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2005/05/19 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 農林水産委員会 第16号
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2005/05/19 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 農林水産委員会 第16号

#1
第162回国会 農林水産委員会 第16号
平成十七年五月十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     高橋 千秋君     小川 勝也君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     白  眞勲君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     松井 孝治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 義雄君
    理 事
                岩永 浩美君
                田中 直紀君
                羽田雄一郎君
                和田ひろ子君
    委 員
                加治屋義人君
                岸  信夫君
                小泉 昭男君
                小斉平敏文君
                常田 享詳君
                野村 哲郎君
                松山 政司君
                小川 敏夫君
                主濱  了君
            ツルネン マルテイ君
                白  眞勲君
                松井 孝治君
                松下 新平君
                谷合 正明君
                福本 潤一君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   島村 宜伸君
   副大臣
       農林水産副大臣  常田 享詳君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       加治屋義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高野 浩臣君
   政府参考人
       農林水産省総合
       食料局長     村上 秀徳君
       農林水産省経営
       局長       須賀田菊仁君
       農林水産省農村
       振興局長     川村秀三郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。
 また、昨十八日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中川義雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案の審査のため、本日の委員会に農林水産省総合食料局長村上秀徳君、農林水産省経営局長須賀田菊仁君及び農林水産省農村振興局長川村秀三郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中川義雄君) 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○松山政司君 おはようございます。自由民主党の松山政司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本題に入る前に、既に約二か月が経過をしておるところでございますけれども、三月二十日の福岡県西方沖地震に関して一点お伺いをさせていただきたいと思います。
 今回の地震は、福岡では観測史上最大のものでございました。私の自宅も実際に被災をした震源地の近くでございましたので、我が家はもちろんのことでございましたけれども、地元の大きな様々な被害を目の当たりにしたところでございます。速やかな復興が望まれるところでございますけれども、地震災害を経験したことのない福岡県民にとりましては、今後の復興に大変不安を抱いているのも事実でございます。こんな中で、同じ九州の加治屋政務官を始め農林水産省の皆さん方が早速に駆け付けていただきまして、現場を視察をしていただいて速やかな応急措置を講じていただいたことにまず心より感謝をいたします。
 大きな被害のあった玄界島でございますが、仮設住宅も本島と博多湾の方と分かれましたけれども、無事に引っ越しも終わりまして漁業が再開されたところでございます。ひとまず安心でございますけれども、やはり一日も早い復旧が急がれるところでございます。
