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2005/04/26 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 厚生労働委員会 第17号
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2005/04/26 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 厚生労働委員会 第17号

#1
第162回国会 厚生労働委員会 第17号
平成十七年四月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                国井 正幸君
                武見 敬三君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                遠山 清彦君
    委 員
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                田浦  直君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                中村 博彦君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                水落 敏栄君
                足立 信也君
                朝日 俊弘君
                家西  悟君
                小林 正夫君
                柳澤 光美君
                柳田  稔君
                蓮   舫君
                草川 昭三君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   尾辻 秀久君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       藤井 基之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       厚生労働省労働
       基準局労災補償
       部長       森山  寛君
       厚生労働省職業
       安定局長     青木  功君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       伍藤 忠春君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       厚生労働省年金
       局長       渡辺 芳樹君
       社会保険庁運営
       部長       青柳 親房君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障に関する日本国政府とフランス共和国
 政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法
 等の特例等に関する法律案(内閣提出)
○社会保障に関する日本国とベルギー王国との間
 の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等
 に関する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案外一件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君外五名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(岸宏一君) 次に、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案及び社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 本日は、フランス、ベルギー両国との年金等の協定に関しての法律案の審議でございますけれども、まず、その審議に先立ちまして、昨日のJR西日本福知山線列車事故について御質問を申し上げたいと思います。
 伝えられるところによると、七十数名の方が亡くなられたということでございまして、亡くなられた方々には心から哀悼の意を表するとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。
 私自身の選挙区でもございますものですから、昨日視察にも行ってきたところでございますけれども、それに関連いたしまして御質問をしておきたいと思うわけでございます。
 政府といたしましては、官邸に対策室を設置していただいたというふうなことも含めてお取組をいただいているところでございますけれども、厚生労働省の所轄という意味合いにおいて、今回の事故において災害救急医療面で御対処いただいた面があるかと思うんですけれども、その面における御報告、御説明を賜りたいと存じます。
#6
○国務大臣(尾辻秀久君) 大変痛ましい事故が発生をいたしました。私からも、亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々に対してお悔やみを申し上げたいと存じます。また、負傷された方々とその御家族の皆様方にもお見舞いを申し上げる次第でございます。
 厚生労働省といたしましては、事故発生後直ちに広域災害・救急医療情報システムの災害運用を開始いたしますとともに、その情報を基に関係省庁や地元自治体と密接に連携し、けがをされた方々の医療機関への搬送について調整したところでございます。
 また、さらに具体的な対応といたしましては、独立行政法人国立病院機構大阪医療センターにより医療チームを派遣いたしますとともに、日本赤十字社からも五つの救護班が派遣されたところでございます。
 今後とも、関係省庁や地元自治体を始めとする関係機関との連携調整及び情報交換を密接に行いまして、まず医療の提供、それから、今後考えられます心のケアということが出てこようと思いますので、そうした対策に万全を期してまいりたいと存じております。
#7
○辻泰弘君 今回の事案は基本的には国土交通省にかかわることだろうと思うわけでございますけれども、今次事故における医療面での、今言っていただいたフォロー、また根本的に災害救急医療というものについての万全な対処方を御要請申し上げておきたいと、このように思うわけでございます。
 さて、本題に入らせていただくわけでございますけれども、今回、フランス、ベルギー両国との社会保障の協定が署名に至っているという中で今回のことに至っているわけでございますけれども、そもそも両国との交渉開始から今日に至るまでの経緯をまず簡単に御説明いただきたいと存じます。
#8
○政府参考人(渡辺芳樹君) お答え申し上げます。
 日本とフランス、日仏協定につきましては、平成八年にさかのぼりますが、日仏首脳会談で言及されて以来、従来より日仏双方の企業から両国政府に対して行われてきた協定締結への要請などを踏まえまして、平成十二年六月に日仏双方の社会保障制度について情報・意見交換会を開催いたしました。その後、平成十四年九月から十六年十月まで五回にわたり交渉を行い、本年、平成十七年二月に署名を行ったところでございます。
 一方、日本とベルギーの協定につきましては、これも、日本・ベルギー首脳会談が平成十三年二月に行われた際の共同声明におきまして言及されて以来、日本、ベルギー双方の企業等からの協定締結への要請等を受けて、平成十三年十一月に情報・意見交換会を開催した後、正式には平成十五年十月から十六年九月まで三回にわたる交渉を経て、これも本年二月に署名を行ったところでございます。
 今回の法案は、それに基づく実施に関する特例法案という形で御審議をお願いしております。
#9
○辻泰弘君 そこで、日本においては今国会承認のプロセスになっているわけでございますけれども、その相手国たるフランス、ベルギーにおける国会の承認、あるいは協定の発効というものについての見通しをどのように認識されているかについて御説明ください。
#10
○政府参考人(渡辺芳樹君) 今申し上げましたような本年二月の署名に係る日本とフランス、日本とベルギーの協定につきまして、日本及びフランス又は日本及びベルギー、それぞれの両国において国会又は議会の承認を得る手続が進められているところ、フランス、ベルギー両国においてもそのような手続を進めつつあるというふうに承知しております。
 二協定とも、両国の間での認識といたしましては、平成十八年度中の発効を目指して両国間で引き続き準備を進めるというふうにしているところでございます。
#11
○辻泰弘君 これまで日本は四か国と協定を結び、今回フランス、ベルギーともそんな形になって、計六か国ということになるかと思うんですけれども、これまでにそれ以外で協定締結の交渉申入れがあった国、また今の状況について御説明を賜りたいと存じます。
#12
○政府参考人(渡辺芳樹君) 現在、カナダとの間におきまして、昨年十月からですが、協定締結に向けた交渉を開始しております。また、オーストラリアとの間では、今月二十日、つい先日でございますが、行われました日豪首脳会談におきまして、本年六月から正式に交渉を開始するということが合意されたばかりでございます。またさらに、オランダとも協定交渉に向けた情報・意見交換会を行っているところであります。
 今後とも、外務省とも十分相談しつつ、優先度の高いものから順次進めていくこととしておりますが、このほかにも、イタリア、ブラジル、オーストリアなど数か国からお話を承っているというところでございます。
#13
○辻泰弘君 そこで、日本は今四か国から六か国になろうとしているわけでございますけれども、その相手国たるフランス、ベルギーという両国が何か国と社会保障協定を締結している状況にあるのかと、このことについて御説明をください。
#14
○政府参考人(渡辺芳樹君) お答え申し上げます。
