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2005/06/07 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 環境委員会 第16号
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2005/06/07 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 環境委員会 第16号

#1
第162回国会 環境委員会 第16号
平成十七年六月七日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         郡司  彰君
    理 事
                大野つや子君
                真鍋 賢二君
                谷  博之君
                加藤 修一君
    委 員
                阿部 正俊君
                狩野  安君
                関口 昌一君
                中川 雅治君
                大石 正光君
                芝  博一君
                島田智哉子君
                林 久美子君
                福山 哲郎君
                鰐淵 洋子君
                市田 忠義君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渋川 文隆君
   参考人
       福岡大学法学部
       教授       浅野 直人君
       NPO法人気候
       ネットワーク代
       表
       弁護士      浅岡 美恵君
       日本電気株式会
       社エグゼクティ
       ブ・エキスパー
       ト(全社環境戦
       略担当)     山口 耕二君
       NPO法人地球
       環境と大気汚染
       を考える全国市
       民会議(CAS
       A)専務理事   早川 光俊君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(郡司彰君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、福岡大学法学部教授浅野直人君、NPO法人気候ネットワーク代表・弁護士浅岡美恵さん、日本電気株式会社エグゼクティブ・エキスパート(全社環境戦略担当)山口耕二君及びNPO法人地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)専務理事早川光俊君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(郡司彰君) 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から意見を聴取いたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べをいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本日の会議の進め方でございますが、まず、浅野参考人、浅岡参考人、山口参考人、早川参考人の順でお一人十五分で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は、意見、質疑及び答弁ともに着席のままで結構でございます。
 それでは、まず浅野参考人から御意見をお述べいただきます。浅野参考人。
#5
○参考人(浅野直人君) 浅野でございます。
 本日は、発言の機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。早速私の意見を申し上げたいと存じます。
 本日議題になっております地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律でございますが、結論的には是非この法律案については御可決をいただきたいというのが私の意見でございます。
 御承知のとおり、京都議定書は気候変動に関する国際連合枠組条約に基づくものでございます。そして、この条約は、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目的としているわけでございます。さらにまた、この条約は、その水準ということに関しては、生態系が気候変動に自然に適応し、食糧の生産が脅かされず、かつ、経済開発が持続可能な態様で進行することができるような期間内に達成されるべきとしていることを確認する必要がございます。
 つまり、先進国が第一約束期間に、基準年に比べて平均五%を削減すると定めたことは最終の目標ではないわけでありまして、これからの長い歩みの第一歩ということを取り決めたにすぎないと理解しなければなりません。そして、今後予想される地球環境への危険を最小なものにするためには、大気中の温室効果ガス濃度を四五〇ppmで安定化させるべきであるという科学者の意見もございます。
 しかしながら、中央環境審議会で示されました資料は、お手元に書きました要旨の最後のページに出ている、上の、ページ数二十一と書いてあるこの表でございますけれども、これは中央環境審議会地球環境部会に示されたものでございます。仮に四五〇ppmで安定化させるということを考えた場合はどういうことになるのかというわけでありますが、ここにありますように、二〇九〇年ぐらいまでには安定化を達成しなければなりませんし、二十一世紀中の温室効果ガスの累積排出量を五千五百億トンということにしなければならない。この場合には、二三〇〇年において、世界の温室効果ガスの総排出量が二〇〇〇年に比べれば一八%くらいにまで下がってなきゃいけないんだということになっているわけでございます。
 最近、国立環境研究所が試算しましたデータによりますと、気温上昇を二度以下に抑えるためには大気中の温室効果ガスの濃度は四七五ppm以下にしなければならないということも言われておりますが、この場合には、二一〇〇年に、一九九〇年に比べれば温室効果ガスの排出量を七五%削減することが必要ということも言われているわけでありまして、今後安定化のレベルをどうするのかということに関しての国際合意をしていく前に我が国の国内の意思をはっきりと定めていく必要がありまして、国際交渉で受け身の立場になることを回避することが是非必要であろうかと思います。
 しかしながら、それ以前に、まず我が国が京都議定書の条約義務を完全に履行しておりませんと、これらの国際交渉の中での我が国の立場は極めて弱いものになってしまうことが当然に予想されるわけでございます。すべての枠組条約の締結国に具体的な義務を負担していただくと、このために我が国は恐らく大きな役割を果たすべき義務がございますけれども、先ほど申しましたように、京都議定書の現在の条約義務さえ履行できていなければ、ほとんど発言権がないということになってしまうことは明らかでございます。我が国にとっては極めて不利な不合理な条件をのまざるを得ないというようなことになってしまいますと、長期的には大きな国益を損じてしまいますから、当面のごく二年、三年くらいの国益ということだけにとらわれた議論をやっておりますと大変なことになるということを恐れるものでございます。
 さて、本日議題になっております地球温暖化対策の推進に関する法律でございますが、二〇〇二年の改正で、京都議定書の国内担保法としての性格を付与されまして、法定計画としての京都議定書目標達成計画の策定、実施を政府に義務付けているわけでございます。そこで、今後は、法定計画になりましたこの計画が達成できないときには、政府は対策や施策を実現するために更に追加的にその実現のための手法を投入することがある意味では法的義務ということになったということにもなるわけで、従来の大綱が履行できなかったということとはかなり重みが違うということも認識しなければなりません。
 そうなりますと、この目標達成計画がどの程度進捗しているのかということをもっと正確に迅速に把握することが極めて重要な課題になるわけでございます。今回の改正法案の二十一条の二以下には、温室効果ガス排出量の把握・報告義務付け及び公表制度を設けておりますが、これは極めて有力なツールを生み出すものと評価されるべきであると考えております。
 現在の算定方法は統計資料に基づいてそれから推計をしていくと、そして我が国全体についての数字は把握できますけれども、個別のことについてはなかなか分かりにくいという状況でございます。さらに、時間も大変掛かりますし、正確性ということにこだわるばかりに大変な努力を事務局もしているという実情もございますので、この法案が、改正法が可決されますと、そのような問題が幾ばくでも解決されるのではないかというふうに思っております。
 PRTR制度の経験でも、自らの排出量を把握するということは、さらにその排出量削減のインセンティブになるだろうということが期待されるわけであります。と申しますのは、温室効果ガスについては主にエネルギー使用量の削減ということになりますから、経費の削減にもつながるわけでありまして、こんなに自分の事業所で無駄なお金を使っているんだということが分かればインセンティブが働くということも言えるんではないかと思うわけであります。
 また、報告義務付けということは、政策の立案・実施担当者にも必要な資料提供という機能を果たすことを期待することができるわけでございます。
 なお、改正法案の二十一条の三には、いわゆるPRTR法の六条で言っております、使用その他の取扱いに関する情報が秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な情報であって公然と知られていないものという、これがPRTR法の定義でございますが、これとは違いまして、公にされることにより、権利、競争上の地位その他正当の利益が害されるおそれのあるものを例外としているわけでございます。この点は、化学物質は温室効果ガスと性格が異なりますから、このような言い訳というか使い分けというのはやむを得ないということになるわけでございますけれども、しかしながら、具体的な適用に当たっては、これが秘密の範囲を必要以上に拡大するというような運用にはならないようにという配慮が必要ではないかと思います。
 それから、改正法には、二十一条の九に主務大臣の助言の規定というのがございますが、これはこれまでの法制度の下で類似のものがありましたが、空文化の傾向がございましたので、この点について、温暖化対策を直接所管しない主務大臣の部局の積極的取組を要望するとともに、改正法案十一条の二号の規定で本部の権限が広がっておりますが、この点についての点検、監視を含めることが必要であると考えております。
 ただし、限られた大規模事業所のみについて、個々のサイトでの排出量データの公表結果、ここだけに関心が集中するということは決してよくないと思います。環境汚染物質や化学物質は直接近傍地域にリスクを与えますので、そのような近傍サイトへの問題というのがございますが、温室効果ガスは地球全体への負荷でございます。
 ですから、要するに我が国全体で、どこかでともかく下げればいいわけですから、例えば一企業が、自分のこの事業所では重点的に下げると、こちらでは十分に下げられないということがあっても、トータルで下がっていりゃそれでいいという面があるわけですから、これは今までの大気汚染物質などと同じように、一つ一つのサイトの数字にこだわって議論をするということは、場合によっては適当でないだろうと思います。
 それから、改正法は、量的には全体の五〇%近くをカバーできるということになっておりますけれども、発生源数からいうとごくわずかでございまして、地域の産業構造などを考えますと一%に満たない、例えば私ども福岡市で調べましたら、びっくりしましたが、一%どころか〇・何%ぐらいしか実は対象になってないわけであります。
 業務その他の部門や家庭部門は温室効果ガスの排出量の伸びが大きいわけでありまして、目標達成計画でも実質的に二〇〇三年から下げなければならない実質削減量、必要量を見ますと、産業部門とほとんど同じ量ということになります。ですから、この部門での追加的対策が達成できなければどうにもならないということでございます。
 そうなりますと、今度の改正法案が通りました暁には、更にその規模についてはすそ下げをするということも必要かもしれませんし、また条例での横出しとか、任意的な報告、努力促進といったような形で、小規模な排出源にも排出量を適切に把握、認識させ、削減努力を促進させる方策が必要ではないかと存じております。
 業務その他部門、家庭部門では、ビジネススタイルやライフスタイルの転換が必要とされておりますけれども、これは一挙にできるものではございませんで、小さな努力の積み重ねなしには成果が上がらないと思います。
 従来、これらの部門での施策の柱は排出原単位を改善するということであったわけですが、しかし、幾ら原単位が下がっても、機器、システムやその他物的施設、基盤が積極的に導入、普及されなければ成果を得られないことは明らかでありますし、また、それを使う人の活動の在り方も大きいということが言えるわけでありますから、温室効果ガス削減に資する行動を誘導するための合理的な手法というのは啓発普及か教育、でなければ規制という発想ではどうにもならない。このことは既に環境基本計画が二〇〇〇年以来指摘しているところでございました。
 政策手法については表を付けておりますが、時間がございませんので後ほどごらんいただきたいわけですが、いろいろな方法があるわけでございます。特に、自主的な行動を促すという意味での経済的手法の組み込みは特に重要でございまして、補助や税の減免といった助成措置は自主的取組の促進をいたしますけれども、財源に限度がございます。
 その点では、理論的には環境負荷をもたらす活動に経済的負担を課すことによって種々のインセンティブ効果があるということは承認されてきております。これに助成措置との組合せやその他の政策実現手法との組合せをすることにより、規制では対応できない主体の活動の誘導、あるいは規制で対応できる主体であっても規制で決められた基準以上の自主的な取組の実を上げるということが期待されておるわけで、この点も審議会では度々指摘されているわけでございます。
 ただ、経済的負担を課すといっても、料金や手数料のグリーン化といった手法が有効な領域もあるということは認識されるべきでありますし、それから環境税という場合に、これは言わば固有名詞のように考えまして、そういう新税をつくるという考え方もありますが、普通名詞としての環境税と申しましょうか、既存税をグリーン化する、あるいは新税プラス既存税の調整、いろんな選択肢があるわけであります。そして、経済的助成その他の組合せも念頭に置いた複数の具体的な制度を構想し、経済的負担を課す措置をとらない場合はどうなるかというようなことも、全部を総合的に、幾つかのチョイスを並べて総合的な検討をしていかなければならないと思います。
 この場合に、京都議定書の目標達成ということからいいますと、京都議定書上の様々な手法の円滑な導入も意識して、それらとの関連制度のつながりも意識した、すそ野の広がりを持った制度体系を構想することが望ましいということでございまして、温暖化対策という観点からいいますと、環境税を導入することがいいか悪いかというその一点だけに関心が集中して、そのことだけが議論されるというのはもうそろそろやめて、中身の議論をしなきゃいけない時期に来ているというふうに思っております。
 なお、改正法案の二十条は国と地方公共団体の連携を強調しているわけでございまして、見出しも変わっているわけであります。
 大規模な生産設備は別といたしまして、一定規模以上のビル・オフィス、サービス業などの事業所についても、業種別に全国的な話合いや取組をしていただくことは大事でございますが、地方公共団体のきめ細かい情報提供や話合いが有効だと思います。
 また、業種を超えた地域での連携ということを考えますと、これはやはり地方公共団体がコーディネートをするというのが最もふさわしいのではないかというふうに思われますし、小規模事業場や家庭に関しては、国や出先機関が出掛けていくというよりも、特に基礎的な自治体である市町村の役割を重視すべきであるというふうに思います。
