くにさくロゴ
2005/05/12 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 農林水産委員会 第14号
姉妹サイト
 
2005/05/12 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 農林水産委員会 第14号

#1
第162回国会 農林水産委員会 第14号
平成十七年五月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     池口 修次君     小川 敏夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 義雄君
    理 事
                岩永 浩美君
                田中 直紀君
                羽田雄一郎君
                和田ひろ子君
    委 員
                加治屋義人君
                岸  信夫君
                小泉 昭男君
                小斉平敏文君
                常田 享詳君
                野村 哲郎君
                松山 政司君
                小川 勝也君
                小川 敏夫君
                主濱  了君
            ツルネン マルテイ君
                松下 新平君
                谷合 正明君
                福本 潤一君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   島村 宜伸君
   副大臣
       農林水産副大臣  常田 享詳君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       加治屋義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高野 浩臣君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房審議官     山中 伸一君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       スポーツ・青少
       年総括官     西阪  昇君
       農林水産省総合
       食料局長     村上 秀徳君
       農林水産省消費
       ・安全局長    中川  坦君
       農林水産省経営
       局長       須賀田菊仁君
       農林水産省農村
       振興局長     川村秀三郎君
       環境大臣官房審
       議官       福井 雅輝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十八日、池口修次君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中川義雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案の審査のため、本日の委員会に文部科学大臣官房審議官山中伸一君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、農林水産省総合食料局長村上秀徳君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、農林水産省経営局長須賀田菊仁君、農林水産省農村振興局長川村秀三郎君及び環境大臣官房審議官福井雅輝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中川義雄君) 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小泉昭男君 それでは、早速御質問に入らせていただきますが、大臣にお伺いいたします。
 近年、我が国の農業を取り巻く環境、大変厳しい状況でございますけれども、機会あるごとに様々な議論がなされてきたことも事実であります。そのどの議論にも共通していることは、国民生活を支えている食料の安定供給を進める中で、農業生産の一番重要な基盤が農地であるということでありまして、その農地が相続や担い手の減少などの理由によりまして荒廃したり転用されるなどの問題が生じ、後世に継承されないことが重要な問題となっております。
 改めて、農地の公共財的性格について、大臣の御所見をお伺いをいたします。
#7
○国務大臣(島村宜伸君) お答え申し上げます。
 農地は食料の基本的生産手段であります。すなわち、農業生産の用に供され、食料の供給が行われてこそ初めてその効用が発揮されるものであります。また、いったん壊廃すればこの再生には膨大な投資を必要とすることになります。
 このような考え方の下、農地制度は農地を農地以外のものとすることを原則として禁止をしております。農地の権利取得に際してきちんと農業の用に供し得る者に取得させることといたしまして、農地の公共財的性格を担保する制度としておるところであります。
 今般審議をお願いしております制度改正の中で、強制的要素のある耕作放棄地の解消策を提案しておりますが、私といたしましては、農地の権利を持っている方々がその農地を農業生産活動の用に供するという自らに課せられている責務を自覚され、その責務を果たされることを切に希望する次第であります。
#8
○小泉昭男君 大臣からただいま基本的な農業に対するスタンスをお伺いいたしました。極めて大事なポイントでございますが、大臣の今の御答弁と併せて、次に副大臣にお伺いさしていただきたいと思います。
 新たな食料・農業・農村基本計画においては、担い手に対して農地の利用集積を始めとした各種施策の重点化が盛り込まれてまいりました。特に、担い手が農業を営む上で他産業並みの所得を確保できるだけの経営基盤、経営規模が必要になってまいりますが、これはすなわち農地の利用集積による規模拡大につながるわけであります。貸す側の意向と借りる側の意向の調整取りまとめには、農業委員会や農協の負うべき役割は大変重要なものと考えるところでございます。
 今後、農地の流動化を加速する上で、これら組織への取組について農林水産省としてどのような指導、支援をお考えになっているのか、伺っておきたいと思います。
#9
○副大臣(常田享詳君) 今回の農地制度の見直しにおきましては、農地保有合理化事業の充実による農地の仲介機能の強化、併せて集落合意を基礎とした農用地利用規程を充実し、集落の農地利用の基本方針や集落の構成員の役割分担及び担い手に対する農地の利用集積目標を明確化すること等、担い手の育成確保と、それに必要な農地の利用集積を加速化するための措置を講じたところであります。
 これら担い手の育成確保、農地の利用集積を着実かつ積極的に進めるためには、国、県、市町村、それぞれの段階において行政と先生御指摘の農業委員会等系統組織、農協などの農業団体が一体となって取り組む体制を整備する必要があると認識しております。このような農業団体を中心とした取組が円滑に進められるよう、強い農業づくり交付金等の予算措置により現場での取組を支援することといたしております。
 また、農林水産省では、全国農業会議所、全中などの農業団体と連携を図り、担い手の育成確保のための全国運動を展開しているところであります。
 先般来、加治屋大臣政務官とも分担して各ブロックを我々が訪問し、説明をさせていただいているところであります。特に、担い手の育成が急がれる土地利用型農業を中心に、農地の利用集積の促進等を行政、農業団体一体となって取り組んでいるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
#10
○小泉昭男君 続いて、加治屋政務官にお伺いさしていただきます。
 話は少し飛びますけれども、最近、新規就農という言葉が耳にされるようになってまいりました。これは極めて大きな期待をするところでございますけれども、農業において、特に女性が支えている部分が多いのも農業という職業の特徴かと思います。反面、過去には女性に多くの肉体的な労働を強いてきたことが多かったことも事実でございまして、農業イコール重労働のイメージはいまだ払拭されていない感がいたします。担い手が誇りを持って農業に従事できるようにしていくためには、サラリーマンでリタイアされた方々を含めて、特に女性が参加しやすい環境整備が極めて喫緊の課題かなと、こういうふうに思いますので、この点についてお考えを伺っておきます。
#11
○大臣政務官(加治屋義人君) 女性が働きやすい、参画しやすい環境づくり、こういうことでございます。
 今日、女性は農業就業人口の過半を占めておりまして、また、新しく就農するその割合も三割を占めているという、こういう状況でございまして、今後とも農業、農村において重要な役割を果たすことが大変期待をされております。
 一方で、農村女性は、農業労働に加えまして、お話しのとおり、家事、子育てなど大変大きな負担を抱えておられるわけでございますが、新たに農業に参画する場合、その後の活動、女性が農事に従事しやすい環境づくりを図っていくことは極めて重要なことだと認識をさせていただいております。
 また、このことはこのたびの、三月に新たに策定をいたしました基本計画の中にも女性の参画の促進に関して計画的に講ずるべきである施策がしっかりと明記をされてもおります。このために、農林水産省では、省内に男女共同参画推進本部を設置をいたしまして、これは常田副大臣が本部長としてこのことに積極的に取組を今させていただいているところでもございます。
 今後とも、この基本計画に基づきまして、新規就農支援のための相談活動、研修の実施、資金の貸付け、あるいは家族間で労働の役割分担などを取り決める家族経営協定の締結促進、女性の活動や出産・育児期の負担軽減のための情報提供や研修の開催、あるいは女性の抱える課題の解決のための女性農業者のネットワークづくりの推進、これら女性の参画が促進できるようにしっかりと支援をしてまいりたいと、そのように思っております。
#12
○小泉昭男君 ただいま大臣、副大臣、政務官から大変前向きな御努力の部分のお話いただきました。
 続いてお伺いしたいことでございますが、現在、全国に農業高校、大学含めて専門的に農業の御指導をいただいている機関がございますが、農業経営に当たりまして、一番原点は、ただ農業が好きだとか自然が好きだだけでは、経営でございますから立ち行かなくなることは心配でございますので、担い手に施策を集中・重点化していく中で教育が一番基本にあってしかるべきかなと、こういうふうに思います。
 そういう意味から、近年、これらの農業高校、大学に通う生徒数がだんだん減少傾向にあるという、こういう報道を拝見しまして、私もかつて農業高校に通った経験がございますので極めて残念に思いますし、寂しい気持ちがいたします。そういう意味から、将来の農業の後継者になる方、また、ならなくても農業関係に従事する方、農業関係に従事しなくても農業に理解を示す方、そういう方の啓蒙活動が必要じゃないかなと、こういうふうに思います。
 そういう場合に、これから年齢を超えて、再度、例えばサラリーマンでリタイアされた方ももう一回農業を学び直してみよう、そして農業にもう一回いろんな努力をしてみよう、こういうチャンスをお与えいただくのも必要かなと、こういうふうに思います。
 こういう意味から、農業高校、大学に対するシステムづくり、様々なカリキュラムも用意すべきだと、こういうふうに思いますので、お考えを伺っておきます。
#13
○政府参考人(須賀田菊仁君) 最近の経済情勢を反映いたしまして、いわゆる中高年の離職就農の方の数が増えております。我々農業界の方から見ますと、やはり他産業で培われました知識でございますとか、あるいは技能でございますとか、こういうものの活用が可能ということで、農業の担い手あるいはオペレーターといった直接的な役割のほかにも、まとめ役だとか世話役だとか、こういう面での役割が期待をされているところでございます。
 ただ、いきなり他産業を辞めて新規就農というのも非常に難しゅうございまして、技術の習得等の教育が必要と、今、先生のおっしゃるとおりでございます。
 私ども、一つは、他産業におる間に働きながら農業技術、経営方法を学べるような就農準備校というのをまず用意をしておりまして、そこで他産業におる間に農業のことをいろいろ学んでいただきたい。それから、その後に指導農業士だとかあるいは農業法人、こういう先進的な経営体で研修をする、技術を実際に身に付けていくと、こういうこととか、あるいは各道府県に農業短大、農業大学校がございます。その中に定年退職者を含めた中高年齢のための研修といったコースあるいは失業者の農業法人雇用促進のための職業訓練コース、こういう様々なものを用意をいたしまして、これらの人々の新規就農を支援をしていきたいと、このように考えているところでございます。
#14
○政府参考人(山中伸一君) 文部科学省でございます。
 農業高校についてのお尋ねがございました。
 先生御指摘のように、農業高校、現状について見ますと、平成十六年で学校数三百六十四校、生徒数は約十万二千人でございます。高校生全体の数がここ十年で二二%、四百七十二万人から三百七十一万人と大きく減少しておりまして、農業科の生徒も、十年前には十三万人台おりましたけれども十万人台と減少してきておりますけれども、全体の高校生に占めます割合は二・七%ということで、ほぼ十年ぐらい横ばいの状況ということになっております。
 文部科学省といたしましても、農業を取り巻く状況の変化、こういうものに対応いたしまして、農業教育の改善をするという意味で、農業経営でございますとか農業経済といった流通、経営に関する科目を充実するなど、将来の農業経営者の育成のための教育内容の改善というものも行っているところでございます。
 また、社会人の農業高校への受入れという御指摘でございますけれども、社会人向けの公開講座の開設でございますとか、あるいは、農業高校全部の科目を受けるというのは難しい面もあろうかと思いますけれども、開設している科目のうち一部を履修します一部科目履修生という中で社会人を受け入れているといった実態もございます。例えば、神奈川県の平塚高校の初声分校では、トウモロコシなどの栽培知識と技術の習得を行います「自然と農業」、こういうところに社会人の科目履修生の受入れが行われております。あるいは、富山県立の中央農業高校でございますと、高校を卒業した後、更に自営農業を目指したいという生徒、あるいは社会人の方で自営農業をやりたいという方のために二年間の専攻科コースを設けまして、そういった担い手コースなどの設置をしているという例も行われているところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも、農水省あるいはJAなど関係の各省、団体との連携を通じまして、将来の農業の担い手づくりを目指して魅力ある農業高校づくりに努めてまいりたいと考えております。
#15
○小泉昭男君 現在大変な努力をいただいていると分かりました。
 また、神奈川県の平塚の名前が出てきたことに感謝申し上げたいと思います。
 続きまして、順を追って最後に意見まとめてみたいと思いますので、協力お願いいたします。
 耕作放棄地、大臣が先ほどお話しされました。これは年々増加傾向にあるということでありまして、平成十二年、三十四万ヘクタールといいますから、今はもっと増えているんじゃないかなと、こういうふうに心配をいたします。耕作放棄地の発生、増加の防止と解消に向けた緊急の対応、重要でありますので、具体的にどのような対策が講じられて、法案にどのように盛り込まれて実施されていく取組を考えるか、伺っておきたいと思います。
#16
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生おっしゃられますように、耕作放棄地、平成十二年で三十四万ヘクタール、恐らく現在もっと増えているのではないかというふうに推定をしておりまして、大変懸念をしております。
 基本的には、遊休農地がちゃんとした担い手によって耕作される、これが望ましいわけでございますけれども、なかなか土地条件等ございましてうまくいかないケースもあるということで、今回の法案の中には二つございます。
 一つは、市町村が基本構想の中で、遊休農地というものの所在を確認をいたしまして、山に戻すべきものと農地として活用すべきものに振り分けをいたしまして、この後者、農業上の利用の増進を図るものについてはそのための施策というものをちゃんと市町村が位置付けて方針に書くということでございます。そして、耕作放棄地の権利者に対しまして指導を行いまして、ちゃんと利用しなさいと。その指導に従わない耕作放棄地の所有者に対しては、最終的には知事の裁定によりまして賃借権が強制的に設定できる、こういう特定利用権の制度というのを一つ創設をするということにしております。
 それからもう一つ、耕作放棄をしておりまして、周囲の営農に支障を及ぼす病害虫が飛ぶ、あるいは水利系の施設がつぶれる、こういう周辺、周囲の営農に支障を及ぼしている場合には市町村長がちゃんと支障を除去しろという命令が出せると、命令に従わない場合には代執行ができるということでございまして、所有者不明の場合にもその措置がとれる、こういう体系的な耕作放棄地対策を盛り込むということにしておりまして、何とかこの耕作放棄地の解消に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
#17
○小泉昭男君 耕作放棄地が増えるということは、もう当然生産量が落ちるわけですから、単位面積当たりの生産量、幾ら頑張って努力されても追い付かない状況が出てきます。そういう意味から、これらの取組が極めて今後の日本農業に大きな影響を及ぼすことをいま一度御認識をいただきたいし、私どもも努力、そして参加させていただきたい、こういうふうに思います。
 次に、この耕作放棄地も含めて、これからのリース方式のことでございますが、現在、耕作放棄地発生している地域が本当に農業に適さない地域なのかどうか考えたときに、すべて農業をやっていたところですから農業に適さない地域はないと思うんですね。そういう意味から、これから意欲のあるNPO法人等、そういう組織にリース方式、リース制度、リース特区制度、こういうものを積極的に展開していくべきだと思いますけれども、リース特区制度についてどうこれから法案の中にも位置付けていかれるのか、お考えを伺っておきたいと思います。
