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2006/11/29 第165回国会 参議院 参議院会議録情報 第165回国会 本会議 第15号
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2006/11/29 第165回国会 参議院

参議院会議録情報 第165回国会 本会議 第15号

#1
第165回国会 本会議 第15号
平成十八年十一月二十九日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十五号
  平成十八年十一月二十九日
   午前十時開議
 第一 消費生活用製品安全法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、経済上の連携に関する日本国とフィリピン
  共和国との間の協定の締結について承認を求
  めるの件(趣旨説明)
 一、道州制特別区域における広域行政の推進に
  関する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。麻生外務大臣。
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(麻生太郎君) 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨の御説明をさせていただきます。
 この協定は、我が国とフィリピンとの間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を増大させ、ビジネス環境の整備を図り、知的財産の保護を確保し、幅広い分野での協力を促進するものであります。
 具体的には、この協定は、両国における物品及びサービスの貿易障壁を削減、撤廃すること、また、幅広い分野での法的枠組みや協力のための枠組みを設定することを定めております。これは、例えば、投資機会の増大、ビジネス環境の整備、知的財産の保護、反競争的行為の規制、人の移動の円滑化、また、人材育成や中小企業の支援等の分野における協力についてであります。
 この協定は、平成十五年十二月の当時の小泉内閣総理大臣とアロヨ大統領の会談において交渉開始に合意したことを受け、両国政府間で締結交渉を行ってきたものであります。その結果、本年九月九日にヘルシンキにおいて、右両首脳の間でこの協定の署名が行われた次第であります。
 この協定の締結により、両国間の経済上の連携が強化されることを通じて、両国の経済が一段と活性化され、また、両国関係全般が一層緊密となることが期待されております。
 以上が経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。白眞勲君。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕
#7
○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。
 私は、ただいま議題となりました経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定について質問いたします。
 民主党は、アジア地域における相互協力と信頼醸成を進め、FTA、EPAの締結を推進し、農業分野などの貿易面のみならず、人の移動の自由化、エネルギー、環境、教育、保健、犯罪対策など、様々な分野でアジア各国、地域との連携を強化し、アジア地域を不戦地域とすることを各国共通の目標と目指しております。その視点から、まず麻生外務大臣の核保有議論容認論によるフィリピンを始めとしたアジア近隣諸国からの懸念について御質問いたします。
 麻生大臣は、非核三原則は堅持する立場に変わりはないとの前提には立ってはいるものの、核保有の議論を封殺すべきでないと度重なり表明しております。しかしながら、これからも非核三原則を守るのであるならば、核保有、つまり核を持つべきかどうかを議論する必要はないはずです。したがって、麻生大臣の主張は論理矛盾であると言わざるを得ないのであります。
 これは、例えば夫婦間において表現するのなら、妻がこれからも結婚生活は堅持すると言いつつも、私たちの離婚について議論しようと夫に言っているようなものであります。さらに、妻から議論は封殺すべきでありませんと言われたら、言われた夫は返す言葉がないと思います。それを聞いた周囲の人たちは、きっとあの夫婦は仲が良さそうに見えるけど本当は違うんじゃないかと思われるでしょう。夫婦のことは外からでは分からないからなんて勝手な想像をされるに違いありません。
 これと同じようなことを与党の政策責任者や国家の外交の最高責任者である外務大臣が言っているとしても過言ではありません。要するに、かかる発言を重ねているということは、米国を始め、今回の議題となったフィリピンを含め、アジア近隣諸国など国際社会から我が国の方針変更に向けた動きとして疑念を持たれてしまうのであります。また、この種の協定の締結においてもその影響を受ける可能性がゼロではありません。その意味で、今回の発言は厳しくその責任を問われるものであると考えますが、外務大臣のお考えはいかがでしょうか。非核三原則を堅持する立場に変わりはないと言いつつも、核保有議論を封殺すべきでないとおっしゃっている矛盾点について納得いく説明をしつつお答えください。
 特に、北朝鮮の核実験が強行された今日、日本国内でもやられたならやり返せみたいな意見があることは事実です。しかしながら、我が国は決断さえすればすぐにでも核を持つ能力も実力も兼ね備えているのにもかかわらず核を持たないという選択をしたのであって、私たち政治家はもっと知恵を出し合って、外務大臣、それこそあなたが率先して世界にこのことをアピールしつつ、世界平和に貢献すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、世界貿易機関、WTOの新多角的貿易交渉、ドーハ・ラウンドが今年七月末に凍結され、世界的な規模でFTAやEPA締結の動きが加速するとの見方があります。そうした中で開催された今回のアジア太平洋経済協力会議、APECは、大変重要な意味を持つ会議であったと認識しております。特に、今回のAPECで注目されるべきことは、米国から提案されたAPEC加盟二十一か国・地域のアジア太平洋の自由貿易圏構想が提案され、研究に着手することが明記されたことであります。
 私たちは、基本的に二国間FTA、EPAは積極的に進めるべきであるという立場でありますが、今回の米国提案の構想について外務大臣はどのようにお考えになっていますか。さらに、米国との二国間EPA、FTAの締結については今後どうするおつもりなのか、外務大臣、お答えください。
 また、既に中国はASEANと日中韓の十三か国によるFTAを提示しております。我が国も豪州、ニュージーランド、インドも加えた東アジアEPA構想を提唱しており、中国との間で主導権の駆け引きが行われております。この件に関し、日本として今後どのように対処をしていくつもりなのか、外務大臣、お答えください。
