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2005/03/17 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 予算委員会 第13号
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2005/03/17 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 予算委員会 第13号

#1
第162回国会 予算委員会 第13号
平成十七年三月十七日(木曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     岸  信夫君     有村 治子君
     小泉 昭男君     大野つや子君
     小川 敏夫君     齋藤  勁君
     山本 孝史君     山根 隆治君
     西田 実仁君     山本 香苗君
     渡辺 孝男君     浜田 昌良君
     小林美恵子君     紙  智子君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     山根 隆治君     山本 孝史君
     紙  智子君     仁比 聡平君
     又市 征治君     渕上 貞雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中曽根弘文君
    理 事
                阿部 正俊君
                椎名 一保君
                野上浩太郎君
                舛添 要一君
                若林 正俊君
                池口 修次君
                小川 勝也君
                福山 哲郎君
                荒木 清寛君
    委 員
                秋元  司君
                浅野 勝人君
                有村 治子君
                泉  信也君
                市川 一朗君
                岩永 浩美君
                大野つや子君
                岡田  広君
                世耕 弘成君
                関口 昌一君
                田村耕太郎君
                中島 啓雄君
                長谷川憲正君
                松村 龍二君
                山谷えり子君
                犬塚 直史君
                大塚 耕平君
                小林 正夫君
                齋藤  勁君
                主濱  了君
                辻  泰弘君
                白  眞勲君
                平野 達男君
                前川 清成君
                前田 武志君
                松下 新平君
                水岡 俊一君
                山根 隆治君
                山本 孝史君
                風間  昶君
                浜田 昌良君
                山本 香苗君
                紙  智子君
                大門実紀史君
                仁比 聡平君
                渕上 貞雄君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       法務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(青少年
       育成及び少子化
       対策))     南野知惠子君
       外務大臣     町村 信孝君
       財務大臣     谷垣 禎一君
       文部科学大臣   中山 成彬君
       厚生労働大臣   尾辻 秀久君
       農林水産大臣   島村 宜伸君
       国土交通大臣   北側 一雄君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災)
       )        村田 吉隆君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  大野 功統君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        伊藤 達也君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    竹中 平蔵君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  山崎 正昭君
   副大臣
       内閣府副大臣   七条  明君
       防衛庁副長官   今津  寛君
       法務副大臣    滝   実君
       外務副大臣    谷川 秀善君
       財務副大臣    上田  勇君
       文部科学副大臣  塩谷  立君
       厚生労働副大臣  西  博義君
       農林水産副大臣  常田 享詳君
       経済産業副大臣  保坂 三蔵君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        西銘順志郎君
       防衛庁長官政務
       官        柏村 武昭君
       法務大臣政務官  富田 茂之君
       農林水産大臣政
       務官       加治屋義人君
       国土交通大臣政
       務官       伊達 忠一君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  阪田 雅裕君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  高橋 利文君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村松  帝君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       大石 利雄君
       内閣官房内閣審
       議官       伊佐敷眞一君
       内閣官房内閣情
       報調査室内閣衛
       星情報センター
       次長       上原美都男君
       内閣府拉致被害
       者等支援担当室
       長        小熊  博君
       警察庁刑事局長  岡田  薫君
       防衛庁防衛参事
       官        佐々木達郎君
       防衛庁防衛局長  飯原 一樹君
       防衛施設庁長官  山中 昭栄君
       金融庁監督局長  佐藤 隆文君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局長      長尾 和彦君
       総務省人事・恩
       給局長      戸谷 好秀君
       総務省統計局長  大林 千一君
       消防庁次長    東尾  正君
       法務大臣官房司
       法法制部長    倉吉  敬君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       法務省保護局長  麻生 光洋君
       外務省アジア大
       洋州局長    佐々江賢一郎君
       外務省経済局長  石川  薫君
       国税庁次長    村上 喜堂君
       厚生労働大臣官
       房審議官     大槻 勝啓君
       厚生労働省医政
       局長       岩尾總一郎君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     青木  功君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   上村 隆史君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       伍藤 忠春君
       厚生労働省年金
       局長       渡辺 芳樹君
       社会保険庁運営
       部長       青柳 親房君
       経済産業省経済
       産業政策局長   北畑 隆生君
       中小企業庁次長  西村 雅夫君
       国土交通大臣官
       房長       峰久 幸義君
       国土交通省総合
       政策局長     丸山  博君
       国土交通省道路
       局長       谷口 博昭君
       国土交通省海事
       局長       矢部  哲君
       国土交通省航空
       局長       岩崎 貞二君
       海上保安庁長官  石川 裕己君
   参考人
       日本道路公団総
       裁        近藤  剛君
       日本銀行理事   白川 方明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十七年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十七年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本道路公団総裁近藤剛君及び日本銀行理事白川方明君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(中曽根弘文君) 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日午前は、外交防衛等に関する集中審議を行います。
 質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 これより質疑を行います。世耕弘成君。
#5
○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。
 本日は、外交防衛の集中審議ということでございます。私自身は余り外交防衛で国会で余り質疑に立ったことはないんですが、やはりこの分野、大変動きの速い分野だなというのを痛感しております。というのは、昨日質問通告をした後からでも、ゆうべだけでもいろんな動きが起こっている。総理、ゆうべはたしか十時前だったと思いますけれども、ブッシュ大統領と電話で会談をしておられます。ついこの間もされたばっかり、また引き続いての会談でございますけれども、一体具体的にどういうお話があったのか、まず総理にお伺いをいたしたいと思います。
#6
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私も一週間ほど前に電話で会談したものですから、また電話をしたい、電話で話したいということがありましたので、どういうことかなと思ったんですが、話は世界銀行のことでした。
 世界銀行の総裁が替わるということで、この世界銀行の総裁の枠は慣例によりまして米国枠だということでありますので、アメリカとしてはウォルフォウィッツ氏を決めたと、今までの経験、識見、有能な人物であると、よろしく頼むと、でき得れば支持をお願いしたいということでありますので、それは結構でありますと、日本政府として私も支持いたします、そういう電話でございました。
#7
○世耕弘成君 BSEの問題とかは特になかったんでしょうか。
#8
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ありませんでした。
#9
○世耕弘成君 そういう件はなしで、ただ世界銀行総裁の人事についてまで小泉総理に直々に御相談があるというのは、やはり非常に緊密な関係が築かれている一つの証拠かなというふうに考えるわけでございます。
 それから、続いて町村大臣にお伺いをしたいんですけれども、私は以前、決算委員会で対中ODAの質問、今からちょうど二年ぐらい前になりますが、立ったことがあります。もう中国へのODAは必要ないんじゃないかということを私自身、当時質問をいたしました。その後、大変テレビを見ていた国民から反響がありました。非常に賛同だという声が多かったわけでございます。
 大臣は、最近、中国の李肇星外交部長と電話で話をしたりされておりますけれども、このODAに関しては何か新しい動きがありますでしょうか。
#10
○国務大臣(町村信孝君) 今委員お触れをいただきましたが、一昨日、欧州に出張中でありました中国の李肇星外交部長と電話会談をいたしました。その中身はいろいろ、北朝鮮の問題等々もあったわけでありますけれども、この対中ODAの話もいたしました。
 改めて申し上げるまでもないわけでありますが、この四半世紀、対中ODA、いろいろな分野で成果を上げてきたと、こう思っておりますし、中国の発展に少なからぬ貢献をしたと、こう思っております。
 ただ、昨今、中国自身の資金調達能力というものも相当付いてまいりました。したがって、その大規模な日本からの資金協力の必要性というのは以前よりも低下をしてきているということが一つあります。それからもう一つは、中国自身が第三国に対してかなりな大規模の援助をするということもございます。また、特に参議院の調査団を、各地にODAに関して調査団を派遣をされる、中国にも行かれた、そうした御指摘もいただいているところでございます。
 こういったことを踏まえまして、私どもとしては、北京オリンピック前までに円借款の新規供与を終了すると、こういう方向で先方と話し合ってまいりまして、大筋合意をしたところでございます。円借款以外の技術協力とか草の根・人間安全保障無償資金協力、この辺については今後の在り方を更に議論をしようとして、思っておりますけれども、北京オリンピック前までには円借款の新規供与を終了するということで李肇星外交部長との話も大体付いたということでございます。
 さらに、二〇〇四年度の円借款、これは今年の三月、今月末までには閣議決定をしないとならないので、大体枠としては八百五十九億円、対前年度比一一%減。二〇〇〇年がピークでございますから、このころと比べますと約六割減という形で先方と大筋話が付いたと。環境及び人材育成の問題に絞って二〇〇四年度の対中ODAを、円借款を出そうということについても大筋合意を見ているという動きがあったことを御報告を申し上げます。
#11
○世耕弘成君 北京オリンピックまでに円借款の新規供与終了と、これは大変大きなニュースだと思います。いよいよ日中関係のまた新たな一つのページがめくられたことになるんではないかというふうに考えております。この参議院でも、決算委員会を中心にODA問題をずっと取り組んできたわけですけれども、これからも注視をしてまいりたいと思います。
 さて、今日は外交防衛ということでございます。私自身、外交ということを考えるときに、必ず思い起こすのが小村寿太郎外務大臣でございます。ちょうど、日露戦争が終わった、ポーツマス条約が、講和条約が締結をされてから、今年ちょうど百年になるわけでございます。あのとき日本国民は、非常に日本海海戦でも勝って、苦しい日露戦争ですね、戦勝気分、ようやく勝てたんだという気分でいて、多くの賠償金とかあるいは領土の割譲というのを国民は期待をしていたわけでございます。
 しかし、現実にはもう日本の国力はぎりぎりのところまで来ていて、交渉が長引いたり、あるいは決裂したりしたら、もう日本はどうなるか分からない、そういう厳しい環境の中で小村外務大臣は厳しい決断をして、あえて賠償金を受け取らずに、領土の割譲も非常に限られた範囲で講和条約を締結をしたわけでございます。
 その結果、小村さんはあれだけ大きな国との条約をまとめて帰ってきたにもかかわらず、石つぶてで国民から迎えられました。また、日比谷焼き打ち事件なんということも起こりました。非常に外交というのはなかなか国民が単純に考えているようにはいかない難しい問題があるなと思っていました。
 一昨日、この委員会の公聴会で村田晃嗣公述人が、総理の母校である慶応の創設者福沢諭吉の外交論から引用をしておられました。現代語風に私が訳したんですが、外交の事態が切迫する中で、外交のことを書いたり論じたりするに当たっては、自分が外務大臣になったつもりで行うので、自分個人の立場としては世間の人気が出るような爽快な議論もないわけではないんだけれども、紙を前にして筆の不自由を感じてちゅうちょする。いやしくも国家の利害を思う者になろうとするには、この心得がなくてはならないという、私は非常に、これ重い文章だと思いますが、今総理は非常に、日朝、もちろんです。日米、BSEがあります。日中、靖国の問題があります。日韓、竹島の問題があります。日ロ、北方領土の問題があります。それぞれ、国民、爽快な解決を期待しているわけですけれども、厳しい国際社会の現実の中ではなかなかそうはいかない、こういう外交かじ取りをされている、まず心境をお伺いをしたいと思います。
#12
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 世の中、評論家にしても政治家にしても、福沢諭吉みたいな人ばかりでありませんから、なかなかそのような、自分が外務大臣になったつもりで論評せよというわけにはいかないと思っております。それぞれの立場で政府を批判するのも結構だと思いますが、総理大臣として、また外務大臣としては、その国々の国民の利益、国家の利益を考えて判断しなければならないのが外交だと思っております。
 私も、今、世耕議員が例に出されました小村寿太郎の話、これは作家の吉村昭氏が「ポーツマスの旗」で克明に当時の状況を本にしております。私もその吉村昭氏の「ポーツマスの旗」を読んで感銘した一人でございます。よく批判されてもそれに耐えてあるべき姿を追求するのが一国の指導者としての責任だと感じておりますし、今後もそのとおり、批判に耐えてあるべき外交を追求していきたいと思います。
#13
○世耕弘成君 大変な御決意、ありがとうございました。
 また、町村外務大臣、外務大臣、町村外務大臣は外務大臣になったつもりではなくて正に今外務大臣なわけですが、どういうお考えでしょうか。
#14
○国務大臣(町村信孝君) まだ心境を語るほど長い間外務大臣をやっているわけでもございません。日々事に当たるのに懸命でございまして、自らをまだ振り返るほどのゆとりもないわけでございます。ただ、一生懸命国益のことのみを考えて仕事をしなければいけないと、こう思っております。もとより、己のことを考えるべきでない、今の委員が引用された福沢諭吉の言葉、誠に身にしみるものがございます。
 確かに、委員おっしゃったように、それぞれの国とそれぞれ難しい問題が現実にあるなと思います。ただ、考えてみると、それは我々の先人もまた同じような、ある意味ではもっと大きな壁に直面をし、それでも日本国家全体としては今日ここまで発展をできてきたということは、その瞬間の壁の大きさはいかに大きくとも結果的にはそれをいろいろな形で努力をして乗り越えてきた、そうした先人の知恵があるからこそ私どもの今日の国家があるんだろうと、こう思っております。
 ですから、余り壁の大きさにたじろぐこともなく、さりとて過度に楽観的になることもなく、一生懸命、全知全能、力の限りを尽くして仕事に当たることが外務大臣に与えられた職責であろうと、かように考えておるところでございます。
#15
○世耕弘成君 本当に今、非常に日本外交は、特に対北朝鮮のこの六か国協議を中心に非常に方程式が複雑になっております。総理、外務大臣にはやはり国益優先で、しっかりと取り組んでいただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、外交防衛、安全保障といいますと、どうしても法律、憲法の解釈論ですとか条約の解釈論ですとか、いろんな難しい議論が行われるんですが、現在国民が非常に知りたがっている、そしてまた不安に思っている問題が、これは北朝鮮のミサイル問題だと思います。今日、私はこの後は少しこのミサイル問題を中心に質疑をしてまいりたいと思います。
 今、北朝鮮は三種類のミサイルを持っています。一つは短距離のスカッドミサイル、これは韓国をねらうようだと言われております。長距離のテポドンミサイル、これはハワイとかあるいはアメリカ本土をねらうものだと言われております。そして、その中間にありますのがノドンでございます。射程距離千三百キロ、日本全土をちょうどほぼ照準に収めるようなミサイルでございます。このノドンは、射程距離からいって、基本的には日本専用の、日本攻撃専用のミサイルだと考えてよろしいでしょうか。防衛庁長官、いかがでしょうか。
#16
○国務大臣(大野功統君) お尋ねはノドンが日本専用の、日本をねらったミサイルであるかどうかと、こういうことでございますけれども、その点につきましては断言、断定的なことは私は申し上げません。ただ、今、世耕委員がおっしゃったとおり、千三百キロの射程がございます。これは正に日本全土をほとんどカバーできるわけでございますから、ノドンが日本に飛来する可能性、これは排除できないと思っております。
#17
○世耕弘成君 私は、この北朝鮮が韓国を攻撃するんであればスカッドを使えばいい。中国へ向けて撃つとは思えない。太平洋へ向かって撃っても日本より先には届かない。そういうことであれば、これは私は基本的には日本攻撃用のミサイルだと考えなきゃいけないと思っています。
 じゃ、今、このノドンミサイルの性能、いろいろ過去報道が出ていました。例えば、東京に向かって撃てば五〇%は山手線の内側に着弾するんだというような報道も過去ありましたけれども、防衛庁としてはこのノドンの性能をどのように評価をされているんでしょうか。
#18
○国務大臣(大野功統君) ノドンの性能でございます。まず、射程は千三百キロ。それから、単段液体燃料式発射台付車両に搭載されて移動して発射する、こういうことで、移動して運用する、こういうことでございます。
 それで、お尋ねは精度でございますけれども、精度につきましては、ある目標をピンポイントで攻撃できるような精度の高いものではない、このように承知いたしております。もう少し具体的に申し上げますと、いわゆる命中精度とでも申しましょうか、CEP、サーキュラー・エラー・プロバブルということでございます。これは百発撃ったらその五十発がどの程度の範囲に収まるか、当たるか、こういうことでございまして、こういう命中精度からいたしますと、このノドンは半径二千五百メートルの中に百発撃ったら五十発入ってくる。二千五百メートルといいますと新宿―四谷ぐらいの距離でございましょうか、半径が、その範囲に百発撃ったら五十発入ってくる、こういうふうに分析いたしております。
#19
○世耕弘成君 これはもう大変精度が上がってきていることだと思います。このノドンミサイルから本当に国民をどう守るかというのが喫緊の課題ではないかというふうに思います。
 そこで、今このミサイルから国民を守るために開発が進められているのがこの弾道ミサイル防衛というものでございます。(資料提示)
 これは、弾道ミサイルが発射をされましたらすぐレーダーで追尾をして、そしてこの打ち上げのブースト段階では方向が分からないので、集団的自衛権にかかわるということで攻撃はしないけれども、ブーストが終わったところでもし日本に向かっているようであれば、まずは海上のイージス艦からSM3という新型のミサイルでまず空中で撃墜をねらい、そしてまたそれを外したら今度は、日本へ向かって落ちてくるところで今度はペトリオットミサイル、PAC3というやつのこれまた新型のもので迎撃する、これがBMD構想、今、十七年度のこの予算案の中にも一千億超の予算が入っているわけでございますが、このミサイル防衛システム、弾道ミサイル防衛はいつから本格稼働をすることになるんでしょうか。(発言する者あり)いや、これから聞きます。
#20
○国務大臣(大野功統君) いつからというお尋ねでございます。
 これ、委員御存じのとおり、平成十五年の十二月十九日の閣議で導入を決定いたしております。予算につきましては、十六年度一千億円以上、それから十七年度でも一千億円以上をお願いしているところでございます。そこでまず初めに、この契約を開始しておりますのは十六年度、それから十八年度から配備が、第一弾の配備が始まります。最後に二十三年度にこのすべての配置が完了する、こういう予定になっております。
 いずれにいたしましても、これはもう国民の安心、安全を守るわけでございますから、この配備につきましては的確に、かつ十分注意を持って着実に進めてまいりたい、このように思っております。
#21
○世耕弘成君 最終的に配備が終わるのが二十三年度ということですから六年掛かります。第一弾が、配備完了がこれ十八年度末ということですから、平成十九年三月だからあと二年掛かります。第一弾の稼働が始まる二年までの間というのは、これ、日本は丸裸なんでしょうか。
#22
○国務大臣(大野功統君) 日本だけで考えると丸裸でございます。しかし、我々には日米安全保障条約というものがございます。したがいまして、そういう問題につきましては、アメリカと十分協議の上考えていくべき問題だというふうに思っております。
#23
○世耕弘成君 この今アメリカとの連携が重要だとおっしゃいました。アメリカはこの既にペイトリオット、この地上迎撃用のミサイルというのは既に配備を始めているわけですけれども、このイラストで見ていただいても分かりますように、ペイトリオットは、これ何かトラックに積んで動けるような、割と、まあ見たところ簡単そうなものなんですけども、取りあえずこれをアメリカから借りたらどうなんですか、取りあえずは。私が聞いているところでは、アメリカ軍はアテネ・オリンピックのときにギリシャにこのシステムを貸し出したという話もあります。これを当面二年間借りて、最低限の防御、丸裸なんて言われたら私は本当不安になっちゃいますが、最低限我が国としての防御をするというのは、お考えどうでしょうか。
#24
○国務大臣(大野功統君) アメリカと二年間の間、十分協議をして、その部分は絶対に空白にならないようにやっていきたい、このように思っております。
 その上で、御質問は、アメリカから借りたらどうかと、こういう御質問でございますけれども、アメリカがPAC3を他国に貸し出した、こういう実績はございません。ただ、もちろん、アメリカが同盟国において自らのこのシステムを持ってきてそして配備したと、こういうことは、例えば韓国においてございますし、またイラク戦争においてもございます。
 PAC3はアメリカも調達途上であり、自らの配備分を犠牲にしてそして日本に貸し出す余力はないのではないか、このように分析いたしております。また、仮に借り受けたとしましても、指揮統制システムへの接続、あるいは周波数の問題、このような問題がありますので、日本で使用できる形への改修の問題があります。それから、迎撃に関する法制度の整備、あるいは訓練の問題、こういう問題がありますので、運用可能、アメリカから借りてそれを運用する、運用可能になるまでには、まあ若干というか相当の時間が掛かるのではないか、このように思っておるところでございます。
 PAC3は自衛隊が保有しているペトリオットを改修して使用いたします。維持整備性やライフサイクルコストを考慮すれば、改修が一番ベストの選択じゃないか、このように思っております。
 いずれにいたしましても、緊急の必要性が生じた場合には、やはりこの日米安保体制の下で米軍の展開を期待する、これが当座の問題点だと思っております。
#25
○世耕弘成君 ともかく、ありとあらゆる方法、知恵を出していただいて、このノドンミサイルから国民をしっかり守っていただきたいと思います。
 先ほどのシステムがこれ配備をされますと、一応迎撃ができるようになってくるわけでございますけれども、今国会で自衛隊法が改正されまして、事前に分からないで、もし突然北朝鮮がノドンを撃ってきた場合には、防衛庁長官の判断で迎撃ができるようになっております。
 ただ、判断といっても、撃ってからですから、時間は十分しかありません。この十分の間に防衛庁長官、判断を下せるそれだけの情報連絡体制、例えばおふろに入っていたらどうなるんだろう、トイレに行かれていたらどうなるんだろうか、そういうところまでもう十分という時間は正にもう一秒一秒がクリティカルなわけですから、長官への連絡体制というのは日ごろどうなっているんでしょうか。
#26
○国務大臣(大野功統君) これは大変な問題でございます。
 いずれにいたしましても、いずれにいたしましても、日本に飛来することが分かる、分かったら、これは落とさなきゃいけない。そうしないと国民に対する大変な脅威、財産、生命に対する被害になります。したがって、まず落とす。そのシステムをどうやってシビリアンコントロールの下で運用していくか、これは大変大きな問題であります。
 そのための、まず第一段階の長官への連絡という問題でありますけれども、まずイージス艦及び地上レーダーによりまして確認をする、それから米国の早期警戒衛星、これも協力をお願いする。こういうことで、情報が入り次第直ちに防衛庁の地下にございます中央指揮所、ここへ情報が入ってくるということになっています。情報が入ってきますと、直ちに私、長官のところへ今度情報が伝達される。
 そのときつかまればいいけれどもというのが先ほど問題点にございました。しかも、シビリアンコントロールを確保するとすれば、先生正におっしゃったとおり、例えば北朝鮮から日本までですと十分ぐらいで来るわけですね。しかも、日本に飛来するということが確認されるまでに何分か必要でございます。だから、本当に判断するのは数分で判断しなきゃいけない。その間で、例えば安全保障会議あるいは閣議をやる、これはもう到底無理でございます。したがいまして、システムとしては、もう先生十分御存じだとは思いますけれども、兆候がある場合にはあらかじめ総理大臣の承認を得て長官が命令すると、こういうことになっております。
 それから、その他の場合で事態が急変してという場合には、あらかじめこういうマニュアルでやりますよ、こういうことで総理大臣の承認をちょうだいして、そして確認されれば迎撃すると、こういうシステムでございます。
 誤解がないように一つだけ言わせてください。それ、よく現場が判断するということを言っているんですね。しかし、これは現場の判断じゃございません。すべて長官の責任、責任においてきちっとマニュアルを作って、現場はここで、ミッドコースに、大気圏外に入って、ミッドコースに入って、そして日本に飛来する、これが分かったら撃ち落とす、こういうシステムでございます。
#27
○世耕弘成君 今のお考えは私もよく分かっているんです。
 長官に私お伺いしたいのは、秘書官、二十四時間ずっとそばにいますか。どんなときでも、いざというとき長官を起こせるように、もう一緒にそばにいらっしゃいますか。そこだけちょっと確認さしてください。
#28
○国務大臣(大野功統君) 二十四時間一緒ということはありません。ただ、秘書官は現在でも、例えばいろんなことが起こります。夜中でも私、たたき起こされております。これだけの連絡に対して真剣に取り組んでいることは御理解いただきたい。ただ、二十四時間一緒におるわけではございません。
#29
○世耕弘成君 いや、これは三交代制ぐらいにして、防衛庁長官には常に秘書官あるいは武官が常に付いて、常に情報連絡やれる体制をこれ取ってもらわないと私は十分での判断なんてとてもできないと思いますので、これは改善を是非ともお願いしたいと思います。
 それでは続いて、もう一度先ほどのBMD、これイージス艦から一番空の高いところを飛んでいるときに撃ち落とすと言っていますが、この高さ、とんでもない高さですよね。千三百キロの射程のもの、これ物理学の放物線ですから、それでいけば大体四百キロとか五百キロぐらいの高さ。ということは、富士山の百倍ぐらい、飛行機が、ジェット機が飛ぶ高度の四十倍とか五十倍ぐらいの高さにあるものを、これ本当に海上から撃って撃破できるような状態なんでしょうか。これをお伺いしたいと思います。もし、専門家でも結構です、大臣でも。
#30
○政府参考人(飯原一樹君) 先ほど大臣からお答えしましたように、ノドンの正確な技術情報はございませんが、おおむね射程千キロ程度の弾道ミサイルは高度、最高高度で三百キロぐらいに達するというふうに考えられております。
 それで、これに十分対応できるようなシステムとして現在イージス艦のミサイル開発システムの開発が最終段階にあるということでございます。
#31
○世耕弘成君 さらに、これPAC3で落ちてくるやつを迎撃すると言っていますが、このときの落ちてくるスピードというのは、これもうとんでもないスピードじゃないですか、どれぐらいなんですか。落とせるんですか、このPAC3のミサイルで。
#32
○政府参考人(飯原一樹君) これも一定の仮定を置いて計算しますと、恐らくターミナル段階、落下直前でマッハ九程度ということが言われております。当然、これを念頭に現在のPAC3システムが対応能力を持っているということでございます。
#33
○世耕弘成君 音速の九倍ということでございまして、そういうものを本当に落とせるものかどうか少し不安になってくるわけでございますが、じゃ、続きまして、このPAC3の配備についてお伺いしたいと思います。
 このPAC3の配備は、東京周辺の三個高射群に配備をされるということになっていますけれども、全国には六つ高射群があるわけですが、残りの三つはもう捨てちゃうということでしょうか。
#34
○政府参考人(飯原一樹君) 現在の導入計画でございますと、いわゆる政経中枢といいますか、政治、経済の中枢部分のペトリオットの部隊を弾道ミサイル対応するということで今御指摘のとおりの計画になっておりますが……
#35
○世耕弘成君 残り。
#36
○政府参考人(飯原一樹君) 済みません。
 基本的には、考え方として、ねらわれやすいところを守るという考えの下に配備を考えていくということでございます。なお、具体的な配備計画はこれから設定をいたします。
#37
○世耕弘成君 ねらわれやすいところはどこなのか。原発は全国にありますし、その辺よく議論をしていかなきゃいけないと思います。
 今日ちょっと時間もなくなってまいりましたので、それではPAC3、このミサイル防衛システム関連で情報収集衛星についてお伺いしたいと思います。ありがとうございました。お伺いしたいと思います。
 今、日本の情報収集衛星二機打ち上げられていますけれども、これは解像度が民間の衛星レベルだと、とても軍事用に使えるレベルの解像度ではないと。しかも、元々、四機を地球上を回らせて、それで二十四時間見れるようにカバーする予定が、HUロケットの残念な失敗によって今のところ二基しか上がってないということですけれども、これで本当に大丈夫なんでしょうか。
#38
○政府参考人(上原美都男君) お答えをいたします。
 お尋ねの情報収集衛星でございますが、一昨年の十一月に二基の打ち上げに失敗をいたしまして、現在、現有二基で運用をさせていただいております。
 昨年四月一日より関係省庁からの情報要求を受け付けまして、これを撮像後お返しをするという定常運用期間にもう既に入っておるところでございます。現在、二つの現行衛星及び我が方の担当職員のフル稼働を必要とする程度の情報要求がもう既に連日寄せられておりまして、現在の二基の衛星を最大限活用いたしまして必要箇所の撮像を現在行っているところでございます。また、情勢に応じまして、緊急に撮像すべき対象につきましては臨機応変に対応する緊急撮像も行っているところでございます。
 このように、内閣衛星情報センターといたしましては、現行の情報収集衛星を効率的かつ効果的に運用することを図っていくとともに、今後とも、所期の目的で、目標でございます四基体制の早期確立に全力を挙げてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#39
○世耕弘成君 結局、質問答えていただいていませんが、四基のうち二基しか稼働してないということは、二日に一日しか撮影できないということなんですよ。
 これ、ある日突然、金正日が今日東京を火の海にすると宣言をしたらどうするんですか。これ、どういうふうに対応するんですか。だって、発射の兆候がない限りは先ほどのミサイル防衛システムを稼働できないわけですよね。このときどうされるんですか。
#40
○政府参考人(上原美都男君) 現状は二基で運用させていただいておるということでございまして、撮像ができない期間に何かあった場合は撮像ができないという御指摘はそのとおりでございます。これをいかに補完するかということであろうと思っております。それは、日米安保条約もございますし、防衛庁のそういう装備もございますし、全体的に現在の持てる力で対応していくと、こういうことであると思っております。
#41
○世耕弘成君 これ、やはりアメリカに頼らざるを得ないという今の状況だということでございます。
 今後、この解像度を上げたり、衛星をもう少し追加で上げるというような具体的計画はお持ちでしょうか。
#42
○政府参考人(上原美都男君) 今後の我が方の情報収集衛星の開発計画でございます。
 一昨年打ち上げに失敗いたしました衛星の代替といたしまして、平成十七年度に光学衛星一基を、平成十八年度にレーダー衛星一基を打ち上げる予定にいたしております。さらに、衛星の分解能の向上あるいは撮像能力の強化を目指した将来の情報収集衛星の研究開発にも十四年度から着手をしておるところでございます。
 我が国の外交防衛の安全、外交防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応の危機管理のために必要な情報の収集を主とします、主な目的といたします情報収集衛星の開発について今後とも積極的に取り組んでまいる所存でございます。
#43
○世耕弘成君 ともかく、早く積極的に新しい解像度を持った、そしてちゃんと二十四時間常に監視できる衛星の追加計画をしっかりやっていただきたいと思います。これもう非常に心配ですね。
 じゃ、そういう中で、今度問題は、国民を、万が一、じゃ、今から撃ってくるぞということになったときに国民をどうやって避難させるかということが問題になってきます。近く内閣では、国民保護法に基づいた国民保護の基本指針というのを閣議決定されると聞いていますけれども、ノドン発射時の国民の避難についてどう考えておられるのか。
 ただ、非常に難しいですよね。これ、今から、発射準備だけでは一体どこへ飛んでくるのかは分からない。発射がされて、いよいよ場所が特定できる、着弾地点が大体特定できるような段階になったらもうあと十分を切っているという状況、しかも、弾頭には核が積まれているのか生物化学兵器が積まれているのか分からない。
 こんな中で、国民をどういうふうに避難をさせようとお考えでしょうか。これは担当、村田大臣からお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(村田吉隆君) 有事法制担当大臣としてお答えをいたしたいと思います。
 国民保護法に基づきます基本指針につきましては、今年度内に閣議決定をしたいということで、今鋭意作業を進めているところでございます。
 それで、そうした弾道ミサイルによって攻撃されるケースにおきまして、武力攻撃事態等あるいは緊急対処事態等で認定される場合には、そういう時間的なゆとりがある場合には、対策本部長から警報を発令したり、あるいは避難の指示を、避難措置の指示を行うということができるわけでございます。
 仮に、緊急の場合でそういう時間的なゆとりがないという場合には、消防庁から直接行政防災無線を使ってサイレンを鳴らして住民に情報の提供という、これは法律から離れるんでございますが、事実的な行為として、情報の提供という形でサイレン等を鳴らして攻撃の事態を連絡すると、こういうことになろうかというふうに思います。
 十七年度予算でそういうテストといいますか、そういうやり方を含めまして調査をやると、こういう形にさせていただいているところでございます。
#45
○世耕弘成君 サイレンを鳴らして、何か昔の空襲警報を思い出すような感じがいたしますが、なかなか有効な避難の手段というのは、これ弾道ミサイルに関してはないんじゃないかと私は考えております。
 となると、もう唯一あと国民を守れる手段は、例えば相手が燃料の注入をノドンミサイルに対して行っている、いよいよ撃ってくるぞというときに、こちらから相手の発射基地をたたきに行く、これが確実に国民の生命、財産を守れる唯一の方法ではないかと思いますが、防衛庁長官、お考えはいかがでしょうか。
#46
○国務大臣(大野功統君) まず、防衛出動が下令されているケースでございます。法理論的に言いますと、当然のことながら、敵基地を攻撃することは法理論上できるわけでございます。しかしながら、現実問題として、政策判断の問題としてこれをどうするか。これは、現在は日本は専守防衛ということを防衛の基本理念といたしております。したがいまして、日米安保条約に基づいて攻撃の部分はアメリカに依存しようじゃないか、そして我々はしっかり日本を守ろうじゃないか、こういう体系で日本の防衛というのは組み立てられておりますので、現時点で敵基地を攻撃することを目的とした装備は保有しておりません。
 我が国の攻撃能力は米軍に依存する、防衛能力のためにBMDを導入する、これが基本的な考え方でございます。
#47
○世耕弘成君 なかなか、先制攻撃もこれもアメリカ頼りだということになってきたわけで、やっぱり最後はもう情報収集体制しかない。できる限り相手国政府の内部のいろんな動きを把握をして、そういう発射準備などに至る前に状況を把握をして、周辺の国と連携をして外交的な圧力を掛けていく、これがもう本当に唯一残された守る道かな、国民を守る道かなというふうに思いますが、今の情報収集体制をどういうふうに一元化をしていくかというのは非常に重要だと思います。まだまだ、今、内閣情報調査室に一元化はされていますけれども、まだまだ各省庁縦割りの状況が続いていると思います。
 今、これは民主党も一緒に自公民三党で緊急事態基本法というのを今検討しているわけですけれども、その中でも政府の情報収集機能の一元化の必要性が非常に言われています。
 総理、この辺については今どのようにお考えでしょうか。
#48
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各省からの情報を収集して的確に分析して判断する、極めて重要なことでありますので、現在、今までの様々な事例を参考にし、情報収集能力を高め、そして各省が連携して当たるよう、内閣情報調査室を中心に努めているところでございます。
 いずれにしても、どういう情報がいつ入ってくるか、また不測の事態にどう備えるか、なかなか予測でき得ない状況が多いもんですから、極めて困難であることは承知しておりますが、その困難を乗り越えてできる限りの体制を整えていこうということで、各省緊密な連携を取っているところでございます。
#49
○世耕弘成君 最後の質問、防衛庁長官にさせていただきたいと思います。
 私は、最近、シビリアンコントロール、文民統制という概念が誤って解釈されているんではないかと思っています。
 例えば、インド洋に海上自衛隊を派遣するときに、イージス艦を持っていくべきかどうか、これまで国会で議論しているというのは、私は行き過ぎた文民統制だと思います。こういうのはプロに任せればいいんです。道具は何を使うかはプロに任せればいいんです。我々国会議員の仕事は、しっかりと法律でルールを作ることです。そして、防衛庁長官がしっかりと規則で縛っていただくことだと思っていますが、最近そういう行き過ぎたシビリアンコントロールの概念が非常に多い。
 もう一つ、私、大変びっくりしたのは、この国会に制服組の人が来たことないんです。昭和三十年代前半以降、源田実航空幕僚長が最後です。それ以降だれも、この衆参含めて国会に制服組の方が専門家として来て、そしていろんな自衛隊の技術問題について答弁をするという機会は全然ないんです。
 防衛庁長官、こういうシビリアンコントロールの私は行き過ぎた解釈について、どうお考えになっているか、最後にお伺いしたいと思います。
#50
○国務大臣(大野功統君) シビリアンコントロールというのは政治の軍事に対する優先であります。当然のことであります。この基本理念をいろいろ解釈によって何だか枝葉末節のところまで入っていく、これは非常に問題じゃないかと、こういうふうに思っております。政治が優先する、この問題であります。
 それから、例えば制服の方々が国会へ来る、あるいは委員会へ出てきて発言する、こういう問題については、私は国際的にどういうふうに取り扱われているか、これは非常に大切な観点だと思います。世の中考えるときに、私は基本的に長期的に、やっぱり国際的にどうなっているか、こういうことを考えていく必要があると思っています。
 そういうことで、ちょっと長くなって恐縮なんですけれども、アメリカでございますと軍事委員会等に制服が公聴会に出席を求められた場合は将官クラスが出席すると、しかし、委員会及び小委員会の審議には制服は参加できません。それから、イギリスでございますけれども、国防参謀総長、国防副参謀総長が委員会に証人として出席することはありますけれども、それ以下のレベルの軍人が出席した事例はありません。
 なお、ここが大事なところですが、大臣が、出頭しちゃいけないよ、制服の方に出頭したらいけないよ、こう言ったら委員会に出頭することはできない。やっぱり、そこにもやっぱり軍事に対するシビリアンコントロール、政治の優先というのが見られる、こういうのが現状でございます。
#51
○委員長(中曽根弘文君) 関連質疑を許します。有村治子君。
#52
○有村治子君 おはようございます。自由民主党の有村治子です。
 予算委員会で初めて質問に立たせていただきます。世耕議員の外交防衛に関する質問に関連して、教育に焦点を当てて、本日は教科書における北方領土の記述について質問をさせていただきます。
 それには背景に、教育問題はすぐれて社会問題である、その社会問題の反映であるということの実感を持っておりますので、今日は北方領土を取り上げますが、これは単に一分野にとどまらず、私たち現代の日本人が主権や領土に対して、そういう問題に対していかに向き合っていくかということを考えるきっかけになれば有り難いとの思いで質問に立たせていただきます。
 本題に入ります。
 総理、皆様、二月十四日はバレンタインの日ですが、その十四日から一週間前の二月七日は何の日だか御存じでしょうか。即答できる方、どのくらいいらっしゃいますでしょうか。(発言する者あり)北方領土の日です。声が掛かって有り難いと思います。