 フランスにつきましては、米国、カナダ、EU加盟国など五十七か国との協定を締結していると承知しております。また、ベルギーにつきましても、米国、カナダ、オーストラリア、EU加盟国など四十二か国との締結ということで、数多くの国々と締結をしておられるというふうに承知しております。
#15
○辻泰弘君 これまでドイツ、イギリス、アメリカ、韓国、四か国との協定締結ということで、発効もしているわけでございますけれども、あるいはアメリカについてはまだ発効はしていないようですけれども、四か国とそういう形で交渉ができてきているわけですけれども、その中で、イギリス、韓国とは年金の加入期間の通算はなかったわけでございます。今回のフランス、ベルギーはあるわけですけれども、何ゆえイギリス、韓国は年金加入通算ができなかったのかと、このことについて御説明ください。
#16
○政府参考人(渡辺芳樹君) 従来、社会保障協定は国際的にも、柱といたしましては、両当事国の年金制度の二重加入の防止、それから両国の保険期間を通算することによって年金受給権の確立に資すると、こういう大きな目的が二つあるわけでございます。
 御指摘のとおり、イギリス、韓国との関係では通算部分がないということでございます。イギリス、韓国との協定締結交渉に当たりまして、我が国としてはこの二つの主目的を盛り込んだ協定の締結をすべきであるということを主張した経緯がございます。しかしながら、交渉でございます。相手国の方の方針というものは、イギリスとの締結交渉でイギリス側が主張いたしましたのは、二重加入の防止に限った内容としたいという方針で先方は貫いておられました。そういうことで、話がまとまるというものを取り入れて、通算の方については盛り込まなかったという経緯がございます。
 また、韓国との協定締結に当たりましても当方は主張いたしましたが、韓国側の御主張は、韓国の年金制度の歴史が浅く、平均加入期間が交渉当時十二年ぐらいしかないということで、当分の間は日本の年金制度の最低加入期間二十五年を満たすことは難しく、期間通算の利益が専ら日本側に帰属してしまうということで、今の時点では難色を示されたというような経緯もございます。
 私どもは、期間通算に固執して協定締結そのものを遅延又は決裂させるということが、国際競争にしのぎを削る我が国の関係企業にとって負担となっている二重適用問題の速やかな解決を図るという要請からすると、余り固執するのは不適当ではないかと考えられたこと、また、実際に現地の日系企業等から二重適用の回避ができるのであれば協定早期締結をという御要請もあったことなどから、相手国の立場を受け入れて保険期間の通算を協定に盛り込まないことで合意いたしたところでございます。
 なお、こうした保険期間の通算につきましては、両国とも今後その可能性について模索していくということで意見をともにしておりますので、時期を見て意見交換していきたい、こういうふうに考えております。
#17
○辻泰弘君 社会保険という意味で、年金とともに医療があるわけでございますけれども、今回はフランス、ベルギーが年金のみならず医療も対象となっていると、そしてかつての四か国の中でアメリカも医療が対象だったということになっているわけでございますが、ドイツ、イギリス、韓国においては年金だけだったということでございます。
 そこで、このドイツ、イギリス、韓国の医療保険は対象とされなかったということを、その経緯を、理由を簡単に御説明ください。
#18
○政府参考人(水田邦雄君) お答え申し上げます。
 まず、ドイツとの関係でございますけれども、これは経緯から申しまして、まさしく年金通算に関する協定の締結ということを目指してこの社会保障協定が協議され、締結に至ったということでございます。
 考えまするに、やはりドイツの医療保険制度におきましては高額所得者が任意加入になっているという、こういう制度の立て方もあろうかと思いますけれども、当時におきましても現在でも特段の要望、要請というものが寄せられていないということがございます。
 次に、イギリスとの間でございますけれども、これは御承知のとおり、イギリスにおきましては、医療サービスについてナショナル・ヘルス・サービスということで税方式で提供されております。したがいまして、二重加入に伴う負担の免除といいましても、どこをどうするのか、技術的にこれは難しいということがあろうかと思います。
 最後に、韓国との協定についてでございますけれども、現在、韓国の現行制度におきましては、韓国国内に居住する外国人については強制適用となっていないということ、また外国に居住する韓国人については保険料を徴収していないということで、日韓間では医療保険料の二重負担の問題は生じていないと、このような状況にあろうかと思っております。
#19
○辻泰弘君 そこで、ちょっと質問の順序が繰り上がるかもしれませんけれども、既に協定が発効した国との間における年金の加入期間通算における裁定の実績、これは年金協定があるのが、協定発効したのはドイツだけだと思うんですけれども、ドイツ人に対する日本からの給付の実績について、給付の件数、支給額、平均額をお示しください。
#20
○政府参考人(青柳親房君) ドイツとの間の実際にこの協定に基づくところの実績等のお尋ねでございました。
 ドイツとの協定におきまして、まず、ドイツの年金加入期間を通算いたしました我が国の国民年金、厚生年金保険の裁定件数でございますが、平成十二年の二月の協定発効以降、平成十五年度末までの間に八十二件、年金額、平均で申しますと約三十九万六千円という数字になっております。
 なお、これは双方の協定ということでございますので、ドイツの方の様子についてドイツから伺っている範囲では、協定発効以降、平成十四年末までの間におきます日本の年金加入期間を通算したドイツ年金の裁定件数は四十五件に上っているものと承知をしております。
#21
○辻泰弘君 額はどうですか。
#22
○政府参考人(青柳親房君) 残念ながら、ドイツの方からはちょっと金額を伺っておりませんので、現時点ではちょっと把握をしておりません。申し訳ございません。
#23
○辻泰弘君 平均額はお示しいただきましたよね。済みません、失礼しました。
 それで、もう一点、協定締結による二重払いの防止と年金加入通算ということがあるわけですけれども、それに関して、事業主、また年金受給権者、昔そちらに在留していたというようなこともあるんでしょうけれども、そういった方々に広報、周知するというのは、個人にはなかなか難しいところもあるかもしれませんけれども、そういったことについてどういう手だてを講じてきておられ、またこれからしていかれるか、このことについて御方針をお示しください。
#24
○政府参考人(青柳親房君) まず、どのくらいの方々を対象にしてやるかということからちょっとお答えをさせていただければと思いますが、日本からフランス、ドイツに派遣されている企業の駐在員ということで二重負担の対象にもなっておられる方、フランスでは三千人ぐらい、それからベルギーは千五百人ぐらいおられるだろうと。これらの方を今回の協定によりまして二重払いの解消をするということが今回の協定の目的でございます。
 周知、広報いかんというお尋ねにつきましては、まずは事業主あるいは関係団体等に対しましてチラシの配布あるいは説明会の開催というようなことを実施をしてまいりたいと考えております。また、年金受給権者に対しましては、受給者のしおりということで、これは個別の御案内を私どもの方から送付をさせていただきますので、このようなものを活用させていただきます。さらに、十七年の三月には、私どもの方の社会保険庁のホームページにこうした協定の内容あるいは手続についてのコーナーを新たに設けさせていただきましたので、こういったことを活用していただいて周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
#25
○辻泰弘君 それで、今回の措置についてですけれども、今までのものもそうですけれども、協定発効以前についても遡及適用されるというふうに理解するんですけれども、それでいいのかということと、そういった方々の対象がどれぐらいになるのか、また事務的な対処というのは、集中することもあるかと思うんですけれども、どういうふうに見ておられるか、そのことについてお示しいただきたいと思います。
#26
○政府参考人(渡辺芳樹君) 二重適用の防止ということと保険期間の通算と、二種類が主な内容になっておるわけでございますが、今御質問にありましたのは、保険期間の通算に関連して遡及適用がなされるかと、こういうお尋ねだと承知いたしました。
 これにつきましては、協定が発効することにより、協定発効前にそれぞれの国の制度に加入していた期間につきましては両国の期間を通算することによって相手国制度からの給付を受けることが可能になる、こういう協定でございますので、期間については遡及する、こういうものでございます。
#27
○政府参考人(青柳親房君) 対象の数及びその事務が集中するようであるが、これをどのように対応していくのかというお尋ねでございました。
 対象の数につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、フランス関係者で約三千人、ベルギーで一千五百人ぐらいの方々が対象になると考えておりますが、この事務処理体制につきましては、協定に関する申請の受付というのは、既存の協定と同様に、各社会保険事務所で各事業所から受付をするということを予定しております。ただ、相手国が違うとその国ごとに言わば様々な申請書類等がばらばらになるというようなことになってしまいますと、申請をしていただきます事業所等にも大変御負担をお掛けするということになりますので、私どもとしては、でき得れば、そういった事務処理にいろんな違いが生じないように相手国ときちんと調整を行いまして、可能な限り事務処理、事務手続の統一化を図るということを心掛けてまいりたいというふうに思っております。
 また、窓口でこれに対応させていただきます職員に対しましても、通知等を徹底いたしまして事務処理方法などの周知を図り、研修をまた実施して事務処理体制に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
#28
○辻泰弘君 今回の法案におきまして、かつてもそうでございましたけれども、二重払いの回避というために、滞在派遣期間というものを五年ということで明示しておられるわけでございますけれども、その五年とされた根拠を、そのことについて御説明ください。
