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2005/03/08 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 環境委員会 第1号
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2005/03/08 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 環境委員会 第1号

#1
第162回国会 環境委員会 第1号
平成十七年三月八日(火曜日)
   午後零時四分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         郡司  彰君
    理 事         大野つや子君
    理 事         真鍋 賢二君
    理 事         谷  博之君
    理 事         加藤 修一君
                阿部 正俊君
                狩野  安君
                関口 昌一君
                竹中 平蔵君
                中川 雅治君
                西田 吉宏君
                矢野 哲朗君
                大石 正光君
                芝  博一君
                島田智哉子君
                林 久美子君
                福山 哲郎君
                高野 博師君
                鰐淵 洋子君
                市田 忠義君
    ─────────────
   委員の異動
 一月三十一日
    辞任         補欠選任
     芝  博一君     高橋 千秋君
 二月一日
    辞任         補欠選任
     高橋 千秋君     芝  博一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         郡司  彰君
    理 事
                大野つや子君
                真鍋 賢二君
                谷  博之君
    委 員
                狩野  安君
                関口 昌一君
                中川 雅治君
                矢野 哲朗君
                大石 正光君
                芝  博一君
                島田智哉子君
                林 久美子君
                福山 哲郎君
                高野 博師君
                鰐淵 洋子君
                市田 忠義君
   国務大臣
       環境大臣     小池百合子君
   副大臣
       環境副大臣    高野 博師君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  能勢 和子君
   政府特別補佐人
       公害等調整委員
       会委員長     加藤 和夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渋川 文隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○環境及び公害問題に関する調査
 (環境行政の基本施策に関する件)
 (平成十七年度環境省予算及び環境保全経費等
 の概要に関する件)
 (公害等調整委員会の業務等に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(郡司彰君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、環境及び公害問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(郡司彰君) 環境及び公害問題に関する調査を議題といたします。
 まず、環境行政の基本施策について、小池環境大臣から所信を聴取いたします。小池環境大臣。
#5
○国務大臣(小池百合子君) 環境大臣及び地球環境問題担当大臣の小池百合子でございます。第百六十二回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。