 目標達成計画では、部門間、主体間の横割りの対策を強調しているわけでございますが、例えば店舗併設住宅なるものがありまして、こういうものは、部門で分けていきますと事業その他と家庭になるわけですし、農家世帯のような場合には、やはり家庭と事業が一体になっているわけですね。こんなものを部門別で分けて、それぞれが各省のセクター別に縦割りに役割分担ということをやっていきますとどうにもならないわけで、やはりそこでは基礎的な自治体がしっかりと統合的な施策を進める方がはるかに効果的であると思われます。
 ですから、基礎的な自治体にも役割、権限を与える必要がありますし、必要な財源の手当てをすることも必要ではないかと思います。ただ単に先進的な取組をしている団体に補助金を与えるというだけでは不十分でございまして、全国市長会は明日でございますが、温暖化対策についての具体的な要望を含む政策提言を行うと聞いております。
 その中で、多数の人口が集中している市を単位とする温暖化対策の有効性を指摘しておりまして、環境負荷の大きいビジネス形態の抑制が必要であるけれども、そのためには憲法が保障している営業の自由との関連があるので、市が自由に動こうと思えば、やっぱりこの点は国がしっかり考えてもらわなきゃいけない。
 かつて公害時代には、営業の自由と公害防止はどっちかという議論をやったんですが、もうそろそろ、その時代の発想と同じようなことを考えていきますと、地球対策、温暖化対策と営業の自由というような議論をやらなきゃいけないことになるかもしれません。市の取組の制約を解くためには国の政策方針が大幅に変わる必要があるのではないかといったようなことが提言されるとも聞いております。
 平成大合併で今すぐに体制が整備できない地方公共団体があることは事実でございますけれども、早急に体制を整備できるように支援を行うべきであろうかと思います。
 最後に、私、地球環境部会長として仕事をしておりましたときに国民の皆様に呼び掛けた文章がございます。その一節を取り出して結びとさせていただきます。
 私たち人間が原因、私たち人間が止められる温暖化、こんなことを呼び掛けたことがございます。
 どうもありがとうございました。
#6
○委員長(郡司彰君) ありがとうございました。
 次に、浅岡参考人にお願いいたします。浅岡参考人。
#7
○参考人(浅岡美恵君) 浅岡でございます。
 本日は、こうした機会を御提供いただきまして、ありがとうございます。
 今年二月十六日に京都議定書が発効いたしました。私たち市民も大変うれしく思っておるところであります。
 米国の離脱宣言を乗り越えまして発効いたしまして、これは国際社会の温暖化問題への取組の強い政治的意思が示されたものと考えております。
 こうした温暖化をめぐります国際情勢、社会の動きを見ますと、御案内のとおり、EUでは二〇〇四年からPRTR法に二酸化炭素などを加えまして排出量の把握・公表制度は導入されております。今年からは域内でのキャップ・アンド・トレード型の排出量取引制度が既に運用が始まっております。米国におきましても州レベルではこうした仕組みが広がりつつあります。
 京都議定書の第一約束期間以降、二〇一三年以降につきましても、やはり温室効果ガスの排出を削減し、気候を安定化させ、そして持続可能な社会に向けて私どもは進んでいくのだと、そうした取組の一方となりますこうした社会的、経済的仕組みというものが国際社会におきましては既に動き出しているということを実感いたします。
 こうした軌道には、もう一方、それぞれの国の国内政策を進展、実施させていくことが必要でありまして、本日はこの点からこの法案につきましての意見を申し上げるわけでございますが、その前に一言、先ほども御指摘ございました将来の枠組み交渉につきましての話を一言申し上げます。
 温暖化の進行は、これまでの科学の指摘、予想を上回る速度で進行しております。私たちはこれからもう残された限られた時間と資源を有効活用いたしまして脱温暖化社会に進んでいかなければならないわけでありますが、そのために、この第一約束期間の問題をどうつじつまを合わせるか、数字合わせをするかというだけではなくて、中長期的な目標を国際社会にも国内にも明確にする、そして事業者、国民にそうした呼び掛けをしていくということが極めて重要であります。そうした気候を安定化させていくためのシグナルを市場に対しても国民に対しても出していくといいますことは、これはやはり政治の役割、責任ではないかと思うところであります。
 私も審議会に参加いたしまして、いろいろな議論の場に出させていただくわけでありますが、なかなか堂々巡りをした、議論が進まないという、現在まだ日本の方向が定まらないということを危惧しているところであります。この点はよろしくお願いしたいと思います。
 さて、今回の法案につきましてでありますが、昨年は各省それぞれでこれまでの推進大綱の評価、見直し作業をいたしました。そして先般、目標達成計画に至りまして、その一部が本法案になっているわけであります。
 我々は、大綱やこうした今回の計画につきましても、その政策の強さの評価といいましょうか、目標達成の法的な担保性というものを評価してまいりましたけれども、今回の計画を見ましても、CO2につきましては目標数値を引き下げたわけであります、緩めたわけでありますが、達成の確実性はちっとも進んでいないという状況があります。
 それにつきましては、お手元の資料の中に目標達成計画の評価度ということで具体的には示しておりますので、ごらんいただきたいと思います。法的な担保性のあるものは一四%、基準のみあるのが一二%、経団連自主行動計画に三一%ゆだねまして、その余は市民や事業者の自主的な取組に期待をする。
 また、問題なのは、原子力発電所の稼働率を極めて高く八七%にも上げまして、これで数字合わせをしようとしている部分が五%ほどあります。二〇〇三年は大変排出量が増えてしまったとまた先ほど公表されたところでありますが、このときは特に稼働率が低くて五九・七%まで下がっていたわけでありますが、これを八七%まで上げる計画と申しますのは、こうした計画がかなり机上で作られているもの、原発の安全性を横に置きましても大変危ういと感じるところであります。
 しかし、私どもがこういう点を指摘しますのは、目標達成ができないよということを言いたいがためではないのです。日本の国内には削減のポテンシャルは十分にある、十二分にある、しかし政策が弱いがためにその目標達成ができないのだと。その点を誤解なきようお願いしたいと思います。
 次の見直しは二〇〇七年が予定されておりますけれども、それを待たずに、環境税、先ほどから御指摘がございましたが、あるいは事業者との協定、国内の排出量取引制度など、これまでの見直しの、昨年の評価、見直しの議論で、入口の議論で堂々巡りの末、積み残しになったものというものにつきまして速やかに導入に向けて先生方の方でも後押しをいただければと思っているところであります。
 本法案につきまして、特に排出量の把握、報告・公表制度につきまして意見を述べさせていただきますが、この制度につきましては、いろいろな議論の中、ようようこの制度が法案化されたという唯一のものになったわけであります。確かに、浅野先生からの御指摘もありましたように、私は一つの前進であると思います。ガスごとに、事業所ごとに毎年統一のルールでそれぞれが把握し、自ら理解するとともに、それが一覧性を持って公表されていくと、こういう原則は大変重要なものでありますし、これらは今後、環境税や国内の排出量取引制度を導入いたしますときにも重要な基盤となりますし、国民の理解、協力、あるいは国民的な運動を広げていくというためのベースにもなるわけであります。
 しかし、これまで導入反対だと言われてきました事業者の方々から、それは企業秘密であるということを大変強く指摘をされてきました。あるいは、さらしものにするのはおかしいじゃないかと、こういう御指摘もありました。
 しかし、ここの二十一条の三に加えられております企業の権利利益の擁護に関する規定、この規定自身を置くことが絶対いけないというわけではないのですけれども、これはPRTR法とは表現が違っておりますが、情報公開法の規定と同一であります。基本的に情報公開法の原則をここに導入するということでありまして、それは理解できるのでありますが、ここで言う企業秘密、情報公開制度において企業秘密と言われますものは、事業活動上の機密事項、あるいは生産技術上の秘密に属する事項ということであります。これはもう国際的、世界的な基準でありますし、日本の裁判所もそのように理解をしていると私は理解をしております。少なくとも、事業所単位で見ましても、エネルギーの消費量でありますとか二酸化炭素の排出量がこのような企業秘密に当たるとは到底考えられないところであります。
 本日、レジュメ六ページに英国の地図を添付してございますけれども、これは二〇〇四年から始まりましたイギリスのPRTR制度におきまして、欧州全体で報告部分を公表しておりますが、こうした地図におきまして事業所もプロットいたしまして、排出量も地図でも大きく出しますし、詳細情報もホームページで得られると、こういう仕組みでありまして、二酸化炭素や代替フロンなどが秘密であるというふうには取り扱われておりません。
 また、EU域内に日本の重立った企業の事業所がたくさんありまして、こうした制度に既に服して遵守しているということもお忘れいただかぬよう、頭にお留めいただければと思います。
 代替フロンにつきまして特に秘密性が指摘されておりますけれども、その秘密性といいますのは、情報公開制度、法律の下におきましては事業者側が主張立証責任を負っております。今回の法律案で私が一番懸念をいたしますところが、二十一条の五の第三項に大変、わざわざでありますが、事業所轄大臣が権利利益の保護に支障がないことを確認した上で公表のためのデータの集計をする、この集計されたものが環境大臣あるいは国民に開示される情報となってまいります。これは、もしかすると、立証責任を事業者ではなくて経済産業相ないし、そうした事業所轄大臣側に転換しようとする趣旨であるといたしますと、それは大変問題だと思います。そのようなことの趣旨ではないと私は理解をしたいと思いますが、大変あいまいな仕組みであります。
 一方で、情報公開法が日本にはありますし、こうした法律に基づきまして報告します情報につきまして原則的な開示情報になるという仕組みも既に日本の法律の中にありますので、そうした誤解のない、誤解のある運用にならないように十分、抜け穴にならないように先生方に御確認をお願いしたいところであります。
 と申しますのは、二酸化炭素につきましては既に省エネ法に基づきまして経済産業大臣にエネルギーの消費量ごとに報告がなされておりまして、それらの情報を私どもは情報公開法に基づきまして開示請求をいたしましたところ、かなりの事業所におきまして、七百、八百ぐらいの事業所におきまして開示されませんでした。されなかった事業所につきましては企業秘密ということを書いているわけであります。ありますが、そうした情報も含めまして、私どもが調査をいたしましたところでは、そこのお手元の中にも大口の開示事業所がどれほど排出量を占めるのかということを示しておりますが、日本全国の、日本全体の排出量のおよそ半分を上位二百社ほどの事業所の排出で占めます。これは事業所、事業者の数にいたしますと百に至りません。その他はぐっと少なくなりまして、省エネ法の対象事業所全体で五四%ぐらいになると、こういうことであります。
 すそを広げること、すそ野を広げることは極めて重要でありますけれども、こうした大口の排出枠のおよそ半分近くが非開示であります。これではこの制度は機能しないと思います。こうしたことが今回の制度におきましても繰り返されないようにお願いをしたいと思います。
 また、こうした大口の事業所だけではなく、例えば肉製品の製造業者でN社のみとか、乳製品の製造業者でMe社のみが非開示というようになっております。これは、事業者が私は非開示にしてほしいと申し出ますと、そのとおり運用してきたということがうかがわれます。こういうことが今回の制度の中で行われることがないように、各事業所轄大臣がどのように運用されるのかにつきまして特に留意が必要かと思います。
 これらも含めまして、この法律の排出量の把握、公表に関します制度は所轄大臣等の政省令に係る部分が極めて大きくなっております。これは、行政の裁量といいましょうか、そうした範囲が大変大きいというもので、ある部分やむを得ないところもありますけれども、実効性をより確保できますように、先ほど浅野先生からの御指摘もありましたように、より広範な事業者をカバレッジもする、排出量の多寡にかかわらずですね、それはされていくべきだと思います。
 もう一点、こうした排出量そのものではなくて、排出量の増減に関する情報を併せて提供でき、これを公表できるという仕組みが二十一条の八にございます。これは大変よろしい制度だと思います。こうしたことにつきましては歓迎したいと思いますが、さらに、省エネ法の報告事項につきましてはエネルギー種別ごとの報告もなされているわけでありまして、これらも併せて開示されるべきだと考えております。これ、そうでなければ、報告の信頼性を我々は確認をすることができない、担保ができないということがあります。
 この不遵守の場合に、本法案では二十万円の過ち料、過料になっておりますが、省エネ法では罰金になっております。どうしてこのような差異ができたのか不思議でありますけれども、やはりこれはしっかりした担保措置も必要であろうと思います。
 さらに、時間がございませんので、目標達成計画の部門別割り振りにつきまして若干の指摘をさせていただきます。
 この部門別割り振りの九〇年の状況、二〇〇二年の現状、そして達成計画におきます一〇年の目標につきましてグラフにしましたものを、これは国の報告書の中から引用さしていただきましたが、これを見ますと、産業部門は大変努力をされており、民生部門が努力をしていないので更に下げるべきだというふうに読めなくはないし、一般にそのように流布をされているわけでありますが、やはり背景をしっかり見ておく必要があろうかと思います。
 産業部門につきまして、エネルギーの消費量等あるいは建築の、住宅、建物の着工件数とかセメントの生産量とか自動車の生産台数とか、かなりの削減が既に起こっております。主要なエネルギー多消費型の事業の中で大きな生産減がありまして、これは当然やむを得ないものであります、もうこれ以上、日本に満杯になるわけでありますので。それに見合って、あるいはそれを超えて、省エネ法では毎年一%ずつエネルギー効率を改善することが義務でありますが、それに見合った取組がなされているとは言えないことにつきまして留意いただきたいと思います。
 運輸部門は近年削減傾向にあり、このことは自動車業界から大変また宣伝されておりますが、しかし目標として横ばいにとどまっておりますが。
 民生の家庭部門におきましては、これをトレンドを変えるという目標であります。クールビズ等、あるいはもったいないという運動、それらを私どもは大変いいことだと。我々もいろんな消費者団体等とそうした活動をしているわけでありますが、しかし、グラフを少し示しましたように、住宅の床面積でありますとか世帯数でありますとか、絶対的に増加要因があること。
 さらに、電力の二酸化炭素の排出係数が悪化していることと民生の家庭部門の排出とはかなりパラレルな関係が出ていること、そして、民生での削減のためには、そうした個人の努力に加えまして、建物の省エネ性能を高めること、そして機器の、より省エネ性能の高い機器を我々が購入しやすい状況、あるいは供給していただくことが重要であるということを併せて、三本の柱で民生部門は取り組まなければならないということにつきまして指摘させていただき、そうしたことが進むような社会経済システム、仕組みというものを、法制度も含めまして整備していく必要があると考えているところであります。
 以上で私の発言に代えさしていただきます。
#8
○委員長(郡司彰君) ありがとうございました。
 次に、山口参考人にお願いいたします。山口参考人。
#9
○参考人(山口耕二君) 日本電気の山口と申します。
 私は、現在、全社の環境戦略立案を担当しており、日本経団連の環境自主行動計画の検討にも参画をしております。また、電機、電子の五団体が協力して温暖化対策を検討しております電機・電子温暖化対策検討会のリーダーでもあります。本日は、企業の立場から地球温暖化問題に対する取組状況や基本的な私どもの考え方、またさらには、今回の温暖化対策推進法につきまして若干の意見を述べさしていただきたいと思っております。
 では最初に、電機・電子業界の温暖化対策の取組について簡単に紹介さしていただきます。
