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2005/02/23 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第3号
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2005/02/23 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第3号

#1
第162回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第3号
平成十七年二月二十三日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         広中和歌子君
    理 事
                加納 時男君
                北岡 秀二君
                朝日 俊弘君
                辻  泰弘君
                松 あきら君
    委 員
                小野 清子君
                岡田  広君
                小池 正勝君
                小泉 昭男君
                中島 眞人君
                西島 英利君
                松村 祥史君
                足立 信也君
                小林 正夫君
                谷  博之君
                広田  一君
                和田ひろ子君
                浜田 昌良君
                井上 哲士君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        富山 哲雄君
   参考人
       法政大学経済学
       部教授      黒川 和美君
       社団法人全国地
       方銀行協会会長
       株式会社東邦銀
       行取締役頭取   瀬谷 俊雄君
       日本政策投資銀
       行地域企画部参
       事役       藻谷 浩介君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○経済・産業・雇用に関する調査
 (「成熟社会における経済活性化と多様化する
 雇用への対応」のうち、地域経済の活性化につ
 いて)
    ─────────────
#2
○会長(広中和歌子君) ただいまから経済・産業・雇用に関する調査会を開会いたします。
 経済・産業・雇用に関する調査を議題とし、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、本日は地域経済の活性化について参考人の方々から意見聴取を行います。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、法政大学経済学部教授黒川和美さん、社団法人全国地方銀行協会会長・株式会社東邦銀行取締役頭取瀬谷俊雄さん及び日本政策投資銀行地域企画部参事役藻谷浩介さんに御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 御多用のところ本調査会に御出席賜り、本当にありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在進めております「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、地域経済の活性化について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず黒川参考人、瀬谷参考人、藻谷参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、午後四時ごろまで各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、まず黒川参考人からお願いいたします。
#3
○参考人(黒川和美君) 御紹介いただきました法政大学の黒川と言います。本日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。(資料映写)
 今日は私はどちらかというと大きい視点で議論をしようと思っていまして、そのキーワードというのは、ここに書いてありますようにポリセントリシティーという言葉です。ポリセントリシティーという言葉は多分ほとんど聞かれたことがない言葉だと思いますけれども、反対語はモノセントリシティーという言葉遣いで、これは今、ヨーロッパ、EUのヨーロピアン・スペース・ディベロプメント・パースペクティブスという、EUの全体のバランスある発展を考えるときの基本用語になっています。このポリセントリシティーという物の考え方は我が国の国土政策にもそれ相応に使われてきていて、その言葉は、我が国では、ここに書いてありますように、二層の広域連携という言葉遣いになっています。
 二層の広域連携というのはどういう意味かと申しますと、地域が強くなるためには、地域に一つ大きな中枢中核都市をつくって、そこを拠点にしながら地域が大きくなっていくという議論がありますけれども、その考え方ではなくて、地域はそれぞれの能力を今のまま維持しながら、その特徴を伸ばしていきながら、その中核都市を中心にしながら周辺の都市ができるだけ高密度に高速度に結び付くような交通体系をつくって、そこに国際的にも、外国にも直接結び付くようなポートというか空港も港湾も造って、そして世界と結ぶ。今まで我が国の場合はどちらかというと国内の中で生産性を上げるということを考えていますが、地域は地域で独立して、もう直接外国とつながっていくという感覚です。そうすることによって、つまり生産性を上げることができるということです。
 これは、裏返しに言いますと、東京も一つの地域ということでして、これまで、モノセントリックという考え方でいきますと、たった一つの中心の東京に稚内から鹿児島、様々なところが羽田空港に向かって、飛行場へやってくる。だから、羽田空港はもうスロットがないぐらい一杯になっているわけですけれども、東京の人にとってみると、つまり今一番大事なことは何かというと、ソウルや上海にシャトル便でつながることであって、鹿児島に一日四便、五便確保することではなかったりするんですよ。
 元の事情というんですか、地方が東京につながらなければいけなかった状況というのは、明治維新以降というか、我が国の一定の経済ポテンシャルが高まるためには必要なことであったと思いますけれども、もう鹿児島にとってみると、鹿児島空港から東京に来るよりは、目の前に上海があるわけで、そこまでの距離ははるかに、実質距離で東京に来る半分しかないわけですから、ダイレクトにそちらとつながるということがあってもいい。だから、国がやらなければいけないことは、地方空港もダイレクトに、つまり他国の空港と結び付いていくことだというふうに思っています。
 そのことをお話しするために、今日は、EUの例を幾つかお話をしながら、日本経済の地域のポテンシャルを上げていくための条件がこういう問題だということを御説明して、その話を聞いていただこうと思っています。
 ヨーロッパでは、もう御存じのとおり、通貨が統合されて都市の広域連携ということが盛んに行われるようになりました。このときに議論されているのはテリトリー。テリトリーというのは動物が一日の間に移動したりする距離のことを言うんですけれども、このテリトリー、人一人のテリトリーをできるだけ広げること、広げたり拡大するということは、一日に、つまり地域の中で移動できる距離ができるだけ長くなることとか、あるいは移動するための時間ができるだけ短くなることで、密度を高めることで結局テリトリーというか経済活動量というのを増やすことができるというふうに考えています。
 そのときに、どれか大きな中心のところに結び付いていくというモノセントリック型の考え方をするのではなくて、一つ一つの都市がそれぞれ自立していて横に密度を高くつながるというメカニズムをつくっていきましょうというのがヨーロッパ的な考え方で、都市の広域連携という議論をしています。これは大都市ではなく中小都市の連携というイメージです。
 これを考えるときにも、いずれにせよ、やっぱり競争力というのが必要ですから集積ということが必要です。小さい都市も横に上手につながることで集積を確保することができるというのが、ヨーロッパでは幾つかのもう事例が出てきていて、話題になっています。後で申し上げますランドシュタットというエリアとかルールゲビートというエリアはそういう地域になっています。
 それから、小さいからこそ守れるものというか、これまであった歴史を壊したり自然を破壊したりしないということとか、窒素循環とかCO2循環とかと、こういうことをきちんと守ることができるという意味でコンパクトシティーという概念も守れます。これがヨーロッパの大きな原理になっている理由だと考えます。しかも、そのエリアの中では他のエリアと激しい競争を持つ、競争力を持つだけの、何というんですか、集積とか集中の力を持つことができるということを考えています。
 これからお見せするのは、日本は今どういう状況になっているかということで、これは国土庁、国土交通省が全総計画というグランドデザイン、二十一世紀のグランドデザインというのをつくりまして、その後につくられてきているコンセプトの一つとして、これまで日本は都市化傾向にあると言われたのが、もう都市型社会になってると言われています。
 どういうふうに都市型社会になっているかといいますと、日本は八十二の、政令都市との結び付きが一時間、中核都市、人口十万以上の都市とは三十分以内に特急とか高速道路を使わないで行くことができるとその二つのエリアはつながっている、連携しているとみなすと、日本は幾つぐらいの都市地域になるかということを実証研究したものです。ここにお見せしているように、日本は既に八十二の都市地域の中に組み込まれています。この中に、三千三百の自治体中、間もなく減ってしまいますけれども、およそ二千二百五十七、七〇%の自治体、それからこの中に人口の九二%、GDPの九四%がもう含み込まれています。
 OD調査とか人の移動とかそれからパーソントリップというか、今、人々が移動することを実証的にチェックしているデータでいきますと、我が国は大きく、この、道州制を意識しているわけではなくて、国交省のデータで見るとこういう八つの地域に分かれていて、人々の移動の方向が新しい方向に変わりつつあるということが言われています。
 そのうちの一つの目立ったところは山口県です。山口県は明らかにもう北九州のエリアと結び付いていて、中国地方ではないということが分かっています。それからもう一つは北陸三県なんですが、北陸三県は、中部地方に近いにもかかわらず、経済力や人の移動や物の移動は完全に大阪圏だということが分かっています。鳥取県は境港まで大阪圏になっています。
 そういう意味で、そういう大きな人の流れというのが今のようになってきているということも考えながら、我が国がどういうふうな都市の構造になりつつあって、それが、この一つ一つの都市地域が今のポテンシャルを高めていくにはどうしたらいいかということを考えてみましょうということです。
 一つの点に集中するということから、幾つかの点に連携してつながっていきましょうというのが今回のテーマですけれども、地域的にバランスが取れた発展をするためには地域が自立しなければいけない。そのためには、どちらかというと、東京に集まってくるという動きよりは、その地域で自立することが望ましいと考えています。
 それから、ヨーロッパではモアポリセントリックというふうに、より多心型に持っていこう、一つのところに集まるというよりは多心型に持っていきましょう、そうすることによって強い競争力で強い連携体がつくれますよという議論をしています。
 地域の繁栄なくして日本の繁栄なしという議論で、これまではどちらかというと東京の繁栄がなければ日本全体の繁栄がないから強い東京を育てなければならないと。これは東京にとっての地域論なんですね。これは、それぞれの地域にとっても地域論があるわけで、同じことをロジックでいくと、それぞれの地域が直接強くなる模索をしなければいけないというふうに考えています。
 ここで議論しなければいけないのは、地域の資金は今、郵便貯金のシステムとか様々な地域金融のシステムで結局東京に集められる、で、再配分されるというメカニズムをつくっています。そのことをできるだけやめて、地域の資金は直接海外投資と結び付くようなメカニズム、しかもその地域にとってはその地域に最も身近な海外と結び付くということができないだろうかということがここのテーマです。これは、私自身の専門というよりは、この後お話しくださるお二人の方の方がずっと詳しいので譲りたいと思いますが、今のところ、すべて余裕のある資金は東京に集められて政治的に再配分されるというメカニズムがありますけれども、このメカニズムを樹立できたらいいなというふうに思っています。
 それから、地域の空港、港湾も直接海外と結び付くということができれば、もっと東京よりも近いところに海外の様々な拠点があるということが分かってきます。東京を経由しない自立した地域経済の活動というのをどうやってつくれるかということが、我が国にとって今重要なテーマになっていると認識しています。
 こういうことに関する事例をヨーロッパで探すと、ランドシュタットというエリアです。これは、アムステルダム、ロッテルダム、デンハーグ、ライデンとかユトレヒトとかドルトレヒトとかデルフトとかというオランダの都市です。オランダのアムステルダムというのは人口が七十万人ぐらいです。ロッテルダムは五十万人ちょっとです。デルフトは四十万人ぐらいで、ドルトレヒトは十五万人ぐらいしかありませんし、ユトレヒト二十五万人。でも、山手線のような鉄道で全部合わせると五百五十万の人口になっていまして、今ヨーロッパで最も経済力というか成長力の高いエリアと議論されています。真ん中にスキポール空港という空港があって、アムステルダムにもロッテルダムにも十五分程度で移動ができるという交通の便も持っています。しかも、ヨーロッパで最大のロッテルダム港、ヨーロッパ最大、第四位のアムステルダム港と二つの港を持っていて、EU全体の入口になっています。
 こういうエリアが地域に、一つ一つの都市は極めて小さいんですけれども、横浜よりもはるかに小さい都市が密接につながることによってこの地域のポテンシャルを持っていますというのが一つの例です。
 もう一つのケースは、ルールゲビートというエリアです。これは、ドルトムントとかエッセンとかデュイスブルグとか、ライン川の下流の三つの支流に挟まれた昔の炭田のルール炭田というエリアです。いったん完全に産業が疲弊してしまった後、コンピューター化の企業や何かに変化しつつあって産業構造を転換しているエリアで、ドイツの中では最も失業者をたくさん生み出したエリアなんですが、ここが今、ドイツの中で最も成長力の高いエリアに変わっています。このエリアも、二十幾つある自治体全部合わせると五百六十万ぐらいの人口になっていまして、ヨーロッパの中ではロンドン、パリに匹敵する経済力を持って今成長しています。
 ほかにも、こういうふうに呼ばれているフレミッシュダイヤモンドという、ブラッセルとかアントワープ、ブラッセル空港を持っていて、アントワープ港を持っていて、そういうエリア、横に鉄道で結ばれているエリアがありますし、ノーザンイタリーズというのはジェノバ港という港を持っていて、ミラノという町を持っていて、トリノからモデナまでの町を高速道路で結び付けているというエリアがあります。
 スイスリンクというのは、スイスの都市五つ、有名な都市が横に結び付いていて、スイスはポテンシャルを持っていますし、スコットランドキャピタルズという名前とか、最近ではダニューブ川都市連携といって、ウイーンからブダペストまでつながっているエリアが都市連携として議論されることもあります。
 この大事なところは、ロンドンとかパリとかベルリンではなくて、一つ一つ小さな町が横につながることで大都市、巨大都市とほぼ同じ経済力を持つことができるんだという議論です。こういう都市が相互に価値を持ち得ているのはいろんな意味を持っているということで、これまで私たちは生産環境や何かを高めることでそのポテンシャルを高めるというふうに考えてきましたが、もう皆さんも御承知のとおりで、ヨーロッパの場合は、ヨーロッパチャンピオンシップというサッカーとか、それからコンフェデレーションカップとかUEFAカップとか、様々各国のチームが出てきて相互に応援し合うということになっていて、どこの人口二十万、三十万の都市でも他国の三十ぐらいの都市と空港で結び付くというのが当たり前になっています。こういう上手なつながり方を我が国の中でうまく育てていく必要があるのではないかと考えます。
 プロ野球もJリーグもだんだん国際交流してきて、通常の日本国内だけのスポーツということではなくて海外に簡単に応援に行くことができる。スポーツ観戦とか食文化交流とか温泉文化交流とか、特に韓国から今九州にはゴルフツアー、物すごい勢いで増えていますし、オーストラリアからニセコへのスキーツアーというのもすごい勢いで増えています。こういう東アジア日帰り交流圏というのが伸びていくような環境というのをつくっていくことが結果的に日本の経済全体のポテンシャルを高めていくことになっていて、これは生産環境を考えることというか、通常の、何というか、経済ポテンシャルを上げる考え方とは違っています。
 日本の事例でも、余り高い評価を受けていませんけれども、静岡は、静岡と清水が合併されて、清水港という国際港湾を持ちながら、新しく空港を造る努力をされながら、新幹線で七つの駅がつながるというユニークな町づくりをされています。気が付くとそのポテンシャルは非常に高い水準になると予想できます。それから、北九州も同じことで、空港を北九州空港というのを持たれて、新しい港湾を整備されて、新幹線と高速道路で横に五つの町がつながるというシステムを持っていらっしゃる、小倉、門司、八幡、若松、黒崎と。長野県は、在来線が上野に着く、つまり鉄道、タイムテーブルを持っていましたけれども、そうしないで、自分たちの町だけでということで、長野から軽井沢の間だけを自分たちの都合に合わせたタイムテーブルで電車を走らすという方向に変えてしまいました。
 こういうような考え方というのは我が国の中でもできてきていて、横に中核の都市を上手に結び付けることで経済のポテンシャルをワンランク上げていって、人々の活動を地域の人にとって一番都合のいい時間活動を確保できるような形に持っていこうとしている。これが今までできなかったのは、東京に結び付かなければいけない。列車の時刻表でもそうです。東京に結び付ける幹線列車のために日常的な列車が止められるという構造になっていましたけれども、当たり前のように地域に一番都合のいい、一番行きやすいエリアで枠組みをつくって、そこでの人の移動が簡単になるように、しかもその人が海外にも簡単に行けるようなメカニズムをどうやってつくるかということが重要になっているということです。
 これは、オランダのさっきランドシュタットという、上側にアムステルダムがあって、下にドルトレヒトというのがあって、ここにロッテルダムがあって、この真ん中は、ランドシュタットというのはエッジシティという意味で、これ以上先は開発させないぞという意味で、中はグリーンハートといってアンタッチャブルで、自然循環させるためのそういうサンクチュアリーにしています。
 これは、今、ドイツのルールゲビートの話をしようと今思っていますが、ルールゲビートというのは、ここがドルトムントで、エッセンで、これはデュッセルドルフで、ボン、ケルン。このエリアですが、小さな町がたくさん集まっているエリアです。
 上側はベルリンのケースです。ベルリンのような町をモノセントリック型ということになるとすると、たくさんの町が集まっているのはポリセントリック型というふうに言います。元々、ライン川の下流地域ですが、上手に高速道路網と鉄道網をつくって綿密に人々の行き来ができるようになって、この地域のポテンシャルを上げて産業構造改革をした例です。たくさん古くなってしまった鉄鋼の施設が今ミュージアムに変わっていて、新しい町づくりに変わってきています。
 だんだん時間がなくなってしまいましたので、もう最後になりますけれども、二層の広域連携の意味というのは、全体として日本経済の生産性を上げることになりますということで、それは地域にいる一人一人の活動が、今までよりももう少し生産性が上がるように地域のユニットを明確にして、その中でとにかく東京でしかできないと思われていた国際化も実現しながら、地域の中で自立できる経済システムを考える。しかも、それを金融の面からもバックアップできるし、しかも交通の面からも物流の面からもバックアップできていて、我が国全体がそういう都市の連携の組合せででき上がってくる国土になるべきではないかという、そういう意味合いを申し上げたかったんです。
 うまく説明ができたかどうか分かりませんが、最後にこの見にくい絵で恐縮ですけれども、日本からは、今これは欧州では大都市同士ばかりでなく人口三十万以下の都市からも日帰り可能な航空路線が運航されています。都市間交流が当たり前です。これは小さな都市でも当たり前のように諸外国に、三十ぐらいの国に様々に飛んでいかれるようになっているというのがヨーロッパの例。EUはああいうエリアですから、そういうことがしやすいということになる。ところが、我が国の場合、今、福岡からソウル便とかをやろうとすると、日帰り可能なペアというのはほとんど見付かりません。日帰り可能な領域は日本、このエリアと東アジア全域で二十一都市、二十七都市ペアしかありません。これがヨーロッパだともう数え切れないぐらい、五百五十都市間のペアがあって相互に行き来ができるような構造になっています。
 これはドイツのミュンヘンを中心にしたエリアですけれども、このエリア、これだけたくさんの空港を持っていて、一時間以内で全人口の八割が国際空港、十四都市にアクセスが可能で、十四都市中九都市で交流人口一千万人以上になります。様々な国に交流ができるような環境が一つの州の中だけで確保できているということを表しています。我が国ではこれがなかなかできなくて、福岡空港の国際線、日帰り可能線と、こういろんな国に行かれるようにはなっていますけれども、ペアとして日帰り可能な福岡空港はソウル便のみで、ミュンヘンの場合は三十九路線になっているということで、これぐらいポテンシャルで、日本の地方都市にいる人が国際化するときに、何というんですか、障害を目に見える形で持っているという、この部分をどうやってクリアしたらいいかということで、是非空港や港湾をオープンにすること。それから、金融を地域が他の国の地域とダイレクトに結び付くような問題について多くの規制がありますので、是非考えていただければ有り難いというふうに思っています。
 ちょっと時間超えたかもしれませんが、どうもありがとうございました。
#4
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。すばらしいお話でございました。
 それでは、瀬谷参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(瀬谷俊雄君) 瀬谷でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、誠に光栄に存じます。
 それでは、座らせてお話をさせていただきます。
 私の方はパワーポイントは用意いたしません。代わりに、お手元に「地域経済の現状と活性化について」というレジュメとそれの言わば資料編ですね、これを御用意させていただきましたので、これに沿いまして、時間内に簡潔に御説明をいたしたいと。で、限られた時間が二十分しかございませんので、あと残りは、ひとつ残りの討議の時間で諸先生方の活発な御質問を御期待しております。
 私の命題は、一つの地域の代表として、私の住んでおります福島県の実情がどうかと、それに即して説明をせよという御要請でございますので、直ちにそれに入ります。
 一ページでございますけれども、私どもの福島県は全国で三番目に大きい県と。今もいろいろお話ございましたけれども、真ん中に中通りという地域がありまして、福島、郡山、白河と会津若松といわきと、非常に多極分散型の典型的な地方でございます。人口は二百十万、九十市町村でございますけれども、今、町村合併やっていますんで、今までですと十八減少しまして、最終でき上がりは六十二まで町村合併が進むと思われます。県内のGDPといいますか、総生産は既往が八兆一千億と、これは十二年でしたか、五年前ですね。今は七兆七千億ぐらい、大分スケールダウンいたしております。
 次に、私の銀行でございますけれども、典型的な地方、地銀でございまして、ランキングからいいますと、預金量で測りますと六十四行中の三十二番目でございます。よく中堅地銀なんて言われておりますけれども。県内シェアが大体四割ぐらいですね。それで、総貸出しが一兆七千億ぐらいと。店舗数を百十六県内外に持っておりまして、県外に八つお店を持っていると。そんなことで、私どもの対外的な評価というのは、スタンダード・プアー辺りの、何といいますか、格付によりますとトリプルBのプラスと、私はこれでも上できじゃないかと、こう思っておる次第でございます。
 ちなみに、銀行が出ましたんで、私、瀬谷俊雄は頭取としてやっておりますけれども、実に平成二年から頭取の職に就いておりますので、足掛け十六年になります。したがって、この間生じましたあらゆる不良債権は全部私の責任で整理をしてきたと。いや、だから、ということは、つまり、後でこれ申し上げますけれども、地域経済の痛み具合とか、どうやってこれを助けていくかと、それは正にある意味では血と涙の物語と、そういうところがございますもので、よくお聞きくださいませ。
 次に、「地域経済の現状」でございますけれども、三ページ目でございます。
 国内総生産はもう減少傾向と、平成十二年でピークアウトしまして、どんどん減ってきてしまうと。業種的にこれを見ますと、建設業が一番毀損が甚だしいわけでございます。やはりこれ、公共事業の圧縮とかそういうものがどんどんこう利いてまいりまして、このような結果になっておりますし、また建設業の倒産の数も非常に多いわけでございます。
 あと、人口推移は、平成七年が二百十三万でこれがピークでございまして、残念ながら少しずつ減っておると。これ十五年度の統計では二百十一万人と。あとはそこにございますように、人口問題研究所予測によりますと、二〇三〇年、私は生きておりませんけれども、百八十五万人まで減ってしまうと、恐るべき数字が出ております。あと、少子高齢化というのも、これは全国的にほぼ同じでしょう。ただ、地域によってはその高齢化の比率が非常に著しく高いところとそうでないところ、ばらつきがあるだろうと。それから、年少率の高い低いも同じような傾向でございますけれども、着実に少子高齢化というのは福島県にも及んでおります。
 次の「消費活動」でございますけれども、これは非常にはっきり言って不振でございます。例えば、福島でいいますと、何年か前にエンドーチェーンという大きなスーパーが倒産しまして、その次は長崎屋が撤退をすると、それから郡山にはうすいという大きな百貨店がやはりこれも倒産いたしまして、今これ産業再生機構に持ち込んでございます。あと、いわき市の大黒屋という百貨店が倒産するという具合に、軒並みしにせのデパートというのがいけなくなりまして、その結果、やはり何というか、これ悪循環でございます。そういうものがつぶれちゃったもんですから、消費者がもうもはや福島市内、郡山では買わないと、やっぱり仙台、東京に流出してしまうと、たかだか一時間ちょっとですからね。そういうことでございますから、悪循環になりまして、要するに地域にはそれを再生していく力がないもんですから、どうしても品ぞろえが十分でない。となれば、今の若い女性の方々なんか、特に日用品はスーパーで買いましても、言わばファッショナブルなものは全部東京の原宿とか、そうなってしまったと。ストロー現象と言うんでございましょうか、それが如実に現れております。
 それから、その次の新車登録、それから温泉の旅館の利用の延べ入れ込みの数、あるいはその温泉旅館の単価、いずれも低迷いたしておりまして、経済費用を取りますと、いずれも悪化いたしております。
 その次、四番目、「地域経済の現状」でございますけれども、倒産件数は相変わらず多いわけでございます。ただし、非常にさめた言い方しますと、この何年間のバブル崩壊後、随分たちました、いろんなことがありまして。長期の景気低迷によりまして、何といいますか、力が尽きて沈んでしまったと、そういう企業も非常に多いわけです。だから、こんなことを言うとしかられますけれども、本当につぶれるべきところは全部つぶれちゃったと、変な話ですけれども。一種の平衡状態みたいなものです、そういう意味で倒産件数は減っております。
 しかし、先ほど申し上げたように、私の銀行の窓口から見ていますと死屍累々でございます。ですから、こんなこと決して自慢になりませんが、これは申し上げていいんだと思いますけれども、私の銀行でこの地銀ですら私がこの十年間に処理してきた不良債権というのは千億を超えていますよ。千四百億ぐらいかぶっていると。ほとんどこれは全部貸倒れになっているわけです。それぐらい地域経済は傷んでいるということを御承知いただきたいと思います。
 去年も会津で非常に大手と言われる建設会社が倒産いたしました。私どもも手助けしたいんですけれども、あいにく力及ばず、これもアウトになりました。最近では、大手の処理の加速というのがまた地方に悪い影響を及ぼしていると。すなわち、例えばダイエーとかミサワホームというのも全部福島に拠点持っていますから、そこが倒れれば当然余波が及んでくると、こういう状況であります。
 それから、進出企業は、割合福島県は恵まれているのでかなり出ておるんでございますけれども、どんどんその進出の比率が乏しくなってきていると。最近ちょっと、気を付けて見ていますと、かなり高いレベルの工場が出ているんですけれども、その工場の技術が優れれば優れているだけ、逆に進出しても地元の雇用吸収力が余りないんですね。最近はジェットエンジンの非常にタービン工場が原町にできたんですけれども、設備投資額は相当の額になるんですけれども、結局採用するのは十何人とか二十人と、このぐらいの話になってしまっているんです。これも一つの変質と思っております。
 その次、主要産業の現状でございますけれども、建設業は、お手元にあるとおり、大幅な公共工事の削減によりましてほぼ半分になってしまったわけでございます。そこにも書いてございますけれども、五年間で五百社が倒産いたしまして、雇用にいたしますと一万五千人相当が言わば仕事がなくなったということでございます。私自身もいろんな方のお知り合いから頼まれて、失業した人の親御さんとか御主人に頼まれて、随分個別に就職に奔走するというようなことも現実にやっておるわけでございます。
 それから、もちろん民間の設備投資も減っていることは間違いございません。
 それからその次に、温泉旅館でございますけれども、これはやはり一つの建設業と並びまして地域の基幹産業でございますけれども、これ自身が、何と申しましょうか、旅行のパターンが変わってしまったと。つまり、大規模に団体で乗り付けてやるというような、そういう旅行ではなくて、グループとか家族連れとか、そういうふうに変質してしまったと。したがいまして、従来からの古いパターンでやっております温泉旅館で、福島県ですと東山温泉とか、それから芦ノ牧それから飯坂、土湯ですね、いずれもこれは苦戦をいたしております。
 そこにあるように、設備面の再投資ができないようなキャッシュフローしか取れぬわけですから、そういう悪循環でますます今度は温泉間の地域間競争に敗れつつあると。まあ、そう言っちゃいけませんけれどもね、中には頑張っているところもあるんですけれどもね、やはり面としてはやはり湯布院にはかなわないというところがあるんですよ。いや、それはもう笑ってはいけない。これは本当厳しい事実でございます。
 その次、酒造業でございますけれども、これも、ここには和田ひろ子先生がいらっしゃいますけれども、御存じのとおり会津は酒どころでございます。花春、栄川、末廣、みんな銘柄だった。これが、お酒飲まないんですね。みんなしょうちゅうになっちゃったんです。あともう一つはワインブームでございます。だから、うちのお客さんに、何で君、会津でブドウが取れるんですから会津ワインもと、こう申し上げているんですけれども、この辺はむしろ和田先生がお詳しいんでしょう。
 そういうことで、そこにあるように生産量も激減しておりますし、そういうふうなことで、私どもとしても腹をくくって、これどうするか、一生懸命考えております。
 あと、ついでに申し上げますと、伝統産業としては会津は漆器があるんでございますけれども、もはや私どもの経済統計から外しました。なぜかというと、余りにも出荷量、生産量が少なくなりまして、意味なさなくなっちゃったんですね、残念ながら。だから、今、漆器でいうと、もう塗り物、お茶わんということじゃなくて、仏壇とか、こういうものですけれども、これはメード・イン・チャイナなんですよ。それを持ってきて売るだけなんです。となると、工人やなんかの伝統を保持できないと、こういう問題になりつつあると。これも大きな問題であります。これはまた別な問題ですけれども。
 あとは、福島県の北の梁川、保原のニット産業ですね。これは一度、ワールドという有名なファッションのところにくっ付いて非常に良かったんですけれども、これも全部中国に切り替わりまして、今や生産基地としての梁川、保原はほぼ命脈を断たれたと、こう思っております。でも、私らは依然、後始末はせねばいかぬと、こう思っております。
 その次、バス事業ですが、これは公共事業が、こういった交通関係はどこも私は苦戦していると思います。つまり、ある程度のストックがありまして、その中の地域間移動が濃密だった場合には、バスとかそういうものは循環的にあり得るんですけれども、これ、多極分散型の都市におきまして、それほどの規模の集積がないところで、路線バスは非常に厳しいわけでございます。はっきり言えば、破綻懸念先ぐらいになっていると思うんですね、どこがどうと言いませんけれども。
 じゃ、これをどうやってやっていくんだと。じゃ、もうやめちゃうか。もう私企業としては成り立たないと。そうすると、やっぱり公共交通としての私企業セクターにあるそういった運送会社をどうするかというのもまた大きな命題でございます。
 そこにあるように、いろいろ貸切り云々とやっていますけれども、まあこの辺も、何ですか、運輸省という、まあ国交省の方の御方針でございましょうけれども、変に自由化へ持っていくと。それはいいんだけれども、やっていくと、いいとこ取りだけの参入はありますから、従来からきちっと路線を持っているところはやっていけないと。この辺の政策的矛盾も、いずれ先生方のひとつお力をおかりしたいと思います。もうこういうものは私企業である一銀行だけではどうにもならぬと、そこまで腹をくくっております。
 その次、地域経済活性化に対する現状認識と。今までのところをざっと一覧にしたものでございますけれども、これ、特に申し上げたいのは、地場産業の空洞化は申し上げましたけれども、言わば資産価格の低落であります。どんどんどんどん商業地あるいは住宅地、それから工業用地、いずれも下がっておりまして、非常にこれ、銀行を苦しめております。
 したがいまして、今恐れるべきことは、幾ら安い値段で土地を買っても、そこを、土地を買ってそこで何をやったらいいんだと。それでもうかる、収益還元法というんでございますけれども、それで考えますと、引き合うビジネスは余りないんですね。それが地方のつらいところだということでございます。
 それから、ここに書いてございませんけれども、人口減少、少子高齢化の下に一つ入れるのを忘れたんでございますけれども、進出企業はたくさんあります。福島県、三千社ぐらいあります。ダイワ、キヤノン、松下始め、ずっとみんなあります。それで富士通。でも、工場は出ているんですけれども、その中の中身がどんどん海外に移してあるんですよ。
 例えばキヤノンさんは、三ラインを例えば持っていたのを一ラインだけ残して二ラインは海外に持っていくと。そうすると実質的な空洞化が始まっていると。これが県内の雇用とかGDPに与える影響は非常に大きいと。ですから、これ、改めて、日本が生産基地としてどこまで今後、将来的に役割を期待し得るんだということについての一つの大きな問題だと思います。
 あと、その次、活性化に向けた視点で、まあいろいろお話しいたしますと、何か地方というのは何かほとんど見込みがないと、非常につらいところだねと、お先真っ暗のようにも思われますけれども、そうはどっこい、そうは言っても我々は頑張らなくちゃいかないと。
 そういうことでございまして、私らの銀行の窓口からいいますと、第一番目には、新しいベンチャーがどうのとかなんとかと言う前に、今まであるものをいかにその毀損を食い止めるかと、ここに今全力を振り絞っているわけでございます。だから、業種別に大変でございます、お酒屋さんもあるし病院もあるし建設業もあるし。
 ちなみに、うちの銀行は行員が二千二百人おります。お取引先が大体、貸出し、二万社ぐらいありますけれども、うちその主要な千社辺り取ってみますと、その中にうちの現役行員あるいはOBで二百人ぐらい人を出しているんですよ、お手伝い。普通は銀行から来ると経理部長ぐらいなんですが、今はとんでもない、もう直接営業部長をやったり開発に携わったり努力しておりますんで、この辺は御理解いただきたいと思う。
 とにかく、その下に書いてありますように、産学官といろんな意味の知恵を使って、この後、政投銀行さんもお話しになられますけれども、やっぱり政投銀行さんははっきり言ってあれは天敵だ。つまり商売敵だからね、地域で。でも、今はそうは言っていられないと。やっぱり政策投資銀行さんも、こういうふうに疲弊する地域に入って相当今まで介入なさったわけですから、これの再生について大いに責任があると。今、一生懸命お願いいたしまして、政策協定を結びまして、地域再生にはお骨折り願っております。
 それから、あと、地域内の資金循環はどうかと。先ほどこれは黒川先生からお話がありましたが、これが言うべくしてなかなか難しいと。結局資金需要がないんですね。預金だけ集まってしまうと。これらをどういうふうにしていったらいいのかと。もちろん我々にとって最大の関心事でございますけれども、これはやや専門的なお話になりますので省かせていただきます。
 最後に、めり張りを付けた行政運営でございますけれども、私は、要するに、我々がその再建をしやすくするように、例えば無税償却の範囲を広げてほしいと、そういった金融面の税制、若干テクニカルな問題でございますけれども、この辺について御理解を賜りたいと。
 それから、八ページ以下の問題につきましては、新しい体力を回復・成長、新事業の問題でございますけれども、特に九ページの産学官の取組につきましては、はっきり言いますと、これはちょっと少し美辞麗句が過ぎるんじゃないかと言っておいたんですけれども、言葉の遊びと観念が先走りしちゃって実態が伴っていないということで、これをどうやって実を入れるか、これに私は力を入れていきたいと、こう思っております。
 ちなみに、私自身は地元にあります会津大学の参与をやっておりますし、福島大学という国立大学の副学長は、つい去年まで私どもの本店の営業部長が請われて就任いたしましてやっていると。これが一番生きた産学官の連携だというふうに思っております。
 最終的に、もう時間になりましたのでもう一言だけ言わせていただきますと、やっぱり元気な県と元気でない県がある。例えば元気な県はどこだと。愛知県であり三重県であり、群馬県ぐらいかな。結局、愛知はトヨタで引っ張られていると。それから、(発言する者あり)元気ないですか。いや、太田はいいじゃないですか、太田市は。あと三重県はまあ液晶ですよね。
 それ全部何かというと、何を言いたいかというと、大企業中心に輸出型の傘下にぶら下がっていると、そういうのがきちっとあるところはいいんですよ。となれば、やはりこの辺に一つ大きなヒントがあるんではないか。我が県に富士通の半導体工場がありますけれども、もっとこれを激励して、半導体シェアをサムスンに負けてはいかぬと私は叱咤激励しているんですけれども、そんなことがマクロ的に言えばそうだと。
 あと最後には、通貨の問題ですけれども、円、元とか、こういったものが果たしてどうなんだと。結局、為替問題が解決されないと、いつまでたっても日本が競争力を保持できるかどうか、非常に深刻な問題だと、このように感じております。
 大変雑駁でございましたけれども、これで私の説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
#6
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、次に藻谷参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(藻谷浩介君) こんにちは。藻谷と申します。よろしくお願いします。
 私は、本来こういうところに出るような立場の者ではございませんで、昭和三十九年生まれのまだ部下なし課長のような身分でございますが、たまたま今御発言もいただきました政策投資銀行という会社に多年身を置いておりまして、地域振興をしなければいけない会社でございまして、私はたまたま大変ローカルなことが好きなものですから、そこで日々、融資のはるか手前の地域の方々の認識のすり合わせですとかプロジェクトの種まき、胞子まきのようなことをしております。
 この一週間だけで十九の府県を回りながら十七ほどの講演や議論のセッションをして歩いておりまして、その最中にこちらに呼ばれ戻ってまいりました。昨日はたまたま福島におりましたが、明日はまた全然違う兵庫の方に参りますが、そういう、行くたびにその地域の地元の状況、まあ手前みそながら、実は市町村で行ったことないところは二つしかございませんで、必ず、どういうところか一応事前には分かっているんですが、状況のデータを詳細に分析しまして、場合によっては四、五時間掛けてプレゼン資料を作りまして、それを地元の人と議論をしてまいります。
 今日は、そのほんの一端をお見せしながらお話をします。私の申し上げることは今の二先生のおっしゃったことと実は全く矛盾しないんですが、ただ地域問題は大変広いので、お聞きいただくと違うことをおっしゃっているようにお聞きになるかもしれませんが、ちょうどその二つの中間のようなところを申し上げさせていただきます。
 私も経験のない人間ですが、現場を回っている者として、お二人のおっしゃったことはそれぞれ私はごもっともであると思います。黒川先生のおっしゃったことが、実は申し上げたいこともあるんですが、そうではなく、やはり現場で今こうなっているということについてちょっとお話をします。
 こちらの画面が動きますので、できればごらんください。(資料映写)
 これは、今、日本で起きている問題の基本は何なのかということを地域の方に御説明するときに使う表です。皆様方の生きていらした時代はどういう時代だったのか、これからどうなるのか。一番分かりやすいのは実は人口でございます。御存じのとおり、現在、日本の人口はピークを迎えました。ちょうど今朝の新聞にも載っていましたけれども、正に伸びが完全に止まりました。
 ところで、比較的意識されていないのは、戦後五十年間に日本人は八割増えたということです。終戦直後には七千二百万人、朝鮮、台湾の方を除きまして実は七千二百万人でございました。そこから五千五百万人増えた、五十五年間で。実は毎年百万人人口が増えたのが戦後の日本でございます。このことを比較的意識していないと、これから人口が減るということについての認識がちょっと変わってまいります。
 実は、百万人増えておりましたのが、国立研究所の中位推計によれば、毎年六十万人のペースで減っていくということになります。ですから、六十万の減少じゃなくて毎年百六十万の減少と、体感的にはそういうことになるわけです。そこのところのインパクトの認識が実は違うもので、いろんなところでちょっと対応が後手後手に回りがちであります。毎年百万人増えるということは、さいたま市が一年に一個できるということですから、空前の建設投資、インフラ投資、そして家電製品も車も医療も食料もその分余計に売れるということが起きるわけです。それが、逆に毎年六十万、人がもし減るということになりますと、これは一年に一個岡山市が無人になるということでございます。そのような経済にはっきり影響を与え、マクロ的には実は何とか影響を与えずに済むという議論はあり得るんですが、ミクロレベルでは明らかに影響の出る現象が実は起きていると。ちょうど今私どもは今年その曲がり角に立ちました。
 さて、ところで、その中で東京だけは人口が増えてまいりました。そこで、これは全国どこへ行ってもそうなんですが、東京だけは成長し続けるというふうに思っている方が、東京だけでなく全国にいらっしゃいます。それもそのはず、ここに書きましたとおり、実は、昭和二十五年を一〇〇としますと、平成十二年までの間に、五十年間に、一都三県、首都圏の人口は二・六倍でございます。大阪、名古屋も入れたその他の地域は実は一・三倍しか増えておりません。ですから、人口面でいうと全くあたかも東京の独り勝ちでございまして、その結果、過去、東京に特にお暮らしの方は、東京だけは永遠に伸び続けるという想定を持ってお話しになる。逆に地方の方は、その伸び続ける東京に比べて不利であるという比較をされる。ですが、果たして国際的に見てみるとどうなんだろうか、あるいは本当に今後とも東京は伸びるのでしょうか。実は、予測の前に、実績として既にそうではないという数字が出ております。
 次の紙をごらんください。
 これは国勢調査における就業者です。雇用を見る場合に、どうしても有効求人倍率や失業率を見るのですが、それ以前に、全員に聞いている調査である国勢調査というものが実はございます。国勢調査は仕事を求めていない人も含めた数でございますので、本当の実態が出てまいります。ちなみに、定住されている外国人の方も入りますので、日本が国際的に力があって外国の方がたくさんお住まいであれば、国勢調査上は当然反映されるわけです。
 ところで、国勢調査上は、昭和六十年、平成二年、平成七年と連続して、全国的にも就業者、仕事をお持ちの方は増えておりました。ところが、全国ほぼ同時に、平成七年をピークに、平成十二年には働いている方が減り始めているんです。このグラフの中には福岡と札幌と仙台、例外的に働いている方がまだ増えている場所を三つ載っています。ですが、ほとんどの方が御認識になられてないんですが、東京も、そして経済絶好調と言われる名古屋も、既に十年前から雇用が減少に転じております。全く世間で言われていることと合わないと思いますが、現場を歩く実感としてはこちらの方が正しいと思います。事実、全員に聞いている調査ですので、こちらの方が正しいです。
 では、なぜ雇用が減っているのか。理由は非常に簡単でございます。リストラではございません。国際競争でもございません。定年退職です。東京や、特に昭和二十年代に一番日本で産業の栄えた大阪、そしてそのころ繊維が絶好調だった名古屋、いずれも昭和二十年代に就職された方の方が、今就職されている方より圧倒的に数が多うございます。その結果、二十年代に就職された方が退職され始めたこの五年間に、どのように産業が栄えても退職される方の方が多いんです。これは全く失業者にはカウントされませんので、名古屋の失業率は低いですが、実は仕事を持っている方は絶対数として下がっている。
 何が起きるか。可処分所得が下がります。ですから、その分消費が下がります。逆に、企業の方は、退職者が増えますと当然人件費の負担がなくなっていくので、一般的には企業収益は向上していきます、コストダウンによってですね。その結果、消費不況なんだけれども企業収益は好調と、景気指標上は景気がいいという現象が起きます。これが、今世の中で景気がいいと言われているのに実感がないというものの一つの大きな理由であります。ほかにも要因はあるんですけれども。
 どちらが正しいのか。実は、景気はいいし、雇用は減っているんです。つまり、二つの矛盾すると思うものを矛盾すると考えることが実は間違っています。逆に言うと、景気がどんなに良くても、失業者じゃなくて退職者が増えて地域の経済、消費が細っていくのをどう対策するかということを景気とは別に考えなくてはいけないという、非常に明らかな問題が起きてまいります。御存じのとおり、六十歳というのは全く元気でございまして、日本の平均、八十五歳まで平均余命が団塊の世代はあると言われておりますが、その後二十五年どう過ごされるかということが若い人の雇用をどうつくるかというのと同じように重要になるということです。
 さて、ところで、それが一つ典型的に表れているのがこれでございます。
 これは日本のメーカーさんで働いている方の人口なんですが、余りこういう年齢で物を見るということはしないんですが、国勢調査には実はデータがありまして、簡単に取れます。メーカーさんで働いている方の数を五歳刻みに取ってみます。全国合計ですが、ごらんのとおり、メーカーさんで働いている方は石油ショック以前に採用された方が極めて多いです。その結果、平成十二年、五年前で四十五歳以上の方がとても多いです。
 ということは、どうなるでしょう。実は、日本のメーカーがどんどん空洞化するという御懸念もあるかもしれませんが、この数字を見る限り、若い方はちゃんとコンスタントに採用されております。ただ、石油ショック以前の、そして円高不況以前の採用レベルから一段下がっているわけです。したがいまして、この方々が今後十五年ぐらいの間に定年退職されていきますので、その間、日本の製造業は仮に絶好調でも年々雇用を減らすという、そういうことになるんです。
 もちろん、そこにこの方々の持つ技術の継承といった話もあるんですが、私が申し上げたいのは、地域経済全体にとっては、製造業はもうこの現象を見込んでおりまして、優れた会社は対策を立てております。ですが、地域経済についてはこれだけの数の方が具体的に可処分所得が減るということになるわけなので、実は絶好調と言われている名古屋などの経済に大きな影響が出てまいります。
 さて、更にそれに加えまして、今後の高齢化という問題なんでございますが、仕事を退職しましても皆さんお元気でございます。ですが、さすがに七十を超えると約一割の方がいろんな意味で不自由になりまして、人の助けが必要になります。わずか一割でございますけれども、七十歳以上の方の人口が増えれば、歩けない一割の方も増えます。
 ところで、日本ではどこで七十歳以上の方が増えるのでしょうか。この話、私、四、五年前から申し上げておりましたが、最近別の方が本にも書かれまして割に有名になってまいりました。日本では、今、田舎と言われている、私の故郷、例えば山口県などは非常に高齢化が今後進むわけですが、そういうところと、今、都会と言われている地域があります。全く別の動きをします。今、地方と言われているところでは、今後もうますますお年寄りが増えるんですが、その結果、人口に占める七十歳以上の比率がもう軒並み四人に一人の世界へ入ってまいります。
 ところで、今、日本で一番高齢化しておりますのは島根県でございますが、まだ一七・八%、人口に占める七十歳の比率は一七・八でございますので、その水準を大きく超えることになります。ですが、よく見ますと、二〇二〇年には首都圏、大阪圏、愛知圏のそれぞれの圏も、いずれも二割前後まで七十歳以上の方が増えます。いずれも今の島根県の水準を向こう十五年の間に上回ってしまいます。
 ところで、大都市圏と地方圏の中間にある、福島も一部そこの辺りなんですが、あるいは宮城、栃木、群馬といった辺りはその中間ぐらいなんですけれども、比較的お年寄りが増えない割に高齢化もそんなに進まない、まだ恵まれた地域と言われております。
 ですが、例えば埼玉県をごらんください。この予測は市販のパソコンで作った予測をそのままコピーしたもので、細かく議論すればできますが、大きなトレンドはだれがやっても変わりません。埼玉県では、七十歳以上の方が十二年から三十二年にかけて二・五倍に増えます。東京周辺の五都県百二十四市町村の合計、東京都市圏で見まして二・二倍でございます。
 つまり、このことに対する変化を織り込まずに地域構造を議論しておりますと、これ足下をすくわれることになります。何分、今、埼玉は日本で一番お年寄りが少ない県です。人口の八%しか七十歳以上の方ございません。これが一気に二〇%になる。なぜですか。この間に団塊の世代が七十代を超えるからです。日本で一番団塊の世代を地方から集めたのは東京でした。そして、東京に出てきた団塊の世代が一番たくさん家を買われたのは埼玉県でした。その次が千葉県であります。それから神奈川県であります。それから多摩地域であります。いずれも日本で最もお年寄りの増える地域になるわけです。これは既に過去、ニューヨークやロンドンの近郊で起きたことです。これが日本でも同じように起きる。そして、これからしばらく後に上海で起きます。
 さて、東京大都市圏ではそのようなことでございますので、これはだれが、アバウトな予測というか、他人様のやられたものをただコピーしただけですけれども、七十歳以上の人口が首都圏五都県三千万の世界最大の人口の都市圏で約三百二十万人ぐらい今後、二〇年ぐらいまでに増えるだろうと。二・二倍増。
 もう一つ実は問題があります。極めて少子化が進んでおりまして、赤ちゃんが少ないですから、実は今、子供を産むべき年齢の方の半分ぐらいしか赤ん坊おりません。出生率も一・〇ですが。地方から今までのように、同じように若者を集められたとしまして、何が起きるか。十五歳から三十四歳に限っていいますと、二百五十万人減るであろうと。三割減でございます。面白いもので、方向だけで物をしゃべる方は首都圏は田舎から人を集めるから大丈夫だとおっしゃるんですが、田舎から埋めて埋まるレベルの少子化ではございません。激しい少子化でございますので埋まりません。さらに、長男長女が増えているので、この予測どおり過去のように人が入ってくることはないと思いますので、もっと厳しくなると思います。七十歳以上の比率が一九%、首都圏全体で今の北海道北端の礼文島並みの数字になります。十五年後でございます。
 というふうなことでございますが、しかしこれも踏まえた上で、じゃ地方はましかと申しますと、決してそんなことはありません。地方では、東京ほどお年寄りは増えませんし、若者も実は東京と同じぐらいのペースでしか減りません、子供が生まれていますので。ですが、元々財政基盤が弱い上に、言わば東京からの所得移転で成り立っている地域が多いわけでございますので、当然、東京で集めたお年寄りを養うための公共投資が必要になるわけでございますから、地方に配分する財源の捻出が非常に苦労されるということになります。
 ところで、ここから先は、いや、この話にはしかしちゃんと対応策はあると私は思っておりまして、そのことを各地で話して歩いておるんですが、その前に対応策は何かということです。それは国際競争力のある産業を育てることなんでしょうか。明らかにそうでありまして、手前どもの銀行もその一つの大戦略部門としてそういうことをやっております。ですが、それだけでは足りないために、ほかの分野として地域という分野を立てております。
 その象徴がこちらでございます。国際競争力に勝っている一部上場企業の本社だけで七、八個あると言われておりますある地方都市、大都市圏ですが、A市の中心市街地です。三十五年に完工したアーケード。そして、一時間に二十四本電車が来、一日に六万人が利用すると言われている駅前。昭和四十年代まで、通る人の肩がぶつかったと言われる昔のアーケード街の跡。そして、中心街にあった地場デパート及び大手スーパーの跡。いずれも未舗装の更地状態若しくは建物がない状態になっております。そして、大変な工員さんの町で、極めて高齢化していません。日本でも有数に人口が流れ込んでいる地域でありまして、慢性的な人手不足で、有効求人倍率はもうとっくに一を超えておりますが、飲み屋街というものがほとんどございません。これは、この町についてあげつらおうということではなく、日本で産業が進んだ町というのは大なり小なり、私のふるさとの山口県の工場都市もそうですが、大なり小なりこういう傾向に向かって進んでいます。
 実は、外部から工場が所得を稼いでいるということが地域に循環するかというと、しません。
 別の例で、ちょっと極端な例ですが、主要産業が非常に退潮に退潮を重ね、次から次へと産業が後退していって、大きな企業が経営危機に直面しているある地方のB市、くしくも先ほどのA市と商圏人口はほとんど同じ規模なんですが、中心街に最近このようにおしゃれなコーヒー店ができたり、はたまた、昔数十戸あった空き店舗が長さ一キロのアーケードで一けたになってしまったり、遠くの町に高速バスが二十分置きに出ているんですけれども、中心街はたくさんの若い人が歩いている。郊外に大型店が建っているにもかかわらず、中心街に同じ会社の大型店が残っているといったケースが実は起きております。
 これは正に町の大きさでいうと、人口二十万台の町、都市圏合わせて三十万ぐらいの町ですが、何が申し上げたいかというと、実は所得でいうと、このA市とB市では一・八倍の差があります。A市の方が一・八倍所得が高いです、一人当たり。ですけれども、低い所得といえど、世界的に見ると極めて金持ちなんです、日本というのは。企業がリストラされましても、実は流れ込む企業年金でも大したものがあります。そういうものをきちんと地域内での消費に振り向けていることができれば、これだけの見掛けの違いが出てまいります。実際はこのB市、失業者が大変多く、経済は不振を窮めております。倒産も相次いでおります。極めて調子が悪いのでありますが、しかし、行った者には元気と活気を与え、また具体的に、開業しようしようと思った若者が、例えば飲食店や芸術関係の仕事をしようと思った場合に気軽に開業できる環境がそろっております。それに対して、A市の場合には、例えば市内にファストフードはもちろん、ラーメン屋らしきものもありません。ショッピングセンターの敷金が払えなければ開業できないという状況です。
 このような違いはどこから出てくるのか。ここにちょっとA市、B市の数字を具体的にお示ししていますが、A市は雇用が極めて増え、B市は減っているというような数字が出ております。A市は足下、実は出生率が非常に高いために、本州の大都市圏ですが、沖縄県並みに人口自然増加率が高い。少子化問題に日本で最も対処に成功している町の一つであります。それに対してB市は、もはや生まれる方と亡くなる方とんとんでありまして、早晩自然減少です。
 よろしいでしょうか。この非常に所得が高く、雇用が増え、人口が流入し、子供がたくさん生まれていらっしゃるA市の市街地がこちらです。そして、もはや出生と死亡がとんとんで、極めて雇用の減少が著しいB市の市街地がこちらでございます。実は郊外に行っても同じような感じで、A市は郊外も静かです。
 これはどういうことなのか。実は中国との競争に勝利した超貿易黒字都市であっても地域経済にお金が回るかどうかは限らない。出生率が幾らすばらしくても、子供が実際町を歩かないところでは実感できない。そして、中心がなくてもだれも困らないと言っていましても、実は購買力が多大に流出する。
 問題は四つあります。
 所得相応の豊かさが実感できない。通勤者、出張者といった集客交流人口がほとんど地元で消費をせずに帰っている。工場が仮に五十年後になくなっていたようなことが万が一あれば、実は郊外の道路、上下水道が大変なお金を掛かり、そして、実は市街地で上がっていた固定資産税は現状でもう極めて激減しています。そして何よりも、地域で、日本で、これは有数に、トップクラスに高い所得をサラリーマンの方も上げているし企業も上げているんですが、企業は工場にちゃんと投資をしていますが、地域の住民の方はほとんど建物やお店といったものにお金を回していません。
 つまり、これはA市の問題ではなく日本全体の問題ではないでしょうか。つまり、日本国全体では経常収支が史上最高に黒字でございます。御存じのとおり、いろんな問題はありますけれども、国際的に所得収支、貿易収支、いずれをとりましても大変黒字で、赤字を窮めておった観光収支ですら若干改善の基調にあります。ですが、そのことによって稼いだお金が、結果的にこのとおり、日本人の所得相応に地域に落とされない限り、実は地域内における主な大企業に勤めていない普通の庶民にとっては仕事もなければ豊かさを実感できる空間もない、これが日本の置かれている現状でございます。これは、私は都会も地域も関係ない。
 逆に言いますと、今後、非常に貯蓄は持ちながら退職される六十代の方々が、こういう状態を改善するためにマイクロビジネス及びそこでの消費に回るかどうかということが、実は地域経済を決定的に重要にするわけです。それを私どもは地域の循環器系の再構築と申し上げております、大変偉そうなんですが。
 そして、それに、さらにその中には、都市化地域内に機能を再集中して、後々高齢化してもお金の掛からない地域構造にしなきゃいけないという二つの問題、これが実はA市に象徴される日本に出ております。
 時間もなくなりましたので、この後に実は資料がありまして、具体的にこうだということがあるんですが、一体、私ども政策銀行、偉そうにこんな大所高所なことを言って、おまえら何やっているんだと。
 一つは、このように世の中は、おたくの町では具体的にこう変わりましたと、実はこの前まではこうで今はこうなんですということをマクロデータではなくミクロデータで大変な作業をもって作りまして、順番にお話をして、同じところに何回も行きましてありとあらゆる方に御説明をしています。
 そして、その世の中が変わったことに関して具体的にどういう手を打つか。まずは本当にラーメン屋のようなマイクロビジネスを起こすしかありません。で、それは実は私どもの融資対象にならないんですけれども、そういうふうなものをひたすら起こし、あるいはNPO活動をどんどん連携させていくということに、国の機関として人件費をいただいている、皆さんから、出資から人件費を払われている会社として闘うということでございます。
 その中から、いずれ将来的には私どもが御融資できるような事例が出てくるかもしれませんが、決して逃げではなく、いずれそういうことになるだろうという思いを込め、今は全く融資を受けるクレジットまでは至らないけども、いずれそうなるに違いない様々な活動を支援する部隊というのをつくっております。まあ、ごく私どもの会社の一部ではございますけれども、今日はそちらから参りまして、ついでにそちらで最近まとめました本も一冊ちょっと置かせていただいています。
 こんなことをやって本来の仕事から逃げているかということではなく、企業、日本全国、全体の収支をきちんと黒字を維持するという仕事とは別に、傍ら、地域の毛細血管を一から補修しようということを、こちらの地銀さんなんかに、あるいは信金様に教えを請いながら、一緒にやらせていただいています。
 そういうふうないろんなビラなんかも幸い付けていただいていますけども、今後とも是非御指導をよろしくお願いいたします。
 失礼いたしました。
#8
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 お三方、本当にありがとうございました。興味あるお話でございました。
 それでは、これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようお願い申し上げます。
 なお、一回当たりの質疑時間は三分以内でお願いしたいと存じます。
 また、午後四時ごろに質疑を終了する予定となっておりますので、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られるよう、質疑、答弁とも簡潔に行っていただきますよう、皆様方の御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方の挙手を願います。
 小池正勝君。
#9
○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。
 私は、黒川先生と藻谷先生に御質問をさせていただきます。
 まず黒川先生にお願いしたいと思いますのは、日本は戦後一貫して、新産・工特に始まって、定住圏も多極分散もそうですが、ずうっと東京一極集中はいけないと、地方に分散させようという戦略でずうっとやってまいりました。
 私は実は四国の徳島です。残念ながら、先生の先ほど引用した都市、うまくいった都市の中にはどれも一つも出てこなかった、そういう四国の徳島でございます。
 そんな中で、今、四国、これは徳島だけではありませんが、高知もそうですけれども、やはり後れているのは、まだまだ公共投資が十分できていない。つまり、いろいろ競争して知恵を出してやっていこうと、みんな地方分権ですからそう思っているんだけれども、スタート台に立つまでの基盤整備も行われていないからそうなんだという意見が非常に強いというのが四国でございます。
 そんな中で、先ほど先生は静岡の例を引用されました。ずうっと臨海部に都市が張り付いてうまくいった、成功したということをおっしゃいました。しかし、考えてみると、静岡というのは高速道路もあり新幹線もあり、それにのっとって町が発展してきたということではないかと私どもも思っていまして、であれば、四国ではそういったまだ高速道路もできていませんし、もちろん新幹線もありません。そういったやはり基盤整備ができていないから、自助努力、一生懸命したくてしたくてしようがないんだけれども、スタート台にも立っていないと。せめてスタート台には立たせてほしいという意見があるんですが、いかがでしょうかというのが私の御質問です。
 それから、藻谷先生への御質問は、私は徳島でございますが、徳島も中心商店街、商業地が疲弊いたしております。そんな中で、今、高齢者の皆さんがこの商業地、町の中心部に住みたいという需要が非常に多くなってまいりました。年取ったらやっぱり中心部は便利なんで、そこに住んでいて、しかも簡単、かぎ一つで移動できるから非常に便利なんでいいんだということで、もうマンションなんか建てると中心部のマンションはすぐ完売する。しかも、それは高齢者の皆さんがマイホームを売って買われるという例が非常に多いというのが徳島の実態でございます。
 このことを考えてみると、今まで日本の都市計画というのは、住宅地は住宅地、商業地は商業地、工業地は工業地というふうに純化するということで都市計画はやってまいりました。しかし、よく考えてみると、先ほど先生はおっしゃったけれども、町には飲み屋さんもあれば人も住んでいれば、商業もあるし人も住んでいるしと、そういうのが本来の町であって、完全に純化するということは果たしていいんだろうか。もっと言うと、これは都市計画を変えることの方がこれからの少子高齢化社会にはふさわしいんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 その二点、よろしくお願いいたします。
#10
○会長(広中和歌子君) それでは、まず黒川参考人、よろしくお願いします。
#11
○参考人(黒川和美君) 今、小池議員からのお話がありました、スタートラインに立つことをどう考えるかということですが、スタートラインに立つということに対して二つの意味があると思っています。
 これまで、つまり新産・工特にしろ、国土全体を俯瞰してそれぞれの地域がどうあるべきかと議論しながら割り当てていくというか、この割り当てていたのはモノセントリックに霞が関であって、国の計画であって、徳島はこういう位置にあるべきだというロジックがどこかに働いていて、その中で地域の経済秩序をつくりなさいというロジックだったと思うんですね。
 で、僕は、スタートラインに着くというのはそういう意味だとすると、小池委員に対して一〇〇%賛成だとは申しませんけれども、地域が何らかの形で自分たちの持っているポテンシャルを高めるために必要なインフラがある、これはそのとおりだと思いますし、それがどういうインフラであるべきかということを議論するときに、これが新幹線であったり高速道路であったりするかどうかというと、それもそうだとは必ずしも思いませんし、港湾や空港を整備する可能性は十分あると思いますし、その港湾をベースにして世界とつながることは十分あり得ることだと思っています。
 そういう意味で、何が一番重要かと考えるときの重要のプライオリティーも、これまではどちらかというと中央で決めて、地域のロジックで考えるわけではなく、海に恵まれた環境にある徳島がどういう戦略を取るべきかというのは、それに合ったつまりプライオリティーの選択というんですか、があるのではないかと思うんです。で、その秩序が地域ごとに皆違うんだというのが私の認識です。
 それからもう一つ。とはいえ、徳島はやはり貯蓄率は非常に高くて、投資する先がなくて、資金は地域の中で余っていて、それをいろんなシステムで中央に吸収されるというメカニズムがあります。これは中央が集めてどう使うかをまた中央で考えるシステムになっていることに関する私の反論であって、このお金の使い方も最も徳島と由来の深い地域と上手につながっていて使えばいいわけであって、そのために徳島固有の地域金融秩序というのが生まれるべきだというふうに思っていますし、それが県単位で考えるべきだとも思っていません。で、私自身は、この県で割り振られている、議員先生方は県単位で出られるケースも多いかもしれませんけれども、どちらかというと四国全体が上手に結び付くような、どちらかというと都市単位で考えるべきだというのが今日の議論の柱にあります。
 お答えになったかどうか分かりませんが、失礼します。
#12
○会長(広中和歌子君) では、藻谷参考人、お願いいたします。
#13
○参考人(藻谷浩介君) 御質問、誠にありがとうございます。
 私が先ほどからこれを消さずに粘っておりましたが、実は用意した紙でできなかったところで、今、先生がおっしゃったことを正に紙に用意しておりましたのでごらんください。
 「まちは「花」」だというふうにあちこちで、地域の方に分かりやすい言葉でしゃべるとこうなります。家、根っこがなくては花は咲きません。根っこは汚いから見せたくないけれども、根っこがない、汚いから刈ってしまった瞬間に枯れます。人の生活がないところは駄目なんです。葉っぱとして事業所がなきゃいけない。そして、できれば茎として、茎はなくてもいいんだけれども、できれば病院や学校といった人のたくさん集まる公共施設が必要である。そうしますと必ず花は咲く。逆に言うと、根も葉も茎もないところに花だけ咲かそうという考え方は無理ですと。今やはり多くの町で一番やらなきゃいけないことは根ですよと。
 それから、ちょっとこれは厳しい言い方なんですが、各地で道路がという話が商店街でも出るわけですが、事商店街に関して申しますと、これは駐車場や道路は逆に昨今の経済情勢上、特に駐車場は実はでき過ぎまして、それが逆に町の寸断をしているというケースが非常に多い。徳島の例でも、駅前大通りの西と東で商店街のにぎわいが大きく変わります。道が広過ぎて渡らないという問題があります。ということで、用水路ですと。用水路は必要だけれども余り造り過ぎるとかえって殺しますよということを申し上げています。
 これが、じゃ、その都市計画上の問題か。例えば徳島。たまたま、ちょっと嫌らしいんですが、私あちこちを本当にどさ回りしていますので、行くたびにいろんな地域を定点観測しています。実は、ある別の全く違う会議で徳島のことを悪くおっしゃる方がいて、私は全然違いますと。それは大変苦しいのは分かるけれども、あそこは大変意欲のある商業ベンチャーの若い人がたくさんいるところです。普通の町で商店街で写真撮っていると怒られませんが、あそこでは怒られると。
 そして、その徳島の先進事例の一つがこれです。四国初の定期借地マンションが市街地に建った。これ成功しまして、二件目が建ち、さらに別の会社もまねをしているということを私はウオッチしているんですが、これが実はあっという間に完売してしまった。もうそろそろ、地元の方が造ったところ、まねをして他県の方も駅前に御進出されたりしているわけですが。
 ポイントは、ここにお住まいの方は高齢者とそれから独身OLと、それから意外にも商店主が戻ってきているという話を聞いていますが、ポイントは、こちら、実は元々地主の方が土地を定期借地で安くお貸しになられた。そのために比較的内容のいいマンションが、実は土地を買うのに比べて約三割ぐらい安い値段で分譲されておった。五十年定期借地ですので、住んでおる間になくなることはないわけです。そういう考え方の転換をした瞬間に実は市街地にマンションがどんどん建ち出した。
 徳島は、確かにおっしゃるとおり県庁の中で一番厳しい競争にさらされている方で、これ実は明石海峡大橋が開通したせいが非常に大きいんですが、それはともかく、したがって先に衰えてしまった面もあるんですが、その代わりこういう新しい芽を考える地元の人がしっかりいらっしゃる。逆に言うと、こういうことを促進しなきゃいけないと思います。
 ただ、私、専門家ではないんですが、実際都市計画がこれを阻害しているかというと、計画上は実はできるんですね。ただ、ほとんどの場合、これを阻害しているのは、地権者の方が、こんな定期借地で安く貸すなんて、ここ元映画館なのに、そんな冗談じゃないと、一等地なんだからデパート来いと言って空けていると永遠に埋まらないんです。徳島のように、そういう方が一人いらっしゃると我も我もと。これはツーですか、同じ方ですけれども、物を建てる方がいらっしゃるんですが、実は、先ほどお見せしたA市などというのは、実は昔デパートの跡だったところを商業施設だといって待っているうちについにマンションも建ちにくいという状態になってしまいました。
 やはり、国で音頭を取るということも重要なんですが、この銀行屋としての立場から申し上げると、土地を持ち財産を運用する立場に当たる方々をもっと啓蒙しなくてはならない。空けて待っていたらただになってしまうと。安い賃料でいいから運用したらもうかりますよと、そういうことをきちんと言っていく力というものを私どもも持たなきゃいけない。ただ、銀行は担保がありますのでそれが逆に自分で言いにくいという面はあるんですが、やはりそういう従来の考え方を廃した自由な資源の利用をやっていくことで市街地は再生するという実感を得ております。
 余談ですが、中四国九県で平成七年から十二年の間に人口が転入超過だった県は一つしかございません。あとの八県は全部人口が出ていく方が多かったです。では、その一県とはどこか。皮肉なことですが、高知でした。高知だけが人口転入だったんです。過疎県に人口が転入するのは戦後初のケースです。ですが、徳島も高松も松山もそうなりませんでした。それはなぜか。実は、余り喜べることではない。一つは都会に直結していないからです。いろんなものが流出しなかったからなんですね。これは非常に皮肉な話でございますが。
 ただ、それとは別に、逆に言うと高知にいろんな人が流入しているもう一つの理由は、いろんなマイクロビジネスがどんどん起きているからです。徳島も神風ではありませんけれども、全国ブランドではありませんが実にすばらしいものが多い。番茶のように、全国ブランドになれるけれどもまだ全然知られていないすごいものもあります。そういうものをこれから生かしていく人がどんどん増えると状況は大分変わってくると私は確信しております。逆に言えば、道路を使って活用できる人がどんどん増えるということだと思います。
 失礼いたしました。
#14
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 和田ひろ子さん。
#15
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子です。
 今日はお三人の先生方、大変お忙しい中、ありがとうございます。
 まず、黒川先生にお話をお伺いいたします。
 先生は「地域の自立性は生まれるか」というお書きになったものを私ちょっと見せていただいて、本当に生まれるんだろうかというふうな私も疑問を持っています。瀬谷会長がさっきおっしゃいましたように、本当に福島県は疲弊をしております。地域が本当に自立できるんだろうか。明治以来市役所任せで中央官庁に、まあよらしむべし知らしむべからずでずっと来た地方が本当に自立できるのか。
 今、自立を促しているのは国家の財政事情が悪いから自立しなさいといっているだけで、今まで全然トレーニングも何もしなかったのに、十七年の三月まで例えば町村合併するとニンジン上げるよなんというようなそんなような自立のさせ方ですので、本当に地方は戸惑っていると思います。
 我が福島県の矢祭町なんというのは、絶対に合併はしないと、その代わり三役は総務課長と同じ月給にして、自分たちで身を細めながら、そして職員の数を少しずつでも減らしながら、小さな政府にしてこの矢祭町をやっていくなんというと、総務大臣が、もし矢祭町が失敗したらもう国は面倒を見ないんだよなんというようなことを言って、自立を決して、促してはいても支援しようとはしていません。
 そういう意味からいって、先生は自立が本当にできるんだろうかということを言っていらっしゃいますので、もしこんな税源の移譲も何にもなしに自立ができるんだろうかどうか、お尋ねをしたいと思います。
 それは瀬谷会長にも、福島県が税源の移譲なしに自立をできるかということをお尋ねしたいと思います。
 そして、藻谷先生にお尋ねをします。
 とっても先生の、本当に市街化活性化というのと商店街の活性化の意味は違うという、チューリップの花の花びらと、もう根から茎のところをしっかりしないと活性化はしないというふうにおっしゃって、本当に私うれしかったんです。
 先日、ちょっと調査会で出掛けたところ、中小企業の予算がすごく少なくて農業関係の予算が多いのはけしからぬというような話も聞きました。そういうことからすれば、私たち農業県の人たちは、本当に大変疲弊した、こんな農業で本当に日本の国の食料を賄っていけるのかという思いをずっとしていましたし、全部地域が良くならなければ東京は絶対良くならないんだという思いで地元の人はいます。水も空気も電気も食料も、そして人材までも育てているこの地方にすごくいい言葉だなという思いがします。
 だから、先生がおっしゃっているようなところで、いいさっきも例を挙げていただきました。徳島の小池さんの質問の中にもあったんですが、いい例で発展したところを教えていただきたい。
 黒川先生には、特区の、今、例でいい例があったら教えていただきたいと思います。
 そして、瀬谷会長は、私たちの代表の方でありますので、私はちょっとこれは一番最後に質問したかったんですが、地銀の会長としてお尋ねをしていいですか。もし郵政……
#16
○会長(広中和歌子君) あの、時間が。
#17
○和田ひろ子君 はい。
 郵政が民営化したら本当に地方は社会的にも混乱しないんだろうか。会長が地元の新聞に小さな池に鯨を泳がすようなものだというふうにおっしゃっています。そうしたら、例えば鯨と一緒に共存はできないんだろうかなと素人考えに思います。郵貯はたくさんお金を集めることができるけれども、貸すノウハウはまだありません。ところが、地銀の皆さんは、大変なコストを掛けて集めて、いろんなところに地域の活性化のためにお金を使っていらっしゃいますが、郵貯のそういうお金を地銀に使われてというようなことをお考えになったことはないかどうか、お尋ねをして終わります。
#18
○会長(広中和歌子君) それでは、瀬谷参考人からお答えいただきたいと思います。
#19
○参考人(瀬谷俊雄君) まず、御質問が幾つかあったかと思いますけれども、そういった地方の自立というのは、果たして本当にその中央の補助がなくてやっていけるかという御質問でございますけれども、ありていに言ってこれはあり得ないと思っております。
 現実に、その何割自治とか言われておりますけれども、御承知のように、例えば福島県ですと一兆円の予算を組んでいます、総体でですね。一兆円ちょっと今年切りましたが。それでも、恐らく自主財源の比率から見たら、せいぜいそれが三〇%とか四〇%でございます。あとは交付税であり、補助金であり、財投であると。これで賄っていると。これを、やはり三位一体の議論は分かりますし、その議論も多分に財政の方に主軸を置いたような点から出てきたと思いますけれども、もちろんそれは地方の自治ということも理念は理念といたしまして、現実問題としてそれ繰り回しできるかというと、私はできないと思う。
 だから、今後、これやっぱりなだらかに少しずつ言わば交付税の比率を引き下げていくなり、あるいは補助金というものをそこで少し切っていくなりして、そこのところは非常に微妙な問題になります。やっぱり中央省庁と地方の役所とそれから事業者と、これが非常に微妙な関係になりますけれども、ここのところのソフトランディングをやっていくしか現実にはないんだろうと、こう思っております。
 ですから、三位一体の議論も、これは本日の課題ではございませんけれども、最後に総理が眼光紙背に徹して読めば分かると、私は分からないんですけどね、後の協議にゆだねてしまったということも非常に意味深長だろうと思っております。
 その次に、郵貯問題でございますけれども、これはちょっと私の専門的な問題になりますんですけれども、竹中さんに言わせますと、明治以来の最大の制度設計の変更だとおっしゃっていると。それは分かるんですけれども、私は、この郵貯問題という問題は、一つには、財政規律の問題と金融規律の問題と、両方を同時的に満足させなかったらばこれは解は出てこないと、こう思っておるんですよ。財政規律というのは、やっぱり見えざる国民負担と、それから将来予測されるリスクが生じた場合の国民負担と、二つあるわけでございます。果たしてこれに堪え得るかどうかと。
 それで、皆さんは御承知のように、この郵貯問題について言いますと、竹中さんが担当大臣になられましたけれども、五原則を示されたと、それも均等に。結局、そうしますと、あれも全部忠実にやっていきましたら、実は何もできないんであります、はっきり言いまして。
 例えば、配慮の原則だと。配慮というのは何だと。つまり、雇用の問題でございます。これはある意味では非常にシリアスな問題でございますけれども、全くここに手を付けずにして民営化をすると。しかも、シビルミニマムであって、例えば郵政の仕事についても、どんな山間僻地でもワンデーズデリバリーを確保すると。これを民営でやろうったってできないんですよ。できないことを民営化ということでやっていくという矛盾だらけの問題を押し付けてですね、押し付けてというのはちょっと、済みません、これは言葉が過ぎました、そういう問題をほうり出しておいて、果たして解が生まれるんだろうかと私は非常に疑問に思うんです。もし万一強行なすった場合に、我々は生きていけなくなると思いますね。
 つまり、それは今は確かに運用の技術を持っていないと。しかし、郵貯、郵政公社の生田さんも実は先輩なんですけれどもね、恐らくぱっと目先の利く人ですから。今、仕事にあぶれた銀行員は山ほどいます。そういう人を持ってきてやらせればいいんですよ。そうすると恐らく、あの膨大な資金量を持ち、なおかつ実質的な国家信用をバックに住宅ローンでやられたら、地域金融機関は軒並みアウトでございます。
 だから、私はそうなったら、我々はリレーションシップバンキングでお客さんと血の通ったいろいろなそういう御相談をやって、正に血と涙でやっているんだと、そういう経営基盤をあなたは奪うんですかと。奪うならおれたちはもうやめると、そういうことは一切。どんどん店舗を閉めていきますよ、これはもう。もうやっていられない、そんなの。じゃ、うちはどうするんだと。縮小均衡の一途ですよ。どこが決済機能だと。
 こういうことは非常に歴史の皮肉で、その郵貯バンク、ポストバンクという国営銀行を民営化したために従来からの民間の銀行がつぶれて、全部倒産してですが、それこそ民事再生法なんかでお国のお世話にならなくちゃいけないと、私は職を追われると。これはしようがないけどね。こんなブラックジョークをやらしちゃいけませんと私は思っておりますので。
 ちょっと今日の、本日のあれとは外れたかもしれませんけれども、地域金融、地域経済を再生させていく一番重要な機能を持っている地銀のレーゾンデートルなり、それのやはり生きるすべを奪うようなことはしないでいただきたいと。これは明らかにまた竹中さんにでも申し上げますんで、ひとつ先生方、よろしくお願いいたします。
#20
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 藻谷参考人。
#21
○参考人(藻谷浩介君) 分かりました。私への御質問は、やはり農業なんかの地域であっても発展している例はないのかという御質問でございました。
 まあ、多々あるんですけれども、何を選ぶかによっては、例えば秋田県の大潟村のようなすばらしい例を選びますと、あそこは条件が特別いいからということで皆さん余り御参考にならないと思います。そこで、たまたま最近参りましたところでは、こんな例がございます。ちょっと写真でお見せするんではなくて数字なんでございますが。
 やっぱり具体的に活性化しているとマスコミに言われているのと、本当に私ども銀行の観点から見て活性化しているかはちょっと違います。例えば、有名な温泉地、湯布院ですね、活性化していると言われていますが、実は人口転入しておりません。つまり、勝ち組業者と負け組業者の間が大きく開いていて、勝ち組だけ見ると元気に見えます。
 そこで、やはり全体にあまねく効果が及んでいる例はないかということですが、マスコミ受けしなくても、あります。
 例えば、これは千葉県の銚子でございます。非常に景気の悪いところです。ただ、一応それはおいておいて、漁業と農業に関しては、それぞれ漁業は日本一水揚げ、それも全部地元の産、それから農業に関してはこれは日本有数でございます。実は、明暗が分かれております。日本一の水揚げの漁業は、実はそうはいいながら厳しい業態です。そして、農業は非常にフィージブルです。なぜか。実は、働いている方の年齢を見ると分かるんです。漁業は圧倒的に七十代、六十代に集中しておるんです。つまり、実際は、お金が入る仕事も含めて若い方が雇用を積極的にされていない。個人技の世界になっていくので、今後十年、二十年たつとどんどん雇用が減っていくことが分かって、逆に魚はいるのに水揚げが減るんじゃないかということさえ危惧されています。
 ところが、農業の場合、たまたまここは非常に優秀な組織化に成功していて、御存じでしょうか、これは畜産物からトマト、銚子トマト、大根、その野菜、物すごい量が取れます。見てください。六十代、七十代よりも三十代、四十代の雇用の方が多くなっています。実は、これは全国平均に比べて極端に違うんです。青いのが全国、象牙色が銚子です。つまり、ある程度個人の世界から組織化に成功し、そしてそこで実際に若い人の雇用に門戸を開き、かつマーケットを開拓する等、実は具体的に後継者がきちんといる産業というのは育ってまいります。そういう状態になっていくと、年寄りの方の力の入れ方も変わってまいります。
 もちろん、この一番すごい例が秋田県の大潟村ですが、国策でインフラができているところでございますからほかのところとは違いますけれども、平均年収が一千万円を超えているとか、ほとんどオール直販で売られているといったような話がございますが、そこまで有名でなくても、こういう例がある。
 ただ、同じ銚子でも、野菜よりも魚の方が圧倒的に有名です。そして、事実、これは大変な競争力がある高級魚ばかり取れるところです。であるにもかかわらず、こうなっているというのはどういうことなのか。つまり、恵まれた条件にありながら、経営のやり方、人材の後継者育成という組織に、考えに目が行かないと、あり余る資源があっても実際には地域にそれが残らないということなんです。
 つまり、従来はどうしても環境整備に議論が行きますけれども、私どもの意見としては、環境整備がもうある程度できてきたことを前提に、せっかくできたインフラを生かして、そこに人間的なそのつながりというものをきちんとつくらなきゃいけないと。銀行にできることではないんですけれども、皆様の、もう恥ずかしいんですけれども、陰ながら、少しでも邪魔だと言われない程度に頑張ろうということでいろいろと手を入れさせていただいています。ただ、まあこういう問題一つ認識できれば対応はできてくると思います。
 ほかには、あと、交流人口で非常に雇用が増えている場所が多くございます。もう一枚だけ、もう時間が、ごめんなさい、福島県内でたまたま最近講演させていただいたときの数字でございます。
 これは話半分でお聞きいただきたいんですが、実は地方の非常に弱小な自治体において、最近の五年間に商売若しくはサービス業で働いている人が国勢調査上実際に大きく増えているという現象が起きているんです。その中には、単に工事で増えているところもまれにあります。ですが、ここで赤く色を変えたところというのは、ダム要員でもなければ、そしてどっかに通勤者が増えている地合いでもない。純粋に地産地消によって、非常に少ない雇用なので、ちょっと増えるとすぐ十何%増加すると。
 ただ、県内でもどこでもそうですが、全国平均に福島やいわきや郡山は近い。大体、全国は商業は減少、サービス業微増というところですが、華々しく懸け離れたパフォーマンスをやっている固有名詞を見てみると、あ、具体的にあれをやっていたな、都路ハムかと、昭和からむしか、檜枝岐の温泉というのは考えたらすごくはやっているんだな、葛尾はマルチメディアって言っていたころから頑張っていたなと。やはり具体的に何かやってきたところの名前が挙がります。それに対して、大資本が投資をしたけれども根付かなかったところは一番苦しくなっている。
 矢祭は行政改革なのでこの中に出てきませんけれども、あれはコストダウンの側面ですけれども、いずれにしましてもやはり、これ比率ですから、絶対数としては微々たるものですが、努力をしても一切パーセント上も効果がないということはございません。高度成長のころとは全く変わっています。これを支えているのが、実は先ほどから私ども、先生も申し上げている、実はお金はあるところにあると。それを呼ぶマーケティング努力と人材育成をすると思いも掛けない効果が上がるということを示しています。ただ、銀行の立場からいうと、こんなのが幾ら増えてもまだ融資対象には到底なりません。この先を何とかつなげなくてはいけないと思っております。
 失礼しました。
#22
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、黒川参考人、よろしくお願いします。
#23
○参考人(黒川和美君) 和田委員からの御質問は地域の自立するすべのことですけれども、現行の制度で補助その他の今の制度の中で自立できるかという御質問と、それからもう少し抽象的な議論ですけれども、もう少し違う日本のシステムを考えたときに、そういうことが可能になるかどうかという議論ですね。今の制度ではなかなか動きにくいことがあります。さっきから藻谷委員がいろいろ言われているのは、地域には地域の自主性に合った経済的な環境に持ち込めば、例えば徳島の場合ですと、地価は本当に下がっているんだから、その活用可能な価格まで下がれば使われるという議論なんですね。
 今、日本で私が少し問題だと思っているのは、何もかも、つまり一億二千五百万人を一括して考えようとすることです。東京に円があったとして、北海道にもある種の北海道で自立する円があるとすると、これは百円を百円で交換できる環境にはありません。東京の百円は北海道の百六十円ぐらいと交換しなければいけない厳しい環境にあるんです。にもかかわらず、今、年金の制度といい、医療保険の制度といい、東京の価格と北海道の価格は一致しているために、様々なところで、補助はたくさん上げなければいけないけれども、効果が起きなくて問題が起こるケース、それから経済の自主性以上に補助が来ているためにラッキーになっている地域の方もいらっしゃいます。地域の方が活動する水準以上に年金その他で所得を得ていらっしゃる方は有利に所得を確保していると考えることもできると思います。そういう再分配のメカニズムが見えないプロセスの中でいつの間にかでき上がっている日本の秩序になっています。
 先ほど、バスの事業で、福島県でバス事業ができるかという瀬谷委員のお話がありましたけれども、東京でもバスが成り立たないと言われているところで、ドライバーの年間契約賃金が三百万円以内であればバス事業はほぼすべて成り立ちます。ところが、バス事業者の一人の平均の賃金って今八百万円以上になっているんですね、運転手さんのお給料。つまり、下がってくれれば成り立つものなんですね。それは地域の自主性に合っている形から外れていて、だけれども、私たちは日本全体で経済を見ることに慣れてしまっていて、その地域のポテンシャルを見ることができないために少しずつ間違ってしまっていて、その水準のまま前に行こうとするために困った問題が幾つも起きていると考えています。
 それでも、例えば日本のどの地域のお年寄りにしても、どの世帯にしても、持っている貯蓄の額は、もしアジアに向かって、何というか、その所得を考えたら物すごく豊かな人々です。もし、日本じゅうの港湾や空港をオープンにしてアジアの人々の物産を受け入れますよということになったら、日本の生産者はすごく困ると思いますけれども、とても困ると思いますけれども、みんな買ってくださいって一斉にやってくるぐらい、どこの都道府県のどの自治体を比較しても基本的には豊かなんですよ。
 でも、私たちはそれを豊かだと認識できないような環境にするように窓口を区切っているし、そんなに大きな激変が起きないように生産者を調整しながら今制度を維持しているわけです。しかし、ちょっとずつその実態に合うように変えていかないと、私たちの経済は運営できなくて、何もかも全国一律でやろうとしているために様々な制度が破綻の危機に陥っています。
 中央の主力の産業が幾ら強いといっても、全体の年金の制度を維持するほどの強さにはなくなってきているというのが今日の状況なので、どれぐらい譲るものを譲って可能な状況をつくっていくかということが私たちが考えなければいけない課題になっているという意味で、問題認識として、そういう問題認識に立ってしまって経済ポテンシャルだけ考えれば、周辺のアジアの国々の人たちとまともに向かい合うような経済体制をつくれば私たちはそれなりに豊かで、しかし所得水準は下がっても雇用の場やあるいは消費の拡大を可能にするような環境はありますということを今日は申し上げたかったということです。
 これが自立という意味になるかどうかというと、現行の制度の中で補助をいただいていて自立ができるかというと、そう簡単にはいかないというのが私の認識で、最初の私の二十分間のプレゼンテーションは藻谷さんや何かと比べるとすごく抽象的なことを申しましたけれども、ヨーロッパはそれでも自分たちの所得水準の五分の一の新しいEU加盟国十か国を去年の六月に参入させて、明らかに賃金水準の低い人たちを自分たちのエリア内に入れて競争を激しくすることで、これまであった既存の豊かなところに緊張感を与えながら全体の整合化を図るという努力をされていますということで、その迫力に我が国も何らかの形で調整できなければ、これはヨーロッパの水準との競争にも敗れるという可能性がありますということを全体として申し上げたいと思っております。
#24
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、浜田昌良君。
#25
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 本日は、お三人からの実体験に基づかれます貴重な御意見、ありがとうございました。
 本日のこの調査会のテーマは成熟社会における地域経済の活性化ということなんですけれども、お三人のお話を承りまして、そのかぎはこの地域の資金循環をいかにつくっていくのかなと、これがやはり大きなポイントかなという感じ、いたしました。その一つのアイデアが黒川参考人の御提示されましたいわゆるポリセントリシティーという、中小都市が交流をしながらそこで発展をしていくということかもしれませんし、また藻谷参考人がお話しいただきました、いわゆるマイクロビジネスというものを積み上げていきながら、特色あるものをいかに投資をしていくかということかと思うんですけれども、とはいいながらも、この地域の資金循環の在り方というのは各地域地域で特色があって、一概にいかないんだと思うんですよ。例えば、先ほど言われた八十二の都市圏があるとすれば八十二通りあるかもしれない。
 これから同じ質問をお三方にお聞きしたいと思うんですけれども、この資金循環のグランドデザインをつくっていく仕組みはどうすればいいか。また、そのときにいわゆるリレーションシップバンキングという、地銀さんとまた政府系金融機関の役割分担はどうあるべきかということについてお聞かせ願えればと思っております。
#26
○会長(広中和歌子君) よろしいですか。
 じゃ、瀬谷参考人。
#27
○参考人(瀬谷俊雄君) それでは、ただいまの御質問に対しまして、まず政府系金融機関と民間とはどう違うかということについてから申し上げます。
 私の理解では、元々政府系金融機関、ほかにもたくさんありますけれども、例えば中小公庫とか住宅金融公庫と、これができたというのは、それをそうつくらねばいけない政策目的があったわけでございますね。昔は政策投資銀行さん、昔は開発銀行と言っておられたと、日本開発銀行だったかな。それと、これは非常にリスクが高くて、民間では容易に手を出しにくいセクター、例えば非常に難しいダムであるとか、あるいは空港であるとか、あるいは原発だとか、こういうところにお出しになると。そういうことで、一定の時期、それ役割を果たしてこられたと。もちろん、民間との共有もあり得ると。
 しかし、翻って現実考えますと、ほとんどの温泉地の主たる債権者は、こちらの銀行さんの方が私よりも上に行ってらっしゃるんですよ。それで、再建の場合にいろいろとつまらぬところでコンフリクトするのも政策投資銀行さんになっちゃった。ということは、やはりそこで一種の時代的役割は終わったんだと、そういう意味の、本来の。ただし、その時代とともに求められるリスクテークというものとは違った側面に出てくるんだと。
 例えば、話は飛躍しますけれども、例えば原発の後には核融合というのが出てくると、ITERと言いますけれども。こういうものを考えた場合に、これはだれがそういうことで資金的に支えるかと、こういうことについてやっぱり政投銀行さん辺りのきっと出番なんだろうと、こう思っております。
 それから、これからもDIPファイナンスとか破綻した企業を再建する場合に、破綻したものを一回法的整理を掛けてもう一度立ち上げようと。その場合にどういったふうにその資金計画を組むかと。こういうときにもその政投銀行さんの役割は大きいと、こう思っております。
 これ、ちょっと古い話になりましたけれども、ダイエーについてもこの間ちょっとおやりになったんじゃないですかね、先陣を切られて。今回はああなりましたけれども、やっぱりこれは一つの例だと思っております。そこが政策金融機関と我々の違いだということでございます。
 その次に、資金の循環論でございますけれども、先ほど両先生から、何ですか、資金が中央に吸い上げられて市場でしか回らないと、吸い上げられてと。これは受け身じゃないんですよ。我々は、地元で幾らやっても資金がないものですから、やむを得ず東京で運用するしかないんです。もしできることなら我々も地域内の資金循環を図りたいと。おっしゃるようにマイクロビジネスも立ち上げたいと。
 私のところには会津大学というコンピューターソフトをいわゆる専門とする言わば大学があります。そこでどういうものを考え、どんなものをフィージビリティースタディーをして、これなら恐らくパイロットプラント的に企業化ができるという測定をしてやろうと思えばできないことはない。しかし、まだまだ本当のマイクロビジネスで、これ自身が、私は銀行の金融としてやる気はないんですよ。これはベンチャーですから、恐らくファンドをつくって投資をしていくと、こうなると思うんです。まだその段階でございます。それがだんだんうまく実ってくれれば将来的にはそういうふうなものもあり得るということでございます。
 それから、都市化の連携という問題でございますけれども、これはなかなか難しいと。やっぱり首長さんなりに、それぞれ地域事情、それこそ和田先生じゃございませんけれども、市町村長のそれぞれの御主張というのはなかなか難しゅうございまして、私ども銀行が間に入りましてもなかなかうまくいかないことが多いんですよ。そういうところでどんなビジネスモデルを、例えばあんたの方はトマト作るのかいと、おらの方は田んぼにすっからねと、こういうわけになかなかいかないんですよ。会津といってもなかなか多様性がありまして、やろうと思えばヨーロッパ流の何とかシュツッツ、何とかブルグのようなものはできなくはないと思うんですけれども、まだこれは理念の段階で、残念ながらそこまで及んでいないと。もちろんそう行くように努力はいたしますということで、私の答えとさせていただきます。
#28
○会長(広中和歌子君) それでは、黒川参考人お願いいたします。
#29
○参考人(黒川和美君) 今のは本当に難しい議論で、現状の環境の中で、今、瀬谷委員、委員が言われたように、そう簡単にその貸出し先を見付けることができないんですが、例えば、我々はどうも、何というか、貸出し先を考えるときに、ついつい産業基盤で物を考えようとし過ぎていると思うんですが、我が国の経済はもう既に八〇%がサービス業になっていまして、多くは、どちらかというと消費活動が小さいということが基本的にはその経済活動を小さくさせている最も大きな理由にもなってしまっています。
 僕がさっき都市連携でと申し上げましたのは、Aという町とBという町があって、Aという町の中だけでそこに住んでいる人たちの顧客を想定してレストランを作ったらそれなりのレストランしか投資できないけれども、Bという町も三十分以内に移動できるようになって魅力的な提供ができると、二倍の投資ができて隣の需要を借りることができるというのがさっきのテリトリー論の議論になっています。
 福島県のケースで考えますと、郡山から福島までの間、縦に自分たちに都合のいい列車の運行を、新幹線とは別に十分置きに動かすことができて、みんなが夜の十二時まで福島で飲んだくれていても郡山に帰れたり新白河に帰れるようになれば、そういうことができると自分たちの町の空間を有効活用することができる。そういうわずかな努力で二割、三割生産性を上げていくということが、つまり消費活動を豊かにしていきながら魅力的な町づくりをすることになるんだということのイメージでもありました。
 福島県なんかは歴史のあるユニークな町がその間一杯あるんですから、だけれども、個々の自治体の長の方々、すごく、何というか、お互いに意識されて、横に連携することではなくて、うちの中に投資投資という議論をされているというふうに私は思っていますけれども、それがちょっと横に連携をして魅力的な広域的なやり方をすること、これは県ではなく、都市同士が自分たちのロジックでやり合ってくださることがいいと私は思っていますけれども。
 お答えになっていないかもしれませんが。
#30
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、藻谷参考人、お願いします。
#31
○参考人(藻谷浩介君) 私は、今日、一地域研究者として呼ばれておりまして、たまたま肩書が会社の名前なんですが、ちょっと政策金融全体について、もう意見を申し上げるには余りに中の一部品に過ぎませんので、ちょっと見識が逆に中におるために見えません。変な話、自治体の在り方について、人ごとと思えば幾らでもしゃべれるんですが。
 ただ、やはり一職員としては、世の中において要らないことをやらないように、そして、みんながまだ気が付いていないけれども、結果的に必要なことをやろうとしています。そのためのメルクマールは、やはりこっちで考えたことじゃなくて、やった結果、次もよろしくと言われることはいいことであろうと。
 それから、同じく、当たり前のことなんですが、やっているうちに民間の方がどんどん出てきた場合には、もうどんなおいしいことであろうと、退場していって次に移っていくというのが使命であろうと思っています。そういうディシプリンを割に植え付けられてきましたので、今後ともそれができる限り、許される限り頑張っていきたいと思っておりますが。
 連携の話でございますが、一言だけ申し上げます。
 やはり、これは大変偉そうな、一研究者というか、一コンサル的な感覚で人ごとのように申しますが、金融は実は大変難しゅうございます。それは多くの方がちゃんとお金を地方に流さないからだとおっしゃるんですが、私の見るところ、動脈が詰まっているのは静脈が詰まっているからです。つまり、血の巡りが悪いのは、動脈が細いからではなくて、静脈が細いから血が戻ってこないために、逆にそこに送り込むと内出血を現地で起こしてしまう。それは、つまりお金は返さなきゃいけないというモラルが崩壊するところまで行ってしまうということです。
 そこで、じゃ、静脈はどうやったら太くできるかということなんでございますが、血管拡張剤のような効率のいいホルモンがございません。そこで、現場に入っていって一個一個毛細血管を広げて歩くしかないわけなんです。それはつまり、小さくてもいいからキャッシュが回収できるビジネスをつくるということです。そこの場合に、一つはリレバンと申し上げているものは、恐らく地域のもっと企業に対して、実際こういうところに貸せば大丈夫だということを徹底的に見極めるということなんだと思うんです。
 ですから、さらにその先に、実際に地銀さんがやられていることは、それでは済まなくなりまして、会長のおっしゃられるように、結局、もう二百名からの方を実際の企業の現場のありとあらゆる部門に出して経営をやらせているとおっしゃいましたが、実は経営には技術というものがございます。物づくりだけが技術ではございません。マネジメントテクノロジーというものがございます。経営というのは技術だというのは、人に教えることができるということです。天才だけができるんじゃない。経営の技術というものを実際に企業に植え付けていくということをやりながら、また銀行も技術を勉強するということであります。つまり経営技術開発でございます。ほとんどそれは国の資金が落ちる世界じゃないんですが、経営の技術というものを時代に合わせて改良するということが、例えば人材を、後継者育成するのも経営の技術の一つです。プレゼンも技術です。そういうことを実は手取り足取りやらなきゃいけない。そうすると、実は金融機関のコスト構造だけでは無理になってまいります。
 そこで、諸外国に目を転じますと、実は融資に関しては絶対にきちんと返してもらって、せいぜい金利補助しかないんだけれども、その代わり経営指導を受ける部分の料金だけ補助金が出るというような制度がございます。もちろん、これは経営指導をちゃんとしなければ、インチキ経営指導では税金の無駄遣いに終わるんですが、逆に、本当に経営指導の実が上がったかどうかを数字で調べまして、それに合わせてお金を出すというスキームがあるようでございまして、そういうものをいろいろと研究しております。
 及ばずながら、今は全く無料奉仕かもしれませんが、私どもも、威張って経営指導とは言えませんけれども、お助けになるように一生懸命研さんをしているところでございます。
 失礼しました。
#32
○浜田昌良君 ありがとうございました。
#33
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、井上哲士君。
#34
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日は大変現場に根差したお話をいただきまして、ありがとうございます。
 黒川参考人と藻谷参考人にお聞きするんですが、黒川参考人が言われました東京一極集中ではなくて地域的な連携とかネットワークというお話、大変興味深くお聞きしたんですが、それぞれの地域連携が外国と結び付くという、そのための空港や港湾を整備もしていくということで経済のポテンシャルも上げていくというお話だったんですが、現状でいいますと、例えば大型港湾をそれぞれの自治体が外国貿易で整備をするわけですけれども、それぞれの需要予測は相当高いものがありまして、合計をするともうはるかに何倍もなっちゃうということで、中には釣堀化したりするような現状もあるわけですね。こういうこととの関係をどうお考えかというのが一つと。
 それから、藻谷参考人が経済循環、そして内需型の産業ということを非常に活性化の中心として言われたわけですけれども、そのことと、おっしゃった人々のテリトリーを拡大をするということは、一見ちょっと対立するように聞こえるわけですね。それぞれの人たちが外国の都市との結び付きを広め、観光などを広げることは非常にいいとは思うんですが、それが言わば経済のポテンシャルにつながるということと、言われたような内需型産業の拡大ということとどう関係をお考えかということです。
 それから最後、藻谷参考人なんですけれども、このA市とB市の比較、大変面白く見たんですが、A市の場合に、そういう非常に大手の企業が活発であっても市街地の活性に結び付いていないという原因は解説もしてあるんですが、B市がなぜこういうふうに市街地が活性化しているのか。それぞれやっぱりこういうのはケース・バイ・ケースで、いろんな個別的な具体策があったんだと思うんですね。我々、商店街などでもよく、今はもう車がないと駄目なんで商店街のそばに駐車場、何とか作れないかとか、こんないろんなお話も聞くわけですけれども、ここなどはそういう対策を取っておらないようですし、何がこのB市の場合は具体的なポイントになっているのか、是非教えていただきたいと思います。
 以上です。
#35
○会長(広中和歌子君) それでは、黒川参考人、お願いします。
#36
○参考人(黒川和美君) 今、井上委員が言われたこと、今、日本の港湾というのは、どちらかというとロサンゼルスと中国の港湾の間でスルーされてしまって、通っていってくれなくて、必死になってそれなりに効率的な港湾を造って、安くサービスを提供して寄ってもらおうと考えているんですが、この種の議論というのは、基本的にどちらかというとコンテナ輸送の世界になっていまして、私がイメージしていたりするというか、今日議論している、いろんな意味で人々が出入りする環境をオープンにするというのは、もう少し、何というんですか、ばら積みで構わなくて、東シナ海と簡単に日本が行き来できるようなイメージをしています。
 そのことでいうと、大きな港湾だけが国際港湾になっていて、コンテナ輸送をベースにしてだけ議論をしているという、そういう港湾輸送のケースはとても重要で、それはそれで国策として考えなければいけない部分があると私は思っていますけれども、どちらかというと、我が国は国の国土がリニアになっていて高速道路も整備されていますから、入口、どこから入ってもというか、港湾の窓口がたくさんあって、小さい港湾がたくさんあって、物すごく効率的な港湾はないんだけれども、どことも立ち向かいやすい環境にある。
 この環境を有効に使っていいのではないかというふうに考えましたということで、今の国策でやっていることはやっていることなんだけれども、取り残されていっているほかのたくさんある港湾をもっとうまく使う方法がありやしませんかというロジックで、小規模で構わない。飛行場も今はだんだん大規模で、三千メートル滑走路という議論をしていますけれども、二千メートル、二千五百メートルぐらいで、百人乗りぐらいで簡単にもっと近いところと行き来できるような国際路線をつくることは可能ではないかというふうに思っているわけです。
 それからもう一つの議論というか、僕は都市間の連携の話をしましたけれども、都市間の連携というのははっきり言って競争モデルですから、すごい厳しい環境を地域の人に与えるんですね。つまり、当然のこととして二つの地域が相互に同じマーケットの中にほうり込まれるわけですから、つまり片っ方は負けるかもしれないと思う競争環境の中で、何というか、激しい関係をつくることができて、これがその広域連携の見えないインセンティブというか、モチベーションをつくり出しているというふうに考えています。これは、競争モデルで全体がそういう緊張感のある環境になることで、地域が置かれることでポテンシャルが上がるというロジックとして理解していただければ有り難いと思います。
 そのプロセスで、当然のこととして失敗して撤退するところが出てきます。出てきても、その撤退したところで働いていた人たちはより強かった事業者の方に吸収されるというふうに考えていて、雇用問題が発生するとも考えていません。より強い競争力のある事業体が残るように、常に、何というか、参入、退出が起こるメカニズムでエリアの中で激しい競争ができる、しかも我々の日常生活に密着したところで消費需要が生まれてそういうことが起きることをどうしたらいいかというふうに考えていますということです。
#37
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、藻谷参考人、お願いいたします。
#38
○参考人(藻谷浩介君) 二つ御質問をいただきました。
 まず最初の、そういう正に世界的な交流基盤の促進による交流活性化というのと内発型のコミュニティービジネスは何の関係があるのか。
 多くの世界的大企業は最初はコミュニティービジネスです。ウォルマートも八百屋でした。ただ、お聞きになっているのはそういうことじゃないと思います。コミュニティービジネスがコミュニティービジネスのまま、その世界と交流することに意味があるのかということだと思いますので。
 そこでお答えいたしますと、二つあると思います。
 一つは、コミュニティービジネスであればあるこそ、東京ではない、世界やほかのローカルなところとの経営ノウハウの交換に意義があります。
 例えば、先般、こちらで、国交省さんお借りして、自発的に新潟・兵庫観光カリスマ会議なるものをやらせていただきました。私、今、委員をやっておりまして支援させていただいたんですが、そこでは城崎だとか新潟の村上といった人たちが集まって具体的にどうやって震災対策をやったかというノウハウの交換をしたわけですが、これ東京の人に聞いても分かんないことが非常にもう直接分かります。そして、彼らは、事実お互いに城崎と村上でのところを行き来しています。
 実は、東京の人は気が付かないんですけれども、地方の勉強している人は大変よく相互に移動しています。湯布院、さっきちょっと全体としてはと申し上げましたが、優れた事業者の方は、これほど全国行っている方はいらっしゃらないと思います。そういうふうに、実はアジアにも優れたノウハウが一杯ありまして、そういう人たちは日常的に交流する中から意図的にお金を掛けて交流するのを投資としてやっていて、ビジネスチャンスをつかんでいきます。東京に座ってマスコミだけを見ている大企業の方がむしろ圧倒的にそういうことにお金を使っていません。ですから、現実に近年の交通基盤の整備はそういう方々には大きく進展をさせていると思います。
 市場拡大なんですけれども、こういう例がございました。先般、福岡である小さい町づくりコンサルと話をしていたら、中国で五十五ヘクタール、五十五平方キロの大規模開発のコンペに勝ってしまったと。もう町の小さい、女性、私より若い女性のやっているコンサルです。どうしましょうと、だけど今からやるしかないわと言っていたら、地元の大手企業の社長なんかと、これこれ、ああだこうだと相談していまして、そこに教授も加わって産学連携やっていたんですけれども。
 西の方に行きますと、余りにも中国が近いもので具体的にそういうビジネスチャンスというのが起きています。実はしかし、上海が九州が近いったって、東京からも近いんですよ。アメリカとかシンガポールから比べれば全然近いわけでありまして、同じように東日本もそういうことは本来享受できるはずであります。今の場合、その五十五ヘクタールの開発をしたからといって、やっぱり町の小さいコンサルであることには変わりないと思うんです。コミュニティービジネスのまま、そういうふうにチャンスが広がるというケースがあるということです。
 同じように、野菜を例えばいきなり外国に売っている例、飛騨古川に台湾の人たちが年間百数十人視察に来ている例、それから先ほどのニセコにオーストラリアの方がたくさんコンドミニアムを今建てているという例、いずれも東京の人が気が付かないところで非常にしっかりとした交流が起きています。
 さて、B市繁栄の理由について短く申し上げます。
 これは特殊要因であります。ですが、一つ環境面で一つだけ申し上げると、山が迫っていて田んぼが極めて少ないために、近年の農業不振による田んぼの開発という、どこでも起きていることがやりにくい。それほど田んぼがないということが非常に恵まれています。ただし、車の普及率はA市とB市はほとんど同じということについて申し上げておきます。A市は市内に無料止め放題駐車場が一杯ありますが、全く活性化していません。B市は何とすべて有料駐車場で、かつ自走式もほとんどありません。タワーが圧倒的に主流ですが、活性化しています。鉄道利用者はA市がB市の八倍あります、駅の利用者。よろしいですか。Aの方が八倍なんですよ。ですから、交通条件ではありません。
 違いは、商店街が全国にまれに見るほど、本当にこんな人たちがいるかというぐらい努力している極めて珍しい例です、Bはですね。商店として努力しているのは当たり前ですが、コミュニティーの核として努力しています。
 加えて、実は地権者の方が目に見える形で町づくりをやっています。町の中にコーヒー店があるというのがありました。あれは家賃をかなり安くしないと入りません。実は、非常に全体として家賃高いんですけれども、相手によって柔軟に下げていろんなものを入れることによって集客を増やすというショッピングセンターのノウハウをローカルビジネスが導入してショッピングセンターに対抗しています。同じ武器を使って闘っている。ほとんどの町が逆にうまくいかないのは、地権者がそのようなノウハウ研さんをしていないからです。ある意味、商店主がやる気がないのは、地権者がやる気があれば入れ替えることができます。ですが、地権者がやる気がない場合、入れ替えるのは極めて困難です。実は、市街地問題は地権者問題です。そのことを非常によく示しているのがB市だと私は思っております。
#39
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、渕上さん。
#40
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 三人の先生方、大変御苦労さんでございます。
 まずは、黒川参考人にお伺いをいたしますけれども、地方の自立が進み、地方分権が進めば一番最初に問われるのは政治だというふうに先生言われておりますが、先生のイメージする政治が崩壊をしていき、そして新しい政治が生まれるだろうという期待をされていると思うんですが、どういうふうなイメージされておるのか、御紹介いただければと。
 次に、瀬谷参考人にお伺いしますけれども、地域の経済というのは、常に言われていることは人、物、金と、このように言われておりますけれども、いろんなお話聞いてみていて、金融は大変大事なことだということは分かりましたが、では、その人、物、金というものを地域経済の中で生かし切っている部分と生かし切っていない部分、こういうことが分かればお教えいただきたいと思います。
 最後に、藻谷参考人にお伺いいたしますが、現代の車社会における地域の活性化問題というのは車社会と切り離せないというふうに考えますが、その点どのようにお考えなのか。それから、いろんな、全国各地を回ってみて、いろんなところでいろんな活動がそれぞれなされていると思いますが、やっぱり経済、生き物ですから、人間の、人材の育成といいますか、これをどのようにやられておるのか、また先生はどのように考えておられるのか。以上、よろしくお願い申し上げます。
#41
○会長(広中和歌子君) それでは、まず黒川参考人、お願いします。
#42
○参考人(黒川和美君) 全く想定もしていなく、難しい質問をされてしまいましたので、ごめんなさい、いい答えが出るとはとても思えませんが、私は、今の国政に関して何か意見があるかと言われますと、国政は国の内側のことばかり議論し過ぎているというふうに思っています。どうして周辺の国々のことについてもっと関心を持って、地域のことと周辺の国々のことに関心を持って、その間の支えになっていただけないだろうかというふうに思っているという意味では、国政に携わってくださる方はできるだけこう、何ていうか、周辺の国々と直接結び付いて議論をしていただくことが望ましいと思っています。
   〔会長退席、理事朝日俊弘君着席〕
 ちなみに、アメリカの下院、上院の議員の方はほとんど国内問題に口を出すことはなく、そして国内の問題は州議会の議員さんたちが考えるというのが普通だと思います。我が国でも、地方の議員さんたちが地域のことを議論する、これは全く彼らに専門の領域であって、彼らに自主的な権限を与えていかなければいけなくて、政治主導になることはとても望ましいと思っています。つまり、国政レベルで考えることというのは、もう本当にその仕事の七割八割は外国とのかかわりを丁寧に考えることだというふうに思っていますというくらいで、大して見識はありませんので、お答えになったかどうか分かりません。申し訳ありません。
#43
○理事(朝日俊弘君) ありがとうございました。
 それでは、次に瀬谷参考人。
#44
○参考人(瀬谷俊雄君) じゃ、お答えいたします。
 地域経済のその人、物、金でございますけれども、まず人からまいりますと、例えばこういうことが言えると。
 地域というのは、言うまでもありませんが、農業とか工業、商業、サービス企業と、こういう集合で成り立っていると。そうすると、農業をとりましても、ほとんどが高齢化になりまして、ほとんど兼業であると。今の農業を営んでいるところが後継者がいるかというと、いないわけじゃないけれども、ほとんど後を継ぎませんね。実質崩壊しています。したがって、そのインセンティブがないんです、そこで働くと。
 次に工業といいましても、工業の方自身が先ほど御説明したようにどんどん空洞化して移転していますから、働き場所がないんですね。こちらも人の面で対応ができていないと。
 そして、商業についても、商店街が壊滅状態ですから、だれも、おやじさんはその中心街の地権者でもありますけれども、だれも息子や娘を商売の後継ぎにさせようと思っていないと。したがって、全部シャッター通りが並んでしまうと。
 そうすると、人、物、金の人の面で、その地域にとって今非常に悲惨な状態というのは、働く、雇用の口がないということなんですね。これをどうやってつくり出すかと。これが非常に大きな命題でございます。
   〔理事朝日俊弘君退席、会長着席〕
 それから、あと、次は物になりますけれども、物というのはこの場合では実物投資だと思うんですけれども、じゃ何をやったらいいのかと。通常にやったんではとてもじゃないけれども海外との競争力で負けると。そうすると、やっぱり技術集約的なもので何かちょっと生み出していかないととにかくそれだけの集積が図れないと、こういう一つのつらさがあります。
 最後に金でございますけれども、金というのは、今申し上げた人、物というのをつくっているその実体経済の言わばそのシャドーの部分なんですね。だから後ろで、バックでやっているというか、体で言えば、人と物が言わば人間の人体で言うと骨格であり肉であると。それに対して、血流というのは金融だと思うんでございますけれども、それは我々とすれば、その全体のさきの二つが解決すれば自ずから血液が流れていくものだと、こう思っております。今は流れないところを無理やり、どなたかおっしゃいましたけれども、毛細管を広げて血を無理やり注入しようと、それが、何というんですか、今の実態ではないかと、かように思います。
 以上でよろしゅうございますでしょうか。
#45
○会長(広中和歌子君) では、藻谷参考人。
#46
○参考人(藻谷浩介君) 御質問を二ついただきました。
 まず、車社会は地域にどういう問題を与えるかと。もちろん、世の中全体では、地球温暖化ですとかそれから交通事故ですとか、物すごい、もう目に見える問題があると思うんですけれども、地域の現場で、じゃ感じられる問題は何かと。
 一つは、車が社会化したのでショッピングセンターが増えたという御議論があるんですが、これは、先ほどのA市とB市のように、自動車保有率がほとんど同じで、しかも駅の利用者は八分の一のB市の方が市街地が栄えている例があったりというようなこと、枚挙に実はいとまがございませんね。必ずしも、車社会イコール市街地の不活性化とは言えません。それは、やはりそういう要因をはるかに超えて、先ほど申し上げた商業者の経営努力及びほとんど無視されている地権者の経営努力というものを導入するということでまだまだ改善できる余地があるからだと思います。
 他方、実は問題はありまして、歩かないです、車社会は。そうすると何が起きるかというと、実はいかなる車社会、アメリカであっても、人間は歩かないと消費しません。ですから、ショッピングセンターのように、無理やり車を降ろさせる仕組みをつくるんですが、これに大変仕掛けに金が掛かるために、それをつくれない中心商店街が先に疲弊するということは当然起きてくるわけです。
 つまり、人が歩かないということ自体が実は消費を不活性化させている大きな要因でありまして、もっと歩いている範囲で消費ができて交流ができるようなつくり方をするべきであるということは間違いないんです。
 ところが、実際には、地価が高いところに集まって住むよりも、低い、安いところに分かれて住んで車で移動した方が早いですから。人間どうしてもやすきに流れますので。車のせいというか、車がそれを助けることによって人間が分散して住んで密度が下がって、歩かなくなって相互に交流が下がる結果、実は気が付かないところで社会の活力が低下していっていると思います。
 さらに、余り言われていないことですが、車社会地域見ていて分かることは、実は子供が子供だけで歩かないケースが多いんです。子供が子供だけで歩いているのは不良だけで、まともな子供が親といつも一緒に動く。つまり、どこへ行くのも車じゃないと行けないですから、実は結構いい年の若者が親の車に乗って行動する。そうすると、実際、A市辺りでは若い人がつるんで歩いているのを見ることが極めて少ないという恐るべき事実があります。
 実は、これはちょっと言い掛かりのようかもしれませんが、ライフスタイルの問題ですが、やはり車社会であっても、子供は子供で自転車や徒歩で動くということを、車とは別にやはり促進するということは必要だと思います。つまらないことを申し上げました。
 で、人材育成の話でございますが、やはり日本の人材育成は、いろいろと皆さんが文句を言われますけれども、やっぱり諸外国と比べると、基礎的な読み書きそろばんをきちんと鍛えていると思いますし、それから、要するに平和主義でいたずらな対立をしないとか、優れた教育をしているのではないかと私は思っておりますが、ちょっと欠けているものがあるとすると、やはり、経営の技術というものについては一般の教育課程からすっぱり消えていて、企業のOJTに任されておりました。ですが、OJTがなかなかきちんとできにくくなっている。加えて、経営そのものが新しくなっているために、企業内には新しい経営ノウハウがもうないというケースもあります。
 そこで、アメリカのコミュニティーカレッジのように、低所得者であってもきちんとした経営が学べて中流になれるというような仕組みを日本でもいずれつくっていかなきゃいけない。それは、要するに、難しい大所高所の経営ではなくて、簿記会計から始まって、しゃべり方、話し方、人の使い方といったことを、実際にやった人間がやる人間に教えるという、いわゆる従来の教授の世界とは違う仕組みがいずれ出てこなきゃいけない。
 重ねて申しますと、それは資格では全くございません。人を使う士というような資格はございませんで、資格に一切関係のない経営技術を教えるということが今実際にはNPOの形で始まっておりまして、私自身はそういうものをどんどん育てたいと思っております。特にコミュニケーションに関して、人にコミュニケーションをする技術というのはやっぱりこれからだと思っております、私も含め。
 というようなことで、雑駁な話になりましたが、ただ、地域でいろんなNPOやコミュニティービジネスをしているところが、イコール交流の場であり人材育成の場になっているという抜き難い事実がございまして、近年、いろんな使途の薄い、地域に与えて、ばっと与える補助金のようなものが増えてきて、そういうNPOの活動支援にわずかな金として流れることにより、モラルは壊れないけれども活動が活性化しているようなことが散見されるので、大変すばらしいことではないかと私は勝手に思っております。
 失礼しました。
#47
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、小野清子君。
#48
○小野清子君 自由民主党の小野清子でございます。お三人の先生、本日はありがとうございました。
 昨日から資料を拝見しておりましたので、ちょっと意識の中に残っておりますが、藻谷先生の書かれたのを読んだのか、今探しているんですけれどもちょっと出てこないんです。
 申し上げたいことは、中心市街地が今非常に疲弊をしておりまして、駅前も繁華街というものが非常に寂れております。これはもう日本じゅうあちこち行きまして、特にそういう感じがするんですけれども。それが突如郊外の方に移りまして、大きなショッピングセンターができまして、そちらでにぎわっている。ところが、これはいずれ疲弊するのではないかという御意見が書かれたのがございました。
 疲弊して大変なことになるというその理由は、なぜそういうことになるのか、どうしたらそれが止められるのか、止められないのか。また、市街地の大手術を今後しなければならないのかどうなのか、その辺を是非お伺いしたいと思います。
 黒川先生のこの書かれた中、そして本日おっしゃっていただいた中にも、生活の中で国際化をして、東京を経由しないで国際化が進んでいくということ、正に日本の高速道路というのは、本当にちょっと離れたところへ行くとがらがらなんですね。ああいうところがもっと効率良く使われていくためには、人、物がどんどん動かなきゃならない。
 そうすると、お互い苦しい中では、それぞれの地域同士の動きというのはどうしても、寂れてしまった場合に、先生おっしゃるように外へ出ていきなさいという、これに対しての何がブレーキになっているのか。我々政治家が悪いというお話もさっきちらっとございましたけれども、何がブレーキになっていて、何をどうすればそういうことに対しての芽が出てくるのか、その辺をお願いいたします。
#49
○参考人(黒川和美君) 今、小野委員の御質問でちょっと思い付いてしまったことがあります。
 私は、こういう都市連携の議論をするようになったのはすごく不思議な経緯からです。今から四年前、三年前ですか、バーゼルというところですね、バーゼル・ユナイテッドのサッカー場に行ったときからこの種の議論というのは考えるようになっていまして。
 バーゼル・ユナイテッドのサッカー場には老人福祉、老人ホームというんですか、が合築されています。ワールドカップを日本でやろうとしていたときに、日本でもサッカー場を造るのに、サッカー場だけを造って非効率ではないかという議論があって、何かユニークな施設がないだろうかって議論されていて、藻谷さんのいらっしゃる政策投資銀行に傍士君というのがいまして、彼がバーゼル・ユナイテッドのサッカー場を見に行くといいぞと言ってくださった。
 あるとき、ドイツに行く機会があって、そのサッカー場に行きました。お年寄りばかりがおよそ数百人入っていらっしゃる。私たちが行く前は、サッカー場に老人ホームがあると週末になると孫たちがやってきてお年寄りは寂しくならないから、だから合築したんだという説明を日本的に伺っていたんですよ。
 向こうに行って、周りにだれも英語を話す人がいなかったんですが、そこに併設されているショッピングモールのインフォメーションの女性が、あの老人ホームの入口で待っていると何とかなるかもしれませんよと言われて、待っていたら、犬を連れて帰ってきたおばあちゃまがいらして、この方に英語で話し掛けたら英語がぺらぺら。英語がぺらぺらのおばあちゃんに説明をしたら、私がこれから皆さんに電話を掛けて、わざわざ日本から調査に来たんならインタビューさせてあげましょう、十五人ぐらい、おばあちゃまばっかり、男性一人でしたが、集めていただいた。
 で、皆さんはどうしてここのサッカー場に、合築したサッカー場の老人ホームにいるんですかって伺いました。皆お金持ちで時間に余裕があって、私たちはここにサッカー場があるからいるんであって、サッカーが大好きなんだと。バーゼルユナイテッドといったらスイスでは断トツに強いと、必ずヨーロッパチャンピオンシップに出ると。そうすると、チェルシー、とにかくイギリスとも試合をするし、スペインとも試合をする。みんな飛行機に乗ってヨーロッパじゅうを走り回って応援に行くんだと。老後、こんな楽しいところはないですよという、全く逆の、高齢化すると自分の本当に楽しいことを追い求めることができる、そのベストの、それをスポーツを介在しながら、ベストの、何というか、場所はこのバーゼルユナイテッドなんですよって。
 そのことを聞いたとき、すごく私はショックを受ける。高齢化社会で貯蓄を一杯抱えたお年寄りの人たちがいて、彼らが消費量を拡大していくのに一体どうしたらいいんだろうかって考えているやさきに、何だ、日本は外国の事例を読むときに間違った解釈をしていたじゃないか。もうお年寄りたちは、サッカーを楽しむためにヨーロッパじゅうを走り回れるような、そういう交通環境のところに自分たちの身を置こうとしている。国境なんか越えているんです。定住でも何でもありませんよ。一番魅力的なところに身を置こうとしていて、また売れたら、何年かたったら違うところに移ってもいいって思っていらっしゃるんですよ。十五人の方ほぼそうだったんですよ。
 これが私の一番驚いたことで、日本ももう少し消費を豊かにすることから町づくりと、これから日本は圧倒的にお金持ちのお年寄りが増えてくるんだから、彼らの行動様式をどういうふうに取り込んでいくかということから今日の議論をしているわけで、それは、日本は消費水準が低下していて、貯蓄はたまっていて、こんなにお年寄りがいるという環境の中から今日の議論は相当構築しています。
 今、小野委員がそういうふうに質問していただいたので、スポーツのこと、ちょっときっかけを思い出したということですけれども、本当に私たちは、日常生活を国際化するというイメージとか、スポーツをもっとアジアと一緒にやるというイメージとか、ここでワンランク上げるということが日本の経済をワンランク上げることなんではないでしょうかというのが基本的なお話でしたということで、御質問とは全然関係ないことを答えたかもしれませんが、そういう感覚を持っていますということです。
#50
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、松あきら君。
#51
○松あきら君 本日は、お三方の先生方、お忙しいところ大変にありがとうございます。
 まず、藻谷先生、私もマーケティングということはとても大事だというふうに思っているんですけれども、十六ページに「地域の需要に密着し、大もうけせずとも良い中堅・中小・零細企業が、優れたマーケティング力を備えることで、」というふうにありますけれども、この優れたマーケティング力を備えるためにはどうしたらいいのかという点をお尋ねしたいと思います。
 それから、瀬谷頭取には、地銀で御苦労なさっていらっしゃると思いますけれども、やはり地域の中小あるいは中堅零細企業の方々の融資だけではなくて、先ほど実質的な経営指導と。これも大事だと思っていますけれども、それも、マーケティングということも含めたそうした経営指導あるいは経営サポートということも大事なんではないかというふうに思っておりますけれども、その点を伺いたいと思います。
#52
○会長(広中和歌子君) それでは、藻谷先生からお願いいたします。
#53
○参考人(藻谷浩介君) 今、本質的なことをお聞きいただきました。マーケティング力を付けろと口で言いますが、マーケティングというのは、実は日本では広告宣伝と勘違いされている面がありまして、英語で言うとアドバタイジングを日本ではマーケティングだと思っている方がいらっしゃいます。マーケティングという横文字は本当は私は使いたくありませんで、なるべく逐語訳で日本語に直します。日本語に訳すとき、私は商品開発力と直しております。販売力ではございません。本当の販売というのは、売れないものを売ることではなくて、売れるものを開発することでございます。
 商品開発力を増やすためにはどうしたらいいか。実は、商品開発力を増やすためには、特に大手企業に対抗してすき間を埋めていくためには、実はすき間の需要が分かっていなくてはいけません。逆に言うと、すき間の需要が分かっている人は必ずそれに対応する商品開発ができます。
 最近の例でございますと、ある地方都市の企業の跡取りの方が畑違いの福祉機器に進出されました。その方は、たまたま、たまたまお子さんが一人、足が不自由でいらっしゃいました。そのために自分で福祉機器をいじっていると、世の中の人が、足が不自由じゃない人が考えて作ったものはいろんな不便な点があるということに気付かれた。たまたま彼はそれを直すような手配ができる立場にいた。そこで、自分で直して、具体的にこういう症状の人にはこれがいいですよというような福祉機器を開発して、それを実際リースする商売を始めたところ、全国に展開しています。
 つまり、自分自身としてそのニーズを一番的確に実感できることをやらなくてはいけない。では、残念ながら既存の事業者はそうではありません。例えば、観光旅館の場合、一番の問題は、旅館経営者ほど旅行をしない人はいないということです。特に、個人で全くというほど旅行されません。それは板前さんがカップヌードル食べている人がいないのと逆に、ほとんど自分で旅行されないので、毎日旅行している一部の金持ちをもてなせるはずがございません。
 そこで、実は優れた旅館の経営者を見ていると、必ず自分で無理やり休みを取って自腹で旅行しています。大変な額を投資として掛けています。そういうふうなノウハウを自らに課すということを、貧乏な中にも少ないお金を投資するということを広めることで目に見えて業績は実は変わってくるんですね。
 つまり、マーケティングの、商品開発のポイントとは自らが消費者であることです。そのことであるがゆえに、大企業よりもはるかに早くこういう世界に入っていって、ラーメン屋に典型的なんですが、ラーメン屋でラーメン好きな人はやっぱりラーメンにうるさい人ばかりです。自分の、己の味を売ることによって、大量生産品よりも八倍も十倍も高いラーメンを現実に行列を付けて売っている人がたくさんいるんです。それがやはり豊かな社会における新しいノウハウであると私は思っております。
 ちょっとお納得いただけるかどうか分かりませんが。
#54
○参考人(瀬谷俊雄君) お答え申し上げます。
 今は、どのような具体的な人的支援ということで中小零細になしてやっておるかという御質問でございますけれども、今ちょっと思い立ってリストを挙げてみましたら、うちから派遣している中には、大変、大学の副学長もおりますし、それから県内の重大病院の事務長、あるいは実質的な副院長は全部私どものOBでございます。あとはクリーニングの大手もおりますし、建設会社のナンバーツーなんてざらにおります。それから第三セクターの支配人もおります。ちょっとこれは危ない席なんですけれどもね。それから旅館の実質社長もおりますし、それから、あとはタクシー会社の専務とか、とにかく列挙しますと多種多様な業種にわたりましてやっておると。そうすると、元々どんな御商売でも、それは御商売独特のノウハウもありますし苦労もありますと。
 そうすると、銀行員は元々資金管理のプロとして行ったはずなんですけれども、もはやそれにとどまらず、営業の中心までどんどん立ち至ってくると。したがって、今挙げた先輩方も二年や三年じゃなくて、五年、十年にわたりまして、もう向こうの人になり切りまして、場合によっては我々の銀行に対して非常に銀行に不利なような話もどんどん持ってくると、まあそのぐらいになっておるんですよ。それが実情でございます。
 ただ、企業規模によりまして、零細になりますとなかなか、従業員五人だとか、年商何千万のレベルになりますとそこまではいきませんので、これは私どもの支店長、支店長は実質的にお客様の御相談相手やっておると。
 うちは大ざっぱに二万社お取引があります。二万社といっても別に驚くことはないと。百か店あれば、そのうちの主要な二百社だけ取れば十分それに対応する数でございますから、要するに私どもの考え方を十分支店長諸君がこれをちゃんと物にして、リレーションシップと、つまり、企業というのはいいときも悪いときもあるんだと。そういう長い時間軸の間で、悪いときに面倒見させていくのが地銀の本来の姿なんだと。それをすぱっとある時点で取って、はい、あなたのところは破綻懸念先、あるいは君のところは実質破綻先と、それでさっさと処分するというのは私は絶対それはやらしちゃいけないと、こう信じています。
 ただ、ややもすると中央の行政は数値目標を与えてばさばさと切っていくと、そういうふうになり掛かっておりますので、我々の地銀、地域金融機関はそうじゃないということを一生懸命説明しながら、何とか数値目標を入れないでリレーションシップと。見ようによっては資本主義じゃない、君、そんな情緒的なことをやっておっていいのかとしかられそうですけれども、それなりにうちがちゃんとやっているんだから文句言われる筋合いないだろうと。いや、僕らの方、これで公的資金をもらっているとか赤字を出しているとか格付が低いならこれできませんけれども、体力があるんだったらば、こういう時期にそれを支えていくということも非常に重要だろうと。そして、毀損し掛かっているものを、それをきちっと支え抜いて、やがていずれ両先生がおっしゃるような新しい理念での町づくりなりなんなりができてくるまでそれを支えなくちゃいけないと、こう思っておる次第でございます。
 よろしゅうございますでしょうか。
#55
○松あきら君 ありがとうございました。
#56
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、広田君。
#57
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。
 本日は、三人の参考人の先生方、誠にありがとうございました。
 まず、黒川参考人の方に御質問をしたいというふうに思います。
 先生が提唱されております二層の広域連携、私も全く同感でございます。そうした中で、ただ、一方で現在のこの日本という国のあらゆる面の交通体系というものは、交通マップを開ければ分かりますように、本当に東京中心にそれが放射線のようにすべてが形成されております。
 そういった中で、確かに白いキャンバスに広域連携の形をつくっていくというのはできるかもしれないですけれども、今のこの現状を、どういった過程、プロセスを経て、先生が言われるような方向性に変えていくべきなのかということと、そしてまた、これはこれまでの政策の反省点も含めてなんですけれども、地方の場合、十年ぐらい前でしょうか、地域連携軸というものをそれぞれの県が立てて推進をいたしました。例えば、中四国では高知から米子まで結んで、そこで経済を活性化させるということだったんですけれども、これがなかなか具体的な成果というふうなところで見えてきておりません。と同時に、その地域連携軸を進めると同時に、拠点都市構想ということで、近隣のそれぞれの都市が、どのようなまた、これまたその域内での連携ができるのかということも取り組んだわけなんですけれども、これまた計画倒れというところまでは言いませんけれども、期待されたような効果が上がっていないのが現状ではないかなというふうに思います。
 そういったことを踏まえて、こういったこと、一体何が足りなかったのか、そしてそれを踏まえて今後どうするべきなのかということをお聞きをしたいというふうに思います。
 次に、瀬谷参考人の方に、私も高知県出身でして、冒頭の福島県の地域経済の現状のお話については同感で、また身につまされる思いでお話を聞いておりました。
 そうした中で、おっしゃられるように、不良債権処理という言葉は、処理という言葉、非常に私も余り好きではなく、本当にできれば、おっしゃっているように漢方薬的になるかもしれませんけれども、企業を再生をさせて、結果として不良債権を減らしていくということが一番最も望ましいところだというふうに思います。そうした中で、そういう銀行側の取組だけじゃなしに、税制面でのバックアップということを考えた場合に、企業の再生を目指す税制を含めた環境整備ということについて、具体的にこれは是非国の方としても取り組んでほしいというものがございましたら示していただきたいというふうに思います。
 最後に、藻谷参考人の方に、少し高知のことも褒めていただきましてありがとうございました。
 一方で、先ほどの瀬谷参考人の冒頭の御説明の中で、大手企業、例えばダイエーの撤退によっていろいろなまた問題が生じてくるというふうなお話がございました。うちの高知も例外ではないんですけれども、ただ、今地元では非常にそれを危機感を持って取り組んでいるというのは大変分かるんですが、と同時に、これを新しい町づくりのチャンスであるというふうに一方で考えることも大事じゃないかなというふうに思っております。
 そうした中で、急に今は撤退というものが決まって、今後そのような対するところのやっぱり事業主体としては、どういった分野の方々が活動されることが望ましいのか、そうした中で政策投資銀行としてどのようなバックアップ等ができるというふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
 以上です。
#58
○参考人(黒川和美君) 広田委員の御質問は、一杯今まで同じような議論があって失敗しているじゃないかということですよね。これは基本的に、つまり霞が関で考えて、日本の国土全体をこういう役割分担をしようと割り当てたところにあります。
 で、今日、私は、最初からキーワードはポリセントリシティー、ポリセントリシティーという言葉遣いは何も都市と関係がなく、たくさんの中心というだけなんですね。ポリセントリシティーという言葉を辞書で引いていただいてもなかなか出てこないかもしれませんが、英語でほかの意味で言うとスポンテーニアスオーダーという、自生的秩序という意味なんです。無理につくるのではなくて、いつの間にかでき上がってくる。何か秩序を上手に、こう何ていうか、行政は、金融でいうとメザニンというんですか、ちょっと肩を押してあげる、中二階ぐらいのところから肩を押してあげて動きやすくするようなメカニズムですね。
 それを上手に見付けてくることが必要だというふうに私は思っていまして、例えばの話ですけれども、今その何か拠点都市構想とかそれから地域連携軸とか、軸は失敗したかというと、イメージはそのまま残っていて、東海道メガロポリスとか中部圏とかそれなりに残っているところもあるのではないかというふうに思いますけれども、それは初めから書かなくても残りそうだったところですよね。
 で、書いていたのに、つまり予想外の動きもたくさん起こっています。例えば東京とかロンドンとかパリとかに共通に起こっている、大都市に共通に起こっている問題があります。それは放射状型、ラディアス型の交通体系というのが、例えばその利用者の数が大幅に減っているということです。八王子から新宿に向かう利用者は、中央高速道路にしたって、それから中央線にしても利用者は減っています。にもかかわらず、セコンドベルトと言われている横に走る道路、圏央道はこれからできてきますけれども、十六号とか横浜線とか武蔵野線とかというのはどんどん利用者が広がっています。こういうのをセコンドベルトディマンドと言っています。世界じゅうの大都市はモノセントリックに一生懸命つくろうとしてラディアス型の交通体系をつくりましたけれども、外側のところの人たちは横にはつながっていきますけれども、縦の利用は自動的に減ってくるという構造になっています。
 首都圏でいえば、業務核都市分散ということを一生懸命やって、これは国の政策どおりだったかもしれませんが、明らかに横浜は自立しています。どちらかというと、東京圏から離れようとしています。かつては、横浜の人たちは昼夜間人口比率は〇・八とか〇・七八とかという状態だったですが、今、横浜の東京との関係でいう昼夜間人口比率は〇・九一まで。どちらかというと、東京側から横浜に働きに行く人も増える環境になっていて自立傾向にあります。
 こういう、こう何というか、外側は少しずつ自立していて、これを説明するのに、みんな一時間、一時間半掛けて中心地に働きに行くということ自体が、豊かな時代で、もうみんながもう嫌だと思い始めていること。で、どちらかというと、四十五分以上同じ交通機関に乗ることはもう拒否し始めているというのは世界の趨勢でもあります。
 近いところでできるだけ密度を高く充実しようというのが一つの動きになっているというふうに私自身は東京の例を見ても認識していまして、できるだけ近いところで高密度で高品質の生活を追い掛けるような体制がこれまでの時代に合っている流れにあるので、それを全体としてこういう都市連携と二層の広域という議論をしながら考えてテーマとして出しておくと、いろんな方が乗りやすくて、だけれども、それぞれ違う形のものをつくることができるのではないかと思っていますということです。で、これは都道府県単位とか、国から県を通じて計画をお願いするというような世界のものでは全くなくて、どういうふうにこう秩序というか、人々の流れが動いているかということをよく見定めるというところから議論し始めるんだと思いますけれども。
 御質問に適切に答えたかどうかちょっと分かりませんが。どうもありがとうございます。
#59
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 瀬谷参考人、お願いします。
#60
○参考人(瀬谷俊雄君) ただいまの御質問については二つ側面があると思います。一つは税制面の問題でございますけれども、その前に、今我々がやっている一つの非常に面白い会議があるんですけれども、会議といいますのは、今月の二十八日に金融庁におきまして年度末金融の円滑化に関する会議が開かれます。これは主務大臣以下副大臣皆様全部おそろいになりまして、出席は全金融機関の代表者がこれ出席を要求されます。これはもう随分やっておるんです。
 私自身はこの問題につきましてはこう思っておりました。一体こういう問題は、私的セクターにある者について、その貸し渋りだろうが何だろうが、これを行政の方からこういう命令を掛けてやらなければ末端の金融は目詰まりを起こしていると、こういうことは一体何なんだろうかと。しかも、こんなことは一回やれば、二回三回やるべきもんじゃないと、毎度毎度やっていると。ということは、依然この金融の問題についてどっかで目詰まりが起きているんだろうと、こう私は思わざるを得ないと。
 それで、この問題を税制の問題に入る前にちょっと一言申し添えますと、やはり今非常に我々は金融庁に対して厳しい資産の健全性を要求されていると。金融庁の検査も厳しゅうございます。となりますと、やはりいったんその正常先から、やや専門的な言葉で恐縮でございますけれども、ちょっと要注意先と、要管理先と、破綻懸念先と、をしている下に相当額の引き当てを積まなくちゃいけませんし、またそれに対して追加で融資するということは非常に困難になる。なぜならば、もしいったんその破綻懸念先に陥った企業に新たに一億円を融資しようと思うと、一億円融資すると同時にその七割、七千万を引き当て積まなくちゃいけないと、そういう過酷なことになるわけですが、そういうふうなシステム的なものをほうっておいて、どうも形式的に貸し渋りを云々しても始まらぬのではないかと。だから、この辺の問題については、一つの金融行政に対する一つの批判といったらなんでございますけれども、まあ私は、していると言っていますから構いませんけれども、こういう問題があることはひとつ御承知おき願いたいと思います。
 その次、税制でございますけれども、それは我々が企業再建上もっとやりやすい方法はいろいろあるのではないかと。これは御指摘のとおりでございます。
 例えば、部分的に直接償却を認めてくれとか、あるいはこれからの企業再建については全く我々は血を流さずに済むわけじゃございません。一番きちっとやるんだったらば法的整理で、例えば民事再生法に持っていくとか、それが一番妥当でございますけれども、ある程度の先になりますと、今度我々の方が自ら債権放棄をしなくちゃいけないと。債権放棄して血を流していくと。ところが、債権放棄しましても、放棄を受けた非常に難しい企業に対して、それは一種の贈与であるから課税をすると、こういう硬直的な話が出てくるわけですね。それは、私的整理に伴うガイドラインに沿いまして、我々は、そうじゃないんだと、再建計画を立てて、そのために我々は債権放棄をするんだからこれは別だということで、その都度争ってやっておるんでございますけれども、もう少しそういうものについて血の通った税制をひとつ考えていただきたいと。
 もちろん、それは金融、税制の一体化と同時に、金融、我々金融セクターとしては金融庁を通じて財務省の主税局の方に何度もアピールしていますし、今の石先生の方にもいろいろそういうことについては十分申し上げまして、いずれ少しずつでも実績を取っていくということを考えておりますので、いずれそういう効果は出てくるんだろうと思っております。
 以上でよろしゅうございますでしょうか。
#61
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、藻谷参考人。
#62
○参考人(藻谷浩介君) 今具体的に話が出ております一部地域からのダイエーさんの撤退について、その後をどうするかという御質問でした。
 ダイエーと聞くと、やはり全社的にということが当然皆さんお考えだと思いますし、手前どもの会社にはそれをやっている部隊もおります。
 ただ、私、その会社全体のことを語る立場にも見識もありませんですが、私がこの話を聞くと、実は具体的に、あっ、高知のあのダイエーのあの場所で、あの横がこうですねと、徳島はこうだと、丸亀はこうだというのが浮かんできます。また、そういう人間もいるというのが我が社の特徴でございますので、非常に具体的なコンサルとして考えるということを現場ではやはりやります。そのそれぞれの特性に対応して何を入れることが結果的に後でフィージブルかと。
 ところが、なかなか全くその採算性が立たない計画が最初から出てくるケースも結構あります。その場合に、結果的に、議論しても通じずに御協力ができないまま終わってしまう悲しいケースもあるわけでございますが、高知のようなところはなるべく前広にお付き合いをするように頑張っておりまして、ひろめのように、ひろめ市場でございますが、手前どもが御融資をさせていただいたというケースもございますので、いろんなことを工夫していくと思うんですが、その際にやはり事業主体として絶対に入らなきゃいけないのは地権者でございます。
 従来の開発ですと、地権者から土地を買って、それを、彼らは出ていってもらって、ほかの人が考えるというやり方をしておりましたが、残念ながら、地権者を外してリスクを取らずに地権者からお金を差し上げて開発することはできません。高知の著名な成功事例でありますひろめ市場の場合も地権者が御協力をいただいていると、いろんな理由はありますけれども、ということがスタートラインでございました。
 そして、その次に、やはりあそこの場合、商業地でございますので、いきなりマンションにしてしまえばそれは売れると思うんですが、やはり全体の商業地の繁栄を考えますと、やはり商店が参画しない開発は高知の場合はそれはもうあり得ない。そのときにやはり、ひろめもそうでしたが、ベンチャーの商業者がたくさん入ってまいりましたが、帯屋町の場合、ちょっと具体的な地名で申し訳ありませんが、そういうふうにしか物を考えない人間でございますのでお許しいただきたいと思うんですが、そういうものの積み上げの上に全体の繁栄があるという考えでございます。帯屋町の場合、高度な商業を入れなきゃいけない。そうであるとするならば、やはり高度な商業を出してくれる人でだれか参画を募らなきゃいけない。
 更にそれに加えて、ひろめの場合もそうでしたが、商業者でも地権者でもない、何か地元の企業で、ある程度マネジメント人材を出せるような人たちが参画をしなきゃいけないと。
 その次に考えるのが公共でございまして、まず公共体が何かしろと言う前に、少なくとも地権者と商業者とその他民間事業者の、最終的にやるかどうか分かりませんが、研究、コンソーシアムをつくらなくてはなりません。
 そういうところにかかわりながらスキームを練らせていただいて、仕上がりとしては、もちろん上がマンションで下が店という徳島のような例もあり得ると思いますし、あるいは場合によっては、ALCOのように二層建ての商業ビルにしてしまって、上層階をあえて借地で使わないという考え方もあると思うんですよ。既に成功例が高知の中に多々あるわけでございまして、そういうふうなことを組み合わせながら考える。その際に、恐らくホテルをあれ以上増やすのは難しいだろうとか、そういう具体的なことを考えながら御協力をしてまいることになるかとは思います。
 お答えになっているかどうか分かりませんが。
#63
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、岡田広君。
#64
○岡田広君 自民党の岡田広です。
 参考人の皆さん、本当に御苦労さまです。
 瀬谷参考人にお尋ねをしたいと思います。
 地域、福島のお話、伺いました。地域経済の活性化の中では当然交流がキーワードだと私は思っているんですが、そのためには、社会資本の整備、重要なことですけれども、先ほど小池委員さんから徳島は高速とか新幹線とかこれからだというお話ありましたけれども、福島はこの高速も新幹線も、そして福島空港、整備されていますけれども。
 私、福島空港、福島の人口からすると、福島空港というのは駐車場無料と聞いていますが、非常に利用率高いということで、九州の佐賀空港と比べて大変申し訳ないんですが、福島は大変効率よく健闘していると、そういうことが出ているんですが、この空港が福島経済に及ぼす影響というのはどういう形なのか、これを一つお尋ねしたいと思います。
 なぜこういうことを聞きますかというと、福島の人口が平成七年二百十三万が十五年二百十一万ということで、二万人減っていますけれども、企業の倒産件数というのは建設業とか卸・小売業で七〇%、そういう中で、例えば、私、茨城県なんですが、日立はもう二十四万あったのが今十九万割ってしまって、日立製作所厳しいということで、どんどん人口がやっぱり雇用の関係で流出、減っています。
 そういう中で、福島の人口の減少割合は比較的なだらかというような感じがするんですけれども、これは雇用の場がかなりほかにもあるのかどうか、こういう点について一つお尋ねをしたいと思っています。
 それからもう一点は、これもう、ちょっと話すると長くなりますからしませんけれども、先ほど出ました郵政の民営化につきまして、私、ある県の公聴会に出まして、農協の会長さんが出られて、農協はトータルで組合員ということでサービスをしていますので、民営化、貸出し業務に郵政が参入しても競い合いますという、大変私もびっくりする答えいただいたんですが。
 当然、これは金融から見れば民業圧迫ということで、膨大な資金を背景に貸出し業務に参入する、それは当然、参入する場合にはもう条件は正にイコールフッティングということになるわけですけれども、そういう中で、困るという、多分金融界の考え方、そうだと思うんですけれども、公社のままでいいんじゃないかという意見も含めて、これについて簡潔にお答えいただきたいと思います。
 そしてもう一つ、藻谷参考人にお尋ねしたいんですが、郊外の再編集という中で、農地規制緩和で田畑付きの豪邸街に変えていくということが書かれていますけれども、私も実は市長時代に、耕作放棄地等を利用しまして年金で暮らせる健康まちづくりということで、調整区域の農地を開放、規制緩和をしてもらって、百戸なり百五十戸の、当然田畑を耕作をするという条件付でそういう住宅街ができたらいいんじゃないかという考え方やって、随分国と折衝したんですが、なかなか規制がありましてこれは難しいんですが。
 この豪邸という考え方じゃなくて、私は年金で暮らせる健康まちづくりという、そういう考え方なんですが、なぜ豪邸なのか、この点について、これも簡潔にお尋ねしたいと思います。いや、ほかの質問でする方いらっしゃると思うんで。
#65
○会長(広中和歌子君) 瀬谷参考人、お願いします。
#66
○参考人(瀬谷俊雄君) まず、空港効果でございますけれども、これは一定規模では認められますけれども、先生おっしゃるように、さほど私は搭乗率がいいと思いません。現に撤退したエアラインもありますし、それからあと、国際線につきましては週何便かでございますけれども、やっぱり、ちょっとこうなりますと具合悪いものですから、やっぱり人為的に我々がその需要をつくり出して乗ってあげていると。私も自慢じゃないけれども上海など何回行きましたかね、皆さんを引率しましてね。若干そういうつらさはあるんです。
 向こうから見れば、なぜ福島かということ自身がよく説明できないんです。つまり、上海とか北京からいらっしゃいましても、まあライバルは仙台でしょうね、仙台と多分成田ですけれども、大都市圏に行った方がいろんな情報もあるし、第一、秋葉原に近いじゃないかと、家電製品買うのに。何で福島で降りないかぬのと、こういう問題ありますので、決して前途は波平らかではありません。
 二番目、雇用の場でございますけれども、それは相対的な問題で比較的人口が穏やかではないかと。
 確かに、福島県は日立ほどの大きな、強大な企業城下町じゃなかったんですね。がゆえに、それがマイルドだということもあるし、あともう一つは、転出と転入あるいは出生ですね。うちの支店長は、うちのことを言えば、意外に子だくさんが多いんですよ。三人というのが結構多いんですよ。私は二人しかいませんけれども、もっと頑張れと言っているんですけれども。ちょっとそれは、そういうことを入れますとそういうものもあるのかもしれません。
 三番目、そのポストバンクの問題でございますけれども、先ほど農業の組合長さんのお話は、その組合長さんは実態を御存じないのだと思いますよ。状況認識が間違っているかもしれません。そんなに農協の自身が本当に安泰かどうか、全体の、今のザ五連と言われている中身を一つ取ってみても、実は驚くべきものがあるんですよ。そんなことを言っている場合じゃない。それは、その方は間違っています。
 それから、じゃどうしたらいいかという部分につきましては、もうそもそも郵貯民営論が間違っているんですよ。まず、じゃどうしたらいいんだと。公社なんて必要ないと。公社はこのまま国営ですけれども、凍結しておいて規模の圧縮を図るべきでしょうね。だって、恐らく名寄せも満足にできていないんですから。現に、私が郵便局行って言ったら、いや、うちとここでは、東京と仙台では郵政規模が違いますから全然問題ありませんよということを平然と答えるわけですから、窓口の人が。だから、もう預入限度を超えて幾らでもできちゃうと。それが現実の姿ですよ、こんなことをここで申し上げていいのか分かりませんけれども。そういうわけで、私は、凍結して、民営化ということは進めるべきではないと。
 どっちみち、郵貯問題も三つありますね。一つは言わば本来の郵政の問題です。その次が言わば郵貯の問題あり簡保の問題、三つ分かれますけれども、一番最初の問題は、これだけテクノロジーが進むんですから、いずれもう、何ですか、そういう郵便というものの存在自身は年々歳々もう薄れるばかりだ、幾ら年賀はがきやったってもう間に合わないと。こちらはもうビジネスモデルはないわけですよ。あと郵貯と簡保については、恐らく今の展開上、将来的に民営化したら成り立たないことは必至でございますから。そういう御理解をいただければ。
 思い掛けない機会にPRができまして誠にありがとうございました。
 以上でよろしゅうございますか。
#67
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、藻谷参考人お願いします。
#68
○参考人(藻谷浩介君) 大変説明不足の紙を札にして最後に付けまして申し訳ございませんでした。
 私がここに書きましたのは、実は調整区域を念頭にしておりませんで、住専、一種住専、二種住専のいわゆる遠郊外に建った住宅団地のことを念頭に書いておりました。したがって、調整区域の開発規制を緩和するかということに関しては、特に見識はないんですが、私の一般的な意見としては、しない方がいいのではないかと思っております。
 ただ、実は、郊外の戸建て地区というのは、御存じのとおり、団塊の世代の方が親から土地を相続できません方が非常に多かったので大量に売れたわけでございますが、実は、もうそれ以降、親の数に比べてお子さんの方が多い世代というのがほとんどございません。そのために、実は景気に関係なく新しい新規の住宅開発地は売れないという現象が起きておりますというのが私の考えです。住宅が売れれば景気良くなるんですが、景気が良くなったら売れるというふうにはならない。なぜならば、相続で家が持てる人が圧倒的に増えているからです。そこで、遠郊外に団塊の世代及びそのちょっと下の世代が集中的に買ってしまった団地から交通が不便なところが余っていくという現象が既に起きていまして、その地域の社会の問題になっております。
 これは本当にアイデア倒れのつまらないことを書いてしまったんですが、一つ逆に、遠いからといってそれを価値と感じる、退職して非常に元気で、たまに都会にもすぐ、一週間に一回はぽっと遊びに行きたいよという人が例えばもっとゴージャスな住環境を大都市圏で手に入れるというネタとして使えるのではないかというようなことを生煮えのアイデアで書かせていただきました。
 失礼しました。
#69
○岡田広君 ありがとうございます。
#70
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 次に、小泉昭男君。
#71
○小泉昭男君 私は神奈川の小泉昭男でございますので、誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 先ほどからの三人の参考人の方々の御意見、本当に勉強になりました。私は、地方分権についてかなり自分なりの持論も持ってきたつもりでおりますけれども、今、日本の人口バランス、黒川参考人が先ほどお話しになっていた内容の中にあると思いますが、この日本の人口がもうどうしても減っていくというお三方のお話のようでございますけれども、この中で、最低限これだけは割ってはならないという数字、大まかな年代別のそのお考えをちょっと伺いたいなと思いますし、あと都市の再生、地方の再生のキーワード、これは何であろうかという。
 私は、瀬谷参考人のお話の中にもございましたが、この観光地の活性化、福島では飯坂温泉、一時は芸者さんが三百人を超えると聞きましたけれども、昨年、一昨年伺ったときに三人と聞きました。大変な変化だなと思いますけれども、これから地方がもっと個性を持って魅力を発信していかなくちゃいけない時代かなと、こういうふうに思います。
 そういう中で、黒川参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどの都市の再生、地方の再生のキーワード、これを具体的にお示しいただければなと。
 それと、道州制が声高に叫ばれることも時々聞きます。北海道が道州制に移行しても全く問題ないではないかという、こういう意見もございますが、先ほどのこの資料の五ページの八つの区別ございました。この八つの区別の中で、将来道州制としてはどのぐらいの区割りが一番理想なのか、この辺のところを伺っておきたいと思います。
 それと、あと、藻谷参考人の御意見の中で、いろいろ活性化する都市、支援していく町、こういうお話ございました。私は、あるときに東京の大きなスーパーのすぐそばにあるスーパーを見学したことがございました。七・五坪でレジがフル稼働二台、天井にまで届く陳列があって、途中に置いてある牛乳の空き箱に乗って上のものを下に下ろして商品の補充をするという、一日、毎日必ず一円のものがあるという、そういう商売のやり方を見まして、こういう知恵を各そういう商業地域でもいろいろ工夫されたらもっともっと活性化するのではなかろうかなと、こういうふうに思いますので、その辺のところもちょっとお答えいただきたいなと思います。昔から、金のないやつは知恵を出せ、知恵のないやつは金を出せと言いますから、その辺のところでお考えをちょっとお伺いさせていただければと思います。
#72
○会長(広中和歌子君) では、最初に瀬谷参考人お願いいたします。
#73
○参考人(瀬谷俊雄君) 率直に申し上げまして、やっぱり我々は民でございますから、民の心意気といたしましても、やっぱり自助努力しかないと、こう思っております。銀行がどこまで知恵を出せるか分からぬけれども、幸い、先ほど言った二百人のメンバーがみんなOB出ていますから、相当程度緻密なそういった情報の合成もできますので。
 あともう一つ、そんなに知恵がない部分は、今、先生がおっしゃるようにうちはお金を出しますので、それで何とかひとつ支えてみたいと。ただ、銀行の将来の経営がどうなるか分からぬけれども、まだ相当程度そういう努力してもうちは大丈夫だというだけのものをおれはつくってきたという自負心がございますので、どうかそういうことでお取りください。
#74
○小泉昭男君 恐れ入ります。
#75
○会長(広中和歌子君) それでは、黒川参考人。
#76
○参考人(黒川和美君) 今、小泉委員から言われたことの一番目は人口の話でした。今日、藻谷委員が人口の話をされたので、もう話をする必要がないぐらい上手に話してくださっているんですが、その中で、今日彼が言っていないことの一つに、今、日本の経済を支えているのは人口のどの部分ですかということでいうと、三十代女性。この三十代女性の人たちが今どういうライフスタイルを取るかで日本の経済の命運が決まる、ちょっと大げさですけれども、それぐらいはっきりしています。
 これはどういう意味を持っているかというと、その彼女たちのお母さんたち、つまり我々世代になると思いますけれども、彼女たちのお母さんたち、つまり我々は戦後生まれで一年間に二百六十万人ぐらい生まれた世代、女性は百三十万人ぐらい、その子供たちが恐らく二百万人いて、女性は百万人ぐらい。その百万人ぐらいの女性が今何人の子供を産んでいるかというのがその世代になっていて、藻谷さんの計算だと五十万人ちょっとぐらい。つまり、彼女たちの行動様式で人口が決まっているということで、人口はそのとき、つまり戦後勝手に増え過ぎたというのが藻谷さんの説明ですけれども、基本的に、明治維新のときは三千五百万人ぐらいだったわけです。この国土の中に三千五百万人でもちょうどよかったかもしれないのが、殖産興業で、第二次世界大戦が終わったとき、つまり、今日の藻谷委員の始まりは、八千数百万人のところから始まって一億二千七百五十万人まで行ってしまって、減る減ると大騒ぎをしているわけです。
 元々無理があったというロジックでして、無理があったというのはどういうことだったかというと、女性たちに無理を強いていたというふうに私は思っています。彼女たちが本当にあるべき、つまり恵まれた女性のありようを考えているというのが今であって、それを今一番自由に関心を持って動いているのは、働くことも楽しいし、魅力的な生活の仕方というのを追っ掛けていて、彼女たちがつまりいろんな魅力的なものを追い掛けるというプロセスの結果が、年間女の子が五十万人しか生まれないという社会システムになっていますということをどう受け止めるかという話になるというふうに、藻谷委員の説明を聞きながら私は考えていましたということです。
 都市、まあ地域再生のキーワードは何ですかと。今日はポリセントリックという言葉を言いましたが、これは哲学用語でもありますし、法律用語でもありますし、地域開発の用語というか空間論でも使われています。ポリセントリックというのはたくさんの意見が混在し合うということでして、政治哲学でもあるんですよ。たくさんの意見が混在し合っていて、それが一番にぎやかで活力がある状態というイメージです。これまで余りにも中央で一つの物の考え方で日本全体を律しようとして、みんな、だれか、オピニオンリーダーの人の意見を追っ掛けていて、私はこういう考えだと言い合う程度の劇場国家というような議論をされる方がいらしたと思うんです。本当はもっとずっと、何というか、一人一人が自分の見識を持つような時代になってきているというふうに思っています。
 そういう意味でというか、地域の振興のための地域再生の考え方の基本は何ですかと。もう一回ポリセントリックという言葉で、答えられないぐらい多様にあって、多様に芽はあるというふうに私は思っています。多分、具体的に何かを言いなさいと言われたら、僕は自動車ではなくて歩くということだと思っています。これはお金持ちの高齢者が歩き回って消費をするイメージ。
 ですけれども、これは巣鴨地蔵にお年寄りが行くという世界とはイメージが違います。僕らが年寄りになるんですから、僕らは老後になったときに村田英雄を歌ったりしないんですよ。サザンを歌ったりユーミンを歌うんですよね。そのまま六十、七十、八十になっていって移動していく世代の循環を考えなきゃいけないのに、何かありきたりの、もう何というか、ティピカルなというか、決まり切った年寄り像をイメージしていますよね。でも、我々の世代は極めて豊かに老後を送るぞという気合はあるし、能力もあるんですよ。そこの部分の人に期待してくれなかったら、それから働く側については三十代の女性に期待してくれなかったら日本は死ぬという、そういうふうに思うぐらい今三十代女性が重たいポジションのところにいらっしゃると。その親たちが私たちであって、それをどう考えたらいいかという、そういう、まあ単純に言うと家族問題に置き換えることができるような時代だというふうに思っています。
#77
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、藻谷参考人。
#78
○参考人(藻谷浩介君) 人口の防衛線という御質問でした。
 私、思いますに、人口が減るのの一つの要因は亡くなる人が多くなることであります。特に、これは団塊の世代の方がお亡くなりになるときには当然物すごい数の死亡者が出るわけでありまして、そのときに人口を減らすのを止めることはできません。その直後には私どもの世代もすぐ亡くなる、死ぬわけですが、実はやはり産む数をどこで防衛するかということだと思います。
 これ、今日の資料に付けておりませんが、日本で毎年生まれた子供の数でございます。多くの方が出生率の低下ばかりをお話しになるのは私、非常に疑問に思っております。子供が減っているのは、出生率の低下じゃなくて、親の数が減っているからです。そっちの方が二倍以上寄与が大きいという当たり前のことをなぜ皆さん言わないのだろうといつも思っておりました。
 これ、終戦直後に生まれた団塊の世代です。この方々は毎年たくさんお生まれになりました。そして、当然団塊の世代がお子さんを産んでいた平均二十五歳のころ、昭和四十八年も大変お子さんが多い。これが今いろんな有名な方々、イチロー、松井や某IT企業の社長さんとか、いろんな人を生んでいます。
 その後、子供が減っているわけですが、それはなぜか。実は、団塊の世代が生まれた直後に出生が四割下がったからなんです。当時、最盛期四・五あった出生率が二・三まで下がった。つまり、正常化したわけですね。そのために、団塊の世代がお子さんを産んだ時代に比べて、平成二年ぐらいまでの間に親の数が下がったために子供が四割減るという事態が起きました。これが実は少子化の最大の原因でございます。つまり、非常に高かった出生率がまともな水準に下がったことが子供を更に減らすということが実は寄与が非常に大きいんです。
 逆に、最近子供減っていないんですね。団塊ジュニア、松井、イチローの世代が子供を産んでいますので、減っておりません。ですが、これから減ります。なぜか。今から二十年後には子供を産む出産適齢期の三十歳ぐらいの人、今十歳ぐらいの人、四割少ないですから、これから減るわけです。
 そこで、防衛線は何かということなんでございますが、私の意見では、今、実は最近生まれた人は、今少ない少ないと言っていますが、二十年後の世の中では非常に数の多い人たちになります。よろしいですか。これから子供が減るわけですから、親が少なくなるために。今から二、三十年後に今生まれていた最後の数の多い世代が子供を産みたい環境をつくれるかということが、日本の人口止めの非常に主要な力点になります。高齢化問題のピークは二〇二〇年から三〇年でございますが、くしくも二〇三〇年ぐらいが、ちょうど高齢化問題のピークを超える辺りから実は少子化対策の実は非常に力の掛けどころでございます。そこで人数の多い女の方々が子供を産みたい社会に、男が子供を育てたい社会になっておれば、それに向けて、実は時間の猶予が十数年から二十年ぐらいありますので、社会構造を変革していくには十分な時間がございます。
 ただ、一つ言えるのは、団塊ジュニアは残念ながら期待されたほど子供を産みませんでした。ということは、やはり今に加えて何か別のことをしなきゃいけない。私の意見は男が子育てをするということなんですが、詳しい話はちょっと除きまして、それまでに社会構造を変えて、日本はある程度下げ止まりに成功するんじゃないかと私は思っておりますが、そのころ何人になっているかという見識はございません。だから、具体的にとにかく生まれる方を増やすんだということを考えるべきだと思います。失礼しました。
 それからあと、キーワードですが、私は世代交代だと思います。乱暴な世代交代ではなく、プロ野球なんかでもありましたとおり、私ども根性がない世代でございますけれども、金メダルもほとんど取りませんでしたけれども、その下のもっと根性のある世代の間につながりながら、上の理屈も分かるけれども下につなげるような、世の中はこうなっていると、石油ショック以降にやはり大きくなった者として、人口が増えない時代でも全然平気ですというモデルをつくる者が多くなっていると私は思っております。やはり、そういう消費のニーズを具体的に知っている人間に、多くの場合、女性に経営の世代を交代するということが非常に活性化の早道であると私は思っております。
 金も知恵もない会社の人間が偉そうに言うことではございませんでした。申し訳ありません。
#79
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。
 黒川参考人、瀬谷参考人及び藻谷参考人におかれましては、御多用の中、本調査会に御出席いただき、本当にありがとうございました。
 本日お述べいただきました興味深く、かつ貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきたく存じます。本調査会を代表して厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 次回は来る三月二日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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