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2005/04/12 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 農林水産委員会 第10号
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2005/04/12 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 農林水産委員会 第10号

#1
第162回国会 農林水産委員会 第10号
平成十七年四月十二日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 義雄君
    理 事
                岩永 浩美君
                田中 直紀君
                羽田雄一郎君
                和田ひろ子君
    委 員
                加治屋義人君
                岸  信夫君
                小泉 昭男君
                小斉平敏文君
                常田 享詳君
                野村 哲郎君
                小川 勝也君
                小川 敏夫君
                主濱  了君
            ツルネン マルテイ君
                松下 新平君
                谷合 正明君
                福本 潤一君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   島村 宜伸君
   副大臣
       農林水産副大臣  常田 享詳君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       加治屋義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高野 浩臣君
   政府参考人
       財務大臣官房審
       議官       青山 幸恭君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   伊藤 健一君
       農林水産省総合
       食料局長     村上 秀徳君
       農林水産省消費
       ・安全局長    中川  坦君
       農林水産省生産
       局長       白須 敏朗君
       農林水産技術会
       議事務局長    西川 孝一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 種苗法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に財務大臣官房審議官青山幸恭君、農林水産大臣官房総括審議官伊藤健一君、農林水産省総合食料局長村上秀徳君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、農林水産省生産局長白須敏朗君及び農林水産技術会議事務局長西川孝一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(中川義雄君) 種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。よろしくお願いいたします。
 種苗法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。
 現在、我が国は東アジアの各国とFTAあるいはEPAの交渉を進めております。WTOの交渉も含めて、本年中にこれらの交渉がまた本格化してくるわけですけれども、我が国の農業にはますますそういった国際化の波にさらされてくるわけです。価格の競争力を付けていかなければいけないことはこれはもちろんのことなんですけれども、我が国の農業は品質面での優位性など、こういった差別化をまた進めていかなければいけないと思います。
 平成十四年に成立した知的財産基本法に基づき決定されました推進計画におきまして、植物新品種の保護強化が盛り込まれました。しかしながら、工業製品などにおける特許やあるいは著作権といったものと比べますと、まだ育成者権という概念はこの知的財産権として一般に認知されてないんではないかと、こう言わざるを得ないと思います。
 大臣は所信の中で、高品質で安全な我が国の農林水産物や食品の輸出を含め、今までにはなかったような生産者や地域の創意工夫に基づく意欲的な取組が一層促進されるよう、積極的な政策展開を進めると、そして、意欲的な取組を側面から支えるためにも、知的財産権の活用を促進することとし、植物の新品種の育成者権の適切な保護を図っていくと、こう述べられておられます。
 このたびの法改正へまたこれがつながっていくんだと思いますけれども、ますますこの重要性が増してくる育成者権保護に対するまず大臣の所見を伺いたいと思います。
 また、続いて、新品種の開発には県や県の農業試験場の役割というものがまたこれは大変大きくなっていると思うんですけれども、県や国の試験機関、研究機関、大学あるいは民間のこういった産学官の連携というものもこれは大変重要だと思います。こういったところで重複しない形で推進していくと、こういったことが大変重要なんだと思います。
 こうした効率的な体制を整備していくことも戦略的に考えていかなければいけない、こうした育種方針と展望についてもお伺いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#6
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 知的財産立国を目指す我が国におきましては、植物の新品種は農業分野における重要な知的財産でありまして、農業生産の言わば基盤を成すものであります。しかしながら、近年、不法に国外に持ち出された新品種の種苗から生産された農産物が我が国に逆輸入されるなど、新品種の権利が侵害され、産地に重大な影響が及ぶおそれが生じております。
 このような現状にかんがみまして、植物の新品種の保護を強化することは極めて重要であると考え、本法案を提出したものであります。
 農林水産省といたしましては、優良な新品種の育成を促進するとともに、その適切な保護によって、新品種を活用した産地振興を支援し、我が国農業の競争力を強化してまいりたいと、こう考えておるところであります。
#7
○岸信夫君 このたびの法改正は、DNAによる品種識別技術が進みまして加工品についても可能になったことでこの改正案が提出されたわけでございますけれども、まだいまだに識別可能な農産物というのは、小豆やインゲン、イグサあるいはお茶程度に限られております。現在、ありとあらゆる加工食品が輸入されております。そして、これらほとんどに対してはまだまだこの対応ができていない、こういう現状であると思います。
 加工品に育成者権を及ぼすことは、我が国のこの知的財産立国の方針からしても大変重要な点であると思います。種苗管理センターあるいは農業・生物系特定産業技術研究機構、これらの国の機関を挙げて、穀類、野菜、果物、こういったものの品種識別の技術の開発に最大限取り組んでいかなければいけないと考えております。今、現状について、対応可能な品目等についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
 そして、更に進んで二次加工品に対しては、これは我が国としてどういうふうに対応していくのか。単純な加工品輸入から、海外で付加価値を高めたもの、食品の輸入というのがまたますますこれも増えてくると思います。こうしたものについても保護されるべき新品種が使われてくる可能性というのは大変大きいと思いますけれども、この辺りの対応についてお伺いしたいと思います。
#8
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまの加工品の関係でございます。
 委員からも御指摘のとおり、今回の改正におきましては、育成者権の効力の及ぶ加工品の品目を私どもとしては政令によりまして具体的に指定をしていくというふうにしているわけでございます。
 ただ、委員からもお話ございましたとおり、やはりこのDNA分析ということで品種の識別がどうしても必要になるわけでございます。それによりましてこの権利の侵害の有無を判断するという必要があるわけでございます。
 この技術につきましては、現在、実用化されております加工品というのは限られているわけでございます。委員からもお話ございましたが、小豆等からできますあんこ、それからござ、それから米からできます米飯、それからお茶、製茶というものはこの技術が確立をいたしているわけでございますが、それ以外のものについては現在鋭意その技術を確立するために検討しておるということで、委員からもお話ございましたが、私ども所管の独立行政法人農業・生物系特定産業研究機構でございますとか、あるいは食品総研といったところによりまして鋭意進めておるわけでございます。
 それで、特にやはりこういった点につきましては、この育成者権をかいくぐる、潜脱するおそれの高いそういうものにつきましては、私どもとしても、そういう情報がございますれば、そういうものについて優先的に技術開発を進めていくという方針でいるわけでございます。したがいまして、当面はただいま申し上げましたような確立したものを政令で定めることにしておりますが、更に機動的に、そういったおそれのあるものがございますれば、優先的に進めてまいりたい。
 それから、ただいま委員からもございました二次的な加工品につきましては、一義的にそういうDNA鑑定行えるものについては当然この効力が及ぶかと思っておりますが、更に複雑な加工品ということになってまいりますと、それはなかなかDNA鑑定難しいものもあるわけでございますので、そういった点については今後の状況を見ながら引き続き検討さしていただきたいというふうに考えている次第でございます。
#9
○岸信夫君 科学技術は日進月歩ですんで、どんどん新しい技術が開発されてくると思いますし、我が国もそういった点について後れることのないようにしっかりやっていただきたいと、こういうふうに思っております。
 先日より新聞などでも報道されているんですけれども、独立行政法人の種苗管理センターに品種保護対策官が設置されたということが先日報道されておりました。育成者、品種の育成者から権利侵害に関する相談の受付、あるいは助言、権利の侵害に関する情報の収集、提供、また情報の提供ということが主な活動とするそうですけれども、これは全国で二か所に二名ずつ合計四人しかいないと、こういうふうに書いてございました。大変広い日本をこの四人でカバーする、こういう体制で果たしてこれから大変重要になってくるこういう農産物の新品種の保護ということが本当に可能なんでしょうか。また、一応Gメンというふうに出ていましたけれども、これは法的措置をとる権限がないと、こういうことであります。こういったことで果たして抑止力というものが働くのかどうか、もっと力を入れていかなければいけない分野だと思いますけれども、こういった対策についてお聞かせいただきたいと思います。
 ほかにまたいろいろなことをお考えでしたら、それも併せてお願いいたします。
#10
○政府参考人(白須敏朗君) ただいま委員からもお話しのとおり、新品種のこの保護ということにつきまして、それを、権利の侵害に対するこれを支援していくということは大変に重要なことだというふうに私どもも認識をいたしているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしても、これまでもこういった新品種の育成者権の保護の支援ということでございまして、それぞれ都道府県なりが行っておりますその情報の収集でございますとか、あるいは啓発活動、こういったものも支援をしてまいっておるわけでございます。さらに、民間団体におけますそういう権利関係のマニュアル作りということも支援をし、また私どもとして権利侵害に関する相談窓口というものも実は設置をこれまでもしてきているわけでございます。
 で、ただいま委員からもお話がございましたそういういわゆるこの品種保護Gメン、品種の保護対策官ということでございます。確かにお話しのとおり、四名だというお話でございますが、これはこれまでの保護支援策に加えまして、よりその権利の侵害対策を強化するために私どもしてもこの種苗管理センターに設置をしたということでございまして、決してこれだけでやるということではございません。
 さらに、この保護Gメンというのは、今、委員からもございましたが、確かに法的な根拠ということにつきましては、これはやはりそもそもは、やはり権利者が自らその権利の侵害に対しては育成者権を行使するのがこれは原則だということになっているわけでございますので、私どものこの品種保護対策官なり役所のスタンスというのは、あくまでこの育成者権の権利行使を支援をしていく、お手伝いをしていくというふうな位置付けになっているわけでございます。
 したがいまして、そこはより今後のそういった取組を強化するという観点から、その相談の受付でございますとか、あるいは権利侵害に関する情報の収集、提供、あるいはこの実態調査の実施というものを専属で確かにこのGメンというのは行っていくというふうなことでございまして、したがいまして、これは従来の取組に加えましてこの専属の者を置いたと、こういうことによりまして、より一層この強化をすることによって新品種の保護の強化に貢献してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#11
○岸信夫君 これまでも農産物の権利侵害を受けたというふうな方がかなりおられると思います。そうした件数もかなりの数に上っているんではないかと思いますけれども、そうした個別の対応をこの四人で直接やるということになるんでしょうか。すなわち、直接問い合わせが入ってくるようなことになるんでしょうか。
#12
○政府参考人(白須敏朗君) ただいま申し上げましたとおり、実は私ども農林水産省の種苗課の方に、もう既に実は相談窓口というのが設置をされているわけでございます。
