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2005/03/29 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 文教科学委員会 第5号
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2005/03/29 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 文教科学委員会 第5号

#1
第162回国会 文教科学委員会 第5号
平成十七年三月二十九日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     水岡 俊一君     広中和歌子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 郁夫君
    理 事
                有村 治子君
                北岡 秀二君
                佐藤 泰介君
                鈴木  寛君
    委 員
                大仁田 厚君
                荻原 健司君
                河合 常則君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                橋本 聖子君
                山本 順三君
                小林  元君
                下田 敦子君
                那谷屋正義君
                西岡 武夫君
                広中和歌子君
                浮島とも子君
                山下 栄一君
                小林美恵子君
   国務大臣
       文部科学大臣   中山 成彬君
   副大臣
       文部科学副大臣  塩谷  立君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       下村 博文君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 俊史君
   政府参考人
       内閣府北方対策
       本部審議官    東   清君
       総務大臣官房審
       議官       岡本  保君
       外務省欧州局長  小松 一郎君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   田中壮一郎君
       文部科学省初等
       中等教育局長   銭谷 眞美君
       文部科学省高等
       教育局長     石川  明君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        素川 富司君
       文化庁次長    加茂川幸夫君
   参考人
       慶應義塾学事顧
       問
       日本私立学校振
       興・共済事業団
       理事長
       中央教育審議会
       会長       鳥居 泰彦君
       岡山県知事
       中央教育審議会
       義務教育特別部
       会臨時委員    石井 正弘君
       財団法人全国退
       職教職員生きが
       い支援協会理事
       長
       中央教育審議会
       義務教育特別部
       会臨時委員    渡久山長輝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教
 育費国庫負担法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(亀井郁夫君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、水岡俊一君が委員を辞任され、その補欠として広中和歌子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(亀井郁夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として慶應義塾学事顧問、日本私立学校振興・共済事業団理事長、中央教育審議会会長鳥居泰彦君、岡山県知事・中央教育審議会義務教育特別部会臨時委員石井正弘君及び財団法人全国退職教職員生きがい支援協会理事長・中央教育審議会義務教育特別部会臨時委員渡久山長輝君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(亀井郁夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(亀井郁夫君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆さんから忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず鳥居参考人、石井参考人、渡久山参考人の順でそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただいた後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、まず鳥居参考人から御意見を述べていただきます。鳥居参考人。
#6
○参考人(鳥居泰彦君) ありがとうございます。
 それでは、私の義務教育制度に関する意見を申し上げます。
 小泉内閣の三位一体改革の目指すところは、まず第一に、国から地方への補助金の削減とそれに見合う地方税の増額、第二に地方交付税の縮減、第三に地方分権の推進であると理解しております。
 昨年、総理は、補助金等削減の総額目標三兆円を設定され、各省と地方六団体の両方に税源移譲案の提出を求められました。義務教育費国庫負担金二兆五千億円を移譲するという案がそこで浮上いたしまして、紆余曲折を経て義務教育費国庫負担法の一部改正案ということになり、四千二百五十億円の暫定的削減ということになりました。
 この四千二百五十億円の性格でございますが、本年三月十一日の衆議院文部科学委員会に総理御自身が出席され、牧義夫議員の質問に答える形で確認されたように、四千二百五十億円は、中学校分を特定しているのではなく、平成十七年度限りの暫定措置として義務教育費国庫負担を削減し、代わりに税源移譲特例交付金を支出するというものであります。この限りでは、国から地方に今回はお金が出るということには変わりはありません。
 中央教育審議会としては、昨年十一月二十六日の政府・与党合意に明記された方針である、義務教育費制度については、その根幹を維持し、国の責任を堅持するという方針の下、費用負担についての地方案を生かす方策と、教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方を本年秋までに中央教育審議会において結論を得るという方針に誠実に対応したいと考えております。
 義務教育の在り方は広範な目配りで検討しなければならないと思っております。
 例えば、幾つかの例を挙げますと、最近の学力低下の傾向は非常に深刻なものがありまして、学力低下問題というのを私たちは真剣に取り上げていかなければなりません。
 また第二には、教育予算の貧困さであります。資料、お手元にお配りしてございます参考人質疑資料の一番最後のページに、OECD諸国の小中学校の教育費の対GDP比が書いてございますが、それをごらんいただきましても、日本は下から四番目、二・七%でありまして、誠にお粗末な状況でございます。
 三番目には、学校の校舎、施設設備の老朽化の進行に対する政策がほとんど打てないでいる状況がございます。一方、二十一世紀の中葉を視野に入れますと、新しい近代的な、先進的な学校施設設備の更新を図らなければならないところに来ております。
 また、四番目には教員の人口分布の問題がございます。
 これを見ますと、小中学校の教員全体の中で四十歳から六十歳の年齢層が異常に多い状況にございます。といたしますと、この人々が定年退職をしていく今後二十年間、退職金の支出が激増することがはっきりしておるわけでございます。と同時に、こうして退職していかれる教員の後を埋める教員として質の高い教員の補充が必要になりますが、その方策を図らねばなりません。日本には全体として小学校が約二万三千、中学校が一万一千ございますが、その教育の現場は全国の町や村に分布しておりまして、そのすべてにおいて高い水準の教育を実現するのはなかなか至難でありますけれども、それを実行していかなければなりません。
 ほかにも多くの目配りがございますが、ここでは省略をさせていただきます。
 昨年の三位一体改革の議論では、こうした教育に関する大切な視点がほとんど議論されることなく、財政の論理だけが進んでいったというふうに思われます。中央教育審議会ではこういった問題をできるだけ広い目配りで審議をするために昨年の暮れに会長試案という形で議論の大枠を示してございますが、それは参考資料の一ページ目に印刷をしてございますので、ごらんをいただければ幸いでございます。
 私といたしましては、義務教育の在り方について、地方の意見を始め様々な意見を十分に踏まえて、中教審として納得できる結論を得るよう最大限努めてまいる所存でございます。
 中教審は、既に昨年の五月、これもお配りしてございますが、空色の表紙のこういうものでございますが、義務教育に係る経費負担の在り方についての中間報告をまとめまして発表いたしました。これ一冊全部ごらんいただくのは大変でございますので、別添で一枚紙でその概要をお配りしてございます。これでございます。
 この概要をごらんいただきますと分かりますように、義務教育費国庫負担の沿革、諸外国における義務教育費の負担状況、義務教育費国庫負担制度が廃止された場合の問題点等を細かく論じたものでございます。また、ここでは詳細は省略いたしますけれども、このほかに、国から地方に既に移管されました様々の教育経費の項目の中に、例えば図書費のように既に地方に移されてから県間格差が甚だしく広がっているようなものが多々ございます。
 大変恐縮でございますが、お配りいたしましたこの中間報告の四十八ページをちょっとお開きいただきたいのでございます。
 この四十八ページをごらんいただきますと、義務教育費国庫負担制度を廃止した場合の各都道府県への影響がシミュレーションしてございまして、四十七都道府県中、四十の都道府県において経費が足りなくなるということが予想されます。
 次に、次のテーマに移りますが、義務教育費の問題を検討するに当たりましては、歴史的な教訓と国際的な動向を十分に踏まえる必要があると存じます。
 お配りしてございます参考人資料、二ページをお開きいただきますとグラフが出ております。このグラフは非常に重要なことを物語っていると思います。折れ線グラフがございます。この折れ線グラフの左の端が明治六年、右の端が、右の上の方でございますが、昭和二十四年、そこまでずっと就学率が増えていった状況でございます。一番左下の明治六年、就学率は二八%でありまして、それが明治十六年にかけて五一%まで増えていきました。これは明治六年の学校制度を明治政府が鋭意進めていった結果でございます。
 ところが、明治十六年から明治二十年にかけて四五%まで就学率は落ちています。なぜ落ちたのか。それは、明治十八年に学校の授業料等を受益者負担に切り替えたためであります。明治二十三年になりまして小学校費の市町村負担主義が確立いたしました。これによって就学率は再び上昇を始めまして、明治二十年の四五%から明治二十五年には五五・一%まで回復しております。明治三十三年になりますと市町村立小学校の国庫補助法によりまして若干の国庫補助が行われるようになり、そして小学校の学費が無償制度になりました。就学率は明治三十三年に八一・五%に達しておりまして、その後も上昇を続けまして、明治四十年ごろになりますとほぼ一〇〇%に近い状態になっております。大正に入りますと、大正七年に市町村義務教育費国庫負担法が制定されまして国庫負担が導入されましたが、それでも市町村の負担は次第に重くなってまいりました。
 昭和三年の第一回普通選挙におきまして政友会と民政党が激しく論争いたしました。特に、いろいろな政策で論争が行われたのでありますが、義務教育費をどうするかという論争は今日の我々にとって大きな教訓を残していると考えますので、少しく御紹介を申し上げたいと思います。
 配付いたしました資料の三ページは立憲政友会の選挙ポスターでございます。真ん中に仕切りがありまして、そこに「地租ヲ市町村ニ移セバ恒久財源ヲ得テ市町村民ノ負担ガ軽クナリ」と書いてあります。当時、日本は農業国でありましたので、税の中心は地租でありました。その地租を国税として徴収するか、あるいは地方税、市町村税として徴収するかでありまして、立憲政友会は地租を市町村税に移すということを主張していたわけです。その立憲政友会でさえ、その真ん中のところに赤い傍線を付したところがございまして、「セマキ町村ニ対シテハ例外ヲ設ケ教員ノ俸給ヲ補助ス」と言っています。つまり、市町村税に地租を移しても、それでも小さな市町村においてはやっていけなくなるので、例外を設けて教員の俸給は補助をするということを国民に選挙で訴えています。
 一方、これに対して民政党は、次のページに民政党の選挙ポスターがございますが、農村の疲弊の原因は地方税にあると考えておりましたので、できるだけ教育費を国で賄うということを考えていたようでございます。
 傍線を付したところをちょっと読んでみますと、「全国各地平等に行なはれなければ」、この主語をちょっと飛ばしましたけれども、全国各地平等に行われなければならないのであるが、その市町村の貧富の程度によって諸施設の完備を図ることができず、優秀な教員を雇うことができないと。そこで、最後の傍線でございますが、我が民政党は義務教育費教員俸給一億四千万の全額国庫負担を主張すると言っております。
 この主張の中心となった民政党の当時の幹事長は小泉又次郎議員でありまして、小泉現総理のおじい様でございます。
 両党におきましてスタンスの違いはございますが、義務教育の全国的な機会均等の観点から両党とも教育費の財源保障を重視していたことが分かります。
 昭和五年になりますと、浜口雄幸内閣が市町村義務教育費国庫負担法の改正を行いまして、教員給与を国庫負担にすることになりました。これは定額でございますけれども、その額は約二分の一、教員給与の二分の一に達しておりました。
 その後、昭和恐慌と軍事景気によりまして地方間の貧富の偏差と市町村の財政力の格差が拡大いたしまして、昭和十五年、大東亜戦争、太平洋戦争開戦の一年前ですが、市町村立小学校教員俸給及び旅費の負担に関する勅令が制定され、教員の給与負担の、市町村から都道府県に改められまして、それに加えて旧義務教育費国庫負担法が制定され、その国庫負担を、今度は定率で二分の一を国庫負担とすることになりました。
 ところが、その後四年間の戦争を経て終戦となり、戦後、シャウプ勧告で昭和二十四年に国庫負担法が廃止されました。しかし、実際やってみますと教育費の地域間格差が拡大しまして、三年半後の昭和二十八年には国庫負担を再開することになりました。それが今日の義務教育費国庫負担法でございます。
 この義務教育費国庫負担法の提案理由を当時の文部委員長の竹尾弌議員が次のように述べておられます。抜粋で申し上げます。教職員の給与費は昭和二十四年当時の、つまりシャウプ勧告当時の二倍以上となっており、都道府県の一般財源に対して三五%から四五%に膨張し、地方税収入の七五%を占めるに至った。地方公共団体独自の税収入で義務教育費を賄うことができるのはわずか九つの都道府県にすぎず、中には義務教育費が税収入の二倍、三倍に達している県もある。各府県間の教員の待遇及び定数はますます不均衡が甚だしくなっている。全般的に低下の傾向が顕著となっている。憲法に保障された義務教育の国策の根幹であることを明らかにし、教育文化を尊重するゆえんを内外に宣明するその意義は極めて大であると、こう言っておられます。
 地方負担と国庫負担を二度も三度も行ったり来たりした日本の義務教育制度の、国庫負担制度の明治以来の歴史、そのはざまで翻弄されたのは町村と子供たちであったということを忘れてはならないと思います。
 次に、最後に、国際的な動向について簡単にお話をさしてください。
 先進主要国はいずれも義務教育費の充実に力を入れております。配付資料の五ページと六ページがそのことを述べているところでございますが、その資料を読み上げるのは省略いたします。
 多くの国では学校の運営・予算に関しての現場裁量の拡大も進める一方で、その財源は国又は連邦国家においては州が教育に責任を持つという方向を取っているように思います。
 その典型的な例がイギリスでありまして、一九七九年に首相に就任されたサッチャー首相が、一九八〇年から八八年までの約九年をかけましてイギリスのいわゆるサッチャー教育改革を断行されました。その最後の段階の締めくくりとして行われた一九八七年十月のブラックプール大会では次のように演説をしておられます。今期の国会における最大の課題は教育改革である。イギリスが日本、西ドイツ、アメリカとの競争に勝つには、良い教育と訓練を受け、創造力ある若者が必要である。そのためにサッチャー首相は、ナショナルカリキュラムを始めとする様々の教育改革を断行されました。
 現在、イギリスのブレア首相は、教育予算の危機から脱出するための非常にドラスティックな教育改革を断行しておられます。一九九七年に政権を獲得されたときのブレア首相のスローガンは、自らの口で次のように言っておられます。最優先課題は、第一に教育、第二に教育、第三に教育である。そして、九七年当時、日本円に換算して約五十万円であった子供一人当たりの教育費を二〇〇七年までの十年間に約二倍、百十万円に増やすということを公約しておられます。
 お配りいたしました資料の七ページをごらんいただきますと、幾つかのイギリスの新聞の切り抜きが御紹介してございます。左上は、学校が赤字を削減するために子供を早く帰宅さしている。右上は、校長が予算不足のために千五百人の教員の失業の可能性を訴えているといったようなものでございます。
 このような教育予算の不足というのは、イギリスの学校教育制度が、地方当局にその予算まで任せていた時代から、だんだんに国が責任を持つ体制に戻ってくる、そのプロセスの中で起こっている地方教育予算の危機であります。英国は二〇〇六年度、来年度に向けて、全額国庫負担に戻すための法案を今、国会に上程しております。
 そのほか、アメリカのレーガン大統領が一九八三年に発表いたしましたア・ネーション・アット・リスク、危機に瀕する国家という膨大な報告書の中で一番最後に、優秀な卓越する国民をつくるのにはコストが掛かる、そのコストをたじろいでいれば凡庸な国民の山を築くことになる、そのためのコストははるかにはるかに大きなものになるということを訴えています。我々にとって非常に大きな教訓でございます。
 最後に、義務教育費国庫負担制度についての私の考えを一言だけ申し上げて終わりにいたしますが、教育の地方分権と国による財源保障は決して矛盾しないと思います。したがいまして、教育現場に最も近い市町村や学校が権限や裁量を発揮して生き生きとした教育制度が行えるようにするために何をすればよいかを中央教育審議会はこれから審議を更に重ねてまいります。と同時に、それらのことが安心して行えるように財源を公的に保障する制度を是非考えていただきたいと考えております。
 以上で私の御説明を終わります。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 では次に、石井参考人にお願いいたします。石井参考人。
#8
○参考人(石井正弘君) 岡山県知事の石井正弘でございます。
 本日は、私、地方六団体の推薦に基づきまして中央教育審議会の義務教育特別部会臨時委員を拝命をしておりまして、全国知事会を代表する立場で義務教育費国庫負担金制度につきまして意見を述べさせていただきたいと思っております。
 お手元に資料をお配りをさしていただいておりますので、それをごらんいただきたいと思いますが、まず、その前提といたしまして、私ども地方自治体は、教育関係につきまして、自治事務でございます義務教育行政の小学校、中学校の設置、運営を行う主体であります。そして現在、その所要経費の七割以上を負担をしているところであります。そして、幼稚園、高等学校、公立大学、私学助成、スポーツの振興、生涯学習、科学技術等、いずれの分野におきましても我々地方自治体が重要な役割を果たしているというところでございます。
 御承知のとおり、地方六団体は、政府からの要請に応じまして、昨年八月二十四日、国庫補助負担金等に関する改革案を提出をしたところであります。その改革案の中に、教育分野における地方分権を推進するために、義務教育費国庫負担金制度につきましては、第二期改革、すなわち平成十九年度から二十一年度までの三か年間までにその全額を廃止をし、税源移譲の対象とした上で、第一期改革、すなわち平成十七年度から十八年度におきましては、中学校教職員の給与等にかかわります負担金を移譲対象とするように提案をさせていただいた、このような経緯があるところでございます。
 それでは、お手元の資料に基づきまして御説明申し上げたいと思いますが、既に昨年の十一月、当委員会におきまして梶原前全国知事会会長より御説明を申し上げているところでございまして、その後の様々な事情の変化、新しい事実等もこの資料には付記しておりますが、基本的にはそのとき御説明申し上げました資料となっておりますが、あらかじめ御承知をいただければと思っております。
 まず第一に、小中の学校教育にかかわります事務は県費負担教職員の任命権及びその給与関係等にかかわる事務、これは都道府県の自治事務でございますが、これを除きまして、原則として市町村の自治事務となっているところでありまして、決して中央政府の専管事務ではないということが第一点であります。
 次に、義務教育に関する国の責務、これにつきましては、中央政府だけの義務ではなくて、地方公共団体をも包含する意味での国家全体のこれは責任であると、このように私たちは考えております。
 そこで、三番目でございますが、義務教育におきまして、国におかれましてはいわゆる標準法によります標準的で適切なる学級規模の明示とか、あるいは学習指導要領によってあるべき学習内容の提示をされる等、統一的、基本的な義務教育の内容を、あるいは水準を定めるということを基本的な役割とされるべきでありまして、地方はその国が定められました水準、その確保というものを守りながら、それぞれが独自に創意工夫というものを発揮をして、地域のニーズに適合した自主的かつ主体的な教育の実施の役割を担っていくべきと考えております。
 このため、先ほど申し上げましたとおり、財源面における自由度を高めて裁量の範囲を拡大するということが望ましいと我々地方公共団体は考え、現行のこの国庫負担制度を廃止をして税源移譲をしていただきたいと、このように我々は主張しているものでございます。
 次のページ、五番目でございますが、そのことによりまして、義務教育に関する地方自治体の責任というものが住民に対して明確になると、このように我々は考えます。そして、国の基準をそれぞれ満たした上で多種多様な取組が促進され、むしろ教育水準の向上につきましていい意味での競争が行われるのではないかと我々は考えております。
 そして、六番目でございますが、先進国の事例、現在時点におきまして我々が調査する範囲におきますと、これは地方の事務としていると、こういう国が多いと認識をしております。
 三ページ、関係の資料でございますが、全国知事会で議論したということは先ほど申し上げましたが、そのときに各都道府県知事のアンケートを取りましたが、義務教育につきましては引き続き自治事務とすべきというものが四十三団体ございました。それから、地方公共団体の、地方自治体の裁量範囲を拡大すべきであると、このようにアンケートで答えられた知事さんが四十五団体ということでございまして、全体といたしましてはこういう傾向になっているということを是非御認識をちょうだいいたしたいと思います。
 それから、自治事務ということを申し上げましたけれども、その歴史的変遷が書いてございます。一番下にございますとおり、平成十二年四月施行の地方分権一括法で大きな議論があったと、このようにお聞きしておりますが、その結果、義務教育に関するすべての事務は自治事務化されたと、こういうことでございまして、その直前にありますとおり、それまでは教員の任免等は機関委任事務であったところでございます。
 そして三番目の、各国の現在の制度でございますけれども、私どもが承知しておる範囲におきますと、アメリカ、カナダ、ドイツ、こういう連邦制国家におきましては、これは分権化がなされております。
 スウェーデンにおきましては、義務教育はコミューン、すなわち市町村の事務でありまして、これを一般財源化する改革によりまして、かえって地方公共団体の教育支出は増加をして水準が向上していると、このように承知をしております。
 なお、フィンランドにつきましては、大変よく報道等で最近なされるわけでございます。報道等がされるわけでございますが、これは教員の給与は全額地方負担となっておりまして、すべていろんな分野におきまして、学習到達度調査ではいずれの分野もトップクラスになっておる、財源調整は当然調整交付金で行っていると、こういうことでございます。私どもが主張しているような考え方に立脚しているものと承知をしております。
 イギリスにつきましては、現在の私たちが承知している限りにおきますと、地方の事務ということで地方税によって義務教育が推進され、今現在、九割ですね、実際上九割が一般財源、地方の一般財源ということで、いわゆる日本の交付税に当たる歳入援助交付金あるいはビジネスレートというものを含みながら九割が一般財源で措置をされていると承知をしております。
 フランスは、これは全額国庫負担でございます。
 次に、四ページに参りたいと思いますが、経緯でございますが、義務教育に要する経費につきましては、先ほども申し上げましたが、既に七割以上が一般財源である地方税あるいは地方交付税によって賄われておるということでございまして、この残り、教員の給与費の二分の一を一般財源化いたしましても何ら問題は生じない。そしてそのことは、実は、最後のページに恐縮でございますが飛んでいただきまして、十五ページ、平成十四年度にはその割合が三四・五%でございましたが、そこにございますとおり種々一般財源化をしてこられまして、共済長期あるいは退職手当、児童手当、こういったものを一般財源化されてこられまして、今現在は二八・八%、このような負担割合になっているということでございまして、こういったような一般財源化をするよりは、むしろ税源移譲をしてしっかりと我々義務教育の財源を確保していただく方が確実ではないかと考えております。
 なお、憲法上の要請ということではないということにつきましては、かつて、すなわち昭和二十五年から二十七年、義務教育費国庫負担金のこの制度が廃止されておった時期があったということからも明らかでないかと思っております。
 五ページに参りまして、同じく全国知事会でアンケートしましたこの税源移譲に関する問題でございますが、一般財源化、税源移譲によって行うべきだとアンケートに答えられた知事は三十七団体でございました。現行の総額裁量制による負担金制度を維持する、これが八団体、その他二団体と、このようなことでございまして、大多数が現行の制度を私たちの今回の改革案のように改善をしていただきたいと、こういう要望を持っておるということを是非御理解いただきたいと思います。
 なお、一番下でございますが、四番目にございますが、いわゆる加配定数につきましてであります。確かに総額裁量制は取られているわけでありますけれども、いわゆる大臣が加配をされるそれぞれの都道府県別の配分、これにつきましては一方的な措置となっておりまして、その基準も明確になっておらず、その実際の配分数についても文部科学省は公表しておられません。このことについては非常に我々、情報公開の時代、納得がいかないところでございまして、先般、義務教育の、中教審の特別部会におきましてもこの資料要求を我々させていただいたところでございます。
 六ページに参りまして、義務教育の根幹は、機会均等、水準確保、無償制ということでございますが、その点につきましてはそこの下に記しておりますとおり、それぞれ現行の諸制度によってこれは担保されておると、こういうことでございまして、いずれにいたしましても、この義務教育の根幹を守ることと教職員の給与に関する国庫負担、補助負担金制度の存続の問題とは別の問題であると我々は承知をしているものでございます。
 そして、七ページに参りまして、先ほど冒頭申し上げましたとおり、国の方におかれましては、義務教育標準法とかあるいは学習指導要領等によって担保されているということでございます。こういう制度によって担保していただければ、教職員の給与の二分の一を国も見るということが国家戦略を展開するための最適の措置とも到底考えられないと、このように我々は考えております。
 八ページへ参りまして、それでは一般財源化した場合、都道府県が必要な支出を確保しようとしない、そういう事態が万一発生したときどうなんだと、こういう御心配があろうかと思いますが、この点につきましては、Aにございますとおり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、文部科学大臣は知事及び教育委員会を指導することができることになっておりますし、また三番目、標準法によって文部科学大臣は報告、指導をする、報告を求め指導することができる。さらには、地方交付税によって是正勧告、あるいは総務大臣がその返還を求める等々、措置をすることが現行法でも可能でございますが、なおこれら現行の法律による担保が不十分であると、このようにお考えであれば法律改正をされることも可能であると、このように考えております。九ページ以下はその関係の条文でございますので、後ほどごらんいただければ幸いでございます。
 そして、十一ページ、最後になりますけれども、先ほども鳥居会長さんから御紹介ございました、この義務教育費国庫負担金が一般財源化されると四十道府県で財源不足になる、このような御主張があるわけでございますが、私どもから言わせますと、各地方公共団体において必要とされるこの教育費の支出と税源の分布、これが一致をしないというのはこれはもう当然のことでございます。その他もろもろの、我々、諸経費、税源のアンバランスがある、その中で我々は地方公共団体としての責務を果たしているところでございますが、それは、いわゆる地方交付税の財源調整機能によって措置をされているということでございます。
 今現在でも七割以上、義務教育に関する、要する経費負担をしておりますが、これらも地方交付税の財源調整機能によって措置が講じられ、それによって事務を執行しておるということでございまして、このことを主張されますと、今回のもろもろの地方分権改革というものは議論が成り立たないと、こういうことでございまして、この交付税によって措置をされるということは、この二月二十二日の衆議院本会議における小泉内閣総理大臣からの答弁、すなわち、十二ページのところに書いてございますが、「地方交付税の財政調整機能によって地域間の財政力格差に対応する考えであります。」と、このことで明らかになっていると、このように承知をしております。
 以上で私の意見を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
#9
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 それでは、次に渡久山参考人にお願いいたします。渡久山参考人。
#10
○参考人(渡久山長輝君) 渡久山でございます。
 我が国の教育、特に義務教育が極めて危機的な状況のときに、このようにして亀井委員長を始めこの委員会の皆さん方が教育について審議をされることについて心から敬意を表したいと思います。
 私は、今日はレジュメとそれから資料を提出してございますので、それを中心にして提起をしたいと思います。
 先週の二十二日ですけれども、内閣府の調査室がニートについて報告いたしました。これは、十五歳から三十四歳までの独身の若年層のうちで、仕事をせず、それから学生でもなく、職業訓練もしない無業者、これをニートと呼ぶそうですけれども、これが二〇〇二年の推計では約八十四万七千人だということが言われています。また、厚生労働省が二〇〇四年に報告したものによりますと、いわゆるフリーターと言われる皆さんが二百十四万人と言われています。我が国の十五歳から三十四歳、あるいは仕事をしていかなくちゃいけないような状況の中でこういうことが起こっているというのは、十五歳といいますとちょうど義務教育を終わった段階であります。そうしますと、そこに、義務教育の中で何かまだ課題があるんじゃないか。特にニートの場合、働く意欲を持っていない。それからまたフリーターの場合は、自己実現のために仕事を変えるということもありますけれども、一つは、やっぱり自分の知識あるいは技能が十分備わっていない。そういう中で、結局定職を持たないというような状況があると、こういうように思います。
 また、せんだってOECDがPISAの報告をいたしました。これによりますと、日本の、御案内のとおり、学力が非常に落ちているというような問題があります。ただ学力が落ちているだけではなくて、その中で非常に特徴的なのは、二極化している。要するに、優秀な子供たちとそうでない子供たち、特に成績の悪い子供たちが増えているんですね。ほかの、他の国に比べて非常に増えているというのがあります。それはなぜだろうかというと、結局、日本の子供たちは自ら進んで勉強をするという態度がない。それは、一つの、勉強する目標がない、目当てがないというようなことが言われているわけですね。そうすると、ニートにおいても、正に働く意欲や働こうという気持ちがないというようなことについて、非常にこれは義務教育の持っている一つの課題じゃないかというような気がいたすのでございます。
 そういうことを踏まえながら、やはり今まで教育改革についていろいろなことがなされてきました。例えば少人数学級だとか、あるいは習熟度別指導だとか、あるいは授業の改革だとか、そういうことがなされてきておりますけれども、必ずしも十分ではないというのが今の状況じゃないかと思います。
 特に、このOECDなんかのものによりますと、各教科への応用力がないというようなことで、文部科学省は二〇〇二年から総合的な学習というのを取り入れて、ゆとりといいましょうか、考える力、自らやっぱり選択して生きる力を付けていかなくちゃいけないというようなこと等を踏まえて今指導要領がなされているわけですね。これは正にフィンランドもそういう形でできていっているわけです。フィンランドは一九七〇年代に実は六三制をしいたんですが、これは日本の六三制から学んでフィンランドは取り入れているんですね。ですから、そういうことを考えてきますと、やっぱり今義務教育の中でまだ定着は十分していないけれども、総合的学習の中でやはり日本の子供たちが自ら選択して生きる力や考える力というものを付けていくということは非常に大事なことじゃないかと思います。
 そういう意味で、一つは、このレジュメの五番のところに義務教育費国庫負担法の制定の必然性と先見性というのがありますが、先ほど鳥居会長からもございましたけれども、昭和二十八年に現行法ができたわけでありますけれども、これは、正に義務教育は憲法の要請に基づくものであり、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、国は、やはり憲法及び教育基本法にうたう教育の機会均等、あるいは全国的な教育水準の維持向上を図る責任を有していると思います。特に、義務教育国庫負担制度というのはこのような国の責任を果たす制度でありまして、正に今後とも堅持をされ、特に義務教育が、ノーマルな形でますますきちっとして日本の国の基礎をつくっていく、あるいは国民の基礎をつくっていくためにこれが機能することを心から期待をしたいと思うわけであります。
 だから、そういう意味で言いますと、私たちはもう一度義務教育の目的についてやはり考えていかなくちゃいけない。これは、子供たちが全国のどこにいても無償で小中学校の九年間の義務教育を受けることができるという法律の定めによって保障されている、あるいは子供たちの教育権の権利というものが保障されている、あるいは保障しなくちゃいけないということの要請だと思います。人格の形成の基礎、あるいは国民としての素養を身に付けるということでありますし、具体的には、やはり教育の機会均等、全国どこにいてもすべての子供に教育が保障されるということでありますし、また水準の確保、要するにナショナルミニマムとしての最低必要の水準の教育を受けることを保障するということでありますし、無償制度という、今、日本の場合は授業料あるいは教科書の無償になっていますけれども、ただ、教育基本法の無償制ができたときには何かというと、あのときには、国の財政がまだ逼迫しているので財政が豊かになったらもっと多くの無償制、無償をすべきだという確認も国会でなされているわけでありますが、そういうことを前提にして、私は、義務教育国庫負担法ができたということには極めて必然性と同時にやはり先見性があったと、こういうように思います。これが正に日本の高度経済成長を支えていた国力をつくってきた原動力にもなったと思うのであります。
