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1947/06/24 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第69号
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1947/06/24 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第69号

#1
第002回国会 本会議 第69号
昭和二十三年六月二十四日(木曜日)
    午後六時二十一分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第六十五号
  昭和二十三年六月二十四日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 内閣法の一部改正する法律案、物価院法案及び総理府設置法案撤回の件
 第ニ 行政事件訴訟特例法案(内閣提出、参議院回付)
 第三 消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 第四 國家行政組織法案(内閣提出)
 第五 国会法の一部改正する法律案(衆議院運営委員長提出)
 第六 製造たばこの定価の決定又は改訂に関する法律案(内閣提出)
 第七 獣医師会及び装蹄医師会の解散に関する法律案(内閣提出)
 第八 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第九 民生委員法案(内閣提出)
 第十 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十一 藥事法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) この際、中野四郎君提出、國務大臣西尾末廣君に対する不信任決議案を、委員会の審査を省略して議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 右決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。中野四郎君。
 [中野四郎君登壇]
#5
○中野四郎君 提案者として趣旨弁明をいたします。実をいえば、私は西尾君が、この決議案を本会議に上程する以前に自発的に引責辞職してくれることを、衷心から希望しておつたのであります。(拍手)しかるに西尾君が、あくまで強情に芦田内閣の副総理という涜職を固持せられるため、とうとうこのいやな問題を掲げて、本案提出の趣旨弁明をしなければならなくなつたのであります。このような事態の起つたことは、単に私にとつて不幸あるばかりでなく、わが国の民主政治の最初のページを汚す、最大の不幸であると思います。(拍手)
 まず私は決議案の全文を朗読いたします。
 国務大臣西尾末廣君に対する不信任決議
 国務大臣西尾末廣君は政令第三百二十八号違反の嫌疑によつて既に検察庁は起訴の意志を決して、これに対する稟請手続中である。
 右のような事実は國務大臣としての国民の信頼を既に失墜しているので、その職に恋々としているようなことは断じて許されるものではない。
 よつて本院は國務大臣西尾末廣君を信任せず。
 右決議する。
    〔拍手〕
 私は、今この瞬間においても、西尾君が日本の社会主義政党を育成するために盡された多年の苦心に対して敬意を払い、かつ同行の先輩として、この非凡な政治力の所有者が、この議場からやがて影をひそめて行くであろうことに対して、私情としては一種の深い愛惜の情さえ抱いておるのであります。しかしながら、敗戦日本再建の至上命令であるポツダム宣言を忠実に履践しなければならぬ今日、いやしくもこの宣言受諾に伴う政令に違反するものがあれば、一切の私情をなげうつて、その違反者をわが国民主政治育成の敵としてあくまで追求し、指弾し、これを政府枢要の地位から追放することが、国民の信託を受けて、この議席についておるわれわれの、公人としての神聖な義務であると私は固く信じておるのであります。(拍手)私情においては私以上に西尾君を親愛し、畏敬し、擁護せんとせられる社会党員でありながら、この捨てがたき私情を拾てて、あえて敢然として西尾君の政治的賛任を究明せんと奮い起たれた、いわゆる粛党派の人々の、公私を混淆しない純情と、ポツダム宣言受諾の精神に徹するために、泣いて馬謖を斬るの悲壮な決意をせられたる諸君に対して、満腔の敬意を表するものであります。(拍手)
 われわれが、現内閣の副総理をもつて自他ともに許す西尾國務大臣を信任せずという理由は、西尾君が、政府と支払関係に深い因縁のある一種の御用土建業者から代金を不当に受取り、私腹を肥やしたというがごとき、普通の法律的責任を云々するというわけではないのであります。決議案の明文に明らかなるごとく、西尾君は政令第三百二十八号違反の嫌疑により、すでに検察庁は起訴を決意して稟請の手続中である。かかる人物が國務大臣の地位にあることは断じて許すことはできないというのであつて、問題の焦点は、西尾君が土建業者から受けとつた五十万円の献金を、党の資金として、政令第三百二十八号の規定に基き届出をしなかづたという一点にあるのであります。
 しかもこの点に関し、西尾君が不当財産取引調査特別委員会においてなされた弁明は、あの金は社会党書記長たる西尾個人に與えられたる寄付金で、党への献金ではないから、政令違反ではないと、こう言うておるのであります。しかしながら、こんな詭弁が断じて許さるべきでない、世間一般の通念が許さないことは、諸君が御承知の通りであります。(拍手)
 近ごろ評判の、ラジオ放送の二十のとぴらで、この社会党書記長たる西尾個人という問題を取上げたときに、満堂の聴衆と全国の聴取者が失笑と苦笑を持つて迎えたことは、一人の賢者を欺くことができても、大衆はこれを欺き通すことはできないという生きた教訓であるのであります。(拍手)あんな弁明では、世間大衆が納得しないばかりでなく、おそらく西尾君御自身の良心も納得しないであろうと私は思うのであります。社会党書記長としての西尾個人などということがまつたくのナンセンスであることは、某方面でも明白に認めておるところで、検察庁の見解も同断であるのであります。従つて西尾君が…
    〔「某方面とは何だ」呼び、その他発言する者多し〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#7