 この福岡県西方沖地震で被災をした農林水産省関係施設の本格的な災害復旧にどのように今後取り組んでいただけるのか、御尽力いただいています加治屋政務官にまずお伺いをさせていただきたいと思います。
#7
○大臣政務官(加治屋義人君) 松山委員さんには、それこそおひざ元での大災害でございまして、先生かねがね御心配をされているということはお聞きをさせていただいております。
 私、四月十六日の日に、博多港そして玄界島に伺いました。特に、玄界島の漁港、漁業施設の被害はもちろんでありますけれども、島民そのものの生活が崩壊をしている、改めて地震の怖さを知ることができました。島に残っておられる十人の方と懇談をさせていただきましたけれども、二つお話をされました。
 一つは、応急措置を農林水産省、漁港についても漁業施設についてもいち早く処置をしていただいた、大変有り難いことだと、そういうことで大変褒めていただいて、意を強くしたところでございました。幸運にしまして漁船の被害が全くなかったことから、島民帰島と同時に、その応急処置によって操業再開ができるのではないかと。また、事実そのようになっているようでございます。
 二つ目には、災害の査定を急いでほしい、本格的な復旧を急いでほしいと、こういうことでございました。
 島村大臣からの急げという指示もございまして、農林水産省では、今この施設の本格的な災害復旧のため、中央卸売市場について、先日、復旧工事の具体的な構想をまとめていただくなど、災害査定を一日も早く済ませて、本格的な復旧に努力をしてまいりたいと、そのように思っております。
#8
○松山政司君 大変力強い見解、ありがとうございました。どうぞ引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、早速本題の両法案についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 古今東西、農を軽んずる国は滅びるというふうに言われます。我が国の農業は、国民生活に欠かすことのできない安全で品質の良い食料をいついかなるときも国民に安定的に供給するという極めて重要な役割を担っております。また、農地は、我が国の農村において先人たちが営々と築き上げてきたものであって、これが代々継承されて我々に引き継がれて、貴重な財産であります。
 このような農業そして農地でありますが、国土をしっかり守っていただいて、水田をはぐくんで豊かな自然環境を保全するといったいわゆる多面的な機能を有しておりまして、国民生活の安定と安らぎを与えてくれる極めて大切なものだと思います。
 しかしながら、こうした役割を担う我が国の農業、農地の現状を見てみますと、まず農業就業人口でありますけれども、昭和六十年に比べますと、昨年の十六年までのデータを見てみますと、五百四十万人から三百六十万人と、約三分の二に減少いたしております。我が地元の福岡県においても同じように約三分の二、減少いたしております。集落機能が損なわれる場合もあるといった大変寂しい状況にございます。
 また、面積でございますが、これも昭和六十年から昨年、十六年までのデータを見てみますと、五百四十万ヘクタールから四百七十万ヘクタールと約一割以上減少いたしております。私の地元福岡県でも約二割減少いたしておりまして、約九万ヘクタールというふうになっております。一方で、耕作放棄地が増大するという大変厳しい情勢にあります。
 そのような中だからこそ、今ここで農村に元気の出る施策をつくり上げようということで、この前の、先般、三月に新しい食料・農業・農村基本計画が策定をされたわけでございますが、その中では、攻めの農政として、輸出促進などの活気をもたらす施策が打ち出されました。そして、集落営農を含む担い手の育成、そして農地の有効利用あるいは食料自給率の目標を実現するための支援策等々が盛り込まれております。特に、私はこの水田を中心とする我が国の農業を力強く活性化していくことが急務だというふうに思います。
 そこで、まず、この新しい基本計画はこの本法案についてどのように反映をされているのか、農林水産大臣にまずお伺いをさせていただきたいと思います。
#9
○国務大臣(島村宜伸君) ただいま松山委員から具体的に御指摘ありましたように、この何十年か、戦後の農業の実態を見ますと、農民の、農業従事者の大幅な減少あるいは農地面積の言わばまた同様の減少等々、非常に問題が多いことは我々も十分承知をしているところでございます。
 元々条件的に恵まれない、気象条件においても自然環境においても、いろいろな意味で非常に劣悪な条件下に置かれている日本の農業でございますから、そういう中にあって、この農業従事者の方々が存在し、かつ活動しておられるということは、正に農業の持つ多面的機能という意味合いから見ましてもこれは不可欠なものでありまして、これらに対して我々がいろんな角度から支援をし、また農業というものに将来への希望を持って努力をしていただくということが我々の課せられた基本的な課題であります。
 特に、先進国の中でも自給率が極端に低い我が国でありますから、有事に対してもこの国の備えを固めるという意味合いからすれば、農業に対してはどのようにでも取り組まなきゃいけないわけでありまして、そういう意味で今般いろいろな改正を試みて新しい前進を図ろうとしているわけでありますが、現在、担い手の育成確保を通じまして、言わば国内農業の食料供給力の重要な基盤となっております農地の有効利用を促進することが喫緊の課題となっているわけであります。
 この課題に対応するために、具体的な方策として、基本計画の見直しにおきましては、農地制度に関し、まず担い手への農地利用集積の促進、また耕作放棄地の発生防止、解消のための措置の強化、さらには農地の効率的利用のための新規参入の促進、さらには優良農地の確保のための計画的な土地利用の推進などの施策を総合的かつ計画的に講ずることとしておるわけであります。
 このため、今回の法改正で、農地保有合理化事業の拡充などによる担い手への農地の利用集積の加速化、リース特区の全国展開、体系的耕作放棄地対策の整備など、新たな基本計画に示されております内容を具体化するための措置を種々設けているところであります。
#10
○松山政司君 次に、これまで取り組んでこられた我が国の農業についての構造政策の経緯と、そしてそれに対する認識についてお尋ねをいたします。
 戦後の農地改革は、地主的農地所有を改革をし、小作農に農地を売り渡すことにより多数の自作農をつくり出しました。一方で、いわゆる分散錯圃と言われる零細な農業構造をつくり出す要因となりました。こうした我が国の零細な農業構造を改善して、農業経営の規模拡大と近代化を進めるための政策は、いわゆる昭和三十六年の農業基本法の制定に端を発するわけでありますが、以来、様々な法制度や助成措置を講じて、また育成すべき担い手も自立経営農家から中核農家、そして認定農家と言葉は変わってまいりましたけれども、一貫して担い手が我が国農業を支える強靱な農業構造を築いていこうということで努力をしてまいりました。
 しかしながら、基本法制定後四十有余年たつわけでありますが、今日に至ってもその目標は残念ながら道半ばと言わざるを得ません。これまでの構造政策を振り返って、どう評価をされて、また今後の取組、どう取り組んでいかれるのかをお尋ねをさせていただきます。
#11
○政府参考人(須賀田菊仁君) 構造政策、昭和三十六年に農業基本法、古い基本法が制定されたわけでございますが、そこでは、当時、高度経済成長ということで、農業界から他産業へ就業が進むであろうと、そうすると、その離農跡地というものを専業農家に集積すれば規模拡大が進むのではないかということで構造政策が考えられました。
 もう一方、価格政策といたしまして、生産コストを償いまして製造業並みの労賃水準を確保できるような価格政策、これはお米の生産費所得補償方式ということに代表されておりますけれども、そういう価格政策が採用をされまして、これも生産性が上がれば価格の引下げを通じて消費者に還元できるだろうと、こう考えられたわけでございます。
 しかし、その後、御高承のとおり、他産業へ就業はするわけでございますけれども、農地を手放さず、兼業化という形で進展をしていって規模拡大が進まなかったと。規模拡大が進まないために生産性が向上しない、米価だけが製造業の労賃水準を反映をいたしまして相対的に高くなったと、こういうことで、それがまた農地流動化の阻害要因になったということでございます。
 地価が非常に高騰したというようなことがありまして、その後、昭和四十五年には借地による農地流動化に踏み切ったわけでございます。さらに、国際化がその後進展をいたしまして、平成五年には農業基盤経営強化促進法ということで、将来の担い手を明らかにする必要があろうということで認定農家制度というのが導入をされたわけでございます。
 等々を通じまして、今振り返ってみますと、現時点で認定農家約十九万経営体ということでございまして、それなりの成果というものはあろうかと思いますけれども、全体の農地の利用集積の状況を見ますと、農地面積は四百七十万ヘクタールございますが、担い手への利用集積は二百二十五万ヘクタール、約五割でございまして、依然として構造改革が立ち後れているというふうに認識をしております。
 その原因いろいろございます。農地を人手にゆだねるということに抵抗感があると、また、いい人が見付からないというようなこと、あるいは政策面で振り返りますと、その価格・所得政策というものが幅広い農家を対象に実施をされておりまして、めり張りが付いていない、これが規模拡大のインセンティブを阻害しているのではないかというような反省がございまして、今般の農地制度の見直しによりまして、集落を単位とした共同経営体という集落営農の育成を含みまして、担い手育成のための農地の利用集積を加速化するための措置を講ずると同時に、価格政策、所得政策の面で幅広い農業者を対象に講じられてきました経営対策につきまして、対象を担い手に絞りましてその経営の安定を図る対策に転換をするということにしたわけでございます。
#12
○松山政司君 次に、食料自給率と農地制度の改革という観点からお尋ねをいたします。
 世界の食料自給は、砂漠化の進行や開発途上国の爆発的な人口増加などによって決して予断を許すものではありません。将来に思いをはせるときに、大量の食料を輸入に依存している我が国にとって、言わば農業は国の生存のかぎを握っていると言っても過言ではありません。そして、農地は、言うまでもなく、食料を安定的に供給するための基盤であります。新たな基本計画では、平成二十七年度には改めてこの自給率を四〇%から四五%に引き上げるということを目標として掲げておりますが、そのためには生産、消費の両面から、国はもとより、関係者が一丸となってその達成に向けて努力することが必要であります。
 そこで、今回の法改正によるこの農地制度の改革が食料自給率の向上を目指す観点からどのような意義を有するのか、お伺いをいたします。
#13
○政府参考人(須賀田菊仁君) 新たな基本計画の中におきまして、食料自給率の向上のために生産面で取り組まないといけないことといたしまして、一つは、経営感覚に優れた担い手が食品産業等のニーズをしっかりと受け止めまして、それに即しました生産をすると、これが一点。それから、農地の有効利用、効率的な利用、こういうものを図っていく、こういうことを指摘されているわけでございます。
 この今回の本法案でございます。一つは、なかなか担い手への利用集積が進まないということがございますので、集落を単位といたしました共同組織体でございます集落営農というのの組織化を図ろうということが一点。
 それから、農地保有合理化促進事業、仲介機能を果たすべきこういう事業を通じまして担い手への利用集積を加速化していこうという、経営感覚の優れた担い手を緊急に育成していこうという方向が一つでございます。
 それから、体系的な耕作放棄地対策ということで、最終的には知事の裁定によって賃借権を設定する仕組みの導入を始めとする体系的な耕作放棄地対策を講じまして農地の有効利用を図ろうということで、基本計画にある方向に即しまして自給率の向上に資するような対策を盛り込んでいるわけでございます。
 こういうものと担い手を対象とした品目横断的な経営安定対策と相まちまして自給率の向上を図りたいというふうに認識しているところでございます。
#14
○松山政司君 ありがとうございます。
 続きまして、この農地制度の基本的な理念でございますが、これについてお伺いをさせていただきます。
 農地は耕作されてこそその効用が発揮をされて、またいったんつぶされれば元に戻すためには多大なコストを要すると、こういう貴重な資源でございます。現在の農地制度は、こうした農地の特性を踏まえて、きちんと耕作する者に限り農地の権利取得を認めるという考え方、いわゆる耕作者主義に基づいて制度が組み立てられております。こうした理念、考え方について、経済界や経済学者を中心に、前近代的で閉鎖的な考え方であって、このような制度の下ではこれまで意欲ある近代的な農業経営が十分に育たないと、我が国農業の弱体化につながったんではないかという批判が聞かれるのも事実でございます。
 しかしながら、農地を他の生産手段や他産業と同様に自由な市場にゆだねることとすれば、食料供給の基盤としての優良農地の確保や、地域の農地を利用する担い手の安定的な育成に著しい支障が生じることは明らかではないかと考えます。
 我が国農業の健全な発展を図るために、この耕作者主義に象徴される農地制度の基本理念を今後とも維持すべきだというふうに思いますが、この点について御見解をお伺いいたします。
#15
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農業、他産業に比べますと土地から得られる利益が非常に小さいということで、耕作をする人が権利を取得をして、そこから得られる利益を享受する、これが一番安定した形態だというふうな考えに立っておるわけでございます。そのために、先生おっしゃられましたように、きちんと農業をする人が権利を取得すべきであるということで、権利取得の際に、農地のすべてを耕作する、あるいは必要な農作業に常時従事する、農地を効率的に耕作する、こういうことをチェックをいたしまして、そういう人に権利が取得されるようにしているわけでございます。
 この耕作者主義というのを、どうも一部にその所有と利用を分離しない政策だというふうな批判がございまして、決してそういうわけではなくて、利用する人がちゃんと耕作をするんだと、そこから得られる利益はその耕作をする人に享受する、そういう考え方でございまして、決して前近代的でも閉鎖的でもない考え方でございます。限られた国土の中のまた限られた農地でございます。やはり、我が国においては、これをきちんと農業の用に供し得る者が取得するべきであろうという考え方は将来にわたって維持すべきではないかというふうに考えております。
#16
○松山政司君 続けて、今のその件でございますが、今回の法改正で一般の株式会社等にも農業参入の道を開くと、いわゆるリース特区制度について全国展開をすることということでございますが、このことと耕作者主義の考え方はそごを来すものではないかという観点からお伺いをさせていただきたいと思います。
#17
