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1947/06/09 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第59号
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1947/06/09 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第59号

#1
第002回国会 本会議 第59号
昭和二十三年六月九日(水曜日)
    午後二時五分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第五十五号
  昭和二十三年六月九日(水曜日)
 一 國務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 大藏大臣の財政演説に対する質疑に入ります。順次発言を許します。植原悦二郎君。
    〔植原悦二郎君登壇〕
#4
○植原悦二郎君 申すまでもなく、芦田内閣成立後すでに四箇月有余を経過いたしております。にもかかわらず國民は、その政治、その政策の実体について、未だ何ものをも把握することができません。(拍手)もちろん、芦田内閣は民主、社会、國民協同党の三派の政策協定を基盤として組織されたものであることは、天下周知の事実であります。しかも芦田首相は、内閣成立以來南船北馬、もつばら外資導入を宣傳し、もしくは各地の補欠選挙の應援に東奔西走して席の温まるいとまのなかつたことも、世間一般に承知いたしておるところであります。御承知のごとく、わが國の会計年度は本年の四月より來年の三月までであります。從つて、二月に成立せし芦田内閣は、何をさておいてもまず予算案の編成に没頭し、晝夜兼行、速やかにこれを完成し、その政策を國民に明示し、もつて國家の向うところを知らしめればならぬのであります。これは眞に國家・國民を思う政治家の当然の任務であり、かつ責任であります。しかるに芦田首相は、さらにこの挙に出でずして、荏苒四箇月を経過し、四、五、六の三箇月間、暫定予算によりて國政を糊塗し、まつたく政治の空白を生ぜしめたのであります。
 思うに芦田首相は、三派政策協定の無理なることを十分承知しておられるのでありましよう。そうして、忠実にこれを実行しようとすれば、内閣の薄命をも危險ならしむるおそれがある。(拍手)それゆえに、これまでつとめてこれに触れることを忌避し、内閣延命策のために、ただ時をかせぐべく今日に至つたのではありますまいか。その無責任につき、かく言われても、おそらく芦田首相は弁解の辞をもたぬでありましよう。私はここに、芦田首相のしばしばなされた宣傳声明と、いわゆる三派の政策協定と、ただいま問題となつている予算案とをにらみ合わせ、あえて数箇條の質疑を試みようとするのであります。
 芦田首相は、各地の演説または講演において、かく述べられている。芦田内閣ほど成立当時不評判の内閣は、未だかつて存在したことはない、しかし、これは不評判のどん底なのである、これから外資を導入し、経済産業の復興をはかり、國家再建の基礎をつくれば、漸次評判のよい内閣になることは疑いないと、芦田首相は、外資導入は芦田内閣の一枚看板であるかのように、過去四箇月間、到るところにおいて、宣傳されたのであります。
 そこで、芦田首相の外資と唱えられしものは、もつぱら琉球、朝鮮、日本等に向けられている米國の四億二千余万ドルの救済資金と、最近米國下院歳出委員会によつて否決された対日韓経済復興援助資金たる一億五千万ドルのみを意味するものであるのかどうか。それとも、主として民間人の外資導入を意味するのでありましようか、どうでしようか。前者は、主として米國政府の世界政策の一環中における極東政策に基く、わが國に対する外資にほかならぬのであります。これと異なり、われわれのいわゆる外資と称うるものは、米國政府の政策に因由するものではありません。われわれの重要視する外資は、わが國の國内における事情及び政府の政策によつて導入せらるべきものを意味するのであつて、かかる外資の導入には、わが國の受入態勢を整うることが実際先決問題であると思われます。芦田首相は、外資導入によつて芦田内閣の不人氣は一氣に回復されるものと、口癖のやうに宣傳されたのでありますが、芦田首相はこれに対して、國内態勢を整えるためにはたしていかなる政策をとられたのか、まだとられようとするのであるか、これを伺いたいのであります。
 外資導入に対し國内態勢を整えるについては、種々なる手段方法を講じなければなるまいと思います。為替レートの設定は別問題としても、少くともまず第一に労資の調整をはかり、企業に安定性を與えることが必要でありましよう。また法人税に関し、外資導入を容易ならしめるよう、ある種の改正を企つることも考えねばなりますまい。戰前における國際の事務についても考慮を要すると思われます。また経済力集中排除法案に関しても再檢討が必要ではありますまいか。さらに実質的に眞にバランスのとれた財政政策の設定が絶対必要條件であります。これらに対し、芦田首相ははたして何をなされたのであるか、これについて芦田首相の明確なるお答えを要求するのであります。
 私は、さらに芦田首相に伺いたい。芦田首相は、軍事公債の利拂停止などを実行し、はたして外資が導入し得られると思われているかどうかであります。芦田君の御承知でありますように、英米人ほどコントラクトの神聖を尊重するものはありません。軍事公債といえども、政府とその所有者との間における一種のコントラクトである。その支拂條件を、政府の一方的意思によつて自由に変更し得るような政治の状態において、米國人が日本に対して、はたして資本を投下し、または企案を計画するというがごときこがありましようか。芦田首相は、これを何と考えられているか、明確なる答弁を要求するのであります。それのみではない。元來米國人は、概して社会主義や、極端な統制経済や、計画経済は、大きらいな國民であります。極端な統制経済を実行したり、石炭國管をやつたり、電力國有や肥料、製鉄の國管を唱えておつて、外資導入を主張しても、これは容易に実現し得られることではないとわれわれは信ずるのであります。これでも芦田首相は、芦田内閣のもと外資が導入できると思つておられるかどうか。私は、これに対しても明瞭なお答えを要求するものであります。
 私は、なおこの際軍事公債の利拂停止問題に関し、芦田首相及び北村藏相に対して、どうしても質しておかねばならぬことがあります。さる五日の暫定予算審議の際、芦田首相及び北村藏相の両者は、軍事公債に関する社会党との協定は、軍事公債の利拂を停止するということであつたと明言されたのであります。その結果でありましようか、ただいま問題の本予算案は、軍事公債利拂を一箇年延期することに計上されているが、芦田、北村両相は、これによつて社会党との公約はすべて実行済みだと思われておるのでありましようか。社会党との公約は、單に軍事公債利拂は一箇年延期するというのでありましたのでしようか。またそれとも、その公債に対するすべての利拂を停止せしめるのであつたのでありましようか。北村藏相の最近の口吻によれば、これは本年度だけの延期で、その後はやらぬのだというように聽きとれたが、はたしてそれが社会党との公約かどうか。五月の暫定予算審議の際は、そうは言われておりません。これはどちらがほんとうなのであるか。この際、両相によつてこれを明確に答弁されたいのであります。財政計画上、またわが國の財界安定のためにも、これを明瞭にしておく必要があるのであります。
 なお外資導入問題に関連して、健全財政につき藏相の所見を質しておきたいのであります。藏相は、本年度の予算は健全財政だと盛んに吹聽しておられますが、藏相の健全財政とは、單に歳入歳出のつじつまだけを合わせたものでさえあればそれでよい、あえてその実質は問うところでないと言われるのであるかどうか。われわれが健全財政と称うるものは、少くとも赤字を克服したもの、または克服し得ると見透しのついたものでなければならないのであります。
 本年度の予算は、中央・地方を通じて約六千億、そのうち、中央政府の地方分與金や赤字によつてようやく收支のつじつまを合わせている約二千億の地方財政はしばらくこれをおき、約四千億による中央政府の予算についても、鉄道運賃の三倍半、通信料金の四倍引上げというごとき、過重の負担を國民に課しているにもかかわらず、なお鉄道及び通信特別会計において、約百三十億という赤字が出ているのであります。そうして、いつこれが克服され得るという見透しは全然ない。かつまた、予算と物價との相互均衡をはからんとして五百十五億という巨額の價格調整費を計上されていますが、はたして賃金三千七百円ベース、公價七割値上りを維持できるかどうか、はなはだ疑問であります。のみならず藏相は、この際追加予算は必ず提出しないと保障し得るかどうか。これらを考慮しても、藏相は本予算案を健全財政の表現なりと主張し得るかどうか。われわれの見解をもつてすれぼ、本予算は單なるバランスド・バジエツトであつて、健全財政とはすこぶる縁遠いものと思われますが、藏相はあえてこれをしも否定する勇氣ありや否やを質しておきたいのであります。
 さらに、政府に対して質しておきたいことは、惡性インフレ防止の問題であります。今日何人が政局に立つても、わが國國家再建のために絶対必要なる政策の一つは、インフレ防止の対策であります。藏相は、本予算によつてインフレの高進が緩慢化されると主張しておられますが、私はむしろ、その逆であると信ずるのであります。インフレ防止については、少くとも消極的方面と積極的方面とにおいて、ある対策が立てられなければなりません。その消極的方面においては、極度に不生産的な政府支出を削減すべきでありますが、それには徹底的な行政整理を断行し、行政の簡明化、合理化を実現せねばなりません。しかるに、政府の企てられている行政整理のごときは、單にお茶を濁す程度のもので、これによつてインフレ抑止に役立つなどとは思いも及ばざるところであります。のみならず、その積極的方面においては、大いに生産増強を企つべきであるのに、政府はこれに対して、何らの政策を示しておりません。しかして片山内閣以來、三派連立内閣の生産増強の唯一の建設的政策なりし石炭國管案は、まだ現実に実施されていないではありますまいか。しかも、その実施によつては石炭減産のおそれさえないと、たれか断言し得るでありましようか。
 加うるに、政府は依然として極端な統制経済を堅持し、一面においては官僚政治を強化せしめ、國民の経済活動を萎靡沈滞せしむるとともに、人心の腐敗墜落を招來し、やみ行為を横行せしめ、インフレを助成せしめていることは事実であります。しかして、軍閥によつて敗れた日本は、今や統制経済を根城とする官僚陣によつて経済的破滅に陷らんとしているのであります。政府は、はたしてこの事実を感知されているのかどうか、お答えができるなれば伺つておきたいものであります。
