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2005/07/19 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 国土交通委員会 第29号
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2005/07/19 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 国土交通委員会 第29号

#1
第162回国会 国土交通委員会 第29号
平成十七年七月十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月十四日
    辞任         補欠選任
     藤末 健三君     輿石  東君
     加藤 修一君     魚住裕一郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         田名部匡省君
    理 事
                田村 公平君
                脇  雅史君
                大江 康弘君
                佐藤 雄平君
                山本 香苗君
    委 員
                岩井 國臣君
                太田 豊秋君
                岡田  広君
               北川イッセイ君
                末松 信介君
                鈴木 政二君
                伊達 忠一君
                藤野 公孝君
                池口 修次君
                岩本  司君
                北澤 俊美君
                前田 武志君
                山下八洲夫君
                魚住裕一郎君
                仁比 聡平君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊原江太郎君
   参考人
       武蔵工業大学学
       長        中村 英夫君
       シンクタンク山
       崎養世事務所代
       表
       前ゴールドマン
       ・サックス投信
       株式会社社長   山崎 養世君
       日本大学商学部
       教授       永山 利和君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○総合的な国土の形成を図るための国土総合開発
 法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(田名部匡省君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、藤末健三君及び加藤修一君が委員を辞任され、その補欠として輿石東君及び魚住裕一郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(田名部匡省君) 総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本日は、武蔵工業大学学長中村英夫君、シンクタンク山崎養世事務所代表・前ゴールドマン・サックス投信株式会社社長山崎養世君及び日本大学商学部教授永山利和君の以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 また、暑い折ですので、上着をお取りいただいて結構でございます。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、中村参考人、山崎参考人、永山参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず中村参考人にお願いいたします。中村参考人。
#4
○参考人(中村英夫君) 中村英夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 国土総合開発法の改正と申しますか、国土形成計画法に関しまして私の意見を申し上げたいと思います。
 まず、なぜ国土計画が必要であるかという話でございます。
 私どもの国はもちろん自由主義の市場経済にのっとった国であります。そういった国では、すべての活動は自由に行うというのが原則であります。そういうような国でなぜかつての社会主義国のように計画的にやらなければいけないのかということですが、二つ大変大きな理由があります。
 一つは、この要旨をごらんいただきたいと思いますが、我が国は自然的、社会的あるいは歴史的に言って大変地域間の格差が大きい、ほっておけば大変大きな格差が生じやすいところでございます。大変中央から離れたところもございます。そういったところは大概気象条件も悪い、大変厳しい冬がある、あるいは地形的な条件も厳しいというふうなところであります。そういったところを、今言いましたように市場経済の国だということで自由な活動だけに任せておけば大変大きな地域格差が生ずるわけであります。
 私がここで言う地域格差というのは、決して所得格差だけではございません。生活条件の格差であります。住民の生活の質が大変いい地域と悪い地域では差が付いてくるわけであります。そういったことが起これば何が起こるのかというと、申すわけもなく、社会的不安定が生ずるわけであります。そこでは若い人が流出するということ、あるいはその結果として高齢者だけで残るというふうな年齢構成上の不安定さもございますが、さらにそれが徹底すれば、場合によっては暴動のようなものさえ起きかねないと。
 これが多くの、今もって多くの開発途上国で起こっている問題でございます。中国なんかも一番恐れているのはこの点でございますが、日本はそこまでひどくはないにしても、地域格差というのは社会的な不安定を生ずると。大変高い失業率を抱えるところができたり、一方では大変過密で人間的な生活も十分できないようなところも出てくるというふうな問題でございます。そのために、これは何としても、全く自由主義だけではなくて、計画的な仕組みも必要であるというわけであります。
 もう一つは、我々の国全体としても資源には限界があるわけであります。ここで私の言う資源というのは何も天然資源だけの話でございません。土地、水、環境、人材、財源等々、これをすべて資源と言っているわけで、それはすなわち有限なものであります。これを有効に利用して国としてのあらゆる活動の効率を高めると。生産効率もそうであります、生産性を高めるというのもそうでありますし、その他生活上の効率もそうであります。便利にするということもあるわけでありますが、そういうふうなのを国全体としてやっていくと、そして国の間の競争に十分対応していくということであります。そのためには計画的にやらなければ非常に大きな無駄が生ずるということであります。そのために、国としては重点的な地域政策が必要になるというわけであります。
 そういうふうなことで、日本と同じような国というのはどれもみんな国土計画というふうなのを考えて実行しているわけであります。人によってはアメリカにはないじゃないかと言われますが、アメリカというのは大変大きな国で資源が一杯の国であります。そういうふうなところは、それぞれ、サッカーでいえば個人は個人プレーでやったって十分強いチームできるのと同じであります。日本のような、個人でなくて全体としてのコーディネーションを取って全体が協力してそれでやっていくというので何とか競争力を保つというふうなのがサッカーの試合ですが、それと同じようなことが国としても必要であるということを御理解いただきたいと思います。
 そういったこともあって、どうしても地域計画、国土計画というのはこの国には必要であるというわけであります。
 そういうようなこともありまして、我が国では一九六二年に全総計画が作られております。一九五〇年ですか、この国土総合開発法ができまして、それに基づいて作られるわけですが、その第一次の全総計画以来何度も全総計画は策定されてきたわけであります。初期の全総計画というのは大変大きな意味を持っていたし、また大変大きな効果を収めたと言っていいと思います。例えば、地方の所得の向上、あるいは工業、それまで四大工業地帯というふうなのに極めて限定されていた工業地帯を全国的に分散したというのもそうであります。さらに、日本じゅういろんなところに道路は整備された、あるいは箱物と言われるものも無駄だとかなんとかって言われながらもそれなりの整備の水準に達しているということもそうであります。あるいは、全国的に災害も軽減された、あるいは教育、医療等も全国的に充実してきた等々は、これはやはりこの全総計画というもので全国のいわゆる均等ある発展というモットーの下にいろんな対策を進めてきたということの効果の一つであると言って間違いないと思います。
 ただ、それでよかったのかというと、それによっていわゆる金太郎あめと言われるようなどこも同じような町ができてしまったり、あるいは相変わらず一極、首都圏に集中、あるいは一軸、東海道等々に集中してくるというふうなこと、あるいは過疎化が進行してくる。さらに、最近では大変厳しいのは中心市街地の空洞化であります。この中心市街地の空洞化というのは、私は先ほども話していたんですが、日本の悲劇としか言いようがない、是非先生方、この問題に厳しく取り組んでほしいと思います。フランスやドイツに行ってもそんなものは全然、全然ではないんでしょうけれども、日本とは比べものにならないような状況であります。
 そういったものも生じているというふうなことでありますし、それから国土景観というのも大変みすぼらしい状況になっている。日本というのは世界で自然が最も美しい国であります。この日本の美しい自然が今実にみすぼらしい状況になっている、日本じゅうどこにもみっともない看板が林立した国になっているというふうなことであります。
 特に、最近では更にそれに加えて多くの状況の変化が起こっております。まず、拠点開発の意義はなくなりました。どこかに拠点開発したからといって、そこに地域振興が起こるというふうなことというのは余り考えられない。今、そういうふうなのをやろうとしても、日本の地方に立地しようなんという企業もほとんどないわけであります。大概は、開発途上国や中国に投資しようということになっていくわけであります。
 それからもう一つは、社会基盤はもう十分だと言うにはまだまだ遠いと思いますが、かなり充実した状況に達したことも確かであります。これは、限界効用は逓減するというのはもう原則であります。ある部分、そういうふうなものが充実すると、一つの単位当たりの効用、満足度というのは減ってくるわけであります。道路がないときは、一本の道路できたら大変大喜びしたと。だけど、ある程度できてくると、それ以上道路を増やす、良くするということに対しては必ずしも皆さん多くの満足をしないというふうな状況であります。
 それから、環境問題が顕在化する、それに対して国民意識の高まりというふうなのは強いというのも御承知のとおりであります。それから、人口の高齢化、更には減少の時代で、もう減少の時代に入るわけであります。さらに、グローバル化の進展、周辺諸国、韓国、台湾、そして今では中国、これが大変台頭してきているわけであります。
 そういうふうな中で、産業構造はそれもあって大変大きな変化をしている。昔のように製造業が中心の国の産業構造から、もっとサービス産業、情報産業等が中心になるような構造変化が大変激しいわけでありまして、また雇用の不安も非常に大きいわけであります。
 そして、人々は従来よりもはるかに快適な生活を求め、美しい景観を求め、豊かな趣味、文化を求めるのであります。これは、人間の欲求というのはそういうふうなものであります。人間は、これはマズローという人の欲求五段階説という有名な説がありますが、ともかく最初は生理的欲求が一番大きいです。その次が安全の欲求というふうなので、欲求の段階というのはどんどんどんどん良くなっていく、高度になっていくわけであります。
 そして、そこでは誇りを求めるとか、あるいは自己実現なんて言っていますが、自分のやりたいことを追求する、趣味とかそういったものでありまして、言いたいことを言う、やりたいことをやるというふうな方向、そういった方向へどんどん進んでいくわけでありますが、我が国も国全体としてもそういうふうな方向に来ている。美しい景観、豊かな生活を求める、趣味を求める、文化を求めるということであります。
 そして、安全で健康な生活、それへの人々の希求は大変大きくなっているわけでありまして、さらに最近では、この地方分権の動きというのは大変強いわけであります。
 これらに対処するためには、これまでやってきた全総計画というのは極めて限定的な効果しか持ち得ないと。今までの全総計画ではこれは無理だというわけであります。何とか新しい能力を持った法律を作って、そしてこの国土計画をバックアップしていくと、そういうふうなことが必要であるというのが今回のこの新しい国土形成法を作ろうというふうなことの大きな意義であり、これは絶対必要であるというふうに思っているわけであります。
 この国土形成法の要点というのは、これは今更申すまでもないと思いますが、従来の開発中心から、もっと利用とか保全とかというふうなものに大きなウエートを持っていく方向であると。それから、全国計画はもう戦略的方向を示すだけだと。全国計画ではどこに何を造るなんて、そんなことは言わないと。美しい国土をつくらなければいけないんだとか、さっき言ったようなことを中心に、我々の全国的な方向だけを示すのに限定する。
 さらに、広域ブロックというのをつくって、それでもっとそこで具体的な計画を議論していただく。広域ブロックというのは、東京でそれを議論するんでなくって、東北のことは東北で、九州のことは九州で、それぞれの地域の人たちが中心になって、そこでつくられた地方協議会でもってやるということであります。言うなれば、計画行政の広域化であります。今までの県単位の計画では、これはもう今の時代では役に立たないわけであります。
 例えば、一つの県だけで観光計画なんて立てたって、外国からの観光客、一つの県で来て帰るなんていうことはあり得ないわけで、もっと非常に広域なところでやらなければいけないところもあります。
 あるいは、一つの県だけで空港だって港湾だって考えたって、そんなので国際的に競争力のあるものはできっこないわけであります。九州七県で八つの空港を造って、そこのところで国際的な中枢空港なんといっても、どこの県もみんな自分のところへしたいということになって、できないわけであります。
 そういった意味で、これからは広域的な計画行政が必要であるというわけであります。そして、具体的な計画は、そういうふうな形でブロック計画として地方で作ってもらう。
 さらに、大事なことは、この計画の作成過程は、私ども対流原理と言っていますが、ゲーゲンシュトロームプリンチープという元々ドイツの国土計画での考え方ですが、下でできた計画は上で検討し、上でやった計画は下でまた検討すると、それで行ったり来たりしようという、相互交流しながらいい計画に作っていく、みんなの満足できる計画に作っておる。上から作って、これで君たちやれというふうなたぐいでもなければ、下から我々はこれで勝手でやりますというのでもないと、そういうふうな形であります。
 さらに、この計画の段階は、途中でずっとモニタリングしながらやっていくと。まずければ、それは改めていくというふうなことであります。今のコンピューター技術を使えば、それもかつてよりはるかに容易にできるわけであります。
 そういったことでもって、今後こういうふうな法律を、できれば国民共有の新しい国の形というのをつくって、それを国民全体で目指していくということになるわけであります。私ども、今の日本で、国の将来というのを考えてみんなで共有する場というのはこれ以外に全くほかにないわけであります。そういうなので、みんなで、小学生からお年寄りまでみんな、我が国はこういうふうな方向をつくっていくんだというのをどうしてもやることが必要であります。
 そして、そこに幾つか書いておきましたが、ものづくりの重点よりサービス、知識の生産重視型社会であります。あるいは、地域主体の主体的な計画づくりであります。そして、均質な事業から脱却する。どこもここも同じ音楽ホールを造るんではない。ここは音楽ホールなら、こっちは美術館というふうに、もっとそれで集積の効果、スケールの効果を出して魅力的なものを造る。要するに、日本じゅうをみんなコンビニエンスストアにしたら駄目だと、専門店にしていくことが大事だと。それをすることによって、人々は遠くからでもそこに魅力を感じてやってくるんだということであります。
 その他幾つか書いておきましたが、これからは既存のストックを大事にして、それを修復して保全していくことは大変大事なんだというわけであります。それから、これだけ乱れた国土の景観も良くしなければいけない。それから、計画の評価も厳しくし、監視もしなければいけないというわけであります。
 最後に、これですべてがいいのかというと、まだまだ課題はあると思います。これは、この後更に時間を掛けて、是非御検討いただきたいと思いますが、まず、ともかく広域ブロックといっても簡単にそれ、線引きどこでするのかというふうな問題もございます。そういうふうな中で、ともかく地域エゴはもうやめてもらう。そして、地域それぞれで見識を発揮していただくということは大変大事であります。
 さらに、地域振興の法律がたくさんございます。半島の法律だとかございますが、そういうふうな条件不利地域というのは客観的に評価して、それに十分な財政的な処置もしなければいけないというふうに思っております。
 以上です。
#5
○委員長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、山崎参考人にお願いいたします。山崎参考人。
#6
○参考人(山崎養世君) 山崎養世です。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料に沿いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 今、中村先生の方からもお話ありまして、中村先生のいろいろな御著作も私も勉強させていただきまして、国土総合開発法が達成したもの、やはり中国が大きくなっているとはいえ、今、日本が世界第二位の経済大国であるという大きな達成をしてきたこと、そして様々な所得格差が少ない近代国家であり続けているということについて、この国土計画あるいは全総というものが大きな役割を果たしてきたということは、これは紛れもない事実でございまして、これは特に現在非常にあらゆる意味の格差の大きい中国というものを見るにつけ、やはり日本が国土の均衡ある発展という方向を目指してきたということは非常に大きなことかと思います。
 しかしながら、各全総の計画を見まして、毎回のように登場してくるにもかかわらず、やはりまだ未達成である部分、その国土の均衡ある発展という観点から見ても未達成であるのは、これいろいろな言い方ができると思います。特に、東京一極集中が解消されない、分散型・多極型国土ができない、それによって過密と過疎が解消しない、地方分権の実現あるいは縦割り行政の解消ということができないと。
 この辺りにつきましては、一九七二年、もう今から三十三年前ですか、田中角栄元首相が日本列島改造論を著したときに、既に過密と過疎の弊害はもう限界に来ていると、東京一極集中を排さなくてはいけないと、こう高く掲げて、しかも国民が高い支持を与えて、もう全国民一丸となって取り組んだはずなのに、いまだにこの同じ課題を抱えてやはり二十一世紀に来ている。この点をやはり、今回の法改正そのほかについて、少なくともここについての本当の解消の道筋を付けていくということが一番大きなポイントになるのかなというふうに思います。
 ただ、その角栄さんの時代、これは東京一極集中が非常に大きな大成功ビジネスモデルであったということは、これはもう紛れもない事実でございまして、一九八九年に東西の冷戦が終わるまではやはりアメリカを見て、アメリカを最大の市場としてそこに対して臨海部、特に東京で世界じゅうから安い原料を持ってきて作って、そこからすぐに輸出をしてドルをもらって円に替えてまた全国に配ると、これはもう大変成功したやり方であったわけでございますから、その時代、言わば八〇年代の終わりまでにこれの本格的な解消をしようというのは、これはまた無理であったろうと。
 しかし、今もこの言わば過密と過疎、こういった状態のままになるとどのような問題をやはり日本にもたらすのかということになりますと、指摘もされております少子高齢化、こうなってきますと、平たくいいますと、少子高齢化社会というのは東京が没落する社会であるというのがはっきり見えてきておると。これから二十年間で所得が最も減るのが、二五%も減るのが東京。これは団塊の世代、言わば今までの経済の担い手が引退されるわけですから当たり前でございまして、何と二五%ぐらい所得が減ると。一方で、最も個人も企業も財政も負担が増えるのは東京であると。これは当たり前でございまして、高齢社会問題は一面からいえば土地問題でございますから、介護施設、病院そのほか、土地の上に建物を建て、サービスを提供し、更にもうけを取る、それが一坪百万円、二百万円のところへ造るか、木更津に行って一坪三万円で造るか、都城で一坪三千円で造るか、これによって人生設計も財政も大きな影響を受けると。
 つまり、今は交付税をもらっていないのは東京都だけ、ほかの道府県すべてもらっておって依存している、この構造自体がもうもたないと。東京依存では財政も破綻をしていくということがはっきりしているわけですから、まず、お金の面から見ても、東京一極集中であってはこれはもたない。
 戦後、やはり五十年間で東京、いわゆる首都圏に二千万人人が増えたと。これの影響がこれから大きな言わばマイナスになる、今まではプラスであったのが大きなマイナスになるということがはっきりしているんじゃないかと。
 加えまして、財政危機というのがこの高齢化、それからもう一つは構造改革と叫ばれておりますが、一言で申し上げて本当の構造改革ではない、というのは、今般の民営化、いろいろな観点で見ておりますが、一言で申し上げれば、財務省理財局が財投国債というのを発行して特殊法人に貸すという構造は郵政民営化であろうが道路公団民営化であろうが全く変わらないわけでございまして、何とこれが日本の総税収とほぼ等しい金額の国債を特殊法人のために出すということがいまだに続いておるわけでございますから、それを郵政民営化ということであたかも解決したかのように説明がなされるということは、この財政構造の先送りもまた明確であろうかというふうに存じます。
 そして、もう一つやはり大きな問題なのは、地方から成長する経済になっているか、これは現実からいえばノーでございます。いまだに上場企業の七割が東京に本社があり、しかも新規上場、IPO企業の七割も東京に本社を置くというこの著しい東京一極集中が終わらないと。これはアメリカを見れば明白でございます。アメリカでは、今ダウ三十種の企業のうちわずか七社しか東京におらない。マイクロソフト、インテル、ウォルマート、すべてここ二、三十年の世界的大企業はニューヨーク以外で生まれている。つまり、日本も東京以外から大企業が生まれ、そこに若者が夢を託して就職ができる、そういう社会になっていかないと、これはなかなか本当に地方からの腰の据わった成長というパターンにはなっていかないのではないか。
 現実に何が起きているか。東京が駄目だから中国に行くということが行われて、向こうで反日デモの洗礼を受けると。ちょっと待ってくださいと、木更津では中国語は要りませんよと私は申し上げたい。羽田から十分、十五分で行ける木更津、そこが例えばアクアラインをただにすればどれだけ首都圏が潤うか、助かるか。そこに介護施設だって病院だってショッピングセンターでも会社でもつくれるわけでございます。
 つまり、今、日本はいろいろな生産要素の中で、なるほどお金、ビッグバン進みました。情報、携帯でこれ全国非常にコストが安くなっております。問題は、人と物が動く交通のコスト、それによってどこに住むのかという土地のコスト、この二つの巨大コストが相変わらず高止まりをしていて、三%の国土に八千二百万人の人が住むというこの非常に偏った状態をこの二十一世紀にも続けてしまっていると、そこに根本的な変更というのが起きていない、そのままでは本当に伸びていく企業は海外に行かざるを得ない。そうすると、国内には雇用は残らない。雇用は残らないが高齢化の負担は残るというこのままでは袋小路に行くと。そして、東京依存でいいんだというのは、はっきりともうこれは将来がないというのがこれはもう見えているわけでございますから、ここで待ったなしで転換をしなくてはいけないのではないかというふうに思います。
 そういう意味では、やはりこれから見ていかなくてはいけないのは、一人一人が楽しく、一言で言えば地方の方が元気になって、喜んで東京から引っ越しをする、個人も会社も引っ越しをできる、そういう社会をつくるんだと。このコンセンサスがいま一つまだでき上がっていないのかなというところが、これはやはり今国土総合開発法、今も中村先生がおっしゃいましたように、国の形を考える非常に重要な法律でございますから、そこで是非そういったことを新しいこの形成法の中での大きな議論あるいはその中心にしていただきたいなと。
 二ページの方に参ります。
 僣越でございますが、現行の小泉改革、なるほど非常にいい部分もございますが、一言で言えば改革の方向が人がいないところに公共サービスは要らないじゃないかと、こういうことで貫かれている、ということは過疎のところは人は住むな、ということはますます過密の三%の国土に人を集めて、それでいいのかと私は思います。
 これは、やはり地方のインフラを切り捨てて東京一極集中が進むと、道路公団民営化ということは世界一高い、特に地方に過酷な料金体系を永続化し、郵政を民営化して郵便局をなくせば、年金の受取もできない、貯金もできない、そういう村落が物すごく増えていくと、それを無理やり維持しようとすれば、一兆円にも上る財政負担をしなくてはいけない、そういうことを今決めようとしている。目先の公共サービスを減らす、それによるちょっとのコスト削減で大きな国家的損失を招くのではないかと、それを私は危惧をいたしております。
 私は、今回の今改正の問題点、方向性は、私は先ほどの中村先生の意見に賛成でございます。非常にいい方向性を出している。問題は、これを実行していくその枠組みと、さらに手段、そして方法、検証、その辺りが本当にできているのかなと。
 まず、これは国家全体のグランドデザインですから、国土交通省だけで決める問題でなくて、国家そのものが決めていく、そういうもう少し大きな枠組みが要るのではないかと。目的を実行する手段、さらに、やはり問題に今道路公団でもなっております効率性、執行の透明性、どうやって担保されていくのか。あるいは地方自治の枠組み、あるいは農地法等々、後でお話ししますが、食料自給という目的に沿ったときに、そういった土地利用計画あるいは地方自治の在り方とどのように整合性、実効性を持たせるのか、これも他省庁、あるいはもう国家全体をわたる大きな課題ではないかと。
 財政は厳しいわけですから、予算を最大化するという行政から、費用対効果を最大化し、それをやった人が出世をするきちんとしたメカニズム、お題目ではなくて、そういうことを実際にやった人が、行政であればちゃんと出世をし、あるいは首長さん、あるいは政治家であればきちんとそれが選挙民に伝わって当選の確率が上がるような、そういった枠組みに転換をしない限り、なかなかそれが進んでいかないんじゃないかなというふうに思っております。
 先ほどのいろいろな、福祉、健康、住宅、交通、そのほかの総合的な地域ニーズの集約、これはこれからの課題、どうすれば要は衆知を結集するのか、これが今後の大きな課題かと思います。
 最後に申し上げたいのは、二十一世紀のこの現実は今までとかなり大きな断絶があると。それに従った国家戦略がこの国土計画と対になっていなくてはいけないのじゃないかと。
 東西冷戦の時代というのは、アメリカだけに極端に言えば依存をしていればいい、そこだけを見ていればいいわけでございますが、今や、中国、ロシア、インド、ベトナム、すべて資本主義国になっております、実質的には。ということは、そういう枠はないわけですから、アメリカだけ見ているのではなくて、そういった国々がすべて市場にもなり競争相手にもなり脅威にもなるんだというこの多面性を持っているということは、外交を全方位外交に転換をしなくてはいけない。もちろん、強弱は付け、アメリカは一番大事でございます。しかし、ロシアとも中国とも南北朝鮮ともベトナムとも台湾とも仲良くできる、インドとも仲良くできる、そういった全方位外交に転換をしていくこと、実はここは、昔の日本はそうであったわけでございます。東洋というのはそのように成り立っていたのではないかと私は思います。
 私の出身地、博多でございますが、そこに鴻臚館というものがある。今ではないような広大な巨大な交易、外交施設が博多にもあり、大阪、なにわの都にもあったわけでございますね。ということは、今後の地域というのも、例えば台湾のためには沖縄、鹿児島であったり、ロシアのためには北海道、青森、秋田であったり、あるいは韓国のためには出雲であったり、あるいは中国そのほかのためには九州、西九州であったり、必然的にアメリカだけを見ていれば東京湾が一番カリフォルニアに近いわけでございますが、逆に、上海を見れば福岡は東京と上海のちょうど中間でございます。
 ですから、この省庁移転とかいうお話も、そこに一番近いところに外交、通商の戦略拠点を置くと。あるいはそこを思い切って特区にして、本当に優れた企業家の外国人、そこに住んでもらうと。これは実際に博多でもあったわけでございます。唐人町という町があり、何千人が住んでおったわけです。そういうところが日本には各所に一杯あるわけでございます。ですから、そういったむしろ歴史にもう一度学んでいくことによって、各場所が持っている自然な、歴史的な重要性とか戦略性というものをもう一度掘り起こすという作業も今後の時代には非常に必要になってくるんじゃないかと。
 これは特にエネルギー問題にとって重要でございまして、第二位の石油埋蔵量を持っている例えばロシアとどのような戦略的な関係を持っていくのか、そしてその石油を争うであろう中国との間ではどのような形で逆にうまくけんかをしない関係をつくるのか、石炭が余っているインドとはどのような関係をつくるのか、こういったことも、やはり多元的な外交をやり、かつその前線が各地域であるというふうにつくっていかないと、東京中心のやり方では今後の二十一世紀の現実にはうまく適応できないのじゃないかと。
 そして、あと二つ申し上げれば、食料が今後世界的に逼迫してまいります。日本は、国土、土壌、水でいえば本来は自給体制をつくれる、ドイツと同じように食料自給一〇〇%できるだけの実力があるわけですから、今後の国土計画には、やはりかつて田中角栄さんが指摘したように、農地法の全廃であるとか永久農地の確定であると、そういった思い切った土地の利用のやはり根本的な改革というものも地方本位、その地域本位で決めていくことが必要になるのではないかと思います。
 そして、最後に重要なことは、やはりこれからエネルギーも資源も食料も足りない、そうなっていくと、どのような環境技術を持ち、かつそれが社会的な活用体制になっているのかというのが国家にとって一番大事なことになると思います。つまり、リサイクルそのほかの、要するにもう一度回収して生かすという、そういう経済系というのを、生産という動脈と同じように、そういう静脈が同じように大切な裏と表になるような、そういったエネルギー、それからこういった環境技術の体制というものもこれからこの国土計画の中に是非入れていただきたいなというふうに思っております。
 甚だ浅学でざっとした感想めいたことで大変恐縮なんでございますが、私、今回の意見としてはそのようなものでございます。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、永山参考人にお願いいたします。永山参考人。
#8
○参考人(永山利和君) 日本大学の商学部に勤めております永山と申します。
 今回の国土総合開発法を改めて国土形成計画法へ移行するというこの問題についての私見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、お話に入る前提としまして、私の人生経験の中で大変重いものがありましたのは、やはり戦後六十年と一言で言いますけれども、ここで論議されている生活の質であるとか、あるいはそれをいかに高めていくか、また生活における選択可能性を広める、大変重要なことであるとは思いますけれども、そのためにも、やはり基本的に平和といいましょうか、戦争をしないという、そういう条件がこうした論議の前提にまず置かれるべきではないかというふうに感じております。とりわけ、日米関係を中心にした時代から次第にアジアあるいはその他の地域とのより広域的な連携を取るという段階になりますと、こうした平和あるいは戦争をしない基本戦略というものが将来の日本の国土の在り方にも深くかかわっている問題を含んでいると思います。それが一つです。
 それからもう一つの前提としまして、やはり国民の安全あるいは健康、こうしたものをいかに強くしていくかという、そういう条件づくりが必要であろうと思います。中村先生も御指摘のとおり、日本は非常に自然条件として厳しく、また変化の多い国土を有していると思います。そうした意味で、日本に住む者として、こうした自然災害をどう防ぐか、あるいは減らすか、そういう対応が是非とも国家事業として求められているというふうに思います。
 それからさらに、これまでの様々な産業活動、とりわけ巨大な投資を必要とするような産業が生み出した幾つかのマイナス面もございます。物資の効率的な供給、あるいはそれらが生み出す生活の豊かさというものがあるにしましても、同時に、他方では公害、あるいは自然環境の破壊、そうしたものが避け難くあった事実をやはり是正していかなければならない課題は、単に企業の活動を自由にしていくということだけでは担保できないものがあったという歴史認識に立つ必要があると思います。
 それからもう一つは、そこで働く人たちがやはり安全に仕事ができるという、こうした問題を、とりわけこの国土計画あるいは国土形成に当たって、今後も続くであろう社会資本整備、その事業が生んだ幾つかのやはり改善しなければならない事実がございます。
 例えば労働災害、これはトンネル工事でありますとか、様々、公共工事に伴う犠牲者が出ましたし、それから職業病と言われるじん肺であるとか振動病、こういう人たちの数多くの犠牲が存在していることをやはりきちんと受け止めて、そうした安全、健康というものに対する対応をきちんとしなければならない。これは法的に、後でちょっと触れたいと思いますけれども、そうした対応がこうした問題を考える前提になっていなければいけないのではないだろうか。
 それからもう一つ申し上げますと、やはり、これは中村先生も御指摘のとおりでございますし、山崎先生も御指摘のとおりでありますが、やはりこうした国土に必要な条件づくり、産業や生活の基盤づくりをする際の事業の効率性をどう保つかということです。
 これは、安く造るというだけではなくて、お互いに重複する投資を避けていく、あるいは複合的な二重投資を避ける、さらには過剰な投資を避ける。これは港湾、空港、その他の事業運営の大きなマイナスを見ますと、その基本的な方向がやはり過剰投資という傾向を持っていたということを反省し、これからの財政制約等を考えますと、こうした事業遂行の上での長期的な枠組みの変更、改善というものが避け難くあるのではないだろうか。そして、それは同時に、日本経済を取り囲む様々な環境条件の変化に対応したこうしたインフラストラクチャーの形成をいかに効率よく弾力的に長期の運営体制を保てるようなものに変えるか、こういう論議がなされなければならないというふうなことを考えております。
 以上三つを前提といたしまして、今回の法改正の問題点について若干、先ほど来のこの国の形というか、ありよう、そういうものよりももう少し具体的なことにかかわることを二、三申し上げたいと思います。
 その一つは、この国総法にしましても、今回の国土形成計画法に変わるといたしましても、これらの法の運用、あるいは運用がもたらす事業の構想から計画、それからその実行ですね、それから運営、それらには様々な関連する法規がかかわってまいります。非常にこれは整合性というものが難しい領域の、行政領域であり、かつ政治の領域にも同じような問題が出てくる。この調整あるいはマネジメントをどのようにしていくか、この体系の中で大きな問題があると思います。
 一、二指摘しておきますと、国の内閣によります経済計画、たしか十四回これまでございますが、こういう計画とこの国土総合開発あるいは国土形成計画の今後の展開との整合性というものを現実にどのように取るのか。これは、計画の必要性は私も認めておりますけれども、そもそも日本でいう戦後の計画とは何であったのかということになると、それはどこに本当の計画の責任があるのか、まただれがこれを執行し、だれがその執行を点検していくのか、そうした、経営で言いますとプラン・ドゥー・シーの基本的なマネジメントサイクルと言われるものが欠けているまま進められてきたというふうに思います。
 したがいまして、計画が過剰に達成されても不足に達成されても、だれもそれを責任を取る必要がない、そういう計画という括弧付きの名前で呼ばれていたものがこれまでの計画ではなかったんだろうかと。そこには、もちろん基本目標やそれを達成するための様々な行政上の手続や各関連法規の運用に携わるそれぞれの行政組織がこれらをきちんとフォローしなければならない、そういうものが必ずしも十分機能してこなかった面があるのではないかという気がいたします。
 すなわち、多数の政府組織や地方組織との整合性ある運営を今後どのようにしていくのかと、こういうことが問われているように思います。
 それから二つ目は、社会保障あるいは労働法等々含めた社会法領域と、それから独占禁止法であるとか中小企業基本法であるとかあるいは消費者保護基本法であるとか、さらには各産業の行動規制を行っている産業法というこれらの法律と、ここで行われようとしているこの国土総合開発法体系ないしは国土形成計画法体系との役割分担、これをどのようにしていくのかということについて必ずしも十分な議論がなされてこなかったがために、例えば一般会計だけではなくて特別会計や財政投融資、そういうものと民間とのかかわり具合というものが非常にあいまいなものとなり、そして内閣が専権的に決定できる財政投融資計画などの領域に様々な問題が派生して、今日の郵政改革や山崎さんが御指摘のとおり道路公団問題等の、言わば行政上あるいは国家のこうした事業運営の体制そのものに幾つかの体系的な問題があったというふうに感じております。
 とりわけ、例えば予算で申しますと、単年度主義というのを主張しながら、他方では長期の計画あるいは整合性の取れた国土計画、そういうものを実際にどのように運営していくのかと、このシステムは必ずしも国民から見て納得いける仕組みにはなっていたとは思えませんし、ましてや地方自治あるいは地方自治体の連携をどのようにしていくのかということをめぐっても、過去の全総計画に対応する地方計画がなかなか円滑に確立されてこなかった経験、私も幾つか、青森県とかあるいは高知県、さらには岐阜県、埼玉県等の県計画に携わる折に、こうした整合性を取れた国土経営の在り方というものについて十分そのシステムが機能できないという現実にぶつかった経験を持っております。
 そういう意味から、やはり今後の法体系を変えるに当たって、そうした過去の基本的な問題をもう一度掘り起こして、そしてできるだけ、できるだけ過去の誤りというものを減らす努力がなされていくべきだと思います。
 その点で特に申し上げておきたいことは、この政府の、じゃ長期的な計画というものが一体何を目指したのかという点です。
 ドイツなどに見られますように、政府が経済に関与する基本目的とは何か、この点について、例えば経済成長法というようなそうした法律として、国が経済運営に参画していくための基礎的な目標、ドイツの場合には、失業を減らす、物価を安定させる、財政収支を安定させる、国際収支を安定させる、こうした黄金の四角と呼ばれるような、それらを実現する限り政府が介入するというような、そうした国家の目標というものが我が国の経済計画にはほとんど見られないわけで、理念なき環境対応というようなものになりがちな体制を取っていたということ。
 それから、国土総合開発にいたしましても、それぞれの地域特性や地域の理念、先ほど山崎先生もおっしゃっていましたように、それぞれの歴史を持った地域はいろいろな努力と工夫を重ねて、それなりの地域発展を自らの力で培養してきた歴史を持っております。そういうものを改めて今日の段階で評価していくためには、そうした地方の持っている様々な力というものを評価する、そういったことを併せていかなければならないわけですけれども、それを評価する哲学といいましょうか、あるいは物差しといいましょうか、そうしたものが国土経営の中に十分生かされてこない。
 私は、内村鑑三が、デンマルク国での話という小さな講演を読んだことが中学校のときありますけれども、あの国は、ツンドラ地帯であったところを植林をすることによって地温を変え、気温を変え、今日の酪農というものをつくってきた。そういうふうに自然を改造する努力というのは数百年のタームで努力されてきたと、そういう目標を国民が毎年毎年乗り越えて、それを数世代にわたって続ける、こういう国家目標がやはり住みよい国土というものをつくってきたんだろうと。
 そういうものを私たちは、今の、先ほど出されておりましたように、農村が切り捨てられる、郵便局もなくなる、貯金もできない、そういうような状況を目の当たりにしまして、この物の考え方の重要さというものを改めて再認識しなければならないというふうに思います。つまり、国の計画あるいは経済の目標、そういったものに国民の意見をもう少し虚心に取り入れて、そしてそれらを、中村先生は対流という言葉を使われましたけれども、正にそういったものを急ピッチで組織していかなければならない段階に来ているように思います。
 そういった意味で、今回の計画の変更というものを見ますと、大きく言えば世界の経済状況の変化、特にアジアの経済成長、さらには環境問題、一人一人の生き方の問題等々が言われておりますけれども、それらはもちろんいずれも大変重要なのですけれども、一番気になりますのは、そういう多角的な変化に対しまして、今回の法改正の中で国土交通大臣がこれらの計画決定をできるというこのシステムは、少々その責任が重過ぎやしないだろうかと。もちろん大臣の能力というものを高く評価するわけでありますけれども、しかし、そうした形で地方からも世界からも様々注目されている案件は、やはり国会で論議するなり、あるいは内閣の少なくとも決定を経なければ計画決定できないというふうにすることが行政のより有効な力を結集する道になるのではないかというふうに感じられる次第です。
 もう一言申しますと、こうした計画に当たってのまず構想、それから計画決定、執行、こういうものについて、その政策の評価だけではなくて、その出発点から施行、運営に至るまで、できるだけ広く国民の意見が吸い上げられるような、そういうシステムをつくっておかなければ、これまでたどってきた計画のあいまいさというものが今後にも引き継がれていく危険が強いのではないかというふうに感じております。
 そのような意味で、若干、今回の法改正の中で、これまでの経験をもう少し改善して、新たな国土形成法へと変えられることを希望して、私の発言を終わらしたいと思います。どうもありがとうございました。
#9
○委員長(田名部匡省君) 大変ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 なお、大変恐縮ですが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださるようお願い申し上げます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○藤野公孝君 自由民主党の藤野公孝でございます。おはようございます。
 今日は、中村先生、山崎先生、永山先生、お三方の参考人の先生には本当に貴重なといいますか、これまでの先生方のいろんな御体験や御研究の集大成のような言葉をたくさん、きらきらと光るような言葉をたくさん聞かせていただきまして感激しておりますが、時間が何しろ十五分しかございません。それで、テーマをばらばらにしちゃうと少し何の質問か分かんなくなると思うので、お三方に、視点といいますか質問のアングルといいますか、それを一点に絞らして私は聞かしていただきます。
 それじゃ、そのアングルが何かといいますと、これは五全総、五全総と呼ぶかどうかは別にして、五全総、前回の計画でも大変悩んだところだということでございますけれども、副題に、二十一世紀のグランドデザインの副題に、「地域の自立の促進と美しい国土の創造」という言葉にしてございます、その地域の自立の促進でございます。
 個性ある地域の発展でありますとか、いろんなことで解釈がされておりますが、この言葉何の意味があるかというと、それまでの全総計画がただひたすら追い求めてきたというか、地域格差の是正といいましょうか、均衡ある国土の発展ということが少し行き詰まったんで、新しいスローガンとして知恵を絞って出されたのが「地域の自立の促進と美しい国土の創造」だったと思うわけで、特に前の方の話でございます。この地域の自立でございます。
 今日も、お三方の先生それぞれ、地域間格差、日本の国土構造から必然的にそれは生まれてくるものであって、ほっといたらますますおかしくなると。事実、これだけやってきたのに、ますます一極集中、一軸集中が進んでいくという矛盾に悩み続けて二十一世紀を迎えておるわけでございますが、まず中村先生にお伺いします。
 中村参考人は、もう世界の国土学会の会長もなさるぐらいもう世界のトップの学者さんでいらっしゃいますし、いろんな政治の場での審議会の委員長とかなさっておりまして、その辺の御経験もいろいろおありになる中で、一言で言えというのはなかなか、言ってくださいというのは難しい言葉じゃございますが、先生の今のお話の中で、私、まず国土計画が要るんだと、日本にはなくてはならない、これは役人の飯を食わせるためのネタでも何でもないよと、絶対要るんだということは大変私は今そうだという感じがしているわけでございますけれども。
 ドイツ等で対流原理というようなことで、上が作ったものは下、下が作ったものは上でそれぞれがチェックしたり、交流していくということはすばらしいことで、今回それを取り入れられて、地域で、広域でやろうと。地域の主体的な計画作りをやろうということでございますが、ある意味では国の責任放棄ではないかと。責任放棄とは言いませんが、丸抱えはやめちまおうということですから、それぞれの努力するところとしないところで格差が出ていくことは、ある意味ではもう必然的に認めざるを得ない。規制緩和とか全部そうでございますが。一方で、格差を是正しようというときに、原理として一方でもう努力しない人はどんどん落ちていく。立派な首長が出ているところは発展するけれども、そうじゃないところは落ちていく。もうそういうのを放任せざるを得ない、それが自己責任というものだというような計画作りにも見えるわけでございますが。その辺と、ナショナルミニマム、シビルミニマムで国の責務といったような、地域主体の計画作りという、非常にいいんですけれども、反面でそれはもう格差を認めていくということにもならないかと。地域、地域によって人材も財源も皆違います。そういう現実の中でどうやってなおかつ格差を縮めていくということが可能なのかという、もう余り整理された質問じゃなくて恐縮ですが、ちょっとした難しい問題をこれ抱えているなと、今までもそうだったよねという気持ちがあるものですから、先生のお考えをお伺いします。
 先にもう質問させていただきます。
 山崎参考人、私、この先生の今お出しいただいたあれの中で、三%の国土に八千二百万人が住むでありますとか、自然、文化、歴史の破壊が進むとか、地方に仕事、希望がない。もう地方を回っておりましても、全くそうです。分かっているんですか、あなたはと言われることよくあるんです。ますます東京と地方との格差は開くんですよ、相対的に。ベースは上がっていますけれども、もっと東京の方が上がれば、相対的に格差はどんどん開いているんですよ。地方は良くなったでしょう、三十年前より。でも、格差は広がっているんです。こういうことを言われるし、もう一つは仕事がないと。もう公共事業が搾り上げられちゃったから地元全然ないんですよと。こういうことで夢も希望もないですよということをよく言われるんですが。
 こういう中で、今、引っ越す社会ということを言われました、地方へと。これなかなか、理想ですけれども、定住圏構想というのを三全総でもやったり、いろいろ、でもなかなか難しい。今、交流ということを、要するに定住構想、定住よりも、定住人口よりも交流人口というようなことを言っていますね。この交流の持つ意味、意味というか力でもいいですけれども、地域開発活性化における力というものをどう考えておられるか。交流じゃ駄目だと、やっぱり定住を目指さないと駄目だとおっしゃるのかどうか、その辺を含めて山崎先生にお伺いします。
 それから、永山参考人に、同じことなんですけれども、先生もほかの書物でも、今、地方、中小企業を中心にしてもう本当に疲弊し切っているよと。公共事業も今のような形でやっていって、地方はどうやって再生したらいいんだと。中小企業が良くならないと地域の経済なんか活性化できないんだよと。私もそのとおりだと思うわけですが、そういう中で、いわゆる地域の活性化と口では言うけれども、やはり公共事業の持つ下支え、地域経済の下支え、雇用の下支え、そういった点につきまして、今、公共投資抑制、まあ罪悪とは言いませんけれども、非常に無駄な投資が多いとか、いろんなことを言われております中で、私も我が意を得たりみたいな気持ちでちょっと見ているところがあるんですけれども、地域経済活性化、再生の中で、中小企業を中心としてで結構ですが、公共事業の持つ役割、地域経済下支えの必要性についてお伺いします。
 以上、三点でございます。
#11
○参考人(中村英夫君) ありがとうございました。
 今の藤野議員からの御質問に対しまして私の考えですが、ともかく今度の国土形成計画法というのは、一つの大事なところは、地域は自分で考えろと、自分で考えて計画をまとめてもらう。ともかく、従来の大きな我が国の問題は、地域の方が自分で考えるというよりもお願いすることが中心であったと、そういうふうなので地域が独自のいいものはできるわけないんだと、それよりもっと自分で考えろということが一つであります。
 一方では、国は国のやるべきところははっきりさせて、これは国でやると。これは、国の責任であるということもはっきりさせますし、それから、これからの国全体としての方向はこれであると、それもその中ではっきり示すということでございます。これが、先ほど言いましたように、それぞれの地域が、みんながコンビニエンスストアにならずに、それぞれ専門店でもって、どこも魅力のあるものをつくっていくという道であるというふうに考えられているわけでございます。
#12
○参考人(山崎養世君) 私は、実はここの、今までの目標としているものを妨げているのは、全体としての流れがないのではなくて、関所のように妨げている、堰のようにできているものがありまして、それを外してあげれば、一つはかなりのところが相当達成をしていくだろうということなんですね。
 というのは、一つは、先ほども申し上げましたように、もう工業国家じゃなくて、もう安いものは中国でつくってもらって、あとはどう活用するか。そして、少子高齢化社会ということは、コストが安くて、物はつくってもらって、それを利用していく社会。もう一つの面でいえば、土地が必要な社会になってきますですね。工業国家はそんな要らないんですよ。臨海工業地帯だけあればいいから、三%に集まっている。ところが、これから伸びる産業、介護とか、リタイアメント、別荘であったり、観光、農業、流通、レジャー、すべて広大な土地を、安い土地を必要とするわけなんで、本当は東京からどんどんとうとうたる流れが起きなきゃいけない。なぜ起きないのかと。
 一つ、先ほど分かりやすい例で言いました。アクアラインが片道三千円、往復六千円だから、木更津、空港から、羽田から十五分のところに工場も、工場どころか、研究施設もホテルもショッピングセンターもできないで、羽田から一時間以上掛かる銀座が坪一億円になるわけですね。この三千対一は人為的に政治がつくり出している。片道三千円は、これただにしたらどうですかということなんですね。これが一つ、必ず言えること。
 それからもう一つ、例えば郵貯のお金、これは財投国債で理財局に入っている。官から民へと言っていますけれども、これが中小企業や個人や学生やNPOに流れる仕組みは今ないんですね。それを、例えば証券化という流れでつくろうじゃないですか。この二つのやはりお金と土地、そして交通というものが人為的に東京中心に今はつくっているから、それを開放していないということが一つ大きなところだと思います。
 それから、地方に、そういう分権化をするためにやっぱり権限と財源がやっぱり移らなきゃいけない。だから、その意味では、大きな、やはり今の負担は三分の二で財源は三分の一しか地方にないというのを、これやっぱり是正して、非常に大くくりの補助金のような形でやっぱり移すのが第一段階は現実的だと思いますし、最終的には、例えば法人税をなぜ本社でだけ納めるんですかというんじゃなくて、それを分けていくことも必要だと思います。
 最後は、もう一つのポイントは、やはり国際化をして、それぞれの相手国に近いところに拠点をつくることがもう一つのポイントになってくるんじゃないかと思います。
 おおむねその三つができていけば、アメリカでは少なくとも相当地方に経済のウエートは移りました。アメリカと日本は違いますし、もっと小さい国だし、歴史がありますから、私はもっと速い速度で実は移れるんじゃないかと思っております。
#13
○参考人(永山利和君) 私への御質問は、地域の経済の活性化を図る上で、中小企業の役割あるいはとりわけその公共事業の地域経済を下支えする役割を今後どのように考えておられるかという、こういう御質問だったと思います。
 私も中小企業を多少かじっている関係で、日本の中小企業の役割というのは、やはりこれまでも非常に大きなものを持っていましたし、これからも日本経済を支える重要な位置を占めているというふうに考えております。
 世界も同様でありまして、グローバリゼーションが進む一方で、例えばOECDは二〇〇〇年に中小企業憲章というものを採択いたしまして、日本もこの採択に加わっていることは御承知のとおりです。それから、EUも同じく二〇〇〇年に小企業憲章を採択いたしまして、この中で中小企業の経営を支援する方法として、学校教育の中にビジネス教育を必須科目として設置する、中学校、高等学校、大学まで、そうしたビジネス教育というものを、これまでの勤労教育に加えて新たにカリキュラムとして加えるという宣言をしております。
 そういう点から考えて、世界は今、先進国、特に欧米中小企業の新しい二十一世紀戦略というものをつくってきております。また、中国も二〇〇二年に中小企業促進法という法律を作りまして、こちらの方も技術支援、金融支援等々を国家的な戦略で進めるということを決めております。
 そういう中で、日本の中小企業政策はどのようなことになっているか。これも非常に経済産業省を中心に取り組んではいるわけですけれども、しかし、中小企業というのは経済産業省管轄以外にも国土交通省、厚生労働省、その他農林水産省、これらの管轄にも多数の中小企業がございます。そうした各所管する行政ごとの中小企業政策を一つにまとめるという形にはなっておりませんで、アメリカの場合は大統領府の中に中小企業庁というものを設けておりますし、フランスは中小企業省をつくっております。
 そういう意味では、中小企業の戦略的な設定というものが産業別に縦割りになってしまっているところに日本の一つの行政組織上の問題があるというふうに感じております。
 それらを踏まえた上で、地域の中小企業という問題になってまいりますと、とりわけ建設業を地域で、どのような県の組織が地域の中小建設業をサポートしようとするかという組織を探しますと、残念ながら見ることができません。商工労働部に行きましても、ここにはそうした建設担当の振興策を考えるセクションはございません。ただ、工事等の施工が適切に行われているかどうかということを管理する、スーパーバイズするセクションはございますけれども、産業的にこれをどう位置付けるかというものが消えてしまっているわけです。
 したがって、地域の建設業者は言わば上から事業が、仕事が下りてくるのを待つという体制になっているということが中小企業の、特に建設業の中小企業が自立的にその地域の社会の様々な需要の発見あるいは工法の開発、これまで行ってきた経営上の様々なノウハウから知られている様々な地域の地質的あるいは風土的特性、そういうものを十分に吸収、生かせないまま、多くの大型工事はほとんど大手企業のある意味で集団的な寡占体制というものに吸収され、そしてその下請として辛うじてその制約された範囲の中で能力を発揮するという仕組みになっているように思います。
 したがいまして、でき得れば、公共事業の発注の在り方、例えばCM方式というのがございますけれども、発注者側と受注者側が、一式発注、責任施工ではなくて、お互いに契約の中で対等な立場で共同の責任を負う形でもう少し下請あるいは専門工事業者の能力というものを引き出すような形で、それぞれの地域が求めている事業というものに地元の建設産業の力というものを結集する。そうしたことが引き出されてくれば、より効率的に、またより質の高い事業というものを地域の建設業が担っていくことができるだろうと思います。
 事実、大手企業が受注した工事も実際は地域の建設業者が担って作業は行われているわけでありますから、そういう点の改革をすることによって適正な予算運用とそれから質の高い工事というものを実現することが可能になって、ただ競争を促進するだけではない方法で経営の改善やそこに働く労働者の労働条件の向上も実現できる道が開けてくるように考えております。
#14
○藤野公孝君 質問を終わります。
 三人の先生方、本当にありがとうございました。
#15
○佐藤雄平君 民主党の佐藤雄平でございます。
 中村、山崎、永山参考人、本当に今日は貴重な意見、ありがとうございました。
 中村、山崎両参考人に、一極集中がたまたま両参考人からお出になっておりました。私も先般のこの形成法の質疑の中で、半分以上が、一極集中をどういうふうにこれから解消していくかという質疑をさしていただきました。
 一極集中の中でもう大変いろんな問題点がありますけれども、先般ある参考資料を見さしていただきました。その中でも、やっぱり過密の問題というのは、もう人が生きるか死ぬかと、そこまでもう既に来ているわけであります。日本の政治も行政も、前提としてはこれは財産と人命を守るという大前提からくるわけですから、そういうふうな意味からいって、これからの二十一世紀の国土政策というのは危機管理というものを相当やっぱり重要な政策の中に入れなきゃいけない。そういうふうな観点から、その過密の問題、一極集中の問題、これ、はしょって幾つか重点の話、いわゆる災害がこういうふうなことで起こるというふうなことです。
 一つは直下型地震。これによって、この間中央防災会議の中では、一万三千人が亡くなって百十二兆円の大変な損害が起こる、さらにまた七百万人がどっかに避難しなきゃいけないと。私は、この三つの問題の中で最大の問題というのはこの七百万人の避難場所がどこかと。まあ、関東以北、関東以西というふうなことになるかなと思います。さらにまた、今度集中豪雨によって、まあ気象変動によって最近は大変な集中豪雨が起きておる、これに対してどのように対応していくのかと。さらにはまた、これヒートアイランド現象と。これは、あと十年後に東京の温度が二度ぐらい上がっちゃうと、二十年後四度上がると、五十年後東京に住めなくなるんだという、こういうような現況、現状を本当にこれ認識なさっておるのかなというような問題もありますし、さらにまた犯罪の多発化、そしてさらにまた、私はこれは教育問題にも大変関係してくる、地域社会がなくなっちゃうと。
 で、これ、私は出身は福島県なんです。福島県の棚倉町というふうなところへ行きますと、生活の標語の中で、人の子も我が子と同じ愛情でと。こんな標語を見ると、やっぱりこれ、やっぱり地域社会の一つのきずなであるかなと。そういうふうな意味で地方の大事さ。
 ところが、その地方というのは今、過疎でもう大変悩んでいる。まず、過疎ですから当然人口が減少する、で、それによって財政力が非常に脆弱になって、自分たちの村、町の予算を、まあ例えば福島県でいきますと、今年は基金を崩さないで何とかやっていけるのが半分弱ですが、来年になると、更に基金を崩さないと予算を組めないという現況があります。さらにまた恐ろしいことには、いわゆる十年後に二千近い集落がなくなってしまう。これは都市部の者にとっては余り関係ないかも分かりませんけれども、これは排出権取引等、いわゆる京都議定書等で、それはもうある意味で私はもう地方が空気をつくっていると言っても過言ではないんです。間接的には、東京が今日あるのは地方があってあるんだと、そういうふうな前提の中から質問をさしていただきます。
 中村参考人に、いわゆる過疎過密の解消、これはどういうふうなその考えがあるか、これをまずお伺いしたいし、それと同時に、今、中村さんからの話の中で、新しい今度、新国土形成法の中で地域エゴってありましたです。確かに、これは私、地域エゴというのは出てくると思うんです。それぞれの都道府県がそれぞれの計画の下でやっている、それが広域的になったときに広域がまず優先するのか。それがやっぱり地域エゴとどういうふうに解消していく。さらにまた、私は、全国計画と地域計画があります。その中でもやっぱりぶつかりがあるんじゃないかなと。この点についてのそのお考え方をまず教えていただきたい。
 そして山崎参考人には、もう正に山崎さんのレポートを見ますと、全く私はもう同感です。同感ですけれども、今朝五時からTBSで同じ話を聞かしていただきましたが、共鳴しておりましたが、その中で多極分散型国土と地方の自立、これについてどのような具体的な方策があるのか、これについてお考えがあったら教えていただきたいと。
 そして、さらに永山参考人には、先ほど、今日までの国土法の中でいわゆる中央の国土法と自治体の中でいろいろ乖離があった、ぶつかりがあったと。これの、具体的にどういうふうなことが中央政治と地方自治体でそのぶつかりがあったのか、これについて教えていただければ有り難いと思います。
 よろしくお願いします。
#16
○参考人(中村英夫君) 今、過密と過疎の問題を中心として御質問をいただきました。
 過密と過疎というのは、言うまでもなく表裏一体の問題であります。過疎が起きるということは、一方では過密が起こるわけでございます。
 まず、過疎といいますか、地方の問題からひとつお話しさせていただきます。今、山崎さんからたまたま道路のお話が出たものですから、それと付随して言わしていただきます。
 実は先々週、私、瀬戸内海へ行ってまいりました。瀬戸内海というのは世界で最も美しい海であります。エーゲ海がきれいだとかって言いますけど、瀬戸内海の島々というのは全部緑に覆われた大変美しい島であります。そこのところに、瀬戸大橋を始めとして最新の技術の粋を集めた世界最大級の橋がずらっと並んでいるわけであります。
 ところが、あの地域というのは、今いろんな意味で過疎の状況にもあるわけであります。それに対して地元はどうしているかというのは、以前からそうだったんですが、通行料を下げろと、通行料を安くしろということであります。あの通行料が高いのは紛れもない事実であります。だから安くするのは賛成でありますが、それだけで本当にいいのかというのを皆さんに是非考えてほしいと私は言うわけであります。
 我々、例えばサンフランシスコへ行きます、必ずゴールデンゲートブリッジへ見に行きます。シドニーへ行きます、ハーバーブリッジへ行きます。サンフランシスコ湾よりシドニー湾よりもっときれいなのが瀬戸内海であります。そして、ハーバーブリッジよりもゴールデンゲートブリッジよりもはるかに高い近代の技術を集めたスケールの大きいのがあそこにできているわけであります。ところが、あの橋があるということは、世界は、橋の専門家以外ほとんどの人は御存じないと。
 要するに、地域としても、あるいは日本全体としてもそうなんですが、ああいうふうなきれいなところにこんな立派な橋が架かっていると、それをみんなが見て活用してくれということを全く努力をしてない。要するに、値段を下げる陳情も大事だけど、活用する努力をもっとみんなやるべきだと。それが大変大事であります。地域の人たちに是非そのことを考えていただきたい。それが地域を生かす大きな方法であるというふうに思っております。
 一方、過密の方は大変危険が多い。そのとおりであります。したがって、これから都市の再生、改造、これをもっと本格的にやらなければいけない。東京はもっと駄目にしてもいいのかというと、そんなことは全くないわけで、我が国の国際的な競争を担っている大変大きな部分も東京であります。東京が駄目なところであれば、これはパリともロンドンとも、これはもう勝負に、話にならないわけであります。それが危険なところであると、何かあったら何万人が死ぬようなところというのは、これはもうあっては全くならないことであります。そのための仕事というのもこれから我々がやらなければいけない大変大きな仕事であります。
 そういった意味で、すべてにわたって私は、抽象的な言い方で恐縮ですが、一方では競争をやる、徹底した競争をやる、だけど一方では協調すべきところは協調する。だから、愛媛県と例えば香川県は競争もしなければならない、だけど協調もしなければ。関西空港と中部空港は競争もしなければいけない、だけど協調もしなければいけない。関西空港へ飛んできたお客は関西空港から帰らなければいけない理由は全くないわけで、それは中部空港を通って帰ることが普通であります。
 そういった意味で、協調もしなければいけないということで、これは大変大事であるというふうに思っています。
#17
○参考人(山崎養世君) やはり先ほどの多極分散型の社会、地方の自立、一つはやはり若い人、少なくとも現役世代に仕事が十分なきゃいけない、あるいはそこで新しく自分で仕事を始めることが、やはりこれが十分に成り立っていくということが、やっぱり雇用がその地域で自分からどんどん生まれなきゃいけない。
 これは、中国に製造業が出て、二つの産業が大きく変わらなきゃいけない。一つは観光でございます。これは年間四兆円の赤字です。要するに外に四兆円払っています。もう一つは農林水産業、これは七兆円払っています。合わせると十一兆円でございまして、ほぼ日本の貿易黒字と実は一緒なんですね。今後、エネルギーの輸入は止まらないということは、そこを変えられないとすると、大きく変えなきゃいけないのはこの観光と農林水産業。この二つは、実は隣接領域が当然健康、介護、それから流通と、そういう幅の広い、すそ野の広い領域になってくると。
 じゃ、そういうことを具体的にどこでやるのかという様々な施策があると思います。今正に中村先生がおっしゃられたように、例えば神戸から鳴門までの橋、これはだれも通っていないわけですね。片道やっぱり六千円だと、だれも行かないわけです。
 一つは、当然これをただにする。ただにすることで、今までも申し上げておりますが、実は財政負担が大きく減ります。さらに、財源を地方に全部配分してしまって、余った県がほかに自由に使えるようになれば、財政の再建と、更に一般財源化と効率化も進みます。ただ、もちろん高速道路をただにするだけで進むわけはないのでございまして、先ほども申し上げましたように、例えば農業分野はこれから非常に伸びると私は確信いたします。ただ、農業法人が株式上場ができぬわけですね。
 今既に三十億、五十億ぐらいの売上げがあって物すごい法人が幾つもあります。これは恐らく株式市場に出てくれば衝撃を与えます。田んぼの中、あるいは豚舎の中に何百億円も東京のポートフォリオ会社が頭下げて金出させてくださいと言う。これ今までないわけです。金は東京から何とか恵んでくるものだというのが、東京の背広着た人間が頭下げて何とか出資させてくださいと。これがIPOの世界。それが誇りを生むと私は思います。そういうものを生む、やはり知、脳ですね、能力、頭を使ったそういう産業です。
 実は、農業は最先端の頭脳を使う産業にこれは必ず私は脱皮をしていく。そういう拠点をやっぱりつくるために、先ほども申し上げました例えば郵政資金ですね、もったいないです。なぜもっと中小企業あるいは個人、学生に流れる、アメリカはそれを証券化という形で国債市場と同じ大きさまで育てているんですね。正にこれが官から民にお金を動かす仕組みなのに、日本は、平たく言えば銀行が反対してこの証券化を大きくしてこなかった、郵政もそこを求めてこなかった。こういうもったいないがあるんじゃないかということが非常に大きい。
 そして、もう一つ大きいのは、もうサラリーマンじゃなかったら東京住まなくていいんです。この六十歳代以上の人が日本国の八割の個人の金融資産を持っている宝の山なんですね。地方というのは二つ、だからこのお金を持ったリタイアした人たちの誘致を各自治体が徹底的にやるという、このシニアの誘致構想というのが当然これやらなきゃいけない。一人一人の個人に働き掛ける。
 そしてそれは、実はつながるのが、例えば我々は中国とこれから強くして、いや、中国はみんな行っているから台湾と我々は日本でナンバーワンの地域になるんだと、あるいはロシアとナンバーワンになるんだと、そういうことに思い切って、そのためには、例えば外国人が住む土地の取得もどんどん緩和してあげようじゃないか、ただしそれは厳密な審査をやるよ。そういった形で今度は外と中をやっぱりつないでいく。
