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2005/03/08 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 厚生労働委員会 第2号
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2005/03/08 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 厚生労働委員会 第2号

#1
第162回国会 厚生労働委員会 第2号
平成十七年三月八日(火曜日)
   午後零時十四分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                国井 正幸君
                武見 敬三君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                遠山 清彦君
    委 員
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                田浦  直君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                中村 博彦君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                足立 信也君
                朝日 俊弘君
                家西  悟君
                小林 正夫君
                柳澤 光美君
                柳田  稔君
                蓮   舫君
                草川 昭三君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   尾辻 秀久君
   副大臣
       厚生労働副大臣  衛藤 晟一君
       厚生労働副大臣  西  博義君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       森岡 正宏君
       厚生労働大臣政
       務官       藤井 基之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (厚生労働行政の基本施策に関する件)
 (平成十七年度厚生労働省関係予算に関する件
 )
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題といたします。
 まず、厚生労働行政の基本施策について、厚生労働大臣から所信を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。
#3
○国務大臣(尾辻秀久君) 厚生労働委員会の御審議に先立ち、厚生労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を始め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 厚生労働行政の使命は、国民の抱く不安を払拭し、国民生活に安心と活力をもたらす礎を築いていくことにあります。急速な少子高齢化の進行や厳しい財政状況の中で、持続可能で安定的な社会保障制度を構築するために不断の改革を実施するとともに、少子化の流れを変えるための各般の対策に取り組んでいく必要があります。あわせて、国民の雇用や健康の問題などにも取り組んでいく必要があります。我が国の未来に明るい希望が持てる社会の実現のため、全力を尽くしてまいる決意であります。
 また、昨年来、厚生労働省及び社会保険庁におきまして度重なる不祥事が発生しましたことにつきまして、この場をおかりして、改めて国民の皆様におわび申し上げます。国民生活に密着した厚生労働行政に携わる職員は、特に一人一人が自覚を持って身を律しなければなりません。今後も、私自身が陣頭指揮を執り、真に国民の信頼を回復できるよう努めてまいります。
 社会保障制度については、内閣官房長官の下に設置された社会保障の在り方に関する懇談会において、公的年金制度の一元化を含め、一体的な見直しの御議論をいただいているところですが、今後は更に、与野党間においても立場を超えて議論を進めていただければと考えています。私としては、それらの議論の結果を踏まえつつ検討を進め、自立支援と予防をキーワードに、引き続き、国民が安心して暮らすことができる社会保障制度の構築に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
 介護保険制度については、高齢化が急速に進む中で、将来にわたって国民生活の安心を支える制度であり続けるよう、制度の持続可能性の維持、明るく活力ある超高齢社会の構築、社会保障の総合化を基本的視点として、予防重視型システムへの転換、施設給付の見直し、新たなサービス体系の確立、サービスの質の確保・向上、負担の在り方、制度運営の見直し等を内容とする介護保険法等の一部を改正する法律案を提出したところです。
 医療保険制度については、将来にわたり国民皆保険を守っていくため、国民健康保険制度の医療費適正化と保険運営の広域化を進め、その安定化を図るため都道府県負担の導入を図ることとしています。今回の国民健康保険制度の基盤、体力の強化を第一歩として、一昨年策定した改革の基本方針に基づき、改革の具体的な内容を検討してまいります。
 医療提供体制については、良質で効率的な医療サービスの提供の実現に向け、引き続き改革の議論を行ってまいります。また、総合的な医療安全対策の推進、小児を含めた救急医療体制の整備等に取り組んでまいります。
 年金制度については、昨年の改正により、制度自体は経済と調和の取れた持続可能なものに見直すことができたと考えています。今後は、医療、介護などを含めた社会保障制度全体について、税や保険料等の負担と給付の在り方を含め一体的見直しを図っていく中で、年金制度についてもこれらとの整合性を図りつつ、年金一元化を含めた見直しについて議論を進めてまいります。
 なお、年金保険料等の二重負担の防止などを目的とする日仏、日ベルギー社会保障協定を実施するため、厚生年金保険法等の特例等を定める法案を提出したところです。
 社会保障政策は、国民の安心と生活の安定を支えるため、地方の権限と責任を拡大するという、いわゆる三位一体の改革を踏まえつつ、国と地方が適切に役割分担しながら円滑に実施することが重要です。また、税制改革に伴い、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げに向けて、所要の措置を講ずる必要があります。このため、国民健康保険における都道府県負担の導入等による国庫負担の見直し、国庫補助負担金の廃止及び交付金の創設、平成十七年度における基礎年金国庫負担の引上げ等を行うための法案を提出したところです。
 生活保護については、今後とも最後のセーフティーネットとしての機能を果たすことが重要であり、単なる経済的な給付に加え、効果的な自立・就労支援を実施する制度に転換し、自立支援プログラムを導入する等、本年四月から順次見直しを実施する予定です。
 社会保険庁につきましては、様々な指摘がなされており、信頼を回復しなければなりません。このため、内閣官房長官の下に置かれた有識者会議の議論を踏まえ、緊急対応プログラムに基づく業務改革を進めているところであり、組織の在り方についても、あらゆる議論を例外としない幅広い議論をお願いしているところであります。既に、現行の社会保険庁の存続を前提としないことなどを基本的な視点として、新しい組織のグランドデザインを三月中にまとめるとの方針が示されているところであり、その結果を尊重し、五月の最終的な取りまとめの結果を踏まえ、組織の抜本的な改革を断行してまいります。
 また、昨年の与党合意を踏まえ、年金の福祉施設等の整理を行う独立行政法人を設置するための法案を提出したところであり、五年を目途に廃止、売却を進めてまいります。
 障害者施策については、障害者が地域で自立しながら安心して暮らせるよう、保健福祉施策及び雇用施策の改革に取り組んでまいります。
 とりわけ保健福祉施策については、身体障害、知的障害、精神障害と障害の種別ごとにサービス提供の仕組みが分かれている現状を改め、市町村が一元的に福祉サービスを提供する仕組みを創設するとともに、利用者負担の見直しや国の財政責任の明確化などを通じて制度の安定化を図るため、障害者自立支援法案を提出したところです。
 同時に、雇用施策については、障害者が社会の支え手の一人として誇りを持って自立できるような環境を整備するため、精神障害者に対する雇用対策の強化、多様な形態による就業機会の拡大等を内容とする障害者雇用促進法の改正法案を提出したところです。
 少子化の流れを変えるためには、子供の育ちや子育てを社会全体でしっかりと応援していくという考え方が重要です。このため、少子化社会対策大綱を踏まえ、昨年末に子ども・子育て応援プランを策定し、従来の待機児童ゼロ作戦に加え、若者の自立や働き方の見直し、児童虐待防止対策など、幅の広い分野で今後五年間に重点的、計画的に講ずる施策と目標を掲げるとともに、おおむね十年後を展望した目指すべき社会の姿を提示し、その実現に向けて各般にわたる施策を着実に実施していくこととしています。新たなプランは、地方公共団体の行動計画を踏まえた初めてのプランであり、企業における子育て支援の取組と力を合わせながら少子化対策に取り組んでまいります。
 また、子供の虐待死という大変痛ましい事件が相次ぐ中、このような悲劇が繰り返されることがないよう、昨年成立した改正児童福祉法に基づき、本年四月から児童相談に関する体制の充実を図るなど、すべての子供が心身ともに健全に成長できるよう努めてまいります。
 なお、児童扶養手当等の額が特例措置によりかさ上げされていることについて、その段階的な解消を図るため、平成十七年度以降の手当額の改定方法を定めるための法案を提出したところです。
 雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、完全失業率が低下傾向にあり、有効求人倍率が上昇傾向にあるなど、改善が進んでいます。しかしながら、特に若年者を中心にミスマッチが依然として大きく、また、雇用情勢には地域差が見られるところです。
 このため、若年者雇用については、働いておらず教育も訓練も受けていないニートと呼ばれる若年者の増加に対応するため、新たに、働く意欲や能力を高める総合的な対策として、若者の人間力を高めるための国民運動の推進や若者自立塾の創設など、若者人間力強化プロジェクトを推進します。また、引き続き若者自立・挑戦プランを着実に推進し、働く意欲のある若年者の雇用を支援してまいります。
 雇用情勢の地域差を解消するため、市町村等が提案した雇用対策事業の中から、コンテスト方式により雇用創造効果の高いものを選抜し委託する事業を行うなど、地域に密着した雇用対策を推進してまいります。
 建設労働者対策については、建設業における新たな労働力需給調整システムの創設等を内容とする建設労働者雇用改善法の改正案を提出したところです。
 重大災害の頻発、過労死の増加など、労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化しています。事業場における安全衛生の確保に向けた事業者の自主的な取組の促進、通勤災害保護制度の拡充、個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間の設定改善の促進などを行うため、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案を提出したところです。
 このほか、社会保険労務士が、個別労働関係紛争に関する裁判外紛争解決手続について当事者の代理を行うことができるようにすること等を内容とする社会保険労務士法改正法案を提出したところです。
 本年から重点的に展開する十か年の健康フロンティア戦略に基づき、国民の健康寿命を二年程度延ばすことを目標に、働き盛り、女性、高齢者の国民各層を対象に、重要性の高い生活習慣病対策、介護予防対策を進めるとともに、それらを支える科学技術の振興を図ってまいります。
 感染症対策については、動物由来感染症の対策に万全を期するとともに、新型インフルエンザへの備えやアジアを始めとする国際協力についても積極的に取り組んでまいります。また、C型肝炎対策については、検査や治療体制等の一層の充実を図るため、新たに専門家等による検討の場を設けたところであり、本年夏ごろまでに検討結果を取りまとめてまいります。
 花粉症対策については、正しい情報に基づく予防や早期治療の更なる徹底を進めてまいります。
 先月、国内における最初の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症例があったことについては、今後とも、国民に対して正しい知識の普及を行うなど適切に対応してまいります。
 食の安全については、BSE対策を始め、引き続き国民の関心は高いものとなっており、食品のリスク管理を担う厚生労働省としましては、関係省庁との連携の下に、食品の安全性の確保に全力を尽くしてまいります。
 薬事制度については、本年四月施行の改正薬事法の着実な施行に努めるとともに、医薬品の安全対策、血液事業の推進等に引き続き取り組んでまいります。
 援護行政については、戦没者の遺骨収集や慰霊事業、戦傷病者や中国残留邦人等に対する支援の充実などに努めてまいります。また、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金を来年度以降も継続して支給するための法案を提出したところです。
 昨年は、多くの台風、豪雨や新潟県中越地震など、災害による被害が相次ぎました。引き続き、復旧・復興支援に取り組み、被災者が一日も早く安心して暮らせるように努めてまいります。
 以上、御説明申し上げましたが、今国会において厚生労働省が提出した法案につきましては、一日も早い成立をお願いいたします。
 厚生労働行政には、このほかにも多くの課題が山積しています。私は、諸課題の解決に向けて全力を尽くしてまいりますので、委員長を始め、皆様方の一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
#4
○委員長(岸宏一君) 次に、平成十七年度厚生労働省関係予算について厚生労働副大臣から説明を聴取いたします。衛藤厚生労働副大臣。
#5
○副大臣(衛藤晟一君) 厚生労働副大臣の衛藤でございます。西副大臣並びに森岡、藤井両政務官とともに尾辻大臣を支え、岸委員長を始め、委員各位の御理解と御協力を得ながら、厚生労働行政の推進に邁進してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料に基づきまして、平成十七年度厚生労働省関係予算案の概要について御説明申し上げます。
 まず、平成十七年度厚生労働省所管一般会計予算の規模は、総額二十兆八千百七十八億円、対前年度六千二百六十八億円、三・一%の増加となっております。
 次に、予算の主要施策について御説明申し上げます。
 資料の五枚目からが予算のポイントでありますが、三位一体改革につきまして、国民健康保険の都道府県負担の導入や地方向け補助負担金の移譲、地方の創意工夫や裁量性を高めるための交付金化等を行うこととするとともに、介護保険制度の構築など所要の項目を挙げております。
 次に、各分野の内容につきましては、第一は、二十ページから二十三ページにかけての、生涯にわたり元気で活動的に生活できる明るく活力ある社会の構築であります。国民の健康寿命を延ばすことを目標に、働き盛り、女性、高齢者といった国民各層を対象に生活習慣病対策と介護予防を推進するとともに、それらを支える科学技術の振興を図るため、健康フロンティア戦略を推進してまいります。
 第二は、二十四ページから二十八ページにかけての、次世代育成支援対策の更なる推進であります。少子化の流れを変えるための次世代育成支援対策を強力に推進してまいります。このため、地域における子育て支援対策や児童虐待防止対策の充実、待機児童の解消に向けた取組を引き続き推進するとともに、子育て生活に配慮した働き方の改革を推進してまいります。
 第三は、二十九ページから三十二ページにかけての、若年者を中心とした人間力強化の推進であります。働く意欲が不十分な若年者、無業者の増加など、新たな課題に対応するための若年者の雇用対策として、若者人間力強化プロジェクト等を推進するとともに、再就職を促進するために企業ニーズ等に対応した職業能力開発等を推進してまいります。
 第四は、三十三ページから三十五ページにかけての、雇用のミスマッチの縮小のための雇用対策の推進であります。雇用のミスマッチや地域差の見られる雇用失業情勢等に対応するため、地域の雇用創造に向けた取組に対する支援、官民が連携した効果的な職業紹介の推進などの雇用対策を進めてまいります。
 第五は、三十六ページから四十ページにかけての、高齢者が生きがいを持ち安心して暮らせる社会の実現であります。持続可能な介護保険制度を構築するため、予防重視型システムへの転換、施設給付の見直し、新たなサービス体系の確立など見直しを行うとともに、サービス提供体制の整備や質の向上等を図ってまいります。
 あわせて、高年齢者等の雇用・就業対策について、六十五歳までの雇用機会の確保等を図ってまいります。
 また、年金制度については、持続可能な制度へと見直した昨年の改正で定められた、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引上げに向け、国庫負担上乗せの措置を講じることとしております。
 なお、年金事務費については、国の財政が極めて厳しい状況にあることを踏まえ、効率化を図るとともに、保険料負担の対象となる事務費の範囲を明確にした上で、特例措置を継続することとしております。
 第六は、四十一ページから四十四ページにかけての、障害者の自立支援の推進と生活保護制度の適正な実施であります。障害者施策につきましては、地域における自立生活の支援のための制度改革、精神障害者の保健福祉施策の充実、障害者の雇用及び職業能力開発の推進を図るとともに、年金を受給していない障害者への特別給付金の支給を行うこととしております。
 さらに、生活保護制度の適正な実施を図るため、生活保護受給者の自立・就労を支援するための施策を推進してまいります。
 第七は、四十五ページから四十六ページにかけての、安心、安全な職場づくりと公正かつ多様な働き方の実現であります。重大な労働災害の発生防止や賃金不払残業の解消など、だれもが安心して安全に働ける環境づくりを推進するとともに、公正かつ多様な働き方を実現できる環境の整備を図ってまいります。
 第八は、四十七ページから五十ページにかけての、安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進であります。医療安全対策、救急医療の充実など、安心で質の高い医療提供体制の構築を図るとともに、感染症及び疾病対策を推進してまいります。
 第九は、五十一ページから五十五ページにかけての、国民の安全のための施策の推進であります。重篤副作用の早期発見等の予測・予防型安全対策の推進、医療機器審査の充実、血液対策の推進など、医薬品、医療機器の安全対策を推進するとともに、食品添加物の安全性確認や残留農薬基準の策定、輸入食品、健康食品の安全対策の強化など食品安全対策を推進してまいります。
 あわせて、医薬品、医療機器産業の国際競争力の強化、健康危機管理体制の強化を図ってまいります。
 以上のほか、五十六ページから五十八ページでは、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際活動の展開、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給を始めとする戦傷病者、戦没者遺族や中国残留邦人などの援護対策、原爆被爆者対策、生活衛生関係営業の振興策、ホームレスの自立支援等の諸施策を推進してまいります。
 以上、主な内容について御説明しましたが、お手元の資料のうち、特別会計予算案の概要につきましては、説明を省略させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
#6
○委員長(岸宏一君) 以上で所信及び予算の説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
 大臣、副大臣は御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。
    ─────────────
#7
○委員長(岸宏一君) 次に、先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。山本孝史君。
#8
○山本孝史君 委員派遣について御報告申し上げます。
 去る十二月八日、九日の二日間、岸委員長、武見理事、国井理事、辻理事、西島委員、藤井委員及び私、山本の七名により、山形県、福島県の社会保障及び労働問題等に関する実情を調査してまいりました。
 以下、その概要を御報告いたします。
 一日目は、まず山形県天童市にある介護老人保健施設・特別養護老人ホーム「あこがれ」を訪問し、概況説明を聴取した後、施設を視察いたしました。当施設では認知症の専門棟を備えており、認知症の高齢者に対しては、すべて個室で画一的な対応をするのではなく、二床室や四床室を組み合わせることによって、個々の症状に応じたきめ細かな対応を行っているとのことであります。なお、施設の理事長から、介護職員の経験に応じた処遇が可能となるよう、介護の経験を評価する仕組みを介護報酬に取り入れるべきであるとの意見が述べられました。
 次いで、山形県上山市の肢体不自由児施設・難聴幼児通園施設である山形県立総合療育訓練センターを訪問し、概況説明を聴取いたしました。当施設は昭和五十七年に設立され、設立当初はリハビリを中心とした施設でありましたが、近年は入所する児童の多くが人工呼吸器等を必要とする等重度化しており、それに対応するための設備や人員等を早急に整備することが課題となっているとのことであります。なお、説明聴取後、支援費制度導入による利用者への影響、発達障害児に対する対応等について意見交換を行い、施設を視察いたしました。
 続いて、山形県庁におきまして、山形県の保健、医療、福祉の概況、山形労働局管内の労働情勢についてそれぞれ説明を聴取いたしました。山形県では、保健・医療分野においては、医師不足地域への医師の安定的確保が早急の課題となっているとの説明がありました。子育て支援については、子育てしながら働きやすい環境づくり、子育てを地域社会全体で理解し、支え合う環境づくりなどを内容とする行動計画を策定し、「子育てするなら山形県」をキャッチフレーズに市町村、企業、県民と協力し、取り組んでいるとのことであります。また、県の雇用失業情勢については、東北六県の中では最も有効求人倍率が高いものの、その求人の約半数は派遣労働やパートタイム労働等に対するものであり、正社員としての募集が少なく、依然として厳しいとのことであります。こうした中で、山形労働局は早期再就職に向けた取組に重点を置き、早期就職支援センターをハローワークに設置して、求職者の個々の状況に応じた体系的かつ計画的な就職支援を行っており、そのプログラム修了者の就職率は八割を超えているとのことであります。なお、説明聴取後、国民健康保険制度における都道府県負担の在り方、子育て支援策の取組状況、山形県における健康づくり事業の内容等について、県知事を始め、関係者の方々と意見交換を行いました。
 次に、年金福祉施設である山形厚生年金休暇センター、ウェルサンピア山形を訪問いたしました。施設を運営している厚生年金事業振興団から受託施設全体の運営について説明を聴取し、施設の運営や改修に関する費用、施設の廃止に向けた取組等について意見交換を行いました。なお、ウェルサンピア山形に宿泊し、利用者として実際に施設を体験してまいりました。
 二日目は、福島県福島市にある配偶者への暴力に関する問題や離婚問題に関する相談業務を行っている福島県女性のための相談支援センターを訪問し、概況説明を聴取いたしました。当施設は、県で募集したボランティアと協働で、県民参加型の施設運営を行っているとのことであり、ボランティアに対して研修を行い、その修了者が女性支援パートナーとして、相談業務や保育・学習指導業務を行っているとのことであります。また、一時保護所等を併設していることから、外部からの不法な侵入行為に対し、利用者の身の安全が確保されるよう、監視カメラの設置や警察への連絡体制を整備しているとのことであります。なお、説明聴取後、入所者の医療費負担の状況、一時保護所を併設していることの意義等について意見交換を行い、施設を視察いたしました。
 次に、福島県の保健、医療、福祉、雇用について概況説明を聴取いたしました。福島県では、「安心して暮らし・ともに生きる・健康福祉社会の実現」を基本理念に八つの基本目標を立て、保健、医療、福祉の総合的な展開を図っているとのことであります。中でも、健康を支える医療の充実として、へき地等の医師確保を図るために、へき地医療対策アクションプログラムに基づき、へき地医療支援機構の運営事業や地域医療従事医師修学資金貸与事業等を実施し、地域医療提供体制の整備を推進していることを強調されておりました。また、新規高卒者の就職対策について、その就職率を一〇〇%にすることを目指し、県、教育庁、労働局の三者が実施主体となり、強力な連携の下、取り組んでいるとのことであります。なお、説明聴取後、福島県のへき地医療対策、今後の医師の養成の在り方等について、県知事を始めとする関係者の方々と意見交換を行いました。
 最後に、今回の委員派遣に当たりまして、山形県、福島県及び訪問先の関係者の方々に特段の御配慮をいただきましたことを、この場をおかりして心からお礼を申し上げたいと存じます。
 なお、山形県の概況説明に際しまして、当委員会に対し医師確保及び三位一体改革についての要望がありましたので、これを本日の会議録の末尾に掲載していただきますようお願い申し上げます。
 以上で、委員派遣の報告を終わります。
#9
○委員長(岸宏一君) 以上で派遣委員の報告は終わりました。
 なお、ただいまの報告の中で要請のございました現地の要望等につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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