 さらに、鉄道運賃の三倍半、通信料金の四倍の引上げは、何というてもインフレに拍車をかける性質のものであることは疑いありません。また賃金三千七百円ベースは、すでに鉄道從業員の五千円ぺース要求によつて脅かされております。價格調整費五百十五億円もまた公費七割の上昇にて食い止め得られるものとは思われません。從つて、本予算によつてインフレが緩慢化されるというがごときは、痴人の夢にひとしきものであります。われわれは、昨年度の予算に比し一躍九割を増加せる、厖大なる、インフレにむしろ拍車をかけるものと思うのでありますが、藏相はこれでも、あえて本予算によつてわが國の惡性インフレの傾向が緩慢化されると主張するのであるかどうか、その確たる所見を、理由を裏づけして伺いたいのであります。(拍手)
 政府は予算編成にあたりて、本年度の國民所得を一兆九千億と勝手に予想算定し、昨年度よりも國民所得が著しく増大するものとの見地に立ち、國民の負担力が増大したと臆断しておるようでありますが、これは大いなる誤りであります。國民所得が、増大しても、國民の実質的所得はむしろ低下している。國民の生活は一層苦しくなつております。しかるに政府は、所得の形式的な増大に樂観し、歳入をはかるよりも、依然として歳出中心の厖大な予算を編成しておるのであります。これははなはだしい誤りである。敗戰日本のごとき國力喪失の現状にあつては、國家といえども予算の編成方針は、入るをはかつて出ずるを制することを原則とせねばなりません。しかるに、予算全体を通じて見るのに、政府が政費その他不生産的國家の支出節約に努力した形跡はほとんど発見されません。また歳入面においても、運賃、通信費等の大幅値上げを初めとして、事業税、取引高税等の新税を創設する等、國民の税税力を無視する予算案の編成となつおるのでありますが、われわれは、政府のかかる方針をそのまま承認することはできないのであります。われわれは、歳入歳出ともに國民の輿論に從い、國民の声に聽き、大幅の修正を施し、急速に予算の成立をはからんとするものでありますが、政府はかかる修正に應ずる用意ありや否や、これを確めておきたいのであります。(拍手)
 國家の産業経済の危機に際し、國民の血の出るような税金によつて國費を賄わんとする以上、予算の支出は最も有効適切な部面にこれを使用すべきであることは言うまでもないことであります。從つて、総括的な予算の編成は禁物であります。よろしく超重点的な編成方針をとるべきであります。しかるに、大藏大臣の説明によれば、進駐軍費、これは絶対的なものとして、そのほか價格差補給金と地方分與金で、すでにその支出の五三%に達しているのであります。公共事業費に対しては、その残余をただ適当にばらまいているというにすぎないのであります。何たる無方針、何たる無責任の予算編成でありましよか。(拍手)われわれは、六・三制の急速実現、さらに災害防止の治山治水、土地改良、災害復旧等は、急速に、しかも優先的に完成しなければならないと主張するものであります。(拍手)治山治水、災害復旧等については優先的年次計画を立て、短期間にこの工事を完成するよう予算の超重点化をはかり、これがために公共事業費を思い切つて増額することが、産業復興を促進し、増産を招來し、しかもインフレ抑止の一翼たるものとわれわれは信ずるのであります。(拍手)政府はわれわれが公共事業費増額の修正を提案する場合、これに應ずる心構えありや否やを伺いたいのであります。
 次に、政府は産業復興五箇年計画なるものを発表し、昭和二十三年を第一年次とする方針を安本長官より説明されたのでありますが、その計画がはたして本予算に計上されておるのかどうか、数字をあげて明確なる御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 芦田首相は、その施政演説において、産業再建のために資本の蓄積を促す措置を講ずると國民に約束されたのでありますが、政府の政策が、はたしてこの予算によつて具現し得るかどうか、これが疑問であります。厖大な國民負担を要求する予算を編成しながら、資本の蓄積をいかにして実現するつもりか、これに対して、具体的なる芦田首相の御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 なお芦田首相は、過般の施政演説において、本年度三百万町歩の開墾を行うと声明されたのでありますが、本年度の予算案のどこにその費用を計上してあるのか。(拍手)われわれは、われわれの見当によると、首相のこの声明もまた例の空手形か空宣傳で、政府の公約はいつも予算に現われていないと思われるが、この点、数字をあげて明確なる御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 要するに現在の日本は、産業復興が何より急務であります。かつ、これがインフレ防止及び國民生活安定の基礎的対策でありますがゆえに、これは政治の重点なりとわれわれは考えておるのであります。從つて、産業復興及び開発のための費用は、何よりも優先的に支出すべきものであるとわれわれは考えております。そのために、一面において國費の冗費を思い切つて削減するとともに、他面において、終戰処理費の一部及び治山治水事業のごとき、一時的な消費でなく、その資産及び施設があとに残つて生産的利用價値を有する部面の経費は、公債の発行によつて支弁することもまた妥当であるとわれわれは考えておりますが、政府の所見ははたしていかん。もし公債発行も差支えないとすれば、公共事業費における予算の増額と組替修正を行う政府の用意ありや否や、これをも併せて伺いたいのであります。(拍手)
 最後に、重ねてお尋ねいたしておきたいことは、追加予算についてであります。財政法の規定によれば、本予提出後、予想せざる事項の発生した場合、政府は追加予算を提出することができるのでありますが、政府は本予算をもつて、爾後追加予算の必要なきものと認められておるのかどうか。もし單なる行政費の膨脹にあらずして、産業復興、公共事業等に対して追加予算の提出が予想せられるならば、われわれはそれにつき、本予算と併せて急速に審議の責任を果したいと思うのでありますが、これに対する政府の所見と決意とを伺いたいのであります。(拍手)
 以上が、私の質疑の要点であります。以上陳述せる諸点につきまして、責任をもつて明確なる御答弁を煩わしたいのであります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#5
○國務大臣(芦田均君) 植原君の質問に対してお答えいたします。
 外資導入の問題については、植原君の御指摘になつた通り、政府のクレジツトと民間の外資との二つにわけて政府が考えていることは、もとより当然のことであります。その点について、民間のクレジツトはどういう見透しかというお尋ねのようでありました。今朝の新聞で報道されておる六千万ドルの綿花借款は、純然たる民間投資であります。なおこれに引続いて具体化せらるべき借款も、次第に公表し得る時期がくることと存じます。
 次に、外資導入について受入態勢はどうなつておるかとの質問でありますが、申すまでもなく、わが國が諸外國の資金を導入しようと思うならば、まずもつてわれわれ自身の手によつて各産業に生産の増強が行われ、インフレが克服せられ、健全財政が樹立せられることの必要であることは、申すまでもないのであります。さらに進んで労働條件の不安を除くこと、すなわち、わが國の勤労階級が経営と資本に協力して、労力と資本と経営とが相調和して、わが國の経済再建の順調なる進境が示されるということが、受入態勢として最も必要であることは申すまでもありません。なお必要なる法律上の各種の改正については、すでに今回の國会に提出されんとする、たとえば法人税の軽減のごときも、その一つであり、また、目下政府において着手いたしております、外資導入の妨害となるべき諸條件を除去するための必要な改正も、受入態勢の上に重要なる諸点であります。
 軍事公債の問題については、詳細な点は大藏大臣よりお答えいたしますが、大藏大臣の答弁に先だつて、私から一言お答えいたしておきたいことは、軍事公債の利拂停止の事実が対外、信用を阻害して、外資導入の妨害となるのではないかというお尋ねであります。当時の外國諸新聞に現われたる報道は、軍公利子の支拂停止は日本の内政問題であるという記事を掲げて、ロンドンの市場においても、ニユーヨークの市場においても、日本公債は、これがために下落はいたしておりません。
 その次に植原君は、……
    〔「困るのは資本家だけだ」と呼び、その他発言する者あり〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#7
○國務大臣(芦田均君)(続) 資本の蓄積について政府は、どう考えておるかという質問であります。今回新たに提出いたしましたる予算に伴う國家の租税、專賣益金等は、國民所得一兆九千億円に比例して約二二%になるのであります。この負担は國民に対して多大の犠牲を強いるものであることを、われわれははなはだ遺憾に思います。けれども、今日わが國がおかれたる敗戰経済の現状においては、結局われわれ國民がその生活の水準を切り下げて、これによつて産業建設に必要なる資本を蓄積する以外に方法はないのであります。(拍手)そういう意味において、われわれは國内において極力われわれ自身の決意と努力とを固める方向に一意專心いたしておる次第であります。
 さらに、行政整理の問題についてお尋ねがありました。御承知の通りに行政整理は、終戰以來歴代の内閣が常に標榜した政策であります。今日まで諸般の事情によつて実行ができなかつたのでありますが、このたび政府は、さしあたり人件費の一割五分を節約することによつて行政整理を断行する決心でありますが、これに対して、お茶を濁すにすぎないという御批判でありました。しかし、植原君のおられた内閣においては、そのお茶さえも濁さなかつた。(拍手)
    〔「どうだ、自由党」と呼び、その他発言する者あり〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#9
○國務大臣(芦田均君)(続) 統制経済の問題について‥‥
    〔「そのときの閣僚じやなかつたのか」と呼び、その他発言する者多し〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#11
○國務大臣(芦田均君)(続) お答えいたします。‥‥
    〔発言する者多し〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
#13
○國務大臣(北村徳太郎君) 植原議員の御質問のうち、私に関する部分についてお答え申し上げたいと思います。
 第一の問題は、健全財政の問題でございますが、これは申すまでもなくインフレーシヨンと関係をすることであります。すなわち、ドレーバー・ミツシヨンの報告をまつまでもなく、日本において、どうしてインフレーシヨンを收束せしめるかということが、現下最大の課題であることは、申すまでもないのであります。從いまして私どもは、このインフレーシヨンを收束する一つの重要なる案件として、まず國家財政の均衡をはかる、この点に主力を注ぐことは、現下当然であると思うのであります。(拍手)但し、いかに健全財政と申しましても、國家財政は國民経済の総和であります。從つて、個々の國民経済が不健全なる状態であるときに、いわゆる完全なる國家財政を望むことは、現下の実情においてはきわめて望みがたいことであります。從つて、現下われわれが、かかる前提のもとに、可能の範囲において最善を盡して健全財政を守るということは、けだし当然であると思いまするし、また植原氏といえども、このことには御同意であろうと思うのであります。
