くにさくロゴ
2005/03/15 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 厚生労働委員会 第3号
姉妹サイト
 
2005/03/15 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 厚生労働委員会 第3号

#1
第162回国会 厚生労働委員会 第3号
平成十七年三月十五日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月八日
    辞任         補欠選任
     小池  晃君     小林美恵子君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     小林美恵子君     小池  晃君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君     松岡  徹君
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     松岡  徹君     蓮   舫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                国井 正幸君
                武見 敬三君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                遠山 清彦君
    委 員
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                田浦  直君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                中村 博彦君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                水落 敏栄君
                足立 信也君
                朝日 俊弘君
                家西  悟君
                小林 正夫君
                柳澤 光美君
                蓮   舫君
                草川 昭三君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   尾辻 秀久君
   副大臣
       厚生労働副大臣  衛藤 晟一君
       厚生労働副大臣  西  博義君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       藤井 基之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       猪俣 弘司君
       内閣府大臣官房
       遺棄化学兵器処
       理担当室長    高松  明君
       内閣府大臣官房
       審議官      堀田  繁君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       法務省入国管理
       局長       三浦 正晴君
       外務大臣官房審
       議官       西宮 伸一君
       外務大臣官房審
       議官       長嶺 安政君
       外務大臣官房参
       事官       小井沼紀芳君
       外務省欧州局長  小松 一郎君
       外務省領事局長  鹿取 克章君
       文部科学大臣官
       房審議官     山中 伸一君
       厚生労働大臣官
       房審議官     大槻 勝啓君
       厚生労働省医政
       局長       岩尾總一郎君
       厚生労働省健康
       局長       田中 慶司君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     青木  功君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       伍藤 忠春君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    小島比登志君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    塩田 幸雄君
       厚生労働省老健
       局長       中村 秀一君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       厚生労働省年金
       局長       渡辺 芳樹君
       環境省総合環境
       政策局環境保健
       部長       滝澤秀次郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (厚生労働行政の基本施策に関する件)
○地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき
 、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの
 件(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省老健局長中村秀一君外二十二名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(岸宏一君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○中村博彦君 三月にグループホームの、石川県で殺人事件が起こりました。昨年の十一月十六日にこの厚生労働委員会で質問をさせていただきました。本当に今のグループホームの人員基準というのは、大変労働環境が悪いんだと、これを改めていきませんと必ず大きな社会問題になるんだ、そういうことを言わさしていただきました。
 この一人夜勤からくる殺人事件、大臣はどのようにお考えになっておるのか、お願いいたしたいと思います。
#6
○政府参考人(中村秀一君) 先ほど先生からお話のありました昨年十一月の厚生労働委員会でも、私、先生のそういう御質問について御答弁さしていただきましたので、本件につきましても御答弁さしていただきます。
 今回の事件は、殺人事件ということで捜査が入っておりますので、私どもも当該県を通じまして情報の収集に努め、本件についての認識はきちんとさしていただきたいと思っておりますが、何分、司直の手が入って捜査しておりますので、もう少しお時間をいただきたいと思います。
 その上で申し上げますが、グループホームの質の確保については大変重要な課題だというふうに考えております。先生御指摘のとおり、グループホーム、介護保険始まる前に二百六十六か所であったものが、最近の数字ですと五千七百か所を超えるというふうに大変急増しているということは、ある意味で様々な問題も起こりがちだと思いますし、先生御指摘の、少人数によるケア、小さな事業所特有の問題もあろうかと思います。
 かねてから、グループホームについてはそういった問題もこれあり、第三者評価を受けていただくということで鋭意努めてまいりましたけれども、今回の法律改正でも、情報開示の標準化を図る、グループホームを含めまして介護保険事業所の皆様方には、すべて情報開示を、決められたフォーマットに従い、その事業の特性に応じたフォーマットを作りますが、相互に比較可能、客観的な情報開示ができるシステムを図ってまいりたいというふうに考えております。
 グループホームをめぐる問題がいろいろある中で、この事件がそういう構造的な問題とどの程度結び付いているのかということについても分析が必要だと思いますが、繰り返しになりますが、グループホームの質の確保、ここは、非常に増えているだけに重要な課題であると認識いたしております。
#7
○中村博彦君 今も老健局長の説明にございましたように、今やグループホームは一日四か所の勢いでできております。そして問題なのが、単体でグループホームが造られておるわけでございます。現在、グループホーム総数のうちに七九・六%が、サテライト的でなく、親施設がなくて造られておる単体施設が七九・六%にも上ります。このグループホームは、今現在重度化が進んでおるわけですけれども、入所者の中で重度化が進んでいますが、現在、グループホームの要介護度は大体幾らの数値を示しておるでしょうか。大臣に御答弁を願いたい。
#8
○政府参考人(中村秀一君) 今の御質問につきましては、客観的な事実の問題でございますので私の方からお答えをさせていただきます。
 グループホームの平均要介護度は二・三六と、こういうふうになっておると承知しております。
#9
○中村博彦君 再三私が申し上げておりますように、現在、このグループホームは、ツーユニット、十八床が通常でございます。そして、夜勤か宿直は十八人の入所者に対して一人という実態であります。そして今、要介護度は二・三と。そして、現在、都市部のグループホームは、正に要介護度が三を超えたグループホームもたくさん多い。私は、やはりこれは正に社会問題になっていくと。もちろん、今回の石川の事件も、夜勤者が悪いことは言うまでもありませんけれども、設計ミスだと。これはもう少し大臣、認識していただきませんと、今のような人員配置基準で介護の質が保たれるのか、本当に考えていただきたい。
 そして、当然、この小規模多機能型のグループホームは、事件や事故を起こさないために厚い人材配置をする、そうなってきたら必ずコスト高になっていくわけでございまして、これは私は、一つのやはり今回の介護保険制度改革の中の最も注目すべき施設でないかと、このように考えておるわけでございまして、この短絡的な施設設計というのは、私は設計ミスと、行政の責任に帰するところが多いと、そこをひとつ大臣も考えていただきたいわけでございます。
 そして、今度の介護保険法の中で最も難解なのが要介護認定の仕方であります。なぜ、今までスムースにコンピューターによる一次判定で要介護度認定ができておったにもかかわらず、今回、皆さんが御理解していただいておるかどうか知りませんけれども、コンピューターによる一次判定で、要介護五から要介護一、要支援と一次判定が出るわけでございます。そして、要介護一と要支援層が要介護状態という形で出てまいるわけでございます、中村老健局長案では。そして、その要介護状態から予防給付対象者として認定する。そして、御存じのとおり、第二次判定である認定審査会で、予防給付に向いていない人を、介護給付が必要な人を要介護一に認定するという本当に複雑な、逆流的な形で認定するわけであります、今の案では。
 本当にこんな分かりにくい認定の仕方が、大臣、副大臣、今までこの四年数か月掛けて国民に親しみてきた制度を、なぜこんな分かりにくい複雑怪奇な認定の仕方をしていくのか、お答え願いたいんです。
 そして、特にこれは、ここの部分はポイントでございますから、大臣も是非精査をしていただきたいという意味でお願いをしておるわけでございます。
#10
○副大臣(西博義君) お答え申し上げます。
 委員も御承知のとおり、介護保険法といいますのは、元来、自立支援ということを目的、また目指しておりまして、要支援者に対して予防給付を行うというふうに今回は明確に方向を定めたわけでございます。
 今までのこの五年間の施行状態を見てみますと、その予防給付というものが十分に言わば働いてこなかったということもございまして、特に軽度の方につきましては、介護状態の改善が図られる可能性が高いということにもかかわらず実際にはなかなかそのようにはなってこなかったということから、今回、特に軽度の方に対する予防給付というものを徹底してやろうということで見直しを図ることにいたしました。
 要介護認定におきましては、そういうわけで、軽度の人のうちから改善の可能性の高い方を中心に選定をいたしまして、そして、状態の予防を重視いたしまして、介護保険制度の維持安定、これを図っていきたいというのが今回の介護予防制度の改革の趣旨でございます。
#11
○中村博彦君 分かりました。
 それじゃ、西副大臣に聞きますが、予防給付の適切な利用が見込まれない状態の方を認知症と言いますね。そして、上記の申し上げた方を要介護度一ということで認定をされるわけであります。そうですね。
#12
○副大臣(西博義君) はい。
#13
○中村博彦君 それじゃ、中村老健局長が作られておる第三カテゴリーといいますか、地域密着型施設の中になぜ介護予防認知症対応型通所介護や、なぜ介護予防認知症対応型共同生活介護が必要なのでしょうか。これは大臣、本当に考えてみてください。これ、矛盾だらけですよ。
#14
○副大臣(西博義君) 先生御指摘の認知症の方に対する対応でございますが、この認知症の対策には最近いろいろな事実が分かってまいりまして、早期に発見をいたしまして、そして進行を予防するということがだんだんと実証されつつあるように思います。
 認知症の方々は、一般的にはこれは介護予防が困難だと、こういうふうに認識しているところですが、特に軽度の認知症の方々、これは適切なプログラムを行いますと状態の維持改善が期待できるということから、それらの方々がグループホームで生活を組み立てて、そして適切なケアを利用すると、こういうことも考えまして、今回、御指摘のようないわゆる介護予防のグループホーム等をこの制度として位置付けたということでございます。
#15
○中村博彦君 もう一度言いますが、この厚生労働省が介護予防スクリーニングの手法検討小委員会で結論を出しております。すなわち、新予防給付の適切な利用が見込まれない状態像、その方が認知症だと。その認知症、その方を対象に介護予防をする。介護予防をする、その方が要介護度一でありながら介護予防をする。矛盾をしておるということは明らかであります。この辺をもう一度精査し直して考えていただきたいと思います。
 それじゃ、大臣、中村老健局長が、特養は、施設は必要ないんだ。中村老健局長が、二年前、四月三日の総合規制改革会議で介護保険の施設サービスについて、特養ホーム自体がなくなり、別の形、カテゴリーの介護施設も考えられると。今の特養ホームは地域隔絶だ、集団処遇だ、身体拘束だ。それを前提に、これからの施設は、大規模なものでもなく、地域から切り離されたものでもなく、小規模、多機能、地域密着の第三カテゴリーの施設を目指しているんだと、こういうことを発言しておりますが、その発言について大臣はどのようにお考えでございますか。
#16
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど来、特養の話、それから小規模施設の話、両方出ておりますので、改めて申し上げたいと存じます。
 国会の御議論などお聞きいたしておりましても、将来の方向として小規模化という御議論が一方に強くあることは私も感じております。したがって、そうした御議論、御意見なども踏まえながら、私どもは将来どういう方向に持っていくかということを考えてやっていきたいと思っております。
 そうした中で、事件も起きたりいたしておりますので、このことについては、先ほど局長からお答えいたしましたように、それが制度的なことから来たものなのか、よく私どもも慎重に吟味をしてまた今後に備えていきたいというふうに思っておるところでございます。
 そうした中で、特養が必要でないというような発言をしたかのごとく今言われましたけれども、私はその発言を聞いてはおりませんけれども、局長が特養は要らないと言ったとは思いません。また、かねて局長の考え方も聞いておりますけれども、そういうことを言ったこともありません。
 先ほど申し上げましたように、小規模化という話もありますけれども、一方、介護施設の整備、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備というのは、これは極めて重要なものであると認識をいたしておりまして、今後ともその働きをしていただきたいというふうに私どもも考えておるところでございます。
 それから、先ほど要介護認定の話もありましたので、この答弁に立ちました機会にちょっと申し上げておきたいと思いますけれども、そもそもこの介護保険制度をつくりましたときに、介護認定どうするのか大きな議論がございました。私どもはこの介護保険、ドイツを随分参考にいたしました。そして、ドイツはコンピューターに任すのではなくて、もう人間が一人ずつ判定するという方法を取っておりました。私どもは、そうしたドイツの例に倣うのかな、いやコンピューターに任そうかなと随分議論をしたんですが、結論として、一次判定はコンピューターに任すことにいたしました。そして、今日まで五年間スムーズにやってきたと、こういうふうに思います。
 ただ、先生御指摘の部分でありますけれども、ここのところは決して余り複雑にしたとは思っておりませんで、今までと同じように一次判定で要介護度を判定しますけれども、要介護一のところの皆さんは、今度は予防ということを非常に強く私どもも考えておりますから、予防がより可能な皆さんを要支援という区別にしようと、そこの区別だけは改めてさしていただこうというそこが加わるだけでございますから、決してそう複雑なものにしたとは考えていないところであります。
 そして、その予防が可能な皆さん、認知症の中でも予防が可能な皆さんというのはおられるわけでありますから、そうした皆さんをそうした区分にさせていただいて、是非予防重視のところでサービスを受けていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 いろいろ御議論あった部分について、今まとめてお答えを申し上げたところでございます。
#17
○中村博彦君 今、中村老健局長の発言のことございましたけれども、これは政府の総合規制改革会議の中で発言をいたしておりますので、大臣も正式な文書を取って見ていただいたら分かっていただけるかなと、こういうように思っております。
 本当にそういう意味では、施設をなくして、小さな小規模多機能、第三カテゴリーをつくられるという強い思いの中で、老健局のあらゆる意見を豪腕で押さえ込まれて老健局長案を作られたのは誠に立派と言うしかないんでないかと、私はそう思っております。
 老健局長に聞きたいんですけれども、この平成十五年の二月二十五日、主管課長会議で、もう今やなくなりました、実質施設としての機能を失っております千葉県にございます風の村の施設を、あなたは主管課長会議で講師にお呼びをして、すばらしい施設だからと言って各都道府県の課長にあなたは徹底されましたね。その中身は、御存じのとおり、高齢者施設の入居者は、集団生活に身を置き、意思や意欲をなくしながら変化のない生活を送っている、特養。だから、今必要でないものは静養室だと、この主管課長会議で風の村の秋葉施設長は必死に老健局長の意を体して発言をされました。
 どうかこの件について、あなたは今なお間違いがなかったと、風の村はすばらしい施設だとお思いなのか、御答弁を願いたい。
#18
○政府参考人(中村秀一君) 今、中村先生の方から、十五年二月二十五日というお話でございました。私、その正確な日付とかそのところは今確認するあれはございませんが、全国の主管課長会議に風の村の方に来ていただきましてお話をしていただいたことは記憶がございます。
 まず、背景を申し上げますと、今先生がおっしゃった十五年二月ということでありますと、十五年四月に介護報酬の改定がございまして、特別養護老人ホームの中で初めて介護報酬で全室個室のユニットケアについて基準ができ、制度化され、特別の介護報酬が設定されると、こういう時期でございます。厚生労働省は、十四年度から全室個室のユニットケアの特別養護老人ホームの整備を国庫補助の整備対象にし、全国でそういう整備が始まったところでございます。
 今御指摘の千葉県の風の村は、そういう中で先駆的に全室個室のユニットケアに取り組まれておられた施設と、そういうことで、これから制度化され、全国に普及していくに当たって、全室個室のユニットケアというものは実際どういうものかということをまだ余り目にしたことのない全国の都道府県の課長の方々にも理解していただくために講師でお呼びしたものと、こういうふうに記憶をいたしております。
 なお、私の発言のお尋ねがございましたので、同じく平成十五年四月三日の総合規制改革会議第四回アクションプラン実行ワーキンググループにおけるヒアリングの際に、先生の方から私が発言したとされて先ほど御質問にありましたような趣旨の御紹介がされておりますが、これは前にもこの委員会でも御答弁申し上げたかもしれませんが、総合規制改革会議の皆さんが、介護保険の主要な課題として特別養護老人ホームの設置主体の規制緩和をおっしゃり、株式会社等、そういう営利法人が特別養護老人ホームの設置主体になればあたかもすべての介護問題が解決するような、そういう流れの御議論をされましたので、それに対する言わば私の反撃といたしまして、特別養護老人ホームはどうなんだということについて、これは正に見直しの中の一つの課題になっておりまして、こういう言い方は誤解を招くかもしれませんが、今特別養護老人ホームが永久に続くような感じで我々は議論しておりますけれども、介護三施設の問題がございますので、誤解があるかもしれませんので慎重に言わなければならないのですが、ひょっとしたら、特別養護老人ホーム自体がなくなって別のカテゴリーといいますか、別の形の何か介護施設ということも考えられる。つまり、問題状況はそういうことではなく、より良い介護をするためにどういう施設形態があるかの方が重要な課題であり、特別養護老人ホームの設置主体を緩和することですべて解決が図られるような議論は誤りだということを申し上げたくて発言したものであると、そういうことでございます。
 なお、静養室の廃止につきましては、かねて申し上げておりますが、廃止ではございませんで、それまで施設整備の基準の際に必ず静養室を設置しなければならないという義務必置になっておりましたけれども、施設整備をする施設、特別養護老人ホームの設置主体の方で静養室を置くか置かないか、そこは自分たちの経営方針、どういう介護をするかによって決めていただければよいというふうに考えましたので、あえて義務的に設置しますと、必要のない使われ方をした場合、苦労して、静養室等必要になるということがあるのではないかと思ってやっているものでございます。
 例えば、病院に併設されています特別養護老人ホームなどの場合は、具合が悪くなった場合に病室の方に移されるというような形態がありますので、そこについては必要がないとか、全室個室のユニットケアの部屋でございますとその自分のお部屋が言わば病室になるわけでございますので静養室そのものだということもあると思いまして、そういうことを規制緩和の観点から提案をさしていただいたわけですが、それは、提案していることで皆さんに御意見を拝聴しているところでございまして、中村老施協会長の方から強い御反対がありましたので、まだその点については着手をしていない状況にございます。
#19
○中村博彦君 今も静養室の問題、それからその平成十五年の二月二十五日の主管課長会議のペーパーの中で、必置基準、必ず設けなければならない設備から食堂、静養室、面談室、皆削除しておるわけであります。そして、一番重要な、これだけの重介護が進んでおる中で医務室すら削除しようとしたんですよ、大臣。しかし、私たちがストップでお願いしたからこそ止まった。しかし、その医務室も、現在検討中、できる限り早く結論を得たいというペーパーで全国の主管課長会議に回しておるんですよ。医務室も必置から外す。そして、都道府県は、お分かりのとおり、今まで必置基準であったものを必置から外すと、当然、必要ないという方向で指導監査をするということは大臣、御存じですね。そして、今回のまた中村老健局長の通知ミスでノロウイルスの感染出ました。特養には何が今必要なんでしょうか。
 大臣、簡単に、介護保険法と、簡単に、関係なく、医療との特養ホームでの構築というのはどうお考えなのか、是非教えてください。
#20
○政府参考人(中村秀一君) ちょっと今の御指摘の中に特別養護老人ホームのノロウイルスの感染の問題がございましたけれども、その今の問題になっております施設は、医務室とかそういうものは、御承知のとおり、先生、ありました。ですから、その医務室の有無とかそういったことがその特別養護老人ホームの例えば感染症問題の本質ではないというふうに思っております。
 今、医療と介護の問題が指摘されましたのでお答え申し上げますが、介護保険は三施設あると、先生御承知のとおり。特別養護老人ホームは福祉由来の施設で、医師の配置が、常駐の医師は義務付けられていないと。老人保健施設は老人保健法由来で、医師が一人、少なくとも一人配置されていなければならない。介護療養型医療施設は医療法の病院でございますので、今の介護療養型の平均入所者数を考えますと三人の医師の配置が必要になると。このように、介護三施設と申しましても、医師の配置という点だけ取った場合でも、医療との関係、精粗様々ございます。
 そういった中で、先生御指摘のとおり、利用者の重度化は非常に大きな課題でございます。ターミナルを含めた重度化の対応は、まず、施設の中だけではなく、自宅で介護されている方もおられます。自宅でみとられたいという方もいると。自宅におけるそのターミナルがどうあるか。そのときに、医療と例えばヘルパーさんとの関係どうかという問題がございますし、先生が先ほど人員配置の手薄を主張されました様々な小規模施設においても、これからターミナル、お世話する方の方も目指したい、また家族の方もそこでみとられたいという希望がありますので、そこでのターミナルの問題、それから特別養護老人ホーム等を含めましたターミナルの問題、また施設においては入所者の方の健康の問題があります。先生おっしゃるとおり重度化しておりますので、日ごろの健康管理どうするか、様々な問題があり、それぞれの場面で、先生おっしゃるとおり、医療と介護の関係は極めて重要な課題になっていると思っております。
 その際、解決方策としてはやはり、これは介護保険部会、審議会の方でも言われていることですが、医療保険と介護保険の制度間の役割分担、医療サービスと介護サービス、実際のサービスの役割分担や連携が大きな論点となるものと考えておりますので、単に特養の静養室や医務室の問題というような問題に限定するんではなく、先生おっしゃるとおり広い問題として議論をしていく、検討していく必要があると思います。
#21
○中村博彦君 私はここで、この介護保険法案は本当に政治課題になるということで大臣や副大臣に聞かしていただいておるわけで、本当に詭弁を聞いておるわけではございません。
 それじゃ、まあ、中村老健局長が力入れてつくられた個室・ユニットケア型の新型特養にはどれだけの医務室があるかを後ほど、造られた施設と、医務室がどれだけ必置されているか、あるか、後ほどペーパーでお願いいたしたいと思います。
 続いて、これも摩訶不思議な、行政コストを増大せしめようとしてつくられております地域包括支援センターであります。大臣、この地域包括支援センターが各生活圏域にできていくんですよ。そして、私は分かりませんけれども、なぜ最低人員の確保が、総合相談支援部門で社会福祉士と、介護予防マネジメントで保健師、包括・継続的マネジメントは主任ケアマネジャー、この三職種の必置が置かれて地域包括センターが平成十八年の四月にスタート切る。これは正に今運営費が、厚労省は二千四、五百万円を推定しておる。
 官から民への流れにあって、なぜ民から、民の在宅介護支援センターの業務を奪うのか。そして、この運営費の二千数百万円というのが、地域支援事業交付金が想定されておるわけであります。これ、野党の皆さんも是非聞いていただかなきゃ。これは一体どこから出るんですか。そして、これは保険料から出るんですか、国費から出るんですか。そして、この地域包括支援センターを、今常勤の三人、頑張らさすと言っておるんだけれども、そのための必要運営費で、先ほど申した地域支援事業交付金と、もう一翼は介護予防マネジメント料になるわけでありますが、こんな高い報酬設定がされて、また負担と給付の間にこんなとてつもない、市町村もお許し願いたいというセンターをなぜ造るんですか、大臣。
#22
○副大臣(西博義君) お答え申し上げます。
 介護保険制度が施行されましてから五年がたちますが、この五年間の間にいろんな反省点がございます。一つは、この傾向として、特に事業者による軽度の皆さんの言わば掘り起こし、これがある。それから、ケアマネジャーの所属する事業所へのサービス、自社へのサービスに偏り過ぎているんではないか。それからもう一つは、市町村がすべて介護保険にゆだねることによって必要な役割が十分果たしていないという傾向があるのではないかと。こういうことがいろいろ議論されております。
 そういう観点から、今回の見直しでは、市町村が今回のこの介護、これからの介護については責任を持っていただいて、公正中立の立場から総合的な相談支援、それから介護予防についてのマネジメント、それから、この支援が困難なケースが多々見られるわけですが、それについての個々のケアマネジャーへのアドバイス等の支援、こういうことを行っていただくために、地域包括支援センターという形できちっとした市町村の体制を組み上げるということにしたわけでございます。
 なお、このセンターの運営主体としましては、これ市町村ということに一応表現上はなっておりますが、これは、在宅介護支援センターの運営主体である社会福祉法人、それから医療法人等も視野に入れて考えているということでございます。
 個々の仕組みの問題については老健局長の方から答弁させます。
#23
○政府参考人(中村秀一君) ただいま委員の方から、地域支援事業につきまして、経費、費用はどうなっているかと、こういうお話がございました。
 地域支援事業は市町村が行う事業でございまして、柱が二つございます。
 一つは、ただいま副大臣の方からお話ししました総合相談でございますとかケアマネジャーさんの支援、介護予防のマネジメントの部分でございます。もう一つは介護予防事業でございまして、これは、言わば今自立されている方でありますが、虚弱なためにこのまま放置すると要支援、要介護に陥りそうなハイリスクグループに対して、市町村の事業として、給付ではなくて事業として介護予防教室とかそういうことをやろうと、こういう構成になっております。
 経費につきましては、ただいまの介護予防事業の実際の実施につきましては、現在の介護保険の給付費の財源構成と同じ中で、市町村の介護保険事業計画に明記していただきまして、またそれが過大にならないように支払者等との協議が必要になりますが、政令で一定の限度額を定めたいと、こういうふうに考えております。
 それから二つ目の方の柱であります総合相談、介護予防マネジメント、それからケアマネジャーの支援、これは地域包括支援センターが行いますが、そこの事業、これは包括的支援事業と法律では言っておりますが、ここにつきましては、地元市町村の保険料であります第一号保険料と、国、都道府県、市町村の税財源、公費で構成することといたしております。
 なお、先生からお話がございましたように、介護予防、これは地域支援事業ですから今の財源でございますが、この地域包括支援センターが新予防給付の方の介護予防マネジメントを行う場合、今ケアマネジメントについて介護報酬から報酬が支払われているように、介護予防マネジメントについても、これは介護報酬をどう設定するかはまた介護給付費分科会等の審議を経なければなりませんが、そこにその審議を経て、厚生労働大臣がこの介護予防マネジメント費用を介護報酬として設定する見込みになっております。
#24
○中村博彦君 国会へ老健局長が参れば、審議会と言う。介護保険部会の結論だ、介護給付費分科会の結論だ。各委員さんに聞いたら、物を言わせずという形で審議会もまとめてこられておるにもかかわらず、ここへ来れば審議会。あんたは本当にすばらしい人でございます。
 在宅介護支援センターが御存じのとおり現在八千七百か所、インフラ整備で国費投入分は一千億円を超えておるわけであります。御存じのとおり、補助金の予算執行の適正化に関する法律、適正化法案がございますけれども、この趣旨を踏んまえて、あなたがつくったものを強引に、地域に根付かそうとしないで、あなたも一遍ふるさとへ帰ってお父さん、お母さんと話されて、もう一度、国民のためになる、利用者のためになる介護保険制度をつくっていただきたいものであります。
 再三申し上げておきますが、要介護度認定も、従来を強化すればいいわけでありますし、それから、なぜ、地域密着型、施設でもありません、在宅でもございません、第三カテゴリーに属する小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、それが、大臣、なぜこんな類型の小さい施設が、性格も少ししか変わらないのになぜこんな雨後のタケノコのようにつくるんですか。だれも分かりませんよ、申し上げておくけれども。そして、こんな機能は、机の上で機能は発揮されるかもしれませんけれども、現実利用者にとって何のニーズにこたえる施設でもない実態がもう間近にやってくるということだけ強く大臣に申し上げて、そして、この法律こそ本当に大切だ。老健局長に振り回されないで、もう少し総務課長や他の課長の御意見も局長のいないところで聞いて、腹を割って、衛藤副大臣も西副大臣も歴史的な責任の上に立って対処をお願いしたいことを申し上げて、私の質問といたします。
 お時間ありがとうございました。
#25
○坂本由紀子君 自由民主党の坂本由紀子でございます。
 私は、まず最初に少子化対策について伺います。
 少子化の問題は、今私たち日本の社会で起こっている経済的な問題、社会的な問題、様々な問題の根っこの部分に当たる問題でありまして、そういう意味では、この問題を解決するためには、政策を総動員して、政府挙げて、国民挙げて、全力で取り組まなくてはいけない課題だと思います。
 そういう意味で、先般策定されました子ども・子育て応援プランにつきましては、総花的だという意見も一部にはありますが、むしろ政策総動員という意味では総花的になるのは当たり前であろうと思います。
 特に、今般のプランの中では、仕事と家庭の両立のために働き方を見直すということ、そして子育てを地域全体で支えていこうという新たな大きな柱を強く打ち出したということは、大変意味のあることだと思います。このプランが完全に実現することになれば、私たち日本の社会も少し子育てについては取り組みやすい社会に近づくのではないかと思います。
 ただ、プランを作っただけでは社会は変わらないわけでして、人の意識も変わらない。いかにこれを関係者に理解をしていただいて、それが実現できるように着実に歩みを進めていくかということが大事であろうと思います。
