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2005/07/07 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 文教科学委員会 第12号
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2005/07/07 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 文教科学委員会 第12号

#1
第162回国会 文教科学委員会 第12号
平成十七年七月七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 郁夫君
    理 事
                有村 治子君
                北岡 秀二君
                佐藤 泰介君
                鈴木  寛君
    委 員
                荻原 健司君
                河合 常則君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                山本 順三君
                小林  元君
                下田 敦子君
                那谷屋正義君
                西岡 武夫君
                広中和歌子君
                浮島とも子君
                山下 栄一君
                小林美恵子君
   国務大臣
       文部科学大臣   中山 成彬君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 俊史君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房長       玉井日出夫君
       文部科学大臣官
       房文教施設企画
       部長       大島  寛君
       文部科学省初等
       中等教育局長   銭谷 眞美君
       文部科学省高等
       教育局長     石川  明君
       文部科学省高等
       教育局私学部長  金森 越哉君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局長       有本 建男君
       文部科学省研究
       開発局長     坂田 東一君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        素川 富司君
       文化庁次長    加茂川幸夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(亀井郁夫君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 学校教育法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として文部科学大臣官房長玉井日出夫君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(亀井郁夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(亀井郁夫君) 学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次発言願います。
#5
○有村治子君 おはようございます。自由民主党の有村治子でございます。今日は、学校教育法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
 私、自由民主党がいただいている時間の中の六十分を担当させていただきますが、まず冒頭、中山文部大臣、ロシアの出張、お帰りなさいませ。お疲れさまでございました。
 また、全国で今展開をされていらっしゃいますスクールミーティング、いろいろ問題は出てくるようですけれども、やっと聞いてもらえたというふうな御意見を私自身もフィードバックとしていただきます。本当に、中山大臣と塩谷、小島両副大臣、それから下村政務官、小泉政務官がそれぞれ分担をして、かなりスケジュールがきつい中で全国を回ってくださって、よく聞いていただいたという、そんなフィードバックを私も聞くにつけ、大変な中やってくださっているなという思いを持っております。そういう意味で、やはり学校の現場と、それから文部行政に責任を負うところのその意思決定の機関が近くなるということはすごく大事なことだと思いますので、これからも御活躍を楽しみに応援をさせていただきたいと思っております。
 それでは、本題に入っていきたいと思います。
 今回の学校教育法の一部改正ということなんですけれども、基本的な、最終的なねらいというのは、日本の高等教育の信憑性をどうやって上げていくかということとともに、その学校教育に携わっていただく高等の、大学教員の質とともに、それから競争力を確保して、また若手をどう応援していくかというようなねらいがあると理解しております。
 そこで、ちょっと基本的なことなんですが、まずお伺いしたいと思います。
 今回初めて導入される助教に就く方としては、具体的にどのような方を想定していらっしゃいますでしょうか。マスター、修士を卒業していらっしゃるというような考えも理解するんですが、この助教というのは初めての概念であり、英語で例えるとしたら、英語に訳すとしたら大体国際的にはどういうポジションに就かれる方々なのか、その辺のイメージができるような説明をしていただきたいと思います。
#6
○政府参考人(石川明君) 今回の法改正によります助教についてのお尋ねでございます。
 助教につきましては、制度上、将来の教授あるいは准教授を目指す者が最初に就く大学教員の職という位置付けで考えておりまして、一般的には、こういった位置付けにふさわしい若手の研究者等が主に候補者として想定をされるわけでございます。より具体的に申し上げますと、各大学の方針や各分野の特性等によっても実態は様々であると考えておりますけれども、例えば大学院の博士課程を修了してからポスドク等を経験をされた方などが主流になるのではないかなと、こんなふうに考えております。
 なお、こうした位置付けの方々は、現行制度では助手の職にあることが大半でありますので、当面はこの中から助教に就く方が多いのではないかと、このように考えております。
 それから、英語での位置付け、あるいは諸外国との位置付けについてのお尋ねもございました。
 アメリカでは、プロフェッサーの次に、それに次ぐ職としてはアソシエートプロフェッサー、これは直訳すれば准教授ということになろうかと思いますけれども、そういった職がございまして、その次に位置するものとしてアシスタントプロフェッサーといったものがございます。今回の助教につきましてはそのアシスタントプロフェッサーに相当するものであろうかと、このように考えておりまして、英語での呼び方も、これは別に法定でどうこうするという呼び方ではございませんけれども、そういった位置付けになってこようかと、このように考えております。
#7
○有村治子君 将来、大学で教職に就かれる方の最初に就くのが助教だというふうに御説明をいただきました。
 では、ちょっとこの関連をクリアにしておきたいんですけれども、現在、大学院博士課程在学学生に対して、TA、ティーチングアシスタント、RA、リサーチアシスタントとして彼らを財政的にもバックアップしようという試みがあるんですが、今回の法改正による助教、助手の制度とどのような関連になるのでしょうか。その辺を御説明いただければと思います。
#8
○政府参考人(石川明君) いわゆるTA、RAと助教との関係についてのお尋ねでございます。
 TA、ティーチングアシスタントでございますが、そしてまたRA、リサーチアシスタントの略でございます。これにつきましては、基本的に大学院の学生を対象にしたものでございまして、大学の職員の地位を持つものではございません。
 具体的にもう少し申し上げますと、TAにつきましては、大学院の学生の教育トレーニングとして、学部学生等に対する助言ですとか、実験、実習、演習等の教育補助業務を行わせるものでございます。また、RAにつきましては、大学等が行う研究プロジェクト等に研究補助者として参画をさせて大学院学生の能力の育成を図るというものでございます。更に付け加えますと、これらに対する手当の支給によりまして、大学院の学生に対して経済的に支援をするといったような目的も持っておるところでございます。したがいまして、現行の助手とはその役割、位置付けを異にするものでございます。
 一方、本法律案につきましては、現行の助手の職を分けまして、御案内のとおり、教育研究を行うことを主たる職務とする職として新たに助教の職を設けるということとともに、助手は教育研究の補助を主たる職務とする職として明確化しようというものでございます。
 そういうことでございますので、今回の法改正はTA、RAと法令上の関係があるということではございませんで、TA、RA制度に直接の影響を及ぼすようなことではないと、このように考えているところでございます。
#9
○有村治子君 そうすると、TA、RAなどを経験された方が大学で今度教える側に入られて最初に就かれる、キャリアトラックの方の就かれるのが助教という認識でよろしいかということで理解しました。
 それでは、今回の法改正により、現在助手でいらした方々の多くが、キャリアトラックの方は助教というタイトルになるということですが、肩書が変わる方において、職務が変わらない場合は、たとえ名称が助教になっても処遇は基本的に変わらないというふうに思っていてよいのでしょうか。
#10
○政府参考人(石川明君) 助教の処遇についてのお尋ねでございますけれども、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、今回の制度改正は、現行の助手を、教育研究を主たる職務とするものに相応する職として助教の職を新設するとともに、研究の補助、教育研究の補助を主たる職務とする職として新しい制度における助手を明確化しようとするものでございます。これを踏まえまして、新しい制度におきまして、各大学における助手の処遇ですとかあるいは職階上の位置付けにつきましては、各大学の判断により適切に定められるということが基本であろうと考えております。
 ただ、これまでの経緯ですとか、実際に当該助手が行う職務の実態なども踏まえながら円滑な処遇等が行われるということが望ましいことは当然でございまして、例えば、従来から改正後の助手の職務に属するような職務を行っていた方については、処遇等は基本的に継続されるというような形になるものと考えております。
#11
○有村治子君 今回の学校教育法改正案の第五十八条には、「大学には学長、教授、准教授、助教、助手及び事務職員を置かなければならない。ただし、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができる。」というふうに書いてあります。この理由はどのような背景があるからでしょうか。例えば、どんなような場合を想定して、こんな、教授以外は、適切であれば准教授などを置かない、助教などを置くことの必要がない場合もあるということを言い得るんでしょうか。
#12
○政府参考人(石川明君) 今回の制度改正におきましては、若手の教育研究者の養成が大学の重要な責務の一つであるということですとか大学の教育研究の活力を維持していくという上で若手教員の活躍が必要であるということから、基本的には大学には准教授等を置かなければならないということにしているわけでございます。
 ただし、今お話がございましたように、今後、各大学がそれぞれの理念等に基づきまして、教育研究上の個性、特色を発揮して緩やかに機能分化していくと、こういったことが大いに考えられることでございます。このようなことを踏まえまして、すべての大学に必ず准教授等を置かなければならないということにはせずに、各大学の理念ですとか各専攻分野の実情等によって、教育研究上の組織編制として適切な場合には准教授等を置かないことができると、このようにしているところでございます。
 具体的なケースとしてどのようなものがあるかというお話がございました。例えば、これ幾つか考えられようかと思いますけれども、学生の教育に重点を置くというような形で他大学において既に非常に大きな業績を確立しておられるようなベテランの教授を中心に採用しているような場合ですとか、あるいは学際分野などにつきまして、教育研究分野の特性に応じて、教授、准教授、助教授等の重層的な教育研究体制をしいて一定の分野をより深く履修させるというような形よりも、教授のみを置いて幅広い関連領域を履修させる方が有効な場合、こういったようなケースが考えられるのではないかなと、このように思っております。
#13
○有村治子君 それでは、この改正案どおりに、を読み込めば、理論上は准教授、助教、助手が一人もいない大学というのもあり得るということでしょうか。
#14
○政府参考人(石川明君) 形の上ではそういったケースもあり得るということでございます。
#15
○有村治子君 それでは、念のためにお伺いさせていただきます。
 准教授などを置かないことができるとすると、教授を、すべて教える職の人は教授陣で固めて、残りはすべて非常勤講師で代用するというような場合が出てくることはないというふうに言い切れるのでしょうか。
#16
○政府参考人(石川明君) 准教授等を置かないというようなことにすると、教授以外はすべて非常勤講師というような形になるのではないかという御懸念でございます。
 大学設置基準ですとかあるいは短期大学設置基準上は、大学や短期大学は学部、学科の種類、それから収容定員に応じて定められた数以上の専任教員を置くものとされているところでございます。また、今回の法改正に関連をいたしましてこの最低限必要とされる専任教員の数といったようなものを変更することは私どもとしても考えていないところでございます。すなわち、今回の制度改正によりまして、各大学の判断によって准教授や助教を置かないといったようなことが可能になったといたしましても、最低限必要とされる専任教員の数といったようなものは改正前と同じであるわけでございますし、従来に比べて教育体制が手薄というようなことにはならないであろうと考えております。
 なお、制度上、各大学の理念や各専攻分野の実情等によりまして組織編制上適切であると認められる場合には、専任教員として必要な教員数をすべて教授を採用した上で、それを上回るものについては非常勤講師を置くというようなことは、先ほども申し上げましたけれども、可能ではございますけれども、実態上は余りそういった極端なケースというのは想定されないのではないかなと、こんなふうに考えております。
#17
○有村治子君 私自身も極端なケースが現実のものとならないことを願っております。
 教授の要件についてお伺いしてみたいと思います。
 私も存じ上げている中で、大学によっては、名刺をいただく中で、客員教授とか特命教授とか特任教授という名称を用いていらっしゃる大学もありますけれども、このような名称を各大学の判断で用いていいのでしょうか。文部科学省、何らかのクオリティーコントロールというのはされているんでしょうか。
#18
○政府参考人(石川明君) 教授の教員資格につきましては、文部科学省の省令であります大学設置基準において定められているところでございまして、例えば、大学において教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有するとともに、博士の学位を有し、研究上の業績を有すること等が必要とされているわけでございます。各大学におきましては、学校教育法に規定する職名を有する教員を、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、大学設置基準に定められた水準を満たすように配置するということが求められているわけでございます。
 その一方、大学設置基準を満たす場合においては、各大学における沿革ですとかあるいは教育研究上の理念に応じまして、学校教育法に位置付けられた職につきまして別の職名で呼称するということにつきましても、ただいま先生からも御紹介ありましたように、これは慣行上認められてきているところでございまして、客員教授ですとか、お話のありました特任教授等の名称につきましても、当該大学におきまして、その職の学校教育法上の位置付けが明確にされて、混乱を招かないというような配慮をされている限り、これを使用することについても直ちに違法ということになるものではなくて、そういったことも可能になるものと、このように考えております。
#19
○有村治子君 例えば客員教授とか特任教授というのは、名称としてはすごく響きがいいような感じがしますが、実態は、客員教授といっても、非常勤で迎えた、ビジネスの経験がおありになって、定年後にそういう私立大学に行かれるときに客員教授という名前が付くことが多いような印象を持ちますけれども、本当に名前は独自で大学で格好いい名前というのを付けちゃってもいいものなんですか。
#20
○政府参考人(石川明君) 先ほども申し上げましたけれども、その職の学校教育法上の位置付けといったようなものが明確にされて、混乱を招かないような配慮が行われているということであれば、格好いい名前と今先生おっしゃいましたけれども、余りとっぴなもの、どんなものがあるのかちょっと今私も想像付きませんけれども、いずれにいたしましても、そういった状況が整っておるということであれば差し支えがないということでございます。
#21
○有村治子君 済みません。格好いいというふうに申し上げたのはどうしてかというと、客員教授も特任教授も、聞こえはいいんですけれども、実態は期限付だよという、非常勤だよということは、本人のプライドにかかわるのかどうか、聞こえが、プライドというか、面持ちがいいように客員というふうになされているというふうに当事者からも伺ったことが何回かありますので、ちょっとその実態と余りにも懸け離れたときには、文部科学省もその名称ということにちょっとアンテナを張っていただきたいなというふうには思っております。
 また、名称、今回の学校教育法改正についての名称なんですけれども、今回、助教授という役職ではなくて准教授という名称にしていくということなんですが、この准教授の、今回の法律改正案では准教授、こちらの准看護師の准という字を使われております。今日は、便宜上、このにすいの方を赤字で書かせていただきました。ただ、私たちが通常で使う、日常使う漢字でよく使うのは準の方でございますが、なぜこちらの準備の準、青字の準ではなくて赤字の准看護師の准をお使いになられるんでしょうか、教えていただきたいと思います。
#22
○政府参考人(石川明君) 准教授の名称に関しまして、次に位するということを意味する漢字といたしましては、今先生がお示しになられましたように、にすいを用いる准の字と、それからさんずいを用いて十という字を下に加える準の字の二つがあるわけでございます。この両者の字の意味につきましては、国語上はおおむね同じでございます。しかしながら、例えば、今も御指摘ございましたように、准看護師ですとかあるいは准陸尉などのように、法令上、職名ですとか役職などを表す言葉に用いる漢字といたしましては、にすいの准の字、これを用いられているところでございまして、それ以外の場合にはさんずいを用いて十の字を加える準の字、これが用いられるということが一般的でございます。そんなこともございまして、今回の職名につきましても、にすいの准の字を用いた准教授というようなことにいたしておるわけでございます。
#23
○有村治子君 通常、法令上はこちらの准を使うことが多いというふうな御説明をいただきましたが、同じ文部科学省さんがつくっていらっしゃる短期大学卒業者に対して平成三年の改正では、この短大卒業の方に準学士という称号が使えるようにするという改正がなされています。そのときにはこちらの、今使われている准ではなくて、私たちが日常生活で一般に使うような準備の準が使われています。ちょっと論理矛盾になるんじゃないかなというふうに思うのですが、どうなんでしょうか。
#24
○政府参考人(石川明君) 確かにその点、御指摘のとおりでございます。
 で、これは言い訳、へ理屈に聞こえなければいいがなと、こう思っておりますけれども、先ほどちょっと触れさしていただきましたけれども、にすいの准の字というのは、あえて申し上げれば、これまで法令上等で職名とか役職などを表す言葉として多くあるいは一般的に用いられてきたということでございまして、強いて申し上げれば、準学士というのは一つのタイトル、称号としての言葉でございますので、その辺の違いであろうかなと、このように考えております。
#25
○有村治子君 ありがとうございます。
 私も別に重箱の隅をつつくつもりでお伺いしているわけでは全くありません。というのは、今回の学校教育法の一部改正後も、例えば、今度准教授なんですけれども、国際基督教大学、ICU、国際基督教大学などでは今までもこちらの準を用いて準教授というような名称を使ってきました。これは、海外のアソシエートプロフェッサーを日本語に訳してずうっと準教授、準備の準で使ってきたんですけれども、これからも、文部科学省はこちらの赤字のにすいの准を使われるのですが、大学によっては今まで使ってきたように準備の準の準教授という名称を用いることも可能なんでしょうか。
#26
○政府参考人(石川明君) ただいまICUにおきます準教授の例についてのお話がございました。
 大学設置基準を満たす場合におきましては、各大学における沿革ですとかあるいは教育研究上の理念に応じまして、学校教育法に位置付けられた職につきまして別の職名で呼称するということにつきましても、先ほど教授のところでのお話もございましたけれども、他の職との混同を来すような取扱いがされていない限りは慣行上認められてきたところでございまして、その取扱いにつきましては今回の改正後も変わるところではないと、このように考えているところでございます。
 そして、にすいを用いる准教授、今回の法令上の表記でございますけれども、これにつきまして、さんずいを用いて十の字を加える準教授、この書き方といいましょうか、字、名称を用いるということにつきましても、当該大学におきましてその職の学校教育法上の位置付けがにすいを用いるところの准教授であるとされているようなことが明確になっているなど混乱を招かないように配慮をされている限り、このような漢字の使い方あるいは名称を使用するといったようなことにつきましても違法ではなく可能なものと考えているところでございます。
#27
○有村治子君 違法ではないということなんですけれども、やっぱり同じ職能をやっていらっしゃる方で漢字が違うというのも何が違うのというような混乱があると思いますので、もし可能であれば、私はどちらにしてくださいという強い意図はないんです、どちらかに統一して、同じ職能のことを、文部科学省として、日本の大学が同じ名前を使うということは、便宜上分かりやすいということと混乱を招かないという意味で行政、アドミニストレーションとして大事なことかと思いますので、可能であれば御検討いただきたいと思います。
 それでは、短期大学についても今回改正法が掛かりますので、短期大学についてお伺いしてみたいと思います。
 先ほど少し申し上げましたけれども、短期大学卒業者に対しては、平成三年には準学士という称号が使えるように改正されてきました。にもかかわらず、このたび、準学士ではなくて短期大学士の学位を授与することにした理由はどのようなものがあるんでしょうか。なぜこの時期に本制度の改正を行うことと試みられていられるのか、教えていただきたいと思います。
#28
○政府参考人(石川明君) このたびの短期大学士の学位の授与についてのお尋ねでございます。
 先生も御案内と存じますけれども、短期大学につきましては、戦後、昭和二十五年でございますけれども、暫定的な制度として発足をいたしまして、昭和三十九年に恒常的な制度となったわけでございますが、学位とか称号等の制度は未整備のままに推移してきておりました。そこで平成三年に、学士の学位化等の学位制度の見直しに併せまして、短期大学の発展状況等も踏まえまして、短期大学の卒業者に準学士の称号を付与するといったようなことにした経緯があるわけでございます。
 しかしながら、その一方で、近年はアメリカですとかイギリスなどの諸外国におきまして、短期の高等教育の課程を修了した者に学位、英語で言えばディグリーということになりますが、これが授与されるようになりまして、グローバル化が進行する中で国際的な通用性の観点といったような面からも、短期大学の課程を修了したことをもって称号ではなくて学位とすることが求められるようになってきておるわけでございます。
 さらに、短期大学の関係者からは、短期大学の制度的な位置付けを明確にするためにも学位授与を可能とすべきであるという強い要望がこれまで寄せられてきているという状況がございます。
 こうした中で、本年一月の中央教育審議会の答申、「我が国の高等教育の将来像」におきましては、短期大学における教育の課程修了というものを学位取得に結び付けるような制度改正を行うことが適切であると、こういった提言がなされているわけでございます。
 これらの状況を踏まえまして、今回、短期大学の卒業者に短期大学士の学位を授与できるようにこのたびの学校教育法の一部を改正する法律案を御提出さしていただいているところでございます。
#29
○有村治子君 今言及されましたように、やっぱり海外に留学する、短大卒の方が海外に留学される、あるいは海外から日本にいらっしゃる、在日にいらっしゃる留学生の方々の利便性とそれから信憑性を高めていくためにも短期大学士の学位を授与するということは大事なことだと思っておりまして、私も賛成でございます。
 英訳するとどのような表記になるんでしょうか。私も留学さしていただいたときに、日本の学位などをどうやってあちらの基準に合うようなレジュメに変更すればいいのかというのは、迷うところも正直なところ幾つかありました。ということは、私だけではなくて、留学を試みる人、日本に留学を志す人、たくさんの人がいろいろ困惑しながら自分のレジュメを書いているんだと思うんですが、英訳をこの際、短期大学士ということに関しても英訳で言うとこうだよということを打ち出されるということに関しての御意見はいかがでしょうか。
#30
○政府参考人(石川明君) 短期大学士の英訳についてでございますけれども、今回の学位化というものが短期大学の課程の修了について国際的な通用性を確保するということを一つの観点として行われるといったようなことを考えますと、短期大学士の英文名としても適切なものが用いられるといったようなことが望まれるわけでございます。
 しかしながら、短期大学士の学位の名称に限りませんですが、英文訳ということにつきましては、文部科学省において公定の訳を設けるといったようなものではなく、また諸外国におきましては自国語による名称はありましても国際的に統一された英訳名称といったようなものがあるわけではございませんで、そういった点から考えますと、各短期大学やあるいは短期大学関係の団体におきまして必要に応じ御検討がなされて適切な対応がなされるべきものであろうかなと、このように考えているところでございます。
 しかしながら、我が国の短期大学におきましては、国際的な通用性の観点といったようなこと等も考えますと、例えばアメリカの短期高等教育の課程の修了に用いられている名称でありますアソシエートディグリーでしょうか、こういった名称といいますか英訳などを用いるというようなことが実際上は多くなるのではないかと、このように考えているところでございます。
#31
○有村治子君 ありがとうございます。
 それでは次に、現在の短期大学を取り巻く状況について文部科学省がどのような動向を把握されていらっしゃるのか、その見解をお伺いしたいと思います。
 旺文社のホームページを見ましても、それ以外の学校関連の資料を見ても、大体書かれていることはよく似ていて、短大の定員割れは四割を超す四一%前後の数値が出ています。各短期大学が生き残りを懸けていろいろな工夫をされていると思うのですが、その中でもどこが競争力の源泉になってきていると文部科学省は認識していらっしゃいますでしょうか。今後、短期大学が魅力ある発展を続けていくためには、各短期大学においてどのような取組を行うことがキーになるというふうに、重要になると考えていらっしゃいますか、御見解を伺いたいと存じます。
#32
○政府参考人(石川明君) 短期大学の現状と今後の在り方についてのお尋ねかと存じます。
 短期大学につきましては、戦後、高等教育への進学率の上昇を支え、特に女子の高等教育の機会拡大に大変大きな役割を果たしてきているところでございます。
 ただ、近年におきましては、十八歳人口の減少ですとかあるいは女子の四年制大学への進学志向の高まりなどによりまして、短期大学の学生確保といったようなものは大変厳しい状況に置かれているところでございます。その規模も年々縮小をしてきているところでございまして、本年の五月現在では学校数が四百八十八校、これは平成八年度のピーク時には五百九十八校ございました。そして、入学定員は九万九千七百六十一人ということになっておりまして、これも平成四年度のピーク時には入学定員は二十万二千九百七十五人という数字になってございました。こういった状況でございます。
 しかしながら、中央教育審議会の答申でも指摘をされておりますけれども、短期大学というものは我が国の高等教育において大変大きな意義を果たしているわけでございまして、今後とも、例えば多様な生涯学習機会の提供など、身近な高等教育機関として積極的にその役割を担っていくといったようなことが強く期待をされているわけでございます。
 そこで、例えば、各短期大学におきましては社会の学習ニーズを踏まえた学科構成をするなどの教育分野ですとかあるいは内容の工夫、あるいは社会人や高齢者などが容易に授業を受けられるような形にするために夜間ですとか休日の開校、そして最近非常に活発になっておりますけれども、e―ラーニングの活用など履修形態の工夫をする、そしてまた、例えば地域と連携協力をして大学外での履修あるいは実習などを含めた多様な学習の機会を提供する、こういった様々な工夫、取組を行うことなどによりまして、短期大学が充実した教育を展開していくことがこれからますます重要になってくるであろうと、このように考えておりまして、文部科学省といたしましても、こういった各短期大学における前向きな取組というものを積極的に支援をしていきたいと、このように考えております。
#33
○有村治子君 それでは、前回、衆議院の方で質問があった時期から今までの間にいろいろな報道をにぎわす文部関係の記事もあったのですが、その中で学校教育法にも関連するのは、やっぱり高等教育がいかにあるべきかというので問題提起を突き付けたのが、山口県の萩国際大学の再生法申請へというような報道だったと思います。
 我が国の大学数が平成六年に五百五十二、平成十六年には七百九校と、この十年間で百十七校も増えています。その一方で、例えば私立学校振興・共済事業団のデータによれば定員割れの私立大学が平成十六年で約三割、旺文社のデータによれば短大の定員割れは四割を超すというふうになっており、年々悪化しています。傾向としては、新設、新しくつくられた大学や単科大学、あるいは地方の大学において定員充足率が厳しい傾向にあることが私もそれぞれのデータから見て取れました。
 大学を設置する場合、大学設置・学校法人審議会の審査を経て文部科学大臣が認可されることが必要となっていますが、この認可基準により大学の質が今までは一定の担保が掛かってきたと私も思っています。しかし、この大学の質も、事前規制から事後チェックへという規制緩和の流れの中で、例えば既存の大学が新たに学部を新設するときなど、事後の届出でよいような変革が行われてきました。
 そんな中で、過去に解散を命じられた酒田短大の例もありますし、平成十一年に開校した萩国際大学が、開学当時から続いた大幅な定員割れを理由に今回民事再生法の適用を申請したということに対して、文部科学省はどのような認識を持っていらっしゃるでしょうか。
#34
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 学校法人萩学園についてのお尋ねでございますが、学校法人萩学園では平成十一年四月に萩国際大学を設置いたしまして、その後教育内容の充実や経営の合理化、学生募集の効果など、自主的に経営改善努力に努めてきたところでございます。しかしながら、入学者数の減少に伴う収入減などにより資金繰りが極度に逼迫するに至りましたことから、学校法人萩学園は去る六月二十日開催の理事会において民事再生申立てを決定し、翌二十一日に東京地方裁判所に対し、民事再生法に基づく民事再生手続開始の申立てを行い、二十四日、再生手続開始の決定がなされたところでございます。
 本来、特に強い安定性、継続性が求められ、健全な運営がなされるべき学校法人が再生手続開始という状況に立ち至りましたことは誠に残念なことでございますが、現下の厳しい財務等の状況や在学生の修学機会の確保という観点からは、民事再生の手続は現時点で取り得る一つの選択肢と考えているところでございます。今後は、学校法人の再生に向けて、在学生の修学機会の継続を含め教育的な観点に立った再生計画の検討がなされるものと期待をいたしているところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも学校法人萩学園の自主性を尊重しつつ、安定した経営基盤の構築に向けてその主体的な改善努力を促しますとともに、何よりも在学生の修学機会の確保を最優先に対応がなされるよう指導、助言してまいりたいと考えております。
#35
○有村治子君 ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたように、一番損害を被るのは青春真っただ中の学生であり、その学生さんのその人生、その一年というのは取り戻せないので、やはり一番脆弱な立場に置かれてしまう彼女、彼らのことを考えると、やはり私たちが文部行政の在り方そのものについて、問題提起に対してしっかりと向き合っていかなければならないと思います。是非、ノウハウを全力で発揮していただけるよう私の方からもお願いを申し上げたいと存じます。
 学校経営という公益、公共性が高い分野において、ずさんな経営計画や財務状況の法人が参入してくることによって一番その損害を被るのは、その学校に学ぶ学生と、そして今回の場合であれば四十億円を拠出した、山口県とそれから萩市が出していたんですけれども、自治体でございます。それぞれの自治体も生き残りを懸けてそれぞれ大事な税金を出している中で、本当に規制緩和の名の下、責任の所在がうやむやな経営主体を学校経営に携わり続けさせてはいけないというふうに私は考えます。
 その中で、文部科学省が平成十六年にお出しになりました「大学の設置認可制度に関するQ&A」、私も読ましていただきましたけれども、そのQ10、クエスチョン十のところにこのような表記があります。「我が国の設置認可制度は大幅に弾力化されており、届出制の導入の影響などをこれから検証していくことが必要になっています。一部私立大学の問題事案の発生を契機に、設置審査が不十分だったのではないかという批判も生じています。」というふうに文部科学省が出された文書にも書かれています。
 ちなみに、このクエスチョン八のところでは日本経済新聞社が取った学長・総長アンケートというのが紹介されており、全国の四百九十六大学の学長、総長が答えた「現在の大学数に関する学長の意識」では、学長の実に七九・八%、八割の学長が現在の日本の大学数は多過ぎるというふうに答えています。
 また、文部科学省の幹部である鈴木敏之文部科学省高等教育局大学振興課大学設置室長がこのような文章を書いていらっしゃいます。「カレッジマネジメント」から取らしていただきました。少子化の中での過剰参入、過当競争が生じている、あるいは生じつつある状況ではないか。毎年十、二十の大学が新設されている状況は国際比較においても異常と言っていいほどの過熱ぶりではないかと思われますというふうに書かれています。持論ですが、本当に私は自分が思っていることをここに書かれているなというふうに思いました。
 その結果、ずさんな新規参入組が大学市場全体の信憑性に影を落としているのではないか。そもそも本当に学部を新しく新設するときに事後の届出でいいのかどうか、私は疑問を呈したいと思います。これに関してどうお考えになられるでしょうか。
#36
○政府参考人(石川明君) 大学の設置審査に関するお尋ねでございます。
 大学の設置等につきましては、十八歳人口が減少していく見通しであるというようなことなどから、従前、社会的な必要性の高い特定の分野、例えば看護ですとか情報、福祉、こういったものを除きまして原則として新増設を認めないという抑制方針が取られてきたところでございます。
 しかしながら、申請者の主体的な判断を尊重する、あるいは大学が社会のニーズや学問の発展に柔軟に対応できるようにし大学間の自由な競争を促進する、そういった観点から、総合規制改革会議の答申ですとかあるいは中央教育審議会の答申の提言等も踏まえまして、この抑制方針につきましては平成十五年度より原則として撤廃をしたものでございます。また同時に、ただいまお触れになりましたけれども、各大学の機動的な組織改編を促進をするという観点から、一定条件下の組織改編につきましては認可を必要としない届出制の導入といったようなことも行ったところでございます。
 文部科学省といたしましては、以上のような政府全体の規制緩和の推進に関する方針、一言で言えば事前規制から事後チェックへということになろうかと思いますが、こういったものを踏まえまして、大学新設の申請につきましては大学設置・学校法人審議会によります専門的な観点からの審査をしっかりと行いまして、客観的な基準等に適合するというふうに判断されればこれを認可をするということといたしているところでございます。
 しかしながら、ただいま委員からも御指摘あるいは御懸念がありましたように、もとより高等教育機関の質の確保あるいは学生保護というような観点からは大学の継続性、安定性といったような確保は大変重要なことであると、このように考えておりまして、今後ともこういった大学の設置関係の審査に当たりましては厳正な対応を期してまいりたいと、このように考えているところでございます。
#37
○有村治子君 ありがとうございます。回答していただけるものとしては精一杯説明していただいたんだと思っています。
 しかし、本当に、規制緩和という美名の下で、生身の人間を教育する、そんな新しい大学をつくる、あるいは学部をつくっていくということが事後チェックでいいんでしょうか。実際にそういう破綻する、あるいは破綻の危機に直面している大学が一校や二校じゃないというこの現実を見たとき、私たちは規制緩和という美名の下でそれを市場原理に任していいのかどうか。教育現場で実験ということはあってはならないというふうに私は思います。
 そんな中で、私も衝撃を受けたんですが、河合塾が、この間テレビでも面白おかしく報じられてしまいましたけれども、河合塾が入試が簡単過ぎて合否ボーダーラインが算出できないランクのことをFランクというランクで設定をしたのが二〇〇〇年。そして、このランクの学部を持つ大学そのものが、受ければだれでも受かる事実上の全入状態にある大学としてFランク大学というふうに名付けられ、一斉にその大学関係者からは非難を呼びましたけれども、実際に高校の受験生あるいは浪人生が参考にしているのがこのFランクで、現在はその名称を、機能は同じなんですが、ボーダーフリー、BF大学あるいはBFの学部というふうになされています。このBF、ボーダーフリーに入っている大学は私立大全体五百三十五校の二九%になるというふうな衝撃的な数字も出ています。
 つまり、偏差値がいいかどうかという議論をここでは展開するつもりはありませんけれども、その偏差値に乗らないボーダーフリーというふうに実際に学校関係者、入試関係者の中では市場原理の中で使われている指標がある中で、本当にこのような状況を野方図にしておいていいのかどうか。積極的な介入が、あるいは責任を持つということが必要なのではないかというような思いを持ちます。
 そこで、やはり大臣にこのことについてお伺いをしていきたいと思います。
 高等教育の競争力、信用力を強めていくということは非常に大事なことだと思うのですが、先ほどおっしゃった専門的な判断で認可をしているという、おっしゃっている建前がこれだけ現実で問題提起をさせられている以上、私たちは学校経営の信用破綻を防ぐために積極的な支援や指導を強めるべきだと思います。そもそも届出制で本当にいいのかどうか、大臣の御意見を伺いたいと思います。
#38
○国務大臣(中山成彬君) 有村委員のお話をお聞きしながら、また自分でも大学等に行きましていろんな話を聞きますと、本当にこのままでいいのかなという思いを強くするわけでございます。
 一方では、もちろん規制緩和も大事でございますし、また大学間、学校間の競争というのもこれは当然必要だろうと思うわけでございますが、余り簡易に大学の設置を認めるということによって、この萩国際大学のように、本当にその在学している学生の身になってみればこれはもう大変な実は問題、その学生の一生を左右するような問題になりますし、またその学生を送っている父兄の立場に立てば本当に何とも言えない思いがあると、このように思うわけでございまして、御承知のようにあと二年後には大学全入の時代を迎えるわけでございまして、こういった中にありまして、これからの高等教育がいかにあるべきかという観点からも私たちは考えていかなければならないんじゃないかなと、このように思っているわけでございまして、例えば大学、学校種あるいは学校ごとの個性とかあるいは特色を発揮させるとか、あるいはまた事前事後の評価等の質の保証といったことも大事でございますし、そういった中で文部科学省がいかに多元的できめ細かい支援を行っていくということが必要であるかということも考えるわけでございます。
 一方ではまた、世界的な知的な競争が激化する中で、我が国にとりましては人材こそが資源である、これは昔から言われていることでございますが、そういった中で質の高い人材をいかに確保していくかというふうなことも踏まえながら、このことは総体として、全体として考えていくべき重要な課題であると、このような認識で私たちは取り組んでいかなければならないと、このように考えておるところでございます。
#39
○有村治子君 例えば、学部を新設するときにそれが認可制ではなくて届出制というような規制改革が行われました。私は、大きな流れとして規制改革は非常に、緩和は大事なことだと思っていますが、大臣、本当に規制緩和のその動きの中に、このような人の人生を左右するような大学の新設やあるいは学部の新設ということが届出でいいのかどうか。大臣のリーダーシップを発揮していただいて、大臣もスクールミーティングで大学の英語の授業をごらんになって、be動詞から始めていかれるその現実に愕然としたというようなことが新聞でも報道されていましたけれども、大事な人生である、その文部科学行政のこの届出制の妥当性については真剣に御検討をいただきたいと存じます。
 それでは、関連ではないんですが、三月二十九日の本委員会で私が伺いました現在使用されている中学社会科教科書の記述について、一点関連質問をさせていただきたいと思います。
 前回の質問でちょっと私が進行上の誤りをしまして、これについては本当に委員の皆様に御迷惑を掛けたこと、申し訳なく思っております。ただ、内容につきましてはしっかりと確認をしなきゃいけないなということが出てきております。
 帝国書院の公民及び教育出版の地理という中学教科書の中では、北方領土に対する記述の中で、第二次世界大戦末期にソ連が占領というような記述があります。これに対して私は、史実から見ても完全に誤りであるし、日本の政府の見解からしても外れるものではないかというような指摘をさせていただきました。
 この報道を受けて、この教科書の記述をしている帝国書院及び教育出版からは、この教科書の記述の訂正の申請が出たというふうにその両教科書会社から私の事務所に連絡をいただいたようですが、その事実確認をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
#40
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま御指摘のございました二社の北方領土に関する記述につきましては、二社の方から訂正申請がございまして、四月の十二日に承認をしたところでございます。
 修正された記述は、帝国書院の中学校社会、公民的分野については、訂正前の第二次世界大戦末期とありましたものを第二次世界大戦後に訂正をしてございます。また、教育出版の社会、地理的分野につきましては、第二次世界大戦の末期とありましたものを第二次世界大戦が終わった直後というふうに訂正をしているところでございます。
 また、訂正内容につきましては、発行社の方から当該教科書が採択されている学校に周知されているところでございます。
