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1947/06/19 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第67号
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1947/06/19 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第67号

#1
第002回国会 本会議 第67号
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
    午後四時十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第六十三号
 昭和二十三年六月十九日(土曜日)
    午後一時開議
 第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 麻藥取締法案(内閣提出)
 第三 大麻取締法案(内閣提出)
 第四 輸出入植物檢疫法案(内閣提出)
 第五 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律案(内閣提出)
 第七 郵便爲替法案(内閣提出、参議院送付)
 第八 郵便振替貯金法案(内閣提出、参議院送付)
 第九 電波物理研究所を電気試験所に統合する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議員(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) お諮りいたします。全國選挙管理委員会委員美濃部達吉君が死去せられましたので、委員一名を補充しなければなりません。よつてこの際全國選挙管理委員会委員の指名を行います。
    ―――――――――――――
#4
○山下榮二君 全國選挙管理委員会委員の指名につきましては、議長において指名せられんことを望みます。
#5
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて議長は全國選挙管理委員会委員に岡正雄君を指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○山下榮二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、松本淳造君外三十四名提出、教育勅語等排除に関する決議案を、委員会の審査を省略してこの際議題となし、その審議を進められんことを望みます。
#8
○議長(松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 教育勅語等排除に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。松本淳造君。
    〔松本淳造君登壇〕
#10
○松本淳造君 私は、各派共同提案であります教育勅語等排除に関する決議案提出にあたりまして、その趣旨を弁明いたしたいと思うものであります。
 申すまでもなく、永い間わが國民の精神を支配していました教育勅語等を排除するというのでありまするから、その影響するところはかなり甚大であると思うのであります。從つて、この問題につきましてほ、すでに文教委員会等におきましても数回にわたる会合をもちまして、きわめて慎重に審議いたしたわけでございますが、その結果、本日首題の通り、教育勅諸等を排除するという決議案提出に至つた次第であります。なおこの教育勅語等の等でございますが、これは教育勅語に類する、主として教育関係の勅語、詔勅、これらを意味するものでございまして、すなわち陸海軍軍人に賜りたる勅諭、戊申詔書、青少年学徒に賜りたる勅語等を指すのであります。この点、あらかじめ御了承おき願いたいと思うものであります。
 まず主文を朗読いたします。
   教育勅語等排除に関する決議
  民主平和國家として世界史的建設途上にあるわが國の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは教育基本法に則り、教育の革新と振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書となつている教育勅語並びに陸海軍軍人に賜りたる勅諭その他の教育に関する諸詔勅が、今日もなお國民道徳の指導原理としての性格を持続しているかの如く誤解されるのは、從來の行政上の措置が不十分であつたがためである。
  思うに、これらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的國体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ國際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八條の本旨に從い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの詔勅の謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである。
  右決議する
 ただいま朗読いたしました主文の通りに、現在わが國は平和國家、民主國家としての建設の途上にあるのであります。それはポツダム宣言受諾以來、かつまた新憲法制定以來、確固として決定された國の方針であるといつて間違いはないのであります。從つて、われわれといたしましては、その方面を目ざしまして、あらゆる改革を断行し、また断行せんとしておるのであります。ところが、それらの諸改革は、すでに制度上におきましては相当大幅に、画期約に、これがなされてまいりましたが、しかし、それらの制度上の改革に比べますと、いわゆる精神的内容についての改革、すなわち、いうところの精神革命に至りましては、未だしという感じがしないわけではないのであります。この点は率直に認めてよいことであろうと思うのであります。すなわち、從來の封権主義的、軍國主義的、超國家主義的な、そういつた理念、精神から、個の尊厳を確認しますところの民主主義的な精神の切替え、改革といつたようなものが、まだまだ十二分にはなされていない、世界の水準にもなお達していないということは、遺憾ではありますが、事実と言わなければならないのであります。從つて、新憲法は制定されましても、依然として古い考え方が、未だに遺憾ながら残つておりますので、これら新旧二つの理念がときに衝突し、ときに予盾し、その結果混乱をひき起して、そのために民主化の停満性が現われておるといつて間違いはないのであります。世間でいいますところの道義の頽廃、あるいは虚無的な、没理想的な生活展開のごときは、ひつきようするところ、この精神の混乱から生れてくる現象であるといつて間違いはないのであります。