 昨日の予算委員会でも厚生労働大臣に決意のほどを伺いました。そして、この子育てと仕事の両立の働き方をすることが、むしろそういう施策を実現することが企業にとっては得なんだということを訴えてくださるという力強いお話をいただきました。
 ただ、私は、大企業の中では、行動計画を作って、一部には育児休業の期間を三年に延ばすとかいうお取組を表明しているところもありますが、現実には中小企業で働いている人たちが大変多いわけでありまして、中小企業において具体的にどう本当に実現していけるかということは大変大きな課題だろうと思っております。
 この点についてのお取組のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(尾辻秀久君) 次世代育成支援対策は、社会全体で取り組んでいくべき、今先生がお話しいただいたとおりでございます。再三述べさせていただいておりますように、私どももそのように考えております。
 そうした中で、大企業はもとよりでございますけれども、これまた今お話しいただきましたように、中小企業においてもこの問題に積極的に取り組んでいただくことが重要でございます。このために、次世代育成支援対策推進法におきましては、行動計画の策定、届出を中小企業については努力義務にとどめつつ、これは努力義務にはとどめておりますけれども、次世代育成支援対策推進センターを通じて、行動計画の策定などに関する相談、援助等を実施することにより、企業の自主的な取組を促進することとしておるところでございます。また、育児休業中の代替要員の確保等の負担にも配慮をいたしまして、育児休業取得者の代替要員確保等の各種助成金について中小企業には手厚い給付を行うなどの支援に努めておるところでございます。
 こうした様々な取組を通じまして、中小企業における仕事と家庭の両立支援を引き続き推進をしてまいりますとともに、更なる効果的な推進策についても今後とも検討してまいりたいと考えております。
#27
○坂本由紀子君 代替要員の確保というのは中小企業にとっては特に大きい問題でありますので、そういう意味で、助成金を設けていただくことは、これはこれで有り難いんですが、ただお金だけでは片付かないのでありまして、どう人を探すかとかその手間暇もかなりのものがあります。ですから、現実に中小企業にとっては従業員が育児休業を取っても負担にならないというところのバックアップが大事だろうと思います。そういう意味では、中小企業についてはよりきめ細かな支援策を充実していただく必要があるのではないかと考えております。
 この点に私がこだわりますのは、育児休業については女性はかなり育児休業を取れているというデータが厚生労働省から発表されておりますが、実は第一子の出産を機に職場を離職しているという人が七割に上るのであります。つまり、育児休業を取れているというのは第一子出産を機に離職をしなかった人たちの中で育児休業が取れているわけでありまして、そういう意味では、育児休業を取る以前に辞めざるを得なかったというところを解消していかなくてはいけないと思います。
 出産一年前には雇用者だったけれども今は仕事を辞めた、そして就学前の子供がいる女性にアンケート調査をしたのがあるんですが、どうして辞めたかといったことの一番大きな理由は、家事、育児に専念するために自発的に辞めた、これは選択の自由でありますので、そういう理由でお辞めになることは、もちろんそれはそれでそういう選択があるということは大事なことであります。ただ、その中に、仕事を続けたかったが仕事と育児の両立の難しさで辞めたという人が二四%、それから、解雇された、退職勧奨されたという人が五・六%いるのであります。
 こういう人たちについては、本来であれば仕事を続けたかったということでありまして、こういう人たちがなくなるということが少子化の対策としても必要だろう。つまり、若い女性たちはそういうのを見ていますから、結婚して子供を産むと仕事を辞めざるを得なかった、本当は続けたかったのに辞めざるを得なかったという状況の人がかなりいるということになると、仕事をやりたい、だから結婚できないとか子供を産まないという選択になって、このことは、私たち社会にとっては不幸なことだろうと思うのであります。
 こういうことをしっかり分析をして、ただ単に育児休業の取得率が八割になればいいとか、男性の育児休業の取得率を高めるという数値目標の達成だけではない、きめ細かな部分についての目配りをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#28
○政府参考人(伍藤忠春君) 育児休業取得率の裏側に今御指摘のようないろんな事情があるということはそのとおりでございまして、この辺りをどういうふうに改善をしていくかということが全体として大きな課題だなというふうに考えております。
 こういったやむを得ずといいますか、仕事を続けたかったけれども育児と仕事の両立の難しさで辞めたと、こういった方々をいかに再就職へ導いて、それを支援をするかということでいろいろこれから取組をしていかなきゃいかぬというふうに思っておりますが、現在、こういう計画的な再就職準備を支援する再就職希望登録者支援事業、こういったものを平成七年度から実施をしておりまして、いろいろそういった方々に向けたセミナーの開催でありますとか、あるいは個々人のライフプランに応じた再就職の支援のプランを作成をするといったような事業をやっておりますが、こういった事業の中で、今、平成十五年度末にこういった事業に登録をしていただいた方が約四万二千人程度おりますが、一応四年間をめどとしていろいろ再就職へ結び付けていこうということでいろいろ事業を実施をしておりますが、こういった中で、この事業を通じて八千五百人ぐらいの方々が平成十五年度末までに再就職をされておるということでありまして、まだ緒に就いたばかりでありますが、こういった事業をより一層きめ細かに拡充していきながら再就職支援というようなことに努めてまいりたいと思っております。
#29
○坂本由紀子君 再就職でまた希望するところに就けるようになるということも、これも大事なことでありますので、この点については今後しっかりと施策を実のあるものにしていただきたい。
 その際に是非お考えいただきたいのは、再就職するときに当たっての能力開発についての支援が大事だということであります。女性の再就職できている職種の実態を見ると、どうもパートタイマーであるとか比較的賃金の安いところに集中をしておりまして、そうなりますと、なかなかそういう再就職だけでは満足できないという方が多いわけでありますし、今後、少子化で労働力不足も心配されている時代になりますので、そういう意味では、一人一人の職業能力がより高いものとして働けるような施策を充実するということが大事であります。
 そういう意味で、各局連携をしてやっていただくということが大事でありまして、雇用均等・児童家庭局だけではなくて、職業安定局も職業能力開発局も、挙げてこの問題をしっかりやっていただく。往々にして、どうも縦割り、人事異動も必ずしも混ざり合ってやれていませんので、縦割りになってしまって、こういう問題は数からいけば多数の問題ではないものですから、どうも片隅に追いやられてしまうというところがございます。是非この点については大臣のリーダーシップで、一つ一つ取組が各局の中で手を携えて行われることになるように御配慮をいただきたいと思います。
 次に、子育て支援に関連をいたしまして、幼稚園と保育園、これを、規制緩和等の兼ね合いもあって、同じように幼児の教育や保育をやるのに資格が違ったり要件が違ったり、こういう問題をもっと柔軟に対処すべきではないかという意見がこれまでも出ております。特に、小さい地域では子供の数が減っていますので、保育園と幼稚園を別々につくっておくということは財政負担も大変なので合理的にしたいという強い希望もあります。
 そこで、これらを一体としてとらえた総合施設というのを考えていただいているんですが、この現在の進捗状況はどうなっているんでしょうか。
#30
○政府参考人(伍藤忠春君) これは、政府全体の閣議決定によりまして、十八年度から本格実施ということで、その前に十七年度にモデル事業を実施をするということをお約束しておりますが、そういったタイムスケジュールの中で、昨年の暮れに文部科学省と私ども両省の審議会で合同の報告書の取りまとめをしたところでありまして、ここで基本的な総合施設についての考え方を明確に一応したわけでございます。
 これに基づきまして、十七年度に全体で三十か所ほどのモデル事業を実施をしようということで、それに向けて今文科省と連携をして、二月末に各県の課長にいろいろ、各県を集めて御説明をいたしましたし、それから三月、今、県を通じてモデル事業の実施規模を今聴取しておるところでありまして、早急にこれを選定をして、予算が成立したら新年度からこれ実施できるようにということで今準備を進めておるところでございます。
#31
○坂本由紀子君 この施設については、例えば株式会社でも運用をできるようにしたらどうかとか、あるいは給食の施設について、保育園のこれまでの規制のようなものを付けるとなかなか地域は使いにくいのではないかという声も聞きますが、この点についてはいかがでしょうか。
#32
○政府参考人(伍藤忠春君) まず、その設置主体をどうするかということでございますが、現行の保育所は株式会社まで運営を認めておりますが、幼稚園はそこまで認められていないという、こういう現状の中でどうするかということでありますが、昨年のこの両省の審議会、合同の審議会の報告書では、まず設置主体につきましては、「安定性・継続性、質の確保の仕組みを整えた上で、可能な限り弾力的なものとなるよう配慮することが適当。」と、こういう文章を書かれておりますが、できるだけやはり現行制度を尊重して、できるだけ幅広く弾力的にという趣旨だと受け止めておりますので、できるだけ株式会社が設置をするということも、私ども保育所ではやっていることでありますから、総合施設でも当然やるべきではないかと私どもは今思っておりますが、これからモデル事業本格実施へ向けて更に詰めて文科省と相談をしていきたいと思っております。
 それから、調理室の問題、これもそれぞれ、幼稚園は半日でありますから今まで調理室が必要なかったということでありますし、保育所は全日制でやはり一日保育をしておるということで調理室というものを義務付けておりましたが、これについてもいろいろ、総合施設を設置するに当たってどういうふうにすべきかと。総合施設の形態にもよることかと思いますが、保育所と同じような、終日預かるような子供さんを、あるいは低年齢児も含めて預かるような場合に、保育所というのを全く、調理室も全くないような形でいいのかどうかと、こういったことは慎重に議論をしなきゃいかぬことだというふうに思っております。
 調理室の問題も、少し誤解というか、その内容について人それぞれに少しあれがありますが、誤解がありますが、今、外部搬入、調理室がない場合にどうすべきかということで、外部搬入をしたらどうなるかということを今特区制度を利用して今試行事業をやっておるところで、保育所についてもやっておるところでございますので、この結果も、この結果の評価も見ながら、本格的にこれをどうするかということを、できるだけ十六年度中ぐらいに結論、十七年度になります、十七年度中ぐらいには結論を出していきたいなというふうに思っております。
#33
○坂本由紀子君 私は、是非大臣にお願いしたいと思うことがあるのであります。
 少子化問題は随分マスコミにも取り上げられて社会の関心は高くなってきているんですが、現在、地方公共団体にも行動計画を作ってもらうというようなことを少子化対策としてやっておるんですが、本当にこの問題について地域挙げて取り組もうというふうに首長さんたちですとかトップの方が思っているかというと、必ずしもすべてがすべてそうではないところがあると思います。
 それは一つには、やはり子育ては母親の仕事だと。お母さんがちゃんと家で見ればいいんだということをどうも切り替えられないところがある。ですが、先般、幼児教育の専門家の方に伺っても、子供は常に二十四時間母親といなきゃうまく育たないということではないと。子供には母性と父性が大事だということと、それから寝る場所が家庭であることが大事であるとか、あるいは子供の心が弱っているときに信頼できる人がそばにいれるように、例えば病気のときとか食事のときに子供とその信頼できる人がそばにいることが大事。あるいは、子供とのやり取りですね、子供と親とか周りの人が遊べるような、そういうゆとりが大事だということを言っておりました。
 そういうことが、各地域のトップの人たち、政策を考える人とか、あるいは企業の中でいろいろな取組をするトップの人たちに本当に一〇〇%理解されることが大事だと思うんです。そのためには、例えば全国各地でこの少子化問題、子育て支援についてのタウンミーティングをやるとか、あるいは経営者のトップのところに大臣始めトップの方が行って、こういうことをしっかりと働き掛けていただくということが有効ではないかと思うんですが、是非、お忙しいとは思うのですが、こういう問題について時間を割いてお取り組みいただけないだろうかとお願いする次第でありますが、いかがでしょうか。
#34
○国務大臣(尾辻秀久君) 今、何点かお話しになりました。
 まず、子供にとって父性と母性が必要だというお話もございました。これは、私も前に少し気になったことがありまして、保育所に預けられた、保育所で長いこと生活した子供たちがその後どうなるのかなというのをちょっと調査したものを注意深く見せていただいたこともございます。一言で言うと、保育所でゼロ歳児のときからいた子供に、じゃ、その後何か問題が発生するか、そのことで問題が発生するかというようなことを調べてみても、そういうことは一切ないという調査結果を見たことがございます。
 それでちょっと安心したことがあるんですが、やっぱり子供にとってはいろんな環境の中で生きていくことが必要で、体験させることが必要だなというふうに思ったということ、先生ちょっとお話しになった中にその話もありましたので、まず触れさせていただきました。
 それから、女性の仕事と子育ての話の中で、妊娠、出産のお話もございました。
 この問題は、先生御指摘のように、妊娠、出産ということで、まず仕事を辞めなきゃならないというそこのところに一つの問題がある。辞める人がたくさんいるということが一つ問題がある。それから、局長がお答えしましたように、辞めた人が次にどうやったら就職できるかというもう一つの我々が取り組むべき課題があると、こういうふうに思いますけれども、こうしたことももう正に社会全体の意識改革が必要なことだと思っておりまして、我々もさっき御指摘いただきましたように、局の縦割りなんかではなくて、全体で取り組んでいきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。
 そうした中で、先生が最後にお話しになりましたトップの人の話ということがありますが、これは私ももうそう思います。特に、首長さんのお話もありましたが、随分ここは個人差があったりしますから、全体の首長の皆さんに是非、少子化というのは大変な課題なんだということで取り組んでいただくように機会あるたびにお願いしたいと思いますし、また、企業でいうと、企業のトップのリーダーシップが極めて効果的でありますから、そういうことについても働き掛けていきたいというふうに思います。
 そして、タウンミーティングのお話がございましたが、実は三月二十七日に横浜で少子化社会を考えるタウンミーティングをさせていただこうと思っておりまして、私もその中で参加をいたす予定でございます。
 いろいろ申し上げましたけれども、少子化という大変重要な課題に対して全力で取り組んでまいりたいと考えております。
#35
○坂本由紀子君 力強い御答弁をありがとうございます。
 少子化問題のもう一つの課題として、子育て、自立した人をしっかりと育てるということが大事だろうと思います。
 若者が今はなかなかきちっとした仕事に就けない、フリーターやニートのような形態の者が増えていて、言ってみれば、若者の働くことについての二極分化が進んでいるのではないかと。正規の職員は、週に六十時間も超えるような非常に長時間の労働をしている人がいる、片方で、低い賃金で将来に安心感が持てないままでいるような者がいるということが大変問題だろうと思います。
 課題としては、一つは、若者については七五三と言われる、安易に離職をしてしまう、これはやはり残念なことではないかと思いますので、この離職防止についてもっとしっかりとした取組をする必要があるのではないかと思います。
 それともう一点は、フリーターについては、若者自立・挑戦プランもありますが、この問題について、しっかりとした仕事に就くように、具体的にどういう取組をし、どういう成果が上がっているかということについてお伺いしたいと存じます。
#36
○国務大臣(尾辻秀久君) まず、若者の離職のお話がございました。確かに、学卒、学校を卒業して、就職後早期に離職する者の割合は高いものがございまして、ざっとした数字でいいますと、高卒者の約五割、大卒者についても三割以上が就職後三年以内に離職をしておると、こういうことでございます。
 このために、厚生労働省としては、ハローワークに配置する若年者ジョブサポーターを活用いたしまして、これは学校にいるときからいろいろ就職の相談に乗っておるわけでありますけれども、在学中の職業意識形成から就職後の職場定着まで一貫した支援を行うなど、新規学卒者の早期離職の防止に努めておるところでございます。
 さらに、来年度におきましては、業界団体等と連携して、地域における若年労働者同士の交流会でありますとか、企業における人事管理等に関する講習会の開催、あるいはインターネット等を活用した若年労働者の働くことにかかわる幅広い相談に応ずる体制の整備など、私どもも早期離職の防止に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、もう一つお話がございましたフリーターといったような若者たち、こうした若者たちが安定して雇用に結び付く、安定して仕事に就いていくということについて、これもまた大事な課題でございます。私どもも、こうしたものに対することは極めて重要と認識をしておるところでございます。
 先生からもお話ちょっとございましたけれども、若年失業者やフリーターなどの増加傾向の転換を目指して、若者自立・挑戦プランに基づく施策を着実に推進しておるところでございます。
 少し申し上げますと、フリーター等の常用雇用の促進を図る施策としては、若年者トライアル雇用事業を平成十三年十二月から実施をしておりまして、これは平成十七年一月までの間に約八万六千人がトライアル雇用を終了し、そのうちの八割が常用雇用に移行しておるところでございます。
 更に申し上げますと、これは先生が随分このことについては御尽力いただいたとお聞きをしておりますけれども、日本版デュアルシステムとして、現在標準五か月間の短期訓練及び一年、二年間の長期訓練を実施しているところでありまして、短期訓練については、本年一月末までに約二万三千人が受講し、既に修了した者の就職率は七一・六%と良好な結果となっておるところでございます。
 いろいろ種をまいていただいたことが芽を出しておりますということもちょっと御紹介をさせていただいたところでございます。こうしたことで、若年者の雇用の安定の実現に努めてまいります。
#37
○坂本由紀子君 ところで、ニートが最近特に問題になっています。やはり、若いときには未来に夢を持って頑張るということ、大変大事なことでありまして、このニートの人たちに対してしっかりとした取組をする必要があると思いますが、どういうことを考えていただいておるのでしょうか。
#38
○国務大臣(尾辻秀久君) 今申し上げましたように、近年、フリーターの増加もございますけれども、ニートと呼ばれる若者たちが増加をしております。このために、厚生労働省では来年度から新たに、働く意欲が不十分な若者に対し、若者の働く意欲や能力を高める総合的かつきめ細やかな対策として、合宿生活の中で生活訓練、労働体験等を通じて働く自信と意欲を喚起、向上させる若者自立塾の創設、あるいはまたヤングジョブスポットの見直しによる若年者への働き掛けの強化など、若者人間力強化プロジェクトを推進することといたしております。
 このことで一言申し上げますと、このニートと呼ばれる人たちの面倒を見ているというふうに表現すればいいんでしょうか、ボランティアでやっておられる方々のところに行って、このニートと呼ばれる人たちと話をしてもみましたけれども、非常にこういろいろなんですね。いろいろなんです、一言で言うと。ですから、私はもう今思っていますのは、このニート対策というのは実にきめ細かく、もう一対一ぐらいでやらないとなかなかうまくいかないな、非常にそのことを思っています。ですから、もう細かくやってみたいと思っていますということをまず申し上げるところでございます。
#39
○坂本由紀子君 是非、きめ細かく、そして成果が出るようなものになることを期待をする次第であります。
 そして、ただ大事なことは、若者がせっかく自立する意欲が出てきたといっても、その地域に働く場がなくてはいけないわけでありまして、少し雇用情勢が良くなってきたとはいえ、地域によってはまだなかなか厳しい状況にあるのは確かでございます。そういう意味で、地域もまたいろいろな特性を持っていますし、地域に応じた雇用機会というのをしっかり編み出していかなくちゃいけないと思うんですが、この点についてお取組を考えているということですが、ちょっと具体的な中身を説明してください。
#40
○政府参考人(青木功君) 地域における雇用失業情勢につきましては、ただいま坂本先生お述べになったとおりでございまして、地域によって様々であります。したがいまして、地域の雇用創出というものも、地域それぞれがそれぞれの事情に応じてやっていくというのがこれからますます重要になってくるのではないかということが言えるかと存じます。
 その意味で、来年度、この予算等でお願いしておりますが、一つが、地域による雇用創造のための構想の策定に対する専門家の助言等を支援するという仕組み、地域雇用創造バックアップ事業と申しております。それからもう一つが、雇用創造に自発的に取り組む市町村、地域の経済団体等が一緒になって御提案をしていただいた雇用創造策につきまして、第三者委員会を設けまして、その中から、言わばコンテスト方式で、いいものについては支援をしていくという地域提案型雇用創造促進事業、いわゆるパッケージ事業、それからもう一つは、地域においてそのような努力に基づいて出てくるであろう重点産業等の創業をする方々に対しての創業・雇入れの助成といった三本の施策を用意させていただいたところでございます。
#41
○坂本由紀子君 今説明いただいたのは、地域の知恵と力を生かすということで、大変いい制度だと思います。ただ、残念なことに余りまだ知られていない。これはやっぱりちゃんと各地域の人たちに知ってもらって、じゃ、そういう制度があるんだったら自分たちは頑張ってやってみようということにならなければいけないのであって、この点についての周知徹底と、それからできるだけそういうものを前向きに受け止めて支援をするということについてのお考えを聞かせてください。
#42
○政府参考人(青木功君) おっしゃられるとおりでございまして、各市町村あるいは地域の皆様方にこういった事業を知っていただかなければ御利用いただけません。
 そういった意味で、従来から、都道府県あるいは具体的に市町村の皆様に呼び掛けて本省で説明会をやる等の活動をしてまいりました。今後、さらに、地域の広報誌であるとかあるいは国の広報媒体、また、私どもあるいは地方労働局の幹部が足を使ってこういったものについて広く皆さんに分かっていただくようにしてまいりたいと存じます。
#43
○坂本由紀子君 私、国はいろいろな制度をつくって、大変それはそれでいいんですが、どうもその制度をつくるまでのところでかなりエネルギーを使って、その制度をどう理解してもらうか、あるいはその制度が本当にその目的どおりにきっちり動くかどうかということについてまだ十分じゃないところがあるんじゃないかと思うのです。例えば、少子化社会の中では高齢者の力をもっと生かしていこうということが大事で、高齢者の働く場の確保ということも大事であります。
 先般、ハローワークの求人年齢制限の緩和についてもお取り組みをするということだったんですが、この点についての今の現状ですね。私は、本来、年齢制限の緩和はできるだけ広く、一部には無理なのがあるかもしれないけれども、それこそ八割くらいはそういうことでやってもらおうくらいの志でやらなきゃいけないんじゃないかと思っておるんですが、この点はどうなっているでしょうか。
#44
○政府参考人(青木功君) 高年齢者の求人年齢に関しての御質問でございます。
 ただいま先生がお話しになられましたように、私どもも、いわゆる働くということに関して言えば、年齢というものは関係がなく、お一人お一人の能力や適正、これに基づいて社会に貢献していくというのが大原則だと承知しております。この原則を基に、現在社会に出ております様々な形で年齢によって自分の働き場所あるいは働き方というのが制約されるというのは少しでも少なくなっていくという努力をしたいと思います。
 その意味で、流れを見てみますと、実は平成十三年九月の調査でございますが、このときには、年齢を問わない求人の比率、ハローワークでございますが、一・六%でございました。その後、平成十五年一月に計画的な取組をスタートをさせていただきまして、平成十七年度までには目標として三〇%は確保しようと、ここまで参りました。そしてさらに、先国会におきまして、高年齢者雇用安定法の改正をいただきました。その後、これに基づきまして第一線で様々な相談、指導をさせていただきましたが、本年一月現在でこの比率が三八%まで向上してまいりました。
 これからもこのような趣旨で、企業への協力の呼び掛けあるいは意識の啓発といったものを通じまして更にこの割合高くなるように頑張ってまいりたいと存じます。
#45
○坂本由紀子君 時間がなくなってきたんですが、先般、衛藤副大臣がハローワークを御視察されたと伺いました。ハローワークは本当に頑張って、ハローワークに来た人たちみんなが就職できるようにやってもらわなきゃいけないと思うのであります。時間も、利用者のニーズに応じて休日も開くとか、あるいは夜間でもやるというようなきめ細かなサービスをすることが大事だと思っておりますが、現実のハローワークをごらんいただいて、そういうところ、副大臣、どうお感じになられたか、ちょっと御感想方々お伺いしたいと存じます。
#46
○副大臣(衛藤晟一君) 大変努力をされている、工夫をされているということを改めて感じました。
 渋谷におきましては、例えば求職活動のためのセミナーを開催したりとか、あるいは求職者に同行する方も一緒に相談業務に応じられたりとか、障害者についても、一緒に来られてもきめ細かな職業相談ができるとか、これは職員の方も、キャリアを積むように、大変な資格を取るために頑張っておりまして、非常に若い女性の職員おられましたのでいろいろお聞きしましたら、大変なやっぱり勉強をされてずっとキャリア積まれている、自己研さんも相当されているなということを改めて感じました。
 それから、その隣のヤングハローワークも、今までとは相当違った形での努力をされておりまして、例えば、求職側のどういう仕事かというのは、ただ今までの書面だけじゃなくて、パソコン開けばどんな仕事をしているかということが見れるとか動画で見れるとか、あるいは今度は、自分の方の情報も企業の方に提供できるようにそれをちゃんと登録していく、だから両方でミスマッチがないようにやるとか、それとか、職業の適性についても、職業適性診断もやれるとか、いろんな形で、正にニーズに合った形で大変な努力をしているということについて私も感心したところでございまして、もっと全国的に、これはやっぱりきめ細かな職業相談ができるようにしなきゃいけないなということを強く感じて帰ってまいりました。
#47
○坂本由紀子君 そういうのがどこのハローワークもそうであるようにということも大事だろうと思いますし、多くの求職者が来る中でしっかりと、どういう実績を上げるかということについての目標管理も設けてやっていただくことが効果的ではないかと思います。
 社会保険庁が職員団体との間で国民不在の覚書を結んでなかなか業務が進まなかったというような反省があるわけでありまして、少なくとも厚生労働省の部局においてはそういうことが一切ないように前向きにしっかりとしたお取り組みをいただくことをお願いして、私の質問を終わります。
#48
○西島英利君 それでは、心神喪失者等医療観察法に関しまして御質問をまずさせていただきたいというふうに思います。
 その前に、ちょっと精神科病院の歴史について少しお話をさせていただきたいと思うんですけれども、まず明治中期までは、精神保健福祉に関する法律というのは全くなくて、この時代の精神病の治療というのは、ほとんどが自宅での監禁若しくは神様等の祈祷ですね、そういう民間療法に頼っていた時代でございました。
 公立精神科病院としては、一八七五年に京都府の癲狂院というのが最初に造られまして、一八七九年に東京府の癲狂院、これは今でいいます都立松沢病院ができたというところでございます。一九〇〇年に精神病者監護法というのが制定をされまして、この法律のねらいというのは、監護義務者、今でいいますと保護者でございますけれども、この保護者を定めることによって、不法監禁の防止とそれから公安面からの取締りをするのが目的でこの法律ができたところでございます。そして、一九一九年に初めて精神病院法が可決をされました。その中心である内容は、内務大臣は道府県に精神病院の設置を命じることができ、また、こうした病院を代用するために公私立精神病院を指定できることがするというふうにしたところでございます。しかし、予算が伴わずに、公立精神科病院の建設はなかなか進みませんでした。
 精神病院法の公布から一九三五年末までの十六年間で設立されたのは、松沢病院を含めて、公立病院は六病院でございまして、定員も二千百十六名、全精神病院百三十七病院中四・三%でありまして、病院の設立はそのほとんどが民間資本で、治療も保護も民間に頼らざるを得ないような状況であったわけでございます。
 一九五〇年五月一日に精神保健医療に関する我が国初の近代立法としまして精神衛生法が公布をされまして、このときには精神科病院の設置を都道府県に義務化をしたということでございます。これは措置入院のためが一つの目的でございました。もう一つは、措置入院をさせるために精神衛生鑑定医制度というのを新設をしたということでございます。そして、一九八七年の精神保健法の成立までの実に三十七年間、幾つかの問題を抱えるままこの法律がずっと続いてきたということでございます。特に、人権上の問題、入退院の手続の問題でございますけれども、さらには社会復帰や地域医療に関する視点、こういうことが実は欠けていたということでございます。
 一九六四年にアメリカ大使のライシャワー駐日大使が、当時精神分裂病、今は統合失調症と言いますけれども、その少年に刺傷される事件が起きまして、法改正の動きがあったわけでございますが、一部の学界、病院関係者、患者、家族の方々から、治安立法、俗に言う保安処分でございますが、であって、医療のことを無視しているとの反対運動が起きまして、結果的には一部の改正で終わったということでございます。このときの改正は、警察官などによる通報制度の拡大、緊急措置入院制度の新設、そして、ここで、治療を、受診を推進させるための通院医療費公費負担制度の新設が行われたというところでございます。
 一九八四年、これが大きな社会問題にまで発展いたしました報徳会宇都宮病院事件が起きまして、国際的にも注目を浴びました。この病院は、当時治療困難な患者さんが非常に多く入院をされていた病院でございます。そして、これを契機に、一九八七年に精神保健法が成立をいたしまして、任意入院制度、そして、精神衛生鑑定医制度から精神保健指定医に変わりまして、これは人権保障を担保するという形で指定医制度ができたというところでございます。
 さらには、目的の中に社会復帰の促進を入れたということでございますが、しかし、精神障害者の定義の問題、それから保護義務者の負担の軽減の問題、さらには、社会復帰施設が、義務規定でなくて、設置することができるという任意規定であったということで、地域資源の整備は遅々として進まない状況がずっと続いてきたということでございます。今回、幸いなことに自立支援法でやっとこれが義務化されるということになりましたので、ようやくこの辺りは進むのではないかなというふうに思います。
 さらに、一九九五年、精神保健福祉法となりまして、しかし本来、このときには、政策医療として公費で支払われるべき措置入院が、保険優先として、財政上の都合でこれは保険で見るという形になったところでございます。
 残された課題、これは、重大な事件を起こした精神障害者の方々を安易に不起訴にして精神科病院に入院させ、その後は精神科病院の責任となり、国が関与してこなかったこと。そして、そのほとんどが民間病院に入院され、病院の病棟の構造上、処遇として隔離室が多用され、マンパワーが少なく、QOLの低い治療環境での治療行為が行われてきたわけでございます。
 そして、今回、まだ記憶が新しい大阪教育大附属小学校、池田小学校でございますけれども、この事件が起きまして、不幸中の幸いといいますか、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律が成立され、この七月から法施行となるところでございます。ようやく、重大な事件を起こされた方でも、QOLを重視した治療環境の下で、入院治療から通院治療、そして社会復帰の体制が決まったというところでございます。
 そこで、御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、七月から施行となっておりますが、施行に向けての環境整備はどうなっているか、二番目に、指定医療機関の進行状況はどうなのか、認定の進行状況はどうなのか、それについて御質問をさせていただきます。
#49
○政府参考人(塩田幸雄君) 心神喪失者等医療観察法でございますけれども、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った方々の社会復帰を目的とした法律でございます。
 同法の規定によりますと、公布日、平成十五年の七月十六日でありましたけれども、から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するということになっております。したがいまして、遅くとも今年の七月十五日から法律は施行をするということになるわけでございます。
 この法律ですけれども、委員から御指摘がありましたように、厚生労働省のみならず、法務省、最高裁判所など関係する各機関が連携をいたしまして、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った方々の社会復帰を目指すということで、手厚い専門的な医療でありますとか、社会復帰に向けた地域処遇を提供するというものでありまして、これまでの日本の医療保険システムではなかった新しいシステムとして導入されるものでございます。