○中野四郎君(続) 土建業者から受取つた…
    〔発言する者多し〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#9
○中野四郎君(続) 五十万円の党資金を届け出でなかつたことは、明らかに…
    〔発言する者多し〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#11
○中野四郎君(続) 政令違反であることは、一点の疑いを入れる余地なきところであると断言しても決して過言でないと信じます。
    〔発言する者多し〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#13
○中野四郎君(続) しかるに、一、二の西尾弁護論者の中には、たとい起訴せられても、判決が決定するまでは、西尾君を有罪者としてその責任を追究するのは早計であるという者がありますが、この論は、政治家の政治徳義上、道徳上の責任は、一般社会人の法律的責任よりもはるかに高い水準によつて、法廷の判決に先行して論議せられねばならぬという良識さえもつておらぬ俗論であるということを、はつきり申し上げられるのであります。(拍手)いやしくも自分の道義的純潔に対して高い誇りをもつておる公人なら、犯罪の嫌疑を受けた場合にとるべき態度は、起訴せられるまではとか、判決が確定するまではとかいう逃げ口上で時をかせぐ卑怯なまねはしないはずであります。
 昔、ローマのシーザーは、その妻が不義をしたといううわさを立てられたとき、ただちにこれを離別した。それを見た友人が、世間のうわさだけで、事実の有無も確かめずに離別するのは軽率ではないかと、いろいろ非難した。この非難に対してシーザーは、いやしくもシーザーの妻たる者は、その徳性に疑いをかけられただけでも、これを離別する理由は十分であると答えたそうであります。私は、社会党にこのシーザーの誇りをもつてほしかつた。社会党にもこのシーザーの誇りがあれば、今日われわれの本提案となつて国会の議場で対論せられずに、社会党の中央執行委員会もしくはその議員総会で、すでに解決済みとなつておるのであります。もしこの西尾問題が、国会の問題とならず、社会党の部内問題として解決せられていたら、国家の名誉と信用の上によりよい結果を招來したであろうと、残念に思つておるのであります。(拍手)しかるに、事実はむしろ反対で、土建業者から金をもらつたものは社会党ばかりではない、他にもつとたくさんもらうた政党があるのに、社会党だけを責めるのは当らないといような愚論をもつて、西尾君を弁護する議員さえある。嘆かわしいことだ。かくのごときは、まつたく西尾問題の本質を理解せざるのみならず、社会党の誇りをみずから傷つける自殺論といわなければならぬのであります。(拍手)
 申すまでもなく、社会党の生命はその純潔性にあるはずであります。これまでの既成政党と違つて、社会党だけは金権者流と全然悪因縁を結ばず、純粋に無産階級の支持によつて立つということが社会党の誇りであり、世間もまた、社会党のこの純潔性を高く買つていたはずであります。それは選挙が示しております。他の既成政党なら、あたりまえのこととして許されることでも、社会党の場合は許されないというところに、実は社会党の値打があるのであります。それに何ぞや、他党もやつておるのだから、わが党だけを責めるのは当らないというがごときやからは、みずから社会党の純潔性に対する誇りを放棄して、既成のダラ幹政党の列に伍することを承認するものであります。(拍手)しかしながら、社会党の中には、さすがになお「一片依然たり男子の腸」を堅持する、清純硬骨の分子あることは、ほむべきであります。これら正義の士が決然起つて、金権者流の糟粕をなめずという社会党伝統の誇りを守らんとして、同志西尾君の責任を追求することすこぶる急なるものがあることは、まことにたのもしい次第であります。
 西尾君は、今や多年の同志からさえ引責の刃を突きつけられているのであります。事ここに及んでは、もうこれ以上悪あがきをせず、刺客の中に同志ブルータスのいるのを見て、「ブルータス、お前もか」と叫んで、静かに観念の目を閉じたシーザーの態度を学ぶこととが、せめても西尾君の引きぎわを美しくするゆえんであると私は思います。
 繰返して言うが、本決議案の趣旨は、決して西尾君が土建業者から金をもらつたそのことを責めるものではないのであります。ましていわんや、社会党そのものを非難する気は毛頭ないのです。問題は明らかに、政党の政治資金として提供せられた土建業者の献金を、西尾君がこれを公表しては社会党の信用を傷つけると思つたか、またはその他どう感違いせられたか知らぬけれどもこの金を秘密に選挙運動、党の活動その他に使つたことが政令違反であるということを責めるのであります。(拍手)
 申すまでもなく、ポツダム宣言の精神を忠実に履行することは、日本再建の至上命題であります。でありますから、この宣言の精神に基いて制定せられた政令違反に対しては、普通刑法の犯罪、たとえば詐欺、横領、どろぼうの犯罪よりも一層重大な意義があるのであります。(拍手)もしこの決議案が、本議場において不幸にも否決せられるような結果になつたならば、日本の政府と国会はポツダム宣言の履行に不忠実という印象を占領諸国の輿論に與えて、(「ノーノー」拍手)日本の真の独立の日がいくばくか延びるのではなかろうかと私は心配しておるのであります。(「全然仮定じやないか」と呼ぶ者あり)少くとも、日本の政治を名実ともに日本人の手でやらせようという占領軍当局の好意と苦心を無にするような結果になるおそれは十分にあると思われるのであります。
 御承知の通り、今や西尾問題の帰結いかんは列国環視の的となつております。この問題の扱い方いかんによつて、世界の輿論は、日本国民に真の民主主義政治を行う能力ありや否やを判定するでありましよう。果然西尾問題は、区々たる私情や党派感情をさしはさんで論議すべき問題ではないのであります。ポツダム宣言受諾の精神に徹して、占領諸国への影響を考慮し、國家の名誉と信用にかけて公明正大に解決せねばならぬ問題であります。(拍手)われわれ議会政治家に課せられた大試練であると私らは思つておるのであります。(拍手)
 私は、憂国の情熱を傾けて、特に與党の諸君の良識に訴えたいと思うのであります。重ねて私は申し上げたい。自分の真心をこめて與党の同僚諸君に訴えてみたいと思う。党派を超越して聴いていただきたいと思います。今ここで決定すべく論議せられておる問題は、政党の党議によつて決定すべき政策の問題ではないのであります。これを内にしては、国民道義の基本となるべき政治家の政治道徳心の有無強弱を秤量するところの厳粛な問題であらねばならぬのであります。これを外にしては、日本の政府と代議士に、占領国の示唆と勧奨なしに、名実ともに独立独歩して真の民主政治を運営する能力ありや否やの判断の資料を與える絶好の機会であるのであります。あなた方が多年の習慣から脱却して、真に超党派的表決を行うことは、はなはだ困難なことであります。
    〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#15
○中野四郎君(続) 事は國家の名誉と信用にかかわる未曽有の問題であることを認識せられ、この決議案の賛否に際しては、ぜひとも超党派的精神を発揮せられたいと私は念願するものであります。
 未熱な私がこう申し上げることは、はなはだ僭越であるということは、よく知つております。もし米国や英国の議会にかかる議案が提起せられたと想定したなればもちろん、米英の政界にかかる問題が起れば議会で弾劾される前に当の政治家が引賛辞職するでありましようから、議会の問題にはならぬと思いますが、かりに問題となつたとしたら、列席の議員諸君は、おのおのその正義感に基いて、必ずや正々堂々その所信に邁信して、圧倒的多数をもつて不信任案を可決せられるであろうと私は思うのであります。(拍手)
 過去におきましても、これに類した事例はあえて少しとはしません。もし万々が一この決議案が否決せられても、それは決して西尾君の潔白の証明とはなりません。かえつて厳粛な政治道徳問題を党派根性でゆがめたという印象を與える。(拍手)いよいよますます議会政治の不信を高めます。遂には多数決政治頼むに足らずという風潮を馴致して、知らず知らずのうちに、国民をして共産主義政治の形態に魅力を感ぜしめるような結果になります。そのことはあけて諸君の罪であることを考えなければならぬのであります。私は…
  [発言する者多し]
#16
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#17
○中野四郎君(続) 重ねて私は申し上げます。あなた方が、今現状で見るような党派根性をもつて、この国会の運営に当れば、それこそ知らず知らずのうちに共産主義の政治形態に魅力をもつようになるというのだ。厳に戒めよと私は言うておるのであります。
 私は、この際特に申し上げたい。次の総選挙に際して、この問題に対する各議員の表決が是であつたか、非であつたか、だれが賛成し、だれが反対したかを明白にして、全国有権者に批判の資料を提供するために、本議案の表決はぜひとも記名投票をもつて行うよう強く要求して、私の趣旨弁明を終りたいと思うのであります。(拍手)
#18
○議長(松岡駒吉君) これより討論に入ります。矢部喜三郎君。
    〔矢部喜三郎君登壇〕
#19
○矢部喜三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されましたる決議案に対して反対の意を表するものであります。(拍手)
 私が反対の意を表する第一点は、ただいま滔々と述べられましたる決議案そのものの目標がいずれにあるかということを疑わざるを得ないのであります。(拍手)なぜかと申しまするならば、日本の政界は、西尾國務相を不信任することによつて清くされるものでは断じてない。また、今述べられましたるところのこの決議案の内容に至りますと、どこをつかんでいいか、つかみどころがないではないか。(拍手)いわゆる土建業者から五十万円の金を受け取つたということが日本の政界を汚毒したのか。また、この五十万円を同志の陣中見舞としてまいたことが悪かつたのか。もしこの両者をのけるならば、ただ残るものは政令違反のいかんにかかつておるのであります。
 今中野君が、決議案の内容において、言いたくして言い得ざることは、いわゆる今日までの日本の政界を汚毒したものは、過去におけるところの財閥、今日におけるところのいわゆる土建業者を初めとし、いわゆる新興財閥と手を握つて政治資金を得たことが、…
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#21
○矢部喜三郎君(続) 今日の日本の政界を汚毒したものであると私たちは考えておるのである。そういう建前に立つならば、土建業者から金をもらつたことは云々するものではない、こう言つておるけれども、云々することができないのであろう。いわゆる新興財閥と手を握つたやつは、できないであろう。私たちは、こういう意味において財閥から金をもらい、そうしてかつての選挙をやつた、諸君たちに対して、日本政界の廓清のために、はなはだ残念に思うのであります。
 また次に、西尾國務相がこの五十万円の金を同志の陣中見舞に配付したということが悪いのならば、かつての総選挙において、君たちの総選挙費用はどこから出たのであるか。君たちの選挙費用は清い選挙費用であつたと断言し得る者が幾人あるかを私は疑わざるを得ないのであります。私は、かく考えて来ましたときにおいて、ここに残されたものは、西尾国務相が五十万円を受け取つた金が、個人で受け取つたか、党費として受け取つたかにかかつておると思うのであります。私たちは、こういう建前においてこれを考えていきますならば、すなわち西尾國務大臣が受け取つた金がもし党費でありますといたしましても、それがまだ今起訴にもなつておらない、不起訴にもなつておらない、何ら今日の法律の上に乗せられておらないところの、いわゆる未定のものではないか。私たちは、こういう未定のものをもつて…
    〔発言する君多し〕
#22
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#23
○矢部喜三郎君(続) いやしくも国会において不信任案を上程するがごときことは、日本の国会を汚毒し、日本の政界を汚毒するものであると私たちは考えざるを得ないのであります。(拍手) 次に私は、西尾國務相が五十万円の献金を受けたということに対して、皆さん方は静かに考えてみなければならないと思うのであります。それは、西尾氏が五十万円を受け取つたの…
    〔発言する君多し〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#25
○矢部喜三郎君(続) 西尾國務大臣が大臣の地位におつたときではない。また役人の地位に就いておつたのでも断じてない。少くとも西尾氏は、一政党の、社会党の一幹部として金を受け取つたにすぎないのであります。私たちは、この一党の幹部として行つたところの行為に対して、その結果いかんを見ずして、政令違反であるかどうかということも見極めずして、それを俎上に上げて不信任案を議するがごときことは、その当を得ないものであることを断言してはばからないのであります。(拍手)
 私たちは、かくのごときことを考えますならば、少くともかつての総選挙のときにおいて、現職の大臣が献金を受けなかつたか、子分に選挙費用をまかなかつたか、私たちは日本政界を廓清し、日本の人心を安定せしめるならば、ささいなる西尾問題を取り上げるまでもなく、みずから振り返つて、やましいところがないか、みずから振り返つて、日本の政界を汚涜せなかつたかということを反省することこそは、日本の政界を廓清せしめるものであるということを断言してはばからぬのであります。
    〔発言する者多し〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#27
○矢部喜三郎君(続) 最後に皆さんに言う。今日提案されたる不信任決議案は、政界の廓清であるとか、何とかかんとか、美しい、あたかもりつばな理屈は並べているけれども、その目標は、今日の時代において、正攻法によつて日本の政権を獲得するところの手段を知らざる、いわゆる右は保守反動から、左共産党に至る、一連の政権亡者が考えたことと申して…(発言する者多し)しかして政権を掌握せんがために…(発言する者多く、聴取不能)私は断言して、反対の意を表明するものであります。(拍手)
#28
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。辻寛一君。
    〔辻寛一君登壇〕
#29
○辻寛一君 私は、民主自由党を代表いたしまして、ただいま上程されております西尾國務大臣不信任に関する決議案に全幅の賛意を表せんとするものであります。(拍手)
 およそ公人たろ政治家として最も心すべきは、絶えず公私の別を明らかにすることでなければならぬ。(拍手)その身は芦田内閣の副総理として、内閣の大黒柱と自他ともに許す慨ある西尾國務大臣が、公私を混淆して財布の締りがつかないとあつては、すでにして、公人として、政治家として、第一の欠格條項を暴露せるもので、世論の物議翕然としてこの一点に集中するは、けだし当然といわなければならぬ。
 くどくは申しませんが、一体党にあらず、さりとて純然たる個人でもない。党書記長個人というがごときあいまい模糊なる、不可解きわまる第三人格が、一体どこにありましようか。すなわち党書記長なるものは、社会党の党則を引合いに出すまでもなく、各党を代表する中枢機関であることは自明の理である。かくて、党書記長は公である。個人はもとより私である。公と私が抱き合つてでき上つた変態的人格の横行闊歩するところ、政界を不明朗ならしめ、政界を腐敗せしめる因をなすことは、およそ問わずして明らかであります。
 そもそも、政令第三百二十八号は何のために設けられたものであるか。当時片山内閣の官房長官として、その責に当つた西尾君こそ、この政令の精神を最もよく理解せる第一人者でなければならぬはずである。(拍手)政党献金の公明なる届出をななさしめ、とかく金で暗いうわさの出がちの政界の明朗化を期するにあること、あらためて言うまでもあるまい。しかも、政党援助を発起したる土建業者の代表者たちもこれを実行した代表者も、その証言は符節を合わすがごとく、政党の健全なる発達のために寄與せんとして三大政党に寄附したるものであつて、社会党に対しても、党書記長たる西尾氏に渡したものであることは、他の二大政党の幹事長に対すると同様であると述べておる。
 論より証拠である。検察当局におきましては、この間の事情明白となりまするや、いち早く西尾君を政令違反として起訴することに一決した。ただ國務大臣たるのゆえをもつて、手続上鈴木法務総裁に起訴の稟請をいたしたのである。しかるに、何のゆえをもつてか、再調査の要ありとして、足踏みをせることすでに二週間に余る。しかし、もはや時の問題たることを法務総裁みずから語らざるを得ぬ窮地に来ているのである。
 一方、不当財産取引調査特別委員会におきましても、去る二十二日、遂に断を下したのであります。すなわち西尾君の主観がどうあろうとも、土建業者から受取つた金を正式に届け出でないで、政界の一部にばらまいたことは、政界を腐敗せしむる原因をなすものであると結論したことは、御承知の通りであります。(拍手)しかも、社会党の一部におきましては、この西尾事件をきつかけとして生れた粛党派なるものの同志諸君によつて、辞任をしきりに勧告されつつあるのである。いわば身内から九寸五分を突きつけられたのである。
 かくのごとく無残なる四面楚歌の声に囲まれながら、なおかつ傲然として、責任をとる必要を認めない、たとい起訴されても、あくまで辞める意思はないと言うておるそうであるが、その頑強無比なる態度、とうてい人間業とは思われぬ。正気のさたとは受け取れないのであります。かつて本土決戦を豪語したる軍部の態度はこれであつた。さすがに昔とつた杵柄である。ヒトラーのごとく、ムソリーニのごとく、しかしてスターリンのごとく断固邁進せよとかけ声をした、往年の西尾ファッショの面魂を彷彿たらしめるものがある。百万人といえどもわれ行かんとの気慨は、正しき信念によつて立つとき、われわれはこれを仰ぎ見るものであろが、頑迷なる執念にとらわれたる姿を見るときに、われらはこれを心から軽蔑する。西尾君の場合は、まさにその後者に当るのである。
 俎上の鯉は悪びれずと言う。じたばたするのは、ふなやどじようのすることである。事ここに至つては、西尾君ほどの剛の者である、いさぎよく観念の眼を閉じ、従容としてみずから決するところあるべしと予期すること久しかつたが、自決どころか、いよいよ出でて奇怪千万なる言動、国会の権威を無視するに至りましては、寸刻の猶予なく、ここに提出されましたる不信任案に賛意を表するのやむなきに至つたのであります。国会の名誉を保持するの途これよりないことを知らねばならぬわれわれ議員は、私情を捨てて大義に則りこの不信任案に決然挙つて白票を投ぜられるであろうことを信じ、かつこれを期待して、私の賛成の演説といたす次第であります。(拍手)
#30
○議長(松岡駒吉君) 吉田安君。
    〔吉田安君登壇〕
#31
○吉田安君 私は、ただいま上程に相なりましたる西尾君に対する不信任案に対して、冷静にかつ公平なる立場から、民主党を代象して、遺憾ながらこの決議案には断然反対の意を表するものであります。(拍手)
 まず第一に私が遺憾に思いますことは、さいぜん提案理由の認明をなさつた中野君の御演説を聴いておると、かくのごときことは国会の名誉を毀損し、政界の信用を失墜するがゆえに、断然不信任案を出さねばならぬと、かような御意見であります。私は、提案理由を説明なさつた中野君に対しては、平素個人的に敬意を表しておる一人であります。しかるに、国会の信用を失墜するとか、政界の名誉を失墜するとか、それほど大きな問題であるならば、私は民自党の諸君にお尋ねをいたしたい。それほど大問題であるならば、日本農民党の中野君に提案理由を説明をさするよりも、天下の第一党をもつて任じておる民自党の諸君が、あるいは寺田総裁なり、あるいは山崎幹事長あたりが登壇されて、そうしてこの提案理由の説明をなさるならば幸であつた。私はこう思う。(拍手)それを、はなはだ失礼かもしれませんが、わずかに数名をもつておるや中野君を立てられたというに至つては、私はいかにその提案理由が浅薄であり、偏見もはなはだしいものであるかということを断じてはばからないものであります。(拍手)この問題は、御承知の通りに不当財産取引調査特別委員会によつて審議されておる。まだ本会議には、その委員長たる武藤君からの中間報告さえも受けてはおりません。それを何を苦しんで、何をうろたえて、今日緊急上程をなさつたか。私はこの点がまず疑わしいのであります。
 次に、尊敬する中野君の提案理由の骨子をなすものは、政令第三百二十八号違反であると、こう言う。違反のようには考えられます。しかし、違反であるとだれが断言ができますか。これを断言するのは、ひとり裁判所あるのみであります。(拍手)それをまたずして緊急上程をなさるということは、はたして野党の方々の目的はどこにあるかということを私は疑わざるを得ない。
 諸君、およそ事柄というものは――西尾君の気持を私は想像しますが、西尾君は、あるいは個人としてもらつたと言う。一方には政党に寄附したと言う。それがどちらか、まだ判断はついていない。そういうときにおいては、一体どうすれでよろしいか。これが窃盗であるとか、詐欺であるとか、あるいは強姦。強盗といつたものであるならば、一刻も許すことはできません。しかしながら、まだどちらも確定がつかぬものをつかまえて、不当財産特別委員会の委員長がその報告さえもしない前に、これを本会議に持出すということは、西尾君を國務大臣のいすから引落すことが目的であつて、(「ヒヤヒヤ」)ほかには何も目的はなかろうと思う。(拍手)
 諸君およそ個人でもですよ、政党でもですよ、物事は潤いというものがなくちやならない。ゆたかな気持が私は欲しい。諸君はお忘れがありますまい、あの自由党のときの原君のことです。私は原君が、逮捕状が出て院の許諾を求めるということになつた際に…(発言する者多し)――お聴きなさい。お聴きなさい。そのときに、原君がここでその弁明をなさつた。弁明をなさつて降壇されるときの姿を私はながめておつて、一掬の涙なきを得なかつたのだ。(拍手)諸君、諸君はそういうことをお忘れになつたか。まだ犯罪になるや否や判定できないものを、國務大臣のいすから落すということは、一体その真意どこにありやを私は疑わざるを得ない。
 諸君、私はさような意味において、この案に対しましては、冷静なる気持と公平なる判断のもとに、民主党を代表いたしまして、絶対に本案は否決さるべきものなりということを申し上げて、降壇するものであります。(拍手)
#32
○議長(松岡駒吉君) 成重光眞君。
    〔成重光眞君登壇〕
#33
○成重光眞君 私は、中野君の提案しております西尾國務大臣の不信任案に対して、社会革新党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。(拍手)その理由は、私はきわめて簡単に申し上げたいと思いますが、五つの点を指摘して賛成したいと思うのであります。
 その前に、矢尾君は何かこの不信任案に対しまましては含みがあり、腹があるということを申されております。(「その通り」)われわれに関する限り、断じてそういうことはありません。(拍手)ただ、西尾氏に対しまして引責辞職を私どもは念願しておつたのでありますが、今日に至つても、社会党は、片山委員長ほか幹部の斡旋努力にもかかわらず、今日の事態に立ち至りましたことは、まことに遺憾に存ずるものであります。われわれは、この議場において、お互いにどろ試合的な言辞を聴くことをまことに遺憾に思うとともに、今日国民は、いつこの予算が成立し、いつ国民生活の安定が期せられるかということに対して、待ちあぐんでおるときに、われわれがこの議場において、かくのごとき論議をしますことは、まことに国民に対しましても責任を感ずる次第であります。従いまして、先ほど吉田君の申されておりました反対理由の御意見を私どもは聴いておりましたが、御両氏のどなたの御意見の中にも、政令を蹂躪してもいいという御意見は聴いておりません。(拍手)また、今日政界を浄化しなければならないときにおいて政界を腐敗さしてもいいという御意見も承りません。この二点におきましても、反対の御理由を述べられたお二方には断じて了承のできない点があるのであります。(拍手)
 第一に私の指摘申し上げたいことは、不当財産取引調査特別委員会におきましては、すでに結論に到達しております。われわれは今日まで、国会の運営上、あるいは常任委員会、特別委員会において決せられた結論に対しては、おおむね本会議においては賛意を表しておるものであります。従つて、政令を蹂躪し、政界を腐敗させたという結論に到達しております西尾氏に対して賛成なさる点は、私どもは断じてないと考えるのであります。われわれは、この不当財産取引調査特別委員会の結論を尊重いたして進めたいと思いますので第一点は、この不当財産取引調査特別委員会の結論を尊重する意味におきまして、本決議案に賛成するものであります。(拍手)
 第二点は、今日占領下におきまして、私どもはポツダム宣言を履行しなければならぬことは、申すまでもないことであります。この宣言に沿つて発せられておりますところの政令を蹂躪いたしました点に対しては、断固として許すべからざる点があると思うのであります。従つて、占領統治下にありますわれわれ国民としては、この点からも私どもは、本決議案に対して賛成すべきものであると考えるのであります。(拍手)
 第三点は、社会党は少くとも無産大衆を代表しております国民大衆党であります。この党が――全社会党員各位は、少くとも土建業者から不純な金をもらつて、これを選挙に利用したという一点につきましても、これは私どもは不信任すべき点であると考えるのであります。全国巷間にありまするところの社会党員各位は、全員かくのごとく信じておりますが、御列席の社会党代議士諸君は盛んにかばつておりますけれども、党員各位は非常に奮起憤慨していることを御了承を願わなければならぬと思うのであります。
 第四点につきましては、あと旬日に迫りましたこの予算審議の過程において、国会にかくのごとき波紋を呼びましたところの西尾氏は、当然責任をとるべきであると私は信ずるものであります。(拍手)
 第五点は、前片山内閣のとき、すでに議場において、わずかの数の差によつて信任はされたが、前内閣のときに一回不信任案を提出され、今また再び芦田内閣のもとにおいて、國務大臣としての不信任案を出されるということは、西尾氏を好む好まぜるにかかわらず、私どもは責任上不信任すべきであると考えるのであります。
 以上五点を指摘いたしまして、私は社会革新党を代表し、本決議案に対して賛意を表するものであります。(拍手)
#34
○議長(松岡駒吉君) 松原一彦君。
    〔松原一彦君登壇〕
#35
○松原一彦君 国民協同党は、國務大臣西尾末廣君の不信任決議案に対しまして、反対の意を表するものであります。(拍手)
 わが国民協同党が、この不信任案に反対いたしますることは、必ずしも西尾氏をば信任するという意味ではございません。但し、信任か不信任かという二つの課題を課せられました時分に、以下申し述べる二つの理由をもつて、わが国民協同党は不信任案に賛成することはできないのであります。
 第一の理由は、西尾氏のいわゆる罪と称するものは、まだ決定いたしておらないのであります。いかなる強弁をもつてするも、なお決定いたしておらないものは、すなわち疑わしきは罰しない原則に従つて、今罪を断ずるのにはまだ時間が早いのであります。
 第二の理由は、今日本は、予算が成立せざることによつて、全国民が非常な苦しみを見ております。國務はここに停滞いたしております。国会は全力をあげて予算の成立に向つて努めねばならない重大な責任をもつておるときに、かような問題にかかわつて、日をむなしゆうすることに対し、われわれは同意することはできないのであります。
 この二つの理由によつて、われわれは不信任案に賛成せざることをここに申し述べると同時に、私は、かくの、ごとき政界浄化に対する問題が取上げられましたことにつきましては、満腔の賛意を表する者であります。――お聴きください。今日までは、政党が行方不明…
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#36
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#37
○松原一彦君(続) 出所不明の金を使うことが日常茶飯事となつておつたのであります。しかるに、今回初めてかようなことが爬羅剔抉せられ、議場の問題となつて、今後かくのごとき問題が根を絶つようになります機会を得ましたことを、心から喜ぶ者であります。しかしながら諸君、私は諸君にお考えを願いたい。キリストはかつてこう言うた。罪なき者よ石をなげうて。私は冷静なる諸君の御判断に訴え、党利党略によつて予算をかき乱丁ようなことには断じて反対するものであります。(拍手)
#38
○議長(松岡駒吉君) 徳田球一君。
    〔徳田球一君登壇〕
#39
○徳田球一君 共産党がこの西尾君の弾劾に対して賛成することは、ただに西尾君の今掲げられているこの不当取引の問題のみではない。彼のあらゆる生涯における、労働組合における勤労者を裏切つたこの点において、かつまた官公廳労働組合の本年初期からの大闘争における彼の独占資本を代表しての態度において、実に勤労者大衆の最もにくむ敵であることは明らかである。われわれは、常に彼をこの政界から追払うことに対しては、あちゆる方面において満腔の力を常に用意しておつたのである。今やここに事件の起るに際して、われわれは敢然として彼に対して一撃を加え、全勤労者、労働者、農民、漁民、中小商工業者全体の矜持のために、彼を政界から葬らんとするものである。(拍手)
 この弾劾案に対して反対せられる諸君の論旨は、まつたくなつてないのである。(拍手)まずこれは、いずれも三文弁護士の言うような言い方である。まだ決議が決定していないとか、判決が定まらぬとか、そんなことが政治上に何で問題になるか。裁判所がどう判決しようと、無罪であろうと、それは問題ではない。事実この事件が政界を腐敗せしめる原因であるということに対しては、不当財産取引調査特別委員会は全員一致したのである。(拍手)ただこの決議文に対して、正式の届出いかんということを書くか否かという点において、二派にわかれたのである。社会党の諸君はもちろんのこと、民主党の諸君もみんな賛成したのである。このごとく政界を腐敗せしめる重大なる原因をなしておる西尾君の行為に対して、諸君がこの弾劾に反対するとは、まつたくこれはみずからを裏切るものではないか。(拍手)諸君はこういうものに反対して、一体選挙区へ帰つて、選挙民諸君に対して、どんな面で行くつもりであるか。(拍手)殊にこの問題に対して、正式の届出がないことにまで賛成せられた方々は、社会党の七名のうち二名はわれわれに賛成したのである。(拍手)また国民協同党は、全代表二名までわれわれに賛成したのである。(拍手)にもかかわらず、今やこれに反対せんとするのは何事である。(拍手)日本自由党もまたこの問題に賛成したのである。しかるに、これに反対するとは何事である。(拍手、発言する者あり)君は、君自身がこの問題に賛成しておりながら、今やこの弾劾案に反対するとは何事である。
 ここにおいて、私は重大なる勧告文を読みたいと思うのである。この点に対して社会党の諸君に聴くことがある。社会党の諸君は、勤労大衆に根拠を置くものだという。しかるに、勤労大衆は何事をここに示しておる。ここに六月十一日、全官公庁全国代表者会議は、西尾君に対して次のごとき勧告文を発したのである。(発言する者あり)向うのやじに対しては、こちらもまたこれに対応しなければならないのである。これは自由だ。そこで勧告文を読むのである。
   勧 告 文
 貴下は労働者を基盤とする社会党の幹部でありながら、其の名誉慾に目を奪われ、金融独占資本の完全な番頭となり下り、其の「おこぼれ」を頂戴する代償として、労働組合に対する弾圧、分裂、懐柔等の反労働者的陰謀を繰返して来た。この貴下の飽くなき陰謀は如何に日本の民主戦線を混乱させ、資本攻勢の乗ずる隙を與えたかは現状が良く示している。而も貴下は、現在社会の視聴を集めて行われている不当財産取引委員会の俎上に乗せられ、其の醜状を天下にさらされているが、これは今日まで貴下がとつて来られた行状からして至極当然のことで、身から出た錆でしかないであろう。
 我々全官公庁全国代表者会議は、以上の如き見地よりして、貴下の反労働者的な独占資本の番頭的行為に、対して、衷心不満の意を表明すると共に、即日國務大臣を辞任さるべきことを勧告する。
 一九四八年六月十一日
 全官公庁全国代表者会議
 西尾國務大臣殿
 これによつて明らかなるごとく、特に社会党の諸君に申し上げるが、諸君はこぞつてこの西尾弾劾に対して一大賛成をせられることこそ諸君の誇りであることを私はここに告げたいのである。諸君が労働者、農民その他人民諸君にこたえる最も重大なる一撃は、この弾劾に対して賛成せられることであろうことを、私は諸君のために希うものである。(拍手)
#40
○議長(松岡駒吉君) 大瀧亀代司君。
    〔大瀧亀代司君登壇〕
#41
○大瀧亀代司君 私は、日本自由党を代表いたしまして、反対の意思表示をいたしたいと思うのであります。(拍手)自由党は、健全なる野党であるという建前から、おのずからその理由が異なつておるのだと思うのであります。
 第一番に、何ゆえ反対するかの理由といたしまして、本件は不当財産取引調査委員会において問題になつたのであります。それで、本件の処理は一切不当財産取引調査委員会においてこれを処理すべきものであるという理由のもとに反対いたすのであります。ために、わが党においても、その決議に対しましては本田君が賛意を表した。しかしながら、この不信任案に対する賛意を表したのではないのであります。われわれが最も人権を尊重するという意味におきまして、かかる問題を議場に提出し、ここで採決いたさぬでも、これはその所属するところの政党自身において処理すべきものであり、また処理せしむべき時間を與えることが最も妥当であると思うのであります。
 もう一つは、今日最も國家並びに国民が待望して、一日も早く何とかしていただきたいということは、この予算の通過であると私は思うのであります。(拍手)予算の通過なくして、現在國家の活動並びに一切の産業の停滞は、実に憂うるものがあるのであります。そこで、こういうような重大な時期にあたりましては、殊に政争の具に供せらるるがごとき疑いをもつものは、断じて予算の通過後においてなすべきものであると信ずるのであります。私は、こうした二つの理由において、本案に反対する者であります。(拍手)
 徳田君は、選挙区において、これに反対して、何のかんばせがあるか、こういう話があつたのでありますが、これこそかくのごとき態度こそ、選挙区に臨んで、選挙民に対して堂々と申し述べることができることと思うのであります。簡単に反対の理由を述べまして、私の反対意見を終ります。(拍手)
#42
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。中野四郎君提出、國務大臣西尾末廣君に対する不信任決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を行います。
    〔参事氏名を点呼〕
#43
○議長(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。
    投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。閉鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票の数を計算〕
#44
○議長(松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  投票総数 三百八十七
  可とするもの(白票) 百七十八
  否とするもの(青票) 二百九
    〔拍手〕
#45
○議長(松岡駒吉君) 右の結果、中野四郎君提出、國務大臣西尾末廣君に対する不信任決議案は否決されました。
  (拍手)
    ―――――――――――――
  [参照]
 中野四郎君提出國務大臣西尾末廣君に対する不信任決議案を可とする議員の氏名
   青木 孝義君  淺利 三朗君
   東  舜英君  有田 二郎君
   井上 知治君  伊藤 郷一君
   石田 博英君  石原 圓吉君
   石原 登君   泉山 三六君
   磯崎 貞序君  稻田 直道君
   今村 忠助君  岩本 信行君
   植原悦二郎君  内海 安吉君
   江崎 真澄君 小笠原八十美君
   小川原政信君  小澤佐重喜君
  小野瀬忠兵衡君  尾崎 末吉君
   生越 三郎君  大石 武一君
   大内 一郎君  大上  司君
   大澤嘉平治君  大野 伴睦君
   大村 清一君  岡井藤志郎君
  岡村利右衡門君  奥村 竹三君
   加藤隆太郎君  鍛冶 良作君
   角田 幸吉君  柏原 美則君
   上林山榮吉君  川村善八郎君
   神田  博君  木村 公平君
   菊池 義郎君  工藤 鐵男君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   小暮藤三郎君  小平 久雄君
   古雅喜太郎君  近藤 鶴代君
   佐々木秀世君  佐々木盛雄君
   佐瀕 昌三君  佐藤 通吉君
   齋藤 隆夫君  坂田 道太君
   坂本 寛君   重富  卓君
   幣原喜重郎君  澁谷雄太郎君
   島村 一郎君  庄司 一郎君
   白井 佐吉君  周東 英雄君
   鈴木里一郎君  鈴木 仙八君
   鈴木 正文君  鈴木 明良君
   關内 正一君  千賀 康治君
   田口助太郎君  田中 角榮君
   田中 萬逸君  田村 虎一君
   多田  勇君  高田 弥市君
   高橋 英吉君  竹尾  弌君
   塚田十一郎君  辻  寛一君
   綱島 正興君  圓谷 光衡君
   冨田 照君   冨永格五郎君
   苫米地英俊君  中嶋 勝一君
   中島 守利君  中野 武雄君
   中山 マサ君  中村 嘉壽君
   仲内 憲治君  長尾 達生君
   夏堀源三郎君  西村 久之君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
   花村 四郎君  林  讓治君
   原 健三郎君  原  孝吉君
   原田  憲君  樋貝 詮三君
   平井 義一君  平澤 長吉君
   平島 良一君  廣川 弘禪君
   深津玉一郎君  福永 一臣君
   淵上房太郎君  降旗 徳弥君
   古島 義英君  星島 二郎君
   本多 市郎君  本間 俊一君
   前田 郁君   前田 正男君
   益谷 秀次君  増田甲子七君
   松井 豊吉君  松浦  栄君
   松浦 東介君  松木  弘君
   松埼 朝治君  松田 正一君
   松野 頼三君  松本 一郎君
   三浦寅之介君  水田三喜男君
   水谷  昇君  宮幡  靖君
   明禮輝三郎君  村上  勇君
   村上 清治君  森 幸太郎君
   森  直次君  八木 一郎君
   梁井 淳二君 山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎  猛君  山名 義芳君
   山村新治郎君  吉田  茂君
   若松 虎雄君  渡邉 良夫君
   亘  四郎君  赤松 明勅君
   秋田 大介君  大原 博夫君
   叶   凸君  鈴木 善幸君
   田中 健吉君  高瀬  傳君
   外崎千代吉君  成重 光眞君
   早川  崇君  平工 喜市君
   蔵田  栄君  本藤 恒松君
   松澤  一君  水野 實郎君
   宮村 又八君  田中 久雄君
   只野 直三君  堀江 實藏君
   森山 武彦君  山口 武秀君
   加藤吉太夫君  河口 陽一君
   北  二郎君  高倉 定助君
   寺崎  覺君  中野 四郎君
   中村 寅太君  木村  栄君
   徳田 球一君  野坂 參三君
   林  百郎君  岡部 得三君
 否とする議員の氏名
   赤松  勇君  淺沼稻次郎君
   井伊 誠一君  井上 良次君
   井谷 正吉君  伊瀬幸太郎君
   伊藤卯四郎君  猪俣 浩三君
   池谷 信一君  石井 繁丸君
   石神 啓吾君  石川金次郎君
   稲村 順三君  今澄  勇君
   受田 新吉君  海野 三朗君
   大島 義晴君  大矢 省三君
   加藤 勘十君  加藤 シヅエ君
   加藤 靜雄君  花月 純誠君
   笠原 貞造君  片山  哲君
   勝間田清一君  金子益太郎君
   上林與市郎君  川合 彰武君
   川島 金次君  河井 榮藏君
   河合 義一君  菊川 忠雄君
   菊池 重作君  久保田鶴松君
   金野 定吉君  佐々木更三君
   佐竹 新市君  佐藤虎次郎君
   榊原 千代君  笹口  晃君
   島上善五郎君  島田 晋作君
   庄司 彦男君  鈴木茂三郎君
   鈴木 義男君  田中織之進君
   田中 松月君  田中 稔男君
   田淵 実夫君  高津 正道君
   竹内 克巳君  竹谷源太郎君
   辻井民之介君  土井 直作君
   戸叶 里子君  野老  誠君
   冨吉 榮二君  中崎  敏君
   永井勝次郎君  永江 一夫君
   成瀬喜五郎君  成田 知巳君
   西村 榮一君  野上 健二君
   野溝 勝君   馬場 秀夫君
   林  大作君  原 彪之助君
   藤田 昌子君  藤原繁太郎君
   細川 隆元君  細野三千雄君
   前田榮之助君  前田 種男君
   正木  清君  松尾 トシ君
   松澤 兼人君  松永 義雄君
   松原喜之次君  松本 七郎君
   松本 淳造君  萬田 五郎君
   溝淵松太郎君  水谷長三郎君
   守田 道輔君  森 三樹二君
   森戸 辰男君  師岡 榮一君
   門司  亮君  八百板 正君
   矢尾喜三郎君  矢後 嘉藏君
   安平 鹿一君  山口 靜江君
   山崎 道子君  山下 榮二君
   山花 秀雄君  山本 幸一君
   吉川 兼光君  米窪 滿亮君
   和田 敏明君  安東 義良君
   芦田 均君   天野  久君
   荒木萬壽夫君  井村 徳二君
   伊藤 恭一君 生悦住貞太郎君
   荊木 一久君  打出 信行君
   馬越  晃君  梅林 時雄君
   小川 半次君  小野  孝君
   岡野 繁藏君  押川 定秋君
   金光 義邦君  川崎 秀二君
   神山 榮一君 木村小左衡門君
   喜多楢治郎君  菊地  豐君
   北村徳太郎君  栗田 英男君
   小坂善太郎君  小島 徹三君
   小林 運美君  小松 勇次君
   五坪 茂雄君  後藤 悦治君
   佐伯 宗義君  坂口 主税君
   櫻内 義雄君  志賀健次郎君
   椎熊 三郎君  関根 久藏君
   園田 直君   田島 房邦君
   田中源三郎君  高橋清治郎君
   高橋 禎一君  高橋 長治君
   竹田 義一君  武田 キヨ君
   橘  直治君  圖司 安正君
   佃  良一君  坪川 信三君
   寺島隆太郎君  苫米地義三君
   中垣 國男君  中島 茂喜君
   中曽根康弘君  中村 俊夫君
   中村 又一君  長野 長廣君
  長野重右ヱ門君  並木 芳雄君
   成島 憲子君  西田 隆男君
   西山冨佐太君  橋本 金一君
   長谷川政友君  原   彪君
   坂東孝太郎君  一松 定吉君
   福田 繁芳君  細川八十八君
   堀川 恭平君  三好 竹勇君
   村潤 宣親君  最上 英子君
   矢野 政男君  安田 幹太君
   山崎 岩男君  山下 春江君
   吉田  安君  米田 吉盛君
 早稻田柳右エ門君  井出一太郎君
   石田 一松君  今井  耕君
   大島 多藏君  岡田 勢一君
  唐木田藤五郎君  川越  博君
   川野 芳滿君  木下  栄君
   吉川 久衛君  黒岩 重治君
   小枝 一雄君  河野 金昇君
   笹森 順造君  多賀 安郎君
   竹山祐太郎君  豊澤 豊雄君
   内藤 友明君  野本 品吉君
   萩原 壽雄君  平川 篤雄君
   船田 享二君  松原 一彦君
   松本 瀧藏君  谷口 武雄君
   大瀧亀代司君  川橋豊治郎君
   榊原  亨君  中野 寅吉君
   本田 英作君
    ―――――――――――――
#46
○議長(松岡駒吉君) 明二十五日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後七時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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