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2006/11/24 第165回国会 参議院 参議院会議録情報 第165回国会 本会議 第14号
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2006/11/24 第165回国会 参議院

参議院会議録情報 第165回国会 本会議 第14号

#1
第165回国会 本会議 第14号
平成十八年十一月二十四日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十四号
  平成十八年十一月二十四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(平成十七年
  度決算の概要について)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(平成十七年度決算の概要について)
 財務大臣から発言を求められております。発言を許します。尾身財務大臣。
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(尾身幸次君) 平成十七年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書、国の債権の現在額総報告並びに物品増減及び現在額総報告につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、平成十七年度の一般会計の決算につきましては、歳入の決算額は八十九兆二億円余、歳出の決算額は八十五兆五千百九十五億円余であり、差引き三兆四千八百六億円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定により、既に平成十八年度の一般会計の歳入に繰り入れております。
 なお、平成十七年度における財政法第六条の純剰余金は九千九億円余となります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額八十六兆七千四十八億円余に比べて二兆二千九百五十四億円余の増加となります。この増加額には、前年度剰余金受入れが予算額に比べて増加した額二兆三千百八十九億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純減少額は二百三十五億円余となります。
 一方、歳出につきましては、予算額八十六兆七千四十八億円余に、平成十六年度からの繰越額二兆二千五百六十六億円余を加えました歳出予算現額八十八兆九千六百十四億円余に対し、支出済歳出額は八十五兆五千百九十五億円余であり、その差額は三兆四千四百十八億円余となります。このうち平成十八年度への繰越額は一兆九千百四十三億円余であり、不用額は一兆五千二百七十五億円余となっております。
 なお、歳出のうち、予備費につきましては、その予算額は三千億円であり、その使用額は千百八億円余であります。
 次に、平成十七年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十一であり、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算のとおりでございます。
 なお、歳入歳出決算に添付されている国の債務に関する計算書による債務額につきましては、平成十七年度末における債務額は八百九十一兆五千三百三十四億円余であります。
 このうち、公債につきましては、平成十七年度末における債務額は六百七十兆六千七百四十八億円余であります。
 次に、平成十七年度における国税収納金整理資金の受入れ及び支払につきましては、同資金への収納済額は六十兆六千九百六十六億円余であり、一般会計の歳入への組入額等は五十九兆九千七百二十四億円余であります。
 次に、平成十七年度の政府関係機関の決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりでございます。
 次に、国の債権の現在額につきましては、平成十七年度末における国の債権の総額は三百二十三兆三千百十八億円余であります。
 次に、物品の増減及び現在額につきましては、平成十七年度末における物品の総額は十兆五千九百六億円余であります。
 以上が平成十七年度の一般会計歳入歳出決算等の概要であります。
 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(扇千景君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。吉田博美君。
   〔吉田博美君登壇、拍手〕
#6
○吉田博美君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成十七年度決算について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 御案内のとおり、これまで参議院は、決算並びにODAについて参議院改革の重要な柱として積極的に取り組んでまいりました。
 決算審査については、平成十五年の参議院改革協議会での合意を皮切りに、早期審査、審議の充実が図られ、十三年度からは四年連続で常会内において審査を終えてまいったところであります。また、昨年十月には、会計検査院の強化や活用を図るため、随時報告を可能とするなどの改正会計検査院法を成立させました。
 参議院の独自性の発揮等という観点から、検査院の協力も得ながら決算改革に努めてまいりましたが、まず、こうした本院の取組について総理の率直な御所見を御披瀝願います。
 次に、平成十七年度の経済財政運営と決算について伺います。
 昨年度の経済財政運営は、日本経済の再生、発展のため、規制、金融、税制、歳出の四分野に加え、三位一体改革等の構造改革を引き続き推進し、二十一世紀にふさわしい仕組みの構築を目指して行われたと理解しております。この取組により、一般歳出は三年ぶりに前年度水準以下に抑制され、国債も四年ぶりに前年度よりも減額しました。
 しかし、残念ながら、改革を推進する一方で、歳出の無駄遣いは依然として続きました。決算検査報告の掲記件数は、比較が可能となる昭和五十三年以降最高の四百七十三件に上り、指摘金額は約四百五十三億円にも及んでおります。
 そこで、構造改革を推進させた十七年度の経済財政運営と、その結果である決算についての総理の総括的所見をお伺いいたします。
 次に、労働局不正経理問題について伺います。
 決算検査報告で省庁別での指摘金額が一番多い役所は、百十一億円を指摘された厚生労働省であります。中でも、都道府県労働局の不正及び不適正経理が六十億円も指摘され、昨年度までを合わせると総額七十八億円余りとなりました。
 参議院は、二年連続でこの労働局不正経理問題に対して警告決議を行うなど、厚労省を厳しく追及してまいりました。
 今回、労働局においては、空雇用や空出張等、不正経理の実態が続々と明らかになり、また、四十七の都道府県労働局のすべてにおいて不適正経理が行われていることが判明いたしました。正に、国民の信頼を大きく裏切る組織ぐるみの不正行為であり、意識改革を含めた組織全体の改革は急務と言わざるを得ません。
 厚労省は関係者千四百三十二名を処分しましたが、内容が甘い処分で、国民の皆様の信頼を取り戻すことができるのか甚だ疑問であります。また、当然のことながら、今回明らかになった不正金について、国庫への返還を速やかに実施するよう強く要請いたします。
 こうした労働局の問題に対し、厚労省には猛省を促すとともに、大臣には強力なリーダーシップを発揮して改革に取り組んでいただきたい。そこで、不正経理問題をいかに受け止めているのか、再発防止に向けいかなる具体的な対策を講じるのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 次に、ODA問題について伺います。
 参議院は、十六年度からODA調査のための議員派遣を三年連続で行っており、派遣報告書を取りまとめております。政府には、同報告書の内容をしっかりと酌んでいただくよう要望しておきます。
 さて、昨年、参議院はODAに関して検査要請をし、検査院は、開発コンサルタント、NPO等への委託契約状況や、スマトラ沖地震の緊急援助の実施状況について調査を行いました。その結果、JICA等から事務、業務の委託契約を受けていた大手開発コンサルタント会社が総額一億円超の不適切な経理処理を行っていたこと等が判明しました。
 ODAは外交上重要なツールであることから、国民の皆様の理解を得るためにも、実施に当たっては一層の透明性を高めるとともに、コスト意識も持たなければなりません。今後、ODAの質の改善にどのように取り組んでいかれるのか、ODAの司令塔の役割を担う海外経済協力会議の議長でもある総理に御見解をお伺いいたします。
 今国会においては、地方分権改革推進法案が提出をされておりますが、地方の活力を発揮していくため、地方分権が必要であることは論をまたないところであります。
 しかし、福島県の談合事件、岐阜県での裏金問題等、続発する不祥事により、国民の皆様の地方行政や公務員に対する信頼は大きく失墜しております。したがって、地方分権に関して国民の皆様の理解を得ていくためには、まずは、地方において人件費削減を始め徹底した行革努力を進めていくことが肝要と考えます。
 本院の検査要請に基づく検査院の報告によると、三百四十二の市町村を調べた結果、十六年度では、その約九割に当たる市町村に特殊勤務手当が支給されており、調べた中では、支給実績の最高額は大阪市の九十四億円でありました。多くの地方公共団体が同手当の見直しを行うなど、集中改革プランを作成して地方行革に取り組んでいると理解していますが、現状の特殊勤務手当の改善状況を含め、地方行革の進展状況について総務大臣にお伺いいたします。
 ただいま取り上げました地方での不祥事や、夕張市における財政破綻等の要因として、公会計制度自体の不備があるとの批判も見られます。この点は、決算重視を掲げる本院としても看過できない課題であります。
 こうした中、国として企業会計的手法を導入して、一般会計と特別会計を合わせた国全体のストック、フローの情報である国の財務書類等を公表していることは承知をしております。ただ、この財務書類については、国民の皆様に十分周知されているとは言い難く、更に利便性を高めていく工夫も肝要だと存じ上げます。
 今後、これら財務書類の公表までの約一年半もの時間を、作成プロセスのシステム化等により短縮化を図るとともに、決算分析や政策評価、予算編成に的確に反映させることを政府に対し強く求めます。
 また、地方に目を転じますと、財務情報の整備に関し、自治体間ではかなりの開きが生じており、普通会計のバランスシートを作成している市区町村は半分程度にすぎません。さらに、地方公社、第三セクターを含めた連結バランスシートを作成している市区町村は五%にも至っていないのが実情でございます。国として、まずは地方に対し、貸借対照表や行政コスト計算書等四表の整備を急ぐよう促していくべきだと考えます。
 昨年秋亡くなった経営学の泰斗ピーター・ドラッカーは、決算という規律を欠く政府機関など、企業以外の組織にこそマネジメントが一層必要とされるということを指摘しております。ドラッカーの炯眼には驚くばかりでございますが、今ほど行政運営に当たって経営者意識を持つことが要請されているときはないと考えます。
 最後に、行政マネジメントの向上にもかかわる公会計改革にいかに取り組むのか、総理大臣に御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉田博美議員にお答えをいたします。
 参議院における決算改革への独自の取組についてのお尋ねがありました。
 国民的な視点に立って審査を行う国会の決算審査や、内閣から独立した機関として会計検査院が行う検査の重要性については、政府としても十分認識しているところであります。参議院において、これまでも特に決算審査を重視され、昨年十月の会計検査院法の改正による随時報告の制度創設や決算の早期提出など、種々の改革を進められてきたことに対し、改めて敬意を表します。
 政府としては、今回の決算及び決算検査報告についても、十分な審議をお願いし、結果を予算編成に的確に反映させる観点から、早期に国会提出したところであります。
 平成十七年度の経済財政運営と決算についてのお尋ねがありました。
 平成十七年度におきましては、改革なくして成長なしとの考えの下、規制、金融、税制、歳出の四分野に加え、三位一体等の構造改革を推進するという方針で経済財政運営に当たってきました。こうした構造改革と国民の自助努力の相乗効果により、我が国経済はデフレからの脱却も視野に入るなど、民間需要中心の持続的な回復軌道をたどっております。
 こうした経済財政運営の結果として、平成十七年度決算については、国債発行額は依然として三十兆円を上回っておりますが、税収等の増加と歳出の不用から特例公債の発行を減じて、なお剰余金が生じることとなったところであります。
 ODAの質の改善についてお尋ねがありました。
 我が国にとってODAは最も重要な外交手段であり、私が主宰する海外経済協力会議で審議される基本方針の下で戦略的に実施していきます。国民の幅広い御理解を得るためにもコスト削減の取組を進め、また、本院のODA調査団や会計検査院の御指摘を踏まえて、ODAの一層の質の改善に努めていく考えであります。
 国、地方の公会計改革についてのお尋ねがありました。
 国においては、企業会計の考え方を活用して、財務情報を開示する財務書類の整備を行ってきたところであります。今後は、さらに、予算の効率化、適正化に向けて、決算分析や政策評価などへの財務情報の一層の活用を図るための方策や、財務書類の公表の早期化を図るためのシステムについて検討を行ってまいります。
 また、地方公共団体に対しては、本年八月、原則として国の作成基準に準拠して財務書類の整備を進めるよう要請したところであり、今後とも、地方における財務情報の徹底した開示と規律ある財政運営の実現を図ってまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(柳澤伯夫君) 吉田議員にお答え申し上げます。
 都道府県労働局における不正経理等についてお尋ねをいただきました。
 労働局の不正及び不適正経理につきましては、国家公務員倫理審査会との協議の結果等を踏まえまして厳正な処分を実施いたしますとともに、不正経理の部分を速やかに国庫に返還させることといたしております。
 いずれにせよ、このような指摘を受けたことは極めて遺憾であり、国民の信頼を損ねたことを深くおわび申し上げたいと思います。今後、再発防止のために新たに外部専門家の参画による法令遵守体制の整備を図りますとともに、内部監査について一層の強化を図ることといたしております。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(菅義偉君) 行革の進展状況についてお尋ねがありました。
 各地方公共団体においては、集中改革プランの公表を始め行政改革に真摯に取り組んでおるところであり、不適正な特殊勤務手当の是正を進めているほか、情報の徹底した開示、公表を通じた給与、定員の適正化、民間委託の計画的推進など、国民の厳しい視線を踏まえた改革を進めているところであります。
 総務省としては、今後とも各団体に必要な助言を行うなど、地方行革の推進に積極的に取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(扇千景君) 羽田雄一郎君。
   〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
#11
○羽田雄一郎君 民主党の羽田雄一郎です。
 私は、民主党・新緑風会を代表し、平成十七年度決算及び決算検査報告に関し質問いたします。
 決算の質疑に入る前に、昨今荒廃が著しい教育問題について、特別にお許しをいただき質問させていただきます。
 教育基本法については、一昨日から参議院での審議がスタートしたばかりであります。与党の皆さんは衆議院の審議の中で、二国会、二内閣、百時間以上審議してきたということを強調されました。教育の憲法とも言われる教育基本法であるので、参議院においても、与党の皆さんが言われてきたことは最低限守って、しっかりとした議論を行っていただくよう要請させていただき、総理のお考えをお聞かせください。
 昨今大きな問題となって浮き彫りにされたいじめによる自殺や学級崩壊、必修科目の未履修問題、タウンミーティングのやらせ質問など、教育の現場を直視した生の問題を議論せずして教育基本法は語れないのではないでしょうか。また、これら今現実に起きている様々な問題に対して実効性のある対処ができなければ、教育の基本法として問題ありと言わざるを得ません。
 このことから我々は、こうした教育現場の問題を具体的に改善するための第一歩として、日本国教育基本法案、地方教育行政法案及び教育振興法案本法案を取りまとめ、参議院に提出しました。政府提出の法案のように、原則を定めるだけではいじめを抱える子供や保護者の声にこたえることはできません。
 民主党の法案では、保護者や地域の方々が参加する学校理事会を設け、いじめの相談をしても十分な対応をしない学校側を動かしていく仕組みとし、県の教育委員会の無責任で形骸化した現在の体制を改めるべく、人事権者を県の教育委員会から現場の市長や区長に移譲していくほか、教育に対する国の最終的責任を明確にすることをうたっております。
 いじめが原因と見られる自殺の連鎖がいまだに止まりません。いじめを学校が把握していたのに自殺させてしまったケースや、教育委員会が学校にいじめがあったことを口止めしていたケースも発覚し、いじめ問題の終わりが見えない状況です。このような学校や教育委員会の隠ぺい体質をどう考えるか、総理、お答えください。
 文部科学省は、小中学生のいじめによる自殺が平成十一年度以降では皆無としてきました。このようなことはあり得ないし、国民だれもが信じません。総理はこの数字を信じますか、お答えください。
 このように、事を荒立てず内密に済ませようとする文部科学省、学校や教育委員会のこの問題への真剣味のなさがいじめを助長させてきたと言っても過言ではありません。
 いじめを減少させるためには、いじめは絶対にあるということを認めることから出発しなければなりません。幼児期からいじめは悪いことであると徹底的に教えることが必要であると考えます。同時に、自殺の連鎖を止めるには、自殺は決して良いことではないことを社会全体で訴える必要があると考えますが、総理は同意していただけますでしょうか、お伺いいたします。
 また、自殺に関する報道は模倣を招くだけに、マスコミも報じ方を検証すべきと考えますが、併せてお伺いいたします。
 いじめを受けている子供、悩んでいる子供の話し相手、避難所等、相談体制は十分なのでしょうか。文部科学省、厚生労働省、法務省、警察庁など行政がばらばらに行っている対策、我が党の島田智哉子議員の本会議でのいじめ自殺等の質問に対しても、文部科学大臣、厚生労働大臣それぞれから答弁がありましたが、連携については具体的に何もありませんでした。そして、NPO法人チャイルドラインもその一つで、後援しているんだと厚生労働大臣はお答えになりました。厚生労働大臣、チャイルドラインの支援体制についてお伺いいたします。
 先日、チャイルドライン推進議員連盟で話を聞けば、アクセス数に対し着信できた電話は一〇%であり、十人に一人の子供の電話しか受け切れていない現状を聞かされました。子供たちが勇気を持って電話したのにつながらない、それが現実です。また、先日のニュースの特集でチャイルドラインが紹介されており、今後ますますアクセス数が増えていくと考えられます。
 電話を受ける側の準備や回線の体制強化、支援が急務と考えますが、総理、文部科学大臣、厚生労働大臣の考えをお伺いいたします。そして、各省ばらばらに対応している現状に対しての総理のお考えを併せてお伺いいたします。
 タウンミーティングにおけるやらせ問題についてお伺いいたします。
 教育改革をテーマにしたタウンミーティングで、政府側が事前に出席者に質問案を渡しやらせ質問を行わせており、基調講演を行い、最初の質問者に一人五千円の謝礼を支払っていた事態が発覚し、タウンミーティングそのものの開催意義が問われる事態となっています。このようなことでは、教育を云々する資格すらないのではないでしょうか。やらせ質問があったのかなかったのか、総理、明確にお答えください。
 タウンミーティングは国民にとり、閣僚に対して直接意見を述べることができる貴重な機会であり、また政府にとっても、中立公正な意見を聞いて、それを政策に反映させることが目的であったにもかかわらず、政府のおぜん立てどおりに事を運ぶために利用され、そこに国民の税金が使われたことは許すことができません。このような事態に至った責任を総理はどう考えますか、お答えください。この問題について内閣府で調査を行っているようですが、検証結果はいつ公表されるのでしょうか、併せてお答えください。
 次に、決算の質疑に移ります。
 今般提出された平成十七年度決算を見ると、一般会計歳出のうち、国債の利払いに充てる国債費が急増しております。具体的数字を挙げると、平成十五年度に約十五・五兆円であったものが、十六年度には二兆円増加し、十七年度では更に約一・二兆円増加しております。これに応じて、歳出総額に占める国債費の割合も、十五年度一八・九%であったものが、十七年度では二一・九%と増加の一途をたどっております。
 昨今、景気回復が続いているとされますが、日銀総裁が利上げに意欲を示していると報道されているように、今後緩やかに金利上昇が進めば、利払いに充てる国債費が更に急増していく懸念があります。
 国債残高は小泉内閣が誕生した平成十三年度末には約四百四十八兆円でした。しかし、自民党が経済運営に無策を続ける中で、今年の三月末には国債残高が約六百七十兆円に達したのであります。何とこの五年間で国債残高が約二百二十兆円も増加してしまったのです。このような財政悪化について、先送りせずにどのように対処するおつもりか、今後の国債費の増加見通しと併せて総理にお伺いいたします。
 決算額と予算の乖離についてお伺いいたします。
 十七年度の予算と決算の額に大きな乖離が生じております。税収の合計である租税及び印紙収入が十七年度当初予算では約四十四兆円、同年の補正予算では約四十七兆円に修正され、今般の十七年度決算では約四十九兆円に増加しております。当初予算額と決算額で五兆円もの乖離があるのです。率にして一一・五%にもなります。この乖離は十七年度だけでなく、十五年度、十六年度も同様に見られます。毎年度の予算と決算の額がこれほどまで違うのであれば、次年度の予算審議をどこまで真剣に議論するのか、疑問を抱かざるを得なくなってしまいます。予算と決算の乖離についてどう考えるか、総理にお伺いをいたします。
 毎年度の決算審査では多くの予算の無駄遣いも指摘されており、より良い予算審議を行うため、例えば次の十九年度予算の審議に入る前に、十七年度決算審議をしっかり行い、予算審議に反映させる必要があります。決算の数字や問題点を十分踏まえ、対処を行った上でなければ次の予算審議に臨めない、そのような仕組みを取る必要があると考えますが、総理の所見を伺います。
 次に、肥大化する特別会計についてお伺いをいたします。
 平成十七年度決算における特別会計歳出総額は約四百一兆円にも達しております。十年前の平成七年度決算では総額約二百三十二兆円であり、この十年間で実に七二・八%、約百七十兆円も増加しているのです。特別会計を隠れみのに官僚が既得権益を増加させていった結果と考えますが、総理は特別会計肥大化をどうとらえますか、その原因についてどう考えるかについてもお伺いをいたします。
 特別会計については、その剰余金が大きな問題です。十七年度決算では何と約五十・九兆円にも達しており、十三年度決算当時の二十五・二兆円から倍増しております。剰余金については予算編成段階における見積りを厳格に行い、剰余金の縮小、ひいては特別会計規模の縮小に努めるべきと考えますが、総理の所見を伺います。
 また、特別会計が内部留保する積立金、資金の額も巨額であり、十七年度決算では約二百十兆円に達し、更に毎年数兆円規模で増加を続けております。国債残高が急増し、我が国財政が悪化の一途をたどっている現状にありながら、国民不在、特別会計の中身を国民に説明することなく特別会計の肥大化を許していることは、政治を預かる者として信じられません。早急に適正規模に是正する必要があります。
 道路特会に代表される特別会計の目的税や特定財源などほうっておいても勝手に税金が入ってくる仕組みの見直しや、剰余金、積立金を一般会計に繰り入れる仕組みづくりはとうにでき上がっていなければならないものです。政府は我々の主張を受け、十八年度予算で積立金等の一部を国債残高の圧縮に活用し、今後四年間で更に六・二兆円圧縮するとしていますが、対応が後手に回っている上に、全く不十分と言わざるを得ません。
 来年度に予定されている特別会計改革においては、単なる特別会計の数合わせでなく、今述べた実質的な見直しを行い、より一層各特別会計の資金を活用すべきことは論をまちませんが、総理の所見をお伺いいたします。
 十七年度決算とともに提出された決算検査報告では、相も変わらず多くの無駄遣いが指摘されております。会計検査院が内閣に提出した翌日の朝刊各紙は、毎年恒例の検査院長が安倍総理に報告書を手渡す写真を掲載しております。
 今年も四百五十二億円という巨額の無駄遣いが指摘されておりますが、総理は各省に対し、具体的にどのような指示を行ったのですか。報告書の内閣への提出は単なるセレモニーではないのです。毎年このように数字を見るにつけ、まじめに対応しているのか極めて疑問と言わざるを得ません。
 参議院では、十六年度決算審査で多くの問題を取り上げ、その結果、警告決議として内閣に警告し、決算委員会では措置要求決議として政府に数々の問題への対応を要求しました。これに対して政府はまじめに対応しているのか、総理、お答えください。また、これらを平成十九年度予算編成にどう反映させていくのか、併せてお答えください。
 決算検査報告によると、民間では考えられないお役所の余りにも甘い体質が指摘されております。枚挙にいとまがなく、ここですべてを挙げることはできませんが、幾つか例を挙げてみます。
 日本郵政公社では、全国三十八郵便局で職員三十五人が合計七億五千万円を着服していましたが、うち約六億円が今年九月末現在返還されておりません。これら職員の処分と刑事告発の有無、返還のための対応について、総務大臣にお伺いいたします。
 日本銀行は、約千三百人が航空機を使った国内出張で正規料金と格安料金の差額を受け取っていたことが判明しました。過払い総額は七千三百万円に上ります。さらに、預金保険機構に至っては、平成十七年までの約六年間で、旅行業者から入手した偽の領収書を提出するなどして水増し航空運賃を受け取る不正が四百二十九件で、合計約六百三十万円に上りました。これは過失ではなく故意による着服であり、犯罪と言っても過言ではありません。これら職員をどう処分するのか、過払い分は返還されるのか、総理にお伺いいたします。
 地方労働局による裏金作りなど、不適正経理についてお伺いいたします。
 空雇用や空出張などで捻出された裏金は職員同士の飲み代に消え、空残業の手当は個人支給、挙げ句の果てには伝票を偽造して着服。二年間にわたる検査結果では、全国四十七すべての労働局で慣行的に不正経理が行われていたことが判明し、不正経理の総額は七十八億四千四百六十九万円に及びます。しかも、裏金作りを行っていた労働局が十六もあり、うち十労働局には、実際に会計検査が行われた当時においても、なお現金又は銀行預金として六千六百万円余りの資金が別途経理で保有されていたという悪質なものであります。七十八億四千四百六十九万円の不正経理のうち、どれだけの額が返還されるのか、厚生労働大臣、明確にお答えください。
 これまで厚生労働省は三度も是正の通達を出しておりますが、その通達には報告義務もなく、また、監査結果の連絡報告もされない全く実効性のない仕組みでした。やる気がないと言わざるを得ません。このため、各労働局では再発防止に向けた取組状況の把握も十分でなく、問題の認識すらなかったという有様です。これまで何度も同様の指摘を受け、また社会からも強く非難されたにもかかわらず、再発防止の通達さえその伝達が不徹底で、依然としてこのような不正を組織ぐるみで続けてきた地方労働局に対する厚生労働大臣の責任は極めて重いと言わざるを得ません。この責任をどのように感じておられるのか、厚生労働大臣、お答えください。
 厚生労働省では既に関係職員の処分を行ったとし、千四百三十二人の処分を発表しましたが、懲戒免職はたったの一人です。私的流用を図った者は百二十人に及びます。処分が軽過ぎるのではありませんか。さらに、悪質な不正には刑事告発で臨むべきと考えます。本当にこの処分で十分だと言い切れるのか、総理及び厚生労働大臣、お答えください。
 このような不正が慣例として行われてきた事実、さらに、現場の職員に十分な認識すら得ることのできない労働局を始めとする職場体質など、極めて深刻な事態を受けて、抜本的な改革をどのように行うのか、総理及び厚生労働大臣に伺います。
 また、厚生労働省内にとどまらず、同省所管の財団法人でも天下り官僚が不正着服を行っておりました。このような財団など天下り先となる組織に対するにらみをどう利かせるのか、総理に併せて伺います。
 次に、社会保険庁改革についてお伺いいたします。
 社会保険庁をめぐっては、不祥事のデパートとやゆされるほど毎年のように問題が噴出しており、参議院の警告決議により、年金福祉施設問題、特定業者との癒着と年金加入状況の不正閲覧問題、年金保険料の不正免除問題というように、三年連続で厳しく非難してきました。もう度重なる不祥事によって失った国民の信頼を回復することができない段階に来ており、社会保険庁の解体は避けられません。
 安倍総理は所信表明演説で、社会保険庁は解体的出直しをすると明言していますが、社会保険庁の看板の掛け替えにすぎないねんきん事業機構法案の廃案をようやく決断したにすぎません。一刻も早く社会保険庁を解体し、国民の利便性を高め、効率的かつ適正な徴収を行うための年金保険料と税金の徴収を一元化すべきではありませんか。社会保険庁に代わる新組織については、政府・与党内で意見が割れており、移行後の姿が国民に全く見えておりません。一体いつになったら代案を出すのですか。新組織のビジョンについて、総理、明確にお答えください。
 次に、ODA調査業務会社による不正請求についてお伺いいたします。
 ODAの調査業務を受注したコンサルタント最大手のパシフィックコンサルタンツインターナショナル、PCIが十二か国のODAで事業費の水増し請求などを行い、一億円を超える不正経理処理をしていたことが分かりました。同社ではコスタリカなどでの同様な不正経理が発覚しており、不正経理の総額は十六か国で一億四千万円にもなります。PCIは下請契約書に書かれた金額より高額の契約書を偽造したり、実際には下請契約していないのに架空の請求書を偽造するなど、極めて悪質なものであります。
 JICAは同社を今年三月まで指名停止処分にしましたが、対応が甘過ぎると言わざるを得ません。これは詐欺であり、刑事告発すべきではありませんか。外務大臣にお伺いいたします。
 参議院改革の一環として、長い間政府に対して要望してきた決算の早期提出が一昨年の平成十五年度決算の国会提出で実現し、昨年は会計検査院の機能強化のための会計検査法の一部改正が行われるなど、決算審査充実のための制度も次第に整えられてきました。
 会計検査院も、このような制度の趣旨をよく理解され、七月以降、昨年、参議院決算委員会が行った国会法第百五条に基づく検査要請の結果報告七件に加え、会計検査法改正によって可能となった随時報告を五件、早速国会に提出していただきました。これからは国会、特に決算を重視する参議院が、プラン・ドゥー・シーのサイクルの中でその審査を充実させ、しっかり予算執行をチェックしていかなければなりません。このような参議院の取組に対し、安倍内閣に対して更なる協力を要請するものであります。
 我々参議院は、不要論や衆議院のカーボンコピーとやゆされることがありますが、参議院議長の下、参議院改革協議会が設置され、参議院の存在意義と独自性、良識の府としての参議院確立のため努力をしています。また、先日、参議院の在り方と未来を考える会という超党派の勉強会も立ち上がったところであります。衆議院が予算であれば参議院は決算を重視させていく、この考え方に総理はどう考えられるか、お答えください。
 安倍総理に決算審査の充実と予算への反映への意気込みをお伺いし、私の質問といたします。
 最後に一言言わせていただきます。
 国民の皆さん、そして子供たちにお願いをいたします。自殺は絶対にしてはいけません。そして、させてはいけません。この世に生をうけた一人一人の命を自分で絶ってはいけません。
 私は保育士として、一人のボランティアとして、難病で苦しんでいる子供たち、小児がんで余命を決められてしまった子供たちを見てきました。生きたくても生き続けることがかなわない子供たちがいます。それでも、その限られた命を精一杯生きています。交通事故などで突然命を奪われる子供がいます。絶対に自分で命を絶ってはいけません。勇気を持ってだれかに相談してください。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 羽田雄一郎議員にお答えいたします。
 学校や教育委員会のいじめ問題への対応についてお尋ねがありました。
 いじめの問題に対しては、問題を隠すことなく迅速に対応することが重要です。しかし、最近の事件においては、いじめの存在を承知しながら迅速に対応しないなど、本来子供を守り育てるべき者がその責務を果たしていない例があり、極めて遺憾に思います。学校や教育委員会が事実を隠すことなく責任感と使命感を持って迅速、的確に対応するよう、現在文部科学省において特別に指導を行っているところであります。
 いじめによる自殺の数についてお尋ねがありました。
 いじめの問題への対応に当たっては、事実関係の把握を正確かつ迅速に行う必要があります。文部科学省が行ってきた児童生徒の自殺に関する調査は、学校が把握し、教育委員会を通じて報告があったものを集計したものですが、実態を十分に反映していないと考えています。今後、調査方法等を早急に見直すとともに、教育委員会や学校においても的確な事実関係の把握に努めるよう強く求めていきます。
 いじめについての認識、自殺連鎖の防止についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、いじめ問題に取り組むに当たっては、いじめはどの学校でもどの子供にも起こり得るものという認識の下、問題を隠すことなく対応する必要があります。また、いじめは人間として絶対に許されないという規範意識を徹底させることが必要と考えます。同時に、自殺の連鎖を生じさせないためには、失われた命が二度と回復できないものであることや、幼い命には無限の可能性が秘められていることを私たち大人が改めて発信し、社会一体となって子供たちに伝えていくことが重要であると考えています。
 自殺に関する報道の在り方についてお尋ねがありました。
 情報化が進展する中、メディアは子供の心理に大きな影響を与えるところとなっています。報道の自由や表現の自由は尊重されなければなりませんが、マスコミが取材や報道等を行うに当たっては子供に対する影響を十分に配慮することが重要であると考えています。
 悩んでいる子供の相談体制に関するお尋ねがありました。
 私は、いじめ問題への対応が急務となっている中で、子供たちの切実な声をしっかりと把握し、その相談に乗ることが極めて重要だと考えています。現在、学校を通じて相談機関の連絡カードの配付を行うなど、相談機関の周知を図っているほか、新聞での政府広報や関係省庁のホームページに相談窓口の連絡先を積極的に掲載をしております。さらに、従来の官民様々な形での相談体制の状況を踏まえ、より利用しやすいシステムを早急に構築したいと考えております。
 今後とも、関係省庁が一体となって子供の不安や悩みにしっかりと真正面から受け止めるその取組を進めてまいります。
 いわゆるやらせ質問があったのか、なかったのかについてお尋ねがありました。
 教育改革をテーマに開催したタウンミーティングでは、発言案をあらかじめ特定の者に送付したとの事例がありました。こうした国民の信頼感を損なうような運営があったことについては大変遺憾に思っております。謝礼金については、教育改革のタウンミーティングにおいては支払われておりませんが、これまでのタウンミーティングにおいて、司会者から的確に紹介した上で御意見を言っていただく方に対して支払われたことがあったと聞いております。
 いずれにしても、現在こうした点も含め、事実関係を明らかにすべく徹底した調査を行っているところでありますが、謝礼の在り方についても今後検討していく必要はあると考えております。
 タウンミーティングのいわゆるやらせ問題の責任についてのお尋ねがありました。
 タウンミーティングにおいて、発言案をあらかじめ特定の者に送付するなど国民の信頼を損なうような運営が一部にあったことは大変残念なことであります。しかしながら、本来タウンミーティングは国民と政府が双方向で対話する貴重かつ有意義な機会であると考えております。何としてもタウンミーティングに対する国民の信頼感を回復し、これを再開することが私の責務であると考えています。
 私としては、この問題について徹底して調査をすることで事実を解明し、国民に明らかにしてまいります。そして、こういうことが二度と起こらないようなタウンミーティングとして再スタートを切っていくことによって責任を果たしていきたいと考えております。
 タウンミーティングの調査についてのお尋ねがありました。
 タウンミーティングの調査については、正確を期しながら、可能な限り早期に調査結果をまとめ、かつ公表するよう、既に官房長官を通じて指示しているところであります。
 国債費の増加と財政再建、財政健全化についてのお尋ねがありました。
 国債費につきましては、国債残高の増加に伴って利払い及び元本償還のための定率繰入れの増加が見込まれるとともに、金利状況によっては更なる利払い費の増加の可能性があります。
 このように我が国財政は極めて厳しい状況にあり、歳出歳入一体改革に正面から取り組みます。成長なくして財政再建なしの理念の下、引き続き経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、今後五年間、歳出改革を計画的に実施します。
 このような歳出改革を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進してまいります。
 予算と決算の乖離についてお尋ねがありました。
 毎年度の予算の税収については、予算編成時点で判明している課税実績を基礎として、経済財政見通しによる経済指標等を用いて見積りを行っていますが、見積り後の経済状況の変動により予算と決算の乖離が生じており、このような状況を踏まえ、税収見積りの精度向上を図っているところであります。また、歳出面においても、執行実績を的確に踏まえた予算とするための努力を継続していくことが重要であると考えております。
 いずれにしても、決算や決算審議での御指摘、決議等も適切に反映した予算編成に努めてまいります。
 決算審議の予算審議への反映についてお尋ねがありました。
 政府としては、参議院の要請にこたえ、十七年度の決算及び決算検査報告について十分な審議をお願いし、結果を予算編成に的確に反映させる観点から、早期に国会提出したところであります。また、十七年度決算について決算審議を行っていただいた上で、十九年度予算審議にもそれを反映していただけるものと考えています。今後とも、政府としては、予算審議への的確な反映につながるよう、参議院における決算審議の充実等にできる限り協力してまいります。
 特別会計の肥大化についてお尋ねがありました。
 近年の特別会計の歳出の増加は、高齢化に伴う社会保障費の増加や国債費の増加などの影響が大きいと考えます。一方、特別会計についてはその数が多数に上り、国民による監視が不十分となって無駄な支出が行われやすいなどの批判があるところであります。このため、政府としては、行革推進法にのっとり、財政健全化に貢献する、国民への説明責任を十分に果たすなどの観点から、特別会計を対象とした徹底した見直しを行ってまいります。
 特別会計の剰余金についてお尋ねがありました。
 行革推進法においては、各特別会計の剰余金の縮減等により今後五年間で合計二十兆円程度の財政健全化への寄与を目指すこととされており、政府としては、この方針にのっとり、各特別会計の剰余金について積極的な活用を図ることを通じ、特別会計の規模の縮小に努めてまいります。
 来年度の特別会計改革に関するお尋ねがありました。
 政府としては、行革推進法に基づき、特別会計の統廃合、剰余金の繰越しを始めとした一般会計と異なる取扱いの整理、特別会計の情報開示のため、特別会計整理合理化法案を次期通常国会に提出することを予定しております。今後の予算編成に当たっても、こうした方針に沿って、特別会計の統廃合における合理化効果の確保や剰余金等の縮減を始め、特別会計歳出の一層の合理化、効率化に努めてまいりたいと考えております。
 警告決議等の平成十九年度予算への反映についてお尋ねがありました。
 政府としては、従来より決算に係る国会での審議内容を予算に的確に反映させるべく取り組んできているところであります。今日、歳出の無駄の排除を徹底することが強く求められている中、私自ら、閣僚に対して、警告決議を始めとした国会での審議内容等を踏まえた改革に自ら率先して取り組み、十九年度予算に的確に反映させるよう強く要請したところであります。今後とも、予算の質の向上に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。
 日本銀行及び預金保険機構における旅費の過払いについてお尋ねがありました。
 日本銀行においては、既に御指摘の過払いに関する調査結果を公表し、関係者に対し譴責、戒告等の処分を行うとともに、過払い分については出張者から返納させたものと承知しております。預金保険機構においても、過払いについての調査結果を公表しており、既に機構を退職している処分相当者に対し処分相当であった旨申し渡すとともに、過払い分については出張者に対し返納措置を講じているところと承知をしております。
 いずれにせよ、こうした事態が生じたことは誠に遺憾であり、両機関においては今回の問題を重く受け止めるとともに、再発防止に全力を挙げてもらいたいと考えております。
 労働局の不正経理についてお尋ねがありました。
 御指摘の労働局の不正経理は誠に遺憾であります。今回の処分は、厚生労働省において事実関係を調査の上、関係者の行為の内容と責任に応じて必要な処分を行ったと承知をしております。
 また、厚生労働省において、外部専門家が参画した法令遵守体制の整備などの再発防止策の強化を行い、私からは、全閣僚に対して、適正な会計処理の徹底等に率先して取り組むよう改めて指示したところであり、こうした不正経理が二度と生じることのないよう万全を期してまいります。
 財団法人等の指導監督についてお尋ねがありました。
 財団法人等に対しては、各主務官庁において毎年、財務会計書類等の提出を義務付けているほか、定期的な立入検査等を実施しております。今後とも、このような取組を通じ、各主務官庁において財務会計面を含め法人の的確な実態把握と厳正な指導監督の徹底を図ってまいります。
 社会保険庁改革についてお尋ねがありました。
 社会保険庁改革については、解体的出直しと言えるにふさわしいものは何か、すべて公務員でやらなければならないかということも含め、国会、与党において十分な御議論をいただいた上で、できるだけ早期に国民の信頼を得ることができる新組織のビジョンを明らかにしてまいります。
 衆議院の予算に対して、参議院における決算重視についてのお尋ねがありました。
 予算については、現行憲法上、衆議院の先議権及び一定の場合、衆議院の議決を優先させる規定が置かれており、この下で衆議院及び参議院において御審議をいただいているところであります。
 一方、参議院においては決算の早期提出など種々の改革を進められるなど、特に決算審査を重視されているところと承知をしております。したがって、政府としては十七年度決算についても十分な審議をお願いし、結果を予算編成に的確に反映させる観点から早期に国会に提出したところであります。今後とも、政府としては参議院における決算審議の充実等にできる限り協力をしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(伊吹文明君) チャイルドラインについての支援についてお尋ねがございました。
 チャイルドラインは、その立ち上げに際しまして、一定期間、国民の税金でこれを支援してきたところであります。その後、民間においてNPO法人の資格をお取りになり自主的に活動しておられますが、その内容が、先生御指摘のとおり、現下の状況にかんがみても非常に大切でございます。先日、主宰をしておられる牟田さんを始め議連の先生方お訪ねをいただきまして、現在の状況についてもお伺いいたしました。その際に、NPO法人として当該法人に寄附がありました場合に、これを免税とする認定法人にするための資格等が条件が整い次第、私としても全面的にお手伝いすることをお約束しております。
 その後、事務的にも当該団体と連絡を取っておりますので、その結果をも踏まえて種々の支援策を検討させていただきたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私に対しまして羽田議員から、まずチャイルドラインに対する支援につきましてお尋ねがございました。
 厚生労働省では、現在、独立行政法人福祉医療機構を通じまして助成を行っておるほか、現在進行中のチャイルドラインの全国キャンペーンの後援を行う等によりその活動を支援いたしておるところでございます。今後におきましても、こうした取組を通じまして、文科省等との連携や相談体制の強化の問題を含め、引き続き適切に支援を行ってまいりたい、このように考えております。
 都道府県労働局の不正経理に係る返還についてのお尋ねがございました。
 今般の会計検査院の指摘の内訳を申しますと、総額七十八億四千四百六十九万円のうち、不正経理が十二億二千四百六十五万円、不適正な会計処理が六十六億二千四万円となっております。このうち、不正経理の十二億二千四百六十五万円は基本的に国庫に損害を与えるものでありまして、昨年までに判明したものについては既に返還の措置を講じているところでございますが、今回新たに判明した不正金につきましても、国庫に損害を与えた額を関係職員等から速やかに返還させることといたしております。
 労働局の問題に対する厚生労働大臣としての責任についてのお尋ねがございました。
 労働局に対しましては、独自調査による事案の判明の後、再発防止の指示を行ったところでありますが、その後、調査を会計検査院の検査に譲って、これに協力することにいたしたわけでございます。遺憾ながら、その検査結果で主にそれ以前の、独自調査による事案以前の事案が指摘されたものであります。今後は、再発防止を更に強化徹底いたしますとともに、不正経理等が現に行われていないことをしっかりと点検、確保してまいりたい、このように考えております。
 不正経理に係る処分についてのお尋ねがございます。
 今回の不正事案につきましては、当初から国家公務員倫理審査会とも協議の上、それを踏まえ関係職員を厳正に処分するとともに、私的着服を行う等、犯罪事実が明らかと思われる個人につきましては、今後速やかに告発することを現在検討しているところであります。
 最後に、不正経理の再発防止についてのお尋ねがございます。
 今後、再発防止のためには、新たに外部専門家の参画による法令遵守体制の整備を図りますとともに、内部監査につきましても一層の強化を図って再発防止に努めてまいりたい、このように考えております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(菅義偉君) 郵政公社の職員の不正行為についてお尋ねがありました。
 郵政公社の職員の不正行為について、公社は職員三十五名全員に対し刑事告発をした上で、死亡等による三名を除いた三十二名を懲戒免職といたしております。
 また、その損害額の回収でありますけれども、二十二件は全額回収済みであり、残り十三件のうち、行為者死亡により回収の見通しが立っていない一件を除く十二件については、公社において回収に全力で努めております。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(麻生太郎君) PCI社の不正経理処理についてのお尋ねがあっております。
 本件につきましては、JICAの措置規定上、同種の事案に対するものとしては上限の措置であります合計十八か月間にわたり指名停止、新規ODA事業から排除する措置を講じたところであります。
 関係者の告訴についてお尋ねがありましたが、JICAにおいて、これまで調査結果に基づきまして、捜査当局にも相談しつつ検討してきたところです。これまでのところ、一、再委託契約分も含め、契約業務の完了が成果品をもって既に確認をされておること、二、PCI社の不適切な経理処理により請求された金額の返還が完了していること、三、同金額の業務目的外の使途への流用が確認されないことなどを踏まえて、告訴は見送っております。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(扇千景君) 山本保君。
   〔山本保君登壇、拍手〕
#18
○山本保君 公明党の山本保です。
 決算に関連して質問いたします。
 国の平成十七年度決算は、去る十一月二十一日に国会に提出され、事実上三年連続で十一月中に提出されました。参議院が、次年度の予算編成に生かすため、決算をできるだけ早く国会に提出するよう求めてきたことがほぼ定着してきたと思われます。本院議員として、関係者の努力に感謝いたします。
 この十七年度については、予算自体が総額を前年より〇・一%増に抑えた緊縮予算でありました。歳入面では租税などを五・四%増に見込む一方、借金である公債金を六%減に抑え込み、一般歳出も三年ぶりに〇・七%マイナスにしております。当時の小泉内閣が目指した小さくて効率的な政府のための予算編成のその裏には、編成作業中の十六年十一月に前年、十五年度決算が提出されたことも生かされていると一般に受け取られております。
 そこで財務大臣にお伺いいたします。
 今回の十七年度決算を見ますと、歳入では租税がプラス、借金マイナスでトータル微増、また、歳出では一般経費を抑え、国の借金返済を増やしています。この十七年度決算をどのように来年、十九年度予算編成の中で生かしていくのか、お伺いいたします。
 次に、十七年度の基礎的財政収支、プライマリーバランスは前年より五・五兆円改善したものの、まだ十二・五兆円のマイナスであります。二〇一〇年代初めにその黒字化を目指すという小泉政府の方針は安倍内閣も継承しているものと認識しておりますが、総理、この実現可能性についてどのような見通しを持っておられるのか、お尋ねいたします。
 第三に、新たな景気回復によって租税等の収入が増えていると思います。景気の発展の観点からここで大型の歳出増を行い、景気を一層加速すべきだという意見もありますが、私は、これまでどおり民間主導中心で、引き続き国の借金を抑えて、歳出の拡大を極力避けつつ、景気回復と社会保障など安心のセーフティーネットへの効果的な予算配分と無駄遣いの徹底した洗い出しに取り組むべきだと考えますが、総理のお考えをお聞きいたします。
 国民に税金の使い道を迅速に知らせるため、昨年、国会法を改正して、検査院に随時の会計検査を要請することとしました。その第一回の報告が本年十月に行われ、その中で各省庁の所管する三十一の特別会計全体で二・四兆円が余っていると指摘されました。検査院はこの余剰分の一般会計への繰入れや有効な活用を早急に検討することを政府に求めていますが、政府はどのように対応しますか。財務大臣に、特別会計ごとの対応策と特別会計全体としてどのようなシステムをつくっていくのか、お伺いします。
 同じく国会が要請した検査報告の中には、開発途上国への政府開発援助に関連して、国際協力機構や国際協力銀行の調査業務を委託されていたコンサルタントなどが不正な経理を行ったとされております。また、平成十六年末のインド洋津波に際し、我が国が行ったインドネシアへの緊急支援事業費の多くがまだ使われていないことも報告されました。これらの結果について、総理大臣の所感を伺います。
 総理、せっかくの国民の善意が相手に伝わらず、一部の者によって食い物にされているとすれば全く腹立たしいことであります。日本の国際的信用が低下するのではないかとも心配でございます。また、これらは毎年のように繰り返されているのではありませんか。抜本的な対応への決意をお聞きいたします。
 郊外の大型店の増加などにより、中心市街地の商店街が活力を失い空洞化していることが長年指摘されてきました。政府の対応策は効果が上がっていないのではないかと私どもは十五年度決算審査で指摘いたしました。検査報告では、平成十年度以降、国の負担二兆円を含め活性化プロジェクトに総額五兆円が使われたが、商店街が活性化し、にぎわいが回復しているとは言えないと改めて指摘されております。私の地元愛知県でも、シャッター通りが解消されたのではなく、そのシャッターが新しくなっただけだという批判も耳にするわけであります。失敗を繰り返してはなりません。
 本年五月に改正された新しい制度の運用に当たり、今回の検査院の指摘をどのように活用されるのか、国土交通大臣にお聞きいたします。
 次、十七年度決算に対する会計検査院の検査報告では、税金の無駄遣いや不正経理、徴収漏れなど、四百七十三件四百五十二億円、そのうち決算表示に関するものを除いたとしましても、それでも三百十五億円の無駄遣いが指摘されております。
 中でも、四十七都道府県すべての労働局で総額七十八億円の不正、不適正な経理を行っていたことが判明しました。厚生労働省はこれらの失態をどう把握しどのような対応を行いましたか、厚労大臣にお伺いいたします。
 関係者を処分したり、お金を返還すれば済むものではありません。これでは、国民はあらゆる部局で不正が行われているのではないかとの疑いの心を起こさざるを得ません。論語には、民、信なくんば立たずとあるように、国民が国家に対し不信感を持てば国が立ち行かなくなります。総理、国民の皆様に対して、このような問題は決して再発させないことを約束していただきたい。決意を伺います。
 特別会計、一般会計ともまだまだ無駄遣いが多い。この原因の一つに、予算執行は残さず使うことが原則であり、もし余りが出ればそれは不要なものを請求したのだから次年度からその分削られるという仕組みがある、これが原因ではないでしょうか。これでは効果的な予算執行が自主的に行われることは期待できない。予算は大枠であって、実際にはもっと効率的な使い方ができるかもしれないし、現場の努力でより低いコストで結果を出すこともできるはずです。
 このような予算の無駄遣いをなくすための、職員自身のやる気を引き出すシステムが必要ではないでしょうか。例えば、無駄をなくしたらボーナスに反映されるとか、これを検討されてはいかがでしょうか。内閣総理大臣にお聞きいたします。
 会計検査院も、決算の不正やミスを指摘するだけではなく、本来その事業自体が無駄ではないかという問題提起をしております。また一方、事業内容に立ち入ってその業務自体を評価するというのは、本来、総務省及び各省の行政評価システムの仕事であります。また加えて、財務省自身も予算執行状況について調査をしております。これらの連携はうまくいっているのでしょうか。同じ部門に繰り返し別の監査チームが入ること自体は一概に無駄であるとは言えないと思いますが、その総括を別々に発表するのではなく、まとめて発表する方が国民にとって分かりやすいと思います。
 総理、まず特定の事項について、総務省、財務省、会計検査院の総合的な調査報告をすることを検討してはどうか、お伺いいたします。
 また、先日、愛知県津島市の小学校の体育館で文部省予算の文化体験プログラムの一環で日本舞踊、鳴り物などのワークショップを見学いたしました。実際にかつらや衣装を付けてみたり、三味線を演奏したりという実演もあり、子供たちが食い入るように見詰めていたのが印象的でございます。ところが、この事業も三年が過ぎ、来年は大幅に縮小されると心配されております。舞台を行うには裏方が必要であり、実際には国の助成では足りず、費用は持ち出しになっております。総理、伝統文化を大切にする教育の観点からの、このことについての所感をお伺いしたいと思います。
 この機会に、現在最重要課題である少子化対策、子育て支援に関しお聞きいたします。
 安倍総理が進める女性の再チャレンジ施策は、結婚や出産、雇用慣行などにより抑えられている女性の潜在力を引き出し、社会全体を活性化させる大きな効果を期待できます。その中心課題は、出産、子育てへの支援であります。しかし、一般に高齢者対策費は一人当たり約二百四十万円であるのに対し、子供対策は十七万円にすぎないという調査もあります。少子化対策、子育て支援のため、児童・家庭関係給付費の一層の確保について、厚労大臣の御見解を伺います。
 これまで乳児期の子育て支援策は、旧厚生省所管の保育園での乳児保育と、旧労働省所管の育児休業施策が並立しております。しかし、一歳半から二歳ぐらいまでは安心して育児休業を取ることができ、その家庭での子育てを専門家が支える体制を基本とすべきではないでしょうか。保育行政と育児休業の二つの部門を総合的に計画運用する担当部局をつくるとともに、家庭にいる乳幼児を対象とする児童手当乳幼児加算を創設することが必要であります。現在の月五千円をせめて一万円に増額することはできないでしょうか。尾身財務大臣に、本年六月二十日の新しい少子化対策にも盛り込まれた児童手当乳幼児加算に対する財源確保の状況をお聞きします。
 私は、この財源は、国、地方の努力に加え、各企業、産業界の理解を得ることが必要だと思います。そのため、中小企業での育児休業利用者がその期間内も働けたり、現場再復帰しやすい手だてを更に充実し、事業所内保育所への国の施策を新設するなど、企業への子育て支援の国の施策の充実が欠かせません。これらについて厚労大臣にお聞きします。
#19
○議長(扇千景君) 時間が超過しております。
#20
○山本保君(続) 最後に、新しい少子化対策は安倍総理が官房長官時代にまとめられました。総理は、所信表明でも子育て家庭に対する総合的な支援を行うと述べられました。児童手当乳幼児加算創設への総理の決意をお聞きし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山本保議員にお答えをいたします。
 基礎的財政収支の黒字化についてお尋ねがありました。
 我が国財政は極めて厳しい状況にあり、基本方針二〇〇六に沿って歳出歳入一体改革に正面から取り組んでまいります。成長なくして財政再建なしの理念の下、引き続き、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、今後五年間に歳出改革を計画的に実施します。それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進してまいります。
 こうした取組により、二〇一一年度の国、地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を確実に実現してまいりたいと考えております。
 効率的な財政運営についてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げたとおり、基本方針二〇〇六に沿って歳出歳入一体改革に正面から取り組み、歳出削減を徹底することが必要であります。平成十九年度予算編成に当たっても、このような考え方を踏まえ、徹底した歳出削減に取り組むとともに、成長力強化や安全、安心の確保に資する分野への重点化、効率化等を徹底して、めり張りの利いた予算配分を行ってまいります。
 ODAの検査報告に関してお尋ねがありました。
 コンサルタントの不正経理は極めて遺憾な事案であり、当該業者を十八か月間、新規ODA事業から排除する措置等を講じ、また不正請求分の返還を完了しております。インドネシアへの緊急支援については、供与された百四十六億円全額につき昨年十二月までに使途が決定し、現在、着実に支援を実施しております。
 ODA不正経理に関し、抜本的対応についてお尋ねがありました。
 コンサルタントの不正経理については、さきに述べた排除措置等に加え、JICA等が一連の再発防止策を導入済みであり、政府としてもこれらの取組が実効的なものとなるよう適切に指導監督してまいります。今後とも、我が国のODA事業に対する国際的信用を維持し、国民の幅広い御理解を得るため、鋭意取り組んでまいります。
 労働局の不正経理についてお尋ねがありました。
 本件に関しては、厚生労働省において外部専門家が参画した法令遵守体制の整備など、再発防止策の強化を行ったところであり、また、私から全閣僚に対して適正な会計処理の徹底等に率先して取り組むよう改めて指示したところであり、こうした不正経理が二度と生じることのないよう万全を期してまいります。
 自主的な予算削減システムについてお尋ねがありました。
 予算の無駄遣いをなくし、効率的な予算執行を行うべきであるとの御意見は正にそのとおりであり、基本方針二〇〇六等に示された方針に沿い、徹底した歳出の削減、歳出の効率化を行っていく考えであります。そして、そのための工夫に関しましては、引き続き各般の御意見をいただきながら更に検討してまいりたいと考えております。
 会計検査と行政評価に関するお尋ねがありました。
 御指摘の会計検査、行政評価、予算執行調査については、行政の適切かつ効率的な運営を確保するとの共通の観点から、定期的な連絡会の開催による情報交換など、相互の連携を図っているところであり、今後とも一層連携し、効果的な実施に努めてまいります。
 伝統文化の大切さについてお尋ねがありました。
 伝統文化を尊重し、継承発展していくことは、自国の文化に自信と誇りを持ち、世界から尊敬と信頼を得る国を実現するため、欠くことのできないものであります。そのためにも、子供たちの伝統文化体験は重要な施策と考えております。今後とも、スクラップ・アンド・ビルドなど自余の精査も行いながら、効果的、効率的な実施を図ってまいります。
 児童手当の乳幼児加算の創設についてお尋ねがありました。
 児童手当の乳幼児加算については、本年六月に決定された「新しい少子化対策について」の中で、歳出歳入一体改革の中で必要な財源の確保と併せて、平成十九年度予算編成過程において検討することとしております。これを踏まえ、年末に向け必要な検討を進めたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(尾身幸次君) 山本保議員にお答えいたします。
 十七年度決算を十九年度予算編成にどのように活用していくかというお尋ねがございました。
 御指摘のように、これまで歳出改革努力を続けてきた結果、これが十七年度決算において一般歳出や国債発行額の抑制につながっているものと認識しております。十九年度予算編成に当たりましても、十七年度決算に対する各般の御指摘等を踏まえ、これを的確に反映し、めり張りを利かせつつ厳しい歳出削減方針を貫き、財政健全化に向け最大限努力してまいりたいと考えております。
 特別会計の余剰金の活用についてのお尋ねがありました。
 特別会計の余剰金につきましては、行革推進法において、余剰金の縮減等により特別会計全体で十八年度からの五年間で合計約二十兆円程度の財政健全化への寄与を目指すこととされております。また、政府としては、行革推進法に基づき、余剰金の繰越しを始めとした各特別会計の一般会計と異なる取扱いの整理のため、特別会計整理合理化法案を次期通常国会に提出することを予定しております。
 政府といたしましては、この方針にのっとり、今回の会計検査院の御指摘も踏まえつつ、個別の特別会計ごとに余剰金等についてその必要性を精査し、積極的な活用を検討してまいります。
 児童手当の乳幼児加算の財源についてお尋ねがございました。
 ただいま総理が御答弁したとおりでございまして、その方針に沿って、年末に向けて必要な検討を進めてまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣冬柴鐵三君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(冬柴鐵三君) 山本保議員から私に対して、中心市街地活性化プロジェクトについてお尋ねがありました。
 プロジェクトの効果が必ずしも上がっていないという点につきましては御指摘のとおりでありまして、このため、中心市街地活性化法の改正を行い、都市福利施設の整備や町なか居住の推進等を図るとともに、都市機能の適正立地を図る都市計画法等の改正を行ったところであります。
 今後は、会計検査院の報告を踏まえ、改正中心市街地活性化法に基づき、内閣総理大臣による基本計画の認定を受けた地区について政府一丸となって重点的に支援を実施するとともに、各市町村における効果的な取組が行われるように努めてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(柳澤伯夫君) 都道府県労働局におきます不正経理等についてまずお尋ねがございました。
 厚生労働省といたしましては、当初独自の調査を行っておりましたところ、国会での御議論を踏まえ、会計検査院における検査が開始されることとなりまして、それに対して厚労省の調査結果を提出するなどして協力をいたし、事態の把握に努めてきたところであります。
 今般の検査院の全体にわたる報告を受けまして、直ちに関係職員に対する厳正な処分を行うとともに、今後、不正金の速やかな返還であるとか再発防止策の強化に全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、少子化対策の充実についてお尋ねがありました。
 少子化対策につきましては、子ども・子育て応援プランや「新しい少子化対策について」の方針を踏まえまして、来年度の予算編成の中でこれを充実する方向で取り組んでまいりますが、少子化対策としては、働き方の見直しや女性の再就職支援、さらには、国民全体が子供を育てることに喜びを感じられるような意識改革を進めることが必要でありまして、これらを併せ総合的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
 企業への子育て支援策の要請についてのお尋ねがありました。
 厚生労働省といたしましては、子育てをしながら安心して働き続けることができる社会の実現のため、一つ、次世代法に基づく企業の行動計画策定やその実施の促進、二つ、事業所内託児施設の設置運営など従業員の仕事と子育て両立支援を行う企業への助成等に取り組んでおりまして、今後ともこうした取組を推進してまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(扇千景君) 仁比聡平君。
   〔仁比聡平君登壇、拍手〕
#26
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に御質問をいたします。
 まず、理事会の御配慮をいただき、教育について質問をいたします。
 今、いじめにより子供たちが自ら命を絶っています。どうすればいじめや自殺をなくせるのか、未履修問題で問われる本当の学力を保障する高校教育の役割は何なのか、親も先生方も、国民みんなが胸を痛め真剣に考えています。この国民的議論にこたえ、これを真正面から受け止めて徹底審議を尽くすのが国会の責任ではありませんか。
 にもかかわらず、教育基本法改定という、憲法に準ずる法案を与党単独で強行採決した衆議院での暴挙に私は怒りをもって抗議をするものでございます。
 まず、総理に聞きたい。
 政府は今の教育基本法のどこが悪いから変えるというのか、いまだに語られていません。なぜ改正が必要かは一向にはっきりしない、この声に総理はどうこたえるのですか。
 政府案は、愛国心など、あれこれの徳目の強制によって憲法十九条が保障する内心の自由を侵し、今の基本法十条を変えて、国家権力が教育の内容に無制限に介入できるようにし、憲法が保障する教育の自由と自主性を侵すものです。
 総理は、総理が目指す「美しい国、日本」を実現するために教育が必要だ、教育の目的は志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくることにあると繰り返してきました。ですが、総理、子供はあなたの国づくりの道具ではありません。時の政府の人づくりに子供たちを従属させるのではなく、子供たちの成長、発達に応じて、知育、市民道徳、豊かな情操、体育をすべての子供たちのものとし、子供たちが本来持っている様々な可能性を伸ばすことこそ教育の本質です。それは、教師と子供たちとの全人格的営みを通じて行われなければならないものと考えますが、総理、違いますか。明確な答弁を求めます。
 二〇〇五年度決算について質問します。
 政府は、景気は記録的回復だと言いますが、多くの国民にそんな実感はまるでありません。
 本格的な庶民大増税に踏み出した二〇〇五年度予算案に我が党は厳しく反対しました。実際に、五百万人もの高齢者への増税が通知された今年六月から抗議と問い合わせが殺到しています。ある七十歳の男性は、年金は減るのに、ゼロだった住民税が二万二千六百円、国民健康保険料、介護保険料合わせて年に七万二千円もの負担増だ、庶民の暮らしが分かっているのかと怒り、加えての介護や医療の過酷な負担増は、これまで何とか自立してきた高齢世帯をもがけっ縁にまで追い詰めています。総理はこの重大な現実をどのように認識しているのですか。
 小泉構造改革の下で広がった格差と貧困を正すことこそ急務です。ならば、そのために所得の再配分という税制の本来の機能を強化することこそ国の責任ではありませんか。この間進められてきた大企業減税は、これに逆行するものです。高齢者に押し付けられた所得税・住民税増税は年三千九百七十億円、その一方で、財界の要求で導入された連結納税制度だけで、その減税効果はこの四年間、何と一兆三百億円に達しているのです。
 大企業は、これらの優遇措置と、リストラ、雇用の非正規化で人を物のように扱って人件費を削り、今や空前の利益を謳歌しています。大企業のもうけは、〇一年からの四年間でほぼ二倍です。トヨタ自動車がこの九月中間決算までに一兆円の大台に乗せたのを始め、我が国大企業は既に十分な国際競争力を持っている。こういうところにこそ負担能力に見合った応分の負担を求めるのが、総理、当然ではありませんか。
 ところが、財界の強い要請の中、政府税制調査会の本間会長は、これまでも引き下げられてきた法人税の実効税率について、現在の約四〇%を三五%ぐらいまで持っていく必要がある、こう語りました。もしそうなら、二兆円規模の更なる大企業減税になります。総理はこの求めに本当に応じるつもりですか。
 この間、資産格差も急激に広がりました。あるシンクタンクによれば、今や一億円以上の金融資産を持つ大金持ちは八十二万世帯に急増しています。その資産形成の多くを占める株の取引による株式譲渡益、配当への税率は、〇三年からそれまでの半分以下の一〇%に引き下げられていますが、格差を是正するおつもりがあるのなら、この特例措置は直ちに廃止すべきではありませんか。これもまた継続すべきだという声が政府内から聞かれますが、総理の考えをお聞かせいただきたい。
 最後に聞きます。
 大企業減税は参議院選挙前に、消費税大増税は選挙の後に検討する、これほどあからさまな選挙対策はないのではありませんか。格差を広げる庶民大増税を中止し、大企業と大金持ち減税の逆立ちを正すことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 仁比聡平議員にお答えをいたします。
 教育基本法案についてお尋ねがございました。
 戦後、国民のたゆまぬ努力によって教育水準が著しく向上し、教育は我が国社会の発展の原動力となってきました。しかし、その間、社会が豊かになっていく一方、地域社会等の変質や情報のはんらん、核家族化などが進み、我が国の社会や学校、家庭の姿など、教育をめぐる状況が大きく変化してきています。その中で、道徳心、自らを律する精神、公共の精神、国際社会の平和と発展への貢献などについて、今まで以上に教育の基本として重視することが求められております。
 このため、教育基本法を改正し、現行法の普遍的な理念は継承するとともに、新しい時代の教育の基本理念を明確にし、国民の共通理解を図りつつ、社会全体による教育改革を着実に進め、我が国の未来を切り開く教育の実現を目指すことが必要と考えます。政府としては、教育再生に向けた第一歩として、政府提出法案の早期成立を期して取り組んでまいります。
 教育に関する基本認識についてお尋ねがございました。
 教育の目的は、一人一人の個性や能力に応じ、これを可能な限り調和的に発展させること、すなわち人格の完成にあります。また同時に、志ある国民を育て、ひいては品格ある国家、社会をつくることにあると考えております。こうしたことを踏まえ、豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間の育成に向けた教育再生を国政の最重要課題と位置付けて取り組んでまいります。
 定率減税、年金課税の見直し、保険料などの負担増についてお尋ねがありました。
 定率減税は、平成十一年に景気対策として導入された暫定的な税負担の軽減措置であり、平成十八年度税制改正において、こうした導入の経緯や現状の経済状況が導入時に比べ改善していること等を踏まえ、廃止することとしております。
 公的年金等控除の縮小、年金者控除の廃止については、世代間及び高齢者間の公平を図る観点から、高齢者を含め、税金を負担できる能力に応じた負担を求めることとしたものでありますが、本制度改正に当たっては、標準的な年金以下の収入のみで暮らす高齢者世帯には十分配慮しているため、基本的に同水準の給与収入を得ている現役世代よりも軽い税負担となっております。
 税制改正に伴う国民健康保険や介護保険の保険料の負担増については、影響を受けるのは一定以上の収入のある方に限られるものであり、段階的に保険料を引き上げる二年間の激変緩和措置を講じているところであります。
 少子高齢化が進む中、国民が健康や老後に心配なく暮らしていくためには、現役世代、高齢者世代がともに公平に負担を分かち合う税制としていくことが重要であり、今申し上げた制度改正の趣旨等を御理解願います。
 格差是正のための所得再配分機能についてお尋ねがありました。
 年金、医療、生活保護等の社会保障給付による所得再配分効果は近年拡大傾向にあります。今後とも、こうした機能が適切に果たされ、セーフティーネットとして重要な役割を果たしていくためには、制度の持続可能性を高めていくことが必要であり、引き続き制度全般にわたり不断の見直しを進めてまいります。
 また、税制については、今後の抜本的、一体的な改革の議論の中で、再配分機能の在り方についても検討していきたいと考えております。
 企業に対する税制についてお尋ねがありました。
 将来にわたって我が国が発展を続け、国民生活の安定を維持していくためには、イノベーションの力とオープンな姿勢により日本経済に新たな活力を取り入れ、経済成長を持続させていくことが必要であります。現在、政府税制調査会においては、こうした経済全体の活性化の観点から種々の議論が行われていますが、更なる法人税の実効税率引下げの方針を固めたとは聞いておりません。
 いずれにしても、イノベーションを加速させ国際競争力を強化するため税制の果たす役割は重要であり、企業に対する税制の検討に当たっては、税制の健全化と同時にこのような観点にも十分配慮しながら対応してまいります。
 株式譲渡益及び配当に係る優遇税率についてお尋ねがありました。
 上場株式等の譲渡益及び配当については、平成十五年度改正において、当時の株式低迷に対応して、五年間の時限措置として税率を一〇%とする優遇措置が講じられております。こうした上場株式等の譲渡益及び配当の優遇措置については、今後、政府税制調査会での議論も踏まえて、その在り方を検討してまいりたいと考えております。
 法人税減税及び消費税増税についてお尋ねがありました。
 税制については、我が国の二十一世紀における社会経済構造の変化に対応して、各税目が果たすべき役割を見据えた税体系全体の在り方について検討を行い、中長期的視点からの総合的な税制改革を推進していくことが求められております。
 こうした税制改革の中で、喫緊の課題として、我が国経済の国際競争力を強化しその活性化に資する必要があり、企業に対する税制については、競争上ハンディキャップになっているものがないのかどうか、検証していくこととしております。また、歳出削減を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対する安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければならないと考えております。
 現在の諸情勢を勘案すれば、十九年度予算の歳出削減の状況、来年七月ごろに判明する十八年度決算の状況、医療制度改革を踏まえた社会保障給付の実績等を見る必要があり、これらを踏まえて消費税を含む税制改正の本格的、具体的な議論を行うのは、来年秋以降になると考えております。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(扇千景君) 又市征治君。
   〔又市征治君登壇、拍手〕
#29
○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、二〇〇五年度決算審査の開始に当たり、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず、特別会計からの余剰資金の活用について伺ってまいります。
 会計検査院の検査報告は、第四章で国会からの検査要請事項に関する報告を掲載しております。これを見ますと、国の特別会計が保有する決算剰余金四十三兆四千億円、積立金二百一兆四千億円、また繰越額十一兆八千億円及び不用額十兆五千億円などでありまして、ほとんど改まっておりません。この点は、私もこの四年間、一貫して厳しく指摘をしてまいりました。
 特別会計の改革は、小泉改革の中で唯一と言ってよい国民の立場からのまあ評価できる点だろうと思いますが、総理は、小泉改革を継続、加速するとのことでございますけれども、特別会計の余剰なこれら各種の資金をどう国民の暮らしに活用していく御決意か、まず伺っておきたいと思います。
 次に、その活用額についてです。
 前内閣が約束した特別会計からの活用は、来年からあと四年で六兆円としておりますが、これでは改革前の平年度ペースと全く同じでありまして、改革とは全く言えません。会計検査院の指摘を真摯に受け止めるならば、少なくとも二倍以上の活用が可能なはずであります。総理並びに財務大臣の見解を伺いたいと思います。
 また、余剰資金の活用策ですけれども、今年度政府が決めた活用先は、借金返済を優先し、十四兆円のうち十二兆円まで国債整理につぎ込む策でありますけれども、これは財政効果の判断を誤っていると言わねばなりません。
 今日、景気回復を謳歌しているのは大企業だけでありまして、格差は広がり、勤労者の所得は八年連続で低下をしています。そして、国民の暮らしはリストラと医療保険制度の改悪や定率減税の廃止で更に落ち込み続けています。せっかくの毎年数兆円の特別会計資金の活用は、政府と銀行や国債保有者の狭いサークルをくるくる回すんではなくて、一般会計に繰り入れて、乗数効果の高い、広く国民の暮らしに行き渡らせるべきであり、それを通しての増収で借金返済を図っていく、このことが求められているんではありませんか。総理の見解を伺います。
 第四に、在日米軍再編の負担金についてお伺いをいたします。
 グアム移転で約七千億円、再編全体で三兆円を請求されたと報道されたまま、政府はその総額や捻出方法について何一つ国民に説明していません。アメリカのラムズフェルド前国防長官は、この交渉がまとまった今年の四月、額賀前防衛庁長官に、次は防衛庁の省昇格ですねと催促し、また、我が国の軍事費はGDPの四%ですよと、日本に四倍増を求めたと伝えられております。
 そこで、総理並びに財務大臣に伺います。
 湾岸戦争時に戦費を、増税をした悪例がありました。他方で、今、中期防衛計画を削るべきだとの声もあるようであります。我が党は在日米軍の再編強化にも負担にも反対でありますけれども、少なくとも国民に負担総額と財源の捻出方法を明示すべきではありませんか。
 さて、参議院で教育基本法の審議が始まりました。この際、理事会の御協力いただいて、二、三質問をさせていただきたいと思います。
 今、教育と子供の現状は、愛国心や教育バウチャー制を政府が言い出す状況ではないんじゃないでしょうか。
 教育改革タウンミーティング八回のうち五回までがやらせ質問があった、サクラ動員、こんなことに見られるように、政府案に反対とおぼしき申込者は排除をして、金ずくで企業の動員や自治体職員、教育委員会の職員を駆り出して座らせ、これが世論ですよとばかり、小坂前大臣らが国会で政府案の正当化に使ってきたわけであります。正に、官製の偽装ミーティングと言わなければなりません。
 また、子供たちのいじめや自殺について文科省が集計をゼロとしてきたことや、あるいは受験偏重からの単位未履修問題も、文科省は以前から実情を把握していたが何ら対策を打ってこなかった、このことも明らかになりました。文科省自体が教育基本法をないがしろにしてきた結果であることは明らかではありませんか。
 そこで、総理の決断を求めておきたいと思います。
 教育改革を言うなら、まず、この三つの事件の真相、全体像を少なくとも今月中に国民の前に明らかにするように指示をすべきではありませんか。それを抜きにした国会での審議促進は、国民の不信を増幅するだけだと言わねばなりません。
 ところで、総理の国を愛する心とは何でしょうか。この法案で日本の子供に愛させたいという我が国とは、日本国憲法が定めている戦争をしない国でしょうか。それとも、自民党新憲法草案にある自衛軍を持ち、戦争放棄条項を捨てた国なんでしょうか。明確にお答えください。
 また、「他国を尊重し、」という字句もありますが、総理、あなたがもし学校の先生になったとして、子供たちに、日本と朝鮮半島の二つの国、日本人と韓国・朝鮮人の関係の歴史について何をどのように教えたいと思われますか。元ドイツの大統領ワイツゼッカー氏は、自国の戦争責任に触れて、過去に目を閉ざす者は未来にも盲目であると名言を述べましたが、総理の歴史観を是非伺っておきたいと思います。
 以上、二〇〇五年度決算審議開始の皮切りに当たっての代表質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 又市征治議員にお答えいたします。
 特別会計における剰余金等の使い道についてのお尋ねがありました。
 我が国財政は、毎年度、多額の公債発行に依存した予算編成を行わざるを得ず、また、長期債務残高対GDP比が今年度末で一五〇%を超える見込みであるなど、極めて厳しい状況にあります。こうした中で、特別会計における剰余金等については、一般会計への繰入れを行うなどにより国債残高の抑制を図り、できる限り財政健全化に資するよう活用していく必要があると考えております。
 教育基本法案の国会審議の在り方についてお尋ねがございました。
 御指摘のタウンミーティングの調査については、正確を期しながら、可能な限り早期に調査結果をまとめ、かつ公表するよう、既に官房長官を通じて指示しているところであります。
 また、いじめの問題は、文部科学省を始めとして既に様々な方法で対策を講じつつあり、その実態もできる限り公表してきております。
 未履修の問題については、現場の状況を公表するとともに、既に文部科学省において教育委員会等の指導を行いつつあります。
 教育基本法案の国会審議の在り方については国会でお決めいただく事柄であると考えますが、政府としては、教育再生に向けた第一歩として、政府提出法案の早期成立を期して取り組んでまいります。
 国を愛する心についてお尋ねがありました。
 教育基本法案には、教育の目標として、第二条第五号に、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という規定がありますが、この「我が国」とは、国民、国土、伝統、文化などから成る歴史的、文化的な共同体を指すものであります。
 教育基本法案における「他国を尊重し、」との規定についてお尋ねがありました。
 「他国を尊重し、」とは、我が国や郷土を重んじるのと同様に、他の国に対して排他的になることなく尊重することを表現しているものであります。なお、この規定は特定の国を指すものではありません。
 学校教育において他の国との関係について教える場合には、日本とその国との間で歴史や文化がどのようにかかわり合いを持ったかを含めて、過去の歴史的事象について多面的、多角的に考察し、偏らない視点で様々な見方ができるように教えることが重要と考えます。その上で、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて指導することが必要と考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(尾身幸次君) 又市征治議員にお答えいたします。
 特別会計からの余剰資金の活用額についてのお尋ねがありました。
 行革推進法において、すべての特別会計の事務事業について精査の上で、剰余金の縮減等により、十八年度から五年間で合計約二十兆円程度の財政健全化への寄与を目指すこととしております。政府といたしましては、この方針にのっとり、今回の会計検査院の指摘を踏まえつつ、各特別会計の剰余金等について積極的な活用を検討してまいります。
 米軍再編成とその財源の捻出についてお尋ねがありました。
 米軍再編経費について、防衛庁からは、現在、所要の経費を精査しており、厳しい財政事情を踏まえ検討を進めているところと聞いております。このため、米軍再編の経費の財源の取扱いについて、現段階で予断を持って申し上げることは差し控えさしていただきますが、いずれにせよ、政府全体として経費の一層の節減合理化を行う中で、防衛関係費についても更に思い切った合理化、効率化を行い、効率的な防衛力整備に努めるべきものと考えております。(拍手)
#32
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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