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1947/06/17 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第65号
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1947/06/17 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第65号

#1
第002回国会 本会議 第65号
昭和二十三年六月十七日(木曜日)
    午後六時十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第六十一号
  昭和二十三年六月十七日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 たばこ專賣法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 未復員者給與法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ―――――・―――――
#3
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、赤松明勅君提出、鈴木法務総裁の檢察廳りん請留保に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#4
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 鈴木法務総裁の檢察廳りん請留保に関する緊急質問を許可いたします。赤松明勅君。
    〔赤松明勅君登壇〕
#6
○赤松明勅君 私は、野党連絡協議会の決定に基きまして、その代表として、ただいま議題になりました件について、芦田総理大臣、西尾副総理、鈴木法務総裁の三氏に対しまして、最高檢察廳より西尾國務大臣の起訴同意を求めるりん請が行われているのであるが、これをめぐつて、われわれには了解できない幾つかの問題があることを明確にしたいと思うために、本質問に起つたわけであります。まず、こういつた質問は、ほんとうの眞相を質そうとするならば、一問一答の形式が一番いいのであるけれども、これはおそらく時間的にも許されない。私は質問を整理いたしまして、まず最初に、芦田総理大臣に対して六問ばかりお尋ねする。続いて、鈴木法務総裁に対して七問お伺いをする。最後に、西尾副総理に対して所信を質したいこう思つております。
 まず第一に芦田総理大臣にお伺いしたいのは、去る十四日参議院におきまして、左藤義詮参議院議員の質問に答えられた折に、総理大臣の手もとにはりん請書は來ていない、すなわち、この問題を御存じになつていない、連日新聞その他に騒がれておるこの問題を御存じになつていないということを答えられておる。ここにありますが、あまり読む要もないでしよう。これが十四日です。ところが、その同じ十四日、鈴木法務総裁は衆議院の議院運営委員会において、成重委員の質問に対して、十一日に來ておると答えられておる。ところが、今朝の新聞を見てみると、十日の晩に突如として來た、こう言つておる。法務総裁、どちらがほんとうかということをあとから聽くけれども、こういううそばかり言つておる。そこで、芦田総理大臣が事実知らなかつたというならば、これは怠慢のそしりを免れないと私は思う。全國各地で演説会を開かれた折に、何回か芦田さんが、やがて不当財産取引で――この春からですよ、政界の大物が続々ひつぱられるだろうということをお述べになつたではないか。この政界の大物がひつぱられるということを、今年の春あたりから全國各地で発表せられた芦田さんが、はたして西尾さんがひつぱられるということを知つておつたのかどうかということを承りたい。(拍手)まず、これを明らかにしてもらう。
 第二問。西尾さんの問題は政令三百二十八号に関係するものであるが、この政令三百二十八号は、占領下にある日本が、日本の宿命であるところの民主化をはからなければならないために、ボス政治を排除するためにつくられたものではなかつたか。しかも、これをつくつた方々はだれだつたのか、片山内閣の当時において、芦田さんが副総理である。鈴木さんが司法大臣である。西尾さんは官房長官であつた。みずからあなた方がつくられた政令ではなかつたのか。この政令に対して責任をお感じにならないとするならば、私はここで、たしか英國の法学者であつたと思うが、法律をつくる立場にある者が罪を犯した場合は、罪は針ほどの罪であつたにしても、一般人が犯した罪の棒ほどのものに比例するという言葉があつたはずだ。(拍手)何となれば、法をつくる者が犯した罪は源泉を濁すからであり、一般人が犯した罪はその末流を濁すものである。こう言われたはずである。(拍手)(「犯したか犯さんか、わからぬじやないか」「無罪無罪」と呼び、その他発言する者多し)だまつて聽けばいい。こちらはたとえの話をしておるのだ。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#7