#29
○政府参考人(渡辺芳樹君) 御指摘のとおりでございますが、この五年ということにつきまして、フランス、ベルギー双方の様子を申し上げたいと思います。
 フランスにつきましては、平成十三年から十四年にかけて実態調査を行わさしていただきました。日本からフランスへ派遣される期間について、五年未満の方が合わせて七割近くを占めているということを確認さしていただき、これを踏まえて交渉の結果五年となったものでございます。また、ベルギーにつきましては、ベルギー日本人会が平成十四年に実態調査を行っていただきました。日本からベルギーに派遣されている期間についてお調べいただいたところ、五年未満が八割以上を占めていると、こういう結果を出していただきました。こうしたものを踏まえて交渉して五年というふうにしたわけでございます。
 この派遣期間を五年というふうにした、二重適用の防止の派遣期間、ここを五年といたしましたのは、それぞれ、日仏の協定の第六条とか日ベルギー協定の第八条にそれをしっかり合意した点を書き込んでおるところでございます。
#30
○辻泰弘君 そこで、今回のフランス、ベルギーは、年金、医療のみならず、労災、雇用保険のエリアにもカバーしようということで、そのこと自体はいいわけですけれども、まず、その中身よりも、まずドイツ、イギリス、アメリカ、韓国の場合は労災保険は対象とされていなかったわけですけれども、その辺、なぜされなかったのか、そのことをまずお示しください。
#31
○政府参考人(渡辺芳樹君) 御指摘のとおり、フランスにおきましては、フランス、ベルギーともに労災保険の話が入っておるわけでございます。フランスにおきましては年金、医療保険、労災保険、この三つの制度が、ベルギーにおいては年金、医療保険、労災保険、雇用保険、四つの制度が今回の協定の対象となっておるわけでございます。
 今般、フランス、ベルギーとの協定の交渉に当たって両国からは、制度の適用免除について、社会保障制度が一体的に運用されており、労災保険等を年金、医療保険から切り離して免除の可否を決めることができない仕組みとなっているということを強く御主張になりましたので、我が国としては、それらを一体的に扱うという交渉結果を受け入れることとしたわけでございます。
 なお、御質問にありますような、ドイツ、イギリス、アメリカ及び韓国との協定の交渉の際には、交渉の中心が年金制度そのものであったということ、それから国によっては年金制度及び医療保険制度ということであった、こういう御要請の強い議論の対象がそういうところであったということから、協定の対象がそういう範囲になっているという結果でございます。
#32
○辻泰弘君 そこで、まず労災についてお伺いしたいんですけれども、今回の協定、またこの今回の法律で、日本人がフランスに行っている場合、またベルギーに行っている場合は労災の二重払いは排除される、回避されるということになるんですね。しかし、逆にフランス、ベルギーの人が日本に来たときはそこは回避されないということになっているわけですね。そのことにおいては片務性があると思うんですけれども、まずその確認をさせていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#33
○政府参考人(森山寛君) 委員御指摘のように、今回の社会保障協定におきましては、フランス及びベルギーの労災保険につきましては協定を適用する一方、日本の労災保険についてはこれと異なる取扱いをしておりまして、委員の御指摘のとおりでございます。
#34
○辻泰弘君 それで、労災は日本の場合も総報酬に掛けるということでありますけれども、聞くところによるとフランス、ベルギーも事業主負担だけだと聞いているんですけれども、そうですか。
#35
○政府参考人(森山寛君) はい、そのとおりでございます。
#36
○辻泰弘君 私は、今回のこと、両国が合意したという中で前進するということ自体、それは結構なことであるわけですけれども、しかし、やはりこういったそれぞれの、医療も年金も労災、雇用保険も今後多くの国々に広がっていくと思うんですけれども、そういう中にあって、やっぱりできるだけ双務的な取決めというものにできるだけ努力するということがあってしかるべきだと思うわけでございます。
 今お聞きしましたゆえんは、その事業主負担のみということですから、こちらも総報酬ということですから、ある意味ではこちらの、日本における労災の保険の掛け方も、その当該国の方を除外するということも私は事務的、技術的にはできると思うわけでございます。
 そういった意味で、やはりこの点についての片務性というのは、私は少し、少しというか非常になぜかなというふうに思うわけでございますけれども、このことについての指摘はなかったんでしょうか。
#37
○政府参考人(森山寛君) 今回、フランス及びベルギーの労災保険について協定を適用とするとしましたのは、先ほどの答弁でございましたけれども、両国の労災保険制度が年金を含む他の社会保険制度と一体的に適用されるようになっておりまして、労災保険についてのみ協定を適用しないという取扱いはできないということでございます。
 また、日本の労災保険について協定を適用していませんのは、日本の労災保険は、先生御案内のように事業単位で適用されておりまして、個々の労働者について被保険者管理を行っていないために、フランス、ベルギーからの短期滞在者のみを適用除外とするという取扱いができないということによるものでございます。
 このように、双方の国の制度が異なるという状況の中で協議を重ねました結果、今回このような合意に達したわけでございます。
#38
○辻泰弘君 労災については賃金総額に保険料率を乗じて算出するということになっているわけですけれども、今の御説明の中でその方々だけを除外できないということをおっしゃったわけですけれども、私はもう事務的には十分できると思うわけでございまして、その点については私はやっぱり片務性というものをぬぐえないというふうに思うわけでございまして、その点についてはやはり今後改善に検討をしていただきたいと、このように思うわけでございます。
 もう一点、雇用保険の方も、これはベルギーの方は雇用保険もカバーしているわけですけれども、これも片務性があるというふうに言わざるを得ないと思うんですね。ただ、これは日本の方も個人単位で掛けているんじゃないんですか。だから、そういう意味においては一緒じゃないんですか。それができなかったというのはどうしてなんでしょう。
#39
○政府参考人(青木功君) お答えを申し上げます。
 雇用保険につきましては、まず我が国の現状を御報告しますと、外国の企業に雇用されて日本で仕事をされている場合に、外国の制度でカバーされている場合には、その方を日本の雇用保険の対象にしないような取扱いをいたしております。
 で、現地におきましては、基本的に日本との雇用関係がなくなった、日本での雇用関係がなくなった形で外国に勤務しておられる場合には、通常、日本の制度から外れているケースがあります。そういった場合には現地の制度になると。いろいろ外国に行くときに、例えば外国のその企業の代表者になる場合には、通常、日本の方の制度を外国におられる間、離れられるわけですね。そういったこと等もありましてこういう扱いになったと思います。
#40
○辻泰弘君 ちょっとよく理解できないんですけれども。
 日本とベルギーの場合は、労災の方は総報酬だからという理屈は、私はそうじゃないと思いますけれども、しかし一つの理屈はあるわけですね。しかし、このベルギーとの間では雇用保険があって、日本の人がベルギーに行ったときには雇用保険の二重払いは回避していただけるということですね。しかし、ベルギーの方が日本に来ている場合は雇用保険の二重払いの回避のことはないよということになっているということですね。そこは確認としてどうですか。
#41
○政府参考人(青木功君) ベルギーの方がベルギーの制度に入っているというふうに確認された場合には、その方を日本の雇用保険制度からは外すという取扱いをしております。これは、条約というよりも、かねてからの雇用保険上の取扱いであります。
#42
○辻泰弘君 今回の措置以前ということですか。そうすると、労災と雇用保険はちょっと位置付けが違うということですかね。
#43
○政府参考人(青木功君) そのとおりでございます。
#44
○辻泰弘君 それで一つ理解しましたけれども、しかし、いずれにしても、ちょっと申し上げておきたいのは、片務性が少なくとも労災にはあるし、雇用保険の方も少しちょっと厳密なところが、分かっていないところがありますけれども、いずれにいたしましても、後のことにもつながりますけれども、やはりこういうものについては極力双務性を確保するべきだと思いますので、その点については今後ともお取り組みいただくように申し上げたいと思います。
 それと同時に、今回のこのことはずっと追っ掛けていると見えてくるんですけれども、実は法律には出てこないわけでございます。それは相手国の方での免除ということでございますので、こちらの法律には、日本の国内法には関係ないわけでございます。ですから、実は法律を見ておりましてもそのことには、実はずっと追っ掛けていかないと出てこないわけでございます。
 そこで、私が申し上げたいのは、尾辻大臣から趣旨説明をいただいたわけですけれども、法律の説明という意味では、正にその法律の説明ですからそれが出てこない、ある意味では当然かもしれませんが、しかし、そのことの意味するものは、相手国とのかかわりということ、全体を見るということも必要なわけでございますから、法案の説明に限らずに、相手国の方が来られたときにはどうなるのかということも含めて趣旨説明には是非付言をしていただきたかったなと、このように思うんですけれども、大臣、いかがですか。
#45
○国務大臣(尾辻秀久君) 御提案申し上げるときにできるだけ丁寧に御説明を申し上げる、趣旨説明をさせていただくときもそのことは必要なことでございますので、今後そのように努力をいたしますことを申し上げます。
#46
○辻泰弘君 是非、そういうことでお取り組みをいただきたいと思います。どうも最低限だけ示しておいて、あとは知らなかったらそのままいこうというふうなところがこのことのみならずあるように思われますので、どうか心していただきたいと思います。
 それで、もう一つ、年金の方についての問題点として御指摘申し上げたいと思うんです。
 これはそれぞれの国内における最低加入期間にもかかわるんで、日本の場合二十五年である、フランス、ベルギーはないと。そもそも皆年金ということではないということからくることでありますけれども、結果として、今回の協定並びに法案によって、日本人がベルギー、フランスに行っている場合は、三か月を超えた場合にはその分が、日本国内における加入期間の長短にかかわらず年金が出るわけなんですね。受給権が発生するわけです。しかし、ベルギー、フランスの方が日本に来られた場合は、極端に言えば、二十四年十一か月日本で働いて負担していた、しかし国内では全然掛けていなかったという方の場合は年金給付にあずかれないということになるわけなんですね。これもまた私は非常に大きな片務性だと思うわけでございます。
 これは私は、事務技術的には、基礎年金の部分は無理だとしても、報酬比例部分をそういった形で反映させるという形であれば私は技術的にはできると思っておるわけでございまして、それには根本的な御検討も必要になるかもしれませんけれども、しかしやはりこれも双務性の確保、やっぱり片務的であってはならないと。これは日本人が、さっきも言いましたように、三か月行っていても受給権が発生するわけですね。三か月負担している。しかし、向こうの人が二十四年十一か月こっちで、日本で納めていても、国内で全く掛けていなかった人の場合は日本からの年金にあずかれないということで、この差は余りにも大きいと、片務性が余りにも大きいと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
#47
○国務大臣(尾辻秀久君) 事実はお話しのとおりであります。
 ただ、申し上げたいことは、この社会保障協定といいますのは、今お話しになっておられます加入期間の要件などもそうなのでありますが、まず両国の制度が異なることを前提にして、そして異なる制度だということでお互いに結ぶものでございます。その違いを認め合った上で結ぶものであるということを申し上げざるを得ないわけでございます。したがって、結果的に、今のお話のように、両国間で年金給付の支給の有無に差が出ることはあり得る、こういうことでございます。
 確かに、片務性、双務性というお話を先ほど来しておられるわけでございまして、できるだけ双務性があることの方が、双務性になっていることの方が望ましいんだというふうには思いますけれども、申し上げましたように、やはり基本的に制度が異なることを前提にして結ぶ協定であるということになるということを申し上げておるところでございます。
#48
○辻泰弘君 もちろん合意があるということでございますから、それが一番基本にあるわけですから、それでいいじゃないのと言われたときに、それでも駄目ということにはならないわけでございますけれども、しかしやはり私は、さっき局長が利益が日本側に帰属するということを、どこかの国であったということがございましたけれども、やはりその点はぬぐえないと私は思うわけでございます。
 給付の内容とかがそれぞれの国によって違うというのは、それはあり得ると思うんですけれども、そもそも支給されるかどうかの要件が、片や三か月払っていれば、自国で全然払っていなくても出る、向こうの国の人が来たときに、二十四年十一か月払い続けたとしても、自国で掛けていなかった場合には全く給付にあずかれないという、このことの余りにも大きな落差というものはやはり大きなものがあると思うわけでございますし、また、それが事務技術的に解消できないとなれば仕方ないとしても、私は、報酬比例部分のみの支給ということを考えるならば、これはもう事務技術的には極めて簡単にできることだと私は思っておりますので、是非、今後の国々との交渉ということもあるわけですから、フランス、ベルギーとのことも、改善ということも今後あろうかと思いますし、またそれ以外の国との交渉もこれから始まると思うんですけれども、やはり先ほどの労災・労働保険、また今のこの支給期間等々についてやはり、支給期間というか加入期間ですね、そういったことについてはやはり対等、平等ということを心掛けなければならないと。そのために国内法を変えなければならないんであれば、それは変えることがやはり本来あるべき日本の姿勢でなければならないというふうに思うわけでございまして、そういった意味での片務性の排除ということを基本に据えて今後の年金協定に臨んでいただきたいと、社会保障協定に臨んでいただきたい、このように思うんですけれども、大臣、いかがですか。
#49
○政府参考人(渡辺芳樹君) 貴重な御指摘ありがとうございます。
 一つ申し上げておかなければ、少し説明が十分ではないと思う点だけ追加させていただきたいと思います。
 先ほどお尋ねにありましたように、フランスであれベルギーであれ、四十か国、五十か国との協定を締結しておられるわけでございます。我が国はまだ協定締結自身も六か国目ということでございますので、まだまだこれからということで急いでおるわけでございますが、必ずしも我が国にとって利益になる、負担の軽減になる相手国ばかりではないという時代に将来はなってくるだろうと思いますが、全体として、やはりこうした協定は数多く結んでいくことが日本国民、日本国にとっての国益にかなうというふうに考える次第であります。
 その上で、この双務性の御指摘につきましては十分意識をして掛からなければいけないと思いますが、相手国との制度の間の共通性を求めるために国内法をそのたびに改正する、検討をするというようなことを間に挟んでいくということが、いい場面、悪い場面というのも多々あろうかと思います。
 全体の協定の締結の緊要性ということとバランスを考えながら、他方、また最低加入期間の問題につきましては、年金制度、我が国の年金制度の特色でもあるわけでございますが、かなりその根幹的な部分にかかわるものでございます。ただいまも両院合同会議で様々な御意見が交わされておりますが、年金制度の姿形という問題にもかかわる問題でもあるというふうに考えておる次第でございます。
#50
○辻泰弘君 そもそも、社会保険方式を取っている国で皆年金であるというのが日本ぐらいであるということからも出発しているところもあるわけですけれども、ただ、いずれにしても二十五年というのが長過ぎると、国際的に見てもですね、そのこともかかわっているわけでございます。
 基礎年金を導入したときに二十年だったのを二十五年にしたということで余計に長くなってしまったわけですけれども、結局、国際比較でもいつも議論しましたし、私も議論してまいりましたけれども、二十五年が長いということが結局こういうところにも累が及んでいるといいますか、そういうことにもなっているわけでございまして、そういう意味での二十五年が、もちろん入っていただくという意味では当然といえば当然なんですけれども、しかし最低加入期間等の設定における国際的なバランスというものもやはり大事だと思うわけでございまして、そのことについてのお取り組みと同時に、それとは別に、今回のこの協定といいますか、今後の協定があるわけですから、そのことについての双務性の確保というものは、やはり長い目で見た両国間といいますか、それぞれの国との間の信頼関係といいますか、そこにもかかわってくると思いますので、その点については十分意を用いていただいてこれから対処していただきたいと、このように思います。
 大臣、お願いします。
#51
○国務大臣(尾辻秀久君) ただいま局長からお答えも申し上げましたけれども、この後私どもは非常に多くの国とこうした協定を結んでいかなければなりません。その際に、今お話しいただいております双務性の確保ということは、これは大事な視点だと思いますので、努力をしてまいりたいと存じます。
#52
○辻泰弘君 そういうことで、しっかりとお取り組みいただくように御要請申し上げておく次第でございます。
 それで、今回の協定によってどれほどの負担軽減が図られるかということになるわけですけれども、フランス在留邦人、ベルギー在留邦人の負担軽減、また、日本に駐在しているフランス人、ベルギー人の負担軽減、これをどのように見ておられるか、お聞かせください。
#53
○政府参考人(渡辺芳樹君) 日本とフランスの協定につきましては、現在、日本からフランスに派遣されている企業駐在員等で両国の年金制度及び医療保険制度に二重負担をしておられる方が約三千人ほどと考えております。本人及び事業主がフランスの制度に対して負担している保険料の総額が、年間約百十億円程度になるものと見込んでおります。
 それから、日本とベルギーの社会保障協定に関連いたしまして、現在、日本からベルギーに派遣されている企業駐在員等で両国の年金制度及び医療保険制度に二重負担している方の数は、約一千五百人程度と推計されます。これを基に本人及び事業主がベルギーの制度に対して負担している保険料の総額を推計いたしますと、年間で約四十億円になるものと見込んでおります。
 なお、御質問にございましたように、在日のフランス人、在日のベルギー人の負担軽減額という点につきましては、必ずしも明らかでございません。私どもとしては推計がよくできないところでございますが、法務省の統計によりますと、フランスから日本に派遣されている企業駐在員等は四百八十名程度、それからベルギーから日本に派遣されている企業駐在員は四十数名、こういうような規模でございますので、日本国側の二重負担軽減の効果と比較いたします場合には、日本国サイドの軽減効果が非常に大きいというふうに理解をしているところでございます。
#54
○辻泰弘君 日本にとってのそういったメリットといいますか、負担軽減が多いということでもございますので、そういった意味からも、先ほどの点についてもそういった観点からもお取り組みいただいておくべきだと思いますので、改めて御指摘申し上げたいと思います。
 それで、この法案そのものにはかかわりないわけですけれども、よく外国人技能実習生の方々に、三年しかいられないのに年金、雇用保険が適用されているということで、それを外すべきだというような要請があるわけですけれども、これについてはどのように思っていらっしゃるか、御見解をお示しください。
#55
○国務大臣(尾辻秀久君) 現在、外国人技能実習生は、受入先である事業主と雇用契約を結んでおります。すなわち、雇用契約にあるということでございます。したがいまして、事業主が厚生年金保険の適用事業所である場合は厚生年金被保険者となりますし、また同様に、雇用保険の適用事業に雇用されておればその被保険者となる、当然のことでございます。
 さらにまた、当然のことでありますけれども、厚生年金保険の被保険者である間に事故が起きた場合は障害給付であるとか遺族給付が支給されますし、また、保険料の本人負担相当分についてのみではありますけれども、帰国後には脱退の一時金を支給するという特例措置もございます。
 雇用保険につきましても、被保険者となって六か月以降に受入先の倒産等により離職した場合には給付を受けるということも可能になります。実際に、次の受入先がすぐに見付からずに離職した外国人技能実習生に対して支給がなされた事例もございますし、逆に、こうした人たちを適用除外とすると、外国から、諸外国から外国人労働者を差別しているというふうに受け取られかねないところもございます。
 こうしたことを考えますと、外国人技能実習生を厚生年金保険でありますとか雇用保険の適用除外とすることについては適当でないと考えておるところでございます。
#56
○辻泰弘君 今の御説明にございました、帰国時に本人負担分の一時金を脱退一時金として支払うという特例措置とおっしゃったんですけれども、これは何によって定められているんでしょうか。
#57
○政府参考人(渡辺芳樹君) 平成六年の厚生年金保険法等の改正によりまして創設された制度でございますが、厚生年金保険法附則第二十九条、あるいは国民年金法附則第九条の三の二と、こういうところに規定が整備されております。
#58
○辻泰弘君 それで、これのいわゆる中小企業の方中心の事業主の方々の御意見があったり、また実習生として、技能実習生として来られた方々のある意味での理解不足という面もあるのかと思うんですけれども、いずれにいたしましても、これについて私は、障害年金、遺族年金が適用対象となっているということは実は大きな意味があって、それはやはり、本国に元気で帰っていただくと、事あったときにはそれなりに国内待遇をするという意味合いがあるわけですから、そういう意味においては私は理解もするんですが、しかし、事業主の方、あるいは当事者にそのことが十分理解されていないんじゃないかと。ただ単に取られっ放しで終わっているといいますか、そこから回避といいますか、忌避といいますか、そういったことも現実に起こっているんじゃないかと思うんです。
 そういった意味で、やはりしっかりと説明をしていただいて理解していただくように御努力をしていただきたいと思うんですけれども、そのことについての御見解、御所見、お願いしたいと思います。
#59
○国務大臣(尾辻秀久君) おっしゃるとおりでございまして、やはり私どもが丁寧に御説明申し上げて理解をしておいていただく、そしてちゃんと保険として払っていただくということが必要なことでございますので、今後、御理解をいただくべく更に丁寧な説明をさせていただきたい、努力をさせていただきたいと存じます。
#60
○辻泰弘君 是非お願いしておきたいと思います。
 それで、時間も限られておりまして、時間があればフランス、ベルギーの年金制度などについてもお聞きしたかったわけでございますけれども、時間がございませんので一つだけお聞きしたいと思うんです。
 先ほど申しましたように、フランス、ベルギーにおいては最低加入期間がないと。そもそも皆年金ではないということから結果として導かれることかもしれませんけれども。そこで、それに関連して、よくお聞きするところによると、フランスやベルギーにおいては日本のような年金不信といいますか、あるいは保険料徴収に対する不信といいますか、そういったものがないというふうに聞くわけでございます。その辺、厳密なところは分からないんですけれども、それはどうしてなのかと。翻って日本に何ができるかということになるわけですが、そのことについて御見解をお示しいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(尾辻秀久君) 大変難しい御質問をいただいたと存じます。
 そもそも年金制度に関する言わば国民感情とでもいいましょうか、それからまた政治的な議論を積み重ねた結果でありますから、そうしたものというのはそれぞれもう国において事情が異なっておりますので、そこからくる公平であると思ったり不公平であると思ったりするといったそうしたことについて、それがなぜだとか、どういうふうにそれぞれの国の人たちが感じておるのかといったようなことをお答えするのは大変難しいところでございます。
 私も実は同じような関心を持ったものですから、交渉に当たった事務方の人にいろいろ聞いてみました。彼らもいろんな話を相手国との交渉の中でしておるようでございますけれども、言えますことは、フランスとかベルギーの制度について申し上げますと、国民皆年金である日本の制度とはやっぱり違っている。先ほど来、国民皆年金である日本との違いということは少しお触れになったわけでありますけれども、やはりそこのところが違っておりまして、フランス、ベルギーですと、所得がなくて保険料が払えないという人はそもそも制度に加入できないわけであります。所得に応じて払うわけであります、保険料を払うわけでありますから、ゼロの者は払いようがないということで、そもそも保険に加入ができない、当然義務もないといったようなところの違いがどうしてもあるのかなと思います。
 それから、交渉に当たった事務方に聞いてみますと、向こうの人たちが言うには、実務上も未納、未加入が発生しないように厳正な運用を努力しておるというふうに説明するんだと。じゃあと言えば、また何かその答え返ってこないんだけど、彼らはどうもそういうふうに言っておりますというようなことを私にも説明するわけでございます。
 申し上げましたように大変難しい御質問でありまして、精一杯お答えして以上のお答えになるところでございます。
#62
○辻泰弘君 時間が参りましたので、残余予定していた質問は後日に譲らしていただきまして、私の質問を終わらしていただきます。
#63
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今回の特例法は、これは保険料の二重払いを防ぐ、それから必要な加入期間について日本とフランス、日本とベルギーの保険期間を通算する、必要な手当てでありますから、賛成であります。
 いろいろと今大事な問題は確認がされたと思うんですが、私一つ確認したいのは、障害年金の給付を受ける場合には、フランス、ベルギーでの保険加入期間というのはどのようにこれ考慮されることになるのでしょうか。
#64
○政府参考人(渡辺芳樹君) 御承知のように、国民年金法、厚生年金保険法上の障害給付につきましては、国民年金の保険料納付済期間と免除期間との合算期間が被保険者期間の三分の二に満たない場合などにはこれを支給しない、これが日本の仕組みでございます。
 今般、日仏又は日ベルギーのこの実施特例法案におきましては、障害年金の納付要件を満たさない方について、フランス又はベルギーの保険期間を考慮することにより当該要件を満たすこととなった場合には障害年金を支給することとするという措置を講じております。
 なお、フランスにつきましては労働停止日の前に十二か月の保険期間があること、ベルギーについては就労不能となった前に六か月の保険期間があることが要件とされていると聞いております。
#65
○小池晃君 関連して、在外邦人について大臣にちょっとこれはお聞きをしたいんですが、昨年、議員立法でいわゆる無年金障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律が成立をいたしました。これはしかし在外邦人は対象になっていない。八六年四月以前に海外に在住していた日本人、邦人、国民年金に任意に加入する仕組みありませんでしたので、その時期に障害者となった留学生あるいは社会人、これは無年金障害者になるということが、これはまだ残された課題としてあるわけです。
 大臣、これやはり解決が待たれるというふうに考えますが、御見解を伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(尾辻秀久君) この特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律が四月一日より施行をされております。この本法律の給付金の対象となる方というのは、国民年金制度発足時には任意加入とされていたが、その後強制加入となった方々について、適用対象としつつも、任意加入か強制加入かという形態の違いによって結果として障害基礎年金を受給していないという特別な事情を生じた方々と、こうなっておるわけでございます。
 今お話しになりました在外邦人の方について言いますと、昭和六十一年三月以前は国民年金の適用除外でございましたけれども、昭和六十一年四月以降任意加入とされ現在に至っており、任意加入の対象となる前の在外邦人についてはそもそも制度の対象とされていなかったという点で、任意加入の対象であった学生や被用者の配偶者とは事情が異なっておるということで今回の法律の対象にはされていないということでございまして、このことにつきましては、この法律が審議されましたさきの臨時国会における過程でも提案者からそういうふうに答弁があったところでございます。
 そこでということの今のお尋ねでもあるわけでありますけれども、本法律の対象とされていない障害者に対する福祉的措置につきましては、本法律の附則第二条の規定を踏まえまして、今後、立法府その他関係者の方々の御意見でありますとかあるいは制度全体の整合性等に十分留意しながら、私どもとしても引き続きの検討をしてまいりたいと存じます。
#67
○小池晃君 これは是非しっかり対応すべきだと思いますが、その今お話あった四月からスタートした制度なんですけれども、これはしっかり実施することが必要なんですが、ちょっとお聞きをします。
 この支給には窓口での、市区町村の窓口での請求が必要なわけですが、現在、現時点での申請状況をお示しいただきたいと思います。
#68
○政府参考人(青柳親房君) 四月一日からこれを、申請を始めさせていただきました。そこで現在、四月十五日現在ということで一つの数字をまとめさせていただいておりますが、特別障害給付金、二千六百件請求を受け付けさせていただいております。ただ、四月一日から十五日までの間に市町村の方に寄せられております照会は約二万件あるというふうに把握をしております。
#69
○小池晃君 これ、そもそもどの程度の支給を当初見込んでいたんでしょうか。
#70
○政府参考人(青柳親房君) 平成八年に行いました身体障害者の実態調査に基づいてどのくらいの数があるかということを推計をさせていただいたわけでございますが、その時点ではおおよそ二万四千人程度の方が対象になろうかと考えておりました。
#71
○小池晃君 対象二万四千人考えていたんだけれども、四月十五日までの受付件数が約二千六百件なんです。これ中身見ますと、四月一日から八日までの受付が千六百件、その後一週間で増加したのが約千件、増えるどころか減っているという実態があって、この二万四千件という支給見込みに照らして余りにも受付件数少ないと思うんですが、これは理由はどういうことでしょうか。
#72
○政府参考人(青柳親房君) 先ほどもちょっと御紹介をさせていただきましたように、受付件数は二千六百件ではございますが、市区町村への照会件数はおよそ二万件あるということで、こういう照会をされた方の中には今後請求を行う方も多数含まれておると考えておりますので、むしろ早期に請求をしていただけるように、私どもあらゆる機会をとらえて周知に努めてまいりたいと考えております。
#73
○小池晃君 いや、これやっぱり、二万四千件と言いながら受付が二千六百しかないというのは本当に重大だと思っていまして、私、広報の仕方にも大変問題あると思うんですよ。
 例えばホームページのトップページに、厚生労働省の方のホームページには特別障害給付金制度の説明ないんですね。社会保険庁のホームページ開くと、三月十四日まではトピックスにこの特別障害給付金始まりますとあったんですけど、四月になったらそれ消えちゃったんです。恐らく、余り申込みないというんで慌てて、四月二十日からまたトピックスに「特別障害給付金の請求はお早めに」というのが復活してて、私はこれ、真剣さが疑われると。
 それから、資料でお配りしましたこれ新聞広告です。(資料提示)今度の年金制度の周知をする広告なんですが、これ、真ん中の下の段辺りに小さい字で「特別障害給付金制度が始まります。」と、こう書いてあって、これはよく注意しないと気が付かないような中身で、しかもこれ、無年金障害者という言葉がないんですよ。だから、私これ見て本当に、これは無年金障害者に対する制度なんだってすぐに分かるだろうかというと、本当に不親切な広告ではないかなと。あれだけやはり全会一致で通した議員立法の広報の仕方として、私、これでいいのかと。ちょっと余りにもこれでは不十分ではないかというふうに思うんですが。
 こういう点やはり改善しなければ、今のこの遅れた申請、解決しないんじゃないですか。その点、大臣いかがですか。こういう広告でいいんでしょうか。
#74
○国務大臣(尾辻秀久君) 実は、同じ御指摘を衆議院の委員会でもなされました。それで、私すぐその御指摘に対して対応するようにと指示をしたのでありますけれども、依然としてその指示が徹底していないということであれば、更に指示をいたしたいと存じます。
#75
○小池晃君 私これ、せっかくやはり党派を超えて一致してつくった制度なんだから、きちっと責任持って広報していくということが必要だと思うんです。
 あわせて、これ、四月に請求すると五月から給付されるという制度で、しかし、現実の受付件数見ると、これ、なかなか五月支給ということにならない人が増えそうだと。これは申請五月にずれ込んだら六月支給になる。一か月ずれてしまうわけで、これは議員立法つくった趣旨にも反するわけですから、私は、これは申請が遅れた場合でも五月から支給できるような救済措置をとるべきではないかと思うんですが、社会保険庁、いかがですか。
#76
○政府参考人(青柳親房君) 特別障害給付金につきましては、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律の第七条の規定でございまして、ただいま御紹介がございましたように、請求した日の属する月の翌月分から支給をするという規定が法律に規定されているところでございます。したがいまして、実際の請求日が五月であるにもかかわらず、これを四月中に請求したとみなすようなことはちょっと法律上困難ではないかと考えております。
 ただ、請求に当たりまして、必要な添付書類がすべて整わなくても、まずは請求書を受け付けさせていただくというふうに窓口対応させていただいておりますので、不足している添付書類は後日送っていただくと、追加して届けていただくというふうなことをさせていただいておりますので、こういったことも含めた取扱いにつきましては、引き続きチラシの配布あるいはホームページ等により対応させていただいたところでございますが、その周知には努めてまいりたいというふうに考えております。
#77
○小池晃君 いや、柔軟に対応するというのが、実際現場の話聞くとそうなってないんですよ。
 この問題、昨年も私、委員会でも取り上げて、できる限り実態に応じた判断するんだという答弁もあったんですが、実際はこれ、住所、署名、捺印があれば取りあえず受け付けて書類は後でというふうにしていいとなっているんだけれども、まあ私聞いている話では、ある自治体では、元学生かどうか分からないから在学証明書持ってこないと受け付けられないという対応を窓口でしている。あるいは、初診日確認できなくても取りあえず申請できるはずなのに、実際には初診日の確認できる書類を持ってこないと受け付けられないというふうにして追い返されたと、こういう話、いろいろと寄せられているわけですね。
 私、これやっぱり市区町村の窓口できちっとこの制度の趣旨を徹底して、やはり非常に難しい、二十年前というようなことも証明しなくちゃいけない難しい制度なんですから、やはりこの受付の仕方の趣旨について改めてしっかり徹底する、もう本当に今月末までわずかしかないんですが、必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#78
○政府参考人(青柳親房君) 私どもも、昨年の十二月以来、市区町村への対応を始めこれまでも行ったつもりでございますが、その点がもし不十分な点があるようであれば、残された時間はわずかかもしれませんけれども、引き続きの周知の徹底を図ってまいりたいと考えております。
#79
○小池晃君 現実には私、混乱あるんですから、私はこのことだけでも広告ぐらい出してもいいぐらいのテーマだと思うし、このことについての、もう市区町村に任せるんじゃなくて、社会保険庁としてダイヤルか何かつくって、お心当たりの方は電話してくださいと、やっぱりこういう新しい制度始めるんですから、そのぐらいのことをやっていくこと必要だというふうに思いますので、是非検討を求めたいというふうに思います。
 この問題の最後に、学生無年金障害者の問題で、四月二十二日に福岡の地方裁判所で障害基礎年金不支給決定を取り消して年金支給を認める判決が出ました。今日、原告のお母さんの平川不二子さんも後ろに傍聴にお見えになっております。これは発症の経過が非常に複雑で、診断の確定がなかなか遅れがちな精神障害で初めての判断になるわけであります。
 大臣、これはやはり、この判決の趣旨というのは私は十分耳を傾ける意味のある判決だというふうに思っておりますし、厚生労働省としては絶対にこれ控訴しないで直ちに問題解決に取り組んでいただきたいと。被爆者の訴訟では上告を断念していただいたということを本当に高く評価したいと思っておりますが、やはり今回の訴訟でも引き続き控訴しないという対応を取っていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
#80
○国務大臣(尾辻秀久君) 判決を重く受け止めまして、今後の対応につきましては、内容を十分検討の上、関係機関とも協議をして対応してまいります。
#81
○小池晃君 判決の重みを受け止めるという御発言ありました。本当にこれは重い判決だと思いますので、控訴しないように強く求めたいと思います。
 それから年金の問題、引き続きお聞きしたいんですが、国民年金の納付率が低いと、八〇%に上げるという説明でやっておるわけですが、結局、〇四年度二・三%上げる目標だったんですが、二月末の目標は前年比プラス〇・〇四%。これで二〇〇四年度の目標を達成できる見込みがあるということになるんでしょうか。運営部長、お答えください。
#82
○政府参考人(青柳親房君) ただいまもお尋ねの中でございましたように、私ども未納者対策ということで平成十九年度に保険料の納付率を八〇%に回復させるという目標を立てまして、これに向けて年次目標を盛り込んだ行動計画、アクションプランを作成いたしまして、その進捗管理、それから達成状況の検証を行いながら納付率の低下要因に応じた対応というのを進めさせていただいているところでございます。
 ただ、十六年度の納付状況は、十七年二月末現在、お尋ねにもございましたように、対前年度同期でプラス〇・〇四%ということでございますし、現在もなお、年度末、締めに向けて納付率の向上に全力を挙げておりますけれども、目標達成率、六五・七%の達成は厳しい状況であるというのが正直な私どもの受け止めでございます。
#83
○小池晃君 年金改革の最初の年から前提となる数字がずれてきているわけであります。この点で保険料の督促業務をやられているわけですが、社会保険庁、二〇〇二年からこれを民間企業に委託をされている。委託件数、委託料、それから、どのような企業に委託しているのか、お示しいただきたいと思います。
#84
○政府参考人(青柳親房君) ただいまのお尋ねでは、保険料の徴収部門についても委託しているかというようなことを含んだようなお尋ねでございましたが、厳密に申し上げますと、私ども、平成十四年度から国民年金の保険料の収納業務が国に移管されたということを一つの契機といたしまして、納付督励業務のうち、主に一時的あるいは短期的に未納となっている被保険者に対する電話での納付督励、これを民間業者に委託して実施をさせていただいております。
 この実績というお尋ねがございました。平成十四年度は、この委託業者が被保険者に実際に電話納付督励を行った件数が約百八十七万件、そのために要した費用は六億三千万円ほどとなっております。また、平成十五年度は約四百七万件で、八億七千万円というふうになっております。
#85
○小池晃君 どのような事業者、企業に委託したのかもお聞きしたんですが、お答えなかったんで、私、資料で二枚目にお配りしました。この二十四業者に二〇〇三年度委託をしていると。二十四の業者のうち、NTTマーケティングアクトなどを含めて十四事業者がNTTの関連会社なんですね。
 私の下に訴え来まして、NTTから電話掛かってきた、NTTアクトです、国民年金保険料が未納になっています、払ってくださいという電話が掛かってきてびっくりしたという訴えがありました。個人情報保護どうなっているのかと、不安だという声があって、これ社会保険庁にも多数の苦情が届いていると聞いているんです。これは、二十日にはNTTデータの派遣社員が逮捕されました。これは中越地震の被災地で顧客情報を流出したという事件であります。そのほかにもNTT関連会社の情報漏えいというのは非常に問題になっているときに、この年金の保険料の問題でNTTの関連会社から電話掛かってくるということで不安が広がるのは私当然だと思う。こういう形の委託というのは、私はこれは考え直すべきではないかと思いますが、いかがですか。
#86
○政府参考人(青柳親房君) この電話によるところの納付督励の委託を行うに当たりましては、ただいまもお尋ねございましたが、未納被保険者の個人情報を取り扱うという非常に重要な仕事でございますので、従来も委託契約の中で守秘義務あるいは再委託の禁止などを規定しておりました。特にこの四月からは、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律が施行されたわけでございますが、ここでは、委託業務に従事している者についても、正当な理由がないのに個人の情報を提供した場合等には罰則が適用されるというふうになっております。
 こうした法律上の手当てに加えまして、私ども、今後委託業者の選定に当たりましては、一つには個人情報の安全管理がきちんと確立をされていること、それから個人情報の秘密保持の規定等が整備されていること、こういった個人情報保護のための安全管理措置が講じられている業者であることを確認することとしております。さらに、個々の契約書におきましても、個人情報の複写複製の制限、それから委託終了時の個人情報の消去あるいは媒体の返却、さらに個人情報の漏えい時等の対応、個人情報保護に係る社員教育等、こういった事項を明記して個人情報の保護に厳格を期しているところでございますので、従来の契約にとらわれず、今後、こういったことをきちんと守れる会社に契約をしてまいりたいというふうに考えております。
#87
○小池晃君 私、これはやはり見直すべきだと。これ、NTTに委託していることを被保険者に通知することも事前にやってないわけですね。それから、民間委託、法律の根拠もこれ、ないと聞きました。国民年金法の規定もない一般的な業務の委託だと。やはり以前この委員会でも取り上げましたけれども、厚労省、社会保険庁からの天下りということもNTT関連会社にはあったわけです。委託総額、これ九億円にも上る。
 こういう形で、この間いろんな個人情報保護ということについては不祥事も起きているNTTの関連会社に対して年金加入者の未納といった個人情報を渡してしまうということに私は国民の納得得られないのではないかと考えますが、大臣、この点見直していく必要があるというふうにお考えになりませんでしょうか。
#88
○国務大臣(尾辻秀久君) 御質問の趣旨は、そもそも民間に委託することの是非についての御議論ではないというふうに理解をさせていただいて、ただ、民間に委託するに当たっての業者の選定をどう考えるんだという御質問だろうというふうに思いますので、そこのところのお答えをさせていただきたいと思います。
 それぞれ業者の選定に当たりましては慎重にしなきゃならないことは、今のお話の中でも、特に個人情報をどうするんだという、秘密保持をどうするんだというような観点もございますから、申し上げたように、慎重にせざるを得ないということだと思います。ただ、その選定に当たって、今私もこれ先生がお出しになったものをずっと見ますと、NTTがずっと並んでおるというのは事実でございますし、こうした選定が適当であるかどうかというのは絶えずチェックをしながら、私もチェックをさせていただきながら進めていきたいと存じます。
#89
○小池晃君 終わります。
#90
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 先日、兵庫県で大規模な列車事故があり、今まだ救援活動が進んでいます。社民党は対策本部を立ち上げましたが、またこの厚生労働委員会で質問できる機会があれば、あるいは質問の必要があれば、また質問させていただきたいと思います。
 私も、冒頭、学生無年金障害者問題についてお聞きをいたします。
 以前、無年金障害者の問題に関して尾辻大臣と当事者の人に会っていただいたことがあります。時間を割いて会ってくだすったので、当事者、原告の人たちは非常に喜んでいました。
 四月二十二日、福岡地方裁判所は障害年金不支給処分の取消しを認め、原告側の勝訴判決を言い渡しました。平成十三年七月に提訴して以来、月日が流れております。裁判を起こすことは手間暇、エネルギー、お金が掛かり、かつ障害者の立場で裁判を遂行していくことはいろんな意味でやはり極めて負担です。家族の皆さんもあらゆる意味で負担なわけですけれども、無年金障害者は家族を含め苦労を続けております。先日も車いすの皆さんが、是非この問題もっと、もっとというか、頑張って取り組んでくださいというふうに言いに来られました。
 無年金障害者問題が解決されるよう、控訴を断念することを強く求めたいと思いますが、大臣、改めていかがでしょうか。
#91
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど小池先生にもお答え申し上げたとおりでございます。このたびの判決は、初診日が二十歳以前であったという事実を認定したものであると理解をいたしております。その判決は、私どもは重く受け止めさせていただきます。
 その上ではありますけれども、更に内容を検討させていただいて、関係機関との協議も必要でございますから、その上で私どもの対応を判断をさせていただきます。
#92
○福島みずほ君 実は裁判所は割と保守的なところで、行政訴訟で原告側が完全に勝つというのはなかなか実はないことだと私は思います。ここまで判決がはっきり原告側勝訴判決を言い渡しましたので、厚生労働省、大臣、是非、控訴を断念し、前向きに向けて行動されるように心からお願いをします。もうやはり実行して問題を前向きに解決するときが明らかに来ているというふうに思いますので、是非よろしくお願いします。中国人残留孤児の問題や、それから在外被爆者の問題についても一定程度厚生労働省が英断をして進みつつあります。ですから、是非、一足飛びにいろんなことができなくても、私たちは、私はやっぱり質問して改善してきたというふうに思っておりますので、是非、この学生無年金障害者問題についても是非一歩踏み出してくださるようよろしくお願いいたします。
 では、本問に入ります。ドイツ、イギリスで実施されている同様の規定はどのような実績となって効果を生み出しているのか、ちょっと他の委員からも発言がありましたけれども、問題はないのかについてお聞きをいたします。
#93
○政府参考人(青柳親房君) まず、ドイツとの実績について御報告をさせていただきます。
 ドイツの協定は、二つの目的、すなわち二重適用の防止と年金加入期間の通算、この二つの目的を有しているものでございます。
 まず、二重適用の防止という観点から申し上げますと、日本からドイツに一時派遣される方に対してドイツの年金の加入を免除するということのために私どもが適用証明書という書類を発給をさせていただいております。この発給件数が、平成十二年二月の協定発効以降十五年度の年度末までの間に六千九百六十四件発給をさせていただいております。それから、二点目の年金加入期間の通算という点につきましては、先ほども一部お答えを申し上げましたが、ドイツの年金加入期間を通算した我が国の国民年金、厚生年金保険の裁定件数ということで申し上げますと、平成十二年二月の協定発効以降十五年度末までの間に八十二件、平均年金額で約三十九万六千円という実績となっております。一方、協定発効以降平成十四年末までの間に日本の年金加入期間を通算したドイツの方の年金の裁定件数は四十五件に上るものと承知をしております。
 続きまして、イギリスとの協定、これは二重適用の防止のみを目的としておりますので、日本からイギリスに一時派遣される方に対してイギリスの年金の加入が免除されるように適用証明書というものの発給を行っているわけでございますが、この発給件数は平成十三年二月の協定発効以降十五年度末までの間に八千六百十二件となっております。
 その効果という点では、まずは、二重適用の防止あるいは年金加入期間の通算によりまして、ただいま申し上げたように、年金裁定等についても相当の実績があるわけでございますが、これによりまして、相互の年金保険料の掛け捨てが解消される等、おおむね所期の目的を達成すると言い得る相応の効果が得られたものと考えております。
#94
○福島みずほ君 先ほど辻理事の方からもありましたが、年金資格期間が日本は二十五年である一方、諸外国は、ドイツが五年、イギリス十年、韓国と米国が十年であり、フランスは三か月、ベルギーは最低年数なしという状況です。
 日本の加入年数が二十五年と余りに長いと考えますが、いかがですか。
#95
○国務大臣(尾辻秀久君) 我が国の公的年金制度は現役世代の方すべてに四十年間保険料を納めていただくことを原則といたしておりますけれども、その間に低所得等で保険料負担が困難な方にはその間の免除制度もございますので活用していただいたりもいたしておるわけでございます。
 そうした免除期間も受給資格期間に含めるということ、あるいはまた、二十五年に達していなくて六十歳を迎えられた方は二十五年を達成するためにその後の任意加入もできる道も開いておりますので、こうしたことで二十五年の受給資格期間を満たしていただこうというふうに私どもは考えておるところでございます。
 さらに、そうした中で受給資格要件を短縮することについては、まずは高齢期の基本的な所得保障の役割を果たせないような低額の年金者を増やすことになって、結果的に公的年金に対する信頼が揺らぐことになりかねない。それから、仮に受給資格期間を短縮すると、短期間のみ加入することを選択しようとする者が生じて未納問題が一層深刻になるおそれがあるなど、世代間扶養という制度の大前提が揺らぎかねない事態になることも考えられることなど、様々な問題があるというふうに考えておるところでございます。
#96
○福島みずほ君 今日はこのことについて延々と、ちょっと時間が、やれませんけれども、やはり長いということが諸外国に比べて際立っていますので、結局若い人は、もうどうせ掛け捨てとなるんだからもう入らないというふうに思う人もいるかもしれません。その点については今後議論が必要だと考えます。
 次に、過去の議事録を見ますと、平成十年五月十二日、国民福祉委員会で、例えば、ドイツと協定を結ぶのに三十年近く掛かったということにつきましては、御批判は甘んじて受けざるを得ないと政府委員が答えております。また、平成十二年四月二十日、同じ委員会で、今井澄委員の質問で、日本はようやくイギリスとで二か国目だと。諸外国は、欧米諸国は一番少ないアメリカでも十七国と結んでいて、そのほかでは二十か国とか三十か国とか、フランスなどは四十六か国と結んでいると。
 日本がやはりこういう協定を結ぶのが遅い、遅れているというふうに思いますが、今後同様の協定を締結しようとしている国はどこがあるでしょうか。
#97
○政府参考人(渡辺芳樹君) 御指摘のとおり、私どもの社会保障協定、年金の協定につきましては、最初ドイツから始めた。制度が元々はドイツの制度というものを参考にさせていただいたということで、制度的にも近いのではないかということで始めてきたわけですが、なかなかその議論の収れんを見ずに随分時間を経てしまった。また、その次に、たくさん経済関係も緊密なアメリカとということでこれもやったんですが、これはこれで大変両国間の利害の調整が難しく時間が掛かった、そんな経緯でございまして、率直に申し上げて、少し時間が掛かり過ぎたというふうに私どもも今となれば思うところでございます。
 ただ、その両国をこなした後、様々な国から、日本もこれをやはり乗り出してきたんだということで、メッセージも伝わっておりますし、首脳間の会談の中でも話題が出るようになってまいりまして、今日、六か国というところまで来たわけでございます。現在もカナダとの間で締結交渉を開始しておりますし、オーストラリアとの間も、先ほども御答弁いたしましたが、日豪首脳会談を先日行う中で今年六月からの交渉開始、オランダにつきましても協定交渉に向けた意見交換会をもう始めております。ほかに、イタリア、オーストリア、ブラジルなどいろいろお声を掛けていただいているところもございますので、優先度もよく見ながら、しかし積極的にこれらの議論を受け止めながら、できる国際協定というのはどういうものか、対処してまいりたいというふうに考えております。
#98
○福島みずほ君 日本で働いている外国人の人たちと話をしますと、保険が要するに給料から天引きされていたり多額に払わなければいけないけれども、要するに掛け捨てであると。自分はいずれ本国に帰るので、全く掛け捨てになっていて、しかも二重払いをしなくちゃいけないと、負担が大きい、払いたくないという声などをよく実は聞きます。
 国内で二重払いしている外国従業員の年金について、掛け捨てとなる年金の総額は幾らでしょうか。
#99
○政府参考人(渡辺芳樹君) 日本国内における年金適用に当たって国籍による記録管理というものがなされておりませんものですから、例えば今回協定締結をいたしましたフランスやベルギーの方の二重負担防止による掛け捨て額の解消といいますのは幾らかというのもなかなか正確に導き出すことができません。先ほど申しましたように、法務省の統計によりますと、フランスは四百八十名余り、ベルギーは四十名余りの企業駐在員の方が日本におり、今回の協定の枠でいうと、その方たちはいわゆる掛け捨てというものがこの協定の効果として解消されてくる、こういうことだと思います。
 他の諸外国からの日本で働いておられる方々の御負担、こうした協定があれば解消するであろう御負担額というものについては、私どもとしてちょっと掌握してないところでございます。
#100
○福島みずほ君 世界が狭くなっているので、是非、今後協定の締結がうまくいくようにということをお願いいたします。
 また、年金資格期間が日本は二十五年であることは、多分外国との比較で今後議論になるのではないでしょうか。
 残った時間、人身取引の防止及び被害者の保護に関する法律に、法律というか制度についてお聞きをいたします。
 御存じのとおり、法務委員会で刑法の改正法案が審議をされ、参議院では参議院先議で本会議で成立をいたしました。人身取引に関して行動計画が出て取組が始まっておりますが、私は、法務省、警察だけではなく、横断的、特に厚生労働省が責任を持って人身売買に関して取り組むべきであるというふうに考えております。
 私自身は、実は、アジアからの出稼ぎ女性の緊急避難所、女性の家HELPというのがありまして、弁護士になってからずっとそこのアドバイザー、弁護士をしてきたので、ブローカーを刑事告訴する、賃金不払や暴力行為について不法行為に基づく損害賠償請求を裁判でやるということなど、多くの裁判をやってきました。
 しかし、本人たちに日本にいてもらって裁判に協力をしてもらうことが極めて大変であり、なかなか制度の中で大変であったので、特にお聞きをいたします。人身取引対策行動計画での厚生労働省が担う責任について、被害者の生活支援などについて、厚生労働省はどう考えていらっしゃるでしょうか。
#101
○国務大臣(尾辻秀久君) 行動計画では、人身取引の防止それから撲滅、被害者保護、この三つの観点から政府全体が一体となって取り組もうというものでございます。
 その三つのうちの、では厚生労働省が担うべき役割は何かというと、やはり被害者の保護の役割だと、こういうふうに考えるところでございます。したがいまして、この行動計画に沿って、婦人相談所を活用とした一時保護、相談、カウンセリング、それから民間シェルター等への一時保護委託などの役割を果たしていくこととしておるところでございます。
#102
○福島みずほ君 刑事処罰をブローカーに対してする、その間、本人がどこか、センターなりどこかできちっとケアをされたり、医療を受けられたり、相談を受けられたりというのが必要で、今回この行動計画では婦人相談所というふうになっているんですが、もっと包括的に厚生労働省が責任持って婦人相談所を管轄する、あるいは予算を付ける、教育啓発活動をする、様々なものが実は必要ではないかというふうに思っております。
 人身取引対策行動計画は加害者処罰重視になっており、被害者の保護の面では法律での根拠がありません。被害者保護について法的に保護すべきではないでしょうか。
#103
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話しになっております行動計画につきましては、加害者の処罰のみならず、このことは当然なんですけれども、そうした加害者の処罰のみならず、人身取引被害者の保護を対象としてこれはもう明確に位置付けております。その被害者の状況に応じて、今申し上げておりますように、婦人相談所でありますとか民間シェルターを活用した一時保護、被害者の帰国支援等、きめ細かな対応をすることと定めておるところでございます。
 したがいまして、こうしたことをしっかり行うことにより、基本的には現行法体系の中でも実効ある施策が展開できていけると私どもは考えております。
#104
○福島みずほ君 参議院の法務委員会の議事録を見ますと、参考人の吉田容子さんは、被害者保護支援法の制定が必要であると考えるということを述べていらっしゃいます。
 やはりこれは、参議院はドメスティック・バイオレンス防止法、改正法などを作ってきた、超党派でやってきた院ですけれども、やはり被害者の救済などについての超党派で是非被害者保護支援法などができないかというふうにも強く思っています。
 社民党と共産党と無所属では、一応法案、中身を作り、民主党では衆議院の方で特に法案を作っているやに聞いていますし、与党の中でも取組が進んでいるというふうにも聞いております。その意味で、刑法の改正法案が参議院を通過し衆議院に行っておりますし、風営法の改正法案が参議院で今後議論になりますが、被害者救済ということでもっと私たちができることがあるのではないかというふうに思います。
 NGOとの連携やNGOへの財政支援についてはいかがでしょうか。
#105
○政府参考人(伍藤忠春君) この民間団体、特にNGOなどの果たしている役割というのも、こういう人身取引被害の面においては大きなものがあると思いますので、こういったところと連携をしていくということは私どもも重要なことと考えております。
 具体的なその支援ということで、どういったらこういったところに支援をできるかということで、一時保護委託という概念を私ども持ち込んで、本来公的なところで保護し相談に応じてやるべきものを、公的な施設だけではなくて民間団体にも委託をするということで事実上公的な支援が可能になるということで、この一時保護制度というのを導入をしてそれなりの、通常の婦人保護施設等でお世話をいただく場合と同様の水準の委託費を流すと、こういう仕組みを導入したところでございまして、こういった形で支援をするということで当面やっていきたいというふうに思っております。
 そのほか、いろんな研修事業を行うような際にも、民間団体の方々をお招きして一緒に受けていただくとかというようないろんな形で連携を図りながらやっていきたいと、こんなことを考えております。
#106
○福島みずほ君 是非、婦人相談所の機能強化をよろしくお願いいたします。
 以上です。
#107
○委員長(岸宏一君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。
 まず、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(岸宏一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#109
○委員長(岸宏一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(岸宏一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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