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2005/04/12 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 経済産業委員会 第9号
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2005/04/12 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 経済産業委員会 第9号

#1
第162回国会 経済産業委員会 第9号
平成十七年四月十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任   
     田  英夫君     近藤 正道君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 昭郎君
    理 事
                泉  信也君
                加納 時男君
                小林  温君
                藤原 正司君
                渡辺 秀央君
    委 員
                魚住 汎英君
                沓掛 哲男君
                倉田 寛之君
                保坂 三蔵君
                松田 岩夫君
                松村 祥史君
                加藤 敏幸君
                木俣 佳丈君
                直嶋 正行君
                平田 健二君
                藤末 健三君
                浜田 昌良君
                松 あきら君
                近藤 正道君
                鈴木 陽悦君
   国務大臣
       経済産業大臣   中川 昭一君
   副大臣
       経済産業副大臣  保坂 三蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        世木 義之君
   政府参考人
       資源エネルギー
       庁長官      小平 信因君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院長     松永 和夫君
   参考人
       美浜発電所三号
       機二次系配管破
       損事故調査委員
       会委員長     朝田 泰英君
       関西電力株式会
       社取締役会長   秋山 喜久君
       関西電力株式会
       社取締役     辻倉 米蔵君
       電気事業連合会
       会長       藤  洋作君
       三菱重工業株式
       会社取締役社長  佃  和夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (関西電力株式会社美浜発電所三号機蒸気噴出
 事故に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、田英夫君が委員を辞任され、その補欠として近藤正道君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤昭郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に資源エネルギー庁長官小平信因君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(佐藤昭郎君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、関西電力株式会社美浜発電所三号機蒸気噴出事故に関する件を議題といたします。
 政府から報告を聴取いたします。中川経済産業大臣。
#6
○国務大臣(中川昭一君) おはようございます。
 昨年八月九日に発生いたしました関西電力株式会社美浜発電所三号機二次系配管破損事故につきまして、事故調査委員会に十回にわたる熱心な御審議をいただき、三月三十日の最終回には私も出席させていただきまして、事故の根本原因と、それを踏まえた再発防止対策を含む最終報告を受け取りました。
 私は、事故の翌日、現場を視察いたしましたが、この事故は原子力発電所で例を見ない深刻なものであり、国としても重く受け止めております。
 改めまして、亡くなられた五名の方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被災された六名の皆様、そのうちお一人の方はまだ入院中というふうに聞いておりますけれども、心からお見舞いを申し上げます。
 今回の事故の直接的な原因は、事故のあった配管が点検リストから記載漏れしていたため、この配管が減肉していた事実を長年見落としてきたことでありました。
 しかし、最終報告におきまして、事業者の不十分な保守管理体制、品質保証体制が事故の根本原因であり、その背景として事業者に安全文化のほころびがあると指摘されたことは、経済産業省といたしましても非常に重要であると考えております。
 このような認識の下、事故調査委員会の場で私から関西電力の藤社長に対して、関西電力がプラントオーナーとしての責任の重大さを自覚し、緊急に保守管理能力を向上させ、外注管理を徹底するよう要請いたしました。また、藤社長がリーダーシップを発揮して、再発防止行動計画に盛り込まれた各種の安全対策を確実に実現することを改めて強く要求いたしました。
 経済産業省といたしましては、関西電力の再発防止対策が実行され改善が図られるか、特別の保安検査等により厳格に監視していくこととしております。
 次に、製造メーカーであります三菱重工業につきましても、原子力施設の建設・保全の中核を担うメーカーとしての自己規律を欠いた行為があったと考えております。同社の再発防止対策、社内改革活動が確実に実施されるか、厳しく注視してまいります。
 また、関西電力以外の全原子力事業者に対しましても、保守管理・品質保証活動の徹底を改めて強く指導いたします。
 一方で、我々経済産業省といたしましては、今回の事故を重大なものと考え、原子力安全規制の検証と課題の抽出に真摯に取り組んでまいりました。その結果、配管の肉厚管理の具体的方法を各事業者にゆだねてきたことが不適切な運用を招いた一因であるとの反省に立ち、昨年十二月の電気事業法施行規則の改正、本年二月の通達の発出により、国の要求事項を明確にするための措置を講じたところであります。
 また、一昨年十月に施行されました新たな検査制度の下、事業者の品質保証活動の検査を開始いたしましたが、私は、今回の事故の教訓を踏まえ、検査方法の継続的な改善に努め、実効性を高めるよう、原子力安全・保安院長に対し指示したところであります。
 私はかねてより、原子力推進の大前提は安全の確保と御地元の御理解であると申し続けております。このような考えに立ち、最終報告及びそれを踏まえた対応につきましては、御地元の福井県や美浜町に原子力安全・保安院長のほかの職員を派遣して説明に当たらせているところであります。私自身、昨年十二月にも福井県を訪問して、西川知事さんに立地地域が被った様々な影響に対する国の対応を説明申し上げたところでありますが、今後とも、御地元の皆様を始めとして国民各位に対し丁寧な説明に努め、御理解を得たいと考えております。これらにより、原子力の安全に対する国民の信頼を回復してまいることこそが私の責務であると心得ております。
 以上でございます。
#7
○委員長(佐藤昭郎君) 以上で政府からの報告の聴取は終了いたしました。
 次に、参考人から説明を聴取いたします。まず、朝田参考人。
#8
○参考人(朝田泰英君) 朝田でございます。おはようございます。
 それでは、ただいまから事故調査委員会の報告書の要点を御説明申し上げます。
 この大要はただいま中川大臣から御説明いただいたとおりでございますが、事故発生の翌日、八月十日でございます、昨年でございますが、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の下に美浜発電所三号機二次系配管破損事故調査委員会が設置されました。以来、十回の審議を行ってまいりましたが、この委員会の目標は再発防止対策を検討することにございまして、当然、その前提といたしまして事故原因の調査も行いました。
 十回ほど審議をいたしまして、先月三十日、最終報告書を承認いたしまして、これを中川大臣に御提出したところでございます。この報告書は皆様お手元にあるかと存じます。
 まず、第二章でございます。
 ここでは、関西電力の事故発生時の初動対応等について検討しております。
 初動対応がおおむね適切であったという結論になっております。なお、事業者から医療機関等へ直接連絡する仕組みがございませんで、このために幾つかの課題もあったと、こういうことを指摘しております。この点につきましては、原子力安全・保安院等関連機関は、救急活動の担当省庁との緊密な連絡を図る等、あるいは初動対応マニュアルを整備するなど、対策の充実強化に努めるとしております。
 第三章でございます。
 ここでは、事故がありました配管の破損メカニズムといたしまして、これがいわゆるエロージョン・コロージョン、腐食・侵食と申しますが、こういう事象が起きまして、そのために管の肉厚が次第に薄くなりまして、通常の運転圧力に耐え切れなくなってついに破断したと、こういうものであると推定しております。こういう破損の状況というのは、これまで十分研究あるいは運転経験で承知されているところでございまして、特に新しいことはございませんとしております。
 第四章でございます。
 ここでは、二次系配管の肉厚管理の状況について調査いたしました結果を説明しております。
 事業者の自主点検にゆだねられてきたところでございますけれども、二次系配管の肉厚管理は事業者の自主管理にゆだねられてきたところでございますが、関西電力ほか複数の事業者におきまして、この配管管理指針の不適切な運用あるいは適用があったということが分かっております。保安院ではこの点につきまして反省をいたしまして、昨年十二月省令改正、そして本年二月、通達を出しまして、要求事項を国の基準として明確化しております。
 第五章でございます。
 ここは大変重要なところでございますが、まず、保安院は、事故の原因、根本原因を解明するために調査を行いまして、その結果、関西電力、三菱重工業及び日本アームの品質保証に関する調査の結果、調査をいたしましたその結果を書いております。
 関西電力と三菱重工業の間では配管管理に関する知見の共有ができている、こういう思い込みがありまして、両者とも事故があった部位が点検リストから登録漏れをしていたという事実について十分認識をしていなかったということがございます。また、外注先が登録漏れを発見した際の報告義務を定めていない等々、関西電力の外注管理が不十分でございまして、このため、登録漏れが見逃され続けていたということを結論付けております。さらに、関西電力では、配管の肉厚が技術基準を下回る場合でも、運転再開の遅れを恐れまして技術基準を独自に解釈して補修を先送りしていたと、こういう事実が分かっております。
 この点につきましては、関西電力及びこの件に関与いたしております三菱重工業におきます安全文化の劣化、こういう言葉を使いますけれども、これを示す大変大事な問題であると考えております。
 また、この章では、関西電力及び三菱重工業の再発防止対策とその評価を記述しております。
 関西電力からは、安全確保を最優先するという社長の宣言が出されました。この宣言の下、五項目の基本行動計画が挙げられております。また、三菱重工業からは、プラントの高経年化対策及び社内改革運動が示されております。いずれも一定の評価ができるものであるという結論を得ております。
 ただ、これをもって問題が解決されたと判断するのは時期尚早であると考えております。今後、再発防止対策が適切に履行されることが重要でございまして、原子力安全・保安院といたしましては、関西電力に対し特別な保安検査等で厳格にフォローアップし、また、三菱重工業には国内唯一の加圧水型原子炉メーカー、軽水炉メーカーとしての自覚を持って安全確保に取り組んでいただくことを期待しております。
 第六章でございます。
 今回の事故は、平成十五年十月に導入されました事業者の品質保証活動を国が検査する新たな検査制度の重要性を裏付けるものであると考えております。保安院では、検査が効果を上げるよう不断の改善努力を行い、各事業者の品質保証活動を監視していくこととしております。
 このほか、この章では、原子力発電所の高経年化に対する対応、労働安全に関する取組、事故の社会的・地域的影響とその対応の必要性についても指摘しております。
 最後でございます。第七章でございますが、これは報告書の総括でございます。
 原子力安全規制の在り方を絶えず謙虚に省みていくことが保安院の責務であるとしております。保安院は、国民との対話を重ねつつ、安全規制の継続的改善を図り、原子力安全への信頼の確保・維持に努めていくこととしております。
 以上が、関西電力株式会社美浜原子力発電所三号機二次系配管破損事故についての最終報告書の概要でございます。
 大変失礼いたしました。
#9
○委員長(佐藤昭郎君) 次に、秋山参考人。
#10
○参考人(秋山喜久君) おはようございます。関西電力の秋山喜久でございます。
 本日は、私どもに改めておわびと御説明をさせていただく機会を賜り、恐縮しております。
 先生方にはよろしく御指導を賜りますようお願い申し上げます。
 このたびの弊社美浜発電所三号機の極めて重大な事故につきましては、大変申し訳なく思っております。
 尊いお命を亡くされました五名の方々の御冥福と、重傷を負われました方々の一日も早い回復を心からお祈り申し上げております。
 被災された方々、御遺族、御家族の皆様には心からおわびを申し上げますとともに、誠意を持ってでき得る限りのことをさせていただきます。
 また、日ごろから発電所の維持運営に御協力をいただいております協力会社の皆様や、地元美浜町を始め福井県の皆様、隣接の府県の住民の皆様方、国民の皆様、さらには、国、地方の自治体並びに関係の御当局、そして各界各方面の皆様に大変御迷惑をお掛けいたしました。この場をおかりいたしまして改めて深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
