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2005/05/11 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 少子高齢社会に関する調査会 第7号
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2005/05/11 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 少子高齢社会に関する調査会 第7号

#1
第162回国会 少子高齢社会に関する調査会 第7号
平成十七年五月十一日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         清水嘉与子君
    理 事
                中島 啓雄君
                中原  爽君
                山谷えり子君
                神本美恵子君
                山本 香苗君
    委 員
                荒井 広幸君
                岩城 光英君
                荻原 健司君
                狩野  安君
                坂本由紀子君
                関口 昌一君
                中村 博彦君
                小川 勝也君
                岡崎トミ子君
                加藤 敏幸君
                島田智哉子君
                柳澤 光美君
                山本 孝史君
                蓮   舫君
                山本  保君
                鰐淵 洋子君
                小林美恵子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   参考人
       赤枝六本木診療
       所院長      赤枝 恒雄君
       NPO法人円ブ
       リオ基金センタ
       ー理事長     遠藤 順子君
       社団法人日本家
       族計画協会常務
       理事・クリニッ
       ク所長      北村 邦夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○少子高齢社会に関する調査
 (「少子高齢社会への対応の在り方について」
 のうち少子化の要因及び社会・経済への影響に
 関する件)
    ─────────────
#2
○会長(清水嘉与子君) ただいまから少子高齢社会に関する調査会を開会いたします。
 少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題といたします。
 本日は、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、赤枝六本木診療所院長赤枝恒雄さん、NPO法人円ブリオ基金センター理事長遠藤順子さん、社団法人日本家族計画協会常務理事・クリニック所長北村邦夫さんに参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますけれども、まず、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、赤枝参考人からお願いいたします。赤枝参考人。
#3
○参考人(赤枝恒雄君) 私は、ここでこういうふうに今日お呼びをいただいたことはもう本当に待ちに待ったといいますか、昨日も遠足に行く子供のように一晩本当に寝られなくて、今日わくわくして参りました。本当にありがとうございます。
 実は私は、昭和五十二年ですから、二十七年前から六本木のアマンドの七階で産婦人科を始めました。一年ちょっとで裏に移りましたけれども、六本木の交差点からもう二分ぐらいのところで産婦人科をやってきたわけです。
 この二十七年間の間の最近十年ぐらいで思うことは、どうも子供たちが手後れ状態で産婦人科の我々のところに来ると。性感染症にしていえば、コンジロームとかヘルペスがかなり広がった状態で、入院をしなければ駄目なような状態で来る、又は出産間近になって、お腹が痛いと言って来たら実はもう出産間際で、妊娠していておろしたいと、そういう中学生が来たり、手後れ状態ということで、何でもっと早く来ないんだという会話がいつも繰り返されてきたわけですけれども。そこで子供たちがみんな言うのには、必ず産婦人科が怖いと言うんですね。産婦人科が怖い、何をされるか分からない。それからお金がない、保険証は借りられない、この三つが比較的大きな要因ではあるわけですけれども。
 それじゃ、私たち産婦人科医が町へ出て行って、どこか比較的子供の目の触れる喫茶店みたいなところで何か相談室をやったらどうだろうと思って出ていったわけですが、それは六年前の、ハンバーガーインというハンバーガーショップに出ていって、夜、毎週一回木曜日の夜と決めてやっているわけですけれども、しかしそこで知り得た子供たちの性の実態は、これはもう驚くべきことでありました。
 実に、私は子供たちの学校の先生の友人でもなければ親の友達でもないということで、私には本当のことをすべて話します。その中でびっくりしたのは、やはりここまで進んで親が知らないことを子供たちがやっているというこの事実。それはやはり、あいさつ代わり、つまり子供たちにとって遊ぼうというとこれはセックスを意味するわけで、遊ぼうというとセックスをしてしまう子供たち。そこには、コンドームを付けると格好悪い、いけてないということでコンドームを使わない、しかもその数をこなすのを比較的自慢している子供たちがかなりいるという。
 こういう事実を私が知ったときに、これでは相当子供たちの性感染症がひどいことになっているであろうということで、私は、三百枚の、三百人分の無料性病検査券を夜配りました。港区の九つの診療所と協力していただいて、この券を持っていったらただで診てくれよということで配りましたところが、百二十五人が受けてくれて、八一・六%という数の子供たちが何かの性病にかかっている。
 これは大変なことだということで、今やっているのが、都内のまじめな高校生、まじめと思われている高校生の性感染症の実態。これは自己採取という、おりものを自分で採ってもらって送ってもらうシステムですが、これを我々は、我々というか私はやっているんですが、今二百三十三人ぐらいの検体で調べてみましても、やはり一九%ぐらいにはクラミジアはいますし、四〇%近くパピローマウイルスの感染がいるわけですね。
 これはもうとんでもないことになってきているわけなんですが、一方、親たちに言っても、いまだにそういう事実を直視しないで、うちの子に限っては問題ないと言いますが、例えば援交をやっている子供たちでも、中学生で、親が学校行きなさいよと言って親が先に出ていく、母子家庭なんかそうですが、子供が残っていて、そのまま制服を着て渋谷に援交に行くわけですけれども、そういう子供でも、その親に聞くとうちの子はバージンだと言い張るわけです。
 子供たちの意識としては、その後、子供は最終的にはつかまったんですが、つかまって親がうちに連れてきたときには、うちのこの子は援交しているんですと最初は言ったわけですね。実はその子は、診察台上がる前に、親がいないところで、先生、私、援交じゃなくてパクリやっていたんですと。つまり、プリクラの、みんながプリクラで写真を撮っている間に下に置いたバッグを取って、そこからお財布とかみんなあれして相当なお金を持っていて、それが親にばれたわけですけれども。
 つまり、子供の意識は、援交していたと言う方が親に言いやすい。親は援交していたということは大変なことだというんで連れてくる。親の意識と子供の意識は完全に今はずれております。子供は、援交していなくても、このお財布の中のお金はどうしたんだと聞かれると、援交したと言うわけですね。実は本当はパクリで、そういうプリクラの中のお財布を取っていた。だから、今の子供たちにとってみたら、援交なんというのはパクリよりももっと罪の軽いことだと思っているわけですね。
 そういう親の意識が子供と随分ずれているということもあって、性感染症はどんどんどんどん広がっていく。しかし、性に対する教育は家庭でもできない。僕は家庭でできないという意味はよく分かりますけれども、それはできなければ子供に対してそれなりのしつけをすればいいんですが、それももちろんできていない。学校でできないというのは、これはいろんな議論もあるでしょうけれども、学校でやっぱり命の大切さ、性の、生殖の大事さ、ジェンダーの大切さ、違い、そういうものを小学校のとき徹底して教えていく。中学の卒業のときには、性感染症と避妊については一〇〇%、テストして、試験をして、できなければ卒業させないぐらいの、そういう徹底した、それやっておけば問題はないんでしょうけれども、そういうのがないためにどんどんどんどん広がっている。
 厚労省が、今や、おととし出した、十代の出産を予定している子供たちの、ここに、お手元にもありますけれども、相当な数ですね、四六%ぐらいがもうパピローマウイルスにかかっているし、十代でまじめに出産を考えている子供たちのもう、お手元にはこれないですが、十代で出産を考えている子供のほとんどの子供たちが性感染症にまみれているという悲惨な状態にあるわけなんです。
 こういう現実を直視しないで議論を進めて、議論ばっかり繰り返されて、我々も体験として、日本産婦人科医会というところで二十八年前からこういう性教育というものを全国規模でやっても、二十八年前のテーマが、たまたま今問われている中学生のセックスがおかしいということが二十八年前のテーマであり、今またそういうことを言っていても何にも、進歩はしていないどころか悪化をしている。
 やはり我々大人が何かをしなければいけないんじゃないかというところで、私自身がもう何かをしなければいけないということで始めたのが街角相談室、これは六年前からやっていることでありますけれども。それから、エイズの検査だってみんな受けに来てくれない。エイズは怖がって来てくれない、それじゃ自分たちが子供たちの遊び場に行って、夜のクラブに行ってエイズ検査を受けてもらおう。これも毎月のように百人ぐらいが大体受けてくれます。これも二年前からやっている。こういう、あと無料検診、つまり高校生を中心とした、自分でおりものの多い人は送りなさいということで、無料検診で、性病の無料検診も今やっているわけです。
 こういうことはいずれ行政の方に肩代わりをしてもらいたいと思って僕も今頑張っているんですけれども、今日、この場に出さしていただいて、私はそういうところを大きく前進するんではないかと期待して、昨日も眠れない思いでわくわくして来たわけですが。
 ちょっとスライドを用意しましたので、ちょっと見てもらいたいと思います。
 皆さんに見てもらいたいことが一杯ありまして、知ってもらいたいことが一杯あって、スライドが膨れ上がっちゃって、これ全部やって、昨日も自分でやってみても四十分掛かるんで、これちょっとまずいんで、ぱぱぱっと早送り的になってしまいますけれども、あと十分ばかりで終わるようにいたします。
 じゃ、照明をちょっと落としていただければ。(資料映写)
 これは体験率が、これはもうよく出るあれで、女性の方がもう半数を超えている。十代の子供たちのもう性行動というのは、お休み、何かのイベント、例えばああいうクリスマスとか、春からいくと春休みがあり、それからいろんなイベント、夏休みがあり、クリスマスがあり、まあバレンタインもあるんでしょうけれども、お正月あり、そういう何かイベントがある後に我々のところに、三週間後、不思議なもんですね、三週間後に先生生理がない、四週間後には先生臭い、もうこれがパターンとして必ずあります。休みの後の、何かイベントがある後の三週間後には生理が来ない、四週間後には臭い、怖い。こういうふうな子供たちの性行動にはパターンがあります。
 これはもう今日は皆様にも是非知っていただきたいと思うのは、これは街角相談室に遊びに来る中高生たちがよく読んでいる漫画、これは置いていくわけです、家に持って帰れないから。それを見ると、これはコンビニで買ったらしいんですけれども、中身はこのとおり、これは中はもうセックスに関する漫画ばっかりですね。
 それで、裏を開けてみると、裏の表紙がまたこの豊胸ですね、これやっぱり社会が言う、あおる、つまり女性を比較的こういうセックスの遊び道具としてのとらえ方で、豊胸がいいよと、巨乳がいいよというのは、これは今の子供たちの間でも、もう十分みんなが意識しているわけです。こういう広告がこの中のページも全部、いろんなところに載っていますけれども、売れるということは、やはり豊胸手術に行っている子供たちもいるということです。
 これはちょっと年代が上がって、まあ高校生から大体短大生ぐらいのティーン雑誌。ティーン雑誌の中もこんなもんですね。もうセックスに関する、それも性行為そのもの、性行為そのものがどんどん出てきます。これを見ても分かるように、この風俗嬢がレクチャーするなんて、風俗嬢が中高生、また高校生、短大生にこういうセックスのレクチャーをする。男を気持ち良くさせるテクニック、こんなことが、こんなの不思議なことでも珍しいことでもないわけです。
 我々のところでは、保険証を持って来るわけですから、どこのどういう会社のOLさんというのはすぐ分かるわけです。そのOLさんが性病検査やってくれって来るんですけれども、定期的に来る。お仕事は会社じゃないんですかと、いや、今風俗でバイトしているんです。今は売春婦の方もそういう一般の方も、全く差別がないです。
 そういう差別がなくなるのは、一つのやっぱりメディアの中の、これはファッション誌みたいにかわいい雑誌ですけれども、実はこれは風俗の紹介誌です。この中に出てくるのは、これはもう基本的なパターンです、この求人の。自由出勤、わがまま出勤、一日二、三時間でもいいですよと、月一回でもいいんですよと。それで、毎日五万円が確実にもらえます。それで、未経験でも大丈夫なんですと、お客さん一名だけの体験入店でもいいんですよと。それで、うちは会社の名前を使って名刺も作って、アリバイもやりますよと。もしあなたが知っている方が来たら困るんで、そういうモニターチェックもできますよ。個室ですから、お客さんいないときは自由にくつろいでください。こういう種類の、もう至れり尽くせり、こういう風俗の求人誌はこのとおりです。これが求人誌の今の現状ですね。
 子供たちがそういう性の知識をどこからもらっている。これは東京都庁、都庁が青少年の育成に関して出した統計ですけれども、ほとんど友人、その次先輩、これも友人に入りますけれども、ほとんど友人、先輩で、学校の先生からの知識とか親の知識はほとんどないわけですけれども。
 ここで問題になるのが、どこから得ているか、知識の、アダルトビデオってやつですね。このアダルトビデオ自体がもう歴史が長くなって、普通の一対一の性行為の正常位のセックスをだれに見せてももう飽きちゃっている。飽きちゃっているから、どんどんどんどん人がしないようなセックスをする。複数のセックスをする、又は器具を使うようなセックスをする、レイプを見せる、いろんなところでふだん行われないことを、アダルトビデオというのは売らんがためのものですから、こういうものを企画して、それで監督さんがいて女優さんと男優さんに演技をさせている。この演技だということが分からない。しかし、それをうそだということをだれも言うチャンスがない。子供たちはひそかに、男子でいえばもう五〇%、女子でもああいう漫画を見ながら五〇%の子供たちはそういうところから間違った情報をもう得ているわけですね。
 実際、そのアダルトビデオのまねをされたら困るわけです。あれは本当は非常に危険なセックスなんで、性感染症の面、避妊の面、何の防御もしていないわけで、楽しければいい、気持ちよければいい、面白ければいい、そういうもので作られているので、まねをしちゃ困る。だけれども、まねをした子はほとんどが、まねをしようと思った子も含めると、六六%の男子はそうだし、女性の場合も三〇%の子供たちはそれをまねをしているわけですね。
 実際、そういうアダルトビデオは絶対に十八歳未満で性に関する知識とか基礎的な生殖に関する知識が備わっていないと、私は見ちゃいけないと思いますけれども、現実には中学三年生ではもう五八%が見ている、高校三年になると八一%が見ている、こういうのが実は現実ですね。
 一方、出会い系の携帯。この出会い系の携帯は、子供たちがこれはほとんどが被害に遭うんですけれども、その被害に遭うということ、被害に遭っている現実もいろんなところで報道されている以上のものがあるんですが、やはり携帯を出会い系で使うと、やはり中学の女性の場合と男性の場合を比較しても、もう全然非行と一般が、中学女性の一般と非行はこれだけ違う。携帯の出会い系を使うと非常ないろんな被害によく遭っている。携帯が、正に使い方を教えていないために、そういう被害に遭っている。
 一方、新聞の報道によると、こういう九割の女性がその出会い系の方に自ら、女性からお金が欲しいからアクセスしている。今やこういう援交という問題は、九割は女性の子供の方から。何でお金がそんなに要るの、これはもう見掛けの世界、社会です。見掛けが良ければいい、プチ整形がしたい、メークもしたい、お洋服も買いたい、ジュニアブランドはめちゃくちゃ高いです。お金が要ります。どうしてもお金が欲しくなって自ら、子供たちの方から出掛けます。
 しかし、その左を見てもらうと分かるように、出会い系サイトはもう皆さん被害に遭っています。被害に遭っていることを、被害に遭った子も言いません。学校の先生も言いません。正に今は、男の子はもう女の子をセックスの道具にしています。やれればいい、女子高生の二十人に一人がレイプされている、これは朝日新聞に出ました。だけれども、こんなもんじゃないです。本当は、我々の街角相談室に来る五人の子供たちの三人は、つまり六割、三人はレイプされています。そういうことで、こんなレイプの実態はもっとひどいものです。集団でもこういうレイプになります。
 一方、そのエイズの問題ですが、エイズの問題で私がやっぱりこう不思議に思うのは、エイズの検査体制が悪いと。我々病院でも、待っていると、千人の中でも、子供たちは、十代の子供たちは十三人しか来ない。それはお金がないのもありますけれども、まあ敷居が高いということもありますけれども、現在のHIVの全国の統計を見ましても、十代が少ない。十代は少ない、圧倒的に少ない。
 二十代と三十代が比較的HIVの感染者が多い。それはそうですね。これ、見てもらえば分かるように、二十代の検査を受けている人が、検査を受けに来た人が六六%、ほとんど要するにエイズの検査を受けに来るというのは二十代が多いわけですね。二十代と三十代が多いわけです。だから、二十代と三十代にHIVの感染者が多いというのは当たり前で、十代が受けていないだけで、私に言わせれば、十代をもっと調べればもっといるんじゃないか、そういう怖さを感じるわけです。
 HIVについては、この意識の問題が僕はちょっと非常に気になるんですが、もしあなたがHIVに感染したら両親に言いますか。両親、一番大事な守ってくれる人ですけれども、両親には九五%言いません。これはうちで調べた結果ですけれども、兄弟にもほとんど言いません。今付き合っているパートナーにも三七%も言いません。何で今付き合っているそのパートナー、一対一のパートナーにHIVにかかったことが言えないの、それは多分、元彼からうつったと思うから言えない、前の彼からうつったと思うから言えない。それじゃ元の彼、前のパートナーに言いますか、これも一〇〇%近く言いません。ですから、もう別れたら言わなくてもいいと、そういうことでだれも言いません。こういう意識でいる限り、日本のHIVは非常に爆発します。そういうふうな怖さがあります。
 で、そこのお手元にあるようなこういうことに今なってきているんで、私については、これについて深刻に受け止めていただきたいというようなところで、取りあえずは失礼をいたします。
 ありがとうございました。
#4
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、遠藤参考人にお願いいたします。遠藤参考人、どうぞ。
#5
○参考人(遠藤順子君) 今日はこういうチャンスを与えていただきまして、それで、私どもが二十数年来やっている生命尊重に関する運動についてお話ができることを大変有り難く思っております。
 戦後、一九四五年から二〇〇〇年までの推定の中絶数というのは六千七百万人を超えています。六千七百万人ということは人口の半分以上ですね。それで、厚労省が一九四九年から年間の中絶数というのを発表しています。それによりますと、一九四九年から二〇〇〇年までの間で三千四百七十一万九千四百七十四人という、四九年から二〇〇〇年までの合計です。でも、それは産婦人科のお医者さんたちが正式に届けた数なんです。それで、恐らくその二倍から三倍だろうということは一般の常識というか、先生方の常識として言われております。ですから、戦後から二〇〇〇年までで恐らく一億人だろうと言う人もいます。でも、私どもはその二倍というののちょっと内輪を見て六千七百万人ということに一応しております。推定でございます。ですから、それは大変な数ですね。
 それで、インドの聖女と言われるマザー・テレサという方がいらっしゃいます。その方が日本へ三度いらしていますけど、一番初めにいらしたときに既に、日本は大変豊かな国だと聞いて来たけれども、でも、実際に来てみて聞いてみれば、年間百万人以上の赤ちゃんを中絶していて、そういう事実があるのに割合にそのことが問題にされないでみんなが平気な顔をして、当たり前のような顔をしている、そういう心の貧しい国だということを聞いて大変残念に思うとおっしゃった。それを聞いていた若い女性たちの中でそれに啓発されて、生命尊重ということは大事なことだということを自分たちで原稿に書いて、それを印刷して知り合いに配るというところから始まったのが生命尊重センターの運動なんです。それで、それをずっとやってまいりました。
 平成八年になりまして、ドイツでもって妊娠している女性が交通事故に遭いました。意識がなくなって植物人間みたいになって生きていたわけです。おなかの中にいる子供が四か月でした。それで、四か月の子供をとにかく生まれさせるまではその女性の治療を続けようということになりまして、そのことが日本の新聞にも報道されました。それでもって、そのときに生命尊重の人たちが、それではこれ何か支援をしようということになりまして、お金を送ることになりました。
 そうしたら、それが結局、結果的には受け付けてもらえなかった。どうしてかというと、おなかの中の赤ちゃんが生まれてきてからはいろんな援助があるんですね。ですけど、おなかの中の赤ちゃん、胎児というものに対するそういう援助を受け付けるという制度がなかったんです。それではせっかくあれだから、日本の方でも何かそれじゃ使ってもらおうといったら、日本の方にも、誕生してからはいろんな援助があるけど、胎児に対する援助というのがなかった。それじゃそういうものをつくろうということになりまして円ブリオ基金というものができました。
 それで、円ブリオ基金というのを、何か今こちらでは十二週だとおっしゃいましたけど、私どもは、お母さんのおなかの中に赤ちゃんが着床してから八週間まではエンブリオ、その後はフィーチュスというんだというふうに私は会から聞いております。それで、円ブリオ基金というのができまして、私どもは、今、円ブリオ基金というので、赤ちゃんを中絶から守るという運動をいたしております。
 それで、ドイツにおいて憲法裁判所というのが、その後、おなかの中の赤ちゃんにも生命権というのがあるんじゃないかということになりました。それで、私どもは一円玉を集めて、どうして円ブリオって円という字を、一円の円という字を書くかとお思いになるでしょうけど、円ブリオというのは、おなかの中の赤ちゃん、いと小さき者を助けるということで、それでは、寄附金も一万円とか千円とかというのでなくて、お金の中の一番小さい単位である一円というのを募金の一口の単位にしました。それで、一円玉を集めておなかの中の赤ちゃんを助けましょうということをやっておりまして、今まで八年間でもって百四人の赤ちゃんをその一円玉を集めた基金で救っております。
 それで、私どもの活動は中絶から赤ちゃんとお母さんを守ろうという運動ですが、その一つの運動の具体的な柱として「スマイル・エンブリオほっとライン」というのを作っております。それは電話による妊娠葛藤相談ということです。それで、二〇〇三年に始めました、それは試みに。それでもって秋に十日間、二十四時間体制で受け付けるんですね。そして、そのときには百五十人相談がありました、十日間に。二〇〇四年には何と十日間で百九十四人ありました、去年です。それで今年は、これからだんだん相談が増えてくるから、それでは今年は春と秋と両方相談をやろうということになりまして、春はそれじゃとにかく、取りあえず三日間だけということで、この間三月に三日間だけ電話相談をやりました。
 それで、去年のときには、新宿の中落合というところにある聖母病院というのがありまして、そこの長谷川看護部長さんという方と、あとその配下の方が何人かで、あの忙しい病院の業務の中を縫ってとにかく二十四時間体制で電話を受け付けてくだすったんですけど、電話が掛かってくるのが夜中、それから朝の早朝ということが多いんです。いかに身内の中で自分が妊娠して困っているということを相談できないか、相談する人が身近にいないかということが非常によく分かります。今年もわずか三日間しかやらなかったんですけど、でも百三十三件の、三日間で、去年の半分以下の日にちだったんですけれども、それでも百三十三名の相談がありました。
 やはり、身体に関することとか薬に関することの相談が多いのでなかなか私ども素人ではお答えできかねることもありますので、去年は聖母病院の看護婦さんたちですから問題がなかった。今年も産婦人科のお医者様とかそれからいろんなカウンセリングの資格を持っていらっしゃる方が相談に乗ってくだすって、それで今年は、受話器を置くとまたすぐ掛かってくる、また受話器を置くとすぐ掛かってくるというようなことで、ほとんど御飯を食べる暇もないような状態だったそうです。やはり困って、何とかして救いを求めているという人がいかに多いかということでございます。その看護婦さんたちとか今年の産婦人科の先生やそのカウンセリングの方なんかは全部ボランティアでやってくだすって、それは大変有り難いことだというふうに思っております。
 それで、電話相談で見えてきたことというのは、それは私どもにとってやっぱりある種の救いでしたけれども、おなかの中に赤ちゃんができたということが分かりますと、やっぱり大半の女性が産みたい。産みたいけれども、いろんなことで、経済的なこととかいろんなことで産めないんですね、家族の反対とかいろいろありまして。だけれども、もしできることなら産みたい、何かそういうことで障害が取り払われるんだったら産みたいと、何とかして産んでやりたいと思っている女性の方が電話で多いんですね。それで、もう結果、もしかして駄目だろう、多分中絶しなきゃ駄目だろうと思って、わらにもすがるつもりで掛けていらした方がいろんな相談をして、これは社会的な問題だったら社会制度でこういうことがありますよとか、それから、夫の暴力から逃げてくるとかボーイフレンドの暴力から逃げたいとかっていう方だったら、何かそれを何とかしてかくまって、出産までかくまうような施設とか、そういうのを考えたり、お母さん、お父さんに直接会ったりとか、いろんなことをして、とにかく何とか産みたい人が産めるような体制というのをつくっています。
 それで、年々増加してくるその相談者の数を思うと、やはりとても相談するところが、公的な相談所というのが日本では非常に少ない。それで、親にも言えない。今もおっしゃいました、親にも言えない、兄弟にも言えない、まあ友達に言うぐらいですね。ですから、そういう人たちが中絶しないでもいいような相談所みたいなのがたくさんあったらいいと思います。
 それで、私どものところでは、お母さんと子供の「ほっとスポット」というのをつくっています。今それは全国に二百ぐらいありますけれども、これを五百ぐらいに増やしていこうという今努力中です。
 それは、妊娠してしまったお母さんとか、それから出産した後で子供をどうやって育児をしていいか分からないとかと、そういうことで困っているお母さんというのがたくさんいます。それから、そういうためにノイローゼになったり、それから幼児を虐待したりするお母さんもたくさんいるわけです。でも、そういうところへ来てもらって、それでそこでもっていろんな話をしたり学習をしたり、それから、そこにちょっと先輩というお母さんたちがいるわけです、出産について。それで、ああうちの子供が使ったベビーサークルが空いているから、それじゃこれをお使いなさいと。それから、それじゃこういうふうなものだったら私のところにあるから、間に合うだろうから、乳母車はそれじゃうちのを使ったらとか、いろんなことも言ってくれるし、それからいろんなホットニュースもそこで聞ける。それでお母さんが、やはり、ああ自分一人で悩んでいるんじゃないんだ、こうやって相談すればだれかがいろんな知恵を出して援助してくれるんだということでほっとするスポットなんです。それで、それを今、何とかして五百ぐらいに増やそうということを今やっているところです。
 それで、お母さんたちの、中絶をしなくちゃいけない、どうしてもこれは中絶しなくちゃいけないだろうと思う理由の一番大きいことは、やっぱり経済なんです。経済もいろんな、後で御説明しますけれども、質問のときに。でも、それは今の経済でやっていけるかどうかということじゃなくて、将来の、御主人とか自分の仕事がいつリストラされるかも分からない、それで将来のそういう不安があるんですね。だから、今ここで子供を、例えば一人いるんだけど、もう一人産んじゃってどうだろうかというような心配があるわけです。
 それで、中には、もう三十半ばを過ぎた方で、もう二人ぐらいの子供さんがいる、それで三人目をどうしようか、三人目はもうどうしようもないから、経済的に無理だからおろそうと。その無理だからというのの一番の理由は、教育にお金が掛かり過ぎる。それで、一番目の子と二番目の子は何とか大学まで卒業させられそうだけれども、もう三番目の子にはその上の二人と同じような教育はできない、だからそれはやっぱり兄弟でそれは不公平になるから三人目はおろそうかと、そういうふうなことで、いわゆる若い十代の人の妊娠じゃなくて三十代の人の中絶という相談もたくさんあるんです。
 それで、私どもは、ドイツ、アメリカのカウンセリングというのに見られる、やはり生命尊重ということを第一番の目的に考える、そういうカウンセリングをまねして勉強してやっていこうと思います。
 さっき申し上げたように、ドイツの場合には、一九九三年に憲法裁判所というのが胎児の、おなかの中の子供にも生命権があるということを判決で申しまして、今のカウンセリング、ドイツのカウンセリングというのはほとんどそこから全部出ております。ですから、とても相談所も数も多くて、ベルリンの例を取ってみますと、ベルリンでは二百二十九か所、ベルリンの中だけで相談するところがあります。それで、昨年は、その相談所でもって中絶しようと思ったのに助けられた人たちは一年間に二千百三十九人います。ですから、それはベルリンだけで二百二十もあるわけですから、全国的に大変な数ですね。そういうところで救われている人というのはたくさんあるわけです。
 それから、アメリカの場合には、まあ大分前から生命尊重派、プロライフというのと、それからプロチョイスと、妊産婦の方にそのチョイスがあるだろう、チョイス権があるだろう、選択権があるだろうという派とが争っておりまして、それはまだまだ決着はしないんですけれども。でも、そのプロライフ派の人たちが草の根運動というのをやりまして、大変それは、レイ・カウンセリングというんですけれども、それは効果を上げています。もしそこの相談所に行けば無料で診療をしてもらえます、まず。それで、無料で診療してもらって、今おなかの中にいる胎児がどういう状態かということをすぐ教えてくれます。それで、その妊産婦の産めないと思う事情を一つ一つ聞いて、それを一つ一つ一緒に解決して、それで、産めるんだよ、産んでもいいんだよということを伝えます。それで、やはりそういうカウンセリングで救える命というのもあるのではないかと思います。
 それで、今その相談を、電話の相談を掛けてきてくれる女性の中でもって、ほとんど九割の女性が、もし産めるんだったら産みたいと言っています。ですから、それはやはり何とかしてそういう相談所みたいなのを増やして、それでそういう人たちを救ってやりたいと思います。
 それで、私は後でまたそれも申し上げますけれども、行政ではたらい回しにされたり、それから二十歳以下、未成年者だとお説教をしたり、それから、そういうことで、もう十九歳ぐらいじゃとても私たちが何もやってあげることはありませんとおっぽり出されたり、そういうことが多いんです。ですから、そういうことでなくて、何とかみんなで救うことで力を出していっていただきたいんです。
 今、親が妊娠した子供に、それじゃ中絶を勧める、出産を反対する理由というのは、やはり若過ぎる、それからほかの、順番が違うというのがあるんですよ。順番が違うというのは、ほかの兄弟、上の兄弟がいるのに下の方が先に結婚するなんてとんでもないということがあります。それから、相手の性格が悪い、それから世間体が悪い、それから男の方の母親は、婚前にそんな性交するようなそういうふしだらな女を息子の嫁にはできない。もうそれには本当にあきれます。どんなに頑張っても女の子一人では絶対妊娠しないんですから。だから、そうすればそれは自分のところの息子がその種をまいたわけでしょう。それでそういうことを言う。だから、もう本当に母親の教育、再教育の方がむしろ重大だと思うぐらいです。
 それで、村上和雄さんという方が、人間が、夫婦が子供をつくるなどというのは大変傲慢なこと、子供というのはやはり大自然からのギフトだと言っていますね。それで、人間はただ受精の手伝いと、それから胎児に栄養を与えることをしただけで、子供の誕生のプログラムというのは、それは人間の業を超えた大自然の営みだというふうにおっしゃっています。
 時間が来たから、そろそろあれしますが。
 それから、さっき性教育の話が出ましたけれども、今の参考にいただいた資料の中にある小学校一年の性教育というのはすさまじいですね。それで、私は、小学校の一年の子にああいうことを教えるというのは、やはりそれはいじめだとしか思えません。性教育のことを教えるやっぱり段階、時期というのがあると思うんですね。一年の子にお父さんとお母さんの出口と入口の話を教えても、それはやはり嫌悪感を持たれるだけではないですか。私は、性教育をあんな小さいときからやるということで、やはり随分家庭を壊していると思います。それで、そういうことのために、やはりお父さんは不潔と思ったり、お母さんを信じられないと思ったり、それからもう少し大きくなって、お父さんやお母さんがやっていることを私がしてどこが悪いのという話になっちゃう。
 ですから、性教育というのはやはり子供、小学校の一年の子なんかが、これからそういう人たちが、男の子は女の子を見て、女の子は男の子を見て、ああ、すてきだなと思ったり、りりしいなと思ったり、勇気があるなと、ああ、あの人はすてきだなとお互いに思って好きになる。それがだんだん恋するようになって、それでだんだん人を愛するという、真剣に人を愛するということを覚えていくんだと思う。だから、それを、まだ何にも分からない、恋も愛も何にも分からないうちから、要するに男と女というのはこういうものだ、要するにこういうものだよというくそリアリズムでそれを小学生に教えていくというのは、それはちっとも性教育ではないと思います。
 時間が来ましたから、失礼します。
#6
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、北村参考人にお願いいたします。北村参考人。
#7
○参考人(北村邦夫君) 北村でございます。
 このような機会にお呼びいただきましたことを大変感謝いたします。
 ただ、私は、ただいまお二方の参考人のお話を伺いながら、十分注意しなければいけないことがあるかなという印象を持ちましたのでまず申し上げますが、国会ですし、あるいは国政の場で先生方は世界の中の日本ということを評価しなければいけない立場にあるわけでございますから、私はその辺りをきちっと踏まえた形で何か先生方に資料を提供できないだろうかという思いで一杯でございます。
 私も臨床医ですから、赤枝先生の話、現場の臨床の場では十分見受けられる話でありますけれども、赤枝先生は六本木というある限られた集団の中で子供たちを見ていらっしゃる方であります。
 また、中絶に関する話も、しなければいけないことがたくさんあることは、そして日本がほかの国に比べて非常に立ち後れている部分があることは十分承知しております。人工妊娠中絶の件数は、一九四九年からのデータ、すなわち遠藤先生のデータ、四年間不足しているんですけれども、私の今試算では三千六百万件近くなんでございまして、どういうところから六千七百万件になったのかということについて、ややちょっと疑問もございます。
 それと、私は、日本の子供たちの名誉に懸けて、日本の子供たちはそれほどあほではないということをまず先生方にきちっと知ってもらいたいと思っております。人を動かすときには性悪の立場でではなくて、この人たちは働き掛けることによって変わるんだというその可能性を相手に秘めながら取り組まないと、本当の意味で人を動かすことはできないと私は確信しております。
 ちなみに、世界の中の日本の、例えば十八歳の女の子の性交経験率などを最新に近いデータで見ますと、スウェーデンは六五%でございます。フランスは五〇%、イギリスは六三%、カナダは五三%、アメリカが六三・一%、我が国は実は四三・一%にすぎません。目の前にいる子供たちを、正に灯台下暗しという言葉がありますけれども、見ておりますと、これは大変だと私も身近なところではそう思うんですけれども、そう思いがちですけれども、グローバルの世界の中で日本の子供たちを見たときに、子供たちは満更ではありません。
 ただ問題は、国の政策が、あるいは学校教育における怠慢さが、子供たちが学ばなければいけないものを学ぶチャンスを失わせ、あるいは子供たちが受けるべき権利を受けられないという状況にあるのでございます。
 私は経口避妊薬、ピルの承認のために闘い続けてきた者の一人でございますけれども、確実な避妊法と評価されている経口避妊薬、ピルが、世界に後れること四十年も掛けて、実は不毛な議論が僕はあったと思いますけれども、日本で一九九九年に承認されたというのはまだ記憶に新しいところでございます。
 例えば、世界では当たり前のように使われている緊急避妊法というのがございますけれども、それについても国連加盟国中、ひょっとして日本、唯一というのは大変乱暴ですけれども、実はそれが存在しないのは日本だけでございます。緊急避妊という方法がありまして、七十二時間以内であれば対処できる方法なんですが、そのことを知らないことはおろか、知らせないことは罪とまで言われている中、日本政府はそういう取組に対して極めて非常にルーズであります。
 例えば、経口避妊薬一つを取ってみても、フランスもカナダもスウェーデンも実は十代の若者たちに対しては無料で提供するというような仕組みが取られておりますし、性感染症の検査や治療についても、公的なクリニックでも私的なクリニックでも無料で受けられるにもかかわらず、日本は、保険を使うにも親からもらえず、使えず、自費で受けなければいけない、経口避妊薬、ピルについても自分のお金で買わなければいけないという、こういう若者たちにサポートすべき国の政策がきちっと行われないまま、現代の身近にある若者たちを悪というような形でとらえることがあっては私はいけないんではないだろうかと思っております。
 限られた時間ですので、私の今日のテーマについて向かいますが、ちなみに私は実は五人の子持ちでございまして、今日のテーマ、少子化という部分ではひょっとしたらよくつくったなと先生方から褒められるべき立場でございます。学生時代に子供を二人つくりまして、思えばそのときの子育てが最も楽しかったというのが私の思いでございまして、以降、とんとんとんと五人の子供が生まれ、そして、今では日本家族計画協会という場にあって我が国の家族計画運動に取り組んでいるという、そういう不思議な経歴の持ち主でございます。
 さて、私に与えられましたテーマは少子化対策への提言と性教育でございますので、この資料をごらんくださいませ。(資料映写)
 こうやって一・二九、一人の女性が生涯産む子供の平均数一・二九という形でございますが、減少の一途をたどっているというのが日本の現状でございます、幾つかの国々では増加を示しておりますが。
 さて、こんなところが一体どういうところに問題があるのかということを、従来の少子化対策とは異なった視点から私は今日先生方に御提案を申し上げようと思っております。少子化対策に対する新しい視点の提言でございます。
 実は、今日、卓上に資料を用意させていただきましたが、これは国から厚生労働科学研究費をちょうだいいたしまして、日本家族計画協会と共同で行いました「男女の生活と意識に関する調査」、第二回目の報告でございます。この報告で一番お金が掛かるところは何かといいますと、サンプリングなんですね。三千人の男女、十六歳から四十九歳の日本国民男女三千人を対象にいたしまして、層化二段無作為というんですけれども、全国を幾つかのブロックに分け、そして人口規模別に分け、そして百五十地点を選びまして、二十人を住民基本台帳閲覧をお願いしまして、そして抽出し、北村さん、あなたが選ばれましたという形で調査をしたものでございまして、日本人の性や性行動、避妊、人工妊娠中絶の実態、考え方などを知る恐らく数少ない、いや、そしてひょっとしたら唯一の資料になるだろうと自負しております。こんな調査から私たちが受けた印象でございます。
 実はセックスレスという問題がございまして、これは日本性科学会がこう定義しているんですね。特殊な事情が認められないにもかかわらずカップルの合意した性交あるいはセクシュアルコンタクトが一か月以上ない、その後も長期にわたることが予想されるという、これがセックスレスなんでございます。大ざっぱにセックスが一か月以上ないというところに御注目ください。日本のデータでございます。
 これは先ほどの紹介したデータございまして、実は調査員が訪問する先が山古志村が選ばれました。しかし、これについてはどうしましょうと相談を受けましたものですから、体育館に行って調査をするわけにはいかないので、同じ規模の同じ近くの町村で選びましょうというほどにしっかりとした調査だと自負しておりますが。
 皆さん、日本のいわゆる婚姻関係にある人たちの三二%がこの一か月間セックスがないんでございます。この青の部分は婚姻関係のなくなった人あるいは未婚の人たちでございますけれども、これでは子はつくれるのか、私はそう思わずにはおれません。男性の二八・四%が、女性の三四%がセックスレスという状況にございます。
 既婚者、すなわち婚姻関係にある人だけを抽出してセックスレス傾向を見ますと、ここにございますように、三割近くの人たちが、二十五歳から四十四歳、とりわけ子供をつくるのに非常に適当だと思われる、生物学的に適当だと思われるようなこの二十代のこの部分でも三割近くの人たちがセックスがない、こういう状況がございます。
 さらに、このセックスレス傾向のある人たちの背景を調べてみますと、初めて付き合った異性と今も付き合っている人は少ない、セックスに対してとても関心がある割合が少ない、異性とかかわることを面倒だと感じている、初めてのセックスに対してかなり重大なことだと感じていた、セックスレスが高じてか、一年を超えるほどに長期間にわたってセックスから遠ざかっている人が多い、避妊することや避妊法について相手とよく相談して決めている割合が少ないという、こういうデータが出ております。
 これは、こういう背景調査というのは極めてまれな調査でございますが、このセックスレス傾向のある人たちというのは、結局は異性とのコミュニケーションを図ることに非常に消極的であったり、セックスに対して前向きな姿勢を持つことができないというような背景があるのではないだろうかと危惧しております。私は、セックスレスの解消、少子化からの脱却、そして望まない妊娠や人工妊娠中絶の防止、それはすなわち日本の男女の間でのコミュニケーションスキルをどう向上させるかというところに課題を持つべきだと考えております。
 もう一つ、先ほど来話題になっております人工妊娠中絶について見てみましょう。出生数百十二万人、その四分の一強が人工妊娠中絶という状況があるという、こういうデータ。不思議なことに、妊娠が現実にあるとしたら、中絶が増えれば出生数が減る、この辺りは非常にリーズナブルなんですけれども、最近の状況を見ますと、出生数も減っているが中絶も減っている。すなわち、これを証明するものは、ひょっとして日本人のやっぱりセクシュアルコンタクトが極めて少ないのではないだろうか。中絶が増えているから出生数が減る、これは妊娠の結末として十分あり得ることです。しかし、中絶が減っているが出生数も減っているというこの現実に対しては、もう少し深刻な問題として受け止めなければいけないんではないだろうかと認識しております。
 ちなみに、一九五二年以降、毎日新聞人口問題調査会が国連人口賞を受賞するほどまでに、二十五回にわたる家族計画世論調査を実施してまいりました。そして、二〇〇〇年をもってその調査が中止になりましたものですから、私どもは国に頼み込んで、何とかこの継続性をということで二年間にわたって調査をさせていただきました。本当にありがとうございました。
 これを見ますと、今、日本の特に既婚女性の一六%が中絶の経験を持っているという事実がございます。そして、その中絶を経験している一六%の女性のうち複数回の中絶を経験する人たちが三割にも及んでいるという事実。私どもが中絶を集団を対象に話題にするときに、よほど言葉遣いを注意しないと大勢の人たちのトラウマを更に強めてしまう危険性があることを認識しなければいけません。
 これほど多くの人たちが中絶という問題にかかわっておりますが、先生方、世界の中の日本という見方だけを見ますと、あたかも中絶天国のような形でやゆされておりますが、実は世界では、例えば法的な整備がなされないままのいわゆる中絶、リーガルではない中絶は日本をはるかに超えるほどのものがあることを私はデータで入手しております。そのことも日本人を評価するときに是非忘れてはいけないことだと思います。
 しかし、先ほど来話題になっておりましたけれども、最初の人工妊娠中絶を受けたときの気持ちを尋ねますと、胎児に対して申し訳ないという思いが五五・九%に認められます。以下、自分を責める気持ち、自分の人生において必要な選択ということでございます。
 このように、中絶が心身に及ぼす影響、とりわけ胎児に対するれんびんの情というものを強く持たせる以上、願わくば望まない妊娠を経験することがないような確実な避妊法の提供、そしてそれをアクセスしやすい環境をいかに行政としてあるいは国としてつくっていくかという課題を私たちは求められております。
 さらに、少子化問題と私は絡めて考えたいんですが、最初の人工妊娠中絶を受けることを決めた我が国の女性たちの理由は、二二・一%が相手と結婚していないので産めないと回答しております。経済的な余裕がない一七%、自分の仕事、学業を中断したくない九%等々等でございますけれども、まあ、しかし考えてみますと、日本という国はいかほどにファジーな国なのか。母体保護法における人工妊娠中絶のいわゆるその適用事由というのは、許容事由というのは経済的な事由と母体の健康に限られておるにもかかわらず、このような形で日本国民に対して中絶の理由を聞きますと、実はその二つに絞り込まれることなく、結婚していないので産めないと回答するというような、こういう回答が平然と出てきてしまうところに、またファジーさと、また面白さがあるわけでございます。
 私は、こんなデータを見ながら、嫡出でない子の出生割合を国際的に比較してみることに興味を持ちました。スウェーデンは五五・三%が、デンマークは四四・六%が、フランスは四二・六%が、しかし、日本はいわゆる結婚しない状態で子供を産むということが極めて困難な国であること、このことに、国政にあずかる先生方には是非知っていただきたい。結婚していないので産めないと中絶理由のトップに挙げた日本国民の、とりわけ女性たちの声を、こういう方法をもって支えていく、サポートしていく道はないんだろうか。
 私からの提案でございます。
 一つは、男女間のコミュニケーションスキルを向上させるための施策の推進、そして触れ合いのチャンスを増やすために何をしなければいけないかというと、企業主が配慮して早期退社を促すことが必要であります。
 私、実は母子保健課というところが私とのかかわりが非常に深いところですけれども、少子化対策に重要な役割を負っているあの母子保健課のスタッフの帰り時間を見ますと、これでは子は産めない。きっとこの状況をインターネットで課員が見ていると思いますけれども、もう夜遅くまで仕事をしているあの役人さんたちを見ますと、早く帰れと声高に叫ばずにはおれません。そしてさらに、産みたいときに産めるような環境の整備、そして女性が主体的に取り組める避妊法の選択、戸籍法の改正を含めた婚外子に偏見を持たない社会を育てる、私はこのことをまず提案したいと思います。
 残り時間が五分になりました。
 性教育の問題について触れろという会長からの指示がございました。
 改めて申し上げますが、性教育は学校や地域で子供たちが得ております。ちなみに、この研究調査報告書によりますと、六十八ページをごらんいただきたいと思いますが、私も驚いたんですけれども、若い世代が、避妊方法の主なる情報源として国民はどこから得ているかというデータを取ってみましたところ、実は若い世代の六割近くが学校というところで得ていると、こう答えるのであります。今、性教育バッシングの問題がいろいろ取り上げられる中、学校という場が彼らにとって情報を入手する場所であるとしたら、この問題、学校での教育のチャンスを失わせるわけにはいきません。
 取りあえず、数分、あと三分ございますけれども、早期性教育が若者たちの性行動に影響を及ぼすという部分では、きちっとした情報を提供することが行動を慎重にさせ、そして、性感染症や人工妊娠中絶の防止に向けた行動が取れる、性の乱れにつながるどころか責任感を高めることが証明されています。
 ところで、アメリカにおける禁欲教育は成功したのでしょうか。
 アメリカでは、ブッシュ政権以降、かなり強く禁欲教育というものを進めております。とりわけ、禁欲教育の中では、多くのことを教えないというところが大変気になるところでございますし、結婚まではセックスをしないという、この情報提供を続けるということが描かれております。しかも、ブッシュは莫大なお金を投じてこの禁欲教育に力を注ぎました。事実、妊娠率は減少し、人工妊娠中絶率は減少し、あたかも成果を現したかのような印象を私たちに与えております。
 しかし、この表をごらんくださいませ。結婚まで純潔を誓約したかどうかということと、性感染症の罹患率を見ますと、結婚までセックスはしないと誓約した人と、誓約をしていないが、しかしきちっとした教育を受けた人たちの群を比較してみましても、むしろ誓約をした群の方が性感染症率が高いという事実が極めて国際、要するに国レベルの研究機関から報告されているということを私はつい最近得たわけでございます。
 こういうことを通しても、あるいはカナダのデータもそうなんですけれども、情報が十分提供されないことが子供たちを混乱をさせるという、こういうことにつながるということを、私はアメリカの禁欲主義教育が恐らく失敗という烙印を押されるであろう理由になるだろうと思っております。
 性交はしない、だから性交経験率は下がる。性交はしない、だから人工妊娠中絶率が下がった。性交はしない、だから妊娠率が下がった。そうかもしれません。しかし、先ほどの性感染症の例などを見ますと、その結果として、口を使った、オーラルセックスと言いますけれども、あるいは性交や、あるいは肛門を使った性交、そういう方向に、実は誓約をしたグループが走り、結果として性感染症を引き受けてしまったというデータでございます。カナダの全国調査も十四年ぶりに行われましたが、情報が提供されないことが大変大きな問題だということをここで知ることになりました。
 時間になりました。
 私は、最終的には、若者たちにどうやったらきちっとした情報を提供できるかという、あるいは、提供するチャンスを学校という現場で保ち続けることができるかということを常々考えつつ、今日の議論に臨んだわけでございます。
 御清聴ありがとうございました。
#8
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどとさせていただきます。
 なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
 また、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べいただきたいと存じます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
 中原爽さん。
#9
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 赤枝先生にお尋ねをいたします。
 先生の六本木の診療所に訪れます、あえて患者さんという表現で申し上げますけれども、この患者さんたちが持ってくるであろう健康保険証から、その患者さんの家族構成が恐らく分かると思います。先生のレジュメの中には、少子化した今、子供の要求に負けて子供の御機嫌を取る親が多いと、こういうことでございますけれども、この患者さんたちが本当に今の状況の中で一人っ子かどうかということをお尋ねしたいと思うんですが。
 というのは、この少子化という現象の中で、こういう六本木と、あえて六本木という特殊な状況の地域という発言もございましたけれども、そういう意味で、少子化の中で六本木現象が起こっているのかどうかということをお尋ねしたいと思うんですが。
#10
○参考人(赤枝恒雄君) 今の北村先生の迫力のある御発言にひるみそうになりますけれども、私がやはり言っておかなきゃいけないのは、今もお話があった六本木現象とか六本木は特別なエリアじゃないかというのは大間違いな話でありまして、我々六本木で住んでいながら、検査をしてみても、あの中に検査を受けてくれた人の三〇%は都内の子で、七〇%は近県から遊びに来ている子供たちの話であります。また現在、都内の高校生の状況を調べて、クラミジアが何%、パピローマが何%という結果が出ていますけれども、これは全国レベルでいうと上位から六番目にいい状況であります、東京は。上位から六番目。決して六本木の辺り、で、六本木に来た人の統計も東京の統計で出るわけですから、東京都内の統計としては全国で上位から六番目、何にも状況は悪くないというところで、六本木の話じゃないかというところは御理解を願わなければいけないと思います。
 我々、保険証を伸ばしてコピーを取りますけれども、そうすると、裏に家族のあれが載っています。ほとんど一人か二人ですね、お子さんは。確かに少子になっております。その中で、子供が少ないにもかかわらずほとんど両親がお仕事をしている方が多いですね。
 特にレイプの例なんかでも、今はもう安全な地域がないと思われるぐらいにレイプがありまして、家庭の中でもレイプがある。つまり、御両親がお勤めしている場合に、あいつのうちはこの時間は親は帰ってないよというときに、早く授業終わって、四時、五時に同級生、先輩の男の子がその子の家の、押すわけです、ブザーを。そして、見ると知り合いの顔があるわけですね、学校の友達。ドアを開ける。そのままレイプされるわけです。レイプされてもどうして親に言わないんだと。子供たちは、みんなレイプされた子供は言います。親に言えって言うと、親に言ってもおまえが悪いと言われる。必ずそうですね、おまえが悪いと言われるから言わないんだと。それで、四回も五回も家庭の中でレイプされて、とうとうその子は家出をしましたけれども。
 そういうふうに家庭が、とにかく御両親が、私はやはりある一定になるまでどちらかお子さんの面倒を是非見てほしい。北村先生のもうお話にもあるように、結婚しないで子供をつくって、それを産める方法はないのかという、それももちろんそうではありますけれども、できるならば両親の下で、健全な環境の下で子供は育てていかなきゃいけない、そういう努力をしなければいけないんじゃないか。事実、そういう家庭の中での両親のいないときに、ほとんどの子供たちの最初の体験はどっちかの家庭の中でセックスをしていますね、初体験は。だから、家庭の中がもうラブホテルみたいな感じになっているんで、そういうのも含めると、やはり両親どちらかがお子さんをきちんと育てなきゃいけないんじゃないかというような気がします。
#11
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
 山本香苗さん。
#12
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
 今日は大変貴重なお話ありがとうございました。
 まず、赤枝先生の方にお伺いしたいんですけれども、いろいろと現場の状況を手に取るように御説明していただいたわけですが、確かに若者の周りにはたくさんの情報があって、そういった情報の中から間違った形でそれを入手して行動しているケースがたくさんあるんだと、そういった話を私もほかの専門家の方々等とお話をする中でもお伺いしまして、これをどうしたらいいんだろうかという中で、若い人たちに聞くと、相談したいんだけれども、信頼できるところがまずないと。そういった現状につきまして、先生の方からは、自分が今やっていることを行政に肩代わりをしてもらいたいんだというお話がございましたが、ここのところをもう少し具体的に教えていただければと思っております。
 北村先生の方にも、以前我が党の方の勉強会にも来ていただいたときにもお話お伺いしたんですが、ちょっと今日は角度が違ったお話でございましたが、学校現場におけます性教育のことを最後に触れていただいたわけですが、今、いろんな形で、考え方様々、混乱している状況でもあるわけなんですけれども、そうした中で、今日は最後ちょっとはしょられたところに書いてあったわけなんですが、避妊教育だとか、そういったものを若い小学校の時代とかに、小学生ぐらいのときとか中学生のときにやった場合に、実際やっていらっしゃった方がいらっしゃったんですが、その方にお話を聞いたときに、実際それをやったんだけれども思ったほどの効果が得られなかったと。じゃ、どういうふうな方向転換をしたらいいかといろいろ試行錯誤をその方されたらしいんですが、結局一番いいなと思ったのは、自分を大切に、セルフエスティームという観点から、生命の、先ほど遠藤先生がおっしゃられましたけれども、生命の大切さという視点から、自分の周りにはこんなにいろいろ危険があるんだよと、正確な情報を教えるということを学校教育に求めたらどうかというお話がありました。
 実際、そういった避妊の具体的なお話とかというのは、子供たちそれぞれ状況が違いますので、さっきちょっと赤枝先生の方にお伺いしましたが、相談のところにちゃんとつないであげるような体制をつくる方が、学校の先生にここまで全部細かいことまでやらせるとか、外部から呼んできてやってもらうとか、そういう話よりもいいんじゃないかというお話をお伺いしたいんですが、その点はどのようにお考えになるのか、お伺いいたします。
#13
○参考人(赤枝恒雄君) 我々は、子供たちが手後れ状態で来て、いろんな重大なことになっていっているわけですけれども、それを予防するために、やはり小学校での性教育、中学を卒業するまでは避妊と性感染症のリスクを徹底して教えるということは、これはもう大事なことですが、その後、例えば今の健康保険が何で子供の診療について親がその診療を開示を求めてくるのか、これは不思議なことです。子供が保険証を使ったら何で親がそれを見ようとするんだ。それはしかし、患者本人がサインをしなければ情報は、医療情報を開示はできないことになっていますけれども、親のサインと子供のサインが同じだとおかしいと思うんですが、やはり港区役所から来て開示をしてくれというと、仕方なく子供の診療の記録を見せる、そこには淋病の検査、クラミジアの検査、書いてあるわけです。
 この子供の権利はどうやって守られるんだろう。子供がこんなことを言って保険証持っていってもばれるわけです、結果的に。それは二度ともうこの保険証は使わないと思います。そのために、結局自費で掛かると、例えば性病検査でも二万円から三万円掛かるわけですけれども、それは簡単に今は、ブルセラへ行ったって本当にうんち出せば四万円くれますから、そういう今のブルセラなんかがあるわけです。そういう現実を見ると、お金をつくってくることは今はできるわけ。それはしかし、悪い方に、いずれ何かの事故に巻き込まれる。そういうことはさせたくない。健康保険は比較的使わせたい。そのために、子供に対する診療の開示という問題を守ってやれないのかというところが僕は不思議でしようがないです。
 それと、何々診療所に行って何月に何回診療を受けたということが書かれるわけです。親の元へ行きます。それが何々産婦人科ということであれば、産婦人科に行ったことが分かります。医院であればいいんですけれども。うちはそのために赤枝六本木診療所になっています。書かれてもいいように、分からないようになっていますけれども。そういう意味で、子供の診療についての親が知ろうとする、また本当に知ってしまうようなこの現実を、子供がそこから守れないんだろうかということを、これ思っています、今。
 子供はそういうわけで使えないんですけれども、そのために、子供たちに無料の、今、性病の検査を我々やっているわけです。これは、自己採取で、自分でおりものを取って、おりものが多いという子供たちのおりものを取って、そのまま送り返してもらえば、今二万七千円ぐらいの、つまり初診、淋菌、クラミジア、パピローマ、二万七千円ぐらいする検査を我々は無料でやっています。この無料検診システムは行政でもできるはずだと思うんですね。おりものを取って、希望者にとっては、それで必ず本名でなくても何でもいいんですから、番号でも何でもいいんで、ID分かれば、問い合わせのときのIDが分かればいいわけですから、そのシステムはできると思います。
 それから、やはりコンドームの付け方教室、コンドームの付け方教室はもう絶対にやってもらわなきゃ駄目。こんな簡単だと思われるコンドームが、女の子に言わせるとあれはうざい、男の子が付けるときに後ろを向いてごそごそごそごそやって、結局うまく付かないんで、もういいって、落ちる、引くって言うわけですね、子供たちは。コンドームなんか引くよ。コンドームが結局嫌われていくわけです。だから、コンドームの付け方を練習しておいて、いざというときにすぐ付けられればコンドームは嫌われる存在にはならないはずなんです。コンドームの付け方が分からない、下手だから表裏も分からなくて、ごそごそしていて、結果的にはコンドームは嫌われる存在に今なっていますけれども、この付け方教室は基本的に、もうこれは中学卒業したら絶対やってもらわなきゃいけないと私は思っています。
 それから、エイズの検査体制がいまだに、保健所に行っても、日曜とか土曜とか、新宿の、南新宿だけは日曜と午後までやっていますけれども、あそこだけです、あとはどこもありません。子供たちが受けに行きたくても、受けられる時間帯にはやってくれないです。それも不定期で、月二回です。こういうことでは、エイズの検査は子供たちには受けてもらえない。
 それからもう一つ、やはり男の子と女の子の差別をするわけじゃないんですけれども、男の子教育。男の子に対して徹底して、女の子はやはり弱いものですね、今。現実に見ていても、イケメンであれば、格好良ければ女の子は仕方なく、おまえやらしてくれないんだったらおれはB子のところへ行くよ、C子もやらしてくれるから。仕方なくA子さんはそういう関係を迫られて、応じてしまう。そういう、例えば男の子はそういうセックスに対してリーダーシップを取っている、強引である。そういうところで男の子が女の子を守るという意識、つまり女の子は大切な子宮を持っている、将来お母さんになるんだ、そういうものを植え付けていって、女の子を守る教育を徹底していただきたいな、そういうふうに思います。
#14
○参考人(北村邦夫君) 今の赤枝先生との関連についてちょっと一つお話しさせていただきますが、私がとても大好きなメッセージがございまして、実は世界人口白書の二〇〇三年版のいわゆる表にこういう言葉がございます。思春期の子供たちの健康と権利への投資は次世代に大きな利益をもたらす。私は、この考え方を先進国と呼ばれてはいるが若い人たちのリプロダクティブヘルス・ライツというものに対して非常に貧弱な対応しかできていない日本の政治の世界の皆様方に提案したい。
 思春期の子供たちの健康と権利への投資は、すなわち彼らが本当に妊娠をしてしまって、しかし、先ほどの遠藤先生の話じゃございませんけれども、産みたいと思う思いを持ちながら、日本ほどに若い世代が子供を持つことが難しい社会はございません。その人たちに対して私たちが力ずくで中絶を求めてしまってはいないだろうか。これが世間体であったり、社会であったりするかもしれません。あるいは学校かもしれません。
 彼らが性感染症を引き受け、ときにはHIV、エイズになって、終生、生涯その病気とのかかわりの中で悩み、苦しむことを余儀なくされていたときに、私は彼らが次世代に大きな利益をもたらすという役割を負う人になるとはどうも思えないんでございます。今、介護保険の問題がいろいろ取り上げられておりますけれども、私は彼らが大人たちに、私たちに、社会にこんなにお世話になったという実感を日常的に持てたときに、将来、任せなさいおばさん、任せなさいおじさん、私たちがあなたたちの面倒を見ることをためらわないという、この関係を今こそ若い世代との間で持つ必要があるんじゃないだろうかという気がします。
 繰り返しますが、思春期の子供たちの健康と権利への投資は次世代に大きな利益をもたらす。持てる者が教え、持てる者が金を提供し、持てる者がチャンスを与えるということでございます。
 先ほどの議員からの話の性教育ですが、これ、性教育という言葉が混乱を招いていると私は認識しております。というのは、性教育という話をしたときに、議員と私の思いには全く共通土壌がないんでございます。例えば、ある方は命の話を期待し、ある方は避妊の話を期待し、ある方は結婚の話を期待し、ある方は男性と女性が仲良く過ごすという話を期待しています。私は、そういう混乱の中で、あえて、もしあなたが性を語ろうとするときには必ずその前に修飾句を付けてくださいと言います。今、私は避妊ということをテーマにあなたに話をしようとしています。私は、今エイズ予防ということでコンドームの装着を考えるための教育をしようと思っております。だれが小学一年生にコンドーム装着のための授業が必要だと思いますか。私は全くそうは思いません。この性教育という言葉の混乱を是非いま一度機会を持って修正していく必要があるだろうという気がします。
 ちなみに、私のこの資料の三十八ページをごらんください。国民に尋ねてみました。「性に関する事柄について、あなたは一般的に、何歳くらいの時に知るべきだと思いますか。a〜pのそれぞれについてお答えください。」というこの設問でございます。
 十六歳から四十九歳の国民がこう答えました。例えば、「男女の心と身体の違い」、これは八割方の人たちが中学三年生までには知るべきだと、こう答えております。そして、一番下にありますけれども、「性に関する倫理や道徳」、この辺りになりますと、ややちょっと、中学三年生までにはやや難しいんじゃないだろうかというような傾向が見られます。そして、例えば真ん中辺りに「コンドームの使い方」というのがございますけれども、国民は殊のほか、依然として義務教育というものにこだわっておるようでございまして、この義務教育を経て就職をする人たちがいることを危惧しているんでしょう、性に関する事柄の多くは、ここに示した事柄の多くは、どうぞ中学三年生卒業までにきちっと教えておいてほしい、知っておくべきだと思うという、これが大半を占めているという事実を、私は、今日文科省の方がいらっしゃらないのが大変残念でございますけれども、いらっしゃったら是非、この国民の声に耳を傾けてほしいと思っております。
 そして、性教育と一緒くたにしないで、テーマテーマに応じた形でとらえれば、正に国民の声は実に的を得た問題問い掛けをしておりまして、まあ小学生までにコンドームの使い方を教えろなどと言った人は実はほとんどといっていいほどないわけでございまして、中学生くらいになってからという辺りがその回答の中心を占めることを考えますと、私は、この調査結果などは今後の教育行政を進める上での、とりわけ性に関する行政を進める上での非常に重要な資料になるんだろうと確信しております。
 よろしいでしょうか。
#15
○会長(清水嘉与子君) 山本さん、よろしいですか。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、加藤敏幸さん。
#16
○加藤敏幸君 どうも今日はありがとうございました。
 まず、赤枝参考人にお伺いをいたしますけれども、お話をいただいたことについては項目項目しっかりと受け止めるべき現実だというふうに思っておりますけれども、ただ、言われて、御紹介いただいた現象が、ある意味で一般化していく一般的問題として考えていくべきことなのか、現実にあることについてしっかりと対処しなければならないのかと、そういうふうな仕分も私は必要ではないかと。
 こういうふうな思いの中から、またお話の中から、やはり今、社会全体にセックスを一つの商業主義といいますか、金もうけの手段としてやっている、メディアとかそうは言いませんけれども、そういう出版文化だとか、そういう背景というふうなこともあって、言われるように、そのことのしわ寄せを受けた非常に不幸、被害が集積する噴出点のような部分が先生が今対応されているところにあるのではないかと。このような思いも持っておりますので、そういうふうな、例えば電車の中でも、雑誌をのぞき見ると、こんなもの、なぜいいおっさんが見ないかぬのかと思うようなことがもう本当に日常茶飯事で子供たちも含めて取り巻いているという現状について、何か御感想なり御意見ありましたら少し聞かせていただきたい。
 遠藤参考人にお願いをしたいのは、お話の中で、将来にわたる経済的負担が、中絶、これも一子、二子をお持ちになった方の第三子についての対応だとか、比較的しっかりと子をおつくりになり育てられたという方々のいわゆる中絶の原因の中にあるんだと、こういうふうな御指摘がございましたけれども、正に将来、この子供たちがやっていけるのか、教育を受けられるのか、将来いい仕事に就くことができるのかということをおもんぱかって、その将来不安が現実に子供を産むことをあきらめさせているという事実があるという。私は、そのことについては非常に重要なポイントではないかというふうに思いますので、更に何かもう少し、その方々の思いだとかその心配というのは単なるファンタジーなのか、相当本人たちが追い詰められた現実性を持った御心配なのかということで、更に詳しいお話があればお聞かせいただきたいと。
 それから、最後に北村参考人にお伺いしたいのは、セックスレスの御指摘がございましたけれども、私も結局、ある意味で人生も後半の後半に入ってきて初めて分かることというのはたくさんあって、その一つは、世の中でセックスとこう一言で言っていますけれども、非常に個人差が、個体差が非常に大きいこれは私はジャンルではないかと。そのことが、ある意味で、一般的にはああでなければならないだとか、今のお話を聞くと、一か月以上ないのはセックスレスだぞとか、この話だけでも独り歩きをしていくような、そういうふうなことでこれは議論できるものじゃなくて、私はやっぱり個体差なり個人差というのがかほど大きいジャンルだよということのまず認識もある程度していかないと、何か私は平均以下だとか上だとか、そんなことが私はちょっと、やっぱり言われた性教育も、大人に対する性教育も含めまして、やっぱりこのことは非常に定義をしっかりした話ということが必要じゃないかと。こういう感想を持っておるわけでありますけれども、そういう視点から、性教育については非常にしっかりとやるべきだと、テーマごとにやるべきだということ大賛成なので、今言われたセックスレスが、じゃ子供が少ないということなのか、私はセックスということと子供をつくるということの違いも多くの夫婦はやっぱり理解した上であるわけですから、そのことも含めて少し御意見をお伺いしたいと思います。
 少し熱が入ってしまいましたけれども。
#17
○会長(清水嘉与子君) 赤枝参考人、どうぞ。
#18
○参考人(赤枝恒雄君) 社会が対する子供たちへの影響みたいなものですけれども、私もあるテレビにタレントさんと一緒に出演しまして、子供たちを前にコンドーム付けなきゃ駄目なんだという話をして、皆さん分かったような顔をしていたんですが、ある有名なタレントさんは、でもおれはコンドーム付けない、生派だなって言ったら、みんながわあっと喜んでそうだそうだということになってしまう。つまり、我々にとってメディアっていうやつは非常にいろんな教育をしようと思うときに邪魔になるというか、悪い、今の現状は邪魔になるということが多いわけです。
 特に、電車のつり革はもちろんそうですけれども、一般的な大人のまじめな週刊誌というものも、見たらそのとおりですし、スポーツ新聞は正にもうどうしようもないというような現状で、子供たちの目に触れる、つまり性を刺激する、性は楽しいものだ、面白いものだというような、そういう情報ばっかりが流れていく。その中で、やはりメディアの影響というのが我々にとってはもう大きいので、取りあえずタレントさんに対する性教育、タレントさんに対する性教育はこれはもう絶対やらなきゃいけないんですけれども、町の中のトイレ、公衆便所の中のピンクチラシがあります。それから、ガードレールに張ってあるピンクチラシ、あのピンクチラシは本来はおっさん用のものなんです。大人のおっさん用が、おっさんがあれを持って帰って電話するチラシなんですが、それを、高校生があれを手帳の間に挟んでいます。何でおまえ、これ男のチラシだぞ、いや、ここに電話してバイトするんだと言うんです。
 そういうことも含めると、子供たちにそういうチャンスを与える町のピンクチラシももちろん排除しなければいけないし、町全体が、社会全体がやはりそういうものに取り組んでいかないと、社会のどこにでももうそういうものに対する、子供たちを食い物にする仕掛けが一杯あり過ぎる。だから、私は中学卒業するとき、又は小学校六年生のとき、もうあなた方はそろそろ大人なんだから、君たちはこういうふうに大人がねらっているよという、社会の中の危険が、そういう危険があるという危機管理、自己の危機管理についても教えていかないといけないんじゃないか。
 ただ、基本的には、何といってもやはり男が女を大事にし女が男を大事に、お互いが尊敬し合って生殖の意義をやっぱりとらえて育っていくんでしょうから、小学校、僕が街角相談室でいつも感じるのは、そういう教育ができていないと同時に、中学卒業するまでの早い時期のセックスが行われている、中学生のセックスが行われている、小学校六年生のクラミジアがいる、そういう状況の中で子供たちは何の知識もなくて危ないセックスをしている。だから子供たちはいつの間にかいろんな不安を抱える、知識がないのにセックスするから不安を抱える。それは、出血しても妊娠じゃないか、おりものが多くても性病になったんじゃないか、いろんな不安を抱えるから勉強に集中できない。その結果、落ちこぼれていく。落ちこぼれた子供はみんな就職できない。学力がほかの子に競争できないから、結局はキャバクラに行ったり、結局、そこから僕も紹介をしていろんなところにお勤めしてもらったりするけれども、続かないということになっていくんで、中学校までの義務教育をもっと徹底させてほしいというのは基本的にそこだと思います。
#19
○参考人(遠藤順子君) お答えします。
 私も、三十代の避妊ということ、それとっても難しい問題だと思いますね。それずっと、やはり三十代になって子供を産んで、その子供を本当に育てられるかという悩み、それはとても深刻なことだと思います。
 やはりそれぐらいから女性がまた再就職をすると。就職を初めからしていらしてお産で休んだというのではなくて、そうでなくて、初めから例えば専業主婦で二人を育てて、さあ三人目まであれするんだったらちょっとお父さんの給料だけでは心配だ、殊に今いつリストラされるか分からないというところになっていますと、やはり三十代、四十代の主婦がもう一度働こうという場面が、そういう場所が大変少ないと思います。
 ですから、そういうところで、やはり三十代、四十代の主婦が働こう、働きに出ようという、そういう環境を、少しでもお父さんのあれを、給料を助けてそういうことの貯金というのをできる、将来の学資のための貯金ができるという、そういう安心感があれば子供が産めるんだと思いますけれども、そういうところを整備していただければと思います。
#20
○参考人(北村邦夫君) 議員が指摘されたように、セックスの問題というのは、その内容、回数も含めて非常に個人差が強い、私もそう認識しております。ただしかし、私たちは動物でございますから、ですから、動物の世界を振り返ったときに、さてさて一か月を超えて触れ合いを断ってしまうというような関係には何か問題を感じることにはならないだろうか。もちろん、障害があったり、あるいは入院を余儀なくされる中でセックスを強く求めるというものではございません。
 この定義にありますように、一か月間セックスがないと。実は、一年にもわたってしまう、例えば一九%とか、そういう数字を出しておりますけれども、こういうのを考えますと、このおおむね一か月程度という辺りは一つ非常に理解しやすいところかなという感じがしております。
 今までの我が国における少子化対策といえば、例えば待機児童ゼロ作戦とかあるいは保育環境の整備、生まれた後の子供たちの対応をどうするかということに非常に目を向けてきた。もちろん、大事であることを私は否定はしません。そして、セックスをしようなどということが行政施策になじむとはとても思えないんですけれども、私はやっぱり触れ合いというもののチャンスを持つことが、結果として、ちょっとややロマンチックというのか、のような言い方になるかもしれませんけれども、この人の子を持ちたいとか、あるいはこの人の子を産みたいとかという思いを強めていくんじゃないのかなという感じがしておりまして、そういう意味での触れ合いの機会が非常に疎になってしまっているという現状をいま一度この少子化という視点からとらえてみる必要があるんじゃないだろうかという気がしてなりません。
 それと、これは私の印象と言うのにはややちょっと乱暴でありますけれども、我が国は、やはり避妊という部分が男性主導で行われていることもあって、妊娠をする側に立つ女性たちが、どうしてもやっぱりセックスをしたときに、ひょっとして妊娠したらどうしよう、中絶に至ったらどうしようという、このいわゆるしり込みをする思いが非常に強くある。
 私は、原則は、産みたいときに産める環境をつくり、産みたくないとき、つまり妊娠をしたくないときには確実な避妊を、とりわけ妊娠をする側に立つ女性が主導権を握れるような形での避妊を国民が提供され、あるいはそれを提供し得るような体制を整えてあげることが触れ合いのチャンスを増やし、あるいは時にセックスのチャンスを増やし、そして更に加えて、願わくば、少子化対策のいわゆる解決の一助になるんじゃないだろうかという、こんな気がしてなりません。
 よろしいでしょうか。
#21
○会長(清水嘉与子君) 加藤さん、よろしいですか。どうぞ続けて。
#22
○加藤敏幸君 お話しになった後段の部分は私も賛成なんですけれども、ただ、そのセックスレスという、先生みたいな、何というんですか、表現能力の豊かな方が、セックスレスという部分が非常に強調されて、本件の議論ということにはなかなかなりづらいという意味で、今言われたように、やはり子供をつくるということと、その思いを持つという場面と、それからセックスという場面というには、重なる場合もあるけれども、少し違うという。また、私の友達の、まあいろいろなカップルがありますけれども、いろいろと様々な状況にあるなということで、余りセックスレスという、それはこれがなければ結果としてできないという生物学的な現象のプロセスを言われていることはよく分かるんですけれども、我々議会としてはなかなか言われたとおり、後段の方は議論としては成り立つような気がしますけれども。
 ありがとうございました。
#23
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 山本保さん、どうぞ。
#24
○山本保君 公明党の山本保です。
 私は、実は以前、厚生省の育成課におりましたので、北村先生の言われた母子保健課の隣でございまして、さっきの、終わってもちっとも帰れないというのは全くそのとおりでございますが、それで非常に興味深くお聞きしました。
 それで、いろいろお聞きしたいんですけれども、一つだけに絞りまして、三人の先生に同じことをお聞きしたいと思っておりますのは、性教育の現状はどのようなものだというふうに考えられておられるのか。できれば、どうあるべきだということも含めてですね。
 といいますのも、私はこの分野は余り得意ではなくて、まあ得意といいますか、役所におりますとき、その前の教育学の研究のときには道徳教育論を少しやっていまして、非常に似ている、今日ずうっとお聞きしていまして似ているなと思うんですね。考えてみれば、男女の付き合い方とか、そういうものですから、正にある面でいえば道徳教育論。
 日本の道徳教育論というのは大変不毛でして、これを取り扱う者は、片方はやるべきだと言い、片方は駄目だと言い、何を基に教えるかといったら、結局いわゆる徳目みたいなものをどう教え込むかということがまず前提にあった上で争っている。
 ところが、アメリカ、これも大分古いんですが、私などのときにはコールバーグという学者が正に発達段階とか、そしてその方法にしても非常に具体的な、つまり日本ですと、正義なんていったら、正義という言葉はどんなもので何を教えるかなんていうときに、アメリカの道徳教育論の、当時のといいますか、今でもやっていると思うんですが、正にその場合場合によって子供にとっての正義というのは非常に差があるわけですね。それを具体的に、昔でいえば、孝ならずんば忠ならずというような、正にその限界的な状況みたいなものを非常にドラマチックにつくりまして、それを基に子供たちに考えさせるというような教育方法を取っておりますね。なかなか日本ではそういうことを議論の前提にする方がいませんで、なかなか話が進まないんですけれども。
 そういう状況を知った上で今の性教育というものをお聞きしていますと、三人の先生方が言われているのがどうもちょっとまだかみ合っていないなという気がして、同じことを言っておられるのかなという気もするし、違うのかなという気もして仕方がないです。
 そこで、赤枝先生から順に、今の日本の、そうですね、じゃ小学校段階の性教育というものについて、どういう状況にあり、どこがよろしくないか、若しくは、いやこういう点で大変よろしいと、こうおっしゃるのか、お願いしたいと思います。
#25
○会長(清水嘉与子君) それでは、赤枝参考人、どうぞ。
#26
○参考人(赤枝恒雄君) 私も小学校は余り行かないです。中学、高校の授業によく出掛けます。
 そこで、まず僕は考えて、私は性教育の専門家というわけではないんですが、臨床でいろんな子供たちと接して感じるのは、やはり生まれ育ってから、気が付くと男の子と女の子がいて、男の子も女の子の体から生まれるという、こういう不思議な現実があるわけですね。女の子も女の子から生まれる。つまり、これは女の子だけが持っている子宮という大切なものを持っていて、子宮の中に、君も君も君も、二百八十日間大事に守られて、その間お母さんは、好きなこともしないで、あなたを守るために風邪を引かないように気を付けて、悪いものも食べないであなたを守ってきたんだよと。そういう子宮を持っている女の子、子宮を持っている人、そういうものを大事にしなきゃ駄目だ。女の子が一番傷付きやすい子宮というものを大切にしなきゃいけないということをまず教えた上で、それから性教育そのものが、僕は五十人単位、百人単位では駄目だ、必ず五人単位で、一人一人の目を見て、つまり性教育というのは感受性が個人個人でやっぱりありますから、感受性に応じて、個人個人でやっぱり嫌悪感も出てくる子もいるんで、そこをよく見分けて一人ずつやっぱり教えていかなければいけないと、少人数制でなければ性教育はできないというふうに思っています。
#27
○会長(清水嘉与子君) 遠藤参考人、どうぞ。
#28
○参考人(遠藤順子君) 私は、性教育を学校で教えるということがそもそもなじまないことだというふうに思っています。やはりそれはできれば、親がその子の発達段階を一番よく知っているわけですから、親が教えるべきだと思います。
 ただ、今のその性教育の小学校の教科書なんかを見ると、何か事実を並べれば真実が見えてくると勘違いしているんではないか。事実と真実は違うと思う。
 それで、例えば小学校の一年、二年の子にそういう性のことを教えるんだったらば、やっぱりあなたたちは、お父さんとお母さんが非常に愛し合って、愛の結晶としてそういうものを、私たちは神様と言わないんです、サムシンググレートからそういう祝福をもらって、それがお母さんのおなかの中に入っているんだよというような、そういう教え方をすべき。それは親が勝手につくったものじゃなくて、それはやはりサムシンググレートからの贈物だよ、命というのはそういうものだよと。それは本当にお母さんとお父さんが愛し合って初めて、結婚している場合ですけれどもね、それはできたんですと。あなたたちはそういう愛の結晶としてお父さん、お母さんに非常に大事にされて育っているんだから、そのことに自信を持ちなさいということを教えるのが、小学校一年、二年の性教育だと思います。だから、それは段階を踏まないでね。
 それで、やはり教育というのは無限に待つことですね、ある意味でね。待つことを知らなかったら教育というのはできないと思う、家庭の教育もそうですけれども。だから、その待ってやる、段階を経て、発達段階を経て、それでその人たちが、さっきも申し上げましたけれども、人を愛したり恋しく思ったりすることがいろいろあって、その後にこういうことがあるんだということが分かるのが今までのやり方だったと思う。
 それで、そういうふうにして今までやってきて、このごろ、その性教育というのが学校で余りにも激しいことを小学校一年、二年から、小学校一年、二年でこんなことを教えなきゃなんないかと思うようなことを教えて、やはりそのために随分家庭というのが破壊された。
 それで、私は父兄の人たちというのは、多分そういうことを学校で教えてもらおうと思って子供を学校に預けているんじゃないと思う。それで、私はそれは、だからまだ発達段階を経ない子供に、要するに男と女というのはこういうもんだよということをくそリアリズムみたいに言うことは、決してそれは真実を伝えることではない。だから、幾ら事実をたくさん並べて、事実を微に入り細をうがって、出口の名前はこうで入口の名前はこうだというようなことを微に入り細をうがって小学校の一年、二年の子に教えるのは、それは教育では全然ないし、信頼して自分のところへ自分の大事な子供を預けてくれた親に対する裏切りでもあると私は思っています。
#29
○参考人(北村邦夫君) 私は、遠藤参考人が今御紹介されたような形のものが学校で教えられているとは認識しておりません。私が知る限りにおいては、まあ性教育に関する指導要領というのがあるんだろうと思いますが、例えば体の成長や発達に関すること、心の発達に関すること、人間関係に関すること、社会的な面に関することという、こういう大項目がございまして、例えば小学一年生には男女の体の違いをきちっと学ぶ、大事なことだと思います。体の成長、発達については、二年生では体の清潔について学ぶ、とても大事なことです。三年生では性器の清潔について学ぶ。順番、段を、要するに発達段階に応じた形で指導が行われていると伺っております。
 そして、さらに体格や体力の男女差について。当然、四年生ぐらいになりますと、月経、初経やあるいは射精、精通などが出てくるものですから、二次性徴とその意義について、五年生では月経の仕組みについて、六年生では射精の仕組みについて、そしてそこで月経、射精という問題が出てくるものですから、初めて生殖の仕組みについて、そして性感染症とエイズについて。私どもがかかわる体の成長と発達に関することだけを見ても、極めて重要なメッセージが学校という教育現場の中で行われていると思っております。
 先ほど申し上げましたが、性教育と一概で言っちゃいますと、いろんな誤解が生まれます。私は、性教育というと、私の頭の中にはどうしたら望まない妊娠を回避できるか、どうしたらHIV、エイズを含めた性感染症の予防ができるか、これしかないんです。
 ですから、私は小学校に性教育に出向くことはございません。中学生くらいを対象にしてやるわけでございますけれども、中学、高校、この辺りのやっぱり共通な理解を、この性教育という言葉、たかだかの言葉とはいえ、実は共通な理解が得られるようなこの努力を今していかないと、本当に日本という国、若い人たちには情報が必要です。その情報が非常に欠けてしまう、枯渇してしまうことは大変な危機だと私は認識しております。
#30
○会長(清水嘉与子君) 山本さん、どうぞ。
#31
○山本保君 ありがとうございます。
 どうも私、お聞きしていて、やはり中学生以降については大体皆さん同じかなという気がしました、特に先生、お医者様の先生もおられますので。
 さっき、ちょっと私も省略したんですが、例えば道徳教育でいいますと、小さな子供というのは、親や又は社会の仕組みというものに対する尊敬の念とかそういうものから始めますね。それがもう少し大きくなってきますと、ギブ・アンド・テーク型の双方のものというのが子供たちに非常に理解しやすくなってきます。
 ただ、その段階ではまだ駄目でして、次の段階になりますと、そのギブ・アンド・テークだけですと、何か一つ悪いことをやったら、規則を守らなかったら、物すごい罰が来ても平気なんですね、その二年生、三年生の子供というのは。罰と罪というものの感覚が分かりません。もう少し大きくなってきますと、罰と罪というのが、整合性がなくちゃいけないんだということが分かっていく、それを教えます。それが過ぎますと、実は規則といったり、場合によってはそれを守らなくてもいいんだということが分からなくてはいけません。
 赤信号、いつまでたっても車も来ないのに、物すごく大変な仕事があるのにかかわらず赤信号でぼっと立っているのは、これは与太郎さんでして、そんなことは乗り越えなくちゃいけないわけですね。そして、大人になってきますと、正に自分の中に、まあ孔子の「矩を踰えず」じゃないですが、自分の中に道徳律をどうつくっていくのかというのが、今簡単に言いましたのが道徳教育の一つの流れなんです。
 そうしますと、今お聞きしていて、やはり性というのは男女の生き方だとか家族だとか親と子だとか、こういうものと非常に関連したものとして、今私が述べたような道徳教育論ともう少しリンクさせなくちゃいかぬなという気がしました、小学生段階、特に。
 どうも先ほど紹介していただいた確かに学習指導要領などは、あれは正に生物的なその興味、関心と発達、動物の発達段階というものだけが表に出ているような気がしますので、もう少しそこをいわゆる道徳教育ときちんと合わせた形での何か原理を作っていく必要があるんだなということを、私の今お聞きした感想でございます。
 ありがとうございました。
#32
○会長(清水嘉与子君) 何かコメントはございますか。
 北村参考人、どうぞ。
#33
○参考人(北村邦夫君) 追加いたしますけれども、先ほど申し上げましたように、体やその体の成長だとか発達に関することというものと併せて、心の問題あるいは人間関係に関すること、社会的な面に関するもの、そういうものが恐らく非常に連動した形で教えられていることは事実だと私は認識しております。
 ただ、非常に話題性があることもあってか、非常につまみ食い的にこの生殖の部分、セックスの部分、性交の部分だけが取り上げられて、あたかもそれが教育のすべてであるかのような誤解を国民に生んでしまうというような事態は、これは是非避けなければいけないだろうと思います。
 結果的に、教師たちが実は非常に消極的な気持ちを抱いてしまっておりまして、これは性教育だけではなくなってしまうと思います。周囲のもう目を気にし過ぎて、父兄の目を気にし過ぎて、そして第一歩を踏み出せないという、そういう悶々とした思いで教育に当たっている教師たちがいることを見ますと、これを私たちはむしろサポートして、どうぞあなたがきちっと指導要領にのっとる形で教育ができるように、堂々と教育ができるようにということを、むしろエールのような形で全国の先生たちに提起をしたいなと、こう思っております。
#34
○会長(清水嘉与子君) ほかにどなたか。
 じゃ、坂本由紀子さん、どうぞ。
#35
○坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子でございます。
 三人の参考人の方にそれぞれ二点ずつお伺いいたします。
 まず一つは、人工妊娠中絶であるとか性感染症が十代の若者に増えているわけですが、これを少なくとも増大を食い止めて減らしていかなくてはいけない。そうした場合に、学校の中での教育の在り方ですとか、あるいはそういう問題についての情報の伝達、あるいは各種の相談の在り方等々について、それぞれの参考人の皆様からこうしたらいいというような御提言がありましたらいただきたいというのが一点です。
 それからもう一点は、援助交際を始めとする売買春の問題については、これは私は、やはり大人の社会の改革、規制が必須であろうと思うのであります。そうした場合に、一つは、先ほども話題が出ましたが、出版物にいろいろな、何というんでしょうか、そういう性欲を刺激するようなことを、必要以上の過激な表現が出ているものがあると思いますが、こういうものについて、表現の自由との関係もありますが、規制の在り方としてどのようにお考えであろうか。
 それに関連いたしまして、売買春でありますとか、あるいは強姦罪というのがありますが、こういうものの現在の日本の国内における法制がこれで十分なのかどうか。もっと罰則を強化すべきであるとか、あるいは裁判においても強姦罪等については比較的執行猶予が付く場合が多いというような現状がありますが、こういう裁判の動向も含めて、それぞれの参考人の方が感じていらっしゃるところがありましたら教えていただきたいと思います。
#36
○会長(清水嘉与子君) それでは、赤枝参考人、よろしいですか。
#37
○参考人(赤枝恒雄君) 中絶又はSTDの予防のために何が必要かというのは、もうこれは明らかに、セックスが何のリスクもないものだ、気持ちいい、楽しい、面白いという情報だけでセックスを経験しているからこうなるわけですから、セックスのリスクを徹底して教えれば、こんな怖いものはないわけです。
 例えば、正常妊娠、妊娠したっておろせばいいじゃないかと思っていても、おろせない場合があります。これは、絨毛性腫瘍とか胞状奇胎、がんになるわけです。絨毛性のがんになる、がんで死んじゃう。それから、妊娠が分かって産みたいと思っても、子宮外妊娠がある。おなか痛いと思って無理していたら、ちょっと我慢していたら、もう二リットルぐらい出ちゃうとショック状態になって死んじゃう。こういう正常妊娠、妊娠したらおろせばいいじゃないかということに関して、これだけのリスクがある。しかも、その後に炎症を起こすと将来的には不妊症になる、習慣性流産になる。いろんなリスクを教える。
 また、子供たちはエイズはいないと思っています。エイズなんかない、身近にいないから。しかし、学校の友達が、あの子はエイズで今入院している、先週死んだよ、そういう話が出たときにもう手後れです。というのは、もうそのときには、私のところで二十一歳でこの間死んだ子は推定でいくと十四歳のときに感染しています。十四歳の中学生で感染しているんです。それが、つい最近その子は、やはりクラブ通いをして、深夜にいろいろ、二日ばかり徹夜をして、またガン寝をする、また二十何時間も寝続ける、そういう生活をしていたために発病が早かった。そういう子供たちの例も、出てきたときには遅いんです。
 だから、今のうちから、治らない性病というのはエイズ以外にも一杯あるよ、パピローマウイルスだって子宮頸がんになるよ、普通のヘルペスだって感染すると一生、疲れると出てくるよ、再発を繰り返すよ、C型肝炎になったら肝硬変起こしてすぐ死んじゃうよ、そういう性感染症の怖さも徹底して教えるとこんなにセックス、怖いものはないんです。本当は愛する人としかできないはずなんです。
 ですから、こういう知識をきちんとセックスのリスクというものに当てて、危機管理という点で、性教育じゃなくて性の危機管理という観点で押し込んでいけば子供たちは聞くはずなんです。そういうところを徹底してほしいなと。
 それから、今の援交の問題です。
 援交の問題は、これはどうしようもないです。というのは、社会がすべて、例えば牛肉が日本国産じゃなくても国産と書いて売る、期限が切れても期限を書き直して売る。売れればいいという社会の中に、子供たちはそれを記事でも何でも見て知っています。自分たちの生理的な唾液もおしっこも、買ってくれるという大人がいればそれを売るのは当たり前ですよ、社会がそういうふうにしてあるんですから。
 そういう意味で、お金がすべての中の社会で、やはり、生殖の大事さとかいうのも、女の子の大切さ、子宮の大切さということもありますけれども、やはりセックスのリスクということを徹底して教えれば必ず足が止まるはずです。
 子供たちは、おじさんとはコンドーム着けると言っています。必ず援交のときにコンドーム着けていると言います。でも、よく聞いてみたら、お金を一杯くれたら着けないこともある。おじさんとはキスはしないよ、でもお金くれたらキスすることもある。結局お金です。
 ですから、お金がすべての社会になっているんだから、子供たちは、やはりこれは、社会そのものが変わらなきゃ、社会が変革しなければいけない、我々自身が尊敬される大人にならなきゃいけないというふうに思います。
#38
○会長(清水嘉与子君) あと、今、出版物等に関する規制の問題。
#39
○参考人(赤枝恒雄君) 出版物は野放し状態で、本当コンビニでもあるんで、僕は、PTAが何でああいう悪い図書を、ここの店に置いている図書は排除しなさいってみんながどうして行動しないんだろう。PTAはどうしてあんなことを見逃すんだろう。それが不思議でしようがないです。
#40
○会長(清水嘉与子君) 遠藤参考人、どうぞ。
#41
○参考人(遠藤順子君) 私は、先に援助交際の話からさせていただきます。
 援助交際というのは、やはり家庭の問題、家庭が崩壊してしまったということは非常に大きいんだと思います。ですから、家庭の崩壊を、家庭を再建して家庭を崩壊から救わない限り、やっぱり援助交際というのは出てきてしまうと思います。
 それで、やはり今おっしゃったように、もう今全然、普通の社会はお金さえもうかれば何でもいいということになってしまい、それはやはり男の方にも非常に援助交際というのは責任があるわけですね。
 それで、援助交際をして子供ができた、おなかの中へできたというと、その援助交際した相手のおじさんはずらかっちゃうんですね、元々住所も氏名もでたらめですから。それで、お母さんになるその娘さんの方は子供を抱えて母子世帯になってしまう。それで、母子世帯になってしまうとやっぱり生活ができないから、新しいまたお父さんと結婚するわけです。そうすると、その新しいお父さんというのはまだ年が若いですから、この子はお父さんに捨てられてかわいそうだからおれが育ててやろうなんて思うはずがないんです。
 それは、だからライオンの雄と同じで、ライオンの群れのところへ雄が来て戦争して若い雄の方が勝てば、その雄は前の雄が産んだ、雄とその雌たちが、ハーレムですけれどもね、ライオンの世界。そういうところで、前のお父さんが、雄が、ボスが産ませた子というのは全部食べちゃうんですね。それと同じで、もう何か男女のこと、人間もそこまで下がってしまって、それで若いお父さんは、前の御主人と自分の今度結婚した奥さんとの間にできた子というのは邪魔でしようがない、だから何とかしてそれをいじめたいんですね。それで、そうするとお母さんの方も、自分の産んだ子なのに新しい御主人に気に入られるために一緒にいじめるというケースがある。
 だから、それはやはり家庭の問題ということを考えなければ、セックスの問題だけ考えてもできないことではないかと思います。
 それからもう一つの方の、何でしたっけ。
#42
○会長(清水嘉与子君) 人工妊娠中絶とか、感染症を予防するための学校教育の在り方とか、相談の在り方。
#43
○参考人(遠藤順子君) 感染症を予防するという話、はい。
 だから、学校で、やはり中学ぐらいになってそれを、そういうふうな感染症のことだとか性の危ないこと、性交の危ないことというのは、それはやはりきちっと教えてほしいと思います。でも、小学校の方、一年からそういうことを余りに具体的に教えるのはどうかと思っています。
#44
○参考人(北村邦夫君) 人工妊娠中絶の問題でございますけれども、私は、今ブッシュ政権が進めているような禁欲教育が功を奏するという考え方はございません。むしろ逆に、包括的性教育という、こういう言葉がございます。これはどういうのかというと、性交開始年齢をいかほどにも遅くできないだろうか。これは原則なんですね。これはノーセックスです。しかし、ノーセックスは禁欲を意味するものではございません。
 さらに、私たちは動物である以上、自分を律することができない場合が往々にしてあります。しかも、今初婚年齢が、女性が二十七を越え、男性が二十八を越えというような、こういう動物の性から見たら極めて異常な事態にある中、実は彼らをただ結婚まではノーセックスということだけをもって号令一下進めるわけにはいきません。包括的性教育は原則はノーセックスです。しかし、もし仮にあなたが性交を営むというような事態があるとしたら、確実な避妊と性感染症予防を考慮した責任ある行動を取りなさいという、このメッセージをきちっと学校教育の中で伝え続けていくということが重要だろうと思います。
 例えば、具体的に、先ほど来申し上げましたが、経口避妊薬、ピルというものが世界における若者たちの人工妊娠中絶の回避、望まない妊娠の防止に大きく役立っていることは間違いのない事実です。結果として、フランスやカナダやあるいはスウェーデンやそういうところが、十代までの、いわゆるピルを求めてきたときには、まずは四シートは無料で提供し、その後は一シート百円ぐらいで提供するという仕組みを国の施策としてつくっている事実。性感染症予防や治療のためにクリニックを訪れたときには、あなた方からお金は取らない、無料に徹するという仕組みをイギリスがつくっている事実。その一方、日本はすべてが有料です。経口避妊薬、ピルについても相当、三千円近くの経費を払わなければ彼らは手にすることができません。
 人工妊娠中絶のいわゆる減少要因に関する研究というのを最近いたしました。というのは、ごらんのように人工妊娠中絶、とりわけ十代の人工妊娠中絶はこの二年間減少しております。一体何がその理由になっているんだろうかということを、四十七都道府県のデータを並べまして、なぜ減ったのかというデータを並べました。そして、人工妊娠中絶にかかわるような、影響を及ぼすような事項を十数項目ずうっと並べまして重回帰分析という方法で分析いたしましたら、実はトップに出てきたのは、わずかしかまだ普及しておりませんけれども、経口避妊薬が、いわゆる一施設、一都道府県当たりの経口避妊薬の処方件数が増えたところが十代の人工妊娠中絶を減らすことに貢献しているという、これだけが実は統計的な有意な差を持って出てまいりました。
 この辺りは、ノーセックス、そして責任ある行動が取れるようにということと併せて、国の施策として確実な避妊法の提供を彼らに、アクセスしやすいような環境をつくってあげる。性悪説ですと駄目ですね。こんなものがあったら彼らはますます悪くなるだろうと思っちゃいますと、そういうものを提供できません。しかし、用意すべきものを用意して、そこで教育をすることによって彼らがきちっと自分を律することができるようになるかどうかという、この辺りはとても重要な話になるんじゃないかなという気がしてなりません。何も提供されない中、それを求めることは酷でございます。
 援助交際などの問題については、先ほど来話題になっておりますけれども、結局、経済至上主義の社会がもたらした問題だろうと思います。そして、身近なところで援助交際をしている患者さんとのかかわりを持ちますと、家が、彼らが自分の身を置く場所がなくて、そして家にいたら魂が壊れるという、こういう言い方をした人がいます。父親によって暴力を受け、母親によって成績が悪いことをたしなめられ、そして彼女にとって唯一自分の魂をいやしてくれる場所がおじさんだったという話でございます。金がすべてではなかった援助交際もあります。こういう事例になりますと、私としてはいかようともし難い。援助交際を、売春を否定することだけで事は済まないなという気がします。一億二千七百万もおりますと、実は、みすゞさんじゃございませんけども、みんな違って、みんないいと、こう開き直らなければいけない事態があるような気がしてなりません。
 すべて同じ色に染めることはできません。しかし、非常に、ミニマムリクワイアメントの情報提供、そしてアクセスしやすい環境は必要だろうと思います。
 メディアの自主規制の問題。
 僕は規制の問題については、私は、だれがどう判断するのかということがとても怖いんであります。事実、アダルトビデオなどは、今、日本のアダルトビデオはモザイク付いていますけども、インターネットは全くモザイクも付いておりません。しかも、それを、小学生でも中学生でも幼稚園生でも、アクセスする方法を覚えたら見ることができます。これはもう国際的な問題です。この辺りにどうくさびを入れるかという辺り、この辺り非常に難しいところです。私は、大人たちの自主規制を求めるしかないと思っております。
 同時に、メディアリテラシーという言葉がございます。情報をどう見極め、どう受け止め、どう見極めるのかという、この能力を教育の現場で一生懸命付けてあげてほしい。それは正に性教育における最大のテーマだろうと思います。大人たちが売らんがため情報提供する、その情報を見極める能力を身に付けることができた子供は、取捨選択する能力をも、そして先ほど来話題になっておりますセルフエスティーム、そういうようなものも高められていくんじゃないのかなという気がしております。
 メディアリテラシーを醸成し自主規制を求めるというところが私の結論でございます。
#45
○会長(清水嘉与子君) 坂本さん、よろしいですか。
#46
○坂本由紀子君 ありがとうございます。
 私は、援助交際なぞという、その売買春を公然と許容している社会というのは非常に異常な社会だと思います。ですから、子は親の鏡といいますし、子供たち、今の子供たちというのは大人社会のそのまま鏡だろうと思いまして、そういう意味では大人がそういう子供たちの性を買うというようなことをやることは許さないということを、きつい自主規制を待っているとか家庭を元に戻すとかいうようなことでは百年河清を待つというようなことになるのではないかと思いまして、直ちに刑法を改正するとか、そういうきちっとした取組を社会として取ることが必要じゃないかという思いでおります。
#47
○会長(清水嘉与子君) よろしいでしょうか。
 それでは、神本美恵子さん、どうぞ。
#48
○神本美恵子君 今日は、参考人の方、ありがとうございました。
 かなり性教育にかかわっていろんな議論が出されてきたと思いますが、私も小学校の教員を以前していたんですけども、最近中学校の先生方から聞くのは、赤枝参考人もおっしゃったように、女の子が保健室に来て、授業中に失禁して、何で失禁しているのか自分でもよく分からないと、おしっこが出ていると。先生、どうすればいいのっていうふうに保健室に駆け込んでくる女の子たちがいて、よく見るとそれこそ性感染症にかかっている。なぜそういうふうになっているのか、なぜ失禁しているのか自分では何も分かっていないというような話を聞きまして、学校の中で個別的なそういう性感染症に関する指導や、それから授業の中でも、担任の先生に頼んだり理科の先生に頼んだり、いろんな形で性教育をやってきたけれども、最近物すごい性教育というものに対するバッシングといいますか、そういうのがもう本当に厳しくあっているんで、子供が学校で聞いたことを家に帰ってどう伝えるのかということが怖くて性教育を避ける傾向が最近非常に強まっているというふうな話を聞きました。
 しかし、今日の三人のお話を聞きながら、やっぱり子供たちは、援交していようが、いろんなことをしていても、どの子もやっぱり大人の被害者だというふうに思うんですね。ある意味ではその被害のリスクを強く負うのは女の子ですけれども、男の子たちも、男はレイプをして何ぼとか、月に何回できてとか一遍に何回できて強いのが男だっていうような育てられ方をしている中での今のような、そういう情報もはんらんしていますから、そういう中での今の現状があるんではないかなというふうに思います。
 そういう意味で、三人の方にお聞きしたいんですが、性教育が非常に、小学校一年生から男女が抱き合っている姿を模型を使ってやっている、くそリアリズムという言葉も遠藤参考人おっしゃいましたけれども、その是非はともかくとして、是非って、発達段階がありますし個人差がありますから、それが正しいのか間違っているのかここで一般的に論ずるべきではないというふうに私は教員の経験上思うんです。一人一人違いますから、一人一人に合って、もしかしたらそれが、性的虐待を受けている子供からすればそれは非常に重要な、小学校一年生であっても幼児であっても重要な知識かもしれないということも含めてですけれども、ですから性教育は、しかしやはりどこかで系統的にその子に応じたものが知識、与えられなければいけないと思うんですね。
 生殖としての性教育と、それから北村参考人がおっしゃった男女間のコミュニケーションという、そういうコミュニケーションとしての性。それは必ずしも男性が、何というんですか、積極的で、女性は受け身っていうのではなくて、双方のコミュニケーションとしての性といったようなものもきちんとどこかの段階から教えていかなきゃいけないと思いますし、それから性感染症やHIVにかかった場合に、そういう人たちに対する物すごい社会的な差別、偏見というものがありますから、人権としての性という、そういうものも包含した性教育が、一人一人違う子供たちに対してやるのは大変難しいと思いますけれども、必要ではないかと思います。
 そういう意味で、今、文部科学省が性に関する指導の手引みたいなものを作ってやっていますけれども、その欠落点や問題点、あるいはこういったところをもうちょっと強調してやるべきではないかというような、今の、赤枝参考人おっしゃった今の子供の特にリスクを負う女の子の現状からも見て、性教育のポイントというようなものの御示唆があれば三人の方にお聞きしたいと思います。
#49
○参考人(赤枝恒雄君) 小学校では、私が感じるには、小学校の四年生ぐらいが一つのポイントで、そこではやっぱり性感染症の怖さ、それから避妊の、妊娠した後のいろんなリスク、これはもう小学校のときに教えなきゃいけない。
 もう一つポイントは、子供たち見ていると、小学校六年生になると、みんな、あなた方は今これから最高学年なんだよ、来年は中学生になるんだよと言われるわけです。子供はもうその辺りから大人というような気持ちになってくる。一方、地域で生活していると、小学校時代の一個上、二個上の先輩が中一、中二になっていて、道で会うと、すてきなバッグを持って、つめもきれいにして、まゆもそって、本当にすてきな格好をしているお姉さんになっている。そういうのを見て、そういうお姉さんが何とかちゃん遊ぼうと言って遊ぶと、非常に自分が気が引ける。こんなズックで、こんな洋服で、こんな持ち物でおかしい。ああいうふうになりたい。小学校六年生でみんな思うことは、私は大人、ああいうお姉さんになりたい、その辺から間違いが始まってくるんです。
 だから、小学校六年生には、社会の子供たちが性のターゲットにされている、大人、いろんな人からターゲットにされている、そこをきちんと教えておかないと。もう子供たちはその辺りからお金が欲しくなっているわけですから、小学校六年生で大人だと思っているわけですから、そこへ巣立っていくときに、小学校六年のとき徹底して社会教育、社会教育。社会の中で何が行われている、君たちはどういうふうにターゲットにされているのか、どういうことになるのか。レイプ、例えばそのレイプは、もう本当に援交の七割はレイプ、七割は本当にレイプと言ってもいいぐらいに、ただ乗りもあります。ただ乗りで、脅かされて帰ってくる子供たちばっかりです。それ言えないから黙っているだけで、お金もらって帰ってくる子なんかほんの一部です、現実には。そういうことも教えなければいけない。小学校六年ではそういうことも教えて、性教育とは違った意味で社会教育を教えてほしいなと思っています。
#50
○会長(清水嘉与子君) 遠藤参考人、どうぞ。
#51
○参考人(遠藤順子君) 私は、そう思いますが、やはりそういうことは家庭で教えるのが一番いいのではないかというふうに思っております。だから、今までのような漫然とした教え方でなく、やっぱりお母さんとかお父さんとかが、やはり性感染症の恐ろしさとかそういうことをきちっと教えたらいいんじゃないかと思います。
#52
○参考人(北村邦夫君) また口を挟むようでございますけれども、二〇〇二年に男女の生活と意識に関する調査、すなわち二年前でありますけれども、行いましたときに、あなたは親と性について、セックス、避妊、性感染症について話をしたことがありますか、中学生のころまでに、という設問を置きました。日本では、セックス、避妊、性感染症などというようなことを家庭の中で会話をしたという人は実は、遠藤先生、九%にも満ちませんでした。そんな程度なんです。そういう意味では、私は、セックス、性感染症、避妊などというようなことはいわゆる家の中では無理だろうということを認識しております。
 この調査の中の面白さは、性交開始年齢を遅らせることができると私先ほど申し上げましたけれども、これに実は一つの回答を与えてくれたものでございます。性交開始年齢を遅らせる最も大きな影響力を持ったのは、中学生のころまでに親と日常的に、日常的にですよ、ざっくばらんにという、性に限らない、性の問題は実は抜くんですけれども、この場合には、実は日常的に会話が持てた人が実は性交開始年齢が遅れたと。あるいは、父や母に対して、産んでくれて、育ててくれてありがとうと感謝した人が性交開始年齢を遅らせることに貢献したとか、そういう親子コミュニケーションの問題が実は浮き彫りにされました。
 もう一つ、あなたが人生において最も影響力を受けたのは何ですかという項目があるんですけれども、実はいろんな項目がございます。一番性交開始年齢を早めたのはインターネットと回答した人です。これが十七歳ぐらいでセックスが行われたと回答しておりました。そして、興味深いのは、一番性交開始年齢を遅らせたのは実は二十歳なんですけれども、遅れればいいというものじゃございませんよ、これは。四十までやらなかったらいいということじゃございませんけれども、二十歳まで、二十歳になってしまった人たち、これは近隣の人々と言うんです。怪奇現象みたいで、私が語るのにはややちょっと似つかわしくないという、こういう印象を持たれるかもしれませんが、やっぱり地域での子育て、地域における大人たちとのかかわりというものが非常に希薄になってしまっていることが、実は周囲の目を、僕たちは過去を振り返っても、周囲の目が怖くて、彼女とデートをしたくてもできず、あるいは隠れて、いや、もし車でも持てれば遠いところまで行ってなどというようなことを努力した過去がございます。そんな意味では、幼きころ、本当に地域の人々と子供たちがかかわるようなチャンスを非常に日常的に持てたら、とてもいい結果をつくり得るんじゃないかなという感じがしてなりません。
 この性感染症の問題や避妊の問題をいつからという意味では、私の結論は、私たちはしょせん動物です。チンパンジーは初めての交尾を、射精を経験し、月経を経験した直後から行うそうです。この辺りが基本だろうと思っております。それで、チンパンジーと人間の大きな違いは、チンパンジーは交尾をするときには実は親の元を離れるそうですよ。私たちのように、親から仕送りしてもらった金でアパートを借りて、そのアパートに女性をお連れ申して、親からもらったお金をためて中絶をするような、こんなチンパンジーはいないんです。そういう意味では、チンパンジーにも劣るかなという感じがしますけれども、私はそういう、私たちはどんなに立派な顔をしていても、どんな立派な服を着ていても、基本的に動物であるということをきちっと踏まえた上で、やはり一つは、二次性徴のいわゆる完成に近づこうとしている正に中学生前半ぐらいのところでは、きちっとしたいわゆるこういう性情報、生殖にかかわるような性情報、性感染症、こういうものを提供する必要があるんじゃないだろうかという気がします。それを超えてしまうと遅きに過ぎるだろうと思っております。
#53
○会長(清水嘉与子君) ほかにございますか。小林美恵子さん。
#54
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
 先ほどから質問が出されておりまして、重なる部分多々あるかと思いますけれども、私は二つの点でお聞きしたいと思います。
 一つは、遠藤参考人にお伺いしたいと思いますけれども、遠藤参考人がおっしゃられました、例えば三十代の中絶を決心する最大の理由が今後の生活において予想される経済的困難だというふうにおっしゃいました。これ、民主党の方も質問されましたけれども、私はそこの問題って本当に重要だというふうに思います。それで、参考人がやっぱり教育にお金が掛かるとかいう、そういう将来不安が、なかなか三人目決断できないというふうにおっしゃられていました。
 今回も、政府が決めました二〇〇五年度の予算の中には、国立大学の授業料標準の値上げが盛り込まれてしまいました。その点では、やっぱり多くの方が不安に思っているわけですね。そういう点で私は、こういう教育費もそうですけれども、将来不安を及ぼす経済的困難を打開するのは正に政治の仕事だというふうに思うんですけれども、その点で、政治に求めるものという点について改めてお伺いしたいというふうに思います。
 それと、あと、お三人の参考人の方々にお伺いしたいのは、これまでも随分出ていますけれども、この子供たちのやっぱり性行動の現状というのは本当に胸が痛む思いが私もします。でも、やっぱりそれは性の商品化が子供社会をむしばんでいるといいますか、大人社会の反映がやっぱり子供に大きく影響しているというのは偽らざる事実だろうなというふうに思います。やはり、先ほどからも出ていますけれども、テレビゲームなり、それからテレビなり、また様々なメディア、映像を通して暴力とか性がむき出しになって子供たちに襲い掛かっていると。そういうのが野放しにされている状況の下では、やっぱり子供たちに与える影響というのはすごく大きいと思うんですね。そういう点で、そういう分野の自己規律というのは本当に重要だというふうに思います。
 同時に、子供たちをターゲットにして、そういう性の商品化したものが大量に子供向けに消費をされているといいますか、そういう社会の在り方というのも本当に極めて異常だというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですね。
 そういう点で、そのどちらも含めて社会のやっぱり自己規律というのが求められているというふうに思いますけれども、その点で改めて、子供を守るための社会の自己規律を築くという観点で御意見をいただければ有り難いなと思います。
#55
○会長(清水嘉与子君) それでは最初に、遠藤参考人からよろしいでしょうか。
#56
○参考人(遠藤順子君) 昔は、国立大学というのは、割と家庭の貧乏なうちの子が学費が少ないから国立に行くというケースが多かったと思います。今、国立大学に行くのは、大変、家庭も割と経済的に恵まれていて、何か、場合によると一科目一科目家庭教師が付くと、そういうことができるうちの人が入るところだという説があります。ですから、やはり国立大学に入る人というのは、それだけいろんな経済的に余裕のある家庭の人が多いのかと思いますね。
 だから、そういうところで、私は、やはり教育のことにお金が掛かり過ぎて、塾へ行かなくても、学校でちゃんと勉強して、うちへ帰ってきて予習復習をすれば大学へ入れるような、そういうふうなシステムをつくってほしい。別に本当に学校の学費の何倍もの塾のお金を払っている、そういうことはやはり不健全なことではないかと思います。
 それからもう一つの方ですけれども、社会の自己規律というお話が出ました。でも私は、やはり今家庭でもって、それぞれの家庭で、自分のうちでは第一義的に守ることは何かという、そういうふうな、それは、家族全員がこのことについては絶対に妥協しない、絶対にこのことはみんなで守っていこうという、そういう第一義的に自分のうちでは何を一番大事にするかというような、親の人生観というか教育観というか分かりませんけれども、そういうものをちゃんと子供に伝えてない。そういうことが、やはりすごく家庭が乱れたり、そういうふうな男女の交際が乱れたりするもとではないかというふうに思っています。
#57
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございます。
 それでは、赤枝参考人、どうぞ。
#58
○参考人(赤枝恒雄君) 性の商品化は、皆さんちょっと今まで女の子の話ばかりですけれども、我々のところでは高校生の男の子も、近隣から来た、団地から奥さん連中が三人ぐらい一緒に来て、一人の男の子にお金を渡して、あと二人連れてきてというわけで、男性の高校生に対しても援交はあるわけです。これ、男の子のも援交はある。
 だけれども、男の子に対してはどういうわけかそういう、時々騒ぎがあって表に出てくる、茨城の方で何か、新聞に時々載りますけれども、やはり女の子は弱いから、女の子の援交については、女の子は何か男の人の力任せにいろんな事件に巻き込まれることが多くて出てきますけれども、男の子に対する援交の場合は、男の子にお金を上げて、男の子は黙っていることが多いわけだし、問題になってこないわけですね。だから、そういう性の商品化というのは男の子にもやっぱりあるわけですね。
 取りあえず援交が、遠藤先生の話にあって、ちょっと違うのは、私も最初は家庭の崩壊から起こっているのかなというふうに思っていましたけれども、実はお母さんが歯医者さんで非常に円満で裕福な御家庭の人も川崎のソープに行っていて、それはたまたま母子家庭の方だったんですけれども、ソープに行くと非常におじさんたちが優しくしてくれてほっとするというわけで、もうずっと行っていましたね。
 それから、高校生なんかでも、仲良しの二人で援交していた子は、やっぱりお父さんともう仲良しだと、家庭も円満で、九時の門限を破ったことがない。それでも援交しています。その子たちも親は絶対バージンだと思っていると言っていました。
 だから、家庭が円満そうに見えても、円満じゃないのかもしれませんが、円満でも援交はやっぱりあるんですね。やっぱり社会の中のお金が欲しいというこの流れは、どうしてもお金が一番というこの流れは止められないですね。
 だから、そういう意味で、援交というのは僕は、基本的にお父さんが買うわけです、ほとんど。お父さんが自分の娘みたいな子を買うわけですね。どうして買えるのか。それは、子供と接してないから子供が性に見える、女性に見えちゃう。子供が小さいときからお風呂に入れて、いつもおしめを替えて、それから発達していく中で子供と接していれば、自分の子供と同じ年齢の人を性の対象にはできないはずなんです。また、子供の立場にしていえば、子供がちっちゃいときからお父さんになついて、一緒にお風呂入ったり甘えたり一緒に抱っこして寝てもらったり、お布団もいつも一緒、そういう環境に育てば、子供はお父さんと同じようなおじさんとは寝ないはずですよ。
 そこで、やっぱり家庭の問題が根本には僕はある。つまり、お父さんが自分の子供を育ててない、育ててない子が援交に走っているんだろうというふうに僕は感じます。
#59
○会長(清水嘉与子君) 北村参考人、どうぞ。
#60
○参考人(北村邦夫君) その規制の問題ですけれども、私は、先ほど来申し上げましたように、もちろん規制をしなければいけない、あるいは目を覆いたくなるような情報等々があることは事実ですけれども、一体だれがその役割を負うのかということを想像しただけで大変怖い気持ちが起こります。
 これは国際的な立場からもいろいろ考えなければいけないことは事実ですけれども、時間が掛かることは十分承知しておりますけれども、これは、あくまでもメディアリテラシーという言葉を申し上げましたけれども、受け止める側が、これはおかしいぞとか、これはいい情報だぞというようなことを、そういう能力を高める教育を繰り返していく以外に道はないんじゃないだろうかという気がしております。
 この映像を取ってしまえば実は子供がよく育つとは限りません。というのは、私の過去を振り返っても、私は群馬県の出身なんですけれども、私の過去を振り返っても、幼いときに、辞書を買えばセックスというところにまず線を引き、辞書を買えばマスターベーションという英語に線を引き、そして情報がなければ探し出し、そんなことを繰り返してきたことを思いますと、多少の情報の違いがあったとしても、恐らく、我々の目に止まる止まらないにかかわらず、相当な情報が我々の時代にもあったような気がしてなりません。この辺りは時間を掛けて教育をしていくということが必要だろうと思っております。
 それともう一つはお金の、要するに子供を産める産めないということと経済的な問題ですが、ややちょっと情緒的な話になってしまうのは大変恐縮ですけれども、私自身は、実は父の姿を見たことがない母子家庭で育てられた六人兄弟の末っ子でございます。幸せって一体何だろうかなんて言いますと北村らしくございませんけれども、実はどうも帰するところそんなところに向かってしまうのであります。幸福観というものを社会がもう一ついろいろな形で議論の俎上に上げて、そしてとらえてみる必要があるんじゃないだろうか。貧乏人の子だくさんというのが私のうちに最もなじんだ姿でございました。そして、それが本当に幸せだったかどうかということは、実は今振り返っても私にはよく分かりません。私は東大には行くことができませんでしたが、幸いにもお金が地方自治体から援助される自治医大というところを選ぶことができました。これは貧乏人の子だくさんの私にとってはとてもラッキーな出来事でありました。
 幸福って一体何なんでしょうか。きれいな服を着ることが幸福なんでしょうか。大きな家に住むことが幸福なんでしょうか。私は、ひょっとしたらそれに近い生活を今実現しつつありますが、本当にそれが幸福かどうかということについて自分自身分かりません。私は、そんな議論をする中で、この経済的な支援、思えば児童扶養手当を、毎月だったんでしょうか、二か月に一度だったんでしょうか、郵便局に母から求められて取りに行ったときの母親の姿を今も忘れることができません。
 こんな情緒的な話になってしまうのは大変恐縮でございますけれども、僕は幸福観というものを今もう一つ議論の俎上に乗せてみたいなという感じがしておるんですけれども、いかがでしょうか。
#61
○会長(清水嘉与子君) 小林さん、どうぞ。
#62
○小林美恵子君 私は、経済的困難の問題といいますのは、家庭の中で大変困難であっても家族が円満に暮らすということも確かにあるでしょうけれども、今の少子化をつくり出しているのは、やっぱり雇用に対する不安でありますとか将来に対する不安であって、当たり前の生活が当たり前でできなくなる不安が一番問題だというふうに思うんですね。そういう点で、政治の舞台でそういう家計にさせてはいけないといいますか、その打開が私たちには求められているというふうに思いまして、質問をさせていただきました。
 ありがとうございました。
#63
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 山谷えり子さん。
#64
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。参考人の先生方、ありがとうございました。
 今、自由民主党では、過激な性教育とジェンダーフリー教育の実態調査プロジェクトチームというのをつくっておりまして、実態調査に乗り出しております。と申しますのは、全国の保護者から、学習指導要領を無視し、子供の年齢、子供の心、子供の魂を無視し、親の教育権を無視した、セックスを物化した、家族を壊す、子供の人格を壊す性教育が余りにもひどく行われているということで声が上がってきたので、そのようなプロジェクトチームを立ち上げたわけでございますが。
 赤枝参考人にお伺いしたいんですけれども、ブッシュ大統領が、結婚までセックスしない方が健康的にも心理的にも社会的にもいいんだよというようなことで、一年間に百四十億円の補助金を出すようにいたしました。これはブッシュ大統領だけではなくて、クリントン政権時代から国立衛生研究所が様々な、あるいは学会が様々な研究をした上で決めた方向なわけでございますし、もっと前にさかのぼれば、一九九〇年代、ウガンダでエイズの感染率が大変に高かったときに、ムセベニ大統領が、きちんと責任を持てるまではセックスしないでほしいというふうに一生懸命教育を始めた。欧米ではせせら笑って、そんなもの効果があるかと言っていたんですけれども、実に五年間で、男性の六割セックスしていたのが二割に減り、女性では五三%が一六%に減ったということで、非常に顕著な効果があったのでアメリカの議会でそれが話し合われて、クリントン、そしてブッシュに、そのような方向に軌道修正がなされたというわけでございますけれども、そのようなことをどう評価なさっていらっしゃるか。
 それからまた、ピルについて。WHOでは十代は飲んではいけないと、副作用も、まだ思春期、体の成長が不安定なときには飲んでほしくないというふうに言っているピルでございますけれども、そのピルをどういうふうに評価なさっていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。
 それから、遠藤先生には、日本では、経済的な不安もさることながら、実はもっと大きなのが、母になること、父になることというのが神聖なことである、喜び、恵みであるということ、サムシンググレートへの畏敬の念というようなメッセージが余りにも社会的に少なくなっているという、これは実は非常に私は大きなことではないかなというふうに考えております。
 先生のお話によれば、ほとんどの女性が産みたいと思っている。というならば、中絶を受ける前に何かカウンセリング、自分の心を開く場所、相談体制の充実ということがアメリカ、ドイツのように日本でもできないものかというふうに考えております。
 実際、少子化社会対策基本法が国会で成立いたしましたときに、「出産を望みながらも精神的、経済的負担に悩む妊産婦に対する相談等の支援の充実を図ること。」ということが附帯決議で決定されたにもかかわらず、ちっとも充実されていないというような現状でございますけれども、悩んでいる妊産婦にどのような日本でサポート体制があればいいと思うか。電話相談やカウンセラーの育成もしていらっしゃるようでございますけれども、現実的に欧米の成功例なんかも参考にしながら、どういう辺りから支援、サポート体制を公あるいは民間の場にしていったら効果が出ると思うかをお聞かせくださいませ。
#65
○参考人(赤枝恒雄君) アメリカの人口抑制策、これは見事に成功したのは、コンドームの勧めもあったんでしょうけれども、やはりこれと同時に、結婚するまではセックスをするなということと同時に酒とたばこの規制を徹底したと。つまりセックス、若者がセックスをするときに不思議と酒を飲むという状況と、たばこは隠れてたばこを吸うという状況で、そうなると、隠れたところでするのがセックスであったりするわけなんで、酒、たばこを規制すれば必ず性行動は抑制されるというのは、私も、ここのところは見習うべきで、やはり日本でももっとやはり、今居酒屋で出している酒、カラオケ屋で出している酒、あれはもう酒は絶対やはり十八歳未満は、今二十歳未満ですかね、やっぱり規制をしなければいけない問題だろうと思うし、たばこもそうだと思います。
 ここのところの規制をやっぱりやってもらわなきゃいけないし、やはりとにかく中学、僕は中学時代のセックスは絶対しないでほしいと思っているわけです。何でそうかというと、やはり街角相談室に来る子供たちが中学を卒業しても行き場がないというか、やっぱり社会的に競争できない、学力が。そういうためにフリーターになっていくわけですけれども、ニートまで、ニートというふうなのがいいのかもしれません。勉学の意欲もないわけだからニートかもしれません。そういう状況にみんななっているのを見ると、やはり卒業するまでの義務教育、これを徹底してやはり教えてもらわなきゃいけない。
 どうしてそういうことを言うかというと、僕が渋谷で知っている中学生は、学校に行かなくても学校の先生から、中学生ですよ、中学生、学校の先生からは、来たくなったらおいでと言うだけで学校に来いとは言われないんですって。今、中学生は学校に行かなくていいらしいですよ。こういう現実です。これ、本当にどうにかしなきゃいけない。絶対学校へ行って、学校の先生は言って、本当に家庭教師代わりに学校の先生が課外授業をやってもいいぐらいなもので、やはり義務教育が十分できていないと社会には通用しないんだよと。そうでないから、フリーターになる。フリーターはお金の計算ができない。つまり、ボーナスが幾ら入るか分からない。年俸が幾らか分からない。結果的に、お金がないから妊娠したらおろそうの話になってしまう。お金の計算ができれば予定が立てられるからお産できると思うんですよね。やっぱり経済的にフリーターというのはやはり弱いんですね。そういう意味では子供を産めない。
 ですから、フリーターをつくらない、ニートをつくらない、そういうために最低の義務教育は徹底してほしいなと思います。
 それから、ピルについては、大体、北村先生は私のことを非常に苦々しく思っていると同じように、私も北村先生のことを非常に苦々しくいつも思っているんですけれども、声の張りが違うものですから、だからいつも負けちゃっているんですけれども。つまり、STD、性感染症と妊娠を防がなければいけないとみんなが言っていながら、じゃ、ピルは防げるんですかと。みんなが、じゃ全員ピル飲んだらどうなるんですか。
 僕は、北村先生にもいつかどこかで対決したいと思っていたら、対決の場はここに提供してくれた気がするんですけれども。僕は、やっぱり勉強している子供たちにピルを飲ませると体温がずっと上がるために、三週間上がるために集中力が落ちるんですよ。体が熱っぽくなるし、体だるくなりますよ。それが、肉体的成長の過程にある子供にピルがいいんですかと。僕は、世界がピルを使っている、日本は後れている、違います。それは、世界は性教育が徹底されているから、その上で自分の判断ができるから、セックスについて自信が持てるからピルを使うんであって、今の日本の状況の中でピルを使うことは私は絶対的に反対で、まず、結婚するまではコンドームしかないと。コンドーム教育を徹底していただいて、結婚したら家族計画のためにはピルがあるよと、そういうことに持っていってもらえないかなと。これは北村先生の御意見も聞きたいんですけれども。(「そうだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
 どうして、いや、性感染症も防ぐ必要があると言いながら三千五百円のピルを買わせて、どうしてコンドームを、性感染症の疑いがあるときはコンドームを使いましょうと言うんですか。性感染症はほとんどが症状が出ないんです。どういうときにかかっているか分からない。と言いながら、どうしてコンドームを使うタイミングを選ぶんですか。そんなことはあり得ないです。コンドームしかないんです。それで、その上で結婚した場合にピルというふうになってこなければ、今の日本の現状で、これだけ性教育がだれも受けてない状態、セックスのリスクも何も分かってない状態でピル、ピル、ピルと言うのは、僕はこれはとんでもない間違いだと。断定をさせていただきたいと思います。
#66
○参考人(遠藤順子君) 私は、さっきおっしゃっていただいたようなことでは相談というのが大変な窓口になると思います。
 それで、私どもではいろんな相談の窓口はやっておりますけれども、アメリカで今実行されているAアンドAという、エードとそれからアドバイスという、援助とそれから助言という、そういう活動をしていらっしゃる、草の根の運動で活躍していらっしゃる団体がありまして、それを参考にしております。そのレイ・カウンセリングというのでは二十四時間の電話相談、それから窓口の設置、それから毎週の勉強会、そういうことで、その中では出産後の母子に対して物心両面からのサポートをしています。それで、妊娠している妊産婦に赤ちゃん用品、マタニティー、ミルク、おむつ、ベッドなどの寄附を受け付け、養親のあっせんなどもしています。
 支援の方法というのは大変具体的で、ホットラインと言われるその電話でもって予約をすれば、その相談所へ行って無料で妊娠検査を受けたり、ビデオや写真でもって胎児の様子を知らせ、産むと決めた女性に対しては助言と支援を通して健全ライフスタイルへの、生活の態度を変えさせる。
 例えば、未婚の女性が学校に行っていて、学業と妊娠してその子供を育てることが両方が両立しないといえば、すぐに学校と話し合って子供を育てながら学業が続けられるような学校を紹介する。それから、社会的に何か子供が難しいこと、困難があるとすれば、それは社会的な制度を紹介してそれを解決する。そういうふうないろんなことがありまして、それで住む家がないといえば、妊娠して出産するまでの間にそこに住めるようなライトハウスというのを紹介したり、それから養子や里子に出す相談にも乗ったりします。
 つまり、産めないと思っている人のその産めない事情というのを一つ一つ解きほぐして、妊産婦の気持ちを解きほぐし、それで、いつでも産んでいいんだよというサインを出すことです。
 それで、それだけでなくて、いよいよ出産となると、出産が間近となると、一人ずつが出産に必要なもの、乳幼児に必要なものを持ち込んで、それでその妊産婦を応援します。それから、いよいよ出産の日には会員がみんなで病院へ出掛けて、これは私たちの家族で大事な人だということを医者に伝えてその応援をすると。
 そういうふうに、アドバイスするだけではなくていろんな具体的に、出産に立ち会うようなお母さんのような役割も果たしたりしています。
 それで、私たちも、円ブリオセンターでもこれらを参考にして相談で命を救うことを目指しています。民間で母と子を救い、社会を救うカウンセリングを行ったり、それから、カウンセラーがやはりとても足りないんですね。ですから、そのカウンセラーの養成ということを、千名カウンセラーを養成しようということで今一生懸命取り組んでおります。
#67
○会長(清水嘉与子君) よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 よろしいですか。ほかにございますか。
#68
○参考人(北村邦夫君) 発言のチャンスをいただいてよろしいでしょうか。
#69
○会長(清水嘉与子君) それでは、北村参考人、どうぞ。
#70
○参考人(北村邦夫君) 一つは、山谷理事が、若い世代にピルをということについてWHOが禁止をしているという話がございましたけれども、これは全くそういうことはございません。医学適用基準というのをWHOが持っておりまして、初経を経験してから四十歳までの女性はピルを使うことに何の問題もないということが科学的に証明されておりますし、WHOはそのことをきちっと明示しております。
 また、ウガンダの話、大変興味深い話でございます。事実、十年間で一五%だった感染率が一〇%に減ったという事実がございます。しかし、これに対して非常に脅威を感じているのは私だけではございません。ただ、情報が非常にゆがんだ形で提供されておりまして、大統領も、セーファーセックスという言葉とともにコンドームには小さな穴が空いているというような情報を流したり、あるいは大統領夫人も、結婚まではセックスはしないことでいこうという形で言っているんですけれども、実はコンドームが唯一、もちろんノーセックスを除いてですけれども、エイズ予防に役立つということは、これは科学が立証している事実でございます。そういうゆがんだ情報をもって国民に恐怖を与えることが結果としていい状態をつくるとは私にはとても思えません。この辺りは是非誤解なきよう。
 そして、私は、先ほど幸福論などという情緒的な話をしたものが、やはり私たちは議論をするときに単純に、単に感情的な議論ではなくて、きちっとやっぱり科学的なあるいは具体的なデータを持って議論していかないと事態を非常に混乱させてしまうのではないだろうかという気がします。
 ピルについての否定も、私は今日大変残念に思ったんですけれども、男性議員がそうだと言いました。私は男性議員には言ってほしくない。望まない妊娠を経験することのない男たちが、望まない妊娠をし中絶をせざるを得なくなった女性たちの苦しみをどれほど理解できるのかと。私は、そうだとこう言った男性議員たちにどうしても申し上げたい。
 それと、今、私の試算では日本では一・三%がピルを使っています。そして、この人たちが実はこの一年間の間に、私の身近なところのデータなんですけれども、性感染症になったかどうかという議論があるんですけれども、初診時点でピルを使う若者たちの、若者たちの六・三%がクラミジア陽性でした。しかし、ピルを一年使う中で、実はその陽性率は三・四%に減りました。これは、医療機関での処方というものが性感染症に対する関心を喚起し、そして治療を促し、そして結果としてコンドームを性感染症予防として、コンドームで、男性が付けるコンドームに身を任せて、女性よ、あなたは自分の望まない妊娠を回避できるのかと、自分で守れ君の体、君の人生というのが私の女性に対するメッセージであります。
 そういう意味では、デュアルプロテクションと言いますけれども、確実な避妊法を女性が手にし、そして性感染症予防にはコンドームという、この議論をやっぱり常に続けていく必要があるだろうなと思っております。
 ピルについてはもう山谷先生と何度も議論しておりまして、私の調査では一・三%が使っておりますが、その五八%は避妊以外の目的で使っております。というのは、月経痛があったり、あるいは月経周期が乱れたり、あるいは、実は卵巣がんの予防効果が非常に高くて、七〇%減らしますから、ピルを使うことによって。子宮内膜がんも減らします。結腸がんも減らすんです。乳がんについては最近いろんな議論が起こっておりますけれども、そういう女性のクオリティー・オブ・ライフを高めるという意味でのピルの役割をいま一度、これを否定するだけではなくて考えていってほしいという気がしてなりません。正に教育なんでございます。
#71
○山谷えり子君 本当に何度も議論させていただいておりますけれども、本当にどの部分を取るかによってまた見えてくる事実というのも違うわけでございまして、欧米では、むしろピルというのは意外に副作用があると、それから環境ホルモンなのでこれは意外と大変な存在だぞということで、むしろ使用する人たちが、女性たちが減っているということも事実でございます。本当に、特に子供たちには飲ませないでというような裁判や親のデモなども起きておりまして、本当にいろいろな見方、角度によって見る見方が違うんだろうというふうに考えております。
 私は、成人女性が自己責任で副作用も知って飲む分にはどうのこうの申しませんけれども、十代には飲ませるべきではないと考えております。
#72
○会長(清水嘉与子君) それでは、北村参考人、どうぞ。
#73
○参考人(北村邦夫君) その議論をもし展開するならば、セックスをすることについて親の許可をもらいなさい、セックスをするかどうかについて国の許可をもらいなさいという議論が先行してほしいという気がします。
 私どもは、ただ無造作にピルを若い十代の子たちに渡しているのではございません。彼らは、彼らの選択で、親の許可ももらわないでセックスをしているんです。そして、妊娠の危機に陥っているんです。この大人びた行動がある以上、これに伴う性感染症予防やあるいは確実な避妊法の提供というものは社会の、あるいは私たち医者たちの大きな責任だろうと思います。この部分を抜きにして、すなわちセックスをするときに許可をもらえと、これが全うされるならば、ピルの提供は、確実な避妊の提供は、じゃ大人になってからだという議論が成り立つのではないだろうかと私は思っております。
#74
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
 関口昌一さん。
#75
○関口昌一君 そうだと言った自民党の関口昌一です。
 私もいろいろ議論聞いていてなんですが、私は、参議院の予算委員会でもちょっと質問したんですけれども、先ほど御意見が出ましたけれども、アダルトサイトとかインターネットに対する、こういう出会い系サイトの問題、こういうものは法的な規制をすべきであるという質問をさしていただきましたけれども、有害図書に対する規制、先生もおっしゃいましたけれども、こうした携帯電話、インターネットに対する、先ほど北村先生も、これは自主規制を望む以外にないということなんですけれども、私は、もうそんな悠長なことを言っていられないと、もう法的にしっかり縛るべきだという考え持っているんですが、お三方の御意見を聞かせていただきたいと思います。
#76
○会長(清水嘉与子君) それでは、この問題、何度か出たようですけれども、赤枝参考人からどうぞ。
#77
○参考人(赤枝恒雄君) 街角相談室にはいろんな子供が来ます。特に、マツキヨからパクって我々のところで化粧をする。それから、ディズニーランドの帰りには、こんなミニーちゃん、大きなのを抱えてくる。みんなパクリです。その中でも、やっぱりパクリをやめたという子がいるわけですね。やめた子はどうしたんだというと、その子が捕まったときに、親を呼ぶ、警察に行こう、学校の先生にと言われて、物すごい脅かされて、怖くなって、超怖いよ、捕まったら超怖いよということでその子はやめちゃったんです。ほかの子はみんなやっています。だから、僕は言うんです。やはり取締りは大事だと。取締りしなきゃ駄目。
 そこで、やはり僕らが今まで、北村先生のように人徳がない分、現実だけで考えれば、規制は多少の効果はあるだろう、規制は必ず効果はあるはずだと思っていますから、私は、この規制を強化する。例えば渋谷のラブホテル街で張っていれば分かりますよ。出てきた高校生たちにお財布ちょっと見せてと言ってみれば分かりますよ、五万円入っている、幾ら入っている。ふだん持たないお金が入っているんですから。そうすると、それをいろんな指導することもできる。つまり、捕まえる、この規制するということは、とっても大事な子供たちにとっては抑止力だと思っています。
#78
○会長(清水嘉与子君) それでは、遠藤参考人、どうぞ。
#79
○参考人(遠藤順子君) 私もそう思います。私は、今までやはりそういうことが野放しになり過ぎていたというふうに思っています。それでやはり、もっともっと厳罰にして、そういうことをやれば大変なんだということをやはり親にも、今、何か渋谷辺りで夜捕まって渋谷署へ連れていかれる女の子がたくさんいます。そういう子に、うちへ電話を掛けてすぐ迎えに来いと言うと、親は、今、夜、夜中だから行けないから、あしたまで預かっていてくださいという、そういう親がいるわけです。
 ですから、そういうのはきちっと取り締まって、親の監督不行き届きということで、それは罰金を取るなり、親から、未成年者の場合だったら親から罰金を取ればいいんです。そうすれば、そういうこと、今本当に子供が、男の子と女の子の付き合いをしていたのが、ただ友達の付き合いをしていたのが、男女の交際になって帰ってきても、その夜、親が、娘が変、ちょっと今日はおかしいぞということが分からない。それで、それが中絶をして帰ってきても自分の娘はピュアだと思っている、そういう親が多過ぎるんです。
 ですから、そういうことを取り締まって、それで、未成年の場合には親から監督不行き届きということでちゃんとお金を、罰金を取ると、そういうことにしたら随分違うんじゃないかと思います。
#80
○参考人(北村邦夫君) 私は、どのような養育環境にあった人が、あるいはどんな生活観を持ちどんな歴史観を持った人たちがそれをよしとし、あしきものとするかという、この辺りにもう少し議論が必要だろうと思っております。
 例えばコンドームのいわゆる装着方法を教えることが過激という考え方を持つ人は、これはかなり厳しい立場で規制が起こってしまうでしょうし、あるいは私のように、もう年ごろになった人たちにコンドームの装着ぐらい知らなければ自分を守れないぞという立場がもし仮に規制という役割を負うならば、少し緩やかなものになるかもしれません。この辺りは相当なやっぱり国民的な議論があってしかるべきだろうと思います。
 だれが、いつ、どのような形で規制にかかわるのかという部分、私はどんなに時間が掛かってもやはり教育をきちっとしていくということを怠ってはいけないだろうと思っております。
#81
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 関口昌一さん。
#82
○関口昌一君 もう時間なんで簡単に自分の意見を最後に。
 結局、リスクが伴うのは女性の方が多いと思うんですよね。ピルの話も参考人からも出たんですけれども、私どもも国会議員の一人としてそういう出会い系サイトの問題とかインターネットのアダルトサイト、こういうものが今もう、先ほど参考人からもお話ございましたとおり、幼稚園の子も接続の仕方をすると分かるというような状況ですから、もうこういうものを徹底的に排除すべきであると。それが国会議員の責務かなと私も思っている一人なんですね。
 で、先ほど男性議員の方からそうだというので、残念だと言われたんですが、恐らく女性議員もみんな思っていると思うんですね。やっぱり、(発言する者あり)違うという人はまた後で反論してもらっても結構なんですけれども。
 結局、幼児教育も大事だと思います。大事だけれども、先ほど赤枝参考人からお話ございましたが、やっぱり子供を産む、そして育てる、そしてこの大切さということをまず教えて、そして私が小さいころの小学校の性教育というのは、覚えているのは、女性が小学校五年生ぐらいになると生理が始まる、妊娠の可能性があるから、そこから教育があったというようなことを私は思っているんですけれども。あと、私どもが受けた教育というのは、責任とか、そういうものをいろいろ教えてもらったというのを覚えているんですけれども、まあその学校に対する性教育も大事だと思っておりますけれども、私も山谷議員と同じような意見を持っている一人であります。
 ちょっと最後、長くなっちゃって申し訳なかったんですが、再度、私も自分の意見で終わらさせていただきたいと思いますけれども、やっぱりそうした子供たちに自由に目の触れる状況の有害図書を含めインターネット、携帯電話の問題も含めて、これはもう早速法的に縛りをしないと大変な問題になってくると私は思っておりますが、共通した意見をいただいたと私は考えております。
 以上です。
#83
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 今までに御発言なかった方でいらっしゃいますか。もうよろしいでしょうか。
 それでは、山本孝史さん、どうぞ。
#84
○山本孝史君 今日はお三方ありがとうございました。それぞれのお立場で一生懸命にお取り組みをいただいているということがひしひしと感じられて、私どもも頑張らなければいけないというふうに思います。
 今日、北村先生のお話をお伺いしながら、私もそうだというふうにかねてから思っていたことと一致したので、あえて申し上げたいというふうに思うんですが、性教育という言葉だけが独り歩きをしていて、一体それは何を本当にちゃんとどの段階で教えるべきかということの冷静な議論になっていないということを私は非常に危惧をしておりました。同じような御指摘をいただいたので本当に良かったと思っています。
 それぞれの医療現場なり学校現場なり、もちろん家庭も含めてですが、それぞれのものがそれぞれの機会をとらえて正しいメッセージといいましょうか、伝えたいメッセージを伝えていくということが非常に重要だと思っています。
 それと、確かに赤枝先生おっしゃったように、大変な状況になっているということは、私もHIVの問題ですとかもかかわっておりますので危惧をしておりまして、決して世界的に見て日本がまだましだからというのではなくて、この先大変な状態になっていくということの警鐘を鳴らしておられる、そのことを我々国会の側が規制という形でできる部分と、それから国全体が考えなければいけない部分と、今のメディア規制もそうですけれども、表現の自由といいましょうか、物を作るという部分と、それを売らせるという部分と、いろんな部分で我々は考えていかなければいけない部分があると思っています。
 それと、感想めいた話になると恐縮ですので、北村先生に最後、私が今日お話をお伺いしていて、かねてから非常に難しいと思っているのは、実はコミュニケーション能力。
 高齢者の介護等の問題を見ていますと、女性に比べて男性のコミュニケーション能力がはるかに劣っている。このことについてどうしていったらいいんだろうというのがありまして、今日遠藤先生のお話もお伺いしながら、多分、家庭の中での親子の会話がない、あるいは学校で先生と生徒の会話がない。同様に、多分、夫婦間の会話がない、がセックスレスになっている。これが高齢、今、介護保険やっているものですから特にそう思っているんですが、高齢期になってきたときに、男の高齢者の人たちがきちんと能力、伝達する能力を持っていませんと大変な状態になっているというのが感じていまして、いかにしてこのコミュニケーション能力を高めるか。何が、どこにかぎがあるということなのか。お三方、もし何か私の今の問題意識に対して考えるヒントを与えてくださるのであれば大変にうれしく思っております。済みません。
#85
○会長(清水嘉与子君) それじゃ、今度は北村参考人からでいいですか。どうぞ。
#86
○参考人(北村邦夫君) 私は、今ジェンダーの問題がいろいろ話題になっておりますけれども、男というものに向けられたイメージ、このイメージを払拭するという、こういうことがとてもコミュニケーション能力を高めるために重要だろうと思っております。
 例えば、アメリカにおけるいわゆる禁欲教育の中で、実はこういうことが教えられております。女性は自分の築き上げた関係で幸せを測り、男性は幸せや成功は自分の築いた成功によって決まるという。この情報提供がいろんな混乱を招いているという議論があるんですけれども。
 男が弱くてもいいんだ、例えばですよ、男は涙を流してもいいんだ、女が常に従属する立場ではないんだ、男が時に従属することがあってもいいじゃないかというような、こういういわゆるジェンダーにかかわるような議論が子供のときからできたときに、私はコミュニケーション能力をもっともっと高めることができる男性へと向かっていくんじゃないだろうかという気がします。
 もちろん、生物学的な性差を否定するものではございません。生物学的な性差をきちっと踏まえながら、優しさや思いやりや、そして弱さというものを出しても男として十分に評価される社会であるんだということを男たちが身に付ける必要があるんじゃないだろうかという気がします。
#87
○参考人(遠藤順子君) 私は、コミュニケーション能力というのはやはり家庭で一番培われるべき問題だと思います。やはり、家庭で自由に何かが、意見が言えるということはやはり大事なことで、今兄弟が少ないということ、やっぱり子供のコミュニケーション能力というのをやっぱりとても阻害していると思います。親とはなかなか話ができなくても、兄弟同士で。やっぱりみんな違うんですね、それぞれ。人生観も違うし、能力も違うし、考え方も違う。ああ、兄弟でもこんなに違うんだ、ああ、これ全然違う人だね、違う考えだねというのを自然と覚えていくんですね。それがやはり社会へ出てほかの人とコミュニケーションするときとても役に立っていると思う。
 だけれども、今一人っ子です。一・二九ですからね。それでは、家庭で、殊に親が両方とも共働きの場合にはコミュニケーションする場所がないですね。だから、そういうことはやはりとても難しいというふうに思っています。
#88
○会長(清水嘉与子君) 赤枝参考人、最後です。
#89
○参考人(赤枝恒雄君) それは面白い御指摘だと思いました。
 というのは、女の人は赤ちゃん身ごもって、それから出産すると、その生まれる前から、もう胎教というところから子供に話し掛けているというコミュニケーションのトレーニングしている。生まれてから少なくとも小学校入るまでは子供を相手にコミュニケーションの練習をしている。少しでも話を、言葉が出ると、聞き取ろうとする。何と言ったんだろう、子供の反応を見る。これコミュニケーションの、やはり女の子は元々そういう、育児をしたお母さんには付いているのかな。
 そういう意味では、男の人はやはり女の人を大事にという気持ちを持って、ガールズガードということを僕は運動としてやっていますけれども、女性を大事にもっとするという気持ちを持たないと、コミュニケーション能力は女の人には勝てないというふうに思っております。
#90
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 それでは、質疑も尽きないようでございますけれども、予定の時間も過ぎました。以上で参考人に対する質疑を終わりたいと思います。
 参考人の皆様方には、長時間にわたりまして大変貴重で有意義な御意見をちょうだいしました。本当にありがとうございました。いただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 次回は来る五月十八日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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