 したがいまして、従来から、ただいま委員からもお話ございましたそういう権利の侵害をされたというふうなお問い合わせというのは当然役所の方にも、種苗課の方の相談窓口にも当然参ります。さらに加えまして、このGメンというのは専属的にそういう相談の受付なり情報の収集、提供、あるいはまた必要に応じました直接の実態調査も行っていこうということでございますので、両々相まって、よりこういった権利の侵害に対する保護措置、保護の強化というふうな形でやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#13
○岸信夫君 これは本当に大切な機能を備えたところだと思いますので、是非しっかりやっていただきたいと思います。
 自家増殖に関してでありますけれども、現在自家増殖については原則育成者権が及ばない、こういうふうになっていると思います。我が国の農業の慣例として、農家がその収穫物の一部を次の作付けに、次の作付け用の種苗として確保するということが一般的に行われてきた中ですから、ここに育成者権を及ぼすとなると現場の混乱が大きいと、こういう心配もあることもこれは十分理解できるわけです。これまで、優良品種が広範囲に増殖されることによってその農産物や品種の評価が確立されてきたと、こういうことも事実であろうとは思いますけれども、育成者権という重要な概念をこれ一般に広めていく、こういった啓蒙を徹底していくためにも、自家増殖に対して育成者権が及ぶようにしていくということも必要ではないかと、こういうふうに考えております。
 ロイヤルティーを取るかどうかということは、またこれ個別の契約ということにもなってくると思います。それぞれのケースで、あるいは品種によって異なってくるかもしれませんけれども、育成者権の、育成者の開発コスト、これを低減させることにもつながると思いますし、また更なる新品種の開発の促進ということにもまたつながってくるんじゃないかと、こういうふうにも考えるわけです。育成者が公的機関か民間会社かによってもこれはまた事情が違ってくると思いますけれども、政府として、この育成者権の確立に対する方向性というものをお示しいただきたいと思います。
#14
○副大臣(常田享詳君) 現行制度におきましては、農業者が生産した収穫物を自らの経営の中で種苗として用いる自家増殖については、原則として育成者権の許諾を必要とせず、ただ、例外として、バラ、シイタケなどについては許諾が必要とされております。
 自家増殖の取扱いについては、新品種の育成者の正当な利益を確保して新品種育成を促進するためには、自家増殖にも原則として許諾が必要とすべきではないかという意見がございます。委員もそのような今御指摘でございます。
 育成者権者や農業団体などから成ります研究会が昨年十二月に取りまとめました報告がございます。その報告によりますと、当面は農業生産現場への影響に配慮しながら、自家増殖に当たって許諾が必要な植物を順次拡大すること、また将来的には自家増殖に原則として許諾が必要とすることを検討すべきであるという二点であります。
 農林水産省といたしましては、今申し上げました研究会のこの二つの報告の方向に沿って実施していきたいというふうに考えております。
#15
○岸信夫君 今、副大臣がおっしゃられたとおりだと思うんですけれども、この育成者権が及ぶか及ばないか、むしろ及ぶことを原則として例外規定を設けていく、こういう形に変えていかなければいけないと思います。海外の事情というのもそれぞれどうも違っているようです。育成者権を認めるところもあり、あるいは認めていないところもあり、品種ごとに異なっているところもあると思いますけれども、これはやはり、特に我が国の場合、こうした育成者権という概念がまだまだ育ってなかったということもあると思います。そうしたことが結果的に優良品種が流出してしまうこの原因にもつながっていたところもかなり大きかったんじゃないかと、こういうふうに思いますので、是非ともこの点を考えていただいて進めていただきたいと、こういうふうに思う次第であります。
 で、今回の法改正ですけれども、これは逆輸入されてしまうその水際で止めると、こういうことでありますけれども、そもそもこの原因となるのは、我が国で育成された新品種が無断で海外に持ち出されてしまった、この部分にあると思うんですね。不正輸出あるいは不正の持ち出しの現状認識がどういうふうになっているのか。今回は、育成者権の原料である、育成品種を原料とするあんやござの逆輸入、これの水際の措置と、こういうことがまずメーンであったと思います。
 ただ、これはもう本当の最後の最後のとりでと、こういうことだと思いますので、またほかの品目について起こってきた場合、さっきもありましたけれども、現在の識別技術にはまたこれも限界がある、こういうことだと思います。いろいろこれから技術開発が進んでくると、そういったことにも出てくる、今予想していなかったような事態が将来起こってくるということも大いにあると思います。遺伝子組み換えということも、これもいろいろ入ってくると思います。こうした中で、不正に持ち出されることに対する決め手、方策というものは果たしてあるのか、また現状認識とともにお伺いしたいと思います。
#16
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまの委員のお話のとおり、やはり我が国の植物の新品種、せっかく育成したものが育成者権者に無断で海外に持ち出されていると、そういうことに対する対応ということでございます。
 お話しのとおり、やはりこの品種の登録制度というものが新品種の育成者に独占的にこの品種を利用できる権利を付与するということでございます。したがいまして、やはり基本的なことといたしましては、海外への不法持ち出し、要すればその権利者の許諾なしに持ち出すと、そういうふうな権利侵害を未然に防止するということは、一義的にはやはり育成権者自らがこの登録品種を適正に管理なり保管をしていくということがまず基本的には重要なことであろうというふうに考えているわけでございます。したがいまして、余りいい加減な、いい加減なというのはちょっと言葉があれでございますが、軽々に許諾して、それがどんどんどんどん広まっていくというふうなことは、しっかりとまず育成権者自身が管理なり保管する必要があるのではないかということでございます。
 ただ、お話しのとおり、やはり、最近北海道が育成をいたしましたインゲンマメでございますとかあるいは小豆、そういったせっかくの新品種、あるいは熊本県が育成をいたしましたイグサ、そういった新品種がやはり許諾なしに不法にどうも持ち出されておるといったような事態が生じているわけでございます。
 こういった新品種の、登録品種の海外への持ち出し、違法な持ち出しにつきましては、もう御案内のとおりで、刑事罰の対象になっているわけでございまして、個人については三年以下の懲役あるいは三百万円以下の罰金と。法人につきましては、実はこれ平成十五年の種苗法改正によりまして、それまで罰金の上限が三百万円だったわけでございますが、それを一億円までに、実はそういうこともございましたので引上げもいたしたわけでございます。ただ、なかなか現実問題といたしまして、空港ですべて荷物を、空港なり港ですべて荷物をチェックすると、これは現実的になかなか難しいという面もあるわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、そういった違法な種苗の持ち出しが実際問題として起こりませんように、税関とも連携をいたしまして、まずは空港におけますリーフレットの配布といったようなことで、そういう不法な、違法な持ち出しをすればこれはもう罰金なり罰則が科せられるんですよというふうなことをしっかりと啓発をしていかぬといかぬというのがまず一つございます。
 それからもう一点は、やはり種苗業者、直接のそういった育成者権、新品種を取り扱います種苗業者なんかへの指導につきましても強化をしてまいりたいといったようなことでございまして、やはりそういう育成権者自らの管理、保管に加えまして、ただいま申し上げました罰金、罰則の問題、あるいはそういうことの啓発あるいは種苗業者への指導といったようなことで、ただいま委員からのお話については対応をしていかざるを得ないのではないか、そういう点を私どももしっかりと目を光らせていきたいというふうに考えている次第でございます。
#17
○岸信夫君 特に、今おっしゃられたとおりでこれは進めていかなきゃいけないんですけれども、あと、やはりうっかり、要は法律を十分認識しないでうっかり持ち出してしまうと、こういうケースも多々あると思いますので、そういった面からもやはり育成者権の重要性というものを十分国民一般に知らせていかなければいけない、これは大変重要な啓蒙活動だと思っております。
 そして、海外に持ち出されてしまった育成品種が既にあるわけですけれども、この海外での栽培状況の把握という、これは大変またこれも重要なことだと思いますけれども、こういったことが果たしてできているのかどうかということであります。特に、中国を始めとして日本を取り巻くアジアの各国における品種保護の状況についての認識を伺いたいと思います。元々、知的財産権への対応が、こういった国々、非常にまだまだ不十分なところが多いと思います。そしてUPOVへの加盟状況、特に一九九一年の条約には育成者権の強化、あるいは保護対象植物の拡大と、こういったものがなされていますけれども、この九一年改正に対応できている国がどれだけあるのか、特に東アジアの我が国を取り巻く各国での状況についてお伺いしたいと思います。
#18
○政府参考人(白須敏朗君) ただいま委員からお話ございましたUPOVの条約につきましては、世界で五十八か国が締結をいたしているわけでございますが、お話しのとおり、やはりアジアは少ないわけでございます。欧米の先進国が多いわけでございまして、アジア地域では、我が国のほかには中国あるいは韓国、シンガポール、この三か国が締結をいたしているだけでございます。さらに、ほかには、フィリピンなりタイなりマレーシアというのは、これは現在この品種保護制度を導入したりあるいは整備中というふうなことでございますが、まだこの条約の締結には至っておらないということでございます。
 そこで、ただいま申し上げました中国なり韓国なりそういうところも、締結いたしております国につきましても、我が国はこれは全植物を対象として保護対象としているわけでございますが、例えば中国について見てみますと、稲でございますとかあるいは小麦といったような百十八の品目は確かに保護対象になっているわけでございますが、一番問題になってございます小豆なりインゲンなりあるいはイグサというものは中国では保護対象となっておらない。あるいはまた、韓国におきましては、稲なり小麦なり、百五十五の品目が保護対象になっているわけでございますが、問題になりましたイチゴなんかはまだ保護対象となっておらないといったようなことでございまして、確かに、お話しのとおり、アジア諸国におきましてはそういった意味で品種の保護制度はまだまだ十分とは言えない状況にあるというふうに考えている次第でございます。
#19
○岸信夫君 今ちょっとお話ございましたけれども、韓国でのイチゴの「あまおう」ですね、これが不正に栽培されているという報道があったわけですけれども、この全品種への拡大に十年間の猶予がまだ付いていたと、こういうふうに了解しています。こうした、条約に加盟していても、いろいろなまだまだ抜け穴が残っているわけです。特に、また中国など広大な領土がありますから、その中で本当に一つ一つの栽培状況について国が管理できているのかどうか、できる体制にあるかどうかというのも甚だ疑問な状況にあるわけです。
 先ほどのように、我が国への水際の措置というのがきっちりされているということが十分認識されてくれば、これは直接の農産物の輸入ということはあえてしてくるところはないかもしれませんけれども、逆に、さっき言いましたような加工品あるいは二次加工、こういったことを進めることで、これはまた入ってきてしまうんじゃないかというふうにも思います。
 二次加工など進みますと、もちろん新品種の高品質な売りの部分というのは表に出てこないかもしれませんけれども、ただ可能性としてはこういったところでどんどん広まってしまうということはかなり多いんじゃないかと思いますので、これもしっかりした対応をこれから取っていかなければいけない重要な点だというふうに思っています。こうした農産物が持ち出されて栽培される国ですけれども、やはり中国、韓国あるいは台湾といった、日本に気候が近い、似ている国というのが可能性がまず高いわけであろうと思います。
 以前この場でもお伺いしたんですけれども、農産物の輸出促進について我が国はこれから進めていこうと、こういう大臣のお考えだったと思います。世界に我が国の農業が通用すると、こういうあかしとして高品質の農産物輸出を推進していく、この上で品種の保護、育成者権の保護ということは、これはまたやはり大変重要なことだというふうに思います。ところが、先ほどのお話のように、不正持ち出しに対する有効な手だてというのもこれは限界がある、また今お話あったようなUPOVの締結状況等、環境整備にも後れがある、こういうことだと思います。
 FTAの交渉をアジアの各国と進めていく中で、新品種の保護についてはしっかり交渉の場でも議論していただきたい、こういうふうに思います。先ほどの韓国の例を取るまでもなく、UPOVへの加盟あるいは保護対象の全品目への拡大ということも、これはしっかり我が国として要求するべきだと思います。さらに、技術協力などを通じた品種保護制度の整備の促進、この支援といったことも我が国として進めていかなければいけない、そのことによって我が国の知的財産保護、これが確固としたものにつながってくるんだと、こういうふうに思いますけれども、この点につきまして大臣の御決意をいただきたいと思います。
#20
○国務大臣(島村宜伸君) 我が国の優れた農産物を輸出する場合におきまして、相手先国に品種保護制度があり、その植物が保護対象とされていれば、育成者はその国で育成権を取得し、品種を保護することができます。
 このため、農林水産省としては、まず海外での育成者権の取得及び保護のためのマニュアルの作成、また制度の運用上の問題についての相手先国への官民一体となった働き掛けなどによって、我が国の育成品種が海外で適切に保護されるよう努めていくこととしております。
 それに加えて、アジア諸国においては、品種保護制度が十分でないためにこうした対応が取れない場合もあることから、EPA交渉や技術協力によりまして制度の整備を働き掛けているところであります。
 これからも、これらについては、貴重な我が国のこれ財産でありますから、しっかり保護されるように努めていきたいと、こう考えております。
#21
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
