くにさくロゴ
2005/03/08 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 文教科学委員会 第1号
姉妹サイト
 
2005/03/08 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 文教科学委員会 第1号

#1
第162回国会 文教科学委員会 第1号
平成十七年三月八日(火曜日)
   正午開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         亀井 郁夫君
    理 事         有村 治子君
    理 事         北岡 秀二君
    理 事         佐藤 泰介君
    理 事         鈴木  寛君
                大仁田 厚君
                荻原 健司君
                河合 常則君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                橋本 聖子君
                山本 順三君
                小林  元君
                下田 敦子君
                那谷屋正義君
                西岡 武夫君
                広中和歌子君
                浮島とも子君
                山下 栄一君
                小林美恵子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 郁夫君
    理 事
                有村 治子君
                北岡 秀二君
                佐藤 泰介君
                鈴木  寛君
    委 員
                大仁田 厚君
                荻原 健司君
                河合 常則君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                橋本 聖子君
                山本 順三君
                小林  元君
                下田 敦子君
                那谷屋正義君
                西岡 武夫君
                広中和歌子君
                浮島とも子君
                山下 栄一君
                小林美恵子君
   国務大臣
       文部科学大臣   中山 成彬君
   副大臣
       文部科学副大臣  小島 敏男君
       文部科学副大臣  塩谷  立君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       下村 博文君
       文部科学大臣政
       務官       小泉 顕雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 俊史君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (派遣委員の報告)
 (文教科学行政の基本施策に関する件)
 (平成十七年度文部科学省関係予算に関する件
 )
    ─────────────
#2
○委員長(亀井郁夫君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(亀井郁夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(亀井郁夫君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題といたします。
 まず、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。北岡秀二君。
#5
○北岡秀二君 去る一月十一日から十三日までの三日間、広島県及び山口県に委員派遣が行われましたので、その調査の概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、亀井委員長、有村理事、鈴木理事、河合委員、後藤委員、下田委員、那谷屋委員、山下委員、小林委員、そして私、北岡でございます。
 一日目は、まず、広島県教育委員会から県の教育に対する取組や今後の課題について説明を受けました。
