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2005/02/23 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 少子高齢社会に関する調査会 第3号
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2005/02/23 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 少子高齢社会に関する調査会 第3号

#1
第162回国会 少子高齢社会に関する調査会 第3号
平成十七年二月二十三日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     高橋 千秋君     小川 勝也君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         清水嘉与子君
    理 事
                中島 啓雄君
                中原  爽君
                山谷えり子君
                神本美恵子君
                羽田雄一郎君
                山本 香苗君
    委 員
                荒井 広幸君
                岩城 光英君
                狩野  安君
                後藤 博子君
                坂本由紀子君
                関口 昌一君
                小川 勝也君
                岡崎トミ子君
                加藤 敏幸君
                島田智哉子君
                柳澤 光美君
                山本 孝史君
                蓮   舫君
                山本  保君
                小林美恵子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   参考人
       慶應義塾大学商
       学部教授     樋口 美雄君
       全国商工会議所
       女性会連合会副
       会長
       横浜商工会議所
       女性会会長    秋山 桂子君
       NPO法人びー
       のびーの理事長  奥山千鶴子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○少子高齢社会に関する調査
 (「少子高齢社会への対応の在り方について」
 のうち少子化の要因及び社会・経済への影響に
 関する件)
    ─────────────
#2
○会長(清水嘉与子君) ただいまから少子高齢社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、高橋千秋さんが委員を辞任され、その補欠として小川勝也さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(清水嘉与子君) 少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題といたします。
 本日は、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、慶應義塾大学商学部教授樋口美雄さん、全国商工会議所女性会連合会副会長・横浜商工会議所女性会会長秋山桂子さん及びNPO法人びーのびーの理事長奥山千鶴子さんに参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 参考人の方々から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますけれども、まず、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、樋口参考人からお願いいたします。どうぞ。
#4
○参考人(樋口美雄君) 慶應大学の樋口です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の今日お話ししますのは、時間が二十分というふうに限定されておりますので、まず最初にその少子化の要因をどう考えるか、これに対する政府の政策の在り方、そして時間があれば最後に、それが社会にどういうインパクトを与えるかというような結果についてお話をさせていただきたいというふうに思います。
 お手元に資料が配付されておると思いますので、それに沿ってお話をさせていただきます。
 まず、なぜ今、少子化対策といったものが必要であるというふうに考えられてきたんだろうか、あるいはこれまで十分そういった議論がなぜ進んでこなかったんだろうかということについて触れさせていただきたいと思います。
 これはもう申し上げるまでもなく、戦前における産めや増やせやというような嫌なトラウマ的な経験というものを日本はやってまいりました。その結果としまして、政府は家族政策、家族の中での議論については介入するべきではないというような考え方が非常に強かった。これは、それぞれの家族内で議論していくべき問題だというふうに考えられてきたところが多かったんではないかというふうに思います。
 しかし、今、私が考えますのは、なぜこれを考えていく必要があるかというところにつきましては、そのマクロ的な施策あるいは財政的ないろんなバランスの問題、こういったところで問題が起こっているがゆえにこの問題を取り上げるのではなく、むしろ個人の自由、選択といったものがいろんな制約によって制限されてきている。この制約といったものをいかに緩和していくかというような個人のその選択肢といったものの拡大、実現といったものを考えてこういった対策を行っていくべきではないかというふうに思います。
 特に、世代別に希望する子供の数と現実の子供の数、これを比較してみますと、四十代以上の人については、かなり希望の数とその現実、実際に何人持っているかといったところの差は小さいわけでありますが、それ以下の若い人たちになってきますと、希望子供数、これと実際の何人子供を持っているかといったところに大きな乖離がある。でありますので、政策として、本来持ちたくない、子供が欲しくないというふうに思っている人たちに対して政策で持てということではなく、むしろ個々人が希望する子供の数を実現する上で政策的なサポートが必要なんではないかというふうに考えております。
 そういった上で、日本の、では現状、どういうような特徴があるんだろうかということにつきまして、特に国際比較を織り交ぜまして、ほかの国と比較し、日本で一体どういう特徴があるんだろうかということについて御説明したいというふうに思います。
 そこで、まず、皆様に配付しました資料を見ていただきたいんですが、二枚、最初文字がありまして、その後に図が何枚か載っているかと思います。まず、図の一といったものを見ますと、これは横軸の方に、実際に女性が働いている比率がどうであるか、女性の労働力率、これが取ってあります。そして縦軸の方に合計特殊出生率が取ってありまして、ここで注目されますのは、この関係が右下がりの関係がある。すなわち、多くの女性が働いている社会においては出生率が低いというようなことがどうもあったらしいということであります。
 特に注目されますのは、これ、一九八〇年の数字でありまして、今から二十数年前の数字では、国際的に、仕事を取るのか、女性が職場に進出するのかそれとも子供を持つのか、どちらを重視するんだというようなことから、二者択一というようなことでこれが議論されてきた材料になっております。
 ところが、世界的にこの動きといったものが大きく変わってきている。もう一枚めくっていただきますと、図の二というのがございます。これは、同じ指標に基づきまして、二〇〇〇年の数字、二十年後の数字を描いているわけでありますが、明らかに図一と比べましてむしろ右上がりの関係になってきた。右上がりということは、先ほどの八〇年のときには子供を持つのか女性が職場進出するのかというような二者択一の関係であったわけですが、むしろ二〇〇〇年になりますと、女性の多く働いている国の方が出生率も高いというような関係、すなわち両立し得るというような関係が出てきているということであります。
 このプロセスにおきまして、各国、いろんな対策が打たれました。これは国の対策もありますし、企業における対策、あるいは家庭内における男女の役割分担の対策、こういったものが同時に行われるというようなことによってこういう変化があったわけでありますが、これからまず何が言えるのかといいますと、よく、神話に近い状況で、女性が社会進出をするとその分だけ出生率が下がるんだというふうに思われてきた面があるわけでありますが、今、国際的な比較からそれは否定されているというようなことが言えるんではないかというふうに思います。
 では、どのような動きが各国で起こってきたんだろうかというようなことをこの図の三以降で見ております。
 先ほど申し上げましたように、我が国の場合、この少子化対策、家族政策といったものに対して、政府の介入を避けるといったようなところから、十分な対策が打たれてこなかった。その一つの指標としまして、例えばGDPに占めるこの家族政策費、何%支出されているのかというような財政的な面から見ることが可能かというふうに思います。
 これを見ますと、この図の三、いろんな国が書かれてありますが、左の方に日本といったものが丸印で書かれています。これが〇・六%程度だというようなことでありまして、ほかの国と比べてやはりその比率が低いなというのがまず第一に注目されるところであります。この右、横軸の方を見てみますと、ここでは家族政策財政支出、GDPに占める比率というようなことでありますから、これが右に行けば右に行くほど多くの財政支出がこの家族政策に充てられているということになります。しかも縦軸、先ほどと同じような合計特殊出生率でありますから、この関係が右上がりになっているということは、多くの財政支出をこの対策に打っているところではやはり出生率が高いというようなことがまず見られるということであります。
 ほかの国ではどうかということを見てみますと、例えばフランス、ドイツ、こういったところでは、ほぼ公共事業費に匹敵する額がこの少子化対策に使われているということであります。日本では、先ほど〇・六%がこの家族政策費に使われているというふうに申し上げましたが、これは公共事業費に比べれば十分の一以下、一〇%以下だというようなことであります。さらに、デンマーク辺りまで行きますと三・六%というように、非常に多くのお金がここに使われてきている。しかも、ここに出しておりますお金というのは、財政支出というのは、直接、実際に掛かった、財政に支出されている額でありまして、国によってはこのほかに減税という形で税金を、子育てに、免除するというようなことで、ここに入っていない数字もかなり出ているということであります。
 こうなってきますと、やはり財政支出をかなりしていかないとこの少子化対策というものにはならないんだなというのがまず一点確認されるかと思います。
 しかし、では、出せばそれなりの効果があるんだろうかというようなことを考えてみますと、必ずしもこれが十分条件ではない面があります。例えば、今の図の三で見てみますと、この線よりも下の方にある国というのは、同じ財政支出をしても出生率が低いというようなことになるわけでありますが、それはどういう国だろうかということを見ますと、スペイン、イタリア、ギリシャ、この国々、いずれも地中海に位置している国でありまして、そこの文化的な特徴というふうに言われますのは、男女の役割分担がはっきりしている、女性は家庭を守り男性は外で働き稼得してくるというような、そういった文化的特徴がはっきりしている国だということが言えると思います。さらには、日本でも韓国でも、さらに最近議論になっております東アジアの国々におきましても、そういった背景が強い国でありまして、そこでこの出生率の低下といったものが急ピッチで進んでいるということが確認されるだろうということであります。
 もう一枚めくっていただきますと、今度は女性の働きやすさ、それとこの合計特殊出生率の関係を描いたものになっておりますが、ここでは右に行けば行くほど働きやすい環境がいろいろ整備されているということになります。働きやすい環境とは何かといいますと、例えば男女間の賃金格差が小さいとか、あるいは育児支援が十分になされているかとか、あるいは管理職に占める女性の比率がどうなのかというような、こういったいろんな指標を集計しました指標になっているわけでありますが、それが右へ行けば行くほど女性が活躍しているねというようなことで見られるわけであります。これを見てみますと、明らかにこの右上がりのグラフということであります。ということは、やはり女性の活躍している社会の方が出生率が高いというようなことが出てきているわけでありまして、これが先ほど、八〇年代は実は逆だったというようなことでありまして、この二十年間に世界が大きく変わってきたということを物語っているということが言えるんではないでしょうか。
 こうなったときによく経営者の人たちから疑問が出されますのが、女性が働きやすい、例えばいろんな雇用慣行、これを見直すというようなことになりますと、企業の競争力が失われてしまうんではないかというようなことが懸念されます。例えば、今までのような長い残業時間、これをすることができないというようなことになってくれば、企業自身あるいは国全体の競争力の低下を招いてしまうんではないかというようなことが懸念されるということでありますが、私はこれが二番目の神話ではないかというふうに思っております。
 といいますのも、次の図の五というのを見ていただきますと、これ横軸の方は今、図の四で見たものと同じであります。右に行くほど働きやすい環境が整備されている、賃金格差が、男女間の賃金格差が小さいとか、あるいは管理職の女性比率が高いとか、育児休業が整備しているとかというようなことがあるわけでありますが、それが、では国際競争力とどう関係しているのかというものを見ているものであります。これは、下の方がこのランキングとしまして国際競争力の高い、強い国だというふうになっております。逆に上の方がランキングの低い国というようなことになっているわけでありますが、これを見ると、右下がり、すなわち女性の働きやすい環境を整えている国の方が国際競争力が高いというような関係が出てきているということであります。
 これを考えてみますと、先ほど申しました二番目の神話、女性の働きやすい環境を整えていくとその国の経済力が、競争力が落ちてしまうとか企業の競争力が落ちてしまうというのは、どうも神話に近いんじゃないかというようなことが予想されるわけであります。
 実際、これは国際比較であったわけでありますが、国内において、例えば企業別のデータを用いまして、働きやすい、女性の働きやすい環境を整えている企業とその競争力の関係を見てみますと、最近ですと、この国際競争で見たのと同じような関係が出てきている。やはりそれなりに女性の働きやすい環境を整えている企業の方が競争力を高めていくというような経過が日本国内でも出てきているというようなことから、これも両立し得るものであるというようなことでありまして、どちらを取るんだという、女性の働きやすい環境を取るのか国際競争力を取るのかという議論がもはや成り立たなくなってきているというようなことがこれで言えるんではないだろうかというふうに思います。
 以上が国際比較から言えたことであります。
 さらに、では出生率低下要因というものがどのように考えられるんだろうかと。これは日本国内の事情に照らし合わせましていろんな分析した結果、これは私だけの分析ではなく、多くの研究者が分析してきた結果といったものを少し整理してみたい。整理してみますと、どうも八〇年代に言われていた要因と九〇年代に言われるようになった要因、これがかなり変わってきているんじゃないかというふうに予想されます。
 八〇年代、特に八〇年代後半のバブル経済の中で言われましたのは、経済が豊かになった、その結果、親が子供をどんどん支援していくために子供は働く意欲を失っている、さらには、結婚するということによっていろんな責任が発生するわけで、それを回避したいと。親の方がパラサイトシングルというような形でいろんな支援をしているがゆえに結婚しない、少子化が進んでいるんだというようなことが言われてきました。さらには、女性のキャリア志向が強まってきている、その結果、職場に出る女性が増えてくれば出生率が下がってくるんだというようなことが言われてきたかというふうに思います。
 しかし、どうもその傾向といったものが九〇年代には、その影響といったものを否定するものではございませんが、残っているとは思いますが、更に新たな問題というものが出てきているんじゃないかというふうに思います。それはむしろ、経済が豊かになったから少子化が進展しているというよりも、経済成長率がストップし、そしてそれによって特に若者の収入、さらには将来に対する不安、こういったものが高まったことが結婚したくても結婚できない人たちを増やしてしまっているんだというような言い方がなされるようになってきたかと思います。そのことがまた晩婚化につながり出生率を下げているんだというようなことで、よく言われますのがフリーターの問題あるいはニートの問題というようなことが指摘されるようになったかと思います。
 これもまた最後の図の六というのがございますが、これを見ていただきますと、通常、八〇年代言われた、女性のキャリア志向が強まったことが晩婚化を招き出生率を下げているんだというふうに言われてきたわけでありまして、もしそれが本当であれば、学校を卒業してフリーターになっている人と正社員になっている人、その人がその後、結婚する年齢に差があり、どうもフリーターの方が早く結婚して、正社員になっているキャリア女性、キャリアの男性の方が結婚が遅いというようなことが予想されるわけでありますが、そういったことが起こっているんだろうかということを検証した図、それが図の六であります。
 これ、学校を卒業しまして一年後にフリーターであった男性、女性、そして正社員であった男性、女性について、その後、何歳で結婚しているのかというものを見ているものであります。そうしますと、例えば三十歳の時点を見ますと、細い実線、そして太い実線、これはいずれも女性の正社員であった人あるいは男性の正社員であった人を見ているわけでありますが、そちらの方が点線よりも上に来ているということがお分かりになるかと思います。点線の方はフリーターを示しているわけでありますから、どうもフリーターよりもむしろ正社員だった男女の方が早く結婚しているというようなことが見られる。
 これは、九〇年代になって調べてみますとはっきりするようになってきたというようなことでありまして、ここから示唆されることは、女性も働きやすい環境を整えていくというようなことが重要であることは間違いないわけでありますが、それと同時に、経済的な支援、特に将来に対する不安、こういったものを取り除いていくというようなことがここで一つ重要な少子化対策になるんだというようなことが言えるんではないだろうかというふうに思います。
 そういうことを考えてみますと、政策的に今何が求められているんだろうかというような政策面についてお話をしますと、まず若者の雇用不安の解消、これが第一に必要ではないか。
 その中で、特に今フリーター問題という形で触れましたが、同時に起こっていますものが、問題が、労働時間の二極分化が急速に進展してきている。これは、例えばリストラクチャリングという形で従業員の数を減らしました。減らした結果として、今度残った人について、辞めた人は失業問題とかという形でいろんな問題を抱えているわけでありますが、企業に残った人につきましては労働時間がかなり長くなってきている。週六十時間以上働いている人たちの三十代あるいは二十代の人たちの比率が特に急速に上がってきているというようなことでありまして、片方でパートタイマーのような労働時間の短い人が増える一方で、長時間労働者、週に六十時間ということになりますと、所定内労働時間四十時間ですから、残業時間を二十時間以上している。五日間ということで、一日四時間以上残業しているということでありますから、会社が六時に終わっても十時ぐらいまでは平日毎日残っているというような若者が増えてきているということから、この労働時間も含めて対策を考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。
 要は、普通の人が普通に暮らせる状況というものをどう作っていくのかというのがポイントになってくるんではないかというふうに思います。今はそういった意味で、生活のバランスが大きく崩れてきている。片方、パートタイマーで賃金の低い人、片方は長時間労働、仕事の方は安定しているというような人、こういった二極分化という問題が起こってきているわけでありまして、この問題を解決するということが少子化対策にもつながっていくんではないかと思います。
 そしてさらに、最後のところで申し上げたいのは、家族政策費の問題になるわけでありますが、ここでの経済的支援をどう進めていくのか、あるいは保育サービスに対する支援をどう進めていくのか。これ、育児休業手当が現在のところ雇用保険の中から給付されています。それにどうも問題が、私は、限界が発生してきているんじゃないかというようなことで、むしろ一般財源の方から出すべき時期に来ているんじゃないか。特に、少子化対策というようなことで考えるのであれば、雇用保険の趣旨からいってこれには限界があるというようなことでありますので、税金で集めた一般財源の方からやはり支出していくというような仕組みの組み直しといったものが必要になってきているんではないかというふうに思います。
 さらには、減税、タックスクレジット。これは、減税といいますと税金を払っている人の税金をまけますということですが、元々、例えば専業主婦になっている場合には税金払っていない。そうなってきたときに、例えばフランスで昨年から導入されるようになりましたタックスクレジットというようなことで、負の所得税というような形で税金払っていない人たちに対しては逆に助成を行っていく、給付を行っていくというような仕組みというものを考えるということも必要になっているかと思います。特にどのところでやるのか。例えばフランス辺りですと、一人、二人の子供についてはこういった手当というのは必ずしも多くないわけですが、三人目から急激に増加するというような仕組みを取るとかということも行われているということでありました。
 さらに、児童手当の問題、さらには、日本ではシングルマザーというふうに言われています片親に対する支援の在り方をどうするのか。
 最後に申し上げたいのは、保育サービスにつきましてやっぱり多様な選択肢、メニューを用意していくというようなことでありまして、これを必ずしも保育所だけで行うということではなく、時にはベビーシッターも活用できるでしょうし、認定ママというような仕組みも、保育ママという仕組みも考えることができるんじゃないかということで多様なものを用意していく、それを国民の方が選択していくというようなことが必要になってきているんじゃないかというふうに思います。
 最後の五番目のところは、もし後で御質問があればお答えすることにしたいというふうに思います。五番目では、むしろ社会にどういうインパクトをこの少子化がもたらすんだろうか、高齢化がもたらすんだろうかというようなことを書いておりますが、時間の関係で以上で話を終わりにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#5
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、秋山参考人にお願いいたします。秋山参考人。
#6
○参考人(秋山桂子君) 私は、全国商工会議所女性会連合会副会長の秋山でございます。よろしくお願いいたします。
 全国商工会議所女性会連合会は、女性経営者を会員とする各地商工会議所女性会の連合体で、日本商工会議所の定款に位置付けられました全国組織でございます。現在、女性会は北海道から沖縄まで四百四となっております。四百四の女性会に所属する女性経営者の会員総数は約二万七千名でございます。また、会員の企業規模は従業員百名以下の中小企業がほとんどでございます。
 本日は、日本の就労労働人口九三%を占めます中小企業で働く子育て世代の女性従業員の抱えている問題と、彼女たちを雇用する立場の中小企業の経営者が持つ問題と対策についてお話をさせていただこうと思っております。
 昨今、急速な少子高齢化の進む中で、仕事と子育ての両立支援が緊急性の高い重要課題であることから、平成十四年に子育て世代の就業環境に関する調査を行いました。そこで中小企業で働く女性の生の声を集めました。本日お手元にお配りさせていただきました資料がございますので、それをお目通しいただきたく存じます。この調査は、会員の企業の五百七十五社から回答を得たものでございます。
 二ページ目にございますが、回答者の属性は三十代、四十代の方による回答が約八割を占めまして、十五歳以下の子供を持つ方が七割弱でございます。
 三ページ目は質問事項でございます。一番目は仕事と子育ての両立をどのように実現しているか、二番目は仕事と子育ての両立実現について必要なものは何か、三番目は職場内でどのようなサポートを希望するか、この三つの質問に対する全回答の集計をいたしました。
 四ページ目は、末のお子さんが零歳から五歳に該当する者のみの回答を抽出した結果でございます。一番目の質問の仕事と子育ての両立をどのように実現しているかにつきましては、全回答を見ますと、同居の家族らの支援が半数を超えていますが、零歳から五歳児を持つ家庭では約七割が保育施設を利用していると回答しており、保育施設の需要の高さが分かります。
 五ページは、二番目の質問の保育施設・保育サービス利用者の回答を抽出したものでございます。仕事と子育ての両立実現について必要なものとしましては、保育施設の利用時間の延長や休日、一時利用、また子供が病気になったときなど、それから送迎などの保育施設のサービスの拡大を望む声が七割を超えております。保育料や生活費に対する金銭的な補助や減税を望む声も六割を超えております。需要の大きさに比べ施設や施策などの環境整備が不十分であることがうかがえます。
 三番目の質問の職場内でどのようなサポートを希望するかにつきましては、一番多いのが一緒に働く人々の理解、そして二番目に短時間勤務やフレックスタイムなど就業時間に関する配慮、そして出産手当や児童手当などの充実を望む声が多く見られます。
 また、仕事と子育ての両面での苦労、心配な点に関します自由記述の回答を見ますと、子供が病気で学校を休む場合の仕事との兼ね合いや、仕事からの帰宅時間が遅くなることによって子供の生活リズムが変化してしまうことなど、子供の健康管理に関する意見が最も多く見られました。
 このアンケート調査の結果を踏まえまして、全商女性連としましては、平成十四年十月に「仕事と子育ての両立支援の充実を目指して」と題する提言を取りまとめ、政府に提出いたしました。六ページ目でございます。
 この提言では、政府、地方自治体に対して、保育施設の一層の整備、延長保育など保育サービスをより充実させるための措置や支援強化、病気の児童の受入れ体制の強化など、子育て世代の女性が働きやすい条件整備を求めました。また、各地女性会に対しましては、各地域の現状を踏まえて、地方自治体などに対して両立支援策の拡充、推進の要望に努めることや、会員企業の両立支援の活動の一例として、働く女性たちのためのセミナーや講演会などの開催、仕事と子育ての両立を実現するためのノウハウなどについての情報収集の場の提供など、できることから取り組むように求めました。
 この提言は、主に働く側の視点からのものでございます。働く女性の職業生活と家庭生活の両立支援の重要性については広く指摘されていますが、その多くは従業員サイドに対する支援策であり、使用者サイドに対する支援策は必ずしも十分でないように思われます。このことから、昨年十月、各地商工会議所女性会の会員を対象としまして、女性経営者サイドから見て必要と思われる両立支援策についてアンケート調査を実施いたしました。それが九ページでございます。
 その調査結果を見ますと、財団法人二十一世紀職業財団や自治体などが実施する事業主向けの支援策についての認知度は三六%と低く、知っていると回答した者でも活用している者は一四%と少ないのが現状です。こうした制度につきまして、身近な活用事例などを含めて広く周知する必要があると考えております。
 また、経営者サイドから自社の従業員の仕事と子育ての両立を推進しようとする際にどのような配慮、支援などを行うことが効果的かの問いに対しましては、育児休業取得後に復帰しやすい環境の整備が二五%、育児休業取得の奨励、取得しやすい環境の整備が二四%、育児施設の提供若しくは利用に対する補助が一七%と、回答の合計が全体回答の約七割を占めております。
 その実現に関しまして、それぞれ、休業期間中の代替要員の確保が難しい、休業期間中に該当社員の業務を担当していた社員の配置が難しい、施設を自社で設置、提供することは困難との回答が約五割を占めました。
 女性会の会員は中小企業が多いために、従業員に対する環境整備の必要性を感じながらも、環境、経済的な面から対応が難しい現状が見えます。
 また、男性会員も所属しております日本商工会議所の政策委員会におきましても平成十四年から少子高齢化問題に取り組んでおりまして、平成十五年には、少子化問題の対策について、出産・子育てに優しい経済社会の実現に向けた戦略の提言をまとめまして、政府に要望いたしております。
 その内容は、全商女性連が取りまとめました提言と重なる部分は多いのですが、その中で、少子化対策の具体的提言として、子育てと仕事の両立への支援、子供を持つことの経済的負担の軽減、子育て不安の解消などが挙げられております。特に、子育てと仕事の両立の支援につきましては、保育所の整備や充実、幼稚園・保育所制度の一元化の推進、保育士の資質の向上、親が働いている子供の病気への対応の充実などでございます。全商女性連も今後、日本商工会議所と連携を取りながら少子化問題に取り組んでまいります。
 いずれにいたしましても、現状では、働く従業員に対する仕事と子育ての両立支援も、また雇用する側に対する両立支援策も、いずれも十分に実現されている環境にはないと思われます。全商女性連では、この問題に関しまして、平成十七年度から政策委員会を設置し、調査検討を行い、適宜提案を行っていく予定でございます。
 少子高齢化の問題は国の将来を左右する問題であります。子供は社会の宝という共通認識を社会に熟成しつつ、一方、政策として具体的な対策を講じることが必要であります。
 昨年の暮れ、育児・介護休業法が改正され、育児休業期間の延長や対象労働者の拡大、取得期間の緩和などが盛り込まれておりますが、現実には中小企業ではぎりぎりの人員を雇って事業をやっており、一年半も休業されると困ってしまうというのが現状です。余力のある大企業、役所等はできるとしても、中小企業にあっては、女性社員はいづらくなって辞めてしまうのが現状でございます。
 この法改正の目的を実現するためにも、繰り返しになりますが、保育施設や保育サービスの一層の整備と充実、児童手当など経済的な補助、また、幼児だけではなく学童保育の整備など、子育て世代の女性が安心して働きやすい条件整備を早急に進めることが必要です。さらには、従業員のみならず、事業主に対して休業助成金等の更なる見直しや整備をすることによって代替要員が確保しやすくなるなど、女性社員を雇用しやすく、また育児休暇が取りやすく、そしてその後職場に復帰しやすい環境整備が必要と考えております。
 以上、女性の仕事と子育て両立支援に対する全商女性連からの提言について御説明させていただきました。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
#7
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、奥山参考人にお願いいたします。奥山参考人。
#8
○参考人(奥山千鶴子君) それでは、前の方でパワーポイントを使って説明をさせていただきます。お手元にも資料が配られていると思いますので、どちらか見やすい方をごらんください。(資料映写)
 私は、ちょうど、そうですね、八五年に東京である会社に就職しまして十年働きましたけれども、一人目の子供のときに産休、育休を取って、ちょうど制度ができて多分二年目ぐらいだったというふうに思いますけれども、ただ、やはり仕事と子育ての両立がなかなか厳しくて、子供が二歳になったときに専業主婦の道を選んだと。十年働いて育休、産休取って、それで第一子を出産。そのときに、御多分に漏れず、もう三十二だったんですね。その後、三人の子供に恵まれまして、子育てをしながら地域で子育て支援のNPOを立ち上げて五年活動してまいりました。
 その中で、やはり働き方が非常に女性にとって厳しい。それで、家に、地域に帰れば帰ったで支え手がない。そんな中で、子供を育てるということがどんなにやはり今、日本の中で苦しいのか、それをどういうふうに社会にアピールしていったらいいのか、そういう視点でNPO活動をしてまいりました。
 びーのびーのというのは、その名のとおりなんですが、ひっくり返してもらって、親も子も伸び伸び育ちたいという、そういうコンセプトを込めて作りました。駅前商店街の一角にあり、気楽に親子が集える場所、もう一つの家ということで、平成十二年の四月に開設しております。全く、一切補助金等入っておりません。自分たちで立ち上げた場所です。地域の人たちに支えられながら、親も子も伸び伸び育ち合う子育て環境をはぐくみたい、そんな活動です。
 ちょっと映像を見ていただきます。そうですね、その活動の背景なんですけれども、やはり働く親も大変、しかしながら在宅の子育ても大変ということで、育児不安が共働きの親以上に専業主婦層に高いんだというデータが出てきたころから、何か子育てが昔と変わったぞというような意識が生まれてきたんだと思います。いらいらすることが多いというようなデータも二十年前に比べて三倍になっている。
 それから、先ほども夫の不在ということがありました。やはり残業ですね、三十代の方々、十時までするとなりますと、まあ一杯飲んで帰ってくることもあるでしょうけれども、夜中の十一時から翌日の三時までに帰る夫というのが南関東で五人に一人なんですね。よく、家族というか親がしっかりしろと言われるわけですけれども、結局、母親に頑張れと言われているような数字だというふうに理解します。
 それで、今、子供たちがどんなふうに、どこにいるのかということなんですけれども、学校に入る前の子供たちの居場所ということですが、これが三歳児を見ていただきますと、一番濃いブルーが保育所です、次の水色が幼稚園、白い部分が在宅というふうになります。そうしますと、三歳児を見ていただきますと、ちょうど三分の一、三分の一、三分の一。これが、つい二年ぐらい前ですか、保育所利用者の方が幼稚園を上回りました。ある意味では、そういう意味で保育所が大分増えてきたということも実感できる数字にはなっております。
 ただ、一番問題は、ゼロ、一、二のこの白の部分です。いまだに八割ぐらいの方がこの年齢の子供を持つ親は在宅なんですね。この人たちに今までほとんど支援の手がなかったということです。ここのところを、私はやはり自分も子育てが非常につらかったという思いの中で、なぜここでだれも支えてくれないんだろう、夫はパートナーとして支えてくれるんだけれども、やっぱり帰ってこないということで支え手になれないということで、なかなか夫、家族以外に何も社会的な支援がないということに愕然としたというのが思いです。
 ちょっと、映像を余りゆっくり見ていられないんで、こんなお昼なんかも一緒に食べていますけれども、今、お昼を食べるのも親子で孤独なんですね。こういった広場をやっているスタッフが言っていました。子供に御飯を食べさせていると一回は泣きたくなる、一回は投げ出したくなる、一回はひっぱたきたくなる、これが本当に子育ての現状だというふうに思っております。やっぱり楽しく食事はしたいなと思います。こんなふうにみんなで遊んだりもしています。こんな広場です。
 それは、子供と保護者が通う場所、生活の空間であり、何かお勉強するような場所ではないんですね。食う・寝る・遊ぶ、言葉悪いんですけれども、ちっちゃい子はそうですよね。食べること、寝ること、遊ぶことが保障できる空間です。これを常設に近い形で週五日やっております。いつ行ってもいつ帰ってもいい、必ず迎え入れてくれるスタッフがいる、そんな場所です。
 ボランティアが幅広くて、学生から七十代までいろんな世代の方がかかわっている。こんなのは昔要らなかったわけですよね。御近所にいればこういった世間があったんです。だけど今はそれがない。あえて作らなくてはいけない、そういう時代なんだろうというふうに思います。こういったところで言うと、親自身の心の安定、居場所になる。それが、向かっていく先の子供にも反映されてくる。多くの人との関係性の中での子育て、子育ち。親自身もいろんな気付き、成長を得られる。そして、利用者からスタッフへ、そういった循環ができてきています。
 こういった事業が国の国庫補助事業になりまして、この四月からは交付金になりますけれども、つどいの広場事業というのができてまいっております。今、百七十一か所全国にあるんですが、二十一年度の目標として千五百五十五か所というふうに言われております。横浜でも九か所ございます。
 そのつどいの広場の効果なんですけれども、これについて四国学院大学の渡辺先生が調べていただきました。その効果として、ちょっと細かいんですけれども、幾つか、いろんな知識や情報が増えたとか、孤立感を感じることが減ったとか、いろんなことが出てきています。もう一人子供を産もうという気持ちが前よりも強くなったという、ちょっと微妙な質問項目ですけれども、こういったところでも三割の方がというようなことを答えてくださっています。
 それから、利用頻度と精神的な負担の関係だとかいろんなことを調べてくださったんですけれども、そんないろいろな結果の中から、今のとはちょっと直接関係ないんですけれども、行政とうまく連携を持っている広場が利用者に安心感をもたらす傾向があるだとか、頻繁に利用している人ほど孤立感の解消につながっているとか、そういったことが、ストレスの軽減ということが次の出産意欲みたいなものにも一定の効果が認められるとか、そういった研究の結果というのが出てきています。そうですね、あとは、済みません、ちょっと映像で。
 商店街の中にあるので、こういった形で町づくりというか、商店街の活性化というようなことでもこういったNPOが入ってくるというのは非常に意味があるというふうに思っております。これは商店街と一緒にビアガーデン、ジャズライブをやったような、これ、やはり町の拠点として商店街が活性化してくる。こういった商店街を借りての子供たちのフリーマーケット、これも子供たち自身が運営していて、これをサポートしているのは大学生。子供たちの縦の関係作りをしたい、そういう思いです。
 実は、私たちの広場には大学生がたくさんいらっしゃいます。この方たちの力というのは非常に大きいんですね。それで、実は広場から出て、在宅の子育て中の家庭に大学生が育児家庭支援に行くという事業を二年やってまいりました。これが横浜市の共同事業になってこの四月からまた大々的にできるんですけれども、こういったやはり次世代育成といったときに、成人してからではなくて、それよりも前に今の子育て家庭を知る、今どきの子育ての家庭がどんなふうなのか、結婚するってどういうこと、家庭を持つってどういうこと、そういうのを自分の育った環境以外に知っていくというのがとても大事ではないか。十代のベビーシッターが外国にあるのに何で日本にないんだろう。そういういろんな効果が非常に検証されたということで、これをちょっとまた一年モデル的にやっていきたいというふうに思っております。これがそのときの様子なんですけれども、この男性の方とか、すごい上手にかかわってくれました。
 今後の課題ということなんですけれども、ちょっとレジュメの方に戻らせていただきますと、レジュメの二ページ目のところですけれども、「これからの次世代育成に向けて何をすべきかの方向性」ということで、昨年十二月に子ども・子育て応援プランというのができておりますけれども、その項目の中、四つの大きな項目があったというふうに思うんですけれども、若者の自立とたくましい子供の育ちというところで、今申し上げたようなことも含めてなんですけれども、十八になったら若者が自立できる社会へというようなこと。それから、中学校、高校での体験活動。これも、ただ保育所に一日行くというようなことではなくて、じっくり一週間ぐらいかかわるというのが職業体験でも必要なことではないかなというふうに思います。また、先ほども言ったように十代のベビーシッター、これは預かりでなくても育児支援でもいいと思うんですね。家庭に行くということでもいいと思うんですよ。こういったようなことがやはりできたらいいなというのが私の希望です。
 また、仕事と家庭の両立支援と働き方につきましては、今年は、行動計画、三百一人以上に義務付けられたわけですけれども、実際のところどんなプランなのかという中身の検証が今年は非常に重要な年になってくるのかなというふうに思います。
 それから、生命の大切さ、家庭の役割についての理解ということで、やはりこれは本当に実際に乳幼児と触れ合うところから命というものを感じてもらいたいなというふうに思います。
 それと、子育ての新たな支え合いと連帯というところで、こういった私たちがやっているような子育ての拠点作り、人、物、情報が蓄積されてくるんですね。地域の中でやっていくしかないなというふうに思っております。
 それと、先ほどから保育サービスのことが出ておりますけれども、次のページ、三ページになりますが、やはり保育サービスと育児休業の整合性といったものも大事じゃないかなというふうに思います。例えば、フランスなんかですと保育サービスも育児休業もどちらも充実していて、どちらを選択してもいいわけですよね。どちらかを選択したらお金がもらえないとかそういうことではない、どちらも選択できる社会。それと、スウェーデンなんかは逆にゼロ歳児は手厚い育休が付いていてほとんど在宅で、二歳になると逆に八割の人が保育所に行っているというように、一斉に休んで一斉に復活するというような、何かそういったようなやはりことというのが、どうも日本の場合はどれもこれも短いというか中途半端というか、この辺のきちんとした何かコンセンサスを得た上で何か手当てを付けていくということが必要じゃないか、方向性をまず定めていくことが大事ではないかというふうに思います。
 このプランに少し足りない視点があるとすれば、これは一体どこが責任を持って推進するのだろうか。本当に真剣に取り組もうと思ったら、もう本当、首相直轄のようなプロジェクト、こういったものができなければ推進できないのではないか。あと、非常に、やはり働き方も含めて、都市部がちょっと中心的なプランではないか、地方と都市部では大分状況が違うんではないかなというようなこと。それから、やはり大きい意味で言うと、財源に踏み込んでないんではないかというところで、こういったところに今後一層充実したプランになるように期待しております。
 「今後の課題」というところで、社会保障制度の一体的な見直しの中でどこまで踏み込んでいただけるのか。
 それから、やっぱり来なかった第三次ベビーブームですよね。今ないということは、もうどんどん下がるしかないという、これはすごいことじゃないかなというふうに思います。
 それから、成熟した社会。樋口先生が一番初めに、個々人が選択できる、多様性を認められる社会になるのかなというお話をされました。本当に私もそうだなというふうに思うんですけれども、どれだけ市民が自立して自分たちのものとしてこのことを考えていけるのか。それから、子供が減る、人口が減るということは、今サステイナブルという言葉がはやりでしょうけれども、継続可能な地域作りを、作るということは、子供を大事にしなくちゃいけない、草の根からこういった活動を作っていかなくちゃいけない。それから、やはり子育て家庭の現状を知っていただきたいというようなこと。
 それと、レジュメの方にもちょっと書きましたけれども、幼児虐待というのは、本当にそこにある危機なんですよね。子育て中の親が一度は本当に子供を投げ出したくなるって思うぐらい支えられ感のない社会です。そこのところを、親が悪い、今どきの親が悪いという言葉からは何も生まれてこないというふうに思っております。
 日本には、やはり親が親として育つための支援、そういったものがないのではないかというふうに思います。やはり、黙っていれば子供が育つような子供集団というのがないんです。もう小学校に入るまで、近くの公園で子供に遊んできておいでって言えないんです。二十四時間子供と一緒にいなければ危険で目が離せない、そういう社会の中で、やはりいろいろ周りに文句言われるんだったら家の中にいてじっとしていた方がいい、外に出たら迷惑掛けるというような視線で見られてしまう、そういう閉鎖性というのがやっぱり今あるのではないかなというふうに思っています。
 最後に言いたいのは、支えられ感がある親は必ず地域に社会貢献できる親になっていくということです。ですから是非、今欠けている親が育つそのための支援、それは私は、今のところ、そういった地域に多くの拠点を作っていくことだというふうに思っていますけれども、そういった場所を拠点に、子育てしやすい社会、そういったものを地域に作っていきたい、そういうふうに思っております。
 ありがとうございました。
#9
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどとさせていただきます。
 なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
 また、多くの方が御発言できますよう、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べいただきますようにお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。
 中原爽さん。
#10
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 樋口先生にお尋ねしようと思います。
 先生御提示いただきました表、図の六でありますけれども、有配偶率の関係ですが、正規に雇用された男性とフリーターの男性との比較は前もっていただきました資料にも載っておりましたけれども、この両者の年収は百万円ぐらい差があるし、それから配偶率も二〇ポイントほどフリーターの方が三十三歳の時点で低いと、こういうことが書かれておりました。
 この表で、点線のところでありますけれども、女性のフリーターの点線、二十七歳のところから曲がっていきます。男性の場合には、男性のフリーターは三十歳のところから少し横に平行的に動くということでありますけれども、こういうカーブというのは何か意味がありますか。この二十七歳女性、三十歳男性というところの曲がり角の意味があるのかないのか、あるいはこの男女の両者が関係があるのかないのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
 それと、現在、労働関係法では、アルバイトあるいは短時間労働者に対するいろいろ法的な整備がされておりますけれども、ここで言っているフリーターというのは、いわゆるアルバイトという表現ではなくて、不定期で、就職するんですけれども、その就職している中身もいろいろな職種で、何というんですかね、定職がない、次の職場に行きますとまた別の仕事に就くという意味でのフリーターという意味なのかということが一つ。
 それから、このフリーターとパラサイトシングルとの関係は今後どういうふうに考えたらいいのかと。
 三点、お尋ねいたします。
#11
○参考人(樋口美雄君) 図の六におきまして、女性のフリーター、二十七歳ぐらいからフラットになってくる。これは男性の方が少し遅いわけでありまして、やっぱり結婚年齢が男女間で違っているというのがあるかというふうに思います。特にこれ九〇年代に入りまして、従来、八〇年代ぐらいまでですと、一度フリーターになってもそこから抜け出してくる。例えば正社員に途中からなるとかですね、あるいは結婚するというような、そういった人たちがかなり多く見られました。ところが、九〇年代になりますと、そのフリーターから脱却していくといった者の比率が急速に落ちていくというようなことで、一度フリーターになるとなかなかそういった正社員の雇用機会に、就業できないというようなことがどうも起こっているらしいということが言えます。
 ここの、二十七歳以降が女性ですね、男性については三十歳以降がフラットになるというのは、やはりここまでのところで結婚しないとなかなか、その後、結婚しようというふうに思っても難しいんじゃないかというふうに思います。
 従来ですと、フリーターというのはやはり十代後半から二十代前半の問題だというふうに受け止められてきたかというふうに思います。政府における雇用対策の中でも、例えばフリーターを採用した、直接雇用した場合に助成金、給与の一部分を出すというようなことがありましたが、従来は三十歳までというような限定が付いておりました。昨年、法律改正がなされまして三十五歳まで引き上げられました。その理由は何かといいますと、今フリーターが増加しているのは、十代、二十代でも増えているんですが、三十代に入ってからもフリーターが急増しているというようなことで、かつては若い人たちのわがままで、自由を求めるがゆえに正社員に就きたくない、それがゆえに自由な働き方をしたい人が多いんだというふうに解釈されていたと思いますが、どうもそうではなくなりつつある。
 これはちょっと余談になりますが、そのうちフリーターの高齢化問題が起こってくるんじゃないかというふうなことも懸念されるような状況でありまして、各国、ほかの国でありましても、最初失業率が上がり出すときには若年から上がりますが、それが慢性化してくる。なかなか正社員の道に、再就職するというようなことが難しいことから、そのまま若い状況というのが年齢が高まっても続くというようなことが起こっているんじゃないかというふうに思います。
 もう一つ、お尋ねのフリーターの定義でありますが、ここでは未婚の、正規労働者として就業している人以外の者をフリーターというふうに呼んでいます。したがいまして、アルバイトの人もいれば、中には契約社員であるとかそういった人、さらには無業だった人という者も含まれています。ですから、ニートというふうに言われている人もここには入っているというふうに定義しております。
 最後の法律のところの問題でありまして、これ確かに、今申し上げましたように、九〇年代になって雇用情勢が緩んでいる中において一度フリーターになった人たちがなかなか正社員になれない。法律との関係でいきますと、九〇年代にいろんな法律改正がなされまして、特に規制緩和の流れといったものが起こってきています。そのどこがなされてきたんだろうかということを見ますと、例えば労働基準法における有期雇用の期間延長、さらには労働者派遣法における職種の拡大でありますとか期間の延長、こういったものがなされてきました。これはどちらかといいますと、今の正社員、非正社員という言葉で使えば、非正社員のところでなされてきたというようなことでありまして、例えば昨年のOECDが出しておりますエンプロイメントアウトルックという報告書があります。雇用白書というふうに日本語では訳しているかと思いますが。
 御案内のとおり、OECDは、規制緩和を進めることによって雇用機会を拡大していくことが非常に重要だというような提言をこれまでもしてきました。その中で、昨年ちょっと違った毛色が出てきたのは、この主張に変わりはないんですが、そのプロセスがまた重要なんだというようなことを言っておりまして、その均衡を、英語で言えばテンポラリーワーカーとパーマネントエンプロイーですね、常用労働者とそれと有期雇用者の法律における均衡をバランスよく取っていかないと、片方だけが緩められてしまうとどうしてもそちらに、雇用主としては使い勝手のいい労働者を多く採用するということで非正社員を増やしていって、逆に今度正社員の方が削減されるという傾向が強まるんじゃないかというような指摘もされております。これは特段日本について名指しでやっているわけじゃございませんが、私ども日本人が読むと、日本についてもそういったことが当てはまるのではないかということから、規制緩和を進める上で、正社員と非正社員、パーマネントエンプロイーとテンポラリーエンプロイーについてのバランスどう取っていくかというのが法制度上も非常に重要になっているというようなことが言えるんではないかというふうに思っております。
#12
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
#13
○中原爽君 済みません。ちょっと追加で。
#14
○会長(清水嘉与子君) では、中原さん、どうぞ。
#15
○中原爽君 もう一つお聞きしましたのは、パラサイトシングルとフリーターの関係はどういうふうに考えたらいいかということをお尋ねしました。
 それと、有期労働については御指摘のように三年の上限、特殊な技能者については五年ということになりましたので、それが、ここで言っているフリーターとの関係が、これから有期雇用が進んでいった場合にどう変わるかということも一つのポイントではないかというふうに思います。
 以上です。
#16
○参考人(樋口美雄君) 今の御指摘のパラサイトシングルとフリーターの関係でありますが、八〇年代は確かにパラサイトシングルがフリーターを生み出す主たる原因であったんではないかというふうに思っております。ところが、九〇年代になりまして、例えばハローワーク行ってみますと、これまで非正社員として働いていた人たちが正社員として就業したい、そういった仕事を探している人たちがかなり多く見られます。
 この間もインタビューしましたが、その人たちなぜそうなったんだと、そういう気持ちに変わったのかというと、自分は結婚したいと、結婚する以上は今までのようなフリーターという形では結婚生活が維持できないと。というようなことからそういう気持ちになったんですが、残念ながら今のところ、そういった正社員として採用される能力をまず二十代に身に付けてこなかったと、そのことが今になって後悔されるという言葉を言っている人たちもいらっしゃるということだろうと思います。
 私は日本の雇用情勢の、雇用慣行の特徴としまして、どうも就職のとき入社の段階で正社員と非正社員というのが選別されてしまう。で、そこで一度分かれたものがなかなか再挑戦、例えば非正社員として就職しますと正社員に転換されていくというようなことがどうも慣行として非常に難しいんじゃないか、このことが若いうちに選別をしてしまうというような社会になってきているんじゃないかというふうに思います。
 であるとすれば、例えばトライアル雇用でありますとか紹介予定派遣でありますとか、入口の段階では有期であっても途中で転換できる制度、そういったものをどう作っていくのか。実際にトライアル雇用で採用された人も大体七割から八割が正社員に転換していくというような調査結果も出ておりますので、入口の段階で選別するという慣行をやはり変えていくというようなことが再挑戦できる社会を作る上では重要になってきているんじゃないかというふうに思います。
#17
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
#18
○中原爽君 ありがとうございました。
#19
○会長(清水嘉与子君) ほかにいかがでしょうか。
 岡崎トミ子さん。
#20
○岡崎トミ子君 どうもありがとうございました。
 樋口先生にお伺いしたいと思います。
 一つ目のその神話で、女性活用の進んでいる企業ほど競争力も高い傾向にあることを示しているということでございましたが、これは女性を活用するとなぜ競争力が高まっていくのか、どういういい例があるのかを教えていただきたいのと、もう一つ、国際競争力も上位にランクされているということで、女性の働きやすい国ほどいいんだということでしたけれども、日本の政府がこれを進めていくための政策として何ができるか。もう一つ、今の子ども・子育て応援プランについて、質、量、発想の観点から評価、先生はどのようにされているかをお聞きしたいと思います。
#21
○参考人(樋口美雄君) まず第一点目の御質問でございますが、女性の働きやすい企業において競争力が高いのはなぜかということでありますが、これは女性が働きやすいということは逆に男性も働きやすいというようなことだろうというふうに思います。
 これまで、やはり企業としては時間の価値の低い男性を対象に働いてもらおうと。そして、その人たちの能力を発揮してもらうために残業でありますとかそういったことをやろうということがあったかというふうに思います。
 私が時々使う言葉で、今までの働き方というのは、企業がいろんな保障を社員にする。例えば、雇用も保障すれば生活給という形で生活を保障する。しかし、その代償としまして拘束を掛けてきた。その拘束が、残業時間でありますとか転勤でありますとか、そういった拘束があったんじゃないかと。これは、やはり時間の価値の低い男性社員、全力をすべてを仕事に向けられるというような人たちを対象に考えてきたんじゃないかというふうに思います。
 ところが、それは少子高齢化の下においてもはや限界が出てきているというようなことから、働きやすい、時間の面でもあるいは転勤等々につきましても本人の選択を拡大していく、それによって自己責任と自己選択といったものを実現できるような働き方というものが望ましいんではないか。
 そのことは、逆に女性だけではなく男性にとっても、やはり最近若い人たちの中で子育てに参加したいとかっていうような、参加というのはいいかどうか分かりませんが、そういったものに携わっていきたいという人たちも増えてきているわけでありまして、個人の工夫のできるような働き方、暮らし、そういったものを認めていく社会、企業、こういったものがやはり競争力をも高めていっているんではないかというふうに思います。
 あるいは、女性の視点を今度は営業活動でありますとかそういうところで取り入れているところもまた競争力を高めていくというようなことであるんではないかと思います。
 更に付け加えれば、女性の働きやすい企業というのが、例えば女子学生の就職案内を見ますといろんなものが出ております、指標として。例えば、育児休業を取って定着率はどれくらいかとかというのを出ていますと、自分は頑張りたい、仕事もやりたいし子育てもしたいんだという女性がそういう企業に今度は応募していくというようなことも競争力を高めるというようなことでいい循環になってきているんじゃないかというふうに思います。
 これを国が今度どうサポートしていくかというようなところでありますが、これは今申し上げました硬直的な働き方をどう緩めていくかというようなことで、例えば働き方につきましても労働時間につきましても、今までは職種にかかわりなく一律の法体系というものが何かできてきたんじゃないかと思いますが、ここのところ、職種によって働き方あるいは雇用管理、こういったものも大きく変わってきているわけでありまして、それが、柔軟な対応をしていくというようなことが求められるようになるんではないかと思います。
 現状は、残念ながら自己責任のところは強化されてきているかと思いますが、自己選択の方が強化されているかというとそちらに疑問を持つというようなことで、これも表現がいいかどうか分かりませんが、自由に泳げというふうに言っておきながら、プールに手足縛られてほうり出されて、で、自由ですといっても責任の取りようがない。その責任の取れる工夫ができる仕組みを作っていくということが重要なんではないかというふうに思っております。
#22
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。岡崎さん、どうぞ。
#23
○岡崎トミ子君 済みません。
 奥山さんにお聞きしたいんですけれども、前にいただいた資料の中で「公園を核とした遊びの環境づくり」というのがありました。今のお話の中でも、子供が集団で遊ぶということが非常に少なくなったというお話だったんですが、このごろ、ベースボールですね、三角のあれですら危険だからもう一律禁止というふうに言われているのを見て、ああ、子供たちだけで遊んでいろいろこう想像力をかき立てたり、そういうことが一緒に遊んでいる中から生まれてくるのに、いろんなことを大人が危険だから禁止するという状況があって、この問題についてひとつ御意見をお聞きしておこうかなというふうに思ったんですけれども、いかがですか。
#24
○参考人(奥山千鶴子君) おっしゃるとおりだというふうに思います。
 今、世田谷にプレーパーク、羽根木のプレーパークというのがございますけれども、全国にやはりそういうプレーパークとか冒険遊び場というところが増えてまいりました。それも多分、昔というか、もう昔と言ってはあれですが、私が小さいときにはもう本当にその辺で、その辺の公園だとか野山でダイナミックに遊べたようなことも、本当に公園ですら危険な場所ということで、なかなか子供たちだけで遊ぶのが非常に厳しくなっていると思います。
 そこで、プレーリーダーという、ちょっと、まあ指導者ではないんですけれども、子供たちの遊びを豊かにする、そういうスタッフが一人か二人、何人かおりまして、それで子供たちが来たときに、火を使って遊んでもいい、自分たちで責任を持って遊ぶ、遊び場を保障しながら遊び方をこう見守っているような、そういう形でないとダイナミックに多分遊べなくなっているなと思います。
 例えば、乳幼児でいっても、先ほどもビニールプールが出てきましたけれども、公園の水、泥んこ遊びをしたいと思った場合も、町内会にお断りをしなくちゃきっと駄目だろうなとか、水を使っていいのだろうかとか、やはり一人の個人、母親だけでは判断ができないこともたくさんあったりということもあって、なかなか昔のようにダイナミックに遊べないというような、そういう環境になっているかと思います。
#25
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか、岡崎さん。
#26
○岡崎トミ子君 はい。
#27
○会長(清水嘉与子君) それじゃ、山本香苗さん。
#28
○山本香苗君 今日は大変貴重なお話、ありがとうございました。
 お三方に一つずつお伺いしたいと思うんですが、まず樋口先生の方に、先ほど中原理事の方からもお話ございましたけれども、正にフリーターというのは好きだからやっているというような風潮が一時ありましたけれども、そうではなく構造的なところから来ているところが大変大きいんだという認識が徐々に広がってきているとは思うんですが、そうした中で、普通の人が普通に暮らせる生活、まあ正社員というものがどんどん減って、派遣とかそういったフリーターに振り替えられていく。そういう中で、一つに、正規、非正規というその区分をもうなくしていってしまったらどうかという御意見がありますけれども、その点について樋口先生はどういうお考えをお持ちなのか、それを具体的にもし教えていただければと思います。
 秋山参考人の方に、お話の中で、済みません、ちょっと風邪で声が出ないんですが、中小企業、大変厳しい中やっていらっしゃると。我が党におきましても、いろいろ中小企業支援ということ、お話をお伺いさせていただいているわけでございますが、そうした中で、この間改正された関係で、一年半もし育休取られたらちょっと困っちゃうなという正直なお話もいただいたわけでございますけれども、逆に、中小企業であるからこそ、人数が少ないからこそ、優秀な方にはしっかり長く働いてもらいたいという経営者のお望みもあると思うんです。
 そうした中で、中小企業においてこそ、まあ九割以上が中小企業でありますから、是非とも育休が取りやすいような環境を、女性の会長さんであるからこそ御提言をどんどんやっていっていただければと、その辺りのことを教えていただきたいと思っております。
 奥山参考人につきまして、非常に現場からのお声で、本当に手に取るようにお話が、目に浮かんでくるような感じだったんですけれども、その中で、青少年の家庭育児支援ボランティア活動というのは、本当にこれ、私も外国にいたときに、ベビーシッターって本当に、大学生だとか来て二時間とか三時間とか預かったりとか、そういうことが普通に行われているわけですね。ただ、他方、悪い面も実際現場ではあるわけなんですが、この事例、もうちょっと具体的に詳しく教えていただくとともに、補助金等々もらわないで頑張ってやってこられたとお伺いしましたが、その辺りの資金繰りについて、どのようにされているのかお伺いします。
#29
○参考人(樋口美雄君) 御質問の正社員と非正社員の垣根を撤廃する、これは正に私は必要なことだろうというふうに思っています。ただ、その呼称、呼び名をどう変えるかというようなことと同時に、その中身における均衡をどう図っていくかというようなことが重要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 例えばEUですと、オランダに原点として始まりました時間差差別禁止法というようなものがつい最近、つい最近といいますか、EU指令によって各国に適用されるということになりました。この時間差差別禁止っていうのは、例えば人種差別、男女差別、年齢差別と並びまして、労働時間の長い人と短い人、その間に同じような仕事をし、同じような責任を負っているのであれば、時間単価で考えたときには同じような処遇をしなければいけないというのがこの考え方であります。
 これは審議会の中でも、厚生労働省の労働政策審議会の中でもいろいろ議論がなされてきたところでありますが、その中で、パート労働法のこれは指針の改正というような形で議論したときに、今この時間差差別禁止法を日本に適用するっていうのはちょっと時期尚早ではないかと。まずやるべきこと、第一歩として考えていくべきことっていうのは、給与の決め方、賃金の決め方について一本化を図っていく、正社員と非正社員の間のこの違いっていうものを一本化していくというような、そういった努力義務を課したらどうかというようなことになってきたわけであります。
 現状としましては、例えばパートタイマーについては時間差、時間単価で支払われる。その一方、正社員については、いろんな生活給も含めて給与が月給で払われていくというようなことであって、これがどうも二本化してしまっているんじゃないかと。でありますから、そこのところで、例えば正社員についても能力評価制度に基づいて給与を決める、そういう職能資格制度を取っているのであれば、パートタイマーについても、単に市場賃金が幾らだからということではなく、そういった制度を適用するというような形で給与体系を一本化しろというような要請を出したところであります。これがまず第一歩として必要ではないかというふうに思います。
 それと同時に、正社員と非正社員、特にパートタイマーの処遇問題で大きな問題になりますのは、やはり年収調整をせざるを得ないような税・社会保障制度のところが私は大きな問題ではないかというふうに思っております。
 例えば、厚生年金に加入する要件としまして、御存じのとおり、百三十万円と労働時間四分の三以上、一般労働者の四分の三以上というような規定があるわけでありますが、これが逆に、百三十万円というのが非常に微妙なところで、月々十万稼ぎますとこの厚生年金に加入しなければいけないというような形になってくるわけでありまして、ここをもっと、半額にするとか、あるいは労働時間についても四分の三ではなく二分の一、更には、二分の一っていう言葉が、一般労働者の時間との関連でいえば二十時間以上とか、この適用する範囲を拡大することによって正社員と非正社員、パートとフルタイマーの垣根を緩和することができるんではないかというふうに思います。
 先ほど岡崎委員からの御質問でちょっと一点忘れてしまいましたので、それだけ付け加えたいと思いますが、よろしいでしょうか。
#30
○会長(清水嘉与子君) はい、どうぞ。
#31
○参考人(樋口美雄君) 政府の対策としてやるべきことっていうのは、一つはやはり男女共同参画を進めていくというようなことでありますが、残念ながら、ここのところを予算の内容を見てみますと、例えば厚生労働省の均等局におけるこの予算がずっと削減されてきているというようなことがあります。女性の社会進出をサポートしよう、男女ともに働けるような、で、暮らしできるような社会を作ろうというにもかかわらず、予算的にはこれが必ずしも支持されているとは言えないというようなところから、その点についても考えていく必要があるんではないかというふうに思っております。
#32
○参考人(秋山桂子君) 中小企業の場合はすごく家族的ですので、たとえその制度ができて休業期間を一年半取れるとしても、制度があるから、じゃあって大手を振って休むっていうのはなかなかできないわけです。それが、このアンケートにもございましたけれども、例えば子供が病気になって早退したいと思っても、やはり一緒に働いている人の理解っていうか、その職場に対して迷惑掛けて悪いっていう気持ちが出てきまして、なかなかそういうこともままならないのに、ましてや一年半も育休を取るということは、本人自身も大変ですし、また雇用する方も経済的には大変なんですけれども、そういうことがあってなかなか実行できないでいるわけです。
 ですので、その職場の環境ですね、それはやっぱり男性社員も含めて、休んでもその代替の人が雇えるから会社としても大丈夫なんだよとか、それから男性自身も、その育児休業っていうんですか、それをやはり少しずつは取るようにして、育児の大変さとかそういうものを身に付けていただいて、女性の社員の理解を深めていただくというようなこと、そういうことをやっぱりやっていくことが必要かと思います。
#33
○参考人(奥山千鶴子君) 青少年のボランティア派遣に関してですけれども、これは昨年、小規模で、五家庭に十名ぐらいの学生さんを派遣するというところから始めました。なかなかやはり資金的に私たちも厳しい中で、だけれども新しい事業にちょっとトライしたいというときに、幾つか民間の助成金などに申請をして、通れば小規模にやって、それから、それが良ければ更にもうちょっと大きい助成金などに申請してということで、今年は二十九家庭に五十名弱の学生さんを派遣するというような形になりました。
 これは、先行事例を調査に行ったり、それからこの受入れ家庭も、実は私たち、広場の会員さんにお願いしております。やはりこの事業の趣旨というものを理解していただいた上で参加していただくという、モデル事業でしたからそういう形で始めました。
 といいますのも、私たちが参考にしたのはカナダのベビーシッター制度なんですけれども、あちらの国では、州によって違うかも分かりませんが、十二歳になりますと、例えば地元のYMCAのようなところでみっちり研修を受けまして、それで認定証をいただいて、それでベビーシッターに行くと。十二までは自分は預かられる側、十二歳からは自分が預かる側というふうに変わるわけですね。これは、欧米の場合は子供だけ独りで家に置いておくということは原則禁止ですので、そのためには、言わば身近にベビーシッター制度がなければいけないという、そういったことにもつながっているというふうに思いますが、それは、ただ単にお金をもらって、対価を得て子供を預かるというようなものではありません。私の知り合いの友達の子供を見に行くというような形で、言わば地域の中で顔の見える子供の預け合いなんですね。しかも、子供の縦の関係、私は今預けられる立場だけど、十二になったら資格を取って、今度預かるのよっていう、そういう地域の中で顔の見える預け合いになっているわけですね。
 それを日本でもできないものかということで、非常に広場の学生さんに対しての親のイメージがとてもうちは良かったんですね。やはり、私なんかだと努力しないと子供に近づけませんけれども、学生さん一人いるだけで子供たちはすぐ飛び付きます。もうとことん自分と遊んでもらえる存在として若い方を認識していますから、そういう力を是非、彼らのやりがい感、地域貢献、そういったことにもつないでいける事業にしていきたいという思いでおります。
 コーディネーターが大変です。学生さんとの相性、それから家庭の状況、それをすべて広場の中で把握した上でコーディネートする、これが非常に今回やってみて重要な点だということを感じております。
 最後に資金繰りについてなんですが、初年度は全く何もなく始めましたが、三年後につどいの広場事業に市の方から認定をされまして、その後は、そうですね、うちの年間予算の五分の一ぐらいですけれども、少し補助をいただきました。
 それ以外に、私たちは、寄附だとかそれから民間の助成金だとか、それから地元の幼稚園、保育園のガイドブックというのを作成、販売しております。これは毎年出しています。二千五百部発行してほとんど完売しますが、こういったものが財源になっていて、なかなか、介護の方のNPOと違って子育てのNPOの方にはバックになる財源がほとんどないんですね。ですから、いろいろなものを三百六十度見回して、それで助成金だけにならない、自分たちもきちんと稼ぎ出す、そういったものをバランスよくやりながら、一人ずつ少しお金を払える方を増やしていっているというような状況です。
 まだ五人ぐらいしか、アルバイト的にしか払っていませんし、それを埋めるボランティアが五、六十人いるというような組織体系になっております。
#34
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
 関口昌一さん。
#35
○関口昌一君 今、ちょっと関連なんですが、奥山参考人、つどいの広場事業ですよね、本当に御苦労されているということなんですけれども、五分の一の補助で運営しているということなんですけれども、それでは本当に厳しいと思うんですが、御遠慮なくちょっと御意見を述べてもらいたいと思います。
 それと、あと、樋口参考人、減税の方の、フランスだったですか、タックスクレジット制度、第三子から手当付くというような話だったんですが、もうちょっと具体的にお話ししていただければと思います。
 以上です。
#36
○会長(清水嘉与子君) じゃ、奥山参考人。
#37
○参考人(奥山千鶴子君) つどいの広場事業は一か所五百万ぐらいいただけるような事業となっておりますけれども、これは地元の自治体がどのような内容で運営するかというのが大きなポイントになっておりますので、できればそれをする際に、建物ですか、運営をするその広場の建物だけでも行政の方が持っていただければ、運営の方は民間の方が何とかやっていけるのではないかというところで、今は、横浜の場合には、なかなか、その家賃補助だとかそういったものをひっくるめてもちょっと金額が足りないという、各自治体によってその財源をどう使うか、五百万まではオーケーですけれども、それは自治体によっては三百万になったり二百万になったりということで大分差があるというのが現状です。
 ただ、つどいの広場事業自体は半分が自治体直営になっております。民間がやっておりますのが、そうですね、四分の一ぐらいということですので、NPOなど民間に開かれた事業の一つでありますから、私たちの方はそういったつどいの広場をやっている実践者と手をつなぎながら協議会というのを立ち上げてこれからやりたい方々のバックアップをしていく、そういった意味で、お金のことも含めて国や自治体と協議を重ねていきたいというふうに思っております。
#38
○参考人(樋口美雄君) 事例を少し挙げた方がいいかと思います。
 フランスの税制の場合は日本の税制と違っておりまして、個人課税にはなっておりません。世帯課税がベースであるというようなことで、例えば夫婦であれば夫婦の合算所得に対しまして、夫婦で子供がいなければ、それを世帯員二で割って一人当たり幾らの所得があるはずだと、それに対して課税がなされるというようなことになっております。
 先ほどの御指摘の三人目からそれを優遇するというのはどういうことかというようなことでありますが、子供、一番目の子供、二番目の子供の場合にはそれを〇・五人分というふうに数えますというようなことで、例えば一人だけの子供であれば夫婦二人プラス〇・五人分、二・五で割ることによって一人当たりの所得を計算し、それに課税をするという仕組みになっております。ところが、三人目からはその追加された一人に対して一人分として数えますというようなことでありますから、例えば五人、子供が三人、夫婦合わせて五人の世帯であれば、まず夫婦の二人部分と、一人、第一子、第二子の〇・五ずつ、そして五人目の一を足し合わせて四で割るというようなことで、三人目からその分母になります世帯人員のカウントの仕方が優遇されてくるというようなことであります。
 それにはいろんな理由があるということが言われておりますが、一つは、経済的に考えたときに、やはり三人目から急速にコストが掛かるんだと。比例的に一人、二人、三人と増えていきますから、子育てコストが比例的に増えていくかというと、そうではなく、その三人目から累積していくというようなことがありまして、例えば住居を考えても、二人目までは今まで住んでいたところでいいけれども、三人目になったら転居しなくちゃいけないとかいうような、コストが加算されていくと。そのことを考慮してしているんだというようなことが言われました。
 そのことを考えましても、これは一九四五年の戦後間もなくから税制が作られた段階で、こういった三人目からの優遇措置というようなことで、その当時については今は考えていないということを言っておりましたが、やはりドイツとの問題考えたときに、子供の数が減ることが国力の低下へつながってしまうんじゃないかというようなことからそういう税制を取ってきたというようなことが言われております。
 さらに、お尋ねのタックスクレジットのところでございますが、これ、例えば課税所得以下の世帯に対しては、たとえ減税を行ったとしても、税率を引き下げたとしても何ら恩典がないわけであります。元々税金払っていないわけでありますから、そこが減税されても何ら恩典がない。そのために、今度はタックスクレジットというような仕組みによって、本来であれば、そうしますとマイナス、所得の高い人たちに対して子供が一人増えれば幾ら減税しますというようなことをやったときに、例えば日本で考えれば、十万円だったら十万円減税しますといった場合に、今度、税金を払っていない人たちに対しては十万円払いましょうと、国の方がお金を出しますという補助制度、これがタックスクレジットというような形で導入されているということであります。言うならば、主計局と主税局が一つになってそこの制度を考えていくというようなことになっているということであります。
 以上です。
 もう一つ言われておりますのは、例えば所得階層別に見ますとどこが子供が多いんだろうかというと、通常、フランスではUの字を描くということが言われています。所得の高い人たちの子供も多い一方において、所得の低いところでも貧乏子だくさんという形で多いと。そうしますと、どこを減税するのかということで所得の公平性に問題が起こってしまう。そうしますと、高所得の方ばかりが減税によって有利になってしまうというようなことを回避するためにこのタックスクレジットというような制度を導入したというふうに言っております。導入しようとしているのか導入したのか、二〇〇五年からということでありました。
#39
○会長(清水嘉与子君) 関口さん、よろしいですか。
 中島啓雄さん。
#40
○中島啓雄君 今日はどうもありがとうございます。
 秋山参考人と樋口参考人にお尋ねしたいんですが、秋山参考人の資料の中で、仕事と子育ての両立に一番大事なのはというので、保育施設の利用時間の拡大とか一時利用とか、そういうことが書いてあって、ごもっともだと思うんですが、これの逆の話として、一番大事なのは、母親なり父親なりらがなるべく早く帰宅ができることだと思うんですね。
 ということで、日本の労働慣行からするとなかなかそれは難しいんですが、今後、そういう社会を作っていくためにどういうことをしていったらいいか、何かそのお考えがあればお聞かせいただければと思います。
 特に、樋口参考人には、日本の場合はいわゆる事務業務とかサービス関係の生産性が低いと言われておりますが、そういったことを直していくにはどうしたらいいかというようなことも併せてお聞かせいただければ大変有り難いと思います。
 それから、奥山参考人にお伺いしたいんですが、大変子供の広場というのはすばらしい試みだと思いますが、ちょっと保育園との違いを御説明いただければ有り難いと思います。
#41
○参考人(秋山桂子君) その母親自身も、子育て期間中には短時間の勤務ですとかフレックスですとか、やはり日中の仕事で終わりたいという思いはたくさんございますけれども、やはり一度仕事に出てしまうとそういうわがままも利かないというのが実情でございます。
 ですので、やはり職場の人がその辺を理解して、なるべくもう子育て期間中の人に対しては早く帰してあげるとか、そういう理解をしていくことが重要なことではないかと思います。それはもう本当に、期間中というのはそんな長い期間ではないわけですから、その間だけでも職場の人が理解したり経営者サイドでもそういう理解を示して帰っていかれるという制度になればいいと思っております。
#42
○参考人(樋口美雄君) すごく難しい問題だろうと思います。
 サービス業、サービス産業といってもいろんなサービス産業があるわけでありまして、中には日本の方がほかの国よりも生産性の高いといったものがあるかというふうに思います。
 生産性といったときに問題になりますのは、一人当たり、労働者一人当たりの生産性という形で考えるのか、それとも時間当たりの生産性というようなことで考えていくのか。日本の場合には、これまで生産性といった概念のときに一人当たりという考え方が非常に強く、労働時間当たりの生産性というのが必ずしも十分に議論されてこなかったということがあるんじゃないかと思います。
 したがって、一人当たりの生産性を伸ばすためには時間を延長すればこれによって上がるんだというようなことであったわけですが、実は、果たしてそうなのかどうか。むしろ、今後、少子高齢化の社会を考えていったときに、時間が非常に限られた資源になってくるというようなことを考えますと、時間当たりの生産性をどう高めていくのかというような視点が私は重要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 特にサービス業の場合、時間が延びたから、例えば時間が、労働時間が二倍になったから生産、一人当たりの生産性も二倍になるかというと必ずしもそういったものに比例しないというようなことがあるかというふうに思います。むしろ個々人がどの時間で働くのか、それが選択できる、そしてむしろ業績の査定を通じて処遇が決まってくるというようなことが必要になってくるんじゃないだろうか。
 製造業の場合には、時間に比例して割とアウトプットの方も生産の量も増えていくというような特徴があったわけでありますが、サービスの場合は必ずしもそうではないというようなことを考えますと、今までどちらかといいますと給与の決定というのが時間の側面でなされてきたことが多かったわけですが、むしろ業績に応じて給与が決まり、そしてその業績を個々人が上げる工夫をどうしていくかというようなことが必要になってくるんじゃないか。
 そうなりますと、時間の延長とは必ずしも一致、業績の増加といったものは一致しないんじゃないかというようなことから、やはり企業における査定方法も含めて議論していく必要があるんではないかというふうに思っております。
#43
○参考人(奥山千鶴子君) そうですね、新しい形態なだけに保育所とか幼稚園とどう違うんだろうというような御質問はいただくだろうなというふうには感じておりました。言わば、幼稚園や保育所の集団保育、子供だけの集団保育に移行するまでの過渡的な場所という位置付けでもちょっと考えていただけるといいかなというふうに思います。
 例えばフランスですと、緑の家というふうに言うそうですが、メゾンヴェルトというんでしょうか、これがやはり三百か所ぐらいあるというふうに聞いております。それはもう明確に、集団保育に移行するまでの間、親子で、親も子もちょっと社会的な、いろんな人と交わる場所ということで、そういった場所を経由してから幼稚園、保育園に行きなさいよというようなことになっているそうなんですね。
 確かに親にしてみれば、いきなり集団保育の場にというのは何かこう厳しいなと思うわけですよね。そういったところで、親自身も在宅にいますと、どう子供と向き合ったらいいか、どう育てたらいいのか本当に分からないというのが、まあ恥ずかしいんですけれども私自身も一人目のときはそうでした。やっぱり、おせっかいおばちゃんとか祖父母がいるとかそういう環境じゃありませんので、もう笑いたくなるようないろんな失敗も重ねたわけですが、やっぱり子育てって経験でしかなくて、そういったことを、隣でおむつを替えている人、おっぱい上げている人、遊ばせている人、そういうのを見ながら自分が身に付けていく場なんですね。
 先ほど親が親として育つ、エンパワーメントされる場というふうに申し上げましたが、それを意図的にではなく自然にこういう場で育てたいという思いがあります。保育所、幼稚園には、幼稚園教諭、保育士さんという言わばパートナーがいるわけですよね。だけれども、在宅で子育てしている親にはパートナーがいないんですね。そこで、こういった広場に来れば必ず先輩のお母さんがいる、スタッフがいる。私たちは、教え諭すのではなくて、そばにいるよ、大丈夫だよって言ってあげる立場ですよね。お母さんが、自分が親としていろんなことを学んでいくのを側面的に支援をするというような、そういうスタイルになっております。
 言わば、そういう幼稚園、保育園までの場所、それから親が力を付ける場所、そういう御理解をしていただければよろしいのかなというふうに思っております。
#44
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。中島さん、どうぞ。
#45
○中島啓雄君 親御さんが必ず付いているわけですか、必ずしもそうでもないんですか。
#46
○参考人(奥山千鶴子君) そうですね……
#47
○会長(清水嘉与子君) 奥山参考人、どうぞ。
#48
○参考人(奥山千鶴子君) 済みません。
 こういう活動をお聞きになると、これは専業主婦だけの支援ではないかというふうな疑問もわいてくると思うんですが、決してそうではなくて、育休中の方も御利用になっているんですね。
 それで、これから幼稚園に行く、これから保育園に行く、そういう方たちに地域のいろんなリソースというか情報ですね、そういったものをお届けしながら、フルタイムの場合は保育所に、公的なところに入れるかもしれませんが、そうでない緩やかな働き方の場合にはこういう選択肢もあるよ、ああいう選択肢もあるよというふうに、現場は実は幼稚園か保育園かということに余りこだわりがない部分も実はあるんですね。私の働き方だったら、幼稚園で預かりという延長保育が今付いていますから、それでもいけるかもしれないと。いろんな選択肢の中から選び取る、そこのところをちょっと私たちが情報提供をさせていただくというような部分もあります。
 ただ、私たちは、在宅で子育てしている人たちが少し力を付けていって、次に、何でしょうね、幼稚園に入る、保育園に入るといったところでのサポートをするとともに、親自身の何というんですかね、社会に復帰する本当は道筋も付けたいなというふうな思いもあります。
 広場によっては再就職支援の活動も付けているところがあります。パソコンだとかそういった何か講習が受けられるようなことを広場に付随している場合もありますし、一時預かりですね、専業主婦の場合は保育所の一時預かり、実は非常に使いにくいんです。だって、フルタイムで預けているところにですよ、いきなり我が子を預けるのは忍びないんですね、はっきり言って。ですから、いつも通い慣れた広場で預かってくれるなら是非預かってほしい。私たちはこういった集いの場で、何かお母さんたちが用事があったり、例えば兄弟二人いて、上の子が病院に行かなくちゃいけないといったときに下のお子さんを預かるというような、そういった短時間の預かりみたいなものも広場に付けていきたいということで、広場を基本にいろんなニーズにこたえていきたいというふうに考えております。
#49
○会長(清水嘉与子君) 中島さん、よろしいですか。
 ほかに。
 小林美恵子さん。
#50
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
 参考人の皆さん、貴重な御意見ありがとうございました。
 私は、まず奥山参考人にお伺いしたいと思います。
 私も、大阪で公立保育所の園庭を開放して地域子育て支援事業をされている方々のお話をお伺いしまして、それは何か保育所をしている最中に、在宅のお母さんと子供が保育所の園庭を使って支援を受けているという話をお聞きして、それは一つの子育て不安の解消になるんですというお話をお聞きしたんですけど、そのことをお聞きしながら先生のお話をお伺いしていました。
 それで私、少しお聞きしたいのは、やっぱり今子育て中のお母さんの不安を解消するというのは本当に大事なことだなと思いまして、それで先生の御活動を通して、今の子育て中のお父さん、お母さんの子育て不安の特徴と、どうしてそういう子育て不安をもたげてくるかというその背景といいますか、社会的背景もあるかと思いますけれども、そういう点をおつかみのところがあったら教えていただきたいと思います。
#51
○参考人(奥山千鶴子君) そうですね、私自身も実は初めての子供を産むときに非常に不安に思ったのは、一つは、もしかしてこの生まれてくる子に障害があったらどうしようかというふうなこと、それから、もう本当に初めてのことでどう育てたらいいのか分からないという、この二点だったなというふうに思います。
 障害のある子が生まれたらどうしようかというのは、言わばこの社会はもしかしたら障害を持つ子供や障害児者に対して厳しい社会だからということ、それから、何か普通でないことというのが認められない社会だからというようなこと、それから、漠然とお金が掛かるとか、この子にいろんな才能の芽みたいなのがあったときに私はそれを十分伸ばしてあげられるだろうか、もしかしたら一生懸命早期教育のようなところに通わなくちゃいけないんじゃないかとか、やっぱりいろんなことを考えました。
 いろいろ振り返って考えますと、やはり自分が育ってきた環境というのが非常に競争社会だったという、親世代が既にやはり競争社会の中で親になっている。他人に弱みを見せられない。人様に迷惑を掛けないで育てというふうにやっぱり言われて育ってきたために、やっぱり子供を責任持ってというか、後ろ指さされずに育てるということにすごいプレッシャーが掛かっているんだろうなというふうに思います。
 そこのところが、ああ、いろんな子がいていいんだとか、私も今、子供三人いたら三人全然違うんですね。ということは、私の育て方が悪いというよりも、この子たちが持って生まれたいろんな素質なんだと思えれば非常に気が楽なところを、やっぱりすべて親が育てることによってそれが全部子供に出てくるんだという思い込みみたいな、そんなこともやっぱり刷り込まれちゃっているんじゃないかなというふうに思います。ですから、初めて子供を持った方々に、大丈夫だよっていうふうに声を掛けてあげたいなというふうに思いますね。
#52
○会長(清水嘉与子君) 小林さん、どうぞ。
#53
○小林美恵子君 御指摘のあったように、競争社会といいますか、学校の現場でもそれから職場に出ても、やっぱり勝ち組、負け組かのような過度の競争社会というのがやっぱり負担は募らせているんだなというのを改めて私も痛感している次第で、それはやっぱり是正しないといけないなというふうに思いました。
 もう一つ、いいですか。
#54
○会長(清水嘉与子君) はい、どうぞ。
#55
○小林美恵子君 次は、樋口参考人にお伺いします。
 先生は、お話の中で、フリーターの方の、何というんですかね、学卒後の一年の就業状態別と有配偶率という図をお示しいただいて、やっぱり経済不安、将来への不安の解消を取り除いていくことが大事だというふうに御指摘がありました。その中でも雇用不安の解消が大事だということをおっしゃっていましたけれども、いや、私も本当にその不安を解消させるということはもっともだなというふうに思います。
 そこで、どうしてそういうフリーターとかいわゆる不安定雇用が生み出されてきたのかという点でいきますと、例えば保育所の現場でありましても、一番、何というんですか、子育てを支援するセンター的役割を果たす保育所の中でも、今、公立保育所がどんどん民営化されて、安いコストで進めるという観点からいくと、若い保育士さんを採用して、時には臨時採用になっていく現状がございます。学校の現場でも、本当は正規の先生を採用しないといけないのに定数内の枠内でいわゆる非常勤の講師をあてがっていくということで、そういう点では公的な職場でも不安定雇用になってきているなと思うんですね。民間はもちろんだと思いますけれども。
 結局、そこにはやっぱり私は、政府や財界のこの間の雇用政策が不安定化をもたらして、少子化を、少子化対策といいながら少子化の後押しをしているというふうに思えてならないんですけれども、そういう点を樋口参考人はどのようにお考えかということをお聞きしたいのと、それを踏まえた上で、企業と政治に対して求めることということで御意見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#56
○参考人(樋口美雄君) 御指摘の、保育所におけるいろんな正規職員以外の人たちが増えているというような御指摘だろうと思うんですが、片方で、この利用者のニーズ、これもまた多様化してきているということが言えるかというふうに思います。
 例えば、早朝保育でありますとか延長保育を求めるというような量的な拡大だけではなく質的な充実、拡充といったものを求める。そうしたときに重要なのは、保育サービスの柔軟な対応ができるかどうかというようなところでありまして、その点、従来かなり規制によって、一人の保育士さんが何人を見られるとか、あるいは職員については正規じゃなければカウントしないとかというような形といったものがあったんではないかというふうに思います。そこのところのバランス、その働く側、保育士として働く側と今度は利用する側のバランスをどう取っていくかというようなことが重要になってくるわけでありまして、すべて正規の職員で早朝保育から延長保育までというようなことになりますと、財源的に相当の支出が必要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 そこで重要なのは、例えば先ほどから出ております正規の職員とそれと非正規の職員の格差是正というふうになったときに、通常言われますのは非正規の雇用条件の改善というようなことによってその格差是正ということだろうと思いますが、片方で、正規の処遇をどうするのかといったところもまた重要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 例えば、正規の職員についてはいろんな生活給が支払われる。配偶者手当というような制度もあるわけでありまして、こういったものについて、本当に配偶者手当といったものを正社員だけ、正規の職員だけ出していいのかどうかというようなところも含めてその格差是正といったところには取り組んでいく必要が私はあるのではないかというふうに思っております。
 要は、しかも、保育所の場合には例えば働いていなければ利用することができないというような規定を設けているところがあるわけでありまして、これから就業したい、したがって職探しをしますというようなときには、まだ働いていないわけですから、この権利が、利用する権利が与えられないというような問題がありましたり、あるいは今度、第一子は今まで育ててきて仕事を続けたんだけれども、第二子が生まれたことによって育児休業を取る。育児休業を取った途端にこの人は働いていないわけです、休業中になるわけです。そうしますと、保育所によって、これすべてじゃないんですが、保育所によっては第一子についても預かることができない、お母さんが働かないという要件によってそれが外されてしまうとかというようなところがあるわけでありまして、果たして保育サービスの提供といったものが、働くのか、それとも子供を預けるのかというオルタナティブになっていいのかどうかという問題も出てきているんじゃないかと思います。
 参考までに、先ほどからベビーシッターであるとかという話が出ておりますが、ベビーシッターを利用したときにはこれ何ら税制面における優遇措置もないわけでありますが、保育所に預けますと、これは国あるいは自治体がそういった保育所に機関サービス、機関援助をやっていく、それによって保育料が安く利用できるというようなことがあるわけでありまして、国によってはベビーシッターを利用した場合には実額控除というような形で税金を免除しますというようなところも多いわけでありまして、そこのところをバランスをどう取っていくかということが非常に重要になってくるんじゃないかなというふうに思っております。
#57
○加藤敏幸君 ありがとうございます。民主党・新緑風会の加藤です。
 樋口参考人にお伺いをしたいと思います。
 一つは、育児休業手当の一般財源化が必要だと言われましたけれども、育児休業手当からこの支払制度を作った当時の、携わった人間として、そろそろそういう意見も出てくるのかなと、こう思いますので、これを一つお願いします。
 二つ目は、家族政策費という言葉なり概念が、例えば図の三を見ますと家族政策費とそれから出生率との相関関係を出されていまして、ぱっと見ると非常に魅力的な図であって、これをベースに何か一言二言それぞれ考えたいなということになりますけれども、しかし、家族政策費とこう一言で言っても、その内容をどう考えるか、あるいは税制との兼ね合いでいくと、扶養控除の問題を含めて非常に考えようによってはいろいろ範囲が広がってくるし、あるいは国際比較をするに堪えるだけの定義がどの程度行っているのか、またそういうふうな議論がどこまで進んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#58
○参考人(樋口美雄君) 私が申し上げるまでもなく、加藤委員御存じのとおり、この育児休業手当は雇用保険、従来の、昔でいう失業保険から給付されているわけであります。
 雇用保険の本来の目的を考えますと、やはり失業してしまった人に対してセーフティーネットを張っていくというような、それが主目的である。これをこの育児休業に充てる場合、どういう解釈がなされてきたんだろうかということを考えますと、例えば継続就業がこの育児休業によってできることによって失業しないで済む、その分だけ失業手当を削減することができるというような考え方があったかというふうに思います。
 ところが、昨年の法律改正におきまして、有期雇用者について、これが一年から三年へ延長するに伴いまして、これについても適用を、育児休業の制度の適用といったものを企業に義務付けるというようなことが行われるようになりました。それについてはいろんな条件があります。すべての臨時労働者に対してということではなく、一定の条件を満たす人たちに対してそれを義務付けるというようなことになったわけですが、例えば三年の休業を取るといって中一年間休業を、三年間就業しますということで中一年間取ったときに、復職して一年しか残らないといった場合に、先ほど申し上げました失業手当の、雇用保険の中からこの育児休業手当を出して継続就業を可能にするという目的が果たして達成されるんだろうかどうかというようなことになりますと、必ずしも雇用保険の趣旨と一致するとは限らないということになるかと思います。
 むしろ、このところを少子化対策ですというようなことで考えるのであれば、労使の折半で出されている雇用保険からではなく、税金を考えて一般財源化していくべきではないかというふうに思っている。それが現在発生している限界ではないかというふうに申し上げたところであります。
 二番目の御質問のこの家族政策費でありますが、ここで取り上げています家族政策費というのは、保育支援、保育所の支援、さらには児童手当、それともう一つあったんですが、三つに基準が絞られておりまして、これはOECDの方が各国なるべく共通になるように、全く共通ではないかと思いますが、なるべく共通になるような指標で取れるようにというようなことで掲げてあるものであります。したがいまして、国によってはこれ以外にも、例えば減税を行うとかというものも制度としてはあるわけですが、例えばフランスもそれをやっておりますが、この額にはそれは入っていないというような、割とリジッドな定義に基づいた結果になっているんじゃないかというふうに思います。
 問題になりますのは、家族手当、家族政策費のその定義でありますが、中には高齢者に対する例えば支援、年金でありますとか、それも社会保障でやっているわけでありまして、広い意味では取ることもあります。ありますが、ここでは子育てだけになる。そういった個人支援については、どうも高齢者に対してはかなり日本の場合には手厚い支給を行ってきた。しかし、その一方で、若年対策でありますとか今のこの少子化対策、そういったものに対する財源の配分がどうも私はゆがんでいたんじゃないかというふうに思っております。
 そのバランス、ある意味では世代間の利害調整といったものをどう取っていくのかというようなことが重要になるわけでありまして、まあこれは私が言っていいのかどうか分かりませんが、選挙を考えれば、やはり高齢者の投票率高いわけでありますから、そこに手厚くしていくというような当然の合理的な選択といったものがなされるかと思いますが、ただ、民主主義の前提として、それを選ぶ国民というのは知性を持って判断する、投票するというようなことが前提になっているわけでありますが、その知性のところをどう高めていくのかというのが大きな課題として今課せられているんじゃないかなというふうに思います。
#59
○会長(清水嘉与子君) 加藤さん、よろしいですか。
 山本孝史さん。
#60
○山本孝史君 先生方、今日はありがとうございます。
 奥山参考人にお伺いをさせていただきたいんですが、子育て中の親が社会的にも精神的にも孤立しないようにしなければいけないというのがもうかなり前からの子育て支援策の中の重点的な課題だったと思います。
 私も、五年ほど前に秋田県の大森町という農村地帯の中で高齢者の施設の一角を利用しながらお母さん方がいつでも遊びに来れるようにという場所を提供されて、そこが非常に、雨の日になるともう一杯になるんだとかっておっしゃっていましたけれども、人気があって、やっぱりこういう取組だなというふうに思っていました。
 それ、皆さん方でいろいろと今度取組をされておられるんですが、もう少し今の活動について、あるいは利用しておられる皆さん方の特徴のようなものについてお聞かせをいただきたいんですが、その来られている皆さん方、例えばどの辺から来られるのか。車に乗ってこられるのか、電車に乗ってこられるのか。あるいは地域の同じ小学校区内にお住まいのような方たちなのか。大倉山の商店街の中ということですから、その辺がどうなのかなと思いますのと、先ほどもお話がございました、年齢層は大体分かりましたが、自然に卒業していかれるということになるのか。言葉が適当ではないかもしれないけれども、基本的に働かなくてもいい御家庭の方たちなのかといった辺り、教えていただければと思います。
 それから、基本的には親子で来るというようなさっきお話だったと思いますが、利用の料金みたいなものは徴収をしておられるのでしょうか。
 それから、子供さんたち、まあ親御さんの悩みについては仲間同士での御相談というか支え合いだと思うんですが、専門家ですね、子育てのことについていろんな方がおられると思いますが、そんな方がかかわりを持たれるようなことがあるのかどうか。
 それから、厚生省はこの子育て中の親の孤立を防ぐということの一つの策として、幼稚園の機能を活用して、子育て支援センターでしたっけ、何かそんなようなことをやろうとしていたと思いますが、そういう既存の施設、とりわけ幼稚園かと思いますけれども、あるいは学校の一室を使うというのもあるかもしれませんが、既存の施設を活用するという考え方がうまく使えるものなのかどうか、御体験の中でもしアドバイスがあったら教えていただきたいと思います。
#61
○参考人(奥山千鶴子君) たくさん質問をいただきました。
 まず、今、実はつどいの広場自体はまだ百七十一か所ですけれども、今御指摘があったように、割と主任児童委員さんとか民生さんだとか、地域にそういった方たちがいらっしゃるわけですが、高齢者のサロンというのも当然あるわけですけれども、子育てサロンということで、地域の、まあ何というんですか、そういう資格というか、民生さんという役割を持った方々が、主任児童委員さんなどが、町内会館だとか児童館だとか社協さんだとか、そういった場所を借りて月に一回とか週に一回とか、そういうたまり場のような子育てサロンを全国でやはり展開し始めています。
 私たちの横浜市港北区は人口三十万人おりますけれども、つどいの広場は一か所ですけれども、そういったサロンが十五、六か所あります。で、その人たちと連携を持ちながら地域の子育て支援、全体として底上げをどうしていくかということを年に四回ぐらい集まって話合いなどもしています。そんなふうに、事業になっていなくても、そういったサロンが全国的に広がってきているということはお伝えしたいと思います。
 それと、利用者層なんですけれども、そうですね、私たちも最初は専業主婦層だけの利用かというふうに思っておりましたが、実は育休中の方々も、居場所がないというか、やはり一年とか一年半とか休めるようになる、だけれども地元の保育園の情報が欲しい、いろんな、病院の情報が欲しい、そういったところで、いわゆる子育てサークルに入るよりもこういった居場所に来た方が気が楽というようなこともあって、大分働く親というのも増えているということと、それから、やはりこういった御時世ですので、働けるなら働きたいという方は多いんですね。だけれども、横浜ですから、仕事をするといっても多分東京近くまで来ないといけないというような働き方ですと、保育所に入れないと厳しいんですね。だけれども、保育所が横浜の場合、ゼロ、一、二で入れるパーセンテージは九%です。全国平均が一八%なんですけれども。横浜も頑張っております。この二、三年、何か三千人枠を広げるとか、とても大変なことをしています。それでも追い付かないという状況ですから、働きたいという思いを秘めながら、何とか幼稚園に入るまでこういう場で支え合いをしながら、幼稚園に入り、小学校に入って、少し何か外に出ていくというステップを踏みたいという方が多いんです、実際のところ。
 それから、利用料金は、済みません、こちらのびーのびーの通信の方に書かせていただいています。月二千円ぐらいで、いつ来て、いつ帰っても、毎日来てもいいんですが、専業主婦層にはこの二千円でも高いんです。ただならただの方がいいというぐらい。だけれども、私たちは、これは支え合いだから、家賃も掛かれば人件費も掛かる、一緒にこれは作り上げる場所だよということで、あえて会費をいただいているというふうに御理解ください。
 それと専門家とのかかわりですけれども、専門家がかかわっています。ですけれども、あえてそれを出さない、同じ親の立場で専門家としてかかわるということを大事にしています。助産師さんも四、五人かかわっています。みんな子供が小さくて勤務できない助産師です。それから、臨床心理の先生もいらっしゃいます。食育指導の先生もいます。ですけれども、それを指導的に出すのではなくて、それで私に相談したいことがあったらどうぞ来てくださいと広場に座っているというような感じで、相談がある人が、あっ、私は今日は相談日だからちょっとこのことを相談してみようかなと気軽に入れるようなかかわりというのを大事にしています。ですから、その辺が幼稚園と保育園と若干違うのはそこです。
 子育て支援センターというお話が出ましたが、これは保育所の方に付いていまして、今三千か所ぐらい全国で子育て支援センター、保育所併設でやっております。しかしながら、独立していないんですね。園長先生がすべてやって管理をしておりますので、センター長さんはいろいろ、地域子育て支援をいろんな展開をしたいと思われていてもなかなか、全体として見たときに保育所はお預かりするので今手一杯という状況があります。ですから、それも大事、保育所でやっていただくのも大事、幼稚園でやっていただくのも大事、私たちがやるのも大事。さっきお見せした八割の空白地帯を私たちだけでは埋められないんですね。ですから、保育所もやっていただきたい、幼稚園もやっていただきたい、私たちもどんどん数を増やしていきたい。中学校区に一つ作ろうと思えば一万か所必要だというふうに思います。それは今の子ども応援プランでは六千か所ということでちょっと縮小しちゃったんですね。ですから、もうちょっといろんなところが頑張らなくちゃいけない、連携していかなくちゃいけないということだというふうに理解しております。
#62
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。山本さん、どうぞ。
#63
○山本孝史君 よく分かります。
 どの辺の方がどういう交通手段で来られるのかという部分と、それから今専門家もかかわっておられるとお聞きして、そのかかわり方ですね。子供さんを持っておられるお母さんがたまさか助産婦さんだったらまた違いましょうけれども、行って拝見するのが一番早いのかもしれませんけれども、どういう形でそのかかわりをしておられるのか、もうちょっと教えていただけませんか。
#64
○参考人(奥山千鶴子君) 実は八割方があれですね、一駅、二駅圏内なんですね。私たちの当初の広場は菊名でやっていますので、交通の便がいいんです。ですから、横浜線と東横線、ですから二駅圏内で八割なんですが、実は今、改築工事で住宅街にちょっと移りました。大倉山に近い方に移りました。そうしましたら、三分の二、会員が変わりました。たった十五分なんです。たった十五分なのに利用者が変わるんです。それだけ、ベビーカーで押して行ける範囲にないと通えないんですね。だから、たくさん必要だということを申し上げたいと思います。
 それから、専門家のかかわりですが、スタッフのサポートというのはとても大きいんですね。私たちは言わば素人の親なんですけれども、それが良さでもあるんですけれども、やはり広場ではいろんなトラブルがあります。自分もスタッフとして、自分の子供も連れてかかわっているスタッフもいるものですから、自分の子供と会員さんの子供がおもちゃをめぐって争いをするなんということは日常茶飯事にあるんですね。そんなときに、実際親として、でもスタッフとしてどうかかわるべきか、いろんな悩みを抱えます。
 そこのところを先生方にはどう私たちが、私たちはファシリテーターと呼んでいるんですけれども、どう、その広場の雰囲気だとか、それから来てくださっている会員さんたちの状況を把握して、それでその来ている方たちのニーズに対してお話をつないでいくか。おしゃべりをするのでも、やっぱりそういった意識があるのとないのでは違うんですね。
 その親御さんが、私たちが専門家だと思うと、お母様たちはサービスの受け手になっちゃって、すべて教えてくださいになってしまいます。そうでなくて、親自身がどうしたらいいんだろうか、正解があるわけじゃないんですね。どうしたらいいか。私、親自身がやはり親としてどうしたらいいかという判断ができなければ、結局、親支援にならないんだというふうに思いますので、私たちは解答を提示する立場ではないんですね。幾つか疑問があったときに、こういう考え方もあるし、こういう考え方もあるし、難しいよね、だけれどもこうだよねというような、いろんな人のいろんな話の中から、親は選び取って自分で判断して決めていかなくちゃいけないんですね。それをサポートするというのが私たちの役割なんです。
 だけれども、私たちも苦しいんです、そういう立場にいると。だから、おもちゃの取り合いで自分の子供がこんなふうにちょっとけんかしちゃったとか、お母さんにこんなふうに言われたんだけれども私の受け答えはこれで良かったんだろうか、いろんな疑問を話し合うことで解決する。そこの部分を専門家の臨床心理の先生方に、言わばスタッフの研修のためにかかわってもらっているというように御理解ください。
 親子にかかわる専門家というのは実はいないんですね、日本には。保育士さんは子供にかかわる。幼稚園の先生も子供にかかわる。だけれども、親子にかかわる専門家っていないんですよね。私たちも試行錯誤でやっています。こういったことが実は欧米では、多分資格があって、きちんと資格のあるものになっていると思います。今後、こういった家庭支援をやっていく上では、そういう意味で、そういった力量を持つスタッフ、専門家というのを逆に育てていくということも必要なのかなというふうに漠然と思っております。
#65
○山本孝史君 ありがとうございました。
#66
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
 坂本由紀子さん。
#67
○坂本由紀子君 自由民主党坂本由紀子です。
 樋口先生にお伺いいたします。
 育児休業の制度の取得率が必ずしも高くないんですが、その育児休業の対象者全員が育児休業を取れるように、あるいは子育て中の働いている人が原則として超勤をしなくても済むようにということになると、恐らくその労働力が更に必要だということになってくると思います。そうしますと、今の日本の全体としての働き方の枠組みの見直しが必要になってくるんじゃないかと思うんですが、そういう子育て支援を充実させるために無理のない、働くことと子育てが無理なく両立できるようにというためには、育児休業取得、超勤をしないとかいうのが当たり前になれるようにすることが必要だと思いますが、そうなったときに、それを補うだけの労働力をどういう形で確保していったらいいか。しかも、そのことがコストアップにつながらないようにということを併せて考えるとどういう手だてがあるかということについての御意見を教えていただきたいというのが一点です。
 それと、秋山参考人がお出ししてくださった資料の八ページのところに、商工会議所の会員企業の中で両立に努力する女性を応援する社風を醸成しというのが書いてあります。これは大変大事なことだと思いますし、商工会議所の会員企業がそういう社風を実現してくだされば、随分女性にとっては働きやすい企業風土が日本全体に広がってくると思います。こういうことについて、具体的にどんなお取り組みがなされているかということを教えていただければと思います。
 あと、時間がありましたら、先ほど樋口先生、五番のところを省略なさいましたが、この説明も伺いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
#68
○会長(清水嘉与子君) それでは、樋口参考人、どうぞ。
#69
○参考人(樋口美雄君) まず、第一点の育児休業取得との関連についてお答えします。
 育児休業取得率はここのところ改善されてきておりまして、年々上昇しているというような発表があります。ただ、私が気にしておりますのは、育児休業取得率の計算するときの分母の数が一体だれを分母としているのかということでありますが、これ、多分出産時に就業している人、女性、その中で何%が育児休業取ったか。ただ、日本の場合に出産前に辞めてしまう、妊娠してから辞めてしまう人たちがかなりの数多くなっている。その結果として、例えば子供を産んだ、例えば、妊娠した段階では働いていた人の中で、その後育児休業を取って継続就業している人が何%かということを見ますと、三割程度というような非常に低い数字になってしまうということがあるかと思います。このことは、やはり仕事の継続と育児といったものの両立が非常に難しいというような現状を把握しているんじゃないかというふうに思います。
 これを考えたときに、確かに育児休業の、子供を育てながら継続就業していくことが可能になる社会をどう作るか。それは育児休業の制度だけでは不十分でありまして、例えば時間短縮の制度というものも必要になってくるんじゃないか。国によっては、例えばフランスもそうなんですが三年間の休業を認めています。ただ、三年職場から離れてしまいますと、今度職場復帰が難しくなるんじゃないかと。技能の面において陳腐化してしまう可能性があるんじゃないかというようなところでいろいろ議論がなされているかと思いますが、我が国について考えるときにも、時間を短縮しながらも働ける制度、ですから、ふだんはフルタイムとして働き、子育ての間は時間が短縮でき、またある程度の期間たったらフルタイマーに戻れるといったような転換制度を充実させていくというようなことが重要ではないかというふうに思います。
 もう一つは、やはりフレックスタイムの活用といったこともあるんではないかというふうに思います。
 私も、カリフォルニアにいたときに、有名なシリコンバレーの真っただ中にいまして、非常に競争の厳しい社会であります。その中で、例えば私のような仕事ですと子供を迎えに小学校に行くことができます。その小学校はスクールバスがなかったために自分で迎えに行かなくちゃいけない。行きますと、大体三割ぐらい父親が迎えに来ている。行くのが大体二時、三時といった時間で、父親は失業している人がそんなに多いわけじゃないだろうというふうに思って聞いてみますと、私は朝の五時から働いていますと言うんです。一時、二時に仕事が終わる、妻の方は今度九時から働き出しますというような、仕事についてのシェアリングと同時に、家事、育児についてのシェアリングができる仕組みを作っていく。
 雇用主、企業の方に、そういう制度を導入してコストが掛からないのかと、雇用管理が面倒くさくないのかというような話をしましたら、その人が言いますのには、例えば九時から五時まで机に縛り付けられている、そして何も工夫をしない人材と、自分で工夫しながら子育ても仕事も両立させようという、どちらが優秀な人材だというふうにあなたは考えますかと。私の会社は優秀な人材を確保するために逆に柔軟な工夫できる仕組みというものを導入しているんです、これがなければ競争に勝ち残っていくことができませんというふうに言われたことがございまして、これは非常に私にとってはショックだったといいますか、新しい考え方をもたらされたというようなことであります。
 その点が私の第一番目に対する答えですが、二〇〇七年問題といいますか、少子高齢化が社会にもたらす影響というのはどうしましょうか。
#70
○会長(清水嘉与子君) じゃ、秋山参考人の御答弁終わってからお願いいたします。
 秋山参考人。
#71
○参考人(秋山桂子君) 女性会の方で今それを、社風を熟成したりしていく動きといたしまして、私たちは各地域ですとか全国ですとかで大会を催します。そのときに、各地の女性会の行っている事例の発表を紹介しております。その紹介を見ながら、例えばすごく小さな二、三人の企業でも、こうやって子供を預かったりとか、そういうことをしている事例などを参考にしてやっていることがございます。そしてまたセミナーも催しておりまして、そこでいろいろな各分野の方のお話を聞いて参考にしていくというようなことをやっております。
 本当に社風を作っていくというのは一朝一夕にはできることではないので、とても時間の掛かることだと思いますけれども、やはり経営者が女性の場合にはそれはやりやすいこともありますので、そういうところから積み重ねていきたいと思っております。
#72
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございます。
 それでは、樋口参考人、よろしくお願いします。
#73
○参考人(樋口美雄君) 少子高齢化が社会にもたらす影響ということでありますが、今まで少子高齢化がいろんなところで議論されてきたと思いますが、特に都市部についてはそれほど強く顕在化した問題というものは今まではなかったんじゃないかというふうに思います。これが二〇〇七年をきっかけに都市部においても大きな問題というふうになってくる。
 二〇〇七年は、御存じのとおり、団塊の世代が六十歳の定年年齢に到達するときでありまして、一九四七年から四九年に生まれた人たち、人口にして六百九十一万人、比率で人口の五・四%に上ります。あるいは、実際に就業している人については五百三十九万人で、全体の就業人口の八・六%がこの三年間に定年年齢を迎えるというようなことになっていきます。その分だけ少子高齢化が現実の問題として顕在化してくるというようなことになるわけであります。
 労働市場への影響というのは、これは労働力人口がここをきっかけに急速に減少を始める。今朝の新聞にも出ておりましたが、政府は二〇〇六年が人口のピークで七年以降人口減少社会に突入するというふうな予測を出しておりましたが、もしかしたらもう少し早いかもしれない。早いということは来年ということですね。二〇〇六年がピークだということは、二〇〇〇もしかしたら五年になるかもしれないということで、現時点が人口のピークであるかもしれない。その後になってきますと、この高齢化によって元々労働力率の低い人たちの構成比が増えていくというようなことで、労働力人口の減少といったものが危惧されるということだろうと思います。
 ちなみに、私どもがやりました研究ですと、例えば六十から六十四歳になったときに、五十から五十九歳のときの労働力率が維持された場合と、それが下がってしまった場合でどれだけ違ってくるかといいますと、百十万人ほど労働力がこれによって減少するらしいと。これはGDPで考えますと十六兆円ほどの潜在GDPの低下というようなことにつながってくる可能性がある。その分だけ全体のGDPは減少することが予想される。そこで重要になってきますのは、先ほど出ました労働時間当たりの生産性をどう高めていくのか。特に、国として付加価値の高い製品にどう転換していくのかというようなことも重要になるかと思います。
 それと同時に、先ほどの御質問と関連してくるわけでありますが、例えば時間短縮でありますとか、あるいはワークシェアリング、雇用形態の多様化型のワークシェアリングを実行することによって、今までのように長い時間は働けないけれども短い時間であれば働くことが可能であるというような人たちを増やしていくということが、また労働力人口の確保になるかというふうに思います。これは、人数的な、数量的な確保だけではなく、質的な確保にも私はつながっていくんじゃないかというふうに思います。
 従来、パートタイマー、短時間雇用者というのは、簡単な仕事しか任せることができない、あるいは責任ある仕事は任せることができないんだというような概念があったわけでありますが、その考え方をやはり払拭していく必要があるんじゃないか。そこでは、例えば短時間正社員の活用。時間は短くても責任ある、そして高度な技能が活用できるような就業形態、こういったものを増やしていくことによって人数の減少というものも確保できますし、解消まではいかなくても内輪で済むことができますし、質的な確保ということも可能になるんではないかというふうに思います。
 しかも、この人口の減少といったものが一律に各企業に起こってくるわけではございませんで、特に、私どもの予想ですと、大手の製造業、生産現場でこの影響が強く現れてくるんじゃないか。といいますのも、この団塊の世代が就職した時期というのは、これ、六〇年代の後半から七〇年代初頭、いわゆる高度成長期の真っただ中で就職していった。その分だけ今度は採用力のあるところが多くの新規採用をここでやっていったということが言えるかと思います。その後、第一次石油ショックでありますとか第二次石油ショック、日本の経済の転換がここでなされたわけでありまして、その後の新規採用が急速に削減されるということが七五年以降起こってきました。特にそれが生産現場、製造業の生産現場で行われたために、この五十代前半の生産現場における労働力といったものが今数少ないということから、技能の継承問題といったものが浮上してくるんではないかというふうに思います。今まで技能を背負ってきた団塊の世代が引退してしまうことによって、技能の形骸化が日本で起こってくる心配があるんじゃないかと思います。
 しかも、この人たち、団塊の世代は、次男、三男が出生率も高かったことによって多かったわけでありまして、その人たちが集団就職という形で地方から都市に就職してきた。生まれたときには大都市圏にはこの人たちの三分の一しかいなかったと思いますが、現在、約二分の一、五〇%程度が大都市圏にこの世代住んでいるというようなことでありまして、しかも今のところは都市部、特に東京に就職して通勤している人が多いわけでありまして、その人たちが神奈川、埼玉、千葉といったところに定年を迎えて戻ってくる。しかも、同級生がいるわけではなく、今までは、会社に勤める、そこで友人も形成してきたというようなことだろうと思いますが、地元に戻ってきたときに地元との連係をどう高めていくのか。そこで、例えばNPOの活用でありますとか、あるいは子育ての方にこういう人たちも支援していくというような、そういった社会参加というものを促進していく必要があるんじゃないかと思います。
 もう一つ、マクロ経済で懸念されますのは貯蓄率の低下でございます。
 貯蓄率、日本は高く、これが日本人の美徳である倹約によってもたらされてきたんだ、なかなかお金は入っても消費しないということでもたらされてきたんじゃないかということがかつて言われてきました。アメリカに比べて圧倒的に貯蓄率が高いということでありますが、現在、アメリカと日本の家計貯蓄率はほぼ等しくなってきています。
 これは、日本人がお金を使うようになったというよりも、年齢構成が大きく影響を及ぼす。引退した人たちが増えれば、かつて積み立てた預金を引き出すというようなことになりますから、必然的に貯蓄率が下がってくるというようなことであります。この結果、団塊の世代が六十歳に到達したころ、日本の貯蓄率が大きく低下してくるだろうと。
 そうしますと、懸念されますのが、現在までのような国債でありますとか地方債、長期債をこれ日本国内で償還するというようなことが高い貯蓄率によって達成されていたわけでありますが、それができなくなってくる可能性があるということが生じるんではないだろうかというふうに思います。そうしますと、今日本企業が海外に進出する、海外へ直接投資をして日本の貯蓄、資産といったものは海外に持っていっているわけでありますが、これ、高齢化の進展によって逆転してくる可能性もあるんではないかと。外資系企業が日本に投資をすることによって、日本の貯蓄不足といったものをそういった形で補っていくというような可能性も出てくるんじゃないか。それだけ債券、国債とか地方債の、政府債の問題というのは非常に大きな問題に発展する可能性があるんじゃないかというふうに私は懸念しております。
 以上です。
#74
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 それでは、島田智哉子さん、どうぞ。お待たせしました。
#75
○島田智哉子君 民主党の島田智哉子でございます。今日は参考人の方々、御説明ありがとうございます。
 昨年の十月ごろに、民主党の岡田代表とともに、横浜市青葉区のこどもミニデイサービスの施設を伺うことがありまして、また東京品川区のNPOが運営している子育て支援施設、お伺いしていろんなお話をお伺いしたんですけれども、そのときに、あるNPOの関係者に行政側に対して要望などございませんかとお尋ねいたしましたら、実は今現在のスタイルというのが本当にうまくいっているので行政の介入があることによって新たな規制が加わるのではないかと逆に心配をしてしまいますという意外なお答えだったんですけれども。
 行政と民間のパートナーシップのあるべき姿というものはどうお考えか、奥山参考人にお伺いしたいんですけれども、また、今、奥山さんがなさっている広場がうまくいっている最大の理由は何か、理由をお伺いしたいなと思っております。また、資料の三ページに、イタリアと日本、「すべてにおいて、不十分、中途半端な状況。」と保育サービスを御批判いただいておりますけれども、そのところをもう少し御説明いただけたらなと思っております。
 あと、樋口参考人に御質問なんですけれども、この女性の働きやすさの指標というものは、必ずしも結婚している女性でなくてもこれは参考になる指標なんでしょうか。シングルのお母様でも、ほかに援助をプラスしなくても、やはりこういうすばらしい結果を出している国というものはシングルマザーにもこのように温かい結果が出るのでしょうか、お答えいただけたら有り難いです。
 お願いいたします。
#76
○参考人(奥山千鶴子君) そうですね、行政との関係ですけれども、私たちが、つどいの広場事業が、国の方がそういった事業を立ち上げるといったときに、これは私たちの所轄の自治体であります横浜市がやりましょうと言わなければできない事業になっていますよね。
 そこで、横浜市と掛け合いましたけれども、その当時、言わば特に問題のない、在宅で子育てをしている家庭を所轄する担当がなかったんですね。いろいろたらい回しというか、どこで取り扱ったらいいんだろうねということで、保育所の担当はある、幼稚園の担当はある、要保護児童の担当はあるという中で、私たちのようなこういった活動を担当する部署がなかったというところです。
 その中で、私たちが一つやったのは、今日、資料にお付けしていましたが、びーのびーの通信の後ろの方に横浜、一万人子育て提言と、プロジェクトというのがございます。これが、自治体には長、中期計画を立てるということがあるわけですが、横浜も二〇一〇プランという二〇一〇年に向けての五か年計画をこの当時立てておりまして、大体これに提案をしろと言われても若い世代はまずは意見を出さないだろうということで、逆に、私たち子育て支援をやっている団体が親の、子育て中の親たちの声を拾って行政に届けようと、そういう運動をしたこれはものなんですね。
 もうちょっと古くなりましたけれども、一万人の声を集めたかったんですが、実際のところは六千五百三十七枚ということで、これを分析したのがここです。これはあくまで、横浜市に対して陳情的にこうしろああしろということではなくて、私たちも一緒に考えたいと。今子育てしている親たちはこういう思いでいるよということをお伝えしたかったということなんですね。
 これをその当時の助役さんに手渡しまして、それで一緒に横浜の皆さん、行政の人たちと考えていきたい、一緒にやっていきたいんだということを申し上げました。それで、関係を作り、一緒にこういった例えばシンポジウムを共催するとか、調査を私たちが行うとか、そういった関係で、この二、三年、協働事業などもしてまいりました。今週末も、今年一年の総括としてのシンポジウムを行政とともに実際に開催いたします。
 そういった関係で、行政と民間がどうつながっていけばいいのかというところなんですけれども、やはり一つは、お互いが自立した関係にあるということが大事ではないかなと思います。やはり補助金だとか助成金だとかというものにすべて依存的になりますと、やはりNPOとしての使命とかミッションは何なのかというのが分からなくなりますよね。びーのびーのは、子育ての環境というものを、地域の環境というものを向上させたいというようなミッションがあるわけでして、その中につどいの広場があったり、幼稚園や保育園との連携、ガイドの発行というような幾つかの事業があるわけです。何か事業をすると助成金がもらえるからやるというようなスタイルではないわけですよね。
 そのように、行政とNPOというのは、それぞれが自立した関係であって、一つの目的で出会うことがあれば一緒に協働すればいいというふうに私自身は考えております。
 よろしかったでしょうか。
#77
○会長(清水嘉与子君) 樋口参考人、どうぞ。
#78
○参考人(樋口美雄君) 女性の働きやすさ指標の中に、シングルマザーといいますか、といったものがどう反映しているかということでありますが、ここでは二十五歳から二十九歳、御存じのとおり、女性の働いている人の比率というのはM字型というのをよく描きます。
 横軸に年齢を取っていきますと、例えば十五から十九歳、そこからどんどん上がっていって、まあ日本ですと、最近、二十五から二十九歳のところまで上がり続けて、そして結婚、出産することによって一時三十歳―三十四歳で下がるというようなことになっています。その下がり方がどうかということを各国とも指標の中に入れておりまして、その出産あるいは結婚しても仕事を続けられる比率といったものがこの指標の中に入っているということであります。
 そういった意味では、このシングルマザーのところについて特に働きやすさ指標には考慮されていないわけでありますが、片方、税制ですとか、あるいは社会保障のところでほかの国ではどのようなシングルマザーの支援がなされているのかということについて申し上げたいというふうに思います。
 一つは、例えばイギリスを考えますと、雇用保険の失業給付の中でそのシングルマザーといったもの、向こうですからローンペアレンツと言いますか、父親の方もいるという可能性がありますんで、その片親に対して給付の日数を増やしたり給付額を高めに設定するというようなことによって支援を行うということをやっております。
 あるいは、フランスですと、先ほどの税制で、例えば一人当たりの所得に対して課税するんだということを申し上げましたが、シングルの場合、子供がいれば、通常カップルであれば一人目の子供は〇・五人分として換算しますということを申し上げましたが、シングルマザーの場合にはそれを一人としてカウントすると。したがって、片親と子供一人で二人分というカウントをするということによって税額を控除しようというような仕組みになっているということであります。
 そういったところでの支援を行っているということが現状であろうかと思います。
#79
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございます。
 ほかに。
 山谷えり子さん、どうぞ。
#80
○山谷えり子君 自由民主党の山谷えり子です。
 樋口先生にお伺いします。
 働いている女性の多い国は出生率も高い、女性の就業と出生というジレンマの関係はもはや過去の神話となったということでございますけれども、しかしながら、これはやっぱり定年制とかシフト制に対する考え方とか、あるいは短時間・在宅勤務、あるいはフレックスタイムについての考え方は、対応が柔軟であればそういうことが言えると思うんですが、日本はまだまだそういう状況じゃないわけです。
 例えば、アメリカですと、民族や男女の差別がいけないのと同じく年齢でも差別してはいけないから定年制というのがないわけですし、それからEUも、先ほど先生がおっしゃった時間差差別禁止法とか、あるいは家族責任というような概念でもって、それを大きな、ダイナミックに進める、哲学を基にして進めているわけですが、日本の場合、こういう社会づくりをするためにどうしたらいいのかと。
 繰り返しになるかもしれませんが、政府が企業にお願い行ったって、経団連にお願いに行っても、ちっとも進まないわけですよね。政治としてどんなやり方が強力かというようなアイデアをもしありましたらいただきたいのと、あと奥山さんに、私自身も子育てサークルで子供を育てました。それから、近所に住むドイツ人のママが、我が家の子供にちょっとベビーシッター来てよというお誘いがあったり、あるいはインド人のママから、うちの高校生が夏休みなんだけれども、保育園とか幼稚園に体験学習にベビーシッターさせたいんだけど紹介してとか、そういう個人的なやり取りで割とできたんですが、今の時代はなかなかそういう人間関係づくりも難しくて、奥山さんのような活動が本当に増えていくことが必要になってきているというふうに思っております。
 行政主導から市民の自立へということで、そういう方向が大切だというふうに思いますが、余り行政が介入しない方がいいとはいえ、やっぱり場所の提供とか情報提供とか、あるいはコーディネーターの専門家の育成とか、その辺はもうちょっとした方がパンチが出るんじゃないかなと思いますので、その辺の感想めいたことをお聞かせいただきたいのと、あと、中高校生での体験学習、一週間ぐらいどうかとか、あるいは私、教職員課程にある人はもう一か月ぐらいそういうところに行くという、それじゃなきゃ単位が上げられないというようなシステムを考えていいんじゃないかというふうに思うんですけれども、要するに子育て前の若い人たちへのこういう子育てのすばらしさの体験の場をいかにもっと増やしていくかということで、何かアイデアがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#81
○参考人(樋口美雄君) 二〇〇〇年の図を見ますと、女性の働いている、多くの人が働いている国の方が出生率が高いということを申し上げました。これは自然に、何もしなくてもなったわけじゃなくて、やはりそれなりの努力を各国ともやってきたということがあるかと思います。でありますので、二〇〇〇年のこの姿というのは、正に結果として、各国ともそういった施策をいろんなところで工夫しながらやってきた、そういった結果であるということが言えるんじゃないかというふうに思います。
 それから考えますと、どんな工夫をやってきたのかというようなことがやはり重要であるかと思います。それは、国によって必ずしも同じではございません。それぞれの国がそれぞれの文化的背景を持っているわけでありまして、それにうまくアジャストした、そういったところでは、その出生率の上昇と、それと労働力率、女性の労働力率が両立するということでありますが、先ほど申し上げました地中海の国々においてはどうもそれが進んでいないというようなこととして、依然として出生率が下がりっ放しであるというようなことが言えるんじゃないかというふうに思います。
 その上で、日本の現状を考えたときにどのような対策が考えられるかということでありますが、一つはやっぱり、そういったものを企業単位でうまくやっている企業、そういったグッドプラクティスを広げていくというようなことが重要じゃないか。多くの企業で、やっぱりうちでもちょっとした工夫でそれができるんだったら取り入れたいというような、そういった考え方を持っているわけでありますが、どうやったらいいか分からないというのが現状多くの経営者の方々が持っている疑問ではないかというふうに思います。それを国として、例えばこういうようなグッドプラクティス、こういうことをやればその両立が可能なんだというようなもの、これは実際に成功している事例は日本でも幾つも出てきているわけでありますから、そういったものを紹介していく。
 今のところ、表彰制度でそれをやっているということがあるわけでありますが、今度四月から次世代育成支援の計画を三百一人以上のところは出さなくちゃいけないということにとって、これ、かなり産業界では批判のあるところでもあります。そんなことは大変だというようなこともありますし、中に、声を聞いてみますと、これによって例えば育児支援がうまくいっている企業にいい人材が行ってしまって、やっていないところが取り残されてしまうんじゃないかというような危機感を持っている企業もあります。
 であるとするならば、そういったところについてはむしろ競争を促進した方がいいんじゃないかと。こういうことをうまくやれば逆に人材も確保できるし競争力も高まるんだというような、競争を促進するということもあって、そのためには、例えばオーストラリア辺りがやっております女性の活用がどうなっているかということについて、情報公開をそれぞれの企業についてやっていく。社員の方からそれを公的な場で提言もしてもらうというようなこともあってしかるべきかなと。
 もう一つ、そういった次世代育成支援がうまくいっているような企業に対して、これは減税を、法人税をまけるというようなことも考えられるでしょうし、補助金を出すというようなことによって政府がサポートしていくというようなことも必要なんじゃないかと思います。実際にやるのはやはり個々の企業でありますし、個々の社員であるというふうに思うわけでありまして、それを政府としてはサポートしていくと、推し進めていく、その施策は何かということで考えていったらどうかというふうに思っております。
#82
○参考人(奥山千鶴子君) 私たちのこういった活動をサポートしてくださっている先生がカナダのことを随分調べている方なので、どうしてもそのカナダの話になってしまうんですけれども、こういった広場の中、広場もやはり草の根から始まった、それでこれが非常に効果があるというのが分かって、そこで初めて財源投入ということで国とか州とかがもう支援をするというふうな形になったそうです。
 そういった支援センターでは、例えば虐待をしてしまった親のための回復プログラムだとか、それから親が学ぶための幾つかのプログラム、そういったものを独自に開発しては、こういった内容はどうかと、幾つかの支援センターで試してみて、これが非常にいいとなれば、そのプログラムにまた更に助成が付くというふうに、最初は草の根としてこういうことがやったらどうか、こういう工夫でプログラムを作ったらどうか、そういうアイデアが、これが非常に効果があると分かると、それに対してお金を付けていくというようなことがあるということをお聞きしたことがあります。
 やはり民間だけではそういったものを広く普及させるというのは難しいというふうに思いますので、特に首都圏はこういった場を作ろうと思うと家賃が非常に高いというのがネックになって余り大きな場所でできないというようなこともありますので、是非そういった意味では、本当におっしゃるとおり、場所の確保していただければ、中身のことは十分民間でできるのではないかというふうに思います。
 また、そういったスタッフ、コーディネーター、これらの育成というのはなかなかそういったところに財源が回ってこない部分でもございます。やはりこういったところを大切にしていかないと、広がっていかないのではないかということを感じております。
 それから、やはり中高生のそういう保育実習だとか就業体験というのが叫ばれつつも、やはり学校の現場は勉強することが第一義ということで、私自身は、今年、横浜の教育改革会議の委員と厚労省の方の次世代育成の策定委員、両方委員をやらせていただいて、福祉と学校の連携というものを何とか実現したいというふうに思っているわけなんです。もっと学校に福祉的なものを持っていきたい。それが結構諸外国では余り敷居を高くなく相互交流ができているのではないかというふうに感じる部分があって、やはりこういった次世代育成の問題を考えるときに、教育委員会、文部科学省の学校というところを抜きにしては考えられないというふうな思いでおります。是非、うまく連携を持ってその辺りができるといいなというふうに思っております。
#83
○会長(清水嘉与子君) 山谷さん、よろしいですか。
 ほかに御発言ございますでしょうか。
 後藤博子さん。
#84
○後藤博子君 ありがとうございます。今日、途中抜けてしまいまして、大変失礼を申し上げました。
 いろいろとたくさん御質問が出ておりまして、参考人の皆様からもたくさん参考になることをお聞きいたしました。これはやっぱり国策としてやらなければならないことがたくさんあるという問題提起もいただきました。
 そういうところとちょっと視点が違うかもしれませんけれども、産む、産んだ後の対策といいますか、いろんなことはこうやってたくさんあるんですが、産みたいと思っている人の環境、あるいはその支援というところになかなかまだ光が当たってなくて、産むためには、こういう環境が整ったから、ああ私は産みたいわと思っていることの対策はこういうふうにたくさんまた出てくるんですが、産もうとしている女性、あるいは御夫婦で一生懸命それをやろうとしているところになかなかちょっとまだ光が当たってないんですが、その辺の考え方、お考えがおありなのか教えていただきたいのですが。
 樋口参考人と秋山参考人、それぞれのお立場でその辺の視点で見た場合はいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
#85
○会長(清水嘉与子君) それでは、樋口参考人。
#86
○参考人(樋口美雄君) シカゴ大学のある先生が日本の調査をしておりまして、やはり子供を持ちたいという人は究極的には子供を持っていくんだと、問題なのは子供を持ちたいという環境をどう作っていくかだという。
 先ほど、希望子供数というものと現実との乖離がある、これもそうなんですが、希望子供数自身がやっぱり下がってきているという問題があります。それは、単に子供が欲しくないということではなく、今の環境を考えるととても持てるような状況ではないんで希望子供すら下がってきてしまっているということがあるわけでありまして、その数を、これ、産めや増やせやということではなく、やはり本来的に制約がなけりゃ持ちたいと思っている人たちのその環境、制約を緩めていくというような視点が私は重要ではないかというふうに思います。そのためには、今度は持った後にどういう制約が掛かるかということを、先ほどから議論していることをやはり徹底していくというようなことが重要ではないかというふうに思います。
 で、施策を考えたときに、いろんなところで少しずつ前進はしているんだろうと思います。ただ、それを国民が肌で感じられない。どこに重点が置かれてこれだけサポートしたんだというのは、非常に微々たる小さなものしか、薄く広くなされていくもので、それが見えないというのが現状じゃないか。だとすれば、集中的にやっぱりやっていくというようなことが、私は大胆に集中的にやっていくということが、今この問題で出生希望数を増やす上では重要な問題ではないかというふうに思っております。
#87
○参考人(秋山桂子君) 今の若い人たちに聞きますと、やはり子供は持ちたいという希望は多いみたいなんです。でも、先ほど参考人の方たちがおっしゃったように、やはりいろんな不安、それが、やっぱり不安が先立って結局ちゅうちょしてしまうということも多いように思われます。ですので、やはりいろんな情報を公開するなり、そういうことを喚起するような、啓蒙とまでは言いませんけれども、そういうことをどんどん出していってそういう不安をぬぐい去っていくこと、それがとても大切だと思っております。それとやはり経済的なことというのは、それがすごく大きいようには思われます。
#88
○後藤博子君 ありがとうございます。
 本当、実際に働いている女性から御意見お伺いしますと、お金よりも職場の理解がもっと欲しいんだと、社会的な理解が欲しいんだと、そういうことを私の方にもよく言われておりますから、商工会の方でも是非その辺の環境整備していただいて、また先生の方からも是非、産む、産めるためのというか、産む方々にとっての安心した社会づくりのために、また今後とも御指導いただきたいと思います。ありがとうございました。
#89
○参考人(樋口美雄君) 今の点でよろしいでしょうか。
#90
○会長(清水嘉与子君) それじゃ、樋口参考人、どうぞ。
#91
○参考人(樋口美雄君) 仕事を継続しながら子育てをした人の経験を聞きますと、やっぱり上司に恵まれたという人が非常に多いということです。上司のサポートがどれだけ得られるか。たまたま私は上司に恵まれました、だから持てましたということ多いわけで、その人たちをどう増やしていくか。
 企業を、この場合下の方からボトムアップとして一般の平の社員から発言していくよりは、やっぱりトップの意思決定が非常に重要だというようなことがあるかと思います。そのトップの意識改革、あるいはそれをすることが企業にとってもプラスになるし、個人としても得になるというようなものを社会的に作っていくというようなことが重要なんじゃないかと思います。
#92
○後藤博子君 ありがとうございます。
 ちょっとだけ、じゃ。
 今トップという話が出ましたので、トップはほとんど男性なんですね。女性のトップもいらっしゃいますけれども、是非男性の意識改革も含めて御指導賜ればと思います。ありがとうございました。
#93
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 女性のトップということで、秋山参考人も何か今の御発言に対して御答弁ございましたら、どうぞ。
#94
○参考人(秋山桂子君) おっしゃるように、トップがそういうことをまずは率先して言って、社内でそれを理解させることが必要ですけれども、やはり男性の理解、そこがやっぱり大きいので、今の若い人たちはとてもそういうことに理解を示しつつありますけれども、管理職にいる人たちがやはり昔の固定概念でそのままやっていくという部分が多く見受けられると思いますので、管理者層の男性の教育というのは、その意識改革も必要だと思っております。
#95
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
#96
○参考人(樋口美雄君) よろしいでしょうか、また追加で。
#97
○会長(清水嘉与子君) それでは、樋口参考人。
#98
○参考人(樋口美雄君) 男性のトップであっても理解している方はかなりいらっしゃると思います。
 これは統計で示されているわけじゃなく私の経験ですが、娘を持っている経営者がやはり理解していると。特にそういう年ごろの子供を持っている、暮らしを見ていると、もちろん自社にはいないんですが、自社の社員も同じような苦労しているのかなということを考えて方針を変えたというような人たちも多いということだろうと思います。
#99
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 それでは、柳澤さん、どうぞ。
#100
○柳澤光美君 僕は今回とてもうれしかったのは、ここのところ少子高齢化の問題というのは本当に多くの問題を抱えていまして、いろんな行政の皆さんの話を聞くと、確かにあれも必要だこれも必要だということで予算が積み上がって大変なことになってしまう。でも、実際直すには、民間の企業がかなり中心になってこないと雇用の問題も全部動かない。それから、行政に任せるんじゃなくて、今日奥山参考人に伺ったNPO関係がもっとネットワークを結ばなければいけない。その中で、私はやっぱり、日本の企業が、ここのところ十年間ぐらいで本当に日本の労使関係の良さというか、企業の良さがかなり壊れてしまった。私は、実は中小の組合の方の出身なもんですから。確かに厳しくなってそんな余裕もなくなって、生き残るのがやっとこだと。
 その中で、ちょっと樋口参考人に聞きたいんですが、その中で象徴的に言われたのが、いわゆる終身雇用が古いんだと。それから年功型が駄目だと。で、企業別組合が駄目だと。私は、血縁、地縁、職場の縁という中で、それは短絡的に、グローバルスタンダードという中でアメリカのスタンダードを入れて、パート化だとか派遣化だとかと短期にしてしまう。ただ、僕は終身雇用とは言いませんけれども、長期雇用をどう図るか。その中で、教育もあったり、技能の伝承もあったり、上下関係の人間関係があったりという日本の良さがあったというふうに思うんですね。このことが、ちょっと履き違えて一方に走り過ぎているんではないかなと。
 それから、年功が全く駄目ではないんですね。年功型に賃金が上がっていくのがおかしいんですが、習熟度にしても人間関係にしても社風にしても、その組織をきちんと把握して活動が進む。特に日本の場合には、ネットワーク、組織間で動くという良さがある。それともう一つ、やはり日本の生産性上げたのは企業別組合だというふうにちょっと思っているところがありまして、ちょっと御意見をお聞かせいただきたい。
#101
○参考人(樋口美雄君) 二時間ほど時間いただければお話をするんですが、かいつまんでお話をしますと、やはり終身雇用で年功賃金というのは、環境が、企業を取り巻く環境が大きく変わる中で、維持したくてもできないという現状も出てきているんじゃないかというふうに思います。それは、例えば少子高齢化、高齢者の従業員が増えていけば、単に生産性が、能力が高まるわけでないにもかかわらず給与だけが上がっていくというようなことになりますと、企業全体としては人件費総額がかさむ。さらには、企業の問題だけではなく、社員にとっても、自分たちが能力以上の給与をもらうことによって、ある意味では辞めてほしいというふうに企業に迫られるようなところもあるわけであります。
 そういうことを考えますと、やはり今までの年功賃金をそのまま維持すればいいということじゃないと思うんですが、ただ、そこは工夫の仕方がいろいろあるんじゃないか。特に、長期雇用との関連でいきますと、御指摘のとおり、日本のこれまでの強い競争力、技術力といったものを維持してきたところで、この長期雇用というのはかなり貢献してきたというふうに私も思っております。その技能が重要であるということは、単に人件費を削減すれば競争力が増すかというとそういうわけではなく、やはり長期的な競争ということはこの技術力に懸かってくるというような側面があるわけでありますから、長期雇用というものを大切にしていくというようなことも重要じゃないか。
 しかし、全員が長くいられてもまた企業としては困るということで、この組合せを今人材のポートフォリオという形でいろんな企業が考えていると思うんですが、ただ問題なのは、これも繰り返しになりますが、それを入口の段階でこの人は非正社員、この人は正社員というようなことでシャッフルしてしまう、選別してしまう、その結果、再挑戦ができるような仕組みになっていないというような問題が私はあるんじゃないだろうかというふうに思います。したがって、目指すべきものは、まず出口、会社から辞めていくところの制度改革というのもいろいろなところで定年制を含めて議論されているわけですが、入口の段階での改革といったもの、採用とか、例えば転換制度であるとか、そういったところをもっと工夫していく必要があるんじゃないかと思います。
 やっぱり、頑張る、あるいは努力している人が報われる社会を作っていくということが結果としても企業の競争力につながっていくというようなことになるわけでありまして、これは正社員、非正社員の違いを問わず、そういったことができるような、実現できるような企業経営というものが競争力を高めるんじゃないかというふうに私は思っております。
#102
○会長(清水嘉与子君) それでは、これ最後の……
#103
○柳澤光美君 時間がないようですから、もう今日はいいです。
#104
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 最後の御質問にしたいと思いますけれども、神本美恵子さん、どうぞ。
#105
○神本美恵子君 今日はありがとうございました。質疑を聞きながら、いろいろ本当に参考になりました。
 私は団塊の世代なんですけれども、二〇〇七年あるいは一年前に大変社会に、日本社会に迷惑を掛ける存在なのかなと思いながら聞いていたんですけれども、この少子化の問題で、今環境、本当に産みたい人が産みたい子供の数、希望する数を産めるような社会をという点でみんな共通して議論をしてきていると思うんですけれども、やはり安心して産めない環境という点で、七〇年代ですか、北欧の方で女たちの反乱といいますか、あれは核の問題だったと思いますが、原発の事故とか核兵器の実験の問題などがあって、これからの地球に安心して子供たちが生きていく環境ではないということで出産を非常に控えたというようなことを今日の議論を聞きながら思い出したんですけれども、本当に女性が安心して子供を産んで、そしてその産んだ子供が男性も女性も一緒に社会の子供として育てていける環境を作っていくという点で日本もこれまでいろんな施策を取ってきたと思うんですけれども、それが少しずつは効果を上げている部分もあるでしょうけど、やはり決定的に効果が上がらないその原因は何なのかということで今日のお話も聞いてきたんですが。
 お三人のお話、全部本当に集約していけば、やはり子供を産み育てるのは、主たる責任者は女だという、産むのはもちろん女ですけれども、育てるのは女の責任だというところが、やはり社会全体の構造とか様々なシステムにそれが強く日本はまだ残っているのではないかと。そこをやはり転換していかないといけないし、転換して成功しているのが北欧の国々ではないかなということを今日お話を聞いて思ったんですけれども、先ほど樋口参考人の方から、やはり焦点化してやっていったらどうかと。そういう意味で、私は育児休業というものを、先ほど三割、就業中に妊娠して出産して継続して育児休業を取っている人は三割しかいないというの、ちょっとショックだったんですけれども、これまで私、八割ぐらい取っていると思い込んでいたんですね、女性の場合。男性は〇・何%ですけれども。これを本当に男性も女性も取るのが当たり前だし、女性だけに取らせては、共働きで、共働きして妻が妊娠したら男性は取らなきゃいけないんだというぐらいの制度にしていくのにどうしたらいいのか。私、そういうふうにすることが一番必要だと思うんですね。
 ということをちょっと樋口参考人にお聞きしたいのと、秋山参考人は、その中小企業の中で、今、育児休業制度、両性取れるというのが導入されて十年以上たつのになかなか、取っているのは大企業で、中小企業はそれが取れない。その一番大きな、アンケートの中でも職場での理解を求める、これは女性が答えているんですよね。その職場での理解、さっき風土という言葉もありましたけれども、男性も女性も子育てのために会社を休むのは当たり前というような社会にしていくために中小企業の女性会としてどのようなことをしていったらいいというふうにお考えかと。
 それから、奥山参考人──もう時間がないですね。じゃ結構です、はい。
#106
○会長(清水嘉与子君) それでは、樋口参考人、どうぞ。
#107
○参考人(樋口美雄君) この間フランスに行ってまいりましたが、フランスは出生率が九〇年のとき一・六まで下がりました。しかし、今一・九を超えるまで回復しました。その主たる原因は何か。いろんな支援も、政府による支援も企業による支援も行われていますが、一番の大きな原因はやはり景気が良くなったことじゃないかというふうに言っております。なぜ景気が良くなったことがプラスになるかといいますと、人生の将来設計がこれによってできるようになってきたと。やはり人生の設計ができなければ子供を持つというのもこれはできないんだというようなことから、そういった効果が強いんじゃないかというふうに言われるようになってきた。このことを考えますと、御指摘のとおり、やはり将来設計ができるような社会をどう作っていくのかというようなことがここでも効果は大きいんではないかというふうに思います。
 その上で、では、例えば女性の育児休業の取得率八〇%と。これは確かに勤め続けている人について見ると育児休業を取った人が八〇%ということですが、辞めてしまった人がそこには加算されてないということから、先ほど申し上げましたような三割程度かなというようなかなり低い数字が出ているというふうに思います。
 そこで、その中で男性に育児休業を御指摘ですと取らせるような制度をどうしたらいいか。これは国によって、例えばスウェーデンですとかは義務付けるというようなこともありますし、フランスでもそういったことが検討されているということですが、果たして義務付けることで本当にうまくいくんだろうか。これは力によって抑えるというよりは、やっぱり取りたいというふうに個々人が思う環境を取っていかないと、政府が力でそれをやらせたとしても現実には実効性が上がってこないんじゃないかというふうに思います。例えば、フランス辺りでも言われましたのが、例えば男が育児休業を取る、これをどう企業の方が考えるのか。困ったものだというふうに考えている間はこれは実効性上がらないだろうと。逆に、育児休業を取って、バランスある生活をいろいろ工夫してやっていく人なんだという評価が確立してくると、これは本人の方も、男性の方もまた取るようになってくるというようなことであるかと思います。
 そういった社会風土といいますか、企業風土を変えていくというようなことが私は重要なポイントになってくるのかなと。時間は掛かるかもしれませんが、それがやっぱり摩擦を一番小さくするんじゃないかというふうに思っております。
#108
○会長(清水嘉与子君) 最後、秋山参考人、どうぞ。
#109
○参考人(秋山桂子君) やはり企業ですので、そこの企業が活性化して、やっぱりもうかれば企業は何でもすると思うんですね。すごく、例がいいかどうか分かりませんけれども、あのトヨタ方式みたいに、それがいいとなると日本の中小企業はもうどこでもそれをまねしてやりますよね。ですので、何かそういう成功事例みたいのがこれから出てくればきっとそういう、企業のために、活性化のためにやるんではないかと思います。
 そして、男性の場合、その評価ですね。やっぱり会社にそういうふうに休んでしまうと迷惑が掛かるとか、やはり評価が落ちるとか出世ができないとかということがありますので、それをやっぱり直していくということが必要だと思います。
 それから、やはり子供を持つ喜びというのを、それをやはりもっともっと声を大きくして言って、それをみんなで分かち合っていくことがいいことかなと思います。
#110
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 質疑も尽きないようでございますけれども、ちょうど予定の時間も参りましたので、以上で参考人に対する質疑は終了したいと存じます。
 参考人の皆様方には、大変長時間にわたりまして貴重で有意義な御意見を賜りましてありがとうございました。ただいまお述べいただきました御発言につきましては、今後の調査の参考にさせていただきます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 次回は来る三月二日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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