#41
○有村治子君 前回の委員会では、銭谷局長がこの記述の正当性をめぐって、九月二日が終戦という説もあるからこういう記述も間違いではないというふうにおっしゃっていただきましたが、中山文部大臣も八月十五日が終戦だと思うというふうにおっしゃっていらっしゃいました。私は、九月五日まで続いたソ連軍の北方領土に対する急襲こそが六十年間続く不法占拠の正に根拠になっているところで、この史実に照らし合わせて日ソ、日ロ間での粘り強い日本の交渉が続けられているのですから、今後とも外務省、内閣府の見解と違わないよう是非、政府、内閣が見解を一致させた上で領土に関する教育を進めていただきたいと存じます。これに対してコメントをいただきたいと思います。
#42
○政府参考人(銭谷眞美君) 前回、先生の方からお尋ねがございました点は、大きく二つあったと思います。
 一つは、ただいまお話がございましたように、第二次世界大戦の終期についてでございますけれども、私の方から御説明を申し上げましたのは、歴史事典や解説書においてポツダム宣言の受諾を国民に知らせた八月十五日とするものと、日本が降伏文書に調印をした九月二日を示すものがあることから、教科書検定上はどちらも許容しているという御説明を申し上げたかと存じます。
 ただ、一般的には第二次世界大戦の終期につきましては八月十五日と受け止められているところでございまして、今回の訂正申請につきましても、末期というこの表現が生徒には理解しにくい、あるいは他の教科書の八月十五日とする記述とそごを来すなど、学習上の支障があるということで訂正申請がございまして、私ども承認をしたものでございます。
 それから、北方領土を占領した日について、これは九月五日であってそれ以前にソ連が北方領土を占領したとするのは正確ではないのではないかというお話もございました。この点につきましては、様々な学説状況を踏まえまして、九月二日には北方領土の大半がソ連に占領されていたとする学説状況を踏まえて、教科書検定上許容してきたということを御説明申し上げたわけでございますけれども、ただいまの先生のお話も十分踏まえて今後対応してまいりたいというふうに思っております。
#43
○有村治子君 ありがとうございます。
 この問題を今日は深入りするつもりはないので、是非よろしくお願いいたします。変更に感謝申し上げます。
 最後に、残りました六分で、文部科学省ということで科学技術関係のこと、進展もありましたので、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 ITER、国際熱核融合実験炉の建設地をめぐる外交交渉、ちょうど一週間前にロシアで行われた閣僚級会合において、最終的に、中山大臣も御出席になられましたが、フランスのカダラッシュに決定をしました。ロシアでの御参加、リーダーシップに敬意を申し上げます。
 世界のエネルギー需要にこたえていかなければいけないという政策の将来像の中で、夢のプロジェクトと目されるITERですけれども、このITER構想から二十年、建設地決定の交渉開始から三年、実験炉本体の誘致こそ逃しましたけれども、各紙の論評を見ていますと、例えば産経新聞も、六月二十九日、「誘致失敗は失敗ではない」、日経新聞は、「初めから日仏で政治家の熱意、政治力の差は歴然。最後は負けにならない形にどうとりつくろうかが焦点だった。」、「日本が分裂を避け欧州に譲ったのは自然の流れで、妥当な判断に落ち着いた」と言えようというような書かれ方をしています。
 そういう意味で、大臣にお伺いしたいと思うのですが、今回ITERの誘致をめぐる交渉によって得た成果はどのようなものがありますでしょうか。また、報道されている以外にどのような副次効果をねらっていらっしゃるのか。これからの科学技術政策と絡めて今後の、交渉結果をどのように評価していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(中山成彬君) ITERのサイトにつきましては、我が国への誘致が実現できませんで、そういう意味で、これまで誘致に向けて努力していただきました方々の御期待にこたえることができなかったという意味では本当に申し訳ない気持ちもあるわけでございますが、長年にわたりましたこのサイト交渉が決着したことによりまして、ITER計画がその実現に向けて新たな、また大きな一歩を踏み出すこととなったわけでございまして、今回の決定はITER計画にとって極めて重要な意義を持つものであると、このように考えておるところでございます。
 また、日本とEUの間で合意に至りましたホスト国と非ホスト国の役割分担を踏まえますと、ITERは欧州に設置されることになりましたけれども、我が国はITERの準ホスト国とも言えるような地位を確保できたわけでございまして、今後の核融合研究開発におきましてはホスト国であるEUと並ぶ重要な国際研究拠点となることなどから、十分に国益を守ることができたんではないかと、このように考えております。
 ITER計画は人類にとりまして究極のエネルギーである核融合の実現に向けて重要なステップでありまして、世界の英知と能力を結集し取り組んでいくことが必要でございますし、また本計画の成功に向けましては、やはり我が国のいろんな能力、力というものがどうしても必要であると、こういうことは各国とも認識しておるところでございます。
 そういう意味で、交渉は長引きましたけれども、やはりどこかでは決着を付けなければならない、そういったところにおきまして、誘致を断念するといいますか、譲るということも大きな意味では国際協力ということになるんではないかと、このようなことから決断させていただいたところでございます。
#45
○有村治子君 最後の質問をさせていただきます。
 今回、東京新聞などが報じているのですが、フランスが国を挙げて誘致外交を進め、時にはデマ情報を流して日本を揺さぶった中で、日本は誘致を閣議決定した後も、財政負担をめぐり財務省と文科省、さらに文科省内部での意見対立が絶えず、最後まで足並みが乱れたままだったということを露呈していることをここに報じられています。
 実際に六極会議、閣僚級会合前に一部報道で誘致を断念ということも報じられました。そういう意味では、やはり外交交渉に臨む文部科学省のノウハウという意味でも今回教訓があったものと思います。これに関して政府参考人の方と大臣の方、その順番でコメントをいただければ有り難いと思います。
#46
○政府参考人(坂田東一君) ITERの交渉、大変長い国際交渉でございまして、先週決着を見たばかりということでございます。
 この中からいろいろと将来に生かす教訓を見付けていかなければいけないと思っておりますけれども、交渉を振り返りますと、日欧のこの立場、鋭く確かに対立しておりましたし、この問題が高いレベルの政治的な問題であったという側面ももちろんございます。それから、先生も御存じのとおり、これは日欧だけではなくて六極という問題で、またこの六極の中でも意見が二つに分かれている、しかし六極のコンセンサスもつくり上げなければいけない、そういう大変難しい交渉でございました。我が国といたしましては、どのようにこの中で我が国の筋をしっかり通して、また国益をどう考えるかということを常に思いながら、この交渉をどうまとめるかということで頑張ってきたということが言えようかと思います。
 私どもといたしましては、これまでの交渉経過というものについて今後よく分析、反省をして、その中からこれからの国際交渉にどう生かすか、教訓を是非酌み取りたいと、このように思っております。
#47
○国務大臣(中山成彬君) 御指摘のように、このITERサイトの決定に当たりましては非常に難しい交渉であったと思っております。政府内は閣議了解を基にして一致して進めてまいりましたし、地元また経済界の大変な後押しもあったわけでございますが、御指摘がありましたように、日本の一部マスコミがいかにも譲歩したかのような報道を流すわけでございまして、これはいつものことではございますが、日本の外交というのは本当に残念ながら後ろから鉄砲の弾が飛んでくるようなこともありまして、大変苦心、苦労をいたしましたが。
 私の目から見ておりまして、今回の交渉、サイトをどっちに決めるかということにつきましては、勝者敗者をつくらないという意味で本当に事務方は頑張ってくれたと。そういう意味で、私は今回の交渉というのはよくやったなと。そういう意味で、見掛けは損したように見えますが、日本の言葉で損して得を取るという言葉もございますが、大きな目で大局的に見ますと、私はいい結果になったんじゃないかな、このようにも評価していただけるんじゃないかと、このように思っています。
 そういった交渉の過程においていろいろと考えさせられる面もありましたし、そういったことはこれからにも生かしていきたいと思っていますが、最後まで支援していただいた方がいたということが私たちの交渉の立場というのを強固なものにした、してくれたという面があったことは否めないと、こういう意味で評価したいと思っております。
#48
○有村治子君 以上です。
 ありがとうございました。
#49
○広中和歌子君 民主党の広中和歌子でございます。
 私どもはこの学校教育法の一部改正に対して基本的には賛成でございますし、ただいま有村議員から幅広くかつ適切な御質問をなさいましたので、それに敬意を表しながら、重複を避けて質問をさせていただければと思います。また、時間が余りましたらば、他の分野についても御質問させていただきたいと思っております。
 この学校教育法の改正の理由として、学位について、国際的な動向を踏まえということと教育活性化の観点からとなっておりますけれども、まず、国際的な動向ということにつきましてはどういうふうに具体的にとらえていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#50
○政府参考人(石川明君) 今回の学校教育法の改正理由についてでございますけれども、例えば一つ今回のお願いを申し上げている内容につきましては、短期大学を卒業した者に短期大学士の学位を授与するという内容があるわけでございますけれども、これにつきましては、短期の高等教育機関を卒業した者についてもアメリカや例えばそれからイギリス等で学位を授与するといったような最近傾向になってきておるわけでございまして、こういったものとレベルを合わせる、あるいはそれぞれの相互交流を活発にするといったような側面を重視して我が国においても対応していく必要があると、こういった観点があるわけでございます。
 そしてまた、例えばもう一つのお願いをしております重要な要素として、助教授あるいは助手に代えまして、准教授あるいは、助手はまた新しく残りますけれども、助教といったような教員の職を新設するわけでございますけれども、こういった例えば助教の職を設けるということにつきましては、若手の教員の職としてきちっと位置付けるということでそれぞれの国との相互交流、研究者の交流といったようなことにも役立つわけでございますし、また、こういった位置付けをきちっとすることによりましてこのような大学教員の職について国際的な通用性といったようなものが持ちやすくなると、このように考えているところでございます。
#51
○広中和歌子君 基本的には理解するわけでございますけれども、国際的といいましても、それぞれ国によってディグリーの名前とかそれから役職など違っているんじゃないかと私は理解しておりまして、例えばイギリスなどではチューター制度みたいなものもございますし、それからアメリカでは、私は知らなかったんですが、短期大学卒業者にはディグリーはなかったような気がいたしますし。
 そのようなことで、どのように例えば翻訳をしていくのか。教授はプロフェッサーですよね。それから、准教授はアソシエートプロフェッサー、これはアメリカのに準じているんだと思いますけれども。それから、助教というのはアシスタントプロフェッサーですか。そうすると、ディグリーの方ですけれども、PhDというのが博士ですよね。それから、修士がマスタースディグリーですよね。それから、学士がバチェラー・オブ・アーツですよね。そうすると、短期大学はどうなんですか。今朝、ちょっと字引、和英で見たんですけれども、なかったものですから、古い辞書だったのかもしれません。新しいのはどういう、先ほど同僚議員の質問でアソシエートということを使っていらっしゃいましたけれども、アソシエート・バチェラー・ディグリーというふうになるんですか。
#52
○政府参考人(石川明君) アメリカにおきます学位の呼称についてのお尋ねでございますけれども、アメリカにおきましても、先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、短期の高等教育機関、いわゆる短期、こちらで言います短期大学でございますけれども、それの卒業者に対しまして学位を授与するというような積極的な動きが出てきております。そして、それに対する学位の名称につきましては、ただいま先生からお話ございましたけれども、アソシエートディグリーと、こういった呼び方をしているようでございまして、我が国の短期大学士につきまして、先ほどちょっと有村委員の方からも御質問ございましたけれども、どういうふうに呼んでいくかということにつきましては、公定訳といったようなものを設けるような世界ではございませんので、これからの慣例といいましょうか、熟度を待ちたいと思っておりますけれども、こういった名称がやはり一般的には分かりやすいのかなと、こんなふうに考えているところでございます。
#53
○広中和歌子君 それから次に、教育活性化の観点からもこの法律の改正が求められたというふうに言っていらっしゃいますけれども、今までの助教授がこれはすべて准教授になるんでございますか。
#54
○政府参考人(石川明君) 今回の准教授につきましては教授に次ぐ職として位置付けられておりまして、従来、助教授につきましては学校教育法上も教授を助けるという職務の位置付けをしておりました。それをこのたびは教育研究に従事すると、教育研究を職務とするというようなことに変えるわけでございます。しかしながら、今回導入をいたします准教授の職につきましても、その内容といたしましては教授に次ぐ職といった位置付けを考えているわけでございまして、その意味では、実態上は現在助教授に就いていらっしゃる方がかなり多く准教授に移っていくといったようなことになるものと、このように考えております。
#55
○広中和歌子君 そういたしますと、日本のこれまでの助教授というのは、年齢の点でもいろいろな御活躍の点でも非常に幅広かったんだろうと思います。それから、人数もかなりの方がいらしたと思うんですけれども、それがすべてオートマティックに准教授に持ち上がるのか、そこで振り分けが行われるのか、振り分けが行われるとしたらそれはだれが決めるのかについてお伺いいたします。
#56
○政府参考人(石川明君) やや繰り返しになるかと思いまして恐縮でございますけれども、基本的には教授に次ぐ職として准教授といったようなものを今回設けるわけでございまして、その位置付けにつきましては、先ほども申し上げましたように、実質的にはこれまでの助教授と同じような方々を念頭に置いているわけでございます。そういった意味では、今回の新しい制度、位置付けにのっとりまして、これから、もしこの改正法がお認めいただけるんであれば、各大学におきましてそういった発令といいましょうか、准教授への任用についての御検討、御準備をいただくことになろうかと思っておりまして、それにつきましてはそれぞれの大学において適切に行っていただきたいと、こう思っております。
#57
○広中和歌子君 それから、いわゆる英語で言うとアシスタントプロフェッサー、つまり助教という新しい職がつくられますね。それは今までの助教授とは違うということになりますと、アシスタントプロフェッサー、アソシエートプロフェッサー、助教並びに准教授で、非常に数としては増えてくるんでしょうか。そして、この方の、こういう方たちのいわゆるその地位でございますけれども、任期制なのか、あるいはどこから任期制なのか、それから給料についてはどのような設定がなされるのか、これは大学に任されているのか、あるいは大学設置基準で何か決めていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#58
○政府参考人(石川明君) 今回新しく設けます若手教員あるいは若手研究者を念頭に置いた職として設けさしていただきます助教につきましては、御案内のように、これまで助手の世界の中で教育研究に主として携わっておられた方、これらの方々につきましてその職務内容といったようなものを改めて考えまして、助教という形で若手教員、若手研究者として位置付けようということでございます。そういったことでございますので、職の数としてはこの助教が一つ増えるということにはなろうかと思います。
 それから、こういった若手研究者の方々、こういった方々の流動性ですとか、あるいはそういった研究の世界の活性化といったようなことを図っていくということは大変大切でございまして、今回の中央教育審議会の答申をいただくに当たりましても、その中でも、そういった任期制については、できるだけといいましょうか、活用をしていくといったようなことを積極的に考えていくことが望まれるというようなことも提言をされているところでございます。
 それから、給与についてでございますけれども、これは基本的にはそれぞれの各大学で御判断、お決めになることであろうと、これが基本的な原則でございますけれども、先ほど申し上げましたように、例えば助教につきましては、これまで助手をなさっていらっしゃる方の中からそういった方々を切り分けていく、分かりやすく言えばそういったことでございますので、その仕事の内容が例えば同じような内容でございますれば、同じような基本的には処遇がなされるということになろうかと思っております。
#59
○広中和歌子君 若い方々に大学での、あるいは研究者としてのチャンスが与えられるということはすばらしいことだと思っておりますんで大賛成でございますけれども、大学が非常にこれから、何ていうんでしょう、経営の点で非常に困難な状況を抱える中で、数がやたらに増え、それがすべてパーマネントジョブというようなことになると、これから随分大変なことが予想されるんじゃないかなと思ったものでございますから、そのような質問をしたわけでございます。
 大学のこういう採用でございますけれども、それはもう大学の中で決めるんでしょうか、それとも公募などで決めるのか。そして、卒業生から採るのか、卒業生は原則として他の大学に行くことにするのか、つまり他流試合ですよね。そういうことで御方針があればお聞かせいただきたいと思います。
#60
○政府参考人(石川明君) こういった助教ですとか准教授などを採用するあるいは任命する場合の考え方あるいは採用方法についてのお尋ねかと思います。
 大学の教員としてどのような者をどのような手続によって採用してどのような教員組織を編制するかということにつきましては、公募制を採用するかどうかということも含めまして、国公私立大学を問わず、各大学が判断する事柄でございまして、大学として個々の教員の採用をそれぞれ決めていくということになろうかと思っております。
 また、助教や准教授に限らず、一般に大学教員の採用等に当たりましては、その責任の所在を明確にするということとともに、手続の透明性を確保するといったようなことが大変大事だと思っております。そして、ふさわしい資質、能力を有するか否かについて公正かつ厳格な教員評価を行うということが大変大事であろうと、このように考えております。
 そういった意味で、公募制のお話、ちょっとございましたけれども、このような方策の一環として、例えば各方面から広く優れた人材を集めるために公募制を一層積極的に活用するといったようなことが大変重要になってくるわけでございますし、また、選考委員会に例えば学内外の関連分野の教員の参加を求めたり、あるいは学外の専門家による評価とか推薦を求める、こういったことをしてそういった意見を参考にする、こういった方法などによりまして総合的な判断をしていくと。そして、客観性、透明性の高い任用、採用の仕組みを設けるといったようなことがこれからも有効であり、また大切になるというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、こういったことを踏まえまして、各大学がそれぞれの教育研究方針、組織運営の方針に沿って適切な教員採用、任用を行うといったようなことが大変大切になってくると、このように考えております。
#61
○広中和歌子君 ありがとうございました。
 今お話を伺って、助教というのが何となくやはりなじみがないもんですから、なぜ助教授になさらないんですか。大臣、いかがですか。
#62
○政府参考人(石川明君) 具体的なお尋ねでございますので私の方からお答えをまずさしていただきたいと存じますけれども、助教ではなくて助教授の方が適当ではないかと、助教という言葉、耳慣れないというふうなお話でございます。
 今回、助手のうちで教育研究を主たる職務とする者にふさわしい職として新たに設ける職の名称につきましては、いろいろな観点から検討が行われたわけでございますけれども、特に大事なポイントだとそれぞれ委員の中で認識をされておりましたことを幾つか挙げますと、例えば、若手教員の職であるという位置付けをやはり表すことができるような名称がいいだろうと。それから、助教授や講師など従来のほかの職名との間で混乱や混同を起こさないということも大切ではないかと。そしてまた、国語的、文化的な面から見ても、歴史的、社会的に一定の用例があるといったようなことなどが必要となるんじゃないかというようなことが考えられ、議論をされておったわけでございます。
 ただいま先生からお話がありましたように、この新しい助教につきましては、助教授とした方がいいのではないかというようなお話もございましたけれども、確かにアシスタントプロフェッサーの直訳というようなことであれば助教授という方が通りがいいのではないかと思われますし、事実そういった御意見もございました。
 しかしながら、既に助教授の職といったようなものが学校教育法上に規定をされておりまして、概念も定着をしておるわけでございます。そして、現行の助教授を准教授に改めた上で、同時にこの新しい職について助教授というような名称にいたしますと、例えばこの人については講師よりも上位の職であるというような誤解が生じかねず、混乱が生じる可能性が高いといったようなことで、特に常勤の講師をたくさん置いております医学部ですとか歯学部、歯ですね、歯学部などの分野においては大変強い反対があったところでございます。
 そういったようなことなど様々に総合的に検討いたしまして、助教といったような名称が適切であるといったような御結論をいただいたわけでございまして、私どもも、これを受けまして、今回の御提出しております法律案につきましてはこの助教という名称でお願いをいたしているわけでございます。
 なお、この助教という名称は全くの新造語ではございませんで、古くは律令の時代あるいは明治期にもこういった教員の職制を示す言葉としての実際の用例があるところでございます。
#63
○広中和歌子君 結構でございます。そのうちに定着いたしますでしょう。
 それで、次のテーマでございますけれども、二〇〇五年の六月に出された科学技術白書によりますと、少子高齢社会を迎える中、経済産業の活性化のためには人を重視する政策が必要であるとうたわれ、特に総合的な人材育成、それから女性や外国人の登用ということを言っております。そうした政策の背景には、これからの先端産業である、様々な分野があるでしょうけれども、ナノとかIT、情報通信の分野での人手不足ということも考えられるんではないかと思います。理科系の大学院の中で女性の研究者の割合がどのぐらいなのか、お伺いします。それから、外国人の割合はどうなのか。
 時間がもったいないので、私がもし間違っていたら御指摘いただきたいんですけれども、女性の研究者は一一・六%、外国人は一・四%と非常に少ないんですね。これは科学分野に限っているのか全体のか分かりませんけれども、いわゆる研究者と称する人たちの中で女性の割合が非常に少ない。これを国際的と言う、文部省が国際的であらんとするんであれば、余りにも非国際的でございまして、女性の研究者も是非増やすことが必要なんではないかということも思いますし、外国人の研究者も必要ではなかろうかと思います。
 ちょっと余談になりますけれども、ソ連邦が崩壊したときに様々な混乱が起こった。その中で、諸外国、特にヨーロッパやアメリカではすばらしい研究者をどんどん引っこ抜いたと言っちゃ言葉が悪いんですけれども、来ていただいて、そしてそれぞれの国の学問のレベルを高めたということもあるわけでございまして、そうしたエスタブリッシュした人だけではなくて、若い外国人、そしてまた女性もどんどん研究者として育てていただきたいと思うのでございますけれども、これまで女性のこうした努力がなされているかどうかという現状、そしてこれについての大臣のコメントをお伺いいたします。
#64
○政府参考人(有本建男君) 事実関係について私から御説明申し上げたいと思います。
 今、先生御指摘のとおり、女性研究者あるいは外国人の研究者につきましても、諸外国、先進国に比べましてかなり低いと。特に、女性の研究者につきましては、御指摘のとおり、全体に占める割合は一二%でございますけれども、先進国では三十数%、二〇%のところが多うございます。
 こういうところを踏まえまして、今、御存じのように、世界的に人材あるいは知識、技術の大競争時代を迎えている。一方では、我が国は少子高齢化の時代を迎えているという中で、科学技術系の人材を多様に、それからその質と量、これを確保するということが非常に重要な時期を迎えているというふうに考えているところでございます。
 そういう意味で、女性研究者につきましては、特に研究の助成であるとかフェローシップでありますとか、あるいは出産、育児に配慮した措置とか、こういったものをしっかり今後措置をしていくということが非常に大事になっていくんじゃないかというふうに思ってございます。特に、現在、第三期の科学技術基本計画の議論が進んでおりますけれども、その中でもこの件は非常に重要な施策になっていくというふうに理解をいたしてございます。
 それからもう一つの外国人研究者の割合につきましても、少しずつは増えておりますけれども、まだまだ低い状況にあるということでございまして、大学の国際化でありますとかあるいは外国人研究者の招聘と、こういった制度をしっかり充実していくということを考えてまいりたいというふうに考えてございます。
#65
○国務大臣(中山成彬君) 今、広中委員の御指摘のようなことは今年の白書等にも指摘されているわけでございます。私も、総合科学技術会議等におきまして、女性研究者をもっと増やすべきだ、あるいは外国人の研究者ももっと増やすべきだということを再三にわたって主張しているところでございます。特に女性研究者、出産その他でハンディキャップもあるわけですけれども、能力において決して男性に劣っているとは思えませんので、これからも幅広く支援をして、できるだけそういったことで活躍できるような女性が増えていくように支援してまいりたいと考えております。
#66
○広中和歌子君 ありがとうございます。
 それで、是非お願いしたいことがございまして、受皿としての様々な研究所とかそれから大学とか、いろいろあるわけでございますけれども、そこに是非年齢制限というのを撤廃していただければ有り難いなと思うわけです。
 例えば出産、育児で中断して、また、何というんでしょう、積極的にそうした活動に、職業活動に参加したいと思うときでも年齢制限で引っ掛かったり、あるいは例えば研究費をもらいたいと思っても何歳までというそれに引っ掛かるということがございますので、女性の立場からは是非これから、何も科学技術の分野だけで、学問分野だけではなくて、あらゆる職業についてそうだと思いますけれども、年齢制限に対して配慮をすると、配慮をするというんでしょう、撤廃するといったような、つまり人物本位、能力本位、そしてやる気ですよね、それから将来性、そうしたものを視点に人を是非選んでいただきたいと心からお願いする次第でございます。
 次に、もう一つ別のテーマでお伺いいたします。
 フルブライトのプログラムで、戦後非常に日本が貧しかった時期に、フルブライトのプログラムでアメリカに留学したり、あるいは別のプログラムでフランスなどに留学したりということで、多くの日本人が外国から学ぶというすばらしい経験をいただいたわけでございますけれども、日本も豊かになりお返しをする時期になったということで、一九九六年ですか、フルブライト五十周年を記念して海外から日本に来ていただくという、そういうプログラムが始まりました。それが一九九七年以来、今年で九年目に入るわけですけれども、だれを招くかといったときに、このプログラムにおきましては学校の先生を招いているわけですね。学校の先生を招くということ、そして三週間ぐらい日本に滞在して日本の様々な文化や制度を学んでいただき、また風物を見ていただく、人とのコンタクトもあると。そういう中で、国にお帰りになって、それをまた生徒に還元していくと。すばらしいプログラムだと思い、これの継続と発展というんでしょうか、更なる密度の高いものになることを期待しております。
 私もちょっとそのプログラムに参加したことがあるのですが、大変にいいプログラムだと思いました。是非これを継続してほしい。予算が年々減っているそうでございまして、初期の段階から比べまして約半分ぐらいになっているということを聞いているわけでございますけれども、今後このフルブライトプログラムをどのように扱われるのか、是非お伺いしたいと思います。
#67
○国務大臣(中山成彬君) 戦後のフルブライト留学生、日本に帰りましてから日本の経済社会の発展に大変な貢献をされた、これ事実でございますし、また今御指摘ありましたように、一九九六年ですか、橋本・クリントン会談におきまして合意されました日米国民交流の一環として、平成九年度から毎年六百名程度の米国の初等中等教育関係の教員等を日本に招聘している。三週間ほど我が国の学校あるいは文化、社会、教育施設、日本人の家庭等を訪問する機会を提供して、我が国の教育及び社会事情に関する理解を深めてもらうことを目的として実施してきているものでございまして、これまで約四千六百人の教員を招聘してきておるということで、日米間の教育交流あるいは相互理解の推進に多大な貢献を果たしているこれは有意義な事業と認識しているわけでございます。
 最近は大体年間五億五千万ほどの予算で推移しておりますけれども、非常に厳しい財政事情の中でよく一生懸命頑張って予算を獲得しているというのが実情でございまして、この事業の意義を十分踏まえた上で今後とも適切な実施に努めてまいりたいと、このように考えております。
#68
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
 ちなみに、私がアメリカに住んでおりましたときに、日本の先生方もアメリカにいらっしゃって、いろいろな学校訪問をしながら、現地の学校制度について、あるいは在り方について、あるいはまた一般のアメリカの文化、社会について勉強をなさると、そういうプログラムに出会ったことがあるんでございますけれども、それはいまだに続いているのか、ちょっとお伺いいたします。
#69
○政府参考人(銭谷眞美君) 先生お話のございました日本の小中学校等の教員を海外に派遣をする事業でございますけれども、これは昭和三十四年度から始まってございます。これまで累計で約十万六千人の教員を海外に派遣をして、国際的な視野に立った識見の獲得とか実践的な指導力の向上を図っていただいているところでございます。
 現状でございますけれども、平成十六年度の実績で申し上げますと、約十六か国へ千人の教員を派遣をいたしてございます。このうちアメリカにつきましては約二百三十人の教員の方が派遣をされておりまして、アメリカの学校視察あるいはアメリカの方々との交流を行っているところでございます。
 引き続き教員の海外派遣の機会の確保ということには努めてまいりたいと思っております。
#70
○広中和歌子君 これは、一時、何という、短期間訪問するというプログラムでございますけれども、今度は、逆JETと言うんでしょうか、日本の学校の先生がアメリカの学校に行って日本語を教えつつ、何年間か、一年か二年、そういったプログラムが西岡大臣のときにスタートしたことを私は覚えているんですが、そのプログラムというのは、出発点というのは日本がジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるぐらい非常に経済的に伸びている時期で、日本について学びたい、日本語を学びたいというアメリカの人たちの要望にこたえてそうしたプログラムを、私も提案した者の一人なんですけれども、その後のこのプログラムはどうなっているか、お伺いしたいと思います。
#71
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいまお話のございました逆JETプログラムでございますけれども、これはREXプログラムというふうに呼んでおります。日本名で言いますと、外国教育施設日本語指導教員派遣事業ということでございまして、お話がございましたように平成二年度に創設をいたしました。
 これまでにアメリカを含む十一か国に約三百名を超える教員を派遣をしているところでございます。これは約二年間派遣をいたしまして、海外における日本語学習需要に対応するとともに、学校の国際化、あるいは地域レベルの国際交流を推進をするということを目的に、我が国の中高等学校の教員を海外の学校へ派遣をして日本語教育に従事をしていただくという事業でございます。本年度も実施を予定をいたしておりまして、毎年大体二十人前後の教員を派遣をしているところでございます。
 このプログラムは、派遣国での日本に対する理解の促進に貢献をするとともに、教員自身の語学力や国際感覚を高めるといった効果もございまして、非常に意義のある事業だと思っておりまして、今後とも推進を図ってまいりたいと考えております。
#72
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
 今も続いているということ、大変心強いことでございます。
 ついでと言っては恐縮ですが、JETプログラムですよね、今度は。アメリカやヨーロッパや、ともかく英語圏の人たちに日本の学校で語学を教えてもらうと。そのプログラムはどういう形になっているんでしょうか。もっともっと、日本人の英語力というのが少しずつは良くなっているんでしょうけれども、余り国際的に通用しない人が多いというふうに言われて久しいわけですが、効果は上がっているというふうに評価していらっしゃるのか、お伺いいたします。
#73
○政府参考人(銭谷眞美君) JETプログラム、外国青年招致事業でございますけれども、この事業は外国語教育の充実と地域レベルでの国際交流の進展を図ることを主たる目的とする事業でございます。昭和六十二年に開始をされまして、本年度で十九年目を迎えたところでございます。当初は千人弱の人数で始めたわけでございますけれども、本年度、平成十七年度におきましては、四十四か国から五千八百五十三人を招致することといたしております。そのうち五千三百六十二人が外国語指導助手として主として中学校、高等学校で語学指導に従事をするという予定になってございます。
 このプログラムは、趣旨で申し上げましたように、我が国の外国語教育の充実、それから国際化の促進ということに非常に大きな貢献をしている事業と考えておりまして、文部科学省としては引き続きこの事業の充実を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
#74
○広中和歌子君 私自身、英文科を出まして、日本の大学で英文科を卒業いたしまして、ですから英文科卒業生について、そして特に教員になった方についてとやかく言いたくないわけでございますけれども、やはり英語教育というのが、あるいは英文学、米文学にいたしましても、非常にドメスティックな視点でなされていたような気がいたします。そういう意味で、現在、中学や高校、これから小学校にも英語教育などという、国際語としての英語教育ということが言われているわけですけれども、こういう外国の若い人たちがむしろ生徒じゃなくて先生を教えるような、そういうようなことをしたらば先生のプライドが傷付くかどうか分かりませんけれども、私は必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。
#75
○政府参考人(銭谷眞美君) 実は、私も昭和六十二年にこのJETプログラムが開始をされたときの担当をいたしておりまして、当時は外国人の方、つまり英語を母国語とする方が学校に来るということで、むしろ日本の英語の先生が戦々恐々としたという方もいたというふうに承知をいたしております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、この事業、もう十九年目を迎えて、これまで約四万四千人の外国人の青年の方が日本各地の学校教育現場に配置をされておりますので、随分様相は変わってきたと思っております。また、教育委員会に配置をして先生方の語学研修等のお手伝いをするという動きをしている英語指導助手もいるわけでございまして、先生方の研修それから子供たち自身の英語の実践力の向上、双方の面でこの事業は効果を発揮しているというふうに受け止めております。
#76
○広中和歌子君 期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、テーマを芸術文化の振興について、二十一世紀の文化戦略、これは私ども民主党の有志に文化庁からレクをいただいたその結果として大変すばらしいプログラムだという印象を持ちましたので、この点について質問させていただきます。
 二十一世紀、文化芸術で新時代をということで、芸術は豊かな社会をつくるということでもあり、また日本から海外に発信していく大きな手段でもあるわけでございます。是非この文化芸術の振興に文部省、文化庁、国を挙げて頑張っていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、文化予算について、日ごろよく言われることでございますけれども、日本の予算は余りにも少ないんではないかというふうに言われておりますが、現状と認識についてお伺いいたします。
#77
○国務大臣(中山成彬君) 文部科学省といたしましては、この文化芸術につきましては、最高水準の活動の重点支援によりまして頂点を高めるという面と、もう一つは地域における活動の振興を図ってすそ野を広げていくと、その両面で振興に努めているところでございます。さらにこれに加えまして、文化遺産の保存、活用、文化芸術の国際交流、美術館、博物館等の文化拠点の整備などを推進してきているところでございます。
 平成十七年度の文化庁予算につきましては、極めて厳しい財政状況の下でありましたけれども、文化芸術振興基本法等に基づきまして、心豊かで魅力のある社会を目指した文化力の向上を図るための施策を重点的に推進することといたしまして、対前年度千二百万円増の一千十六億五百万円を確保したところでございます。私、平成二、三年ごろ文部政務次官をしておりまして、そのころはまだ文化庁予算は五、六百億だったと思うんですけれども、もう倍になっているということで、驚いたといいますか、大変うれしい驚きだったわけでございますが、今後とも、厳しい財政状況の下ではありますけれども、文化芸術振興基本法を踏まえまして、文化芸術大国の実現に向けてこの文化予算の更なる充実確保について努めてまいりたいと考えております。
#78
○広中和歌子君 各国と比べますと、日本が約一千億ということでございますけれども、イギリスが約二千億、フランスが三千億、ドイツも一千億ちょっとと。アメリカは私はもっと低いかと思っていたんですが、千五百五十三億円と、円に換算してでございますけれども、そういうオーダーになっております。
 ただ、日本の場合は外務省の予算の中で国際交流みたいなもので文化予算というものも持っておりますので、それで三百億ぐらい足しますと一千三百億ぐらいなのかなと思いますけれども、まだまだトータルとして非常に低いんではないかなと。文化発信をもっと盛んにするにはどうしたらいいかと、元大蔵省にいらした大臣でございますけれども、大変御苦労なさってここまで来たということでございましょう。
 そういう中で何ができるかということなんですが、予算を増やすことも一つでございますけれども、アメリカの例なんかを見ますと、個人寄附が十四兆、十四兆円あるんです。遺贈というんですか、亡くなってから寄附する人の総額が一・五兆円、財団関係が二・二兆円、企業、財団一・一兆円、計年間十九兆円のお金が寄附をされ、そのかなりの部分が文化、学術、そういったものに使われているんではないかというふうに思います。
 そういうことを見ましても、日本がこれからできることは、もう既に各地域で箱物などはかなりできているわけでございますから、あとは地域参加、地元の人の参加によって、それはお金の面でも人材の点でも参加していただきながら文化を地方から発信する、そういう時代になっているんではないかと思います。
 そういう中で、寄附文化を育てるために文部省がリーダーシップを取っていただきたいと思うわけで、なかんずく中山大臣にはそのリーダーシップを取っていただきたいと思うんでございますけれども、コメントをお願いいたします。
#79
○政府参考人(加茂川幸夫君) お答えをいたします。
 各地方にございます文化会館を活用した文化芸術活動の活性化のためには、各地域における多様な文化芸術活動が活発に行われることが重要だと考えております。その際に、国や地方公共団体によるいわゆる公的な財政支援だけではなくて、委員御指摘の、個人でありますとか企業でありますとか、例えば寄附といったことも考えられるわけでございます。そういった民間からの支援、様々な形での財源の導入等、新しい支援方策を促進していくことは大変大事だと、こう思っておるわけでございます。
 税制について申し上げますと、現在、芸術分野の分野におきましては、いわゆる特定公益増進法人の制度、あるいは認定NPO法人の制度を活用しまして、公益法人等に対する民間からの寄附金について優遇措置が講じられておるわけでございます。特に、芸術文化分野について申しますと、いわゆる企業メセナ活動を促進する上で、社団法人企業メセナ協議会を通じて行われる寄附金が大きな課題といいますか、注目を集めておるところでございます。この制度の活用が図られますよう、既に十四年度におきましては対象範囲を拡大を図ったこと、十五年度におきましても都道府県の文化振興財団等との連携を進めることができるように相談窓口を全国に配置するなどの改善が図られたところでございまして、例えばこういった活動を一層活発化する、活用していくことによって委員御指摘のような寄附文化の充実の道筋が開けるのではないかと思っておりまして、私どもこれらの活用に意を用いてまいりたいと思っておるところでございます。
#80
○国務大臣(中山成彬君) 御指摘のように、箱物というのはもう随分整備されたなと、こう思っていまして、先ほど答弁いたしましたように、地域の文化力といいますか、文化芸術を振興するためにはやはり人々がこぞって参加するというふうな風潮が、これが非常に大事だろうと思っています。
 そういう意味で、日本はなかなか寄附文化というのが発展しにくい、してないんですけれども、今答弁いたしましたように税制面からの支援をしようということでかなり充実してまいったと、こう思っていますが、今後とも、そういった意味でもっともっと地域ぐるみの、国民ぐるみのそういった文化芸術振興という面でもっと努力すべき点があると思っていますので、一生懸命支援してまいりたいと思っております。
#81
○広中和歌子君 ありがとうございます。
 最後に、環境問題について、環境教育について御質問させていただきます。
 二〇〇二年のヨハネスブルク・サミットにおきまして小泉総理が提案をなさった。それは、ディケード・オブ・エデュケーション・フォー・サステーナブル・ディベロプメント、つまり環境教育の十年、持続可能な開発教育の十年ということで、二〇〇五年九月からそれが国連のリーダーシップによって始まるわけでございます。日本の文部省といたしましては環境教育につきましてどのような取組をなさっているのか、どのようなコミットをなさっているのか、お伺いいたします。
 時間の制約もありますのでちょっと言わせていただきますと、環境のように非常に学際的な分野でございますよね、それは非常に総合教育に適しているんではないかと思います。今朝もNHKで総合学習のすばらしい点が映像によって放映されたわけでございますけれども、これは新しい試みでございますから、総合学習というのは、教師の、先生方にとっては非常に大変なことだとは存じますけれども、例えば高齢化の問題にしても環境の問題にしても、本当に身近な問題を様々な角度から総合的に取り組んでいくという、そういうことは非常に必要だろうと思うわけでございます。
 特に環境に関しましては、日本は、京都議定書の締約国の中、京都で発生した京都議定書、それを現在守れていないという状況にありますし、環境問題は、御指摘するまでもなく、ここ数年の異常気象なんかもかなり温暖化その他によってもたらされているんではないかと危機感が迫ってくるわけでございますけれども、そういう中におきまして是非環境教育を推進していただきたいと思うわけでございます。
 大変僣越ながら、ここに「地球憲章」というものをお回ししております。これは私も参加して、世界じゅうの国々の人々の意見の集約によってでき上がったものでございまして、日本からも、一部でございますけれども、意見を取りまとめてここの中にインプットしているわけでございます。是非これも一つのテキストとして使っていただきたい。
 一つのサゼスチョンでございますけれども、オリジナルは英語でございます。日本語に翻訳されたものもございますけれども、是非英語の授業などでこれを使っていただく。翻訳をするという過程の中でばっちり頭の中にインプットしていただくというようなことも一つのやり方でございますので、是非、ここに一つ見本がございますけれども、これをサンプルといたしまして、是非、何というんでしょう、教科書に取り入れていただく、あるいは副読本に取り入れていただくという形で環境教育というものを推進していただきたいと心からお願いする次第でございます。
 環境というのは、とかく分別収集すればそれで済むといったようなものではなくて、非常に幅広い、国際的なものでございまして、もちろんこうした温暖化の問題もございますけれども、人権の問題、今サミットが行われております、アフリカの貧困の問題等々、いろいろな角度から学ぶべきテーマでございますので、是非文部省としてはリーダーシップを取って推進していただきたいと心からお願いする次第でございます。
 以上です。
#82
○国務大臣(中山成彬君) この環境教育、本当に子供のころからしっかりと教えるべきだと、こう思っていまして、今御指摘ありましたように、学習指導要領等におきまして、地球環境、資源・エネルギー問題等について、地球温暖化の問題を取り上げて生徒が調べて追求する学習を取り込むとか、そういった意味で総合的な学習を、今御指摘ありましたが、こういった時間を通じて環境に関する学習の充実を今図ってきているところでございますが、そういった中にありまして、今、広中委員が参画されたというこの「地球憲章」ですね、こういったことについても取り上げていったらいいなと思いますけれども、これはそのままではなかなか難しゅうございますから、小中学生には、一律になかなか取り上げるの難しいかと思いますけれども、いろんな研修の場で先生方にこういったことを参考にして環境教育を進めるようにということは言えるんじゃないかなと思っていますので、活用させていただきたいと思います。
#83
○委員長(亀井郁夫君) ありがとうございました。
 それでは、午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#84
○委員長(亀井郁夫君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、学校教育法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#85
○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義です。
 提案されました学校教育法の一部改正案並びに、今日はせっかくの機会ですので、法案とは直接かかわりはありませんけれども、教職員にかかわる労働安全衛生管理体制の整備をめぐる諸課題についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 巡り合わせとはいいながら今日は七夕という日で、この日に質問をさせていただく機会を持つことができました。子供たちも含め、教育に携わるすべての人の願いがかなうような文科省としての度量と良識の発揮を切に望むところでございます。
 さて、質疑に先立ちまして、どうしても指摘をさせていただきたいところがございます。中山大臣の、またしてもの従軍慰安婦の記述に関する問題発言についてであります。昨年十一月に引き続いて、従軍慰安婦という言葉はそもそもなかった、これまでなかったことがあるということが問題という趣旨を六月十一日のタウンミーティングの際に述べられたとの報道に接して、私は失望を禁じ得なかったというのが偽らざる思いであります。
 私は、四月十九日の本委員会において、前回の検定時、森総理は、当時の森総理は、政府の考え方は村山内閣総理大臣談話を基本として、深い反省とおわびの気持ちに立って世界の平和と繁栄に向かって力を尽くす。政府としてはこの考え方に立って教科書があるべきものと答弁された。森総理答弁を尊重する覚悟はおありかというふうな質問をさせていただきました。慰安婦にかかわって見識を問わしていただいたわけでありますけれども、これに対して大臣は、我が国が植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた事実は謙虚に受け止め、深い反省とおわびの気持ちを持って世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくと、政府の一員の私も、この考え方を踏まえ関係諸国との信頼関係の一層強化に努めてまいりたいと誠実にお答えになりました。
 さらに私は、質疑の締めくくりに当たり、さきの大戦当時、従軍慰安婦という言葉、用語はなかった。だから教科書に載せなくてもよいとの立場は、歴史教育の何たるかについての無理解をあらわにするものである。科学的検証を得てその事実、実態に適合する定義を成す。それが歴史教育の道理であり、この帰結に思いが至らないことは正に歴史への冒涜以外の何物でもない。歴史教育における思考停止は未来に対する責任放棄であり、罪ですらあると念押しもさせていただいたところでした。大臣からは、質疑終了後にもかかわらず、まあこちらをこう通られていった、退席されたわけですけれども、那谷屋さんの言うとおりだよなと、丁寧かつそのお人柄がうかがえるお言葉もちょうだいしていただけに、その感は深まらざるを得ないのでございます。
 中山大臣の論法によりますと、我が国の独立を確保するための偉業であったと大臣が高く評価される明治維新という表記さえ教科書から姿を消すことが当然になる、こういうふうに思います。何より高校の日本史教科書の十八冊中十六冊において慰安婦に関する記述が見られますが、この検定結果に対する最高責任者自らの異議申立てにほかならないという事の重大性を承知した上での発言なのかと指弾せざるを得ないのは悲しくさえあるところでございます。文科大臣としてはあってはならない不適切な発言であることを明確にさしていただいた上で質疑に入りたいというふうに思います。
 学教法改正案の質疑に先立ちまして、本案の改正趣旨、目的とも密接に関連するという点で、既に一年の歩みをしるしてまいりました国立大学法人の今後の在り方等についてまずお尋ねをします。
 同法人化に関して、文科省は、要は頑張って業績を上げている国立大学が報われ、そうでない大学は存在が厳しく問われるようにするための新しい競争の仕組みだと規定してきたわけでございます。法人発足後においては、市場原理による淘汰のみならず、政策誘導という政策的な淘汰さえちゅうちょしないとする文科省の本意が透けて見えるものであります。規模の小さな大学であればあるほど、この文科省の効き薬の副作用は強まっていく。ともすれば学生そっちのけで競争的資金等の獲得に血眼になる本末転倒の図が繰り広げられているのではないかという懸念も大きくなるばかりでございます。
 その上、看過し得ないことは、運営費交付金が逓減せざるを得ない法人財政の仕組みを強要する文科行政の矛盾にとどまらず、この間、学生納付金の標準額の値上げが文科省の概算要求にもなく突然財務省から持ち出されたことなどでも証明される、いわゆる財政の論理優先の立場から行財政改革を完遂しようとする財務省や、国際競争力強化に特化した経済産業省主導の特定大学、分野への資金投下などにより、国立大学が自己収入増にきゅうきゅうとし、いわゆる学問の府としての使命と言える教育研究がゆがめられつつあることであります。
 国立大学法人法の目的に合致する大学の運営が果たしてなされているのか、文科省は本委員会に対して説明責任を全うすべきだと考えます。その決意はおありかどうか。
 同時に、本年度で期限を迎える国立大学等施設緊急整備五か年計画について、現時点での進捗状況等をどう総括するのか。さらには、創造力豊かな人材の育成等に不可欠な工程表として来年度以降における新たな施設整備計画を策定する用意がおありか、併せて確たる答弁を求めます。
#86
○政府参考人(石川明君) まず私の方から、国立大学の法人化についてお尋ねがございましたので、その点についてお答えを申し上げたいと存じます。
 国立大学の法人化につきましては、各大学の自主性、自律性を高めることによりまして、機動的、戦略的な組織運営や、あるいは特色ある教育研究活動の展開を可能とし、学術研究の中核を担うとともに、地域の教育文化産業の基盤を支え、学生の経済状況に左右されない進学機会を提供するといった国立大学の役割を更に一層しっかりと果たしていくと、こういったことを目的としたものでございます。
 現在、国立大学法人におきましては、法人化を契機といたしまして、地元の自治体関係者など学外有識者の意見も取り入れながら、これまで以上に自主性、自律性を発揮してそれぞれの特色に応じた取組をしておりまして、例えばカリキュラム改革などによります教育の質の向上、あるいは基礎的、先端的分野の研究の推進など研究機能の強化、そしてまた就職支援体制の強化など学生サービスの充実といったような教育研究活動に取り組んでいるところでございます。
 文部科学省といたしましては、国立大学の教育研究の一層の活性化こそが法人化の目的であるというような認識の下で各国立大学が思い切って特色のある教育研究活動を展開できますように、今後とも各国立大学法人や国立大学協会との十分な意思疎通を図りながら必要な支援に努めてまいりたいと、このように考えております。
 また、このような国立大学法人の活動状況につきましては、例えば今回のような本委員会におきます御質問へのお答えを始めといたしまして、様々な場において広く情報発信をして、国立大学に対する理解と支援、これをしっかりと得ていくということが重要であると考えているところでございます。
#87
○政府参考人(大島寛君) 施設の整備についてお尋ねございましたので、私の方からお答えさせていただきます。
 お尋ねの国立大学等施設緊急整備五か年計画でございますが、平成十三年の四月に第二期の科学技術基本計画、これを受けて策定したものでございます。現在、国立大学法人等の施設の整備につきましては、この計画に基づきまして大学院施設や研究拠点等の整備、それから老朽化いたしました施設の改善整備と、こういったものについて、国の財政事情極めて厳しい状況の中ではございますけれども、重点的、計画的な整備に努めてまいったところでございます。
 その進捗状況でございますけれども、本年度、御指摘のように平成十七年度がその最終年度に当たります。整備目標全体は五百九十七万平米でございましたが、これに対しまして四百二十一万平米、七一%の達成となっております。この内容といたしましては、狭隘化の解消を中心といたしました大学院施設、それから研究拠点の整備、これについては目標を達成したという状況でありますけれども、もう一つの老朽化した施設の改善整備、これについて整備目標の三百八十八万平米に対しまして二百九万ということで、五四%の整備にとどまったということでございまして、この未実施分については引き続き今後の課題であると認識しているところでございます。
 文部科学省といたしましては、国立大学法人等の施設、これは世界一流の人材の育成、そして先端研究を推進するための重要な基盤ということで認識しておりまして、本計画終了後におきましても、老朽化した施設の改善整備も含め、重点的、計画的な施設整備の推進に向けて引き続き最大限努力をしてまいりたいと存じます。
#88
○那谷屋正義君 法人化後の一年後の総括については、是非説明責任を果たしながら、是非当初の目的に沿うよう今後ともよろしくお願いしたいというふうにお願いをしておきたいと思いますし、また、今の施設に関しては老朽化の部分が大変遅れてしまったということで、これは確かに作業とか様々大変な部分がございますけれども、災害日本というふうに言う、災害国日本というふうにも言われますので、是非そこのところに重点を置いていただいて、今後ともよろしくお願いしたいというふうに思います。
 さて、本題の学校教育法改正案に入ります。
 今回の制度改正が、大学教員が真に望むそうした目的があり、そしてそれが特に学生のための改革につながるというふうなことでございますけれども、それにつけても心配な面もございます。こうした課題を中心に文科省の考え方、決意をお聞きします。
 まず、提案理由説明によりますと、本改正案の目的は、若手教員の活躍により教育研究の活性化を図ることでありますけれども、極めて柔軟性に富む、言い換えれば大学側の恣意性に任されたとも言えるこの種の改革が、大学あるいは高等専門学校等の教育研究の活性化にどのように寄与、貢献し得るのか、御説明をお願いいたします。
#89
○国務大臣(中山成彬君) 国立大学の法人化、一年を経過いたしましたが、大学等、現場に行きましても活気が出てきたなということを実感するわけでございますが、そういった中で、現在の大学の教員組織というのは、若手の大学教員が柔軟な発想を生かした活動を展開する上で必ずしも適切なものになっていないというような指摘もあるわけでございます。
 今回の法改正におきましては、若手教員が自らの資質、能力を十分発揮して活躍できるように助教授や助手の位置付け等の見直しを行うこととしたものでございます。
 具体的には、現行法において、助教授や助手は、教授の職務を助ける、又は教授及び助教授の職務を助けると規定されておりまして、教授等との関係を基にして職務内容や職名が定められているわけでございますが、新しい制度の准教授や助教については、自ら教育研究を行うことが主たる職務であるという観点から職務内容や職名が定められることから、教授等との関係は各大学が主体的に判断することが可能となるとともに、それぞれの主体的かつ活発な活動が期待されるところでございます。また、助教の職が新たに設けられることによりまして、将来の教授等を目指す者が最初に就く若手教員の職が明確化されることになりまして、将来の大学の教育研究の中心を担う者としての力量を養うための環境がより一層整備されることが期待されるものでございます。
#90
○那谷屋正義君 ありがとうございます。
 改正理由として、その一つの中に教育研究の活性化等の観点が挙げられたということは、我が国の高等教育機関にかかわる教員組織の在り方が、ともするとその徒弟制度的な残滓がいまだ色濃いということへの反省を率直に述べたものだというふうに受け止めた次第であります。
 それならば、有言実行あるのみでありまして、助教の職に就く若手教員が自立して自らの力を存分に発揮できるように教育研究環境を抜本的に向上させるべきだと考えますが、その決意をお聞かせください。
#91
○政府参考人(石川明君) 本法律案につきましては、ただいまも大臣の方から御答弁申し上げましたように、若手教員の活躍等による大学全体の教育研究の活性化を図るために助教授や助手の見直しを行おうとするものでございます。このような制度改正が円滑かつ実効性を持って機能していくというためには、各大学が制度改正の趣旨を生かしまして教育研究の充実に積極的に取り組むとともに、文部科学省といたしましても、各大学におきます取組が教育研究の活性化に一層つながりやすくなるように若手教員に対する支援措置の充実を図っていく、そういったことが大変重要であると考えております。
 このため、例えば若手教員が自らの資質、能力を十分発揮できるように、若手教員が利用できる競争的資金の充実を図りますですとか、あるいはスタートアップも含めました教育研究活動のために必要な環境を整備すること、あるいは若手教員に配慮しました組織的な教育研究を展開するための施設整備等の支援ですとか、そしてまた、例えば国が行っております研究教育拠点の形成支援にかかわる事業等の審査を行う際に、若手教員が活躍できる環境づくりに配慮したものであるかどうかといったようなものも考慮するというようなことなどを通じまして、こういった取組を積極的に促してまいりたいと、このように考えているところでございます。
#92
○那谷屋正義君 ありがとうございます。
 同時に、先ほどもちょっと質問あったかもしれませんけれども、このような助教を始めとする若手教員について、職務内容等に適切に見合うような給与面を含めた処遇改善も必要であるというふうに考えますけれども、これに対しての見解をお聞かせください。
#93
○政府参考人(石川明君) 助教を始めとする若手教員についての処遇についてでございますけれども、今回の制度改正は、先ほども申し上げましたけれども、現行の助手を、教育研究を主たる職務とする者にふさわしい、相応する職として助教の職を新設するとともに、教育研究の補助を主たる職務とする職として新しい制度における助手を明確化しようとするものでございます。こういったことを踏まえまして、新しい制度におきましては、各大学における助教の処遇や職階上の位置付けは各大学の判断により適切に定められるということが基本であると、このように考えております。
 ただ、これまでの経緯あるいは実際に当該助手が行う職務の実態等も踏まえまして円滑な処遇等が行われるということがもちろん望ましいわけでございまして、例えば、従来から改正後の助教の職務に属する職務を行っていた方々につきましては処遇等は基本的に継続されていくものと、このように考えているところでございます。
#94
○那谷屋正義君 是非その意欲的な若手教員が意欲的に取り組める、そういう環境整備には是非御努力をいただけたらというふうに思います。
 この本改正案に関連してでありますけれども、いわゆる講座制それから学科目制に関する規定が大学設置基準の改正事項として規定が削除され、多くの大学で講座制や学科目制がなくなった場合のことですけれども、若手の大学教員、研究者の養成がきちんと行われるかどうか懸念をされるところであります。今でも教授のポストは増えているのに助手のポストは増えていない実態にあって、若手教員の養成のためには助教などの若手教員が就くポストがきちんと確保される必要があるのではないでしょうか。見解をお聞きします。
#95
○政府参考人(石川明君) 大学教員のポストをどのように設けるかといったようなことにつきましては、各大学の自主的な判断にゆだねられている事項でございますけれども、大学におきます教育研究の活性化や若手教員の養成というような観点からは、若手教員のためのポストといったようなものが一定数確保されるということは大変重要なことであると私ども考えております。
 本年一月に取りまとめられました中央教育審議会の大学の教員組織の在り方に関する検討委員会、この「審議のまとめ」におきましても、大学の教員に優れた若い人を確保するためには、若手が就く大学教員のポストを一定割合確保するということが望まれ、特に、世界的研究・教育拠点の機能に重点を置く大学におきましてはこの点に留意をするということが求められるという旨が指摘をされているところでございます。
 文部科学省といたしましては、各大学に対しまして、この「審議のまとめ」の趣旨について様々な機会や方法を通じまして周知を図ってまいりたいと考えておりますし、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、国が行っております研究教育拠点の形成支援事業、こういったものの審査の際に、そういった若手教員が活躍できるような環境、あるいはそういった場が用意できているかといったような点もしっかり見ていきたいというようなことを考えております。
 こういったことを通じまして、若手教員が就くポストの確保ですとか、あるいは若手教員が活躍しやすいような環境整備が進むようにこれからも取り組んでまいりたいと、このように考えております。
#96
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
 次に、本改正案が成立した結果、教員配置の効率化をにしきの御旗にして、経済合理性、いわゆる人件費の削減等が考えられるわけですけれども、そうしたことのみを優先して、教員の身分、労働条件、あるいは教育研究等への悪影響を及ぼすような陥穽にはまることがあってはならないと考えるところでありますけれども、見解をお聞きしたいと思います。
#97
○政府参考人(石川明君) 大学教員の職の在り方など、大学の教員組織の在り方につきましては、従来から種々の場で検討課題として議論されてきておりまして、これまでも、大学審議会の答申、これ平成八年でございますが、あるいは第二期の科学技術基本計画、平成十三年でございますが、これにおきまして、助手の職務内容や名称の見直し等を含めた教員組織の在り方について検討の必要性がある旨指摘をされているというところでございます。
 このように、現在の大学の教員組織は、若手の大学教員がその自主性や独自の発想を生かした活動を展開するという上で必ずしも適切なものとなっていないという指摘をされているところでございまして、今回の法改正によりまして、若手教員が自ら資質、能力を十分発揮して活躍できるように助教授や助手の位置付け等の見直しを行うということとしたものでございまして、経済的な合理性の観点を優先した制度改革といったようなことを意図するものではもとよりございません。
 また、文部科学省といたしましては、各大学等の教育研究の充実が図られるということが何より優先されるべきでございまして、経済的合理性のみが優先されるようなことがあってはならないと、このように考えているところでございます。
#98
○那谷屋正義君 今お話しいただいたことが是非実行化するように望むところでございます。
 先ほども質問にありましたのでこれはお聞きしませんけれども、いわゆる教授以外について教育研究の組織編制として適切と認められる場合には置かないことができるというような理由、それはもう先ほど聞かれましたので私の方からは省略いたしますけれども、改正後においても、大学や短期大学の設置基準上の、いわゆる先ほどもお話ありましたけれども、専任教員の配置基準というものは今までどおり厳正に守られるべきだというふうに考えるところでありますが、見解をお聞きいたします。
#99
○政府参考人(石川明君) 大学設置基準やあるいは短期大学設置基準上は、大学や短期大学は学部あるいは学科の種類及び収容定員に応じて定められた数以上の専任教員を置くものとされているところでございます。このことにつきましては、今回の法改正に伴って、この最低限必要とされる専任教員の数を変更するというようなことは考えていないところでございます。このため、今回の制度改正によりまして、各大学の判断によって准教授や助教を置かないというようなことが可能になったといたしましても、最低限必要とされる専任教員の数は改正前と同じでございます。
 そういったことでございまして、文部科学省といたしましては、これらの基準というものは今後とも引き続き厳正に守られるべきであると、このように考えているところでございます。
#100
○那谷屋正義君 ありがとうございます。
 それから、今回のこの改正によって、国立大学に交付されております運営費交付金がこの見直しによりまして減ることが許されないというふうに理解をしますが、この認識でよろしいでしょうか。
#101
○政府参考人(石川明君) 国立大学法人に対する運営費交付金のお尋ねでございます。
 この運営費交付金につきましては、事業の効率化など目に見える形での経営努力を図る一方で、各大学の特色ある取組に応じまして幅広く支援を行うこととする算定ルールに基づきまして措置をされるというものでございまして、今回の学校教育法の改正によって運営費交付金が減額されるというような仕組みですとか、そういった関係にはなっていないところでございます。
 なお、文部科学省といたしましては、平成十七年度予算におきましても、各国立大学の教育改革あるいは学術研究の高度化などの取組、こういったものを支援をいたしまして、教育研究の基盤を支えるのに必要な運営費交付金につきまして前年度と同程度の水準を確保できたものと考えております。今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
#102
○那谷屋正義君 やはり先立つものがないとなかなかうまくいきませんので是非お願いをしたいというふうに思いますけれども、教育研究の活性化が国立大学において実現するためには、教員がしっかりと配置され、整った教育研究環境の下で教育研究が行われることが不可欠であります。
 そのためには、文科省が運営交付金をきっちりと確保して国立大学をしっかりと支えていくことが必須の要件となるはずと考えますが、様々財政厳しい中で、それに向けての決意をお聞かせください。
#103
○政府参考人(石川明君) 国立大学法人の運営費交付金につきましては、各大学が着実に教育研究を展開していくという上でその確保は極めて重要でございます。
 国民の理解を得るため、目に見える形での業務の効率化ですとか、病院の経営改善などの経営努力による減額を図る一方で、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、それぞれの国立大学の個性や特色を生かした教育研究上の意欲的な取組に対して特別教育研究経費といったような項目を設けておりますが、これにより増額を図ることによりまして必要な運営費交付金を措置するということといたしております。
 文部科学省といたしましては、引き続き、厳しい財政状況の中ではございますけれども、今後とも各国立大学の教育改革あるいは学術研究の高度化などの取組を支援をして、教育研究の基盤を支えるのに必要なこの運営費交付金の確保につきましては引き続き努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#104
○那谷屋正義君 是非、頑張っていただきたいと思います。
 助手の中には授業科目を担当する十分な力を持った方がいらっしゃるにもかかわらず、授業科目を独立して担当することからは排除されてきました。しかし、教員養成という観点からは、助教も教授や准教授と同じように授業科目の担当者として責任ある立場で教育に携わることが望ましいというふうに考えます。大学の教員組織の在り方に関する検討委員会における「審議のまとめ」、先ほど触れられましたけれども、そこでも助教は授業科目の担当者になることができるとされています。
 文科省のあるべき指導性が問われる課題でもございますが、見解をお聞きします。
#105
○政府参考人(石川明君) 助教につきましては、将来の教授等を目指す者が最初に就く若手教員の職でございます。そういったことから、大学教員として自ら教育研究に従事し、その中で資質、能力を高めていくということが期待される職でございます。
 このような位置付けを表しますために、改正後の学校教育法第五十八条の第八項におきましては、「助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。」と、このように規定をすることといたしておるわけでございまして、助教の具体的な職務といたしましては、自ら研究を行うということとともに、例えば教授等が担当責任者となっている授業科目の授業の一部を担当するということはもちろんでございますけれども、そういったことにとどまらず、大学が担当させることが適切であると判断した授業科目の担当責任者となるようなことも当然考えられるわけでございますし、また、大学院学生への研究指導にかかわること、こういった仕事を想定しているわけでございます。
 したがいまして、授業担当教員の割り振り等につきましては大学が御判断をされる事柄ではございますけれども、制度上、助教は授業の担当者になることができる職であるということを明確に位置付けていきたいと、このように考えているところでございます。
#106
○那谷屋正義君 新たな制度での助手は制度上行き止まりの職になるのではないかという不安もございます。その助手のキャリアパスについてはどのように考えておられるのか、また、本改正により助手の処遇が今より悪化することは断じてないと理解をするところでありますけれども、併せて確たる答弁をお願いいたします。
#107
○政府参考人(石川明君) 助手に就く方の将来の処遇あるいは職業能力の開発、将来のほかの職への転換等を含めましたキャリアパスにつきましては、各大学や各分野の実情に応じましてそれぞれの大学において御判断をされるということが適当なことと考えておりますけれども、例えば各大学の判断によりまして主任助手など教育研究を補助することを主たる職務とする職について独自の体系を設けるようなこと、あるいは、情報化や国際化への対応、入学者選抜等の専門性の高い職務が今拡大をしてきておりますので、こういった専門性の高い職務を担う職と、そういった職を事務局内に設けた上で、こういった職の方々と助手との間で人事交流を行うといったようなことも考えられるかと思っております。
 なお、助手のキャリアパスとしては主としてこんなことが、今申し上げたようなことが考えられるわけでございますけれども、助手の職に就いている個々人の資質能力によりましては、その適性とか資質能力に基づきまして、各大学の判断によりまして准教授ですとか助教等に採用されるといったようなことも大いに想定されるところでございます。
 なお、助手の処遇についての御懸念が示されたところでございますけれども、助手の処遇につきましても、これを含めて教員の処遇は各大学の判断によって定められるといったようなものが基本であると考えております。そういった意味で、新しい制度におきます助手の処遇についても、これまでの経緯ですとか実際に当該助手が行う職務の実態も踏まえながら各大学の判断により定められるものであると考えております。
 もっとも、今回の制度改正、現行の助手をベースとして、教育研究を主たる職務とするのにふさわしい職として助教の職を新設するといったような趣旨でございますので、職務の実態が従来と変わらないなど、従来の助手の職務に属する職務を行っていた方々につきましては、基本的には、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、処遇は変わらないものと、このように考えております。
#108
○那谷屋正義君 現行の助手の多様な実態からすれば、助教とそれから新たな助手に区分される際には様々なトラブルが生じることが想定されるんではないかというふうに思います。理解と納得というようなことに基づく区分けを可能とするためにも、助手本人と十分なコミュニケーションを取り、本人の意思がきちんと尊重されるようにするべきと考えるところでありますが、見解をお聞きします。
#109
○政府参考人(石川明君) 現在の助手の職にある方々を助教とするかあるいは助手とするか、またその際の手続をどうするかといったことにつきましては、各大学におきまして制度改正の趣旨等を踏まえながら関係法令に従って判断されることになると、このように考えております。
 なお、その際には、現在の各助手の方々の具体的な職務の実態、今後の職務分担等を総合的に踏まえて判断されることになろうかと思っておりますが、その一環として、現在の助手本人とも十分にコミュニケーションを取っていくということは大変大切なことであると、このように考えております。そして、各大学におきましては助手の方々の意思も適切に踏まえた対応がなされるのではないかと、このように考えているところでございます。
#110
○那谷屋正義君 いざというときの不服申立てができるような、そうした苦情処理機関というものが本来必要ではないかなというふうにも考えるわけでありますけれども、そこまでのお答えはあえて今回は聞いたりはしませんけれども。済みません。
 前述の「審議のまとめ」では、助教に関して任期制の導入を提言されています。しかし、大学教員の任期法というのは選択的、限定的をその趣旨としており、各大学が各分野、部署ごとに判断すべきであって、一律に制度化して導入すべきではないし、同法の目的からして任期制を無限定に広げることは許されないというふうに理解をしますが、その見解をお聞きします。
 また、この任期制によるもののほかに、労働基準法による有期契約労働の適用も大学等ではございます。任期制と有期契約労働ではその適用において具体的な相違が生まれます。このことを踏まえるならば、法令の徹底は完璧を期す必要があります。少なくとも本人への契約内容、更新時の要件は本人に説明をし、本人の同意によって進めるべきと考えます。特に、競争的資金の活用の中で雇用されている研究者には格別の留意が払われる必要があると考えますが、答弁をお願いいたします。
#111
○政府参考人(石川明君) 助教についての任期制に関するお尋ねでございます。
 中央教育審議会の大学分科会の中に置かれておりました大学の教員組織の在り方に関する検討委員会、この議論におきましては、任期制につきまして、助教が将来の大学教員を目指す者が就く最初の大学教員の職という位置付けの職であることにかんがみれば、若手教員の流動性を高め、そして優れた人材の養成あるいは教育研究の活性化を図るためには、一般にこれらの制度が積極的に活用されることが望まれると、このように提言をされておるところでございます。
 一方、大学の教員等の任期に関する法律につきましては、各大学の判断によりまして、教育研究上の要請から任期制が必要とされるケースにつきまして、任期を定めた教員の任用を行い得るようにしておくという趣旨で定められたものでございますが、今回の法改正につきましてはこうした同法の趣旨を変更するものではないと考えております。
 したがいまして、本法律案によります制度改正後も、助教につきまして大学の教員等の任期に関する法律に基づく任期制を導入するか否かにつきましては、各大学がそれぞれの実情や各分野の特性に応じて判断をするものであると、このように考えております。
 それから、有期労働契約の職員についてのお尋ねが併せてございました。
 労働基準法に基づきます労働契約を締結するに当たりましては、使用者は、例えば労働基準法の十五条の第一項の規定に従って、賃金、労働時間あるいはその他の労働条件を明示しなければならないと、このように規定をされておりますし、契約に当たりましては労働条件について両者の意思の合致が求められているわけでございます。
 国立大学法人あるいは学校法人等におきましては、教職員を雇用するに際しましては、競争的資金の活用によって雇用される者を含めまして労働基準法の適用を受けるというようなことになっているわけでございまして、任期のあるなしということを問わず、これらの労働関係法制を遵守していくということは当然必要であろうと、このように考えておるところでございます。
#112
○那谷屋正義君 ありがとうございます。
 いずれにしましても、この改正の目的がいわゆる教育の研究の活性化というものに照らし合わせ、それにはやはりそこで働く方たちが大変意欲を持って前向きな働きをするという、研究をしていくということが最も大事だろうというふうに思いますし、そのことが、先ほど冒頭申し上げましたように、ひいては学生の様々な指導にも結び付いていく、また学生の学びを保障していくんではないかというふうに考えるところですので、是非そうした様々な条件整備についてはよろしくお願いしたいというふうに思います。
 施行までの準備期間を一年半というふうにされていますけれども、そのことは十分かつ慎重な検討の時間が必要とされているというふうな見解を示したものとして評価をさせていただきたいというふうに思います。ならば、今質疑で確認させていただいた事項を含めて、改正の趣旨、目的を明確化することを第一義に、実質的なガイドラインとしての規定、役割を果たすための取組、創意工夫を文科省は行う責務があるというふうに考えますが、決意をお聞かせください。
#113
○国務大臣(中山成彬君) ただいま那谷屋委員とそれから石川局長の間で大変きめ細かい質疑応答がなされているわけでございますが、今回の法改正を国会でお認めいただいた場合には、御質問に対する答弁の内容等を含めまして、この法律の趣旨や目的が関係者にとって明確となるように、各大学や高等専門学校に対する施行通知の発出あるいは各種会議における説明などを通じまして周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
#114
○那谷屋正義君 その周知徹底というふうなことの様々な方法の中には施行通知も当然入ることになるというふうに私の方としても理解をさせていただいたところであります。いずれにしましても、これまで確認させていただいたせっかくの答弁がしっかり生きる形での文科省のいわゆる実効性ある取組を強く要請するところでございます。
 時間の方が大分押していますので、簡潔にお答えと、質問の方も簡単にさせていただきたいと思いますが、労安管理体制関連について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 最近、教職員のメンタルヘルスや若年退職者の増加をマスコミ等が取り上げる機会が大変増えているわけでありますが、実際に昨年十二月の文科省まとめ、これは二〇〇三年度のものでありますけれども、公立学校教員の病休者に占める精神性疾患の割合が何と五三・一%というふうになっておりまして、調査が始まった一九七九年度以降最も高くなっていると。また、在職者に占める病休者の割合及び精神性疾患の割合についても増加の一途をたどっている。休職寸前の短期通院者も含めると相当な数に上っています。
 どうしてこのような状況が生まれることになったのでしょうかということで、原因について端的に答弁をお願いしたいと思います。
#115
○政府参考人(銭谷眞美君) 病休職や精神性疾患の教員が増加していることの原因についてのお尋ねがございました。原因については事案ごとに種々様々な要因が考えられ、具体に特定をすることは難しいわけでございますけれども、例えば社会や学校をめぐる状況が変化する中で、児童生徒との関係、保護者への対応、学校内の人間関係などが考えられるところでございます。
 昨年の十二月に、こういったことを踏まえまして、文部科学省としても教員のメンタルヘルスの保持への一層の取組について通知を出したところでございまして、この問題につきましては今後とも更に各教育委員会の取組を促してまいりたいと考えているところでございます。
#116
○那谷屋正義君 確かに、今お答えいただいたように、様々な要因があるかというふうに思うわけでありますが、その中の一つの切り口の中に、やはりこの健康診断ですとか健康管理、今メンタルヘルスというお話もいただきましたけれども、安全衛生管理の充実強化というものが喫緊の課題となっているというふうに思います。
 ところで、学校現場を今見てみますと、お手元にお配りをさせていただいております資料をごらんいただきたいというふうに思いますが、小中学校の衛生管理者、一枚目のところで赤い数字で記しておりますが、衛生管理者においては六三・七%小学校、中学校が六六・五%。ちなみに、一番下のところでは、総務省調べで学校以外の全部局のところを見ますと、衛生管理者は九四・六%がその配置を見ている。それから、産業医というのを見ていただきますと、小学校は七二・八%、中学校七一・九%、この中身については私今日は申し上げませんけれども、様々ありますけれども、一応こういう数値になっています。そして、全部局は九三・九%というふうなことで、衛生委員会全体としてもその六七・四%、六二・六%という、非常に全部局に対しては低い比率になっているというような状況にあります。本来であるならば一〇〇%に限りなく近いというのが当たり前の姿だというふうに考えるわけですが、そこからの乖離は余りにも大きいというふうに言わざるを得ません。
 また、二枚目の資料でございますけれども、「安全衛生に関わる施策」という資料をごらんいただけたらと思いますが、いわゆる都道府県教委と市町村教委での規程整備率や施策にはかなり格差があるのがお分かりになるというふうに思います。
 体制整備が芳しくない市町村段階の状況改善のために不可欠と言える詳細、丁寧な実態把握を行うとともに、都道府県教委に催促をするなど、督促をするなど、文科省としての責任ある対応が強く求められているというふうに考えますが、その用意がおありかどうか。教育現場が納得できる答弁をお願いいたします。
#117
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、労働安全衛生という観点からは、学校には労働安全衛生法が適用されまして、今御指摘ありましたような衛生管理者の選任などの労働安全衛生体制を整備するということにされているわけでございますが、今お話がございましたように、特に市町村立の学校である小中学校におきまして、その労働安全衛生体制の整備状況が十分でないという状況にございます。以前と比べますと少しは向上しておりますけれども、やはりその他の地方公共団体の他の部局と比べて低くなっているわけでございます。私どもといたしましては、従前から都道府県教育委員会の担当者を対象とした会議におきまして繰り返しその整備のための指導をしてまいったところでございますけれども、今後とも引き続きその指導を行ってまいりたいと考えております。
 さらに、今更なる対応ということの御指摘がございました。私どもといたしましては、積極的な取組を行っている地方公共団体の実態を把握して、他の地方公共団体にも紹介するなどの取組も更に行いまして、一層の労働安全衛生体制の整備率の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。
#118
○那谷屋正義君 時間の方がもう大分なくなりましたので最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、教職員の笑顔というものが子供たちを明るくし、教職員の元気が子供たちのやる気につながることは、この間精力的にスクールミーティングを行ってこられました中山大臣だからこそ実感を持って受け止めていただけるはずだというふうに思っているわけでございます。
 教職員の心身を健康、健全なものとすることは、学校の教育力を高め、子供本位の教育改革を断行するためにも基礎中の基礎とならねばならない、この立場を大臣ならば必ずや共有していただけるというふうに確信するところでございますが、大臣の明快な御決意をお聞かせください。
#119
○国務大臣(中山成彬君) 御指摘のとおり、学校現場に参りまして、まず先生が元気であるところ、心身ともに健康であるということが一番大事だなと、このように感じております。先生方の話聞きますと、ついつい一生懸命やっていると家族のこともおろそかになってしまうし、自分の健康のこともつい忘れてしまうんですという話も聞くんですけれども、まず御自身が健康で、家庭のこともしっかり見てください、余裕を持って子供たちに接してください、子供たちは先生の顔をよく見ていますよという話もするんですけれども、そういう意味でも先生方が是非心身ともに健康でおられるような、そういう職場、環境づくりをするということが一番大事じゃないかと、このように考えておるわけでございまして、今御指摘ありましたけれども、この学校の安全衛生管理体制の把握に努めるとともに、積極的な取組を図っていく、そういった事例等を広く紹介する、そういったことを工夫をしながら、各学校における教育を充実させるために一層頑張っていかにゃいかぬなと、このように考えておるところでございます。
#120
○那谷屋正義君 済みません、時間超過しまして。
 もう、これで終わります。本当にありがとうございました。今いただきました決意というものから、今度は、先ほど申し上げましたように、様々な要因があるというふうなことを銭谷局長からもお話ありましたけれども、そうした様々なものについてより具体的な改善に向けて、教職員の勤務の実態を、実際もうスクールミーティング等でされているわけですけれども、さらにそれを分析する中で、どのような政策が求められるのかということについて、そうした質疑を次の機会にさせていただくことを予告をさせていただいて、質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#121
○山下栄一君 若干質問時間短縮しますけれども、よろしくお願いします。
 まず最初に、この助手が助手と助教に分かれるいうことについて質問します。
 この新しい助手は、法律の五十八条条文上は事務職員ではないということになっているんですが、ということは教員かと、教員組織の方に入るのかと。この新しい助手は教員なのか。事務職ではないことは法律上明確なんですけど、教員なのかということを確認させてください。
#122
○政府参考人(石川明君) 今回の改正後の新しい助手についての位置付け、特に教員であるかどうかといったようなことについてのお尋ねでございます。
 新助手は、新しい助手は教員として位置付けられるかということにつきましては、本法律案では新助手は教育研究の補助を主たる職務として明確に位置付けるということとしております。このため、一般に主たる職務として自ら教育又は研究を行う者を教員とするというような意味におきましては、学校教育法上の新しい制度における新助手は教員に位置付けられるものではないと、このように解されるところでございます。
#123
○山下栄一君 非常に分かりにくい立場だなというふうに思います。
 職務規定も非常にあいまいな規定になっておるわけですが、五十八条では助手及び事務職員を置かなきゃならないと。ただし、教育研究上の組織編制として置かないことも、准教授、助教、助手を置かないことができると書いてあるんです。これ見ておりましたら、教員組織のメンバーなのかなと思うんですけど、教員組織のメンバーではないということなんでしょうか。
#124
○政府参考人(石川明君) 教員組織のメンバーであるかどうかという観点でのお尋ねでございますけれども、大学設置基準という省令がございますけれども、これは大学を設置するに際して必要なことが規定されているわけでございますけれども、そこに教員組織という条項といいますか、こまがございます。
 本法律案につきましては、何度か触れさせていただいておりますけれども、現行の助手を、助手の職を分けて助教の職を設け、また一方で、その他の方について教育研究の補助を主たる職務とするという職として明確化をしようというものでございます。そうしたことから、このような趣旨を踏まえた教員組織の編制といったようなものがこれから大変重要になってくると考えております。
 それで、現行の大学設置基準におきましては、教員組織として例えば講座制ですとか学科目制などの定めが置かれておるわけでございますけれども、これは教育研究を行う組織的な基礎を確保しようというものでございまして、教員組織の構成員は必ずしも厳密に教員に限られるというような趣旨のものではございません。
 そういった意味では、講座には教授等に加えてこれまでも助手を置くものとされているところでございまして、今後、今回の改正を踏まえまして、大学設置基準中の例えば教員組織というところにおきます新しい助手の位置付け、これにつきましても、この本法律案の趣旨を第一に踏まえつつ、各大学の自主的、自律的な取組に資するような、適切なものとなるような、なるようなものにするということが大変重要だと考えておりますので、法案成立の暁には、このような観点に立ちまして、こういった教員組織の中での位置付け、規定の仕方等について十分検討、整理をしてまいりたい、このように考えております。
#125
○山下栄一君 この新しい助手というのは非常に分かりにくい身分、立場ということを今お話聞いていても思いました。事務職員でないということは法律上明確なんですけど、事務職員でないけども教員でもないというのはどういうことなのかな、よく分かりません。事務局との人事交流によって生きる道が開かれてくるじゃないかと言われてますけど、ということは事務職員の方の方に傾いた立場なのかなというふうに思うんですけど、極めて不明確な職種をつくることになるのではないかという非常に不安が残ります。
 今現在助手の方を助教と助手に分けるわけですから、助教の方は非常にはっきりしているんだけど、この助手の位置付けが非常に不明確なので、先ほどからも御質問ございますように、非常に、今助手の方は非常に不安に思うままではないかと。これはやっぱりしっかりと検討していただく必要があると。将来的にというか、暫定的、経過的な職種なのかなというふうなことを改めて今感じた次第でございます。
 あと一問ぐらいしかできないかも分かりませんけど、この学位の話ですが、この短期大学士というのは国際的通用性を確保するためだと。短期大学士という新しい学位をつくることによって国際的に通用する能力があるんだということを保証する、そういう趣旨だと思うんですけども。
 まとめて質問しますので答えていただきたいと思いますが、この短期大学士に限らず、この学位というのが特に日本の国の中で教員に採用する場合どれだけ役に立つのかなということがちょっと疑問がございまして、特に海外で、外国で学位を得た方、アメリカとかドイツとか、具体的に私はこれはもう経験して、相談にも乗ったんですが、海外で得た学位が日本の特に国立大学法人と呼ばれるところでなかなか通用しにくいと。という、何のための国際的通用性ということなのかなと、学位って一体何なんだということを感じることがございます。そういう意味で、この外国で得たこの学位が日本の国立大学法人における教員採用に当たってどれほど評価されているのかなということが一点と。
 もう一点は、日本の国立大学法人の教員採用ですが、これはもう余り透明でないのではないのかなということを感じております。もちろん内部で、内部昇格といいますか、内部で頑張った人を、その大学のですよ、採用していくということも当然だと思いますけど。私、基本的には、やっぱり欠員ができたり、新しい、新規募集の場合にはちゃんと公募をして、情報公開してきちっとチャンスを与えるということが正しいと、これが公正な考え方ではないかなと思うんですけど、日本の国立大学法人の教員採用が透明性が不十分ではないかというふうに感じるんですが、この点。
 以上二点の御答弁願いたいと思います。
#126
○国務大臣(中山成彬君) 大学制度は国際的に一定の共通性を有しておるものでございますので、ある大学あるいは大学院における教育課程を修了したことの証明であります学位は、大学、大学院の教育課程修了レベルの知識、能力を有することをも証明するものでありますので、国際的に通用するものとして取り扱われることが基本であると考えます。
 我が国の大学教員資格につきましては大学設置基準に規定がありますが、例えば教授となるための資格につきましては、博士の学位、これは外国において授与されたこれに相当する学位を含むわけですけれども、これを有し、研究上の業績を有する者等と規定しているのも、このような学位の国際的な通用性を踏まえた上のことでありまして、外国で取得した学位につきましても、我が国で取得した学位と同様の評価がされるべきものであると考えております。
#127
○政府参考人(石川明君) もう一点、国立大学法人におきます教員採用についてのお尋ねがございまして、この点につきましては私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
 大学教員としてどのような者をどういった手続で採用するかといったようなことにつきましては、そしてそれによってどういった教員組織を編制するかといったことは各大学が判断すべき事柄でございますけれども、教員の採用というのは大学の教育研究の活性化という観点から大変重要な要素だと考えております。
 そして、この大学教員の採用に当たりましては、責任の所在を明確にするとともに、手続の透明性を確保し、そしてふさわしい資質、能力を有するか否かについて公正かつ厳格な教員評価を行うといったようなことが大変必要になってこようかなと、このように思っております。
 国立大学におきましても、こういった教員採用に関する情報公開進んでおりますし、そしてそういった情報公開の下で公募制といったようなものも現在積極的に進められ、広がっているところでございます。
#128
○山下栄一君 終わります。
#129
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。よろしくお願いいたします。
 本日は、学校教育法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
 その本題に入る前なんですけれども、教育研究の活性化という観点から、欧米などで実施されている研究休暇制度、いわゆるサバティカル制度についてお伺いをさせていただきます。
 この研究休暇制度、サバティカル制度は、数年間勤めた大学教員が講義や大学の運営にかかわる事務等から離れ、一定期間ほかの機関での研究や海外留学などを通して自身の学術研究のことだけを考えることができる期間を設けるという制度でございます。この目的は、研究に集中する期間をつくることで研究者の研究水準の向上を図るところにあります。その意味で、サバティカル制度は大変有意義なものと考えております。
 そこで、まずお伺いをさせていただきます。
 海外の主要国でのサバティカル制度がどのように実施されているのか、文部科学省の御認識をお伺いいたします。特に、対象として、教員のうちどの職の方が対象になっておられるのか、制度も多様かと思いますので、現在把握されている部分についてお教えください。
#130
○政府参考人(石川明君) サバティカル制度についてのお尋ねでございます。
 欧米諸国におきましては、数年間継続をして勤務した大学教員の方々につきまして、一定期間、大学における教育等の義務を免除されて研究等に専念することが認められる研究休暇制度、これがいわゆるサバティカル制度でございますけれども、こういった制度が導入をされているところでございます。
 例えば、アメリカではほとんどの大学におきましてサバティカルリーブ、研究休暇と日本語では呼んでおりますけれども、この制度が設けられておりまして、六年以上勤務しているテニュア取得の教員に一年間の研究休暇が与えられるといったような形が通常であると聞いております。なお、研究休暇には有給の場合と無給の場合とがあるということでございます。
 また、イギリスにおきましてもこういった制度がございまして、研究休暇制度といったようなものがございます。この制度を導入している大学について見てみますと、一般に六から七学期間の勤務につきまして一学期間、又は六から七年の勤務につきまして一年間の研究休暇、これも有給でございますけれども、これが与えられております。
 また、フランスでは、勤続六年の勤務につきまして有給という形で一年以内の研究課題変更休暇、これが与えられる制度がございます。毎年、一定数の大学教員がこの制度を活用して研究休暇を取得しているということでございます。
 また、もう一か国御紹介いたしますが、ドイツでも州の判断によりまして研究休暇制度が導入されておりまして、例えば七から八学期につきまして一学期間の有給の研究休暇を取得できるというような制度があると、このように承知をいたしております。
#131
○浮島とも子君 ありがとうございました。
 今御答弁いただきましたとおり、欧米の先進国ではサバティカル制度は基本的な制度として確立されていると言ってもいいと思います。
 それでは、日本においてはどうかと申しますと、このサバティカル制度は一部の私立の大学において実施されてきましたが、国立大学、当時の国立大学教員は研究休暇制度、サバティカル制度がなく、欧米と比べ、我が国では普及している制度とは言えないと思います。この点につきまして、当委員会では国立大学法人化の際、国立大学法人職員を非公務員型とすることでサバティカルリーブ等の弾力的な勤務時間管理の導入が可能であることという御答弁が当時の遠山文部科学大臣からございました。
 そこで、お伺いいたします。
 国立大学法人化以降、サバティカル制度を導入した国立大学はあるのでしょうか。あれば具体例をお聞かせください。
#132
○政府参考人(石川明君) 我が国におきます、特に国立大学におきますサバティカル制度について、現時点ですべての国立大学法人における研究休暇制度の導入状況についてしっかりと把握できているというわけではございませんけれども、私どもが承知しておるところで御紹介をさせていただきますと、例えば茨城大学では六年以上の勤務につきまして一年以内、そして東京大学では七年以上の勤続について六か月以上一年以内、そしてお茶の水女子大学では五年以上勤務について六か月、そして愛知教育大学におきましては十年以上勤続の場合一年以内、七年以上勤続の場合は六か月以内といったサバティカルに関する制度、これいずれも有給でございますけれども、これが設けられているという状況でございます。
 また、この中で例えば東京大学におきましては、平成十七年度のサバティカル研修といったものを取得をした方が十六名おります。十六年度については、これと同じものにつきましては十五名ということで本制度が活用されていると、このように聞いておるところでございます。
#133
○浮島とも子君 独立行政法人化してもサバティカル制度を導入している大学は余り多くない。今の御答弁からでもまだ少ないと思いますけれども、海外ではこのサバティカル制度が普及しているにもかかわらず、日本ではなかなか導入されない。以前の国立大学では公務員であるのでできなかったんですけれども、今は導入しようと思えば制度的にはできるようになっているにもかかわらず、導入が進んでおりません。
 そこで、お伺いしたいのは、サバティカル制度がなかなか導入されない理由というのはどのような部分にあるのでしょうか、お伺いいたします。
#134
○政府参考人(石川明君) 我が国において、このサバティカル制度、研究休暇制度の導入が進んでいないという理由について特別な調査を行ったりしたようなことはないわけでございますけれども、例えばこれについてその理由等を考えてみますと、一つには、欧米諸国におきましては、一般的に大学教員が教育研究者としてのキャリアを積んでいく中で研究休暇制度というものが早くから位置付けられて定着をしてきたと、そして活用されているという実態があったものと考えておりまして、その一方、我が国においては、そもそも研究休暇制度そのものというものについてなじみが大変薄かったというようなことが一つの大きな要因としてあろうかと思います。
 それから、いま一つ大きな要因として考えられますこととしては、研究休暇の期間中に当該教員が担っていた教育研究上の役割などをほかの教員が代替をするといったようなことがなかなか柔軟かつ迅速にできないといったような困難な体制にあるというようなケースが少なくないと、こういったことも一つの障害といいますか、隘路になっているのではないかと。こういった様々な要因が相まって進んでいないという状況になっているのではないかと、このように考えております。
#135
○浮島とも子君 今の御答弁にもありましたように、なじみが薄い、制度が根付いていない、また余り知られていない。
 また、確かに各大学がサバティカル制度を導入するためには休暇中の教員の代替教員が必要になり、現実問題として導入が難しい面もあるとは思います。しかし一方、実際、研究者のレベルでは、サバティカル制度の導入を求める意見がアンケートの調査結果としても出ております。自身の学術研究のことだけを考え、研究の水準確保、また向上していくということは重要と考えます。教育研究活動の活性化、そして日本の教育研究環境を国際標準にしていくために、この研究休暇制度、サバティカル制度は非常に有意義な制度であると思いますけれども、文部科学省としてこの制度をどのように評価されておられるのか、御見解をお伺いいたします。
 また、先ほども御答弁にございましたけれども、サバティカル制度は日本では余り知られていない制度ですけれども、その意味で、研究休暇制度の導入を促進していくためにも文部科学省として積極的にPRをしていく必要があるのではないかと思いますけれども、文部科学省の御見解をお伺いいたします。
#136
○政府参考人(石川明君) このサバティカル制度でございますけれども、欧米諸国の大学の例にも見られますように、この研究休暇制度は教員の資質、能力の向上ですとか、あるいは優れた人材の確保に資するものとして、大学全体の教育研究の活性化、これを図るための一つの有効な取組となると、なり得るものと、このように私どもも考えております。
 こういったことから、現在、大学によっては研究休暇制度、これが導入されつつあるといったようなことも踏まえまして、このような具体的な取組状況といったようなものも私どもとして把握をしながら、各大学に対する情報提供等に今後とも努めてまいりたいと、このように考えております。
#137
○浮島とも子君 午前中にも有村委員の御質問に対して大臣の方から、質の高い人材を育てることが大切とおっしゃっておりましたけれども、どのような分野においても本当に人が大切であります。日本の学術研究、そして高等教育を担われていく先生方に研究に集中していただく機会をつくっていくことは、短期的には目に見えるような成果は出ないかもしれませんけれども、中期、長期的に見れば、日本の学術研究、教育の水準を押し上げていく基盤となると思いますので、研究休暇制度を積極的にPRし、是非、研究休暇制度の導入の後押しをしていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、短期大学についてお伺いをいたします。
 本法案により短期大学が国際的通用性を持つ学位を授与できるようになることで、国内外から注目を浴びるようになるかと思います。学位授与機関である短期大学がどのような評価を受けるかは、質の高い教育が実現できるかどうかに懸かっており、短期大学には一層の努力が求められます。
 今年一月に中教審から答申された「我が国の高等教育の将来像」では、短期大学に期待される役割として教養と実務が結合した専門的職業教育等が挙げられており、職業教育で短期大学が力を発揮することが期待されております。
 そこで、短期大学がこれまでに果たしてきた専門的職業教育機能をどのように御認識されていらっしゃるのでしょうか。そして、今後、短期大学に期待する高等教育機関としての役割、特に専門的職業教育について大臣のお考えをお伺いいたします。
#138
○国務大臣(中山成彬君) 短期大学は、大学としての教養教育とか、さらに、その基礎の上に立った理論的背景を持った専門的な実務教育、あるいは職業教育を短期間で提供する機関として、我が国の高等教育において大きな役割を果たしてきていると、このように考えております。
 特に、専門的な職業教育機能の面におきましては、医療技術やビジネスに関する分野など、様々な方面の人材を育成してきておりますが、とりわけ、保育士あるいは幼稚園教諭などの教育に携わる人材、栄養士や介護福祉士などの健康や保健に携わる人材などについて有為な専門的職業人を養成する機関として大きな役割を担っているところでございます。
 中教審の答申でも指摘されておりますとおり、短期大学には今後とも身近な高等教育機関として積極的にその役割を担っていくことが期待されているところでございまして、文部科学省といたしましても、各短期大学がその教育上の個性、特色をより一層発揮した教育研究を展開し、将来にわたって社会のニーズにこたえた多様な専門的職業教育等の取組を行っていくことができるように支援してまいりたいと考えております。
#139
○浮島とも子君 ありがとうございます。
 専門的職業教育に関する取組と短期大学における教育機能の強化を期待するのであれば、短期大学の取組を支援するための措置も併せて必要と考えます。
 現在、文部科学省として短期大学の教育機能の強化に向けてどのような取組をされているのでしょうか。また、教育機能の強化を支援する財政上の措置として私学助成を充実させていくべきであると思いますけれども、文部科学省はどのようにお考えでしょうか、御見解をお伺いいたします。
#140
○政府参考人(石川明君) 短期大学に対する支援についてのお尋ねでございます。
 短期大学は、中央教育審議会の答申でも指摘されておりますとおり、我が国の高等教育において大変大きな意義を果たしてきております。今後とも、多様な生涯学習機会の提供など、身近な高等教育機関として地域とも連携し、積極的にその役割を担っていくということが期待をされていると考えております。また、我が国の短期大学数、それから短期大学の学生数、そのいずれにおきましても九割を私立短期大学が占めているということでございまして、短期大学教育の大宗は私立短期大学によって担われていると、このような状況になってございます。
 文部科学省といたしましては、こういった状況を踏まえまして、従来から、私立大学等経常費補助金におきまして私立短期大学に対する助成を推進するとともに、国公私立大学を通じて優れた教育プロジェクトに対する財政的な支援を行うところの特色ある大学教育支援プログラム、あるいは現代的教育ニーズ取組支援プログラム、こういったものの事業の中におきまして、短期大学教育の一層の活性化あるいはその機能の強化のための支援を行ってきているところでございます。
 今後とも、短期大学が担っている役割の重要性といったものを踏まえまして、各短期大学が個性、特色を発揮した教育研究を推進していくことができますように支援に努めてまいりたいと、このように考えております。
#141
○浮島とも子君 是非とも充実をさせていただきたいと思います。
 最後ですけれども、教育者としての質の向上と現状認識、今後の展望についてお伺いをいたします。
 大学における教育内容向上のため、大学教員の評価や採用に当たっては、研究面での評価はもとより、教員としての資質、学問分野に応じた授業方法の研究やトレーニングなど、教育面での評価を踏まえて行われる必要があると考えます。例えばアメリカでは、大学院生時代のティーチングアシスタントとして、成果やその際の大学生からの評価書が就職の際に必要とされるということがあるそうです。これは各大学の取組によるところが大きいと思いますけれども、大学教員の教育者としての質の確保、向上について文部科学省としてはどのような御認識をお持ちでしょうか、お伺いし、私の質問を終わります。
#142
○政府参考人(石川明君) 大学教員の教育者としての質の向上についてのお尋ねでございます。
 大学が社会の多様な要請にこたえて質の高い教育を提供していくというためには、教育に携わる教員の教育能力の向上を図るといったようなことが大変重要である一方、従来、各大学におきます教員の活動や評価は研究に偏りがちな嫌いがあるなど、そういった指摘もあったところでございます。
 こういったことから、文部科学省では、例えば平成十一年には大学設置基準等を改正いたしまして、大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究、いわゆるファカルティーディベロプメントと呼ばれているものでございますけれども、この実施に努めなければならないということについて規定をいたしました。それから、平成十二年には大学設置基準等を改正をいたしまして、教員資格につきまして、教育上の能力が従来以上に重視されるような内容に改めたところでございます。
 現在、各大学におきまして、例えば実務家教員の活用等も含めまして教員の教育能力を重視してその向上を図ると、そのための、図るための様々な工夫、こういった事例が見られるようになっているところでございまして、また、ファカルティーディベロプメントにつきましては、平成十五年度では四百八十二大学、これは全大学の中の約六九%を占めておるわけでございますけれども、そういった大学において実施をされているところでございます。
 文部科学省といたしましては、更に大学教員の教育能力の向上に向けまして各大学におきまして積極的な努力や適切な評価が行われるように促してまいりたいと、このように考えているところでございます。
#143
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
 今回の改正案は、短期大学卒業者に学士号を与えるなど積極面はあると思いますけれども、若手研究者の皆さんの養成を困難にする問題点があると思います。そうした観点から今日は質問をさせていただきます。
 まずお聞きしたいと思いますけれども、現行の五十八条に、「大学には学長、教授、助教授、助手及び事務職員を置かなければならない。」とあります。改正案にも、呼称は変更していますけど、その条文はしっかりとあります。
 ここで改めてお聞きしますけれども、大学の職の基本としてこういう職が必要であるという大臣は御認識であるということでしょうか。
#144
○国務大臣(中山成彬君) 学校教育法第五十八条は、大学について置くべき職員の種類を定める規定でございます。改正法案の同条におきましても、学長、教授、准教授、助教、助手及び事務職員が掲げられておりますが、これは大学の教員組織及び事務組織を構成するに当たっての基本的な要素として列挙されているものでございます。
 文部科学省としては、これらの職が有機的に連携することによって組織としての大学の教育研究機能が発揮されるものと考えておりまして、これらの職の基本的な重要性、必要性については十分に認識しているところでございます。
#145
○小林美恵子君 重要性、必要性は十分認識しているという御答弁でございました。
 では、改正案の五十八条はただし書がございまして、教育研究上の組織編制として適切と認める場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができるとあります。先ほど大臣の答弁では重要性それから必要性は十分認識しておられるというふうにお話があったんでございますけど、一方でそうおっしゃりながら、一方で置かないことができるというのは、私はその御認識というのは大変矛盾しているんではないかなというふうに思わざるを得ません。
 そこで、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、この改正案五十八条のただし書に関しまして、いわゆる助教授、助手がいない大学というのは適切と考えられますか、いかがですか。
#146
○国務大臣(中山成彬君) まず、今回の改正法案におきまして、准教授、助教及び助手については基本的には各大学に置かなければならないこととされていることから、通常、各大学には准教授、助教及び助手が置かれるものと考えております。しかしながら、今後、各大学がそれぞれの理念等に基づいて緩やかに機能分化していくことが考えられる等を踏まえますと、各大学の教育研究上の組織編制として適切な場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができると、できることとすることが妥当であると考えているものでございます。
 具体的には、例えば、学生への教育に重点を置き、他大学において業績を確立しているベテランの教授を中心に採用している場合、あるいは学際分野など教育研究分野の特性に応じて、教授、准教授、助教等の重層的な教育体制をしいて一定の分野をより深く履修をさせるよりも、教授のみを置いて幅広い関連領域を履修させる方が有効な場合等には准教授や助教を置かない場合もあり得ますけれども、これを不適切とすることはできないと考えておるところでございます。
 なお、大学設置基準上、大学は学部の種類及び収容定員に応じて必要な専任教員を置くものとされておりまして、仮に各大学の判断により准教授や助教が置かれないとしても、最低限必要な専任教員数は同じであることから、専任教員全体として見れば今回の制度改正によりまして各大学における教員のリストラが促されるようなことはないと考えております。
#147
○小林美恵子君 そういう置かない場合があっても大学の状況によって不適切ではないというふうに御答弁ございましたけれども、私は、やっぱり条文のその職が重要であると、必要であるという認識の下に立った場合においては、そのお話というのはなかなか理解し難いと言わざるを得ません。
 それで、先ほども御答弁の中でリストラすることにはならないというふうにもお話がございましたけれども、改めて私そこに確認をしたいと思います。
 准教授、助教、助手を置かないことが法文上明記されるということは、やっぱり現在の職に就いている人を含めまして、職が奪われていく、しわ寄せが行く、リストラをされるという懸念があると思うんです。そこは絶対ならないという保証はあるというふうに断言されますか、いかがですか。
#148
○国務大臣(中山成彬君) 今回も、何回も説明しておりますが、すべてこういうふうな組織編制上、大学の自主性、独立性を重んじている、やっているということでございます。
#149
○小林美恵子君 私は、改めて確認さしていただいたのは、そういうリストラということにならないということですかねということを確認したんですけど。
#150
○国務大臣(中山成彬君) 先ほどお答えしましたけれども、准教授や助教が置かれないといたしましても、最低限必要な専任教員数は同じでありますので、専任教員全体として見れば今回の制度改正により各大学における教員のリストラが促されることはないと考えております。
#151
○小林美恵子君 では、私は次に、今回の法案で問題なこととして、その関連としまして、大学の教員等の任期に関する法律の改正案としまして、その四条に「助教」という、このしっかりとしたその職種の名称明らかにしてその対象になっています。
 こういう助教にその任期制を押し付けるという、それは、その理由をちょっと教えていただけますか。
#152
○政府参考人(石川明君) 任期制についてのお尋ねでございますけれども、現行の大学の教員等の任期に関する法律の第四条第一項第二号につきましては、若手教員が異なる経験や発想を持つ人材と交流したり多様な経験を積むことがその後のキャリア形成にとって大きな意味を持つというようなことから、大学がその職員を主として研究を行う助手の職に就ける場合には任期を付すことができると、このようにしているところでございます。
 今回の制度改正におきましては、現行のその助手のうち自ら教育研究を行うことを主たる職務とする若手教員にふさわしい職として助教を新設するということとしているわけでございまして、今までもその助手の方の、今までのその助手の方のうち助教となるべき方といったような方々を対象としていたということにもなるわけでございます。
 いずれにしましても、先ほど申し上げましたような大学教員の任期等に関する法律の趣旨にかんがみまして、現在の大学教員の任期等に関する法律の第四条第一項第二号につきましては、助教の職に就ける場合というような形に改正をするということにしているところでございます。
#153
○小林美恵子君 私は、法律によって助教が准教授に至るキャリアパスというのが位置付けられていると思うんですね。しかも、それにもかかわらず助教に任期を付けるということは、若手研究者の方々にとっての、結局、先の保証がない、長期間にわたって身分不安定をやっぱり繰り返すことにならざるを得ないと思うんです。それが若手研究者の養成にとって文科省は積極的な意味があるというふうにお考えなのですか。
#154
○国務大臣(中山成彬君) 大学の若手教員への任期の付与につきましては、教育研究に大きな成果を上げておりますアメリカの大学では、一般的に任期付きの契約で雇用され、研究者として一定の実績を積んだ後、審査を経てテニュアの取得が決定される仕組みが取られております。
 また、我が国におきましても、既に多くの大学におきまして任期制が導入されている等の状況にあるわけでございます。
 また、本年一月にまとめられました中央教育審議会の関係委員会による「審議のまとめ」におきましても、これらの制度を導入するか否かは各大学がそれぞれの実績や各分野の特性に応じて判断するものとしつつ、助教が将来の大学教員を目指す者が就く最初の大学教員の職という位置付けの職であることにかんがみれば、若手教員の流動性を高め優れた人材の養成や教育研究の活性化を図るためには、一般に助教にはこれらの制度が積極的に活用されることが望ましいと提言されておるところでございます。
 各大学は、このような状況や提言を踏まえつつ、自らの教育研究理念あるいは組織運営方針、各分野の特性等に照らして、それぞれの判断に基づいて任期制を導入することは意義のあることと考えております。
#155
○小林美恵子君 せっかく若手の方が研究しても、任期が来れば終わりになるということもあるわけですよね。それは私は、これでは若手研究者が自らの目標を持って研究をするということ、その保証をするという点でいきますと、結局逆行するものだと言わざるを得ないと思うんです。
 そこで、改めて確認をさしていただきたいと思いますけれども、九七年の参議院文教委員会、衆参もそうでございましたけれども、この任期制の導入に当たりまして附帯決議がなされているかと思います。その附帯決議を若干読み上げますと、「任期制の導入によって、学問の自由及び大学の自治の尊重を担保している教員の身分保障の精神が損なわれることがないよう充分配慮するとともに、いやしくも大学に対して、任期制の導入を当該大学の教育研究支援の条件とする等の誘導や干渉は一切行わないこと。」とあります。
 ここで、改めて確認さしていただきたいんですけれども、今回のように、その助教への任期制の押し付けが財政誘導や国立大学の評価の対象にはならないですね。ここ、確認さしていただきます。
#156
○国務大臣(中山成彬君) この任期制を導入するか否かというのは各大学の判断にゆだねられておりまして、適切な導入や運用が行われれば積極的な効果がもたらされるものと考えております。
 なお、平成九年六月三日に、大学教員の任期等に関する法律が参議院文教委員会において採択され、附帯決議が決議された際に当時の小杉文部大臣が発言したとおり、今後ともその趣旨に十分留意して対処する考えであります。
#157
○小林美恵子君 では、私、この改正案の五十八条のただし書の問題でありますとか助教への任期制の押し付けというのは、再三申し上げますけれども、私はやっぱり若手研究者の養成に逆行するものだと思うんです。
 それで、幾つか事例を申し上げたいと思うんですけれども、文科省が行われました学校基本調査で、二〇〇四年三月のものがございまして、大学院博士課程の理学・工学修了者の四千九百十三名のうち就職者は二千八百六名で、就職率は五七・一%という数字が出ておりました。これは大変深刻だと思います。ここには大学での研究職の問題もあるというふうに思うんです。
 それで、お手元にお配りしました表をごらんいただきたいと思うんですけれども、これは一九九四年から十年間におけます大学院博士課程修了者と現行の助手の推移です。黄色がいわゆる国公私立全体です。ブルーが国立の助手で、赤の場合が大学、博士課程の修了者となっておりますけれども、修了者は六千三百六十八人から一万五千百六十人と増大ですね。しかし、助手は、国公私立全体でいきますと、九九年からいきますと、三万七千四百四人から三万六千八百九十四人と減少しています。国立に至りましては、ブルーを見ていただいたら一目瞭然だと思いますけれども、一万七千六百八十九人から一万六千五百三十二人と減少しています。
 さらに、経済産業省が委託をされました産学金連携NPOの方々のアンケートがありまして、そのアンケートを見ますと、大学院の博士後期課程の進学の動機というのがございまして、八百四十五人中四百九十二人が、研究したいとか専門を深めたいということが圧倒的なんですね。生の声を聞きますと、やっぱり大学の教官になりたいとか研究者になりたいというのが圧倒的なんです。
 つまり、私が申し上げたいのは、大学の教官になりたいとか研究者になりたいということで大学院も進んで修了もされる。しかし、受皿となる助手などは、現在でいったら基本的にはその修了者の増加率に比べると、助手の増加率の、増加率どころじゃないんですよね。だから、全く相反しているということがございまして、それではなかなか若手研究者を養成するにはならないというふうに思うわけです。
 そこに、助教に任期制を付けて、しかも改正案でただし書を付けろということは全く逆行すると思うんですけれども、こうした中でどうして若手研究者の養成を保証されるのでしょうか。いかがですか。
#158
○国務大臣(中山成彬君) 御指摘のとおり、平成十六年三月現在の大学院博士課程修了者数は一万五千百六十人となり、この十年間でほぼ倍増した一方、平成十六年度の助手の数というのは三万六千八百九十四人と、十年前に比べてもほぼ横ばいというふうになっているわけでございます。
 近時の知識基盤社会の進展あるいは大学院への進学者数の増加傾向を踏まえまして、各大学は、大学の研究者だけでなく多様なキャリアパスの開拓にも努力をしながら、若手研究者の養成確保等の観点から、教員全体の中で助教等のポストを一定数確保することが望まれておりまして、研究者養成に力点を置く大学におきましては、この点に特に留意する必要が、期待されているところでございます。
 また、文部科学省といたしましても、若手教員が自らの資質、能力を十分に発揮できるように、若手教員が利用できる競争的資金の充実、あるいはスタートアップを含めた教育研究活動のために必要な環境を整備すること、国が行っております研究教育拠点の形成支援に係る事業等の審査を行う際、若手教員が活躍できる環境づくりに配慮をしたものであるかどうかを考慮すること等の取組を通じまして、若手教員が活躍できる環境づくりに向けまして各大学の努力を支援してまいりたいと考えております。
#159
○小林美恵子君 私は本来、若手研究者の養成とか若手の大学教員がその自らの能力を十分に発揮できるようにするというふうになりますと、それは本来は常勤職の拡充でありますとか、それから任期制の押し付けなどはやっぱりすべきではないと、常勤職の拡充こそをしていくべきだということを申し上げておきたいと思います。
 残りのわずかな時間でございますけれども、大学の教員の中でも重要な存在であります非常勤講師問題で一点お聞きをしたいと思います。
 大学の非常勤講師の実態調査というのが、首都圏でありますとか関西圏の非常勤講師組合の方々から行ったアンケート調査がございました。二〇〇二年から二〇〇三年にかけて行われております。それを見ますと、非常勤講師は、実数約二万五千人、平均年齢は四十二歳、経験年数は十年です。掛け持ち校は平均二・七校で、担当こまは週九・一こまで、労働時間でいきますと四十二・八時間、年収は二百八十七万円が平均で、四八%が二百五十万円で、三四%の方が二百万円以下の年収になっております。しかも、講義や研究関連の出費というのは二十九万円で自己負担です。一方、専任教員は、八七%が五百万円以上の年収で、三七%が一千万円以上です。私は、余りにも専任との格差があり、劣悪な待遇だというふうに思うんですね。
 そこで、私はお聞きしたいんですけれども、文科省さんはこの実態を把握されているのかどうかということと、もう一つは、こうした非常勤の高等教育の教員に関しまして、ユネスコが高等教育教員の地位に関する勧告というのを九七年十一月に出しております。そこには、非常勤の高等教育教員の雇用条件として、常雇で雇用される教員の割合に応じて同額の報酬を受け及び同等の基本的な雇用条件を享受すると、十分かつ適当な社会保障による保護を受ける資格を有するとあります。
 この勧告からいきましても、今の非常勤講師の実態というのは余りにも遅れているというふうに思うんですけれども、やっぱり把握をしていなければ把握をされて改善を進める必要があるというふうに思いますけれども、この点だけお聞きしたいと思います。
#160
○政府参考人(玉井日出夫君) お答えを申し上げます。
 いわゆる非常勤講師の状況でございますが、非常勤講師の数につきましては学校教員統計調査により三年ごとに把握をしているわけでございます。それ以上につきましてはそれぞれの大学においてそれぞれが対応されているものと考えているわけでございます。
 なお、国立大学関係につきましては、法人化が十六年四月からでございますので、その前の三月十五日にいわゆるパート労働法、この適用があることにつきまして、その規定にのっとって、法人化前におけるこれまでの取扱い等も十分に踏まえた適切な対応がなされるように各国立大学に対し通知したところでございまして、この趣旨はその後も機会をとらえながら周知を図っているところでございます。
 また、私学助成につきましては、十六年度におきまして、一時間当たりの補助単価について引き上げたところでございます。
 なお、御指摘のユネスコの関係でございますけれども、国立大学の非常勤講師は、あるいは私学の非常勤講師につきましては、学生のニーズにこたえる多様な教育等を実施する上で重要な役割を果たしているものと認識はしておりますけれども、しかしながら、具体の処遇につきましては、それぞれの国立大学法人においてその実情に応じ、あるいはそれぞれの私立大学において実情に応じ適切になされるべきものだというふうに理解をしているわけでございます。
#161
○委員長(亀井郁夫君) それでは、他に御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#162
○小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、法案五十八条に、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教、助手を置かないことができると明記したことです。
 審議でも明らかにしましたように、現在でも国立大学では定員削減で助手職員の削減がされており、助手に至ってはこの十年間、一万七千六百八十九人から一万六千五百三十二人と減少しています。一方、大学院は博士課程の修了者は六千三百六十八人から一万五千百六十人と増大しており、若手研究者のポストの拡大こそ求められているのが現状です。
 こうした中、さきの条文の明記は若手研究者の継承、発展とその養成を困難にするものです。また、国立大学運営費交付金、私学助成の一般補助が削減されている下で大学リストラを一層加速されたものとなり、認めるわけにはいきません。
 第二の理由は、新助手の設置です。
 新助手は、教授、准教授に従属的で、研究者としても技官としても昇格がない劣悪な職階と言わなければなりません。この設置は、かつて教務職員を研究支援をする技官や助手に転換し解消してきた経緯と逆行するものであり、反対でございます。
 また、助教が准教授に至るキャリアパスと位置付けられているにもかかわらず、助教に任期制を押し付けることは、若手研究者に過度な競争と劣悪不安定な研究環境を一層強いることになり、本来の学問研究の環境とは相入れるものではありません。ましてや、任期が来れば助教としての職を奪われることになる、断じて認めることはできません。大学の教員組織の在り方を論じるならば、日本の将来を担う若手研究者にこそ教育と研究に専念できる環境の整備こそ政府が行うべきことではないでしょうか。
 なお、本法案におきまして、短期大学卒業者の学士号授与や准教授の設置、現行法での研究者間の封建的な従属性を規定してきた教授、助教授を助ける規定が削除されることについては賛成できるものであることを申し上げて、討論といたします。
#163
○委員長(亀井郁夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 学校教育法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#164
○委員長(亀井郁夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、鈴木寛君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木寛君。
#165
○鈴木寛君 私は、ただいま可決されました学校教育法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、優秀な若手研究者を養成・確保し、もって、我が国の教育研究水準の維持・向上を図るため、若手研究者の教育研究の機会・環境の整備に努めること。特に、大学等においては、助教と助手の任用に際し、各人の能力や業績を公正・適切に評価するとともに、助教を教育研究活動に積極的に活用することとし、また、政府においては、ポストドクトラル制度、科学研究費補助金の拡充など若手研究者に対する積極的な支援や自立性向上のための施策に一層努めること。
 二、各大学等においては、大学等の個性や学問分野等の特性を十分考慮し、教員の役割分担や養成、組織的な連携体制等が確保されるよう、適切な教員組織の確立に努めること。
 三、大学教員等の資格等については、大学における教育研究の活性化、優れた人材の養成、諸外国の動向等も踏まえ、その在り方について今後とも検討を行うとともに、特に、助手については、キャリア・パスについて積極的な検討を進めること。
 四、短期大学については、これまで果たしてきた専門的職業教育、資格取得教育、生涯学習機会の提供、地域社会への貢献等の機能を重視し、教育改革への取組に対する支援を充実するなど、教育研究水準の維持・向上に努めること。また、各短期大学においては、学位の質を確保するため、自己点検・評価等による教育研究の改善・充実に一層努めること。
 五、高等専門学校が、早期体験重視型の専門教育等の特色ある教育により優秀な人材を輩出し、また、地域の教育拠点として高い評価を得ていることにかんがみ、その教育水準の維持・向上及びその教育内容を学術の進展に即応させるために必要な研究に対する支援を行うとともに、専攻科の充実にも努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#166
○委員長(亀井郁夫君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#167
○委員長(亀井郁夫君) 全会一致と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中山文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中山文部科学大臣。
#168
○国務大臣(中山成彬君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
#169
○委員長(亀井郁夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#170
○委員長(亀井郁夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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