 広島県は、平成十年に当時の文部省より、教育内容や学校管理運営に関し是正指導を受けました。教育委員会としては、法令遵守、教育の中立性と公開性の確保を柱として、是正の徹底を図るとともに、学校評価の実施、校長公募制の導入、中高一貫校の開設など、教育改革にも積極的に取り組んでおります。今後とも、家庭や地域と連携しながら、県、市町村、学校現場が一体となって県民に信頼される公教育の確立に取り組んでいきたいとの方針が示されました。
 さらに今回は、広島県及び広島市のPTA関係者と懇談いたしました。教員の資質向上、校長権限の拡充、基礎基本を重視した学力の向上、教科書や副読本をめぐる課題、是正指導の影響など、PTAの皆さんが学校教育や教育行政について日ごろ感じておられる問題についてお話を伺い、率直な意見交換を行うことができました。
 次に、広島県立湯来南高等学校を訪問いたしました。
 同校は、広島市近郊の山間部にある佐伯郡湯来町にあり、各学年二学級、全校生徒百五十名の小規模校であります。これまで学習面でつまずいた生徒や不登校などの問題を抱えた生徒も多くおられたということですが、学校、家庭、地域の御努力により多くの改善が見られるようになったとの説明を受けました。
 全日制普通科校ですが、二年次からは三コース制とし、生徒の個性や興味、関心に応じた教育課程を設定するとともに、習熟度別授業やインターンシップの実施など、指導上の様々な工夫がなされております。
 また、地域の行事への参加、地元の保育所や介護施設での実習、小中学校や高齢者グループとの交流活動など、地域と連携した教育活動が積極的に行われ、我々が訪問した際にも、家庭クラブの活動に地元の高齢者グループ花草会の皆さんが加わり湯来町特産のコンニャク料理を一緒に作るなど、高校生との交流の様子をじかに拝見することができました。広島県においても小規模校の統廃合が検討されておりますが、地域社会とも積極的にかかわり、地元から必要とされる学校でありたいとの学校の意欲が感じられました。
 クラブ活動の見学では、家庭クラブのほかに、生徒の希望で結成されたダンス部の皆さんからストリートダンスの実演を披露していただきました。日ごろ地元の祭りや行事にも参加し、地域の方々からも喜ばれているとのことですが、生き生きと楽しそうな表情で演じてくださったのが大変印象的でありました。
 その他、英国のタスカー・ミルワード校と姉妹校提携し、生徒が相互訪問するなどの国際交流を実施しており、地元湯来町からも財政面での支援がなされているとのことであります。
 二日目は、まず、世界遺産に登録されている国宝厳島神社を視察いたしました。
 厳島神社は、昨年九月の台風十八号の猛威により大きな被害を受け、その修復作業が行われているところであります。関係者の御努力により現在は拝観ができるようにはなっておりますが、至る所に積まれた修復のための資材、高波が押し寄せた跡が残る回廊の柱、はがれてしまった屋根のひわだ、倒壊した国宝左楽房などを見て、被害の大きさを実感いたしました。神社、宮島町関係者からも説明を受けましたが、人類の宝とも言える厳島神社の早急な修復とそのための財政支援が喫緊の課題であることを改めて認識いたしました。
 次に、山口県岩国市において市内の文化財を視察いたしました。
 国指定の名勝錦帯橋は、約五十年ぶりとなる本格的な架け替え工事が行われ、総事業費約二十六億円を掛け、昨年三月に完成しております。架け替えに必要な用材調達についての御苦労、精巧な建築技法を駆使した地元建築業者の御努力、その技術を継承していくための記録作成などについて説明を受けました。岩国市関係者からは、世界的にも類を見ない美しい姿の木造橋であり、是非世界遺産に登録してもらいたい旨が述べられました。その他、国の重要文化財である旧目加田家住宅や昨年新たに重要文化財に指定された吉香神社、国の天然記念物であるシロヘビの観覧施設を視察し、保存のための御労苦を伺いました。
 続いて、山口県庁を訪問し、山口県及び県教育委員会から県の教育に対する取組について説明を受けました。
 山口県は近代日本を築き上げた有為な人材を多数輩出した教育県であり、そうした防長教育の伝統を大切にしながら新たな教育ニーズに対応するため、次のような重点プロジェクトを実施しております。幼稚園から大学まで各学校種間を円滑に移行できるよう、小学校教員の幼稚園や保育所への派遣、小学校六年での教科担任制実施や中高一貫教育等を推進しております。また、きめ細かな指導を行うため、今年度からは中学校全校を三十五人学級とし、その学級増に対応するため、県、市町村が協力しながら非常勤講師の採用を増やすなど山口県独自の積極的な取組も実施されており、その効果も徐々に現れてきているとのことであります。
 三日目は、まず、萩市立明倫小学校を訪問いたしました。