 次に、そういう状況の中でも、地方自治体の教育施策への努力と、それから教育諸費の現状をちょっと見てみたいと思います。
 地方自治体は、市町村は小中学校の設置義務がございます。先ほど知事が言われたとおりでありますし、また都道府県については教職員の給与負担というものを実際やっているわけであります。
 ただしかし、実際、現在の地方自治体の財政状況を見てみますと、この資料の一ページを見ていただきたいと思いますけれども、こういうように万が一義務教育費国庫負担というのを廃止した場合の、これ試算ですけれども、このような状況になっています。緑色の棒がいわゆる増えていくところでございまして、これは七県しかございません。あと四十県は、全部赤い棒で書かれていますように財政は極めて逼迫し、非常にこれでは、これはもちろん個人住民税をフラット税率で計算したときのものでございまして、こういうように全部下がっていくというのが状況であります。
 こういう状況の中で、今現在でもやはり、この一般財源化された教育に関する予算等をちょっと見てみたいと思いますが、これは二ページ目に書いてあります。これは教材費と教員の旅費の措置の問題でございますけれども、この旅費の一〇〇と書いた線というのが標準の線ですけど、これから比べますと、例えば昭和六十年に教材費、旅費が、教員旅費が一般財源化されました。このときの状況が今グラフに出ているところでございますが、これがだんだんだんだん地方財政、この地方財政は、地方債現在高と書いていますけど、赤いグラフで書いていますけど、これがだんだんだんだんやはり額が高くなっていくところ、特に今の平成の七年辺りから非常に地方財政は地方債で賄っていくという状況になってくるわけです。そうして見ますと、ここでクロスしておりまして、教材費とか旅費とかっていうのがこのようにだんだんだんだん少なくなっていって、要するに予算措置が十分されていないというのが現状であります。
 私も、もう少し前ですけれども、ちょうど旅費が一般財源化されたときに現場におりましたけれども、本当に逼迫した状況で出張が不可能だという状況も起こっていました。
 次に、三ページ目を見ていただきたいと思いますが、具体的に教材費の措置率というものについて書いてます。これは一〇〇%というのが交付税積算ベースで、基準財政需要額ベースで積算されているものであります。ですから、国から見ますとここに措置されていくのが当然だというのですけれども、必ずしもそうはなっていません。ですから、八〇%以上の県というのは十一都府県しかございません。ですから、八〇%です。だから、一〇〇%の県というのはここにごらんのとおり四つ、あるいは三つか四つの県しかございません。そのように、地方財政の危機の中では教材費は必ずしも教材費になっていないというのが現実であります。これを見ていただきたいと思います。
 ただ、この東京都なんかは不交付団体でありますけれども、これは一六三・七%というような膨大なものにもなっておりますし、大阪が一一八・八%であります。いや、これはまあついでの話ですが、ここに岡山の知事がいらっしゃいますから、岡山は七一・二%になっています。これは、済みません、そういうこともあります。
 次に、四ページをちょっと見ていただきたいと思いますが、四ページは小学校一校当たりの図書購入費であります。これも全国平均が四十二・一万円と、こうなってますけども、この全国平均を下回った県というのが非常にあるわけです。上回った県が単なる、十五都府県でございます。ですから、十五都府県以外は全部国の積算ベースで交付税がなされていますけれども、図書費は学校の図書費としては回っていないというのが現実でありまして、こういうのを見ますと、地方財政の危機では、こういう実際の、具体的に学校には金が回っていないというのが現実でございます。これは図書購入費でございます。
 それでは、次にこの五ページを見ていただきたいと思います。これは学校のLANの整備率でございます。これは、政府としてe―Japan計画の中でこれはLANをやっていく、要するにITの時代だといってこんなに非常に政府は高らかにうたっていますけれども、具体的に、じゃ学校の中でLANがどれぐらい措置されているかというのはこのような状況でございまして、四〇%以下、全国平均が三七・二%であります。この棒グラフを見ていただければ分かりますように、三〇%以上の県は十二県ぐらいしかありません。東京は何か分かりませんが、金はあるけれどもなかなかできてないですね。しかし、それは残念ながら非常に膨大な金が掛かる、教室一つずつにLANを入れるわけですから。それと、もう一つはやっぱり首長の姿勢もあると思うんですね。これは神奈川もそうですけども、そういう大きなところでなかなかできていないというのが、これが現実でありますが。
 ただ、全体的に目標一〇〇%には至っていないというのが現状でありますから、そういう意味では、やはり政府が一定程度イニシアを取って一つの交付税化して金を決めても、結局は、金がどう使われているかという問題は具体的にこういうようにして見ていかなくちゃいけないと思います。
 次に、六ページを見ていただきたいと思います。六ページは、小中学校の耐震化の率でございます。これはもう御案内のとおり、いろいろ最近は地震が非常に多うございます。だがしかし、それに対して校舎あるいは体育館を含めて耐震化率がどれぐらいか、あるいは耐震診断率がどうなっているかというような状況であります。これ見たら、御案内のとおり、緑色が耐震化率でございます、率でございますね。ですから、これを見ますと、この耐震化率の平均は二〇・八%、二〇%であります。御案内のとおり、耐震化のためには国が補助が二分の一かあるいは三分の一ですね、三分の一か二分の一。そうしますと、やっぱり国が二分の一出すとしても、あとの二分の一は自治体が負担しなくちゃならない。しかし、多くの場合は、これは三分の一になっています。そうしますと、三分の二は各自治体が出さなくちゃいけない。そうなりますと、それは金が地方財政非常に危機だということで耐震化ができてないわけですね。
 それで、非常にこれは、ちょっと新潟を見ていただきたいと思いますが、新潟は診断率も非常に低いんですね。それからもう一つ、福岡も診断率は非常に低いんです。だがしかし、実際、新潟や福岡で地震が起こっています。ということは、日本は地震国とはいいながらも、いまだに地震がどこで起こるかというのはきちっと把握されていない。要するに、そこまでまだ地震科学というのは進んでいないという状況ですね。だからってこういう耐震化診断が、それで遅れていたかもしれませんけれども、こういう状況になっています。
 これはやっぱり、今例えば新潟辺りで地震が起こって体育館に従来避難している。ところが、体育館自身が耐震化されていないというような状況があって、そこに避難ができないという現実も出てきているわけですね。そうなりますと、やっぱり学校が大体震災のときに避難場所にするということであれば、やはり少なくとも学校については積極的な耐震化というのが進められなくちゃならないと、こういうように思いますが、これはまた国の方で是非とも議論をしていただきまして、しかるべき措置をとっていただきたいと思います。
 次に、七ページをちょっと見ていただきたいと思います。地方財政の中で、実は先ほど鳥居会長からも言われましたが、実はこれが現在の教職員の年齢構成でございます、年齢構成でございます。小学校においては、今一番ピークになるのが四十八歳であります。それから、中学校においては、今ピークが四十六歳であります。そうしますと、この皆さんは毎年毎年退職していくわけですね。退職していきます。そうしますと、これはどういうことが起こるかというと、退職に伴って新しい教員を補充しなくちゃいけないというのはもちろんですけども、しかし、それに伴って退職手当、共済手当というのを払って、年金ですね、これを払っていかなくちゃいけないということも出てくるわけですね。
 ですから、この問題には大きくは二つの問題があります。一つは、教員の安定的な供給をどうしていくかという教員政策の問題、と同時に退職金やあるいは共済年金をどう支払っていくかという問題です。
 そこで、次の八ページ目に、これは東京大学の苅谷研究室で苅谷先生が試算をしていただきまして、中教審に提出していただいた資料でございます。このように増えていきます。給料・諸手当、それに退職手当、共済費の長期給付、いわゆる年金に当たる部分です、これがそういう、こういうようにして起きます。六兆円を中心にしてこのように増えていくことが現実であります。もちろん給与は、若年者を雇いますから給与は減っていきますけれども、しかし、これは少子化に伴って教員の数は減っていきます。そういうことも含めながら計算されたものです。
 それで、次に、九ページからは、各県でどういうことが起こるかということで各県のそれぞれの事情について書いてございます。先生方もそれぞれ県の御出身だと思いますから、それぞれ見ていただければいいんですけれども、ほとんどの県が増えていきます。増えています。そうしますと、今は退職金や共済金も既に一般財源化されていますから県の負担、これになっていきます。これは非常に大きな問題となっていきますので。じゃ、これはちょっと全部、各、見ていただければ幸いであります。十四ページまでありますから、それは各県で見ていただければと思います。
 それと同時に、これは今、義務教育費国庫負担による負担金というのは、非常にそういう意味では、今まで僕が申し上げましたように非常に必要だと思いますけれども、実は日本の教育予算、教育財政は必ずしも多くありません。例えば、十五ページを見ていただきますと、いまだに、児童生徒の学ぶ学級規模を見ていただきますと、御案内のとおり、三十六人以上で学ぶ小学生は二三%もいます。それから三十一人から三十五人の学級の子供たちは三五%です。中学においては、三十六人以上学級というのが四七%もまだあるんです、日本では。
 しかし、これを、ちょっと次のページを、十六ページを見ていただいたら御存じのとおり、これは一学級当たりの児童生徒数の国際比較でございます。そうしますと、韓国が一番高いんですけれども、日本は次に高いレベルになっていますね。そうしますと、OECD各国を見ますとほとんどが平均的で二十一・九というような数字になっていますから、そう考えますと、日本の今の教育予算というのは必ずしも高くないどころか、非常に、OECD各国でも、まあそんなことを言っちゃ悪いけれども、劣悪と、ちょっと悪いということになります。
 十七ページにはそれを示しています。十七ページにはいろいろありまして、各国首脳の教育に対する考え方があります。もちろん日本についても書いていますけれども。2に各国の国と地方の教員給与の負担率が書いてありますけれども、フランスは全額国庫負担であります。ドイツは全額州負担であります。それから、韓国も全額国の負担であります。同時に、公財政による初等中等教育費の国内総生産、GDP比ですね、これを二〇〇一年で見ますとこのようになっています。これは、日本は二・七という、フランス、アメリカ、イギリス、大韓民国、ドイツ、日本と、こういうふうに一番下になっています。
 ですから、私は、義務教育費国庫負担法による国の負担金を守っていただくと同時に、もっと教育に金を掛けていただきたい。そうじゃないと国際比較にならないということを強く大きく言っていきたいと思います。特に、全国の教育水準を今後守っていくというようなことも大事だと思いますし、国庫負担の必要性というものも非常に大事であります。昨日の毎日新聞によりましたら、やはり国が義務教育費は出すべきだというのが五三%の意見ですね。地方がというのは一〇%です。そういうことを考えますと、やっぱりもっと国の責務、責任というものを考えていただきたいと思うのであります。
 それで、10にはこういうように書いていますが、教育はやっぱり子供たち一人一人の人格の完成と将来の国家の有為な形成者としていくものでありまして、歴史的な変動の時代を切り開いていく人間力豊かな知識、社会を担う国民の育成であります。天然資源の少ない我が国においては、やはり人材の育成というのが非常に大事であります。教育は国家百年の計とも言われますし、教育への先行投資こそ百年の計だというように思いますので、先生方の今後の審議の参考にしていただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。
#11
○委員長(亀井郁夫君) 大変ありがとうございました。
 それでは、以上の参考人の方々からの意見はこれで聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、各参考人にお願い申し上げます。
 御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。
 また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔におまとめくださいますようお願いいたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○山本順三君 御指名ありがとうございます。自由民主党の山本順三でございます。
 三人の参考人の皆様方には大変忙しい中御臨席いただいて、大変貴重な御意見を聴かせていただきましたことを心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 それぞれに立場の違う中での御意見ということでございますけれども、何点かそれぞれの皆様方に質問をさせていただきたいと思います。
 この義務教育費国庫負担の案件につきましては、実はもう昨年から我々も様々な議論を重ねてまいりました。もう議論尽きたかなと思うぐらいの気持ちがございます。今日、参考人の皆さん方の御意見もある意味ではなるほどというふうに思いながら、それが今後どう展開していくかというのは正にもう中教審に預けていかなければならない、こういうふうな状況になっておるところでございます。
 いわゆる政府と与党合意におきまして、義務教育制度については、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持をするんだと、その方針の下で費用負担についての、ここが大事だと思うんですけれども、費用負担についての地方案を生かす方策を検討し、また教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方について幅広く検討する、これを本年秋までに結論を得るんだと、こういうふうなことで今進んでおるところでございます。
 そこで、まず鳥居会長にお伺いしたいと思いますけれども、今のような、結論を、中教審で結論を得るという文言が織り込まれて、そして私どもの観点からいきますと、その中教審の結論というものが政府のいわゆるこの問題の結論に向けての最大の重要なポイントになるというふうに確信を実はしておるわけでございますが、さはさりながら、決めるのは政府でありますから、中教審の結論の意義付けというものを会長はどのように位置付けられているのかということをまずお伺いさせていただきたいと思います。
#13
○参考人(鳥居泰彦君) お尋ねの中教審の結論の意義付けでございますが、私としては、中央教育審議会は義務教育の在り方全般について徹底した審議を行う、調査を行う、分析を行うつもりでございます。その結果として結論が出てくると思いますので、その全体を是非見ていただきたいというふうに思います。
 どうしても議論が義務教育費国庫負担金を移譲するかしないかだけに絞られた議論になってしまいがちですけれども、義務教育の問題というのは決してそういう問題ではなくて、学力をどうするか、学校の施設設備を、もう老朽化がどんどん進んでいるのにどうするつもりなのか、様々な問題があります。それら全体を議論した上で、それを国がどうできるのか、どんな仕掛けでできるのか、そのときに地方分権というものをどう進めていくべきなのか、実質的な教育の地方分権は進めなければなりませんから、その役割分担全体の構図を描くのが中教審の仕事だと思っておりますので、出てくる結論はそういう形になると思います。それを是非ごらんいただきたいと思っております。
 以上でございます。
#14
○山本順三君 ありがとうございます。
 正にお話の中で、教育の地方分権とそれから国の財源保障、これは矛盾しないんだというようなお話がございました。正にそうなんだなということを私自身もお話を聞きながら痛感をしたわけであります。
 そこで、もう一点だけお伺いしたいと思いますけれども、いわゆる中教審のメンバーを言わば三十名選定すると、そういったときに、これは後ほど石井参考人にもお伺いしたいと思っておりますけれども、地方枠、これを二にするか三にするかということでいろいろと議論があったということを私ども新聞報道等々でお伺いをしております。また、その後、中教審の特別部会というのが開かれてここで実質的な審議をされるというふうに思いますけれども、その特別部会の審議の内容が、マスコミ、新聞等々で極めてこれはセンセーショナルに伝わってくるんだろうと思うんですけれども、いろいろと我々の耳に入ってまいります。
 そこで一つお伺いしたいのは、鳥居会長のスタンスというものは、今ほど私もお話を聞いてよく分かりましたけれども、会長という立場でありましょうから、その運営というのは非常にいろいろと配慮をしていかなければならない。その中には、地方のいろいろな意見も聞いていかなければならないと思いますけれども、何はともあれ、地方案を生かした教育論を中教審で展開するんだと、そういったことに対しては全員の委員の言わば納得なり了解なりがあって議論を進めないと、財政論しかしないですよというようなもし議論が出てくるとするならば、これは私、特別部会としての言わば議論の内容にいろいろ問題が出てくるんではないかな、こういうふうに実は心配をしておるところでございますけれども、そういったことを踏まえて、これからその中教審の特別部会、どのように運営をされていくのか、そのお気持ちをお聞かせいただければ有り難いと思います。
#15
○参考人(鳥居泰彦君) ただいまのお尋ねの件でございますが、私の基本的な考え方は徹底して議論を行うということに尽きます。
 もう議論というのは、お互いに、お互いの言うことに耳を傾けて、そして意見を交わし合って、譲るべきところは譲り合うという、このプロセスだろうと思いますので、そのやり方で進めていきたいと思いますし、またそのように各委員の協力を得たいと思っております。
 それから、今お尋ねの中にありました、地方案を尊重すると、生かすという文言がありますが、そこ非常に大事なところでございまして、その地方案なるものは、ただ単に財政の論理で移す移さないという部分だけが地方案なのか、それとも教育の地方分権という問題全体を指して地方案と理解するのか、そこが意見の分かれるところだと考えております。その点について意見をできるだけすり合わせて、そして日本の、これから五十年先の日本まで見据えた教育の地方分権というものを是非地方案という形で出していただいて、そしてそれを実現していくためにどうすればいいかを議論するという方向を取りたいと考えております。
#16
○山本順三君 大変貴重な意見聞かせていただきまして、誠にありがとうございました。時間があったらまた後ほどお伺いしたいと思いますけれども、次に石井参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
 実は、私も長らくの間、地方議員をしておりましたから、地方分権ということについては大変なこだわりを持ってやってまいりまして、その中で、国会に出てまいりましたら、この義務教育国庫負担の問題が出てまいりまして、自分として、自分の気持ちを整理するのに若干時間掛かりましたけれども、やはり教育の問題というのは、これはしかと国に責任を持っていただかなければならないということをベースにして、これからの日本の子供たちの将来を考えた上で教育がどうあるべきかということを総合的に自分なりに考えていかなければならない、そんなことでいろいろと議論をしてまいりました。
 その中で、まず、今ほどお話がございました、いろいろなお話があったので、これ、前の梶原、全国の知事会の会長さんからもお話をこの場でもいただきましたし、いろんな場面で聞く機会がありまして、私の頭にもかなり入っているんですが、その中で一つお伺いしたいのは、いわゆる一般財源化をしまして税源移譲してまいりますと、地方間格差が生まれる。今ほどもいろんな表がございまして、ほとんどの都道府県の中で財政不足というのが生じてくるだろう、その不足したものを地方交付税、この財源調整機能を活用してその格差を是正していく、これが国の方針、総務省の実は方針でもありますし、今ほど石井参考人の方からもそのようなお話を聞かせていただきました。
 ところが、昨年なりあるいは一昨年なり、その地方交付税の動向というのを見ておりましたら、私は、今ほどの話を安易に受け止めることがなかなか難しいんではないかなというふうな危惧をしております。平成十七年度及び十八年度については、地方交付税は何とか現状を維持していこうというような方針出ておりますけれども、十七年度の予算通りましたから一安心していますが、はてさて、もう十八年度どうなんだろうかと。これすら実は、私は疑心暗鬼の中で心配をしておるような状況であります。
 したがって、地方交付税で十八年度以降これ補てんしていく、格差是正をしていくことが果たして可能なのかどうなのかということを、やはり我々痛い目に遭っている立場の人間でありますから、かなり真剣に精査していく必要があろうかというふうに思うんですけれども、この点につきまして、石井参考人の御意見を是非お聞かせいただければ有り難いというふうに思います。
#17
○参考人(石井正弘君) お答え申し上げたいと思います。
 先ほど私、意見を述べさせていただきましたとおり、基本的には地方によって税収の格差がありまして、それを是正するために地方交付税制度というものがある、財源調整を果たしてもらっておるということでございますので、この制度によって今、これは義務教育国庫負担金制度のみならず、文部科学省全体の予算も、他省庁のいろんな政策、事業も同じようにそれで調整をしてもらって、我々は政策、事業を展開をしておるその中の一環の同じ問題であると、このように認識をしているわけでございます。
 一方、地方交付税全体が大変厳しい削減を迫られまして、特に一昨年につきましては、国の方で一方的にかつ唐突に大幅な削減がありまして、我々、大変財政、地方財政を預かる者としては危機的な状況と認識をしました。これは御案内のとおり、地方財政計画の様々な問題点を財務省が指摘をされ、そして総務省との間で協議をされてあのようなことになったようでございますが、いずれにいたしましても、こういった事態が我々としては続くということは到底のむことができない。
 そういうことで、改めて地方団体が一丸となって、総務省とも連携をする中で、この平成十七年度はいわゆる地方税収は伸びております、そしてその中で地方交付税とそれから臨時財政対策債、この全体を三つ合わせまして、地方一般財源の総額、これはやや昨年度より微増と、昨年度といいましょうか、平成十六年度より微増という形で決着をしているわけでございまして、我々としてはぎりぎりの最低線が今回保たれたと思っておりますが、なお、その後、今後の地方交付税対策につきましては、もう今御指摘のとおり、これ以上の大幅削減等はあってはならないと、必要な一般財源総額は是非確保していただかなきゃいけないと、こういうことで我々地方団体、国の方に対して更に強く働き掛けをさせていただき、是非国の方にも御理解を賜りたいと。もう我々、地方が政策、事業を行っていく際に必要な一般財源を全体として確保していただくのは、これは当然の地方公共団体の権利であり、これを担保していただくのが国の責務ではないかと。地方交付税は我々地方の固有財源であると、こういう認識の下で取り組んでいきたいと思っております。
#18
○山本順三君 実は、私も全く同じ意見なんです。意見なんですが、さはさりながら、今の国の財政状況を判断し、そしてこれからの状況を推計していくときに、要望は絶対していきたい、地方としては権利という言葉をおっしゃりましたけれども、当然そういう気概を持って進めていくべきだろうと思いますが、でも実際どうなるかというと、これは心配せざるを得ないということ、これはもう行政のトップに立つ知事さんでありますから、それはよく御案内のとおりだろうと思うんですよね。そんな中での私ども心配しておりまして、そのことが教育に影響するということだけは絶対に避けなければならない、こんな気持ちで今ほどのような質問をさせていただいたわけでございますが、答弁としてはああいう答弁しかまあ仕方がないのかなということを私どもも感じております。
 それと、もう一点質問させていただきたいと思います。今ほど少し触れさせていただきました、新聞報道でかなりセンセーショナルにということを私あえて申し上げました。恐らくその場には私どももおりませんから、会のムードなり状況なりをしかと把握することができません。メディアからの話だけでありますけれども、ただ、やはり気になります、いわゆるその報道の中で、教育論をここでするのならば参加しませんよという、どういう表現か分かりませんけれども、そんな話が六団体の代表の方からあったということ。あるいはまた、財政論だけを議論しようじゃないかというようなお話があったり、あるいは、議会で忙しいんだから、日程等々については難しい局面もあるので代理出席を認めてもらいたいと、いろんな意見が実は新聞から我々のところに、耳にも入ってくるわけであります。
 ただ、一番肝心な点というのは、先ほどのお話にありましたけれども、まずは地方案を生かした教育論を中教審で展開するというのが、私、一番のポイントだろうと思うんですよね。でないと中教審に預ける必要性ないわけでありまして、財政の議論だけであるならばまた違った場所でますますこれを、議論を深めていくということも可能なのかなというふうに思いますが、そういった観点から、この特別部会、義務教育の特別部会においてどういうふうな今後議論をしていくべきなのか、石井参考人の忌憚のない御意見をお聞かせいただければと思います。
#19
○参考人(石井正弘君) 私が中教審の特別部会に出まして意見を述べさせていただきましたのは、実は第二回ということになっておりましたので、そもそも我々地方六団体が、本日冒頭申し上げましたとおり、自治事務として様々な小中学校の設置運営等、管理運営等を行っているという立場から、我々六団体代表する者を委員に是非選任をしていただいたその上で審議を始めるべきではなかったかということをあえて、初めて参加したその場で、時間をおかりして意見を述べさせていただきました。
 なお、今、議員御指摘のような意見を述べられた地方団体の代表の方もいらっしゃいましたけれども、私は、自身の考え方といたしましては、これはもう教育論、そもそものそもそも論も含めまして、今、義務教育に関しては大きな論議が沸き上がっておりますから、是非こういったことは当部会において御議論いただき、そして我々も自治事務を預かっている立場からこれに委員として参加をさせていただき、意見を述べさせていただく。すなわち、財政論だけではなくて幅広く、我々が提示しております案がどうなのかということを中心に是非、教育論、そもそもということ、そもそも論も含めて御議論をちょうだいできればと、私はこのように思っております。
#20
○山本順三君 二十分しかないものですから、もう本当は、そういった意味では、石井参考人のいわゆる首長としての教育論、それぞれの皆さん方の教育論も聞かせてもらいながら、それをぶつけ合いながら、じゃどうすべきかという、そんな場面があったらいいなと思うんですが、またいずれの機会にかそういうチャンスがあったら有り難いと思います。
 もう若干しか時間ないんですけれども、渡久山参考人にお伺いしたいと思いますけれども、いわゆる現場の苦労ですね、例えば教材費あるいは教員旅費、この措置状況。必ずしも教材費が教材費となっていないよと、図書費が図書費になっていないよと。これは、やはり現場を体験された渡久山参考人ならではの私は発想だろうと思います。
 数字的には今ほど資料で見せていただきましたけれども、この中身について、もう少し現場での御苦労も含めて、こういうような苦労があったんだ、だからあえてこの一般財源化には反対だというようなところをもう少しお聞かせいただければ有り難いかなと思うんですけれども。
#21
○参考人(渡久山長輝君) 今、石井先生からございましたように、非常に現場はもう受け身なんですね。要するに、決められた予算しか来ません、その中でやりなさいということですので、例えば、教科の出張があっても行かない、行けない、あるいは人数の制限が来るというような状況ですよね、出張の場合は。今は教材費、特に消耗品費はそれほど困らないんですけれども、前は非常に困りまして、例えばざら紙も裏紙を使うとか、そういうような状況まで追い込まれていたことがあるんです。
 ですから、そういうことを考えますと、やっぱり現場は、現場にどれぐらい何が来るかというのはさっぱり分からないんですけれども、これですね。それから、そういうときには、前は、私が現場にいたときは数十年前ですけれども、PTA会費で一応補ったり、運用するようにやっていたんですね。しかし、これは非常に、もう今はそういうことはできません。
 ただ、この法案の中でも準要保護者に対する補助金が切られるようになりますね。これは非常に厳しくて、例えば修学旅行費を出せない子供もいるんです。あるいは給食費が出せない子供もいるんですね。そして、これを集めるのが担任なんですよ。そうすると、担任とその子供との間に、あるいは保護者との間に、非常に嫌な関係になるんですよね。来れば、何で、おまえ給食費持ってこないで何で学校来るんだと、こう言いかねないようになってくるんですね。そういうようなこともあって、できるだけそういう面では、やはりもっとそういう補助率というかな、これを上げてもらわぬといけないんじゃないかなと、こう思いますね。
#22
○山本順三君 時間参りましたので、以上で質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#23
○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。本日は御多用にもかかわらず当委員会に参考人としておいでいただきまして、また、それぞれの立場から貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。
 そこで、民主党・新緑風会を代表いたしまして、お三方にお伺いをしたいというふうに思います。
 実は、先ほどの中教審にゆだねるというふうなことの中で、それに臨む、それまでのこの審議会での、審議会に臨む決意を三名にお聞きしようと思ったんですが、今、山本委員の方からもう既に二人の方の決意をお聞きしましたので、渡久山参考人にこの審議会に臨む決意を改めてお伺いしたいというふうに思いますが、よろしくお願いします。
#24
○参考人(渡久山長輝君) 私は、義務教育費国庫負担は堅持すべきだという立場で臨みたいと思っています。
 なぜかといいますと、先ほど私がるる述べましたように、やはり憲法で保障された教育への権利というのは国の責任としてきちっと財政保障はしていただきたいと、こういうように思います。そうじゃないと、一般財源化したときには、先ほどのいろいろな表で見ましたように、非常に各自治体においては財政困難の中で流用されているというのが実態なんですね。ですから、そこを考えますと、やはり国として、義務教育については国が責任を持っていくんだというようなことで、僕は国にもそういう要請をしたいというつもりでおります。
 以上です。
#25
○那谷屋正義君 ありがとうございます。
 私もそういうふうに思うわけでありますが、一方で、この審議会の中では地方案も生かすというふうに今なっているわけで、その地方案は、先ほど石井参考人の方からもございました、教育論全体を論じていきたいというふうなことがございました。そういう意味で、地方分権というふうな観点でこの教育論というものを考えたときに、いわゆるこれまで余りはっきりしていませんでした国の教育にかかわる責任、そして地方の責任というもの、そうしたものがその審議会の中でより国民に明らかにされていくことが望ましいのではないかというふうに考えるわけでありますが、その点について渡久山参考人はどのようにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
#26
○参考人(渡久山長輝君) 三大臣の合意、あるいは今の、今、那谷屋先生が言われたこの文章なんですが、私から見れば極めて政治的な決着を付けたような感じがするんですね。私はやっぱり国としてきちっとした態度で決めるべきじゃないかなという気がするんです。
 地方が非常に、地方が教育について、特に義務教育について大きな責任を果たしていらっしゃることもよく分かります。だがしかし、率直に申し上げて、国税五税を含めて、課税権が地方にはないわけですよね。先ほど石井知事はアメリカの州ということを言われましたが、アメリカの州は州自身が課税権を持っているんですね。ですから日本とは全然違うわけですから、日本の県とは違うわけですので、そういう面でいいますと、やはり国が責任を持つべきものは責任を持つというような形にすべきだと私は思います。
#27
○那谷屋正義君 財政面の上では私もそういうふうに思うわけでありますが、先ほど来からお話しされているように、いわゆるこれまでの国というのは中央集権型で、教育の、はしの上げ下ろしまで国が指導するというような、そういうふうな状況があるということも実は批判の中に一つあって、そういう意味では地方の教育にかかわる責任というものについて、財政論からでなくて教育論的なものから考えるならばどんなふうにお考えなのか、もう一度、渡久山参考人にお聞かせいただきたいと思います。
#28
○参考人(渡久山長輝君) そういう意味でいうと、文部科学省も、今度は総額裁量制という形で地方の裁量権を大幅に認めてやれるような状況ができてきたとは思います。ただ、率直に申し上げて、フィンランドの教育なんかを見ますと、地方といっても県や市町村にあるんで、市町村などもできるだけ学校現場、子供たちに近いところに裁量権を移しているということを見ますと、やはり日本もそういう方向性というものは持ってなくちゃいけないだろうと、こういうように思っています。
#29
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
 次に、鳥居参考人にお伺いをしたいというふうに思いますが、先ほどもお話の中にございました、今の義務教育の問題はお金だけの問題でなくて、例えば学力の低下だとか様々な課題があるというふうに言われまして、私も三月二十二日の本委員会で触れたところではございましたけれども、文科省が右往左往し、マスコミも大騒ぎしたいわゆるPISAの二〇〇三の調査から何を酌み取るかということが実は問われているんではないかというふうに思うわけでありまして、先ほど渡久山参考人の方からもございましたけれども、学力の二極化というものが非常に進んでいるということがこの中から分かるというふうなことでございまして、この二極化に対して、いわゆる下位層が増えてしまった、このことに対する手だてというものが今緊急な課題として一番あるんではないかと思うんですが、それについてどのようにお考えなのか、御意見をいただきたいと思います。
#30
○参考人(鳥居泰彦君) おっしゃるとおり、今学力の二極化、あるいは学力だけではなくて様々の広い意味での人間力の二極化が起こっていると思います。
 この二極化の、今先生は下位層というお言葉をお使いになりましたが、正にその下の方の生徒たち、これをどうするかの一番のポイントは私は教員だと思います。教員七十万人、全国の小学校と中学校の教員七十万人というこれだけの膨大な数の人たちの質を上げる。質を上げると言うと非常に簡単になってしまいますが、子供たちに相対するときの対し方を改めてお互いに見直していくということが一番大事なことになってくると思います。
 子供は褒めて育てる、そしてしかって育てる、両面が必要でございますが、果たして本当に教育の現場において褒め方がよく分かっている教員、しかり方がよく分かっている教員はどれだけいるんだろうかということを考えると、私たち、改めて総点検を必要とするというふうに思います。その点で、学力だけではなくて、道徳の面あるいは体育の面、そして社会観、人生観、そういったものについて指導していくことのできる教員層の層を厚くする、その作業が今最も緊急に必要であるというふうに思っております。
#31
○那谷屋正義君 ありがとうございます。
 私も今言われました現場におりましたので、とにかくしかるというのが一番難しいなと。褒めるというのは、まあ褒め殺しじゃありませんけれども、子供たちの本当に光ったところをそれを取り上げるということで、もちろんそれも難しいことですけれども、それよりもしかり方というのが非常に難しい。怒ってはいけない、しかししかるんだという、こういうふうな、言葉のあやではないんですが、そこのところが非常に難しいなというふうに思っているところでありまして、是非そこのところは今後も教員の研究課題であろうというふうに思うわけであります。
 先ほどの学力の関係ですけれども、OECD教育局指標分析課長がコメントされている中に、大変重要なことが、コメントが実はありました。
 一つは、教育支出と成績は正の関係にあると。つまり、教育にお金を掛ければそれだけ成績がやはり伸びてくるんだという、そういうふうなことをおっしゃっています。ただアメリカは、これは大変教育予算も多いんですが、しかし例外になっています。私が考えるところでは、ちょっと競争主義が徹底し過ぎているからかというふうにも思うわけでありますが、そういうデータが一応出ているということを言われています。
 また、勉強時間というものがあります。これは学校内外ですけれども、勉強時間と成績には相関関係がない、短い時間でも集中してやることによって良い成績を取れるんだという、そういうふうなことを言われています。
 もう一つ、ここが大事だというふうに思うんですが、上位国では学校の自立性が高く、責任が広く与えられている、行政は学校の教育をサポートする役割に徹していること、また学校や教師の裁量が広く、かつ教師の職能開発を支援する研修システム整備などが個々の学校と専門的な支援機関の有機的な連携の下に図られていることなどであると、このようなコメントを述べられていて、正にこの三点というのが、今この様々な教育課題の解決に大きな答え、ヒントになってくるんではないかというふうに思うところでございます。
 そうした意味で、石井参考人の方にお尋ねをしたいわけでありますが、まず地方六団体というか、地方六団体の総意、地方の総意というふうに言われているわけですが、実は先ほど石井参考人もお話しされたように、一番の、国民にとって一番身近な自治体というのは市町村であるというふうなニュアンスのことを言われたかというふうに思うんですが、この義務教育費国庫負担制度について、七割以上の市町村からこの義務教育費国庫負担堅持の意見書が出ている、さらには九割の市町村教委からその堅持の回答があるということについて、地方の総意というふうなことを言われましたけれども、それぞれそのことについてどのように受け止めていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。
#32
○参考人(石井正弘君) 私どもは、昨年の八月、全国知事会において、二日間にわたって大議論をし、先ほど申し上げましたようなアンケートも実施をする中であのような意見書を取りまとめるという、提言をまとめるという形においては初めての多数決ということで決めさせていただきましたが、その後すぐ地方六団体が集まられまして協議、調整され、全体として六団体の総意ということであのような我々の改革案を政府に回答ということで提出をさせていただいたという経緯がございます。
 その中で、我々知事会の中でももちろん異論がございましたし、賛成をした中にもいろんな苦渋の選択ということで賛成に回っていただいた方もおられました。そして、地方公共団体全体としては、もちろん市町村の中にも様々な意見があるということは、それぞれの市町村の市長会長さんあるいは町村会長さんからもそういう意見があって、しかし全体として政府に対して我々一丸となってこの地方分権を獲得するために回答していかなきゃいけないという思いの中で、あのように改革案を提出をさせていただいたという経緯ございます。
 もちろん、市町村の中に様々な意見があるということは承知をしておりますが、ただ、我々都道府県が今回の義務教育費国庫負担金の、県の方が負担をしているという実態から、この問題につきましては、我々知事会が主体となって意見を申し上げ、この問題に取り組んでいくべきと、このように私は考えているところでございますが、もちろん、市町村の皆さんにも是非知事会のこういう取組をこれからも御理解をしていただくように努力を重ねていかなきゃいけないと思っております。
#33
○那谷屋正義君 先ほど石井参考人が言われたように、国民に一番身近な地方自治体は市町村であるというふうなこと、その市町村がいろいろ集まったのがいわゆる一つの都道府県になっているということの中で言うならば、いわゆる県のあるいは都道府県の総意というふうなことを言うならば、やはり市町村の考え方がそこで随分違っている部分が多いなというのをやっぱり印象として持たざるを得ないわけであります。
 それはなぜかといいますと、先ほどから資料をたくさんいただいておりますけれども、やはり地方交付税があれば義務教育費も財源保障されるというふうに言われる、あるいは思われるわけでありますけれども、この地方交付税が本当に様々な国、地方の財政難の中できちんと確保される見込みがないというふうな心配がどうしても払拭できない。そして、今後教職員給与費が増加するということが、退職手当も含めて見込まれている中で、財源の乏しい地方公共団体はどうやって義務教育費を確保するのか、お聞かせいただければというふうに思います。
#34
○参考人(石井正弘君) 先ほど私は説明資料でも述べさせていただきましたけれども、その地方交付税制度のそもそも論の考え方ですね、すなわち基準財政需要額とそして基準財政収入額、その差を交付税で埋めて、地方財政計画全体として我々の必要な財源を担保してもらっている。こういう制度というものを、それを前提に今回の地方分権改革というものは進めていかなきゃいけないということ。これはもう、これが崩れてしまいますと議論にならないということが第一点でございます。
 それから、一般財源化されましても、我々、義務教育に関する費用にしっかりとこれは必要な額は予算措置をしていかなきゃいけないということ。それは、先ほど申し上げましたけれども、国の方におかれまして現行の標準法なり学習指導要領等々によって必要な最低限のものを担保していただき、そしてそれが担保されていなければ、実行されていなければ、様々な、申し上げました法律上の措置によって報告を求め指導し、あるいは最終的には交付税の返還と、等々の措置を講ずることが可能でありますし、また必要ならば法律改正をしてさらにそれをしっかりと担保されればいいというふうに私は考えております。
 いずれにいたしましても、情報公開が非常に今進んでおりまして、我々都道府県も選挙による洗礼を受けながら、義務教育の教育水準の整備充実、これはもうむしろ競うようになっているところでございまして、先ほどの資料にも付けさせていただきましたが、国が決めております標準法の定数よりも、ほとんどの都道府県において職員を増やしております。岡山県も当然単県の、単独の県費を投入して上乗せ、三十五人学級を導入しておりますけれども、こういったことで今競うように国が決めた最低基準より上乗せをしてやっているという現状がございますので、そういった点は御心配いただくことはない。地方不信というふうに我々はそういう御意見はとらえざるを得ないと、このように思っておるわけでございますので、是非御理解を賜ればと思います。
#35
○那谷屋正義君 今はそういう状況にあって、例えば小学校の一、二年生、低学年においては三十五人以下だとかあるいは三十人以下学級だとかという施策が各自治体の中で行われているということは大変望ましいというふうに思うわけでありますが、しかし、すべてが一般財源化されるというふうなことの中にあって、渡久山参考人が出されたような様々なものがこの間ずっと減少してきている。図書費、それから研究図書費、そして旅費等々が減少してきているということ。
 そして、それに対して定数法があるというふうなお話がございましたけれども、例えば地方交付税法二十条の二の部分については、今までもこの法律はあったものの、実はこのことが実際に実施、実行されたことはなかったというふうに聞いていますし、そういう意味ではやはり、何というんですかね、お金として、お金がしっかりと確固たるものが必要ではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、ここのところ最後にお尋ねしたいんですが、先ほど鳥居会長が言われました、国による財政確保と地方分権が矛盾しないというふうに言われたこの部分について、石井参考人はどのようにお考えになられるのか、お聞かせいただければというふうに思うんですが。
#36
○参考人(石井正弘君) 今回の義務教育費国庫負担金制度の見直しの問題につきましては、あくまでも過去の経緯から見て、今現在はその共済の長期とか退職手当、児童手当等々が対象外になって、もう我々は一般財源、やっているんですね。退職手当も非常にこれから数年後急増するという中で、もう文部科学省は我々地方に譲ってしまっているんですね。我々が自分で責任持って担保していかなきゃいけない。そういう中で我々は取り組んできているわけでございますので、残った二八・八%にしかなっていないこの人件費、要するに人件費の本体だけなんですね、給与費の。そこまでなっているものを地方に移譲したからといって、国の義務教育にかかわる責任というものを放棄したことには何もならない。
 すなわち、国庫負担金制度によって必要な額を毎年毎年、文部科学省が財務省と協議をして決められていくそのやり方、それは施設整備費、耐震改修等が必要である市町村の建物、これがこういう非常な事態、厳しい状態にあるにもかかわらず、予算額が必要な額が計上されていない。そうであれば、今後も我々は、この今の制度が堅持されたとしても大変厳しい予算の制約の下で減っていくんではないかというふうに考え、むしろそれよりは、地方交付税という全体の、これまた国の財源でございますけれども、それによって我々に税源移譲して財源を保障していただくということの方がより我々は望ましい、すなわち確実な財政運営ができるのではないだろうか。
 どちらにいたしましても、文部科学省のそういう予算なのか、あるいは地方交付税という国全体の予算の中で我々がもらうこと、どちらがより確実な財源措置になるのかということに帰するのではないかと、このように私は思います。
#37
○那谷屋正義君 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、今言われましたように、どちらがより確実かという部分について、是非そういったことも含めて、財政論だけでないけれども財政論も外せないわけですから、是非この審議会の中でお話をいただいて、前向きな結論が出てくることを是非期待して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#38
○山下栄一君 自民党、民主党、それぞれお話あったことを踏まえまして、ちょっと違う角度からも御質問したいというふうに思います。
 この中教審の議論が非常に大事な局面になっていますし、この国庫負担制度の問題だけではなくて、教育、学校教育だけではない、学校教育も含めた人間の、人を育てるということにかかわることが非常に徹底した国民共有の意識が必要とされている時代を迎えているというふうに私は思いまして、中央教育審議会は文部科学省の八条審議会でございますけれども、元々は政府、中教審の前身、前身はたしか政府直属といいますか、そういう審議会であったというふうに理解しております。
 そういう意味で、国民の代表の教育の面からの教育国会というか、それほど非常に重みのある組織が中央教育審議会であるというふうに私は考えているんですけど、そういう意味で、今日参考人に来ていただきました三名の皆さん方は大変重要なかぎを握るお立場でもございますので、そういう意味から骨太の議論を、秋までというのは期間がそんなにないようではございますけれども、充実した議論、国民が納得する、共感するそういう議論を是非ともお願いしたいというふうに思っております。
 そういう意味で、もう財政の問題につきましても、憲法、教育基本法、そして地方自治法、こういう観点からも踏まえた骨太の議論を是非ともやっていただきたいと思いますと同時に、この義務教育制度、小学校、中学校、国民の基礎教育、普通教育という表現もありますけれども、そういう観点からの徹底した議論をお願い申し上げたいと思います。
 まず第一に、学力低下の問題でございます。
 学力低下の原因いろいろ言われておりますけれども、これも非常に私は不十分な議論になっているのではないかというふうに考えておりまして、どこからこの学力低下かというのが起こっているのかという、また本当に起こっているのかということもあるというふうに思います。データの取り方にもよると思いますし、この調査、分析、検証、これをきちっとしたデータの裏付けを持って是非とも議論すべきだというふうに思います。
 そういう意味で、この学力低下の原因、一体、一言で言いにくいかも分かりません、それぞれどういうふうにお考えなのかということを三名の参考人の方にお聞きしたいと思います。
#39
○参考人(鳥居泰彦君) 学力低下の原因は非常に多岐にわたると私は思います。そしてまた、学力低下の傾向はかなり長期にわたって静かに進んできたものだと思います。したがって、簡単にどれがどれというふうに申し上げるのは非常に難しいのですけれども。
 私、まず最初に挙げたいのは、やはり今までの学校の教え方、そこに一つメスを入れるべきではないかと思います。教えて考えさせる教え方と教えないで考えさせる教え方という問題が前々回の義務教育特別部会で問題になりまして、大変な議論が行われました。これは非常に大きな問題の一つだと思います。
 それから、我々が目を向けなければならないのは、社会全体が変わってきて、学ぶという営みに対する日常生活の中での子供や親の姿勢が変わってきたと思います。これは非常に大きなファクターだというふうに思っております。
 それから、三番目には学校の在り方、これが学力低下と言われている現象にかかわっていると思います。
 四番目には、まだまだ、だれをどう批判するというのではなくて、お互いに教え方をどう改善したらいいかという工夫が必要だと思います。それから、学習指導要領も見直すべきでありますし、教科書もまだまだ工夫の余地があると思います。
 今、教科書の問題になりますと歴史的な記述をどうこうというところだけに議論が集中しがちでありますけれども、そうではなくて、もっとベーシックなところで教科書の改善の余地はないか。子供たちにもっと美しい言葉を教える国語の教科書はもっと工夫できないか、子供たちに数概念を教えるためのもっと優れた教科書を工夫できないか、そういう観点から教科書を工夫していく必要があると思っています。
 いずれにしても、私はできるだけ前向きに、お互いに過去を批判し合うとかお互い批判し合うというような話ではなく、前向きに教育の方法を改善していくということに集中すべきだというふうに思っております。
#40
○参考人(石井正弘君) 私は教育の専門家ではございませんけれども、県議会でも教育に関する議論が随分活発に展開され、時々私も見解を求められております。
 これはもう学校そのものに大きな問題があるのではないか、また教師にその大きな責任があるのではないか、そしてやはり、そうはいっても家庭そのものに最も大きな原因があるのではないか、私はそういった意見、それぞれごもっともだと思いますが、やはり社会全体、大人の背中を見て子供が育っているわけですが、我々大人社会が今のままでいいんだろうかと。それを見ながら子供さんたちは日々学習しているわけですから、社会全体でこれは取り組んでいかなきゃいけない問題であろうというふうに思っておりますが、これは、今後の取組は正に私は鳥居会長さんと同じ考えでございまして、とかくそうすると、だれが悪い、あれが問題だというふうに批判しがちなんですが、そうではなくて、やはりみんなでこういう問題を認識した上で前向きに取り組んでいこうと、連携をしながら、ともに今の危機的な日本の教育状況を認識しながら前向きに改善するという方向で取り組んでいかなきゃいけない。このことの合意がやっぱり一番大切ではないかというふうに日々痛感をしているものでございます。
#41
○参考人(渡久山長輝君) 私は、一つは、子供たちの目当てといいますかね、生きる方向性、価値観というのが非常に今多岐にわたってきていると思いますね。前は、極端な言い方をすれば、東大か甲子園かというような感じで非常に単純化された中で競争していて、それの中でまた新幹線授業とか落ちこぼれというのが随分出てきていたわけです。これは必ずしも正しくないわけですけれども、そういう価値観の中にあったんですが、今はそういうことにならない。大会社に入ってもいつ倒産するか知れないという状況の中で、やっぱりそういう子供の目当てというのが社会的には失われているんじゃないだろうかと思います。ですから、学ぶ目標、あるいは何らかの学ぶ喜びというものが必ずしもないんじゃないかと思うんですね。
 それから二つ目は、家庭と学校との関係なんですが、前は、私も現場にいた数年前は、子供たち、体罰は良くないけれども、ちょっとぐらい殴ってもだれからも文句言われなかった。逆にお父さん、お母さんから感謝されていたときもあったんですが、今は少し手を出したらすぐ教育委員会に行って何だと、暴力教師といって体罰は禁止と、こうなりますね。
 しかし、それは、僕は体罰がいいとは全く言っていませんけれども、あれほど子供たちと教師とそれから家庭とが非常に親密な関係にあったんです。そして共有する、責任を共有して子供を育てようという環境にあったと思うんですね。今は何となくみんなばらばらになっていて、家庭も十分に教育力を発揮できない、学校も何か臆病になってしまっているという感じがしてくるんじゃないかと思います。
 それから、しかしそうはいっても、やっぱり子供たちの将来のためにはきちっとした学力を身に付けなくちゃいけないと思うんですね。今先生言われたんですけれども、かつて七五三と言われていた学力の、しかし、この状況は今でも僕はあるんじゃないかと思うんですね。結局、小学校の二年生とか三年生のときに算数とか何か非常に難しい教科が来たときに十分に指導できていないですね。これは、一つには四十人学級という大きな学級があって、それが教員の教材研究のする時間もない非常に多忙な中で十分に子供たちに手当てができていないという状況の中にあるわけですね。
 ですから、私は、そういう面ではやはり条件を整備することと同時に、先ほど会長も言われたんです、鳥居会長も言われたんですが、やっぱり授業の仕方をもっと工夫をして、やはりともに学ぶという感じの授業の仕方、これはもう既にいろいろな学校では実験的に行われ、実験でなくてもう既に行われているんですけれども、そういう形で成功している例があります。
 今、文部省が、学校協議会、学校協議会制度というのをつくったんですけれども、これはやはり地域の代表と保護者の代表が入って学校の運営や教育に参加するということなんですね。そうしていけば、やっぱりこういう不登校の子供に対しても共有をしていけるんですね。あるいはまた、学校のそういう防災関係でも地域と学校が共有していけるというような形が出てくると思います。そういう面では、もっともっと学校と地域社会あるいは家庭が一緒になって子供を育てていくという環境づくりというのが非常に大事じゃないかと、こういうふうに思っています。
#42
○山下栄一君 ありがとうございます。
 今、それぞれ、一言で言いにくい状況の中で非常に分かりやすく御説明いただきました。私は、この中教審の議論の中で、先ほども申し上げましたけれども、やはり様々なデータ、余り偏りのないそういうデータ、そして検証に基づく議論を是非ともお願いしたいなと思っております。
 私は、学力低下も体力低下も意思力の低下も学ぶ意欲の低下につながるのかも分かりませんけれども、そういうこと、鳥居会長おっしゃいましたように、様々なこれは背景があるという、そういうことの前提でやはり議論することが大事なのではないかと。学ぶ意欲を奪うような、また出てこないような、子供、学校を取り巻く生活環境があるのではないかという、そういう観点も大事だというふうに思います。
 どうしても自ら育った子供のころの意識で教育論を展開しがちですので、今現在の子供が置かれている社会環境といいますか、食文化もそうだと思いますし、そういうIT社会、小学校の子供でもホームページを持つような時代の中で圧倒的な情報量は教師よりも多いかも分からない、そんな中で育っているということもあると思いますし、自然環境も破壊されてきているということもあるというふうに思いますし、様々な中で学ぶ意欲をかき立てられないということはやっぱり大人の責任だという面も思います。それは教師だけではなくて両親もあると思いますし、大人の姿を見ても目が輝いてこない、こういう、よし、生きていくぞというような強い意識が触発の中で出てきにくいといいますか、そういう方もいらっしゃるかも分かりませんけれども、全体的にそういう人も減ってきているんではないかということも含めて、幅広い学力低下の、また体力低下の、また学ぶ意欲の低下の議論を是非ともお願い申し上げたいというふうに思います。
 もう一点、どうしても日本で教育を議論する場合に、学校教育ということが非常にすぐそちらの方に行きがちな面があるというふうに思います。
 学校五日制になり、学校における学ぶ時間が減る中で、学ぶ時間を増やしたら学力が付けるというものでもない、授業時数を増やせばいいというものでもないと思いますし、ともすれば学校教育依存型といいますか、学校依存主義社会といいますか、そういう面が非常に強いのではないかということを、学校教育法という法律もあり、社会教育法という法律もあるんでしょうか、法律が所管する分野でない分野、これが公的教育じゃない分野だというふうに思うんですね。
 社会教育もそうだというふうに思います。子供会もそうだと思いますし、地域における様々な取組は別に法律にのっとってやっているわけでも何でもなくて、企業教育も別に法律にのっとって企業教育をやるわけでもないと思いますし、家庭教育もそうやと思います。人間を育てるということの議論を学校教育に偏らない形で議論することが非常に求められておるのではないかと。人が育ちにくい、子供が育ちにくい、子供が育てにくい、そういう世の中が現状ではないかというふうに思います。
 物が豊かな社会は非常にしつけもしにくいと思うわけでございまして、児童虐待が非常に増える中で、またニートと呼ばれる、先ほど渡久山さんがおっしゃいました、働く意欲そのものが見えてこない、そういう社会になってしまっている。そんな状況の中で、やっぱり学校教育だけではない、幅広い人を育てるという営みの在り方そのものの議論が非常に今大事なのではないかと、そういうことの国民的議論が大きいのではないかと。
 税金で行う公教育の、塾もそうかも分かりません、そういう税金で行わない分野でもあるわけでございますので、そういう学校教育ではない、幅広い学習、そして人を育てる、そういう観点からの議論を是非とも中教審でもお願い申し上げたいなと思っております。この点についての感想をちょっと一言おっしゃっていただければ有り難いなと思います。
#43
○委員長(亀井郁夫君) どなたに。
#44
○山下栄一君 それぞれ。それぞれ、済みません。
#45
○参考人(鳥居泰彦君) おっしゃるとおり、人間の成長過程でいわゆる人間形成と呼ばれるプロセスが進んでいくとき、身体的な成長、体格や体力や運動能力、そして心の成長、愛と憎しみ、それから精神の成長、言葉、数概念、感性、徳性、理性、知性、社会性というふうに挙げていきますと、それらの多くは必ずしも学校だけで培われるべきものではないと思います。是非、日本の社会が今列挙いたしましたような事柄について子供たち一人一人の人間形成を推し進める力を持った社会になっていくように、これはもっと広い意味の教育論の中で考えるべきだと思っております。
 同時に、学校という一つの枠の中でやらなければならないことがあると思います。
 今、五つほど挙げてみたいと思いますが、その一つは、健やかな体とたくましい精神力をつくる。そのためのプログラムが学校には用意されています。第二に、社会規範や道徳を教える仕組みが学校には用意されています。第三に、学習の仕方、学習の習慣を教える。それは学校という場で非常にやりやすくなっています。また、学校でないと学習の仕方や学習の習慣を効率的に教えることはなかなか難しいと思います。第四に、基礎的な知識や技能を教える。これも学習指導要領と教科書を中心として一定のプログラムが用意されておりまして、もちろんそれを更にもっと効率的なものにする必要はありますけれども、既にかなり十分なものが用意されております。そして第五に、抽象的に物を理解し、考える。子供たちの教育は具体的なもので物を覚えるところから入りますが、リンゴ一つ、ミカン一つというのが数としての抽象的な一、二という抽象の世界に入っていくそのプロセスを誘導してやることができる、そういうことが教育学の中で磨かれてきておりまして、それは学校で非常によく行われることだと思います。
 その意味で、以上六点を振り返ってみますと、学校というものも非常に重要な役割を果たしておりまして、少年時代、青年期の一定の時間、人生の中の一定の時間を今申し上げた学校という仕組みの中で過ごすことは非常に重要だというふうに思います。
#46
○参考人(石井正弘君) この間の中教審の部会に出ましたところ、尾道の小学校の校長先生、臨時委員でいらっしゃいますけれども、お話がございました。
 小学校のお子さんが学校で学んでおられる年間のその時間よりも、一年間でテレビを見ている時間の方が長いんだそうでございまして、そのテレビを見る時間を一日一時間減らしてくれ、あるいは早寝早起きの習慣、家族みんなで団らん、こういったようなこと等々を行って取り組んでいらっしゃって学力が非常に上がったというお話がございましたが、正に一番大事なのは、もちろん小学校、中学校の義務教育のその教育そのものが大事ではございますけれども、社会とのかかわりの中で子供さんたちはいろんな影響を受けております。そういう面では、学校教育だけではなく、幅広いお子さんを取り巻く学習環境、そういったもの全体を是非中教審でも御議論賜ればと、これは会長さんがこれから進行されるわけでございますけれども、そのことを期待をさせていただいております。
#47
○参考人(渡久山長輝君) 実は、私は六か月ほど腰を痛めてつえをついて歩いたことがあるんですね。そうしますと、電車に乗って、ここはハンディキャップの席だというのに立たないんですよね。子供たちも立たない、だれも立たない。せっかく空いた席があって、つえをつきながらすとすとと行ったら、ぱっとお母さんが自分の子供をぱっと座らせて、そうしたら子供が立とうとしたんですよ。そうしたら、そんな必要ないわよと言ったんですね。だから僕は非常に悲しくて、六か月の間に四回しか席を譲っていただいたことないんです。
 ですから、やっぱりそういう形で、どうも今の社会は、学校が悪いとかだれが悪いというのではなくて、やっぱりこういうしつけだとか、あるいは人間的なルールだとか、そういうことについて非常に疎くなっているんじゃないかなという気がしますね。だから、温かみが非常になくなってきているような気がいたします。
 そういう意味では、地域で最近は非常に、これは犯罪から地域を守ろうという感じのものとか、そういうのがいろいろ出てきていますけれども、やっぱりもう一度地域社会の温かい再生というのが必要になってきて、やはり子供たちも、あるいはまた大人も本当に安心して、あるいは温かくお互いに認め合って住めるような社会づくりということをやっぱりやっていかなくちゃいけないんだろうというような感じがいたしております。だから、これが競争競争の中でだんだん失われてきたんじゃないかなという気がしています。
#48
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
 今日は参考人の皆さん、貴重な御意見を本当にありがとうございました。
 私は、まず鳥居会長にお聞きしたいと思います。
 昨年八月二十四日に出されました地方六団体の国庫補助負担金等に関する改革案に対しまして、十三名の知事が義務教育費国庫負担の廃止、一般財源化反対の趣旨で意見を付記されました。そこに長野県知事が、皆さんももう御存じのとおりですけれども、義務教育費国庫補助負担金についていえば、人材こそ唯一無二の資源である日本において、基礎的な学力をすべての子供に授ける義務教育は、その実施主体を問わず、国家が責任を持って財源保障すべきものであると。さらに、民主党の議員の方もおっしゃいましたけれども、今二千六十二の市町村、自治体から制度堅持の意見書が出されています。
 こうした声に対して、先ほど石井参考人のお話がございましたけれども、そのお話も含めまして鳥居参考人、鳥居会長はどのように受け止められているか、お聞きしたいと思います。
#49
○参考人(鳥居泰彦君) 今御紹介を賜りましたいろいろな意見があることを私も承知しております。これらの意見は非常に重要な意見だと思います。
 日本の教育を支えている市町村という一番大本の単位のところで、先ほど私が御紹介いたしました明治以来の、市町村が負担するか、それを国がどう補助するか、国が、負担する市町村の負担を国の負担に替えていくというその歴史の中で、市町村が苦労してきた歴史が今まだ渦を巻いている状況だと思います。それらの声も中教審では十分に聞いていきたいというふうに考えています。
#50
○小林美恵子君 では、続きまして、愛媛県知事のように、義務教育は憲法上の要請に基づく国の責務であって、全国一律の教育水準を国の責任で維持することを担保するものが義務教育費国庫負担制度であると、こういう憲法的要請だから反対するという意見がございます。さらに、地方格差が心配だから反対という声が多数ございます。
 この点につきましては、既に参考人の皆さんから御意見がありますように、旅費や教材費などが一般財源化されてきましたけれども、もうその予算の措置率というのは大変平均を下回っておりまして、地方格差が生まれているというのはもう事実になっておりますけれども、やっぱり一般財源化に伴いますと、こうした憲法上、教育基本法上要請されている義務教育の機会均等、教育水準の確保、維持の向上というのは、やっぱりその保障が危ぶまれるのではないかというふうに私は懸念をします。
 この点で、石井参考人そして鳥居会長にお伺いしたいと思います。
#51
○参考人(石井正弘君) 私ども詳細は承知しておりませんが、しかし、例えば図書費なんかは、全国平均、全部足し合わせますと交付税措置の額を上回っていると。もちろん、都道府県によってそれぞれ、これはまあ都道府県内の市町村が行っておられることなんですけれども、その市町村の合計、都道府県の中でばらつきがありますけれども、そういったことで全体としては交付税措置の基準額より上回っていると承知をしております。
 もちろん、教材費等々いろいろ御議論があるということは、私もそれは真剣に受け止めなきゃいけないと思っておりますけれども、しかし一方で教員の加配、三十五人学級あるいは三十人学級等々でそれぞれ独自の措置を行っているということからいたしますと、全体の、義務教育費全体の地方における措置額をごらんいただければ、交付税措置等々の、あるいは国庫補助負担金の額よりも上回った措置を地方独自に行って、いい意味での教育の水準向上のための競争が行われていると、私はそのように承知をしているところでございます。
#52
○参考人(鳥居泰彦君) ただいま小林委員からお尋ねのありました問題ですが、私は中央教育審議会の会長として、またその中の義務教育特別部会の部会長として、できるだけ、これからしばらくの間、いろんな意見を公平に聞いていくプロセスをたどりたいと思っています。
 そんなわけで、今お話の中にありました義務教育費を国が負担するというのは憲法上の要請であるという法解釈に立てるかどうかといったことも含めて、十分にこの審議会、特に特別部会の中で審議をしていきたいというふうに考えています。
#53
○小林美恵子君 続きまして、渡久山参考人にお伺いしたいと思います。
 三位一体改革の下で、これまでも二〇〇三年度では教職員のいわゆる共済費長期給付とか公務災害補償基金負担金とか、さらに二〇〇四年度では退職手当、児童手当も一般財源化されてきました。先ほどの参考人のお話の中にも、今後退職される方も増えるというお話もございましたけれども、こうした一般財源化が与えてくる影響といいますか、その点についてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
#54
○参考人(渡久山長輝君) 全くひもが付かないで財源化されるとなればやはり流用化されていく可能性があって、各都道府県によって教職員の賃金の格差が出てくるだろうと思います。これは一つ、これは非常にゆゆしき問題になってくるんですけれども、こうやって出てくるような感じがします。
 それともう一つは、定数が、今のように基本的なベースがあって、それにプラスアルファでやっていけるところがありますけれども、既に市町村によって、これは県ですけれども、措置された加配というか、四十人学級を三十三人にして残りの分を全部県が負担するわけですけれども、そのことについて知事選挙で、選挙で争うということまで出てきているわけですね。やっぱりそれでいいかどうかという問題ですね。ですから、必ずしも財政問題は即教育問題になってこない。あるいは逆に、教育問題を解決するために財政措置がきちっとしないとそういうことが担保できないというようなことが起こるんじゃないかと思います。
 事実、過去にもやはり地方財政、特に県の財政が逼迫した関係からやはり賃金格差というものは、賃金の降下というのは起こり得る、起ころうとしたこともあるし、起こったこともあります。そういうことを考えていきますと、やはり義務教育の中で子供たちにより豊かでより行き届いた教育をしていくには、やはり教育は人なりと言われるように優秀な教員をきちっとして確保することが非常に大事だろうと思います。
#55
○小林美恵子君 今までのお話をお聞きしまして、改めて鳥居会長にお聞きしたいと思いますけれども、この間、先行一般財源化は旅費や教材費、先ほど申し上げた退職手当とか児童手当等々も一般財源化されてきました。それで今や、要するに教職員の給与本体のみが国庫負担の対象になっていると思います。本来、今その国庫負担の制度を守ろうということで中教審も堅持されていると思いますけれども、本来、中教審としてこうして次々と先行して一般財源化されていくその段階において、やっぱり憲法、教育基本法に基づく義務教育国庫負担法であって、地方にそれを移譲すべきではないということを明確にすべきだったのではないかなと私は思うんですけれども、振り返ってみてそれはいかがでしょうか。
#56
○参考人(鳥居泰彦君) 御指摘のとおり、今までの歴史を振り返りますと、いろいろな教育費の費目が国庫から、国庫負担から地方負担に移されていきました。その都度、今回私たちが行っているような精査といいますか、それが必ずしも行われなかったのはもう小林委員御指摘のとおりだと思います。私も、これからはその点をもっと一つ一つについて精査しながら進んでいく必要があると思いますし、同時に、今までに国庫負担から地方に移されたものの中で、本当に問題があるものについて改めて、必ずしも中央教育審議会だけでなくて、国会におかれても検討してくださることが必要なのではないかと思います。
 また、先ほど私の冒頭の意見表明の中でも申し上げましたように、学校の建物の老朽化でありますとか、今後五十年を見越すと必ず起こってくる大きな問題が控えていますので、そういった問題につきましても御同様のお扱いをしていただきたいというふうに思います。
#57
○小林美恵子君 ありがとうございます。
 では、今問題になっておりますいわゆる給与本体といいますか、義務教育費国庫負担法の問題でございますけれども、これも鳥居会長にお聞きしたいと思いますけれども、中教審として、先ほど御説明ありましたように、この中間報告を出されています。そこに六点の理由を示されて義務教育費国庫負担制度の堅持をしていくということも明確にされているというふうに思うんですね。そうした中教審の方々に対しまして、この秋までに審議をゆだねるということで、それで今回政府は暫定措置といいながらも、ゆだねるといいながら、暫定措置といいながらも、今回出されている法案は四千二百五十億円も削減するということが打ち出されてきました。
 それでいきますと、私は、一体この中間報告を政府はどういうふうに考えたのかなというふうに思うんですけれども、そういう点ではやっぱりこういうやり方というのは大変矛盾するのじゃないかというふうに思いまして、前回のこの委員会で私はその点を指摘もさせていただきました。
 で、改めて会長にお伺いしたいと思いますけれども、こうした制度の進め方についてどういう御意見をお持ちでしょうか。
#58
○参考人(鳥居泰彦君) 私どもが昨年の五月に出しました中間報告で、義務教育費国庫負担制度そのものを廃止した場合にはどのような影響が出るかということのシミュレーションをいたしました。このシミュレーションは、衆参両院の文部科学委員会で多分参考にしていただくことができたと思っております。是非これからも、こういった我々中教審で精査したものについて、是非十分に御参考にしていただきたいというふうに思っております。
 今回どの程度十分に参考にしたかどうかということについての意見を求められているようにも今聞こえましたけれども、それはちょっとお答えを大変しにくい問題でございますので、御勘弁をいただきたいと思います。
#59
○小林美恵子君 はい、それは分かりました。
 それでは、石井参考人にお伺いしたいと思います。
 岡山県では、先ほど知事もお話がございましたけれども、中学校の一年、二年生を三十五人学級になさっているというふうにお聞きしています。しかも、いじめとか不登校対策として、不登校の子供たちが一定数以上いる学校に対しては非常勤講師を派遣して、その各家庭に担任の先生が訪問できるような体制を整備しているというお話もお聞きしたことがございます。その取組って私はすばらしいなと思うんですけれども、その三十五人学級のその子供たちに与える教育的効果といいますか、それと不登校対策のその効果について教えていただけますでしょうか。
#60
○参考人(石井正弘君) ただいま御指摘いただきました中一、中二への三十五人学級、実は来年度からは中学校全部、それから小学校六年生までこれを拡大することにいたしておりますが、いずれにいたしましても、中学校へそういう措置を導入したその効果につきましては、現場の先生方からは大変高い評価をいただいているところでございまして、是非ともこういったことは更に拡充強化をしていただきたいと、非常に教育効果が上がってきているという報告を受けております。
 なお、特に私は、中学校一年生の段階で不登校の問題、あるいはいじめとかいろんな、不幸ないろんな問題が出てまいりますので、それに着目をいたしまして、特別にそういう学校につきましては、御指摘のとおり、非常勤講師を県の費用で負担をさせていただき、そして先生がしっかりと授業をされている間に担任の先生が家庭訪問して直接指導しているということで、数字的にも不登校等の改善が見られていると、こういう現場からの報告を受け、大変うれしく思っておりまして、引き続き、学校の現場のニーズを踏まえながら、県単独でも、大変財政状況は厳しいですけれども、教育には最も力を入れてこれからも予算措置をしていこうと、このように思っております。
#61
○小林美恵子君 今お話をいただきましたけれども、今、岡山県のように、いわゆる少人数学級というのはもう全国かなり取り組まれていますよね。今やもう実施もしない、計画もされないというのは、東京都と香川県の二県のみとなっています。そこには私は、やっぱり多くの子供たちとか父母の皆さんの一人一人に行き届いた教育というすごい切実な願いがあって、そこに自治体、市町村がこたえていただいていると思うんですね。
 しかしながら、こたえるためには、先ほど知事もおっしゃいましたけれども、県独自に財政を出してというふうにおっしゃっていました。かなりの負担をされているかというようにも思うんですけれども、本来は私は、やっぱりこういう少人数学級といいますか、せめて三十人学級を国の制度としてやっぱり実現するべきだというふうに思うんです。間もなく教職員配置七次計画が終わりまして次の段階に移ろうということになっておりますけれども、やっぱり三十人学級を国として実施することを明確にして、それで義務教育国庫負担がだからこそ必要なんだということを国民にもっと訴えていくべきなんじゃないかなというふうに私は思うんです。
 その点を、先ほどの御説明の中に、渡久山参考人のお話の中にも学級数の問題がありましたので、渡久山参考人と、この問題、鳥居参考人にお伺いしたいと思います。
#62
○参考人(渡久山長輝君) 私、先ほど今でも三十五人以上四十人学級に多くの子供たちが今教育を受けているというような事実を申し上げました。やはりそういう意味では、もっと教育費は増やすべきだというのが基本的な私の考え方です。もちろん、これもやはり国が措置した方がいいと思う。今、岡山始めて、全部そういうふうにして、若干の学級減ですね、生徒減、生徒の、学級数を減らしているんですけれども、ほとんどが非常勤講師でやられているんです。ですから、ある意味では学校の教育力ということになってくると、必ずしも望ましい形にはなっていません。ですから、例えば欧米諸国では二十人とか二十五人です、小学校は。それから見ますと、そしてもちろんそれは正規教員で全部やられているんですね。ですから、そこを見ますと、日本の場合はまだそういう形では教育条件は十分じゃないと思います。
 ですから、そういう意味で、先生が今言われたように、三十人にするかあるいはもっと、あるいは当面三十五人にするかということは別としても、やはり国がきちっと定数法で保障していくというのが原則だと思います。
#63
○参考人(鳥居泰彦君) 三十人学級を中心とした手厚い教育、これが日本に必要であることはもう申すまでもございません。
 ただ、中教審としては、三十人学級の問題はこれから審議の対象としようとしているところでございますので、また余りここで突っ込んだ私の個人的な私見を申し上げるのは御勘弁いただきたい。できるだけ中教審の会長というのは、公正な審議をした上でというふうにさせていただきたいと思っておりますので、お許しいただきたいと思います。
#64
○小林美恵子君 では、これは渡久山参考人と鳥居会長にお伺いしたいと思いますけれども、今回の法案の中には就学援助、先ほど渡久山参考人もリアルなお話をいただきました。また、高校の産業教育、定時制・通信教育、スポーツ振興の補助金の削減も盛り込まれています。
 私は、こうして重要なものを一括して法案にすること自体大変問題だなというふうに思うんですけれども、この一つ一つの補助金について、一つは鳥居会長に、中教審としてはどういう議論をされているのかというのをお聞きしたいのと、渡久山参考人には、この補助金の就学援助に絞ってでもいいんですけれども、役割について改めてお聞きしたいと思います。
#65
○参考人(鳥居泰彦君) 就学援助の問題等々が今回の法案に盛り込まれているということを私実は詳しく存じておりません。中教審は割とそういうところは、今御指摘をいただきまして気が付きましたが、情報不足のまま走っているところがあるというふうに思いまして、これからは少しそういう意味で、進行中の法案審議についても、直接関係のあるところでありますので、目配りをしなければいけないというふうに思っております。
#66
○参考人(渡久山長輝君) 私も、参議院の委員部からこれ送っていただいて、ちょっと読んだんですけれども、今の就学援助ですね、これは非常に、それの代替措置がとられているかどうかが僕ちょっと分かんないんですね。
 といいますのは、やっぱり日本の憲法や教育基本法は基本的には子供たちの、子供たちの学習権を保障する、それは財政的な困難であり、経済的に困難であれば国がそれをきちっと面倒見るというのが基本的な考え方なんですよね。それからいうと、果たしてそれに代替措置がとられているかどうかというのが気になっています。
 それからもう一つ、スポーツの今の指導者、それについても援助を切るというお話ありますけれども、今中学では、中学では三単位なんですね。ですから、三時間しか体育しないんですよ。それで、部活動に入っていない子供たちは全く体育しないんですね。しかし、競技スポーツに入っている子供はまたそれなりの団体でスポーツしますから、スポーツにおいても二極化になっているような感じがするんですね。
 そうなってくると、今果たしてそれを切ることによって、じゃ子供たちが学校外でのスポーツ、これは生涯スポーツ、競技スポーツでもいいでしょうけれども、やっていくのにどういう支障が出てくるのかというようなことを懸念していると思います。今日、今度初めて見せてもらって、背景がちょっと分かりませんもんですから、懸念しています。
#67
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 もう時間ですから。
#68
○小林美恵子君 はい、分かりました。どうもありがとうございました。
#69
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 それでは、以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩といたします。
   午後零時三十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#70
○委員長(亀井郁夫君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府北方対策本部審議官東清君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(亀井郁夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#72
○委員長(亀井郁夫君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#73
○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。
 今日は義務教育費国庫負担の件について、八十五分時間をいただいておりますので、関連しての質問をさせていただきたいと存じます。
 まず冒頭に、三月二十日に起きてしまった福岡県、佐賀県そして大分県、長崎県、関連の委員の方もいらっしゃいます、を襲った地震の被災者の方々に対して心からのお見舞いを申し上げたく存じます。この件に関しては、実際に地震が起こったのが十時五十三分だったんですが、地震の直後から文部科学省は、一時間以内に、実際には十一時四十五分に災害情報連絡室を立ち上げられて、一時間以内にその対策本部を立ち上げられたという迅速な文部科学省の対応に心からの敬意を表したいと存じます。新潟のいろいろな交錯、そこの学習が本当に生きているなということで、まずこれは心から有り難いというふうに申し上げたいと存じます。
 今日は、メーンテーマは義務教育費国庫負担なんですけれども、国が教育にどうかかわっていくのか、また何を教え、伝えていかなければならないのかということが問われている中で、学習指導要領に照らし合わせ、北方領土に関する教科書記述について質問をさせていただきたいと存じます。
 特に、なぜこの時期なのかということなんですけれども、今年は中学校の、歴史教科書を含む中学校の教科書の採択の年になります。また、先日島根県で竹島の日が制定されたこともあり、領土問題に私たち日本人が、主権問題にどうやって向き合っていくのかということが非常に問われている、そんなタイミングもありまして、今検定を通った教科書がこれから正に数か月以内にそれぞれの教育委員会の主導によって採択をされる。そして、私自身はその検定を通った教科書の中に間違った記述があると思っております。そのことで今のタイミングしか質問ができないということで、まずはこの質問をさせていただきたいと存じております。
 北方領土ということにテーマを置きますけれども、領土主体、主権という問題にいかに私たちが向き合っていくか、次の世代に何を教えていくべきかということのきっかけになれば有り難いなというふうに思っております。
 この問題を取り上げる理由はこれから御報告させていただくんですが、ともかくも百聞は一見にしかずということで、私、昨日根室に行ってまいりました。そして日本の朝日に一番近い町、根室の納沙布岬というところに行ってまいりまして、本当に三・八キロ先にロシアが実質管理してしまっている灯台を見てきて、ああ本当に目と鼻の先に歯舞諸島があるんだな、群島があるんだなということをこの目で見てまいりました。そして島民の、旧島民の方々の御意見を聞きましたので、そのことも含めて質問させていただきたいと存じます。
 今からちょうど百五十年前の一八五五年二月七日に、日本とロシアは初めて両国間で平和的に国境線を定めた日露通好条約を下田で署名しました。それが二月七日だったもんですから、二月七日は今でも北方領土の日と定められていて、そこで、毎年、九段会館で北方領土返還要求全国大会が行われます。今年は、そのとき、自由民主党と公明党と民主党と社民党と共産党という、私たち日本の政治に責任を負う全政党が、主要全政党が出てきて、それぞれ幹事長、代表者クラスが、北方領土は日本固有の領土だ、そしてその返還のために我が党は全力を尽くしますということを威勢よく約束されました。そういう意味では、この領土問題が単なる保守勢力の問題ではなく、与野党を問わず、右だ左だのイデオロギーを問わずに、国民として大事に向き合っていかなきゃいけない問題だという、共有ができたことは有り難いなというふうに思っております。
 そんな中で、今中学生である、那覇にお住まいの、小禄中学校に通っている伊計ちかさんという方がその返還全国大会でアピールを読んでくれました。彼女は那覇で学んでいるんですけれども、根室に、北海道に飛んで、そして北方領土返還運動の研修を受けたその感想文を読んでくれました。そして、中学生として初めて北方領土の重要性を知って、そしてこのことをもっと伝えていかなきゃいけないというふうに思ったそうです。しかし、彼女の指摘が、こんなことがありました。私たちは北方領土についてもっと学びたいです、でも、私たちが通う学校での社会科の教科書には北方領土の記述がたった七行しかありません、もっと学ぶ機会をつくっていただきたいですというような感想文を述べてくれました。
 手を震わせながら一生懸命読んでくれている伊計ちかさんの言葉に触発されて、この二月七日以降、私自身も日本の教科書、小中高校の、小学校の教科書、中学校の歴史、公民、地理、それから高校の現代社会、それから日本史、世界史の教科書を手当たり次第、北方領土の記述を求めて探しました。取りあえず入手して確認できたのが五十七冊でございます。この間、このことについて予算委員会で質問させていただきましたが、今回は調査の精度を上げるため、特に中学校の社会科教科書、全教科書です。地理七冊、歴史八冊、公民八冊、地理はあの扶桑社が地理の教科書を出していないので地理だけが七冊なんですが、合計、七、八、八プラスで二十三冊の教科書の北方領土に関する記述をすべて調べまして、それに基づいて質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、下村政務官にお伺いいたします。一般的な見解をお伺いしますが、日本の教科書の信憑性、信頼性はどのくらい高いとお考えでしょうか。
#74
○大臣政務官(下村博文君) 有村委員の熱心な取組に心より敬意を申し上げたいと思います。
 一般的な取組ということでございまして、我が国の教科書検定制度は、民間の執筆者が学習指導要領に基づき、創意工夫を生かして著作、編集した図書を、文部科学大臣が教科用図書検定調査審議会の専門的な審議を経て、教科書として適切かどうかを決定しているものでございます。
 この検定では、申請図書の内容に現在の学説状況などに照らして明らかな誤りがあるかどうかということをチェックをし、そしてその場合には検定意見を付してその欠陥を指摘することを基本としておりまして、今申請されている教科書、一般的にはどの教科書も数十か所から百か所以上に上るこのような指摘がございます。それを訂正をした上で行うということで、教科書は、結果的にはこのような検定制度の下で学習指導要領の基準を踏まえたものとなっておりますので、信憑性は高いものと期待をしております。
#75
○有村治子君 下村政務官が信憑性は高いものと期待しておりますというふうにおっしゃいました。私自身も心から期待申し上げております。
 しかし、あえてお伺いします。教科書の記述に誤りがある場合は実際にはどうされるのか、特に検定を済んだ教科書に誤りがある場合はどうされるのか、教えていただきたいと存じます。
#76
○副大臣(塩谷立君) お答え申し上げます。
 教科書の検定規則においては、検定を経た教科書に誤記や誤植や誤った事実の記載を発見したときには、発行者は文部科学大臣に承認を受けて記述を訂正をしなければならないと規定をされております。したがって、検定済みの教科書の記述内容に誤りがある場合には、この制度を適用して発行者から文部科学大臣に対して訂正申請を行い、文部科学大臣の承認を受けて記述の誤りを正すことになっております。
#77
○有村治子君 それでは、現在、学校で、教室で使われている教科書の中で誤りがあるとすればどういう対応を取られますでしょうか。
#78
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在使用されている教科用図書につきまして、誤った事実の記載、あるいは客観的な事情の変更に伴いまして明白に誤りとなった事実の記載があるという場合には、発行者がそれを発見をした場合には発行者は文部科学大臣の承認を受けて必要な訂正を行うということでございます。
#79
○有村治子君 確認ですが、では学校現場にもしっかりとそれが伝わるということと思ってよろしいでしょうか。
#80
○政府参考人(銭谷眞美君) 教科書の記述について変更し、文部科学大臣の承認を受けた場合には、発行者は必ずそれをその教科書を使用しているところに通知をするということになっております。
#81
○有村治子君 一般的な見解をお教えいただき、ありがとうございました。
 それでは、今日委員の皆様に配付資料を配付していただきました。これは外務省から出た情報、ホームページ、それから北方領土問題対策協会、それから一般的な年表などを資料にして、私自身のこの二月七日に参加させていただいた北方領土返還要求全国大会のときの感想も交えて、伺ったことも交えて、有村事務所が有村事務所の責任で作成した資料でございます。その確認をさせていただきます。
 まず、私が前回の予算委員会で質問させていただいたときの文章なんですが、確認できた小中高の社会科教科書五十冊以上、実際には五十七冊ですが、全く記述がないんですが、北方領土の本質を知るために必要な基本知識ということをここで確認をさせていただきたいと存じます。
 中ぽつの、ここに六つ中ぽつを書かしていただきましたが、この記述は教科書に一切、どこの教科書も載せていないような、だけれども基礎情報なんですね。
 まず、終戦間近の一九四五年八月九日、ソ連は当時まだ有効であった日ソ中立条約を無視していきなり日本に対日参戦してきたという背景があります。私も今回、日本国及びソビエト連邦間中立条約、その条文を当たってみましたけれども、両国が友好の関係を強固ならしむるに当たって、相互の領土の保全及び不可侵を尊重すべきということで、相互の不可侵を約束しています。また、第二条では、締約国が一又は二以上の第三国によって軍事行動の対象となる場合には、他方締約国は紛争の全期間中中立を守るべしということで、お互いの何か第三国からの攻撃を受ける、あるいは戦争状態になったときには中立を守るということを約束し、このソビエトとの中立条約は五年間有効ということで、モスクワで批准しているのが昭和十六年なんです。ですから、当時、やはり、私自身も確認いたしましたが、日ソ中立条約というのは生きていたということが分かります。
 で、終戦直後、約一週間前にソ連が急に対日参戦をして、そしてポツダム宣言を受諾して日本が降伏した終戦後約二週間たってから、やっと戦争が終わったぞというふうに二週間たってから武装ソ連軍が北方領土に侵攻し、急襲しました。
 北方領土の不法占拠が始まってから今年で六十年になります。当時、北方領土には一万八千人近い日本人の島民が住んでいらっしゃいましたが、その島民の約半分は、厳しいソ連軍の、自動小銃を持ったソ連軍の監視の目をくぐって命からがら御先祖の遺影とともに脱出を図られています。しかし、それ以外の島民の方々は樺太などに数年抑留されて、苦しい生活を強いられた後に強制引揚げをされているというのが事実でございます。
 その北方四島、島で生まれ育った旧島民の多くは既に他界されています。不法占拠から六十年たった今、生きていらっしゃる方々の平均年齢も七十二歳を超えています。この間、二月七日の返還全国大会でも、どうか生きているうちに島に帰してください、目の黒いうちに御先祖が眠っている島に帰りたい、私たちは六十年間待ち続けました、あと何年待てばふるさとに帰れるんでしょうということを、八十代の腰を曲げたおばあちゃんが必死に訴えてくれました。それを聞いて、私も、ああ、つらかっただろうな、泣けてきただろうなというふうに思うと目頭が熱くなってじいんときました。
 北方領土の面積を合計すると、ちょっと今持ってまいりましたけれども、(資料提示)この択捉島と国後島と色丹島と歯舞群島、この四つを合わせると、実は現在五百万人以上の方々が住まわれる福岡県よりも大きい面積になります。そして、時々ロシアが主張される二島返還論の例えば歯舞群島と色丹島、この面積を二つ合わせると北方領土全体のたった七%にしかならないということで、大体四島のうちの二島かというと何となく五〇%の領土かなと感覚的には思ってしまうんですが、実際には七%の領土しかならないということのこの事実も多くの国民には知る機会がありません。
 そういう現状の中で、私たちが、二十四年前に閣議決定されて、この一八五五年、初めて日露が平和的に国境を、国境線を引いて北方領土が我が国固有の領土であるということを定めた日露通好条約、このことを記念して、百五十年前のことを記念して北方領土の日というのが閣議決定で決められてから二十四年がたちます。しかし、北方領土の日ということを記述している教科書は、中学校の教科書の中には一冊もありません。
 今日配付した資料の中で御報告をさしていただきたいと思います。
 三ページ目以降に、日本の社会科における公民の教科書全八冊、それから次のページに歴史の教科書全八冊、そして地理は、非常に記述が長いところもあって、問題のところがちょっとないというふうに私が判断したものは、紙面の関係で三社だけを選ばしていただきました。ですから、地理以外はすべての教科書の記述を載せています。
 それをごらんになっていただくと、例えば、公民から行きたいと思いますが、東京書籍、一番目の教科書は、いつからロシアが、ソ連が占拠されたのかということを書いていません。そして二番目の帝国書院ですと、第二次世界大戦末期にソ連が占領して五十年以上というふうな記述をしています。この末期というのは、後で質問をさしていただきますが、私自身は明らかな間違いだと思っています。大阪書籍の公民の教科書になると、日本はソ連を継承したロシアに対して、歯舞諸島、色丹、国後、択捉の返還を強く求めていますという、欄外写真説明の二行で終わり、我が国固有の領土だという記述はありません。同じようなことが清水書院でも言えます。
 そして、扶桑社の公民の教科書、これは扶桑社という、誤解を恐れずに言えば、もう少し踏ん張るべきであろう教科書にもかかわらず、背景の説明を何もしていないんですね。これは、正直なところ、私と一緒に調べてくれた現役の大学生、将来社会科の先生を希望する教職希望の学生なんですが、扶桑社の割にはちょっと残念だなということを現役の女子大生も言っていました。
 では、次のページ、歴史について、歴史の北方領土の記述についてごらんになっていただきたいと思います。
 東京書籍、これは東京書籍はマーケットシェアがどの分野においてもかなり高い、かなりメージャーな教科書です。日本は、国後島、択捉島、歯舞諸島、色丹島(北方領土)は日本固有の領土であると主張しましたが、ソ連が応じなかったため、平和条約を結ぶことはできませんでしたというような記述が、大阪書籍も同じように書かれています。この文章では、日本固有の領土であるかどうかは書かれていません。日本が日本固有の領土であると主張したが、ソ連が聞き入れられていないというような記述が書かれています。
 この歴史の教科書を総括すると、ソ連によって占領されたっていう事実の記述がないのが東京書籍、大阪書籍、教育出版です。そして、我が国固有の領土という記述がないのが帝国書院、扶桑社です。そして、今ロシアに人々が住んで、ロシアの人々が住んでいるんですが、それでも我が国固有の領土の返還に向けて現在も粘り強く交渉をしているという、現在交渉中という記述がないのが清水書院と扶桑社です。
 地理の方の教科書では、我が国固有という文章はすべて書かれていて、少し安心するんですが、次のページをごらんになっていただきたいと思います。
 例えば帝国書院ですが、欄外七行の記述の中で、北方領土には多くの日本人が住んでいました。このあたりは、こんぶやかになどの水産資源が豊富で、すぐれた漁場になっています。しかし、一九四五年以来、ロシアが占拠していますということで、戦争、第二次世界大戦と北方領土がどういう関係にあるかというのは書かれていません。意図的かあるいは偶然かは分かりませんけれども、書かれていません。これでは、この教科書で学ぶ子供たちが北方領土、領土問題の本質を知るヒントはこの文章からは出てきません。
 教育出版はここで、やはり第二次世界大戦の末期にソ連に占領されというふうに書かれています。しかし、同じ教育出版さんは、地理では第二次世界大戦末期と書きながら、公民と歴史の教科書では第二次世界大戦後に北方領土は占領されたというふうに、同じ出版社で時期を両方併記していらっしゃるのが現状でございます。そして、それは今学校現場で使われている教科書の記述になっています。
 私が小中高の教科書、社会科教科書を見て調べてみました中で分かることは、多くの教科書が日本とロシアの間には北方領土という領土問題が存在するというような書き方で、その背景にどんなものがあるのかっていうことはほとんど書かれていないというのが五十七冊を調べてみた上での認識でございます。
 そこで、この委員会で事実確認をさせていただいた上で、具体的な質問に入っていきたいと思います。
 私がお配りした資料の、ごめんなさい、ちょっとページ数を打ってなかったんですが、後ろから二ページ目、ごらんになっていただきたいと思います。どうしても問題だったので、高校の教科書なのですが、そのまま引用してきました。現代社会の教科書、第一学習社の出版するものです。そこには、現在、返還方法をめぐって、二島返還を優先させるのか、四島一括返還を求めるのか、意見が分かれているという記述がありますが、外務省にお伺いしたいと思います。政府としてこれまでに北方領土の二島返還論の立場を取られたことはおありになりますでしょうか。
#82
○政府参考人(小松一郎君) お答え申し上げます。
 これは、総理大臣、外務大臣を始めとしまして累次繰り返し御答弁申し上げているところでございますが、日本国政府といたしましては、我が国固有の領土でございます北方四島の帰属の問題を解決して早期に平和条約を締結するという一貫した方針を堅持しておりまして、いわゆる二島先行返還論や二島返還論を我が国政府としてこれまでに採用したことはございません。
#83
○有村治子君 ということは、日本の立場、政府見解とは異なる記述が教科書にあると思ってよろしいでしょうか。
#84
○政府参考人(小松一郎君) 政府の立場とは違うということでございます。
#85
○有村治子君 外交においてはより多くの国民の方々の支持や世論があってこそ交渉に臨めるわけで、日本政府の一貫した姿勢と整合性のない記述を次の日本を担う小学生に教科書で教えてよいのでしょうか。
 特にこの記述をしていらっしゃる第一学習社の教科書では、北方領土問題に関して二行しか記述がありません。その中で、二島返還か四島一括返還か意見が分かれているといった内容が特に紹介されているに至っては、これが政府見解ばかりか一般的な世論をも反映しておらず、フェア、公正な表記ではないと私には考えられますが、いかがでしょうか。外務省と内閣府、文部科学省にお尋ねいたします。
#86
○政府参考人(小松一郎君) 政府の立場につきましては、先ほど御答弁したとおりでございます。国民世論においてどういう考え方が主流であるのかということについて私ども外務省としてコメントを申し上げるのは僣越と存じますけれども、いずれにいたしましても、政府の立場は先ほど申し上げたとおりであるということ。
 それから、国民を代表する国会において今まで累次にわたって、もう十回以上の決議が行われております。今年になりましても、衆議院、参議院両院においてその決議が行われていまして、その前提として北方四島が我が国の固有の領土であるという前提の御決議が行われているというふうに私ども理解しております。
#87
○政府参考人(東清君) 私ども北方領土の返還運動を盛り上げていく立場から、若い人たちが正しい北方領土についての知識と理解というものを持っていただいて、積極的に参加して盛り上げていただくということが望ましいと思っております。そういう意味で、いろんな立場から次世代の啓発運動に取り組むということが大切だというふうに感じております。
#88
○有村治子君 今のではちょっとお答えになっていないと思うのですが、もう一度、この教科書の記述についての、どうお考えになられるのか、二島返還論と意見が分かれているという記述に対して内閣府がどう思われるのか、おっしゃっていただきたいと思います。
#89
○政府参考人(東清君) 二島返還論については先ほど外務省局長が申し述べたとおりでございます。
 ただ、政府の一貫した立場というものを説明する場合には、北方四島の帰属問題を解決してという記述をしっかりとしていただきたいなということでございます、と考えております。
#90
○政府参考人(銭谷眞美君) 先生御指摘いただきました教科書の記述でございますけれども、北方領土問題としたコラムの中の記述でございます。このコラムでは、まず初めに、国後島、択捉島は歴史的に日本固有の領土であり、また根室半島の延長線上にある歯舞諸島、色丹島についても北海道の一部であり、ロシアによる占領は違法であるという我が国の考えが記述をされておりまして、四島が領土問題の対象となっていることが分かる記述になってございます。この後、平和解決に向けてとした記述の最後に、現在、返還方法をめぐって、二島返還を優先させるのか、四島一括返還を求めるのか、意見が分かれていると記述されているわけでございます。
 政府の立場は、四島の、先ほど外務省からお話がございましたように、政府の立場は四島の返還ということで明らかなわけでございますが、この部分の記述としては、一般的な意見として両方の意見があるということを記述しているものでございまして、明白な誤りとまでは言えないことから検定において許容しているというものでございます。
#91
○有村治子君 今、外務省の方がおっしゃっていただきました政府の立場とは異なる、そして与野党の国会の議員の方々が集われる国会でも幾度にわたって四島返還ということが決議されていると。その国会をも無視して、政府の立場をも語らずして、そしてこれが間違いではないから載せているのもやむを得ないという文部科学省の立場をお取りになられるんでしょうか。
#92
○政府参考人(銭谷眞美君) 私ども、政府の立場というものは十分、政府の一員でございますし、当然政府の立場を踏まえて検定を行っております。
 ただ、一般的な意見として両方の意見があるということ、これは政府の意見とかではなくて、一般的な意見として両方の意見があるということをこの教科書では記述をしているものでありますので、そういう状況は明白な誤りとは言えないということから許容しているものでございますけれども、本日の議論というものは、私ども、発行者の方にもよくお伝えをしておきたいというふうに思っております。
#93
○有村治子君 恐縮でございますが、銭谷局長、今のコメントを受けてもう一問質問させていただきます。
 明白な誤りではないと、二島返還というのも一般的にそういう論があるという、世論を踏まえてというような旨のことをおっしゃいました。では、銭谷局長は、二島返還論と四島返還論の意見がどのくらいの割合で日本国民の中に存在すると考えていらっしゃるんでしょうか。
#94
○政府参考人(銭谷眞美君) ちょっとその比率については、私自身ちょっと申し上げることはできません。
#95
○有村治子君 私が申し上げたいのは、やはり一般的な国民の常識あるいは一般的な認識に照らし合わせてフェアな記述をしていただきたいというのが趣旨でございます。
 二島返還論が国民の中で世論を二分するような大きな意見であれば、それは書くのも当然かもしれません。しかし、私が認識している限り、私の同僚や先輩の方々が、多くの方々が認識していらっしゃる限り、二島返還論とは、ないことはないですけれども、これはしっかりと認めますけれども、それが主流あるいは拮抗した状態とは私には見えません。
 この現状も踏まえて文部科学省のリーダーシップを取っていただきたいと存じますが、いかがでしょう。
#96
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいまの先生の御意見、国会等でこういう議論があったということは、私ども、発行者の方にもきちんと伝えていきたいというふうに思っております。
#97
○有村治子君 ありがとうございます。是非そうしていただければ光栄に存じます。
 外務省にもう一度お伺いします。
 教育出版の小学校用の教科書、社会六上には北方領土問題に関してこういう記述があります。最近は両国が協力してこの地域を共同開発しようという動きが生まれています。この今日の配付資料には入れていませんが、そういう記述がありますが、北方領土を共同開発しようという動きは生まれているんですか。この事実関係を確認させてください。
#98
○政府参考人(小松一郎君) 今御指摘のございました教科書の中で共同開発ということを使っているという、この共同開発の意味が私どもに必ずしも明らかでないわけでございますが、まず申し上げなければならないことは、我が国固有の領土でございます北方四島は、再三委員から御指摘ございますように、現在、ロシアによる不法占拠が続いておるということでございますので、このような北方四島においてロシアが管轄権を持っているというような前提でそのような、国民の皆さんを始めとしまして、行為を行うことは我が国として受け入れられないわけでございます。
 他方、以上申し上げました上で、領土問題についての我が国のこの法的立場を害しないという形でこの共同の経済的な活動を四島で実施し得るとすれば、これは日ロ間の相互理解及び信頼を強化して、平和条約に関する二国間交渉の進展のための望ましい環境の整備に資するものというふうに政府として考えてございます。
 これ、やや細かくなって恐縮でございますが、具体的には、一九九八年に当時の小渕総理が訪ロなさいましたときにロシアとの間でモスクワ宣言という政治文書を作っておりますが、この中で、この平和条約問題を早期に解決をするために、この日ロ合同委員会の枠の中において国境画定に関する委員会を設置するということがまず書いてございまして、その次に、この国境画定に関する委員会と並行して活動いたしまして、この上記の諸島、四島でございますが、においていかなる共同経済活動を双方の法的立場を害することなく実施し得るかについて明らかにすることを目的とするこの共同経済活動に関する委員会を設置するということは合意されているわけでございます。
 ただ、事実と、なかなかこれ双方の法的立場を害さずにこういう活動を行うというのは難しい問題でございますので、現在に至るまでそのような具体的な活動が実施できるには至っていないというのが現状でございます。
#99
○有村治子君 丁寧に説明していただいてありがとうございました。よく分かりました。
 これ、外務省と事前通告の打合せをしたときに、やはりこの表記というのは微妙なんですね。共同開発をしようというその聞こえはいいですけれども、これ正に日本の主権にかかわる問題で、どちらが主権を持っているのかということをうやむやにして共同開発にしようというような印象を与えるような文章というのは的確ではないと思われます。
 ですから、実際には共同開発をするに至っていないという現状をかんがみた上で、もしどうしても共同開発しようという表記にこだわられるんであれば、主権の問題とセットで書いていただかなければフェアではないと思いますが、外務省、いかがでしょうか。
#100
○政府参考人(小松一郎君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、このモスクワ宣言におきましても、双方の法的立場を害することなくそういった共同経済活動を実施し得るかどうかということを明らかにするために委員会を設けるということが合意されているわけでございます。
#101
○有村治子君 その断りは、表記いったんされる以上は必ず考慮していただきたいと思います。
 では、外務省、もう一度お伺いしたいと思います。局長、教えてください。
 北方領土四島がソ連軍によって急襲を受けたのはいつでしょうか。今日の配付資料の二ページ目に時期を、ちょっと私が考え得る時期を二ページ目の右側に書いておりますので、これを委員の皆様ごらんになった上でお聞きいただきたいと存じます。
#102
○政府参考人(小松一郎君) 先ほど委員からの御指摘ございましたように、一九四五年八月でございますが、九日にソ連は、その有効で、その当時、日ソ間で有効でございました中立条約を無視して対日参戦をしたということで、この四島を占領した時期でございますが、八月二十九日に択捉島、九月一日から四日の間に国後島、色丹島及び歯舞諸島をそれぞれ武装解除いたしまして、九月五日までに北方領土を占領したということでございます。
#103
○有村治子君 ということで、八月二十八日に北方領土に対する行進が始まって、二十九日に実質ソ連軍が侵入したと。そして、九月五日までに北方四島が完全に占領されてしまったという、その理解で正しいというふうに思っております。大多数の教科書がこのような記述になっています。
 ここからが問題です。
 その一方で、第二次世界大戦末期に北方領土が占領されたという記述の教科書が二社あります。帝国書院の公民の教科書と教育出版の地理です。これは、八月二十八日から九月五日に攻撃を受けている、占領を受けている、武装兵による占領を受けているわけですから、明らかに事実と反するというふうに私は思い、理解に苦しむ記述ですが、文部科学省はこれが正しい記述だと思っていらっしゃるんでしょうか。なぜこのような記述になるのか、教えていただきたいと存じます。
#104
○政府参考人(銭谷眞美君) 先生御指摘ございましたように、北方領土について第二次世界大戦末期にソ連が占領としたと記述している教科書があることは事実でございます。
 それで、問題は、その第二次世界大戦の終期ということになるわけでございますが、歴史事典等におきましては、第二次世界大戦の終期について二つの考え方、記述がございます。
 一つが、ポツダム宣言を受諾をしたことを国民に知らせた八月十五日とするものと、日本が降伏文書に調印をした九月二日を示すという、こういう考え方が歴史事典等では記されているわけでございます。したがって、教科書の検定上はどちらもこれまで許容しているということでございます。
 先ほど外務省からも御答弁ございましたように、ソ連が北方領土へ侵攻した時期につきましては八月の末から九月の初めということで、降伏文書に調印した終戦の日の九月二日には北方領土の大部分がソ連に占領されていたという学説状況を踏まえまして、冒頭のような表現を教科書検定上許容してきたところでございます。
#105
○有村治子君 銭谷局長、苦しい供述になると思います。
 なるほど、一般常識として国民の皆様に広く認識されている八月十五日の終戦以外に、歴史事典によると、学説的には九月二日を終戦とする説があることは認めます。
 別の聞き方を文部科学省にさせていただきます。
 では、その意見があるとして、九月二日が終戦といたしましょう。その後もソ連の行進は続いています。九月三日、九月四日、九月五日をどう説明されますか。これでも第二次世界大戦末期と言い張られるんでしょうか。
#106
○政府参考人(銭谷眞美君) 実は、ソ連の北方領土侵攻の時期につきましても、あの時期でございますのでいろいろな説があるわけでございます。
 それで、これもやはりまた事典等あるいは概説書等によると、九月二日には北方領土の大部分がソ連に占領されていたという学説もございますので、検定上これを許容しているという事情でございます。
#107
○有村治子君 私の理解では北方領土は四島だと思っておりますし、占領が完了したのは、大部分ではなくて四島が完了したのは九月五日だと認識しています。この部分に対しては学説も割れないと外務省さんもサポートしていただきたいですが、外務省さん、いかがですか。全島が占領されたのはいつでしょう。
#108
○政府参考人(小松一郎君) 歴史的な事実といたしまして、先ほど御答弁申し上げましたように、四島のソ連による不法な占領が完成したのは九月の五日ということでございます。
 ただ、終戦の意味、終戦の時点をどうとらえるかということにつきましては、それはいろいろな考え方があることも事実でございまして、ポツダム宣言の受諾に関する詔書の、いわゆる玉音放送が行われた八月十五日を終戦と考えるという、これは一般的に我が国においてそういう考え方が取られていると思いますけれども、法的には九月二日に戦艦ミズーリの上で降伏文書に署名をしたと、これは法的にポツダム宣言を受諾をいたしまして、それによって敵対行為が終了したという日でございます。そういう見方もございます。
 それからさらに、あえて付け加えさせていただければ、全くの国際法上の考え方として、戦争状態というものが法的にいつ終結するのかということはまた別途議論がございまして、これは一般論でございますが、一般的には、講和条約などの締結によりまして、平和条約、戦争状態が終結をすると、これは我が国が戦争状態にありました国、複数ございますので、それぞれの条約によって若干維持が、そのタイミングが違っているということはございます。
#109
○有村治子君 ありがとうございます。
 じゃ、終戦をいつかと取るのは一般的な八月十五日のほかに九月二日という考え方もあるというのは承知いたしました。
 では、八月十五日、では、文部科学大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
 多くの皆様が八月十五日を終戦と考えられて、そして政府も八月十五日に戦争で亡くなった方々の追悼の式を毎年されていますが、八月十五日が一般的な終戦というのは、一般的にそういうものだというふうに思ってよろしいでしょうか。お答えくださいませ。
#110
○国務大臣(中山成彬君) 個人的には八月十五日が敗戦の日だと思っております。
#111
○有村治子君 では、大臣もおっしゃっていた、個人的に思っていらしてくださった八月十五日、それ以外に九月二日が終戦というふうに取られる学説もあるということが分かった上でも、九月五日というのは第二次世界大戦末期というふうに言えるという証拠は私には理解できません。銭谷局長、いかがでしょうか。
#112
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど来繰り返し御答弁申し上げておりますように、ソ連が北方領土へ侵攻した時期についてはいろいろな学説がございます。例えば、択捉島への上陸が八月二十八日という考え方もございますし、九月一日に色丹島、二日に国後島及び歯舞諸島の多楽島、志発島というふうに上陸をしていったと。三日に歯舞諸島の勇留島と水晶島を占領したと、こういうふうに書いている歴史の書もあるわけでございます。ですから、九月二日には北方領土の大部分がソ連に占領されていたという学説状況を踏まえて、末期という表現について検定上はこれまで許容してきているところでございます。
#113
○有村治子君 分かりました。ありがとうございます。
 別の聞き方をさせていただきます。
 では、同じ社会科教科書で終戦についての記述を確認してみました。取りあえず確認できたもの八冊を調べますと、そこには教育出版、帝国書院も含めまして、終戦は八月十五日という扱いでこれを子供たちに教えています。同じ出版社が出している教科書の中で終戦は八月十五日ですよと教えておきながら、別の項目で書いてある北方領土に関しては、ポツダム宣言署名の九月二日を過ぎてもなお武装ソ連軍による占領が続いていた事実に反して第二次世界大戦末期と主張されるのでしょうか。特に教育出版に至っては、公民の教科書では第二次世界大戦後にと書きながら、地理では第二次世界大戦末期と書かれていますが、いかがでしょう。
#114
○政府参考人(銭谷眞美君) 教科書の検定は、あくまでもそれぞれの申請本ごとに、その時点における学問状況に照らして記述の欠陥を指摘することを基本として実施をしております。ですから、同じ出版社の教科書でも、教科あるいは科目によりまして、学問的な状況の範囲内であれば検定上許容されるということは起きてくるわけでございます。
 ただ、私、ここで申し上げるのはちょっと僣越かもしれませんけれども、先ほど大臣からも八月十五日が敗戦の日であるというお答えがございましたけれども、私どもとしては、第二次大戦の終期が九月二日でも、明確にこれは誤りではないと、やっぱり一つの説としてあるわけでございますので、それはそのように考えるわけでございますが、一般の国民の間に浸透している日ということも念頭に置いて、こういったようなまた御議論がありましたことは、発行者の方にはお伝えをしておきたいというふうに思っております。
#115
○有村治子君 この二社の教科書は検定を通っていますけれども、そこから訂正の申込みが出ているというふうに理解してよろしいでしょうか。
#116
○政府参考人(銭谷眞美君) 訂正の件につきましては、先ほど、冒頭に申し上げましたように、訂正が行われた後にこれを通知をするものでございますので、現段階でちょっとお答えをするということはできないわけでございます。
#117
○有村治子君 分かりました、ありがとうございます。
 先ほどの午前中の参考人の方々でも、本当に地方に移管して、義務教育費を移管して、教育水準と機会均等、そして無償ということが保障できるのかどうかというところが焦点の一つになりました。
 そこで、岡山県知事がおっしゃったんですが、やっぱり学習指導要領ということを大事にしていけば、一定の教育内容の水準は確保されるということもおっしゃっていましたけれども、これに関してもお伺いします。
 中学校学習指導要領社会科では、固有の領土であることなどを教えていかなきゃいけないというふうに北方領土について書かれているんですが、北方領土については小中高の教科書においてどんな記述が正しいと、どんなことが入らなきゃいけないとお考えでしょうか。これは竹島の問題について非常に関係して、非常に関心が強いところだと思われますが、教えてください。
#118
○政府参考人(銭谷眞美君) 学習指導要領で北方領土という字句が出てまいりますのは、中学校の社会科の地理的分野でございます。中学校学習指導要領では、北方領土が我が国固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすることという記述があるわけでございます。
 で、この中学校の学習指導要領を解説をした文部科学省刊行の著作物がございます。学習指導要領の解説社会編という著作物でございますけれども、この解説では、北方領土の位置と範囲、それから北方領土は我が国固有の領土であること、次いで、現在ロシア連邦によって占拠されていること、その返還を我が国は求めていること、この四点などについて、我が国が正当に主張している立場に基づいて的確に扱う必要があるというふうにしているわけでございます。
 したがって、中学校社会科の地理の教科書においては、少なくともこれらのことが理解できる記述であることが望ましいというふうに考えております。
#119
○有村治子君 それでは、文部大臣にお伺いしたいと思います。
 教師用指導書、いわゆるティーチャーズマニュアル、指導用マニュアルと呼ばれるものですが、これは一般的には入手がなかなかできないもので、先生がしっかりと準備をされて、権威を持って信用ある授業をされるためには大事なものだと私は思っています。
 そして、これらの北方領土の記述について確認をしてみたんですが、ちょっと不思議なことがありました。先生用の教科書に北方領土に関する記述が全く見られないものがあって、何で領土問題が起こってしまったのか、その歴史的背景や本質についての情報が書かれていないものが半数近くありました。これでは、今教壇に立っていらっしゃる方は私の年代も含めて二十代、三十代、四十代、五十代の方々で、戦後派世代でございます。そもそも、北方領土に関しても数行の記述しか教えられてこなかった世代ですが、これを文部科学省に問い合わせますと、いや、指導用のマニュアルは一般書となって、これは検定には、全く文部科学省は知らぬ存ぜぬ、全く関知せずだというふうにおっしゃっていますが、本当にこれでよろしいんでしょうか、文部科学大臣、お答えください。
#120
○国務大臣(中山成彬君) まず、有村委員大変な作業をされまして、これだけの調査をされました。また、北海道にも行かれたということでございまして、本当に敬意を表したいと思います。若い世代の有村委員がこのようなことをされなければならないということは、私ども、先輩議員として申し訳ないような、そういう気持ちもするわけでございます。
 私も、中学のときに大東亜戦史というのをずっと読みました。北方編、満州編、中支編、それから北支編、南支編、それから太平洋編とずっとありまして、それを読んで、本当にソ連が参戦してきました八月の九日、あの日ソ不可侵条約を破って入ってきたわけでございまして、日本の方々が大変な思いをされたと、引き揚げてこられたという話もそのとき知りまして、その後戦災孤児といいますか、あの中国の残留孤児の方々帰ってくる。ちょうど私と同じ世代の方々でございましたから、本当にそういう意味で人ごとと思えないような、そういう気がしたことを覚えているわけでございます。
 今回、文部科学大臣になりまして、私はすぐこのことを問いただしました。要するに、尖閣列島とかあの辺が問題になっていたものですから、一体学習指導要領でちゃんと教えているのかということを問いただしましたところ、いや、ありませんと、竹島とか尖閣列島について日本の領土であるということは学習指導要領にないということでございました。それはどういうことなんだ、一体、そもそも日本の領土はどこからどこまでだとまず教えるのが基本じゃないかと、こう言いましたら、事務方が、いや、バランスの問題がありましてと。バランスの問題とは何だ。時間がないと。こんなものは三十秒あれば教えられるんじゃないかということで、もう次回の学習指導要領ではきちっとこの辺は書くべきじゃないかということで事務方には申し上げたところでございましたが、この北方四島につきましては、学習指導要領に書いてあるということでございまして、先ほど局長が答弁したとおりでございます。
 こういった、しかし指導要領にありましても、今、有村委員御指摘にありましたように、教科書によりまして記述がばらばらで、本当にある意味で、何といいますか、検定の幅が広いんですね。だから、九月二日という、そういうふうな学説があれば、これはしようがないという、日本はそういう意味で非常に幅広い民主的な国なんだろうと、こう思うわけでございます。
 そういう意味で、ただ、一つ、先ほどから有村委員の質疑聞いておりまして、これは終戦が八月十五日であれ九月二日であれ、ソ連は不可侵条約を不法に破って入ってきたわけですから、少なくとも不法に占領しているということですね。それから、これは日本固有の領土であるということ。そして、現在、今交渉しているんだと。この三つは少なくとも私はきちっと教科書に書いてもらうように学習指導要領も直すべきじゃないかと。こんなことを私は考えているわけでございまして、これが、指導要領の解説もいろいろありますけれども、やっぱりその辺のところは私は、日本人として、日本の文部科学省としては子供たちにきちっと教えないと、正に教えられなかった人たちが先生になって今、今の子供たちを教えているわけですから、何が何か分からなくなっているということが、私は、竹島とか尖閣とか、あるいは北方四島の問題、こんなに日本人の中にいろんな意見、見解が分かれるところではないかと思うわけでございまして、この辺のところはきちっと私は次の学習指導要領の改訂に当たっては直すべきだと、このように考えております。
#121
○有村治子君 これから義務教育国庫負担のことについて質問をさせていただきたいと思います。
#122
○委員長(亀井郁夫君) 速記を止めてください。
   〔午後二時三十分速記中止〕
   〔午後二時四十一分速記開始〕
#123
○委員長(亀井郁夫君) それでは、速記を起こしてください。
 じゃ、引き続いて始めたいと思いますので、よろしくお願いします。
#124
○有村治子君 では、お伺いします。
 政府・与党合意では義務教育費国庫負担について中教審の結論を得てとなっておりまして、前回の文部科学委員会における答弁でも中教審の結論を得てという答弁が相次ぎました。
 義務教育費について教育論から議論することは極めて大事なことだとは思っておりますけれども、一方、我が国にとって最重要課題の一つというふうに目されている教育基本法の改正についても中教審がその御意見を出されてからもう二年もたっております。そういう意味では、本当に中教審の結論を得て動くのかどうかというところは、私も義務教育費国庫負担を大事にしなきゃいけないという立場で、本当に中教審を得て、結果、ちゃんとうまくなるのかどうかということの大臣の御姿勢を伺いたいと思います。そもそものこの中教審の法的位置付けはどのようになっているのか、教えてください。
#125
○政府参考人(田中壮一郎君) まず、中央教育審議会の法的位置付けについて御説明をさせていただきたいと思います。
 中央教育審議会は国家行政組織法第八条に規定いたします審議会等でございまして、文部科学省組織令第八十五条に基づきまして文部科学省に設置されておるものでございます。
 この中央教育審議会におきましては、文部科学大臣の諮問に応じまして、教育の振興、生涯学習の推進、あるいはスポーツの振興等に関する重要事項につきまして学識経験者による調査審議を行うための教育に関する最も重要な審議会であるということでございます。
#126
○有村治子君 ありがとうございます。
 私も義務教育費国庫負担というのは堅持すべきものだというふうな思いを持っておりますが、本当に文部科学省が義務教育費国庫負担制度を堅持しよう、守っていこうとするのであれば、むしろ、中教審の結論を得た後、どのような戦略性と理念を持って日本政府の中で働き掛けていくことができるかということが重要だと考えています。国民の皆さんの世論や政治の賛同を得られる工夫、みんなが納得できる結論に導く戦略など、文部科学省として、中教審の結果が出た後、取り組むべきことはまだあるのではないか、その戦略性を教えていただきたいと思います。文部科学大臣、よろしくお願いします。
#127
○国務大臣(中山成彬君) 中教審の結論を待ってというふうなことになっているわけでございまして、その後どうするか、これは、もうそれこそ文部科学大臣、そして文部科学省が必死に頑張るべきだと思いますけれども、その前に、その中教審の結論がどういうものになるかということの方が大事でございまして、私どもとしては、この中教審も今熱心に御議論いただいているわけでございますが、この中教審の審議に広く保護者あるいは地域住民、国民の声を反映させるということの方が非常に大事だろうと、こう思うわけでございます。
 いろんな世論調査でも義務教育国庫負担制度は堅持すべしという声の方が非常に大きいということは分かるわけでございますが、そのことをいかに中教審の方に伝えるかと、そういう意味で今スクールミーティング等はやっておりますけれども、このミーティング等で得られた保護者とかあるいは地域住民の声、あるいはPTAとか地域団体、教育関係者の意見、その他、義務教育に関する世論調査とか、あるいは文部科学省も今実施していますけれども、アンケート調査、こういったものを中央教育審議会に報告いたしまして、こういった国民的な論議を巻き起こして、そしてこの中教審をサポートしてまいりたいと思っているわけでございまして、私としては、この義務教育の意義、そして義務教育の改革の方向性、あるいは国による義務教育の財源保障の必要性等について機会あるごとに国民に訴え掛けていくということをまず今力を入れてやっているところでございます。
#128
○有村治子君 大変な中、文部科学大臣、いつも答弁していただいてありがとうございます。
 実は、この義務教育国庫負担に関しては非常に教員の、現場の先生方も懸念がありまして、先ほど中教審の、それこそ会長でいらっしゃいます鳥居先生からも非常に大きな懸念を出されました。私自身も、国がしっかりと責任を持つという機会均等と水準の確保と、それから無償というものは、日本の国力を支えてきた、日本を戦後元気にしてきた大事な要因だと思っていますので、その部分の理念がしっかりと堅持できるような戦略性を、特に中教審の結果が出てからやっていただきたい。午前中も議論が出ていたんですが、財政論だけでいかに語られないようにするかというところは、結構政治の場で大変な攻防が繰り広げられることが予想されます。是非よろしくお願いします。
 今回の法案は、本当のところ文部科学大臣は提出を心から望んでいらっしゃるというわけではないということは、今までの御答弁の中でしみじみと伝わってきました。しかし、文部科学大臣として法案を提出される以上はその責任をしっかりと第一線で果たしていかなきゃいけないという使命感というものもおありだと思います。
 正直なところ、私自身も自民党の文教委員として非常にジレンマで、この制度を堅持して、しかもこの財政難の中で教育を維持していくというのは難しいなということを感じております。そのジレンマの線引きを文部大臣として、そして文教を応援する応援団の第一線にいらっしゃる方として、どのような線引きをされているのか、どのように本件のことを解釈していらっしゃるのか、この法案の提出に当たっての文部科学大臣の異なる立場、異なるジレンマの中の線引きを教えていただきたいと存じます。
#129
○国務大臣(中山成彬君) 私の心中、同情いただきまして大変恐縮しておるわけでございますが、この委員会もそうでございますし、いろんな方々から義務教育国庫負担制度は堅持すべきだという、そういうふうなたくさんの声を背景にいたしまして、この三位一体の改革の議論の場でございました経済財政諮問会議、あるいは各大臣との協議の場で主張してきたわけでございますが、残念ながらといいますか、結果的には暫定ということでありましたけれども、四千二百五十億削減した予算案を提出しなければならなくなったということにつきましては大変残念でありますが、しかし、残念だと言っているわけにもまいりませんで、その削減された分については必ず補てんするということで、御承知のような税源移譲予定特例交付金で措置しているところでございまして、まずは一年限りでございますが、このことはきちっと補てんされると、保障されるということがなければならないということで、これについては再三お答え申し上げておりますけれども、各都道府県にしっかりその辺のところは頼むぞということでお願いしておりますし、また計上されているということでございますから、それがちゃんと執行されるように見ていくということが今年度の我々の責務であろうと。そしてまた来年度以降については、先ほどから話がありますように、いよいよ決戦の場として、どうしてもこの国の責任というものを果たしていくために義務教育国庫負担制度は堅持するんだと、そういう立場で強く主張してまいりたいと、このように考えているところでございます。
#130
○有村治子君 その決意、本当にありがとうございます。
 と同時に、今朝の参考人の聴取の場合でも、鳥居中教審会長がおっしゃることとそして岡山県知事が地方の立場からおっしゃることは、どちらも教育が大事だ、教育論をちゃんと発展させなきゃいけないというふうにはおっしゃるんですが、アプローチは全く違うものというような箇所が何点かありました。
 今回の在り方について、大臣、お伺いしますが、義務教育国庫負担をめぐる議論では、残念なことに国対地方という構図の中で三位一体が語られてきました。我が国の発展を考えた場合も、国も地方も共存することが必要であって、そしてお互いに、国が外交、防衛、そして教育をしっかりするからこそそれぞれの地域が輝いて、学校の先生方が安心して教育に専念されて、そして地域が活性化するからこそ国が豊かになるというような、いい意味での相互依存あるいは相互信頼というものがなければならないのに、去年の後半は、地方の意見なのか、それともいわゆる抵抗勢力なのかみたいな感じの言い方をされたのは、地方対国というのが二項対立になったということで非常に残念だと思います。しかし、この二項対立のロジックを超えていかなければより多くの国民の皆さんの支持もなかなか得にくい。地方案がいいじゃないか、地方切捨てかというようなロジックで切り捨てられてしまうような、そんな脆弱性を私たちは持っていると思います。
 そういう意味では、二項対立をどうやって、そうじゃないと、国と地方が、先生方と子供さんとそして親御さんと一体になって両方がウイン・ウインの形をつくっていくんだという本来の形に戻すために大臣は具体的にどういうことを考えていらっしゃるでしょうか、教えてください。
#131
○国務大臣(中山成彬君) 二つあるんですけれども、国対地方といいますけれども、これははっきり申し上げて、国対知事会側だったと、そう思っていまして、知事以外の五団体の方々の中にはやっぱりこの義務教育国庫負担制度は堅持すべしという声が圧倒的に強かったと、こう思っていまして、一つは、その方々の声がもっと大きく国の方に伝わってくるようなことについて力を入れなきゃいけないなということを一つ感じております。
 二つ目は、今でも文部科学省は進めていますが、できるだけ教育はその現場に任せようということで現場主義を取っているわけでございまして、学校の校長先生の権限を強化する、地方の教育委員会の権限を強化すると、そういった形で、できるだけ住民に近いところ、保護者に近いところ、子供のことがよく分かる人たちに教育はやってもらおうと。それぞれの地域のいろんな特色がございますから、そういったことを取り入れて創意工夫をしながら、どこにも負けない自分たちの子供たちを育てるんだと、そういう気持ちで地域が取り組んでいただきたい。
 そして、ただ、そのために必要なお金というのを全部、あんたたち全部見なさいというのは、これは無責任なことではないかと思うわけでございまして、私がいつも申し上げますが、今義務教育といっても十兆円掛かるうちの国は三兆円しか負担していないわけでございまして、これをゼロにする、もう全部地方で持ちなさいと、それは私は国として無責任ではないかと。地方の方は、いや、全部うちたちに任せろ、うちの方に任せろと言われます。いや、地方といいましても知事会でございますけれどもね。
 しかし、本当にそうしていいのかと。もうこれだけ都会と地方の経済格差が付いております、財政力の差が付いている中で、本当に全部地方が持つようになったときには、これは大変な私は格差、教育格差が生ずるんだろうと思うわけでございまして、そういう意味で、教育は現場でやってもらいたいけれども、ある程度の負担といいますか、義務教育に掛かるお金というのは国がしっかりと担保しますというのがあってこそ、私は日本の教育というものがこれからも成果を上げていくんじゃないかなと、こう思っておるところでございます。
 この二つの点をこれからもうんと強調していきたいなと思っております。
#132
○有村治子君 ありがとうございます。
 最後の質問をさせていただきます。
 先ほど岡山県知事がおっしゃったことの中で、ほかの知事もよくテレビでもおっしゃるんですが、気になっていることがあります。我々も選挙のリスクを負っているから絶対に地方に任せてくれたっていいんだというようなことをおっしゃいます。それで、ある程度の方は、うんと言って、選挙をやって、間違ったらその人が自分の政治リスクを負うんだからいいじゃないかという方もいらっしゃいますが、実際に、中山文部大臣がおっしゃったように、各四十七都道府県でそれぞれの格差が出てきてしまったら、それは首長の選挙で首が飛ぶというだけの問題ではないと私は思います。取り返しが付かないことになると思います。
 そういう意味では、地方対国じゃなくて、実際は牙城は知事会なんだということを今おっしゃいましたけれども、その知事にも、選挙で当落が決まればいい、それだけのリスクを負っているんじゃ、それだけじゃないというような、取り返しの付かないようなリスクを負っての私たちは議論をしているんだということをおっしゃるためには、やはり文部科学省も、地方分権には応援をしている、本当に現場に近いところで意思決定ができるように、あるいは経済的な裁量が取れるようにしているというような方策を出していって知事会との信頼関係をつくっていくということが戦略的にも大事なことだと私は思います。
 そういう意味で、具体的に、地方分権を応援している文部科学省の具体的な活動があればおっしゃっていただきたいですし、それをどうやってこれから知事会との信頼関係、同じようなスタンスを持って、将来の歴史に堪え得るこの義務教育国庫負担の制度を堅持していくのかというてこに使われるのか、最後にお伺いしたいと思います。
#133
○国務大臣(中山成彬君) これまでも、文部科学省、人事権はどんどん地方に渡していくという方向で、例えば教育長の任命承認制度も廃止いたしましたし、学校長の権限をどんどん強化する方向でやってまいりました。それから、お金の面についても、御承知のようにその総額裁量制というのを導入いたしまして、本当に使い勝手の良い形で地方が使えるようにしてきたわけでございまして、このことは非常に地方の方に評価されているわけでございます。
 こういったことを理解していただければ、なるほど文部科学省はいいことをしてくれているんだな、しかもそのお金というのはしっかり担保してくれているんだなということが分かっていただけるんじゃないかと思いますので、ここら辺の理解をもっと深めるように努力しなければならないと思っております。
 それから、最初におっしゃいましたが、知事は選挙に落ちるんだからと、こう言われますが、どうも知事の選挙というのは教育だけで戦われるわけじゃなくて、いや、教育の予算がこれだけです、福祉の予算がこれだけですということもなかなか選挙のときには分かりません。しかも、知事さんというのは一回当選すると非常に強いんですね。ですから、その一期なり二期なり三期やられると四年、八年、十二年、もうこの間に子供たちは一番大事な教育の時間というのを失ってしまうわけですから、そういう意味で、選挙で落ちるんだからと、教育に力を入れない知事は落ちるんだからというのは、これは私はちょっと傲慢といいますか、私は無責任な発言に聞こえてしようがないわけでございまして、もう少し教育というものをしっかり考えてもらいたいなと、このように考えております。
#134
○有村治子君 最後の御答弁、ありがとうございました。
 是非、私、中山大臣が大臣に就任されたときに、中山プランとはどんなものになりますかということをお伺いさせていただきましたけれども、あの極限状態で、修羅場を何とか、総理ともちょうちょうはっしやった上で義務教育費国庫負担をやはりどんな状態でも堅持したというのが中山プランの大きな宝の一つだったというふうに後世に語り継がれるようなリーダーシップを発揮していただきたい、そしてそれを応援できる文教の委員でありたいということを宣言申し上げて、私の質問を完了させていただきます。どうもありがとうございました。
#135
○山本順三君 自由民主党、山本順三でございます。午前中の参考人質疑に続いて質問する機会をいただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。
 まず、先般、福岡西方沖地震で被災されました皆様方に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
 昨年の中越地震に引き続いてということでございまして、正に我々は地震列島の中で生活をしておる、いつこのような災害に見舞われるかも分からないということを改めて実は感じながらおるところでございますが、実は今日の午前中の参考人質疑でも小中学校の施設の耐震化の話が出てまいりました。いろいろな資料をちょうだいいたしました。大変に後れている。耐震の診断率、平均で四五・二%、それで耐震化率、これ平均二〇・八%ということでありまして、大切な将来を担う子供たちを預かる学校でありますから、この耐震化に向けての対応を是非とも積極的にお願いをしたいということをまず質問に先立ちましてお願いをしておきたいというふうに思います。
 さて、先ほど有村委員の方から非常に格調高い質問がなされました。特に、義務教育国庫負担法の一部改正につきまして、最後の二問が私の前段の二問と重なっておりまして、さてこれ質問すべきかどうかというふうに思いましたが、これ、流れでございますから、ひとつ質問をさせていただきたいと思います。
 実は、第一問目、端的にお伺いしようと思いました。どんなお気持ちで今回の法案について提案理由説明を大臣は行われたのか。これは先ほどの話と全く同じことでありますが、ただ、私どもつくづくと感じておるんですけれども、この予算案を審議するときに、この四千二百五十億円という金額というのは一体何なんだろうかと改めて考えてみるときに、その言わば存在理由というもの、数字の存在理由というものが、考えれば考えるほど分からなくなってしまう、こういうふうな気持ちにさいなまれました。そして、その後、もしかしてこの暫定という言葉がなくなってしまうのかも分からぬな、そうなってきた場合に、もうこれが既定路線として順次一般財源化されていくのではないだろうか、こういう不安感すら持つような状況でございます。
 そういった私どもの気持ちと比較しまして、大臣としての立場からいきますと、それぐらいのものではないぐらいの気持ちがあったと思いますが、もう一度、これ重ねてこのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
#136
○国務大臣(中山成彬君) 三位一体の議論の中で、この義務教育国庫負担金の問題が何かその象徴みたいに取り上げられまして議論を重ねたわけでございますが、何度か答弁いたしましたが、単なる財政論だけでこの問題議論してもらっては困ると、教育というのは単なる補助金改革とかそういったものよりももっと上位の命題ではないかというようなことも含めて議論させていただきまして、やはり教育のことを真剣に議論していただく中央教育審議会で議論してもらいたいということを再三再四お願いいたしまして、この政府・与党合意の中で中央教育審議会の議論を経て決める、その間は十七年度については四千二百五十億暫定計上ということにされたわけでございまして、このことにつきましては、暫定ということなんで、これはなくなるんじゃないかと、こういうような御懸念もあるかと思いますけれども、私は、この義務教育国庫負担制度を堅持して、やはり教育に関しての国の責任はこれは維持していくべきだと、こういうことも合意の中にあるわけでございますから、そのことを私は信じてといいますか、政府の一員としてこういうことで提案させていただいているということでございます。
#137
○山本順三君 ありがとうございます。
 そこで、これも若干重なるわけでありますけれども、先ほどお話があったとおり、中教審の結論を待って今後の政府としての方針を決めるということでありますけれども、政府としては、正にこの中教審の結論というものをどのように位置付けておるのか。例えば中教審の結論が出る、その出た結論を全面的に尊重していただけるものかどうか。残念ながら、恐らくやこれまた政府の中で議論をしていく材料としてその結論というものが扱われるであろうが、果たしてそれを一〇〇%守っていただけるかどうかということについては非常に私どもも不安感持っておりますし、もしそうなった場合、今ほどの有村委員との間の中で、もしもということを考える前にという大臣のいろいろなお話をお伺いしましたけれども、もしこれ、その結論が尊重されないということになった場合に、大臣なりあるいは文科省なり、また我々も含めてでありますけれども、どういう対応ができるんだろうかというふうなことを今考えておるところでございますけれども、そのことについて大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#138
○国務大臣(中山成彬君) 中教審の議論を経てということになっているわけでございます。先ほども申し上げましたが、その結論が是非、保護者とか地域住民、そして国民の声を反映したものになるようにということで、私どもいろんなアンケート調査をしたり国民の声をこの中教審の方にも御報告申し上げて、そういう方向にいくようにということに努力をしていきたいと思っていまして、そうなったときはどうなるのかという、そういう仮定の問題は今のところ考えておりません。
#139
○山本順三君 是非、中教審の結論というものが尊重されるような結果になるように期待をしたいと思います。
 そのときに極めて重要なことというのは、いわゆる中教審の結論というものが政府でも、あるいはもっと言うならば世論全体でなるほどなというふうに思ってもらえるような、そういういわゆる結論でなければ言わば戦う材料にはなりにくいだろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、そんな中で、今現在、中教審が精力的に義務教育にかかわる経費の負担の在り方等々も含めて義務教育改革について検討を行っていただいておるわけでありますけれども、どのような検討を行ってこられたのか、そしてまた今後スケジュールも含めてどのように検討を進めていかれるのか、その基本的な点についてお答えいただきたいと思います。
#140
○政府参考人(銭谷眞美君) 昨年の政府・与党合意を受けまして、中央教育審議会では今年の秋までに義務教育の在り方について幅広く検討をするということになったわけでございます。
 実は、中教審におきましては、これまでも義務教育の問題につきましては、国と地方の役割分担、教育委員会制度、義務教育における経費負担の在り方、学校の組織運営の在り方などについて議論を重ねてまいりました。昨年の五月には義務教育に係る経費負担については中間報告も出していただいたところでございます。また、それ以外の課題につきましても審議経過をおまとめをいただいているところでございます。
 このたびの政府・与党合意を受けまして、中央教育審議会では、更に義務教育について集中的な議論を進めるということで、総会直属の組織として義務教育特別部会を設置をいたしました。本日、その四回目の会議が開催をされているところでございます。
 この義務教育特別部会におきましては、まず義務教育の在り方について幅広く第一回会合で意見交換を行った後に、第二回目以降は、子供の現状、学力、教育内容といった事柄、あるべき教師像、教員の質の向上の問題、これからの学校像、地域社会とのかかわり、地域社会における学校の役割といったようなことなどにつきまして、有識者からヒアリングを行いつつ審議を行っているところでございます。
 今後、この義務教育特別部会におきましては、学校を支える教育行政の在り方、国と地方、都道府県と市町村の関係、役割、義務教育に係る費用負担の在り方などにつきまして関係者からのヒアリングなどを含め御審議をお進めいただくことになっておりまして、今年の秋までに結論をおまとめいただけるものと考えているところでございます。
#141
○山本順三君 そこで、今の義務教育の特別部会に関連して若干お伺いしたいと思いますけれども、実は午前中の参考人質疑でも質問をさせていただいたわけでありますけれども、この部会が始まる段階で地方六団体の代表、三名の方が代表として入られておるということでありますけれども、この皆さん方の議論の中に、これはあくまでも新聞報道でございますから私ども具体的に直接的にお伺いしたわけではありませんけれども、六団体側としては財政論でなければ参加する意味がないじゃないかというような、そんな議論があったやに伝わってまいりました。また、忙しいから代理出席認めてくださいというような、そんなお話もございました。
 実は、このことについて午前中、岡山県知事の石井参考人にどういうことでしょうかと、あくまでもこれは地方の教育論というものも、地方案というものを生かした教育論、これを中教審で展開することが一番肝心じゃないですかと、そのことについてどう思われますかというような、そんな質問を柔らかくさせていただきましたら、石井参考人の方からも、一部そういう意見はあったけれども、六団体としてもこれしっかりと教育論も闘い合わせていきたい、議論していきたいと、こういうふうなお話があったので、まずはほっとしてはおります。ほっとしてはおりますけれども、流れとしては、相変わらず財政論をベースにした議論というふうなことが六団体の皆さん方の頭の中にはきっとあるんだろうというふうに想像ができるわけでございます。
 そこで、まずお伺いしたいのは、この集中審議が行われるこの特別部会の中で、地方六団体の代表の皆様方はこれどういうふうな位置付けに置かれておるのか、そしてまたその六団体の皆さん方に何が期待されておるのか、その点を一つお示しいただきたいというふうに思います。
#142