 ただいま岸委員から質問がありましたように、知的財産の保護、そしてDNA鑑定等の技術の進歩から、当然の法改正の方向だろうというふうに私どもの方も了承をさせていただき、賛成の方向で質問をさせていただきたいと思います。
 本題に入る前に、若干気になる点がございまして、米の問題について御質問をまずさせていただきたいと思います。
 四月七日に石原事務次官の定例記者会見がございました。記者さんからの米についての質問に対して次官がお答えをされたわけでありますが、翌日の金曜日の日本農業新聞への報道の仕方に若干問題があったのかどうか分かりませんけれども、大変物議を醸し出して、北海道の方からは電話、ファクス、どうなっているんだとございました。見出しだけ見ると、米価低迷で農水次官が農家への影響少ないと、こう言ったというふうにとらえられていると。
 これは、特に私は北海道しか詳しくは分かりませんけれども、大変な状況でございまして、どういう真意なのか問いただしてくれと。いろいろ、金曜日、北海道に帰る日でもありましたので、大臣官房の方に連絡など取らせていただきましたけれども、せっかくの機会でございますので、この委員会の中で事務次官にお越しをいただくというわけにはまいりませんので、関係の責任者の方から、この事務次官の発言について真意はどうだったのか、改めて御説明をいただければというふうに思います。
#22
○政府参考人(村上秀徳君) お答えいたします。
 四月七日の事務次官の会見における応答でございます。これは四月五日付けに日本農業新聞の一面に、福島・会津コシヒカリについて「手取りは三割減」との見出し記事が掲載されたことを念頭に置いたものでございまして、発言の中で、福島県会津地方の場合、このコシヒカリの場合は、十六年産米は十五年産よりも価格は二六%下落していますけれども、十四年産米との比較では四%の下落であるということと、それから今年は豊作でございますので、収量増により価格低下を補う効果があると。さらに、福島県の場合、稲得が支払われるということを説明したわけでございます。
 すなわち、農家所得について議論するに当たって、十六年産と十五年産を比較するのであれば、十五年産は不作で価格が特に高かったことを明示しないと誤解を招くということと、それから豊作県の場合は、価格低下による影響は収量の増によりかなりの部分が補われるんではないかということ、さらに稲作所得基盤確保対策のような経営安定対策によりまして価格低下の影響が緩和されるというようなことを説明いたしまして、これらを総合的に判断すべきだという趣旨で申し上げたわけでございまして、具体的な言い方におきましても、収量の増がありますので、価格低下による所得への影響は、完全ではないかも分かりませんが、かなりの部分が補われているんではないか、それから、稲得などの経営安定対策という措置もあるので、経営の安定という意味では、完全ではないと思いますけれども、かなり緩和されているんではないかと、このような趣旨で申し上げたわけでございます。
#23
○小川勝也君 今御説明があったとおりだろうというふうに思います。一々揚げ足を取るつもりもありませんし、稲作所得基盤確保対策、それから担い手経営安定対策、これが完全ではないけれども機能していると、ここは当然のことだから認めざるを得ないというふうに思います。
 それで、これから先なんですが、北海道の特殊な状況をどこまで把握をされているのかということを御認識をいただきたいわけでございます。
 四月十一日の日本農業新聞に、北海道の生産者の悲痛な叫びがこの紙面に出ております。こういう質問の仕方をしますと、同僚の紙委員の質問の仕方に大分似てくるのじゃないかなというふうに思っているわけでありますが、委員長と紙さんはよく分かってくれていることなんです。
 この記事、見ていますよね。これが正に現状なんですね。結局、一万三千円ぐらい取れればいいなというふうに思ったのが一万円だと。そして、御承知のとおり、全国ではどう機能したか私は詳しいこと分かりませんけれども、北海道ではこの対策が、システムが機能しなかったということで、次年度の経営が大変厳しいという悲痛な状況であります。事務次官の発言のときにも、例えばですね、この福岡県の夢つくしというのを例に取られて、その後段の発言になっています。もし、これ、北海道の産地を限定して、上川、空知の米について、大変な状況だけれども、どう認識しているかということになると、多分お答えは変わってくるんだろうというふうに思います。
 今日は、多分事務次官おられませんので、局長に代わりに御答弁をいただきたいわけでありますが、この米のことに対して、北海道、上川・空知の主産地、どういう認識をされておられるのか、改めてお伺いをしたいと思います。
#24
○政府参考人(村上秀徳君) 委員御指摘のように、北海道の十六年産米については、価格についていろいろ懸念が示されているわけでございますけれども、道全体の作況指数が九八という中で、例えばきらら三九七の価格は、作況が七三であった十五年産に比べますと三割ほど下落しておりますけれども、作況指数が九一であった十四年産と比較しますと二%ぐらいの下落ということになっております。このような価格低下の影響を緩和するために、稲作所得基盤確保対策によりまして、六十キログラム当たり七百八十円の補てんが行われる見込みになっております。これを、このような経営安定対策を通じまして、北海道の大規模な稲作農家の生産費はほぼ賄われているというふうに思っております。
 さらに、北海道の場合、今、委員御指摘のとおり、独自の判断で稲作所得基盤確保対策から産地づくり対策交付金に国の拠出金を振り替えたという措置をとっておられます。その結果、転作作物の産地形成等に取り組みます水田農業経営に対する支援のための国からの交付金が十三億ほど増額されているという状況にございます。そういうことも考え合わせていただきたいというところが正直なところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも需要に即応した米作りの推進を関係団体とともに着実に進めることによりまして、米の需給と価格の安定を図るとともに、価格下落の影響を緩和するための経営安定対策を適切に講じていくということによりまして、水田農業経営の安定に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
#25
○小川勝也君 農水省が、あるいは御答弁をいただいた局長が米作り、稲作に対してどういう腹があるのか分かりませんけれども、どうも認識が相当甘いような気がいたします。もしお気持ちがあるんでしたら、関係団体という、その団体との交渉をやっているのはよく分かるんですけれども、一度生産者の生の声を聞いていただきたい。局長でもいいし、副大臣でも政務官でもいいし、大臣でもいい。本当のその現場がどうなのかというのをこの件に関してはどうしても聞いていただいて、新しい制度設計に取り組んでいただきたい。このことを申し上げておきたいというふうに思います。
 で、北海道も開拓からスタートした農業の厳しい歴史でございます。米というのは、いわゆるところのWTOという交渉もありまして、世界の中で農産物の輸出、輸入が行われています。私どもの国も農業を産業としてとらえる向きもあるでしょう。野菜を生産をして販売をする、麦を生産して販売する。しかし、委員、皆さん御承知のとおり、私たちの国においての米というのは単なる産業的な作物の一つでは決してないはずであります。
 この法案の審議が始まる少し前まで、参議院においても予算案の審議が行われておりました。自給率はどうするんだ、四〇%じゃ低過ぎるじゃないかという予算委員と農林水産大臣との質疑のやり取りの中で、大臣はこういう答弁をされました。米の消費量が減ってしまったんだ、もっと国民に米をたくさん食べてもらいたい。そのときに実はこういうやじが飛びました。大臣は国民の食べるものまで指定するのか、強制するのか。まあ、当然そういうやじもありますけれども、私は、日本国においての農林水産大臣の少なくとも発想というのは、その米にこだわる、固執するという姿は私は正しいというふうに思います。
 御案内のように、弥生時代以前のことは分かりませんけれども、米が取れる地域が人口を、いわゆる人をはぐくめる地域としてこの国は発展をしてまいりました。そして、もっと食糧を、米を生産できる新たな大地はないかということで、北海道という大地も皆さんのお力をもって開拓されました。
 で、今、かつては米が取れるところが一級農業、畑作は二の次、そして畑もできないところが牧草地に変わり、酪農と。言わば、Aランク水田、Bランク畑作、Cランク酪農という暗黙の位置付けが北海道の中にあった時期もございました。しかし、今、立場は、まあ誤解を恐れずに言うと、完全に逆転をいたしました。乳価は比較的、大変お世話になりながら、安定をしているところであります。当然のことながら、たくさんの借金や、途中で夢をあきらめた累々としたしかばねの上に今の酪農があるのも事実であります。畑作の皆さんも相当努力をされました。これは委員長の正に御地元でございます。水田を作る皆さんというのは、それはもう多くの土地改良事業、水を安定的に供給されればこの大地が水田に変わるという先人の皆さんの努力で、一枚一枚田を切り開いて今にたどってきているわけであります。
 そして、もっと言うと、米はもっともっと値段が上がるんだよということで、離農された方の後の水田を高い価格で担い手の方が集められ、土地改良負担金を払い、ダムを造り、その負担金も払いながら今の水田経営、畑作とは違った重々しいその歴史が水田作り、田んぼ作り、米作りにあるわけであります。
 ですから、今、正に米ばっかり作っても消費者に食われないんだったら、ほかのものを作ればいいじゃないかということがおなかの中にあるかもしれませんけれども、もっと米というものが日本の中で果たしてきた役割というものをしっかりと御認識を持った上で、北海道の米作り、お考えをいただければというふうに思います。
 るる演説をさせていただきましたので、本題に入らせていただきたいと思います。
 今、岸委員からも質疑がありました。商社系が日本の種を持ち出して中国で生産をして輸入しているんじゃないか、こういううわさもちらほら聞こえてきたわけでありますけれども、この種苗法の一部を改正するに当たったいきさつ、概略を御説明をまずいただきたいと思います。
#26
○政府参考人(白須敏朗君) この植物の新品種制度でございます。もう委員も御案内のとおりで、大変重要な知的財産でございますので、これを活用しまして産地振興を支援していく、我が国農業の競争力強化を図っていくということでございます。
 そこで、種苗法の品種登録制度、元々ございましてやっておるわけでございますが、実は最近、特に中国あるいは韓国から、せっかく日本で育成をいたしました、例えば北海道が、ただいまお話ございました北海道が育成をいたしました例えば小豆でございますとかインゲンマメ、こういった育成品種が中国に持ち出されまして、中国で栽培をされて、それが我が国に逆輸入されてくる事態。あるいはまた、せっかく熊本県が育成をいたしましたイグサの新品種、これがやはり中国に持ち出されまして、栽培されまして我が国に輸入されておるといったような疑いが近年大変高くなったわけでございます。
 したがいまして、平成十五年、二年前でございますが、この種苗法改正によりまして収穫物の、それまでは実は種苗の段階までが育成者権の保護の対象でございましたが、収穫物の段階におけます育成者権の侵害につきましても平成十五年の改正で罰則の対象というふうになったわけでございます。
 しかしながら、最近では更にこれを、こういった収穫物まではなったんでございますが、今度は収穫物が更に海外におきましてあんこでございますとか、あるいはござというふうなことで加工されまして、育成者権の効力の及ばない加工品ということで、脱法的に我が国に輸入されるおそれが大変強くなってきたということでございます。
 したがいまして、そういった経緯を踏まえまして、今回、この育成者権の効力の及びます範囲を種苗とこの収穫物から加工品についての行為にまで拡大をしてまいりたいということ、あるいはまた、育成者の利益を確保するということから、この育成者権の存続期間、これを延長してまいりたいと、この二つが今回の種苗法の改正案の提出に至った背景ということでございます。
#27
○小川勝也君 当然のことながら、あんこの原料となる小豆が輸入される前に加工品となって輸入をされてしまうということであればこれは効力を失ってしまうわけでありますので、加工品に拡大をしていただくというのは当然のことだろうというふうに思います。そこまで技術がせっかく進歩したのだから、これから懸念されるほかの加工品にも対象を広げてもらいたい、安心して自分たちの作物や加工品を作りたい、こういう要望が当然のことながら高まってくるだろうというふうに思います。
 その今後対象の拡大として挙げられている品目の中には、小麦粉、イチゴジャム、イチゴペースト、あるいは漬物やコンニャクの粉、あるいはジュース類、こういうのがございます。ここはもう大変重要なことでありまして、元来我々野党の立場からは、法律を作っても政令で運用でどんどんどんどん拡大されるというのは余り好まないわけでありますが、この分野に対してはしっかりと対応できるぞ、技術的に大丈夫だぞということであればどんどん拡大してもらいたいと、こう思っているわけであります。
 この品目や対象品の拡大についての考え方について御答弁をいただきたいと思います。
#28
○国務大臣(島村宜伸君) 大変弾力的な視野の広いいろいろな御提言、御意見、私は非常に歓迎をしたいと思います。
 ただいまの御質問ですが、加工品については権利侵害の有無を言わば判断するためにDNA分析によります品種の識別が必要でありまして、現在のところこの技術が実用化されている加工品は限られているわけであります。
 このため、本法案では、品種識別技術が確立されていて、実際に権利行使や取締りが可能な加工品を政令で指定して、育成権の効力の対象とすることとしております。
 当面は、小豆を原料とするあんや、あるいはイグサを原料とするござなどを対象とすることとしておりまして、今後、品種識別技術の開発に努めまして、できるだけ速やかに対象となる加工品を拡大していきたいと、こう考えておるところであります。
#29
○小川勝也君 実際、素人でございますので、この鑑定というのはどういうふうにやるのかというのは大変分からないわけでありますが、実は、今これ農水省が中心となってこの法律を出していただいているわけでありますが、水際でそれを頑張って発見していただくのはいわゆるところの財務省系列の税関の方々であります。この鑑定の技術とか機器とか、あるいは研修の体制とか、人員が足りているかどうか、その水際においての体制についての概要をお伺いしたいと思います。
#30
○政府参考人(青山幸恭君) お答え申し上げます。