 同校は藩校明倫館の跡にあり、学校施設内には貴重な文化財や歴史的な資料が残されております。明倫館の学風や吉田松陰の教育精神を受け継いだ明倫教育を実践し、各学級の朝の会においては吉田松陰の「ことば」の朗唱が行われております。そのような歴史と伝統を引き継ぎながらも、現在の教育ニーズを満たすため、学力向上フロンティアスクールとして算数科での少人数指導に取り組んでおります。習熟度別や課題別にコースを設定し、その内容について事前に児童と保護者に説明した上で、希望するコースで指導を行っております。児童の学習意欲や理解度なども増しているとのことでございました。授業の様子も拝見しましたが、保護者がボランティアで先生方に協力して指導の補助に当たるなど、積極的に学校教育に参加しておられました。
 また、当校では、言語障害児通級指導教室である「ことばの教室」も設けております。「ことばの教室」では当校のみならず他校の通常学級在籍の言語障害児に対しても、障害に応じた指導、いわゆる通級指導を行っております。さらに、就学前の幼児をも対象に教育相談に応ずるなど、萩市及び阿武郡の言語障害児教育を推進するためのセンター的役割を担っており、指導に当たる先生方の熱意や御努力の一端をかいま見ることができました。
 続いて、萩市内において萩博物館、重要伝統的建造物群保存地区である堀内地区、国の史跡である松下村塾などを視察いたしました。
 萩博物館は、萩開府四百年に当たる昨年、萩市のまちじゅう博物館構想の中核施設として開館されました。重要伝統的建造物群保存地区にあるため、建物の配置や外観など周囲と違和感のないよう配慮されております。館の運営は地元NPOに委託しております。館内には、萩の自然、歴史、文化等に関する資料が萩学なんでもBOXに収集、分類されており、それらを小中学校や公民館に貸し出すなど、学校教育、社会教育にも役立てるユニークで有意義な工夫がなされております。また、国の史跡である萩城跡に復元された北の総門、松陰神社や国の史跡である松下村塾なども視察し、関係者の文化財保護に対する強い熱意と責任感に心打たれるとともに、萩市民が歴史や文化を大切にする気持ちを共有しておられることも感じ取ることができました。
 次に、宇部市の山口大学工学部キャンパスにおいて、宇部地域知的クラスター創成事業や知的財産本部の取組、産学公連携等について説明を受けました。
 宇部地域知的クラスター創成事業は、山口大学が開発した高輝度白色発光ダイオードなどの光技術を活用し、医学部と工学部の連携の下、県内外の十九企業の参加も得て、高性能医療機器等を研究開発し、次世代医療機器産業の創出を図ろうとするものであります。実際に高輝度白色発光ダイオードを使用した医療機器等を拝見しましたが、医療水準の向上とともに、新たな産業、雇用を創出する効果も期待されております。
 また、山口大学知的財産本部は、特許の相談、出願など研究成果の権利化支援事業を行うとともに、山口TLOと連携し、企業等への技術移転などを通して知的財産が社会で広く活用されるための事業を行っております。これらの組織は同じ建物の中にあり、密接な連携を図りながら、地域での共同研究、技術相談、ベンチャー企業育成等の支援を行うなど、大学と地域産業等との橋渡し役として積極的に活動しております。
 また、山口大学では、来年度からは専門職大学院として技術経営研究科を設置し、地域産業を担っていく技術経営の専門家の育成にも取り組むこととしております。社会人が学びやすいように夜間と土曜日に開講することとしておりますが、大学からは社会人に対する奨学制度の充実の要望がございました。
 以上で報告を終わりますが、今回の調査に当たり、関係の皆様方に大変お世話になりましたことに対し、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。
 以上でございます。
#6
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 以上をもちまして、派遣委員の報告は終了いたしました。
    ─────────────
#7
○委員長(亀井郁夫君) 次に、文教科学行政の基本施策について中山文部科学大臣から所信を聴取いたします。中山文部科学大臣。
#8
○国務大臣(中山成彬君) 第百六十二回国会におきまして各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
 まず、先日、大阪府寝屋川市立中央小学校で教職員三名が殺傷された今回の事件につきましては、決して起こってはならない事件であり、亡くなられた方と御遺族に対し深く哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
 文部科学省としては、学校の安全対策に全力で取り組んできたところでありますが、今回の事件の原因を究明し、その結果も踏まえつつ、ハード面及びソフト面の両面から組織的、継続的な対策に取り組み、地域や関係機関と連携した学校の安全確保の取組を推進してまいります。
 昨年九月に文部科学大臣に就任以来、私は、我が国が真に豊かで教養のある国家として更に発展し、子供たちが夢と希望を抱くことができる明るい未来を切り開くためには、国家百年の計に立った教育・文化立国と科学技術創造立国の実現を目指すことが極めて重要であると考え、全力を傾注して取り組んでいるところでございます。
 今後とも、かかる基本的な認識に立って、教育改革や科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興のための施策を積極的に展開してまいります。
 世界は正に国際的な知の大競争時代にあり、優れた人材が国づくりの基盤として不可欠であることから、各国とも国を挙げて教育改革に取り組んでおります。天然資源に恵まれない我が国においては人材こそが資源であることを再認識し、子供は社会の宝、国の宝であるという考えに基づき、新しい時代を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成を目指し、国家戦略として人間力向上のための教育改革を一層推進していく必要があります。
 このような思いから、昨年十一月、私は「甦れ、日本!」と題する教育改革案を発表し、教育基本法の改正、学力の向上策、教員の資質の向上、現場主義の観点に立った学校、教育委員会の改革、地方の自由度を高めるとともに財源を確実に保障するための義務教育費国庫負担制度の改革の五つの改革案をお示ししました。その基本は、二十一世紀の厳しい社会を生き抜くために、頑張る子供を応援する教育を推進し、挑戦する精神を持った子供たちをはぐくんでいくことにあります。
 これらの改革を進めるに当たっては、国民や学校現場の声を聞くことが第一と考え、私を始め副大臣、大臣政務官、職員が全国各地の学校を訪問し、教員や保護者、子供たちと直接対話するスクールミーティングを、三百校を目標に実施しているところであります。
 伸び盛りの子供たちにとって今日という日は一日しかなく、一日一日が勝負であります。今日受けた教育の影響は一生に及びます。私たちは、常に考えられる最善の教育を子供たちに与えていかなければなりません。そういう意味で、教育改革は喫緊の課題であり、私は、責任感とスピード感を持って自ら先頭に立ち、教育改革に取り組む覚悟であります。
 教育基本法の改正については、新しい時代にふさわしい教育の基本理念を明確にするため、中央教育審議会の答申や与党における議論を踏まえ、国民的な議論を深めつつ、可能な限り速やかな改正を目指してしっかりと取り組んでまいります。
 義務教育は、国家、社会の形成者たる国民の育成と、子供たち一人一人がこの世に生を受けた有り難さを実感し、一生を幸せにかつ有意義に生きることができる土台をつくるという二つの目的を持っていると考えます。その根幹は、憲法の保障する教育の機会均等、教育水準の確保及び無償制にあり、これらの要請を国と地方が共同して確実に実施するため、義務教育費国庫負担制度があります。
 これについては、昨年十一月の三位一体の改革に関する政府・与党合意において、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するとの方針の下、平成十七年秋までに中央教育審議会において、費用負担についての地方案を生かす方策や、教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方について幅広く検討することとされたところであります。また、その結論が出るまでの暫定措置として、平成十七年度予算においては、本来の負担額から四千二百五十億円を減額することとしており、この暫定措置を講ずること等を内容とする義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しております。
 今後、教育内容の在り方、教員の質の向上、信頼される学校づくりと家庭、地域との連携、教育行政の在り方や国と地方の関係、役割分担など全般にわたり中央教育審議会において御検討いただき、その中で、本年秋までに義務教育の費用負担の在り方についても結論を出していただきたいと考えております。
 私としては、義務教育に対する国の責任を確実に果たしつつ、地域や学校の創意工夫を生かした教育が実現できるよう義務教育の改革を力強く進めてまいります。
 初等中等教育においては、子供たち一人一人に確かな学力を身に付けさせ、豊かな心と健やかな体をはぐくむことが大切であります。
 各学校では、学習指導要領に基づき特色ある取組が積極的に行われていますが、一方で、国際的な調査結果から見て、読解力を始め我が国の子供たちの学力が低下傾向にあることは深刻に受け止める必要があります。特に憂慮するのは、我が国の子供たちの勉強時間が短く、勉強への動機付けが希薄であるなど、学ぶ意欲が乏しく、学習習慣が身に付いていないことであります。子供たちに基礎基本をしっかりと身に付けさせ、それを活用しながら自ら学び自ら考え、よりよく問題を解決する力などの生きる力をはぐくむという現行の学習指導要領の理念や目標が十分達成されていないのではないかと考えます。
 今後、学校教育において確かな学力をはぐくみ、日本の子供たちの学力を再び世界トップレベルにするため、学習指導要領全体の見直しや全国的な学力調査の実施などによる学習到達度の検証の在り方について中央教育審議会において御検討いただき、その検討を踏まえ速やかに改善策を講じてまいります。また、学ぶ意欲の向上のため、子供たちの知的好奇心を刺激し、向上心をかき立てるような教科書や授業方法の改善、少人数、習熟度別指導などきめ細かな指導の充実に努めるとともに、学力向上アクションプランを引き続き実施するなど、総合的な学力向上策に取り組んでまいります。
 さらに、現場を視察するほど、学校教育の成果は教員の資質能力と熱意に負うところが極めて大きいことを再認識しております。教員が日々研さんを積み、指導力の向上を図り、児童生徒や保護者の尊敬と信頼を得られるような存在になることが大切であり、その指導の下、子供たちが規律をもって学習に取り組める環境を整えることが必要であります。教員評価の徹底や十年経験者研修制度の推進など教えるプロフェッショナルとしての教員の育成を図るとともに、専門職大学院の設置や免許更新制など教員養成、免許制度の改革について検討を進めます。
 また、豊かな心の育成については、学校、家庭、地域社会が一体となって規範意識や倫理観、命を大切にする心や他人を思いやる心などの人間性や社会性をはぐくむため、道徳教育の充実、奉仕・体験活動や読書活動の推進を図ります。家庭教育の支援にしっかり取り組むとともに、地域の子供たちの居場所づくりやスポーツ、文化活動を積極的に推進します。
 さらに、子供たちの健やかな体と気力をはぐくむため、体育の授業の一層の充実、運動部活動の振興などに取り組むとともに、子供たちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう栄養教諭制度の円滑な実施など食育、健康教育の推進に努めます。
 このほか、不登校や問題行動への適切な対応、職場体験などを通じたキャリア教育の更なる推進、LD、ADHD等の発達障害を含む障害のある児童生徒に対する特別支援教育を推進します。また、生涯にわたる人間形成の基礎を培う幼児教育の振興に取り組み、就学前の幼児の教育、保育を一体としてとらえた一貫した総合施設の導入に向け必要な準備を進めます。
 地域に開かれた信頼される学校づくりを進めるため、学校評価の推進、コミュニティ・スクールの設置促進など保護者や地域住民の参画による学校づくりを進めます。また、教職員の服務の確保を図り、教育行政が法令にのっとって中立公正に行われるよう国として必要な指導を行うとともに、教育委員会については、地域の課題に主体的に取り組めるよう制度の見直しについて検討してまいります。市町村や学校現場の権限を強化し、それぞれが創意工夫し、競い合って教育の質を高めていくことができるよう現場主義の徹底を図ります。
 また、非常災害時に地域住民の応急避難場所としての役割も果たす学校施設の耐震化の推進等、防災対策の充実に努めてまいります。
 二十一世紀は知識基盤社会の時代であり、大学を含めた高等教育は、個人の人格の形成の上でも社会、経済、文化の発展や国際競争力の確保等の国家戦略の上でも極めて重要な役割を担っております。本年一月の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」においては、同年齢の若年人口の過半数が高等教育を受けるという状況の下で、各高等教育機関が多様な学習者の様々な需要に対応するため、各学校ごとの個性、特色を明確にし、国民や社会から期待される役割等を踏まえた教育研究を展開すべきこと、特に大学においては自らの選択により機能別に分化していくこと、大学の設置認可と事後評価の適切な役割分担と協調の確保により質の保証を図るべきことや、高等教育の発展を目指した社会の役割等について提言をいただいております。
 文部科学省としては、この答申を踏まえ、各大学がその個性、特色を一層明確にしていくことができるよう、国公私立大学を通じ、競争的な環境の下で大学改革への取組を支援してまいります。このため、世界的な教育研究拠点の形成、高度専門職業人の養成、地域貢献等の特色ある優れた取組に対する支援や、創造的な大学院教育の展開、国際化への対応、より資質の高い教員や地域医療を担う医療人の養成等、高等教育が果たしていくべき多様な役割に応じた支援に努めてまいります。