 私どもの業界の温暖化対策につきましては、先生方のお手元に活動を紹介いたしました二冊のパンフレットを配らさしていただきました。一冊は、工場並びに製品の私どもの温暖化対策の活動内容でございます。もう一冊は、物流部門の温暖化対策の紹介パンフレットでございます。後ほどゆっくりとごらん賜れば幸いでございます。
 さて、私ども電機・電子業界は、デジタル家電やIT化の進展などによる業態構造の変化、価格の下落、国際競争の激化など、非常に厳しい経営環境にございます。このような事業環境の中で、工場における電力の削減や温室効果ガスの削減、また省エネトップランナー製品の開発など、温暖化対策にも積極的に取り組んでおります。運輸部門の対策につきましては、お手元のパンフレットにもございますけれども、積極的にできる限りの努力をしているところでございます。
 私どもの業界では、二〇一〇年までに、一九九〇年と比べ、実質生産高CO2原単位を二五%削減しようと、そういう活動を立てまして、各社が行動しているところでございます。
 それでは次に、弊社、NECの環境問題への基本的な考え方を御説明さしていただきたいと思います。
 弊社が本格的に環境活動に取り組んだのは、本社に公害防止環境管理部を設立いたしました三十五年前からでございます。この三十五年前というのは、環境庁ができる一年前でございます。この全社的な環境活動の始まりは、当時の社長が、環境活動は会社における重要なクオリティー、品質の一つであると宣言してトップダウンで始まった次第でございます。また、会社の環境活動の理念、行動指針を明確とし、全社員が参加する活動にするために、一九九一年、NEC環境憲章を制定いたしました。この環境活動の理念は、一つは、自然の営みを尊重しようと、また、環境と調和するテクノロジーと生産を追求しよう、さらには、環境との調和を経営の最高課題の一つにしようではないかと、これが私どもの理念でございます。この理念は、京都議定書目標達成計画の基本とされております環境と経済の両立と相通ずるものでございます。
 私どもは、温暖化対策のかぎは、一つは技術のイノベーション、さらには目標の策定、施策や結果の可視化及び情報公開であると認識しております。今回の法案及び目標達成計画では、各施策の効果をきっちりと評価した上で更なる施策を講じるPDCAの概念が導入されておりますことには非常に注目をしております。また、この法案は環境活動を先進的に展開している企業の透明性を一層高めるとともに、一方、温室効果ガスの削減成果がまだ十分出ていない企業もございます。そういう企業にとりましては、自主的な温暖化対策を促すことができ、この法案を非常に高く評価させていただいております。
 それでは次に、工場の温暖化対策の実施状況を簡単に御説明申し上げます。
 当社には、実は三つの事業領域がございます。この三つの事業領域の中で、工場の温暖化にかかわりが深い半導体と液晶事業は、売上げベースで申し上げますと一六%しか占めておりません。しかし、NECグループが出す温暖化効果ガスは全体の八六%を占めております。したがいまして、このように温暖化への影響が大きな半導体・液晶事業ラインでは、電力を中心とした二酸化炭素並びに製造工程で使用する温室効果ガスの削減目標を設定いたしまして、削減に努めております。具体的な目標を申し上げますと、エネルギーは出荷高原単位で七五%に抑制しよう、また温室効果ガスは、これは絶対量で二〇一〇年に一〇%減らそうと、そういう目標を掲げております。
 具体的に活動の一例を御紹介いたしますと、半導体工場では、クリーンルームと申しまして、非常にきれいな工場になっているわけでございますけれども、この工場の中を、部屋の中をきれいにするために電力が要るわけでございますけれども、その電力の使用量は十年前と比べると六割削減しているということで、着実に工場の省エネは進んでおります。
 しかし、残念ながら、製品価格のダウン、デフレが非常に激しゅうございます。一方、生産増がございますということで、電力起源のCO2削減は非常に苦戦をしているところでございます。したがいまして、この電力起源のCO2削減につきましては、何かできることはないか、少しでもできることはないかということで、誠心誠意頑張っているところでございます。
 一方、工場で使っておりますSF6、PFCなどの温室効果ガスにつきましては、一つは温暖化影響のちっちゃいガスに変換すること、もう一つはCO2を無害化する技術を導入するということで、エネルギー以外のCO2につきましては一〇%削減が達成できる見込みでございます。
 次に、製品やサービスの温暖化対策について活動事例を紹介させていただきます。
 省エネ法が一九九九年に改正され、トップランナー方式が導入されております。この省エネトップランナー方式は、消費電力を下げること、さらには待機時電力をちっちゃくする等々、家電製品とかOA機器の省エネ製品開発には非常に効果がございました。具体的には、パソコン、コンピューター、サーバー等のOA機器に関しましては既にこの省エネ達成基準をクリアできております。
 このように、省エネトップランナー方式の導入等もございまして、省エネ製品の開発と販売は着実に進展していると思っております。今後は、開発が進んだ数々の省エネ製品を市場でいかに普及させるか、この既存の製品と置き換えるか等々の、普及率を高めることがこの民生分野の目標達成のために今極めて重要だと考えております。
 一つの試算結果ではございますけれども、今後買換えが進んでくれば、民生家庭分野のCO2削減を二〇一〇年には一九九〇年度比で三%増程度まで抑えることができると。そういうことでは、省エネ製品をいかに普及させるか、これは電気製品のみならず自動車も同じでございますけれども、普及することが非常に大事だと、このように思っております。
 したがいまして、私どもも国民の皆様に様々な情報を御提供することはもちろんしていく所存でございますけれども、政府におかれましても、公平な立場でこの国民会議的な仕掛けをつくりまして、省エネ製品の普及を是非とも高めていただきたいと、そういう意味では今回の情報公開も非常に役に立つのではないかと思っております。
 次に、ユビキタスネットワーク社会の進展が温暖化にどのようなかかわりを持つのかについて御紹介いたします。
 一般的に、IT社会は温暖化に対してプラスとマイナス、言い換えれば電力が増える要因と減る要因がございます。政府のIT戦略本部におかれましても、IT政策パッケージ二〇〇五が発表されておりまして、世界最先端のIT国家を目指そうということが国の方針でございます。今後、ユビキタス社会の拡大によりまして、オンラインショッピング、電子出版、ITS、テレビ会議、エコドライブ等々がますます普及していくと考えております。
 総務省さんが昨年の末にユビキタスネット社会の進展と環境に関する調査研究結果を御発表されました。その調査結果によりますと、ユビキタスネット社会の進展で、パソコンやOA機器等通信が増加して、CO2は約六百万トン増えると言われております。一方、人の移動や生産、物流、消費等の効率、さらにはITSを使った交通渋滞の解決によって二千六百五十万トンのCO2の削減効果があると言われております。これは火力発電所の十・六基分に相当する省エネ効果でございます。もちろんこの調査はLCA的な手法を用いましてライフサイクル全体で評価されたものでございまして、ユビキタス社会の進展は温暖化対策にもつながるものだと私どもは期待をしておるわけでございます。
 次に、民生・運輸部門の対策には、当面のことながら主体が複雑でございますので、多面的なアプローチが必要でございます。その一つとして、消費者や国民の環境意識啓発がございます。当社では社員教育に環境教育を組み込んでおります。
 具体的な教育といたしましては、e―ラーニングを使った知識蓄積型の教育や、自らが汗をかく、社員とその家族が参加する、例えばNECの田んぼづくりとか、オーストラリアでは植林するとか、そういう活動もやっております。また、インターネットを使った環境教育はNEC社員の九九・八%が受講しております。また、これらの環境教育の効果を測定するために、NECグループ社員、国内十一万人おりますけれども、それを対象に環境意識調査、アンケートもいたしました。昨年は二万七千人の社員がアンケートに答えてくれました。その集計結果から、環境にエクセレンスな社員の比率が、二〇〇二年は残念ながら九・六%、しかし二〇〇四年にはその数が四二・二%と、三年間で環境に関心のある社員が倍増したということで、アンケート結果からも環境教育は社員の環境意識を向上させるには非常にいい手段だということが証明されたわけでございます。
 最後に、今回の温対法の大きな柱でございます環境情報の公開と温室効果ガスの算定・報告・公表制度に関しまして意見を述べさせていただきます。
 今回の温対法並びに省エネ法で定められておりますように、排出量に関して一定の報告や公表を制度化することは必要だと思っております。私どもは環境に関するすべての情報は公開することを基本にしております。今年から温室効果ガス排出量と化学物質の使用量、廃棄物の発生量などは、これまでの年一回の公表から、今年から年四回ホームページで公表することに変更いたしました。今回の温室効果ガス算定・報告・公表制度におきまして、半導体と液晶の特定製造工程で使用しておりますSF6とPFCのガス別、サイト別の公表は、これによりまして私どもの製品の不良率、生産効率、さらには研究開発の実態が、国内の競合他社のみならず、韓国、台湾の競合他社に推測される可能性が極めて高く、我々の半導体・液晶事業の国際競争力を低下させることにもつながりかねません。したがいまして、ガス別、サイト別の公表は、業務機密を守る観点から、法律に記載されておりますとおりに適切に運用していただきたく、重ねてお願いを申し上げます。
 最後になりますけれども、私どもといたしましては、環境問題に対する自主的な取組を強化することによって温暖化対策に貢献してまいりたいと考えております。また、取組が遅れている民生・運輸部門に関しましても、より優れた省エネ型製品の提供、サービスの提供、さらには物流の合理化、オフィスの省エネ、あるいは従業員の家族まで巻き込んだ省エネ活動を展開してまいりたいと、それによりまして京都議定書の目標達成に貢献してまいる所存でございます。
 何とぞよろしく私どもの産業界の状況を御理解賜りたいと思っております。
 私からの意見陳述は以上でございます。どうもありがとうございました。
#10
○委員長(郡司彰君) ありがとうございました。
 次に、早川参考人にお願いいたします。早川参考人。
#11
○参考人(早川光俊君) 早川でございます。今日はこうした機会を与えていただいて本当にありがとうございます。(資料映写)
 私は、CASAという大阪に本拠を置く環境NGOから参りました。CASAについては、一九八八年十月に設立しまして、その直後から温暖化問題に取り組んで国際交渉に参加すると同時に、市民の環境家計簿や省エネラベル、それから自然エネルギーの普及などの活動に取り組んでまいりました。また日本におけるCO2削減可能性の検討などもしてまいりました。
 今日は法案の改正に対する意見とともに、この法案は恐らく京都議定書目標達成計画とか、それから今国会に掛かっている省エネ法の改正とか、そうした六%削減をどう実施していくかということの一環として審議されているというふうに理解しますので、全体的な御意見を申し上げたいと思っています。
 それで、御意見申し上げるまず最初に、京都議定書が発効し、それに至る過程で先生方に本当に御努力いただいた、日本が先頭に立って、この京都議定書を進める先頭に立っていただいたことについて深甚の敬意を表したいと思います。
 まず、この法案の改正についてですけれども、基本的に賛成です。
 一点だけお願いしたいのは、算定・報告・公表制度、これは非常に重要な制度だと思いますけれども、企業秘密の点です。私は温室効果ガスの排出量の公表が企業秘密に該当することは基本的にないと考えます。もちろんすべてを否定するわけじゃありませんけれども、温室効果ガスの排出がその企業のノウハウに抵触するのは非常に限定された場面だろうと思います。国民の知る権利を優先させて公表を原則として運用していただくように御審議をお願いしたいと思っています。企業秘密についてのきちっとした見解、それから基準を定めて、公表を前提として、もしそれが問題ならば不服審査制度などによって企業秘密を判断するという制度が取り入れられるべきだというふうに考えます。
 京都議定書が二月十六日に発効して、四月二十八日には目標達成計画が閣議決定されるという経過をたどっております。私は今後の課題は二つだと考えています。一つは目標、第一約束期間の目標、日本では六%を確実に達成すること、これが最大の今課題だろうと思っています。二番目が二〇一三年以降、第二約束期間以降の制度設計、これをどうするかという、既に国際交渉では議論が始まっておりますけれども、この将来枠組みについてどう対応していくかというのが今後の課題だと考えています。
 まず、京都議定書目標達成計画についての御意見を申し上げたいわけでありますけれども、私たちはこの達成計画では六%削減は担保できないと考えています。四月二十四日でしたか行われた衆議院の参考人質疑でも、中環審の委員長だった森嶌さんができないというふうに断言されていました。私たちもそういうふうに思います。
 まず、この達成計画の問題点の第一として、長期的な目標がないということです。私は、やはり長期的な目標を議論した上で当面の対策、行動を考えるべきだというふうに思います。これについては後で少し詳しく述べたいと思います。
 そして、六%削減のうち吸収源や京都メカニズムで五・五%を達成する計画になっている。私は、やはり温暖化を防ぐためには国内での対策を取っていくべきだ、その大きな部分を国内対策でやるべきだというふうに考えています。六%削減のうち三・九%が吸収源になっておりますけれども、これが保証されてはいません。林野庁の報告書でも二・六ないし三・一%ぐらいだろうという報告になっています。
 二番目に指摘しなきゃいかぬのは、原子力発電の推進や産業界の自主行動計画に依存していることです。
 原子力発電の推進については、議定書交渉では、共同実施やクリーン開発メカニズム、いわゆる海外でのプロジェクトによって削減量をカウントする制度の下においてはこれの利用は差し控えるということで合意されました。このことは、温暖化対策において原子力発電を利用することを全体としては差し控える、やめようという合意だと思います。私は、国内において、原子力発電の推進についてはやはり、後でも少し詳しく述べますけれども、冷静で理性的な議論をきちっとすべきだと思っています。
 この目標達成計画について、先ほど浅岡さんの方からも御指摘ありましたけれども、従来の対策の羅列にすぎないもので、再生可能エネルギーの買取り制度、固定買取り制度や環境税、国内排出量取引といった抜本的な対策が全く取り入れられていない、これでは六%削減は全く担保できないんだろうと思います。
 少し詳しく個々に述べたいと思いますけれども、温暖化対策というのは突き詰めれば省エネ対策とエネルギー転換しかありません。地球温暖化を防ぐためには、恐らく二一〇〇年を超えた時点では脱化石燃料社会をつくらなきゃいかぬというふうに考えます。これまでの中環審の報告書などでも、九〇%、八〇%といった数字が議論されているわけですから、今の化石燃料に依存した社会経済システムではとても温暖化を防げない。となれば、省エネ対策と同時にエネルギー転換が進められるべきだというふうに考えます。
 産業界の自主行動計画については、私は自主行動計画を否定するものではありません。ただ、これが自主行動計画である限りは履行が担保されないというふうに考えます。
 COP3の前にドイツの産業界の方と話し合う機会があったんですけれども、彼らは、当面自主行動計画をやるけれども、それが達成できない場合には自分たちは規制を受け入れると表明している。社会協定化し、規制を受け入れて削減していくということも受け入れているというふうにおっしゃっていました。
 私は、やはり自主行動計画、最初は自主行動計画をやられるのは結構なことですし、産業界がCOP3以降随分と努力されたことも承知しておりますけれども、やはりこの行動計画をきちっと担保するためには、次の段階での協定化ということをきちっと考えていくべきであろうと思います。
 再生可能エネルギーや固定買取り制度については、再生可能エネルギーについての現在RPS法がありますけれども、残念ながらこれは自然エネルギー、再生可能エネルギーの導入に対しては桎梏となっています。そのほとんどが廃棄物発電によって賄われているという現状にあります。ここをどうしても変えていただきたいというふうに考えるわけです。
 原子力発電についてはいろんな議論があると思います。私も別に原子力発電を頭から否定するつもりはありません。ここに書きましたように、安全性の問題、放射性廃棄物の問題、経済性の問題、エネルギー安全保障の問題、そして破壊活動からの、対する脆弱性の問題、そういった問題がやはり理性的に民主的に議論されるべきだと思います。私は、日本においてはエネルギー問題が国民的議論に付されたことはないというふうに考えています。きちっとした議論をやはりすべきだろう、その結果、原子力発電を推進することが国民の総意であるならば、多数であるならば、それはそれでそう進めていくべきだろうと思います。
 ドイツにおいて原子力発電を廃止した理由についてドイツの方に聞いたことがありますけれども、主な理由は、経済性と破壊活動に対する脆弱性の問題だと言っていました。これは九・一一の前の議論です。原子力発電ほど破壊活動に弱い設備はない、またこれによって大きな被害を及ぼす設備はないというふうに言っていました。
 経済性については、私はCASAにおいて試算をしてもらいました。研究者に試算をしてもらいました。一九七〇年から一九九八年までの二十八年間の有価証券報告書に書かれている水力、火力、原子力の費用を全部抜き出してきて、原子力、火力、水力がどういったコストになっているかを計算してもらいました。試算結果はここに書かれているとおりで、原子力が一番高いことになりました。いろんな試算の仕方があると思いますし、経済性についてはいろんな考え方があると思いますけれども、原子力に非常に有利に計算した結果でも、私どもの計算ではこうなりました。
 残る安全保障の問題については、次の段階でまたお話をしたいと思います。
 再生可能エネルギーについては、私は幾つかの特徴があると思いますけれども、私自身が大気汚染公害裁判等を担当したこともあって、やはり環境に優しい、CO2の排出が少ないだけでなくて、大気汚染を起こさないというところがやはりこの再生可能エネルギーの特徴だというふうに考えます。枯渇しない、小規模分散型、そしてやはり平和だということです。エネルギーの大半を占める化石燃料は偏在しています。その化石エネルギーの偏在がともすれば戦争を引き起こします。分散型である、そして小規模であるこの再生可能エネルギーというのは平和なエネルギーだというふうに私は考えます。
 ドイツでは、一昨年、七百万キロワットの風力発電がその七〇%から八〇%が市民の投資によって建設されました。制度さえきちっとできれば、日本においても恐らく市民は再生可能エネルギーの建設に投資をするんだろうと思います。デンマークでもその七、八割は市民の投資によって建てられています。そのためには、やはりこの二つの国が導入しているのは固定価格買取り制度です。そういったものも是非御検討いただきたいというふうに思います。
 私たちは、日本における二酸化炭素の削減可能性について何回かの試算を行ってきました。二〇一〇年までに一一%削減可能というのが私たちの試算であります。現在ある、現在利用できる既に商業ベースに乗っている技術、九十四技術を一つ一つ検討して、それをどう普及していくかの政策も併せて検討していただきました。一方で、原発については、即時廃止ではなくて、三十年の寿命で順次廃止していく、フェードアウトの条件で計算してもらいました。その結果は、二〇一〇年までに二酸化炭素排出量を九%削減できるという結果になりました。私たちの試算が正しいかどうか、正しいと声を大きくして申し上げるつもりはありません。しかし、少なくともこういった私どもの試算も含めて俎上に乗せて検討したい、産業界の方の意見も聞いて検討したいと思っています。
 代替フロン類については、代替物質の使用や工場内での管理をすれば二%程度削減が可能だということであります。
 そして、もう一つの特徴は、こういった省エネ対策を取ることが、当然コストが掛かるわけでありますけれども、二〇一〇年度単年度ベースでも二兆七千億の省エネによる効果が生まれてきた。要するに、コストは掛かるけれども、技術導入にコストは掛かるけれども、その一方で燃料費が浮いてくるという試算になりました。これは決して私たちだけの計算ではなくて、アメリカのエネルギー省がCOP3の前に五つの研究機関に発注してこの検討をさせたことがありますけれども、それもいずれも、金額の多寡は別として、全部プラスの効果が出ました。
 CASAの試算はこの図のとおりであります。一九九〇年レベルから二〇一〇年まで一一%削減できると思います。
 次に申し上げたいのは、長期目標についてであります。
 私は、日本の政策がなかなか進まないのは、やはり長期的な目標についての議論をきちっとしていないからだろうと思います。今回の目標達成計画にも長期的目標についての記述がありません。温暖化対策の目標は、何をやるかではなくて温暖化を防ぐことです。温暖化を防ぐといっても、温暖化自身はもう既に進行していますし、防ぐことはできないと思いますけれども、危険なレベルに至らないまでに温暖化をどう防ぐかというのが今の議論であります。
 中央環境審議会の専門委員会は五月に、気温上昇の抑制幅を二度とする長期目標を提案されました。二度未満という長期目標については、既に世界の環境NGO、私どもも、浅岡さんのところの気候ネットワークも参加しているクライメート・アクション・ネットワークという団体は既に三年前に二度という目標を採用すべきという提言をしています。EUも二度という長期目標を前提にいろんな対策を立てていることは御承知のとおりです。
 なぜ二度なのか。いろんな科学的知見を見てみますと、やはり二度程度の上昇が、様々な影響が大きく変わる変換点だということです。これもお手元に表が配られていますけれども、一度―二度、二度―三度でここに書いているような経済影響、食料安全保障、水不足、異常気象などが大きく変わってきます。
 概括的に申しますと、一部の影響にとどまる、一度から二度の範囲では一部の影響にとどまる影響が、二度を超えると全世界的な影響になる、質的に変わってくるということであります。そして、この二度未満に気温上昇を抑えようとすれば、今後十年から二十年の取組が決定的に重要だということです。恐らく今のトレンドでいけば二〇三〇年に二度を超える可能性があるということです。もしこの十年二十年の間に行動を起こさなければ、この目標を達成する選択肢さえ失われてしまうというふうに私たちは考えています。
 二度未満に抑制するためには、EUの環境理事会では、先進国は二〇二〇年までに温室効果ガスを一五から三〇、二〇五〇年までに六〇から八〇%削減する必要があると言っています。中央環境審議会の専門委員会の報告でも、これは世界全体、先進国で世界全体ですけれども、二〇二〇年までに一〇%、二〇五〇年までに五〇%、二一〇〇年までに七五%削減することが必要と言っています。このことを念頭に置いて、今何をすべきかが議論されるべきだというふうに考えます。
 一つ最後に申し上げたいことは、将来枠組みの問題であります。
 経産省から非常に私どもが心配するような提案がなされています。端的に言えば、今の京都議定書の延長上に将来枠組みを考えるのではなく、京都議定書と全く異なった仕組みを考えられているということであります。私は、京都議定書の骨格は、法的拘束力、達成期限を持った総量削減、そして遵守制度だと思っています。こういったものをすべてなくしてしまおうという提案がなされています。
 もし、第二約束期間以降が非常に緩い制度になってしまうならば、第一約束期間の目標達成のインセンティブは大きく損なわれることになります。私たちは、やはり第二約束期間以降、より高い削減目標が設定されるべきであり、合意されるべきであり、京都議定書の基本的構造が引き継ぐ制度が議論されるべきであると考えています。
 これはCO2濃度の上昇です。大体一・五ppmぐらい毎年増えているわけでありますけれども、二〇〇二年、二〇〇三年は二ppm以上の増加率を示しました。このまま行くと二〇三〇年ころには二度を超えてしまうおそれがあるということです。
 これもよく見られる図かもしれませんけれども、IPCCは今後百年間の気温上昇幅をこのように見ています。この下の四角が過去千年の温度の、地表の平均気温の推移であります。一九〇〇年ころから急速に上がってきて、そして今後百年でここに書かれているような大きな幅の気温上昇が予測されている。
 是非ここで御認識いただきたいのは、今の状況が続けば、この一番上の五・八度に近い気温上昇が起こるということです。徹底的に対策を取っても一・四度程度の気温上昇が予測されているわけであります。百年でこれだけの気温上昇というのは、少なくとも過去百年では人類は、過去一万年に人類が経験したことのない気温上昇であります。
 そして、もう一つ、是非私たちが認識しておかなきゃいかぬことは、気候変動が始まる、温暖化が始まるとすぐには止まらないということであります。これもIPCCが出している図でありますけれども、CO2濃度、大気中の二酸化炭素濃度を安定化しても気温の安定化、気温上昇というのは数世紀にわたって止まらない。そして、熱膨張による海面水位の上昇、氷の融解による海面水位の上昇というのは数千年単位で続いてしまう。そして、この一番下の茶色の線でありますけれども、濃度の安定化するためには排出量は大幅に削減していかなきゃいかぬということであります。
 私たちの子や孫というふうによく言いますけれども、もう孫の問題ではなくて、私たちのこの時代に私たち人類の生存の基盤が失われるかどうかの問題が温暖化問題だということを申し上げて私の発言を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#12
○委員長(郡司彰君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 各参考人の皆様にお願いを申し上げます。
 御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言をいただくようお願いをいたします。また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔な御答弁をお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#13
○関口昌一君 自由民主党の関口昌一です。
 こうして大変、参考人の方々、お忙しい中貴重な御意見をいただきまして、私も本当に参考になった次第でありまして、まずお礼を申し上げる次第であります。
 各会派、限られた時間での質問ということでございますので、簡潔にさしていただければと思いますが。
 今四名の方々の、参考人の方々、今回の法改正の最大の柱でありますこの温室効果ガスの算定・報告・公表制度について、まあいろいろ条件もあるけれども評価をするということであります。これをどのように活用していくか、そうしたことをどのように考えていらっしゃるか、それぞれ四人の参考人から御意見を伺いたいと思います。
#14
○参考人(浅野直人君) 公表制度ができますと、公表制度といいますか、ともかく報告をしていただくということで、全体として今までのように統計資料でどのぐらいの温室効果ガスが排出されているかということを言わば外から見ていたわけですが、中から半分でも分かれば、外から見るものと中から見るものと両方を合わせることによってもっと大胆な推測ができるだろうと、これまでよりも早い段階で精度の高い排出の予測ができるだろうということを大いに期待しています。
 何しろ、二年前の話をしていますが、二〇〇三年は夏が寒かったが、昨年は物すごく暑かったわけですが、昨年、多分物すごく排出量が更に増えたんだろうと大変不安を持ちながら、全然数字がつかめないわけですね。こういう状態を早く変えていくために大胆な推計をしなきゃいけないんですが、従来は本当に再現性があるかどうかということをチェックする方法がなかったわけですね。これによって再現性がかなり把握できますので、モデルをつくって推計することができる、この辺りにまず第一にかなり大きな期待を持っております。
#15
○参考人(浅岡美恵君) これはいろんな面で大変重要な資料であります。事業者の皆様が自ら把握することが大変そのきっかけになることは言うまでもないのでありますけれども、私どもがお示しいたしましたような排出の実情というものは、政策はどのようにあるべきかということを考える基礎であろうかと思います。
 これ見ますと、相当規模の排出をいたします発電所、鉄鋼、石油の精製等あるいは製紙業等、今の第一種、第二種事業所、一万、例えば事業所を合わせましても、数でも限られる、半分、そのうちの大半が百か二百の事業所であると。こういう状況を見ますと、そうした大規模排出事業所に取られるべき政策と、その余の半分近くのもの、それが中小事業所と、それから二〇%分ぐらいが国民の生活の中に係るわけであります。それは数百万という事業所あるいは一億人という人についての政策でありますので、やはり基本的な考え方が異なることはよく分かるわけであります。
 それに合わせて適切な政策を取られること、また事業所ごとに排出量が把握できますことによりまして、どのようにどこが取り組んでいるのかをよく我々は評価をできます。発電所のCO2排出量が多いから、高炉が多いからいけないなんということを言う人はだれもいないわけであります。
 その中で、なぜここは減っているのか、なぜ増えているのか理解しながら、そして全体として増えているのであれば、我々は、国民はどのようにこれに取り組むべきなのか。相互に理解、協力が深まり、あらゆる主体での取組の、何といいましょうか、理解や協力や自主的取組の深さが変わってまいると思っております。
#16
○参考人(山口耕二君) 今回の制度は算定、報告、公表と、この三本柱で構成されていると実は私ども認識しております。
 したがいまして、今回の制度で最も私どもが効果を期待したいと申しますのは、行政とか社外に報告するためには、実は社内において統一したルールで自らが温室効果ガス排出量を把握しなくちゃいけないわけでございます。言い換えれば、算定する仕組みが企業にないと報告もできないと。データがなければ公表もできないと。そういう意味では、企業の中で温室効果ガスを算定する仕組みがつくることができるという意味では非常に期待しているわけでございます。
 また、一方、社内において排出量を算定するためには、その温室効果ガスを管理するシステム若しくは対策、目標の設定等々、温暖化対策のためのプラン・ドゥー・チェック・アクションを企業が回すようになると。そういう意味では、公表制度のみならず、公表の原点でございます算定という意味では、特に、これからどうやったらいいか分からない、まだまだ不十分な企業にとってみましても非常に効果があるのかなと。
 また、公表によりまして社内及び社外に私どものCO2等々の排出量が可視化されるわけでございまして、したがって、温暖化を行う際の非常に緊張感若しくは改善に対する意欲が社内でも高まってくるのかなと、このように思っております。
 したがいまして、今回は特に工場の公表制度ということでございますけれども、今後、こういう情報を公開する、算定するという制度が家庭のCO2の定量化、先ほど早川参考人の資料の中にも環境家計簿という言葉もございましたけれども、そういうところにつながる。若しくは、運輸部門、これは非常に難しゅうございますけれども、運輸部門にもこういう制度がつながれば、その民生・運輸部門の対策にもつながるのかなと。
 そういう意味では、公表も大事だけれども、その原点の算定が企業で進むということでは非常に我々は期待をし、また頑張ろうと考えている次第でございます。
 以上でございます。
#17
○参考人(早川光俊君) 私は、すべての対策、行動の前提が、まず排出量の把握だと思っています。その意味では、産業界であれ、企業であれ、自治体であれ、それから市民であれ、この制度は非常に重要な制度だと思っています。
 一方で、私は市民セクター、NGOをやっていますので、私たちがこの公表制度をちゃんと利用できるような責任も一つ負わされたかなと思っています。やはり、私たち、こういった公表された資料をきちっと使って、私たち市民が政策提言ないし行動に結び付けていくことが私たちの責任だというふうにも思っています。
 以上です。
#18
○関口昌一君 今いろいろ御意見を伺ったんですけれども、実際、六%削減という話ですよね。でも、この十五年度の状況を見ると約八・三%増加している。これトータルすると、六%目標達成のためには一四・三%の削減が必要になると、二〇一〇年ぐらいですか。大変な今事態になっているということであります。
 そうした中で、今、浅岡参考人からもお話しいただきましたけれども、今回のこの公表制度、まず事業者がそのガスの排出量を把握するというのは、削減に向けてのまずスタートができたかなと思っております。
 そうした中でも、まだ約半分、あと中小の事業者の方々の対応とか、それから、私はここでちょっと質問してみたいんですが、特に、とりわけ温室効果ガスの排出、家庭部門が約二割、急速に伸びが著しいわけでありますけれども、こうした国民の皆さんの協力を得るというのは大変なことであるかと思うんですが、そうした家庭部門に対する対策とか国民に対する協力、どのような形で求めていったらいいか、それぞれ四人の参考人の方々に御意見を聞かせていただきたいと思います。
#19
○参考人(浅野直人君) ほぼ原単位というようなこれまでの施策の枠組みでやれることはかなりできていると思うわけです。ですから、これから先は、もうそういうような、何というんでしょうか、表現は悪いんですが、ややハードっぽいところでの対策ですべて解決をするという発想は捨てなきゃいけない。つまり、やっぱり人々の行動そのものを変えるということが必要です。
 そのために、ともすれば教育とか啓発とかというようなことだけが言われてしまうわけで、このこと自体は決して無意味ではありませんし、私もこんなふうに札をぶら下げて歩いていればそれなりの宣伝にはなるとは思いますけれども、残念ながら、総理がどんなにネクタイを締めて歩かれても、飛行機の中では私以外はみんなネクタイを締めているという状態ですから、啓発というのはもちろんやらなきゃいけませんし、やって、そのうちに必ず時間がたてば効果が上がるんでしょうが、それのみでは済まないだろうと。やはり、まじめに努力をする者はそれなりに利益がある、ふまじめな者は損をするということがはっきりしていきませんと駄目だと思います。
 つまり、福岡市は大変な節水ができているわけですが、それは水道料金がめちゃくちゃに大量に使う者には多く掛かる仕組みになっていますから、だから知らず知らずにそれが習慣になってしまったと。全国で二番目に市民一人当たりの節水率が高いと言われていますが、実際は市域人口などを考えると日本一だと思います。
 そういうようなことからも分かるように、やはり人々の行動を変えていくということのために、啓発普及ということだけじゃなくて経済的なインセンティブを与えるということが必要です。ともすれば税を取るというようなことだけが言われるんですけれども、しかしそこで公平さと不公平さみたいなものの調整ということを同時に考えていかない限り、幾ら啓発普及しただけでも駄目であると。両方を考えなきゃいけないんですが、現在のところ、どうも一方だけが進んでしまっている。このことが多くの方々になかなか身をもっては感じていただけない。映像で見て大変だということは分かるんですが、じゃ自分は何をしたらいいんだろうかということがさっぱり分かってこないわけです。
 ですから、やはり広い意味での環境税というんでしょうか、経済的負担を課す措置と同時に、経済的な利益を、優遇措置を与えるということが、両方がバランスよく導入されていくということを早急に検討する必要があると、このように考えております。
#20
○参考人(浅岡美恵君) 私は、京都府、京都市の環境行政にもかかわりまして、京都府地球温暖化防止活動推進センターの運営委員をしておるものでありますが、そこで今般強く打ち出しておりますのは、中小事業者対策といたしましてKESという京都で開発をいたしましたISOの簡易版であります。これを普及できるように行政も支援をしようと。これはISOと違いまして二十万円ぐらいで取得できまして、年間の管理費も五万円ぐらいのものなんですが、それでも事業者の方が若干まだ負担に思うというところがあるようであります。これが今、京都等で数百社普及しておりますけれども、確実に排出量をまず把握をするわけです。義務ではありませんが、把握いたしまして、そして削減効果が出る、次のチェック体制もできるというふうになってきています。
 家庭におきましてはもう少し緩やかにはなりますが、同じことでありまして、やはり環境家計簿等自ら把握をする。そして、私が消費者団体の皆様と今一緒に東京都でも取り組んでいただこうとしているわけでありますけれども、都内でも、温暖化に皆様貢献しようというお気持ちがあれば、電気代、ガス代、水道代を節約してくださいと。どうすれば節約できますかと。それは奥様いいことです。どうすれば節約できますかと。いろいろ小まめにチェックすることもそうですけれども、やはり先ほども申しましたように、効率のいい機器をいずれ来る買換え期には必ず選択をいたしましょうと。いずれある家を建て替えたりリフォームするときにはしっかり取り入れましょうと。それはやはりちょっと高い、高いところ、ランニングコストを考えれば、機器の購入におきましては十分帳じりは合うのですが、家はなかなか大変ですけれども、でもそこにいま一歩背中を押す制度として、先ほど浅野先生もおっしゃられましたように、やはり不足感といいますか、損をする感じがより軽減され、むしろ得になると、こういうふうに感じられることというのが大変重要ではないかと思っております。
#21
○参考人(山口耕二君) 家庭部門の対応、それから国民への働き掛けという御質問であったわけでございますけれども、やはり国民の意識を変革させるためのあらゆる策をやっぱり検討するべきではないかなと、このように思っております。
 具体的には、まずは運動が国民に見える形にする、それから継続性を持つ、それから簡単にだれでも参加できる、こういう意識改革運動が非常に重要ではないかなと、このように思っております。
 具体的に申し上げますと、今回のクールビズ、非常に何となく格好いい、意味は最初分からなかったんですけれども、よくよく聞くと格好いいなと。それから、チーム・マイナス六%。こういう多くの人が何か変わっているなと、そういう見える形での環境づくりが非常に大事なのではないかなと、このように思っております。
 実は、具体的には、今日、私、こちらへ参りますときにエレベーターに乗っておりましたら、実は私ども環境スタッフはもう今クールビズを六月一日からやっているわけでございますけれども、乗ってきた人間が、年配者と若いのが、若いのがクールビズをやりましょうよと。その二人は実はネクタイをして背広着ているわけでございまして、私はこういう格好でエレベーター乗っておりまして、若い人が、クールビズを先輩やりましょうよと。いや、お客さんと会うときネクタイないとまずいんじゃないかと。私はすかさず、いや、そうじゃないと。みんなでやっているんだから全然お客さんに失礼じゃないよと。こういう見える活動から始めていくということが私は非常にいいのかなと。そういう意味では、いろいろな議論はあるかも分からないですけれども、クールビズとかチーム・マイナス六%は非常にいいと思いますし、特にクールビズにつきましては、私ども電機・電子業界挙げて取り組もうと。既に工業会の会長名で各社に通達を出しまして、なかなかこういうのは通達がないと会社の社長も動かないケースもたまにございますので、まずは通達送れと。あと、やるかどうかは各社の判断で決めればいいわけでございますけれども、そういうことで働き掛けをすると。
 それからもう一つ、家庭においては、弊社では環境家計簿を大々的に導入することを決めました。一応、対象は十万人を対象にして、最低でも一万人の社員が環境家計簿を付けて、それでどの程度CO2ダイエットができたのかを測らそうと、そういう仕掛けもいろいろとしております。
 したがいまして、政府が率先していろんな活動をやっていただけるのも非常に有り難いことでございますけれども、工業会とか経済団体とか連合とか、そういうところも社員、家族を交えて意識改革を見える形で継続的に進めていくということがまずはスタート点ではないかな、このように思っている次第でございます。
 以上でございます。
#22
○参考人(早川光俊君) 私は、家庭における削減のためには、一つは意識改革と、一つはやはり具体的行動だと思っています。
 私たちは環境教育の教材も開発しているんですけれども、小学校四年生をターゲットにやっています。四年生、十歳でして、あと十年たつと投票権を持つ大人になるわけですね。こういう人たちがこの問題をちゃんと取り組むかどうか、その素地をつくれるかどうかが一つ。
 それと、もう一つ具体的行動でいうと、家庭におけるエネルギー消費、CO2の排出源は大きく自動車とそれから電気です。それで、自動車の問題は、一つやはりこれは本人の意識としてなるべく使わないようにするというのがありますけれども、もう一つ電気については省エネという意味で一番効果的なのは家の断熱化なんですね。しかし、家を建て替えるというのはそうあるものじゃありません。
 次に、やはり大きくカウントできるのが省エネ機器への買換えです。今、浅岡さん言われたやつがこの省エネラベルというやつですね。一目でどの機器が一番いいか分かる。トリプルAが一番いい。高いけれども、十年間の電気料を合わせるとその方が低いですよというやつを今東京、関東近辺とか関西とかで始めています。こういったものを広げることというふうに思います。小まめに電気を消したりすることも大事ですけれども、やはりこういった省エネ機器を作っていただくようなインセンティブないしは対応が非常に重要かなと思っています。
 以上です。
#23
○関口昌一君 もうちょっと時間がなくなってきたので、次のを最後の質問にさせていただければと思います。
 山口参考人からいろいろ企業の努力というのを聞かせていただきました。そして、今回、温対法の第二十一条の八でも、この事業者のCO2の排出量の削減努力の内容を外部に分かりやすく説明できる、努力した者を評価しようという、私非常にいいことであると思っております。これだけ頑張っているという事業者に対してもしっかり評価すべきであると私も思っておりますが。私は実は地方議会の出身なんですが、今回、公表制度ありますですね。事業者によるまず算定、報告、そして事業所管の大臣による集計、通知、更には環境大臣、経済産業大臣による集計、公表ということで、地方自治体が関与しないような状況になっているんですね。
 ただ、私なんか埼玉県なものですから、埼玉県においても、初め全国で十二ぐらいの自治体が今この公表制度を導入しているということなんですが、地方自治体との関与の在り方というんですか、この協力がないと非常に厳しいものがあるかと思いますが、これは四人の方にしちゃうと時間がないので、代表して浅野参考人、ちょっと御意見を聞かせていただければと思います。
#24
○参考人(浅野直人君) よろしゅうございましょうか。
 PRTR法のときには確かに県知事をというか地方公共団体を通じてというふうになりました。結局、手順としてそこにまず持っていって流すのか、それとも出てきたデータを最後にまたきちっと戻すのかということにすぎないと思うんですね。ですから、要は事務処理上最も合理的にコストが安く情報が集まるということが望ましいわけでありますので、必ずしもまず地方自治体を通して集めることが合理的であるとは言い切れないと思います。しかし、必ず最後はきちっと末端にまで情報が戻ってくるという仕組みは確保しませんと困りますから、結果については当然自治体にも詳細に情報が流れ、それぞれの地域特性に応じてどういう対応ができるかという参考になるようなデータがきっちり加工され、コメントも付いて流れてくるということは必要だと思います。いきなりまず下から集めて上に上げるということが常に正しいとは言い切れない。やはり事柄の性質によると思います。
#25
○関口昌一君 ありがとうございました。
 以上で終わります。
#26
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 本日は、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。座らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 先生方のお話を伺っておりまして、ある種共通をしていたことがあると思います。浅野先生は、国内の意思形成を急ぐべきだと、国際交渉の場で受け身の立場にならないようにと。浅岡参考人は、シグナルを送るべきだという、国民に対してというお話をされました。また早川参考人は、長期的な展望をというような話、長期的な目標へという話がありました。
 今年、京都議定書が発効して、サミットがあり、そして冬にはCOPMOP1が始まります。実はそのときには、アメリカ、EU、中国、インド、途上国、諸島連合、いろんなところで激烈な、先行き、COPMOP1以降どうするのかという議論と、今の第一約束期間達成、どのぐらい先進国はするんだというような国益のぶつかり合いの状況がこれから起こるわけですが、その重要な国内の意思形成に対して、浅野参考人、浅岡参考人、早川参考人は、日本はどのような意思を持って国際交渉に臨むべきだと思われているか、この点について一点。
 それから、浅野参考人は中環審の部会長でいらっしゃいますから言いにくいとは思いますが、本当にこれで第一約束期間、六%達成できると浅野参考人はお考えかどうか、その二点について。
 まずお三方、お答えをいただきたいというふうに思います。
#27
○委員長(郡司彰君) それでは、ちょっと浅野参考人は二つございますから、こちらから。早川参考人。
#28
○参考人(早川光俊君) 私は国際交渉を十年間付き合ってきたんですけれども、やはり日本がきちっと自分の意思を示すということが余りなかったと思っています。やはり日本は、温暖化対策をきちっと進めるんだという意思をきちっと踏まえて、そしてまず国際交渉に臨んでほしい。
 日本は一九九〇年に地球温暖化防止行動計画を作って、そのときは非常に評価されたわけでありますけれども、それがうやむやになってしまう過程でやはりきちっとした交渉ができなくなってしまった。私は、自分が削減しないで人に削減しよう、削減する計画を立てようといったってなかなか無理があるので、まず国内対策できちっと削減する方策を立てるのが一つ。先ほど申しましたけれども、やはり長期的に目標を持って日本は削減していくんだという政治的な意思をきちっと示すことだというふうに思っています。その二つを踏まえれば、浅野先生が言われたような国際交渉で後れを取るようなことはなくなるだろうと思っています。
 以上です。
#29
○参考人(浅岡美恵君) こうした将来枠組みの交渉におきまして日本のポジションがどこにあるのかということは今大変重要になっていると思います。その重要性が、米国の離脱宣言以降、今後もなかなか変わらないであろうという見通しの中でその重要性が高まっていると思います。
 EUはいろいろな努力をしておりますし、途上国もそれなりにそれぞれが必要だと。非常に被害も直面するような状況にあるという中で理解の基盤はあるわけでありますけれども、この発効要件、議定書の発効要件に、日本又はカナダとEU、ロシアが批准することが発効の要件でありましたように、日本、カナダという国がやはり温暖化のために、脱温暖化へのために持続的、継続的、将来とも京都議定書の基本枠組みを先進国を中心として取っていきつつ、全体の温暖化政策を途上国等についても進めるという姿勢が示されることは国際的な市場に対する大変大きなシグナルになります。
 そのことによって、日本の主たる企業は国際市場の中で動いているわけですし、国内の競争もそうですが、企業の取り組むべき方針というものが、せっかく動き出しています企業の取組がとんざすることなくというか、様子見になることなく、更にしっかりした取組に進んでいくことによって、将来的な国際経済における日本の企業のといいましょうか、日本の経済の将来発展というものもまた得られてくるわけでありますし、そうしたことに併せて国際交渉の中に非常に重要な役割を占めることができると思います。
 ただ、現在の、先ほど早川参考人からお話もありましたように、経済産業省あるいは一部の産業界の皆様から京都議定書の第二約束期間がもうないかのごとく、あるいは非常に、枠組み期間、タイムスパンとか目標の設定も絶対量ではなく、指数化、指標化されたようなものになり、連続性がないかのごとくアナウンスされる面があるわけですね。こうしますと、企業は今せっかく例えばCDMなどをやろうとしていましても、それがどうなるのか分からない、やめようというようなことにもなります。国内での削減もまあ適当でいいかとなるわけですね。この違いは大変、第一約束期間の目標達成にも悪影響を及ぼすと、あらゆる点で悪影響を及ぼすという意味で、早く日本の長期的な目標をしっかりと定めていただきたいと思っています。
#30
○参考人(浅野直人君) お二方の御意見に重ねるような形になりますが、まず御質問は、国内でこれからどうやって論議をまとめていくべきかということだと理解をいたしまして、その点について、やや抽象的で書生っぽい議論だという、自分でも思うんですが、申し上げたいのは、やはり長期的に考えなきゃいけない、地球温暖化の問題というのは大変長いスパンで考えなきゃいけない問題であるわけです。そのことをまずしっかり踏まえた上で、さらに、やっぱり短期的に我が国の国益が重大に損じるようなことはまずいということがあるわけです。この辺りのところが、恐らく中央環境審議会的発想は長期的な視野でいきますし、産業構造審議会的な発想は比較的短期間のところで何とかしなきゃいけないと考えているわけですから、双方決して矛盾をしているわけじゃないのに、マスコミの皆さんはお互いにけんかしているような言い方ばっかりされるわけですね。そうではない、両方足し合わせたところに実はちゃんと正解があるはずだろうと思うわけです。
 つまり、地球益というようなことを仮に言葉に出したとしても、将来的にはそれが完全に国益になるという認識がやや欠けている発言と、それから、ともすれば地球益の方に走り過ぎてしまって、議論して、当面の取りあえずのシナリオのところにはやや目が行き届かないという議論が続いている限りなかなか国内の考え方はまとまっていかない。これは、だからお互いにちゃんとそこは分かって悟ってしまえば、十分にどうすればいいんだという議論はできるはずなんですが、これは恐らくいや応なしにこれからやらざるを得ませんし、できるだろうと思っています。現に、ほかの分野では審議会が合同会議を開いて実質的な議論ができるという雰囲気ができていますから、この問題も必ずそういうふうになっていくだろうと期待をしております。ちょっと抽象的で申し訳ございませんでした。
 それから、六%が達成できるかという御質問でございますけれども、私は今度の目標達成計画に関しては、やはり森林のところと、それから京都メカニズムに頼っているということをはっきり国民あるいはまあ産業界、すべての方々がどこまで認識できるかが勝負だと思っています。
 つまり、絶対にそれ以外のところは確実に達成できない限りひどいことになるよということがもし分かって、言われていることを精一杯やっても、なお森林と京メカで埋めなきゃ六%にはなりませんということが十分に徹底して、そこが十分にできればあとは、京メカに関してはなお努力が要りますし、森林についても努力が要りますが、これは国際交渉事もあるわけで、どこまでをシンク等の中で評価してもらえるかというのは、まだまだ我が国は腰だめみたいなところがあるわけですね。そこは、やれることだけ全部やっておいて交渉するということをやれば可能だと思います。しかし、森林吸収源と京メカ以外のところが全く駄目だという状態が出てしまいますとこれはお手上げでありますので、私は達成できるかと言われたら、それはともかく今言ったところ以外が達成できれば達成できる。この部分は、少なくともこれまでの努力に更に重ねるということを忘れちゃいけないんですよ。
 あれを見ると、大綱でやったことはそのまま実施した上で更にこれだけと言っているんですが、もう忘れっぽいものですから、前のことを忘れてこれだけやりゃいいと思ってしまうと、結局、前の大綱文のところが穴空き部分ができますから困ってしまいます。ここは要は、関係各省、それから特に本部がしっかり国民各層にその辺の数字の意味をPRしていただいて、それが理解が徹底すれば達成できると思っています。
#31
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 実は今回の法案、私は企業の公表・報告制度は評価をさせていただいています。しかし、実は、目標達成計画にもありますように、環境税の問題や排出権取引の問題、省エネの更なる普及の問題やサマータイム、それから再生エネルギーの普及と、メニューはたくさんあるわけですが、それをどう担保するかということは今回の法案になくて、どちらかというとこの企業の公表・報告制度にある種特化をしてしまったと。私は、メニューとしては実は非常に物足りなく感じている者の一人でございます。
 そこで、ちょっと山口参考人にお伺いをしたいと思います。
 私は経団連が自主行動計画で頑張っていただいているのは理解をしているつもりでございますが、先ほど言われました省エネの推進の話、一体どうしたら省エネ推進ができるのか、私はもっと実はインセンティブを与えるべきだと思うんです。プリウスが普及したように、国がある種、省エネ技術を使った住宅や、さらにはビルやいろんなものを造れば、これだけの、例えば補助金制度がいいかどうかは別にして、もっとインセンティブをつくるべきですが、実は普及、普及と何か威勢はいいんですが、実態としては、そこはコストが高くなると、消費者、そこ、マーケットできないわけですよね。
 ですから、山口参考人、先ほどやっぱり普及するべきだとおっしゃいましたが、そこをどう考えられているかということと、それから、今回、公表・報告制度が一つ第一歩になった流れの中で、排出権取引の問題です。
 やっぱり企業が、大手の百社辺りがやっぱりCO2の排出量、温室効果ガスの排出量が大きいというこれは実態です。いいとか悪いとかの問題ではありません。実態の中で、排出量取引の導入について企業としてどのようなスタンスで臨まれるのか。そこの二点について、山口参考人、お答えいただけますでしょうか。
#32
○参考人(山口耕二君) まず、二番目の国内におけるということを前提にちょっとお話しさせてもらいたいんですけれども、国内における排出量取引制度、これは自主的な参加ということで環境省さんがおやりでございますけれども、これにつきましては、やはり対費用効果を考えながら、企業や行政の削減努力を促し、また地球規模的に温暖ガスを削減させるという方法でございますので、経済的手法と自主的な手法がうまく融合した一つの方法ではないかなと。したがって、総合的に検討することは必要だとは思っております。
 しかし、具体的に国内で排出量取引をする場合には、例えばそのベースとなる基準量をどうやって決めるんだとかですね、さらにCO2にどうやって値段を付けるんだとか、国際的にはマーケットができております。国内においてはそこら辺をまず検討する必要があるのかなと。
 具体的には、基準値の設定につきましては、これまでさんざん努力してきた人はもうかなり限界点に近いような省エネ努力をされているわけですね。そこを基準年にする場合と、今までほとんど、言葉は悪うございますけれども余りやってないところに対してその基準年を設けるのと、そういう不公平感も出てまいりますし、やはり基本はやっぱり自主的な努力を認める中で公平感が保てるのかどうか、そういう検討も必要だと思っております。
 それから、そういう二つの方法につきましては、基本的には国際的なリンケージがないとまずいもので、京都メカニズムの理事会等のルールもうまく活用すべきなのかなと。そもそも排出権取引の目的はエネルギーの使用量を減らすことが目的でございますので、制度としても長く続かないと、かつ継続的な効果ができないと、花火のようにぽっと一回やって終わりとか二年間で終わりとか、そういうものでもまずいわけでございます。
 どちらにいたしましても、経理の処理方法等々もいろいろと総合的に検討を進めていく必要はあると思っております。
 ただ、漏れ聞くところによりますと、将来的に国内のキャップ・アンド・トレード、要するにエネルギーの使用に枠を掛けよと、そういうものにつながるような声も聞こえておりますので、これは正に我々の自由経済を国の制度として制約掛かるということでございますので、これは十分に留意していただきたいなと思っております。
 それから、最初の質問の普及策でございますけれども、非常に難しいわけではございますけれども、まずは、まだまだ我々の情報の提供の仕方がまだ分かりにくいのかなと。先ほど早川参考人の方から京都市の例でトリプルA、AAとかありましたけれども、ただ、あれができるのは実は電気製品でも冷蔵庫とエアコンしかできないんです。ほかのものはああいう方式だと評価ができないんですね。というのは、機能が別のところにございますから。そういうことで、もっともっと普及促進させるために、まず我々産業界、企業としては分かりやすい情報をあらゆる手段を使って消費者の方にお伝えするということをやる必要があると思います。
 それから、インセンティブにつきましては、これも継続性の問題ございまして、例えば電気製品ですと大体平均買換え年数が十年以上なんですね。すると、そこにどうやってそのインセンティブを付けるのかなと。また、逆に所得の高い人だけにインセンティブ働いても困りまして、そういう意味では、インセンティブの在り方はもうまだ我々も解がなくて困っておるんですけれども、何かそういうことを議論する国民的な議論の場があるといいなと。
 と申しますのは、我々とお客様というのは非常に言いにくいことも中にはございますし、我々にとってみればお客様は神様でございますし、消費者にとってみれば、我々買っている人よと。そういう利害関係のある人たちではなくて、もっと広い立場で、普及をいかにすべきかということを大いに議論さしていただきたいと思いますし、そういう場があれば我々も積極的に参加していきたいと思っております。
 ただ、間違いなく、お手元のこのパンフレットの中にも、普及すれば必ず民生分野のCO2は削減できます。したがって、大いに知恵を絞って普及策を検討さしていただきたいと思っております。
 以上でございます。
#33
○福山哲郎君 今、山口参考人から、排出量取引についても検討に値するとおっしゃられたのは非常に心強いと思いますが、だからこそ、正におっしゃられたとおり、国際的にリンケージをしていくからこそ、早目にマーケットの主導を握る方が日本の企業としては僕はアドバンテージではないかと思っているわけです。
 そこは、様子を見ていれば、実はヨーロッパで、EUでは御案内のようにマーケットができつつあると。それから、アメリカもシカゴを中心にできつつあると。そこが動いているからこそ、日本の企業もアドバンテージを取るために前に進むことも重要ではないかなというふうにある意味思っておりまして、そこは御検討を更にいただければ有り難いと思います。
 それで、ちょっと細かい話になります。
 先ほど実はこの法律、それぞれの参考人の皆さんは評価をされました。私も評価をしているんですが、二つに分かれたのは、例の公表の在り方の問題でございます。
 二十一条の三項による、その正当な利益が害されるおそれがあるとする場合には公表をある種抑えるみたいな話なんですが、ここは先ほど山口参考人が韓国との半導体の競争の話をされました。
 浅野参考人、例えばそこの要件は一体どうなんでしょうか。要は、これが恣意的に行われるのは私、非常に良くないと思っているんです。
 つまり、ある一定のルールがあって、これは企業機密に値するよというものがあればいいんですが、これ残念ながら経産省と企業との間で決められるわけですね。出されて、そこで決められた時点で、我々としては見たくても、いやそこは経産省とその企業が決めましたよと言ったら、もう我々は入れなくなるわけです。
 しかし、そこの一体どこが企業機密で利益が侵されるのかどうかというところが見えないと、恣意的にこの企業は出さないけれどもこの企業は出したと、そしたらある種出さないという、フリーライドするところがたくさん増えるようなことになると、実はこのせっかくいいと言われている仕組みが、良さが担保できなくなるわけですね。
 そのことについて、例えば、浅野参考人と浅岡参考人と山口参考人、どうお考えなのか。ちょっと、短くていいです、もう終わりなので短く一言ずつお答えいただければと思います。
#34
○参考人(浅野直人君) これは当然、余り広く広げられることは適当ではないというのはおっしゃるとおりだと思います。
 例えば、既に環境報告書で特定の企業が出しているというような場合、同一業種が同じような情報がなぜここで言う権利利益に該当するかということはほとんど説得力がないと思われます。
 ですから、そういったような、過去にある事例の積み重ねのようなものの中から既にガイドラインができつつあると思いますので、それを十分に考えるべきだと思いますし、恐らく産構審、中環審などでもこれについてはしっかりガイドラインの議論やるべきだろうと私は考えております。
#35
○参考人(浅岡美恵君) 法律的には余り判例はありませんが、平成六年の東京地裁の判例によりますと、こうした保護される秘密は、当該情報が事業活動上の機密事項や生産技術上の秘密に属する内容であって、その有している競争上の地位が当該情報の開示によって具体的に侵害されることが客観的に明白な場合に限られると解釈をされております。その立証責任は事業者側にあるわけです。それを逆転するように読めなくもない条項が二十一条の八号でありますので、これはもう少し詰めていただく必要がある、そのようにされないことが必要だと思います。
 代替フロンにつきましても、例えば、私の聞きますところでは、ある除去装置を付けますと九〇%ほど除去が可能であると。付けている事業所と付けていない事業所が個別事業所単位で報告されると明確に出てくると、こういう面もあるわけです。
 そういう意味で、この点につきましては運用をどのようにされるのか、今後の審議の中でも先生方によろしく詰めていただきたいと思います。
#36
○参考人(山口耕二君) 私が先ほど半導体と液晶の事例を出したんですけれども、やはりこれは物によって全然違うと思います。したがって、やはり我々としては、機密があるとするならば、ちゃんと社外に対して説明責任を果たせるようなルールを外部に公表するということだと認識しております。
 したがって、ただ半導体とか液晶がなぜ機密かということは、やはりその事業の中身、競争の状況、国際競争の状況を知っている方でないとなかなか分かりにくいと。そういう意味では、私は、事業所管大臣とルール作りをするということは私は正しいと思っております。ただ、それを公表さえすれば、外の目に触れるようにしておけば、何ら我々やましいところはないと思っております。
 それから、環境報告書でほとんどのメーカーが出しております。ただ出すにも随分と機密が漏れないような状況で出しておりますので、そこら辺の我々の努力、機密は漏らさないけれども情報は公開すると、そこら辺の努力を見ていただければ、確かに機密なんだなということが御理解いただけるのかなと、このように思っております。
#37
○福山哲郎君 ありがとうございます。
#38
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 四人の参考人の方々から非常に有益な陳述をいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず私は、京都議定書が二月に発効したということで、非常に喜ばしい話でありますけれども、先ほど来から話がありますように、長期的に地球温暖化の対策は考えていかなければいけないという観点からは、あるいはまた六%削減という極めて小さな数字ということを考えていくならば、第一歩であるというふうに考えなければいけないですし、さらに二〇一三年以降のいわゆる新しい枠組みをどうやってつくっていくか、とりわけ日本がどういうイニシアチブをその中で発揮していくか、これは政府ももちろん大きな役割を担っていかなければいけないわけでありますけれども、我々国会議員がそういった面に対してどれだけサポートし、かつまた今の京都議定書をウオッチできるかということについても大きな責任が私は国会議員にも掛かっていると思います。
 それで、まず最初に浅野参考人にお聞きしたいわけでありますけれども、京都議定書の第三条三項及び四項においては、いわゆる、先ほどもお話が出ましたように、森林の吸収源の話が出ております。そして我が国のこの目標計画達成の中では三・九%、ここに求めているわけでありまして、この計画で三・九%を設定していると、最大限設定しているということになっているわけなんですね。
 今の段階でいくと、考え方でいくと、森林整備等含めて、林野庁の話ですと、先ほどほかの参考人から話がありましたけれども、たしか二・六から三・一%ぐらいしかできないんでなかろうかという、そういう話もあるわけですね。これは恐らく林野庁もそういう認識でおりまして、PDCAをやっていく中で、これは毎年やるというふうにそのサイクルを考えているという話なんですけれども、既に現段階における計画の中身においてそういう懸念があるような表現を取っていることに対してどう思われるかというのが第一点と、いやそうじゃないと、そういう懸念を払拭するためにそれなりの裏打ちをしなければいけないという話に当然なってくるわけなんですけれども、裏打ちについては、裏打ちというのは財源ということになるわけでありますけれども、その辺のことについてどうお考えか、教えていただきたいと思います。
#39
○参考人(浅野直人君) この点については、実は余り自信のあるお答えをすることができません。申し訳ございません。
 と申しますのは、議定書の枠組みの中での吸収源の取扱いが非常に技術的で分かりにくいわけです。三・九というのは、あくまでも我が国が許された三・九という枠ですから、これを捨てることはないわけで、三・九を書くのは当然だと思うわけですね。問題は、その議定書で言っている三・九の数字をそのクライテリアに沿ってきちっとやっていくためにどうなるのかというところが実は大変難しい問題ではないかと思っていまして、この辺のところが、ただ単に予算を付ければいいのかということでもないと私は理解をしているわけです。ですから、審議会でも少し話題になりましたけれども、予算額が何かパーセントに比例するかのような御説明には中央環境審議会地球環境部会の委員はほとんどだれも納得いたしませんでした。
 ですから、そういうことではなくて、議定書で言われているこの目標を達成するために、議定書の方ももっとその土俵を動かしていただける余地があるなら、それは動かしていただかなきゃ意味がないだろうと思いますし、それからなおその中で幅のある対策として何がいいのかということは、要は森林の管理が今のところ我が国にできる唯一の方法でありますから、何をもって管理というのかということが、我が国がこれでいいこれでいいと思ってやっていることがどこかで足下をすくわれてしまうと、せっかく三・九稼いだつもりが稼げなくなるという危険もあるわけですね。ですから、ただ単に在来型の林業経営をずっと粛々と続けていきさえすれば三・九なのだという発想はこれは困ると思っておりますが、ちょっと余り自信がないと申しましたのは、余りにもまだまだ私どもの部会の段階でははっきり分からない要素が多過ぎるということでございます。
 それからもう一つ申し上げたいことは、林業については現実にもう業としてかなり大変な状況になっておりますから、十年後の林業がどうなるんだ、十五年後がどうなるんだということも視野に入れた森林政策が当然行われているだろうと思うんですけれども、そのときに、現実に、我々の審議会の中におられる林業関係の方々の御発言を聞きますと、人の問題が全然見えてこないと。施策だけハード的にこうやって十五年こうなると書いてあるけれども、だれがやるのかが全然分からないというお話を聞かされます。この辺が今後解決すべき非常に大きな問題で、まさか森林の維持のために外国人労働者連れてくるなんてばかなことできないだろうと思うんで、そこが大きな穴ではないかと、ちょっと心配しております。
 申し訳ございませんが、どうもこれ以上自信のあるお答えができません。
#40
○加藤修一君 確かにそういう懸念する材料はあるように私も思います。現段階でも森林組合がそういう面について、例えば間伐する、除伐する、あるいはその残置されたやつですね、そういった面についてはなかなか処理できないような状態でありますから、であるがゆえに政府としては、バイオマス・ニッポン総合戦略の中で、一つはやはり全国で五百か所のバイオタウンをつくるという話になっておりますけれども、上流の森林と下流の消費地をうまくつなぐような形には、まあこれからという話だと私は思っておりますけれども、しかし、そういった面についての分かりやすい姿がなかなか見えてこないなという感じがしておりまして、私は、やはりこういった面についてはもっともっと分かりやすい形での、PDCAをやる以上はそういった面についてしっかりとしていくべきじゃないかなと思います。
 それで、もう一点浅野参考人にお尋ねしたいわけでありますけれども、長期的な視野からこういう問題についてはアプローチしなければいけない、正に私もそのとおりだと思っております。ですから、IPCCの第三次報告書の中では、二〇五〇年からどういうふうに現在の社会を見るかという、バックキャスティングアプローチなんか取りながらどうするかという、そういう見方をしなければ、しかも二〇五〇年、長期的には二度未満に抑えようという話でありますから、私はそれは国土形成と極めて密接につながっていると。国土の利用をどうするか。例えば交通の問題をどうするかとか、あるいは都市対策、グリーンな建築、あるいは自立する都市構造、あるいはコンパクトな都市構造をどうやって造っていくかという、そういう長期的な展望を踏まえた上でやっていくということが極めて私は脱温暖化社会をつくっていく上では貴重なアプローチの在り方ではないかなと思います。
 そういった意味では、私は、国土総合開発法がこれは改正するという話になっておりまして、開発という言葉を取ってしまうという、そういう極めて従来にはない斬新なアプローチをしようとしているわけなんですけれども、そういう国土形成と一体化していくような長期的な計画をどう作り上げていくかということが大事だなと。私は、ちょっと抽象的な言い方ですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#41
○参考人(浅野直人君) 先ほどおっしゃったことともつながってくると思います。
 私は、森林問題について、さっき余り自信がないというふうに申し上げたんですが、先生御指摘のように、バイオマス・ジャパンの計画などがあるわけで、それぞれのものが全部それぞればらばらに動いているというところにかなり大きな問題を感じるわけです。ですから、このシンクの部分も上の方の施策とつながなきゃいけないですね。それが切れているのは非常に困ったことだと思います。
 例えば、同時にこれはまた循環計画のようなところで同じようなことを話題にしていますけれども、どうやって木質資源を有効に利用するのかというような話があります。ですから、やっぱり施策の統合というものをもっと全体的にやらなきゃいけないとかねてから思っておりましたが、ただいまの加藤先生の御指摘にありました国土利用計画、国土計画とかあるいは交通計画とかというようなところとも当然リンクするべきだという御意見は全く同感でございます。
 現在、環境基本計画の見直しの作業を始めておりますけれども、この中でもしばしば言われておりますのは、今先生御指摘の長期的な視野が今までの環境基本計画では欠けていたんではないかという点でございますし、それから、土地利用といったような他の計画との連携ということをもっとより強く意識して計画を作るべしということが言われておりますので、これはむしろ私はお答えをするというよりも、今日、先生から御指摘をいただいたことをさらにまた審議会に持ち帰りまして検討に生かしていきたいと思っておりますとともに、本部が正にそういう機能を果たすということが今度の法律に書かれているわけですから、改正法が通りましたら、一層政府の温暖化の対策本部がそういう意味で本当の意味の調整機能を発揮していかなきゃいけないと思います。何となく副本部長の大臣のところで言うこと聞くところだけを動かすんではなくて、本部なんですから、関係するところがすべて連携できるようにという体制をしっかりつくっていくことが大事でございます。
 是非、国会においてもその辺についてはしっかり政府に注文を付けていただいて監視をしていただければ、私ども審議会の方もまた頑張って見ていきたいと思います。
#42
○加藤修一君 ありがとうございます。
 次に、浅岡参考人にお願いしたいんですけれども、私は、CO2削減対策は国内対策を優先的にといいますか、それを主体にしてやっていくべきだと考えております。ただ、なかなかそれだけでは厳しいなということで、使うことが可能である京都メカニズムも使っていくべきだと思っております。そのCDMについても、やはりこれは発展途上国に技術移転をしていくということでも効果がある方式でありますし、それから、これは補足的に当然やっていく話でありますけれども、企業の方で自主的にやることについてはまた別枠で、別枠というか、枠があるかないか私は分かりませんが、そういう話になっております。
 こういうCDMについて、使うことについて参考人としてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
#43
○参考人(浅岡美恵君) 京都議定書に書き込まれておりますCDMの基本的スキーム、途上国にとっても、そして先進国側にとっても利点のある形で世界的な削減をするということについては私は大変いいことだと思っています。その枠組みを生かすためには、いいプロジェクトをいい形で遂行するという意味で日本側の準備がまだ十分ではない面があるのだと思いますし、それから、議定書の枠組み交渉自身の中ではベースラインをどう設定するのかということについてプロジェクトごとに提起をしていくという仕組みになっていますので、余計その点が重要なのではないかと思います。
 先般、実際の運用状況を聞く機会がありまして、ブラジルなどラテンアメリカの国々が大変、国としても支援をしているんだと思いますけれども、非常に取組の大半を占めていて、アジアのプロジェクトは少ない。ということは、日本のプロジェクトがある意味で少ないと、中国もまだまだ出てきていないということの実情をお聞きいたしましたけれども、日本の事業者がなさることは、私は、いい形でなさる分については何らありません。
 ただ、先ほど先生おっしゃられましたように、その京都メカニズム、一・六%の外なのか中なのかと、こういう話は、事業者のキャップが何も掛かっていない状況、経団連の自主行動計画も業種別の目標もなく、企業の目標もなく、企業が別途CDMしたものは国が買い上げて、補助金的に買い上げていって国の一・六%になり、企業としては別に削減効果が上がらず、排出が増えていてもいいというような仕組みにもしなるとすればおかしなことになるわけでありますので、どうも企業の方は国が買ってくれるんじゃないかと、こう思っているようなところがあるわけですね。これは、やはり早くその事業者の目算といいましょうか、削減枠義務といいますか、そのキャップの議論を早くしないと、こうした混乱が早晩また財政問題としても起こってくるのではないかと懸念します。
 先ほど山口参考人の方から、そのキャップをどうして決めるのだと、それはとても難しいじゃないかという議論がありましたけれども、それは難しいけれども、難しいからやめようと言っていると、温暖化政策、温暖化の取組は世界的に何もできないわけでありますし、EUは実際にそれを交渉し、各国国内でも解決し、域内でも解決をしてきたわけでありまして、そういう努力を日本が回避し放棄している限りは、これは今想定、今ちょっと下に沈んでいますけれども、そうした問題が浮上するのではないかと懸念をしております。
#44
○加藤修一君 ありがとうございます。
 それじゃ、山口参考人にお尋ねしたいんですけれども、脱温暖化社会という呼び方とそれから循環型社会という呼び方、両方ありまして、この二つについてはそれぞれが政策を打っていると。その中にいろいろと施策がぶら下がっているということなんですけれども、私はこの両者をうまくつなげていくことが極めて重要でないかなと思っているんですね。
 循環型社会もリデュースとかリユースとかリサイクルという話になっておりますけれども、この両者をつなげる政策的な仕組みが見えていないなというふうにふだんから実は思っておりまして、ただ私は、山口参考人の資料なんか読ましていただいて、パンフレットも読ましていただいて、いわゆる省エネルギーというのは点の省エネルギー、例えばトップランナー方式ですね。省エネルギーと言っていますが、あれはある意味では点の省エネルギーではないかなと、そういうふうに言う方もおります。
 私は、やはり両者をつなぐものとしてはライフサイクルでどういうふうに見るかということが極めて重要で、資源の調達に始まって製造過程、それからそれを運搬する過程、あるいは家庭等エンドユーザーで使う過程での排出の仕方、最後はもうそれを廃棄物として適正処理をする段階で排出するもの含めて全体でトータルにそのライフサイクルで見ていくということの中で、どれだけCO2が例えば減ったとかというふうに見ていくことが極めて重要でないかなと思うんですね。
 そういうライフサイクルで見る見方が脱温暖化社会と循環型社会をつなげる一つの政策的な展開に密接にかかわっているんではないかなと、このように思っておりまして、御社ではこういった面についてどのようにライフサイクルでアプローチされているのかどうか、また業界としてはどういうスタンスでこういった面について物事をお考えになっているか、この辺についてお願いいたしたいと思います。
#45
○参考人(山口耕二君) まず最初に、脱温暖化政策と循環型社会との関係、補完関係がどうあるのかということでございますけれども、私は正に、この二つの温暖化対策並びに社会を循環型に変革するためにはエネルギー問題と資源問題をいかに解決するかということに尽きるのかなと、このように思っております。
 そういたしますと、この二つの課題を解決する共通的な施策は、一つは脱石油、それからCO2が出ない、排出が少ないエネルギーの確保、それから有限である資源をいかにしてうまく回すかと。したがいまして、脱温暖化とその循環型社会の仕組みは相互に連携と補完関係にあるのかなと、このように思っている次第でございます。
 したがいまして、この温暖化対策や資源循環効率を高め、持続的な社会づくりを推進していくためには、資源の採取から、それから製造、使用、廃棄までトータルで、その事業全体トータル、言い換えれば製品の一生における資源やエネルギーの投入量をいかにミニマムにするかと、そういうことに尽きるのかなと、このように思っております。それが正に加藤先生のおっしゃった点と面をいかにミックスさせるかということだと思っております。
 したがいまして、言い換えれば、言葉を換えれば、このマテリアルバランス、投入と排出の環境の負荷を評価する手法といたしまして、ライフサイクルアセスメント、LCA手法というのがございます。
 御存じのように、このLCA手法は一九九七年に国際標準化機構、ISOで規格化されておりまして、我が国も国環研、産総研等々でかなりのデータベースを蓄積されておりまして、日本では実務レベルではLCAはトップクラスにあるのかなと思っております。
 また一方、環境報告書を発行しております約千社の中で、既にLCAを使って点と面をうまくミックスして対策を打つことをやっている企業数が四割近くあるわけでございます。具体的には、NECの場合も事業活動全域で環境負荷、CO2を評価し、いかにして循環型社会づくりに貢献できるかということをやっているわけでございます。
 したがいまして、政策的な仕組みと申し上げますと、このLCAをいかにして活用するかということがキーワードになる。すなわち、プラン・ドゥー・チェック・アクションをうまく回すと。したがって、今回の京都議定書目標達成計画においても、特にプラン・ドゥー・チェック・アクションの中で、チェックとアクションをいかにタイミングよく回すかということ、これをうまくやれば脱温暖化と循環型社会づくりに大いに期待が持てるのかなと、このように思っている次第でございます。
#46
○加藤修一君 早川参考人にお聞きしたかったんですが、再生可能エネルギーをお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間がオーバーしてしまいましたので、申し訳ございません。
#47
○市田忠義君 日本共産党の市田です。
 今日は、大変お忙しい中を、参考人の皆さんに貴重な御意見を聞かせていただきました。
 まず、四人の皆さんにお伺いしたいんですが、第二約束期間以降の将来枠組みについて、先ほど、ある参考人から、総量削減、法的拘束力、遵守制度、いわゆる京都議定書のこの基本的な構造を引き継ぐものでなければならないということが言われました。私も全く同感ですが、アメリカ政府や我が国の一部にも、京都議定書のこの枠組みを否定する主張が率直に言ってあります。こういう主張は、地球温暖化の防止を大幅に後退させるものだと私は考えますが、それぞれ四人の参考人の皆さんの御所見をお伺いしたいと思います。
#48
○参考人(浅野直人君) 私も、基本的には京都議定書の枠組みというものがこれまでの段階で合意された一つの線であるというふうに思っております。ですから、それを全く崩して白紙で議論を始めるということは極めて非効率であるというふうに考えております。
 しかし、そのままの枠組みということでいきますと、途上国が入ってまいりませんから、アメリカは格別、途上国にどういう形で入ってもらうのかということは考えなければならない、その限りにおいては修正も必要であるというふうに考えておりますが、全く白紙ということがいいかどうかということになりますと、私もそれは賢明な方法ではないと考えます。
 ただ、五年ごとに切って物事を考えるということと、もう少し長期的に物を考えるということが併用されるということはあってもいいかもしれませんし、それから遵守ということについても濃淡の差というのがあってもいい。それを、同じものをすべてのところに押し付けるということを幾ら言っても駄目ですから、そこは濃淡の差を設けるということはあり得るかもしれないと、このように考えております。
#49
○参考人(浅岡美恵君) 私どもも加わっておりますクライメート・アクション・ネットワークでは、今後の方策といたしまして、京都議定書の枠組みは、先進国はそれをさらに目標を深掘りして次の五年間の約束を定めていくと。で、途上国におきましては、低炭素化社会に向けてのふさわしい目標設定をこれから組み込んでいくと。中にはOECDに加わっているような途上国もありますので、そうしたところには先進国のような総量目標ということも近い将来あるというふうにはもちろん考えます。
 さらに、適応に対する資金や技術の移転、先ほどのCDMもそうですが、いかに資金や技術を先進国から途上国に移転しつつ世界のその取組を進めるかということが大切でありますので、そのための枠組みは京都議定書の中にはまだ入っておりませんから、それを付加していくことを議定書の中、あるいは別の議定書として組み入れることはあることでありますけれども、これを白紙に戻すかのごとき議論に対してはしっかり反対をしていかなければいけないと思います。
#50
○参考人(山口耕二君) 現在の京都議定書の枠組みは、私は、国際的に温暖化対策をしなくてはいけないというスタートを切れたということで、私はすばらしい条約であったと、このように考えております。
 ただ、今の枠組みだけで本当に五十年後を見たときにうまくいくのかということを考えると、なかなか問題点があると思っております。例えば、これからの資源エネルギーの大半は中国、インドが使うであろうと。これは、経済発展、工業発展がございますし、人口の問題もございますんで、これはもう避けて通れない問題だと思っております。それともう一つはアメリカの問題。したがって、この特に中国、インド、アメリカをどういうふうに巻き込んで活動していくかということが最大のポイントでございまして、決して現在の枠組みをすべてチャラにして、白紙に戻してやろうということではないと思っております。
 したがって、現在の枠組みの課題というのは、国別の点の活動なんですね。したがって、これをもっともっと面の活動にできるような仕組みづくりを是非とも、京都議定書でございますから、の延長線上でございますと、日本がリーダーシップを発揮して、新しい枠組みを考えていただきたいなと、このように思っている次第でございます。
#51
○参考人(早川光俊君) まず確認しておきたいのは、現在百五十の国と地域が京都議定書を批准しています。要するに、国連百九十一か国の四分の三を超える国がこの京都議定書を承認したわけですね。そのことをやはり私たちは確認しておかなきゃいかぬのだろうと思います。明確に京都議定書の不参加を表明している国はアメリカとオーストラリアだけです。したがって、この京都議定書というのは国際的な一つの合意になっているということをまず私たちは認識すべきである。
 私も、すべて京都議定書、今の枠組みをすべてそのまま引き継げと言うつもりはありません。それは、浅岡さんもおっしゃいましたように、途上国には途上国なりの枠組みがあるでしょうし、卒業基準みたいな形で一定のレベルに達したら先進国と同じように義務を持つこともあるでしょうから、そういった議論は大いにすべきであると思いますけれども、この間のやはり気候変動枠組条約の法的拘束力のない約束が結果的に世界のCO2排出量を増やしてしまったことを考えるならば、やはりそういった教訓を踏まえて、法的拘束力がどうなのかという議論をきちっとして、そういった枠組みを考えていく議論が必要なんだろうというふうに思っています。
#52
○市田忠義君 早川参考人はCASAの専務理事をやっておられるわけですけれども、そのCASAが京都議定書発効に際して出された声明の中に、原子力発電の新増設や自主行動計画に頼っていては削減はおぼつかないと、日本経団連の環境自主行動計画の社会協定化など抜本的な施策を早急に検討すべきという文言がございましたが、私も、先日の当委員会で、ドイツなどのような削減協定の締結が必要じゃないかと。これは、環境という問題から見てもそうだし、企業の発展にとってもそのことが非常に大事だというふうに私は思うんですが、この協定締結の必要性について、早川参考人の御意見を、先ほども述べられましたが、もう少し詳しくよろしくお願いします。
#53
○参考人(早川光俊君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私は自主行動計画を否定するものではありません。私は、大気汚染公害問題にかかわってきましたけれども、公害対策は、規制を決めて、基本的にどういうふうな形で減らすかについては企業に任されました。そして、SO2に関して言えば、企業、日本の産業界は見事にこれを達成したわけであります。その御努力に対してはやはり敬意を表したいと思います。
 第一弾において企業がノウハウを持っておられる、いろんな削減のノウハウを持っておられるわけですから、そこでやっていただくのは全く構わないし、そうであってもいいと思います。ただ、できなかったときにどうするのか。そして、そのことをやはり担保するためには、できなかったときにはやはり協定化して、規制を受けるような仕組みもやはり企業の社会、産業界の社会的責任として必要なんだろうと思いますね。現にそういう形でヨーロッパの国は動いていますから。そういう形での協定化というものを考えていただくべきだろうというふうに思っています。
 以上です。
#54
○市田忠義君 先ほど浅野参考人が目先の利益だけにこだわっていたら取り返しが付かないことになるではないかと、長期的には国益を損なうということにもなりかねないということを認識すべきだということをおっしゃいました。そういう観点から考えて、協定化問題については浅野参考人は基本的にどのようにお考えでしょうか。
#55
○参考人(浅野直人君) 公害防止の場合と違いますのは、あるサイトで絶対的に対策を講じなきゃいけないということではないという点が多少の違いがございますね。
 つまり、ある企業が企業全体として下げてくれればそれでよろしい。しかし、そのときに、例えば工場だけ幾ら下げてもオフィスビルの方は出しっ放しというのは困るわけですね。ですから、ただ単に産業部門がどうだということで、そこでの協定という発想も一つの発想ではありますけれども、企業としてどう取り組むかと。部門を超えて、うちはこうなんだというようなことについての協定もあり得るかもしれません。
 いずれにせよ、協定という方法は社会的合意としては非常に明確でありますから、私も望ましい方法だと思います。しかし、そういった協定が多面的に機能し得るということを考えますと、ある一つの部門で協定を作ってしまうということが他の部門との連携を損なうようなことになるのも好ましくない。
 ですから、現在の自主行動計画についても、その点が多少部門にこだわり過ぎてしまっているという問題を含んでおります。その全体をよく見た上でどういう協定が望ましいかということを考える必要があろうかと思いますが、確かに、業界団体が今業種別に作っている自主行動計画と経団連の自主行動計画の足し算の数字が違うということを見ますと、最終的には、やっぱり業種、団体ごとにもっとそれを責任を持ってもらうというための協定は必要であろうし、そのことがまた他の施策とつながっていくという可能性があることは諸外国の例を見ても明らかでございますから、方向としてはその方向を目指すことが望ましいと考えております。
#56
○市田忠義君 浅岡参考人と早川参考人にお伺いしたいんですが、浅岡参考人が属しておられる気候ネットワークが京都議定書目標達成計画の閣議決定に当たってのコメントの中で、排出量の大半を占める事業者からの排出削減はまずもって重要であると、事業者の要請のままに企業秘密として非開示することがあってはならないと、こういう主張をされています。
 私も、家庭での削減、これも大事だと思うんですが、排出量の八割を占める産業・工業部門での大幅な削減、企業秘密を設けない、原則として、ということが非常に必要だと考えますし、この委員会での質問でもそのことを述べました。
 先ほども少しお話がありましたが、家庭部門で排出量が増えていると、産業部門については横ばいだという意見があります。したがって、家庭部門が今努力することが非常に大事だと。私、家庭部門の努力は否定しませんが、八割を占める産業・工業部門にメスを入れなくてどうして目標達成ができるんだろうかというふうに思うんですが、特に、大規模排出事業者の責任についてどのようにお考えか、浅岡参考人と早川参考人にお伺いをします。
#57
○参考人(浅岡美恵君) 少し前にもお話し申し上げましたけれども、基本的に事業者の方々に十分の御努力をしていただくことは期待するところでありますし、必要だと思います。
 特に、製造業につきましては、先ほど申しましたように、生産減にもかかわらず排出量が横ばいであると。これは、本来削減努力をしていただくという、あるいは省エネ性能を高めていただくということ等ができていない、ある意味で逆の表れであるということです。
 排出量の公表制度のところでも申し上げましたが、特に今、現在非開示の事業者は、高炉と、それから石油の精製とセメントと一部の化学の業種でありますが、私が聞きますところでは、埼玉県などは条例で同じような報告制度を設けておりまして、全然何の抵抗もなく皆さんちゃんと報告されているということであります。ですから、この辺りは、国の制度の中で開示される状況と都道府県の条例で開示されているところと異なっているというような現状もあったりしております。そこが、埼玉県に大規模事業者がなかったのかも、それほどのそういう非開示の業種がなかったのかもしれませんが、特にやはり、先ほど浅野先生言われましたように、業種によりまして生産が減るところあるいは増えるところ、排出が増えるところ減るところ、かなり特徴があります。
 一律に減らせということが必ずしもそれは適切でない、経済構造上も適切でない場面もあるかと思うんです。そういう意味で、国内の排出量取引制度といいますのは、山口先生が自由主義経済に反すると言われましたけれども、そうではなくて、生産は、ある意味でその事業者の必要に応じてそれはやっていただきながら削減をするための仕組みとして、正に自由主義経済の上に立つ制度でありますので、そういうものも活用していきながらやっていただくというのは協定も一案でありますけれども、むしろ融通性があるのかもしれないと私は思ったりしています。
 いずれにしても、そうした大規模事業者での削減努力をしていただくことと併せまして、それらを国民のサイドからも評価していく中で、先般から申し上げておりますように、我々ももちろんそれぞれ電気、ガス、水道、ガソリンをいかに減らしていくかと、いかにいい商品を購入していくかという点には努力しなきゃいけないという点も決して否定していることではないということは御理解いただきたいと思います。
#58
○参考人(早川光俊君) 私は、まず基本的に押さえなきゃいかぬのは、大排出源に大排出源なりの責任がある。やはり汚染者負担原則が原則であるべきだと思います。大きな排出源にはそれだけの責任、大きな責任があるということが、まずPPPはやはり基本的に押さえなきゃいかぬと。
 それで、今の産業界の状況をどう見るかですけれども、私自身は、先ほど申し上げましたようにCOP3以後随分産業界も含めて随分努力されたことは知っています。ただ、今の産業界の横ばい構造が本当に努力した結果かどうかについてはやはり疑問を呈せざるを得ない。不況のために減っている部分がある。要するに、景気が回復すればまた増えてしまうという構図があるんではないか。現に、原単位は悪化しているわけですから。そしてまた、大きな工場でこうした抜本的な対策を取ってこれだけ減ったという情報を私たちは持っていません。
 やはり、御努力いただいたらそれをやはり公表していただく、私たちもそれを評価するシステムも必要でしょうけれども、やはりそこは産業界やってくれないと温暖化を防げないということはもう絶対にそうですから、そこは是非お願いしたいと同時に、私たちもできることをできる限りやるというスタンスです。
 以上です。
#59
○市田忠義君 時間が迫ってきましたので、最後になるかと思いますが、浅岡参考人にお聞きしたいんですが、先ほど挙げた気候ネットワークのコメントの中で、家庭・業務部門の削減には電気製品、自動車などを供給する企業の役割が大きいと、確実な省エネ・省資源型消費行動につながる抜本的な政策強化が必要だという主張をなさっておられます。
 私も、メーカーによる性能の確保と消費者による評価、選択、これができる仕組みが必要だと考えますが、具体的にはどのような仕組みが考えられるのか御意見をお伺いしたいと思います。
#60
○参考人(浅岡美恵君) 先ほど少し紹介ありましたが、東京都と京都市の市民等の関係で、省エネラベルをより消費者に分かりやすいようにしようと、初期費用とそれから十年間の消費する電力の総和を示すことによって消費者がそれはかえって安く付くということを一目で理解ができるようなラベルをこれを普及させようということになりまして、東京都は大型店、京都市の条例、京都府も今検討しておりますが、電気製品の販売店にそのラベルの設置、貼付を義務付けをいたしました。府も近くいたします、すると思います。これはテレビと冷蔵庫や、冷蔵庫とそれからエアコンしか今性能表示がありませんが、テレビもやろうとしておりますけれども、プラズマ型がいいのか、プラズマ型とそれから液晶型とでメーカー間で競争しているものですから、なかなかその協力が得られないというような現状がありますが、例えば電球なども、本当にそれが分かれば相当普及率が違ってくるだろうと思います。
 でも、併せてやはり炭素税というものは、基本的なベースの中にあればそれがしかるべく反映をしてくる、より見えやすくなる、より購入しやすくなるというものになっていくであろうと思います。
 自動車について何とかそのラベル制度をしっかりつくりたいということを今挑戦しつつあるところであります。それから、家についても同じように、省エネ性能のラベル表示をできるように今評価の仕組みを研究しているところであります。
#61
○市田忠義君 あと二分ありますので、これが最後になると思います。
 早川参考人に伺いたいと思いますが、先ほどの議論の中で長期目標を持つことが当面の対策にとっても非常に大事だという趣旨の御発言があって、その理由についての若干の説明もありましたけれども、長期目標を持つことの意味と、長期目標を立てるに当たってどういう考え方が基本的に大事かということについて、三十二分まで大丈夫ですのでよろしく。
#62
○参考人(早川光俊君) 先ほども申し上げましたけれども、やはり社会全体に対してここまで我々やるんだという意思をまず、世界にも日本の国民に対しても事業者に対しても産業者に対してもまず国の意思として示すということが長期目標の一つの大きな目標だと思います。
 それで、本来やはり温暖化を防ぐのは、どのレベルで防げるか、濃度で考えるか、排出量で考えるか、温度上昇を考えるかという問題はあるわけですけれども、やはり温度上昇ですよね、生態系の影響ですから。それで二度というのを我々言っているわけですけれども、そこから、じゃその二度というのはどのくらいの濃度なんだと、そしてその濃度はどのくらいの排出量で抑えられるのかという議論だと思うんですね。そこが科学的にしっかり明確になっていると思いませんけれども、そういうのと、やはり温暖化を防ぐということをまず基本に据えて、どこまで許されるかという議論がまずある。それで、そのことを決めることは、国際交渉上も、それから日本の国民、事業者に対するインセンティブになる。
 私はCOP3以降いろいろかかわってきて、やはり欠けているのは政治の意思ですね。日本の国は温暖化対策をきちっとやって、そういった脱温暖化社会に向かって動くんだという意思表明がきちっとできていない。典型的には、再生可能エネルギーを広めようというそういう政策になっていない。そのことがはっきりすれば産業界ももっと資本投資が長期的にできると思います。そういった動きが既にあるわけですから、そういったものをつくれるかどうかというのが、やはりそこの長期目標をちゃんと持ってそれに向かって動くという意思だというふうに思っています。
 以上です。
#63
○市田忠義君 終わります。
#64
○委員長(郡司彰君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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