 次に、韓国との交渉についてお聞きいたします。
 二〇〇三年当時、日韓FTAについて二〇〇五年内までには実質的に交渉を終了すると首脳会談で合意したのにもかかわらず、二〇〇四年以降交渉が二年も中断、膠着状態に陥っております。これについて日本政府は、韓国側が依然として関税交渉には慎重な姿勢を示しているとしつつ、まずは交渉のテーブルに着くべしとの立場です。これに対し韓国側は、この日本側の立場に対し態度を硬化、韓国側が製造業で損害を被る割には日本側の農水分野での関税撤廃品目が消極的だとし、新たな提案が日本側からないから交渉が中断しているのだと説明しております。
 双方それぞれの言い分が異なる感じがするのですが、日韓FTAの合意に向けて政府はこれからどのようなロードマップで交渉をするつもりなのか、再開に向け粘り強く働き掛けを行うといったような抽象的な答弁ではなく、具体的な方策をお示しください。外務大臣、お答えください。
 今回の日比EPA協定では、日本の国家資格の取得などを条件に看護師と介護福祉士を受け入れるという、日本の労働市場の開放にかかわる内容を初めて盛り込みました。
 ここで一つお聞きしたいのは、我が国がEPA、FTAの交渉をしていく上で、いつも苦境に立たされる最大のポイントは農業分野であるわけで、これすなわち、政府が今まで行ってきた場当たり的でなし崩しの農政により我が国の農業基盤が脆弱になったからに尽きます。これからアジア諸国との交渉を進める上で、農業分野での日本側の不利を打破するための交換条件として、農業を開放する代わりに労働者の受入れをするのであるならば、とんでもないことであります。
 さらに現在、タイを始めとする東南アジア諸国等との間で経済連携協定に係る交渉が進められているようですが、どの国においても労働者の受入れが今後も焦点になってくるように聞いております。
 ところで、柳澤厚生労働大臣は、先日の衆議院本会議で、フィリピン人看護師と介護福祉士の受入れにつきましては、労働力不足対策ではなく、あくまでもフィリピンとの経済連携協定の枠内で例外的、特例的に行うものであると答弁されています。この例外的、特例的という意味は、フィリピンに限って看護師及び介護福祉士の受入れをするのであって、今後締結されるであろうほかの国々に対しては受け入れるつもりはないのかと思ったのですが、現在、フィリピンに次いでインドネシアとのEPAにおいても看護師、介護福祉士を受け入れることに合意し、さらに、観光関連の研修生までもホテル従業員として受け入れるとのことです。この例外的、特例的とはどういう意味なのか、厚生労働大臣、お答えください。
 また、今後もこれら労働者について経済連携協定を絡めて例外的、特例的にどんどん受け入れるつもりがあるのかないのかも併せて厚生労働大臣、そして外務大臣、お答えください。なお、状況を見て総合的に判断するといったような御答弁は勘弁していただき、率直にお答えください。
 今まで政府は、専門的、技術的分野の労働者の受入れについては積極的に推進するが、単純労働者の受入れについては十分慎重に対応するとの立場を取ってまいりました。しかしながら、現実には開発途上国への技術移転のための制度である研修・技能実習制度の導入や日系人労働者の受入れ、多数の不法就労者の存在等により、事実上、安価な労働力として単純労働者を受け入れているとの指摘があります。
 我が国は、製造業における国際競争力の強さを背景に世界有数の経済大国としての地位を占めておりますが、その傍ら、自動車や機械などの基幹産業でさえ、下請も含めた製造工場では外国人労働者が不可欠な存在となっております。もし仮に単純労働を担う外国人労働者の受入れが厳しく制限されることになれば、下請製造業から関連企業へと影響が波及し、人手不足倒産が多発すれば、結果的に日本人労働者の雇用機会の喪失にもつながることが懸念されます。
 一方、我が国における少子高齢化は急速に進展しており、それに伴う将来的な労働力減少も懸念されており、少子化対策が極めて重要な政策課題となっております。しかしながら、この政策効果が現れるまでは時間が掛かるわけで、当面、労働力不足に対してはまずは高齢者や女性の活用等に努めるべきだと考えますが、それでも不足する場合、解決策として外国人の単純労働者の受入れについての議論があると思われます。
 そこで、政府はこの外国人単純労働者の受入れをどうするのか。つまり、受け入れるのか受け入れないのか、もし受け入れないのであるならば、この労働力の減少をどう補うのか、その点に関しどう考えるのか。官房長官、あいまいな答えじゃなく、きちんとお答えいただきたいと思います。
 また、この外国人研修・技能実習制度を利用して来日した外国人のうち、失踪者は五年間で一万九十七人にも上っております。さらに、厚生労働省の平成十五年の推計でも、永住者等を除く我が国で就労する外国人労働者約七十九万人のうち、専門的、技術的分野で働く外国人は十九万人にすぎず、多くは単純労働者として就労していると見ており、政府の方針と実態が乖離している状態です。この外国人研修・技能実習制度とその実態とが懸け離れた現状に対し、政府はこれまでどのような対策を取ってきていたのか、厚生労働大臣、お答えください。
 また現在、政府がこうした矛盾に目をつむっているため、外国人の単純労働者の生活、労災や偽装請負など就労上の問題、地域住民との摩擦等、様々な大変な問題が現実に生じております。日本にいる外国人労働者に対し、政府としてはどのような対策を取ってきていたのか、そしてその取った施策の評価はどうだったのか、厚生労働大臣、お答えください。
 また、この外国人研修制度の抜本的見直しも検討しているとのことですが、制度自体を云々する前に、そもそも、将来我が国の外国人労働者をどうすべきかという根本的な方針が定まらないまま一省庁が検討しても、場当たり的、付け焼き刃的な見直ししかできないと思いますが、官房長官、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
 これらの日本の総合的な労働市場の将来について、この協定との関連性を政府は認識し、考えた上で今回のフィリピンとの協定を結んだのか、それとも何も考えないで協定を締結したのか、外務大臣、お答えください。
 今回の協定では看護師と介護福祉士合わせて一千名を受け入れるわけですが、この方々は入国後に六か月間の日本語研修を実施するとのことです。しかしながら、全く日本語のできない方が来日され、つまり、あいうえおから日本で勉強していただいたとしても、果たして半年の研修でどこまで日本語能力が身に付くのか疑問です。もちろん個人差もあるでしょうが、仮に私ならば、全く知らない言語を半年で必死に勉強した後、その国の言葉で書かれている薬の説明書を読んで一〇〇%理解しろと言われても嫌です。いわんや、日本語は平仮名、片仮名、漢字が入り交じっている言語で、本当に六か月程度で薬の説明書が読めるようになるのか甚だ疑問であります。
 また、会話であっても、例えで言うと、韓国語で心臓はシムジャン、腎臓はシンジャンと言います。このシムジャンとシンジャン、恐らく大抵の日本人には区別が難しいでしょうが、これと同じようなこと、つまり、日本語にもフィリピンの方には分かりにくい言葉が会話で生じる懸念があるわけです。人の生命に直結する問題であるわけで、医療事故防止の観点から事は重大であります。受け入れる病院側も不安ですし、患者はなおさらです。