 また、今国会に、教育研究の活性化及び国際的な通用性の向上の観点から、短期大学を卒業した者に学位を授与するとともに、大学の教員組織の整備を行うための法律案を提出しております。
 昨年四月に法人化した国立大学については、各大学が自主性、自律性を十分に発揮し、教育研究の一層の活性化を図り、国立大学としての社会的役割を踏まえて、個性豊かな大学づくりを進めることができるよう、国として必要な支援に努めます。その施設整備についても国立大学等施設緊急整備五か年計画に基づき着実に実施してまいります。
 加えて、設置認可制度の的確な運用を図りつつ、国公私立大学を通じた第三者評価制度の円滑な実施を進め、包括的な大学の教育研究の質の保証システムの充実に向けて積極的に取り組んでまいります。
 さらに、私立学校の一層の振興に努めるとともに、教育を受ける意欲と能力のある者の学習機会を確保するため、奨学金の充実など学生への支援にも精力的に取り組んでまいります。
 科学技術・学術は、国民の生活や経済活動を持続的に発展させ、環境問題など地球規模の問題の解決に大きく貢献するなど、我が国の、そして人類の希望ある未来を切り開くかぎとなるものです。
 まず、科学技術関係人材の養成については、学校段階から研究者、技術者の研究環境の整備まで総合的に取り組んでまいります。
 また、ニュートリノ研究、加速器科学、南極観測等を始めとした国際水準の独創的、先端的基礎研究を総合的に発展させるなど、新たな知を切り開く基礎研究を着実に推進します。科学技術基本計画における重点分野であるライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料分野の研究開発を強力に推進するとともに、融合領域の研究開発を積極的に推進します。安全、安心で持続的に発展する社会を実現する科学技術を振興してまいります。
 さらに、国の存立の基盤となる原子力、宇宙、地震・防災、海洋等の研究開発を戦略的に推進してまいります。特に、宇宙開発については先月、我が国の基幹ロケットであるHUAロケットにより、国民生活に密着した運輸多目的衛星新一号の打ち上げを成功しました。
 なお、先ほど秘書官から連絡もらいましたけれども、今日の昼に衛星が静止したということで、五月末には気象観測、今年末には航空管制の各仕事が始まるということでございました。
 今後とも、国として信頼性向上に向けて継続的に取り組むとともに、重要な衛星の打ち上げが続く八号機以降について確実に打ち上げを実施し、国民の期待にこたえてまいります。また、本年十月に予定している我が国の原子力研究開発の中核的機関である独立行政法人日本原子力研究開発機構の発足に向けて全力で諸準備を進めるとともに、改造工事の地元了解が得られた高速増殖原型炉「もんじゅ」を始めとする高速増殖炉サイクル技術などの研究開発を積極的に進めてまいります。国際熱核融合実験炉、ITER計画については、日本への誘致に向けて引き続き最大限の努力をするなど、人類の未来のために主導的な役割を果たしてまいります。
 加えて、科学研究費補助金等の競争的資金の抜本的拡充、大学等における知的財産の戦略的な取得、活用の促進と大学発ベンチャーの創出支援など産学官連携の更なる推進を図るとともに、地域科学技術の振興、先端計測分析技術、機器の開発や世界的な先端大型研究施設等の活用促進など研究基盤の整備強化を推進してまいります。また、先月の地球観測サミットで策定された十年実施計画に積極的に貢献するとともに、国際交流の推進、科学者等による社会への情報発信の支援等に総合的に取り組んでまいります。さらに、我が国が第一級の国家として競争力を持ち、役割を果たしていくために重要な基幹技術の在り方について検討を進めてまいります。
 政府における研究開発の中核を担う文部科学省としては、これらの施策を通じて第二期科学技術基本計画の総仕上げのための取組を強化するとともに、平成十八年度から始まる第三期科学技術基本計画の策定に関し、人材、技術など知的資産の世界的な獲得競争の激化などの情勢を踏まえつつ、総合的な検討を進めてまいる所存です。
 人々が生涯にわたり自己実現を図ることができるよう、生涯学習の環境整備や大学、専修学校における社会人のキャリアアップのための教育を推進してまいります。また、フリーターやニートが社会問題化していることから、若者が勤労観、職業観を身に付け、明確な目的意識を持って職に就くとともに、仕事を通じて社会に貢献することができるよう、若者自立・挑戦プランを一層強化します。
 昨年のアテネ・オリンピック競技大会における日本選手団の活躍は、日本じゅうに大きな感動を与えてくれました。スポーツの振興は明るく豊かで活力に満ちた社会を形成する上で不可欠であり、スポーツ振興基本計画に基づき、ナショナルトレーニングセンターの中核拠点の整備など世界で活躍するトップレベルの競技者の育成等に取り組むとともに、国民のだれもが身近にスポーツに親しめる生涯スポーツ社会の実現を目指して地域のスポーツ環境の整備に努めます。
 また、子供の目標やあこがれの地となるような全国的なスポーツ大会の拠点づくりを推進するとともに、子供の体力向上を図るなど、スポーツの振興を進めてまいります。
 文化芸術は、人々に感動や生きる喜びをもたらし、豊かな人生を送る上での大きな力になるものです。経済を含め日本社会全体を元気にするためには、諸外国でも重視されつつある文化力の向上を図ることが極めて重要です。我が国の顔となる文化芸術を創造し、世界に発信していくため、文化芸術創造プランや「日本文化の魅力」発見・発信プランを推進するとともに、国民が文化ボランティアなどにより自ら積極的に文化芸術活動に参加し、文化芸術を創造できる環境を整備します。また、文化的景観の保護など文化財の保存、活用、地域文化の振興、文化財分野における国際協力や国際文化交流に積極的に取り組みます。さらに、新しい時代に対応した著作権等の施策を推進するとともに、国語について国民一人一人が意識を高め、正しく理解するよう努めてまいります。
 我が国が国際社会においてより魅力ある国、信頼される国となることは極めて重要な課題であり、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術などの日本の経験を生かした協力、交流に力を入れます。また、留学生受入れ体制の充実や日本人の海外留学の支援にも取り組んでまいります。さらに、英語が使える日本人の育成、教育の情報化、環境教育や人権教育の推進、男女共同参画社会の形成等に努めます。
 規制改革や構造改革特区については、今後とも引き続き、地方公共団体や民間の創意と工夫を生かし、教育研究の活性化という観点から、できるだけ柔軟に取り組んでいきたいと考えております。また、個性ある豊かな地域づくりを支援するため、地域再生の観点から、地域の実情に合わせた制度の見直しや施策の連携を進めてまいります。このほか、知的財産戦略の推進、公益法人改革、独立行政法人の組織、業務の見直し等の重要な課題に積極的に対応してまいります。
 私といたしましては、国民の強い期待を真摯に受け止め、文部科学行政全般にわたり誠心誠意取り組んでまいる決意です。委員各位におかれましても、特段の御理解、御協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 それでは次に、平成十七年度文部科学省関係予算について、塩谷文部科学副大臣から説明を聴取いたします。塩谷文部科学副大臣。
#10
○副大臣(塩谷立君) 平成十七年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 平成十七年度予算の編成に当たっては、教育・文化立国と科学技術創造立国の実現を目指し、教育改革、科学技術・学術の振興、さらに、スポーツ、文化芸術の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学予算の確保に努めてきたところであります。
 文部科学省所管の一般会計予算額は五兆七千三百三十二億七千百万円、電源開発促進対策特別会計予算額は一千六百十二億九千万円となっております。
 以下、平成十七年度予算における主な事項について御説明申し上げます。
 第一に、義務教育費国庫負担金については、平成十六年十一月の三位一体の改革に関する政府・与党合意に基づいて、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するとの方針の下、平成十七年秋までに中央教育審議会において費用負担についての地方案を生かす方策や教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方を幅広く検討し、その結論が出るまでの暫定措置として、平成十七年度予算においては、本来の負担額から四千二百五十億円を減じた、二兆一千百五十億円を計上しております。この減額相当分は、税源移譲予定特例交付金により措置することとしております。また、平成十三年度から十七年度までの五年計画である第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画を完成させることとしております。
 また、子供たちの基礎基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの確かな学力をはぐくむため、学力向上拠点形成事業など学力向上を目指した施策を総合的に進めることとして八十三億円を計上しております。
 さらに、学校、家庭、地域が一体となり、地域の教育力を再生を図るため、安全に、かつ安心して活動できる子供の居場所づくりの支援、地域におけるボランティア活動や、スポーツ及び特色ある様々な文化体験活動などの促進に必要な経費として百十二億円を計上しております。なお、学校施設の耐震化の推進等を図るため、公立学校施設整備に一千二百二十一億円を計上しております。
 第二に、若者自立・挑戦プランの強化等キャリア教育の充実について、学校全体で勤労観、職業観の醸成を図るとともに、就業にかかわる基礎的な能力を付与する機会を提供することとしております。
 第三に、昨年四月に法人化した国立大学等が自主性、自律性を十分に発揮し、教育研究活動が着実に実施されるよう運営費交付金一兆二千三百十七億円、国立大学等施設緊急整備五か年計画に基づき国立大学等の施設を着実に整備することとして、施設整備費補助金等五百五十億円を計上しております。
 また、国公私を通じた競争原理に基づいた重点的なプロジェクト支援として五百三十三億円を計上しております。
 さらに、奨学金事業については、事業費総額で六百九十億円の増額を行い、貸与人員で六万九千人増員するなど、一層の充実を図ることとしております。
 第四に、私学助成について、法科大学院に対する支援を始め経常費助成を中心に総額で四千五百七十六億円を計上するなど、引き続きその充実を図ることとしております。
 第五に、留学生交流の推進を図るほか、ユネスコへの協力や日本の経験を生かした国際教育協力を推進することとしております。
 第六に、世界で活躍するトップレベルの競技者の育成に取り組むとともに、国民だれもが身近にスポーツに親しめる生涯スポーツ社会の実現を目指すなど、豊かなスポーツ環境づくりを推進することとしております。
 第七に、心豊かで魅力ある社会を目指した文化力の向上について、文化芸術創造プランや「日本文化の魅力」発見・発信プランを推進するとともに、文化財の次世代への継承と国際協力の推進、文化芸術振興のための文化拠点の充実を図ることとしております。
 第八に、大学、大学共同利用機関等で実施されるニュートリノ研究、大強度陽子加速器計画、ALMA計画など、ビッグプロジェクトや重点四分野の推進に資する研究等、独創的、先端的基礎研究について着実な推進を図るとともに、研究機関間の連携協力を更に強化することとしております。
 また、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の重点四分野への一層の重点化を図ることとして二千二百四十三億円を計上するとともに、融合新興分野における研究開発、また、安全、安心な社会の構築や経済活性化に資する科学技術を推進するほか、原子力、宇宙・航空、海洋、地震・防災分野については、国として戦略的に推進すべき領域として効果的に推進することとしております。
 特に、国際熱核融合実験炉、ITERについては、人類の未来のため、日本への誘致に引き続き最大限努力するなど、国際協力により推進してまいります。また、高速増殖炉「もんじゅ」については、改造工事の地元了解を得ましたので、安全確保を大前提にこれを実施し、早期の運転再開を目指して努力してまいります。宇宙航空分野については、信頼性の向上に全力を注ぐこととしております。さらに、地球観測サミットの十年実施計画を踏まえ、地球温暖化、異常気象の解明や自然災害への対策などに資する地球規模の観測システムの構築を推進してまいります。
 第九に、科学研究費補助金を始めとした競争的資金について、引き続き、その改革と大幅な拡充を図ることにより競争的な研究開発環境の整備に取り組んでまいります。
 また、大学等における知的財産の戦略的な取得、活用の促進や大学発ベンチャーの創出支援など産学官連携の推進、地域科学技術の振興、研究基盤の整備強化を図ることとしております。
 第十に、科学技術創造立国を支える基盤を充実するため、多様な人材の養成及び確保を図るとともに、科学技術・学術の国際展開を戦略的に推進することとし、また、研究者等と社会との双方向の交流を進め、国民が夢と感動を抱ける機会の実現を図ってまいります。
 以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、これらの具体的内容につきましては、お手元に資料をお配りしておりますので、御説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
#11
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 以上で所信及び予算説明の聴取は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト