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1947/06/11 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第61号
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1947/06/11 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第61号

#1
第002回国会 本会議 第61号
昭和二十三年六月十一日(金曜日)
    午後一時四十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第五十七号
  昭和二十三年六月十一日(金曜日)
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 鈴大國務大臣より、昨日の鍛冶良作君の緊急質問に対し答弁のため、発言を求められております。これを許します。國務大臣鈴木義男君。
    〔國務大臣鈴大義男君登壇〕
#4
○國務大臣(鈴木義男君) 昨日、鍛冶君の最後の御質問に対してお答えいたさなかつたのは……
    〔発言する者多し〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#6
○國務大臣(鈴木義男君)(続) その前の御質問と結局同じことと考えたからでありまするが、それは御質問の権利を尊重するゆえんでないと存じまするので、ここに御釈明申し上げます。
 西尾君の問題につきまして、新聞記者の方との談話において、誤解を惹起いたしまするような発言がありましたことは遺憾に存じますが、公式の声明というようなものでなく、また西尾君の問題の全貌を盡したものでもないのでありまして、法務総裁としては、今後愼重に事実も調査いたし、報告も徴しまして、公正に処理いたすつもりでありまするから、御了解を賜わりたいのであります。私の責任問題につきましても、これによつて御了解がいただけると信ずるのであります。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○議長(松岡駒吉君) 大藏大臣の財政演説に対する質疑を継続いたします。綱島正興君。
    〔綱島正興君登壇〕
#8
○綱島正興君 私は、民主自由党を代表いたしまして、政府提出の予算案につきまして質問を試みる次第であります。一昨日植原議員より、予算の諸項目につきまして質問をいたされましたので、この植原議員、本間議員等の質問に盡されております点は、重複を避けまして言及いたしませんが、但し、答弁が不十分であつたと思う点については、重ねて御質問を申し上げることもございます。
 一昨日植原議員より、わが党は一大修正案を提出するつもりである、それに対して應ずる意思ありや否やという質問に対しまして、大藏大臣は、これに應ずる意思なしということを答弁されておるのであります。また本間議員よりの質問に対しましても、追加予算を提出する意思なしということを言明されたのであります。私はこれを聽いて、まつたく唖然といたしたのであります。
 ただいま、敗戰後の國民生活は非常に窮乏いたしておりまして、思想、物質両方面にわたりましても、はなはだ安定しがたき状態にあるのであります。しかるに、この両面の包藏するところの不安定状態を見つつ、なお自分どもが予定したる予算については一切変更の意思なしというような考えをもつて臨まれることは、これ、はたして忠実なる國政を運用する考えの上に立つておられるかどうか、私どもは疑わざるを得ないのであります。特に政界の分野、社会の輿論その他の状態からこれを推察いたしまして、相当の大幅修正のやむを得ざる実情にありますことは、政界に多少の常識を有する者は必ず認めなければならない実情にあるのであります。特に國会議員として、それこそ祖國に対しての責を負うております者は、ただいまは意をいたし、志をひとしゆうすることのできる範囲においては、これをひとしゆういたしまして、大はもつて小に仕えるというような考えでこの國政に当つてもらわねばならぬ時代でございます。みずから欲するところにのみ從うて、自大ひとり誇るというような態度は、これ、はなはだ天下に許すべからざることである。君子のまことに與せざるところであると思います。
 この状態であるにかかわらず、ただいま政府がとりましたところのこの予算が、どのくらい維持困難であるかということは、一昨日三千七百円ベースを主張され、しかも、それを基本として予纂が組み立てられておるにかかわらず、昨日のラジオは、全官公廳は五千百円の賃金ベースを主張したということを報じております。ただいままでの経驗からいたしますと、全官公廳の決議は、常に大体二、三箇月遅れて実行されておる実情にあるのであります。こういう実情にあり、またそのことは予見し得べき実情にございますにかかわらず、みずから定めたるところの予算を絶対変更しないという点の一本やりで進んでこられ、しかも追加予算を提出する意思もない、こういうことでやつてこられることが、はたして眞に國家を思う態度であるかどうか、この点に私は、はなはだ危惧の念を禁ずることができないのであります。ここで私は、以下三点についてお尋ねをいたします。
 第一点は、政府の歳計予算提出が何ゆえにかように遅延いたしたか、この遅延に対する責任をどうされるつもりでおるかということであります。
 次に第二点は、七割値上げ後の公定價格と賃金三千七百円ペースを基本として立案せられたこの政府提出予算案は、はたして維持せられ得るかどうか、政府のとつておるところの統制経済の破綻によつて、維持できないのが当然であると私どもは思うのでありますが、はたしてこれを維持せられ得る根拠をもつておるかどうか。この点については、理論を盡して御説明を願いたい。私は、この第二点については理論にわたつて御質問をいたすのでありますが、それは議論であるからというお考えがあるかもしれませんが、そういうことは決して許されない。わが國のただいまといたしましては、経済については十分の理論を盡さなければならない。この理論を十分に盡さざることが、いわばわが國の國会がもつ一つの大きな欠点なりと考えますがゆえに、この点については、はなはだ恐れ入りますけれども、御清聽を煩わしたいと思います。
 第三点でありますが、予算に表示せられておるところによりますと、いわゆる重点主義経済、傾斜経済のみを重んぜられておりまして、農漁民でございますとか、中小工業者でございますとかいうものは、ほとんどその犠牲に供せられておる感があるのであります。國民総生産を拡充しなければ日本の再建は困難であるにかかわらず、かような方針で予算の編成をなし、國政を推進していかれることが、はたして日本の將來にいいことであるか惡いことであるか、この点に対しての御所見を承りたいと思うのであります。
 そこで第一点の、歳計予算の提出をなぜかように遅らせたかという点を伺いたいのでありますが、ただいま、この非常なる経済危機の時代におきまして、國民は、それこそ一日を千秋にかえて國政の安定を希つておるのであります。國政の安定は、妥当なる予算の編成が最も第一歩となるのでございます。そこで、この予算の提出が遅れるということは、國政の安定を欠く最も重大なる原因と相なるのであります。
 顧みますれば、すでに臨時予算によること三箇月に及んでおります。この上、あるいは本予算もまた來月に間に合わないかもしれぬという実情にあるのであります。殊に旧憲法時代におきましては、予算というものは議会の初頭に提出いたさなければならぬ義務があつたのであります。ただいまの新憲法に基く財政法におきましても、その二十七條に、政府は予算を編成して、前年度の十二月までに國会に提出することを常例とする、と規定してあるのであります。從つてこの内閣は、片山内閣において実は予算がすでに提出されていなければならなかつたのであります。なるほど、この内閣は片山内閣消滅後にできたものではございますけれども、閣僚の多くは、片山内閣時代の閣僚であります。殊には、予算に主要なる関係をもたれる閣僚は、ことごとく片山内閣の閣僚であられます。從つて、この財政法の規定に順應したる行為をなさることは当然でありまして、これを無視して、慢然として日を送られたことは、私どもの了解に苦しむところであります。
 もしも、しかせざるべからざる事由がございましたならば、予算を提出するにあたつては、その事情を國民の前に開陳して、誠意を披瀝して寛容を求めらるるが当然でありますし、國会に対しても、その処置があることが当然であります。しかるに、財政演説を予算提出に先んじて行い、それに準じて財政審議に入ることを当然とするがごとき態度を偽装せられ、あるいは野党が予算の審議を特に遅らせるのではないかというような印象を社会に対して與えようというような企てに見えるようなことが行われたのであります。(拍手)かようなことは、その実は國会の尊重ではない。
 國会は御承知の通り、予算審議をもつて中心となすのであります。(「本論にはいれ」と呼ぶ者あり)これが本論だ。國会は予算審議をもつて中心職務といたすのであります。しかるに、この國会の予算審議権を軽々に取扱うことは、これすなわち國会無視の能度であり、それこそ民主主義破壞の考え方であります。(拍手)民主主義の破壞は一日にして成就するものではなく、そのわずかな間に実は根ざすのでありまして、この点に対する総理大臣及び安本長官、大藏大臣の、それこそほんとうに納得するに足る御説明を願いたい。私の推察するところによれば、あるいは予算編成が遅れなければならなかつた事情は、関係閣僚の信用の失墜が主要なる理由ではないかと考えられるのであります。(拍手)この点、どうかはつきり國民が了得するに足るような御説明を願いたいと思うのであります。
 第二点は、七割値上げ後の公定價格と三千七百円の賃金ベース、これによつて組まれておるこのたびの予算が、はたして維持せられ得るかどうかということをお尋ねいたすのであります。多分、それはできると言われるでございましよう。そういう空虚なるお答えではなく、理論を具して、事実に基いての推論を願いたいのであります。
 そこで、大体この予算提出にあたつて、大藏大臣の財政演説及び政府より提出いたしましたところの中間安定策なるものを拝見してみますると、まず第一にどういうことを定めておられるかと申しますと、まず中間安定を得るために労働不安を一掃しなくてはならない、そうして労資協調の線へもつていきたい、財政の均衡を保つて金融の引締めをやる、重点産業を整備して経営を合理化する、ひとまずこういう処置をやつて、大体賃金・物價の惡循環を断ち切つて、そうして心理的安定策と併せ行うて安定を見出す、こういうことが大体の基本的考え方のようであります。そうして、とどのつまりは國内物價の水準をば國際物價の水準に均衡せしめていく、でき得る限り統制経済を撤廃して自由経済に復帰する、最後に單一為替レートを確立する、やむを得ざるものにおいてのみ複数レートあるいは補助制度による、こういうことが、大体このたび意図しておられることのようでありまするが、これがはたして実行せられ得る根拠があるかどうか、経済上さような根拠がありやなきや、私どもば、実はこの予算がはたして妥当なりや否やを檢討するにあたつて、この点が最も必要なことであると考えるのであります。(拍手)
 そこで、私がまずお尋ねをいたしたいことは、一体政府はどういう考えでこの予算を組まれているか。私どもの考えから申しますれば、生産の増強、いわゆる生産の裏づけによらざれば、いかなる方策をなすといえどもインフレーシヨンは食い止まらないと考えているのであります。(拍手)生産に保障されている貨幣でなければ貨幣價値は持たない、生産の裏づけのない貨幣價値というものは、たといこれがクレジツトによつて中間的に多少維持せられても、その貨幣價値というものは、生産に裏づけられない限り必ず暴落するものであると私どもは考えているのであります。
 ところが、政府が出しておりまするこのたびの予算によつてみますると、五百十五億円という巨大なる額を物價調整資金に持つていつているのであります。百三十億という巨大なる額を通信及び輸送の補助金に特つていつているのであります。一体この物價調整資金というものは、その起ります原因は、それほど必要でないものまでも統制をいたしましたところより起りますところの、それこそ國民から見れば迷惑千万なる負担でございます。かりに、ただいまの統制経済を認容することといたしましても、それほどの必要のないと思える程度まで統制経済を極端に拡充いたしましたために起ります國民負担でございます。こういうものを計上している。それから、ただいまのこの逓信及び運輸に対するところの百三十億円の繰入及び鉄道料金の三・五倍値上げ、通信料金の四倍値上げ、こういうものの起る原因のうちに、政府がなしているところの、人員に対する整理を行わぬために起る過剩支出というものが多分に包含されていることを私どもは承知しなければならぬ。
 こういう両面から私どもが考えてまいりますときに、これらの支出というものは、ことごとく生産増強ではなく、生産を痲痺せしめる線のものである。そうして、賃金ペース、また物價ペースを維持しようという考え方が、はたして科学的に成り立つかどうかという点を伺わなければならぬのであります。
 それから、なお伺わなければならぬことは、このたびいろいろなことをやつておられます中に、はなはだ遺憾に思いますことは、この前片山内閣においては、賃金・物價の惡循環を断ち切るために、やはり今度言つておられるような安定帶を見出そう、それを維持するためには、國民の耐乏精神と道義高揚によつてこれをやろうとされたようであります。このたびは、それを一歩進めて、どういうことをやつておられるかというと、外國からの輸入によつて穀物を殖やして、二合八勺の配給をする。労働者及びその家族に対しては加配米をやる。そうして、一つの心理的な安定感を與えていく。そこまではちよつとおもしろいようにも考えられますが、この加配報告と納税報告と賃金ペースとを対比して見て、不正加配、不正納税、不正賃金というものを、税務署と警察力によつて摘発して、そうして、この中間安定の計画を維持しようという意図をもつておられることがわかつておるのであります。
 一体、これが民主的考え方であろうかどうか。ただいま國民は、やむを得ずやみをやつて、警察に追いまわされて、それこそ氣の毒な目に遭つていることは、皆様御承知の通りであります。また過重なる税金のために組み敷かれて、それこそ青息吐息でいることも事実であります。この二つを前にしておりながら、なおこの警察力と收税吏の力とを頼りにして、この物價・賃金ペースを維持していこうという考え方が、はたしてこれが妥当なる財政策の基本形態をなすものであろうかどうか。(拍手)日本の將來に好ましからざるところの社会的変動が起ることを予測されるような線がこの中に伏在すると、諸君はお疑いにならぬであろうかどうか。こういう点に対する総理大臣、その他大藏大臣、安本長官等の、政治的良心によつての御答弁を伺わなければならない。
 さらに理論的に――私は、これは主として安本長官と大藏大臣とにお尋ねをしなければならないことでございますが、元來資本主義経済においては、貨幣に対して物及び労力の支配力というものを認容しているのであります。しかるに、法の規律によつて物價と貨幣を決定する計画統制経済方式というものは、資本主義貨幣のもつところの物價と賃金の統制力を減殺することによつてのみ成立するものでございますから、資本主義貨幣のもつ物價と賃金に対する統制力が勝つか、法律による統制が勝つかによつて、やみ取引が行われたり、マル公取引が行われたりするのであります。資本主義貨幣の物及び労力に対する統制力と、計画統制経済による法律の物及び労力に対する統制力とは、互いに相衝突するものでありますために、資本主義貨幣の流通を認容しながら、物價や賃金の流通の統制を行えば、やみは横行し、大仕掛のストライキは頻発するのが当然であります。(拍手)ここで大仕掛のストライキを誘発しないようにしようなどということは、まつたく考え違いであります。この大仕掛のストライキを頻発させておきながら、物價や賃金を安定しようという考え方に、一体理論的正当性がどこにあるか、これを私はお尋ねしなくてはならない。
 私どもが、さらに知らなければならぬところのものは、ただいまなさねばならぬことはどういうことであるか。どうしても私どもは、この経済組織体というものを統一に整えなければなりません。衝突しない経済組織体をもたなければならない。それが資本主義に系統立てられようとも、あるいは共産主義に系統立てられようとも、衝突しない線で経済組織というものが確立されなければ、生産性の高揚は絶対ないと私は考えるのであります。相互いに衝突する経済政策を基本としておいて、そこに生産の高揚を求むることが、矛盾でなくして一体何であろうか。
 それでありますから、私は一体今の日本の実情をどう考えてみるかということでございますが、ただいま日本がおかれておるところの國際的の関係及び國内がもつております資源関係等より観察いたしますれば、ただいまいわゆる私有財産制のシンボルであるところの資本主義貨幣を廃止いたしまして、もつぱら計画統制経済の一本やりによるところの競爭経済組織によることは、困難であると思われるのであります。それでございますから、私どもがよらねばならぬところのものは、私どもが許され得る経済組織、私どもが國際間に認容され、しかも私どもが國際間に資源を求め得る程度の経済組織をもつよりほかには、私どもは國際間に存立する余地をもたないのであります。そのためには、どうしても純正なる経済組織をもたなければならぬ。それでありますから、私どもがもたねばならぬものは、純一なる自由主義経済でなければならないのであります。(拍手)
 元來統制経済というものは、貨幣経済と貨幣の支配力と衝突しないときは、なるほどやつていけるようでございまするが、貨幣の物及び労力に対する支配力と統制経済とが衝突を起しますれば、資本主義下においては必ず統制経済の崩壞を來すことはもちろんであります。その事実が、いくたび予算を組んでも行われず、いくたびストライキの協定をいたしてもその協約は維持されない実情でございます。そこで私どもは、この間において、どういう理由で、いかなる関係で、この生産を増強せずして、いかなる手段によつて統制経済を維持しながら賃金と物價とのくぎづけをすることができるか、こういうことについて、実は大藏大臣及び安本長官に理論的に根拠を伺いたい。
 それから、次に第三点でありますが、政府はただいま重点経済主義というものをやつておられるようでございます。一体この重点経済主義というものについては、本間議員もちよつとお尋ねしたようでありますが、なるほどまず汲み永、迎え水を入れるという点で表わされるならば、これは一應わかるのでありますが、日本のただいまの実情から見て、大資本主義によるとか、大企業式によるとかいうことが非常に困難であることは、一見明らかであります。そこで、わが國のこの労力を百パーセントに有効ならしむるためには、どうしても農漁民でございますとか、中小鉱工業者の生産性を拡充する以外には、経済復興の線はないと私どもは考えるのであります。
 ところが、ただいまの重点傾斜生産様式によりますと、これらのものは、みな組み敷かれておるのであります。まず第一に、金融の面において組み敷かれておる。農漁民、中小工業者は、金融の面においてほとんど拘束を受けておりますし、ただいま都会は、ほとんど一割に近い金を借りてみな仕事をいたしております。そういうことで、一体小市民の生産が拡充されるというようなことは、ほとんど予想もつかないことでございます。そこで、この小市民の生産体制を確立するために、金融面、殊には資材の強力なる統制を、もつと変更される意思なきや否や。少くとも、この統制をもつと簡素化してやる意思をもつておられるかどうか。ただいまのような、非常に複雑なる、時間のかかる統制をやられることによつて、國民は非常に迷惑をいたしておるのである。これをもつと簡素化して、統制が生産をじやましないようにする考えをもつておられるかどうか。
 それから、さらにもう一つ、これは農民のことについて伺いたいのでありますが、本間代議士がお尋ねいたしました通り、農業生産が立ち行きません根本は、商工業と農業に対する経済関係において立ち行かないのであります。わが國の農村が非生産的、自然的事情にあることはもちろんでありますが、いま一つ、商工業と農業との関係において、はなはだ立ち遅れしなければならない実情にあるのであります。これに対する相当の手当をする考えをもつておられるかどうか。
 私どもより考えれば、農村は一定の工業化をはからなければ、農村問題というものは解決しないと考えている。工業化をやるには、まず農業において必要とするところの肥料でありますとか、あるいは農機具でございますとか、農家具でございますとか、作業衣でございますとか、農藥品であるとかいうようなものを、農村において製造させる組織を組み立てること、農工一体ともいうような組織を組み立てる。次に、農産物の加工をなるべく農業協同組合もしくはその連合会の線にもつていく、かような考えをもつておられるかどうか。そういうことでなければ、とうてい日本の農村というものは維持されないと思うのであります。
 殊に私どもが憂慮にたえないものは、日本の農村の生産力というものは、世界に非常に劣つておるのであります。日本農民の生産力は、わずかに一人か二人分くらいの生産力しかもちませんし、アメリカのごときは三十人分の生産力をもつております。デンマークも二十八人分の生産力をもつておるのであります。よその國は非常にたくさんの人を養うだけの生産力をもつておりますが、日本は非常にわずかな人を養う生産力しかない。
 ところが、どうかといえば、肥料などは世界に無比なほどたくさん使つておるのであります。しかるに肥料行政等も、肥料の製造は商工省であり、配給は農林省というぐあいで、しかもその肥料の製造は、ほとんど國家の費用でただいまは賄われておるようでありますが、やみ肥料が横行いたしまして、農民は非常に困つておるのであります。こういうことに対する是正をするためには、製造、配給の線を農民自身にもつていくよりほかにないと思うのであります。一つ残つております問題は、肥料の國営という問題があるようでございますが、私どもがおそれることは、肥料を國営といたしましたならば、從來の國営産業の非能率性が肥料にもちこまれまして、肥料の原價が非常に高くなるのであります。もしも肥料の原價が高くなりましたならば、それこそわが國の農村は、破滅よりほかなきに立ち至るのであります。(拍手)この点に対する政府のお考え方はどうであるか。
 その他中小工業着に対して、ただいまの統制経済をやつておられる以上は、統制の範囲内において、何らかこれを保護するの政策を立てなければならない。自由経済によつて資源を自由に得られ、資金を自由に平等に得られる線で運営していかれるならば、それはなるほど自由競爭の線でございますから、それはよろしゆうございます。しかしながら、この統制経済によつて、重点傾斜生産などといつて、一つの資材及び金融についての強力な統制をするならば、小市民に対しても、ひとしく一定の作業が成り立つような手当をなさらぬことには、國政のほんとうの線に沿うたとは私は言われないと思うのであります。この線に対し政府はどういう考えをもつておられるか、こういうことをお尋ねいたすのであります。
 最後に、ただいま大藏省においては金融業法の改訂を行われるように伺つております。特殊銀行を撤廃して普通銀行にされるようでございますが、その間に経済界においては、この間の組替において、特殊銀行に対する一つの政党もしくは政府の手が伸びて、あるいはいろいろな人事等の工作が行われるのではないかというような危惧の念が相当濃厚であるようでありますから、この点に対する嚴正なる安本長官の御声明を願いたいと思うのであります。
 以上をもつて私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#9
○國務大臣(芦田均君) 綱島君の御質問の第一点は、何ゆえに政府は昭和二十三年度の本予算の提出を今日まで遅延したかというお尋ねでありますが、その間の事情につきましては、先般民自党を代表して山口喜久一郎君より特に御質問がありました際にこの席からお答えいたしましたことく、組閣以來、本予算の編成並びに時間的に見てとうてい間に合わないと思われる月の暫定予算編成に從事いたしまして、政府職員は相当にこれに努力をいたしたのでありますが、諸般の関係上、先月に至つてようやく本予算の編成を終りました。まず第一着手に予算大綱を諸君のお手もとに配付し、さらに本月八日に至つて、予算明細書を國会に正式に提出いたした次第でありまして、かように予算の提出が遅れましたことについては、先般も申し上げました通り、政府においては、これをまことに遺憾なことに存じております。
 第二の問題は、今回の物價改訂並びに給與水準に対する理論的の根拠を説明するようにというお話であります。きわめて率直に申しますと、終戰後の歴代内閣が、わが國のインフレーシヨン抑制のためにそれぞれ施策をいたしてきたことは、御承知の通りであります。しかるに、今日に至りまするまで、その施策が種々の事情によつて十分に成功いたしていないのであります。その結果は物價と賃金との惡循環に終わつて、常に所期の目的を達しなかつたのであり、その過去の経驗に鑑みまして、今回の予算編成にあたつても、給與水準と適正なる物價の補正については、かなり研究を重ね、理論的根拠に基いてその計数を出してまいつたのであります。從つて、この給與水準と物價の補正とによつて本年度の本予算は十分にこれを遂行する目標をもつて國会に提出いたしたのでありまして、この線において、政府は全力をあげてわが國のインフレ抑制のために盡していきたいと考えて、追加予算等は、この予算が通過する限り提出の必要なしという所信のもとに、本予算を審議願つておる次第であります。なお、これらの詳細なる理論的根拠につきましては、それぞれ所管大臣より答弁いたすように取計らいます。
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
#10
○國務大臣(北村徳太郎君) 綱島君の御質問のうち、私に関係ある部分についてお答え申し上げたいと思います。
 第一の、この予算でいけるかということについては、ただいま総理よりお答え申し上げましたが、今回の予算が、國民経済の規模において可能的健全性を保持したということについては、すでにたびたび申し上げました通りでありまして、從つてこの点については、もはや繰返す要がないかと思うのであります。しかもこれは、私どもの責任において國会に御審議を願つておるのでありまして、その責任はあくまで感じてやつておるということだけを附け加えて申し上げておきたいのであります。
 なおいろいろお話がたくさんございましたが、要するに、自由経済主義的な考え方でいくべきではないかというような御議論であつたと思うのですが、何ゆえの統制ぞというお考えではないかと思うのであります。私どもは、無用の統制というものは漸次はずしていくという考えをもつておりますが、これに対して理論的に科学的に答弁をせよというお言葉であつたので、いくらか理窟つぽくなるかもしれませんけれども、きわめて簡單に御質問の趣旨にお答え申し上げたいと思うのであります。
 申すまでもなく自由主義経済におきましては、生産手段をもつものと、生産手段をもたざる、労働力のみを提供するものとの間に、対立関係を生ずることは当然であります。かような関係から、いろいろな社会的の問題を多く発生することは、御承知の通りであります。しかもまた、これは基調として利潤性を確保するというところに、自由主義経済の非常に大きな力点がございます。そして、利潤性の確保のために活動が旺盛になつて、生産の増強する面があるということは、もちろんであります。しかしながら、それがために資材・資金の欠乏しておる現状におきましては、そのことによつて生ずるいろいろな弊害をどうしてためるか、すなわち綱島君のおつしやつた、いわゆる自由主義経済において生ずるところの諸般の社会的な害惡いうものを、過去においては社会政策でもつて補つてきたけれども、さようなことをもつてしては、とうてい間に合いませんので、おつしやつた意味の自由主義的経済が、すでに第一次欧州大戰でもつて終焉を告げたということは、つとにケインズが主張しておる通りであります。私どもは、今の日本の段階においては、どうしても必要なる統制を加えていかなければならぬ。また過小生産過程にあつては、資金・資材を重点的に配置いたしまして、國家の最も必要なる点に、最も必要なる生産を、最も早く生産させるというところに力点をおかなければなりませんから、從つて、重点主義の経済をとるということは、けだし現下の事情においては当然であると申さねばならないのであります。すなわち物價のごときも、これは自由主義的な生産に任して、物價の自律性に任すということであれば、統制の要はないのでありますが、それはいわゆる経済的無政府主義であつて、從つて、それから來る周期的恐慌というものが、過去においてどれだけ大きな害惡を社会に流したかわからない。これを修正する観点から、私どもは重点主義の生産をやつておるのでありまして、これについて一言お答え申し上げておく次第であります。
    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#11
○國務大臣(栗栖赳夫君) 私に対するお尋ねは三点でございました。
 第一の点は、賃金、物價が惡循環をする、これは恐るべき結果になる、であるから、それを打ち切るところの基本的理論を説明せよ、こういう点でございました。実質賃金を物的に充実することによつて名目賃金と物價との循環的上昇を食い止めようとすること、これが最も目的とするところであり、要点であります。すなわち、生活に必要な物資の増産を一方でいたしますと同時に、物資の輸入の増加をはかりまして、公正、適宜の配給を確保し、生計費の安定を実現し、一定額の名目賃金で生活を維持し得るような状態をもたらし、これによつて物價の安定をもたらそうとする。これが理論的根拠であると申したいと思うのであります。
 その次に、中間安定についてのお尋ねでありましたが、これは実は新聞に一部出ておりますけれども、政府の関知しないところでありまして、昨日申し上げましたように、中間安定につきましては、長期経済復興の計画の一環としてこれを考えておりまして、その内容は、國内物資の増産、輸入の懇請、さらに通貨その他の施策というものと相まつて、これをする必要がございますので、ただいま檢討調査を進めておりまして、近く発表をいたすことに相なろうと思います。その際にあらためて御意見を承り、まとまつた案にいたしたいと考える次第であります。
 それから第三の点は、重点産業、殊に傾斜生産の理についてお尋ねになつたと思うのであります。これは資材その他が十分あり余る場合、國内になくても海外から輸入し得る場合におきましては、傾斜生産のごとき形式をとる必要はないのでありますけれども、現下の状況におきましては、傾斜生産をとらざるを得ないのであります。そこで、石炭、鉄鋼、化学肥料、ソーダその他基礎資材の生産に関するところの産業に重きを置きまして、それに重点的に資材・資金を配給いたし、傾斜生産をいたすわけであります。それと同時に、他方におきましては貿易産業を促進いたしまして、貿易産業と傾斜生産による重点基礎資材の増産ということと相まちまして、そして、一般の産業にそれが順次及ぶようにいたしまして、経済殊に産業回復、生産回復の一途をたどるようにいたしたい、こう考えておる次第であります。そういう関係で、傾斜生産はなるべく速やかにその目的を達しまして、一般生産の過程に移行したいと考え、その間に犠牲産業の犠牲を可及的に少くしたい、こう考えるのであります。これが傾斜生産の理論的根拠でございます。
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
#12
○國務大臣(永江一夫君) 農村の経済的な基礎を確立いたしますために、農業協同組合の強化が必要であるという御意見につきましては、私も同感であります。ただお尋ねになりましたように、農業協同組合を育成強化いたしますために、これが農村におきまするすべての経済行為の独占的な立場をとるというこの傾向には、私どもは、にわかに賛成をすることはできません。從つて、例としてお話のありました肥料につきましても、今日私どものとつております方針は、肥料の配給についても、末端の機構は小賣商人と協同組合と二本建といたしておるのでありまして、これは適切な時期に、きわめて敏速に生産農家に肥料が配給せられることを目途として、二本建といたしたのであります。ただ私どもは、協同組合の育成強化のためにこれが独占的な傾向にならない限度におきまして、これの達成に努めたいと考えております。
    〔綱島正興君登壇〕
#13
○綱島正興君 ただいま大藏大臣、安本長官の御答弁を伺いましたが、私どもがお尋ねをいたしておるのは――ただいままであなた方が言つておられるようなことは、とうに承知しておるのでありまして、基本的な問題を聽いておる。一体資本主義貨幣の流通を認めながら、統制経済がどうして生産増強の線で成り立つかということをお尋ねしておる。そこにどうして矛盾がないかということをお尋ねしている。これが大切なのだ。このことが解決されなければ、日本の生産性は拡充されない。これをお尋ねしているわけだ。
 それから農相の御答弁であります。なるほど農相の、独占的なことはよろしくないというお話は、まことに結構でありますが、ただ、こういうことの御留意を願わなければならぬのであります。農村というものは、本來自由経済、自由競爭だけでは絶対立ち行かれないのであります。アメリカのような、あの通りりつぱな農村でございましても、やはりニユー・デイール政策の端緒というものは、農村救済のために行われたのであります。あれくらい生産力のある農村でも、農村だけは特別扱いしなければ立ち行かない事情にあるのであります。その点に対するお考え方を伺つておる次第であります。
    〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#15
○綱島正興君(続) そこで、農村が地の産業同様に自由競爭に置かれるならば、農村は決して成り立たないのでありますし、特に日本においては、これは成り立たないのであります。それに対する農相のお考え方を伺つておる次第であります。
    〔國務大臣北村徳太郎言登壇〕
#16
○國務大臣(北村徳太郎君) 綱島君に簡單にお答えを申し上げます。ただいまの御質問の要旨が少しわかりかねますけれども、自由経済であろうが、あるいは一部の統制が行われようが、そのことが貨幣交換経済の基本に何ら影響するものではない、また今日までそういう事実はございません。これだけを申し上げます。(拍手)
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
#17
○國務大臣(永江一夫君) ただいま、あらためてさらにお尋ねになりましたように、今日の自由主義経済をこのまま放任いたしますと、都市の経済が明らかに農村の経済に大きな重荷を負わせるのでありまして、協同組合をさらに強化いたすことによつて、この都市経済の自由主義的な圧迫から農村を守り、さらに農村が自主的にその経済的な立場を確立するような方向に指導する、こういう考えをもつておるのであります。(拍手)
#18
○綱島正興君 簡單でありますから、ここから発言させていただきます。ただいまの大藏大臣の御答弁には、はなはだ不満な点がございますが、いずれ委員会において、この点は十分に論爭いたしたいと思います。その点を留保して質問を打切ります。
#19
○議長(松岡駒吉君) 藤田榮君。
    〔「定足数がない」と呼び、その他発言する者あり〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 定足数は十分あります。質問を継続いたします。藤田榮君。
    〔発言する者多く、離席する者あり〕
#21
○議長(松岡駒吉君) 定足数はあります。
    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(松岡駒吉君) 定足数はあります。藤田榮君は質問を抛棄されますか。定足数はあります。
    〔「ないない」「あるある」と呼び、その他発言する者多し〕
#23
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。定足数はあります。定足数があるのに質問をしないと、抛棄と認めますよ。
    〔藤田榮君登壇〕
#24
○藤田榮君 私は……。
    〔発言する者多し〕
#25
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#26
○藤田榮君(続) 私は、社会革新党を代表いたしまして、総理大臣並びに関係閣僚に対して質問を申し上げます。
 第一点は、予算の均衡化に関する問題でありまするが、特に終戰処理費について総理大臣の所見を伺いたいのであります。終戰処理費をわが國が負担するのは、敗戰國として國際法上の神聖なる義務であることは承知しております。從つて、講和條約締結までは、これは当然國民の負担をしなければならぬところであることも、また当然であります。
 しからば、現下の情勢からいつて、講和條約は一体いつ締結されるかという問題であります。昨年の夏、アメリカが対日講和條約をやるという意思表示をしましてから、もしその通りにいつておれば、昨年のクリスマスには東京裁判は終結して、本日ただいまころは、すでに講和條約の締結が成らんとする時期であつたはずであります。しかるに、昨年暮のロンドンにおける四國外相会議の決裂によつて、対独講和條約が無期延期となり、日本に対する講和條約も、またほとんど半永久的に、その実現が危ぶまれる状態であります。
 しからば、一体何が日本並びにドイツに対する講和條約の締結を遅延せしめているか。戰爭当事國の一方の降伏によつて結果されるところの戰爭の結末についての講和條約が、半永久的に延期されるということは、國際法上の異例の現象であります。半永久的に延期されるとしたならば、この終戰処理費は、われわれ國民はまた半永久的に負担しなければならぬものであるかどうか。われわれ國民の常識によれば、現在世界は二つか一つかという問題に直面している。冷き戰爭が現実に行われつつある。この現実が、日本における國民心理をはなはだ不安ならしめるものがあります。
 われわれはもちろん、講和條約の締結が半永久的に延びるとしても、國際法上の神聖なる義務に基き、敗戰國がその條約上の義務によつて國際法上の義務を負担し、終戰処理費を半永久的に負担するといたしましても、やむを得ないところでありまするが、しかし、本予算のうちに占める、総歳出予算の中に占める、かくのごとき厖大なる比率を、いつまで國民は負担しなければならぬか。この点について、政府は内外の情勢とにらみ合わして、明快なる見透しを國民に與えられんことを希望する。(拍手)一体、占領下における外交問題として、この終戰処理費を、今世界をめぐる特殊の國際関係のもとにおいて、日本の國内問題として取上げることができないのであるかどうか。かような点について、私は総理大臣の率直なる將來の見透しを伺いたいのであります。
 本予算案が、終戰処理費を初めとして、公共事業費等の予算の範囲内で、はたして追加予算を必要としないかという問題につきましては、この壇上で関係閣僚よりしばしば言明がありました。すなわち、今日追加予算の提出は必要でないと考えるという答弁であります。しかるに所得税について、たとえば二十二年度の税收は千三百五十四億円であり、そのうち六百八十五億が所得税の徴收でありまして、その五割強に当つたものが、二十三年度においては、勤労所得税の軽減にもかかわらず、五割六分と、逆に比重が重くなつているのであります。かように厖大なる税收を、歳入歳出のずれのないように円滑に徴收するためには、政府はいかなる具体的な準備をもつておるか。また、当初五百六十億と予定された復金出資は、百八十九億に削限され、結局財政の赤字を金融面に轉嫁することになるほか、災害復旧、六・三制等の完全実施のためには、追加予算を必要とする確率はきわめて濃厚であります。われわれの計算するところによれば、六・三制を完全に実施するためには、少くとも百二十億を要するはずであるが、この本予算内に組める公共事業費の中に占める六・三制の費用をもつて、はたして二十三年度の問題としての六・三制を完全に実施することができると考えるか。できないとするならば、政府は追加予算を提出しないと明言する限り、いかなる方法によつて六・三制を完全に実施しようとするのか、この点についての明快なる回答を求めます。
 さらに政府は、本年度の予算編成にあたりまして、予算案は物價と賃金と予算の同時安定をはかるために、今日まで提出するのが遅れたと説明するのであります。しかるに、先日來の財政演説に対する質疑に対して大藏大臣は、現下の不安なる情勢のもとにおいて、われわれに健全財政を守れといつても、それは無理であるというような放言をされておりました。
 一体政治というものの眞髄は、國民に対して希望をもたせるところになければならぬ。昨年片山内閣のもとにおいて、七月物價改訂をいたしまして、七月物價体系を樹立した際に、時の和田安本長官は、十一月になれば家計は黒字になると説明したのであります。この安本官僚の数字になるところのものが、実際においていかなるものであつかということは、後日事実がこれを証明したのでありまするけれども、しかし、当時といたしましては、進行するインフレの荒波にもまれて、政府の呼号する十一月の家計の黒字、これは荒波に飜弄される國民に対しては、確かに一つの希望ではあつたのであります。それが実現されなかつたということは、官僚の官僚的ずるさをはつきりと現わしておつたのでありまするが、今回の物價改訂にあたつては、政政はさような希望すらここにもたせようとはしない。逆に、現在のような不安定な情勢のもとにおいて健全財政を希望することはできない、かような捨鉢的な言明は、これは片や官僚的ずるさに対して、まさに政治家的ずるさを十二分に発揮しておるものであります。(拍手)
 一体戰いに破れ、憲法は新しく制定されたといつても、忠誠という言葉は、今日なお存在するはずであります。かつての明治憲法下における天皇に対する忠誠は、國民に対する忠誠に切りかえられているはずであります。政治を取扱うところの官僚が官僚的ずるさを発揮し、政治家が政治家的ずるさを発揮して、國民は一体どこに希望を求めるか。私は、大藏大臣の質問に対する答弁に対し、はなはだ不満を感ずるがゆえに、あえてこの点を強調しておきたいのであります。
 次に、新物價水準と新賃金ぺースが、はたして來年の三月まで維持できるかという質問に対し、これまた、たびたび大藏大臣から回答がありましたが、この点については一点触れておかなければなりません。それは、マル公が七割値上げをされるという場合に、安定本部のもつ資料は、やみ價格は三・六%しか上らないということを、その前提にしておるのであります。つまり、この五月から六月にわたつてのやみ價格の騰貴率は、わずかに一・六%である。これに安全率をかけて、本年の一月から四月までの実績を加味して、やみ價格の騰貴率を三・六%と見たのであるから、これによつて一應やみ價格は安定するという基礎に立つております。
 今、総理廳統計局の本年一月の調査に見まするならば、俸給生活者の生活の中で、マル公價格に依存するものは二五・四%であり、四分の一であります。われわれの生活の四分の一に該当するマル公生活が七割値上げになり、しかも四分の三に該当するやみ生活の部分においては、三・六%の騰貴率によつて、以後これが安定するという考え方に立つております。私は、かくのごとき安本官僚の机上計画が、必ずや破綻を來すことを確信いたします。
 一体実質賃金を上げる場合には三通りありまして、まず名目賃金の引上げ、名目賃金の中からの、いわゆる勤労所得税の引去り分を少くすること、政府は今回の物價改訂あたつて、この二つの方法によらんとしたようでありますが、第三の方法として、生活物質の裏づけに対しての対策が欠けておる。この点については、昨年七月以降の三派連立政権が行つてきた流通秩序の確立は、今日完全に失敗しておる。家計の赤字を埋めるための傾斜配給の確立と、やみ撲滅について、政府はいかなる具体的対策を準備しておるか。これを欠いて、單に七割の物價の改訂、やみ價格の三・六%の騰貴率によつて物價と賃金と予算とが安定するというが、その基礎がどこにあるかを承りたいのであります。
 一体自由と統制の問題について、先ほども網島君がいろいろ質問されておりましたが、自由と統制の限界を政府はどこに求めんとしておるか。特に芦田総理に承りたいことは、芦田氏は、よく中央党的な構想ということを新聞紙上に述べられます。また片山氏がこれに対して、中央党的なものはナンセンスであると言つておる。少くとも芦田総理大臣が中央党的な性格を考えておるとするならば、そのもつところの自由と統制に関する限界をどう考えておるか。自由を徹底すれば弱肉強食の自由主義経済となり、統制を徹底すれば社会主義の惡平等経済となる。その中間にあつて一体中央党的な性格を考えるという場合に、生活物資流通秩序の確立において、どのような具体的処置をとれば、それが現実に実現されると考えておるか。統制を撤廃するのに、鮮魚を撤廃したではないかと芦田氏はこの席上から言われましたが、鮮魚を撤廃したことと、自由と統制を両立させるところの中央党的な性格と、この間にどういう関連があるか、具体的に承つておきます。
 政府は、家計の赤字を埋めるための傾斜配給の確立についての対策を示す代りに、ここにいわゆる賃金統制を実施せんとしておる。新賃金統制なるものは、物價の安定と財政の均衡、配給秩序の確立の方策が立たない限りは、直接統制も間接統制も実施すべきものにあらず。加藤労働大臣は、三千七百円ぺースは維持できるかという質問に対して、現在政府のもち合しておる数字によるならば、三千七百円ベースは確保できると断言しました。しからば加藤労働大臣に承るが、組織労働者のもつところの数字、つまり五千二百円ペース、あるいは理論生計費によつてはじき出されるところのこの賃金ベースの数字が、間違つておると考えておられるか。タフト・ハートレー法に関する加藤労働大臣に対する質問の中で、現在敗戰後の労働者が生活費に困り、惡性インフレのもとに苦しんでいるから、われわれは彼らの血の出るような生活の叫びを取上げると言つたが、この五千二百円ベース、あるいは理論生計費によつてはじき出される彼ら労働者側のもつ数字が正しいと考えられるか。これが血の叫びと考えられるか。あるいはそれとも、政府の、官僚のもつ三千七百円ベースの数字が正しいというのか。この点についての明快なる答弁を求めます。(拍手)
 さらに、政府が三千七百円ベースを決定するにあたりまして、名目賃金の引上げと、名目賃金より勤労所得税を軽減して支出額を削減することによつて、あたかも國民の実質賃金が増加するというような錯覚に陷り、國民全体を錯覚に陷らしめんとしたことが、その新たなる財源をいわゆる取引高税に求められたのであります。
 取引高税は、主食を除く野菜を初め、日常生活必需品及びサービスの全般にわたつて課税されるものでありまして、大衆の負担は集積して相当の金額に上るのみならず、分業を主とする中小工業、数段階を経て仕入れをしなければならないところの中小商業、これに対してきわめて不利益を與える。また中小企業を不当に圧迫することは、今日周知の事実であります。またその税率百分の一も、大藏大臣は先般この壇上において、ドイツ等における外國の例を見れば、大体百分の三から四程度に止まると思うという答弁がありましたが、これはきわめて樂観的なる見透しであると考える。実際的には非常な高率課税になることは、すでに一般の周知するところであります。
 今、中小企業界に対する課税の実際を見るのに、所得税は百分の六十五から七十五、府縣税は百分の十五、市町村附加税は百分の十五、住民は百分の五でありまして、担税能力はまさに飽和点に達しておるのであります。この状況のもとに本税を課することは、ますます正常の取引を回避せしめ、流通秩序は一層混乱して、店舗を有するまじめなる業者は、さらに不利益をこうむることになります。私どもは、かくのごとき惡税に対して、本質的に、徹底的に反対を表明する者であります。(拍手)
 次に、軍事公債利拂停止問題について、資本主義か社会主義かという観念的イデオロギーの対立の問題が三派連立政権の中にうず巻いて、帝國主義戰爭の遺産である軍事公債の利拂停止問題をめぐつて闘わされました。わずか十五億円の処分問題が、体年の予算案提出を遅延せしめた一つの大きな原因であつたことは、今日いなむべからざる事実であります。この問題は、終戰後の日本経済の混乱期にあつては、帝國主義戰爭の遺産を断ち切るという意味においては、実は軍事補償の打切りと同時に行うべきものである。その利子のみならず、元本まで全部これを芟除して、日本経済を再建するの勇断を揮わなければならなかつたのであります。しかるに、内外の情勢は一日も早く外國資本の導入を必要とし、國内的には一日も早く國民経済の安定をはからなければならぬ今日において、資本主義か社会主義かという観念論をもつて律すべき問題ではない。現実に金融機関に與えるところの影響、ひいては國民大衆に與えるところの影響を純経済問題として取扱うことが、この問題を政治問題として扱う方法であると考えるのであります。(拍手)私は、本問題の取扱いにあたつて政府並びに與党三派のとつた方法は、まさに民主主業の最も惡い典型を示したものであると考える。今日の民主主義は、口を開けば常に民主主義を口にするが、多勢の人が集まつて、長い時間をかけて、だれも好まない結論を出しておるのが今日の民主主義である。この最も惡い例を軍事公債利拂停止の中に私は発見するのであります。
 私はこの点について、この問題に附随して芦田総理大臣に承りたい。日本は一体近き將來において資本主義の原則の上に栄えると考えておるか、あるいは社会主義の原則の上に栄えると考えておるかという点であります。これは客観的には外國資本の導入のいかんによつて決定されることでありましようけれども、しかし修正資本主義と言い、自由資本主義と言い、これらはもともと資本主義そのものでしかない。今日この壇上において、もし資本主義によつて日本を將來再建せんとするならば、何ゆえ保守党は、今両頭のへびのごとく――野党と與党とにあつて両頭のへびのごとく本問題をめぐつて爭つておのか、まさにナンセンスである。(拍手)よろしく保守新党として大同團結したらどうか、われわれはかようにアドヴアイスしたい次第であります。
 次に、鉄道運賃料金の値上げ問題について運輸大臣に承りたいのでありまするが、政府案の海上運賃三倍、貨物並びに旅客運賃三・五倍、この比率につきましては、現在貨物運賃と旅客運賃はきわめてアンバランスに構成されておるのであります。貨物運賃は低過ぎみ。この低過ぎる貨物運賃と旅客運賃を、そのままのでこぼこの状態で三倍半に引上げておる。これは運賃政策としてはまさに愚劣なる方法であります。一体貨物運賃を引上げることが、直接生産費に加算されて物價水準を上げるからと言はれたことは、これは経済の運行がきわめて安定した時の話である。今日のようなやみ経済の横行する状態において、貨物運賃の比率を旅客運賃より大きくすることが、物價に直接的な影響を與えるものではありません。むしろ、旅客運賃を高率にすることによつて國民に與える心理的な影響が、まさに直接的なものであると私どもは考えます。(拍手)それゆえに、私どもはまずかような運賃料金の値上げに反対するが、財政上の事由によつて、万やむを得ずしてこれをいじらなければならぬとするならば、旅客運賃は倍、貨物運賃は三倍、この旅客並びに貨物運賃の倍率は、運賃政策上当然違わなければならぬと思うが、運輸大臣はどのように考えるか。
 また運賃政策の場合には、常に輸送事情、海陸輸送調整の問題を忘れず――なお、現在のこの運賃改正によつて現れておるところのものは、一体陸上物資を海運に轉稼しようと考えておるのか。もし、そうであるとするならば、海陸輸送事情の考え方によつてこれをきめるならば、貨物運賃を三倍とするならば、海上運賃はさらにこれより低くしなければならぬはずである。二倍程度にしなければならぬはずである。今回の運賃改正を見ておるのに、單に独立採算制の名にとらわれて、運賃政策に見て何ら見るべきものがない。この点についての運輸大臣の所見を承りたいのであます。
 この問題に関連をいたしまして、いわゆる現業官廳における労働の生産性の問題であります。現在國民の大多数が端的に考えることは、厖大なる現業官廳における労働の生産性がきわめて低率であるということであります。労働の生産性高揚のために、運輸大臣並びに逓信大臣はいかなる措置をとりつつあるか。また、この政府提案の比率より低くすることによつて、その財政は鉄道並びに逓信作業の機械化、人員の整理、停年制の実施、自然減耗による人件費の節減、また選炭の適正化による物件費の合理化、その他附帶事業の合理化により、これを節減する余地はないのであるかどうか。この点について明快なる答弁を求めます。
 さらに、行政機構の改革の問題について、特に運輸省の、いわゆる行政と現業とを分離すると言われるが、しからば、本省と鉄道局、管理部、現場の四段階制については、これをいかに扱わんとしておられるか。
 また、特に芦田総理大臣に承りたい点は、日本の國際観光事業を振興するために外資導入をはからんとする計画があると承つております。あるいは、その意図があると聞いておりまするが、しからば、國際観光事業振興のために外資を導入するならば、その受入態勢を整備する点において、運輸省に國際観光局を復活する意思はないか。この点について芦田総理大臣の所見を承りたいのであります。
 次に農漁村問題につきまして、われわれの意見を述べながら政府の所信を質したいのであります。日本再建の基盤は、民主化の徹底と経済の復興にある。なかんずく、食糧の確保はその大前提である。農民が、この重大なる役割を完遂するために、今いかなる措置がとられているのかと見るのに、今次天降り的重税、飯米をも残さないところの供出制度等によつて、農地買收の拒否が行われ、土地放棄の最惡の事態が今日現出しているのであります。すなわち、徴税は苛烈を極め、税額査定の多くは、不当にして画一的、官僚的威圧をもつて臨み、これに加えて新税の重課を企てんとし、農業の拡張再生産への蓄積を根こそぎ破壞せんとしている現状であります。
 二十二年度所得税賦課の実態は、税務当局の一方的査定により農民に重税を課しましたが、二十三年度の國家財政政策を見るに、またも農民に対して不当の重税を課せんとしている。これは明らかに、政府が農民の過度の犠牲においてのみ國家財政を維持せんとするものであつて、今や農民は、不当なる農産物價、供出の強行及び購入物資價格の高騰に加えて、さらに新たなる農民課税の重圧を累加し、ために農家経営は危殆に陥り、食糧その他農畜産物の増産、農地改革の遂行を不可能ならしめんとしております。よつて政府は、農民課税につき、左の諸点に対して農民負担の適正化をはかる意思はないか承りたい。
 第一は、徴税に当つて農民の團体に團体交渉権を與えないかという問題であります。第二は、農民の生産費控除の問題、控除は生産費控除の一本建として、農民の最低生活を保障し、自家保有食糧並びに早場米出荷奬励金その他供出完遂報奬金等に課税しないという方針が立てられないかどうか。また開拓者に対しては五箇年間所得税の免除。供出については、一般農家の超過供出扱いはできないかどうか。
 次に地租の問題でありまするが、何ゆえ政府は、地方財政委員会の決定に從つて地租の引上げを百分の八十程度に止めなかつたのであるか。この点についてのいきさつを承りたい。
 次に米價の決定につきまして、われわれは、二十二年度の産米生産者價格石当り千七百円の決定にあたりましては、これが農業再生産に重大なる支障を及ぼすことを憂慮いたしまして、不満の意を表明したのでありますが、その後政府の公約にもかかわらず、物價は日を逐うて改訂値上げされ、新物價体系の樹立のやむなきに至つたのであります。現在農業経営は異常な困難に直面するに至つておりまして、現行米價の算定基礎品目の改訂値上げにより算定されたる月別推定米價と旧米價との差額を供出農家に還元する点については、昨日院議をもつて衆議院は意向を決定いたしましたが、芦田総理大臣の答弁はきわめて不満である。衆議院の全員の決議について、なぜもう少し誠意をもつて明快なる答弁をすることができないか。いわゆる新米價と旧米價の差額を供出農家に還元支拂をする点についての総理の明快なる答弁を求めます。
 次に農村金融につきましては、現在農民は、生産資金はもとより、生産資金さえ枯渇し、これに加え、融資の途はまつたく梗塞され、まさに恐慌状態にあります。不当に低位なる農産物價格と、農村必需物資價格の異常なる高騰による鋏状價格差の拡大、災害復旧資金、報奬物資購入、苛酷なる徴税等による農業資金の逼迫に加うるに、農村金融機構の画期的変革に逢着して、急激なる都市金融機関への資金の逃避があり、今や農村資金の枯渇は頂点に達している。事態ここに至つたのは、情勢の変化に即應する政府の施策乏しき結果によるものであるが、今にして適切なる対策を講じなければ、農村経済が崩壞するに至るは必至であります。よつて政府は、速やかにこれが措置を講ずる意思はないか。
 まず、当面焦眉の急を要するところの春耕資金及び旱水害地帶における営農資金調達のため、農業手形の適用を全面的に拡充し、その手続きを簡素化するということ。第二番目には、農地改革による農地賣渡し代金、つまり全國二百六十万町歩の小作地のうち、その百五十万町歩を賣渡すとして、一町歩七千円とすれば、今後自作農民から百億近くの金を政府は取上げるはずであります。この農地改革による農地賣渡し代金を農村復興資金に還元すること、これについて政府はいかように考えておるか。さらに次には、農業協同組合金融を速やかに確立するよう措置するとともに、その業務を制限し、あるいは農業金融の特殊性を無視するがごとき金融事業法の設定をしない。かようなことについての政府の見解を問います。
 私はここに、自由の原則を阻止し、協同組合連合会を分裂せしめる農業協同組合法の改惡に反対をし、左記事項について政府の意向を質します。
 まず農業協同組合に対し、法人税、事業税、取引高税、所得税等を賦課しないということ。速やかに農業協同組合金融を確立して、農村経済の混乱を防止するとともに、わが國金融の特殊性を無視し、かつ組合金融を制約するがごとき措置を講ぜざること。農業協同組合の行う事業を遅らせ、阻害する諸統制法規を速やかに改廃するとともに、許可、認可の手続を簡素化する点について政府の所見を承りたい。
 次に、災害復旧の問題であります。終戰以來、中國地方並びに近畿、東北、関東各地方において、風水害によるところの水害は甚大である。これによつて、多数農民が土地と家財を失い、農業再生産を破壞し去るとともに、わが國食料問題の解決に甚大なる暗影を投ずるに至つております。これが復旧に対する政府の應急対策は遅々として進まず、根本施策についても何ら見るべきものもなく、再び雨期を目捷に控えて、われらの不安は増大しております。かくては、食糧増産と農村近代化の促進は、まさに一片の空文に化し去らんとしておるのであります。われわれは、速やかに水害復旧の應急対策を講ずるとともに、この種災害の拔本的予防策として総合的治山治水計画を実施しなければならぬことをつとに叫んでまいりましたが、政府は雨期を前にして、治山治水計画についていかようなる具体的政策を考えておるか、この点について承りたいのであります。
 これを要するに、日本の農民は、日本の明日あるを確信してあらゆる惡條件と闘い、増産運動を盛り上げ、供出を果し、その負荷にこたえておりまするけれども、これにはおのずから一定の限度があります。連合國の援助は日を追うて厚きを加えておりまするけれども、わが農村の頭上には、まさに恐慌の暗雲が低迷し、日とともにその重圧を増大し、連合軍最高司令部より発せられた農民解放令は、まさに空文化し去らんとしておりまして、われわれは、農民の生産活動を阻害し、最低生活を破壞する一切の惡政をはねのけて、農業をして國家自立の基盤たらしめなければならないと確信しております。
 以上、私が政府の対農漁村政策の大綱について意見を述べながら、政府の所信を質しましたゆえんのものは、要するに政府提出予算案は、政策の重点をどこにおいて立案されておるか、すなわち政府が、農漁業の、原始産業の犠牲の上に近代産業の復興を考えておるならば、われわれはその基礎理念の改訂を要求する。われわれは、総理大臣が、日本の経済は生存経済より生活経済の安定期にはいつたと樂観しておりまするけれども、その言とは逆に、今や農村は生存そのものが重大な危機に逢着したる事実を強調しなければならない。私は、政府の対農村政策を政府の超重点政策の一つに加える意思はないか、これをぜひ加えなければならぬと思うが、総理大臣並びに関係閣僚の所見を聽きたいのであります。
 以上要するに、國民の聽かんとするところは、四千億に達する一般会計予算の実施が國民生活をどんなに圧迫するか、この圧迫に対して、政府がいかなる決意をもつて、いかなる対策を実施するかという点にかかつております。施策のいかんによつては、四千億の予算がただちに追加補正を必要として、倍額になるおそれは、國民のすべてが感じておる。勤労所得税は表面的には軽減されても、租税全体としては昨年度の倍額であり、タバコ値上げを中心とする專賣益金の驚くべき増額、運賃三倍半、通信料金四倍という、常識を超えた官業の値上げが予定されております。しかも、これのみではない。戰前物價に対して、昨年度は六十五倍、本年度は七割の値上げを予想され、公定價格、やみ價格の高騰が國民生活に重圧を加えることは、火を見るより明らかであります。賃金ペースは、政府がつい先日の法案で二千九百二十円を衆議院に諮り、次いで予算におきましては三千七百円、しかるに、この三千七百円を審議しておる間に、全官公においては、五千二百円ベースを指向する労働攻勢がほの見えておる。
 これらの財政経済を流れる一連の不安と焦燥の中で、國民はただ耐乏せよと言われただけでは、さようなお説教だけでは、共感を感ずるものではありません。われわれは、政府がどれだけの決意をもつて國民生活の確保に当らんとしておるか。われわれの最も聽きたいところは、その点であります。この点について、関係閣僚は何ら納得のいく回答をしておらぬのではないか。單にお座なりの、いわゆる野党の攻勢というような名における、それに対する捨鉢的なる回答をわれわれは聽かんとするものではありません。われわれは、國民代表の資格において、國民の名において、この厖大なる予算を政府がいかに実施せんとするか。それに対していかなる責任をとらんとするか。この点についての、政府の責任ある、明快なる回答を求めてやまない次第であります。
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#27
○國務大臣(芦田均君) 藤田君にお答えいたします。
 第一の御質問は、わが國に対する平和條約の締結がさしあたり見透しがつかない。從つて、現在の終戰処理費が半永久的に國民の負担として残るのではないかというお尋ねであります。御承知のごとく、わが国が一日も早く平和條約を獲得したいという希望は、國民をあげての熱望であります。しかしながら、問題は連合國の決定いかんにかかつておるのでありまして、今日の実情をもつてすれば、明確にいつ平和條約が締結せられるかということを、ここで申し上げる時期に達していないのであります。
 第二の問題は、外資導入のために國際観光局を運輸省に設ける意向はないかというお尋ねであります。この問題については、國際観光事業に從來よりも一層重点を置くために、國際観光審議会の組織を計画いたしておりまして、遠からず政令としてこれを発表する運びになつております。観光事業に対する基本的な方針は、廣く経驗ある民間人の協力を求めて、これによつて決定いたしたいと考えております。
 次に、私が述べておる中央政党的な構想は、統制経済であるのか、自由経済であるのかというふうなお尋ねであつたように思います。私自身の中央政党的構想というのは、自由経済か統制経済かというような物さしでこれを考えておるのではないのであります。いわゆる極左的な思想、あるいは反動的な極右思想を排除するという意味において、中央政党的構想、あるいは中道政治というものが推進されなければならぬということを述べておるのでありまして、もちろんわれわれは、極左の共産思想的な経済政策には反対です。またスチユアード・ミルが祖述したごとき、手放しの弱肉強食的な自由政策にも反対であることは申すまでもないのであります。
 さらに最後の御質問として、日本は社会主義でいくのか、資本主義でいくのか、今の政府はどつちの政策をとるのかという質問であります。私どもの考えは、今日の日本の非常時を乘切るためには、社会主義的のイデオロギーとか、資本主義のイデオロギーとかいうものに拘泥して政策を立てるべきではない。いやしくも現段階において必要とする政策であるならば、それが資本主義的であろうが、あるいは社会主義的政策であろうが、今日の時勢において最も適切にして必要なる政策によるにあらざれば、この時局を乘切ることはできない、かような確信のもとに施策を行つていることをお答えいたしておきます。
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
#28
○國務大臣(北村徳太郎君) 藤田議員の御質問のうち、私に関係ある部分についてお答え申し上げたいと思います。
 まず第一に取引高税について、これが中小企業に及ぼす影響はどうかというようなお尋ねであつたと思うのであります。もちろん、この取引高税の本來の性質といたしまして、一貫経営などをやる大企業に対して中小企業がきわめて損な立場に立つということは、一應認めなければならぬと思うのであります。しかしながら、現在の経済事情におきまして、結局最終消費者價格というものが決定されて、取引段階が違いましても、税込みの最後の消費者價格というものが決定されることになつておりますから、そのことのために中小企業者が特に非常な圧迫をこうむるということはないと考えておるのであります。なおこれは、ただいまの市場の複雑性等から考えまして、中小企業の存在の領域というものは、いろいろな経済力集中排除とか、その他の関係において、むしろ領域が拡げられているというようなことも考えられるのでありまして、このことは、また一方からお話がありましたことく、非常に好ましい税かと申しますと、そうではありませんけれども、大幅に勤労所得者の税を軽減する、その他勤労所得並びに農業所得を軽減することからくる一方の欠陥を補いながら、これによつて、うらはらの関係において、租税全体の合理化あるいは調整をはかるというような観点からいたしましたもので、この点は御了解を得たいと思うのであります。なおこの徴税に関しましては、これは印紙の方法によりますので、むしろ國民全体の御協力を得、消費者大衆の御協力を得ることによつて、この流通秩序があらぬ方に流れることをかえつて阻止するというような効果も期待しておるのであります。多少さような例も外國にあるようでございますから、そういう方向へ導くように十分努力いたしたいと思うのであります。
 次に軍事公債のことでございますが、これは先般もこの所から申し上げた通りでありまして、いろいろな考えようがあると思いますけれども、軍事公債の特殊性と、また國家財政の現況に鑑みまして、一年限り特別の措置をとるということで、ただいま法律案を國会に提出して御審議を願つている通りであります。從いまして、その法律案の内容といたしておりますように、これは一箇年を限るものであり、特にまた軍事公債と銘柄にきまつたものに限りいたすことでございます。これがために金融機関に影響を與えるのではないかというようなお言葉もございましたが、金融機関は多少迷惑をこうむられる。しかしながら、このことにつきましては、臨時の措置といたしまして、これを未收利息として計上することを認め、その既経過の分は、すでに経過いたしておるのでありますから、損益計算に載せることを認め、それがために特に金融上の問題が起つたときには、これはビジネスとして日本銀行が当然その措置を講ずるということによつて、大体このことから來るいろいろな方面の害は制限せられて、大した惡い結果を及ぼすものではない、かように考えておるのであります。
 それから、供出米と保有米に対する課税については不当ではないか、これを免税する意思はないかというお尋ねであつたと思うのであります。所得税は、農家の総收入金額を算定いたしまして、それから肥料その他の費用を控除して算定するということに相なつておるのであります。從つて、收入金額に対してはこれを所得として認めるという建前を維持いたしておりますので、今にわかにこれを変更するという意思はございません。もつとも、ただいま税制改革の懇談会等を開きまして、それぞれ、権威者の御参加を求めて研究中でございますから、研究はいたしますけれども、ただいまのところ、やはり所得は所得として計上する方針であることを御了解を願いたいと思います。
 それから、農民に対する税務署との間に團体交渉を認めるかどうか、こういうふうな御質問であつたと思うのであります。これは、まことに正直な、きわめてまじめな團体の御意思というものを、われわれはどこまでも参考資料として尊重するということはもちちんでありますけれども、しかしながら、現在はいろいろな運動が最近にも起つておりまして、中には好ましからざる運動もないとは申されないのであります。從つて、このことにおいて一種の團体交渉的なものを認めるということになりますと、これは課税に関して第三者が中間に関與するということから來る各般の弊害もまた認めなければなりませんので、いわゆる團体交渉をいたす意思はございません。ただ、まじめなる各種の團体の御意見に対して耳を傾けて、これを尊重して承るということは、間違いなくいたしたいと考えておるのであります。
 それから次に、六・三制の完全実行を約束しておきながら、これはどうも困難なことではないかというような御意見であつたと思うのであります。これはただいまのところ、校舎の建築は、理想的にいたしますと二万一千教室程度のものが必要となるのであります。この理想的に二万一千教室を完備いたしますためには相当な金額を要するのでありますが、今回計上いたしました予算は、二万一千教室のうち一万九千八百教室だけができる予算を立てておるのであります。少し足りませんけれども、これは國家財政の今日の状態でありますから、しばらく一部は二部教授でがまんをしていただくというようなつもりで考えておる次第であります。なお、ここまでもつてきましたことは、私どもといたしましては最高の努力をし、教育尊重の趣旨は十分尊重いたしたつもりでおるのでありまして、その点も御了承を得たいと思うのであります。
 農村金融の問題が出ておつたのでありますが、これに関しましては、御承知の通り農村の肥料は、配給公團の肥料はもちろん、その他有機肥料についても正常ルートを通るもの並びに農機具、農藥等のついては、農業手形を処理いたしまして、この方法によつて取引金額の九割五分を、日本銀行はそれぞれの機関を通じて農業手形に対して放出をするというようなことで、全國に実施いたしておるのであります。これをさらに拡張するかどうかというような御意見でございましたが、農村金融全体の問題として、一應は春肥の問題、並びにただいま申し上げましたこと以外に、これは農村から逆になりますけれども、繭の問題並びに靜岡縣等の輸出茶の問題等につきましても、農業手形を利用することによりまして農家への金の流入を円滑ならしめる方途を講じたのであります。しかしながら、これだけで農村金融が完全であるとは申されませんので、農村金融全体につきましては、ただいま農林当局等といろいろ檢討いたしておるのでありまして、成案を得ますれば、これはお諮りをいたしたいと存じておるのであります。
 それからなお、金融業法のこともちよつとお話が出ておつたようでありますが、これは未だ決定はいたしておらぬのであります。あるいは金融業法として御審議を願うことになるかと思いますけれども、未だこれは成案を得ておらぬのであります。
 なお、税收入の確保についていかなる手段方法をもつておるか、というようなお尋ねであつたと思うのであります。税の問題は、税制そのものの問題というよりも、むしろ徴税技術の問題である。從つて人の問題であると考えるのであります。かような観点からいたしまして、最近特にいろいろ問題を起しておりますために、税務機構を拡大して、これはたびたびこちらで申し上げた通りでありますが、人員を増加する等のことをいたす、あるいは税務職員の再教育をいたす、そういう方途を講じておりますし、またやみ利得者をどうするかというようなことがしばしば問題になつておりますので、これに対しましては、各財務局ごとに相当数の優秀な人員を配置いたしまして、やみ利得のことだけを專門にやるというような方途も考えておるのであります。
 最後に、一言附け添えて申し述べさしていただきたいのでありますが、私がいわゆる健全財政を破棄したかのような意味の誤解があつたようであります。完全無欠なる健全財政は、要するに國民経済そのものの健康をもたなければならぬことはもちろんであるけれども、われわれは、現下の制約された事情のもとにおいて、なおかつ健全財政主義を一貫したいという意味を申し述べたのでありまして、これまた御了解を得たいと思うのであります。
    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#29
○國務大臣(栗栖赳夫君) 藤田議員のお尋ねの中で、私に関連する点をお答えいたしたいと思うのであります。
 三千七百円ベースは、今回の公定價格の補正、勤労所得税の軽減、間接税の増徴、專賣品の値上げ等物價、予算と総合的に考慮いたしまして、おおむね現在の実質賃金を維持することを目途として決定したものでありまして、これが維持につきまして、さらにその増進につきましては、もちろん実質的にその内容、実質賃金を充実することにあることは、申すまでもないのであります。御説明の中に、二五%がマル公の生活だというお話がありましたが、これは金銭の上から見たものでありまして、物量の上かち見ますと、ただいま國民の生活は、マル公に依存しておるものは六五%に相なつておるのであります。しかしながら、これをさらに増進することが必要でございますので、政府といたしましては、國内生産の増加と輸入物資の懇請、この二点の懇請を続け、努力をいたしておるものであります。なお、こういうものの時期的ずれの調整ということもきわめて大事でございますので、政府は十分考えて調整を実行いたしたいと考えておる次第でございます。
 かようにいたしまして、少くとも主要食糧配給の確保、衣料の配給の確保、農業、工業、鉱山業労務用リンク物資の確保、あるいは総合家庭燃料の確保、こういうようなことについて十分努めたいと思うのであります。なおかようにいたしまして、マル公による物資の増加をはかる反面におきまして、恐るべきやみ取引を抑止するに努めたいのであります。やみ取引を抑止するということも、單に犯罪として現われたのを押えるのではすでに遅いのでありますから、その事前に、やみのルート、やみの原因その他を調査いたし、そして事前に監査その他をいたしまして、犯罪になる前にこれを押えるということに努めたいのであります。経済査察に関する制度のお願いをいたしておるのも、そういう趣旨でありまして、單に犯罪の摘発ということを主としておらぬのであります。しかし、なお惡質なやみ取引に対しては、もちろん制裁をもつて臨むことも、申すまでもないことでおります。なお、やみ取引に必要な資金の抑止ということにも努めたいと思うのであります。資金が正常なルートに流れることは、財政金融の運行を円滑にすると同時に、やみ取引の撲滅の一策でございますので、こういう点をも考えて努めたいと思うのであります。
 なお國民といたしましても、流通秩序の確立ということは國民生活にきわめて深い関係がございますので、單に政府のみならず、廣く國民諸君の協力に訴えて、政府と國民と一体となつてその実を果し、この経済危機を切り拔けて、回復再建の途へと進みたいと思う次第であります。
    〔國務大臣岡田勢一君登壇〕
#30
○國務大臣(岡田勢一君) 藤田君の御質問のうち、私の所管事項につきましてお答えを申し上げます。
 貨物運賃が直接物價に大なる影響をもちますことはもちろんでございますが、旅客運賃の面におきましても、全然物價に影響しないというような考えは、政府といたしましてはもつておるのではございません。相当に影響があるという考え方から出発をいたしておるのでございます。
 なおまた、旅客、貨物同率の引上げは観念的ではないかというお話でございますが、これは初めからそういう観念的に出発をしてきめたものでもございません。また、單に独立採算制のみにとらわれてこういう作案をしたのではないかという御意見でございますが、決してこれもそうではございません。鉄道企業を、企業としての独立採算制に近よらしめることが必要である、それよりも大きな意味は、今回の物價と賃金の改訂にマツチせしめるがごとく立案することが必要である、こういう考え方から今回の倍率を作案いたした次第であります。
 次に、海陸の両輸送力を最も円滑に、かつ総合的に活動せしめるためには、海陸運賃の調整が必要である、という御意見に対しましては、まつたく私も同感であります。もしかりに、海上運賃、陸上運賃ともに採算運賃を目標に決定するということになりますれば、海上運賃は陸上運賃に比しましてやや低廉となりまして、両運賃の調整は可能となるのであります。しかしながら、今回鉄道運賃を三・五倍の値上げに止めましたために、右の両運賃の完全なる調整は望まれなくなつたのでございます。從つて、今回の鉄道運賃三・五倍に対する海上運賃三倍の値上げは、海陸運賃調整の相関性に立つたものではないのでございます。ただこの場合におきましては、今回は從來のブロツク別運賃制を廃止いたしまして、航路別、物資別運賃制に改めることによりまして、航路または物資によりまして、陸上運賃との調整が不十分ながらも、やや実現せられる可能性も生じてまいつたものと考えております。海上運賃三倍の値上げは、その性質上、基礎物資の價格に影響するところ大でありますので、一般物價改訂ともにらみ合わせまして、さらに港湾におけるはしけ及び荷役料を考慮いたしまして、ただいまのところ三倍に定めることが適当であると考えた次第でございます。なお海上運賃は、現在完全に自営態勢をとつております。機帆船運賃との調整をも考慮に入れておりますことはもちろんでございます。
 次に、國鉄從業員の労働生産性の問題はいかんというお尋ねでございます。國鉄從業員の能率をいかなる見地から算定するかは、むずかしい問題でありますが、一万列車キロ当り人員、百万人トンキロ当り人員を各年度別に比較してみることが、まず現在最も適切な方法ではないかと思つております。一万列車キロ当りの從業員数は、昭和十一年度におきましては八・八人、昭和二十二年度におきましては三十人であります。この点から見ますと、鉄道從業員の能率は、昭和二十二年は昭和十一年に比べまして約三倍程度ということになるのでございます。また百万人キロトン当りの從業員数は、昭和十一年度におきまして五・四人になつております。昭和二十二年度におきましては五・二人であります。この点から見ますと、鉄道從業員の能率は、昭和二十二年度は昭和十一年度に比較いたしましてバー、すなわち約十割ということになるのでございますが、列車のキロ当りの人員数から見た能率と、人トンキロ当りの人員から見た能率とをもし平均いたしますならば、大体の見当といたしましては、現在における國鉄從業員の能率は、昭和十一年に比較しまして約六割六分五厘程度になつておると申し上げ得ると存ずるのであります。なお能率の向上の問題につきましては、いろいろの角度から檢討をいたしまして、一層能率増進の方に努力をいたしたいと存じております。
 次に、運輸省の機構は十分の檢討を加えました上で相当の改革をする必要があると思うのでございますが、機構改革を軽々に実施することは、今日の場合いろいろと当りができてまいりますので、今回運輸省設置法の制定にあたりましては、大体におきまして從前のままを踏襲することにいたしたのでございます。ただ、行政と企業との分離の方針を一歩前進いたさせまして、主として監督行政を主管しております陸運監理局の所掌する國営自動車に関する事務を鉄道総局に移し、また鉄道局において所管しております地方鉄道軌道、小運送及び倉庫営業等の監督事務を鉄道局からはずしまして、これを特定道路運送管理事務所に移し、同事務所を陸運局と改称することにいたしたいと考えておるのでございます。その他運輸省の機構につきましては、いろいろの方面からも御意見がありますので、十分の檢討を加えまして、次の通常國会に必要なる改正案を提出する予定でありまして、その趣旨を運輸省設置法の末尾に附け加えておる次第でございます。
 なお詳細につきましては、委員会等におきまして十分御説明を申し上げたいと存じます。
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
#31
○國務大臣(永江一夫君) 藤田君にお答えいたします。米價につきましては、昨日本議場で御決議のありました際に芦田総理からお答えをいたしました趣旨に從いまして、私は早急に適当な立案をいたすために、関係方面と折衝中であります。御了承願いたいと思います。
 第二の点つきましては、農村金融については大藏大臣からもお答えをいたしましたし、なおしばしば私はこの席上からもお答えを申し上げておるのでありますが、その中で特に具体的な点についてお尋ねがありましたものについてお答えをいたします。第一は、農地改革によりまする農地の賣上代金を、地方において何か資金として使つたらどうかという御意見のようでありますが、御承知のように、この賣渡し代金は農地証券の償還をしなければならぬのであります。從つて、これを今ただちに農村の資金関係に使うということは非常に困難であります。しかし將來、こういう賣渡し代金の納入状況あるいは農地証券の償還状況等を勘案いたしまして、さらに考えてみたいと思います。
 それから、農業協同組合の自主的な発達についていろいろお話がございましたが、網島君に先ほど私がお答えいたしておきましたように、この協同組合の育成強化ということが非常に大切でありまして、これが独占的な範囲に出でない限りにおきましては、政府としてはあらゆる方法において、公平かつ自由にこの農業協同組合が発達をするような処置を、法的にもその他の方法においてもとりたいと考えております。
 さらに最後に繰返して御主張になりましたように、わが國におきましても、原始産業の犠牲におきまして近代産業のみが隆盛になるという傾向については、私はもちろん反対をいたしておるのでありまして、政府といたしましても、これらのことを考慮いたしまして、先ほど來網島君からも御議論がありましたように、自由主義的な、資本主義的な経済機構そのままの、自由勝手な行動範囲に放任しておきますることは、農村にとつて非常に大きな惡影響を來すのでありますから、私どもは、原始産業の犠牲によつて他産業が隆盛になるという方針はあくまでもこれを是正していく、こういう考えをもつております。(拍手)
#32
○山下榮二君 ……
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 藤田君から御要求がありますか。
#34
○藤由榮君 労働大臣の答弁を求めます。
#35
○議長(松岡駒吉君) 大藏大臣が答えたはずですが、あれでいかがですか。――再質問をされますか。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
    〔國務大臣加藤勘十君登壇〕
#36
○國務大臣(加藤勘十君) ただいま藤田君の御質問のうちで、もし私に関係ありとすれば、三千七百円賃金ベースが維持できるかどうかという点でありますが、この点につきましては、ただいま安定本部長官よりお答えいたしました通りでありますから、御了承願います。(「違う違う」と呼ぶ者あり)
#37
○山下榮二君 大藏大臣の演説に対する……(議場騒然、聽取不能)……定刻より本会議を開き……
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#38
○議長(松岡駒吉君) 再質問があるかと言つても、再質問があるという意思表示をされませんでした。
    〔「文部大臣が残つている」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
    〔國務大臣森戸辰男君登壇〕
#39
○國務大臣(森戸辰男君) 藤田君の御質問にお答えいたします。六・三制の予算について不十分な点があることは、先ほど御指摘になつた通りでありますが、われわれはあらゆる努力をして、この範囲でできるだけのことをいたしまするし、さらに場合によりましては財源を見出して、これが完遂を期するという方向に努力いたしたいと思つております。詳細については、大藏大臣が予算について御説明になつた通りであります。(拍手)
#40
○藤田榮君 ただいま関係閣僚の御答弁の中で、特に労働大臣は趣旨をお聽きになつていなかつたように思います。なお、その他の詳細な点については委員会において質問を継続することにいたしまして、本会議の質問はこれで打切ります。
    ―――――――――――――
#41
○山下榮二君 大藏大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十二日定刻より本会議を開き質疑を継続することとなし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#42
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時散会
ソース: 国立国会図書館
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