#18
○政府参考人(須賀田菊仁君) リース特区制度、耕作放棄地等の多い地域におきまして、株式会社等が市町村と協定を結んで農業に参入するという仕組みで平成十五年にスタートをしておりまして、昨年の十月時点で全国で六十八法人が営農を行っております。
 私ども、昨年秋に調査をしたところ、当初懸念をしておりました地域とのトラブルというような弊害、特にございませんでしたので、今般、農業経営基盤強化促進法に取り組むという措置をしたわけでございます。その取り組む際にも、リース特区制度と同様に協定締結の義務付け、弊害を防止するための十分な担保措置、あるいは市町村長がそういう区域を決めるときにいろいろ農業団体の意見を聴くということで、農業関係の例えば担い手と取り合いになるといったような事態を防止するための措置も盛り込みまして、今般、リース特区制度を改善しながら制度化をしたわけでございます。
 今後、だれも受け手のいないようなところでの耕作放棄地の発生予防といった面で期待ができるのではないかというふうに思っているところでございます。
#19
○小泉昭男君 単にリース方式って言葉で対処できない複雑なものがあろうかと思います。
 私は、都市農業、改めて申し上げますけれども、都市農業は大変厳しい中にございますけれども、今、日本の農業のほとんどが兼業農家だと思うんですね。こういう中で、お互いに土地を例えば耕作しないから貸しますよと言っても、道路を挟んでいたり山の傾斜の反対側だったり、いろんな意味でなかなか難しいということは今まで各委員からも御指摘があったとおりでございます。
 私は、あえてここで都市農業にシフトをさせていただいて、少し御意見いただきたいと思いますが、北海道のような農業ばかりじゃないということですね。(発言する者あり)失礼いたしました。こういう中で、都市農業が抱えている問題の中で、ただ、都市農業の利点といいますと、生活者の中に、消費者の中にあるということでありまして、そういう部分からこれから、一番マーケティングの本質であります、欲しいものを欲しいときに欲しいだけ気持ちよくというのがこれマーケティングの本質でありますから、こういう消費地の中にいる立地を生かしてこれからやっていくべきだなと、こういうふうに思います。
 これから集落営農経営、農業経営を無理強いせずに、現状を生かして更に生産性を上げていく方法、集落農業に進む方法、これは都市化した中の農業支援、これらについてお考えがありましたら伺っておきます。
#20
○政府参考人(須賀田菊仁君) おっしゃられますように、都市的地域、土地条件には必ずしも十分恵まれていないと、混住化が進んでいる、農地と宅地が混在化しているということで、農村地域のように農地の利用集積策というのが同様に考えられない地域がございます。
 ただ、都市農業、考えてみますと、すぐ近くに大きな消費市場があるという強みもあるわけでございます。消費地に非常に近いというそういうところを生かしながら、一つは、生鮮野菜あるいは花卉といったような高付加価値農業に取り組んでいただく、それから、消費者とか生協といったところのいわゆる産直というんでしょうか、こういうものを中心とした経営を行っていただく、さらには、ニーズが高いと思われます市民農園、体験農業、こういったものへの活用ということも考えられるということ、様々な工夫を凝らしていただきながら力強い農業を営んでいただきたいというふうに思っておりまして、そのことは今般の基本計画の中にも書いてあるわけでございます。
 私どもも、新鮮、安全な農産物の供給、あるいは触れ合い交流等に必要な基盤整備、直売所の設置といったものへの支援等について政策を講じておりまして、今後とも支援に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
#21
○小泉昭男君 市民農園のお話出ました。大変都市農業も元気な姿を見ておりますので、これからもいろいろ御指導いただきたいと思います。
 農業生産法人について御質問の通告しておきましたけれども、これは次の機会にさせていただきたいと思います。
 市民農園の展開、今日のこれはどこの新聞とは申しませんけれども、こういうふうな記事が載っていました。これは、わざわざ出掛けていって市民農園をやっているところ、また近くに、神奈川県平塚市と出ていますけれども、ここで市民農園をやっている、こういう記事がだんだん載り始めてきましたので、大分市民農園に対する理解が深まってきたんだなと、こういうふうに思います。
 これから、これは市民農園特区に取り組んでいる地域のこれからの支援を積極的にお願い申し上げたい、こういうふうに申し上げておきます。
 最後に、大臣にひとつ、お礼を申し上げながら、今後の御協力、御指導いただきたいなと思いますが、先般、大臣の大変お力をいただきまして、栃木県の大平町のグリーンステージ大平、農林水産大臣賞をいただきました。本当に激励いただきましたこと、感謝申し上げます。
 もう御案内のとおり、一万坪の土地を取得して三千坪の温室建てて、そして大変効率のいい仕事をされておるんですけれども、三千坪でトマトだけで一億五千万売っているんですね。物すごい単位面積当たりの売上げ持っているんです。こういう農家をきちっと見ていただいて激励いただいたことに感謝を申し上げたい、こういうふうに思います。
 これから日本がどうなっていくか。私は先日中国に入りまして、その傍ら、中国の農業を見てまいりました。少し拝見もしました。しかし、日本とは比べ物にならないような状況もございます。これから厳しい食料の確保合戦が世界じゅうで始まってしまうんじゃないかなと、こんな危機感も抱きました。
 こういう中で、大臣として大変な激務の中でのお仕事だと思いますけれども、昔、士農工商と言われたんですね。農業が二番目に重要なんだと言われたんですけれども、その位置は私は変わっていないんじゃないかなと思うんです。今、農業者に必要なのは、大臣を始めとした御関係の方々の激励が極めて大きなものになるわけでありますので、これからもそういうふうにお願い申し上げたい、こういうふうに思います。
 先ほどお話ししましたグリーンステージ大平は、熟し切ったトマトはトマトソースに作っているんですね。それで、青く摘果したトマトもトマトソースに加工してやっています。まあこういう農業もあるということで、これから日本全国、農業がもっと活発になるように、大臣始め御関係の皆さん方の御奮闘を心から御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#22
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
 二法一括審議ということになりまして、私の主な担当は後者の法律案、市民農園に関する法律案でありますが、冒頭、私の思いを述べさせていただきたいと思います。
 耕作放棄地がどんどん増えてまいりまして、これをどうするかというのは大変大きな課題だろうというふうに思います。様々な手段を講じておられることには一定の評価をいたしますけれども、この今の現状と未来を見詰めますと、このまま今の施策で、あるいはこの法律が通ってから本当に私たちの国の農業は安心になるのか、大変ほど遠い状況だろうというふうに、我々は共通の認識を持たなきゃいけないだろうというふうに思います。
 死んだ子の年を数えてもしようがないわけでありますが、まず日本の農業がどうしてこうなってしまったのかということを、私なりの考えを申し上げておきたいというふうに思います。
 一つは、経済原則、市場原理に組み込まれてしまったことであります。これは当然のことながら、グローバル化に対応して外国の農産物との価格競争を余儀なくされたということ、これが一点であります。
 そのこととリンクいたしますけれども、我々のこの国は農業国家でありました。農耕民族であります。国民の大多数が農業に従事していた国から、急速に変化を遂げて、今、農業従事者のパーセンテージは一%台。そういうこの状況の中で、農業も効率化を求められ、たくさんの農地を耕さなければ、あるいはたくさんの付加価値を取らなければ農業経営が成り立たないという、そういう状況に追い込まれました。条件の悪い地域、いわゆる条件不利地域あるいは中山間地の耕作放棄された、こう点々とばらばらになったその耕作放棄地を集積しても、効率的な農業経営はこれ難しいだろうというふうに思います。
 ですから、まあ御努力をされておられることについては一定の評価をいたしますけれども、抜本的な解決にはならないだろうということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
 この問題については後ほどまたやり取りをさせていただきたいと思いますが、割り当てられました市民農園に関する法律案について、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 実は、私も埼玉県の東松山市、私の家内の実家でありますが、おばあちゃんが作っておりました畑、約十五坪、これは私がおばあちゃんが亡くなった後受け継がせていただいて、正に年に何回かしか行かない粗放家庭菜園でありますけれども、一定の成果を上げております。
 これは、まあ自慢話をするわけではありませんけれども、先ほど私たちは農耕民族だというふうに申し上げました。どこかに土に触れたい、土に返る、これは死んだときのことでありますけれども、土に触れたい、そして何かを育てたいという欲求はみんなにあるんじゃないかなというふうに思います。
 今も、小泉委員から紹介がありましたように、大変熱が高くなってきているんだろうというふうに思います。市民農園それから農地付き別荘、クラインガルテン、様々な手法、それからファームイン、いろんな手法で、実は私たちの国は、農地法で農地を持つという要件は大変高いハードルが設定されているわけでありますが、実はそこであきらめ切れずに、何とかして自分も耕したい、収穫をしたい、そういう人たちの声にだんだんこたえられる世の中になってきているということは大変好ましいことだろうというふうに思います。
 私も自分で収穫する喜び、これで何が分かるかといいますと、私が育てたネギは一本三百円でも売りたくない。手間と愛が込められているわけであります。ところが、農家の皆さんに聞くと、大変、機械化もされていますけれども、安い価格で出荷せざるを得ないのが農産物であります。本当に農家の方々が御苦労されておられるのに、こんな安い価格で我々買って申し訳ないなというのが私の実感であります。米も野菜ももっともっと高くていいというのが私の実感であります。
 まあそんなことも含めて、よく御飯を残しちゃいけない、このお米一粒には七人の神様がいるんだよというふうに、大昔の話ですね、これは。最近の給食は食べたくないものは残しなさいと言われるそうでありますが、やはりどういうふうに農産物ができるのかということ、これをやっぱり身をもって体験するということは非常に大事なことだろうというふうに思います。そんな中で、次代を担う子供たちこそがそんな体験をしたら僕はすてきだなというふうに思います。
 実は恥ずかしながら、私が生まれたのは農村地帯でありまして、実家は鉄工所、かじ屋でありまして、家のすぐ裏は田んぼでありました。しかしながら、稲刈り、田植の経験をしたのは三十代になってからであります。そんな農村に育った子供でさえも稲刈りも田植もできない、そんな子供たちばっかりが日本を背負っていっていいのか。
 まあ暴言というか、とっぴな提案というふうに言われるかもしれませんけれども、すべての国民が田植、稲刈りを経験して大人になる、これはいわゆる農業国家としての日本の成り立ち、これを考えたときにあってしかるべきな話だろうというふうに私は思うわけでありますが、この市民農園を拡大した形で学校農園を持っている学校もたくさんありますし、この法律によって、地域の方々やボランティアの方々との連携によって子供たちのためのいわゆる田畑があってもいいんじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。
 子供たちが農業を体験して大人になった方がいい、この私の感想に対しましての農林水産省の方からの御感想をいただければと思います。
#23
○国務大臣(島村宜伸君) 全く同感でございます。たまたま今そちらに学童の方が国会見学に見えておられますが、この方たちもこの話をかみしめていただいたら同じお考えを持つんではないでしょうか。また、教育もそうあるべきなんだろうと思います。
 また、同時に、農業が果たしている役割をともすれば農産物だけにこうとらわれがちでありますが、とんでもない話でございまして、山また山の日本の国、この自然を守り、そして言わば地方も都会も共々に健全な生活をするとなれば、農業あるいは林業ですね、こういうものの存在がなければ健全性は維持できないわけでございます。
 多言をすることはかえって遠慮を申し上げますが、少なくも農業あるいは林業の果たす多面的機能、これは私たち都会の生活者においても全く忘れてはならない大変なものでございまして、実は私のところは日本橋から直線距離でいいますと十キロから十五キロぐらいのところに入る江戸川区というところでございます。さはさりながら、私が子供のころには農地がたくさんあった地域でもございます。今でも都市農業があってセロリ日本一などと言う人もいるわけですが。
 さはさりながら、やはり今は農業がいろんな意味でだんだん押されまくっているわけでございますけれども、我々は単においしいものを食べることにきゅうきゅうとするのでなくて、これを作る生産者の立場、この生産者がいかに成り立っていくかということに対する理解、さらにはまた、御指摘のありましたように、米一粒を作るためにどれだけの苦労が伴っているものか、そういったことも手を汚さずに考えるのでなくて、この市民農園あるいは学童農園、あるいは現実に農作業に加わってその苦労をともにするということも非常に意義のあることだと思いますし、私はたまたま文部大臣も経験しましたが、教育の場にもっと大きく持ち込まれるべきだということで、今、文部科学省ともいろいろ提携しながら、これについて、言わば農業体験学習については、学校教育の場に連携してこれを導入しようと、そういうこともしているところでございますので、御意見は多とし、これを是非積極的に取り入れたいと、こう考えます。
#24
○小川勝也君 元文部大臣からこういう御答弁をいただいたところで、文科省からも今日来ていただきましたので、今までの取組もあったろうというふうに思います。で、この重要性については否定を多分されないだろうというふうに思いますし、この法律が通るという前提で、今後どういうことが想定されるのか、あるいは取り組んでいこうとお考えになっておられるのか、あるいは文科省と農水省の連携はうまくいっているのか、これからはどういう連携をしていこうとするのか、まとめて文科省の方から御意見を伺いたいと思います。
#25
○政府参考人(西阪昇君) お答えいたします。
 子供たちが田植や稲刈りなど農業体験を行うことは、自然と人間のかかわりについて学び、豊かな人間性をはぐくむ上で極めて意義のあることと考えております。
 現行の学習指導要領におきましても、総合的な学習の時間や特別活動で体験的な学習、勤労生産、奉仕的行事などが位置付けられており、平成十五年度、抽出調査でございますが、小学校で七九・二%の学校で農業体験学習が実施されているところでございます。具体的には、田植を行う、あるいは田植だけでなく夏の草取りから秋の稲刈りまですべての米作りを行うなどの取組のほか、芋作りや野菜作りなど、様々な農作物の農業体験学習が行われているところでございます。
 私どもといたしましては、これまでも農林水産省さんと連携をいたしまして、例えば子供の農業・農村体験を進めるパンフレットを作成いたしまして全国の小中学校等に配付するというような取組を行ってきたところでございますが、今後とも、農林水産省と連携しながら、多くの学校で農業体験学習が行われ、日本の農業の重要性、農家の方の御苦労や喜びを実感できるような教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
#26
○小川勝也君 しっかり取り組んでいただければというふうに思います。
 教室にばっかりいると子供たちは飽きますので、そういう非日常というのは非常に人気があるんだろうというふうに想像するところであります。昨今、青少年も来ておられて申し訳ありませんが、子供たちの体力が弱まっている、それから忍耐力がなくなっている、様々な青少年教育をめぐる懸念が露呈をしておることでございます。農業体験は、一石二鳥どころか、三鳥、四鳥、五鳥、六鳥ぐらい私は有意義なことだろうというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 農地は本来食料生産に供されるべき土地であります。しかしながら、ほかにもたくさんの機能がございます。特にその農地の最大の価値を発揮できるのは水田だろうというふうに思います。
 水田は、かつては、私が子供のころまでは、ドジョウがいてタニシがいて、そしていいところは蛍がいて、横の水路にはフナがいて、最近はなかなかいないんだろうというふうに思います。一部、いいところに行きますとメダカも泳いでいますけれども、田んぼというのは実はそういうところだったんですね。厳密に言うと、農薬の使用や化学肥料の使用もありますけれども、水を抜いてしまうというのが、これは今生物的には悪いんだそうであります。
 で、その水田の持つ多面的機能を農水省は評価しているのか、しっかり評価して試算もしてパンフレットも出してアピールしていますというふうにお答えが返ってきたわけでありますが、どうもアピールが弱いなというふうに思わざるを得ません。ここはやっぱり環境省とひとつ連携をして、水田の持つ多面的な機能を更にアピールをしていただくためにも、環境省側から、ちょっと水田の持つ多面的な機能について一言アピールをまずいただきたいと思います。
#27
○政府参考人(福井雅輝君) 水田は、長年にわたる稲作の営みを通じまして、メダカやドジョウ、それから昆虫、小動物、貴重な生息環境を提供してきたところでございます。
 水田を含みます我が国の里地里山は国土面積の約四割を占めておりますが、絶滅危惧種が集中している地域というものをカウントしていきますと、約五割が里地里山に分布しておりまして、生物多様性保全の観点から、そうした里地里山は非常に重要であると認識しております。同時に、水田は、良好な農村景観を形成し、また水源の涵養機能を果たしてきたものと認識しております。
 環境省としては、こういった水田が持つ多面的な環境保全機能が十分に発揮されますよう、今後とも農林水産省と連携協力してまいりたいと思います。
 なお、農林水産省とは、田んぼの生き物調査ということで、どういうふうに返ってきているかというのを一緒に調査をしているところでございます。
#28
○小川勝也君 先ほども申し上げましたように、すべての水田がこの生き物のふるさとになれるかどうかというと、いろんな制約があるようであります。
 今の現存する米を作る田んぼは米の生産が主でありますので、やはり効率化の流れにさお差すわけにはまいりません。ですので、やはり最新式の稲作手法を取り入れ、そして全国で見られますように、側溝にはコンクリートが用いられ、あるいは必要のないときには水を落としてしまう。しかしながら、かつての生き物を呼び戻すために御苦労をされている方々もおられます。例えば水田ビオトープ、これ田んぼのビオトープと言うんですけれども、わざわざ昔ながらの側溝にし、水の出し入れに注意をし、そして農薬が混入しないように注意をし、生き物をどんどんどんどん増えるのを待つ、あるいはちょっと隣から連れてくる、こんなことで環境を復元をするという試みであります。
 残念ながら、先ほど申し上げましたように、耕作放棄地あるいは休耕田の中では、今回この様々なリースの法律ができても、どうしてもその効率化の波に乗り遅れて耕作できないという農地や水田跡があるんだろうというふうに思います。これを思い切って子供たちに生き物を見せるための田んぼにする、これもすばらしい取組だろうというふうに私は思うわけであります。
 当然のことながら、農地の最大の目的はいわゆる農産物を取ることでありますが、この水田ビオトープからも米が当然取れるわけであります。そういった分野にも今回のこの法律改正、弾力的に運用していただいて、全国の中で、子供たちに田んぼの生き物を見せたい、あるいは子供たちのためにずっと蛍が飛ぶふるさとを残したいという人たちに対しても恩恵のある法律であってほしいと私は思うわけであります。
 今回のこの法律改正とこの水田ビオトープ、どういうふうに位置付けられておられるのか、取りあえず農水省の方からお話を聞かしていただきたいと思います。
#29
○政府参考人(川村秀三郎君) ビオトープについてのお尋ねでございます。
 今、委員も御説明ございましたとおり、豊かな田園環境、これは単に、田んぼがもちろん基本になりますけれども、生態系でありますとか景観でありますとか、また今までに培われた文化、こういうものが総合的に発揮されるということで、正に国民共通の財産として今後保全、形成をしていかなくちゃいけないということは私どもも共通の認識を持っておるところでございます。
 そして、私ども、そういう意味での総合的な整備が必要だということで、実は今回の法律の前に土地改良法の改正をしておりまして、その中で環境との調和ということを明文化したわけでございます。そして、これをまた裏付けるということで、土地改良事業の前提として田園環境整備マスタープランというのを各市町村が作っていただくということにいたしまして、その中で、例えば生態系に配慮したため池を整備するだとか生態系に配慮した水路を整備するといったようなこともきちんと位置付けをして、そして全体像を描いた上で個々の事業をやっていくと、そういうシステムに変えたところでございます。
 そして、現実の予算的な裏付けといたしましても、こういった土地改良事業のほかにも、今回は元気な地域づくり交付金という形で一本化いたしましたけれども、その中でもしっかりそのメニューとしまして田園自然環境保全整備ということをやっておりまして、その中でビオトープ、これもちゃんと取り組んでいただける、そしてそれを支援していくと、こういう形にしてございます。田んぼの周辺あるいは遊休地、そういうものを活用してやっていただく、あるいは水路を活用してやっていく、それから、最近は魚道ですね、それも非常に重要であるということで、それも含めて整備を推進していくということで取り組んでまいりたいと思っております。
#30
○小川勝也君 一定の予算を付けてやっていただいていることは多とするわけでありますが、今私が期待をしておりますのは、そのハード面じゃなくてソフト面なんですね。例えば、地域のNGOとかPTA団体とかお父さん方のサークルで、子供たちのためにえんやこらスコップを担いで、自分たちでそういう田んぼビオトープを造ってやろうかといったときに、地域の農業委員会とかJAとかにアクセスしやすいように、そしてその農業委員会やあるいはJAが今回の法律を始めとした様々な法令に照らし合わせて、じゃ貸してあげましょう、使っていいですよというふうに言えるように、アクセスできるようにしていただきたいというのが私の思いでございます。
 まず、環境省の方から、そういった動きがあるのかどうなのか、農水省と連携をこれからも取っていけるのかどうか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
#31
○政府参考人(福井雅輝君) お答えいたします。
 環境省としては、多様な生き物の生息空間としてビオトープは非常に重要だと考えております。これまで全国の都市近郊や里地里山におけるモデル的なビオトープ造りを支援してきたところでございます。農地である田んぼのビオトープ推進については、生物多様性保全の観点から極めて有意義であり、重要な課題だというふうに認識しております。今後の推進方策については、農林水産省と連携しながら、環境省としてどういうことができるか、積極的に検討したいと思います。
 なお、宮城県の蕪栗沼の周辺の水田におきましては、冬の間に水を張り、ビオトープ化していると承知しております。多くの生き物の生息の場を確保するとともに、冬季に飛来するマガンのえさ場として機能させるという取組、これが農林水産省、環境省、それから地方自治体、NPOの協力の下に進められておりまして、今後の活用策を考える参考事例となるのではないかと考えている次第でございます。
#32
○小川勝也君 そういった、例えば先ほど申し上げましたような独自の取組をしたい人たちにしっかりとアクセスをしていただけますように、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#33
○政府参考人(川村秀三郎君) 先ほどはちょっとハード面を中心に御説明をいたしましたが、もちろん、おっしゃるとおり、ソフト面が非常に重要でございまして、先ほど環境省の方からも申されましたように、田んぼの生き物調査、これはいろんなその地域の方あるいは小学生、そういうものを巻き込んでといいますか取り込んで、一緒になって調査をしておりますので、それ自体が非常にそういう機運を盛り上げるのに役立っていると思っております。それからまた、私どもの関連団体で田んぼの学校という運動もやっておりますし、それは私ども側面的に支援をしております。
 それから、先ほど言いました元気な地域づくり交付金の中の田園自然環境保全・再生支援というのがありますが、その中でもソフトも組み込んでおりまして、そういう組織化でありますとか体制づくりとか、いろんなその取組に対する啓蒙といいますか知識の共有とか、そういうこともやっておるところでございまして、今後とも、これは大事な話だと思いますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
#34
○小川勝也君 ありがとうございました。
 この二法の審議のために勝沼に行ってまいりまして、ブドウ栽培からワイン造りということで、その見てまいりました生産者の方は、いわゆるところのフランスやイタリアのワインに負けないワインを造るんだということでございまして、それはそれですばらしい視察だったわけでありますが、とても印象に残る言葉がありました。これは、特区の中で農地をリースするという話のときにその醸造者から出た言葉でありますが、いや、一体農地ってだれのものなんだろうと、この言葉が非常に印象的でございました。
 ちょっと哲学的な質問になるかもしれませんけれども、農地はだれのものなんでしょうか。
#35
○政府参考人(須賀田菊仁君) 土地制度をさかのぼりますと大変長い歴史があるわけでございます。
 私どもが把握しておる、我が国においてちゃんとした土地制度が確立をいたしましたのが西暦七〇一年、大宝律令でございます。これは、皆様方御存じのように、公地公民、土地は国家のものだと、そして選ばれた、登録された農家がそこで働いて租税を納めろと。こういうことで、必ずしもいい例ではないわけでございますけれども、大宝律令では公地公民ということで、国家が農地は管理をして、そこへ農家の方々に働いていただけるということからスタートをいたしまして、これが奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町、江戸というふうになってきまして、いずれの歴史を通しましても農家というのは租税の対象者、いわゆる年貢を納める対象者としてずっととらえられてきておりまして、たしか江戸時代も農地は農民のものか領主のものかということで見解に差があったというふうに思います。荻生徂徠と新井白石が両方が論争をしたということをちょっと読んだことがございます。
 これ、私的な所有権確立いたしましたのはたしか明治時代になってから、農民のものだというふうになりまして、その後、商業資本が入ってまいりまして、資本主義経済が発達して商業資本が入ってきまして、没落する農民層が増えて、小作人がずっと増えてくると。で、戦後、農地改革に至ると。
 こういう長い歴史をひもといてみますと、そういう経緯をたどっておりますので、私、この私有財産というのが現行憲法下ございますけれども、やはり農地にはそういう農業の用に供するんだという長い歴史の中ではぐくまれた、そういう何か大臣が先ほど答弁申し上げました公共財的な性格というのが、体の中、感情的にも根付いておるんではないかというふうに感じております。
#36
○小川勝也君 いや、須賀田教授からしっかり御講義をいただいたんですが、いまいち分からないですね。
 じゃ、僕が教科書で習った農地解放というのがありました、あるいは農地改革。これはどういう精神で行われたものかということと、現在、二〇〇五年時点からその戦後すぐの改革を振り返って、今、農水省か須賀田教授か分かりませんけれども、どういう評価を今持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#37
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農地改革、昭和二十一年に行われました。当時の経済社会情勢、戦後のことでございまして、引き揚げられた方々が五、六百万人起きたということで人口が急激に増えたと。それから、外からの輸入、移入が、食料、戦前ありました。そういうものがなくなったということで、雇用の確保という問題と食糧の確保という問題が戦後復興と並びまして国是とされていたわけでございます。
 そこで、農村の民主化、GHQの強い指示もあったわけでございますけれども、図るということになりまして、地主的な土地所有の構造を解体するんだと、そういうことで農業生産力の増強を図らなければならない、自作農を創設いたしまして農業生産力の増強を図らなければならないと。これが未墾地の緊急開拓とともに実施されたわけでございます。不在地主はすべての小作地、在村地主も約、平均的に一町、今でいう一ヘクタールを超える小作地は全部国家が買収して小作人に売り渡すということで、四百七十五万戸の小作人へ売り渡されたということでございます。当時の、私申し上げました、戦後復興、食糧の確保、雇用の安定、こういうことで必要不可欠の改革ではなかったかということで、その後の経済社会の安定に大きく寄与したというふうに思っております。
 ただ、今から振り返りますと、その農地改革のために我が国の農地の所有形態が零細である、あるいは分散錯圃という方々に小さく飛び散った、こういう我が国の農地所有形態の一因になってしまったと。その後、高度経済成長がございまして、資産価値が高まるということでなかなか離農は進むけど跡地が担い手に集積されない、兼業化というものが進んだということで、四苦八苦していると、正直言いまして農政は、という状況になっていたというふうに振り返ると思っております。
#38
○小川勝也君 端的に言うと、評価はいろいろあるんだろうというふうに思いますが、私が覚えているのは自作農主義ということだろうというふうに思います。しかしながら、このリースが高じていくと、これがなし崩し的に壊れていくということなんじゃないでしょうか。いみじくも、我が国の農政が良かったか悪かったか分かりませんけれども、農業に従事できる人口がどんどんどんどん減らされているんです。そんな中で耕作放棄地もどんどんどんどん増えてまいりました。リースをします、株式会社がやります、農業生産法人がそこを耕作します。そうすると、法人にお勤めの方は小作としてそこを耕すわけです。結局、自作農主義が壊れていく今途上にあるんじゃないんでしょうか。
 ですから、安易に通過点としてこの法律をすっと通していいのかと、僕は大きな疑問を持っています。自作農主義をやめて戦前の資本主義に戻ってもいいということであれば、私はこの法案賛成してもいいけれども、そのクリアになっていないという部分がずっと残っているじゃないですか。
 もっと言うと、経済、市場が農業に入り込んでまいりました。先ほど小泉先生が栃木県の、私に言わせれば野菜工場、北海道にも野菜工場あります。それから、某食品メーカーの委託農場、工場もあります。そういうのが農業に参入するということによって、豊富な資本力と技術力によって、そして時流に乗ってコストをどんどんどんどん下げていくわけであります。コストをどんどんどんどん下げていくということは、それ以外の家族経営の農家にまた圧力を掛けるということなんです。圧力を掛けていって、我が国において農業経営が厳しいということがこれからも繰り返されるんじゃないですか。
 北海道では府県に比べて大変大きな耕地面積で農業を営んでいます。委員長の地元では三十ヘクタール、四十ヘクタールは当たり前、六十、七十、八十、こういう農家が家族経営でやっておられます。これ、いいか悪いかは別とします。水田はどうか。この間の委員会でももう米農家が食っていけないよという話をさせていただきましたが、農水省は今度の構想では、北海道の水田農家は二十四ヘクタールから二十六ヘクタールが適地ですよ、適当な面積ですよと言う。こんなことでイタチごっこをしていたら、日本の農業はどんどんどんどんその農業者人口を失っていくということになるんではないでしょうか。
 やはり、この農地改革直後の農地が寸断されていたいわゆる農地所有状況は行き過ぎだったというふうに局長おっしゃいましたけれども、このままの流れだと一部の人しか農業できないんじゃないの、この国は。という状況に追い込まれていて、この法律ぐらいしか出てこれないというのが今の農政の現状じゃないですか。もっと抜本的に、私たちの国の食料生産は大事なんだと、自給率は上げなきゃいけないんだと、問題点を一つ一つクリアにしていくというもっと抜本的な解決を今望まれているんではないかなと私は考えるわけであります。教授、いかがですか。
#39
○政府参考人(須賀田菊仁君) たくさんのことをお聞きでございます。
 一つは、自作農主義でございます。
 いわゆる自作農主義といいますのは、農地を自ら所有して耕作を行ってその成果を享受する、これは地代負担もございませんし、収益性の低い農業に最もふさわしいものだと、そういう考え方、農地は自分で所有をして、そして耕作をするんだ、これが最もふさわしいという考え方でございます。ずっと戦後この考え方でまいりました。
 ところが、昭和四十五年でございます。農業技術、進歩をいたしまして、地代を支払っても高生産性農業を展開し得る可能性が出てきたということと、現実問題として地価が高騰をいたしまして農地に資産的保有傾向が出てきたということで所有権の移転というのが望めないと、こういうことでこの四十五年から借地による経営規模拡大を図っていこうと、適正な地代水準であれば十分収益が上げられるというふうなことで、四十五年以降、借地による経営規模拡大ということを志向を始めたわけでございます。そういうことで、借地というものをいかに進めていくかに腐心をしてきたということでございます。
 この問題と雇用労働の問題はまた別問題だろうというふうに思っております。雇用労働といいますのは、収益力との兼ね合いにおきまして雇用をして農作業をして収益を上げていくということでございまして、自作農主義の下でも収益力との兼ね合いで雇用労働を用いることを禁じていたわけではないわけでございます。また、農業生産法人というのはそういう自作農の人たちの共同体ということで、その延長線上というものとして位置付けられてきたということでございまして、収益力もないのに雇用をするということはまず考えられないわけでございますので、雇用の問題は収益力との関係で考えていくべき問題であろうというふうに思っております。
 このリースはまた別の問題、耕作放棄地との関係でございますので、これは別の問題といたしまして、後段の企業的な大規模経営、これのコスト低減、これが家族経営にしわ寄せされてくるんではないかという問題でございます。
 これは、やはりお考えいただきたいのは、農業も産業でございます、全般的に効率化が求められているわけでございます。今後、国際化が好むと好まざるとにかかわらず一層進展をしていく、これは避け難い。それから、我が国経済社会全体に構造改革が求められているというような状況を考えますと、やはり企業的経営、家族経営を問わず、生産性の向上、コスト低減といった努力が必要だというふうに思っております。
 ただ、その具体的なやり方、土地資源に恵まれているようなところでは規模を拡大して、そういうことによってコスト低減を図るということが可能でございましょうし、逆に土地資源に恵まれてないようなところ、これは土地集約型の高付加価値農業、有機だとか、あるいは施設型だとか、花卉だとか、あるいは加工分野も取り入れたような経営の多角化、こういう様々な選択肢があるのではないかと。そういう置かれた条件の下で、その経営にふさわしい手法でコスト低減をされていくということが望ましいんじゃないか。
 いずれにしても、やはりコスト低減努力というのは今後農業を継続する上で避けて通れない課題ではないかというふうに思っております。
#40
○小川勝也君 際限なく家族経営農業者をいじめていくという話じゃないの、それは。この言い方は著しく紙委員に近いけれども、どんどんどんどんコスト削減されていったらやっていけない農家が増えていくんでしょう、そして今の農業者人口に落としてきたんじゃないの。いいんですか、それで、まだまだどんどん減らして、農業者の人口を。
 リースもできますよ、家族経営は圧迫されていますよ、担い手後継者はいませんよ、おじいちゃん、おばあちゃんはやめていきますよ。大体、じゃ法人のあるいは企業のリース契約の農地が増えていくじゃないの。本当にそんなことを考えているんですか、農水省は。農家を守るのが農水省かと思っていたよ。駄目だよ、そんなんじゃ。きちっと家族経営が成り立つ、その政策を組み立てていかないと農林水産省の意味はないんだよ。通産省にやらせればいいじゃないか、全部。そういうことを言うなら、産業って言うなら。そういうことじゃ駄目なんだ。きちっと、私たちの国は農耕民族として戦前まではみんな農業に従事していたんですということを大事にしながら世界と付き合う、そして食料生産には最大の配慮をする、自給率は上げていく、その前提で調和の取れた農政を推進してもらわないと。今の答弁じゃ到底納得できないというふうに思う。
 リースは四十五年に、苦しいから云々という話もありました。じゃ、いつまでリースできるんですか、そのリースしている農地は。何代にもわたって永久に大丈夫なんですか。
#41
○政府参考人(須賀田菊仁君) 民法によりまして、賃貸借の最大は約二十年、たしか二十年でございます。
 先ほど、その前に先生おっしゃられました。議論がお上手なので、そういう面から見られると私の議論もそうなるんですけれども、その先生の議論でいきますと、農業というのはやっぱり普通の工業と違いまして自然条件に左右されますし、一年一作でございますので、それはもう特徴があるわけです。私どもが提案しているのも、コストが価格を上回っている、そういうようなところについては直接支払しようじゃないかというようなことをやっておりますので、農業の特徴に応じた政策は当然必要なわけでございます。ただ、コスト低減努力、要らないのかといいますと、それは必要ですよということを私は言いたかったわけでございます。
 リースの問題は、民法原則だと最大二十年までということでございます。これは考え方が、所有者の方にもいろいろ事情がございましょうし、余り長い期間を取るというのは良くないでしょうし、当事者間で賃貸借契約の期限というのは決めるということになっております。大体五年とか七年とかというのが多いんじゃないかというふうに思っております。その期限が来たときに更に更新していくというようなことが取られているようでございます。
#42
○小川勝也君 一つ議論をかわしておられるんじゃないかと思いますが。
 それ、二十年でも七年でも更新は可能なんですよね。ということは、おじいちゃん、おばあちゃんが二人で農業をやっていました。息子は東京にいます。当然、民法にのっとって、相続法に準じて所有者が移転します。条件不利地で地代は稼げないかもしれないけれども、そのいわゆる農地は代々、無限に相続が可能なのか、こういう質問をしたわけであります。だから、相続が何代にもわたって可能であれば、リース契約の更新も可能なわけですよね。ということは、先ほど申し上げました不在地主と、収益率はともかくとして、同じような状況になるんではないかというふうに私は申し上げているんであります。そのことについてお答えをいただきたい。
#43
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農地の相続は、民法原則に基づきまして、農地が相続財産にあります限り、次から次、起こってき得るものでございます。原則は均分相続というふうになっておりますけれども、農家の実態においては相続放棄等を活用しながら特定の一人に相続させるというようなことも間々行われているということでございます。その農地に賃借権が設定されておれば、そのままその状態で相続をされるということになるんではないかというふうに思っております。
#44
○小川勝也君 議論かみ合っていないんですけれども。
 農地には様々な法律的な恩典が与えられていると思います。それはいわゆる農作物を作って国民の利益に供しているということ、あるいは耕作をするという、これ原則が付いているんだろうというふうに思います。耕作をしないで農地をずっと所有して相続をし続けるというこの現状に無理はないのか、矛盾はないのかということを問うているわけであります。そのことが続けば、利益になるか大金持ちになるかは別として、戦前の不在地主と同じ状況なんじゃないでしょうかというのが私の問いであります。
#45
○政府参考人(須賀田菊仁君) 何の努力もないのに相続をして、その状況で小作料収入を得ていくというのがいいのかというお尋ねのように思っております。
 正直言って、私も心情的にはそれは良くないというふうに思いますけれども、今の私有財産権制度の下で相続制度があって、それで、そういう私有財産は相続人に相続させていくんだということになれば、良いか良くないかといえば良くないとは思いますけれども、そこのところはまたやむを得ない面があるんではないかというふうに、無理に所有権を取り上げるとか、そういうのは今の制度の下でなかなか難しいんではないかというふうに現実的に感じております。
#46
○委員長(中川義雄君) ちょっと待ってください。
 質問では、それが実質的に戦前の不在地主と同じではないかという大事な質問がありますから、その点について分かりやすく答弁していただきたいと思います。
#47
○政府参考人(須賀田菊仁君) 不在地主といいますのは、その市町村にいない状況のまま地主化すると。その不在地主は、農地改革の際にすべて小作地は国家が買収をいたしまして小作人に売り渡したと、こういう農地改革になったわけでございます。現実的な状況としては、その不在地主と同じような状況が招来をされているわけでございます。
 じゃ、農地改革と同じようなことができるか。現実に今の農地法の中にも不在地主は駄目だと書いてあるわけでございますけれども、この状況を取り巻く、食料事情でございますとか食料増産の緊急性でございますとか、そういうところから見て、そういう強権を発動するというのはなかなか難しい問題があるのではないかということを先ほど来申し上げております。
#48
○小川勝也君 残念ながら、難しいことも、ずっと苦労されてきたことも分かっていて質問させていただいております。
 私は、森林のときにも同じような質問をさせていただきました。それは、いわゆる下草も刈らないで、周りはきれいにしているのにそこだけぼうぼうにしている林家は、それは一定の条件を付けて、いわゆる公社あるいは市町村が預かってしまう、取り上げてしまうような法律を作ったらどうかということを申し上げたと同じように、農地というのは耕作してしかるべきなんでありまして、御案内のように、私たちの国は農業者になるための資格要件というのは大変厳しいです。ハードルが高い。私がやりたいと思ってもなかなかできないんですよ。それをたまたま先祖が農家だったからということで農地を持てるということに、逆差別になっちゃうんじゃないですか。それは、郵便局でさえ民営化するぐらいの世の中なんで、民法改正が必要ならそれも含めて研究ぐらいしたらどうでしょうか。
 私たちの国は、この狭い国土の中にもすばらしい、農地に適したこれだけの土地があるので、効率的に食料生産ができて農業経営者の方が安定的に経営できるような世の中を目指していくわけでありますから、それはタブーを乗り越えて研究をしていただくのが私は必要な時期が来ているんではないかなというふうに思います。
 御案内のように、高齢化率が農村ではどんどんどんどん進行してまいります。売っても二束三文ですから、売らないです、農地は。売らないでどんどんどんどん所有者が移転して、それが、いわゆるその同じ町に勤め人として住んでいるならまだいいんですけれども、ずっと離れたところにいるなんという、そういう状況がどんどんどんどん増えていくことがもう想像できるわけです。だから、今この改正がいいか悪いかは別として、しっかりと、この農地ということは、今原点に立ち返って、それは大宝律令から言っていただいたぐらいの教授ですから、しっかりと、ずっとその歴史やトラブルをかんがみて、現憲法と照らし合わせて、憲法改正の議論も進んでいるようでありますので、本当にふさわしい農地をめぐる法律を考えてもいいんじゃないかなということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
#49
○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。小川委員に引き続き質問をさせていただきたいと思います。我が党の教授は突っ込みが激しいものですから須賀田さんも大変だったと思いますけれども、私は柔らかく質問を続けさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕
 最初に申し上げたいことは、先ほど学童さんの方、生徒さんたちがその席に、傍聴席におられて議論を聞いておりまして、今日聞いていただいた子供たち、この子たちの中から少しでも農業に携わってくれる子が、またそういう指導者になってくれる子が出ればいいなと思っておりましたし、いい議論を聞いていただいたんじゃないかというふうに感じている次第であります。私も保育士の資格を持って児童館で五年ほど勤めさせていただきました。私も農業体験学習というものの大切さというのをずっと国会議員になった当初から訴えさせていただいております。
 今、子供たちの中では大変悲惨な事件が起きております。情緒も不安定でありますし、将来への夢や希望を持てない子供たちも増えている状況下の中で、やはり命の大切さや物の大切さ、そして刃物の使い方が今まるっきり違うところで使われているというのが現状ではないかと。本当の使い方をしっかりと子供のうちに覚えてもらいたいし、高校生になるとアルバイトをするわけですね。そうすると、時間になるとどうしてもコンビニエンスストアなんかでは食材を捨てなければならない。これはもうルールですからしようがないわけでありますけれども、もったいないなと思って捨てるか、そして何も感じないで捨てるのかというのは、これは大きな違いがあるわけであります。
 そういう意味では、やはり幼稚園や保育園、そして小学校、中学校、また地域に戻っては児童館等々、いろんなところで農業体験、これがしっかりと子供たちの中でされるような、また機会が得られるような環境というものを我々はつくってあげなければいけないんじゃないかなというふうに感じた次第であります。
 そのことを申し上げながら、まず質問に移らせていただきますけれども、二十世紀というのは戦争の世紀であったとよく言われております。二十一世紀こそ平和の世紀にしたいんだということをだれでもが思ったはずでありますけれども、しかし、二〇〇一年には九・一一の米国での同時多発テロ、そしてその前日には日本でBSEというような中で、世界の安心、安全、危機管理が見直しを迫られ、そして食への危機管理、予防への意識を問われているというのが今の現状ではないかと思っております。
 二十一世紀中には砂漠化が進むと言われている中で、中国なんかでも砂漠化が進むというふうに言われる。中村敦夫委員がいたときにはそのような議論が交わされたことを今思い出すわけですけれども、中国で飢餓の時代が来るかもしれないというふうに言われている中で、やはり食の安心、安全、国民の命を守るということからも、食にやはり安全保障の観点というものを取り入れていかなければならないんじゃないかと、こういうことを感じている次第であります。しっかりと政策の中にそのことを打ち出していかなければならないということを思っております。岩永副大臣も、たしか衆議院の質疑の中で安全保障の観点を入れるべきだと、これが一番重要なんだという話を衆議院の議論でされているのを聞かせていただきました。私も同感でございます。
 戦後の食糧難の時代から高度経済成長期を経て、確かに国民の食料事情、食生活は豊かになりました。飽食の時代になったと言っても過言ではございません。しかし、それは日本の農業が目覚ましい発展を遂げたということではなくて、世界一の農産物の輸入国になったからであります。私が生まれた昭和四十二年ごろにはカロリーベースで言えば七〇%ぐらいの自給率があったはずでありますけれども、今では自給率は四〇%にまで低下して、もうなかなか戻っていかないというような現状であります。輸入農産物は激増、国産農産物の価格は低迷、そして農業収入は伸び悩み、後継者は農業に未来を見いだせずに離農していくと。そして、農村地帯は高齢化、後継者不足は深刻な事態になっているのが現状ではないでしょうか。
 しかし、食の安全、安心を確立して、国民の命を守る農業という誇りを持ち、世界の食料基地になるんだというような考え方を持てば、一番これから伸びる可能性のある、先ほど須賀田さんが産業と言われましたけれども、産業であるとも言えるのではないかと私は感じている次第であります。そのことを確かなものにするためにも、大臣には二十世紀農業の認識をしっかり持っていただいて、もちろん、二度も農水大臣をされた重鎮でございますので、もちろんお持ちだと思います。しかし、やはり失敗をしたところはしっかりと認めて、反省の上に、二十一世紀、これからの日本の農業の在り方についてしっかりとお答えをいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
#50
○国務大臣(島村宜伸君) お答え申し上げます。
 二十世紀農政について、なるほど反省もありますし、失敗も、なかったかと言えば、それはあったんだろうとは思います。しかし、私は、それぞれの時代を担われた農政の担当者は、委員の御尊父も含めて、やはり適時適切、その時点においてはこれがベターあるという御判断をなさって農政の展開をしてきたと、こう思います。
 ただ、さはさりながら、やっぱり国内外の環境、情勢は大きく変化をしてまいりまして、従前のように極東の島国ということで我が国の独自性を訴え、そして零細な農業を守って、これを皆さんの生業として頑張っていただく、そのためのいろいろな心の行き届いた施策を実践してきた時期もないではないんですけれども、その後、言わば国際環境一つ見ても大変大きく変わってきておりまして、実は私はこのゴールデンウイーク中ずっとフランスのパリにおりました。花のパリに一週間近くいていいですねと、皆そう言いました。しかし、私はこれほど厳しい気持ちでパリで過ごした経験を持っておらない。どういうことかといえば、正に今やボーダーレスの時代、国際分業の時代であると。だから、その国の独自性なんて関係ないんだと。それで、それぞれの国が関税障壁その他で自分の国の独自性を守ろうなんというもう時代は終わって、正にWTOの精神にのっとる言わばこれからの国際農業の在り方、もういやでも応でもそれにイエスと言わざるを得ない環境の中で、もし我々が我が国の独自性を主張して、それを言い終えたときに、気が付いてみたら日本の国だけが取り残されて外されてしまっていたと、こういうことになりかねないくらい、昔の我々の農政に取り組んだ当時の常識が全く通用しないというものを嫌というほど痛感させられて、会議の結論にしっかり我々の主張をしてきたところであります。
 事ほどさようでございますから、反省は常に人間の生活の中にはあって、初めて進歩があるわけですから、その確かな進歩への歩みの一つとしていろんな厳しい反省もあってしかるべきだとは思いますが、さはさりながら、むしろ時代の要請にどうこたえていくのかということを我々は大いに考えなきゃいけないんだと、こんなふうに思ったところであります。
 そういう意味で、かつては輸入農産物からいかに国内の言わば農産物を、まあ農業というんですかね、を守るかということ、あるいはどのように輸入を抑制して言わばこの守りをしっかりしたものにするかというようなことがかつては常識でありましたけれども、現状はどうかというと、もうそういう時代ではありませんで、農業は農業で、言わば他産業並みの自立できる農業、産業、こういう立場に置き換えていくということをやらざるを得ない環境にあるわけでありますから、私どもはあくまで、これからはやる気と能力のある、正に経営に対して前向きあるいは向上心に富んだ農業関係者にむしろ重点的にこれからの言わば支援を集中化、重点化いたしまして、農産物のさらには海外への輸出とかバイオマスなどの言わば地域資源の積極的活用を含めてこれからの農政を展開していこうと考えているところで、俗に攻めの農政と申しておるところであります。
 先般策定をいたしました食料・農業・農村基本計画、これ、いろんな方々の御発言や御意見を後で調べてみましても、かなり皆さんが同じ言わば意見に立って、これからの農業はいかにあるべきかということについては、最終の結論を見た後にも皆さん十分議論をし、自分たちの言うべきことは言い、それを盛り込むべきは盛り込んでこの策定に当たったということを自負しておられたことを私見て非常にうれしく思ったんでございますが、我々は、そういう御趣旨も含めて、新しい時代に、従前の常識にあぐらをかくのでなくて、積極的に取り組むという言わば発想で取り組んでいかなきゃいけないと、こう考えておるところでございます。
#51
○羽田雄一郎君 ありがとうございました。
 自立、そしてやる気、能力のある農家が育っていくことが大切だと、こういう話でございますけれども、まだまだ日本の農業の中には、やはり攻めていくにはごまかしとかそういうのがあってはならないと私は思っております。
 しかし、魚沼産のコシヒカリ一つ見ても、魚沼という地域、あそこだけで今全国に流通しているもの、こんなにあるのかなという思いがあったり、また松阪牛、いろんな、全国どこ行っても松阪牛と書いてありますけれども、本当にこんなに松阪で育った牛いるのかなという思い、こういう何かごまかしのような部分が残っていては世界に対して胸を張って攻めの農業というのはできないんじゃないかなということを感じている次第でありまして、そういう意味でも、品質に問題はないと思いますけれども、そして安心、安全だとは思いますけれども、少しのごまかしが世界につかれる部分になってしまうという意味では、そういうこともしっかりと考えていかなければならないということを思っております。
 次に、先日、我が党の松下委員が本会議で大臣に質問をさせていただきました。大臣答弁についてもう少し詳しく分かりやすく説明していただければと思います。食料・農業・農村基本計画についての中で食料自給率の向上に取り組んでいくと言われていましたけれども、その一言で終わっておりまして、具体的にお答えいただければと思います。これは村上さんですか、にお願いします。
#52
○政府参考人(村上秀徳君) 自給率向上に向けた具体的な取組ということでございます。
 基本的に、この自給率向上のためには、やっぱり農業の構造改革を進めて需要に応じた生産をしていくということと、それから消費面でも食生活の見直しということに関係者が取り組んでいくという、その生産面と消費面、両方の取組が不可欠だというふうに思っております。
 そういうことで、消費面では分かりやすく実践的な食育を進めるということでフードガイドなどを策定しますし、それから地域の農業者と消費者を結び付ける地産地消も進めていきたいというふうに思っております。
 また、生産面の方でございますけれども、担い手への農地の利用集積を進めるということでございますし、その需要に即した生産のための施策を推進するということ、そういうことを通じまして経営感覚に優れた担い手を育成するということで施策を集中化、重点化するということ、こういうことによって需要に応じた生産がされて国内の農産物が選択されていくということが非常に重要かと思っております。このようなことを重点的に取り組むということで、そういう事項を明確化しまして、関係者一体となって取り組んでいきたいというふうに思っております。
 それから、その場合に施策の工程管理という考え方を新たに入れておりまして、毎年そのチェックをしながら自給率向上の取組が迅速かつ着実に実施されるように進めていきたいというふうに思っております。
#53
○羽田雄一郎君 今聞いていて思ったんですけれども、米の消費がどんどん落ちているという中で、私の家は実はパンは食べちゃいけないというのが子供のころの決まりでして、子供のころパンは食べさせてもらえなかった。学校に行って給食でパンを食べていたというのが現状でありまして、給食はほとんどパンだったんですね、私が子供のころは。今徐々に変わっているようでありますけれども。私の母親なんかはハイカラでしたからパンが食べたかったようで、戸棚に隠して父親に見えないところでパンを食べているのを子供ながらたまに見ていたのが現状でありまして、私は家で朝と夜は米を食べてまいりました。ですから今でも米好きなんですが、私の家内なんかを見ていると、子供に、簡単なんでしょうね、パンを食べさせている姿を朝見ております。
 そういう意味では、やはり給食等でしっかりと米の給食というのを推進してもらいたいと思いますし、やはり日本は主食が米だということを胸を張って言えるような国になりたいなと私自身も思っておりますので、その点を付け加えさせていただきたいと思います。
 大臣は更に、食料自給率四五%の達成の前提となる消費、生産両面における課題の解決に向け、生産者、消費者、食品産業の事業者などのこういう関係者と一体となった取組を推進するというふうに言われましたが、具体的にどのようにしていくのか、お答えいただきたいと思います。
#54
○政府参考人(村上秀徳君) 先ほど申し上げましたとおり、この自給率目標の達成のために生産面とそれから消費面の取組が必要でありますし、これは関係者が一体となって問題解決に取り組むということが不可欠でございます。先ほど申しましたような、その消費面、生産面での重点的に取り組むべき事項というのを明確化して関係者の役割分担というのを明らかにしていく必要があるというふうに思っております。
 そういう考え方の下に、政府や地方公共団体、それから農業団体、食品産業の事業者、それから消費者団体など関係者から成ります協議会を設立いたしておりまして、四月二十六日に、大臣御出席の下、発足をいたしたところでございます。その中で、毎年関係者ごとに主体的に取り組む内容、その目標を明らかにした行動計画というのを策定しようと思っておりまして、その達成状況の検証をしながらその結果を翌年以降の行動計画に反映させるという形で毎年行っていくというふうに思っておりまして、そういう形で施策の工程管理ということを実施していきたいと。そういうことによって自給率の向上が迅速かつ着実に実施されるようにやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#55
○羽田雄一郎君 そして、食の安全と消費者の信頼確保を図るということも言われておりました。今、BSE、そしてまた偽装表示、またいろいろな形でなかなか消費者の食への信頼確保というのが難しい状況、また信頼が得られてないような状況下の中でどのようにしていくおつもりなのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
   〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕
#56
○政府参考人(中川坦君) 食の安全、それから消費者の信頼確保のための具体的な政策はどうかというお尋ねでございます。
 まず、安全の確保のための具体的な施策でございますけれども、やはり一番基本になるのは、リスク分析の考え方に基づきまして、食品が製造されます生産段階から消費者の手元に届くまでの各段階においてきちっとした対策が取られることが一番大事だというふうに思います。
 もう少し具体的に申し上げますと、まず生産段階では、肥料、農薬あるいはえさといった様々な生産資材がきちっとした使用基準に基づいて適切に使用されているということをまず確保していく必要がございます。それからまた、細菌ですとかカビ毒とかいろいろございますけれども、あるいは家畜の飼養に当たっては衛生的な飼育をきちっとやっていくと、そういった取組、それから適正農業規範、GAPといいますけれども、こういったものを実践することによって様々なリスクをできるだけ減らしていくという取組、これから力を入れていく必要があるというふうに思っております。
 それから、二点目の信頼の確保でございますが、やはり一つは消費者の方々が食品を選択する際によりどころになるのが食品の表示でありますので、これを国あるいは地方公共団体が監視をきちっとしていくことを通じまして食品表示の適正化を図っていきたいというふうに思っておりますし、またトレーサビリティーの導入の促進、あるいはJAS規格や食品表示の充実、これは消費者のニーズにこたえていくという視点が大事でございますが、そういったニーズにこたえながら適切な情報提供を行っていくことによりまして消費者の方々の信頼を確保していくと、こういうことが中心になろうかと思います。
 こういった施策をこれからも充実していきたいと思っております。
#57
○羽田雄一郎君 次に、担い手の経営に着目した経営安定対策への転換や、担い手への農地利用集積の促進についても言われておりました。これは直接この法案にかかわるところでありますので、実は来週も私が質問をさせていただきますので、そのときにじっくりとお伺いをさせていただきたいと思います。
 最後に大臣は高品質な農産物の輸出などによる攻めの農政の方向付けを行っていると言われましたけれども、具体的にお答えをいただきたいと思います。そして、どのようなそのことの支援というんですかね、が考えられるのか、お答えいただければと思います。
#58
○国務大臣(島村宜伸君) 御高承のとおり、今、日本食に対するそのブームというのは異常なほどすごいものがありまして、先般のヨーロッパ出張の際にもそれを現実に見てきたところでございますが、そういう日本食ブームというのは、単においしいということだけでなくて、やっぱり健康にも美容にもいいということが科学的にも証明を受けて、これが一つの拍車を掛けていること、あるいは時代の一つの流れといいましょうか流行といいましょうか、そういう意味の評価もこれあり、非常に伸びているところですし、また一方では、アジア地域の経済発展によりまして高所得者層がかなり層を厚くしておりまして、特にアジアの方々は食におごるものですから、そういう意味では自分の生活以上に外食その他に金を使うという面もございまして、これも一つの拍車を掛ける結果になっているんではないかと、こんなふうに思っているところです。
 そういう中で、委員も御承知かと思いますが、最近では、例えば日本のリンゴが一個二千円で売れる話とか、あるいは日本の白桃は台湾では貴族の言わば果物という地位をいただいていたり、あるいはまた日本のカキというのが大分評価を受けてきて、カキは英語でパーシモンだと思っていたら、これはカキと言って独立した名前になっているんだそうで、事ほどさようでございますし、この何年間の間にサケなども一三〇〇%ぐらい何か輸出が伸びてきていると、ナガイモ等々、いろいろ言いますと、かなりの可能性を私は感じているわけでございます。そういう意味で、我々はこれらを少なくも、現状はまだ三千億の段階ですが、これを少なくも五年の間に倍増しようと。できることなら、そんなものでなくて、もっとけた違いなものにしていこうと、こう実は考えているところです。
 そういう点から申しますと、御承知のように、かつてカリフォルニア米が大分出てきて、食味が変わらない、非常にスケールもでかい、大変我々は心配していろいろ調べたことがありますが、輸出余力その他を全部を調べますと、それほどでもないと。むしろ恐るべきは当時は中国、私、前の大臣のときには、そういうようなのが常識的に陰で言われておりました。
 ところが、もう最近は、御承知のように、中国は今度は農産物輸入国に変わるということで、我々はひそかに、これから米の言わば検疫制度に対する十分検討を得て、これから販路をむしろ中国にも拡張しようと、こう考えているところでございますが、それやこれや考えますと、我々はやっぱりそういう可能性に懸けていくことも我々の大事な責任であるという意味から、言わば、食料・農業・農村政策推進本部というものがありますけれども、今申したようなその目標を単に掲げ、ただ目標だけでなくて、現実のものにしていこうという具体的な意欲を持っているわけですし、新聞報道等もございますが、四月二十七日には、総理あるいは経済界の、各界の代表者もみんなおいでをいただいて農林水産物等輸出促進全国協議会というものを設立したところであります。
 また、輸出振興に向けた具体的な対策としては、今一部申し上げましたけれども、何といっても販路の創出、拡大のためのマーケティングの支援、あるいは輸出先国の検疫制度などの輸出阻害要因の是正、あるいは商標の管理や品種の権利侵害の防止など知的財産権あるいはブランドの保護などについて総合的な支援策を講じることとしておるところであります。
 これらの支援によりまして、民間の方々が輸出に取り組みやすい環境づくりに努めてまいりたいと思いますので、長野の特産物もひとつ是非いろんな意味で我々に御示唆いただければと思うところでございます。
#59
○羽田雄一郎君 我が郷里長野でも青森のリンゴに負けないぐらいすばらしいリンゴができているわけでありますけれども、この間、中国で八百円で売れているという話、僕はさせていただいたんですが、今、大臣から聞けば二千円ということで、また高騰しているなということを考えると、ますます我々は輸出ということをしっかりと取り組んでいかなければならないなということを感じている次第であります。
 中国は今現在バブルの絶頂期でありまして、貧富の格差が大変大きくなっておりますけれども、中国産のものは信用できないということを自国の方たちが言っているのも事実でございまして、わざわざ日本の食材を探し求めて買っているという人が増えているというのが現状であります。それは昨年のことなので、今の状況下の中でどういうふうになっているか分かりませんけれども、昨年の状況ではそういうことを私も直接お聞きをしております。
 日本のお米も、中国の輸入の商社の方とお話をさせていただいたり、また私の父親がそういう方たちと懇談を持ったときにも、これはいけるということをはっきりと言われているわけでありまして、そういう意味でもしっかりと、大臣が進めようとしている政策、そして支援策、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 長野県の話をしていただきました。川上村というのがございます。これは高原レタスでございます。高原レタスで億万長者が出ている、レタス御殿が建っているところでございますけれども、日本の農業の誇りの一つだと私は常々思っておりますし、全国の村ではお嫁さんが来ないというので大変困っておりますけれども、この川上村は、実は女子大生が夏になるとアルバイトにたくさん来まして、川上村の若い青年を見付けて結婚するということで、嫁不足が一切ございません。そして、畑にはベンツやセルシオで乗り付けるということでございますし、トラクターを見れば、大きな大型のトラクターでございますけれども、フェラーリ社とかベンツ社のものを使っているというのが見られます。そして、夜中の二時から朝五時、朝取りですから、が一番働かなければならない時間ですけれども、普通であれば発電機でウーンウーンとうならせて電気をつけるわけですけれども、その畑は野球場と同じようにナイター設備でぴかっとつくというのが川上村の今の現状であります。少子化が今、日本では大変深刻な問題となっておりますけれども、川上村は小学校増設。そして、数年前までは三・四七です、出生率、今、多分三ぐらいだとは思いますけれども。そういうような形で、それも夏しか働けないわけですよね、雪が降りますから。
 そういうのが今、川上村の状況でありまして、全国に朝取りをして発送する、そして真空パックにしてカットレタスまで出しているというような状況であります。また、海外にも研究所を持って、レタスというのは巻いてしまいますから、そうすると虫が付く。それで研究をして、外に開く、虫が付かないように外に開くようなレタスを開発して今取り組んでいるところであります。
 実はそこで中国が出てくるわけですけれども、オリンピックがございますけれども、ここに向けて、せめて選手村だけでも川上村のレタスを持っていきたいと村長以下今一生懸命頑張っておりまして、そういう中で中国に進出していこうというようなことを川上村では考えているようであります。
 そういう意味では、こういう農業をどんどん育ててブランド化していって、そして世界に配信していくということが日本の農業全体が変わっていく、誇りを持てる、そして最終的には食料基地になっていく、世界の食料基地になっていくということになっていくんではないかなというふうに感じております。
 長野県の話をちょっと脱線交じりにさせていただきましたけれども、そうはいっても海はなく急峻な山々の中にある県でありますし、中山間地域で踏ん張って農業をやっている地域がほとんどであります。先日の松下委員の質問に対する大臣の答弁の中にも、農地面積の確保ということを言われておりましたけれども、中山間地域等直接支払における耕作放棄地の復旧に対する加算措置の導入というようなことを言われておりましたけれども、具体的にお答えいただければと思います。
#60
○政府参考人(川村秀三郎君) 中山間地域等直接支払制度でございますが、これはもう委員も御案内のとおり、平成十二年にスタートいたしまして五年が経過をいたしました。五年の節目ということで第三者委員会による評価あるいは検証ということでやりましたが、全般的に言いますと、耕作放棄地の発生防止を始め多様な取組が行われておりまして、着実に成果が上がったというふうに評価をされたところでございます。
 ただ、つぶさに個々の取組を検討させていただきますと、非常に活発な取組を行っておられる集落がある一方、その制度の開始前の取組に比べて余り変化がないという集落もございまして、この取組にばらつきがあったというのが実情でございます。
 こういった状況を踏まえまして、この平成十七年度から新たな対策ということでの検討をいたしまして、各集落の将来に向けた取組の充実、こういったものを図る仕組みに改善すべきであると、そしてまた安定的な農業生産活動の継続を促す仕組み、こういったものも目指すべきであるということで検討いたしたわけでございます。
 具体的に申し上げますと、この積極的あるいは活発な取組をよりしていただくというインセンティブが働くように取組の内容に応じて交付単価に差を付けるというのが一つでございます。それから、これまでは耕作放棄地を発生させないということが一つの要件であったわけですが、これも新しい制度の要件ですが、更により積極的に、これまでの耕作放棄地をむしろ復旧していくんだということに対してもインセンティブを与えようということで、それに対しては加算措置ということでより高い支援をするということもそのメニューとして入れたわけでございます。それからまた、より永続的な取組という意味で、法人を設立するなど体制をしっかりしていくということに対しても加算措置を講じております。そういう意味で、単価に差を設け、あるいはより頑張っていただくところにはより高い支援をということで、めり張りを付けたということでございます。
 こういった制度を活用していただくことによりまして、より安定的、永続的な取組、こういうものが図られるんではないか、その地域の自主性を生かしつつ頑張っていただきたいなと、こういうことで二期目をスタートしたということでございます。
#61
○羽田雄一郎君 このことは、大臣言われたことは大切なことであります。
 この直接支払制度、大変喜ばれておりますけれども、農道わきに花を植え景観を良くしたからとか、また農地を持っているからというだけで支払われているというような過去もあるようであります、私が聞くところによると。これは、そんなことではばらまきではないかというようなことをもらった人が、農地を持っているからもらったんだけれども、これはばらまきじゃねえかというふうに言われているような人もいるというのが今までの現状の中にあったわけですね。
 そういう意味では、やはり耕作放棄地、また遊休農地、これを復旧させるとか、しっかりと農地を守っていくと。実際にそういうことにその直接支払が使われれば有効ではないかということを感じている次第でありまして、是非そういうようなことに取り組んでいっていただきたいと思っております。
 我々参議院農林水産委員会は、十日の日に、中川委員長を筆頭に多くの委員の皆さんと山梨県勝沼の方に行ってまいりました。
 これはワイン産業振興特区ということで、いわゆるリース特区でございますけれども、まず最初にお尋ねしたいのは、国で今現在行われております構造改革特区、これは本当に規制緩和になっているのか、なっているとお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
#62
○政府参考人(須賀田菊仁君) このリース特区、これ、本来は農地に権利取得できるのは農業生産法人でないといけないわけでございますけれども、耕作放棄地などが相当程度存在するというこの特区におきましては、市町村との間できちんと農業を行うんだという協定を締結して、その協定に違反した場合にはリース契約を解除するよという条件の下で、農業生産法人以外の、例えば一般の株式会社、NPO法人、こういうものも農業参入が可能とするというものでございまして、規制の緩和になっているというふうに認識しております。
#63
○羽田雄一郎君 しかし、このリース特区、全国展開をしていこうと言っておりますけれども、衆議院での議論の中で参考人の方々の話を聞いておりましても、農地の情報がほとんどないというような話。プロ農家も見放したような遊休農地や耕作放棄地、ここをまず開墾して農地にすると最低一年は必要である、またこれについての費用と時間の負担が大き過ぎるというような話。また、それにしては契約期間、これが短過ぎると、いい畑になったところで返してくれと言われたら返さなければならないというようなことを考えるとなかなか手が出ないといった声もありました。
 農業生産法人を取ってしっかりやった方が、その方がリスクが少ないんじゃないかというような声も、衆議院の参考人の方々の話や、また勝沼では勝沼醸造の有賀社長に御案内をいただいて、ブドウ園、そしてワイナリー、レストランとずっと見させていただきながらお話を伺った中でもお聞きすることができました。百三十年、三代目で大変こだわりを持って、その地域の景観までも、これが財産なんだと、地域の発展も願いながら取り組んでいる姿に参加委員皆さん感銘を受けたところであります。
 しかし、ワイン用のブドウ、これを作るのに、実を付けるまでに最低三年、土壌から作ることになれば五年、いいワインを造るまでには二十年から三十年掛かるという話であります。レストランに至っては一度も、一回も、一年も黒字になったことがないと。それでも地域のために続けているというのが現状であります。やはりここでも契約期間の短さが不安であるというようなことが言われました。
 今回のワイン産業振興特区は、十五市町村が対象になっているにもかかわらず、まだ二件しか活用されていない現状を見て、いわゆるリース特区が使いやすいものになっていると考えているのか、お答えください。
#64
○政府参考人(須賀田菊仁君) そのリース特区が使いやすいかどうかというお話でございます。
 今、開始されて間もないわけでございますけれども、今年の三月現在で、北海道から鹿児島まで三十三道府県で七十一地区が認定を受けておるわけでございます。
 これ、難しい点、衆議院での参考人の方のお話をされましたけれども、私ども調べてみますと、制度上の問題というよりも、やはりその農業集落によそから企業が入ってくる、そうなりますとなかなか、初めての企業でありましたら、警戒するというわけではないんですけれども、顔も知らないということで、なかなか契約期間、もういきなり初めから長期間にというのも難しゅうございますし、それから周りの農家との、果たして協調して、防除だとか、そんなのに協力してくれるのかどうかとか、そういうような実態上の問題もございまして進まないんであるという面も聞きました。
 私どもが行った正に長野県の大鹿村、見ましたけれども、これは地元の企業でございますので、もう周りの農業委員会から、普及からの協力体制がぱっと整っておりました。田植機とか、そういう機械も農家が持っているものを使ってくれと、こういうような協力体制が整っておりました。私ども、制度の問題というよりも、そういうところにまだ少しく慣れといったような点で問題があるのではないかなというふうに考えております。
 なお、先生視察されました山梨県のワイン特区でございます。わずか二件ということでございます。特に下限面積規制があるのでなかなか入れないのではないかというようなことが言われていたというふうに伺っておりますけれども、これ山梨県へ聞きますと、これ制度上は五十アールの下限面積規制を知事の判断で下げれるんですけれども、どうも勝沼町周辺が特に力のあるワイン産地であるということで、効率的な農業経営を実現したいということで農地取得を細分化しないのが適当であるという判断が働いたということを伺っておりますし、仮に実際の要望があれば検討することはやぶさかでないというふうにございますので、要望等があったら地域の実情に応じた制度の運用が図られるのではないかというふうに思っております。
#65
○羽田雄一郎君 勝沼のことまでお調べをいただきまして、ありがとうございます。やはり全国的になかなか参入しにくいという声もあったり、勝沼の場合は中小、ワイナリーなんというのは大きなものはないわけでありまして、そういう意味ではなかなか参加しにくいという思いを持っていることもございますので、今のお話を聞けば、そういう中小でも参加を表明すればしっかりとできるということでありますので、そのことが皆さんに伝わればまた変わってくるのかもしれないなということを感じた次第であります。
 しかし、ワインができるまで最低五年掛かるわけでございまして、その間、一円の収入にもならない、それに加えて契約期間が短く不安であるという話があるのも事実でございます。そういう中で、衆議院の議論の中でもありましたけれども、参考人の話の中でもありましたけれども、リースでは不安である、不十分で、所有権まで認めるべきではないかという意見もあるようでありますけれども、どうお考えでしょうか。
#66
○政府参考人(須賀田菊仁君) このリース特区、先生も御存じのように、耕作放棄地などが相当程度存在している、農業界の方に受け手がいない、そのままでは農地の有効利用が図れないというような地域において、緊急、特例的に農業生産法人でない一般の株式会社も参入できるんだ、こういう仕組みでございます。
 そのときにやはり心配になりますのは、ちゃんと農業をしてなければいつでも戻ってこれる、協定でリースをして、ちゃんと農業をしていなければそれは解約するよと、こういう仕組みが絶対必要なわけでございます。
 所有権ということをこういう仕組みの下で考えますと、いわゆる買戻し特約付き、耕作放棄したら買い戻すよと、こういう買戻し特約付きの売買ということになろうかと。私ども、これ研究したわけでございますけれども、実は買戻し特約というのは、民法で有効期間が十か年、それ以上だと無効ということでございます。そういう限定があるということと、現実に買い戻すというときに、市町村のお金をどういうふうに用意するかというような現実的な問題がありまして、なかなか、必ず農地が戻ってくるという担保する上での問題点がまだ多くありまして、今のところ所有権まで認めるに至ってないという状況でございます。
#67
○羽田雄一郎君 なかなか十年という中ではワインの場合は難しいなと。いいワインができるまでには二十年から三十年掛かると言われているんですね。せっかく作り出しても、いいものができる前にというようなことを思えば、本気になって入っていこう、それを活用しようというのは難しいのかなという、果樹では難しいのかなというようなことを感じております。野菜とか、そういうものであればある程度しっかりと取り組むことができるのかなということを感じた次第であります。
 現在の特区制度は全国的にどのような状況になっているのか。また、遊休農地や耕作放棄地対策の目玉と本当にこれがなり得ると考えているのか、少し疑問に思うわけですけれども、お答えをいただければと思います。
#68
○政府参考人(須賀田菊仁君) まず、現在の取組状況でございます。
 北海道から鹿児島まで三十三道府県七十一地区が認定を受けておりますが、その中で五十地区六十八法人が営農を開始しております。その面積は百二十五ヘクタールということでございます。この六十八法人のうち農作物の収穫を行ったのは四十二法人、いずれもまだ緒に就いたばかりということでございます。
 私ども一番心配しておりましたのは、地域の中で混乱起こるんじゃないか、土地とか水利用、あるいは廃棄物の不法投棄等があるんじゃないか、すぐまた撤退するんじゃないか、こういうようなもの、混乱が起きるんじゃないかということを心配しておりましたけれども、これについての弊害はなかったということでございまして、地元からの要望等も取り入れまして、今回我々の法律の中に取り入れたということでございます。
 そして、これが今後全国展開をするとして耕作放棄地対策の目玉となるかというお話でございます。耕作放棄地が農業者の高齢化に基づいて潜在的に増えていくという傾向にございます。私ども、このリース特区によります株式会社の参入等が耕作放棄地の発生防止に役立つものと考えておりますけれども、これ株式会社ばかりに目が行きがちでございますけれども、実はNPO法人も十四法人が入っておりまして、これ実態は援農組織的に体験農業みたいなものをするというような感じの法人が入っておりまして、先ほど小川先生の質問ございましたけれども、ビオトープだとかそういうものへの活用にもこれ役立つんじゃないかということで、そういう方面でも活用願えればなというふうに思っているところでございます。
#69
○羽田雄一郎君 今まで現場の声なども織り交ぜながら質問をさせていただきましたけれども、大臣に最後に感想をお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#70
○国務大臣(島村宜伸君) 先ほどからいろいろ御説明申し上げておりますように、リース特区制度は耕作放棄地などが多い地域において市町村ときちんと農業を行う旨の協定を結んだ上で株式会社などが農業に参入することを認めるものでありまして、今いろいろ御説明申し上げたとおり、私たちがいろいろ当初危惧したことその他いろいろ考えますと、かなりむしろ当初予想よりはいい結果につながっているんではないか、こういうふうに思うところであります。
 さはさりながら、また一方で御説明申し上げておりますように、この所有権まで引き渡してしまいますと、これは今度は企業の言わば所有になりますので、その後ずっと農業を続けていただけるという保証はまだ期間も短いだけに我々は確認がし得ない、当面はやはり農地をきちんと確保し、また農業生産を期待するという意味合いを持ちまして当面はリースの方式を取っていかざるを得ない、こう考えているところです。
 そういう意味で、これからも農業者の高齢化がかなり進んでおりまして、今たしか六十五歳以上は五七%ぐらいでございますが、年々これ進むわけでございまして、そういう趨勢をいろいろ考えますと、やはり農業を行いたい企業は農地を借り入れ、きちんと農業を維持管理するということも結果的に農地を預ける農家にとってもメリットにつながるんではないか。またさらに、参入企業が例えば農産物の加工販売メーカーであるならば、自社による農産物生産により経営が発展し、地域の農産物の安定的な販売先にもなることで農家にもメリットがあるのではないか。このことにつきましては、先般皆さんが勝沼地区を訪問されてそれなりの情報を得られたように伺っておりますが、我々もこういうことに十分意を用いて努力をしていきたいと、こう考えておるところでございます。
#71
○委員長(中川義雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#72
○委員長(中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#73
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。おなかの中の物がまだ消化し切れていませんけれども、早速、午前に引き続きまして農業経営基盤強化促進法等の一部改正法案について質問をさせていただきます。
 まず初めに、食料・農業・農村をめぐる情勢の変化について質問をいたします。
 新しい食料・農業・農村基本計画におきまして、以前の基本計画の策定後に、食の安全や健全な食生活に関する関心の高まり、多様性、高度化する消費者ニーズへの対応、そして農業の構造改革の立ち後れ、多面的な機能や農村に対する期待、グローバル化の進展といった大きな情勢の変化から、農政全般の改革を早急に進めていく必要があるとしております。
 特に、農業の構造改革の立ち後れにつきまして、基本計画の中では、認定農業者の育成確保、農地の利用集積、新規就農の促進等に取り組んできたけれども、その効果は限定的なものにとどまっていると。従来の取組のままでは、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、地域の経済社会の維持発展に支障が生じるおそれがあると分析しております。
 そこで、農業の構造改革の立ち後れの実態及びその原因についてどのように考えているのか、まず初めにお伺いいたします。
#74
○政府参考人(須賀田菊仁君) 前回、平成十二年の基本計画策定時におきまして、平成二十二年を目標といたします農業構造の展望、平成二十二年で認定農家等への農地の集積二百八十二万ヘクタールを目標にしていたのでありますけれども、平成十五年時点では二百二十五万ヘクタール程度にすぎないということでございまして、目標に比べて下回っている状況でございます。特に、水田におきましては九十二万ヘクタールしか担い手に集積されていないということで特に後れているということでございます。
 私ども、この構造改革の立ち後れの原因といたしまして、実体面と政策面と二つあるのではないかというふうに思っております。
 まず、実体面におきましては、先生も御存じのように、機械化の進展、技術の向上等で兼業農家がいわゆる土日農業で稲作経営等が可能であったこと、そして、それとは別に、土地を貸そうとしても集落内に安心して貸し付けられる相手が見当たらない、こういう事情があったこと、それから、高齢農家は先祖伝来の農地を人手にゆだねるということに非常に強い抵抗がある。特に、やはり農村社会の中では自分が農業をしているんだということがその村の一員として認められる証左になるということで、なかなか人にゆだねるということが進まないと、こういう実体面の理由があったのではないかというふうに思っております。
 また、政策面では、価格・所得政策が幅広い農業者を対象としてきたということで、担い手への農地集積のインセンティブが働かなかった、このようなことがあるんではないかというふうに考えております。
#75
○谷合正明君 次に、農地制度に対する抜本的見直しの課題ということで、今るる説明がありましたけれども、今回の農地制度の見直しに当たりましては、昨年の報告書、資料の中で、「農地・担い手施策の展開方向」という資料の中で、農林水産省自らが、新たな基本法の下、農地の確保、有効利用の観点から徹底した見直しを行うことが必要であるといった認識をされております。
 こうした見直しを行うに当たりまして、午前中の議題にもありましたけれども、農地法の基本理念であります耕作者主義の在り方が大きな論点になるものと考えております。
 耕作者主義とは、適正かつ効率的に耕作する者に対しての農地の権利取得を認めるという考え方と認識しております。これに関しましては、その基本的な考え方は今後とも維持されるべきという見解と、そして今日的な見直しが必要とする見解の両論があるものと理解しております。
 こういった差異が生まれる要因としては、農地の利用や農業経営をめぐる社会情勢がその昭和二十七年の農地法制定時と比べまして大きく変化していると。見直しを認める意見の中には、自作農が望ましい営農形態であるとする考え方が残されている農地法第一条を改正し、農地制度全体を利用優位の制度に転換すべきとの主張もあります。また、制定当時に想定されなかった食の安心や環境保全という今日的課題の下、その意義を見直すことも重要だという主張もございます。一方、耕作者主義を維持すべきという考えの中には、農地を耕作者以外が所有することは農地の転用のおそれが大きいなどのいろいろな考えがあるわけでありますが、そこで大臣にお伺いしますが、耕作者主義の今日的意義、そして見直しの是非について、基本的考え方をお伺いいたします。
#76
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 農業は、通常、土地から得られる利益が他産業に比べて小さいため、耕作に従事する者が農地に関する権利を取得して、そこから得られる利益を享受する形態が農業を営むのに最もふさわしいものと考えております。
 具体的には、農地法第三条で、農地の権利取得に際しては、農地のすべてを耕作すること、必要な農作業に常時従事すること、農地を効率的に耕作することができることなどを要件としておりまして、これを耕作者主義と呼んでいるところであります。
 このように、農地はこれをきちんと農業の用に供し得る者が取得すべきであるとの考え方は今日においてもなお重要な意義を持っておりまして、今後とも維持されるべきものと考えているところであります。
#77
○谷合正明君 私、個人的には、そうした耕作者主義の考え方というのは、今後、移行期に差し掛かっているのではないかなということを思っております。いずれ、その耕作者主義を維持することを前提としたとしても、補強するような形で新たな考え方というものを今後議論していく必要があるんではないかということについて思っております。
 続きまして、望ましい農業構造の確立と農業経営基盤強化促進法について質問をさせていただきます。
 今回改正を行うこの法ですけれども、経営感覚に優れた経営、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が生産の相当部分を担うような農業構造を確立することは急務であるとの考え方に基づき、平成五年、従来の農地利用増進法を改正して成立したものでございます。
 そういったものがあるんですが、私の地元の岡山県では、先日の地方紙に載っていたんですけれども、認定農業者はここ四、五年で約三千三百と横ばいで、目標の七割にとどまっていると。岡山などの中国地方では中山間地域も多く、農地集約化が難しいと。経営規模の拡大が前提となる認定農業者に対する支援を農家がそれほど魅力を感じていないという指摘もあるわけですけれども、農業構造改革というのは地域によって様々な評価があると思いますが、今回、その農業経営基盤強化促進法が認定農業者制度等を通じ望ましい農業構造の確立に向けて果たしてきた役割と効果についてどう評価しているのか、さらに、本法に基づく制度が新たな基本計画の下で農業の構造改革の立ち後れへの対応としてどのように資するのか、そのことについてお伺いをいたします。
#78
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農業経営基盤強化促進法、平成五年に制定をされておりまして、その主要な柱が二つございます。
 一つが、先生言われました認定農業者制度を創設したことでございます。それからもう一つは、集団的な土地利用調整、集落で話合いの中で集団的に土地利用調整をしていこうということを創設をしたことでございます。
 平成五年以降、いろいろな形で農地の権利移動が行われておりますけれども、この農業経営基盤強化促進法に基づきます権利移動が全体の九割を占めてございます。それから、認定農家、認定農業者の方は、十六年の八月末現在において全国で約十九万経営体ということでございます。
 こういう面では一定の効果が上げられておりますけれども、先ほどの御質問にございましたように、担い手への農地の利用集積が二百二十五万ヘクタールにすぎない、全体の約五割程度にまだすぎないということでございまして、そういう意味で構造改革は立ち後れているということでございます。
 こういうことを踏まえまして、今回の法律改正におきましては、主要なところ、三点ございます。
 一点目は、法人化を促進させたいということで、農地保有合理化法人が農業生産法人に対し、農地のみならず金銭の出資もできるようにしたということでございます。これ、一点でございます。
 二点目に、なかなか認定農家も育たないというようなこともあり、先ほど申し上げましたように、なかなか人に土地をゆだねるということが難しい集落の事情もございまして、集落を基礎とした共同組織体として集落営農といったものを育成していこうということで、集落営農の組織化に関する法律改正を盛り込んだのが二点目でございます。
 三点目は、仲介機能を強化しようということで、農地保有合理化法人に貸付信託を行えるようにいたしまして、安心して信託に出せる、借り手の方は安心して借りられるというそういう仕組みを入れまして、これでもって基本計画にございました個別経営、法人経営の育成、集落営農の育成、組織化、こういったものを図っていきたいというふうに考えてございます。
#79
○谷合正明君 今、お話に出ました集落営農につきまして、その現状と役割について再度質問させていただきます。
 本法案は、担い手への農地の利用集積が後れているとの認識から、その集落営農の組織化、法人化というものを図ることとしているわけであります。このような集落営農の活動内容につきましては、作地の団地化、そして農業機械の共同利用といった取組が約五割を占めておりますけれども、集落内の営農の一括管理運営のレベルに達している者は約一割にとどまっていると聞いております。どの程度の実体を伴っている集落営農なら将来的に今後議論される経営安定対策による直接支払の対象とすべきかというものも非常に大きな関心となっているわけでありますが、そこで、このような集落営農の現状を踏まえた上で、集落営農の果たすべき役割、将来展望について副大臣にお伺いいたします。
#80
○副大臣(常田享詳君) まず、認識と現状についてお答えをしたいと思います。
 水田集落の約半数において、個別経営体として発展し得る主業農家が全く存在していない、そういう現状の中で、集落営農は地域ぐるみで農地の利用調整や機械の共同利用を行うなど、地域の営農の維持に重要な役割を果たしているという認識をまず持っております。
 このような集落営農は、平成十二年の調査によれば全国で九千九百六十一存在しますが、このうち、集落営農の営農を一括管理運営するといった取組がなされているのは、今、委員御指摘のとおり、約一二%に当たる一千二百にとどまっております。これが現状であります。
 このため、集落営農の取組を増加させるとともに、経理の一元化等を通じて経営主体の実体を有する集落営農組織に誘導していくことが極めて重要であるというふうに考えております。現在、集落営農の組織化、法人化に向けた取組を農業団体と連携をしながら全国的に展開しているところであります。
 このような取組や政策支援を行うことを前提として、新たな基本計画と併せて農業構造の展望をお示ししているところでありますが、この中で、経営主体としての実体を有する集落営農経営が平成二十七年において二万から四万程度になるというふうに見込んでいるところであります。
#81
○谷合正明君 今お話ありましたけれども、集落を基礎とした営農組織のうち、一元的に経理を行い法人化する計画を有するなど経営主体としての実体を有するもので、将来効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれるものを担い手として位置付けていくという話だと思いますけれども、一方で、主業農家が存在しないなど、その組織化、法人化が困難な集落営農に当たりましては、将来展望に不安を抱く向きがございます。
 私は先日、岡山県北部、山間部です、中山間地域というよりは山間部ですけれども、そこにある集落営農の現場を視察いたしました。その農場は平成七年に農事組合法人になったわけでありますけれども、最近ようやく黒字化になったという模範的な集落営農でございます。そこの方に話を聞いても、模範的にやっているとしても、ただ、今後の将来展望としては不安だらけだと、後継者もいないだとか、ここ数年間村で結婚式を見たことがないとかいろいろな話を聞かせていただいたわけであります。そういう山間部におきましては、小規模農家、兼業農家といったものの問題というのもあると思うんですが、担い手の明確化と集落営農の組織化、法人化の意義、そのための施策の在り方、集落営農の組織化、法人化に当たっての小規模農家や兼業農家の在り方についてお伺いをいたします。
#82
○政府参考人(須賀田菊仁君) 現在、我が国農業をめぐりまして、農業従事者の減少とか高齢化とか担い手の脆弱化が進んでいると、国際化の進展も進むと。こういう状況の下では、やはり強靱な農業構造を一刻も早く確立するということが重要であろうと思っております。そのためには、農業で他産業並みの所得を上げ得る経営体、これが持続性、安定性がある経営体でございますので、それを担い手として明確化するということが大事であろうということでございます。
 その中で、先ほど申し上げましたように、施策と担い手という場合に、個別経営、法人経営にかかわらず、認定農家といった、この力で伸びようとしている経営体と、それから集落を基礎とした共同の経営体たる集落営農と、二つを担い手として考えているわけでございます。そういう担い手に対していろいろな政策を重点化していきたいというふうに考えているわけでございます。
 そこで、小規模な農家あるいは兼業農家についてどうかと。小さな農家、兼業農家と言いましてもいろいろでございます。安定してもう兼業先の方で生計費も得ることができる安定兼業農家から、やはり農業所得に頼らなければちゃんとした生計費を得られないというような農家までいろいろございます。私ども、安定的な農家の方にはこの集落営農に農地等を出していただいて、それで賃料収入を確保をしてもらうような道を主としてお勧めをし、そうでない小規模農家、兼業農家の方には、この集落営農の構成員になっていただいて、それなりの役割分担をしてそれで配当を受け取ると、こういう道を選んでいただくのが一番ではないかというふうに思っておりまして、そういうことで、現在、団体とともに集落営農の育成運動に取り組んでいるところでございます。
#83
○谷合正明君 担い手の在り方につきまして、集落営農、認定農家にしましても、担い手をどう、人をどうつくっていくかということだと思うんですが、その農業構造の展望の実現に向けた取組が進んでいく中で、新規参入の農業者についてどうしっかり取り組んでいくのか、支援していくのかというところを今気にしております。就農する数も増えておりますが、離農する数がそれ以上に増えていると。新規就農者が着実に伸びていくことが非常に重要ではないかと思っております。
 そこで、その新規就農者に対する政府の対応について、新たな基本計画にどういう位置付けがあるのかということをお伺いしたいんですが、その新規就農者となる対象で議題にしたいのは二つございます。一つが定年帰農組と、一つが新規就農青年組でございます。確かにプロ農家ということでは直接つながらないところもありますが、今後の十年間の日本社会の人口動態を考えていくと、平均寿命だけでなく健康寿命が伸びていくと、約八十年と言われておりますけれども、金持ち、土地持ちならぬ時間持ちの六十代、七十代の方が増えてまいります。そういった定年就農組の受皿をしっかりと整備していかないといけないと感じているわけでございます。
 そこで、その定年帰農組、今の特に団塊の世代による新規就農者に対する政府の対応についてお伺いをしたいと思います。
#84
○政府参考人(須賀田菊仁君) ここ数年の六十歳以上の方の新規就農の推移を見ますと、平成七年が二万五千人だったわけでございますけれども、平成十五年は四万二千人というふうに定年帰農の方々の数が増えているということでございます。
 この高齢の新規就農の方々、他産業でいろいろな知識を得ておられますし、技能も積んでおられまして、その積んだ技能にもよりますけれども、オペレーターとして活動をしていただいたり、あるいは集落営農の中で経理の担当として活動をしていただいたり、あるいはまとめ役、世話役と、こういったこととして活動されると、我々もそういう役割を期待をしているわけでございます。
 こういう方々に対しましては、Uターンフェア、就農イベントということで、まず農業に興味を持っていただきまして、そして具体的に農業に就職したいということになりましたら、まだ他産業に在職したままで農業の基礎的な知識や技術を習得できる就農準備校というのが都市部にございまして、そこで、座学ではございますけれども、いろんな知識、技術を得ていただいて、その後必要に応じまして、道府県に農業大学校ございまして、中高年齢者のための研修コース等もございますし、先進的な経営体での研修といったものもございますので、そういうところで研修を積んでいただいた後就農と、こういう段階を踏んでいただければというふうに思っております。
 幅広い人材の育成という観点から期待をしておるところでございます。
#85
○谷合正明君 その取組を期待をしております。
 もう一方の新規就農青年組でございます。
 今、フリーターだとかニートだと言われる若者が増加しておりますけれども、若者の就業先として農業に焦点を当てる、光を当てるべきだということも私は考えております。最近、私、ある漫画を読んだんですけれども、「地の子」という、大地の地って書くんですけれども、「地の子」という日本の農業の危機をとらえたファーマーズコミックでございます。
 このストーリーを若干紹介させていただきますけれども、これは西暦二〇〇七年の夏、文部科学省入省五年目のある青年が、突如、首相より三年以内に農高卒の五割が就農する教育システムをつくり上げるよう命令を受けると。霞が関から約千キロ離れた山奥に、農業高校に着任するというストーリーでございまして、そのためには過疎化が進む農村を救うことが必要だと気付いていくものでございます。
 最終的にどういう提案をするかというと、すべての小中高の児童生徒をそれぞれ地域にある全国約四十万、五十万の農家、中核になるような農家へ週一度通わせる制度をつくると。高校生になったらすべての高校で農業を選択科目に加え、単位を取得できるようにすると。さらに、高校の三年間を通じて農業を学んだ生徒には優先的に各大学の農学部に進める制度をつくるという案を考え出しています。しかしながら、最終的には予算五千億が付かなかったのでその制度は実現しなかったという話なんですけれども。最終的にその文部科学省入省の青年はどうしたかというと、農村、集落に入りまして、グリーンコミュニティー特区というものをつくって、教育機能とふるさと機能を結び付けていく、生産者と消費者を結び付けていく作業をしていく、その集落が、人口が四十年ぶりに増加していくという話がありました。
 この話は漫画の話でありますので、現実に話を戻しますが、私が気になりましたのは、農業高校の卒業生、そして農業大学校の卒業生、各道府県にあります大学校の卒業生、そして大学農学部の卒業生の就農者、それぞれの就農者と就農率というのはどのくらいあるのかと、またそれは増えているのか減っているのかということについてお伺いを、事実を確認させていただきます。
#86
○政府参考人(須賀田菊仁君) まず、農業高校でございます。平成十年と十五年で比較してみますと、農業高校につきましては、平成十年卒業者が三万七千百六十八人、三万七千百六十八人に対して就農者が八百七十二人でございます。二・三%の就農率でございます。これが平成十五年卒業者が三万四千二百三十一人、就農者が増えまして一千二十六人、それでも就農率は三%でございます。それから、道府県にございます農業大学校、平成十年度卒業生千九百六十人、就農者五百四人、就農率が二五・七%でございます。これが平成十五年には卒業者が千八百六十九人、就農者が増えまして五百九十七人で、それでも就農率は三一・九%でございます。これが四年制の大学の農学部になりますと、平成十年卒業生一万六千五百五十一人に対して就農者は四百二十三人ということで、就農率は二・六%、これが十五年度で卒業生一万五千八百六十五人、就農者若干増えまして四百九十一人、就農率三・一%ということでございまして、まだまだ就農率が低いという状況でございます。
#87
○谷合正明君 私も大学の農学部を出て、余り言えないんですけれども、大学に、農学部に入ったときに周りの友人は、農業に就きたいという友人はおりませんでした。私は、そもそもどうして、農業高校だとか大学校はまだいいですけれども、大学の農学部で農業、農学を専攻しているのにもかかわらず第一次産業の基本的である農業に就かないのかということを本当に不思議に思っております。
 これは教育のシステムの問題なのかもしれませんが、例えば医学部であれば医学部を出て医者になる、法学部であれば法律家になっていくと、そういう専門的な目標というのがあると思うんです。ただ、農学部だとかいうところに、農業関係の仕事に就くことは多いと思いますけれども、本当に農業に就くというルートがないということがまず問題だと思っております。
 ただ、実際やりたいという人間はたくさんおります。私は、実際、卒業後に海外の農業開発のプロジェクトに若干従事したこともございます。海外の農業開発、今、日本でいえば国際協力事業団、JICAというところが請け負っておりますけれども、JICAの人材登録制度の中には、いろんな分野で今後やっていきたいという人材登録制度があるんですけれども、そこに登録されている一万二千四百五十人のうち、農業開発、農村開発が千五百六十一人もいるんですね。これは医療、教育、環境よりも多い数であります。
 私は、そういった青年海外協力隊であるとかシニアの海外協力隊だとか、そういうところでやっている人が日本の中山間地域になかなか見えないと。言わば私は日本の中山間地域をしっかり守っていくような教育体系というのも必要なんじゃないかなと思っておるわけであります。
 そこで、質問ですけれども、農業高校また農学系大学の卒業生の就農率が低い現状に対する認識と新規就農青年に対する政府の対応についてお伺いをしたいと思います。
#88
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農業高校等の卒業生の就農率が低い。基本的には農業に魅力を感じないというところにあるんじゃないかというふうに私どもも思っておりますが、実は先般閣議決定しました基本計画の中の参考資料で農業構造の展望というのを作っております。平成二十七年を目標年次とする農業構造の展望を作っております。
 この前提として、三十九歳以下の新規就農青年を毎年一・二万人ずつ確保していくということが前提の展望にしているわけでございまして、私ども、ちゃんとした構造を維持していくためにも新規就農が非常に大事というふうに思っております。
 基本的に、魅力のない等もございますけれども、実情を詳しく知っていないという面もあろうかというふうに思っておりまして、農業高校とか農業大学校の若者に対しまして、まず就農相談、それから就農される場合には就農支援資金、無利子資金が貸し付けることができますよということ。そして、先進農家において研修も受けれますよと。大学生のままで農業法人での就業体験、これは夏休みとか冬休みとかを利用して農業法人での就業体験もできますよというような情報を提供して対応しておるところでございます。結構大学生が夏休みを利用して農業法人で就業体験をするというようなことについては応募もございまして、これがそのまま就農に結び付いていただけたらなというふうに期待をしているところでございます。
#89
○谷合正明君 時間がなくなってまいりましたので最後の質問に移らせていただきます。
 耕作放棄地対策についてお伺いをいたします。
 御承知のとおり、今、耕作放棄地が三十四万ヘクタール、東京都の面積の一・五倍まで広がっていると。もっとあるんではないかという声もあります。
 そこで、この耕作放棄地の発生防止、解消に向けた施策を拡充強化させることが急務でありますけれども、本法案により具体的にどのような耕作放棄地対策が講じられることとなるのか、その内容についてお伺いしたいのと、あわせて、一方で、耕作放棄地以外の不作付け地も、今私が持っているデータでは二十八万ヘクタール、東京都の面積ほどの面積があります。これも増加をしております。耕作放棄地を振り分けていくという話もありますけれども、こういった不作付け地もある状況の中でどのように耕作放棄地対策を進めていくのか、最後に質問させていただきたいと思います。
#90
○国務大臣(島村宜伸君) 農業センサスによりますと、平成十二年時点で全国で三十四万ヘクタール、今までにも御答弁申し上げたところですが、通常、東京都の一・五倍と、こう言われますが、耕作放棄地がありまして、これを農地として再生し、自給率の向上を目指していかなければならないと、まず考えております。
 このため、今回の改正法案においては、まず都道府県及び市町村が耕作放棄地対策の方針を策定し、次に、この方針の下に耕作放棄地の所有者などに対し農業の再開、担い手への貸付けといった指導を行い、指導に従わない場合には知事の裁定による賃借権の設定を行えるよう措置しているところであります。
 また、耕作放棄地が周囲の営農に支障を及ぼしている場合には、市町村長が草刈りなどの措置命令を発することができるようにしており、体系的な耕作放棄地対策の整備を図ることとしておるところであります。
 以上。
#91
○政府参考人(須賀田菊仁君) 後段の不作付け地の問題でございます。
 不作付け地といいますのは、一年以上作付けしなかったけれども、今後数年の間に再び耕作する意思のある農地ということでございますので、これも大臣の答弁にございました耕作放棄地対策の一環として、この不作付け地の方はもう耕作する意思のある農地でございますので、将来農業として活用すべき農地として活用をしていきたいというふうに考えております。
#92
○谷合正明君 終わります。
#93
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 農業経営基盤強化促進法の質問いたしますが、冒頭、BSEの全頭検査にかかわる問題について質問したいと思います。
 五月六日、食品安全委員会は、厚労、農水両省の諮問に対して、全頭検査の対象となる牛を二十一か月齢以上に変更した場合には食品健康影響は非常に低いレベルの増加にとどまるとする内容の答申を決定しました。で、厚労省は、検査対象を二十一か月齢以上とする省令の改正案を発表しました。パブリックコメントには、この間、七割を占める反対意見が寄せられているにもかかわらずなんですね。
 この結果を受けて、農水、厚労両省は、米国産牛肉について二十か月齢以下は検査なしで輸入再開するということを食品安全委員会に諮問しようとしています。
 大臣は、安全、安心が大前提だというふうに繰り返してこられたわけです。安全、安心というのは、やっぱり国民の信頼がなければこれ成り立たないことなわけですね。公募意見の七割が二十一か月で線引きをして検査対象から外すということは反対だというふうに言っているにもかかわらず、この二十か月齢以下の牛肉を検査なしで輸入させると。これ認めるということは大臣が日ごろおっしゃってきた立場に反するんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
#94
○国務大臣(島村宜伸君) 私たちは、常々申してきたことは、科学的知見に基づいて食の安全、安心に万全を期する、これを大前提としてこの問題にも取り組んできたところであります。
 食品安全委員会は今日まで大変熱心な御審議や御検討をいただきまして、その結果、先般の答申をいただいたわけでございまして、言わば専門家の御意見としてまあ問題がない、少なくともそういう御判断をいただいた以上、我々はそういう御意思を尊重したいと考えます。
 なるほどパブリックコメントにおいて消費者の側で全頭検査は望ましいという御意見があるのは、これはむべなるかなと思います。だれしもこれは全頭検査すればそれはより安全だとお考えになるのは当然ですし、特に、この問題が発生した当初のマスコミの報道その他でかなり皆さん衝撃を受けたわけでありまして、ごらんのとおり、一時はお肉屋さんからすっかり牛肉の姿が消えたと、こんな現実もあったわけでございまして、その後のいろんな経過を見ますと、私どもはかなり国民の意識も変わってきていると、こう考えるところであります。
 しかも、今日までには恐らく四百数十万頭に及ぶと思いますが、の牛の検査をし、少なくとも二十一か月未満の牛に関しては言わば危険な牛が発見されておらないという現実も踏まえまして、我々はこれらについては冷静に対処していきたいと考えております。
 なお、こういう時期その他につきましては、これは我々が今どうこうすべきものではございませんので、一応現時点では冷静にその推移を見守っているということでございますし、私が今まで御説明したことと急に私の考えは変わったということは毛頭ないわけであります。
#95
○紙智子君 BSEの人への感染、それから発症についてはまだ解明されていない部分が非常に多いわけです。科学的な知見も限られているわけですね。だからこそ、予防的な見地も含めて、国民の多数はやっぱり全頭検査は継続すべきだというふうに求めていると思うんです。
 アメリカ産の牛肉についても、この月齢判別方法や飼料規制やそれから特定危険部位の除去などの問題では疑義が委員会の中だって出されてきたわけです。パブリックコメントに寄せられたこの国民多数の声を尊重するならば、米国産の牛肉の輸入再開の諮問というのはすべきじゃないというふうに思うんですね。
 安全、安心、これ改めて言うまでもないことですけれども、なぜ安全、安心ということで言ってきたかといえば、やっぱり国民は本当に不信がすごく最初の段階で強かったわけです。だから、元大臣の武部大臣が肉を食べて、だから大丈夫だと幾ら言っても、国民はやっぱり不信を持っているわけですから、だから牛肉の消費ががあっと下がったということがあったわけですよ。
 そういう立場からいえば、やはり国民が納得しないのに、とにかく科学的にはもうお墨付きが出たんだと、だから言うことを聞けということにはできないと思いますし、やっぱりそうであるとすれば、何のために今まで議論してきたのか、何のための反省だったのかということになると思うんです。
 ちょっと今日は、趣旨は法案の審議ということなので、是非ちょっと委員長にお願いしたいんですけれども、是非BSEの問題をめぐっては集中審議をお願いしたいと思います。
#96
○委員長(中川義雄君) 理事会で検討します。
#97
○紙智子君 それで、この本体の農業経営基盤強化法の問題に入りますけれども、まずリース特区の評価についてです。
 農水省は、このリース特区について、昨年の十月の実施自治体へのアンケートの回答を基に、現時点で弊害がないということで判断をして今回全国展開にオーケーを出しました。しかし、既に収穫を開始した特区というのは六十八特区のうち二十八にすぎません。違います。(「四十二」と呼ぶ者あり)四十二、増えているんですかね、そうすると。始まったばかりだということだと思うんですけれども、現時点で用水管理や共同作業や農地利用で混乱が起きてないと、これは当然だと思うんですよ、始まったばっかりなんだから。問題は、たった一年や二年で弊害なしというふうに評価していいのかということなんです。
 やっぱり特区の参入法人というのは、現時点で経営が成り立っていないところがほとんどなわけですけれども、昨年、農水省が行った特区の評価のための調査、これでは経営状況については調査対象とされていませんね。経営状況を評価の対象としていないというのは、これなぜなんでしょうか。
#98
○政府参考人(須賀田菊仁君) このリース特区、構造改革特区制度、耕作放棄地の発生防止策として講じられているわけでございます。
 具体的に地域で水利用、土地利用に混乱があったかどうか、あるいはきちんとした耕作がされているかどうか、こういう点をチェックして、ちゃんと耕作放棄地の発生防止として役立っているかどうかをチェックすると。経営状況は直接それと関係ないということで調査対象にはなってないわけでございます。経営状況の悪化が続きましたら、恐らく何らかの形で、耕作をきちんとしないとかそういう状況が現れるものというふうに考えておりまして、要は耕作放棄地の発生防止策としてチェックするポイントと直接結び付いてないということで対象としてないわけでございます。
#99
○紙智子君 一般の株式会社が参入することで一番危惧されるのは、やっぱり農地の荒廃なわけですね。きちんと継続して農業経営をずっとされるのかどうかと、これがやっぱり重要な問題だと思うんです。リース特区の実施地域というのは、耕作放棄地や耕作放棄地となるおそれのある農地が相当程度ある地域というふうになっているわけです。この間の法案審議の中でも、今回の措置は耕作放棄地の対策だとずっと強調されているわけですけれども、農地が耕作放棄になるのは、高齢化の影響ですとか、あるいは農業生産が引き合わないというようなことがあるというのがその理由の中心だというふうに思うんですね。
 この間、山梨の勝沼醸造、皆さんの話の中にも出てきましたけれども、行きましたが、例えばあそこの場合はブドウを作ると。そうすると荒れた土地の方がむしろいいんだと。水はけは良くなきゃいけないけれども、しかし乾いている土地の方が作りやすいというようなことでね。たまたまそういう、ブドウの場合はそういうものが適しているということなわけですけれども、作物によっては逆もあるし、むしろそっちの方が多いと思うんですけれども、全国どこでもブドウを作るわけじゃないですから。
 そうすると、やっぱり企業が参入して本当に経営がうまくいくのかという保証があるのかという問題があります。参入する農地というのは、ただでさえ生産性が低い農地だと。今後、経営が成り立たないで撤退に追い込まれるケースが少なからず発生することもあるんじゃないかと。そうならないというふうに言えますかね。
#100
○政府参考人(須賀田菊仁君) そういう懸念がありますからこそ市町村と協定を結んで、経営悪化か何かいろんな理由で耕作放棄、まじめに作ってない場合にはもうリース契約を解約をして戻していただく、新しい受け手はまた探すと、こういう仕組みにしているわけでございます。そういう試行錯誤を繰り返していかないとこの制度というのは定着しない。正に先生言われたような懸念があるからこういう仕組みにしているわけでございます。
#101
○紙智子君 協定の問題はもうちょっと後から聞きますけれども、経営局は、食料・農業・農村審議会の企画部会で、経営的には成り立っていないと、リース特区について人件費とか地代の半分も出ない、参入法人に撤退されると耕作放棄に戻ってしまうと、だから地元が必死に支援しているというふうに報告していますね。
 この間、特区以外で資本力のある大企業が農業参入でもって二年、三年で撤退するケースが続きました。私も前にも例で挙げましたけれども、例えば千歳に作られたオムロンですとかそれからユニクロもこの間一年半ぐらいで、衣料のところですけれども、これが野菜や米や果実や、こういうところに参入して、一年半でもう撤退するというようなことが起こっています。
 経営が行き詰まって途中で撤退という事態がだから当然あり得ると。下手をすると、経営難で撤退して耕作放棄地になるか、あるいはそれを防ぐために地方自治体が重い負担を負うことになりかねないんじゃないかと。農業経営が安定的に継続できるかどうか不明の段階で弊害なしと断定して全国展開するというのはやっぱり早過ぎるんじゃないかと。これはちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、どう思われますか。
#102
○国務大臣(島村宜伸君) 経営を、一つの企業を経営しよう、あるいは一つの産業を興そうといろいろ考えられて取り組まれても、すべてが成功するというわけではないわけでありますし、当然に農業という新しい分野に取り組むとなれば、殊更にやはり事前の検討というのは十分なさった上で少なくも皆さん経営をなさろうと思うんだろうと思いますから、その意味ではその企業の調査その他の結果に我々は期待するしかございませんが、少なくも思い付きで何か言わば農業をやるというような企業はどこにもないはずですし、今までやっているところの経過をいろいろ聞いてみますと、それぞれに着実に取り組んで、言わば一気呵成とは言いませんが、それ相応の言わば進展も見ているというふうに聞いておりますので、私はそれぞれに皆さんが企画されたとおりの結果を生んでくださるものと期待しているわけであります。
 さはさりながら、やはりそれは企業は必ずしもすべてが成功するわけじゃございませんで、先ほど須賀田局長から申し上げたとおり、もしそれが予定どおりいかない場合、企業の場合には撤退もあり得るわけですから、事前の調査、そしてまたお互いの協定、そしてまたそれぞれの自治体の御判断によって、それがそのまままた放棄されるようなことが起きないように十分監視をしていくと、こういう考えに立っているところです。
#103
○紙智子君 期待を持ってというふうにおっしゃるんですけれども、やっぱり甘いんじゃないかなと思うんですよ。
 それで、現在特区の取組でいいますと、食品加工会社が地元の特産で原料の確保を図ったり、それから、公共事業が減少していて不況で仕事がないと。それで、そういう零細な建設業者が言わば労働力や機械を活用するために農業参入するというコントラクターだとか、こういう形なんかもあって、地域密着型の取組があるわけですよね、現在のところ。これは私は否定するものじゃないんですよ。やっぱり本当に不況の中であえいでいる中でどうするかという、必死なわけですから、むしろ当然成功してほしいと思うわけです、そういうところはね。しかし、農地を保全する、その農地制度の観点からいいますと、最悪の場合を想定した対応が必要だと思うんです。だから、慎重の上に慎重を期すということが今やっぱり大事だっていうふうに思います。
 そこでなんですけれども、企業参入による弊害は参入法人と協定を結ぶことで防止できるんだというふうに言っていますよね。しかし、問題は実効性があるかどうかと、それが。
 で、協定違反が生じた場合にはリースは解除されて農地は返還されることになるわけですけど、現在農水省が示している協定内容を見ますと、協定に違反した場合の事項を定めるというふうにしているだけですよ。それ以上の内容は自治体任せですよね、言ってみれば。最低でも、産廃の投棄などで農地を荒らしたような場合は参入の法人の責任で原状復帰させるとか、それを約束させるとか、そういう農地の荒廃の歯止めをしていくべきじゃないのかと、そうしないと歯止めにならないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
#104
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農地を例えば遊休化させた場合、参入法人が協定に違反した場合にはリース契約は解除できるわけでございます。
 で、原状回復のお話でございます。
 現在、民法上の解除の効果として、五百四十五条でしたか、当事者の一方がその解除権を行使したときは各当事者はその相手方を原状に復させる義務を負うと、解除の場合には原状に回復させる義務を負うということになっておりまして、協定に原状回復の規定が設けられているか否かにかかわらず、参入法人が原状回復を行うということが基本でございます。例えば、産業廃棄物を投棄するというような悪質なケースの場合には、当然原状回復の義務を負うということになるわけでございます。
 実際に、特区、勝沼の場合もそうですけど、協定にその旨を定めている場合が多うございます、原状回復の規定を定めている場合が多うございます。
 ただ、よく考えていただきたいのは、例えば果樹、まあブドウでもいいんですけど、ブドウを植えると。で、いつかのときに退いていく場合に、じゃ、ブドウの木を引き抜いて戻せということまで課するかというと、そこまで課する必要はない。引き続きブドウを生産する人が入ってくればいいのであって、その辺のところはよく市町村が実情を勘案していただいて運用していただければというふうに思っております。
#105
○紙智子君 全国農業会議所の中村専務さんが資料を出していますけど、千葉県では、特区など農地の規制緩和によって産業廃棄物処理会社などからの農地参入による農地取得の問い合わせが増えているというんですね。それで、食品残渣等を堆肥化してクリーン農業をやるんだと。まあNPOっていう話もありましたけど、NPO法人というと何となく印象がいいということがあって、その看板を掛けながら、実態は産廃の処理ということを目的としていると思われる相談も多いっていうふうに提起しているわけです。非常に巧妙に、これまでのちょっと経過の中を振り返ってみても、そういう巧妙に農地をねらっているのもあるんですね。
 ですから、そういう中で、今、自治体ではこう約束させているようだということじゃなしに、農水省自身が把握して、やっぱりそういう間違いが起こらないようにということでやらせる必要があるというふうに思うんです。
 それから、先ほども言いましたけど、現在リース特区に参入している法人のほとんどが経営的には成り立っていない状況だと。で、撤退に追い込まれることもあり得るわけです。しかし、この示している協定案には、参入法人の経営破綻など法人の都合で撤退する際の対応を取り決める項目はないですね。
 で、今回の法案に、企業の一方的な撤退で農地が放置されるような事態を防ぐということでいうと、この法案にですよ、そういう対策というのは入っているんでしょうか。
#106
○政府参考人(須賀田菊仁君) リース特区で入ってきた法人が撤退をしていくという場合には、市町村との合意の下でそのリース契約が解約されるというふうになろうかと思います。その上で、この制度は制度でそのまま続くわけでございますので、市町村が農地の返還を受けて新たな受け手を探した上で貸し付けるという仕組みになりまして、この制度のねらいとする耕作放棄地の発生防止はその新たな受け手によって達せられると、こういう仕組みになろうかというふうに思っております。
#107
○紙智子君 そういうふうに言われるんですけど、その参入法人が撤退する場合に、農地を元の所有者に返すわけにもいかないと、そして結局耕作放棄地に戻ってしまう可能性も生じるわけです。何らかの協定違反が発生して協定を解除した場合、同様に、返還された農地をだれが管理するのかっていう問題が生じてきます。
 耕作放棄地対策だっていうふうに言うんですけども、場合によっては耕作放棄地をかえって増やしていくっていうことにもなりかねないんじゃないかと思いますけど、そういう心配しませんか。
#108
○政府参考人(須賀田菊仁君) まず、この制度は、ほっとけば耕作放棄地になりそうだというところに農業生産法人以外の一般の株式会社の人に来ていただいて管理耕作をしていただくと。それがなくなったら元の状態に戻るわけでございます。だから、余りうがった見方をされぬようにですね。ほっとけば耕作放棄地になりそうなところに、次善の策なんですけども、管理してくれる者に来ていただくという制度ですから、それは、この制度がなかったよりもあった方が耕作放棄地が広がるということにはならないんじゃないかというふうに思っております。
#109
○紙智子君 ただ、協定解除、撤退ということになったら、次の借り手が見付かるまでは結局合理化法人がこの農地を管理耕作することになるわけですよね。しかし、その合理化法人の状況というのは今非常に厳しいですよね。地方行革で予算も削減されると、人件費も削られていますし、事業推進体制に影響が出ている。今でさえも、中山間地を中心に、受け手のない農地の管理耕作が重い負担になっているわけです。これに一層拍車を掛けることになりやしないかと。耕作放棄地の企業参入先にありきっていうことになると、これは本当の解決にはつながらないというふうに思うんですよ。
 ちょっと時間にもうなりますので、最後ちょっと言わせてもらいたいんですけども、今回の法案、我が党は反対です。それは、やっぱり農地法を形骸化させる危険性が非常に強いというふうに思うからです。耕作放棄地の対策として、今、やってくれるところだったら企業でもどこでもいいという声も確かにあることは知っていますけれども、農地制度に穴を空けるようなことはすべきでないと思うんですよ。ずうっとこの間例えば経済同友会なんかは言ってきたのは、農地法を全面的に改正せよと、それで株式会社に農地を取得させることを求めてきているわけです。ずうっとそうですよね。そういう中で、そこに道を付けることになるんじゃないかと思うんです。
 で、今回視察した勝沼ですけども、いろいろお話聞いて、非常にそれは、夢を語り本当に情熱を持ってやっておられると思ったわけですけれども、自らもブドウを作る農業生産法人になってやってきているわけですよね、この間。現在特区に参入している地域に密着した企業というのは、やっぱり農家の出身者が多いんだと思うんですよ。だから技術も、作物をやっていく技術もちゃんと身に付けているし、そういう中で、農業生産法人を立ち上げて農地を取得するっていうことも難しくないと、ないはずだと思うんですね。あえて農地法に穴を空けることをしなくても、農業生産法人に誘導していくべきだと思うし、それを支援するのが本当じゃないかというふうに私は思うんです。
 それで、これに関連しての続きは次の委員会でやりたいと思うんですけども、そのことを再度申し上げて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
#110
○委員長(中川義雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト