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2005/04/06 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第5号
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2005/04/06 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第5号

#1
第162回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第5号
平成十七年四月六日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三日
    辞任         補欠選任
     浜四津敏子君     松 あきら君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         広中和歌子君
    理 事
                加納 時男君
                北岡 秀二君
                椎名 一保君
                朝日 俊弘君
                辻  泰弘君
                松 あきら君
    委 員
                小野 清子君
                岡田  広君
                小池 正勝君
                小泉 昭男君
                中島 眞人君
                西島 英利君
                野村 哲郎君
                松村 祥史君
                足立 信也君
                小林 正夫君
                谷  博之君
                広田  一君
                和田ひろ子君
                浜田 昌良君
                井上 哲士君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        富山 哲雄君
   参考人
       大阪大学社会経
       済研究所教授   大竹 文雄君
       テンプスタッフ
       株式会社代表取
       締役
       社団法人日本人
       材派遣協会会長  篠原 欣子君
       株式会社日本総
       合研究所調査部
       主任研究員    山田  久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○経済・産業・雇用に関する調査
 (「成熟社会における経済活性化と多様化する
 雇用への対応」のうち、多様化する雇用への対
 応について)
    ─────────────
#2
○会長(広中和歌子君) ただいまから経済・産業・雇用に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに浜四津敏子さんが委員を辞任され、その補欠として松あきらさんが選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(広中和歌子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(広中和歌子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に松あきらさんを指名いたします。(拍手)
    ─────────────
#5
○会長(広中和歌子君) 次に、経済・産業・雇用に関する調査を議題とし、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、多様化する雇用への対応について参考人からの意見聴取を行います。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、大阪大学社会経済研究所教授大竹文雄さん、テンプスタッフ株式会社代表取締役・社団法人日本人材派遣協会会長篠原欣子さん及び株式会社日本総合研究所調査部主任研究員山田久さんに御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 御多用のところ本調査会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、多様化する雇用への対応について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず大竹参考人、篠原参考人、山田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、午後四時ごろまで各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず大竹参考人からお願いいたします。
#6
○参考人(大竹文雄君) 大阪大学の大竹でございます。よろしくお願いします。
 お手元にこのパワーポイント、ここに映してございますパワーポイントと同じ資料があると思いますので、それをごらんください。(資料映写)
 私の話は三つの内容に分かれます。最初に、この雇用形態の多様化の現状、それからその歴史的な推移について簡単にお話しさせていただきます。その次に、どうしてそういった雇用形態の多様化が進んできたのかという理由について、経済学の立場から幾つかお話しさせていただきます。その上で、どういった政策的な対応が考えられるのかということを申し上げたいというふうに思います。
 一枚めくっていただきますと、こういった表があると思います。これは二〇〇四年の雇用形態の多様化の現状を示した表になります。
 雇用者総数が、これは労働力調査から取った統計の数字でございますが、雇用者総数は五千三百三十四万人ですが、男女計で見ますと、役員と正規の雇用者はそのうち大体七割を占めております。パート、アルバイトといった人たちは男女計で二割になります、パートが一四%、アルバイトが六%。それから、派遣職員が一・六%ということですが、それから契約社員が四・八、五%ですね、約五%と、こういう現状で、いわゆる伝統的な雇用者である正社員の比率というのは全体の七割にすぎないという状況になっております。
 さらに、特徴的なのは、それは男女別に大きく雇用形態が違うということです。
 男性で見ますと、役員と正規の職員、従業員の比率は八割を超えます。しかし、女性を見ていただきますと、女性の場合は、大体五割の人が正規職員、役員を含めまして正規職員という形、正規の従業員という形になります。
 したがって、女性について見ますと、ほかの五割の雇用者というのはいわゆる正社員じゃないという形になるわけです。特に多いのがパート労働者と言われる人たちで、約三割ですね、女性の雇用者のうち三割がパート職員という形になります。最近増えていますのが、後でごらんに入れますけれども、増えていますのが、派遣職員、派遣労働者で二・六%。契約社員というのも結構多いんですが、五%という形になります。
 したがって、特に女性では伝統的な雇用、昔は雇用者のほとんどが正社員という時代があったわけですが、その女性に限って見ますと、それはそうではなくて正社員というのは半分の比率にすぎないという状況に今はなっているということです。
 これ、その次のページに各、一九九二年からこの数字、比率がどう動いてきたかというものをグラフに示しました。
 これ男女計の数字ですが、一番左が一九九二年です。そして、青い領域で示してございますのが正社員です。一九九二年、九七年、二〇〇二年というデータで示してございますが、一九九二年では八割近い人が正社員であったと、それが二〇〇二年では七割近くまで下がってきている。特にパート労働者、それから最近では契約社員が増えてきているということが分かります。
 次に、先ほどと同様に男性と女性に分けてこのグラフを見たいと思うんですが、それがその次のページの四ページ目の資料になります。
 男性は、さっき一番最初にお示ししたとおり、女性に比べると正社員の比率が高いわけです。特に、しかし、それでも男性の中でも正社員の比率が一九九二年から二〇〇二年にかけてかなり低下してきたということが分かると思います。一九九二年では男性の雇用者のうち九割が正社員であったわけですが、二〇〇二年の段階では八三%という形で低下してきた、特に契約社員、嘱託といった人たちが男性では増えてきているということが分かるかと思います。
 女性がその次のページになります。
 女性は元々パート労働、一九九二年の段階でもパート労働者の比率が高かったわけです。一九九二年の段階で二八・七%がパート労働者だったわけです。正社員は六割という状況だったわけですが、この統計、これ就業構造基本統計調査という統計でございますが、その統計で見ると、二〇〇二年の段階で雇用者のうち正社員というのは五割を切っているという形になります。その次に多いのがパート労働者で三三%という形になります。最近増えております派遣労働者は二〇〇二年の段階では二・四%という形です。
 もう少し最近のグラフ、済みません、似たようなグラフが続きますが、最近のグラフが次のページになります。二〇〇二年から二〇〇四年までの動きを示したもので、各雇用形態別の労働者数の一年間での変化を示したグラフになります。
 雇用者全体で見ますと、このプラスの印で示したものなんですけれども、雇用者全体では、二〇〇四年では前年度に比べて雇用者は減ったわけです。しかし、雇用形態別に見ますと、かなりその中身は違います。まず、正規職員は、先ほどのグラフの傾向とも一致してございますが、すべての年で前年度に比べて、正規職員、正社員の数は男女計でも減ってきたと。増えているのはこのバツ印で示したものです。二〇〇三年から二〇〇四年にかけて急激に増えていますのが派遣社員です。派遣社員が急激に増えておりますというのが男女計の動きですね。
 今度は男性で見ますと、男性は、特に雇用者全体では最近時点では低下する傾向にあります。やはり男性も二〇〇三年から二〇〇四年にかけまして派遣労働者が増えてきた。派遣労働者と契約社員が二〇〇四年の段階では増えております。しかし、ほかのタイプの労働者は、二〇〇四年時点ではその前の年に比べて低下したというのが男性の特徴でございます。
 最後、このグラフのシリーズの最後になりますが、女性の動きを確認したいと思います。
 女性は、雇用者計というのがあるんですが、雇用者計、実は女性の雇用者全体での数字は、増加者数は減ってはきておりますけれども、すべての年にわたって実は雇用者の数というのは、女性の雇用者の数全体は増えているんですね。二〇〇二年でも二〇〇三年でも二〇〇四年でもプラス、数字です。しかし、正社員はやっぱり減っています。正社員はこの水平線より下にありまして、これは減っていることを示します。ところが、正社員以外のほとんどの、パート労働者は少し減って実は派遣に替わったように見えますけれども、ほかの雇用形態の女性の雇用者というのは増えてきたというのが二〇〇二年以降の特徴でございます。
 この点を、今の点をまとめますと、三つのことが言えるかと思います。これが九ページ目にまとめているものですが、全体としてはやはり長い期間を見ても、それからここ数年間を見ましても、正社員というのは減ってきているということです。そして、それは男性雇用者についても女性雇用者についてもそれが言えるということです。雇用者全体で言えることは何かといいますと、男性の雇用はどちらかといえば減ってきている、これに対して女性の雇用というのは増えてきているというふうに言えます。
 特に、もう少し詳しく見るとどういうことか。男性の雇用は全体でも減っていますけれども、特に増えているのは、逆に女性の雇用の中で増えているのは、女性の正社員が増えているのではなくて女性の非正社員が増えている、正社員以外の雇用形態の人が増えているわけですね、パート労働者あるいは派遣労働者といった形です。それから契約社員、そういった人たちが増えてきている。これがその雇用形態の多様化の中身ということになるかと思います。
 じゃ、雇用形態が多様化しても特に問題ないではないかという御意見もあるかもしれないんですが、問題は一つありまして、それはどういうことか。一つ表れていますのが、賃金格差が、実は雇用形態の多様化とともに正社員と非正社員の間の賃金の格差が拡大してまいっております。
 その次のページに、女性について、女性の時間当たり、女性のパート労働者の時間当たり賃金が女性のフルタイムの労働者の時間当たり賃金に比べてどのくらい低いかというグラフを示しています。
 例えば、これ、一九八〇年ですと、女性のパート労働者というのは、フルタイムの女性の時間当たり賃金に比べて六五%程度の賃金でしかなかった。それが実は上がってきたわけではなくて、二〇〇二年ではもう少し下がってきていまして五〇%台にまで低下してきているという、長期的な正社員とパート労働者の間の賃金格差の拡大というのが見られます。
 一方、これは先ほどまでのグラフと同じですけれども、対照的に見えるのは、このピンクの線というのは女性のパート労働者のフルタイム労働者に対する比率を示しています。ですから、これは女性の雇用者の中でパート労働者が過去二十年間についてずっと上昇してきたということですね。
 だから、雇用形態の多様化、特にパート労働というのが増えてきた中で問題となっていますのは、賃金が正社員の人に比べて低いということが問題になっているわけです。
 賃金格差の拡大について、これは少し経済学的な話になりますけれども、なぜ、じゃ賃金格差が拡大したかということについて四点ほど申し上げたいと思います。
 一つは、企業が正社員はこれ以上雇いたくないという状況がある。これは後でもう一度申し上げたいと思います、どうしてそうなっているか。そういう中で、女性が家庭から外に出て社会で働きたいという希望をより多くの人が持って、実際に働くようになってきた。そうすると、これはそういう人は正社員では働けない、正社員の働き口が限られているという下ではパートでしか働けない。そうすると、パートで働きたいという人が増えてくる一方ですから、パートの賃金が低下してくるという需要と供給の関係で一つは説明できるかと思います。
 もう一つは、これは実はそんな問題は起こってないという可能性もあります。この点は、ある部分は次に申し上げることが当たっているかと思いますが、昔は正社員でしか雇わなかった、ところが、正社員の中で比較的簡単な仕事、あるいは長い間同じ企業に勤めなくてもやってもらえるような仕事ということについては、正社員でやってもらうんではなくて、パート労働者や派遣労働者で仕事をしてもらいましょうという形で変わった。そうすると、元々低い賃金で正社員で雇われていた人がいなくなって、それが全員パート労働者や派遣労働者に替わったという可能性があります。そうすると、低いパートの人が増えて、正社員で残っている人は高い賃金の人しかいないという形になりますから、本質的には何も格差拡大は起こっていないかもしれないけれども、正社員とパートというのは仕事が違ってきて、大きな格差が生まれてきたように見えるという可能性もございます。
 もう一点は、技術革新の問題。これは、正社員に対して、より難しい仕事をするような人をより雇いたいと、そういう人たちを集中的に雇って、簡単な仕事は余り要らないんだというタイプ。同じような議論ですけれども、グローバル化で日本も安い労働力は海外に求めればいいという考え方で、日本国内では低賃金が減ってきたという考え方もございます。
 少し時間がなくなってきたので、もう少し進みたいと思いますけれども、非正社員が増えた理由について簡単に、繰り返しになるかもしれませんが、お話ししたいと思います。
 一つは、技術的要因でございます。これは、短時間雇用というのが可能な技術体系になってきた。例えば製造業からサービス業が増えてきた。あるいは長い間同じ企業で訓練しないと駄目だった技術体系から、一般的な訓練、技能で働けるようになってきたということ。それから、これは特に女性がどうして社会進出してきたかということにかかわりますけれども、機械化やIT化が進んだということは、女性が働きやすくなっています。力仕事が要らなくなって知的労働が増えてきたということがございます。
 それから、今度、需要要因でございますが、企業、日本経済が低成長あるいは不況が続きまして、安定的な成長が見込めない状況が長い間続いております。そうすると、正社員を雇って簡単に雇用調整ができないという状況になるのを企業は非常に嫌うわけですね。そうすると、比較的雇用調整しやすい形の雇用形態の労働者が増えてくるということ。それから、雇用管理のしやすさというのもあります。雇用管理を外部委託するということで、企業は比較的雇用管理が難しい人の数を減らしてしまうということですね。
 それからその次に、もう一つ供給要因を申し上げたいと思いますが、それは女性がフルタイムじゃなくてパートタイムで働きたいということを希望している。特に、子育て終了後の女性はパートタイムで働きたいという人も増えているかもしれない。それから、少子高齢化で女性が活躍する場というのが、女性に活躍してもらわなければならないという必要性が高まっているということも理由にあります。
 次が、その次のページに行きますが、制度的な要因もあるだろうというのが次の話です。実は、正社員とパートの場合の間で一番違うのは雇用の保障の程度です。正社員であっても、例えば比較的簡単に雇用調整ができる国というのもあります。景気が悪くなった場合に解雇しやすいという国もありますが、日本の場合は非常にそれが難しい。そうすると、そういう下で成長が見込まれない、不安定になってきた場合には、比較的雇用が、雇用調整がしやすい非正社員というのを増やしていくという形になるわけです。解雇が増えると困るという形で正社員の雇用を守る政策をどんどん強めていくと企業はどう対応するかというと、ますます正社員を雇わなくなって非正社員が増えていく。結果的に雇用が不安定な人が増えていくということが出てまいります。
 それからもう一つ理由を、制度的な理由を申し上げたいと思います。これは、どうして女性がパートで働きたいかということについてでございますが、税や社会保険、それから配偶者手当というのが影響がございます。
 例えば、百三十五万円以上の年収になりますと社会保険に加入する必要が出てきて、それの、社会保険料を払いたくないという女性が一方でいる。それから、あるいは百三万とか百三十五万とかという額以上の賃金額をもらうと夫の配偶者手当をもらえなくなるという制度的な要因がございます。そうすると、女性の多くはその中で働きたい、だから百三万とか百三十五万円以下で働きたいという人が出てくるというのが制度的な要因でございます。
 したがって、そうすると、政策的な対応の可能性というのは最後の二つの件について言えるだろうということです。それまで申し上げたことは技術的なことで何も政策的に手を打つべきではないというふうに思うんですが、最後の二点につきましては政策的に手を打てるだろう。
 一つは、解雇規制を実は強化するんではなくて、もう少し正社員と非正社員の間の雇用の保障の程度が、現在の正社員と非正社員の間ぐらいの雇用保障の人たちをつくっていく。そうすると、今は非常に雇用が安定的な人たちと非常に不安定な人たちの二極に分かれているわけですね。そうすると、例えば今どんなことが起こってきたかといいますと、じゃパートの人が非常に雇用が不安定だと、そうするとパートが不安定だったら、ある程度パートを雇い続けると正社員と同じように解雇できないようにしましょうということを言うわけです。そうすると、今度は企業はどうするかというと、パートは長期で雇わないという形にして必ず二年で終わるというふうな形にする。だから、長い間、優秀な人で企業が長い間雇いたいと思っていて、そして女性の方も、そのパート職員の人も長い間働きたいと思っていても、実はそれ以上働いてもらうと正社員と完全に同じ雇用規制に掛かってしまうから二年で解雇している。
 同じことが実は派遣についても言えます。派遣についても、長い間雇ってしまうと、もう少し厳しい雇用保障を要求されると。そうすると、実は物すごく短期間で派遣職員を替えていくということが起こってしまって、実は雇用保障を高めようという政策が逆に不安定層を増やしてしまうという逆説的な状況になっている。
 じゃ、今度、派遣を規制強化したらどうするかというと、請負労働というのが増えてくるんですね。業務請負だとか、あるいは最近問題になっていますのは個人請負という形で自営業にしてしまって、個人契約、そして労働者でなくするという手が出てくるわけですね。その人たちはもっと不安定ということになる。だから、この悪循環をなくしてしまうというのが一つの可能性になるかと思います。
 もう一つは、社会保険のこともございますが、この点については少し時間なくなりましたので飛ばします。
 最後に、配偶者手当につきまして、これは民間企業に配偶者手当をつくるなと言うのは、かなり規制としては難しい。でも、唯一できるのは、公務員の給与制度から配偶者手当をなくすというのは、国のレベルでこれは比較的簡単にできる。だから、こういうことをすると、まずは公務員の奥さんたちの就業形態が今ほどパート選好というのがなくなってくる。公務員に準拠しているような民間企業があれば、だんだん変わってくるだろうというふうに思います。
 最後、一点だけ申し上げたいと思いますけれども、ただ問題はまだ残っていまして、自営業の問題です。これは、先ほど少し申し上げた個人請負の話ですね。
 雇用者の規制を厳しくすると最後残ってくるのは、みんな自営業にしちゃえ、で、個人請負という形で事実上人を雇うという形になってくる。
 それから、まだ雇用形態という意味では広いので残っているのは、ボランティアで働く人たちあるいはNPOで働く人たちは、雇用者なのかそうでないのか。実は、こういう形で低賃金で働いて、劣悪な環境で働いている人もいるかもしれない。しかし、ここは今のところ統計にも入ってきていませんし、規制の対象にもなっていないという問題点がございます。この点は問題点の指摘だけにさせていただいて、私からのお話は終わらせていただきたいと思います。
 以上です。
#7
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、次に篠原参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(篠原欣子君) 篠原です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、大竹さんからおっしゃっていたことに何か結構ダブる点があるのかなと思うんですけれども、私どもは人材派遣を営んでおりますので、実際に派遣の人たちに働いていただいているところで、どのような、どういうふうになっているのかというのをお話しさせていただきたいと思います。
 まず、済みません、お手元にペーパーがあると思うんですが、二ページ目なんですけれども、厚生労働省からの最近の報告では、二〇〇三年度の人材派遣業界の市場規模は二兆三千六百十四億円ということになっております。前年に比べて五・一%の拡大、派遣労働者数は二百三十六万人と、前年一〇・九%増加ということになっております。二〇〇四年の派遣の需要については、企業の景気回復も手伝いまして、営業職とか販売職とか技術職の専門職から事務職まで非常に増えておりまして、今は派遣スタッフの人手不足が非常に強くなっております。企業さんの要求が非常に強くて、人が足りないという状況でございます。二〇〇四年の三月の派遣法改正によりまして、自由化業務の派遣期間一年という制限が最長三年に延長可能になりましたことも追い風になりまして増えてきているということです。
 お手元資料の四ページ目になりますが、人材派遣業界の市場規模ですが、拡大の背景としては、労働者の就業意欲の変化、それから規制緩和による派遣可能職種の拡大、それから景気回復による企業の人材需要の拡大などが挙げられております。企業の人材活用の施策として、また就業者のキャリアプランの一つとして、派遣という就業形態は定着して今後も伸びていくんではないかという見方をしております。
 次のページですが、二〇〇三年度で派遣実績のあった一般労働者派遣事業所数は七千六百七十事業所で、この五年間で派遣事業所数は倍以上に伸びておりまして、派遣業界への参入も非常に増えております。人材派遣会社上位六社が業界の四七・六%を占めておりまして、人材派遣業を営む会社が非常に増えてきているにもかかわらず、一方では寡占化が進んでおります。この寡占化が進んでいる理由というのは、コンピューター処理とかいろいろそういう点が寡占化を加速させているんじゃないかと思うんですが、その表にあります、表の左手の方にありますこのスタッフサービスさんとか私どもテンプスタッフとかパソナさん、アデコさん、リクルートスタッフさん、マンパワーさんが上位を占めているという結果が出ております。
 六ページなんですが、派遣スタッフの料金がそこに書いてありますけれども、一番やはり特殊技能を持っている人たちが一番料金高い、それは当たり前ですけれども高くて、ファイリングが例えば一万三千七百九十七円。それからソフトウエアの開発の技術者ですね、それが二万二千六百五十六円とか、それから財務とか経理とかが一万四千七百六円というような、ざっとですけれども、そんな感じでございます。それと、主なものですけれども、アナウンサーが二万三千百六円とかですね。表をごらんいただいてお分かりだと思いますけれども、テレマーケティングが一万四千二十九円とか、研究開発要員が一万七千大体八百円ぐらいという、大まかにそんなような時間給で、時間給というか料金で働いていただいております。
 契約期間なんですけれども、働く契約期間が大体三か月未満が六四・四%となっておりまして、六か月未満のものが全体の約九割ですか、を占めております。短期の契約が多い、とても多いと思いますけれども、この短期契約は延長延長が何回か繰り返される例が非常に多くなっております。
 九ページになりますが、企業さんが派遣を活用する理由ですけれども、欠員補充とか必要な人材を迅速に派遣してくれるとか、特別な知識や技能を必要としているときに派遣ですぐ来てもらえるとか、雇用管理は私ども派遣会社がいたしますので企業さんは雇用管理は非常に手が省けるとか、そんなような理由で派遣を使われる理由が非常に多いですね。それから、そのほかに、派遣スタッフは、企業さんがこういう知識を持った人を必要だということを派遣会社に依頼して、特別な知識、技能を必要とするためとか、欠員補充の必要な人員を迅速に確保できるとか、教育訓練の必要がないためとか、雇用管理の負担が軽減されるとか、そういう理由で派遣を企業さんは御利用になると思います。
 十ページになりますが、労働者派遣法は一九八六年に制定されまして、幾度かの改正を経て一九九九年に対象業務の原則自由化という抜本的な改正を受けて現在に至っております。五年後の二〇〇四年三月に新たにまた改正法が施行されまして、今回の改正派遣法では、派遣情勢や働き方の多様化に合わせて様々な改正がなされております。
 例えば派遣労働者への雇用契約の申込義務、これは、一定の条件を満たした場合に限って派遣先が派遣スタッフに対して雇用契約の申込みを行うことが義務付けられております。それが主なものだと思いますが、それから派遣する対象業務が拡大されたとか、受入れの期間が延長、ここに細かいことがありますけれども、一々読んでいるとちょっと時間がたってしまいますので省きますが、派遣先がいろいろと、紹介予定派遣に関する見直し、紹介予定派遣というのは、最初、三か月から六か月派遣をして、お互いに良かったらそこの会社の正社員に変わるという、そういう紹介予定派遣というのが最近非常に伸びてきておりまして、働く側も企業さんも非常に便利ということで紹介予定派遣が最近伸びてきております。
 次のページの十一ページなんですが、これは、今まで申し上げたのは一般派遣、事務職であるとか経理であるとか、一般の職が多かったんですが、最近の傾向といたしましては、専門職の派遣が非常に今注目されております。
 今現在、日本では人材派遣の六七%が一般事務派遣で占められておりますけれども、人材派遣ビジネスが成熟している米国では五二%が専門職の派遣。専門職ってどういうのかといいますと、IT、それから医療とか法務とか会計とか技術職などが占められておりますが、二六%の事務系派遣のシェアを大きく上回っております。日本でも規制緩和の流れで派遣対象業務が広がったことを受けまして、企業側からのニーズも多様化しておりまして、一層専門職が今求められるようになってきております。やはり、企業さんも自社で専門職をすぐ必要という、これだけ今もう雇用、職種が多様化しているときに、特殊技能を持った人たちをすぐにというのはなかなか調達が難しいですし、教育している時間もないということで、それが派遣の方に求められてきているんではないかと思います。
 例えば、私どもの方で今やっているのは、バイオの分野において研究が年々拡大する一方で、専門知識や経験を持った人材は慢性的に不足していると。その確保が非常に難しいということで、企業さんからの御依頼でそういう人がいないかということを受けまして、そういう素質のある人、素養のある人、勉強した人たちを募集いたしまして、派遣会社がその人たちに教育を施して、その教育期間というのは、一週間であるとか二週間であるとか一か月であるとか数か月という期間がありますけれども、その期間で教育した人を企業さんの要望に応じて派遣している、あるいは紹介しているという、そういう動きが今非常に、新しい動きとして動いております。
 具体的に申し上げますと、例えば、次の十二ページになりますが、専門職の、金融関係ですね。今非常に金融業界が揺れ動いておりまして、金融業界の金融事務であるとか外為業務とかカストディー業務とかという、こういう専門職を企業さんが非常に求めていると。それは、私どもが、金融のちょっと多少知識のある人を集めて教育をして、企業さんの方の要求に応じてお出ししていると。それからバイオ・メディカル、これも非常に今需要が広がっておりますけれども、バイオ研究のアシスタントとか分析、開発アシスタント、それから検査とか調査とか市販後調査とか、バイオ・メディカル分野も教育をして紹介、派遣しております。それから、ITの部分もそうですね。それから、営業職とか販売職とかマーケティングの部分も、素質のある人とかそういう教育を受けた人を集めて教育をして出しているということで、語学とかクリエイティブ、デザイン、それから保育、ベビーシッターなんかも、それから医療関係とかそういう人たちを、足りなかったら教育をして企業さんにある一定の期間、あるいはまたその延長線上でということでやっております。
 それから、これは専門職の人たちを、育成型派遣といいまして、これも本当に専門の技術を持っている人、専門の知識を持っていないとできないような職種ですけれども、薬学の知識は、薬科大学を出たけれどもまだそこまでは行っていないという人たちを、その仕事、そういうことをやっている会社とか学校と提携をして、そこで数か月なり一年以内なり教育をして企業さんにある一定期間派遣すると、数年とか数か月になる場合もありますけれども、そんなような例が今、最近増えております。証券外務員もしかり、今非常に注目されている職種で、そういう人たちもおります。
 それから、もっと専門的になりますけれども、3DCADとかProとかCATIAとか、これ私、この職種を余りよく知らないんですが、これもやはりIT関係で本当に特殊な教育をしないと駄目ということで、これも我々が経費を出して教育をして、仕上がった人たちを普通の料金よりは高い料金で企業さんに派遣して、その人たちは企業さんでいろいろと仕事、一年とか二年とか、それはちょっとその会社によって違いますけれども、いろいろと活躍しているということですね。専門的なやつで、制御ProとかウエブProとか、それから貿易実務もございます。
 ちょっともう時間がなくなってしまいますけれども。
 それから今、コンプライアンスが非常に今叫ばれておりますけれども、派遣会社は最もそのコンプライアンス、人の情報を扱っておりますので、これに非常に力を入れておりまして、プライバシーマークの取得であるとか、社内什器の施錠であるとか、就業規則の改定であるとか、セキュリティーポリシーの改定であるとか、入退室の管理の徹底とか、会社に来たら仕事だけのかばんを持って、要するに個人情報をどこかに落とさないようにと、そういうことを非常に気を付けております。
 それから、人材派遣の保険の件なんですけれども、健保組合が、人材派遣で働く人たち専門の健保組合が数年前に、二〇〇二年にできまして、今現在三十万人以上の人たちが会員になっております。非常に、今何か、日本最大になったとかって何か言っておりますけれども、派遣で働く人たちの健康保険組合、これは非常に、派遣スタッフにとっては非常に有利ではないかなと思っております。一つの契約が終わって、一つ、次の契約が移るまでちょっとタイムラグがありますけれども、そのときも保険を解除しないでそのまま続けられるというそういう方法を取っておりまして、今非常に人気、働く人にとっては人気があります。そんな感じですね。
 今、このように登録スタッフの人たちの便利をいろいろと業界でも図っておりますので、非常に働きやすい、いろんな選択肢が、子育てをしながら、仕事をしながら働けるとかという、そういうことにとっては派遣のシステムは非常にいいんではないかなと思っております。
 それから最後ですけれども、私どももう三十何年やっておりまして、やっぱり働く人たちの貢献ができないかということで、スカラシップ制度を取りまして、これ、十五、六年やっておりますけれども、今百四十二名ですか、海外に送り出しております。九、十か月ですか、ワシントン大学で六か月、それからあとの三か月は企業で働くという、そういうスカラシップ制度とか、学生を応援するユースインターナショナル・スカラシップ制度を取っております。
 それからもう一つ、障害者雇用の方にも力を入れておりまして、障害者でも仕事ができるということで、パソコン教室であるとかトレーニー制度であるとか、そんなようなことをしてやっております。
 済みません、ちょっと時間が延長してしまいまして。
 以上です。ありがとうございます。
#9
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは次に、山田参考人、お願いいたします。
#10
○参考人(山田久君) 日本総合研究所の山田でございます。
 本日は、貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私の方からは、主に三つの点について意見を述べさせていただこうと思っております。
 お配りしていただいておりますレジュメにございますように、一つ目は、過去十年間で我が国の労働市場がどういうふうに変わったのか。それから二つ目は、足下で少し変化が見られますけれども、それを含めて今後、労働市場が今度はどう変わっていくのか。それから三つ目としまして、今後の労働市場の変化の方向性を踏まえた上で、どういう課題が生じ、それにどう対応すべきかということについて意見を述べさしていただきたいと思っております。
 まず、第一点目の過去十年間でどういう変化が起こったかということでございます。
 図表の方ごらんいただきますと、図表1というところをごらんいただきますと、失業率と有効求人倍率のグラフが載ってございます。御案内のように、九〇年代に入りまして我が国は非常に厳しい雇用情勢に直面したということでございます。九〇年代後半から特に急速に失業率が上昇したということであります。これは、背景にあったのは、言うまでもなく、例えば産業空洞化圧力の問題あるいは不良債権問題の発生、そういった中で、正に日本経済が未曾有の経済危機に直面する中で、企業の労働需要が大きく減退したということがあったということかと思います。そういう状況に対しまして、新卒採用を減らしたり、あるいは結果として倒産して失職する人が出た、あるいは早期退職等による離職が増えたということがこの失業率の大きな上昇の背景にあったということかと思います。
 ところが、二〇〇〇年代に入りまして少し状況が変わってきております。失業率の上昇に徐々にですが歯止めが掛かってきた。この背景には、賃金コストの削減が大きく進んだということがあったと思います。
 図表の2の方をごらんいただきますと、真ん中のところに一人当たり雇用者報酬というものの推移が載ってございます。九七年の半ばをピークに緩やかに減少傾向に転じておりまして、特に二〇〇〇年前後からその下落スピードが加速しているということが御確認いただけると思います。そういう中で、労働コストがそれだけ下がりましたので、結果として失業率の上昇に対して歯止めが掛かる。さらには、ここ一、二年に関しましては、景気も少しずつ回復してきたというところで、雇用需要が少し戻ってきているというのが今の状況かと思います。
 以上、マクロの状況を簡単に御説明しましたが、次にその背景にあるミクロの変化というところを御説明いたします。
 図表の3のところをごらんいただきたいと思います。この背景にあった、特に二〇〇〇年に入ってからの一人当たり賃金の低下というところにあったのが、いわゆる非正規雇用が増えたということがあったということでございます。これ、先ほど大竹先生の御説明にもありましたように、過去十年間で急速にこの非正規雇用の比率が上昇してございます。九〇年代の初めには二〇%程度であったものが最近では三〇%を超えるという状況でございます。
 これは一人当たりの賃金で見ますと、非正規雇用、例えばパートタイマーで見ますと、時間当たり賃金で見まして、平均で見ますと大体四割、正社員の四割程度しかございませんので、それだけ非正社員が増えると賃金が下がるということで、実際その図表の4をごらんいただきますとお分かりになりますように、九八年以降、毎年非正社員へのシフトによって賃金が〇・五ポイントから一ポイントずつ程度押し下げられてきたということが御確認いただけるということかと思います。
 それともう一つ、この非正社員の増加ということで申し上げておかなければならないのは、かつてはパート、アルバイトが中心であったのが、ここ十年ぐらいはいわゆる派遣社員あるいは契約社員、さらには請負労働者あるいは委託労働者といったタイプの非正社員が増えている。単純に非正社員が増えているだけじゃなくて、非正社員の中での多様化が起こっているということでございます。
 それと、先ほど申し上げましたのは言わば非正社員の話でありましたけれども、正社員についてもかなり環境が変わっております。いわゆる年功制あるいは終身雇用と言われる日本的雇用慣行に関しましても変化が生じてございます。
 終身雇用に関しましては、次のページごらんいただきますと図表の5というのがございます。例えば出口というところで見ますと、かつては日本の場合、最近、八〇年代ぐらいまではそれほど早期退職ということを行わなかったわけですけれども、特に九〇年代終わり以降、この早期退職を中心とした希望退職あるいは解雇という件数が増えておりまして、最近でも、景気が戻っているにもかかわらずこの水準がそれほど下がらないという状況に変わってきております。
 それから、入口のところでいいますと、かつては新卒を一斉採用するというのが日本の慣行であったわけですけれども、去年、今年辺りは回復をしておりますけれども、以前ほど水準が戻らずに、一方で中途採用なんかもかなり言わば採用方式の一つの在り方として定着してきているという状況であります。
 それから、年功賃金のところでいきますと、図表の6にございますように、いわゆる年齢ごとの賃金カーブというのが徐々にフラット化してきている。この背景には、昨今言われております成果主義賃金の導入があるということかと思います。
 以上を踏まえまして、二点目の労働市場の最近の変化について述べたいと思います。
 図表でいきますと、図表の7でございます。先ほども言いましたように、この十年間で急速に非正社員の比率が上昇したわけですけれども、実は足下で少しこの上昇が鈍ってございます。正社員が足下で今年に入ってからプラスに転じてくる一方で、例えばパートタイマーの伸び率が鈍化するという状況になってございます。この背景には、余りにも急激な非正社員のシフトが様々な弊害を生み出してきているということがあると思います。
 図表の8をごらんいただきますと、これは企業に対するアンケート調査ですけれども、非正社員の活用のマイナス面として、一つ、そのノウハウの蓄積面でマイナス面になってくる。それから二つ目としまして、機密漏えいの問題が発生しているというふうなことが指摘されてございます。そういう側面があって、少し揺り戻しが起こっているということでございます。
 それから、いわゆる成果主義というものに関しましても、もう昨今マスメディア等でいろいろ報じられているとおり、少し見直しが入っていると。特に、次の図表でいきますと、図表の9というところをごらんいただきますと、特に人事評価をめぐって納得性あるいは透明性というところで問題が生じて、これに対する見直しが起こっているというふうなところでございます。
 じゃ、以上を踏まえたときに、足下で少し起こりつつある日本的雇用慣行の見直しであったり、あるいは非正社員の上昇テンポの鈍化というものが、そういう方向で過去十年のトレンドが変わっていくのかということでございますが、結論からいきますと、恐らくトレンドそのものは変わらないんじゃないのかな。すなわち、非正社員の増加あるいは日本的雇用慣行の変質というトレンド自体は不変ではないかというふうに考えてございます。
 その最大の理由は、マクロ環境がやはり大きく変わったということかと思います。よく指摘されるところでございますが、例えば少子高齢化という大きなトレンドがございますが、そういう中で、国内の消費市場というのはどんどん伸び悩んでいってしまう。そういう中で、企業の競争がより激しくなっていく、あるいは中国あるいはアジア諸国の工業化というところから考えましても競争が激しくなる。それから、ITなどの技術革新の影響で、例えばその商品サイクルが短縮されたり、あるいは経営の意思決定スピードが速くなるというふうな変化が起こっておりまして、いずれも内外競争を激化させるという方向に働いておりまして、企業は生き残りを懸けて新しい製品を開発し、あるいは事業構造転換を不断に行っていくことが必要になっている。そういう環境変化そのものは大きなトレンドとして変わらないということかと思います。
 そうしますと、当然、企業サイドとしましては、かつてのように正社員を中心、正社員だけを採ってということはできないわけで、やはり多様な労働力を活用していく必要性が高まっているということだと思います。かつては人件費の抑制ということが最大の非正社員の活用の要因だったわけですけれども、最近ではそれに加えて、例えば即戦力の確保であったり、専門業務の対応といった言わば戦略的な活用という側面も出てきているということかと思います。その辺り、図表の10というところをごらんいただきますと御確認いただけると思います。
 一方、生活者、労働者の方から見ても多様な働き方が必要になってきているということかと思います。例えば、高齢者あるいは子供のいる女性にとって、短時間労働であったり在宅勤務といったのは、例えば高齢者でありますと体力に見合った働き方ができたり、あるいは子供のいる女性、場合によっては男性ということもあると思いますが、仕事と家庭の両立ということで望ましい働き方だということが言えると思います。その辺りも図表の11ですけれども、非正社員が非正社員という就業形態を選択した理由というところを見ていきますと、先ほど申し上げたような事情もあるということが御確認いただけると思います。
 以上を踏まえまして、最後に課題と対応というところに移らしていただきたいと思います。
 もちろん、非正社員が増えてきているということに関しましては、プラス面、マイナス面、両面あるということかと思います。プラス面に関しましては、まず、就労機会が増えるということだと思います。企業にとっては雇用コストというのがやはり低いということで、その分就業機会が増える。正社員だけですと、非常に雇用の契約の在り方が今のところ硬直的でありますので、こういういろんな働き方が増えることによって企業の採用意欲というのが上がるということが一つ目でございます。
 それから二つ目は、先ほど御指摘いたしました、働き方の多様化がライフスタイルの多様化を支援するという側面がございます。とりわけ、ワーク・ライフ・バランス、すなわち仕事と生活の両立ということを支えるという側面があると思います。
 一方、マイナス面といたしましては、やはり雇用保障がどうしても正社員に比べて不安定だという問題があると思います。それから、二つ目としまして、一般論としてですけれども、能力開発の機会が相対的に不足する懸念があるということかと思います。この辺りは先ほど篠原会長がおっしゃいましたようにいろんな形で対応はなされてきているということかと思いますが、現在のところ、統計等で見ますとまだ不十分なところがあるのではないかと。例えば、図表の12を見ていただきますと、いろんな形での企業の能力開発に対する支援ということで見ますと、正社員に比べまして非正規社員が劣っているということになってございます。
 以上を踏まえまして、最後、これからどうあるべきかということで方向性だけ申し上げたいと思います。
 非正社員の増加ということを、勤労者が主体的に働き方を選べるという意味で、本当の意味での就業形態の多様化という方向に持っていくためには、やはり基本的には正社員、非正社員の待遇の均等化ということをやっぱり図っていく必要があると思います。ただ、それを言ったときに、単純に今の非正社員の処遇を現在の正社員並みに引き上げていくということではないんではないのかなということです。
 それはなぜかといいますと、今の正社員に対する現状の処遇であったり法的保護の在り方ということが、いろんな形で社会の構造変化に対応できなくなっている部分があるということかと思います。つまり、正社員に今適用されているいろんな法的な保護の仕組みを新しい時代に合った形に変えていくことによって、そうして正社員、非正社員を問わず、すべての労働者に新しい処遇あるいは法的保護の体系をつくっていく必要があるかというふうに考えてございます。
 具体的にそこに、項目四つレジュメの方に載せてございますけれども、例えば一つは雇用保障。これまで正社員では非常に雇用保障がきちっとしていたわけですけれども、結果として、相対的にこれが企業としてもいろんな競争の中で難しくなっているということで、むしろそれよりは、相対的に雇用機会の提供であったり、あるいは能力開発の支援に対する方向に重点をシフトしていくべきなんじゃないのかなと。
 それから二つ目としまして、いわゆる年功賃金という問題がありますけれども、これをそのまま必ずしも維持するというよりは、むしろ多様な家族形態、例えば共働きということで家族の生活ということをこれからできるようにするような人が増えてくるわけですけれども、それを見越して仕事と家庭生活の両立支援という方に重点をシフトしていくべきなんじゃないか。
 それから、特にホワイトカラー等を中心とした仕事の内容の言わば創造性の向上というふうなところを考えますと、労働時間規制そのものよりは、安全配慮あるいは健康管理義務を強化する形の方向にシフトしていくべきじゃないか。
 それから最後に、社会保障に関して申し上げますと、これは大竹先生のところでも少しあったと思いますけれども、今の制度というのは年金制度が非常に正社員できつくなっている、非常に保護が強くなっている、それが結果的に企業の雇用インセンティブを下げているというところがありますので、むしろ働く機会を増やしていくことによって結果として長い期間働けるような形にする、あるいは共働きということがやりやすいような状況にすることによって社会保障制度の必要性を下げていくという方向に考えていく必要があるんじゃないのかな。これは少子高齢化の中で今の制度、社会保障制度を維持するというのは非常に困難になっていると思いますので、そういう方向で考えていくべきじゃないかな。
 キーワード的に言いますと、かつてのウエルフェアという考え方からワークフェア、すなわちウエルフェアとワーク、働くことによって福祉を実現していくという、そういう新しい考え方に転換していく必要があるんじゃないのかなということでございます。
 以上、少し長くなりましたが、ありがとうございました。
#11
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようお願いいたします。
 なお、午後四時ごろに質疑を終了する予定になっておりますので、一回当たりの質疑時間は三分以内にお願い申し上げます。また、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう質疑、答弁とも簡潔に行っていただきますよう、皆様方の御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方、挙手を願います。
 まず、松村祥史さん。
#12
○松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。
 お三人の参考人の皆様、貴重なお話ありがとうございました。大変興味深く聞かせていただきました。私も以前、経営者をやっておりましたから特に篠原参考人のお話には興味深く聞かせていただいたところでございますけれども。
 まず、篠原参考人、直接お聞きしたいんですが、今派遣の仕事、派遣業界というのは二兆円産業と言われていると思います。私、経営者をやっておりましたから、経営者側にとってこの派遣を受け入れること、会社というのは経常利益を出すのが最終的な目的でありますから、固定費たる人件費を流動費に変えられるんですね。だから、この点では、非常に厳しい今の現状においては会社にとっては助かることなんですけれども、元々経営者の方々の観点というのは、会社をやはり少しでも大きく、また業界で一番とか、こういう観点があると思うんですね。しかし、そのためにはやはり人が育たなければと。この派遣を受け入れる、利益を出す、しかしながら会社を大きくしたい、そのためには人を育てる。非常に相反するものなんでございますね。
 そういう点では、今実際いろんな経営者と接しておられる中で、経営者の観点、こういう時代だからいろんなものが変わってきているとは思うんですけれども、どういった経営者の方々が観点をお持ちなのか、これからずっとこういう派遣の業態を取りながら産業や会社が成長する実情にあるのかどうか、常に経営者の方々と接していらっしゃいますでしょうから、その点を一つお尋ねをしたいなと思っております。
 それから、これは三人の方々にでございますけれども、特に大竹先生のお話の中で、政策的に正社員を守ろうとすることがかえって非正社員の方々を増やしているんじゃないかと。その背景には、会社、雇う側からしますと、さっき言いましたように、人件費を固定費じゃなく流動費にすることで利益が上がると、こういう工夫をしているということだろうと思いますし、社会保険料辺りの負担が半分で済む、そのことでやはり経費の軽減ができるということにつながるんですね。ということは、やはりこの政策自体が少々変わってくれば、会社の成長率であったりいろんなものが変わってくる可能性があると。
 正確にはいろいろ申し上げられないことがあるやもしれませんので、どうか個人的な御意見で結構でございますので、この二点、聞かせていただければ有り難いと思います。
#13
○会長(広中和歌子君) それでは、篠原参考人、お願いいたします。
#14
○参考人(篠原欣子君) 済みません、先ほど経営者とおっしゃったのは派遣会社の経営者ですか、それとも一般の会社の経営者のことですか。
#15
○松村祥史君 私ですか。
#16
○参考人(篠原欣子君) 違います、御質問の、経営者に、経営にということは。
#17
○松村祥史君 よろしいですか、委員長。
#18
○会長(広中和歌子君) はい。松村さん。
#19
○松村祥史君 篠原参考人が実際自分の会社をお持ちでしょうし、それぞれのユーザーというんでしょうかね、この場合は、取引相手の方々の経営者の方々という意味でございます。
#20
○参考人(篠原欣子君) 経営……
#21
○会長(広中和歌子君) 篠原参考人。
#22
○参考人(篠原欣子君) 済みません、申し訳ございません。慣れなくて申し訳ございません。
 経営の立場から、経営者の立場からいいまして、全部外部要員というのはそれは絶対に良くないと思います。やはり経営していく上において、会社の中には、コアになる人たちは正社員で、会社と運命をともにするという考えの人がいないと会社ってなかなか維持はできないと。
 そのサイドで、やはりそのときそのとき、今非常に日進月歩で非常に産業が変わっていますので、例えばITの特殊技能者なんかも、それぞれそのときそのときでそのときの技術を持った人がいないと駄目ということで、そういう場合とか、あるいは仕事が非常に膨らんでしまったという場合はやはり外部要員を派遣で使うとか、そういうふうに経営していったら一番いいのではないかなと思っております。ということで、やはり外部要員とそれから社内、本当に会社を一緒に担っていくという、その両方がないと経営はうまく成り立たないんじゃないかなと思います。
 で、派遣が伸びてきた理由というのは、やはり日進月歩で今物すごく医療の分野、それから介護の分野もそうですし、それからITの分野もそうですし、メディカル研究開発の分野もそうですけれども、そういうところは社内でそういう人たちをなかなか育てられない。スペシャリストってなかなか育ちませんから、そういう場合は外部から入れて、その人たちがその会社で一定期間、まあそれが一年なのか三年なのか分かりませんけれども、一定期間研究開発をして、その会社のいろんな研究であるとかいろんなものを活性化していく、それでその人の仕事、そこで仕事が終わりましたら、その人はそこの技術をまた持っていますし、また我々が、その人が望むんであったら、もう一度、再度教育をしてほかに送るなりなんなりしていきますので、今は非常にいい循環になって動いているんじゃないかなと思います。
 答えになっていましたでしょうか。
#23
○会長(広中和歌子君) よろしいですか。
 それでは、大竹参考人。
#24
○参考人(大竹文雄君) 正社員を守ることをもう少し変えればかえって企業が成長するんじゃないかという御指摘ですけれども、ある程度そうだと思います。
 それは、何人かの方々から今まで御説明あったかと思いますけれども、一つは、正社員の方が例えば人材育成に投資できるということがあるわけですよね。ところが、先ほど私申し上げたとおり、パートあるいは派遣でも長期間雇うと正社員と同じようになってしまうという制度があるわけです。そうすると、その企業が行うことは、もっと勤めてもらったらもっと力発揮できるという人も、二年とかあるいは数か月で解雇していくということをしてしまう。中間的な人がいないんですね。
 実は、もちろん景気が不安定、企業が成長するかどうか分かりませんから、みんなを正社員にするという、本当に終身雇用の人にするというのは難しい。しかし、ある程度雇用は保障するけれども、そんなに二年、三年というわけじゃないという人たちももうちょっといてもいいだろう。そういう人たちが出てくると、例えば五年とか十年とかという任期付きの人たちがどんどん自由に採用できて、それが契約期間の更新も自由であると、二回更新しても別に正社員にしなくてもいいというんであれば、今のパートの人たちよりは技能を蓄積できる。働く方も二年しかこの企業にいられないというつもりで働くんではなくて、五年なり十年なりというのは、その見通しを持てるという意味ではずっと良くなるわけです。企業にとっても労働者にとっても良くなるわけですが、そういう契約の形態は今はないんですね。少しでも正社員に近づいたら今の厳しい正社員の解雇の規制ルールに引っ掛かってしまうという形になっていて、それは日本経済全体にとっても非常に良くないことだというふうに思います。
#25
○会長(広中和歌子君) 山田参考人、何か付け加えることがございましたら。
#26
○参考人(山田久君) 私の方からは、御質問に関しましては、最後のところで御説明したところで少し重複するかもしれませんけれども少し補足いたしますと、一点は、能力開発支援を強化するというのが大きな政策的な課題になってくるんじゃないかなと思います。
 それは、先ほど大竹先生がおっしゃったように、どうしても非正規社員ということになりますと、企業にとって能力開発の合理性というのは必ずしもないケースがありますので、それに対してやはり政策的にいろんな仕組みを考えていく必要がある。これは例えば、海外の事例でいきますと、イギリスにはNVQという非常に基礎的な能力の認定制度のようなものがありますけれども、そういうものを政策的な支援の中でつくっていくというようなことが必要になってくるんじゃないのかなということかと思います。
#27
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、谷博之君。
#28
○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。
 篠原参考人とそれから大竹参考人にちょっとお伺いをしたいと思っておりますが、その一つは、まず篠原参考人の方にお伺いしたいんですけれども、国会の中に私たち、パート労働者といいますか、パート、アルバイトの労働者の皆さん方の問題を勉強するというか取り上げていろんな活動をしているパート議連という団体、組織がございまして、私もそれに参加をしておりまして、最近のこれ具体的な事例のことなんですけれども、日本に在日でおられる外国人の方々、特に、そういう人たちの中でいわゆる私立大学とかそういう民間の大学、研究機関に非常勤講師あるいは助教授等々で教職に就かれている人たちが随分おられるわけですが、そういう人たちの中で、これは一つ具体的な例ですが、私は栃木県の選出なんですが、国際医療福祉大学というところで、その外国人の先生が、これパートで勤めていたわけですが、日本語が十分話せないとか、あるいは学生の数が減ってきているからということで一方的に解雇されるという、こういう事例が出てまいりました。
 そんなことを私具体的に目の当たりにして、これはそこの大学だけではなくて、ほかにも随分同様の事例があるわけですけれども、一つは、パート、アルバイトを含めた、あるいは派遣もそうだと思いますが、そういう外国人の人たちのそういう状況は今どうなっているのかなというふうなことと、それからもう一つは、そういう人たちが労働組合をつくって、そして、それぞれの大学とか研究機関に対して、それは不当であるというふうな活動をしておられます。そういうことについて、現実にそういうふうな問題が具体的に起きている事例があるのかどうか、そして、それについてのお考え、見解がありましたら発言をいただきたいと思っています。
 それからもう一点は、大竹参考人の方にお伺いしたいんですけれども、正社員、非正規の社員、いろいろお話がございましたし、それから、大竹参考人からも具体的な、正社員の数が減ってきて非正社員の数が増えてきているという、こういう具体的なデータも見せていただきましたけれども、そういう状況の中で、正社員が、例えば今まである仕事をしていたのが、その仕事が更に仕事の量が増えていくというケースが、負担が非常に増えてくるというケースが非常に顕著に見えてきていると思うんですね。
 そういう状況の中で、この正社員の人たちが、もう仕事の分量からいってももう耐えられないということで、結果的に正社員の立場から変わっていく。例えば、非正社員の方になっていくとか、あるいは他の職場に移っていくとかという、そういうのが非常に私は潜在的にあるんじゃないかなというふうに思っておりまして、結局、これは非正社員の問題であると同時に、御説明のありましたように、正社員自体のやっぱりかなり負担といいますか、労働強化というのが非常に増えてきているような気がしているわけですけれども、そういうふうな正社員の中の、単に数字だけの問題ではなくて、その動きというものがもう少し詳しく説明いただければ、お答えをいただきたいと思っています。
#29
○会長(広中和歌子君) 最初の御質問は篠原参考人ですか。
#30
○谷博之君 山田参考人の方にしてください。
#31
○会長(広中和歌子君) はい、分かりました。
 それでは、まず山田参考人からお願いいたします。
#32
○参考人(山田久君) 外国人労働者の状況に関しましては、私は残念ながら余り詳しくはないんでございますけれども、ただ、現実問題として、多くの外国の方が日本で働いているという現実はあると思います。公式、政府が調査しているだけでも約八十万人の人が働いているという統計があったと思います。
 これに関しましては、一つはやはり、外国人労働者を日本の労働市場の中できちっとどう位置付けるのかと。今いろんなところで議論がされているというところだと思うんですが、これやはり単なる二分法というわけじゃなくて、一方で既に現実に入っている、それともう一つは、諸外国を見た場合に全く自由に受け入れているところもないというその二つを前提に、現実的に、個別具体的に、ある職種でどうするのか、ある地域でどうするのかという具体的な、現実的な議論を早くすべきだというところなんだと思いますね。
 それと、これは、実は今日のテーマでありますパート、アルバイト、あるいは非正規社員等の多様な働き方の言わば一つの働き方の均等化という話ともかかわるところだと思うんですけれども、これはなかなかすぐにはできないという話だと思いますけれども、一つの仕事の内容に対して、その処遇を、仕事の内容を明確化していって、それに就く人がどういう人であろうと同じようなやっぱり処遇を与えていくというふうな方向で制度の整備をやっていくと、それがやはり外国人労働者ということの問題に対しても重要な視点になってくるんじゃないのかなと思っております。
#33
○会長(広中和歌子君) 分かりました。
 それでは、篠原参考人、お願いします。
#34
○参考人(篠原欣子君) まず外国人の、英語の先生とかと先ほどおっしゃったかと思うんですが、こういう方たちは、正規で日本にいらしている方はワーキングビザをちゃんと取っていて先生の資格をお持ちの方がいらしていると思うんですね。そういう方たちはワーキングビザに基づいて先生のお仕事をしていらっしゃると思います。それが一年契約なのか、それがまた延長になるのかちょっと分かりませんけれども、そういうことで来ていらっしゃると思います。
 あと、英語の先生もそうですけれども、私最近非常に感じているのは、外国人を、日本に入ってくるようにちゃんとした許可、制度をつくってちゃんと監視、監督の下に入れた方がいいんではないかなと。例えば、私新宿に住んでおりますけれども、新宿の町、交差点でちょっと立っていると、日本人か外国人かは全然分からないんですけれども、話している言葉がいろんな国の言葉であったりって、そういうケースが非常にありますし、想像以上にたくさんの人たちが日本に入ってきています。入ってきていらっしゃるということはそれだけ働く場がある、必要だから多分お仕事をしていらっしゃると思うんですけれども、やはりこれは政府でちゃんと監督の下に入れていくべきじゃないかなって、私は外国人についてはそのように思っております。
 それから今、介護を何か外国の方から入れて資格を、教育をしてとかって、そういう話が、今そういうこと進めていらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、それもやはりちゃんとした監督の下に入れてちゃんと仕事をしていただければ、非常に今人手不足のところでそれが解消されるんではないかなと思っております。
 一つだけ、非常に、保険の問題がありますけれども、保険の問題いいんですが、年金が何年間か、その人たちが十年以上か、何年か、非常に長くいないとせっかく掛けた年金がもらえないという、そういう制度になっておりますので、その制度も、外国人が日本に来てちゃんと保障されて働きやすいような、そういう制度に考えていくべきではないかなと思います。
 今、少子高齢化ということで、行く先非常に暗いなんという、そういうニュースもよく聞きますけれども、私はもっと外国人を入れてもっと活性化していった方が日本はもっともっといいんではないかなと、人と仕事という仕事に携わっていて何かそのように思っております。
 以上です。
#35
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 それでは、大竹参考人。
#36
○参考人(大竹文雄君) 二点についてお答えしたいと思います。
 第一点、外国人教員の、非常勤教員の問題ですけれども、恐らく外国人にかかわらず非常勤の人での解雇問題というのは起こっているだろうと思います。これも一つには、正規の職員の教員と非常勤という極端な雇用形態の人たちしかいない職場で端的に起こりやすい問題だと思います。実は大阪大学、法人化後かなりいろんなタイプの教員の雇用形態やっていまして、任期付教員についてもかなりいろんなタイプで入れているんですが、それでない場合には一年契約の非常に短いのを更新するという問題が起こってくるんだろう。
 外国人教員で恐らく問題が深刻になるのは、就労ビザ、ビザの問題が起こって、職がなくなってビザの問題が発生するんではないかなというふうに想像しています。その結果、非常に大きな問題になってくるんではないかというふうに予想はしています。ただ、言いたいことは、申し上げたいことは、恐らく外国人でも日本人でも同じように、非常勤の人の身分というのは極端に不安定な人が多くて、それがいろんな問題を起こしているだろうというふうには思います。
 二点目の正社員の仕事が極端に増えていると、したがってそれに耐えられなくて非正社員を選んでいる人もいるんではないかという御指摘ですけれども、それは御指摘のとおりだと思います。現在、失業率少し改善傾向にありますけれども、失業率高い状況ですが、そうやって職がない人が多いと同時に、仕事している人はめちゃくちゃ仕事していると。非常に長時間労働の人が九〇年代の末から増えてきたということがあるわけですね。
 それは、一つは雇用調整が難しい、正社員というのは雇用調整が難しいということから発生します。雇用調整が難しいから時間で調整する、時間で調整するから忙しいときは思いっ切り働いてください、少し暇なときはゆっくりしてください、でも雇用の人数は変えませんよという形で行いますから、雇用調整が難しいという制度の下では必然的に起こってくる問題が一つございます。したがって、不況で将来成長が見込めないという場合に正社員を手控えたというのが続いたときに、現在のように少し景気が戻ってくるという状況が起こってくると極端な人手不足が起こって、正社員が物すごく働くという状況は必然的に起こってまいります。
 もう一つは、実は技術革新が起こっているときはこういうのは起こりやすいというふうに私は思っています。非常に今までの仕事と違ってきて、新しいタイプの仕事が増えてきた。そうすると、それに対応できる人というのはどこの職場でも少ないわけですね。そうすると、新しい仕事にいち早く対応できる人は限られていますから、その人に物すごく仕事が集中するということはどの業界でも起こっているんだろうと思います。それで、物すごく忙しい人とそうでない人というのが発生してきている。それだったらもう少し暇なところに行こうか、あるいは条件が下がっても非正社員になろうかという人が出てくるというのは思います。
 で、問題は、極端しかないんですね、今の制度の下だと。もう少し中間の働き方、中間の雇用保障それから賃金といったものがあれば、そこまで極端から極端な雇用形態の変化というのを体験しなくてもいいんではないかというふうに思います。
 以上です。
#37
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、浜田昌良さん。
#38
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。本日はどうもありがとうございました。
 三人の先生方のお話を賜りまして、雇用の多様化というのは、これはもう流れが押しとどめられない、循環的要因じゃなくてもう構造的なんだなという感じを、また意を強くしました。その中でお聞きしたいことは、同じ質問なんですけれども、お三方にお聞きしたいと思っているんですが、教育訓練の在り方なんです。
 今まで、日本の正規職員の場合は企業が新規職員を雇って教育訓練をするというスタイル、また国が職業訓練校というものを持っていて教育したりするというスタイルですが、最近、今日のお話を聞いて私もびっくりしたんですが、篠原参考人のところでは逆に人材を供給するために教育訓練までされている、そういうことも出だしていますし、また一部では、先ほど山田参考人のお話では、どうしても非正規雇用については教育訓練の機会が少なくなってしまうというお話もありますが、今までのスタイルと違って、例えばバウチャー制度みたいなものを導入するというアイデアもありますし、個人が負担をして、そしていろんな教育訓練機関がそれを受けて代わりにやるという案もあるでしょうし、これからのこういう雇用が多様化する中で、教育訓練のその在り方、どういうスタイルがいいのかについて、それぞれお知恵がございましたら、お伺いしたいと思います。
#39
○会長(広中和歌子君) それでは、まず篠原参考人からよろしくお願いいたします。
#40
○参考人(篠原欣子君) 教育訓練の在り方って、私、教育訓練の専門家じゃないので、ちょっと答えが違っているかもしれませんけれども、今の仕事を通して感じることは、やはり今世の中のいろいろな産業って日進月歩で変わっているんですね。もう本当にいろいろなものが変わっている。で、企業さんはそういう人たちがすぐ必要なので、でも自分の会社でもそういう人たちが育ってない、世の中にもいないということで、私どものところにそういう人いないかという御依頼があるので、それに対してこたえようとしている間に、いろいろな教育制度が、教育をして派遣しなければいけないという、何かそういう立場に立たされて今教育しているんですけど、ですから、教育訓練制度ってやっぱり、何というのかな、実際に、基本を教育し、学んで、それから実際の仕事に役立つような教育、職業訓練制度のようなものはもっと必要なんではないかなと。専門学校ですか、今専門学校が非常に何か注目されているみたいですけれども、専門学校制度のようなものが非常に必要なのかなというのは感じております。仕事を通して感じていることで、学校のことって余りよく知りませんけれども、ただ、でも私どもでも学校をつくりまして、企業さんの要求に応じて、ごくスペシャリティーを必要とするのは専門学校と提携して教えていただく、我々もお金を出して教えていただいて教育を施すということと、それからもっと、ITとかちょっとした英語であるとかというのは専門の学校をつくりまして、自前で教育したりなんかしております。
#41
○会長(広中和歌子君) はい、どうも。
 それでは、大竹参考人。
#42
○参考人(大竹文雄君) 私も、教育訓練というのはますます重要なことになってくる、重要だと思います。特に企業内の訓練も、不況になると訓練している余裕がなくなって訓練費が少なくなるというのが最近の状況ですね。したがって、例えば今年から企業内訓練を増やした場合には減税されるというふうな制度も入ってきてますから、その企業内訓練をそういった税制の支援の下で支援していくというのは一つの方法だと思います。
 それから、バウチャー制度につきましては、これはその教育訓練の費用を国が助成するという一つの方法だと思いますね。ただ、本当にどのくらい効果があるかはやってみないと分からないところはあると思います。で、そのバウチャー制度の問題点としては、不正使用がされないかどうかの監視は結構難しい問題がありますけれども、ただメリットの方はかなりありまして、訓練を受ける方が教育機関を選択することになりますから、教育機関同士の競争が起こってきて教育機関の質が向上するということがあります。したがって、教育機関そのものに補助を出すよりは、そういう競争を通じて質が高まるというメリットもあるわけですね。ですから、どっちが効率的になるかは少し、実験的にやってみるしか分からないというのが正直なところだと思います。ただ、外国の例では幾つか成果が上がっているところもございますので、そういった例を参考にしてやるというのは一つだと思います。
 それからもう一点は、教育訓練の効果自体が、果たして本当に効果があるのかどうかという本質的な問題もあるわけですね。これは結構測るのが難しい。教育訓練を助成しますよというと、元々教育訓練受けなくても能力高い人ばっかりやる気がある人は出てきて、その教育訓練を受けた人は確かにもっと伸びているけれども、本当は教育訓練を受けなきゃいけない人は受けなくて余り効果はないということも起こってくるかもしれない。ですから、なかなか効果を見るのは難しいんですが、どうもある程度分かってきているのは、その仕事とある程度結び付いた形の訓練を提供した場合には、多くの人がやる気を持って受けて生産性が上がるんではないかということは少しずつ分かってきているという状況だと思います。
#43
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、山田参考人、お願いします。
#44
○参考人(山田久君) 一つの提案というのは、先ほど申し上げましたようなイギリスのNVQみたいなものを勘案するのはどうかというのが一つあります。それから、これも前から、昔から言われている話ですけれども、例えばコミュニティーカレッジ、アメリカにあるような制度ということをつくっていく。
 ただ、そこでいずれの制度をするにしても重要な点は、やはり産業界のニーズということをいかに反映させていくのかということだと思いますね。まあ、行政のところで主導でやってしまうとどうしても乖離が起こってしまう。これまでそういう制度はいろいろあったわけですけれども、効果が一般的には薄いと言われているわけでありまして、もちろんそのアメリカの制度、イギリスの制度がどの程度ワークしているかという議論はあるんですけれども、少なくとも日本よりはワークしているんではないかということで、それのある程度の成功の秘密があるとすれば、民間の考え方とか動き、その取組ということを主体にやっているということですね。
 それから、これは私の提案ではないんですけれども、これは社会経済生産性本部の雇用政策特別委員会というところが提言しているんですけれども、キャリアパスポートというものを発行したらどうかということを言っていらっしゃいますね。これはどういうものかというと、十八歳以上の若い人たちのすべてに対してその自らのキャリアに関する記録帳と様々な支援、政策的な支援ができるような利用証ということを発行して、それによってその能力開発を支援していこうというふうな考え方ですね。
 能力開発というときにやはり重要なのは、やっぱり働くということですね。ともかく働くと。そういう中でいろんなことを学ぶということがありますから、言わばそういうものを記録していくということによって、意識してそれを記録するということによって能力開発がされていくということがあるんではないのかなというふうに考えております。
#45
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、井上哲士さん。
#46
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日は、三人の参考人の方、貴重な御意見をありがとうございます。
 多様化する雇用への対応という場合に、多様な働き方を保障し応援をするという側面よりも、どうも、企業の側の使い勝手のいい働かせ方をする点にどうも傾いているんじゃないかという思いをいつも持っております。
 そこで、まず篠原参考人にお伺いいたしますけれども、御社でいろんなスキルアップであるとか、それから保険の問題とか大変努力をされていること、よく分かったんですが、ただ、業界全体で見ますといろんな問題があるかと思います。
 つい先日、東京地裁が派遣労働者の死を過労自殺と認めた判決が下りまして、この場合、派遣元も、それから受けた方の会社両方に賠償の対象が拡大をしたということで大変注目をされた判決だったと思うんですが、ある新聞は、正社員であれ請負であれ、働く人は物ではない、利用することだけを考えるのはおかしいと、こういう社説も書いておりました。ある派遣会社は、無料お試しキャンペーンというのをやっておるのを見て、本当、物扱いでいいのかなということを思ったことがあるんですが、こういうマイナス面、現に起きている問題についてはどのようにお考えで、業界としてはどういうふうな方向で解決をすべきかとお考えかということをまずお聞かせいただきたいと思います。
 それから、山田参考人にお伺いいたします。
 同一価値労働・同一賃金ということの提起がございました。私どもいろんな国会で議論をする中で、パート労働法の改正というような形でやはり均等待遇についての法的強制力持たすべきだということも提案をしているわけですが、政府の方は、これはあくまでも労使間で決めることだということでなかなか進まないわけですが、実際には、特にパートの方は非常に組織率も低いという中で、労使合意ではなかなかいかないんじゃないかと思っているんですが、こういう法的強制力を持たした規制という点についてどうお考えかということが一つ。
 それからもう一点、これも山田参考人なんですが、この非正規の増加というのはトレンドで変わらないだろうと、こういうお話がございました。この問題をずっとこの調査会でも議論をしているんですが、日本の物づくりの強さということを考えたときに、やはり現場でのコミュニケーションであるとか、それから企業自身が教育をしていく、そういう力ということを持っておかないと、中長期的にはそういう強さが弱まっていくんじゃないかということもいろんな議論としてあるわけですね。そういうちょっと長い目で見た場合に、やはり一定の方向を切り替える必要もあるんではないかという気もしているんですが、これについてのお考えをお聞かせください。
 以上です。
#47
○会長(広中和歌子君) まず、篠原参考人、お願いいたします。
#48
○参考人(篠原欣子君) 一番最初のその過労死ですか、働き過ぎたとか残業し過ぎたとかという結果でお亡くなりになったとかという、その件があったかと思うんですが、それはもう本当にあってはならないゆゆしき問題で、本当に残念だなと。遺憾に思っているというんですか、何か本当にあってはならないことだと思っております。本当にあってはならないことなんで、それは本当に業界全体としてもそういうことは絶対あってはならないということをもう本当に非常に強く我々は感じております。
 あと、仕事ですね、派遣の人に働くことを強要は余り本当はできないんですけれども、そういうふうに強要をして長時間働かせるということは多分余りないんじゃないかと思いますよ。逆に、正社員の方がやはり会社に対する帰属意識であるとか愛着心で、ついつい過労になるまで仕事をしてしまったというケースが時々あるかとも思うんですけれども、それに比べて派遣の方は、やはり時間から時間ということの契約で行っているケースが非常に多いので、まあこれは、そういうことがあったということはたまたま本当に残念ですけれども、ほとんどの場合はそういうことは余りないのかなというのは私は思っております。
 以上です。
#49
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございます。
 それでは、山田参考人、お願いいたします。
#50
○参考人(山田久君) 一点目の同一価値労働・同一賃金に関して法的に強制力を持つべきかということだと思いますけれども、この点を考えるには、私が先ほど最初のプレゼンテーションの中でしゃべらせていただきましたように、実は今の労働法制そのものがやや時代から乖離してしまっている部分があるんじゃないのかなという論点が一つあると思うんですね。
   〔会長退席、理事辻泰弘君着席〕
 そういう意味で、単純に今の現状に対して均等化していくということをやってしまうと、恐らく、これは大竹先生も御指摘されているとおり、企業の雇用需要が大きく減ってしまってむしろ失業を起こしてしまうという、失業の上昇を起こしてしまうという副作用を生じさせてしまうんじゃないかなと思います。
 そういう意味で、最後に申し上げたような、いろんな労働者保護の枠組みを変えていくと同時に、その均等化をやっていくべきなんじゃないのかなと。その均等化というのも、そういう意味でいうと、現時点でその法的強制力を持って、直ちに法律にそれをするというよりは、むしろ均等待遇の配慮義務というふうな形で、将来に向かったあるべき全体の労働保護の在り方に向けて均等していくというふうな考え方の方がいいんじゃないのかなというふうに考えてございます。
 それから、二点目の物づくりの現場を中心とした正社員の持っているむしろその良さというんですか、そこの見直しという、実際これは起こっていますね。例えば、非正規社員のシェアというのはじりじり全体では上がっているんですけれども、正社員だけ取りますと、最近、むしろ正社員の比率が少し戻ってきています。
 そういう意味では、おのずと産業によって合理的な、これは経済合理性から見ても妥当な水準というのがあるはずで、ある部分、これは製造業のような特に技術の伝承が重要な分野に関しましてはやや急速にやり過ぎた、そこの反省があって揺り戻しが生じているんじゃないのかなということだと思うんですね。だから、ここはある部分、過去十年というのは非常に大きな、日本経済がその環境の変化に直面して、対応がもうどうしてもできなくなって、いや応なしにその雇用環境を大きく悪化させたというところがあったわけですけれども、ここに来てその環境が変わってきている。
 そういう意味では、もう気付いている経営者に関しましてはそういうことをやり始めているということだと思いますから、この辺り、もっと、もう一回、確かに非正規化という流れはあるんだけれども、これは単純にあらゆるところがそういうことが起こっているわけじゃなくて、やっぱりその業務の性格とか業種の性格、あるいは仕事そのものの性格ということをそれぞれの経営者あるいは労働組合がもう一回見直して、お互いに最適なやっぱりやり方ということを勘案していくべきなんじゃないか。そうすると、おのずと正社員の比率も回復してくる部分は当然あるんじゃないのかなというふうに考えております。
#51
○理事(辻泰弘君) ありがとうございました。
 次に、渕上貞雄君。
#52
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。参考人の方、大変御苦労さんでございました。
 今、私は、非正規の社員がだんだんだんだん増えているという一つの側面というのは、やはり全体的な労務費、賃金の抑制に一面あるのではないか、したがって、非常に雇用形態を不安定化させるということは同時に賃金の抑制につながっている、その一定の役割というのはもう、今の労働力全体から見ての非正規社員の数から見て役割は終わったのかなというような認識を持っておる一人でございます。
 そこで、大竹先生にお伺いをいたしますが、政策対応のところでの、解雇規制の多様化というふうにうたわれておりますけれども、もう少し、中間的なお話がちょっとあったようでございますが、もう少し理解を深めるために、先生のお考え方もうちょっと御説明いただければと、このように思っているところです。
 どういうことを考えられておるのかと、もう少し解雇しやすくしたいというふうに考えているのかどうか。その解雇をしやすくしたいというところは、会社の中で占める技術者だとか、例えば上層の管理者だとかは別にして、一般社員のところなのかどうなのかということをまずお聞きしたいと思います。
 それから、篠原参考人の方には、契約期間というのを資料のページの八ページで見ますと、一年未満が圧倒的に多いというふうに数字上表れていますが、これは雇用する側が求めているのか、それとも、雇用される側がそういうふうに期間の長いやつは駄目だと、短いのがいいと。多くは、三か月未満というのが一番多いところなんですが、概して一年ぐらいの契約期間ということになっていますが、ここのところはどのように考えればいいのか。
 それから、山田参考人の方には、(2)の「求められる対応」のところのCのところですね、ちょっともう少し詳しく御説明いただければと思っています。
 以上でございます。
#53
○理事(辻泰弘君) それでは、まず大竹参考人、お願いいたします。
#54
○参考人(大竹文雄君) まず、最初におっしゃったことを答えさせていただきたいと思います。
 非正規社員の一つの役割は賃金抑制であったと、ですから、それはもう十分賃金も下がったから役割は終わったんではないかということだったと思いますけれども、ある程度御指摘のとおりだと思います。
 ただ、どうしてそういうことが起こったかということをお話ししたいと思うんですね。
 九〇年代は不況で、平成不況長かったわけですが、デフレだったわけです。デフレにもかかわらず、実は正社員の賃下げというのはなかなか起こらなかったんですね。起こり出したのが九八年ぐらいからボーナスが大幅に低下したりして起こったんですが、それでも、正社員の人件費が下がり出す、かなり下がったというのは時間が掛かったわけですね。
 そうすると、その正社員側の人件費下げられない分どうしたかというと、新規採用を抑制して全部パートにするということが起こってきた。そうやって人件費を下げたということがあります。しかし、だんだんデフレの世界にも慣れてきて、いろんな企業が賃下げもできるような、就業規則変えたり賃金規定変えたりしているわけですね。成果主義の導入もその一つだと思いますが。それで少し正社員の賃金の変更というのが可能になってきて、だんだんその部分の必要性は低下したんだろうと思います。ただ、トレンド的にどうかということは、技術革新で正社員でなくても働けるとか、あるいは正社員以外の働き方希望する人も多いという下でどうなるかというのはよく分かりません。
 御質問の中心点である中間的な雇用形態を増やしたらどうかということについてお答えしたいと思いますが、例えば、私が提案していますのは、三年でも五年でもいいんですけれども、五年契約あるいは三年契約というその雇用契約を結ぶと。そのときに、今ある雇用契約の結び方は二つしかないんですね。期限、有期の雇用契約、三年間という場合は、三年間労働者も辞めることはできないし、企業も辞めさすことはできないという雇用契約。もう一つは正社員の契約ですね、期限のない雇用契約という形ですね。
 ところが、もう一つ私が提案しているのは、三年間は、労働者はいつ辞めてもいいんだけれども、企業は三年間は辞めさせないという縛りを掛ける。ところが、その有期の雇用契約と違って、それは何回更新しても、更新するかしないかというのを自由にすると。だから、企業の方は一方だけ損するわけですね。労働者の方は辞められるという自由が残りますから、有期の雇用契約よりは緩いわけです。でも、その分、企業にとって今度は得になる部分というのは、それがどれだけ更新しても、三年契約を続ける、続けても構わないと。今は、例えば五年契約を二回やっちゃうと、ほとんどもう解雇できない形に判例法上なっていますから。そういった雇用契約だと、今の非正規の人よりはずっと雇用が保障される、しかし正社員よりは雇用の安定はないという中間的な雇用契約ができるんではないかというふうに思っています。
#55
○理事(辻泰弘君) ありがとうございました。
 それでは、篠原参考人、お願いいたします。
#56
○参考人(篠原欣子君) 派遣期間が三か月というと短いということの御質問ですけれども、これは派遣で働く方のいろいろな事情、例えば子育てとの両立であるとか、家事との両立であるとか、そういう理由のある人が非常に多いのと、それが一つと。
   〔理事辻泰弘君退席、会長着席〕
 それからもう一つは、即戦力ということで、こういう会社へあしたから行っていただけますかとか、来週からとか、非常に短い期間。ですから、行く人もどういう会社であるのか、どういう仕事なのかというのはあらかじめ聞いて、話して行きますけれども、どういうところかよく分からないので、取りあえず三か月で、お互いに、企業さんもそういう感じだろうと思うんですけれども、お互いに良かったらそれ延長するという、そういうことが非常に多いですね。それで、三か月で取りあえず行きますけれども延長延長というのが非常にあります。それが大きな理由じゃないかと思います。
 よろしいでしょうか。
#57
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 それでは、山田参考人、お願いいたします。
#58
○参考人(山田久君) 資料の最後のロのCのところだと思います。
 これに関しては、社会保障制度と雇用の関係ということに関してちょっと説明する必要があると思うんですけれども、今の言わば社会保障制度、特に年金制度というのは言わば工業社会を前提にしている。すなわち、一つは家族の在り方として、男性が働いて女性は中でいる。かつ、比較的寿命もそんなに長くないと。六十歳ぐらいで定年して後、年金を十年か十数年ぐらいで済むというふうな制度設計になっているんだと思うんですね。
 ところが、御案内のように、少子高齢化が進み、産業構造のソフト化、サービス化が進む中で、男も女もやっぱり働くという環境に変わってきている、それから寿命が非常に長くなってきているということで、今の制度というのはなかなか維持できなくなっているということだと思うんですね。それが前提にあるということでございます。
 そうしたときに、じゃどういうふうに変えていくかといったときに、ここにワークフェアという言葉を一つ挙げているんですけれども、これ、実は具体的にモデルがありまして、例えばスウェーデン等の北欧であったり、あるいはイギリスのサッチャー後期から、今ブレア政権もそうですけれども、こういう考え方を持っているわけです。
 それは、働くということを、できるだけ働き方をいろんな形で増やしていこう、そのためには、例えば能力開発をきちっと支援しましょうということをしたり、あるいは積極的に、例えば北欧の場合は女性が社会進出をするためのいろんなやっぱりサポートを積極的にやっていると思うんですね。そうしますと、結果として長く働ける、あるいは多くの人が働くということになりますと、社会保障の負担がやっぱり減ってくるということだと思うんですね。
 ですから、これまでのように単純に年金制度、特に年金制度だと思うんですけれども、比較的日本というのは相対的にこれが厚くなっていると思うんですけれども、それをどんどん例えばパート等に適用を拡大していきますとむしろ雇用に対してはマイナスということにどうしてもなっていきますので、そうではなくて、発想を転換して、できる限り能力開発のところであったり共働きを支援する制度をつくっていくということによって年金制度そのものの必要性を下げていこうと、そういう中で政策支援をやっていくべきなんじゃないのかなと、そういう考え方でございます。
 ちなみに、それに関しましては、参考人関連資料ということで事務局の方でお作りいただいておりますけれども、四十一ページからの「ワークフェア理念の確立を通じた日本社会の再生」ということで書いたものを載せていただいておりますので、よろしければそれを御参考にいただければと思います。
#59
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、野村哲郎さん。
#60
○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。
 私は、篠原参考人と山田参考人に御質問をさしていただきたいと存じます。
 先ほどから大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。多様な雇用形態ということで、私も、先ほど篠原参考人からいただきました資料を見ておりますと大変な市場の伸びだなということを感じた次第でございます。一九九八年には九十万人から二〇〇三年におきましては二百三十六万人という、このことがやはり失業増の緩和という意味での大変な効果を生んでいるんじゃないかというふうに思います。
 そういうふうに考えてきたときに、先ほどちょっと山田参考人のお話にもあったんですが、山田参考人の方からは、やはりいろんな会社に対するデメリットの問題、デメリットと言い切れるのかどうか分かりませんが、いわゆる正社員の比率が少し戻ってき出した、揺り戻しが出てきたと、こういうお話も伺ったわけであります。
 そうしましたときに、今後のこういった派遣事業といいますか、派遣労働者の推移というのはどうなっていくのかというのが一つ非常に、今事業をなさっておりまして今後の見通しがどうなのか、そのことを篠原参考人にはお伺いしたいし、一方、山田参考人の方には、先ほどおっしゃいました、そうじゃないよと、揺り戻しがあって正社員の比率が少しずつ高まっていく、ということはこの派遣労働者なりあるいは非正社員の比率というのがもうそんなには伸びないぞと、こういう意味でおっしゃったのかどうか、そこを一点お聞かせいただきたいと思います。
 それから、加えまして、山田参考人にお伺いしたいのは、先ほど、一番最後のページのところで、「課題と対応」の中で生活者サイドから見たプラス面、マイナス面というのがありました。一方では、確かに企業にとってはプラス面、企業面から見たときにプラス面は、それはもうここのグラフにも出ているようないろんな理由があります。でも、マイナス面、さっき少しお話が出たんですけれども、日本型のこの雇用形態がずっと続いてきた中で今後どうなっていくんだろうか、社会も含めて、会社含めてマイナス面というのはやっぱり危惧しなくていいのかどうか、そこのところを少し御示唆いただければ有り難いと思います。
 以上です。
#61
○会長(広中和歌子君) それでは、まず篠原参考人。
#62
○参考人(篠原欣子君) 正社員の揺り戻しは過去においても非常に繰り返しがありました。ということは、景気の変動で正社員が多くなる、多くというかしら、正社員が多くというんでしょうかね、そういうふうになる場合とかいろいろありますけれども、派遣の働き方というのは、ただ単純に一般事務とかそういう人たちが派遣で働いて都合のいいときだけ雇用するとかということではありませんので、これはまだずっと世界の動きを見ましても派遣の働き方は増えてはいくと思います。
 今非常に何が起こっているかというと、日本の経済は非常に回復基調にありますので正社員もよく皆さん、企業さんで雇用なさりますから、そうすると人が足りなくなってきているという、人手不足ですね、今派遣会社は物すごい人手不足という感じになっております。
 私ども、ただ本当にパートだけを派遣しているかというとそういうことではありませんので、紹介予定派遣という制度があります。それは、最初三か月とか六か月とか派遣制度で派遣します。企業さんもその人をよく見て、お互いに良かったら正社員に切り替えている制度も規制緩和でなりましたし、ですから、どんどんそういう正社員も生まれてくると思いますし、それから、私どもの派遣の会社で紹介、ただの紹介ですね、人材紹介の方もできるようになりましたので、それもやっておりますし、それから、先ほど申し上げました育成、教育をしていろんな特殊技能を身に付けた人たちを派遣していく。それも紹介予定派遣に組み込んで、例えば三か月、六か月教育した人を企業で使っていただいたら、お互いに良かったらその人たちを正社員にという例もありますので、決して派遣、本当にただのちょっとした派遣だけではありませんので、いろいろ変わってきていますので、ビジネスとしてはこれからもどんどん増えていくんじゃないかなと思っておりますし。
 私は本当に、これはこういうことで言う言葉ではないのかもしれないんですけれども、本当に目まぐるしく移り変わる日本経済の活性化のために我々は役に立っているんじゃないかと。経済が動けば人が動きますので、その人に合ったような働く場を紹介していく、企業さんが求めているような人を紹介していくということで、そんなようなことを思いながら仕事しておりますけれども。
#63
○野村哲郎君 ありがとうございます。
#64
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、山田参考人、お願いいたします。
#65
○参考人(山田久君) 一点目の雇用形態の多様化、あるいは最近の正社員の回帰の流れをどう評価するかということですけれども、これは恐らく業種とか職種によって動きが違うということだと思いますね。これはもう先ほど申し上げましたように、製造業の現場に関しましてはやや反省が出ていると思いますね。そういう意味では、正社員比率は既に少し高まり始めていますし、今後も少しその動きが続くんじゃないのかなと思っています。
 ただ、経済全体で見ますと、これはいわゆるソフト化、サービス化が進んできています。そういう意味では、これまで日本でつくり上げてきた正社員の形態というのは、物づくりの伝承という、技能の伝承という意味では非常にうまい制度をつくったわけですけれども、日本が今後国際社会の中で、競争の中でやっていくためには、よりソフトの面にシフトしていかざるを、なりませんので、そうしますと、やっぱりこれまでの正社員だけではやっていけないと。ですから、全体としては違ってくるんじゃないか。
 それともう一つ申し上げておかないと駄目なのは、恐らく正社員、非正社員という二分法というのを変えていかないと。これはもう大竹先生もおっしゃっているとおりで、より中間的な形態、あるいはもっと言うと、もうそういう、非常に、少しずつ変わっていくような形態に変わっていかないと。実際、流通なんかではそういう動きが出てきているんですね。パートの店長が出てきたりとか、あるいは一種の正社員でも短期間労働者というのは出てきていますから、そういう意味ではパート的な正社員というのは出てきているわけで、そういう意味では、既に一部そういう動きが起こっています。
 それと二つ目の、これからの日本社会がどうなるのか、それと、企業にとってもその非正社員が増えるというのはマイナスなんじゃないのかなということは、これは全くそのとおりで、一部単純に非正社員にシフトしていくと問題が起こるわけですね。これは実際ノウハウの伝承というところで問題が起こっていますし、ある企業ではやはり安全性の面でいろんな、工場の場合ですと安全に配慮しないと駄目ですけれども、そういうところで問題が起こっているということを聞いたりもします。
 そういう意味では、さっき申し上げたように、そこの問題を是正しようということで一種の揺り戻しが起こっていると。だから、企業側の合理的な行動の中でも当然一方的にいわゆる非正社員化が進むというわけではないということですね。
 ただ、さっき申し上げたように、全体としてはどうしても非正社員というか、働き方というのはいろんな形でばらついてくると。そうすると、やはりリスクとして、日本社会としてはこれまで比較的平等社会だと言われてきてたのがばらついてくる可能性というのはこれあると思いますね。実際所得格差なんかが開いているという統計もあります。
 ただ、これは今の最大の理由は、高齢化の要因ですね。元々、年齢が高い人、高齢者というのは元々ばらついていますから、そういう意味で、高齢化が進むと、この結果、自然としてその格差は開いているわけですけれども。
 ただ、やっぱり気になるのは、若い世代で実はその二極化が始まっていると。これは正社員といわゆるフリーターのような。だから、この問題に対してやはりきちっと対応を今のうちからしていかないと駄目ですね。そのためには、先ほど来議論になっているやっぱり能力開発の仕組みを全体でどうつくっていくのかというのが非常に重要な問題になってくると思います。
#66
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、広田一さん。
#67
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。
 本日は、三人の参考人の先生方、誠にありがとうございます。それでは、質問さしていただきたいと思います。
 まず、大竹参考人さんにお伺いをしたいんですけれども、最後の広い意味での雇用形態の多様化というところで、ボランティア、そしてNPOについてのお話が若干あったんですけれども、私もNPOというのは、二十一世紀の我が国の形を考えたときには必要不可欠なセクターというふうに思っております。アメリカなんかは、正確な数字はちょっと忘れましたけれども、七%以上ぐらいそういったところで従事されている方がいらっしゃるということなんですけれども。
 今後、我が国において、このNPOが一つの雇用の受皿としてどのような発展をされていくというふうに見られているのか、そしてまた、それを促進するために税制面とか含めてどういった支援策が考えられるのか、この点についてお伺いをしたいのと同時に、先生の論文の中で、人員削減より賃金削減を行うことによって新規採用者を増やしていくと、このことをすることによって逆に企業が成長をしていくんだというふうな御主張をされていると思うんですけれども、これを裏付けるデータなり、なぜこのような方法を取れば企業が成長していくというふうに考えられているのか、そこの点を示していただきたいと思います。
 次に、篠原参考人さんにお伺いをしたいんですけれども、先ほどの御説明の中で個人情報の保護についてのお話が若干ございましたけれども、ちょっと時間の都合で詳しいお話が聞けなかったんですが、いよいよ今月から完全施行ということで、この個人情報保護について貴社として、特に個人情報の収集、利用と提供に関してどのような方針を持たれているのかということと、個人情報への、リスクへの要望、是正についての考え方について教えていただきたいというふうに思います。
 最後に、山田参考人さんにお伺いをしたいんですが、ちょっと私も以前見た資料でうろ覚えで大変恐縮なんですけれども、教えていただきたいこととして、スウェーデンの積極的な労働市場政策との関連なんですが、スウェーデンの場合は、いろいろ働いていた労働の経験といったものが大学に何か入学した際の単位として認められていくというふうなことを何らかの資料で見たことがあるんですけれども、この中身についてお分かりになる範囲で教えていただきたいのと、こういったことによって非常に、スウェーデンの学生というのは平均の年齢が二十八歳ぐらいで日本の大学生と比べて非常に問題意識が高いということが、結果としてスウェーデンの、非常に税金が高いんだけれども、国際競争力の向上に貢献しているんじゃないかというふうな指摘があるんですが、その点についてどう思うのか。つまり、大学教育と労働政策との関連についてお伺いしたいと思います。
 以上です。
#68
○会長(広中和歌子君) それでは、まず大竹参考人、お願いいたします。
#69
○参考人(大竹文雄君) まず第一点のNPOの役割、それから今後どうなっていくのかということですけれども、私は恐らく役割は大きくなっていくだろうと思います。それは一つは、小さな政府を目指すということから、公共サービスを代替していくような組織としてNPOというのが重要な役割を果たしていくだろうというふうに思います。それからもう一点は、高齢者あるいは技術革新のスピードに対応しない人たちのゆったりとした働き方というので、そういった受皿になっていくというものがあるんだろうというふうに思います。
 ただ、私が問題としているのは、そういったのでNPOで働く人たちが増えていくだろう、そして重要だろうというのは間違いないと思うんですけれども、雇用問題として問題になってくるのは、半分ボランティアのような人たちが入ってくると。そうすると、雇用者なのかボランティアなのかの区別が分かりにくくなってきて、事実上実は雇用者なんだけれども、非常にボランティアの部分が多くなって、低賃金で、実質的な低賃金で働いている人たちが増えてきてしまうかもしれない。だからそこを、そういったボランティアと雇用者の中間的な人たちが増えてきたときに、どういう法的な手段で彼らの雇用環境、働く環境を守っていくのかというのは非常に難しい問題だなというふうに思っています。
 ここで私何も回答ないんですけれども、一方でボランティアで同じ仕事をする人がいて、もう一方で同じ仕事を賃金をもらってやる人がいる、その両方を行ったり来たりする人が出てくる。そこをどうやって考えていったらいいのかというのは、私自身は回答を持っていないんですけれども、今後重要な問題になってくるんではないかということです。
 第二点目の、人員削減やるよりは賃金カットをしてでも労働者の数を増やした方が成長につながるんだというお話、どういう統計的な根拠があるのかということなんですけれども、これは私、何年か前に中部地方の企業と労働者にアンケートをしまして、その研究結果を基に申し上げております。
 どういうストーリーかというと、企業の成長に一番大事なのは、今のお話でも何度か出ていましたけれども、労働者が訓練をすると、そして働く能力を身に付けるということなんですけれども、働く能力を身に付けるというときに問題となるのは、労働者の数が減り過ぎると忙しくなり過ぎて実は能力開発ができないという問題があります。そうすると、長期的な企業の成長というのは止まってしまうということが言えるわけです。
 実際、もう一つは、労働者の労働意欲がどうなるかという問題もあって、人員がどんどん低下しているようなところの企業というのは大体その意欲がなくなっていく。どうしてかというと、昇進の可能性が減ったりとか自分の将来の職場がなくなるんではないかとみんな思いますから、意欲もなくなっていくということがあるわけです。もちろん賃金カットも労働意欲をなくすんですね。ですから九〇年代に賃金がなかなか下がらなかったんですが。ところが、意外に分かるのは、一律にある程度、そんなに大幅なカットじゃないんですけれども、その五%程度までの賃金カットだったら、結構雇用調整やるよりはまだ意欲がなくならないというのが分かります。大幅な賃金カットはみんな労働意欲なくなりますからまだ雇用調整の方がいいという形になるわけですが。
 ですから、その両方の意味で、少しでも早めに賃金カットをして雇用の減少というのを防ぐという方が実は長期的に企業の成長に役立つんではないかという、私自身の研究結果を基にお話しさせていただきました。
 以上です。
#70
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、篠原参考人、お願いいたします。
#71
○参考人(篠原欣子君) プライバシーマークのことですけれども、これはもう本当に、私どもの会社といいますか派遣側は、お客様のプライバシーのこと、それから働くスタッフの、登録していただいている方のプライバシーを非常に、お預かりしていますので物すごく神経使っております。プライバシーマークの取得は二〇〇二年に取っております、もう既に。
 具体的にどういうことをしているかといいますと、プライバシーマークの取得が、二〇〇二年の一月に取っておりまして、具体的には社内什器の施錠の徹底ですね、社内の戸棚であるとか、これはもう徹底しています。それから、就業規則とか罰則の改定とかも見直しました。それから、セキュリティーポリシーの策定とか、これの改定とかというのも非常に神経使ってやっております。それから、情報資産の社外持ち出し制限ですね、これも非常にうるさいです、細かくて。それと情報管理強化キャンペーンの実施であるとか入退室とか来訪者管理。私も、グループ会社があるんですけれども、グループ会社に行くときには付けていって、ドア開けて入ったらちゃんとこう付けるとか、そういう細かいことを非常にやっております。それから、自分のかばんは持ち出さないと。会社に来たら全部会社用のかばんに詰め替えて仕事をするという、そういう細かいことを非常に神経使ってやっております。プライバシーマークの担当がおりまして、定期的に巡回したりして回っておりまして、非常にそれは神経使っております。
 そういうことでよろしいでしょうか。
#72
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 それでは、山田参考人。
#73
○参考人(山田久君) スウェーデンの大学教育の話だったと思いますけれども、申し訳ございません、スウェーデンの大学教育の細かいところまで私も存じませんで、直接の御質問にはお答えできないんですが、ただ、スウェーデンモデルということでやや大きく申し上げますと、これに関しては非常に、何というんですかね、特異ないろんなものが組み合わさってできていると。したがいまして、例えば大学制度のその教育重視だけを取り上げて、それだけ議論しても実は余り効果がないのかなという気はしています。
 それは、もうちょっと言いますと、元々スウェーデンというのは戦後非常に特異な経済政策を取ってきた国でありまして、比較的平等な賃金設定をこれもう政策的にして、そうしますと、生産性が低い分野というのは賃金、労働コストに圧迫されて淘汰されていくと。そういう人たちを非常に充実した教育制度でもって職業転換をやっていって、その生産性の高いところにどんどん人をシフトするという、そういう政策を取っていっているわけですね。それと同時に、女性の社会進出を非常に積極的に支援していって、社会保障のコストを相対的に下げながら社会、福祉国家を維持したという、そういう特異なモデルだったわけですね。
 ただ、これ前提としてやはり比較的小さな国で、最終的には通貨が安くなって輸出が伸びるという利点があったんですね。かつて、実は日本もそういう利点があったので、かつての八〇年代までですと恐らくスウェーデンモデルというのを日本でも適用できたのかもしれませんけれども、ここまで国が大きくなりまして、最終的にそういう通貨調整による景気回復というのが難しくなっておりますので、スウェーデンモデルの導入に関してはかなりいろんな前提を議論しながらやっていかないと駄目なんじゃないのかなと。
 だから、大学教育のことに関しましても単純に、これも大学教育だけやっていけばということじゃないと思いますね。これは、もっと言うと、生涯教育というのは世界的な一つの潮流でありますから、スウェーデンも一つの参考になるんでしょうけれども、アメリカの制度、そういうものを総合的に考えていくということなんではないかなと思います。
 ちょっとお答えになっていないと思いますけれども。
#74
○会長(広中和歌子君) よろしいですか。
 それでは、岡田広さん。
#75
○岡田広君 自由民主党の岡田広です。
 多様化する雇用形態ということで、ますますIT社会ということで、これも雇用形態が多様化していくということで、今日は大変三人の参考人の皆さんから貴重な御意見を伺いました。
 それで、幾つかお尋ねをしたいと思いますが、説明の中で、派遣労働者二百三十六万人、対前年比一〇・九%増、そして完全失業者は三百十三万ということで、これは前年比マイナス三十七万です。完全失業率が四・七%、これも前年比〇・六%下がっていると。雇用環境が改善されてきたのかなということもうかがえるんですけれども、特に私は、実は今度の二十日の日にこの委員会でフリーター、ニート等の若年者の雇用問題というのがあるんで、そこで質疑をしたいと思っていますが、参考までにいろいろ御意見をお聞かせいただければと思っています。
 若年者の雇用環境というのはそういう中でも悪化しているということでここにも書かれています。十代から二十代前半では一〇%を超えるということで、特に私は若い人たちの離職率が高いというのが大変問題ではないかなという気がするんです。中学卒業が三か月以内、就職して三か月以内に離職をする、七割だそうです。高校が五割、大学三割という、七五三という、こういう数字になるんですけれども。
 これが、高度経済成長期はこの数字はもっと高かったそうなんですが、この時代には離職をしても新たな求人の窓口があったという。しかし、今なかなか離職をしてしまうと新たな窓口がないという、そういう社会環境ですから、結果としてフリーターが増加をするということで、この今日の説明の中でも十五年、これ十五年統計で約二百七十万人ということで派遣労働者よりも多い数字になっていますけれども、ニートは約八十五万ということです。
 そこで、まずお尋ねしたいんですが、就業環境の悪化ということに私はなるんじゃないかなと思いますが、この派遣社員になる理由、篠原参考人にお尋ねしたいんですが、山田参考人の資料にも一番最後に書かれていますが、こういうデータで、篠原さん、実際派遣で仕事なさっていますんでお尋ねしたいんですが、働けるところがないという、これが一つあるんだろうと思います。あるいは、時は金なりという言葉もありますけれども、派遣社員になる理由というのはどういうことなのか、幾つか挙げていただければと思っています。
 二番目に、派遣社員で派遣をしていて、正に企業の方からすばらしい人材と認められたときに、それが正社員に替わるということはありますよね。そういう率が、比率というのがもし今までありましたら、それも参考までにお尋ねします。
 それから、派遣社員の抱えている、登録なさっている、登録制になっているんだろうと思うんですが、この年齢構成というのはどのぐらいの構成なのか。
 そしてまた、篠原さんの要望書で、社会保険の加入を企業の方に義務付けてもらいたいという要望が出ていますけれども、正にもう二兆を超える企業として、派遣企業としてしっかりと社会の中で定着し始める中でありますけれども、派遣社員を雇うときに社会保険に加入をしているということを義務付けるということはできないのか、まずそこも大事なことじゃないかなという気がするんです。それから国、企業に対しての要望というのもあってもいいのかなという考え方を持っていますので、これが四点目です。
 それからもう一つ、これは参考までに、昨日、国土交通委員会で航空の質疑がありましたけれども、日本航空、また事故を起こしました。これはいろんな理由考えられると思うんですけれども、合理化が進む結果こうなるとか、あるいは派遣社員、日本航空合併していますが、派遣社員が多いからという意見もあるんですけれども、これは直接関係ないんだろうと思いますが、もし参考的にここの派遣社員についての意見がありましたら、お尋ねをしたいと思います。
 それから、大竹参考人と山田参考人には、若年者について、次に質疑ありますから詳しく申し上げませんけれども、若い人たちがやっぱり働く場所がないという社会は、犯罪につながっていくとか、あるいは年金制度の維持が困難だとか、少子化にも影響する、結婚したいけれどもできないとか、あるいは去年とか今年とか来年大学卒業あるいは高卒の人たち、大変、私、就職、一番厳しい時期だろうと思うんです。市町村合併が進んでいまして、大きなところでも合併の余波で職員採用しません。ですから、働きたいけれどもなかなか勤めるところがないという社会ですけれども、そういう中でジョブカフェなんかが相当効果を発揮して、若い人たちに就職の選択を、道を広げているということで、これも経産省の事業で今年拡大になりますけれども、これ以上申し上げません、若い人たちに対しての雇用についての考え方だけ山田参考人と大竹参考人にお尋ねしたいと思います。
 以上です。
#76
○会長(広中和歌子君) それでは、まず篠原参考人からよろしくお願いします。
#77
○参考人(篠原欣子君) 質問項目が非常に多いので、途中で落ちてしまいましたらまたちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
 若年者の雇用、離職率が多いということですけれども、私どもは、派遣とそれから今ニートと呼ばれている人たち、派遣で登録していただくにはそれなりの仕事の経験と、それから何らかの特技がない、技術がないと駄目ということになっておりますので、働いた経験がまず必要という、そんなような条件で派遣の方には登録していただいております。
#78
○岡田広君 そうです、そういう意味です。
#79
○参考人(篠原欣子君) それは御存じでいらっしゃいますよね。
#80
○岡田広君 はい。
 離職率は関係ないです、これは別に。
#81
○参考人(篠原欣子君) ああ、そうですか。
 私も本当にニートと呼ばれている人たち、これだけもう人が足りない時代になってきているのに、ニートよしっかりしろと非常に私は言いたいんですけれども、甘えるなと言いたいんですが、やっぱりそれなりに、我々はニートと言っていますけれども、働いているニートの方たちというのは、それなりに自由にいろいろと仕事を、アルバイトを探して仕事していらっしゃるのかなと思いますので、これはもう本当に世の中の急激な変化とかいろいろな関係でそうなってしまったのかなと思うんですけれども、そういう方たちがもう本当にできるだけ早く職を身に付けて、仕事を探して、いい仕事を探して働いていただきたいなというのを本当に非常に思います。
 そういう点で、私どもの会社でもニートと呼ばれる人たちを集めて教育をして企業さんに行っていただくとか、そんなことをしようなんて、ゆうべも夜遅くそんなことを検討していたんですけれども。ただ、ニートの数が非常に多いというのは何を、どういうところから数字を拾ってらしたのかちょっとよく分からないなというのが私の本音でございます。そんなに多いのかなと思うんですけれども。それが一つですね。
 それから、派遣社員になる派遣社員の年齢です。派遣社員として登録していただく年齢は、やはり働いた経験があるということが非常に条件になっておりますので、大体二十歳から五十歳、中には六十歳ぐらいの方もいらっしゃいますけれども、非常に幅が広いです。ただ、年齢層としては二十二、三歳から三十五、六歳が非常に多くて、男性、女性比べますと、女性の方が八〇%ぐらいでしょうか。
#82
○岡田広君 女性。
#83
○参考人(篠原欣子君) ええ、そういう構成になっております。
 それから、先ほどの質問で、社会保険を企業にも義務付けてほしいとかって、この社会保険制度が、非常に、人材派遣の歴史もまだそう余り長くありませんので、最初、人材派遣で働く人たちの社会保険というのは非常に短期、断続的な、あるいは長かったり短かったりいろいろして保険に入りにくいということで、非常にそれが整っていなかったんですけれども、最近、数年前に派遣健保組合というのができまして、もう本当に一気に派遣会社がこぞって社員の人たちを入れるということで、まだ入っていないところもありますので、そこに書いたのは本当にそういうのも義務付けて入るように、入っているところと入っていないところとばらばらですので、やっぱりそれも義務付けていただいた方が派遣で働く人たちも非常に安心して働けるのではないかということでそこに書いてあります。
 ですから、企業、受け入れてくださる企業さんの方でも、社会保険に入っている企業かどうか、社会保険に入っている派遣会社であるかどうか、やっぱりそういうところをちゃんと正しく認識してお使いいただいた方が徹底するんではないかなという希望的観測でそこに書いてあります。
 それから、最後の質問は派遣、派遣、最後の質問何だったでしょうか。
#84
○岡田広君 日本航空……
#85
○参考人(篠原欣子君) 済みません。申し訳ございません。
#86
○岡田広君 派遣社員が正規社員になる率。
#87
○参考人(篠原欣子君) 率ですね。
#88
○岡田広君 はい。
#89
○参考人(篠原欣子君) これも、今までは派遣の人たちを正社員に切り替えるということは、やはりそういう法律がなかったのでそういうことできなかったんですけれども、改正労働者派遣法って昨年できまして、紹介予定派遣制度というのができるようになりました。今非常に動き始めております。それは、最初六か月か三か月かの契約で派遣をして、お互いに良かったら正社員に切り替わるという、そういう紹介予定派遣ですね。派遣する最初からもうそういう条件で派遣をするということで、でもお互いに合わなかったらそれで、派遣で終わってしまいますけれども、紹介予定派遣というのが動き始めて、これは結構伸びてくるんじゃないかなというのは思っております。
 あと、派遣会社も今度紹介もできるように、就職のあっせんもできるようになりましたので、それも一緒に、事業部としてやっているのか、別会社でやっている会社も、いろいろありますけれども、就職のあっせんも、今紹介もしておりますので、雇用の総合的な働き方を我々の側からいうと応援することができる制度に規制緩和がなされましてできるようになりました。
 それでよろしいでしょうか。
#90
○岡田広君 はい。
#91
○会長(広中和歌子君) よろしいですか。
 それじゃ、大竹参考人、お願いいたします。
#92
○参考人(大竹文雄君) 若年失業の問題でございますが、基本的には不況になるたびに若年者にしわ寄せが行くというのは、日本だけじゃなく、どの国でもそうなんです。ただ、日本の場合はそれが非常に極端に出ます。
 どうしてかというと、やっぱり新卒採用が中心でございますので、卒業時点で不況に直面すると、なかなかその後景気が良くなってもいいところに就職できないというのが多いんですね。たまたま何とか不況の中に就職先を見付けても、非常に不満足な職場であることが多い。そうすると、その後辞めていく人が多いというのが日本の特徴になっています。実際、私自身も計測していますし、ほかの労働経済学者も何人かの人が計算しているんですけれども、不況期に就職した世代というのはずっと生涯損をするという特徴がございます。それが日本の特徴ですね。
 それはやっぱり日本経済にとってかなり不幸なことで、若い段階で職業能力身に付けることできませんから、それが生涯にわたってしまう。そうすると、働くという規律というのが身に付かないというケースもある、あるいは訓練もできないということで、生涯にわたって損をしてしまって、日本経済全体にも負担を強いるという特徴はあると思います。それが九〇年代、非常に長い不況続きましたから、かなり深刻だっただろうというふうに思います。
 ただ、あと二つ、多分若者の失業について、今のは不況のときがそういうことが起こるという話なんですけれども、長期的な話も二つございます。
 一つは、非常にIT化が進んで、すべて求人求職がネットでなされるようになっています、ハローワークもネット化されていますし。そうするとどういうことが起こっているかというと、労働者の方は一番いいところにみんな応募するんですね。逆に言うと、一番いい企業は物すごく優秀な人たちを物すごいたくさんの応募者の中から選ぶことができるんです。そうやって極端にみんな走ってしまうんですね。昔ならそういうことはなかったんです。昔なら、限られた求人求職情報の下で仕方なしに、まあ仕方なしと言ったら悪いですけれども、応募してきた人の中で何人か雇って、そして能力足りなかったら訓練するということができたんですが、今はネット化されたために、いい企業はいい人材を完璧に集める、ちょっと悪いところはなかなか集まらない。逆に、内定もらえる学生は幾つも内定もらえるけれども、内定もらえない学生は一つももらえないというのが極端に進んできています。だから、ネットの影響というのは起こってきています。
 その間、だから本当は、あなたは大体このくらいの企業、あるいは企業にはこういう人が本当はいいですよという、ネット、コンピューターじゃなくて、人が本当に正しい情報を伝えてあげるというところが重要なんですけれども、そこが足りない。だからそれは、先ほどおっしゃったジョブカフェなんかはそれを強化しようという仕組みなんですね。ですから、そういうジョブカフェみたいに人が間に、そういう求人求職の間に改めて入っていくということが恐らく非常に重要になってきています。ネットで情報が完全になったという側面、そうやって極端な方向にみんなが走ってしまうということが起こっています。
 それからもう一点、若者の失業問題に関係するのは、実は、私はこれは最初の御報告でも申し上げたんですけれども、長期間にわたって起こったことは女性が働き出したということなんですね。そうすると、女性は優秀な女性たくさんいますね。優秀な女性がたくさん入ってきて、女性雇用者全体だと賃金上がっているんです。昔に比べて雇用環境が良くなっています。これは、一番損をした人は、雇用に向いていなかったけれどもぎりぎり雇用してもらえていた男性なんですね。そういう人たちは賃金も下がっていますし職も減っています。それは、一番最初に申し上げたとおり、男性の雇用は全体的には減って女性の雇用は増えているということを反映しています。
 ですから、深刻に出てきているのは、そういった雇用社会にぎりぎり向いていなかった男性の人たちの仕事がなくなってきたというのが起こってきたことです。それが恐らくニートの問題になってきているんだろうというのが私の、これは証拠ないですけれども、個人的な感想です。ニートで、女性もニートたくさんいるんですけれども、女性のニートはそれほど深刻な問題になっていません。家事労働ができるということがあるわけですけれども、男性のニートは、男性が外で働くという規範の下でニートになると非常に深刻な問題になってしまうというのがあると思います。
 社会問題を起こしているんではないか、フリーターがあるいは若年失業が多いと社会問題になっているんではないかというのはそのとおりだと思います。私自身も研究やったことありますが、若年の、卒業時点の就職先がない時点の少年犯罪というのは増える。特に財産犯ですね、窃盗を中心に増えていくというのははっきり出ております。それから、フリーターだと結婚できないという研究も慶応大学の樋口先生が最近なさっていますから、それも実証的には明らかだというふうに思います。
 以上です。
#93
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、山田参考人、お願いいたします。
#94
○参考人(山田久君) 若年問題というのは非常に、恐らく経済学の問題でもあるんだけれども、それ以上に社会学的なというのか、非常に射程の広い問題だと思っています。やや感想めいた話になってしまうんですけれども、この問題というのは、一種戦後の日本社会というのは余りに同質化を目指し過ぎたんじゃないのかなと、そういう問題にあるのかなと思っています。
 というのは、恐らく戦後すぐというのはかなりの人が自営業だったわけで、その中で、今ニートとかというふうには言われていますけれども、ある部分働く、なかなか社会に出ていく勇気のない人たちというのは昔からいたわけで、ところがいろんな形でのセーフティーネットがあって、それで守られてきた。ところが、戦後の六十年の中で言わば企業社会化がどんどん進んでいって、しかも正社員というのが一番いいんだと、そういう社会になっていったわけですね。ところが、これはいろんな形でなかなか正社員になれるという機会ができなくなってくると、結局、正社員になれないと自分のキャリアも見えない、将来も見えない、その中でやっぱりやる気を失ってしまっているという問題も生じているんじゃないのかなと思うんですね。
 ただ、そうかといって昔のように自営業主導の社会には返れないわけで、恐らくこれから対応というのは、一つは、やっぱりもう一回職業の価値みたいなものを、多様なんだ、本当に多様なんだということをやっぱりみんな再認識して、それをやっぱりもう一回考えていく必要がある。
 それと、例えば正社員と非正社員でも、それは上とか下というんじゃなくて、あるいはそれはいろんな雇用形態の移動というのがあるわけで、最初非正社員で働いても徐々に正社員になっていけるとか、あるいは場合によっては年を取ってから逆に自営業で働けるとか、そういう移動の可能性をどう高めていくのかということですね。
 実際、オランダが若年雇用、ちょっと最近上がっているんですけれども、一時期、九〇年代終わりから二〇〇〇年代の初めにかけて若年失業かなり下がったんですね。その一つの恐らくかぎというのは、非正社員と正社員の格差をなくしていって、そういう意味じゃ本当の意味での多様化を進めたということにあったんだと思いますね。それが一つ。
 それともう一つ、可能性としてやっぱりNPOですね。NPOの中で、そういう就業意欲というか、社会に貢献していくという意欲をどういうふうにこれから再構成していくのか。
 それともう一つ、新しく出ている動きとしてやっぱり自営業ですね。自営業でも昔のような形ではない、必ずしもないんでしょうけれども、あるいは最近農業に対する見直しみたいなものがあると思いますけれども、要はその多様な働き方ということを進める中で、それぞれのやっぱり価値、職業の価値とか働く意味合いということをもう一回我々がみんな考え直して、多様なそういう価値をつくっていくということがやっぱり重要なんじゃないかと思います。
#95
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
#96
○参考人(篠原欣子君) 先ほどちょっと言い落としてしまったことがあるんですけれども、よろしいでしょうか。
#97
○会長(広中和歌子君) どうぞ。篠原参考人。
#98
○参考人(篠原欣子君) はい、済みません。
 テンプ・ツー・パーム、要するに紹介予定派遣と我々称しているんですが、派遣をして六か月後とか三か月後に正社員によかったら切り替えるというその率は、大体正社員になる率が六〇%を占める、六〇%が正社員になっています。
 それからもう一つ、新卒の人たちも、これは我々がビジネストレーニーと称しているんですが、どこに就職していいか本人も決めかねている、あるいはいいところが見付からなかった、そういう方たちを募集して来ていただいて、その人たちに、我々の企業さんに例えば一年契約で送るんですね。ビジネストレーニーと私ども称しているんですが、最初新入社員教育を我々がして、企業さんに送って、一年間はビジネストレーニーとして働いていただいて、その後、正社員、本人が希望する、で、企業さんもよければ正社員に切り替えるとか、そんなような制度も新卒、若年層の方の働き方の一つの形として私どもやっております。
 以上です。
#99
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。
#100
○岡田広君 ありがとうございました。
#101
○会長(広中和歌子君) それでは、足立信也さん。
#102
○足立信也君 民主党の足立信也と申します。三人の方々にそれぞれ質問させていただきたいと思います。
 民主党では、子供支援、子育て支援、それから男女共同参画社会、そしてワーク・ライフ・バランス、それらのことでこれを推進していこうという方向でいるわけですけれども、それは結局は、雇用形態の多様化というよりも、働き方の多様化を生んでいくと。そしてそれを取り入れている会社なり企業が評価を高める、そして雇用の安定化を生む、もちろん正社員も増えていくという論理的な背景を持ってそういう方向を考えているわけですけれども、その中で一つ、一般職というものに関してはそれでいいんだろうけれども、専門職ですね。特に、資格を持って、更にそこに配置基準なりあるいは規制が加わっているような場合、これはその同じような論法では対応できないんじゃないかという議論もあるんですね。
 そこでお聞きしたいのは、まず篠原さんに、ちょっと業務秘密みたいなことになるかもしれませんが、ニーズがあるのに入り込んでいけない、派遣業が入り込んでいけない分野というのはどういうところがあるのかを教えていただきたい。
 それから、大竹さんと山田さんには、先ほど申しましたように、専門職、資格を持っている、具体的に言いますと医療職なんかですね、コメディカル、メディカルスタッフ、代わりの人員を配置できない、規制の中で。そういったものを、働き方の多様化を生むためにはどうしたらいいんだろうということの参考意見を伺いたいと思います。
 以上です。
#103
○会長(広中和歌子君) それでは、まず篠原参考人、お願いします。
#104
○参考人(篠原欣子君) ニーズがあるのに入り込んでいけないというのは、何があるかな、ドクターも、派遣ではなくて紹介ができるようになりましたし、それからあと看護婦さんも、ただ、看護師さんですか、の派遣は規制が非常に一杯でなかなか、これはやってはいけない、あれはやってはいけないということで、何かもうがんじがらめになってしまってなかなか非常に難しいと。私どもの会社の方では実際にケアという会社がありまして、そこで看護婦さんの紹介をやっておりますけれども、非常に規制が厳しくてなかなか仕事がやりづらいとかというのは聞いております。
 そのほかには、余り今ちょっと思い付かないんですけれども、済みません、ちょっと今考えてみます。申し訳ございません。
#105
○会長(広中和歌子君) それでは、まず大竹参考人、お願いします。
#106
○参考人(大竹文雄君) 私も、その医療職の派遣問題ですね、医療職の派遣問題に詳しいわけじゃないんですが、恐らく非常に忙しいときに、簡単に、例えば今だと非常勤職員、大阪大学の病院だと非常に看護師さんが不足しているというときに、労働条件をうまく保ちながら配置するというのは非常に難しいという状況になっているというのは聞いていますけれども、そういうときに直接パート職員を雇うというのが難しい場合に、派遣というので可能になるというんであれば、現在働いている職員の人も非常に労働環境、上がっていってという良い面というのはあると思います。
 ただ、安全性の問題とか、そもそもなぜ規制があるかということについて私、深く存じていませんのでそれ以上のことは言えませんけれども、良くなる面というのは、非常に繁忙期がございますので、そのときに迅速に派遣でできるようになれば、働く人にとっても病院側にとっても、いい面というのはあるだろうというふうに思います。
#107
○会長(広中和歌子君) それでは、山田参考人、お願いします。
#108
○参考人(山田久君) 私も医療職の具体的なことは分かりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、これはもちろん、それぞれの職業の持っている性格がありますね。やっぱりなかなかそこが規制があるとすると安全性の問題というのがあるわけで、そこは個別に議論していって、雇用の拡大という面とそことのバランスをどう取るかという議論に結局なっていくということなんだと思います。
 ただ、この専門職の話でいくと、もう一つ有用なのは、欧米等でここに関してはホワイトカラーの分野で結構多いんですね。それはやはり一定の専門性の必要な財務であったり経理であったりあるいは人事であったりあるいはコンプライアンス、最近のですね、総務分野で。そういうところの仕事のやっぱり組まれ方が、まあ日本はこれまでかなり属人ベースでやってきたわけですけれども、欧米というのはかなり職務の発想があるということで、その辺り、少しずついわゆる成果主義の流れでそういう流れも出てきていますので、こういうものが定着していけば、そういうところでこの専門職でいわゆる多様な働き方というのが可能になってくるんじゃないかなと思いますね。
 政策的にも、例えば、これまでも申し上げましたように、一種の資格制度的なものをつくっていけばそれなりのサポートにはなっていくんじゃないのかなと思っております。
#109
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、小池正勝さん、お願いいたします。
#110
○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。
 もう時間も押しておりますから、一言だけ御質問します。
 先ほど来お話があったことにも関連しますし、先ほど岡田先生がおっしゃったことにも関連するんですが、私は、正規職員からパート、多様化していく、あるいは派遣になっていく、いろんな働き方があるというのは、働く方も望んでいる話だし、経営者の方もそういった様々な、先ほど外部化のお話がありましたけれども、私は、これはいい話じゃないかと、一つの流れとしていい話じゃないかと、そう思っているんです。
 そこで、一つだけ言われておるのは、先ほど岡田先生が具体的な例として言われて、この派遣を増やすとその正規職員の労働強化につながるということをおっしゃる方がいらっしゃるんですが、先ほど篠原さんがおっしゃったように、それは派遣する人というのは一回経験がいる人を派遣するわけだから、全くずぶの素人さんを派遣するわけではないんだから、そのしわ寄せが正規職員に行くということはあり得ないと私は思いますし、ましてや、日航の事故を、それは派遣職員が増えたから正規職員にしわ寄せが行ってそんな事故が起こったんだというのはちょっとおかしいんじゃないかと私は思うんですが。
 そこで、篠原参考人にお伺いしたいんですが、そもそも派遣をした現場で正規職員にしわ寄せが行っているなんて声をお耳に、お聞きになったことがありますか。
#111
○参考人(篠原欣子君) そういうことは聞いたことはございません。正規社員にしわ寄せが行ったということを聞いたことはないです。
#112
○会長(広中和歌子君) もうよろしゅうございますか。
 それでは、小泉昭男さん。
#113
○小泉昭男君 事前の説明を、レクチャーちょっと受けられなかったことをおわび申し上げたいと思います。
 今日の日経新聞に二つの記事載っていました。これ、一つは「バイト募集一括受託」、見出しは「まず日本マクドナルド三千八百店」、こういうことが載っていまして、この中に、OPPOという求人情報、アルバイトサイトですね、これが記事になっていたんですけれども、ここで衝撃的なのは、この店舗では全店で一か月約三億円掛かる募集広告、これ一括委託することによって三千万から四千万に抑えられると、こう書いてあるんですね。そして、人材については、もちろんこのマクドナルドにかかわらず、コンビニエンスストアやファミリーレストラン、居酒屋、こういうところにも大分引き合いがあるということ書いてあるんですけれども、こういうものに対してのお考えをちょっとお伺いしたいのと、それからあともう一つの記事は、「選べます入社日・配属先」という、こういう記事がありました。
 「やめるな若者 企業が工夫」ということで、これは先ほどのお話にも出ていたようですけれども、これはフレックスキャリアスタート、ソニーが導入しているというんですけれども、一定期間、場合によればそのパスを受ければ三年ぐらい勉強に行っていても構わないよと、いつでも入社して構わないよという、こういうふうな形で、就社から就職へと若者の意識が変わっているという、こういう記事載っていました。
 この二つについてちょっとお考えを伺いたいなと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。篠原参考人さん、お願いいたします。
#114
○参考人(篠原欣子君) バイト募集一括、一括募集は、この質問の内容がよく分からないんですが、新聞で……
#115
○小泉昭男君 いえ、こういう記事が載っていましたので、これに対してのお考えを、これからこういうふうなものが人材派遣の中にかなり組み入れていかれる時代が来るのか、そういうふうなことを、お考えを伺えれば結構でございます。
#116
○参考人(篠原欣子君) 派遣会社がこれ募集しますよという記事なんですか。派遣会社がバイトを一括で募集しますよという記事なんですか。
#117
○小泉昭男君 はい、ちょっとお持ちしましょう。
#118
○参考人(篠原欣子君) あっ、申し訳ございません。済みません。(小泉昭男君資料手交)
 多分、一括で募集した方が、このインテリジェンスさんという派遣会社、派遣とか紹介している会社ですけれども、一括で募集していると、ほかのいろんな職種ももう募集して、募集費というのは膨大な経費を掛けて募集していますので、そういう意味で、一括募集した方が効率的にできますよということではないかと思います。
 済みません、ちょっと今朝これ読んでいなかったものですから。後でゆっくり読ましていただきます。済みません、申し訳ございません。
 それから、入社日を企業が工夫ということですか。それもやはり、会社に就職をして……
#119
○小泉昭男君 会社に結局、登録をするような形だと思うんですね。登録をしてパスをもらっていればいつ入社しても構わないというような内容の記事だと思うんですけれどもね。
#120
○参考人(篠原欣子君) 今、非常に、日本の産業は非常に動き始めてまいりまして、私どもから見ますと、非常に募集費を一杯掛けてもなかなかいい人が採れないという人手不足の状態に今陥っております。そういう意味で、いろいろ工夫していらっしゃると思うんですけれども、そういう意味で、登録しておけば、その人が、今すぐには働きたくない、ちょっとほかにやりたいことがあるとか勉強したいことがあるので、それから働きたいときが来たらそこで働きますよという、そういう囲い込みの、ある意味では企業さんで囲い込みのことを考えていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、そういうことではないかと思います。
 非常にいろいろと今、これから人手不足が非常に予想されますし、企業さんでも今、正社員を随分、今まで抑えていたのを採るようになりましたし、それから人が非常に必要になってきていますので、これからは人手不足ですので、いろいろこういうことが工夫されているんじゃないかと思います。
 申し訳ありません、ちょっとこれ読んでなかったものですから、失礼いたします。
#121
○会長(広中和歌子君) つまり、雇われる側が売手市場になり始めていると、そういうことでございますね。
#122
○参考人(篠原欣子君) そうです。
#123
○会長(広中和歌子君) よろしゅうございますか、小泉さん。
#124
○小泉昭男君 はい、結構です。
#125
○会長(広中和歌子君) それでは、他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了させていただきます。
 大竹参考人、篠原参考人及び山田参考人におかれましては、御多用中、本調査会に御出席いただき、本当にありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 本当にありがとうございました。(拍手)
 次回は来る四月二十日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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