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど申し上げましたように、中教審の義務教育特別部会は、本年二月の十五日に、中央教育審議会総会におきまして総会直属の組織として設置されたわけでございます。この部会の委員は、中央教育審議会三十人定員で現在二十八名いらっしゃる正委員の中から十一名の方と、それから義務教育特別部会のための臨時委員二十二名、合わせて三十三名で構成をされております。これらの委員の方は学識経験のある者のうちから文部科学大臣が任命をすると、こういうことでお分かりのように、それぞれの個人の高い識見に着目をして委員に御就任をいただいているところでございます。このことは、地方六団体から提示のございました三人の委員についても同様でございます。
 文部科学省といたしましては、義務教育の在り方について審議を行う際に、地方の意見を十分反映させるということは重要なことであると認識をいたしておりまして、現在、この義務教育特別部会には首長、教育長など、地方公共団体関係者は地方六団体から提示をされました三名の方を含めて十名入っていただいております。地方六団体を代表する三名の委員の方におかれましても、それぞれの地方行政において培われた識見を生かして活発な教育論、財政論をお願いをしたいと、こう考えているところでございます。
#143
○山本順三君 鳥居会長のお話の中で、この議論の中で義務教育に対しての広範な目配りが必要であると。その中には、例えば最近の学力低下問題、これ後ほどまた私も議論をさせていただこうと思いますけれども、その学力低下問題であり、あるいはまた教育予算の貧困であり、また老朽学校施設への対応、先ほどの耐震のことも当然絡んでくるんでしょうけれども、あるいは教員の人口分布が偏在しておるということに対しての対応とか、いろんな視点から議論をしてもらいたいと。
 したがって、どうしても財政論になりがちの地方六団体の代表の皆様方にしかとその辺りを御理解をいただかなければならないと思うんですけれども、連日の報道を見ておりましたら、先ほども申し上げたとおり、こんな教育論だけするんなら出てきても意味がないよという、そういう暴論まで出るような状況にあるということを私ども大変憂慮をいたしております。
 加えて、今、銭谷局長の方からもお話ありましたけれども、いわゆる中教審の正会員というんですか、三十名のメンバーを決めるといったときに、地方の方からいろいろな反発があって、中央対地方、文科省対地方という、何か無理やりその対立構造をつくっていくかのごときそういう流れの中で、三十名の中で二名欠員というような今お話がございました。地方の枠というものを二にするのか三にするのかということで、いろいろこれもまたマスメディアで報道されておるような状況でございますけれども、そういった中教審の委員選任をめぐっての地方六団体との間の意見対立、あるいはその後の特別部会での意見の対立等々一連の経緯があるわけでございますけれども、文部科学大臣としてこのことをどのように受け止めていらっしゃるのか、御見解をお示し願いたいと思います。
#144
○国務大臣(中山成彬君) この中央教育審議会の委員の選任をめぐりまして、ちょっと時間を取ったといいますか、ということは事実でございまして、私どもとしては早く、この総会の方に二名の委員を早く出してもらいたいと、こう思っていますが、取りあえずは今特別部会の方で三名出していただいて御議論いただいているわけでございます。
 私、出ていませんので、詳細にどういうことが議論されているかよく分かりませんが、やはりその地方の代表者の方、財政の問題だけじゃなくて、正に教育論を語ってもらいたいと、そのためにこの中央教育審議会にげたを預けられたといいますか、議論していただくことになったわけでございますし、また特に地方の方々、県知事、市町村長さん、本当にその現場の近くの方で実際に教育に当たっておられるわけですから、その方々が教育についてどう考えていらっしゃるのかということ、教育のそもそも論といいますか、義務教育のそもそも論について議論してもらいたいなと。財政の問題だけじゃなくて、人事の問題もありますし、教育の在り方、いろんな話がありますから、是非幅広い発言を、御議論をいただきたいなと、このように考えているところでございます。
#145
○山本順三君 ありがとうございます。
 今日は総務省の方からもお越しいただいております。同様の質問をさせていただきたいと思いますけれども、いわゆる先ほど来申し上げた地方代表者の方々の様々な発言ですね、あるいは具体的に申し上げたら、今ほど申し上げた、財政論をもっともっと議論したいと、教育論を議論するために来たんじゃないというようなことから始まっていろんな発言が出ておりますけれども、これ総務省の、言わば地方六団体との接点というのは総務省というふうに私ども考えておりますけれども、総務省としてこの発言、一連の発言等々をどのように受け止めていらっしゃるのか、御見解をお示しいただきたいと思います。
#146
○政府参考人(岡本保君) お答えをさせていただきます。
 中教審のその部会で地方六団体の代表の方々から具体的にどのような御発言があったかは私ども承知しておりませんが、中教審へ六団体が参加された経緯を考えますれば、その方々の最大の関心事の一つが義務教育費の国庫負担金の在り方であるということであろうかと存じます。
 ただ、これからのその議論は、先ほど来お話ございますように、また政府・与党の合意の中でも、費用負担についての地方案を生かす方策を検討するということと同時に、また教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方についての幅広い検討、それから国の責任の引き続き堅持ということも明らかにされておりますので、そういう幅広いいろいろな議論を積み重ねる中で、三位一体の改革を成功させるという政府の方針に沿っていろんな議論がなされていただきたいというふうに考えております。
#147
○山本順三君 是非そういったことで、事あるごとに、中教審にこれ預けているわけでありますから、教育論というものが基本に立たないと議論は進まないというふうに思いますし、また、地方発の様々な教育論というものをもっともっと中教審に向けてアピールしていくような、そういう場でもあってもらいたい、こんな気持ちを持っておりますので、様々な観点でまた御指導方よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、今日実は午前中に石井参考人にお伺いをしたわけでございますけれども、いわゆる地方の、一般財源化いたしますと、地方間格差といいましょうか、かなり大きな格差が出てくるであろうと、その格差を埋めるのが地方交付税だと、総務省からもそういうふうな説明も受けておるし、それは守ってもらわなければならない、それを前提にして今回の一般財源化の話があると、こういうふうなお話がございました。私どもも地方議員しておりましたから、それは当然だろうと、またそれを多く望みたいと、このように思っておりますけれども。
 しかるに、昨年あるいは一昨年、地方交付税の動向を見ておりましたら、もう地方が悲鳴を上げるような状況に追い込まれたという、その現場に私どももおりましたので、これ期待するのと、また具体的にどういうふうになるかを予測するのとは違った観点で議論をしていかなければならないというふうに私個人は思っています。
 したがって、今の国の財政状況を判断するときに、その地方交付税が、地方が求めるような数字がずっといただけるのかどうか。それは、いただけるという思いを持っている方がいらっしゃったらそれは余りに甘い考え方に過ぎるんではないだろうかと、こういうことすら言わざるを得ないような今の国のあるいは地方の財政状況、その中での地方交付税のこれからの動向というものがある程度予想されるわけであります。
 そこで、お伺いしたいんです。
 あくまでも、知事会の皆さん方が義務教育国庫負担というもの、これ一般財源化していこうという基本は、地方交付税で格差は補てんされるという大前提が立っているわけですね。この前提がなくなってしまうとまた流れは確実に違ってくるんだろうというふうに思うわけでありますけれども、まず総務省として、本当に地方交付税で地方が求めるべきその教育にかかわる費用、確実に補てんできるというふうにお考えになっているのかどうか。
 そして、加えてお尋ねしたいと思いますけれども、憲法二十六条又は教育基本法に定められておりますけれども、教育の機会均等と水準の維持向上を図るために、これから、単に口約束ではなくて、関係者にこれ目に見えるような担保というものを提供しないとなかなかこの問題は解決しないんではなかろうかと。もっと具体的に申し上げましたならば、地方交付税の制度設計というものを具体的に再構築して、ああ、こうなるんだということが理解されるような、そういう対応が私は総務省としては必要であるというふうに思っておりますけれども、この点について御所見をお聞かせ願いたいと思います。
#148
○政府参考人(岡本保君) お答えをさせていただきます。
 今御議論いただいておりますような、例えば公立小中学校の教職員の配置の基準、正に標準法等でその基準が示されているわけでございまして、それに必要な地方団体の財政の需要というものについては毎年の地方財政計画の策定を通じて総額として必ず確保してまいりましたし、これからも必ず確保してまいるということは度々いろんな場で大臣からも表明をさせていただいております。また、総額として確保いたしましたものにつきましても、各団体の地方交付税の算定において適切に対応するというふうにいたしております。
 また、税制で、やはりその税源移譲をしてまいりますと、いわゆる税源がたくさんある都市部とそうでないところの格差が開くではないかというような御議論もございましたので、新しい、税源移譲後の地方税の構造につきましては、税率のフラット化を図るということでございますとか、あるいは、法人事業税が都市に集中化しないような法人の税収の帰属の分割基準というのをやっておりますが、この分割基準の見直しなどということを行いまして税源分布の隔たりを緩和するというような、地方税制面での対応も今年から行っております。
 こういうようなものを含めまして、また交付税の算定では、税源移譲によります増収分を基準財政収入額に一〇〇%入れる、まあ言わば完全に差引きをチャラにするというような形の調整もいたしまして、交付税の財政調整機能を発揮してこの制度移行に支障がないようにという対応をいたしておりますので、これにつきまして、引き続きこの地方交付税の持っております財源保障・調整という機能を堅持するということは、正に地方団体にきちんと仕事をしていただける、その意味の安定的な基盤でございますから、総務省としてはこれを絶対堅持していくという方針でございます。
#149
○山本順三君 今の、非常に力強い答弁をいただきましたので安心しましたと言いたいところではありますけれども、そのお気持ちは私どもも受け止めたいというふうに思いますけれども、ただただ、今の財政状況を考えるとなかなかそう簡単にいかないんじゃないかなという、そういう不安感もありますが、是非今の気持ちというものを大切にしながら対応いただきたいというふうに重ねて要望しておきたいと思います。
 さて、今回の法案でありますけれども、この案件以外にも重要な補助金の廃止についての提案がなされておりまして、その点について、一、二点、質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、就学援助にかかわる補助金の廃止、一般財源化ということでありますけれども、この就学援助にかかわる補助制度というものは、正に教育の機会均等を確保するという意味では義務教育国庫負担金と並んで非常に重要な制度であるというふうに私ども理解をいたしております。
 それで、今回、その法案の中身を見ておりましたら、準要保護者にかかわる部分を廃止する、こういうふうなことに相なっております。そして、この準要保護者については、その認定というのは市町村ですね、具体的なその基準については市町村が行っているというようなことをお伺いをしておるところでございまして、そうなってくると、今後ますます地方間での格差、いわゆる基準が変わって地方間格差が進んでしまうのではないだろうかと、こういう心配も併せされるところであります。
 今朝も、あれは、お名前忘れちゃったんだ、どなただったっけ、参考人の方から、この就学援助についてはいろんな意味で非常にナーバスな問題を抱えておるから本当に慎重に扱っていかなければならないというような、そんなお話もあったわけでございますけれども、こういったことに関連して、まずはその準要保護者にかかわる部分、これを廃止したことの理由と、それから、先ほど申し上げましたけれども、地方間格差が進んでしまうというふうに思うんですけれども、文科省としてどのように対応されるのか、そのことについて併せて御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
#150
○副大臣(塩谷立君) 就学援助につきましては、これも私ども、非常に今までの国としての方針として取り組んできたわけでございますが、学校教育法の第二十五条において、経済的理由により就学困難な児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助、就学援助を与えなければならないとされているわけでございます。
 この就学援助を行う市町村に対して、国としても、義務教育の円滑な実施を図る観点から就学援助法等に基づき予算の範囲内で補助を行ってきたわけでございます。
 この補助金につきましては、今お話ありましたように、三位一体の改革により、準要保護者は要保護者よりも困窮度が低く、その認定が各市町村の判断によるものであることから、準要保護者に対する就学援助については、今後は地域の実情に応じた取組にゆだねることがより適切だろうという判断で国庫補助を廃止することになったわけでございます。その結果、格差がということでございますが、元々地方の判断で行ってきたわけでございますから、その判断により一番実情が分かっている市町村の認定については今日まで行ってきたわけでございますから、それはそのまま引き続き行っていただけると思っておりますし、実際に財源については、先ほど総務省の方からお話ございましたように、税源移譲され、事業費が地方財政計画に計上され、また算定する際には基準財政需要額に算入されるということで、今後も市町村においてその実情に応じた適切な事業を実施していただけると思っております。
 しかしながら、その実施状況をしっかり私どもとしても把握するとともに、必要があればその必要に応じた指導を行ってまいりたいと思っているところであります。
#151
○山本順三君 それともう一点、スポーツ関係の補助なんですけれども、今回、都道府県が行うスポーツ指導者の養成に関する経費についての補助金というものが廃止されておるということでございまして、この補助金をどうして廃止することになったのかということについてお伺いしたいのと、またあわせまして、今回の組閣で国民スポーツ担当相というのが新設されました。これまあ麻生大臣ということでございまして、何かしらいろいろ面白い取り合わせだなというふうについつい思ってもしまうんですけれども、これ、この担当相が新設されたということは、これから我が国としてももっともっと力を入れていこう、スポーツにというような、そういう機運の高まりをこれから更に盛り上げていくことになってくるんだろう、このように思っておるところでございますし、今日、この文教科学委員会にもスポーツ関係者がもうたくさんいらっしゃるわけでございまして、これから正にスポーツの振興をしていかなければならない、そういうことだろうと思います。
 そこで、先ほど申し上げました補助金をなぜ廃止することにしたのかということと、今後スポーツ振興にどういうふうに取り組んでいくおつもりなのかということについて、二点お尋ねをいたしたいと思います。
#152
○副大臣(塩谷立君) ただいまも選抜高校野球もやっておりますし、いろんなスポーツもシーズンが始まったところで、スポーツは大変重要だと私どもも思っておりますが、我が国のスポーツの振興を図っていく上で、質の高いスポーツ指導者の養成、確保は大変重要であると考えております。
 そのために、文部科学省としましては、スポーツ指導者養成活用システム整備事業により、都道府県が行うスポーツ指導者の養成等に要する経費の一部を補助してきたところでございます。この補助金につきましては、今回の三位一体の改革におきまして、国と地方の役割分担及び国庫補助金の在り方等の観点から検討した結果、長年にわたるスポーツ指導者の養成等のための補助事業の実施により、各県における指導者養成やその後の活用システムがある程度整備されてきたと思います。
 同時に、国庫補助金によるほか、都道府県独自の財源で地域のニーズに応じた様々な取組がなされていくことでありますので、この点を考慮して、今後は地域の実情に応じて各県において民間団体等も活用しつつ実施していくことが適当と判断したところであります。
 また、今後文部科学省としましては、指導者の養成、活用について県レベルでの実践研究を含めた調査研究を実施するとともに、スポーツ指導者の養成について都道府県の取組状況を把握し、必要に応じて指導を行ってまいりたいと思っております。
 また、スポーツ振興につきましては、平成十二年度に作成されたスポーツ振興基本計画に基づき、国民のだれもがいつでもどこでもスポーツに楽しむことができる生涯スポーツ社会の実現を目指し、身近な地域で子供から高齢者までだれもが多様なスポーツに親しむことができる総合型地域スポーツクラブの育成を計画的に推進しているところであります。平成十七年度におきましても、日本体育協会を活用した総合型地域スポーツクラブの育成を推進するための予算を拡充しているところでございまして、これらにより、文部科学省としましても、地域スポーツにおけるスポーツ振興により一層取り組んでまいりたいと思っておるところであります。
#153
○山本順三君 ありがとうございました。
 是非そういった意気込みで大いに取り組んでいただきたいと思いますし、また、先般の報道を見ておりましたら、日本体育協会の会長に森前総理も就任されたということでございまして、今後一層文科省と体育協会、連携を密にされて、そして我が国のスポーツの振興に大いに御尽力いただきますように御期待を申し上げたいというふうに思っております。
 さて、この法案以外にも、今、義務教育を取り巻く大きな課題がたくさん山積をいたしておりますので、そういった問題についても若干触れさせていただきたい、このように思っております。
 今、義務教育において一番大きな問題になっているのが学力低下という問題であろうというふうに思います。PISA、それからTIMSSの調査結果、もうこの委員会でも度々この問題については議論をしてまいりました。特に、我が国の学力がもはや世界のトップレベルとは言えない状態になってしまったということを言わざるを得ないほどの調査結果になりつつあるんだろう。この分析については今までいろいろとお伺いしましたが、まず、重複して恐縮でございますけれども、この二つの調査結果、文科省としてどういうふうに分析をしておるのか、また、その結果の注目点も含めて、改めて答弁をいただきたいというふうに思います。
#154
○政府参考人(銭谷眞美君) 昨年の末に公表されました国際的な学力調査の結果について、分析状況を御報告を申し上げます。
 まず、PISAの調査でございますけれども、御案内のように、平均得点が数学的リテラシーが前回一位が六位になったと。それから科学的リテラシーは前回同様二位でございましたが、読解力については前回八位が十四位と、OECD平均と同程度まで低下をしたということでございます。なお、初めて行いました問題解決能力については四位という結果でございました。特にこの読解力につきましては、前回の状況と比較をいたしますと、中位の層が下位層にシフトをしているということと、それから自由記述の出題形式で無解答が多いといったような課題が見受けられるところでございます。
 それから、TIMSSの結果につきましては、我が国の平均得点は、算数についていいますと、小学校が前回三位が今回も三位、中学校が前回五位が今回も五位ということで、算数、数学は順位に変更はないんでございますが、理科について申し上げますと、小学校が前回二位が三位、中学校は前回四位が六位と、国際的には上位にあるものの、前回と比較をしますと理科の順位が低下をしているということがございます。なお、数学も、順位は前回と同じなんでございますけれども、例えば同じ問題を前回と今回あるいは前々回と比較をいたしますと、日本の子供の正答率が低下をしているといったようなことがございまして、結果的に中学校数学の得点も前回の五百七十九点から五百七十点に下がっていると。順位は同じですけれども点数は低下傾向にあるということが明らかになっております。
 それともう一点でございますが、両調査ともアンケート調査も実施をしておりまして、PISAについては、数学で学ぶ内容に興味のある生徒が少ない、学校以外での勉強時間が短いといったような結果が出ております。それからTIMSSにおきましても、数学や理科の勉強は楽しいと思うとか、これが得意な教科であるという生徒が少ないといったようなこととか、家の手伝いをする時間や宿題をする時間が短く、テレビやビデオを見る時間が長いといったような、学習意欲、学習習慣、生活習慣などの面で課題が浮き彫りになっているところでございます。
#155
○山本順三君 言わば、先ほどもお話出ておりましたが、いわゆる二極分化が進んできたのではないかというような結論があったり、あるいは子供たちの学ぶ意欲というものが学力低下に関連してきておるんではないだろうかとか、あるいは、先ほどちょっと、PISAでしたかTIMSSでしたっけ、無解答が多いという、それは一体何を意味するんだろうなと。正解以外はもう書くことができないような、そういう教育に慣れ親しんでしまっているのかな、そんなことがよく言われておるわけでございますが、いずれにしても、今ほどの分析を聞いておりましたら、最近の子供の学問に対する意欲の低下であるとか、あるいはまた我が国の学力水準が残念ながらだんだん低下傾向にあるということをなかなか否定できないような数字になってきておるということは、お互いこれ認めていかざるを得ないというふうに思います。
 そこで、そうなってくると、じゃこれをどういうふうにしていくんだと。まず、現状をどう認識して、あるいは学力向上に向けての対応をどうしていくかというのが文部科学省にとっての喫緊の重大な課題であろうというふうに思っておりますけれども、このことを文部科学大臣、どういうふうに受け止められておるのか、そしてどういう対応をされようとしておるのか、その辺りを御見解をお示しいただきたいと思います。
#156
○国務大臣(中山成彬君) 今政府委員からお答えいたしましたように、学力低下はこれはやはり否めないと。このことについては深刻に受け止める、ざるを得ないと思いますし、それよりも何よりもとにかく勉強しなくなっていると。また、委員がおっしゃいましたように、文章題の質問に対してはもう初めからあきらめて書かないというふうなこと、何といいますか、非常に無気力になって、頑張ってみようというか挑戦する気持ちがなくなっているのかなと。
 これはいろいろ、家庭、学校、地域の問題等がいろいろあると思うんですけれども、やはり日本経済そのものがこれだけ経済発展してまいりました。発展した中で低迷もしているわけでございます。情報化社会でテレビとかビデオとか、あるいは、この前ちょっと私も本屋に行きまして漫画等も見せてもらいましたが、ひどいなと思うような漫画もあるわけで、本当にそういう意味で、子供たちが勉強しなきゃいけないな、勉強しないといけないなという、そういう意欲をなかなか持ちにくいような、貧しいときならばハングリー精神もあるんでしょうけれども、今の子供たちというのは、現状に満足をしながらこれ以上何か更に上を目指すとか、そういったことをなかなか持ちにくいような状況になっているということが一番深刻な話なのかなと私は思っていまして、そういう意味でもっと、小さいころから大きくなったら何になるんだと、夢とか希望もなかなか持ちにくい世の中なのかもしれませんが、しかし、大きくなって大人になって社会に出たらちゃんとした仕事をして生活していかなければならない、人生を送っていかなければならないわけでございますから、そういったことを子供たちにしっかりと気付かせるといいますか教えて、そして、自分が大人になって実りある人生を歩むためには勉強しなければいけないときには勉強しなければいけないんだよという、そういう意識付けをまずすることが一番肝心なのかなと、そういうことを今感じているところでございます。
#157
○山本順三君 その学力低下を招いたいろいろな理由があろうかと思いますが、その中の一つに、その中の一つというか、その一番大きな原因として、ゆとり教育ということが今ある意味ではやり玉に上がっているというような状況だろうというふうに思いまして、世論調査を見ておりましても、ゆとり教育が学力低下を招いたというそういう声が非常に多いですし、ゆとり教育というものを見直していってもらいたいというような要望というものが非常に多い。昨日の毎日新聞でもその数字が出ておりましたし、各社様々な調査をしておりますが、ほとんど同じような結果が出ておる。こういう状況でございまして、そういった意味では、私どもも、いま一度ゆとり教育とは何なんだということをしかと踏まえた上で、じゃどういうふうに切り替えていく、見直しをしていくのかというような議論に入っていかなければならないと思うんです。
 そこで、ゆとり教育の見直しとなってまいりますと、どうしても現在の学習指導要領のメーンでありますけれども、総合的な学習ということと、それから学校の週五日制、この二件について今後どういうふうに対応していくかということが極めて重要になろうかというふうに思うんですけれども、ただここでちょっと気になるといいましょうか、気にしておかなければならないのは、ゆとり教育がねらっていた生きる力、これを育てる役割を学校に相変わらず期待したいという声も実は七割近くはあるわけですね。ですから、ゆとり教育を見直そうとはいいながら、そのゆとり教育の一番のベースである生きる力については学校に何とかしてもらいたいと、こういうふうな声があるということも私どもしっかり受け止めた上で、じゃどういう見直しをしていったらいいかという議論をしていかなければならないんだろう、こういうふうに思うわけであります。
 そこでまず最初に、そのゆとり教育とは何なのかをもう一回確認する意味で質問をさせていただきたいと思いますけれども、このゆとり教育とは、いつ、どんな社会背景の下でどういうふうな教育理念を立てて出てきたものなのか、まずその点をお伺いしたいというふうに思います。
#158
○国務大臣(中山成彬君) ちょっと経緯を申し上げますが、いわゆるゆとり教育というのは、昭和四十年代に学校教育が画一的で知識詰め込み型であるという指摘がなされたこと等を踏まえまして、昭和五十二年の改訂でゆとりある充実した学校生活の実現を図るために導入されたものでございます。
 具体的には、各教科等の教育の内容を精選しまして授業時数を削減するなど、基本的な知識の定着と思考力、判断力までも含む幅広い学力の育成を目指すことが基本的な考え方となっておりました。これ以降、このような基本的な考え方を踏まえながら、平成元年そして平成十年の学習指導要領の改訂を行ってきたところでございまして、このことがいろいろ今話題といいますか問題になりまして、マスコミ等の調査等でいろんな議論を巻き起こしているということになっているというのが現状でございます。
#159
○山本順三君 そのゆとりのゆとり教育、いろんな社会的背景をベースにしてスタートしたわけでございますけれども、今ゆとり教育を見直していこうという世の中の声、流れがあるわけですね。このことについては大臣はどういうふうな受け止め方をされておるのか、お示しいただきたいと思います。
#160
○国務大臣(中山成彬君) これは、申し上げましたように、やはり歴史的な背景があるわけですけれども、もうとにかく知識を詰め込むと。それで、あのころはもう受験戦争だ、受験地獄だ、あるいは偏差値偏重だとかいろいろありましたけれども、そういった中で本当に、今委員が御指摘のように、生きる力というもの、自分の頭で考えて判断して行動できる、そういうたくましい子供たちを育てようじゃないかということからこのゆとり教育がずっと言われてきたわけでございます。私は、そういう意味でのゆとり教育というものは、これは間違ってなかったと思うんです。ただ、間違ってなかったんですが、先ほど来問題になっていますような国際的な学力調査の結果等を見まして、本当にその目標が達成されているのか。どうも達成されてないようである。じゃ、なぜそうならなかったんだろうかということを私は検証してみなければならないんじゃないかなと、こう考えるわけでございます。
 ただ、今、私個人は思いますのは、やっぱり何といいますか、鉄は熱いうちに打てという言葉がございますけれども、若いうちにやっぱり覚えるべきことはきちっと覚えると。これは繰り返し繰り返し教える方も教えなきゃいけませんし、覚える方もやっぱり努力して覚えるということも、いわゆる基礎、基本的な知識というのはきちっと覚えておいてそれを応用するということがなければ、それもその基本的なものがなくて幾ら考えようとしたってそれは無理でございますから、そういったこともやはり考えながらこのゆとり教育というようなものをもう一回検証していく必要があるんじゃないかなと、今はそういうふうに考えております。
#161
○山本順三君 これ、ゆとり教育ということで授業数もかなり削減をされたと思うんですが、これちょっと事前通告しておりませんが、どのぐらい授業数が削減されたのかという数字がありましたらお教えいただければと思うんですけれども。
#162
○政府参考人(銭谷眞美君) 例えば、小中学校の例でいいますと、週当たりの授業時数をこの新しい今の学習指導要領では週当たり二時間減らしております。
#163
○山本順三君 今の週当たり二時間というのは、いわゆる主要科目、例えば算数とか国語とか、そういった主要科目が減ったというふうに認識してよろしいですか。
#164
○政府参考人(銭谷眞美君) これは、いわゆる四教科とか五教科と呼ばれる国語、数学などの教科に加えて、芸術関係の教科、体育とかあるいは道徳、特別活動、こういった学校における授業時間数全体を週当たり二時間減らしたということでございます。
#165
○山本順三君 週二時間というのがどういう重みがあるのか、ちょっとこれは専門家にまた判断してもらわなければならないというふうに思いますけれども、そういった授業時間が減ってきたいわゆるゆとり教育の中で、先ほど申し上げましたけれども、総合的な学習というものが、これたしか週に三時間あったと思いますが、そのこと、あるいはまた学校の週五日制等々が様々な面で子供の学力低下にある意味では影響を与えているんではないだろうかと。そして、今大臣がおっしゃったように、やはり基礎はしっかりと子供たちには教え込まなければならない、そのための最低限の授業数、授業時間というものも、これ私もう当然確保していかなければならない、このように思っておりまして、今後、学力向上に向けてのより積極的な対応というものをお願いをしたいというふうに思います。
 ただ、ここで一つ心配なのが、先ほど申し上げましたけれども、ゆとり教育をねらう生きる力というものを、これは是非学校で役割を分担してもらいたいという声が相変わらずあるということ、これはすなわち裏を返せば、ただ単なる詰め込み教育へ復活してもらいたいということでもどうもなさそうだなと、こんなことを世論調査の中から読み取ることができるというふうに思っております。いわゆる安易に、例えば一つの事例でありますけれども、導入してからまだ三年しかたっていない総合的な学習でありますけれども、この時間を安易に短縮をして、そしてそれを教科に、教科の時間に向けていくということがいいのかどうかということについての検証も私はしっかりとしていかなければならないだろう。
 特に、前の私質問でも申し上げました、文科省には大変申し訳ないんですけれども、いわゆる地方から見ると、やはり何といっても方針がいろいろ変わり過ぎるではないかと。ゆとり教育の流れの中でも相対評価から絶対評価へとか、いろんな問題が次から次へ地方に下りてきました、通達として。そして今度は「学びのすすめ」というような問題が出てきて、いよいよ今度の学力低下をベースにして今度は学力向上だというような流れになってくる。恐らく現場は大変混乱をこれからしていくんだろう。ただし、大臣がいつもおっしゃっておりますけれども、子供にとっての二年、三年は大切な時間なんだと、これは私もつくづくとそういうふうに思っておりますから、それをどういうふうに理解しながら、活用しながら、現場の混乱を避けながら正しい方向に改革を向けていくか、これはもう本当に今、文科省、正念場というふうに是非受け止めておいていただければというふうに思うわけでございますが。
 そんな中で、総合学習についてちょっと話を進めてみたいと思うんです。
 この総合学習につきましては、もう最初からいろいろ話がありました。本当にこれやれるんだろうかと、あるいは教師の能力次第によってこの総合学習良くもなり悪くもなりというようなことも予想できるんではないだろうかと、こういうふうなことを非常に心配をしておりましたけれども、それでもやはり自ら課題を見付けて考えて解決をしていくと、そういう能力、すなわち生きる力を育てるテーマ学習として、現行の指導要領の目玉といえばこれ目玉だろうというふうに私も思っておるところでございます。
 そこで、まず最初にお伺いしたいのは、この総合的な学習、もう三年になりますから、文科省としてもその成功例、こういうものが成功しているよということ、あるいは残念ながらこういった理由をもって失敗した事例もあるよと、これは当然つかまれているというふうに思いますけれども、それをどういうふうに把握していらっしゃるのか、そして今後どのように取組に反映さしていかれるおつもりなのか、その点についてお示しをいただきたいと思います。
#166
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の指導要領から始まりました総合的な学習の時間につきましては、文部科学省としても、全国の先生方がお集まりになる研究協議会、あるいはモデル校による実践研究、あるいは学校訪問、スクールミーティングなどを通じてその状況の把握に努めているところでございます。
 各学校では、これまで各先生方のいろいろな取組によりまして、学年を超えた異年齢集団による体験活動の実施でございますとか、郷土の歴史や伝統文化に関する学習を通じて郷土への愛着が培われたとか、あるいは環境問題、身近な環境問題を学習するところから始めて地球規模の環境問題、あるいは資源エネルギーの問題へ学習を発展させていったとか、先生お話のございました自分で考える力を付けたり、あるいは自分の生き方を考えさせる上で成果を上げている取組も多く見られるところでございます。
 例えば、杉並区の和田中学校の「よのなか科」の実践でございますとか、これは総合学習と行事を組み合わせているわけでございますが、武蔵野市の長期宿泊自然体験活動、いわゆるセカンドスクールなど、総合的な学習の時間を有効に活用して創意工夫を生かした活動があるのは事実でございます。文部科学省でも実践事例集といったのを刊行して好事例を紹介しているわけでございます。
 一方で、やはり個々の先生の力量にちょっと依存し過ぎて、学校としての組織的、計画的な取組が十分じゃなかった学校とか、あるいは総合的学習の時間と教科の学習の関連付けがどうも不十分だった、あるいはいろいろ体験活動はやってみたんですけれども、結局その時間、子供たちにどういう力を身に付けさせることができたのか、そこがどうも必ずしも十分でないといったような課題も持つ学校も指摘をされているところでございます。
 私ども、さらにスクールミーティングなどを通じまして、総合的学習の時間、いろいろ準備にも時間が掛かるというような声もありますし、年間を通じて子供たちの意欲を持続させる工夫が更に必要だといったような声も聞いておりますので、今後中央教育審議会において、こういったスクールミーティングなどの検証を踏まえて、総合的学習の時間について更に検証していきたいというふうに思っております。
#167
○山本順三君 是非しっかりとした検証をしていただきたいと思いますし、それをお互いが活用できるような、そういう流れというものをおつくりをいただきたいというふうに思っています。
 今、局長の方からお話がありました「よのなか科」の話であるとか、あるいは武蔵野市の対応であるとか、これは確かにすばらしいものがあります。実は私も、党の部会等々であるいはまたその他いろんな関係で、いわゆる最近はやりの先生と言ったらおかしいんですけれども、注目をされている先生のお話を聞く機会を度々いただきまして、聞くたんびに、ああなるほどな、なるほどなというふうに感じることがあったわけですけれども、その中で、いわゆるリクルートから民間人校長になられた藤原校長先生、あるいは尾道の陰山校長先生、いろんな書物も読ましてもらいました。もう本当に、ああすばらしいなというふうに思っていますし、一度その授業を参観是非したいなと、チャンスがあったんですけどできませんでしたんで、授業参観してみたいなと思うんですが、いろんな語録があるんですけど、その中で、やっぱり似通っているんですね、お二人のお話を聞いていたら。
 例えば、藤原校長先生いわく、学力かゆとりかに議論が単純に二分化されているけれども、これは違うんだと、明らかに二兎を追わなければならないんだと、そしてそのためには読み書き計算を徹底して反復して、そして教科学習の時間内に基礎的な知識を効率的に付けさせ、それを定着さしていく。先ほど大臣がおっしゃった、もう基礎をしっかりと詰め込んでいかなければならない、詰め込むときにはきっちり詰め込みなさいという、そういうお話をされています。
 ただ、それだけにとどまらずに二兎を追うということでありますから、もう一つは何かというと、今ほどお話がありましたように、教科学習の応用編として「よのなか科」ということで、ハンバーグ屋さんの店長になって、その疑似体験でいろんな経済的な勉強をするという、そういうパターンもあったようでございますし、あるいはテーマを見てみましたら、二十五回でずっとやっていらっしゃるそうでありますけれども、少年法、それから差別の問題、クローン人間の問題、安楽死の問題、自殺の問題、我々大人でもちょっと議論ができにくいなと思うような極めてハイレベルのテーマを掲げて、そしてその基本としては、失敗してもいいじゃないかと、試行錯誤の繰り返しをしていかなければならないんだと、こんなことでいわゆる二兎を追いながら生きる力というものを養っていくと、こういう話でありました。
 そしたら、今度、陰山校長先生の方も、ようく聞いておりましたら、基本原則としては、子供たちの基礎学習能力を高めるためには、今ほどの読み書き計算、これの徹底反復しかないんだと。今有名な百升計算であったり、あるいは百人一首かるたの授業であったりと、もう本当に徹底的にその能力を反復学習でやっていく。ただ、これだけではないんだと。これに加えて、今の学力低下というのは子供の正に元気の喪失現象にあると。何で元気の喪失かというと、先般も後藤先生の方からお話がありましたけれども、子供が睡眠不足なんだと、あるいは朝食を取らずに食事の栄養が悪化しているよと、また家庭の団らんというものが壊れている。いろんなことで、要は学力向上とは子供を元気にすることだと、その子供を元気にするというところが一つのポイントで、徹底反復と合わさって二兎を追っていくと。両方とも正に同じことなんだなということを私どもはつくづくと痛感しました。
 となってくると、学力向上、そして総合的な学習の時間をある意味では削って、そしてそれを教科に充てていくというだけではいけないのかな、もう一回その総合的な学習というものを、今ほど検証いただくという作業をしていただいておりますけれども、もっともっとそれを高めていく、そういう努力というものも併せてしていかないと駄目なんだな、こういうふうに私どもは感じておるところでございますけれども、大臣、どういうふうにお考えか、その感想をまずお聞かせ願いたいと思います。
#168
○国務大臣(中山成彬君) いわゆるゆとり教育の目玉ということで導入をされました総合的学習の時間が今問題になっているわけでございます。
 私も、学校現場をいろいろと視察さしていただきながら、総合的学習の時間がどのように使われているかなということに一番の関心を持って実は見ているわけでございますが、なかなか大変な授業だなと、私が先生になってもこれは苦労するなと思うわけですね。要するに教科をまたがなきゃいけませんし、そういった意味でも大変ですし、準備も大変だなと思うわけですけども、しかしいろいろ先ほど局長の方からも話がありましたが、すばらしい成果を上げているとこもあるということも事実でございますし、また一方では、どういうふうに使ったらいいか分からないと、本当に無為に過ごしているような感じ、それよりはもっと基本的な教科に時間を注ぎたいと、今のままでは基本的な教科が中途半端になっているというふうな先生方の率直な意見等も聞くわけでございまして、そういう意味で、本当は正に二兎を追うべきものなんだろうと思うんです。学力とゆとり教育、これはもう車の両輪で走っていくべきなんですけども、なかなかそこは難しいなと、こう思うわけでございまして、正に、ですから、これ今どうなっているのか、実際どうなっているのかということを見たいということで、今、手分けして三百校ぐらいを目標にして学校現場を見て回っているところでございますが、私は、とにかくこの学力向上ということを、学力だけではなくて、私は、体力、気力、そういったものも含めて総合的な子供たちの生きる力、人間的な力というものを子供たちに授けたいと。
 そのためにはどうしたらいいかということでございますから、総合的な学習というものを必ずしも否定するものでは何もありませんが、もっと何とか有効に使えないのかということ、そこを焦点絞って今いろいろと見させていただいているということでございます。
#169
○山本順三君 やっぱり現場主義というのは非常に大事だと思いますし、大臣自らが先頭に立って各学校を回っていくというスクールミーティング、非常に私は効果が出ると期待しておりますんで、その辺りの状況もしかと見届けていただきたいというふうに御期待申し上げたいと思います。
 それと、今局長からお話がありました、武蔵野市の市長さんが一生懸命に取り組んでいらっしゃるいわゆる農山漁村の豊かな自然を生かす長期宿泊体験教育と、セカンドスクールということで、これ長期といいまして本当に長期なんですね。見ておりましたら、九泊とか十泊とか、そういう長期の間、子供たちが言わば山村あるいは田舎へ留学をする、そしてまた交流をする、こういうことでございまして、これは今現在、小学校五年生、それから中学校一年生で、中学校の場合には四泊五日ということになっていますが、小学校は六泊、七泊、八泊、九泊といろんな学校、大体七泊八日がメーンになっておるようでございますけれども、小学校五年生と中学校一年生。で、プレセカンドスクールとして小学校四年生も二泊三日でやると、こういうふうなことに取り組まれて非常に大きな成果を上げられておると。話を聞いてみましても、これから生きる力を付けていくという意味でも、正にこういうふうな取組というものも我々は全面的にバックアップしていかなければならないと、こんなことを私どもも市長のお話を聞きながら感じました。
 そこで、先般、河合委員の方からも、ボーイスカウトの関連で、より体験学習というものをもっともっと促進してもらいたいというような話がありました。私もそれ大賛成でございますし、総合的な学習という観点からこの長期的な宿泊体験教育というものを取り組んでいくということも、これも課題として具体化していってもらいたいと思うんですが。
 実は、私の地元の愛媛県宇和島の沖に御五神島というちっちゃな無人島がございまして、以前、文部省の少年冒険生活体験事業でしたか、それで五十人ずつですけれども、中学生、小学生合わさって、その無人島での生活体験を、これもたしか十泊だったと思うんですね。二泊、三泊じゃ駄目なんだと、十泊して初めて子供たちの教育にプラスの効果が出てくるんだということをその研修に参加した人がよく私におっしゃっておりましたけれども。途中で子供たちはなえていくんだけども、またそれから生きる力を活用してきて、そして正にチャレンジデーというのがありまして、食事を、一切材料を与えない、自分で調達しなさいと。そのときにはクモなんか捕ってきて、それをてんぷらにして、あのクモの足のてんぷらはおいしかったとか、そんな感想文がどんどん我々のところに参りまして、ああいいことだなとつくづく思いました。
 ただ残念ながら、文部省の補助事業である、したがって人数が限定されるんです、五十人。愛媛県全体で五十人。それを全体に広げようということで、市町村に広げていこうと努力しました。そうしたら、市町村としてはそんな十泊もできないよ、じゃ二泊三日でやろうか。そうしたらその意味が変わってくるんですね。
 ですから、我々としては、十泊十一日なり、八泊なり九泊なり、そういった体験学習というものが正にもう正規の学習として取り組まれるぐらいの、そういう抜本的な改革をしていかなければならない。そのためには、このセカンドスクールという武蔵野市の取組というのは私は非常に参考になろうかというふうに思いました。
 そこで、大臣、ちょっとこれは私の方で提案なんですけれども、いわゆる学力向上というのはもう喫緊の課題である、これは私もそのとおりだと思います。したがって、授業時間数というのが今落ちているという話がありましたが、これをある程度元に戻すというのも私はやはりやらざるを得ないことだろうというふうに思っています。
 ただし、今ほど申し上げた、二兎を追わなければならない。じゃ、総合学習的なものをどうしていくかということなんですけれども、実は学校週五日制についても、これ賛否まだ両論です。ゆとりの教育といいながら、この学校週五日は一体だれのためのゆとりなんだという議論すら我々はすることがあります。
 そういった意味で、子供たちのために、例えば無為無策に過ごすあの土曜日、これをより有効に使えるようなそういう方向性を導くことができないだろうか。これは大きな問題ですから、そう簡単にいかないかも分かりませんけれども、例えば女性の、学校週五日制に向けての支持率、二割ですよね、二一%か二%だったと思います。そういう状況の中で今何が求められているのかということを抜本的にもう一回考え直していくということは私は非常に大事だと思っていますし、週五日制というものがこれからどういう展開にいくかというのも、これも議論すべき私は問題だろうというふうに思っているんです。
 そういったときに、例えば土曜日というもの、これを総合的な学習の時間として幾らか使っていくということも一つの考え方だろうと思いますし、また、夏休みが長過ぎるという議論がある。これは短過ぎるという子供たちもおりますけれども、長過ぎるという議論がある。そのときに、夏休みをより有効に活用するためにこの総合的な学習、特にこの武蔵野市のセカンドスクールのような、こういったものを総合学習として取り組んでいく。そのことによってふだんの総合学習の三時間というものを学力向上のためにまた有効に活用する。そんなところまで突っ込んだ私は議論をしていただきたいなというふうに思うわけでございますけれども、大臣の見解をお示しいただきたいと思います。
#170
○国務大臣(中山成彬君) 今、山本委員のお話を聞きながら、本当にそのとおりだなと、こう思うんですね。
 この前もいつか話したと思うんですけれども、ルパング島から帰られた小野田中尉が自然塾というのをつくられて、毎年子供たちを集めて合宿をやられるんですけれども、いや、もうそれこそ子供たちをほっぽり出してやらされる、やられるんですけれども、これも二、三日じゃないんですね。やはり一週間なりもっと長い期間、もう本当に山の中に連れて行って体験させられるということで、それをやりますと非常に子供たちが変わってくるというのを本に出しておられる、君ならどうするという本でしたかね。ああいうのを見ましても、やはり今の子供たちというのは、私たちの小さいころと違って、やっぱり大人がそういう状況といいますか、体験ができるようにしてやらないと駄目なんだろうと思うんですね。
 ですから、そういう意味で、地域の方々といいますか、もう既に自分の子育てが終わった方々のお力もおかりしなければならないと思うわけですけれども、社会的にはもう週休二日というのが定着した中で土曜日をどうするかということでございますが、ちょっと私としては、はっきり申し上げて、この土曜日を何とか活用して総合的学習の時間やれないかな、あるいは、今御指摘ありましたように、夏休みですね、長いか短いか、いろんな御議論あると思うんですけれども、私は、夏休みの過ごし方の一つとして、総合的な学習ということで、今言われました自然体験型のそういったスケジュールとか組んでいくというようなこと、それも都会の子供は地方に、山村に行くとか、またその逆もあり得ると思うんですけれども、日常生活と違った異体験をするということは子供にとって非常に私は発達のためにいいことだというのは、これ自分の体験としても子供のことを見ていても分かるわけでございまして、是非そういう形で土曜日の活用、そして夏休み等の長期休暇の使い方、こういったことも含めて総合的学習やってまいりたいなと、私はそう思っていますが、これも文部科学大臣一存でできないものですから。先ほどの、何ですか、竹島、尖閣列島の話もそうでございますが、私はそう思っていますけれども、こういったことも含めて中教審で、それこそタブーを設けず議論していただこうということになっているものですから、そちらの方で今議論していただくということになっていますので、子供たちのためにいい結論が出ることを期待しているところでございます。
#171
○山本順三君 時間が来ましたので、あといろいろと質問したかったんですけれども、それはまた次の機会にさせてもらいたいと思いますが、是非、体験学習も含めた今の総合的な学習の取組、これを抜本的に検討いただいて、なおかつ、教育の予算というのが日本は本当に少ないんですね。今日、朝、聞きましたら、国際レベルで比較して、非常に他の国に比べて少ないということがあります。そういった体験学習も含めて大いに予算を取っていただいて、子供たちのために投資をいただくように心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
#172
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。よろしくお願いいたします。
 本法案につきましては、既に衆議院及び本院におきまして相当の議論が重ねてまいりました。できる限りこれまでの議論を前提として、気になる点を確認させていただきたいと思っておりますので、多少細かい質問が多くなってしまうかと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
 まず、質問に入らせていただく前に、今大臣の方も触れられたんですけれども、先ほどの有村委員の御答弁に対して、北方領土、竹島、尖閣諸島について、次の学習指導要領の改訂において記述することを考えるべきであるとの御答弁のように聞こえたんですけれども、これは中央教育審議会における審議が必要であるかと思うんですけれども、御見解をお伺いします。
#173
○国務大臣(中山成彬君) ただいまも答弁した中にも入っておりましたが、現行の学習指導要領におきまして、北方領土が我が国固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題にも着目するようにということが書いてあるわけでございますが、この我が国の領域をめぐる問題の中には竹島とか尖閣列島も私は入るんじゃないかと、こう思うわけでございまして、このところを今はっきりさせるべきじゃないかと、そういう私は問題意識を持っていまして、事務方にもそういう話をしたわけでございますが、このことも私一存で決められる話じゃございません。
 先ほど申し上げましたように、中央教育審議会にいろんな意味でタブーを設けることなく考えていただこう、議論していただこうということになっているものですから、そちらの方で議論していただいて、そういう方向で持っていきたいなと、このように考えているところでございます。
#174
○浮島とも子君 それでは、本題に入らせていただきます。
 まず、義務教育費国庫負担制度についてお伺いします。
 義務教育費にかかわる国庫負担制度については、旧義務教育費国庫負担法で退職手当や旅費、教職員の給与等が国庫負担とされて以来、昭和四十九年までその対象項目が拡大し続けてまいりましたが、地方分権の大きな流れの中で、昭和六十年度の法改正以後、地方の費目の削減がなされてまいりました。
 過去に、教材費や旅費が一般財源化された際にも、現在と同じように、一般財源化されてしまうと教材費や旅費が縮減されてしまうのではないかという議論がありました。このような懸念に対して当時の自治省は、これらの経費が地方団体の事務事業として同化、定着している、交付税の措置をしているので、所要の予算措置が自治体においてなされるようお願いしている、あるいは財源措置はしてあるので、地方自治体の議会において十分審議をしていただいて予算措置をしていただくべきものなどと説明されております。しかし、現実には必ずしも当時の自治省の説明どおりにはなっておりません。一般財源化された当初こそ、教材費も旅費も従前の国の基準を維持しておりましたが、これらの経費は地方債の増加に伴ってここ数年減額の一途をたどっております。義務教育費国庫負担制度の一般財源化について現在の総務省も当時の自治省と同じような御説明をしておりますけれども、これに対する大臣の御感想をお伺いいたします。
#175
○国務大臣(中山成彬君) 三位一体の議論の中でも、既に一般財源化された、今御指摘ありました教材費とかあるいは旅費とか図書購入費、こういったものについても実は言及したわけでございまして、当初こそちゃんと確保されていたけれども、だんだんと減ってきたということですね。ですから、今回の教師の給与についてもそういう実は運命をたどるんじゃないかということを心配して議論したわけでございます。数字で申し上げますと、教材費につきましては平成十五年度では七五・七%になっていると。あるいは、旅費につきましても八四%というふうに落ちてきているわけでございます。
 この義務教育国庫負担制度が仮に廃止あるいは一般財源化された場合には、これ使途が限定されませんから、義務教育費に充てられる保証というのはなくなるわけでございますし、また、今経済的な格差がだんだん広がっている中で、試算によりますと四十道府県で教育費の財源不足が生じると。あるいは、これを、財源不足を地方交付税で調整するといたしましても、この交付税そのものが三位一体改革の中で、これは今年と来年はいいんですけど、再来年からはこれはもう大幅に削減されることになるんだろうと思うんですね。そうなりましたときには、これらの影響というのは教育費に及ぶおそれが私はかなりあると、こういうことを非常に懸念するわけでございまして、そういう意味で、この義務教育国庫負担制度というのは今後とも必要な制度であって、安易に一般財源化すべきではないと、このように主張しているところでございます。
#176
○浮島とも子君 先ほども述べましたように、教材費や旅費が一般財源化された後、地方債の増加に伴って地方の予算措置が減額していったという過去の経緯を見ると、仮に義務教育費国庫負担金が一般財源化された場合、教材費や旅費と同じ道をたどってしまうことが懸念されることは当然といえば当然と言えます。
 そこで、義務教育費国庫負担金を一般財源化する議論の前提として、まずは、ウナギ登りで増加しつつあり、現在百三十兆円にも上る地方債の残高を、例えば約十年前の水準である九十兆円ぐらいまでには戻して関係者の懸念を払拭することが必要ではないでしょうか。一般財源化の前提として、地方財政の改善が必要であると考えますが、この点について総務省の御見解をお伺いいたします。
 また、地方財政改善について具体的なプランがあるのかどうか、あるとすればその方法、時期、改善の目標についても御説明いただけるでしょうか。
#177
○政府参考人(岡本保君) お答えをさせていただきます。
 御指摘のように、現在の地方財政、多額の地方債残高を抱えるなど、大幅な財源不足を生じております。このような状態から早期に脱却いたしますためには、やはり歳入面における経済の活性化等の地方税等一般財源収入の確保に努めますとともに、国、地方を通じて行財政の簡素効率化ということを図って収支ギャップを縮小していくということがあらゆる行政分野に通じて大きな課題である、正に財政の構造改革と言われているゆえんであろうと存じます。
 このように、歳入歳出両面の取組を行っていくことによりまして、三位一体の全体像でも触れられておりますが、二〇一〇年代、地方財政としては二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化を目指すという形でのこの収支の改善を図るということといたしております。
 ただ、今御指摘のございました教材、旅費と違いまして、このような行政分野、多岐にわたるわけでございますが、義務教育の教職員の先生方の給与につきましては、標準法で学級編制や教職員定数の標準が定められているわけでございまして、地方財政が厳しい現状におきましても、各団体で標準を上回る教職員を確保したり、あるいは給与の支払というのについても適切に行われていると、そういう問題があるというふうには承知をいたしておりません。
 したがいまして、地方財政、先ほどもお答えさせていただきましたが、地方の歳出分野多い中で、法令等で地方団体の担う役割が明示的に示されている、例えばこのような義務教育の教職員の給与、標準法というのはその典型的な分野の一つだろうと思いますが、これについては、その必要額を適切に地方財政計画の策定等を通じて確保して、また各団体にもきちんと交付税制度の持つ財源保障・調整機能を発揮して適切な財政需要を満たすようにするということが肝要であろうかと思っております。
#178
○浮島とも子君 今の総務省の御答弁について大臣の御意見を、御感想をお願いいたします。
#179
○国務大臣(中山成彬君) 先ほど申し上げましたように、これから地方財政が厳しくなることが見込まれるわけでございまして、たとえ各知事に教育に対する熱意が非常に強いものがあったとしても、何といいますか、ないそでは振れないという事態に追い込まれる可能性もあるわけでございまして、そうなりますと、先ほど来、やはり教育は先生だと、教師次第だという御指摘が各委員からもありましたけれども、この必要な教職員の確保ができなくなる、たとえこの義務標準法があっても現実としてはできなくなるということを私は懸念するわけでございまして、この義務教育というのは子供にとっては正に一生に一度しかない大切なものでございまして、私としては、どんなところに生まれても、たとえ山間へき地等に生まれても、やはり等しい教育を義務教育については授けると、これは私は国の責任ではないかと、このように思っているわけでございまして、義務教育に係る国の責任、しっかり果たしていかないかぬと、このように考えておるところでございます。
#180
○浮島とも子君 義務教育における地方分権という大きな観点、つまり、義務教育について地方の自由度を高め、地方の工夫、創意工夫を生かすという観点は、私は正しいと思っております。
 しかし、義務教育については、子供の教育を受ける権利の機会均等という観点はどうしても欠かすことができません。先ほども、午前中にもありましたし、先ほど大臣の方もおっしゃっていただいたんですけれども、財政論だけで議論を進めていってはいけないと私も思っております。その意味で、義務教育について国が責任を持つとはどういうことなのか、また地方の創意工夫にゆだねるべき部分と、地域にかかわらず児童生徒が享受できなければならない教育条件とについて、これを中教審で議論することはもちろんのこと、この文部科学委員会においてもきちんと議論をしていかなければならないと考えております。
 公明党としても、義務教育国庫負担制度の在り方について教育論からきちんと考えていこうという趣旨で、義務教育費国庫負担制度検討小委員会を設け、三月九日から会合を重ねております。今後もしっかり議論をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金について文部科学省にお伺いします。
 総務省の方は終わられたんで、ありがとうございました。
#181
○委員長(亀井郁夫君) いいですか。じゃ、どうぞ。
#182
○浮島とも子君 今回の補助金改革の一環として、準要保護児童生徒に対する各種の補助について国の補助が廃止されることになります。この関連でお伺いをいたします。
 まず、学校保健法の一部改正案について質問をいたします。
 現行の学校保健法第十七条では、市町村等が政令で定める疾病の治療のための医療に要する費用について、要保護者及び準要保護者に対し援助をすることになっておりますが、今回の改正で準要保護者についての国の補助が削減され、要保護者に対する援助に限定されることになります。
 ところで、この改正とは直接関係はありませんけれども、この政令で定める疾病については、先日も質問がございましたけれども、現在、トラコーマ、結膜炎、中耳炎、白癬、疥癬、膿痂疹、齲歯などが挙げられており、中にはかなり時代がかったものがある一方で、アトピーなどのアレルギー性疾患など、現代の子供たちが多く悩まされている疾病については入っておりません。
 そこで、まず、現在どのくらいの児童生徒が学校保健施行令第七条に指定する疾病にかかっているのか、要保護児童生徒、準要保護児童生徒、それぞれについてお伺いいたします。
 また、同法に基づく援助は実費でなされておりますけれども、こうした疾病の治療に対しては一人当たりどのくらいの金額が掛かっているのか、大きく幅はあると思うんですけれども、平均で結構なので教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
#183
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
 政令七条に規定する疾病に関しまして、医療費の援助を受けた要保護及び準要保護生徒の児童生徒数につきましては、平成十五年度の実績で申し上げたいと存じますけれども、要保護児童生徒数が約六千人、準要保護児童生徒数で十一万六千人となっているところでございます。
 それから、援助を受けた児童生徒の一人当たりに支出された金額、今先生お話しになりましたように、いろいろ疾病の種類でございますとか程度によりまして異なっておりますので、お話ありましたように平均で申し上げさせていただきますと、平成十五年度の実績におきまして約七千円ということでございます。
#184
○浮島とも子君 先ほども申しましたけれども、学校保健法施行令第七条所定の疾病については時代に合っていないのではないか、アトピー性皮膚炎を始めとするアレルギー性疾患などについても国庫補助の対象に含めるべきではないかという声があり、先日の当委員会でも質疑がなされたところでございます。
 同法施行令第七条に指定すべき疾病については、平成十二年度から十四年度までの三年間で、学校における健康診断の在り方など、学校保健管理の在り方について財団法人日本学校保健会で検討を行い、その結果を踏まえて検討を行うこととされていたはずですので、日本学校保健会での検討の内容及びその結果についてお伺いいたします。
 また、あわせて、その結果を踏まえて、学校保健法施行令第七条に指定すべき疾病の在り方について文部省においてどのような検討がなされているか、特にアレルギーについては平成十六年度から調査研究が行われているということでございますけれども、その検討状況についてお伺いいたします。
#185
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
 今御指摘いただきましたように、文部科学省におきましては平成十二年度に、児童生徒の健康診断を始めとする学校におきます保健管理の在り方につきまして、財団法人の日本学校保健会に委託いたしまして三年間の検討を行ってまいりました。その際、アレルギー疾患を含めました疾病の支援の在り方につきましてはこの委員会の検討の結果を踏まえて対応を検討するということにしていたところでございますが、平成十四年度の同委員会の取りまとめにおきまして、児童生徒等に関する疾病についてそれぞれの特性を考慮して事後措置の在り方を検討する必要があるというような指摘があったわけでございます。アレルギー疾患を含めた児童生徒の疾病についてそれぞれ踏み込んだ検討が必要であるというような整理がされたところであります。
 私どもでは、それを受けまして、平成十六年度より今御指摘ありましたようなアレルギー疾患に関する調査研究を開始いたしまして、本年度はアレルギー疾患の児童生徒数、これは公立の小中高等学校全体に対しまして調査をいたしております。また、アレルギー対策につきましての、そのようなアレルギー対策、学校におきますアレルギー対策について併せて実態調査を実施しているところでございます。今後、この結果を基にいたしまして、この支援方策等の検討を行いまして、各学校におきますアレルギー対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。
#186
○浮島とも子君 子供たちを取り巻く環境はどんどん変化しておりますので、是非、時代に合ったものに変えていっていただきたいと思います。
 次に、就学奨励法の改正に関連して、学校事務職員の定数の算定についてお伺いいたします。
 義務標準法では、事務職員の数を算定する際に就学奨励法の規定が引用されています。本法案の措置により就学奨励法が準要保護児童生徒に関する規定が削除されて、代わりに義務標準法において、要保護者に準ずる程度に困窮している者で政令に定める者が事務職員の定数の算定根拠に加われることになりますが、改正法に基づく政令では現行の準要保護児童の同様の判断基準が定められることになるのでしょうか。政令の定め方次第では事務職員の定数が増減する可能性がありますので、関係者の方々にとっては大きな関心であると思います。減ってしまうのではないかと心配される声もあります。
 そこで、今回の改正に基づいて定められる政令によって算定される事務職員の数について、現行水準が維持されるのか、確認のためお伺いいたします。
#187
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在の義務標準法の九条では、就学奨励法二条に規定する要保護者、準要保護者に対する市町村の援助のための学校事務に必要な事務職員の数を見込んで標準定数を算定をしております。
 今回の措置によりまして、準要保護者に対する援助について国の補助を廃止することになりますけれども、援助事務は引き続き市町村において行われるわけでございますので、これに係る学校の事務に変更はないわけでございます。このため、義務標準法上の事務職員の算定につきましてはこれまでと同様の取扱いとする必要があるということになりますので、義務標準法の第九条を改正をして、準要保護者の児童生徒の数を引き続き事務職員算定の基礎に加えるという所要の改正を行っているところでございます。
 具体的には、今後、改正後の義務標準法に基づく政令におきまして、要保護者として市町村の教育委員会が認める者で市町村から援助を受ける者の数あるいは割合が一定数、一定割合以上の学校について事務職員を加配をするということになります。したがって、改正後の義務標準法及びこの標準法の施行令に基づき算定される事務職員の標準定数は現行水準を維持するということになると考えております。
#188
○浮島とも子君 現状と変わらないという御答弁で安心される方も多いと思います。
 次に、就学奨励費についてお伺いしたいんですけれども、先ほどの山本委員の方と、質問とちょっと重なってしまい、塩谷副大臣の方にもお答えいただいているんですけれども、確認のためもう一回質問させていただきます。
 就学奨励費にかかわる国庫補助金が準要保護者分については廃止されることになりますが、これより準要保護者の基準が縮小化するのではないかという懸念の声が強くあります。就学奨励費等にかかわる国庫補助については、現在、まず生活保護法に基づく教育扶助を受けている人数等に応じて各自治体への配分額が決定され、それを受けて市町村からの補助金申請を受けるという手順が踏まれています。すなわち、市町村側からしてみると、実質的に国から配分された枠を満たすように要保護者及び準要保護者の認定を行っていた部分があると考えられます。
 しかし、準要保護児童生徒の就学奨励費等に対する国庫補助金が一般財源化された後は、準要保護者についてはこうした国庫補助による事実上の枠がなくなり、準要保護者の対象範囲の設定は完全に各市町村の裁量にゆだねられることになります。そのため多くの市町村が厳しい財政情勢に直面する中、準要保護者の対象範囲がより狭められてしまうのではないかという懸念が聞かれます。
 そこで、教育機会均等の必要性にかんがみ、準要保護者の認定基準について、ここまでは必ず準要保護者の認定基準に入れるようにといった最低限度の基準については国が定めるべきかと考えますけれども、いかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。
#189
○副大臣(塩谷立君) 先ほども山本委員の御質問でこの準要保護者の認定について等の御質問があったわけでございますが、今回、浮島委員のお話で、私どももいろいろとこういった心配もあるわけでございますが、今回のこの準要保護者については、国としても今まで、学校教育法の二十五条において市町村に実施義務が課されておるこの就学援助に対して国としても補助を行ってきたわけでございます。したがって、今回の三位一体の改革によって準要保護者の認定は引き続き従来どおり市町村が判断をしていきますので、今までどおり適切に行われると判断をしているところでございます。
 したがって、国からの枠がというお話がありましたが、それについては、所得譲与税、税源移譲されるということで枠が税源移譲されると、そして、その事業費については地方財政計画に計上され、地方交付税を算定する際には基準財政需要額に算入されるということになっておりますので、今後とも適切に就学援助事業が実施されるものと考えております。しかしながら、この状況をしっかり把握するとともに、必要があれば適切な指導を行ってまいりたいと思っているところであります。
#190
○浮島とも子君 責任を持って対応していただけるよう、よろしくお願いいたします。
 次に、高校生に対する奨学金事業についてお伺いいたします。
 まず、高等学校奨学事業費補助についてです。
 今回、高等学校奨学事業費補助が廃止、税源移譲されることになりますが、そもそもこの補助金が設けられた趣旨は何だったのでしょうか。また、今回削減されることとなった理由についてお伺いいたします。
#191
○政府参考人(銭谷眞美君) 高等学校の奨学事業費補助でございますけれども、これはかつて地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる地対財特法という法律がございまして、それに基づく奨学事業があったわけでございますけれども、それが平成十三年度末をもって失効したことに伴い、同和地区や同和関係者に対象を限定しない一般対策として、経済的理由により修学が困難な高校生に奨学金を貸与する事業を行う都道府県に対しまして、これに要する経費を補助するために平成十四年度に創設をされた奨学事業費補助事業でございます。
 この補助金でございますけれども、三位一体の改革によりまして、国と地方の役割分担及び国庫補助金の在り方等の観点から検討をした結果、十四年度から始まりまして十六年度をもって制度が完成をしたということと、高等学校の直接の担い手でございます都道府県がそれぞれの地域の実情や住民のニーズを踏まえて実施をしていただくということが適切であるということで、このたび廃止を、補助金としては廃止をするということにしたものでございます。
#192
○浮島とも子君 次に、高校の奨学金についてお伺いをいたします。
 これまで学生支援機構が行ってきた高校奨学金事業については、特殊法人等整理合理化計画がこれを都道府県に移管するとしたことを受けて、平成十七年度から都道府県に移管されることになりました。財源については、平成十七年度以降、一定の期間にわたり国から奨学金事業の実施のための交付金が交付されることになっております。
 調査室の資料によりますと、この期間の交付金の額については、大体十年から十五年、総額約二千億円となっておりますが、完全に都道府県独自の財源で運営が行われるようになるまでに何年掛かり、それまでに措置される額の合計はどのくらいになると想定しているのでしょうか。
#193
○政府参考人(銭谷眞美君) これまで旧日本育英会、現在の日本学生支援機構が実施をしておりました高校生対象の奨学金事業につきましては、今お話がございましたように、平成十七年度に高等学校等に入学をする生徒から都道府県へ移管をするということにしてございます。
 移管に伴いまして、奨学金の貸付けの原資につきましては、平成十七年度以降、各都道府県が円滑に資金を調達、確保して従来の日本育英会高校奨学金の貸与水準が維持されますように、一定期間、おおよそ十年から十五年を想定しておりますが、一定期間にわたり都道府県に対しまして必要な資金として総額二千億円を交付することを想定をしているところでございます。その後におきましては、奨学生からの返還金により各都道府県において奨学金事業の実施が可能になるというふうに考えております。
 文部科学省といたしましては、この高校奨学金事業が円滑に都道府県に移管されますように、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
#194
○浮島とも子君 現在、学生支援機構においては、緊急採用・応急採用奨学金が行われております。これは、現下の厳しい経済の状況等を考慮し、失職、倒産、事故、病気、死亡等又は火災や風水害等の災害又は学校の廃止によりやむを得ずほかの学校に入学することで修学に要する費用が増加したことによる家計の急変のための緊急に奨学金を貸与する必要が生じた場合に、一定の要件の下で奨学金を貸与するものです。この緊急採用・応急採用奨学金についても今回の措置で都道府県に移管されることになりますが、移管後も引き続き各都道府県で行われるようにする必要があります。
 各都道府県における緊急採用・応急採用奨学金の実施の見通しについてお伺いいたします。
#195
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま浮島先生からお話がございましたように、旧日本育英会、現在の日本学生支援機構では、保護者の失職、倒産、災害等により家計が急変をし、緊急に奨学金貸与の必要性が生じた学生、生徒に対しまして、年間を通じて随時受付を行い、無利子で貸与を行う緊急採用奨学金制度を実施をしているところでございます。
 高校奨学金につきましては都道府県に移管をされるわけでございますけれども、この従来の日本学生支援機構高校奨学金の貸与水準が維持をされ、奨学生を始めとする国民の利便性を損なうことがないようにするということを基本として考えております。このため、各都道府県におきましてもこの緊急採用奨学金の実施が可能となるよう、国としても所要の財政措置を講ずるなど適切に対応することとしているところでございます。
 私ども、各都道府県の十七年度以降の状況をいろいろ把握をしているわけでございますが、緊急採用奨学金を実施する予定というふうに聞いているところでございます。
#196
○浮島とも子君 大切なことなので是非とも全力でよろしくお願いいたします。
 緊急採用・応急採用奨学金に限らず、今回の高等学校奨学金、奨学事業費補助金の一般財源化及び高校奨学金の地方移管が各都道府県における奨学金事業の充実を何ら妨げることのないよう、文部科学省として十分な配慮を行っていただきたいと思います。
 具体的にどのように取り組まれるのか、お伺いをしたいと思います。
#197
○国務大臣(中山成彬君) この奨学事業費補助金、一般財源化されるわけですけれども、これに伴う財源措置につきましては所得譲与税として税源移譲されることになっておりまして、所要の事業費が地方財政計画に計上されまして、そして地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算入されるということになっているわけでございます。
 また、日本学生支援機構で実施しております高等学校等奨学金事業が平成十七年度の入学者から都道府県に移管されるわけでございますけれども、この移管を円滑に可能にするために、先ほどお話がありましたけれども、国は十年から十五年にわたりまして都道府県に対して必要な資金、これ約二千億円というふうに算定されておりますけれども、これを交付することにしているわけでございます。
 さらに、この高等、奨学金事業が都道府県において円滑に実施できますように、奨学金事業を実施するために必要な事務費等につきましては、これは地方税の措置がされることになっていますし、さらに日本学生支援機構を通じて奨学金事業の実施に関する技術的なノウハウとかあるいは事務処理に要するモデルシステムの提供などを講じているところでございまして、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
#198
○浮島とも子君 ありがとうございました。
 奨学金事業は経済的理由により教育の機会が失われることのないよう設けられている制度でございますけれども、この趣旨は、我が国のいかなる地域に住んでいるかにかかわらず妥当するものであり、教育の機会均等という観点から非常に重要な制度であります。かかる観点から、公明党はこれまで奨学金事業の拡充に力を入れてまいりました。この教育の機会均等の観点から、奨学金事業についてはできる限り現状と比べて地域間格差を生じさせないことが求められております。
 そこで、都道府県ごとに大きな格差が生じた場合、文部科学省として何らかの措置を講じることはあるのか、お伺いをいたします。
#199
○政府参考人(銭谷眞美君) 高校奨学金につきましては、教育の機会均等の理念や高校奨学金のセーフティーネットとしての役割機能にかんがみまして、都道府県移管に当たりましても従来の日本育英会高校奨学金の貸与水準が維持をされ、奨学生を始めとする国民の利便性を損なうことがないようにすることを基本として、所要の財政措置を講ずることとしております。各都道府県におきましては、高校奨学金事業が適切に実施をされるものと、まず考えているところでございます。
 今後におきましても、各都道府県における高校奨学金の適切な運用を期待申し上げるとともに、文部科学省といたしましても、各都道府県の取組状況を把握をいたしまして、必要に応じて指導を行ってまいりたいと考えております。
#200
○浮島とも子君 平成十六年四月に、今お話もありました日本育英会が独立行政法人化して日本学生支援機構が発足いたしました。新機構の下で、これまで以上に充実した学生支援のための取組が期待されておりますけれども、具体的にどのような奨学金の充実策が図られているかについてお伺いいたします。
#201
○政府参考人(石川明君) 奨学金事業の充実についてのお尋ねでございます。
 ただいまお話がありましたように、日本学生支援機構が日本育英会の事業を引き継ぎまして、これを充実するという考え方の下に平成十六年度に発足したわけでございますが、平成十六年度の奨学金事業におきましては、例えば貸与人員の増員によります量的な充実を図るほか、海外留学支援制度、これは有利子の奨学金でございますが、それの創設でありますとか、あるいは入学時の需要に対応いたしました一時金制度の充実、それから法科大学院の創設に対応いたしました奨学金制度の整備など、制度面での充実も図ったところでございます。
 また、平成十七年度予算におきましても、引き続き、今申し上げました海外留学支援あるいは法科大学院支援の充実等を始めといたしまして貸与人員の増員等を図ることといたしておりまして、対前年度比六百九十億円増の七千五百十億円の事業費をもちまして、六万九千人増の、全部で百三万四千人の学生さん方に奨学金を貸与すべく充実を図っているところでございます。
#202
○浮島とも子君 今御指摘がありましたように、平成十七年度の予算では、公明党の推進で年々拡充されてきた奨学金事業については、無利子が四十五万一千人、有利子が五十八万三千人、それぞれ貸与枠が拡大され、今もお話ありましたように、いよいよ百万人を突破いたします。また、海外留学希望者への奨学金と法科大学院生への奨学金もそれぞれ貸与枠が拡大いたします。
 今後更なる充実を図ることを希望いたしているんでございますけれども、この点において奨学金事業の根幹は無利子奨学金であるとの原則に立ち、特に無利子奨学金の拡充に御尽力をいただきたいと考えておりますけれども、この点について大臣のお考えをお伺いいたします。
#203
○国務大臣(中山成彬君) この奨学金事業につきましては、学ぶ意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく安心して学べるように事業全体で充実が図られてきたところでございまして、実は私自身も、高校から大学、この奨学金をいただきまして卒業できまして、三十九歳で完済して政治の世界に出たような男でございまして、もう人ごとではないわけでございまして、私自身も何とか充実、拡大を図っていきたいなと、こう考えている一人でございます。
 御指摘の無利子奨学金につきましては、平成十七年度予算におきまして貸与人員を増員、対前年度一万三千人増するとともに、貸与月額を増額して、千円増でございます、するなどの充実を図ってきておりまして、無利子奨学金事業全体で四十五万一千人、御指摘のあったとおりでございます、支援することにしております。
 なお、近年は高等学校の著しい拡大及び奨学金の希望者の増加がありますので、限られた財源を有効に活用しながら、学ぶ意欲と能力のある学生を幅広く支援するという観点から、無利子奨学金のみならず、有利子奨学金についてもその拡充を図ってきたところでございますが、この無利子奨学金は優秀な人材の育成を図る上で大変有効かつ重要な施策であると、このように認識しておりまして、無利子奨学金の果たす役割の重要性等を十分認識しながら一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
#204
○浮島とも子君 ありがとうございました。
 生徒児童にとって最大の教育環境は教師自身です。義務教育における教員の資質の維持向上は生徒児童の教育を受ける権利の実質的な保障にとって大きな意味を持つものです。そこで、初任者研修や十年経験者研修が一般財源化された後も、それぞれの自治体において適正に実施されるよう文部科学省が実施状況を引き続き把握すべきと考えますけれども、これについていかがでしょうか。
#205
○副大臣(塩谷立君) 今委員お話しのように、教育は教員に懸かっていると、そしてこの研修も非常に重要な、政策的な必要なことだと思っておりまして、学校教育の成否については、実際教育を担当する教員の資質の能力に負うところが多いわけでございまして、教員の養成、採用、研修の各段階を通じた資質、能力の向上は学校教育行政における最大の課題の一つであると考えております。中でも、初任者研修、十年経験者研修は各都道府県教育委員会等が実施する、教員の経験に応じた体系的な研修の一環を成すものとして導入された法定研修であり、研修を通じた教員の資質、能力の向上を図る上で極めて重要なものであります。
 このために、文部科学省としては、これらの研修にかかわる補助金が一般財源化された後も、各都道府県教育委員会等において引き続き初任者研修、十年経験者研修が適切に実施されるように、その実施状況を調査を行うとともに、研究協議会の開催等を通じて必要な指導、助言を行うことにより、教育の機会均等の確保、全国的な水準、教育水準の維持向上に図ってまいりたいと考えております。
#206
○浮島とも子君 ありがとうございました。
 次に、高等学校の定時制教育及び通信教育の振興法の一部改正案に関連してお伺いいたします。これは通告が遅くなってしまい大変に申し訳ございませんでしたが、よろしくお願いいたします。
 高等学校定時制教育及び通信教育振興法第三条では、国及び地方公共団体の任務が規定されております。同条第二項においては、地方公共団体は幾つかの方法によって定時制教育及び通信教育の振興を図るよう努めなければならないこととされており、具体的な方法としては、定時制教育及び通信教育の適正な実施及び運営に関する総合計画の樹立や、定時制教育及び通信教育に関する施設又は設備の整備充実などが挙げられています。これは努力義務となっておりますが、これまで補助金が出ていたこともあって、施設又は設備の整備充実にもきちんと財源が確保されておりましたけれども、このたび法改正で定時制教育又は通信教育の設備についての経費の補助が財源移譲、一般財源化することになりました。
 特に、近年では定時制教育や通信教育が不登校の生徒の受皿となっているという実情もあり、定時制高等教育の一層の充実が求められると思います。一般財源化後も各自治体において設備費が確実に措置されることが必要です。地方公共団体による定時制教育、通信教育の施設設備の整備充実については先ほども述べましたように努力義務となっておりますけれども、総合計画も含め、各地方団体においてきちんとした措置がなされるよう、文部科学省としても指導、助言において最大限の対応をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#207
○政府参考人(銭谷眞美君) お話のございました定時制高等学校等の設備整備費補助金につきましては、このたびの三位一体の改革の一環として廃止をされるということになったわけでございます。ただ、この設備整備につきましては、高等学校設置基準等によりまして必要な種類及び数を備えなければならないということになっておりまして、併せて財源につきましても所要の措置が講じられるということで、各自治体の責任において今後とも必要な整備が図られるものと考えております。
 お話がございましたように、文部科学省としても、各地方公共団体における取組状況については、これを把握をするとともに、必要に応じて指導するなどして設備の整備が適切に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。
 加えて、今正に浮島先生がお話ございましたように、最近、定時制、通信制では様々な入学動機、学習歴を持つ生徒が増えてきているわけでございますので、定時制、通信制教育のソフト面での教育の充実を図る観点から、文部科学省としても所要の支援にかかわる事業を実施をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
#208
○浮島とも子君 ありがとうございました。
 文部科学省として最大限の対応をしていただけるよう、よろしくお願いいたします。
 次に、これは今回の法案とは関係ありませんけれども、一つお願い事がございます。それは、全国高等学校総合文化祭についてでございます。
 全国高等学校総合文化祭は、高校生の創造活動の向上と相互の理解を深めることをねらいとして、文化芸術の活動の発表を行うという高校生の文化の祭典で、毎年各県持ち回りで開催をされております。平成十六年度は徳島県阿南市で開催されました。ところが、平成十六年度の総合文化祭開催中に台風が徳島を直撃し、演目の一部が中止となってしまいました。中止となった演目に出場するはずだった学校の生徒たちは、結局出演しないまま帰ることとなってしまいました。
 全国高等学校総合文化祭は、文化部門のクラブ活動をしている生徒たちにとって学校活動におけるクラブ活動の集大成であり、日本全国のみならず、世界からも生徒たちが参加する一大イベントで、文化部の高校生たちにとって非常に大切な大会です。この日のために、目標に向かい、汗を流し、ずっと練習を積み重ねてきた生徒たちの気持ちを考えると、とても残念でなりません。
 この全国高等学校総合文化祭は、毎年七月下旬から八月上旬にかけて行われております。近年はこの時期に台風が日本に接近あるいは上陸するという数も多く、今後も台風の接近、上陸と重なる可能性は十分にあります。したがって、今後は台風の接近など情報があった場合、早めに対応し、できるだけ中止ということにならないよう、開催期間の延長あるいは会期等の延期等の対応をしていただけるよう配慮をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
#209
○政府参考人(加茂川幸夫君) 全国高等学校総合文化祭についてのお尋ねでございます。
 御指摘がございましたように、この文化祭は、高校生の文化芸術活動、芸術文化活動の言わば集大成として発表する場、全国的に発表する場でございまして、高校生にとっても大変意義深いものだと私どもも受け止めておるわけでございます。
 毎年開催されておりまして、十六年度は、お話にございましたように、徳島県を会場として実施されたわけでございます。また、お話にもございましたように、そのときちょうど台風が接近してまいりましたために、運営上大変困難を伴ったのも事実でございます。
 少し詳細に申し上げますと、七月三十日から始まりましたけれども、五日間の日程で始まりましたけれども、一日目はどうにか予定どおり実施ができましたが、二日目に台風十号が急接近をしてまいりまして、県下全域に暴風警報が出たわけでございます。そこで、大会の実行委員会及び開催県でどう対処すべきかと鋭意検討いたしましたけれども、安全確保を第一にすべきだという結論になりまして、二日目の実施演目、五部門ございましたが、これを残念ながら当日は中止をいたしました。しかし、会期は五日間ございますので、三日目以降に何とか繰り延べて、スケジュールを繰り延べて実施しようということで最大限の努力をいたしました結果、例えば演劇といった部門は、二日目はできませんでしたけれども三日目は実施はできました。そういった部門もある一方で、お話にもございましたが、一部の部門、日本音楽あるいは郷土芸能といった二部門では、一部の演目が残念ながら実施ができず中止になったわけでございます。
 私どもも、高校生が日々練習に重ね、発表に向けて努力しながら、開催県まで出向いていって中止せざるを得なかったと、そのお気持ちを思いますときに大変残念なことであったと思っておるわけでございます。この経験も踏まえまして、どうしたらいいかということ、十七年度以降につきましては高文連、全国高等学校文化連盟及び開催県で今検討を進めておるところでございます。
 委員からは期間の延長ですとか延期という御提案もあったわけでございますが、事は災害、台風対応でございますので、まずは安全確保が第一ということがあろうかと思います。また、いろんな対応策を考えます際に、会場の確保、宿泊施設の問題、参加します学校や生徒のスケジュールの調整といった課題もあるわけでございまして、対応にも限りがあるのではないかと思うわけでございますが、主催者の方で今検討をいたしてございますので、私どもとしましては引き続きこれに対して必要な助言を行ってまいりたいと思っております。
#210
○浮島とも子君 いろいろ大変なこともあると思うんですけれども、子供たちの夢のためにこれからも御配慮いただけるように、よろしくお願いいたします。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。
#211
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
 私、今日は就学援助問題から質問させていただきます。
 前回の委員会で大臣は、就学援助制度につきまして、憲法と教育基本法を基にその具体化としての就援法で国としても義務教育の円滑な実施を図る観点から支援してきたと答弁をされました。それはそのとおりだと思いますけれども、私は、義務教育の円滑な実施といいますのは、やっぱり無償が最大の保障だというふうに思います。
 一九六二年でございますけれども、教科書の無償措置を明記をしました義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律が制定されていると思いますけれども、その理由を見ますと、こう記述がございます。日本国憲法第二十六条に掲げる義務教育無償の理想に向かって具体的に一歩を進めようとするものと。つまり、私は、義務教育無償というのはまだまだ、一九六二年からですから、その間の歴史もありますけれども、まだまだ拡充しなければならないものだというふうに思います。
 それで、今就学援助の対象となっております学用品等も、本来は、義務教育は無償という立場でありましたら教科書のように無償の対象にやっぱりしていく、なるべきだというふうに私は思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#212
○国務大臣(中山成彬君) 教科書の無償給与につきましては、その役割の重要性から、使用義務が法律で定められております教科書について、憲法の定める義務教育費無償の精神をより広く実現するものとして、これらの義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律等によりまして実施しているところでございます。
 それ以外の今御質問がありました教材につきましては、各児童生徒を通じて共通に使用されるものは公費により負担されておりますけれども、ノートや鉛筆などの学用品につきましては児童生徒が個人的に使用するものでありまして、これらに要する経費というのは私費で負担しているところでございます。
 なお、学校教育法第二十五条におきまして、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならないとされておりまして、国としても、義務教育の円滑な実施を図る観点から、この就学援助を行う市町村に対しては就学援助法等に基づきまして補助を行ってきているところでございます。
#213
○小林美恵子君 私が今なぜそういうことを質問させていただきましたかと申し上げますと、義務教育の現場である小中学校に親御さんが子供さんを行かせて、やっぱり有償の負担というのは大きいというふうに思うんですね。
 私、ここに無償である教科書をちょっと持ってまいりました。例えばこれ音楽と算数ですけれども、この音楽の教科書に沿って勉強を進めていきますと、これ六年生ですけれども、もっと早くからでしょうけれども、とにかく笛が要ります。笛が要ります。例えば、算数なんかでいきますと、私もかつて小学校で教鞭を執っておりましたけれども、時間を教えるときには模型の時計とか、算数セットというのがどうしても必要になってきます。要するに、こういうふうに勉強を進めようと思いましたら教科書以外のものがどうしても必要なんですね。
 それで、私は大阪で今小学生、中学生をお持ちのお母さんにお話を聞いてまいりました。そうしますと、例えば笛とか、それから図工になりますと絵の具が要ります。習字がある場合は習字道具、家庭科の場合は裁縫道具が要ります。はさみや粘土ということで、小学校なんかは子供たちはお道具箱ということで机の中へずっと入れ続けていますね。そういうもので費用は大体一万一千三百円は掛かりますとお母さんがおっしゃっていました。さらに、副読本や計算ドリルや漢字ドリルと。計算ドリルや漢字ドリルといいますのは一学期に一回使いますから、一学年でいくと三回必要になるというんですね。また、体育の場合は体操服が要ります。それだけで上下で四千円掛かるとか、標準服のある学校ではもう三万円ぐらい掛かるという話でした。それだけではありませんよね。給食がございますから、給食費は大体年間で小学校三万六千円ぐらいとおっしゃっていて、また修学旅行費用等は六万円も掛かるというふうにおっしゃっていました。つまり、私はたくさんお金が掛かっているということを思うんですね。
 それで、そういうものがなかなか無償にならないという現在の状況であるからこそ、やっぱり就学困難な、経済的に就学困難な児童の御家庭には就学援助の役割というのはますます大きいというふうに思います。
 そこで、私は大臣にお聞きしたいと思いますけれども、そうした中で国が今補助を廃止しようとしている準要保護の方、この方々を市町村が引き続いて援助するというその保証は本当にどこにあるのかと、その点を改めてお聞きしたいと思います。
#214
○国務大臣(中山成彬君) いろいろ今挙げられましたけれども、はさみからいろいろ習字の道具とか、本当にそういう意味で保護者は金が掛かるものだなと、これにまたいろんな塾とかおけいこ事がありますから、保護者の負担というのは大変だなと、こう思っているわけでございますが、今お話ありました就学援助でございますね。
 これはもう今回かかって一般財源化されることになるわけですけれども、これに伴う財源措置につきましては所得譲与税としまして税源移譲されることになっているわけでございまして、この所要の事業費というのは地方財政計画に計上されておりまして、地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算入されることになっておりますので、今後とも市町村におきまして適切に就学援助事業が実施されるものと、このように考えておりまして、もちろん文部科学省としては、そういったものがきちんと行われるようにしっかり把握して必要に応じて指導してまいりたいと、このように考えております。
#215
○小林美恵子君 そのようにおっしゃいますけれども、今市町村ではどういうふうな実態になっているかということを私はお示ししたいなというふうに思います。
 お手元に資料をお配りいただけるでしょうか。──あっ、もう既に届いているんですか。そうですか。
 これは、大阪市の就学援助制度をよくする会というところが調査をしまして、それに基づいて私が作成した資料でございます。
 それでいきますと、大阪府下の主な自治体の就学援助認定基準額というのを列挙しているんですけれども、それをグラフに表しました。そうしますと、二〇〇二年度が青ですね、二〇〇四年度が赤になっていますけれども、グラフを見ていただいたら、二〇〇四年度の方がみんな軒並み下がっているというのが分かると思うんですね。例えば、堺市などは生活保護、これでいきますと、生活保護世帯の例えば一・〇七倍とか、また一・一一倍というようなそういう市もあるわけです。
 私、これでは要保護と余り変わらないというふうに思うんですね。こういう状態というのは一体どこにあるかと、その辺は大臣はいかがお考えでしょうか。
#216
○国務大臣(中山成彬君) この実態調査の資料、本当にこうだとすると随分ばらつきのあるものだなというふうに思うわけでございますが、これはもうやはりいろんな経済情勢、所得水準もいろいろ違いますし、そういったこともあるでしょうし、またそれぞれの市町村のこれは財政事情もいろいろ違うんだろうと、こう思うわけでございますが、一部そういう意味で基準を見直す市町村もあるというふうにも聞いておりますけれども、いずれにしてもその判断は各市町村の実情に応じて適切に行われるものであると、このように考えておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、これ一般財源化されるわけでございますけれども、これはきちっと市町村において就学援助事業が実施されるようにしてほしいと、文部科学省としてもしっかり実態を把握して必要に応じて指導してまいると、このように考えておるところでございます。
#217
○小林美恵子君 今、大臣、一部に基準を見直す自治体があるというふうに聞いておりますとおっしゃっておられましたけれども、見直すどころか、既に見直されて切り下げられているというのがこの表の実態でございます。
 それで、なぜこうなってきたのかということを私は申し上げたいと思いますけれども、元々国の就学援助に対する補助といいますのは総額の二分の一だったと思いますね。ところが、それに近づけるどころか、この間の補助といいますのは、約九億一千六百万円、これは一九九九年度から二〇〇三年度の五年間の実績ベースです、学用品等、また医療費、学校給食も含めてですけれども、九億一千六百万円も、国の補助は増えるどころか減少しているんですよね。
 こうしたことが、こうした地方自治体の基準を下げたり、援助を下げざるを得ない、そういうところにつながっているんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがですか。
#218
○政府参考人(銭谷眞美君) 国の要保護、準要保護に対する就学援助に対する補助でございますけれども、これは就学援助法施行令において定められておりまして、予算で定める学用品等の単価に予算の範囲内で定めた補助対象児童生徒総数を市町村ごとに配分した人数を乗じて得た額を限度として、その二分の一を補助するという制度でずっと運営をしてまいったわけでございます。
 ですから、私どもといたしましては、こういった考え方に立ちまして、予算の範囲内で所要の援助を行ってきたというものでございます。
#219
○小林美恵子君 予算の範囲で行ってきたとおっしゃいますけれども、実際、九億一千六百万円も減額をしているわけですよね。必要とする方々は増えています。でも、減額をしているんですよね。これって大きな影響だと私は思うんですね。
 そういう中で、更に今回、国が準要保護に対し補助金をやめると、こうした市町村での切下げというのが私は一層進むんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点はいかがですか。
#220
○政府参考人(銭谷眞美君) これまでも準要保護につきましては、その認定というのは各市町村の判断で行ってきていただいたわけでございます。したがいまして、今後とも市町村には就学援助を実施する義務があるわけでございますが、各市町村、準要保護者の認定について、今後ともそれぞれの地域の実情に合わせた御判断の下、実施をしていただけるというふうに思っているところでございます。
 あわせて、先ほど来御説明申し上げておりますように、所要の財源措置も講じているわけでございますので、私ども、そういった観点から取組状況の把握もしつつ、各市町村における事業の実施について必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
#221
○小林美恵子君 市町村の義務だというふうにおっしゃいました。確かに法律上そうなっております。しかし、そういう義務が円滑に進められるようにという点でいきますと、こうした認定が下げられていっているということは、円滑に進められていないという実態だと思うんですね。そこに国の補助がこの間減額をする、更には準要保護を対象から外す、それは余りにも市町村のいわゆる義務を国が抑制することになると私は申し上げたいというふうに思います。
 それで、今でも要保護、準要保護ともに本当に増加しています。九九年度から二〇〇三年度の五年間でも全体として三十五万人も増えて、二〇〇三年度では要保護で十二万人、準要保護では百十三万人です。本来は、国の補助を減額したり、何といいますかね、対象から外したりというんじゃなくて、本当はもっと増やすべきなのが本来だと思うんですね。
 それで、私は、なぜここに来て準要保護の方々の補助を廃止するのか、改めてその道理ある理由を大臣にお聞きしたいと思います。
#222
○国務大臣(中山成彬君) これは正に三位一体の改革の中で地方側がそういうことを要望したわけでございまして、それにこたえたということしかないわけでございまして、そうなった以上は地方がしっかりと責任を持っていくべきだと、こう思っておりますが、私どもができることというのは、それがきちっと適切にやられているかどうかというのをウオッチしていくことだろうと思っております。
#223
○小林美恵子君 地方が要望していると言いますけれども、決して、各市町村といいますか、すべてのところが要望してきている内容じゃないと思いますね。それは大臣、義務教育費国庫負担制度の問題でも、先ほどから大臣自らも全体からの要望じゃないというふうにおっしゃったじゃないですか。同様のことじゃないですか。そこをそういうふうにおっしゃるのは、私はやっぱり間違いだと思います。どうですか。
#224
○国務大臣(中山成彬君) そこが苦しいところでございます。
#225
○小林美恵子君 苦しいということは、結局道理のある理由はないということをお認めになったということで私は理解をしたいというふうに思います。つまり、全く理由にならないんですね。
 ですから、やっぱりどの子もひとしく教育を受けれるようにということでいえば、就学援助の国の補助をやっぱり廃止すべきではないということを申し上げたいと思います。
 その上で、次の質問に移らせていただきます。
 この法案には、工業、商業、水産、農業などの高等学校の産業教育の設備補助も廃止することが盛り込まれています。この産業教育の設備の基準を文部科学省としても定められていると思いますけれども、具体的にどういったものか、簡単に御説明いただけるでしょうか。
#226
○政府参考人(銭谷眞美君) 産業教育の設備整備に関する補助基準という形で産業教育振興法第十五条において定めているわけでございますが、「政令で定める基準」というものがございまして、例えば、農業、工業などの各教科において設置する科目ごとに必要な設備を基準として定めているわけでございます。
 一、二、例示をさせていただきますと、例えば工業ですと、自動車工学に関する科目を設置している場合は、原動機、いわゆるエンジンとか、農業ですと、例えば栽培管理用機器、いわゆる芝刈り機、トラクターとか、水産におきますと、航海計器、いわゆる魚群探知機等々の設備が挙げられているところでございます。
#227
○小林美恵子君 そういう設備に関しまして、文科省さんがお示しになられた文書の中に、かつてその設備状況をお調べになったパーセンテージがございまして平均二二%になっていると、いまだ整備状況が不十分である現状が明らかとなっているということで引き続き当該補助制度を継続する必要があるというふうに述べておられます。
 それで、かつて二二%だったものが今どれぐらいの達成率になっているのか、その点いかがですか。
#228
○政府参考人(銭谷眞美君) 今、先生お話しのパーセントは平成十年度の調査じゃないかなと思いますけれども、これは、各科目群において想定される各学校のその設備に必要な合計金額に対して実際にこれまで整備された金額がどれぐらいかといったようなものを調べて、当時二三・四%という数字が出たところでございます。
 ただ、これは各科目群全部が同じようにやるということが前提でございますので、実際は科目群の中でも、例えば農業という科目群の中でも、畜産に重点を置いている科目とか野菜に重点を置いている科目とか、いろいろ学科によりまして取組が違いますので、通常、高等学校では重点を置いた取組をしている設備を優先的に整備をしているという状況がありますので、一概に数字だけで判断というのは難しいわけでございます。
 大変恐縮でございますが、その後のデータについては今持ち合わせていないところでございます。
#229
○小林美恵子君 最後の部分を先におっしゃっていただきたかったんですけれども、その部分のデータには、持ち合わせていないと。つまり、達成率はよく分かっておられないということなんですよね。そういうものが明らかになっていないのに補助を廃止するというのは余りにもおかしな話じゃないですか。私はおかしいというふうに思いますね。
 でも、そこはちょっと指摘をしておいて、最後に、時間がございませんので、義務教育費国庫負担問題で改めて質問をさせていただきます。
 この国庫負担の制度の縮減を迫る議論の中で、事務職員、栄養職員の、制度の対象から外すという話も漏れ聞こえてまいりました。中教審の昨年五月の中間報告の中でも、こうした職員の方々は学校運営に必要な基幹的職員であるというふうに述べています。
 ここで大臣にお聞きしますけれども、事務職員、栄養職員の方々も引き続き義務教育費国庫負担制度の対象として堅持するお立場かどうか、お伺いしたいと思います。
#230
○国務大臣(中山成彬君) 学校教育を円滑に運営していくためにはいろんな職種の教員、職員が一体となってやっていくことが必要でございまして、今御指摘がありました学校事務職員あるいは学校栄養職員、ともに学校の基幹的な職員であると、このように認識しておるところでございまして、そういうこともありまして、これまでも事務職員及び学校栄養職員につきましては、教員と同様に義務標準法により都道府県ごとに置くべき総数の標準を定めて、その給与費について国庫負担してきたところでございます。
 昨年、三位一体の議論がありましたときもこの事務職員の方々も陳情に来られましたけれども、私はそのときも申し上げましたけれども、あなたたちは基幹的な職員で、学校運営にとってはもう必要欠くべからざる人たちなんだからしっかり守っていきたいと、こういうことを申し上げたわけでございまして、今後ともそういう方向でやってまいりたいと考えております。
#231
○小林美恵子君 大臣の御答弁をいただきました、そういう事務職員の方とか栄養職員の方とか含めまして、やっぱり学校の教職員の方々の安定確保の保障となるのは今の義務教育国庫負担制度だと私は思います。
 そこで、最後の質問になりますけれども、その負担制度と少人数学級の取組について少し御質問したいと思います。
 今、東京都と香川県を除きましてすべての道府県で少人数学級が実施をされ、間もなく実施をされようとしています。午前中の審議の中でも、岡山県知事から、中学生の一年、二年生、三十五人学級を実施をして、しかも不登校対策として非常勤講師の方を派遣をして、担任の先生がその不登校の御家庭を回れるような対策を取っていると、そしてその中で不登校児の子供たちが減少してきたというお話がございました。また、長野県でもこういったことがございます。長野県でも少人数学級を実施することによりまして、教育現場では教科指導の効果は上がっているという、答えた方が八七%です。上がらないという方は三%ですね。一人一人にかかわる時間が増えたことで子供たちの興味や関心をとらえやすいというふうにアンケート調査結果がなっています。
 私は、やっぱり少人数学級というのは本当に大事だなと思うんですね。しかし、いかんせん地方の財政が本当に必要になってまいります。独自の努力をされていると岡山県知事もおっしゃっていました。そういう少人数学級というのは、午前中の参考人質疑の中でも渡久山参考人も国が行うべきだとおっしゃいました。中教審の鳥居会長は、少人数学級の問題も中教審で検討していくというふうに、貴重なお話を私は午前中お伺いしました。
 そこで、私はお伺いしたいと思います、大臣に。
 この義務教育国庫負担制度がいわゆる廃止をされていく形態になりますと、今地方が取り組んでいる少人数学級のその積極的な取組がやっぱり抑制されるのではないかという懸念が出てくると思います。その点ではやっぱり義務教育国庫負担制度というのは大事だなと思うんですけれども、ここでお伺いしたいのは、その国庫負担の問題と義務教育の在り方の問題を中教審に今ゆだねているというふうにおっしゃっていますけれども、この際、少人数学級の問題も中教審で審議をしていただくようにゆだねるというのがいいのではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
#232
○国務大臣(中山成彬君) 午前中の議論はちょっと聞いておりませんけれども、岡山県知事がいろいろと地方でいろいろ工夫してやっていると、少人数学級やっていると、いろんなお話があったと思うんですけれども、そういうことがやれるのも、やはりまず義務教育の国庫負担の制度があって、それが基盤になった上でいろんなことがその地方、地方に応じてできているんだろうと、こう思うわけでございます。
 学校現場を回りましても、やっぱり今の子供たちは昔と違って手が掛かるんですよというベテランの先生方のお話も聞くわけでございまして、そういう意味では、この少人数学級というのはやはりこれからの方向性だろうと思うわけでございますが、これも私ども、今、総額裁量制ということでそういうことができるようにしているわけでございますが、このことにつきましても、正に御指摘がありましたように、中教審の議論、していただくというふうなことで今やっていただいているところでございます。
#233
○委員長(亀井郁夫君) もう終わりですね。
#234
○小林美恵子君 はい、ありがとうございます。
 それも大臣の御答弁をいただきました。
 それで、私は、改めて義務教育の根幹を保障する財政的保障となる義務教育国庫負担制度、やっぱりしっかり堅持をすると、その立場を強く申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#235
○委員長(亀井郁夫君) はい、ありがとうございました。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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