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2005/08/01 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 郵政民営化に関する特別委員会 第11号
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2005/08/01 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 郵政民営化に関する特別委員会 第11号

#1
第162回国会 郵政民営化に関する特別委員会 第11号
平成十七年八月一日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月二十九日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     鶴保 庸介君
     椎名 一保君     松村 龍二君
     内藤 正光君     櫻井  充君
     水岡 俊一君     齋藤  勁君
     吉川 春子君     大門実紀史君
 八月一日
    辞任         補欠選任
     齋藤  勁君     藤末 健三君
     富岡由紀夫君     峰崎 直樹君
     大田 昌秀君     又市 征治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         陣内 孝雄君
    理 事
                市川 一朗君
                世耕 弘成君
                山崎  力君
                伊藤 基隆君
                平野 達男君
                山下八洲夫君
                弘友 和夫君
    委 員
                有村 治子君
                岩城 光英君
                小野 清子君
                小池 正勝君
                小泉 昭男君
                関口 昌一君
                鶴保 庸介君
                野上浩太郎君
                長谷川憲正君
                藤野 公孝君
                松村 龍二君
                山下 英利君
                山本 順三君
                大塚 耕平君
                岡崎トミ子君
                齋藤  勁君
                櫻井  充君
                藤末 健三君
                藤本 祐司君
                峰崎 直樹君
                山根 隆治君
                若林 秀樹君
                渡辺 秀央君
                西田 実仁君
                山口那津男君
                山本 香苗君
                大門実紀史君
                又市 征治君
   衆議院議員
       修正案提出者   桝屋 敬悟君
   国務大臣
       総務大臣     麻生 太郎君
       外務大臣     町村 信孝君
       財務大臣     谷垣 禎一君
       厚生労働大臣   尾辻 秀久君
       国土交通大臣   北側 一雄君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 細田 博之君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        伊藤 達也君
       国務大臣     竹中 平蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
       常任委員会専門
       員        高山 達郎君
   政府参考人
       内閣官房郵政民
       営化準備室長   渡辺 好明君
       内閣官房内閣審
       議官       中城 吉郎君
       内閣官房内閣審
       議官       竹内  洋君
       内閣官房内閣審
       議官       伊東 敏朗君
       内閣官房内閣審
       議官       篠田 政利君
       総務省郵政行政
       局長       鈴木 康雄君
       外務省経済局長  石川  薫君
   参考人
       日本郵政公社総
       裁        生田 正治君
       日本郵政公社理
       事        広瀬俊一郎君
       日本郵政公社理
       事        斎尾 親徳君
       日本郵政公社金
       融総本部簡易保
       険事業本部長   元女 久光君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○郵政民営化法案(内閣提出、衆議院送付)
○日本郵政株式会社法案(内閣提出、衆議院送付
 )
○郵便事業株式会社法案(内閣提出、衆議院送付
 )
○郵便局株式会社法案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
 法案(内閣提出、衆議院送付)
○郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等
 に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○郵政民営化に関する調査
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を開会いたします。
 郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、以上六案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○有村治子君 おはようございます。自由民主党の有村治子でございます。
 いよいよ郵政民営化に関する本委員会での審議も終盤になってまいりました。(発言する者あり)最終、最終ではなく、終盤になってまいりました。
 その中で、先週、私どもは地方公聴会、参考人質疑、陳情、私自身がいただく陳情やおはがきもとうに二千通を超えるに至りました。この一枚一枚を長く拝見させていただく中で、また与野党の質問をお伺いする中で、それぞれに本質を突く鋭い質問が出て、私自身も非常に考えさせられる問題提起が出てきたかと思っております。ある方は理念を追求され、また技術側面の不備があるのではないかというような御指摘の中から、竹中大臣を始め新しい答弁も引き出された参議院の質疑であってきたかと思っております。
 その中で、私自身の質疑は、今週、来週、また再来週というようにだんだん延びてきたことが、理事の御指示で変わってきましたので、私が持っていた質疑も多くの部分はほかの与野党の先輩、同志の方々にカバーをされてしまいました。そこで、今日は、重要ポイントが網羅された終盤、それでも私がお伺いしたいことを、概念的になるかもしれませんが、進めていきたいと存じます。
 先週、地方公聴会、参考人質疑を進めていく中で、例えばゆうパックが、マーケティングセールスの人手がいない、そんな農山漁村においても地方振興の大きな柱になっていること、あるいは、新聞が配達してもらえないような離島においても郵便局の配達員の方がその新聞を翌日郵便物とともに配られるというような地域に貢献していらっしゃる姿、あるいは、産業廃棄物不法投棄などが毎日行われて、夜行われる中で、毎日細かく地元を守っていらっしゃる郵便局のスタッフの方々によって、地元の地方自治体とパートナーシップを組んで町を守っていらっしゃる、そんな姿にも触れ、また、この審議が深まる中で、多くの新しい視座が与えられてきたかというふうに思います。
 あと多く見積もっても、数日で難しい選択を私たちは迫られることになると思います。この、ここでの、本委員会での委員、また本会議の議員によって何らかの選択がなされますけれども、その選択によって多くの人々がほっとされ、また同時に、その選択によってそれ以外の多くの方々が落胆されるというような結果を招くような事態が予想されます。そういう意味では、今回、完全な勝者がない、明らかな正しい選択というのがなかなか見いだせない、ベストシナリオというのがなかなか見いだせない中で、よりましな選択をしていくために、どこに民意があるのか、あるいは郵便ネットワークの生き残りを懸けてどんな選択をしていかなければいけないのか、そのことが問われているのだと思います。
 私も、比例区、全国区の選出の議員でございまして、全国各地をこの委員になってからもお伺いさせていただいております。その中で、有権者、国民の皆様が持っていらっしゃる素朴な質問を中心に進めていきたいと思います。
 私、今回の委員にならせていただきまして思うことを率直に申し上げますけれども、局長さんを始め、労働組合に所属していらっしゃる方々を始め、郵便局、郵便サービスにかかわられる方々の信頼や共感なくして今回の民営化というのは成功しないんではないかという思いを強めております。また、世論や、サービスの受け手、ユーザーとなる世論、あるいは国民の理解、賛同なくしてはこの民営化の成功はあり得ないというふうにも思っております。そういう意味では、合意形成をしていくそのプロセスを共有し、不安や情報不足をどうやって補っていくのか、この点のリーダーシップにおいてはもう少し別のやり方もあったのかな、別の工夫もあったのかなというような思いを持っているというのが私の偽らざる思いでもあります。
 そこで、その民意、素朴な不安や不満や疑問を置き去りにしては成功があり得ないというところで、今回私が担当させていただくこの三十分でその不安が少しでも払拭される、あるいは国民の理解が少しでも深まるような議論が、やり取りができたら大変光栄に存じます。
 そこで、最初は具体的なことから入っていきたいと思います。
 今回、私自身も、郵便公社が地域に溶け込んで、そして地域の活性化のために貢献して、正に日本が誇る郵政行政だなということを痛感をしているんですけれども、その中で、質疑が集中したものの中に、社会的セーフティーネット、特に社会的に弱い立場に置かれる方々に対するサービスをいかに堅持していくかということと、例えば水害や大地震などの非常緊急時におけるセーフティーネットをいかに維持していくかというような、危機管理の視点からの質問も集中してきたかと思っております。
 その中で、現在も約二百十八の市町村で実施されているひまわりサービス、つまり、一人でお住まいの方々に対して、あるいは高齢者の方々に対して無料でサービスの、持って、物品を届けたり、あるいは声掛けをしたというような、配達と同時に行われる無料のサービスは今後どうなっていくんでしょうか。
 あわせて、被災地の無料配達ということも今まで公社だったからこそ堅持できたというところがあります。これに対しては地域・社会貢献基金の運用費で充てられるというふうに理解しておりますが、私たちの想像をはるかに超える大きな水害やあるいは地震が起こったとき、果たしてこの被災地無料配達、ひまわりサービスなど、地域を支えていく、ホープとなっているサービスが本当に堅持されるのでしょうか、教えていただきたいと存じます。
#4
○政府参考人(伊東敏朗君) お答えいたします。
 最初に、ひまわりサービスのことについて御指摘がございました。
 現在、日本郵政公社が行っておりますひまわりサービスは、委員も御案内のとおり、郵便物の配達を行う職員の手すき時間を活用いたしまして行う在宅高齢者等への声掛けなどと郵便サービスを使った日用品等の注文受付、配達等を組み合わせたサービスでございます。このサービスは、現在、必要な郵便料金を除きまして無料で行っておりますが、これはこのサービスの実施自体に特段の追加コストは要しないということによるものでございます。
 このひまわりサービスにつきまして民営化後どうなるのかという御指摘でございますが、郵便事業会社におきまして、その経営判断により実施されることとなるものではございますが、さきに申し上げましたとおり、このサービスの実施自体に特段の追加コストは要しないということ、また、郵便サービスのような地域社会に密着した事業を行うに当たりましては、一定の地域社会の貢献サービスを行うことは経営戦略上の合理性があり、一般の民間企業におきましても、近年、企業の社会的貢献を重視する傾向が顕著でございまして様々な貢献サービスが提供されていること、さらに、今回の民営化に当たりましては、こうした貢献サービスにつきまして、これも委員から御指摘ございましたけれども、一定の要件の下で社会・地域貢献基金からの資金の交付を受けることができる仕組みを設けたことなどを踏まえますと、民営化後の郵便事業会社におきましても、地域の評価の高いひまわりサービスにつきましては引き続き無料で提供されるものと思われますが、政府といたしましても、毎年度の事業計画の認可等におきまして、こうした郵便事業が果たしてきた公共的な役割が引き続き維持されるよう十分配慮してまいりたいと考えております。
 それからもう一点、災害時のいろいろな対応につきまして民営化後どうなるのかという御質問でございますが、現在、公社におきまして、災害時の取扱いといたしましては一つ、まず一つといたしまして、被災者に対する郵便はがき等の無償交付、これは原則一世帯はがき五枚あるいは郵便書簡一枚ということでございますが、さらに二番目といたしまして、被災者が差し出す郵便物の料金免除、さらに地方公共団体、日本赤十字社等にあてました現金書留を含む救助用の郵便物の料金免除というものを行っておりますが……(発言する者あり)失礼しました。これは、公社において必要があると認めるときはこれを行うことができる旨の現行郵便法の規定に基づきまして公社が行っているものでありますが、民営化後におきましても郵便法の当該規定は引き続き残すこととしておりますので、郵便事業会社の判断により引き続き行われるものと考えております。
#5
○有村治子君 御丁重なコメント、ありがとうございます。制度は一応理解しておりますので、イエスかノーかということに関心を寄せておりますので、是非御協力をお願いいたします。
 それでは、生田総裁にお伺いさせていただきたいと存じます。
 先日、私たちは東京中央郵便局に行きまして、公社後にどのような変化があったかということを局長の方々あるいは幹部の方々、第一線にいらっしゃる方々始め、お話を伺いました。その中で、局長を始め皆様口々におっしゃるのは、サービス精神が旺盛になって笑顔が増えました、CS、顧客満足度を意識するようになりましたというふうにおっしゃいましたけれども、もう少し具体的な実感できる指標がお聞かせいただけたら有り難かったなというのが私の率直な思いでございます。経営努力によって定量的に具体的数値が挙げられたら有り難いのですが、公社化になってどのような目に見える変化が行われたんでしょうか。
 例えば、素人目で本当に恐縮なんですけれども、翌日、一両日以内に配達していただけるエリアが大幅に増えたとか、あるいは一月一日に加えて今までお休みされていた一月二日にも年賀状が配られるようになったとかというのは、国民の皆様が実生活をする上で本当に実感できるプログレス、進展だと思うのですが、そういう目に見える、笑顔が増えたというのはもちろんそうだと思うのですが、それ以外にもっと国民の皆様がよっしゃ大事だというふうに思えるような実生活上のメリット、それを定量的におっしゃっていただければ有り難いと存じます。いかがでしょうか。
#6
○参考人(生田正治君) お答えします。
 三面から簡単に申し上げたいと思うんです。
 一つはソフト面、これはサービス業であるという、これはもう現実なんですが、これを認識いたしまして、サービス業らしく意識と文化を変えるということで、これは真っ向サービスということで、非常にお客様に真正面から向かってお客様に役立とうと、こういうふうなムードに変わってきています。
 それから二番目の切り口は、経営基盤で申し上げます。これは事業本部制を取りまして、管理会計的に既に独立採算ということでやっておりますし、計量的に申しますと、JPSという集配区分の全国的な生産性向上ですね。これは今モデル千局で一〇%の改善をしておりまして、今年じゅうに一六%の改善になり、十八年度末までで二〇%改善するはずであります。
 それから購買費、これは事業庁の最終年度で八千四百億使っておりましたけれども、二〇%カットしようと、合理化しようというのがうまくいきまして、現在二二%合理化でほぼ同じ購買をして千八百億の節減をした。あとガバナンスを利かすとか情報開示をするとか、そういった経営基盤面でやっております。
 それから、先生の特に御関心のあるお客様に直接喜んでいただく施策というところでは、全部言っていると長くなりますのでぱらぱらと申しますと、郵便ではEXPACK500という五百円の大型封筒さえ買っていただいたら三十キロまで何を詰めても全国一律というふうな制度とか、写真付切手を出すというふうなメニューの多様化もいたしておりますし、今年は年賀はがきの正月二日の配達も三十一年ぶりにやらしていただいたということがあります。
 それから、ゆうパックの全面リニューアル、去年の十月ですね。それまではウエート取りであって、持ってこられる方もお引き受けする方もはかりを持って走り回っていたんですけれども、今は容積で非常に便利になった。それから、お受けする場所を極力増やすということで、例えばローソンさん、全国八千店でお引き受けをさせていただいている。さらに、数字的に申しますと、ゆうパックのマーケットシェアは、七、八〇%から実は五・七まで落ちていたんですが、今七%台に回復で、あと一年程度ぐらいで一〇%に参ります。
 それ以外に、目に見えて、まだなかなか見えないんですけれども、見えるように努力しているのは、郵便局をワンストップのコンビニエンスオフィスにしようと。ストアじゃないですよ、オフィスにしようということで、地方自治体等の手続等をもっと手広くお引き受けする。空いているスペースがあれば、お客様、近所の方に役立つ小売業をするというふうなことを考えておりますし、さらに、これもだんだん目に見えていただきたいと思っていますけれども、金融関係について、ファミリーバンクと私は言っているんですけれども、御家庭、個人の方になれ親しんでいただいて、どんなことでもお役に立つような仕組みに持っていこうということでやっております。
 それから、先生おっしゃった翌日配達のエリア、もし私の記憶が正しければ、例えば東京から三百キロ以内がエリアだったんですが、それを六百キロにして、広島ぐらいまでカバーするということをやったと記憶しておりますけれども、ちょっと数字がずれているかも分かりません。
#7
○有村治子君 生田総裁、ありがとうございました。本当に今回の答弁、お見受けしていて、生田総裁のリーダーシップに頭が下がるような思いで拝聴をしております。
 それに続きまして、竹中大臣にお伺いしたいと思います。
 私は、国民の皆様が一人一人実生活をする上で目に見える実感があることが大事だというふうに考えるのは、その実感が世論をつくっていき、その世論に引っ張られる形で行政や経済や政治が動いていくということを考えれば、どのような改革をしても、やはり国民の世論をつくっていく、国民の皆様とともに歩むという視点が絶対に欠かしてはいけないところだと思っております。
 その中で、今回の審議の中でよく引き合いに出されるのがNTTや国鉄、JRの改革でございました。そこで私は、今回、国鉄、JRが民営化になされたときにどのような報道がなされてきたか、数十の資料に目を通しました。そこで、端的に面白い記事がありましたので御紹介をさせていただきたいと思います。民営化から十四年たっての総括が行われた週刊ダイヤモンド二〇〇一年九月二十二日号です。ちょっと長くなりますが、御紹介したいと思います。
 民営化すれば赤字路線は廃止され、運賃は高くなる、国鉄民営化前後に高まった懸念はこの十四年間で払拭された。国鉄の最大の存在意義は、全国隅々まで鉄道のネットワークを維持するユニバーサルサービスと適正運賃であった。ところが、国鉄時代に廃止を決めたローカル線は計八十三にも上る。これに対して、JRが独自に廃止を決めたローカル線はたったの六つにすぎない。実は運賃も国鉄時代は値上げの連続だった。六六年の三二・三%値上げを皮切りにほぼ毎年のように値上げし、最終的には計十四回も実施された。中には、七六年の五〇%値上げのように世間の強い批判を浴びたものもあった。一方、JRになってからの運賃値上げは、消費税導入に伴う運賃改定を除けば、JR北海道、JR九州、JR四国の各一回ずつだった。昨今では逆に事実上の値下げに踏み切るケースが出ているという報道が十四年目の総括としてなされています。
 このようなレポートをまつまでもなく、私自身も高校時代、通学をしている中で電車を使っておりましたけれども、JRになって端的に感じられたのは、汚い、臭いと評判の悪かったトイレがきれいになった。トイレットペーパーがなかったものが付いてきて、落書きばっかりだったトイレに落書きが一切なくなったというような思いを持っています。また、今私はベビーカーを引いて鉄道を利用するんですけれども、バリアフリーの取組がいかに有り難いかということを痛感し、エスカレーター、エレベーターの設置がどんどん進んでいることに本当に実感、プログレスを感じることがあります。
 そういう意味で、年間六千億円の補助金を必要としていた国鉄がJRになって、その六千億円の補てんが不要となった上に、二千二百億円の税金を納めるような企業になったということは、本当に私自身もこれはプラスだったんじゃないかなというふうに感じます。
 NTTの場合は、長くは申しませんけれども、例えば東京―大阪間、昼間三分間話したら四百円だった通信料が、今はその五分の一、約五分の一の八十四円になっています。そういう意味ではそれぞれの方が通信コストの削減ということを実感できるのですが、その一方で、今郵政民営化になったらどんな目に見える、国民が実感できる成果があるのか、ここのところがなかなか見えてこないというのが率直な思いでございます。この部分のわくわくしたビジョンが見えてこないからこそ世論が、民営化を支持する世論が大きなうねりとなって巻き上がってこないのではないかと思います。
 そこでお伺いしたいのですが、竹中大臣、最終的な民営化のイメージとして、どのような国民が実生活の中で実感できる成果があるのでしょうか。例えば、竹中大臣が国民の一人として民営化された後の郵便局に三十分、一時間滞在されるとしたら、そこでどんな便利なサービスを竹中一国民は享受されるのですか、されようとされるでしょうか。イメージが分かるような形で教えていただきたいと思います。
#8
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、有村委員が御指摘の点、国鉄との比較というのは大変重要なポイントであろうかと思います。国鉄は言うまでもなく大変な赤字を抱えていた。それに対して、今、郵政というのは、これは生田総裁の御尽力、そして公社の御尽力もあり、差し迫った危機にあるという状況ではない。しかし、日本の今後更に高齢化が進み成長率が低下する中で、実は貯金で受け入れてそれを国債等々で運用するというビジネスモデルそのものが恐らく成り立たないであろうと、そういう非常に中期的な大きな課題を背負ってこの改革をしなければいけない。そこがやはり、国鉄があえていけば差し迫った受け身の改革であったのに対して、郵政の改革というのは未来志向の、その意味では前向きの攻めの改革、そこの御理解をいただくのが大変難しいところであるというふうに思っております。
 その意味で、今委員は具体的にどういうわくわく感があるのかというお尋ねをくださったわけでございますけれども、これは私自身、実は郵便局に、郵便局というのはやっぱり行って楽しいところであると、そういうふうになる、そういうふうなイメージでの、そういうふうな民営化後のイメージを是非実現していただきたいと思っております。
 これは、今ワンストップコンビニエンスオフィスの話、ファミリーバンクの話等々ございました。今若者は、例えばコンビニに行けば何かがあるというふうなイメージでコンビニに用事がなくても行く。私は、郵便局というのは、特に地方においてそういう地域の活性化の拠点として、これは正に地域密着型の様々な創意工夫をしていただいて、そういう人が、集客力がある、人が集まる拠点になり得ると、そういうことなのであろうと思っております。集客力のある拠点であるからこそ、それを生かしていろんなビジネスチャンス、物を販売するということも含めて、いろんな新たなサービスを提供するということも可能になるんであろうというふうに思っております。
 骨格経営試算の中で、こういうサービスが考えられるのではないだろうか、こういう新しい商品も可能性があるのではないかということを可能性としてお示ししておりますけれども、そういうことができれば、私はやはり郵便局というのはコンビニエンス、ワンストップコンビニエンスオフィスとして、とにかく行ってみようというふうにイメージを持つことになるでございましょうし、むしろ民営化によって我々が想定している以上のより魅力のあるダイナミックなサービス、商品が提供されていくということを期待をしております。
#9
○有村治子君 ありがとうございます。
 今までの答弁でもそのようなラインのことはお伺いさせていただきましたが、ダイナミックな、魅力的でというふうなお言葉はおっしゃいますけれども、その実態がなかなか伝わってこないからこそ世論が付いてこないんじゃないか、そういう懸念を持っております。
 私自身も以前マクドナルドに勤務をしておりました。チェーン展開をしていく中で、今コンビニエンスストアもそうですが、日夜技術が革新していく中で、皆様本当にはいつくばっていくような思いで展開をされています。その技術のノウハウをすべて駆使したコンビニエンスストアと、実際に、互角とまではいかないけれども同じ土壌で商品を置けるのかどうかという意味では、私は非常に懐疑心を持っております、率直なところ。自社内競合のスクラップ・アンド・ビルドが実際に行われているような中で、本当にほこりのかぶったはさみを置いても売れるのだろうかというような思いが、持っておりますので、もう少し具体的なビジョンというものを見せていただければ有り難いなというふうに思います。
 時間が限られているので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 先日、私は自民党の会合に行きました。関西での出来事でございます。その帰り、たまたま初めてお目に掛かりました方とお話をしました。電車の中で四人掛けだったんですが、特定郵便局の局長さんあるいはその夫人の方々と自民党の会が終わってからたまたま顔を合わせて、電車で御一緒させていただきました。
 その方々が口々にこうおっしゃいました。私たちは日本社会が良くなると思って自民党を支持してきました。そして、郵便局の方、関係の方が比例区、全国区でお出になると一生懸命票集めをして、そして党員になっていただき、皆さんに支持をお願いしてきました。にもかかわらず、その自民党から今回の法案が出てきた。後ろから剣を刺されるような思いです。この思い、私たちはこれから何を信じて、私たちとともに歩んでくれた人たちにどんな言葉を掛けていけばいいんでしょうかというようなお話をいただきました。率直なところ、私も、比例区、全国区で郵政の方は別に候補をお立てになられますから、特定の私の郵政の関係の方が支持していただいているというわけでは全くありません、誤解のないようにあらかじめ申します、申し上げますけれども、しかし、その局長さん、夫人のお話を聞いて、私自身、自民党員として、胸が詰まるような思いで拝聴をしておりました。
 そこで、竹中担当大臣、また、次の自民党のリーダー、中核を担うといろいろなアンケートでもお名前が出ています麻生大臣、谷垣大臣にも同様の質問をさせていただきたいと存じます。
 その方々と直接対面をされて、これから何を信じていけばいいのか、政治への信頼をどう守っていくのかという視点から、皆様だったら電車の四人掛けの中でそのような、自民党を支持し、郵政を本当に支持してきた方々に対してどんな言葉を自民党の議員として、あるいは閣僚としてお掛けになられるでしょうか。短い言葉ですが、おっしゃっていただければ有り難いと思います。
#10
○国務大臣(竹中平蔵君) リーダーは後でお話しになるということだと思います。
 私は、これはよく考えてください、これは明らかに皆さんのためになることですということを率直に申し上げたいと思います。我々はこれまでも皆さんのためになることをやってきました、しかし、変化するというのは、いろんなつらい面もあるかもしれませんけれども、我々は今までだって変化してきて、そして良くなってきたと。今回は皆さんのために、本当に皆さんのためになる変化なんですと、そのことを一生懸命是非説明をさせていただきたいと思います。
#11
○有村治子君 ありがとうございます。
#12
○国務大臣(麻生太郎君) 特定郵便局長さんの、今四人掛けの席のお話がありましたが、いろいろ特定郵便局長さんも年齢層、地域ごとにいろいろ御意見が違うというのがこの二年間、この話をさせていただいた率直な実感です。
 明治四年から数えて百三十四年ですか、の中に当たって、やっぱり特定郵便局長というのは、今三代目、四代目の方々含めて結構な数いらっしゃるんですが、十何%になっていると思いますが、それらの方々の中で後継ぎのいらっしゃるところ、ないところ、これまた意見の違うところですので、一概にこれがという意見はないのがもう率直なところです。
 ただ、一様に、これまで長い間、全く郵便にスタンプを押すというこの発想すらなかった明治の時代に、少なくとも今日まできちんと地方の郵便制度というものを守り育ててこられた方々に、やっぱりこの特定郵便局長さんのなされた部分というのは、明治政府の金がない部分をかなりの部分民間が、委託といやあ聞こえがいいですけれども、早い話がボランティアでやっていただいた部分というのは極めて大きな貢献があったんだと、私自身はそう思っております。したがいまして、そういったものに関しては、まず感謝と敬意がささげられて当然、これは当たり前のことだと存じます。
 ただ、今、竹中大臣の方からもお話がありましたように、今のまんまの制度が、少なくともこれだけの情報通信技術が発達してきた時代の中において、又は少なくとも小口で大量の金を集めて、そしてそれで政府にいろいろな形での力を付けさせるという部分で、国債に換わったり、いろいろ特定郵便局のお金の運用等々いろいろあるところですけれども、そこらの金が、今は逆に銀行にお金を返済する人が多い時代ですから、そこの点でもちょっと考えていただいて、今の時代に合ったようにつくり直していくんであって、特定郵便局長さんのみが割を食うわけではないのだという点をきちんと説明をしていかねばならぬところだと思っております。
#13
○有村治子君 ありがとうございます。
#14
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、四人の局長さんのお話がありましたけれども、私自身も選挙区で特定局長のOBの方々、あるいはその奥様方、あるいは現職の局長さんたちとも随分何度も意見交換をさせていただいて、こういう表現はいけないかもしれませんが、心の触れ合う付き合いを今まで政治家になってからさせていただいたと思っております。
 そういう中で、今の仕事から見ましても、長い間で財政投融資の資金をずっと提供していただいてきたとか、あるいはバブルがはじけて以来、大量の国債を発行せざるを得ない中で、それを引き受けていただく大きな役割を果たしていただいたと、こういうことで感謝の念を深く持っている者の一人でございます。
 先ほどお話がありましたように、財投も制度が改まり、そして全体の資金運用の仕方を、官が最大の資金の取り手であるという構造を変えていかなきゃならないということになりますと、恐らく郵政も、あれだけの資金を集めて、その資金を、貯金者に金利を払っていくということになりますと、より効率的な運用の仕方というものを工夫しなければならなくなっているんだろうと思います。ですから、今回の改革は、特定局長の方々にも、今までの機能を更に、果たされた機能を更に高度化させて新しい時代に対応していくためなんだということを私はできるだけお話し申し上げたいと思っております。
#15
○有村治子君 ありがとうございます。三大臣、本当にありがとうございます。
 今回、二項対立、敵味方、あっちこっちというようななされ方、報道のなされ方も非常に多い中で、私は心を痛めております。やはり、その方々の同意あるいは理念の共有なくして成功はあり得ないということを考えると、やみくもにレッテル張りをするのではなくて、是非その方々に、今おっしゃっていただいたような理念とともに展望ということを丁寧にやっていくということが本当に必要なんじゃないかなというふうに思っております。
 最後になりますけれども、国鉄改革、大変な労働組合も含めて反対があった中で中曽根康弘先生は国鉄改革を断行されました。その中曽根先生が私たち後輩におっしゃっていただく言葉にこういう言葉があります。政治家は、常に歴史という裁判の被告人席に立たされている、歴史の評価に堪え得る政治ということを決断し、実行していかなければならないというふうにおっしゃっています。現に、麻生大臣がおっしゃっていただいたように、前島密さんの改革というのは百三十年以上掛けてその名を私たちの心にとどめています。
 そういうことが言えるようになるために、時の小泉総理あるいは竹中大臣は、大変な反対であったけれども確かに正しい選択をしたというふうにおっしゃっていただけるような改革に、やるのであればそのようなものにしていかなければいけないということの国民の多くの方々の思いを代弁して、是非、結果はどうなるか分かりませんけれども、ベストを尽くしていただいて、敵味方ではなく日本のために尽くしていただきたい。
 この思いをいま一度御報告させていただいて、私、自由民主党有村治子の質問を完了させていただきます。ありがとうございました。
#16
○鶴保庸介君 有村議員に続きまして、私の方から御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、私の立場を明らかにしておかなければならないと思います。私は、決して反対の立場ではありません。ありませんが、今回の議論を聞いておりまして大変に疑問に思うことも出てまいりました。
 先ほど竹中大臣の方からも、皆さんのためになる改革であるとか未来志向のための改革であると。これはそのとおりだろうと思います。また、私自身も、総理がリーダーシップを取って改革に取り組んでいくその姿、これは今までの政治にはなかなか、なかったとは言いませんけれども、なかなかそれが実現に向かわなかった。日本の政治というのは、リーダーシップを取った総理が、弾力的に変えていくといいますか、右へ行きながら、また左へ行きながらいろんな、中道、中庸を模索していく、そんな政治の在り方がこれから必要なんではないか、私自身そういうふうに考えております。また、一部の論者の中には郵便局の職員の生活のためにという方もいらっしゃいますが、そのためにも改革が必要なんだという大臣始め政府の皆さんの答弁は私も納得がいくところであります。毛頭、現状維持を主張するつもりはありません。
 しかしながら、それならばなぜ、これまで問題があるこのことに対するほかの方策がなかったのか。大臣はよくおっしゃいます、公社で国債の官から民への流れをつくっていくと言いますが、官から民への資金の流れをつくるためには、例えば預け入れ限度額を下げることにより官から民への資金の流れをつくることだってできるだろう。また、財政投融資改革、財政改革に向けて郵貯を改革しなきゃいかぬという話でありますが、これとても、法律一本、公債を郵貯が買うことを禁止あるいは制限していくような方向の法律を一本作れば済む話であります。長い時間を掛けて営々と積み上げて膨大な行政コストを掛けてつくってきたこの郵便制度を、どうして今完全民営化に向けて進めなければならないのか。私は、そのことに対して明確なやはり理念あるいは答弁が必要だろうというふうに思います。
 多くの論点があると思いますが、私たち国会議員も、総理が言うことであるから、先ほど申しましたとおり、一つの方向性、志向の方向を考えなければいけないということは論をまたないわけでありますが、独裁になってはいけません。国民のためにならない改革であれば、我々国会議員は身を張ってでもこれに断固阻止をしていかなければならないというのはまた当たり前のことであります。そのためにも、この論点だけは押さえておきたいという、わずかな時間でありますから、この論点だけは押さえておきたいということをお伺いをし、そして納得がいけば時間前であっても終わりたいと思います。
 それは、まず一つ、官から民へというその理念そのものでございます。先ほど話をさせていただきましたとおり、この改革に向けてなぜ民間の多くの国民の方々が分からない、また態度が決められない、そしてまた判断できない、よし頑張ろうという気になれないのかといいますと、この改革によってどういう社会が待っているのか、この民営化をすることによって何を目指しているのかということを、まあ本当は総理御自身の言葉で聞きたいわけでありますが、政府、執行部の方からお伺いをしておかなければならないと思うからであります。
 ここのところがしっかりできていないから、まあ銀行では金持ちが預金に行きますと、別室でお茶を用意されながら行列をつくらずにお話ができますよとか、あるいはその逆で、まあ郵便局というのは世襲で結構ですねと、またあるいは年金もらえて結構ですねと、何でそんなの公務員でなきゃいかぬのですかというような、はっきり言うと情緒論に近いような話になってくる。それは竹中大臣も何かの雑誌でおっしゃっておられたことだったというふうに記憶をしております。
 郵政事業民営化後のあるべき社会としてどんなものを目指しているのか。これは繰り返し、その技術論として民営化の意味みたいなものをおっしゃってこられましたけれども、私が聞きたいのは、その官から民へのなぜ民でなければならないのかということではなくて、そのなぜ民でなければならないのかということではなくて、何を目指していこうかというあるべき社会の姿だろうと思うんです。
 野上浩太郎議員の質問が以前ありましたけれども、その中にも、民間企業、NPOなどの民が主体となって公共サービスの提供を、提供する役割を担うような社会という話がありました、お答えがありました。しかし、これは手段ではなかろうかと思います。
 何を目指そうとしているのか、この郵政民営化によって何を目指そうとしているのか、どういう社会を目指そうとしているのか、その哲学を是非とも聞きたい。財政の回復であるとか経済の発展であるとか、あるいは三十八万人の公務員がどうのこうのとか、あるいは三百四十兆円の数字がどうとか、そういうことではなくて、それを手段にして何を目指そうとしているのか、この理念をこそ高らかに語っていただきたい、そう思うんです。よろしくお願いします。
#17
○国務大臣(竹中平蔵君) 大変大きなお問い掛けでございます。極めて重要なお問い掛けでございます。
 私は基本的には、これは先般内閣府で取りまとめた二十一世紀ビジョン等々でもそうした趣旨を十分に反映させていただいたつもりなんですけれども、日本という国が二十一世紀に向けて、一人一人、国民一人一人がその潜在力を十分に発揮して、その一人一人が願うその生き方を実現できるような社会にする。そうすることをもって、さらに国際社会の中で日本としての日本らしい貢献をしていく、そういう社会を実現していくということに私は尽きるのであろうというふうに思っております。
 そのためには、やはり一人一人の方々が自由に選択できるような形にしていかなければならない。そして、ひとしくいろんなチャンスが与えられていなければならない。そして、一人一人が個性を伸ばすということに対して社会がそれをエンカレッジするような、そういうシステムがなければいけないということであろうかと思います。
 このためには、教育、家庭の在り方、全部入ってくるわけでございますが、私が担当している経済や財政の観点、金融の観点から申し上げますならば、それはやはり日本語で言うならば、公私という言葉と官民という言葉は違うわけでございます。その公私という言葉と官民の持つ意味をはっきりと認識をしながら新しい時代にふさわしい制度設計をしていくということだと思います。
 公私というのは、これは野上委員にもお答えさせていただきましたけれども、公的な財・サービスと私的な財・サービスというのが世の中にはある。それをやっぱり我々両方求めております。私的な財・サービスはこれは普通市場で分配されればいいと。しかし、公的な財・サービスは市場だけでは駄目です。そのためには政治も必要だし、何らかの介入が必要になってきます。問題は、それをだれがやるかというときにその主体としての官と民が出てくるのだと思います。
 今まで公的なことをほとんど官が独占してやってきた。場合によっては官が私的なことにまで介入している面があったかもしれません。我々はこれからの社会、いろんな不安の中で、公的な役割は極めて重要だと思います。しかしそれを、公的なものをすべて官がやるのではなくて、民でできるものが随分たくさんあると。そういう下に譲っていくことが人口減少社会の中で引き続き経済システムが活力を持っていくために私は不可欠な選択の方向であろうかと思います。
 したがって、豊かな公、しかし小さな官、そういう方向をこの先般のビジョンでも打ち出させていただいております。民間でできることは民間でということの意味の背景には、私はそのような理念があるというふうに是非とも御理解を賜りたいと存じます。
#18
○鶴保庸介君 総理がこう答えてくれれば私は納得できるわけでありますが、なかなかその事態もなかった。ただ、それをちょっと敷衍して申し上げたいと思うんです。私も全くそのとおり、個人の選択肢を増やしながら、より豊かな個人の人生、あるいは幸せとは何ぞやとは言いませんけれども、そういう哲学を持って政治が進めていかなければならない。恐らくそういう哲学や価値観の転換期に今、日本はあるんだろうというふうに思うんです。
 しかし、それを進めていく上で、例えばそれならば民でできることは民にということで、一つの疑問が浮かびます。恐らく、なぜ郵政が先にやらなければならない、なぜこれがまず真っ先にやらなければならないかという疑問であります。ほかにも民でできる官の仕事はまだ幾らでもあるじゃないかと。例えば、具体例出して悪いですけれども、ハローワークでありますとか、今議論になっております社会保険庁でありますとか、そしてまた、全体でなくても、官でやっている仕事の一部分を民ですることを、委託をしていくことということはどんどんどんどん、まだまだ進められるはずであります。今のお話を敷衍しておりますと、これをやるのかやらないのかということを当然聞きたくなってくるわけでありますが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(竹中平蔵君) これにつきましては、実は経済財政諮問会議でも頻繁に議論をしているところでございます。ハローワークの問題、社保庁の改革の問題、これは国民が喫緊にもやってほしいと、緊急にやってほしいという非常に強いニーズがあるということも承知をしております。その一つ一つの手段として、昨年から今年にかけて集中的な議論を行いまして、いわゆる市場化テストを実施しようと。その市場化テストのモデル事業の中にこのハローワーク関連のもの、社会保険庁関連のものも入っております。この中で民間でできることはあるはずだと。
 しかし同時に、官がしなければいけないこともございます。官が引き続きしなければいけないことがあるということも承知をしながら、例えばハローワークに関しては、キャリア交流プラザ事業の公設民営のようなもの、求人開拓事業の民間開放のようなもの、そのようなものがモデル事業として試行的に導入されていることで議論を進めているところでございます。社保庁に関連しましても、国民年金保険料の収納事業、さらには年金電話相談センター事業等々、これは市場化テストでのモデル事業にして、そして民間でできることは正に民間でやっていこうという方向で私たちは考えております。
 その中で、しかし郵政というのはやっぱりこれだけ大きな広がりを持っている非常に大きな問題であると、そうした意味で改革の本丸として位置付けをさせていただいておりますが、これ一点だけということではなくて、鶴保委員御指摘のように、幅広くこれはやっていって、システム全体を変えていかなければならない問題であると認識をしております。
#20
○鶴保庸介君 本当に幅の広い視点でというか、郵便局がですよ、規模が大きいということを理由の一つに挙げられましたが、だからこそ慎重にならざるを得ないという向きは当然あると思うんですね。
 また、問題があったかという話になりましても、先ほど郵便事業の話もありました。これから来るであろう荒波に向かって未来志向だということを大臣も答弁なさった。つまり、今の時点で問題があるというふうには認識をなさっておられない。にもかかわらず、例えば社会保険庁の話、これ不祥事いろいろあって、もう国民的にもいい加減にしてくれというような議論がある。これに対して、先に見ます言われるのが普通、本来ならば筋ではなかろうかという気持ちも私は国民の意見としてあるんだろうと思うんです。その辺はいかがでしょうか。
#21
○国務大臣(竹中平蔵君) システム全体を、鶴保委員も御賛同くださいましたように、二十一世紀型にこれ変えていくという大変重要な責任を我々今の政治家は背負っているのだと思います。そういう観点からしますと、やはりあちらを動かしこちらを動かし、そして少し制度にきしみが生じかねる懸念があるときはまた別のところを動かし、そういうふうにして、これだけ、一億二千六百万人が暮らす五百兆円経済でございますから、大変大きなものをこうガラガラポンと一夜にして変えることはできないわけで、そこはやはりいろんなところを動かしながら進んでいかざるを得ないというのが現状なのではないかと思います。
 しかし、そういう点からいいますと、これお金の、官のお金の流れという観点からしますと、まあ何とか出口の改革を少し進めて、中間の改革を少し進めて、そして入口のところがやっぱり後れているという面もあるのだと思っております。その意味では、やはりこの郵政の改革を相対的に見て急がなければいけないという事情も、これまた私は存在しているのではないかというふうに思っています。
 特に金融市場はすさまじく動いておりますから、そういう民間のすさまじい金融市場からある意味でアイソレートされた形で国営の貯蓄機関があるということに対しては、これは専門家の間からは様々な既に批判もあるわけで、そうしたことも踏まえて、やはり今この時期に、これはやっぱり時間が掛かります、時間が掛かるからこそ今の時点で是非取り掛からせていただきたいというふうに考えるわけでございます。
#22
○鶴保庸介君 まあ国民の多くは、その辺りが現実の問題として出てませんから分かりにくいんだろうと思うんです。それだけに議論はもう少し踏み込んだ本音の部分の話がないと理解してもらえないんではないかというふうに思うんです。
 例えば私、今回のその答弁、委員会でのやり取りを聞いておりまして、幾つか、これちょっとどうかなと首をかしげたくなるようなお話がございました。間違っていたらまた御指摘をいただきたいと思いますけれども、例えば、まあごまかしと言ったら申し訳ありませんが、誇張じゃないのかというような、私が、私自身が感じるようなこと、例えばこの郵政民営化の意義を問う辺りで、三百四十兆円の郵貯、簡保の資金が民間資金に転化すると、こう繰り返し繰り返しおっしゃっておられますが、その裏で、三百四十兆円の郵貯資金はこれから十年間掛けて減らしていきます、減っていくでしょうという答弁もあるわけであります。民間資金に流れるのは三百四十兆円全部ではありませんよね。リスクマネーに流れると言っているのは三十五兆円ぐらいの程度であるということも、これははっきり申し上げて誇張であろうと思います。
 また、そのほかの理由、三十八万人の職員、職員がどうとかいう話も、本当はやっぱり反対派にしてみればもっともっと反論をしたい数字であろうと思いますし、その辺りは、誠実というのは、誠実に答弁をしていただきたい。この誠実に答弁するというのは決して長々と答弁をするとかいうことではなくして、これは分からないことだと、不確実なことだ、ことであるが、しかし、我々が考えて知恵を出したその上で今こういうことを前提にして考えておると、この辺りの誠実な答弁がやはり欠けているんではないかという気がしてならないわけであります。
 そしてまた、私はこれもちょっと一つ質問にさせていただきたかったのは、無駄な公共事業があるからこれは郵貯改革をして財投改革をして財政改革をしなきゃいかぬという、まことしやかにこう言われておるわけであります。これ、正式な答弁としてこう言っておられるかどうか分かりませんが、世間ではそう言っております。しかし、今まで政府は、政府はですよ、無駄な公共事業というのはあるかと言われたら、ないと言ってきたんですよ。無駄な公共事業というのはなくて非効率な公共事業だというふうに言ってきた。非効率、つまり、それは上から下まで言うと、効率的な公共事業とそれからまた非効率な公共事業、それぞればらけてあるでしょうと。このグラデーションのように上から下まであるでしょうけれども、この非効率な公共事業を切っていかなきゃいけませんよね。それは当たり前の話であります。そうすると、それを切っていくということになると、どこで切るかという話になってくるだけの話であります。そうすると、郵貯資金を、それを丸ごと民営化して何もかも、じゃこれを市場化原理でやりましょうという話になってくると、ちょっとこれは待ってくれと私言わざるを得ないわけでありますね。
 つい先日まで私は国土交通省で政務官をさせていただいておりました。まあ、政府の答弁としてどういう答弁ぶりをするかも私自身も分かっておるものであります。国土交通大臣に今日は来ていただかなかったのも、それを踏まえた上で大臣に答弁をいただきたいからであります。どうぞよろしくお願いします。
#23
○国務大臣(竹中平蔵君) 今の鶴保委員の御指摘は、改めて我々答弁する立場の人間として本当に大変重要な御指摘だと思うし、同時に、改めてこれは本当に御説明、政策のコミュニケーションというのは本当に難しくて注意をしなければならないということを私自身に言い聞かせなければいけないと思っております。
 誠実に答弁しろ、むしろ委員は正確に言ってくれと、そのような御趣旨であろうかと思います。我々は、それは大変重要であるということを心掛けております。同時に、常に、これはまあ局面局面によります。どういう方とどのぐらいの時間を掛けてお話しするかということにもよるわけですが、ポイントだけ分かりやすく言ってくれと、要は何だと、そこだけ教えてくれと、そういう御要望も一方でいただきます。
 それを分かりやすく言いますと、例えばお金の流れにしても、いや、今これ政府のお金ですけれども、これ民営化されて民間に流れるようになって民間のお金になります。それは場合によって、時間がない場合はそのような御説明をしていただく場合も確かにあるかもしれません。しかし、それは私どもとしては、国会等々しっかりと御説明すべき、存分に御説明すべき場ではそのようなことを鋭意注意してやらせていただいているつもりではございます。
 今、直接お尋ねのございました公共投資の話にいたしましても、これは公共投資が今まで財政投融資で言わば制度的に右から左にお金が流れる仕組みになっていたので、どうしてもそこでのチェックが甘くなりがちだったのではないだろうかと、そのような問題意識、これはある程度は皆さんお持ちなのだと思います。そういう点に関して、その無駄な公共投資というのをどなたがどこでおっしゃったかはちょっと私も記憶しておりませんが、そういう説明のしぶりがあったことも事実なのであろうかと思います。
 しかし、これに関しては、当然その財政投融資の資金配分も、これは行政で案を作って国会で審議をして、いろいろ御議論をいただいた上で大枠は決めているわけでございますから、それは引き続きそういうつかさつかさでの議論というのはしっかりとやっていただかなければいけない。しかし同時に、そういう大枠の制度そのものを今見直すべきときではないだろうかという、そのような問題意識をさせていただいているつもりでございます。
 委員御指摘のように、そのケースケースによるわけでございますが、正確に意を尽くした御説明をしていきたいと思います。
#24
○鶴保庸介君 とすると、その公共事業に限って今お話をさせてもらいたいと思います。
 公共事業の原資となる財政投融資、これは乱暴な言い方もお許しをいただきたいと思いますけれども、これを市場化原理によって官から民への資金の流れの中で、市場化原理を中心に国民の注視の下、効率性を考えていくということであるならば、もう一つ、ちょっと待ってくれと言いたいことがやはりあるわけであります。
 それは、これまで、じゃ公共投資の中心になって後押しをしてきた財政投融資制度、これは確かに意味のあったものだろうと私は考えておるんです。住宅投資でありますとか、あるいは新幹線つくったりする、国家プロジェクトとしてやらねばならないこと、その当時、市場化原理では到底これはもくろみどおりいかなかったであろうと、しかしそれをあえて国家が主導してでもやらなければならないであろうという国家プロジェクト、これは今までもありましたし、それは恐らく大臣もその意味は、意義は感じておられると思います。
 しかし、それをこれから先、いや、じゃもう要らないんだと。これはもうみんなの、国民の皆さんが総意の下で市場化原理でそれにコミットしてもらうことによって判断をしてもらうんだというならそれはそれで一つの考え方だろうと思いますが、私自身はそうではないと思っております。まだまだこの日本というのは国家プロジェクトとして必要なものは一杯ある。まだまだ国債に頼らなければいけない現実もある。
 私は、例えばこれからリニアモーターカーをつくろうといったときに、じゃどこにその後ろ盾となる、これは公の資金ではないにしても、その後ろ盾となる制度、資金のまとまった資金制度があるのかという辺りは是非とも我々は考えていかなければならないことだと思いますね。
 その辺り、大臣のお考えを聞いて論を進めたいと思います。
#25
○国務大臣(竹中平蔵君) 私は、今、鶴保委員が御指摘の点には、全く賛成といいますか、同じ意見でございます。
 そのためにも、あえて先ほど申し上げた公私と官民の区別というお話を是非させていただきたいんでございますが、これは、公共事業、正にこれは公的な財でございます。公的な資本でありますから、市場で配分できる私的な資本、私的な財とは根本的に違います。まあ、公的な財の定義もいろいろそれは専門的にやると大変難しい面はございますが、やはり同時消費性、非排除性等々がありますから、道路等々、これは明らかに公的な財でございます。しかし、それをすべて今まで官がやってきたと。しかし、それをすべて官ではなくて、公的な財だけれども民でできるものもあるではないかと。そこがやっぱり大変重要なポイントなのだと思います。
 道路公団の民営化はそのような考え方に基づいていると思いますし、私自身、今回の郵政に関して言うならば、この郵便事業というのは公的な性格を強く持っていく事業であるというふうに考えている。だから、ユニバーサルサービスの義務も法律できっちりと課しております。これは公的なサービスに属します。しかし、それをすべて官、政府がやる必要があるかというと決してそうではなくて、民間企業でもできる。ただし、一定の縛りを掛けた形でやる必要があるので、今回は特殊会社という形で民営化をするという形にしている。
 それに対して金融の方は、より公的なサービスというよりは、私的なサービスの側面がより強い。これもすべてだとは言いませんが、より強いと。したがって、商法の一般法人という形で設立してそれをやっていこうと、正にそういう考え方になっているわけでございます。
 私自身、私的な市場で配分できるものは重要ですけども、それ以外のものは本当にたくさんあると思います。むしろ、これからいろんな意味で、安全、環境等々でそういうものは増えていく可能性があると思います。増えていくからこそ、これをすべて政府でやると、官でやると大変なことになるんだと。だから、それを、民間でできることは民間でやって、公的な財のうち特に公共性の強いものについて官、政府が引き続きやると、そういうような組替えを正に我々は行わなければいけないのではないかと。
 そういった議論は、是非今後とも深めていかなければいけないと思っております。
#26
○鶴保庸介君 とすると、その原資となるアマウント、まとまった資金、これ郵貯と言ってはちょっと語弊がありますけれども、だったと言うと語弊がありますけれども、郵貯を原資とした財政投融資あるいは国債から国庫という流れの中で、そういうアマウントを引き続き、これはある程度市場に任せながらも維持をしていかなければいけないということをおっしゃっておられているのかなと私、理解をしたんですけれども。
 とすると、財務大臣、ちょっとこれもまたお話をお伺いしたいんですが、今までの議論の中で、財投改革、無駄な投資、そしてまた財政改革、これを改革するために郵貯、簡保の資金源を官から民へ、市場原理に任せなきゃいかぬと。また、国債、答弁の中でも何度も何度も御答弁なさっておられるから、国債も市場に任しながら、これから国債の、国債頼みの財政をこれから規律をどんどんどんどん正していくんだという話ばっかり聞く、聞かされるというか、おっしゃっておられるものですから、その辺りうまく整合性が取れていないような気がするんですね。
 私は、その哲学といいますか方向性を是非ともやはり言っておいていただかないと、将来本当にどういう、まあほぞをかんだときに、将来本当に国家プロジェクトをしなければいけないと感じたときにほぞをかむ可能性があるんではないかという気がするんです。
 聞いてみたら、これから方針を転換を、方針を考えますと、道筋を考えて、経済財政諮問会議でもやっていきますと判で押したように答えておられるというふうに見ておりますが、財務大臣、お言葉があれば、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
#27
○国務大臣(谷垣禎一君) 国家的プロジェクトに必要な資金をどうやって集めてくるかということでございますが、今これは資金になっているのは、一つは財投機関債、それから財投債。これは財投債、実際は国債と一緒に発売、発行しておりますので、国債と財投債は本質は一緒のものでございますが、そういうもの。それからあとは税資金と、この三つが大体原資でございます。
 そこで、財投機関債は、これは各財投機関のディスクロージャー等もやりまして、平成十七年度ではある程度の資金を必要とする全機関が財投機関債を発行するという体制になりまして、その必要資金の約四分の一を機関債で発行しておりますが、これは現在ほぼ市中で賄えているわけでございます。
 そこで、今度財投債の方ですが、かつてはこれは、財投の原資は皆郵貯、年金等全額寄託でやらしていただきました。今、財投債というもの、論者によりますと、財投機関債だけでそれぞれの機関の信用の格付をきちっとやって、財投機関債だけでやればいいじゃないかと、もっとそれを強化させていくべきではないかという御意見もございます。
 しかし、財投機関債だけではなく財投債も併せて発行しておりますのは、やはり国家の信用というものを背景にして調達コストの安い金というものは、やはり国家的プロジェクトあるいは財政融資制度には要らないということはないだろうということで、財投債と財投機関債のベストミックス、ここがどこにあるかということを探らなければいけないんだというふうに私は考えております。
 そこで、財投債というものが郵貯が民営化したときに本当に引き受けられるのかという点でございますが、平成十九年度までは直接引受けというのをその郵貯にもやっていただいております。これは、今まで預け入れた、預けていただいたお金を返さなければなりませんから、その資金繰り等々もございまして、平成十九年度までは郵貯に財投債を直接引受けさせていただいております。
 しかし、それから後は、今回は法律で平成十九年度までというのは明言をいたしましたので、そこから先は今までの返済資金もございます、これから貸していたものが返ってくるものもございます。それから、郵貯にもうお返ししなくて済む分もございますので、今、今年は十二兆ぐらいを市中で発行しておりますが、この市中発行で私は財投債の原資も今後十分に賄えると思っております。そうすると、問題は元に返りまして、国債というものが郵貯がなくなった後きちっと引受けができるかどうかという論点になっていくわけでございます。
 それで、この国債が、引受けが、つまり安定的に消化できるかという論点は大きなことでございますので、ここはちょっと申し上げたいんですが、十分これは意を用いていかなければなりませんし、今度ある程度、十年間掛けてやっていくという仕組みも今度仕組んでいただきました。そういう中で、一番大事なことは、国債に対するあるいは財政に対する信認を確保しながらやっていくということでございますが、全力を挙げてやらせていただきたいと思っております。
#28
○鶴保庸介君 丁寧な御答弁ありがとうございます。
 時間がなくなってしまいました。本当はもう今の話を受けていろいろお話を聞きたいんですけれども。最後にこれ、竹中大臣ちょっとお話を、確認だけしておきたいんです。
 まあ、結論だけ言うと、駄目だった場合、引き返せるかという話です。郵便局の窓口ネットワークがなくなった後で、今の話じゃありませんが、ネットワークなくなった後で、そこからもう一回お金集めして、それからそのアマウントのお金をしましょうなんていうことは、これ多分無理であります。とすると、これ徐々に徐々に民営化をしていく上での民営化委員会というのは、大変重要な役割を果たしていくことにならざるを得ない。
 もしもですよ、もしもそこに大手銀行の方々が入られるようなことであれば、将来的には百四十兆円程度だといいますが、百四十兆円程度であってもメガバンクはメガバンクです。全国にあまねくネットワークがあって、それがまあこれから民営化で同じイコールフッティングで出てくるということになると、脅威になることは間違いありません。民営化委員会のメンバーとして、こんなもの容認できるはずがない。絶対これを何とか止めていこうというふうにインセンティブ働くに決まっている。
 そういう辺りで、民営化委員会の人選というものをもっとデリケートに議論をするべきだと思いますし、私はそういう意味では、まあこれは銀行のメンバーでなくたっていいんですよ。例えば経営者であったとしても、日本の社会というのは、もうその経営、企業の経営者は銀行とはかなり詳しく密接な関係がありますから、インセンティブとしては同じ方向に働くんであろうと思うんです。
 そういう意味では、まあ反対派といいますかね、これを危惧する側の方々の意見を吸い上げるような仕組みを是非ともつくらなければならないと思いますが、最後に大臣、それだけ御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
#29
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のように、民営化委員会、大変重要な役割を担う、その人選がしたがって極めて重要になると我々も思っております。この判断の、その中立性、公正性を確保するという観点が極めて重要だと、もうその点に尽きると思っております。その意味では、直接の利害関係者を任命することは適当ではないというふうに思っているところでございます。
 これについては御答弁既にさせていただいておりますけれども、そうした事情も勘案しまして、中立的、専門的な知見が述べられるような、本当に専門性、信頼に足る方々にお願いをしなければいけないと思っております。
#30
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
#31
○松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。質問させていただきたいと思います。
 ただいま郵政民営化関連法案の審議をするということで、特別委員会が開催されております。これ大変歴史的な委員会じゃないかなと。委員長を始め、理事、委員の方々、本当に御苦労さま、また大臣始め答弁側も御苦労さまでございます。
 私も昨年から法務委員会に関係しておりまして、法務委員会も法案たくさん持っておりましたのでそのことに集中しておるべきであったわけですが、この郵政民営化の問題についてはどうしても参画せざるを得ないというふうな気持ちで、自民党内におきますいろいろな合同部会等にも参加させていただきましたし、今日また差し替えでこうして三十分の時間をいただいて質問させていただくわけでございます。
 私が端的に御質問申し上げたいのは二点ありまして、郵便局の配置の基準の問題が一つです。これも本当にもうあらゆる機会に衆議院、参議院、触れられまして、大分クリアしているようにお見受けするんですが、私が今からする質問はそういう形ではまだしていないんじゃないかなというのが一点。それから、郵政監察ですね。これ今、郵政監察局、公社になりまして監査部門というのがあって、千人近い方が従事しています。また、その中で六百人が司法警察員の指定も受けておるわけですね。これが民営化した場合にどうなるのかなということについてはまだだれも触れていないというようなことでございまして、重要なことかと思いますので質問をさせていただきます。
 まず郵便局の基準なんですが、この議論が始まりました最初から自民党の中におきましては、省令、政省令で決めるから大丈夫という答弁に対して、政省令では大臣等の意図で国会と関連の、関係のないところで変えられては困るということで法律にしてほしいと、こういう議論があったわけですね。それから、過疎地の郵便局がなくなっては困るということももう大合唱であったわけです。
 これに対してどういう答えが出てきたかといいますと、この郵政株式会社ですね、私が読み上げることもないんですが、郵便局の設置第五条、法律でどういう手当てがされたかといいますと、「会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」、これ一行半です。
 それで、あまねくという言葉が入ったから全国に置くんだという御説明ではとても納得ができない。自民党の総務会において、まあこれでいいだろうといって法案が前日示されてあれしたときに、これしかなかったんですね。それで、これでは分からぬじゃないかということで、総務省令を示せということで省令が特に後ほど提案されたわけですが、それでは過疎地においては従来の基準、郵便局ネットワークの水準を維持することを旨としと、既存の、というふうに書いてあるわけです。
 我々が過疎地と言う意味は、田舎の郵便局と地方の郵便局と、県庁所在地でありましても昭和三十年に、三十年から三十一年に大合併が行われて、そのとき県庁所在地にしても周辺の農村部が合併して、そういうところに特定郵便局が置かれております。これは今総務省令で示された枠ではないんです。過疎地というのは本当の超過疎地、山村振興法で言う過疎地、あるいは特定何とか過疎地というふうなことで、今申し上げましたような我々自民党の議員が多くの方が、野党の方も多くの方が考えられておられました、バスに乗って往復五百円払わないと町の郵便局まで行けない、そのバスも一日に二回か三回しか通ってないというふうなところの郵便局がどうなるかなということに最大の関心を持っております。
 しかし、この国会の議論の中におきまして、過疎地についてはそういうことだという説明がありました。それから、都市部においてはどうなるのだという質問に対しては、過疎地以外の地域については三つの、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されているというような、一市町村一つ以上というふうな三つの基準で決められるんですと。それが公明党が政府と協定を結んだ際に、団地等の高齢化した人がたくさん住むところの郵便局は置いてほしいというような話で、都市部についてもそういうそれ以外の地域ということを考慮するというふうになったというふうに報道されております。
 それでは、その今申しましたような、昭和三十年から三十一年ごろ大合併したいわゆる田舎の郵便局ですね、この設置については何も法律に触れてないわけですけれども、将来どのようなことになるということをもってこの法律を作ったのか、説明いただきたいと思います。
#32
○国務大臣(竹中平蔵君) 松村委員のお尋ねは、過疎地は過疎地でいろんな議論がなされてきた、都市部についても議論がそれなりになされてきた、その中間地でとでも言うべき過疎地以外の農村部や地方都市などの郵便局をどう考えるのかと、大変重要な御質問であると思っております。
 郵便局の設置につきましては、これ委員も御紹介してくださいましたように、法の第五条、局法の第五条で、あまねく全国において利用されることを旨とすることを法律的に義務付けている。さらに、省令における具体的な設置基準として、特に過疎地について、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定をしているところでございます。私ども、この郵便局のネットワークというのは言わば水道、水にも匹敵するような非常に欠かせないライフラインのようなものだというふうに思っておりまして、その中間地についてもそれがしっかりと維持されるような法律上の配慮を行ったつもりでございます。
 具体的に御指摘の地域を含むような過疎地以外の地域についての設置基準といたしましても、これも先ほど少し御言及くださいましたけれども、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されているという、そういう基準を定める考えでございます。
 このような措置に加えまして、この法案では、移行期間中における代理店契約の義務付けでありますとか、社会貢献基金の設置、さらには株式持ち合いによる一体的経営を可能とする郵便局ネット、一体的な経営を可能にする等々、要するに郵便局がネットワークとしてしっかりと維持されるような局の設置基準を決めて、そこでしっかりとサービスも提供されていきます、したがってこのネットワークも維持されますと、そのようなきめ細やかな法制上の担保を行うようにしたところでございます。
 これは、いずれにしましても、委員御指摘のように大変重要な問題であると。法制上の担保の趣旨を十分踏まえまして、国民の利便性に万が一にも支障が生じないように十分に配慮してまいります。そして、特定郵便局を含む郵便局ネットワークを国民の資産としてしっかりと維持していきたいというふうに考えているところでございます。
#33
○松村龍二君 ここにおられる委員の方はみんな選挙で当選したわけでございますから、私も福井県で二十四万票の票を得て当選しているわけです。この方たちに対して、今の答弁で本当に民営化しても郵便局が、特定郵便局がなくなりませんよということが伝わるかどうかですね。抽象的な、どうしても答弁に抽象的な部分があるわけですから、将来どうなるのかなという不安がぬぐえないわけですが、ただいま、この前の修正で、第四条二項の二号のですか、四条二項二号の「前号に掲げるもののほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務」という中に銀行及び生命保険業の代理業務というようなことが加えられたということで、修正した方は、片山虎之助参議院幹事長始め、与謝野政調会長、柳澤政調会長代理。このような方がもう大丈夫だと、三事業一体でやるんだからというようなお話でございまして、片っ方、四分社は変わっていないという総理の返事が、あるいは回答がありまして、どちらを信用していいのか分からないわけですけれども、そういう点で、私もこうして質問に立った以上、地元の人に対して、しばらく郵便局はなくならないんだという回答をいただいたというふうに思いたいと思います。
 ただ、これは今時間があったら総裁にもお聞きしたいわけですが、もしも郵政公社のまま続いておれば、今二万五千近くある郵便局がそのまま維持されるかどうか、合理化していくんではないかなというようなことも当然考えられるわけですね。それから、せっかく民営化して、人員あるいは郵便局について合理化しなければ何のメリットがあるのかなといった不思議もあるわけでございますが、この問題はこれにとどめておきます。
 それから、もう一つお聞きしたいのは、(発言する者あり)また時間がありましたらちょっと突っ込みますが、もう一つお聞きしたいのは、郵便局というのは昔から業務上横領とかそういう犯罪が多いわけです。
 私は、実は昭和三十六年に警察庁に入りまして、三十七年から三十八年に警察庁の捜査二課に勤務しまして、全国の知能犯事件の検挙報告が来ます。それを整理していて気が付いたことは、役場の中で健康保険業務その他で現金を預かるところで事故が起きる、あるいは郵便局、特定郵便局で事故が起きる。そのほかにもありますが差し障りありますので申し上げませんが、そんな思い出が、思いがあるものですから、私はこのたび、そういう郵政省、郵政省といいますか郵政公社の中の犯罪、あるいは今後民営化した場合にどうなるのかなということに関心を持つわけです。
 自民党の合同部会のときにどなたか一人質問しておりましたけれども、この衆議院百十時間、参議院五十時間の中でだれも質問した方がないと思いますので触れるわけですが、郵政省には昔は郵政監察局というのがありまして千人近い方が、まあ事故が起きやすい職場でありますので監察に当たっておった。そのうち六百人が司法警察員の身分を持ってやってきたわけです。現在郵政公社になりまして、名前が変わって監査部門というふうなことになっております。
 そこで、時間も制約がありますので、どういう犯罪があるかということを警察庁にお聞きしましたら、そういう分類はしていないので分からぬ、公社の方にお聞きしましたら、件数は教えていただいたんですが、こういう時代、一番最近便利なのはインターネットのホームページでございます、あるいは新聞等でございます。
 これは安倍さんが嫌いなアサヒ・コムですけれども、このアサヒ・コムを見ますと、日本郵政公社で職員による横領や盗みなどの犯罪の被害額が平成四年度中は既に十五億九千万円に上り、前年度の倍以上、最近十年間で最高額になっていることが分かったと。警察庁、検察庁に送致された職員は百三人と減ったが、巨額の横領が相次いだのが理由というと。
 去年八月、大阪府の特定郵便局長は自らが管理する局内の金庫から現金を盗んで着服し、被害額は七千九百万円に上ったと。千葉市内の特定郵便局長、当時、が逮捕されたけれども、伝票や領収書は発行せず、業者が局内に持ち込むダイレクトメールなどを自分で受け取って集配車へ積み込む手口で、料金別納郵便の郵送料として支払われた計十億円を着服したと。このほかにも、他人の郵便貯金を自分の口座に振り込んで着服、保管中の現金書留を盗む、小切手や収入印紙を金券ショップで換金するというふうな状況であると。
 そのほか、新聞記事を開いてみますと、今年の六月三十日、熊本監査室、公社ですが、借金返済やパチンコに使った四十万の横領、料金別納郵便を六十。六月二十四日には、福岡県の早良区西新の郵便局のあれがやはり同じような手口で百三十万円。宮城監査室は、三十代女性から預金通帳と印鑑を預かり、預金の払戻しに必要な郵便払戻し請求書を偽造、五百二十五万円をだまし取ったと。
 そんなような記事があるわけですが、まず公社総裁に、このような現状、郵便局が持つ宿命的な状況について、どのような体制でどのような監視をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#34
○参考人(生田正治君) お答えいたします。
 内部犯罪が結構、今先生に御紹介いただきましたように多発しておりまして、まず非常に責任を感じ、恥じ入っております。大変申し訳ないことだと思っています。
 今まで御議論がなかったんで事情をよくお分かりにならない先生方もいるかと思うんで、ちょっとだけ時間をいただきまして説明いたしますと、この過去三年間起こった犯罪、これはほとんど全部外部なんですが、十四年が五千百三十七、十五年が五千二百六十、十六年度が四千四百八十五ということで多少減ってきておるんですが、その中で職員による犯罪というのは十四年が百八十三件で百三十六人、十五年度が百四十二件で百三十三人、十六年度が百五十一件で百二十七人ということでございまして、常勤、非常勤入れますと三十八万人いるんで、とにかく限りなきゼロへのアプローチとは言っているんですが、申し訳ないことだと思っております。
 一応、今、監査部門の体制というのは九百四十四名で、全国に五十の室を設けまして、常にモニターし、見て回ると。それから、職員にはマニュアルを渡し研修をし、意識を高めると。それから、普通の人が普通に仕事して、内部の犯罪の場合に、普通の人が普通に仕事してそういう気持ちにならない、起こり得ないような仕組みにしようということで、システム化を急いでいる最中ということでございます。
 さらに、コンプライアンス委員会というのをつくりまして、副総裁の團をこれの委員長にいたしまして常時監視をすると同時に、情報開示を徹底してやるということで、過去は事故があっても余り発表していない面があったんですけれども、もう軽重を問わず外部に発表さしていただいて、それをもってまた引締めとするというふうなことをやらしていただいている真っ最中であります。
 今申しましたように、現在のところは何とかこれを限りなく内部犯罪はゼロ化に持っていくと、ゼロは無理にしましてもゼロに近いようにしようということでございまして取組中でございますが、もし民営化になるということであるんであれば、更に持ち株会社としての全般的機能も高めて、全部にかぶせた監視も必要になると思いますし、各会社、子会社は子会社なりに今まで以上にきめの細かい、専門的な分野にまで立ち入っての監察というのはどういうふうにあるべきかということを今、想定の問題として勉強しているところであります。
 特別司法警察員の権限というのは、これは先生御指摘のとおり、なくなるわけでありますけども、今までも警察とは十分連携いたしまして共同作業でいろんなことをやっておりますので、実態的にはそれほど変わらないんじゃないかなと、というふうに考えておりますし、当然のことながら、民間の銀行とか生保は自分たちの内部監査制度で立派に統制をしていらっしゃるわけで、まあ多少は事故はあるでしょうけれども、今それを勉強いたしまして、そういったところのできるだけいいシステムというものを取り入れられるように、そして外部の犯罪ももちろん何とか防止しないと、お客様の大切なお金を預かっているんですから大変申し訳ないことになりますし、職員の安全ということもありますし、ましてや内部犯罪というものは何とか今まで以上にきちんと管理できるように努力をしたいと、かように考えております。
#35
○松村龍二君 ここで竹中大臣に、この新しい法律ですね、こんな分厚いわけですけれども、その中で郵政監察に関する法案は一条もないわけでございまして、そういうセキュリティーのことは忘れたのかなというふうにも、まあ悪く言えば想像するわけですけれども、そこで、私は最後に御要望して大臣のお考えお聞きしたいと思うんですが、まあ銀行にしても信用金庫にしても金を扱う職場は民間にたくさんあるわけですから、それを民営化したら当然にそういう内部規律をしっかりして事故ないようにするんだと、こういうふうに御答弁まずされると思うんですが、しかし私が指摘したいのは、銀行と貯金、郵便局というのはちょっと違うと。昔から、銀行というと、支店長から窓口の女子職員まで、やっぱり支店というものがあって、そこでその日の決算が合わないと、お金と帳簿が合わないと残業して、もう三時に店を閉めるけれども、六時、七時、八時まで残業するんだというようなことが昔言われておりました、今はどうか知りませんけれども。
 したがって、その組織として間違いをチェックする仕組みがあると思うんですが、郵便局は、御承知のとおりに、特定郵便局だともう二人から五人ぐらいしかいないわけですね。これ、そういう中で二万五千のコンピューターの末端が届いているわけですから、コンピューターをちょんちょんちょんちょんといじくれば、一億円でも三億円でもぱっと数字で出てくるわけです。
 先日、テレビ見ていましたら、三十万円の預金通帳を持った人が残高幾らになっているかなと思って残高の照会に入れたら、一億三千万円って出てきたんでびっくり仰天して、試しに一万円引き出してみようと思って引き出したら、間違いですといって結局使えなかったという話がありましたけど、コンピューター社会というのはそれぐらい怖いものでございます。
 それから、絶えず現金が動く組織である。保険にしても貯金にしても、善意でおばあさんから預かってあれするとか、非常に。
 まあ、それから、今、特定郵便局のことはいろいろ言われますけれども、まあ自分の財産の局を持っていれば、局長も、間違いを起こしたらそれは取り上げられてしまいますから、局長も気を張って、二人ばかりの女子職員、まあ職員を目を光らせて監督するということはあると思いますが、今後、民営化の波の中でガラガラポンで四分社して人事異動等も起きますと、だれが上司やら下の者やら分からぬ、また責任感のない、またチェックすることができない機関になるということになりますと、当然にこのような事故が多発するという心配もございます。
 近代化というのは、地下鉄でも、近代的な車両にしたら、軽くしちゃって、表に出てきたところで風に舞っちゃって線路から脱線したというような事故も報道されるぐらい、うっかりしますとセキュリティーのことなんかは忘れて進みがちでございますので、その辺、十分注意していただきたいと思いますが、竹中大臣に最後に御意見を伺います。
#36
○国務大臣(竹中平蔵君) セキュリティーの問題、条文には出てこないんだけれども、ちゃんと考えているのかという大変重要な御指摘でございます。
 新会社において発生するかもしれない犯罪等々については、これは民営化に合わせてですけれども、一般的な内部監察による規律でありますとか、警察等にゆだねるというのが基本的な考えでございます。ただし、その場合も、委員正に御指摘のように、これは、公社の特定局というのは銀行の支店に比べてやはり少人数で、特にやはり幾つかの点を配慮する必要があるのではないか、それはもう御指摘のとおりであろうかと思います。
 このような状況を踏まえて、今公社においても、犯罪防止もその重要な経営課題の一つと受け止めていろいろな御努力をなさっているというふうに承知をしております。一部御披露ございましたけれども、中期経営目標においてコンプライアンスの徹底をうたっておる。そして、コンプライアンス基本方針を定めて、毎年度、コンプライアンスプログラムを策定、実行する、そして犯罪防止を含めたコンプライアンスへの取組を強化しているというふうに承知をしているところでございます。
 また、監査部門によって品質管理、効率的な業務運営体制、そして事故、犯罪の防止等の観点で、郵便局等々の業務を定期的に点検する内部監査を実施しているとも伺っておりますので、このような公社における取組を踏まえまして、民営化後の新会社におきましても、引き続きコンプライアンスへの充実した取組が行われていくことが必要であると、是非、政府もそのように関与してまいりたいと思っております。
 また、それ以外の問題としては士気、職員の士気を高めていただくような配慮原則に基づく様々な所要の措置も講じているところでございます。
#37
○松村龍二君 最後に、公社を所管している大臣は総務大臣でございますので、もしもこの法案が通れば再来年四月の民営化に向かって、最終的な現場の責任者は麻生大臣であろうと思いますので、ひとつよろしく目を光らせて、目を行き届かせていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございます。
#38
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。
 十五日に続きまして二回目になりますが、今日は、主としてこれまで余り議論にならなかった簡易保険の問題について、これも民間に移行するということでありますから、それに伴う、大変危惧している問題がございますので、この点について質問させていただきたいと思うわけであります。
 お手元に今資料をずっと回らしていただいておりますが、これは簡易保険の日本郵政公社からのディスクローズした資料でございまして、この間、私、本当に感謝しなきゃいけないというか、逆に言えばもっと早くやってもらえばよかったんですが、日本郵政公社の皆さん方から資料を本当に度々請求し、また、いわゆる責任準備金とか追加責任準備金とか、非常に専門的な議論を、私の理解が不十分なために随分と皆さん方に御迷惑をお掛けしまして、まだ本当に十分理解できてないのかもしれない、そんな思いをしながらも、しかしこの問題は、私が気付いている限りでは大変大きな問題があるんじゃないかというふうに思っています。
 まず最初に、このディスクロージャー誌から拝見をいたした結果、お手元の資料の一枚目から、簡易生命保険業務のいわゆる貸借対照表、それから損益計算書、そしてキャッシュフロー計算書、この三つについては、これは当たり前のものをそのままコピーしたわけでございます。
 そこで、いわゆる保険業界にとってみると一番やはり重要になってくるのは、三利源と言われている利益の源であります。すなわち利差損、あるいは利差、費差、死差と、こう呼んでおりますけれども、そのディスクロージャー誌を見て、お手元の三ページ目にそのディスクロージャー誌から出たものについて書いているわけでありますが、死差あるいは費差というところは利益が出ているわけでありますが、この利差損益というのが平成十五年に何と二兆百億円という大変巨大な金額の赤字が出ているわけでございます。
 結果的に逆ざやになっているわけでありますが、これは民間の生保と比べるとその資金量というのは、これは生保の資金というのは正に四大、四つの大きな生保会社以上の資産を持っていると言われていますが、それに比べるとこの逆ざやというのは非常に大き過ぎるんじゃないかと。これだけの金額の逆ざやが発生するということは、これは民営化後もこの逆ざやというのはそのまま発生し続けるのではないかと、こんな危惧を持つんですが、その点いかがでございましょうか。
#39
○参考人(生田正治君) お答え申し上げます。
 平成十六年度の三利源、今先生から既に紙の御紹介をいただきましたけれども、死差が八千八百億円のプラスで、利差が御指摘のように今度は一兆七千四百億円のマイナスでございまして、費差が七千三百億円のプラスということで、差し引きまして二千二百三十九億円のマイナスと、こうなったわけであります。
 今後の見通しで申しますと、死差と費差の利益は今後もほぼ似たような水準で、安定的にといっていいんでしょうか、出てくるんじゃないかと、こう思っておりますが、御指摘の利差損につきましては今後も残念ながら継続するということでございます。
 ただし、高い予定利率で引き受けました契約の満期というのがもうかなり大幅に解約にもう既に今なりつつありまして、二〇〇八年ごろには大きな山は大体越えていくというふうなことでございますので、利差損は続くけれども幅は減少していくということでございまして、三利源合わしても、今年は二千二百三十九億のマイナスになったんですが、三利源足してのマイナスというのがあと二年ぐらいは続くのかなと思いますが、三利源合計しますと大体二〇〇九年から一〇年ごろにはプラスに転ずると思います。
 大変残念なことに、民間はみんなプラスなのになぜ簡保だけが赤なのかというのが御指摘ありました。御質問のポイントになるんだと思うんですが、これは簡易保険が貯蓄型の養老保険などが主力になっていて、民間のように第三分野の保障性がどうもいろんな制約によりましてやっていけないわけですね。そういうことなんで、貯蓄性が主力になっているんで、金利低下によります利差損、逆ざやが大きくなりやすいと、こういう非常に簡保に特有の性格がある。この辺が今の仕組みでは駄目になりますということを、駄目になるというのは表現悪いですね、非常に健全性を欠いていきますという一つの大きな理由になるわけですが、そういうことと、公社設立のときに、すなわち二〇〇三年の三月に有価証券の一部を時価評価いたしまして利益を取ったということですね。公社設立後の運用利回りがその時点で低下してしまったということでございまして、利差損が民間生保より大きくなっているのはそういう大きな二つの理由によるものだというふうに御理解いただきたいと思います。
#40
○峰崎直樹君 特徴点よくつかまれていると思うんですが、そこで、先ほどおっしゃいました三利源の合計を見ても、平成十五年は先ほど申し上げたとおりですが、今総裁がおっしゃいました平成十六年度も結果的には二千二百億近い赤字を出しているわけですね。そうすると、要するに簡易保険というのは結果的にずっと基礎利益が、今も将来のことをおっしゃいました、多分そうなるだろうと。しかし、これはまだ将来のことなんですが、十五年度、十六年度を見る限り、結果的にやはり基調的にこの公社は赤字が続いているということだろうというふうに思いますね。
 そういう意味では、やはり公社の経営というのは我々が見ると、一見すると非常に民間生保に比べると有利だというふうに、あるいは民間生保に比べればソルベンシーマージン比率も高いと、こういうふうに言われております。それはそれで分かるんですが、しかし依然としてこういうふうに実は数字が赤字になっていると。
 ページ、六ページを見ていただきたいわけでありますが、これはディスクロージャー誌ですから、その平成十五年のいわゆる三利源と損益計算書との利益上の調整ということなんですが、これを見てみますと、確かに三利源の合計で、先ほど申し上げたように、修正しますと四千四百九十八億円のマイナスになっております。それを埋め合わせているのがキャピタル損益五千二十四億、それから責任準備金の戻入れ、これが千七百九十九億円ですね、その他損益を除いて、そのことによって辛うじて可処分可能利益一千六百九十九億円を出しているということですね。あと、それはどういうふうに配分されたのかということで、契約者配当準備金、価格変動準備金にそれぞれ分配されて、当期純利益はゼロ円と、こうなっている。
 そうすると、これは平成十六年度も十七年度もそうなんですが、やっぱりキャピタルゲインで実は利益を稼いで、そしてそれで埋め合わせていると、こういう実は構造になっているんじゃないんだろうかというふうに私は思うわけでありまして、その意味で、簡保の今の経営というのは正に株価に依存している。株式市場が好調に依存すればそれに応じて黒字になるけれども、株式市場がこれが本当に好調かどうか。
 竹中大臣も就任のとき、どのぐらいの株価だったのかというのは御存じだろうと思いますね、一万四千円前後だったわけですが、今一万一千八百円ぐらいでしょうか。それでもどん底の、二〇〇二年のたしか十月ごろ、どん底じゃなかったでしょうか、そのどん底から比べれば少し上がっているから、これで二〇〇三年に時価評価されましたですね。それから再度こういうふうに上がってきたと、こういうことなんです。
 そうすると、簡易保険のその黒字というのは、やはりこれは株依存だなと、こういうふうに理解して、総裁、構いませんでしょうか。
#41
○参考人(生田正治君) お答えします。
 さっきも申し上げた二つの要因で、利差がやはり相当大きくありまして、それから急激に減ってきているんですけれども、まだ当分続くということは申し上げたとおりであります。その意味では大変苦しい。ただし、三基礎利源を足すと黒字に転ずるのは、多分二〇〇九年前後には転ずるわけで、そうすると民間並みに、額は別といたしまして転じてきて、健全経営に入っていくということをまず申し上げておきたいと思います。
 基本的に、健全経営に持っていこうと思ったら、やはりビジネスモデルを開放していただいて、多少は保障性の、今の市場でお客様が一応喜んでいただける商品にもある程度入らせていただかないと基本的に難しい面が残ると思います。
 そこで、今度は、キャピタルゲインで、じゃ経営しているのかということでございますが、今回、十六年度で四千五百七十四億円のキャピタルゲイン出しましたけれども、これは、利益操作といいますか、利益作りで出したんでは全くないわけであります。これは、幸い株式市場が堅調に推移いたしまして、委託運用で、保有しておる株式につきまして各運用機関が理想とするポートフォリオを設定してくれております。それからまた、定期的な銘柄の入替えも行っているというふうな、この売買を通じての結果として出てきた数字でございまして、これで黒字をやっと維持して、そのために毎年やらなきゃならないということではないと。
 どうしても貯蓄型ですから低金利時代は経営は苦しくなるわけであります。したがって、それで将来お客様に保険金をお支払いするのに支障を生じたら困ると、それをカバーするために責任準備金を積ませていただいているわけでありまして、加えて、郵政の場合は貯蓄性が大きいのでほかの方よりも更に苦しくなるかも分からないということで、追加責任準備金もその中において併せて積ませていただいておりますので、将来の支払につきまして不安が生じることはないというふうに考えております。
#42
○峰崎直樹君 そこで、その責任準備金の話に入っていきたいと思います。三利源の問題、また恐らく後で出てくると思うんですが。
 そこで、責任準備金って一体何だろうかと。これ、生命保険会社の将来の保険金の支払に備えて積み立てていくことが義務付けられている負債と、こういうふうに私は理解しているんですが、公社の方はこういう理解でよろしいでしょうか。
#43
○参考人(元女久光君) 先生御指摘のとおり、責任準備金とは、保険会社におきまして、将来の保険金支払に備えるための積み立てている準備金であるというふうに承知しております。
#44
○峰崎直樹君 ちょっとここから先、やや専門に入ってくるんですけれども、この責任準備金の積立方式というのは、これ、時価でやる方法と、それから原価で行う償却原価法があると、こういうふうに理解をしているんですが、簡易保険はどちらの方法で積み立てているんですか。
#45
○参考人(元女久光君) その辺の方式、どちらかという前に、私ども、二つの計算式を持っております。
 問題になるのは、その責任準備金のうち、直接に、保険料積立金と申しまして、満期保険金に充てる金額だと思うんですが、一つは、金利等一定のシナリオを描きまして、保険契約が九五%まで証明する三十年間の中でどれだけ資産があってどれだけ負債があるかというのを計算しまして必要な準備金額を計算する方法、そういうシナリオのものと、それからもう一つの方法は、直近の方法で計算した方法で、それはもう結果は出ておりますので、簡便な計算式でやる方法。
 いずれにしましても、その二つの方法の高い額を積み立てるようにやっておるところでございます。
#46
○峰崎直樹君 今のは簡易保険の責任準備金の積立方法ということで、これはたしか総務省令で定まって、述べているやつの、いわゆる一号方式、二号方式と言われているもので、一号方式が今おっしゃった事業年度で認可されている方法、今の事業年度でやられているものの、それで算出した結果が一号だと。二号は、金利等の一定のシナリオをかいて、将来の資産及び負債の状況を計算して、そして将来の保険金等の支払に必要とされる積立額を計算するということですね。この条件はいろいろあります。これは二号方式と。で、どちらか大きい方が要するに簡保の責任準備金ですよというやり方ですよね。
 民間の生命保険のやり方は、これはどういうやり方を取っているんでしょうか。
#47
○参考人(元女久光君) 生命保険業法の仕掛けの中のお話ですので、ちょっと不正確な点があろうかと思いますが、やはり同じように責任準備金を計算して、その不足額を積み立てているというスキームがあるやには承知しております。
 ただ、私が先ほど申しました、どれぐらいのシミュレーション期間を置くのかというのは、民間の場合は十年ぐらい計算して五年間積立てとか、それからあと保険料、新しい保険料を入れるのか入れないのか、我々は安全を見込んで入れてございませんが、民間生保さんの場合はどちらでも選択できるとか、ちょっとやり方に違いがあるようでございます。
#48
○峰崎直樹君 ちょっとここはもう時間がないので、民間の場合にはそのいわゆる責任準備金の積立方式というのは、ちょっと正確な、ちょっと表現がよく、後でまた詳しくあれしたいと。平準純保険方式というふうに呼んで、簡保の場合にはそれを上積みして、追加責任準備金というものを積み増して、そしてその追加責任準備金は、いわゆる利ざやが、逆ざやが生じて、先ほどの計算でいけば足りなくなるかもしれないというときにそれを、追加準備金をいわゆる充てていくと、こういうやり方だと言えますよね。どうでしょうか。それでいいんですね。
#49
○参考人(元女久光君) 追加責任準備金という考え方は、簡保の場合も民間の場合も同じようにあると思います。ただ、その計算方式が先ほどちょっと違うというふうに申し上げました。
#50
○峰崎直樹君 いや、計算方法も違うけども、一番違うのは税金が掛かるか掛からないかですよ。この問題は後でちょっと実は、財務大臣、覚えておいていただきたいんですが。
 ちょっと何か専門的に少し流れ過ぎたような質問になっちゃったんですが、何が言いたいかというと、今私が冒頭申し上げたように、計算方法も違うけれども、簡保の場合には追加責任準備金というのが九兆円ばかり、約九兆円ですね、今積まれておる。これはそういうふうに理解して、民間にない、民間にないというか、民間でも積み立ててもいいし、太陽生命はたしか危険準備金を取り崩してこれを追加責任準備金に繰り充てたと、こういう民間の報道が私、覚えているんですが、しかしそのことは別にして、別にしてですね、民間生保よりもかなり手厚い責任準備金が約九兆円近くそこに存在していると、こういう理解でよろしいですね。
#51
○参考人(元女久光君) 済みません、正確には八兆三千、四千億ほどでございます。
 それで、手厚いといいますか、三十年間計算して大丈夫だという計算式をやっているというところで、相当保守的な積み方をしているんじゃないかと思っております。
#52
○峰崎直樹君 そこで、竹中大臣、これ、広田一さんの、私たちの、七月二十一日の郵政民営化に関する特別委員会で、簡易保険の問題について大臣お答えになってらっしゃるわけですね。それは覚えていらっしゃいますでしょうか。余り覚えていらっしゃらない。
 それは、銀行についてはお答えさせていただいたと、保険会社の扱いはいささか違うわけでございますと呼んで、この民営化前の簡保の旧契約につきましては、これは管理機構が承継して郵便保険会社に再保険で出再するということにしておりますと、こうおっしゃっていますね。そして、この再保険契約についてですけれども、生命保険の保護機構、いわゆる例の保護機構の対象外としておりまして、この保護機構の負担金を負担することはないわけでありますけれども、この保護機構への負担金の支払、支払わないことによってこの超過収益が郵便保険会社に生じるものではないというふうに考えておりますと。で、ずっとお話がありまして、仮に、郵便保険会社において簡易保険についてその処分可能利益が発生した場合には、この再保険契約に基づいて、機構を通じて旧契約の契約者に配当して還元することとしているわけでございます。したがって、郵便保険会社に利益が帰属することにならないものですから、これはイコールフッティング上問題になることはないというふうに考えているわけでありますと。
 こういうふうに答えているんですが、今もその考え方にお変わり、変更ございませんか。
#53
○国務大臣(竹中平蔵君) 変わっておりません。
#54
○峰崎直樹君 そうすると、簡保のこのいわゆる責任準備金、さらに追加責任準備金は民間へ移行する、再保険をする場合に、この旧契約はどちらに実は所属されることになるんでしょうか。九兆円、まあ八兆数千億と言われましたが、この金額はどちらに、旧契約に属するのか新契約に属するのか、どちらに属するんでしょうか。
#55
○国務大臣(竹中平蔵君) これは民営化の前に締結された簡易生命保険契約でございます。機構に承継させることによりまして旧勘定に属するということになります。
#56
○峰崎直樹君 そうすると、旧勘定に属する、これは再契約、再保険をされるんですね。再保険をされて、旧契約でのいわゆる区分経理されたものと新契約で区分経理されたものと、これが両方併存して新会社が運用するということですか。
#57
○国務大臣(竹中平蔵君) そういうことになります。
#58
○峰崎直樹君 そうすると、旧会社においてこの九兆、九兆円近いその保険、追加保険準備金というのは、これはだれのものになるんでしょうか。もう一度、もう一度説明しましょうか。
#59
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと正確に理解しているかどうかあれですけれども、これにつきましては、だれのものかということになりますと、これは旧簡保の契約者のものだということになります。
#60
○峰崎直樹君 そうすると、簡保の契約者の旧債権債務については全くこれは同じような、新契約した人と同じような扱いで処理されていくのか、それとも新契約及び旧契約は一緒に、ごっちゃにして、つまり合体していわゆる運用されていくのか。それはどちらなんでしょうか。
#61
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、その運用とおっしゃったのは、資産のALMをどうするかという全体の観点からですとこれは一体的にALMをしていただいていいわけですけれども、勘定区分といいますか、その帰属に関しては当然別ということになります。
#62
○峰崎直樹君 その帰属はどのように基準を設けてこれから進まれようとしているんですか。何か基準はあるんですか。
#63
○国務大臣(竹中平蔵君) 新勘定に移って以降、旧勘定と新勘定がしっかりと区別、どのようにされるのかと、そういう御指摘だと思います。これは当然のことながら、相互の損益の付け替えを生じさせないという意味からも重要に相なります。
 その仕組みについては、もう再保険に出再するということは申し上げましたけれども、この結果、保険会社に関しましては新旧契約に係る資産を一括して運用することにはなりますが、旧契約に係る資産の運用リスクは、これは再保険契約によって新会社に移転をするということになります。したがって、あらかじめ再保険契約に定められた債務を超える運用益、債務を下回る運用損、そういうものについては新会社に帰属をするということになる。
 そして、機構と郵便保険会社は契約に基づく関係になるものでありまして、契約の定めを超えて事後的に一方に生じた損失を他方が補てんしたりとか、逆に利益を移転したりというような仕組みとはなっていないわけです。また、旧簡易生命保険契約の契約者に対してはあらかじめ、あらかじめ再保険契約に定めるところにより、再保険契約に基づく再保険配当を原資として機構から契約者配当が行われることにしておりまして、過剰な運用益が新会社に帰属することにはならない。
 なお、承継時の再保険契約については、これはしっかり定めることが重要なわけですけれども、これは承継の基本計画において、実施計画への記載事項としまして、内閣総理大臣及び総務大臣が実施契約認可の段階で内容を審査する。さらに、両大臣は、実施契約の認可をしようとするときは、有識者から成る第三者機関であるこの民営化委員会の意見を聴取した上で財務大臣と協議をするということもこれ法律で決めておりますので、イコールフッティングの観点からも内容の適正性は担保されているというふうに考えております。
#64
○峰崎直樹君 それは、今いろいろと、ちょっと、かなり口で言われたのでなかなか分かりにくいところがあるんですが。
 問題は、その九兆円の追加責任準備金という、ある意味では公社時代に無税で積み立ててきた資産を、そしてそれは旧契約として新会社の中にALM管理一体でやるというときに、このいわゆる追加責任準備金も含めたその財源というものを、この新会社のいわゆる利益とあるいは経費と、そういったものに付け替えられるということが本当にこれは担保されているんでしょうか。それは本当に、それは法的にどういう仕組みで実は担保されているのか、この点は極めて重要な、いわゆる民間とのイコールフッティングの問題と絡めて、先ほどイコールフッティングということを強調されましたから、その点はどういう仕組みなのかと、このことの質問を終えて、今日、もう午前中、午後からまた三十分ございますので、改めてまたその後の追及をさせていただきたいと思います。
#65
○国務大臣(竹中平蔵君) その点は先ほど御説明させていただいたつもりなんでございますけれども、旧契約に係る資産の運用リスクは、これは再保険契約によって新会社に移転するということになって、リスクは新会社に移転します。損が出るか、損が出るか、得が出るか、それは新会社に移転すると。
 そして、したがってあらかじめ再保険契約に定められた債務を超える運用益を、損については新会社に帰属することになる。したがって、一方的な、事後的に一方に生じた損失を他方が補てんしたり利益を移転したり、仕組みとはならない。
 それを、再保険でございますから、その内容については、承継の基本計画及び実施計画に記載をして主務大臣がしっかりと見る、それを確認するということでございます。
#66
○峰崎直樹君 じゃ、午後からやります。
#67
○委員長(陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#68
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を再開いたします。
 郵政民営化法案外五案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#69
○峰崎直樹君 午前中は大変、時間配分間違えて少し早く終わって恐縮でございました。大変失礼いたしました。
 そこで、竹中大臣、午前中の続き、やや間が抜けた感じしますが、要するに責任準備金、追加責任準備金というのが、一体これは、それを入れて新会社に再保険されていくと。そうなると、もしこれが利益が出てこなくなって、新会社が出てくるようになると、この追加責任準備金は利益処分として出てくるではないですか。そうすると、このいわゆる、これは旧債権の人たちのものですよと言いながらも、実際上の運用を通じて、これは結果的には、この利益処分という形で新会社はその追加責任準備金分だけ実は他の民間生保とはやや有利な運用がされるんではないか、イコールフッティングにならないじゃないか。この点は、先ほどの説明聞いてもどうしてもよく分からないんです。
 そこで、提案があるんですが、その分からないということと、これは財務大臣も覚えていてほしいんですが、この追加責任準備金、約九兆と申し上げましたが、八兆数千億だと思うんですが、これは無税で積んだわけです。これは簡易保険の特有の正に有利な条件だったんですが、このいわゆる追加責任準備金は、民間に移行する場合、全部くれと言わない、しかし民間とイコールフッティングするときには、この四〇%、すなわち法人税率分は、実はこれは本来国庫に入っていたものだと、それが実は積み増しされてきたんだ。これは決して間違って積んだんじゃない、違法で積んだんじゃない。総務省令で、基づいて積んだんだけれども、移行する場合にはそこのところはイコールフッティングにしないとまずいんじゃないか。どうでしょうか。それだけの、三兆数千億入ってくると思いますが、大変、臨時収入として見ると非常に魅力的なんですが、そういうことの扱いが許されるかどうか。
 その点も含めて、竹中大臣と、もし意見があれば財務大臣にもお聞かせ願いたいと思います。
#70
○国務大臣(竹中平蔵君) 午前中の話で非常に専門的なことを、大事なことを聞いていただいておりますので、ちょっと私なりに、済みません、整理をさせていただきたいんですが、まず、責任準備金というのは、将来の保険の支払の流列をある種現在価値に何らかの形で割り引くと。その場合に予定利率を用いて普通割り引くわけでございますけれども、いわゆる逆ざやが生じるような低金利の場合には、それなりの不足が生じる可能性があるので、追加責任準備金を積む。それを簡保の場合は非常にしっかりと、ある種、非常に民間よりもむしろ保守的にやってきたという事情があると。今度は、じゃそれを引き継いで旧勘定に行きますと、旧勘定はそのまま再保険されて保険会社で運用されるようになります。そのときに、その今まで積んできたものが不当にこの民間のものを有利に、民間の会社に有利な影響を与えてしまうことになるのではないかと、それがイコールフッティング上問題ではないかというのが峰崎委員の問題意識であるというふうに思います。
 午前中の答弁でも申し上げたつもりなんですが、それに関しては、まずなぜ、なぜ旧勘定を機構が持っていないでこれを保険会社の方に再保険に出すかというと、これはやはり資産そのものは一括運用、一括のALMをやってもらう方が効率的だからと、もうそれにある種尽きるわけでございます。
 ところが、その場合に、実は内部的にと申しますか、管理会計上はやはり何らかの別会計、別区分をしていただいて、その部分、旧勘定、旧契約者に払う分は、それにしっかり払っていただく。しかし、その間に余分な損益が振り分けられないように、つまり、委員御心配のように、不当な形で新しい郵便簡保会社を、失礼、保険会社を利さないような、そういう仕組みはつくっておかなければならない。これは、通常の場合はその準備金の大きさ等々でしっかりと運用益を案分するというようなことを基本に、これは民間の場合でもそのように行われているというふうに承知をしておりますが、そのような形での管理会計上のといいますか、内部的な区分の経理はやはり何らかの形でしていただかなければいけない。そのようなことを定めた再保険の内容については、承継計画でしっかりと主務大臣が担保をいたしますと。そのようになるのだというふうに思います。
 それを踏まえて、それを踏まえて、さあ、新しいといいますか、今の委員の御提案は、今まで無税で積んできたものについては国に返すという考え方はあり得るかということでございますが、やっぱり、これはやっぱりそこは無理があるのではないかというふうに思います。
 これは、やはり今までは公社としてその仕組みの中でやってきたものでございます。
 これは郵便貯金についても同じことがあるわけですね。郵便貯金についても、運用益について、運用した資産を内部留保としてためて、それに見合った資産を持っているわけですけれども、今まで税金払っていなかったからそれを全部過去にさかのぼって返してくれという話にはこれはやはりならない、そういうことがあってはならないのだというふうに私は思っております。
 そこは、しかし、これはやっぱり仕組みが変わるわけです。今その仕組みを変えるに当たっては、旧勘定としてしっかりと管理をして、そして新しい勘定に影響を与えないような仕組みをつくって、そして民間の会社に、民間のルールに従う、納税も行う会社に切り替わっていくと、そのような仕組みが必要だと思いますし、そのような制度設計にしているつもりでございます。
#71
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も最近、いただけるものなら何でも持っていく男だと思われているかもしれませんが、全く今、竹中大臣がおっしゃったのと同じ御答弁でございまして、無税で、確かに新会社に行くときは無税で承継をしていただく、そしてその代わり使ったときに繰延べでやると、こういう形で、以降は民間とイコールフッティングと、こういうことでございます。
#72
○峰崎直樹君 どうもそこは本当に、じゃ、その区分経理がされて、その利益処分がきちんとやられるんだろうか、その点についての、これは主務大臣がこれからやっていくということで、そっちの方の担保が私は取れていないと思っているんです。その上で、ここは余りそこばかりつついても仕方ありません。
 そこで、竹中大臣、それでは、その責任準備金のいわゆる時価評価といいますか、問題になるわけでありますが、この責任準備金は、これから公社から民間会社に移行しようとしているわけです。そうしたら、この時点で一回、この責任準備金はきちんと足りているんだろうかと、このことについて一度時価評価をしてみる必要があるんじゃないんだろうかと。この点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
#73
○国務大臣(竹中平蔵君) 機構と、それと郵便保険会社との間で再保険の契約が結ばれる。これは郵政民営化法の百六十条第一項の規定によって、その基本計画において、承継時に機構が再保険の契約をその保険会社と締結することが定められているということになっております。
 再保険に係る負債の問題ですね、資産と負債とあると思いますが、負債については、準備金ですから負債についてのお尋ねだと思いますけれども、この郵便保険会社は、保険業法の規定に従いまして、毎決算期において将来における再保険債務の履行に備えるために責任準備金を積み立てる。それも、先ほど言ったようにかなりしっかりと保守的に積み立てている。
 この保険責任のすべてを移転する再保険、これは共同保険式再保険と言うんだそうでございますが、そのような場合においては、元受け契約と同様の責任準備金を積み立てることとするのが再保険業界における一般的な慣行、これは再保険というのは民間でもございますから、再保険、民間における再保険の慣行であると。そして、郵便保険会社においても、旧簡易生命保険契約の債務の履行のために、公社において積み立てられてきたこの責任準備金の積立方式に準じて再保険契約に係る責任準備金を積み立てることになると想定をしているところでございます。
 これらは、一部時価評価に準じた考え方を取り入れたものというふうに思っておりますので、これは、だからこそ追加責任準備金を積んでいるわけですね。だからこそ一般の慣行に従って、今申し上げたような方式で私は行われるべきであるというふうに思います。
#74
○峰崎直樹君 実はずっとこう、いや、これは一部時価方式を取り入れたものだと、こうやっておっしゃっている。後でまたそれをやりますが、結論から先に、イエスかノーかですから。
 現在積んでいる追加責任準備金百十四兆あります。百十四兆というのは、もうこれで十分足りていると、これは洗い替えすることはないと、時価に換算する必要はないと、こういうふうにお考えですか。
#75
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど公社の方からも御説明がございましたが、今の公社の方式というのは、私の理解では、要するに、先ほども言いましたように、将来の保険を、保険の流列を割り引くときに予定利率で割り引いている。予定利率と実際のマーケットの金利が違った場合、マーケットの割引率が違った場合の差額について、ざっくりと申し上げていますけれども、それを追加責任準備金として積むという方式を取っておりますので、その意味では時価に準じたものになっていると、そのような仕組みで運用されているというふうに理解をしています。
#76
○峰崎直樹君 この資料ですね、付け加えて、実は簡易保険の責任準備金の積み方というのは六ページ以下、先ほどちょっと私、口頭でやっちゃったんですけれども、一号方式、二号方式とか計算方法について出ております。そして、計算された数字も八ページに、郵政公社からいただきました。残念なのは、このデータ、特にこの八ページのデータは、今日もお見えになっておられますが、事務方の方でこの収支分析の結論だけもらっているんです。願わくは、このいわゆる計算方法、大前提、あるいはその六ページ目の将来収支分析による最低積立金の算出の条件となっている様々なデータが、結果的に資産幾ら、負債プラス資本幾ら、こうなっちゃっていて、このいわゆる結果ですから、これは内訳が載ってないと実は計算できないんですよ。後で述べますが、私たち民主党は、専門家に頼んでこれをいろんな角度で実は計算を、予測したわけであります。その予測は後でまたちょっと申し上げたいと思うんですが。
 そこで、一番最後のこのお渡ししましたページ、開けていただけますでしょうか。責任準備金のイメージ、まあ圧倒的にウエートを占めている養老保険のイメージで、このXという点は要するに将来的にこれだけの約束をしている保険、保険金を払うということがX点であります。契約利率というのは、これは生保に入ったときの、いわゆる民間で言えば予定利率です。今三・一%と、こういうふうに聞いています。そうですね。政策利率というのが二・五九%です。これは総務省令に基づいて、今一部時価方式というふうにおっしゃいましたけれども、その政策利率というのがこのBの線です。赤い線です。赤くなっていませんが、ちょうど真ん中の線です。問題は、B、Cの間が追加責任準備金なわけです。これはそうですね、間違いありませんね、まあちょっと時間がないので、このB、Cの間が約九兆、正確には八兆四千億程度だ、こういう理解ですね。
 それで、後でまた確認申し上げますが、そこで上に実勢利率というのがあるんです。この実勢利率というのは、要するに現在の時点において約三十年という長いタームを取っていますから、三十年のいわゆる長期金利というのはどのぐらい、三十年国債って今発行していましたでしょうかね、二十年国債というのは見たことがありますが。三十年先をずっと見ると。そうすると、そのときの、三十年先の平均的な利率というのは今幾らだろうかと。これは、専門家に言わせると、三十年は要らないんです。半分の十五、半分で結構ですということですから、二十年物の金利取ってみると、たしか二十年物が二%前後だと思います。
 そうすると、実勢金利、これ二%で、私たちはこれ、Aという点は二%、Bという点は二・五九%、契約利率は三・一%、こういうふうににらんだわけです。
 そこで、この一番上の実勢利率を投じているのは、国際会計基準というのがあります、IASBといいますか、そのいわゆる国際会計基準には時価会計をこのいわゆる保険商品においても適用すべきだという提言をしているんですが、これを採用しているところはどこもありません。アメリカも反対、日本も取っておりません。
 問題は、ただし、ここから先なんですが、郵政公社から新しい民間の保険会社に移っていくときに、当然のことながら、かつての事業庁から公社に移行したときも時価会計をやりました。ということは、清算会計、すなわち一度ここで、二年後の郵政民営化に移行するまでの間、どのぐらいの積み増し不足があるのかということを測るのは、私はこの実効利率、一番上の線だというふうに思うんです。この点について、竹中大臣、この責任準備金が足りているんですかということを言ったときに、政策利率のところで今進んでいて、今のままでいけば大丈夫ですと言っているけれども、しかし、現時点における時価会計、すなわち清算会計を適用するとしたら、それは足りてないんじゃないのか。このように私は思っているわけです。
 そこで、竹中大臣、その点についてどのように考えているのか、お答えください。
#77
○国務大臣(竹中平蔵君) 二点を申し上げたいと思います。
 まず、国際会計基準のお話がございましたが、これは今どういう状況になっているかといいますと、保険契約に関する会計処理については、この国際会計基準審議会におきまして検討が進められておりまして、昨年三月に国際財務報告基準第四号保険契約というのを公表したものと承知をしております。これは、国際的に大きく異なる保険業の会計基準を収れんさせる、コンバージさせることを目的としたものでございますけれども、各国の広範な利害調整等がこれ必要ですので、済みません、これは現行の金利水準で割り引かずに測定するという、現行の会計方法のやり方を容認するというフェーズ1を完成させたものというふうに思っております。先ほどから何回も申し上げておりますけれども、予定利率で割り引くのか今の金利で割り引くのかと、その違いであると。
 しかし、これはまあ非常に詳細な図を今お示しいただきましたが、これはまさしく言葉を換えれば逆ざやそのものなわけでございます。逆ざやが存するから問題があるのではないかというお尋ねだということで、そこで二点目なんでございますけれども、基準そのものはまだいろんな議論があるというのが第一のポイントでございますが、じゃ、逆ざやがどうなるかということをやはり論じるべきであると。
 逆ざやに関しましては、これは御承知のように、これは民間の生保も大変だった時期があるわけですが、これが解消しつつあると。逆ざやの解消が簡保の場合は民間よりも遅れているわけでございますけれども、貯蓄性のものが多いということで遅れておりますけれども、これについてもその方向に向かっているという状況にあるというふうに認識しておりますので、その意味で、私が申し上げていますように、今の状況に関して何か根本的に抜本的に見直す必要があるというふうには認識はしていないわけでございます。
#78
○峰崎直樹君 これは大臣、私はとんでもないと思うんですよ。とんでもないというのは、要するに国際会計基準の変更が多少あった。要するに、いまだにこの当初、二〇〇三年でしょうか、提案された国際会計基準では時価会計とかいろんなもの提案されている。これはどこの、今世界各国どこもやっていない。それは分かります。そして、恐らく部分的に是正されてきたんだと思うんです。
 問題なのはいわゆる継承、この公社から民間に移行するときには一度ここで清算をして、この時点においてはどのぐらいの損益が見込まれるのかということを時価でもってきちんとやらない限り、新会社は本当に一兆四千億円の資本金で大丈夫なのかどうなのかということは、この時点において、例えば東京株式市場に上場するとなったときに上場基準出てまいります。しかし、この会社には偶発債務として、このAのBの間のいわゆる、何といいましょうか、逆ざやの現在時点における認識がどのぐらいあるのかということについては、これは明確にしないとだれも私たち信用してもらえないんじゃないでしょうか。だんだんこれから逆ざやはなくなっていきますよというのは、競馬の予想屋と同じじゃないですか。
 ちょうど、もう竹中大臣が登場して何年になります。あなた、登場されて二年か三年でそのデフレは解消します、いまだにデフレは解消していませんよ。それぐらい難しいと思うんです。デフレの解消難しいと思うけれども、利息の計算だって、いやいやそのうち逆ざやは解消しますよと、こういうふうにおっしゃっている。先ほど、総裁も逆ざやについては解消するかもしれないと言っている。だけど、かもしれないなんだ。現時点において計算したらどのぐらいになるのかということを、CとBの間、これが約九兆とすれば、BとAの間、見てください、二・〇に計算して、政策金利が二・五九、下が三・一〇を計算すると、おおよそ数兆円のこの逆ざやが生じているんじゃないか。つまり、将来足りなくなる恐れが現時点で認識し得る水準としてあるんではないか。このことの計算をやらなくして、私は郵政民営化を、この簡保が民間移管できますということの確証というか保証は、私、取れないと思いますよ。
 その計算式出してくださいよ、それをやってくださいよ、郵政公社やってください。どうですか、これは。
#79
○国務大臣(竹中平蔵君) 申し上げたいのは、これ公社から民間会社になるに当たりまして、そのような意味での時価の評価等々も含めた必要な資産の、資産と負債の評価を行う、そういう手続になっているわけです。ところが、その場合のルールがどうかということで、負債についてどういうルールが適用されているか、一般の民間の会計慣行等とも照らしてどうであるかということは先ほど御説明を申し上げました。
 これは、要するに、評価委員が評価した価額で資産等々の承継を行うということは、これは郵政民営化法の第百六十三条に明記しておりますので、評価委員会をつくりますので、それは行います。
 ただ、その場合の基準について、これ先ほど言いましたように、負債は先ほど言ったようなルールでやると。資産についても、これは当然のことながら、通常認められている、時価で評価するものは時価で評価しますし、しかし簿価で評価されるものもないわけではない。そのルールに基づいてしっかりとやっていく。これはやります。
 恐らく、峰崎委員の御指摘は、その場合の負債のルール等々が国際会計基準として先行的に先取りされて議論されたものを当てはめるべきではないかというふうにお聞きをしたんですけれども、これはしかし、世界じゅう、日本じゅう、そうしたことが行われていない段階でこの公社にだけこういうことを求めるというのは、これはやはり少し不適切なのではないか。我々は、民間でのんでおられた一般的なルールに基づいて、評価委員会も設置をしてそのような必要な評価は行うということを申し上げております。
#80
○峰崎直樹君 あのね、前提条件が違うんですよ。ゴーイングコンサーンとしてずっと続くだろうと思っているわけです。ゴーイングコンサーンじゃなくて、ここは一回締めなきゃ駄目なんじゃないですかと言っている。
 この点で、いや、将来計算するという、計算してくださいよ。計算式出してください。これは、たまたま今郵政公社の方からもらったら、結果は出てきていた、これで大丈夫だとおっしゃっている。しかし、その大丈夫は、真ん中の線を基準にして大丈夫だと言っている。そちらの方の計算はそれで正確なんだろうと思うんですが。
 要するに、現時点において、将来収支のこの分析というものが、この数字を本当に大丈夫だと、これを二・五九で計算してあります、二・五九というか、今の総務省基準で。私が言っているのは、なぜ国際的な最先端の基準を言うかというと、最先端の基準が適用しているからじゃないんです。ゴーイングコンサーンではなくなるというふうに前提して、移行過程ではきちんと計算しない限り、実はそれはどんな偶発債務が生じるか分からないじゃないですか。どんな将来収支不足が生じるか分からないじゃないですか。そのことを言っているんですよ。
 ですから、そういうふうにおっしゃるんだったら、その将来収支を計算した数字をこれ以外に出していただきたい。それと同時に、郵政公社にお願いしたいのは、これは、たしか大塚議員もこれは要求されていたデータなんですけれども、この将来収支の基礎となるデータをきちんとやはり早く私たちにも欲しい。我々は、いろいろと推計はしましたよ。約十兆円近く出るんじゃないかと、このAとBの間が。こういうふうにデータは持っていますけれども、そのことをきちんと出さない限り、本当にこの郵政民営化はやって大丈夫なんだと、できないんじゃないかと、この点についての確証が出ないんですよ。審議がこのまま継続できないんじゃないんですか。
 竹中大臣、もう一回答弁お願いします。
#81
○国務大臣(竹中平蔵君) 非常に、ちょっと根本的なところで今の御発言、ちょっと私気になったんでございますが、これはゴーイングコンサーンです。ゴーイングコンサーンであるからこそ、それにふさわしいその計測のやり方が必要になるわけです。もし清算後に、清算するようにとおっしゃいましたけれども、それだったら清算価値でやればいいわけですから、清算価値でやるのとゴーイングコンサーンで全く違う。清算価値でやるんだったら将来を時価に割り引くなんて発想はそもそもありませんから、それはやっぱり峰崎委員の議論御自身が実はゴーイングコンサーンを前提にした時価会計の議論をなさっておられるのではないですか。だから、これはゴーイングコンサーンなんです。だから、ゴーイングコンサーンとしてどのような基準を適用するのか、それについてはいろんな御意見があるというところだというふうに承知をしております。
 我々は、民間企業の分割時の承継資産の評価については、会社分割の形態等々によって、原則時価評価となる売買処理法と簿価で引き継がれる簿価引継ぎ法の両方の考えがあるということを承知しておりますけれども、公社の経営形態に近い単独新設分割の場合には、支配関係が継続されるというふうにみなして、簿価で引き継がれるものは簿価で引き継がれると、適用するのがこの一般の公正妥当と認められた会計慣行であるというふうに認識をしております。
 承継時の時価については、これは、失礼、承継時の評価については、先ほど言いましたように評価委員が適正に判断するということになるわけですけれども、その場合は、現行の、一般に公正妥当と認められる会計慣行に準拠してしかるべく評価を行っていくということになります。
#82
○峰崎直樹君 ゴーイングコンサーンであるとおっしゃいましたけれども、それならば、先ほど、前にお話ししたように、この資産は区分経理していくんでしょう。この区分経理していけば、やがて資産と負債はずうっとこれは消滅していくんじゃないですか、三十年なり何十年たったら。ということは、その時点においては、これは区分経理をして、これはゴーイングコンサーンであるように見えるけれども、実はこの時点において、この区分経理をした範囲の中における、この時点における将来分析をやるんじゃないんですか。そうでないものを、何かあたかもゴーイングコンサーンですよというふうに言ったら、ずうっとごっちゃにして、それはもう両方をごちゃ混ぜにしてやるということを言っているのと同じじゃないんですか。おかしいですよ、それは。違いますか。
#83
○国務大臣(竹中平蔵君) 済みません、ちょっと必ずしもきちっと理解できなかったかもしれないんですが、私が申し上げているのは、これ組織そのものはゴーイングコンサーンですね。ただし、これは、旧勘定につきましては、これは旧勘定は切り離して内部的には管理会計上、別に管理していくわけですから、その点では、正に峰崎委員がおっしゃったように、時間が来ればフェードアウトをすると、これは当然そのようなことになります。それを前提にして、前提にして将来の保険の支払、それの割引現在価値を求める、それが準備金になる、しかしその場合には、先ほど言いましたように、予定利率で割り引く、その場合にギャップが生じる場合にはそれを追加責任準備金として積み立てるという現行のルールがありますので、そのルールの中できちっと今までもやってきた、そして今回もそれを引き継ぐというふうに申し上げているわけです。
#84
○峰崎直樹君 どうしても、じゃ、ちょっと、そこがどうしても分からないんだよ。違うね。土台が違う……
#85
○委員長(陣内孝雄君) ちょっと速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#86
○委員長(陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
#87
○参考人(元女久光君) 済みません、まず私の方から責任準備金の積み方のやり方をもう一回ちょっと整理させていただいて、足りてる、(発言する者あり)要するに、二・五九%で足りてる、足りてないという議論でございます。
 それで、私ども午前中に二つ説明しました。実勢で計算する方法、それとかつて実勢で計算して有効にしているものを逆算した方法と、二種類あると。それで、今年も、今年度、十六年度決算も二つほど取り上げました。そうしましたところ、簡便な方式の二・五九%等の率を使った方が額が高かったものでそちらを採用した。
 で、もう一言。なぜ、じゃ二・五九%なのかと。
 実際言いますと、一とか一・五とかいろいろあるんです。一番高いので二・五九に上限にしています。それはなぜかといいますと、利率、金利の部分の世界、要するに予定利率関連の世界だけじゃなくて、私ども、益としては死差益、費差益もあるものですから、その辺のプラスを総合して逆算の利率を出しますと二・五九になったということで、実際うそをついておりません。
#88
○峰崎直樹君 分かった、分かった、分かった。
 それで大体分かりました。
 要するに、死差益とか費差益が入っているから云々、いや、二・五九のところまで来るんだとおっしゃっているんですね。そうすると、死差益、費差益をやる運用の仕方は一号方式と二号方式と違うんでしょう。一号方式は予定死差率プラス予定費差率プラス利率二・五九。で、二号のやり方、これは再度やり直すやり方ですけれども、これは実績死亡率プラス実績費差率プラス実績利率と、こういうことでやる。そこの違いなんですよ。
 問題は、私たちはそのことを云々かんぬんしているんじゃないんです、このやり方を。さっきから何度も言っているように、公社から民間会社に移りますと、株式を上場させますと言っているんです。そうすると、株式会社になっていくときに、何度も言うように、本当にこれはこの時点において旧債権における、現時点における予想される将来収支分析、そしてそのときにおける偶発債務はどのぐらい、偶発的なそのリスクというのはどのぐらい出てくるのか。このことをきちんと計算しないままにこの郵政民営化法案を進めちゃ駄目じゃないですかという根本のところを聞いているわけですよ。そのことが何の説明になっていない。今のあなたの説明は、それはこのいわゆる簡保の責任準備金の積み方の方法については分かりました。そういうことを聞いているんじゃないんです。そのことだけなんですよ。これが分からなかったら、もうこれ以上ちょっと質問のしようないですね。この点が、ちゃんとしたものが出してもらえないと、私はちょっとここから先は責任ある対応を国民に向かって言えないんじゃないですか、どうですか。
#89
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと整理させていただきたいと思いますが、将来の勘定を切り分けてそしてそれを運用していく、それに当たって峰崎委員の御指摘は、その資産と負債の評価をきちっとやっておかなければいけない、もうその点に尽きていらっしゃるんだと私も思います。で、それを、負債について、そのときに負債部門についてその中の中心的な項目である責任準備金について峰崎委員はこれで大丈夫かという問題を提起しておられる、これもその点でよろしゅうございますね。
 私がお答え申し上げているのは、それについては、資産も負債もきっちりと評価委員会で評価をいたします。それについてはしかし一般のルールがありますので、その一般のルールに基づいて評価をさせていただくということになるんだと思います。その場合には、今申し上げたようなその準備金については国際的にもいろんな議論があるということは承知をしておりますが、今の民間のそのルール等々も踏まえて、そういう形できちっと評価をなされていくということを申し上げているわけでございます。
#90
○峰崎直樹君 何度も同じことの繰り返し。これね、旧債権というのは、区分経理してやがてはなくなるんです。いや、なくなるのは二年後に実は旧債権が、旧債権というか確定されてそこから先は清算会計に入ってくるんじゃないですか、ゴーイングコンサーンで運用するといいながら。資産、負債の関係じゃなくて、その時点において将来的な責任準備金を始めとする様々な問題の将来の予測されるリスクというのはどのぐらい予想されるのか、足りないものは、偶発債務はどのぐらい出てくるのか、この点がはっきりしなかったら株式の上場なんかできないですよということを言っているわけですよ、何度も。それが、何かもう一緒にゴーイングコンサーンであるかごとくに言っているから、そこの理解が違うんじゃないですかと言っているわけですよ。
 ですから、先ほどの説明になっても、それは今の公社のいわゆる責任準備金の計算方法を説明しているだけであって、我々が求めているのは、やがてこの区分経理してそのなくなっていく、清算会計に入っていくわけでしょう、旧債権というのは、そうですよね。そうしたら、その旧債権の将来的になくなっていった先にはどのぐらいのリスクが将来、リスクですね、要するに偶発リスクはどのぐらい出てくるのかということを現時点で早く認識しなきゃ駄目じゃないですかということを何度も言っているわけですよ。
 ですから、その答えが出てこないという以上は、もう簡易保険は、これ民間移行するということについては、とても私はこのままじゃできないと思いますよ。(発言する者あり)答弁できますか。待って、待って、待って。ちょっとそれはね。何度も同じこと繰り返しているもの、竹中さん。
#91
○委員長(陣内孝雄君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#92
○委員長(陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
#93
○峰崎直樹君 今ずっとやり取りをしていて、先ほども百六十三条のこの一項、二項、三項、読まれました。そして、政令にゆだねると書いてあります。そこのところをまず清算をしていく、清算法人になっていくわけだから、清算法人というか継承団体に清算会計として持っていくわけだから、その点はその時点における最も保守的である国際時価会計、時価会計というもので見直すと、将来予測をするということでなければ、私はこれを修正しない限りこの法案をそのまま審議するわけにはいかない。このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。まだ時間残っていますが、その点で質問を留保させていただきたいということで、私の質問を終わりたいと思います。
#94
○山根隆治君 私は、二度目の質問でございます。若干、前回の質疑の中で更に確認をしていきたいところもございますので、その点についてまずお伺いしておきたいと思います。
 外務大臣が時間が余りないということでございますので、外務大臣の方からまずお尋ねをいたしておきたいと思います。
 実は、先般の私の質疑に対しまして、この郵政改革法案というのはやはりアメリカからの強い要求によるものではないかというふうな指摘をさせていただきました。他の議員もそうした指摘が衆議院、参議院それぞれあったわけでございまして、これに対して竹中大臣は、決してそんなことはない、我が国独自の判断による改革であり、改革の本丸だと、こういうふうな御答弁に終始されているわけであります。
 外務大臣というお立場の中で、この郵政民営化法案、アメリカとの関係においてどのような影響があるやなしや、その辺の御認識についてまずお伺いしておきたいと思います。
#95
○国務大臣(町村信孝君) 時間の勝手を申し上げましたこと、お許しをいただきます。ありがとうございます。
 これ、日米規制改革及び競争政策のイチシアチブということで、日米それぞれが関心事項をお互いに述べ合うということでございまして、こういう関係を成り立つのはやっぱり日米のお互いの深い信頼のきずながあるからこういうことがお互いにできるのだろうと思います。
 実際に、最近といいましょうか、昨年のG8サミット時の対話とでもいいましょうか、その場で、相手の国から例えば百三十八事項、日本からは七十四事項の、その事項の数え方はいろいろあるんですが、一つのくくりとして言えば相当数多くのものをお互いに言い、先方からもそれに対して反論がある、分かったと言ってやるというような関係にありますので、私はある意味では、こういうかなりお互いに立ち入ったことをお互いに言い合い、お互いに改善をしていくという関係が成り立つのはいいことだと。それぞれの国の構造改革なり経済成長の促進に資するという意味で、日米間の対等性、双方向性、あるいは十分な対話の機会というものを確保しながら、お互いにそれぞれの注文を出していくということは建設的な二国間関係の反映ではなかろうかと、こう思っております。
#96
○山根隆治君 今大臣の方から御答弁ございました。日本からアメリカへの要望もあるんだということでございます。そして、アメリカから我が国に対しての年次改革要望書の中の項目的には、今お話がありましたように、百七十幾つ、項目の数え方によりますけれども、そして日本はそれの約半分ほどの要求を出しているということでございます。
 しかし、私は、この日米の年次改革要望書の経過と、歴史的な経過というところを見たときに、本当に対等なものかどうかというのは非常に疑問でございます。
 現在のブッシュ大統領のお父さんの時代から経済協議というものを行ってきて、そして初めて、アメリカの方からは具体的な年次改革要望書というのを一九九四年からずっと出してきております。そして、我が国もアメリカから一方的に受けるというわけにはいかないという、国のまあ権威というものもございましょうから、そうした意味合いで一九九八年からアメリカにもそうした要望を出しているということが経過だろうと思うんですね。そういう歴史的な経過を考えてくると、私は非常にこの要望書の内容を見ていると、片務的なものである、あるいはそういう色彩が非常に強いものではないかという気がしてなりません。
 特に我が国は、この郵政の問題でもそうですけれども、竹中さんと私、見解はそれぞれ異なりますけれども、やはりアメリカからの要求というのは、郵政の民営化というのももう四年くらいずっと出ていて、しかも微に入り細にわたるような要望だったと思うんですね。例えば、郵便貯金、簡易保険は民間企業と同一の条件での競争とせよと、これについてもしっかりとこたえている。あるいは、民間と同じ法律を適用せよ、株式会社化した後は政府の保有する株式は完全売却せよ等々、非常に細かな要望を突き付けられ、そして、それをそのままこたえてきているということが今回の法案の実は中身だということも客観的な事実として私は言えると思うんですね。つまり、郵政民営化は、これが通る、通らないで日本のやはり政治構造が大きく変わるかもしれない。非常に緊迫した状況も既に現出しているわけですね。
 客観的に、なぜ今郵政の民営化なのか、年金の問題があるし、そのほか景気の問題、これが最優先すべきなのに、なぜ今民営化なのかというのが国民の感覚でありますけれども、しかし小泉さんとしてはこれが本丸なんだと、改革の、というふうなことを言って、日本を挙げて今この法案が成立するかどうかということで、国が大きく変革するというか、変わろうとしている劇的な今状況を迎えているわけです。
 つまり、アメリカからのそうした要求は、日本にとっては、日本は国を挙げての影響があるけれども、我が国からアメリカに要求したことについては、象にチョウチョウが留まったほどのとは言いませんが、さしたる影響というものは、アメリカの国を揺るがすような問題ということには決してなっていかないということを見ても、私は非常に片務的なものではないかという思いがいたしますけれども、改めて、外務大臣、御答弁を求めます。
#97
○国務大臣(町村信孝君) 私も国会に初当選してから二十年以上たちます。初当選して間もなくのときに小泉総理からこの民営化の話を聞いたとき、私は天地がひっくり返るような思いをして、すごいことを考える人だなと思ったことを今でも覚えております。
 ですから、これはアメリカから言われる、言うの問題ではなくて、小泉総理にとりましてはもう年来の主張でございまして、それはたまたま、日本でこうやって具体的な議論になるからアメリカも、それならばこういうことを少しく注文を付けておこうかということで、ここ何年かの日米規制改革イニシアチブの中で出てきているわけですけれども、元々がアメリカから言われてこの話が出てきたわけじゃないわけです。これは正に小泉総理の政治家としての長年の主張を、総理大臣になり、いよいよ具体化しようかということであるので、本件について、アメリカから一方的に言われている片務的なものであるという御指摘は、過去の歴史的な経緯から見てもそれは私は正しい指摘だとは考えておりません。
 また、アメリカの要望が実にささいなものだと、アメリカへの要望がですね、こういうようなお話もありました。
 それはどういう事項を取るかによりますけれども、例えばアメリカのダンピング防止法については、これは決して一部の部分の話ではなくて、アメリカの業界全体を守るという意味で彼らにとっても非常にハードコアの一つでありましたし、現にこれまでの貿易交渉の中でも大変大きなテーマでありました。これは、だから、日本だけの別にイニシアチブともあえて申し上げませんが、世界的なそうした要望を受けて彼らも昨年の十二月に、これはWTO協定違反だということで法律が、ダンピング防止法の法律が昨年十二月に廃止されたというのは、これは一つの事例でございますが、こういう事例を見ても、決してアメリカにとって小さくない事項が、私どもも声を大にして主張をし、先方がそれを受け入れたという実績もあるということは、私ども、日米間の中で胸を張って言えることであろうと、かように思っております。
#98
○山根隆治君 まあ町村外務大臣の、私は、国の利益、国益を守ろうとする思い、そして国の権威というものを守ろうとする思いというのを、私はあなたが外交を展開していく中で非常にいろいろな発言見て注目していますし、評価してきた者の一人でございます。これは党を代表しての話というよりも私個人の考えでございますけれども。
 そうした思いというのは、やはりアジアだけではなく、どこに向けてもやはり日本の国益というものを守る、権威というものを守るという私は物の考え方に是非立っていただきたいと。それが、たとえ代え難いパートナーであるアメリカに対しても私は言うべきことを言ってもらいたいという思いが非常に強くいたします。今の御答弁、本音であるかどうか分かりませんけれども、私はそんな思いがいたします。
 例えば、要望書の中で、我が国の例えば公正取引委員会の在り方にまで実は言及しているところもあります。これは本当に内政干渉に当たりやしないかと、そんなふうに思いも持ちながら、私はこの数年間のアメリカからの要望書というものを読ませていただきました。よくパートナーシップという言葉がある、しかもそれはイコールパートナーシップというふうな表現がされたこともありますけれども、しかし、アメリカと日本とがイコールパートナーシップということは事実上非常に、それはあり得ないことであります。それは国の国力、経済力ではなくて政治力やあるいは軍事力やそのほかトータルでの国の力ということからすると、私は、とても同じような土俵の中で双方が要望書を出し合って忌憚ない意見を交換する、要望し合うというふうな関係というのは私は非常に起きづらいと思うんですね。
 例えばもう、識者によれば、この郵政の民営化が終われば次には医療改革だぞ、なぜなのかということで読んでみると、要望書に書いてあるではないかと。こんな議論がまことしやかに識者の間でまかり通っているという状況を見るとき、私はもう、この方式というものについては少し検討をもうする時期に来ているんではないかというふうな思いがいたします。
 やはり、アメリカとはそれぞれの分野で非常に深い、強いパイプも、関係もあるわけでございますけれども、お互いの要望書を突き付け合うという中で、日本が結果して本当に国じゅう挙げてアメリカの要望にどうこたえなくちゃいけないのかということを考えてしまうような状況というのは、もう私は異常ではないかというふうな思いさえいたします。
 この点について、急に振って恐縮でありますけれども、細田官房長官の御見解を聞いておきます。
#99
○国務大臣(細田博之君) 私も、一九七〇年、日米繊維交渉が起きて以来、ずっと日米間の貿易交渉あるいはその他の交渉の中に身を置いてきた経験がございまして、まあ米側はありとあらゆる貿易面、投資面、制度面、規制面等で要求を繰り返して、拡大して強化してきたことは事実であります。
 しかし、この十年間考えてみますと、非常に安定的な時代を迎えて、もちろん問題様々ございますけれども、現時点においては、まあどちらかというとゆったりした、お互いの立場を認め合いながらそれぞれの問題点を指摘し合うというような現状になっていると思うわけでございまして、決して、まあ日本側もいろんな要求項目ございますから、お互いに出し合おうということにしたのはまあ何年前かはちょっと忘れましたが、一方的な貿易交渉、貿易摩擦の時代から見て、大いなる前進であると。しかし、それでは先方の請求、要求をもう排除して、こちら側だけ要求するということではなく、是々非々の立場からやれる対等の関係に立って、今歴史的に見れば大きく変わってきていると考えております。
#100
○山根隆治君 それじゃ外務大臣、お尋ねいたしますけれども、このような形でアメリカが日本以外の国でそれぞれ毎年定期的に要望書を出し合っているという国はございますか。
#101
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 このように双方が対等な立場で要望書を出し合っているのは日米間のみというふうに承知しております。
#102
○山根隆治君 これやはり、それだけ深い関係だというふうに、もしかしたら外務大臣、そう答えようかなと今頭の中に用意されているか分かりませんけれども、私はやはりこれ異常な関係だというふうにやっぱり思うべきだと思うんですよ。
 東西冷戦構造があったときは、本当にとにかく何でもアメリカの方に付いていればいいというのも一つの考え方としてあったと思うんですけれども、もうそういう時代ではない。やはり一つの国と国との関係というのは、私は、日本国のやはり国益、そしてやっぱり権威というか、そうしたものもやはり絶えず意識しておかなくてはいけないというふうに思うんですね。
 それで、アメリカ通商代表部の方にも問い合わせをしてみましたらば、こういうふうな形で要望書を出し合っている例はないんだということをはっきりとアメリカの方でも言っておられました。本当に私は、この点については是非もう改善をしていただきたいということを強く要望をさせていただきたいというふうに思います。
 毎年、アメリカの方で外国貿易障壁報告書、レポートを三月に出していて、要望書に対して、まだまだいろいろな、外国ではこういうふうな不満足な部分が貿易の自由化ということについてあるんだということを書いているレポートございます。その中で、日本の改革については非常に前進しているということを書いていたり、郵政の民営化についてもこれを高く評価するような表現が書いてある。
 これに対して、さすがに日本政府のコメントとしても、今年の四月には、総論のところでもう不快感というのも確かに出しているんですね。日本の措置が政府間交渉の直接の結果であるかのような記載は改めていただきたいというところまで日本政府として実はもう書いている。これは本当に、アメリカが率直に私たちの要求によってこういうことが実現しつつある、あるいはしているんだということを言っているのに、日本は、いやそうでもない、それは自分たちで自主的にやっているんだと。もうこれ痛々しいまでの国の権威を守ろうとする言葉に思えてならないんですね。
 私は、これから毎年毎年こうした要望書を出し合うということについては検討すべき時期がもう来ていると思いますが、もう一回その協議されるかどうか、お考え改められるかどうか、官房長官、御答弁ください。
#103
○国務大臣(細田博之君) 一九七〇年ごろから九〇、私は五年ぐらいまでと思いますけれども、それこそ一方的に自主規制を求められ、そしてアンチダンピング関税を課せられ、そして様々な政府調達その他の補助金関係相殺関税、そういった貿易摩擦に追われて防戦一方の日本であったわけでございまして、これは、日本の国力が非常に強い、貿易の国際競争力が強いということも背景にしておりましたけれども、それをソフトランディングさせるために、米側にもいろんな問題点がある、そして日本側にも残された問題点がある、それをお互いに出し合って、カードを見せ合って静かに対話をしようということでようやく見付け出した知恵でございますから、それをやめてしまうということがいいのかどうかということは、もうちょっと歴史的経緯にもかんがみ、よく考えてみたらどうかと思います。
#104
○山根隆治君 よく考えてみたらどうかと言いますが、私が考えることじゃなくて、官房長官、一生懸命ひとつ考えていただきたいと思います。
 それでは、外務大臣、結構でございます。ありがとうございました。
 また長官にお尋ねをいたします。
 今日の実は午前中の記者会見でこういう発言をされております。
 郵政民営化関連法案への反対論に対して、公務員でなくなり民間会社になる不安を強調する郵便局長や労働組合の人たちがいることはよく分かっていると指摘をされまして、さらに言葉をつないでおりますが、不安を乗り越える段階に来ている。その点が理解できないということは理解が足りないと思うというふうな話を今日の記者会見で述べられているんですが、これはどういう意味ですか。
#105
○国務大臣(細田博之君) 正に私が申したとおりでございまして、何も理解が足りないといって何か非難をしているわけではない。しかし、反対をされる方はそこの点を理解しないと言っておられるという意味だと思いますが、私どもの政府の立場は、今日のその質問自体が郵政民営化、政府は今の時点でどう考えるんだということですから、やはり民営化することが長期的に国民的に見ても有益なことだという意味で申し上げております。
#106
○山根隆治君 そういう抽象的なところではいいんですけれども、官房長官も先ほど来ここでの委員会での議論をお聞きになっていたと思うんですけれども、やはり大事なところが皆政省令で逃げていたり、民間だからということで、全く記述が、法文そのものがやっぱりあいまいなところがたくさんあるわけですね。先ほど峰崎委員の御質問もありましたし、これからもまた我が党の同僚議員いろいろな角度で質問させていただきますけれども、理解が足りないのではなくて、理解できるようなものを出せてないからこそ様々な問題が今ここで噴出しているわけで、これは本当に働いている方々や関係者の方にとって本当に耐えられないことだと思うんですね。
 私もこの委員会の視察でA班、B班、A班、B班といいますか、二つのグループ分かれて視察しました。私は盛岡の方を見させていただきました。地方の皆さんからのいろいろなお話を聞かせていただく中で、特に自民党の方では賛成の立場からお呼びした方が、議論がしているうちに、いや、実はやっぱり竹中さんと小泉さんはちょっと余り信用できないんだというふうな発言があったり、これは本当なんですよ。法案についてはもう少し、今すぐはちょっと早過ぎるんじゃないかと。
 そんな議論がされるというかお話をされている、こんな状態ですので、細田官房長官、是非そこのところは、法案の審議という、なかなか国民にも分かりづらいところもありますけれども、一層マスコミの皆さんに御協力いただいて、分かりやすい解説記事を明日からどんどんどんどんまた出していただきたいと思いますけれども、そういう背景があるということは是非ひとつ御認識をこの際いただいておきたいと思うんです。
 それで、私のところにも、私、埼玉県でございますが、いろいろな方々からメールいただいたりお電話いただいたり、あるいはお会いしたときにいろんなお話を聞かせていただくんですけれども、その中で、郵便局で実際に働いておられる方々の心配や悩み、苦悩というものを直接お聞きすることがたくさんございます。
 今日まで、この法案を作られる過程の中で、あるいは法案提出後でも結構ですが、竹中担当大臣は、職場で働く職員の皆様とは何度ぐらい話合いを持たれたり、あるいはこの法案を作った、作るに、まとめるに当たって、あるいはまとめた時点でも結構ですが、御説明されたり、そんな機会というのは何度ぐらいお持ちになったんでしょう。
#107
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと回数については今急にお尋ねいただきましたので正確かどうか。各地の、回りまして、地元の有識者といろんな対談をさせていただいたと。そのときに地元の郵便局の特定局長の方々、また組合の方々、地元の方々とも何か所か、複数の箇所で御議論をさせていただきました。また、現場も見せていただきました。組合の幹部の方とも、これは大臣室においでをいただいてお話をさせていただいたこともございます。まだまだもっともっとそういうことは機会を増やしたいというふうに思っておりますけれども、今までもそのような形で議論はさせていただいております。
#108
○山根隆治君 職場で働く方々の組織する労働組合の方とはどのぐらい、どんなお話をされたんでしょうか、時間というか。
#109
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、地方に参りましたときに複数回会合がございまして、そこには特定局長さんも組合の方もいらっしゃっていた。そして、組合の幹部の方には一度大臣室においでをいただきまして、御議論をさせていただきました。
#110
○山根隆治君 呼び付けて話しする内容じゃないと思うんですよね。やはり現場を見て、私たちも中央郵便局へ行って、そして岩手の……(発言する者あり)はい、特定郵便局へ行って直接いろんなお話聞かせていただく。話だけじゃなくて、もう日常の業務をやっているわけで、そこでいろいろなことを見て感じるものとは全然違うんですよね。
 ですから、私は今日まで、竹中さんがやられることは、職場へ行って、そこでいろいろな話をさせていただく、あるいは聞かせていただく、現場を見させていただくということが一番大事だったんだと思うんです。公聴会等でいろいろな国民の意見を聞きますよということで体育館へ行ったり公民館へ行ったりして、そこで集まってきた方々の意見を聞くというよりも、生で直接、現地でその職場環境の中でこそ私は初めて話を聞ける空気が出たと思うんです。そういうことはなかったんですか。
#111
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、現場も見させていただきました。現場を見させていただいて、働いている方々とじかに接する機会もございましたし、また、その現場でミーティングといいますか会議を持たせていただいたこともございます。
 時間的な制約がもちろんあるわけでございますが、今まで何回かそのようなことは、そのような場は持たせていただいております。
#112
○山根隆治君 時間がもったいのうございますので少し移りますけれども、非常に職場で働く方々から強い不満が依然としてあるということだけは、この際、私の方からもお伝えをさせていただきたいと思うんです。
 実際に民営化されてきたときに、職場で働く方々は、こういう場合はどうなるんだといろいろな想定をして悩んでいる方がたくさんいらっしゃるわけですね。
 例えば、窓口で郵便物を受け付ける、これはもう郵便局株式会社の方の仕事になるんだろうと思うんです。そして、後ろで荷物を仕分したり郵便物を仕分したり、あるいは配達したりする、これは郵便事業株式会社の仕事になる。郵便物を届けたけれども留守で、やはりこれまた持って帰った、そうすると、今度はお客さんがはがきを、置いていかれたはがきを見て窓口へ来たと。そのとき、それでは業務委託をしているという、委託契約をしていたときに、その辺の形態であるとかあるいは委託の手数料、そうしたものというのは一体どのような扱いになるのかということもいろいろと考えていらっしゃる方も多いわけでございますが、この点について、もうきっちりと分けていらっしゃるんでしょうか。
 あるいは、地方に行きますと、岩手県そうですけれども、もうお一人で、一人三つのことをやられるわけですよね。窓口もやります、それから仕分もいたします、郵貯、簡保も扱います。もう一人何役もみんな実際にはこなしているわけですよ。これが分社化になったら、体の四肢が、右手が郵便局株式会社、左手が事業株式会社でというふうなことで、なるような状態になるという現実があるわけですね。この辺の様々な矛盾というか、形態の整理というのはどういうふうにお考えですか。
#113
○国務大臣(竹中平蔵君) 現場の皆さんが大変やはり不安を持っておられる、大変私もそのとおりだと思います。そして、現場の皆さんに本当にこの問題意識を共有していただいて御理解をいただかないと本当の良い改革はできないと、そのことも実感をしております。
 でありますからこそ、一番最初に議論を始めるときのいわゆる五原則、その中に雇用への配慮原則、あれは私がつくらせていただいた原則でございますので、そのことは当初から非常に念頭に置いて制度設計をしてきたという点については何とぞ御理解を賜りたいと思います。
 まず、今のお話でございますけれども、例えば窓口に一人しかおられなくて、そういう方が分社化されたらどうなるのかと、これは大変素朴な疑問として、お立場、そのお立場としてはよく理解できることだと思います。
 基本的に申し上げますと、今のような場合は、窓口業務をしておられる方でございましょうから、これは窓口会社に所属をしていただくということになります。その窓口会社は郵便の業務を受託して、銀行の業務を受託して、保険会社の業務も受託するということでございますから、会社に対してはそれぞれの会社から受託料が支払われますけれども、その方について見ますと、それぞれの会社から窓口会社に委託料が支払われる。窓口会社は受託料を受け取りますけれども、その窓口で働いておられる方はいずれにしても今までと同じように郵便の仕事と銀行、貯金の仕事と保険の仕事をして、そして窓口会社から給料をいただくという形になりますので、むしろこれは、現場の皆さんは今までと実態的にほとんど変化がない形で仕事をしていただける、そのような制度設計になっているというふうに思っております。
 今申し上げたように、基本的には窓口会社の、窓口会社に帰属をしていただいて、そのような受託した仕事をしていただくと。そのようなのが基本原則でございます。
#114
○山根隆治君 そうすると、分社化された後、職員の方がどこの会社に勤務したいか、勤務というか、所属したいかということの希望というものはどのように考えられていくんですか。
#115
○国務大臣(竹中平蔵君) 新会社への具体的な職員の帰属、これも御当人にとってはもちろん大変重要な問題だと思います。
 これは、主務大臣が作成します基本計画に従いまして、準備企画会社であるところの日本郵政株式会社が、どういうビジネスモデルを作るか、その各社の具体的な業務内容をどうするかということを勘案しながら承継計画において定めるというふうに法律で決められております。
 この日本郵政株式会社が承継計画を作成するに当たりましては、職員に対して事前に希望する配属先の聴取等の具体的な取り進め方、これはどのように具体的にそれを進めるかというのは日本郵政株式会社にゆだねられているわけでございますが、しかしながら、同社がこの承継職員の労働条件を定めるに当たりましては、公社での勤務条件に配慮するということが、これは法律上担保をされております。郵政民営化法の第百七十一条でそのことが担保されている。
 したがって、職員の帰属先については、公社における就業場所やその従事業務などの勤務条件に配慮して定められることとなります。これによりまして、職員の皆さんが本当に安心して意欲的に働くことができるようになるというふうに考えております。
#116
○山根隆治君 それはもう法文上も、度々そういうふうなお答えがあるからそれはそうなんですが、実際のもっと生々しいところでの感覚というものに少し戻していただいて、御答弁も是非いただきたいと思うんですけれども。
 しかし、働くのに一体どんな業務内容であるのか、そして各会社にそれぞれ職員数というのはどれぐらいずつ定員というものを持つのか、そのことも明らかにならないうちにどこへ行きたいって、もう何もないですよね。その辺というのは先に明示してからではないと、私は希望というものは取れないだろうと思うんです。
 実際には、例えば郵便局が今までも廃止になったところについては、やはり本当に本人の希望や転勤を、先の状況を幾つかシミュレーションしたり、様々な角度から話合いをして、一年以上掛けて異動というものが完結するというのが今までの実際だったというふうに承知しているわけですね。そういうことになると、二十七万人の方々、あるいはまた、非専従の方々入れれば、非職員の方入れればもう三十七万人にもなるというふうな方々に一々全部希望を聞いていて、そしてお互いが満足するような形で会社を決めていくということになるのには、相当な私、手間暇が掛かるんだろうと思うんですね。物や金じゃありませんから、人ですからね。これは本当に大事に扱う、扱うというか、大事にしなくてはいけない大きなポイントだと思うんですね。
 そういうことで、本当に時間が間に合うんですか。
#117
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、お一人一人にとっては本当に大切なことでありますし、これは二十七万人、非常に大きな作業になるというふうに思っております。
 今、委員からその規模等々について、そういう意味でもしっかりと決めて、そして話合いの時間を持たなければいけないのではないかと、そのような御指摘、我々もそのように思っております。規模等々については、我々は一応骨格経営試算で一通りの想定はお示ししておりますけれども、より詳細な、これより詳細なものについては、これは承継計画にゆだねられている。したがって、我々としても、できるだけ早くこの法案を可決していただいて、そして準備企画会社の設立、そうした中で経営委員会ができて、しっかりとした承継計画ができるような状況に早くこれは持っていっていただきたいというふうに思っております。
 ただ、これまでもいろいろ民営化する段階で同様のやはり大きな作業がございました。基本計画を作る、承継計画を作る、そういう時期等々についても、これまでの民営化の例を参考にしてそれなりの時間は確保できるような仕組みになっていると思いますので、これは大変、公社としては大変な作業になるということは承知をしておりますが、是非しっかりとそこは対応をさせたいというふうに思います。
#118
○山根隆治君 しっかりと対応するのに、いつまでにどのように対応されるのかというのが明らかでないと職員の方は不安ですよね。ここに抽象的に書いてある法律の文言をもって御答弁されても、それでは、いついろいろな具体的なことが明示されて、いつ自分たちの希望を申し述べられるのかということですよ。
 例えば労働基準法でも、勤務時間であるとか賃金であるとかそのほかの労働条件というのはしっかりと明示しなくちゃいけないということがもう労働基準法にもあるわけですね。このまま行ったら本当に労働基準法さえクリアしないで突っ込んじゃう、こんなふうな事態も私あると思うんですよ。
 労働大臣いかがですか、厚生労働大臣。
#119
○国務大臣(尾辻秀久君) 労働基準法との関係についてお尋ねでございますが、今御指摘になったのは第十五条だろうというふうに思います。
 この十五条では、お話のように労働条件の明示を義務付けておりますけれども、この件に限って言いますと、これは、労働者を採用するに当たり、すなわち新規採用のときの規定でございますので、承継するというこのケースにはそういう意味では当たらないというふうには思っておりますが、その精神はきっちり守っていただくことは必要だというふうに考えております。
#120
○山根隆治君 まだ御答弁が竹中さんの方から漏れておりますけれども、必要な期間というのはどれぐらいで、どのような形で提示されるのかということと、そして、もしその帰属先が本人の希望がかなわないというふうな場合に個人の異議の申立てがあった場合の扱いという、どのようになるのか。その点について御答弁ください。
#121
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどそれなりの十分な時間を確保しているということを申し上げて、もう少し具体的に言えということでございます。
 まず、これは法律でございますけれども、最初に基本計画というのを作るわけでございますけれども、これは内閣総理大臣及び総務大臣が郵政民営化法の公布後三か月以内に設置される推進本部の決定を経て定めるということになりますので、これは、基本計画についてはそのころに、三か月たって本部ができてそう遠からぬ時期にこの基本計画はやはり決めなければいけないと思っております。基本計画で、これは過去のJR、NTTと同様に、承継会社等に引き継がせる業務、資産、職員等々に関する事項に関する基本的な事項について定めるということになります。
 その後、経営委員会を設置することになります。経営委員会が、先ほどから何度も出てきます承継計画を作るわけでございますけれども、これは郵政民営化法の公布後六か月以内で政令で定める日でございまして、来年の早々にもそういうものができるというふうにイメージをしていただければ結構かと思います。その中で、基本計画、失礼、承継計画を作ってまいります。過去のNTT等々の例でございますけれども、これは基本計画はそれよりも一年何か月か前にそれができておりまして、実施計画の申請が実際の施行の約二か月前なんでございますけれども、それに倣って、ないしはそれよりは少し余裕を持てるような形で、今回是非、しっかりと労働者の皆さんに安心していただけるような日程を是非私たちとしては確保をしたいというふうに思っております。
 それともう一つ、異議申立てのお話がございましたでしょうか。
 これは、会社の分割等に伴う労働契約等の承継に関する労働契約承継法というのがあるわけですけれども、これは実は国家公務員である公社職員の新会社への承継については適用されないということになります、これは国家公務員でございますので。その分、今回はそれに代わるものとしてしっかりとした仕組みをつくっているつもりでございます。
 まずこれ、先ほど申し上げましたように、基本原則の中で配慮原則を掲げて、そして郵政民営化の基本方針に基づきまして、公社解散の際に公社に所属する職員の新会社での雇用を法律によって確実に確保する、これは郵政民営化法の百六十五条で担保をしております。また、民営化に伴う職員の待遇については、職員に不利益を生じさせない等々の観点から、正に、正に国民の代表である国会議員の皆さんに御審議をいただいて、そして法律の中でそのことを定めたいというふうに思っているわけでございます。
 この新会社の職員の労働条件に関する事前の団体交渉及び労働協約の締結を可能とする、これが民営化法の百六十九条、そして新会社の職員の労働条件に当たっては配慮を義務付ける、これは先ほど申し上げた百七十一条、さらには退職手当の支給は公社の在職期間を通算する、これも百六十七条、民営化後も当分の間、国家公務員共済制度を適用する、これは整備法の第六十五条、そういうことについて法律でしっかりと担保をしているということでございます。
#122
○山根隆治君 法律でしっかりとしていないからお尋ねして、いらいらしながらお尋ねしているわけなんですね。非常に抽象的であいまいで具体性がないということでいらつきながらお尋ねしています。そういうことを思っている間にどんどん時間がたっていくという二重のいらつきではあるんですけれども。
 公社総裁にお尋ねしますけれども、例えば二十七万人の方からここの会社に帰属したいというふうな希望があったとき、入力作業だけでもすごいことですよね。そして、しかもいろいろな事情を調べる、聞かせていただくというふうなことを、作業として当然あるわけですけれども、これ自信ありますか、実務的に、こんな短い期間に。
#123
○参考人(生田正治君) お答えします。
 一言で答えろと言われれば、人数も多いけれども、管理職者も多いです。──管理職者、監督しているのが。十三支社には人事部がありますし、そういう管理職者が手分けしてやれば管理職者一人当たりの人数はずっと小さくなっていきますから、完全を期すとは、もちろんそんな口幅ったいことは言えませんけれども、最大限の努力をするということはお約束できると思います。
 私の思いは、やっぱり事業は人ですよ。だから、人が、民営化するとすれば、それをきちんと理解して、まだこれから時間ありますから、理解して、その気になって、夢と希望を持って理解して進まなきゃ事業はうまくいかないんです。だから、あの法案が通るとすれば、私の経営者としての最大の使命はそこだと思いますので、最善を尽くしてまいるつもりでおります。
#124
○山根隆治君 世の中よく二〇〇七年問題というのがありまして、団塊の世代が定年を迎える。私もその団塊の世代の一人でございますけれども、そういうたまたまその時期に来ていて、その三年間、昭和二十二年、三年、四年で生まれてこられた方々たくさん公社におられるわけでございますけれども、その方々も早期退職されたりいろいろな事情で、退職金のいろいろな問題で少し早めに辞められた方もたくさんおられるようでございますけれども、これも非常に軌を一にしているようで、微妙な問題がございます。
 そのやはり能力、ノウハウの継承というのも十分しなくてはいけないし、相当なやはり私は努力をしていただかないと、全力を、努力をしますというのは分かるんですけれども、努力した上で間に合うんですかということを聞きたかったんですけれども、もうその辺のところはちょっと長くなってはいけないのであえて求めませんけれども、是非ひとつ具体的に詰めていただきたい。
 そして、私は、もう一つ最後に今聞いておきたいのは、労働基本権、団結権、団体交渉権、争議権、法律で認められているこれらの権利というのは当然付与されるものだと思うんですけれども、どの時点で付与されるということになるのか、これは厚生労働大臣でしょうか、お尋ねしておきます。
#125
○国務大臣(尾辻秀久君) 公社職員に労働基本権が認められることになりますのは、郵政民営化法が施行されることにより公社職員であった者が承継会社の職員となった時点で認められるということでございます。
#126
○山根隆治君 もう時間もなくなりましたので、最後に竹中さんとそれから総裁に、御要望というか、質問というふうな形を取ってお尋ねしておきたいと思いますけれども、やはり働いている方々、職員との対話というのもしっかりとやはりやらなくてはいけないというふうに思います。郵政事業で働いておられる方々、非組合員も三万人ほどおられるというふうに承知いたしておりますけれども、それらの方も含めて、しっかりとやはり働いている人たちの気持ちというものを大事にしながらやっていただかなくてはならないと、これ強く要望をさせていただきたいと思います。
 特にこれから、まだ今からでも遅くありませんので、是非労働組合ともっとしっかりと、ただ形的にやりましたよということではなくて、私はもっとしっかりとした話合いを持つべきだろうというふうに思いますけれども、この点について質問というふうな形でお二方に御答弁を最後に求めておきたいと思います。
#127
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員の御指摘、大変重要だと思いますので、しっかりと対応してまいりたいと思います。組合の皆さんとも私自身お話をさせていただきたいと思っておりまして、今事務方でいろんな手続について、手順について話合いをさせていただいておりますけれども、是非実現をさせたいと思っております。
#128
○参考人(生田正治君) お答えします。
 職員の立場に立つと、もう公社化の前から不安で一杯なんですよ、常に組織の変更が議論されていますから。私は、職員の思っている、自分がどうなるのか、事業がどうなるのか、どこでどう働くのか、労働条件は、不安の方もおられるのはよく承知しています。
 したがいまして、折あるごとに、詳しくは申しませんが、各社で職員、郵便局員を集めて話しておりますし、組合とも公式、非公式、話合いを進めておりますし、ただし、今までは民営化前提の話はできません。だけれども、民営化するとすれば、公社の掲げている三つのビジョンが必ず公社のままよりも良くなるように制度設計するようにお願いするからという前提でみんなに安心感を与えていると。もしこれで法案が通れば、早速十分話し合って、理解をして気持ちよく働いてもらう努力をします。
#129
○山根隆治君 最後に、これは単なる話合いということ、事前協議ということじゃなくて、しっかりとした団体交渉というものに臨んでいただきたいということを要望して、終わります。
#130
○藤本祐司君 民主党の藤本でございます。
 七月の二十二日、先々週の金曜日に引き続きまして御質問をさせていただきたいと思いますが、二十二日のときも骨格経営試算、そして新規事業の採算性について、前提条件、そしてその前提条件の根拠を資料としてお出ししていただきたいということで、再三そのときお話を私の方から要望させていただきまして、その間ある程度は出てきたんですが、大変不満足なものでございまして、計算式がないとかバックデータがないとか、そういうことでまた理事会の方にお願いをして要請をしたんですけれども、最終的に実はまだまだ足りない部分がありますので、ちょっとその点については非常に私としては不満であるということを最初に申し上げておきます。
 そして、今の山根議員から話がありましたことからちょっと話を受けまして一つお聞きしたいと思っていまして、ちょっと話を聞いているうちにだんだん混乱してきたものですから、ちょっと分からなくて教えていただきたいんですけれども、具体的に今の郵政公社の職員が幾つかの事業会社に分かれるわけですけれども、郵貯とか保険とか窓口とか分かれるわけなんですけれども、そのときの承継計画を作りますよということなんですけれども、その人事権というのはやはりこの本部長である内閣総理大臣が持つという解釈でよろしいんでしょうか。
#131
○国務大臣(竹中平蔵君) 人事権、基本的には、まず企画会社をつくるわけでございますが、企画会社についてはこれは一〇〇%公社の、これ、公社出資ですね、公社の出資でつくるわけでございます。その中で経営委員会というのをつくらせていただくということになります。実態的にはこれは新しい、国が一〇〇%当初株式を持つ持ち株会社の取締役を決めるということになりますので、実態的にはこれは当然、総理の御決断を仰いで、政府として責任を持って人選をするということになります。
#132
○藤本祐司君 それで、尾辻大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、前回の七月二十二日のときにも、小泉さん、小泉総理が厚生大臣のときの話を少し持ち出して、介護サービスをやるときに、今の郵便局員がその介護サービスに携わるということに対しては、本人の特性も意向もあるだろうからなかなか難しいんだということを小泉総理が厚生大臣のときに話をしていたということ、答弁をしたということを申し上げたんですけれども。
 実際に、やはり今の公社、二十七万人の方々が幾つかの会社に分かれて業務をするということになりますと、やはり特性の問題も意向の問題、関心の問題、いろんな問題があると思うんですけれども、その辺りについて、やはり個々の人たちの、今のお話だと希望を聞いてやりますよということになると思うんですが、というお話なんですが、恣意的過ぎても良くないし、また機械的過ぎても良くないのかなというふうに思うんですけれども、これは労働政策上、例えば監視すべきであるというような考え方もあるんじゃないかなというふうに思うんですが、それについて尾辻大臣の御見解をお願いします。
#133
○国務大臣(尾辻秀久君) 先日も介護保険の話も出ましたけれども、改めて私から申し上げたいことは、介護保険というのも片手間にやっていただくような仕事じゃ絶対にありませんので、それはもしおやりになるといえば、もうしっかりと介護保険に取り組んでいただかなきゃならないんでありまして、とにかく片手間でやるというような感覚というものではないことだけは私からもまず申し上げておきたいと存じます。
 それから、今人事権のお話ございましたけれども、私の立場から一般論で申し上げますと、やっぱり労働組合法をどういうふうに解釈するかということがあろうかというふうに思っております。そこで、その人事に関する団体交渉についてどういうふうに整理してあるかということを一般論としてまず申し上げておきたいと存じます。
 個別的、具体的人事を決定する最終的な権利を有するのは使用者であり、したがって、個別人事については、賃金、労働時間等のように労使の交渉により決定するのが建前である事項とは異なり、言わば使用者の行う人事について、法令、労働協約又は就業規則上の人事基準、さらには一般条理等に照らしてその是正を求めるということが団体交渉の対象となるものと考えられる、これが労働組合法の整理の仕方でございますので、申し上げておきたいと存じます。あくまでも一般論でございます。
 それから、今度は個別な話でございますけれども、この今度の法律でありますけれども、まず百六十八条で、承継職員に対し、施行日の二週間前までに、承継会社のいずれの職員となるかを通知しなきゃならないと定めてありますから、これはもうきっちりそのとおりしてもらわなきゃいけないということでございます。
 そして、さらに百六十九条において、公社の職員が結成し、又は加入する労働組合と日本郵政株式会社は、継承職員の労働条件その他に関する労働協約を締結するための交渉をし、及び承継労働協約を締結することができると定めてございますから、事前にここでの協議が十分なされるものと存じます。
 したがいまして、そうした法令を守って労働者の権利をしっかりと守ってもらいたいというふうに考えておるところでございます。
#134
○藤本祐司君 本当に人生を左右する非常に重要なことだものですから、ここについては是非慎重に考えていただかないといけないなというふうに思います。
 尾辻大臣はこれで結構でございます。ありがとうございます。
 それでは、骨格経営試算です。今人事の話をさせていただいたんですが、骨格経営試算で人、要するに職員の切り分け、ここがすべての事業において費用という点では人件費が非常に大きい部分だと思いますので、ちょっとその切り分けについてちょっとお聞きしたいんですが、骨格経営試算で二つのパターン、ケース1とケース2と書いてありますが、その中でケース1が四つの会社で二十六万八千人、ケース2が二十六万七千人って、まあこの千人の差は恐らくラウンドアップか何かの誤差になってくるんだろうということで余り大したことではないとは思うんですけれども。
 そこで、ちょっと生田総裁にお聞きしたいんですけれども、平成十五年四月一日の時点では公社のいわゆる常勤職員が二十八万四十二名という数字が出ておりまして、その半年前で二十七万六千四百五十六名ということなんですが、平成十九年の三月ですね、十七年の三月ではアクションプランの中に三事業それぞれの職員の数というのが出ているんですが、四年計画でいわゆる中期計画の最終年度ですね、このときの三月末の常勤職員というのを大体どのぐらいで想定されていたんでしょうか。
#135
○参考人(生田正治君) お答え申し上げます。
 公社スタートのときがたしか二十八万二千人だったと思います。それから、フェーズ1が終わったところで約二万人減っているというところでございまして、今度、今フェーズ2に入っております。
 で、フェーズ2につきましては、事業の健全化のためにいろんなことをやります。営業のパワーアップとか組織の活性化のための改編であるとか購買費の更なる削減とか生産性向上とか、それと併せまして、要員につきましても約二年間で一万人の削減ということで、現在組合側に提示いたしまして話し合っておりまして、まだ完全な合意を見ておりませんから、そういたしますとは申し上げられないんですが、予想で申し上げれば十八年度の終わりは二十五万人強と、二十五万一千か二千か、それは数字動くでしょうけども、大体そのぐらいで民営化するとすればその会社に引き継ぐことになるだろうと、こう考えています。
#136
○藤本祐司君 骨格経営試算の方ですと、先ほど申しましたように、ケース一で二十六万八千、ケース二で二十六万七千で、増えているんですね。ここの、なぜここが増えているのかというところがちょっとよく分からないなというところと、もう一つ、職員はこの四つの郵便、貯金、保険、窓口と、この四つの事業に振り分けられるということなんですが、機構に振り分けられる方と持ち株会社に行かれる方というのは、その方の人数というのは当然あるはずだというふうに解釈しているんですが、そこは逆に言うと何人ぐらいずつでいるのか。今、二つの質問です。
 二十五万人からケース一、ケース二の方が増えているということと、あとそれ以外に、二つの機構と持ち株会社に行かれる方の人数はどのぐらいで想定されているのかということ。二点です。
#137
○参考人(生田正治君) 最初の前半のところだけ、ちょっと私、言わしていただきます。
 一万人減すという話は、二十五万強まで、つい最近組合へ言って始めている話でありまして、試算をされたときにはフェーズ1がそのとおりいくかどうかも、まだ不安定なときだったですから、アバウトで、もちろん組合も同意していない数字を入れられなかったという背景があったということだけ補足さしていただきます。
#138
○国務大臣(竹中平蔵君) 二点お尋ねがございましたが、第一点はちょっと今の総裁の御答弁とも絡みますけども、この試算そのものは昨年行った試算でございまして、そのとの関係で、そのときに利用可能な最新時点の、これ十五年末、十五年末の数字に基づいて試算を行ったということでございますので、その後、あえて言えば、これは総裁の御努力により当初想定よりもむしろ人員の削減、生産性の向上が進んでいるというふうにその差は解釈していただくべきものだと思います。
 もう一点、御指摘のとおり、持ち株会社もありますし管理機構もございます。しかし、これは正に非常に小さな規模でございますので、当然のことながら若干名の人が配属されるわけでございますけれども、この試算の中では明示的な想定は数が少ないがゆえに特に置いていないということでございます。
#139
○藤本祐司君 数が少ないがゆえにということでという説明なんですが、骨格経営試算を見ますと、郵貯、保険も人件費、数が少ないがゆえに一定でならしていますよということなんですが、数が少ないがゆえにやらなくてもいいよということには多分ならないんだと思うんです。本来であれば、いわゆる人件費以外のコストだって掛かってくるわけですし、やはりこの収益計算というのは、当然のことながら機構と持ち株会社もやった上で、それでトータルでこうですよというふうに示さないと、結局のところ全体像が分からなくなってしまうんじゃないかなというふうに思うんですが、これは実際には計算されていて公表されていないものなのか、もうはなっからこんな小さいものは要らないよということで計算されていないものなのか、どちらなんでしょうか。
#140
○国務大臣(竹中平蔵君) 結論から言いますと、計算はしておりません。これは、骨格経営試算そのものが趨勢的な一つの、その趨勢を判断する材料として提供しているという点にあるわけでございます。
 もう一つ、確かに郵貯、窓口も数は少ないわけでございますけれども、それでもまあ四千人、八千人ということでございますから、それに比べるとけたが違う人数だということでありますので、そうした意味で数が若干名であるのでというふうに先ほど申し上げた次第でございます。
#141
○藤本祐司君 それでは、ちょっと個別の話をさせていただきますけれども、郵便事業の骨格経営試算、ここのところを少し、ちょっとお話お聞かせいただきたいんですが、ここの人件費、やはり人件費の算出根拠って、元々の数字は分かるんですけれども、この十年間でどういう推移、いわゆる設定根拠といいますか、その前提条件をどういうふうに設定されているんでしょうか、十年の推移ですけれども。
#142
○国務大臣(竹中平蔵君) お尋ねは郵便事業の人件費ということだと思いますけれども、これは総引受郵便物数が年率、過去三年平均ですと一・一%の減少でございます。その一・一%で減少していくということを前提とした下で、これに応じて年率人件費も一・一%で減少をしていくというふうな前提を置いております。
 別の言い方をしますと、人件費一円当たりの生産性を保つ。物数が減ってくるわけですけれども、人件費一円当たりの生産性を下げない、そのような経営努力を行っていただくということを前提にして人件費をこの中に計上しております。
#143
○藤本祐司君 まあ経営努力を行っていただくというお話がありましたけれども、骨格経営試算はほとんどその経営の政策意図、経営判断などとは一切関係しないということが前提になっているわけでして、利益の方は、そして経営努力とかそういうのはほとんど見ないでおいて、コストの方は経営努力をして下げてくださいということと解釈していいんでしょうか。
 それと、要するに売上げが一・一%ずつ、郵便数ですね、が減っているから物件費も人件費も同じように減らしましょうということになっているわけなんですけどね、この骨格経営試算ですと。そうなってくると、普通の会社でいったら売上げが下がりますからそのまんま人件費と物件費を下げますよという、そういうのと全く同じなわけなんですけど、実際そういうことが可能なのかどうかということですね。
 本来であれば、こういう人件費の算出、やり方として一番分かりやすいのは、新規雇用をしませんよと。新規雇用がないんであれば、例えば定年退職者が毎年このぐらい出ますと、で、退職金がこれだけ減りますと。あるいは、定年退職じゃない方々も、退職率が大体今まで過去何年間でこのぐらいですから、その退職率を掛け合わせてだんだんこのぐらい減ってきますよというのであれば非常に分かりやすい。特に経営努力もなし、経営判断もなし、前提がそのまま生かされるんだろうと思うんですが、ここだけ何か経営努力をして一・一%ずつ物件費も人件費も減らしますというと、いつも売上げが上がれば人件費も物件費も下げるんであれば必ずこれはずっとプラスになっていくということになってしまって、これが本当にこんなことができるのかという意味ではちょっと疑問に思うんですけど、いかがでしょうか。
#144
○国務大臣(竹中平蔵君) こういった将来試算を行う場合の考え方というのは、委員御指摘のとおり、いろんな考え方があるんだと思います。
 骨格経営試算というのは極めてある意味で保守的にですね、新たな新規の事業を行わないで、それで保守的に試算をしたいというのを、そして傾向的にこの四社がどのようになっていくかということを把握したいということを考えているわけでございますけれども、その場合に、一つはこう何も努力をしないというのも一つの考え方としてはこれはあり得るのだと思います。
 しかし、同時に、これまたもう委員が非常に適切に御指摘をくださったわけでございますけれども、これは実は公社職員の年齢構成を考えますと、毎年平均して二・五%以上職員が引退するというふうに考えられております。それをまあ盛り込むというのも、これは試算の考え方としてはあり得る考え方であると。
 で、我々は、そういった意味ではこう決して一・一%自動的に減るとか、そういうふうに考えているわけではなくて、公社の職員が二・五%以上減るような状況下で生産性を一定に保つ程度の努力は、これは当然にしていただかなければいけないのではないだろうかと。これは決して無理な想定ではないし、その意味では、当然民営化されて生産性が低下しないような努力は、これは当然していただけるだろうと。実現は可能であるということ、しかし何もしないというような極端な前提ではないということ。
 現実には、公社の人件費というのは減らしながら、今、例のゆうパック等々の増勢も掛けておられますので、まあそういった、しばらく頑張って、総裁に頑張っていただいて、その後もですね、保守的ではあるけれども、それなりの経営努力をしていただけるような、それはやっぱり一つの考え方としては、民間の企業である以上、人件費一円を非常に有効に使う、効率的に使う、生産性は下げない、そのような前提、これは保守的な前提であると私は思いますけれども、その下でこの試算をさせていただいております。
#145
○藤本祐司君 それでは、そこの利益、利益というか収入の方なんですが、これ生田総裁にお聞きしたいんですが、この小包一般シェアを一〇%にするというのがこの骨格経営試算の前提になっているわけなんですね。現在は多分七%程度に収まっているんだろうと思いますが、アクションプランで一〇%だからこの骨格経営試算もそれを踏襲しましたよという説明があったわけなんですけれども、この実際の一〇%の実効性といいますか、そのアクションプランとして一〇%にするって、これどういう形でやろうとされていたんでしょうか。
#146
○参考人(生田正治君) 結論の方から先に申し上げますと、私は、公社の間に一〇%行けると、やれると思っております。で、やるための施策を打ちつつあります。公社スタートのときは五・七%です。今、先生おっしゃるとおり、七%。今年じゅうに多分八あるいは八を超えるところまで行って、最後には一〇を必ず行かすつもりでおります。
 それは一つは、まず根本的に考え方を変えて、サービス業だという現実認識をきちっと持って、すべてをお客様本位に考える、これは原点です。それで営業力を高める。それは、サービスメニューも増やしますし、品質を思い切って上げるということもやっております。それから、サービスの質を上げる意味では、翌日配達のところを増やすとか的確に時間帯できちっとお届けする、夜も配るというようなこともやっております。
 それから、JPSというのをやりまして、生産性を上げることによってこれをまた品質アップにつなぐというようなこともやっておりますし、提携を増やしていますね。いろんな同業他社の、例えば山九運輸とか日立物流と組むというようなこともやっていますし、お客様の利便性を図るために、今コンビニにお願いして、いいよ、置いてあげるよというところは置いていただくということで入口も増やしております。
 今ちょっと申し上げるわけにいきませんが、更なる品質アップと取次先の拡大などについて計画を練っておりまして、いずれ法案の行方も見ながらきちっと発表して、結果として達成していくつもりでおります。
#147
○藤本祐司君 分かりました。
 それでは、新規事業の方に移りますが、郵便事業を取り上げたのは骨格経営試算の一番最初に載っていたんで取り上げたんですけれども、もう一つ、新規事業の方の一番頭に国際展開とある、国際物流の方がありますので、ちょっとそれについてお聞きしたいと思っていますが、これは中長期的には売上高の約二割に当たる四千億円がということなんですが、この二割というのがいわゆる主要インテグレーター並みの水準であると、それが二割であるということなんですが、ちょっとその辺りの根拠を教えていただきたいと思います。
#148
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のとおりでございまして、まあ基本的な考え方というのは、我々は、アジアの地域の国際物流市場は大変な成長市場だというふうな認識を持っている。民間のシンクタンクでも、アジアの国際物流市場、今後十年で約三倍になるというふうに見通している。
 そういう中で、公社にも頑張っていただきたい、郵政にも頑張っていただきたいわけでございますけれども、国際物流の収益源としている、国際物流をその収益源としている主要なインテグレーターによります国際物流関係シェアを見ますと、例えばフェデックスが二三%、UPSが一九・五%と、そのような数字があるというふうに承知をしております。
 骨格経営試算では、二〇一六年度における郵便会社の郵便営業収入が一兆六千億程度であると、一兆六千億円程度となるということを踏まえまして、中長期的には売上高の約二割に当たる四千億円が国際業務による、そのような想定をしているわけでございます。
 ちなみに、この四千億円というのはアジアの国際物流市場として想定したものの一六%強でございます。二〇一六年度までに更に市場が拡大するということを考えますと、まあこれは目標としてもちろん大変難しいということは承知をしておりますが、私はやっぱり、頑張ってこのようなことにはこのぐらいの成果を是非出していただきたい、そのような御尽力をいただきたいと思っております。
#149
○藤本祐司君 今、収益の話が出ましたから、今度、費用の話なんですけど、費用、まあこれ費用、コストが九五%で利益率五%ということで想定されていますけれども、この五%の根拠は何なんでしょうか。
#150
○国務大臣(竹中平蔵君) たしか御答弁で、こういうシミュレーションをする場合には大体三つぐらいのパターンに分けてお考えくださいというふうに申し上げたと思います。収益と費用を個別に積み上げているもの、利益率を求めるもの、さらには追加的にその効果を単独に出すものと。その意味では、これはその利益率を参考に出させていただいております。国内大手のフォワーダーの利益率を参考に五%と想定をしております。これは、フォワーダーの売上率、各社によって違いますけれども、日通、近鉄エクスプレス、郵船航空サービス等々、主要なところの単純平均を取らせていただきまして五%とさせていただきました。
#151
○藤本祐司君 今聞いていて、やっぱりちょっとおかしいなと思ったのは、収益については世界の主要インテグレーター並みの水準を持ってきているわけです。費用については国内のフォワーダーの利益率を持ってきているんですが、インテグレーターとフォワーダーはもう元々全く違うものですよね。これ、全然違うものを同じところで計算をして、利益はインテグレーターですよと、費用はフォワーダーですよというふうに言っているというのが、全くこれ、お一つのFSをやるときにこれ全く前提がおかしいんじゃないかなと思うんですが、インテグレーターとフォワーダーってどう違うかというのは御存じだと思いますが、ちょっと御説明いただけますでしょうか。
#152
○国務大臣(竹中平蔵君) 要するに、インテグレーターというのは正にインテグレートして、統合して、要するにすべてのプロセスを持っているものというふうに認識をしております。
#153
○藤本祐司君 御説明申し上げますと、インテグレーターというのは、要するに集荷から配送まで全部一貫してすべてやる、トータルでやるということなんですね。国内のフォワーダーというのは、基本的には航空会社の空いているところにこう荷物を載っけてもらってやるっていう、これもう全く違うんですけれども、全く違うものを同じところに、ベースで計算をするということが、そもそもFSをやるときに、事業性、採算性をやるときに間違ったやり方だというふうに思っています。
 しかも、この主要インテグレーターというのの規模、郵政公社が今規模も全然違っているわけでして、例えば、これからホテルを造りましょうと、百ルームのホテルを造りましょうというふうに言っているのに、三千室、四千室の売上げのところを見ながら、そこの外国人比率が五割だから五割ですよと。でも、利益率は二十室、三十室の旅館、ホテルと同じですからそちらにしましょうねというふうに言っているのと全くこれ同じで、全然土俵が違うというかステージが違うものを一つのところで計算して、ほら、これは収益ですよ、これは費用ですよと言っているのは全くこれ理解できにくいところなんですね。
 じゃ、インテグレーターを目指すということで考えていいんですか、これは。今あるインテグレーターを。売上げ二割と言っているんで、それを目指して、目標にしているからそれを持ってくるわけでして、FSのところを、多分大臣は当然お分かりのことだと思いますけれども、今までのトレンドがあればそれを、トレンドを伸ばしますよとか、あるいは横ばいにしましょうという前提があるんですが、そういうトレンドなりを比較できない新しい事業のときは類似の事例を持ってきてやるというのが、まあFSでいえば基本中の基本なんです。
 だから、そういう意味では類似事例を持ってきているということでこれはFSをやっているんだろうと思ったら、インテグレーターとフォワーダーと両方全然違うものを持ってきているという、これは全く理解できないです。これ基本中の基本を多分書いているんだと思いますけれども、竹中大臣、それどう思いますでしょうか。
#154
○国務大臣(竹中平蔵君) さっき私がインテグレートしていると言ったのは、川下と川上を全部持ってインテグレートしたプロセスを持っているのがインテグレーターであると。フォワーダーというのは、国内のを持っていてそれを正にフォワード、追加的にフォワード、前へ行くのがフォワーダーだと、そのように申し上げたつもりでございます。
 今の委員の御指摘は、例えば日本のように非常に大きな国内市場を持っていて、これは生田総裁が何度か御答弁しておられますけれども、やっぱり当面は、長期的には分かりません、当面はいろんな形での提携を考えながらやっていくのが非常に現実的であろうというふうな趣旨のことを言っておられると思います。したがって、フェデックスは何十機、何十機ですか、物すごい量のあの大きなジェット機を持っておりますけれども、生田総裁は当面ジェット機を何十機も買うというようなつもりではないというような趣旨でいろんな可能性を考えるというふうにおっしゃっているんだと思います。その意味では、急に今インテグレーターになると、インテグレーターをこの十年で目指すというようなことは、これは生田総裁もお考えではないですと思いますし、それはいろんな意味から現実的ではないということであろうかと思います。
 その意味では、そういう中で、しかし国内では非常に大きな配送ネットワークを持っていて、近隣に非常に大きなアジアの成長市場があって、そこについてはその一種の地の利もあって、そこをどのように我々が現実的に見通すかということに尽きるのだと思います。
 その意味では、これは結果的に見ると、正に委員御指摘のとおり、これ、マーケットシェアについて、収益面ではインテグレーターと同じようなことを考えている、しかし利益についてはフォワーダー的なものであるという御指摘だったと思いますが、恐らくそれが一番現実的な今考えている総理の考え方であろうかと思います。
 インテグレーターの利益率を持ってくると、インテグレーターの利益率を持ってくると飛行機を持つというようなことになりますからこれはむしろ非現実的であろうかと思いますし、今総裁がおっしゃられておられるようなことも踏まえて、参考になる最もプロージブルな事例としてこのような事例を持ってきていただいて、そのめどを付けているということでございます。
#155
○藤本祐司君 全く現実的だと私は思わないんですけれども、そのインテグレーター、例えばUPSにしても自社機二百六十五機持っていますよね、フェデックスも六百四十三機飛行機持っている。あるいは海外拠点だってそれ配送まで全部やるわけですから、配送車両も持たなきゃならないし営業所も全部持たなきゃならない。それをここに持ってきて、それとは違うものをやるんですよと言っている。で、やって、違うものをやるんだけれども、収益については二割を、そこを持ってくるって、全くこれ分からないんですよ、現実的じゃないと思いますよ、これ。これが現実的にできるというふうには思えないんですよ。
 全くこれ矛盾だらけといいますか、全く同一レベルで計算をしていないということになってくるんではないかなと思いますが、現実的だという根拠をちょっと教えていただきたいんですが。
#156
○国務大臣(竹中平蔵君) 是非、もしもこれよりも現実的な想定があるんだったら、これ、私どもにも知恵を付けていただきたいと思います。
 これは、現実には……(発言する者あり)現実にはいろんな判断の中で、私たちはアベイラブルなデータの中でそれについてやっているわけですから、私たちは最も現実的な想定を置いているわけでございます。
#157
○委員長(陣内孝雄君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
#158
○委員長(陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
#159
○藤本祐司君 じゃ、もう一度質問させていただきますけれども、全く土俵が違う、ステージの違うものを持ってきて、それを、そういうものを目標とするわけではないと言っていながらこの数字を持ってくるのは現実的であると言っているのが、もう全く理解に苦しむ答弁なものですから、なぜ現実的、これが現実的なんだと。ほかになかったからこれを持ってきたっていうことなのか、ほかにもない、ほかになかったからこれを、この数字を持ってこざるを得なかったというんであればそれは分かるんですが、これが現実的であるということには、理由にはならないんだろうと思いますけど。
#160
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたのは、これは、本当にどういう現実に利用可能な数字を持ってくるのが制約の中で最も現実的かということに尽きるわけだと思います。これ、いろんな予測をする場合はそういう制約の中でやらざるを得ないわけでございますけれども、私が申し上げましたのは、幾つかの制約の中では私どもが採用している方法が最も現実に近いと、現実的であるというふうに申し上げたわけでございます。
 当面のビジネスモデルとしては、自分で飛行機を持つわけではありませんから、フォワーダー的なビジネスなわけでございますけれども、しかし国内フォワーダーで参考になるような規模、そういう国際物流を持っているものはほかにはございません。そこで、利益率に関してはそのフォワーダーの利益率を持ってきて、そして、これは規模的に考えてこのインテグレーターに匹敵するような活躍をしていただきたいと、それを想定して国際物流への進出を可能にしておりますので、市場におけるシェアは言わばその一種の代替といいますか、それに相当するぴったりのものがありませんのでインテグレーターのものを用いたと、それが最も制約のある中で現実に近いのではないかというふうに考えたわけでございます。
#161
○藤本祐司君 要するに、この新規事業というのは全く絵にかいたもちを数字に表したんですよということを言っているにすぎないわけでありまして、こんなものは信用しないでくださいということを大臣が暗に言っているようにしか思えないわけなんですけれども、これ、信用しようがないじゃないですか。
 骨格経営試算だって、そういうことで前提条件非常におかしいし、全然違うものを持ってきてフィージビリティーやっているということ自体がおかしいわけなんで、これ、何でこういうものを出したか全く理解に苦しむんですよ。こういう新規事業を出してきたこの目的が全く分からなくなってしまうんですけれども、すべてこういうこと。
 今私は、先ほど言ったように、一番最初に国際展開があるから国際展開というのを取り出して今質問しているんですが、これ全部やっていったら多分全部同じ結果になるんじゃないかなというふうに思いますね。こんないい加減なものを出して、さあ、これで今回郵政民営化すれば、これだけ事業が増えて良くなりますよと言っているのはおかしいわけですよね。これはランニングコストも五%。多分、ランニングコストですね、利益率。これ、投資の回収がないわけですよね。投資回収も含めてなんですか、これ。
 そうすると、じゃ、どれだけの投資をするものなんでしょうか。要するに、インテグレーターとフォワーダーはもう全く別物だということは大臣お認めになったんですけれども、認めているんであれば、投資も全然違うわけですよね、投資の中身が違うわけですから。その中身は、じゃ、どういうものを想定されてこういうものを持ってきているわけなんでしょうか。
#162
○国務大臣(竹中平蔵君) まず、基本的な考え方について、どうしてこういうものを出すのかという御指摘がございましたけれども、これ、骨格経営試算と採算性に関する試算というのはその目的も少し異なっているわけでございます。
 骨格経営試算は、民営化会社の経営が成り立つかというのを検討する材料として試算したものでございまして、これは新規の業務を織り込まない点でも保守的なものになっている、できるだけ保守的に見るというのが一つのスタンスでございます。一方、採算性に関する試算は、新規事業として様々な事業を行った場合の可能性を示すということでございますので、基本的には甘くならないように、保守的な前提を設けることとしつつも、民営化会社の潜在力、可能性をお示しする観点から事業の内容に応じて市場の成長を織り込む、これはデータとしては制約がありますけれども、その中で可能性を示すためにそのような試算を行っているわけであります。
 二つ目の初期投資に対するお尋ねでありますけれども、これは採算性に関する試算というのはそもそもどういうものかといいますと、業務が相応に軌道に乗ってきた段階の年度利益ですね、業務が相応に段階に乗ってきたときの年度利益を試算しておりますので、これは国際展開の試算におきましては初期投資は具体的には試算をしておりません。
 ただし、国際展開の試算においては、想定される売上げに利益率を乗じる形になっておりますので、これは利益率の中には、国内の大手フォワーダーの利益率にこれは準拠しているわけでございますから、この国内大手フォワーダーの利益率の中には過年度の投資に伴う償却、減価償却というものは、これは当然見込まれているわけであります。その意味では、この試算における利益率というのは、業務が相応に軌道に乗ってきた段階での過年度の減価償却、初期投資に基づく減価償却を利益率を含む利益率に基づいて試算をしたものというふうに言えるわけでございます。
#163
○藤本祐司君 いや、だから何度も繰り返していますけれども、費用の方はフォワーダーがやっているんだったら、フォワーダーの投資コスト、投資を見ているということなんですね。そうしたら、そんなことやったら国際展開なんかできるわけないじゃないですか。航空会社に依頼をして荷物を載っけてもらっているわけだから、全然投資の中身が違うわけですよ。だけど、中身が違うんだけれども、フォワーダーの投資の中身を見て利益率を見ましょうねというふうに言っていて、でも売上げはインテグレーターですよって、これ、だれが考えても分からない、おかしいんですよ。
 だから、おかしくないというふうに言うのがおかしいですよ、大臣ね、ちょっと気を確かに持っていただきたいと思うんですけれども。これ、絶対おかしいわけですが、多分おかしいと思っていらっしゃっておかしくないとお答えになっているんだろうというふうに思いますけれども。
 とにかく、こういうFSをやるときには前提は全部そろえないと絶対おかしいわけ。だから、これは急いでやりましたなのかどうか知りませんけれども、きちっとしたものをちゃんとやんなきゃ、出して、我々に見せていただかないと、これ単なるうそを数字として表しているということを大っぴらにしているだけにしかすぎないわけなんですけれどもね。
 そこのところの説明がやはり先ほどからの答弁だと全く理解できませんので、納得できるような根拠。だから、これ、私が何度も言っているのは、根拠を示す、前提を示すだけじゃなくて、その根拠となるバックデータとか、定性的なものでも構わないんですけれども、そういうものを示してくださいねと言っていたのが一週間たっても結局出てこないから、こういう質問をせざるを得ないんです。(発言する者あり)だから、恐らく多分何にもないんだと思うんですよ、これ、物によってはね。
 だから、この辺についてきちっと資料を請求をして、バックデータも全部、加工しなくて結構なんですよ。原典に当たった……(発言する者あり)いわゆる……
#164
○委員長(陣内孝雄君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#165
○委員長(陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
#166
○藤本祐司君 それでは、私の時間はあと二分というちょっと中途半端な時間ですので留保いたしますけれども、きちっと資料は出していただきたいというふうに思います。お願いいたします。
 ありがとうございました。
#167
○国務大臣(竹中平蔵君) 前回も答弁で、お出しできるものをしっかり出すというふうに申し上げて、事務方も誠意を持って対応したとは思うんですが、結果的に委員に御迷惑をお掛けいたしたということであれば、おわびを申し上げます。
 我々としては、これはもう出せるものは当然出して、御審議をいただきたいと思っております。中には、例えば公社から内部の数字としてヒアリングで聞いたものもあるかもしれませんが、そういうものを除きましては、御指定いただいたものはすべてお出しをしますので、これは是非しっかりと我々も対応いたしたいと思います。
#168
○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。
 私は、先ほどの藤本委員の話に引き続きまして、将来の経営予測についてお話をしたいと思います。
 手元にちょっと資料を今配らさせていただきますが、二十四枚ぐらいの資料を作っています。その中で十四ページをちょっとごらんになってください、十四ページ。十四ページの上から二つ目に二十一日の大久保委員と竹中大臣の質疑があります。大久保委員が、この骨格経営試算及び採算性に関する試算、これを国民に自信を持って説明できますかという話をしたときに、竹中大臣はイエスと答えられています。
 ところが、先ほどの議論を見ていますと、全然イエスじゃない。この試算はあくまでも指標としてしただけですというようなことをおっしゃっていまして、やっぱりきちんと国民の皆様に分かるようなことをやっていただかなきゃ困るということを申し上げたいと思います。
 まず一つ目の質問でございますが、竹中大臣はこの大久保議員との質疑におきまして、専門家と、専門家の知見も活用してということをおっしゃっていますけれども、専門家とはどなたのことをおっしゃっているんでしょうか。簡単にお答えください、三十秒ぐらいで。
#169
○国務大臣(竹中平蔵君) この試算等々を検討するに当たりまして、郵政民営化担当大臣の下に設置された有識者会議の中で御議論をいただいております。有識者会議のメンバー、正に専門家でございますが、伊藤元重氏、東京大学教授、宇田左近氏、マッキンゼー・アンド・カンパニー・プリンシパル、翁百合氏、日本総研の調査部主席研究員、奥山章雄氏、日本公認会計士協会、当時は会長、今は相談役でございます。そして、宮脇淳氏、北海道大学教授、吉野直行氏、慶応大学教授の六名でございます。
#170
○藤末健三君 じゃ、先ほど藤本議員、これから私が御質問申しますけれども、この試算の中身はこの六名の委員の方々が責任持ってつくったということでいいんですか、認識は。一言でお願いします。
#171
○国務大臣(竹中平蔵君) 試算は準備室において責任を持ってつくっております。その準備室でつくる場合に、この申し上げました有識者会議のメンバーの方々に御意見を賜り、そして準備室で作成をしております。
#172
○藤末健三君 質問しても多分イタチごっこだから申し上げますけれども、準備室の方々のメンバー構成も教えていただきました。その中で大事なことは、これは経営の将来予測なんですよね。ところが、経営学とかそういう企業経営についてのプロは上の方にいません。これは事実です。という状況でこの郵政の民営化後の将来像を計算しているわけですよ、皆さん。集配サービス、デリバリーサービス、今、藤本委員から話がありましたけれども、本当にいい加減な試算をしている。それが今現状。三十万人の方々の職業を担う組織がこんないい加減な計算でいいかということを今からお話ししたいと思います。
 続きまして、特に私が試算の中で気になっていますのは、コンビニ事業ございますよね、大臣。コンビニ事業がきちんと採算性が取れるかどうかということについてお答えください。お願いします。
#173
○国務大臣(竹中平蔵君) その前に、今委員から厳しい御指摘を賜りましたが、この試算そのものは準備室で行った、公社と正に御相談をしながら行っておりますので、経営の当事者と相談をしながら行ったということは申し上げたいと思います。
 それで、コンビニ事業の収益見込みについてでございますけれども、これは、収益については集客と販売スペースの確保が見込める局数として普通局相当数、これ千三百局について順次取扱いを拡大しまして、大手コンビニ会社のチェーン店の収益構造を参考として一店舗当たり販売額二億円、年間、合計二千六百億円の収益を確保する、それに費用等々を積算をいたしまして、利益二百四十億円程度というふうに試算をしているところでございます。
#174
○藤末健三君 皆様のお手元に配りました資料の三ページをごらんになってください。是非与党の方々にも見ていただきたいと思います、これは。
 竹中大臣から御説明ありました局数千三百局、一軒当たり二億円、そして原価率、粗利益で三〇%でございますが、五ページをちょっと見ていただけますでしょうか、五ページ目。
 これは大手コンビニとの比較でございます。郵便局は何とセブンイレブンと同じ売上げ。サンクス、ファミリーマート、サークルK、ローソンをはるかに超す売上げを上げるという計算になっています。それが一つ。
 次、六ページ目ごらんになってください。ところが、総店数を見るとセブンイレブンが大体一万軒を超すぐらいでございますが、郵便局は千三百。にもかかわらず粗利益率は何とセブンイレブン、ローソンとちょうどサンクスの間ぐらいということで、ファミリーマート、サークルK、サンクスよりも粗利益率は高いと。プロのコンビニよりも粗利益率が高いという計算になっているというのが現状です。
 これをまとめたのが四ページ目、ごらんになっていただけますでしょうか。四ページ目がございますが、これは郵便局千三百局とセブンイレブンとその他と比較しております。売上高はセブンイレブンに近いという状況ですが、大事なことは店舗数が千三百対一万八百二十六という状況です。十倍約違います。
 また、立地条件、セブンイレブンは百三十五の項目、その店の前に何人人が通るか、その商圏にどれだけの人口がいるか全部調べた上で、選んだ上で立地している。一方、郵便局は今あるところを使うということになっている。
 そして、大事なことは、ドミナント出店といいまして、ある地域に集中的に出店するんですよね。そうすることによって物流コストが大幅に安くなります。そういうことをやっているのがあります。
 私は、びっくりしましたのは、売場面積はどのぐらいですかということを、話を聞きましたら不明と。コンビニの売場面積は想定しておりませんという回答が来ていまして、これは文書でいただきましたんで、ちゃんと載っております。七ページ目載っています。民営化準備室からいただいた資料です。売場面積も分かりませんという話。それで粗利益率は三〇%ということで、ほかのコンビニよりも高いという状況。
 そして、もっと驚くことは、恐ろしいことに、POSシステム、これは情報システムです、皆さんがコンビニで物を買うときにバーコードでピッピやる、ピッピッとやるじゃないですか。これは非常に重要でございまして、売場面積が狭いので売れ筋の商品を必ず品物はなくなんないように補給するという仕組み、そしてまたどういう方が何を買うかということも全部このPOSシステムで分かるようになっています。セブンイレブン、投資額六百億円。私が見ました積算上、情報化投資のPOSシステムはゼロですね。載っていません。今言えばありますとおっしゃるかもしれませんけど、私がいただいた資料じゃありません。
 こういう状況で果たして郵便局のコンビニ事業は予定どおり二億円売上げができるのか。粗利益率が三〇%行くのか、ほかのサークルKとかプロの企業よりも高く行くのかお聞きしたい。大事なことですよ。
 千三百のコンビニ事業、恐らく一店舗当たり二人か三人の方が職員として担当されると思います。三千人か四千人、御家族も入れると一万人を超す。そしてまた、一店舗当たり常時二名から三名のアルバイトを雇う、恐らく一店舗当たり九人ぐらいのアルバイトの方が来られる、それで一万人。二万人近くの人々の生活を支えるべき事業がこのような計算でいいんでしょうか、大臣、お答えください。
#175
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員にいろいろ御指摘をいただきましたが、幾つか是非御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、これ一店当たりの売上げの資料でございますけれども、これについてはセブンイレブン、まあ高いわけですけれども、セブンイレブンとその他のものの大体中間ぐらいの想定をさせていただいたつもりでございます。これについても、これは当然努力が必要なわけでございますけれども、極端に高い想定をしたということではないと思っております。
 そして、重要なのは利益率でございますけれども、これはここに書いて、利益率に関しましては、まあイメージとして、これは、この郵政のコンビニはフランチャイザーになるわけではございません。フランチャイジーとして、まあ極端な話、それはひょっとしたらセブンイレブンかローソンに加わる、そこのフランチャイズチェーンに加わるということになるかもしれませんですけれども、そうしたことから考えますと、正に、そこのその平均的な利益率というのを用いることにはそれなりの意味があるというふうに思っております。
 それで、この表、四ページの表についてもおまとめをいただいておりますけれども、例えばこの売上高、これセブンイレブンと他のコンビニの中間ぐらいを想定しているということは先ほど申し上げましたですけれども、例えば立地条件等々については、これコンビニが大変戦略的な店舗展開をしているということは承知をしておりますが、そもそも郵便局は非常に集客性のある拠点であるということ、そして郵便局が集客性を持つから、同時に郵便局、この集配局は駐車スペースも持っておりますので、そういったところもうまく活用して、追加投資を実質的にやらない形で十分この店舗展開が可能であろうというふうに考えているわけでございます。
 POSについてもございましたけれども、これは、フランチャイジー、試算はここに書いておりますけれども、これは、この試算は、我々の試算はフランチャイジーでありますので、フランチャイザーではございませんので、POSを自己開発するという必要は、これはないわけでございます。そういう形での試算であるということを是非御理解いただきたいと思います。
#176
○藤末健三君 七ページ目、皆さん見てください、七ページ目。平均の売場面積分かりません、担当者数分かりません、そういう状況で話をしている。
 よろしいですか、大臣。大臣がおっしゃっていることは、フランチャイジーになってPOSシステムは自由にしますということは、どこかのコンビニの傘下に入るということですよ、それは。恐らく、それも大事なことを、恐らくどこかの一社か何かと組まなければできないですよ、そういう契約は。どうするんですか。
 こんな全部いい加減な、いやフランチャイジーですと突然話が変わる。僕は、フランチャイジーという説明は一切民営化室の人から聞いていません、今まで。僕は聞いていないですよ。それはちょっとひどいです。だから、この面積も分からない、何も分からないという状況で計算しているものが本当にうまくいくかどうかということについて責任持って言えるかどうかということについては、僕は大きな疑問がございます。本当に皆さんにもお見せしたいのは、この想定が分かりません、分かりませんということで全部将来決まりますよという話になっているというのは非常に大きな問題でございます。
 先ほど藤本委員からもお話がございましたけれども、数字がことごとく出ないんですよ。想定していません、分かりませんという形になって、資料を下さいと申し上げるとずっとなかなか来ないという状況でございまして、本当にまじめに想定をやっているかどうかということについては大きな問題だと考えております。
 次にちょっと質問移らさせていただきまして、これ七月二十一日に大久保委員と竹中大臣の質疑の中に、これは二ページ目にございますけれども、三十五兆円の信用リスク事業ありますと、スプレッド一%ということでおっしゃっていまして、その中で、大久保議員が、スプレッドが〇・七%以上の社債の総額はどのぐらいですかということをお聞きしましたら、大体社債の二割であるということを大臣お答えいただいたんですけれども、その総額は幾らかというのをちょっと教えていただけますでしょうか。お願いします。
#177
○国務大臣(竹中平蔵君) 一点、フランチャイジーであるというのは、私も何度か国会答弁をさせていただいておりますので、その点につきましては申し添えたいと思います。
 その点で、今、金額ですね、何番だっけ、金額はどのくらいかということですよね。はいはい、済みませんです。国内の公募普通社債で、今年上期発行分、一月から六月の半年分のうち、国債スプレッドが〇・七%以上の銘柄の総額は四千三百五十五億円でございます。年率勘案すれば八千七百億円ということでございます。なお、ちなみに全公募債について申し上げますと、三兆一千六百三十五億円でございます。これ、半期の数字でございます。
#178
○藤末健三君 そうしますと、約その社債総額は一兆円、ああ、済みません、六兆円程度ですよね、計算すると。で、公募債が七兆円とかいう話でございますが、この三十五兆円の信用リスク事業を、簡単に言うともう市場はすごく小さいんですよね、御存じのとおり、釈迦に説法ですけど。本当に運用できると思われていますか。お願いします。
#179
○国務大臣(竹中平蔵君) この一%の信用スプレッドを取ると、いわゆる信用リスクビジネスにつきましては、これはもういろんな種類のものを考えていただくというふうに思っております。
 その一つとして今社債の話も出ているわけでございますけれども、これはもちろん貸付け、住宅ローン等々の貸付けも視野に入ってまいるでしょう。シンジケートローンの増加等々もございますでしょう。様々な証券化ビジネスが今大変進んでおりますので、そういうようなものを合わせて、かつ十数年後の経済規模が大きくなっている状況の下で、三十五兆円程度の信用リスクビジネスというふうに考えておりますので、もちろん、委員御心配のように、この社債だけでそんないいといいますか、スプレッドの稼げる社債だけでそれほど大きなことになるということは、もちろん想定はしておりません。しかし、今申し上げたような、ABS、シンジケートローン、様々な融資まで含めたもので、その三十五兆程度のシェアを取ることは可能であろうというふうに思っております。
#180
○藤末健三君 先ほども申し上げましたように、この社債でも数兆円ですよと。そして、いろんなもの入れても、例えば、先ほどおっしゃった不動産のリスクローンなんかも多分おっしゃっていると思うんですよ、おっしゃっている中には。ただ、例えば不動産のリスクローンをやる場合ですと、不動産の管理技術とかそういうものが必要となってきますし、あと二つの質問をちょっとお願いしたいと思うんですよ。
 一つは、まず一%という問題。現状において市場スプレッド一%というやつは、ものは、この資料、配った資料の二ページ目にございますけれど、ほとんどないですよね。先ほど大久保議員との質疑の話を申し上げましたけれど、〇・七%、スプレッド〇・七%以上、利益が〇・七%以上の社債の総額でさえも一兆円、年間一兆円行かないような状況。あと住宅のローンの証券化が始まりますよということをおっしゃってますから、おっしゃっているように聞こえますけれど、それでも全体で五十兆ですよ。まず、そういう一%がまず行くかどうかという議論が一つ。
 もう一つあるのが量の議論ですよ。三十五兆円を消化できる市場があるかどうか、それについて明確に答えてください。十五年後は知りませんとか、もうそんなとぼけたことは絶対言わないでいただきたい。お願いします。
#181
○国務大臣(竹中平蔵君) 今後、今GDP五百兆強ぐらいのところを想定しておる、のところに日本経済いるわけでございますが、これは後ほどまた委員から御質問なり御批判があるかもしれませんが、「改革と展望」、さらにはその後の二十一世紀ビジョン等々でGDPのサイズもかなり大きくなるということが想定されております。そういう中で、企業の資金調達等々も増えると。まず家計の貯蓄が増えて、企業の資金調達も増えて、もちろん政府も増えるわけでございますけれども、そういう形で新しい資金の流れが生じるというふうに考えております。
 今、今の二〇〇四年時点での市場規模で申し上げますと、貸出しが四百十、四百兆円強でございますけれども、その中でシンジケートローンが二十五兆ぐらい、そして社債が、さっき言ったように、これは銀行保有分が二十それぞれ七兆、株式も保有分、株式もあるわけでございます。
 そうしたことを考えますと、今後、そういった意味での資産、日本全体の資産が拡大する中で、その予定されている四分の一程度のその市場を、信用リスクビジネスの市場をこの公社、民営化された郵政が取るということは、これは経済規模の拡大の中で十分に可能であるというふうに考えております。
#182
○藤末健三君 全然大臣お答えいただいてないじゃないですか。
 まず一%というスプレッドが実現できるかという話になると全くお答えていない。まず一つ。
 あと三十五兆円が、信用リスクが、事業が運用できるかという話ですけれど、市場が三十五兆円あればいいというもんじゃないんですよ。本当に五十兆の市場にもし三十五兆円が入ったら市場は崩壊します、これは。普通一割ぐらいですよ、限界は、単独で市場に入れるのは。そういう状況を全く考えずに、これは準備室からいただいた、これは本当に与党の皆さんに見ていただきたいんですけれども、いただいた資料ですよ。三十五兆円の信用リスクの事業については運用は分かりませんと書いています、明確に。大臣も答えられないじゃないですか、全然。
 そんないい加減な計算でスプレッド一%。これは二%でも三%でもできますよ、はっきり言って。こんなことでしたら何%でもできる。そんないい加減なことで本当に民営化の将来の経営予測がやれるんですか。僕はまじめに聞きたい、これは。こんないい加減なことは絶対にやってほしくないですよ。いや、もう本当にまじめに答えてもらいたいですよ、これは。
 もう一度、お答えください。一%というスプレッドが実現できるか。そして、量的にこの三十五兆円を賄える市場があるかどうかですよ。お願いします。
#183
○国務大臣(竹中平蔵君) 社債だけでどのぐらい大きくなるかとか、そういうのはいろんな御意見があろうかと思います。
 委員のお尋ねは、全体としての資金需要、それがどれだけかということと、その中で信用リスクビジネスと言えるもの、一%のスプレッドを稼ぐものが、稼げるものがどれだけあるかという二つのお尋ねでございますが、私は先ほどからGDP規模が相当大きくなるということを申し上げております。そうしたことに基づいた慶応大学の跡田教授等らの試算がございますけれども、それによりますと、今ちょっと今日は資料を持ってきておりませんが、家計の貯蓄が約五百兆増加していたということだと思います。一方で、民間部門、法人企業部門の資金需要が累計で百兆円、ストックベースで増加しているということであろうかと思います。
 それに加えて、今後起こる変化としましては、住宅金融公庫が今六十兆円の貸出しを持っておりますけれども、これが民間の部門に開放されていきます。住宅金融公庫を除く七つの政府系金融機関が七十二兆円のシェアを持っておりますけれども、これが大体GDPで半分ぐらいになっていくと、そういう我々、プランを持っております。
 そういうマーケットが民間に開放されていく、そういうことを総合的に勘案しますと、三十五兆円というような形で信用スプレッドを稼ぐことはこれは可能であろうというふうに私たちは判断をしているわけです。ただし、その三十五兆円の内訳が、今言われたように、貸付けなのか社債なのか、それこそABSなのか、それについては骨格経営試算の中では我々は判断はしておりません。これについては、これは時々の金融、今後の金融事情にもよります。いろんなことを勘案していかなければいけないと思いますが、マクロ的にはそういうことは可能であろうという判断をしているわけでございます。
#184
○藤末健三君 一%という疑問にもお答えいただけないし、先ほどの答えは、増えているから大丈夫ですよということしかおっしゃっていないわけですよ。
 例えばGDPの予測を八ページ目にちょっと書かさせていただきましたが、大臣がおっしゃっている、GDP、十年後に一・五倍というやつは、日本二十一世紀ビジョン、これは大臣が経済財政担当大臣として恐らく作成の責任者とあられると思うんですけれども、これは僕は、ある意味ではマッチポンプじゃないかと思うんですよ。
 細かいことを申し上げますと、実質的な成長率一・五倍になる、十年後に一・五倍になるためには何が必要か。この八ページの資料でございますけれども、実質成長率が二%、そして物価上昇率が二%台ということになっています、十年間。ところが、OECD、あと日本経済研究センターなんかのデータで試算をしますと、OECDの高成長シナリオでさえも一・四倍ぐらいしかならないと。ですから、これはまさしく竹中大臣の配下の組織で一・五倍ともう作ったと言っても過言ではないんではないかなという形に思います、気がします。
 特に大事なことは何かというと、この物価上昇率二%という話がございまして、次の九ページ目、ごらんください。これは物価上昇率のデータを示したものでございますが、日経センター、日本経済研究センターのですと、今後一・一%ぐらいであろうと、物価上昇は。あと電中研、ニッセイ基礎研究などのデータを見ますと、この状況で推移して二%になるというのはちょっと考えられないと思うんですよね。ハイパーインフレでも起こすつもりかという感じがします、正直申し上げて。
 という状況で、この一・五%という数字自体も本当に余りにも希望的な数字じゃないかというのが一つございます。そしてまた、現状において家計の貯蓄が増えている、あと証券化が進んでいるというふうにおっしゃいますけれども、それらが果たして一・〇というスプレッドを持つような商品になるかというと、答えていただいてないじゃないですか。
 ですから、そこら辺を本当に何かマクロないい加減な数字でやはりぼやかして説明いただいているような気がしてならないんですけど、もう一度説明いただけますか。
 本当にスプレッド一・〇という高い数字のリスク業務はできるかということと、三十五兆円もの巨大な資金を受け入れる市場が本当にあるかどうか、もう一度明確に答えてください。短時間でお願いします。
#185
○国務大臣(竹中平蔵君) GDPの成長見込みについて希望的だという御指摘ありましたが、これはもちろん予測でありますから、いろんなお考え方があるというふうに承知をしております。
 ただ、その場合も、日経センターでも約一・四倍ですから、まあ我々が一・五倍、それは一・五倍じゃなくて一・四倍かもしれないというのはあるかもしれませんが、しかしそれにしても、やはり十数年を見越す先はそれだけのやはり経済規模の変化を考慮しなければいけないと、この点は是非御理解を賜りたいと思います。
 その上で、もう一度、その一%のスプレッドを取れるものがあるかということでございますけれども、これは、これ今国内だけを例示的に議論をしておりますが、対外的なものもございます。しかし、国内だけからいいましても、先ほど言いましたように、その跡田教授らの試算によりますと、企業部門の対外借入れが百兆円この間に増えていると。この借入れそのものについては、これはスプレッドは相当にあるということなんだと思います。
 また、今後、証券市場が、証券化市場ですね、どの程度になっていくかというのは、これはなかなか予測はできませんですけれども、今申し上げましたような経済規模の拡大の中での企業の資金需要の増大、そして様々な金融商品の開発、私は、そういう中でマクロ的に見て三十五兆円という規模について、これは一つのもちろんめどとして示させていただいているものではございますが、その可能性は十分にあるというふうに考えております。
#186
○藤末健三君 じゃ、竹中大臣に一つお願いあります。三十五兆円の想定される内訳を作ってください。どういう市場にどれだけの投資をして、スプレッドはどのくらいかと。
 今みたいなあいまいなものであれば何でもできますよ。スプレッドは一パー、一・〇%、根拠ないんです、これ。二%でも三%でもなっちゃう、これは。はっきり言っておく。
 三十五兆円、企業の資金需要は増えます、家計の資金がたまります、そんな話じゃないじゃないですか。きちんと、三十五兆円もの巨大な資金がきちんと運用できるかどうかを、きちんとしたデータで提供ください。イエスかノーか答えてください。
#187
○国務大臣(竹中平蔵君) 我々もどこまで詳細にいろんな将来の議論ができるかということは、それこそ、それこそ専門家の意見も伺いながらこれまで議論をしてきたわけでありますけれども、十数年後の一つの企業のポートフォリオをそこまで分析するというのは、残念ですが、我々が持っている知見ではこれは無理だと思います。そこで私たちは、あくまでもマクロの環境の中で、マクロ的な範囲からの一つの可能性、趨勢的な動向というのをこの骨格経営試算で示させていただいているわけです。
 これちょっといろいろ思い浮かべても、十数年後にどういう金融資産が出ているのかと、その中で一つの金融機関なり会社がどれだけどういうポートフォリオをしているかというようなものを組んでいる事例というのは、これはちょっとないのではないでしょうか。我々も、そういうことが技術上可能であれば、できるだけいろんなことはしたいと思っているんですが、これはちょっと今の時点で、今も申し上げましたような、あくまでもマクロ的な枠組みの試算をさせていただいているわけで、それ以上のものは、これはもう技術的に困難であろうかと思います。
#188
○藤末健三君 それであれば、その三十五兆円をスプレッド一・〇で回すなんていうことは言えないじゃないですか。マクロのデータさえももらっていませんよ、どういうデータでどうやっているかということも。それも出さずに、出せないという話はないということと等しいですよ。だったら、こんないい加減な数字は出してほしくない。
 次にちょっと、もう御質問移らさせていただきます。
 大臣が、今までの参議院における七月二十二日までいろんな質問があった中で、経営者の判断でやりますということをおっしゃっています。私が数えましたら、七月二十二日まで十五回おっしゃっている、それを。一つ一つ個別に聞くと正しく聞こえるんですよ。例えば、移行後の株の持ち合いはどうするんですかと、経営者が判断しますという話になりますし、株式の買戻しはどうだかという話になると、経営者が判断すると。
 個別に聞いていると確かにそうかもしれないということですが、私はちょっと資料をせっかく作りましたんで御説明しますと、十六、七ページぐらいですか、からございます。それぞれ線を引いていまして、数多くのことを、窓口ネットワークの業務の展開、今後の多角化はどうするか、事業の、事業の方向性など、全部経営者の判断ということになっていますが、どこまで経営者の判断になるのかというのは本当に見えません。
 先ほど百六十三条の関係で、承継財産、資産の話がありました。これも将来的に政令か何かでやりますよという話ですけれども、下手すりゃ政令からまた経営者の判断に落ちるんではないかと。全部経営者の判断に落ちてしまったら、この法律の審議の意味がどこにあるんだろうかということでございますが、経営者の判断の範囲はどこまでゆだねるかということについて、大臣、是非お願いします。
#189
○国務大臣(竹中平蔵君) なかなか難しいちょっと御質問なんでございますが、我々はなぜ民営化をするのかと。それは、経営の自由度を増して、そこで経営者のダイナミックな判断で、そしてその創意工夫、新たなサービスを引き出していただくためだと、そのことを繰り返し申し上げてきたつもりでございます。
 その意味では、私、何回経営者の判断と申し上げたかはちょっと今委員に御指摘いただくまでは知りませんでしたが、やはりここは経営の自由を持っていただくということでありますから、経営者の判断にできるだけゆだねるようにしたいと、そういうこれは思いは当然制度設計の中で我々しております。
 しかし、委員言われましたように、法律、省令、経営者の判断、これは法律で定めることはきちっと定めているわけでありますし、省令で定めることは省令で定めるというふうに明記しているわけでございますので、そういうことが経営者の判断に落ちていくということはこれはございません。
 我々は、経営者にしっかりと判断をしていただけるように、自由な、自由度を与える、これが民営化の目的でありますし、民営化する以上、思い切った自由度を、経営の自由を与えていただきたいというのが生田総裁のかねてからの御主張でもあろうかと思います。そうした観点からの制度設計をしておりますので、枠組みは法律で決めます、必要なことは省令で決めます。しかし、それ以外のことについてはできるだけ経営者の御判断にゆだねて、正に民営化のメリットを出していただきたい、そのように考えております。
#190
○藤末健三君 じゃ、おっしゃっていることは、法律、政令、省令で考えること以外は全部経営者の判断ということなんですか、そういう話は、ということですよね。(発言する者あり)ただ、もう後ろからも言葉いただいていますけれども、国民の資産であり、そして、もう皆さん本当に、この議事録作ったんで見ていただきたいんですけれども、ほとんど多くのことを、株の持ち合いどうするか、移行後の株の買戻しをどうするか、天下りの規制でさえも経営者の判断とおっしゃっているんですよ。そういう状況は許されるかということを申し上げたいと思います。
 また、せっかく資料を作りましたのでちょっと御説明申し上げますと、あと新しい、民営化後にビル貸し事業をやろうという話があります。資産の活用、十ページ目です。十ページ目にございますが、こちらについても細かい資料をいただきました。そうしまして、そうしましたところ、東京中央郵便局と大阪中央郵便局の比較がございます。びっくりしましたのは、面積で東京の中央郵便局は大阪中央郵便局の三倍です。ところが、修繕費、維持費、管理費がなぜか五倍になっていると。面積三倍なのに修繕費等が五倍というふうになっているというデータがございます。
 なぜこうなるかという話を聞いたところ、積算は来ていません、今のところ。私、口頭でやはり説明を受けましたら、空室率などがあるので、その分損失があるんですよと、東京の方が損失が大きいんですよということでお聞きしたので、空室率を調べましたら、何と、現状におきまして、東京の千代田区、空室率は二・一%、大阪のこの地域、三・二%ということで、大阪の方が空室率が大きいという状況でした。それが現状です。もう本当にどういう計算をしたかよく分からないのがございます。
 そしてまた、ございますのが、十二ページ、もう説明だけします、質問できませんので。十二ページ目、十三ページ目をごらんください。これは預け入れ限度額一千万円超の推移ということでございまして、今名寄せを公社の方で一生懸命行っていただいています。そして、着実に進んでいるという状況でございますが、七月中旬において超過した方の、限度額を超過した数が二百万人おられるという状況です。
 ところが、十三ページをごらんください。超過した方のうち、超過額を国債購入に回っていただいていますけれども、何とその数は二〇〇五年六月末で百五十名程度ということでございまして、本当にこの作業がいつまでに、目標は来年の三月末でございますけれども、ちゃんと終了するかどうかというのは非常に疑わしいんじゃないかという状況でございます。
 最後に、私申し上げたいことが二つございます。
 一つは、竹中大臣がおっしゃっていますその経営の予測、試算、専門家が作っているというふうにおっしゃっていますけれど、ほとんどいい加減じゃないかと。先ほど藤本委員の話、私の指摘にもあるように、いい加減じゃないかということが一つと、もう一つは、経営の問題をほとんど今後出てくる経営者の方に任してしまっているということでございまして、どこまで経営者に任すのかと、この法律の審議はどこに意味があるのかということを問いたいと思います。
 以上をもちまして質問を終わらさしていただきます。ありがとうございました。
#191
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
 先週、参考人質疑を行い、また地方公聴会も行いました。それぞれの方々の御意見、これは国民の皆さんの様々な不安、懸念あるいは不透明感、これらを代表するような御意見がたくさん出たと、こう認識いたしております。それらに基づいて、今日は幾つかの点、御質問をさしていただきたいと思います。
 さて、まず私、前回、七月二十日になりますが、その際お聞きしたことを繰り返しますと、分社化された郵便事業会社、郵便貯金会社及び郵便保険会社がそれぞれ窓口会社以外に委託をできるかどうか、これをお伺いしたわけであります。
 それでは、今日は、今度は窓口会社から見て、郵便貯金会社や郵便保険会社以外の一般の銀行あるいは保険会社から業務の委託を受けることができるか、言い換えれば、郵便貯金会社あるいは郵便保険会社以外の金融商品の販売ができるかどうか、代理店契約を結べるかどうかと、こういった点についてまずお伺いしたいと思います。
#192
○国務大臣(竹中平蔵君) 郵便局会社でございますけれども、郵便局会社は、ネットワークという国民の貴重な財産を活用しまして、これ地域住民の利便性を高めるために経営判断によって多様な業務に進出することを可能にする、そういう仕組みにしております。したがいまして、郵便貯金銀行や郵便保険会社以外の銀行や保険会社と代理店契約を結んで、銀行法や保険業法の規制にのっとって、これらの機関の金融のサービスを提供することは可能でございます。
 なお、この銀行業及び生命保険業の代理業務につきましては、衆議院における修正によりまして具体的に法律上明記され、郵便局株式会社の業務としての位置付けの明確化が図られているところでございます。
#193
○山口那津男君 今の点につきまして、一般の銀行あるいは保険会社が仮に窓口会社に委託をしようと思いましても、直ちにできるわけではないと思います。
 例えば、一般の銀行業務にふさわしい設備というものを今持っているわけではありません。我々視察に行った折にも郵便局の方々は、機材を整えなければ直ちに違う仕事はできませんと、こう明確におっしゃっておりました。また、そういう一般の銀行業務の仕事の流れ、事務のフローというものにもまだ慣れていないところもありますから、これらについてもやっぱり訓練を受けなければならないと思います。
 しかし、この郵便局の持つネットワークといいますのは、特に過疎地といいますか、一般の信用金庫、信用組合あるいは地方銀行等のネットワークと競合しない地域というのがあるわけですね。ですから、これらの地域も含めて、この郵便局のネットワークをどう活用するかという視点から見た場合に、これは一般の銀行から魅力的な存在と映る場合もあるかもしれません。
 これを現に証するように、例えば盛岡市。かつて仙台に支店を置いていた大手銀行は、盛岡には支店、出張所を置いておりませんでした。しかし、最近、この郵政民営化の先々を見越して支店を開設する、出張所を準備する、こういうことが相次いでいると、こういうお話でありました。これは、地元の地方銀行あるいは信金、信組等からすれば、やっぱり競合する存在として非常に脅威感を持つわけであります。
 片や、郵便局ネットワーク、これを郵便貯金会社、郵便保険会社ともに一体的な経営をこれからも続けようと、こう考えている方々にとっては、やはりここが一つの脅威ともなるわけですね。
 これら、今後のこのネットワーク、郵便局ネットワークというものが大手銀行あるいは保険会社、一般の保険会社から見てターゲットにされるということを考えた場合に、それがこれからどう展開されていくと予測されるか、この点について御所見を伺いたいと思います。
#194
○国務大臣(竹中平蔵君) 予測でございますからなかなか難しいんですが、私はやはりこの郵便局のネットワークというのは非常に強い基盤であるというふうに思います。その意味では、このネットワークと組んでいろいろ新しいビジネスを行いたい、新しい種類の預金ないしは新しい種類の金融商品を売りたいというようなところは、これは当然出てくるんだというふうに思います。そこはまた、郵便局会社から見ますと、地域の住民に貢献しながら新しいビジネスチャンスを得るということにもなろうかと思います。
 また同時に、これは銀行から見ますと、やはり預金を集める力は郵便局はございます。一方で、運用する力は地銀の方があるかもしれない。そういう意味での新しいタイプのアライアンスといいますか、そういうような可能性も当然探るところが出てくるのではないか。
 お互いに補完できるところを補完して互いの強みを発揮するというのが、これはビジネスにとっても利用者にとっても最善のパターンでございますから、そういうものも含めてこのダイナミックな新しい展開をしていただきたいと思っております。
#195
○山口那津男君 これは利用する皆さんからとっても、今まで郵便といいますか、公社の商品しか利用できなかった。しかし、多種多様なものを選ぶことができるということは一つの魅力にもつながるわけであります。今後のしかるべき展開を期待したいと思います。
 さて、次に伺いますが、いわゆる承継法人に引き継がれた定期性郵便貯金、これは特別預金として郵便貯金会社で運用されると、その部分に対して預金保険料相当額が持ち株会社に交付されると、こういう御答弁を前回いただきました。その際のお話として、コスト意識を持たせ、郵便貯金銀行の市場における早期の自立を促すことが適当であると、こういう趣旨をお述べになったわけであります。
 このような制度趣旨から考えた場合に、なぜその持ち株会社にこれを交付しなければならないのか。これはある種、政府保証との見合いという性格を持ちますから、言わば保証する政府に直接入ってくるということも考えられるわけでありますけれども、なぜ持ち株会社に交付するということにしたのか、この点について御答弁いただきたいと思います。
#196
○政府参考人(竹内洋君) 今お話し申し上げましたように、民営化の当初から預金保険相当額についてはコスト意識を持たせるのが適当と考えたものでございますが、一方、持ち株会社につきましては、公共性の高いサービスを担う郵便事業会社及び郵便局会社の経営の管理を担っていくということをかんがみますと、移行期間中に、可能な限りででございますがその財政基盤を充実させることが必要でございます。
 このような事情を踏まえますと、移行期間中における各会社の自立を促し、民営化を円滑に実施する観点からは、特別預金に係る預金保険相当額につきましては持ち株会社に交付させることが最も適切であるという判断をさしていただいたところでございます。
#197
○山口那津男君 今のお答えですと、必ずしも論理必然的にそうなるというよりも、政策的な判断をしてそのように仕組んだと、こういうことかと理解いたします。
 さてそこで、この預金保険料相当額、移行期間中を通じて総額でどれぐらいを見込んでいらっしゃるか、これをお答えいただきたいと思います。
#198
○政府参考人(竹内洋君) 特別預金に係る預金保険料相当額、移行期間中どの程度かということでございますが、その計算の基礎となります特別預金の額、すなわち旧契約の郵便貯金の額が移行期間中どのように推移するかということでございます。これは金利動向等に依存しているところでございます。また、預金保険料率がどのように推移するかと
 こういう点につきましては、現時点で確定的なことは申し上げられないわけでございますが、これらの計算の基礎につきまして、移行期間中の金利が現在の水準のまま推移し、また預金保険料率についても現在の水準が維持されるという前提で試算をさしていただきますと、移行期間中の合計で約六千億円程度になると見込んでいるところでございます。
#199
○山口那津男君 かなりの金額だろうと思います。
 さてそこで、承継法人は公社の時代には預金者貸付けあるいは保険契約者貸付けを行っております。地方公共団体への貸付けも行っているわけです。それらの貸付債権を承継法人が引き継ぐというのが制度の仕組みになるわけでありますが、そのうち地方公共団体に対する貸付けについて、その規模、総額、これがどれくらいに見込まれているか。これを、平成十七年の計画額あるいはその先の承継時の見込み、これについてまず公社からお答えいただきたいと思います。
#200
○参考人(斎尾親徳君) 公社の地方公共団体向け貸付けの十七年度の運用計画でございますけれども、郵貯が六千九十四億円、簡保が一兆一千七十四億円となっております。また、承継時点の残高でございますけれども、国の十八年度地方債計画が確定しておりませんので確たることは申し上げられないわけでありますが、十六年度末残高が郵貯、簡保合計で二十二・三兆円となっております。
 したがいまして、十七年度、十八年度における貸付けや償還を考えますと、民営化時点の承継額は十六年度末残高と同程度の規模になるのではないかと考えております。
#201
○山口那津男君 そうしますと、この承継法人はそれらの債権の管理というのは当然やるわけでありますが、前回、七月二十五日、大塚耕平委員の質問に対する答弁の中で竹中大臣はバックファイナンスというようなお話をされていたと思います。つまり、貯金会社から機構へ来て、機構から地方公共団体へ貸し付けられると、こういうことが行われるんであるというように御答弁があったように思うんでありますが。
 そうしますと、この民営化移行期等を通じて、地方公共団体に対する新たな貸付け、これも行われるということになるのでしょうか。その見通しをお答えいただきたいと思います。
#202
○国務大臣(竹中平蔵君) 地方公共団体貸付け、当事者からは大変関心の高い実はところでございます。
 今のそもそも制度でございますけれども、これは財投の枠組みの中で、国会の議決を受けまして、政策的融資として、総務大臣が定めた金額、期間、金利等の条件の下で日本郵政公社が地方公共団体に対して貸付けを行う、行うことを義務付けるという制度になっております。
 民営化後でございますけれども、これは政策的融資制度でありますので、これを民間の会社に義務付けるというのはこれは民営化の趣旨にそぐわないということでございますので、この平成十八年度分をもって終了するということにしております。ただし、経過的な措置として、十八年度において公社が行う予定とされた地方公共団体向け貸付けのうち、十九年度における繰越執行分についてはこれは機構に行わせると、そのような仕組みになっているところでございます。
 これらの日本郵政公社が保有します地方公共団体に対する貸付債権でございますけれども、旧法の枠組みの下で管理機構が債権管理を行うことができるように措置をしておりまして、承継計画に基づいて管理機構が承継をして、そして現行と同様の貸付条件により債権管理を行うということでございます。
 そして、もう一つ、新規の貸付けについて今お尋ねあったわけでございますが、それについては、民営化後の郵便貯金銀行及び郵便保険会社については、これは移行期当初からですね、移行期当初から民間企業として商業ベースで地方公共団体に貸付けを行うことが可能となるような措置をしているところでございます。
#203
○山口那津男君 そうしますと、民営化になってから貯金銀行から機構を通して地方公共団体に貸し付けるということはなくなるんだろうと考えてよろしいんでしょうか。
 その承継法人の行う業務というのが一体どういう範囲なのか。旧契約を引き継ぐということはもう明確になっているわけでありますけれども、この地方公共団体に対する貸付け、あるいはその他の貸付債権の管理、これがいつまで続くのかというところが必ずしも私にははっきり分からないわけであります。最終的に、その承継法人の業務に照らして、前回の御答弁では、この承継法人が解散する場合には別途法律を作る必要があると、こういう御答弁でありました。
 では、どのような場合に解散をして、それがいつごろ解散時期が到来するのかと、これを具体的に御答弁いただきたいと思います。
#204
○政府参考人(篠田政利君) 前回の御答弁では、簡易保険の契約が長きにわたって残るのではないかという観点から御説明を申し上げたかと思います。
 簡易保険の場合には、十年養老といった主力商品でございますと、十年間で満期が到来するわけでございますけれども、例えば公社の最終年度に二十歳の方が終身保険に加入されたような場合でございますと、国民の平均余命等から考えまして、五十年を超えて契約が存続するということがあり得るわけでございます。
 こうしたことから、旧契約の契約者の方に安心感を持っていただくという観点からも、機構が旧契約を適正かつ確実に管理して、その債務を確実に履行することとするためにもあらかじめ解散の条件を定めないということにしております。
 そこでお尋ねは、どのような場合に解散を定めていくのかということだと思いますが、現時点でそれを正確に予測して申し上げることは難しいかと思いますが、契約の現在高、残高が十分に減少しているといったようなことがあろうかと思います。それから、先ほど来お尋ねになっておりますような地方公共団体貸付けなども機構が承継することになりますので、こうした貸付債権の管理している現在高がどうなっているかといったようなことを見ていくことが必要かと思います。
 これらのものが十分に減少しました段階で、例えば残っておりますものにつきましては一定の条件の下で民間保険会社に契約を移転するとか、あるいは管理を委託するなどの措置を行うといったようなことが考えられます。しかし、数十年先の契約残高を現在正確に予測することは難しゅうございますので、あらかじめ定めることは困難というふうに考えておる次第でございます。
 こうしたことから、独立行政法人全般に適用されております一般の原則に基づいて解散の時期を定め、将来の廃止法にゆだねることが適当と考えた次第でございます。
#205
○山口那津男君 地方公聴会の中で、公社は郵便貯金の預金者数あるいは口座数、これをしっかり把握しているのかどうか、それの前提となる名寄せ作業というのが正確にできているのかどうか、この点について不安を抱く声があったわけであります。
 そこで、公社総裁に、その現状と見込みについて、いろんな数字がこの委員会でも出されたこともありましたので、それを明確にしていただくと同時に、この現在の預け入れ限度額、これの管理をどのように実効的にやるかということも併せてお答えいただきたいと思います。
#206
○参考人(生田正治君) お答えいたします。
 郵便貯金の限度額管理につきましては、これは経営の最重要課題の一つであるというふうに認識いたしまして、公社スタート以来取り組んでおります。その結果、十六年の一月、昨年の一月にそれをきちっと通常貯金と定額も組み合わせまして管理するシステムができ上がりまして、昨年の一月から具体的にシステムを使ってチェックが入っております。通常貯金を含むすべての貯金を対象とした名寄せを実施中と、限度額を超過している預金者につきましては限度額以内になるように減額を要請しております。
 さらに、今年の二月からは、ごめんなさい、昨年の二月からは入口でもチェックできるようにということで、窓口での定額貯金などの預け入れの申込みのときに限度額超過となるものは預入をチェックするというシステムを用いております。その結果、昨年の三月末で約七兆円余ありましたオーバー分は、今年の三月の時点で超過額は、七月、ごめんなさい、去年の三月の時点で七兆円強あった超過額は、今年の七月中旬現在で一兆九千五百億円まで減少しておりまして、人数は百九十八万人ということであります。引き続き減額に取り組んでおりまして、来年の三月までには減額の要請を完了すると、要請は全部やらせていただくと、こういうことでございます。
 何で、もっと一斉にすぐやりゃいいじゃないかというお考えかも分かりませんけれども、実際上、御要請する前に、同姓異人ではないかとかいろんな、失礼にならないように事前に作業を要するものですから来年の三月まで掛かるということであります。
 この限度額管理の実効性でありますけれども、まず一番目に、結構、誠意を持ってお願いすると下ろしてくださるので、割合打率良く減額の、減額が進むと。さっき申し上げたように七兆円が一兆九千億まで落ちていくと、という数字になりましたね。そういうことがまずあります。
 それから二番目に、それでも減額に応じていただけない方については、必要に応じて国債を強制的に買っていただくということなんですが、昨年の三月から今年の六月までの間で百四十七名の方に、まだ四十一億円ということなんで、手ぬるいとの御批判は免れ得ないんですけれども、実は預貯金の金利よりも国債金利の方が良くて、国債を売り出しますとすぐ売れるんで、我々としましては、郵便局で売る国債をそれに充当しておりますんで、余りそれを優先的にやりますと、皆さんがお買いになりたい国債の優先割当てになってしまうんで、ちょっと今強制的に買っていただくことが実態的に困難というところで様子を見ているので、その点については完全を期しますというお答えにはならないんですけれども、様子を見ながら努力をしていきたいと思います。
#207
○山口那津男君 この預け入れ限度額の管理についてはかねてから指摘があったところでありまして、まあ余り厳格に管理されてこなかったというのを今、裏書しているんだろうと思います。
 さて、民営化に際して、その限度額の制限緩和をやっていくというお話であります。この点がまあ実効性が伴っているかどうかという判断がもちろん前提になるはずでありますけれども、この制限緩和のこれからのやり方について基本となる考え方、基準についてお示しいただきたいと思います。
#208
○国務大臣(竹中平蔵君) 限度額でございますが、この国の信用、関与が残ります移行期間中は、この預入限度額や保険金額の限度額の規制を維持しまして、株式処分の進展等によって国の関与度合いが低下していくのに応じて段階的に制限を緩和できるように、この限度額を政令で定めると。これは基本的な今回の枠組みでございます。
 具体的に申し上げますと、これ当初は限度額を現行水準一千万円に定めまして、政令改正に当たっては、郵政民営化委員会の意見を聴取の上、透明、公正なプロセスの下でまあ大きく二点を勘案していく。一つは、議決権割合ですね、持ち株会社の議決権割合など、他の金融機関あるいは他の生保との間の競争関係に影響を及ぼす事情を考える。二つ目は、郵便貯金銀行あるいは保険会社の経営状況を考える。そうしたことを勘案しまして、政令により適切な限度額を定めていく。そういう制度設計になっているところでございます。
 この限度額に係る、したがって政令改正の判断の大枠は、今申し上げたような点、法律に定められているわけでございます。そして、この枠組みの中で、その時々の事情に即して適切に判断をしていくということになります。
 これを子細に決め過ぎますとなかなか現実問題としては難しいところもございますが、一方で判断の透明性、公正性を確保することは重要であると思っております。したがって、政令改正に当たりましては民営化委員会の意見聴取を義務付けて、そして民営化委員会が意見を述べたときは遅滞なくその内容を公表するということにしております。さらに、例えば民営化委員会が自らの準則として判断基準となるようなガイドラインを定めておくということは、これは十分に考えられることであろうかと思います。
 いずれにしましても、この民営化委員会の運営については、民営化委員会自身の御判断もございますけれども、政府としても民営化、この委員会及び事務局の設置後、是非適切な関与を行ってまいりたいと思っております。
#209
○山口那津男君 参考人の御意見を伺っておりましたが、その中には、民間とのイコールフッティングを重視する観点から預け入れ限度額を厳格に管理する、あるいはうんと縮小をする、そうやって郵貯の規模を小さくしてから民営化に進むべきであると、こういう御意見もあったわけであります。これに対して大臣はどのようにお考えになるんでしょうか。
#210
○国務大臣(竹中平蔵君) そのような御意見があるということはよく承知をしているところでございます。
 民営化、これ公社に課されている官業であるがゆえの制約を取り払って経営の自由度を拡大する、そしてこの資金、機能を市場経済の中で効率的に活用するとともに、このネットワークという非常に重要な国民の資産を最大限活用して、そして国民や地域の利便性を向上させると、そういう方法を考えなければいけないというふうに思っているところでございます。
 また、この郵政事業におきましては、郵貯、簡保の収益が大きくて、これによって雇用やネットワークが支えられているという事実がございますので、郵貯、簡保の業務範囲を制限したまま規模を強制的、急激に縮小させるというようなことを、国が適正規模ということで縮小したような場合には果たして事業が成り立つのか、雇用やネットワークが維持できるのかといったような問題も生じるというふうに私自身は思っております。
 したがいまして、我々が提示している改革案というのは、官が、政府があらかじめ適正規模を決めて強制的に規模を縮小させるというような官主導のやり方ではなくて、ここはやはり正に民営化によって市場経済の中で適正規模を実現させていくのが一番良いのではないか。このようなバランスシートの自然なスリム化の中で、その間、業務範囲を拡大的に拡大していくと、そうすることによって、ネットワークを維持しながら、国民にとって真に必要なサービスを発揮することができる。やはり、民主導で市場経済の中で最適規模を実現していただくのが最も適しているのではないかというふうに考えているところでございます。
#211
○山口那津男君 この点については見解が分かれたままかもしれません。
 それはそれとして、次の質問に参りますけれども、公社ではいわゆる睡眠預金というのが現在どれくらいあるか。これは、微々たるものの積み重ね、ちりも積もれば山となるという話かもしれません。しかし、全体の資金量が余りにも大きいものですから、これも国民から見ればかなりの額と思われるわけであります。
 これについて、現在どれくらいあって、それをどのように処理する方針か、まず公社の立場からお伺いしたいと思います。
#212
○参考人(斎尾親徳君) 公社におきましては、通常貯金については最後の取扱いから十年が経過してから、また定額・定期貯金につきましては満期日から十年が経過した日からそれぞれ睡眠貯金となります。
 この睡眠貯金は貯金の預入や一部払戻しの取扱いを行わないこととした貯金でありまして、平成十六年度末現在約千三百二十七万口座、金額にしまして二千二百二十二億円ございます。そして、この睡眠貯金となってから十年間全部払戻しの請求がない場合にはお客様あてに権利が消滅する旨の催告書を発送いたしまして、その日から二か月以内に全部払戻しの請求がなかった場合は郵便貯金法第二十九条に基づきまして権利が消滅することになっております。
#213
○山口那津男君 そうしますと、民営化を進める過程あるいは完全民営化成った後もこういう睡眠預金の発生というのは免れないんだろうと思いますね。ですから、これ、今後もこれをどのような方針で取り扱っていくか、これについても考え方をお示しいただきたいと思います。
#214
○国務大臣(竹中平蔵君) 今お話ありましたように、何せ金額が大きいですから、これはこれで大変大事な問題だと思います。
 基本的な考え方でございますけれども、民営化までに預け入れをされました郵便貯金のうち、通常郵便貯金については、これは郵便貯金銀行に行くと、そして定期性の郵便貯金については、これは例の管理機構にそれぞれ承継させる、これが基本でございます。
 この睡眠貯金は、今お話ありましたように、十年間貯金の預入及び払戻し等がない通常郵便貯金を意味しているということになるわけでございますが、これは二種類に大別されると思います。一つは、元々、通常郵便貯金として預け入れられまして、そして睡眠貯金となったもの、もう一つは、元々は定期性の郵便貯金が満期を迎えて、いわゆる郵便貯金、これは期満貯金と言われますけれども、期満貯金になった後に十年間預金の預入、払戻しがなくて睡眠預金となったもの、そういうふうに二種類に分かれるんだというふうに思います。
 この二種類の睡眠預金のうち、この前者の、元々、通常郵便貯金であったものについては、これは一般の通常郵便貯金の場合と同様、郵便貯金銀行に承継をさせる、そして後者の、元々、後者のものですね、つまり元々は定期性の郵便貯金であったものについては機構に承継をさせるということになります。
 この機構に承継される睡眠貯金の取扱いについては、現行の郵便貯金法の規定が引き続き適用されまして、睡眠貯金になり、更に十年間経過し、預金者に対し催告をしてもなお払い戻されない場合には預金者の権利は消滅する、先ほど御説明ありましたけれども、そのような扱いになっていくということでございます。
#215
○山口那津男君 そうしますと、承継法人に引き継がれたものについては、旧契約は契約者に最終的に帰属するんですね。しかし、この睡眠預金が承継された部分については契約者なるものは存在しなくなるわけですね。そうすると、最終的には承継法人にこれが留保されるということになるんでしょうか。この残ったものの扱いは最終的にどうなるんでしょうか。
#216
○国務大臣(竹中平蔵君) 今申し上げたように、更に十年たってもない場合ですね、それは最後の最後は機構の雑収入に計上されることになります。
#217
○山口那津男君 独立行政法人という性格からすると、雑収入になってそれが国民に還元されないのでいいのかどうかという点はちょっと疑問が残りますけれども、この点について何かお考えがあればお示しいただきたいと思います。
#218
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、正に管理機構でございますから、それを粛々と管理していっていただくということになるのかなというふうに思います。しかし、基本的にはそういうことにならないようにしっかりと、大変大切なお金ですから、その預金者の方に催告をして、きっちりと、自分のお金ですから、自分のお金として引き取っていただくと、そのように努力をするということだと思います。
#219
○山口那津男君 努力をしてもこれは発生不可避なんですね。ですから、これ独立行政法人に残ったもの、これをどう国民の立場で活用するかということはやっぱりいずれ判断をしなければならないと思いますので、是非そういう立場に立っての御判断を考えていただきたいと思います。
 さて次に、持ち株会社は郵便貯金会社と郵便保険会社の株式を段階的に処分していくということになっております。この点についてはこの委員会でも議論がありまして、必ずしも移行期十年でぴっちり完全処分ということにこだわらなくてもいいではないかと、そういう御意見もあったところでありますけれども、とにかくこの十年という期間中に段階的に処分をすると。この処分の基本的な方針、基準というものがありましたらお示しいただきたいと思います。
#220
○国務大臣(竹中平蔵君) この法案の考え方でございますけれども、民営化委員会による三年ごとの進捗状況についての見直しを踏まえて段階的に株式を処分すると、段階的に株式を処分するというふうにしている。このような趣旨に照らしますと、この株式処分は移行期間の十年間にわたる複数回に分けて段階的に処分をしていくということが想定されているものでございます。
 また、銀行と保険の株式の売却額につきましては、これは承継計画に定める資産等の切り分け、そして株式市場の動向、業績、それぞれの将来性に対する投資家の評価等によって変動しますので、現時点で売却額を推計するのはこれは困難ではございますけれども、骨格経営試算における民営化時点での、民営化時点でのバランスシート上の資本額、それぞれ銀行と保険、二・五兆円、一・四兆円と見積もっておりまして、かなりの規模になるというふうに見込まれます。
 したがって、この株式の処分に当たっては、株式市場への影響を考慮する必要がありますけれども、これはやはり一度に全株式を売却するというのは現実的でないし適当でもないのだろうというふうに思います。
 なお、株式売却を行う側にとりましても、売却価格に関するリスクを分散するために段階的に処分というのは、これはメリットがあることでありますし、過去の民営化の事例においても株式はそのように段階的に処分されてきているというふうに承知をしております。
 具体的な株式処分のスケジュールについては、一義的には郵政民営化株式会社の経営者において、主務大臣の監督を受けながら十年間での段階的な完全処分を行うということになります。
#221
○山口那津男君 今の中で、純資産を元にしてどれぐらいの株が、売却益が出るかというのの基になる資料というものをお示しいただいたわけであります。この売却益は持ち株会社の収入になっていくわけであります。
 ところで、その持ち株会社に対する公租公課というのが様々な形で課税、賦課されることになるだろうと思うんです。前回、私は四分社それぞれに対する公租公課というものをお尋ねしたわけですね。持ち株会社に対する公租公課、これがどのようなものが考えられるのか、これをまずお答えいただきたいと思います。
#222
○国務大臣(竹中平蔵君) 持ち株会社も民間会社になってこれは同様の、民間企業と同様の納税義務を負うこととなります。したがって、法人税、事業税、法人住民税のほか、消費税、固定資産税、そして民間企業が納付義務を負う税ですね、通常どおり課税されることになります。免除されるもの、設立に当たって免除されるものというのは、当然、非課税措置もございますが、持ち株会社に対する公租公課としてどのようなものが考えられるかということでございますれば、今のような税目になると思います。
#223
○山口那津男君 そうしますと、この持ち株会社も収入がかなり大きな金額が見込まれますので、これも納税主体としてはかなり大きなものであるというふうに考えざるを得ないと思います。
 ところで、この持ち株会社にたまってくるお金、収入、これは今おっしゃられた株の売却益というのが一つあります。それから、保有株の配当収入というのもあるだろうと思います。さらに、先ほどおっしゃられた預金保険料相当額、これもかなりの金額に上るわけです。また、その持ち株会社が保有する資金の運用益、これもまた新たな収入になるわけですね。こういう主な収入が考えられるわけでありますけれども、これら持ち株会社に累積してたまっていくと思われるこの留保された資金、これをどのように、どのような方針で運用していかれるおつもりか。これについての基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
#224
○国務大臣(竹中平蔵君) 持ち株会社、これは純粋持ち株会社として設立される。原則として、自ら事業を行うということではなくて、専ら子会社からの配当収入に依存する。さらには、移行期間中にこれは銀行と保険会社の株を売却しますから、その売却収入がある。さらには、郵便貯金銀行から預金保険料相当額の交付等も受ける。それは先ほど御議論くださいました。そうした形で社内に資金が蓄積されていくということになります。
 他方、この持ち株会社、これは経営上、民間企業として一般の企業と同様に株主に対する配当が当然に求められるという、これは社外流出になりますが、その一方で法律上、社会・地域貢献基金への積立てが義務付けられるという、これも一つの資金の投下方法でございます。
 また、持ち株会社はその子会社の経営支援を行うということを使命としておりますので、必要に応じて設備投資に要する資金を子会社に出資する等のため一定の資金を社内に留保することがこれは持ち株会社としてもヘッドクオーターとして必要になります。
 その持ち株会社、今申し上げたような形で留保資金を運用することになるんですが、その方法について申し上げますと、まず社会・地域貢献基金の運用は、これは総務省令で定めるところにより、確実かつ有利な方法によるということが定められている、これは郵政株式会社法の十三条第六項で定められております。その他の留保資金の運用の方法につきましては、制度設計上、これ特段の制約を課すということはしておりません。民間企業としての経営判断にゆだねられることが適当だというふうに考えられるわけでございますが、ただし、例えば、留保資金の大半が著しく投機的な方法によって例えば運用されるとか、それによって留保資金が毀損して主務大臣の認可を受けた事業計画の実施に支障を来すおそれが高いような場合、つまり経営のその適正性を欠くと判断されるような場合には、これは主務大臣による一般的な監督命令権が行使されて是正を求められるということはあり得るわけで、そのような仕組みはつくっております。しかし、そうならないような形で戦略的にこれを使っていただけるような仕組みにしております。
#225
○山口那津男君 先週、東京中央郵便局を視察したわけでありますけれども、そこで教えていただいた中に、この組織の部門として共通関係課というのがあるんですね。言わば、一般管理部門といいますか、総務でありますとか給与の支払の関係でありますとか、そういうところ、これは郵便事業であろうと、貯金事業であろうと、まあ共通するものを一まとめにして組織化している、ある意味で三事業一体であればこその効率的な運用をしているという部門だろうと思います。
 これをこれから四分社化するということになるわけで、それぞれ別会社となりますと、この一般管理部門がかえって非効率な組織になってしまうようにも思われるわけですね。また、こういう事務部門だけではなくて、施設の関係でいいますと、この営繕関係といいますか、ここも技術者を置きながら管理、運営、建設等もやっているわけですね。ですから、これもやっぱり今の効率性が損なわれやしないかと、こういう懸念もあるわけですね。そういうところで働く方々、一体最終的にどういうところに四分社の下で配属されるか、これも不安、懸念を抱いているところでもあるわけです。
 こういった一見、効率的な組織というものを分社化によってその効率性を損なわないようにするためにどのような工夫が考えられるか、この点についてお答えいただきたいと思います。
#226
○国務大臣(竹中平蔵君) これ、今の、現代、現状の公社におきましても、例えば本社でいえば、公社全体としての一般管理部門を持っている。そのほかに、しかし各事業部門、事業本部ごとに一般管理部門が設けられているというふうに承知をしております。いわゆるオーバーヘッドをどのように負担するかというときに、本当の中央と、さらには、それは事業本部ごとにもそのようなものがあるというふうに承知をしております。
 今回、四分社化することになるわけでございますけれども、その際、一般管理部門をどのように再編するか。これは、業務とか人員を切り分ける承継計画の策定の中で、是非これは戦略性を持って考えていく必要があるというふうに考えております。
 恐らく委員の御指摘は、やはり四分社化でそれぞれに一般管理部門を設けるとかえって非効率になるのではないかと、そこの御懸念であろうかと思います。
 今回の分社化は、四事業会社の上にグループ全体の戦略経営を立てるヘッドクオーター機能としての持ち株会社を持つ、そしてグループ経営を可能にするということでございますので、この持ち株会社が中心になって、グループ全体の共通部門の集約化等の工夫の余地がそこにはあるというふうに思っております。これは、一般の民間企業の動向を見ましても、共通業務の集約化を図るというような効率化が進められている例があると思います。新会社の経営陣が、そのような例も考慮の上で、業務運営上最適な管理部門の在り方について、是非戦略的に検討をしていただきたいと思っております。
 ちなみに、民営化されたNTTですけれども、NTTビジネスアソシエという福利厚生とか経理、財務の業務等をアウトソーシングさせる会社を設立して、それを持ち株会社に帰属させているというふうに聞いております。
 まあいろんな事例があろうかと思いますので、効率性の最も高いやり方でしっかりとやっていただきたいと思っております。
#227
○山口那津男君 民営化後、株の持ち合いは許されるということになっておりますけれども、持ち株会社、郵便事業会社、郵便局会社、この一体性が強いものですから、この三社の合算によって一定の基準の下に判断を行うというルールかと思います。
 そこで、この持ち合いの限度といいますか、これはどこまで考えていらっしゃるのか。二五%を超える議決権を保有する場合は独禁法違反となりますので、まあこれを超えることはないだろうと思われるわけですね。しかし、それ以内でありますと、その比率によって届出あるいは認可等のいろんな手続が必要となってくるわけであります。
 この点について、どこまで許されるか、あるいは、その最大の株主は政府でありますから、政府として一定の方針を持って持ち合いの限度というものを考えていくのかどうか、この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
#228
○国務大臣(竹中平蔵君) どこまで可能なのかというお尋ねでございますが、そもそもその株式の持ち合いですね、これまでも政府、与党合意の中でも非常に大きな課題、問題でございました。そのときの合意は、これは、まず経営判断によって、そして一般的法規制の下で、かつ特殊会社としての規制の範囲内で、そして取得をする、株式を取得することを可能とすると。そのような合意、正に民営化の中でそういう経営の判断を重視しながら、しかし一般法規を守りながらやろうということになっているわけでございます。
 ここで、その一般的な法規制の内容としては、具体的には、日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社の三社合計で二五%以下である限りは、これは独占禁止法との関係で問題となることはならないというふうに思います。その範囲内で、その他の銀行法、保険業法で定められた手続を満たすことで株式を保有することが可能であるということでございます。
 なお、この日本郵政株式会社の株式は、これは三分の一超国が保有することとしているわけですけれども、これは、日本郵政株式会社が公的な役割を担う会社であることから、特定の者にその支配、その経営が支配されたり、株主権が濫用されたりすることがないように国が安定株主になると、その経営の安定、適正な業務の遂行を確保するというような趣旨でございます。
 このような株主としての国の立場からは、経営の自由度を拡大するとの民営化の趣旨にかんがみますと、株式の持ち合いについて基本的に経営者の判断を尊重することが民営化の趣旨に合致するというふうに考えております。
 したがいまして、具体的に何%と申し上げるのは困難なのでございますが、今申し上げた規制としての独禁法、さらには、これ銀行法の場合は主要株主規制、二〇%以上の場合は認可ということでございますので、そういうことの中でしかるべく判断がなされていくものというふうに思っております。
#229
○山口那津男君 この点は、地方公聴会でも、民間とのイコールフッティング、これを重視する立場から大変強い懸念が示されたわけであります。グループ、持ち合いによってそのグループ一体経営が温存されるとすれば、これは今の公社方式とどこが違うのかと、これはもっと国民に明快に説明をしてもらいたいと。そして、その持ち合いの比率が高ければ高いほど暗黙の政府保証というイメージが付きまとって、これもまた民業圧迫を覚えると、こういう御心配があったわけですね。これらの心配。また一方で、違うまた正反対の配慮もあろうかと思いますが、この今指摘した心配に対してどうお答えになりますか。
#230
○国務大臣(竹中平蔵君) グループ経営が実質的に存続できるというのは、これはこれでいい面があるかもしれないけれども、そうだとすると現在の公社とどう違ってくるのかと、それもまた大変よく理解できる御懸念、御質問であろうかというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、経営の自由度を是非拡大して、そして経営環境変化に適切に対応して、国民が求めるサービスを提供していっていただきたい、そのために経営者の判断にゆだねて、できるだけ自由にしていただきたい。
 しかし同時に、この郵政というのは極めて公共的な役割を担っておりますから、その公共性を担保しなければいけない。これは郵便事業、ユニバーサルサービス義務を法律で課して、かつ郵便局も郵便事業会社も特殊会社として政府がしっかりと関与するわけでございますけれども、そこの郵便局で国民が求める金融等々のサービスもしっかりと実効性ある形で提供できるように、場合によって、経営者の判断によってグループ経営が可能となるようなそういう仕組みを用意したということでございます。
 その意味で申し上げますと、この経営の自由と公共性の担保、この二つのバランスを取ることが今回の制度設計の最大の課題でございますけれども、その一つとして、経営者の判断で今申し上げたようなグループ経営が実質的に可能になるような仕組みをしっかりとつくったということになろうかと思っております。
 しかし、その場合も、これは民間の会社でございますから、民間は経営の自由を持っている、そして資産の運用等々でも新しい自由が得られる、新しい業務に進出する自由も得られるということでございますから、これはやはり公社ではできないことであります。そうした民営化のメリットを生かしつつ、かつ、しっかりと公共性を果たしていただく、そのような二つの軸の中で今回の制度設計はなされているというふうに是非申し上げたいと思います。
#231
○山口那津男君 メルパルク、かんぽの宿等の施設があるわけでありますが、参考人の意見の中にはこれが民業圧迫になっていると、こういう御指摘がありました。これらのこれからの管理、処分の方針について簡潔に御答弁いただきたいと思います。
#232
○国務大臣(竹中平蔵君) 郵便貯金の周知宣伝施設及び簡易保険加入者の福祉施設については、これは郵政株式会社ですね、持ち株会社に暫定的に帰属させまして、平成二十四年三月三十一日までの五年間の間に譲渡又は廃止をするということとしております。
 これは、これらの施設が経営状況が不振であるということを踏まえまして、民営化に際して新会社の経営にマイナスとなる要素をできるだけ取り除くという観点から、譲渡又は廃止することとしたものでございます。
 ただし、これら施設の職員の雇用確保に配慮することは重要でございます。民営化後直ちにすべての施設についての譲渡等を行うことは困難であるというふうに考えられ、ある程度時間を掛けて段階的に譲渡等を進める必要があることから、五年間の猶予期間を設けることとしたものでございます。
#233
○山口那津男君 最後に伺いますが、民営化の話とは直接関係ないんでありますが、葛巻郵便局、岩手県の北上山中にある局へ行ってまいりました。(資料提示)そこの言わば機材を管理する倉庫の屋根、これを撮った写真でありますけれども、これ一見すると、今いろいろと指摘されているアスベストを吹き付けているのではないかと、こういう懸念も持たれたわけですね。やっぱり職員の方あるいは利用する皆さんが安心してこの局を使っていただけるために、やっぱりこういう懸念を払拭する必要があると思います。
 念のためお調べいただきましたら、これはアスベストは使用していないと。言わば、岩綿、玄武岩を加工した人工的な材料で毒性はないと、こういうお話でありました。しかし、この公社関係のあらゆる施設を是非点検をしていただきたいと思うんです。その結果、やっぱり公社の時代にこれらの懸念が払拭されるように是非手当てもしていただきたいと思います。
 先週の金曜日、国土交通大臣が郵政公社の施設の解体現場を視察したと、そこでアスベストの処理についてきっちり見てもらったと、こういうお話もありました。是非、公社総裁としてこの点についての明確な方針をお示しいただきたいと思います。
#234
○参考人(生田正治君) お答え申し上げます。
 葛巻郵便局ごらんいただいたときに現場で的確に事実関係御説明できなくて、御心配いただいたことを感謝しますし、また御心配掛けたことにおわびいたします。
 葛巻郵便局は昭和五十八年に完成しているんですけれども、実はアスベストの吹き付けというのは昭和五十五年以降一切使っていないんで、すぐ調べましたら結果出てきたんですが、いささかも使っていないと。御指摘の部分はアスベストじゃなくて、今写真で見せていただいたやつですけれども、一般的な建材で、どこでも使っているロックウール、岩綿というものなんだそうです。
 全国の旧郵政省管理施設につきましては昭和六十二年度に総点検を実施していると。その結果、アスベストが確認されたのが三百十八施設、そのうち二百八十一施設につきましては平成六年度までに除去工事を完了しているということでございまして、残る三十七施設が問題なんでありますけれども、これは電気室など除去が困難な部分が一部存在したために、封じ込め処理と、又は施錠、かぎを掛けまして管理するということによりまして職員と利用者の安全を図っていて、問題はないということを確認いたしました。
 にもかかわらず、だから私は大丈夫だと思うんですけれども、ちょうど今問題になっているときでもありますし、いい機会ですし、やっぱり公社化のうちにきちっとして、公社の間に、もし民営化されるとすれば、きちんとしておきたいと思っております。
 これらアスベストの存在が判明している施設につきましては平成七年度に環境調査を実施して安全性を確認しているんでありますが、そういった事情で、今回、念には念を入れまして、安全性を再確認する意味で環境調査に着手したところでございまして、今年の十月までに完了するつもりでおります。
 どうも御指摘ありがとうございました。
#235
○山口那津男君 ありがとうございました。
 終わります。
#236
○大門実紀史君 連日、長時間にわたり、皆さん大変お疲れだと思いますが、御苦労さまでございます。
 今日は竹中さんに、大臣というよりも経済学者としての見解をお伺いしたいと思います。たまには担当大臣ということをお忘れになって、自由に見解を述べていただきたいと思います。
 イギリス、アメリカ、欧米などで社会問題になっている金融排除の問題です。
 金融排除問題というのは、低所得者あるいは少額しか預金を持たない方々が金融機関に口座を持つことを拒否される、あるいは高い口座維持手数料があるために預けられないという問題です。そういう金融サービスから排除される人が大量に今欧米では生まれているということで、アメリカ、イギリスでは一五%から二割を超える世帯が口座を持てないと。これはドイツやフランスでも問題になっております。
 銀行口座が持てないということはもう大変なことでございまして、給与の振り込み、現金化ができない、あるいは社会保障給付が受け取れないと、基礎的な金融サービスが受けられないということで、欧米の、ヨーロッパ等々の位置付けではもう重大な社会的疎外だということで、各国とも社会問題として対策に乗り出しているところです。
 細かく触れませんが、この委員会でも取り上げられました。イギリスはブレア政権になって、〇三年の四月からすべての国民に口座を開設する、あるいは金融機関が口座をちゃんと開くように三百六十億円投資をするということとか、アメリカでも一部の州法では口座を開設拒否しちゃいけないという法律を作るとか、いろいろ対策が取られております。
 竹中大臣はこの問題について、民主党の櫻井議員の質問のときに、金融排除はそれぞれの国の事情があると、あるいは所得格差、金融機関の姿勢、原因はいろいろだと、国それぞれ原因いろいろといいますか、そういうふうな答弁をされてきたわけですけれども、私はこれ、学者として、経済学者としてきちっと分析をしてもらいたいなと思いますので、二つの点でまとめてお聞きします。
 なぜ、いろんな異なる国で九〇年代以降同じような現象が起きたのか。もう一つは、日本で金融排除は起きていないのか、あるいは今後起こる可能性がないのか。この二つのことをお聞きしたいと思います。
#237
○国務大臣(竹中平蔵君) 大門委員が学者として答えろと言うときは大体厳しい質問であるという経験則があるんでございますけれども。
 まず、なぜ、異なる国で九〇年代以降やっぱり時を同じくして出てきたのではないかという御指摘、これはその背後にはやはり要因があると考えなければいけないのだと思います。九〇年代以降、やはり情報通信革命、金融革命、グローバル化に象徴されるようにいろんな、いわゆるフロンティアがどんどん開けていく時代になると。フロンティアの時代というのはやはりなかなか厳しい時代なんだと思います。一生懸命競って前に行かないと取り残されると、そういう状況が世界じゅうで生じているということは私はあるかと思います。したがって、その所得格差がともすれば拡大しやすいような、そういう状況にあるということが背景としては私はやはりあるのだというふうに思っております。
 同時に、国民の生活水準が高まって、かつては金融手段を持たなくても生活をしていけたという人が、必ずしもやっぱりそうではなくなったと。やっぱりすべての人に金融手段が必要になってきたという、ある意味で生活水準の高まり、これ技術の革新が背景にありますが、そういう問題もございましょう。そういうことがあると思います。先般申し上げたのは、そういう事情がその国によってやっぱり異なっているのではないのだろうかということでございます。
 イギリスの場合も、前回、委員から御議論あったかもしれませんが、今まで為替で受け取っていたものが口座振り込みに年金等々がなって、やはりその分、ある意味で、口座を使うという意味で社会全体は技術が便利になったわけですけれども、便利になったがゆえにある程度の水準を皆さん求められるようになったと、そういう点もあろうかと思っております。要因としては、そういうフロンティアの時代というのが背景にあると思っております。
 日本ではどうなのかということでございますが、そうした点、世界の傾向でありますから、日本においても注意して見ていかなければいけない状況であるというふうに私も思っております。
 ただし、今、日本において、例えば口座維持手数料が非常に高くてその多くの方が口座が開けない状況かというと、それは決してそういう状況ではないというふうに私は認識をしております。民間の金融機関でも口座手数料のないところがたくさんあるわけでございますし、日本において、現状、顕在化しているという状況ではないと思います。
 しかし、今後どうかというふうに問われますと、これはやはり今、日本もそういった世界の経済の潮流の中に置かれておりますから、そういうことに対しては、政府としては十分な目配りをしていかなければいけない。これはまあ金融行政全体の中で、今後しっかりと見て判断をしていかなければいけないと思っております。
#238
○大門実紀史君 日本でも近い将来、金融排除が、既に静かに進行している、また起こる可能性を政府の研究会が既に指摘しております。
 二〇〇〇年六月十六日に出ましたけれども、郵貯の事業経営に関する将来ビジョン研究会最終報告というのがございました。メンバーは学者の、研究者の方々ですけれども、座長さんが岩田一政さん。大臣よく御存じですよね。東大の教授で、内閣府の政策統括官でしたかね、やられておりまして、小泉内閣、竹中大臣の政策スタッフだった方です。で、今、日本銀行の副総裁でございますけれども。
 この報告は私、是非皆さん読んでもらいたいなと思うんですけれども、これからの郵貯の在り方とか改革の方向を提言したなかなかいい報告、提言でございます。
 この中の「金融ビッグバンと小口個人」の項目に、要するに、なぜそういうものが起きたかというと、金融ビッグバンの進行だと。金融ビッグバンが進行して、つまり金融の自由化、金融の国際化が進んで、これが九〇年代各国で、日本よりも先行していましたから、こういう金融排除が起きたと。で、日本でも金融排除の可能性を既に五年前に、五年前に指摘をされているわけです。
 で、この中で、郵貯の今後の役割について書かれた部分があります。是非、総務省から紹介してほしいんですけれども、「金融サービスにおける小口個人の利益確保の方法」という部分があります。その中で、郵貯の今後の役割についても書かれております。是非、総務省の方で、この部分だけで結構ですから、読んで御紹介をお願いしたいと思います。
#239
○政府参考人(鈴木康雄君) お答えを申し上げます。
 今委員御指摘の研究会の報告書の該当部分でございますが、金融サービスにおける小口個人の利益確保については、欧米諸国においても、重要な政策課題であるとの認識の下、郵便局ネットワークの有効活用を含め様々な取組が行われている。
 我が国の金融システムにおいては、金融ビッグバン等が進展する中、民間金融機関が今後、不採算地域からの店舗撤退、顧客選別の強化等、従来以上に効率性を重視した金融サービスの提供を進める方向にある一方で、郵便貯金は、従来から、全国を対象としてサービス提供を行うことによる規模の経済、三事業を兼営することによる範囲の経済等を生かした効率的な経営を行い、独立採算の下で地域間格差のない金融サービスの提供を既に実施してきている。
 したがって、郵便貯金が民間金融機関に比べて効率的に基礎的金融サービスの提供を確保することができるという状況において、郵便貯金がこれまで果たしてきた小口個人の利益確保という役割が今後ますます重要なものとなると考えられる。
 以上でございます。
#240
○大門実紀史君 この文書は、これぞ郵貯の生きる道というふうな、なかなかいい提言なんですね。もう少し格調高く読んでいただきたかったなと思うんですけれども。
 書いてあることは、日本より金融ビッグバンの進んだ欧米で金融排除が先行して社会問題化していると。日本でも進行しているんだけれども、日本は郵貯があるから、郵貯があるから、基礎的金融サービスを提供してきて小口個人の金融弱者を守ってきたと。これからますますその郵貯の役割は重要になるという、これは政府の研究会の当時の指摘でございます。竹中さんはこの指摘をどういうふうに受け止められるか、お願いいたします。
#241
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のように、大変重要な御指摘だと思います。これ郵政を、郵貯、郵政が今そういうふうな役割を果たしているということでございますが、私は、民営化されてもこういう機能は間違いなく果たしていけると思っているということを繰り返し申し上げているつもりでございます。
 実はこの中で、郵政は従来から、従来からサービス提供を行うことによって、規模の経済と範囲の経済があると書いているわけです。規模の経済がある以上、民営化されてもこれは縮まらない、範囲の経済がある以上、これは民営化されても三事業は多分一体化されていくだろうと、そういうこともこの報告は意味しているんだと思います。
#242
○大門実紀史君 私はそうはならないと思うんです。
 要するに、民営化というのは民間企業になることですから、竹中大臣何度もおっしゃっているように経営判断です。経営判断は何に基づいてやるかというと、これは資本利益率とかそういうことが物差しになるわけですから、そうはならないと思って質問しているわけですけれども。
 この中にも書いてありますけれども、日本で金融排除は存在しないというふうなことを竹中さんはおっしゃいましたが、静かに進行しているんではないかと思いますし、金融機関の撤退という点ではもう急速に進行しているのは既にこの委員会で何度も取り上げられてきたとおりでございます。
 資料一を見ていただきたいんですけれども、郵貯の預金者の利用世帯というのは四千二百万世帯、国民の八五%が利用しています。うち百万円以下の層が四割、三百万円以下では約七割です。金融弱者問題というのは実はこの層です。三百万円以下とか百万円以下とか、この層のことです。一千万円以下というような漠としたものではございません。この層が実は金融弱者の問題です。
 そして、その下の方の図、見てもらうと、民間銀行の三百万円以下の貯蓄を九八年から二〇〇五年までカウントを取りました。つまり、日本の金融ビッグバンは九八年から始まったと言われておりますので、九八年から取ったわけです。小口の口数で八千百万口、金融構成比で四・八%減少しているわけで、あっ、金額構成比でですね、減少しているわけです。
 なぜ小口が減っているのかと。これは、一つはやっぱり不況で低所得の方が増えたというのもあると思いますけれども、二枚目の資料に、これはUFJホールディングスの株主に対する説明資料ですけれども、挙げておきました。要するに、預金の少ない人ほど銀行としては口座維持にコストが掛かるんです。もうからないんです。これを株主に説明するための資料です。〇二年では一千四百万人クラスでは赤字だと、しかし〇七年には千八百万人クラスでも黒字にいたしますと、これを株主に説明している資料でございます。ここに金融排除の供給側の原因があります。供給側の原因があります。
 ですから、国それぞれ、何といいますか、景気のいい国でも、景気が良かった国でも、二極化が進んだというのもありますが、そういう国でも金融排除が起きましたけれども、共通の原因がこの金融機関が口座を維持するところに生じるコストの問題です。ですから、世界共通のいろんな国で同時に起こったと、日本でもこれから起こり得るというふうに思います。
 Aの方は、具体的に、外国に比べたらまだ少額かも分かりませんが、残高をそれぞれ差別化して取ろうと、取っていこうとしているというのがAのところでお分かりだというふうに思います。郵貯があるから競争上手数料を控えているという側面があります。外国の例を見ても、郵貯サービスがなくなったところでは手数料がずっと引き上げられました。アメリカのシティバンクなんかは五十万円以下の貯金だと毎月、毎月二千円の口座維持手数料を取っております。もうこれはペナルティーみたいなものですね。口座作るなと言っているようなものでございます。
 先ほどの政府の研究会報告に基づいて言えば、やっぱり郵貯が民間銀行になればこういう方向になるというのは明らかではないかと、今回の民営化以降この方向に進んでいくんではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#243
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、いろんな国の事情があり、またいろんな銀行がそれぞれ自分が特化すべき分野を考えていろんな経営戦略を立てているんだと思います。しかし、日本の現状を見ますと、これは日本のいわゆる四メガバンクというところが、四メガバンク、これすべての四メガバンクが無手数料タイプの預金、普通預金を提供しているというふうに認識をしております。もちろん、それとは別に、より金利は高いけれども、金利を高くする代わりに手数料も取るというようなものも、これはいろんな、これは消費者のチョイスのために増えてきておりますけれども、日本では無手数料タイプのものが四メガバンクではすべてにおいて提供されているのが、これが現状であろうかと思っております。
 何よりも、先ほどの報告書に戻りますけれども、これはやっぱり規模の経済、範囲の経済がこの郵貯のビジネスモデルにはあるわけですね。規模の経済があるということは規模を小さくすると不経済だということですから、これはその意味ではそういうような排除は今の郵貯のようなビジネスモデルではむしろ生じないということをこの報告書は示しているのではないのでしょうか。
 これは、委員が御懸念のようなその目配りをこれは金融行政全般としてしていかなければいけないというのは、私も全くそのように思います。しかし、今この時点で日本の問題が非常に深刻化しているというふうには思っておりませんし、これは郵政の、郵貯を民営化しても、私は、郵貯はそういった意味で引き続き大変重要な役割を果たしていく存在になるというふうに思っております。
#244
○大門実紀史君 規模の経済とおっしゃったのはあれのことでしょうか。いわゆる民間になってもネットワークの価値があると、そういうことをおっしゃっているわけですか。
#245
○国務大臣(竹中平蔵君) ここに書いてある。
#246
○大門実紀史君 それは、民間じゃないから価値があると言っているわけで、大臣おっしゃっているのは、民間の金融機関がそういうネットワークの価値があるんだったらなぜ撤退しちゃうんですか、これだけ。そうでしょう。だから、民間の論理とはそうではないと。民間のネットワークと郵貯のネットワークを混同されては困りますと申し上げたいというふうに思います。
 私は、だから今日は、そういう答弁じゃなくて、普通に経済の問題として考えて、経済学者としてそういうことは起こり得ると。私、学者の方だれも否定してないんですね。こういう金融排除が生じる可能性があると、危険性があると、そういう点で率直な御意見をお聞きしたかったわけです。
 竹中さん、今年が国連の国際マイクロクレジット年というのを御存じでしょうか。あるいは、WSBI、世界貯蓄銀行機構と世銀が一緒に共同開催した年次総会ですか、そこで金融アクセス問題の解決に関する決議というようなものを出されています。今年はそういう年だというのを御存じでしょうか。
#247
○国務大臣(竹中平蔵君) 話は聞いております。詳細に存じ上げているわけではございませんが、そういういろんな動きがあるということは承知をしております。
#248
○大門実紀史君 ちょっと御紹介をいたしますと、要するに、世界的に問題になっているということなんですよ。途上国、もちろん先進国の低所得者の金融排除の問題が世界的に国連でも議論されているというところで、金融排除をなくすキャンペーンというのがマイクロクレジット二〇〇五でございます。これはマイクロファイナンスという意味も込められています。ただ貸すだけではなくて口座の問題も入っております。
 先ほど言いました世界貯蓄銀行機構と世銀の金融アクセス問題解決決議というのは、去年の十月の終わりにベルギーで開催された年次総会ですけれども、ここでも金融サービスへのアクセスは基本的な人権だというふうに位置付けて、金融排除をなくす新たな目標を掲げたと、で、いろいろ取組をやろうということでございます。
 ホルガー・ベルント総裁の冒頭講演というのはかなりみんなに感銘を与えた講演です。何を言っているかというと、二つありますけれども、中心点は、株主の利益を追求するだけが銀行の唯一のモデルではない、基本的金融アクセスの欠如は金融排除に帰着すると。もう一つは、ヨーロッパの諸国の金融サービスは身近な金融機関、中でも、過疎地域にも低所得者の人々にも差別のないサービスを提供している郵便局の金融サービスが継続的に維持されることによってのみ保障されているのが現状であるというふうに、こういう金融排除の先進国は、こういうことをもう分析して、それで取組をしているところでございます。
 ちなみに、ホルガー・ベルントさんは立派な経済学者でございます。そういう正に経世済民ですね、貧しい人たちのためにいろんなことを行うというふうな経済学者でございますから、是非、学者たるもの、みんなこうあってほしいと私は思うわけですけれども。
 世界的にこういう金融排除をなくすキャンペーンが、国際キャンペーンが行われているときに、よりによって郵政民営化を提案している日本というのは、私は世界の流れに大きく逆行していると思うんですけれども、その辺の認識はお持ちでしょうか。
#249
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども申し上げましたように、九〇年代以降の経済の局面の変化に合わせて、日本におきましても金融排除の問題についてはこれからしっかりと見ていかなければいけないと思います。私もそういうことは起こり得ると、経済学者が認めているとおっしゃいましたけれども、私もそういうことは起こり得ると思っております。だからこそ、そういうことをしっかり見ていかなければいけないというふうに申し上げているわけでございます。
 一方でしかし、市場の活力を活用してより良いサービスをつくっていかないと、そして活性化していかないと、この人口減少社会にどう乗り切れるのかというような日本の負っている課題もございます。私は、郵政民営化は民営化としてしっかりと実現して、さらに今、大門委員がおっしゃったような視点も踏まえて、これはより広い金融行政の話ですから、より広い金融行政の中で、その金融排除の問題については目を光らせていく必要があるというふうに思っております。
#250
○大門実紀史君 終わります。
#251
○又市征治君 社民党の又市です。
 くしくも大門さんと同じ金融排除の問題を、ダブってきたわけですが、みんなそのぐらいにこの問題、大変心配をしているということなんだろうと思います。
 その金融排除の問題に入る前に、ちょっと郵政公社の方にお聞きをしておきたいと思いますが、今、全国に逓信病院、札幌から鹿児島まで十四か所あって、年間百八十五万人の患者さんが利用されているそうですけれども、この病院の規模と利用者数を大きいところ、小さい規模のところを例に簡単に説明をいただきたいと思います。
 また、このうち郵政関係者以外の利用は何%程度あるのか、地域住民からはどのように評価をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#252
○参考人(広瀬俊一郎君) 逓信病院は職域病院として開設をしているところでございますが、昭和五十五年から順次一般開放いたしまして、地域に密着した医療を提供しているところでございます。
 逓信病院につきましては、先生お話のありましたように、平成十六年度におきましては延べ約百八十五万人の方が御利用いただいております。そのうち、約九割の百六十七万人が公社以外の一般の方の御利用でございまして、多くの地域の皆様からの御利用をいただいているところでございます。
#253
○又市征治君 利用者の九割が一般住民ですから。これは、今お話あったように、会計検査院だとか臨調の指摘に基づいて一九八〇年から一般開放してきた結果ですね、そして、料金体系は郵政職員も一般も同じなわけですね、当然ですけれども。
 なお、損益状況は、全体で昨年度六十億円の赤字だそうですけれども、その構成要素は一体何ですか。
#254
○参考人(広瀬俊一郎君) 逓信病院の経営状況につきましては、先生御指摘のとおり、平成十六年度におきましては収益が二百七十五億円、費用が三百三十五億円でございまして、御指摘のとおり約六十億円の損失となっております。
#255
○又市征治君 中身、原因。
#256
○参考人(広瀬俊一郎君) 原因は、やはり現在の病院に対する私どもの職員のニーズでございますとか、やっぱり病院がいろんな形で増えてきたとか、そんな中で病院の利用も若干減っております。
 一方で、経営改善を一生懸命やっておるということでございまして、結果的に約六十億円の損失となりました。
#257
○又市征治君 ちょっと違うんじゃないの。事前にこの中身をお聞きをしましたら、減価償却の分と退職手当引当金の分が大きいですというお話なんです。それは間違いありませんか。
#258
○参考人(広瀬俊一郎君) 企業会計原則を入れましたことによりまして、退職手当の分だとか、お話ありましたような減価償却だとか、その辺りが費用で利いております。
 以上でございます。
#259
○又市征治君 つまり、今あったように、企業会計ルールを当然取っているわけですから、赤字には違いありませんけれども、これは当面、実際に現金で出ていくという性格のものではありませんから、これまでどおり公社会計からの支援によって設備等の更新をしていけば成り立っていくと、こういう仕組みになっているわけですね。であればなおのこと、今後も逓信病院は地域住民のために存続してほしいと、こう思うわけでありますけれども、逆に民営化では、病院そのものがもうけを主眼とした事業ではないわけですから、収益性を理由に切り捨てられていくんではないか、こういう心配が地域住民にはされている向きがあるわけです。
 そこで、大臣、これ通告してありませんが、そんな心配要らないんだということになるのかどうか、この後、民営化していく場合に、この逓信病院は一体どの会社に引き継がれて、この地域貢献は存続をさせていく計画になっているのか、これは当然のことをお答えできるんだと思うんですが、よろしくお願いしたいと思います。
#260
○国務大臣(竹中平蔵君) この郵政公社は、職域病院として逓信病院を保有、運営してきたわけでございますけれども、この病院は地域に密着した医療を提供していると。で、地域医療の確保のため、今後とも安定した病院経営が行われる必要があるということ、さらに逓信病院職員の雇用を確保する必要があるということ、そういうことも踏まえまして、これはNTT、JRの例も同様な例があったわけでございますけれども、それも踏まえて、今般の郵政民営化に当たっては、民営化会社が病院を継続保有することについて認めるということにしております。
 また、公社の人員や資産の具体的な切り分けについては、これは新経営陣が、経営委員会が承継計画において定めることとしております。これ、承継計画は主務大臣の認可でございますので、そういうことをこの逓信病院について承継計画に決まって定まりますけれども、しっかりと担保していきたいと思います。
#261
○又市征治君 会社ははっきりしたわけですね。持ち株会社に持たせるわけですか。
#262
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど言いましたメルパルクとか、そういう附帯施設等々が持ち株会社に暫定的に保有されるということも踏まえますと、持ち株会社に持っていただくということが一つの方法として考えられますが、これは詳細は承継計画においてきっちりと定めることにしております。
#263
○又市征治君 どうもまだ決まっていないようで、大変心配なわけですね。
 こうしたやっぱり民間会社になっていってしまいますと、さっき申し上げたように、それは収益上がるというわけじゃなくて、人件費や退職手当や減価償却などを含めるととんとんぐらいになっていくということですから、大変に不安だ。ここのところは明確にされる必要が、こういう法案を出されるならばすべきだろうと、こう思います。その点だけ指摘しておきたいと思います。
 そこで次に、本論に入りますけれども、私は、この法案の最悪の問題点は庶民のための金融ユニバーサルサービスの破壊だというふうに指摘をしてまいりました。
 低所得者や地方の住民が金融サービスから排除される、いわゆる金融サービスという社会的差別が一番深刻化しているのがイギリスだというふうに言われています。銀行・証券業界がわずか四つの銀行グループに集約化されて、住宅金融組合などの庶民金融機関もこれに吸収されて寡占化が完成をしたわけですね。その結果、利益、効率を最優先にして支店数が激減をして、全世帯の二〇%に当たる低所得者層は口座から、口座サービスから締め出される、社会的な給付金や年金を受け取れないという、こういう顧客の選別が加速されたというわけです。正に、当初言われたバラ色のビッグバン伝説というのは、大変な社会的損失を広げて失敗が確認されたわけですね。
 そこで、さっきありましたように、労働党のブレア政権はこれを修正をして金融排除に対して庶民を守る社会政策を取った。これが基礎的金融サービスについての政府と銀行との協定で一千三百万人の社会給付金や年金受給者の口座を確保するというものだったわけです。特徴的なのは、政府が大銀行にこのために年額三百六十億円を負担させたという、こういう点ですね。
 そこで、竹中大臣、日本でも正に過疎地などから銀行の支店が撤退をされてこの十年ぐらいで二割ぐらい減ってきた、こういうやっぱり危険性があるわけですね。こうした大きな社会的な亀裂と無駄が生じる前に、今せっかくある郵政公社、このことを防止するための装置として働いているわけですが、もし本当に民営化をすると言うんならば、それこそ正に政府が法律でそのことを保障する、このことが社会として一番効率的じゃないかと、こう思うんですが、それもまるで銀行や生保に任せっ放し、こういうことになっているんじゃありませんか。その点、もう一度お答えください。
#264
○国務大臣(竹中平蔵君) 銀行、生保が長期的に金融環境の変化に対応してしっかりと存立していただくためは、やはり公社の下では制約があって、資産運用の自由を持っていただくためにも民営化というのは私は避けて通れないというふうに思います。その場合、民営化をするに当たっては、これは当然、民間金融機関と同じ競争条件になっていただくということになりますので、この会社にだけ業務委託を何か義務付けを行うということは、これは他の金融機関にない義務を特別に課すということになり、これは適切ではないというふうに思うわけでございます。
 しかし、これは又市議員が何回も何回も御指摘してくださっているように、この組織が金融面で果たしている役割というのは実態的には大変大きいということを私たちも重く受け止めているわけでございます。そこで、そういう形での、法律での義務付けということではないけれども、実態的にそれを金融行政の中で、通常の金融行政の中でその実効性を担保する仕組みというのを我々なりに考えて、これをつくっているわけでございます。
 その一つが、やはりみなし免許を出すに当たっての長期安定的な代理店契約、保険募集委託契約を条件付け、それによって移行期間がしっかりとカバーされて、そのような機能が続いていくということに相なります。また、必要な場合、それでもネットワーク価値が低下する場合は基金も使えるというような仕組みもつくりました。さらには、これは経営判断によって一体的経営が必要だという場合は、それも通常の法律の枠組みの中で可能だというふうにいたしました。そういう形で、現実にしっかりと金融が提供されていくという枠組みをつくっているつもりでございます。
 海外の例等もいろいろ挙げていただいておりますけれども、日本の場合はドイツ等々と違って、やはりしっかりと持ち株会社、ヘッドクオーターとしての持ち株会社をつくってしっかりと受委託関係を料金設定も手数料設定も含めてやってもらおうではないかと。このような制度設計上の工夫を行っているつもりでございますので、経営の自由度拡大によって国民の利便性を最大限高める、しかし同時に重要な社会的機能を果たしていく、そのような仕組みをつくったつもりでございます。
#265
○又市征治君 先ほど竹中大臣も、金融排除の問題は注意して見ていかなきゃいけないと、こう答弁されました。私は、取り違えされたら困るんで、私の言い方が悪かったのかもしれませんが、私は、だから郵政公社の金融ユニバーサルサービスを政府がしっかりと保障していくべきではないかと、こう申し上げたので、民営化にして銀行に何か代理店契約結べばできるというそんな話じゃない、このことを申し上げたつもりですが、どうも竹中さん、大変ドライなリストラ論者だというふうに私は思うんですけれども、民営化後のことになると途端に根拠のない超楽観主義、こんなふうに私は聞こえてしようがありません。
 既存の銀行と猛烈な競争になったら、利益の上がらない庶民の小口口座などは当然切り捨てられる。そんなこと起こってくるのは当たり前、それが諸外国でどんどん起こっている。そのことの心配というのはあるということをあなたもお認めになった。そうすると、このイコールフッティングとユニバーサルサービスというのは私は両立できない、こう思います。あなたやあるいは銀行側、そしてまたアメリカの投資業界が求めるイコールフッティングというのは、結局は事業者間の形式的な平等だけであって、元々不平等な地位にある庶民の小口の金融ユニバーサルサービスの権利を保障するという、それを守るという、こうした一番大事な問題が抜け落ちているんではないのか、こう私は指摘せざるを得ません。
 そこで、少し具体論でスウェーデンの例、もう一つ申し上げたいと思うんですが、当然勉強なさっていると思いますけれども、スウェーデンでは、郵便事業は小包を含めて国営とユニバーサルサービスが守られていることは承知のとおりです。それだけでなくて、庶民の資金の出納については、基礎的キャッシャーサービスという名で、国庫補助と、そして郵便配達人の行うべき業務としての義務付けによって、金融についてもユニバーサルサービスが確保されているわけですね。
 日本と決定的に違う重要な点というのは、それに際して徹底的な社会調査を行ったということです。どのような地域でやるとか、また地域だけではなくて社会階層、例えば高齢者、若者、難民、小規模企業であるとかNPOであるとか、こういった階層がその地域にどれだけいるのかということを算出を調査をする。そして、彼らにどうやって最後までユニバーサルなキャッシャーサービスを保障するかという手段が細かく法制化されているわけですね、正に北欧型社会民主主義の面目躍如だと思いますけれども。
 今回の政府の法案というのは、金融ユニバーサルサービスに関しては全く駄目だというふうに私は思いますが、百歩譲って、こうした社会政策的な配慮というのはどんなふうにされているんですか。
#266
○国務大臣(竹中平蔵君) 今スウェーデンの例を御紹介くださいました。スウェーデンの例、我々も制度の勉強はしておりますが、詳細、細部に至るまで存じているわけではございません。
 しかし、それぞれこういう制度をつくるに当たって、いろいろやはり社会的な要請というのがあるのだと思います。日本でそういう悉皆的な調査を行うべきではないかという趣旨のお尋ねであったかというふうに思いますけれども、日本において今いわゆる金融排除、まあ金融排除にもいろいろ種類があるんだそうでありますが、具体的に、口座が持てなくて非常に社会的な生活に問題を生じている方が多数おられるというような認識は、私はそういう状況では、現状ではないというふうに思っております。
 そういった問題が生じないようにいろいろな目を光らせる、これは金融行政の中で当然行っていくわけでございましょうけれども、そういうことは必要だということは私も思いますし、そういうような社会的な目配りは今後とも様々な分野で続けていく必要はあると思っておりますけれども、少なくとも日本において、そのような金融排除が非常に高い優先順位を持って解決されるべき問題として今浮上しているという、そのようには私は認識をしておりません。
#267
○又市征治君 今起こっているということを申し上げているんではなくて、先ほども話が出ましたように、そういう危険性がある。例えば、現実に政府の統計によりましても、二二%から二三%の人が預貯金ゼロだと、こう言われている。こういう人たち、現実に口座持てなくなってしまうじゃないですか。こういう問題などということは現に起こっている問題として存在をするし、これから更にそういう金融サービスというのが全く銀行間の競争の中で起こり得る、そして過疎地、もうからない地域から撤退をする。こういう中で起こるということを申し上げているわけで、それに対して、やはり社会的な安全弁として、政府は目配り、気配りすべきではないかということを申し上げているわけで、そういう意味で、やはりきちっとこうした社会政策的な配慮というものを、あるいはそういう調査というものはやられる必要があるんではないかということを申し上げているわけです。
 そこで、時間がありませんから次に進みますけれども、この委員会で多くの委員からの質疑、さらにはとりわけ参考人陳述であるとか地方公聴会で明らかになったのは、地方の住民の生活のための様々な拠点施設が、町村役場あるいは銀行の支店、農協の金融窓口、警察駐在所に至るまでが町村合併や過疎化を理由として次々に撤退をしている現状、こういうことがあるわけです。その中にあって、郵便局は本業以外でも、これら失われた公的サービスの代行機関として地域住民及び首長や議会の圧倒的な信頼や信託を得ているというのが多く出されておったと思うんですね。ましてや、本業である郵貯、簡保の果たしてきた金融窓口のユニバーサル性に対する地域住民の期待というのは、これだけ異口同音に聞かされれば政府も痛いほどよく分かるはずだろうと思うんです。
 そこで、質問に入りますけれども、この郵貯、簡保のユニバーサルサービス提供は、たとえ民営化後でも国民に対する半永久的なやっぱり私は義務としなきゃならぬと、こう思います。したがって、私はもとよりこの民営化法案には反対でありますけれども、百歩譲っても、新銀行、新保険会社とするにしても、郵貯法や簡保法との連続性を考慮をして、単なる一銀行、一保険会社ではなくて、日常のお金の引き出しあるいは預け入れなど、金融のユニバーサルサービスというナショナルミニマムを担う機関として必ず窓口を確保するように郵便局会社と協議する義務というものを法律の明文で定めるべきではないか、このことをさっきからも申し上げているわけです。受ける郵便局会社の側も、この郵貯、簡保の受託取扱いをやっぱり必須業務としていく、こういうことが必要ではないか。さらに、この協議が調わない場合は持ち株会社なり何らかの公的機関が仲裁をするという、こういう条項をむしろ明確にすべきではないかと。これがもうできませんと言うならば、やっぱりもう一遍郵政公社にそのまましっかり戻すべきだ、郵政公社のままでいくべきだと。このことをどういうふうにお考えになるのか、お聞かせいただきたい。
#268
○国務大臣(竹中平蔵君) 繰り返しになりますが、我々は大きな判断として民営化が必要であるというふうに考えております。民営化をするに当たっては経営の自由度を持っていただく。したがって、民営化された機関に特別の義務を課するということを避けながら、しかし実効性のある金融サービスの継続、それをやるような仕組みをつくったつもりでございます。
 今、又市委員が御指摘されたように、義務付ける、そして場合によってはしっかりと協議をする、それは正に移行期間においてはそのような仕組みがしっかりとワークをいたします。そして、移行期間において長期契約が存在して、かつ持ち株会社がきちっとした仲裁を行えて、また総務大臣、内閣総理大臣が監督を行うような仕組みを持っております。私は、そういう中でお互いそれぞれメリットがしっかりと享受し合えるような契約をしていただいて、そしてそれが結果的に継続していくような仕組みに持っていきたいというふうに思っております。
 その意味では、この移行期間というのは、正に今私が申し上げたような市場経済型のそのそれぞれの会社の良い関係にソフトランディングするための期間でもございますので、この移行期間をしっかりと運営をして、そして結果的に良いサービスが国民に提供され続けるように是非制度を運営したいと思います。
#269
○又市征治君 時間がなくなりましたので終わりますが、今日も聞きましても、こうした本当に過疎地や、あるいは場合によればお年寄りなどの金融機関としてのこの郵便局、本当になくなっていかないかということについて全く懸念は払拭されない。むしろ、今の郵政公社を、何か資産運用の自由度がないから郵政公社を自由度をもっと高める、その改革こそが必要だということを申し上げて、終わりたいと思います。
#270
○委員長(陣内孝雄君) 六案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#271
○委員長(陣内孝雄君) 郵政民営化に関する調査及び郵政民営化法案外五案を一括して議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。
 まず、第一班の御報告を願います。山下八洲夫君。
#272
○山下八洲夫君 第一班につきまして、御報告いたします。
 派遣委員は、陣内孝雄委員長、世耕弘成理事、弘友和夫理事、愛知治郎委員、有村治子委員、岩城光英委員、小野清子委員、小泉昭男委員、二之湯智委員、野上浩太郎委員、尾立源幸委員、高橋千秋委員、津田弥太郎委員、広田一委員、渡辺秀央委員、山本香苗委員及び私、山下八洲夫の計十七名で、去る七月二十七日及び二十八日の両日、東京都、大阪府及び京都府において、郵政民営化に関する諸問題について現地における実情調査を行うとともに、郵政民営化法案外五案について地方公聴会を開催いたしました。
 なお、地方公聴会には福山哲郎議員、松井孝治議員も現地参加いたしました。
 視察先は、東京中央郵便局、高島屋大阪店内郵便局及び新大阪郵便局であります。なお、東京中央郵便局は第二班と合同で視察を行っております。
 以下、視察の結果について御報告いたします。
 まず、東京中央郵便局についてであります。
 東京中央郵便局は、東京駅に隣接し、官庁街、ビジネス街の中心にあって、約千二百名の職員が勤務し、郵便、貯金、簡易保険、配達業務等のほか、切手普及、資金管理等の業務を行っております。一日当たりの引受通数約二百五十万通、配達通数約三十六万通の大量の郵便物を処理し、メーリングセンターとしての機能を果たすとともに、我が国郵便局の顔としての役割を担っております。現在は、業務管理を改善することによる生産性と安全性の向上を目指したJPS、ジャパン・ポスト・システムの取組を進めているとのことでありました。
 次に、高島屋大阪店内郵便局についてであります。
 高島屋大阪店内郵便局は、平成二年に百貨店を委託先とする大都市型簡易郵便局、いわゆるシティーポストとして開局されたもので、昨年の委託料金は三千九百三十八万円となっております。百貨店の七階に三つの窓口とATMが設置されており、私どもが訪問した際にもATMに行列ができるなど、買物客等に気軽に便利に利用されておりました。なお、シティーポストは地価、賃料の高騰に伴い、設置が困難な大都市に郵便局を設置するための制度でありますが、委託先の店舗統合等により全国の局数は平成十二年度の十七局から現在は八局と減少し、近畿圏においても同局のみとなっています。
 次に、新大阪郵便局についてであります。
 新大阪郵便局は、郵便物流の新たな変化に対応するため、大阪市の此花区の臨海工業地帯に、西日本郵便ネットワークの拠点として平成六年に設置された区分郵便局であります。同局は、建物延べ面積が甲子園球場の約六倍という広さの中に、大型の区分機やチルドゆうパック用の保冷作業室など最新鋭の機械設備を導入し、一日平均約九百十万通の郵便や十二万個を超える小包の大量の郵便物の迅速かつ効率的な処理の実現を図っております。今後、民間との競争による小包の急激な増加や予想される国際物流への進出においても重要な役割を担うことが期待されております。
 次に、地方公聴会について御報告いたします。
 地方公聴会は、七月二十八日に京都市において開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。
 まず、公述の要旨について御報告申し上げます。
 最初に、株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション代表取締役会長村上晨一郎君からは、国民生活と福祉の維持向上のため、経済社会の仕組みを筋肉質なものに再構築することが喫緊の課題であること、構造改革の中心的課題が郵政改革であること、業務拡大により郵便局が一層地域に不可欠な存在となる可能性があること等の意見が述べられました。
 次に、京都府農業共済組合連合会会長草木慶治君からは、京都市との市町村合併に伴い、旧町村の住民は郵便局も統廃合されるのではないか、地元の郵便局が不採算という名目でなくなってしまうのではないか危惧していること、設置基準を政省令で定めるとしているが、集落にとって必要な社会インフラである郵便局がなくならずに本当に残るのであるのか不安であること、小さな政府には賛成であるが、公社のままの経営改革でなぜ駄目なのか理解できないことなどの意見が述べられました。
 次に、京都大学経済学部教授吉田和男君からは、郵便は、全国ネットワークの完成後は民間で業務を行うべきであること、将来の郵政事業の経営は厳しく、制約のある公社より、柔軟な対応ができる民営化の方がメリットがあること、金融の自由化に対応し、資金が民間に移行することにより、イノベーションの高い事業に資金が注がれ、日本が活性化すること、金融については地域分割をすべきであること等の意見が述べられました。
 最後に、株式会社白川書院代表取締役山岡景一郎君からは、阪神・淡路大震災の体験を通じて、郵便局の仕事が人々のライフラインであることを改めて認識したこと、大手の宅配業者が事業を止める一方、郵便局は無料で救援小包や郵便の配達を継続したことなど、郵政事業が営利を目的としていない官業であるゆえ、被災者へのサービスが提供できたこと等の意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員より、日本郵政公社のままでの改革の問題と民営化の必要性、経営組織の変革に際しての職員の理解を得る方法、災害時における公務員と民間人による使命感の違いの有無、総合的な過疎地対策と郵便局の在り方の関係、日本郵政公社法に対する評価、日本人の貯蓄に対する考え方、郵便局という文化を承継することの必要性、民営化により資金が地域に活用される可能性、人口減少社会と郵政民営化のかかわりなど多岐にわたる質疑が行われました。
 なお、会議の内容は速記により記録いたしておりますので、詳細はこれによって御承知願います。
 以上で第一班の報告を終わります。
#273
○委員長(陣内孝雄君) 次に、第二班の御報告を願います。市川一朗君。
#274
○市川一朗君 第二班につきまして、御報告いたします。
 派遣委員は、山崎力理事、伊藤基隆理事、平野達男理事、小池正勝委員、椎名一保委員、関口昌一委員、長谷川憲正委員、山下英利委員、山本順三委員、大塚耕平委員、岡崎トミ子委員、山根隆治委員、若林秀樹委員、西田実仁委員、山口那津男委員、大門実紀史委員、近藤正道委員及び団長を務めました私、市川一朗の計十八名で、去る七月二十七日及び二十八日の両日、東京都及び岩手県において、郵政民営化に関する諸問題について現地における実情調査を行うとともに、郵政民営化法案外五案について地方公聴会を開催いたしました。
 なお、地方公聴会には主濱了議員も現地参加いたしました。
 まず、七月二十七日の視察の結果について御報告いたします。
 同日は、最初に第一班と合同で東京中央郵便局を視察いたしましたが、これにつきましては第一班から報告がございましたので省略いたします。
 この後、第二班は、過疎地の郵便局の実情調査として岩手県の葛巻郵便局及び江刺家郵便局に参りました。
 葛巻郵便局は、岩手郡葛巻町に位置し、受持ち地区内で人口約八千七百人、無集配特定郵便局二局、簡易局三局を有する集配局であり、職員数は、局長一名、内務職員六名、外務職員十名の計十七名で、現在、郵便、貯金、保険の各事業とともに、地域との連携施策として、ひまわりサービス、子ども一一〇番等の取組が行われております。
 江刺家郵便局は、九戸郡九戸村に位置し、受持ち地区内で人口約千四百人を有する無集配局であり、職員数は局長と内務職員の計二名で、現在、郵便、貯金、保険の各事業とともに、地域との連携施策として、郵便申込みによる住民票郵送サービス、高齢者等への生活状況の確認、子ども・女性一一〇番等の取組が行われております。
 両郵便局におきましては、地域での金融サービスの状況及び郵便局が金融サービスをやめた場合の地域の高齢者に与える影響についての質疑応答が多くなされたことを付言いたします。
 次に、七月二十八日に盛岡市で開催した地方公聴会について御報告いたします。
 公聴会では、四名の公述人から意見を聴取した後、質疑を行いました。
 まず、公述の要旨について御報告いたします。
 最初に、盛岡商工連盟会長藤原誠市君からは、三百四十兆円の資金が官から民へ動けば大きな変化が起こり、それがプラスになれば民営化は成功であること、民営化により郵政事業で働く人の意識が変わる可能性があること、民営化された会社により、将来、民業圧迫がなされる懸念があること、民営化された会社は必ず利益追求に走るので、それらの点を見直しながら改革してほしいこと等の意見が述べられました。
 次に、岩手県簡易郵便局連合会事務局長坂下尚登君からは、岩手県の郵便局の三〇%は簡易局であるが、法案では簡易局の存在の根拠が明確でないこと、民営化により簡易局に支払われる手数料が削減されると局の運営は困難であること、簡易局の維持は三事業一体で取り扱うことで初めて可能であること、地元住民も身近な簡易局が廃止されるのではとの不安を持っていること等の意見が述べられました。
 次に、岩手県商工会議所連合会会長斎藤育夫君からは、民営化、四分社化には原則的に賛成だが、郵便貯金銀行はスリム化してもなお巨大であり、適切な規模に分割して地域密着型の会社にすべきであること、法案修正で金融二社の株式の持ち合いが可能となったことで暗黙の政府保証が続くような印象となる一方、郵便貯金銀行の経営の自由度が増すのであればかえって民業圧迫となること、郵政事業が果たしている地域への貢献機能が埋没しないことを望むこと、世論調査にかんがみると法案の審議に時間を掛けてもよいのではないか等の意見が述べられました。
 最後に、盛岡青山町郵便局総務主任阿部美憲君からは、利用者の中には郵政民営化で郵便局が破綻するかのような印象を持つ者もいること、窓口の分社化で利用者の手数料負担が重くなるのではないかと懸念すること、郵便のユニバーサルサービスが維持されることで集配局は存続できても無集配局は存続できなくなるのではとの不安があること、公社化してまだ二年しかたっていないので公社形態の維持が国民の安心にもつながること等の意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員より、郵政民営化についての現場の不安の声に対する意見、金融サービスを廃止した場合の郵便局の運営への影響、郵便局が他の業務に進出することの問題点、郵政公社になって簡易郵便局が変わった点と利用者の評価、郵便局の存在意義とそれへの期待、郵便局ネットワーク維持のための財政基盤の在り方、地方銀行が郵政民営化に賛成する理由、民営化後も簡易局が住民から信頼されることの見通し、民業圧迫の歯止めと郵便局ネットワーク維持のための具体策、民営化後の郵便局がコンビニ業あるいは公的事務を行うことの可否など、多岐にわたる質疑が行われました。
 なお、会議の内容は速記により記録いたしておりますので、詳細はこれによって御承知願います。
 以上で第二班の報告を終わります。
#275
○委員長(陣内孝雄君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。
 なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十分散会
     ─────・─────
   〔参照〕
   京都地方公聴会速記録
 期日 平成十七年七月二十八日(木曜日)
 場所 京都市 ホテルグランヴィア京都
   派遣委員
    団長 委員長      陣内 孝雄君
       理 事      世耕 弘成君
       理 事      山下八洲夫君
       理 事      弘友 和夫君
                愛知 治郎君
                有村 治子君
                岩城 光英君
                小野 清子君
                小泉 昭男君
                二之湯 智君
                野上浩太郎君
                尾立 源幸君
                高橋 千秋君
                津田弥太郎君
                広田  一君
                渡辺 秀央君
                山本 香苗君
   現地参加議員
       議員       福山 哲郎君
       議員       松井 孝治君
   公述人
       株式会社ジーエ
       ス・ユアサコー
       ポレーション代
       表取締役会長   村上晨一郎君
       京都府農業共済
       組合連合会会長  草木 慶治君
       京都大学経済学
       部教授      吉田 和男君
       株式会社白川書
       院代表取締役   山岡景一郎君
    ─────────────
   〔午前九時一分開会〕
#276
○団長(陣内孝雄君) ただいまから参議院郵政民営化に関する特別委員会京都地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします郵政民営化に関する特別委員長の陣内孝雄でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、私どもの委員を御紹介いたします。
 私の右隣から、自由民主党の世耕弘成理事でございます。
 同じく自由民主党の小野清子委員でございます。
 同じく自由民主党の岩城光英委員でございます。
 同じく自由民主党の野上浩太郎委員でございます。
 同じく自由民主党の愛知治郎委員でございます。
 同じく自由民主党の有村治子委員でございます。
 同じく自由民主党の二之湯智委員でございます。
 同じく自由民主党の小泉昭男委員でございます。
 次に、私の左隣から、民主党・新緑風会の山下八洲夫理事でございます。
 公明党の弘友和夫理事でございます。
 民主党・新緑風会の渡辺秀央委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の高橋千秋委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の津田弥太郎委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の尾立源幸委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の広田一委員でございます。
 公明党の山本香苗委員でございます。
 現地参加議員で、民主党・新緑風会の福山哲郎議員でございます。
 現地参加議員で、民主党・新緑風会の松井孝治議員でございます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション代表取締役会長村上晨一郎君、京都府農業共済組合連合会会長草木慶治君、京都大学経済学部教授吉田和男君及び株式会社白川書院代表取締役山岡景一郎君、以上四名の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 当委員会におきましては、目下、郵政民営化法案外五法案の審査を行っております。本日は、法案の重要性にかんがみ、国民の皆様から幅広く貴重な御意見を賜るため、当地において公聴会を開催することとなった次第でございます。
 公述人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の法案審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、会議の進め方について申し上げます。
 まず、村上公述人、草木公述人、吉田公述人、山岡公述人の順序で、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言は着席のままで結構でございますが、御発言は私の指名を受けることになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、村上公述人にお願いいたします。村上公述人。
#277
○公述人(村上晨一郎君) おはようございます。先生方には連日の御審議、大変御苦労さまでございます。
 それでは、早速でございますが、始めさしていただきたいと思います。
 私のこれから申し上げますことは、皆さんのお手元にレジュメというような気の利いたものはございませんで、ちょっと原稿をそのままお配りしてございますので、よろしくお願いいたします。
 ジーエス・ユアサコーポレーションの村上でございます。
 ちょっと名前が、会社の名前が聞き慣れないというふうな方もいらっしゃるかと思いますので御紹介しておきたいと思いますが、当社は、昨年の四月に、いずれも電池を製造・販売しております日本電池とユアサコーポレーションの両社が経営統合いたしまして発足した新しい社名の会社でございます。本社は京都にございます。
 いずれにしましても、私、今日は一個人として意見を述べさせていただきたいと思います。
 さて、今日の厳しい国際経済社会の中で日本が自立的に生き残り、経済的な活力を維持し、国民生活の安定と福祉を維持向上していくためには、我々事業経営で言うております表現でございますけれども、経済社会の仕組みを筋肉質なものに再構築していくことが喫緊の課題でございますし、避けることのできないことだというふうに思っております。
 筋肉質という意味は、国民生活あるいは国民福祉とのバランスをうまく取ることが前提でございますけれども、チープガバメントを実現いたしまして、その効率化を徹底して追求していくというところにあるのではなかろうかというふうに思っております。
 次の注記のパラグラフはちょっと飛ばさせていただきまして、裏面の2のパラグラフをごらんいただきたいと思います。
 こうした背景の下で、経済社会改革の道筋を明らかにしたものが私は構造改革であり、その柱の一つである行政改革の中心課題が郵政改革、郵政の民営化であるというふうに認識をいたしております。
 私は、国民の一人として、構造改革をもって日本の社会経済を再構築するという方針と、これを実行する不退転の決意に強い賛意を持つものでございまして、この改革を遅らせることは日本の将来を誤ることになるというふうに考えております。
 そもそも、構造改革を強い決意を持って遅滞なく実現することを多くの国民が強く支持いたしましたし、私もその一人でございます。これまで、政治に対する国民の大きな不満は、日本の将来を左右する重要な政策に関する公約が竜頭蛇尾に終わってしまうところにありました。したがって、今回の構造改革については、多くの国民がこれをやり抜くことに信任を与えたというふうに考えております。
 私は、この改革を、いろいろな困難はあるでしょうが、とにかく一歩でも今前へ進めることが必要であるというふうに考えております。特に今回ここまで議論を煮詰めてこられた郵政の民営化について、特にそのように考えておるところでございます。
 私は、もちろん納税者の一人でございます。タックスペイヤーの一人として、現行の消費税がスタートした際も、さらにこれが増額されました際も、約束された行財政改革にこれという進展がないことに大きな憤りを感じてまいりました。
 今回の税制改革の中で、消費税率のアップの議論はいずれ避けて通れないものと考えておりますが、我々納税者としては、構造改革全体についてめり張りが付かなければ到底これを容認することができないのではないでしょうか。この点からも構造改革を先延ばしにすることは許されないことであるというふうに考えております。
 構造改革施策の中で、郵政改革、郵政の民営化が特異性を持っていることについては十分承知しておるつもりでございます。国鉄の民営化、金融の不良債権処理は大きく問題が顕在化したのを受けて取り組まれました。これに対し、郵政事業は現時点ではまだ大きな債務を抱えているわけではありませんし、サービスに対してもおおむね評価が高いというふうに思います。生田社長の下での改革努力も成果を上げていらっしゃいます。
 しかしながら、情報化時代の到来に伴うネットワークビジネスの誕生、金融環境の構造的な変化、生保大国時代の終えん等、郵政三事業の事業環境の激変によりまして、郵便、郵貯、簡保のいずれについても、今後の事業シミュレーションを見る限り、問題状況は明らかであります。したがって、まだ体力のあるうちに早期に着手する一方、十分な準備期間を取るという考え方で、二〇〇七年には改革に着手し、二〇一七年まで十年を掛けて改革の道筋を付けるという案になったというふうに理解をいたしております。
 また、この改革の進捗状況、問題点については、郵政民営化委員会が検証を行い、三年に一回総合的な見直しをするということも明らかにされておるところでございます。
 ここで、我々にとって政治とは何かということでございますが、まず第一に、政治とは、日本が世界の中で存在感のある立派な国として自立して存在していける国政の方針、方策をあらゆる面で明らかにしていただくこと及び国民生活の安定と向上を図る政策を明らかにしていただくことでございますが、第二には、あらゆる政策について複雑に入り組んだ国民の利害を国政の場で調整するということではなかろうかと思います。
 今回の郵政の民営化の問題は両面から極めて重要な問題でございますが、特に、本問題は国民生活に密着したものであり、第二の利害の調整に十分な議論が尽くされることを希望したいというふうに思います。
 最後に、一言触れさせていただきます。
 私の郷里は京都府の綾部市でございます。市の面積は大変広うございまして、人口稠密な市街地から過疎地までバラエティーに富んだ地域を抱えております。いわゆるユニバーサルサービスが将来問題となる格好の土地柄かというふうに思います。
 綾部市長のお話ですと、郵便局の存廃を論じるまでもなく、過疎地では既に農協の支所とか信用組合の支店、役所の支所等の廃止が進んでいるそうでございます。将来、郵便局は、許される業の範囲にもよるでしょうが、これらの機能を吸収するとか、行政の委託サービス、コンビニの経営等も含めて自立の道を探っていっていただけるのではないかと。そのことによって各地域にとって更に必要不可欠なものとなっていく可能性も大いにあるというふうに考えております。
 以上をもちまして、意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#278
○団長(陣内孝雄君) ありがとうございました。
 次に、草木公述人にお願いいたします。草木公述人。
#279
○公述人(草木慶治君) 御指名をいただきました草木でございます。
 本日はこのような場で発言の機会をお与えいただき、大変光栄に存じております。
 私は、御紹介をいただいた団体の肩書を離れまして、七十四歳の年金生活者の一人でもございますので、その立場から御意見を申し上げたいと思いますので、御了承を賜りたいと存じます。
 まず冒頭に、私は郵政事業の改革のすべてにつきまして疑問と異論を唱えるものではございません。ただ、今日、郵便局が、子供さんからお年寄りの皆さんに至るまで、どなたも身近で歩いていける、その地域にとりまして便利で、なくてはならない存在になっておると。こういうことから、この郵便局が、今回の法案では、やがて収入の道を断たれ、不採算の郵便局はなくなっていくのではないかと危惧され、心配される声が大変多いことから、私の生まれ故郷の例も申し上げながら意見を述べさせていただきたいと思います。
 さて、ここ京都府と申しますと、先生方も御存じだと思いますが、ややもいたしますと、京都市に代表される歴史と観光都市のイメージが余りにも強いものですから、京都に本当に田舎ってあるの、こう思われがちであるわけであります。
 地図を見ていただければよく分かりますように、北は日本海に面し、南は奈良県境まで、南北に細長い地形であります。
 現在、京都府は三十八の市町村、十三市二十四町一村で、二百六十四万人が住んでおります。京都市のように古くから栄えたところもございますが、その京都市は、人口では京都府全体の半数以上、五六%近くを占めておりますが、面積では一八%弱で、京都府域は七五%が森林であります。いわゆる過疎法等の指定を受ける地域は、昨年の三月時点で申し上げますと、町村合併以前の市町村の数は四十四ありましたので、その旧市町村数で申し上げますと、四十四旧市町村のうち三十三の市町村が過疎法等の対象地域を抱えております。京都府は実に、市町村数で申し上げますと、七五%が過疎地域等を抱えておると、こういうことも言えるわけであります。
 また、一平方キロに一万人以上が住む京都市の中心部から、わずか十五人という小さな町まであるわけであります。全体的に見れば、人口は横ばいないし微増でございますが、今日の新聞報道では今年は微減のようでございますけれども、五年間で三割近く増えた京都府南部地域と、反対に中北部地域は人口減少傾向にあるという二極構造になっておるわけであります。
 とりわけ、京都府北部地域では高齢者の比率も三〇%を優に超える市、町も多くございまして、最高は実に三七%と、高齢化の進んでいる地域を多く抱えておるのが京都府の実態でございます。
 私のふるさとは、今年の四月、京都市に編入合併をいたしましたが、京都市の中心部から約四十キロ北へ向かった、四方が山に囲まれた林業と農業の集落であります。ちょうど今から五十年前に六つの町村が合併をいたしまして、森林率も九三%、集落人口は約六千六百人、高齢化比率も三〇%を超えまして、京都市とは申しながら、六つの集落は人口は二千人からわずか五百人という小さな山間へき地でありまして、もちろん過疎法等の指定地域であります。
 ここではかつて、JA、農協さんが旧六町村それぞれにありましたけれども、この農協さんも、合併によりまして今では一か所の出張所のみとなりました。唯一郵便局だけが、旧六町村のうち五か所でそれぞれ集落の暮らしを守る金融機関として、年金の受取、税金の払込み、ささやかな預金の窓口として、集落にとりましてはなくてはならない存在となっているのが実情であります。この五か所の郵便局は、三か所が郵便の集配局になっておりまして、人口こそ少のうございますが、人口密度一平方キロ三十一人と面積が広く、かつ山間地域の多い中で毎日頑張っていただいております。
 私が時々ふるさとへ帰りますと、御近所の皆さんから、また九十歳を超えた姉夫婦から、うちらの郵便局は今度の民営化になるとどうなるのか、なくなるのと違うかと、また京都市に合併したことで京都市の町の中の郵便局と同等に見られ、整理統合されるのではないかと、今のうちに郵便貯金は下ろしておいた方がいいのではないか、大丈夫やろかと、これからの年金はどこに受け取りに行ったらいいのか、こんな話題が出まして、実はその受け答えに困るのであります。
 私は、余り皆さんに心配しなさんな、今、国会で国会議員の先生方が一生懸命議論されている、よもや郵便局をつぶすようなことにならないと思うよと、こんなことを申しておりますが、こうした素朴な疑問、心配、不安の思いをされておりますのは私のふるさとだけでしょうか。きっと、京都府内はもとより、全国共通の思いではないかと存じます。
 現在、京都府内には、普通局、特定局、それに簡易局を含めると約四百八十の郵便局があるそうですが、それは小学校の数に近いと言われておりますし、いずれの郵便局も、子供さんも高齢者の皆さんもほん近くで、文字どおり安心をして歩いて行くか自転車で行けるところに郵便局があるのであります。これが仮に民営化されたとなればどうなるのでしょう。国会で審議の状況を新聞、テレビで拝見しておりますと、郵便局はなくならない、あまねく全国において利用されるような郵便局は設置基準を政省令で定めると、このように言われておりますが、本当に維持することができるのか、こういうことを疑問に思うわけであります。
 郵便局は、現在、収入の三分の二を郵便貯金、簡易保険からの収入で賄われ、郵便事業のみでは到底経営は成り立たないとも聞いております。しかも、それも全国プール制で、三事業セットで、大都市を中心とする一部の郵便局のもうけで、他の大部分の郵便局が何とかその支えで経営が成り立ち、維持をされているとも伺っております。
 民営化になりますと、民間会社は利益を得なければなりません。利益を得るためには、採算の悪いところは削り、不採算になれば、まずリストラ、次に来るのは不採算局からの撤退が予想されることは火を見るより明らかではないかと思います。
 京都府のように、過疎、山間地域の多いところは全国にたくさんあると思います。こうした地域、集落は悲惨な結果が予想されるのではないかと思います。そのようなことにならないようにと社会・地域貢献基金を設置されるようですが、その金額も一兆円とか二兆円とも言われておりますけれども、金の切れ目が縁の切れ目になるのではないかと心配がされるところであります。
 私は、小泉内閣が目指される小さな政府、全く異論はありません。大賛成であります。しかし、それは、税金で賄っている公務員なり組織に手を入れ、なくすることではございませんか。お聞きいたしますと、郵政事業は独立採算制で、職員の給料も物品購入等諸経費も一切、税金は一銭も使われていないとのことで、これでは直接的な小さな政府につながらないのではないかと思うわけであります。どうして今の公社のままでの改革を進めることでは駄目なのか、分かりづらいところがあります。
 郵便局をコンビニにすることも議論をされておりますけれども、コンビニ化が本当にもうかるのでしょうか。そのようなスペースが田舎の郵便局にはございません。また、コンビニを設置しても、もうかるのであれば既に民間がお店を出していると、このように思うわけであります。
 もう一つ忘れてはならないことは、町村合併の進展であります。先ほども申し上げましたが、京都府は今三十八の市町村でありますが、来年の四月までには合併が進みますと二十八の市町村になるようであります。このように全国的にも市町村の合併が進むといたしますと、どのように住民サービスの水準を維持、確保するかということには市町村長さん方も十分意を注がれることと思いますけれども、地域の住民にとりましても関心の大変高いところであります。そのようなときに、既に実績のある郵便局こそが有力な地域住民のよりどころになるものと信じてやまない次第であります。
 また、この町村合併によって、いわゆる過疎地域等に指定されていた地域が合併によりまして人口、財政などの指定要件が満たされなくなったときに、私のふるさとの例のような地域はまた別の心配と不安があるところであります。
 以上、いろいろ申し上げましたけれども、郵政事業の改革につきましては一定の理解はいたしますけれども、地域住民のよりどころとなっております郵便局が単に効率化という名の下になくなるということはどうしても避けていただきたいし、同時に、法令によって地域の郵便局の設置が保障され民間の自由度を縛るといった矛盾もはらむ民営化法もいかがかと思うわけであります。
 いずれにいたしましても、郵便局を今民営化すれば私ども国民にとりましてどのようなメリットがあるのか、また、どうして今一生懸命努力され成果を上げておられる公社では駄目なのか、さらに、なぜ民営化は駄目なのか、こういう賛成反対の立場の御意見も含めて、私どもの心配、不安について国会で御熱心な大議論がされていると思いますけれども、どうも最近は政局絡みの報道にかき消されまして、こうした議論の分かりやすい説明が私どもに伝わってまいらないのが大変残念であります。
 私は、最後に、金融不安もいろいろ取りざたされている今日、せめて庶民、高齢者、社会的に弱い立場の人たちの生活の場に最も近い郵便局を国が関与する金融機関として残せる選択肢はないものかと素朴な疑問を申し上げて、私の陳述を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
#280
○団長(陣内孝雄君) ありがとうございました。
 次に、吉田公述人にお願いいたします。吉田公述人。
#281
○公述人(吉田和男君) よろしくお願いいたします。
 私は、郵政事業民営化賛成という立場から話をさせていただきたいと思います。
 郵便事業というのは、基本的にプライベートグッズ、市場で取引される普通の財であるわけでして、いわゆる公共財ではないわけです。料金を取ってサービスを行い、そのサービスの結果はその料金を払った人に帰属するわけですから、いわゆる一般サービスと基本的な差はないわけです。
 しかしながら、国が力を入れて供給体制のネットワークをつくるということには大きな意味があったわけです。まあ、これ、ネットワーク財の特徴でありますが。全国一律の広大なネットワークを形成するということにおいて国がその力を発揮したことは、非常に大きな役割があったかと思うわけです。しかしながら、そのネットワークが完成した後は、基本的に財の性質としては先ほど申しましたように民間財でございますので、料金を取ってサービスを行うということでありますから、民間の形態で仕事が行われる方がメリットが大きいことになってくるわけです。
 で、将来の郵政事業という、郵政といいますか特に郵便事業を考えますと、余り明るくない話題が多いわけでして、基本的に人口が減少していくわけであります。それから、代替的な通信手段である、最近ですとEメールというものが非常に発達してきているわけでして、郵便事業にとってはかなり厳しい側面が予想されるわけであります。このことは、公社という制度を取ったとしても相当厳しい体制変換を要求されるということであって、民営化するか、あるいは公社化するかということと無関係に、そのサービスの供給体制に関して変更を余儀なくされるということであるわけです。
 そのときに、公社で対応するのか、民営化で対応するのかということになるわけです。公社はもちろん公社として独立した組織であって、国の機関であるわけですが、それなりに独立したいろんな効率化の措置がとれることになるわけです。しかしながら、全国一律の運営方法を取らなければならないし、これは国が定めていることであるわけですから、またその業務の在り方、自由度というものも制約されるわけであります。マーケットが変化していく中でこれに柔軟に対応していくというのは、もちろん資本主義経済ではマーケットの力と、マーケットに合わせた経営の体制を取っていくということにおいて、民営化のメリットの方が大きいと思うわけであります。
 さらに、電電の場合なんかも同じでありましたが、サービスを供給者が自ら開発していくという側面も非常に重要でありまして、よく言われております、コンビニもありますけれども、物流への進出とか、物流。それから、ともかく全国にネットワークを持っているという強みですね。これを生かすような多様なサービスを供給して、事業体として自ら改善していくという仕組みを導入するということが必要になってくるかと思うわけです。公社のままリストラしていく、あるいはいろんな組織変更を行っていく、なかなか厳しい側面が予想されるわけでして、もしこれが対応が遅れるとすれば、いわゆる破綻的改革を迫られるということになってしまうのではないかなと思うわけです。
 次に重要なポイントは金融の側面だと思います。
 郵貯、簡保で三百五十兆円という巨額の資金が、民間の金融機関あるいは生保と比べましてけた違いに大きな金額になっているわけです。これは、従来までは財政投融資という形で運用されてきたわけです。高度経済成長にはこういった財政投融資を使うことで様々な経済政策を実行してきたわけであります。一つには社会資本整備でありまして、国鉄やら電電公社なんかも対象でありましたが、道路公団なんかが典型例だと思うわけですが、料金というものを取って受益者負担を行って、長期に資金を有償で運用することで、それを短期間の間に社会資本整備を行い、サービスを行うことができるという、非常にメリットのあった仕組みであるかと思うわけです。
 また、政策金融という形で、日本開発銀行とか輸出入銀行のように、政策上の、この二つは特に高度経済成長を実現するために必要な基幹産業への資金提供ということを行ったわけでありまして、日本の高度経済成長の一つの要因でもあったわけです。そういう意味で、郵貯、簡保資金が高度成長に、いわゆる特殊法人等を通じて日本の建設に大きな役割を果たしたというのは事実であるわけです。
 しかし、その背景には、金融を規制金利の下に置いて、規制された金融の仕組みの中で運営されてきた。規制金利を置きますと、それに併せて資金需要が出てまいりますが、それに対しては割当て行為を行うと。つまり、金利がマーケットで決まるのより低い値で、低いところでコントロールしていましたから、資金需要の方が大きいわけですので、どの産業にどういうふうに割り当てるか、あるいは社会資本形成についてもどこのところにどういうふうに割り当てていくかということが上手にできるわけであります。そういうことを通じて財政投融資というその資金の使い方は有効性があったわけです。
 しかしながら、社会資本整備が進み、先ほど申しました受益者負担で資金を回収していくという枠組みは必ずしもうまくいかない。道路公団も民営化せざるを得ないと。すなわち、収益を生む、効率の高いところから順番に投資していくわけですから、あとは効率が悪くなるのは当たり前の話であって、その担当者が怠けているから効率が悪くなるわけじゃないんですね。順番にやっていきますから、当然効率が悪くなるわけですね。
 それからまた、政策金融の役割というのも大きく変わってまいりまして、金融の自由化が進めば、これをどの産業にどういうふうに資金を割り当てていくかという政策的な配慮というのはなかなか難しくなってくるわけでして、むしろ自由な金利を活用することで経済全体の活力を上げていこうということが必要になってくるわけです。これに併せまして財投改革というものも行われてきたわけです。
 今、郵便貯金、簡易保険というのも大きな柱は国債あるいは財投債という形で運用され、いろんなところにも運用されるように自由化が進んできているわけでありますが、さらに金融市場との融合というのが必要になってくるわけであります。仮に民営化されたとしても、これだけの大きな資金を運用するのにロットが取れるのは国債なり財投債ということになるんでしょうけれども、しかし民間にこの資金を流すこと、しかも今までのルールと違った形で流すことというのは非常に重要なことになるわけです。
 すなわち、資本主義経済というのは矛盾だらけであるわけですが、かくも長く維持されてきたというのは、イノベーションに資金が集まるようになっているわけですね。時代をリードする産業に資金が集まる。それが自動的に行われると。もちろんこれはリスクを伴うわけでありますが、そのリスクを超克して、リスクを超えてその時代の産業のところに資金が流れてくると、そういう仕組みができるということが資本主義経済は維持発展さしてきたわけであります。
 今、今日、グローバル化と言われる中で、その役割はますます高くなっているわけでありまして、イノベーションの起こるところに資金が上手に流れるようにつくった経済が発展していくということになるわけです。
 で、この郵貯、簡保というところに三百五十兆円の資金が集まり、運用が、結局、運用のクライテリアというのは安全で有利ということに、まあ国がやることですから、国がやることにもっと頑張ってリターンを取れと、少々リスクを冒して結構だというわけにはなかなかいかない。そして、安全、有利という矛盾するような、安全なところは有利でなくなるというのはこれは当然の話であるわけでありまして、安全、有利という形の運用から今日の金融市場に合った最適なポートフォリオをつくっていくということが求められるわけです。特に、ファンドという、いろんな形でファンドをつくって、事業再生とか為替とか、あるいは証券とか、そういったものに専門家が投資をしていって、高いレートを取ってそのリスクを回避していくという、その金融技術ですね、これが今物すごい勢いでここ十年、二十年の間に変わってきたわけですね。これに対応した金融のシステムにしていく必要があるわけでして、これは公社化、公社の運用というのとは相当懸け離れたものになっていかざるを得ないわけです。したがいまして、この金融部門の民営化というのは、私は、非常に重要でありまして、今後の日本の経済の発展にとっても欠くことのできないことになるかと思うわけです。
 郵便貯金等の話になりますと、基本的にはユニバーサルサービスということで、地域に少額の金融商品を提供するということでありますが、現実に金融機関もやっておりますが、ATM等の自動化とか、いろんな柔軟な仕組みを導入することでそれを実現していくことが必要であって、この金融の民営化というのも非常に重要なポイントであるかと思われるわけです。
 今回の民営化の議論の中で私自身の不満というのは、なぜ今、なぜ今やらなきゃならないかという議論が盛んなんですけれども、なぜ今までやらなかったのかと。先ほど申しましたように、金融の自由化というのはもう十年以上前の話ですし、それから郵便がどういうふうな状況に変化していくかというのももう相当前から分かっていた話であるわけです。これをもっと早く民営化して、柔軟なサービス供給ができる仕組みに変えていく必要というのはあるかと思うわけです。
 また、四社分割、分離するということで非常にまた議論があったわけですが、私は、四社どころか、特に金融部門は地域分割も必要で、地域経済の発展に資金が循環していくというふうな仕組みにすべきではないかなと。むしろ、今行われている議論とは違った方向で不満を持っております。
 いずれにしましても、今、参議院で議論されておられて、その民営化というのを実現していただきたいというふうに考えております。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#282
○団長(陣内孝雄君) ありがとうございました。
 次に、山岡公述人にお願いいたします。山岡公述人。
#283
○公述人(山岡景一郎君) 山岡景一郎でございます。こういう機会を与えていただきまして、誠に感謝しております。
 ただいまいろいろ御意見を述べられたことでありますけれども、財投であるとか資金の流れとかアメリカ経済における外交問題であるとか、関連するような大きな問題はもう国会議員の先生の方が既に論議を尽くされていると思っていますので、私は、非常に具体的な問題について御意見を述べさせていただきたいと思っております。
 表題としましては、非常事態に際してのセーフティーネットとして存在する現在の郵便局の役割についてというようなことについて申し述べたいと思っております。
 私は、本職は経営コンサルタントでございまして、実はつぶれ掛けた京都の出版社を二十年前に改革をいたしました。改革というのが私は好きでございまして、改革をいたしまして、現在、京都市でも行政改革委員として改革ということをやっておりますが。そして、この雑誌社が発行する、これ私が実はこの白川書院の社長として発行人でございますが、「赤いポスト白書」という、郵便局の働きぶりを震災を通して書いたものでございます。
 そもそも、いわゆる郵便局であるとか組織の価値というものがある。私は、学校でもいろいろ教えるわけですが、バリューという、Vはイコール、ペイ分のQプラスGプラスSという形式で表しております、これはすべてのサービス業に当てはまると思うんですが。価値というものは、ペイ分の、いわゆる支払った組織の経費でございますが、それに対するQというのは質でございますね、サービスの質。郵便局でありますと、地縁性であるとかネットワークであるとか安全性であるとかというようなことの質の高まりという、商品の豊富さとか、それが市場の信頼を得ますと、これがブランド価値として、Gという、グッドウイル、いわゆるプレステージとして定着するわけでありますが。だから、郵便局は既にそういう意味において日本の国のブランド価値としてあると思っております。プラスSというのはその時々のサービスでございますが。
 そういうものを考えますと現在の郵便局というものに対しての認識が深まるのではないかということで、実は「赤いポスト白書」を発行した本人としまして、またこれを執筆した本人として申し上げたいと思っております。
 まず、開いていただきますと、ここに神戸の町の美しいのが出ておりますが、これは震災前の神戸でございます。こういうものを描きながら震災後の神戸を表したものでございまして、ここで郵便局がどのような働きをしているかということについてちょっと読ませていただきたいと思っております。
 平成七年一月十七日午前五時四十六分、震度七の激震が、神戸市や淡路島北部を襲った。ガス、電気、水道、電話などのライフライン、交通網も寸断され、港神戸は壊滅状態、震源地の淡路島、近隣の西宮、芦屋、宝塚、豊中市などにも被害が及んだ。
 戦後最大にして最悪の規模となった阪神・淡路大震災。警察、消防の公的機関はもとより、一般企業からも多くの人と資金が投入された。海外からの支援態勢も大規模なものとなり、特に若者たちのボランティア活動は目を見張るものがあった。
 瓦れきと化した町で人々を勇気付けたものの一つに、郵便配達の姿があった。民間の宅配便が引受けをやめる中、きめ細かい配慮をしながら、ぬくもりのあるお見舞いや、救援物資は休むことなく届けられていた。
 道なき道を走り、当てもなき配達先を捜し求め、超大量の小包を送り届ける、超法規的とも言える郵便貯金や簡易保険の即時払い、物もお金もうれしかったが、本当に潤ったのは心ではなかっただろうか。人々の暮らしに密接に結び付いていたことを、改めて認識させた。郵便局の仕事、それが大切な心のライフラインであることを。
 あの日から一年、ということで書いてありまして、その次のページをめくっていただきますと、そのときの惨状が載っております。
 次、めくっていきますと、六ページには「すべてを奪い去った大地震。そして築かれた救援小包」、これ、皆さん見ていただいておりますが、すごい量のこれ小包でございます。救援物資が家庭から全部無料配達ということで送られてきて、十万個ぐらいがこれあるわけです。
 ここで書いてありますように、「平時には全国の宅配小包全体のうち郵便局の扱う「ゆうパック」のシェアは四分の一程度。」、これは二五%ですが、昨日皆さんからいただきました資料を見ますと、平成十五年度ではもうゆうパックは六%に減少しております。ですから、もし災害起こったときは、一〇〇%引く六%ですから、九四%の量を一手に官営である郵便局がさばかなきゃならないというのが現状でございます。このときは、もう平成七年の一月には民間の宅配業者の三業者の大手は全部ストップいたしました。要するに、利益の上がらないそういう配達は民間では行いません。これは、悪い意味では、親方日の丸というのは悪い言葉でありましたけれども、官業だからこそ国民の利益のために無料で十万個の救援物資をさばいたわけであります。これが一つでございます。
 ふだんの十倍という量も前代未聞なら、その取扱いについてもやはり特例を設けまして、神戸市の災害対策本部では事前開封をいたしました。民間でこういう小包とかそういう、信書ではないんですけれども、事前開封するということは非常にできませんけれども、これは官業であるからこそそういう事前開封ということをしても国民の信頼性というものが保たれたのではないかと私は思っております。
 この分類作業には、旧大阪小包集中局では、他の郵便局の応援を受けて、一月二十三日から二十九日の間に延べ約六百人を動員して、約八万個の処理に当たりました。そして、一方で、避難所生活を送る、住所を転々とせざるを得ない人の、郵便物を求めて次々と郵便局を訪ねてくる人。延べ相当な、もう何万人という人間が動員できたのも、全国規模を誇っている郵便局だからと思います。これ、もしJRと同じように企業を分割しますと、応援態勢というものは非常に難しいものではないかと。やっぱり全国ネットという、そういうメリットがあったんでないかと思います。
 それでは、その次の八ページをめくっていただきますと、これは瓦れきの山のところで働いておりますけれども、これ、高層マンションとかああいうものはエレベーターが止まっておりますから、大きな荷物を持って上まで上がってくると、こういうことについても一般の民衆から非常な信頼を得たと思っております。小包を担いで上がってくるが、それでも受取人が不在でありますし、不在の人たちを訪ねて一か所、二か所、三か所、四か所、もう一人で三人とか二人とかのようなところへは配達できなかったということも、私はもう記録から聞いております。避難届け先というものを三十万枚刷って、これも避難先の郵便局に届けたりしております。
 電気とかガスとか、そういうすべてのライフラインが切断される中に、郵便局員が郵便を避難している人に届けたときに、非常にもう心が安らいだと。それでまた知り合いの局長さんの顔を見たと、もう地縁性のあるいわゆる郵便局員の顔を見たときにほっとしたと。それで、郵便局員一人一人が支えた郵便が実は町の重要なライフラインであったということ、これは覚えていただきたいと思っております。
 次に、十ページでございますが、この「不眠不休の応援活動が被災地の郵便を支えていた。」ということでありますが、もうこの近畿一円から二百五十人の応援を得たんですが、ピーク時にはもう相当な数が行っております。それから、全国から駆け付けた応援部隊というものは一月十八日から続々来て、延べ約一万七百人、実際は全部合わすともう二万人の動員がしております。ここを、皆さんが見ていただくと分かるように、もう道なき道を走り、瓦れきの町をオートバイで走っております。
 それで、ここに、負けてたまるか、局舎倒壊の中で業務開始というのは、普通の民間の銀行とか信用金庫というものについては、一部はテントを張って営業をしたところはあると思いますが、しかし、郵便局員は、同じ場所においてテントを張って営業しております。そして、即時払い、そして保険の即時払い、地縁性がありますから、顔があります。だから、そこへ行って通帳をなくしたと言っても、ああ、あなたは日ごろ大体二十万ぐらい残高があったねということが分かるんですよね。それで即時払いをいたします。けれども、一方の金融機関は、印鑑証明とか死亡証明書とか転出証明とか持ってこなければできない。
 先ほどから何回も言いますけれども、官業であったからこそそういうことができたんではなかろうかということであります。もし採算を考えれば、これはできません。無料の配達ということはできません。すべて、地震とか起これば、上司に相談して、これは配達すべきか配達すべきでないか相談しなあかん。だから、利益が上がるかどうか、ほかの業者はどうなんだろうか、横の宅急便は無料で配達しているじゃないかとか、いや、うちはしていませんよとか言うけれども、官業はやはりそういう点で命令一下、国がそういうセーフティーネットを張っているわけですから、やろうということをしております。
 そういうことでありまして、ここに郵便貯金法第一条というのがございます。皆さんも御存じだと思いますが、今度郵便貯金法は廃止されるわけですが、一条を読ましていただきますと、最後に「国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進する」という郵便貯金法の精神というのがずっと載っております。要するに、その福祉を増進するということです。郵便局はそういう福祉を増進するために頑張っているということを覚えていただきたいと思っております。
 やっぱり明日からどうやって生きていったらいいかという人たちに対して、温かい声を掛け、物資を運び、そして不眠不休で働くということが民間の人ができるでしょうか。まあしかし、それは民間の人ができないということではありません。けれども、官業だからできたということについても覚えていただきたいと思っております。
 それから、簡易保険も、保険証書とか印鑑とかいうふうな場合でも、ここに書いていますように、十六ページに書いていますように、死亡記事で名前を確認して、信頼関係で地縁性ですぐ払っております。この簡易な手続というものは、表裏一体でリスクは生じます。けれども、後で追跡調査をいたしました。郵政省は、利用者のためにやったことについて、後でそういうリスクが生じたのか請求や支払の間違いがなかったのか調べたけれども、ほとんど間違いがなかったということです。これはやっぱり、地域の人は震災していても郵便局をだますことはいたしません。このぐらいの保険が掛かっていたと、それでは即時払いしようと、後で精査するということも的確であったということが報告受けております。
 やはり地域の情報を把握するということは、おばあさんが亡くなったと。そうすると、おばあさんが亡くなったところへ行ってみたら、全然、どこで瓦れきの下か分からないと。ところが、いつも配達に行っている郵便の配達員の方が行ったら、ああ、あのおばあちゃんは一階の西北角がいつも寝室だったよ、あそこを掘り起こしてごらんなさい。掘り返したら、そこにおばあちゃんが横たわっておられたんです。そういうようなことを、続々と報告受けています。
 これ、全部書いておりませんけれども、本当にそういう意味において、地縁性というものがあって、それは歴代親子でやっているということについては問題がありましょうとも、ずっともう何代も何代も親子に引き継がれていった地縁性のある特定郵便局の働きが震災のときにどれだけ心強かったかと。だから、単に、私が申し上げたように、財政投融資であるとか資金の流れはどうなるであろうとか、そういうような問題も大事でありましょうけれども、そういう身近なところによく郵便局のここのライフラインというものがやっぱり働いたということを覚えていただきたいと思っております。
 もう最後になりましたので、この最後に、「復興にむけて」という、最後に私が書きました文章を読ましていただきますが。
 震災によって私たちは多くのものを失った。しかし、反対に気付いたこともある。その一つに町と郵便局のかかわりがあった。郵便局は、郵便配達などの業務面はもちろん、人間関係においても町にしっかりと溶け込んでいたのである。郵便局の職員自身も改めてそう実感したに違いない。
 このような郵便局だからこそ、今回の地震において地域に果たせた、また、今後果たせる割合は大きいだろう。郵便局は、この震災を教訓に、緊急時の見直しを行い、万が一、こういう災害が再発した際に、更に活躍できる体制にあってほしいと願う。
 郵政省は、災害情報の伝達が混乱したことを教訓にして、全国約二万四千局ある郵便局をつなげるコンピューターのネットワークの利用を検討している。既に自治体が受けた住民の安否情報や避難場所、不足している物資、ライフラインや交通状況などの災害情報を郵便局の窓口で提供する事業に取り組む方針を固めたという。
 復興とは、元の町に戻すことではなく、それ以上のすばらしい町を建設することを言うのではないか。復興に向けて、被災地の人々にたくさんの笑顔が戻ることを、今後も郵便局の果たせる役割として大きい、というふうに結んでおります。もうこれは平成八年に書いたわけでありますから、もう既に郵政省はそのライフラインの構築と新しいこういう非常事態対策は万全ができていると私は確信しております。
 以上でございます。ありがとうございました。
#284
○団長(陣内孝雄君) ありがとうございました。
 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#285
○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。
 今日は、公述人四名の先生方、大変お忙しいところ、こうやってお時間を割いていただきまして本当にありがとうございます。
 かれこれ、参議院のこの郵政民営化に関する特別委員会での審議も二週間をそろそろ迎えようとしております。私は、これもう与野党の立場を超えて一人の参議院議員として思っておりますのは、非常に衆議院の委員会審議よりも内容の充実した審議ができていると思っております。野党の皆さん方の質疑の中でも、ああなるほど、そういう視点もあったのかというようなこともありまして、非常に参議院としていい審議ができていると思います。
 ただ、残念ながら世の中には、新聞開きましても、自民党の賛成派が何人で反対派が何人とかそういうことしか伝わっていなくて、ちょっと質疑の内容が十分伝えられていないのが残念だなというふうに思っておりますが、非常にいい質疑が、審議ができていると私は自負をしております。
 その中で、私は非常に参議院で初めて出た議論として重要だなと思いましたのが、これ、私や今日お見えの野上浩太郎委員の質疑の中で、郵政公社の生田総裁が現状の公社のままでは中長期的には非常に経営は難しいということをおっしゃいました。現状のままでは、場合によっては郵便料金を値上げしなければやっていけないかも分からないし、過疎地のサービスも打ち切らなければいけないかも分からないという答弁をされたわけでございます。これ、参議院で初めて出てきた答弁でございます。非常に重い答弁だと私は思っております。
 ただ、それを受けて生田総裁御自身二つのオプションを提示をされました。一つは、やはり民営化をして、経営の自由度を大幅に与えて新しい分野にも進出をできるようにしていただければある程度経営は維持をしていけるんではないかというオプションが一つ。それともう一つは、今の公社のままでもっと経営の自由度を与えていただくという方法もあると思うと。二通りのオプションを現在の経営トップとして示されたわけでございます。
 ここでお伺いを、一人は専門家の吉田公述人、そしてまた民間の経営者である村上公述人にそれぞれお伺いをしたいんですけれども、現在の公社を改革していくに当たって、公社のままではやはり駄目なのか、やはり民営化をして新しい器に入れて改革をしていかなければ駄目なのか、あるいは公社のままでもある程度やれることがあるのかどうかをお二人からお伺いをまずしたいと思います。
#286
○公述人(吉田和男君) 先ほども申しましたけれども、公社のままで運営していくと下手すると破綻的改革を要求されると。公社でも改革していかなきゃいけないわけですね。ですけど、赤字郵便局を他の利益のあるところでカバーしていくというわけですけれども、利益のあるところなくなったらこれ破綻的になるわけですね、もう後続けれない。ですから、やはり公社というものが持っている、何というんですか、粘性みたいなものですね、経営の改革のスピードというのは、決して、民営化された郵便よりも対応が遅くなるのはこれやむを得ないですね。それは、公的な監視の下に置かれていて、しかも全国一律のルールの中で改革していくわけですから。
 それより、民営化して実情のマーケットに合ったようなところから改革し、変えていくということが私は必要だというふうに思います。公社の効率化というのも一つの議論ではあるかと思いますが、スピードの点で問題があるかと思います。
#287
○公述人(村上晨一郎君) 私なんかこういうふうな問題を考える場合に、テレビというのはもう大変センセーショナルな面だけでございますので、どちらかというとやっぱり新聞の記事とか解説に依拠してこういう問題を考えていくというふうなことでございますけれども。
 私は日経と朝日と地元の京都と三紙しか読んでおりませんけれども、最近、朝日新聞の報道はこの民営化を前提にいろんな大変詳しい解説を載せるようになっておりますけれども、その中で、やはり公社の幹部自身が、このままではいずれ、要するに破綻していくのではないかというところで、むしろ民営化をとにかく今回の参議院でやはり決定すべきではないかというふうな幹部の意見が結構出ておるというふうな報道を見ました。
 私、公社というものの持つ限界というものについてはよく分かりませんけれども、今、吉田教授のおっしゃったようなことであるとしますならば、やはりここまで詰めてきた議論というふうなこと、経過の中で申しますと、やはり公社という衣を脱ぎ捨てて、大変しんどいというふうに思いますけれども思い切った民営化が必要なんではないかというふうに思います。
 以上でございます。
#288
○世耕弘成君 村上会長は、これは日本電池とユアサの合併という大改革をやられたんだと思いますね。今回の郵政の民営化もそうですけれども、やはりこういう経営組織上の改革ということに関しては相当、従業員の理解というのが非常に重要になってくると思います。
 残念ながら、今、郵政公社の従業員、もちろん大変頑張っておられるわけですけれども、民営化に関してなかなか公社の従業員の中から、賛成だ、やってほしいという話は余り聞こえてこないわけでございますけれども、民間にとっては合併というのは大変な変革なわけですけれども、その中で、元々村上会長が経営しておられた日本電池とこのユアサの社員に対してどういう形で理解を求めていったのか、どうやって合併によってモチベーションのアップを図っていかれたのかということを、経営者としてお伺いをしてみたいと思います。
#289
○公述人(村上晨一郎君) 私どもの合併、いわゆる対等の合併でございまして、今、初年度で大変いろんな意味で難儀しておるというふうな現状でございますので偉そうなことは申し上げられませんけれども。
 いずれにしましても、やはりこの郵政の民営化の議論そのものがそうでございますけれども、言うならばある種の、公社の従業員一人一人にとってみても国民にとってみても、やはりこれは外部から来た外生的な問題でございまして、いかにこれを、私なら私が自分自身の問題としてどうとらえ考えるかということは、なかなかそういうふうな、それを内部化していくというのは大変困難な問題だというふうに思います。
 今、世耕議員の御質問はその辺のことを御指摘なさったんだろうというふうに思いますけれども、私どもは、そういう意味でのリーダーの仕事は二つしかございませんで、一つは、やはり新しい公社が、我々の場合ですと合併しました新しい会社が、一体どこへ行くのか、そのために何をするのかということを一つは掲げるということ、そのことをとにかく一人一人の人間にどこまで共感を持ってもらえるように説き切れるか、そのことに尽きるだろうというふうに思っております。
 以上でございます。
#290
○世耕弘成君 あと、今、山岡社長から非常に面白いというか興味深い、阪神大震災における郵便局の対応というお話をいただきました。
 実は、当時、私もNTTの本社の報道係長という、これまた一つのライフラインの経営する企業の社員として、私もこの阪神大震災のときというのは、当時は東京にいて電話の被災状況とか復旧情報、状況をマスコミにお伝えをする立場であったわけですけれども、私自身もほとんど一か月会社に泊まり込んで復旧の一つの一翼を担ったということで大変思い出深い震災だったわけでございますけれども、この災害対策とかそういったことは、これは、NTTも民間ですし、もちろん電力、ガスという民間企業としてライフラインを担っている会社、これも私は、阪神大震災のときには、必ずしも百点ではなかったかもしれないけれども、十分市民の期待にこたえる活動はできたんではないかというふうに私は思っているわけでございます。
 郵便局ももちろん頑張ったことは私もよく分かっておりますが、果たしてこれが公務員の身分でなければ災害のときに頑張れないのか。私は、そうではない、民間企業でも、きちっとした使命感を持って民間の社員でもこういう災害のときに対応できるというケースは多々あるのではないかというふうに思いますけれども、その点について山岡社長としてどうお考えかをお伺いをしたいと思います。
#291
○公述人(山岡景一郎君) 実は私も国家公務員と地方公務員を経験している人間なんです。そして、民間にいます。だから、どちらもそういう誇りというのは持っております。それで、今は民間人ですから、今のように、世耕議員のように、誇りがないとかいうんじゃございません。けれども、国家公務員のときは国家公務員として、地方公務員は公務員として、やっぱり公共の福祉ということをまず第一に考えておりました。今は少し薄れているか分かりませんね、やっぱり利益を上げなきゃいけないから。だから、そういう意味において、やはり国家公務員であるところの郵便局員の使命感というものは大したものでした、やっぱりね。非常に、寝食忘れ、自分の妻が死んでおっても局へ駆け付けました。さあ、私は今だったらどうでしょう。やっぱり、そういう国家公務員又は地方公務員としての誇りというものは、現に私はあったと思いますけれども。
#292
○世耕弘成君 それでは、今度は過疎地対策ということで少し議論をしてみたいんですけれども、私の地元は和歌山県でございまして、恐らく京都府と違わない、あるいはそれ以上に過疎の問題というのを抱えております。私自身、政治に携わる者として、これから日本の過疎地政策をどういうふうにやっていったらいいんだろうかということを非常に頭を悩ませているところでございます。
 例えば、和歌山、私の地元の中では、もうここから先には十軒ぐらいしか家がない、しかもすべて住んでいる方は高齢だというような集落が結構たくさんあります。その集落に、そこに人が住んでいる限りは、当然道路のメンテナンスは行っていかなければいけない。救急車、消防車、パトカー、全部常に何かあったら駆け付けられるようにしておかなければいけない。当然、医療、介護のサービスもそこに住む人たちに対して提供していかなきゃいけない。しかし一方で、それはもう非常に少ない人数に対してそういう道路の整備とか救急車、消防車が常に行ける状態を維持するというのは、これはもう一人当たり大変なコストが掛かるわけでございます。
 しかし一方で、少子高齢化が進んでいって、税金を納める若い人の率というのが非常に減っていって、少ない人数で多くのお年寄りを支えていかなきゃいけないという国全体の問題もあるわけでございまして、そういう中で過疎地をどういうふうに運営していくかというのは、非常にこれから我が国の一つの国のデザインとして重要なテーマになってくるんではないかなというふうに思います。
 今回、郵政民営化の問題も、過疎地のサービスは大丈夫か、過疎地とのリンクによっていろいろ議論をされていますけれども、私はこれは、逆に言うと、過疎地政策全体をある意味郵便局にかぶしちゃっているんじゃないかな。たまたま全国ネットワークを持っているものですから、もう郵便局にやってもらおう、本来国としてもう少し抜本的な対策を考えなければいけないのに、今郵便という実際のネットワークが存在するものですから、そこにどんどんどんどんかぶせていってしまおうという私は議論になってしまっているんではないかなという懸念を持っているわけでございますけれども、この辺の過疎地政策と郵便局の在り方についてどういうふうにお考えになっているか。今日は、過疎地のいろいろお話をいただきました草木公述人からお話を伺ってみたいと思います。
#293
○公述人(草木慶治君) 私は、今、農業関係の団体の仕事をさせていただいておりますけれども、過疎地と農村は一体なんですね。今、日本の農業、もう京都の農業も例外でございませんけれども、農業、農村がもう大変な状態でありまして、まあ今の状態では農業で飯が食えないわけでありまして、農業離れがどんどん進んで、そこへ少子高齢化が進むと。
 これは一つは、私は、農業という大変な仕事のこともございますけれども、やはりいろんな社会資本の整備が遅れておりまして、若い人たちが田舎に住めないという状況が実はあるわけです。そして、一つの例は、医療の問題。これ、子供が風邪引きましても、熱を出しても、すぐお医者さんが、医療機関がないというのが一つ。もう一つは、やっぱり生活環境の問題がございまして、これも今の若い人たちは、水洗化でなかったらトイレの利用が、私も孫を田舎へ小さいときに連れて帰りましても、トイレがもう大変なことでございまして、やっぱりくみ取りのああいうものではとても若い人は根付かないと。それから、道路がやっぱり悪いと。
 こういう社会資本の整備と医療、福祉、いろんな面で整備をして、そして今の担い手、農業の担い手を増やしていくということなかったら、農業政策だけで私は過疎地が解決するとは思っておりません。これはもう総合的な社会資本の整備から、もう生活環境から福祉から医療から、すべてを網羅してもらわなければこの過疎地対策いうのはできないんではないかと。
 今、農業をつぶしたらどういうことが起きるかと思いますと、私どもの急傾斜地、棚田なんか大変多いわけですから、これ田んぼに五月、六月に田植をしなかったら、梅雨どきの雨の受皿はどこへ行くんだろうと。今の河川とかそんなところではとても受皿できません。それから、山が大変荒れておりまして、山に水が浸透するということがもうなくなっておるんです。だから、全部川に流れまして大きな災害が起きるという現象が起きておりますから、単に過疎対策を農業とかあるいは特定のことで議論されると私は解決できないと。
 特に、町村合併が進みますと、先ほども申し上げましたけれども、役場があるいは市役所が遠くなるわけですね。そういうときにこそ郵便局が大きな役割を果たすと。そして、住民票一つでも印鑑証明一つでもそこで、近くの郵便局で解決できると。いろんなことをセットにしていただかなければいわゆる過疎対策いうのは解決ができないのではないかと思っております。
#294
○世耕弘成君 非常に私も同感でございまして、私自身、今お話を伺っていて、正に私の地元もそんな感じです。やはり総合的な対策は必要なんだろうというふうに思っています。
 ただ、そういう中で、例えば介護のサービスの維持が難しいから郵便局のひまわりサービス、あるいはもうJAもどんどんどんどん集落から撤退していく中で、金融機能が過疎地でなくなっていくので郵便局に頑張ってほしい、あるいは町村合併が進んでどんどんどんどん役場の拠点がなくなっていくので、これまた郵便局で頑張ってほしい。何か一種、郵便局がこれ最後の頼りの綱というか、ラストリゾートみたいになっちゃって、何でもかんでも郵便局に乗せられた議論になってしまっているんではないか。
 本来、もうちょっと別の本質の議論が必要なんじゃないかなと思いますが、これちょっと専門家の吉田先生にお伺いをしたいんですが、郵便局を何かラストリゾートのような議論をする過疎地対策についてどういうふうにお考えになるか、最後にお伺いしたいと思います。
#295
○公述人(吉田和男君) 郵便のユニバーサルサービスというのは、これは全国一律のサービスをするということであるわけですが、今、世耕理事の御発言のあったように、地域過疎対策の拠点として維持しなければならないかというと、それは重荷過ぎると思いますね。
 公社のままであっても、今の状況が続いていけば、特定郵便局は簡易郵便局、簡易郵便局はアウトソーシングというふうな形でいずれ合理化しなきゃいけない。合理化をしないでそのネットワークを維持することはかえってできないと。郵便のユニバーサルサービスを維持するためにも、合理的な経営というのはこれはやむを得ない。やむを得ないというよりも、積極的に第一の目的をやっていかなければならない。過疎対策は過疎対策として議論しなければならない。ただし、過疎対策に妙薬はないというのは、人口構成あるいは今の経済の流れからいくとなかなか難しいことはもうよく存じておりますが、しかし郵便のユニバーサルサービスと混同しない方がいいというふうに思います。
#296
○世耕弘成君 以上で終わります。
#297
○渡辺秀央君 大変御苦労さまでございます。私、民主党の渡辺秀央でございます。
 冒頭にお断りというか、私のあるいは紹介がある中で、私がかつて郵政省を担当した人間だということが書いてございますと思いますし、かつてNTT、国鉄、そしてたばこ専売の民営化を官邸で官房長官、総理を補佐しながらやってきた人間であるということを紹介されているかも分かりませんが、そういうことを一切抜きにして、今日は一人の政治家として、場合によっては民主党というところも離脱するかも分かりませんが、少し四人の皆さんの考え方をお聞きをさせていただきたい。
 大変恐縮ですが、二十分という時間内でございまして、一つは結論をおっしゃっていただいて、大体皆さん、それぞれ今公述でお考え、同感の由もあり、かつ首をかしげる由もございますので、結論だけひとつお聞きをしながら、参考にさせていただきたいと思っております。
 私は、まず前提として申し上げておきたいことは、なぜ、党から離脱した、逸脱したようなことを言うかも分からぬと申し上げたことは、一つは、今、私は実は衆議院を十八年やらせていただいて、今参議院にいるわけです。この郵政民営化法案ということによって、日本の二院制、議会の二院制の問題が非常に位置付けられ、かつ真剣に考えさせられているという、言わば日本の議会制民主主義の非常に大事な場面に私どもは今立っている。歴史の上において、参議院議員が憲法の制定以外のところでこれだけの場に立ったことは恐らくないだろう。私はこういう自覚の中でこの議論というのを、単に冒頭申し上げた経験者であるからとか、あるいは情緒的な面からだけ申さずに、そういう一つの国会議員としての責任と使命の中から、一つはこの郵政法案に対する政治的取扱い、この問題もそういう角度からも見てみたいなと思っておるわけでありまして、これを述べていくと時間がなくなりますので、そういう観点で質疑を若干させていただきたいと思っているわけです。
 冒頭に、それぞれ皆さんから一言ずつお聞きをしたいんです。
 まず、今の公社法についてどういう評価をしておられるか。
 なぜ私がそのことを聞くかというと、実は二年前に、私は総務委員としてこの公社法を作るのに、私は本人としては、いわゆる拙速な民営化、あるいはそれから情報時代を迎えるのに郵政省を分割した橋本行革に基本的に反対でありましたので、しかし公社法を通すのには国会審議をスムースにしなきゃいかぬという立場から、実は公社法を促進をいたしてまいりまして、成立にある意味では尽力をしてきた人間でもあるが、結果は反対はいたしました。
 そういう意味では、この公社法は四年間という精査期間を設けられておった。この四年間の中で生田総裁が選ばれて、いわゆる公社になって、それ以後のことを研究、検討、公正、民間人という立場から検討しようということが恐らく当時の小泉内閣の命題であった。我々もそのことを承知して審議をした。そういう点からすると、一年のところで、実は今議論をしているこの民営化の問題は持ち上がった。
 法律というのは、大変おこがましいですが、性格が、誕生のときに極めていい性格を持った法律か、あるいは邪道、邪心による権力欲による法律か、あるいは国民を痛め付ける法律か、国家の将来にためになるかならないかを考えて法律というのは成されていかなきゃいかぬ。そこに公務員が非常に公平性の中でいわゆる法律としていろんな法律を精査しながら作り上げていくわけです。この法律、今議論している法律が、この四年間の公社の努力あるいはまた問題点の極めて明確な問題抽出をする以前に、いきなり民営化の方向に入って、この法律が極めて複雑怪奇、そして非常に理屈を言い訳をしなきゃならない法律です。
 そのことは抜きにしても、この公社法に対して、どういう評価をしてこられたか、一言ずつお聞きをさせていただきたいと思います。
#298
○公述人(村上晨一郎君) 大変私にとっては難しい御質問でございまして、公社法云々という問題については正直申し上げまして、ちょっとお答えはできません。
 ただ、私は、やはり私どもにとっての関心は、その公社法云々ということもさることながら、やっぱり生田総裁が民間から出て、一つの何かきちっとけじめを付けていかれるというふうな意味合いで、それは大変大きい成果があったのではないかというふうに思っております。
 あと、いきなり民営化議論に入っていったということについては、国会等のやり取りでは小泉首相がお答えがございましたけれども、その程度しか分かりません。
#299
○公述人(草木慶治君) 私も公社法を熟読したわけではございませんけれども、公社法は郵政事業を移したということでは私は郵政事業の大改革の一つだと、こういう評価をしております。
#300
○公述人(吉田和男君) 橋本行革の答申を出した、行革審でしたっけ、あれの中間報告ではたしか民営化になっていて、最終報告で民営化が消えていたんですね。実は私はがっかりしました。あの時点で民営化に着手すべきであったように思います。
#301
○公述人(山岡景一郎君) 私は評価をしております。ということは、しばらくその運用を見て結論を出すべきだと思っております。やかたを造って、まだ中の床の間か便所かとか分からないのに、それをつぶしてしまうというようなことは私はおかしいと思っております。
#302
○渡辺秀央君 ありがとうございました。
 実はその大方が、この四年間という法律で決められた精査の期間をしっかりと精査しまして、そしてそこで結論を得て、民営化、あるいはまた公社法を更に改革をして、国家国民のためにやっていくという道付けをするということがあの法律の実は約束事であったわけであります。
 しかし、残念なるかな、今、衆議院の方で審議をされて、そして五票差で参議院に来たということは、先ほど申し上げた、この結論を、参議院で結論を出しなさいということであるわけですね。私たちは、そういう意味においては、先ほど来それぞれのお立場から申されたことを国会の中で非常に熱心に、ある意味では超党派的に議論をしている面が参議院にはあるんです。非常に中身が私は衆議院よりもあるなと思っております。
 しかし、政府の方の答弁がかなり衆議院と違う内容の答弁にもなってきている。要するに、それはなぜかといいますと、この法律自身が政府の中で、与党の中でしっかりとした議論が踏まえられて、そして自信を持って出された法律ではなかったと。要するに、法律としては、性善説、性悪説という意味じゃありませんけれども、非常にあいまいなものであったと。
 こういう、郵政三事業という単なるとらえ方ではなくて、この郵政事業というのは、私は、先ほど山岡さんでしたか、おっしゃっておられましたが、これは国家のサービスと。国家のサービスということは、言葉を入れ替えるといわゆる国の福祉政策なんです。サービスということは、国民の足らないところを足していくわけですから、これは要するに福祉政策なんですね。だから、さっきの質問の中にもあった過疎化の問題、このままで行ったら一極集中、大都会集中のこの方向性というのは変わりません。そういうときに、環境と医療と私は情報だと思うんです、過疎化を少しでも阻害していくのは。しかし、なかなかこれを思うに任せません。
 であるのに、今、正に十年後、二十年後の日本の経済と三事業を予測をして、政府の数字がすべて正しいということでないことは日本の今の経済の現状を見てもお分かりのように、私も内閣、五年間、裏、表でやってきました。そんなもの、数字なんというのはやっぱりその時点の分析であって、だれも保証はできない。であるならば、なおさらこれだけの、百三十年のノウハウを持ったことと近代的なノウハウとを兼ね備えた国民の福祉政策というのがあっていいんではないかという感じがします。
 先ほど来、三百五十兆円の話が出ていますが、三百五十兆というのは一挙に東京にあるんじゃありませんね、小口金融、高齢者の皆さんやあるいは子供の貯金から。私どもの年齢になると、実際的に親から小遣いもらうと半分は貯金、半分は使うと。郵便局へ行って貯金しておけ、それがいわゆる日本の一つの大きな力になってきた。
 そういう意味において、私は皆さんにもう一度お聞きをしたいことは、いわゆる貯蓄というものに対する概念をどうお考えになっておられるか。貯金、貯金ということはどんどん今、日本の国は減ってきていますが、これも最近にない傾向なんですよ。日本はもう毎年毎年、郵便貯金じゃないですよ、すべての貯蓄率が上がってきておったんです。これが今下がってきておるんです、どんどん。
 要するに、私は貯金ということに対しての考え方を四人の皆さんからお聞かせいただきたいと思うんです。
#303
○公述人(村上晨一郎君) その問題について、私、こういう場で特に申し上げることはございません。
#304
○公述人(草木慶治君) 私は、この郵便局の小口預金が国民のいわゆる貯蓄志向に大きく働いてきたと、その功績は私、郵便局にあると思うんです。そういう意味で、今先生がおっしゃったように下がっておるというのは、私、やっぱり郵便局がどうなるかと、こういう不安からであろうと思っております。
#305
○公述人(吉田和男君) 貯蓄率が下がる傾向はいろいろ要因があるわけですが、基本的には人口の高齢化というのが非常に大きいと思います。働いているときに貯金して引退期にそれを取り崩すとすれば、高齢者の比率が上がれば貯蓄率が下がるのはこれは自然なことでありますから。
 それに加えて、郵貯の関連で申し上げますと、戦後の日本は貯蓄率を上げることによって成長率を上げようという、まあ経済成長率を第一のターゲットにしておりましたから、そのために貯蓄推進委員会でしたっけ、ちょっと正式な名前思い出せませんが、つくって、全体に貯蓄率を、貯蓄を上げようという努力をしてきたわけでありまして、その一環として郵便貯金というのも大きな役割を果たして、これ、先ほど述べましたように、これは財投という手段を通じて高度成長に大きく寄与したわけであります。
 しかしながら、金融というのは自由化という流れと不可避になってしまって、自由化されればそれは何でもいいんだという意味ではなくて、自由化が不可避であるという、これを制御しようとしてもなかなか難しいという、もうできないんだということで、この金融の流れに沿った形で郵貯の仕組みも考えていく必要があるというふうに考えます。
#306
○公述人(山岡景一郎君) かつて京都府は、統計的に見ますと全国的にミシンの普及台数が一番、貯蓄が二番というように、京都は貯蓄に励んだ。まあ、ミシンの普及台数いうこと、何か内職するんじゃなくて、自分で物を作って非常に京都は倹約、貯金ということで、京都の皆さんもいらっしゃいますけれども、ただ、その京都でも減ってきたということは、今、購買の多様性にもあると思います、ネット商品であるとかテレビショッピングだ、私もよく使いますので。だから、貯蓄が減ったと思いませんが。
 やはりそういう意味において、購買をしたいということは、将来の日本の行方の問題もありましょう、もうこういう郵政法案の揺らぎもございましょうし、そういうように不安から現在は使っておくわけ。私は現在七十五歳ですから、あとがないから今使っております。だから、そういう意味において、私はジパング倶楽部に入っておりますが、この間行きましたら、まあ、もう年寄りの旅行、多いですね。豪華船乗りまして、私もはよ行かなと思っていますが。そういう意味において、購買の多様性というものと将来性という問題において貯蓄率減っております。
 しかしながら、各外国からの視察は、日本の郵便局の貯金制度をつくりたいと。かつてフィリピンも来ましたし、いろいろなところが日本の貯金制度、郵便局の貯金制度をまねしたいと来ているから、各国もやはり日本の貯金制度でもって貯蓄率を上げようとしている努力はあるんだと、国際的感覚から申し上げておきたいと思っております。
#307
○渡辺秀央君 ありがとうございました。
 私は、今四人の皆さんのお話を承っておって、ある意味においては年齢的に相通ずるものもございますし、それからそのお立場の中で非常に合理性の中で御判断しておられる面もあるようにも思いましたが、やっぱり共通性として、私は京都だから言うわけじゃありませんけど、実は私は超党派の、日本に四百からある島を発展させる、守っていく、島嶼議員連盟というのがありまして、まあ威張るわけじゃありませんが、宣伝じゃないけど、その島を守っていく議員連盟の会長をやらしていただいている、超党派で。これはもちろん、自民党から共産党さんまで入っておられる。
 私は、日本の文化というのは、あるいは何でももうそうだと思うんです、文化というのは壊したらもうそれで終わりだと思うんですね。
 文化というのは、まあこのネクタイ一つでもそうなんですね。国会でも、私はちょっと異論があったんですけど、しかしまあ若い諸君たちが暑いからネクタイ取って国会で審議すると、まあいいだろうと思いました。しかし、これ論戦を挑むという国会の場で、しかも神聖な場で、国民の生命、財産、すべてを責任を持ってやっていくところで襟を正してやらないなんてあるかと思ったら、この間、小泉総理がネクタイ外して硫黄島の慰霊祭に行っておられた。じゃ、小泉さんはネクタイ外して靖国神社へ行くのかといったら、そうはやらないだろうと。だから、文化というのは、やっぱり伝統的、あるいはまた固定的とは言わないけれども、継承していかなきゃならぬものがあるだろうと思う。大事にしていかなきゃならぬ、育てていかなきゃならぬ。悪いものは捨てたらいいですね。
 しかし、この郵政の郵便局、特定局から始まる地域の文化というのは、これは日本人、これから先、十年先のことを予測して、それを計数で論じておってもなかなかそうはいかない。国民一人の懐が、郵便局がなくなって民営化された、それがじゃ大都会の銀行に自分の貯金を持っていくかといったら、持っていきませんね。
 さっき、山岡さんが神戸の災害の話した。私、実は新潟の出身。去年のあれだけの大災害、水害と地震と一緒に受けた。全部、私の昔の衆議院の選挙区です。それは高齢者はみんな、おっしゃったとおり、もう銀行が信用できないというよりも、どうなるか分からぬという不安でたんす預金なんです。それが一発で土手が崩れて水が入ってきて、そして高齢者はみんな一階に住んでいますよね、二階じゃないですよ。そうすると、全部現金持っていかれちゃったんです。毎日ごみの山、これぐらいの、もっとすごいごみの山のところへ行って、老人が泣いてごみをほじくっているという姿を私は見まして、これはやっぱり郵便局というのは小口の、私どもはそう言ったんです、庶民の財布だと、庶民の財布だと。なぜ、この福祉政策の一人三百万、五百万、一千万というのは相当なものなんです、その貯金が国家で保証されて何が悪いのかと。せめてそれぐらいの福祉があっていいんじゃないか。自分が働いた金を積んでおいて、それを国が心配しないでいいよと、預かっておくよと。銀行が信用ありますか、例えば。
 そういうことを考えたときに、この郵政事業というのは正に日本の文化であり、あるいはまた庶民の大事な懐の問題であると。だから、この文化は何としても継承していかなければならない。悪いところは直せばいい。世襲財産である特定局という制度が果たして正しいかどうか、精査したらいい。四年間掛かって精査して、直すべきは直していったらいいという感じがいたしますね。
 そういう意味で、今日はそれぞれのお立場でお聞かせをいただきましたことに感謝をしながら、ただ、三百五十兆だけを、これだけを頭に置いた議論がどうも政府はやりますけれども、それは国民の一人の一万円の金であり、国民一人十万円の金が積み重なって三百五十兆になったということを私ども政治家は忘れずに、この文化はいい方向で考えていかなきゃいけないのではないか。拙速な改革は革命に通ずる、革命は世界、古今東西すべて失敗しているということを我々は学ばなきゃいかぬと思っています。
 今日は公述人の皆さんからいいお話をお聞かせいただいて、感謝申し上げます。ありがとうございました。
#308
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
 今日は、四名の公述人の皆様方から大変貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。先ほど渡辺委員の方からございましたけれども、二十分間しかお時間ございませんので、端的にお伺いさせていただきたいと思っております。
 まず最初に、吉田公述人の方にお伺いしたいわけでございますけれども、世耕理事の方からもお話ございました、参議院におきまして今集中的に議論をしているわけでございますが、一番最初に皆さん方がとどまるところというのが、やはり公社を大きく変えていくことではなくて、なぜ民営化なのかと、そういうところが一番見えにくい。国民の皆様方も、民営化と言ったときに、公社が今一生懸命頑張っている中でなぜ民営化なのかと。そこの最大のメリット、最大のポイントというところです、端的に教えていただきたいと思います。
#309
○公述人(吉田和男君) 端的になるかどうか分かりませんけれども、最終的に民営化してメリットが大きくなりますのは上場することですね。上場して企業として企業価値がマーケットで評価されると。いろんな企業の中の経営が、経営の在り方が市場で評価されるというところが民営化の最大のポイントです。
 ただ、現実に、何ですか、郵政局株式会社ですか、それが株式を三分の一保有義務ですか、それの上場になるというのは随分先の話のようですけれども、しかしながら、その経営というもの、サービスの在り方というものが、資本市場を通じて正しく評価されることによって効率が上がっていくということが最終的なメリットというふうに考えます。
#310
○山本香苗君 それで、先ほど先生のお話の中にもありましたけれども、金融の問題につきまして、ここがいわゆる余りよく分からないと分かりにくいところでもあると思うんですが、先ほど先生の方からは地方の方へと、地方分割のお話もありましたが、私も、今回この民営化をするに当たって地方の方にもやはりメリットが、地方の方のお金も地方の方に流れるような形をしていかなくちゃいけない。
 官から民へという言葉だけが流れて本当に民へ流れるのかという話もある中で、この地方の方に、その資金需要があるところにすうっと流れていくようなところが、結論と初めのスローガンだけがぱっとあって間が見えにくいところがあるんですけれども、その辺りのことを御説明いただきたいと思います。
#311
○公述人(吉田和男君) 現在、郵貯等で集められた資金というのは基本的に国債、財投債に運用されているわけで、まあ部分的にいろんな資産になっているわけでありますが、結局先ほど渡辺委員もおっしゃいましたけれども、全国津々浦々から小口で集められた資金が大きな資金として、財投資金として運用されてきたというのはやっぱりもう時代後れ。それが時代を合わせるために財投改革が行われたわけでありますが、かといって、今度、運用先というのが国債とか財投債に偏ってくるというのは資金の活用の仕方として必ずしも適当でないと。
 民間にどういうふうに、リスク資産にどういうふうに展開していくべきかと。その中で、一本に集めて運用するということよりも、地域分割して地域の経済発展、その地域でリスクを取って産業に資金を流していくと。地域というのはどの辺の広さをイメージするかにもよりますけれども、そういったことも考えられていいのではないかというのが私の意見でございます。
#312
○山本香苗君 吉田先生の方にはあとまたお伺いしたい、時間があればお伺いしたい点あるんですが、ほかの先生方にもお伺いさせていただきますが、村上会長の方にお伺いさせていただきたいことがございます。
 先ほど世耕理事の方からもお話がございました。今回この公社から民営化するに当たって、先ほど、生田総裁の方からも参議院の委員会の中で公社がこのままいったら立ち行かなくなるんじゃないかと、この事業自体が先細りをしていくということの危機感を国会の場で言っていただいていたわけでございます。
 しかしながら、先ほど村上公述人の方からお話ありましたとおり、それがなかなか共有されていない、この危機感が共有されていないところが私は非常に問題点ではないかなと思っているわけでございますが、こうした危機感をやはり共有していくに当たって、どういったことが、どういうふうな形で共有していけるのか。その点につきまして、経営者の立場から御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
#313
○公述人(村上晨一郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、そうでございますね、やっぱり会社の幹部は今後の、これはなぜ公社、まあ公社を否定して純粋な民営化の中に踏み込んでいかざるを得ないかという背景、意味合い、さらに、どこへ、国民のためにどういうふうな役割をするのかということを明確に、やっぱりビジョンと申しますかそういうものを掲げて、本当に細かく、極端に言えば公社員一人一人とやっぱりコミュニケーションを交わしていかれる以外、多分まあ手はないんじゃないかというふうに思いますけれども。
 以上でございます。
#314
○山本香苗君 もう一点、雇用の関係についてもお伺いさせていただきたいと思うんですけれども。
 よく、民間会社になればと、どうしても採算ばかりを追ってしまってすぐにリストラとかそういう話になってくるわけでございますけれども、私は、その経済合理化イコールすぐにリストラだとかなんとかという話ではないというふうな考えを持っているわけなんですけれども、どういう形で経営者としてその雇用の問題について、日ごろ非常に頭を悩ませていらっしゃることだとは思いますけれども、お考えになっていらっしゃるのか。また、こういう新しい形で会社がスタートするに当たって、一経営者のお立場として、どういう形で働いていらっしゃる方々の安心と、また働こうという気持ちをつくっていく環境を整備されようとお考えになっているのか、この点についてもお伺いさせていただきます。
#315
○公述人(村上晨一郎君) リストラの是非というふうな問題については、これはまあ、いろんなもう個々のケースがございますので、そのことについて特に意見はございませんけれども、ただ今回のケースについて言えることは、だからこそ私は早く何というか着手をして、うんと時間を取って、やはりきちっとした何というか監視と評価をしながら進めるべしというふうなことでございまして、これがまた更に今回こういうふうな機会を逃すと相当な期間ずれ込むというふうなことになれば、逆に今委員が御心配しておられる、大変何かドラスチックなことをやらなくちゃいかぬというふうな羽目に陥るというようなことでございまして、当然定年退職数も相当ございましょうから、そういうものを見ながら、効率化を一方では上げていくというふうなことをやっぱり時間を取って是非やっていただきたいというふうに私は思っております。
#316
○山本香苗君 次に、草木公述人の方にお伺いさせていただきたいと思っております。
 京都のことを本当によく熟知をされていらっしゃって、本当に御心配されているところを、本当にいろんなところで実際聞かれての御意見をいただいたと思っているわけでございますけれども、今、農業共済組合連合という形でいろんなところを見ていらっしゃると思うんですが、その中で、今回民営化につきましてはいろんな御懸念をお持ちだということでございますが、いわゆる同じような形で、郵便局と同じような形で市町村にネットワークをお持ちでいらっしゃるわけですね。やはりこれを同じような形で二つが共存共栄をしていく、切磋琢磨していく、そういう形で今後うまく使っていく方が建設的ではないかなと思っているわけなんですけれども、今御懸念のところはあるとは思いますが、今後この郵便局とともにどういう形で共存をしていこうか、さらに、もっとこういうことがやりたいといった御意見がございましたらお伺いさせていただきたいと思います。
#317
○公述人(草木慶治君) 私の方は郵便局と共通部分は実はございません。ただ、私、先ほどから申し上げておりますとおりに、結局、田舎の旧町村単位の集落というのは、郵便局以外に共存共栄、競争をする機関がないわけです、それは中心地にはありますけれども。もう、山本先生も京都をずっと回っていただいてよく御存じですけれども、お年寄りがちょっと中央の、郵便局以外の金融機関に行こうというのがこれは無理な距離なんですね、もう峠を越えて行かなければならないところが多うございますから。だから、郵便局が他の金融機関と競合する状態にあれば私は余り言いませんけれども、それよりないという実態があることをひとつ十分御承知いただきたいと思います。
#318
○山本香苗君 質問の趣旨がちょっとうまく伝わらなかったような気がするんですが、同じようにネットワークを持っていらっしゃるので何か一緒にこれから新しい形でというふうに思ったわけなんですけれども。
 確かに、今おっしゃられたように高齢化が進んで、京都、まあ市内だけではなくて、本当に北部の方に行けばぽつぽつという形で大変厳しいところもあるわけで、そういう中で郵便局って本当に身近な存在で大事な掛け替えのないものだと思っておりまして、私たちとしても、設置基準については、この過疎地においては本当に現存をどうにか維持できるような形でしっかりと議論をしているところでございますので、本当にこの点につきましてはまた御意見をしっかりと現場からもいただきたいと思っております。
 山岡公述人の方からも本当にこの本、ありがとうございました。是非今日は手に入れて帰りたいなと思ったら、今日机の上に乗っておりましたので、しっかり読ましていただきたいと思っているところなんですが。
 私も、昨年来のたくさんの災害の中で、郵便局の方頑張っていらっしゃる姿を実際目にしてまいりました。福岡でも地震があって、玄界島のところにも一つありまして、そこでも、皆さん方が避難している中でも郵便局の皆さん方が頑張っていらっしゃると。皆さんが帰ってくるまでの間守っていなくちゃいけないという、本当に使命感を持って頑張っていらっしゃいました。
 で、そういう中で、地方自治体の方としても、こういった郵便局を災害時に活用していかなくちゃいけないということで、様々な協定が今結ばれております。
 で、先ほどの世耕理事の御質問とちょっと重なる部分があるかもしれないんですが、果たしてこれを必ず官業でやらなくてはいけないのかなと。協定という形で、契約を結ぶ形で、いわゆる立場は民間かもしれないけれども、公に資する仕事をやっているんだということで使命感を持たせることによって今と同じようなことができるのではないかと思うわけなんですが、その点につきまして、重ねてでございますが、よろしくお願いします。
#319
○公述人(山岡景一郎君) 実は、かつて村に三長官というのがありました。村長、それから駐在所の駐在さん、郵便局長、これは村の三長官と言って、これがもう昔から、情報関係、その世話は郵便局、それから村の安全は警察官、それから行政は村長と。ところが、町村合併になりました、今度。そうしますと、行政サービスがどうしても停滞して分局を置くようになりました。そういうことではなくて、既に全国津々浦々にある郵便局がすべて印鑑証明を出し、年寄りの免許証は既に現在大きな、免許証は、行かなくて警察署で交付するように今年からなったんです。もう少ししますと優良運転手は郵便局で交付できるようになりますし、京都市の敬老乗車証も市役所で発行するんじゃなくて郵便局へ取りに行くようになっております。
 既に総務省は、総務庁とそれから自治省と郵政省の三つ一緒になったんだから、それこそ総務省が行政改革をきちっとして横のつながりをやってもらって、その凝縮した情報を郵便局にやればいいと思いますし、そうなれば、やはり証明であるとかいろいろなものは、民間業者になりますとよく、官庁の方から民間委託のための願い書であるとか許可証であるとか、私も昔、国家公務員、地方公務員やっておりますからその複雑さはよく知っております。公務員は非常にスムーズであるけれども、なかなかそういう手続はうるそうございます。
 やはり、これは公務員でなければできない仕事があります。例えば、京都の北タンゴ鉄道というのも民間になりました。はやっておりません。向こうの社長が来て、もう赤字で困っていますから何とかしてください。それから、京都の府立の博物館も赤字です。図書館、博物館、美術館がこれを民間経営でやれって、無理です。やはり公共性のあるものと公共性のないものとを分けて考えないと。
 郵便局が民間でできるんじゃないかと頭から考えるんじゃなくて、公共性はどうなのかということをまず最初に考え直していただきたいと思っております。
 以上です。
#320
○山本香苗君 いろいろと御意見ありがとうございます。
 もう一度吉田公述人の方にお伺いしたいわけでございますけれども、環境がもう本当にいろんな意味で大きく変わってきているんだと思います。その中の一つが、今盛んに言われておりますこの少子高齢化という中で人口減少という形に本当にこれから急速になっていく。そういう中でこの郵政民営化ということ、先ほど渡辺先生の方からも貯蓄率の低下ということがおっしゃられましたけれども、これはこの間の経済財政白書の中でも、これからどんどんどんどん貯蓄率が下がっていくと、それによってどういう影響があるんだろうかということが述べられていたり、国債の償還云々とか、いろんな問題も出てくるんじゃないかという話があったわけですが、やはり意識の改革が物すごく重要な話になってくると思うんです。
 そういう中で、この郵政民営化について、人口減少社会を迎える日本の経済にとっては本当に避けては通れない道筋なんだという、そういった御意見も先生たしかおっしゃっていらっしゃったと思うんですが、そこをもうちょっと説得力を持って分かりやすくお話をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
#321
○公述人(吉田和男君) 基本的に、少子高齢化で人口が減少していく、そして貯蓄率が下がっていくというのは、先日、日本二十一世紀ビジョン委員会というところで出さしていただいた話なんですけれど、結局我々の、もちろん少子化対策というのはしなきゃいけないんですが、ただ、現実の問題として変化していくことはもう避けられないわけです。
 その変化にどうやって対応していくかといったときに方法は二つあって、官主導でやるかマーケット主導でやるかということだと思うわけです。で、今までの過去の経験からして、官主導でやったときに、成功した例もあるわけですが失敗した例もあると。特に、自由化、グローバル化が進んできた状況の中で官主導というのは大きく批判されてきたわけで、やっぱり市場というものをどう活用していくかと。で、市場を活用することによって、いかに効率を上げ、まあ郵便でいいますとサービスの質を上げ、そしていろんな多様なサービスにこたえていくということができるかということになるかと思うわけです。
 また、金融の変化というのもこれ非常に大きいわけで、銀行の窓口では今低金利ですから目に見えにくいんですけれど、その裏では大きな変化をしているわけです。
 ですから、そういった変化にどう郵政事業を対応さしていくかということを考えたときに、官主導でもう一度再構築するということは余り期待が持てない。むしろ、この実態の変化に柔軟に対応できる民営化の仕組みというのがこれもう不可欠、不可欠じゃなくて不可避と私は考えます。
#322
○山本香苗君 本当に今日は、短い時間でございましたけれど、貴重な御意見どうもありがとうございました。
 終わります。
#323
○団長(陣内孝雄君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。
 有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 これにて参議院郵政民営化に関する特別委員会京都地方公聴会を閉会いたします。
   〔午前十時五十八分閉会〕
     ─────・─────
   盛岡地方公聴会速記録
 期日 平成十七年七月二十八日(木曜日)
 場所 盛岡市 ホテルメトロポリタン盛岡
        NEW WING
   派遣委員
    団長 理 事      市川 一朗君
       理 事      山崎  力君
       理 事      伊藤 基隆君
       理 事      平野 達男君
                小池 正勝君
                椎名 一保君
                関口 昌一君
                長谷川憲正君
                山本 順三君
                大塚 耕平君
                岡崎トミ子君
                山根 隆治君
                若林 秀樹君
                西田 実仁君
                山口那津男君
                大門実紀史君
                近藤 正道君
   現地参加議員
       議員       主濱  了君
   公述人
       盛岡商工連盟会
       長        藤原 誠市君
       岩手県簡易郵便
       局連合会事務局
       長        坂下 尚登君
       岩手県商工会議
       所連合会会長   斎藤 育夫君
       盛岡青山町郵便
       局総務主任    阿部 美憲君
    ─────────────
   〔午前九時開会〕
#324
○団長(市川一朗君) ただいまから参議院郵政民営化に関する特別委員会盛岡地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします郵政民営化に関する特別委員会理事の市川一朗でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、私どもの委員を御紹介いたします。
 私の右隣から、自由民主党の山崎力理事でございます。
 同じく自由民主党の椎名一保委員でございます。
 同じく自由民主党の関口昌一委員でございます。
 同じく自由民主党の長谷川憲正委員でございます。
 同じく自由民主党の小池正勝委員でございます。
 同じく自由民主党の山本順三委員でございます。
 公明党の山口那津男委員でございます。
 同じく公明党の西田実仁委員でございます。
 次に、私の左隣から、民主党・新緑風会の伊藤基隆理事でございます。
 同じく民主党・新緑風会の平野達男理事でございます。
 同じく民主党・新緑風会の岡崎トミ子委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の山根隆治委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の若林秀樹委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の大塚耕平委員でございます。
 日本共産党の大門実紀史委員でございます。
 社会民主党・護憲連合の近藤正道委員でございます。
 現地参加議員で、民主党・新緑風会の主濱了議員でございます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 盛岡商工連盟会長藤原誠市君、岩手県簡易郵便局連合会事務局長坂下尚登君、岩手県商工会議所連合会会長斎藤育夫君及び盛岡青山町郵便局総務主任阿部美憲君、以上の四名の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 当委員会におきましては、目下、郵政民営化法案外五法案の審査を行っておりますが、本日は、法案の重要性にかんがみ、国民の皆様から幅広く貴重な御意見を承るため、当地において公聴会を開会することとなった次第でございます。
 公述人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の法案審査の参考にしたいと存じておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、会議の進め方について申し上げます。
 まず、藤原公述人、坂下公述人、斎藤公述人、阿部公述人の順序で、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言は着席のままで結構でございますが、御発言は私の指名を受けることになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず藤原公述人にお願いいたします。藤原公述人。
#325
○公述人(藤原誠市君) 藤原でございます。
 本日は、私のような者に公述をせよという達しがあったわけでございますが、非常にこの点について勉強不足な点はお許しをいただきたいと思います。
 今、公社が二年間ですか、現在改革を進行中というふうに承っておりますが、私も地方の郵便局、そういったところを二、三見学をしてまいっておりますが、なかなか皆さんよくやっておると。多分、皆さんも、ここ、あちこち見て歩いておられると思いますが、非常に努力をしているということは感じます。また、私の仕事についても、非常に郵便局さんとはいろんな物資の輸送その他で関係が深いものですから、時々そういうことで感ずることは、郵便局は非常に良くなってきているなというふうな印象を受けております。
 しかし、まず、中央では、公社にして次は民営化であると小泉首相が提唱して、現在それを進めておると。場合によっては、今回の参議院では廃案になるかどうかという騒ぎまで起きておる。自民党も二分するんではないかというふうな心配も出てきた。
 私が思うのに、この問題で大きく騒いでいる皆さんの割には、国民は非常に冷静であるという感じをいたします。ということは、現在民営化に対して、不勉強もありますけれども、余りそれをやってもらわなければ困るという人は非常に少ない。では、民営化反対かというと、我々はやっぱり民営化はしてもらいたいという、質問をすると、そういう答えが返ってまいります。
 なぜそういう答えが返ってくるかというと、みんな今、いろんな金融関係とかそういうところから圧迫を受けたり、いろんな経緯がありまして、中小企業は大変苦境に立っておるわけです。ですから、仮に郵政民営化すると、この三百四十兆円もの資金の一端が回ってくるんではないかというような期待も持っている人も結構多いわけです。
 一方では、金融機関に聞いてみると、いや、余りそういうものを前面に出されて、要するに今は郵便関係は融資はしておらないわけですね。たしか、国債を買うとか、まあ道路公団ぐらいには出したのかな、よく分かりませんが、そういう全然民間と違う金の回り方をしておると。今回は民間になって銀行が、まあはっきり言えばメガバンクみたいなものができるという心配が民間の金融機関にはあるようですね。まあ何百兆かの金がもし全国に回り出すと、今まで金融引締めなんということがありましたけれども、現在はもう逆になりましたね。もう無担保無保証で一億ぐらい使ってくれないかというような銀行も出てきております。
 そういう時代が来たのに、ここで何百兆円ものお金が市中に出回るということは、金融機関にとっては大変なことである。また、我々中小企業にとっては大変有り難い面もあると。しかし、その辺のところはどういうふうに今後やっていかれるのか、これについては私もよく分かりませんが、いずれこの何百兆円もという巨大な資金が回り出すということが今後大きな社会に変化をもたらすと、それがプラスになってもらえれば私は民営化というものは成功と言えるのではないかと。
 また、特定郵便局とかを含んで約二万五千ぐらいですか、全国に郵便局があるわけですが、まあこれについてはいろいろ問題があるという指摘があります。
 特に、特定郵便局というのは、まあ私もよく分からなかったんですが、調べてみると一つの世襲制度になっておると。自分の土地や建物を貸して、自分で国に貸して、そして郵便局長になって運営をして、親が今度は子供に継いでいくというふうな、そういう制度であると。まあ一種の公務員のようなものですから、何の競争もなくて、親が子に特権のような格好で移行していくというような制度はよくないんじゃないかということをまず感じます。これについての変革は必要じゃないかと。まあ、そういう意味では、民間企業になればこれは非常に問題はなくなりますね、お互いに、そういうことは当然でありますから、世襲であろうが何であろうが、事業に成功すればいいと。
 もう一つ非常に大事なことは、民営化することによって、お互いに働く人たちの意識が変わると。本気になってやらなければ、信賞必罰という民間企業の形がありますから、安穏としていられないと、一生懸命稼がなきゃいかぬ。これは大いに民営化したものに対してのプラスであろうと思いますが、ただ、民業を圧迫する可能性が将来は出てくる。これをどうするかと、どこで食い止めるかと。大きな力を持ってこれ民営化すると、競争激化の最前線に立つことになるわけですね。
 例えば、現在、国鉄からJRに変わりましたが、非常に新幹線ができたり華やかな面と、一方では地方ではもう無人駅がどんどん増えていく、あるいはもう地方の線路は切捨てと、それでそれを地方自治体が引き受けて非常に苦労しているというふうな現状を見ると、郵便局も今度は、例えば岩手県の場合、近くでは宮古へ行く途中に簗川郵便局なんというのがありますが、そういったところがなくなるんではないかと、大変不便になるというふうな心配をしているところもあります。要するに、利益追求の会社になるというわけですから、とんとんぐらいでやっていけばいいということにはならない、必ずこの利益追求というものはそういうしわ寄せが来ます。
 この辺を民営化する場合には十分に注意していただきたいが、私の結論としては、まず民営化をしながら、そういうものを見直ししながら改革を進めていくと、これは日本の将来のためにはなるというふうに信じております。
 以上であります。
#326
○団長(市川一朗君) ありがとうございました。
 次に、坂下公述人にお願いいたします。坂下公述人。
#327
○公述人(坂下尚登君) 岩手県久慈市小久慈町で幸町簡易郵便局を受託しております坂下尚登と申します。
 本日は、簡易郵便局の立場より意見を述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、簡易郵便局の概要ですが、簡易郵便局は、個人や農協、漁協、そしてまた市町村等が日本郵政公社から事務委託を受けて郵政窓口サービスを提供しております。仕事内容は、一般郵便局と比べ取扱内容など若干の制約を受けており、一部の窓口業務を取り扱っていない簡易郵便局もあります。局舎は無償での提供義務があります。
 当岩手県内には、普通局、特定局、簡易郵便局が約四百四十局あります。そのうち簡易郵便局は百三十二局であり、その割合は三〇%と、全国平均の二〇%を上回っております。つまり、岩手県の郵便局のうち三局に一局は簡易郵便局であり、ユニバーサルサービスの担い手として大変重要な役割を果たしております。
 さて、民営化に対しましては、まず一つ目は、現在、簡易郵便局は、郵政窓口事務の委託に関する法律により存在が明確されております。今回の民営化法案では簡易郵便局の存在の根拠となる現行法律は整理され、新たに法案の中には簡易郵便局の名称はどこにも明確となっておりません。簡易郵便局は存在しないということを意味しているのではないかと心配しております。
 郵便会社法案第五条に、「あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」とありますが、簡易郵便局が今後とも郵便局ネットワークの一翼を担って郵政窓口サービスを提供することができる根拠はどこにも見当たりません。しかし、国会では簡易郵便局のことがわずかですが取り上げております。私の勉強不足が原因であればいいのですが、もしそうでないのならば、民営化により、いつの間にか地方から簡易郵便局はなくなってしまうのではないかという不安で一杯であります。
 次に、簡易郵便局の年間収入は、全国平均では約三百六十万とされておりますが、実際には二百五十万前後の簡易郵便局が大半と思われます。この手数料の中には、局舎提供料、水道光熱費等郵便局の運営に必要なすべての経費と、さらに代行者職員の人件費までが含まれております。受託者は、風邪などで体調を崩しましても、結局は我慢するなどして、決して恵まれているとは言えない状況です。年間二百五十万前後の収入で生活ができるわけでもなく、簡易郵便局を経営するということは、国に対するボランティアと言っても過言ではない状況であります。しかも、収入は定額部分と歩合の部分から成り立っております。定額部分は仕事があってもなくても掛かる経費であります。月額にしまして約十三万五千円、年間では約百六十二万になります。年間二百五十万の例とした場合、実に収入の七〇%を占めております。
 次に、歩合給は、郵便、貯金、保険を取り扱った際の取扱量に応じて支給される手数料部分ですが、月額七万三千円程度で、年間では八十八万円ということになります。もし民営化になりましたなら、この国に対するボランティア部分である簡易局手数料の定額部分については出して本当にいただけるのでしょうか。民間、すなわち歩合が一般的でありますが、とても取扱歩合給の年間八十八万程度の収入では簡易郵便局はやっていけない状況だと思います。
 一方、民営化法案には過疎地における赤字を補てんするための地域貢献基金があると聞いておりますが、監督郵便局の赤字の部分を簡易郵便局維持のための定額部分が占めているというのはいかにも不自然であります。また、地域貢献基金には限界もあります。もし民間経営であるならば、定額部分は必ず縮小、見直しされる部分ではないでしょうか。歩合給だからこそ何でも自由にやればいい、やればやっただけもうかるのではないかという言い方もありますが、しかし、簡易郵便局の大部分はそもそもが取扱量の少ないところに設置されているのであります。
 また、近年、簡易郵便局を受託している農協、漁協などが合併や合理化のため簡易局としても併用している支店、支所、その閉鎖が目立っております。民間企業であるがゆえ、支所を維持していく人件費、諸経費などの効率化を考えた上での判断ということであり、これは仕方がないことではあります。特に簡易郵便局の場合は、立地条件上から利用件数も少なく、その可能性が高くなると思わざるを得ません。
 郵政民営化は、結果的には簡易郵便局の切捨て、また受託者自らが契約の解除の道を選択せざるを得ないことになろうかと思います。地域住民へのあまねく公平な郵便サービスを始め金融サービスの提供もできなくなり、生活に大きな影響を及ぼすことになると思います。
 次に、民営化になりますと、簡易郵便局は窓口会社と委託契約の下で郵便事業を提供することになるようですが、例えば、貯金については、窓口会社が郵貯銀行と代理店契約をして、さらに簡易郵便局は窓口会社から再委託され貯金サービスを提供できるような説明があります。しかし、銀行法では再委託ができないことになっているということも聞いております。つまり、民営化後は簡易郵便局での貯金サービスができないことになります。
 また、簡易郵便局の受託者は、商店や酒店など兼業経営している方や、農協、漁協の団体受託局では自分のところの貯金と郵便貯金の両方を取り扱っている局も存在します。銀行法では、兼業の禁止など厳しい制約もあると聞いております。
 さらに、簡易郵便局は、局舎や設備の面では公社側の基準で認可されてはおりますが、銀行法に適さない、適合できない簡易郵便局が多数出てくる可能性が高いと想像しております。銀行法に適合する局舎の増改築、そして設備工事など多大な負担が発生することになれば、貯金業務からの撤退や簡易郵便局の受託解除が出てくることも大いに予想されます。
 民営化の移行期間経過後ともなれば、貯金も保険も委託されるかどうか法的な義務付けがないとも聞いております。貯金銀行、保険会社は利用件数の少ない簡易郵便局との委託をしないことも可能です。そうなれば、全国約四千五百か所の地域から簡易局は消滅してしまうことになりかねません。弱い立場にある簡易郵便局とその地域住民には絶望感が募るばかりであります。
 貯金や保険がたとえできなくても、郵便を扱うことは確かに可能です。しかし、現在、岩手県内の簡易郵便局で、郵便事業だけで受託している個人受託の簡易郵便局は一局もありません。郵便だけの手数料では簡易郵便局を維持してはいけません。
 例としまして、郵便のみの場合の定額部分の手数料は月三万六千円程度です。年間で四十三万です。簡易郵便局を維持していくには、郵便、貯金、保険の三事業を取り扱うことができて維持が可能となります。現実に、今の郵政公社も同じであると思います。郵便、貯金、保険の三事業一体だからこそ、今のユニバーサルサービスを維持、提供していくことが可能ではないでしょうか。
 郵便局以外に金融機関がない地域で暮らす住民の方々は、都市部で生活する方には想像できないほどの不便をすることになってしまいます。改革という名の下、地方、田舎に住む弱者の切捨てにもなります。これまで存在しなかったものが突然現れる、それより、これまで存在したものを失ってしまうことの方が生活により大きな重圧となります。郵政民営化は、正にそのとおりになるのではないでしょうか。
 素朴な疑問ですが、なぜ公社のままでは駄目なのでしょうか。
 今回の民営化審議につきましては、簡易郵便局の利用者であり、最も立場の弱い方々の今後の生活を守ってあげるためにはどうしたらいいかを十分考えていただきたいと思います。
 最後に、私が受託する簡易郵便局の話をさせていただきます。
 私の簡易郵便局の地域でも、住民の高齢化と独り暮らしなどが目立つようになってきました。市内には六つの民間金融機関がありますが、すべて市の中心部にあります。私の簡易郵便局との距離は三キロ程度ですから、県内の簡易郵便局利用者からすれば環境的には恵まれてはおります。しかし、この距離は、高齢者にとっては交通手段や体調などを考えて、大変遠い存在です。もちろん、家族など周りの助けがあれば支障はないかもしれません。しかし、年は取っても、自分の財産ですからできるだけ自分で管理したいというのが一般的であります。
 最近は、老齢年金の受取や生活資金の払戻しのためにタクシーを利用して来る方が増えてきました。決して裕福だからというわけではなく、バスが民営化になってから運行数が減ったり運行ルートが変わり、仕方なくタクシーを利用しているのです。独り暮らしで足腰が弱く、長く歩けないというケースもあります。
 そんな利用者を始め、たくさんのお客様からこんな話を聞きます。
 以前はここには郵便局がなく、三キロ以上も離れたところまで行かなければならなかったが、今はこの郵便局ができたおかげでみんな本当に助かっていると言ってくれます。私は、そう言われると本当にうれしくなります。地域のためにもっと頑張ろうという気持ちになります。
 一方では、郵便局が民営化されたら、ここの郵便局はなくなるのか、なぜ民営化するのか、預けた貯金や保険は心配ないのかと、利用者の不安の声をよく聞かされます。中には、ここは簡易郵便局だから、もう民営化されているんだから心配ないと言ってくれる方もいますが、利用者の方々は私たち以上に不安を募らせておりますことをお伝え申し上げます。
 以上、意見述べさせていただきましたが、貴重な時間をいただきありがとうございました。
#328
○団長(市川一朗君) ありがとうございました。
 次に、斎藤公述人にお願いいたします。斎藤公述人。
#329
○公述人(斎藤育夫君) 斎藤でございます。
 現在、盛岡商工会議所の会頭をしておりますけれども、先生方の皆様には日ごろ中小企業の振興につきまして大変御配慮いただいておりまして、この席をおかりして感謝申し上げる次第でございます。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず、郵政民営化の基本方針、昨年閣議決定したその基本方針に掲げられております五つの基本原則に基づいて、郵政公社を民営化し、一定の移行期を経て、最終的に民営化を実現しようという考えでございますけれども、これには基本的に賛成するものであります。
 また、現在の日本郵政公社を民営化するため、四つの機能ですね、郵便業務、それから郵便貯金、それから簡易保険、あと窓口ネットワーク、これを持ち株会社の下に郵便事業会社、郵便局会社、それから郵便貯金銀行、保険銀行と、この四会社に分社化することについても賛成でございます。
 基本方針においては、四つの機能が民営化を通じて市場に吸収、統合され、市場原理の下で自立することが重要ということで、新会社の自由度の拡大、民間とのイコールフッティングなどの確保などを挙げておるわけでございます。
 ただ、この郵貯残高は、ピーク時よりは現在はスリム化しているようですが、二百十兆円というふうに聞いております。で、地方銀行ですね、これ第二地方銀行を除いた、地方銀行協会に属しておる六十四行の残高は百八十六兆円です。これ、いかに大きいかということをお示しするためにお話ししたわけでございまして、郵貯の二百十兆に対して、主として地域で中心的に金融業をやっておる地方銀行六十四行の残高は百八十六兆円だということをまず御認識願いたいと、まあ知っておられると思いますけれども。
 それから、簡保につきましては、ちょっと時間がございませんでしたので調べる余裕がなかったんですが、現在、簡保の資金も幾らかスリム化されて百二十兆円。百二十兆といっても大変な数字でございまして、人の調べたものを見て言うのもおかしいですけれども、猪瀬直樹さん、日本道路公団のときにいろいろ御意見を出した方のようでございますが、その方が週刊文春にお書きになっておるものを見ますと、簡保の百二十兆というのは、日本生命、第一生命、住友生命、明治安田生命、この四大生命保険会社の総資産よりも多いということでございます。ですから、貯金にしても、それから保険にしても、かなりの巨大な銀行というか、巨大銀行ですね、そういうことのようでございます。
 それで、ちょっとついでくさくなりますけれども、猪瀬さんの書いたものをちょっと拝見、ついでに拝見したんですけれども、平成三年度分ですが、この郵便貯金のディスクロージャー出しておられるということでございますが、この口座数が書いてあるというんですね。これが五億六千三百七十七万という口座数なんですね。そうすると、日本の人口の五倍の口座数になるわけです。ですから、猪瀬さんは、一千万円の口座に、限度が一千万になっているはずだけれども、あるいは一人で二つも三つも持っているんじゃないか、こういう疑問をお持ちのようでございます。それで、取材をしたらしいですけれども、それでは総預金者数を教えてくれというふうに質問したら、ちょっと把握していないということなんですね。世界一の銀行だからちょっと把握するわけにいかないというふうなことのようでございます。
 預金者数を把握していないと名寄せができないんですね。名寄せというのは、預金者が一つの銀行に口座を幾つか持っておって、そして預金をしている場合、例えば私が三つの支店に五百億ずつ預金をしていれば、千五百億円をその銀行に預金していることになるわけですけれども、この名寄せをしないと幾ら持っているか分からないんですね。そうすると、私が千五百万円を持っているといっても何か、いざ破綻ということですか、そういったようなことが生じた場合は一千万以上、金融機関は一千万以上払う可能性が出てくるわけです。ですから、郵便局さんの場合、郵便局というか、現在時点では公社の場合は名寄せをしていない、できないということですね、預金者の数が分からないから。
 そうしますと、一般の金融機関は金融庁の厳しい御指導によりまして名寄せを一生懸命やっておるわけですね。だから、イコールフッティングなどということはできない。基本方針でイコールフッティングということを掲げておりますけれども、その点については現在の民間の金融機関とのイコールフッティングはできない、こういうことになるんじゃないかと思うんです。それだけ大き過ぎるということだと思うんですね。ですから、世界じゅうどこにもこういう大きな銀行はないわけですので、もし市場に参加するというのであれば、この金額でもって参加すれば、民業圧迫はこれはもう火を見るよりも明らかであるということだと思うんです。ですから、やはり大きな、全国規模の大きな銀行にすると、銀行や保険ですね、特に銀行と保険ですけれども、やはり適切な形で地域分割をするべきじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。
 そして、地域の金融機関なりあるいは関係機関と連携を図りながら、地域密着型の企業として地域の存在感を示し得る会社になってほしい。巨大な、そういう参入によって地域の金融機関の経営が圧迫されれば、困るのは、金融機関はもちろん困るわけですが、その地域の中小企業の方も困るということです。やはり、いざとなれば地域の金融機関に頼るということが大体の傾向でございますので、何かあれば、やっぱり大きなメガバンクというのは、まあこういうこと言ってどうかと思いますけれども、引き揚げるときはもう引き揚げるということですから、地域におりますとそうもいきませんですから、いろんなしがらみとかそういうものがあって、一緒にやっていかないと、中小企業と一緒にやってもらっておるわけですので、そういったようなところも御配慮していただかないといけないのじゃないかと。
 それから、いろいろ、政府対与党の対立というか、そんなようなこともありまして、原案では、貯金銀行、保険銀行、この二つの金融二社の株式ですね、これは持ち株会社がいずれ全株式を処分するということが義務付けられておったわけですけれども、修正案では、いったん手放して、民営化した後で買い戻して継続保有してもよろしいというふうな修正をなさったというふうに聞いておるわけでございます。ちょっとこれは、民営化の最終目標と少し理屈が合わないんじゃないかなと。
 完全民営化した後の二〇一〇年四月ですか、それ以降において、政府出資の持ち株会社と傘下の郵便事業会社、郵便局会社、それからこの金融二社についても継続して政府が出資するということになりますと、何といいますか、現在の公社方式とそんなに違いがなくなるんじゃないかなというふうな感じすらするわけでございます。
 政府の出資というのはやはり暗黙の政府保証というか、そういうことにもなると思うんですね。実際は保証はしていないけれども、何となくそれを保証しているというふうな感じになる。そうしますと、公正な競争条件が確保されないまま経営の自由度だけが拡大していくわけですから、そうしますとかえって悪くなるということなんですね、民営圧迫については。むしろ原案の方がまだましだったんじゃないかなというふうに考えるところでございます。
 それからもう一つ、ただいまもお話ありましたが、郵政事業は国民生活に大きな影響力を持っておると。本県のように広い県土ですね、人口も分散しておるわけで、これまでの郵便局のネットワークは極めて重要でございまして、地域のセーフティーネットの役割の一部分を担ってきたというふうに言えると思うんですね。
 そういうことでございますので、いろいろ工夫もなさっておるようでございますけれども、ただいま坂下さんからお話ありましたように、民営化によって地域貢献という観点が埋没していくことがないようにお願い申し上げたいということでございます。詳しいことは、私以外の方の方がお詳しいでしょうから、そちらの方でお聞きいただけばよろしいんじゃないかなと思います。
 いずれ、この会期は十三日までと、八月十三日までというふうに伺っております。首相は継続審議は余り望んでおらぬ、もちろんそうでしょうけれども。しかし、先ほど来お話ありましたように、国民の素朴な基本的な疑問というのは、何かまだ分からないんじゃないかなという気がするわけです。それで、審議時間がちょっと足りないのじゃないか、率直に申し上げて恐縮ですけれども。もしそうであるのであれば、そんなに頑張ってやるという方法も一つの方法でしょうけれども、政治的な意味は分かりませんが、もう少し時間を掛けておやりになってもよろしいんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 内閣府の世論調査とかあるいは意識調査を見ても、民営化賛成が反対を上回っていると。それから、衆議院通過後の共同通信社の世論調査でも、この国会での法案を成立させるべきだという人は二三%しかいないので、あとは余り、賛成は賛成だけれども急がなくてもいいんじゃないかという方が五〇%ぐらいおられるということのようですので、慎重な御審議をお願いいたしたいが、なぜ今その郵政民営化が必要なのか、そういう原点の議論を国民の見える形の中でおやりいただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
#330
○団長(市川一朗君) ありがとうございました。
 次に、阿部公述人にお願いいたします。阿部公述人。
#331
○公述人(阿部美憲君) 私は、盛岡青山町郵便局で勤務しています阿部美憲といいます。よろしくお願いいたします。
 私の勤務する盛岡青山町郵便局は、配達を受け持たない無集配特定郵便局です。職員数は、局長と私と職員三名の計五名です。窓口は、郵便窓口が一つ、貯金・保険窓口が二つ、このほか相談専用窓口が一つです。窓口の担務は、それぞれの窓口を一週間交代で担当し、すべての業務を満遍なく取扱いできるようにしています。盛岡青山町郵便局は、盛岡市内でも結構忙しい郵便局だと思います。私は集配特定郵便局の経験はありませんので、無集配特定郵便局の立場でお話しさせていただきたいと思います。
 初めに、郵便局の立地状況ですが、住宅地を中心とした中にあり、向かいには独立行政法人に変わりましたが国立病院機構盛岡病院があります。また、小学校、中学校、養護学校、警察学校、特別養護施設などが隣接する地域にあります。郵便局の隣にはコンビニもあります。ちなみに、最寄りの集配局は盛岡北郵便局という普通集配郵便局です。
 盛岡青山町郵便局はこのような場所にあるため、年金支給日、給料日はもちろん、毎日いろいろな用事を済ませるため、たくさんの方に御利用いただいています。その当日には、窓口開始時間の九時前から並んで待っていることがあります。特に、月曜日には通院しながらの用足し、金曜日には土日前の用足しをするため、本当にいろんな方に御利用いただいています。御利用いただくお客様の層も子供からお年寄りまで幅広く、地域の皆さんには大変利用しやすい郵便局なんだなあとつくづく感じています。そのため、貯金保険窓口は二つあるにもかかわらず、私が応援、補助しなければお客様の対応がし切れない状況もしばしばあります。余りの混雑に昼休みもずれ込むことがあります。
 たくさんの御利用があるため、取扱い内容もいろいろです。先ほどお話ししたとおり、病院が目の前にあることから、簡易保険の入院保険金の請求は多いです。入院保険金の請求は、郵便局専用の診断書の用紙があるのですが、退院する際にその用紙をもらいに来て、病院の先生に書いてもらい、入院保険金の手続にいらっしゃいます。以前は、受持ち局といって簡易保険に加入されている方の管理を担当する郵便局がそれぞれあるのですが、受持ちの郵便局以外での保険金の請求には制限がありましたが、現在はどこの郵便局でも基本的に原則その場ですぐに支払うことができるようになっています。
 ほかには、福祉定期貯金というのがあります。この貯金は、遺族年金や障害年金、恩給などを受給している方が優遇金利を付けて利用できる一年定期貯金です。以前は四・一五%という高い金利の貯金で銀行などでも取扱いしていたものです。数年前から、低金利になっても四・一五%のまま取扱いしていましたが、高い金利では対応できない銀行では相次いで取扱いをやめてしまったものです。現在は低金利のあおりを受けて、一年定期の利率に〇・三%上乗せした〇・三三%と利率は低いですが、以前銀行で預金していた方も現在は郵便局を利用していただいている方が多いです。
 また、国債については二年、五年、十年、個人向けといろいろありますが、郵便局での販売枠は募集開始日当日三十分くらいであっという間に完売になります。国債自体が人気で、なおかつ郵便局での購入が安心で集中しているのではと思います。
 それから、通信販売などの支払は皆さんも御利用したことがあると思いますが、郵便振替払込みというのがあります。払込みに掛かる料金、手数料は一万円までは六十円又は七十円、十万円までは百十円又は百二十円と安いです。払込みの用紙も、払い込む方が料金を負担する青い用紙と、受け取る方が料金を負担する赤い用紙があります。青い用紙で振り込みをされる方は、手数料安いねとよく言われますし、赤い用紙で振り込みをされる方は、手数料掛からなくていいねとよく言われます。ちなみに、現在はコンビニでも支払可能なものがありますが、まだまだ郵便局を御利用いただいている方が多いのではと思います。
 手数料が安いということでいえば、ATMの利用に掛かる手数料は御存じのとおりですが、土曜日、日曜日、祝日も時間に関係なく手数料は掛かりません。また、郵便貯金総合通帳のぱ・る・るを使ったぱ・る・る同士の送金は、送金金額にかかわらず一律百三十円で利用できます。県外の大学に通う子供への仕送り、単身赴任している方が家族へ送金など幅広く御利用いただいています。
 このほか、戸籍謄本などの証明書の交付も定額小為替を利用して、役所、役場へ郵送で依頼をするサービスを提供しています。本籍地が遠くて証明書を受け取りに行くことができない、近くても平日は仕事の都合で行けないという方に御利用いただいており、取扱いも結構多いです。ちなみに、岩手県では花巻市や釜石市、遠野市内の郵便局の窓口で証明書の交付をしているところもあります。
 このように地域の皆さんに御利用いただいていますが、民営化になったらどうなるのでしょうか。民営化になったらどうなるの、ここの郵便局はなくなるの、私の貯金、保険は大丈夫なのなどとよく言われます。私自身もどうなるか分からないので、何とも言えない状況になります。お客様に言われる言葉には、民営化をすることがさも郵便局が破綻するようなイメージを持っているようにも感じられます。新聞などを見ていると、郵便についてはユニバーサルサービスを維持する、郵貯、簡保については廃止をするというふうになっているような気がします。となると、地域の皆さんが自分の貯金や保険についてどうなるのかという不安は出てきて当たり前なのかなと思います。
 貯金、保険に関して言えば、新しくできる郵便貯金銀行、郵便保険会社から委託される業務はあくまでも民営化後の取扱いに関するものと思いますが、独立行政法人で管理する廃止前の郵貯、簡保についての取扱いについてはどうなるのでしょうか。例えば、郵便貯金銀行で言えば、銀行としての新たな通帳と現在の郵便貯金総合通帳のぱ・る・るとが存在することになるような気がしますが、よく理解できません。いずれ今まで利用していた貯金や保障がどうなっていくのか、通帳はこのまま使えるのか、簡易保険が満期になったときちゃんと満期保険金がもらえるのか、ほかに何がどうなるのか全然分からないことばかりです。
 また、郵便貯金銀行、郵便保険会社というものができるということですが、窓口業務の会社に業務を委託するとのことです。委託をするということは、委託手数料を支払うために、今まで皆さんからいただいていない、また、いただいても安い各種料金を値上げして負担してもらうことになるのでしょうか。
 郵便については法案の中でユニバーサルサービスをうたっていたと思います。配達は郵便物があればどこであろうと配達しなければなりません。そうすると、配達を受け持つ集配特定郵便局については必要不可欠と思います。しかし、私が勤務する無集配特定郵便局というのはどうなっていくのでしょうか。十年だったか何年だったかは今と変わらないようなお話ですが、本当でしょうか。人口の多い地域は今までと同様残っていくと思いますが、過疎化の進む地域ではどうなのでしょうか。極端な話ですが、年金支給日しか郵便局を利用しないというような状況であれば、業務の委託も一年、二年程度で切り捨てられるのではないでしょうか。となると、採算の取れない地域の郵便局は早い時期に業務委託の解除、ひいては郵便局廃局ということが想定されます。ということは、住宅地にあってそこそこ利用のある盛岡青山町郵便局ですが、もしも採算が合わなければ、また近隣の普通集配郵便局の盛岡北郵便局があれば十分ということになれば、民営化とともに廃局なんてこともあり得ないとは言い切れません。採算の取れない郵便局が廃局になった場合、例えば年金を受け取るために隣町まで行かなくては受け取れない、バス代ならまだしもタクシー代を掛けなくては受け取れない、そんな年金があったら大変です。
 岩手県内には集配特定局、無集配特定局合わせて二百九十三、東北六県では千八百四十二あります。今までお話しした状況になったら、私たち職員も不安ですが、郵便局を利用する国民の皆さんはもっと不安に思っているのではないでしょうか。
 日本郵政公社は、二〇〇三年四月一日に、今後郵政民営化等の見直しは行わないということでスタートしました。しかし、まだ二年経過したばかりなのにもう民営化法案が審議され、あたかも郵便局は民営化になるような流れになっています。民営化になり分社化されるとこんなに良くなるんですといっていろいろな試算が出されましたが、実際働く私たちには全くぴんときません。試算のとおり、本当に民営化になってそれぞれの会社が成り立っていくのかさえ疑問に思います。
 最後は疑問の投げ掛けになってしまいましたが、多くの方がまだまだいろんな疑問を持っていると思います。一番は国民の皆さんがどう思っているのか、どうすれば国民のためになるのか、そこに尽きるのではと思います。全国世論調査では、小泉内閣に対して最優先で取り組んでほしい課題は、年金や医療などの社会保障改革、景気対策、財政再建などが上位を占めています。改革は必要かもしれませんが、本当に国民のためになる改革が最優先されるべきだと思います。
 私は、現在の公社としての経営形態で、公共性と企業性を兼ね備えた、三事業一体、全国ネットワークの維持、ユニバーサルサービスを継続していくことが国民生活に安心を与えることにつながると思います。現在御利用いただいているお客様のためにも、今までと変わらない郵便局であることを希望します。
 以上で終わります。
 ありがとうございました。
#332
○団長(市川一朗君) ありがとうございました。
 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
 これより公述人に対します質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#333
○山崎力君 自由民主党の本特別委員会で理事をやっております山崎と申します。
 四人の公述人の方々には、お忙しい時間、本当にありがとうございました。
 今の公述をお聞きして、我々も反省しなければいけないといいますか、国全体というか、そういったマスコミ等も含めて全体なんですが、事ここに至っても、まだこの法案の審議の中身、賛否は別としまして、どこにポイントがあるのか、どうなっているのかということの御理解が進んでないなということをまず感じさせていただきました。私自身からもお答えできるところもあろうかと思うんですが、それ一々、別に政府側で提案しているわけでもないので、そういうことは避けますけれども。
 やっぱりポイントは、お二人の郵便局に勤められている方の一番の心配という形で、今の法案ではなかなか今までどおり、簡易局と無集配の特定局という現場でのお話があったわけですが、その辺の疑問をどう答えるかということに、我々も当然ながらそこに神経を砕いて審議しているわけですけれども、立場からいけばそういうことだろうということなんですが、逆に言えば、藤原さんと斎藤さん、お二人の公述人が、それぞれ今現場からの不安という形での公述をされたことについて順次感想をお聞かせ願えればと思います。
#334
○公述人(藤原誠市君) 我々は郵便局の中で働いているわけじゃありませんので、ただいま実際の担当なさっている方々のお二人の意見を拝聴しまして、なかなかこれはそういう方々にとっては難しい問題がたくさんあるということを痛切に感じております。
 ただ、そういう中で、心配を皆さんも一緒にされて、こういう人たちが一生懸命やっていることをどう助けていくかと。要するに、民営化するには、必ず改革には痛みが伴うということはどんな場合でもあります。ですから、こういう方々が、ある程度痛みを伴うことについては御協力いただくにしても、余り犠牲になって将来が成り立たない、もう郵便事業に携わっていくことができないというふうなことのないように、やっぱりこれだけのノウハウを皆さん持っていらっしゃるわけですから、しかも熱意があるわけですから、例えば民営化になっても、こういう方々の成り立つといいますか、その情熱が生かされるような調整なり見直しなりをしながらやっていっていただきたいなというのが実際の感想であります。
#335
○公述人(斎藤育夫君) 先ほども申し上げましたけれども、本県の場合は非常に県土の面積が広いわけでございまして、やっぱり金融機関の行き届かないところもあるんじゃないかと思うんですね。そういうところでおやりになっておるわけでございますので、何というか、民営化によって、藤原さんおっしゃるように、大改革だと思うんですよ、だから、いろんな問題点は出てくるのは当然かと思いますけれども。特に地域に一緒に暮らしておるわけでございますので、民営化によって、一方的に切り捨てるとか、地域間、地域によっては格差みたいなものが生じてくるというふうなことは、難しい問題だと思いますけれども、何とか御配慮をいただいて、スムーズに民営化にいくように御努力願いたいというふうに考える次第でございます。
 以上です。
#336
○山崎力君 それから、またこれ両公述人にお伺いしなければいけない確認作業なんですが、一番今回の法案で一つ言われている中で、ちょっと実態といいますか、実際の議論と一般の方々との擦れ違いの部分があるんです。これはマスコミの報道の仕方が悪いというわけじゃないんですが、ちょっと誤解を与えるといいますか、我々の中でも若干の問題あるんです。
 それはどういう言葉かというと、民業圧迫という、イコールフッティングという言葉の受取方が本当に理解されているのかなというのを、議論している私どもが疑問に思っている言葉があるわけです。
 そういった点で申し上げますと、民営化された後は、これは民間になるわけですから、民業圧迫ということはあり得ないんですね、理論的に。特に金融に関して一〇〇%民営化された、株式が民間に売り出されたと。持ち合いの問題出ていますけれども、これは別の次元で。そうなったときに、民業圧迫というのは考えられない。
 もっと言えば、そういう新たな金融機関というものが、先ほど藤原さんですか、お話がありましたけれども、そういったものが市場に出ることによって、一般の地銀の方が貸し渋っているようなところにもお金を貸すようになるかもしれないと。そうすれば、そこに新たな緊張関係が生まれて、借り手といいますか、そういった方からすれば新たな選択肢が増えると。そこに競争が生まれると。市場原理で、そこでいい影響が出るであろうと。これは簡易保険も似たような考え方ですが、これが基本なんです、この民営化という考え方は。市場の原理で、皆さんそこのところでやりましょうと。
 ただ、これはまた後で申し上げてもいいんですが、民営化の問題、ほかの郵便とかそういった問題とちょっと若干、窓口会社の問題とちょっと違ってきますけれども、その辺のところが非常に誤解といいますか、希望的観測でお考えになっているんじゃないのかなと。理屈を考えていただければ分かるんです。
 ただ、今の郵貯の問題というのは、今は、先ほどもお話ありましたように、国がバックにいると。ここはもうイコールではないと。だから、この十年間掛けてそのバランスを取りながら、国の保護といいますか、バックアップという心理的なものも含めて、それを下げていきながら、その代わり、今までだったら預け入れが一千万で止まっていたのをもう少し増やすとか、あるいは貸出しなんてしてなかったのをだんだん増やしていくとか、少なくとも、民営化が決まって動き出してから十年間で全く同じイコールフッティングにしようと。そうすれば後はもう市場の原理だと。こういうことですから、民業圧迫になるのが心配かということを言われてしまいますと、そのバランスを取りながらやるというところで民業圧迫にならないようにするという意味では正しいんですが、完全に民営化された後は民業圧迫という言葉は理論上あり得ないということをなかなか分かっていただけない部分があるんですが、その辺についてお二人から御意見を伺えたらと思います。
#337
○公述人(藤原誠市君) 民業圧迫という言葉はよく使われるんですが、民間になればもう民業ですから、お互いに民業同士張り合うというのはこれは当然の原理ですが、現在、若干は景気が回復したと。よく景気という言葉を使いますが、私は、日本の場合は景気が良くなった悪くなったというよりも、現在、物すごい過当競争になっているというふうに思うわけですよ。どんな小さい町にも大型店が入ってきたり、いろんなことが現在起きております。そのために今までの町並みが、完全にシャッターを下ろしたり、それから、例えばここもJRの関係の施設なんですが、そういう関連事業にやっぱり国の、どういうことか分かりませんが、ある程度の資金バックがあって、どんどんどんどん民間と競争をするような時代が最近来ているわけですね。
 例えばJRなら、JRは新幹線をやっていればいいんだといっても、そうはいかない。それに関連して、今度はもっと売上げを伸ばすにはホテルをやる、あるいはいろんな名店街をつくる。今、仙台でも盛岡でも、恐らく日本でも珍しいような名店街ができつつありますが、それは一面は非常に結構なことですね。だけれども、他方においては、それができたためにかなりの、要するに民業圧迫というのはそこなんですが、例えば一つが大きくできたために百の人たちが泣いているわけですよ。
 例えば、我々、県産会社とかいろんな特産品の関係の事業もやっているんですが、そういうところが県と一緒になって店を、例えば特産品の業者のために店をつくる、そしてやっていくけれども、その近くで今度はそれよりもでかいJRが自分のところを利用してどんどんそういうものをやる。つい最近、そういうものに圧迫されてもうやめているわけですよ。大きな県の補助も受けてやっているのに駄目になっている。これはもう最近そういうものが非常に顕著になってきていますね。
 ですから、私の申し上げるのは、今の金融とか郵便配達とか小包輸送とか、そういうものの中でやっているうちは、これは金融機関の問題は一つありますが、民間も非常に潤う面があるんではないかと。ただし、大きな力をバックにして、例えば三百四十兆もあるわけですから、利益もやり方によってはどんどん上がるわけですね。それを今までは国債とか何かに向けておったものが、国債だと十年物でも一%ですよね。これを民間に貸すと三%ぐらいに貸せるわけですから、二%仮に経費を掛けても、またそこに何兆円という利益が、二兆円、三兆円という利益が出る。
 人間というのは、金が余ればやっぱりトップは何かそれを使うと。やっぱりホテルを使うとか、今はかんぽなんか撤退していますけれども、改めて町の中へ今度はホテルを出すとかいろんなことをやるようになるのは、この過当競争の中でやっぱり行き過ぎではないかと。そろそろみんなに少しはゆとりを持って仕事を、希望のある、将来に希望を持てるような仕事をするには、やっぱりそういう過当競争の連続ではもうあきらめてしまうんですよね、事業家は。
 だから、JRにしても郵政公社にしても、そういうことが将来ないようなある程度の歯止めを掛けなければいかぬのではないかと。みんなが本当に夢を持って平和を楽しんで、競争して働く者にもそういう歯止めは必要じゃないかというふうに思います。
#338
○公述人(斎藤育夫君) 先ほどお話ししましたように、民営化についてはいいと思うんですけれども、大き過ぎるんですな、簡単に言えば。ですから、そんな巨大な世界一の銀行を何で今つくらなくちゃいけないかということだと思うんですよ。
 ただ、民営化はやっぱりした方がいいと思うんで、もう少し、先ほども言いましたが、地域で、地域ごとに分割するとかですね、そして民営化後も適正な競争でもってやれるような民営化でなくちゃいかぬじゃないかということを申し上げておるわけです。民営化すればよいということではないと思うんですね。民営化して大きいのをどんと押し付ければ小さいものたちは困るということですから、そうなるんであれば、もう初めからそんなことは考えないで今までどおりやっていただきたいと、こういうことになろうかと思いますが。
#339
○山崎力君 何かやぶ蛇の質問をしちゃったようで恐縮ですが。その地域分割とかいろいろ案があるということは全部ひっくるめた上で、今最終的な局面に入っているということだけは御理解いただきたいと思いますが、それでは、坂下、阿部両公述人にお伺いしたいと思います。
 現場で働いていて、端的に一言ずつで結構です。いわゆる今回の問題というのは、郵便事業はユニバーサルサービスしなきゃいかぬと、だけれども、金融の方はほかで金融サービスをやっているんだから、これは別にそこまで義務付けてやる必要はないと、これが基本的な考え方なんですが、さはさりとて郵便をユニバーサルサービスで維持するためには、現状は、特に地方においてはそのいわゆる上がりといいますか、稼ぎをやるためにも、それから地域のニーズからでも、金融というもののサービスがなければ郵便のユニバーサルサービスも成り立たないんではないかと。
 だから、どうやったらそこのところを今度民営化してもうまくやっていくかという考え方から、今、一般の方にはなかなか分かりづらい複雑な仕組みの中で維持していこうというのが、大ざっぱに言えば今回の郵政の民営化法案の考え方だと思うんですが、そのことについて、それぞれやはり金融がなければ地方の簡易局、集配の特定局というのは成り立たないんだと、そして地域のニーズにも応じられないんだということを確信を持って言えるかどうか、それぞれ一言で結構ですから教えていただきたいと思いますが。
#340
○公述人(坂下尚登君) そうですね、例えば郵便だけの仕事というのは、例えば今郵政の場合は、ゆうパック、EXPACKを郵便局以外の取扱所、販売店とか取扱所で扱っているわけですよね。それはまあそれでいいわけですけれども、郵便局というやはり名前が付いている以上、今までの経過もあるわけですから、やはり年金を払い戻したいとか、やはり簡易保険に入っている方が例えばいろんな満期を取るとか、加入するとかということになれば、もうこれは絶対なくされないものですよね。
 考え方は、先ほど、私ちょっと簡易郵便局の話をしましたけれども、そもそも郵便局と簡易郵便局の仕組みというのが全く違いますし、簡易局側からしますと、もうこれ郵便だけということは、簡易局を、郵便だけの仕事をいただいて、三事業分ぐらいの今程度の手当が出してくれるんであればそれは可能かもしれませんけれども、現実的には今郵便というのは額的にもまあ黒字部分というのはかなり低いわけでして、三事業一体でならしてやっているというのが現実です。簡易局もそれと同じような形で、郵便というのは、まあこんなことを言ってはなんですけれども、本当に手数料というのは少ないんです。とてもじゃないけれども経営していけません。
 ですから、我々受託者側からしますと、貯金と保険がなければこれはもう全然、スタート時点何もないということになろうかと思います。
#341
○公述人(阿部美憲君) 先ほどお話ししたとおりなんですが、利用されるお客様が子供からお年寄りまで幅広く御利用いただいているという点がまず一つです。例えば、貯金の窓口に関していえば、銀行は三時で閉めますが、特定郵便局の場合は四時までやっています。今もっと長いところでいうと、盛岡中央郵便局は六時まで窓口が開いています。ふだん仕事をしていて窓口を利用できない方々にも広く使っていただくようにそういう配慮になっているんだと思うんですが、だれでも公平に使える施設になっているというのが郵便局なんじゃないかなと思います。
 簡易保険についても同様です。
 そんな感じでお願いします。
#342
○山崎力君 どうもありがとうございました。
#343
○平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。
 今日は四人の公述人の皆様方、どうもありがとうございます。また、地方公聴会、本県岩手県で開催されますことを、委員各位に改めてこの場をおかりしまして御礼を申し上げたいと思います。
 まず最初に、藤原公述人にお伺いしたいと思います。
 先ほどのお話を聞いておりまして、今の現状認識というのは私どもとかなり共通するところがあるんではないかというふうに思いました。今回の郵政民営化法案では、いわゆる郵便局会社というのができます。これは約二万五千の郵便局のネットワークをまず維持しなさいという基本的にその義務が出てきます。じゃ、その義務をどうやってやるかということについては、はっきりしているのは、郵便局会社というのが今度できまして、そこから郵便の委託が、まず委託料が入る。それから、あと、郵便貯金、保険会社というのはこれは独立しますから、それらと業務契約をして、これは委託料が入るんですが、これはどの程度入るかこれは分かりません、これは義務付けされていませんから。
 しかし、その一方で、郵便局ネットワークというのの維持を義務付けられていて、そういう委託料でしっかり維持しなさいという義務が出てきます。じゃ、ひょっとしてその委託料だけで不安だなということだから、今回の法案ではそれ以外に何でもできると、極論をすれば。コンビニ経営してもいいですよ、いろんな仕事やってもいいですよと。そういう仕事をやって郵便局会社は利益を出して、かつ郵便局ネットワークを維持しなさいという、こういうことを言われるわけです。
 そうしますと、郵便局会社がしっかり仕事をすれば、多分それは将来的にもそのネットワークというのは維持されると思います。しかし、同時に、例えばその郵便貯金会社あるいは保険会社が、やっぱりそれだけの今のネットワーク、そんな数要らないと、もうちょっと少なくていいよと、だから委託料少ししか払いませんということも、これは可能性としてあるわけです。じゃその分を、じゃ郵便局会社、私らネットワーク維持しなきゃならないからコンビニやって頑張りましょうとかという、そういう形になってくる可能性があるんですね。
 そういうときに、一点目の御質問は、そういう郵便局会社が今こういう経済状況の中で、いわゆる今までやったことのない他業の進出という可能性がどの程度あるかということについて、公述人の率直な御意見をちょっとお聞かせいただきたいなというふうに思います。
#344
○公述人(藤原誠市君) 今のお話はさっきの民業圧迫ということとも多少関連があるんですが、いずれ今の仕事はかなり、例えばここにお二人いらっしゃいますが、厳しくなる可能性はありますね。スリム化をしなきゃいかぬとか、あるいはいろいろな、今の長所短所があるでしょうから、民業圧迫の前に自分の懐勘定をもう一回見直さなきゃいけないと、人数も減らさなきゃいかぬとか、いろんな問題が一つ出てくると思いますね。もう一つは、減らさないならば何かやらなきゃいけないと。人件費を確保するためにもっと仕事を、多角経営を、まあはっきり言えば多角経営をしなきゃいけないと。そのためには、コンビニも出し、場合によってはスーパーもやる、大型店もやるかもしれませんね。
 ですから、私が一番心配しているのは、とにかく元が大きいですから、何か意思決定されれば、例えば我々だったら百万円なら百万円は百万円で計算するんですが、やっぱり片っ方は一億円とか十億円で計算すると思うんですよ。我々が百万円投資するのには、こういうことをしなきゃいかぬという非常に慎重にやるんですが、大きくなれば百万、二百万というのは全然金額に入らないような、非常に考え方が違った、はっきり言えばその辺の虫と猛獣ぐらいの力の違いが出てしまうんですよね。いずれ、ここ十年でそういうことがもし民営化されれば起きると。これは、とにかく過当競争を一段と刺激して、さっきも言ったように新たな不況を招くと、非常に失業者が出たり、いろんな問題ができるということを私は心配しておるわけですよ。
 ちょっと申し上げますけれども、この前、結果的に今大問題になっているダイエーが盛岡に進出したころは大型店規制法がありまして、そういったもので、我々が実際に大型店委員長とか何かを引き受けてやったんですが、中内さんがわざわざ私のところへ来て、そんなに半分とか何かはやめてくれと、全部認めてくれと来たことがあるんですよ。まさかあんな駄目になるとは思わなかったが、そのとき私は、生意気だったけれども、もう半分で我慢しなさいと、実際には七割ぐらいで話合い付けたんですがね。そのときに言ったのは、あなたはとにかく事業を一生懸命伸ばしたいのは分かるけれども、日本じゅう無産党が増えるぞと私は言ったことがあるんですよ。本人が今、無産党かどうかは分かりませんが、とにかく、あんたがそんなどんどんどんどん安い物を売って物すごい力で全国を制覇すると、恐らく日本は無産党が増えるという言い方をしたことがあります、正直言って。
 そういうようなことを今も私は考えているんですよ。必ず起きると。大きなものが勢力を伸ばしてきたら必ず起きるから、ここで歯止めを、例えばこういうことには手を出さないというような歯止めを掛けないと、そうじゃなくても結構もうかりますから、この郵政民営化をやってもうかるんですから、もうかったお金は例えば商工会議所に大型店問題に使うとか何かというふうにやってもらいたいんだね、我々とすれば。
 まず、以上です。
#345
○平野達男君 どうもありがとうございました。
 坂下公述人にお伺いします。
 公社化になって仕事の内容がどのように変わったか。それからあと、内容というよりも、仕事をやられて意識がどのように変わられたかという問いに置き換えたいと思います。それからあと、率直に言って、その地域の方々の公社化になった後の評価がどのように変わったのかということを端的にちょっと御紹介いただきたいと思うんですが。
#346
○公述人(坂下尚登君) そうですね、やはりこれまで、私は郵政省時代に今の簡易郵便局を受託しまして、そして郵政事業庁、そして今の公社ということで来たわけですけれども、もちろんこの郵政公社がどうしてできたかということを、やはり我々も、簡易郵便局という一番下の段階になるわけですけれども、先ほどもちょっと出ました行革法の関係で公社がスタートしたわけですけれども、やはり赤字を解消して、そして我々の手でこの公社を何とか立て直しながらやっていくんだということを本当に簡易郵便局一人一人がそういうふうな気持ちを抱いていると思います、現在は特に。
 それで、また、いろいろなことも、例えばこんなことは内輪のことですけれども、ゆうパックであれば、ターゲット10ということで一〇%の推進を今やっているわけですけれども、今は簡易局も一緒になって、それに。簡易局というのは目標値というのは本来ないわけですけれども、我々として自主的な目標をそこに、少しでも手伝えれるように、簡易局、全国四千五百局が今一丸となって取り組んでおります。
 また、変化ですけれども、お客様からの変化というのは、もちろんこれは、簡易局よりも、私たちはもう既に、何といいますか、民間人が事務を委託されていることで、まあ民間人ということでお客様も見ております。やはり近くの集配してくださいます、私のところでしたら久慈郵便局とか、そういうふうな郵便局の配達さんの態度がすごく良くなったとか、窓口の対応が全く違うとか、もちろん、ここはいつ来てもいい簡易局だなとは言ってくれますけれども、本当にそういう形でお客様からの評価というのはいい答えをいただいております。そう思っております。
#347
○平野達男君 ありがとうございます。
 斎藤公述人にお伺いします。
 斎藤公述人は、岩手銀行の頭取もやられまして、先ほどの発言は金融という観点からいろいろ発言がございまして、そのとらえている問題意識も実は私どもの問題意識とかなり同じだなという意識を持ちました。
 それで、質問は、かつて民間の金融機関というのはひとしく、かつてというのは二十年とかそれぐらいの前の話だというふうに考えていただきたいんですが、やっぱり郵便貯金、簡易保険というのは、民営化というのはやっぱり昔からあったと思います。その当時の民営化というのは、資金需要が民間にたくさんある、資金需要が民間にありながら、郵便局がどんどんお金を貯金で持っていく、民間に来れば要するに資金重要があるからどんどん貸して仕事ができるのに何だという感じだったと思うんです。ところが、今回の民営化では、都市銀行の方は賛成していますね、何となく。しかし、地銀協の会長さんは、斎藤公述人と似たようなあるいは全く同じ感想も述べて、今回の民営化に関してはどちらかというと懐疑的なスタンスを取っておられます。
 その背景は何かといいますと、先ほどこれは藤原公述人も言われましたけれども、今、資金需要ないじゃないかと、そういうときに三百四十兆、民営化したら今やる仕事のやつを食われるだけで、これは大変なことになってしまうんじゃないかということがあるのが一つと、それから私は、メガバンクは、やっぱり二万五千のネットワーク、全部が全部とは言いませんけれども、相当程度やっぱり魅力だと思っていると思っています。それは何でかといいますと、都市銀行というのは、本店、支店の数というのはせいぜい二千とかそんなもんです。これを例えば業務委託契約で全国の市町村とかなんかにある、過疎のところまで私は行かないと思いますけれども、市町村なんかにある郵便局に業務委託しますとこれは大変なビジネスチャンスになってきます。そういった意味で、メガバンクの方、都市銀行の方は、これは賛成してるんじゃないかというふうに私は思ってるんですが、斎藤公述人は、私が今言ったことに関しましてどのような感想をお持ちでしょうか。
#348
○公述人(斎藤育夫君) 確かにおっしゃることは考えられると思うんですね。メガバンクとすれば、地方については余り進出できないというか、支配できないということでしょうから、やはり郵便局と組んでやるということは一つのやっぱり考え方じゃないかなというふうに考えております。
 その証拠かどうか分かりませんけれども、既に、すぐ最近ですけれども、三井住友銀行が盛岡に店を出したんですね、今まで見向きもしなかったんですけれども。あと一つ二つ、都市銀行が出てくると。仙台支店の出張所みたいなものですけれども。そういうことは何を考えているか。やはり我々のお客さんとバッティングするということなのかもしれませんけれども、そういう感じはあるかと思います。
#349
○平野達男君 私はもう全くそのとおりだと思ってまして、これはもう悪くしますと、先ほど民業圧迫という言葉は当たらないんだよというお話がございましたけれども、言葉遊びをするつもりはありませんが、恐らく地方の銀行、いわゆる第二地銀、あるいは地方銀行、それから信金、信組、農協、かなりの脅威になってくるんではないかというふうな私は危機感を持っています。
 それからもう一つ、我が党のスタンスをちょっと申し上げさせていただきますと、三百四十兆はまず、タイミングとしては、今まず、今放出する時期じゃないと。それからもう一つは、仮に民営化するとしても順序があるんじゃないかと。その一点目は、私はもう財政再建が先だと思ってるんですが。それからもう一つは、郵便銀行でいえば二百四十兆、これを一気にやるというのは、これはとても市場の今の経済の中では、どんなに景気がいい状態でももたないだろうということで、まずは適正規模にやったらどうかということで、規模の縮小を今提唱しているわけです。それが我が方のスタンスだと、我々民主党・新緑風会のスタンスだということをちょっと申し上げておきたいと思います。
 それから、阿部公述人にお伺いします。
 確かに、民営化された場合に、いろんな今まで仕事をやられてきて、将来の不安等々はあるんだろうと思うんです。しかし、その一方で、大いに仕事をすればそれだけ業績が上がるじゃないか、ビジネスチャンス広がるじゃないか、何でそれにチャレンジしないんだというような声もやっぱり一方にあることも事実なんですね。そういう声に対して、私は、これは、郵便局の仕事のパブリックという役割の側面から、私自身なりにいろいろ反論もしたりしているんですが、ちょっと質問が抽象的になっているかもしれませんが、阿部公述人は、そういう問いを掛けられたときに、問い掛けられたときにどのように答えておられるでしょうか。
#350
○公述人(阿部美憲君) かなり難しい質問だと思うんですが、うちの郵便局は先ほど言ったとおり五名の職員で運営しているわけですけれども、私も含めて一人で郵便、それから貯金、保険、三事業をすべて一人でというか、全部知識を得ながらやっているわけです。今は無集配特定郵便局は確かに窓口が分かれていますが、それぞれの窓口ですべて一気に引き受けるということもあります。
 そういう中で、確かにビジネスチャンスということであるかもしれませんが、ここにさらに委託業務が入ってというようなのを考えると、かなり頭の中が一杯一杯になって、仕事が果たしてうまくできるのかという不安はあります。
#351
○平野達男君 よく分かりました。どうもありがとうございます。
 そろそろ時間がなくなってきたんですけれども、今いずれ、私なんかが個人的に言うと、今回の民営化法案の中での問題というのはやっぱり二つありまして、一つは、おらほの郵便局、なんじょなるなべなという、公用語で言えば、私たちの郵便局はどうなるんだろうかという、そのことが疑問と、あと、先ほど来斎藤公述人が言ったような金融面の問題の二つだと思っています。岩手県はこれから市町村合併が進みます。市町村もこれからいろいろリストラが進んでいく段階の中で、パブリックサービスというような仕事、サポート役としてのその郵便局というものの役割というのはやっぱり非常に大きいんだろうと思うんですね。
 最後に一点だけ藤原公述人にお伺いしますけれども、民営化会社で、国からこれだけのネットワークを維持しなさいと、だけどそれを維持するための資金は自分で稼ぎなさいと。これは民営化会社と言えるのかどうかということについてだけ、ちょっと御感想を一言でいいですからお伺いしておきたいと思います。
#352
○公述人(藤原誠市君) 私も詳しいことはよく分かりませんが、いずれ四つに分割して、特に金融会社というものが新たにできるということですか。金融会社は金融会社で一つできるわけですね。そのことですか。それがもうけろということを言っているということですか。
#353
○平野達男君 今度は分かれて郵便局会社というのができまして、それが今の郵便局の職員あるいはそこにあるいろんな建物なんかも全部管理をするという会社になるんだろうと思うんです。で、そのネットワークというのは、これは基本的に法律でそれを維持しなさいということが義務付けられます。ところが、その維持するための資金というのは、先ほど来私が言ったように、法的に郵便事業みたいに委託料が入ってくるのもあるんですが、ほかは基本的に自助努力という建前なんです。これが、こういうものが民間会社と言えるのかどうかという素朴な疑問なんですが。
#354
○公述人(藤原誠市君) 郵便会社というものがいろんなことを委託するわけですね。今度、委託業になるわけですか、例えばお金を貸すことも、手数料もそこから入ると。いろんなことをやるんじゃないかと思うんですが、もし黒字であればこれは何も問題ないでしょうね。ただし、場合によっては赤字になる場合もある。手数料が余り入らない、あるいは何か維持管理費が掛かり過ぎるというような問題には、やっぱり赤字が続けば補てんをしてでもやるのか、それとも補てんは民間だからもうできないというものなのか。補てんしなきゃやっていけないところが必ず、この二万五千なり三万なりの組織の中では必ず起きると思いますね。もうかるところともうからないところ、これはやっぱりいろんな条件がありますから、地方とか中央とかで違いますから。そうなると、民間と言えるのかどうかというと、民間ならもうつぶれますよ。民間でなければ何とか補助金というのがありますけれども、補助金もないわけですから。つぶれるのを助けていくのが民間かというと、これは違いますね。やっぱりそういうふうな考え方は良くないっていうか、そう思いますね、はい。
#355
○平野達男君 どうもありがとうございました。
#356
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今日は大変に、四人の公述人の皆様にはお忙しいところ誠にありがとうございました。
 まず始めに、先ほど坂下さん、また阿部さんの方から現場で働いている方々の大変な御苦労のお話がございまして、もちろん公社化する前から、また公社化してからも大変な御尽力、御努力をされて、地域に密着したいろんなサービスを、また情報拠点としても大変に貴重な存在になっておられるということがよく分かりました。
 また、昨日は県内の二つの郵便局の方にもお邪魔させていただきまして、今現存しておりますこの全国津々浦々にある郵便局のネットワークがいかに貴重な国民の資産であるか、また地域の人々にとって大事なものであるかということが大変によく理解できたわけでありまして、私としては、今日御質問させていただきますが、こうした貴重な郵便局ネットワークを維持し、また発展をさせていくためにどうすることが大事なのかという問題意識を常に、今日来られている委員の方ももちろん共有して持っているわけでございまして、そうしたいろんな審議の過程で、一つは、それぞれの現場の方々の御苦労の積み上げとして全体の郵政公社の経営がどうなっているのかというお話を私どもも委員会で生田総裁からお聞きすることが度々あるわけであります。
 生田総裁は、現状で確かに去年もおととしも黒字が郵便事業でも出ていると、皆さんが大変に御努力されて経営改革がなされてきているということを御指摘されつつも、この先行きはどうかということにつきましては、経営のトップである生田総裁自らは、このまま行けばやはり経営が先細りになってしまうのではないかということを大変に御懸念をされておられるわけであります。郵便事業が毎年毎年、ゆうパック等でいろいろとやっても二、三%ずつ減っていくと。郵便貯金の方につきましても資金量そのものが漸減、減っていく方向にあると。
 この先細りにある郵政公社の経営をどうしたら立ち直らせるのか。それはすなわち、貴重な国民の資産である郵便局ネットワークをどうしたら維持し発展させていくことができるのかということで、総裁が中立的に御発言されていることは、一つは、今の公社法を抜本的に改正をしてほしい、してほしいというか、する、あるいは民営化、この二つしかないんじゃないかと、こういうふうに総裁がおっしゃっているわけであります。これは結局は、いろいろ違いはもちろんありますけれども、もっといろんな経営の自由度を与えてほしいと、こういうことを総裁はおっしゃっているんだというふうに私は理解しております。
 そうした前提の上でまずお聞きしたいと思いますが、まず初めに坂下公述人、また阿部公述人にお聞きしたいと思います。
 先ほど来ちょっとお話もございますけれども、今皆様が働きになっておられる現場の郵便局の存在意義と今後の郵便局に期待することということにつきまして、現場で働いていらっしゃる、またお客様と接しておられるお二方にそれぞれお聞きしたいと思います。
#357
○公述人(坂下尚登君) 存在、難しい。何と言って申し上げましたらいいでしょうか。
 もちろんこれからも、簡易郵便局も含め全郵便局がもう今まであった我々の財産なわけでございますから、これは一個もなくすわけにはいかないという一つの存在ですね。
 それから、今後の、今、生田総裁からのお話のことちょっと出ましたけれども、このどちらかなのかということだけじゃなくて、やはり根底には全国の地域サービスができる今の状態をやはり第一に、どうしたら残していけるのかということを前提に考えていければ、金融を最初に考えるという、金融と存続ということを一緒に考えているんだとは思うんですけれども、もちろんそうですけれども、それをユニバーサルサービス、地域住民への窓口サービスをなくさないでこの財産を生かして、そしてこれを維持していくために、じゃどういうことが必要かということを逆に発想の中で考えていただくということも一つの考えだと思いますけれども。金融を最初に考えるんじゃなくて、金融も大事ですよ、しかしそれがために、じゃ国民の財産をなくしていいのかと。これはとんでもない過ちになる可能性というのはないんでしょうか。
 以上です。
#358
○公述人(阿部美憲君) 存在意義という話ですが、やっぱり地域の皆さんのためというのがやっぱり一番にあるんだと思います。
 例えばこれからの話なんですが、生田総裁が今お話しされているような何か内容のことをしゃべっているようなことらしいんですが、もしも民営化になった場合に、私どもでいえば多分窓口の会社になるのではないかと思うんですが、今まで公社として経営目標があって、それに対して一生懸命努力して営業等をしているわけですが、今度委託料をもらってやることになると、多分、人の仕事をやるということで責任感がどの程度、職員、私も含めてですが持っていけるのか。そういうことを考えると、気持ちが地域の皆さんのためというよりはもう自分のためというような形になっていくような感じもします。
 今も確かに郵便局一杯あってあれなんですが、距離的にすると何か一・何キロに一軒とかという、一局とかというような話だったような気がしたんですが、やっぱり先ほどからしゃべっているとおり、本当に子供からお年寄りまで幅広く使うということ、使っていただいているということで、もう本当に地域に密着した形になっているというのが今の郵便局であると思いますので、今のまま残れば地域の皆さんにはすごくいいんじゃないかなと考えております。
#359
○西田実仁君 今、阿部公述人の方からも、地域のために大変に御苦労されて、またいろんなお声掛けをしたりして喜ばれているという先ほどのお話もございました。こうした郵便局の役割は大変大きいということはもちろんよく理解しているつもりですが、やはりそれは今みたいに、お立場としては公務員というお立場でございますけれども、そういうやはり公務員というお立場でなければなかなかできないというふうに思われますでしょうか。阿部公述人にお聞きします。
#360
○公述人(阿部美憲君) 難しい質問です。
 公務員でなければできないかと言われれば、どうでしょう。ただ、やっぱり内容によっては公務員でなければできない仕事も取り扱っているのは事実だと思います。そこで、民営化になって公務員ではなくなるということになったときに、今までやってきた仕事に関してはどうなるのかという不安もあります。
#361
○西田実仁君 続きまして、斎藤公述人にお聞きしたいと思います。
 この東北地方というのは大変に地方銀行のパワーが強いところでありますし、地方銀行、昨年の数字ですけれども、地銀の上位三行の残高が郵便貯金よりも五割ぐらい上回っているということでありまして、大変に民間のパワーがあふれる地域であるというふうに認識しておるわけであります。この岩手県においてもその例外にはないわけでありますけれども。
 そういう、これは地域によって随分違うと思います。郵貯の力が非常に強いところと地銀の力がこうやってパワーがあるところと様々だと思いますが、こうしたバックグラウンドの中で、同じ質問になりますが、郵便局に対する、郵便局の役割ですね、存在意義、現状での存在意義と、それからこの郵便局に対して今後期待されることを、商工業者のお立場、また銀行にお勤めになられていたということも含めて斎藤公述人にお聞きしたいと思います。
#362
○公述人(斎藤育夫君) やっぱり、岩手の場合というよりも、山間へき地というか、地方の場合そういう場所が多いと思うんですね。ある程度人が住んでいるというか、人がたくさんいるところならば民間だけでよろしいんじゃないかなと、率直に言って。
 ただ、今までもそうなんですが、地域銀行は地方銀行もあるし、信用金庫もあるし、それから郵便局もあるということで、巨大ではあるけれども、地域に限って言えば一緒にすみ分けしてやっておった感じがするわけですよ。だから、やっぱり民間ができぬ、民間がやりにくいところですね、そこは何とか工夫をして、急にもう郵便局の局舎というか建物要らなくなったからやめたということだと困ると思いますし、そういったようなところを工夫して配慮していただければいいのじゃないかなと思うわけです。都市部の場合は余り問題は、民営化によって余り問題はないと思うんですね。むしろ民間に任せてしまった方がよろしいんじゃないかなと思いますけれども、地方の場合はちょっといろいろ問題あるなという気はしておりますけれども。
#363
○西田実仁君 藤原公述人にお聞きしたいと思いますが、今ある郵便局をなくさないでくれ、すべて残してくれというお声はもうたくさんあるし、我々もそういうお話を今日もお聞きしたわけでありますけれども、先ほど現場の坂下さんやまた阿部さんからもお話ありましたとおり、今既に不採算の地域、当然あるわけですよね。だけど、それを三事業一体で埋め合わせながら全国を維持してきているというスタイルになっているわけです。
 この今ある郵便局すべてをそのまま残していこうということになれば、当然のことながら、それを支えていくための財政的な基盤というのが必要になってくると思いますね。昔、公社化以前は国税というか国が全部見ていた、公社化になりましてからは公社の収益で独立採算でやってきたと。といっても、それぞれ三事業あっても、先ほど来お話あったように、お一人で三役やったりとか、それぞれを分けてやっているというよりも、一体となってその全国の郵便局ネットワークを維持してきた。マクロの数字で言ってしまえば、誠に申し訳ないんですが、やはり郵便事業がなかなか、先ほどもお話、坂下さんからもお話ありましたけれども、郵便事業だけでは手数料を取れないという話ありました。それを郵便貯金やあるいは簡易保険の方で、公社一体として郵便局ネットワークを維持するための財政的基盤がそこに成り立っていたわけだと思うんです。
 今後ですけれども、藤原公述人には今後についてお聞きしたいと思いますが、こうした全国の郵便局ネットワークを維持していくために、その財政的基盤、今後どこに求めていったらいいというふうにお考えになっていますでしょうか。
#364
○公述人(藤原誠市君) 今のいろいろな問題は将来必ず起きる問題であって、必ず黒字、赤字の郵便局ができてしまうと。しかし、全部やめるわけにいかないということになれば、結局、何か中央に大きな組織をつくって、我々は互助会制度というものに実は入っているわけですが、そういうものを、全国組織ができると、そこへ郵便局なら郵便局が積み金をしていくわけですよ。年間どれだけの規模の人はどれだけということを積み金をして、例えばかなりの資金の、まあ一種の基金ですね、そういうものを用意しておかないとこれはやっていけないと思います。そして、何か弱い郵便局ができた場合は、それを発動して近くの郵便局に、まあはっきり言えば買収してもらうと。買収、合併という問題が起きてきますね。そういうような組織をつくって維持していくということは、一つ将来可能だと思いますね。
 その代わり、そういう互助会制度がきちっとできるかどうか。これは、要するに今度の郵政民営化の一つの基本の、何といいますか、契約というのか、基本の一つの条項として最初から入れておかないと、後でできるかどうかは非常に疑問だと思いますが、そういうものが国の方で民営化するときにそこまで考えてやっていけるかどうかということがあると思いますが、やる方法はあると思います。
 以上です。
#365
○西田実仁君 今お話しいただいたことは、正にその地域社会貢献基金として今回の中に、まあその民営化ということを前提にして、その売却収入あるいは配当等、最大二兆までは積み立てていって、それを基金にしてネットワークを維持しようという仕組みを一応つくっているわけですね。これは、民営化を前提とした場合にそういうことが基金を積み立てる原資としてあるわけですけれども、これは今公述人がおっしゃったことに近いと言っていいんでしょうか。
#366
○公述人(藤原誠市君) ただ、私から言わせると、それは邪道だと思いますよ。一応基金はその相互扶助の例えば組合のようなものですから、そっちの人たちがみんなでやっぱり積み立てていくということでなければ、民営化、本当の民営化とは言えないんじゃないですか。絶えず国がバックにいて、お金を出したから文句を言うというふうな、まあ、ある時期まではやむを得ないとしても、結局はそういうことはやめていかないと、どうも私とすれば、おんぶにだっこみたいなことをやっていくと民営化にならないんじゃないかという気はいたします。
#367
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 今、官から民へというのがともかくいいんだと、官から民はともかくいいんだというのが、マスコミの責任が大きいと思うんですけれども、日本じゅうに今蔓延しているというふうに思います。本当にいい民営化もあれば、そうでないものもあるというふうによく見極めなきゃいけない中で、とにかく訳の分からない官から民へという言葉だけが先行して、この郵政の民営化議論が進んでいるところですけれども。
 藤原参考人は先ほど、郵貯、簡保の資金三百四十兆円が民間に流れれば、本当に民間に流れれば、経済が活性化するといいますか、中小企業も有り難いというふうなことをおっしゃっておりましたけれども、これは国会で、特に参議院に来て、流れないと、そういう経済の活性化には流れないということが、これは自民党から民主党から皆さんの議員の質問で明らかになっております。そういう答弁も竹中さん含めてされております。
 つまり、まあ資金というのは、簡単な話、需要のあるところに流れるわけで、今、国が物すごく需要があるわけですね、国債の。だから、そちらへ流れていると。民間に流れるためには、やっぱり景気が良くなって民間に資金需要が生まれない限り、お金というのは需要のあるところへ流れるわけですからね。そういう点で、細かい話とか専門的なことを抜けば、簡単に言えば、流れないということが国会で、特に参議院ではそういうことが明らかになってきているところです。
 そういうふうなことを、まだまだそうはいっても誤解があるわけですね。参議院の審議がなかなかマスコミもきちっと伝えないということもありまして、国民の中にはまだ流れるのかなと、何か経済の活性化につながるのかなと誤解がまだあるわけですが、そういう三百四十兆円の資金が民間へ流れないとしても、流れないとしたらどうなんでしょう。藤原参考人、先ほど一応賛成だけどという話がありましたけれども、それでも賛成というふうな理由が出てくるんでしょうか、地域の経済界として。
#368
○公述人(藤原誠市君) まあ、私は竹中さんを信用していませんから、だからそういうことはないと思いますよ。どこかで必ず流さなければならない時期が来るというふうに思います。
 三百四十兆円を全部今までのように国債に向けるとか、道路公団とか何か、そっちの方へ向けるようにならない。だって、金利が違うんだもの。国債はせいぜい十年物で一%ですよ。私もこの間、やむなく互助会の方から八億円出して買いましたけれどもね。一%ですよ、十年で。これ、民間で貸したら三%は必ず取れますからね。
 やっぱりあれでしょう、郵便の銀行だって、郵政銀行というんですか、よく分かんないけれども、その銀行だって三%の方に一生懸命ノウハウを勉強してやるんじゃないですか。竹中さんはその前の人で、いずれ辞めるんだ、ね。
#369
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 ちょっと地域経済問題、先にお聞きしたいんで斎藤さんにお聞きいたしますけれども、ちょっと先ほどの中で公社の名誉のために申し上げておきますけれども、猪瀬さんの本というのは大変すばらしい本ですが、幾つか間違いもございます。
 口座、五億以上の口座数というのは、カウントの仕方が違いますんで、郵政公社の場合は証書の数もカウントされますんで、非常に不正確なことが書かれていると。名寄せも公社やっておりますし、名寄せでいきますと、民間の金融機関だって、まともに名寄せができなくて金融庁から今指摘をされているところです。私、ふだん財政金融委員会で、隣の大塚委員とそういう話を取り上げたこともありますけれども、そういう実情ですので、猪瀬さんの本は六割ぐらい読んでいただければと思うところでございます。
 斎藤さんは岩手銀行の頭取も兼ねておられます。
#370
○公述人(斎藤育夫君) いや、もう辞めましたよ。
#371
○大門実紀史君 ごめんなさい、元ですね、元頭取、元やられたわけですね。ですから、この機会に地銀の状況を少し本音も含めてお聞きしたいというふうに思いますけれども、私は、地銀連の言っていることがよく分からないんです。何が言いたいのかよく分からないんですね。最初、先ほどもありました巨大資金だと、だから民営化すべき、あるいは本当は縮小、廃止すべきと言いたかったんでしょうけれども、まずこの時点で分からないんですけれども、郵貯は貸出しをやっておりません。貸出しをやっていない郵貯、簡保の三百四十兆、郵貯の二百二十兆、十兆、二十兆、これは地銀とかにとってどうして民業圧迫、けしからぬ存在になるのか、その辺いかがとらえておられるんでしょうかね。
#372
○公述人(斎藤育夫君) だんだんに自由度が高まってくると思うんですよね、ただ金持っているというわけにいかないでしょうから。民営化すれば貸金も出てくるでしょうし、そういうことを懸念しているということですね。
#373
○大門実紀史君 ですから、まず最初の段階で、民営化する前の話として縮小、廃止しろと地銀連が言われていたわけですけれども、どうして言わなきゃいけないのかと。貸出しやっていない郵貯ですよね、どうしてそれが縮小、廃止すべきだと思われたんでしょうか。
#374
○公述人(斎藤育夫君) まあ貸出しばかりでもないですけれどもね。いずれは、でもやるんでしょう、いろいろなことを、民営化すればですね。それを懸念しているわけですよ、と思います。
 あと、預金だってそうですからね。銀行の場合は、例えば自助努力でやらなくちゃいけないけれども、設備投資とかあるいはシステム投資ですね、これ大きいんですけれども、そういったようなものを自分でやらなくちゃいけない。だから、金利を高くしろと言われてもなかなか郵便局さんのようにはいかないわけですね。それから、時間、今お話ありましたけれども、時間を三時までだと。今は競争時代ですので四時とか、業務によっては長く、日曜日も土曜日もやっているような業務もございますけれども、いずれ、原則的には長くできない。これはやっぱり人件費をある程度節約しなければやっていけないわけですから。そういったようなことが大企業ですとある程度効率的にやれるということなわけですから、そうしますと、大きな企業がどんと参加してくればかなりそういうことで圧力が掛かると。そういうことじゃないかなと思っておりますけれども。
#375
○大門実紀史君 ですから、民営化しなければいいんじゃないかと思うんですよね。今のままでいてくれれば一番いいんじゃないんですか、地銀としては。
#376
○公述人(斎藤育夫君) でも、やっぱりいろいろ差が、今お話ししたように条件の差がありますから、それをイコールにしてくれということですね。
 例えば、税金は納めてもらいたい、あるいは預金保険料もこれはばかにならない、大変高いですから、これを納めてもらいたい。そういうことを今していないわけですよ。やはり、そういう金融業なりなんなり商売をやるのであれば、やっぱり税金はちゃんと払ってもらわなくちゃいけないし、それから預金保険料なりなんなり払ってもらわなくちゃいけない。そういったようなことで、一緒にしてもらいたいということなんですね、条件を。条件を一緒にするためには民営化が一番良いんじゃないかというふうに考えるわけです。
 ただ民営化すればよいということでもないわけですね、さらに。大きいのがそのまま民営化されたんでは、これもまた困ると。適正規模でもって一緒に、協調すべきは協調し、競争すべきは競争するということでやっていった方が地域の活性化にもつながる、経済発展にもつながるんじゃないかなというように考えておるということです。
#377
○大門実紀史君 私も幾つかの地銀の現頭取さんとお話ししたことありますけれども、もうちょっと本音の話で言えば、郵貯が持っている預金が移ってくれれば有り難いと。だけれども、民営化されたときに民業圧迫になっては困ると。簡単に言えばこういう話じゃないかなと。地銀とか今地域金融機関苦しいですからね。そういうことだというふうに思うんです。ですから、今問題になっている民業圧迫というのは本当に大変な問題ではないかと思いますし、私が思う民業圧迫というのは、かなりビジネスモデルとして出てくるのは地方銀行には厳しいモデルが出てくる可能性があるなと思います。
 今、大手の全国行は郵貯のネットワークに非常に魅力を感じています。今のままのネットワークじゃないですけれども、あの店舗網に対して非常に魅力を感じています。郵貯が民間銀行になった場合、融資能力といいますか審査能力がございません。こんなもの簡単に身に付くわけではありません。そうすると、大手全国行と提携していく可能性があると。たとえ地域分割しても、その分割された郵貯銀行、民間銀行ごとに提携する形が考えられると。地銀にとっては非常にもうひとたまりもないような、大手銀行と民間になった郵貯銀行とのこのタイアップシステムに対抗しなきゃいけないと。大変な事態になるんじゃないかと思いますし、個人の貸出しでいきますと、今大手銀行でさえ個人に対する審査能力が余りありません。どこがやっているかというとクレジット、消費者金融のところが大手銀行の代わりに審査していると。
 つい最近ですけれども、消費者金融業界も郵政の民営化に対して期待をしているというのを表明しているところでございますけれども、個人のローンとかでいくと、これは今度は消費者金融と民間になった郵貯銀行とのタイアップが考えられると。いずれにせよ、地方銀行は、あるいは信金、信組も含めて、危惧されているように大変な事態になるんじゃないかと思います。
 そういう具体的なやっぱり民業圧迫の事態をよくお考えいただきたいし、それであれば、私は元々今のままでいいんじゃないかと、地銀もですね、思われるべきではないかと。これは意見として申し上げておきたいと思います。
 その上で、今回の法案の中身で幾つかお聞きしたいというふうに思いますけれども、坂下さん、簡易郵便局の問題お話しいただきました。今回の法案の利用者側にとっての最大の問題点というのは、郵貯法、簡保法が廃止されると、代わりに民営化法案ということで、この郵貯法、簡保法が廃止されるという意味が非常に大きいというふうに思うわけでございます。つまり、これは全国あまねく小口、個人の預金、そしてだれでも入れる簡易保険、これを保障してきたのが郵貯法、簡保法ですから、これがなくなれば、ただの民間の預金、民間の銀行、民間の預金、民間の保険となると。ここのところが最大の利用者にとっての問題点というか核心だと思います。
 そういう中でどんなことが起こるかというと、民間金融機関では今そういう小口の預金に対してはローコスト化が図られていると。手数料を取ると。できるだけ口座を設けてもらいたくないということをやっております。民間生保は、この前、明治安田生命の問題を私国会で取り上げましたけれども、不払、払わないと、保険金を払わないと。アメリカでは、低所得者に、わっと保険に入れて、訴訟を起こした者だけ払うというようなことをやって大問題になったことがありますけれども、そういう世界に簡保も入っていくと。ここが最大の問題ではないかと。日本がすぐそうなるとは言いませんけれども、そういう流れになっていく、民間の世界に、もうけの、利益が至上主義の世界に入っていくところが一番の問題点だと思います。
 そういう中で簡易郵便局の問題、私も何か所か回ってまいりました。具体的に言うと、今回の法案で一番心配なのは、簡易郵便局が仮にそこに存在しても、おっしゃったとおり金融サービスをやらなくなる、やれなくなる。やれなくなったらその簡易局そのものの存在も危うくなると、こういうことが一番心配されていると思います。
 私聞きたかったことをほとんど坂下さんの方から御意見を言ってもらいましたので、何といいますかね、カルチャーの問題ですけれども、簡易局で個人で委託されて長年やっていらっしゃる女性の簡易局長さんとお話をしました。
 三十年間そこでやってきたと、何が大事だと思いますかって聞いたら、信用ですとおっしゃっていました。つまり、簡易局に年金だとか貯金だとか、いろんなこと相談をされて、地域の方がもう顔も家族も全部知っていると。その中で、いろんな家庭事情が起きると。で、お金の引き出しがあり、いろんなことがあると。それをずっと周りに絶対、近所のそこに住んでいてもほかの人に絶対漏らしちゃいけないといいますかね、守秘義務があると。ちょっと何かうっかりすると、それがもう村じゅう、町じゅうに広がってしまうと。そういうことで三十年間にわたって信用が一番大事でやってきましたと、苦しい中やってこられたという話をお聞きいたしました。
 私は、これはやっぱり、先ほど言われましたけれども、簡易局というのも民間委託じゃないかという話がありますが、やっぱり郵貯法、簡保法の世界で、やはり公的な、公的な使命を担って苦しい中やってこられたと。その中でやっぱり培われてきたもので、これがただの民営化で、民間で仮にちょっと採算が取れるからといってやったからといって、そういうものが確保されるんだろうかと。一番大事な、金融で一番大事な信用というものが確保されるのかと。
 具体的な話はもう坂下さんからございましたので、そういうカルチャーの問題として一番心配するのはそこですけれども、やってこられて、民間の世界に入ってそんなことがやり得るのかどうか、是非御意見を伺いたいと思います。
#378
○公述人(坂下尚登君) 本当に、女性簡易局長が信用ということを述べていただいたということで、私も、私以外にも簡易郵便局をやっている方は多分同じ回答だと思います。
 私が簡易郵便局を受託したのは昭和五十九年、私のおやじがやっていまして、病死して、その後、公募しまして採用されたという形です。当時は、おやじと二人で、私が勉強しながらやってきたわけですけれども、その際に、近くの無集配特定局の方に当時は研修という形で一週間ほど行かせていただきました。その際に、そこの局長さんに言われた言葉が、いや、坂下君、信用をもらうのに十年掛かるから覚悟しなさいと言われました。それは今でもやっぱり、私も簡易局始めてもう二十年過ぎていますけれども、やっぱりそれはいつでも思っています。
 ただ、私には、代行者と、先ほど説明したみたいに代行者が、今日も私こちらの方に来ていますので代行者に頼んでいますけれども、いますけれども、やっぱり局長、受託者が信用をまず得なければ代行者の方はましてや得れないわけですし、ただ、受託者が信用されていれば、代行者は五年とか四年程度で、まず一人でやるよりは全然違うと思いますけれども、そういうふうな信用を得ていくことは可能かと思います。
 また、簡易郵便局というのは、これは特定局も普通郵便局も同じなんですけれども、特に地元にやっぱり密着しているわけですよね。例えば、私の場合は、町内会活動とかそういうふうな、PTA活動とか、何かそういうふうなところもかかわりが出てきますし。ただ、それは人間の関係であって、今年の四月一日からの個人情報保護法等の関係があったり、また新たな問題というのが逆に出てきますけれども、また、これはさておいても、今お話ししたように信用ということであります。
#379
○大門実紀史君 簡易局の問題、先ほど国会で余り取り上げられていないとおっしゃっていましたけれども、参議院では、特に我が党、ずっと取り上げておりますので、是非議事録を見てもらいたいと思います。やっぱり簡易局がポイントだというふうに思っておりますので。
 あと、もう阿部参考人は、先ほどほかの方の質問とダブりますが、要するに、これからますます市町村合併が進む、あるいは金融機関の撤退が進んでいる。こういう中で役場と郵便局とのこの補完関係といいますか、公のいろんな、特に過疎地での連携というか、そういうものが強まっていくときにこういう民営化法案が出されていると。公と公だからできることをやってこられたんじゃないかと、いろんな点で。そういう点が、今度の法案で民と公でもできると竹中さんおっしゃっていますけれども、そんなものではないというふうに思っているところでございます。御意見を参考にして、国会で頑張っていきたいと思いますので、阿部参考人には、もうダブっていますので質問いたしませんけれども、ありがとうございました。
#380
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 昨日から、岩手県内二つの特定郵便局、視察をさせていただきました。過疎地で本当に頑張っておられる皆さんの声を聞かさせていただきました。私、選挙区新潟でございまして、新潟も岩手県同様、過疎地域をたくさん抱える、簡易郵便局をたくさん抱える地域でございまして、私なりに一人で回っておりましたけれども、昨日皆さんと一緒に見させていただいて、改めて今回の郵政民営化法案が過疎地域の、正に簡易郵便局に問題点が集中するわけでございますが、その問題点、改めて痛感をしたところでございます。
 一番最後でありますので、かなりダブるところもありますので、そこは省略させていただきますが、多少まとめ的なことを最初にやらさせていただきたいと思いますが、坂下さん、阿部さん、それぞれ郵便局に現におられて、この法案の問題点、一番ひしひしと感じられておりまして、明確にこの法案の反対という立場を貫いて、前に出されて御発言をされた、こういうふうに思っております。
 斎藤参考人でございますが、冒頭、民営化、基本的に望ましいと、こういうお話から入られたようでございますが、いろいろ質疑等の中で、民営化であっても、地域分割がされていないと。これだと文字どおり民業圧迫ということになって、しかも株の持ち合いということも相まって、これでは大変困るということで、結論的に、現在の民営化関連法案には賛成しかねると、こういう立場を最終的に表明されたというふうに私は思っております。
 冒頭にお話しになられました藤原参考人が、この法案を基本的に評価された上で、なおかつ民業圧迫の点と、それと郵便局ネットワークのところで、とにかく歯止めをしっかり掛けていくということを言わば条件に賛成をされたと、私は四方のお話をそういうふうに受け止めさせていただきました。
 そこで、最初に藤原参考人にお尋ねをいたしますが、私は藤原参考人のお話を今そういうふうに受け止めさせていただきましたけれども、確認の意味で、民業圧迫、この概念についていろいろ議論ありましたけれども、民業圧迫の点と、それと郵便局ネットワークの維持という点で、藤原参考人がどうしてもここだけはこういうふうにきちっとやっぱり歯止めを掛けておいていただきたいと、その歯止めの具体的な中身等ございましたら、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
#381
○公述人(藤原誠市君) 先ほどいろいろ申し上げました中には、どうせ改革をするなら、ただ、改革というものは痛みを必ず伴いますから、何かやっぱり幾つかの歯止めは必要ではないかと。後で、いったん法案が通ればなかなか修正ということは難しいのではないかと。そうすると、法案を通す前に予想される問題をやっぱり改めて指摘をして、皆さんで、参議院なりそういうところで予想してやらなきゃいかぬじゃないかと。それでもまた後で起きる問題は幾つかあると思うが、それはその後にいろいろ考えればいいと。
 ただ、今我々が言っている流れとしては、やっぱりあらゆるところが、例えばJRでも、いろんなところが民営化をして、マイナスももちろんあるけれども、プラスが非常に大きかったというふうなことを考えると、やむを得ないのかと、これは痛みを伴ってもやらなきゃいかぬのかと、その三百四十兆円もあるお金をもっと有効に使うための施策なのかというふうに考えてはいるわけです。
 ただ、はっきり言って、これを最も推奨している首相とか、あるいはそれとくっ付いている竹中さんたちがいろいろとやりたいことを自分の代でやってしまうというふうな性急なところが非常に心配だというふうに思います。いずれはやらなきゃいかぬだろうと、しかしもう少し時間を置いてもいいんではないかというふうなことを私自身は考えております。
 そして、地方の実情を、皆さんもここ何日か見て歩いたと思いますが、みんな一生懸命やっぱり郵便局の人たちはやっておるわけですから、そのこともやっぱり頭に置いて、少なくとも竹中さんと小泉さんは一か月も回って、全国、昔、敗戦のときは天皇陛下も回って歩いたわけですから、そのぐらいのことをやっても遅くはないと思うわけです。
 あとの質問が何だか忘れましたが、以上です。
#382
○近藤正道君 分かりました。藤原参考人も、とにかく今のこの民営化法案の審議の拙速さについてはやっぱり大変問題意識を持っておられるということがよく分かりました。
 この法案の一つの大きなメリットとして、藤原参考人が、三百何十兆円のお金が今度は官から民に流れるということをおっしゃいました。先ほど大門委員の話にもありましたけれども、参議院の審議の中でも、十年後に一割程度が民に流れるかなと、こういうことを竹中大臣おっしゃっておりまして、何か法案が成立すると直ちに官から民に流れるという事実はどうもないようでございますが。
 ただ、官から民に流れたときに、一方で、今公社の場合はかなり地方財政に言わばこのお金が貢献をしていたと。地方債を買ったり、あるいは貸付けをしたり、そういう形がありましたけれども、ここはどうなるのかという問題が一つありますし、もう一つ、果たして官から民に流れたときに地域にそのお金が還元されるのか、地域の中小、そういうところに金が流れるのか。そうではなくて、中央の方にばっかり金が流れていくんではないか、そういうところに歯止めが掛かっておりません。
 逆に、私は、公社のままで地域経済にきちっと金が回っていく、そういう改革を目指すのも一つの方法ではないかと。そういう意味では、公社のままで金の流れを変える、そういうことも考えられなくはないかというふうな考えを持っておるんですが、藤原参考人、いかがでしょうか。
#383
○公述人(藤原誠市君) 明治以後、この地方は一山三文とか、非常に原敬の時代から大変辺地という感じで来たわけですが、多分今度の三百四十兆円も、かなり辺地というところよりも中央に流れる可能性はあると、このお金はですね。しかし、私たちは、各金融機関がやっぱり一生懸命不良債権処理をしたり、大変つい最近まで不良債権で処理に困っておった銀行がようやく立ち直ってきた時期ですよね。ですから、そういう時期に大量のお金が中央に流れ込むのは果たして銀行のためにいいかどうかということもやっぱり考えなきゃいけない。
 また一方では、金を借りるのに困っている人もたくさんいますよ。まあ審査に、今の金融機関というのはもうかなり調査が進んでおって、金を貸したくとも貸せないようなところが非常に多い。しかし、そういう人たちを助けなければ地方は良くなっていかないわけですね、まあ地方でも中央でもそうでしょうが。もう一段下げて、例えばすれすれで貸せない、借りれないでいる人たちを助けるにはこの資金が回れば非常に有り難いというふうには思いますが、果たしてそうなるかどうかという心配があります。
 それから、やっぱり民営化の一番の柱は、何といいますか、旧態依然のものを、とにかく旧態依然という形をなくしたいという小泉総理の考え方、それの最終章だと思いますので、これについて、やっぱり我々がとやかく言ってもなかなか分からない点も多いので、ある程度眺めているわけですが。
 しかし、やっぱり一番大事なのは、国民が平等に生活していける、あるいは仕事をしていけるということに立っての改革でなければいけないというふうに私は思います。地方の人は冷や飯を食って中央の人は白い御飯を食べるということはもうここらでなくしないと、何となくまたその時代に戻っていくような気がします。
 地方は過疎化が進んでおるし、中央はますます人が集まり金が集まる、これはやっぱり考えなきゃいけないなという中で、今もいろんなことを考えているんですが、やっぱり本気になってこの問題を考えたいというふうに私は思います。
#384
○近藤正道君 私は、今回の郵政民営化法案は正に地方切捨ての結果を招来すると、そういうふうに思っておりまして、大変危機感を持っております。ですから、私は反対という立場でございます。
 次に、坂下公述人にお尋ねをいたしますが、今日、本当に説得力のある、過疎の最前線で簡易郵便局を守って奮闘されておられます皆さんの思いを聞かさしていただいて、本当にありがとうございました。
 ただ、先ほども話がありましたように、結局、郵貯法、簡保法、これが廃止になって、そしてここは問題の背景になっておるんですが、政府の方は郵便局の設置基準、各拠点の確保は守ると、そして金融サービスについては必置義務はなくしたけれども、安定的な代理店契約だとか、あるいは基金だとか、あるいは場合によっては株の持ち合いだとか、そういうことをやって、三重、四重に手当てをして、義務化はないけれども、それに匹敵するような対応を取って、迷惑を掛けないように、とりわけ過疎地域には迷惑を掛けないように最善の努力をしますということを国会で繰り返し答弁されておりますが、民営化法案で一番深刻な私は被害を受けられると思われる簡易郵便局を預かる坂下さんとしては、この言わば代替策についてどういうふうな御感想をお持ちでしょうか。
#385
○公述人(坂下尚登君) やはりこれまでは、冒頭でも申し上げましたように、これまでは郵政窓口関係の現在の現法ですよね、それによって簡易郵便局という存在が明確とされているわけですけれども、今お話あったように、政府側の回答では何かの形でということでは私どもも一応は聞いておりますが、やはり弱者でありますので、それが今回の法案も郵政改革もそうなんですけれども、やはり信用できるものがというか、政府を信用しないとかということじゃないんですけれども、やはりきちんとした形として法律の中に、法案の中に例えば入れていただくような、それが全く出てないということがまず一つの不安ですよね。
 それともう一つは、やはり十年、移行期間の経過後につきましては何もないわけですよね。この移行期間の十年間は、最低十年間の間はそういうふうな形でやれるかもしれませんけれども、問題はその後。
 というのは、確かに地域貢献基金というのはありますけれども、先生方ももちろん御承知のとおり、枠が決められているわけで、さらに郵政全体からいきますと、赤字と言われるような特定局も含め、普通局も含め、そういうへき地にあるのは簡易局だけでございませんし、そういうふうなものを数字的に言って一局六百万云々というふうな形で二千局、四千局とかってやっているわけですけれども、簡易郵便局は更にその下に存在しているわけですから、果たして今のそのバランス関係でいったときにこちらの方まで本当にこれがやってくれるのかというふうな心配ですね。それが十年経過後には義務化が外れるわけですから、義務化というか、外れるわけですから、これはもうますます、信用しろといってもなかなか信用、本当に頼っていけるのかという、そういう不安がもう一杯だということですね。
#386
○近藤正道君 もう少し時間がありますので、阿部さんにお尋ねをいたしますが、もうとにかく何でもやれると、郵便局は。その象徴的なケースとして郵便局コンビニ論というものがいろいろ出ておりますが、阿部さん及びその職場の中でいろいろお話をされていると思いますけれども、過疎地域で何でもやれる、コンビニもやれる、こういうことを皆さんどういうふうに受け取っておられるのか。私は非常に、言葉はきついけれども、絵そらごと的な受け止めをしているんですが、阿部さんや阿部さんの仲間の周辺の人たちはどういうふうに受け取っているかということが一つと。
 もう一つは、郵便局は今法律で義務付けられているということを担保に様々な福祉サービスをやっております。これが民営化後どうなるのか。竹中さんは、いやそれは郵便局の一つの武器なんだから、それを使って今度は頑張れというふうな趣旨のことをおっしゃいます。つまり、私はそういう福祉サービスと利潤追求というのは本質的に相入れないところがあると思うんだけれども、しかし、それを両立させて頑張れというふうな話を論議の中で竹中さんやっておられますけれども、皆さんはそれをどういうふうに思われますか。これを最後に聞かさしてください。
#387
○公述人(阿部美憲君) 今回、ただ、過疎化、過疎の地域の方の郵便局の方と打合せをしてきたわけではないので何とも言えないんですが、過疎地域にコンビニがない場所があります。そういうことを考えると、コンビニを果たしてそこでできるのか。逆に言うと、今の特定局というのは金融・郵便関係のコンビニであると考えます。
 あとは、今の後の方の質問なんですが、民になったときに公の部分というのは任せられるのかという不安があります。何か難しい質問でちょっと答えにくいんですが、市町村合併という話も先ほどありましたけれども、それで市町村と協力してやっていくというのだったら分かるんですが、今の状態でですね。これが民になって市町村とやっていくというのは、別に郵便局ではなくてもいいような感じに考えます。
#388
○団長(市川一朗君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。
 皆様には、長時間にわたり、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 これにて参議院郵政民営化に関する特別委員会盛岡地方公聴会を閉会いたします。
 ありがとうございました。
   〔午前十一時三十六分閉会〕
ソース: 国立国会図書館
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