 そのような不安を少しでも防止させる意味からも、せめて入国の際、日本語検定二級程度の日本語能力を持つ方を条件に来ていただき、こちらで半年の看護、介護や専門用語の研修をするような制度に改めるべきだと思いますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
 フィリピンの看護師は四年制大学の卒業生であり、医療知識や技能の水準では世界で定評があるとのことです。ところが、実際、日本に来ていただいたとしても、日本語能力等の問題で看護や介護の現場には直接入れずに、安価な労働力として研修期間の短期雇いを繰り返されてしまうといった懸念も排除できません。この点について厚生労働大臣の認識はいかがでしょうか。
 既に述べましたとおり、たとえ優秀な海外からの人材を受け入れるとしても、我が国の外国人労働者の受入れ体制などが現状のままであるならば、今後、様々な国との間で締結されるだろう二国間協定により、例外的、特例的に泥縄式に受け入れられた労働者の方々が結果的に安価な労働力として利用されてしまう懸念を払拭することができない現状があり、この状況を一刻も早く解決する必要性があると思います。
 したがいまして、政府は、EPA、FTAの締結に当たり、農業政策の抜本的改革と基盤の強化を行い、国際競争力を高めるとともに、今後の外国人労働者受入れに対する方針の確立を大至急、それこそ議論を封殺させることなく行うことが望まれるものでありますが、官房長官の御認識はいかがでしょうか。
 最後になりますが、EPA、FTAによりアジア内の人、物、お金の往来が盛んになることが、アジアのみならず世界平和の実現に貢献するものであると強く主張しつつ、私の質問を終わります。
 白眞勲でございました。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(麻生太郎君) 白先生から七問いただいております。
 最初に、非核三原則についてのお尋ねがあっております。
 一般論として、国の安全保障の在り方につきましては、それぞれの時代状況、国際情勢などを踏まえた様々な議論があり得、それは外国においても皆同様であろうと存じます。
 ただし、日本の場合は、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの非核三原則を堅持することにつきましては、これまで歴代内閣が累次にわたって明確に表明をされております。この考え方は、アジア諸国を含め既に十分周知されていると考えておりますが、今後もASEAN地域フォーラムなどの枠組み等を通じ、広く地域の信頼醸成を促進してまいります。
 次に、アジア太平洋の自由貿易圏構想についてのお尋ねがありました。
 APECハノイにおきまして、WTO交渉の成功裏の妥結に向けた決意を確認しつつ、長期的展望として、アジア太平洋の自由貿易圏構想を含む地域経済統合の促進方法を研究することとなり、その結果は来年の首脳会議に報告される予定であります。日本としては、本構想をアジア太平洋地域における重層的な取組の一つとして検討することは有意義と考えており、今後、同構想に関する議論に積極的に参加をしていく考えであります。
 続いて、米国との二国間EPA又はFTAの締結に関する方針についてのお尋ねがあっております。
 日米間の経済関係は、貿易や投資はもちろんのことですが、人や情報の往来も含め、全分野において高度に深化したものとなっております。また、経済社会分野の二国間条約や成長のための日米経済パートナーシップなど、現在でも日米関係を更に深化させる枠組みが多く存在しておるのは御存じのとおりです。こうした中で、日米間のEPA又はFTAに関する方針につきましては、現時点では政府として確たる結論があるわけではありません。
 いずれにいたしましても、政府としては、グローバル化がますます進んでいく中、日米双方に利益をもたらす経済関係の更なる発展をもたらすような基盤をどのように整えていくか、様々な方策について積極的かつ現実的に検討することを含め、引き続き真剣に考えていくところであります。
 続いて、東アジア地域における経済連携についてのお尋ねがあっております。
 ASEANと日中韓の十三か国によるFTA構想につきましては、既に民間専門家における研究会が行われたところです。それとは別途、本年夏に日本から、ASEANプラス日中韓プラス豪州、ニュージーランド、インドの十六か国によるEPA構想について、民間専門家による研究を提案をいたしております。
 このような地域的な経済連携に関する様々な構想につき、中長期的なものとして議論することは有益であり、引き続き検討してまいります。一方、現在進行中の交渉を迅速に完了させることが最重要課題であるということは言うまでもありません。
 続いて、日韓経済連携協定についてのお尋ねがあっております。
 日韓経済連携交渉につきましては、交渉の取り進め方について日韓間に意見の相違があり、交渉が中断しておりますのは御存じのとおりです。これまでも日本より韓国に対して、十月の日韓首脳会談の機会も含め、交渉再開を働き掛けてきているところです。
 また、日韓の事務レベルにおいても、日韓の経済関係全般について包括的な話合いを行う日韓ハイレベル経済協議が十二月中旬に予定をされております。こうした機会を通じて、具体的な問題は交渉を通じて解決すべきとの日本の立場を改めて説明するとともに、韓国の立場も改めて聴取する考え方であります。
 次に、経済連携協定における今後の外国人労働者の受入れについてのお尋ねがありました。
 白議員御指摘のとおり、日比経済連携協定は、我が国として初めて看護師及び介護福祉士候補者の受入れにつき規定を設けたものであります。また、日本・インドネシア経済連携協定でも、看護師及び介護福祉士候補者の受入れについて一定の条件の下で約束することで、昨日、両首脳が大筋合意をいたしております。
 他方、今後の経済連携協定における看護師及び介護福祉士候補者を始めとする外国人労働者の扱いについては、相手側が今後どのような要望をしてくるのかなどによる面もありまして、今後の交渉の中で判断をしていく考え方であります。
 最後に、本協定と労働市場の将来との関係についてのお尋ねがあっております。
 今般のフィリピン看護師及び介護福祉士候補者の受入れに当たっては、これらの者の秩序立った受入れを図るとの観点から、受入れ人数枠の数を、総枠を設定しており、これにより労働市場に対して悪影響が及ばないように手当てをされていると存じます。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(柳澤伯夫君) 白眞勲議員にお答え申し上げます。
 まず、衆議院本会議での私の答弁につきましてお尋ねがありました。
 経済連携協定による看護師、介護福祉士の受入れは、労働力の受入れについての基本的な考え方を変えるものではなく、相手国の要望を踏まえつつ、労働市場に悪影響を与えないよう受入れ枠等を設定した上で、例外的、特例的に認められるものであるということを申し上げたものであります。
 次に、今後の経済連携協定による外国人労働者の特例的な受入れについてお尋ねがありました。
 看護師、介護福祉士の経済連携協定による受入れにつきましては、今後においても特例的な受入れとしての位置付けを損なわないよう、労働市場に悪影響が及ばない範囲内で対応することが不可欠であると考えております。
 外国人研修・技能実習制度に係るこれまでの対策についてのお尋ねがありました。
 この制度は国際協力による技能移転を目的としており、この目的に沿った適正な技能実習が行われるよう、財団法人国際研修協力機構、JITCOを通じまして、一、技能実習移行時における研修成果の評価、二、受入れ団体・企業に対する巡回指導、三、すべての受入れ事業場に対する自主点検等を行っているところであります。
 外国人労働者の様々な問題についてお尋ねがありました。
 厚生労働省といたしましては、従来、外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針を策定するなど、適正な就労を促進してきたところでありまして、一定の成果を上げてきたものと考えております。さらに、本年六月には、政府全体として、生活者としての外国人問題について、地域社会との関係、子弟に対する教育等に関して対応を整理し、その一環として、社会保険の加入促進、適正な労働条件の確保に向けた事業所指導等を行うこととしたところであります。今後、こうした取組が一層実効を上げますよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、外国人労働者受入れの基本姿勢等についてお尋ねがありました。
 我が国では、優れた研究者、技術者等の受入れ促進を基本方針としており、その他の分野での外国人労働者の受入れについては、滞在の長期化や定住化に伴う深刻な社会的問題が発生すること等の懸念から慎重に対応することが必要だと考えております。なお、外国人研修・技能実習制度につきましては、実務研修中の法的保護の在り方等について厚生労働省において制度の適正化や在り方について検討を行いまして、今年度中に関係省庁と連携をしながら結論を得てまいりたい、このように考えております。
 フィリピンから入国する看護師・介護福祉士候補者の日本語研修に関するお尋ねがありました。
 看護師候補者については三年、介護福祉士候補者については四年を上限として在留期間が与えられ、その間に日本語により行われる国家試験等を経て国家資格を取得することとされております。すなわち、日本語につきましては、入国後の六か月間の研修だけで終了するのではなく、引き続き行われる病院や施設での就労、研修等の中でも習得していくことが想定されているわけであります。
 最後に、フィリピンの看護師・介護福祉士候補者の労働に関するお尋ねがありました。
 今回のEPAの下での受入れは、国家資格の取得と取得後の就労を目的としており、受け入れる病院や施設においては、国家試験の受験に配慮した適切な研修が行われるよう要件等を示していくことといたしております。また、研修期間中の就労につきましても、日本人と同等以上の報酬を要件とすることといたしておりまして、御懸念のようなことにならないように留意しているところであります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(塩崎恭久君) 白議員にお答え申し上げます。
 まず、単純労働者の受入れ等についてお尋ねがございました。
 単純労働者の受入れにつきましては、まず、若者などの雇用機会を妨げ、労働市場の二層化等の悪影響を生じ、格差是正の妨げになるのではないか、あるいは欧州の例にも見られるように、滞在の長期化や定住化に伴う社会的問題が深刻なものとなるのではないかなどの意見があり、慎重に対応することが必要と考えております。
 また、人口減少下においても労働力人口の減少を相当程度抑えるべく、働く希望を持つすべての若者、女性、高齢者などが就業しやすい環境整備に努めてまいります。
 次に、外国人労働者受入れの基本姿勢等につきましてお尋ねがございました。
 我が国では、優れた研究者、技術者等の高度人材の受入れ促進を基本方針としています。また、その他の分野での外国人労働者の受入れにつきましては、我が国の産業及び国民生活に与える影響等を総合的に勘案しつつ、慎重に検討する必要があると考えております。
 なお、外国人研修・技能実習制度については、実務研修中の法的保護の在り方を含め、制度を適正化すべき等の指摘があることから、これについて、関係省庁が連携しつつ適切に検討を進める必要があると考えております。
 次に、農業の国際競争力と外国人労働者受入れについてのお尋ねでございました。
 経済のグローバル化が進む中で、我が国農業を国際競争力を備えた新世紀にふさわしい戦略産業としていくためには、意欲と能力のある担い手への支援の集中化・重点化、農産物・食品の輸出拡大、それからバイオマスの利用の加速など攻めの姿勢での政策展開、企業を含めた農外からの新規参入の促進など多様な担い手の育成確保など、構造改革を進めてまいりたいと思っております。
 また、今後の外国人労働者の受入れについてのお尋ねでありますけれども、我が国では、優れた研究者、技能者等の高度人材の受入れを促進しつつ、現在受入れを認めていない分野の外国人労働者の受入れにつきましては、滞在の長期化や定住化に伴う社会的問題の発生の懸念等、その問題点もあることから、慎重な検討が必要であると考えております。いずれにいたしましても、様々な見地からの議論が行われることはあり得べきことであると考えております。
 以上でございます。(拍手)
#11
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#12
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
 道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。佐田国務大臣。
   〔国務大臣佐田玄一郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(佐田玄一郎君) ただいま議題となりました道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 市町村の合併の進展による市町村の区域の広域化、経済社会生活圏の広域化、少子高齢化等の経済社会情勢の変化に伴い、北海道地方又は自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方における広域にわたる施策に関する行政、すなわち広域行政を推進することが重要となっております。