 先ほども朝田委員長から御説明がございましたように、先月三十日の国の第十回事故調査委員会で報告書が取りまとめられました。その中で、今回の事故を回避できなかった原因は、関西電力、三菱重工、日本アームによる原子力施設の不適切な管理があることが明らかになった、すなわち、事故のあった配管の点検リストからの記載漏れにより、当該配管が減肉していた事実を長年見落としてきた過誤が事故の直接原因であったこと、さらには、各社の不適切な保守管理・品質保証活動が事故の根本原因であり、その背景には、社内での安全文化のほころびがあったことが判明したとの厳しい御指摘をいただきました。
 弊社といたしましては、原子力発電所を設置し、運転、管理する者としての責任を痛感しております。
 私ども経営者は、これまでも常に、業務を遂行する上で安全は大前提であると従業員に繰り返し強調してまいったつもりでございましたが、しかし、現在第一線にまで安全文化を浸透させられず、このような厳しい御指摘をいただく状態にあったということは、弊社設立以来の危機的状況であるとの認識をしており、経営者としてざんきに堪えず、重大な責任を感じております。
 何よりも、弊社にとりましては、原子力発電の安全を確実なものにしていくことが最大の使命であり、最重要の経営課題であります。そのため、このたびの事故を真摯に反省し、「安全を守る。それは私の使命、我が社の使命」との社長宣言の下、初心に返り、原子力の安全文化を一から構築し直してまいります。
 そして、次の五つの基本行動方針、一、安全を何よりも優先します、二、安全のために積極的に資源を投入します、三、安全のために保守管理を継続的に改善し、メーカー、協力会社との協業体制を構築します、四、地元の皆様からの信頼の回復に努めます、五、安全への取組を客観的に評価し、広くお知らせいたします。この基本行動方針の下、だれが、何を、どのように、いつまでに行うか具体的に示した行動計画に従いまして、再発防止対策を確実に実施してまいります。
 このことを、この場をおかりいたしまして、私からも国民の皆様に改めてお約束申し上げる次第でございます。
 今回このような重大な事故を起こしてしまい、被災者の方々に大変申し訳ないことをし、国民の皆様に御心配、御迷惑をお掛けして、原子力に対する信頼が裏切られましたこと、また、長年、管理指針の不適切な運用が行われたことに関する責任の取り方につきましては、会長、社長を直ちに退陣すべきであると皆様からの厳しい御指摘をいただいておりますが、そのとおりだと存じます。
 それと同時に、被災者やその御遺族、御家族の方々からのお気持ちを身にしみて感じた経営者といたしましては、五名の尊い命が失われたことをしっかりと胸に刻み、決して忘れることなく、ほころびを厳しく指摘していただきました弊社の安全文化を刷新し、二度とこのような事故を起こさないようにすることも大きな責任と考えております。
 これらの責任の取り方は相反するものであることから、苦渋の選択として、社長の藤は本年六月末の株主総会をもって取締役に降格し、信頼回復等のために新社長を補佐し、全社的な品質保証を強化充実すること、私、秋山につきましては、今後一年間は新社長を補佐し、安全文化の再構築に努めた上で、来年の株主総会をもって会長及び取締役を退くことを先月二十五日発表し、経営者としての責任の取り方を明らかにさせていただいた次第でございます。
 この上は、先ほどのお約束を確実に果たしていかなければ弊社の明日はないとの認識の下、弊社の安全文化を刷新する責任を果たしてまいります。その取組状況につきましては、社外の先生方にも客観的に評価していただき、その結果を国民の皆様に御報告し、広く御意見を仰いでまいります。これまで事故調査委員会の委員の先生方を始め皆様方から賜りました御叱正や御指導を肝に銘じ、全役員、全従業員が一から出直すという強い意識を持ち、一丸となって再発防止、未然防止策を着実に実施して、日々安全を積み重ねながら、弊社の新たな安全文化をしっかりと築き上げてまいります。
 六月末までは藤が先頭に立って全体を率い、その後、新社長がそれを引き継いで、行動計画にお示しいたしました社長としてのコミットメントの実施に全力を尽くしてまいります。私も、藤及び新社長のこのような取組を懸命にバックアップし、不退転の決意をもってお約束を誠心誠意果たしてまいり、再び信頼を賜ることができる会社に変えていきたいと考えております。何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 先生方には、我が国の将来を見据えたエネルギー政策の確立につきましていろいろと御奔走賜っておられる中、私どもがかような重大な事故を発生させ、国民の皆様の信頼を大きく損ねる結果となりましたことは、誠に申し訳なく、改めて先生方におわびを申し上げる次第でございます。
 私どもは、地元を始めお客様や社会の皆様方から再び信頼を得ることができますよう、全社一丸となって全力を尽くしてまいる覚悟でございます。先生方におかれましても、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
 私からの説明は以上でございます。誠に申し訳ございませんでした。
 以上でございます。
#11
○委員長(佐藤昭郎君) 次に、佃参考人。
#12
○参考人(佃和夫君) おはようございます。三菱重工業の佃和夫でございます。
 関西電力株式会社美浜発電所三号機の二次系配管破損事故について御説明させていただく機会を賜り、恐縮に存じております。
 御説明に先立ち、今回の事故で亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。あわせて、負傷された方々の一刻も早い回復を衷心よりお祈り申し上げます。また、地元の皆様を始めとした関係各方面の方々にも多大の御心配、御迷惑をお掛けし、大変申し訳なく、遺憾なことと受け止めております。
 今回の事故調査委員会の最終報告の中で、弊社に対しては、事故のあった部位が点検リストから漏れていたことについて、品質保証体制を改善すべきであるとの御指摘を受けました。また、プラントメーカーとして、配管余寿命の不適切な評価に関与したことは、弊社の掲げる社会的責任に反する行為である、これらの背景には原子力の安全を担う中核企業としての自覚が不足していたとの厳しい御指摘をいただきました。
 さらに、ただいま中川大臣、朝田委員長からも改めて御指摘をいただきましたが、弊社といたしましては、これらの御指摘を真摯に受け止め、反省するとともに、かかる事態を二度と起こさぬよう全力で取り組むことをお誓い申し上げます。
 弊社は、経済産業省原子力安全・保安院殿に今回の事故に関する社内調査結果及び再発防止に向けた改善点を骨子とする報告書を提出いたしました。その中で、事故原因にかかわる品質保証上の改善については、二次系配管の点検作業に関して、図面作成、チェックの手順を詳細に規定するとともに、データ管理の電算化を図る等、品質保証を強化し、再発防止に努める旨報告しております。
 さらには、既設プラントの高経年化対策への取組を強化するために、三菱保全検討委員会を新設し、弊社グループの持つ原子力施設の建設から保全に至る広範でかつ詳細な情報、知識、経験と電力会社の持つ最新知見との情報の共有化を図るとともに、プラント相互の水平展開及び中長期的な保全技術の開発、適用も進めてまいります。
 一方、こうした直接的な再発防止策に加えて、事故の未然防止のために、原子力安全に関する企業文化及び組織の風土改革を行うべく、社長の私が委員長を務める原子力社内改革委員会を発足させました。ここでは、原子力部門に限らず、コーポレートガバナンスの視点からの改善を全社一丸となって推進しております。
 具体的には、第一に、品質マネジメントシステムの改善として、マネジメントの責任、役割の明確化、実務本位のマニュアルの策定、安全意識の更なる徹底を図るとともに、それを実効あらしめるために、設計プロセスに入り込んだ監査機能を持つ原子力品質・安全監査室を設置いたしました。
 第二に、企業の社会的責任にかかわる改善につきまして、その根幹を成すコンプライアンスの徹底に加え、専門組織の設置、教育、情報発信を通じて社内への浸透を図る活動をより深めてまいります。これらの活動を客観的な立場から検証するために、社長直属の内部監査室を設置いたします。
 このような施策によって、弊社はPWRプラントの建設・保全の中核を担う企業としての自覚を新たにし、単に保全業務に関する請負企業との立場にとどまらず、原子力の安全確保への関与を更に深め、信頼回復に全力を尽くしてまいる所存でございますので、先生方におかれましても引き続き御指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 以上をもちまして、弊社の決意と今後の対応につきまして御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#13
○委員長(佐藤昭郎君) 以上で参考人からの説明の聴取は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○加納時男君 おはようございます。自由民主党の加納時男でございます。
 昨年八月九日に発生しました関西電力美浜発電所三号機の蒸気漏出事故でございますが、これは原子力発電所に固有の放射線事故ではないとはいうものの、現実に運転中の原子力発電所において十一名の方が死傷なさるという誠に遺憾な事故でございました。
 ここで、お亡くなりになられました方に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお治療中の方の一日も早い御快癒を心からお祈り申し上げます。
 事故発生直後に、先ほどお話があった、中川大臣、現地に入られました。続いて私も現地に入りました。当委員会は、国会閉会中でございましたが、協議の上、現地調査を行い、そして閉会中の参考人質疑等を行いまして、事故調査委員会からは班目委員長代理、そして関西電力からは藤社長にも参考人として御出席いただき、質疑をさせていただきました。そしてまた、この三月三十日に、先ほどお話のあった事故調査委員会の報告書が発出されましたので、それを受けまして、四月一日の法案審議に先立ちまして私からも政府に対してこの報告書について質疑をさせていただきました。
 そこで本日は、今御説明のあったことを踏まえ、事故原因の分析に立った再発防止対策に絞って参考人にお伺いいたしたいと思います。
 先ほど御説明ありましたように、事故調査報告書によりますと、事故の直接原因は、点検リスト漏れによる二次系配管のエロージョン・コロージョン、侵食、腐食というんでしょうか、による配管の破断であると。しかしながら、その背景に安全文化の劣化があるという指摘がありました。この報告書を私、丹念に読ませていただきましたが、ここに絞って質問したいと思います。
 まず、関西電力さんに伺いたいと思います。
 報告書には、残りの寿命、余寿命といいますが、余寿命が一年を割り込みながら定期検査において適切な補修を行わなかったケースが七十八件もあると、先ほど朝田委員長は補修を先送りしたという表現なさったんですが、そういうケースが七十八件もあるということが指摘されております。これをどのように認識され、対策に反映されておられますか、伺いたいと思います。
#15
○委員長(佐藤昭郎君) 関西電力さん、どなたが。
#16
○参考人(秋山喜久君) 秋山がお答えさせていただきます。
 加納先生から御指摘いただきました安全文化の劣化ということにつきましては、我々経営者といたしましては、すべての業務は安全が大前提であるということを強調してまいったつもりでございますけれども、それが十分従業員に浸透していなかったということで、このことは、最終報告書で厳しく御指摘を受けるまでもなく、我々といたしましては、会社設立以来の厳しい危機的状況と認識いたしまして、再度安全文化の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
 そのために、今回、社長としての宣言を出させていただき、それに基づく基本的な行動指針五つ、先ほど御説明いたしましたけれども、これに基づき、具体的なアクションプランといたしまして十四項目二十九件にわたります一つ一つの対策を立てまして、これをいつ、だれが、どのような方法で具体的にやっていくかということにつきましてのアクションプランを決めさせていただいた次第でございます。
 そういった意味で、この最終報告書を我々は会社のバイブルといたしまして、ここに書かれましたことを一つ一つ確実に実践していく、そういったことが安全文化を会社として徹底していく道であるというふうに思っております。
 それから、もう一つ、先生から御指摘いただきました不適切な適用につきましては、現場におきまして、例えば技術基準のただし書の誤った適用、そういったふうなことが行われ、PWRの管理指針から見まして大変、事故委員会からも御指摘いただきましたように、不適切な問題であったというふうに思っております。
 これは、現場におきましては、自分たちの技術判断でこれは大丈夫だというふうに誤って判断して、それを書類に明記し補修を延ばしたものであり、誠に不適切であると言わざるを得ないものでございます。
 これにつきましては、現場におきます技術判断基準、これをしっかりと教育いたしまして、そのようなことが行われないように、またルールというものは必ず守るんだという意識を徹底させていただきたいというふうに思っております。また、このようなことが上司にも十分報告されずになされていたということは、現場におけるコミュニケーションの在り方、組織の在り方、こういったことも大変不完全であったというふうに考えております。
 そういった意味で、我々といたしましては、こういったことが行われませんように、経営理念、行動理念、こういったものをきちっと立てるとともに、組織的にもこういったものがあってチェックできるように、また経営資源も十分配置することによりまして、このような不適切な行動が起こらないように具体的に一つ一つつぶしていきたいというふうに考えております。
 そのようなことによりまして、安全文化のほころびということを全員、全社員が一丸となって立て直し、国民的な信頼を再び取り戻したいというふうに思っております。
 以上でございます。
#17
○加納時男君 今の秋山会長のお答えを伺いまして、覚悟のほどは分かりました。
 そこで、その内容についてもうちょっと伺いたいと思いますが、社長宣言の「安全を守る。それは私の使命、我が社の使命」、この社長宣言は非常に私は強力な響きがあると思っています。そして、具体的にこれを進めるために基本行動方針を五つ立てられ、そして具体計画を進めていくということも分かりました。今の秋山会長の補足で、これは具体的にやっていくんだというお話でございます。
 そこで、伺いたいと思います。
 先ほど具体的な基本行動方針として五つ挙げられましたが、その二つ目に、安全のために積極的に資源を投入しますと言われました。今、会長はこれらを具体的に十四項目二十九件の具体策でやっていくと言われましたけれども、今、私の取り上げました安全のための積極的な資源投入は、具体的にどのような人、物、金を投入していくんでしょうか。まあ全貌は大変だと思いますので、一、二具体例を教えていただければと思います。
#18
○参考人(秋山喜久君) 今、加納先生から御指摘をいただきました経営資源を投入するという点につきましては、その報告書にもありますように、ゆとりある原子力発電所の職場をつくるべきだということで、我々といたしましても経営資源をこれまで以上に積極的に投入してまいりたいというふうに思っております。
 それと同時に、保守管理のための総合的な技術力、これを上げるための教育を行ってまいりたいというふうに思っております。
 原子力発電所の具体的な資源投入あるいは技術力向上についての対策といたしましては、まず、全体を管理する体制といたしまして、原子力本部を福井県に移しまして、今の若狭支社と一体になりまして、直接原子力発電所を管理運営し、その辺のコミュニケーションをきちっとやっていけるような体制というものを取りたいというふうに思っております。
 それから、人材につきましては、現地に約五十名の、当面、人材を投入いたしまして、保守管理の徹底をより図ってまいると同時に、専門的な技術基準あるいは法令というものを解釈を行います技術アドバイザー、これを各発電所ごとに三名配置いたします。また、外国の知見あるいは国内の知見、こういったトラブルを水平展開するために、現地に情報管理専任者というものを各発電所に一人一人置きまして、世界で起こりました事故、あるいはよその電力会社で起こりました事故、こういったものの水平展開を関西電力の中で入ってやっていきたいというふうに思っております。
 資金につきましては、これまでも別に不足していたということではございませんけれども、これから更に設備信頼性を上げると同時に、ややこれまでおろそかであった労働安全の確保という観点からの設備投資、修繕費、こういったものの投入を目指していくと同時に、先ほど委員長からの御指摘もありましたように、高経年劣化、こういったものがこれから進んでまいります。関西電力は一番最初に日本の商業用発電所を設置した会社といたしまして、真っ先にこの高経年劣化の問題に直面することになります。そういった意味で、外国の知見その他も十分集め、また、現場の方々にどこがどう悪いかということを具体的にお聞きいたしまして、未然防止といいますか、あらかじめ予防的に保全をしていく、そういったための修繕費、こういったものも投入してまいりたいというふうに思っております。具体的に申し上げますと、十七年度は十六年度よりも百億、約一五%ほど設備を余計に投入いたしまして、今申し上げましたような対策を順次講じていきたいというふうに思っております。
 それから、教育につきましては、これまでも原子力教育を十分行ってきたつもりでございますけれども、今回問題になりました二次系の配管の減肉管理、こういったものに対する教育がやや不十分ではなかったかということを深く反省いたしまして、担当者教育を行うとともに、管理者にもその辺の意識を十分行い、下部に、部下たちに徹底できるような仕組み、こういった教育ということの強化も図ってまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#19
○加納時男君 次に、秋山会長にもう一つ伺いたいと思います。経営者の責任について伺いたいと思います。
 私は、今回の事故に関し、責任としては二通りあると、二つあると思います。
 一つは、事故原因の分析に立った再発防止対策を樹立し、これを確実に実行する責任であります。今のお言葉、具体的に私の質問にも答えていただいたと思います。これを是非確実にやっていただいて責任を果たしていただきたい、これが第一の責任の問題であります。
 第二は、あえて伺います、人事の問題であります。
 私は、トップの出処進退については、トップがその見識に基づいて自ら判断をし、株式会社ですから、取締役会に諮り、そして株主総会で承認を得るというのが私は筋であって、例えば行政であるとか政治家がトップの進退について介入する、口を挟むというのは、私はいかがかと思います。越権だと思っております。あくまでも自主的に判断をしていただきたいと思っております。
 とはいえであります。現実に運転中の原子力発電所で初めて十一名の死傷者が出たという誠に遺憾な事故が起こり、社会に大きな不安感を与えたことも事実であります。そしてまた事故原因が、いわゆる偶発的な事故ではなく、避けることができた、言わば点検ミス、人為ミスではないかといって、事故の直後に大臣が言われましたが、私も人為ミスというのは正しいと思っております。しかし、これだけではなく、さらに今日の事故調査委員会の朝田委員長の御報告、それから報告書を読みますと、この事故の背景に安全文化の劣化があると、企業風土に問題があったとなりますと、経営トップとしてどのように責任を感じられておられるのか。
 繰り返しますが、私は、人事には一切介入すべきでないと思っておりますが、国民の代表として質問はさせていただきます。どのようにして、正に苦渋とおっしゃいましたが、苦渋の選択をされたのか。会長が、まあ失礼ですが、一年間続投をされて退職する、その間に責任を果たす、そして社長は、社長の職を退く、責任を取る、ただし取締役には残られる。これは正直言いまして非常に分かりにくいというのが国民から私に寄せられた声でございます。
 この場をかりて、国民の皆様もこの委員会注視しておりますので、大変お伺いしづらいことではございますが、あえて伺います。この二つについて、私は、経営者の責任をどのように考えられるか。一点目の方はもう今の御回答で結構でございますから、人事の点についてだけ秋山会長の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#20
○参考人(秋山喜久君) 今、加納先生から御指摘ございましたように、今回十一名の死傷者を出すという重大な事故を起こしたこと、並びに安全文化のほころびであるというふうな厳しい報告書での御指摘を受けたこと、これにつきましては、トップといたしまして、社長、会長が直ちに辞任すべきであるという声、これは当然のことであり、我々も厳しく受け止めている次第でございます。
 と同時に、我々、被災後すぐ遺族の方々のところへ伺いましたところ、遺族の方々は非常に苦しい胸の内から、自分たちの夫、息子、これの死を決して無駄にするな、そのためには、おまえたち、我々、私と社長と二人で参りましたけれども、命を賭してでも再発防止に努め、亡くなった方々のせめてもの報いにしてくれという強い御希望もございました。
 そういった意味で、我々といたしましては、再発防止に努め、今お約束いたしました社長の宣言、基本方針、それから行動計画、これを確実に実施いたしまして社会の信頼にこたえていくということも大変重要な経営的な課題ではあると、また経営者としての責任であるというふうに強く感じた次第でございます。
 最初の、辞めるべきであるということと、責任を果たすべきであるということは相反するものでございますけれども、その結果、我々といたしましては大変苦渋の選択であり、先生がおっしゃるように、社会的には分かりにくく、また御理解を得にくい方法ではあるとは思いますけれども、藤社長には社長を退いてもらい、取締役として、またかつて品質管理の専門家であった藤社長に是非取締役として専任で残って、当社における安全文化というものを立て直したいという強い熱意を本人が示されましたんで、是非そういうふうにしてくれというふうにお願いを申し上げました。
 私といたしましては、新社長に全部任せて経営をやってもらうということももちろん選択の一つではございますけれども、なかなか一人でこういったものを切り盛りしていくのは大変だろうということで、一年間新社長をバックアップいたしまして、当社といたしましての安全文化、新しい安全文化の確立というものに努めてまいり、一年後に退任するという方法を取らせていただいた次第でございます。この上は、何がありましても、この新しい体制で社会の方々に関西電力の原子力は安全だというふうに信頼していただけるような文化を確立することによりまして、私たちの責めを果たさせていただきたいというふうに思っておりますんで、よろしく御理解のほどを賜りたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#21
○渡辺秀央君 渡辺秀央でございます。
 民主党といたしましては、これから三十分に分けまして、時間の範囲でこれから御質問あるいはまた意見を述べさせていただきたいと思っております。
 まず最初に、大変、今日の委員会にそれぞれ参考人の皆さんから御出席をいただきまして、大変ありがとうございました。
 本来でありますと、関西電力会長、そしてまた三菱重工の社長、関電のまた社長さんも兼務される電事連の会長として、本来ならこの我が国のエネルギー政策あるいはまた経済産業政策、そういうものに対する前向きの参考人として私ども政治家と意見の交換をしてもらうということが最も望ましい姿であり、あるいはまたそうあってほしかったという感は私だけではないと思うのでありますが、今日は、さはいうものの、後ろ向きの話ではなくて、またある意味における、この個々にわたる責任追及というよりも、正に先ほど、大臣始めとして、あるいはまた事故調査委員会委員長始めとして、そして各社それぞれの意見が述べられて反省の件も述べられました。
 そういう中において、今後のこの原子力エネルギー政策の言うならば信頼再構築のスタートにすべく、また犠牲になられた、被害を受けられた皆さんの御冥福を祈りながら、かつまた回復をお祈りしながら、正に参考人申し述べられたように、その皆さん方に対しての、決して犠牲としてとどまらない、大きな一つの礎のスタートにさせていくべきであろう、こういう観点から今日の委員会に対して御要請を申し上げたということを是非御理解をいただきまして、まあ余り緊張なさらずに、気楽にどうぞひとつ意見交換、あるいはまた私どもの考えも聞いていただきたいというふうに思っております。
 時間が限られておりますが、私は先ほど、一つは、大臣の意見を聞きまして、私も約三十年この原子力エネルギー政策と取り組んできた末輩の政治家としては、極めて今回の問題、あるいはまた一昨年の東電における問題、あるいはまた、それ以前における中部電力さんの経営者としてのモラルの問題等々、引き続いてきているこれらの問題について、エネルギー政策を所管しているいわゆる経済産業省として取り組み方が本質的に、このエネルギーの技術問題その他の問題ではなくて、自由主義経済あるいはまたこの産業経済のエネルギーとする自由化の中においての自主的な、自律的な経営方針というのを外郭からバックアップしていく、我が自由主義経済社会の中におけるこの経済産業省の役割は、かつその土台をつくっていく、こういう役割であろうと思うんですが、そういう中において、しかし、さはさるものの、所管官庁というのはどういう役割であるかということは、やっぱりこれは、今大臣がたまたまそこに座っておられる、あるいは副大臣もそこに座っておられるという因縁の中ではあるけれども、私は、経済産業省の役人の諸君たちがもう少ししっかりしたモラルを持ってこれらの問題に対して、あるいはまた先人が培ってきたこの厳しい原子力エネルギー政策のスタートの原点ということを考えたときに、もう少し緊張感ある、この問題のみならず、対応ということが考えられていいのではないか、まず一つ指摘をしておきたい。そういう意味においては、大臣のいわゆる安全文化のほころびとおっしゃった言葉一つで解決できる問題ではないということを指摘しておきたいというふうに思います。これは経済産業省、官僚の諸君たち全体に私はあえて申し上げておきたいというふうに思います。
 二点目は、私は、この事業者であられる関西電力さん、言わば関西電力さんの今回の問題ではあるが、同時に、電気事業者連合会、今日はあえて社長藤さんに電事連の会長という立場で御出席をいただきました。この日本の地域寡占体制で来ましたエネルギー、電力エネルギーを供給してこられた電力事業者の皆さん方の、言うならば安全あるいはまた安全文化の劣化などというような少なくとも言葉が報告書に記載されないような、そういう日ごろの緊張感の、私は、地域における各電力会社というのは地域社会で最高最大の経済運営、経済活動の指導者であられる。これはどの地域を見てもそうです。
 そういう意味においては、大変恐縮ですが、私は電力労働組合連合会に、労働組合の全国大会に出席したこともありますが、いわゆるそのときにも私は祝辞を申し上げながら、労組の皆さんにも期待を込めて申し上げた言葉があります。これはもちろん即席で申し上げたんですが、少なくともこれは、電力の事業者の皆さんが、あの終戦後の日本のエネルギー政策、経済政策を守っていくのに、経済を守っていくのにまず根幹はエネルギーだということで、非常に危険のあるあの革命的な思想が横行しようとしたその段階で、自分たち自らがこの電力、水力発電を守ってきた、そういうもう一つ原点に立った経営者であり、そしてまた労使関係であるべきである。組合の諸君たちも、私は、当時の経営者の精神に立ち戻れと。大変恐縮ですけれども、東電であるなら木川田さん、平岩さんの精神に戻れ、こう申し上げたんです。関電であるなら芦原さん、小林さんの精神に戻れ、東北電力の玉川さん、明間さんの精神に戻れと、こう私は労働組合の諸君たちに全国大会で言ったことを記憶をいたしております。
 今始まってここで申し上げるのではなくて、いわゆる電力エネルギーというものの重要性、あるいはまた、いわゆる日本の資源のない我が国における経済の背景の中で、国民が世界に冠たる科学的な文化活動、文化生活がしていけるその背景は、あなたたちの努力であるし、また電力事業者の皆さん方のその使命感と責任感の中で担保されてきたことであることは重々承知しながらも、私たちはその上において敬意を表してまいりました。
 その中で、今、秋山会長の反省、そしてまた今後の方針をお聞きいたしました。言うならば、責任の取り方に対して、おお良かった、あるいは悪かった、あるいはまた、言うならばすべて満たされている、いや満たされていない、いろんな評価はあるでしょう。しかし、本当に苦渋の中における選択として関西電力さんの社内の方針が示された。後ほど若干お聞きはいたしますが、このことについても十分私は、その責任の中において選択されてきた人事の発表であるというふうに私は理解をいたします。同時に、しかしそのことが今後に与える問題として、会長が自ら取締役も辞任される、一年後には、それまでには軌道に乗せる責任があるというそのことに対しても理解ができる。そういう意味において、今後のお約束の安全管理あるいはまた現地対応等々、後ほど技術的な面においては同僚の藤末君から質問もあろうと思いますが、是非ひとつ前段において私は期待を申し上げながら、しかし誠にもってこの事態は残念であったということを申し上げておきたい。
 もう一つは、三菱重工さん、社長さんお出ましいただきましたが、私はやっぱりメーカーさんにおいて、先ほど申し上げたように最初の原子力、その政策の推進のときの正にこの技術と取り組んでこられた皆さんのこの基本的な原点が、やはり惰性かあるいはマンネリか、まあ緊張感はおありだろうと思うんですけれども、しかしどうもそういう中においても、今回の事故において誠にもって行われなくてあるいはまた発生しなくていいことが発生している、これはやはり緩みだろうと思いますね。世界一、二を誇る、第一位でしょう、我が国の原子力エネルギーにおける技術力は。そういう意味においては、完璧な信頼感を私も今も持っておりますし、これからも持ち続けていきたい。しかし、こういう問題が起こってまいりますと、我が国の原子力エネルギー政策というものは、我が国だけではなくて、この技術力というのは世界的な問題にも波及していく。そういう意味において、今後中国とのいわゆる原子力発電所に対する問題がやがて大臣のところにも俎上にのってくることにもなるんでしょう。
 そういうときの問題としても、今度の問題を是非ひとつ大きなまあ次なるステップのエネルギーとして、あるいは反省材料として、細部にわたる点検と、そしてまたこの技術陣における緊張感あるいはまたメーカーとしての責任感ということを是非お考えをいただきたい、また考えながら是非これからの原子力政策に対する技術協力を大いに増進をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 したがって、私は、実はこの問題は、保安院長もおられるが、正に政府、それから事業者、そしてもう一つはメーカー、まあこれの私は三方一両ずつの逃げにならないように、三方一両ずつの私は責任であるということをこの事件が起こったときに党内で申し上げてきたわけでありまして、決してその政府が委任をしている事業者に責任が大方あって、所管官庁の経済産業省に責任がないということではない。あるいはまた、メーカーさんにもそのことの指摘をしなかった、あるいはまたそのことの緊張感が欠けておった、モラルにおける責任感というのはむしろある意味においては技術以上に貴いものであろうということを考えると、私は三方一両責任であるということを申し上げておきたいというふうに思います。
 以上のことについて、今までのこの各参考人の皆さんからの御意見を承ってまいりましたので、あえて、責任者であられる、所管官庁である経済産業大臣お一人のこの私の指摘に対しての御意見を簡潔にお答えを願いたい。
#22
○国務大臣(中川昭一君) もう渡辺先生は長きにわたって経済産業活動、そしてまたエネルギー政策、原子力政策に携わってきた、私にとっての師匠みたいな方でございますから、御指摘を今重たく受け止めているところでございます。
 まず、今日来ていただいている企業は文字どおり上場企業であり、日本が誇る代表的な企業でございますから、先ほど三菱重工の佃社長さんからもお話ありましたように、コンプライアンスというものは、やはりその大きさというものは我々の想像以上に感じているはずであるというふうに私は思っております。まずそれが大前提であるというふうに思っております。
 そして、八月九日のこの美浜の事故につきましては、今、大変この報告書、御尽力いただいた委員の皆様方を代表して朝田委員長さんからの御報告をいただきましたけれども、朝田委員長さんのお言葉、安全文化の劣化に代表されるようないろいろな問題点、それからまた関電の秋山会長さんからも自ら御指摘がありました思い込み、あるいはまた記載漏れ、ルールを守るという意識、コミュニケーションの欠如、あるいはまた補修の後回し、これは委員長の報告にもございましたけれども、こういうことが行われているとすると、元々経済活動であるだけではなくて、一つの原子力発電所から百万キロ以上の電力、百万キロワットアワー以上の電力をつくり出そうとしている巨大なエネルギー施設でございますから、ここがきちっとした体制、安全性なくしてやはり安全あるいはまた国民、御地元に対する信頼というものは生まれてこないわけでございまして、そのことが正に十一名の死傷者の方々への大変な悲劇としてつながっていったということでございますから、責任につきましては先ほど委員長さん、そして両会社の代表からお話がございました。
 と同時に、渡辺先生からも強い御指摘がありましたが、それを行政として所掌しております我々ももちろん多くの反省点、あるいはまた、一時期はともすれば最低限の規制といいましょうか、に任せて自主的な企業の責任と判断に信頼をしてという時期が今から考えるとあったわけでございますけれども、どうも相続くこの、とりわけ原子力発電所というものに対しては日本国民はとりわけ神経質でございますから、技術力もあるいはコンプライアンスも超一流であるはずの日本の原子力発電所、あるいはまたメーカー、あるいはまたその集合体がこういう事故を幾つかこの数年の間にも起こしている。この二次系事故が代表でございますけれども、こういうことになりますと、我々としても、最低限で、あとはもう責任に任せるということではどうもいけないということで、去年来いろいろ省令、通達等の改正をしたところでございますが、要は、私自身、私ども自身あるいはまた関電、重工含めて、これからこうしますということを申し述べたにすぎないわけでございますので、これを当委員会の場で、公式の場でございますので、きちっとした形でこれが実行され、そしてそれが稼働し、そしてその結果として御地元の皆さん、国民の皆さんに御理解をいただいてこそ真のエネルギー行政、原子力行政、原子力安全行政になっていくものだというふうに思っておりますので、今日が最終点ではなくて出発点という意識で私は本委員会に臨んでいる次第でございます。
#23
○渡辺秀央君 ありがとうございました。
 是非、その大臣の気持ちを省内に徹底をしていただくように期待をいたしたいというふうに思います。これはもうみんなが、私ども政治家も、これは当初の段階では、原子力発電所について大いに奨励する演説なんかやろうものなら、みんな票を減らして、それこそ落選の憂き目まで考えて、しかし国策として、国家の将来として、経済の発展のエネルギーとして、正に血液としてこれは欠くことができないという信念で、今は亡き私ども先輩、同僚の人たちと、かつて本当に真剣な努力をしてきた。その積み重ねの三十年であったがために、少し私の言葉がオーバーであったかも分かりません。
 しかし今や、原子力エネルギー政策というのが、少なくとも安全、絶対的な、これは安全といっても絶対が付くんですね。絶対の社会というのは、我々の住んでいる地球上では、神、仏の社会でしょう、恐らく。しかし、そこにまで近づくような努力あるいはお互いの監視、切磋ということが、あるいは担保が必要である、この政策は。ということで、いわゆる交付金であるとか、あるいはまた技術陣の大いなる研修であるとかということをやってきたわけですね。
 あるいはまた、そこにおける、言うならば従業員、先ほど私が言った、言うなら組合員の皆さん、現場の皆さん、もしも変なことがあったら命懸けで仕事をやっていることになっちゃう。そんなことはないわけなんで、使命感と責任感で、しかも誇りを持ってやっているわけですね、従業員の皆さんは働いているわけです。その人たちの安全ということをましてや確保してあげなければいけない。
 何も私は、こんなことを言っちゃおかしいけれども、みんな原子力発電所で働いている労働組合員の諸君が、家を出るたびに水杯をやって家を出ているなんということはあるわけないんです。そうでしょう。それは要するに、技術に対して、設備の技術に対して、あるいは管理の能力に対して、あるいはまた地域の人たちの信用に対して、協力に対して、その自信と誇りの中で、まあ言うならば従業員の皆さんは働いておられる、あるいはまた今日もなお努力しておられるということが私は非常に大事なこと、そこをしっかりと見極めていくということが、あるいは理解していくということが大事なことだろうというふうに思うんです。
 我々は少なくともそういう思いでこの政策を努力をしてきた。時によっては落選を、私なんかもその一人ですけれども、落選もしたこともある。そういうことなんですね。だから、決して我々は政治家としてただ格好よく申し上げているんではない。そういう大きな責任と、あるいは自覚の中で申し上げている。
 今や原子力エネルギー政策を否定する人は、私はある特殊の人たちだけだと思いますよ。この委員会の中にもしかりだ。しかし、安全だけは絶対に求めている、これがお互い共通した問題だろうというふうに、何回も言いますけれども、考えておるわけでありまして、その思いを是非今日は、お出掛けいただいてお話を伺うということも大切でありましたが、私どもの思いということを是非この場においてお聞き取りをいただきたい。このことがむしろ私はこの今日、委員会における大事なことの一つだろうと思ったわけであります。
 それから、事故調査報告書をまとめられた調査委員の委員の先生方にも、委員長以下、大変御苦労さまでございました。遅まきでございますけれども御慰労申し上げながら、ただし、もっとあるいは申したかった面もあったんではないかなという感じがいたします、これを拝見いたしまして。
 政府の言うならばこの報告書というのは、どっちかというと、委員長は一番よく御存じだと思うんですが、あちらにもこちらにもということを配慮しながらおまとめになる、また役所の方もそういうふうに願う、これは当たり前のことですけれども、やっぱりこれからはお互いに、厳しいこの日本のエネルギー源の枯渇状態にある、しかもこの原子力の問題はもう土俵一杯、せっぱ詰まってきた政策に、今土壇場に追い込まれております、いわゆる使用済燃料の処理問題を始めとして。
 そういう意味においては、もう少し私は、大変恐縮ですが、率直であってもよかったのではないかと。これは大変生意気なことで恐縮ですよ、恐縮ですが、是非ひとつこれからも、せっかくの先生方の、この関電における、これは事故です、そういう意味では。そのことを無駄になさらないように、これだけ大きな犠牲を、これは死亡された皆さんもあるいは経営者の皆さんも、そしてまた社員の皆さんの精神的にも、みんなが傷付いてこられた、そのことが九電力の皆さんに共通して私は言えることだと思うんです。
 そういう意味においては、是非これからも、またあってはならないことですが、問題点にここに指摘されなかった、話し合って出ている問題点というのを大臣、是非もう一つ聴取をされて、本音のところも、それはやはりエネルギー庁にも記録としては私は残しておいていいことだと、公開すべきかどうかは別としても。本音の話もあったと私は思う。そのことをあえて申し上げておきたい。
 時間がなくなってまいりましたが、一言だけ、もう一言実は申し上げて、もう時間がなくなってしまいましたので、バトンを渡したいと思います。
 電気事業連合会として、これからまた電事連としての新しい体制も組まれるやに仄聞をいたしておりますが、そのことは抜きにいたしまして藤会長に、是非今後の電力事業者の皆さん、それぞれこれを他山のものと考えずに、新たなるエネルギー政策の本当に土壇場に来た再スタートだという気持ちを是非各社の皆さんにもお伝え願いたいということを申し上げながら、藤会長、藤電事連会長としてのこれからのこの原子力エネルギー政策に対しての、特に藤会長は、先ほど秋山関電会長からお話がありましたが、デミング賞を受賞された、非常に我が電力エネルギー政策の中の傑出された技術とまた商品管理をしてこられた方、そういう思いの中で、是非御意見を一言お聞きをして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
#24
○参考人(藤洋作君) 藤でございます。
 ただいまの先生の御質問に対しまして、電気事業連合会の会長として申し上げます。
 その前に、今回のこの美浜の事故は、本当に私として申し訳ないという思いで一杯でございます。本当に、先ほど秋山が申し上げましたように、心からおわびを申し上げます。
 その上で、私ども電気事業者といたしましては、エネルギーの安定供給、そして地球温暖化防止への貢献、そういう観点から、今原子力の重要性に対しては、これはますます、ますます高まる中でございます。
 その中でこの大きな事故が起こりました。この大変な事故に対しまして、全電気事業者としましては本当に痛恨の極みと、皆さんとそういう思いを分かち合っております。この事故を全電気事業者、極めて重く重く受け止めまして、社長陣で構成しております信頼回復委員会というものを開催いたしまして、それで方針を立案いたしまして、事故の再発防止、これは、中身は今日お話がございました保守管理の改善でございますし、品質マネジメントの向上でございますし、そして高経年化に対する取組でございます。そういう事故の再発防止をしっかりやって、失った信頼の回復に全力をもって取り組んでいくという思いを共有しております。
 電力自由化の環境の変化の中でも安全性が最優先だと、安全性を最優先に原子力を運営して、そしてお役に立っていくことが、尊い命を失われました方々に対する私どもの、九電力全員の絶対の責務と、このように考えております。どうか今後ともひとつ、先生方にはどうかよろしく御指導、御鞭撻賜りますようにお願い申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。
#25
○渡辺秀央君 ありがとうございました。大変御苦労さまでございました。
 最後に是非、秋山会長、被災者、被害者の皆さんにどうぞひとつ十分なる対応をしていただきますようお願いを申し上げておきたいというふうに思います。そして、どうぞひとつ大臣におかれて、先ほどのように、この原子力エネルギー政策、アレルギー化させないような努力をこれはみんなでやっていかなきゃならぬことでして、何かやると、それは原子力アレルギーを背景にした、例えば責任問題である、あるいはまた補償問題である、あるいはまた技術問題である、こういう議論に、とかく原子力発電に対する反対派の人たちはおっしゃいます。そういうことの議論の種にならないような対応をしっかりと、これは是非メーカーさんも、あるいは安全・保安院もしっかりと、理論的にもあるいはまた実質的にも努力をしていただきますようにお願いを申し上げ、それを前提として私たちは、せっかくのこれだけの不慮の事故に見舞われた関係者の皆さんに対しての、無駄にならないような、私どものこのエネルギー政策は、今後も自信を持って、そして責任と誇りと使命感を持って続けていくということを少なくともここで明確にしておきながら今日の質問を終わりたい。また、御期待をしておる面について是非御参酌願いたいということを申し上げて、終わります。
 ありがとうございました。
#26
○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。
 ただいま渡辺委員、大先輩に当たります渡辺委員から大上段の議論をいただきましたので、私はより技術的、詳細なお話をさせていただきたいと思います。
 私も思いますのは、今回の事故、これは本当に配管のチェック漏れというもの、また原子力の安全政策だけにかかわるものではなく、私は二つの観点、一つは企業の社会的責任の義務、コーポレート・ソシアル・レスポンシビリティー、CSRと申しますが、企業のその社会責任の義務。それともう一つございますのは、最近非常に工場の事故が多くございます。タイヤの工場事故、製油所、そして造船所などの事故が多発しているという中、産業の安全と保安をどう見るかという観点がございますので、その二点を加え、原子力の安全、そして企業の社会的責任、最後に産業全体の安全ということについて御質問を申し上げます。
 まず初めに、関西電力の方に御質問したいのは、私、先ほど加納委員から、企業の経営者の在り方はやはり株主が決めるものだという御意見をいただきましたけれども、もう一つやはり重要なことは、電力会社という公共のインフラであること。そしてまた、非常に重要であることは、原子力発電というこの日本のエネルギー安全保障の一角を担う仕事をなされているということで、社会へのこの説明義務というのは本当に大きいものがあるんではないかと私は考えております。
 そこで、まず一つ、すごく小さい話ではございますが、お配りした資料をごらんになっていただけますでしょうか。(資料提示)これは本日配られました最終報告書の中から抜き出したものでございます。これは何かと申しますと、原子力発電所の配管のチェックを行いまして、そして寿命が一年を割り込みながら定期検査で適切な補修を行わなかった件数ということでございます。A、B、Cとございますが、Aは寿命がゼロ年以下、これは何かと申しますと、技術的な基準をもう下回っていると、当然替えなきゃいけないものを替えていないという件数でございます。
 この平成九年度を四角で囲ってございますが、当然替えなきゃいけないものを技術的な解釈を変えたり、変えたと申しますか、解釈を拡大解釈されたりしながら十五件のものが替えられていないという状況。そして、設備の利用率を見ますと、この平成九年度、設備利用率は大幅に向上しているという状況でございます。
 これだけを見ますと、やはり安全を犠牲にしながらこの設備の利用率を上げたんではないかというふうに考えられるわけでございますが、この当時、平成九年の社長がだれかと申しますと、やはり秋山会長がなされているんです。私がとやかく申し上げる立場にないとは思いますが、社会一般の考えとしまして、当時社長であられた秋山会長がこのことについてどうお考えかということをまずお聞かせいただければと思います。お願いします。
#27
○参考人(秋山喜久君) ただいま藤末先生から御指摘いただきました点につきましては、深く反省しているところでございます。
 事実関係についてまず述べさしていただきますと、今回の事故は、最初、委員長の方からあるいは大臣の方からも御報告ございましたように、点検リストから漏れておった、それが長い間発見できなかったということでございます。したがいまして、今御指摘の点の不適切な対応、これが直接的な原因ではありませんけれども、安全文化のほころびであるという事故報告書の報告のとおり、その背景となる大きな要因であったということで深く反省しております。
 なぜこのようなことが起こったかということについてでございますけれども、大臣からも御指摘がありましたように、自主検査ということにつきまして、自分たちの技術の判断で安全だと思ったらば取替えを延ばすというふうなことが行われております。この件につきましては、主として運転圧力、本来は最高圧力で計算すべき安全度を実際に運転している運転圧力で計算して、そのことを根拠に書き添えまして、それで補修を延ばしておったということで、決してそういったものが技術基準に違反していることを知りながら延ばしたということではなくて、誤った解釈を行って延ばしてきたということで、この後、平成十五年に、こういった形のことをやってはいけないと、やらずにルールをきちっと守れというふうに経済産業省の方からお示しいただいたところでございます。
 我々といたしましても、いわゆる品質管理で言います現場合わせといいますか、自分たちの判断でいろいろ決定をせずに、決められたルールをきちっと守るということが大切であったということで、その点が行われなかったことを深く反省し、二度とこのようなことが行われないようにこれからは注意してまいりたいというふうに思っております。
 それから、稼働率の点につきましては、ただいまの取扱いとは直接関係ございませんで、SGがいつも、ピンホールといいますか小さな漏れがあったために非常に定期検査が長く掛かっておったと。小さな漏れがありますと施栓をする、これは金でろう付けをするというふうなことで、非常にお金も掛かりますし時間も掛かる作業でございました。そういったことで、私が社長のときに、SGを思い切って新しい材料のSGに取り替えようということで、平成三年から平成九年にかけまして全発電所のSGの取替え、それから圧力容器の上ぶた、これが比較的補修にクラックなどが出まして時間が掛かるということで、この大型の工事を実施いたしました。
 その結果といたしまして、百日以上掛かっておりました定期検査が、そういったいわゆる計画外といいますか、実際に定検として行わなければならないこと以外に、施栓をするということのために要しておりました時間が短くなったということで、定期検査の期間が短くなったということで、決して補修の手抜きをしたことによって定期検査の期間が短くなったということではございませんでした。
 いずれにいたしましても、これからは、先ほど渡辺先生からも御指摘がありましたように、エネルギー政策における原子力の重要性、それは神に近い形での安全を確保せよというふうな御指摘を重く受け止めまして、我々としましては、安全性を確保すると同時に、今、藤末先生から御指摘がありましたように、社会的な信頼ということが何よりも原子力の推進にとっては大事なことであるというふうに思っておりますので、よくこの辺の御説明をしながら、我々といたしましては十分な資材を投入し、時間を掛けて原子力の安全というものを図ってまいりたいというふうに思っております。
 品質の管理の方では、品質を良くすればコストが下がるということで、当然コストダウンをするためには品質を良くするということ、これが一番大事なことであるということで、再度、安全文化の徹底といいますか、それから、ルールを必ず守るというふうなこと、これにつきまして徹底を図って、このようなことが再び起こらないように十分注意してまいりますとともに、この機会をかりまして、このような事象が起こったことを深くおわび申し上げる次第でございます。
 以上でございます。
#28
○藤末健三君 是非徹底して安全保障をやっていただきたいと思いますが、報告書の三十四ページで、その上から二つ目の段落を見ると、「材料手配に時間がかかり、発電所の運転再開が遅延するおそれがあることから、技術基準を独自に解釈して、」というふうに書いてございまして、私はそういう一面もあるんではないかというふうに思っていますので、今後は是非安全を第一にということを徹底していただきたいと思います。
 二つ目にございますのは、企業のその統治ということから、ガバナンスということからお話しさせていただきたいと思います。
 今までお話がありましたように、藤社長は日本の電力会社で初めて品質保証の賞であるデミング賞を取られた方であられます。また、私がいろいろ調べますと、やはり藤社長が相当この事故の対応に奔走されているということもございまして、一つございますのは、やはり藤社長が今後この事故対策、安全の確保をなさる上で、ある位置付けを引き続き持たれた方が動きやすいんではないかというふうにはたから見ていると思いますが、その点どうかということと、もう一つございますのは、社外の取締役が三人おられます、今、関西電力には社外取締役が三人おられます。ただ、それを拝見していますと、三名の方々は、そういう安全、品質保証という観点からやはり距離が遠い方が多いんではないかと思っておりまして、私は、一つはやはり品質保証のスペシャリストであられる藤社長に何らかのきちんとした立場をやはり持ってもらうべきではないかということが一つ。それともう一つ、やはり経営の強化という意味で、社外取締役の方々のやはり強化というものをやるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#29
○参考人(秋山喜久君) 先生の御指摘のとおりだと思います。藤社長につきましては、社内で品質管理というものの横糸を行う取締役として、きちっとした権限と責任を持ってやってもらいたいというふうに思っております。
 TMIの事故が起こったとき、日本の原子力発電所は危機的な状況に陥りまして、当社の稼働率も三八%以下に、あるいは一時的には全部の発電所を止めなきゃいかぬという状態になったときに当時の小林社長が決断されまして、TQCを導入しようということで、そのときの担当取締役が私でございました。これはあらゆる業務から外れまして品質管理専任で行うということで、社長に成り代わりまして、副社長の方々にも指示、命令ができるような権限を持って品質管理に邁進してまいりました。
 そういった意味で、今回も藤社長から自らの申出で、必ず責任を持ってやるからと、こういう強い申出がございましたんで、是非そういった権限を社内で明確にいたしまして、そういった立場に立った上で、社長は当然執行の最高責任者としてきちっと品質管理をやっていく責任はございますけれども、それを専門的にいろいろなISOその他の手法を使って、各現場とも十分会話を行いながら、皆さんで一緒に、協力会社の方もあるいはメーカーの方々にも入っていただいて関西電力としての原子力の安全確保ということに努めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、社外取締役充実の件につきましては、当社では今全体で監査役と取締役七名いらっしゃいます。ということは、約二割が社外の方で占められておるということで、他の電力会社に比べますと非常に数は多くなっております。これからは、コーポレートガバナンスを強化する上で社内取締役は順次数を減らし、意思決定を迅速化してまいりたいというふうに思っておりますけれども、社外の方々につきましてはできるだけ充実し、その専門的な知識をもってまた忌憚のない御意見を我々にしていただくことによりまして、コーポレートガバナンスというものを強化していきたいというふうに思っております。
 監査役の方の中には、元検事総長をしておられる方もいらっしゃいますし、あるいは主婦代表の方、あるいは企業代表の方、いろいろの立場の方から専門的な御意見を賜り、我々は我々としてのチェックを社外の方々にしていただきたいというふうに思っております。我々も常に社外の役員の方々などへ伺いまして、直接御意見を聴くようにしてまいっております。
 そういった意味で、おっしゃるように、できるだけ社外の方々の知恵を生かしながら、委員会設置会社ではございませんけれども、それに近い形で運営していきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#30
○藤末健三君 私が関西電力の方からいろいろお話をお聞きしてみますと、やはり現場の方は相当頑張っておられるんですよ、本当に。是非とも、少なくとも今の統治システム、企業の統治システムが僕は完全に働かなかったからこういう事故が起きたことは否めないと思います、正直申し上げて。是非ともほかの電力会社のひな形になるような企業統治システムをつくってください。お願いします。それ約束してください。現場の問題じゃないですよ。企業の統治システムをきちんとやって、ほかの電力会社がまねるようなことを今なさっていただかなければ、経営の問題は残り続けると私は思います。是非ともお願いしたい。それは電事連の会長としてもお願いしたいと思います。是非とも、電力会社という公共施設、そしてかつ原子力という非常に重要な日本のエネルギーの安全保障の一角を担っているという自覚を持ち、そして普通の企業とは違う企業統治システムを是非つくっていただくことをお願いします。
 次に、保安院の方に質問させていただきます。
 今回の事故、配管のチェックが漏れたということでございますが、実は二〇〇三年の十月に、ISO9000という国際的な品質管理の基準を導入しています、二〇〇三年に。これは何かと申しますと、チェックしたことがちゃんとやられているかどうかをまたチェックする仕組みが入っているんですよ。もしこの仕組みが入っていれば、配管のチェック漏れ、多分なかったと思います、私は。
 このISO9000が導入されたのはいいことなんですが、実はISO9000というのは一九八七年にできているんですよ。ですから、一九八七年にISO9000というそういう安全保障の手続ができて、遅れること十六年して原子力の部門でこのISO9000が採用されたことになるわけですが、やはり私はこれは導入がちょっと遅過ぎたんではないかなと。私が一つ提案を申し上げたいのは、やはり保安院様の方で最先端のやはりこういう安全保障技術を導入することをやっていただきたいと思います。例えば、サリーの事故、昭和六十一年にアメリカのサリー発電所で事故起きました。同じ、肉厚が薄くなった事故なんですよ。そのときアメリカは何をしたかと申しますと、自主的な対応ではなく、やはり政府が乗り出して規制をしました。その情報は多分保安院にも流れているとは思うんですが、日本はやはり自主的な規制を続けたわけです。
 ですから、やはりきちんとした最新の情報を入手する体制をつくるということと、もう一つ大事なことは、きちんとした安全の確保、保安の確保ということをやっぱり研究するような機関を僕は是非つくっていただいた方がいいんではないかと。国際的な最新情報を集め、そして安全の保安に関する最新の研究などをやる機関をつくっていただいたらどうかと思いますが、いかがでございましょうか。保安院の方にお答えいただければと思います。