 ですから、三点になると思います。若い人が仕事をできる、どんどん仕事をつくれる。二番目はリタイアメント。この人たちがどんどん喜んで東京でリタイアする、こっちが絶対にハッピーになれると。そして三番目は、外国との関係の中で新しいビジネスをどんどんつくっていく拠点は、むしろ東京よりも地方の方に実は潜在的な芽がある。それは、やっぱり鑑真和上が日本に来たとき、あるいは空海が中国に渡ったとき、単にこれは物を超えた何か心を伝えようというものが、非常にそういうものが行われてきた。そこがやっぱり文明の拠点になり、交通あるいはそういう通商の拠点になる、そういうことももう一遍洗い直しをしてみることですね。
 四番目は、やはり心であると思います。リタイアするのは、やはり心の問題というのを、ここはリタイアすることで自分はハッピーに人生を終えられるんだというところをやっぱりつくるということがもう一つ重要な要素になるんじゃないかなと思います。
#18
○参考人(永山利和君) 正確な回答といいましょうか、意見になるかどうか不安を多少覚えておりますけれども、この中央と地方のそれぞれ考え方の食い違いというものが今後の新しい国土形成計画法の中で果たして解消に向かうだろうかという不安を、私も今回のこの法の改正を吟味してみましたときに幾つかそういった不安を強くしているところです。
 その一つの理由として挙げられるところは、今回の計画の地方計画というのを見ますと、首都圏、これはグローバリゼーションに対応する世界的なビジネス活動というものも、ここを一つのネッティングをしていくというそういう特別のポジションにあり、かつ日本の首都機能というものをここに集中している、そういう意味で一つの高い格に置かれているように思います。
 それからもう一つは、中部圏と近畿圏、この二つが、三大都市圏のうちの二つが今回の基本計画をそのまま継続していくということになるようでありますが、ほかの東北、北陸、中国、四国、九州、この五地域につきましては、これはもう廃止するということで、国土軸の中でもかなり重要な位置にあったところがこうした新しい国土形成計画法の中から、その対象が、外れるというのは少し言い過ぎかもしれませんけれども、新しい制度に吸収されていくという形を取りまして、いわゆる広域地方計画というものの方に移行していく形を取るように感じられます。
 しかし、この中で北海道と沖縄は別扱いということで、しばらく現行の状態を続けるという具合に、言わば三層構造に分かれているわけですね。
 そして、そういうものと、それから今日の地方がいろいろ求めている国際的な関係の変化、とりわけアジアの経済発展というものは、これまでの太平洋ベルト地帯を中心としたものから日本海側の、第二次大戦後、遅れて推移しがちであった経済区域にやはり新しい光を投げ掛ける条件が生まれつつあるというふうに感じるわけでありますが、しかしここに一つの問題がありますのは、昨今のこの中国、朝鮮半島あるいは日本をめぐる緊張関係であります。先般も、話はちょっと横にそれますが、中小企業家で中国に進出している人たちの集まりに参加する機会がございまして、そこで先般の一種の暴動、領事館襲撃事件の背景、そういうものを、現地の人たちの実際の姿というのを伺いますと、恐らく新聞で報道されている以上に厳しい現実に直面しているというふうに思います。
 そういうことから考えますと、このアジアの経済的なウエートの高まりとともに、そうしたことに対応する地域の側でのきちんとした自立的な展開が可能かどうかと、この辺に対するやはり基本的な政府の施策がこのままいきますと足りなくなる危険はないだろうかというような気がいたします。すなわち、三大都市圏の重要性は否定すべくもないのですけれども、しかしこれでいきますと、地方計画という具合になっていた五地域及び北海道、沖縄、これにつきましても、三大都市圏と比べてみると、財政投資や事業運営の中での問題が消えるか、又はせいぜいこれを行う場合には大規模プロジェクト、例えば紀淡海峡というものを新しい時代の中でもう一遍つくり直す、そういうような構想が見え隠れするわけでありますが、ますますそれは大型事業に集中し、現実の地域から、工夫を凝らし、時間を掛けて自立的に発展する、そうした地域の活力というものをそいでいくことになりはしないだろうかという危惧を覚えるわけです。
 先般も北海道の十勝地域のある町に、大樹町という町ですが、参りました。この地域は今、北海道の中では農業等で比較的堅調に推移している地域でございますけれども、しかし後継者難、さらには今度ふるさと銀河鉄道が廃線されるということが決まっているそうで、そういう点から見ますと、ここに生きる高校生は、自分の通学手段を失うということがもう既に来年の春からやってくるという事態の中に、それに対応する措置がほとんどとられていない。私たちが新しい国土づくりをするという場合に、こうした活性化がまだ可能な状況にある地域ですらも先に通学の手段を削り取ってしまう。こういうことが、やはり日本の国土計画という点からしますと、日本の若者に北海道で住むなというそういうメッセージを送ったのに等しいことになってしまうことを恐れるわけです。
 やはりこういうものに対する様々な交通手段の対応策等は考えるべきだろうとは思いますけれども、しかし、やはり余りにも中央と地方とのこの隔たりの大きさが、大型プロジェクトに財政等を集中しようとすればするほどそのギャップが広がっていくという危惧を感ずる次第です。
 そういう意味で、地方から自立的に発展する道というのは比較的財政負担も少なく地域の人たちの努力もより多く引き出せるという観点からしますと、やはり国民の持つ発展のエネルギーといいますか、それを引き出す方法を、更に今回の計画法改正に併せてもう少し具体的な展望を与えるようなものにする必要があるというのを感じている次第です。
#19
○佐藤雄平君 ありがとうございました。
#20
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 三人の先生方、今日はありがとうございます。早速質問させていただきたいと思います。
 まず、中村先生からお聞きしたいと思うんですが、今度、国土形成計画ということでございますけれども、何か何とか計画というのは余り、何といいますか、信用できないなというのが率直な感覚なんですね。今、先ほど御説明いただきましたけれども、例えば社会的不安定を招くというところで、若手の流出あるいは地域の高齢化というお話ございましたけれども、今の日本の姿は文字どおりそのような姿になっているなと思いますし、また、これは国土計画ではないかもしれないけれども、例えば旧ソ連のカスピ海とかアラル海とか、綿花とか小麦の大規模な開拓をして要するに湖がなくなってしまってきているという、そんな影響で今日まで来ているんですね。
 何となく計画というのはまゆ毛にしっかりつば付けないといかぬなというような私イメージ持っておるんですが、ただ、先ほど、なぜ国土計画が必要かという御説明がありまして、何となく分かったような気もするんですが、要は、失敗しない計画、どうすれば計画というものは失敗しないで済むのかという、その辺の先生の今のお考えを教えていただけますか。
#21
○参考人(中村英夫君) ありがとうございます。
 計画というのはもう一つ頼りにならないという御意見でございます。
 計画というのは未来のことを議論するものであります。未来というのは我々一〇〇%自信を持って決めるわけにいかないわけで、そういった意味である程度のあいまいさが残るというのは、これは事実であります。だけれども、計画なしに行き当たりばったりでやったらまたこれはむちゃくちゃになるわけで、これは我々個人の生活においてでもそうであります。個人の生活もそうですが、計画どおりいかないことは一杯あるわけで、そのときに何するのかと。そうすると、これを、計画を修正してよりいい方向になるように改めていくことであります。
 これは国の計画でも全く同じでして、いったん計画決めたらそのとおりということは絶対あり得ないわけで、途中で常にモニターして問題はチェックして、こういう手段がまずいとなればそれは修正していくと、そういうふうな方式というのは必要であります。今度の国土形成法というのは、そういうふうなのをはっきり盛り込んでいるというところがこれまた一つの大きな特徴であると言っていいかと思います。
 余り信用できないなんておっしゃらずに、必要なところの修正を掛けるというふうに考えていただければと思います。
#22
○魚住裕一郎君 続いて中村先生にお願いをしたいんですが、今度、広域地方計画区域ということがあるようでございますが、昨年五月の国土審議会調査改革部会報告、国土の総合的点検というのによれば、いわゆる広域区域というのは、人口と経済規模においてヨーロッパの中規模国に相当するというような位置付けであるというふうに承知をしているわけでございますが、また現在、先ほど東北とか九州とかいうようなお話もございますが、自主財源や権限等でまだ到底国とは呼べないだろうなというふうに思います。
 ただ、道州制の議論もこれありで、そういう方向性を志向されているのかなというふうに考えますが、この広域地方計画区域を国相当として位置付けた理由、またその期待どおりの役割を果たすために何が必要か、その辺を教えていただきたいと思います。
#23
○参考人(中村英夫君) 今までの計画というのは、さっき申しましたように、どうしても国、霞が関でみんなで集まって、必ずしも地元の事情に詳しくない方々が集まって議論をしているというふうなことがあった。それに対して大変大きな反省がございます。
 したがいまして、それぞれの地域でもって地域に一番詳しい人が、地域の利害に一番密接な関係を持っている人たちで議論して考えていただくと、我が事として考えていただくというふうにしたいというのが今度の広域計画、具体的な計画は広域計画の中で考えるということの趣旨でございます。
 おっしゃるように、日本というのは小さな国ですが、割に人口や経済規模からいいますと大きな国でして、この広域計画では、大体数百万人から一千万人くらいの規模、あるいは二、三万平方キロからもう少し上というふうなところを考えていますが、それらを考えますと、ヨーロッパを持ってきますと、大きなのでは、これはオランダとかベルギーとかデンマークとか、そういった一国に相当する国ですので、そういった国は、それぞれの地域でもってどうしていくのかというのを真剣に考えて方針をつくっていると。日本としても、それをどうしてもやらなければいけない。一方では、全体としてこの国土のあるべき方向というのは指し示していくということは必要であるというのが今度の計画でございます。
#24
○魚住裕一郎君 もう一問中村先生にお願いをしたいんですが、先ほど対流原理というのがございました。計画作成過程の上と下、それぞれということでございますが、今一方ではユニバーサルデザインということもよく言われますね。健常者の発想だけではなくして、要するに障害者の方々の発想を取り入れて、どのように、例えば交通手段をどう考えていくかということでございますが、今回のこの計画作成過程、いろいろ地域住民の方々の意見を吸い上げる方策も取られていると思いますけれども、自治体とかいろいろあるかと思いますが、そのようないわゆる障害者の方々の意見も取り入れられるような方策も、どのような形で取り上げていくという形になるんでしょうか、今回の法では。
#25
○参考人(中村英夫君) 先ほど申しましたが、対流原理の方ですが、これは国と広域圏だけでなくて、広域圏とそれぞれ地方の自治体の間でも同じことをやっていただくというふうな法案になっているわけでございます。
 そういった中で、いろんな障害を持たれた方、あるいはそれ以外のいろんな立場におられる方がそういうふうな計画の中へ参加していただくということで、それぞれの、それが協議会であるのか審議会であるのか分かりませんが、そういったところにそんな人も参加していただいて、その立場からの御意見を出していただくということになるんではないかと思っております。
#26
○魚住裕一郎君 じゃ、山崎先生にお願いしたいと思いますが、アメリカ依存の経済成長を前提にしたという形ではなくして、全方位外交へという御趣旨でお話しいただきましたけれども、昔よく、アメリカがくしゃみしたら日本は何か肺炎になるみたいな話がございました。ただ、アメリカとの日米のしっかりしたきずなを前提にしながらも、東南アジアを中心にいろんなところとお付き合いしろということで、全く私もそのとおりだなというふうに思うわけですが、ただ、今中国は非常に景気いいし、二〇〇八年までもつかどうかよく分かりませんけれども、ただ不安定要因もかなり大きいし、いろんなところに依存すればするほどこの不安定な状況を醸し出すんではないのか。中国、ロシア、インド、ベトナム、いずれにしても、あるいは台湾にしてもそうかもしれませんけれども、今度中国がくしゃみしたら日本が肺炎みたいな形になりはしないのか。
 そういうふうにならないための頑健な国土形成ということが必要ではないかなというふうに思いますが、それをどういうふうにつくっていくかということになるかと思いますが、その辺は先生はどのようにお考えでしょうか。
#27
○参考人(山崎養世君) 現実に起きておることは、アメリカの企業ですら中国にどんどん出ていくということは、移民国家アメリカですらそうですから、日本が移民をしてもしようがない。現実に経済の方は、もうアメリカよりも中国との、あるいはアジアとの貿易の方が多いと。それが正に私も行き過ぎじゃないかと。日本の中に、先ほどもちょっと木更津の例も出しましたけれども、中国に行く前に日本の国内でもっといい地域があるんじゃないかと。そこを顧みることなく、東京が駄目だったら即外国に行こうというふうな形になっているのが今の過密と過疎の問題のもう一つの大きな側面だと思います。
 今起きている問題は、中国に過度に依存することが非常に危険だということで今インドとかベトナムとかに行っておりますけれども、いずれにせよ、アメリカに依存することはもうできない。特に資源の面では、もう石油でいえば世界の埋蔵量の三%しかない、一方で二五%も使っていますから。ですから、アメリカがかつては資源も全部あり、金も一番持っていて、軍事力もあると。三拍子そろっていたのが、今軍事力しかないということですから、アメリカに依存すること自体がもう実際に成り立たなくなってくる。そうすると、エネルギーでは例えばインドとロシアと仲よくしなくちゃいけない、製造業の現場としてやっぱり中国と仲よくする、ベトナム。そういう多方面とに幾つか分けておくことによって、一つだけ、例えば中国に依存することで中国が、私はこれはかなり今の経済状態危ないと思っていますから、中国が例えばバブルが崩壊したときのリスクをやっぱり分散をしていくという、このリスク分散が片方では必要だと思います。
 ただ、先生も御指摘いただいたように、かつてはアメリカも海外に分散もしたんですが、アメリカの国内でニューヨークからそれ以外の地域に大幅な分散を同時に進めた。そちらの方は日本はやっていないんじゃないかと。東京からの分散をもっと本気でやらないと、やはり非常に大きなリスク、先生の御指摘のとおり私はあると思います。
#28
○魚住裕一郎君 今のお話の中でも木更津というふうに出ましたけれども、私も千葉を中心に回っているものですから、本当に過疎になってきたなというふうに思うんですけれども。
 あのアクアライン、当初の金額から下がりましたよね、三千円にね。どういう現象が起きているかというと、木更津とか千葉の御婦人が千葉市とか東京に行かないで横浜元町に行くわけですよね、お買物に。だから、これがゼロ円になっちゃったらもう悲惨な目に遭うなというのが実感なんですね。また、神奈川の例えばサラリーマンが大黒埠頭にみんな車で集まって一台で通っていくみたいなこともまた反対現象でございますけれども、便利な機能ができると、でかいところが吸収していくみたいなことが実はあるわけで、国の資産とも、本当に大事な資産であるアクアラインをゼロ円にしちゃったら、これは地域経済は逆に悲惨な状況になるんじゃないかなと思いますが、その点いかがですか。
#29
○参考人(山崎養世君) そちらの流れもあると思います。ただ、やはり大きいのは住むということ、会社をつくる、そういうことを考えたとき、地価が銀座は坪一億円あると、こちらは三万円だと。同じ百億円あったらどっちにホテル造りますかということになると、銀座だと百坪買って何も残らないですね。ですから、そういう価格というのが必ず片方では起きていくと私は思っております。
#30
○魚住裕一郎君 もう時間がほとんどございませんが、永山先生に一問だけ。
 地域再生のための公共事業の役割、随分額がもうぐぐっと六割方落ちてしまいましたけれども、本当に地域の建設労働者等を考えた場合に、大変な地域経済に大きな影響を与えているんではないかと思いますけれども、ただ一方で、この財政状況とか人口減少状況を考えるとなかなか難しいなと思いますが、その点お考えをお示ししていただければと思います。
#31
○参考人(永山利和君) ただいまの御質問は、今の公共事業費が減少せざるを得ない状況の中で現在の地域経済あるいは建設産業の再生をどのように果たしていくか、こういう御趣旨かと思います。私は次のように考えているわけです。
 現在までの、特に九〇年代の日本の建設業への投資というのは非常に過大なものがあったというふうに思います。それは、ある意味でバブルの崩壊をいかに軟着陸させるかという手段としてかなり長期にわたり異常に膨らませてその建設投資を行わざるを得ないと判断されたと、ここに一つの根拠があったと思います。したがいまして、いずれバブルの傷をいやすことが、今ある程度それに近い状態に再生してきているとすれば、やはり公共事業が一定の縮小期に入るということはこれは避け難いことだというふうに考えていますし、またそれが必要でもあろうと思います。
 しかし、日本の公共事業の大きな特徴は、やはり新規投資が非常に大きいというこのことに大きな特徴があるわけでして、国土の条件あるいは自然の気象あるいは地殻変動の激しさというものを踏まえたにしましても、日本の建設物の耐用年数というものが異常なほど短い、あるいは人為的、政策的に使い捨てられている、したがって建設残土等が非常に多いという、そういう状況さえも生まれているわけですので、一種の過剰投資状況がつくられていたと思うんです。
 そこで、建設産業の今後の在り方というものを考えていく場合には、やはりできるだけ長期にわたって使い回しが利けるような設計やらその運用の仕方というものを考えて、そしてその工事の中身でいえば新規工事よりも補修あるいは改修、そういうもののウエートを高めていく必要があるんではないか。それから、そうするためにも、構造あるいはその使うべき素材、こういうものについてやはりもう一度国土の条件に見合ったものを改めて検討していく技術的な対応も必要なのではないかというふうに思っております。
 そういう点でいいますと、ある程度新規投資というものあるいは大型公共事業というものを抑制して、そして、ここしばらくというのは二十年ぐらいだと思うんですけれども、こうした大型公共事業というのは抑制しながら、これまで造ってきたものの使い回し、そういうものを丁寧に行い再生させることによって、現在の建設産業で働く労働者あるいはそこで事業を行っている人々、そういう者の打撃をできるだけ少ない形でこれを地域経済の方に波及させていくというような、そうした新しいソフトランディングの対応が必要なんではないか。それは新規投資で事業拡大するのではなくて、むしろ既存のものをいかに使い回しするかと、そういうことを重点にした新しい建設市場の再編というものを考えていく時期に来ているというふうに考えております。
#32
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
#33
○委員長(田名部匡省君) 参考人の皆さんにお願いしますが、速記取っておりますので、一回一回挙手をして発言していただきたいと思います。
#34
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
 お話の中で、地域格差あるいは国土の均衡ある発展というこれまでの目標についての言わば未達成という点について、それぞれニュアンスの違いはありますけれどもお話がありました。特に、山崎参考人、永山参考人からはかなり厳しい指摘があったわけですが、この問題について、まず中村参考人にお尋ねをしたいと思うんです。つまり、問題が一層深刻なのではないかということなんですね。
 私は九州の出身なんですが、現実に住み続けることができないという地域が、かつて過密過疎と言われた時代より更に一層広がってきているということを痛感をしています。その中で、銀行が撤退をし、農協や漁協が統廃合をされてお年寄りが預金を下ろせない。今度は郵便局がねらわれる。一方では、大型店が進出をする中で、生活圏域の中では生鮮食品さえ買うことができないと。一方では、大量の失業があり、不安定雇用があり、所得格差があると。そういった状況、私、現実に広がっていると思うんですね。
 その中で、今度の法改正によって選択と集中というキーワードが語られています。この選択と集中という言葉を、この過疎と言われるその地域に住んでいらっしゃる国民、住民に政府がどのように説明をされるのか、私は極めて心配をしています。
 一方で、国土の保全の関係で申しましても、山に入って枝打ちをする、あるいは田畑で土をいじるというこの行為が都市の空気やあるいは環境も守ってきたという関係があるわけで、この中でのその選択と集中という考え方について参考人の御意見をお伺いをしたいと思います。
#35
○参考人(中村英夫君) 今もって過疎の問題は極めて深刻であるということはおっしゃるとおりでございます。これが、その格差という点では過去、かつてよりも悪くなったかというとこれはまた私は意見は別でございますが、あのまま放置しておくよりもはるかに良くなっていることは間違いないというふうに思っております。ただ、今もって深刻な問題であるというのは議員が御指摘のとおりでございます。
 これに対して、これから我々は本当に真剣にもっと手を打っていかなければいけないということもそのとおりでございますが、それをともかくそれぞれの地域でもってどうすればいいのかというのも是非計画案として出していただくというのが、これが大変大事であると、それを国全体としてサポートしていくという体制にするべきなのだというのがこの国土形成法の骨子であると言っていいかと思います。
#36
○仁比聡平君 中村参考人、今後も様々な場面で国の政策にかかわっていかれるのではないかと私思いますので、是非、この国土計画が決して地域選別計画になってしまわないようにということをこの場をおかりして要望しておきたいと思います。
 続いて、山崎参考人にお尋ねをしたいと思うんですが、状況の認識をこれまでたくさんお伺いさせていただきました。その中で、政策の決定システムといいますか、この問題について冒頭の御発言の中で、多面的な地域のニーズの集約化をどうするのかという問題意識を示されて、どうすれば衆知を結集できるのかというテーマもお話がありました。
 今度の国土形成計画法については、これまでもお話があっていますように、広域地方計画をその地方計画協議会が作るとされていて、この地方計画協議会の原始メンバーというのは都道府県と政令市ということになっております。例えば九州でいいますと七県の県知事と福岡市、北九州市の市長という形が原始メンバーということになるんですが、こういったその協議会について山崎参考人はどのように思っていらっしゃるか。併せて、議会や国民の関与、それから情報公開、外部評価等の問題について御意見をお伺いしたいと思います。
#37
○参考人(山崎養世君) これはいろいろな議論があるんだと思うんですが、やはりその県あるいは政令指定都市というのでは、一言で言えばちょっと単位として実際にやるのには大き過ぎるんじゃないかと。これは、基礎自治体というので三百とか、あるいはかつての藩の時代、二百幾つと。ですから、本当に有効性を持たせるためにはもう少し、むしろ県を幾つか割るような単位で考えなきゃいけないのじゃないかということと、来年、都市計画法の、あるいは都市田園計画法というんですか、改正も予定されているようですから、そういうところとやはり整合させなきゃいけないことになるんじゃないかというふうに思っております。
 そして、一言で言えば、予算を減らすといいますか、予算に対する費用対効果を、情報公開をして、費用対効果を上げたところがやはり報われるシステムを、平衡化も片方で必要ですが、入れておかなくては実際に実効性がないんじゃないかと思います。
#38
○仁比聡平君 ありがとうございました。
 永山参考人にお尋ねをしたいと思うんですが、今の山崎参考人の御趣旨も一部そうなのかなと思うんですが、私自身は政策形成におけるボトムアップというものをどう考えるのかということがすごく大事なんではないかと思っているんです。
 先ほど、冒頭の御発言の中で、永山参考人が幾つかの県でのこれまでの地方計画の策定に関与をしてこられたというお話がございました。その中で、全総時代の地方計画というのを県が策定する上でかなりの困難があるというような御認識を示されたのではないかと思います。これまでのといいますか、現在の日本の政策決定のシステムの中で、地方がそのニーズを満たすための計画を立てることがどうして困難なのか、何が壁になっているのか、その辺りを御紹介をいただきながら、少し時間ございますのでお話をいただければと思いますが。
#39
○参考人(永山利和君) なかなか深い問題ですので、全部を正しく答えているかどうか不安がございますけれども、これまでの経験から申しまして、日本のやはり国家の在り方といいましょうか、あるいは国家が取る政策形成の進め方というのは、やはりトップダウン型の運営がなされてきたということは一つ大きいと思います。
 特に、各地方計画を実際に外側からではありますけれども手掛けてまいりますと、やはり何といいましても国の上位計画にいかに地方の計画を接合させていくかという、そこのテクニックが非常に重要な課題になってまいります。それは、主に各省庁のそれぞれ目指している基本的な方向、それは、場合によるとその時々の経済計画であってみたり、あるいは各全総計画等の中にそれぞれの省庁が描いている一つの方向性にどれだけ寄り添っていけるかと、そういうものを発掘して、そこに地域の持っている様々な人的あるいは自然的資源をアクセスさせることが可能かという、その筋立てを見付けるということが非常に大きな地域の経済的・社会的発展を浮揚させるきっかけになっていくというふうに考えて進めてきたんだろうと思います。
 そういう考え方も一つのアクセスの道ではございますけれども、しかし、やはりかつて日本は、地方分権というか、封建制度の中で地方分権を進めて、その中でたくさんの地域の産業の掘り起こしあるいはその地域での工夫、そういうものがたくさんなされてきた国の一つだろうと思います。そういうものが新しい近代国家の成立の中でどれだけ生かされたかということになりますと、やはり近代国家の集中的な、集権的な体制というものの中でかなりゆがめられてきた面も少なくなかったというふうに思います。
 それが、戦後果たしてそうしたゆがみが是正されてきたかというと、これが全総計画あるいはそれ以降の幾つかの計画の中で、やはり中央国家の強い集権的な方法というものに吸い寄せられて、いかにそこに寄り添っていくかという、そういう形の事業運営に陥らざるを得なかった。これは、財政上の一つの中央集権的な体制あるいは地域での自立的な財政運営を可能にすることに対する制約、そういうものが相まちまして、そして地方での自立的な計画作成や発展方向を模索し、またそれを中央がそれなりにつないで、そして全体計画に調和を持たせるというようなことが少なかったんだろうと思うんです。
 したがって、逆に、一つの中央政府の政策、例えば産業について言うと、重化学工業化あるいは知識集約産業化、その時々のスローガンにどのように地域がアクセスするかというそのことが発展のきっかけをつくるというふうに地方では信じて、そしてそこに向かって中央から地方への流れという、あるいは陳情合戦。したがって、そこから出てくる承認される計画はほぼ同質的なものになり、したがって過剰投資、あるいは二重、三重投資というそういう結果を招いてきて、そして、例えば港湾でいえば、神戸、横浜、東京等を除くとほとんどの港湾が経営上赤字になるというような状況があるにもかかわらず、とにかく大きな港湾が欲しいというようなことをしゃくし定規にやってきた。そういうものをまた建設業、あるいはそういうものに関連する事業者がそのことをむしろ積極的に利用してきて、今日のような巨大な財政赤字というものにつながる一つの要因になってきたんじゃないかと思うんです。
 そういう意味では、もう少し地域の特性や自立性を生かすことによって、これらの過去の経験というものを反省して、そして今回の計画も、この全体計画もさることながら、地域の、あるいはもう少し小規模の自治体での開発あるいは経済発展の方向性というものをできるだけ自立的あるいは自主的にやれるような、そういう方向を強めることが必要なのであろうというふうに私は思っているわけです。
 ですから、世界的な規模でだけ競争する産業を志向するだけではなくて、それも全く不要とは申しませんけれども、しかし地域が生きていく道は非常に多々ございますから、そういう意味では、それぞれの地域が独自に発想して、山崎さんもおっしゃっておられるように、国内でどれだけ自立的に経済社会の運営を組み立てていけるか、そういう競い合いというものを積極的に新しい国土形成の方向として、そうした内発的な発展をもう少し促進できるようなものに多くの支援やそのヒントを与えていくということが国の役割ではないんだろうか。強くなるものだけ強くするというそういう方向で国土を運営していきますと、格差の拡大というものが起きてきて、これまで以上の中央対地域の格差拡大という問題や、それから中央志向というものに陥っていく危険が更に拡大されるおそれがあるんじゃないかというふうに考えています。
   〔委員長退席、理事佐藤雄平君着席〕
#40
○仁比聡平君 本当は今のお話に、山崎参考人の御意見もお伺いをしたいところでしたが、時間がなくなりましたので、ここで終わらせていただきます。
 本当にありがとうございました。
#41
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 三人の参考人の先生方、大変今日は長いこと御苦労さんでございます。今日、皆さん方の御意見を聞いて、三人の方々、なるほどだなと、そうだそうだと思いながらお話を聞かさせていただきました。
 そこで、印象的に申し上げますと、三人の参考人の方々が述べられたことは、この法案自体、国土交通省で議論するには少し無理があるのではないか、もう少し高い次元で議論をするべきではないかというようなお話ではなかったのかなと、こういうふうに実は思ってお話を聞いておりました。
 そこで、まず中村参考人にお伺いをいたしますが、現在まではやはり均衡ある国土の発展、そして地域間の格差というのをできるだけ縮小しようと、こういうことであったのは、これからはやはり地域間の競争を通じてそういうものをなくしていく努力というのが大事ではないかと、このように言われたのではないかと私は思いました。その結果として、地方は自分で考えなさいと、こういうことになって、結果的にやはり競争と協調というところのバランスが非常に大事ですよというふうに言われたのではないかというふうに、国土の発展というのはそういうものではないかというふうに言われたように思いました。
 そこで、やはりこれから先、格差縮小や地域間の競争を行っていく場合に地域、地方に足りないものは一体何かといえば、人と物と金ではないかというふうに思うんですが、この流れを変えない限り、私は、やはり地方はなかなか自立できないのではないかと、このように思っておりますので、人、物、金の流れをどのようにして変えようとされるのか、お考えを示していただきたいと思っております。
 それから、山崎参考人には、やっぱり国家の目標のつくり方、それから国の政策の在り方というものを根本的に変えなくてはならないのではないか、それはどういうふうに変えていくのかといった場合に、外交だとか経済だとか我が国の人口動態だとか歴史も含めて考えていくべきではないかというふうに言われたわけですが、私は、やはり我が国を見ていく場合に、昔の藩制度ですね、これはやっぱり地域社会において一つの重要な役割を今も果たしているのではないかと、このように思うところです。ですから、市町村合併などが大変、まあ今は進んでいますけれども、うまくいかなかった理由の中には、昔あった藩制度の名残みたいなのがずっと地域には根差している。そこのところをどのようにして崩すかということも一つは大事ではないかというふうに思うんですが、なかなか崩れない。そういうような地域性が崩れないところに発展の阻害があるのではないかと私は思っているんですが。
 そのときに、我が国は、地域よりも、日本の地方よりも先に、中国が安ければ中国に行くわ、韓国が安ければ韓国に行くわということで、外国にすぐ目を向けて出ていっていると。やっぱりそこのところをどのようにして改めさせるかというところが最も大事なことではないか。そのときに、高速道路料金の無料化ですか、これを先生提言をされたわけでございますけれども、そこの発想というのは非常に重要なことだと思うんですが、そこら辺りのところをもう少し地域の政策づくりと関連させて、我が国の中で地域をどのように発展をさせていくかということについてお示しいただければと、このように思っているところです。
 それから、永山先生にお伺いしたいのは、やはりこれから先、中央集権国家から地方分権国家へ変わろうとしているときに、やはり国土の形成の在り方というのが問題ではないかと思うんですが、そのときに様々な社会的な条件をお話をいただきました。
 とりわけ、外交問題、平和の問題、民主主義の問題、それから地域住民の自治意識の問題等含めて考えなければならないというふうに言われましたけれども、やはり今、自動車社会、情報化社会になって、非常に地域が狭められてきている。しかし、そこで生活をしていく人々の生活者の視点でのこういう国土の在り方というものについてどのように考えられておるのか。やはりもう少し生活者の視点での分析というものが国土計画をしていく場合に必要ではないかと思うんでありますが、その場合に、自発性だとか自立性だとか自主性だとかをどう引き出していくかというところが最も大事なことだというふうに言われまして、その社会の民主主義の発展の度合いというものが非常に重要なことではないかというふうに言われましたが、これから先の地方分権型国土形成の在り方等についてどのようにお考えになっておられるのか、御説明いただければと思います。
   〔理事佐藤雄平君退席、委員長着席〕
#42
○参考人(中村英夫君) 今の議員からの御質問といいますか御意見は、人、物、金の流れをもっと変えろということのようでございます。ただ、それはまずもって不可能な話であろうというふうに私は思います。
 ドイツの伝統的な国土計画で、ちょっとドイツ語で恐縮ですが、ボーデンシックザールという言葉があるんです。ボーデンというのは土地です。シックザールは運命。土地の運命から人々を解放するんだということであります。大変な地方に、へんぴなところに生まれたからその人が不幸になるなんということは、これは許せないんだと。そういうようなことから解放するんだというわけであります。
 それはどんなことかといいますと、大変へんぴなところに生まれ育ったと、だからそこも、東京のといいますか一番豊かなところと所得を同じようにするなんて、そういうような形のことは、これは考えてもおよそ不可能な話であります。それよりも我々としてやるべきは、どこに生まれたってその人の持つ幸福感、満足感というのは同じようにするんだと。
 例えば、少々所得が低くても、そこには美しい山野があって健康な生活を送れるというふうなこと、そういったものが必要なんだと。それが、所得は少ない、年寄りばかりで大変災害も多いと、そういうふうなことではあっては困るんだと。そういうような意味で人々の持つ満足感というものの格差をなくすというのが国土計画の最大の目的であると、そういうふうにしようということでございます。
 先ほどから高速道路の料金の話が盛んに出ていますが、高速道路の料金を全部無料にしたからといってそういうふうな方向に進むなんということは、私には全く思えないわけでございます。今、高速道路の料金というのは、有料化というのはもう、今まで無料でやってきたヨーロッパの国々でもほとんどみんな有料化の方向でございます。
 ただ、そのとき一つ、山崎さんのおっしゃるような方向ってあり得るということは、地域によってその料金というのを一律でなくて変えていくということであります。イタリアなんというのは日本と同じように大変格差の大きな国でありますが、そういった国ではそういうふうなことも以前からやっているということを付け加えさせていただきます。
#43
○参考人(山崎養世君) 先生御指摘いただきましたように、やはり国家目標のつくり方が八〇年代の終わりまでとは非常に変わってきたんじゃないか。それまでは、世界第二位の工業国家を維持するという、比較的単純であった。アメリカを見ればよかった。それが、やはり年金を始めとした高齢化社会の問題に対応しなきゃいけない、そして複雑な外交関係にも対応した上で食料問題、エネルギー問題にも対応していく、そして人口動態に対応するということですから、正に決め方として、国家目標としてやはり全政府的に取り組んでいくことじゃないかなと。そうでないとやはり正解が出てこない。そして、国土の均衡ある発展という、最終的な過密過疎の解消に至らないんじゃないかと思います。
 あと、それをどのような単位にするのか、難しい問題だと思いますが、まあこれは藩なのか、それとも、もっと言えば、例えば選挙区なのか、小選挙区なのか、どういう単位が最も責任と権限が一致できるのかということをそろそろ確定をすることと同時になるのかなというふうに思いますが。
#44
○参考人(永山利和君) 正確な答えになるかどうか不安ございますけれども、おっしゃるとおり、国土形成の在り方というものには、一つの大きな枠組みと併せまして、それぞれの地域の特性や歴史、文化、そういうものが深く重なり合っているというふうに考えております。
 したがいまして、なかなか中央から一律で、ある方向性を出すというのはなかなか難しいところがございますけれども、先ほど冒頭に申しましたように、とはいえ、やはり日本のこれまでの流れから見まして、下から国民自身がどのようにその地域あるいは国の在り方まで考えていくか、そういうものと、それから、行政や国会あるいは司法、そういうところがうまくそういう議論の中にかみ合いができるかどうかというところが非常に重要なポイントになっているというふうに思うんです。
 特にこれまで不足してきましたことは、やはり日本はどちらかというと政府が先に国民をリードしていくという、そういう対応が強かったのに対して、国民の側もこの戦後六十年かなり様々な面で訓練を受け、またその国のありようについての議論も見えてきた。そういう中で、できるだけ多く、中央と地方をどうつないでいくのか、そういう訓練が本格的になされなければならない時期に、どうもうまくこれがかみ合わなかった。
 経済の方も、どうもオイルショック以降多くの問題を抱えるようになってくるというようなことや、生活者の視点も、どちらかというと生活優先よりも雇用とか、そうした稼得機会をどうつくるかということに引きずり回されてきて、生活の質というものを余り強く考えないような状況がつくられている。その意味で、今日改めて、高い成長率ではないところでどのような国土経営や生活設計をしていくかという長期的な論議をするにはいいタイミングであろうと思うんです。
 そういう点では、できるだけ、従来の日本の国家形成が明治以降はずっと中央集権型で来ているのに対して、ここで一度分散型に振ってみるという試みは、私はある意味でプラスの面が少なからず出てくるだろうと。
 そのときに、しかし一つ考えなければならないことは、日本列島は非常に弓のように長い地域でございますから、生活の在り方や産業の在り方というものをそれぞれ多元的に追求できるような仕組みをつくっていくことが大切で、その意味では、中央計画と地方計画の組み合わせ方というものが大変国土形成の在り方に重要な意味を持ってきて、それを行政あるいは司法あるいは経済政策、そういったものがどういうふうにかみ合っていくのかという、この仕組みを特に議会等を通じてもう少し議論していく必要があって、その議論に、実は日本国民全体が積極的に自治に参加するという訓練の度合いにおいてはやや生活に走らせ過ぎてしまって、それでゆっくり考えるいとまがない状態で改革が次々となされてくると。
 したがって、五回の国土計画に対して十数回の経済計画というのが出てくるわけで、この絡み合いなどについてやはりきちんと再学習をして、国民自身の国土づくりや政策形成に与える基本的な議論の時間をもっとつくって、そして、こういったところで議論している論点をできるだけ多くいろんな場所で討議するような機会を増やしていくことを通してそれぞれの地域を守り立てていく、そういったエネルギーを結集していくような努力が求められているんじゃないかというふうに思います。
 そういう点で、このような国土総合開発にかかわるような議論をもっと幅広く時間を掛けてやっていくということも、そうしたエネルギーを引き出す上で大切なのかなというふうに思っている次第です。
#45
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
#46
○委員長(田名部匡省君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。今後、皆様方の御意見を委員会の審議の中で十分活用していきたいと存じます。
 委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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