 今回の財政において重点主義をとつていないというお説でございましたけれども、たとえば、價格差補給のため物價政策とをどうしてマツチさせるかという重大問題、從つて、國民経済に及ぼす物價局の波及を財政力において止める限度を五百十五億と決定したのであります。のみならず、そのこと自体が、これは石炭あるいは電氣、あるいは肥料等の重要産業でありますがゆえに、その重大性に鑑みて、重点的施策をとつたのであります。またその他にも、たとえば公共事業費についても、ただいまお説がございましたけれども、昨年の百数十億の予算に対して、本年度は公共事業費は四百数十億を計上しておるのであります。これまた、現下のまことに窮乏した財政の中において、われわれがいかに必要なる施策のためには最善を盡して重点主義をとつたかということは、数字の証明する通りであります。(拍手)
 なお、國民所得についてでたらめであるというお話がございました。われわれは、國民所得をどう計算するかということは、かなりいろいろな問題がございますけれども、少くともわれわれの計算によりますると、勤労所得を六千八百十億円、個人事業所得を一兆一千五百三十億(農林所得四千二百九十億、その他のもの七千二百四十億)会社の所得、会社の保留を四百五十億と見まして、さような計算を立てたのでありまして、根拠はもつておるのであります。
 なお、軍公利拂についての御質問がございましたが、これについては、政府として閣議決定をもつて声明いたした通りであります。すなわち、一箇年間に到來する支拂期日のものにして、しかも軍事公債と銘柄をつけたものについては、一年間に限つて前途にその期日を延期するということでございます。これはすなわち、政府として閣議決定によつて、すでに声明した通りでありますから、さように御了承を願いたいと思うのであります。
 なお行政整理の問題については、すでに首相の答弁の通りでありますが、これはわれわれは、本格的なる行政整理を待つては、今年度の予算にこれを計上することはできませんから、從つて、一應の財政処置として人件費の一割五分を削つたのでありますが、このことは、退職慰労金等を支拂いましても、現実にこの人件費の一割五分だけが予算から圧縮される方途をとつたのでありまして、これは緊急の施策として御了解を得たいのであります。
 なおいろいろ御質問があつたようでございます。今年度の追加予算を再び出すかどうかというような御質問がございしましたが、この問題につきましては、予算の編成にあたりまして、すでにこの議場においてしも申し上げました通り、われわれは、今まで行われたような一應の予算をつくつて、あとから補正追加をするという方法をとりたくない、それがために御審議の時間を短かくして申訳ないけれども、われわれは、立つべき物價政策は一應の政策を立てまして、今回の予算を計上いたしたのでございますから、現在のところ、この予算の追加を出す意思はございません。また物價等の修正については、それぞれ價格補正の予備金を盛つておりますから、これで十分調整し得るという自信をもつて提出した次第であります。
 以上、簡単でありますけれども、御答弁といたします。(拍手)
    〔植原悦二郎君登壇〕
#14
○植原悦二郎君 芦田首相は、外資について、ごく最近できましたところの六千万ドルの綿花に対する外資を、民間外資であるというようなことを強調されましたが、民間の銀行が保証したのでありまして、政府の指示に基くもので、ある意味からいえばアメリカの政策によるもので、われわれのいう純粹なる民間外資でないということを御承知を願いたいのであります。(拍手)
 さらに、私が芦田総理に伺いましたことは、外資導入に対する‥‥。
    〔発言する者多し〕
#15
○議長(松岡駒吉君) 静粛に。
#16
○植原悦二郎君(続) 外資導入に対する國内態勢のことでありまするが、これに対しては、ほとんどただ法人税に対して改正を企てていると申しておりますだけで、私が数項目をあげて、これらの必要事項があるが、これをどうされるかと言うたのに、これに対してはお答えありません。
 また芦田総理は、軍事公債の――これは社会党の方にも民主党の方にも非常に影響することであるばかりでなく、事國際上の問題でありまするがゆえに、よくお聽きとりを願いたいのであります。私は、軍事公債の利拂停止は、必ずや外資導入にある支障をもたらすと思うがどうかと、かような質問をいたしたのに、芦田総理は、わが國の外國の公債の値段が下らないのであるから差支えないと申されましたが、これは芦田首相によく御了解を願いたい。わが國のロンドン市場におけるところの外債につきましては、利拂停止をいたしておりません。(拍手)軍事公債とはまつたく違うものであることを、よく御了解を願いたいのであります。さような間違つた答弁を総理がして、諸君が默つているなどということは、はなはだ私には理解のできないことであります。
 なおさらに、私は芦田総理に対して、現在のごとき社会主義的統制経済を強化しておる場合には、外資導入に対していかなる影響を及ぼすかをお尋ねしたが、何らのお答えもありません。(拍手)また芦田首相に対して、私は國民貯蓄の問題について質問しましたが、これもお答えがありません。三百万町歩の開拓のことについてお尋ねしたのに、これについても何らのお答えがありません。その他お答えがないことは多々ありますが、これは予算総会において徹底的にお尋ねすることを御承知置き願いたいのであります。
    〔発言する者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#18
○植原悦二郎君(続) さらに大藏大臣の御答弁、どうも私伺いますところによると、責任をもつてのお答えであるかどうか疑問であります。なぜかならば、現在のわが國の予算にも、幾色の建方もあるのでありますが、これ以上いかようなことがあつてもできませんというような、捨てばちぜりふのようなことを聽きましたことは、奇怪千万であります。(拍手)なおさらに大藏大臣の申されましたことは、ずいぶん事実と相違しておることを感ずるものでありますが、かような興奮されたような光景でお尋ねするよりは、予算総会において滑らかに、徹底的に追究することがよろしいと思いますから、その機会に讓ることを御承知願いたいのであります。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#19
○議長(松岡駒吉君) 植原さんにお尋ねします。総理は植原さんの質問は答弁が要らぬと解訳しておりますが、それでよろしゆうございますか。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#21
○植原悦二郎君 私は、私の質問に対して総理大臣の答弁のない箇條をあげましたから、総理大臣としては、これに答弁されることが当然であろうと思います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#22
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。総理大臣芦田均君。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#23
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。――静粛に願います。
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#24
○國務大臣(芦田均君) 先ほど植原君が質問されました箇條について、なお二簡條ばかりお答えすることができなかつた点があります。それをあらためてお答えいたします。
 一つは、波丘地帶三百町歩の開発の問題であります。御承知の通りに、わが國の食生活は澱粉に過重いたしておる。これに脂肪及び蛋白を多量に加えることの必要上、波丘地帯を開発して、これを有畜農業の利用に供し、あるいは、さしあたりわが國の生糸の需要にかんがみて、少くも二、三十万町歩の桑園を至急に開発しなければなりません。その他食糧増産のためには、波丘地勢を利用して食用果樹を植える必要に当面しておる。そういう必要のために、この三百万町歩の開発をいかに行うかという研究のために、近く政府においては波丘地帶の開発審議会を設けることに決定いたしております。「(予算のどこに入れておるか」と呼ぶ者あり)予算がいくらいるか、そういうこまかいことは、今私の頭に記憶しておりませんが、そのことは、あとでいずれお答えする時期があります。
 第二の問題は、統制の問題であります。政府は、不必要なる統制はこれを撤廃すると明白に申しております。從つて、内閣成立以來、すでに亞炭の統制もはずしました。また近く鮮魚においても、ある種類の統制をはずすことになつております。不必要な統制は、これをはずすのであります。そのことは植原君もよく御承でしよう。自由主義政策をとつておられた自由党内閣においては、統制は反対であつた。ただ、日本の現に置かれておる環境においては、あなたの御体驗の通り、そう簡單にはずせないということは、おわかりのことであります。(拍手)
#25
○議長(松岡駒吉君) 本間俊一君。
    〔本間俊一君登壇〕
#26
○本間俊一君 私は、民主自由党を代表して、政府の財政経済に関して質疑をいたさんとするものであります。
 大藏大臣の財政演説によれば、政府は外資の援助を支柱として、一應の中間安定を実現するために、健全財政と健全金融の実現実質賃金の確保、経営の合理化と能率化を行わんとしているようであります。この構想につきましては、われわれも大体これを諒とするにやぶさかではありません。しかしながら、この目的を達成するために、いかなる具体策を実施せんとするか。また、その具体的な方策を実行する力と勇氣をもつているかどうかということが問題であります。
 まず第一に指摘いたさなければならない点は、政府のいわゆる健全財政であります。北村大藏大臣は、中央及び地方を通じて收支の均衡が保持されていると言明いたされておりますが、それはただ形式上の、名目的なものでありまして、健全財政の実を備えていないと判断せざるを得ないのであります。(拍手)
 財政の原則は、申すまでもなく、國民が負担できる限度において收入を抑え、この收入の限度内に支出を圧縮しなければならないということであります。しかるに、昨年度の実情及び本年度の予算におきまして明らかな点は、政府の財政方針が支出を抑えきれず、所要の経費を國民からむりやりに搾りとるということになつておるのであります。今、租税負担が近年いかに加重せられつつあるかを統計によつて見まするならば、國民所得に対する國民負担の割合は、わが國におきましては、昭和十年ごろから二十年くらいまでは、概して一割前後を上下いたしておりましたものが、昭和二十一年に相なりまして急激に増加して、二十一年は、実質的にこれを見ますると約二割二分、昨年度は約三割三分に達しておるのであります。今年度の政府発表の國民所得総額は一兆九千億というのでありますが、これに対する中央及び地方を通ずる租税その他の國民負担を概算いたしますると、約四千四百億ぐらいと相なるのであります。この比率は、名目から見ましても二割三分強、これを実質上の比率に換算いたしますると、おそらく三割五分を下ることはあるまいと推定されるのであります。
 この点から見ましても、二十三年度のいわゆる健全財政なるものが、いかに國民の苛斂誅求の上に企てられでおるかということが、明らかと相なるのであります。しかも、このようにして辛うじて保持せられました形式上の收支均衡についてさえ、國民の目を欺かんとする予算技術上のいろいろのからくりが隠されておるのであります。
 その第一は、金融機関その他に交付すべき補償二百三十億円であります。これは軍事補償の打切りに伴いまして、金融機関その他の最終処理に伴う損失に対する國家からの補償金であり、その性質は何ら資本的支出に属するものではないのでありまして、從つて、昭和二十二年度の歳出面に計上せられておつたのでありますが、本年度はこれが公債の交付で行われるから、直接現金の收入に影響しないという理由のもとに、これを歳出より除外しておるのであります。
 その第二は、貿易資金特別会計を通じて行われる、実質的な價格調整のための支出であります。御承知のように、わが國におきましては、終戰以來引続き進駐軍の好意によりまして、毎年政府借款の形において食糧初め巨額の物資が輸入せられ、それが貿易資金特別会計を通じて賣却せられ、その賣上代金が同会計の收入と相なつておるのであります。しかして、この收入が、逆にわが國から輸出いたします品物に対する價格差補償として交付せられておるのでありまして、その実質は、明らかにいわゆる價格調整費と何ら異ならないものであります。昭和二十二年度中の、このアメリカからの政府借款の形において負担をせられておりまする総額は、約四億ドルと称せられおるのであります。今一ドルをかりに二百円と換算いたしましても、八百億はまさにこの用途のために使用せられておるはずであります。政府借款の形において行われる外資導入がどれだけに相なりますかは、本年度において、まだこれを詳らかにすることはできませんが、四億二千万ドルの救済費が過日アメリカの下院を通過いたしておりますから、この額は、おそらく昨年より上まわるとも、下まわることはないと私は考えておるのであります。
 その第三は、軍公利拂の延期による本年度分の延期利子十五億円であります。この問題に対する賛否の議論はしばらく別といたしまして、政府が意図する軍公利拂の延期は、その実質は、その延期額に相当するだけ新たに公債を発行した結果と同じに相なるのでありまして、歳出面に國債費十五億を計上し、歳入面に十五億を計上いたしまして、正しくは債権、債務両建による記載を必要とするものであります。
 以上の三つを合計いたしますると、本年度の一般会計の歳出は約五千五十億に達し、少くとも、政府の称してお夢まする四千億よりも千五十億の歳出増加が、当然これは発生するものと思わなければなりません。(拍手)國民所得に対しこの歳出は、先ほど芦田総理大臣は二二%ということを申され、大藏大臣の言うところによりますと一二%でありますが、私の計算では二五・五%と相なるのであります。現内閣は、健全財政と称して、大いにこれを誇称いたしておるのでありますが、ただいま私が申し上げたのが、現内閣の唱えておりまする健全財政でありまして、まさにこのようなからくりの上に組み立てられていることを銘記しなければなりません。
 次に、健全金融について一言触れてみたいと思います。健全金融の実体は、國民生活を維持し、かつ生産の増大を実現しなければならないという至上命令を担つておりまするわが國経済の、現下のその必要な資金を、國民資金の蓄積した範囲内において大体賄い得て、かつ産業資金の供給を受ける個個の企業が、眞に合理化、能率化された基盤の上に立つて、その資金を赤字のしりぬぐいに使用せらるることなく、いわゆる赤字融資とならない状態であることは、私がここに申し上ぐるまでもありません。そこで、政府発表の本年第一・四半期の資金計画を見ますると、資金需要は、産業資金五百億、これに財政資金を加えますと、七百三十億であります。これを一箇月に平均して計算いたしますと、約二百四十四億であります。しかるに、大藏大臣の演説によりますと、四月の自由預金の純増加はわずかに四十億円でありまして、産業に必要な資金が今日はなはだしく逼迫を告げ、今や民間の一般産業は、まさに窒息死の一歩手前にあることは、諸君も御承知の通りであります。(拍手)
 金融は、もともと産業のためにあるのでありまして、誤まれる金融政策から産業を萎靡せしめている現在の政府の金融政策は、本末を轉到しておるものと申さなければなりません。(拍手)さらにまた、すでに早く成就されていなければならない民間産業の合理化、能率化は、施策そのよろしきを得ないために、未だほとんどその緒にもつかず、大多数の企業は長い間赤字経営を続けておることは、今日もはや常識となつておるところであります。貸出の当初健全な融資であつたものも、今日ではいつの間にか赤字融資に変質しており、さもなければ健全融資を装つた赤字融資が到るところに行われておりまする現状から見て、今日の融資の大半はまさに赤字融資であると断言いたしても過言ではないと信ずるのであります。(拍手)いわゆる基礎産業が、公價改訂遅延のために久しく赤字に悩み、復金の貸出によつて辛うじて経営を維持していることは、これまた周知の事実であります。
 かくのごとき産業金融の現状に対して、政府の立てている対策は、すなわち約七割の公債引上げがその第一であり、五百十五億の價格差補給金の支給がその第二であり、百八十億の復金への出資がその第三であり、三千億を目標とする貯蓄増強運動がその第四であります。完全に補給金を交付するとすれば、石炭、鉄鋼、肥料等いわゆる安定帶物資だけでも月額百億、一年に計算いたしまして千二百億を必要とするのでありますが、價格調整費が、苦しいふところのやりくりから五百十五億に切り詰められ、それ以上は公價七割値上げをもつてカバーするというふうに政府は計算をいたしているのであります。ここにおちつくに至りました経過に顧みまして、物價廰、商工省、あるいは農林、大藏省の各省の間に激しい論爭が繰返されておりました事実に見ましても、また、その決定に対して商工省から、やむを得ない場合は必ず金融面でそのめんどうを見ることの條件が言い渡されているように、うわさされているのであります。この決定が、このような関係から考慮いたしますならば、きわめて危い綱渡りの藝当でありまして、もしも、何か一つでも前提條件が予想通りにいかない場合には、公價改訂の実施のその日から、赤字を繰返すものであることは、想像するにかたくないところであります。
 さらに、当初五百六十億と世上に傳えられておりました復金への政府出資が百八十億に減ぜられ、残りの三百八十億は、復金債券の借替でごまかされておるのでありますが、これはちようど借金の返済時期がきておりますにもかかわらず、金がないから政府は拂わないというのと同様でありまして、健全な金融政策とは、まさに正反対の措置と言わなければなりません。(拍手)
 貯蓄目標三千億に至りましては、その前提を明らかにしなければ批評の限りではありませんが、昨年度は自由預金の増加額が千九百五十七億に上り、政府はこれを貯蓄増強運動の成果のごとく宣傳せられているのでありますが、昨年度のこの増加のうしろには、千三十億の日本銀行券の膨脹があつたことを見逃してはなりません。すなわち、わが國の現状におきましては、大体において日銀券の増発なくしては貯蓄の増加は実現せられないのであります。それを裏から申しますならば、日銀券さえ、どんどん出せば、三千億はおろか、四千億でも五千億でも貯蓄は増加いたしましよう。しかしそれでは、貯蓄増強の眞の目的とは相当にかけ離れてくるのであります。その効果は、きわめて微弱なものと相なるのであります。政府は、本年度の予算において企図されておるように、健全財政、健全金融がほんとうの効果を現わしてくるということに相なりますならば、一年を通じて、私は五百億の貯蓄増加さえ不可能ではないかと考える一人であります。
 以上が政府の宣傳している健全金融の実相であり、健全とは唱える方の言葉だけでありまして、その実質は、およそ不健全極まるものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)働く人々がその生活を保持し、労働力の再生産に必要な賃金は、政府がいかにこれを数字の上で抑えましても、必ず支拂われていくものでありましよう。民間におきましては、源泉所得税の企業者負担でありますとか、各種の変態給與等がしばしば行われているのが例であります。さもなければ、今日におきましては欠勤をいたしまして、やみ商賣に走るというのが、俸給生活者の收入の不足を補う、残されたただ一つの途となつているのであります。物資の裏づけのない三千七百円ベースが、すぐ崩れてしまうことは、今日すでに予見せらるるところであります。経営の合理化、能率化を心要欠くべからざる施策と考えておりまする政府が、單に人件費を一割五分節約いたしましたほか何ら見るべき模範を示さず、民間に対しては、ただ金融を引締めて、その引締めによつて民間の整理を促進させんとする以外何らの具体的方策を講じないのは、一体いかなる理由に基くものであるか、その点を明らかにせられたいと思うのであります。
 次にお尋ねいたしたい点は、國民負担の現状に鑑みまして、一般会計四千億の約一割、四百億を目標として予算に一大削減を加え、もつて、惡税として全國民が反対をいたしておりまする取引高税の新設を中止し、所得税をさらに大幅に軽減すべきを至当と考えるのでありますが、これに対する政府の御所見を伺いたいと思うのであります。
 先般発表せられた経済情勢報告書によれは、昨年末の物價は、昭和十二年を基準として、公定で、大体生産財で八十四倍、消費財で七十倍とのことであります。かりに八十四倍のものが、今回の公價改訂によりまして七割方値上げになるといたしましても、その倍数は約百四十三倍であります。ちようど、昭和十二年度二十七億の歳出にこの倍率を乘じて見ますると三千八百六十億でありまして、本年度の歳出三千九百九十二億に、金融機関の再建補償及び軍事公債利拂の延期せられた分を加算した四千二百三十八億に比較いたしまするならば、約三百八十億の超過と相なつているのであります。そこで昭和十二年度の予算の中から、まず陸海軍省所管の費用約十二億を控除いたしました残額十五億に、さきに申し述べました倍率百四十三倍を乘じますると、二千百五十億となり、この数字が、前述の四千二百三十八億から終戰処理費一千六億を控除した約三千二百三十億に見合うわけでありますが、約千八十億の超過となるのであります。かりにこの中から、價格調整費でありますとか、鉄道・通信特別会計への繰入金、あるいは船舶運営会への補給金計七百五億を控除いたしましても、なお三百八十億の超過と相なつているのであります。右の推算は、きわめて大ざつぱなものであり、この両者を比較いたします場合には、なお双方年度におきまする特有な事情がありますけれども、一應四百億程度の節減の目安は、これで私はつけ得ると思うのであります。
 そこで私どもは、官廳職員数の著しい増加の事実を指摘いたしたいと考えるのであります。昭和二十二年十月現在の官公職員数は、一般会計分のみで計算をいたしましも、約三十二万人でありまして、これを昭和十二年に比較いたしますると、三級官次上のいわゆる本官のみでも、約三・二倍殖えているのであります。これを軍備を全廃いたし、四割四分の領土を失い、行政機構を縮小すべき立場にありますわが國の事情と考え合わせますならば、相当程度の定員の縮小に伴う諸経費の節減は当然であり、またむずかしいのでありますけれども、可能であると私は考えるのであります。(拍手)この意味においても私どもは、近時ますます強化されつつある官僚統制に対して、嚴正なる批判と再檢討の必要を痛感せざるを得ないのであります。
 次に、これを國民所得に対する國民負担の割合から見ましても、昨年の実情は、すでに能力の限度をはるかに越えているのであります。それは、統計もこれをよく証明いたしておりますし、また國民大多数の実際の感情からいたしましてもそうであります。そこで、本年度の國民所得一兆九千億に対し、かりに昨年程度の負担率に止めるといたしますと、國民負担の限度は、大体三千七百六十億以内に食い止められなければならないのでありまして、本年度の四千三百六十億との間には、約六百億の開きがあるのであります。
 この場合一言いたしたいと思いますのは、政府は國民所得に対する負担の軽重を論ぜられる場合に、よく英米の諸國と比較されるのでありますが、もしかりに、各目的の負担率がどんなに軽くなりましても、問題は、その残額において、私ども國民の最低限度の生活が維持できるかどうかということが急所であります。生活費の最低限度に食いこむような負担は、インフレを抑止する効果よりも、むしろかえつてインフレを高進せしめる作用のありますことは、すでに私が前に指摘した通りであります。國民は、生活の最低限では、どんなことをいたしても獲得するものであるという嚴粛な事実と、これがもし行われ得ない場合には、必付生産力の著しい減退を招來するものであるという、この冷嚴な現実に照らして明らかであります。
 以上の諸点から判断いたしますならば、最低四百億の歳出は圧縮の必要があり、困難ではありますが、勇氣とその実行力いかんによつては、これは実行し得るものと私は考えるのでありますが、これに対して政府はいかなる御所見をもつておられるかを伺いたいのであります。
 次にお尋ねいたしたい点は、所得税收入予算と税制改正との関連についてであります。合同の税制の改正によつて、政府は所得税を大幅に軽減したと呼称せられておるのでありますが、先ほど來、本年度予算に関して主計当局の説明によりますと、本年度の所得税收入予算千二百八十三億中、申告納税による分が九百二億余でありまして、そこで、さらにこの内訳を事業所得並びに農業所得について説明を聽いてみますと、まことに不可解な事実を発見いたしたのであります。
 その一つの事実は、課税対象となる人員がいずれも大幅に増加しているという事実であります。すなわち事業所得においては、昨年度において二百三万人余であつたものが、本年度においては二百六十八万人に増加いたしている。農業所得においては、昨年度においては三百七十三万人余でありましたものが、本年度は四百八十二万人余に増加しているのであります。課税の最低限が引上げられ、所得税が実質的に軽減せられるという政府の二張が事実であるといたしまするならば、課税対象となる人員は当然昨年度よりも減少しているのが私どもの常識であります。(拍手)しかるに、逆にそれが増加して、昨年課税を受けなかつたものが本年度は課税を受けるということであれば、実質的にこれを見ますならば、課税は軽減せられていないということにならざるを得ないと私は思うのであります。(拍手)
 第二に私が疑をもつ点は、一人当り平均所得を、本年度は事業所得においては十万八千三百円、農業所得においては四万八千八百円を政府は見積つているようでありますが、これを昨年度に比較いたしますと、事業所得は六万円、農業所得は二万四千円となつておりまして、事業所得は八割強の増加、農業所得は二倍強の増加を見ているのであります。最近の一般の傾向は、取扱高が増加いたしました調合には利益はあがらないというのが通例でありまして、そうい事実から考え合わせましても、事業所得八割強の増加の見積られるということは、相当過大ではないかと私は考えるのであります。農業所得につきましては、その主要生産物たる米、麦、芋類等は、すべて價格が公定せられております以上、農業所得の増加のぐあいは、米麦等の公價の引上率いかんによることはもちろんでありますが、もし現在の米麦の公價が二倍程度の引上げでは、農業所得税は昨年に比較いたしまして、実質的には少しも減税にならないと私は考えるのであります。この点について、政府の説明はどうでありまするかを明らかにせられたいと思うのであります。私どもが收入見積に重大なる関心を寄せておりますのは、收入の見積が大きい限り、必ず政府はその限度まで徴税を強行せられる結果となることは必然であります。そこで、本年度の所得税が実質的に軽減せられるか否がは、いわゆる政府の收入見積がどのような計算になつておるかということに、きわめて緊密な関係をもつておりますがゆえに、私はこの点を質疑いたしたいと思うのであります。
 次にお伺いいたしたい点は、復金融資の監査の強化と、その責任体制の確立についてであります。今や急速度に膨脹しつつある復金融資は、ようやく、あらゆる意味において問題を提供しつつあります。最近二十二億の融資の使途に妥当を欠くものがあると判定せられた昭和電工問題のごとき、今後この種の問題を生じた場合、一体何人がその責任をとられるのであるか。復興金融委員会、あるいは同監事会でありますとか、融資懇談会でありますとかいうような、外から見ますと、きわめて巧妙な民主主義的運営の機構も、過去一箇年間の実績に徴し、その点に重大なる欠陥があることが痛感せられておるのであります。責任の所在の明らかでないところには十分な監督は行われないのであります。金融機関が、最も便宜な手段として、いろいろな委員会のような制度を設けておるようでありますが、政府は、復金理事機関の権限を拡大するとともに、その責任の範囲を明らかにせられて、貴重なる國民融資の運用に万全を期せらるべきであると考えるのであります。この点に対する政府の所見はいかがでありませうか。(拍手)
 さらにお伺いいたしたいのは、中小企業の振興と政府の施策についてであります。與党各派は、もとより政府もそうでありますが、口を開きますと、中小企業の振興をお題目として掲げておるのであります。しかるに、具体化せられたる政策を見ますと、いわく中小企業廰の設置、いわく資金・資材の配給統制の強化であります。中小企業が今最も悩んでおりますのは、質材と資金の問題であります。この二つの問題さえ解決いたし、自由なる活動を許されたならば、政府が何のせわや、めんどうを見なくとも、必ず振興するにきまつておるのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 中小企業を今日まで生き延びさせてきましたおもな原因は、いわゆるやみ取引でありまして、配給の少い資材を加工して公定で販賣して、経営採算が立ち得る中小企業は、一つもありません。また、配給の品を定められた手数料で取扱つて経営を続けていかれるような中小商業を、今日の日本のどこに一体私どもは見出すことができるでありましようか。われわれは、この意味において、傾斜生産の方式なるものに重大なる疑惑をもつのであります。重点基礎産業方式なるものは、それが限られた短期間に行われるときは、それ自体に十分なる存在理由と効果を認めることに私どもやぶさかではありませんが、これが長期にわたつて行われ、そのために非重点産業がまつたく顧みられないということになりますと、その弊害の発するところ、また大きなものがあることを知らなければなりません。中小企業は、今や資材と資金難のために窒息の一歩手前にあるのであります。政府は、はたして本氣でこれを生かす御意思をもつておられるのかどうか。
 石炭も、鉄も、肥料も、もちろん大切であります。しかし、國家財政を支え、國民生活を円満に運行せしめるには、中小企業もまた必要欠くべからざる存在でありますことは、何人もこれを否定することができないのであります。どうか政府は、中小企業については、中小企業廰の設置がその対策であるというようなお座なりな答弁を避けられて、簡明率直な答弁を私は期待することを申し添えておきたいのであります。
 次にお尋ねいたしたいのは、農業不振と農業不況の見透しと、その対策についてであります。永江農林大臣は、就任直後、何かの機会に、農村恐慌はそう急には起るまいという意味の御意見を発表されたことがあるようであります。われわれの見るところでは、農村恐慌とは言えないまでも、農村不況の兆候はすでに本年現われておるのであります。その端的な現れは、最近における農村のはなはだしい金詰りにこれを見ることができるのであります。
 わが國農業の危機が、もし來ることがあるといたしますならば、それは二つの方面から推進せられるものであると考えます。その一つは、わが國農業の劣惡な生産諸條件が、世界農業の渦中に置かれた場合において、これとの競争に耐え得ないというところから來るものであり、他の一つの面は、都市と農村、商工業と農業との対立において、農村と農業とが都市と商工業の犠牲にせられるという面から來るものであります。前者の面から來る原因は、今日の状態においては未だ発生しているとは私ども考えておりませんけれども、鋏状價格差でありますとか、あるいは資金の地方還元という問題が、ようやく識者の口に上りかけてまいりました最近の状況は、このあとの面から來ます農村不況の進行を物語つているものであると私は考えるのであります。
 農村に金があると言われましたのは、大都会近郊の一部の土地でありますとか、あるいは特殊な事情を有する地方を除いては、今日はすでに昔の夢物語となつておるのであります。しかしてこの傾向は、東北でありますとか、裏日本でありますとかいうような單作地帶におきましては、一層はなはだしいのであります。ただいまは、御承知のように作付期間でありますが、配給の物資を農度の人々は買うことができない。その金をもたないのであります。あるいは農機具の修理をする費用に困つておるのであります。そうして、町々に金を借り歩いておりますのが、今日の東北あるいは裏日本の農村人のわびしい姿であります。從つて農村の先覚者たちは、今や眞劍にわが國農村の將來を考えて、経営の多角化に、あるいは農村工業化等にくふう研究をこらしておるのでありますが、その場合に突き当ります二つの困難は、資材と資金の不足であります。政府は、過般來農業手形制度を創設して、当面の金融の途を講ぜられたのは、これを多とするのでありますけれども、問題は、すでに單なる金融面の一措置で解決し得るには、あまりにも深刻かつ本質的なものとなつておるのであります。はたして農林当局は、この農村不況の実体を認識し、いかなる具体的対策をもつておられるかを、ここに明らかにせられたいのであります。(拍手)
 次にお尋ねいたしたい点は、地方財政の確立についてであります。地方自治権の確立は、御承知のように地方財政権の確立をまつて初めて成就し得るものでありますことは申すまでもありませんが、この問題をめぐつて、大藏省及び地方財政委員会の間に意見の対立を見、地方財政委員会の地方自治体側委員の、全面的辞表提出まで問題が発展しておるのであります。私どもは、この問題につきまして重大なる関心を有するのでありますが、またさらに、最近地方の実情を見てみますと、財政上の困難から町村長の辞職をいたします者が次第に殖えてきておるのでありまして、これは、わが國自治行政の將來のために、ゆゆしい問題と考えるのであります。はたして政府は、この問題に対していかなる具体案を用意しておるか。
 さらにお尋ねいたしたいのは、本年度における追加予算の問題であります。先ほど植原先輩の御質問に対しまして、北村大藏大臣は、追加予算は今のところ考慮していない、こういうふうな御言明があつたのでありますが、私は、さらにもう一言、この点について念を押しておきたいのであります。
 昭和二十二年度の予算が、当初の追加予算なしの原則に立ちまして編成された千百四十五億に対しまして、その後十四回の補正の結果、当初の予算の約倍額に膨脹いたし、そのために國民の負担を加重いたしました事実は、爭い得ないところであります。財政法第二十九條は、追加予算というものは、予算作成後に生じた事由に基き、必要避けることのできない経費についてのみ追加予算を提出し得ることを規定いたしておるのでありまして、國民が、政府の放漫かつ無計画なる國家支出から生ずる負担を加重されることのないように、擁護しておるのであります。ところが政府は、議会の情勢を考慮せられて、鉄道、通信の倍率にもしも修正が行われるといたしました場合には、その赤字については、苫米地官房長官などは、追加予算でこれを埋めようというようなことを新聞で語つておるようであります。また災害復旧費、六・三制予算の増額に関しましては、財源がないから一應この程作に止めたのであるが、新しい財源が見つかるならば、その財源を災害復旧あるいは六・三制の方に向けてやろうというような、内々の約束も行われておるように私は聞いておるのであります。
 そうしますと、なるほど大藏大臣は、今のところに追加予算を考えてはおらないと言明せられておるのでありますが、予算を提出いたしますと同時に、すでに追加予算の必要を考慮せられておる、追加予算を出さなければならないような予算をもしも本議場に提出いたしたとしますならば、あるいは現内閣のもとにおいて、もしも新しい財源が発見せられた場合には、六・三制の予算あるいは災害復旧の予算にまわすであろうとかいうようなことを言明しておるようなお役人があるといたしますならば、明らかに財政法二十九條の違反であると私は考えるのでありますが、北村大藏大臣の、もう一度この点に対する明確なお答えをいただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に私は、軍公利拂延期の欺瞞性についてお尋ねをいたしたい。軍公利拂停止ならば、まだはつきりしているのでありますが、一箇年間延期するというのでありまして、國民の目をごまかして社会党と妥協しておられるようであります。拂うのか拂わないのか、これを明確にさせるのが、政治家の当然の務めであります。(拍手)しかるに、一箇年延期というような、えたいの知れない措置をとりながら、結局十年後には、延滞利子を全部つけてお支拂をする、こういうのであります。これでは、國民の目をごまかすのみか、友党社会党にさえ一ぱい食わしておる処置だと私は思うのであります。(拍手)軍公利子を一箇年延期して、十年後に支拂うのでありますから、これは一種の借金であります。私どもの常識から申しますならば、できるだけ借金はあとに残したくない、できるだけ借金は子孫に残したくないというのが私どもの人情でありますが、しかるに、残さないでもいい借金を十年後に残しておくというのでありますから、現内閣閣僚の心情は、私どもの常識の想像外にあると言わなければなりません。殊に、今回の措置で浮いてまいります金はわずかに十五億円でありまして、総予算に比較いたしますならば三厘七毛であります。これはまつたく純経済的立場を離れて、イデオロギーの観点から、政治的にこの問題を取上げたものであつて、國民の負担は、これによつていささかも軽減しないのであります。(拍手)しかも、金融機関の軍公利子に対しましては、未收入利息としてこれを処理することになつておりますから、この未收入利息を引当に、日銀が最高度の融資を行うことになつておるという。これでは、何のための軍公利拂延期でありますか、私どもはその解釈に苦しむのでありますが、芦田首相並びに北村藏相の、この点に対する率直な御答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 外資導入につきましては、植原先輩が触れられましたから、私はこれとダブらないつもりでおりますが、なるほど、一億五千万ドルの復興費が下院において削減の運命に遇いました。今日上院において、これが復活に奔走せられておることは、私どもは暗夜に一つの光明を見出したような心地がするのでありますが、もしも、この一億五千万ドルの復興費が日の目を見ないで葬り去られるということになりますと、政府が二十三年度に立てておりまする生産指数四割増強ということは、その根底から崩れてくるのであります。そこで私は、その非を率直に認めて、生産計画を大幅に変更なさる御意思があるかどうかを、安本長官にお尋ねいたしたいのであります。(拍手)
 最後に、政府が目下立案しておると傳えられております、いわゆる中間安定の構想につきましては、われわれも一應これを承認するものであります。政府の案に見ても、本年十月から開始されます中間安定の第一期にはいる前に、いわゆる準備期において措置しなければならない幾多の事項があるのでありますが、政府が現在実施しつつある諸施策が、この準備期の措置として適切有効なものでないことは、私が以上申し述べました通りで御判断のつくことと私は存ずるのであります。準備期の措置が、もしも実際の効果をあげるに至らない場合には、第一期、すなわち十月以後の諸計画は、全面的に崩れてしまうことは申すまでもありません。
 これを要するに、今日國家といたしまして急を要する政策並びにその方向が、政府の描いておりまする中間安定対策中に盛られておることは、私どもこれを了承するのでありますが、要は、これを單なる作文に終らせるか、また実際に効果を現わさしめるかは、一にかかつてその内閣の政治力いかんにあります。私は、この主義主張を異にする寄合世帶で、一時逃れの放送ばかりに身にやつしておるような他力本願の現内閣で、はたしてこの中間安定施策を準備期において十分実施し得るか否かということは、多大の疑いをもたざるを得ないのであります。(拍手)
 以上の諸点について、芦田総理大臣を初め関係閣僚の明確なる答弁を要求して、降壇するものであります。(拍手)
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
#27
○國務大臣(北村徳太郎君) ただいま本間君の御質問中、私に関係ある部分についてお答え申し上げたいと思います。
 第一は、いわゆる健全財政についてであつたと思うのでありますが、これは申すまでもなく、家計の赤字、企業の赤字等が解消したときに、ほんとうの意味においての健全財政が確立することは、先ほど來申し上げた通りであります。すなわち、國民所得と國家財政と建業資金とが、適時適量に適当な循環をするというような健康回復に至るまで、われわれはそのために、今その過程においていろいろ施策を施しておるのでありまして、かような前提條件において、今年度の予算がまた編成せられておるということは申すまでもないのであります。しかしながら私どもは、今のような状態において、政府の財政支出によるインフレの激化をどこまでも防がなければならぬ、從つて、これはどこまでも赤字を克服いたしまして、均衡財政をとらなければならぬ、健全財政主義に則りまして、どこまでも政府の財政支出によるいわゆる財政インフレを極度に圧縮して、インフレーシヨンの緩慢化に向つて努力を傾倒しなければならぬ、かような観点から予算を編成いたしましたことは、さきにも申した通りであります。
 なお、交付公債についての御質問がございましたが、これは別途法律措置をとりまして、法律案として御審議を願うことに相なつておりますので、今年度の予算には計上いたしておりません。
 それから貿易資金特別会計でございますが、これは一應價格調整的な性質をもつておることは、本間君の御指摘の通りであります。しかし、このことによつて米を安く供給し、その他衣料を安く供給いたしておりますので、さような観点から價格調整的な性質をもつたものであるという御指摘はその通りでありますが、現下の事情においては、かような方法をとることが妥当であると考えておるのであります。
 それから、軍公利拂延期は新たなる債務の負担と同様であつて赤字公債発行と同様の意味があるじやないかというような御質問であつたと思うのでありますが、この件に関しましては、小坂君にお答え申した通りでありまして、國家が新たなる債務を負担したのではない、支拂期日を変更したに止まるのでありますから、赤字公債発行と同様に見るべきものではない、かように私どもは判断いたしておるのであります。
 それから、資本の蓄積と申しますか、現在の健全金融ということにおいて、非常に金融の枯渇の状態をどうするかという御質問であつたと思うのであります。これは、きわめてごもつともな御質問でありますが、およそ今日まで、インフレーシヨンが世界各國において終熄の間近になりますと、非常にデフレーシヨンの現象を現わすということは、これは内外の事実に徴して明らかなのであります。しかしながら私どもは、現在のデフレ的な現象をもつて、これでもうインフレが終熄に近づいたというような安易な考えをもつておりませんけれども、これがもし膨脹して、新たになる信用造出、購買力の造出をいたしますならば、今日まで乏しきに耐えて、がまんをして、インフレーシヨンの收束に力を入れてきたことが、水泡に帰するおそれがある、ここに非常に重大な点があると思うのであります。しかしながら、御指摘のごとくに、一應においてインフレーシヨンを收束せしめるために、財政支出を圧縮してどこまでも健全財政主義でいくという点においては当然でありますけれども、昨年度のごとく時期的なずれがあつて、それがために、いわゆる健全財政が金融を圧迫したというような事実がございますから、今年はさような失敗を繰返しては相ならぬ。時期的な調節についても十分勘案をいたしまして、いわゆる健全財政が同時に健全金融と一應照應するような方案をとつたのであります。
 なお申すまでもなく、現在において生産を増強することが、積極的にインフレを防ぐ一つの重要なる案件であります。從つて、金融の重点的な放出はもとより当然であります。從つて、一方において資本の蓄積に向つては十分努力しなければならぬ。これらの点については、もつといろいろ問題があるとと思いますけれども、少くともさような点から、法人税を軽減し、あるいは勤労所得税を軽減いたしまして、勤労意欲を旺盛ならしめる、あるいは企業の再生産活動に意欲を與える、かような方向に努力をいたしておることは、御柳知の通りであります。
 なお有價証券の大衆化等も、これまた國民蓄積への大きな案件でありますから、新たに法律をつくりまして、株主の負担を軽減するというような点にも努力をいたしておるのでありまして、かような点において、いわゆる有價証券の大衆化を通じて國民蓄積を増す。また一方においては、借入金等で賄つておるものを、できるだけ安定した自己資本によらしめたい。このことは、また一面企業の健全化が行われなければならぬことでありますから、一方においては企業の健全化のために打つべき手を打つ。同時に、これを安定した自己資本において、企業が借入金によらず運営できる方向へ力をもつていきたい。
 かようなから、復金の融資とは関連をもつのでありますが、復金の融資が、御指摘の通り赤字金融をやらなければならぬという現状にあることは、事実であります。しかしながら、これをめぐつて、一方においては金融を引締めておるけれども、この復金金融を通じて、いわゆる復金インフレといすようなことがあつてはなりません。これに対しては、ただいは嚴正なる監査、特に融資後の影響あるいは檢査等につきましては、十分なる施策を立てまして、すでに復金の調査をやつております。(「やつていないじやないか」と呼ぶ者あり)現にやりつつありますが、さらに嚴正な監査構関を設けることにいたしたいと思います。
 なおまた金融問題につきまして、中小企業その他の金融問題についてお話がございましたけれども、これは貿易手形等によりまして貿易産業の金融を円滑ならしめる、あるいは公園認証手形をもつてその方面の金融をはかる、あるいは最近農業手形等によりまして、農業金融に対して一應の施策を講じたのでありますが、今後中小企業の金融並びに農業金融については、さらに一段と施策を進めたい、かように考てえおるのであります。
 なお、いろいろお説がありましたけれども、今回の所得税等の軽減によりまして、政府は七百三十億円の減收と相なるのであります。これについて、所得税を軽減したと言うけれども、納税人員が非常に殖えておるじやないかというようなお話がございましたが、われわれの調査いたしておりますところでは、給與所得による人員の減少が二三%、それから事業所得による人員の減少が二%それから農業所得による人員の減少は三二%ありまして、お話のごとき事実はないのであります。
 なお、追加予算についてお話がございましたが、これはこの前御答弁申し上げました通り、私どもは追加予算は出さない方針であります。從つて、物價等の諸問題について相当の時日を要したのでありますけれども、それは追加予算を出さない方針を堅持するために、さようになつた次第でありますから、御了承願いたいと思います。
    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#28
○國務大臣(栗栖赳夫君) 本間議員の御質問中、私に関係するところの二問についてお答えいたしたいと思うのであります。
 第一問は、一億五千万ドルのクレジツトがもしはいらなかつた場合には、二十三年度の生産指数四割引上げの計画に変更を來さないか、こういうお尋ねでありまして、きわめて適切な御質問でありますが、これにつきましては二十三年度の重要物資生産計画を立てておりまして、これによりますと、石炭、鉄鉱石、石油類その他原材料の輸入を相当に期待しているのでありまして、これがためには外資導入を必要とするわけであります。そこで政府といたしましては、一億五千万ドルの外資がはいらなくなるということについては、相当重要な問題でございますので、政府はさらに最大の努力を拂いますとともに、さいわいにも関係当局及び米本國におきましても、日本再建のために外資導入が必要であるということを相当理解を得ていると思われますので、それにつきましては、なお今後最大の努力をいたし、その実現を期し、それによりまして、本年度の鉱工業生産の指数の変更を來さないように努めるということにしておるのでございます。
 それから第二の点は、中間安定に関する問題でありますが、政府は長期計画を立てまして、その一環として、当面の急である中間安定の実現を期しておるのでありまして、中間安定の方法、目途等については、昨日も御説明申し上げましたが、なおこの点は、單に通貨面、殊に金融インフレ面の操作ということでなしに、すなわち安定恐慌へ導くということでなしに、生産の増強、輸入の増加ということによりまして物資を増強する、それと同時に、國民生活の安定、それから生活物資、住宅あるいは実質賃金の充実、そういうような一連の政策を立て、今作業をいたしておるのでありまして、遠からず本会議あるいは委員会において発表し、各位の御意向を徴し、御賛同を得て実現したいと思う次第でございます。
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#29
○國務大臣(芦田均君) 本間君の御質問に対しては、大藏大臣並びに安本長官より一應の答弁をいたしました。なお詳細の点については、委員会において私より答弁いたします。
    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#30
○國務大臣(水谷長三郎君) 本間さんの私に対する御質問にお答えいたします。
 中小企業の問題は、あなたも御指摘の通りに、單なる経済上の問題ではなしに、実にゆゆしい社会問題までに発展しているのであります。しかしその対策は、あなたもまさに御指摘されましたように、何と申しましても中小企業が、中小企業なるがゆえに資金・資材の面において不平等な、不公平な取扱いをされている、これを排除することがまず第一であろうと思います。さらに第二の点におきましては、中小企業の水準の向上をはかるということが大きな対策であろうと思うのであります。
 第一の問題につきましては、極端な窮乏経済のもとにおきましては、中小企業なるがゆえに総花式に資金・資材を振りまくということは許されないことでございまして、眞に実力ある中小企業に資金・資材がまわらないということのないように努力をせねばなりません。このためには、ほんとうに能率本位の割当を確保いたしますように、資材割当基準というようなものをば考究中であります。なお、各自で割当の対象とならないほど微量な需要に対しましては、協同組合割当というようなものを考慮いたしておるような次第であります。
 第二の点でありますが、資金の面に関しましては、原則的には一般金融機関の中小企業への活用とその活発化をはかる以外に、復金資金、中小企業資金の拡充であるとか、あるいは信用保証制度の活発化等を推進していきたいと思うのでございますが、できれば、三党政策協定においてうたわれましたような中小企業專門の金融機関をつくりたいと思つて、目下始終折衝しておるような次第でございます。(拍者)
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
#31
○國務大臣(永江一夫君) 本間君の御質問にお答えいたします。
 農村の現状が、今の御説のごとくに、農家経営に非常な安定を欠きつつあることは、私もこれを認めておるのであります。從つて、これの対策といたしましては、当面一番重大な問題は農村金融の逼迫であります。これはお示しになりましたように、政府といたしましては、すでに農業手形の制度を実施いたしまして、特に今お示しになりました北海道、東北その他の單作地帶に対する適宜の処置を行いつつあるのであります。さらに第二の方法といたしましては、目下政府において農業復興金庫等諸種の立案を急がせまして、適当にこれを実施したいと考えておるわけであります。さらにその他の方法によりまして、農村の金融の逼迫については、できるだけの処置を講ずるつもりであります。なおこれらのことにつきましては、いずれ適当な機会に私から発表いたします。
 また、今お話にありましたように、農村恐慌の基本的な方針についていろいろ御心配をお述べになつておりますが、私どもとしては、やはり農村恐慌には二つの問題があると思います。その一つは組織でありますが、これはすでに諸君が御承知のように、農村におけるところの封建的な地主の制度を打破するために、目下農地改革が進行中でありまして、これに並行いたしまして、私どもは、農業協同組合の育成強化によつて農村の民主化、協同化を行つておるのであります。さらに第二の点であります農村の経営の問題でありますが、これは本間君がお示しになりましたように、有畜農家あるいは農村の工業化等の、高度の農村経営の合理化を行いまして、恐慌の根本的な方策を立てたいと、かように考えておるわけであります。(拍手)
    〔本間俊一君登壇〕
#32
○本間俊一君 私の質疑に対して、芦田総理大臣以下各閣僚の御答弁をいただいたのでありますが、北村大藏大臣は、健全金融を行いますために、ぜひとも今日の企業の能率化、合理化のために適当なる手を打つという意味のことを申されたのでありますが、その適切なる手というのを、具体的に私どもは問い質さんとしておるのであります。(拍手)
 さらに水谷商工大臣は、きわめてありきたりの御答弁をもつて終られたのでありますが、この中小企業の問題は、今後のわが國民経済の維持の上から見ましても、きわめて重要な問題でありますから、さらに私は、眞劍なる態度でこの中小企業の問題に善処していただキたいということを、一言要望しておきたいのであります。
 それから栗栖安本長官は、なるほどインフレを止めそとか、あるいは実質賃金の確保でありますとかいうような、きわめて耳ざわりのいい言葉で表現せられたのでありまスが、今日政府の計算によりますと、政府の営んでおりまス官業だけは、三倍半でありますとか、あるいは四倍でありますとかいうように、大幅にこれを引上げまして、一般の公價は七割にこれを抑え、しかもその結果、やみ値というものは三・六%しか上らないというようなきわめて私どもの常識とは縁遠い計算をいたしておるのでありまして、ただいま栗栖安本長官の言われたような、十月から行われます中間安定までの、今日行わなければならない重要な施策というものを、一つも強力に、有効適切に、これこれを行うというようなことの言明がなかつたことを、私ははなはだ遺憾に考えるものであります。
 芦田総理大臣の御答弁もいただいたのでありますが、私は、芦田総理大臣の御人格に対しては、ひそかに敬意を表しておる一人でありますが、芦田さんともあろう総理大臣であるから、どうかもう少し私は眞劍に、まじめに御答弁をいただきたいと思うのであります。今日、私ども八千万の國民は、敗戰のどん底の中にもがいておるのでありますが、この敗戰の日本を興します、ほんとうの源泉になる基本的な考えというものは、正直な、まじめなところからのみ私は生れてくるものと信じておるのであります。(拍手)
 政府の答弁を総じて私が伺いますと、はなはだ不満足であります。しかも、はなはだ不満足であると同時に、総じて飄々乎として自信を失い、あたかも薄氷を踏むがごとき感なきを得ないのでありますが、私は次の機会に、さらに徹底的に政府の政策なり具体的な方策について追究することにいたしまして、本日はこの程度で私の質問を打切ることにいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#33
○副議長(田中萬逸君) 内閣総理大臣より、昨日の倉石忠雄君の緊急質問に対し答弁のため、発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣芦田均君。
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#34
○國務大臣(芦田均君) 昨日の本会議において、倉石忠雄君より労働政策に対する質問がありました。折惡しく席にいなかつたために、ただいまこの機会にお答えいたします。
 倉石君の指摘されましたごとく、終戰以來の労働運動の中には、時々行過ぎと思われるものがありまして、わが國労働運動の健全なる発達のためにも、ひそかに遺憾とするごときものがあつたことは事実であります。從つて政府といたしましては、この労働運動の行き過ぎに対しては、十分法規の上からも、また教育の面からも、過ちなきようこれを指導していきたいと考えております。
 なお最近においても、あるいは國家機構を萎靡するおそれあるごとき團体行動が行われ、あるいはまた社会秩序の混乱を目標とするごとき行動が、ときとしては労働運動の名によつて行われんとするごとき傾向がある。しかしながら、かくのごとき行動は、労働組合法に認めておる適法なる爭議行為でないことは明白でありまして、かような政治的目的をもつてする集團行動に対しては、それぞれの法規に照らして、これを嚴に規律していきたいと考えております。
 なおこの問題については、特に共産党の行動についての御議論がありました。しかし、以上述べました二つの行動に対しては、これがいかなる政党政派の名において行われようとも、國家としては当然適当の手段をとるべきものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○笹口晃君 議事日程変更の‥‥(議場騒然、聽取不能)すなわちこの際、内閣提出‥‥(議場騒然、聽取不能)‥‥臨時通貨法の‥‥(議場騒然、聽取不能)
 ただいまの動議を一應撤回いたします。(拍手)
    〔倉石忠雄君登壇〕
#36
○倉石忠雄君 私が、昨日政府の労働政策に対してお尋ねをいたしました中で、総理大臣の御答弁をただいま承つたのでありますが、総理は、私が指摘いたしましたるごとくに、ただいまわが國の各地で行われておりますきわめて苛烈なる労働爭議の背後には、いたずらに國家機構を破壊せんとすることを目的とするかのごとき團体がこれを指導しておるというようなこともお認めになつたのでありますが、私は、現在の日本の経済の段階において、どうしても現在の労働法規に欠陷がありはせぬかということについて、昨日内閣の労働大臣にお尋ねをいたしたのであります。労働大臣は、現在の労働爭議がきわめて行過ぎであるということはお認めになつておられましたけれども、この法規の改正については、御自分がその職にあらるる限りは断固反対であるということを表明いたされたのであります。しかも私が、アメリカの状況を指摘いたして、あれほどに大統領の拒否権が発動せられたるにもかかわらず、タフト・ハートレー法のごときものが議会の絶対的支持を得て通過いたした、あのアメリカの事情を斟酌いたしたならば、いわんや敗戰國であるわが日本経済再建のためには、もつともつとわれわれは眞劍に反省しなければならぬということを指摘いたしたのであります。(拍手)しかるに労働大臣は、いたずらにアメリカのまねをする必要はないというようなことをもつて一蹴せられたのでありますけれども、私は、現在の日本において行われておる、たとえば東宝映画会社の、あの卑劣きわまる、しかも男女勤務者の間に、まことに目をおおうに足るような醜態まで演じておるあの爭議の背後に、ただいま申しましたるごとく國家機構の破壊を第一の目的とするやからが、この指導をいたしておるということは、まことに慨嘆にたえないのであります。(拍手)私はこの点について、総理大臣は現在の労働法を改正される御意思がないかどうかということを、あらためて承りたいのであります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#37
○國務大臣(芦田均君) ただいまの倉石君の御質問は、きわめて重要な問題であります。政府におきましては、今日の段階において、労働運動の行過ぎに対していかなる方法をとるべきかという点について、いろいろ研究した結果、ただいまのところ、わが國における労働運動の傾向は、長い目で見れば、終戰以來漸次健全な方向に向いつつあるという事実は、これを認めなければならぬと思います。ただそのうちに、きわめて少数の者が過激な手段をとつて、行過ぎの行動に出ておるということも、疑いない事実であります。從つて政府は、今日の事態において、労働階級の勤労意欲を阻害するごとき労働法規の改正は断じて行う意思はありません。ただ時宜に應じ、今後必要な法的手段によつて、これらの破壊的な、國家の再建を阻害するがごとき行動を取締る必要の生じた場合に、いかなる方法をとるべきかについて、目下愼重に研究をいたしております。(拍手)
     ――――◇―――――
#38
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、会社の配当する利益又は利息の支拂に関する法律案、臨時通貨法の一部を改正する法律案、内藤友明君外三名提出、農業協同組合又は農業協同組合連合会が市町村農業会、都道府縣農業会又は全國農業会から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案及び内閣提出、内閣総理大臣等の俸給等に関する法律案の四案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#39
○副議長(田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 会社の配当する利益又は利息の支拂に関する法律案、臨時通貨法の一部を改正する法律案、農業協同組合又は農業協同組合連合会が市町村農業会、都道府縣農業会又は全國農業会から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案、内閣総理大臣等の俸給等に関する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。
    〔早稻田柳石エ門君登壇〕
#41
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました四つの法案について、委員会の経過を報告いたしたいと存じますが、その詳細は速記録に讓りまして、ごく簡單に結果並びに経過を御報告申し上げます。
 第一の、会社の配当する利益又は利息の支拂に関する法律案でありますが、本案は、証券民主化の線に沿つて、会社の配当する金額等から郵便料等を出して、残りがきわめて少くなるのは、民主化に支障を來すというので、配当支拂の費用はすべて会社に負担させた方がよからう、させようというので提案された法案であります。
 第二は、臨時通貨法の一部を改正する法律案についてであります。臨時通貨法は、臨時補助貨幣として五十銭、十銭、五一銭、一銭の四種を規定しております。そのうち、現在製造いたしておりますのは、五十銭の黄銅貨のみでありますが、最近の物價情勢から見まして、從來の五十銭の補助貨幣は額面價格が低きに過ぎますので、これよりも高額面の補助貨幣を発行することが、日常取引の便利を増進するゆえんであると考えるのであります。近く物價改訂に伴い、人件費の高騰及び物件費の上昇が起りますれば、現行の五十銭補助貨幣は、一枚あたりの製造経費が五十銭を超えることが予想されます。そこで臨時通貨法の一部を改正したいというのが、本法案の趣旨であるわけであります。
 第三の法案は、これは少し詳細に申し上げますが、議員内藤友明君外五名提案になる法案でありまして、農業協同組合云々という長い法案であります。
 農業協同組合法の制定に伴い、御承知のように、來る八月十四日までに從來の農業会が解散をして、農業会の財産中、新しくできた農業協同組合において必要なものは、いたずらに散逸させることなく、協同組合に移讓することができることに相なつております。しかし、これら財産を協同組合に移轉する場合に、現在の各種税制によりますれば、新取得者たる組合が國税及び地方税を負担しなければならない建前になつております。これらの課税基準が時價によつて評価される場合を考えますると、農業協同組合においては相当多額の税を負担することが予想されるのであります。しかるに、この財産の移轉は、法律によつて農民の財産が單に新しい組織に移るだけである。このことによつて農民の負担が新規に加わる結果になることは妥当でないと思います。また、新発足する農業協同組合にこの税負担を與えるということは、事務を繁雜にさせ、協同組合の健全なる発達に大きな障害になると思われるのであります。かような関係で、このたびこの法案を制定して、こうした負担を軽減しようといたしておるのが、本法案の趣旨であります。
 最後に、内閣総理大臣等の俸給等に関する法律案でありますが、現在のインフレーシヨンの上昇に伴いまして、内閣総理大臣の俸給が二万五千円、國務大臣、檢査官、人事委員長、人事委員、及び特命全権大使がいずれも二万円、宮内府長官が一万八千円、侍從長及び特命全権公使がいずれも一万五千円、この俸給の支給方法等を定めたのが本法案であるわけであります。
 委員会におきましては、これら法案が付託せられ、政府並びに提案者の説明を聽取いたしました上、愼重に審議を重ねてまいつたのでありまするが、最後には、いずれも妥当な法案であるというので、討論を省略いたしまして、満場一致をもつて可決いたした次第であります。
 以上、簡單ながら御報告を申し上げます。(拍手)
#42
○副議長(田中萬逸君) 四案を一括して採決いたします。四案の委員長報告はいずれも可決であります。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
#44
○笹口晃君 大藏大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#45
○副議長(田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なししと呼ぶ者あり〕
#46
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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