#31
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 まず、御指摘の品質保証の規格の導入の経緯でございますけれども、我が国の電気事業者は、ほかの産業界に先駆けまして、七〇年代の初めに日本電気協会による規格、これは日本電気協会技術指針4101と申しておりますけれども、これを制定をいたしました。そういう形で取組を始めております。その後、七〇年代の後半から九〇年代にかけまして、国際原子力機関、IAEAが国際指針をこの品質保証のシステムにつきまして発行いたしましたが、そういうものを取り入れる改訂も行いました。
 御指摘のとおり、ISOの9000は一九八七年に制定されましたけれども、当時はまだこのシリーズの認証取得事業者は少ないということで、原子力につきましてはこれとは独立した指針を維持をしてきたわけでございます。ただ、二〇〇二年の八月に東京電力の不正問題が発生いたしまして、これを契機といたしまして、品質保証の中でも特にトップマネジメントに特徴を持つ、あるいは国際的に多くの業界で採用されて認証取得事業者も増加をしてきたと、こういう背景をもって、ISO9000をベースとする規格を採用する必要があるということで、JEAC4111という形で新たな規格を取り入れました。
 また、国といたしましても、原子炉規制法の関係省令の改正を行いまして、こうした品質保証活動を言わば保安規定に入れて規制当局が検査をして確認をすると、こういう国の安全規制上の要求事項としたところでございます。
 このように、品質保証につきましてもこれまでいろいろな形で規格を策定をし、必要な改訂を行ってきたというふうに考えておりますけれども、御指摘のとおり、原子力の世界、これはもう国際的な活動でございますので、内外の最新の技術、知見というものをいち早く取り入れて、これを事業者におきましてもあるいは私ども規制当局におきましても、それをいち早く導入をして対応するという形というのは非常に大事だというふうに考えております。
 御指摘のサリーの事故、これは一九八六年、昭和六十一年に起きたわけでございますけれども、この直後に関西電力におきましては、三菱重工業の協力も得まして、独自のPWR管理指針をつくりまして、これに基づいて配管の管理を行ってきたということでございます。この経緯につきましては、お手元の事故調査委員会の報告書に記載されたとおりでございます。当時といたしましては、米国の行き方とは異なりまして、原子力事業者の自覚を持った責任ある行動を前提として、事業者の自主保安にゆだねることにしたということは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、その後の調査におきまして、不適切な運用が行われたということもございまして、私ども、こうした経緯を真摯に反省をいたしまして、規制当局といたしまして、最終報告書に記載されておりますとおり、昨年の十二月に省令の改正、あるいは今年の二月に通達を発出いたしまして、検査の対象の明確化あるいは測定方法の明確化、評価の仕方ということを定めたところでございます。御指摘のとおり、こうした形できちっとした情報を収集をして的確に対応するということに今後とも努めてまいりたいと思っております。
 御指摘の研究機関でございます。これはハードの施設につきましては、御承知のとおり、日本原子力研究所においてホットの施設を持っておりまして、そこで研究をしておりますが、内外の情報をきちっと収集をして的確に対応するという意味では、平成十五年の十月に設立をいたしました独立行政法人日本原子力安全基盤機構、ここが、JNESでございますけれども、ここを中心として情報の収集あるいは整備に当たっていきたいというふうに考えております。
#32
○藤末健三君 現状は存じ上げています。原子力安全・保安院の仕事は、設置法に、原子力その他エネルギーに係る安全及び産業保安の確保を図るための機関とするとございます。
 最近、私、日本でよく工場の事故、そして品質が劣化しているということが聞かれます。それは、日本のやっぱり産業力を大きくそいでいると思っておりますので、是非これ中川大臣にお願いしたいんですが、そういう、原子力のみならず、産業全体、品質をもっと高める、この国の産業の、ということを研究する機関を是非つくっていただきたいと思います。この国の力である品質、それをやっぱり維持するためのものがやはり政府主導であるべきではないかと私は思っておりますので、是非お願いしたいと思います。
 続きまして、私、この原子力の安全管理につきまして私は非常に心配していますのが、先ほど渡辺委員からもお話ありましたけれども、中国の原子力発電所でございます。
 中国は、今後十年間で二十基の発電所を造ろうとしていると、それも今回事故がありましたPWRという型の原子炉を造るという話になっております。スリーマイルの事件、そしてチェルノブイリの事件もございますが、やはり海外であっても、原子力の事故が起きますと、やはりすごいマイナスが生じるということでございまして、私はこの保安院に、まずこの中国等を含めました海外の原子力の安全にどう貢献するかということをお聞きしたいし、また、今回、中国のこのPWRにつきましては三菱重工の方も非常に一生懸命こう売り込んでおられるし、是非成功させていただきたいと思っていますが、その一つは政府として、そしてまた事業者としてこの中国の原子力発電の安全、保安をどう取り組まれるかということについてお聞かせいただきたいと思います。
 まず、保安院からお願いいたします。
#33
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、中国の原子力発電につきましては初期の段階から安全面に関する協力を行ってきております。具体的には、一九九二年以降、原子力発電所の安全管理に関する国際研修事業の一環といたしまして、中国の原子力発電所の運転管理者、それから規制機関の職員を受け入れて研修を行ってまいりました。これまでに二百名を超える中国の研修生が日本で研修を受けております。また、これに加えまして、一九九四年には中国の原子力の安全規制機関でございます国家核安全局との間で原子力安全に関する取決めを結びまして、原子力安全に関する情報の交換、セミナーの開催等を行ってきております。また、IAEAとも一緒になりまして、国際的なマルチの形でのこうした活動も推進をしてきております。
 今後とも、原子力発電の拡大によりまして、中国におきましては人材の確保の問題あるいは安全管理対策がより一層重要になると、御指摘のとおりでございますので、私ども原子力安全・保安院といたしましても、こうした日中間の原子力安全協力の活動というものを一層充実させてまいりたいというふうに考えております。
#34
○参考人(佃和夫君) 中国向けの原発輸出につきましては、今、日米連合で応札させていただいておりますけれども、隣国中国の原発の建設、運転にお役に立つことで私どもの技術力自身の維持向上を図るとともに、我が国原子力の安全、安心の文化というものを中国にも広めていきたいと思っております。
 一方、国内では、運転中のPWR原子力発電所の高経年化対策への取組を強化するために三菱保全検討委員会というのを新設いたしました。弊社グループの持つ原子力施設の建設から保全に至る情報を一元化して、電力会社の持つ最新知見との共有化を図っていくということで、これらのメンテナンスの万全を図るとともに、今後の新しい中国での新設のプラントの安全文化というものも同時に是非お役に立ちたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#35
○藤末健三君 是非頑張っていただきたいと思います。
 最後に、取りまとめでございますが、私はまず一つは関西電力にお願いしたいのは、やはりきちんとした企業統治の仕組みをつくっていただきたい、最先端のものをつくっていただきたいと思います。そして、CSR、社会的責任を果たすということをやっていただきたいというのがございますので、是非お願いしたいと思います。
 そして、保安院にお願いしたいのは、やはりきちんとした最新の知識を集めていただきたいし、またそれを海外にも普及していただきたいと思います。
 本当に原子力の安全保障ということを考えた場合、今、僕はもう予算も増やすべきじゃないかと思いまして、例えば中国の場合はODAを使ってやるとか、いろんなやり方があると思うんですよ。もっと幅広く考えていただきたいし、またその産業の安全保障、この国の強さである品質、それをどう高めていくかということさえも、僕はやはり産業の方も視野に置いてやっていただきたいということをお願いします。
 そして最後に、三菱重工にお願いしたいのは、やはり三菱重工はロケット、造船、そしてロボット、幅広い技術を、今最先端の技術をお持ちの企業でございますので、是非ともこの日本の技術をしょって立っておられる御社のやっぱり役割はすごく大きいと思いますので、是非、是非ともこの品質の保証を、きちんとした品質を、この日本のブランドを守るという意識で是非頑張っていただきたいと思います。
 本当にお願いばっかりでございますが、今、日本、この原子力の安全目標でございます。そしてまた、産業のこの品質保証も岐路でありまして、そういういろんなものが複合的に出たのが今回の事故で、五名の方が亡くなったと、その重さを実感して、是非とも大臣お願いします、やってください、いろいろ。やることは一杯あると思うんですよ。お願いし、そのお願いに代えまして、質問を終わらさせていただきます。
 ありがとうございました。
#36
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 昨年夏、八月九日、決してあってはならないこと、起こってはならないことが起こりました。私も十二日、現地に飛びました。あの美しい美浜に建つ、事故が起こったあの二次系建屋の中を、心の中で深く手を合わせながら進みました。
 三人の方はうれしいことに職場復帰をなさいましたけれども、今も加療の床で闘っていらっしゃる被災者、そして御遺族の皆様、御家族の皆様にとって、この最終報告書は決して一区切りではないのであります。まして、終わりではないということであります。どうかそれを決してお忘れになることなく、どうか引き続き皆様に御支援をよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、事故発生直後の事業者と、そして国の対応についてお伺いをいたします。
 最終報告書でも触れられておりますように、事故発生直後の事業者やあるいは国の対応は基本的な必要な手続に沿って行われていたということでありますが、一方で医療機関との連携などについては反省すべき点があるというふうにされております。また、今回の事故が原子力災害特別措置法の対象とするものではなかったということから、政府の初期対応は、法令に基づくものではないにしても、原子力災害特別措置法によるものに準じて対処をしてきたと伺っております。
 事故発生時には、特にこの初期動作が非常に大事なのであります。被害の最小化やあるいはその後の対処を円滑化する上で大変に重要であるわけであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 美浜発電所三号機の事故に関して、事業者及び政府の初期対応について、経済産業省としての評価をお伺いしたいと思います。また、原災法の改正等、法律の見直しがなくとも今回のように対処がなされると理解してよろしいのでしょうか。
 私は本来、二次系にも対応できるものが望ましいと思っているんですね。けれども、この原災法は放射能について規定をしている法律であるから、そこまで広げることは難しい、無理だとおっしゃるのであれば、まあ私は別の法律を作ってでも二次系の事故にも対応できるように万全にすべきだというふうに思っているのであります。
 この点についてお伺いをしたいと思います。
#37
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 今回の事故発生直後の初動対応でございますけれども、関係機関への通報連絡等はおおむね適切に実施をされました。ただ、消防本部への緊急通報が消防計画に定められた経路に則してなされなかったということなど、幾つかの点で不適切な対応が見られました。
 これに対しまして、関西電力におきましては、消防本部からの指摘も受けまして、通報連絡経路の遵守あるいは医療機関への連絡の社内標準への反映等、改善措置を既に実施をしておりまして、これらの改善措置につきましては、事故調査委員会の最終報告書におきましても、現時点での対応としてはおおむね妥当なものであるというふうに評価をしているところでございます。
 また、私ども国、原子力安全・保安院の対応といたしましては、事故発生直後、直ちに当院の審議官を現地に派遣をいたしまして、駐在をしております保安検査官とともに現地対策本部をその日のうちに設置をいたしました。また、事故の翌日には中川経済産業大臣が発電所を訪れまして、現地調査と地元の関係者との意見交換を行っております。
 また、事故の原因究明と再発防止を図るために、事故発生直後に事故調査委員会を資源エネルギー庁調査会の下に設置をいたしまして、八月十日にはこの委員による現地調査も行ったところでございます。
 したがいまして、今回の事故につきましては、御指摘のとおり、原子力災害対策特別措置法の対象にはならなかったものの、事態の重大さにかんがみまして実質的には同等の初動対応がなされたものというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今後、事故調査委員会の最終報告書に記載されておりますとおり、救急活動や緊急被曝医療等を所管する関係省庁とも緊密な連携を図るとともに、緊急時の即応体制等につきましても初動対応マニュアルを整備するということによりまして、原子力災害対策特別措置法の改正など法律の見直しによらなくともきちっとした初期対応ができますように、遺漏なきような対応ができますように、その充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
#38
○松あきら君 まあ、その改正がなくてもよい、きちんとやるということでありますので、また、その法律云々についてはお答えがありませんでしたけれども、それを作らなくてもよいということであるのであれば、本当にきちんと対処をしていただきたいとお願い申し上げます。
 それでは、次に関西電力にお伺いをいたします。
 前回も私は質問をさせていただきました。このたびのことはどれだけの反省があっても足りることではないと、全原子力エネルギー政策の根幹、信頼にかかわる問題であるというふうに申し上げました。その上に立って、今回の事故に対する特に初期動作をどのようにとらえていらっしゃるのでありましょうか。また、これは全般で結構でございますけれども、どのような点を特に反省し、また今後の対応に生かしていくおつもりなのか、その御決意をお伺いしたいというふうに思います。
#39
○参考人(秋山喜久君) お答えいたします。
 今回の事故につきましては、先生が御指摘のとおり、我々といたしましては、大変重大な事故であり、二度と起こしてはいけないという非常に大きな反省を持ちまして、不退転の決意で再発防止に努めていきたいということでございます。
 それで、御質問の初期動作につきましては、今、保安院長の方からもお話がございましたように、また報告書にも書いてありますように、おおむね適切であったけれども、消防局への通報あるいは医療機関への通報、その辺について不適切であったという御指摘がございましたので、この点につきましては早急に改善をしていきたいというふうに思っております。
 それから、これまでどちらかといいますと、設備の安全ということについて配慮が行きがちでありましたけれども、設備の安全は当然のことながら、働いている方、労働安全あるいは原子力以外でありますと公衆災害、こういったものの防止、こういったものにも十分留意しながらこれからやっていきたいというふうに思っております。そういった意味で、今回の事故を反省に、設備安全だけではなくて労働安全ということについての再認識を深めていきたいというふうに思っております。
 その前提といたしましては、最初に先生がおっしゃいましたように、今回の報告書を終わりとするんではなくて、これを出発点に安全を確保していくということがその避難訓練あるいは救済方法を考える上の大前提でございまして、まず事故をなくすということにつきまして不退転の決意で臨んでまいりたいというふうに思っていますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#40
○松あきら君 ありがとうございます。
 国民は皆よく見ております。今も、不退転の決意で臨む、進むというふうにおっしゃっていただきました。私は、進退問題というのももちろん大事でありますけれども、それ以上に今後の対処がいかにあるかということが最も大事であるというふうに思っておりまして、藤社長、ちょっとここは、藤社長が専門的に正に品質管理に当たられるということでございますので、正に不退転の決意で臨んでいただきたいと申し上げておきたいと思います。
 今般の事故が夏の海水浴シーズンに発生して、その帰路に就かれた海水浴客の車の渋滞にぶつかって、救急車が反対車線を走らざるを得なかったということがあるんです。先ほど会長も、医療機関との云々というお話ありましたけれども、こういうことも一つ、原因の一つにあるのではないか。やはり緊急避難道路ですね、やはり万が一のときに、際に、地域の住民はどのように避難したらよいのかといったことも含めて不安を生ずる結果となっているわけでございます。
 前回、私はその避難道路の整備要請をいたしました。敦賀市に抜ける道のみならず、私は、本当は、「もんじゅ」付近、それから「ふげん」付近ですね、つまり白木地区、浦底地区というんですか、ここをつなぐ道路、これがあると半島を抜けられる、二本ルートがあると非常に良いのではないかと、福井県はいろいろ努力をして設置、立地をしてくださっていますし、やっぱりこれも必要ではないかというふうに思っている次第でございます。ヘリポートの整備もお願い申し上げましたし、また今回のこの美浜に限らず、他の発電所の地域でも避難道路、またヘリポートの整備が必要であるということも申し上げました。
 今回、美浜町からの緊急避難経路に係る要請にはどのように対処してくださったのか、経済産業省にお伺いをいたします。
#41
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 今御指摘の負傷者の緊急輸送の問題でございますが、昨年の八月の事故に際しましてはいろいろと難しい問題も生じたということで、避難道路につきまして地元の自治体から強い要望をいただいたところでございます。また、昨年の当委員会におきましても松委員等から御指摘を賜ったところでございます。
 これを踏まえまして、私ども、実際に原子力発電所の事故によりまして負傷者等の搬送に支障を来すということが顕在化した地域におきまして、その支障を解消するための避難道路整備を実現することにつきまして財務省と協議を行いまして、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金、これによります支援を行うことができるように必要な交付規則等の改正を行ってきたところでございます。
 具体的な美浜発電所からの避難路の整備につきましては、福井県からの今年度の交付金申請を受けて保安院としてこれを支援するという運びになりますけれども、福井県におきましては、美浜発電所から敦賀半島を横断をいたしまして敦賀市内に抜ける避難道路のバイパス化、トンネルの整備等につきまして要請をする方向であるというふうに承っております。これを受けまして、本年度は地盤調査あるいは一部のり面の対策工事等を対象といたしまして整備を図ってまいるというふうに考えております。
 来年度以降につきましては、具体的に地元自治体の要望を踏まえながら、必要な予算を確保しつつ、また国土交通省、財務省とも協議をしながら、この避難路整備計画をきちんと支援をしてまいりたいというふうに考えております。
#42
○松あきら君 各省庁としっかり連携を取ってよろしく対策のほどをお願い申し上げます。
 今回の事故の直接原因は、管理リスト漏れであります。残念ながら、二十八年間、一度も検査が行われなかったと、恐ろしいような現実でありました。私は前回、事故配管の法定耐用年数というのをお伺いしたんですけれども、ところが、そうしたものはないというふうにおっしゃいました。新品であっても基準に適合していなかったらすぐに取り替えるあるいは修理するし、また長い間使用していてもそれが技術基準に適合していれば引き続き使用する、こういうふうにお答えになったんです。そうであればなおのこと、チェックをしっかりやっていくことが最重要課題なのであります。
 経済産業省では、高経年化の対策を検討する委員会を立ち上げられ、また保安院の中にも高経年化対策室を設けて対応を進めていると伺っておりますけれども、我が国の各地の原子力発電所の高経年化が進む中で安全性のチェックはますます重要になっております。そこで、経済産業省は高経年化対策の充実にどのような検討を進めているのか、これを伺いたいと思います。
#43
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、今回の事故によりまして、原子力発電所の高経年化に対する社会的な関心が高まりました。これを受けまして、高経年化に係るこれまでの技術評価の蓄積あるいは最新の技術的知見を有効に活用して、事業者あるいは私ども規制当局とも、高経年化への取組の充実を図るということが必要だというふうに認識をいたしまして、これを受けまして、昨年の十二月に総合資源エネルギー調査会の下に高経年化対策検討委員会を設置をいたしまして審議を開始してきたところでございます。
 この委員会につきましては、これまで四回開催をされまして、先週でございますが、四月の六日に中間的な論点整理の紙をまとめたところでございます。この中で、産官学の協力による高経年化対策に係る知見、データ等の収集・整備、あるいはこうした情報を有効活用できる情報ネットワークの構築、あるいは高経年化事象の発生・進展メカニズムに関する解明、この予測手法、こうしたことに係る安全研究の充実、いろいろな御提言をいただいたところでございます。この委員会につきましては、今年の八月ごろに、必要な基準、指針等の明確化あるいは国による検査の在り方について取りまとめた最終報告書を作成する予定でございます。
 保安院といたしましては、この高経年化対策検討会で取りまとめられます方針に沿いまして、情報ネットワーク構築のための産官学の連携の促進、あるいは高経年化対策に必要な安全研究の充実、あるいは各事業者の高経年化対策に係る検査の充実、こうした施策を図ってまいる、そういう方針でございます。
#44
○松あきら君 立地地域の皆様方が安心感を覚えるような対策を是非よろしくお願い申し上げます。
 この最終報告書では、国の責任につきまして、先ほど藤末先生からもお話出ましたけれども、こう書いてあります。米国では、八六年に発生したサリー原子力発電所事故後、事業者の対応があったものの、二次系配管に対する事業者の管理プログラムを監視する対象とする等、NRCが積極的に規制制度改革に取り組んできた姿勢に比べ、我が国の対応には反省すべき点が多いと思われる、こういうふうになっております。
 事業者の自律的な保守管理を求めるといたしましても、原子力発電所の安全管理につきましては最終的に国が責任を負うべきであり、今回の事故に対しても国の責任が全くないとは当初から考えにくいことであります。もちろん私は、国が責任を感じてないなどとは決して思っているわけではありません。先ほど大臣も今日が出発点とおっしゃってくださいました。
 改めまして、大臣の今後の責任ある取組についての御決意を伺って、私の質問を終わります。
#45
○国務大臣(中川昭一君) 最終的な目標といいましょうか、あるべき姿は、日本の基幹エネルギーの一つであります原子力エネルギーを安全に、そして国民的な御理解、なかんずく施設の御地元の皆様方の御理解の下で進めていくということでございます。
 そういう中で、今回のはっきり言って複合的な人災というような事故が発生をしたのは、尊い人命が失われたことも含めまして、本当に残念でならないわけでございます。今、松委員からも御指摘ありましたように、プラントオーナーあるいはプラントの点検者あるいは設置者、そしてその連携含めていろいろ問題点が調査委員会の最終報告書でも御指摘をいただいているところでございますけれども、原子力行政また原子力安全行政に責任を持ちます経済産業省といたしましても、多くの反省点がございますので、正すところはきちっと正し、またチェックすべきところはより厳格にチェックをしながら、冒頭申し上げたような目的達成のために改めて、今日の委員会、あるいはまた最終報告書をいただいたことを契機にその目的達成に向かって頑張っていきたい、頑張っていかなければならないというふうに考えております。
#46
○松あきら君 どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#47
○近藤正道君 社民党の近藤正道です。
 昨年の八月、美浜原発事故直後に私も現地を視察させていただきました。最初に朝田参考人にお尋ねをしたいというふうに思いますが、最終報告では、事業者の不十分な保守管理、品質保証の体制が事故の根本原因であると、こういうふうにしておりまして、その背景には事業者の安全文化の劣化があったと、こういうふうに指摘をしております。問題は、その安全文化の劣化の原因でありますが、私は、事業者の経済性最優先、つまり運転最優先、この姿勢があったんではないかと、こういうふうに思えてなりません。
 最終報告によりますと、平成七年前後から関電は配管の肉厚が基準を下回ることが判明しても、材料手配に時間が掛かると、そして原発の運転再開が遅れるおそれがあると、こういうことで基準を勝手に解釈をして補修を先送りして違反を常態化させたと、こういうふうに指摘がされております。
 平成七年ころから美浜三号炉の定期検査日数というものが、それ以前に比べまして大幅に短縮されております。それ以前は年百五十日前後というのが割と、非常に多いんですが、平成七年ごろからそれが年七十日から九十日、このぐらいに短縮をされております。それに伴いまして、先ほど藤末委員の指摘にもありました美浜原発三号炉の設備利用率、これが非常に高くなってきております。
 私は、こういう中で、現場の定期検査工程優先の意識、つまり定期検査に入ったらスケジュールどおりにもうやっちゃえと、こういう意識が蔓延してそれをトップが抑えることができなかったと、こういう私は関係になるんではないかと、こういうふうに思っています。
 朝田参考人にお尋ねをいたしますが、この安全文化の劣化の背景にこうした関西電力の経済性最優先の姿勢があったんではないかと、私はそういうふうに思えてならないわけでございますが、所見いかがでございましょうか。
#48
○参考人(朝田泰英君) お答えいたします。御質問いただきましてありがとうございます。
 初めに調査委員会の立場を申し上げておきますが、この調査委員会の目的は再発防止対策を立てることにございまして、責任その他、これは原因調査に必要であればいたすと、こういうことでございました。
 御指摘ございましたように、今回の事故の直接的な原因は、関西電力、三菱重工業、日本アームが関与いたします二次系配管の減肉管理、これが不適切に行われていた、こういうことでございます。そのために管理すべき箇所が当初の点検リストから漏れていたと、これを最後まで直すことができなかったと、こういうことでございます。
 次に、間接原因に参りますが、間接原因は、こういうことを各社が、各社の不適切な保守管理、あるいは品質保証活動があったと、こういうことでございまして、その背景には各社の社内での安全文化の劣化がありました、こうなっております。具体的に申し上げますと、関西電力につきましては、原子炉設置者としての法的・対外的責任に反して不適切な外注管理、あるいは現場の実態を把握、是正できない管理体制がありましたと、こういうことでございまして、御指摘のとおり、こういったものが同社の品質保証体制の問題であると、こういうことでございました。
#49
○近藤正道君 簡潔に言ってください。
#50
○参考人(朝田泰英君) また、三菱重工業につきましては、この報告書にも書きましたとおり、原子力施設の建設・保全の中核メーカーとしての自己規律を欠いて……
#51
○近藤正道君 簡潔に言ってください。
#52
○参考人(朝田泰英君) はい。ありがとうございます。
 保守管理が行われていたと、このような問題でございます。
 いずれにしても、我々としては、このような事故原因の本質を踏まえれば、再発防止対策の成否は関係者が意識的に努力をしていただく、こういうことであろうと考えております。
 お答えにはなっていないかもしれませんが、以上のとおりでございます。
#53
○近藤正道君 私は、安全文化の劣化の背景に、事業者の経済性最優先の姿勢、原発をとにかく動かすと、これを最優先にする姿勢があるんではないかと、こういうふうに質問をしたわけでございますが、それについて朝田参考人からストレートなお答えがなかったというふうに思っています。
 今度は、藤参考人にお尋ねをいたしますが、藤参考人は、今回の皆さんの報告書の中で、安全を何より優先すると、こういうふうに言っておられますけれども、藤参考人は、今年の三月の十六日の原子力委員会の新計画策定会議の中で、電力自由化の影響を抑えるという意味もありまして、とにかく、既設の原発の活用をとにかくフルにやりたいということで、定期検査の柔軟化、これを非常に国に強く求めております。
 私は、その安全を何よりも優先すると言っても、一方で、こういうふうに定期検査の柔軟化、つまりできるだけ長い間隔の中で定期検査をやらせてもらいたいと、こういう姿勢を一方で言うということは、こういうことがやっぱり現場に反映して、結局、安全優先といってもそれが名目だけのものとなって安全優先が形骸化する、そういう背景になってしまうんではないかと。
 やっぱり、安全文化の再構築を言うんなら、こういう姿勢をやっぱり改めることが私は非常に大事ではないかと思えてならないわけでございますが、いかがでありましょうか。
#54
○参考人(藤洋作君) 近藤先生の御質問にお答えいたします。
 私は、新、原子力委員会の長期計画の策定委員会には電気事業連合会の会長として参画をさせていただいておりますけれども、その中で申し上げた、私はこのように申し上げたと、定期検査の柔軟化と言う前に、安全確保を大前提にということを常に申し上げました。しかも、その前にお話のありました既設の原子力の活用をやりたい、これはどういう意味かといいますと、現在既に設置されている原子力発電所、科学的、合理的な根拠によってきちっと使っていきたいと、そういう意味のことを申し上げたわけでございまして、その定期検査の柔軟化と申し上げましたのは、これも科学的、合理的な条件の下で安全を大前提にということを常に申しております。
 そういう意味でございますので、決してこれが、今御指摘のございましたような、安全を犠牲にして経済優先でと、そういうふうな言葉で、そういう意味で申し上げたものでは絶対にございませんので、そのように御理解賜りたいというふうに思います。
 以上でございます。
#55
○近藤正道君 いずれにいたしましても、先ほど言いました、今回の事故の背景には、やっぱり定期検査の日数が非常に短縮をされている、あるいは設備利用率が他の原発に比べて関電美浜については非常に高くなっている。そういう運転優先という厳然たるやっぱり事実がある中でこういう事故がやっぱり起こっているわけでありまして、私はやっぱりここにきちっとメスが入らないと、安全文化の再構築というのは非常にやっぱり説得力を失うんではないか、こういうふうに思えてなりません。
 安全文化の再構築を言うんなら、この点にやっぱりきちっとメスを入れるべきだというふうに思いますが、秋山会長、いかがでありましょうか。
#56
○参考人(秋山喜久君) 近藤先生の御質問にお答えいたします。
 おっしゃるとおり、安全文化を徹底するということが原子力発電を行っていく上で最優先であるべきだという点については、おっしゃるとおりだと思っております。
 我々といたしましても、安全あっての原子力だということを常々経営方針としても述べ、また現場との懇談会でも述べてまいりましたけれども、それが現場に徹底しなかったということが今回、最終報告で安全文化のほころびというふうに指摘された点を深く反省しております。
 定検日数の短縮につきましては、補修を手を抜くことによって定検期間を短縮するということは決してあってはならないことだというふうに思っております。平成八年から九年にかけまして急速に利用率が上がったのは、先ほど御説明いたしましたように、SGを全部新しいものに取り替えまして、施栓その他の工程を省くことができたということによって原子力利用率が上がったということでございますので、設備の安全性を高めることによって利用率を上げていくというのが本来の筋だというふうに思っております。
 ただ、現場におきましてはどうしても定検日数というものを意識しがちでございますので、我々といたしましては、今後できるだけ早く検査をし、取り替えるべき地点を早く現場に分かるように、例えば今まででありますと二年前にチェックしていたものを五年前にチェックするというふうな形で、できるだけ現場が余裕を持って定検計画の中に織り込めるような形で、決して現場に無理を掛けないようにしながら、定検時間を、定検日数を短縮していくというふうな形で、先生がおっしゃるように、定検日数の短縮ということを絶対優先させるなということは我々といたしましても肝に銘じまして、これからの原子力の安全というものの確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#57
○近藤正道君 終わります。
#58
○鈴木陽悦君 鈴木陽悦でございます。
 時間に限りがございますので、早速質問をさせていただきます。
 関西電力が提出いたしました再発防止にかかわる行動計画について、こちらでございますが、先月三日に開かれました第八回の事故調査委員会で委員の方は次のように申しております。監査体制の強化、情報の共有化、システムとしてどう対策を取るのか、もう一段掘り下げたことをやるべきだという意見、そして、今問題なのは、こういうことが起きてしまうマネジメント、あるいは組織の体質の深いところの要因が何であるかを自分なりに認識をすることだという指摘がありました。
 私は、何よりも安全、安心、安定が求められている、再三この会議場でも主張してまいりましたけれども、このたびの事故調査を受けまして、外部監査制度の導入について伺ってまいりたいと思います。
 外部監査制度は、企業経営におきましても、現場の安全管理のマネジメントにおきましても必要不可欠なシステムでございまして、今回の再発防止策の根幹を成すものと考えております。しかし、関西電力のこの行動計画を見ますと、項目としては掲げられておりますけれども、中期の取組といたしまして、次年度、つまり今年度ですね、平成十七年度からとされておりまして、さらに、随分後ろになります別表のスケジュール表には次年度以降の実施検討と記されているだけでありまして、具体性がちょっと見えません。
 そこで、初めに、こうした委員会の指摘につきまして事故調査委員会の朝田委員長に見解を伺いたいと思いますし、さらに、経営や安全管理に対する外部監査の具体的な取組について関西電力に伺います。
#59
○参考人(朝田泰英君) お答えいたします。
 まず初めに、この外部監査、これが目的といたしますところは、関西電力が発表いたしました五つの基本行動方針、これが着実に実行されることを見ていただくと、こういうことでございます。
 そのために、私といたしましては、この関西電力の活動及びその外部監査が公開された場で行われていること、及び透明性が確保されている、これが大切であろうと思います。例えば具体的に申し上げますと、監査員の人選をどうするか、これが公平に行われているか、あるいは監査結果の公表は正確になされているか、それから監査のタイミングは妥当か、こういったことがあると思います。
 こういうことでよろしゅうございましょうか。
#60
○参考人(秋山喜久君) 鈴木先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。
 安全文化の刷新にとってトップマネジメントが必要だということにつきましては、我々としても先ほど意思表明させていただいたように、十分その点の徹底を図っていきたいというふうに思っております。
 それから、御質問の外部監査につきましては、経営全般につきましては、先ほど申し上げましたように、合計七名の取締役、監査役、これは全役員の約二割に相当いたしますけれども、入っていただき、委員会設置会社以外としましては比較的大勢の社外の方に経営全般についてのチェックをやっていただいております。
 それから、今回の問題につきましては委員会を設けまして、これはまず社内の委員会といたしまして原子力保全改革委員会、これ仮称でございますけれども、これを設置いたしまして、自分たちで改革を何をすべきかということにつきまして検討を行います。それを原子力品質安全委員会、これは外部の先生を委員長といたしまして、外部の先生方に評価していただき、いろいろ勧告をしていただくという形で、まず自分たちの行います改善活動を外部の方にチェックしていただくということを考えております。
 また、ISOにつきましては、国の方でも導入すべきだと、原子力で言っておられますので、当然それに基づくISOのいろいろな手法を導入すると同時に、できましたらISOの機関、何らかの機関に外部からチェックしていただく。あるいはWANO、WANOの方々にチェックしていただくとか、そういった外国の機関あるいは国内の機関、第三者的に専門に原子力の安全について評価していただける方々にチェックをしていただきまして、我々がやっている改善活動が正しいかどうかということの評価をしていただく。と同時に、そういったことをすることによりまして、国民の皆様方に我々がやっている改善活動が正しいんだということの御理解を深める手段にもなるというふうに思っておりますので、先生がおっしゃいますように、外部監査を重視して大いにやっていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#61
○鈴木陽悦君 この次年度以降の実施検討については、是非とも積極的に進めていただきたい、こう要望申し上げたいと思います。
 次に、事故調査委員会の議論の中では、関電の再発防止計画には、事故を起こさないためにどうするのか、これについては書いてあるけれども、事故が起きたときにどうするかとの議論が抜けているという指摘がありました。私も、万が一事故が起きた場合の対策が明らかにされるべきだと思います。先ほど松委員からも御指摘ありました。
 国は避難経路の道路整備を具体化させております。ところが、関西電力の最終報告によりますと、万が一事故が起きた場合の具体的な対応策が抜けているとちょっと感じられるんですが、私も事故現場視察いたしまして、万が一のときに備えた安全策十分かな、ちょっと疑問に思った部分もあります。例えば、避難誘導のシステム設置、それからテレビモニターシステムなど、まあ二次系の建屋には設置義務はないとはいっても、現場で作業する皆さんの立場になりますと安全に対する方策は必ずしも万全とは言い難いんじゃないか、そんな印象を持ちました。
 今回の行動計画には、現場での安全確保が最優先すると力強くうたわれているんですね。対応策の検討状況などを含めまして、これ、是非ともより具体的にお答えいただきたいと思います。安全確保。
#62
○委員長(佐藤昭郎君) どなた。──藤参考人。
#63
○参考人(藤洋作君) ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、事故が万一生じたときにどうするかということは大変大事なことでございます。今回の最終の報告書の中に一部まだ書いていないといいますのは、これは実は三月一日の報告書の中で既に実施していることが一部まだ、抜けているという面がございますので、一々申し上げます。
 まず最初に、平素の対策でございますが、平素にまず作業者の安全確保のための対策が大事でございますので、運転中のプラントの建屋に対する立入り制限は、これはもう実施を現実にしております。立入り、立入りを制限しております。あるいは、耐熱服等を設置し、そして安全通路、主要設備の点検状況の現場への掲示といったことをまず行っております。
 それから、その次に作業者の安否確認の問題がございました。あのときに、実は事故が起こりましたときに百五名の方があの中におられたわけですけれども、それをきちっと把握するために、作業エリアへの入域システム、これによって速やかにその管理区域等への立入り者の協力会社名、あるいは責任者を通じてそういう安否を確認すると、そういうふうな運用にすることと、もう既にしております。
 それからその次に、現地指揮本部に消防本部が来られたわけですが、そちらと私どもの方の連絡は十分でなかったというところがございまして、本件につきましては、現地本部との連携をきちっと取れるような体制に既に改善しております。
 それから、協力会社も含めました避難の問題でございますが、これにつきましても、一緒にちゃんと避難訓練をするということを、年に二回やるということも明示することにいたしました。
 それから、社員に、救急法によります救急員という資格がございます、これを取らせまして、そして救急の対策に当たらせるということも既に実施し、資格も取らせつつございます。
 それから、もう一つ大事なことは、労働安全衛生マネジメントシステムでございます。
 これは、この対策、行動計画の中にも書いてございますけれども、これはリスク要因を省いていく、そして、どうしても省けない場合に近づかないことにする、隔離すると、そういうふうなことを組織的に行うマネジメントシステムでございますが、これは既に美浜発電所に導入いたしまして、これを他の発電所に今後展開していくということにしております。
 誠に申し訳ありません、この点については行動計画に書いてございますが、済んだことについて一部書いていないものもございますが、そういう対策を取っておりますので、よろしく御理解賜りたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
#64
○鈴木陽悦君 是非そうした安全対策は、まさしく、水平展開という言葉がありますが、水平だけじゃなくて縦、横、斜め、いろんな角度から安全に対する万全の対策を取っていただきたいと思います。
 今回の尊い犠牲を大きな教訓といたしまして、安全、安心、安定に向けて今後取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#65
○委員長(佐藤昭郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#66
○委員長(佐藤昭郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る十八日の委員会に全国中小企業団体中央会商業専門委員長・石川県中小企業団体中央会会長五嶋耕太郎君、神戸大学大学院法学研究科教授根岸哲君及び桐蔭横浜大学法科大学院教授郷原信郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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