 百五十年前に日露通好条約、つまり日本とロシアが平和的に国境線を初めてつくった、そして北方領土が日本の領土になったという、その下田で署名されたその二月七日を記念して北方領土の日というのがあります。ここで毎年毎年この二月七日に北方領土返還全国大会が行われますけれども、総理はたまたま今年は所用で御出席されませんでした。私自身も毎年のように心して参加させていただきますが、これは私たち自由民主党のみならず、公明党、民主党、社民党、共産党という日本の政治に責任を負う全政党の幹部がともに出席して、日本の固有の領土だ、この返還に全力を尽くしますということを勢いよくおっしゃいます。青年団体、女性団体、そして根室の地元活動組織、連合や日教組も含めた労働組合も応援をしてくださっている活動です。北方領土は右だ左だ、与党だ野党だっていうイデオロギーで分かれるのではなく、国民共有の課題だなっていうことを改めて認識し、勇気付けられます。
 その今年の二月七日、全国大会に参加した制服姿の中学生の女の子が、伊計ちかさん、沖縄の小禄中学校の伊計さんが勇気を持って感想文を述べてくれました。彼女は沖縄から北海道の根室に行って、北方領土の研修に参加したその感想です。北方領土の重要性を全然知らなかった、この重要性、私たちの学校で学ぶ中学校の教科書には北方領土の記述がたった七行しかありません、もっと北方領土について知る機会を持っていただきたいですということを言ってくれました。
 この言葉に触発されて、私は、小学校、中学校、高校の社会科の教科書、一応入手して確認できた五十七冊、小学校の社会科、地理、歴史、公民、現代社会、そして高校の政治・経済の教科書五十冊以上に目を通して北方領土の記述を確認いたしました。約三百ページに上ります。その重立ったものを今日配付資料でお配りいたしました。
 二ページ目をごらんになっていただきたいと思います。そして、今日テレビでごらんになっていただく方は、会場に配付しておりますこの資料は、私、有村治子のホームページ、(資料提示)こちらの方で掲載をしておりますので、今日、御関心を持っていただける方はホームページから印刷して入手していただきたいと存じます。
 ここで、北方領土の基本的な情報を確認させていただきたいと思います。
 北方領土の現在の状況を生んだのは、一九四五年、あともう少しで終戦だっていうときに、当時有効であった日ソ中立条約をソ連が無視して対日参戦をして、そしてポツダム宣言を受諾して降伏した後二週間たってから武装したソ連軍が北方領土に侵攻して急襲、その不法占拠が始まって今年でちょうど六十年になります。当時北方領土には一万八千人近い日本人の島民の方々が住んでいらっしゃいました。その半数は、厳しいソ連軍の監視の目をくぐって命からがら御先祖の遺影とともに本土に戻っていらっしゃいました。しかし、それ以外の島民の方々は、樺太などに抑留されて苦しい生活を強いられた後に、強制的に引揚げをされていらっしゃいます。
 北方領土で生まれ育った旧島民の多くは、大多数既に他界されています。不法占拠から六十年、存命の方々の平均年齢も七十二歳を超えています。今年の返還要求全国大会で、腰を曲げて髪の毛を白くして本当にしわを深く刻んだおばあちゃんが、旧島民の方が発言してくださいました。私たちが生きているうちに島に帰りたい、目の黒いうちに御先祖のお墓がある島に帰してください。本当に体を震わせて発言をされるその発言を聞いて、私自身目頭が熱くなりました。
 この二ページ目をごらんになっていただきたいと思います。
 五十冊以上の小中高の社会科教科書に目を通してみて確認をして分かったのは、北方領土の記述が一切ない教科書も複数あるということです。そして、実際に記述された教科書も、三ページ、今日の配付資料の三ページに実物をコピーいたしましたが、本文ではせいぜい一行、そして欄外の脚注で北方領土に関して、まあ日本とロシアの間で領土問題があるというような、せいぜい二掛ける三センチの幅の記述しかありません。ここには北方領土が何で起こってしまったのか、その背景や日本固有の領土であるということを教えていない教科書もたくさんあります。
 また、二ページを御確認いただきたいんですが、事実に反した記述もあります。中学校の教科書、「第二次世界大戦の末期にソ連に占領され、その後、ロシア連邦がそのまま引き継いでいる。」という記述もあります。事実は終戦後二週間近くたってからソ連軍が急襲して不法占拠したというのが皆様承知のとおりの事実です。
 また、四島返還をあくまで主張している日本政府と違った見解の教科書記述も高校の教科書にあります。例えば、現在返還方法をめぐって、二島返還を優先させるのか、四島一括返還を求めるのか、意見が分かれているというような記述です。一体どこの国の教科書だろうというふうに首をかしげざるを得ないような教科書記述もあります。非常に悲しい話です。
 今日、配付させていただいたこの一ページ目のこの中ぽつの項目は北方領土の本質を理解するための本当に基本的な情報ですが、この記述をしている教科書は一冊もありません。
 私は、若手の政治参加ということに非常に関心を持っていて、積極的に大学生のインターンを受け入れたり、あるいは大学で講演に行ったりします。そのときに、本当に優秀なまじめな今の学生さんが私に素朴なコメントを寄せてくれます。どういうふうに思っているか、是非お聞きください。
 有村さん、北方領土、ソ連に上げたんだから今更そんなにこだわらなくてもいいんじゃない。北方領土って、おじいちゃん、おばあちゃんの時代のことだと思っていました。有村議員のところにインターンに来るまで全然ぴんとこなかったんですよねって、昨日、北海道出身の現役の女子大生が私に言ってくれました。また、ある方は、ロシア人が現在住んでいるんだし、どうせ小さい島なんだから上げちゃっても日本に痛みはないんじゃないということをおっしゃいます。
 しかし、そういう方々は、北方領土がすべて四島を合わせれば福岡県よりも、現在五百万人以上の人口がある福岡県よりも多い領土であり、そしてロシアが時々主張するこの歯舞島、色丹島の二島返還というのは北方領土全土のたった七%しかないという歴然とした事実ということを国民の多くの皆様は知る機会がありません。
 こういうことをごらんになって、総理、日本の未来を担う子供たちが学ぶ教科書、北方領土の記述の実態をごらんになって率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。控え目な表現をしてもバランスを欠いているというか、いびつな表現も多々見受けられる現状です。いかがでしょうか。
#53
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 北方四島、これは日本固有の領土であるということで、一貫して日本政府はソ連、現在ロシアでございますけれども、この北方四島の日本帰属を明確にして平和条約を締結するという方針で臨んでおります。学校の教科書において、今詳しく有村議員からお話ありましたけれども、多くの若い生徒さんたちにこの歴史的な領土の重要性、認識、深めていただくということは極めて重要なことだと思っております。
 先日も高校生の方が官邸を訪れましてね、北方領土の問題に関する弁論大会が行われて優勝した方が二人訪れました。一人は、おじいさん、祖先が住んでいた方、もう一人は、全くそういう北方四島とは関係ない方々が、の中で弁論大会で優秀賞を獲得された方でありますが、そういう若い人が各地を回って同じ年代の高校生の皆さんにこの領土の重要性を訴えて理解を求めて、返還運動をあきらめずに粘り強くこれからも続けていかなければならない、極めて有意義な活動であると私も激励しておきましたけれども。
 日本政府としても、これは長年にわたるロシアとの重要な課題でございます。現在もそれを続けているわけであります。
 また、先ほど指摘されましたように、一八五五年、ロシアと日露通好条約を締結したこの経緯につきましては、先ほど小村寿太郎の話を世耕さんお話しになりましたけれども、この話も、同じ作家の吉村昭氏が「落日の宴」という本で、当時のロシアの提督プチャーチンと幕府側の責任者川路聖謨との交渉の記録がこれまた極めて丁寧に書かれております。これもよく読んで、極めて教えられるところが多い本であります。
 友好裏に日本は当時のロシアと、得撫島と択捉の間、これは日本固有の領土であるという交渉をまとめたわけであります。当時は、あの下田で大地震が起きて津波が起こったんですよ。ロシアのプチャーチンの方が壊されたんですね。それを日本人たちが協力して再建して、無事ロシアに送り届けたという友好の話も載っております。
 そういう百五十年前の過去の歴史も踏まえながら、明らかにこの北方四島は日本固有の領土であるということを忘れずに、今後ともロシアとの間に、北方四島の日本に帰属するという、これを明確にして日ロとの間に平和条約を結ばなくてはいけないということの方針を堅持して進めていきたいと。
 同じように、教科書におきましても、日本は国定教科書じゃありませんけれども、学習指導要領の範囲内において、適切に学校教育の場でもこの認識を深めていくことは重要であると考えております。
#54
○有村治子君 ありがとうございます。
 総理は、電撃的に北方領土を視察されていますし、その基本的な熱心な御姿勢というのは私も十分に理解しております。ただ、その姿勢が本当に私たちの日々の暮らしの中に、しっかりと教育の中にその理念が生かされているかどうかという意味では、現状は非常に寂しい現状だということを認識していただき、またそれに対する総理としてのリーダーシップを是非発揮していただきたいと存じます。
 今年二月の全国返還要求大会で出された資料の一番目のキャッチコピーにはこのような言葉が書かれています。北海道の先に日本の島四島があることを忘れていませんか。「北海道の先に日本の四島があることを忘れていませんか」。
 では、北方領土を忘れさせて風化の危機にさらしているのはだれでしょうか。北方領土の重要性をしっかりと唱えつつ、でも日本人が当然知らねばならない領土問題の本質を伝える努力が、不法占拠から六十年たった今でも教科書記述にその努力の跡が見られないのはなぜでしょうか。これは単に文部科学省だけの問題ではなく、各政党、そして私たち一人一人の国会に議席をお預かりさせていただく国会議員の姿勢、また各省庁の在り方が、領土に対する向き合い方、在り方が問われているんだと、その気概と決意があるかどうかが問われているんだと思います。
 そういう意味で、私は国家を成す条件というのが国民と領土と主権だということだと考えると、その中で、やはり領土と主権ということにほとんど触れられない、あるいは本当に少しの情報しか書かない教科書を学ぶことによって、日本の子供たちが、百万人単位で毎年毎年領土問題に疎い日本人ということを生んでいるんではないか、この状況に危惧をします。
 だからこそ、原子力潜水艦が中国から領海侵犯をしても余りぴんとこない。日本の領空をロシアの戦闘機が飛んでも、またこれが国民運動の、危機的なことを指摘する運動にならない。やはり私たち、自分の国の領土を意識しない国民をたくさん生んでいった結果、将来は日本の国土において新たな領土問題が引き起こしかねないんじゃないかというような危惧をいたします。
 くしくも今年は、日本が竹島領有を閣議決定して島根県が竹島を編入し、公示した年からちょうど百年になります。偶然、昨日、島根県議会では竹島の日の条例が制定されました。
 しかし、その島根でさえ、おとといの産経新聞は一面でこのようなことを論じています。
 竹島を知らない若い世代が増えている。島根の地元の子供に竹島帰れって竹島さんのことと聞かれる笑えない話もある。七十六歳の漁民の方は、島民の方は、我々は親が食料を積んで竹島で漁をしていたことを知っているが、今の若者には実感がなく、返還運動を十分に理解できないでいるとため息混じりだ。これが実情なんです。
 どうか総理、総理のリーダーシップで各省庁、なぜ私がこの質問を文教委員会ではなく予算委員会でさせていただくのか、安全とそして外交に責任を負う外務省、そして防衛庁長官、総理のリーダーシップで各省庁がしっかりと目に見える改善が教科書でも行われるよう、その指示をしていただきたいと思います。
 関連して私がいただいている時間あと六分しかありませんので、総理のその具体的に行動が、変化が起こる指示の後に、内閣府の北方領土担当副大臣七条先生には教科書が改善されるよう具体的にどのような省庁間の連携を取っていただけるのか、御説明いただきたいと思います。また、文部科学省からは、大臣又は副大臣、具体的にどういう記述が日本の教科書に入っていかなきゃいけないのか、コメントを具体的にしていただきたいと思います。お願いいたします。
#55
○副大臣(七条明君) 有村先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思いますが、先ほど来から、北方領土に対する担当内閣府としては応援演説を賜っているような気がしてなりません。個人的には感謝状を出したいななんて思っておるところでございますが。
 先ほどお話がありました北方四島の元居住者の平均年齢が七十二歳になると、このことを十分認識をしながら、北方領土返還の実現については、北方領土問題についての正しい理解と認識の下で、少なくても、少しでも多くの国民の皆さん方に対して、特に若い世代の皆さん方に対して運動に積極的に参加をしていただくことが必要である。そういう意味では、教育とかあるいは啓発の推進が重要であるということはもう先生の言っておられたとおりでございます。
 特に教科書の問題につきましては、昨年の四月の一日、北方領土担当の大臣から文科省の大臣に対して、北方領土問題に関する教育の充実と周知徹底の強化という観点から、これは入学試験への出題を含めて教科書における北方領土問題の取扱いについて一層の配慮をしていただけるように協力要請をしたところでございまして、その後、各都道府県の知事さんやらあるいは政令指定都市の市長さんに対して、あるいは教育委員会の委員長さんに対しても文書で要請をいたしているところでございます。
 今後とも関係省庁と連携を取りながら、十分有村先生の趣旨を踏まえて勉強してまいりたいと考えております。
#56
○副大臣(塩谷立君) 北方領土につきましては、我が国のこの返還は念願であり、またこのことを教育の面で徹底することも重要だと考えております。実際に、教科書において、小中学校の社会科、高等学校の地理において、我が国の国土の位置や領域を学習する中で児童生徒の発達段階に応じて指導を行うこととしているところでございます。
 具体的には、小学校社会科五年では、日本の位置を学習する中で我が国の領土と近隣諸国を取り上げることとしております。また、中学校社会科の地理の、地理的分野においては、日本の位置と領域を学習する中で、北方領土が我が国の固有の領土であることなど我が国の領土をめぐる問題にも着目させることとしております。
 これを踏まえて、教科書においては、小学校社会科、中学校社会科地理的分野のすべての教科書及び高等学校の地理A及び地理Bの教科書において、一つは北方領土が我が国の領土であること、二つ目にはロシアに占拠されていること、三つ目には返還交渉を続けていることなどを記述されているところでございます。
#57
○有村治子君 是非おっしゃっていただいたことを必ず実行していただきたく、御期待申し上げます。
 ドイツの法哲学者イエーリングがこのような言葉を残しています。領土の一部を失って黙っている国民は領土のすべてを失う危険を負う。領土の一部を失って黙っている国民は領土のすべてを失う危険を負う。
 自国の領土に意識を向ける国民が一人でも多くなっていくことが平和的に自国の領土や主権を守っていくための平時の最も大事な安全保障だということを確認いたします。
 そして、これからも、しっかりとした国家観と生活観を持って領土と主権問題にともに取り組み、できれば与野党、イデオロギーを超えて日本人として取り組んでいけるよう、是非総理、そして私も頑張ることをお約束して、私、有村治子の関連質問を完了させていただきます。
 ありがとうございました。
#58
○委員長(中曽根弘文君) 以上で世耕弘成君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#59
○委員長(中曽根弘文君) 次に、齋藤勁君の質疑を行います。齋藤勁君。
#60
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
 最初に総理にお尋ねいたします。
 第七艦隊に配備をされておりますキティーホークが退役をされると、そういう情報があります。これは総理ではなくて関係大臣でも結構ですけれども、外務大臣でも結構ですが、キティーホークの、キティーホークですね、空母キティーホークが退役をするということについて、米政府から正式にあるいは非公式に日本政府に連絡があるのかどうか。そして、その後、後継艦について米政府から日本政府に連絡があるのかどうか、あったのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#61
○国務大臣(町村信孝君) キティーホークの話、いろいろ報道ベースで取りざたをされております。米海軍の言わば再編成の中でいろいろなプランがあるようでございます。一部は、その基本的な考え方について米軍の方から米議会に対して説明があったと。しかし、具体に、今キティーホークの話をされましたが、これについて米国政府は何ら決定をしていないということでございます。
 私は、横須賀の沢田市長から先般の2プラス2の前に手紙を託されまして、横須賀市民の考えはこういうことだという、これは中身、手紙の中まで私、詳細読んだわけじゃございませんが、それをラムズフェルド長官に渡したとき、ラムズフェルド長官からも、この件については米政府としては何もまだ決定をしていないと、こういう取りあえずの回答があったことを先生に御報告をさせていただきます。
#62
○齋藤勁君 私も、過日、アメリカ大使館の方と、先々週ですか、話す機会がありまして、同様な尋ね方をさしていただきましたら、まだ政府自体決まっていないと、こういうことです。しかしながら、もう相当前からこのいわゆる通常型のキティーホークについては退役がうわさをされまして、次期配備はいわゆる原子力推進の空母であるということがまた巷間相当伝えられております。
 今、沢田横須賀市長のお名前も外務大臣から出ましたけれども、これは小泉総理大臣の地元でもございますが、私にとりましてもまた神奈川県でございますので地元ですが、つい先日、原子力空母の母港は要らないということで、横須賀市民の方々を中心にしまして約三十万人の署名が沢田市長に提出をされました。同様に、まあ近々、松沢神奈川県知事にも同様な署名簿が提出をされるということですが。
 このことにつきまして、日米間では正式な議題にはなっていない、あるいは提案がないということですが、総理大臣としての、この市民や、原子力空母について困るということについてのメッセージ、どういうふうに受け止められるのか、お尋ねしたいと思います。
#63
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) キティーホークのことにつきましては、私も横須賀市、地元ですから、このような問題が米国で協議されているということは承知しております。しかしながら、この米国の軍の編成の問題で、通常艦を将来原子力空母にしていきたいというようなことは報道でも承知しておりますが、まだ具体的に決定されたわけではないということでありますので、今、町村外務大臣が答弁されたとおりの状況でございますし、今後どういうことになるかというのはよく経緯を見ながら、地元の市長を始め関係者ともよく協議の上に適切な判断をしていきたいと思っております。
#64
○齋藤勁君 後ほど普天間のことについてもお尋ねいたしますけれども、日本政府のメッセージを、やはりきちんと考え方を事前にやはり知らせるという努力が私は歴代の内閣というのは欠けているんではないかというふうに思っておりまして、市民の方がむしろ先にこういった運動に立ち上がり、政府にきちんと出しているわけですから、むしろ日本政府として、アメリカから何も言ってこないからということではなくて、先に総理大臣として私は伝えていくということが、先ほど外務大臣では沢田市長からということでありますけれども、沢田市長もそうだ、松沢知事もそうならば日本政府もそうだと。
 これは昨日今日の話じゃなくて、私がたしか国会議員になった当時も、こういったもう、次期次期という話があって通常型をずっと配備をしているんですが、たしか私の記憶でも、グアムの海軍艦船修理センターで私は視察をさしていた際、多分日本政府は、この原子力空母というのを寄港というか母港化についての想定することは選択をしないんではないか。当時からグアム政府については、それであるならば、我がグアム艦船修理センターで事実上の母港化をしていこうではないかと、こういったような話もあったくらいであって、これもう十年以上、十年ぐらい前の話で。私は、そういった意味での政府としての姿勢が非常に不十分であるということについて指摘をせざるを得ません。引き続き、また機会を設けて、これらにつきましては提起させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、SACO最終報告が出されまして、もう何年ですか、九年、十年たとうとしておりますでしょうか、最初に、外務大臣あるいは防衛庁長官でも結構ですけれども、この普天間移設に伴いまして、これ代替施設の辺野古沖にいろいろ調査をしておりますけれども、この代替施設に係る支出済額、そして予算額、このことについての数字について御説明いただきたいと思います。
#65
○政府参考人(山中昭栄君) これは平成九年からでございますが、平成十五年度まで適地調査あるいは候補選定、さらに今も行っておりますが、現地技術調査あるいは環境影響評価、こういったもろもろの調査を中心に要した経費が十五年度まで約十六億円でございます。
#66
○齋藤勁君 予算額も。
#67
○政府参考人(山中昭栄君) 十六億円は、平成十五年度までの予算額でございますが、平成十、支出済額でございますが、平成十六年度の予算額、これはまだ執行の途中でございます、十九億円。御審議をいただいております平成十七年度の予算におきましては、約二十七億円を計上いたしております。
#68
○齋藤勁君 大変な膨大な額ですね。
 それで、外務大臣と防衛庁長官が参議院の委員会でもあるいは衆議院の委員会でのこの普天間のいわゆる返還問題で、いわゆるSACOの最終報告を受けて着実に進捗していきたいと、そういう代替施設の辺野古沖の建設、一方で、今トランスフォーメーション、米軍再編、このことでの接点があるんではないかということで、言わば私どもの受取方でいうと、この辺野古沖の方の移設はなかなか困難さを持っていると、一方で米軍再編、トランスフォーメーションの問題が出てきていると、こういうことで接点があるんではないか。辺野古移設を断念するんではないか、別な形の中で普天間問題を解決をするんではないか、こういうふうな受け止め方、その接点というのはそういうふうに私ども、答弁を聞いていますと感じられるんですが、どちら、外務大臣、その点についてお尋ねいたします。
#69
○国務大臣(町村信孝君) SACO最終報告、これには普天間を含め非常に幅広い内容のものが触れられているわけでございます。基地の返還もありますし、また騒音対策もありますし、あるいは日米地位協定上の運用の改善の事項もございます。それらを幅広く推進をしていくことが沖縄県民の負担軽減につながると、こういう基本認識でございまして、このSACO最終報告の着実な推進ということは私ども非常に重要であると、かように考えておりますので、先般の2プラス2の共同発表においてもそのことが触れられているところでございます。
 そういう中で、在日米軍の兵力構成の見直しという議論が出てまいりました。その中では、大きな視点として、抑止力の維持を図りながら、同時に沖縄等の地元の負担というものを可能な限り軽減をしていくということを基本的な視点として考える、このこともまた2プラス2の先般の共同声明の中で触れられているわけであります。そういう在日米軍の兵力構成の見直しをしていく中で、これからより具体の基地の在り方等々について議論を進めていくわけでございますが、その際に、この非常に幅広く網羅されておりますSACO最終報告の内容とどこかで接点があると。それが具体に今委員はもう普天間であると断定をされましたが、そこは否定も肯定もいたしませんが、どっかでそれは接点があるということはあり得ると思いますが、それがどこであるということを今具体に日米両国間で決めているわけではございません。いずれにしても、様々な可能性を今後議論の中で追求をしていきたいということでございます。
#70
○齋藤勁君 防衛庁長官、防衛白書をちょっと改めて見たんですが、SACO最終報告の進捗状況というのは七、八行前書きがありまして、ぱっと読んじゃいます。
 「SACO最終報告の実現に取り組んできた結果、」、まあこれ長くなりますから中略、中略します。要は、「十一事案のうち九事案が着実に進捗している。」と。「土地の返還以外の案件についても、そのほとんどが実現している。」ということが記述されています。
 今、こうしてこの普天間、私は最大、普天間以外もそれぞれ重要なこれ返還内容でありますが、九年、SACO合意から九年たっておりますけれども、返還のめどすら立っていないということを防衛白書で最終報告の進捗状況を着実に進捗しているなんて言えないんじゃないかと。これは言えるか言えないかといったってなかなか進みませんから、これ指摘しておきますよ。ひどい表現だなというふうに思います。
 言ってみれば、私は、この建設、暗礁に乗り上げて事実上この建設は無理だと、困難だと。困難だという中で、先ほど山中防衛施設庁長官から多額な、既に九年度から始まって十五年度で約十六億、そして予算額で十六年度が十九億、そして十七年度が二十七億と、こういう膨大な予算がまた執行あるいは予定をされている中であるというのが今、現状認識ではないかというふうに思います。
 で、総理、過日、これは毎日新聞だったと思いますけれども、総理が2プラス2の前に官邸で、事前説明のため首相執務室に入った外務省の河相北米局長と防衛庁の飯原防衛局長を前に、膠着状態にある普天間問題へのいら立ちを爆発させた。見出しで言うと、三月十日付けの毎日新聞ですが、手詰まり普天間飛行場建設、進まぬ辺野古をやめろ、「日米協議直前 首相見直し指示」、これ見出しだけ読んでいますけれども、「代案作り難航」と、これは事実ですか。
#71
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、事実ではございません。
 私は、外務大臣、防衛庁長官、日本側、アメリカ側の国務長官、国防長官、いわゆる2プラス2の会談、これが行われるということにつきましては、今後の方針として、アメリカの方針を聞くことはいいけれども、日本側の考え方もやっぱり整理しておくべきだと。外務省、防衛庁、よくすり合わせて、日本側として、まず今後の米軍基地の在り方、そして安保条約における抑止力、どう考えているのかと。アメリカの話を聞くと同時に、日本側がこうあるべきだと、こう考えているということを日本側の姿勢として打ち出すべきだと、そういう中で交渉は始まるんだということを強く指示しております。
 そういう中で、SACOがこれからも順調に実行に、SACO報告書が着実に進展を見るようにしていくことも大事でありますが、同時になかなか困難な問題もあります。その一つが普天間返還と辺野古の問題であります。こういう点につきましても、当時の五年から七年以内にこの問題に一つの結論を出すというところが、七年経過しても結論出てないということがありますから、こういう点についても日本側の率直な考えを伝えるべきだと。また、米軍がどう日本側の考えを聞いてどう返事を出すか、そういう点につきましてもよく協議するようにということを申し上げたわけでございます。
#72
○齋藤勁君 総理、そのとおりだと思うんですよ、立場というのは。アメリカばっかりの言うこと、言うこと聞くことなく、日本は日本の主体的な立場に立って交渉、やり取りをすべきだと思うんですね。そのことは別に私は否定をしません。
 しかし、SACO合意以降九年たとうとしているということで、私ども民主党、私自身は、この普天間返還について、返還そのものについては歓迎しつつも、国内移設とか県内移設とか考えてないわけであって、後ほどお話するつもりですけれども、元々沖縄のこの整理、縮小ということになっていきますと、海兵隊なんですよ。海兵隊自体をこの返還対象どうしていくかということについて、これは削減していくかということが最大の眼目でなきゃならないはずですから、私はこのいわゆるキャンプ・シュワブ沖の辺野古問題というのは、これはもう全く誤った選択だったなと。しかし、アメリカ側にしてみればこのSACOで合意して約束した話ですから、しかし九年たっても実現をしていない。
 ところが、これは言う時点時点で、この総理は当時、九年前総理じゃありませんけれども、これ歴代政権バトンタッチをしているんですから、歴代政権のバトンタッチとしては責任があり、もし、ですから私は逆な意味で、進まぬ辺野古やめろというなら、小泉内閣として、過去いろいろ内閣がやってきたけれども、手詰まり普天間飛行場移設問題、進まぬ辺野古やめろというのは、ある意味では賢明な私は選択で発言じゃないかというふうに思いますが、そういうメッセージをやっぱり私は防衛庁や外務、防衛庁長官や外務大臣に言って2プラス2に臨みなさいという指示をすべきだと思いますが、再度お尋ねいたします。
#73
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは交渉事でありますし、交渉の過程では意見の違いが出てくるのは、この防衛問題、外交問題のみならず様々な問題であります。そういう中に、あえて結論が出ない段階で、今交渉はこうなっているということについては申し上げられないこともあるということもまた御理解いただきたいと思うんであります。
 私どもとしては、現実の問題として、可能な問題と極めて困難な問題というものもよく整理して交渉に当たらなきゃならないということでありますので、いろいろな意見が交わされております。そして、それもまだ結論が出てない問題であります。その議論の過程の問題に、こういう意見もある、こういう意見も言っている、相手方はこうだという点については、現時点でその中身まで発言するということにつきましては、相手の立場もございます、それについては慎重にしなきゃならないと思っておりますので、御理解をいただければと思っております。
#74
○齋藤勁君 昨年あるいは以前から、このトランスフォーメーション問題というのは現政権ではなくてクリントン政権からスタートしている話なわけで、この国内の基地を抱えるあるいは国民にとって米軍再編というのはどういうことなのかということについて疑問を持ちながら、関係自治体というのはいろいろぴりぴりぴりぴりしながら今日に来ております。
 で、私は、今日時間もありませんから、また外交防衛委員会で両大臣とやり取りさせていただくつもりでございますけれども、SACO最終報告以降九年たって、普天間、後ほどお話しさせていただきます一例の楚辺通信所問題を含めて前進をしていないという点、そして今、米軍再編、トランスフォーメーション、日本側の主体的に、総理自身は言葉として、主体的にアメリカ側と立ち向かう、立ち向かってきたとおっしゃるけれども、立ち向かっていない現実がここにあるんではないかということをあえてお話をさせていただいているつもりです。
 普天間の移設につきまして、辺野古沖を断念した場合、でまた県内だということになると、嘉手納、嘉手納統合とか、一部また下地島の利用ということを考えていくということが、またそういったことが浮上してくるんではないかということについてまた沖縄県民等非常に危惧を持っておりますが、こういったことも日米双方で協議をしているのか、選択肢に入っているのかどうか、これは直接交渉されています外務大臣や防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
#75
○国務大臣(町村信孝君) 先般の2プラス2におきましては、アジア太平洋地域あるいは世界の安全保障環境を中心とした共通認識を得るということをまず第一段階として合意を見たところであります。
 この後、さらに第二段階として、日米がそれぞれ果たすべき役割、任務といったようなものを議論をし、そして、それらを踏まえながら同時並行的に第三段階であるところの基地の再編成の問題に取り組んでいくということでございますので、今委員からその具体の地名のお話まで含めてございましたが、そういうところについては今正にこれから議論をやっていこうという段階でありまして、この地域をどうするこうする、この基地をどうするということについてまだ日米間に合意に達していない段階でございます。今後数か月掛けて集中的に議論を加速化させていきたいと、かように考えているところでございます。
#76
○齋藤勁君 今回のトランスフォーメーション、米軍の抑止力の維持、そして米軍基地に対する地元の負担軽減、このことが総理からずっと語られております。
 そうすると、私はどうも相矛盾するような気がいたしますが、総理、これ矛盾しませんか、抑止力の維持と負担軽減。
#77
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは矛盾はしないんです。両方大事なんです。抑止力の維持なくして日本の安全は確保できません。
 よその国が仮に日本にミサイルをぶち込むとか侵略する場合に、日米安保条約によってアメリカは日本への攻撃は自分の国への攻撃とみなすと。どのような反撃を受けるかということは、日本の防衛力で足らざるところはアメリカが日本と一緒に戦うということが重要な抑止力になっているんです。
 日本にミサイルなり攻撃を仕掛けるということは、アメリカと戦うということを覚悟なしにはよその国はできないんです。その覚悟があったらばやる可能性もある。それは抑止力でありますから、日米安保条約の重要な。それを維持するというのが日本の平和と安全を確保する上に極めて重要なことだと。
 と同時に、日本国民はそのような利益を受けている中で負担も甘受しております。それは米軍の基地等、あるいは防衛力を保持するということにおいては、一方においては税の負担のみならず、その米軍基地を持っている地域においては負担と感じているでしょう。
 しかし、その抑止力維持と負担、抑止力の維持を図りながら、今ある負担をいかに軽減していくかということは、武器の著しい進歩もあります、今までと同じように人員を置いていく必要があるのかどうか。基地を移転することによって抑止力は維持することが可能ではないかという議論を今進めているわけであります。
 兵器の進歩は目覚ましい進歩があります。先ほどの質問で、ミサイルを落とす、ピストルの弾を落とすような、困難だと言われているのが現実に可能になってきてまいりました。
 こういうような技術の進歩を考えますと、現状のままの兵力を維持することによって抑止力維持が可能だという考えと、いや兵力を削減しても、基地の移転しても、ほかの対策によって抑止力が維持できるのではないかという面も探求、追求すべきではないかと私は思っておりますので、抑止力の維持と米軍の日本における基地負担の軽減を図るということは両立が可能だと思っております。
#78
○齋藤勁君 総理、さっきSACOの最終報告の進捗状況について、普天間、一例提示させていただきましたけれども、進捗していないんですよ、進捗していると言っていながら。
 それから、今回、私はこのトランスフォーメーションに対し、米側というのは長期のスパン、長いスパン、時間軸で言うと、それから機能についてももちろんそうだと思いますが、非常に長い間準備して今日まで日本政府と臨んできている。しかし、日本としてのそれなりの十分な用意をしていないまんま今対応しているんではないかということを指摘をさせていただきます。
 米軍基地の面積あるいは兵員、数が減らなければ私は基本的に基地の整理、縮小につながらないというふうに認識をしております。沖縄の整理、縮小というのは、最初からまず海兵隊の問題についてきちんと日本側として分析をして、そしてアメリカ側と対峙をしていくべきだった、交渉すべきだったと。これが今日までずるずるずるずるして、多分トランスフォーメーション、今のこう2プラス2やられても、また2プラス2やられるんでしょうけれども、そうそう、これは我が党は国内、県外、県内、国内移設というのは、これは私どもは望んでおりませんし、海外にあるいは米国にこれ移設をすべきだということでずっと一貫をしておりますが、そういったことをもし一貫して持っていたならば、今日的な私はトランスフォーメーションの議論になっていないんではないかということをあえて指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 稲嶺県知事は、明確にこの下地島、嘉手納統合ということについては、下地島の利用とあるいは嘉手納統合については反対であるということについて、きちんと県議会や県民に答えているということについて御理解いただいていると思いますが、そのことについてお伝えさせていただきたいというふうに思います。
 また戻るかも分かりませんが、もう一つ、SACO最終報告に盛り込まれました楚辺通信所、二〇〇〇年めどに返還するということで合意をしております。この楚辺通信所の現在の使用状況を具体的にかつ詳細に教えていただきたいと思います。加えて、使用している米軍の部隊名そして司令官の名前、兵員数、これは所管が防衛庁と外務省分かれるかも分かりませんが、それぞれ所管別にお答えいただきたいというふうに思います。
#79
○政府参考人(山中昭栄君) これは楚辺通信所は、私どもが承知をいたしておりますのは、在沖米海軍艦隊の活動司令部、これが財産管理等を行いまして、実際に使用しておりますのは国防通信沖縄分遣隊ということでございます。
 現在、楚辺通信所には、通信所、補給事務所、倉庫、電力室、警衛所等が設置をされているというふうに承知をいたしております。
#80
○齋藤勁君 外務省はないかもしれぬね。
#81
○国務大臣(町村信孝君) ちょっとその前に、SACOが全然進んでいない、いないと先ほど来から委員御指摘でございますが、そこは少し認識が違うんじゃないんでしょうかね。
 相当な数のところ、現実に完了したというものは確かに委員御指摘のとおり少ない。しかし、これはそれぞれ相手のあることでございますからね。例えば、ここで見ただけでも、土地の返還だけでも十数項目ありますが、率直に言っていまだ調整中というのはたった二か所で、あとはそれなりに進展をしている、あるいは進行中、完了したというものでございますし、あるいは県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練場を移すといったような訓練運用方法の改善については、これはもう済んでおりますし、騒音問題、もちろん完全に解決したわけじゃございませんが、これらについても前進を見ておりますし、地位協定の運用改善についても相当進んでいるなどなど、どうぞひとつ、SACO合意は全然全部駄目なんだと、全く進んでいないという先ほど来から委員の御指摘でございますが、そこはちょっと現状認識が違うのではないかということはまず申し上げさせていただきます。
 楚辺については、確かに当初の予定よりこれもう遅れているということは事実でございまして、これはなぜかといいますと、これはキャンプ・ハンセンに移設するということで、そこの建物の工事とかアンテナ工事は進んだんですけれども、肝心のアメリカ企業が据え付けるであろう通信システムの製造が諸般の事情から遅れているということで完成が当初予定よりも遅れているということでございますので、そういう意味で楚辺通信所の返還が予定どおりにはいっていない。ただ、これについても、早晩このシステムが導入されるでありましょうから、それを、軌を一にして楚辺の早期返還は実現をしていきたいと、こう考えております。
 通信所の、どういう者が使っているかということについては今施設庁の方からお話のとおりでありますが、基地隊の司令はロバート・ウィルソン大佐であるというふうに資料には載ってございます。
#82
○齋藤勁君 先ほど申しましたSACO最終報告について、全く実現してないというんではなくて、大臣ね、スケジュールが書いてあるんですよ、スケジュールがずっと、SACO最終報告には。そういう進捗状況を私は話をさせていただいていて、対象となっているところは手を着けていることは事実ですよ。今の楚辺通信所もそうですよ。しかし、楚辺通信所が返還にならなきゃ読谷もこれは解決しないんですよ。そういう意味で私は話をさせていただいているわけですね。楚辺通信所、アンテナ施設及び関連施設がキャンプ・ハンセンに移設された後、平成十二年度末までを目途に楚辺通信所を返還をするということになっているじゃないですか。今、何年ですか、十七年じゃないですか。
 というように、何かごまかしちゃ駄目ですよ、それはね。着実に進捗してないではないかということを言っているわけで、手を着けているとか手着けてない。そういう話をしているわけで。
 で、言ってみれば、そういった意味では、もう一つは基地の状況だとか、それから、これはただ、楚辺通信所でいえば、金武町との、ハンセンとのこの新しい施設のやり取りがあるというのは、これは私も知っていますよ。金武町がなかなか時間が掛かったということを知っておりますが、これはすべてそういうことも含めて米側とやり取りをしてきたわけで。
 さて、この楚辺通信所、何を問題にするかといえば、先ほど山中施設庁長官、民間、国防総省という話をしましたですね。これ、国防総省というのはどういうことなんですか。日米安保条約上、根拠、私は問題があると思いますが、いかがですか。
#83
○政府参考人(山中昭栄君) 私どもが承知をいたしております国防通信沖縄分遣隊、これは米国防省の直轄部隊でございます。運用の詳細については私ども承知をいたしておりませんが、これは確かに、安保条約との関係で私の立場からお答えをすることが適当かどうか。
 これはかつて当国会においてもやり取りがございました。安保条約の六条に基づく施設・区域の提供の根拠といいますか、そういう観点から見て、陸軍、海軍、空軍、そういったものの使用と米国防省の直轄部隊とどう関連付けるかという問題は確かにございますが、私どもは、これまでるるお答えをいたしてきておりますように、一体としての、四軍種一体としての米軍の使用という観点からとらえれば、地位、安保条約上は何ら問題はないという考え方でこれまで来ているところでございます。
#84
○齋藤勁君 それはまた拡大解釈なんですよ。
 象のおりで解任式、九七年九月十一日、来月から要員縮小、SACOによる基地返還という、これ九七年九月十一日付けの新聞記事がございます。とっくにこれは国会でも気が付いて、早くこの点については指摘をしなきゃいけなかったと思うんですが、民間会社ですね、今実際。民間会社がやっているわけでしょう。で、国防総省が総括しているんですが。これは言うまでもなく、安保条約という、第六条というのは、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」と。
 日本国において陸軍、空軍、海軍、まあ海兵隊につきましては、解釈として海軍ということについてこれはあるんでしょうが、正確に言えば、四軍、四軍と言う場合は、海兵隊というのはこれおかしいなというふうに思いますが、あえてここでは今取り上げさせていただきませんが。国防総省なんていうのはおかしいじゃないですか。国防総省に今民間委託させて、何で、こういうことが今なお楚辺通信所のこの土地で継続した状況があるということについて、問題ではないですか。
#85
○政府参考人(山中昭栄君) これは、先ほどもお答えをいたしましたが、米軍の陸軍、空軍、海軍、それから海兵隊、これを、この兵力を構成する総体としての米軍であれば、日米安保条約の目的達成のために施設・区域の使用を許されるということでございまして、この国防通信沖縄分遣隊、これは米軍の中の軍隊間相互支援協定というものがございまして、これに基づいて在沖縄米海軍艦隊活動司令部から一定の支援を得るというような関係の下に、他の在日米軍との密接な協力をしつつ本件施設を運用している、そういう位置付けのものであるというのが私どもの解釈でございます。
#86
○齋藤勁君 何というんでしょうか、親切に御答弁をいただいているんですが、基本的には答弁になってないんですよね、幾ら聞いても。今日は往復方式なんで、座ればずっと止まっている時計ならいいんですけれども、これ往復でずっと行っちゃうものですから、これは引き続きさせていただきます。
 防衛庁長官、外務大臣、また外交防衛委員会でやり取りさせていただきます。民間に管理を委託している。日米安保条約上、私は根拠として問題だということに指摘をさせていただきます。
 もう一つ、楚辺通信所にかかわる話をさせていただきますと、五月に使用期限が切れるんですよ。これ、強制、土地収用法の関係で改正して、いわゆる地主さんと、強制収用で、政府が代わりに地主が拒否した場合できるという法改正しましたけれども、もうまたまた来て、使用期限終了、しかし、楚辺通信所については、また引き続きまだ民間に委託をしているという状況。
 楚辺通信所と読谷補助飛行場はリンクをしております。読谷補助飛行場の返還が遅れると、また読谷村の町づくりが遅れていく、このことについて防衛庁長官、どういうふうに思いますか。
#87
○国務大臣(大野功統君) 確かに、当初予定どおり、この計画どおり工事は進んでないと、これは御指摘のとおりでございます。その理由については先ほど御説明、説明がありました。
 確かに、今年の五月に期限が切れるわけでございます。そのことにつきましては、やはり延長をしていかなきゃならないのかなと、こういう問題があるわけでございますけれども、この問題はやはり早急に解決していかなきゃいけない問題であります。読谷飛行場は連動していますから、読谷、この楚辺通信所の問題解決しなきゃ、読谷飛行場の方は電波緩衝地域として存在していますから、どうしてもこれを返せない、返してもらえない、こういう格好になっております。
 できる限り早い時期にこの問題を解決するよう、最大限の努力をしてまいりたいと思っています。
#88
○齋藤勁君 過去の話を総括とか反省とか責任問題をただしますけれども、現時点では現時点での今状況ですから努力をしていただきたいと言うしか言えないものですから。ただ、責任問題についてはまた別途たださせていただきたいと思います。
 同僚議員にバトンタッチをしまして、私の一、二分の発言で終わりたいと思います。
 今回のまた、今、最終報告から、外務大臣からいろいろやり取りございましたけれども、約九年たっていると。そして、今沖縄では最大のこの返還として対象とした普天間飛行場が返還されていないということについて強い憤りを感じております。過日の沖縄国際大学のヘリコプター墜落事故というのも、これはあってならないことが起きてしまったということで、さらに県民にこの普天間基地問題について更なる不安感と早期返還してほしいという、非常にもう強まっています。
 したがって、私は、先ほど総理大臣から、日本は日本としての考え方をと言いますけれども、先ほど、毎日新聞でそういうこと言ったことはないと言っても、そういう決断に立つべきだというふうに私はあえて申し上げたい。そういう決断を、辺野古の、辺野古沖の移設がこれはもう不可能であれば、これやっぱりそうではないんだということを政府内できちんと議論した上で米側にメッセージを伝えていただきたい。このことを申し上げさせていただきます。
 あと、我が国は専守防衛、そして戦後六十年間平和国家として歩んでまいりました。米側にきちんと物を申していく、中国に物申していく、朝鮮に物申していく、韓国に物申していく。主体的なやはり、やっぱり外交政策を取っていただきたいと。独立国家なのか主権国家なのか分かんなくなってしまいます。ブッシュホンなんて言われないでほしい、そういうふうに私は思いますよ。五十一番目の州なんて言われたくない。私なんて思ってもないんですけれども。
 こういうことも、やはり今、日常私たち国民生活を、出てくると日本とは一体何なんだろうかということに立ってきますので、是非、今回の米軍再編に私は危惧は、より一層日米共同使用、日米共同運用、日本の主体性はどこに行くんだという、もう危惧ばっかり先立ってまいります。是非そのことを、私の危惧ではなく多くの国民の危惧だというふうに思いますので、おこたえいただきまして国政の運営に当たっていただきたい。
 そして、個別自治体の問題、個別の自治体でもない、ないわけでありますから、先ほど横須賀市長の、答弁でどうも、答弁というのは、空母の問題で非常にもう少し前向きな答弁を期待しましたけれども、座間であり相模原では同様の問題でありますので、是非総理としての真摯な受け止め方をしていただきまして今後進んでいただくことをお願いいたしまして、同僚議員にバトンタッチをしたいと思います。
#89
○委員長(中曽根弘文君) 関連質疑を許します。山根隆治君。
#90
○山根隆治君 私は、与えられた時間の範囲で、拉致の問題、BSEの問題、そして中国で成立しました反国家分裂法と日米の対応、この三つの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、拉致の問題でございます。
 私は、この拉致の全面的な解決というものは、いろいろな事由によって北朝鮮にいる日本人が、自分が希望すればいつでも帰国することが可能だという状況が、本格的な根本的な私は拉致の全面解決だろうというふうに思っているわけであります。
 しかし、小泉総理が北朝鮮に行かれたときに、ジェンキンスさんの問題、ジェンキンスさんについていろいろとお話をされた。そのジェンキンスさんが、総理が行ってさえなお本当の心の内を北朝鮮にいるときには話すことができなかった。つまり、恐怖な政治が行われている体制の中で、本当に自分は帰りたいんだというふうなことはなかなか口が緩まないということがあろうかと思います。
 寺越武志さんは、自分は拉致をされたんではないんだと、だから帰国するつもりはないと、こういうことを言われたというふうな話でございます。その真意は分かりません。しかし、現在の金正日体制の中で、本当に私が言ったような意味で根本的な拉致の問題というものは可能なのかどうか、この点について総理にお伺いいたします。
#91
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 可能であるかどうか、問題解決不可能な問題についても解決に向けて努力するのが日本の政府の立場であり、そのように今まで進めてきたわけでございます。
 もとより、日本の国家体制、民主主義と北朝鮮の体制は全く違います。そういう中においての、拉致の問題につきましての考え方も違いますが、拉致された家族の方々、被害者の方々の発言につきましては、北朝鮮においては制約があるのは承知しております。日本に帰国されて、当時はこうだったというような心情も理解しておりますが、日本政府としてはこの拉致の問題を解決すべく今までも全力を尽くしてまいりましたし、これからも全力を挙げて取り組んでいかなきゃならない問題だと認識しております。
 この北朝鮮の交渉につきましては極めて難しいものがあると思いますが、今後も何とかこの難しい問題を乗り越えて、平和的に、外交的に解決が図られるよう努力をしていきたいと思っております。
#92
○山根隆治君 今、パネルを出させていただいたわけであります。(資料提示)
 拉致に関して、我が国の窓口といいますか、対応されている役所というのは、公安調査庁、内閣調査室、海上保安庁等々ございます。しかし、その連絡調整機能というのがなかなか発揮されていないということが私はあろうと思います。
 その一つの証拠がここに、久米裕さん始め十五名の、これは日本政府が拉致を認定した方々でございますけれども、その明らかになった経緯というものをここに記させていただきました。お一人として、日本政府、日本の当局がいろいろな調査して、積み上げてきて、そして拉致だというふうに認定したもの、ほとんどない。皆、新聞記者の人たちのスクープであったり、あるいは被害者の方々が実家に手紙を出されたり、そういう中からの資料で明らかになっていくというふうな状態でございまして、私は、もうこの辺で日本も、一つのこうした問題を解決するに情報機関というもの、しっかりとしたものを構築すべき、検討すべき時期に来ているのではないかと思われてなりません。この点について御見解を聞かせてください。
#93
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 情報機関を強化充実していくということについては、私も同感であります。どの国でも情報機関の活動というものは極めて活発でありますし、日本だけそういう機関がなくていいのか、またおろそかにしていいかというふうには私も考えておりません。
 こういう問題につきましては、党派を超えて御理解をいただいて、日本がしっかりとした情報収集能力を高めていく、こういうことについては今後も更に強化充実策というものは真剣に考えていかなきゃならないし、その充実に具体的な改善を図っていく必要があるということは私も同感でございます。
#94
○山根隆治君 なぜ私はこういうことを野党の立場で申し上げるといいますと、一九七三年、金大中事件が東京で起きました。これは完全なる日本の国家の主権を侵されたと、この経験が全く生かされていないというふうな認識を私たち持たなくてはいけないんではないかと、そういう思いから申し上げているわけでございまして、是非、具体的な、まず研究、検討ということになろうかと思いますけれども、この点については今総理から御答弁いただきましたけれども、積極的に私からお願いを申し上げておきたいと思います。
 さて、十五名の認定をされた方以外にも、クアラルンプールで日朝の実務者会議が平成十四年の十月に行われました。その際に、日本側から北朝鮮に対して、拉致と思われる方を想定して具体的に名前を出されてその安否というものを確認されたというふうなことを承知をいたしているんですけれども、これは事実としてお認めになりますか。
#95
○国務大臣(町村信孝君) 個別のやり取りにわたる部分はちょっと控えさせていただきますけれども、何人かの方々について先方と接触を持ち、話合いもしたことも事実でございます。
#96
○山根隆治君 こちらの側が具体的に国との交渉の中で名前を出して安否を確認したということは、当然国内にあっては拉致と認定をされている、条件が整ったというふうに私は理解をいたすわけでございますけれども、この点についてはいかがですか。
#97
○国務大臣(町村信孝君) ちょっと今手元に資料がございませんので、どの方をというのは私ちょっと今個別名を挙げることはちょっとできないわけでございますが、諸般の情報を勘案して、これは先方に対して持ち出すのが適切であるというふうに判断した方々については複数名、先方と折衝をして協議をしたことは事実でございます。
#98
○山根隆治君 私が申し上げたいのは、であるならば、なぜ国内においてそれらの方々を拉致として認定しないのかということを伺っています。
#99
○国務大臣(町村信孝君) ちょっと、どなたの名前を言っておられるのか、ちょっと私、今手元に資料がないので、もし後ほど調べて分かりましたらまた御返事したいと思います。
#100
○山根隆治君 いや、そういう話じゃない。そうじゃなくて、もっと本質的な話をしているわけですね。外国に対して返してほしいということを言っているのならば、当然日本では認定されてしかるべきではないだろうかということを私は申し上げているんです。
 私の方からお名前を、これ差し障りがないかと思いますので承知しているところで申し上げますと、伝えられるところによりますと、藤田進さん、加藤テル子さん、松本京子さん、田中実さん、小住健蔵さんというふうに私は承知をいたしておりますけれども、個々のお名前というよりも、むしろ北朝鮮に対して返してほしいということを、いうことを言っているんであれば、当然国内において拉致として認定するのが当然ではないかと、この矛盾を私は申し上げています。
#101
○国務大臣(村田吉隆君) ただいま拉致の被害者との認定ということでございますが、私、国家公安委員長の立場として犯罪捜査という観点から言いますと、私どもは情報を鋭意集めまして証拠を積み上げて、それから捜査を集中して行った結果、現在のところ十件十五名、これが北朝鮮による拉致の被害者、容疑者であると、拉致の被害者であると、そういう事案であると私どもは認識しているわけでございます。
#102
○山根隆治君 まあ全く私の質問に答えていないんですけれども、こういうふうな答弁では本当に私は北朝鮮に侮られる、交渉の中で、ということをひとつ申し上げておきたいと思います。
 それで、総理にお伺いいたします。時間の関係で先急ぎますけれども、この北朝鮮の問題、拉致の問題で最後の質問であります。
 北朝鮮の金正日体制、非常に不安定な状況にあるということを総理も多分内々認識されておられると思います。もし政変が起きた場合に、日本の拉致被害者の方々の身辺に危険が迫ったとき、日本国の責任においてその救出に立ち上がる、その決意を国民の前に明らかにしてください。
#103
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現在も拉致被害者の救出に全力で取り組んでいるわけでありますが、この政変が北朝鮮に起こった場合ということは今の金正日体制が転覆されるわけであると思います。その場合に、どういう政権ができるかというのは予測ができません。今までも拉致の被害者であると言われていながら、現実にはそうでない場合もあったわけです、情報におきましては。確認している以外の方も実際には拉致被害者であったよという場合もあったわけであります。情報が錯綜しているんです。それを認定する、確認するということが大事であるということも御理解いただけると思います。
 そして、今、仮定の議論なんです。それは、金正日体制がいつまでもつかという議論は様々な方々がなされます。そして、どういう状況になるかというのは想像の段階を超えないわけであります。こういう時点において、今の北朝鮮で政変が起こって体制が変わる、どういう状況になるかということについて私がこの場でこうなるであろうと言うことは、言うのが適切かどうか。
 また、想像の域を、段階で、私はいかなる場合においても拉致の被害者は救出するということであります。それはどういう体制であろうが全く変わりないんです。
#104
○山根隆治君 私、前向きに理解をすることにいたします。つまり、いかなる体制にあっても拉致の被害者の人を救出すると、そこに私は納得をしたいと思いますので、是非この辺のところの決意を改めて固めていただきたいと思います。
 次に、BSEの問題についてお伺いいたします。
 二月二十五日の衆議院の予算委員会で、日本が行っている全頭検査については世界の非常識の部類であります、こういうことを発言されていまして、この予算委員会で我が党の福山議員がその撤回を求めまして、その際の議事録を読みますと、「この言葉を収めることに異議はありません。」、こういうふうな答え方をされています。
 これは本当に他人事としか思えないような答弁の私はもう仕方であって、本当に撤回したいという思いがにじみ出ていないと、こういうふうに思います。この意味というのは、やはりもうこれ以上余り混乱をさせたくない、当面糊塗したいというふうな思いが出ているように私には思えてならないわけであります。
 農水大臣が私、犯した罪というのは二つ、二つあると思います。
 一つは、国民を愚弄した罪ということになります。つまり、全頭検査を行って国民に安心を与えていた。それを、世界のこれは実は非常識だったんだよということを農水大臣が話されるというのは、これは私は国民を愚弄したことになりはせぬかということが第一であります。
 それから第二は、これは小泉総理が怒らなくてはいけないんですけれども、小泉内閣において全頭検査というものをいろいろな議論、経過がありながら決められたわけですね。その小泉内閣のまた農水大臣、後任になったあなたがこのことを否定するような発言というのは、これは私から言わせれば、閣内にあって、野党ではない閣内にあってなお、私は小泉内閣不信任案というものを出したというふうに思えてなりません、結果して。
 私はこの際、この発言という、明快な言葉で発言というものを撤回されて陳謝を求めたいと思います。
#105
○国務大臣(島村宜伸君) 議事録をすべてお読みいただくと有り難いのですが、部分だけ取られると、なるほどそういうことになります。
 私は、簡潔なことに、簡潔に申し上げるならば、これが、この発言がもし不穏当であるならば収めることに異議はないと再三答弁してきたところでありますが、これは撤回と受け止めてよろしいですかと言われた際にも、結構でございますと、こう言いました。また、改めて発言を撤回してほしいというお話に対しても、私は撤回させていただいたところであります。
 なお、そのBSE問題については、平成十三年の九月にこれが発生しまして、国民の大変驚愕、言わば肉に対するおそれは、肉屋さんを大変な打撃に、打撃を与えた。外食産業すべてにも影響が出たわけですね。これを何としても国民の理解を得るためには全頭検査に踏み切るというので、当時、そこまでやる必要はないんじゃないかという意見がある中で、私はむしろそれをやるべきだと賛成した一人、しかも、これは英断であったと思います。
 しかし、その後、ずっとその検査が続きまして、昨年我々が諮問した段階でも約三百五十万頭、現在に至っては四百二十万頭に及ぶと、こう言われておりますが、そのいろいろな言わば検討の結果を経て、言わば食品安全委員会の中間取りまとめの言わば議も経まして、我々は今諮問しているところでございまして、当時とすれば全頭検査は英断であったけれども、ここまで検査をした結果、しかも専門家が中間取りまとめをなさったことでありますから、私たちはそのこと自体について新たな諮問をしているというのが現在の段階。やっぱり時間の経過の中で状況が変化しておると御理解いただきたい。
 なお、さはさりながら、我々はあくまで言わば科学的知見に基づいて、食の安全、安心を大前提に、この問題に取り組んでいくという考えをこれまた再三申し上げているところであります。
#106
○山根隆治君 時間の関係もありますので、先急ぎます。
 総理にこの問題についてお伺いをいたします。
 明日、ライス国務長官が来日されます。そして、電話会談の内容も外務省の方から明らかにされておりますけれども、BSEの問題ほか四点ほどの会談であったというふうに承知いたしております。その中で、総理とブッシュ大統領で意見が合わなかったのはこのBSEの問題だけだというふうに承知をいたしております。
 今日の夜、ライス長官が来られます。このBSEの問題というものを中心に、多分総理にお話しになられるんだろうというふうに想定を、そんたくをいたすわけでございますけれども、十五日の夕刊にこういう記事がありました。アメリカ会計検査院が、アメリカ食品医薬局に対し、BSEの発生防止で重要な飼料の検査に十分な体制を取っていないと指摘した報告書をまとめたと、こういうふうな報道があったわけでございますけれども、こういうことを踏まえてライス長官にはどのような対応をされるお立場でおられるのか、お考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
#107
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ライス国務長官は町村外務大臣とも会談されますし、私もできれば会談したいと思っておりますが、どういう話になるかというのは今の時点では分かっておりません。そのときにどういう話が出るか。
 でありますが、BSEの問題につきましては日本政府の立場ははっきりしております。日本国民の食の安全、これを確保して、科学的知見に基づいてできるだけ、お互いの貿易再開を望む姿勢は分かっておりますから、そういうのをよく展望しながら、時期を設定することはできませんが、日本としても誠意ある対応を取っていきたいと。今までアメリカが思っているような早期の解決は見られていないということにつきましても、決して日本は遅らせているわけでもないと、牛肉産業界を保護しているという観点からこの問題の対応を遅らせているわけでもないと、日本としては食の安全、安心、科学的知見に基づいて誠意ある対応を行っているんだということをブッシュ大統領には申し上げているわけであります。その方針について変わりはございません。
#108
○山根隆治君 科学的知見というお言葉を使われました。是非それに徹して、国民のやはり生命にかかわることでございますから、変な意味での妥協なく、科学的に知見に基づいて是非対応をしていただきたいと思います。
 私は、この今回のBSEの問題というのは、日米で、小泉政権になって初めてと言ってもいいぐらい非常に微妙な難しい交渉になるだろうと思います。場合によっては、アメリカも上下両院で決議案出されていたりしています。もしこれが制裁措置をとられるということになると、ガットあるいはWTOの違反の可能性もあるのではないかと、そんなふうな議論もあるぐらいに微妙な問題でございますから、その一番決断をされる最後のとりでは、やはり科学的な根拠ということに私は是非徹していただきたいと思います。
 で、アメリカのこうした要求に対して、私思い出すのは、日米繊維交渉を思い出します。沖縄の返還に伴って、ニクソン大統領の地元の繊維産業を擁護するために自主規制というものを求めてきた、しかしそれを調べてみると、実質的な日本からの輸出によって繊維産業が打撃を受けたという例がなかったということでございます。これは密約説が当時ありましたけれども、その後数十年たって、その密約というのが本当にあったということはいろいろな方々の発言等で明らかになっているわけでありまして、こうした私たちは苦渋の歴史があるわけでございますから、あくまでも、国民の生命を守る、そして科学的な根拠に基づいて措置していくということを是非お願いをいたしたいと思います。
 次に、最後に、中国の反国家分裂法と日米の対応ということでお伺いいたしたいと思います。
 この法律の制定、施行というのは、主権がある二つの組織というか、中国という一つの国家がございます。台湾も主権を持っています。一方の主権を持つ国家が一方の主権を持つところに対して、地域に対して、一方的に法律の適用をすると、こういう措置というのは、国際法上普通あり得ないというふうに私には思えてならないわけでございまして、場合によっては、見方でございますけれども、宣戦布告というふうな見方さえできるぐらい、これは恐ろしい法律かなというふうに思っております。
 アメリカには台湾関係法がありますし、アチソンが唱えた絶対防衛ライン、地政学上のアメリカがずっと持ってきた国家戦略というものがあるわけでありまして、台湾をあくまで守るというふうな意思というのを明らかにされているわけであります。
 一朝有事の際、日本はどのように対応されていくのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。周辺事態法の発動あるいは在日米軍の活動に制約を与えないというふうな選択肢等々があろうかと思いますけれども、この点について具体的な検討をされておられれば、お答えをできる範囲でお願いいたします。
#109
○国務大臣(町村信孝君) この反国家分裂法につきましては、いろいろな案件もあったものですから、十五日の日、私は李肇星中国外交部長と電話会談をいたしました。先方から説明があったものですから、私の方からは、この法律の両岸関係の否定的な影響を懸念をしていると、日本としては、台湾の独立を支持はしない、しかし武力行使にももちろん反対であるという旨を述べておきました。
 日本としてはこれまで一貫して中国の武力行使に反対をすると、平和的な解決法以外いかなる解決法にも反対であるということを述べてきたところでありまして、これはもう一貫した我が方の立場であります。そういう意味から、両当事者が早期に話合いを再開をするということで、それに向けて私どもとしては最大限の努力をしていこうと、こう思っております。
 仮定の話として、仮に台湾地域をめぐって武力紛争が発生するような場合どうするんだという今お尋ねでございましたけれども、実際にその紛争というのは、どういう形で、どういう規模で、どういう性質で、どういう国際情勢の下でそれがあり得るのかということを具体に考えてみなければならないわけでありまして、今現時点で抽象的にこのことを論ずることは適切ではないのではなかろうかと、かように考えております。
#110
○山根隆治君 抽象的に論じられないということで、この場でいろいろな論争をすること、仮定の問題で論争していくことについては非常に国防上の問題もあろうかと思いますので、これ以上追及を私も避けたいと思います。
 いずれにいたしましても、やはり日米安保条約があって、私たちはアメリカとの連携なしに台湾問題というものを語ることもできないし、行動を取ることもできないというのは事実であります。日米関係が非常に今微妙な時期に掛かって、BSEの問題でございますけれども、そうした問題を超えて、日米基軸ということは揺るぎないものだろうと私自身は思っているところでありますし、これからもそうありたいというふうに思っております。
 しかし、小泉総理の対米外交ということを見てみると、国民のイメージは、どうも唯々諾々としてアメリカの言われること、されること、ただ付いていっているんではないか、そういうふうな目で国民が見ている節もあるわけでございます。
 例えば、イラク問題にいたしましても、フランスはまず、アメリカのイラク問題への決断という、決定というものに対してフランスはノーと言って、そこから条件というものを少しずつ整備していくという手法を取りました。そしてイギリスは、まずイエスと言っておいて、アメリカの懐に入っていろいろな修正を課している。例えば、国連決議の問題でも、決議案の作成の問題でもそうでありましたし、私もイラク攻撃の前にブレア首相がアメリカに飛んだそのときにイギリスに行きまして、いろいろな関係者から話を聞かせていただきましたけれども、ブレアの心は本当はイラク爆撃反対なんだというふうな論調が非常に強かったし、そう、識者も多かった、指摘する識者も多かったわけでございます。しかし、一度アメリカの懐へ入り込んで、そしていさめたりするというふうなことを取ったんだというふうなやり方でございました。
 日本のアメリカ外交、そして日本の国家戦略というものが明確でない中で、この二つの国の外交の在り方というのは大いなる私は参考になると思います。例えば私だったら、私は、一つの物の考え方としては、総理がもっとイギリスと連携して、時にはアメリカをいさめる、時にはアメリカを励ます、そうした外交戦略も一つの選択肢としてあり得ると思うわけでありますけれども、私の指摘に対して、総理、どのようにお考えになるか、日本の外交戦略の基本について、対米関係を重視しながらどのように展開されるか、その理念をお聞かせをいただきたいと思います。
#111
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本はイギリスとも違いますし、フランスとも違います。イギリスを参考に、イギリスを見習うべきだという話でありますが、それではイギリスと一緒にアメリカと戦おうということでしょうか。日本はイギリスとは違います。イギリスは軍隊を派遣してアメリカとともにイラクの安定した民主的な政権をつくるために戦っております。日本はイギリスと違います。
 私は、日本は日本の立場をよく考えながら、わきまえて行動しているものであります。そして、アメリカやイギリスと違った日本はイラクでの人道支援、復興支援活動に自衛隊を派遣しているわけであり、アメリカと協調しながら世界各国とも協調しております。
 イギリスのように懐に飛び込んでということは、イギリスと日本とはそれぞれ違うんですから。フランスだって核兵器を保有しております、そしてNATOという組織を持っています。日本とフランスは違います。
 しかし、日本は日米同盟と国際協調を重視しながら日本の安全と独立を確保していくということでありまして、私は、イギリスと日本が違っておかしいということはないと思います。
#112
○委員長(中曽根弘文君) 時間が参りました。
#113
○山根隆治君 私の質問を、外交の基本的な戦略と日本の国家戦略を伺ったのに、総理の答弁は私の質問を矮小化してしまったと、非常に不愉快な思いであります。
 終わります。
#114
○委員長(中曽根弘文君) 以上で齋藤勁君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#115
○委員長(中曽根弘文君) 次に、山本香苗君の質疑を行います。山本香苗君。
#116
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
 まず最初に、在日米軍再編についてお伺いいたします。
 日米安保条約第六条では、日本国の安全に寄与し、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカは日本の基地を使用することとなっております。ここで言う極東というものの範囲は、昭和三十五年の政府の統一見解によりますと、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺地域ということとなっております。
   〔委員長退席、理事若林正俊君着席〕
 そこで、総理、お伺いいたします。
 今回の在日米軍再編において神奈川のキャンプ座間にワシントン州の陸軍第一軍団司令部、これを移転させる場合、極東の範囲に関する、先ほど申し上げました見解、政府見解と矛盾するんじゃないですか。
#117
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 矛盾いたしません。
 外務大臣から答弁させます。
#118
○国務大臣(町村信孝君) 補足をさせていただきますけれども、まずそもそも、報道ではいろいろ、委員御指摘のとおりキャンプ座間云々という話がございますが、現実に日米間でそういう具体の話、これからだんだん詰めてやっていこうということでございまして、現実に今そうした議論が具体に行われているわけではございません。
 それから、今私どもがやっております兵力構成の見直しは、現行の安保条約、それから関連取決めの枠内で行われるということが基本でございますから、今委員御指摘のような、極東条項なんか見直す必要があるのではないかという意味合いでございましたら、その必要はないと考えているところであります。
#119
○山本香苗君 矛盾しないということでございますけれども、陸軍第一軍団司令部というのは、先ほど言った極東の範囲を超えて中東だとかインド洋だとか、そういうところまで米軍を移動させる指揮権限を持っているところなんです。これを座間に持ってくる、日本に受け入れるということは、すなわち、この安保条約が想定しているのと異なる在日米軍の機能を初めから分かった上で受け入れるということになるわけです。となりますと、先ほど言ったこの政府統一見解というものを形骸化しかねないじゃないかと言っているわけです。現実的な視点に立って考えれば、この従来の政府見解を変更する必要性が生じるんじゃありませんかと、変更しなくちゃいけなくなるんじゃないですかとお伺いしているんです。総理、もう一回答弁をお願いします。
#120
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 変更しない範囲で協議を進めているわけでございます。
#121
○国務大臣(町村信孝君) 若干の補足をさせていただきますが、米軍のそれぞれの指令がどういう役割を持っているのかと、必ずしもそれは、詳細について私どもはもう知り得る立場にも申し上げる立場にもございません。
 いずれにしても、もし何らかの司令部の基地が仮に今委員の御指摘のように来たとしても、それが丸々、今のワシントン、フォートルイスにある第一軍団の司令部がそのまま機能も人員も何もかもそっくり来るという前提であればそういう議論がどこかで出てくる、接点が出てくるのかもしれませんが、まだそういう話に具体になっておりませんので、正直言って今余りにも仮定の問題で、ここでそれは違っているぞ、違っていないとか、極東の範囲を超えるの超えないのという議論は、正直言って今の時点では全く無意味ではないのかなと、こう思います。
#122
○山本香苗君 確かに、そのまま持ってくるとは言っていません。国内事情に配慮して一部を持ってくるということも可能性としてはあり得ることだと思います。しかし、今回、座間に司令部を持ってくるということの一番大きい理由というのは、このアジア太平洋地域での指揮命令系統の統合ということなんです。それを極東だけ、この安保条約に反しないように、見直さないでいいように、総理がおっしゃられたようにですね、そういう形で極東だけに限って指揮権を持ってくるというのはちょっと考えにくい。アジア太平洋地域のこの全体を統括するような形の指揮命令権限を持ってくるものを、まあ移転しようと考えていると。そういうふうな形で協議が進むという形で考える方が自然じゃないかというふうに考えるんですが、どうでしょうか。
#123
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どのように想定されるということについては私がとやかく言うべきことではないと思いますが、様々な可能性を検討しながら今協議中でありまして、こうだああだということを今の段階で言うべき状況ではございません。
#124
○山本香苗君 総理、昨日、この日米、在日米軍再編協議、審議官クラスでされたということを報道で存じ上げておりますけれども、今この第一段階、この間、2プラス2で共同の戦略目標を作っていただきました。第二段階、第三段階と今入っていっているわけです。第二段階、第三段階というのは具体的な議論です。特に第三段階というのはこの米軍の施設の区域の段階、そこについての話合いをするところなんです。そこに入ったというふうにその審議官クラスの協議会の中の出席者の方が記者の方におっしゃったというふうにありましたけれども、総理は検討中、検討中とおっしゃられますが、じゃ、いつの段階で具体的にお話ししていただけるんでしょうか。国民の皆様方にどういう形で説明責任を果たしていただけるんでしょうか。総理にお伺いしたい。
#125
○国務大臣(町村信孝君) これから数か月間精力的に議論をして日米間で一定の合意を得たいと思っております。その上で、関係自治体等々ともよくお話をし、十分な御理解を得た上で日米間の最終合意に持っていこうと、こういうことでございます。
 そういう意味で、まだこれから具体の話を日米間でやっていくところでございますから、今委員が御指摘になったことは念頭には置きますけれども、現実にまだ日米間でそうした米陸軍第一軍司令部がどうしたというような話が現実に進んでいるわけではないということをどうぞ御理解を賜りたいと思います。
#126
○山本香苗君 今回の在日米軍再編という問題は、先ほどからお話ありましたとおり、長年の沖縄の負担の軽減を、負担を軽減し、日本にとってはもう今一番大事な抑止力を強化して、日米の同盟関係を新たな方向へ転じていく絶好のチャンスなわけです。そういう千載一遇のときにあるわけです。
 ですから、半世紀前あった国会答弁に縛られて前に進まないことがあるとか、またこのチャンスを逃すことがないようにという意図で御質問をさせていただいたんですが、明快な御答弁が今の段階で今日はいただけませんので、次に北朝鮮の問題に移らせていただきたいと思っております。
 一昨日、公聴会で北朝鮮の専門家であられます伊豆見教授に来ていただきまして、その際に、日本が経済制裁をすれば六者協議不参加への絶好の口実を北朝鮮に与えることとなるというふうにおっしゃっていらっしゃいました。また、町村外務大臣も、記者会見やまた様々な報道で何度も六者協議とこの経済制裁というものを兼ね合いを考えた旨の発言をされていらっしゃいました。
 他方、総理は、先日私が六者協議との兼ね合いで経済制裁の是非というものをどのように見ていますかというふうに御質問をさせていただきましたときに、六者協議との兼ね合いで経済制裁をどう見るかということについては、必ずしも適切ではないと思いますと御答弁されました。総理は今もそのようにお考えでしょうか。
 また、この適切ではないというのは非常にあいまいな表現で、御答弁いただいた後ずっと考えていたんですけれども、この適切ではないというのは、全く関係ないということなのか、それとも国会で答弁するのが適切ではないということなのか、その意味を教えていただきたい。
#127
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) もう一度具体的に質問していただければいいんですが、六者協議は六者協議なんです。経済制裁というのは直接六者協議と連動するものではないと。しかし、経済制裁というのは総合的に考えなきゃいけないという問題であります。
 どこが適切でどこが適切でないか。私は、北朝鮮と日本というのは平和的な解決を望んでおりますから、核の問題にしても拉致の問題もミサイルの問題も包括的に解決しなけりゃならない問題ですから、経済制裁がすぐ六者協議に結び付くか、経済制裁がすぐ拉致の問題の解決に結び付くか、そういう点も含めて全体的に適切に考えなきゃいけないということを申し上げたつもりでございます。
#128
○山本香苗君 総理が適切ではないと思いますと言われたので、その意味を聞いたわけでありまして、適切に考えるというふうな形での使い方ではなかったと思うんですね。
 北朝鮮に対する経済制裁について、現時点におけます総理のお考えをお伺いいたします。
#129
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず経済制裁ありきではないということをかねがね申しております。対話と圧力、これが大事であると。
#130
○山本香苗君 この質問は何度も何度もされているわけでありますけれども、現時点においての総理の御見解は今のとおりということでございますが、北朝鮮がいろいろ言ってきています。それが言葉の遊びや脅しだけだったら別段それに対して動揺する必要性もありませんし、振り回されることもないですし、総理のようにどんと構えていただければそれでいいと思うんですけれども、今現在、北朝鮮が危険な取引をしながら稼いでいる時間というのは大きな危険性をはらんでいるんだと思います。
 外務大臣も、北朝鮮の核開発の現状はということでこの間御答弁していただいておりましたけれども、相当程度高い可能性で核兵器を保有していると。北朝鮮は今時間稼ぎをしながら着々と核開発を進めているわけです。
 先日、パウエル氏が日本の報道番組に、テレビに出ておりまして、その中で、核を持っているということは、当然、運搬能力、ミサイルを開発していると見るべきだと指摘しておりました。
 核を搭載したミサイルというものが北朝鮮が保有するようなことになった場合には、朝鮮半島だけではなくて我が国を含む周辺地域にとって物すごく大きな不安定要因になります。そして、それが世界に、他国に輸出されるようなことになれば、もう世界的に極めて憂慮すべき事態になると思います。そういった差し迫った状況にあるんだと思います。
 今日は北朝鮮を除く五か国の当局者が集まって上海でいろんな幅広く意見が交わされているそうでございますが、是非、この危機感、切迫感を持っていただきまして、核、ミサイル、拉致、この問題、包括的に取り組んでいただきたいと強く要望申し上げておきます。
 次に移らせていただきます。EUの中国に対する武器輸出禁止の解除につきましてお伺いさせていただきたいと思います。
 この問題につきましては、先日、外務大臣にもお伺いさせていただいたんですが、アメリカは本当に随分前からこの問題につきまして強い懸念を示しております。総理御自身はこの問題についてもっと積極的に強い懸念を示されるべきじゃないかと私は思っているわけなんですけれども、総理はEU側にはっきりと待ったを掛ける御意思はございますでしょうか。
#131
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) このEUの対中武器禁輸解除の問題については、昨年も私はシラク大統領と会談して懸念を表明しております。
   〔理事若林正俊君退席、委員長着席〕
 この日本側の姿勢ははっきりとEU側に伝わっておると思いますし、これからもその方針に変わりはございません。
#132
○山本香苗君 EUが中国に武器、中国に対する武器輸出を解除した場合、中国がヨーロッパの最先端の武器を輸入して、そして今まで最大の懸案となっていた軍事力の近代化というものを一気にがっと進めるんじゃないかという可能性が指摘されております。
 また、万が一、万が一台湾有事が起きた場合には、台湾海峡でEU製の武器とアメリカ製の武器とが矛を交えるような状況になるんじゃないか。下手すると、EUからアメリカへ行って、アメリカ行って中国行って、アメリカ対アメリカという可能性もあるんじゃないかと、そういうことを指摘される方もいらっしゃいます。かつてフォークランド紛争の折にアルゼンチンがフランス製のエグゾセミサイルを買って、それを使ってイギリスの軍艦を一発で撃沈したことがございました。
 私は、こういうことが起きるんじゃないか、起きたらいけないと、そういう強い懸念を持っているわけなんですけれども、総理もこのような同じ懸念をお持ちになっていらっしゃいますでしょうか。
#133
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 可能性を言えば、かつてのイギリスとフォークランドにおける紛争を見れば、同じ西欧陣営の武器同士の戦いが行われるということは否定できません。
 だからこそ今、台湾海峡における問題につきましては、お互い自制してほしい、平和的解決をしてほしいということを日本としては中国側にも台湾側にも働き掛けておりますし、この問題につきましては、そういうアメリカ側の武器とフランス側の武器を使ってあの台湾海峡において中国と対立を起こすというような状況を今想像してあれこれ言うよりは、そういうことがないように、平和的解決を望むように働き掛けていくことが重要だと私は思っております。
#134
○山本香苗君 この問題は、我が国の安全保障にとっても極めて重要な問題でございますので、きちっと対処していただきたいと思っております。
 最後に、人身取引の撲滅につきましてお伺いしたいと思います。
 国際的に大きな問題となっております人身取引につきましては、総理も所信演説の中でおっしゃっていただきましたが、犯罪であり、同時に著しい人権侵害でございます。この問題につきましては、先日もその取組強化が国連婦人の地位委員会で決議されたところでございますけれども、アメリカの国務省の人権報告書では、去年も今年も引き続いて、依然として日本にはそうした問題が残っているというふうに指摘されております。
 昨年末に人身取引対策行動計画が策定されました。これを速やかに実行に移していただきまして、人身取引対策とその被害者保護に全力で取り組んでいただきたい。
 社会の中で女性がどのように扱われるかでその国の質が分かると言います。どうか総理、最後に力強い御決意を伺いまして、終わりたいと思います。
#135
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 人身売買、この問題については、日本としても国際社会のいろいろな声を受けて深刻に受け止めて、このようなことがないようにしなければならないということで、今国会におきましても、罰則の整備やこの人権の被害がないような、保護、関係法案を提出しております。
 悪質ブローカー等、日本人側も加担している組織があると聞いております。そのことがないように、しっかりとした体制をつくるための法案を提出しておりますので、できるだけ早く成立していただけるように、各党各会派の御協力をお願いしたいと思います。
#136
○山本香苗君 ありがとうございました。
#137
○委員長(中曽根弘文君) 以上で山本香苗君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#138
○委員長(中曽根弘文君) 次に、紙智子君の質疑を行います。紙智子君。
#139
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 ライス国務長官が来られるようですけれども、今、日米間で牛肉の輸入再開、この問題が大きな問題になっています。国民みんな不安に思っています。先日のNHKの世論調査でも、八四%の人が安全性を重視するためには専門家の議論がまとまるのを待つべきだというふうに答えています。圧倒的な人がやっぱり安全第一と、慎重にというふうに思っていると思うんです。
 元々、BSEについて言いますと、ヨーロッパで発症して、発生国から輸入規制のそういう措置をとってきました。一昨年の十二月にアメリカで発生をすると、当然のことながらこれに対する輸入禁止の措置をとって、今日も韓国、ロシアを含めて四十か国もの国がこの禁止措置をとってきているわけです。アメリカは、日本に対してこの輸入再開をしたいということであれば、日本と同じように全頭検査をやればいいと。ところが、それは拒否して、そうじゃなしに、あれだけ議論してつくってきた日本の国内措置を無理やり変えようとしていると。こういう事態に対して総理はどのような態度で臨むおつもりでしょうか。
#140
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本としては、安全な牛肉を食べたいという国民の気持ちがあります。そういう点につきましては、食の安全、安心、この確保の観点から科学的知見に基づいて日本国民に安全な牛肉を、日本の牛肉であれ、アメリカの牛肉であれ、その他の国の牛肉であれ、提供していかなきゃならないと、そういう方針で交渉に臨んでおります。
#141
○紙智子君 そもそもアメリカが言っていることというのは私は理不尽だと思うわけです。
 三月三日に、資料もお配りしていますけれども、アメリカの下院で決議が出されています。(資料提示)米下院は、日本政府が米国産牛肉の輸入を再開しない場合、米通商代表部は直ちに日本に対して報復的な経済措置を科すべきであると考えると、こういうことが出されているわけです。今正に日本の国内においては、食の安全のために、それこそ科学的な審議、今真剣にやっているその最中に制裁をちらつかせて輸入再開をせよと。こういう事態に対して総理はどのように思われますか。
#142
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この提供いただきました資料におきましてアメリカの下院の決議を出されておりますが、これはアメリカの事情はアメリカの事情であります。日本は別に米国産牛肉の輸入を遅らせているわけじゃないんです。アメリカにそういう誤解があったんなら解いていかなきゃならない。日本としては安全な牛肉を食べたいという気持ちは変わらないんです。しかし、安全な牛肉であるかどうかということにつきましては、政治的判断でなく、科学的知見に基づいて判断すると。決して日本は遅らせているわけじゃないということをアメリカ側にも申しておりますし、遅らせているんだという誤解がアメリカ側にあるならば、これを解いていかなきゃならないと、誠意を持って。日本国民としても、安全な肉であれば、アメリカ産であろうが、どこの国産であれば、早く食したい、再開したいという気持ちは持っているわけでありますので、遅らせているわけでもないし、国内の畜産業界を保護しているわけでもない。必要なのは、安全な牛肉を食べたいということであるんだと。
 そのためには、しっかりとした誠意ある対応をしているんだということをアメリカ側の理解を得るべく、今後もそのような努力を続けていって、安全な肉を早く食すことができるような環境を整備していきたいと思っております。
#143
○紙智子君 アメリカは、日本に対して制裁というふうに言いながら、自らの国内対策さえ満足にできていないと思うんです。
 もう一つ、もう一回見ていただきたいんですけれども、(資料提示)米国は、会計検査院報告書、こういうものが出されているわけですけれども、この中で、食品医薬品局は、業界の動物飼料禁止の遵守を誇張し、ちょっと省略しますけれども、米国牛のBSEの潜在的なリスクについて実態よりも低く評価していると。つまり、リスクは高いのに低く見せていると、こういうことがアメリカの国内でさえも指摘されて問題になっていると、評価されているという事態なわけですよ。
 ですから、まずやるべきは、アメリカ自身がこの国内の条件、つまりトレーサビリティーだってできてないわけですし、飼料の規制、混ざらないようにするとか、それから特定危険部位の除去とか、こういった条件を整えてもらうことが先だと。
 総理、このことについてアメリカに対してはっきりと言うべきじゃないですか。おっしゃいますか。
#144
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 既にはっきりと申し上げております。
#145
○紙智子君 それでは、今日、ライスさんがお見えになるということですけれども、直接はっきり言われるんですね。ブッシュ大統領にも言われるんですね。お答えください。
#146
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ブッシュ大統領だろうが、ライス国務長官だろうが、はっきりと申し上げております。
#147
○紙智子君 この前、電話が掛かったときには言ったんですか、そのことについては。
#148
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) はっきりと申し上げております。
#149
○紙智子君 私は、何でアメリカがこんなに強烈に言ってくるのかというふうに思うわけです。それは、やっぱり日本が対米関係で弱腰だということで、足元を見られているからですよ。米国の畜産業は、畜産業界が突き上げをやっていると。カナダ産の牛肉が輸入再開になれば米国の牛肉がだぶつくと、相場が下がると、そうなっちゃ大変だ、もうこの際日本に早く開いてもらって受け取ってもらおうと、こういうことが言われているわけですよ。
 こんなことで日本の食の安全が曲げられようとしている。あれだけ日本の中でけんけんがくがくの議論をやって、そして安全対策のために大変な努力がありました、苦労がありました。そういう状況が今こういう中で曲げられようとしていると。日本の国民の安全を守るのかどうか、そのことが今総理に問われているんだと思いますよ。いかがですか。
#150
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 何が曲げられているんですか。日本の立場は一貫しております。
#151
○紙智子君 曲げられようとしています。