 育成者権の侵害物品の水際取締りでございますけれども、侵害の該否の認定ということでございますが、農業試験場あるいは研究所等におきます技術習得の研修等、農林水産省等の協力を得ながら税関職員の分析・識別技術の向上に努めてきたところでございます。私ども、関税中央分析所というのがございますが、そこが言わば中央のヘッドコアとなりまして、あと各税関にそれぞれ研修をきちっとやらせるというような仕組みでございます。
 DNAの分析機器のお話でございますが、育成者権の侵害物品の水際取締りのために現時点におきまして何台あるかということなんでございますが、関税の中央分析所におきまして四台、それから税関に八台ということで、十二台を導入しているところでございます。詳しく申し上げますと、東京税関に二台、それから横浜、神戸、大阪、名古屋、門司及び長崎税関に各一台ございます。
 なお、関税中央分析所におきましては、ちょうど十年前、一九九五年からこの分析事務をスタートさせておるというところでございます。
 それから、本年度の、平成十七年度の関税改正におきまして、育成者権の侵害物品の水際取締りに関しましては、侵害の該否の認定のため、必要がある場合におきましては、税関長が農林水産大臣に対しまして意見照会をすることができる制度をこの四月から導入しておりまして、育成者権の侵害物品か否かの認定を一層適切に行うということでございます。
 ただ、DNAの分析機器の価格でございますと、大体一機八百万ぐらいというような感じになってございます。
 それから、職員の体制でございますが、まずは、今申し上げました分析の部分でいいますと先ほど申し上げた内容でございますけれども、じゃその実際の担当官ということで、分析は言わばかなり技術的なことでございますが、それをどういうものかということで、言わばこれはそういう意味での専門家ということでございます。分析ではなしに私どもの水際取締りの専門家ということでございますが、これらにつきましては、知的財産権の侵害物品の取締りを専担するような知的財産調査官等の職員、これは全国に四十五名ございまして、各税関の、これは私ども本関と申してございますが、ここに今配置してございまして、これは平成十七年度におきましても五名増員する予定になってございます。
 ちなみに、平成十五年度におきまして、この育成者権等に係ります差止め申立て制度をつくりましたので、これに伴いまして平成十五年度におきましては十五名増員と、昨年度も五名増と、今年も五名増ということになってございます。
 なお、このほか、全国の主な支署あるいは出張所という出先がございますが、ここにおきまして、統括審査官というのがございますけれども、これらの管理職員を、百二十七名を知的財産の担当官に指定しているというところでございまして、これらの職員を中心にいたしまして水際取締りを厳格に行っているというところでございます。
 以上でございます。
#31
○小川勝也君 今御答弁いただきましたように、大変な仕事をしていただくわけでございます。
 しかしながら、この水際での仕事というのはこればかりではありません。例えば別な分野でここ数年見聞きしたことでいうと、例えば偽造のCDのことであるとか、あるいはペット、ワシントン条約に対象になっているペットじゃないか、あるいは動物、昆虫ではないかと。あるいは麻薬、けん銃、人。
 この水際の仕事というのは、これ今まで、私たちの国は島国であって、この日本だけが離れていて、世界の中の別なところにいるんだという意識だったんですけれども、今、正にグローバル化の中で、この水際に対する仕事というのは、この分野だけじゃなくて、重要になってくるというふうに思います。
 人員も、ほかの分野からすると大変な急ピッチで増えているんだろうというふうに思いますけれども、これからますますその役割は大きくなっていくんだろうというふうに思います。
 実は、いろんな方にお話を聞きますと、私は、これはいろんな分野から、水際にしっかり仕事をしていただく人たちは、ここは今の行政改革の流れだけれども、しっかりと守ってもらうためには必要な人員を配置するべきではないかというふうに常々思っていたわけでありますが、この税関というのは、言うなれば財政当局のカテゴリーの中にありましてほかの省庁、ほかの分野に対して厳しい査定をずっとやっている役所なので、自分のところだけというふうになかなか言いにくいんだそうであります。
 審議官の、ここは農水委員会でありますので、できれば、体制を整えるためにこういうことをやっていきたいというふうな思いがあれば、一言いかがでしょうか。
#32
○政府参考人(青山幸恭君) お答え申し上げます。
 税関の業務量のお話でございますが、この十年間で、輸入申告件数にありましては約二・二倍、輸出にありましては約一・八倍というふうに増えてございます。
 かつ、その業務内容につきましても、御審議いただいておりますこの育成者権を始めといたしまして、それ以外の知的財産権の話等々から、あるいは不正薬物の取締り、さらにはいろいろ税の関係でもFTA関係の税の厳格化等々ございます。こういう話とか、さらにはテロ対策というのもございまして、非常に多岐にわたっているというところでございます。
 こういう状況の中で、私ども、コンテナの大型エックス線というのがございます、貨物の大型エックス線検査装置を導入するなど、事務の機械化、効率化によります業務運営の効率化に努めておりますし、そういう中で、さはさりながら、やっぱり厳しい行財政事情の中で、必要な定員の確保ということでこれに努めてきているところでございます。
 平成十七年度でございますが、テロ対策等々、あるいは知的財産の侵害物品の水際取締りの強化というところで二百十一人の新規増員を確保したところでございまして、今後とも、御案内のとおりの厳しい行財政事情の下でございますけれども、必要な所要の定員の確保に最大限努力してまいりたいと、かように考えてございます。
#33
○小川勝也君 今、実質水際で仕事をしていただく税関関係から御答弁をいただいたわけでありますが、白須局長の方からは、この税関との連携をどのようにやっていくおつもりなのか、改めて決意を伺いたいと思います。
#34
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまの水際の関係につきまして、ただいま財務省の方からもるるお話があったことでございます。
 私どもも、お話ございましたが、やはり税関との連携は十分に密接にやっている、やらしていただいておるわけでございます。
 さらに今回、今お話もございましたが、税関の方から農林水産、一義的にはこれはやはりそれぞれの育成者権者からのお申立てなりなんなりでその輸入の差止めなり、疑いがあるということで税関の方にまずは申立てがあるわけでございます。それを受けられまして、ただいまのような形で、一義的には税関がもちろん御判断をされるわけでございますが、当然そこにはやはりなかなか具体的にそれだけでは分からない事案一杯あるわけでございますので、そういう場合に、特に今回、関税定率法の改正の中で、農林水産大臣の意見照会というふうな制度的な、具体的なこの意見照会の手続もきちっと位置付けられたわけでございます。
 したがいまして、私ども、そういったこともきちっと受けまして、それを必要に応じましてDNA鑑定を私どもの種苗管理センターというところでも行いまして、それを税関の方に返すといったようなことで、そこのところはしっかりと水際の取締りにおける連携を図ってまいりたい。
 さらに、今後は、税関と私ども関係部局におきまして連絡会議も設けまして、具体的なそういう侵害物品の鑑定、あるいはそういうものの取扱いにつきましての打合せも、引き続き、今回のこの法改正を契機といたしまして、法改正がうまく通過させていただきますればそれを契機といたしまして、そういうことで連絡会議も設けまして具体的な水際の取締りに大いに連携を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#35
○小川勝也君 しっかり連携を果たしていただきたいというふうに思います。
 冒頭、私のうわさ話というか感想を申し上げたんですが、日本の商社も悪いことをやるよなと。わざわざ日本から日本固有の戦略的な種を持ち出して、中国で生産させて輸入するなんというのはひでえやろうだというふうにうわさの中で言っていたわけでありますが、農水省としてはそのルートとか行為、どこまで把握しておられてこの法案の一部改正にこぎ着けたのか、可能な範囲でお答えをいただければと思います。
#36
○政府参考人(白須敏朗君) 実は大変残念なことに、今、委員からもお話ございましたが、先ほどもちょっと申し上げましたが、せっかく育成をいたしました新品種、あるいは今例示として挙がっておりますのは小豆でございますとかあるいはインゲンマメあるいはイグサというものが海外に違法に持ち出される。それで、向こうで生産をされまして、そういった農産物が逆に我が国に輸入されると。それは、それ以外にも、これは加工品ではございませんが、イチゴとか、そういうものがあるわけでございます。
 ただ、これにつきましてはなかなか、もう委員も御案内のとおりでございますが、これは、種苗につきましてはもうごく小さな、もう少量のものから幾らでも容易に増殖が可能であるといったような、そういう特性がある。あるいはまた、豆、小豆でございますとか、そういう種子でございますれば、これはもう、例えばポケットにそのまま入れていけば、それをそのまま現地で種苗として直ちに用いることができるといったようなことでございまして、率直に申し上げますと、現実問題としましては、なかなかこの水際のもちろんチェックも難しいわけでございます。
 かつまた、それが、ただいま委員からもお話ございました、どういうところが取り扱っておるかということにつきましては、大変残念ながら、私どもとしても、実はそれにつきまして具体的にどこがどうしておるといったようなことにつきましては、誠に恐縮でございますが、把握はできておらないというのが実態でございます。
#37
○小川勝也君 正直に把握しておられないというふうにお答えをいただきました。誠に残念なんですけれども、多分現状だろうというふうに思います。
 幸いに情報の入手ルートというのも二十一世紀になりましてから大分広がってまいりました。当然のことながら、関連する国内における生産者、この人たちもいろんな情報を持っているでありましょう。あるいは、インターネット、様々な人たちが様々な情報をこのルートに乗せています。うわさの域を出るもの出ないもの、ネギだとか切り花だとかチューリップだとか、まだまだ心配される品目がたくさんありますので、これは省を挙げてしっかりと対応をこれからも取っていただきたいというふうに思います。
 今、いわゆる外国からの輸入部分についての一部改正でありましたが、そもそも我が国としての種苗とか育種とか、あるいは育種に係る研究とか、どういった戦略に基づいてやっているのか、この大きな話をまずお伺いをしてみたいと思います。
#38
○副大臣(常田享詳君) 我が国における品種開発の戦略いかんというお尋ねであります。
 国内農業生産の拡大や農業経営の安定を図るためには、言うまでもなく優れた品種の開発が極めて重要なことであります。
 また、品種開発は長い年月を要することからも、農林水産省といたしましては、この三月三十日、農林水産技術会議におきまして、農林水産研究基本計画を決定さしていただきました。今後十年間の研究開発の方向を定め、計画的に取り組むという方向を打ち出さしていただいております。
 具体的には、加工用、業務用需要に即した米や野菜、地産地消に対応したパン用小麦など消費者・実需者ニーズに対応した品種の開発、また花粉症緩和米など健康機能性を高めた品種の開発、また直播や機械収穫に適した生産性向上につながる品種の開発、環境と調和した農業に不可欠な病害虫に強い品種の開発、また冷害などの災害に強い品種などの開発に取り組むことといたしております。
 このほかにも、先般、私、一月にインドに参りました。スマトラ沖地震、津波で塩害を被っておられるということの中で、こちらから御提案を申し上げましたのは、塩害に強い品種の共同開発をしませんかということで、インド政府に提案いたしました。インド政府も是非、この津波の問題はスマトラ沖だけではなくて、日本でもいつ起こるか、また過去も起こっておりますし、是非とも共同してやりましょうというようなことで、そういう国際的な枠組みを超えたところでの開発も今後とも進めていきたいというふうに思っております。
 どちらにいたしましても、委員御指摘のとおり、しっかりした戦略を持ってやっていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#39
○小川勝也君 この審議に際して、私は地元であります、まあ長いんですけれども、独立法人農業・生物系特定産業技術研究機構北海道農業研究センターというところに行って、技術者、育成者の方、管理職の方ですけれども、お話を伺ってまいりました。これ、当然のことながら、地道な努力、これを積み重ねていただいているわけであります。
   〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕
 全国にこういう施設があるだろうというふうに思いますし、私たちの国は、沖縄県から北海道まで大変南北にも長い、それぞれ気候的な、風土的な特色のある国土を有しておりますので、概要で結構でございますので、研究施設の分布とそれぞれの特色、どういったものがあるのか、お伺いをしたいと思います。
#40
○政府参考人(西川孝一君) お答えいたします。
 今、先生お話ございました農業・生物系特定産業技術機構の中に各種の研究機関を持っておりますけれども、まず一つは、作物ごとに専門性を生かした全国共通の基盤的な研究を行う専門研究所、それと、各地域の多様な自然環境、条件等を踏まえまして、地域の農業実態に対応した研究を行う地域農業センター、この二つ、二つの大区分としてあろうというふうに考えています。それぞれの特色と機能を生かしつつ、連携して品種開発にも取り組んでいると。
 具体的にもう少し申し上げますと、専門研究所は作物研究所、これは米とか麦とか大豆といったことになります。果樹研究所、花の花き研究所、野菜茶業研究所、畜産草地研究所、この専門研究施設が五つでございます。あと、地域センターといたしましては、夏が非常に低温、冬が非常に寒いという、そういう地域に適する水田作、畑作、酪農研究を行う北海道農業研究センター、これは北海道にございます。東北地方の寒冷気象に適する農業研究を行う東北農業研究センター、岩手県に置いております。本州中央地域の農業研究を行う中央農業研究センター、これはつくば、茨城県に置いております。あと、都市近接性の中山間地域及び傾斜地域での農業研究を行う近畿中国四国農業研究センター、これは広島県に置いております。それと、暖地農業研究を行う九州沖縄農業研究センター、熊本県というのを設置しているということでございます。
#41
○小川勝也君 今、国の財政がこういう状況でありまして、独立行政法人になりました。しかしながら、この基礎的な部分を含めた研究、育成、育種、開発、これは実は私たちの国にとって大変重要なことだろうというふうに思います。予算の制約なども当然あるとは思いますけれども、しっかりと使命に応じたその研究開発の仕事を頑張ってやっていただきたいというふうに思いますし、その支援もしっかりと本省でサポートしていただければというふうに思います。
 私はちょっと心配をいたしました。育成者権というのも発生をいたしまして、数か月前には企業の中におけるそのいわゆるところの発明者、発見者と企業との裁判などという例も出てきているようであります。当然のことながら、民間企業であれば、その研究者も民間企業のお金を使って研究開発をして、独創的な開発をして数百億円やそれ以上の利益を会社にもたらすということもあり得るわけであります。
 このいわゆる農業の育種、育成の分野ではどれぐらいのお金になるかどうかというのは分かりませんけれども、研究者のインセンティブとか、あるいは今後その研究開発をめぐってのトラブルなんか起こらないだろうかと、ちょっと心配をしたところであります。余りないだろうとは思いますけれども、確認のためその辺の見通しをお伺いをしておきたいと思います。
#42
○政府参考人(西川孝一君) お答えします。
 独立行政法人の研究者が新たに研究開発、品種を開発した場合、開発を行った研究者に対しまして登録補償金というのを一つ支払います。それと、販売額に応じて種苗の販売業者から支払われる利用料からその収入に応じて研究者に利用補償金というものを支払うということにしております。
 研究推進すると、インセンティブを与えなきゃいかぬということもございまして、先ほどの農業・生物系特定産業技術研究機構におきましては、平成十五年に登録補償料を一品種につき、それまで実は六千円だったんですけれども、多いか少ないかは別にしまして、六千円を二万円に引き上げております。また、利用補償金については従来上限を設けておりました、二百万円までと。それも撤廃しました。
 そういうことを行っておりますけれども、御案内のように、作物は基幹的食料など国内に広く普及することが期待されているというものが中心であるということと、研究開発は国費をもって行われているということもございまして、利用料金そのものが低く抑えられております。現在、研究者に支払われている利用補償金の額はそれほど高いものでありません。平均的に見れば一万とか数万の範囲でございます。
 ただ、そういう状況ではございますけれども、補償金の支払等に関するトラブルは、現在、我々の機関としてはないというふうに承知しております。
#43
○小川勝也君 これ、先ほど、全国に、それぞれの地域、特色に応じていろいろな研究施設があるというふうなお話でありました。当然のことながら、独立行政法人ということになりまして、少しフットワークが軽くなるのかなという期待もございます。
 そんな中で、北海道は道立の研究機関も大変充実しているわけでありまして、同じ方向性の研究をするならば、いわゆるところの縄張意識をすることなく、日本の農業やいわゆるところの農業経営者やいわゆる消費者のために共同で開発したり、いわゆる情報交換をしたりする分野があってもいいんじゃないかなというふうに思うわけであります。そして、今、海外との競争や対抗ということを考えると、国内の民間会社であっても、これは連携するにやぶさかではないんじゃないかなというふうに私自身は考えるところであります。
 他の公的な研究施設あるいは民間の育種種苗メーカーとの連携など、独立行政法人になってからという括弧を付けてお答えをいただければというふうに思いますけれども、どういった共同研究やあるいは情報交換が期待できるのか、その辺の中身をお答えをいただければと思います。
#44
○政府参考人(西川孝一君) 品種開発に当たりましては、これは国、都道府県、民間、それぞれが役割を分担をいたしまして、連携を図りながら実施しているということをまず御説明をしたいというふうに思います。
 国は、どちらかといいますと重要な品種の開発、基礎的な、基盤的な品種開発技術といったところを中心に、どちらかというとリスクの高いところを受け持っております。都道府県は、それぞれ地域に応じた品種開発、また、民間は、国により開発された育種素材を活用して、園芸分野などを中心に品種開発が進んでいるということだろうというふうに思います。
 独立行政法人になった後、何か具体的な動きはあるのかということでございますけれども、例えば機能性を非常に高めるような品種開発、これは野菜であるとかキノコ等あるわけでございますが、私どもは通常の研究開発に加えまして競争的研究資金という制度を持っておりまして、この資金を用いまして、民間に対して具体的に品種開発の開発費を支出すると。その場合も、私どもの独立行政法人と共同研究をするといったもの、いろいろあるわけでございますけれども、具体的にそういうような民間に対する支援も行う中で、先ほど副大臣が御答弁されました農林水産研究基本計画の中でも民間との連携という強化をうたっておりまして、そういうことでやっていると。
 今後とも、これらについては強化していきたいというふうに考えているところでございます。
#45
○小川勝也君 先ほど来のこの法律の改正の続きの議論をまた始めたいと思うんですが、岸委員の方からは、この啓蒙というのも重要じゃないかというお話もございました。
 この運用面でちょっと心配な点が二点ございます。一つは、確信犯的に日本から持ち出したいわゆる生産物から由来物、由来の加工品を輸入したケースと、いや全然違うよということで輸入をしたケースと、その取扱いというか、その後の量刑等が変わってきてしかるべきだろうというふうに思います。
 これは正に運用の面だろうというふうに思いますけれども、現在のところ、その意図的、非意図的という部分についてはどのような考え方で臨んでおられるのか、お伺いをしたいと思います。
#46
○政府参考人(青山幸恭君) 私どもの方からお答え申し上げます。
 育成者権の侵害物品を税関が検査により発見した場合、その輸入者が侵害物品であることを知った上で意図的に密輸をしようとしたという疑いが認められる場合におきましては、これは輸入禁制品輸入罪と、関税法百九条違反ということで、犯則事件としまして調査いたすことになります。その結果、犯則の事実が明らかになれば、これは輸入者に対しまして刑事罰則、刑事罰が適用される。それ以外にも、さらに、当該育成者権の侵害物品につきましては没収されることになります。
 もう一つのケースでございますが、なお輸入者が侵害物品であることを知らない場合であっても、当然のことながら水際取締りが行われるわけでございますが、認定手続の結果、その輸入貨物が育成者権の侵害物品と認定されれば、原則これは没収することになるということでございます。
 以上でございます。
#47
○小川勝也君 それでもう一点は、特に中国の国内の消費動向がいろいろ変わってきたという情報が入ってきております。高級品や、あるいは日本で好まれているものも国内に日本から輸入をして食べておられるということでありますけれども、もし将来、この日本で育成された品種が中国国内で生産されて、中国国内で流通するという品目も出てくるんじゃないかなというふうに思います。
 このことについてはどのような考え方で今臨んでおられるのか、お伺いをしたいと思います。
#48
○大臣政務官(加治屋義人君) それぞれの国で異なりますけれども、品種保護制度があって、その植物が保護対象とされている国では、育成者はその国で育成者権を取得をして品種を保護できることになっております。
 このために、農林水産省としては、一つには、海外での育成者権の取得及び保護のためのマニュアルの作成をすることにしております。これは、平成十七年度の新規事業で予算化をいただきましたので、スタートできるかと思っております。また、制度運用上の問題についての相手先の国への官民一体となった働き掛けを行ってまいりたいと思います。
 それに加えて、アジア諸国においては、品種保護制度が十分でないためにこうした対応が取れない場合もあることから、EPA交渉あるいは技術協力によってその制度の整備を働き掛けていきたいと思っております。
 いずれにしましても、今申し上げましたような各面からの努力を積み重ねていくと、そのことが大切でありますので、その努力をしていきたいと思っております。
#49
○小川勝也君 今の御答弁で更にお伺いをしたいんですが、例えば小泉総理が得意の、中華人民共和国の中における日本のリンゴ「つがる」、それから台湾における帯広川西農協のナガイモ、これはもう好まれている代表例であるというふうに言われています。あるいは鳥取県のナシもそうでしょうか。そういうのを、例えば今もう相手が好んでいるなというふうに分かっているわけであります。ということは、今の政務官の御答弁によりますと、これもいわゆる相手国に対してもう事務的な作業に入っているのか、これから入るのか、どういう今段取りなのか、お伺いしておきたいと思います。
#50
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまいろいろ政務官からもお話をされたのは、要すれば、その国におきまして、その今、正に委員がおっしゃった中国なり韓国なりで植物がまず保護対象とされておるかどうかというのがまず一つのポイントになってございまして、対象とされておれば、その国で当然のことながら申請をいたしまして育成者権を取得すると、そうすればそれは保護の対象としてなるわけでございます。
 ただ、実は大変残念なことなんでございますが、そもそも中国なり韓国なりでは保護対象植物が非常に限定をされているわけでございまして、例えば中国ですと稲なり小麦なり桃、バラ、菊といった、要すれば非常に基本的なといいましょうか、そういうところだけに、百十八品目ということで非常に限定をされておると。大変私どもが非常に興味をあれしており、興味といいますか、関係がございます豆、インゲンマメでございますとか小豆とか、あるいはイグサ、イチゴとか、そういうふうな、非常にこちらが、逆に言いますと保護していただきたいような、そういうものが実は含まれておらない。あるいは、例えば韓国にいたしましても、イチゴとかそういうものが実は含まれておらないというふうな、大変実は私どもからしますと問題があるわけでございます。
 したがいまして、そういう点につきましては、実はEPAなりそういうところでしっかりととにかく対象を広げてもらいたい。あるいはまた、具体的に技術協力でそういうことができないんであれば、そういう点についてのいろんな審査方法の研修であるとか、そういうことで、そもそも保護制度なりなんなりの拡充に当たっての問題点については、私どももお手伝いできるところはお手伝いをいたしたいというふうなところを実は申入れなり働き掛けを実はしておるという段階になっているわけでございます。
 したがいまして、ですから、その国、相手先国におきまして、ただいま正に委員がおっしゃったようなそういうリンゴであるとかナシだとか、それちょっと私ども直ちには今あれでございますが、そういったものがそもそもなっておるかどうか、とにかくそういう点をまず広げていただきたい。そういう点についてそこを、ですから相手方にも制度をきちっと確立してもらったことと併せて、私どももそういうことが海外で適切に保護されるということになるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#51
○小川勝也君 ちょっと今の御答弁を確認をさせていただきたいんですが、私が例示したような、日本が輸出をして大変関心の高い品目については、基本的に、相手国の関係から、今のところルール化、制度化されていないという解釈でよろしいでしょうか。
#52
○政府参考人(白須敏朗君) ちょっと、私すべては持っておりませんのですが、その中には、もちろんルール化をされております例えば桃なんかは保護対象に入ってございます。ですから、そういった例えば果物でございましても、例えば韓国でいいますと、失礼しました、リンゴ、ナシ、桃、ブドウ、ユズ、キウイフルーツ、これは保護対象植物として韓国ではなってございます。それから、中国でいいますと、失礼しました、ナシ、桃、リンゴ、それは保護対象植物としてなってございますので、そういう点については中国におきましても申請をいたしまして、育成者権を取得するということは可能だというふうに考えてございます。
#53
○小川勝也君 これはきっちりやらないと後で大変なことになると思いますね。リンゴの種からリンゴが取れるまでは大変時間掛かるんですけれども、ナガイモは埋めりゃ生えてきますし、イチゴなんかはすぐ実がなりますので、これは早急に調べて、私たちの国の様々な生産者が汗と涙の結晶で作り上げたものが侵害されないように、様々な観点から指導していただきますように要望をしておきたいというふうに思います。
 今EPAという言葉も出ましたので、ちょっとそれますけれども、ついでにお伺いをしておきたいというふうに思います。
 今回もあんこあるいは小豆やインゲンということがこのポイントになっていますけれども、WTOの本交渉のアンダーグラウンドで行われている水面下の交渉の中で、日本はどうも、米、乳製品、でん粉、砂糖、小麦、大麦、これをいわゆる高関税で保護したいと。そこから落ちてくるのが落花生、雑豆、コンニャクイモ、それから生糸と、こういう報道があるわけであります。
 しっかりと今、十勝や、北海道でインゲン、小豆、頑張っているんだけれども、これから重要品目から外れるということになると生産者はもう大変な心配がこれ増えるわけであります。水面下の交渉ということにはなっていますけれども、今のところ重要品目の交渉の中ではどういう過程にあるのか、明らかにできる部分だけお答えをいただければと思います。
#54
○政府参考人(伊藤健一君) WTO農業交渉につきましては、当然、我が国、食料輸入国の立場をきちんと反映すべく様々な国に働き掛けを機会をとらえて行ってきております。
 そういう中で、今現在のWTO農業交渉につきましては正に基本的なルールをどう定めるかということで昨年の七月に枠組みができましたけれども、これから年末の香港閣僚会議に向けまして正にそのルールをどうするかという交渉に入っているところでございます。したがいまして、個別の国と個別の品目について協議をするという段階ではございませんので、このような個別協議は、品目ごとの協議は行っておりません。
   〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕
 今後の、正にルールが決まりまして、関税削減方式で申しますと階層方式ということが決まっておりますけれども、具体的な数ですとか、階層をどうするかとか、あるいはセンシティブ品目についてルールもまだ決まっておりませんので、そういうことが決まっていく中で、ルールが決まりましたら、来年に入ってその個別品目のまた取扱いを決めていくということになろうかと思います。
#55
○小川勝也君 相手のあることでございますし、これ自由貿易体制を守るという大前提にスタートしている話でありますので、軽々な発言はできないわけであります。今お答えはいただけなかったわけでありますが、うわさされております六品目もそれぞれ重要な品目でありますし、落とされそうだとされている四品目の中でどれが大事でどれが大事じゃないということは、まあ私の選挙区で作られていない品目もありますけれども、そういうわけにはまいりませんので、今日はこの辺にしておきたいというふうに思います。
 先ほど常田副大臣の方から、品種を育成するとか開発するとか、いろんな角度から行われているわけであります。当然のことながら、現代でございますので、機械が掛かりやすいということもありますし、病気に強い、薬を少なくできる、これも重要なインセンティブだろうというふうに思います。そんな中で、一つの品種が、これは作りやすくて収量が多くて金になるということになると、みんな作るわけであります。それかどうか分かりませんけれども、今、日本全国のスーパーマーケットに並ぶ野菜が同じものになってきているんじゃないかなと、調査したわけじゃありませんけれども、懸念をするものであります。
 私が大変尊敬する小泉武夫先生は、全国に行ってネギを、地元のネギを食べるのが楽しみなんだと。例えば、京都でいえば九条ネギ、深谷の深谷ネギ、岩槻の千本ネギ、下仁田の下仁田ネギ、これ、そして北海道も独自のネギもあるわけであります。郡山の曲がりネギなんというのもあるわけであります。
 ところが、そういう特色ある地元野菜というのが今減ってきているんじゃないかな。ところが、逆に京都なんかは相当頑張っているわけであります。京野菜というのは、もう押しも押されぬブランドでありますし、それと同時に、この話をすると当然出てくるんですが、どんどんどんどん野菜が品種改良するに従って、においも薄くなって、味も薄くなって、栄養価も落ちているんじゃないかと、こういう話もございます。
 私は四十年しか生きておりませんので、人生の大先輩であります農水大臣に、子供のとき食べたニンジンと、畑から取ったキュウリと、今スーパーで買った野菜と味が僕は違うんじゃないかなと思うんですけれども、直観的なお答えをちょっと期待をしたいと思います。
#56
○国務大臣(島村宜伸君) 実は、小川委員の御質問、あらかじめちょっと伺いまして、やっぱりなかなか鋭いところを気が付かれるなと思って感心をいたしました。今御指摘のように、確かに野菜の味は変わっていると思います。また同時に、それぞれのニーズにこたえてやっぱり変わってきているのかなということも、いろいろ調べてみると行き着くところであります。
 例えば、昔は漬物とか煮炊きをした野菜の食用が多かったんですが、最近はサラダがかなり普及しまして、生で食べるという傾向が強くなっている。そうなりますと、煮込んでしまわないために、余りにおいの強いというものが一般的でない。例えば、私は昔ニンジンが苦手だったのに、最近はニンジンが好きになった。私は、大人になったから好きになったんだとばっかり思っておったんですが、実はあなたの御質問を拝見して、そうか、においが薄くなっているんだと。そういうふうに変わってきているわけでありまして、そういう意味では、確かに野菜の味なども随分変わっておりますし、また品種が変化する中で、昔の品種の味そのものが好きな人もあればそうでない人もいる。どういうところに最大公約数があるのかというんで、それで求められている面が一方にあるようです。
 更に調べてみましたら、例えばトマトですね。昔は青いうちに取って、それで市場に出すというようなことをやったんですが、今は保存その他の輸送の能力もありますので、完熟してから取るということと、元々糖度の高いトマトを栽培しているということに行き着いたわけであります。ニンジンは今申したとおりでありますが、最近はカロチンが豊富でにおいの少ない消費者ニーズに沿ったものと、こういうふうになっているようであります。また、ホウレンソウなども、シュウ酸の含有量が一、二割少なくて、生食に適する品種も普及しているようでありまして、冬季を中心に収穫された野菜では昔はそうだったんですが、今は年間通して供給できると、このように変わっているようでありまして、あなたの御質問で勉強させていただきましたことを白状いたします。
#57
○小川勝也君 ノスタルジーだけに浸っているわけにもまいりませんので、作っていただく方が、これ、もうからないと作っていただけないわけでありますが、頑張ろうとする生産者や生産者グループが出てきていると思います。特に、私どもの田舎のすぐ隣の比布町では、その地元古来のネギを復活させて「ぴっぷねぎ」、今売れてきているんですね。そういうのも、私の隣におりますツルネン議員が主張する有機野菜の品目にかつての品目を選ぶなんということも当然戦略的にニーズが出てくるだろうというふうに思います。
 事務局長からはお答えをいただきませんけれども、そういう大事な品種でなくなっていっちゃっているものもあるんじゃないかなと思うんですね。そのときは、いや、どんどんおいしくなっていっているからいいじゃないかというふうに思っても、後で、いや、昔のあれどうだというふうになっても品種が残っていないということも往々にしてあり得ると思うので、やっぱり研究機関ではその種の保存というんですか、こういったところもひとつ御面倒でも目くばせをしていただけたらなというふうに思います。
 それともう一つ、今言ったように、いや、昔の野菜に比べてフランス野菜は栄養価をずっと保ち続けて今に至っているし、地元野菜というのを大事にしているけれども、日本の野菜は栄養価がなくなってきたという説もあります。大臣は栄養価を保ったままというその例も提示していただきましたけれども、そういう新しい取組をしようとする、JAなのか生産者グループなのか法人なのか分かりませんけれども、あれもしてくれこれもしてくれという時代ではありませんけれども、そういったことも大事なんだという御認識だけお持ちいただければなというふうに思いますので、せっかくですのでお答えもいただけたらと思います。
#58
○国務大臣(島村宜伸君) 御提言、全く同感であります。
 私たち、例えば子供のときには、お芋屋さんへ行きますと、大体六割から六割五分が太白という、白くて粉を吹いた、金時芋を品良く白くしたような、それであと三割ぐらいが金時で、あと、おいらんという水っぽいあっさりした味の、それぞれありました。そういうものも今は現実になくなってしまっているわけですね。あるいはリンゴにしても、風邪を引くと、引いたときだけインドリンゴというのを食べることができた。甘くて香りのいいやつでした。これも品種改良で今はほかのものに変わっていますが。
 やっぱり、それはそれとして、あのインドリンゴの味は今でも我々、単なる郷愁でなくて、得難いものであったとつくづく思いますので、正にこういうものは保存するという能力が必要ですし、ちなみにインドリンゴは、ほんのわずかでありますけれども、青森県と岩手県の県境のところの黒石農協というところでまだ保存が利いておりますが、太白芋は実はもうあのおいしい味が得られなくなってしまっていると。これらについてはいろいろ検討していいのではないかと、こう思います。
#59
○小川勝也君 大臣からいい答弁もいただきました。
 それで、もう一点、時間もなくなってきたわけでありますけれども、日本で生産されるものの中で、日本で育成されたものよりも、例を出しますと、アメリカのいわゆるところの種子メジャー、こういうところが販売戦略に基づいて開発した種子の方が日本農業に適しているというふうに判断される種も出てきているようであります。今のところ懸念をするような品種、作物種があるのかないのか、あるいはそういった相手方の戦略に日本としてはどういう考え方で臨んでいるのか、まとめてお答えをいただければというふうに思います。
#60
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまの委員のお話でございますが、やはり我が国で育種しておるか、あるいはお話しのとおり外国で育種をしておるか、これは作物の種類によりまして大分異なっているわけでございます。稲でございますとか、あるいは麦、大豆、そういった基本的な部分につきましては、我が国の育成品種が、これはもうほとんどすべてが我が国の育成品種ということでお考えいただきたい。野菜につきましても、あるいは果樹につきましても、ほとんどは我が国の種苗会社が育成した品種でございます。
 ただ、問題は、正に今、委員からお話ございましたが、実は飼料作物、これにつきましてはそもそもがそのほとんどが我が国には存在をいたさない外来の植物でございますので、これにつきましては、その外国企業の育成品種の方が能力的に優れておるとか、あるいはまた、非常に大量に海外のやはり大きな市場を想定して開発をしておるといったようなこともございまして生産コストも安いというふうなことで、価格はいずれにしても安いといったようなことで、実は飼料作物につきましては、この外国企業の育成品種が全体の約七割となっているわけでございます。したがいまして、いわゆるこの飼料作物についての種子需要の相当部分が占められているということでございます。
 ただ、そこは今正に委員からもお話ございましたが、やっぱり飼料作物につきましても、私ども今後やはり飼料作物全体の自給率も高めていかにゃいかぬというふうな課題もあるわけでございますので、さらに今後、国産の種子のやはり普及促進なり、そういう生産性の高い優良な国産種子の育成あるいは増殖ということで取組を行っておるところでございますし、そういう形でいずれにしても我が国の育成品種の比率を高めていきたいというふうに考えている次第でございます。
#61
○小川勝也君 御答弁いただきましたとおりに、戦略的な作物を定めてしっかりと対応をしていただきたいというのが、今のことに対する私の要望であります。
 いよいよ最後でございますので、私のお願いといいますか、方向性だけ申し上げて質問を終わらせていただきますが、一つは、やはり日本の知的財産をしっかり守っていただくということ、そして、グローバル化の中で時計の針が進むのが物すごい速いものですから、時宜に応じて対応していただくということ、そして、大臣から御答弁いただきましたように、ほかの品目、品種に対してもアンテナをぱっと広げていただいて新たに政令でぱっと指定していただく、この方向性を望んで私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#62
○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。
 近年、海外との貿易の中で日本の知的財産権が侵される、それをまた保護することも必要であるということで、民主党の小川委員と同じ賛成の立場から質問させていただきたいと思います。
 知的財産権と申しますと、我々の方は、文科省文化庁の著作権、また経産省特許庁の特許権、こういう権利を最初思い浮かべるんですけれども、農水省の育成者権、この権利に関しましては、先ほどの岸委員、小川委員の質疑を聞いておりましても、作物というのは生命、生ものであるがゆえの難しさがやはりたくさんあるなというふうに感じております。
 生命とか作物というのは自然、天候、環境の影響を大変大きく受けますし、そういう意味では地域の影響も受ける、さらに遺伝の影響も受けるということになりますと、研究して新しい育種また種苗を育てるという立場から考えるとなかなか時間が掛かると。ですから、大学出の研究者でも、物理系と化学系と生物系の研究者がおりますと、圧倒的に化学系が業績は出ると。それで物理系は次に出る、生物系はなかなかいい新しいオリジナリティーのある研究というのは出にくいという現実がございます。
 ですので、この育成者権の保護、これを図っていただくという意味でも、最初に、この今回の改正に当たりまして大臣の方にお伺いしたいと思いますけれども、この育成者権の権利を保護する、その意義を農水省として基本的にどういうふうに考えておられるか、これをお伺いしたいと思います。
#63
○国務大臣(島村宜伸君) 知的財産立国を目指す我が国におきましては、植物の新品種は農業分野における重要な知的財産でありまして、農業生産の基盤を成すものであります。しかしながら、近年、不法に国外に持ち出された新品種の種苗から生産された農産物が我が国に逆輸入されるなど、新品種の権利が侵害され、産地に重大な影響が及ぶおそれが生じております。
 このような状況にかんがみまして、植物の新品種の保護を強化することは極めて重要であると考え、本法案を提出したところであります。
 農林水産省といたしましては、優良な新品種の適切な保護によって、新品種を活用した産地振興を支援し、我が国農業の競争力を強化してまいりたいと、こう考えております。
#64
○福本潤一君 そういう意味では、この権利が今まで侵されたようなケース、具体的にどういう対応を取られたかというふうにお伺いしたいと思います。
 今回、法律で、個人では三年以下、三百万円以下の罰金、法人では一億円以下の罰金ということになったようでございますけれども、私住んでおります愛媛県の中でも、西田朝美さんという方が育成したイチゴの新品種、「レッドパール」という品種ですが、韓国で増殖されて日本に逆輸入されたことがあると。このケースの場合どういう対応を取られたか、お伺いします。
#65
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまのイチゴのケースでございます。お話のとおり、愛媛県の個人の育種家の方が平成五年に品種登録をいたしましたイチゴの新品種でございます「レッドパール」というのがあったわけでございますが、これがその後韓国から違法に我が国に輸入されておるといったことが判明をいたしたわけでございます。
 これは、実はこの個人の育種家の方が韓国の一部の方に生産販売を許諾をしたわけでございますが、これが韓国内で無断で増植をされまして、その正に生産物が、イチゴが韓国内で販売されると。それと併せて我が国に輸入されておったというふうなことでございます。
 そこで、この方は、この個人の育種家の方は、このイチゴが、「レッドパール」でございますが、この収穫物を輸入をしておりました業者に輸入を止めるように警告書を送りました。あわせまして、平成十三年の六月に、警告を受けても輸入を止めませんでした輸入業者を相手に訴訟を起こされたということでございます。
 その後、この訴訟は、最終的には「レッドパール」のイチゴの輸入を行わないといったようなことを内容といたします和解ということで決着をしたというふうに承知をいたしているわけでございまして、御案内のとおり、韓国内ではこのイチゴが、新品種を保護する制度が当時なかったわけでございまして、二〇〇二年にこのUPOV条約を締結して以降もまだイチゴは保護対象となっておらないというふうなことでございますので、私どもとしては、韓国に対して早期に保護対象を拡大するように働き掛けを行っているという状況でございます。
#66
○福本潤一君 こういう国際間の場合もUPOV条約、具体的にございますけれども、その中でも生物であるがゆえのいろいろな制約、制限もあるようでございます。交渉の場でいろいろな形で国際的な問題も対応していただこうというふうに思います。
 ほかにも、熊本県がイグサの問題で、中国で畳表として日本に輸入された問題、さらには北海道が育成した小豆の新品種、中国に同様に持ち出された。これも先ほど、話にも出ておりましたけれど、どういう対応をしたのか、またするつもりなのか、これもお伺いしたいと思います。
#67
○政府参考人(白須敏朗君) まず、イグサの方の件でございます。
 これは、イグサは、実は熊本県が育成をいたしましたイグサの新品種、「ひのみどり」でございます。これの種苗が不法に中国に持ち出されまして栽培をされておるといったようなことで、熊本県が平成十五年の十二月に税関に対しまして輸入の差止め申立てを行ったということでございまして、現在、税関におきましては、したがいまして、この「ひのみどり」から作られた畳表につきましては輸入の取締りが行われておる。つまり、そういったものについては水際で輸入されないというふうになっているわけでございます。
 ただ、本年の三月に、実は税関が八代港におきまして中国から輸入されようとしておりましたこの「ひのみどり」の、これはイグサでございます、イグサそのものでございますが、これを発見をいたしまして、摘発しまして刑事告発を行ったというふうになっているわけでございます。
 また、小豆の方でございます。北海道が育成をいたしました小豆の新品種、これ、「きたのおとめ」というのとそれから「しゅまり」という二つの種苗でございますが、これが不法に中国に持ち出されまして、この種苗から生産をされました収穫物がその小豆なりでございますが、それが我が国に輸入されておったということが、実は昨年、北海道がおかしいというふうなことを受けましてDNA鑑定を行ったと。さらにまた、栽培試験も行ったわけでございまして、これによりましてこれが不法に持ち出された新品種であったということが判明をいたしたわけでございます。
 そこで、北海道から警告を受けましたこの輸入業者の団体、これがこの輸入の小豆につきまして自主的にDNA分析を行いまして、それによりまして検査を行うというふうなことでございまして、併せて個別の輸入業者につきましてもサンプルを事前に入手をいたしましてDNAの分析検査を行うといったようなことで、その育成者権を侵害をいたしまして生産された小豆というものが輸入されるということを回避をしているわけでございます。
 したがいまして、こういうふうな措置を、自主的な検査なりを行うというふうなことで、現在この小豆につきましては育成者権を侵害した種苗から生産された小豆の輸入というものは事実上回避をされておるというふうに承知をしているところでございます。
#68
○福本潤一君 現実的には回避するような形で決着を見ていられるようでございますが、今回の改正でもう一点、加工品にも育成者権が及ぶということで改正されておるわけでございますが、権利者の許諾がなくて登録品種の収穫物から生産、譲渡、輸入されるというおそれありやなしやということで、今、農水省のとらまえている現状から、どういう加工品についてそのおそれがありそうなのかというのを、若干の先の見通しも含めてお伺いしたいと思います。
#69
○政府参考人(白須敏朗君) 実は、今、委員からもお話ございましたが、正に現在のところ問題となるおそれがある加工品ということで私どもが考えておりますのは、小豆とインゲンマメを原料といたしますあん、あんこでございます。それからもう一つはイグサを原料とするござということでございまして、ただいまも委員からのお話で私申し上げましたとおり、その小豆とインゲンマメにつきましては、その豆そのものはこの輸入業者の団体によりまして自主的に検査が行われておるというふうなことで、収穫物としての小豆あるいはインゲンマメというものは輸入されるということは事実上なくなっておるといったようなことがあるわけでございます。
 また、熊本県が育成をいたしましたイグサの新品種の「ひのみどり」につきまして、これから作られました畳表につきましては、平成十五年の十二月から税関で取締りが行われておりまして、収穫物である畳表として輸入されるということはなくなっておるというふうなことがあるわけでございます。
 したがいまして、正にこういった収穫物に対する取締りあるいは検査を脱法的にくぐり抜けるということから、正にそれらを加工いたしましたあんこでございますとか、あるいはござということで輸入されるおそれが強いというふうに私ども考えているわけでございます。正にそこが、申し上げましたあんことござというものが一番問題となるおそれがある加工品であるというふうに考えているわけでございます。
#70
○福本潤一君 現実に起こった状況対応型の法改正にもなっておるんだろうと思いますので、今回の法改正に基づいて、またほかの作物また加工品に関しても対応をきちっとしていただければと思います。
 この品種保護制度というのが、日本、今回改正したわけですけれども、世界的に見てUPOV条約ございますけれども、どのレベルにあるのかというのもお伺いしておきたいと思いますので。
#71
○副大臣(常田享詳君) 農林水産省といたしましては、適切な新品種保護によって、新品種を活用した産地振興を支援し、我が国農業の競争力強化を図っていくことといたしております。
 その一環として、我が国においては、植物の新品種の保護に関する国際条約、今お話がございましたUPOV条約を早期に締結し、種苗法の品種登録制度の充実強化を図っているところであります。この結果、我が国の品種登録件数は順調に増加し、近年は毎年EU、米国並みの一千品種前後について新たに権利を付与しているところであります。
 今回の種苗法の改正は、加工品への育成者権の効力の拡大、育成者権の存続期間の延長を内容としております。これらは、植物の新品種の保護に関する国際条約において、締結国の裁量にゆだねられている対応について一層の強化を図るものであり、今回の改正により日本の品種保護制度はどのレベルにあるかということでありますが、我々としては世界のトップレベルに肩を並べるというふうに認識しております。
 その根拠でありますが、世界で初めて加工品に対する実効的取締りが実施できる。ほかの国にはこのような実効性を伴った規定というものはございません。そういった意味でトップレベルに肩を並べるというふうに自覚しております。
#72
○福本潤一君 欧米では千品目に及ぶということでございます。
 また、品目の寡多のみならず、特定の作物でも、例えば韓国で栽培されているイチゴというのはほとんど日本の新品種が特産になっているような形になっておるということもございます。これ日本の新品種が保護されるということで、外国に対してもWTO、EPA、FTA含めて、この韓国の例を出させていただきましたけれども、農水省としても働き掛けをするべきではないかと思いますが、対応、よろしくお願いします。
#73
○政府参考人(白須敏朗君) 今、委員からもお話あったとおりでございまして、海外の国におきましても、その国において品種保護制度があってその植物が正に保護対象とされておるということであれば、日本の育成者であってもその国で育成者権を取りましてその品種を保護するということが十分可能であるわけでございます。
 ただ、残念ながら、このアジア地域で見てみますと、この植物の新品種の保護に関するいわゆるUPOVの枠組みに沿いまして国内制度を整備しておりますのは、我が国のほかには中国、韓国、シンガポール、わずか三か国のみでございます。また、これら三か国の制度につきましても、ただいま委員からもお話ございましたとおり、我が国のようにこの全植物を対象としておるということではございませんで、正にこの韓国ではイチゴが対象となっておらない、あるいはまた中国では小豆なりインゲンマメあるいはイグサが保護対象となっておらないといったような、そういう状況になっているわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、一つにはこのEPA、そういった交渉におきまして正にこの植物の品種保護制度の整備なり拡充といったことを働き掛けをいたしているわけでございますし、さらにはまたUPOVへの拠出金もあるわけでございまして、そういった拠出金を活用いたしました品種保護制度に関します研修あるいはセミナー、そういった技術協力を行うことによりまして、アジア各国におきまして我が国の品種がしっかりと適切に保護されるように、そういう取組を行っているところでございます。
#74
○福本潤一君 そういう意味では、育種をしておられる個人の農家、篤農家のような方とか、研究者でもこの育種の分野ではなかなか成果が出にくい中で頑張っておられるわけでございますので、品種保護Gメン、今回つくられたと、対応策があるようでございますけれども、同時に農水省としてもそういう方々に対する支援も必要ではないかと思いますけれども、その対応策、よろしくお願いします。
#75
○大臣政務官(加治屋義人君) 品種の育成は大変時間と労力が掛かるということは承知をいたしております。育成者の利用や侵害への対応は育成者自身が行うことが基本であります。しかしながら、権利主張を行う基盤が比較的脆弱と思われる育成者権者が多数おられることも事実であろうと思っております。
 農林水産省としては、権利侵害などに対応するためのマニュアルの作成をいたしておりまして、また相談窓口の設置なども行って対応をさせていただいております。さらに、海外において今まで議論があったような案件も数多くありますので、海外における品種登録の方法、育成者権侵害対策への対応などについてのマニュアルを作成することといたしております。また、独立行政法人種苗管理センターに先ほどお話ありました品種保護Gメンを設置をいたしまして、育成者権者の依頼に応じ、侵害実態調査などを行うこととしておりまして、以上の取組を通じて、個人育種家であっても有効な侵害対策が講じられるように支援をしてまいりたいと、このように思っております。
#76
○福本潤一君 支援も含めて取り組んでいただければと思います。
 この国際的な中で、新しい品種を保護するということでUPOV同盟というのがございます。これ具体的にどういう活動、働きしておられるのかということ、また具体的に育成者権の侵害対策に対してどういう形で今後日本として取り組むおつもりか、これをお伺いしたいと思います。
#77
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまのUPOV同盟の関係でございます。このUPOV同盟といいますのは、植物の新品種を各国が共通の原則に従いまして保護するということで優れた品種の開発、流通を促進する、もって農業の発展に寄与すると、そういうことを目的とする国際機関であるということでございます。
 そのUPOVの主な活動といたしましては、それぞれ加盟国間の品種の審査基準を統一すること、あるいは加盟国間の審査協力、さらには加盟国間の品種登録に関する行政手続の統一、あるいは植物品種の保護制度に関する広報普及活動といったようなことで、各国における植物新品種保護制度の整備に主眼を置いているわけでございまして、育成者権者の実はこの権利行使に関する事項については取り扱っておらないわけでございます。
 したがいまして、やはり何といいましても植物新品種の適切な保護という観点、今、委員からもお話ございましたが、そういう点を図っていきますためには、やはり国際的に協調してこの侵害対策に取り組んでいくということが大変重要なことだろうというふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしてはこのUPOVが、UPOV同盟が育成者権者の権利行使につきましても取扱いをいたしますように、UPOVの定期的な会合の場において提案をするといったようなことも通じまして、積極的に働き掛けを行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#78
○福本潤一君 そういう意味ではこのUPOVというフランス語ですか、この頭文字のVは、最後のフはベジタブルでございますし、英語で言うと。Pというのはプロテクションでございますので、こういうところでもきちっとした対応が取れるように働き掛けを農水省からもやっていただければと思います。
 さらに、産地を形成するときにこの新品種、これが具体的に出てきますと新しい大きなインパクトを与えるわけで、先ほど小川委員からは出なかったですけど、愛媛は伊予カン、かんきつ、大変かつては威勢が良かったわけでございますが、だんだんだんだん下がってきたときに、今、「せとか」か「ゆりか」という名前でした、「ゆりか」じゃないな、「せとか」か「はまか」という名前でしたけれど、新品種で青森の「つがる」と同様の高品質のが今出始めておるところでございますので、そういう産地づくりにどういう取組されているか、農水省としてまたそれに支援をしていくべきじゃないかということについてお伺いしたいと思います。
#79
○政府参考人(白須敏朗君) お話しのとおり、近年各地におきまして新品種の育成を通じた特色ある産地づくりというふうなことで様々な取組の事例があるわけでございます。今、委員からもございました愛媛県におきましては、かんきつの新品種は「あまか」、「せとか」、「はるか」というふうなことのようでございまして、こういったのを積極的に導入して産地づくりに取り組んでおる。
 あるいは、岩手県の安代町ではオリジナルなリンドウの品種を開発をいたしまして、産地のブランド力の向上に努めておるといったようなこと、あるいはまた熊本県はもちろん先ほど来お話ございましたイグサの新品種で最高級の畳表を、イグサの新品種は「ひのみどり」でございますが、これを原料とした最高級の畳表は「ひのさらさ」というふうな商標登録もしておるようでございまして、そういうふうな産地づくりに取り組んでいるわけでございます。
 私どもとしても、そういうのは今後とも支援をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#80
○福本潤一君 大臣の方にも最後、この産地づくりに対する応援また取組に決意をお伺いしたいと思います。
#81
○国務大臣(島村宜伸君) 農林水産省といたしましては、優良な新品種を適切に保護することにより、このような取組を支援し、我が国農業の競争力を強化していきたいと考えます。
 このため、本法案により、新品種の保護を強化するとともに、都道府県などによる権利侵害の情報の収集や新品種の保護に関する啓発活動の支援、あるいは品種保護Gメンによる権利侵害の実態調査などにより、産地段階の新品種の保護を支援することとしております。
 さらに、新品種の栽培技術を普及するための実証や産地振興のための施設整備の支援により、産地の取組を促進してまいりたい、こう考えます。
#82
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 答弁はできるだけ簡潔にお願いをしておきたいと思います。
 最初、種苗法についてですけれども、今回の種苗法の改正は、前回法改正の際に私も強く要望していたわけですけれども、加工品に対してもこの育成者権の効力を拡大するものであって、これは賛成です。より実効性のあるものにするためには、いろいろ議論もありましたけれども、水際での監視体制の強化と、それから国内に入って流通しているものに対する監視と取締りの体制の強化というのが重要になります。
 農水省は、今年度から独立行政法人種苗管理センターに品種保護対策官ということを新設するということで現場からも期待の声が上がっているわけですが、これ非常に重要な活動だというふうに思います。しかし、立入りの権限もないし摘発できる法的な裏付けもないわけで、これで実効性のある監視ができるのでしょうか。
#83
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまのお話でございます。
 育成者権というものは元々私的な財産権でございますので、この育成者権を行使をいたしますのは育成者権者自身であるということが原則であるというのがまず一つあるわけでございます。したがいまして、品種の保護ということにつきましては、私どもはこれまでも植物新品種の育成者権者の保護、支援というのがまず基本でございますので、それぞれ情報の収集でございますとかあるいは啓発活動、さらにはマニュアル作り、あるいはまた相談窓口の設置というふうなことも行ってきているわけでございます。
 今般、ただいま委員からお話ございました品種の保護対策官というものは、正にそういったこれまでの、従来の保護支援策に加えまして権利の侵害対策をより強化するということで、適切な権利行使のための一種の環境整備を行うということでございます。要すれば、育成者権者の権利行使を支援するということで設けているわけでございますので、この品種保護Gメン、品種保護対策官の活動によりまして、より育成者権者の保護の強化ということに貢献できるのではないかというふうに考えている次第でございます。
#84
○紙智子君 人員が四人という体制で、今いろいろるるお述べになりましたけれども、Gメンという名前を付けているということもありまして、そう言うからには、やっぱり監視や取締りの権限を持たせることも、これから始めるということなんですけれども、実施状況を見ながら、そういうことも視野に入れて検討すべきじゃないかというふうに思います。
 次に、遺伝子組み換えの問題なんですけれども、遺伝子組み換え作物の栽培が一般の農作物に与える影響について質問したいと思います。
 我が国では既にカルタヘナ法、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律、これに基づく栽培の承認がトウモロコシなど十五系統で済んでいます。承認されたとみなされるものが大豆、菜種、トウモロコシの三種七系統あります。これらは既に一般の野外圃場での栽培が可能となると。既に輸入された大豆や菜種が港や輸送道路の周辺で自生しているという報告が多くされているわけです。
 カルタヘナ法では農作物への影響というのは評価の対象になりませんから、現在、遺伝子組み換え作物の混入や交雑など農作物への影響を防ぐ法的な規制というのはないわけですよね。栽培の承認が済んだもの及び承認済みとみなされるものについては、法的には行政も周辺の農家も、いつどこでだれがどのように栽培しようと一切関知できないわけです。これは問題じゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#85
○政府参考人(中川坦君) 一般作物への影響のお尋ねでございますけれども、ちょっと繰り返し確認をさせていただきますけれども、遺伝子組み換え農作物についてのチェック、これは様々な点に絡むチェックがございます。食品としての安全性は食品衛生法上チェックをいたしておりますし、また飼料、えさへの安全性は飼料安全法、それから野生植物は、今、先生おっしゃいましたように、カルタヘナ法で、それぞれ科学的な評価を行った上で、その結果問題がないもののみ栽培や流通が認められております。その際に、一般の作物への影響につきましても、食品衛生法あるいは飼料安全法につきましては、これは食品安全委員会でチェックがされております。したがいまして、商業的な栽培が行われ、仮に同種の伝統的な一般的な作物と交雑をしたとしましても、安全性の面からは問題がないというふうに私ども考えております。
 そうではありますけれども、遺伝子組み換え農作物に対します国民の方々の関心が高いという中で、実際、現在はまだ商業的生産は日本では行われておりませんが、仮に行われた場合に生産、流通上の混乱が生じないように配慮することは当然必要だというふうに思っております。このために、農家が遺伝子組み換え農作物を栽培する場合には、必ず周辺の農家の方々の理解を得るということ、それから交雑防止の措置、これは例えばほかの一般作物との間に一定の距離を置くですとか、あるいは流通に当たって分別管理をきちっとしていただくと、こういったことを徹底してくださいということを実際はお願いをしているということでございます。
#86
○紙智子君 昨年の夏、米農務省がこの組み換え作物の栽培に関心のある日本の生産者三人を米国の穀倉地帯に招待したということも伝えられているわけです。実際に北海道でも数名の生産者が組み換えの大豆を生産する意向を表明していると。
 農水省が出している通知というのは、都道府県に対して、今お話ありましたけれども、組み換えの作物を栽培するという情報があった場合に周辺の地域や住民の理解を得ることと、交雑・混入防止の措置をとることを栽培者に徹底するというものなわけですよね。しかし、栽培者に徹底しようにも、栽培農家に届出義務があるわけではないわけです。栽培しようとする農家の実態把握をするシステムもないんですね。
 だから、だれがどこで栽培するかも分からないわけで、それをどうやって住民の理解や交雑防止を徹底できるんでしょうか。ましてや、この通知には法的な拘束力がないわけです。お願いということですから拘束力はないと。これで実効性のある交雑や混入防止の措置がとれるのかということなんですが、いかがでしょう。
#87
○政府参考人(中川坦君) 具体的な遺伝子組み換えの作物を承認するに当たりましては、こういった遺伝子組み換え作物を育成した種子メーカーに対しまして、当該遺伝子組み換え生物等の使用の際にどういう状況で使われるかということを農林水産大臣あるいは環境大臣のところに届け出ると、情報提供するようにというものが大臣名で通知をされております。これが、日本で仮に商業生産が行われるという事態になりましたら、こういった種子を製造しているそういったメーカーから私どもは情報提供がされるものというふうに理解しております。
#88
○紙智子君 だから、情報提供がされるものということなので、義務はないわけですよね。
 それで、食品としては安全だということになっているんですけれども、これをめぐっても不十分だという声もあるわけです。カルタヘナ法は、先ほども言いましたけれども、これ野生生物への影響を防止するものなわけですよね。だから、農作物への影響というのは評価されないわけです。今の現状を放置しますと取り返しの付かない混乱を引き起こす可能性もあると思うんですね。その一つが有機農業の発展に大きな妨げになるということです。
 有機認証制度では組み換え作物は有機農産物とは名のれないわけです。有機認証された畑にこの組み換えの種子が入り込んで自生するなどの混入した場合は有機表示はできなくなるわけです。見た目では区別が付きませんわけで、取り除くことができないわけです。花粉によって交雑した場合の規定はないんですよね。だから、その場合は有機になるということなんですけれども、これは有機農業に取り組む生産者も消費者もちょっと受け入れられないものだということなんですね。
 法的規制がない状況で、この有機農業の生産者の側が交雑、混入などの被害を防ぐ手だてというのは、有機農法の立場からいうと防ぐ手だてというのはないんじゃないかと思いますけれども、どうでしょう。
#89
○政府参考人(中川坦君) 先ほどと繰り返しになりますけれども、現に生産現場でこういった遺伝子組み換え作物が栽培をされる場合には、それぞれの現地でやはりそれ以外の農家の方々ときちっと話合いをしていただいて、そして理解を得てやるということがやはり大事だというふうに思っております。ですから、そこをやはりきちっと徹底をしていくということがこの問題についての一番大事な点ではないかというふうに思います。こういうことをきちっと徹底をするように私ども努力いたしますし、それが守られれば、今、先生がおっしゃったような問題も回避ができるというふうに思っております。
#90
○紙智子君 開発企業にも、この組み換えの作物を作付けするそれから生産者にも情報提供の義務付けというのはこれないわけですよね。有機農業の側から防ぐ手だてがないと。そうすると、取り返しの付かないダメージとなって日本の有機農業を根底から危うくする、しかねないという問題だと思うんです。もし交雑するような事態が起きた場合に、これ国の責任が問われることになるんですね。どう責任を取るのかという問題にもなってくるわけです。
 それからまた、現状のままで商業栽培が自由にできるということになると、余りに問題多いわけですけれども、交雑・混入防止ということであれば、商業栽培が開始される前に、栽培を承認した作物について少なくともやはり利用実態を把握するシステムと、在来の組み換えではない農作物への影響被害を防止するためのそういう法的枠組みというのはつくるべきだと思うんですけれども、これ大臣にお伺いしたいと思います。
#91
○国務大臣(島村宜伸君) 遺伝子組み換え作物につきましては、関係法令に基づきまして科学的な評価を行い、食品や飼料としての安全性などに問題がないもののみ栽培が認められております。一般作物との交雑に関しても問題はないこととされております。
 このように、既に現行の法的枠組みにより、遺伝子組み換え作物の安全性は確保されておりまして、新たな仕組みを設ける必要はないと考えております。
#92
○紙智子君 しかし、現にいろいろ問題が起こっているわけですよ。実際にはやっぱり様々な形で疑問も呈されているし、不安も広がっているわけですし、それに対して問題ない問題ないといっても、これはやっぱり解決しないわけですよね。
 それで、例えばカナダでいいますと、遺伝子組み換えの菜種の種子が有機農業の畑を汚染して有機栽培ができなくなったということで、一千戸の有機農業生産者がこれ損害賠償を求めてモンサントを訴える事態になっているわけですね。これをもし放置すれば、最悪の場合、日本でも同じようなことになりかねないわけです。生態系や農作物への影響を与えてからではこれ取り返しが付かないという問題だというふうに思います。
 それから、ヨーロッパの場合で見ても、ヨーロッパでは、新表示制度ができるまでの間、組み換え作物の栽培、流通をいったん停止して、これはモラトリアムというふうに言っていますけれども、停止して、その間に交雑、混入を防いで組み換えではない慣行農業や有機農業に対する影響を防止する対策が検討されていますよね。
 それから、ドイツでは汚染者負担の原則も盛り込んだ組み換え作物の栽培規制法が成立しているわけです。それでも農業者の中では組み換えの作物との共存というのは不可能だということで、それで組み換え作物フリーゾーンの運動が今広がってきているわけですけれども、こういう事態なわけです。
 じゃ、日本の消費者はどうなんだということで見てみますと、農林水産技術産業振興センターがまとめた消費者の意識調査、これ先日のを見ますと、六五%の人が不安だと。不安とやや不安を含めて六五%、不安を感じないと言っている人が一〇%なんですね。消費者の中でやっぱり依然として強い警戒心を持っているわけです。やっぱりこのままでは、組み換えを作りたくない人、食べたくない人、こういう人も拒否する権利も保障されないことになってしまうと思うんですね。
 北海道が条例制定を行ったんですけれども、食料基地としてやっぱり安心、安全な食料を供給し続けるということでいえば当然のことだったというふうに思います。北海道も本来はこれ国がもっと踏み込んでやるべきじゃないかということで要望もしているわけです。組み換えじゃない農産物への影響被害を防止するためのこの法的枠組み、ここをやっぱりつくるべきだということを再度強調して、ちょっと時間にもなりますけれども、質問とさせていただきたいと思います。
#93
○政府参考人(中川坦君) 先ほどのことをちょっと付言をさせていただきますけれども、育成者に対して情報の提供を求めると、大臣名で求めるということをお答え申し上げましたけれども、これはカルタヘナ法の第六条第二項の規定に基づきということでございまして、法律に基づいてきちっとした情報提供を求めると。まず、そういった形で実際に商業生産ができるということであれば、するという意図があるということであれば、そういった生産に当たっては、まずもって地元できちっと話合いをして、周辺の農家の方々を含め住民の方々の理解を得てやるということを一番大事にして私どもとしては指導に当たってまいりたいというふうに考えております。
#94
○委員長(中川義雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 種苗法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#95
○委員長(中川義雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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