 最近、世界の各地で洪水、干ばつ、熱波などの異常気象が発生しています。特に昨年は、日本でも、夏の記録的な猛暑に加えて、数多くの強大な台風が上陸し、多くの人命を奪うなど激甚な被害をもたらしました。このような中で、国民のだれもが、気候の変動や異変を直接肌で感じ取り、関心を高めているのではないかと思います。
 これを環境問題との関連で見ると、地球温暖化が進行することによって、異常気象が頻発し、その規模も大きくなることが予測されています。今こそ、関心の高まりを契機として、私たち一人一人が、地球温暖化などの環境問題を自らの問題として再認識することが重要です。今日の環境問題の多くは、通常の事業活動や家庭における日常生活など、私たちが前提としてきた社会経済の在り方そのものに起因するものであるということを、しっかりと踏まえなければなりません。その上で、これまでの事業活動やライフスタイルの在り方を根本から見直し、環境保全の知恵を結集して積極的に取り組んでいくことが、環境と経済の統合による持続可能な社会の構築につながっていくものと考えます。
 以上の基本的な考え方に基づき、社会経済の大転換を実現するため、環境省では、脱温暖化社会の構築と循環型社会の構築を二本柱として施策を推進します。
 第一に、脱温暖化社会の構築につきましては、二月十六日に京都議定書が発効し、国際社会は、地球温暖化防止に向けて新たな一歩を踏み出すことになりました。我が国は、地球温暖化防止京都会議の議長国として、議定書の六%削減約束を果たすことはもとより、技術の開発普及などの中長期的な視点に立った施策を推進し、他国に先んじて脱温暖化社会づくりを進めることが重要であると考えます。
 このため、議定書の約束を確実に達成するための対策、施策等を盛り込んだ京都議定書目標達成計画を策定いたします。また、地域における再生可能エネルギーの集中導入の支援や、温暖化対策に関する先端技術の開発と新しいビジネスの創出、自主参加型の国内排出量取引制度の創設、国民運動を大規模に展開するための集中的なキャンペーンの実施などに取り組みます。さらに、事業者からの温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度を導入するため、地球温暖化対策推進法の改正案を今国会に提出いたします。
 環境税については、有力な追加的施策であると考え、昨年、環境省から具体案を公表し、これについて様々な場で議論していただきました。今後は、与党税制改正大綱と政府税制調査会答申の指摘をしっかりと受け止め、また、京都議定書目標達成計画に掲げる対策、施策の実効性を確保する観点から、環境税について早急に検討を進めます。
 国際的にも、京都議定書以後の将来約束についての交渉が本年から開始されます。すべての国が参加する共通ルールの構築に向け、各国との政策対話を進めるなど、積極的に貢献してまいります。
 第二に、循環型社会の構築につきましては、ごみゼロ社会の実現を目指し、廃棄物等の発生抑制と適正な循環利用を総合的かつ計画的に推進します。このため、有料化や分別収集に関するガイドラインの作成などを通じて一般廃棄物の減量化やリサイクルを推進するほか、容器包装リサイクル法の見直しに向けた検討を進めます。また、三位一体改革の議論も踏まえ、新たに循環型社会形成推進交付金を創設し、廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の効率的、効果的な整備を推進するほか、PCB廃棄物処理事業の円滑な実施を図ります。さらに、大規模な不法投棄や廃棄物の不適正な輸出等への対応を強化し、より適切な事務処理体制を確立するため、廃棄物処理法等の改正案を今国会に提出いたします。
 また、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)のいわゆるスリーRの推進は、国際的にも重要な課題となっています。昨年六月のG8シーアイランド・サミットで小泉総理が提唱したスリーRイニシアチブを受けて、本年四月に我が国でスリーRイニシアチブ閣僚会合を開催します。この会合を契機として、アジア地域、そして世界にスリーRの取組を広げていきたいと考えております。
 以上のような脱温暖化社会の構築と循環型社会の構築を推進するに当たっては、技術革新や国民一人一人の意識改革など、事業活動やライフスタイルの見直しを促すための基盤となる取組を進めることにより、社会経済の大転換を更に加速させていきたいと考えております。
 このため、地域、特に家庭や学校に焦点を当てた取組を推進していきます。具体的には、環境と経済の好循環を生み出す町づくりに取り組むほか、学校校舎におけるエコ改修事業や燃料電池導入への支援、家庭における環境教育の実施など、身近な暮らしにおける環境保全活動や環境教育を推進します。また、ナノテクノロジーの活用を始めとする環境技術の開発普及を推進するほか、環境ビジネスの育成、振興を図ります。