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#8
○赤松明勅君(続) 芦田さんは、この問題について……
    〔発言する者多し〕
#9
○議長(松岡駒吉君) どうぞ続けてください。
#10
○赤松明勅君(続) 全部聽いていただけはわかるはずであります。もののたとえが、ただいま申し上げましたようなのもある。ただいま申しましたようなたとえもある。私はここで、いわゆる犯罪であつたかないかということは知らない。それはもちろん檢察廳において明らかになるはずであります。
    〔発言する者多し〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#12
○赤松明勅君(続) 芦田総理大臣は、この三百二十八号の、みずからつくられた政令を踏みにじる勇氣があるかどうかということを聽きたい。
 第三に……。
    〔「議長注意しろ」と呼び、その他発言する者多し〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 赤松君には用語に注意をしていただきたい。用語に注意を促してあります。私語を禁じます。
#14
○赤松明勅君(続) 第三問は、鈴木さんから、あなたがご存じになつていなかつた十四日以後に、この問題について芦田総理大臣に何らかの形で話があつたか。すなわち相談があつたかどうか。あるはずであるが、その場合、あなたの参議院において答えられた、良心の命ずるところに從つて処置する――その良心の命ずるところの具体的なお答えを承つておきたい。(拍手)
 第四問は、憲法第七十二條で、内閣総理大臣は行政各部に指揮監督権をもつておるはずであるが、しかも六十八條では任免権まで與えられているのであるが、西尾さんの問題は單なる法律論ではない。政治道徳の問題であり、政治家の倫理性の問題であり、しかも一國の政治の信不信につながる問題であると私は考えておる。(拍手)西尾さんは國務大臣であるからこそ起訴されていないけれども、もしこれを逆に考えて、一般人であるとしたら、これはどうなるか。(拍手)最高檢察廳において起訴の方針を決定して総理大臣に対してりん請したという十日か十一日には國務大臣でなかつたとしたならば、被告の立場で起訴されていたものであると言つても過言ではなかろう。それゆえにこそ社会党の一部の方々は、連署をもつて西尾さんに対して辞任を要求したということが傳わつておるのではないか。(拍手)そうだろう社会党の諸君、私はボス政治を打破されんとする社会党の方々のこの行動に対してひそかに敬意を感じておる。芦田総理大臣、今日この政局の昏迷を招いた責任者である西尾さん、どうなるかは知らないけれども、今日予算案にしても何にしても進行しないということは、この政局の昏迷をもたらした西尾問題が重大な原因であると考える。(拍手)社会党一部の方々にならつて、今からでも遅くない、芦田さん、副総理である西尾さんに対して辞任を勧告する用意があるかどうかということを私は聽いておきたい。(拍手)
 第五問。鈴木法務総裁は、総理大臣あてのりん請書類を鈴木さんの一存で握り潰していたのであるが、これは明らかに憲法によつて規定せられた総理大臣の職権を侵害するものではないか、憲法違反の行為ではないかということを私はおそれる。芦田総理大臣、憲法普及会の会長であられたあなたは、この問題を何と考えられるか。法務総裁のこの行動に対して何らの処置をとられようともしないのかどうかということを承つておきたい。
 第六問。憲法第七十五條には、國務大臣の訴追に関して、総理大臣の訴追に関する同意が必要であると書いてあるが、ここで参考までに、しからば総理大臣を訴追する場合において、これはたれが一体同意するのかということをお考えになつたことがあるかどうかということも、併せてお答えを願いたい。
 以上六点が、芦田総理大臣に対して私が質したいところであり、明快なる御回答を得なければ再質問を何回でもやりますから、そのおつもりでお願いしたい。(拍手)
 鈴木法務総裁にお伺いしたいのだが、第一は、去る十四日午後の衆議院運営委員会において――速記録の写しもあるが、十一日に從來の搜査経過を添えて総理大臣あての稟請が行われたということを成重委員に答えられたが、今朝の新聞には、十日夜突如として送り届けられたと書いてある。このいずれが正しいのかということを明らかにしておいてもらいたい。(拍手)それから、十日に來たものを、鈴木法務総裁はいつまで持つておつて檢察廳に対して再調を命ぜられたかということを明らかにしてもらいたい。同時に、再調に関する事項は三項ばかりあつたというが、木内檢務長官が何とかかとかいうことも数えられておつたようだが、発表され得る限りこれを発表してもらいたい。(拍手)その再調に関して突返されたその書類は、いつ再調が終わつておるかということをお調べになつたか、それとも檢察廳から何らかの回答があつたかなかつたかということを明らかにされたい。(拍手)
 第二問。追放令違反の件並びに不当財産取引の件は、発見したその日から十日以内に解決せよと、関係当局より最高裁判所、最高檢察廳に対して指示があつたかなかつたか。もしあつたとすれば、それに対して、これがどういうふうなことになるかということを、あなたはお考えになつておるかということを明らかにしておいてもらいたい。(拍手)
 第三問。法務総裁として、最高檢察廳が檢事一体の原則に從つて、順序を経て檢事総長より提出された起訴のりん請が、不十分と認めたということは、檢事総長以下のいわゆる檢察陣に対してあなたが信用を與えないと了解していいかどうか。(拍手)法務総裁、あなたには檢察廳が起訴するというものを起訴させない権利があるとお思いになつておるか、あるいは反対に、起訴しないときめたものを起訴せしめ得る権利をもつておるとお思いになつておるか、この点を明らかにしてもらう。(拍手)
 第四問。あなたが一應突返したそのりん請書類が、そのままであなたの手もとに返つてきたときに、もう一度りん請してもらいたいと來たときに、これをどうするか。また突返されるか。それともりん請手続を完了なさるか。檢事総長はこの問題に関して、今朝の新聞には、都合によればやめると書いてある。あなたにやめる用意があるかどうかということを聽いておきたいのだ。(拍手)
 第五問。かつて新聞記者諸君に対して、西尾氏は起訴されないというようなことを発言されたことを思い合わす場合に、あなたがとられた今回の方法は、明らかに万人の前に平等でなければならないその法の運営を、法務総裁であるあなた自身が曲げたのだ、私情によつてその尊嚴を傷つけたかの印象はきわめて深い。この際、政局明朗化の一助として、鈴木法務総裁、あなた自身がおやめになる意思はないかどうか、これを明らかにしてもらう。
 第六問。十四日衆議院運営委員会で、書類を見ると不十分らしい、このまま同意の手続をとれば、將來重大なる波瀾が予想されたと、こういうことを答えられておるが、この重大なる波瀾ということは何を予想されたのか、西尾さんの起訴に同意をすれば内閣が総辞職をしなければならぬと考えたのか、この点を明らかにしてもらう。いかなる重大なる波瀾を予想したかということ。
 第七問。同じ衆議院運営委員会で、林君の質問に対してりん請に関しての決裁権は、私と――鈴木法務総裁と芦田総理大臣の二人にある、しかも最後の決裁権は私にあると述べられておるが、鈴木法務総裁にりん請に対する決定権があるというのは、いかなる法律上の根拠を有するか。(拍手)これを明らかにしておいてもらいたい。
 以上七問が、鈴木法務総裁に対する私の質問であります。
 西尾さん、かつてはあなたと同志であつた私が……(発言する者あり)かつては日本一の政治家として自他ともに許された、われわれ後輩が尊敬しおつた西尾さん、社会党の方々も、われわれが離脱しなければならなかつた内容はまだお忘れじやなかろう。社会党を育てるために力のあつた西尾さんは、その社会党を分裂させるためにもまた力があつたということを忘れちやなるまい。(拍手)西尾さん、今あなたは泰然とはなさつておるけれども、そでに涙のかかる日だと人は言う。私は、多くはあえて問うつもりじやないけれども、片山内閣当時、今も申し上げた日本一の政治家と自他ともに許されて、今の芦田内閣の副総理であられるあなた、政治家として、いわゆる責任だけはよもやお忘れじやなかろう。かつてあなたの党大会では、同じあなたの同志野上君の質問に対して、不正取引などというようなものがあつたとしたら腹を切ると答えられた西尾さんではなかつたですか。かく政局昏迷の原因をつくり出した道義的な責任はきわめて大きいということを、西尾末廣さんならば、おそらく知らないとは言われないだろうと私は考えておる。(拍手)今われわれの祖國は、言うまでもなく重大な関頭にあり、講和会議はたな上げされるかわからないという重大なときに、外資導入があなた方の政治生命を左右されるかもしれぬという重大なときに、われわれの民族が國際的な信用を失うとするならば、はたしてわれわれの祖國の前途はどうなるか。一國の信用いかんは國政いかんにある。政治責任は明らかにされなければならぬだろう。西尾さん、あなたが大政治家として有終の美をはかろうとするならば、今この際において、あなた自身がみずからその責任を明らかにせらるべきであると私は考える。西尾末廣は、その名においてこの責任を、しかもそれは、いつ、どこで、どんな形で果されようとするかということを、私は承つておきたい。(拍手)
 以上が私の質問の要点でありますが、きはめて懇切に、きわめて明快に、私の質問に対して十分納得のいく御回答を賜わりたい。再質問の権利を留保して第一段を終わります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#15
○國務大臣(芦田均君) 赤松君の質問にお答えいたします。
 赤松君が冒頭に、去る十四日参議院において私が西尾君の問題について答弁した点を引用されましたが、多少思い違いをされておる点があると思う。(「ノーノー」「聽いてから言え」と呼ぶ者あり)西尾君を檢察廳においていかに処分すべきかという書類は、法務総裁に提出される書類でありまして、私の手もとには、その当時まで、また今日まで、かような書類は届いておりません。(拍手)これははつきり申し上げておきます。そのときに参議院で私が答えたことは、書類は参つておりませんが、法務総裁から口頭をもつて詳細に報告を受けておりますと答えております。
 赤松君は、片山内閣当時に、私が國務大臣として、現行の、問題になつておる政令をつくつたのである、自分でつくつた政令を勝手に破るつもりかという御質問であります。私は、法律でも、政令でも、破ろうとは考えておりません。(拍手)
 第三に、その次にお尋ねになつた問題は、この問題は政治問題である、從つて、西尾君に対して辞職を勧告する意向があるかどうかというお尋ねであります。現在の私は、西尾君に辞職を勧告しようとは思つておりません。(拍手)
 次に鈴木法務総裁に対して、総裁のとつたる行動をどう見るかというお尋ねであります。法務総裁が今日までとり來つた行動は、法務総裁として適法なる行動であつて、何らその職に背くところはないと確信しております。(拍手)
 憲法第七十五條についてお尋ねがありました。これは別に政治問題でもありません。憲法第七十五條に書いてあることは、國務大臣を訴追しようと思うならば内閣総理大臣の同意を必要とすると書いてある。内閣総理大臣を訴追しようと思うならば、内閣の同意を得る必要はないということは明白であります。
 最後に、私が全國到るところに演説をして歩いて、來年の春になつたら政界の大物がひつぱられるということを言つた、ということですが、私は、さような言葉を使つたことはありません。(拍手)もしあると言われるならば、その書類をお出しになつたらわかりましよう。証拠をお出しなさい。(拍手)
    〔國務大臣鈴木義男君登壇〕
#16
○國務大臣(鈴木義男君) 赤松君の第一の御質問は、りん請書が私の所へ到達した日が十日であるのか十一日であるのかということでありましたが、十四日の委員会では、突然で、書類を見ないで出席をいたしたのでありますから、私の記憶違いであつたのでありまして、十日に受取つたことに相違ないのであります。
 第二の、再調べを命じたかというお問いでありますが、再調べというようなことを命じたのではないのであります。われわれは、決裁をいたしまする前に、納得のいかないことがあれば、遠慮なく聽くことにいたしておるのでありまして、それらの点について、念のために承知をいたしたいという点を確かめているだけであります。その結果はまだ承つておりません。
 関係方面から十日以内に事件を処理せよという訓令があつたそうである――それはそれに似たような事実はありますが、全然趣旨を異にいたすのでありまして、そういうことはないと、はつきりお答えを申し上げてよろしいと思います。もし最高裁判所の方に出されたところの指令のお話でありまするならば、私もその原文をもつておりますから、もしそういう御趣旨であれば、別に御質問に應じてお答えをいたすことにいたしますが、こういう問題を十日以内に処理せよというような訓令を受けたことはありません。
 またさらに再調査を命ずるかというような御質問でありましたが、それは実際にすでに再調べというようなことを命じたことでもないのでありまして、私の疑念がはつきりいたしますれば、それ以上重ねて確かめる必要はないかと思いまするが、ただいま何ともその点については申し上げかねる次第であります。
 第五問として、辞職の意思はないか。ただいまのところ、まだ辞職の意思はないのであります。(拍手)
 第六の、將來波瀾を予想するということを私が申した。それはこの事件が進行した場合に、公判等において波瀾を起すということを意味して申し上げたのでありまして、内閣総辞職を意味したということは毛頭ないのであります。りん請に対して決裁を與える権限は私に存するということは疑いのないことでありまして、特に御質問を賜わるほどの問題ではないと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#17
○國務大臣(西尾末廣君) 赤松君の私に対する質問の要旨は、私の責任を問い、それをいつ、いかなる方法において果すかという御質問でありましたように伺いましたが、私は政治家といたしましては、責任を明らかにするということは、一番大事なことだろうと思うのであります。私は、責任を明らかに、いつの場合でもしなければならないということは、十分承知しております。しかし、今度の問題につきまして、私がここに責任をとらなければならぬとは、私は考えてはおりません。從つて、いつ、いかにしてその責任を果すかということについては、お答え申し上げる必要はありません。(拍手)
    〔赤松明勅君登壇〕
#18
○赤松明勅君 三氏とも、きわめて言葉巧みな御回答ではあつたけれども、しかし、輿論を納得せしめるだけの答弁であつたかどうかということは、御本人たちが十分に知つておるだろうと私は思う。(拍手)
 芦田さん、あなたは民主党の代議士会においても、政界の大物が、不当財産取引委員会ができて、これにひつかかる、と言われている事実があるではないか。これも言われなかつたというのか。その他の質問については、私はなおかつ機会があると思う。今日、あなたのその不誠意きわまる答弁を聽いて、なおかつこれを追及してみても同じだと思う。ただその一点を芦田さんに聽く。
 鈴木さん、あなたは、あなた自身として、決裁権ということと決定権と言われたこととに狂いがある。林さんが聽かれた要旨は、あそこに速記録があるのだが、あまり長いから読まないだけなのだ。私十分に調べてきているのだが、決定権は内閣総理大臣と私とにあると言つた。決定権とは、檢事総長から出たものを決裁するだけである。決定権ということを言われているのだが、これを誤りなら誤りと正直に言えないか。こうした点について、國民自体が納得できるだろうか、どうだろうか。
 鈴木法務総裁に私は申し上げるのだが、公安委員というのをきめられるのに、前科のある者はいけない、こういうことを言われたが、今は前科はなくなつたかしらぬが、しかし、過去の経歴がよくない方に対しては、必ず暗い影がつきまとう。鈴木さんの法務総裁としての資格において、私國民の一人として言えば、あなたに暗い影がつきまとうことは、蝋山政道君の原稿問題がどういうようなうわさになつているか。これは言いたくないとは思うけれども、親切に申し上げるなら、あなたは法務総裁としての責任者じやないか。間違いを言われては困るということだ。
 西尾さんに対しては、あえて再び尋ねる氣持になりません。これが私の再質問でありますが、御回答を願いたい。
    〔発言する者あり〕
#19
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#20
○國務大臣(芦田均君) 民主党の代議士会において、赤松君が今指摘されたようなことは、一言も言つたことはありません。
    〔國務大臣鈴木義男君登壇〕
#21
○國務大臣(鈴木義男君) この機会にお答えをする前に、一言申し上げておく方がよいと存ずるのでありまするが、普通この種の事案、殊に現職の大臣を起訴するかどうかというような問題につきましては、通常法務廳における慣例は、事前に総裁に相談をして、そういう決定に到達してよろしいかどうかということを、少くともその時期を決するにつきましてはいたしておるのであります。本件は突如としてなされているということをご了承願いたい。また世の中には――実際物事には、おのずから軽重の差というものがあります。急いでやらなければならぬことと、そう急がぬでもいいことがあるということをご承知おきを願いたい。又正常の言葉においては、決定も決済も常識的な言葉にとしてはそう違わないのでありまして、私が決定という言葉を使つたといたしまするならば、そういう意味において御了承を願いたいのでありまして、結局総理と私との合意によつて最後の決定に到達する、こういう意味を申上げたのであります。
 本件に何ら関係のないことでありまするが、蝋山政道君のプリントのことをここで問題にされましたから、私はここで明らかにしておかなければならないと存じます。東北大学に職を奉じておりますとき、東北学院という、中学校の一つ上の学校でありまするが、その学校に講義に参りまして、政治学の講義を委嘱されたのであります。夏期大学に頼まれて政治学の講義をいたしたのでありますが、蝋山政道君が中央大学の弥学部で使つたプリントをリプリントして、最初に特別につくる予定でありましたが、時間がなかつたために、蝋山君に手紙を書いて、承諾を得て印刷に付したのであります。そうして、謄写に代うるに印刷をもつてするとして使つたのでありますが、本屋がこれを一円五十銭で販売をいたしたのでありまして、まことにその点は申しわけないのであります。しかし、そのために私は、他人の本で金もうけをしたというような事実はないのでありまして、まつたく一文ももうけたわけではないのであります。責任を感じて辞表の提出もいたしたのでありまして、そのことは、この機会に明らかにしておきます。
     ――――◇―――――
#22
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、たばこ專賣法の一部を改正する法律案、日程第二、未復員給與法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を認めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
#23
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました法案について、委員会の経過を詳細申し上げるのが本意でありますが、きわめて簡單に要点のみを申し上げて御報告に代えたいと存じます。
 本案は、タバコ益金の收入を確保するために、現下問題視されておるやみタバコの撲滅を目的として組まれた法案でございまして、改正される要点は三つあるかと存じます。その一つは、從來葉タバコは收穫する前に量目の査定をいたしておつたのでありまするが、今後は葉数を調査して納入させるような方途を講じ、もし予定の納入をしない者には追徴金を課するということを規定した点、次は、從來最高五万円の罰金が課せられておりましたが、今後は体刑をも課し得らるるように改正をいたさんといたしております。いま一つは、タバコ苗や種子のほかに、タバコ製造機械についても取締りを実施したい、こういう点が改正された大きな重点であるかと思つております。
 委員会においでは、現下の状況とにらみ合わせまして妥当な改正であると認め、本案は多数をもつて可決確定をいたした次第であります。(拍手)
 第二番目の未復員者の給與に関する法律案は、御承知の通り、從來未復員者に対して各種給與を與えておりましたが、現在の物價事情と照合いたしまして、適当でない面が非常に多いというので、今まで扶養手当を百五十円出したのを二百五十円に増額する、帰郷旅費三百円でありましたのを四百五十円に、遺骨引取旅費二百七十円でございましたのを八百円に、遺骨埋葬費三百十円でありましたのを一千円に、それぞれ約三倍に増額をせんとするのであります。
 本案に対しては、いろいろ質疑應答があつたのでありまするが、最後に社会党の川合彰武委員より、現地において徴用をせられた未復員者の家族に対しても扶養手当その他を給與されたいという希望がありました後、討論を省略いたしまして、全会一致原案を可決いたした次第であります。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#24
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。まず日程第一、タバコ專賣法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通力決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#25
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に日程第二、未復員者給與法の一部を改正する法律案は、委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ―――――・―――――
  会期延長の件
#27
○議長(松岡駒吉君) この際、会期延長の件についてお諮りいたします。今回の会期は來る二十日をもつて終了することになつておりますが、各常任委員長の意見を聽き、議院運営委員会にも諮つた上、参議院議長と協議の結果、來る二十一日より六月三十日まで十日間会期を延長いたしたいと思います。これを発議いたします。
 採決いたします。六月二十一日より六月三十日まで十日間会期を延長することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めまして、会期は六月二十一日より六月三十日まで十日間延長することに決しました。(拍手)
 明十八日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
   牛後七時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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