 そこで、われわれといたしましては、かような混乱をいつまでも放置しておくわけにはまいりません。できるだけこれらを整理し、民主的な精神内容を國民の一人々々が正しく把握し、もつて理想とする平和國家としての体を整え、國際的にも信頼されなければならないことが急務であるのであります。そして、そのことを達成いたしますためには、何よりも教育によることが本質的に必要であるのでございまして、そのために、諸君も御承知でありますように、教育基本法をわれわれはすでに制定いたし、これによつて國民の指導原理を明らかにしているわけであります。
 すなわち、その基本法におきましては、われわれは新らしき憲法の精神に則り、民主的で文化的な國家を建設して、世界平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示し、個人の尊嚴を重んじ、眞理と平和を希う人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造を目ざす教育を普及徹底しなければならないと、かように規定しでいるわけであります。
 ところが、かように明確に規定しているのでありますけれども、遺憾ながらその規定及びその内容が、國のすみずみまで生命的に行き渡つていないうらみもあるのであります。そして、その効力を失つてしまつておりますところの教育勅語、あるいは陸海軍人に賜りたる勅論、または戊申詔書、青少年学徒に賜りたる勅語等、これら教育に関する諸詔勅が、今日もなお國民道徳の指導原理としての性格をもつているかのごとく誤解されている向きもあるのであります。この点は、民主革命の基本でありますところの精神革命の達成には、かなり重要なポイントでございまして、これをこのまま見逃がしておくことは、決してわが國の現在にとつて、さらに将來にとつて、よいことであろうとは考えられないわけであります。
 ところで、なぜそのような誤解が残ているのであるか。これが問題になつてまいりますが、これは前にも申しました通り、新憲法あるいは教育基本法の精神が、未だ國民の精神内容そのものになつていない結果であることは、言うまでもないことでありますけれども、しかし何と申しましても、これらの諸詔勅に対する措置が、法制上または行政上における措置が、今日まで十分にとられていなかつたと考えなければならないのであります。
 といつて、その措置が全然なかつたわけではありません。たとえば、昭和二十一年三月には儀式の場合に勅語を捧読せよとの項を削除し、教育は教育勅語の趣旨に則れの項を削除しました。次いで、昭和二十一年十月八日、その当時の文部省は、次官通牒の形式をもつて、「教育勅語をもつて我國教育唯一の淵源とせず、式日等に棒読の慣例をやめる。保管及び捧読に際しては神格化しない。」と、一應行政上の措置をとつておることは事実であります。
 けれども、その措置がきわめて消極的でありまして、徹底を欠いているうらみがあるのでありますから、ほんとうに勅語を廃止したのか、失効せるものとして認めておるのか、自然消滅をでも期しておるのであるか、いずれにせよ、徹底的な措置がなされているとは言いがたい点があるのであります。從つて、今もなお教育勅語の謄本は、各学校に保管させて、そのままにしているような状態であります。だから國民におきましても、はたして勅語が失効したのか、効力をもつているのであるか、生きているのであるか、その辺か判断がわからないのでありますから、そこにいろいろな誤解が生れてくるわけであります。
 これらを一應考えます場合におきまして、われわれは、その教育勅語の内容におきましては、部分的には眞理性を認めるのであります。それを教育勅語のわくから切り離して考えるときには眞理性を認めるのでありますけれども、勅語というわくの中にあります以上は、その勅語そのものがもつところの根本原理を、われわれとしては現在認めることができないという観点をもつものであります。それが憲法第九十八條にも副わないゆえんでありまするので、この際この條規に反する点を認めまして、われわれはこの教育勅語を廃止する必要があると考えざるを得ないわけであります。これは単に國内的の視野においてのみ見るのではなくして、國際的の視野においてもこれを見ます場合に、特に明らかにしておくことが必要でありますので、本日衆議院は、院議をもつてこれらの諸詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言し、政府をしてただちにこれら詔勅の謄本を回収せしめ、この際はつきりと排除の措置を完了せしめたいと思うのであります。
 以上、簡單ではありまするが、教育勅語等排除に関する決議案上程に際しまして、その趣旨を弁明した次第であります。何とぞ諸般の事情を御明察賜わりまして、御賛成あらんことを切に希望してやまない次第であります。(拍手)
#11
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 この際、文部大臣より発言を求められております。これを許します。文部大臣森戸辰男君。
    〔國務大臣森戸辰男君登壇〕
#13
○國務大臣(森戸辰男君) ただいま本院の御採択になりました教育勅語等排除に関する決議に対し、私は文教の責任者として深甚の敬意と賛意を表するとともに、一言所見を申し述べたいと思います。
 敗戰後の日本は、國民教育の指導理念として民主主義と平和主義とを高く揚げましたが、同時に、これと矛盾せる教育勅語その他の詔勅に対しましては、教育上の指導原理たる性格を否定してきたのであります。このことは、新憲法の制定、それに基く教育基本法並びに学校教育法の制定によつて、法制上明確にされました。本院のこのたびの決議によつて、あらためてこの事実を確認闡明せられましたことは、まことにごもつともな次第であります。この際私は、この問題に関しまして文政当局のとつてきました措置と、本決議に含まれた要請に処する決意とを申を上げたいと存ずるのであります。
 詔勅中最も重要である教育勅語につきましては、終戦の翌年、すなわち昭和二十一年三月三日、文部省は省令をもつて國民学校令施行規則及び青年学校規程等の一部を停止いたしまして、修身が教育勅語の趣旨に基いて行わるべきことを定めた部分を無効といたしました。次いで同二十一年十月九日、文部省令において國民学校令施行規則の一部を改正いたしまして、式日の行事中、君ケ代の合唱御眞影奉拝、教育勅語捧読に関する規定を削除いたしました。この行政措置によりまして、教育勅語は教育の指導原理としての特殊の効力を失効いたしたのであります。昭和二十一年十一月三日新憲法が公布され、これに基いで、翌二十二年三月教育基本法が制定せられることになりましたが、この法律は、その前文において、これが日本國憲法の精神に則り教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するためのものであることを宣言いたし、教育の基本原理がこれに移つたことを明らかにいたしました。学校教育法が制定され、それと同時に、國民学校令以下十六の勅令及び法律が廃止されたのであります。これらの立法的措置によりまして、新教育の法的根拠が教育基本法及び学校教育法にあることが積極的に明らかにされておるのであります。
 さらに思想的に見まして、教育勅語は明治憲法を思想的背景といたしておるものでありますから、その基調において新憲法の精神に合致しがたいものであることは明らかであります。教育勅語は明治憲法と運命をともにいたすべきものであります。かような見地から、昭和二十一年十月八日以後、文部省は次官通牒をもつて、教育勅語を過去の文献として取扱い、かりそめにもそれらを神格化することのないように、注意を喚起いたしたのであります。
 かようにして教育勅語は、教育上の指導原理としては、法制上はもちろん、行政上にも、思想上にも、その効力を喪失いたしておるのでありますが、その謄本は、今日なお学校に保管されることになつておるのであります。ところが、この点につきましては、永年の習慣から誤解を残すおそれもあり、また將來濫用される危険も全然ないとは申されません。そこで、今回の決議に基いて、文部省より配付いたしました教育勅語の謄本は、全部速やかにこれを文部省に回収いたし、他の詔勅等も、決議の趣旨に副うて、しかるべく措置せしめる所存であります。かくいたしまして、眞理と平和とを希求する人間を育成する民主主義教育理念を堅くとることによつて、教育の刷新と振興とをはかり、もつて本決議の精神の実現に万全を期したいと存じておる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#14
○議長(松岡駒吉君) 日程第一一、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。
#15
○坂東幸太郎君 ただいま議題となりました、内閣提出、第四十一号、地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果を御報答申し上げます。
 まずこれより、本法律案の内容につき概要を簡單に御説明申し上げます。地方自治の民主化とその健全な運営を目途として制定せられました地方自治法ほ、昨年五月三日、新憲法施行と同時に施行せられたのでありますが、その後における運用の実情に鑑み、さらに住民自治の本旨を具現し、その民主化を徹底するために、昨年十二月相当廣範囲にわたる第一次改正が行われましたことは、すでに御承知の通りであります。今回改正の骨子は、地方公共團体の権能に関する規定を整備し、地方議会の権限を一層拡充し、地方公共團体の議会と長との関係の調整につき、さらに一歩を進めた措置を講ずることとするほか、地方自治運営上における腐敗を防止し、その公正を確保するため、住民の自治参與の範囲を拡充する等の措置を講じようとするにあるのでありますが、これを要するに、第一次改正の趣旨を敷衍し、徹底しようとするものにほかならないのであります。
 地方公共團体の権能に関する規定の整備について申し上げます。從來、地方公共團体の権能として処理すべき事務の範囲は、一般的には地方自治法第二條において規定せられてあるのでありますが、その規定はきわめて抽象的であり、事務の範囲を具体的に明志しておらない結果、解釈上種々の疑問を生ずるのみならず、一般の理解を得ることがすこぶる困難な実情にあつたのであります。これらの点に鑑みまして、今回新たに地方公共團体の権能を具体的に例示ずることにいたしますと同時に、地方公共團体は國の國有事務を処理することはできるが、まだ事務の処理にあたつては法令に違反することができない旨を念のために規定して、その処理し得べき事務の限界を明確ならしめんとしたのであります。
 次に、地方公共團体の議会の権限の拡充について申し上げます。地方自治法におきましては、議会と長とば、議決機関と執行機関、あるいは意思機関と理事機関として、おのおの対等の立場に立ち、それぞれ與えられた自己の権限を行使し、相互に相牽制して、円満な地方自治の進展に資せしめることとせられておるのでありますが、地方公共團体に関する重要な事件については、できるだけ住民の直接の代表者である議会にも関與せしめることが適当であるととは、申すまでもありません。よつてこのたび、さらに違法に賦課または徴放せられた地方税等の拂いもどし、特定の財産、営造物の取得、設置または処分、特定の契約の締結、地方公共團体がその当事者である斡旋、調停、仲裁に関すること及び法律上その義務に属する損害賠償を附加し、議会の議決事項の節囲を拡充いたしまして、これらの事務の処理が住民の代表の意思に基いて常に適正に行われることを期することとしたのであります。
 第三点は、地方公共團体の議会と長との関係の調整について御説明申し上げます。現在すでに都道府縣知事、市町村長等の地方公共團体の長と地方議会との関係は、両機関の相互均衡の上に地方自治の調和ある運営を期することが地方自治法の根本的建前であります。しかして、かかる制度のもとにおきましては、いわゆる拒否権の制度が認められておるのが通例であります。この拒否権に相当する制度としては、現行地方自治法におきましては、一、議会の議決または選挙がその権限を越え、または違法な場合、二、議決が收入支出に関して執行することができないものがあると認められる場合、三、法令による経費または義務に基く経費ないしは常災害による應急復旧費もしくは傳染病予防費の削除ないし減額がなされた場合に限つて認められておるのでありますが、合同新たに、一方で議会の権限の拡充をはかるのに対應しまして、他面、長に対して一般的に拒否権を與えることとしたのであります。すなわち地方公共團体の長に対し、條例の制定もしくは改廃または歳入歳出予算に関する議会の議決について異議があるときば、十日以内に理由を示してこれを再議に付すことができるものとし、議会がそれにもかかわらず、三分の二以上の多数で再度議決をしたときほ、その議決は確定するものとしたのであります。
 第四点は、住民の直接参政の範囲の拡充等による腐敗行爲の防止及び公正の確保による新たな措置に関するものであります。
 まずその第一は、地方公共團体の財産または営造物で重要なものについて一定の独占的な処分または使用の許可に関するものであります。現行法におきましては、條例の一般的規定に從いまして処理をいたしておつたのでありますが、地方公共團体の特に重要と認めた財産または使用は、元來住民に平等に與えられるべき財産または営造物の利用の権利に対する重大な制限でありますから、特に慎重を期すべきものであるのみならず、かかる措置が、公共の目的上ないしは地方公共團体の財政上の要求により、眞にやむを得ないものであるとしても、このような行爲に往々にして伴いやすい腐敗行爲は、極力これを防止するに努むべきでありまして、その手段としては、住民の最終の審判を経て事を決することが最も適当であると考えられるのであります。また、その他の比較的重要な財産またほ営造物に関する独占的な性質を有する処分または使用の許可については、議会における出席議員の三分の二以上の者による議決を要することといたしましたのも、同様の趣旨に出ずるものであります。
 その第二は、出納長もしくは收入役その他地方公共團体の職員の職務上の地位の濫用による公金または財産または営造物の違法または不当な処理についての住民による矯正権の制度を法定いたし、これによつて、住民の信託に基く地方公共團体の公共の利益の擁護に違算なからんことを期したのであります。すなわち、出納長もしくは收入役その他地方公共團の職員の職務上の地位の濫用による不正行爲に対する住民による矯正請求は、一人でもこれをなし得るのでありまして、まず監査委員に対して監査を促し、監査委員の監査に基いて、地方公共團体の長が必要な措置を講じて、その違法またぼ不当な行爲の制限または禁止をなすこと、もし監査委員または地方公共團体の長の措置に不服があるとか、これらの者が必要な措置を講じないような場合には、請求人たる住民は、さらに裁判所に出訴する途を與えられるとする制度であります。その第三は、分担金を徴收する條例の制定または改正の際の公聴会の開催に関する規定であります。この規定の趣旨とするところは、申すまでもなく分担金の徴收は、利害関係が錯雑し、公正を失するおそれがある場合が少くないので、地方議会では、常任委員会において開催する公聴会によつて十分に関係者の意見を聴き、できるだけ公正にこれを賦課徴収することを目的としているものでありまして、分担金が特に数人もしくは一部の者から特定事件について徴収するものである点を重視し、條例の審議に特別の手続を加えた次第であります。
 最後に、戦時中の市町村の合併及び市への編入等に関するものについて御説明申し上げます。昭和十二年七月七日から同二十年九月二日に至るまでに行われました、いわゆる戦時中の市町村の合併及び市への編入等は、戦時において軍需工業施設が随所に大拡張を遂げ、そのため附近町村を編入して大都市の出現を見たというようなものやら、その他いろいろな理由に基く実例が少くないのでありますが、終戦後においては、これらの都市は、工業施設を灰燼と化し、あるいは予定の工場等の設置を見ないこととなり、またあるいは賠償の対象物に指定を受ける等その他種々なる理由により、少くともその当初の存立の基盤の大半を喪失した実情に立ち至つた次第でありますので、この現実の事態を率直に認めまして、合併または編入せられた市町村のうち、旧に復することを希望するものがありますれば、法律施行後二年以内を根つて、それらの者の請求に基き、分離を希望する住民の一般投票を行い、その結果過半数の参政がありました場合には、当該議会の議決のもとにその分離を認めようとする規定を附則において規定いたしたのであります。
 以上が本法案の概要であります。本委員会におきましては、去る四月十五日本法案の付託を受け、四月二十七日、苫米地官房長官及び鈴木自治課長から提案理由の説明を聴取いたしましてから、以來委員会を開くこと十回、毎回にわたつて熱心な質疑應答を行い、慎重審議をいたしたのでありまして、その詳細な点につきましては、何とぞ委員会議録によつてごらんをいただくことにいたし、その質疑應答のうち、おもなもの若干を拾つてこれから御報告申し上げたいと存じます。
 第一は、法文の用語、用字の問題であります。法文中諸所に飜訳的な難解の用語が出てくる、また漢字をことさらに平がなに書いてあるものがあるが、これらは、ただに難読であるのみならずへややもすれば文意を誤解することなきを保しがたい、われわれは、かかる危険な法文によつてわれわれの権利を左右せられることは忍びがたいことである、法律は最も一般大衆によくわかる、平易な字句を用いなければならぬと思うが、政府の所信いかんとの質疑に対して、政府の答弁は、政府としては、学界社会各層の人を集めて國語審議会を設け、そこでつくり上げた当用漢字を妥当なものとして採用したのである、もとより、どういう字を使つてはならぬという法的根拠があるわけでなく、もちろん國会を束縛するものではないというのであります。第二は、地方自治法は、制定以來しばしば改正せられてきたが、あまりその改正の度数が頻繁になると、國民が適從するところを知らず、地方自治発達の上からもおもしろくないと思うがいかんとの質疑に対し、政府の答弁は、地方自治法は内容が廣汎なので、制定の際急いだためてあることと、毎度の改正は、いずれも地方自治の民主化から見て適当であると思つたためだとのことであります。
 第三は、第二條第二項の次に追加せられた例示事項中の字句の解釈に関する質疑で、ありまして、第三号中「自動車事業」とは、自動車運輸事業と解すべきもの、第七号中「風俗のじゆん化」とは、保健、衛生、文化の見地から地方團体において、ある行爲の制限をする條例をつくる場合等を指すもの、第十号中「土地」とは、その前に記した森林、牧野に該当しないもので、多くは市街地等における土地の所有を中心として行う收益事業を指すもの、第十一号の……。
    〔「明瞭に言え」と呼び、その他発言する者多し〕
#16
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#17
○坂東幸太郎君 (続) 第十一号の「その他の土地改良事業」とは、同号に例示したもののほか、たとえば用排水の土管を布設し、そだによる工事を指すもの、第十九号の「公共團体」とは、公共的活動をする團体の意味であつて、單に公法人にのみ限定せず、私経済の活動をする團体でも、その活動が公共の利益に影響のある場合には調整するという意味であるとのことであります。
 第四は、第二百十三條中「特に重要な財産常造物」と「其の他財産営造物」との関係いかんとの質疑に対し、政府の答弁は、從來條例で定める財産または営造物の取得、設置、処分は、地方公共團体の専断に任せてきたが、今回の改正により、それは地方公共團体の議会の過半数の議決を経ることを要することとした、しかして、少しく重要性をもつているものは、第二百十三條の規定により、出席議員の三分の二以上の者の同意を要することとし、さらに、特に重要なものに、同條の規定によつて、当該地方公共團体の選挙人の投票において、その過半数を得べきものとしたとのことであります。
 第五は、附則第二條において、戰争中合併した市町村の分離独立に際し、規定した投票の結果を府縣議会が拒否した場合はいかんとの質疑に対し、政府の答弁は、府縣議会は直接の当事者ではないから、冷静判断をもつて有効投票の数、賛否の数等を検討し、諸般の情勢を勘考して、一段高い所に立ち、公正に判定するものであるから、府縣議会の議決をもつて終局的のものとするとのことでありました。
 以上が、大体本案に対する質疑應答の概況であります
 かくして、六号五日質疑を終了いたし、六月十一日討論に入り、社会党門司亮費から修正案が提出いたされました。以下簡単に、修正案についてその概要を御説明申し上げたいど存じます。
 まづ第一に、地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收に関する條例は、住民の制定または改廃に関する直接請求の対象外とすることであります。そもそも憲法第十六條の規定によれば、何人も法律、命令または規則の制定、廃止または、改正等に関し、平穏に請願する権利を有しておりますが、一方また憲法第十二條の規定によれば、この憲法が國民に保障する自由及び権利は、國民がこれを濫用してはならないのでありまして、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うものであります。またさらに憲法第三十條には、國民の納税義務が明定してあるのであります。飜つてわが國の情勢を考えますと、わが國の財政はきわめて逼迫した状態におかれ、外國の援助を仰がなければやつていけないという悲しむべきものがあるのであり、國民が自分のカで起ち上つて再建へ努力をするためには、まず納税の義務を果さなければなりません。特に地方税、分担金、使用料等については、すでにせつかく與えられた請求権ではありますが、この際に、ただいま申し上げた國内情勢と、先刻揚げました憲法の諸條項とを考え合せまして、一應これを除かなければならないのであります。一方請願の権利は、憲法に嚴固として存在しておるのでありますから、この際一應これらの請求権を除外いたしたのであります。
 第二は、都道府縣公安委員を市町村公安委員と同様に取扱うものといたしたのであります。これは、從來都道府縣公安委員は、國の機関として警察法で扱つておりましたが、元來これは都道府縣という自治体の機関でもあるから、地方自治法で扱うこととし、罷免の規定を警察法から地方自治法へ移したのであります。
 第三は、地方公共團体の議会の議員と、地方心共團体の長その他の有給の職員との兼職を禁止すること、但し、現在の兼職者についてはその例外を認めるものとすることであります。これば、現在府縣会議員の半分ないし二、三十パーセントは市町村長がやつており、執行機関と議決機関とを混同しておるきらいがあるのみならず、これらの職務はいずれも多忙な劇職であるから、相兼ねることは不適当であると認めたゆえであります。
 第四は、常任委員の任期については條例で特別の定めをすることができるものとすることにいたしたのであります。これは現在、常任委員の任期は議員の任期によることになつておりますので、四年間在職し得るのであります。しかし、これは長過ぎるので、一年とか二年とかにする方が適当であります。そこで、四年より短かくしようと思えばなし得るよう、條例で特別の定めをなし得ることといたしたのであります。
 第五は、特別委員会についても閉会中活動し得る途を開くようにいたしたのであります。現在の制度によれば、特別委員会は会期中のみ活動し得るようになつており、閉会中は活動し得ないので不便が多いから、閉会中にも活動し得る途を開こうとするものであります。
 第六は、市の監査員は、これを條例をもつて四人とすることができることといたしたのであります。これは從來、市の監査員は町村と同様二人となつておりますが、かくては、五大都市のように大きな市では、事務が繁劇を加え、とうてい実情に即しないものがありますので、これを四人まで増員することを條例で定め得ることといたしたのであります。
 第七は、普通地方公共團体の長の職務を行う者がないときは臨時代理者を選任することができることといたしたのであります。これは、将來地方、共團体の長やその直近の補佐者等が連袂して総辞職を行うことが考えられるのに、これに対処する規定がないため、この規定を設けたものであります。第八は、普通地方公共團体は、全國的公益法人に委託することにより、他の普通地方公共團体と共同して、火災その他の災害による助産または営造物の損害に対して相互救済事業を行うことができるものといたしたのであります。全國町村会の姉妹團体たる全國自治協会は、財團法人で町村の火災相互扶助の仕事をやつている。これは民主的で、地方自治の上から適当の仕事であるから、これを法律に明文化したのであります。
 以上が修正案の概要でありますが、続いて討論が行われ、千賀康治君より本委員会にて論議せられた法律用語、自治体の経営する事業の範囲その他につき、政府においては十分注意を加え、その趣旨に副うようせられたしという意味の熱烈なる希望意見の開陳があつて、賛成の意を表しましたので、委員長は、本法律案は修正議決に異議なきやと諮りたるに、満場異議なく修正議決いたしたのであります。詳細は委員会議録にごらん願います。
 右、御報告申し上げます。
#18
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
#19
○林百郎君 簡単に反対の趣旨を申上げます。
 実は、地方自治法第七十四條の改正の点でありますが、この点は、第九十二議会において吉田内閣の提出法案に対して各党一致で新たに設けた点を修正しようとするのであります。九十二議会で新たに設けられたものを、この國会においてまた修正するという点が國会の権威にかかわると思うものですから、一應反対の点を申し上げます。
 それは七十四條でありますが、この点は、條例の廃止ができるという第九十二議会における修正を、除外例を設けまして、地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收及び地方公共の秩序の維持、住民及び滞在者の安全、締康及び福祉の保持に関するものは除くという除外例を設けたのであります。ところが、その後また訂正がありまして、地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收という点だけで、それ以外のものは除かないということになつたのであります。しかし、この地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收についても、これは地方自治法の中で最も進歩的であるという條例の廃止の直接請求権は、当然認めるべきではないかという反対意見であります。これは幾たびか申しますように、九十二議会でせつかく各派共同で設けられたものを、わずか一年も経たなくて、実際一度も運用されたこともなく、また地方民が一度も行使したこともないものを廃止するということが、かえつて民主主議に逆行するものではないかという意見であります。こういう意味で反対いたします。簡単に反対の意見を申し述べます。
#20
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案の委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#21
○(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
#22
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、麻藥取締法案、日程第三、大麻取締法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。
    〔山崎岩男君登壇〕
#23
○山崎岩男君 ただいま議題となりました麻藥取締法案及び大麻取締法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 まず麻藥取締法案について申上げます。
 阿片、モルヒネ、コカイン等のいわゆる麻藥は、医療上欠くことのできない藥品でありますが、他面、これらの濫用による害毒は、過去の歴史が示している通り、民族の興亡にも影響いたすものであります。從つて、麻藥の害毒を排除しつつ、一方医療上、学術上必要なものを確保し、もつて國民医療の完璧を期するためには、國内的にも國際的にも、適切かつ強力な施策の必要があるのであります。政府におきましては、戦後國内の麻藥の取締を一層強化するため、各般の施策を講じてまいつたのでありますが、その後情勢の変化に伴い法規の改廃を要する点もあり、また一方には、日本國憲法実施に伴い、その精神に則つて新しく法律を制定し、もつて取締りの万全を期するとともに國際的協力の完璧をはかるため、本法案を制定することになつた次第であります。なお、從來の阿片法及び勅令第五百四十二号に基く麻藥取締規則等四つの厚生省令は、これを廃止して、今後麻藥の取締に関しては、本法により一元的に処理せんとするものであります。
 次に、この法律案の骨子といたしますところを申上げます。まず第一に、麻藥の不正取引及び不正使用を防止するため、麻藥を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は麻藥を取扱うことを禁止いたしております。第二に、麻藥の中毒者のうち、特に公安を乱す者等については、これを取締り、これが絶滅を期するものであります。第三に、麻藥の取引の系統を一定するとともに、取引を要式行爲とし、また麻藥取扱者に記帳義務を課して、麻藥の所在及び移動の責任を明確ならしめんとするものであります。第四に、行政機関が麻藥の製造、在庫、消費等につきましての適切な施策を行い得るため、麻藥取扱者に対して所定の報告を徴することといたしております。
 本法案は、去る六月七日本委員会に付託せられ、同十日政府より提案理由を説明の後、ただちに審議にはいつたのでありますが、政府に対する質疑は少く、麻藥中毒患者の收容施設等に関して政府との間に二、三簡單なる質疑應答があつて、十六日審査を終り、十七日の本委員会において、討論を省略して採決いたしましたところ、全員一致をもつて本案は原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 次に、大麻取締法案について申し上げます。
 大麻草に含まれている樹脂等は、麻藥と同様な害毒をもつているので、從來は麻藥として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培しでいる者は、大体が農業に從事してるのでありまして、先ほどの麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等とは職業の分野がはなはだしく異なつています関係上、別個な法律を制定いだしまして、これが取締りの完璧を期せんとする所存であり、これが政府の本法案提出の理由であります。
 次に、この法案の骨子といたしまするところを申し上げますれば、まず大麻の不正取引及び不正使用を防ぐため、大麻を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は大麻を取扱うことを禁止しようとするものであります。次に、大麻の取引を要式行爲とし、また大麻取扱者に記帳義務及び報告義務を課じて、大麻の移動の責任を明らかにしようとするものであります。
 本法案は、六月十日本委員会に付託せられ、十二日政府の提案理由の説明があり、十六日審議にはいりましたが、大麻草の栽培面積の決定と食糧増産との調整に関して、政府との間に簡單な質疑應答があつて、同日審議を終り、十七日の本委員会において、討論を省略して採決いたしましたところ、全員一致をもつて決した次第であります。
 以上、簡單ながら御報告申し上げます。
#24
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#26
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、輸出入植物檢疫法案、日程第五、農業災害補償法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長井上良次君。
    〔井上良次君登壇〕
#27
○井上良次君 ただいま議題となりました、内閣提出、農林委員会付託にかかりまする輸出入植物檢疫法案並びに農業災害補償法の一部を改正する法律案に関し、審議の経過並びに結果を簡單に御報告いたします。
 まず輸出入植物檢疫法案でございますが、本法案の要旨といたしますところは、日本に輸入し、また日本より輸出されまする植物の検査は、大正三年以來輸出入植物取締宏によりまして、海運局の管掌するところでございましたが、昨年農林省に移管となりましたのを機会に、貿易の再開に備え、檢疫を徹底化しまして、病菌または害虫の傳播を防ぎ、よつてもつて國内生産の安全を確保し、あるいは輸出振興に寄與しようというのが、この案の趣旨でございます。内容の詳細にわたりましては法案を御参照願うことといたし、ここでは省略したいと存じます。
 本法律案につきましては、去る十七日政府に対しまして質疑を行いましたが、この際、その内容の一端を御紹介いたしておきます。近時関西各地には、松食虫の被害が年々拡大いたしておる、その原因は、造船所に輸入された松材によつて傳播しだというが、政府はいかなる対策をもつてこれが絶滅をはからんとするかというのであります。これに対しまして政府は、決定的な対案のないのは遺憾であつて、今のところ、被害のある松を焼却する程度に止まつておるが、今後にこれが対策を研究し、実行したいというのであります。
 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案について、引続いて御報告申し上げます。
 御承知のごとく農業災害補償法は、第一回國会において満場一致可決せられ、旧臘來施行されてきたのでございまして、早くも昨年の関東・東北の大水害に遡及適用ぜられ、また過般の関東、東北、中部地帶の雹害あるいは病害に対しまして、相当の効果を発揮することになつたのであります。しかしながら、本法中にはなお幾多欠陥がございまして、第一回國会の農林委員会は一々これを指摘し、附帯決議をもつて速やかなる機会に是正するよう要望しておいたのであります。今回政府は、衆議院のかかる要請にこたえ、また別に若干の補正を加えまして、本改正法律案を上程し來つたわけでございます。
 そこで、その改正点を見ますと、まず第一点は、蚕繭共済につきまして、共済掛金の消費者負担の規定を設けたことでありまして、すなわち掛金の一部を一旦製糸業者あるいは蚕種製造業者に負担させ、さらにこれを消費者に轉嫁しようというのであります。次に共済事故を拡張いたしまして、地震“噴火による桑の葉の減收を共済することとし、また農作物の雪による損害を規定中にはつきり現わすことにいたしておるのであります。この改正によりまして、火山近傍の桑園は噴火による損害を補償され、また積雪地盤の農民り要望が満たざれることになつたわけであります。なお若干の改正点については説明を省略いたします。
 農林委員会は、本改正法律案に関しまして、六月十七日、十八日と二日間にわたり審議を行い、各委員と政府側との間に熱心な質疑應答が交わされたのであります。その概略を御報告いたしますと、二、三の委員より、掛金が農民経済の現状より見て高すぎるきらいがある、そこで、この際農民負担をやめ、國庫と消費者とが分担するように改正すべきであると主張されたのであります。これに対しまする政府の答弁は、農民負担を全廃することは保険の趣旨に反するし、また現下の國家財政より見て不可能である、但し、事務費の全額國庫負担については実現に努力したいというのでございました。次に、陸稻が共済の対象となつていないことほ第一回國会でも問題となつたのであるが、今後いかなる処置をするかという質問がございました。この点につきましては、政令をもつて共済目的に加えることとしたかち、さよう御承知を願いたいという答弁が行われました。次に、第八十四條第一項第二号の規定によると、蚕繭のみを共済するように受取れるが、桑の被害はどうするのかという質疑に対しましては、從來桑葉保険のみであつたのを蚕繭に拡大したのであつて、むろん両者とも共済されるのであるという答弁がありました。
 本法律案は、さきに説明いたしました輸出入植物檢疫法案と一括して審議を行つた次第でありますが、六月十八日質疑が終了いたしましたので、社会党の永井委員より、討論を省略して速やかに採決に入られたい旨の動議が提出せられ、委員長はこれか諮つて全員の賛成を得、ただちに表決に移りましたところ“起立多数、よつて両法律案は政府原案の通りこれを可決すべきものと議決するに至つた次第でございます。
 以上をもつて報告を終ります。(拍手)
#28
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。的場金右衞門君。
    〔的場金右衞門君登壇〕
#29
○的場金右衞門君 私は、ただいま委員長より報告のありました農業災害補償法の一部を改正する法律案に対し、農林常任委員会に委員を送つております各党各派を代表いたしまして意見を申し述べたいと思います。(「各党の代表者は委員長じやないか」「黙つて聴け」と呼び、その他発言する者あり)意見を申し述べて、政府の適切なる処置を要望するものであります。
    〔「交渉会の話は違うぞ」「約束済みじやないかと呼び、その他発言する者多し〕
#30
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#31
○的場金右衞門君(続) 農業関係の法律案は、その多くが生産者を犠牲にし、圧迫することによつて生産を増強し、供出を強要するごときものであります。すなわち、農業者に対して好意的なものは、きわめて少いのでありますが、災害補償法だけは、再び起つ能わざるごとき災害を受けた農業者たちが、これによつて救われるむのとして、私どもは大いに期待していたものであります。しかるに、前國会において本法制定の審議をなすにあたりまして、農家負担となる掛金の額は、從來の約倍額となつたのであります。國会は、生産者の負担する掛金料率を引下げ、全農民が加入できるようにせねばならぬというので“料率引下げを附帶條件としてこれを承認し、政府もまたこれを了承したのでありますけれども、ただいま上程の法案には何らの考慮がなされていないのは、まことに遺憾であります。
 本法律の目的とするところは、災害に遭いましたために、再起困難なる、資力の乏しい生産者たちが、これによつて再び起ち上り、次の生産に力強く発足し得るところにあると思います。しかるに、掛金があまりに高率にして多額であるがゆえに、加入したくも資力乏しきがゆえに、加入不可能な者が多数あります。町村によりましては、全然本法の恩恵に浴し得ざる町村さえあるのであります。これは、資力の乏しき農業者たちこそ本法によつて救わねばならぬ階層の人たちであります。掛金高率のために、救わねばならぬ多数の者が取残されることとなりますゆえに、政府は本法の効率を高めるために、また一面國会の意思を尊重する誠意をむつて、掛金の率を、全農業者が加入し、本法の恩恵に浴し得る程度に引下げる処置を講ぜられんことを要求するものであります。さらに本法の施行にあたり、その取扱いを適切にしへ誤りなきを期し、指導を十分にして、本法が惰農奨励の結果にならぬよろ、災害防止に努力した農民に対しては、これが奨励施策を議すべきであると考えます。
 以上簡単でありますが、私どもは昨年の國会において附帯決議を付した建前もありまして、政府に以上の点を要求いたしまして、本法に賛成するものであります。(拍手)
#32
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#34
○山花秀雄君 日程第六は延期されんことを望みます。
#35
○議長(松岡駒吉君) 山花君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第六は延期するに決しました。
     ――――◇―――――
 第七 郵便爲替法案(内閣提出、参議院送付)
 第八 郵便振替貯金法案(内閣提出、参議院送付)
#37
○議長(松岡駒吉君) 日程第七、郵便爲替法案、日程第八、郵便振替貯金法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題にいたします。委員長の報告を求めます。通信委員長土井直作君。
    〔土井直作君登壇〕
#38
○土井直作君 ただいま議題となりました郵便爲替法案並びに郵便振替貯金法案に関し、委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。
 まず郵便爲替法案についてご説明いたします。現行の郵便爲替法案は、明治三十三年に制定されて以來、約五十年にわたり、きわめて一部分の改正を除いては、ほとんど球体のまま今日に及んでいるのでありまして、新憲法が実施されている現情勢のもとにおきましては、これに根本的改正を加えて、一面國民の権利の尊重と官業の民主化をはかるとともに、他面新憲法に基く新たなる法律体系のもとに法律たらしむるの必要がありますので、政府は現行郵便爲替法を廃止して、あらためて時代の要求に合致した郵便爲替事業の基礎法を制定しようとして、本法案を提出するに至つたのであります。
 本法案の体裁は、只今申上げました趣旨に基きまして、さきに第一回國会を通つて公布施行せられている郵便法、郵便貯金法と同じく、冒頭に法律の目的、事業運営の方針及び事業管理者たる通信大臣の職員に関する規定を置き、かの全般にわたつて用語の平易明確化をはかつておりまするほか、その内容においても、從來命令に委ねられていた郵便爲替の種類別の内容、利用者の各種請求権及び料金等事業の実体に関する事項は、すべてこれをこの法律に規定いたしております。しかしながら、郵便爲替の取扱制度そのものは、料金の小部分の改正を除くほか、おおむね現行のものをそのまま踏襲いたしておるのであります。なお本法律案の施行期日は、公布の日から起算して二十日を経過した日といたす旨附則で規定しております。
 次に、郵便振替貯金法案について御説明申し上げます。郵便振替貯金制度は、現在、現行郵便貯金法の前身たる明治三十八年法律第二十三号郵便貯金法中に法律の根拠を存するのみで、他はことごとく命令の規定に委ねられている状態でありまするので、これまた郵便爲替法案について申述べましたと同様の理由により、新たに郵便振替貯金事業の基礎法規を制定する目的をもつて、本法律案が提出せられたのであります。
 法律案の体裁、内容につきましては、すべて郵便爲替法案につき御説明いたしたところと同一でございます。取扱制度につきましては、從來の局待拂の制度に改正を加えまして、新たに小切手拂の制度を設けたことと、料金の一部につき改正を加えましたほかは、大体において現行のものをそのままこの法律に取入れておるのであります。本法律案の施行期日は、公布の日から起算して二十日を経過した日でありますが、小切手拂に関する規定に限り、昭和二十三年十月一日と相なつております。
 以上、両法案の概要について御報告申し上げたのでありますが、両法案は、去る一月二十四日予備審査のため委員会に付託され、内閣の更迭に伴いまして、三月三十日芦田内閣総理大臣より審議継続の申入れがあり、さらに六月十四日に至り本付託となつたのであります。その間委員会は、政府の提案理由並びに内容の説明を聴取し、愼重審議を継続いたしたのでありますが、特に御報告申し上げるほどの質疑もございませんので、詳細は会議録によつて御了承を願いたいと存ずる次第であります。
 かくて委員会は、本月十八日質疑を打切り、だだちに討論に入りましたが、その際、日本共産党を代表して林百郎君より、両法案に対し、両事業の公共性から言つて料金の一部を改正することに反対である旨意見を述べられたのであります。次いで採決を行いました結果、両法案とも大多数をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#39
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#40
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#41
○議長(松岡駒吉君) 日程第九、電波物理研究所を電気試験所に統合する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。
    〔松原一彦君登壇〕
#42
○松原一彦君 この注律案の決算委員会における審議の経過と結果を御報告申します。
 現在、電波物理研究所は文部省の所管となつておるのでありますが、これを逓信省所管の電氣試験所に統合せんとするものであります。その理由の第一は、無電の國際的協力のために、第二は通信障害予防のために、第三は國内における超短波使用研究等のために必要であつて、日本科学技術の最高権威者をもつて組織しておりまする日本学術研究会議において特に愼重なる討論を遂げた結果、この措置をもつて最も適当であるとの見解に達したものであります。
 本委員会は、以上政府当局の説明を聴取し、その趣旨を了承して、質疑・討論を省略し、全員一致をもつて昨十八日原案の通り可決いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#43
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 これにて議事日程は議了いたしました。次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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