 さらに、我が国の環境技術やライフスタイルの世界への発信や、アジアを中心とする環境協力の取組を積極的に展開することにより、環境分野における国際貢献を果たします。
 自然と共生する社会の構築も重要な課題です。このため、環境保全、観光振興、地域振興を目指したエコツーリズムを推進するほか、国立公園等の管理体制を抜本的に充実強化するなど、自然と共生する地域づくりを進めます。また、温泉事業者による温泉の適切な表示を進めます。
 さらに、昨年の通常国会で成立いたしました外来生物法の着実な実施に加え、外来生物の防除事業の実施、新たな世界自然遺産の登録など重要な生態系の保全、再生の推進、野生生物の保護管理と飼養動物の愛護管理の強化に取り組みます。
 環境汚染を防止し、安全で安心できる社会を構築することも重要な課題です。自動車排出ガス対策については、世界最高水準の新車規制や大都市における特別な規制の実施、低公害車の普及促進に加えて、建設機械などのいわゆるオフロード特殊自動車からの排出ガスを規制するための法案を今国会に提出いたします。
 また、ヒートアイランド化を防ぐ都市対策を推進するほか、顕著な改善が見られない湖沼の水質の保全を図るため、湖沼水質保全特別措置法の改正案を今国会に提出いたします。
 さらに、化学物質による環境リスクの低減とリスクコミュニケーションの充実強化、公害健康被害の補償、予防の着実な推進、被害の未然防止の観点からの毒ガス対策の実施など、各般の施策を講じます。
 水俣病については、来年、公式確認から五十年の節目を迎えます。環境省としては、平成七年の与党三党による政治解決や昨年の関西訴訟最高裁判決なども踏まえ、水俣病対策を今後とも一層着実に実施します。
 二十一世紀に入り、国内外の社会経済は、ますますスピードを速めて変化を遂げています。こうした変化に対応した新しい環境政策の基本構想を示すため、現行の環境基本計画の見直し作業を進めます。
 以上のような各分野における施策の実施に当たっては、国民、民間団体、事業者、地方公共団体など各主体との連携を、より確かなものとしていきます。とりわけ、六月の環境月間を中心とした広報活動の積極的な展開を通じて、あらゆる人々が環境問題に高い関心を抱き、問題意識を共有して環境保全の取組をともに進めていくことができるよう、努めてまいります。
 また、地域の実情に応じた機動的できめ細かな環境行政を展開するため、現在の自然保護事務所と地方環境対策調査官事務所を統合し、本年十月に地方支分部局である地方環境事務所を設置します。このため、環境省設置法の改正案を今国会に提出いたしております。
 二十一世紀が環境の世紀となり、持続可能な社会への変革を実現できるかどうかは、現在の私たちがどのように生きるかにかかっています。その分岐点に立つ私たちは、目先の利益を追うだけではなく、将来の地球のために何をなすべきかを考え、ためらわずに取り組んでいく責任があります。
 環境を良くするための取組が適切に評価され、私たち一人一人が地球を守る担い手であることを実感できるような環境の国づくりを目指して、私は、これからも全力で取り組んでまいります。
 委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
#6
○委員長(郡司彰君) 次に、平成十七年度環境省予算及び環境保全経費等の概要について説明を聴取いたします。高野環境副大臣。
#7
○副大臣(高野博師君) 平成十七年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計予算では、総額二千三百五十五億七百万円を計上しております。
 以下、その主要施策について御説明申し上げます。
 第一に、地球環境保全対策については、二月十六日に発効した京都議定書の温室効果ガス六%削減約束の達成に向けた地球温暖化対策に取り組んでまいります。あわせて、与党税制改正大綱と政府の税制調査会答申を踏まえ、環境税について早急に検討を進めます。また、アジアを中心とする環境協力を含む地球環境保全対策の推進を図ることとし、これらに必要な経費として二百五十一億七千六百万円を計上しております。
 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、一般廃棄物の排出抑制の推進、廃棄物の適正な越境移動の確保や不法投棄の撲滅に向けた対策の推進などを図ることとし、これらに必要な経費として七十七億二千二百万円を計上しております。
 また、新たに創設した循環型社会形成推進交付金などによる廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の効率的、効果的な整備に必要な経費として一千七十八億四千七百万円を計上しております。
 第三に、総合環境政策については、身近な暮らしにおける環境保全活動や環境教育、事業者の自主的、積極的な環境配慮の取組の推進などに必要な経費として九十億二千八百万円を計上しております。
 第四に、自然環境の保全対策については、自然と共生する地域づくりや重要な生態系の保全、再生の推進、野生生物の保護管理と飼養動物の愛護管理の強化などに必要な経費として百六十三億六千九百万円を計上しております。
 第五に、公害による健康被害者の救済等については、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施、水俣病対策や国内における旧軍毒ガス対策などの着実な推進に必要な経費として二百四十一億一千四百万円、大気汚染等の防止については、世界最高水準の自動車排出ガス規制の実施やヒートアイランド対策などの推進に必要な経費として二十一億二千四百万円、水質汚濁等の防止については、湖沼環境保全対策、土壌汚染対策などを進めるために必要な経費として二十三億六千二百万円、環境保全に関する調査研究、技術開発については、環境汚染の防止、地球環境の保全、廃棄物の適正な処理に関する調査研究、技術開発の推進に必要な経費として九十九億三千三百万円を計上しております。
 第六に、本年十月に設置する地方支分部局における様々な環境施策の的確な実施に必要な経費として十八億九千九百万円を計上しております。
 次に、特別会計予算については、地域における再生可能エネルギーの導入支援、産業、家庭、オフィス、運輸など各部門における対策、国民各界各層への普及啓発などの推進に必要な経費として、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に一般会計から二百三十三億円の繰入れを行い、総額二百三十八億三千六百万円を計上しております。
 以上が、平成十七年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。
 次に、各府省の平成十七年度環境保全経費等の概要について御説明申し上げます。
 まず、環境保全経費につきましては、平成十二年十二月に閣議決定をいたしました環境基本計画に盛り込まれた施策の効果的な実施に資する観点から取りまとめております。
 平成十七年度における環境保全経費の総額は二兆三千六百五十四億円であり、前年度の当初予算に比べ二千百十八億円、八・二%の減となっております。
 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために五千四百四十億円、大気環境の保全のために三千百四十二億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために九千二百三十一億円、廃棄物・リサイクル対策のために一千四百九十五億円、化学物質対策のために百三十一億円、自然環境の保全と自然との触れ合いの推進のために三千三百二十四億円、各種施策の基盤となる施策等のために八百九十二億円が計上されております。
 次に、財政投融資計画における環境保全関係経費については、主なものとして、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設等の事業を推進するため、地方債計画において一兆八千六百八十八億円を予定しているほか、日本政策投資銀行等において地球環境対策、環境配慮型社会形成促進対策等所要の融資を引き続き行うこととしております。
 以上、平成十七年度の各府省の環境保全経費等の概要につきまして御説明申し上げました。
 ありがとうございます。
#8
○委員長(郡司彰君) 次に、公害等調整委員会の業務等について説明を聴取いたします。加藤公害等調整委員会委員長。
#9
○政府特別補佐人(加藤和夫君) 公害等調整委員会が平成十六年中に行った公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。
 まず、公害紛争の処理に関する業務について申し上げます。
 第一に、平成十六年に当委員会に係属した公害紛争事件は、福岡、佐賀、長崎、熊本の四県の漁民及び漁業協同組合連合会から国を相手方として申請のあった有明海における干拓事業漁業被害原因裁定申請事件、富山地方裁判所に係属中の出し平ダム排砂差止め等請求事件に関し、同裁判所から嘱託のあった富山県黒部川河口海域における出し平ダム排砂漁業被害原因裁定嘱託事件等合計十五件であり、これらのうち、平成十六年中に終結した事件は、同年四月に調停が成立した越谷市における印刷工場からの悪臭による健康被害責任裁定申請事件等五件であります。
 そして、前述の富山県黒部川河口海域における出し平ダム排砂漁業被害原因裁定嘱託事件は、当委員会が裁判所から被害の因果関係の解明について嘱託を受けるという、裁判所が当委員会への信頼関係に基づき原因裁定嘱託制度を利用した初めての事件でありまして、大きな意義を有するものであります。また、平成十六年は、本事件や有明海における干拓事業漁業被害原因裁定申請事件のように、被害の原因解明に高度の専門的知見を必要とする事件が相当数係属したことに特徴があります。
 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に申請人の症状に変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める事件が二件あり、現在鋭意手続を進めているところであります。
 第二に、平成十六年に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は九十三件であり、工場、事業所、道路及び廃棄物処理場に係る事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は五十件であります。
 公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会はそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとされておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決のため、審査会との間に情報の提供や事件の引継ぎ等において緊密な連携を図っているところであります。
 第三に、平成十五年度における全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は、調査開始以来初めて十万件を超え、十万三百二十三件に至っております。
 これを苦情の種類別に見ますと、いわゆる典型七公害に関する苦情は約六万七千件で、それ以外の苦情は約三万三千件であります。
 公害苦情につきましては、都道府県及び市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、この事務を担当する職員の研修、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。
 続きまして、平成十六年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。
 第一に、鉱区禁止地域の指定に関する事務について申し上げます。
 当委員会は、主務大臣又は都道府県知事の請求に基づき、鉱物を掘採することが一般公益又は農業、林業その他の産業と対比して適当でないと認める地域を鉱区禁止地域として指定するものとされております。
 平成十六年に当委員会に係属した事件は四件であります。
 これらのうち、渡良瀬遊水池関係地域の指定請求事件は同年一月に、石見銀山遺跡関係地域の指定請求事件は平成十七年一月にそれぞれ指定公示を行い、終結いたしました。なお、石見銀山遺跡関係地域については、遺跡などの歴史的な文化財を中心とする観光資源の保護を目的として鉱区禁止地域の指定を行ったものであります。
 第二に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する事務について申し上げます。
 鉱物の掘採、岩石、砂利の採取の許認可処分等については、当委員会に対して不服の裁定を申請することができるものとされております。
 平成十六年に当委員会に係属した事件は四件であります。
 これらのうち、石川県羽咋郡富来町地内の採石権設定の決定申請棄却処分に対する取消し裁定申請事件につきましては、同年中に裁定し終結いたしました。
 第三に、土地収用法に基づく意見の申出等に関する事務について申し上げます。
 当委員会は、土地収用法、鉱業法、採石法等に基づき主務大臣が裁決等を行う場合には、意見の申出、承認等を行うものとされております。
 平成十六年に当委員会に係属した事案は、土地収用法に基づく意見の申出が六十八件、採石法に基づく決定の承認が一件であり、これらのうち、同年中に処理した事案は、意見の申出が二十三件、決定の承認が一件であります。
 以上が平成十六年における公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務の概要であります。
 続きまして、公害等調整委員会の平成十七年度歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 当委員会の歳出予算要求額は六億八百万円であり、これを前年度の当初予算額六億二千百万円と比較いたしますと二・二%、千三百万円の減額となっております。
 次に、その内訳でありますが、第一に、当委員会に係属する公害紛争事件の審理経費等として五億八千万円を計上し、第二に、公害紛争の処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として二千八百万円を計上しております。
 以上が、公害等調整委員会の平成十七年度歳出予算要求額の概要であります。
 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存であります。何とぞよろしくお願いいたします。
#10
○委員長(郡司彰君) 以上で所信及び予算等の説明の聴取は終わりました。
 本件に関する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#11
○委員長(郡司彰君) 次に、先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。大野つや子君。
#12
○大野つや子君 御報告いたします。
 去る一月十三日及び十四日の二日間、愛知県における環境保全及び公害対策等に関する実情調査のため、郡司委員長、真鍋理事、谷理事、狩野委員、大石委員、芝委員、島田委員、林委員、福山委員、高野委員、鰐淵委員及び私、大野の十二名で調査を行ってまいりました。
 今回の調査は、愛知県の環境行政及び愛知万博への取組並びに環境省中部地区環境対策調査官事務所の業務について説明を聴取した後、ラムサール条約登録湿地となっている藤前干潟、環境に配慮した空港を目指している中部国際空港、「自然の叡智」を開催テーマとしている愛知万博、燃料電池自動車の開発を進めているトヨタ自動車株式会社の本社工場を視察いたしました。
 まず、愛知県では、愛知万博の開催、中部国際空港の開港という二大事業の効果を生かした地域づくりの大きな柱の一つとして「環境先進県づくり」を掲げ、諸施策を推進しておりました。説明では、地球温暖化対策については、本年一月に「あいち地球温暖化防止戦略」を策定したほか、温暖化の一因である自動車については、平成十四年十月策定の「あいち新世紀自動車環境戦略」により総合的な施策の展開を行ってきているとのことでした。循環型社会の形成については、ものづくりで発展してきた本県が廃棄物の減量化、資源化に果たすべき役割が大きいことから、先導的リサイクル施設を核としたエコタウンの形成や県が独自に認証する建設リサイクル資材「あいくる」などの取組を進めてきているとのことでした。環境学習の取組については、瀬戸市の「海上の森」を保全し、環境学習や里山保全活動の場として活用するほか、愛知万博のテーマである「自然の叡智」の理念を末永く引き継いでいくため、愛知万博を記念した森づくりなどの活動などに取り組んできており、本年一月には「愛知県環境学習基本方針」を策定公表しているとのことでした。
 愛知万博への取組については、地元として会場の土地提供、会場への交通アクセスの確保などを図るとともに、長久手愛知県館、瀬戸愛知県館などを出展することとしております。出展においては、起伏のある土地を大幅に改変せず、自然や地形と親和性のある建物とし、博覧会終了後は「里山学びと交流の森」の拠点施設に整備するほか、両館の電力を自然エネルギーで賄うなどの環境への配慮を行っております。
 委員からは、県庁公用車の低公害化の現状と今後の見通し、岐阜県多治見市にある名古屋市愛岐処分場の問題、オオタカ営巣の現状と今後の対応などの質疑が行われました。
 環境省の中部地区環境対策調査官事務所は、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県を対象として環境情報の収集、調査及び相談、廃棄物・リサイクル対策、環境教育・環境保全活動及び地球温暖化対策を行っており、十一名の職員で構成されております。近年、大規模な廃棄物不法投棄事案が相次いでおりますが、説明では、特に、岐阜市椿洞産業廃棄物不法投棄事案、敦賀市民間廃棄物最終処分場無許可増設事案など五件を重点監視事項として、適時、情報収集を行い、その結果を本省に報告しているとのことでした。なお、環境省からは、これら地方環境対策調査官事務所と自然保護事務所を統合整理し、地方支分部局である地方環境事務所を設置するため、環境省設置法の改正案を準備中であるとの説明もありました。
 次に、平成十四年十一月に我が国で十二番目のラムサール条約登録湿地となった藤前干潟を視察いたしました。藤前干潟は、名古屋港に流入する庄内川、新川、日光川の河口に広がる干潟で、シギ・チドリ類などの日本最大級の渡り鳥の中継生息地となっております。かつて名古屋市が廃棄物処分場用地として埋め立てる計画がありましたが、環境庁の厳しい意見などもあって、結局計画は断念され干潟として保全されることになりました。また、説明では、国指定鳥獣保護区七百七十ヘクタールのうち三百二十三ヘクタールが特別保護地区に指定され、シギ・チドリ類七十三種のうち四十一種が確認されているとのことでした。なお、環境学習や保全調査の拠点となる活動施設を、愛知万博に間に合うよう干潟に隣接する藤前地区及び稲永公園地区の二か所に整備を進めておりました。このように、藤前干潟は、自然環境の保全上重要なだけでなく、人間と自然が共生して循環型社会へ向かう転換となった好例として大きな意味を持っております。
 次に、開港を目前に控え、建設を進めている中部国際空港を視察いたしました。同空港は、二十四時間利用が可能な空港として、国際線、国内線の機能を併せ持つ拠点空港の役割を担うもので、愛知県常滑市沖に三千五百メートルの滑走路一本を有し、七千六百八十億円の事業費を掛け建設されています。建設に当たっては、空港建設の基本構想から計画、建設、開港後の段階に至るまで環境への配慮を考えた取組を行っており、日本の空港設置管理者として初めて環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001を取得しております。具体的取組として、滑走路の位置、飛行経路の工夫による航空機騒音への配慮、海水の流れに配慮した空港島の位置及び形、空港島護岸に海の生物が集まるような工夫、コージェネレーションシステムの導入、太陽光発電システムの導入、光触媒ガラスの採用など空港施設における環境配慮、天然ガス自動車の導入とエコスタンドの設置などを挙げておりました。
 委員からは、開港後の航空機騒音対策、海域生物の生息環境の変化と監視の継続、生態系への環境影響などの質疑が行われました。その後、環境に配慮した空港施設を見て回りました。
 次に、本年三月二十五日からの開催を目指し、建設を進めている愛知万博の長久手会場を視察いたしました。愛知万博は、二十一世紀の人類が直面する地球的課題の解決の方向性と人類の生き方を発信するため、「自然の叡智」をテーマとして新しい文化・文明の創造を目指して開催するものであります。万博会場は、長久手会場と瀬戸会場の合わせて百七十三ヘクタールの丘陵地帯にあり、大阪万博に比較して四分の一の広さになっております。これは海上の森など会場周辺にあるオオタカの営巣を守ることなどによるものであります。愛知万博では、会場づくりや会場運営、観客輸送などにおいて環境影響評価の実施を始め、自然地形、素材の活用、リデュース、リユース、リサイクルの三Rを目指した建設・運営、環境について楽しみながら学ぶ自然体感プログラムの展開など環境問題に正面から取り組んでおります。特に、循環型社会への取組として、太陽光発電システム、燃料電池システム、メタン発酵システム、高温ガス化システムを組み合わせ、安定した電力を長久手会場日本館に供給することにしております。また、会場までのアクセスとして日本初の実用化リニアモーターカー、会場内の移動には無人自動運転・隊列走行が体験できる新交通システム、会場間の移動には燃料電池ハイブリッドバスなど環境に優しく、安全で快適な二十一世紀型交通システムが運転されることになっておりました。
 委員からは、駐車場へのハイブリッド自動車など低公害車の優先、オオタカ営巣調査の継続、万博終了後の会場跡地対策、万博による利益金の環境対策への使用、全国規模の万博PRの推進などの質疑が行われました。その後、新エネルギーシステム、会場をほぼ水平に一周できる空中の回廊「グローバル・ループ」などを見て回りましたが、万博終了後はできるだけ元の自然に戻すことを期待しているところです。
 次に、トヨタ自動車株式会社の本社工場において低公害車である燃料電池自動車の開発状況について視察いたしました。同社は、我が国最大の企業で、自動車生産では世界第二位のメーカーであり、また、環境面では「トヨタ地球環境憲章」を制定し、車の生産、物流、使用、廃棄・リサイクルの各段階で環境負荷物質の低減に取り組んできております。究極のエコカーとして注目される燃料電池自動車については、平成四年に開発に着手し、平成十四年十二月に燃料電池ハイブリッド車「トヨタFCHV」を日本と米国で限定リース販売を開始いたしております。説明では、今後の課題として、燃料電池の低温時始動性能の向上、航続距離の確保、現在一台一億円と言われる生産コストの低減、燃料の水素を供給するスタンドの普及などの問題が挙げられており、本格普及は早くても二〇二〇年ごろと予想されるとのことでした。
 委員からは、燃料電池自動車の位置付け、ハイブリッド自動車の収支率、中国・インドなど途上国への技術協力、今後のハイブリッド自動車の普及見通し、ソーラーカーの実現見通しなどの質疑が行われました。その後、展示されている燃料電池自動車の内部と水素ステーションを視察しましたが、本格的な市場導入には、技術開発だけでなく社会基盤整備など解決すべき課題が数多く残されていることから、かなりの歳月が必要であると痛感したところであります。
 最後に、今回の派遣に際し、お世話になった関係者の方々に厚く御礼を申し上げ、報告を終わります。
#13
○委員長(郡司彰君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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