 準備作業、かなり膨大でありまして、特に、この法律の対象となる方々に先進的かつ高度な医療を提供する指定入院医療機関などの整備が一つございます。それから、こうした専門的な医療を確保するということで、精神医療の数多くの専門家の確保を準備するという仕事もございます。また、地域社会におけます処遇を実施するために、いろんな社会復帰調整官の方々でありますとか関係の方面との連携体制を全国的に構築するといった膨大な準備作業があるところでございます。
 厚生労働省におきましては、法務省、最高裁判所など関係機関との間で実務的な協議を精力的に実施してきております。また、指定医療機関の整備につきまして、関係の都道府県に個別に、幹部総動員で、知事さんとか副知事さんなど都道府県の幹部の方に要請をしてきたところでございます。また、関係の都道府県の方々、担当者に対する説明会でありますとか、指定入院医療機関の整備が予定されている地域住民の方々への説明会の開催など、必要な作業に精力的に取り組んできているところでございます。
 いずれにいたしましても、施行日が今年の七月十五日ということでありますので、それに間に合うよう、必要な準備を精力的に今後とも進めてまいりたいと考えております。
 済みません、もう一つ。指定医療機関の整備の状況等がどうなっているかという御質問がございました。
 この法律の中心となります指定入院医療機関でありますけれども、これは、この法律に対象となられる精神障害者の方々に対しまして先進的かつ高度な医療を提供するということでありまして、そういう高度な医療を提供することによってこうした方々の早期の社会復帰を目指すと、そういう施設でありまして、これから全国的に整備する必要があると考えているところでございます。
 この指定入院医療機関でありますけれども、この法律におきましては、この医療の性格が公共性及び専門性が極めて高いということ、それから裁判所の決定に基づく医療ということでありまして、全国で公平、一律に実施されなければならないといったことを考慮いたしまして、この法律におきましては、この指定医療機関につきましては国又は都道府県等が開設する病院に限定されているところでございます。
 まず、国関係の病院の整備状況でございますけれども、厚生労働省といたしましては、各地域の中核的な施設として八か所整備する予定にしてきたところでございます。現在までのところ、東京都小平市にあります国立精神・神経センター武蔵病院、それから岩手県花巻市にあります国立病院機構花巻病院が工事着工に入っております。そのほか、一か所につきまして着工のめどが立っている状況でありまして、これまでに九十床程度の病床を確保できる見込みとなっております。
 この指定入院医療機関の整備につきましては、地元の理解を得るということが大変重要であると考えております。これまで全国八か所の国関係の指定入院医療機関の候補地におきまして延べ九十回にわたりまして説明会を行ってきたところでありますが、一部の地域で御理解をいただいて工事の着工に入っていますが、まだまだ地域の方々からは安全性が本当に確保されるのかといった不安などが出されておりまして、必ずしも地域住民の方々から十分に御理解をいただいていない状況にあるところもたくさんございます。
 また、都道府県の病院でも指定入院医療機関を整備していただくということになっておりまして、厚生労働省の幹部から知事、副知事にいろんな要請をしておりますけれども、現時点では一、二の県、都道府県から前向きなお答えをいただいておりますけれども、多くの都道府県からは、この制度が全く新しい仕組みであって都道府県の役割が見えにくい、あるいは各都道府県、公立病院の見直しを進めているといった事情がございまして、整備のめどというのはなかなか立っていない状況にございます。
 この指定入院医療機関というのは、対象者の社会復帰を進める上で非常に重要な役割を果たすだけじゃなくて、高度かつ先進な精神医療を提供するという意味で、精神医療全体の底上げ、質の向上を図れることができるという性格もあると考えておりますので、今後とも地域住民の方々への御理解を深めていただくべく丁寧な説明会をしてまいりまして、指定入院医療機関の円滑かつ段階的な確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#50
○西島英利君 今の御説明にもありましたように、地域住民の方々のかなりこの理解を得るのが難しいと。それは、やはり精神障害者、特に重大な事件を起こされた方々に対する強い偏見が私はあるんであろうというふうに思います。こういうことを放置したままでいきますと、なかなか建設は難しいだろうというふうに考えています。
 もう一つ、これ聞くところによりますと、職員組合の方々もかなり反対をされているということもお聞きをしております。
 さらに、観察法十六条によりますと、指定医療機関の指定は、開設者の同意を得て厚生労働大臣が指定することができる、つまり同意という、これがなかなか難しい問題はあるのじゃないかと思います。先ほどの精神病院の歴史の中でお話し申し上げたように、内務大臣は命じることができるというふうにはなっておりましたけれども、遅々として建設が進まなかったというような歴史もあるわけでございまして、この辺りを何とかしていかないと、せっかく作った法律が機能しなくなってしまうという、そういう危機感を私、今持っているところでございます。
 是非、このところで推進をしていただくための御決意を大臣にお願いをしたいと思います。
#51
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど来お話しいただいておりますように、我が国におきましては精神障害者の社会復帰のための施設が大変後れておりまして、その推進を図ることは厚生労働大臣としての重大な責務であると考えております。
 御指摘の医療観察法は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の社会復帰を目的とした法律でありまして、特に、指定入院医療機関において提供される医療は極めて先進的かつ高度な精神医療となりますことから、先ほど部長からも申し上げましたけれども、我が国の精神医療の底上げを図ることにもつながるものでございます。また、精神障害者が社会復帰を果たす上で地域における基盤の整備が非常に重要であることから、今般国会に提出をいたしました障害者自立支援法案により、精神障害者に対する福祉対策を強化することにしたところでもございます。
 こうした各般の取組を通じて我が国の精神障害者の社会復帰対策の強化を図りたいと考えておりまして、心神喪失者等医療観察法の施行について地域住民の皆さんや各自治体関係者などに積極的に働き掛けながら、そして丁寧に丁寧に御説明申し上げながら省を挙げて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
#52
○西島英利君 次に、障害者自立支援法につきまして御質問さしていただきます。
 今回、障害者の方々の様々なサービスがこの支援法の中でされるようになるわけでございますが、そのときに、障害者諸団体から強い要望は、自己負担の軽減措置について、応能負担の基礎となる所得は世帯の所得ではなく利用者本人の所得にしてほしいということがございます。この点につきまして簡単にお話をしていただければと思います。
#53
○政府参考人(塩田幸雄君) 支援費制度では、本人又は扶養義務者が利用料を負担する制度でありましたが、今度の新しい制度では、利用負担自身は本人に限られておりますが、低所得者対策をきめ細かく行う上で、世帯の収入がどうかということを勘案要素にすることにしております。
 その世帯の範囲の取り方の問題でありまして、障害者団体などから、世帯の範囲をなるべく狭く、特に親御さんとか兄弟を外してほしいという御要望、御意見がいただいたことは十二分に承知しておりますので、今後、関係の方々の御意見も聞きながら、全体の整合性も考える必要がありますが、前向きにいろいろ検討させていただきます。
#54
○西島英利君 特に、今まで精神保健福祉法三十二条にございました公費負担医療、これが今回この障害者自立支援法の中へ移ってまいりまして、その中で、今まで自己負担五%だったのが一〇%になるということになりました。数字的に見ますとたったの五%と思われるかもしれませんが、本人にとってみたらこれは倍になることにもなります。そもそも、受診を促進させるという観点からこの精神保健福祉法には規定として置かれたところでございます。
 また、障害者の方々の特質として、一つには病識がないという部分がございます。さらには、兄弟の方々が見ておられるという点も非常に多いわけでございまして、もう一つは、この病気に対する家族の理解がまだ十分ではないということもございます。
 以上の点から、この負担の大きさ、これが受診の抑制につながる可能性もあるわけでございます。私も精神科医でございますけども、治療を中断をすれば精神症状というのはこれ確実に悪化をいたします。したがいまして、三十二条の自己負担の所得の範囲、これは是非個人の所得にすべきと考えますけども、この点、現時点での考え方があれば教えていただきたいと思います。
#55
○政府参考人(塩田幸雄君) 精神通院公費は現在は五%負担でありますので、一律五%でありますので、ある意味では低所得者にとっては負担が重くなるケースもあるということでございます。今回のやつは、五%から一〇%ということになりますが、きめ細かな低所得者対策を併せて講じるということでございます。
 若干細かいデータになりますけれども、精神通院公費では九割以上の方が月額三万円以下でありますので、今回の負担増では、三万円としますと、現在千五百円の月額負担が三千円になるということでございます。そういう意味で、決して小さいとは言えないかもしれませんが、負担額に及ぼす影響は無理のない御負担ではないかと考えているところでございます。
 また、統合失調症などでかなり高額の医療が掛かる方がいらっしゃいますが、今回は低所得者対策を行いますので、かえって現行よりも負担減になる方もいらっしゃるということでありまして、今度の改正で必要な医療が受けられなくなるというようなことはないのではないかと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、世帯の収入を認定する際の扶養義務者、親御さんでありますとか兄弟の、いった取扱いにつきましては、先生の御指摘も踏まえて、関係者の意見も聞きながら考えていきたいと思っております。
#56
○西島英利君 先ほど精神障害者の方々の特質と、つまりほかとはちょっと違うというようなお話もさせていただきました。是非このことも理解していただいて、是非大臣、前向きに御検討をいただければというふうに思いますが、一言何かございましたらよろしくお願いします。
#57
○国務大臣(尾辻秀久君) 負担は本人というのは原則として決めております。ただ、低所得者対策を取るためにその定義をどうするかというところで今のお話が出ておりますけれども、これはもう、先ほど申し上げましたように、この議論を始めるといろんな議論があるんですけれども、基本をそういうふうに定めておるわけでありますから、よく御議論、皆さんの御意見、今の先生の御意見も承りましたし、そうした御意見を承りながら私ども最後の判断をしたいと思っております。
#58
○西島英利君 是非前向きな御検討をお願い申し上げたいと思います。
 次は、社会保障制度の在り方についてお話をさせていただきます。
 私は、社会保障というのは平時の国家安全保障というふうに考えられるだろうというふうに思っております。特に医療の部分につきましては、揺りかごから墓場までと、教育期間中、それから仕事をしている間、そして退職後と、常に医療というのが深くかかわってきているわけでございます。
 しかし、この社会保障制度を考える中で、今まさしく医療が経済的な観点からのみ議論されているとしかもう思えないところでございます。二月十五日に経済財政諮問会議の民間議員の方々が、制度の持続性の観点という視点から、給付の伸びを管理するための提案として、名目GDPの伸び率が妥当であると、さらには、保険給付範囲の見直しをしなければいけないということをおっしゃっているわけでございます。
 今、日本の医療は、健康寿命、つまり寝たきりでない人の寿命は世界一でございますし、乳幼児の死亡率は世界で第二位の低さでございます。そういうことで、OECD加盟国の医療費状況を見てみますと、総医療費の対GDP比七・八%ということで、世界でも十八位ということでございます。しかし、将来を考えていきますと、当然何らかの対策はしなければならないだろうと考えています。
 この伸びの主要因、これは老人医療費の増加ということがよく言われております。ここでやはり考えなきゃいけないのは、今度、これから議論される予定になっております高齢者医療制度の問題でございます。今、二〇〇二年十月以降、公費負担比率が年四%と引き上げられまして、二〇〇六年十月に公費五〇%となるということですが、これはまさしく財源論だけで議論されているところでございます。
 しかし、高齢者の医療はどうあるべきかということをしっかりと議論しなければ、なかなか医療費の抑制にはなっていかないだろうというふうに考えています。そういう観点から、終末期医療の在り方をしっかりと議論をして国民のコンセンサスを得て、高齢者医療の、まさしく医療内容のやはりその制度をきちんとしていかなきゃいけないだろうというふうに思っております。
 もう一つの問題は、この伸び率管理の問題でございますけれども、これは平成十三年九月の二十五日に医療制度改革試案というのを厚生省が出しまして、老人医療費伸び率管理制度の導入目標を、この医療制度で目標を超過した場合の措置という形で、要するに罰則的に、オーバーした部分は二年後、決算後、すべての医療機関に均等に振り分けて返還させるというような制度を導入をしようとしたわけでございますが、これは憲法の問題、それから医師の応招義務の問題、つまりこれが、伸びがオーバーしようとしても、医師は患者さんが来られるとその患者さんの求めを拒んではならないというふうになっているわけでございまして、もしこの応招義務違反を起こしたということになりますと、医師の不法行為に伴う損害賠償責任請求の可能性も出てくるというようなこと等もありまして、この伸び率管理制度は一応影を潜めたところでございます。
 さらには、財政的要素が入り込むことによりまして需要過多、供給不足に陥る可能性があるということでございまして、この制度を導入したイギリス、ここはサッチャー首相がまだ経済状況が悪いときにこの伸び率管理制度を導入しまして、イギリスの医療はがたがたになったところでございます。
 特に、当時、これは二〇〇二年ごろでございますけれども、百二十万人の患者さんたちが手術待ちの状況にありまして、そのうち七万人は十五か月以上待たされていると。がんの診断を受けてがんの手術を受けるまでに一年以上待たなきゃいけない。がんは進行するわけでございますから、がんの五年生存率はヨーロッパ諸国の中でイギリスは最低となってきたわけでございます。
 また、欧州裁判所の二〇〇一年七月二十一日の判決ですと、患者が自国では必要となる手術を適正な期間内に受けられない場合、欧州圏内国でその患者が適切な病院で手術を受ける権利があると。その手術の費用は自国の保険者に支払う義務があるとして、この判決を受けて、イギリス政府は患者の海外手術費用を支払うことを認める旨の発表を行ったということでございます。
 しかし、その後もなかなか厳しい状態が続きまして、二〇〇二年にイギリスは、今後五年間医療予算を毎年実質七・四%ずつ増加させ、二〇〇一年時点対GDP比七・五%の医療費を、二〇〇七年度には九・四%に引き上げる計画を発表したと。つまり、一度駄目になった制度を元に戻そうとしますとこれ大変なコストが掛かるというのは、これで証明をされているところであろうというふうに思います。
 また、公的保険の守備範囲の見直しということをやりますと、本当に必要な医療が受けられない状況になってまいります。アメリカがまさしく、お金がなければ必要な医療は受けられないという、そういう状況にあるわけでございますが、二〇〇五年の一月二十一日付けのニューヨーク・タイムズ紙のコラム記事でこういうのが載っています。医療保障、キューバに頼んでくれと。ヘルスケア・アスク・キューバというコラムの記事が載っておりまして、これはどういうことかといいますと、悲しい事実を伝えようと。もしアメリカ合衆国の乳幼児死亡率がキューバ並みであったなら、我が国は一年で二千二百十二人の子供を救うことができただろうと。しかしキューバよりも悪いわけですね。
 これはCIAが最新世界調査レポートということで、キューバはアメリカよりも乳幼児死亡率が低い国だということを言ったわけです。そしてその理由が何なのかといいますと、大部分が貧困と密接に結び付いていると。つまり、お金がない状況の中でこういうことが起きているんだということがここで言われているところでございます。
 そういうことからいきますと、今、せっかく日本が乳幼児の死亡率が世界で第二位の低さ、さらには健康寿命が世界第一位と、こういう状況はまさしく今の医療制度であるわけでございますので、そういう、外国に学ぶという状況からいきますと、やはり伸び率管理制度等は非常に大きな問題があるのではないかなというふうに感じておりますし、経済財政諮問会議の中でも大臣がそれのコメントをなさったということを聞いておりますので、もう一度ここで大臣、コメントをいただければと思いますが。
#59
○国務大臣(尾辻秀久君) 今先生お話しになりましたように、伸び率管理制度を取りましたイギリスが大変大きな破綻を来した、医療の破綻を来したということはそのとおりでございます。そうした例もございますので、改めて、今私どもが持っておる国民皆保険、これを守らなきゃいけないという思いを強くするところでございます。
 そうした中で、一方から財政の問題が生じてまいりますけれども、これは先日の経済財政諮問会議でも私が申し上げましたように、給付費の伸び率を、例えばですけれども、経済財政諮問会議がおっしゃるように、名目GDPの伸び率に機械的に連動させたり抑制するということは、これはもう社会保障費の特性からとても無理であるというふうに考えておりまして、今後とも私どもは医療費の伸びの適正化に努めなきゃいかぬということは、これはまた共通認識でございますから、その適正化に努めながら、経済財政と調和の取れた持続可能な医療保険制度の構築に取り組んでまいりたいと考えます。
#60
○西島英利君 どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、介護保険制度の見直しにつきまして少しだけお話をさせていただきたいと思います。
 今回、介護保険制度の見直しの法案が出てきているわけでございますが、しかし、過去三年間の実績での検証の中では、ケアマネジャーのケアプランが問題でありまして、要支援、要介護一の方々の要介護度が二年後に悪化をしていたということが明らかになったわけでございます。そういう視点から新予防給付というこの制度をお考えになっているんであろうというふうに思いますが、これは問題は、利用者一人一人をきちんと評価をして、その評価の下にケア会議を開いて、その人の状態を改善させるような、そのようなサービス、ケアプランを立てていればこのような問題は起きてこなかったんだろうというふうに思っています。
 さらには、毎月管理するための手当が出ているにもかかわらずケアプランの見直しも行われてこなかった、こういうデータも私は過去に社会保障審議会、私もおりましたのでいただいているところでございます。
 さらには、筋力向上等を行えば改善の可能性のある利用者を要介護認定審査会が選別するというふうにされているところでございますけれども、この作業を今のメンバーや時間で行うということは、非常にこれ不可能でございます。ようやく要支援、要介護の審査が安定してきた段階ではございまして、新しい作業を増やすということは混乱を起こすもとであると、全国からもそういうお話をいただいているところでございます。
 したがって、これ提案でございますが、認定区分を変えずに、主治医の意見書に必要であればその新予防メニューを書き込むという形で、そのメニューをケアマネジャーがケア会議を通じて提案していくということが混乱を最小限に抑えることになるのではないかというふうに思っております。
 いずれにしろ、この問題は、要介護認定区分については政省令の部分で決められるということになっておりますので、是非今後とも議論をさせていただきたい問題であるというふうに思っています。
 もう一つの問題が、居住費、食費の自己負担の部分でございます。
 それぞれ三施設違うわけでございまして、一人当たりの平米数も違うわけでございます。それから食事の問題も全然三施設によって違うわけでございますが、今回の改正ではそれが一くくりで議論をされているというところに問題があるであろうというふうに思っております。
 居住費では、部屋の広さなども違っているわけですね。療養型六・四、それから老健八、そして特別養護老人ホームがたしか十・二だったというふうに思いますけれども、こういう広さも異なっておりますし、さらには療養型病床、それから老人保健施設につきましては、これはついの住みかではないわけですね。特別養護老人ホームは、どちらかというと、まあついの住みか的な考え方で今まで来ているところでございます。ですから、アパート代を払うという議論がございましたが、少なくとも療養型病床、それから老健につきましては、自宅に帰るということがそもそもの目的であるはずでございますので、アパートを確保したまま実は療養生活を続けているという部分もあるだろうというふうに思っています。また、食費の分につきましては、これは医療に関しては様々な病気を持っているわけでございますから栄養管理というのは非常に重要でございます。まあ自民党の基本方針でも栄養管理につきましては見直しした上で引き続き給付の対象とするというふうになっております。
 このような観点から、きめの細かい政省令による検討というのが私は必要であろうというふうに考えております。是非、法案成立の折にはこの政省令の検討についても真摯な議論をさしていただきたいと思いますので、どうぞその辺りの大臣のコメントをいただければと思います。
#61
○国務大臣(尾辻秀久君) 端的にお答えしたいと存じます。
 居住費につきましては、居住環境を踏まえたものとすることが必要であると考えております。また、適切な栄養管理に要する費用につきましては、引き続き保険給付の対象として評価することといたしております。
 まあこれらの議論は、いずれにいたしましても、今後多くの御議論をいただくと思いますし、また社会保障審議会介護給付費分科会の御議論もあると思いますので、そうした中で私どもも検討をさせていただきます。
#62
○西島英利君 今日は別にいろいろとお願いをして来てもらっておりましたけれども、時間が、大変申し訳ございません、なくなりましたので、次回にまた質問をさしていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#63
○委員長(岸宏一君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#64
○委員長(岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#65
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
 今日は大臣の所信に対する質問ということで、まず冒頭は、少し抽象的な話になるかもしれませんが、基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、今回の通常国会冒頭に示された総理の施政方針演説と厚生労働大臣の所信表明の中身が社会保障のこれからの在り方を考える上で少し違っているんじゃないか、力点の置き方が違っているんじゃないかという気がしてなりません。
 そこで、例えば、もうちょっと思い出していただきたいんですが、総理は施政方針演説の中でこんなふうに述べられました。「我が国では、二〇〇七年から人口減少社会が到来すると言われております。約七百万人の団塊の世代が高齢期を迎えるなど、世界でも経験したことのない速さで少子高齢化が進みます。」と、こうおっしゃっておる。実は去年の臨時国会のときに、私、総理に基本的な認識として人口減少社会という認識があるのかということをお尋ねしましたら、早速取り入れていただいたのか、しかしそれにしては少子高齢化とすっと後で続けているので、余り分かっておられないのかなと思ったりして聞いたんですが、さて、その総理の演説の中では、少なくとも二〇〇七年から人口減少社会が到来すると、こうおっしゃっておる。二〇〇七年、もしかすると二〇〇六年あるいは今年になるかもしれないというふうに言われている。ですから、厚生労働行政、特に厚生行政にとっては、私は大きな歴史的な転換点に今あるというふうに思うんですね。
 ところが、そういう観点から大臣の所信表明を改めて読み直してみますと、「急速な少子高齢化の進行や厳しい財政状況の中で、」、わざわざこんなこと言わなくてもいいと思うんです、「持続可能で安定的な社会保障制度を構築するために不断の改革を実施するとともに、少子化の流れを変えるための各般の対策に取り組んでいく必要があります。」と、こう述べられている。
 同じように少子高齢化というふうには言われながらも、一方は人口減少社会ということをはっきり示されている。大臣は、少子化の流れを変えるというところに力点を置かれている。やっぱりこれ、総理と厚生労働大臣との基本認識が違うんじゃないかと思うんですが、この点はまずいかがでしょうか。
#66
○国務大臣(尾辻秀久君) 確かに、今の時点では二〇〇七年からと見込まれるわけでありますが、我が国の人口が減少する、人口減少社会を迎えるということは予測をされるところでございます。それはそのことをとらえて総理の言い方になっていると思います。
 一方、私は、少子高齢化という表現をいたしましたけれども、いずれにいたしましても、少子化ということは当然人口が減るということでございますから、まあ総理の施政方針演説も私の所信表明も別に違ったことは言ってないと思っております。いずれも、我が国社会が直面するこのような将来人口の変化を踏まえて、社会保障制度の改革の必要性を訴えておるところでございまして、特に、私の立場からすると、社会保障制度を持続可能なものにするということを言いますときに、どうしてもやっぱり少子高齢化という表現にどうしてもなるわけでありますけれども、申し上げましたように、総理とだからといって認識が違うとかいうことはないんだと思っております。
#67
○朝日俊弘君 やっぱり違うように私には聞こえるんですね。なぜかというと、先生も御存じだと思いますけれども、最近あのベストセラーになった「人口減少 日本はこう変わる」という本を書かれた古田先生のお話を先日もお聞きしたんですが、厚生労働省は少子高齢化というネーミングで政策をミスリードしているとおっしゃっているんですよ。むしろ人口減少社会である。その中身は、人口学的にいうと少産、つまり少なく生まれ、これは少子化と基本的には似た概念だと思います。多死なんですよ。多くの方が亡くなる。だって生まれる数が少なくても人口は減らないんですよ。増え方が少なくなるだけなんですよ。生まれる数よりも多く亡くならないと人口減少社会にならないんですよ、単純に考えて。だから、これからの日本の社会は人口減少社会だ。とすれば、もう少し概念的に言うと、少なく生まれてそれよりも多く死ぬ社会だということを表現されているんですね、古田先生は。私、そのとおりだと思うんですよ。
 そういうふうに考えると、どうも厚生行政の中で少子化対策の問題、あるいは次世代育成の問題に今遅まきながらスポットライトが当たっている、そのこと自体を否定するつもりは全くありませんが、しかし、子供が少なくなる。少産ということと同時に、もっとそれ以上にこれから年間百万あるいは百五十万の方がお亡くなりになる時代だと。人間の死の問題をもう少しきちっと見詰めた政策立案をすべきではないか。その基本的問題意識が厚生労働省には乏しいのではないか。もっと人間の死という問題を、これ余り人気の取れる話じゃありませんけれども、しかし、冷静な事実としてそういう時代が来ているんだし、ますますその速度が速まってきているんだから、大きな一つの政策の一つの柱として、もう一方の柱として、人間の死の問題、その関連する、取り巻く課題。
 例えば、例えば最近リビングウイルということで、生きている間にこうしてほしい、ああしてほしい、いやこうしたことはしてほしくないという自分の意思を書き留めるということが進んでいますが、なかなかこれが個人レベルの動きで広がっていない。しかし、そういう思いがかなり強まってきている。
 それから、いわゆるターミナルケアも、病院でもう医療機器に囲まれて、何かこう家族も本人も何が何だか分からないうちに生物学的な死を遂げるというそういう死に方から、もう少しこうアットホームな死に方があるんじゃないかと、在宅におけるあるいは地域におけるターミナルケアがあっていいんじゃないかと、こういう声もあるし、実際ある程度実践されている方もある。
 そういうことに対して、もう少し厚生労働省として着目をして、それをどう支援をするかという、あるいは政策化するかという問題意識があっていいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#68
○国務大臣(尾辻秀久君) 私は、最近こういう言い方をいたしております。よく揺りかごから墓場までという表現を使っておりましたけれども、今は揺りかごよりももう一つ先のお母さんのお腹の中で虐待が始まったりするとかといいますから、お母さんのお腹の中から墓場までというふうに表現をまずちょっと変えまして、そしてその上で、尊厳を持ってきっちり人間として生きていけるような、そんな社会にしなきゃいけないし、社会保障を考えたいと、こういうふうに言っております。そして、そこまでは言っていたんですけれども、今の先生のお話を伺って、その正に墓場の部分、死の部分で、具体的に、ああ、そういう考え方必要だなと今思ってお聞きをしたところでございます。
 したがって、その辺をどういうふうに、じゃ施策として厚生労働省として考えるのかという問題などもあろうかと思いますから、そこのところについてはまたいろいろ考えさせていただきたいと思います。ですから、今の先生のお話については、何というんでしょうか、非常に重く聞かせていただきましたということをまず申し上げたいと思います。
 ただ、一つだけ言わせていただきたいのは、私どもがどうしても少子高齢化という表現になってしまいますのは、引き算足し算をすれば先生がおっしゃるとおりだと思いますし、そのことを否定するものでも全くないんですが、ただ、社会保障をお預かりする立場からいうと、高齢化されたところの皆さんの数がどうしても多くなっている。そうすると、そこの部分の医療をどうするの、年金をどうするのということにどうしても思いが行ってしまって、高齢化という言葉になるということも御理解はいただきたいと思います。あえてそのことを一つ付け加えさせていただきました。
#69
○朝日俊弘君 基本的には受け止めていただいたと思うんですが、ただ、言葉というのは結構大事な意味を持つので、できるだけ厳密に使っていただきたいと思うんですね。
 例えば、今、大臣おっしゃったけれども、高齢化というふうにおっしゃいましたけれども、今はもう高齢化じゃないんですよ。高齢社会なんですよ。つまり、高齢化というのはだんだん高齢化してくる時代のことを指すわけでして、そういう意味ではもう明らかに高齢社会になって、しかも多死、多くの方がお亡くなりになる社会になってきているという認識だけは、私たちも含めて改めて持っておく必要があるだろうと。
 その上で、例えばこれは、今日は各論に入りませんけれども、例えば介護の在り方でも、ターミナルケアを在宅でするためには介護も必要ですから、そういう人たちに対する介護というのもやっぱり考えなきゃいけないだろうと、こういうふうにつながってくるわけでありまして、そういう問題意識は是非持ってほしいというふうに思います。
 では次に、今年の正月に、早々に、大臣が閣議後の記者会見を、今年の抱負というようなことでお話しになっておられました。その記事を見せていただいて、その部分は、なるほど我が意を得たりというふうに拍手を送ったんですけれども、要約すれば、いろいろ厚生労働行政の中で仕事があるんだけれども、現状で見ると、どうもやっぱり幾つかの谷間が生じていると、これから今年はそういう谷間を丹念にうずめていく仕事をしなきゃいかぬと思っていると、こういうふうに。で、そのインタビューに答えて、谷間の一つの例として、障害者に対する対策、特に精神障害者の皆さんに対する対応が一つの谷間であったというふうに思うと。もう一つは、難病患者さんに対する対策、施策、これがもう一つの谷間かなと、こんなふうなことをおっしゃっています。
 改めて、このときにおっしゃったときの大臣のお気持ちというか真意をこの場で再度お述べいただければと思いますが、いかがでしょうか。
#70
○国務大臣(尾辻秀久君) 今、もう引用していただいたといいますか、お述べいただいたとおりでございまして、余り付け加えて申し上げることもありませんけれども、申し上げますと、やっぱり障害者対策というのがまだ不十分だ、遅れておるところがある、大きく言うとそういうことで、それで、その中でも特に、知的障害、身体障害の皆さんとの比較で言うと、精神障害者の皆さんに対するところが一番の谷間になっているという気がするから、ここのところをしっかり取り組みたいということを言ったつもりであります。
 それからまた、難病対策についても医療からのアプローチと福祉からのアプローチがあると思うんですが、ここのところをもう一回よく見直してみて、特に難病対策の中の福祉の方からのアプローチというのが一番弱い部分というか、欠けている部分であると私は思うもんですから、そうしたところに対して少しでも施策で取り組んでいきたいというふうなことを申し上げたつもりであります。
#71
○朝日俊弘君 このこと自体は私も素直に評価したいと思うんですが、例えば、難病の患者さんに対してもう少し福祉というか介護というか、そういう側からの支援を積極的にできないかということは、是非、冒頭、年頭の決意表明をされたわけですから、今年中には何らかの方向が見えるような取組を是非お願いしたいなと思うんですが。
 そこで、ただ、そこのことは評価するんですけれども、今回、精神保健福祉法の改正案が提出をされました。それが実は障害者自立支援法の附則という形で提案をされました。ですから、例えば私どもが障害者自立支援法の問題について各界の皆さんの御意見をいただきますと、話を聞きますと、大抵その本論の方の話だけで終わっちゃって、附則の方の話まで行かないんですね。つまり、精神保健福祉法の改正ってやるんですか、本当に、という話になっちゃうんですね。
 法律の改正のやり方としてどうも気になるんですよ。各論はまたこれからじっくりたっぷり時間を取ってやらせていただきますけれども、組み立て方がどうも気になるんですね、出し方が。自立支援法と直接かかわる条項が、条文がある場合に、その自立支援法の一部改正という形で、あるいは附則を出すということは十分あり得ると思うんです。ところが、附則の中でされている精神保健福祉法の改正は、五年前の改正、見直しの規定に基づいて精神保健福祉法独自の課題について見直した項目が幾つかあるんですよ。
 だから、私はここはちゃんと精神保健福祉法の一部改正というふうに出してほしかった。その中で、自立支援法とこことここは関係しますよ、例えば、通院医療費の三十二条の話が今日午前中ありましたけれども、それは精神保健福祉法から自立支援法の方に移しますよと、こういう話をしてほしかったんですが、何でこういう提案の仕方したんですか。
#72
○政府参考人(塩田幸雄君) 今回の障害者自立支援法の趣旨が、身体障害、知的障害、特に遅れていた精神障害を含めて、障害の種別を超えて、三つの障害について一元的に市町村を中心にサービスを提供するという、そういう大きな改革の法案であるということでありまして、特に、精神障害者の遅れている福祉を格段に充実するための制度改正ということでございます。そういった意味で、今度の改革がこの精神保健福祉の向上を目指すという意味で、精神保健福祉法の目指す理念と一致していると考えております。
 それから、技術的には、本則の中で、いろんな障害福祉サービスでありますとか自立支援医療について事業者に対してサービスの質の向上を求める様々な措置を規定しておりまして、附則の中で、精神保健福祉法に残った医療についても、事業者の、病院のサービスの提供を向上させる意味で、任意入院の場合の報告を求めることとか、あるいは悪質な病院の公表をするとか、両者相互に共通する部分もございます。
 ということで、本則と附則、相互に関係が深いということで、内閣法制局とも御相談しまして、こういう形で提案をさせていただいたということでございます。御審議は当然、本則、附則、十二分に御審議していただきたいと思っているところでございます。
#73
○朝日俊弘君 審議はもちろん十分にやっていきますが、出し方がどうもすっきりしないと。かなりこの精神保健福祉法は、確かに福祉的な側面も持っているんだけれども、医療的な側面もあって、ある意味では医療法の一部を補完するような部分があるんですよ、精神保健福祉法の中にはそれがあるんですよ。ところが、それが今回の障害者自立支援法の附則の中の一部改正でやられてしまう。法律の名前をぱっと見たらだれでも、障害者自立支援法というふうに見たら、これは、ああ、障害者の福祉に関する法律だなというふうに思うでしょう。ところがどっこい、その中に精神医療に関する部分が幾つか項目として入っている。これはどうも不自然だと私は思うんですよ。あるいは、少なくとも不親切だと思う。もう少し問題をきちんと投げ掛けて、こういう部分をきちっと改正したいからよろしくと。これ、法改正というのはやっぱり一つの国民や関係者に対する教育、啓蒙の意味もあるわけですから、問題をきちっと投げ掛けるような出し方をしないとまずいんじゃないかと思う。
 もう答弁はいいですけれども、答弁はいいですけれども、私は、不親切だ、少なくとも不親切だというふうに指摘しておきます。
 もし大臣、何かありましたら。
#74
○国務大臣(尾辻秀久君) 私の今思っていることを率直に申し上げて、また正に専門の先生の御意見をいただきたいと思ってあえて手を挙げたところでございます。
 私はこう思っているんです。それは、今回の改正においてまず言いたいことは、身体障害、知的障害、精神障害の障害種別を超えるという、これを非常にまず強調したいということがございます。今まで精神障害だけがちょっと別でしたから、今回の言いたいことのまず非常に大きな部分が、三つの障害の障害種別を超えて、同じようなことでサービスを提供、障害を超えてサービスを提供させてくださいということをまず言いたい。その中で、今先生お話しのように、まず本則において、したがって障害福祉サービス、自立支援医療というところまでを持ってきました。これはもう本則でそのとおりです。
 ただ、そうした大きく言っている中でどうしても精神保健福祉法に触れる部分がありますから、そこは、今回の大きく三つの障害を超えてという本則の部分じゃなくて、精神保健福祉法に触れる、触れるというか、かかわる部分もありますから、そこの部分は、三つ一緒じゃないんだけれども、一つだけ附則で扱わせてくださいと、こういうふうに言っているつもりなんですが、私はそう思っているものですから、率直にその思いを言わせていただいて、また先生の御意見をいただきたいなと思うところであります。
#75
○朝日俊弘君 いいです。もうこれ以上やりませんけれども、少なくとも不親切な出し方だと今でも思っています。
 それで、また法律案の審議の中で各論については細かく質問させていただきたいと思うんですが、ただ一点だけ、どうも非常に、ざくっと見て、今回の障害者自立支援法の中で整理されている精神保健福祉法の改正というのは随分と中途半端だなと思うんですね。この問題は、去年の秋、臨時国会のときにもこの委員会でお尋ねをして、塩田部長にお答えいただいたと思うんですけれども、私は、この三障害をまとめた福祉サービス法をつくるということであるならば、むしろ現在の精神保健福祉法という医療から福祉まで全部含んだような法律から、福祉はもう三障害共通の福祉の方に持っていっちゃって、精神の方は保健医療のところにより純化するような形ですきっとした方がいいんじゃないかということを提案をしました。そうしたら、塩田部長は、いや、いろいろと内閣法制局とも相談しているからという御答弁で、きちっとしたお答えをいただかなかったんですが、さて、出てきた中身が案の定、中途半端と。
 例えば、精神障害者福祉にかかわる手帳の制度は精神保健福祉法の方に残っているんですね。ところが、三十二条の方はなぜか、通院医療費公費負担がなぜか自立支援法の方に入っているんですよ。これ逆じゃないかと。逆というのは変だけれども、整合性が取れてないんじゃないかと、どう考えても思いますよ。それで、なぜこんな中途半端な形になっちゃったのか。大分どたばたでやったんじゃないかという気がしてならないということと、次への展望というかステップを明確に考えていないんじゃないか。泥縄式、その場限りでやっているんじゃないかという気がしてならない。
 私は、もし今回中途半端な形になっているという御認識があるんでしたら、じゃその次のステップをお考えなんですねと。次のステップというのは、私流に言えば、もうさっきも言いましたけれども、精神障害者にかかわる福祉の課題は、三障害共通する言わば総合福祉法の中にきちっと位置付けると。精神保健福祉法、現在のは、より精神保健医療法みたいな形に純化するというふうにすっきりさせた方がいい。こういうふうに思っているんですが、例えば将来的に障害福祉に係る総合サービス法というようなものをつくっていこうというステップをお考えなのか、そういう中で今回の改正があると考えていいのか、その辺はいかがでしょうか。
#76
○国務大臣(尾辻秀久君) 今先生御指摘のような点があることは認めるところでございます。今回、きっちり三障害をもう完全に同じサービスでというところまでは行っていないことは事実であります。そして今私どもが考えていますのは、これが普遍的な法律への大きな一歩としたいというふうに思っておるわけであります。したがって、次のステップを考えておるつもりでありますが、そこのところが見えないという先生の今の御批判でありますから、その辺の御批判に対しては我々も謙虚に御意見をお聞きしながら、正に次のステップをどうするかということを考えなきゃいかぬというふうに思っておるところでございます。
 私からまずそこまでお答えして、もう少しその先の話は部長、──それじゃ私から、まず大きくそういうつもりでいますということだけを申し上げて、またいろいろ御意見ちょうだいしたいと思います。
#77
○朝日俊弘君 分かりました。
 じゃ、これは法案審議を通じてなど、是非、次のステップをどう展望するか、これは我々にとっても検討課題でありますから、是非一緒に検討していきたいと思います。
 それでは次に、来年度予算に関連する話から、少し介護保険法の改正問題に触れていきたいと思います。もちろんこの介護保険の方も各論はまたたっぷりやらせていただきますので、今日は各論と言わずにその前段の議論だけしておきたいと思います。
 まず、来年度、平成十七年度の予算案の概要説明を先日いただきました。その中に、国民の健康寿命を延ばすことを目標に、まだ頑張るようですが、働き盛り、女性、高齢者といった国民各層を対象に生活習慣病対策と介護予防を推進するとともにと、こういうふうに書いてあるんですね。私のこれ記憶間違いかどうか、現在の提案されている介護保険法の一部改正の中で、新しい介護予防給付とか介護予防という言葉はそのときに出てきた言葉のような気がしてならないんですね。とすれば、当然今の介護保険法の法律が成立して以降の話であって、今は今の法律に基づいて来年度の予算が組み立てられているというふうに私は理解をするんですね。
 そうすると、この生活習慣病対策、これは分かるんです、前から言ってきている話で、とりわけ老人保健法を中心に頑張ってやろうということですから。私もかつて老人保健審議会におりましたので、このことはもうある種愛着を持って、この間ずっと皆さんと一緒に考えてきた課題ですから。生活習慣病対策、これは分かるんですが、果たして現行の法律制度の下で「介護予防を推進するとともに、」というと、一体何を根拠にどういうことをやるのかなと。よく分からないんですね。
 そこで、そこでちょっと整理をしてください。この来年度予算の中で説明されている生活習慣病対策と介護予防の推進ということについては、一体どの法律に基づいて、どれくらいの予算で、どういうことをやろうとしているのか、主要な項目で結構ですから御説明ください。
#78
○政府参考人(田中慶司君) 今先生の御指摘のくだりでございますけれども、これは正に昨年の六月に、いわゆる骨太の方針二〇〇四に基づきまして健康フロンティア戦略の推進、これを厚生労働省として最重点課題の一つとして位置付けておりまして、その説明が先ほど先生が引用されたものでございます。
 平成十七年度は、健康フロンティア戦略の推進のためにハード、ソフト面の両面からの基盤の整備を図るということで、介護予防サービスの適用のための拠点の整備とか、あるいは健康日本21の中間評価、あるいは有効性の高い健康診査、事後指導の研究と検証、これを行っていきますと、こういうことになっております。トータル一千二十七億円が予算には計上されているところでございます。
 基づく法律ということでございますけれども、老人保健法に基づきます老人保健事業として二百九十億円、それから医療保険各法に基づきます保険事業についても必要な予算を計上しているというところでございます。
#79
○朝日俊弘君 そうすると、ちょっと確認させてください。介護予防というのは、今説明された健康フロンティア21の中で初めて介護予防という言葉を使ったんですか。ちょっと確認させてください、念のため。
#80
○政府参考人(中村秀一君) そのとおりでございます。健康フロンティア戦略の中で政策の柱を四本立てております。その中で、介護予防十か年戦略ということで、家庭や地域で介護予防ができるというようなことがうたわれておりまして、その中で介護予防ということが位置付けられております。
#81
○朝日俊弘君 それで、私はどうも、生活習慣病対策と介護予防というのが相当にオーバーラップするんじゃないかと。使っている人で勝手に使っている節もあって、やたら介護予防、介護予防というふうに強調し過ぎるような気がして、私はちょっとこの介護予防という概念にはいぶかしさを持っているんですけれども。
 そこはおいといて、今回、介護保険法の一部改正案が、五年ぶりの改正案が提案されているわけですが、その中では、法律に、介護保険法という法律に新たに、介護予防給付をやるんだということで法律の中で初めて出てくるんですね、介護予防というのは、だと私は思います。
 そうすると、今までは主として老人保健法に基づくヘルス事業及び各種健康保険、医療保険が行っている健康づくりなどでやってきたと思うんですけれども、というふうに私は理解しているんですけれども、今度、介護保険法が改正されて、新たに介護保険から介護予防給付というものを行うというふうにしますと、今までの生活習慣病対策と介護予防というのは、どの法律に基づいてどの部分はこちらでやる、どの法律に基づいてどの部分はこちらでやるという区分けというか整理というか、どういうふうにされるつもりなんですか。ちょっとその基本的な考え方を教えてください。
#82
○政府参考人(中村秀一君) まず、先ほど介護予防の位置付けは健康フロンティア戦略の中でなされていると申し上げましたけれども、少し補足をさせていただきますと、もう一つ、先ほど来、朝日議員は、十七年度予算においていろいろ執行されているようだけれども根拠の法律があるのかというお話でございました。
 健康局長の方からお答えいたしましたように、十七年度予算の中には介護予防の基盤整備の予算も計上されております。これは、今国会に提出させていただいております厚生労働省の国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険等の一部を改正する法律案、例の三位一体関係の法律案の中に、私どもの関係で地域の介護・福祉空間整備等交付金制度をお願いいたしております。この中でも、介護予防の拠点整備は、実はその制度の中で介護予防の拠点整備もするということでございますので、十七年度の執行部分の介護予防の拠点整備については、その法律が一つ根拠があるということを申し上げたいと思います。
 今、先生お尋ねがありました介護予防とそれから生活習慣病対策。生活習慣病対策は老人保健事業を始めいろんな事業でやっているけれどもその関係がどうかと、こういう御質問でございました。
 今回、介護保険法改正法案で提案しております介護予防につきましては、その部分は、法律を成立させていただきまして、平成、先生御案内のとおり、十八年四月実施を予定しております。したがって、十八年度の予算においては、この部分について介護保険法が根拠になりますけれども、どの程度の予算計上するかということについては、また予算の御審議のときに御整理いただくということになると思います。
 今、介護予防につきましては、この法案で提案させていただいておりますように、六十五歳以上の方においては、要介護となる原因が死亡の原因となるとは異なる疾病によるものが多いことから、生活習慣病対策は生活習慣病対策でやってまいりましたけれども、六十五歳以上の方について、要介護になること、悪化すること、ならないように防止すること、そういうことが必要なので、介護予防対策ということで、こちらの方は平成十八年度以降は介護保険法の方で実施させていただくということになります。
 そうすると、先生御懸念は、今、老人保健事業等でやってきましたその中にも、機能訓練とかメニューの中には入っておりましたので、そういったことをどう整理するかという問題が第一点残っております。介護予防の方はこのように枠組みを法律で提案させていただいておりますが、老人保健事業の在り方について、生活習慣病対策として、今、先生御案内のとおり、四十歳以上が老人保健事業の主たる対象になっていますが、それでいいかというような問題も含めて対応が迫られております。
 健康日本21で生活習慣病対策をやっていることもございますし、がん検診も老人保健事業の大きな枠組みの中でやられていると。私ども、今後予定しております医療制度改革や健康フロンティアの推進においても、その生活習慣病対策どうやっていくかというのは実は重要な課題でございますので、今、先生から御質問のありました介護予防との切り分けの問題も含めまして、十八年度以降、その生活習慣病対策、どのような形にしていくかについて我々も厚生労働省として整理して御提案申し上げなきゃならないと、こういうふうに考えている次第でございます。
#83
○朝日俊弘君 もちろんきちっと整理をして、予算上どれぐらいになるかということも含めてきちんと提案をしていただかなきゃいかぬと思うんですけれども。
 ただ、ちょっとしつこいようですけれども、今回の介護保険法改正案の法改正を全部目を通してみたんですけれども、老人保健法の一部改正が入っていないんですね。まあ一項目、実務的なことが書いてありますけれども。つまり、老人保健法に基づく四十歳からのヘルス事業にかかわる部分をどういうふうに調整するかということが全然出てこなくて、何か今回の介護保険法で決めたらそれで決まりみたいな、要するに別の法律で決められちゃったら老人保健法は触らなくてもそのまま別の法律でやるということになっちゃうという、そういう説明を聞いたんですけれどもね。
 つまり、そうすると、今回介護保険法の改正案でどんと出されて、介護保険の改正で決めたら自動的に、老人保健法のこの部分、四十歳からのヘルス事業の部分の少なくとも六十五歳以上の部分は全部介護保険の方に来ちゃうのかしら、そうすると、老人保健法に残るのは四十から六十五までになっちゃうのかしらと。これはまるで老人保健事業じゃなくて中年保健事業だと、こうなっちゃうんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうです。これ危惧にすぎませんか。
#84
○政府参考人(中村秀一君) 先ほど先生の方からも、生活習慣病対策といわゆる介護予防ということについて相当重なり合いもあるんではないかと、そういう御指摘もございました。私、今先生から愛着も感じているというお話があった老人保健事業の方の担当局長でもございますので、私の問題としてもここのところを整理していかなければならないということになっております。
 法律的な整理どうなっているかというと、例えば、予防の給付は今の例えば介護保険でもなされております、要支援の方に。ですから、法律上はそういう予防給付と老人保健事業と、ある意味じゃ法律的な整理は、変な言い方ですけれども、きちっとなされないまま今併存していることは確かでございます。
 それがいいというわけではございませんで、私ども、その介護予防というのを一つの概念を立て、今度の介護保険の見直しの中でも予防重視型システムに変えていくということを大きな柱にしておりますので、介護予防は介護予防としてきちんと確立をしていきたいと。その際、従来の生活習慣病対策の老人保健事業と六十五歳以上についてどういう役割分担をするか。また、老人保健事業は四十歳以上ということでやってきたけれども、二十一世紀のヘルス事業としてそういうことで本当によいのかどうか、そういうことも含めてヘルス事業、保健事業の在り方として検討しなきゃならない。
 その課題というのは、私が言うのもちょっと所管外かもしれませんが、医療保険の改革や医療制度の改革でもそのことが検討されておりますので、私ども、老人保健事業、四十歳以降の老人保健事業を担当する立場として、六十五歳以上は介護予防ということでそっちを中心的にやっていくという整理をした上で、老人保健事業を何歳からやることが適切なのか。その場合に、老人保健事業というのは今老人保健法で、基づいてやっているけれども、その老人保健法の改革、改正をどうしていただくのか。あるいは、老人保健法は老人医療費の法律でもございますから、医療とヘルスの関係、一本の法律でやってきて、非常に密接に関係してきたわけですが、その枠組みを崩していいのか、崩すべきでないのか。そういったことについて厚生労働省として医療保険制度、医療制度改革の中で答えを出していくと。介護予防については十八年四月からスタートですから、その介護予防のスタートと六十五歳以上の調整問題は、それも含めて十八年度予算決定までに厚生労働省として整理しなければならないと、こういう認識でいるところでございます。
#85
○朝日俊弘君 分かりました。
 基本的認識は、だから、私が指摘したことと大きく異なる話ではなくて、むしろ介護保険でこういう新しい項目というか事業を定めていくことが、現在の老人保健法あるいは老人保健事業の在り方がこのままでいいのかということも含めて、大きな問題提起になるということはお互いに確認しておきたいと思います。
 今ちょっと一歩先のところまで突っ込まれちゃったんで話がしにくいんですけれども、老人保健法は御指摘のようにもう一方で医療の問題、医療保険のところを規定している法律です。これは来年のお楽しみということになっているようですけれども、つまり、医療保険制度改革は来年の通常国会に向けて今着々と準備中というふうに伺っているんですが、ただ、平成十五年の三月に基本方針がまとめられましたよね。だから、具体的にどうするというところまでは書いていないけれども、新たな高齢者医療制度をつくるに当たっての基本的考え方、基本方針として、平成十五年の三月に示されたその方針の中では、細かい点はちょっと省略をしますが、高齢者の独自の医療保険制度を考えようじゃないか、一つは六十五歳から七十五歳、それから七十五歳以上と、こういうふうに前期と後期と分けて高齢者の医療保険制度を考えようじゃないかというふうに提起をしてあって、その上で、「これに伴い、老人保健制度及び退職者医療制度は廃止し、」と、こう書いてある。
 ということは、現在の老人保健法に基づく老人保健制度は廃止するということを書いてあるわけですから、この医療保険制度の抜本的な見直しの中で新たな高齢者のための医療保険制度がつくり出されていく、創設するのか一部改正なのか合体するのかよく分かりませんけれども、そういうものをつくってくるという方向が示されていますね。
 そうすると、今、中村局長もおっしゃったけれども、一方でヘルス事業の方、老人保健事業の方は介護保険とのかかわりの中で相当にその骨格部分も含めて検討し直しが求められるであろうとおっしゃった。一方で、老人保健制度は廃止するという医療保険制度の基本方針を踏まえるならば、この両方が進めば、つまり、今年介護保険が改正される、来年新たな高齢者医療保険制度ができるということになると、私は、老人保健法そのものの存在意義が問われるのではないか、もしかすると老人保健法は要らないというか解体的出直しというか、これは余り表現が良くないが、骨格そのものからの再構築が求められることになりはしないかと思っているんですが、この点については大臣に伺います。
#86
○国務大臣(尾辻秀久君) いろいろお話しになりましたけれども、私ども、いずれにいたしましても、老人保健法を少なくとも大幅に見直すことは必要になる。それが、おっしゃっているように、医療保険の部分であれ、今度は介護保険との絡みの部分であれ、まあとにかく、ずっとお述べになりましたように、これらの一連の作業の中で、すなわち介護保険法を今度改正する、それからいずれ十八年度で医療保険を大きく整理してまた新しい制度で御提案を申し上げるということにしていますから、その一連の作業の中で老人保健法を大幅に見直すことはもう必ず必要になるというふうに思っております。その大幅に見直すことが、今先生が言われたぐらいのところまで行ってしまうかどうかというのは今後の検討だというふうに考えております。
#87
○朝日俊弘君 いろいろおっしゃいましたがというのはちょっとかちんとくるんですね。
 要するに、私は問題点をかなり絞り込んで提起したつもりなんです。片一方でヘルス事業はこうなるでしょう、片一方で老人医療の部分はこうなるというふうに書いてありますよ、とすれば、ほぼ確実にそうなるんじゃないですかと聞いているんですよね。いろいろあれやこれや言ったつもりじゃないんですがね。
#88
○国務大臣(尾辻秀久君) 大変失礼しました。そういうつもりで申し上げたつもりはありません。
 先生の御指摘は、その御指摘、極めて、何といったらいいんでしょう、そのとおりの御指摘だと思いながら聞いていたものですから、私の頭の中でいろいろ思い巡ったものですから、何かそのことがいろいろという表現になってしまいまして、その表現についてはおわびを申し上げます。決してそういうつもりでおっしゃったわけじゃなくて、また表現変えると、極めて整理して問題点を御指摘いただきましたというふうに訂正して申し上げます。そして、その上で先ほどの私の答えだと御理解をいただきたいと存じます。
#89
○朝日俊弘君 揚げ足取るつもりはないんで、むしろ私がこの今の議論で指摘したかったのは、要するに、介護保険制度の改正法案が出ているけれども、そして、来年には老人、新しい高齢者のための医療保険制度が、改正が課題に上がっているけれども、その両方にかかわる老人保健法の在り方というのも、当然、同時に骨格的な部分も含めて見直しをしていかざるを得ないという問題意識をちゃんと皆さんにお伝えすべきだと思うんです。
 なぜならば、さっきの自立支援法と精神保健福祉法の話と似ているんですけれども、介護保険法の改正案が出てきていて、実はその中に老人保健法のことがほとんど出てこないんです、浮かび上がってこないんです。だから、知らずに通り過ぎちゃうと、ああ介護保険だけの改正で老人保健法はそのままちゃんとあるのかなというふうに思っちゃうんです。そうならないんですよ、私の理解では。そこはちゃんと問題提起しなさいということを申し上げたかったんです。そこは受け止めていただけるでしょうね。
#90
○国務大臣(尾辻秀久君) そのことは、先生の御指摘を受け止めさせていただいております。
#91
○朝日俊弘君 それじゃ、あと十分になっちゃいましたから、一転話が変わって、震災の話に。
 実は、今年は阪神・淡路大震災十年という年でありまして、それに合わせて、御承知のとおり、新潟では中越の地震があり、改めて、阪神・淡路大震災のときの教訓がどこまでどんなふうに生かされてきているのか、いろんな分野からいろんな、何というか、再点検といいますか、もう一度振り返って見直そうではないかという議論が起こっていることは御承知のとおりです。
 神戸では国際会議も開かれて、改めて防災の問題について議論をいたしました。私も、何人かの支持者の皆さんと、阪神・淡路大震災十年ということを踏まえて、神戸の市民病院の皆さん、御存じかと思いますけれども、神戸の西市民病院は四階と五階のところがくしゃっとつぶれちゃった映像、それから、神戸中央市民はすごい立派な施設持っているんだけれども、橋が落ちちゃって全然使えなかったという、そんな体験などを改めて思い出しながら、さらには、中越地震の中で県立病院が経験した幾つかの問題などをお互いに話し合う機会を持ちました。そこで、二つの点について改めて是非確認をしてほしいという話が出ました。
 まず第一点は、せめてというか当然のことというか、二次医療圏のレベルで災害拠点病院というのをちゃんと決めて、少なくとも、すべての医療機関やってほしいんですけれども、少なくともその災害拠点病院は施設面、構造面できちんと耐震構造を進めるべきだ、こういうふうな指摘をいただきました。そういう指摘をいただいたということは、逆に言えば、新潟などでも、改めて見てみるとなかなか耐震構造になっていないところがあってという問題点が浮かび上がったということであります。
 そこで、この災害拠点病院の指定の状況なり、あるいはその災害拠点病院の耐震構造化の問題なりについてどのような施策を進めておられてどこまで実施できているのか、今後の課題について御質問します。
#92
○政府参考人(岩尾總一郎君) 二次医療圏、昨年九月段階で全国に三百七十ございます。その中にこの災害拠点病院五百四十五施設ございますが、耐震化されていると言われるのは八六・一%、四百六十九の病院でございます。
 私ども、このような災害拠点病院に対しましては、耐震化事業ということで、今後とも耐震化を進めていただくために、補助制度の活用などで地震に強い構造になるよう補助をしていくということをやっていきたいと思っております。
#93
○朝日俊弘君 それなりに対応されているというお答えだと思うんですが、ちょっと聞きますと、それを進めるのに県なら県の方からちゃんと申請をしなきゃいけないとかいう話も仕組み上はあるようでして、上から一律にえいやとやるわけにはいかないのかもしれませんが、せっかく八十数%まで来ているわけですから、いつ大震災が起こるか分からない状況ですから、是非、災害拠点病院の指定と、それを中心とする耐震構造化についてはより積極的な、予算化も含めて指導、対応方をお願いしたいと思います。これは要望しておきます。
 その個々の病院の耐震構造化の問題と同時に、もう一つは、一つの病院では対応し切れないと、せめて都道府県のレベルで、もちろん都道府県を超えたシステム化の必要性もあると思いますけれども、まずは都道府県のレベルで災害時における医療提供体制の在り方について常から検討を加えておく、幾つかのレベルに合わせて、こういうふうに対応しようというシステム化というかネットワーク化というか、そういうことをちゃんと検討すべきではないか。しかもそれは、これから検討が進められる各都道府県の医療計画の中にきちんと盛り込んで、それぞれの県で、少なくとも県レベルでの災害時における医療機関、医療提供体制の在り方については一定の検討を常から加えておく、できれば計画の中にきちんと盛り込んでいく、こういうことが必要なんではないか。その際には、やはりシステム化された医療機関同士の連絡体制とかあるいは患者搬送体制とか、そういうことも含めてやっておくべきではないかと思うんですが、この点についてはどの程度できていて、これからどんなふうにされるか、お尋ねします。
#94
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど来申し上げておりますように、平成十八年度には、医療保険制度だけではなくて医療制度全体の改革に向けていろいろな計画、制度の見直しを進めておるところでございますけれども、その中の一つとして、災害時の医療提供体制の確保に関して従来にも増して都道府県に大変重要な役割を担っていただくことを検討しておるところでございます。
 災害拠点病院による地域の医療機関との連携や大規模災害時に備えた広域的な医療連携の確保など、災害医療に関する医療機関のネットワーク化については、地域の医療機能が災害時でも十分に機能するために重要な考え方でありますから、申し上げておりますように、医療計画の見直しの議論の中で十分検討してまいります。
#95
○朝日俊弘君 もう時間がなくなったので終わりますが、是非、さっきちょっと言いましたけれども、医療機関相互の連絡体制とかあるいは患者搬送のシステムというか、例えばヘリポートを造るとかいうことも含めて、今の時期にきちんとそういうシステム化、ネットワーク化を進めておくべきだというふうに思いますので、これは精力的にお取り組みをいただきたい。このことを要請をして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#96
○蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、昨年の臨時国会で成立した育児・介護休業改正法についてお伺いしますが、これによって有期雇用者で育児休業が取れる方はどういう方なのか、その条件をまず教えてください。
#97
○政府参考人(伍藤忠春君) 今回の改正によりまして、有期雇用者に育児休業が適用されることになりましたが、その要件は二つございます。
 一つは、同一の事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者というのが一つでございます。それから二点目が、子が一歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれる者ということでありまして、子が一歳に達する日から一年を経過する日までに雇用関係が終了することが申出の時点において明らかである者を除くと、これが二点目でありまして、この二つの要件を満たした者が育児休業の対象になるということでございます。
#98
○蓮舫君 つまり、一年の雇用実績の後に育児休業で休んで、子供が一歳になったときに復職をすると、その後一年以上の雇用の継続が見込まれる方が育児休業を取れると。ならば、この育児休業の対象者になった有期雇用労働者すべてが、正社員と同じように休んでいる間に育児休業給付金は受け取れるんですね。
#99
○政府参考人(青木功君) 雇用保険の雇用継続給付としての育児休業給付の支給対象者でありますが、休業開始前に一年以上の雇用実績があり、休業終了後に雇用契約が更新され三年以上雇用継続をする見込みがある方、又は休業開始前に雇用契約が更新され三年以上の雇用実績があり、かつ休業終了後に一年以上雇用継続の見込みがある方で基本的な要件を満たす方でございます。
#100
○蓮舫君 つまり、今お二人の局長の説明を聞いていると、同じ有期雇用労働者でも、育児休業が取れる人と、取れた上で育児休業給付金がもらえる人ともらえない人の格差が出てくると。これはなぜなんでしょうか、御説明ください。
 どちらが答えるんですか。
#101
○委員長(岸宏一君) どなたですか。
#102
○政府参考人(青木功君) 雇用保険における育児・介護休業給付の支給につきましては、これも様々な議論がございましたが、法律制定後、国会審議等々の経緯も踏まえまして関係審議会で議論をしていただきました。その結果、従来常用労働者のみを対象としていた給付についても、新たに一定の範囲の期間雇用者にも認めるべきとされました。
 その要件につきましては、雇用継続給付として行うものでございますので、休業終了後相当期間雇用が継続して、休業取得者の失業を防ぐこととなることが大前提であると。また、保険給付である以上、一定期間の保険料納付実績や将来の保険料納付見込みが必要であり、常用労働者ほどでないものの、将来の雇用見込みについて必要最小限度の要件を課す必要があること。また、雇用継続につながらず失業給付の……
#103
○蓮舫君 短くて結構です。
#104
○政府参考人(青木功君) はい。
 乱給のような事態を防ぐことがあること等から、先ほど申し上げましたような結論に、関係審議会において公労使一致で答申をいただいたところであります。
#105
○蓮舫君 大臣にお伺いしたいんですが、今お二人から、局長から御説明をいただきましたが、去年臨時国会で審議をして、やはり少子化対策という意味合いを込めて、仕事も子供もと。今女性の中で大多数の方が有期雇用という多様な働き方を選んでいる中で、その方たちにも正社員と同じように育児休業を取っていただこう、並びに育児休業給付金は支払ってさしあげようということが私はこの法律の改正の意味合いだと思っていたんですが。
 結果として、育児休業を取れても、それでも取れる人が対象が一万人ぐらいなんですね。その一万人の中で育児休業給付金をもらえる人はわずか二千五百人なんですよ。これは、正社員などの方たちが育児休業給付金をもらっている中のわずか三から五%にしかすぎないぐらいの人数なんですね。
 そう考えると、私は、この法律改正、省令で条件を更に厳しくして給付する人たちを制限すると決めるのはおかしいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#106
○委員長(岸宏一君) どちらが答えるんですか。
#107
○蓮舫君 はっきりしてください。
#108
○政府参考人(青木功君) 育児休業給付制度と雇用保険でのかかわりでございますが、先生御案内のように、雇用保険制度は失業者への給付を中核とする制度でございます。この中で育児休業給付が雇用継続給付という一環として設けられた目的は、出産や育児に伴う失業をできる限り防ぎ、雇用継続を援助促進するところにございます。
 そういった意味で、保険制度としては、休業終了後に相当期間雇用が継続し、出産、育児に伴う離職により失業給付を受けないで済むようにするという保険制度の中の問題がございます。
#109
○蓮舫君 大臣にお伺いいたしますが、保険制度の中で限界がございますということですが、大臣もそのとおりだとお考えですか。
#110
○国務大臣(尾辻秀久君) この問題は、理屈は今局長が言っておるとおりであります。
 私も気になりましたから、これは先日来確認しているんですが、結局どういうことかといいますと、本来給付を受けることができる育児休業取得者について、育児休業給付の支給が阻害されることがないようにする。すなわち、実質、理屈は理屈として、実質は育児休業給付が支給されるようになっているということでございます。
#111
○蓮舫君 済みません、全く分からないんですが、理屈と実質はどこに定義されてどこに明文化されてるんでしょうか。それは運用で、省令の運用によって実質皆さんに一〇〇%支給できると言われても、法律にはそう書いてないし省令に何もそう書いてない。それは詭弁でしかすぎないと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
#112
○国務大臣(尾辻秀久君) 実質支給されておるわけでありますから、まあ詭弁でもないというふうに思っております。
#113
○蓮舫君 冒頭で両局長から説明があったように、有期雇用者で育児休業を取れる人の中で、休業給付がもらえる人ともらえない人がいる。ここまでは整理できていると思うんですが、これが実質取れるという意味ですか、皆さんが。
#114
○国務大臣(尾辻秀久君) そのとおりであります。
#115
○蓮舫君 そうすると、先ほど両局長が言ったのは、こちらの局長が、伍藤さんがおっしゃったのは、一年の雇用実績があって一年休んだら子供が、後一年以上働く、つまり三年ぐらいですよね、働いている人は育児休業が取れる。でも、青木局長がおっしゃったのは、一年実績があって一年休んだら、その後三年の雇用継続が見込まれる方。条件違うじゃないですか。いかがでしょう。
#116
○政府参考人(青木功君) ただいま先生から御指摘があったとおりの要件でございます。
 ただし、今大臣からもお話がございました。これは繰り返しになりますが……
#117
○蓮舫君 繰り返しはいいです。
#118
○政府参考人(青木功君) 三年以上雇用継続がある見込みであるという、その見込みを要件とすることといたしております。
 したがいまして、その見込みをどういうふうにこちらが把握するか。簡単に言えば、事業主がもう絶対に雇用しないというようなことがない限りは受け付けられるというふうに考えられます。
#119
○蓮舫君 去年の法律改正のときにそういう議論を一回も行われなかったような気がするんですが、大臣、やっぱり、そういう見込みとか、いろいろ皆さんがお知恵を絞らなければ運用ができないようなことを考えるんではなくて、この際ですから、いっそ、財政難でこの失業を予防するための雇用保険の目的に沿って育児給付を払っていくのが難しいというのであれば、雇用保険全体を見直す必要性が私は出てくると思うんですね。
 例えば、失業等給付とは違って三事業というのがございますが、この三事業の中の雇用福祉事業には仕事と家庭の両立支援という目的も入っているんですが、こういう部分もうまく活用していって、少子化対策あるいは育児休業を取られる方たちの給付をフォローしていくというのが私はあると思うんですが、大臣は雇用保険全体を見直すお考え、あるいは必要性はあるとお考えでしょうか。
#120
○国務大臣(尾辻秀久君) 育児休業との絡みで今見直すことは大変難しいと思っております。
 雇用保険から出すのはもうこの辺が精一杯だろうと思っておりますから、雇用保険そのものの性格もありますし、また財政上の話もありますし、やはりかなりきりきりのところまで来ておりますので、育児休業と絡めて雇用保険を見直すというのはかなり難しいだろうというふうに思います。
#121
○蓮舫君 そうすると、今後、パートタイマーの方と正社員の方との待遇格差、これ均衡していこうという方向を、子ども・育児応援プラン、子育て応援プランでも目標をいろいろ付けておられますけれども、雇用保険で払っていく限りには、育児休業給付を、これ以上広げるということは、支給対象者を、難しいというふうに受け取っていいんでしょうか。
#122
○国務大臣(尾辻秀久君) 対象者の話もそうでありますが、四割給付というそこのところについても、これ以上、四割給付ですけれども、その他の保険の話なんかすると大体五割ぐらいの給付になっているというのはもう御案内のとおりですから、私が申し上げているのは、その辺の話も含めてもうきりきりのところだなというふうに思っていますということを申し上げているところであります。
#123
○蓮舫君 ということは、もう財源がないから、育児休業給付に関してはこれ以上議論をしても、もうぎりぎりだから議論をしても答えはないというふうに理解していいんでしょうか。
#124
○国務大臣(尾辻秀久君) もしこれ以上の育児休業の議論をするのであれば、これは私の私見としてお聞きをください、財源をほかに求めざるを得ないだろうなというふうに思っておるという意味でございます。
#125
○蓮舫君 ただ、やっぱり私は、財源をほかに求める前に、この雇用保険の中の様々な事業というのをもう一回徹底的に洗い直したり、使われ方は正しいのか、適切に使われてそれが効果を出しているのか、その見直しをする方が先だと思うんですが、この雇用保険の三事業の中で、新聞報道等でも大きく扱われましたが、二〇〇二年度と二〇〇三年度の二年間、雇用保険全体で不正受給額が七十一億円あると。これ、本当ですか。
#126
○国務大臣(尾辻秀久君) 雇用三事業の部分でいうと……
#127
○蓮舫君 全体でです。
#128
○国務大臣(尾辻秀久君) 全体でいうと、二年間の七十一億という数字はそのとおりであります。
#129
○蓮舫君 じゃ、雇用保険三事業の中ではどれぐらいの不正受給がございますか、総額で。
#130
○政府参考人(青木功君) 雇用保険三事業に係る助成金等の不正受給額につきましては、平成十四年度約二十億一千八百万円、平成十五年度において約七億四百万円ということになっております。
#131
○蓮舫君 二年間で合わせて約二十七億円不正受給があるということなんですが、じゃ、不正受給、そのうち回収されたものは幾らございますか。
#132
○政府参考人(青木功君) いずれもまだ回収中でございますけれども、平成十四年度分につきましては約十億三千五百万円、平成十五年度分につきましては約四億一千四百万円でございます。
#133
○蓮舫君 回収しているのが約十四億、回収されていないのが約十三億あるという数字だと思うんですが、そのうち回収不能、例えば行方が分からなくなったりとか、亡くなられたとか、破産されたりとかで焦げ付いてしまっているものは幾らぐらいございますか。
#134
○政府参考人(青木功君) これらの残りの未回収分でありますけれども、基本的にこれらの給付については、ただいま申し上げた平成十四年度、十五年度分につきましては現在回収に努力を重ねているところでありまして、いわゆる経理上の不納欠損というものはございません。
#135
○蓮舫君 この二年間の不正受給の全体の六五%を占めるものが中小企業雇用創出人材確保助成金というのがございますが、この助成金は、できた平成十一年度から平成十六年度の九月まで、不正受給額が全体で約二十九億円ございますね。その中で、うち約四〇%を回収済みとされておりますが、焦げ付いている、回収不能が約二割、五億円あるという数字をたしかそちらのデータでいただいたんですが、全体で回収不能額というのは出していないということでしょうか。
#136
○政府参考人(青木功君) 個々の債権、いわゆる不正行為を取り返す私どもの債権でありますが、これを簡単にあきらめるわけにはまいりません。
 ただ、今、先生お触れになりました中小企業雇用創出人材確保助成金、これは一つの助成金でかなりの不正受給がございました。そこで、これにつきましては、これを担当しております団体、雇用・能力開発機構において詳しく精査をさせていただきまして、その結果が、ただいま先生申し上げました、債務者が亡くなった、あるいは破産をした、行方不明になったというところまで突き止めましたものが約一八%という御報告でございます。
#137
○蓮舫君 つまり、こういう経済的に非常に厳しい時代、事業者にとってはやはりこの雇用保険料の負担というのもだんだん大きくなってくるんだと思います。
 そういう部分では、その保険料を集めた部分のお金をどういうふうに使われるのかと、これも大切なことになってくるんですが、この中小企業雇用創出人材確保助成金においても既に五億円の不良債権が出てしまっている、焦げ付いてしまっている、回収不能だと、全体像はまだ分からないというんですけれども、これはおかしいと思うんですよね。
 平成十五年四月の衆議院の厚生労働委員会において、雇用保険法等の一部を改正する法律案では附帯決議が付いていて、ここでは「不正受給の防止に万全を期すこと。」とあるんですが、万全期してきているんですか。
#138
○政府参考人(青木功君) 雇用保険三事業の助成金の不正受給でございますが、今先生もお触れになりましたけれども、この中小企業雇用創出人材確保助成金に見られましたが、例えば架空事業所を設置をする、つまり、ない事業所を設置してそこに雇ったことにするなど、極めて悪質な不正受給がございました。
 そういったこともございまして、平成十五年六月に不正受給防止対策を取りまとめて現在実施しております。都道府県労働局及びハローワークにおきましては、これらの助成金につきまして一定額以上の支給が行われる場合には必ず受取先の当該事業所訪問を行います。また、その結果あるいは状況に応じて、事業所給付監査官等、専門の官職を置きまして、六十四名でございます、チェックをさせていただいております。また、ハローワーク以外の各団体等が支給対象、支給機関になっております部分についても国と同様の対応を取るよう指示をして、万全の支給をすることといたしております。
#139
○蓮舫君 大臣、よくお聞きいただきたいんですが、やっぱり不正受給って絶対あってはいけませんし、それは的確に、効率良く効果を出すために使われるためにそのチェックを是非徹底的にお願いしたいと思うんですが、もう一方で、雇用保険三事業で私分からないことが一つあるんですが、各助成金への予算配分なんです。どういうふうに行われているのか全く分からないものがある。
 不正受給が今最も多かったこの中小企業人材確保支援助成金なんですが、平成十六年度に二つの助成金事業が整理統合されて一つになったんですね。一つになって、この二つの助成金事業の実績を合算して幾らぐらいあるか。五億円ぐらいですよ、大体。この五億円しかないものが、平成十七年度はどれぐらいの予算計上していますか、局長。
#140
○政府参考人(青木功君) 中小企業人材確保支援助成金という名称に統合されました。
#141
○蓮舫君 それ、今言いました。
#142
○政府参考人(青木功君) はい。これにつきましては、平成十七年度予算案においては約百九十五億円ということで今回お願いをいたしているところであります。
#143
○蓮舫君 実績が五億円ほどしかなかったものが、予算が四十倍の二百億円になっているんです。
 もう一つ言います。自立就業支援助成金、平成十五年度の実績は約十六億円でございました。平成十七年度の予算はどれぐらいですか。
#144
○政府参考人(青木功君) 約六十億円でございます。
#145
○蓮舫君 もう一度お願いします。
#146
○政府参考人(青木功君) 自立就業支援助成金でございますが、平成十七年度予算では約六十億円をお願いしております。
#147
○蓮舫君 私のいただいた資料では百十九億となっておりますが、これは資料の間違いでしょうか。
#148
○政府参考人(青木功君) 六十億が正しい額でございます。
#149
○蓮舫君 後ろから違うという声出ています。
#150
○委員長(岸宏一君) じゃ、ちょっと待ってください。速記、じゃ止めて。大丈夫ですか。
#151
○蓮舫君 ちょっと止めてください。
#152
○委員長(岸宏一君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#153
○委員長(岸宏一君) それでは、速記を起こしてください。
#154
○政府参考人(青木功君) 失礼しました。
 この部分につきましては、いわゆる自立就業支援のメニューに自立就業支援助成金というメニューがございまして、その中に受給資格者総合支援助成金というのがございます。これが六十億円でございまして、別に高年齢者の創業支援のための経費がございまして、先生の百十九億が正しいのでございます。大変失礼いたしました。
#155
○蓮舫君 つまり、十五年度の実績が十六億円しかないものが、十七年度には七倍の百二十億ですよ。
 大臣ね、五億しか実績ないものがそれが四十倍の予算付けになっている。十六億しか実績がないものが七倍になってきている。一方で、思うんですけれども、何で実績が予算額を大幅に下回っているんでしょうか。どう理解されています、大臣。大臣にお伺いします。
#156
○国務大臣(尾辻秀久君) 数字ですから、局長……
#157
○政府参考人(青木功君) 大臣からお答えする前に、数字だけ私から申し上げます。
 今先生から問題提起がございました助成金につきましては、少ない金額で出ているときはいずれもその当該助成金のスタートの年でございまして、言わばまだ周知期間、それから一定の要件をまだ満たす部分が出てこない期間というような部分が多うございまして、その後のその制度の周知、あるいは、例えば創業支援でございましたら計画が新たに出てくると、そういったものを見込んでお願いをしているものでございます。
#158
○委員長(岸宏一君) 大臣の答弁要らないんですか。いいですか。
#159
○蓮舫君 結構です。
 つくる前からそういうのはすべて想定をして予算を組んで、実績を予算に合わせて効果を出していくべきものだと私は思っておりましたが、どうやらおやりになっている方法が私が考えているのと逆のことをおやりになっているそうですが。
 なぜ私がこれをこだわってお伺いするかといいますと、この中に、三事業の中には、雇用福祉事業で仕事と家庭の両立支援は行っているんですけれども、二つあった助成金を一つに整理統合して、育児・介護雇用安定助成金というものをつくっております。これは、明らかに少子化対策ではございます。少子化対策のために、事業主の方たちに労働者のために啓蒙活動を行ってくださいとか保育所をつくるとか、いろんな助成金でとっても大切なことだと思うんですが、ここは二つの助成金を合わせて一つになっても、二つを足して二で割っても、それぞれが実績が一〇〇%以上なんです。
 一〇〇%以上の実績がある、少子化対策の意味合いのあるこの助成金に対して、十七年度の予算付けは前の年よりも低く、約二十四億円になっている。前年度は二十六億円あったんです。実績あるところがどんどん減らされていって、実績のないところは四十倍とか七倍とかの予算が付いている。これどういうことなのかと、御説明いただきたいんです。
#160
○政府参考人(伍藤忠春君) 育児・介護雇用助成金についてお答え申し上げますと、なぜ減ったかということでありますが、十五年度まで、特にその中で看護休暇の制度の導入奨励金と、こういうものがございまして、これ十三年度に努力義務になりましたときに、企業に看護休暇を是非取っていただこうということで奨励金をつくったものでありますが、これが非常に想定外に引き合いが多くて給付が非常に激増したということで、何回かに分けてこの要件を絞ってきておりますが、こういったことで、この看護休暇制度導入奨励金をある程度適正化するということで全体の予算額を絞ったと。これが、安定助成金全体の縮小はこの看護休暇制度導入奨励金の縮小によるものであると、こういう実情になっております。
#161
○蓮舫君 大臣、いかがでしょうか、今の話を聞いていて。私は明らかにおかしいなと。
 つまり、前年度の予算、実績にかかわらず、予算を大体プラマイで、大体とんとんなところで移行していくというやり方。本来は実績を見て、政策評価をして、ここに必要なものを入れて、ここの不要なものは安定基金に回すんではなくて使われるところに回すべきものじゃないかと、そういうふうに思うんですが、そういう部分で私は、この雇用保険の三事業、全体的な見直しを行うべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#162
○国務大臣(尾辻秀久君) 今のお話でありますけれども、予算の組み方として、基本的には、おっしゃるところ、御指摘のお話はそのとおりでもあると思いますけれども、ただ、この雇用保険三事業の予算につきましては、これは雇用保険三事業を出しているのは各企業の、それぞれ企業の方から出ているお金でありますので、その費用を負担しておる利用者の団体と定期的に意見交換を行う場を設けまして、それは日本経済団体連合会でありますとか日本商工会議所でありますとか全国中小企業団体中央会でありますとか、申し上げておりますように、費用を負担しておられるその団体の皆さんと意見交換をしながらその予算をつくっておるというところもございますので、そうしたいろんな面を考慮してこの予算が組まれておるんだというふうに考えております。
 政策評価もいたしておりますし、また透明性の確保にも努めてきたところではございます。
#163
○蓮舫君 いや、この助成金のほとんどは厚生労働省から公益法人に業務が委託されて、公益法人が行ってきているんです、行っているんですよ。だから、そことのつながりがどうなのか。
 つまり、政策を評価するんだったら、厚生労働省はどこの部分で、一括してすべての公益法人に業務委託をした部分で、雇用保険三事業をきっちりと適切に決算と予算のチェックを行っているのかどうなのか、そこが全く分からない、不透明なんですが、いかがでしょうか。
#164
○政府参考人(青木功君) 今の先生のお話のように、雇用保険の助成金、国が自ら支給するもの、関係団体を経由して委託してやるもの、様々ございますが、これは様々なところで御議論をいただいた上、平成十六年度からは各事業ごとに成果目標を加えて、そしてその成果を見た上で対応するということにしておりまして、約八十の事業につきまして、個々の助成金等々含めまして成果目標を定めまして、平成十六年度実施してまいりました。
 この成果は、この六月ぐらいまでにもうまとめられます。そして、平成十七年は残念ながら間に合いませんでしたが、概算要求はすべて、それによって評価をしたもの、それによって継続すべきか縮小すべきか、そういったものも加えた上で、ただいま大臣から申し上げました企業負担者等との御相談、そういったものを踏まえて新しい提案をさせていただくということといたしております。
#165
○蓮舫君 是非、その新しい提案というのが本当に現実的なものになることをお願い申し上げて、引き続き私も見させていただきたいと思っております。
 大臣、引き続いて、雇用保険三事業ではないんですが、同じ公益法人についてちょっとお伺いをしたいものがあるんですが、財団法人の高年齢者雇用開発協会というものがございます。これは、前大臣の国会での御答弁並びに小泉内閣での閣議決定も含めて、今年度、二〇〇四年度末で解散することになっておったんですが、これは存続するんですか。
#166
○国務大臣(尾辻秀久君) ただいまお話しの高年齢者雇用開発協会でございますけれども、そこで実施をしております緊急雇用創出特別基金事業につきましては、不良債権処理等の雇用への影響に対応するため、基本的には平成十六年度末までの離職者を対象とすることにしていたところでございます。十六年度末までの離職者を対象とすると。したがって、その後の支払は残るわけでありますが、冒頭、まず決めておりましたのは、十六年度末までの離職者を対象にすると、こういうことでございました。
 しかしながら、現下の雇用失業情勢等にかんがみますと、今日の雇用失業情勢というのは、全体としては改善しておりますけれども、まだまだ、これまで進められてきた不良債権処理により最近処理方針が決まった企業等では、今後とも離職者の発生が予想され、就職支援等を継続する必要があること、また雇用情勢に地域差が見られる中で、地域再生の観点からも、地域レベルでの雇用機会の創出に対する支援を継続する必要があることなど、構造改革等の雇用面への影響に万全の対応を取るため、基金事業のうち、雇用再生集中支援事業と地域雇用受皿事業特別奨励金について必要な見直しを行った上で、事業を三年間延長することとしておるところでございます。
 したがいまして、御指摘のように、今まで、基金事業終了後協会は解散する旨申し上げてきたところでありますけれども、現時点における不良債権処理等の影響による離職者の発生や、申し上げましたように、地域差が見られる雇用情勢等を勘案して、政策的に一部の事業について延長が必要との判断を行ったものでございます。申し上げますと、政策的に一部の事業について延長が必要との判断を行ったものでございます。ただ、申し上げてまいりましたように、基金事業終了後、協会は解散する方針には変更はございません。
#167
○蓮舫君 一部の事業の継続が必要と判断をされ、これ、どなたが判断されたんですか、局長。
#168
○政府参考人(青木功君) この事業については、ただいま大臣から御答弁をいただきましたが、申し上げましたような環境の中で必要があるということで……
#169
○蓮舫君 どなたが判断されたんですか。
#170
○政府参考人(青木功君) これは最終的には厚生労働省としてやったわけであります。
#171
○蓮舫君 平成十五年度、坂口前厚生労働大臣が一月の国会で、平成十六年度末で財団は解散すると明言されております。並びに、平成十四年度の秋、財団は解散の方向と。これは、小泉内閣の閣議決定を受けてこういう流れが出てきたものを、厚生労働省の判断で解散を延長できるものなんでしょうか。大切なところです。国会での前大臣での御答弁並びに閣議決定の内容を事務方、厚生労働省の判断で覆すことができるんでしょうか。確認させてください。
#172
○政府参考人(青木功君) まず、この判断の問題でございますが、閣議決定はいたしておりませんで、いわゆる行革本部でそういった御議論があって、仕事が終わった協会は解散すべしという議論が行われたことは今のとおりでございます。
#173
○蓮舫君 いや、平成十四年三月二十九日の公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画、これ閣議決定だと思うんですが、それを受けて、補助金などの見直しで高年齢者雇用開発協会の解散が決まったんではないですか。
#174
○政府参考人(青木功君) 当該決定においては、この団体の解散が決められたというふうなことは承知しておりません。
#175
○蓮舫君 更に言うと、私が今御質問をしたのは、閣議決定あるなしは、じゃ、ともかく、もう一回私も見直して訂正すると思います。
 ならば、厚生労働省の判断と前大臣の発言はどちらが重いんでしょうか。どちらが優先するんでしょうか。
#176
○政府参考人(青木功君) 先生おっしゃられるのは、一昨年の国会における坂口前大臣からの御答弁というふうに承知しております。その中で、やはり当時の環境の中で、この不良債権処理等にかかわる雇用問題として、の状況の中で御答弁をいただいたというふうに承知をいたしておりまして、事業終了後、解散ということでございました。
 その後、御案内のとおりでございますが、今年度末までいわゆる産業再生機構等で様々な企業が指定されております。流通の方の大企業あるいは化粧品の大企業あるいは旧鉱山関係の大企業、そういったところの実際の雇用問題につながるかもしれない対応というのは、この四月以降になってくるということが昨年来分かってきたところでございまして、このようなことになったわけであります。
#177
○蓮舫君 一部の事業の継続が必要だと、そして厚生労働省が判断をされたと。その一部の事業というのは雇用再生集中支援事業と地域雇用受皿事業と先ほど大臣から御答弁を賜りましたが、数字をお知らせいただきたいと思います。雇用再生集中支援事業の中の実践的教育訓練特別奨励金、これ、平成十四年度補正予算から基金事業を拡充した時点で予定していた支給対象者数は何人でしょうか。
#178
○政府参考人(青木功君) 約七万五千人というふうに承知しております。
#179
○蓮舫君 じゃ、実績として、実際にこの奨励金の対象者となった人数は何人でしょうか、七万五千人のうちで。
#180
○政府参考人(青木功君) 九十八名であります。
#181
○蓮舫君 七万五千人のうちの九十八人。じゃ、予定経費、幾ら奨励金には予定経費を見積もっていましたか。
#182
○政府参考人(青木功君) 見積りとしては約百九十八億円であります。
#183
○蓮舫君 実績として、支給金額は幾らだったでしょうか。
#184
○政府参考人(青木功君) 二千百、失礼しました、二百十七万八千円であります。
#185
○蓮舫君 七万五千人を対象にして九十八人の実績。百九十八億円の予定の中で二百十七万円の実績。
 もう一つ聞きます。地域雇用受皿事業、これがとっても大切と厚生労働省が判断された事業の二つのうちのもう片っ方ですが、じゃ、この特別奨励金が予定していた支給対象者数は何人でしょうか。
#186
○政府参考人(青木功君) この受皿事業、特別奨励金でありますが、約二十三万人であります。
#187
○蓮舫君 実績として支給対象者となったのは何人でしょうか、二十三万人のうちの。
#188
○政府参考人(青木功君) 六十八人であります。
#189
○蓮舫君 大臣、私は、時代が変わって基金の在り方を、もう一度使われ方を見直そうというのは分かるんです。ただ、これは財源が税金です。私たちの税金がどういうふうに使われるのかをやっぱりチェックしていかなければいけないと思うんですが、今言った七万五千人の対象者、それが九十八人とか、二十三万人を見越していたものが手を挙げたのが六十八人、実際に使った人が。これだけの実績しか持っていない、こういう助成金事業がとっても大事だからといって、坂口前厚生労働大臣が国会で答弁されたことをひっくり返して、厚生労働省の判断だからと、だから、この財団法人は解散が予定されていたんだけれども続けるんだ。どこに私は国民を納得させるだけの理由があるのか、明快な御答弁を賜りたいと存じます。
#190
○国務大臣(尾辻秀久君) この話を上げてまいりましたときに、私も今御指摘のことは大変気になったところであります。
 そこで、まず基金を、財団を解散して、基金を移し替えて新しい事業に、どうしても新しい事業が必要ならやれるのかということをまず言いました。そうしましたら、基金を、今あるところにある基金を一遍引き揚げてこっちへ移すという作業は大変難しいんだと、こういうふうに説明をいたしました。で、事業はとにかくどうしても必要な事業で、今の実績はお話のとおりでありますが、今後どうしても必要だと言いますから、それじゃ、どうしても必要な事業ならやらざるを得ぬだろうということを言いまして、言いましたのは、私が言いましたのは、そういうことをすると天下り先の確保だと言われるぞと、よって理事、役員は全員引き揚げろと、厚生省から行っている人間を全員引き揚げるなら天下り先確保という話ではないから、本当に事業が必要だという話に御理解をいただけるだろうから、全員理事を引き揚げるということを条件にして私はこれを認めたところであります。
#191
○蓮舫君 理事を引き揚げればいいということじゃなくて、この財団法人には、常勤職員二十九人のうち役員二人を含み五人の天下りがいると。二人引き揚げたって三人いるんですよ、職員には。
 天下り先の確保とかそういうことを聞いているんじゃなくて、要らなくなった、時代に合わないもの、内容がちゃんとして事業を行っていないところは、国が、内閣が、小泉さんがそれは縮小すると、公益法人見直していくんだと言ったら、だんだん見直せばいいのではないかと思います。
 それと、厚生労働省の方の御説明、昨日いただいたときもそうでしたけれども、基金はほかの事業に使えないから、だから残すんだと。でも、正しく使われていない。だったら、この基金、国庫に返せばいいじゃないですか、残ったものは。税金じゃないですか。それはルールがないと言うんだったら、大臣、議員立法でも構わないんですが、私たち出したいと思いますよ。出してそういうふうに作る。基金があるから公益法人が解消できない、整理できないって言うんだったら、この基金を国庫に返すルールを作れば、そうしたらこういうつじつまを合わせるようなことをしないで済むと思います。
 時間ですので、私の質問を終わらせていただきますが、局長、何か。
#192
○政府参考人(青木功君) ありがとうございます。
 この基金につきましてはそのようなことがございましたけれども、今年度までは、先生御案内のように、例えば地方自治体に雇用創出のための基金を三千億円お願いしているとか様々な雇用の手当てがございます。新年度以降につきましては、そういったものが今年度限りで終了してまいります。ですから、地域の力を生かした政策をどうしてもやっていかなければならないという事情があることも御賢察を賜りたいと存じます。
#193
○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 党の中では三人目ですので、私は、尾辻大臣が所信でわずかしか触れられなかった厚生労働行政における日本と海外とのかかわり、これについて質問したいと思います。
 ですが、午後の冒頭、我が党の朝日先生から大変重い時代認識の話がございましたので、一言、言わさせていただきます。
 恐らく、ここにいらっしゃる方の中で私が直接当事者として一番多くの人の死を見てきたと、そのように思っております。今、日本人の死因のトップは悪性腫瘍、悪性新生物、その六割が消化器がん。私は消化器がんを専門に扱ってきた人間として数多くの死を見てきました。患者さんにとっては、自分が、私が人生の最後で頼れる人間になるかもしれないと、そういう思いで、私は目標として、その人の死、あるいは生きていけることに対して納得させてあげたいと、納得を持って迎えてもらいたいと、そのような思いでやってきました。私どもの大学では、医学部の一年生、入学して二か月間、尊厳死あるいは安楽死について十人のチュータリングという形で、十人の少人数で徹底的に討論をします。そういったことを受け止めて私はやっております。尊厳を持たせること、言い換えれば納得していただく、これがこれから先、少産多死の世界で大変大事なことだと私は思っております。
 では、日本と海外とのかかわりについて質問いたします。
 まず、三月三日まで行われました日本とタイとのFTA交渉におきまして、タイ式マッサージの受入れの可否が問われている問題についてお聞きします。
 この問題に関しては、法務省がリラクゼーションを目的とした就労に限って受け入れようとしていると、そういった報道がなされ、物議を醸しましたが、これに関しては、法務省に確認したところ、そのような事実はないと明確に否定しておりました。
 それでは、厚生労働省として、この問題に対しどのような考えで臨んでいるかという点と、先般行われましたFTA交渉において実際にどのような話合いが行われたか、この点について教えてください。
#194
○国務大臣(尾辻秀久君) タイとのFTA交渉でございますけれども、タイ側から、タイ伝統マッサージ等の技能者等の受入れについて要望がなされているところでございます。
 あん摩マツサージ指圧師、はり、きゆう師等に関する法律におきまして、あん摩マッサージ指圧師の業務は、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ者のみが行えるものであるとされておりますから、日本で保健福祉の専門家として就労するというのであれば、そのためには日本の国家資格を取得していただくことが前提であるということを言っておるところでございます。さきのタイとの交渉におきましても、そのような私たちの基本的な考え方に沿って対応をしたところでございます。
#195
○足立信也君 妥当なお答え、考え方だと思います。
 それでは、法務省から厚生労働省に対して、マッサージの定義や、いわゆるタイ式マッサージを行う者の資格について文書で質問が送られてきていると思いますが、それに対しどのように答えているか教えてください。
#196
○政府参考人(岩尾總一郎君) 日タイ経済連携協定交渉におけるタイ側の人の移動に関して、マッサージ関係の要望につきましては、いまだにその内容について確定的なものではないということで、引き続き私どもタイ側からの具体的な要望内容を見極める必要があると考えております。
 そのような回答を法務省に対して行っております。
#197
○足立信也君 なぜこうきちんと回答できないのか。先ほどの交渉の経過とは大分話が違うような気がします。
 それは、やはり国内でも無資格者が横行している現状があると。それがやっぱり負い目になって、外国に対しても毅然とした態度が取れないんじゃないか、そういう気がします。
 タイ側に、実際に日本ではタイ式マッサージと称して国家資格を持っていない人が業としてやっていると、どうしてかと問われた場合には一体どう答えるんでしょう。
 あはき法において、あん摩マッサージ指圧は有資格者のみが行えることとなっております。外国人に対しても同様に対処するのは当然だと私は思います。
 しかし、岩尾医政局長は昨年のこの委員会で、マッサージの明確な定義がない、当該行為の具体的な態様から総合的に判断するんだと。そして、どのようにしたら免許取得者が保護されるのか、無資格者との区別ができるのかということはもう少し検討させてください、そのように答えられました。
 資料一を、お手元の資料一をごらんください。
 昨年十月に厚生労働省に対し提出された照会書です。ボディーリラクゼーションと称して行っている、全身を、これ二枚目にありますが、全身を手のひらあるいは指で押す、両手でわしづかみにする、そういった行為が書かれておりまして、これがマッサージに該当するかという問い合わせです。
 そして、それに対する回答が資料二です。何と今年の一月ですね、三か月後です。その内容は、先ほど申し上げた行為は、人体に危険を及ぼす危険があるから、あん摩マッサージ指圧に当たる。だから、資格を持っていない者が行ってはいけないというものです。
 そしてその後、一月後に逮捕されました。そして、一週間後に、二月二十一日の全国課長会議で昨年三月と全く同じ通知、つまり、あん摩マッサージ指圧は免許を持った者しか業として行ってはいけない、あん摩マッサージ指圧を行っていないのにマッサージと広告してはいけないと、昨年三月と全く同じ通知を出しております。
 なぜ回答に三か月も掛かるんでしょう。そしてまた、この一年、非常に問い合わせが多くて、寄せられているという状況の中で、あん摩マッサージ指圧に関して、この一年で一体何が変わったんでしょう。お答えください。
#198
○政府参考人(岩尾總一郎君) 昨年三月の全国医政関係主幹課長会議におきまして、各都道府県の主幹課長に対しては無資格者の取締り等について依頼をしております。各都道府県において個別の事例に応じて適宜対応していただいていると思っております。
 今年の二月の主幹課長会議でも同様の依頼を行っておりますので、特に当該の取締り等について方針が変わったということはございません。
 委員御指摘の照会文書でございますが、業者が行った行為がこうした無資格者の取締りの対象となる行為に該当するか否かという事実確認など、照会確認、照会内容に係る確認等の作業を行う必要があって三か月の期間を要したものでございます。
 疑義照会に関しては、可能な限り迅速な対応を心掛けておりますけれども、事実確認に当たりましては慎重な判断を要する必要な時間が掛かるものであると思っておりまして、御指摘を踏まえつつ、今後とも迅速な回答に心掛けてまいりたいと思っております。
#199
○足立信也君 この照会書は、実際に警察署の方がそちらへ行って実際にその行為を受けて、そして、受けた行為がマッサージかと聞いているだけなんですね。
 それに三か月掛かるというのが私は納得できませんし、この問題は長年尾を引いていることですから、私の考えだけを述べさせて、この点に関しては終わりたいと思うんです。
 現状のままではタイに対しても日本政府の主張は説得力を持っていないと私は思います。それどころか、国内の無資格者にはマッサージを許して、外国人には許さない。となれば、国際的に不信を買うおそれがあります。もはや国内だけでなく、国際問題にも発展しかねないと私はとらえた方がいいと思います。早急に対処することを強く望みます。
 続きまして、最近急増しております日本国内での外国人の医療費未払の問題です。
 多くの外国人の方が医療機関を訪れております。当然無保険者が多く、不法就労の外国人も多いわけです。医療人としては、無保険者だから、あるいは不法就労だからという理由で診療を拒否することは許されません。世界人権宣言、国際人権規約、あるいは難民の地位に関する条約でも、合理的な理由などがない限り社会保障政策については外国人に対しても適用されるべきだとされております。
 御存じのように、病院の多くは今経営難で、無保険の外国人が受診した場合、昔は、収支に余りとんちゃくしない国立病院へ行けと、そのように言っておりました。ところが今は国立病院も独法化して、補助金をもらっている救命救急センターへ行きなさいと多くの病院が患者さんにそのように説得しております。あるいは極めて人道的に対処して医療行為を行い、その結果、未収入という事態を招く。この治療費はだれかが負担しなければいけないんです。この医療費未収問題に対処するために、救命救急センターにおいて必要な医療が提供できるよう財政処置が行われておりますが、未収金は確実に増えております。
 補助の仕組みについて、これは非常に複雑だと思うんですけれども、簡潔に分かりやすく、補助の仕組みについてお答えください。
#200
○政府参考人(岩尾總一郎君) この救命救急センターで費用回収できない未収金につきましては、まず当該センターにおいて運営に係る収支が赤字であった場合、そして外国人の未収金に係る額について、国、都道府県、事業者がそれぞれ三分の一ずつ負担するという補助制度を創設して、地域の救急医療を支援しているということでございます。
#201
○足立信也君 今のお答えでは、まず赤字であること、それから国と都道府県と事業者が三分の一ずつ負担するという、そういう回答でした。
 もう一つ重要なことは、一か月一件当たり三十万円を超えた部分のみ補助するということになっております。一か月一症例当たり三十万円を超えなければ対象にならない。一か月二十五万ずつ、二か月で五十万円掛かっても対象にはならない。一か月五十四万仮に掛かったとしても、三十万円を超える部分ですから、二十四万の三分の二、つまり十六万を半分ずつ国と都道府県が補助すると、そういうことになるわけですね。しかも、先ほどお答えにありましたように、大前提として、赤字経営じゃなければ補助しないということがあるわけです。さらに、事業者自身が三分の一を補助する、それは補助と言えますか。おかしいと私は思います。
 資料三をごらんください。最後の紙ですけれども、全国の救命救急センターが、この月末、二月月末ですかね、百七十六か所。補助を受けているのは大体百三十。そのうち外国人にかかわる未収金を補助している、補助を受けているのは十前後です。年度別に言いますと、十四年が十四施設、十五年が九、十六年度が十三施設、そのようになっております。例えば、私の勤務していた病院では、十五年度の未収金が四百二十万、それに対する補助が百二十万。十六年度が既に未収金九百十万になっております。
 施設運営そのものの補助であれば複雑な算定式があるわけですけれども、それとかあるいは経営努力を促す、そういった意味でそういう仕組みも必要だとは思います。でも、外国人の未収金の問題は全く別なものだと私は思うんですね。個々の病院の問題では決してないと。この制度は、不法滞在者を救命救急センターへ集める趣旨、そういう趣旨で作られています。そのような仕組みを作っておいて、センターそのものに自己負担を強いると、これはやっぱり制度として間違っているんじゃないかと私は思います。外国人の未収金に関しては、通常の運営費補助、それとはちょっと切り離して、医療行為に対して未収なわけですから、しかもそれを制度として救命救急センターに行うように、そういう取組をしているわけですから、大臣として、この外国人の未収金に関する見解はいかがでしょうか。
#202
○国務大臣(尾辻秀久君) 重篤な緊急救急患者に対しまして二十四時間三百六十五日救命医療を行う救命救急センターでは、たとえそれが無保険者の外国人の場合であっても適切な医療を実施をしていただいております。お話のとおりであります。一方で、医療費に係る費用回収に困難を来しておることもまた事実であります。このために、外国人に係る救急医療に関しては、平成八年度より生命に直結するような緊急かつ重篤な疾病に対応している救命救急センターに対して補助をしておるところでございますが、当該補助制度は救命救急センターの運営の安定化に資するものとして設けられたものでございます。
 一方で、これを外国人に係る救急医療の費用に応じて補助をすることにした場合に、一つには不法就労しておる外国人の滞在を助長するおそれがありますし、また国民が保険料を支払って医療システム維持するという日本の医療保険制度を形骸化するおそれなどがありますので、これは慎重に検討すべき課題であると考えておるところでございます。
 なお、先ほど限度額三十万円とおっしゃいましたが、十七年度からこれを二十万円にする、引き下げることは予定をいたしております。
#203
○足立信也君 保険制度については、やっぱり一定の期間保険へ加入できないような、そのような仕組みを作っているわけですね。ところが、先ほど重篤な救命救急のためにということをおっしゃられますが、実際上は、救急車で搬送される方よりも三倍以上の方が、やはりほかの病院では、これは補助が出ている病院に行きなさいよというふうにやられるわけですね。だから、実際はそこに集まってきていると、そのことをやっぱり認識していただきたいと、そのように思います。
 次は、日本へ入国する今度は動物の問題です。一昨年に改正されて今年の九月施行の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律についてです。
 この改正で創設された動物の輸入届出制度が今全国の基礎医学者、医学研究者の間で大変な問題になっています。簡単に申しますと、この制度は、哺乳類、鳥類などを始めすべて対象として、輸入の際には感染症にかかっていない旨を示した輸出国政府発行の証明書、輸出国政府発行の証明書の提出を義務付けるものです。感染症予防のためには大切な制度だと思いますが、実験動物の輸入に関しては問題が生じています。三月十二日の朝日新聞の夕刊にもう報道されましたけれども、原因の究明やあるいは治療法の開発、創薬、そういったことに対して動物実験は非常に重要です。そして、私も当然動物実験やっておりましたが、今や世界じゅうの最先端の研究者同士が、互いの研究に資するために、それぞれの研究成果を反映した、トランスジェニックマウスですね、を融通し合うことが普通行われています。そのとき重要なのはマウスをやり取りするスピードなんですね。マウスは三週間で、マウスというのはハツカネズミですね、三週間で出産します。そして、三週間で離乳が終わって、そのときから実験ができるようになるわけですね。実験に用いられます。このタイミングが重要なんですね。三週間しかないということなんです。この法律が施行されることによって輸入手続に時間が取られてしまうと、全国で行われている先端的医学研究が一斉に滞ってしまう、そういう危険性があるんです。
 厚生労働省としてこの問題にどのように対処しているか。これは昨年来、私も何度かこのままでは大変なことになるよという話はしておりますので、対処されていると思いますが、九月の法施行時までにどのようなスケジュールで臨んでいるか、教えてください。
#204
○政府参考人(田中慶司君) 御指摘の制度でございますけれども、感染症を人に感染させるおそれのある動物の侵入を防止するという目的で、感染症法に基づきまして、輸入のときに動物の数量等を厚生労働大臣に届け出るとともに、輸出国政府機関が発行しました衛生証明書を提示するというものでございます。本年九月に施行されることになっております。
 この制度は、感染症の侵入の防止の観点から、実験動物ではあってもその対象としております。しかし、定期的な微生物モニタリングが実施されているなど通常以上に高度な衛生管理がされている実験動物につきましては、円滑な輸入が可能となりますように衛生証明書の発行方法等につきまして検討しているところでございます。医学研究等に支障が出ないように準備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#205
○足立信也君 今、要約いたしますと、高度な衛生管理をやっているところに対しては何らかの措置を講ずるというか考えるということだったと思いますが、じゃ、現状、今どうかといいますと、国内外の動物実験施設は確かに検体検査を含むもっと高度な衛生管理を行っていて、なおかつ施設の獣医師が発行した衛生証明書を添えて輸出しているんです。何よりも、実験が適切に行われているか、あるいは実験結果が本当に正当なものであるか。一番大事なのは感染なんですね。感染があったらだれも信じられる結果ではないし、それはもう国内外を問わず認められないことなんですね。だからこそ、動物実験センターは検体検査を含む高度で本当に厳格な万全の体制で感染対策を行っているんです。
 しかしながら、この秋に先ほどおっしゃいました施行される感染症予防法では、どうやってそれを証明するかということに関しては、感染症状がないというあいまいな、そんなあいまいな証明を政府に出してもらおうとしているんですね。BSEの問題で全頭検査をしないで、歩かせてこれは大丈夫と言っているのとほとんど同じことですね。
 幸いにも、アメリカやあるいはEUでは、政府がしっかり関与した形で実験動物施設の高度な衛生管理ができているんですね。ですから、その仕組みをちゃんと利用して、やっぱりスピードが第一ですから、迅速な輸入手続ができる体制を何としても九月までにつくり上げていただいて、獣医師が発行した、きちんとした検体検査に基づいた衛生の証明書、これを、あいまいな、ただ臨床症状がないという政府が発行する証明書よりはるかにもう、はるかに精度の高い証明書を何とか活用するように、それを是非お願いしたいと思います。
 今までは日本への入国についてでしたが、次は、日本人が海を渡る、臓器移植についてです。
 臓器移植法が施行されてから七年半が経過しました。この間、脳死下の臓器提供は三十四例です。臓器移植法では、第一条に「移植医療の適正な実施に資することを目的とする。」と。それから第二条に、生存中の自己の意思は尊重されなければならない、さらに、移植術を受ける機会は公平に与えられるよう配慮しなければならない、そういうふうになっております。一方、海外渡航臓器移植患者は、心臓八十一例、肝臓が百八十三例とか非常に多くあるわけですけれども、法に規定されている、政府として、移植医療の適正な実施に資する、生存中の自己の意思を尊重する、移植術を受ける機会を公平に与える、そのことは政府としてやっぱり努力しなければいけないことなんですね。
 そこで、昨年八月、内閣府の行った世論調査から何点か質問します。
 概要を少し述べさせていただきます。
 二年前にも同様な世論調査があります。それに比べて、脳死での臓器提供に、本人の書面による意思と家族の承諾が必要なことについて、その周知度、何と八三%から七八%へ、五%二年間で下がっています。知らないということです。心臓停止後、家族の承諾があれば腎臓と眼球、角膜ですね、眼球について臓器提供できることについては、二年前に知っていた人は三一%、それが更に二七%まで知っているのが下がっているんです。周知が、周知度が下がっているという認識がまず一つです。
 それから、三五・四%の人が脳死判定後に臓器提供したいと考えている。ところが、ドナーカードの所持率は一〇・五%、そのうち提供の意思を記入している人は六一%。つまり、六・四%の人しかカードによる臓器提供の意思表示をしていないんです。三五・四%の人がですよ、人が希望していて、ドナーカードにそれをきちんと表示できているのが六・四%にすぎない。ちなみに、そのカードの配布枚数はもう一億枚に達しようとしています。人口、もっとも十五歳以上と比べますと、ほとんどもう匹敵する数になっていますね。この枚数と、その自分の意思がカードに表れていないということについて、この点と、それがどうしてそういう差が生じるのかという点と、もう一つ続けて答えていただきます。
 八一%の人が臓器移植に関する情報を十分受けていないと答えています。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などを通じた広報活動が効果的であると、国民の八割の人がそのように答えております。この二点についてお答えください。
 なぜ、意思があるのにカードに意思表示ができていないのか、なぜ周知度が下がったのか、有効な広告ができていないのか、この点です。
#206
○政府参考人(田中慶司君) なかなか難しい御質問でございますけれども、確かに臓器提供の意思カードは九千五百万枚、既に配布をしているところでございます。
 先生の御指摘の内閣府の世論調査によりますと、臓器提供に関しまして、提供したいという方が三五%である一方、実際にそのカードを所持して、それに、カードに記入がされているという方が六・四%ということでございます。
 これはまあ、この世論調査の中を見まして少し分析してみますと、その理由を見てみますと、カードの入手方法が分からなかったとか、臓器移植についてよく知らないというようなことがございまして、これはやはり必ずしも十分な普及啓発が行われていないということなのかなと、あるいは、そのカードの入手方法についても多少不具合があるのかなということでございまして、今後ともそれらの点について改善に努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、先ほどの周知度が多少下がっているという御指摘でございますけれども、誤差の範囲ではないかなというふうに私ども理解しているところでございます。
 また、臓器移植についての啓発について十分ではないという方が八〇%という結果でございますけれども、これに関しましても、より一層私ども啓発普及を努めていく必要があるのかなというふうに考えております。今年からは全国の中学校に対しまして教育用の普及啓発パンフレットを配布するというようなことも始めましたし、平成十七年度に関しましては公共広告機構、ACですが、これに協力していただきまして、テレビ、ラジオ、新聞等による多角的な普及広報を行うということも計画しているところでございます。
#207
○足立信也君 最後の質問は飛ばします。そして、事実だけを申し上げます。
 臓器移植ネットワークからの意思表示カードによる情報です。五百二十四人の脳死下臓器提供希望者に対して、脳死判定の実施率が六%です。これは様々な理由も多分あるんでしょうが、希望者に対して実施判定率が六%というのは、それは医療側も含めていろんな問題点が中にあるんだと思います。このことを是非分析していただきたいと思います。
 臓器移植法の改正を声高に叫ぶよりも、現行法制下でできることがもっと一杯あると私は思います。それを移植関係者だけに任せてはいけないんです。国として本格的に取り組まなければ国際的信用を失うと私は思います。私は、このグローバル社会において、日本はあるいは日本人はこのように考えると主張することが大切だと思います。決してダブルスタンダードになるような姿勢を取らないこと、より日本のアイデンティティーを高めると思います、そのことがです。
 そういうことを申し上げて、移植に対する私の考え方を再度付け加えさしていただいて、それは私が移植の実際の手術をやっていた経験があるからです。是非そのことについてこれからも前向きに、あるいは、できることをきちんとやるんだと、そういうような姿勢で取り組んでいただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#208
○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 まず、尾辻大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、昨年の臨時国会の終盤の方で児童福祉法の改正の議論がございました。その中で、私が都内のある乳児院のお話を申し上げまして、大臣にもし機会があれば是非行っていただくようにお願いをしたわけでありますけれども、臨時国会閉会後に迅速に大臣に御訪問をいただいたようでございまして、十二月十日と聞いておりますけれども、もう乳児院の院長先生からも私に連絡がございまして、大変喜んでおりました。改めて感謝を申し上げたいと思いますけれども。
 その後、国会の審議、今日が初めてでございますので、せっかくの機会ですので、大臣が乳児院を実際に御訪問されてどういう御感想をお持ちになったのか。また、この乳児院は、大臣も行かれたのでお分かりだと思いますけれども、地域の子育て支援センターとしても機能をしておりますので、そのことも含めてちょっと御感想をいただければと思います。
#209
○国務大臣(尾辻秀久君) 様々なお話伺いましたので、私も是非現場も見せていただこうと思いまして、お話の乳児院に行かせていただきました。
 子供たち、虐待で傷付いたり、いろんな体験をした子供たちだと思いますけれども、最初は、入ってきたころは無表情な子供も多いというふうに聞きましたけれども、私が行きましたときは明るく接してくれまして、何というんでしょう、ほっとするというか、そういう意味では良かったなと思いながら子供たちに接したところであります。しかし、表面的にそうして見せてくれる子供たちの表情のもっと奥にはいろんなものがあるんだろうなという思いをまず深くしたところであります。
   〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
 そしてまた、そうした施設の皆さんが、今お話しになりましたけれども、地域子育て支援センターなどもやっていただいているわけでありますが、施設の皆さんが一生懸命取り組んでおられるその姿というのは感動もいたしたところでございます。
 そうした子供たちが一日も早く家族とまた再び一緒に生活ができる日が来るといいなと思いながら帰ってきたところでございます。
#210
○遠山清彦君 ありがとうございます。
 この後、正にこの乳児院にもやや関連がありますけれども、養子縁組の関係で御質問申し上げたいと思います。ここからややきつめの質問もさせていただくかと思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 この養子縁組なんですけれども、日本で生まれた子供が養子縁組のあっせんを受けまして海外へ行くケースがございます。それをめぐる諸問題について、今日は時間を多めに使ってこの問題について議論をさしていただきたいと思います。
 まず、厚生労働省の方で把握をしております過去五年間程度の海外養子あっせんの状況について、御報告いただきたいと思います。
#211
○政府参考人(伍藤忠春君) 過去五年間のデータは残念ながら持ち合わしておりませんが、十三年度から三か年の数字を把握しております。
 養子縁組あっせん事業者として、都道府県にこれは社会福祉法に基づいて届け出ることになっておりますが、こういった事業者が日本国内にいる子供を国外の養親へあっせんした数でございますが、平成十三年度が二十四件、平成十四年度が二十三件、平成十五年度が二十九件というふうになっております。
#212
○遠山清彦君 今、厚生労働省が、大臣ね、五年間の、日本人の子供で海外に養子に出された子供の五年間も把握していないということ自体が、後にもっと私詳しく言っていって問題を明らかにしますけれども、これ自体がもう日本政府が、これは厚労省だけじゃないんです、はっきり言って。今日、外務省も法務省も呼んでおりますけれども、日本政府としてこの問題全然やる気がなかったという証拠なんですね。
 お手元の資料を見ていただきたいと思います。一枚目ですね。これはアメリカの国務省が公表しております。インターネットで公表しております。日本から米国に養子として入った赤ちゃんの数の合計でございます。
 今、伍藤局長、平成十三年、十四年、十五年と言いましたから、二〇〇一年、二〇〇二年、二〇〇三年のところを見ていただきたいんですが、再度私から申し上げますと、厚生労働省が把握をしている数は二〇〇一年で二十四名、二〇〇二年で二十三名、二〇〇三年で二十九名。これは、厚生労働省がアメリカに限らず海外に養子として送られた子供の総計として出している数ですね。その数が何と、米国政府が米国一国で受け入れたと言っている数字よりも低いんです、既に。
 で、下のちょっとぽつで、注をちょっと見ていただきたいんですが、実は米国政府は統計資料はもうちょっと細かく分けておりまして、この私の表では合算しておりますけれども、IR3というカテゴリーの子供とIR4というカテゴリーの子供の合算がここに書かれている数字なんです。IR3というのは日本で養子縁組手続を完了したもの、IR4というのは米国において、つまり米国に赤ちゃんが入国してから養子縁組手続が行われたものなんです。
 ちょっと私、内訳、この過去三年間だけ申し上げます。二〇〇一年の四十名の赤ちゃんのうち、IR3が七、IR4が三十三。二〇〇二年の四十一名のうち、IR3が十、IR4が三十一。それから二〇〇三年の三十七人のうち、IR3が八、IR4が二十九と。これ、大体比率が、お分かりのとおり一対三。つまり、アメリカに入ってくる日本人の養子対象の赤ちゃんのうち、一対三の割合で米国に入ってから養子縁組の手続をしている赤ちゃんが多いということなわけです。ですから、そういう意味でいえば、伍藤局長から言わせれば、だから私たちは日本で手続した赤ちゃんしか分からないんですよということになるんですが、しかし、じゃ、養子縁組、日本でちゃんと成立してない赤ちゃんをすかすか海外に、アメリカに出しておるということにもなるんですね。これは後でちょっとまた法務省も含めて質問しますけれども。
 いずれにしましても、大臣ね、このアメリカの国務省のデータ見ただけでも、厚生労働省も、そして外務省にもちょっとついでにお聞きしますが、日本から一体毎年何人の、日本人の赤ちゃんですよ、日本人の赤ちゃんが一体毎年何人海外で養子にもらわれているか、政府は全くつかんでないということなんです。これ、間違いないですね。厚労省、外務省、それぞれ答弁してください。
#213
○政府参考人(伍藤忠春君) 先ほどのような数字を把握しているだけでございまして、それ以上の数字は持ち合わしておりません。
#214
○政府参考人(小井沼紀芳君) 外務省といたしましては、養子縁組一般に関する手続に関与しておりませんで、国際的な養子縁組に関する統計についても承知していないところでございます。
#215
○遠山清彦君 それで、今、厚労省も外務省も日本人の赤ちゃんが海外養子にもらわれていく際にほとんど正確な数字すら把握してないということが分かったわけでありますが、皆さん、表を見ていただいて、これは最近ですと、米国だけの数字ですが、四十名前後で推移をしておるわけです。これ、まあ、遠山が何か騒いでおるけれども、そんなに人数いないんじゃないかと言う方も、思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではなくて、例えば一九九五年六十三名の日本人の赤ちゃんが米国に養子でもらわれたことになっておりますが、これは米国内に入ってくる海外、外国からの養子のランキングで言うと十八位なんです。ほかの国、どういう国かというと、参考までにだあっと申し上げますと、中国、ロシア、韓国、グアテマラ、インド、パラグアイ、コロンビア、ベトナム、フィリピン、ルーマニア、ブラジル、ブルガリア、リトアニア、チリ、メキシコ、エクアドル、エチオピア、で、日本、ラトビア、タイ、で、グルジアと、こういうふうになっておる。で、この今の、一九九五年の一位から二十位までのランキングを私がだあっと読み上げてみんなお分かりのとおり、日本のような西側先進国からこのような人数の規模で毎年欠かさず米国に養子で入れている国ありません。
 ですから、大臣も多分今日初めて御認識されるかもしれませんが、米国国務省の基準では、日本はトップクラスの養子輸出国になっています、実は。この表、これは私、手元に英語の表を全部持っていますけれども。ですから、この四十人とか六十人見て人数少ないじゃないかという問題じゃ実はないということをまず認識をしていただきたいというふうに思います。
 そこで、実は、じゃ、なぜ先進国である日本からこんなに多く毎年養子に海外に出されるのかと。いろんな指摘があります。例えば、一つは、日本の子供が人気がある。非常に健康で優秀な子供が多いということを言っている人もいる。あるいは、婚外子に冷たい社会である、日本は。ですから、望まれない妊娠で生まれた赤ちゃんをとにかく海外にどんどん出す傾向があるから多いという説もあるわけです。
 しかし、日弁連がこの問題について報告書出しております。二〇〇三年の五月に日弁連が出した、子どもの権利条約に基づく第二回日本政府報告に関する日本弁護士連合会の報告書というのがございます。この報告書の中でこういう指摘があるんですね。ちょっと大臣聞いていただきたいんですが、日本政府が、子供が養子として海外に流出することを抑制するための方策を取ってない、これが実は最大の原因じゃないかという指摘があるんです。
 そこで、また伍藤局長、聞きますけれども、今現在、厚労省が把握している養子縁組のあっせん業者、民間ですね、民間の養子縁組のあっせん業者の数、総数。それから、その中で、把握している中で海外養子縁組を実際事業としてやっている事業者の数を言ってください。
#216
○政府参考人(伍藤忠春君) 第二種社会福祉事業としてこの養子縁組のあっせんというのが位置付けられておりますが、こういう事業を行うということで届出を行っている事業者は全国で八事業者でございます、これは都道府県へ届け出ることになっております。そのうち、実績として、海外への子供のあっせんを行っている実績のある事業者は三事業者というふうに把握しております。
#217
○遠山清彦君 今、厚労省が把握しているのは八、全国で八事業者で、そのうち海外養子縁組やっているのは三だという話がありました。
 後でまた戻ってきますけれども、お手元の資料、一、二、三、四枚目、一番最後の資料見ていただきますと、昨年の九月二十一日付けの読売新聞の記事が出ております。見出しにあるとおりです、大臣。十二事業者が無届け活動をしているという指摘があります。それで、記事の中読んでいただきますと、実は過去に無届けであっせん事業をやったところがほかにも十あるという指摘がこの読売新聞の調査で明らかにされているわけであります。ですから、実際には、これは無届けで、届出をせず養子縁組をやっているということは、厳密に申し上げれば社会福祉法違反でございますが、罰則は何もないため、事実上野放しになっているということでございます。
 この話、後でもちょっと戻ってまいりますので、もう一問、政府参考人に聞きたいんですが、この把握されている、さっき八とおっしゃっていますから八でよろしいです、把握されている事業者の中で、あっせん、この子供をあっせんすることにかかわる寄附金及び実費徴収をしている実態について教えていただきたいと思います。
#218
○政府参考人(伍藤忠春君) 昨年の十月に、こういったあっせん事業者につきまして私ども調査をいたしましたが、八事業者のうち七事業者から回答がありまして、その実態をかいつまんで申し上げますと、寄附金につきましては、寄附金という制度はすべてのこの事業者に存在をしております。ただ、この寄附をすることを養子縁組あっせんの前提というふうに明らかにしておるのは、二つの事業者でございます。それから、寄附金額の平均は一人当たりで約六十六万円、最高、調べたこの十五年度では最高額は二百八十五万円ということでございました。
 それから、それとは別に実費徴収ということで一定額の費用を徴収をしておりますが、これも一事業者を除きまして、あっせんの際には何がしかの実費を徴収するという仕組みを取っております。一人当たりの平均実費徴収額は二十八万円、最高額は約百五十二万円と、こういう状況になっております。
#219
○遠山清彦君 大臣、これ今、私、寄附金と実費徴収ということで聞きましたけれども、実費徴収については、最高額百五十万というのはちょっと、これは多過ぎるなと思いますけれども、二十八万円というのは大体妥当な、いわゆる一人の赤ちゃんを養子縁組であっせんするのに掛かるいろんな事務経費とか等々考えれば、これは妥当な平均額として出ているんだと思うんですね。
 問題は、大臣、これ、寄附金のところなんです。ここに、今御答弁あったとおり、最高額が二百八十五万円で寄附を求めておるわけですね。これが何が問題かといいますと、児童福祉法では営利目的の養子縁組あっせんは禁じられております。ちょっと具体的に申し上げますと、第三十四条八項におきまして、「成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為」、これをしてはならないとなっているわけであります。私は、寄附金名目でお金を取って養子縁組のあっせんをすることはこの規定に触れるんではないかというふうに思いますが、これ、いかがでしょうか。
#220
○政府参考人(伍藤忠春君) 法律の規定はそのとおりでございますし、同様の規定が社会福祉法の中にも置かれておりますので、ここは厳密に解釈をしなきゃいかぬというふうに考えておりますが、寄附金とか実費徴収というものがこういった事業を継続するために必要ということで多分徴収をされておるということでございますので、どこからが法違反になるかどうかということが大変、実態に即して考えないと難しい面もあろうかと思います。
 形式で寄附金と言うのか、実費徴収と言うのか、それ、同じような名目で名前が違って取られているというような実情もあろうかと思いますので、事業運営上必要な額を徴収するということは法律上も許されているんだろうと思いますが、営利を目的として不当な利益を得るというところをどこからそういうふうに判断をするかということは、なかなかこれ、一律の線を引くのがなかなか難しいということで今までこういった、今の実態になっておるんだと思います。
 しかしながら、こういうケースによっては非常に多額の寄附金を半ば強要するというようなこともあろうかと思いますので、私ども、昨年、一応こういった実情を把握はいたしましたが、さらにもう少し突っ込んだ把握といいますか、できれば業務運営の指針とかガイドラインのようなものができないんだろうかというようなことも内部では考えているところでございまして、こういった寄附金の在り方も含めて、養子縁組のあっせんの適正化といいますか、そういう形での何らか具体的な指針を作るような研究をもう少し深めていく必要があるんじゃないかなというふうに今考えているところでございます。
#221
○遠山清彦君 後でもまた議論しますけれども、研究を深めていって、そのまま深みにはまって上がってこない場合もありますからね。
 大臣、これ、私、今日ここで、答弁まだ要りません、要望しておきますが、これ、問題は営利の定義があいまいなんです。これ、厚生労働省の省内で多分そうなんです。社会福祉法と児童福祉法で、営利目的で子供の養子縁組やっちゃいけませんよと言っているんだけれども、じゃ、営利というのは具体的に何を指すのか、どこからどこまでの行為指すのかはっきりしていないんですよ。ということは、空文化しちゃっているんです、法文として。ですからここは、今、局長、研究深めると言っていましたから、それを与党の議員として額面どおりちゃんと信じたとすれば、本当に研究していただいて具体的なアクションにつなげていただきたいと、これ、ちょっとこの段階で大臣には要望をしたいというふうに思います。
 それで、次にまた、大臣、ちょっと資料で二枚目、三枚目のところに、これは読売新聞の九月二十日の一面に大きく載った記事でございますけれども、非常にショッキングな内容になっております。実は、この後に読売新聞は連載の特集記事も載せておりまして、いろいろなこの日本における海外養子縁組についての実態についての鋭い報道があったわけであります。
 大臣、私、今日この中で、もう大臣ここで読まれても時間ありませんから、二例だけちょっとショッキングな例紹介しますと、これは全部記事の中とかに出てくるわけですが、アメリカのロサンゼルスに住む子供のない夫婦が日本の女の子を養子縁組したと。その直後から、業者の方から二人目どうですかと打診をしてきた。そこで、この夫婦が、そうだなと、そろそろ兄弟欲しいかなということで、欲しいと連絡をしたら、六日後に男の子が用意できますよと回答をしてきたと。最終的にこの男の子を二人目としていただいたようでございますけれども、事業者へのあっせん料は二万五千ドル、二百八十万円だったと話しているということでございます。
 それから、二例目の例をちょっと紹介させていただきますと、オランダ在住の日本女性、御主人は外国の方のようですが、養子を探していたら双子の男の子を日本のあっせん業者から紹介をされたと。このときは、求められた寄附金が一人何と四万五千ドルで、五百五十万円。ということは、二人で一千万超える額を要求をされたと。余りに高いので断ったそうですけれども、この夫婦がいわく、まるで子供を商品のように扱っていたということなわけでございます。
 実は、ほかにもいろんな事例が累次の報道で出てきているわけでありますけれども、私は、このようなおぞましい金銭トラブルが、日本の子供の、日本の子供ですよ、の養子縁組をめぐって起こっているということ自体ゆゆしき事態であって、そして、先ほども申し上げたとおり、無届けの事業者も現在でも十二ある。過去にも更に十あったというふうに新聞報道では指摘をされている。
 それで、この最後の資料のところの左側の記事に書かれておりますけれども、当時の厚生労働大臣の、我が党の議員でありますが、坂口当時大臣が、これは問題だということで、法務省と外務省と連携して対処をするということをここで明言をしております。それから約もう半年たっておるわけでありますが、これはちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、前坂口大臣が言って、尾辻大臣が引き継がれて、六か月たって今日まで、率直にどのような進展があったのか、ちょっとお答えをいただければと思います。
#222
○国務大臣(尾辻秀久君) この養子縁組制度といいますのは親族法において定められておりますことから、この問題、報道を受けて、法務省との間で海外への養子縁組の手続について意見交換を行いまして、様々な問題点について議論をするなどいたしたようでございますけれども、まだ十分に検討が進んでいないことも事実でございます。
 昨年行った養子縁組あっせん事業者に対する調査結果も踏まえながら、引き続き国際養子縁組の問題について関係省庁と連携を図りながら、先ほども検討を深めると申しておりますから、更に検討してまいりたいと考えます。
#223
○遠山清彦君 要するに、余り進展が来ていないということなわけでありますが。
 私、先ほどもゆゆしき問題だということを申し上げましたけれども、なぜかといいますと、これは国連とか国際社会の中では、この養子縁組を悪用して、小さな赤ちゃんあるいは幼児を、この養子縁組というシステムを悪用して児童売春それからポルノ、またもっとひどい場合は、先ほどもちょっと出た話ですけれども、臓器売買の隠れみのに使っているという指摘が大分前から実はあるんです。
 そうしますと、これは仮定の話ですけれども、例えば、先ほど私が紹介した事例の中で、赤ちゃん五百五十万であっせんしますよと。五百五十万払って受け取る。受け取ったところがもしそういう幼児の臓器売買のシンジケートの関係者であれば何をするか。もう大臣お分かりですね。そして、幼児の臓器売買、このいわゆるやみの世界での臓器売買というのは億単位の金が動くわけでありますから、五百五十万でその赤ちゃんを、日本のですよ、買って、それを臓器の売買の試験体にすると。それで数億円の収益が上がるということになれば、これは犯罪としては非常に悪質であると同時に、犯罪者から見れば非常にもうかる話だということで、ビジネスになってしまうということがあるわけです。
 今度、これ外務省に聞きますが、ちょっと矛先変えますが、実は、国際社会でこういう懸念があるから海外養子、国際養子縁組については慎重にやりましょうよというふうになったわけですね。これもう十年以上前です。その結果、一九九三年にハーグ条約というのが締結されております。正式名称は、国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約といいます。
 この条約の目的が第一条に書かれておりますが、ちょっと紹介させていただきます。
 第一条a、国際養子縁組が、子の最善の利益に基づき、かつ、国際法により認められた子の基本的権利を尊重して、行われることを確保するための保障措置を定めること。b、前号の保障措置の遵守を確保し、よって子の奪取、売買及び取引を防止するための締約国間の協力の制度を定めることということがこの条約の目的として規定をされております。
 今回、私、真剣にこの問題を調べてみて驚いたんですが、日本はこの条約を批准しておりません。この条約に加入しておらないわけです。しかも、その後、一九九三年にこの条約ができて、日本加入しない。もう十年以上たっておるわけですが、その間、国連におきます児童の権利に関する委員会等で累次にわたって、日本政府としてこの条約に加入することを検討せよということを言っているにもかかわらず、実態上は無視し続けております。外務省、これ何でですか。
#224
○政府参考人(長嶺安政君) ただいま先生から御指摘のありました条約でございますが、これは平成五年、一九九三年に成立した条約でございます。
 外務省といたしましては、この条約の作成過程に当たりましては、関係省庁と協力をしながら、ヘーグ国際私法会議の特別委員会あるいは外交会議における審議に出席して積極的に参画してきたところでございます。
 この条約につきましては、ただいま先生からも御指摘ありましたが、国家間にまたがる養子縁組に関する国際的な協力体制を確立するということなどを目的としておりまして、このような国際的な協力体制に参加していくためには国内法の整備等について検討を行う必要があるとともに、またこの協力体制というものを確立する必要がございます。現時点におきましては、なお国内法整備のめどが立っておらないところでございまして、外務省としましては、引き続き、これら国内法の整備等についての検討の進捗状況に応じまして、この条約締結の可能性について関係省庁等と緊密に連絡を取っていく考えでございます。
#225
○遠山清彦君 いや、全然努力していないの。だから、これ、大ひんしゅくな話なんです。
 要するに、外務省は、今、長嶺さんおっしゃったけれども、確かにこのハーグにおいて定期的に、いろんなそれぞれの時代に国際社会に必要だという条約を審議する場に日本というのは二十世紀初頭から欠かさず出ているわけでありまして、そこは外務省として誇っていいんですが、この問題に関して言うと、だからなお悪いんですよ。自分も参加して積極的に、今おっしゃったように積極的に参加して作った条約、作った後に加入しないんだ。それで、国連から何度も加入しなさいと言われているのに何にもやらない。
 今御答弁になった内容は、私調べましたら、昨年の六月九日の衆議院の外務委員会で民主党の阿久津委員が質問したことに対して、ほとんど同じ答弁しておるんです。そのときも、何ておっしゃっているかといいますと、「養子縁組に関する国内法の整備を含めまして、関係省庁等の協力による適切な体制を整えることが必要でございますが、現時点ではまだそのような体制を構築するめどが立っていないと」、だから条約に加入する段階じゃないと言っているんですね。この一年、まだたってないですけど、今年になって聞いても同じ答弁しか出ないということは、来年もそうだろうし再来年もそうだろうしというふうになっちゃう。
 これは、外務省だけの責任じゃないんです。要するに、厚労省、それから、これは入管も後でちょこっと聞きますけれども、法務省も真剣になっていただかなければ、これ外務省一省だけで旗振っても、私、これは条約締結までは行かないと思うんですね。ですから、そのことを大臣、一番最後に私まとめて今日の要望言いますけれども、このハーグ条約への加入、それに向けた、養子縁組制度の国内の今の現状のシステムの見直し、問題点の洗い直し等々、これしっかりやっていただきたいと思います。
 ちょっと具体的にこの関連で聞きます。
 ハーグ条約の批准、私、していただきたいと思いますが、それまでに若干時間掛かるでしょうから、それを待たなくてもできる国内措置というのが厚労省の所管であると思います。
 これ大臣に、尾辻大臣にお伺いしますけれども、例えば、問題があるあっせん事業者がいるかいないか、これしっかり調査していただきたいということが一つ。問題のあるあっせん事業をやっている事業者が分かった場合には、できればその事業者に立入調査ぐらいのことはしていただきたいと私は思っております。
 それから、もう一つ検討していただきたいのは、このあっせん事業者について今届出制になっております。しかも、たしかこれ都道府県に届け出て終わりということで、罰則規定もない、規制が甘過ぎるという問題があるわけです。ですから私は、これは思い切って届出制から認可制に変更することも厚労省として検討すべきではないかと。
 これは、何もあっせん業者をいじめるためだけに、それは悪質な業者はたたかなきゃいけませんよ。しかし、私が申し上げたいもう一つのポイントは、健全に適正にこの養子縁組のあっせん事業をやっているところもあるんです。そこはそこで逆に、実費三十万だけ取って事業としては非常に採算性が低い形で子供たちのためにとやっている方々もいるわけですから、そちらはそちらで何かの支援というものを考える。逆に、悪質なあっせん事業者で、ほとんど人身売買と言われてもおかしくないようなことをやっているところは、これ厚労省として、日本人の子供ですからね、厚労省としてやはりしっかり対処できるようにするために認可制に変えるとか、そういうことを検討したらいいと思うんですが、大臣の御答弁求めます。
#226
○国務大臣(尾辻秀久君) まず、平成十六年十月に都道府県に届出されております養子縁組あっせん事業者を対象に行った実態調査がございますから、これにつきましては近日中に結果をまとめて公表をいたします。今後は、事業者の方などからあっせん業務の実態や養子縁組後の状況後もヒアリングをするなど、よりきめ細かな実態把握に努めてまいります。
 また、お話ございました営利目的の養子縁組あっせん事業者に対する規制につきましては、寄附金等の在り方について検討いたしますとともに、社会福祉法上の届出義務や調査を徹底いたしますとともに、指導に従わず営利目的のあっせんを続けるようであれば、刑事告発も含めた厳正な対応を取るように都道府県に対して周知徹底してまいります。
#227
○遠山清彦君 ありがとうございます。是非そういう方向で、悪質な業者に対しては規制、罰則を強化するということをやっていただきたいというふうに思います。
 次に、法務省にお伺いをしたいというふうに思いますが、今回の件でいろいろ調べておりましたら、現在の日本では外国人が日本人の子供を海外に連れ出すのが実は意外に簡単であるというふうなことを感じております、私は。これは出入国管理法の第六十条に照らし合わせれば、日本人の子供が有効なパスポートとビザを持っておれば、その横にアメリカ人の夫婦二人とか、まあほかの国の方でもいいんですけれども、来ても、どうぞということで出国をさせてしまうんですね。先ほど私が指摘した国務省の文書によれば、出国した後に養子縁組が成立しているケースの方が日本で養子縁組が成立して連れていくケースよりも三倍多いというデータがあるわけです。
 そこで、諸外国の例を、この問題で詳しい中央大学の法科大学院の奥田教授がいるわけでありますけれども、この教授の論文等読みますと、諸外国、例えば韓国、フィリピン、インド、ネパール、タイ、チリなどの国々、これらの国々は、実際、海外に養子縁組で子供がもらわれることが多い国です。こういう国々では、現在、自国の子供を養子縁組のために海外に連れ出す際には特別な許可が必要であって、単にパスポートとビザがあればどうぞということではないそうなんですね。
 ですから私は、これ、出入国管理の世界の話になるかと思いますけれども、日本は、先ほども私申し上げたとおり、国際基準でいえば海外に養子を多く出している国なわけです。そういう国として法改正も場合によっては視野に入れてこれ検討した方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#228
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 現在の入管法におきましては、日本人の出国につきましていわゆる許可制にはなっておりませんで、本邦の外の地域に赴く意図を持って出国しようとする日本人から申請がありました場合には、有効な旅券を所持しているかどうかということを確認の上で出国の確認を行うこととされているわけでございます。
 したがいまして、今委員御指摘のようなケースにつきましても、外国人夫婦に連れられた日本人の幼児というようなケースにつきましても、有効な旅券を所持しております以上、出国確認に際しまして養子縁組手続が行われているか否かというようなことの確認はしていないのが実情でございます。
#229
○遠山清彦君 そんなの分かってて聞いているんですよ、局長ね。だから問題じゃないかと言っているんです。いや、あのですね、赤ちゃんというのは局長御存じのとおり自分でしゃべれないんです、意思表示もできないんですから。旅券持っている日本人が来たらそれは出国認めますとかという、もう典型的な役人答弁されてもこの問題では何の意味もないんです。
 ですから、私が申し上げているのは、入管として、例えばアメリカ人の夫婦が二人入国したという記録あるわけでしょう。出ていくときに日本人の赤ちゃん抱いておったら、それは何ですかって聞けないんですか。それで、要するにパスポート、ああ、これは赤ちゃんのパスポートです、私たちの子供になりましたと言うと、ああそうですか、カウンターへ置いて、持っていかれて、もしこれ人身売買されていたらどういう責任取るんですか。
 だからこれは、ハーグ条約に加入する検討を真剣に厚生労働省と外務省と法務省がやってないから何も言えぬのですよ。三省ちゃんとひざ合わせてこの問題どうするかって検討した方がいいと思いますよ。
 それで、もう一つついでに、まあ三浦局長の今のお立場だと何にも新しいこと出てこないでしょうから、私の方からもう一点申し上げますと、今、国際社会とかこの問題の専門家の間で日本政府の対応として批判されている点がもう一個あるんです、大臣。それは、日本政府は、日本の子供が海外に養子縁組で行った後、その後どうなったのか全く何の調査も確認も全くしていないんです。だから今みたいな出入国管理でいいわけですよ。ああ、あなたたちの子供にこの日本人の赤ちゃんがなったんですか、かわいいですね、さあどうぞと出したまま、後はもうどうなるか分からない。それに対して責任も感じていないし、何か調べようともしていないんです。
 じゃ、海外、国際社会のトレンドはどうかということを申し上げます。当然海外では、海外に養子で送られた子供が児童買春だとか売春あるいは臓器売買の被害に遭わないように防止策を取っております。その国の数は非常に多いです。ちょっと私が調べただけでも、インドネシア、モーリシャス、スリランカ、コスタリカ、ホンジュラスなどなどがあるわけですね。
 日弁連は、先ほど私が引用した報告書の中で次のような指摘をしております。いわゆる養子の輸出国と言われる国々では、国際養子縁組に対し国内養子縁組よりも厳しい要件を課すことが多いと。しかるに、日本政府は国内養子縁組と同等の審査をすれば足りると考えていると。中略。明らかに子どもの権利条約第二十一条b号の趣旨を理解をしていない。これはつまり、ハーグ条約に加入をしていないからこれを守らなくても問題にならないということなのかもしれませんけれども、私は、日本の子供が海外にもらわれていく、それに積極的にかかわろうともしないし、出ていったら出ていったで、その後はもう知らぬ存ぜずの状態なわけでありまして、私が申すまでもなく、日本はアメリカの国務省のレポートで、人身売買の悪い意味でのランキングの高い国というふうに言われて、これはこの場合、特に女性の人身売買での問題になったわけでありますけれども、ですから、これは人身売買取引の輸入国として日本は指弾をされたわけです。
 しかし、私が今申し上げている問題は、実は人身売買の輸出国としても、しかも赤ちゃんですよ、非難されてきたんです、実は、一部では。でも、それは政府の中でだれもまじめに取り上げなかったから放置されてきたという問題になるというふうに思っております。
 この点について、ちょっと大臣のコメントを、御感想をいただければと思います。
#230
○国務大臣(尾辻秀久君) 今日お話聞かせていただきまして、非常に深刻な話だということをよく理解をいたしました。したがいまして、省内ですぐ検討するように指示をいたします。
#231
○遠山清彦君 ありがとうございます。
 今これまとめて、今日私が申し上げたいろんな要望をまとめてもう一回再度確認の意味で申し上げますが、ただ、大臣が今のようなことをおっしゃったときは必ず守っていただいていると私確信しておりますので、お願いしたいと思います。
 ただ、この今日、私、資料で配っていない記事を読んでおりましたら、やっぱり私ショック受けたところあるんです。それは、未成年で子供を妊娠してしまった女子高生の話が出てくるんですね、高校二年生。まあ中絶がもう可能な時期は過ぎていたということで、この女子高生のお母さんが、女子高生の、妊娠してしまった女子高生のお母さんがこの生まれてくる子供をどうしようかとあちこち走り回った。走り回って、ある養子縁組のあっせん事業者に当たった。そこで、このあっせん事業者の事務局の女性が、自分の娘が赤ちゃんを妊娠してしまったこのお母さんに何と言っているかというと、国内の養子縁組もできるけれども手続に一年掛かると、外国だと半年で済むわよと。母親は迷わず海外を選んだと、こういう部分があるんです。つまり、日本での今の実態というのは、望まれずに生まれてきてしまった赤ちゃんについて、国内よりも海外に送り出す方が簡単だと。現場ではもう当たり前のように言われているんです。
 それで、いろんな事情があって自分で育てられない、自分たちで育てられないということでこの赤ちゃんを渡す。その赤ちゃんは本当に正当な手続が取られているのかどうか分からないけれども最後は外国人にもらわれていく。入管は空港で何もチェックはしない。こんなことを先進国の日本でやっていていいんですかということが私の問題意識なんです、今日つらつら聞いた、ですね。そこを是非御理解をいただいて、人数少ないとかいろんなこと言う人いるかもしれませんけれども、私は、日本人の子供を守れないような政府が、やれ安全保障だ何だと言う権利は私ないんじゃないかというふうに思います。
 最後にまとめて、私、要望を言わせていただきます。
 まず一番目が、日本国内の国際養子縁組あっせん事業の実態について正確に調査をして、できれば結果を公表していただきたい。二番目は、営利目的の養子縁組あっせんに対する規制の強化並びにあっせん事業者、特に海外あっせん事業を現にしている者への認可制への移行の検討。三番目が、海外へ養子として出された日本の子供のその後の実態についての調査の在り方について検討していただきたい。四番目は、これは三省庁併せてですけれども、一九九三年の国際養子縁組にかかわるハーグ条約への加入を検討していただきたい。五番目は、外務省、法務省、厚生労働省、三省で連携してこの問題に取り組んでいただきたいという五点を、今日最後に、この質問の最後に強く要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 最後、時間がちょっとまだございますので、若干違う質問をさせていただきます。麻酔科医の不足問題でございます。
 先日、新聞の投稿記事で、医療事故を扱う弁護士が投稿された話が載っておりました。その弁護士いわく、二十年間で扱った百十件の医療事故のうち九件が麻酔事故であったと。この九件のうち八件が和解であったために表に全く出なかったそうなんでありますが、この投稿の最後の主張は、実はこの八件、和解で全部解決をして表に出てこなかった八件すべてが麻酔事故なんですけれども、麻酔を専門としないお医者さんがやった事故だったと。これがこの投稿の結論なんですね。
 実は、日本麻酔科学会も、今年の二月九日に発表した提言で、実は麻酔科医はマンパワー不足なんですという問題提起しているわけですが、最初に聞きたいのは、日本での麻酔科医の数が人口十万人当たり何人ぐらいなのかと、また他の先進国と比べてどうなのかという点についてお聞きしたいと思います。
#232
○政府参考人(岩尾總一郎君) 平成十四年度の医師調査ですが、麻酔科を主たる診療科とする医師の総数が六千八十七人で、人口十万人当たりにいたしますと麻酔科医の数が四・七八人、これはアメリカの人口当たりの麻酔科の数を一とした場合、日本の場合は〇・四ということになります。
#233
○遠山清彦君 アメリカより高いと今おっしゃったんですか──あっ、低い。済みません。分かりました。私の認識でも低いと思います。
 それで、これは麻酔科学会の提言の中に引用されていたアンケート調査でありますが、常勤麻酔科医は充足していますかという質問に対して、大学病院の七八・二%、一般病院の七六・四%がいいえと言っているわけですね。
 そこで、厚労省は今、二月二十五日に医師の需要検討会を発足させたと言われておりますけれども、この検討会ででも麻酔科医の確保問題を議論するんではないかと予想しておりますが、今後どのような対応をされるのか、お答えいただきたいと思います。
#234
○政府参考人(岩尾總一郎君) 今のスケジュールでございますが、四月に第三回目を開く予定にしておりまして、麻酔科など医療診療科の偏在の問題がございますので、関係団体からのヒアリングを行うこととしております。このヒアリングの結果を踏まえて検討いたします。
#235
○遠山清彦君 ありがとうございます。
 それで、今度、西副大臣の御答弁いただけるのかと思いますが、実は、これ麻酔科医の実数自体は過去のデータと比べると決して減っていないと言われているわけです。ただ、手術等における医療現場での麻酔の需要の増加ペースにこの人数の増加が追い付いていっていないというのが私は問題の本質ではないかというふうに思っております。
 それにプラスしましてもう一つの問題は、麻酔科医の方で女性の医師が多いという指摘がございます。ここから私が御質問申し上げる点というのは決して麻酔科という分野に限らないわけでありますけれども、大学病院や一般病院においても、多くの場所では女性の医師が非常に働きにくい環境のままであるというふうに私は思っております。
 例えば一例を挙げれば、院内保育、病院内に保育所を設けるところが、最近この正に厚生労働省の子育て支援の中で出てきているわけでありますけれども、しかし、女性の看護師の方とか病院の職員が優先されてしまって、結局、女性の医師がお子さんを預けられないという問題が発生をしたりしているということを聞いております。
 それからもう一つは、育児休暇を女性の医師が取られた際に、戻ってきたときに、やっぱり職業の性質柄人の命にかかわりますので、すぐに、一気に通常の業務に復帰できない。そうすると、時期的に慣らし運転の期間を置かなければいけないわけでありますけれども、今の医療現場の状況ですと、そういう麻酔科の場合ですと麻酔科指導医のいる場所で助言を受けながら慣らし運転をして通常業務に復帰をするというプロセスが必要なんですけれども、そういうシステムも整っていないという指摘があるわけでございまして、ちょっといろいろほかにもあるかと思いますが、こういった女性の医師に対する環境整備、働く場所の改善、こういったものについてどのように取り組まれるのか、お話をいただければと思います。
#236
○副大臣(西博義君) 委員御指摘のように、最近女性のお医者さんが多くなっておりまして、例えば、今お医者さん全体の中で女性は一五%でございます。最近新たに資格を得るお医者さんは三三パー、三分の一程度ということで、明確にやはり多くなっています。
 御指摘の、特に麻酔科におきましては女性が多いという傾向は出ておりまして、麻酔科医の全体に占める女性の割合は二八%でございます。特に、若い、三十五歳未満においては四一%の麻酔科医は女性という実態がございます。そんな意味から、女性のお医者さんが医療現場で働きやすい環境をつくるということは大変重要な課題となっております。
 もう一つ御指摘の、病院内の院内保育所の利用でございますが、これ御指摘のように、従来看護職員の特別の対策として立ち上がったものですが、もちろんこちら、運営の補助費も出していたんでございますけれども、平成十四年度から女性医師等を含めて女性の医療関係の労働者一般の皆さんを対象にするということに変更いたしておりますので、最近ではその適用の範囲に入るというふうに考えております。
 今後も、女性の医師が働きやすい環境、今先ほど指摘の医師の需給に関する検討会、この中にも女性の医師の在り方、働き方ということについて検討をすることになっております。
 もう一つは、職場復帰の問題です。確かに、生命を預かる立場からして長期の休業から復帰するときにすぐに現場復帰というのは難しい側面があると思います。そういうことから、休業中の職業能力の維持、向上ということが重要でございますので、育児休業取得者に対する能力開発の措置を実施する事業所に助成を行うというような形の支援をしてまいりたいと思います。
 日本麻酔科学会の提言におきましても、やはり先ほども若干ありましたけれども、麻酔の業務に復帰しやすくするための環境整備を考えていただいているようで、麻酔科学会が中心となって研修プログラムを作成、実行する必要があるというふうに指摘をされているところでございます。先ほどの需給に関する検討会においても、女性の生涯にわたる就業率を高める必要があるということが指摘されていまして、その具体策のために今後の議論を深めながら私どもとしても努力をしてまいりたいと、こう思っております。
#237
○遠山清彦君 終わります。
#238
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 昨年十月十三日に西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載が発覚をいたしました。その時点で、西武鉄道の株について、年金資金運用基金で保有していた総量と時価総額をお答えいただきたいと思います。
#239
○政府参考人(渡辺芳樹君) お答え申し上げます。
 年金資金運用基金が運用委託を運用受託機関にしておりますが、西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載が発覚いたしましたのが昨年十月十三日でございます。その時点において、運用受託機関は合わせて約一千百万株の西武鉄道株を保有していたと承知しております。
#240
○小池晃君 時価総額。
#241
○政府参考人(渡辺芳樹君) 失礼しました。
 その時点における保有株を時価に換算いたしますと、約百二十億円と承知しております。
#242
○小池晃君 厚生年金基金加えると一割以上が公的年金資金による保有なんですね、西武鉄道株というのは。西武グループで保有しているものに次ぐ規模を持っている。証券取引法の違反でツケが年金通じて国民に回ってきている、これは私重大な問題だと思うんですが、なぜその年金資金運用基金というのはこのように大量な西武鉄道株を購入しているのか。
 これは、マスコミの報道などでも、西武鉄道株というのは株価形成がいびつで、まともな運用担当者なら買わないというような報道もあるんですが、こういう大量の購入に至った経過を説明していただきたいと思います。
#243
○政府参考人(渡辺芳樹君) 年金資金運用の手法につきましては、先生も御承知のとおり、一般的には大きく二つに分かれます。
 投資判断に基づいて銘柄を絞り込んで超過収益の確保を目指すアクティブ運用。そういう中でこういう株を選ぶのかという御議論のように承りましたが、もう一つの大きな手法は、市場を構成する銘柄を原則としてその構成比どおりに保有して運用することによりまして、市場平均並みの収益率の確保を目指すというパッシブ運用という、そういう二種類の方式がございます。
 公的年金積立金、御指摘の年金資金運用基金の運用におきましては、その資金の性質に照らしまして、後者のパッシブ運用というものを中心に行っておるわけでございます。その中で、国内株式につきましては、東証株価指数をベンチマークに運用を行っておりますので、西武鉄道株が東京証券取引所第一部に上場され、東証株価指数の組入れ銘柄であったということから、パッシブ運用を行う際には必然的に組み込まれてしまう、購入事実が発生してしまうというものでございます。
 なお、先ほど申しましたアクティブのファンドでは西武鉄道株は保有しておりません。そういうメカニズムでございます。
#244
○小池晃君 国民の大事な保険料なんですから、パッシブ運用で自動的に購入する仕組みなんだから、責任ないとは言えないと思うんですよ。
 大臣、私、これ十月十三日当時の時価総額というと百二十億円、この価値が大幅に下落しているわけで、非常に大きな損失を生んでいるわけです。この責任についてどうお考えでしょうか。
#245
○国務大臣(尾辻秀久君) 今も局長から御説明申し上げましたけれども、そもそも株式で運用をしておるわけでございますから、そしてその中で、申し上げたように、今の運用の仕方、アクティブ運用とそれからパッシブ運用という運用の仕方でやっておる。そのパッシブ運用の中では一部上場銘柄、全銘柄を買うというやり方でやっておるところでありますから、一部上場株である西武鉄道株式会社の株も買っておったということでございます。
 そういう意味におきまして、年金資金運用基金においての運用ルールに則して運用を行っておるわけでございますので、義務違反はなかったと、こういうふうに考えます。そういう意味で、どこかにこの問題で責任を問うものではなかろうと考えております。
#246
○小池晃君 ということは、西武鉄道に対する損害賠償請求も考えておらないということですか。
#247
○政府参考人(渡辺芳樹君) 西武鉄道株を今、運用受託機関はすべて売却済みでございます。そうした際に発生している各運用機関における売却損の取扱いにつきましては、どうするのか、これ現在、年金資金運用基金におきまして法律の専門家の意見も聞きながら慎重に検討しておるところでございます。
 なお、今申し上げましたように既に売却済みでございます。現在は保有していないということになっておりますが、先ほどおっしゃいましたように、年金資金全体で見ますと、今、十月―十二月の話でございます、この間九千九百億円余りの運用益を発生しておりますが、その中での一つの売却に伴う変化ということでございます。
#248
○小池晃君 全体もうかっているからいいんだって、そういう言い訳にはならないんですよ。
 今、売却したとおっしゃいますが、購入価格と売却価格を教えてください。
#249
○政府参考人(渡辺芳樹君) 各運用受託機関におきます購入価格、売却価格につきましては、特定の銘柄の株式売買に関することでもあり、また、個々の運用受託機関の投資行動に関することでもある、あるいは運用のノウハウにかかわる等々の理由から、個別の答弁は差し控えさしていただきたいのですが、今申し上げました十月―十二月期の間に売却を行っておりますが、その結果、年金資金運用基金におきます西武鉄道株の時価総額、先ほどの百二十億をベースに考えまして、売却額は約四十億円ということであった事実に照らしますと、機械的、単純に差し引いた場合は約八十億円の差があるということでございます。
#250
○小池晃君 国民の大事な保険料を運用する、運用の仕方としてアクティブ運用がある、パッシブ運用があると。アクティブ運用というのは、確かに市場に影響を与えますから、それは問題あると。一方で、パッシブ運用というのは、これはもう自動的に買っちゃうわけですよ。今回みたいに、こういう西武鉄道のような事態が起こった場合に、だれもこれの責任取らなくて済むわけですね、これだけ損失生じても。
 私、この問題は本当に真剣に考える必要があるというふうに思います。果たしてこの年金資金の株式運用ということをこのまま続けていくべきなのかどうかということをやっぱり真剣に検討する時期が来ているんではないかというふうに考えますが、大臣、ちょっと御所見をお聞きしたいと思います。
#251
○国務大臣(尾辻秀久君) これはもういつも議論のあるところでございます。年金積立金の運用の在り方につきましては、社会保障審議会の年金資金運用分科会において、平成十四年十月から半年間にわたってもう一度基本に立ち返った議論をしようということで検討を行いました。
 そのときの結論でございますが、年金積立金を株式で運用することの是非について、債券や株式など、リスク・リターン特性が異なる複数の資産に分散して投資することにより、収益率の水準を確保しつつ、リスクを小さくできること、また、名目賃金上昇率がマイナスで推移している間は、債券投資のみでも賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りが確保できる可能性もあるが、賃金や物価の上昇が起こった場合には、運用目的である実質的な運用利回りの確保が困難となることから不適切である。
 これ、年金の積立金の運用でございますから、年金の給付の上昇と、それに見合うような運用益を得なきゃならないということで、名目賃金上昇率が絶えず問題になるということを申し上げたところであります。
 そうしたことなどから、国内債券を中心としつつ、国内外の株式を一定程度組み入れて運用するという分散投資の考え方を維持することが適当であるとの意見いただいたところであります。これに基づいて今株式運用もいたしておるということでございます。
#252
○小池晃君 いや、私の指摘の答えになっていないと思うんですが。
 要するに、株式運用だと二つ方法あって、両方とも大変問題があるということなんですよ。やっぱりアクティブ運用をやれば、これはもうもろに市場に介入することになるし、パッシブ運用でこういうことになればもう本当に無責任体制になるんですよ。もう極めて市場の動向に身をゆだねて、何か起こってもこれは、もうそういう流れだったんだから仕方がないんですという、こういうことでいいのかということを言っているわけで、検討を願いたいと思います。
 引き続いて、生活保護の問題を今日お聞きしたいんですが、受給者数は、九五年度八十八万二千人から二〇〇四年十二月で百四十四万一千人と激増しています。一・六倍です。失業の増加や所得の減少によって生活が悪化しているわけです。
 最後のよりどころとして今非常に大きな責任を求められていると思うんですが、実際にはいろんなこの間の改悪がなされて、例えば七十歳以上の老齢加算、これは三年間で段階的に廃止するということで、大都市部では一人一万七千九百三十円だった加算が、〇四年度は八千四百十円、〇五年度は五千九百十円、〇六年度には残る三千七百六十円がゼロになるという予定です。
 こうした一方的な切下げに対して、審査請求、再審査請求来ていると思いますが、数だけお示しいただきたい。
#253
○政府参考人(小島比登志君) 先生今御指摘のように、生活保護の老齢加算につきましては、高齢者の生活実態を踏まえまして、平成十六年度から三年間で段階的に廃止をすることとしております。
 これに関連いたしまして、平成十六年四月以降の老齢加算の引下げを理由とした審査請求の件数は、平成十六年九月十七日時点で各都道府県から報告いただいているのは六百二十四件でございます。また、老齢加算の引下げを理由とした厚生労働省に出されました再審査請求の件数は、平成十七年三月八日現在で二百三十七件というふうになっております。
#254
○小池晃君 この老齢加算の縮小、廃止によってどういう事態が起こっているかというと、お葬式行けないとか、墓参り行けないとか、年一回の旅行をあきらめたとか、食事やふろの回数を減らしたとか、健康で文化的な最低限度の生活を保障する水準でないという指摘が続いています。
 それに加えて、今年四月からは母子加算の縮減があり、さらに、多人数世帯の基準切下げ、年齢区分の見直しなど、生活扶助基準そのものまで削減が予定されています。全体でどれだけの給付減見込んでいるんでしょうか。
#255
○政府参考人(小島比登志君) 生活保護基準の見直しに伴います平成十七年度の予算の影響額でございますが、先ほど御指摘いただきました老齢加算の段階的廃止、これが平成十七年度の予算影響額は百三十億円の減ということでございます。
 次に、母子加算の見直しということで、子供の年齢要件を十八歳から十五歳以下へ引き下げる。高校就学該当年齢ということでございまして、この十八歳から十五歳を、引下げを、三年掛けて段階的に廃止するということでございますが、十七年度の予算影響額は六億七千万円の減。
 それから、三番目が多人数世帯の基準額適正化ということでございまして、四人以上世帯の第一類費、すなわち個人的な経費についてですが、逓減率を新たに三年計画で導入するとともに、第二類経費、いわゆる世帯的経費につきましては、二千八百二十円を……
#256
○小池晃君 説明はいいから数字だけ言ってください。
#257
○政府参考人(小島比登志君) はい。影響額は十九億六千万円でございます。
 それから、若年層の一類費年齢区分の見直しということで、影響額は二十一億一千万円ということでございます。
 なお、生活保護を受給する有子家庭、これには母子家庭も含まれているわけですが、この自立を支援する観点から、十七年度、新たに高校就学費を給付することとしておりまして、その所要額四十四億五千万円を計上しているところでございます。
#258
○小池晃君 高校就学費用給付はあるけれども、トータルで見るとマイナスになっているわけですね。
 具体的に聞きますが、大都市部で三十代夫婦と九歳、四歳の四人世帯の場合、〇四年度と〇五年度の扶助基準、どれだけ減りますか。
#259
○政府参考人(小島比登志君) 平成十六年度は基準額二十万一千三百二十円ということでございますが、十七年度十九万三千三百円ということで、一月八千二十円の減額となります。
#260
○小池晃君 それでは、三十代の母親、母子家庭ですね。子供三人、十六歳、十一歳、七歳、こういう母子家庭で生活扶助基準額と母子加算額の合計額はどれだけ減るでしょうか。
#261
○政府参考人(小島比登志君) ただいま御指摘の例で申しますと、平成十六年度は二十三万九千七百八十円が、平成十七年度、二十二万八千三百七十円となり、一万一千四百十円の減額となります。ただし、高校にこの児童が行かれますと、公立学校における平均給付額は、教材費、交通費の実費等を含めると、月額約一万三千円程度が高校費用として支給されるということでございます。
#262
○小池晃君 学用品等学級費で基準額で言うと六千八百六十円ですね、通学費実費ですけれども。公立高校の場合は、自治体減免している場合は給付しないわけですから、これは給付額より削減の方が多くなるケースもこれ当然あると。しかも、三位一体改革で高校生向けの奨学金の補助金が、これは補助金廃止になっていますから、自治体の中ではこういう人たちに対する奨学金廃止する自治体も出ているんです。
 生活保護基準というのは、生活保護だけじゃなくて、国保料や住民税あるいは公営住宅の家賃、就学援助などにもこれは連動してまいります。就学援助の基準で言うと、東京の板橋は生活保護基準の一・二六倍、自治体ごとに決まっているわけです。これ、実際、今、例えば東京都では、就学援助の受給者というのは、九九年度は一八・〇五%だったのが、〇三年度は二四・二%ということで、児童の四分の一近くに上っているという実態があるんですね。生活保護に近い世帯収入で暮らす準要保護児童が非常に増えている。
 こういう中で保護基準の切下げを行えば、これは文科省に聞きたいんですが、新たに就学援助を受けられない世帯が出てくることが予想されるんですが、文科省としてはそういう影響についてどう考えておられるんですか。
#263
○政府参考人(山中伸一君) 学校教育法におきましては、経済的な理由によりまして就学困難な児童生徒の保護者、これに対して市町村が必要な援助、いわゆる就学援助でございますけれども、これをやらなければならないということになっております。市町村におきましては、生活保護法に規定する要保護者及び市町村が要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者、準要保護者と私ども呼んでおりますけれども、この両者に対しまして就学援助事業を行っているというところでございます。国は、今まではこの両者についての国庫補助を行ってきたというところでございます。
 この就学援助につきましての準要保護者の認定の基準でございますけれども、これ、先生御指摘のように、それぞれの市町村におきまして地域の実情に応じて定めているという形でございまして、例えば地方住民税の非課税者などとか、各市町村の実情に照らしまして決めているというところでございます。
 また、この国庫の補助金でございますけれども、今回の三位一体の改革によりまして、市町村等の地方六団体から一般財源化すべきという意見も踏まえまして、平成十七年度以降、生活保護法に規定します要保護者、これについては引き続き私どもとしては国庫補助の対象とするということを考えておりますけれども、準要保護者に対する就学援助につきましては、各市町村がそれぞれ認定基準を定めているということもございまして、今後は国庫補助というのを廃止いたしまして、税源移譲等によって各市町村で対応していくというふうに考えております。
 今後とも、各市町村で就学援助がしっかりと行われていくということを考えているところでございます。
#264
○小池晃君 いや、市町村任せで無責任な話なんですよね。今、影響が私は出ているのかと聞いたのに、それについては一切答えがなかった。昨日、文科省お聞きしたら、検討していないんですね。本当に無責任だというふうに思うんですよ。
 こうしたその影響も顧みずに生活保護基準切下げすることは、本体の扶助基準まで下げるということ、私、断じてこれ許されないと思うんです。しかも、母子加算縮小の理由がこれ大変問題で、一般母子世帯の消費支出額よりも母子加算を加えた生活扶助基準額の方が高いということを理由にして今厚生労働省は母子加算の廃止までねらっているわけですが、一般母子世帯が生活保護水準以下で暮らさざるを得ない、そういう実態を改善することこそ、私は厚生行政の責任だというふうに思うわけです。
 一般母子世帯の生活が苦しくなったら、それに合わせて生活保護世帯の基準もどんどん下げていく、これは私、生活保護法では、健康で文化的な最低限度の生活を保障する、それを満たすのに十分なものだという法律の基準があるわけですが、正にこの法律の趣旨に反するものではないかというふうに考えるんですが、いかがですか、大臣。
#265
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話しいただきましたように、母子加算の見直しは一般母子世帯の消費水準等と比較評価した上で見直すこととしたものでございます。その比較で見直したわけでございますから、今お話しになりましたように、憲法二十五条、すなわち健康で文化的な最低限度の生活保障を目的とする法の趣旨を逸脱するものではないと考えます。
#266
○小池晃君 いや、その考え方が私は違うのではないかと思うんですね。これ、生活保護法というのは言わば憲法二十五条で決められた生存権を保障する最後のよりどころですよ。これが最低基準なんだと国が示すことによって、そこに安心が生まれる制度だと思うんですね。それをそうではなくて、全体が下がったんだからどんどん下がっていくと、最低の基準というのはもう確固たるものではなくて、社会情勢につられてどんどん下がっていくということでは、これは不安が広がるばかりではないかというふうに思うんです。しかも、専門委員会の報告書を見ても、一般母子世帯の八割が生活が苦しいと答えているんです。これをどうするかということこそ私やらなきゃいけないことだし、こういう指摘もあるんですね。被保護母子世帯においては、交際費や子供との外出等の充足が低いと、こういう点も考慮する必要があるという意見も出ているんです。母子家庭の生活が全体として厳しくなっている、だからそれに合わせて保護基準も下げていくというのは、私そんなことしたら、もうどんどんどんどん低い方へ低い方へ流れていってしまうことになるじゃありませんか。
 国としてここまでは責任を持つんだ、ナショナルミニマムなんだという立場でしっかり守っていくということこそ私は考える基準に据えるべきだと思いますが、いかがですか。
#267
○国務大臣(尾辻秀久君) 生活保護が最後のセーフティーネットであるということはそのとおりでございます。ただ、申し上げましたように、一般の母子世帯の水準がここにある、それと生活保護の家庭と、これを見ながら、こっちの水準と生活保護の水準、これ比較評価するというのは、これは私は、生活保護が最後のセーフティーネットであるからこそ、ある意味ではまたやるべきことだと思っております。
#268
○小池晃君 私は、それでは国の責任果たしたことにならないというふうに申し上げます。
 しかも、今、自立支援プログラムということが進んでいて、受給者の実情に応じた支援を行っていくことはこれは大切なことだと思うんですが、例えば北海道の札幌市でやられているような例では、何月までに働きますという自立計画書を書かせて、同時にそのときに、翌月から生活保護受給を辞退しますという辞退届を書かせると、こんなことまでやっているんですね。
 局長にお伺いしたいんですが、本人の条件や求人条件との関係で、働きたくても働けないというケース、これ当然あるはずだと思うんですよ。そういうときも保護を廃止するんでしょうか。その点についての考え方をお示しいただきたい。
#269
○政府参考人(小島比登志君) 生活保護制度におきましては、稼働能力の活用ということが保護の要件とされておりまして、これは裁判所の判例を踏まえて、まず稼働能力を有しているかどうか、次に稼働能力を活用する意思があるかどうか、次に、実際に稼働能力を活用する就労の場があるかどうかということにより判断をするということになっております。このため、就労意欲があり、求職活動も熱心に行い、また自立支援プログラムへの取組も熱心な方が就労の場が得られないという者については、稼働能力活用の要件を満たすことになりまして保護停廃止の対象にはならないというふうに考えております。
#270
○小池晃君 いや、個々の実情をしっかり見て対応していくということが考え方の基本なんじゃないですか。もう一度お答えいただきたい。
#271
○政府参考人(小島比登志君) ここに、求職活動が熱心かどうかというのが非常に判断のところでございまして、この判断をめぐりまして福祉事務所なりケースワーカーの方もなかなか難しいということでございます。これを解決する一つの考え方が自立支援プログラムということでございまして、被保護者の実態を把握して、それに応じたきめ細かな自立就労支援をシステム的に行っていくということで、稼働能力があるかどうか、活用ができるかどうかというのを判断していくというのはこれから考えていくことでございます。
#272
○小池晃君 最後に、来年度、セーフティーネット支援対策費というのが新設されます。これは、今まであった生活保護費の補助金やホームレス対策事業、在宅福祉事業費の補助金など、これは〇四年度でいうと総額百五十三億円なんですが、これが統合されて百三十六億円になるということなんですね。
 先ほど大臣はセーフティーネット大事だとおっしゃったんだけれども、大事だと言われているときに十七億円も削減するというやり方は許されないんじゃないですか。お答えいただきたいと思います。
#273
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お述べになりました補助金は、昨年の三位一体改革におきまして、一つは生活保護費補助金、二つ目に地域福祉推進等事業費、それから三つ目にホームレス対策事業費を統合して創設したもののことを言っておられると思いますけれども、確かに来年度予算案には百三十六億円を計上しておりますけれども、三つ一緒にする前の、統合前の今年度の合計額で比較すると十七億円下回っております。これはそのとおりでございます。
 しかしながら、補助金を統合したことにより、地域の実情に応じて生活保護受給者や低所得者等に対する必要な事業を自由に組み合わせ、一体的な事業の実施が可能となることから、十分効果が上げられるものと期待をしておるところでございます。
 さらに、この補助金に加えまして、ハローワークに生活保護受給者のためのコーディネーター等を配置し、きめ細かな就労支援を実施いたしますとともに、生活保護受給者に対する公共職業訓練を実施するための経費として新たに十四億円を予算案に計上しておるわけでございます。十四億円新たに加えておるということを申し上げたところです。
#274
○委員長(岸宏一君) 小池君、時間が来ております。
#275
○小池晃君 はい。
 こういう経済情勢、国民の暮らしの中で、最後のよりどころ、ホームレス対策も含めて、こういったものを十七億円も削るということは、いろんな理由があっても許されないことだということを申し上げたいと思います。
#276
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今年は二〇〇五年、戦争が終わって六十年。広島、長崎、沖縄から六十年。この六十年間の間に置き去りにしてきた問題、解決していない問題を戦後六十年の節目の今年こそきちっと解決をすべきであると考えております。
 たくさんテーマはありますが、まず供託金問題についてお聞きをいたします。
 戦後、一九四六年、日本政府は通達を出して、様々な企業に、朝鮮の人たちの働いた賃金を供託すべしというものを出しました。そのお金が当時の金額と有価証券の金額で二億一千五百十四円。現在の貨幣価値に直しますと八十三億円以上になるという試算もあります。実はもっとなるのではないかというふうにも思いますが、要するに、二億近くのお金が今、日本銀行に眠っていると。このお金は、戦争中に連れてこられたり、強制連行であったり、そうでなかったり、様々な立場から働いていた人たちの賃金の集まりがこの二億円以上の金額になっているわけです。
 これは一体、日本政府はどうするのか。これは、日本政府がどう考えても持っておくべきお金ではありません。質問主意書等、今まで出してきましたが、日本政府はこのままにしておくという見解ですが、大臣、いかがでしょうか。
#277
○国務大臣(尾辻秀久君) この供託金のことでありますけれども、供託金は今法務省の所管でありまして、法務省が取り扱っておられるところでありますので、私が直接的に何かを申し上げる立場にはございません。
#278
○福島みずほ君 日本銀行が財布であり、法務省は単に供託の手続を行うところで、戦後のこの解決をどうするかは厚生労働省の管轄そのものだと考えます。
 ドミニカ問題などについて取り組んできた尾辻大臣だからこそ、この問題について、例えば公告をして、この名前の、こういうことを記憶がある人は名のり出てくれというようなことをやるとか、英断をしていただきたいと考えますが、いかがですか。法務省供託所は単なる手続の機関でしかありません。
#279
○国務大臣(尾辻秀久君) 今も、この朝鮮人労働者未払賃金問題についてという紙がありまして、これを読んでおるわけでございますが、これ読みながら、果たして何ができるのかなと思いますと、率直に非常に難しいという感じを持つことだけは申し上げたいと存じます。
#280
○福島みずほ君 でも、ひどい話なんですよ。六十年前に当時のお金で二億近くを日本はプールさせたと。それを六十年間持ち続けて、どうするのか。これは日本の中にあるべきお金でないことだけは確かです。働いた人たちのお金なわけですから。
 ですから、名簿等はあるわけですから、それを朝鮮半島、韓国や中国で公告をするとかですね、いろんなことが考えられ得ると思いますが、いかがでしょうか。
#281
○国務大臣(尾辻秀久君) 今申し上げたこの朝鮮人労働者未払賃金問題についてというものを読みますと、一番最後のところに、供託金の現状というのが書いてあるんですけれども、法務省では、供託された未払賃金について時効によって消滅したという見解を変える余地はないが、韓国との関係はともかく、北朝鮮との間では請求権がどうなるか定かでないことから、時効完成による国庫への歳入納付の手続を取ることを見合わせているというふうに述べてあります。
 したがいまして、この辺の整理が付けば、法務省はもうこの供託されたものを国庫へ歳入納付するということになろうかと考えております。
#282
○福島みずほ君 しかし、この問題については、北朝鮮との間ではまだ国交回復しておりませんし、時効は成立をしてないという見解です。
 少なくとも、このお金は日本政府が持つべきものでないことだけは確かですから、何らかの形で個人に渡るような努力をすべきだと。未来永劫日本政府が持っておくべきではないというふうに考えますが、何か工夫はできないのでしょうか。
 少なくとも、六十年間放置してきたことは問題であると考えます。
#283
○国務大臣(尾辻秀久君) 確かに、今お話しのような過去の経緯はございます。この事業主、関係事業主に、過去の経緯でいいますと、指導を行ったという経緯もございます。
 ただ、長い時間が経過いたしまして今申し上げたような状況になっておりますので、今、じゃ何か私どもにできるかというと、再三申し上げておりますけれども、率直に極めて難しいとお答えせざるを得ません。
#284
○福島みずほ君 ひどい話です。
 さっきの時効は、政令二十二号は、第七条において、この政令の規定により供託された供託物に対する還付請求権の消滅時効は、政令をもって定める日まで完成しないとしていますので、時効の問題は起きてないんですよ、政令上。
 ですから、ポイントは日本がこのお金をどうするかです。当時のお金で、八十三億円以上、二億円が日本の中にあって、これは日本政府に帰属はできないわけですから、六十年の今年、これこそ、どうするか、きちっと何らかの形で返すべきだと考えます。
 尾辻大臣がせっかく厚生労働大臣になられたわけですから、ある種の英断をしていただきたいと考えますが、いかがですか。
#285
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど来申し上げておりますように、じゃ具体的にどういうことが考えられるのか、また是非いろいろ御意見もいただきたいというふうに思います。
#286
○福島みずほ君 当時の供託に伴う名簿のようなものがあるわけですから、それを公告をして、遺族あるいは本人に名のり出てもらうというのが私は一つの方法であるというふうに考えます。
 韓国でも真相究明委員会が立ち上がっておりますので、これは少なくとも私たちが、日本政府が持っておくべきお金ではなく、働いた本人に返すべきであると、時効は完成してないわけですから。その努力を強く求めますが、いかがですか。
#287
○国務大臣(尾辻秀久君) 法律の専門家の先生にそういうことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、この時効が完成しているかどうかというのはそれぞれ解釈があるんだろうというふうに思います。先ほど申し上げましたように、法務省では、時効によって消滅したという見解を変える余地はないと、こういうふうに言っておりますから、この辺の解釈の問題も出てくるというふうに考えております。
#288
○福島みずほ君 重要なことは、自発的に企業が供託をしたわけではなく、日本政府が通達を出して供託せよとやったわけです。にもかかわらず、本人にはお金を渡さなかったと。本人にも通知をしておりません。だから、だれも、だれもというか、何人かもらったようですが、基本的にそのままお金がプールをされているわけです。私は、時効の完成の有無に関係なく、これは日本政府が努力をして返すべきだと、少なくとも努力をしたということを示すべきだというふうに考えます。
 次に、遺骨問題についてお聞きをします。
 日本人、そして外国人のものであれ、遺骨のきちっとした収集がなされるべきです。
 昨年十二月十七日、盧武鉉大統領と小泉首相との会談で言及がありました。これについて盧武鉉大統領が小泉総理に言ったことに、戦時中の民間徴用者の遺骨収集への協力をお願いしたい、首相、何ができるか検討したいというふうに答えております。
 遺骨問題について、どう進んでいますでしょうか。
#289
○政府参考人(猪俣弘司君) ただいま委員御指摘のとおり、昨年の日韓首脳会談で今のようなやり取りがございました。
 朝鮮半島出身者の遺骨問題への対応につきましては、既に御案内のとおり長期間が経過しているという等のいろいろな困難はございますけれども、そういった昨年の首脳会談の場でも議論されたということもございますし、過去に行った調査なども参考としながら、政府としていかなる協力が可能かにつき今実務的に検討しているところでございます。
#290
○福島みずほ君 軍人軍属の方のは祐天寺にあります。ただ、民間の人たちは一体骨がどうなっているのかなかなか分からない。その点については具体的にどう進められる予定でしょうか。
#291
○政府参考人(猪俣弘司君) 今御答弁しましたように、過去に行った調査もございまして、それも踏まえまして、どういうことができるか、今実務的に検討しているところでございます。
#292
○福島みずほ君 是非、結果を教えてください。また、進展もお願いいたします。
 次に、残留孤児の問題についてお聞きをいたします。
 まず、三月七日に福岡高裁の判決が出ました。例えば、残留孤児の発生には国の満州開拓民大量入植計画という国策に原因があるのではないかという指摘もされています。また、その後の引揚げや自立支援が遅きに失したという福岡高裁の指摘をどう受け止められますか。
#293
○政府参考人(大槻勝啓君) 残留邦人対策につきましてのお尋ねでございますけれども、厚生労働省といたしましては、これまで関係省庁、地方自治体等と連携をいたしまして、いわゆる帰国者支援法に基づきまして、残留邦人に対しましての日本語教育、就労支援、国民年金の特例措置等の各種支援策を講じてきたところでございます。また、近年におきましては、中長期的にこういった方々に支援を行うことが必要であるという観点に立ちまして、平成十三年度から中国帰国者支援・交流センターを全国三か所に設けまして、遠隔地教育、通信教育等も含めました日本語習得支援、あるいは、高齢化されている方々が地域で孤立化をしないようにという観点から、地域社会における交流事業といったものを行うなどいたしまして支援の充実に取り組んでおるところでございます。
#294
○福島みずほ君 ではお聞きしますが、では、残留孤児の人たちがなぜ裁判を起こしているのでしょうか。
 残留孤児の人たちの生活支援がなかなか残念ながら進んでいません。七割の人が生活保護を受け、もう本当に困難な状況にあります。そういう事態を厚生労働省はどう受け止めていらっしゃるでしょうか。
#295
○政府参考人(大槻勝啓君) 帰国されました残留邦人の方々につきましては、お話のように、これまでは苦難の道を歩まれたこともございます。また、高齢化されておるという現状もあるわけでございまして、私どもとしては、その生活の安定のために現行の社会保障制度をできるだけ活用いただくように配慮をするということが必要だと思っておりますし、また、私どもでいろんな意味での先ほど申し上げましたような支援策を講じておるところでございますので、そういった施策と相まちまして、帰国された方々が地域社会におきまして安心した生活を営めることができますように、今後ともその実態をよく踏まえながらきめ細やかな支援に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#296
○福島みずほ君 もう当たり前ですが、好きで孤児になったわけではなく、本当に歴史の中でつらい目に遭われた人たちだというふうに思います。生活保護で対処するのではなく、孤児独自の支援策が必要ではないでしょうか。
#297
○政府参考人(大槻勝啓君) 確かに、先生御指摘のように、生活保護を受けている方が現実に多いわけでございます。ちょっと古い数字でございますけれども、平成十一年ごろの私どもの調査では、帰国後十年以内の方々で約六五%の方が生活保護を受けておられるというのが実態でございます。
 高齢化ということもございますし、やはり、日本語習得の面で私ども支援をしておりますけれども、なかなかそれが円滑に進まない面もございまして、就労問題を考えましても、高齢化という中でなかなか就労を通じた自立支援が難しいという局面もあるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、やはりあらゆる社会保障制度をそういった方々の実態に即して適用していくという運用が大事だろうと考えておるところでございます。また、最後の最後にはやはり生活保護でもって生活を最低限保障するということが重要な施策であるというふうに考えております。
#298
○福島みずほ君 遅きに失したという司法の判断を重く受け止めるべきだと思います。
 まず、残留孤児として中国に遅く置いておかれたという問題、それから、日中国交が遅れたこともありますが、日本へ帰ってくるのが遅れたという問題、それから日本に帰ってきた後の支援の問題、三つぐらいやはり政治の責任があるというふうに思います。もう戦後今年は六十年、戦争が終わって六十年と言いましたが、御本人たちももう本当に高齢です。この点について是非きちっと進むようお願いをします。
 近く大阪地裁の裁判が結審しますが、今まで出ている判決も含め、司法の指摘は十分尊重すべきではないでしょうか。
#299
○政府参考人(大槻勝啓君) 御指摘のように、全国各地で訴訟が行われておりまして、御指摘の大阪の訴訟につきましても近く結審を迎えるというふうに伺っているところでございます。訴訟になっている件につきましては、司法の判断をよく見させていただくということが基本であるかと考えております。
#300
○福島みずほ君 もう戦後七十年目ということがないかもしれない、だとすると、今年こそ是非前向きに取り組んでくださるようお願いいたします。
 次に、シベリア抑留問題についてお聞きをいたします。
 南方から帰還した捕虜の人は、本来は抑留国が行うべき捕虜に対する支払を我が国が立替払するとの認識の下に労働賃金の支払が行われております。しかし、シベリアから帰還した捕虜にはその支払が行われていないため、結果として出征・動員先による差別的な取扱いが生じております。南方から帰還した捕虜については立替払であるのであれば、シベリアから帰った人たちについても何らかの方策が取られるべきではないか。
 何が言いたいかというと、シベリアに行ったか南方に行ったかは本人たちの選択でもないわけです。どこに行ったかによって差が生ずる、これはおかしいと考えますが、いかがでしょうか。
#301
○政府参考人(小松一郎君) お答え申し上げます。
 今、委員からの御指摘がございましたように、南方の、英米等でございますけれども、その抑留を受けていた方々に対して立替払ということで、これはGHQの指令を受けました大蔵省の告示によりましてこの支払が行われた事例があるわけでございます。
 この点につきましては、過去、累次御答弁を申し上げ、また質問主意書に対する答弁書等でも政府からお答えしているところでございますけれども、それ以外の支払につきましては、為替管理上の理由でこの支払を許されていなかったという実態があるというふうに承知しております。
 で、この点につきまして、差別ではないかという点につきましては、これも委員よく御案内のとおりでございますけれども、国に対する訴訟が提起をされまして、平成九年でございますけれども最高裁の判例が出ているわけでございまして、これは不当な差別と言うことはできないと、立法政策にゆだねられた問題であるというふうに判示をされているというふうに理解をしているところでございます。
#302
○福島みずほ君 でも、端的にお聞きしますが、おかしくないですか。南方に行って捕虜になった人は立替払でもらえる、もちろん不十分でしょうが。で、シベリアに行った人はもらえない。やっぱりおかしいというふうに思われませんか。
#303
○政府参考人(小松一郎君) お答え申し上げます。
 先ほど最高裁の判決について、基本的にこの立法政策の問題であるという判決が出ているということをお答えしたところでございます。で、それを踏まえまして国内においていかなる政策を取るかということにつきましては、外務省、私どもの方からお答えをできる立場にないわけでございますが、私ども承知していますところでは、ソ連により抑留された方々及びその御家族に対しましては、他地域よりの帰還者に対するものに加えまして援護法、恩給法等などにより特別の手当てが行われ、また、昭和五十九年の戦後処理問題懇談会報告を受けまして、平和祈念事業特別基金による慰謝事業が実施されているというふうに承知しております。
#304
○福島みずほ君 その祈念事業という形ではなく、きちっとした形の賃金支払がなされるべきだと考えますが、いかがですか。
#305
○政府参考人(小松一郎君) 未払賃金につきまして、政府が、日本政府がこの支払をすべきであるという訴訟が、これはもう委員、釈迦に説法でございますけれども、提起をされまして、これは最高裁まで参りまして、平成九年にこの判決が出ておるわけでございます。それは御案内のとおりでございまして、累次政府が御答弁申し上げておりますように、このシベリア抑留者に対する賃金の支払について、この抑留者の所属国たる我が国が労働賃金の支払を行う国際法上の義務はないということが判決で判示をされているというところでございます。
#306
○福島みずほ君 次に、在外被爆者の葬祭料についてお聞きしますが、政府の態度がひどいと思うのは、平等に扱えっていう判決は上告するんですよ、上訴するんですよ。それで、今のままでいいんだというのは、判決がそう言っておりますのでって言って、ひどいじゃないですか。できるだけ、いや、予算は限りがあります。しかし、私は、戦争は起こすべきではないと思います。なぜなら、戦争による被害の回復が本当にはできないからです。しかし、戦争がかつて起きた、あった、戦争による被害者がいる。だとしたら、それの救済はできるだけ公平に、誠実にやはりなされるべきだというふうに考えております。
 次に、在外被爆者への葬祭料に関する判決についてお聞きをします。
 これは三月八日、長崎地方裁判所で、被爆者援護法の趣旨や立法経緯、立法者意思から判断すれば、在外被爆者にも同等な援護内容を実施すべきである、こういう判決が出ております。外国にいて、日本に来なければもらえないっていうのであれば、もう高齢になっていて来れないわけですね。ですから、大臣、これは知恵を絞っているところですが、在外公館の幾つかに取りあえず申請の窓口を作る、こういう解決で、是非、葬祭料についての手当てをやっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
#307
○国務大臣(尾辻秀久君) もう、今回の判決について改めて繰り返し申し上げるようなことはいたしません。判決は判決として出たわけでございます。そしてまた、今日までの被爆者援護法の立法の経緯や立法時の議論などが、経緯がございますので、私どもの立場といいますか、在外被爆者からの申請を認めることが難しい問題があるということは御理解をいただきたいと思います。
 ただ、これまでも在外被爆者の支援についてはいろいろ進めてきたところでございますけれども、更に在外被爆者の高齢化が進む中、その支援の在り方については、私といたしましても、今後十分に検討していきたいと考えております。
#308
○福島みずほ君 外務省にお聞きします。
 在外公館の幾つかに申請の窓口は作らないでしょうか。
#309
○政府参考人(鹿取克章君) 今、委員御指摘の在外公館の活用も含めまして、被爆者援護法の下で外務省がどのような役割を果たせるかにつきましては、厚生労働省との協議を十分行って適切に対処してまいりたいと考えております。
#310
○福島みずほ君 これは、判決を受けて問題を解決するには、取りあえず在外公館で窓口を作り、そこで書類を出してもらって、必要があれば追加的に、こういう資料も追加で出してくださいという、そういうフィードバックがあれば解決すると思いますが、大臣いかがですか。
#311
○国務大臣(尾辻秀久君) 申し上げましたように、日本に来ていただけば手続ができるわけでありますけれども、高齢化が進んでなかなかそれができない方がおられるという話でありまして、申し上げましたように、高齢化が進んでおるというその中で、支援の在り方について十分検討させていただきたいと思います。
 そうした中で、今のお話も検討の中の一つの話だというふうに理解をいたしております。
#312
○福島みずほ君 是非、もう余り時間がありませんし、日本に来れない方もいらっしゃるので、今、検討するとおっしゃったので、是非、在外公館の幾つかに申請の窓口を、取りあえず例えば中国、韓国で作るとか、努力をしていただきたいというふうに思っております。
 済みません、毒ガス、化学兵器、慰安婦の問題についてもやろうと思ったんですが、ちょっと時間切れになりました。
 この間、東京大空襲の記念日がありましたが、私自身は、一般の空襲で亡くなった人には一切、一円の補償もありません。戦争の被害に関してやっぱり何か戦後の体系が変じゃないかという思いもあります。ただ、今日申し上げたいのは、積み残した六十年間の問題をやっぱり政治が解決するということで一緒に頑張っていきたいというように思っております。
#313
○委員長(岸宏一君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#314
○委員長(岸宏一君) 次に、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。
#315
○国務大臣(尾辻秀久君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現在、厚生労働省の地方支分部局として公共職業安定所が全国に配置されておりますが、これに関しては行政改革の一環として統廃合を積極的に推進するとともに、地域の実情の変化に対応した配置の適正化を図ることとしております。
 この案件は、平成十六年度において、右の理由から越谷公共職業安定所を新たに設置することについて、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。
 以上が、この案件の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
#316
○委員長(岸宏一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト