだと思います。
 こういう方たちがどういうふうになっていくかというと、まず、前回の調査会でも堀口雅子先生がおっしゃっていたことなんですけれども、セックスレスの問題というのが非常に女性たちの間では、その話になるともうとても盛り上がるほど大変なテーマになっております。欧米のカップルというのは非常に努力して男女であることを維持しようとするんですけれども、日本にはそういうカップル文化がありません。ここが非常に大きな違いでして、私は、ヨーロッパの少子化を挽回した国々と日本の非常に大きな差としてそこが、カップルの在り方というのがあると思います。向こうはカップルを大切にいたしますから、仲が良くても男女でなくなれば離婚、そして再婚いたします。再婚した方たちというのは妊娠しやすいような気がいたします、別にデータはないんですけれども、非常にそういう感じがいたします。
 子供が生まれるまでの時間というのは、時には結婚十年後のベビーということもありますけれども、八割くらいの方は三年以内に生まれておりまして、これを超えて妊娠していくということはいろいろな面で、年齢的な面で、そしてセックスレスの面で大変なことになっていきます。
 未妊になる理由は様々で、一つ私がかかわった女性記事の中で面白いものがあったので御紹介いたします。グラマラスという講談社のファッション誌なんですけれども、いろいろハリウッド女性のおなかの大きい写真が載っていますが。この方たちが、編集者さんたちが未妊になる理由様々ということでこんな分類をいたしました。
 ノンパートナー未妊というのは、今子供が欲しいかどうか、子供のことに夢中になっているかどうかには、結婚しているかどうかはほとんど関係ないと言ってもいいと思います。パートナーがいないけどすごく子供が欲しい、こういう方も非常に増えている。でも、この方たちは産めませんよね。キャリア不全というのは、キャリアをある程度のレベルまで達成したら産もうと思っている、しかしなかなか達成できないということでいつまでも産む時期が来ない。また逆に、とても順調にいっている、どんどんどんどんチャンスが訪れる、それにタックルしていくうちに産めないということで。
 それから、妄想満足未妊というのは、例えば子供の運動会のときにお父さんが走る。これがお父さんの晴れ舞台なわけですけれども、そのときに転びたくないためにジムに通うと、そういうことをやっている夫、それから精子の数と関係があると思って禁煙をする夫、こういう夫ですとか、またそれを頑張りなさいよと励ましながら自分も各種サプリメントですとか、そういうものを摂取しながら、子供の生まれたらこんなおけいこ事をさせよう、こんな学校に入れよう、こんなものを着せようということで想像を膨らます妻、そういうカップルが妄想で充足をしている、そして本当の赤ちゃんは要らないという状態ですね。そういう方も結構いらっしゃるし、そして毎日が楽しければいいということで快楽主義未妊なんというのもあったり、付けられたりしておりまして、また自己過小評価未妊というのは、お母さんになる自信、私なんかはお母さんになるような力はないと決め付けてしまっている、そういう方もたくさんいらっしゃいます。
 しかし、こういういろいろな理由がありましても皆さんに共通しているのは、では今妊娠してしまったらあなたはどうしますかと聞きますと、皆さん何のためらいもなく産みますとおっしゃるんですね。だって、さっき産めない理由をたくさんおっしゃったじゃないですかと思うんですけれども、いや、できたら産むと、何とかなるということは分かっているんだと。この方たちに産んでもらうためにどうしたらいいのかは私はもう本当に分からないというくらい、何が彼女たちにブレーキを掛けているんだか分からないというくらいです。
 最後にまとめとしまして、ちょっと新しいことも入ってくるんですけれども、今日の不妊治療が抱える問題ということで、一、二、三、四とお伝えしたいと思います。
 社会的発症、さっき言ったような、ともかく考え過ぎる女性たち、症候群のようなものが働く女性を覆っておりまして、そういうことをやっているうちに不妊治療が必要な年齢にいってしまうという、その問題をもっと注目したらいいのではないかと思っております。
 先日、化粧品のDHCというところのセミナーをやってきまして、「産む? 産まない? 産むならいつ?」というテーマでやりました。それで、皆さんにポストイットを配りましてグループ分けしました。三人四人のグループで自分がなかなか産むことに踏み切らない理由をすべて書いてくださいと言って、ディスカッションしながら書いていただきまして、百枚くらいポストイットをばあっと壁に張りました。
 それをやった後、皆さんすごいすっきりしたと、自分と同じことを考えている方がたくさんいると。そして、これは高校のときにやるべきではないかというような話が出てきまして、あとはまた社内でやりたいという方もいました。そういうような機会が早い時期にあるというのも一つ良いかと思います。
 また、不妊治療の基礎的な検査、これだけでもしておくべきだというふうに先生たちよくおっしゃるんですけれども、こういうこともとても大事。だけど、なかなかできないので、例えば子宮がん検診のように、不妊検査を希望者には公費で負担してできるというようなことはどうかなとか思ったりもいたしました。精液検査ですとか子宮の造影検査などは痛いですし、非常に敷居の高い検査ではあるんですけれども、その手前の検査をして、気持ちの上で切り替えていただくというようなこともできるのかなと思ったりいたします。そういうふうに、高校の教室であるとか、市役所で広報で伝えられる子宮がん検診のように身近なところに不妊のテーマというのがあるというのが大事ではないかと思っております。
 それから、高齢妊娠の不妊症が増えているということで、今までの教科書どおりにいかない点がいろいろ出てきていると思います。例えば、治療の開始のタイミングのつかみ方ですけれども、二年妊娠しなければ不妊治療ということが公式になっておりますけれども、これだけ晩婚になってきますとそれは通用しないのではないか。また、一つずつタイミング療法から人工授精、体外受精へというステップアップという考え方というのが、その猶予がない方もたくさん増えていて、体外受精に踏み切るタイミングというのもやっぱり教科書どおりにいかないと。この辺りの議論もこれから必要なのではないかと思っております。
 それから、不妊治療不妊のようなものがたくさんあるということも取材をしているととてもよく聞かれます。うつになってしまう方はもうほとんど普通にいらっしゃるというくらいに思っております。セックスレスに治療のためになる方、本末転倒のような話なんですけれども、どうしても日を決められてしまうということで、こういう方がたくさんいる。そして、一周期も無駄にしたくないという焦りに追い詰められている方がたくさんいまして、本当に昨日も二周期無駄にしてしまったということで長いメールを送ってきた過去に取材をした方がいらしたんですけれども、もうそれがあなたくらいの年になったら一年、二年のうちに妊娠すればいいと思ってというふうに返事を書いたんですが、そういう方の苦しみ。不妊治療というのは本当につらいわけですけれども、この辺りの治療の工夫というのが大切だと思っております。
 私の周囲には非常に漢方、ヨガ、食事ですとか鍼灸ですとか、そういうところに移っていって静養、あるいは一時期やめてそちらにお休みしにいくと、そういうことをして妊娠した方が非常にたくさんいらっしゃいます。そういう方たちが言うには、そういうことをやっているとだんだん排卵誘発剤の苦しさなんかも忘れてきまして、元気な本来の自分が戻ってきたという感じがして、そんなときふっと妊娠しましたというふうにおっしゃいます。
 先ほどサブファーティリティーという言葉を出しましたけれども、その本を書かれた放生先生のところなどにも体外受精を何回もトライしたけれども駄目だったという方がぼろぼろになって、放生先生というのは実は内科医でして、この先生のカウンセリングを受ける間にタイミング療法で基礎体温だけで妊娠してしまうと、こういう例がたくさん出ているということも聞いております。
 それから、最後になりますけれども、不妊治療とは何かというときに、不妊治療というのは妊娠して終わりであればよいですけれども、妊娠しないという終わり方もあるわけで、ある方たちには治療イコール子供のいない人生への通過儀礼といいますか、そういうものになるということが決して忘れてはいけないことだと思っております。
 胚を子宮に戻すときに皆さん写真を見せてもらいますけれども、あそこでもう皆さん子供に対面したような気持ちになるんですね、非常にきれいで神秘的で、かわいいという言葉も出てくるくらいです。しかし、それを戻したからといって着床するわけではなく、妊娠反応が出たからといって現実の赤ちゃんになる確率も五分の四くらいしかありません。そういう厳しい現実を受け止める場でも不妊治療というのはあるわけです。
 たくさんの女性が今は不妊治療があるから何とかしてくれると思っています。かなり知的な職業に就いているなと思われる方でも、治療すれば産めるんでしょうというふうに私に取材中に聞いてくる方がたくさんいらっしゃいます。何か知りたいことありますかと私から聞いたときに、五十代の子育てについて、五十代の出産について知りたいというふうに言ってきた方もいらっしゃいます。その方も非常に頭を使う職業の方なんですけれども、五十代でも産めると思い込んでいらっしゃるということがあります。
 そして、私は、不妊治療のサポートを国の方でしていただく場合に、国までそう思ってはいけない、不妊治療すれば産めるとは決して思ってはいけない、ある人は不妊治療によって子供がいない人生の決心をするというところを忘れないでいただきたく、そして不妊治療の費用の補助ですとかいろいろなサポートは少子対策であってはならないと思っております。少子対策でなければ何なんだというかもしれませんですけど、女性支援であっていただきたい、また夫婦支援、家族支援であっていただきたいと思っております。
 長くなりましたが、私の発表を終わります。どうもありがとうございました。
#7
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
#8
○参考人(佐藤孝道君) 皆さん、こんにちは。聖路加病院の佐藤と申します。
 私の所属しているこの女性総合診療部というのは何かというふうに思われる方いらっしゃると思うんですが、まあ平たく言えば産婦人科であります。元々、産婦人科という名称だったんですけれども、女性の一生をずっと先まで見据えて診療をしたい、例えば若い人で卵巣がんに不幸にしてなったという場合にも将来できれば妊娠、出産できるような形で治療をしたいというふうなことで、こういうふうに名称を変えた科であります。
 私は、今日お話をする最初の部分は、不妊治療の実際にどんなふうになっているのかということを解説をしろというふうに言われておりますので、皆さん御存じの方もいらっしゃるかと思うんですけれども、不妊治療というのはこういうふうになっているんだというようなことをまず最初にお話をさせていただきたいと思います。(資料映写)
 これは私のデータではございませんけれども、健康な二百カップルの妊娠率と累積妊娠率というものを出したものです。妊娠率というのは周期当たり例えば百人の人がいるとすると何人ぐらい妊娠するかというようなもので、それから累積妊娠率というのは、例えば一月に一回ずつ基本的には妊娠するチャンスがあるわけですけれども、それが例えば四回、五回となったら何%ぐらいの人が妊娠するかというようなことを示したものになります。それで、このグリーンの方はその妊娠率の方になります。その数値はこちらの方に出てくるんですけれども、最初の、これ健康な二百カップルというのは、きちんとちゃんとタイムリーに性交渉を持っている、頻回に性交渉を持っているという若いカップルであります。
 でも、最初のころで一つ分かるのは、最初の一番非常にいい条件のところでも三〇%ぐらいしか妊娠をいたしません。それで、だんだんだんだん妊娠率というのが下がってきて、例えば十一回目ぐらいまで、十一か月間妊娠しなかった人が十二か月目に妊娠をする可能性というのはもう五%を切るぐらいになります。これが今の、今のというか、昔からの人間の妊娠率とはこんなもんなんだということをまず理解をしていただくことは非常に大事だというふうに思います。
 その結果、これは総数が二百でありますが、そのうちのどのぐらいのカップルが妊娠したかというのはこのブルーの方の棒になりますけれども、一年たったところで百六十人、つまり八〇%ぐらいの人が妊娠をしたというところで、もう一つはごらんになって分かるように、頭打ちになってきているのが分かります。だんだんだんだん増えなくなってくる、数が増えなくなってくるというふうな背景があります。
 多くの人が誤解をされるのは、ちゃんとタイムリーに健康な若いカップルが性交渉を持てば、いわゆるハネムーンベビーでほとんどもう七、八〇%、うまくいけば一〇〇%は妊娠するんじゃないかというふうに思われるかも分かりませんけれども、実際はそんなことなくって、妊娠率というのは元々かなり低いというふうなことが分かります。この考え方をきちんととらえておくことは非常に重要であるというふうに思います。
 その次のところに不妊症について書いてありますけれども、不妊症あるいは不妊というのは、WHOなんかは十二か月、一年間ですね、妊娠しなかった場合に、性交渉がありながら妊娠をしないときに不妊と言っていますし、日本産婦人科学会は二十四か月にしておりますけれども、世の中でも実際には最近は十二か月ぐらいで治療を開始するということはだんだん増えてきております。
 それからもう一つ、不妊について大事なことは、不妊というと何となしに子供ができないというふうにとらえがちですけれども、実際にはそういう意味でいうと、先ほどお話をしたいわゆる妊娠率が低下をした状態というふうにとらえる必要があります。それが非常に大事なことで、そのために、ステライルという言葉とインファータイルという言葉が英語ではあるんですけれども、日本語では不妊と一括してしまっているわけです。ですが、多くの実際に不妊症の患者さんというのは何かのはっきりした原因があるわけではありません。ほとんどが余り原因がはっきりしたものがない、でも何となしに妊娠しないというふうな状態にあります。
 その次のスライドのところに不妊の原因というのが書いてあります。
 これはもう一般的に、不妊の明らかにこれだと皆さん原因になるだろうなと分かるようなものを書いてあります。例えば、うまく排卵をしないとか、それから排卵をした卵がうまく中へ取り込まれてこないとか、あるいは何か子宮に筋腫があってうまく着床ができないとか、それから精子の数が少ないとかというのが書いてあります。でも、このうちで絶対的不妊原因になり得るものと書いてあるのは、要するにこれがあったら絶対まず妊娠しないだろうなと思うようなものを書いてあります。それは、例えば両方の卵管が詰まっている、それから全く排卵しない、それから全くの無精子症であるという患者さんになります。でも、実を言うと、そんな患者さんは非常に少ないです。多くの方は何か、例えば、ほとんど排卵しているんだけれども時々排卵しないとか、少し基礎体温がちょっと何か変だなとかというふうなところにとどまることが実際には多いんです。
 いずれにしても、今のような原因を調べていくために、ここに書いてあるような精液の検査をしたり、超音波の検査をしたり、卵管が通っているかどうかを調べる子宮卵管造影検査をしたりします。
 それで、そういうふうな結果に基づいて、これは私自身のデータなんですが、実際に上の方が原発不妊、上の方の原発不妊というのは、一度も子供さんを妊娠されたことがない方です。下の方は続発不妊、一度は妊娠されたことがあるという方の、そのうちで実際に上の方が八百六十例ですか、下の方が五百四十例ですけれども、この絶対不妊、先ほどお話しした両方の卵管が詰まっている、それから全く排卵しない、それから精子が全くいないという人は両方とも大体一〇%ちょっとぐらいのところですね。ほとんどの人は何か、例えば子宮内膜症というような病気があるんだけれども、卵管もちゃんと通っている、ちゃんと排卵もしている、そんなに大した内膜症でもないとかというふうな人とかですね、というふうなことになります。
 最近この中でやっぱり、ここのところで非常に気になるのは、後でまたお話ししていきますけれども、やっぱり高齢、年齢のファクターって物すごく大きくなってきているんじゃないかというふうに思っております。
 それで、その次に不妊治療の現状についてお話をさせていただきます。
 不妊治療とはどんな種類があるかということをお話をさせていただきますと、大きく分けると、幾つかの分け方があるんですが、一つは一般不妊治療と言われるものがあります。一般不妊治療と呼ばれるものは、どちらかというと、原因を見付けてそれを治療していこうというようなもので、例えば排卵がうまくいってないんだったら排卵誘発をしましょうとか、あるいは例えば精子の数が少ないのであれば何か薬剤療法をしてみましょうと。これは余り実を言うと効くという証拠がないんですけれども、そんなことをやられたりするというような治療法。余り、余りというか、精子とか卵子を直接いじらないで治療をするというのが一般不妊治療と言われるものです。
 それからもう一つは、今の問題になっているというか、非常に広く行われるようになってきた補助生殖医療と言われるものがあります。補助生殖医療というのは、卵子とか精子を直接いじって操作をして、体外で操作をして受精をさせて、それを子宮の中に戻してやる方法であります。
 横文字でたくさん書いてあって非常に分かりにくくて申し訳ないんですが、実を言うと、こういう言葉、ここへ出てくることは結構たくさん一般の患者さんはよく知っておられます。ここでそのまま使わせていただくことをお許しいただくと、まず補助生殖医療というのはアシステッド・リプロダクティブ・テクノロジーということで、よくARTというふうに略されます。掛け言葉ですね、一種の掛け言葉であります。基本的には卵巣から卵子を取り出してきて、その卵子を外で受精をさせます。IVFと言われるイン・ビトロ・ファーティリゼーションですね、それをする。あるいは、若しくは外で精子を卵子の中に直接差し込んでみるという形で顕微授精、ICSIというふうに言われますけれども、そういうふうな形で受精したものを何日間か外で培養して、今は大体外で三日間ぐらい培養して子宮の中に戻してやります。それから、その後もうちょっと培養して、五日間ぐらいというのが胚盤胞移植と言われる方法であります。基本になるのはこの三日間培養するという方法が基本になっています。それ以外に、途中でその卵子とか精子を凍結をするというような方法が取られると。こういうふうな方法全体を指してARTというふうに呼ばれていますし、これがいろんな生殖の可能性をつくり出してきたというふうに言うことができます。
 それで、実際にそういう形で生まれてくる子供達の数が今どのぐらいになっているかというと、これは我が国の産婦人科学会がまとめているデータによるものでありますが、一番新しいのが二〇〇三年であります。二〇〇三年に、これ、それぞれ新鮮胚、それから顕微授精によるものとかって書いてありますが、一番下のところだけ見ていただけると、出生児数というのが書いてあります。どのぐらいの数が生まれているかということで、二〇〇〇年には一万一千九百三十人ですね、約一万二千人であったものが、二〇〇三年には一万七千四百人になっております。その間ずっと見てみますと、もう急速に増加をしていることが分かります。
 これ、二〇〇三年の段階で恐らく生まれてくる子供の一・五%ぐらいはARTによる出産ということになりますし、恐らく今は二%か、二%を超えているんじゃないかというふうに思います。つまり、五十人に一人、もうじき小学校でいうとクラスに一人ずつは体外受精で生まれた子供だというふうな時代になってくるんじゃないかなというふうに思います。非常に大きな不妊治療というのは問題になってきていると思います。
 不妊治療には基本的には大きく分けると二つの流れがございます。先ほどからお話ししていることから御理解いただけるかと思います。一つは、原因に対応して、それに対する治療をする。それからもう一つは、ステップアップ法というふうによく呼ばれる方法で、どんな方法かといいますと、例えばタイミング法という方法をやっていくと、さっきも、普通の自然の妊娠でも、一回目、二回目、三回目と妊娠しなかったら、どんどん妊娠率が下がっていきます。同じように、一つの治療法をやっていくと、だんだんだんだん成績が下がります。下がってくると、実を言うと、例えばタイミング法に比べると、人工授精をすると大体二倍ぐらいの妊娠率になるということが分かっていますので、こうやって妊娠率を上げようとする。で、またやっていくと、だんだんだんだん下がっていく。もう最終的には体外受精をやりましょうというような形で、こういうふうな進め方のものをタイミング法というふうに言いますが、そういうものが行われている。この二つの流れがあるんだというふうに御理解をいただければと思います。
 その上で、実際にその不妊治療の患者さんがどのぐらい最終的に妊娠をしているかというと、これは私の病院のデータでありますが、約五百例ぐらいのデータを基にしたものでありますが、百人の人が初診をして、もう初診のときから脱落をする患者さんが出てまいりますが、途中で脱落をしたとか入れて、最終的に妊娠をされた方というのは、あるいは現在妊娠中の方というのは三十一例でありますが、これは百例に対して三十一例ということでありますから、三一%と。六十九人は妊娠をしていない、あるいはあきらめている、あるいはほかの病院に逃げちゃったというふうに言えることができるかと思います。
 これは私の病院の不妊外来の初診をしたときの年齢分布を示したものであります。ごらんになって分かるように、平均年齢は三十五歳でありますし、もうきれいに三十五歳のところをピークにした山ができております。つまり、不妊で初診をされるときに三十五歳であると、かなりのもう高齢にある意味でいうとなってきているというふうに言うことができます。
 それから、これはアメリカのデータで、体外受精のときの、横の方に年齢が書いてあって、縦が妊娠率だというふうに、この真ん中の太いのが妊娠率だと思っていただければいいんですが。ごらんになって分かるように、先ほどもちょっと話がありましたが、大体三十二歳のところ、ピークにしてというよりは、そこのところが最後、落ち始める最後というか、高いところの最後と言った方がいいですね、高いところの最後です。その後はもう急速に落ちてまいります。もう三十二歳を過ぎればそこはもう最後の段階ということになって、妊娠率が下がっていく。
 私の外来へ来ている不妊症の方の平均年齢は三十五歳で、もう完全落ち始めたところにいると。それから、私の病院の初産婦の出産の平均年齢が今三十三であります。もう非常に高くなってきている。それから、体外受精を受ける患者さんの平均年齢は四十であります。もう非常に成績が悪くなってから不妊治療が始まっている、あるいは行われているというのが現状で。
 それから、これは皆様の方が御専門なので御存じのことだと思いますが、子供の第一子の出産数と母体の年齢の変化を書いているものですが、とにかく高齢になってから第一子を出産する方が増えてきているというような背景がございます。
 是非とも、一つお願いというか、幾つかお願いがあるんですけれども、若い人たちの妊娠、出産の奨励を是非行っていただきたいというふうに思っています。
 確かに不妊治療に対するいろんな公的な補助というのは非常に大事だというふうに考えられますが、やっぱりそこでだけやっていたんじゃもう焼け石に水の状態で、恐らく子供の数はどんどんどんどん減っていくし、不妊の患者さんはどんどんどんどん増えていくというふうな状況になっていくと思います。若い人たちを対象にした出産一時金のこととか休業補償システムだとか、あるいは若い時代に妊娠、出産することの大切さをうたうことも大事だと思いますし、それから保育所なんかの整備をすることも非常に大事だと思います。
 不妊の患者さんもそうでありますし、妊娠をする患者さんというのは子供が生まれた後のビジョンをかなり思い浮かべます。そのときに自分たちがこれで生活をやっていかれるかどうかってやっぱり非常に真剣に考えられると思うので、若い時代に子供が出産できるように是非援助をしていただきたいと思います。
 それから、下に書いてあるのは、不妊にかかわるいろんな要因をできるだけ減らすような広報活動をやっていただきたいということであります。
 それから、不妊の患者さんについてもう少しお話をさせていただくと、これは不妊の患者さんから私自身が直接言われたことをここに書いたものであります。全部読むわけにいかないので少しかいつまんでお話しさせていただくと、何か麻薬中毒になったようだとかベルトコンベヤーに乗っているようだとか、あるいは場合によったら、病院に来ていれば安心だ、あるいは病院、通院はアリバイづくりのためだけだというふうに言っている方もいらっしゃいます。なぜこんなふうに思われるのかということがあります。皆さんこういうふうに言っているわけではないんですけれども、かなり多くの人がこういうような考え方を持っておられます。
 やっぱりそれは、一つは不妊そのものが持つ社会的な問題があると思います。自分たちには必ず親がいますけれども、子供ができるとは限らないという非常に当たり前のことがなかなか受け入れられないことであります。また、周囲から簡単に、あの病院へ行けば子供ができるわよとか、あの病院で体外受精を受ければいいのに、公的補助も出ているんだからというふうなことを言われる。そのことが非常に、によって傷付けられるというふうなことで、自分を大切に思う気持ちの崩壊が一つは起こってまいります。
 それからもう一つは、高度生殖医療そのものが技術が非常に複雑で分かりにくい。それから、何でもできるような印象を与えます。それから、保険が使えない、高額であるというようなこともありますし、プライバシーが、生殖というのはもう完全なプライバシーであると思いますが、それが人の手にゆだねられてしまうというようなことがもう一つ大きな非常に問題だと思います。
 それからもう一つは、医療従事者の姿勢に問題があると思います。これは成績がなかなか公開をされないというようなことももちろんあるかと思いますし、インフォームド・コンセントが不足しているということも現実の問題としてあるというふうに理解をしております。
 これは私の病院で、不妊で来られた患者さんに何について知りたいですかというのを聞いたもののパーセントを書いてあります。年齢別に分けて書いてございます。一番多いのは、やっぱり見通しを知りたい、子供が本当にできるのかどうか見通しを知りたいという意見が非常に強かったですね。それぞれ何かパーセント、余り大したことじゃないんじゃないかと思われるかも分かりませんが、皆さんそれぞれ何かを書いておられるというのが非常に特徴的なことだと思います。医療に対する希望を書いておられるというようなことが言えます。
 そんなことで、私たちは不妊の患者さんが持っているそういう悩みをある程度共感をしながら、かつ正確な情報を提供する必要があるというようなことで、NPO法人でありますけれども、日本不妊カウンセリング学会というものを設立をして、今現在会員数が千二百名おります。そういう人たちがカウンセラーだとかあるいはそういう指導もできる人たちを養成をしてまいりました。その学会の方からも今日ここでどんな意見を述べたらいいかというようなことで意見をいただいてきたことも含めて話をさせていただいております。
 それから、これは同時に、少し違う側面からの話でありますが、先ほどお話ししたように、不妊で子供さんをつくるという方は将来の子供さんのことについても非常に大きな心配を持っておられます。実を言うと、体外受精で生まれてくる子供たちの先天異常が少し高くなるんじゃないかというような報告が外国で最近相次いで出てきております。そのこととか、あるいは顕微授精で染色体異常が増えるというようなことも報告をされております。恐らく間違いない事実であろうというふうに思います。もう一つは多胎の問題がございますね。多胎が増えますと、これは脳性麻痺が確実に増えてまいります。そういうこともございますので、子供の将来のことまで含めた対策を立てる必要がある。
 そういう意味でいうと、今の、正直申し上げて、産科医療がだんだんだんだん荒廃をしてきて産婦人科医がいなくなるんじゃないか、私たちももうそろそろ最後かなというふうに思っているわけでありますが、そんな事態は是非とも避けていただきたいというふうに考えております。恐らく、不妊の患者さんにとっての一つの心配は、将来自分たちが子供ができたときに本当に安心して産めるところがあるのかというのは非常に大きな問題なのであります。
 これは最後のお願いというか、提案ということでありますが、一つは不妊のカップルがカウンセリングが受けられる、カウンセリングってここで言うと、やっぱり一つは正確な情報を提供するということと、もう一つはそういう患者さんの悩みに共感できる人たちがいる、そういうカウンセリングの場をいろんなところにつくっていただきたい。確かに各都道府県に不妊相談センターというのはできているんですが、本当に正常に機能しているかどうかというのは甚だ私の理解している限りでは疑わしいところもございます。それを是非ともお願いをしたい。
 それからもう一つは、できれば国のようなレベルで不妊に関する情報の収集と、それからそれをちゃんと多くの人が見られるような、特に今はインターネットがあるわけですから、そういうところを通して見られるようなシステムを是非ともつくっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、改めて申し上げますと、産科医療の今現在荒廃と言っていいと思います。是非ともそれから脱却できるような方向を何かお示しをいただければというふうに思います。
 どうもありがとうございました。
#9
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどとさせていただきます。
 なお、質疑者及び各参考人にお願いいたします。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願い申し上げます。
 また、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べいただきたいと存じます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。
 中原爽さん。
#10
○中原爽君 自由民主党の中原でございます。
 河合参考人にお尋ねしようと思います。
 今出ておりますスライドの一番下の段、不妊治療費用の補助は少子対策であってはならない、これはもうおっしゃるとおりだというふうに思います。この費用の補助の問題なんですけれども、また別のスライドでは、卵子のピークが三十三歳だということと、それと前にお出しいただきましたレジュメの体外受精による妊娠率がやはり三十三歳から四歳ぐらいから急激に減少すると、妊娠率がですね。これは佐藤先生の資料にも同じようなものはあったと思うんですけれども、現在、不妊治療の人口が四十七万組ということだそうですが、そうしますと、この補助の在り方、費用の補助の在り方について、やはり三十三歳以前と三十三歳以後ということが確実に、例えば妊娠するまでの月数も違いますし、三十三歳以降は非常に月数、妊娠までに至る月数も多いということですし、それから妊娠率も低下いたしますから、それに伴って出生率というか出産率も下がるということになるんですね。
 ただ、やはり少子化対策ということではありませんけれども、この三十三歳というその卵子のピークということを念頭に置いた場合に、その三十三歳以前と三十三歳以後のこの不妊治療費用の補助について、どういうふうに考えたらいいでしょうか。そのところをお尋ねしたいと思います。
#11
○会長(清水嘉与子君) それでは、河合参考人、いかがでしょうか。
#12
○参考人(河合蘭君) それは、具体的には高齢の方の不妊治療については補助の割合を引き下げるとか、そういったようなことをお考えなのでしょうか。
#13
○会長(清水嘉与子君) 中原さん、どうですか。それでよろしいですか。今、向こうからの御質問のようですが。
#14
○参考人(河合蘭君) 逆に質問してしまいまして、済みません。
#15
○中原爽君 ただ、高齢出産という意味では、それはそれで考え方なんですけれども、ただ、この費用の補助ですから、国が補助するということについて、やはり年齢に応じて不妊の治療の回数も増えますしね。そういう意味で、これからこういう年齢についての補助の在り方というのはどういうふうに考えたらいいでしょうかというふうにお尋ねしているんですけれども。
#16
○参考人(河合蘭君) 補助の在り方ということで少し広くとらえて答えさせていただきますと、治療費を補助するというだけが不妊対策ではないと思います。不妊症、不妊の予防のために費用を使うという道もあるのではないでしょうか。その意味では、途中で、さっき早口でしゃべってしまいましたけれども、不妊検査を子供が欲しいなと思ったときに公費で受けることができる制度ですとか、あと、性教育という枠になるのかもしれませんけれども、学生のうちに詳しく妊娠と年齢についての学習ができるようなそういう仕組みをつくるために費用を使うとか、そういったことが私は非常に提案したいことです。
 治療費を患者さんの年齢によって変化させるというのは、今、産む時期は自分で決めるという原則は、女性が自分で決めるというのは原則としてあると私は思っておりますので、それは余り適切ではないのではないかと思っております。
 いろいろな事情の方があって、やはりキャリアの確立を優先させたいと思えば三十五歳を出てしまうというのは当然のことであると思いますので、まあ産むのが先という方も最近いらっしゃるようです、大学生でもう産んでしまって、それから就職活動物すごい頑張ったという方の取材もこの間したんですけれども、まだまだ日本がそこまで来てないと思いますので、キャリアを優先してしまうとどうしても高齢になると思います。そういう方が治療費まで削られるというのは余りよろしくないのではないでしょうか。
 よろしいでしょうか。
#17
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございます。
 じゃ、山本香苗さん。
#18
○山本香苗君 今日は大変貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。大変興味深く聞かせていただきました。
 それで、今お話ありました不妊検査についてもうちょっと、河合参考人と佐藤参考人の方から詳しくお伺いしたいと思っております。
 この検査をすることによって、佐藤先生の方になるかもしれませんが、いわゆる産みたい方がそういうような形で来られたときに、検査をして絶対的に駄目だという、先ほど三色の色で表していただきましたけれども、大体医療の現場では、その検査を受けたときに、もうそのときに、初診で脱落とありましたけど、ああいう形でもう抜けていただいて、あとの方の治療に専念していただく形にきちんとなっているのかどうか。不妊検査の、どこの段階まで判断をしていただいていて、そして、その不妊検査というものをどういう段階で受けていくことが、タイミングで受けていくことが必要なのか、医療の現場からの御意見を賜りたいと思いますし、河合参考人の方から早い段階でという話ありましたけれども、実際、そういった現場でいろんな不妊で悩んでいらっしゃる方の声を聞かれる中で、こういった検査のことに、皆さん方は御存じであったのかどうかということですね。そういったことも含めてお話を伺いたいと思います。
 先ほどの佐藤先生のお話の中に、医療従事者の姿勢の問題というものが一枚中に入っておりましたけれども、実際不妊治療をやられている方いろんな話を聞きますと、お金がある限りとにかくやるんだと、どうしても欲しいんだと、そういう物すごい思いを持っていらっしゃるんですけれども、実際もう駄目だというような状況に、物すごく可能性が低いような状況になって、御本人からやめるというのはなかなか難しいところではあると思うんですけれども、そういう中でも治療を進めているような現状はあるんでしょうか。その辺りのことについてお伺いさせていただきたいと思います。
#19
○会長(清水嘉与子君) それでは、佐藤参考人からよろしいでしょうか。
#20
○参考人(佐藤孝道君) 先ほどの最初の脱落というのは、私の病院自体はセカンドオピニオンのような形で来られる方がたくさんいらっしゃるので、最初にいらっしゃったときに、私たちの基本的な考え方としては、やっぱりその人にどのぐらいの子供さんができる可能性があるのかというのを推定をしてお話をするようにしています。
 例えば、四十歳の人で、今まで五年間ぐらい不妊だとすると、自然の性交渉で妊娠をする可能性というのは多分〇・何%か、人工授精をしても一%以下だと思います。それから、体外受精をして、例えば何回か体外受精をしても、実際に子供さんができる可能性というのはせいぜいいって二〇%だと思います、累積の妊娠率ですね、累積妊娠率。だから、例えば五、六回やろうが十回やろうがそんなところで止まってしまうというところで、八割ぐらいの方は多分できないと思います。
 だから、そんなことを最初にお話をして、その上でどういう治療を選択をされるのか、あるいはそういう人たちの生活設計とどう向き合っていかれるのかというような話をさせていただくんですが、それであれだけのたくさんの人が最初の段階からもう外れてしまうというようなことになるんですね。
 実際には、そういうことが非常に、治療の見通しを知りたいというようなことが希望として多かったということを書いてありますけれども、実際に多くの患者さんがやっぱり知りたいと思っているのは、自分たちが治療を受けて頑張ったときにどのぐらい子供ができる可能性があるのか、それと実際の成績とを兼ね合わせ、ごめんなさい、その掛かる費用とか、それから自分たちの生活に及ぼす影響とかを兼ね合わせていろんなことを考えていきたいというふうなことなんだと思うんですね。
 後の方の御質問の答えという意味でいうと、必ずしもそういうふうな形で診療が行われているとは残念ながら言えない現状だというふうに思います。余り可能性がないのに、例えば四十二、三歳の人でもう五、六回体外受精をやってうまくいってないという人が実際言って子供さんできる可能性はほとんどゼロに近いです。これはもう統計的にゼロに近いんですけれども、でもそういう可能性でずっとやっていく。
 もちろん、中には患者さん希望されたらもうどうしようもないという場合もあるんですね。例えば私の病院でも、今五十、これ個人情報になっちゃうからあれですけれども、非常に高い年齢、五十歳近い年齢の人が、まだ排卵もあるし、是非やってほしい。ある意味でいうと、そういう人たちの中には、これを最後にしてやめたい、ここまでやったらもうおしまいなんだということを自分としての区切りを付けたいというような気持ちでいらっしゃる方もいるので、あながちむげに断るわけにもいかなくてやっている場合もあります。
 だから、そんなことはあるんですけれども、御指摘のように、多分少なくない場合に、本当は不可能に近いのにそのことを余りちゃんと情報提供しないで継続しているという場合があると思います。
#21
○会長(清水嘉与子君) それでは、河合参考人、どうぞ。
#22
○参考人(河合蘭君) そうですね、いつまでも治療してしまうという問題につきましては、私もいろんな先生の話を聞いて、それぞれの先生のお考えがあると思います。どうしても断れない人が何人か抱えていらっしゃる状態では、どの先生もと思います。御主人が、もう君の体が心配だからやめようと、これが殺し文句です。そういうことをいたわっていただけないと、いつまでも思いが満たされず、多分、お金が貯まるとそのお金を引き出してまたかけをしたくなる。ギャンブルでもあると思います。
 それから、検査のことなんですけれども、検査についての知識ってすごく女性、持っていらっしゃらないと思うんですね。一体どんなことをするんですか、さぞ怖いことをするんではないんだろうかということを思っている方が多いんですけれども、血液検査でできることもありますし、基礎体温表を数か月付けていただくことで随分分かることもありまして、さっき早口で言ってしまった二つのちょっと敷居が高い検査というのは、一つは卵管造影検査でよろしいんでしょうかね、正式な名前たしかそうだったと思うんですけれども、卵管が詰まっている方が非常に痛いんですね。それで、詰まってない方は痛くないんですけれども、その話がすごく広がっていて、不妊検査はすごく痛い、死にそうに痛いというふうに女性の間で有名になってしまっている。それから、精液検査は当然男性はとても嫌がりますね。
 それ以外の検査でどこまでのことが言えるかというのは、ちょっと佐藤先生にお聞きしないと分からないんですけれども、基礎体温表だけでもせめてやってみるということは、医学的な完全な結果が出ないとしても、気持ちの上で子供に向かって具体的な一歩を踏み出すということになると思うんですね。今の女性はやっぱり何かやりたいという気持ちが非常に強いんですね。サプリメントを飲みたいということにしても、何かをやりたいわけです。やりながら待ちたい。そこにそういうものが入ってきてもいいのかなというような気がしております。
#23
○会長(清水嘉与子君) 山本さん、よろしいですか。重ねてもしあれば、どうぞ。
#24
○山本香苗君 不妊治療を受けようと思ったときに不妊検査を受けるという方の方が多いということですよね。それまでの間に何かあって必要性感じてやるという方はほとんどいらっしゃらないという状況の中で、不妊の検査というものを先ほど支援の中の一つに位置付けた方がいいんじゃないかというお話がありましたけれども、どうやったらできるのかなとちょっと思いながら質問をさせていただきまして、妙案がもし佐藤先生、河合先生ございましたら。
#25
○会長(清水嘉与子君) それでは、佐藤参考人、どうぞ。
#26
○参考人(佐藤孝道君) 不妊の検査というのは、痛いものもあるし、それからまあ副作用が起こるものもありますので、結婚していないカップルとかこれから結婚しようとするカップルが、私は不妊じゃないかというふうにして受けるものではないと。実際には、何というのかな、自分が大丈夫でも相手はそうじゃないかも分からないし、まあそういうふうな、もし原因があるとしてもですね、そうかも分からないし。両方に原因はないんだけれども、はっきりした原因はないんだけれども妊娠しないことだってあるし。だから、あらかじめ結婚する前とかに、これから不妊かどうかを調べるためにするような検査では元々ないと思います。
 それから、むしろ不妊治療全体が基本的には保険診療の対象になっていないので、その枠をもっと広げていただきたいというのは当然ございます。
#27
○会長(清水嘉与子君) 河合参考人、何かございますか。よろしいでしょうか。
#28
○参考人(河合蘭君) 基礎体温表を見てもらうというのはどの程度の意味があると佐藤先生は思われますか。
#29
○会長(清水嘉与子君) 佐藤参考人、どうぞ。
#30
○参考人(佐藤孝道君) まあお金が掛からないという意味では別に全然構わないと思いますが、非常に有益な情報が得られるかというと、まあ排卵しているかしていないかが分かるぐらいで、不妊には直接は関係しないかなと。それよりも、むしろちゃんと、生理がきちんと毎月来ているということだけ確認していただければ、生理がきちんと毎月来ていれば大体九七、八%の方は排卵をしています。ですから、もう基礎体温を付けなくても、それだけでも十分だということは言えます。
#31
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 ほかにございますか。
 それでは、有村治子さん。
#32
○有村治子君 ありがとうございます。
 非常に、本当に有意義でございました。ありがとうございます。
 特に今日、河合参考人にお伺いしたいんですけれども、私も三十六で、その前後の年齢の方々とよく意見交換をするんですが、もっと早く、女性の春が私たちが思っているほど長くないということを知らしてほしかったと。不妊治療を受ければ何とかなると思っていたのにという御意見がすごく多いんですね。
 ですから、私も実は、自民党の部会などで毎年と言っていいほどここ三年ぐらいは、教科書に、妊娠できる期間というのは物理的にそう長くないということを、政治家が言うと、やれ産めや増やせよだというふうに言われちゃうので、医療関係者やあるいは生物学的に分かっている方々からそういうことをしっかりと、そういう事実として家庭科なりあるいは保健体育なりの教科書に生物としてのバイオリズムということを書くべきじゃないかということを文科省でも言ってきました。
 その中で、書いている教科書は保健体育で一社だけ出てきているんですけれども、そのことについてどう思われるかということと、それからやはり、産む、産まない、子供いつつくるというのを、私もそういう女性雑誌を見たことがあるんですけれども、やはりそういう雑誌にも、思っているほど女性の春というのは男性の春ほど長くないよということを、二十代、三十代を媒体にした雑誌にやっぱり書いていく、告知していくということ、その上でキャリアを取るのか、あるいは両方のバランスを取るのかというのは、もちろん御自身にそれぞれの選択と尊厳を認めていけばいいと思うのですが、少なくともそういう事実を早く知らしてあげるということは共感するんですが、それ以外のそのメッセージの在り方というのは、御提案がありましたら教えていただきたいと思います。
#33
○会長(清水嘉与子君) それでは、河合参考人、いかがでしょうか。
#34
○参考人(河合蘭君) 保健体育の教科書を全社取りそろえてチェックするというのは非常に重要な意味があるのではないかと今思いました。一社だけだということはとても驚きです。是非そういう記事を書いてみたいと思うくらいでございます。
 それで、本当に、まだ産むのは先だと皆さん思っているんでしょうけれども、女性全員、まあ男性も含めてですけれども、もちろん男の子にもですけれども、全員にこのことを、重大な事実ですので。今ともかく人生の時間が非常にずれてしまって、人生五十年といったものが三十年くらいずれてしまったわけですから、私たちの感覚は大分おかしくなっているんですね。また、夜も電気がこうこうとついておりますし、冬は寒くないですし、夏も暑くないわけですね。私たちは、季節が分からなくなったように人生の季節も分からなくなっていて、今自分が何歳でどういう体の状態で何をする時期なのかということが本当に分からなくなってしまったと思います。その中で、女性の卵子だけが五十という年齢を、四十という年齢を突き付けられているということを何とかして知らせていかなければならないと思います。
 私もこんな仕事をしております関係で、四十出てから、そろそろ老後のことを考え始めております。非常に気が早くなるんですけど、これが人生五十年のリズムの関連、分野の仕事をしている人間だと思っております。
 それから、女性誌のことですけれども、非常に女性誌というのは女性が熱心に読みますので、その中に記事が入るというのは良いことではないかと思っております。ただ、不妊治療に関しては、最先端事情ですとか、夢の技術とか、ここまで進んだとか、そういった言葉とともに載っていることが多いと私も思います。
 つまり、これこれの体の卵子の年齢はこんなふうであるが、しかし夢の技術があるよということで不妊の先生が登場されて、こんな培養もできるようになりました、あんなこともできるようになりましたというふうに書かれていて、そして全国の不妊施設一覧が載るというような位置付けになっておりまして、これは編集部にいる女性たち自身がやはりなかなか産めない社会に属しておりまして、三十五くらいから焦り出すという世界にいるわけですね。それを反映していると思います。
 これを是正するために何ができるのかということですけれども、キャンペーンということを考えますと、私、一般人として常々思っておりますことは、外国のキャンペーンは上手だなということをよく思います。皆さんもそう思われることないでしょうか。
 例えば、母乳育児の推進のキャンペーンで、オーストラリアがやったのは、公衆の面前での授乳についての議論が欧米にはあるんですけれども、オーストラリアでは税金でこんなCMを作ったんですね。男性がトイレでお弁当を食べているんです、ランチボックスを開けて。これは何を意味しているかというと、女性が授乳するときにトイレに行かなければ授乳する場所が町の中にないんですね。それがどんなに嫌なことか、男の人もやってみてよという意味なんですね。それはプロの広告会社が作ったもので、ボランティアで作ったんだと言っていましたけれども、制作費だけもらったんでしょうね。
 そういったキャンペーンを海外にどんなものがあるのかを探ってみるというのもいいのではないかなと一つ思いました。とてもユーモアをもって、鮮やかなビジュアルをもって、耳に付く音楽をもってキャンペーンしていただければなと思いました。
#35
○会長(清水嘉与子君) 有村さん、続いて。
#36
○有村治子君 関連です。ありがとうございます。
 本当にセンセーショナルな情報の出し方というんじゃなくて、厳然とした事実として、やっぱり生物学的なリミットというのも伝えていくって、すごく改めて大事だなと思いました。
 もう一点、実は佐藤参考人にもお伺いしたいんですが、これだけ不妊の大変な思いをしていらっしゃる方が五十万組って、大体五十万組ということを私も理解しているんですが、その一方で人工中絶も大体三十四万件で、表に出ているだけでそれだけ、いわゆるしっかりと表に出てこないのはその倍ぐらいあるんじゃないかというふうに毎年言われている中で、十代の人工中絶をして、その後不妊になられる方々、やっと子供が産み育てられるという環境の中で不妊になっていたということが顕在化しているということも聞いたことがあるんですけれども、産みたい人たちがこれだけいるのに、実際にやっと妊娠できたのにその命を自ら絶ってしまうという選択をしてしまう、そのギャップという、ミスマッチというのはどういうところに原因があるんでしょうか。
 また、妊娠したのに育てられない、自らの胎児を絶たなきゃいけないというそのマッチングをうまくするような手だてとかヒントというものはないんでしょうか。
#37
○会長(清水嘉与子君) これは佐藤参考人、いかがでしょう。
#38
○参考人(佐藤孝道君) なかなか難しいあれですね。
 その前にさっきの教科書の問題を一つだけ追加させていただくと、年齢が来たら産めなくなるというふうなことよりも、やっぱり卵というのはつくられない、一度つくられたらもう後はつくられない、だんだんだんだん減っていくという事実をやっぱりきちんと、そういう意味の生物学的な事実をきちんと書いていただくことが非常に大事で、やっぱり、何というのかな、人は子供を産んで初めて一人前だとか、そんな感じに取られるような書き方はしない方がいいのかなというふうに思っています。それが一つのあれと。
 今の中絶の問題というのはなかなか難しいと思うんですが、私自身の、自分の経験からいくと、今の不妊の原因というか、不妊になっている、五十万組いるその不妊の方々の原因の一つの確かに部分には、元々人工妊娠中絶をしたとか、あるいはそれに伴う例えば性行為感染症にかかっていたとかというようなことが確かにあるんだと思いますが、実際にはそんなに大きなウエートは占めていないんじゃないかというふうに思っています。むしろ、もう何遍も言いますけれども、やっぱり高齢ということが非常に、年齢の高齢化というのが非常に多いんじゃないかというふうに思います。
 それから、確かに今三十万組という中絶の件数、もうちょっと今減っているじゃないかというふうに思うんですが、若い人たちのそういう意味でいうと性教育というか、そういうのが結構進んできていて、ちょっと実数として私はお示しはできないんですけれども、かなり減ってきているというふうに思いますし、そのやみに隠れた部分というのがどう推移しているのか分かりませんけれども、それも実感としては減っているんじゃないかなと。表面に出てくる数字も多分減っていると思いますし、それからやみに隠れている部分というのもうんと減ってきていて、一方で不妊が増えているという問題とその人工妊娠中絶の問題というのは余り直接的に関連付けてちょっと考えることは無理なのかなというふうな印象を持っているんですが。
#39
○有村治子君 分かりました。
 ありがとうございました。
#40
○会長(清水嘉与子君) 有村さん、よろしいですか。
 じゃ、足立信也さん、どうぞ。
#41
○足立信也君 民主党の足立信也でございます。本日は、どうもありがとうございます。
 私は、法的な関係で初めに佐藤先生に御質問させていただいて、そのお答えを踏まえて石井先生に御質問したいと、そのように思っております。
 まず、私は、現状はだれがおなかを痛めたか、つまりだれの子宮を使ったかという親子認定の問題と、それから生物学的な、もっと言いますとDNAで親子を決めると、この二つの問題点があると思っていまして、私は個別な判断でその時々によって親子の判定あるいは認定が異なるという事態は望ましくないと思っています。一義的であるべきだと。それが今はそれしかできなくても十年後に変わってもいいと、とにかくその時点では一義的であるべきだと、この大前提で質問させていただきます。
 まず、佐藤先生に、先ほど受精卵、胚の場合は三日ほど培養してというのが一般的だということを御説明がありました。私が見ていて、当然のことながら卵を摘出する場合は一個ではないです、数個取り出しますね。ということは、受精卵がそのとき一つだけできるという可能性よりもむしろ多数できるはずです。それを凍結した場合、あるいは可能性としては二、三人に同時に受精卵を子宮内へ移すことも可能なんです、理論的には。
 また、胚の場合は分割、先ほど三日間とおっしゃったので四分割か八分割かちょっと私も専門じゃないので詳しくは分かりませんが、その時点で遺伝子診断をする、あるいは分割した半分は残すとかいう可能性もあるわけですね。となると、DNAで判定した場合に、世代間を超えて、あるいは同時に多数に同じ子供という可能性もあるんですね。
 この考え方、理論的にはあり得るかどうかというのをまず佐藤先生に御質問したいと思います。
#42
○会長(清水嘉与子君) それでは、佐藤参考人、どうぞ。
#43
○参考人(佐藤孝道君) あり得ると思います。
#44
○足立信也君 はい、ありがとうございます。
 それを踏まえて、先ほど日本ではクローン人間を禁止する法律は存在すると石井先生はおっしゃいました。その中で、私もそこの法律はちょっと詳しくないので、これは受精卵、胚の問題ですね、これはそのままクローンとほぼ同義に近い可能性もあるわけですね。そのクローン人間を禁止する法律案には受精卵の段階、あるいは胚の段階での研究というものはないんでしょうか。
#45
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか、石井参考人。
#46
○参考人(石井美智子君) 済みません、もう一度質問を。
#47
○会長(清水嘉与子君) それでは、足立さん、どうぞ。
#48
○足立信也君 つまり、同じDNAを持った受精卵が複数個存在する可能性は佐藤先生は当然あり得るとおっしゃったわけですね。それは、とりもなおさずクローンと同じ意味なわけです。
 で、クローン人間を禁止する法律が存在すると先ほどおっしゃったので、そこには受精卵に対する規定、つまり皮膚細胞から何かのクローン作成ではなくて、受精卵の段階でということが記述はないんでしょうか。
#49
○会長(清水嘉与子君) それでは、済みません、佐藤参考人、先に。
#50
○参考人(佐藤孝道君) 多分医学的にいろいろなあれになると思うんですが、私多分質問を誤解していたのかも分かりませんが、クローンというのは一人のDNA、要するに、例えば私だったら私のDNAだけから作られているものがクローンになるんですね。多分、今の、先ほどの話になると、例えば、八分割の細胞を二つに割れば確かに同じDNAもできるんですが、それは二人の人間ということになりますので、ちょっと意味が擦れ違っていると思うんですが。
#51
○足立信也君 そこで、石井先生の資料の中に、クローンのことが書かれていますよね。そのクローンの中に受精卵の分割が入ってきているんですね。ここのところをお聞きしたい。
#52
○参考人(石井美智子君) 今、正確にはあれですが、受精卵分割によって子供をつくるということはクローン法では禁止されていないと思います。今は指針でできないことになっていると思います。いますけれども、法律で、いわゆる体細胞クローンのクローン人間は法律によって罰則をもって禁止されていますけれども、その禁止の対象に受精卵分割は入っていないと思います。
#53
○足立信也君 ありがとうございます。
 私もそこが問題だと思っています。
#54
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 ほかに。
 川口順子さん、どうぞ。
#55
○川口順子君 まず、質問ではありませんが、河合参考人の「未妊」という本を読ませていただいて、大変に興味深く読ませていただきましたということをまず申し上げて、質問二つありまして、一つはちょっと技術的な話なんですが、佐藤先生に、不妊治療とこの補助生殖医療、この関係が実はちょっとあんまり明快でなくて、先生の七ページのその資料を読ませていただきますと、黄色く塗ってあるところ、これはいわゆる一般不妊治療で、一般不妊治療と補助生殖医療と合わせて不妊治療と言うという意味に取れるんですが。
#56
○参考人(佐藤孝道君) そのとおりです。
#57
○川口順子君 その場合に、AID、AIHというのはどう位置付けるのか。あるいは、余りそういうことを議論するのは無意味なのかというのが一点です。──じゃ、それを先に。
#58
○参考人(佐藤孝道君) AID、AIHというのは一般的に言うと一般不妊治療の方に分類をされています。
#59
○川口順子君 分かりました。ありがとうございました。
 それで、もう一つの質問は、石井参考人になるんですけれども、これを法律でどこまでここにお書きの多様な生殖の形態が許容されるのかということをきちんと整備すべきだというのは、正に不幸な子供を、おっしゃったように、つくらないために重要だと私も思います。
 そのときのその考え方なんですけれども、死後とか離婚後というのはちょっと違うディメンションですのでおいておきまして、父親の精子が、本来の夫婦の父親の精子が他人の男性の精子であるか、あるいは女性の卵子が他人のものであるかという基本的に二つ違いがあると。それが一番基本的な違いだろうと思うんですね。
 その場合に、女性の場合はたまたま他人のおなかであるかもしれないということがあるというのが一つ違うディメンションとして加わってくるのかなというのが私の整理なんですけれども、一つの考え方というのは、男性の精子が他人のものであれ、女性の卵子が他人のものであれ、基本的に同じことですから、要するに、意思があってその人のおなかを借りる、あるいは人の精子をもらうということで妊娠をすると考えれば、両方同じに扱われるべきである。要するに、意図を持って人のものを借りるとした夫婦が父親であり母親であるという考え方ができるんだろうと思うんですね。
 そういう、多分考えるとそれが一番自然であるかなという気がいたしておりまして、たまたま男性が自分のおなかで産むということがないから、男性の精子が他人の精子であるということは認められ、女性の卵子が他人の卵子、他人のおなかであるから認めないという考え方は多分不自然、おかしいんだろうというふうに私思うんですけれども、そういう、その今の考え方について問題が何かあるでしょうかということが一つです。
 それから、今のところに関係することとして、裁判が起こるということが、これは親権をめぐって、どっちか法律的に決めてあれば起こらないということもありますし、それから、普通の夫婦から生まれた子供の親権をめぐってたくさん裁判があるわけですから、別に裁判がどっちが多いかということは余り判断の基準にはならないだろうという気がしております。
 それからもう一つ、これだけグローバルな社会になっていまして、海外でそういった医療を受けられるわけですから、日本国で少し厳しめの判断に基づいて法律を作ったとしても、外で多分子供を欲しい人はそういう行動を取るだろうと思うんですね。ですから、余り国際スタンダードとずれたことを日本だけで決めても恐らく意味がないということなんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、国際的な一番の最大公約数的なところで何か言えるかどうかということをお伺いをしたいと思います。
#60
○会長(清水嘉与子君) それでは、石井参考人、どうぞ。
#61
○参考人(石井美智子君) 男女平等論で、AID、精子の提供が認められているのだから、卵子の提供も同じように認めるべきである、だから代理母までという論は余り少ないとは思うんですが、同じ領域で考えられないか、そういう側面から考えることもできると思いますが、基本的な違いは大きいと思います。
 まず、夫以外の精子で子供が生まれるということは、自然界でも別に医療技術を用いなくても起こる事柄でありますということが第一点あります。法律も、妻が夫以外の男性の子供を産むということはあり得るということを考えて作ってはいるわけです。
 そういう点で、自然界でも起こることと起こらないことという基本的な違いが大きい点があると思いますし、精子の提供というものが医学的に高度な技術を要しない、簡単にできることに対して、卵子の提供というのは、そのために、今は痛みは少なくなっていると言われていますけれども、排卵誘発剤を使ったり、いろいろ不自然な、本来その人にとって必要のない医療行為をした結果として採取されるという侵襲を伴う行為であるという点も、卵子提供と精子提供とは基本的に違うということがあると思いますし、代理懐胎になりますともっと、代理母は、自分の子のためではなく人の子となる子供を十か月近く懐胎し続けなくてはいけなくて、二十四時間、精神的にも身体的にもそのためにいろいろな拘束を受けるということになりますので、単なる精子提供と同じに考えることはできないんではないかと思います、というところです。同じ観点から考えることもできますが、基本的に違うということがあると思います、ということが一点でございます。
 二点目は、裁判は、確かに自分たちの精子、卵子で普通に自然生殖で生まれた子供の間でも親権をめぐって争い、今深刻な問題に、離婚の増加とともに起こっている問題ではございますけれども、自分たちが欲して、医療技術を用いて第三者も巻き込んで行った結果ようやくできた子供をめぐって、その子の福祉に反するような争いが起こる。最終的に裁判で決まったとしても、争いに巻き込まれること自体が子の福祉に反すると私は考えております。子の奪い合いであっても押し付け合いでなかったとしても、子供が、その範疇でこの事件に、表面化した事件、まだ子供は物心が付かない、あるいは物心が付いてもまだ十分には理解できない年かもしれませんが、いきなり自分の生物学的父は違うんだというようなことを知らされて争いに巻き込まれていくというようなことになってしまうこと自体が問題なのではないかと思っております、というのが二点目です。
 三点目は、海外の問題、これは大変難しい問題だと思います。どんなに日本国内の法律で禁止したとしても、海外に行くこと自体は禁止できないということがあると思います。今でも日本国内で会告によってできない、行っている医師は少数ながらあるとしても難しいということで、海外に出掛けている人が多数に上っていることも事実です。
 一つの規制の仕方としては、営利でそのようなあっせん行為を行うことを国内で事業として行うことは制限する、医師がそのような行為に関与することを制限するという形で一定の制約はできるだろうと思いますけれども、インターネットの時代に、本人たちが自主的に出掛けていってということまでは防げないと思いますし、脳死移植で子供のために募金を募って出掛けているという実態がありますから、それを防ぎようがないことは確かです。
 また、国際スタンダードはどこにあるか、これは難しいです。先ほど、一覧というほどのものではございませんが、いろいろな国を挙げましたけれども、ヨーロッパの、ある意味でキリスト教を基礎にする、倫理観を共通にすると思われる国々でもその規制の仕方がまちまちであるという現実は、これについて国際スタンダードを作るということが大変難しいということを表しているんだと思います。
 しかし、今やグローバル化の時代ですから、簡単に外国に行ってできてしまうので、生命倫理にかかわる問題について世界的にどうしたらいいかということを考えていく場というのは必要なんだと思いますが、クローン規制ですら条約を作るということが難しい状況ですので、なかなか難しいのではないかと思います。
#62
○会長(清水嘉与子君) 川口さん、どうぞ。
#63
○川口順子君 ありがとうございました。
 いろいろ考え方があって、私も本当にどう整理するのかなと思っているんですが、今おっしゃったことについて、医療技術的なところ、例えば卵子を採取するのに侵襲があるとか、そういうことを一つの根拠にしていらっしゃるようにお見受けしましたけれども、今、例えば移植、臓器の移植ですとかいろんなことをやっているわけですね。医療が進歩をしてきたときに、そういう部分ではそれが許されて、子供を産むということだけ自然の摂理にできるだけ近いところでなければならないという考え方というのは、必ずしも今その考え方の一つとして成立しないんじゃないだろうかと、それだけの医療技術があるわけですから。もちろん、商業的でないとかいろんな条件は付けなきゃいけないと思いますけれども、それが条件になり得るんでしょうか。
#64
○会長(清水嘉与子君) これは石井参考人ですか。
#65
○川口順子君 そうです。
#66
○会長(清水嘉与子君) 石井参考人、重ねてどうぞ。
#67
○参考人(石井美智子君) 医療技術、可能なものをどこまで利用することを認めるかということは、やはり社会で考えて決めなくてはいけない事柄だろうと思います。自然に反するからといってそれを認めないということにはならないだろうと思います。医療というものは自然に逆らって命を延ばす、不可能なことを可能にするために発展してきたのだと思いますので、それが許される行為かどうかということ自体は、その社会が持っている基本的な価値観に照らして決める事柄だろうと思います。
 その価値観の一つとしては、一番最初に挙げました人間の尊厳という観点からそれが許されるか、人を道具として使うことは許されるかというような観点でありますし、生まれてくる子供の福祉が害されないかということの観点からまた規制するということ、また家族というものをどう考えるのか、夫婦を超えて第三者を生殖に巻き込んだ形で行う、そういうことを我が国は家族というものを考える上で許容するのか。極端な言い方をすると、昔は妻に子供ができないときに外に女性を持って子供を産むということが許されていた社会、そういう社会では我が国はないわけですから、そういうものとは違うんだということをきちんと位置付けていく必要があるだろうと思います。
#68
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 それでは、小林美恵子さん、先に。
#69
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
 私はまず石井先生にお聞きしたいんですけれども、先生のお話の途中で来まして申し訳ございません。
 先ほども、グローバルスタンダードといいますか、その話が出ましたけれども、先生のそのいただいたペーパーを見ますと、幾つかの国でやっぱりこの生殖補助医療に関して様々な法規制をやられていると思うんですね。その辺につきましては、改めて人間の尊厳とか、それを軸にして一定の共通した基調というのはここにはあるのかないのか、その点を一つ教えてほしいんです。
 あと、三人の先生にお聞きしたいんですけれども、私自身は、妊娠、出産を望んでいる方が、残念ながら身体上の問題といいますか、そのことでできないということにつきましては、医療面であったり、それにかかわる高負担の軽減というのは今後検討は当然していかなくちゃならないと思うんですけど、やっぱりしかし、そのことが、例えばこういう生殖補助医療等が国の少子化対策に位置付けられるということはあってはならないと、これは思うんですけれども、先ほど河合先生もその趣旨をおっしゃっていたと思うんですけれども、それを改めて三人の先生にお伺いをして、河合先生、それはあってはならないとおっしゃっておられましたので、その理由は何かということをお聞きしたいと思います。
#70
○会長(清水嘉与子君) それでは、石井参考人にはグローバルスタンダードの問題と、それから、今お三人の先生にということで共通の問題がございましたので、最初に石井参考人からどうぞ。
#71
○参考人(石井美智子君) まず一点目は、先ほども申しましたように、グローバルスタンダードというのは大変難しい問題だと思いますが、人間の尊厳というもの、子の福祉という言葉を使うと、それは皆さん、承認はされる。しかし、その中身は何かということについては必ずしも共通の理解が得られない部分があるので、同じ言葉を使いながら認める認めないという意見ができてしまうところに難しさがあるんだと思います。
 しかし、先ほど出ました体細胞によるクローン人間の出産、これは認められないというのはグローバルスタンダードではあろうと思います。何らかの宗教で認める宗教があるようですけれども、それはごく例外だろうと思いますし、グローバルスタンダードまでは行きませんが、先ほど挙げましたように、代理懐胎は禁止している国の方が多いだろうと思います。正面から認めている国というのは例外なのではないかと思いますし、死後生殖についてもやはり認めないという方が多いのではないかと思います。
 その結果生まれてしまった子供をどうするかということと、これから行うことを認めるか認めないかという話とは分けて考えなくてはいけないことだと思いますけれども、規制する段階においては何が多数かというのもなかなか難しいですけれども、そのようなことは言えるのではないかということでございます。一点目、不十分でしたですが。
 二点目については、産めよ増やせよの時代はやはりあってはならないと思います。子供が欲しいと思っている人が持てる条件をつくる、これが社会、国家のすべき事柄であって、そのために、産まないと一人前ではないような、保険も適用されるのに何であなたは不妊治療を受けないんですか、そういう社会的圧力がなるようなことは許されないと思います。
#72
○会長(清水嘉与子君) それでは、河合参考人、どうぞ。
#73
○参考人(河合蘭君) 子供が欲しい人が子供を持てるということにつきまして、これは幻想であるというふうに申し上げたいと思います。子供は授かり物ですので、二十代でも不妊症の深刻なことを抱えている方は子供が持てません。これは、子供は持たないということは確実に選択できるわけですけれども、持つということは生き物は選択できないことだと思っております。
 ですから、国が不可能なことをまず期待してはいけない、産めない方にこのお金を使って産みなさいということを言ってはいけないと思います。生き物のうち子孫が残せるものは全員ではないということが生き物の原則といいますか、そういったところに立ってそう思っております。
 また、社会も、公費でできるとなりましたら周りも期待しますし、どうして今無料でできるのに治療しないんだと言ってみたり、先ほども佐藤先生からお話が出たと思いますけれども、御本人たちも不妊治療のお金出るようになったからもう少し先に延ばそうというような考えも出てくるのではないかと思います。
 不妊治療は過信してはならないものだと思います。ほんの少しお手伝いしてくれる、後押ししてくれるものだという認識の下で補助が、限界を知った上での補助であってほしいと思っております。
#74
○会長(清水嘉与子君) それでは、佐藤参考人、どうぞ。
#75
○参考人(佐藤孝道君) そうですね、子供をつくるとかつくらないとかというのは極めて個人的なことで、カップルの問題で国が立ち入る問題ではないというのが私の基本的な考え方で、したがって少子化対策と不妊の問題というのは、基本的にはそういう意味では関係ないというようなことになるんだと思います。
 ただ、今の不妊の問題というのは、どちらかというと少子高齢化というのに伴って不妊のカップルが増えてきている、そのことによってまた高齢化した人たちというのは不妊の問題について非常に、何というか、追い詰められていく傾向がありますし、それが社会的な問題になっているわけで、それに対する対策を立てるのはやっぱり国の問題だというふうに思います。
 だから、そういう意味で、不妊の患者さんを減らす、あるいは先ほど予防という話が出ましたけれども、そういうふうな方向を目指すということは非常に大事だと思いますし、それからその結果として取りあえずその不妊の患者さんたちを援助をするということももちろん必要だと思いますし、それは国の問題であるというふうに思います。
#76
○会長(清水嘉与子君) 小林さん、よろしいですか。
 それでは、島田智哉子さん、どうぞ。
#77
○島田智哉子君 民主党の島田智哉子でございます。本日は御説明ありがとうございます。
 佐藤先生にお聞きいたしたいと思います。
 私は、委員会の方は厚生労働委員会に所属いたしておりまして、現在取り組んでおりますテーマの一つに、NICUに長期入院を余儀なくされている子供たちについて、その後方施設の在り方の問題がございますけれども、先日の奈良での、多くの病院で搬送を断られて、結果としてそのお母さんはお亡くなりになったという悲しい出来事があったんですけれども、その後の報道によりますと、その断った理由にNICUが満床だったためとする病院が多くあったとのことでございました。
 それで、NICUが絶えず満床ぎみになる背景の一つに、不妊治療によって多胎妊娠が増えて、体重が少なく生まれてくるようなハイリスクの赤ちゃんが増えているということもお聞きいたしまして、先生の御説明でも、二十三ページに予後の比較でございましたけれども、先日の報道によりますと、日本生殖医学会では、体外受精で子宮への移植をする受精卵を患者の年齢によって個数の制限をする方針という記事がございました。
 この不妊治療と多胎妊娠の関係、そしてハイリスク妊娠を防ぐことについて、是非お聞かせいただきたいと思います。
#78
○会長(清水嘉与子君) それでは、佐藤参考人、どうぞ。
#79
○参考人(佐藤孝道君) 一つは、NICUの問題、未熟児なんかの集中治療室ですね、その問題が、確かに不足をしているという問題と、その背景に体外受精によって多胎の問題があるというのは確かな問題だと思います。
 ただ、これはどちらかというと、臨床の現場から言わせていただけると、やっぱりNICUの施設を充実させるというふうな方向で解決をしていただきたいというふうに思います。もちろん、現場としては多胎の子供を減らすという努力をすることは非常に大事だというふうに思っていますし、そうだと思うんですが、取りあえずの対策としては、現状では、例えば関東だと、神奈川で生まれた子供は東京でも引取り手がなくて実際には千葉に行くとか、そんなことが行われているわけですね。
 それから、例えば双子の赤ちゃんがそれぞれ違う、お母さんとまた別のところへそれぞれ分かれて収容されるなんてことも頻繁に起こっていますし、そういう意味でいうと、やっぱりそういう施設の充実を取りあえずは図っていただきたいということがあります。
 先ほどお示ししたように、不妊治療というか、ARTですね、補助生殖医療で生まれてくる子供の数というのは今だんだんだんだん増えてきています。そんな中で、実は多胎の割合は減ってきているんですね。割合としては減ってきていますけれども、全体としての、この私の示した数値からも多分分かると思うんですけれども、多胎の割合は減ってきているんです。ですが、実際の実数としては増加をしてきているというような状態があるので、多分、割合としてはどんどん減らしていくことはできると思うんですけれども、実数はやっぱり増え続ける可能性が、これからも増え続ける可能性はあると思いますから、やっぱりNICUの対策の方を十分に考えていただきたいというのが一つですね。
 それからもう一つは、お母さんの年齢とか、例えば卵の見た目の質の良さとか、そういうのによって戻す卵の数を制限をするという考え方はございます。ございますというか、今、欧米、特にヨーロッパで基本的にやられているのは、今まで例えば体外受精の成績というと、ただ単に妊娠率でやっていたんですけれども、今は単胎の、一人の子供ですね、一人の子供をちゃんと妊娠できて、それが妊娠が継続しているというのでその例えば施設の良しあしを測るとか、成績の良しあしを測るんだというふうな考え方というのがだんだん広がってきています。日本ではまだそこまで行っていないんですけれども、多分、近くだんだんそういうふうな方向になっていくと思いますし、それから、戻す卵の数の制限ももっともっと進んでいくと思います。進んでいかせないといけないんだというふうに思っていますけれども。
 それはそれとして、ちょっと戻りますけれども、取りあえずNICUに関しては是非とも充実をさせていただきたいと思います。
#80
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 ほかに。
 鰐淵洋子さん、どうぞ。
#81
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子と申します。
 参考人の皆様、今日はお忙しい中、大変にありがとうございました。
 河合参考人の方にお伺いしたいと思いますが、今日、参考人のお話を伺いながら、また事前にいただいておりました新聞記事も読ませていただきまして、不妊治療以前の問題というか、取組といたしまして、未妊の女性の支援ということで、私も改めて重要であると思いました。
 やはり子供を欲しいと思いつつ踏み切れない女性がやはり今、社会のいろんな変化の中で増えてきていると思います。理由も様々かと思いますが、その新聞の記事の中でも参考人が指摘されているんですけれども、今の日本には不妊症の相談窓口はあっても、産もうかどうしようか相談できる場所がない、こういった指摘もございまして、やはり少しでも未妊の時間を短縮して、女性が産みたいと思う人が本当に産んでいけるような社会づくり、これも重要になってくるかと思いますけれども、具体的にこういった未妊女性の相談体制もそうですし、支援、何か具体的に河合参考人の方でお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
#82
○会長(清水嘉与子君) それでは、河合参考人、どうぞ。
#83
○参考人(河合蘭君) 一つには、未妊の本の取材中に飯田橋の男女雇用機会均等室でしょうか、私ちょっと正式名称が言えているかどうかあれなんですけれども、雇用機会均等法に違反した会社について相談できる窓口がございますよね。そこの方に取材しましたところ、不当な扱いを受けた後の方の相談ばかりで、受けそうな方の相談は全くないというふうに聞きまして、それは大変もったいないことだと思いました。
 私の取材では、かなり脅しのような文句を上司から言われた方がおりました。このポストを君にあげるけれども、その代わり子供は産まない、あきらめてくれと言われてそのポストに就いた方ですとか、また似たような発言が本当に次々にありましたので、そういう方もこの窓口が利用できますよというようなふうに雇用機会均等室の業務を広げていただくというのも一つあるかと思います。
 現在でも、相談してはいけないということはないらしいんですけれども、女性にそれが全く伝わっていない。私も質問して初めて均等室の方が、そういえばそういうことも私たちはできますねという感じでおっしゃっていました。
 それからもう一つ、今頭に浮かんだのが、職場でのあるいは複数の職場がつながってもいいんですけれども、女性同士のやっぱり助け合い、アドバイスをし合う場というのが非常に重要ではないかと思っております。
 私の出産の分野でのことを考えましても、小さなミーティングのようなものを繰り返していきながら、その地域で出産について女性たちが知りたいことが分かっていくというようなことがとても効果的だということを見ておりまして、例えば、最近大きな企業で、うちはミニ出産ブームよというような話をよく聞いております。皆様の御尽力で少し女性たち産み出したなという実感が私すごくあるんですけれども、そういうところでお母さん社員が増えていきますと、サークルではないんですけれども、定期的に集まって保育園のこと、ベビーシッターさんのことなどを情報交換しているらしいんですね。そこに未妊の方が入るというのはとてもいいんではないかと思います。そこで勇気を得ていくということはいかがでしょうか。そのようなことを二点、今思い付きました。
#84
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか、鰐淵さん。
 ほかにございますか。
 それでは、有村治子さん、どうぞ。
#85
○有村治子君 質問ではなく提案なんですけれども、今日の三参考人のお話を伺って、やっぱり教育的に国民の皆さんが学ばれるときにその事実を啓発するということを改めて重要だなと思ったんですが、清水嘉与子先生もキャリアの中でこちらが御専門でもありますし、ぜひ調査会としてやはり教育的、例えば教科書とか国民世論の啓発ということを教育の段階で積極的に取り上げるということを御助言をしっかりと明文化していただけたら有り難いなというふうに思います。
 それから、やっぱり加齢だということが私たちが思っている以上に重要なインパクトを与えるということも知るのが遅過ぎたということがない状況の中でアドバイスをしていただきたいなというふうに思いました。以上です。
#86
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございます。
 今の有村委員の御指摘につきましても、また調査会のまとめ等につきましては大変参考にさせていただきたいと存じます。
 山崎力さん。
#87
○山崎力君 先ほど来の参考人の方々の話の中で、ちょっと逆に逆手を取ってという言い方で非常に言いにくい言い方なんですが、産めよ増やせよの時代はというような人間に対する尊厳ということに対しての問題があるとか、産む産まないはやはり女性の主体的な判断によるべきものであるというふうな話があったんですが、一言で言えば、そういう今、日本民族というか日本国家という流れを見たときに、そう言っていられる余裕のある、まだそう言っていられる余裕のある状況だろうかという観点から見て、要するに、今の状況からいけば、もう明らかにあと五十年、百年のところで大きく日本の社会形成、人口形成が変わってくる状況にあるわけなんです。
 そういった中で、それでいわゆる何らかの対策をすれば、二・幾つ、生涯出生率のところまでやって、日本という国家があと百年、二百年後も存在するんだろうかと。女性を犠牲にしないで、日本の国家というか民族が滅亡するというかほぼゼロに近くなるというところまでなんだろうかという、その辺の感覚を教えていただければと思うんですが。
#88
○会長(清水嘉与子君) それでは、今の御質問、御意見でございますけれども、石井参考人からでよろしいですか。どうぞ。
#89
○参考人(石井美智子君) 私は、子供を持ちたいというものは生物学的本能として人間みんな持っているもの、多くあるのではないか、本能としてはですね。それができない事情が余りに多過ぎるんではないかということを考えますと、そういうものを妨げているものを除くこと、こういう形での不妊対策じゃなくて、子供を持てる社会をつくること、それが求められているのであって、女性を犠牲にするなどということはとても認められることではないと考えます。
#90
○参考人(河合蘭君) 女性の目に少子化対策というものがどのように映っているかということをちょっとお話ししてみたいんですけれども、国のために産みたいという方はどこを探しても多分いらっしゃらないというのがまず現実ですね。国のためには産みたくないというのがほとんどの女性の気持ちですね。しかし、政府から出てくる少子化対策というものを見ると、年金のために産んでほしいという姿勢が非常に感じられてしまうわけです。もちろん、日本人の一員として日本のことを皆さん考えてはいるんでしょうけれども、どこのだれか分からない、一般的な年金をもらっている人々のために私がキャリアをなぜ犠牲にしなければならないのかと。人間というのは、皆さんと言うとだれも自分のことだと思わないらしいですけれども。
 そういったところで、女性たちの心が、今の少子化対策の表現の仕方、出し方で心が動かないんですね。そして、非常に逆に引いていく、非常に冷ややかな冷たい目で女性たちが見ている。自分たちの出来事としてどうして、自分たちの産めない問題なのにどうしてこんなにみんな冷たいまなざしを向けるんだろうというところを一度考えていただいて、やっぱり心と心のつながりで政策が女性の心に届くんだと思いますので、女性のためにやっているのか、それとも老人のために、年金のためにやっているのかというところを一度考えていただきたいなと思っております。具体性に欠ける話で申し訳ありませんが。
#91
○参考人(佐藤孝道君) 感覚的に今の少子化というのは厳しいなというのは実感として持っております。多分、国というレベルから考えると、多分大きな、非常に大きな問題だというふうに思うんですが、ただ、私、たくさん妊婦さんを見てきていて、さっきも出ていましたように、だれかのために産むなんということは到底あり得ないことなので、確かに、政治に関係しておられると非常にそこら辺のことで焦られるというのは分かるんだけれども、ストレートに例えば産んでくれと言って産んでくれる人なんて多分どこにもいないわけであります。だから、当然大事なことは、なぜ産まなくなっているのか、なぜあるいは場合によっては産めなくなっているのかというのを考えていただく必要があるのかなというふうに思います。
 そういう意味でいうと、やっぱり、さっきからずっとキャリアか子供かというような話が出てきていますけれども、若い人たちに今そういう選択を迫るような現実があるんだと思うんですね。若い人たちは、どちらかというと両方取りたいんだと思います。もちろんそういう、今まではずっと多分そこそこに取れるような現実があったんじゃないかというふうな気もするんですけど、それも非常に取りづらくなってきた。
 というふうなことを考えると、子供をつくっても女性のキャリアがやっぱりちゃんと保たれていくというふうなことを当座はやっぱり考えていただきたいなというのが私の要望でありまして、ちょっと遠回りかも分かりませんけれども、現実的にはそれがやっぱり一番近道なのかなというふうに思っております。
#92
○会長(清水嘉与子君) 山崎さん、よろしいですか。どうぞ。
#93
○山崎力君 先生方がおっしゃるような形で出生率が上がっていれば、これは何も我々頭をひねる、ない知恵を絞る必要ないし、放置しておけば自然に子供が生まれるもんだということであれば、ある意味でいえばこんなに出生率が下がるはずもないわけでございまして、それが先ほど来の話であれば、西欧において、西ヨーロッパにおいて、いったん大幅に下がったのを一生懸命いろんなことをやって上がってきつつあると。そこのところの政策がどれが有効か、あるいはそうでないのか、国によっても、あるいはその国民性によっても違う。こういうふうなことで、今いろいろ模索している段階なわけです。
 そこのところで、そういう政策があれば自然に増えますよというのは非常にこれ、我々からすると逆転、逆の現象でございまして、本当にこういう政策が国民サイドから出てくるんであれば、これは与野党問わずもう一に、役所だってばかばかりじゃないわけで、採用してやっているわけですよ。ところがそれがなかなかできない。
 それで、今のままの年金のためというお話があると、それでは将来どういうことになるかというと、子供を育てたことのない人の年金はこれは下げましょうと、あるいは独身でいる人に対しての税金は高くしましょうと。これは現実にやっているところありますからね。そういうふうな方向に行く可能性もある。
 私は、この問題というのはそのくらい突き詰めて考えないと解決がいかない問題だろうというふうに思ってあえてお聞きしているわけですけれども、本当に、じゃ具体的に出生率を個々の問題ではなくて国の政策として上げるとしたら何が一番重要だというふうにお考えでしょうか、参考人の方々。
#94
○会長(清水嘉与子君) 今、国がいろいろ政策やっていますので、そこについての何か問題点でもございますれば御指摘いただければというふうに思いますが。
 佐藤参考人、どうぞ。
#95
○参考人(佐藤孝道君) 繰り返しになりますけれども、私、実際に妊婦さんなんかを見ていて、例えば一つの問題ですけれども、例えば保育所の問題一つを取ってみても、働きながら行っている人たちには比較的保育所の条件はある。でも、何とはなしにちょっと働き、少し休んでアルバイト的なものに持っていってまた元に戻ろうと思っても、アルバイト的なものになると既にもう保育所はない。だから、私たちのところへ来るのは、例えば何かの病気でこの人は子供を育てられないから何とか診断書を書いてくれないかなんて希望も来るわけですね。だから、例えば保育所の一つ問題を取ってみても、私、とてもちょっと正直言って、実感として国が十分な施策をしてきたというふうにはちょっと思えないです。
 それからもう一つは、男性の方の働く条件にしても、例えば奥さんにとってみると、男性がもうがむしゃらに働いて家を余り顧みない、多分今そんな状況があるんだと思うんですけれども、そんな状況にあると多分子供は余りつくる気しないんじゃないかというような気がするんですね。奥さんの方もやっぱりもう仕事、キャリアというか仕事に走っていくというふうな現状があると思いますし、実際に医療の現場で見ていると、先生のおっしゃることよく分かるんですが、ただ、本当にそういう必要な施策を国がしているかというとどうかなというのが正直なところです。
#96
○会長(清水嘉与子君) 河合参考人、いかがでしょうか。
#97
○参考人(河合蘭君) なるべく具体的にというお話だと思いますので、二つ、海外の少子化政策で私が非常に心引かれているものについてお話しさせていただきます。
 一つはフランスの育児手当でして、年齢が低いほどお金が少ないんですね。子供の教育費が掛かっていくほど、年齢が行くほど高くなってまいります。しかし、日本の場合は小さい子にしか支給されておりません。お金がないから子供を産まないというのは口実であるかなと言う方も多いんですけれども、一人目、二人目の場合はそうですけれども、三人目というのは、私の知る限りほとんどの方が教育費を心配して産んでおりません。
 ですから、今奨学金の方で少し考慮がされてきていると思うんですけれども、何といっても子供一人生まれたら三千万円掛かるんだというのは非常に女性の間で有名なことになっておりまして、そのうちの三分の一くらいは大学、高等教育の学資ですよね、専門、専修学校ですとか私立高校ですとか。私立から小学校に上げたいという方を丸々保護するかどうかはまた別の話としまして、もしも高等教育を子供が受けたいと言ったら出してあげたいなという辺りを考えていただくというのは、非常に、私が大学生の子供を持っているから言うわけではないんですけれども、多くのお母さんたちが普通に話しているのに、なぜ政府の方からそういう動きが出てこないのだろうかと思います。
 それから、それには財源というものが非常に日本の場合は小さいのかなと思っております。お金が少ないところで少し何か工夫してみてもやっぱりパワーが出ないといいますか、心動かすパワーが出ないと思います。どれくらいフランスですとかと割合が違うのかは存じて今おりませんけれども、恐らく非常な違いがあって、そこが決定的な力不足につながっているのではないかと思っております。
 それから、男性の育児休暇ですけれども、これもフランスだったかと思うんですが、強制的に二週間くらい取りなさいということが始まっているところがヨーロッパにあると聞きました。ほとんどの方は出産直後の時期に取っているそうですけれども、お産の仕事をしている人間からいいますと、赤ちゃんの一番かわいい時期に、昨日は笑わなかった子が今日は笑ったという時期に、お父さんと子供の関係をつくるのにその時期は本当にすばらしい時期です。動物もその時期に自分の子供を覚え、自分の親を覚える時期なんですね。そういった強制力のある男性の育児休暇というのを期待します。幾らキャンペーンをしていましても、女性も少しでも会社に穴を空けまいと思って職場復帰しますので、ましてや男性がと思いますので、その二つを思いました。
#98
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございます。
 それでは、石井参考人、どうぞ。
#99
○参考人(石井美智子君) 余り具体的なことは申せませんですが、一言で言えば、子育てに希望の持てる社会をつくるということが一番大事なのではないかと思います。仕事を持ちながら子育てするということは、本当に保育園に預けて長時間保育を可能にする、そういうことではなくて、五時に終わって家族で食事をできる、そういう家庭が持てるそういう社会をつくっていかないと、子育ての喜びを感じるそういう社会でないと子供を持とうということにはならないんだと思いますし、経済的には不妊治療のお金よりは子育てのお金の方がずっと大変で、それを考えると、自分たちが人生を楽しむ方にそれを使いたいと思うことになるんではないかと思います。
#100
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか、山崎さん。
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、質疑もないようでございますので、以上で参考人に対する質疑を終了したいと存じます。
 本日は、生と死にかかわる問題ということで、医療技術と現実との乖離の中で大変重要な問題でございましたけれども、大変参考になる御意見をちょうだいしまして、本当にありがとうございました。今いただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。
 本当にありがとうございました。(拍手)
 次回は来る十二月六日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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