#152
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 曲げられようとしているというのは、あなたの誤解であります。
#153
○紙智子君 とても誤解ではありませんよ。だって、この間どういうふうに推移してきたのかということを見れば明らかじゃないですか。アメリカの側は、日本がまだいろいろ審議をしている途中でもこういう制裁という形でやってきていること自体が足下見られているということじゃありませんか。
 私は、総理に是非考えていただきたいのは、日本でも先日、変異性のクロイツフェルト・ヤコブ病、発生が出ました。これ、どんな思いで家族の方が思われているかと思うんですよ。そしてまた、自分はいつなるだろうかと不安を持って、厚生労働省にも問い合わせの電話が何件も来ているという事態なわけですよね。
 そして、これ、調査しますと、発症者はすべてMM型という同一遺伝子を持っていると。実は、この日本の人口に対して九三%がこの遺伝子型を保有していると。ヨーロッパと比較しても、日本の国民というのはその意味では感染しやすいということが研究者の結果でも明らかにされているわけですよ。だから、慎重にやるのは当然だと。
 そして、全頭検査についてですけれども、これはプリオン研究でノーベル賞を受けられたプルシナー博士、全頭検査が合理的なんだと言っているわけですよね。全頭検査が合理的なんだと、何か月以下はプリオンがいないというのは言えないんだというふうにおっしゃっているわけですよ。そして、国民の声は全頭検査続けてほしいということなわけです。この声にこたえて、何よりもやっぱり国民の安全優先で、アメリカの圧力に屈しないでやるということをお約束できますか。
#154
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 食の安全についてはすべての国民が大きな関心を寄せています。食の安全を重視して対応してまいります。
#155
○紙智子君 今そのように、お約束できるというふうに受け止めましたけれども、受け止めます。
 そういうことで、頑張って貫くということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#156
○委員長(中曽根弘文君) 以上で紙智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#157
○委員長(中曽根弘文君) 次に、渕上貞雄君の質疑を行います。渕上貞雄君。
#158
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 日米特別協定の一つであります思いやり予算について御質問申し上げます。
 今、日米両軍の、失礼しました、米軍の再編に伴って新たな負担が求められる可能性というものがありますが、どのようにまずは考えられておられるのか。
 そもそも、米軍が駐留している他国の例を見ましても、思いやり予算などと言われる支出をやっていること自体が私は大変異常なことではないかというふうに思うのであります。思いやり予算に関する特別協定の期限が来年の三月に切れるというようになっておりますし、日本の防衛を目的とした日米安保の意味を、大きくここのところは変わってくるのではないかというふうに思っているところですが、米軍再編が進む状況を考えれば、この際、思い切って廃止をしたらどうかというふうに思うんでありますが、いかがでございましょうか。
#159
○国務大臣(町村信孝君) この在日米軍駐留経費負担問題を考える際にやはり重要なことは、このアジア太平洋地域には依然として不確実かつ不安定な状況が存在をしているということでございます。したがいまして、日米安保体制の重要性というものは現在もまた非常にあるということでございまして、この体制を円滑かつ効果的に運用するのにこの駐留費の負担というのは、駐留経費負担は役に立っているというふうに私どもは考えておりますので、これを廃止すべきという考えには立っておりません。
 政府といたしましては、厳しい財政事情もございますので、こうしたこともまた配慮しながら、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保のために、この経費負担問題については適切に対応していきたいと思います。
 なお、委員御指摘の二〇〇六年三月にこの特別協定が失効するので、これどうするのかというお尋ねでございましたけれども、この点につきましては、この有効期間終了後の今後の措置については先般の2プラス2でも今後、両国間でよく協議をしていこうということで一致を見たところでございまして、今後、関係省庁を含めよく検討していく考えでございます。
#160
○渕上貞雄君 総理、今外務大臣が我が国も大変厳しい財政状況下にあると、このように言われましたけれども、なお総理としてやはり今外務大臣が言われたような認識であるのかどうか、お伺いします。
#161
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まあ外務大臣、今答弁されたとおりでありますが、在日米軍が駐留していく際にいろんな経費があります、ここでは詳しくは申し上げませんが。その経費の分野において、どの分野を米軍が負担すべきか、どの分野は日本が負担すべきかというのは、今後話合いの上に適切に判断していく問題だと思っております。
#162
○渕上貞雄君 次に、米軍の陸軍第一軍団司令部と新司令部、UEXの違いと極東条項についてお伺いをいたします。
 極東条項問題については先ほども同僚議員の方からも質問があってましたけれども、政府は神奈川県のキャンプ座間の米軍、新司令部を受け入れる方向の調整を行っておると聞いておりますけれども、これまで協議されていました陸軍第一軍団司令部と新司令部との違いというのはどこにあるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
 また、新司令部は、極東の範囲を超える広範な地域、不安定な弧とされる地域全体に対応するというふうにされておりますし、これは安保条約の極東条項に抵触することは明らかではないかというふうに思います。その点、いかがでございましょうか。
#163
○国務大臣(町村信孝君) 先ほど来から申し上げておりますとおりに、先般の2プラス2では、戦略的な共通認識について合意をした、今後これからいろいろな、共同作業でいろいろなアイデアを持ち寄って具体の、個別の施設・区域に関する見直し等の作業をやっていこうということでございまして、今委員がお触れになりました米陸軍第一軍団司令部が日本に移動されると、あるいはUEXですか、という表現もされましたけれども、いずれにしてもそうした今具体の話には至っていないということでございます。
#164
○渕上貞雄君 安保条約にかかわる、外務大臣、極東条項に抵触するんではないかと思うんですが、その点はいかがでございましょうか。
#165
○国務大臣(町村信孝君) 余り仮定の議論をしてもしようがないんだろうと私は思います。したがって、どういう仮に指令が来たとしても、それがどういう機能を持つのか、その詳細も分からないで極東の範囲云々ということを議論することは余り生産的ではないと思います。
 いずれにしても、ただ私どもは、現在の安保条約、先ほど山本委員からおしかりをいただきましたが、現在の安保条約及び、そしてこれまでの関連取決めに従って今回の見直し作業をやっているということだけは明確に申し上げておきます。
#166
○渕上貞雄君 次に米軍の、米軍基地の共同使用問題についてお伺いをいたしますが、自衛隊と米軍による米軍基地の共同使用の促進は、自衛隊の米軍と一層一体化というふうになってくると思うんでありますが、集団的自衛権の行使に直接つながるものと言わざるを得ませんし、どのような規模で共同使用を行うのか、政府の考え方をお聞きいたします。
#167
○委員長(中曽根弘文君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
#168
○国務大臣(大野功統君) 集団的自衛権につきましては、国連憲章で自然権、各国の自然権あるいは固有の権利と明記されております。しかし、日本の場合はこれは集団的自衛権は持っているけれども使わない、こういう解釈でずっとやってきております。
 これを日米関係に当てはめますと、日米安保条約五条では、日本の領域において集団的自衛権だと、こういって書いてあるんだと。これはアメリカが集団的自衛権を行使する、日本は行使しない、こういうことであります。六条においては、日本の安全及び極東の平和と安全ということから米軍は日本の基地使用できる。これは、したがいまして日本の安全ということでは共同でやるんだと、基地使用しているんだと。しかし、極東の平和と安全のために米軍が出ていって、そこへ日本が加勢をすると、こういうことになると疑わしくなってくるんですが、今現在の法制では、周辺事態法に書いてありますように、後方地域支援、こういうことでやっておりません。したがって、このことは、私は、集団的自衛権の問題と共同使用、基地の共同使用の問題とは分けて考えられるのではないか。
 しからば、どういう意味合いがあるか。我々は、常にこの問題を考える場合に言っておりますのは、一つは抑止力の維持、一つは負担の軽減であります。これは正に相矛盾するような話でありますけれども、やはり共同でやるということは、抑止力は高くなるかもしれない。情報の交換があります。しかし、ポイントは……
#169
○委員長(中曽根弘文君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
#170
○国務大臣(大野功統君) はい。
 それでは、ポイントは、指揮権については別々、共同使用でいろんな効率化が図れる、こういうことでございます。
#171
○渕上貞雄君 終わります。
#172
○委員長(中曽根弘文君) 以上で渕上貞雄君の質疑は終了いたしました。
 これにて外交防衛等に関する集中審議は終了いたしました。
 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十五分開会
#173
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成十七年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日午後は、一般質疑を百分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会七十分、日本共産党二十分、社会民主党・護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────
#174
○委員長(中曽根弘文君) 休憩前に引き続き、平成十七年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。白眞勲君。
#175
○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。
 まず一つ、外務大臣にお聞きしたいんですけれども、先般、マラッカ海峡においての日本船舶襲撃事件につきまして、現在の状況について御報告願いたいと思います。
#176
○国務大臣(町村信孝君) 現時点で、特に一番皆様方御関心を持っておられるこの三人についての情報でございますが、残念ながらこの三人について確たる情報には接しておりません。マレーシア、インドネシア両国政府がそれぞれ引き続き捜索に当たっているということでございます。
 なお、その他の十一人の方々につきましては、十五日、いわゆる被害に遭った「韋駄天」という船でございますが、これはペナン港沖に到着をし、この十一人の方々から、マレーシア警察それから在ペナン総領事等が事情を聴いているという状況でございます。
 いずれにしても、早期かつ安全な解放のために関係政府、関係省庁と協力をし、また近藤海事という船会社と密接に連携を取りながら、全力を尽くしてまいる決意でございます。
#177
○白眞勲君 是非一刻も早い解決ということで努力をしていただきたいというふうに思っております。
 それで、私どものところにもこの外務省対策本部というところから一報、二報、三報と毎朝お送りいただいているという中で、私も見ましたところ、項目一の「(2)その際、以下の日本人二人及びフィリピン人一人が小船により連れ去られた。」ということで、(イ)船長井上さん、(ロ)機関長黒田さん、三、三等機関士フィリピン人って書いてあるんですよ。名前ないんですかね。
 普通何か名前書いて、それで括弧して国籍フィリピンとか書きゃいいのに、二人の日本人については名前とか生年月日とか書いておいて、それで三、三人目はただのフィリピン人と、これ三枚ともそういう名前だ。これ名前も何もないんですか。何かここに、何か日本国政府というのは、この日本人二人については非常に関心を持っているけど、あとはフィリピン人だと、何か十把一からげだというようなイメージがこの文章からして取れるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#178
○国務大臣(町村信孝君) いえ、別に、委員御指摘のような人種的観点を持ってこういうことを書いているわけではない。当然名前もあり、年齢も当然会社では分かっているはずでございます。なぜ載っていないのか、私もちょっと定かではございませんが、別に今委員が御指摘をされたような、そういう何か、もしかして差別的な意識というようなものからこういうことになっているのではないかというお尋ねであれば、決してそういうことではないということで、ここだけは申し上げさせていただきます。
#179
○白眞勲君 名前不詳の括弧して国籍フィリピン人ぐらい書くぐらいの気持ちはやっぱり持っていただきたいというふうに思いますね。是非そこは変えていただきたいと思っております。
 基本的に、やっぱりこういった事件というものにつきまして、やはり何でこういう事件が起きたんだろうかということも我々はやっぱり考えなきゃいけないというふうに思っているわけでして、やはり、どういうこれまで政府として対応をしてきたのか、お答え願いたいというふうに思います。
#180
○政府参考人(石川裕己君) お答えします。
 マラッカ・シンガポール海峡で発生しておりますいわゆる海賊事件の多くは、今回の事件と同様に沿岸国の領域内で発生しております。領海内における海上犯罪の取締りというものは、沿岸国のそれぞれの国家主権に基づいて実施、行われるものでございますが、やはり膨大な数の通行船舶の安全確保という観点から見れば、海峡を使用する関係各国と連携をしつつ、沿岸国の取締り能力を高めるための協力ということが大事であろうと思っております。
 海上保安庁といたしましては、平成十二年に海賊対策国際会議、さらに平成十六年六月にはアジア海上保安機関長官級会合、これを東京で開催するなどいたしまして、アジアの関係諸国間の中で海賊対策の強化についての認識を共有するということ、それから我が国と沿岸国との間の連携訓練の実施、さらには情報共有あるいは法執行強化のための専門家会合の開催、海上警備業務の専門家の派遣などによる技術協力、技術供与などを通じまして、沿岸諸国の取締り能力の向上というものに資する協力を積極的に行ってきたというところでございます。
#181
○白眞勲君 今いろいろな取組をされてきたというお話だと思うんですけれども、実際、事件はこういった取組を始めてから今まで、どうなんでしょうか、年間、増えていますか、減っていますか。
#182
○政府参考人(石川裕己君) 最近は全体としては減少ぎみにあろうかと思いますが、全体で、失礼、マラッカ・シンガポール海峡における海賊事件の発生状況につきましては、二〇〇四年におきましては四十五件ほどございます。
#183
○白眞勲君 二〇〇〇年から一年ごとをちょっとお願いします。
#184
○政府参考人(石川裕己君) 二〇〇〇年が八十件ございました。二〇〇一年は二十四件、二〇〇二年が二十一件、二〇〇三年が三十件、二〇〇四年が四十五件ということになってございます。
#185
○白眞勲君 二〇〇〇年から話合いが始まって、今減少傾向とおっしゃいましたけれども、二〇〇四年、今言った二十四、だんだん増えているじゃないですか。どういうことなんでしょうか。
#186
○政府参考人(石川裕己君) 先ほど申し上げましたように、数でございますけれども、マラッカ・シンガポール海峡ということで申し上げますと、先ほど申し上げたように、二〇〇〇年がピークの八十件あったわけでございます。それで、様々な対策、私どもも努力をしてまいりましたが、二〇〇四年には四十五件ということでございますが、そのうちの、何といいますか、日本の関係の船舶ということについて言えば数は減っております。
#187
○白眞勲君 数減っているといっても、実際に今回こういう事件が起きているじゃないですか。数の問題じゃないと私は思うんですね、その部分についてはね。元々その数を減らそうという観点からおやりになっているとは思いますけれども、今ちょっと長官、数が減っていますとか日本の船舶が減っていますと、今の時点でこういうことをおっしゃるのはどうかなというふうに思うんですね。
 私は、やはりこの、二〇〇一年が二十四件から二〇〇三年は三十件になって、次へ二〇〇四年は四十五件と、どう見ても増えているじゃないですか。話し合っていても増えているということをお認めいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#188
○政府参考人(石川裕己君) 私どもとして、関連各国と協調をして様々努力をしております。ただ、御指摘のように、数字としてそのような数字があるということでございますので、更に一層の努力を進めてまいりたいと考えております。
#189
○白眞勲君 今のお話の中に、人材育成なんかも一生懸命御尽力されているというようなお話もありました。でも、どうでしょうか、間に合いますか、この事件に対して、この種の事件に対して。
#190
○政府参考人(石川裕己君) 沿岸諸国多数あるわけでございますけれども、それぞれの機関において海上保安機関というものの設立に向けての動きもございます。それから、まだまだ、様々な形で法執行のための技術、能力というものを高めていただくという意味でいうと、先生おっしゃるようにまだまだ時間は掛かる部分があるかと思いますけれども、やはりこれは一つ一つ着実に頑張っていかなければいけないことだと考えております。
#191
○白眞勲君 一つ一つ着実にというのもいいんですけれども、どうでしょうか、ちょっとここで外務省、外務大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、外務省との連携はどうなっているんでしょうか。
#192
○国務大臣(町村信孝君) 先ほど長官が言われました、各国共通しての訓練でございますとか、保安大学校の留学生の受入れでありますとか、そういったことなどについては海上保安庁と外務省等と常に連携をしてやっております。
 また、日本は、海上保安関係者との間の専門家会合、これは保安庁と外務省で共同して会合を開催しておりますし、また、昨年十一月に採択をされたんでありますけれども、アジア海賊対策地域協力協定という、ある種の条約といったようなものを日本が主導をいたしまして、この地域の海上保安機関の間による協力強化のための法的枠組みづくりをやっております。
 ただ、残念ながら、まだ関係国、特にインドネシア、マレーシア、シンガポールという一番の関係国のまだ意思統一がうまくできていない。我々は言わばマラッカ海峡の利用国として、韓国その他あるわけですが、利用国の方はみんな足並みが大体そろっているのでありますけれども、その三か国の間のいろいろな話合いがまだうまく付いていないということでございます。
 私も先般、インドネシアの外務大臣と会ったときも、是非これが早く発効するように御協力を願いたいというような発言も、一月七日の日の会議で先方、外務大臣とも話をしたりしておりまして、できるだけ早くこうした地域間協力、実態は海上保安機関、海上保安庁等のそれぞれの機関の連携を密にするという条約の内容になってくるわけでございまして、日本ではもとより保安庁と一体になって外務省も努力をしているところでございます。
#193
○白眞勲君 一生懸命やっていただけるというのはそのとおりだと思うんですけれども、もちろん、その三か国が意思統一もできていないという中で、やっぱり相手がいることではなかなか大変なことも、私は御苦労があるんじゃないのかなというふうにも思って、なかなかやはり、今の海上保安庁長官のお話でも、やはりなかなかこの海賊対策というのが一朝一夕に解決できそうな感じではないという感じがするわけなんですね。
 ちなみに、現在、あそこを航行している船舶の数、日本船舶の数というのは大体どれぐらいなんでしょうか。
#194
○政府参考人(矢部哲君) お答えいたします。
 ただいま、マラッカ・シンガポール海峡を通航しております日本関係船舶の隻数についてお尋ねがございました。
 私ども国土交通省が我が国の外航海運企業、約二百四十社ございますが、それに対しまして実施したアンケートの調査結果によりますと、我が国の船社が運航いたします船舶、これが二〇〇三年にマラッカ・シンガポール海峡を通航した総数は九千七百五十七隻であります。一日当たりに換算いたしますと、平均二十七隻が通航、通過していたこととなります。
#195
○白眞勲君 一日二十七隻、日本の船があそこを航行しているわけです。それも丸腰ですね。新聞情報とかによりますと、ほとんど防御装置というものもない。あるのは何か、来たら水掛けるようにホースだけ用意しているとか、サーチライトで当てると。片や、今回の報道によりますと、相手はロケットランチャーまで持っているという状況で、やはりなかなかこの対応は難しいんじゃないかなという私は感じがするわけなんですけれども。
 こういう中で、今いろいろな、今までの取組というのに対して、まず海上保安庁としてはどういったところに問題があるのかなというふうに思いますか。
#196
○政府参考人(石川裕己君) 冒頭申し上げましたように、一つが、沿岸国が一義的にこの対策を講ずる、領海の中ではやるということが原則だろうと思っております。
 したがいまして、沿岸国の取締り能力を高めていくということで、先ほどから申し上げていますような人の派遣であるとか様々な人材教育であるとか、様々な形で沿岸国の海上警備、海上保安能力を高めていただくということが大事だと思いますが、それはやはりそれぞれの国の主権なり考え方というのがあるわけでございますので、そういう中を調整しながら着実にやってまいりたいと考えております。
#197
○白眞勲君 一日二十七隻通っている中で、今のお話からいって、今の状況は、マラッカ海峡は十分と言えるんでしょうか。
#198
○政府参考人(石川裕己君) 日本の船舶につきましては、日本の船舶自身が様々な形での自主警備ということもやっていただいているわけでございますし、さらに、今申し上げたような形で、私どもも含めて、沿岸の国々の能力を高めるという努力をしていただくということだろうと思っております。
#199
○白眞勲君 要するに、領海の中だから我々は何も手付けられないし、あとは自主警備だというんですけれども、その自主警備って具体的に何をもって自主警備というんですか。
#200
○政府参考人(矢部哲君) お答えいたします。
 一般論ということでお答えいたしますが、昨年の七月一日から、国際航海をする船舶につきましては、テロ対策につきまして保安規程というものを定めてこれを実施することが義務付けられております。五百トン以上の貨物船に対して義務付けられているということでございますが、その保安規程で一般的に取られております措置についてちょっと御紹介いたしますと、そのような危険な海域に入域する前の準備といたしまして、適切な乗組員の配置、訓練、それからドアの常時施錠、定期的確認、あるいは危険海域からなるべく離れて航行することと、そんなようなことをやることになっております。また、その危険海域を航行中につきましては、見張りの強化、あるいはレーダーと目視による継続的な監視、夜間につきましては船外照明の強化、それから消火ホースの準備、あるいは継続的な射水、そのようなことが行われていると思います。
#201
○白眞勲君 それでロケットランチャーに対抗できるんでしょうか。
#202
○政府参考人(矢部哲君) できる限りの対策を講ずるということでございますので、船の方は、先ほど申しましたように、消火ホースでできる限り船が近づかないようにやるということでございますから、ロケットランチャーとか機関銃とか、そういう本格的な武器を持ってきた場合に船の側でそれを撃退できるというふうには、私個人的にはなかなか難しいのではないかと思います。
#203
○白眞勲君 非常に、丸腰のまま日本の船舶が二十七隻もあそこを通っているという現状があって、実際、今の対応では不十分であるということをお認めになったと思うんですけれども、防衛庁長官、ちょっとよろしゅうございますか。
 この前、東南アジアを訪問されたときに、この海賊の関係についてお話があったということを聞いているんですけれども、具体的にお話しいただきたいと思います。
#204
○国務大臣(大野功統君) 今年の正月でございますけれども、私はインドネシア、シンガポール、マレーシア、三か国の国防大臣その他要人に会ってまいりました。そのときに、主に国防大臣、防衛大臣でございますけれども、マラッカ海峡の海上交通安全というのは日本にとって死活の問題だ、この安全確保は是非ともやっていかなきゃいけない、こういうことを私の方から話題として出しました。それに対して、マラッカ海峡の安全確保というのは本当に大事なことだ、この点はお互いに意見が一致しているわけでございます。
 その次に、しからば日本として何ができるか相談しようじゃないか、協議しようじゃないか、こういう話をしましたところ、今海保庁長官からも話がありましたけれども、やはり一義的には海上安全交通の、海上交通の安全というのは沿岸国の責任である、そして、同時に一義的なそういう責任に、ということを確保しながら協力の道を探りたい、そしてまた、その協力の在り方が国際法には違反しないように、矛盾しないようなやり方でなければいけない、こういう話を伺いました。
 私の感想としては、やはり第二次世界大戦後に独立した国であります。外国の自衛隊、軍隊等がやはりその海域でプレゼンスを保っていること、これに対しては大変神経を、神経的に考えているんじゃないか。そういう独立の尊さ、尊厳、国の尊厳みたいな気持ちを大いに感じました。しかしながら、やっぱり協力しようじゃないかということで、私の方からは、事務レベル、ハイレベル等でこの問題を協力していこう、そしてお互いに、防衛庁関係でもいろんなマルチの会合がありますから、そういうとき、ところでこれから議論していこうじゃないかと、こういうことで、その受け止め方としてはシンガポールが一番熱心に受け止めてくれたような感じでございます。
#205
○白眞勲君 今防衛庁長官からもありました、非常にやっぱりその微妙な部分というのはやはりあるかと思いますが、そういう中で、海上保安庁としても今のこの対応だけでは不十分であるという御認識はあると思うんですね。
 そういう中で、例えばですよ、「しきしま」でしたっけ、何か私よく分からない、あの大きな船、海上保安庁にありますよね。ああいった船って、例えばあの辺に出掛けていって、今例えばその「しきしま」辺りちょうど準備しているとかいう話もあるんだけど、どうなんですか、その辺は。
#206
○政府参考人(石川裕己君) 一つが、先ほどちょっと申し上げましたけれども、沿岸諸国との連携訓練というのを今まで実施してきております。その中で、先生御指摘のように、海上保安庁の船を東南アジアに出しまして、そこの、東南アジアそれぞれの国の言わば海上保安機関と合同で訓練をするというようなことを既にやってきております。
 今回の事件につきましては、私どももし要請があれば巡視船その他を出すということを表明してございますが、今回の事案についていえば関係国からの要請は現在のところございません。
#207
○白眞勲君 例えば、これはどうなんでしょうかね。例えば、もちろんその関係各国は、それぞれの取締り、取締りが十分になるまで、例えばその地域で、その期間、つまり限定された期間ですけれども、その地域で演習をすると、やっぱりあそこで教育をするんだと、我々はと、ああいう海上保安庁の船を出して、そういうことをすることによって、そこを行っている、行き来している日本の船というのは安心感があるんですね。日本の海上保安庁の船がその地近辺にいるんだということを、例えばアイデアとして出すみたいなことを、もちろんそれ関係国とのいろいろな折衝はあると思いますけれども、理解を得ながらそういうことをやっていくということはどうでしょうか。国土交通省、国土大臣、どうお考えでしょうか。
#208
○国務大臣(北側一雄君) 最初にちょっと、私、この委員会に遅参したことをまずおわびを申し上げたいと思います。
 今の御質問でございますが、マラッカ・シンガポール海峡というのが、先ほど来話がありますように、日本にとりまして非常に重要な海域でございまして、海上交通路でございまして、ここの安全確保というのは我が国にとっては極めて大事な問題であると認識をしております。
 しかしながら、ここの海域というのは、先ほど来の話が出ておりますように、三つの国が、マレーシア、それからインドネシア、そしてシンガポールと三つの国が領海が接している海域でございまして、本来ならばもっと我が国が、我が国にとって非常に大事な、我が国だけではございません、ここを通る多くの国々にとって大事な海域で、そこの安全確保をしてもらいたいというのは、要請は、もうほかの国々からも強い要請がある。
 そういう意味では、もっと我々が安全確保のために直接何かできないのかという思いはかねてからあるわけでございますが、しかしながら、やはりこれはその国の領海の話でございまして、先ほど防衛庁長官も言っておりましたが、一義的には、その国の海上警備機関が対応していくというのが一義的なやっぱりこれ責任でございます。
 そういう意味で、今委員のおっしゃった共同訓練ですか、これは実を言いますと、二〇〇〇年のときに、これは海賊対策の国際会議というものを東京で開かせていただいたわけでございますが、そのときに、アジア海賊対策チャレンジ二〇〇〇というものを採択をいたしまして、その際に、巡視船等のアジア各国への派遣による公海上の哨戒、寄港国による各国海上保安機関との連携訓練及び意見交換、哨戒中における日本関係船舶との海賊対策訓練を実施と、こういうことも当時、二〇〇〇年当時から掲げられておりました。
 こうしたものをもっと数多く実施をできるようにしっかりと関係各国と連携を取らしていただきたいと思いますし、またもう一つ大きな問題は、このマレーシアとかそれからインドネシア、ここはやはり海上保安の専門の機関というのがないわけなんですね。そこをやはり、これは少し時間が掛かるかもしれませんが、育てて育成をしていくと、そこにしっかり我が国がお手伝いをしていくと。それは、人材育成の面でも、また物的な施設整備の面でも様々お手伝いできることはたくさんあると思うわけでございまして、そうしたことに全力で取組をさしていただきたいと思っております。
#209
○白眞勲君 是非じゃんじゃん訓練をして、そこにいつも海上保安庁の船がいるような形みたいなことも一つの考え方としてはあるんじゃないかと思うんですが、もう一度、大臣、お願いします。
#210
○国務大臣(北側一雄君) 領海のこの関係の三国としっかり連携を取らしていただいて、共同の訓練ということがしっかりとできますように協議をさしていただきたいと思います。
#211
○白眞勲君 それと、防衛庁の場合、テロ特措法で、私はあの法律自体は反対なんですけどね、個人的には。ただ、あそこに船がいることは間違いないと。で、あそこで、交代のためにあのマラッカ海峡を通るわけですよ。ですから、その通る回数を多くする、交代を回数を多くする、そうすると、マラッカ海峡に自衛艦がいるわけですよ。で、そのマラッカ海峡のときに、スピード何ノットか知らないけども、ゆっくりゆっくり牛歩みたいにして行けば、そこに何か自衛艦もいるじゃないかということになると、やはりその海賊にとってみたら、自衛艦がいると、日本の旗を持った自衛艦がいるというのも一つのアイデアだと思いますが、防衛庁長官、どうでしょう。
#212
○国務大臣(大野功統君) 自衛隊、自衛艦の存在自体が抑止力になると、こういうお説でございます。
 ただ、こういうテロ、海賊対策につきましては、一義的には、一義的には海上保安庁の仕事でございます。海上保安庁が手に余るとか、そういう場合に自衛隊が出動する、海上警備行動でございますけれども。これ、海賊の場合もそういう意味で法制的には海上警備行動を下令する。したがって、ここで大事なことは、やっぱり海上保安庁と自衛隊とがよく連携していくことだと思います。
 今後の問題として、やはり私は、例えば情報を共有する。これは海上保安庁と防衛庁の間の情報共有であり、あるいはさっき申し上げたシンガポール、インドネシア、マレーシアと日本との情報共有であり、あるいは何かノウハウを考えて、もし、空の場合はそれで、レーダーでどこの飛行機、どの飛行機がどう飛んでるか分かってるわけですね。ああいうような工夫もこれから考えていかなきゃいけない、これからの課題としてしっかりやっていかなければいけない。
 こういう問題点を我々も一生懸命協議します、関係各国と協議する。そして、海上保安庁からの、間の問題は受け身の姿勢じゃなくて、そういう協議をしたら積極的に海上保安庁の方にも、こういう情報、こういう協議をいたしましたということを上げていきたい、このように思っております。
#213
○白眞勲君 是非この、今までは多分防衛庁は防衛庁で、また国土交通省とそれから外務省とでまたそういう話があったものをもっと連携して是非おやりいただきたいなというふうに思っております。もしよろしければ大臣、一言。
#214
○国務大臣(北側一雄君) 大変重要な御指摘だと思います。
 防衛庁また外務省としっかり連携を取り、また関係各国としっかり連携を取りまして、こうした海賊事犯が本当になくしていけれるようにしっかり取組をさしていただきたいと思います。
#215
○白眞勲君 続きまして、北朝鮮による拉致問題につきましてお話をします。
 お聞きしたいと思うんですけれども、外務大臣、最近、北朝鮮と対話しましたでしょうか。
#216
○国務大臣(町村信孝君) 一月の二十六日、北朝鮮側からいわゆる備忘録というものが我が方に伝達をされました。二月十日、それに対する我が方からの反論文書を北朝鮮側に伝えまして、生存する安否不明の拉致被害者を直ちに帰国させるとともに、全容解明をするように改めて強く要求をいたしました。またあわせて、北朝鮮がこれまでのような不誠実な対応に終始する場合は、我が国として厳しい対応を取らざるを得ないということを重ねて明らかにいたしました。
 これに対して、二月二十四日、北朝鮮側から回答とおぼしきものが参りまして、我が国における鑑定結果は日本政府の捏造であるという形で、日本を強く非難をする主張を繰り返しているところでございます。
 なお、二月十日付けの我が方の文書の中では、この備忘録に対する日本の反論に対して、実務者レベルで直接説明するにやぶさかではないということも北朝鮮側に伝えておりますけれども、それに対する反応がなく、今、政府レベルのやり取りは公式的には行われていないのが現在の姿でございます。
#217
○白眞勲君 今のお話というのは対話じゃないですよね。大臣、今の話は対話と言えませんよね。
#218
○国務大臣(町村信孝君) まあ、対話を先生がどう定義なさるかにもよります。私どもとしては、外交チャンネルを通じたやり取りでございますから、これは外交ルートを通ずる対話であると、こう思っております。
#219
○白眞勲君 最後に大臣がおっしゃいました、二月二十四日付けでしたっけ、北朝鮮からの回答というのは、日本とは議論するつもりはないという回答でありまして、これでも大臣は外交的には対話だというふうに言えば、それはそうなのかもしれないけれども、でも、一般論からすればこれは対話とは言ってない。全然もう、これはもう膠着状況、話合いは膠着状況に陥ったというふうにやはり一般の人は取ってもいいんじゃないのかなというふうに思っているんですが、そういった中で、厳しい対応を取らざるを得ないということを今おっしゃいましたが、厳しい対応についてそろそろ考える時期じゃないんでしょうか。
#220
○国務大臣(町村信孝君) これは、先ほど午前中の質疑のやり取りの中でも総理からお話もしておられたわけでございますけれども、私どもとしては、政府部内において、いかなる対応を取ることができるか、いざ取るときにはどうするかという準備はしっかりと進めているところでございます。いつそれを具体にどういう形で圧力の部分を発動するのかということについては、そのタイミング等々を、全体状況、そうしたものを把握をしながら、考えながら、今後いかなる対応を取るべきかということを慎重に検討を続けているところでございます。
#221
○白眞勲君 つまり、その厳しい対応の中身については今内部で検討中ということでございますね。ですから、その内部で検討する厳しい対応についての具体的な中身について教えていただきたいと思います。
#222
○国務大臣(町村信孝君) これは、従来的な意味での外為法に基づく対応というのもございます。また、国会の方でお取りをいただいた特定船舶の、ちょっと正式な名称を、済みません、法律の名前を忘れました、入港を阻止するといいましょうか、停止できるという法律などございまして、そうした様々な手段を総称して私どもは圧力というべき手段というものが幾つかメニューとしてはあるし、それを今具体に検討しているということでございます。
#223
○白眞勲君 いろいろな手段、圧力として考えていらっしゃるというんですけれども、いずれ開かれるであろう六か国協議、これに対して何か拉致問題については話をのっけるつもりはございますか。
#224
○国務大臣(町村信孝君) 六か国協議、確かに中心的なテーマは核あるいはミサイルということでございますが、過去開かれましたこの六か国協議の中でも拉致の問題も私どもは問題提起をしているところでございまして、それらを含めて包括的な解決ということを日本側の基本的なスタンスにしているところでございます。
#225
○白眞勲君 つまり、その六か国協議で拉致問題をきちんとテーブルで話し合うところにのっけるのか。今までは、どちらかというと北朝鮮の席を立ったときに立ち話したような感じで話をしていたようなんですけれども、今回はきちんと六か国協議のテーブルで話を提起するということでございますね。
#226
○国務大臣(町村信孝君) この点は、これまでも六者のいるテーブルで問題を提起したこともございます。また、六者協議の公式の会議の合間を縫う形でいろいろな二か国間の話合いも行われるわけでございますが、その際に日朝の間でこの拉致の問題というのを話し合ったこともございます。そして、今後もそうするつもりでございます。
#227
○白眞勲君 十八日、ライス長官がアメリカからいらっしゃいますけれども、拉致問題については話し合う予定はありますか。
#228
○国務大臣(町村信孝君) 先般二月の2プラス2、また、特に日朝に関しては日米外相会談の席で北朝鮮の問題を議論をいたしました。その際に、拉致の問題を私どもとしては取り上げました。また、それに対して今後厳しい対応というものも考えているんだという話もいたしました。ライス長官の方からは、日本側の考え方に全面的に賛同するということを発言をしておられ、そのことが最終的な北朝鮮に関する両国の共同声明の中にも触れられているところでございます。
 明後日、土曜日、ライス長官との会談が予定をされておりますけれども、当然、その場において北朝鮮問題は一つの大きなテーマになるであろうと、こう考えております。その際に、この拉致の問題も当然提起をし、改めて確認をしておこうかなと、こう考えております。
#229
○白眞勲君 そのとき、ライス長官に対しては、六か国協議でもこの拉致問題を取り上げるぞということを外務大臣はお話しするつもりでございますね。
#230
○国務大臣(町村信孝君) 六か国協議については、今、いかにそれを早くかつ無条件に再開をさせるべく北朝鮮に参加をさせるかということが主としてやっぱり話し合われる。実際に開かれた後の話ももちろん大切でございます。もとより、それは再開が目的で議論するわけじゃございません。核の廃棄あるいはミサイルの撤去等々が問題になるわけでございますが、当面の、今二国間で話し合われる重点は、この時点ではやはりいかに彼らをこの協議のテーブルに連れ戻すのかということが主として話題になってくるんであろうなと、こう思っております。
#231
○白眞勲君 ちょっと視点を変えて聞きたいんですけれども、外務大臣、拉致というのはやはり人権問題の一つとして考えられますか。
#232
○国務大臣(町村信孝君) 当然そういう位置付けで考えております。
#233
○白眞勲君 北朝鮮には強制収容所があるということが言われておりますけれども、外務大臣、その点についてどういう御認識を持っていらっしゃいますでしょうか。
#234
○国務大臣(町村信孝君) 私自身北朝鮮の情勢にそう詳しいものではございませんし、また北朝鮮の国内の情勢についての十分な、どれだけの情報が外務省に今持ち合わせているか余り定かでもございません。巷間いろいろな報道があることは私どもももちろんよく承知をしております。いろいろな脱北者の方々の談話等の中でもそういうことがあるということでございますから、当然そういうものが存在をするんだろうとは思われますが、どこにどういう形で、そこに果たして何人いるのかとかですね、そういう詳細にまでわたってくると、そこまでの情報は持ち合わせていないのが現在の状況でございます。
#235
○白眞勲君 外務大臣といたしましては、今はっきりとしたことは分からないということですから、それに対して、強制収容所の実態について、例えば韓国の脱北者との面接調査等をこれから行うつもりというのはあるでしょうか。
#236
○国務大臣(町村信孝君) 今直ちにそういうアクションを取る考えはございません。
#237
○白眞勲君 北朝鮮の強制収容所は非常にひどいものであると、家族まで入れちゃうという、世界各国にもなかなかないような、そういうひどい人権侵害が行われているということはよく言われているわけでございますけれども、そういったさなかに国連人権委員会が今開かれているかと思うんですけれども、日本は今どういうスタンスでその委員会には参加して、だれがどういう発言をするつもりなんでしょうか。
#238
○政府参考人(佐々江賢一郎君) 国連の人権委員会についての政府の対応ぶりでございますけれども、この拉致問題の解決においてこの人権委員会で多くの支持と理解を得ることは極めて重要であるというふうに思っております。
 そういう観点から、これまでも累次にわたりましてこの人権委員会においてこの拉致問題、特に今強制的失踪作業部会というものがございますが、それを通じて北朝鮮に対して情報提供をすべき旨、あるいはこの北朝鮮の人権状況決議を共同提案ということを、努力を行ってきているわけでございます。
 その結果として、北朝鮮の人権状況につきまして、特に昨年の決議におきまして国連特別報告者の任命が決定をされておりまして、実際、この特別報告者、ムンタボーン教授でございますけれども、北朝鮮の人権状況につきまして、日本人の拉致を北朝鮮は認めた、そして北朝鮮は外国人の拉致等の不法行為の迅速かつ効果的な是正についての措置をとるべきであるというふうに発言をしているわけでございます。そしてまた、この特別報告者の方は、本年の二月に日本に参られまして、政府の関係者あるいは拉致被害者の御家族等と意見交換を行いまして、現在、この人権委員会において報告を行われるというふうに承知をいたしておる次第でございます。
 他方、現在の人権委員会におきましては、昨十六日、小野寺政務官によりステートメントを実施しております。その中で、この日本人の拉致問題を取り上げまして、国際社会が一致して解決を求めるべきであるということを指摘をした次第でございます。
 こういう取組を通じまして、人権委員会、国連の場で日本のこの問題に対する解決に対して国際社会の引き続きの理解と協力を求めていきたいというふうに考えております。
#239
○白眞勲君 非常に御丁寧に説明いただいたんですけれども、いわゆる人権情報についていろいろと把握をしているというのが今国連人権委員会であり、またなおかつ、この拉致問題についても一生懸命、この教授が一生懸命やってくれているという中で、当然、北朝鮮内部の強制収容所の実態というのも人権の一つであるという観点からすると、これについても調べるべきものなんじゃないのかなというふうに私は思うんですけれども、大臣、もう一度お考え聞かせていただきたいと思います。
#240
○国務大臣(町村信孝君) 北朝鮮の中でいかなる人権侵害が行われているのか、それを今包括的に調査をする立場の、先ほどタイの大学教授が任命をされているということでいろいろな活動をしておられるということでございますから、まずそうした報告などを私どもよく注意深く見て、どういう実態にあるのかということを把握するのがまず当面大切なことなのではないだろうかと、こう思っております。その後、日本としてどういうアクションを取るべきなのかよく考えていきたいと思います。
#241
○白眞勲君 この国連人権委員会では過去二回、非難決議がたしか拉致問題に対してされたんじゃないかなと思うんですけれども、その辺どうでしょうか。
#242
○政府参考人(佐々江賢一郎君) 二〇〇三年と二〇〇四年にされたというふうに承知をしております。
#243
○白眞勲君 今回もそういう非難決議の見込みでしょうか。
#244
○政府参考人(佐々江賢一郎君) ただいまEU等の関係各国と何らかの決議が出せないかということで協議をしております。
#245
○白眞勲君 過去二回のその非難決議において日本は何をしましたか。
#246
○政府参考人(佐々江賢一郎君) この共同提案国として率先してこの決議が発出されるように関係国と協議をした次第でございます。
#247
○白眞勲君 また三回目も関係国と協議して非難決議出してどうするつもりですか。
#248
○政府参考人(佐々江賢一郎君) この非難決議あるいは基本的には北朝鮮がこういう国際社会の一致した懸念あるいは批判に対して、やはり前向きの対応を取るように促す、そのためにこの圧力を掛けていくということに主眼があるわけでございまして、そういう成果が出るように全力を尽くしていきたいというふうに考えます。
#249
○白眞勲君 今、佐々江局長から圧力という言葉があったわけでして、結局その対話と圧力といっても今圧力を掛けているということになるわけですよね。ですから、そういう部分で私はやはり人権問題ということで、やはり北朝鮮の拉致問題を人権問題という側面からぐいぐいと圧力を掛けることによって拉致問題をあぶり出していくというやり方がいいんではないかなというふうに思うんですけれども、外務大臣、御見解はいかがでございますでしょうか。
#250
○国務大臣(町村信孝君) 委員、正に御指摘のとおり、こうした国際社会からの広い意味の圧力というものもやはり大切なことなんだろうと、こう思っておりまして、そういう意味で、過去二回の人権委員会の決議、更に今回もということで、再三にわたりこういう問題をこうした場で取り上げることということが、普通の国であればそれは相当の圧力と感ずるはずでございます。北朝鮮が普通の国であるのかないのかよく分からないところもございますけれども、やはり私どもとしてはこうした活動というのは広い国際社会の連帯の中で問題を解決をしていくという意味では大変重要なプロセスだと、かように位置付けているところでございます。
#251
○白眞勲君 民主党では北朝鮮人権侵害救済法案という法案を今国会に提出しております。是非、与党の皆さんも協力して、また政府の皆さんも協力してこの法案が通れるように是非御尽力をしていただきたいものであるというふうに思っております。
 続きまして、羽田空港の国際化につきましてお聞きしたいと思いますけれども、今回、国際化で滑走路一本造るということになっていますけれども、たしか二〇〇九年という、運用開始ということを聞いております。これですね、どうでしょう、あと一年ぐらい早くなりませんかね。
 というのは、二〇〇八年に北京オリンピックがあるんですよ、まあ私が言うこともないけど。その北京オリンピック、私もこの前、北京の空港行ったんですよ。そしたらもう滑走路の横、すごいですね、クレーンが。あんなクレーンの数、私見たことないですよ。大拡張工事をしているんですね。それで、やはり北京の空港もしかり、そして上海の空港もしかりですよ。どんどんこれからあの空港がどんどん拡張していく。それもオリンピックに合わせて拡張していくという中で、これ羽田の国際化が一年遅れるだけで貨物とかなんかはみんな北京へ行っちゃいますよ。私も去年まで民間会社にいたから分かるんですけれども、一回お客さん向こうに取られちゃうと今度取り返すのこれ大変なんですよ。だから、やっぱりこういった国益を考えたら、これ一年ぐらい早めることを何とか大臣、考えてみてくれませんか。
#252
○国務大臣(北側一雄君) 実を言いますと、私も大臣に就任しまして、この羽田の再拡張、もう少し早くならないのかと。特に今委員がおっしゃった二〇〇八年には北京オリンピックがありますから、何とかそれに間に合わせられないのかということは、実を言いますと私も航空局等々に確認をいたしました。
 残念ながらこの二〇〇九年、二〇〇九年度というんじゃない、二〇〇九年中なんですが、二〇〇九年中に間に合わせるのが、技術面でもまた手続面でもこれがもう精一杯の状況であると。もう客観的にそれを早くするということは無理だというのが現時点、今の結論でございます。
#253
○白眞勲君 秀吉もできないことを何日か、十日ぐらいでお城造っちゃっているわけですよ。やっぱりできないことをやるのがやはり政治であり、事務方の方から何とか。私も建築学科だったんですよ、大学が。変な話、物理的に考えればクレーンの数を倍にすれば工期は半分に縮まるわけじゃないですか、簡単な話ね。まあもちろん、コンクリートの養生とかそういった問題については物理的な問題はあるかもしれないけれども、やはりそこを、許認可関係をともかく特急でやらないと、これ日本の国益の問題ですよ。これ早くするということで、国土交通省というこの交通と建設、運輸と建設が一緒になっているんだから、これは本当に、正に大臣これはやるべきではないかなと。正に大臣がここはやはり腕の振るいどころであるというふうに私は思っているんですね。もう一回ちょっと御尽力願いたい。
 もう一回ちょっと御答弁願いたいと思います。
#254
○国務大臣(北側一雄君) 必要であれば技術的なことは航空局長答弁させますが、なかなか難しいのは、現在ある三本の滑走路を使いながら、ここを止めてそこだけの、四本目の滑走路を造るだけでいいというんならいいんですが、三本の滑走路を活用しながら一方で四本目の滑走路を造る工事をするわけですね。これはなかなかすぐにできることではございません。
 また当然、環境アセスの問題であるとか、それから漁業補償の問題だとか、そうした面もあるわけでございまして、私も、委員のおっしゃっている趣旨というのはもうよく理解しておりますし、何とかできないのかということを再三言ったわけでございますが、どうも物理的にはこれは容易でない、二〇〇九年に何とか間に合わせるのが精一杯ということでございますが、まあそうはいっても、少しでも早くなるように努力はしたいというふうに思っております。
#255
○白眞勲君 ともかく滑走路の問題で、よく私も、飛行機がそれこそ触れちゃったり、クレーンに触れちゃったりしてはいけないなとは思いますけれども何とか、もう中途でもいいから、ともかく早く飛行機が降りられるように、そういうことも一つ考えて運用開始と。そのアナウンスメント効果がまた重要なんですよ。造り出したよというふうに言うと、ああ、そうか、羽田は造ったんだと言うとお客さんはこっち来るんですよ。その辺を十分に考えていただきたいというふうに思うんですけれども、是非、大臣お願いしますよ。
 それから、何か今回、発着数が十二万回ぐらい増便、増加するということですね。その中の三万回がたしか国際線であるというふうになっているんですけれども、何で三万回なんですか。
#256
○国務大臣(北側一雄君) もう首都圏の航空需要は極めて旺盛でございまして、これからもますます伸びていくと思われます。それは国際線だけではなくて国内線もしかりなんです。羽田空港の発着枠も今、目一杯になっています。地方の空港から羽田に入れてもらいたい、入れてもらいたいという要請はもうあちこちから来ているんですが、お断りをしなきゃならない状況。更に言いますと、航空会社の新規参入を認めたことによりまして、全日空とかJALの枠を少し削って新規参入航空会社に渡す、そのことによって地方空港、非常にお客さん入っているにもかかわらず羽田便を削らないといけないというふうなことにもなっておりまして、一方では国内の航空需要も極めてこの首都圏については高いものがあるということであると思うんです。
 ですから、国際線だけで考えられない。国内線についても今足らない、国際線についても足らないというのが首都圏の今の状況でございまして、その両方を満たしていくために、これは一つは成田空港の問題。成田空港も、今二本目の滑走路は暫定滑走路になっているんですね、二千百八十メートルしかございません。それがためにアジアの近い便しか飛ばせられないんです。そういう状況を、本来のやっぱり二千五百メートルの二本目の滑走路にこれ早くすることが大事だと。それと、この羽田空港の再拡張が大事だと。この二つが相まって、首都圏の航空需要に対して対応していくということが、私はこれからの日本経済の国際競争力を高めていくためにも極めて大事な問題であるというふうに思っております。
 で、なぜ三万回、三万回かというのは、この二〇〇九年の時点で、第四滑走路を供用開始する時点では、少なくともこの時点では三万回。ただ、そのときの成田の状況等々も勘案しながら、また国際航空需要の動向もよく見ながら、その先をよく検討していきたいというふうに思っております。
#257
○白眞勲君 まあ、分かります。ただね、今最後に大臣おっしゃったように、今からその枠はめることないんじゃないかと思うんですよ。もちろん航空需要いろいろあるけれども、例えば成田には多くの外国からの航空会社さんが参入を求めて待っている。聞くところによると三十六だか三十五ぐらいあるはずです。
 外務大臣にお聞きしたいんですけれども、よろしゅうございますか、外務大臣。
 待っている、待っていると。あれでしょう、外務大臣も外へ出掛けると、外国へ行くとよく言われるでしょう、成田に何とか入れてくれぬかと。ですから、やっぱりそういうビジット・ジャパン・キャンペーン、外務省と国土交通省でやっている、そういった観点からすると、やはりこれ成田は何とかしてあげようじゃないかという気持ちはないですか、してほしいという気持ちはないですか。
#258
○国務大臣(町村信孝君) 成田空港がある意味では不十分な未完成空港であるということは委員御指摘のとおりだろうと思います。
 なぜにああいう姿になってしまったのかという原因は、やはりこれは私どもいろいろなことがあったわけですから、その一々を私も詳しくは承知をしておりませんが、しかし、あの管制塔が襲われたことなどの経緯、あるいは我が国の国会議員も一坪地主になってしまった経緯等々を考えると、これはやはり国会にも相当の責任があって今日の未完成な成田空港にあるんだなと、こう思います。
 いずれにしても、しかし、過去のことばっかり言ってもしようがありませんので、私どもとしても本当に多くの国々から、成田であれ、あるいは羽田であれ、使いたいという要望が本当に多いわけでございます。
 私もちょっと不勉強だったんでありますけれども、外国の特定の国だけをなかなか優遇するというわけにもいかないという、シカゴ条約というのがあるそうでありまして、この機会均等の原則、国際便の運航を認める際には均等の合理的条件の下に行う必要があるという規定があるそうでありまして、あなたの国は日本にとってもいい国だからたくさんねという恣意的なことは何かやってはいけないそうでありまして、そういう意味で、やる場合にはかなりある程度均等にやらなければいけないということもあるようでございます。
 いずれにいたしましても、諸外国の政府あるいは民間セクターからの要望にはできるだけ真摯にこたえていく、外務省としてもお手伝いできるところは是非協力をしていきたいと考えております。
#259
○白眞勲君 そういうことを考えますと、やはり海外との関係、そして国内の需要の問題、あるいは日本の、例えば東京の人は、私なんか、いつもソウルへ行くのにひどい目に遭っていたんですよ。最近やっと、羽田―金浦路線ができるようになって、ほっと一息しましたけれどもね。もう韓国行くのにまず考えるのは、成田に行くことをどうやって行こうかと、そういうことばっかり考えるわけですよ。そういうことを考えますと、やっぱり東京というか関東圏の人たちの、やっぱり特に近距離アジアのそのやはり需要というのはこれからもますます私は増えるんじゃないのかなというふうに思うんですね。
 ですから、私は、今のうちから三万回なんということを決めないで、そのとき考えりゃいいじゃないですか。弾力的に運用することも考えてみたらどうでしょうか。大臣、ちょっとお伺いいたします。
#260
○国務大臣(北側一雄君) 二〇〇九年の四つ目の滑走路の供用時点において、今おおむね三万回というふうに言っているわけでございますが、これに絶対そうでなきゃいけないというふうに思っているわけじゃございません。ただ、今の航空需要、国内の航空需要、また国際の航空需要から見ると、そのような見通しであるということを申し上げているわけでございます。先になって、成田空港の動向もございます、今後の。そういうのも照らし合わせながら更に検討を加えていくということは当然のことであるというふうに思っております。
#261
○白眞勲君 つまり、それは制限とかそういうあれじゃなくて、見通しということでよろしゅうございますね。
#262
○国務大臣(北側一雄君) 現時点の見通しでございます。おおむね三万回以下でないといけないと言っているわけではございません。
#263
○白眞勲君 あと、何かこの国際便に何か二千キロまでとか言っているんですね。何で二千キロなんですか。
#264
○政府参考人(岩崎貞二君) 羽田開港当初、国際線の数につきまして、今現在おおむね三万回をめどにしたいと、このように考えておりますけれども、三万回ということになりますと、やはり何らかの公平に取り扱わなければいけませんので、どうしたものを入れるか、どうしたものを入れないかという一つのルールを作らなきゃいけないと思っております。
 その際、先生御指摘のとおり、羽田空港については近距離の国際線を中心に入れていくのがいいだろうと、こう思っております。その際の距離の目安として、おおむね二千キロということを今私どもの考え方として打ち出しているところでございます。
#265
○白眞勲君 二千キロでよくて三千キロじゃない理由は何ですか。近距離じゃないんですか、三千キロって。
#266
○政府参考人(岩崎貞二君) 一つ、二千キロと申しますのは、今、羽田国際空港、羽田の国内の最長の便が石垣でございまして、これを、約二千キロでございます。それから、二千キロを三千キロ、四千キロにしたら絶対いかぬというわけじゃございませんけれども、今の二千キロの中で申しますと、韓国でありますとか上海でありますとか、この辺りが入ってまいります。この辺りの需要からだけ見ても、かなり、今のおおむね三万回という数と比べますと、その数、二千キロの範囲内でかなり窮屈になっているというのも事実でございます。
#267
○白眞勲君 航空局長さんね、何で事実って分かるんですか。九年、二〇〇九年のことで何で事実なんですか。
#268
○政府参考人(岩崎貞二君) 今、成田から韓国、上海に飛んでいる便、それから羽田から金浦に飛んでいる便の数を合計いたしますと、約三万回弱になるということでございます。
#269
○白眞勲君 国内線、じゃ近距離国際線っていうのは、国内線が石垣島までだったら、普通考え方によっては、それは国際便の場合は、近距離国際便はあと千キロ足して三千キロというのが、私は普通、考え方としても私はあると思うんですよ。
 そうすると、三千キロになると、上海どころか台北、香港、北京、ウランバートルも近いですね。こういったところもみんな三千キロの中に入るんですよ。やはり何でもかんでも制限加えて、何かもう二千キロ以内だとか言わないで、ここはもう少し弾力的にやっぱり国益を考えてやっぱりやっていただきたいなというふうに思うんですよ。私はそういうふうに思うんですけれども、大臣いかがですか。
#270
○国務大臣(北側一雄君) 航空局長が答弁したとおりなんですが、是非委員にも御理解をお願いしたいのは、なかなかデリケートな問題でございまして、この航空協定というのは、例えば我が国からもどこどこの都市に行きたいという希望が、ニーズが一杯あるわけなんですよ。それはその都市のある国と交渉しなければいけないんです。一方、その国を、当該国は日本のどこどこに入れたいという、こういうのがあるわけですね。
 この航空交渉というのはなかなか厄介な交渉でございまして、先般も中国との間で日中間の航空交渉をやったんですが、なかなかうまくいかないという、こういうのがむしろしょっちゅうあるようなんですけれども、どこの国との間でも。そういう中で現時点でまだ、まあ先の話ですよね、それについて日本側の話だけばんと出す必要もないわけでございまして、これはもう本当にその辺のある意味じゃ国際間の交渉の問題、デリケートな問題があるわけでございます。そういう問題も是非含んでいただきたいと思うわけでございます。
 二〇〇九年というのはまだ先の話でございまして、まだ四年後、四年先の話でございます。まあ四年ってすぐやってきますけれども、そういう意味ではまだ議論の余地は十分あるというふうに思っているところでございます。
#271
○白眞勲君 最後に大臣がおっしゃいましたように、今の時点で二千キロとかそういうふうに考えないで、もう少し弾力的な運用、もちろん相手がいることです。これは何でもそうですよ。相手がいて交渉というのは成り立つんですけれども。例えば、分かりませんよ、成田の問題があって遠慮しているのかもしれないし、あるいは海外、特にアメリカの航空会社さんって何か大分口数も多いということも聞いておりますから、そういう中で、やはりそういう中で、何でアジアだけが優先するんだなんてことを言われるかもしれないけれども、私、三千キロだったら、これ、グアムまで入るんですよね。グアムまで入ればアメリカの人たちにも顔も立つじゃないですか。コンチネンタルという航空会社がたしかグアムから飛んできていましたよ。
 そういったことを考えたら、私は、決してそれを二千キロにする必要は私はないんではないんだろうか。もっともっとそういった規制、今緩和の方向に向かっているわけですから、もちろん日本のスタンスというのはきちんと決めなきゃいけないと思いますよ、何らかの形で。ここまでですよというのはあるんですけれども、例えばそれはもう少し幅を持たせた形でやって、あとは皆さんが交渉して、その中でガチンコ勝負をやっていく、そういうやはり私はスタンスがいいんじゃないかなと。最初からぐっと引き、ぐっとこう何か、こう何か本当縮んじゃうような議論というのはもうそろそろやめにしませんか。
 アジアと韓国、日本、そして台湾、そして中国、そういった国々がこれから猛烈に私は物流が往来するんですよ。それを羽田で処理するということは、これは日本の国益にとって大変に必要であるというふうに私は思うんです。自民党さんはそう思いません。皆さんうなずいていらっしゃる。私はそういうふうに思うんですよ。いかがでしょうか。
#272
○国務大臣(北側一雄君) この羽田空港の再拡張の話は幾つかの要因がありまして、要因といいますか検討すべき事項。
 一つは成田の空港の問題。これは決着してないんです。今、一生懸命やっているんです。この動向がどうなっていくのかということをよく見ないといけない。これが一点。
 それと、国内線の航空需要。先ほど申し上げましたように、国内線の首都圏への航空需要というのも極めて高いものがあります。地方空港から是非羽田に入れさせてほしいと、地方再生のために是非羽田便をお願いしたいと、こういう声も全国から届いているわけですね。それをどう考えていくのか。その航空需要、国内線の航空需要をどう見るのかという問題もあります。
 そして、今委員がおっしゃっていますように、日本経済にとりまして物流、これから国際物流というのは機能を向上させるというのは極めて大事でございまして、この羽田空港の国際化に関しましては、深夜については国際貨物についても飛ばそうというふうなことも今考えているわけでございまして、検討しているわけでございまして、そういう意味で、いろんな要素、ファクターを総合しながら、今の問題についても結論を出していかないといけないわけでございます。
 そういう意味で、二〇〇九年でございますから、そうしたように、それぞれ今動いているところでございますので、そういうのをよく見ながら判断をしてまいりたいというふうに思っております。
#273
○白眞勲君 以前は、やはり日本でもターミナルの駅とか特急の停車駅、その町というのははやるわけですよ。最近は、やっぱり私は空港が、いい空港がある国がこれからは栄えていくというふうに思うんですね。
 ですから、大臣おっしゃるように、国内の整備というその概念から、やはりその航空需要というのは大変だと思うけれども、やはりそこはもう少しおおらかに、弾力的に、そして一年間早めることだけはスピーディーに、是非お願いしたい。もう一度、答弁をお願いします。
#274
○国務大臣(北側一雄君) 今日の委員の、委員の羽田空港国際化に向けてのお話につきましては、今後の議論の中で、そういう強いお話があったことはよく踏まえて検討してまいりたいと思います。
#275
○委員長(中曽根弘文君) 以上で白眞勲君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#276
○委員長(中曽根弘文君) 次に、犬塚直史君の質疑を行います。犬塚直史君。
#277
○犬塚直史君 民主党・新緑風会の犬塚直史でございます。
 都内のある大手の百貨店、名前申しませんが、一店舗で一万人の雇用者がおります。その中身をよく見ますと、正社員は二千人、残りの八千人はメート社員と呼ばれておるんですが、要はパートでございます。この会社だけのことを言っているんではないんですけれども、いろいろな呼び方をして、パートの人たちが八割を占めておられる、何十年働いても時給は変わらない、そして昇進のチャンスもない。ここのところに今手を付けないと本当に日本の経済活性化するということは私はないと思うんですよ。
 六十年間、どこをどう見てもこの上の正社員の二割の人たちを私たちの国は応援してきた、福利厚生もこちらを重点的にやってきた、生涯賃金を見てもこちらをどうしても重点に考えてきた。私は、これはっきり言って、特にバブル後は厚生労働省の私は怠慢だと思うんですけれども、どうですか。
#278
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話しになったことは今日の日本の一つの現象であろうというふうには思います。ただ、日本の長い間の働き方の慣行といいますか、雇う方のいろんな考え方とかありまして、今お話しのような形がどうしてもまだ残るといいますか、存在しているといいますか、そこのところは一つの課題だろうとは思いますけれども、働く側、雇う側、それぞれ多様化してもおりますから、今後大分変わってくるんだろうとは思います。
 私どもが何もしないで手をこまねいて見ていたのかと言われますと、私どもなりに策は打ってきたつもりでありますけれども、十分でなかったことはあろうかと思います。
#279
○犬塚直史君 それでは、参考人の方で結構ですので、年齢指針というのは何かというのを御説明ください。
#280
○政府参考人(青木功君) 御説明申し上げます。
 いわゆる年齢指針とは、雇用対策法第七条に定められた労働者の募集及び採用について事業主が果たすべき責務について事業主が適切に対処するために必要な指針として、同法第十二条に基づき策定されたものでありまして、労働者の募集、採用に当たって年齢にかかわりなく均等な機会を与えることについて事業主が適切に対処するための指針でございます。
#281
○犬塚直史君 年齢にかかわりなくあらゆる人に機会均等、就業のチャンスを与えるべきだというその法律の趣旨は大変結構なんですけれども、その年齢指針というのが今手元にあるんですが、十項目あるわけなんです。私は、この年齢指針があるために年齢差別がいつまでたってもなくならない、パートが元気にならないというふうに理解をしておるんですが。
 ちょっと上の方だけ今確認をさせていただきますが、年齢指針の第一番目。例えば私が雇用主だとしますと、新卒を雇いたい、これはいいんですね。しかしながら、新卒を雇うという言い訳があれば、年齢は幾つから幾つまで、平成何年から何年生まれまでというふうに限定して募集掛けることは、これはオーケーなんですね。
#282
○政府参考人(青木功君) そのように取り扱っております。
#283
○犬塚直史君 ということは、いったん社会に出て、もう一回勉強してやろうと大学に入った、そして一生懸命勉強して卒業した、そういう人たちはちょっと毛色が変わっているから除外をしてしまうという、そういう法律になっているわけですね。
#284
○政府参考人(青木功君) この指針、定められたのは平成十三年でございますけれども、当時の雇用慣行なり企業の状況等を勘案して定められたものというふうに承知しております。
#285
○犬塚直史君 これ一々やらないですけれども、非常に問題なんですよ。二番、三番、四番それぞれ、要は、二番は、学習能力が一定年齢以上は低い場合があると、だからその点については年齢差別をしていいと、こう言っているんですね。三番は、定年まで能力取得することが難しいから、ここで年齢制限していいと、こういうふうに言っているんですね。四番目は、給与のレベルが年齢で社内で決まっておるから、ここにはある程度年がいった人は要らないと、こういうふうに言っているわけなんですね。
 会社によっていろんな都合はあるとは思うんですが、これだけリストラがあり、そして中途採用の数が増え、あるいはパート労働の人たちが再就職のチャンスをこれだけ望んでいるときに、この年齢指針をまずは見直しをするべきじゃないですか。
#286
○国務大臣(尾辻秀久君) 我が国におきましては、やはり先ほど申し上げましたように、長い間の慣行もあります。例えば、長期勤続によるキャリア形成を図る観点からという終身雇用だとかあるいは年功序列だとかといったような、そういうような長い間の慣行がありますし、あるいはまた、特に新規学卒者をどうするかという、これがまた雇用慣行として一括採用というものがあります。一般的に広く行われている。
 やっぱりそういうものを、そういうものはそれなりに社会的に長い間の慣行でもありますし、合理性が認められているというようなところもあるものですから、全部廃するわけにはいかない。例外的に、例外としてそういうものも認めつつ新しくまたやっていくという、その辺の考え方がこうした例外規定として設けられているものだというふうに思います。
#287
○犬塚直史君 今大臣がおっしゃったことは、正にそのとおりなんですよ。日本の雇用慣行、新規学卒一括採用、これは変えようと思ったら大変なことになるんです。おっしゃるとおりなんですよ。しかしながら、ここに手を付けない限りは雇用慣行の大きな変化というのは出てこないんですよ。そこを守っているのが年齢指針だということをまず初めに申し上げたいと思うんです。
 そこで、まず全国のパートの数を教えてください。
#288
○政府参考人(伍藤忠春君) 一般的にパートタイム労働者、これは労働力調査におきまして一週間の就業時間が一般の労働者より短い三十五時間未満で働く雇用者をパートタイム労働者と通常言っておりますが、その数は、平成十六年で一千二百三十七万人ということになっております。
#289
○犬塚直史君 それでは、フリーターとニートの数をそれぞれ教えてください。
#290
○政府参考人(青木功君) いわゆるフリーターの方でございますが、平成十五年で二百十七万人というふうに計算をされております。また、ニートと言われる方については五十万人強とされております。
#291
○犬塚直史君 フリーターが二百万ちょっとという数字は、実はこれ、内閣府の数だと四百十七万人なんですよね、多分御存じだと思うんですけれども。派遣の数は含めると四百十七万になるということだと思うんですが、それはさておきまして。
 それでは、小規模企業で働いている人の数、それと小規模企業という定義を教えてください。
#292
○政府参考人(西村雅夫君) 小規模企業の定義につきましては中小企業基本法に定められているところでございますけれども、常時使用する従業員の数が二十人以下の事業者を指しておるところでございます。なお、商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者につきましては、五人以下の事業者を指しております。
 こういたしました小規模企業の従業者数は約一千七十九万人と、全就業者数の二五・三%を占めているところでございます。
#293
○犬塚直史君 ちょっとこれ脱線するんですけれども、私はいつも中小企業中小企業という言い方に非常に違和感を覚えておりまして、中小企業といいますとあたかも小さい企業に聞こえるんですが、資本金があれですか、三億以上ですか、一億以上でしたっけ、一億ですね。で、従業員数が三百人未満ですね。流通業で百人未満でしたね。私は長崎なんですけど、私の地元ではこういう企業のことを立派な大企業って言うんですよね。
 それはさておきまして、それでは無給で働いている家族で、家族労働者の数を教えてください。
#294
○政府参考人(大林千一君) お答えを申し上げます。
 本年一月の労働力調査結果では、家族労働者数が二百七十六万人となってございます。
 家族労働者の定義でございますけれども、自営業主の家族であって、その自営業主の営む事業に従事している方でございます。
 なお、家族労働者の方のうち、この一年間収入がない方の数を四半期ごとに集計してございますけれども、平成十六年十月から十二月の平均で五十一万人となっているところでございます。
#295
○犬塚直史君 それでは、同じく一番最近の失業者の数、教えてください。
#296
○政府参考人(大林千一君) 同じく平成十七年一月の結果でございますけれども、完全失業者数は二百九十六万人となっているところでございます。
 完全失業者の方の定義でございますけれども、月末一週間に仕事がなくて、仕事を探しており、仕事があればすぐ就ける方でございます。
#297
○犬塚直史君 失業者の定義、仕事を探している人という定義は、多分ハローワークに来た人ということでよろしいんですよね。ハローワークに来ない人はどれぐらい多いか──あっ、どうぞ。
#298
○政府参考人(大林千一君) 失業者数の定義でございますけれども、仕事を探している方法はハローワークだけではございませんで、いろいろ、例えば新聞の求人広告に応募したとか、そういう者も、方も含めての数でございます。
#299
○犬塚直史君 これは話がわきにそれますので後でやりますけれども、こんな話を今申し上げましたのは、一千百万人のパートがもう一回働くときは、これ中途採用なんですよ。フリーター四百十七万人、これも中途採用になるんですね、働くときは。小規模企業で従業している人、この人たちは、仕事を失ったりあるいは仕事を探すときには必ずこれは中途採用なんです、一千七十九万人。家族で働いているこの二百七十六万人、この人たちも必ず、仕事、自分の家がつぶれて仕事を探すときは中途採用です。失業者は当たり前です、中途採用です。
 すべてこれ中途採用にもかかわらず、先ほどの例でいいますと、上の二割と下の八割、大臣おっしゃった新規学卒一括採用が日本の雇用慣行、環境だっておっしゃいましたけれども、これだけの人たちの元気を出さないことには日本の経済良くならないと思うんですけども、いかがですか。
#300
○国務大臣(尾辻秀久君) それはもう、その皆さんに元気を出してもらわなきゃ日本の経済の活力はないということはそのとおりでございます。
#301
○犬塚直史君 これ大変なことなんですけれども、本当にこの人たちが中途採用で仕事を見付けようとしたときの一番の障害が年齢指針なんですよ。どんなに経験があったとしても、ハローワークに行く、そして結局は、年齢で例えば四十五歳以上だと仕事なんか全然見付からないですよ。私は自分で行きましたけれども、この間も申し上げましたが、まず年齢で足切りをされるんですよ。年齢の中身を聞くような社会をつくらない限りは私は決して日本は元気にならないと、こういうふうに思っておるんです。
 ここでちょっと話を違う角度から申し上げたいんですけれども、竹中大臣が、これは平成十五年の七月の財政金融委員会なんですけれども、余り細かいことはいいんですが、バウチャーのことをよくおっしゃっておられまして、その中で私ちょっと気になったフレーズがありまして、それは人件費のことなんですよね。人件費は普通、変動費だが、それが固定費になるっていう今までの日本の言わば財政のリスクがあるという発言をされておったんですが、そのバウチャー等含めて、その御所見をまずはお伺いします。
#302
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘の人件費、固定費云々というのは、日本の場合いわゆる終身雇用、年功序列になっていると。そういうことは景気が悪くなった場合も雇用をしっかり維持するということ、これは、まあもちろんこれは日本の大変良い面であるわけです。しかし、結果的に見ますと、売上げが減っても人件費を減らせないという意味で、人件費は変動費じゃなくて固定費のような状況になっている。それがやはり今の、今日の非常に変動が大きくなった経済下で日本の企業の一つの弱点になっていると。そのような趣旨のことを非常にこう一般論として私は申し上げたのだと思います。
 で、犬塚委員お尋ねのバウチャーでございますけれども、これは私がもう以前から私の信念として是非こういうものを実現できないかと思っていること、点でございます。言わば、職業訓練の個人向けの利用券ということだと思っております。これ、まあなかなか難しい問題もございますので簡単にはいかないわけですが、今厚生労働省にも御理解をいただきまして内閣府と共同で今研究会を開いているところでございます。
 これは、しっかりとした職業訓練の利用券を与えて、その利用するインセンティブを持っていただくということと、これは個人向けですから、その利用券をもらった方が自分はどこで何を訓練を受けたらいいかと、そういう意味での自由度と、今度、職業訓練機関にとっては競争を促進するという意味で、私は大変考える価値がある制度だと、これは以前から思っているところでございます。
 最近の状況では、栃木県が全国で初めて若年者の職業訓練バウチャーモデル事業を行うということも決定したと聞いておりますので、私は今厚生労働省と内閣府で専門家がしっかりと議論しているその結果を是非しっかりと見守りたいと思っております。
#303
○犬塚直史君 私、このバウチャーの券は使い方だと思っておるんですね。
 私は、ある専門学校の就職指導室に伺ってお話を伺ったことあるんですけどね。専門学校ですから自分の好きな分野の勉強をしておるわけです。しかしながら、卒業の時期になっても半分ぐらいの子は就職活動しないんですね。それは就職指導室の先生いわく、これはもう毎年のことであると、非常に困っておると。要するに、学習意欲もない、そして就業意欲もないという子が非常に増えてるわけです。
 私は、こういう事態がある限りは、どんなにバウチャーを発行して市場原理に任せても、決してバウチャーというのはうまくいかないんだろうなと、そういう気がしているんですね。
 私が一番問題だと思うのは、やっぱりこの学習意欲の問題。学習意欲がどうして上がるか、就業意欲がどうして上がるかといいますとね、大臣、やっぱりその先に自分のチャンスがあるかないかということなんですよ。専門学校を卒業しても高給は決して取れないわけですよね。やっぱり四大卒、男性、一流大学を出て、そしてその上で大企業の言わば社内教育を受けない限りには決していい給料は取れないってこの社会構造がまずは問題なんですね。若い子たちやる気なくしているっていうのはここなんですよ。
 そこで、今皆さんにお配りをした資料をちょっと御説明を申し上げたいんですが、この「大卒四年目の状況の日欧比較」というこの一枚の紙でございます。
 これは、一九九五年の卒業者を対象にサンプル三万件を取った日本と欧州十一か国の調査なんですね。これをごらんになりますと、この点々々のところが期限に定めのないフルタイム、いわゆる正社員の数でございます。これパーセンテージなんですけどね。これだけ見ると、まあ男性も女性も、日本も欧州もそんなに思ったほどの差がないなと思われるかもしれないです。しかし、これは実は大変な秘密が隠されておりまして、新卒の就職率、今何%だか分かりますか。新卒の就職率というか、まあ内定率を教えてください、ちょっと。
#304
○政府参考人(青木功君) 今春の内定率でございますが、高等学校卒業生につきまして、一月末でございますが、前年同期四・九ポイントを上回ります八一・六%、それから大学卒業予定者につきましては、本年二月一日時点で前年同期〇・五ポイントアップの八二・六%ということになっております。
#305
○犬塚直史君 このグラフの大前提、大学を出て直後の就職率が日本では八二・六%って今おっしゃいましたね。
 ところが、この欧州十一か国の平均が何と九%なんです。大学を出たからといってすぐ正社員にしてくれるほど世の中甘くないということなんですよね。学生がいきなり職場に来られても、これはっきり言って邪魔になるだけなんですよ。いや、本当にそうなんですよ。いない方がいいんですから、教えるだけ面倒くさい、面倒くさいと言ったらおかしいですけれどもね。
 要は、その学生が自分の休みの間に一体どういうアルバイトをやったんだと。繊維業界に行きたいんだったら繊維のアルバイトやったのか、観光業界行きたいんだったら観光のアルバイトやったのか。大学出たからといって大学のブランドでなかなか入社はさせてくれない。しかし、それではあっても、パートタイムやアルバイトでいろんな会社に行って、経験を積んで、その上でやっと正社員になれるんですよね。そういう子に対しては、これはバウチャー、私はすばらしいことだと思うんです。
 ところが、その大前提である日本の場合は、企業に入るためには指定校制度というのがあって、ある有名大学を出ないと有名企業には入れない。そのためには、いい高校、いい中学校、いい小学校、いい幼稚園までなっているじゃないですか。これを変えるといったら大仕事なんですよ。しかし、これを変えない限りはパートの力は出ないんですよ。
 もう一回伺います。この年齢指針というのを見直していただけませんか。大臣、どうですか。
#306
○国務大臣(尾辻秀久君) 非常に大きな問題の指摘をいただいておるというふうに感じます。お話伺いながら、やはり日本の場合はまだまだ学歴社会的なところが残ってるんだろうなと。よって、今先生がお話しになっておられるような現象が生じる、それに対して実力社会とでも表現するんでしょうか、本当に力がある者がそれなりの仕事に就くという社会との違いがまだまだあるのかなと思いますけれども。しかし、一方から日本の社会も随分変化はしてきていると思いますし、その変化に対応してそれに対応するやり方というのが出てくるわけでありまして、恐らくだんだんだんだんその年齢指針というものも見直す時期が来るんだろうなと思いながら先生のお話は伺っておりました。
 ただ、我々がまたそれに積極的にそういう世の中にするためにという、かかわり合っていくという、努力していくという面も必要でありましょうから、この年齢指針の問題というのはよく見直してみたい、我々が考え直してみたいと、こういうふうには思っております。
#307
○犬塚直史君 非常に大ごとですので、大変こう準備を周到にしないと大混乱にこれはなると確かに思うんですね。しかしながら、やはりハローワークをつかさどり、そして職業訓練の業務をつかさどっておられるわけですから、これやはりどうしても進めていかなければならないと思うんですね。
 ここに一つ面白い資料があるんですが、これOECDの一九九三年のエンプロイメントアウトルックというものなんですけれども、企業内教育、フォーマルな企業内教育の実施割合というこれが、比較が出ておりまして、アメリカが八・四%、フィンランドが二四%、ノルウェーが二一、オランダが一九、オーストラリアが二七、そして日本が七九・三%、企業内で教育をやっているわけなんですね。
 もう一回伺います。竹中大臣、どうして日本の会社はここまで教育をしなきゃいけないんですかね。
#308
○国務大臣(竹中平蔵君) 犬塚委員は、ダラスの大学でそういう雇用制度について非常に見識を高められたというふうに伺っております。
 これは基本的な認識でございますが、日本の制度というのはやはり基本的には労働力不足の時代に定着したものだと思います。したがって、将来性のある若者を採る、若者を最初から正にフル雇用で採る。しかし、若者でありますから、一生懸命企業としては投資をして、教育投資をしなければいけません。教育投資をした以上よその会社に就かれたら困るわけで、長くいていただかなければいけない。労働力不足、そして白地の若者を採る、教育投資をする、だから長くいていただく。だから、長くいればいるほど居心地が良くなるような賃金体系ができてきた、そういうことになるんだと思います。
 しかし、その前提が今大きく変わっている。先ほど申し上げましたように、教育投資をして賃金を払い続けるということでありますと、これは人件費が固定費になりまして企業は別のリスクを負ってしまって、今のような状況では大変もろくなっていると。一方で、企業だけではとても教育をし切れないような専門性の高い状況が求められて、そういう意味では外部の教育機関を頼る必要が非常に重要になってきている。そういう非常に大きな経済社会状況の変化が背景にあると認識をしております。
#309
○犬塚直史君 大臣、おっしゃるとおりなんですよ。非常に大きな経済社会状況の変化が今実際に起こっているわけなんですよね。郵政民営化どころじゃないですよね。プライオリティー違うと思うんですよ、私。
 今日は来ていただいて恐縮なんですが、経済財政政策の担当大臣として、私は是非、人間こそすべてじゃないですか。人間をいかにして潜在能力を高めるかということをやらない限りは、郵政どんなにいじったって日本の国良くならないと思うんですけれども、どうですか。
#310
○国務大臣(竹中平蔵君) 骨太方針には、最初の骨太方針から正に今委員御指摘のような点を我々しっかりと主張させていただいております。
 人間こそがすべてでございます。そして、人間を取り巻く環境が大きく変わっているからこそ様々な制度を変えていかなければいけない。直接郵政民営化と結び付けるつもりはございませんですけれども、様々な制度を変えていくということが多方面で今求められているんだろうと思っております。
#311
○犬塚直史君 今、郵政のことを申し上げましたのは、どんな地方に行ってもスーパーやコンビニは元気なんですよ。しかし、肉屋さん、魚屋さん、酒屋さん、元気なところほとんどないですね。そうした中にあって一生懸命やろうとしている、工夫をしてどんどん伸びているというところもたまにはあるんですよ。私は、そういうところを今助けるようなシステムをつくることこそが急務ではないかと思っておるんです。
 そこで、質問させていただきます。
 ハローワークが、どうして国とそして県と市町村に役割を分担をしているんでしょうか。
#312
○政府参考人(青木功君) 御説明申し上げます。
 職業紹介につきましては、今お話しのように、国、都道府県、市町村、それぞれ行っておるところがございますが、元々これは国が国家の事業として直接行うことをまず前提としております。
 そして、平成十六年三月からでございますが、この厳しい中に都道府県あるいは市町村においてもそういったサービスをすべしという御議論の中で、同法律を改正をいたしまして無料職業紹介を行うことを可能としたものでございまして、現在三十九の自治体がやっております。
#313
○犬塚直史君 どうして国レベルと県レベルと市町村レベルで行われているかというのは、ちょっといま一つ分からないんですけど。
 それでは、職業訓練、これもどうして国と県と市町村に分かれているんですか。
#314
○政府参考人(上村隆史君) 公共職業訓練の国と地方の役割分担でございますが、国は、雇用対策の一環としまして、離転職者の早期再就職を図るための訓練を行う、それとともに高度・先導的な職業訓練を開発し、その普及、実施を行うということにしております。それから、地方公共団体でございますが、地域の訓練ニーズを踏まえて、実情に応じた訓練を実施するという分担になっております。
#315
○犬塚直史君 私、先般、地元に帰って、二百人か三百人ぐらいの方のおられる中で、一生できれば元気で仕事を続けたいと思っておられる方どのぐらいいらっしゃいますかと聞いたんですね。そうしたら、ほとんど全員手を挙げられたんですよ。会場は高齢の方が多かったんですけれどもね、やっぱり環境さえ整ってチャンスがあれば一生仕事をしたいと思っている方がいかに多いか。これは、私は日本の社会のある意味すばらしいところじゃないかと思っているんですね。
 今、職業紹介あるいは職業訓練が国と県と市町村に分けられている。私は、こういうやり方ではなくて、やはり業界ごとに分ける。自分が不動産業界に行きたい、建築業界に行きたい、あるいは農業や漁業をやりたい、繊維業界に行きたいといったときに、どんな年でも、前職が何であれ、興味さえあればそういうところの生涯学習に入って、そしてそれがそのままハローワークとして職業紹介に結び付くようなそういう仕組みを、気が遠くなりますが、各業種ごとに、職種ごとに、製品ごとにアップデートしながらつくっていくべきだと思うんですね。
 今、そういう業界ごとの取組というのはハローワーク、どういう形になっていますか。
#316
○政府参考人(青木功君) ハローワークのサービスの現状でございますけれども、まず、地域に地場産業があるようなところにおきましては、担当者が地場産業と常時連絡を取り、状況を取りながら、求人をいただいたら御紹介をするという仕組みになっています。
 それから、これも当たり前のことでございますが、それぞれの業種あるいは仕事といったことで求人情報も分けて検索できるようにしてサービスを進めておるところでございます。
#317
○犬塚直史君 ある程度職業のあるいは産業の大分類があるんですよね。私も拝見いたしました。例えば、身近なところで飲食店というのを見てみたんですね、調理というところですね。そうしたら、コックって書いてあるんですね。コックじゃ来ないんですよ。同じコックでも和食をやるのか、フランス料理やるのか、イタリア料理やるのか、それぞれ全然違うキャリアなんですよね。
 そういうところを、常にダイナミックに動いているところをつかまえて業界ごとの物差しをつくんなきゃいけないんですよ。そんなことは市場原理にやらせても絶対にやらないですよ。それは、英語の世界で、例えば英検とかTOEFLというのが余りうまくいかないときにTOEICというのが出てきて業界標準になりましたよね。それと同じように、それぞれの業界にある程度の物差しをつくっていく、どんなに遠回りをしても自分のキャリアを持っていける。
 大臣、そういうバウチャー制度あるいはハローワークの制度、是非つくっていただきたいと強くお願いして、最後のコメントをお願いいたします。
#318
○国務大臣(尾辻秀久君) 今日いろいろな面から御指摘いただいたことは、今後のハローワークのサービスをどうするかということで非常に考えるべき点が多かったと思い、多いと思って聞いておりました。私どもまた努力を続けてまいります。
#319
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員の最後の御指摘は、いわゆるアウトプレースメント型の目的があって、それにふさわしいような職業訓練をするということだと思います。そういう意識は我々も、また厚生労働省も持っておりますので、そういったところにバウチャーの制度をどのように絡められるか、しっかりと検討を進めていきたいと思っております。
#320
○委員長(中曽根弘文君) 以上で犬塚直史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#321
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
#322
○委員長(中曽根弘文君) 次に、前川清成君の質疑を行います。前川清成君。
#323
○前川清成君 三月八日に続いて質問に立たせていただきます。民主党の前川清成です。どうぞよろしくお願いいたします。
 昨年末、奈良市で女児の誘拐殺人事件が起こりました。私も、小学校六年生の女の子、この子は十五日に卒業したんですが、そして小学校三年生の男の子、二人の子供を育てている父親として他人事とはとても思えませんでした。安心して暮らせる安全な社会を実現したいな、そんなふうに願っておりましたところ、二月四日、三河安城市のスーパーで刑務所を出て間もない通り魔によって青山翔馬ちゃん、一歳の誕生日を迎える直前の男の子が殺されてしまいました。また一昨日、委員長の御地元では小学校二年生の女の子の腹部にナイフが突き付けられると、こんな痛ましい事件も起こりました。子供が被害者になる事件が続発しております。
 奈良市の事件につきましては当日の法務委員会で南野大臣に御決意をお聞きしたんですが、この子供が被害者になる事件が続発する、この件について、治安の最高責任者である南野大臣から御所見をお聞かせ願えませんでしょうか。
#324
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 本当に先生のおっしゃるように悲しい出来事でございます。それが続発していることが本当に法務省といたしましても気になることでございます。
 国民の皆様の不安な気持ちを受け止めまして、このような痛ましい事件を少しでも減らすことができますように、緊急に取り得る対策として次の施策を実施することといたしました。
 第一に、性犯罪者に対する適切な対策を講ずるための基礎としまして、性犯罪者の実態、再犯の状況などに関するデータを把握し、多角的な検討を進めてまいります。
 第二に、具体的な施策でございますが、これには三本の柱から成っております。
 一つ目は、犯罪者に対する処遇の充実強化でございます。
 まず、精神医学、心理学等の専門家の協力をいただきまして、施設内処遇、社会内処遇両面における科学的、体系的な防犯・防止プログラムを策定いたしますほか、行刑施設におきましては、心理技官を活用させていただくとともに、民間カウンセラーの導入を行うなど、処遇方法、処遇体制を整備してまいります。
 また、受刑者につきましては、さきに提出いたしました法案においてその者にふさわしい矯正処遇を受けることを義務付けるということにいたしましたほか、保護観察対象者につきましても教育処遇を受けることを遵守事項として定める運用を進めてまいります。
 二つ目は、犯罪者の社会復帰を円滑に実現するための支援体制の強化でございます。
 勤労の意欲のある者に職を提供するため、国民の皆様の御理解と御協力をいただきまして、犯罪者の更生に協力していただける雇用主をより多く確保する取組を強めてまいりたいと思っております。
 三つ目は、犯罪の取締りを実効的に行うための情報の共有でございます。当省が有しております情報でこれに役立つものにつきましては、犯罪者の改善更生にも配慮をしながら、関係当局に積極的に提供してまいりたいと、努力してまいるところでございます。お願いいたします。
#325
○前川清成君 三河安城市の氏家容疑者なんですけれども、仮出獄直後の犯行だと、こういうふうに聞いております。いつ刑務所を出て、いつ事件を起こしたのか。これは大臣でなくて結構ですので、お答えいただけますでしょうか。
#326
○政府参考人(麻生光洋君) お答えいたします。
 この被疑者につきましては、本年一月二十七日に刑務所を仮出獄いたしまして、二月四日に犯行を行っております。
#327
○前川清成君 この仮出獄というのがどのような制度で、どのような場合に認められるのか、お答えいただけますでしょうか。
#328
○政府参考人(麻生光洋君) 仮出獄につきましては、刑法二十八条に規定がございます。一定の刑期を経過した者につきまして、改悛の状があるときに行政官庁の処分によってこれを許すことができるとされております。
 この行政官庁につきましては、犯罪予防者、犯罪者予防更生法の規定によりまして、地方更生保護委員会が仮出獄の許可等を行うこととされております。地方更生保護委員会におきましては、本人の人格、在監中、すなわち刑務所にいる間の行状、職業の知識、入監前、すなわち刑務所に入る前の生活方法、家族関係その他の関係事項を調査をいたしまして審理をし、許可するか否かの決定をいたしますが、その際には地方更生委員会、保護委員会の委員が本人に面接することになっております。
 許可の基準につきましては、仮釈放及び保護観察等に関する規則に規定がございまして、悔悟の情が認められること、更生の意欲が認められること、再犯のおそれがないと認められること、社会の感情が仮出獄を是認すると認められることなどを総合的に判断いたしまして、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに仮出獄を許すものとされております。
#329
○前川清成君 今の御説明でありましたように、刑法二十八条の言う改悛の状には再犯のおそれがないということも判断基準になるということですが、この氏家容疑者がわずか八日後に殺人事件を起こしているんですが、この判断が間違っていたと、そういうことでしょうか。
#330
○政府参考人(麻生光洋君) 仮出獄の審理におきましては、先ほど御説明申し上げましたような手続を経まして、地方更生保護委員会におきまして仮出獄を許可するか否かを判断するわけでございます。
 本件につきまして、刑務所からの仮出獄の申請書あるいは地方更生保護委員会の担当者が本人に面接をした結果などを踏まえまして、今回の決定を行ったものと承知しております。
#331
○前川清成君 そのような赤の他人みたいな発言をされると困るんです。
 地方更生保護委員会って、これは法務省でしょう。違うんですか。
#332
○政府参考人(麻生光洋君) 法務省の機関でございます。
#333
○前川清成君 法務省として今回の仮出獄の決定は間違っていたと、こういうことですね。
#334
○政府参考人(麻生光洋君) 先ほど申しましたように、地方更生保護委員会におきましては、先ほど御説明しましたような手続を経まして判断をいたしましたわけでございますけれども、結果といたしましてこのような重大な事件が起こってしまったことにつきましては責任を感じております。
#335
○前川清成君 いや、結果としてじゃなくて、それじゃお聞きしますが、氏家容疑者についてはどのような判断から再犯のおそれがないと、こういう結論に至ったのか、そのプロセスを御説明ください。
#336
○政府参考人(麻生光洋君) 先ほど来御説明しておりますけれども、刑務所から提出されました仮出獄の申請書に記載しております事項、それから委員が本人に面接しましたときの本人の態度、これらを踏まえて、この者については先ほど申しましたような四つの条件が備わっておると考えて、仮出獄を認めたものと承知しております。
#337
○前川清成君 今のお答えでは全然分かりません。どういうような要素をしんしゃくして判断したんですかと、こう聞いてるんです。その点、詳しくここで聞かしてください。刑務所から出た書類には何が書いてあったのか。委員が面接したときに、どういうような情報を得て再犯のおそれがないというふうに判断したのか。一人の子供が死んでるんですから、もうちょっと真剣に答えてください。
#338
○政府参考人(麻生光洋君) 今、手元に具体的な記録を持っておりませんので、恐縮でございますけれども。
 刑務所からの仮出獄の申請書につきましては、矯正施設内におけます収容中の成績の推移でありますとか、それから本人の心身の状況でありますとか、帰住予定地でありますとか、釈放後の生活の計画をどういうふうにしているかとか、そういうような、そのようなことが記載されているわけでございます。このようなものに基づきまして、本人と面接をして判断をしたということでございます。
 この者につきましては、本人の両親が既に亡くなっていたとか、あるいは兄弟と既にもう接触が絶たれているというような状況がございまして、本人が更生保護施設への帰住を希望いたしましたので更生保護施設との調整を行いまして、更生保護施設への入所が可能だということで、そういう結果に基づきまして、そこに収容してその生活保護施設の担当者が指導援護を行えば本人の立ち直りができるのではないか、このように考えて仮出獄の許可をしたものでございます。
#339
○前川清成君 これは事前に通告してますよ。どうして詳細にお答えにならないんですか。何か隠したい事情あるんですか。そんな一般論なんて全然聞いてないんですよ。一般論聞いたって同じことを繰り返さないための教訓にはならないんじゃないですか。更生保護施設に入れたらもう犯罪起こさないんですか。違うでしょう。なぜ具体的な事情、事前に通告しているにもかかわらずお答えにならないんですか。何か隠したいことがあるんですか。
#340
○政府参考人(麻生光洋君) 隠したいというふうなことは全くございません。私としては誠実にお答えしているつもりでございます。
 で、この者につきましては、まあ不幸にして今回のような事件を起こしてしまったわけでございますけれども、本人の前科の内容は、住居侵入、窃盗と、それから占有離脱物横領の事件でございました。で、刑務所内の成績につきましても特段の問題もないということで、就労の意欲もあると。それから、先ほど申しましたように、帰住先として更生保護施設が受入れを認めておると、こういうような状況から、今回のような凶悪事件をまさか起こすとは考えなかったと、こういうことでございます。
#341
○前川清成君 二月五日の毎日新聞によりますと、殺せというお告げを受けたんで殺したんだと、こういうふうに供述しているそうです。これが客観的な真実かどうか分かりませんが、新聞報道ではこういうふうになってます。
 それで、この仮出獄のときに、例えば精神科医の診察を受けさせているのか、この点お伺いしたいと思います。
#342
○政府参考人(麻生光洋君) 委員会の審理の手続につきましては先ほど申しましたけれども、その際に、先ほど申しましたような刑務所からの仮出獄申請書の記載あるいは地方更生保護委員会の担当者の面接の結果等から、心身の状況についてなお調査の必要性があるんではないかと、こういうことが認められる場合がございます。で、その場合には、刑務所に、刑務所の医師の診断結果の説明を求めましたり、あるいは投薬状況を点検するなど、医学的な面からのより詳細な状況の把握に努めております。中には、地方更生保護委員会独自に精神鑑定を行う場合もあります。
 本件につきましては、今申し上げましたような調査をいたし、の過程で、本人についてそういう精神的な問題があるというふうには認められませんでしたので、精神鑑定は行っておりません。
#343
○前川清成君 麻生さんは、その申請書の記載とか面接の結果とか、それ繰り返されるんだけれども、その中身を全然言及されないから分からないんですよ。申請書の記載がどうだから精神科医の診察受けなかったとおっしゃるんだったら、まず申請書の中身、どういうことが書いてあるのかをお聞かせいただかないと判断できないんじゃないですか。いかがですか。
#344
○政府参考人(麻生光洋君) 今、手元に持っておりませんので詳細なお答えはいたしかねますけれども、心身の、心身の状況につきましては特段、特段の問題はないというような記載であったと覚えております。
#345
○前川清成君 これも大臣でなくて結構ですが、保護観察というのはどういう制度なのか、氏家容疑者に関して保護観察というのは機能していたのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
#346
○政府参考人(麻生光洋君) 保護観察でございますけれども、先ほど申しました刑法二十八条によりまして仮出獄に付された者に対して、仮出獄の期間中行うこととされております。
 この保護観察におきましては、保護観察に付されている者につきまして指導監督をいたしまして、その間、悪いことをしないように指導監督をすると。それから、本人に自助の責任があることを認めまして、これを補導援護することによりまして、その改善更生を図ることを目的としておるものでございます。
#347
○前川清成君 いや、そんな一般論はさっき聞いていないというふうに先ほど申し上げたでしょう。この氏家容疑者について保護観察は機能していたんですかという質問です。
 仮出獄をさせた、保護観察を付けた、それなのにわずか八日後に人を殺してしまった。これについて法務省は全然反省しておられないんですか。反省しておられたならば、その点について具体的な検証もできているはずでしょう。違うんですか。
#348
○政府参考人(麻生光洋君) この者につきましては、先ほど申し上げましたように、一月二十七日に刑務所を出所、仮出獄いたしております。その際には、担当の保護観察官が刑務所に迎えに参りまして、対応する保護観察所に連れてまいりました。それから、それから本人が受けることとなります保護観察につきまして説明を行ったわけでございます。その後、本人が入ることになりました更生保護施設に連れてまいりまして、その更生保護施設における生活等について説明をいたしたと、こういうことでございます。
 その仮出獄の翌日でございますけれども、本人の自立のためには何よりも職業を得ることが大事でございますので、その地域のハローワークに本人に行かせまして、職業をまず見付けるようにという指導をしております。昨今のような経済情勢でございますので、なかなか仕事が見付からないということもございます。
 この更生保護施設におきましては、雇用協力主と申しまして、こういう人たちの前歴があることを承知の上で雇用していただける方もおられますので、まずは本人が自分の努力によって仕事を見付けていただくと。で、どうしても見付からない場合には、そういう雇用協力主もいますよということの御説明を本人に対してしていたわけでございます。これが一月二十八日の金曜日でございます。
 翌日は、一月二十九日の土曜日でございますので、これはハローワークの方はやっていないというふうに承知しております。
 本人がいなくなったのは一月三十日で、これは、本人は買物をすると言って外に出ていって、それっきり帰ってこなかったという状況で、今となっては不十分だとおしかりを受けるかもしれませんけれども、出所後、保護観察官の担当者及び更生保護施設の担当者としてやるべきことはやっておったように思います。
#349
○前川清成君 大臣、今のお答えをお聞きになりました。一月二十七日に出所しましたと。二十八、二十九は何かやったけれども、三十日にいなくなりましたと。わずか二日でいなくなりましたと。それでやるべきことはやったんですか。大臣もそうお考えになっておられます。今の答えはむちゃむちゃやで、そんなもん。大臣、いかがですか。
#350
○国務大臣(南野知惠子君) 本当、先生おっしゃるように、本当にこういう問題点については心を尽くしていかなきゃならないと、十分考えております。
 でも、出られるときの状態ということは、なかなか先が察知できなかったという問題点もございますが、そういうことについてはこれから重々改正していかなければならないと。そういう意味で、先ほど申し上げた今後の対策ということを考えさせていただいたわけですけれども、地方の更生保護委員会ではいろいろなことを考慮して今回のことについても決定をされたものだと思っております。
 ただ、先生の御指摘の仮出獄中の出来事ということについては、なかなか定住先も定まらない、またそれを追跡していってもなかなか見付からない、そういう問題点についてはこれから十分に反省し、さらにこういう悲しい出来事がもう起こらないようにというふうに努力をしてまいりたいと思っております。
#351
○前川清成君 大臣、是非リーダーシップを発揮していただいて、役人は責任逃ればっかりにきゅうきゅうとしますから、この件についての責任を追及する以前に、再びこういうことを繰り返さないために制度をどう改善するか、そこに頭を使うべきであって、言い逃ればっかりにきゅうきゅうされるんだったら国会の審議なんて要らないんじゃないですか。違うんですか。
 それで、もう麻生さんには答えてほしくないので私が言いますけれども、この仮出獄が許されぬ、満期で出る場合というのもあるわけです。これは先ほど判断基準おっしゃいましたけれども、例えば再犯のおそれがあるということになれば仮出獄が許されません、満期で出所します。しかし、この場合、満期で出所した場合には保護観察が付かないんです。再犯のおそれがないというふうに法務省が判断した場合には保護観察が付く。再犯のおそれがある、だから満期で出た、保護観察が付かない。これ保護観察制度自体が余り機能していないんですが、それにしてもあべこべじゃないかなと。この点で制度の改革というのも必要じゃないのかな、こんなふうに思っているんですが、大臣、これ突然のことですので、お考えがあればで結構ですけれども、この辺についても抜本的な改革を御検討願えませんでしょうか。
#352
○国務大臣(南野知惠子君) 本当、先生が御心配されるように、仮出獄と満期という問題については本当に注意して考えていかなければならない。どちらがどれだけ危険性が高いかということなども、それはもう個別の案件になってしまいますので、そこら辺は大変難しい課題であろうかと思っております。
 先生のそのような御指摘はいろいろな方からもいただいておりますが、刑期を満了した者に対しても保護観察に付すということなど、その監督を続けることにつきましては、これからの者の社会復帰のための努力を阻害するおそれがあるのではないか、ずっと監視されているという社会状態の中ではプライバシーの問題も考えないといけないということはございます。でも、出所者又は家族の生活にもまずそういうものが影響することもあるのではないかと。そういったことを考えますと、実効性確保のための方策としていろいろなことを考えていきたいと思っております。
 先生もまたいろいろと御指導、御示唆いただきたいと思っておりますので、その点もよろしくお願いいたします。
#353
○前川清成君 先ほど南野大臣の方から御答弁いただきましたが、犯罪の防止のために、とりわけ凶悪犯罪の防止のために法務省が持っておられる情報を関係官庁と相互交流されると、こういう御方針をおっしゃっていただきました。この関係官庁というのは具体的には警察庁とかなと思うんですが、そこで警察庁にお聞きしたいんですが、現在、現在において警察におかれましてはどのような情報を管理し、犯罪の捜査であるとかあるいは犯罪の抑止に利用しておられるのか、まず現状をお聞かせいただきたいと、こんなふうに思います。
#354
○国務大臣(村田吉隆君) 警察におきましては、警察が検挙した被疑者の情報ですね、被疑者の犯罪経歴等にかかわります情報は保有しているわけでございます。
 先ほどからのお話を聞いておりましたけれども、被疑者が起訴されて服役をされて刑務所から出所したというそういう情報については、例えばですよ、そうした出所者がお礼参りをするとか、そういう危険性があるという、そういう個別のケースにおいて警察から法務省にお願いをして出所情報をいただくということはあるようでございますが、一律、定型的に出所にかかわる情報をいただくと、こういうことにはなってないようでございます。
#355
○前川清成君 今後は、あっ、ごめんなさい、今後は、警察におかれて法務省から情報の提供を受けて、その情報も併せて管理し犯罪の抑止に役立てると、こういうような方針をちょっと報道等でも聞いたんですが、今後の方針について御説明願えますでしょうか。
#356
○国務大臣(村田吉隆君) 先般、私どもから明らかにさせていただきました問題は、あの奈良の、奈良県におきますあの少女誘拐殺害事件、この事件は大変痛ましい暴力事件でございまして、家庭、特に親、そしてもちろん子供に対しても、子供の心身に対しても重大な被害を与えるということでございますので、そういうもの、そういうことでありますので、前歴者によります再犯の可能性も考えながら、法務省と相談して、こうした暴力的性犯罪についての情報をいただくと、こういうことにしたわけでございまして、六月からこの件については実施さしていただくということにさせていただきました。
 そのほかの、一般的にそれじゃその他の犯罪にかかわる情報について法務省から情報をいただいて警察として共有をするかどうかにつきましては、今検討を続けさしていただいているところでございますが、本人のプライバシーの問題とかあるいは社会復帰についての障害にならないとか、そういう考慮をいたした上で、可能かどうか、すべきかどうかということについて検討をさせていただいているのではないかと思っております。
#357
○前川清成君 技術的なことですので、大臣にお答えいただいても結構ですし、役所からお答えいただいても、どちらでも結構ですけれども、今後提供を受けられる情報は、性犯罪者の出所情報に限るという御答弁だったんでしょうか、あるいはもっと広く情報を収集されるんでしょうか。
#358
○国務大臣(村田吉隆君) 今御答弁申し上げたように、性犯罪、子供に対します、つまり十三歳未満の子供を対象とする暴力的性犯罪について取りあえず、社会に対する影響の大きさということをかんがみまして、法務省との調整といいますか協議が成り立って、六月一日から実施すると、いただくと、こういうふうにしたわけでございまして、その他の問題については引き続き今協議中でございまして、その協議の中で先ほど申しましたような一定の考慮が必要ではないかということを私は申し上げたわけでございます。
#359
○前川清成君 この六月からの新しい運用ですが、これは法律を制定してというようなことはお考えになっておらず、ただ実務の運用としてと、こういうことでしょうか。
#360
○国務大臣(村田吉隆君) 警察法第二条に「警察の責務」という条文がございまして、警察の責務として国民の生命、身体、財産を守ると、保護するという、そういう責務が書いてありまして、そこの法文から出てくるその責務から、そうした情報をいただくのが有益であるというふうに考えているわけでございます。
#361
○前川清成君 大臣、ちょっとこれからが一番肝心な質問なんですけれども、この六月一日からの運用によってどの程度その犯罪が抑止されるのか、その実効性といいますか、効果といいますか、その点についてはどうお考えでしょうか。
#362
○国務大臣(村田吉隆君) これはなかなか説得的に、定量的にはもちろんでございますが、なかなか説明し難いところでございますが、一つは、その再犯の可能性がある常習者につきまして警察がそういう情報を持っているということは、私ども一定の抑止力を生じさせるのではないかという期待感は一つ持っております。
 それから、具体的には、例えばある地区で子供に対しての付きまといのような状況があったときに、警察がそうした常習者の情報を持っておれば、それと照らし合わせまして警察もその必要な行動を取ることができると、こういうことでございますし、今度はまた、実際に不幸にして犯罪が起こってしまったということの場合には、これを利用しまして犯罪の捜査に役立てていく、こういうことになるのではないかというふうに思っております。
#363
○前川清成君 効果が、大臣おっしゃるとおり、定量的に把握するというのは難しいと思いますけれども、安全な社会、小泉総理の施政方針演説にも、世界一安全な国を復活すると、こういうふうにおっしゃいましたので、是非いろいろな方策を御検討いただきたい、こんなふうに思っています。
 ただ、同時に、こういう出所者情報、犯罪者の情報の管理につきましてはプライバシーの問題も十分配慮しなければならないんじゃないかなと、こんなふうに思っておりますが、これはどちらが御担当になられるか分かりませんが、プライバシーに対する配慮、この点についての基本的な方針、お聞かせ願えませんでしょうか。
#364
○国務大臣(村田吉隆君) これも、法務省からいただいた情報につきまして、個人の当然プライバシーにかかわることでございますので、その情報の保護につきましては十分警察官、警察としましても十分意を用いなければいけないというふうに考えております。
 当然のこととして公務員の守秘義務という、これも当然掛かってくるわけでございますので、そういう意味で、厳格な秘密の保持の体制についてはなお一層努力を払わなければいけないことだと考えております。
#365
○前川清成君 公務員に守秘義務があるのは当然のことだと思います。
 ただ、残念ながら、この守秘義務だけでは情報の管理がうまくいかないんじゃないかな。この点で、大変恐縮なんですけれども、厚生、これは大臣でなくても、役所の方でも結構ですが、例えば社会保険庁が管理していた年金情報に関して、江角マキコさんの年金情報を業務外で閲覧した者がある、あるいは小泉総理の年金情報を閲覧した者がある、あるいは福田長官のを閲覧した者があるというようなことが過日報道されておりましたし、今日の、今朝の新聞ですと、年金情報をのぞき見した人が千五百人いたと、こういうようなことがありました。
 厚生労働省あるいは社会保険庁でこの再発防止に向けてどのようなことを検討されているのか、あるいはこういうのぞき見をした人たちに対する処分をどうされているのか。
 あわせて、二、三日前でしたですかね、これは金融大臣にお尋ねしますが、経産省の係長がインサイダー情報、インサイダー取引をして告発されたか逮捕されたか、何かそういう新聞記事もありました。この辺について、ちょっと概要だけで結構ですので、概要だけで結構ですので、お話しいただけますでしょうか。
#366
○国務大臣(村田吉隆君) 委員長、ちょっとその前に。
 先ほどの情報の管理につきましては、その情報を管理する人を限定すると、そういうような形で警察としては運用していくべきではないかと考えております。
#367
○政府参考人(青柳親房君) まず、社会保険庁の年金情報についてのお尋ねがございましたので、これについて簡単な経緯と、それから今後の対応方針をお答えさせていただきたいと思います。
 まず、今回報道のありました事案そのものにつきましては、昨年の七月に調査をいたしまして、その業務、年金の情報についての業務目的外の閲覧行為が判明した者について処分をさせていただいた件でございます。
 ところが、このときの処分につきまして、大変に相手が、対象が限定、調査そのものの対象が限定されておるんじゃないだろうかというようなことで、しっかり調査そのものもやり直す必要があるんではないかと、こういう御意見がございましたことを受けまして、この三月に、改めてその当時の、昨年一年間の社会保険庁全職員に対しまして、そもそもそういった業務目的外の閲覧行為をしたかどうかということを本人にまず申立て調査をさせていただいたと、こういうこと、経緯がございます。
 その調査の結果は、先ほどお尋ねの中にもございましたように、およそ一千五百人、正確に申し上げますと、現在、本日時点で判明しておる範囲で一千四百九十八人の者が、これは正規の職員のみならず非常勤の職員も合わせてでございますが、業務目的外で閲覧行為をしたという返事をした者でございます。
 この点について、どのような対応をしておるかというお尋ねにつきましては、まず一点は、こういったことが判明しました昨年の七月の時点で、三百二十一名の職員、それから監督者百九十二名、合わせて五百十三名の職員に対しまして内規による処分として訓告及び厳重注意という形の処分を行いました。
 それから、これでは対症療法でございますので、再発防止という観点からは大きく分けて四つの対応をしております。
 第一点は、社会保険庁電子計算機処理データ保護管理規程、これは私どもがこのオンラインシステムを運用する際の具体的なその運用に当たっての内規ということになるわけですが、これを改正いたしまして、業務目的外の閲覧行為を禁止することを明記をさせていただきました。
 二点目、社会保険オンラインシステムの端末の操作に必要なカード番号を固定化いたしまして、一人一枚という形にいたしました。そしてまた、本人識別のパスワードを導入いたしまして、管理責任を明確化しております。
 三点目、被保険者記録へのアクセス内容を監視するシステムの開発いたしまして、特定の方に不用意に多くのアクセスが集中したようなものについてきちんと業務的に監視ができる体制を強化しております。
 そして四点目、職員教育を徹底するということで、この今まで申し上げましたような再発防止策の徹底を図らせていただいているところでございます。
#368
○政府参考人(長尾和彦君) お答え申し上げます。
 経産省職員のインサイダー取引事件でございますけれども、概要を申し上げますと、私どもの証券取引等監視委員会は、今週の月曜日、三月十四日、経済産業省の職員、これ係長でございますが、その者を証券取引法違反の嫌疑、具体的にはインサイダー取引ということで東京地方検察庁に告発したところでございます。嫌疑事実は、コダックのグループ会社、これがチノン、チノン株式会社の株について公開買い付けを行うことを決定したわけですけれども、犯則嫌疑者は、その職務の過程におきましてこの重要事実を知り、その公表前にチノン株式会社の株を買い付けしたものであると、こういうことでございます。
#369
○前川清成君 社会保険庁や経産省のように、その情報の漏えいや目的外使用というのは必ず発生すると思いますので、相互交流をけしからぬと言う気持ちはさらさらありませんが、相互交流を進めると同時に、情報の管理体制、これにも十分意を払っていただくようにお願い申し上げます。
 それで、資料を配付させていただきました。その前提として、国家公安委員長に、おれおれ詐欺と昔は呼びました、今は振り込め詐欺と言いますけれども、どのような犯罪で、被害件数、被害金額の実態がどういうふうになっているのか、簡単で結構です、役所の方からでも結構ですから、御説明お願いします。
#370
○政府参考人(岡田薫君) 被害実態、取組や細部にわたる部分がございますので、私から御説明をさせていただきたいと存じます。
 振り込め詐欺、あるいは罪名としては御案内のとおり恐喝という犯罪で扱われる場合もございますが、昨年、十六年中の被害状況は、認知件数が約二万五千余り、それから被害総額が二百八十三億円余りでございます。
 警察庁といたしましては、一昨年来、この種の犯罪が目立ってまいりましたので取組を強化いたしまして、特に昨年十二月には振り込め詐欺等の捜査活動及び予防活動の強化について重要通達を全国に発出いたしました。これらを受けて、全国警察では捜査及び被害防止の取組を一層、の一層強化を図っております。
 また、警察庁では、捜査二課長を長とする緊急対策チームをつくりまして、全国の捜査情報を一元的に集約、分析をして、それを各県に戻す。それを受けて、各都道府県警察で合同捜査、共同捜査はもとより、それぞれの警察からの捜査員を、犯人の拠点がかなり首都圏にかなり集中しておりますので、そこへ捜査員も集めて、従来以上のそれぞれの県警の連携を密にした効率的な捜査を推進しております。
 なお、昨年、振り込め詐欺の検挙状況につきましては、検挙件数は一千三百でありますが、検挙人員としては五百五十人、そのほかに、これらに関連して使用された預貯金通帳等について口座の名義人らの金融機関に対する詐欺罪等で約六百八十人検挙をいたしております。
 今後とも、積極的な取締りを推進いたしますとともに、被害発生防止の観点から、犯罪の手口に対応したきめ細かな広報啓発、あるいは金融機関への働き掛け等を行ってまいりたいと思っております。
#371
○前川清成君 このようにお取り組みいただいているんですが、ところが実際がそれに追い付いていないというので、お配りしましたのは昨年十一月二十八日の新聞の切り抜きであります。この新聞の記事がちょっと分かりにくいので、二枚目、これ私の方で絵にさせていただきました。ちょっと恐縮ですけれども、この新聞記事に基づいてで結構ですから、最高裁の方から事案の方を簡単に御説明願えませんでしょうか。
#372
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) 説明させていただきます。
 御指摘の富山地裁の事件は現に係属中のものでございまして、最高裁判所事務当局といたしましては、その内容についてはお答えできる立場になく、また新聞等で報道されている以上にその詳細を知る立場にないことを御理解いただきたいと思います。
 委員御指摘の平成十六年十一月二十八日付けの日経新聞によりますと、御指摘の事案はいわゆる振り込め詐欺被害に関するものでございまして、氏名不詳者にだまされて指定された銀行口座にATMを利用して現金を振り込んだ原告が、ATMの振り込みの控えに片仮名で記載されました当該口座の名義人を相手方としまして金銭の返還等を求めるために訴えを提起したという事案と報じられております。
 提出されました訴状には、被告の住所及び氏名の表示として、住所については不詳、氏名についてはATMの振り込みの控えに記載された片仮名の氏名が記載されていましたことから、裁判所が原告に対し、当事者の特定が不十分であるとして訴状の補正を命じた上、被告の住所及び氏名が特定されていないとして訴状を却下、却下したというふうに報じられております。
#373
○前川清成君 一般論として確認しておきたいんですけれども、民事裁判を起こそうとする、起こそうとしたら、被告の住所と名前、フルネームですね、これは分からないと起こすことができないと、こういうことでよろしいですよね、高橋局長。
#374
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) お答え申し上げます。
 民事訴訟においては原告と被告の当事者が訴状に記載されなければならないと、これが特定されなければならないということが原則でございます。
#375
○前川清成君 もう一つ、高橋局長に確認をお願いしたいんですけれども、これは、裁判に先立って、その民事裁判に先立って、不審に思ったその被害者の女性が警察に被害届を出したと、警察の方から命令か何か、連絡か何か知りませんが、銀行の方は口座を凍結した。だから、だまし取られたお金は今銀行にあるんですけれども、このお金、本来その被害者の元へ返るべきだと、被害者が取り返す方が正義、公平にかなっているんだと、その結論自体はよろしいでしょうか。
#376
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、現に係属中の事件でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、一般論といたしましては、お気持ちは大変よく分かるというところです。
#377
○前川清成君 それで、ところがこの手続の問題で、お気持ちはよく分かるとおじぎされておられたので、手続の問題で、この五十二歳の女性が銀行に行っても、銀行の窓口では、ああ、そうですか、お気の毒ですねということでお金は返してくれないわけです。具体的には民事訴訟を起こして判決を取らなければならない、こういうわけなんですけれども。
 ここに、ちょっと図を見ていただけたらと思うんですが、先ほどお話しがありましたように、裁判を起こすに当たって、まず弁護士は銀行と警察に対して情報提供を求めたと、こういうふうになっています。私も新聞以外には全く何も知りません。この新聞に基づいてお話ししています。ところが、銀行も警察も回答を拒絶した、こうなっています。
 この点、どうして銀行と警察が回答を拒絶したのか、理由をお聞かせ願えますでしょうか。
#378
○政府参考人(岡田薫君) 銀行と警察にお尋ねでございますので、警察の方の立場を最初に御説明を申し上げたいと存じます。
 銀行の口座開設者の氏名についてのお尋ねがありました。被害者のこの件の事情をいろいろ拝察いたしますと、被害者大変お気の毒ではあろうかと思います。ただ、銀行の口座開設者の氏名その他の情報につきましては、その口座に係る銀行においてこれを保有しているものでございます。警察といたしましては、あくまでも捜査上の必要から銀行の御理解を得てその情報を入手しているものでございますので、これについての照会は、第一義的には当該銀行に対してお願いするのがよいのではないかと、このように考えたわけでございます。
 なお、一般に、まあそういうことでございます。
#379
○委員長(中曽根弘文君) 前川君。
#380
○前川清成君 いや、まだ、銀行ですね。
#381
○政府参考人(佐藤隆文君) 銀行の方の対応につきましては、私ども金融庁は金融監督当局ということで直接の当事者ではございませんけれども、御指摘の弁護士法二十三条の二に基づく照会への対応でございますけれども、この照会につきましては、一般的には、報告をすることによって得られる公共的利益と、それから報告しないことによって守られる秘密、プライバシー、名誉等の利益を比較考量いたしまして、前者が後者を上回れる、上回る場合において報告の義務があるというふうに考えられているものだと思います。
 個々の金融機関におきましては、こういった観点も踏まえまして、個々の具体的な事案ごとに、金融機関に課せられた守秘義務等も勘案しながら、この制度の趣旨に沿って判断をしていくべきものだというふうに思います。
#382
○前川清成君 ちょっと今のお二人のお答えには大分不服があるんですけれども、ちょっと流れの問題もありますので先に進めますが、最高裁にお尋ねしたいと思います。
 調査嘱託を申し立てているみたいですが、調査嘱託というのがどういう制度か、被告の住所氏名の特定のためには調査嘱託というのは利用できない制度なのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
#383
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) お答え申し上げます。
 調査嘱託は、官庁、会社など公私の団体に対し、訴訟に必要な事実等についての調査報告を求める手続でございます。二つ、調査の嘱託は二つございまして、釈明処分として行う場合と、それと証拠調べの過程で行うものと二つございますが、釈明処分として訴訟関係を、訴訟関係を明瞭するため、明瞭にするために行う調査の嘱託としてこれを用いられるかという御質問だろうと思いますが、これは用いられている、用いている例もございます。あるやに聞いております。
#384
○前川清成君 今、三者の方からお答えをいただきました。お答えを一つずつ取り上げますと論理矛盾はないんですが、三人合わせるとむちゃむちゃな答えなんです。お分かりいただけますでしょうか。
 まず、この被害者の方は、銀行に対して裁判を起こさないとお金は取り戻せない。お金を取り戻せることが正義にかなうということはお認めいただいている。気持ちとしてですかね。私は、これは当然取り戻すべきだと思います。ところが、まず銀行は、分かっているにもかかわらずその預金開設者の住所氏名を答えない。警察も、分かっているにもかかわらず答えない。裁判所も調査嘱託をしない。そうしたらお金は返ってこない。結局、銀行がもうかるんですか。
 これ、それぞれおれの答えは完璧やと思っておられるかもしれませんが、三人合わせたらむちゃむちゃな答えだというようなことをお気付きいただけましたでしょうかね。この点、大臣にお答えいただいてもよろしいでしょうか、それぞれ。
#385
○国務大臣(南野知惠子君) 難しいですね。もうどうしていいのか、いろいろと考えますが、でも、この答弁を申し上げます。
 この種の事案で、振り込め詐欺の被害者はどうすればいいのかというお尋ねだと思います。現在、この種の事案で裁判実務で多く行われている運用は、被告の特定が十分でないにいたしましても、原告である被害者ができるだけの努力を行っているような場合は、裁判所は訴状を受け付けた上で、金融機関に対して先ほど先生がおっしゃられました調査嘱託を行うというものではないかと思っております。
 委員御指摘の事件も、訴状却下命令、これは高等裁判所で取り消されたということでございますが、その後、富山地裁が銀行に対しまして口座名義人の住所、氏名につき調査委託を、嘱託を行い、その回答を得て公訴手続が進められていると承知いたしております。被害者といたしましては、このような方法を取るのも一つの方法ではないかなと考えております。
#386
○前川清成君 私は、これはこの振り込め詐欺だけの問題じゃなくて、もっと大きく、日本の法構造自体に大変大きな問題があるんじゃないかなと、こんなふうに思っています。
 被害者は何の落ち度もないんですよね、だまされたという以外に。警察は巻き込まれたくないというので知らぬ顔する、銀行も知らぬ顔する、裁判所は分からないけれども、恐らくへ理屈を考えたんでしょう。その結果、被害者だけが泣いている。これはむちゃむちゃじゃないかなと、こんなふうに思うんです。
 それで、先ほど警察の方から、銀行に対して住所、名前等は銀行の御了解を得て答えてもらっていると、こういうふうなお答えがありましたけれども、それは真実ですか。御了解を得てということは、銀行が答えたくないと、こういうふうに言えば答えなくていいと、法律上答えなくていい。これは銀行に限らず捜査一般ですけれども、それは私は刑事訴訟法百九十七条二項の解釈として正しいのかどうか疑問に思っているんです。一般的、抽象的には回答義務があると、こういうふうに考えるのが普通じゃないかと思うんですが、いかがですか。
#387
○政府参考人(岡田薫君) 若干余計なことを申し上げたのかもしれません。刑訴法上の理解としては、義務があるとは解釈をされております。しかし、私ども、義務がある行為をお願いする場合でも御理解を得るのは必ずしも不自然ではないのではないかと思っております。
#388
○前川清成君 ちょっと時間の関係もありますので、私がしゃべらせてもらいます。
 警察が本件でも銀行に対して情報提供を求めたのは、刑事訴訟法百九十七条の二項、捜査について、公務所又は公私の団体に対して必要な事項の報告を求めることができると、この条文だろうと思います。これに応じて銀行は警察に預金開設者の住所、氏名を答えたんだろうと、こういうふうに思います。弁護士が銀行に対して情報の、開設者の情報提供を求めたのは、弁護士法二十三条の二の第二項、弁護士会は、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができると。法構造として全く同じ条文であります。
 しかし、警察は、ごめんなさい、銀行は警察に対しては預金者の住所、氏名を答えた、しかし銀行は弁護士会に対しては答えなかった。その結果どうなったかというと、被害者の百万円が返ってこないまま宙に浮くという事態を招きかねない、こういうことなんです。
 そこで、金融庁にお伺いしたいんですが、弁護士法二十三条の二に基づいて照会があった場合、銀行が答えなくてもいいというような指導をされているんでしょうか。
#389
○政府参考人(佐藤隆文君) そのような指導はいたしておりません。
#390
○前川清成君 これは、銀行の立場は推測するしかないんですけれども、例えばみずほ銀行、これがやみ金が取立てに利用した銀行口座に対して弁護士が弁護士法二十三条の二に基づいて口座開設者の住所、氏名を問い合わせた、そういう事件において、みずほ銀行は裁判所に提出した書面で顧客の了解がないと回答しないというふうにはっきり述べているんです。先ほどどちらかが御説明いただきました二十三条の二というのは守秘義務等の利益を勘案して回答する必要があれば回答すると、こういうふうなお答えをいただきましたが、銀行の実務においては顧客の了解がないと回答しないと、こういうふうにやっているんです。しかし、この件でも、顧客というのはだれか、その振り込め詐欺の犯人です。犯人が自分の逮捕につながるかもしれないおれの名前を答えていいなんて言うはずがありません。結局、銀行がその公的責任を果たしていないんじゃないかな、こういうふうに考えるんですが、大臣、この点だけいかがでしょうか。
#391
○国務大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。
 委員から弁護士法二十三条の二について御指摘があったわけでありますけれども、こうした照会に対しまして金融機関としてはその趣旨を踏まえた適切な対応を取ることが必要であると私どもとしても考えているところでございます。しかし、いずれにいたしましても、各金融機関におきましては個別の具体的な事案ごとに対応を適切に判断すべきと考えておりまして、その際、一般的には、先ほど監督局長からも御答弁させていただきましたように、報告されることによって得られる公共的利益が報告をしないことによって守られるプライバシー等の利益を上回るかどうかと、こうしたことを勘案して判断することになろうかというふうに思います。
#392
○前川清成君 時間が参りましたので終わりますが、少なくともみずほ銀行の顧客の了解がないと回答しないというこの取扱いは今の金融大臣のお答えとも矛盾しますので、少し銀行の公共性ということも是非お考えいただきたいと、こんなふうに思っております。
 山本議員の方にお譲りしたいと思います。
 ありがとうございました。
#393
○委員長(中曽根弘文君) 関連質疑を許します。山本孝史君。
#394
○山本孝史君 民主党・新緑風会の山本孝史でございます。
 最初に、中国残留孤児の継子、連れ子を強制退去処分とした問題で、福岡高裁は国はそのやり方は間違っているという判決をしました。それを受けて法務大臣は上告を断念されました。私はそれは当然だと考えておりますが、法務大臣はどのような考え方に基づいて上告を断念されたんでしょうか。
#395
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 お尋ねの福岡高裁におけます判決につきましては、原告の方々が中国残留邦人の実子以上の存在であったことなど、それを指摘した判決の趣旨を踏まえました本件においての特段の事情を総合的に考慮して判断したものでございます。
#396
○山本孝史君 今お話しになりましたように、判決は、継子は残留孤児の養父の世話をして実子以上の存在だったと。実はこの事件はたくさんありまして、その都度法務大臣に在留特別許可を求めているわけですね。しかしながら、ここが大切だと思うんですが、本件の遠因には日本国自身の過去の施策があり、またそれについての救済措置の遅れが結果的に日本国への入国を困難にしているなどの諸事情が特有の事情として考慮されなければならないと、こう言っているわけです。
 したがって、実子同然のことをしているという者について、やはり私は日本国にきちっと来れるようにしてあげるべきだと思っているんですね。今回のこの判断が後々の、同様の裁判が起こっている、あるいは今後起こるであろうことについて同じように対応していただきたいと思うんですが、厚生労働大臣にお尋ねをします。
 御承知のように中国残留邦人の帰国促進自立支援法がございます。この趣旨は、残留邦人の帰国後に後れて帰国をする実子同然の継子についても私は実子と同様に日本国に帰国、来れるようにするべきだと、そのような趣旨で私はうたわれておると思っておりますが、大臣の御認識をお伺いをします。
#397
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話しになりました中国残留邦人に対する自立支援法でございますが、帰国援護の対象として、原則として中国在留邦人及びその配偶者、未成年の実子等でございますけれども、高齢となった中国残留邦人の帰国の不安を取り除き、その円滑な帰国を促進する観点から、子供等の親族が中国残留邦人本人の扶養や介助を行うなど生活をともにすることを目的として本人に同行帰国する場合には、成年の子一世帯に限り帰国援護の対象としておるところでございます。この場合は、成年の子については、実子、継子、養子、いずれであるかは問いません。
 その後、平成十三年度から、中国帰国者に同行した、同行して帰国した家族に加えまして、加えまして、その後日本に入国した、呼び寄せ家族と呼んでおりますけれども、呼び寄せ家族を対象として、中国帰国者支援・交流センターにおいて、就労が可能な二、三世の、二、三世の自立を促すための日本語教育や生活相談の実施、他の帰国者や地域住民、ボランティア等との交流の場の提供など、それなりの支援はいたしておりますけれども、その差があることは事実でございます。
#398
○山本孝史君 その差があることがおかしいのではないですかと申し上げているんです。
#399
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話し申し上げましたように、中国残留邦人の、同行して帰っていただくということが原則でございますが、そのときに同行して帰国するかどうかは家族の中で十分に相談していただくことにいたしております。そして、同行帰国しない場合は、そのことを文書で確認した上で帰国援護を行っておる。こういうその手順を踏んでおるもんですから、その後に帰ってこられる方との援護の差ができるということは、今日の制度上はやむを得ないところでございます。
 ただ、今回の裁判の結果とかありますから、これは今後私どもがこの裁判の結果などを踏まえたりしていろいろ検討していく課題であるというふうには認識をいたしております。
#400
○山本孝史君 浅野委員おられませんけれども、生活保護を受けていると中国に帰っている間は生活保護費が打ち切られると、又市委員がおっしゃっているように、中国残留邦人に対してきっちりやるべきじゃないかと、こういろんなやっぱり国会の中に意見があるんですね。
 それはやっぱり中国残留邦人というあのときの特別の事情をかんがみて、やはり日本に帰ってこられる、そのときに、実子同然の継子であったとしても、それは中国にいろんな事情で残らざるを得ない、後になって帰ってくるときにも、そのことについては駄目だといって強制退去をして、学校の教室から子供を引っ張り出してきては入管で送り返すということをやっていることは間違ってはいませんかと。人権規約で家族というものは一つになって生活しようとしていると、その御本人が、中国残留邦人が日本に帰ってきたときに、その継子が後れて帰ってきたとしても、家族同然の者は日本で生活できるようにしっかりやるべきだと。
 法務省はなかなかそこは難しいとしても、厚労省はその家族の生活歴だとか家族歴を知っているわけだから、言わば尾辻さん、あんたが身元引受人になって法務大臣に、大丈夫、この人入れてやってくれと言うぐらいのことをやったっていいんじゃないですかと言っているわけです。──いいよ、事務方、いいんだから、政治判断だから。
#401
○国務大臣(尾辻秀久君) 私どもが持っている情報もございますから、それを法務省とよく突き合わせながら相談していろいろ対応していくべきだということについてはそのとおりだと思いますから、やらせていただきます。
#402
○山本孝史君 一緒に帰ってくるときはその手続を取っているんです。だから、後で帰ってくることについてもそうやってください。今度の高裁判決を受けて断念されたという法務省の御判断もあるわけだから、在留特別許可というものは非常に広い裁量を持ってやっておられる。しかも、それが中国残留邦人というその立場にかんがみれば、もっと日本政府は温かくていいはずだと。私だったらそうします。こう申し上げております。
 次の問題に行きます。自殺の予防対策についてお話をしたいと思います。
 二月の二十四日の参議院の厚生労働委員会で、自殺予防のことについての専門家三人の方に来ていただいて御意見をお伺いをしました。委員の皆さん方にも共通しているのは、やはり国が挙げて自殺予防対策というものに取り組むべきであると、こういう認識でそのお話をみんなで聞いておりました。
 まず、文部大臣にお伺いをします。
 今、子供の中にうつ症状を呈している子がかなり多いんじゃないかと思っておりますが、文部省として、小学生、中学生の中のそういった子供の割合、どのような認識をしておられるでしょうか。
#403
○国務大臣(中山成彬君) このうつ症の判断というのは医学的な専門知識が必要でございまして、学校に一体どれほどのうつ症を持った児童生徒がいるか、正確に把握するのは困難でございまして、うつ症状の児童生徒がどのくらいいるかという実態は把握しておりません。
#404
○山本孝史君 調査によれば、小学生で八%、中学生で二三%というような数字もありますが、全国的に文部省として調べてみる気持ちはありませんか。
#405
○国務大臣(中山成彬君) 極めて大事な問題であると、こう思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、これは医学的な専門知識があって判断がするということでございまして、学校ではなかなか把握できないと。
 またこれ、特にこれはプライバシーにかかわる問題でございまして、慎重に対処すべきというふうに考えておりまして、まあそういう意味では調査するのは極めて困難であると、こう考えていますが、しかしこの問題が大事であるということから、学校の現場におきましてはうつ症状を始め児童生徒の心の健康の問題に適切に対応していこうと、こういうように考えているところでございまして、心の健康問題につきましては、教師用の参考資料の作成配付と、まず先生方にうつ症状というのはどういうものかというようなことを理解していただくということがまず第一でございますし、また養護教諭等を対象とした各種研修会を開催いたしまして、心の健康問題に関する正しい知識の普及啓発に努めるとともに、中学校を中心といたしましてスクールカウンセラーを配置するなどいたしまして、学校において心の健康問題を抱えた児童生徒が早期に適切な対処が受けられるようにという、そういうふうな支援をしてきているところでございます。
#406
○山本孝史君 プライバシーとかなんとかとおっしゃるけれども、どういう状況にあるかという認識をしないままにどうやって、そういうハンドブックだとかなんとか、何とかしなさいということがやれるんですか。
#407
○国務大臣(中山成彬君) ですから、これは専門的な医学的な知識が必要だということでございまして、大体、教室におりまして、最近の子供は、まあ無気力といいますかね、そういった子供もおりますし、また最近の調査によりますと、七割が居眠りをしているとか、あるいは夜中の十二時過ぎまで起きている子が五割もいるとかいうことで、朝学校に来ても、居眠りしたり眠そうにしている、だるそうにしている、この子がうつ症なのかどうなのかということはなかなか一般の教員に分からぬわけでございます。
 しかし、何かおかしいなということが分かるようにはしなきゃいけないということで、教師用にそういった研修用のいろんな資料等を配付してやっているというところでございます。
#408
○山本孝史君 今おっしゃった不登校ですとかいじめですとか他傷行為ですとか自傷行為ですとか引きこもりですとか、そういったこととうつの状態とは非常に関連していると言われているんです。だから、どうやって気付くかということもあるけれども、どういう状態になっているのかという認識を文部大臣が持たれなければ、そこから先、物事は進まないじゃないですか。だから、その認識はあなたは持とうとしないんですかと私は聞いているんです。もうちょっと前向きに考えなくちゃ。
#409
○国務大臣(中山成彬君) ですから、そういう状況を教師が分かるようにということで、分かるということがまず大事だということで、まず教師用の資料作成をしたりして、配付して、先生方がしっかりと子供たちの状況が把握をできるようにというふうに努めているということでございます。
#410
○山本孝史君 じゃ、何でそういうものをお配りになったんですか。
#411
○国務大臣(中山成彬君) なぜ配付したかと。正に、このうつ症状の子供たちがかなりいると、今御指摘がありましたように、これが不登校だとかいじめだとかいろんなこととまたつながってくるんじゃないかという、そういう認識がありますから、まずそういううつ症状の子供たちをしっかり把握することが必要だよと。そういう意味で、どういう症状があったらうつ症状だと認識しなきゃいけないよと。そういうことが分かるような、そのためにこういったパンフレット等を配付しているということでございます。
#412
○山本孝史君 大人の世界はどうなっていますか、厚生労働大臣。
#413
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話ございましたように、大人のうつ病患者が、うつ、うつ患者が増加していることに加えまして、子供がうつ症状を訴えておるその状況も憂慮をすべきことでございます。国民の心の健康や子供の健やかな成長を促す観点からも、うつ対策は重要な課題であると認識をいたしております。
 平成十四年度厚生労働科学特別研究において実施された調査では、一生涯のうちにうつ病にかかる割合は六・五から七・五%、これは約十五人に一人という計算になりますけれども、そういう割合でございます。こうした非常に心配をするような状況にあるということを申し上げました。
 そこで、子供について特にお尋ねでございますから、子供の心の発達を把握しながら、年齢や心身の発育、発達の段階に応じて適切な支援を行う観点から、児童虐待や発達障害などを始め、子供の心の問題に関する診療を行うことのできる専門家養成の具体的方法について検討を進めることにしております。
 こうした問題というのは本当に、今文部科学大臣もお答えになっておりますけれども、専門家というのが極めて大事でありますし、また必要とされます。その養成の具体的方法について検討を進めなきゃならぬと考えておるところでございます。
#414
○山本孝史君 もう少しやっぱり文部大臣、その現場の先生方の意見も含めて、今子供たちがどういう心の症状をしているのか。うつというのは言わば心の風邪ですから、治療すれば治ります。しかし、いろんな問題にかかわっている。多分、性行動に走っていることも、それと私はかかわりを持っていると思っています。だから、もう少し認識を持っていただきたいというお願いでございます。
#415
○国務大臣(中山成彬君) 正に認識を同じくするものですから、そういった対策を取っているということでございまして、付け加えて申し上げますと、先ほどカウンセラーで申し上げましたが、平成十七年度までに一万校にスクールカウンセラーを配置して、心の相談とかそういったものも含めて対応しようというふうなことも考えておるところでございます。
#416
○山本孝史君 スクールカウンセラーの話、また別の機会にしたいと思います。
 行き過ぎた性教育という問題が大分指摘をされましたけれども、私思っていますのに、親も学校の先生も実は性教育できないという感じがあって、専門家ですね、性教育の専門家、あるいは命、死というものについて子供たちに教えてあげれるような専門家を学校に派遣するということを私だったら考えますけれども、大臣はいかがでしょうか。
#417
○国務大臣(中山成彬君) この前から性教育についてはいろいろ御論議いただいているところでございまして、命の尊さを理解して、掛け替えのない自分、そして他人の命を尊重すると、このことについては学校におきましていろいろな取組をしているところでございますが、今御指摘もありましたけれども、そういう専門家ですね、専門家の力もかりるべきじゃないかと、正にそのとおりだと思っているわけでございまして、命の大切さということにつきましては、中学校の生徒が産婦人科の病院を訪問しまして医師や看護婦に話を聞いたり、あるいは新生児に触れたりする体験活動を行うようなプログラムを実施している学校も見られるところでございます。
 また、性に関する教育につきましても、一般的な性教育、これ子供の発達段階に応じて教育をしなきゃいけませんが、それ以外に、学校の要請によりまして産婦人科医とかあるいは精神科医などの専門のお医者さんの派遣を行うなどいたしまして、学校と地域保健機関が連携しながら児童生徒の心身の健康相談とかあるいは健康教育を行うために、学校・地域保健連携推進事業というものを実施しているわけでございます。
 今後とも、専門家の協力も得ながら、子供たちが性に関する知識を適切に理解して命の大切さを実感できる教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
#418
○山本孝史君 またの機会にやりたいと思います。
 警察庁と消防庁に来ていただいていると思うんですが、事故やあるいは事件の現場に行かれた署員の皆さん方が非常に強い心的ストレスを受けておられると思うんです。そのことに対する対策と、あるいは課題というものがあったら教えてください。
#419
○国務大臣(村田吉隆君) 山本委員に御指摘をいただきまして、本当にありがとうございました。
 警察職員も大変凄惨な殺人の現場とかあるいは交通事故死、そうした現場に行くものですから非常にストレスがたまりまして、職務の執行上あるいは私生活においても本当にメンタルケアが必要だという状態になっていることも私ども認識をしております。
 対策といたしましては、内部にカウンセラーを置いたり、あるいは外部の医療機関に相談に行くと、こういうような措置も講じておるようでございますが、一番大切なのは、職場において幹部を始めそうしたメンタルケアの必要性についてすべてが認識をするということが一番大切でございますので、そうした啓発活動を、臨床心理士とかあるいは専門家、精神科医等、来ていただいて、そうした啓発活動、講義なんかを受けると、こういうようなことも実施しているようでございます。
#420
○政府参考人(東尾正君) 消防関係につきましても火災や救急現場においてそういうふうなストレスを持つケースが多く、これを我々は惨事ストレスと呼んでおります。
 しかしながら、すべての消防本部にはこの分野の専門家がおりませんので、私どもでは平成十三年に発生いたしました新宿歌舞伎町ビル火災において多数の消防職員がこの惨事ストレスを負ったということから、精神医学や心理学の専門家を国が消防本部に派遣するメンタルサポートチームというものを創設いたしまして、これを地方に派遣しておりまして、既に六件の事案について専門家を派遣し、幸い大きなその後の後遺症はないという状況でございます。
 今後、私どもといたしましては、やはり各消防本部において同様の体制が取れますよう、関係医療機関などとも連携を取りながら体制の充実を指導していると、こういうところでございます。
#421
○山本孝史君 谷垣財務大臣、お聞きのように専門家が非常に少ないんですね。だから、要請をそれぞれのところでやっていくと思いますが、是非財政的な御援助もいただきたいと思っています。
 それから、村田大臣にもう一つの御質問ですが、自殺の予防をするときに、実は秋田県で、秋田県で、秋田県の警察本部が大変重要な役割を果たしているんですね。なぜならば、そういう自殺をした人、あるいはそれを未遂の人たちのところに行ってお話を聞くときに、真っ先に駆け付けるのは実は警察官であったり消防署員であったりするわけです。家族のケアですとかということも含めて、心の軌跡を追い掛けるときに警察が非常に重要な役割を果たしていまして、秋田でやっていることを是非御理解いただいて、全国の警察でもやれるような体制づくりに是非御協力をいただきたいと思っています。
#422
○国務大臣(村田吉隆君) 私が聞いておりますのは、いろんなところで、残念ながら自殺の名所みたいなところがございまして、そういうところを所管している警察署において、要するに、がけの上に理由がないのに夕暮れまで座っているような人を発見したときには話を聞くとか、そういうようなこともやっているようでございまして、警察がパトロールの過程で、あるいはその他の状況の中でそうした自殺防止に役立っていくということは大変必要なことであると私自身も認識しておるわけでございます。
#423
○山本孝史君 ちょっとずれていますので、秋田県警の取組についてよく勉強してください。
 基礎年金の話に参ります。
 お配りをしました資料の二ページ目を見てください。
 基礎年金の、この一九三九年、今六十五歳で受け始めた人、六万六千円。これにマクロ経済スライドが掛かるので、現在価格に直すと五万七千円まで落ちていくわけですけれども、このことについて、厚生労働大臣、基礎年金とは一体何ですか。もう一度御答弁ください。
#424
○国務大臣(尾辻秀久君) 基礎年金とは何かと改めてお聞きいただくと、どういうふうにお答えするかなと思うわけでございますが、私が申し上げられるのは、一階部分と二階部分、比例報酬部分ではない一階部分の年金のことを基礎年金と呼んでおると、こういうお答えになります。
#425
○山本孝史君 よく知っている人が知らない人に質問するのは失礼だと総理大臣に怒られたけれども、そうじゃなくて、基礎年金って何で基礎年金という名前が付いているのか、基礎年金はなぜ五万円からスタートして今この金額になっているのか、そのことについて御存じですか。
#426
○政府参考人(渡辺芳樹君) 恐れ入ります。
 委員御指摘のように、基礎年金というのは国民年金法に基づく全公的年金制度の共通的な給付として設けられておりますが、それは、この昭和六十一年にできて以来、老後生活の基礎的部分に資するための各社会保険方式の公的年金制度の共通給付として設けられて、その後、物価スライド等によりまして今日の額になってきております。
 先ほど、この資料で五万七千円ということでございますが、今回の改正に基づくマクロ経済スライドによる給付調整が加味された時代に老後を迎える方のケースでございますので、名目額では当該年度で六万九千円の額でございますが、現在価値に割り戻すと五万七千円と、こういうことであろうというふうに思っております。
#427
○山本孝史君 次のページ見てください。
 高齢世帯の生活費、生計費と年金の給付水準。これは全国消費実態調査で、少し古いんですが、基礎年金二人分で十三万四千円でどこまで二人分の家計で賄えるかという話なんですね。
 元々、私が申し上げているのは、五万円と決めたときは、全国消費実態調査で高齢者の基礎的な生活費が賄えるという基準で決めたんですよ。ところが、今度、それをマクロ経済スライドを掛けて減らすということは、基礎年金とは一体何なんですかともう一度聞いているわけです。
 前はだから積み上げ方式だったんですよ。今度はだから積み上げじゃない、ないんですね。何をもってして基礎年金の水準を妥当と考えているんですかと、こうお聞きしているんです。お分かりいただけますか。
#428
○政府参考人(渡辺芳樹君) 基礎年金制度ができましたときからの経緯につきましては、今委員御指摘のとおりの経緯はあるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、負担と給付の関係で制度を運営していく社会保険方式に基づく共通給付でございますので、こうした少子高齢化の進行の中で無理のない負担でお役に立つ給付をするというためにはどうしたらいいか、それから、一階部分と二階部分のバランスというものをどう考えるか、こういった課題があるわけでございます。
 今回の改正による変化と申しますのは、一階と二階のバランスというものをこれまでの年金の構造としてキープしながら、実際に負担可能な、ぎりぎりでも一万六千九百円ではないかと、こういうところでの負担に見合う給付として、なお基礎的生活部分に十分資することのできる水準を確保していると、こういうふうに考えております。
#429
○山本孝史君 だから、渡辺局長、はっきり言ってくださいよ、積み上げ方式ではないんだと。だから、従来の考え方と変わったんだと、基礎年金の考え方はって。そこをはっきり言ってください。
#430
○政府参考人(渡辺芳樹君) もとより法文の読み上げで御説明しているわけではございません。制度の趣旨ということでございますが、今申し上げましたように、やはり負担、無理のない負担の中で生活のお役に立つという観点で、積み上げてそれを保障するという考え方では必ずしもないということを申し上げております。
#431
○山本孝史君 そうなんです。
 大臣、聞いていただけました。だから、考え方が変わったんです。だから、幾らもらうからどこまで賄えるかという話ではなくって、負担できる範囲内で考えたら給付はこれになりましたという考え方だから、基礎年金という表現からは大分離れてきているということを認識してください。変わったんですよ、だから基礎年金という考え方は。
#432
○国務大臣(尾辻秀久君) 経緯については申し上げたとおりでございます。ですから、先生方が言われる税方式でベーシックインカムだとかというような、そういう考え方からすると、またちょっと違うんだなと思うんですけれども……
#433
○山本孝史君 だから、政府は考え方を変えたんですと言わなきゃ。考え方が違うわけじゃないんだから。
#434
○国務大臣(尾辻秀久君) そういうものからいう基礎的、基礎年金という意味で基礎という言葉を使うかどうかということで言えば、それはおっしゃるような御意見も分かりますし、ただ一方、やっぱり基礎の部分ですという、一階部分ですという意味で基礎年金と呼んでおる、このことの呼び方がそう問題があるかなと思っておるわけでございます。
#435
○山本孝史君 制度ができ上がったいきさつを無視して、一階部分だから基礎と呼んでいいんじゃないかって勝手に自分で定義を変えちゃ駄目。そうではないんです。
 だから、次の質問、だから基礎年金にマクロ経済スライドを掛けてはいけないという立場と、あなたはマクロ経済スライドを掛けてもいいとおっしゃるから、なぜマクロ経済スライドを基礎年金まで掛けていいんですかと、この間もお聞きしているんです。もう一遍お願いします。考え方が違うからはっきりしようよ。
#436
○国務大臣(尾辻秀久君) 違いの、考え方の違いをはっきりさせたつもりで先ほどのことも申し上げたつもりなんですけれども、改めて申し上げますと、私どもは基礎年金部分にマクロ経済スライドを導入した。それが、じゃなぜかと言われますと、去年の改定のときに私どもが一番考えましたことの一つが、どうしても持続可能ということでございました。持続可能ということを前提にして給付と負担のそれぞれの水準というものを考えるときに、どうしてもマクロ経済スライドというのはやはり基礎年金部分にも導入せざるを得ない、もしそれをやれないとすると、じゃ今度は負担を大きくしてもらうよりしようがないと、いろんなことが出てくるわけでありますから、先ほど来局長もお答え申し上げておりますように、給付と負担の水準の中でマクロ経済スライドというのを導入したと、こういうことでございます。
#437
○山本孝史君 で、もう一度お聞きします。したがって、高齢者の生計費のどこまでを賄わなければいけないという考え方は、厚生労働省はもう持たないんですね。大臣、大臣。持たないんだとはっきり言えばいいんですよ。考え方を変えたんだと言いなさいって。だから、みんなの認識が一緒にならないんじゃないか。
#438
○国務大臣(尾辻秀久君) そのことについてお答えすると、余り山本先生がお好きでない部分の話になってしまうというのはよく分かるんですけれども、名目は下がりません。それはもうよく御存じのとおりでありますから。
 ただ、実質が下がっているじゃないかというお話でありますけれども、そしてそれは年齢が上になって実質の価値が下がるとおっしゃる。私どもはそのことについて今言っておりますのは、だんだんお年を召すとその生活に必要な基礎的な経費といいますか、必要なお金というのが下がっていくということを、私どもはこれはまた御説明の中で申し上げているわけであります。それで、何とか名目は下がらず、実質はやや下がるけれども、そのお年を召すことによって基礎的な経費が少なくなっていく、そこでカバーしていただきたいというふうに申し上げているところであります。
#439
○山本孝史君 だから、それは高齢者の生計費を考えた上の話じゃないですか。さっきは負担の中で賄うと言っているんだから、生計費は頭の中に考えてないじゃないですか。違うんだって。
#440
○政府参考人(渡辺芳樹君) 少し繰り返しになるかもしれませんが、大臣も申しましたように、持続可能な給付と負担の関係というものを考える中で、結果として基礎的消費の支出にも十分資することのできる水準を、このマクロ経済スライドによる給付調整の結果であってもそれは保てているという意味において、実態上は従来の給付水準というものの持つ意味というものをまだ確保しているとは思っております。
 ただ、今回の改正の考え方はどうかということでございますので、負担の限界というものをどう考えるか、その中でお役に立つ給付というものをどう考えるかということを私ども整理さしていただいて、今制度として運用を始めているところでございます。
#441
○山本孝史君 ということは、生計費で積み上げで幾ら基礎年金はなければいけないという考え方はもう取らないんでしょう。負担の中でいくんだから違うんですねって。確認ですよ。いいです、局長で。
#442
○政府参考人(渡辺芳樹君) 申し上げておりますのは、今回の制度の結果として、例えば家計調査年報による基礎的消費というものから乖離してしまうのかと問われれば、これは十分そこにお役に立つ水準をこのマクロ経済スライドの調整後であっても持っておりますという事実をまず申し上げております。
 ただ、制度の考え方としてお尋ねの面がございますので、やはりいわゆる基礎的生活費というふうに統計的に出てくるようなものを保障するために、負担の限界について考慮せずに保険料額を設定するというようなことは考えていないということでございます。
#443
○山本孝史君 厚生大臣、何回も申し上げていますように、この基礎年金一階部分の一号、二号、三号、給付は四百八十か月で満額みんな一緒。負担が、一号と二号と三号で負担の仕方が違う。このことについてどう思われますか。
#444
○政府参考人(渡辺芳樹君) 恐れ入ります。
 これも、基礎年金制度を昭和六十一年につくったときの考え方の整理、あるいは、ちょっと幅広く申し上げますと、その当時でき上がりました医療保険における老人保健拠出金というものの考え方、その後の介護保険における介護納付金という考え方にも連なるものでございますが、この基礎年金の費用の設計の仕方でございますが、今も申し上げましたような性質を持った基礎年金、全国民が加入する公的年金制度の一階部分の共通給付という性格でございますが、国民年金や厚生年金、共済年金に皆さん加入しておるわけでございます。その皆さんが自ら加入する、帰属する制度のルールに沿って保険料として納められたものの中から、各制度が、その加入者数、つまり現役世代の人数に応じてひとしく拠出を行うという形を取って基礎年金というものがファイナンスされているわけでございます。
 また、基礎的な給付でございますので、全国民に共通するということで一般財源から国庫負担を導入しておりますが、現在、例えば十五年度で見まして、十六兆円の給付費というものを先ほど申し上げました帰属する制度のルールに沿った保険料で一人当たり単価を同じくして拠出いただいた仕組みでファイナンスしております結果、個人が六兆円、企業が四兆円、国が六兆円、大まかに申し上げておりますが、そういう財政構造を取ることが可能になっている。こうした制度のルールに沿った拠出に基づく基礎的給付ということでございます。
#445
○山本孝史君 大臣、私は、負担が重い軽いというよりは、負担が公平であるかどうかという方が重要ですと申し上げているんです。
 一号と二号との間で、一万三千三百円と一万四千三百円というふうに一人当たりですと違うわけですね。みんな同じように、所得に応じて同じように負担をする。あるいは、おっしゃったように、あなたがおっしゃったように、全員が定額で同じような負担をする。負担が公平であるかないかということについて、まず負担が公平なのか、負担は公平でないと思っておられるのか、どっちですか。
#446
○国務大臣(尾辻秀久君) その給与所得の皆さんが定率である。それから、家族形態とか生活形態が多種多様である方の皆さんが定額になっている。この定率と定額の負担の仕方、負担の仕方といいますか保険の納め方ということは、これはまあそういう違いによるもので起こってくるということをまず前提にいたしますと、そこでそれぞれの負担をしていただく今の負担の仕方、決して公平でないとは思っておりません。
#447
○山本孝史君 もうこれ以上幾ら議論しても意味がない。よく分からない。
 まず日銀にお伺いしたいと思います。
 年金は人口構造と経済成長率に非常に大きく影響されてきます。デフレの影響をどこで脱却できるのか、今の物価のこれからの動向について、まずお聞かせをください。
#448
○参考人(白川方明君) お答えいたします。
 我が国の景気は現在いわゆる踊り場的な局面にございますけれども、好調な企業収益の下で設備投資が増加するなど、景気回復のメカニズム自体は着実に作用しているというふうに考えております。このため、物価の基調的な動きに影響をいたします需給環境は、これは改善の方向にあるというふうに考えています。
 こうした下で、御質問の消費者物価指数、生鮮食品を除くベースで見てみますと、ひところ前年比でマイナス一%程度にまでマイナス幅が拡大しておりましたが、足下ではマイナス〇・二からマイナス〇・三%程度までに縮小しております。また、各種のアンケート調査を見ましても、家計や企業のデフレ心理は、二〇〇一年ごろをボトムに着実に後退しているというふうに考えております。
 ただ、パートや派遣社員といった非正規雇用を活用しました人件費の抑制が続いていることや、あるいは企業の生産性が上昇していることを背景に、単位当たりの賃金コストが低下いたしておりまして、景気の回復に物価が反応しにくいという状況が続いておることは、これは事実でございます。
 さらに、足下では、規制緩和の下での電気、電話料金の引下げなど、一時的な要因がマイナス方向に今作用しております。こうした下で、消費者物価指数の前年比がプラスに転ずるにはまだ至っておりませんで、先行きも当面、若干のマイナスで推移するというふうに見込んでおります。
 もっとも、今後、より長い目で見てまいりますと、景気が回復を続ける下で需給環境は改善していくというふうに見込まれます。また、企業の人件費抑制姿勢は、これは確かに根強いんですけれども、最近ではパート比率の上昇テンポが幾分鈍化するなど、変化の兆しも見られ始めております。
 日本銀行としましては、こうした点を含め、物価の背後にある様々な要因を点検しながら、物価情勢を適切に判断してまいりたいというふうに考えております。
#449
○山本孝史君 働き方、さっきの犬塚さんのお話で、働き方が変わっている、あるいは企業ができるだけ価格を抑えようとしているというような中で物価が上がりにくいんだと、こうおっしゃったと思うんですが、竹中大臣に教えていただきたいんですけれども、賃金の伸び、総賃金の伸び、あるいは一人当たりの伸びと経済成長率というのはどういう関係にあるんでしょうか。
   〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
#450
○国務大臣(竹中平蔵君) デフレ、いろんな物価指数ありますから、どういうことで議論するかということも背後にあろうかと思いますが、今、日銀から説明がありましたように、我々もGDPデフレーター等々で見ても、徐々にデフレ克服に向けた着実な進展が見込まれるというふうにしております。
 委員お尋ねの賃金と、それとGDPとの関係ということだと思いますが、これは物価の、物価に影響を与える一つの要因として賃金があるということだと思います。そのほかに、マネーの要因でありますとか、今御説明ありました需給の要因等々がございますので、その時々で一概にはもちろんそこは言えないということだと思います。
 ただ、まあ賃金も物価に影響を与え、その意味で名目GDPに影響を与える要因の一つであるということは間違いないことだと思います。
#451
○山本孝史君 賃金が上がりにくいと経済成長率は上がりにくいと、こう理解していいんですね。
#452
○国務大臣(竹中平蔵君) そこはしたがって、経済成長率も、実質で議論するのか名目で議論するのかと。名目については、そのようなことはある程度言えると思います。ただ、実質成長率については、賃金の上昇がむしろ高ければ、それによって企業収益や設備投資が影響を受けて実質成長率が下がることもあり得ますので、そこはどういう形で議論するかという問題であろうかと思います。
#453
○山本孝史君 お配りしました資料の四ページ目と五ページ目ですけれども、企業の人件費の抑制手段。従来はリストラをするという形でした。今は賃金制度を変える。中高年の方たちはそこを落とすという形になっていますし、さらには、先ほど御指摘があったように、パートタイム労働者への切替えをして、下請や派遣労働者を活用することによって人件費を抑えているという企業の動向があります。パート労働者の、その次の資料にあるように、パート労働者の職域の拡大が、従来言われているような定型型の業務だけではなくて、非定型な業務、あるいは技能を要する業務、高度な専門技能を要するような業務までパートタイム労働に今置き換えられようとしていると。
 基本的に、企業としてはパートタイマーに置き換えることで人件費の抑制をしている、したがって賃金がなかなか上がってこない。労働分配率が上がってこないというのは御指摘のとおりなんですよね。
 おっしゃっているように、賃金が上がらないと名目成長率はなかなか上がってこないという状態の中で、竹中大臣と尾辻厚生労働大臣にお伺いをしますが、今回入れましたマクロ経済スライドによって年金の給付の総額の抑制は政府がもくろんでいるような形で利いてくるのだろうか。私は利いてくるのが非常に遅くなってくるのではないかと思っているのですが、どちらからでも結構ですけれども、御答弁ください。
#454
○国務大臣(尾辻秀久君) マクロ経済スライドの調整というのは、先ほど申し上げたようなことで私ども導入したわけでございますけれども、今先生がお話しになっておりますように、例えば賃金や物価が上昇しないようなことになれば、これは給付水準の調整を行うことができず、その効果を発揮しないものになります。
 それが今度は経済へのどういうふうに見るかということでございますけれども、これは、私どもはあくまでも、先ほど申し上げましたように年金の持続可能性ということでマクロ経済スライドということを導入したわけでございまして、そのことと経済との関係で言うならば、もう申し上げましたように、デフレが、極端に言うと、デフレが続けば、それはもうマクロ経済スライドなんというのは全然調整のしようもないわけでありますからそのまま行ってしまいますし、年金の給付と水準の関係で全く計算をし直さざるを得なくなるということまでは申し上げられますけれども、私どもの立場から申し上げるのはそういうことになります。
#455
○国務大臣(竹中平蔵君) マクロ経済スライドの限界につきましては、今の厚生労働大臣の御指摘のとおりであるというふうに思います。
#456
○山本孝史君 竹中経済担当大臣にお伺いしますが、デフレはどうやって克服するんですか。いつごろまでにデフレは克服できるんですか。
#457
○国務大臣(竹中平蔵君) 社会保障制度の観点からも、また経済全般を活性化する観点からも、デフレの克服というのは我々にとって最も重要な課題でございます。
 先ほども少しお話し申し上げましたが、物価が下がっているないしは上がらない要因として、私は大きく三つ考えなければいけないと思います。一つは需給の関係、需給ギャップが大きいと物価は下がる。もう一つはマネーの関係、マネーが増えないと物価は上がらない。三番目がコストの要因で、その中には原油の価格等々も入りますが、賃金等々も入ってくるというふうに思います。
 今、需給は改善をしております。マネーにつきましては、今、日銀も御努力をいただいておりますし、不良債権も減ってきておりますので、引き続き、政府、日銀一体となってしっかりやらなければいけないということだと思います。コストの方は、これはなかなか難しい問題でございます。需給によってコストが決まってくる、海外の原油価格をコントロールできるのかという等々の問題もございます。
 賃金、したがって企業のマネーフローが、キャッシュフローが家計に及ぶという点が大変重要になってくるわけでございますけれども、最近の例で一つ注目しているのは、正規雇用が七年強ぶりに増加したと。今までずっと正規雇用が減ってパートに置き換えてきたわけですが、正規雇用が七年強、四か月ぶりだったでしょうか、増加したというような指標も出ておりますので、そういう点はやはりしっかりと伸ばしていくことが重要であると思っております。
#458
○山本孝史君 日銀はゼロ金利をもうずっと続けていて、マネーはじゃぶじゃぶなんですよね。賃金は、今申し上げているように、パートタイム置き換えで、なかなか、正規雇用になったとしても、ここ賃金が伸びてこない。あと、需給の問題はありますけれども。
 これいろいろ考えてくると、素人的に考えても、なかなか、国債が積み上がってくる中でデフレの脱却は非常に難しいと思わざるを得ないんですが、もう一度お願いします。あるいは、谷垣大臣も御答弁ください。
#459
○国務大臣(竹中平蔵君) デフレの脱却は難しいというのは、もうこれは御指摘のとおりだと思います。日銀も大変苦労しておられるし、我々も苦労をしております。経済全体が良い方向に向かいつつある中で、緩やかなデフレは続いていると認識をしております。
 今の、我々内閣府の試算でございますけれども、二〇〇五年度の消費者物価は、まあようやくプラスになって〇・一%プラスになるという見通しを持っております。GDPデフレーターにつきましては、二〇〇五年度、これは依然としてマイナス〇・三%の後、二〇〇六年度には〇・五%にプラスになるというような見込みをしておりますが、これを実現するために我々はかなりの努力をしなければいけないと思っております。
#460
○国務大臣(谷垣禎一君) 竹中大臣の整然たる説明に付け加えるものはありません。日銀と御一緒になって頑張ります。
#461
○山本孝史君 努力しなければいけない、いかなる努力をされるんですか、政府としては。
#462
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、需給が大分良い状況になってきたとはいっても、ここでは更に改善が必要でございます。したがって、やはり経済を活性化する、経済を活性化して需要を増やすというのがまず第一のポイント、この努力は続けなければなりません。同時に、マネーが増えるような環境を引き続きつくっていくということだと思います。
 マネーはじゃぶじゃぶだとおっしゃいましたけれども、確かに日銀は一生懸命お金を出して銀行までマネーはじゃぶじゃぶに出ている。しかし、それが世間に行き渡るという意味で、全体のマネーサプライの伸び率は非常に低い形になっていると。したがって、銀行部門の健全化、経済の活性化を通してそこを実現していきたいというふうに思っているわけでございます。
#463
○山本孝史君 まあお手並み拝見というところなんですけれども、マクロ経済スライドがずれてくると、ずっと後ろの若い人たちのところで結局その割を食うわけですよね。そのことを私は心配しているわけです、中年の域としては。
 それから、そのときに、やっぱりもう一つ厚生労働大臣がやれることは、先ほどの犬塚さんの話のとおりに、厚生年金加入者の中で、パートは落ちてくるという部分はあるし、正社員としてなっていたとしても賃金がずっと落ちてきますから、生産労働人口が落ちるという、生産労働人口が落ちるという上に賃金の、一人当たりの賃金が落ちてくるわけだから、総体として総賃金はこれから先やっぱり減ってくるというふうに見ざるを得ないんですよ。そのときに、やっぱりパートタイマーをしっかりと正社員の扱いにして、ここ賃金をきちっと立てて、企業の皆さん方も、パートタイマーに安く、ボーナスも出さなくていいからパートタイマーに置き換えるというんじゃなくて、きっちりと皆さんに払っていく、やっぱり労働の分配率を高めていくということでないと、私はここは年金だけじゃなくて、日本経済がもたないと思っているんです。
 だから、そういうやはり短時間正社員というかパートタイマーの均等待遇、私らはそう思いますけれども、きっちりそこをやらないと日本が駄目になってしまいますよ、本当に。どうぞ。駄目になるよ、本当に。
#464
○国務大臣(尾辻秀久君) 二つ大きく御指摘があったと理解をいたします。
 まず、パートタイマーの、私どもは均衡処遇と言っております、先生方の表現では均等待遇というふうになりますけれども、ここのところをしっかりやらなきゃいけないというお話が一つあったと思います。それも、そのとおりでございます。私どもも努力を続けてまいりたいと思います。
 それからもう一つは、そのパートタイマーの厚生年金への年金加入の話だというふうに、の御指摘だというふうに思いました。
 これも極めて大事なことでありまして、特にこの際に、雇用される側と、される側、いずれにも中立的な仕組みにするということが必要だと思っておりますけれども、そうしたことを踏まえながら、今後の検討にさせていただきたいと思います。
 特に、昨年の年金改正法で、五年後をめどにこれは総合的な検討を行い、必要な措置を講ずるという検討規定になっておりますから、ここはしっかりやらせていただきたいと存じます。
#465
○山本孝史君 竹中大臣、そう思いますよね。何とか、ここのやっぱり働き方というものが企業のマインドで変わっていく中で、その待遇をしっかりして賃金をちゃんと持ってもらうということでないと、年金だって払えないわけですし、日本経済全体としてはやっぱりもたないと私は思いますので、この企業のビヘービア、あるいは賃金の分配のされ方というふうなことについて、是非御答弁ください。
#466
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、労働市場では、非常に良い流れと更に改善を要する流れと両方が出ているんだと思います。御指摘のように、生産年齢人口、今毎年三十万人ぐらい減って母数が小さくなっている。実はその中で就業者は増えているんです。その意味では、経済活性化の効果は部分的だけれどもやっぱり出ているということだと思います。
 しかし、その中で正規の雇用者とパートタイマーの間での人件費格差がむしろ拡大している。いい例が、これはオランダモデルと言われるオランダの例でございますが、パートタイマーをしっかりとそういう正規の雇用、市場の中で位置付けることによって経済を活性化させたという、そういうことを成功であるという評価も専門家にはあります。
 私は、やはり長期的な流れとしては、これはもう委員御指摘のとおりなんだと思います。難しいのは、ここは厚生労働大臣も大変御苦労なさるところだと思いますが、しかし、やはりこれは雇用の慣行の中で、民間企業あり、働く人の立場があり、その中でやはり社会全体の成熟とともにそれを実現していかなければいけない。時間は少し要するのかもしれませんが、方向としては、私はそのような方向に向かっていっていると思います。
#467
○山本孝史君 まあそれは日経連の皆さん方のお話があって、この労働市場における規制緩和は物すごく進んで製造業まで派遣が入ってきて、今度北海道で人を雇って栃木で働かせたら北海道の最賃で働いていたというのはどう考えてもおかしいじゃないかと言うと働き先の最賃に変えるわけですよね。規制緩和に流れを任せているだけだから非常にひどい状態になっているわけで、やっぱり経営者の皆さん方も資本主義を守ろうというのであれば、それはやっぱり労働者にしっかりと賃金を払うというか、それで生活してもらって購買力を持ってもらうというふうに頭を考えてもらわないと、経済財政諮問会議でいろんな方たち来ておられる中で、皆さん方にも、是非、竹中大臣からも谷垣大臣からも、経営者がマインド、頭を切り替えてくれと、切り替えなきゃ日本が大変なことになりますよということを是非理解をさせていただきたいんですね。お願いします。どうぞ。低い方がいいというだけじゃ日本は終わりになっちゃうよ。
#468
○国務大臣(竹中平蔵君) 経営者も大変御苦労しておられるんだと思います。そこで、厳しい環境の中で、例えば月例の賃金はなかなか増やせないけれども一時払いの賃金で増やすと。業界によっては一時払い賃金が過去最高になっているというところも出てきておりますから、そこはやはり経営者は経営者として大変御苦労しておられるんだと思います。しかし、何といっても今までの雇用の慣行の中で我々は生きてきておりますから、それを少しずつ少しずつやはり調和を取れて変えていくというのが今求められている姿だと思います。
#469
○山本孝史君 三分ですので、谷垣大臣。
 社会保障制度、持続可能なものにしなければいけない、私もそう思います。しかし、谷垣大臣の御答弁聞いていると、年金と同じで、数字の上では持続可能になるかもしれないけど、社会保障制度としてはほとんど意味がない薄っぺらなものになってもいいんですかというのが私の質問です。
#470
○国務大臣(谷垣禎一君) 多分こういう場で議論しておられる国会議員、皆恐らく年金始め社会保障、このままでは持続可能ではないなと、みんなそこは共通の理解があるんだと思いますね。予算を組みましても、一年間の要するに政策経費、一般歳出の四三・一%が社会保障だというようなことで、それがしかも非常なカーブで伸びていると。ほかの分野の予算を見ますと、平成十三年度から平成二十年度の間にもういろんな予算が十数%減っている、二〇%減っている、この分野は四〇%減っているなんというところがあって、みんな社会保障の方に一年間の政策経費というものが吸い寄せられる形があって、これはなかなか長続きしないぞというのはみんな共通だと思います。
 それで、それをどうしてやろうかということで、私は持続可能が一番大事なんだから身の丈に合ったもんだと言っているわけですが、山本委員がお感じになられたことは、緻密にやっぱりきちっと積み上げて議論しなきゃいけないんで、何か昔の何かのギリシャ神話か何か知らないけれども、ベッドの大きさに合わせて足をぶった切るなんというようなことをやられたんじゃたまったもんじゃないという警戒感がおありなんだろうと思います。だから、多分、山本委員のお考えだと、お考えと私も実は共通のところがあるんですけれども、本当に必要な社会保障の給付というのは何なんだというところはきちっと議論しないと私も答えは出ないんだと思うんです。
 それからもう一つは、給付と負担というものはバランスしなかったらこれは長続きしないわけですから、じゃその負担が、みんなで担える負担は何なんだということもきちっと議論しなきゃいけないんだと思います。それで、これを相当ぎりぎりぎりぎりお互いに議論しませんと、それでお互いに議論しても答えは一義的に出ないんだと思います。最後は、何というんでしょうか、大きな政府がいいのか小さな政府がいいのかとか、やっぱりそういう価値観や生き方の問題もかかわってきますから、一義的に答えは私は出ないんだと思いますが、そういうことをやらないと、じゃ身の丈に合ったったって答えはなかなか出ないんだと思います。
 私が、ただ、あのような言い方をして山本委員からやや危惧の念を持たれていただいて、持っていただいているということは、逆に申しますと、私も余り政策議論というか、議運とか国対の世界で生きてきたものですから、やっぱりある程度スリムにしようと思うと、天井をかぶせるか帽子をかぶせるか、えいやって最後やらないとなかなかスリムにならないところがありまして、私のやや蛮カラ趣味かもしれませんけれども、そっちの方を今は強調して一生懸命申し上げているということでございます。
#471
○山本孝史君 えいやの一律カットになるというのは、行政はそうだと思うんだけれども、おっしゃっているように、私もじゃどこに使うのかというところが非常に大切ですねと。
 申し上げたのは、賃金の上昇率と経済成長はほぼ一緒、名目経済成長は一緒だというふうにこう考えてくると、今おっしゃっている経済財政諮問会議の中での名目経済成長率の中に社会保障費を全部収めますというと、賃金はここしばらく上がらないとなれば経済成長はしないわけだから、その中でどうやって抑え込むことができるということでああいうお考えを出しておられるのですかと私は政府の考え方を聞いているわけです。
 だから、どういうことでそういうふうな話になるんですか、竹中先生。
#472
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと御質問の趣旨をうまく理解できているかどうか分かりませんが、基本的には、やはり物価が正常に上がり、賃金が正常に上がると。そういう中で名目成長率も、まあ二〇〇六年度も二%を目標としておりますが、そういう状況をまず実現すると。それが、まあある意味でこうノーマルな状況でありますから、そういうことを想定した上で、それで制度についてしっかりと考えていこうと、そういうことであると認識をしております。
 まずは、したがって、やはりデフレ克服の努力を更に強化、継続強化することが大変重要であると思っております。
#473
○山本孝史君 それでね、名目経済成長率の中に社会保障の伸びを抑えるということは、今回年金で取った保険料上限固定方式の中ですなわち賄える、それで賄えるものにしようという同じ考えを持っておられるんだと私は理解しているんですね。
 問題は医療なんですよ。年金はさっき申し上げたように現金だからぺらぺらのものでもいけるかもしれないけれど、医療をどうやってこの名目経済成長率の中に収めるというお考えで経済財政諮問会議の中では議論しておられるんですか。どういう手だてを取るんですか。
#474
○国務大臣(竹中平蔵君) その中身を正にこれから議論しようということなんです。ただ、重要な点は、二〇一〇年代前半に医療費を中心に社会保障費は物すごく膨らむ可能性があります。その、までにやはり名目成長率とその社会保障費が大きく乖離する状況は何とか防ぐように、あと五年あるわけですから、その五年の間にそういう仕組みをつくろうではないかというのが民間議員の提案でございます。
#475
○山本孝史君 だから、申し上げているように、五年間で経済成長はデフレが脱却できないと伸びてこない、賃金伸びてこない。その中で五年間で医療費は確実に一兆円ずつ上がっていくわけですから、この五年間においてすらどうやって抑制するというふうにお考えなんですか。
#476
○国務大臣(竹中平蔵君) いえ、五年間の間にそういう仕組みをつくろうということなんです。一方で経済の活性化はいたします。その上で、五年間の間でそういったより中期のその制度に堪えるようなものにしていこうというのが趣旨でございます。
#477
○山本孝史君 三十兆円余りから毎年一兆円ずつ伸びていくようなこの医療費の伸びと同じように経済の名目経済成長率は伸びていくというお考えなんですか。
#478
○国務大臣(竹中平蔵君) この五年間ですね、毎年その伸びを五年間、その間に逐年その名目成長率の伸びに社会保障費の伸びを抑制しろと、そういう機械的なことを言っているわけではございません。
#479
○山本孝史君 そんなこと聞いていない。そんなこと言っていません。それは何回もここで聞いています、あなたの御答弁を。五年たったところでそれが収まるようなことにしているんですかと聞いているんです。
#480
○国務大臣(竹中平蔵君) それは、どのぐらいの枠、年、中期的な枠組みの中でそれを実現するかというのは今後の検討課題でございます。
#481
○山本孝史君 いやいや、今五年と言ったからね。いや、今五年とおっしゃったから、五年間の間にどうするんですかと、こう聞いたんです。
#482
○国務大臣(竹中平蔵君) 二〇一〇年代が来る前に、その枠組みを検討するような形で中期的な計画を立てようということなんです。それも踏まえて、そこのときに本当にもうそれができているか、さらにその先ある程度の年限を使ってそれが実現していくのか、それは今後の検討の中身です。五年間でその準備をしようということを申し上げているわけでございます。
#483
○山本孝史君 厚生労働大臣、そうすると医療制度改革、小泉さんが手掛けて全くそのままにほったらかしになっているやつだけども、これはいつまでに抑制されるということを念頭に置いた医療保険制度改革案は出てくるんですか。
#484
○国務大臣(尾辻秀久君) まず私どもが申し上げていますのは、十八年度に医療提供体制、そして医療保険の新しい制度、こうしたものを御提案申し上げますということを言っております。ですから、基本的にまずそういうことを言っております。
 ただ、今のキャップをかぶそうとかなんとかという話とは、これは私どもはなかなかそのことは難しいということも申し上げておりますから、必ずそうした答えと私どもが十八年度に出す答えがきっちり整合しているかどうかということは今の段階で申し上げられませんが、結果として私どもは抑制はしますと、結果として持続可能なものにしていくことはもう当然努力をしますというふうに言ってはおりますけれども、ただ、機械的にキャップをかぶせられてもそれは大変難しいですよねということも申し上げておりますので、それと完全に整合する答えになるかどうかというのは今の段階では申し上げられませんが、いずれにしても十八年度の頭のところでは私どもは私どもの答えを、答えを出しますということを申し上げているところであります。
#485
○山本孝史君 言葉じりをとらえるわけじゃないんですけども、十八年度の頭ということは来年の四月という意味ですよね。
#486
○国務大臣(尾辻秀久君) そういうことでございます。
#487
○山本孝史君 谷垣大臣が途中におっしゃったように、私も、制度として無駄を生じさせない制度にしなきゃいけない、税金なり保険料として重点的に使っていくというか効率的に使っていくというシステムに変えなければいけない。だけど、今日の尾辻厚生労働大臣は、基礎年金の負担は、私は不公平だと言ったけど公平だと、こうおっしゃるし、基礎年金は減額をしてもそれは問題はないんだと、基礎年金は考え方変えたんだからと、こうおっしゃっているわけだから、申し訳ないけど、私たち民主党が考えていることと与党の皆さん、少なくとも大臣が考えておられる今日の答弁とは全く違うんですよね。この違う土俵の中で話合いをするものは私はないんじゃないかと正直思うんです。
 だから、もう少し前向きに、どう変えていかなければいけないのかということで両方力を合わせてやっていこうというふうに言わないと、今の答弁だと、何にも悪いことはないんだと、こうおっしゃっているままでは私は駄目ですよということを申し上げているから一生懸命こうやって、前回も、何でおまえ、あんな優しい質問するんだと言われているわけですよ。それは、お互いがちゃんとやっていかなきゃいけないからということを考えて、竹中経済財政担当大臣がおっしゃったように……
#488
○理事(阿部正俊君) 時間が来ましたので、まとめてください。
#489
○山本孝史君 将来の状況、経済状況等、人口構造をよく見定めて、みんな認識を一緒にして、それでどうするかということを考えるときに問題点は何だというふうに御説明されないと議論は前には進みませんということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございます。
#490
○理事(阿部正俊君) 以上で前川清成君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#491
○理事(阿部正俊君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
#492
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 先日、竹中大臣と景気の話で、企業利益が賃金、家計に波及しない最大の理由の一つが、先ほどもございましたけども、非正規雇用の拡大の問題だという議論をいたしました。今も山本議員がしっかりした主張をされましたので繰り返しませんけども、ただ、一言申し上げておきますと、先ほど竹中大臣言われた、正社員がこの間増えていると言われますけども、その三倍の数で、三倍の数で非正社員が増えておりますので、非正規雇用の流れは全然止まっていないし、むしろ加速しているということを御認識いただきたいと思います。
 今日はその議論ではなくて、その非正規雇用の中身そのものの実態を是非御理解いただきたいと、その議論をしたいと思いますが、この非正規雇用は、派遣労働とか、この前も取り上げました請負労働という形で若い人たちがたくさん働かされているわけですけれども、先日もエコノミストがこの「娘、息子の悲惨な職場」ということで特集を組んでおります。非常に社会問題化しているという点も御認識いただいた上で、幾つか問題点を指摘したいと思いますけれども、私はまず、この人材派遣業界がもうこの若い人たちあるいは女性を物扱いにしている、そういう風潮が非常に強まっているということに非常に憤りを感じております。
   〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
 例えば、今急成長していますけれども、テレビのコマーシャルでやっていますね。オー人事オー人事とやっているあのスタッフサービスですけれども、あそこは派遣スタッフの無料お試しキャンペーン、化粧品みたいな無料お試しキャンペーンとか、納期の短縮化とか、人間を納期の商品のような、こんなことを社長が言っているとか、あるいは後で取り上げますが、請負業者最大手のクリスタルグループ、このクリスタルグループというのは、なかなか秘密の会社といいますか、全貌が明らかにならないんですけれども、そこのパンフレットを手に入れました。これは特定の企業にしか、特定の企業の人事担当にしか回さないというのを手に入れましたけれども、この中では女性化推進しましょうと、女性化推進というのがあるんですね。何のことかといいますと、女性は低賃金だからもっと女性を増やしましょうと、こんなことを会社に売り込んでいる会社ですね。
 こういうことが今人材派遣業界の風潮になっていると。若者と、あるいは女性を何だと思っているのかというふうに思います。
 これは尾辻労働大臣にお聞きしたいんですけれども、こういう人材派遣業者の風潮そのものを大臣としていかが思われますか。
 大臣。
#493
○委員長(中曽根弘文君) 後から。
#494
○政府参考人(青木功君) 労働者派遣あるいはその他のパート化、その他雇用の多様化が進んでおります。
 厚生労働省といたしましては、労働者派遣事業を営む皆様に、法律を遵守した、そして労働者を尊重した営業をしていただくというふうに要請をしておるところでございます。
#495
○大門実紀史君 そんなこと聞いてない。
#496
○国務大臣(尾辻秀久君) もう一言でお答えいたしますが、好ましいことではないと考えます。
#497
○大門実紀史君 まあ本当に機会があれば注意をしてもらいたいと思います。
 こういう中で社会問題化しているのが、業務請負の問題でございます。人材派遣と業務請負の違いを簡潔に説明してくれますか。
#498
○政府参考人(青木功君) 労働者派遣は、自己の雇用する労働者を他人の指揮命令を受けて当該他人のために労働に従事させることと言っております。また、請負は労働者派遣のように労働者を他人に供給するものではなく、単に労働の結果としての仕事の完成を目的とするものであるというふうに理解しております。
#499
○大門実紀史君 要するにですね、製造メーカーで業務請負というのが今百万人を超えて請負労働者が使用されているわけですけれども、メーカーのメリットは何かといいますと、簡単に言いますと、人材派遣の場合は派遣会社が社会保険に加入させなければいけない、メーカーも入っているかどうか確認しなきゃいけない。ただ、この業務請負では、社会保険に入っていようが入っていまいがどんどん使えるわけですね。あるいは、人材派遣の方では、製造業には一年未満という、一年以内という派遣の期限がありますけれども、業務請負だと幾らでも期限がなく使えると。派遣よりも人件費が安いと、仕事がなければいつでも首が切れるというふうなことで、ほとんど働いている方の七割は二十代、三十代の方なんですけれども、そういうことで、いいように使われているのがこの業務請負の実態でございます。
 竹中大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、この業界の最大手、この業界そのものが一兆円規模と言われています。今一兆円規模のもう大変な業界になっているわけですね、請負業というのは。その最大手がクリスタルグループです、先ほど申し上げました。
 この会社は京都に本拠地を持っていますが、やみ夜のカラスと言われています。つまり姿が見えないんです。なぜ姿が見えないかというと、全国に物すごい数の子会社をつくって、それに業務請負をやらせているということで、大変いろんな問題を起こしておりますけれども、私、例えばここの名古屋にある会社の登記簿を手に入れました。
 これがそうなんです、実物なんですけれども、もう二か月に一遍登記を、社名を変えている、この子会社は。つまり、いろんなトラブルを起こして、あるいは監督署の検査来るんじゃないかと、こんなことで、どんどんどんどん登記を、社名を変えているんですね。ただ、相手先のメーカーの方はそれを承知で、会社の名前変えても引き続きそこからの請負労働を受け入れていると、これがやられております。それがクリスタルグループのいろんなところでやられている実態です。
 さらに、資料をお配りいたしましたけれども、これは許せないなというのが、先ほど、パンフレットを手に入れた、中にあるクリスタルの出向転籍システムです。
 これだけ見ると何のことかと、分かりませんと思いますが、いろんなところで実際に行われたシステムですので、簡単に言いますと、ある企業がリストラをしようとすると、その対象者をまずクリスタルグループに、工場で働いている人を出向、転籍させるわけです。ですね。このクリスタルグループはその取引先のA社、B社、C社に更に出向させるわけです。更にやられるわけですね。その過程で、今までと違う仕事、あるいは全然条件の違う仕事をやらされて、たくさんの方がもう脱落していく。辞めていきます。で、残った人をクリスタルグループが引き取って、これを請負労働者としてまたその会社に送り込むとか、ほかのところに労働者として送り込むと、こんなことが平気で行われております。これはもう、会社がリストラやりたいと言ったら引き受けますと、社員の整理と最後に残った人間まで引き受けますというふうな、もう全くリストラと結託してうまみを吸おうという、そういうシステムでございます。
 ひどい場合は、あるメーカーをリストラされて、こうやってぐるぐる回されて、結局、派遣、請負労働でまた同じ工場に仕事させられると。同じ仕事をすごい低い賃金で、労働条件も非常に悪くやらされると。元自分が働いていたところに、今度は請負労働者として送り込まれると。こんなことが一杯事例として今起きています。これは実際に大手電機メーカーのリストラ、大手スーパー、名前を言えばすぐ分かるような大手スーパーや、大変有名になりました百貨店の破綻のときにこういう仕組みが使われました。
 竹中大臣にお聞きしたいのは、竹中大臣も、企業は構造調整必要だということを奨励もされてまいりましたけれども、幾ら何でも、竹中大臣でも、ここまで来るとちょっとひどいんではないかというふうに思われると思いますけれども、いかがですか。
#500
○国務大臣(竹中平蔵君) この会社の名前、今初めてお伺いしまして、それでシステム等々もこの会社について私はちょっと、全く承知しませんので、ちょっとコメントはできる立場にはございません。
 ただ、いずれにしましても、企業は経営をしっかりとやらなきゃいけない。その場合に、当然、労働に関しては、これはしっかりとしたルールがあるはずでございますから、これが労働監督に基づくルールなのか、それを逸脱している場合は、例えばそれは労働者の権利として訴訟等々が起こってしかるべきだと思いますし、そういう中に私たちの社会はあるわけですから、そこにやはり担当部局、それぞれあると思いますが、しっかりとやはり見ていただくということだと思います。
#501
○大門実紀史君 ですから、訴訟が起きているんですね。だから、社名をどんどん変えて逃げているという実態があるわけです。
 更にひどいのは、このクリスタルグループの会社では、請負労働者に給料を前貸しをして、そして高金利を取っていると、この実態が、資料が手に入りました。
 これは徳島のあるクリスタルグループの子会社で、ちょっと資料を配るわけにいかないんで、ここに実物ありますけれども、給与明細です。仮払金ということで前借り金の清算がされていますが、金利が月四%引かれてやられています。
 もう一つは、これはクリスタルグループとの関連がまだはっきりしませんけれども、ここでは給料の前借りをさした者に対して週五%、毎週五%の利息を労働者から天引きしているとなっています。
 ちなみに、この徳島のところは、このクリスタルの子会社のダイテックというところですけれども、顧問弁護士が違法だということを認めて返却しますということになっているから、子会社も認めている事例でございます。
 これが、今手元に入っている資料はまだあります。いろんなところのクリスタルの子会社で行われている可能性があるというふうに思います。
 厚生労働省にお聞きしますけれども、そもそも労働基準法では給料から、給与から天引きできるケースというのは限られていると思いますが、いかがですか。
#502
○政府参考人(青木豊君) 労働基準法第二十四条第一項では、賃金の支払につきまして、原則として賃金はその全額を支払わなければならないと定めておりまして、その同項ただし書によりまして所得税法等、所得税等の源泉徴収あるいは社会保険料の控除など、法令に別段の定めがある場合、それからもう一つ、当該事業場の過半数で組織する労働組合等との書面による協定がある場合には賃金の一部を控除して支払うことができるとされております。
#503
○大門実紀史君 このダイテックには労使協定もありませんから、違法な天引きでございます。
 もう一つ、十七条には借金を給料で相殺してはならないというのがあると思いますが、いかがですか。
#504
○政府参考人(青木豊君) 労働基準法第十七条では、使用者は前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金を相殺してはならないと定めております。
#505
○大門実紀史君 なぜこのクリスタルグループがこんな前貸し制度で、またこれでももうけようとしているのかというと、請負労働者というのは、あちこちの地方の工場に急に派遣されて、仕事がなくなったら派遣される。若い人ですし、賃金も安いし、仕事は切れるというところで、お金が足りない状況が続いているわけですね。それに付け込んで、貸してやりますよと、で、金利を取ると。こういう、もうこれ今の豊かと言われている日本でこんなことが行われていいのかという事例だというふうに思います。
 尾辻大臣、お聞きいたしますけれども、これはもう明らかに労働基準法、今回答ありましたとおり違反でございます。これは、クリスタルの子会社、調査に入るべきではないかと思いますが、いかがですか。
#506
○国務大臣(尾辻秀久君) お話しのように、労働基準法に反して、反す行為というのは、これは私どもとしては許すわけにいかない行為でございますから、そこのところはしっかり調べさせていただきます。
#507
○大門実紀史君 後で必要な資料、必要でしたら資料をお渡しいたしますんで、調査に入ってもらいたいと思います。
 更に問題なのは、請負労働という形を取って実際には派遣をしているという形が横行しています。この偽装請負、つまり派遣法違反について、どういうことなのか、ちょっと解説をしてもらえますか。
#508
○政府参考人(青木功君) いわゆる偽装請負、違法派遣でございますが、いわゆる偽装請負とは、形式上は請負契約であるものの、実態としては注文主と労働者との間に指揮命令関係が生じている形態で就労させているものと理解されておりまして、この場合には労働者派遣に該当することになり、本来、労働者派遣法の適用を受けることになるわけでありますが、いわゆる偽装請負のケースについては、労働者派遣事業の許可を受けていなかったり就業条件の明示が行われていないなど、労働者派遣法に基づいた適正な労働者派遣となっていないことから、同法に違反するものとしていわゆる違法派遣というふうに私ども申しております。
#509
○大門実紀史君 つまり、なぜそんなことが横行しているかといいますと、請負、業務請負ですと、その会社から監督者も一緒にメーカーならメーカーに送らなきゃいけない。ところが、それをもう面倒くさいといいますか、その人件費ももったいないから人だけ送るわけですね。人だけ送っちゃうわけですね。これは派遣法に、本当なら人材派遣なのにそういう形でやっているから違法になるということです。
 偽装請負の実態について、つかんでいるデータがあれば教えてください。
#510
○政府参考人(青木功君) 偽装請負の実態についてでございますが、平成十五年度の労働者派遣事業にかかわる指導監督におきましては、請負で行っていると称する事業主及び受入先に対して、全国で七百八十六件の指導監督を行い、そのうち二百四十八件については具体的に文書による指導を行いました。
 また、東京労働局でございますが、独自に、平成十六年十月と十一月の二か月間に派遣業務請負適正化のキャンペーンを実施をいたしましたが、この中では、関係機関からの情報提供により偽装請負の疑いのあった七十一事業所に対して調査を行ったところ、そのうち五十七事業所が是正の対象となりました。また、是正の対象となった五十七事業所に対し、指導の対象となったいわゆる業務請負契約以外についても自主点検を求めたところでございますが、約三万八千件の業務請負契約について改善の必要がある旨の報告を関係者から受け、必要な指導を行ったところでございます。
#511
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 この氷山の一角にすぎないわずかな調査でそれだけの数が出てきたわけですからね。
 資料の二枚目に電機連合の資料が付けてありますが、「請負スタッフの指揮命令」というやつです。これはつまり、メーカーの社員が指揮命令をしているという部分が、これが違法になるわけですね。本当は請負会社からだれか行って指導、指揮しなきゃいけないのが、メーカーの社員が指揮していると。つまり、六割以上が違法派遣が横行しているという実態を示す数字でございます。
 これが、労災事故が起きた場合、このメーカーの現場で労災事故が起きた場合、まず正社員と請負労働者、正社員、派遣労働者、どういう補償の違いがあるか、分かる範囲で教えてください。
#512
○政府参考人(青木豊君) 労災保険はすべての労働者を雇用している事業場に適用がなされますので、したがって、正社員と派遣の場合で適用関係について変わるところはないと思いますが、例えば事業場が違うことによって賃金、賃金に言わば反映して労災給付補償がなされるという面がございますので、そういったところの違いというのは出てこようかと思います。
#513
○大門実紀史君 とにかく、同じ現場で同じ仕事をしていても命の値段に、死亡の場合でしたら差が付くと。正社員だったら会社からの弔慰金も出ますしね。
 こういう、今製造現場での労災事故の半分は請負労働者、派遣労働者でございます。その場合だとメーカーの方は労災保険というのはメリット制というのがあって、労災事故が少ないほど保険料安くなりますから、メーカーの方が保険料安く済むという点でもこういう労働者が使われているわけですけれども、日立製作所の中で労災事故が九月に起きました。概要を説明してくれますか。
#514
○政府参考人(青木豊君) 日立製作所日立事業所構内におきまして、平成十六年九月二十八日、やけどによりまして労働者二名が死傷いたしたものでございます。
#515
○大門実紀史君 手元に、その日立製作所自身が出した請負構内重大事故報告書というのがございます。
 二人は、先ほどここで言いましたクリスタルグループの別の子会社から一人ずつ派遣されてその作業をしておりました。一人亡くなられて一人重傷です。三十八歳の方が亡くなられて、お子さんもいらっしゃるんですけれども、若い方も重傷でございます。
 これは、私は、この日立の報告書、手に入れてみたら、要するに、本来ですとメーカーの人間が指揮命令しなきゃいけないのにいない。あっ、ごめんなさい、指揮、だれか指揮する、命令する人がいなきゃいけないのに請負会社からだれもいない。つまり、日立自身が指揮命令をしていたというのがこの報告書からも明らかでございます。
 つまり、偽装請負の疑いが非常に濃い、非常に濃いわけですね。これ、日立が責任あるわけですけれども、日立は責任取らない。請負会社の責任だとすると、この日立が本来取るべき責任が不問に付されます。これは明らかに偽装請負だと思いますが、調査をされておりますか。
#516
○政府参考人(青木功君) この労働災害につきまして、所轄の労働基準監督署において調査を行っていると承知をしておりますので、そちらの関係についても併せて調査されることになろうかと存じます。
#517
○大門実紀史君 尾辻厚生労働大臣にお聞きします。
 この日立の偽装請負絡みの一人死亡された問題は、もう調査に入って半年掛かっております。幾ら何でも時間が掛かり過ぎだと思います。私は、幾らこの日立製作所という世界の日立相手でもきちっとした調査をお願いしたいと、是非、大臣の指揮できちっと調査するように言ってもらいたいというふうに思います。お願いいたします。
#518
○国務大臣(尾辻秀久君) 私も、所轄の日立労働基準監督署において調査をしておるという報告は聞いておりますから、どういう調査をしておるか、これはきっちり報告を聞きます。
#519
○大門実紀史君 まだここにクリスタルの内部資料が一杯ございます。全部厚生労働省に差し上げても結構でございますので、この際、このやみのカラスと言われていますクリスタルグループ、厚生労働省が全面的に調査に入られることを要望して、関連質問に譲ります。
#520
○委員長(中曽根弘文君) 関連質疑を許します。仁比聡平君。
#521
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 私は、日本道路公団の特定企業との癒着問題についてまず質問をしたいと思います。
 北側大臣に配付資料の一、二ページ、まずごらんいただきたいと思うんですが、まだ届いていないですか。
 これの二枚目というのは、私のこの問題での資料要求のファクスなんですね。一枚目に戻りますと、これは国土交通省の国会連絡室から道路公団にあてた表書き。この二枚は、その私の資料要求の二日後の十二月の二日に私の事務所に届けられたわけです。議員がこの資料要求の国土交通省の表書きを、これを見るということはこれは通常あり得ないことなわけで、要求した資料ではなくて、こんなものが届いたというので私は大変びっくりしたんですけれども。
 実は、大臣、これは私が、内部告発を受けて道路公団との癒着関係が疑われている企業、その資料要求の文書にありますが、出てきますが、アンダーソンテクノロジー社というこの会社の関係者から私のところに届けられたんですね。つまり、この二枚が私の手元にあるという事実は、癒着の疑惑の国会議員の資料要求が事もあろうか、その疑惑対象の企業に筒抜けだったという明白な証拠なんですよ。大臣はこのことをどうお考えになるでしょうか。
 私、直ちに国土交通省に調査を要求しましたが、今日まで回答がないわけです。大臣の御見解を伺いたいと思います。大臣。
#522
○国務大臣(北側一雄君) 委員からの資料要求は、これは日本道路公団関係に関する資料要求でございますので……
#523
○仁比聡平君 そうです。
#524
○国務大臣(北側一雄君) 当然、その資料要求への対応につきまして、日本道路公団の方に対しまして国土交通省の方から、こうした資料要求があるということで、その旨を伝えてあるということでございます。
 今委員の御指摘の、そのそもそもこの対象になっている、問題になっている企業の方にこうした資料要求をしているという書類が行っておるということにつきましては、まあ流出しておるということでしょうか、ということに関しましては、現在日本道路公団で、これは当然国土交通省から流れているわけじゃございませんので、日本道路公団で調査中というふうに聞いておりまして、いるところでございます。
 ただ、いずれにしましても、こうした文書管理についてはきちんと厳正にするのが当然のことでございまして、適切に当然行われないといけないというふうに思っております。
#525
○仁比聡平君 この関係者、私のところにこの資料を届けてくれた関係者はこう言っています。資料要求を私がした翌日、つまり十二月一日には社長がこの二枚を手に入れて社内で対策会議を開いた、そこで社長は道路公団の技術系幹部からこの文書を入手したと、こういうふうに言っているわけです。アンダーソンの副社長は、社長から文書を見せられた、打合せでも話は出たと、こういうふうに認めています。
 少し見にくいですけれども、このペーパーの一番下のところ、よくごらんいただくと、十二月一日十七時二十六分付けでこの二枚の資料がどこかにファクスをされたという送受信記録が残っているわけです。
 今日、道路公団総裁においでいただいていると思いますが、総裁、つまり道路公団から漏えいしたということじゃないんでしょうか。公団が私の資料要求をどういうふうに扱って、そしてこれが漏えいをしたという事実についてどんな調査が行われて何が明らかになったのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#526
○委員長(中曽根弘文君) 日本道路公団近藤総裁。こちらの答弁者席で。
#527
○参考人(近藤剛君) 起こってはならないことが起こったということでございます。報道に接しまして私自身大変驚きました。したがいまして、直ちに監査室が中心となって調査をいたすように指示をいたしました。
 現時点までの調査におきましては、公団内の、先ほどお尋ねの本人も含めまして、関係者全員の当該請求文書についての聞き取り結果出てきておりまして、それによりますと、各人、慎重にそのような情報は取り扱うべきだと認識を持って保管、管理し、あるいは既に廃棄処分しておりまして、資料要求文書について外部に話したりコピーを渡したりした事実は認められていないということでございます。これはまだ中間報告でございます。
#528
○仁比聡平君 いや、だったら、そういう今の総裁のお言葉が本当だったら、私のところにこれが届くわけないわけですよ。あるわけないわけでしょう。
 このアンダーソンテクノロジーという会社、ここについて伺いますけれども、ここには公団のOBが天下りをしていますね。その実情についてお答えをいただきます。
#529
○参考人(近藤剛君) アンダーソンテクノロジー社に確認をさせていただきました。現在のところ、公団OBが顧問として一名在籍しているということでございました。また、過去についてやはり聞き取りいたさせました。その結果、過去五年間に同社に在籍した公団OBは四名いたということでございます。
#530
○仁比聡平君 総裁、通告でその方々のお名前、それから公団での在職の役職、アンダーソンテクノロジー社での役職、お答えいただきたいとお伝えしていたと思います。
#531
○参考人(近藤剛君) お答えいたします。
 確認いたしました四名の状況、公団退職年月日の新しい順に申し上げますが、一人は平成八年六月三十日に退職をしておりまして、十五年、平成十五年四月一日から専務取締役として平成十六年十二月二十八日まで在籍をしたということでございます。
 なお、四名の具体的な氏名につきましては、本人のプライバシーに関することでありますので具体的な名前は差し控えさせていただきたいと、そういう返答であったそうでございます。
 二人目でございますが、平成四年二月二十九日に公団を退職した職員でございます。平成十一年十二月一日に取締役としてアンダーソンテクノロジーに再就職し、平成十七年一月五日まで在籍をしたということであります。
 三番目の人物は昭和五十四年、昭和五十四年でございます、五月一日に公団を退職をいたしました。そして、平成十五年五月に顧問として就職をし、現在も在籍中であると、先ほどお答えしたとおりでございます。
 四人目の職員につきましては、昭和四十八年六月に公団を退職いたしました。平成十三年十二月に副社長として同社に就職をいたしまして、平成十五年十一月ころまで在籍をしていたと、そのように承知をしております。
#532
○仁比聡平君 お名前を出されないということですけれども、時間の関係ありますので続けていきますけれども。
 今総裁、さらっと在職の終期ですね、終わり、いつまでいたかお話がありましたけれども、一人目が十六年の十二月二十八日、つまり昨年の末。もう二人目は今年の一月ということですね。つまり、公団のOBがアンダーソンテクノロジー社に天下りをしていて、私のこの問題が起こってからその二人が、そのうち二人が辞められたというんですから、決して無関係ではあり得ないと思います。
 私が調べたところでは、そのほかの、今御紹介のあった天下りも、まず国土交通省から公団へ天下りをして、その後行った人、あるいはアンダーソンの現会長というのは旧建設省OBだというふうな調べになっているわけです。つまり、この会社というのは国交省やあるいは公団と極めて密接な関係にある。
 一方で、公団側ですが、私の資料要求に出てきます角谷務さんというこの人物、この人物はこの問題が発覚した後に更迭されたんじゃないですか。お聞きいたします。
#533
○参考人(近藤剛君) お尋ねの角谷務氏に関してでございますが、昨年の十二月まで本社の技術部長を務めておりました。現在は研究所、試験研究所の調査役に転じております。
#534
○仁比聡平君 それを世間では更迭したと言うと思うんですね。
 こうしてみますと、社長がこの文書をもらったというその公団の技術系幹部というのはこの角谷さんなんじゃないですか。漏らしてならない事実、文書を幹部が漏らしたと、この点について総裁、改めて厳正な調査を求めたいと思いますが、いかがでしょう。
#535
○参考人(近藤剛君) 先ほど中間報告ということで申し上げましたが、本人にも確認をした限りではそのような事実はないということでございます。現在、調査を継続中でございます。
#536
○仁比聡平君 いや、到底納得できる答えじゃないんですよね。
 そのアンダーソンと角谷氏の関係というのは、これは極めて異常なものなんです。アンダーソンテクノロジー社は、プレストレストコンクリート橋梁、いわゆるPC橋梁の関係を扱っている建設資材の卸会社で、そこが扱っているものに定着具というのがあります。これ、アンダーソン工法も含めて主に七種類工法があるんですけれども、これは内部告発を受けてそのシェアを調べてみて、私、大変驚きました。
 国土交通省発注の橋でも道路公団の橋でも定着具が使われるわけですが、北側大臣、国土交通省発注の橋、橋梁で、鋼材の重量ベースで見たときのアンダーソン工法のシェア、これは何%になりますか。
#537
○政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。
 平成十一年度から平成十五年度のPC橋梁新設工事における鋼材の重量は計四万八千三百六十三トンとなっておりまして、そのうちアンダーソン工法は五千四百九十七トンということで、約一一%となっております。
#538
○仁比聡平君 総裁、公団でのシェアは何%ですか。
#539
○参考人(近藤剛君) 公団の発注工事におけるアンダーソン工法のシェアは、平成十一年度から十五年度の鋼材重量ベースの平均で六二%となっております。
#540
○仁比聡平君 本当に圧倒的な驚くべき違いだと思います。どうしてこんなことが起こるのかと。あるPC協力工事業者、こう言っているんですね、性能は基本的に変わらないのに、後発の会社が道路公団ではなぜこれだけ強いか、業界の七不思議だと。
 総裁にお尋ねしますが、どうしてこうなっているんですか。
#541
○参考人(近藤剛君) 公団におきましては、PC定着工法は工事の請負人がその都度任意に選定をした上、公団の承諾を得て使用する定着工法を決定をしております。したがいまして、公団が定着工法を指定するようなことは契約上あり得ないということでございまして、当該工法の施工実績については、工事の請負人と定着部の販売会社間における商取引の結果であると考えられるとのことでございます。
 いずれにいたしましても、それらの点も含めまして、引き続き慎重かつ厳正に調査を行わせているということでございます。
#542
○仁比聡平君 その受注業者が、私たち調査をしました、公団でこの会社以外の製品を使いたいと言うと、ほかの話にかこつけて嫌がらせをされると、こう言っているんですよ。何をてこにしてその圧力が掛けられるか。それが、配付した資料の三枚目、四枚目、これです。
 総裁に、共同発明者と書いてある欄、まずごらんいただきたいと思いますが、これ角谷務氏の特許出願状況を九〇年以降調べたものですけれども、アンダーソンテクノロジー関係が、これがずらっと並んでいるでしょう。全部で二十七件、五十一件のうち二十七件、アンダーソンテクノロジー社、これが並んでいる。つまり、アンダーソンが特許を実際に受けられるかどうか知りませんけれども、関連工法の特許出願を次々にやって、そこに公団技術畑トップのその角谷氏の名前を並べる、それによって受注業者にその製品を使わざるを得ない、そういう圧力を掛けるという、そういうからくりじゃありませんか。それで初めて六二%という異常なシェアが理解できると思います。
 正に癒着によって不公正な利益を上げさせたのにほかならない。どうですか、総裁。
#543
○参考人(近藤剛君) そのようなことも含めまして、現在、厳正に調査をさせております。
#544
○仁比聡平君 もう一点ですけれども、その表の公団への届出年月日、一番左側の欄見ていただきたいと思いますが、昨年十一月十六日、ここにずらっと届出が並んでいるじゃないですか。こんなに一遍に発明するなんてあり得ないでしょう。それ、結局、届出を公団に対してせずに、それらの関係の会社の利益を上げさせて、そして、本来なら公団の工業所有権に属するべき、知的財産権に属するべきその利益、それをこの角谷氏も含めて自由にできるようにする、そういう仕組みになり得るんじゃないですか。総裁、どうですか。
#545
○参考人(近藤剛君) 発明の届出が特定の日に集中しているという点につきましては、実は昨年、公団内に設けました業務改革本部がすべての業務の洗い直しをやっておりまして、昨年夏に、公団の知的財産権確保のための改善策の一環として、未提出の発明届出書を速やかに提出するように指導をした結果であるということであります。したがいまして、その提出期限であった平成十六年十一月十六日に集中したという事情があったということでございます。
 ただ、問題は、それまでの間届出が遅れていたということでございまして、そのような理由等につきましても、現在、厳正かつ慎重に調査を進めさせているということでございます。
#546
○委員長(中曽根弘文君) 時間でございますので、おまとめ願います。
#547
○仁比聡平君 正に公団と特定企業の癒着の氷山の一角が浮き彫りになったと思います。
 引き続き、公団、政府が徹底して調査をして、国会に、そして国民に明らかにすることを強く求めて、私の質問を終わります。
#548
○委員長(中曽根弘文君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#549
○委員長(中曽根弘文君) 次に、渕上貞雄君の質疑を行います。渕上貞雄君。
#550
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 新潟の中越大地震災害復旧工事の代金の支払状況についてお伺いをいたします。
 御案内のように、昨年の十月に起きた新潟中越大震災の復興、復旧工事は、現在、十九年ぶりの大雪の中で今もなお懸命に行われております。発注者として現場を管理する国や県、市町村の担当者や、現場で作業に当たる建設業者と労働者は大変な御苦労をされていると思います。特に、日常市民生活に直結をする道路やトンネルの復旧工事では二十四時間体制で作業が進められており、関係各位の御尽力に対してこの場をかりて感謝の意を表しておきたいと思います。どうか労災事故のないようにくれぐれも安全には万全の心配りを行っていただき、防止措置をとってくださるようまずはお願いを申し上げておきたいと思います。
 そこで、お尋ねでございますけれども、復旧工事に当たる末端の建設業者や労働者に対する工事代金の支払は間違いなく確実に行われているのかどうかということであります。
 地元の業者や労働者から聞き取り調査を行いましたところ、その作業に当たった地元の中小企業建設業者から、ともかく間に合わせろと、そういう指示がされて完成をしたのに、工事代金の方は支払が大変遅れている、資金繰りが大変だということでございました。生活道路を開通させるために昨年末まで完了させた復旧工事の代金支払はどんな条件で行われたでありましょうか。それから、通常の工事代金の支払、通常は前渡金四〇%、清算金六〇%と同じように行っているのでしょうか、それとも緊急工事ということで特別な支払条件を設定をしているのか、お伺いをいたします。
#551
○政府参考人(峰久幸義君) 公共工事の代金の支払については、御指摘のように、工事着工前に前払金を支払っている、残余のものについては工事完成後に支払うということとされております。その場合、国土交通省におきましては、前払金としては、代金総額の四割、さらに一定の大規模な、一定の時間を要するようなものにつきましては、中間で更に二割の中間前払金を支払うことが制度上は可能となっております。
 そういう中で、災害復旧工事につきましても、代金の支払制度については同じでございますが、災害発生直後に緊急に工事を行わなければならないという、そういう事情がある中で、代金の支払に関する手続の円滑化等には努めてまいっております。今後も努めてまいりたいと思っております。
#552
○渕上貞雄君 次に、支払の条件の繰上げについてお伺いをいたします。
 通常の公共事業は、役所の積算がまずあり、その上で幾つかの業者が参加をして入札が行われ、その結果、落札業者と役所の間で工事契約が結ばれ、工事が始まります。ところが、私たちが聞いたところでは、年末までに完了させた道路復旧工事の大半は、ともかく急げと、こういうことで、通常の見積作業や入札、契約手続にはことごとく省略をせざるを得ませんでしたと。このため、今回は施工する業者は役所が指名をして、着工前に工事契約の詳しい内容、特に工事代金を幾らにするかを決めずにスタートをせざるを得なかったと聞いております。
 そんな具合にスタートをしたもんですから、支払代金の金額や条件を決める査定が行われたのは、工事が完了した後の、ようやく今年一月中旬になってからだと言っております。そして、二月の二十日過ぎになって工事代金の前渡金が支払われましたが、その金額は通常の公共工事と同じ割合で、総額の四〇%にとどまっております。次の支払は三月十五日過ぎ、最終支払が完了するのは六月に入ってからではないかと言われております。
 末端業者から見れば、とにもかくにも急げと至上命令を受けて復旧に協力したのにこれは一体何だと。で、工事代金が手に入るのは三か月も四か月も先送りじゃないかということで、実は悲鳴が上がっているというのが実態でございまして、もう一つ業者が悲鳴を上げている事情は、具体的な施工条件などを煮詰めなかったという上に、年内完成はともかく優先と言われたというのが実態なので、仕上げた後で査定を受けたときになって初めて、国や県からこんな舗装の仕上げ具合ではできが悪いとけちを付けられたり、分かりやすく言えば値切られる、こういう不満が業者の間にあるようであります。
 私は、理由なしに業者に色を付けて支払えばいいと言いたいわけではございませんで、しかし、やはり末端業者の不満もそれなりに耳を傾けていく必要があるのではないかと思います。加えて、魚沼町は御存じのとおりに豪雪地帯でありますから、冬場は通常の建設工事はほとんどありませんし、ただでさえ資金繰りが苦しいというのですから、こんな事情も考慮をすべきだと私は思います。この時期に突貫工事をやった仕事の代金がなかなか入ってこない。ところが道路舗装に必要な原材料、例えばアスファルトなどの合材や砂利などの代金は仕入れ業者から通常どおりのお金として支払いと。しかも通常よりも多くの請求額が来るわけでございます。
 労働者に支払う賃金も、ふだんよりも多く残業させたり、場合によっては二十四時間作業をさせなければ、かなりさせたりしておりますから、かなりの金額が必要となります。これは労働基準法の定めるとおり一か月以内に支払わなければなりませんし、しかも、これらの労働者の多くは自分自身も被災をしており、家族が避難所暮らしをしてる中で市民みんなのために多大な犠牲を払って復旧を、こういう復旧に協力しているというのが実態でございまして、そこに働いている労働者でもあります。
 これではどう考えても作業に当たって業者はもたないんではないかと。せっかく頑張って、末端業者が干し上がっていくのではないかと心配をするわけでございますけれども、場合によってはこれら末端業者の賃金の不払や残業の不払が起きかねませんし、国も県も、豪雪地帯である事情や末端業者の経営維持と労働者の雇用を考慮して、早期に代金精算が行われますように支払条件を繰り上げるなど、可能な範囲で改善をする必要があると思うんですが、いかがでございましょうか。
#553
○政府参考人(峰久幸義君) 災害の復旧に当たりましては、工事を請けられた業者の方々にも非常に御努力いただいております。そういう意味で、先生おっしゃられたようなことについてのいろんな御意見については真摯に受け止めていく必要があると思っております。
 災害復旧ということでの、どうしても急ぐということで緊急随契をしなければいけない場合とかを含めまして、手続的にどうしても先送りになっているところもございますけれども、そういうところにつきましては、今おっしゃっていることにも注意しながら、工事代金の支払についても手続の円滑化に努めてまいりたいと思っております。
#554
○渕上貞雄君 次に、生コンの品質の確保の問題についてお伺いいたしますけれども、やはりこのような緊急な事業を行っていく場合に問題になってまいりますのはやっぱり生コンの品質の問題になってくるわけでございまして、過去の幾多の経験の中から考えてみましてもいろんな問題が発生をしておりますし、とりわけ、最近も東京三多摩地区の公団で深刻な欠陥生コン事件が発生をしておりますし、今や生コンの品質に国民の関心が高まっている状況下にあります。
 そこで、この被災地の魚沼地方にも生コン協同組合がありまして、協同組合はやはり地元の中小企業が結束をして値崩れや、品質確保を目的に活動をしている団体でございますけれども、良い品質の生コンを適正価格で供給する体制をつくって努力をしておるところでございますけれども、やはり仕事の関係もありましょうけれども、協同組合に加入をせずして相当な値引き営業をやっている業者から購入をしたゼネコンもございまして、元々生コンの品質確保を大きな目的として法律上奨励されております協同組合の存在、ゼネコンがこのようなまじめにやっているようなところを骨抜きにしていくのではないかというふうに思うんでありますけれども、このように……
#555
○委員長(中曽根弘文君) 渕上君、時間でございますので、おまとめ願います。
#556
○渕上貞雄君 はい、もうまとめます。
 したがいまして、長期的な利益を我々はやっぱり考えなければなりませんので、こういうような値引き業者に対する指導についていかがお考えでしょうか、お伺いして、終わります。
#557
○政府参考人(峰久幸義君) 生コンにつきましては基本的に品質の確保が重要でございますので、JISマーク、JISの適合のものが原則でございます。それと同時に、マル適制度といいまして、業界の方々などが、この工場では技術者もそろっているとか十分だということ、大丈夫だということでマル適制度というのにしておりまして、原則、基本としてはこういうことを、マル適制度の工場から購入することを基本としております。
 そういう中で、個別の事案について、なかなか自主施工の原則でございますので難しい面はございますけれども、問題等あるようなところについては、やはりマル適の工場がその近くにあるかどうかとか、それから、それぞれの自主施工の原則を考慮しながら、生コンの業者から請負業者に行くその提出資料、そういうものから十分なチェックはしていきたいと思っております。
#558
○渕上貞雄君 終わります。
#559
○委員長(中曽根弘文君) 以上で渕上貞雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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