 広域行政を推進する上では、現行の都道府県制度を前提としつつも、このような地域的要件を満たす特定広域団体が、国との適切な役割分担及び密接な連携の下に自主的かつ自立的な取組を行い、国はこのような取組を総合的かつ効果的に推進する必要があります。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、将来の道州制導入の検討に資するため、特定広域団体の区域を道州制特別区域として設定し、当該区域において広域行政を推進することにより、地方分権の推進や行政の効率化、北海道地方その他の各地方の自立的発展に寄与しようとするものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、政府は、広域行政の推進に関する基本的な方針である道州制特別区域基本方針を閣議決定により定めるものとしております。
 第二に、広域行政を実施する特定広域団体が、内閣総理大臣に対し、道州制特別区域基本方針の変更についての提案をすることができることとしております。
 第三に、特定広域団体による道州制特別区域計画の作成、道州制特別区域計画に基づく法令の特例措置や工事又は事業に充てられる交付金の交付等の特別の措置を講ずることとしております。
 第四に、広域行政の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣に、内閣総理大臣を本部長とする道州制特別区域推進本部を設置することとしております。
 第五に、平成二十七年度において広域行政の推進に関する制度について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願いを申し上げる次第であります。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小川勝也君。
   〔小川勝也君登壇、拍手〕
#16
○小川勝也君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案のありましたいわゆる道州制特区法案に対し、幾つかの質問をいたします。
 道州制といえば地方分権の究極の形、権限と財源が移譲され、地域の特色を生かしながら地域のことが地域で決めることができ、税金の無駄遣いも起きない。道州制という言葉にはそんなバラ色に似た地方分権の究極の形、そんなイメージさえあります。私たち民主党でも、結党以来、道州制について議論を積み上げ、その方向性を二〇〇〇年の衆議院選挙のマニフェストにも明記いたしました。
 しかし、このたび審議することになった政府提案の法律は、内容、いきさつ、目的、意欲、いずれを取っても道州制の名に値しない悪法と言わざるを得ません。そもそも、我が国の法律のどこを探しても出てこない道州制に特別区域の概念を持たせることは立法論的にもかなり問題があるばかりか、国民の立法府に対する信頼を低下させる大きな原因になるおそれさえあります。
 まず、お伺いいたします。この法律における道州制及び道州制特別区域とは何か教えてください。
 私は、道州制という崇高な理念を、特区法案の審議のために適当な文言をつくり答弁されることに大きな憤りさえ感じます。また、この法律が成立すれば、将来、真の道州制を導入するときの大きな妨げになることも大きな懸念材料です。
 そもそもこの法律は、見栄えを重んじ中身を問わない時の権力者の一声からスタートしたと言われています。それを聞いた北海道知事も寝耳に水。時あたかも北海道では、全国一律の市町村合併の問題のほかに、独自の支庁再編問題で全く余裕のない時期でありました。渋る北海道庁に対し、与党の実力者が様々な働き掛けをしながら議論が推移してまいりました。道庁にとっても財政が厳しい中ですから、権限はもちろん、少しでも自主的に使える財源が欲しいので前向きの話になってまいりました。
 しかし、北海道庁が与えられた権限は期待とは裏腹にほんの少しで、そのうちに増やすからという約束手形を後生大事に抱えてのスタートというのが現状だろうと拝察するものであります。
 法案作成段階で北海道からどんな要望があったのか、また、権限を移譲することに対する各省庁の大きな抵抗があったことが漏れ伝わってまいりましたが、どんな御苦労があったか、教えていただきたい。
 この法律案は、先ほど述べたように、北海道庁の行政エリアと多くの国の支分部局の統括エリアが同一であることに着目した、時の権力者の気まぐれなツルの一声、思い付きで始まった議論で、当初準備されていたのは当然北海道の特区法案でした。ところが、ふたを開けてみると、出てきたのは現在の三以上の都府県を含めた法律案。このことは憲法第九十五条をクリアするためだったと拝察できます。
 憲法九十五条は、一つの地方公共団体にのみ適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民投票においてその過半数の同意を得なければ、国会はこれを制定することができないと定めております。
 当初議論されていた案から本法律案に替わったいきさつを、憲法第九十五条の問題をクリアするという観点から御答弁を願います。
 また、本法律案に替わっても、その実態から住民投票を必要とするという専門家の意見も多数ありますが、どう弁明されるおつもりでしょうか、伺います。
 さて、小泉政権以降、すべてを経済効率で測る風潮がはびこっているようでありますが、本法案は行政及び地方自治の在り方に一石を投じています。国、都道府県、市町村、どんな行政スタイルが最も税金の無駄遣いがなく、より良いサービスを提供できるかを議論することは重要です。
 まず、総務大臣にお答えをいただきますが、平成の合併の総括についてです。三千三百余りあった市町村が千八百余りになりました。サービスの質等は後の議論を待たなければなりませんが、財政的縮減効果について可能な範囲で御答弁願います。
 当然、次は都道府県の合併かということになりますが、この法律の趣旨にそれを推進するという意味が含まれるのかどうか、その実現性を踏まえて御答弁をいただきます。また、総務大臣からは、その経費縮減効果の予測についてもお答えをいただきたいと思います。
 もし仮に都府県の合併をも促進させようということになると、権限、財源を中央から地方に移譲しようとする立法趣旨を更なる地方行革にすり替える、正に頭脳明晰な霞が関官僚による換骨奪胎になってしまうでしょう。
 この法律への国民的関心は余り高くないと認識しています。ましてや、都府県合併にインセンティブを与えようとするならば、ほかの知事の方々にとって、北海道がうらやましくてしようがないという内容にしなければならなかったはずです。
 しかしながら、唯一の直接利害関係者である北海道民の理解さえも残念ながら大変低い。民主党北海道は、今年五月に市町村長を対象にアンケート調査を実施いたしました。道内百八十自治体のうち百三十九市町村長からお答えをいただきましたが、実は内容を余り理解していないと思われる答えが大変多いという結果が出ました。北海道庁もいろんな何とかミーティングのようなもので理解を求めようとした形跡はあるのですが、自治体の市長、町村長さんでさえ余り理解していないのに、一般道民にとってはなおさら理解できないのでしょう。
 肝心の北海道民が法案への理解度に対していかなる認識を持っておられるのでしょうか。私が意見を聞いた範囲では、分かりにくい、どう変わるのかが分からない、権限は今のままでいいから使う金の額が大事だなど、反応は様々です。
 また、多くの人の危惧は、この法律案が北海道だけを対象とした行革ではないかという懸念です。実のところはどうなのか、本音をお伺いしたいと思います。
 今、道民の多くが関心を持っている課題は財政破綻に陥った夕張問題です。様々な理由があるにせよ、国の制度があそこまで夕張市民の生活を苦しめるのかという思いが強いということでもあります。北海道の財政状況も、なおかつ道内のほとんどの自治体財政も大変厳しい状況にあるからです。自治体関係者からも、夕張問題は夕張市だけの問題ではない、このままの制度と交付税削減が続くと、あとは時期と順番の問題だといううめき声さえ出るほどです。
 数日前の北海道新聞のコラムにこんな記述もありました。北海道拓殖銀行が都市銀行で初めて破綻したとき、救済策の枠組みはなかった。道内経済は大変な影響を受けた。金融システムに動揺が広がると、大手行に公的資金が注入され不良債権が処理された。今銀行は最高の利益を出す。あのとき政府は無策で、北海道は実験台となった。今も夕張は崩壊しても構わないと言わんばかりだ。地域を切り捨て住民をふるさとから追い立てるのでは、政治とは虚無にすぎないと。
 今、夕張は国からの指導を受け、再建計画を作り住民に説明をしている最中です。七校、四校あった小中学校をそれぞれ一校とする、保育料の大幅アップ、図書館と美術館の休止、養護老人ホームの廃止、市立病院の新規入院なしなどの内容が盛り込まれ、住み続けることが困難な再建策となっています。かなり厳しい内容ですが、北海道新聞社のコラムニストが筆を持った理由は、菅総務大臣の、厳しいことも必要と述べた一言に対してでした。
 夕張が国の指導どおり財政を再建しても、人口が現在の半分以下、最盛期の五%以下になります。かつて夕張は、国策にのっとって黒いダイヤと呼ばれた石炭を産出して戦後の日本経済を支え、石油へのエネルギー政策の転換によって衰退を余儀なくされた町です。人口は最盛期の十分の一。今また、今回の再建策で夕張を出ていかなければならない人の中には、かつて国策で仕事を奪われた人とその家族が含まれていることは言うまでもありません。
 どの自治体に住んでいるかということで生活に大きな差が出ることを憲法や地方自治法が想定しているでしょうか。いつから私たちの国日本は国民にそんなに冷たい仕打ちができる国になったのですか。お答えをいただきたい。是非、総務大臣、夕張市に行って直接市民の話を聞いてください。可能な措置を考えてください。北海道における道州制特別区域は実験台なのでしょうか。
 かつて自民党政治の重要な理念に、国土の均衡ある発展という一言がありました。過度の利益誘導合戦が行われ、予算、補助金の獲得や公共事業そのものが正に政治そのものになってしまったなどは反省点です。しかし、ふるさとを田舎に持つ私にとっては好きな言葉でした。
 国が景気対策、公共投資と称し、地方を唆し、過度の社会資本整備をさせ、その結果、地方財政は逼迫しました。バブル崩壊後、社会資本整備のスピードはかなりダウンしました。北海道は、青函トンネルができていてもいまだに本州と自動車が行き来できないばかりか、新幹線も通っていなく、高速道路網も細切れです。その間、施策は経済効率優先となり、東京一極再集中が進んでいます。そのことによって、地方分権や道州制が意図する地方の産業の育成や特色ある地域づくりなどの将来像が見えにくくなっています。
 地方の自立、競争、責任という考え方は正しい方向ですが、そのための前提条件の整備、猶予期間や準備期間が必要です。また、地方分権を進めるならば、税財源の配分、財政調整機能の充実が必要なのは言うまでもありません。安倍政権のビジョンを示してください。
 北海道は財政問題のほかに、医師、看護師不足、そのほかの要因、あるいは政府の故意によって地域医療が深刻な状況に陥っている地域が幾つかあります。医療にアクセスする国民の権利について、厚生労働大臣の答弁を求めたいと思います。
 また、国の補助金等の施策の中に、負担率が都道府県何%、市町村何%というメニューが多々あります。北海道では、国が用意したメニューを見て、負担額が捻出できずにため息をついています。市町村に責任はありません。農業の新政策、災害復旧などについても同様であります。
 三位一体の改革で日干し状態の北海道は、一都道府県として道民に役割を果たし得ない状況の中でこのまま権限と責任を北海道が持つことになれば、市町村の窮状も北海道の責任で国は関係ないという流れが見えるような気がいたします。私の杞憂であると有り難いのですが、総務大臣からの答弁をお願い申し上げます。
 正に格差社会。個人も地域も、そして住んでいる自治体間においても。
 もう一つ、私たちの国にとって大きな課題は少子化です。二〇〇七年問題、すなわち団塊世代の大量退職期を目前に控えた今、国際的な立場で日本の経済力を維持しようとすれば、労働力を経済効率の良い地域に集中させなければなりません。東京から愛知県にかけてを黄金のベルト地帯と呼ぶ人もあるようですが、それ以外の地域は、今ある統計以上に高齢化が進むことになります。
 北海道も代表的な若者流出県ですが、当然、北海道からだけではありません。競争力のある産業の有無でその程度は変わってきますが、さらに、政府の農業政策で農業人口が激減することが目に見えています。今、正に超高齢社会に向かっていく地方をどうするかが大きな課題です。高齢化率五〇%になると、限界集落といって地域コミュニティーが維持できないと言われています。また、介護保険関連の様々な施策もマンパワー不足に陥ってきます。フィリピンから看護師さんに来てもらうくらいでは到底賄えないわけであります。
 これから進行する超高齢社会における地域医療、介護福祉政策についての柳澤厚生労働大臣の見解を伺います。こういう視点からの国づくり、地方の在り方について担当大臣にお伺いをいたします。
 また、総務大臣からは、新型交付税のこの点についての考慮を含め、御答弁をいただきたいと思います。
 議場内のすべての皆さんが気付いているとおり、地域間の格差が広がっています。そして、そのとおりの人口移動が進んでいます。農村から地方都市、県庁所在地へ、そして大都会へ。そして、衆議院の選挙区は人口割りです。すなわち、都市選挙区の割合が圧倒的に高いのです。目先の利益を追求するのではない、長期的な視点に立った国土政策、地方政策、農林漁業政策こそ参議院の役割だと考えます。
 日本は、言われているとおり、明治以来の官僚制が色濃く残った官僚制中央集権国家でございました。今、財政危機を理由にそのツケを地方自治体に押し付けています。国民的人気を誇った前総理でさえ、官僚の既得権益の壁を打ち破ることができませんでした。乾いたぞうきんを絞るように行革と節約を繰り返した町長の言葉が耳から離れません。国の役所にもやってほしいという言葉です。正にそのとおりです。特殊法人、公益法人、外郭団体、天下り、そして特別会計など。
 大臣、無理を承知で申し上げますが、国でなければどうしてもできない仕事をピックアップして精査していく、だれが考えても分かりそうなことをどうしてやらないんですか。
 変なきっかけから二転三転して取り繕っても、いい法律はできません。ましてや、今回の分権の名に値しない権限移譲は後世に禍根を残す、また、抵抗官僚の思うつぼになるおそれはないですか。
#17
○議長(扇千景君) 小川君、時間が超過しております。簡単に願います。
#18
○小川勝也君(続) 私は、この法律が地方分権の第一歩とは到底認められません。小泉政権から受け継いだ、地方切捨て、地域切捨て、格差社会進行内閣に真の地方分権ができるわけはないのです。
#19
○議長(扇千景君) 簡単に願います。
#20
○小川勝也君(続) 分権型国家の建設及び真の道州制導入は民主党政権にお任せください。立法趣旨的にもあいまいであり、地方自治に対する権限・財源移譲も不十分、不明確な……
#21
○議長(扇千景君) 小川君、超過しております。
#22
○小川勝也君(続) ましてや、地域住民の誤解と不安を与えるこの法律案を参議院が成立させるべきではないことを再度訴えて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣佐田玄一郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(佐田玄一郎君) 小川先生にお答えさせていただきます。
 本法案における道州制と道州制特別区域の定義についてのお尋ねがありました。
 道州制については、第二十八次地方制度調査会の答申では、国と基礎自治体の間に位置する広域自治体の在り方を見直すことによって、国と地方の双方の政府を再構築しようとするものでありまして、現在の都道府県に代えて道又は州を置くものであるとされております。
 これに対し、本法案における道州制特別区域は、現行の都道府県制度を前提としつつ、将来の道州制導入の検討に資するため、北海道地方等の区域を国の権限移譲等の特別措置を講ずる区域として設定するものであります。
 本法案作成段階における北海道からの要望、権限移譲に対する各省庁の抵抗についてのお尋ねがございました。
 道州制特区については、平成十五年十二月に経済財政諮問会議において北海道高橋知事から道州制を展望した北海道からの提案を説明いただき、さらに、平成十六年には具体的な提案があったことを踏まえ、北海道からの提案に基づいて政府として検討を進めてきたものであります。本年二月以降は、政府部内等における関係省庁との必要な調整を行った上で、さきの通常国会において法案を提出したところでございます。
 憲法第九十五条問題をクリアするために法律を変更したのではないかとのお尋ねがありました。
 本法案は、現行の地方自治法上、本法案に規定する特定広域団体の要件に該当するような都道府県が今後出てくることもあり得ること、また、北海道以外の都府県がその要件に該当する場合に対象外とする合理的な理由はないことから、一般的に適用される法律として構成したものであり、憲法第九十五条の適用を避けるためではありません。
 本法案でも憲法第九十五条の住民投票が必要ではないかとのお尋ねがありました。
 憲法第九十五条に基づく住民投票の要否は最終的には国会が判断するものでありますけれども、政府としては、本法案は特定の地方公共団体のみに適用されるものではなく、一般的に適用されるものであり、憲法第九十五条に規定する一の地方公共団体のみに適用される特別法には該当せず、住民投票は不要であると考えておるところであります。
 本法案の趣旨に都道府県合併の推進が含まれるのかとのお尋ねがありました。
 本法案は、将来の道州制導入の検討に資するため、北海道地方等の区域において広域行政の推進を図ることを目的とするものであります。これまでも全国知事会から緊急アピールが出されるなど、北海道以外の地域でも本法案や道州制に対する関心は高いものと考えており、今後、都府県レベルでの合併が出てくることを期待しておる次第であります。
 北海道民の本法案への理解度についてお尋ねがありました。
 北海道においては、道庁等が平成十六、十七、十八年度に道内全市町村や道民等との道州制特区に関する意見交換会を延べ四百回以上開催するとともに、道議会においても活発な議論が行われたと聞いております。こうした議論を踏まえつつも北海道から提案等がなされ、これを基に政府として検討し、本法案を提出するに至ったものであり、道民にも一定の理解が進んできているものと考えておる次第であります。
 本法案は北海道だけを対象とした行革ではないかとのお尋ねがありました。
 本法案は、北海道だけに限定されない特定広域団体から提案を受けて、国から特定広域団体への権限移譲などの特別の措置を講ずるものであり、将来の道州制導入に対する国民的な議論の深まりやその検討に資するものであります。
 なお、行政改革という観点からは、今後この法律による事務事業の移譲が進む結果として、国の地方支分部局のスリム化といった行政の効率化につながることがあるものと理解をしております。
 北海道における道州制特別区域は実験台なのかとのお尋ねがありました。
 北海道地方は、国土の約五分の一を占める広域の地域であること、そしてまた自然、経済、社会、文化等の独自の地方を形成していること、またその区域が国のブロック機関の管轄区域とおおむね一致しており、広域の見地から既に一定の施策を行っていること等の理由により、将来の道州制導入の検討に資するため、広域行政の推進を図る観点から、国から事務事業の移譲を進める区域としてふさわしいものと考えておる次第であります。
 なお、法案の対象は北海道に限定されておらず、北海道以外の都府県が一定の要件に該当する場合には同様に対象になるものであります。
 超高齢社会における地方の在り方についてのお尋ねがありました。
 地方においては、人口減少や高齢化などのため集落の維持が困難になりつつある地域が生じており、地域の活力を維持していく上で大きな課題であると認識しております。地域活性化のためには、各地域それぞれの知恵と工夫を生かした取組を政府一体となって後押ししていくことが何よりも重要と考えており、このために、関係閣僚会議において、地域活性化策に関する政府の取組が取りまとめられたところであります。
 今後とも、地域住民が安心して生活できるよう、関係省庁の連携を取りながら必要な施策を講じていく考えであります。
 国の行政改革についてのお尋ねがありました。
 簡素で効率的な政府の実現を目指すため、行政改革の重点分野の行革の基本方針と関連諸制度の改革との連携等を定めた行政改革推進法がさきの通常国会において成立したところでございます。これに沿って、事務及び事業の精査を踏まえ、総人件費の改革や政府関係法人の改革、公益法人制度の改革、退職管理の適正化を含めた公務員制度改革などに取り組んでまいります。このような取組により、中央省庁においても大胆な改革を進めているところでございます。
 本法案には、権限移譲は後世に禍根を残すのではないか、抵抗官僚の思うつぼになるおそれがあるのではないかとの御意見がございました。
 本法案では、特定広域団体が、国からの権限の移譲等について基本方針の変更という形で内閣総理大臣に提案することができることとしております。この基本方針の変更提案については、内閣総理大臣を本部長とし、すべての国務大臣を本部員とする道州制特別区域推進本部において総理のリーダーシップの下、検討することとしており、地方分権の推進等の観点から、北海道からの提案の趣旨を十分に尊重して検討を行い、道州制に向けた先行的な取組となるよう進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(菅義偉君) お答えをいたします。
 初めに、平成の合併の財政的縮減効果についてのお尋ねがありました。
 市町村の三役及び議会の議員が約二万一千名減少することにより、当面、年間約千二百億円の効率化が図られる見込みであります。また、おおむね合併後十年を経過する二〇一六年度以降におきましては、人件費の削減等により年間約一・八兆円の効率化が図られるものと推計をしているところであります。
 次に、都道府県合併による経費削減効果についてのお尋ねがありました。
 都道府県合併による経費削減効果については具体的な数値をお示しすることはできませんが、都道府県合併が行われる場合には、一般的に、既存の組織の統合などにより相当の行政経費の削減が図られるものと考えております。
 次に、夕張市の財政再建に関して三点のお尋ねがありました。
 財政再建に当たっては、地方公共団体は、法令に定められた事務など、住民に対する基礎的な行政サービスの提供を続けていくことが前提になっております。夕張市におきましても、このことは前提としつつ、市が抱える多額の赤字を解消するために、行政サービスを最も効率的に提供する市町村の取組を参考にするなど、歳出削減、歳入確保の両面から徹底した行政運営の見直しを検討していると理解をいたしております。
 今後、夕張市が財政再建計画の具体的な検討を進めていくことになりますが、北海道を通じ、よく内容を伺い、早期かつ確実な財政再建の道筋が示されるよう、総務省としても適切に対応をしてまいります。
 次に、地方の税財源等に関するビジョンについてお尋ねがありました。
 今国会で成立を目指しています地方分権改革推進法案の中で、国と地方の税源配分の見直しなど地方税財源を充実する方向で検討を進めていくことといたしております。
 また、御指摘のように、地方の努力だけで活性化が難しい地域が存在することも十分承知をしております。こうした地域に対しては、財政の格差を調整し、一定水準の行政サービスを確保できるよう必要な交付税を確保してまいります。
 次に、本法案が国の責任を回避する布石ではないかというお尋ねがございました。
 近年、厳しい財政状況を踏まえ、公共事業を中心に徹底した歳出抑制に努めてまいりましたが、北海道は地域経済の公共事業への依存度が高いこともあり、特に厳しい対応が迫られたものと考えております。
 本法案は、地方分権を推進をし、地方の自立的発展に寄与することを目的としており、御懸念のような国の責任回避の布石といったものではありません。今後も、北海道を含め、全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを確保できるよう、交付税の一般財源総額を確保してまいります。
 最後に、新型交付税についてお尋ねがありました。
 新型交付税は、国の基準付けがない、あるいは弱い行政分野に導入することといたしております。このため、地域医療や介護保険など、法令により地方に一定の基準付けをしている事務事業の財政需要については、現行の交付税の算定を通じて的確に財源保障することとしており、地方公共団体の財政運営に支障が生じることがないように対処してまいります。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(柳澤伯夫君) 小川勝也議員の質疑に対してお答えを申し上げます。
 地域の医療におけるアクセスについてまずお尋ねがございました。
 国民がそれぞれの地域において必要な医療を受けられるということは、極めて重要なことであると認識をいたしております。このため、国におきましては、累次にわたってへき地保健医療対策を定めまして、へき地診療所の整備など、へき地における必要な医療の確保に取り組んでいるところであります。また、本年八月、新医師確保総合対策を取りまとめまして、都道府県の地域医療対策協議会の活用などによりまして必要な施策を展開しよう、推進しようとしているところであります。
 次に、超高齢社会における地域医療、介護施策についてお尋ねがありました。
 地域の実情に応じて、病気の急性期から回復期を経て在宅に至るまで一貫した医療を受けられる体制が重要だと考えております。このため、医療機関の役割を機能に応じて明確化し、その間の医療連携体制を構築していくことを考えておるところです。
 また、介護につきましても、住み慣れた地域で高齢者の方々を支えられるよう、地域包括支援センターを中心といたしまして、ボランティアなどの様々な社会資源の活用を図る地域ケア体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
#26
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#27
○議長(扇千景君) 日程第一 消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長伊達忠一君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔伊達忠一君登壇、拍手〕
#28
○伊達忠一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国民が日々の生活で用いる製品の安全性を確保するため、製造事業者及び輸入事業者が重大な製品事故が発生したことを知ったときは主務大臣への報告を義務付けるとともに、製品の名称、事故の内容等を主務大臣が公表する措置等を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、鋭意審査を行うとともに、去る十四日に独立行政法人国民生活センターの実情を視察し、また、二十一日には参考人から意見の聴取を行いました。
 委員会においては、一連の製品事故における経済産業省の対応とその責任、報告を義務化する範囲を重大製品事故に限定する理由、今後の事故情報収集体制の整備における課題等の諸問題について質疑が行われました。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、報告を申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#29
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#30
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#31
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十七  
  賛成            二百十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#32
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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