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今回のリース特区制度の全国展開の措置でございます。
 この考え方、先ほど申し上げました、農地はきちんと耕作する者によって権利が取得されるべきであると、こういう原則の下で農地制度を運用してまいりました。しかし、その下で耕作放棄地などが相当程度見られると、しかもその農地の受け手が今の制度のままではないと、こういう状況の下でそのまま放置していたのでは大変なことになるという場合に、その耕作放棄地を発生を予防する、あるいは解消する意味での緊急措置として導入をしたわけでございます。
 その際に、参入法人は、実際には市町村等から農地をリースをする、そのリースの条件としてきちっと農業をするということを協定で結ぶとともに、その参入法人がやはりちゃんと農地のすべてについて耕作をするんだと、それから資本装備等の状況から見て効率的に耕作ができるんだと、取得後は一定規模以上の面積を取得しないといけないんだと、こういうチェックはこの参入法人にも入れているわけでございまして、その参入法人がこういう形できちんと農業を行うんだということをチェックをしておりまして、大きな考え方の下での耕作主義の考え方とそごを来たすというふうには考えておりません。
#18
○松山政司君 次に、集落営農の育成についてお尋ねをいたします。
 我が国は、瑞穂の国と言われるように、古来からアジア・モンスーンの湿潤な気候の下で営々と水田を使って稲作を営んできました。そんな中で、集落の農家が共同であるいは作業を分担しながら農業生産活動を行ってきたわけでございます。こうした我が国における独特の営農形態は農村の混住化が進む中でも行われていて、担い手農家、兼業農家、高齢農家、これらがお互いに協力をして集落での農業生産や日常的な生活が成り立っています。
 我が国に十三万あるこうした農業集落は、その地域その地域でその態様は全く異なっています。現在、大規模な家族農業経営や法人経営も育ちつつありますけれども、一方で、農業を主業とする農家がいないような集落も数多く存在をしています。このような我が国農業の実情から見て、集落営農を担い手として位置付けて、早急にその育成を図っていくことが我が国農業の発展のための現実的であり、かつ有効な方策と考えます。
 常田副大臣にその辺のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
#19
○副大臣(常田享詳君) 委員御指摘のとおり、集落営農の位置付けとまた育成というのは極めて重要な課題だというふうに思っております。
 御案内のとおり、水田集落の約半数において主業農家が全く存在しないという現状であります。集落営農は、地域ぐるみで農地の利用調整や機械の共同利用などを行うなど、地域の営農の維持に重要な役割を果たしてきているというふうに認識いたしております。
 このため、新たな基本計画におきましても、個別経営のみならず、集落を基礎とした営農組織のうち、一元的に経理を行い法人化する計画を有する者、また経営主体としての実体を有し、将来効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれる者を担い手として位置付けることといたしております。
 また、平成十七年度予算におきましても、集落段階における合意形成等の推進役を担うリーダーの育成、また、集落段階における合意形成を基に、担い手不在地域における集落営農の組織化を図るための計画の作成等について支援を行っていることといたしております。
 さらに、本年一月十八日に、農林水産省内に地域で考える担い手創成プロジェクトチームを設置し、農業関係団体から成る組織、全国担い手育成総合支援協議会でありますけれども、との連携の下、集落営農の組織化、法人化に向けた全国的な運動を展開しているところであります。
 早急に集落営農の育成が図られるよう、委員御指摘のとおり、頑張ってまいりたいと思っております。
#20
○松山政司君 次に、耕作放棄地対策でございますが、現在、我が国の耕作放棄地面積は拡大傾向にありまして、全国においては、昭和六十年から約十三万ヘクタールであったものが平成十二年においては三十四万ヘクタールと約二・六倍にも拡大をいたしております。私の地元でも、昭和六十年から平成十二年を見てみますと、約四倍に拡大をいたしております。先人が営々と築き上げてきた農地については、これを後世にしっかりと受け継いでいくことが我々の使命であるというふうに思うわけでありますが、農地面積が少ない我が国においては、農地をきちんと農業のために使って、これを効率的に利用することが農地についての権利を有する者の責務であると考えます。こうした点から見れば、現在の放棄地状況は正に憂慮すべき事態であって、早期に解決すべき課題であります。
 このため、今回の法改正で、耕作放棄地の発生防止、解消に向けた施策を強化することとしていますが、対策の成否は、現場において実際にこれを推進する市町村の取組いかんに懸かっております。
 そこで、現場において法案に織り込まれた対策が円滑に実施されるようにするためにどのような支援をしていくのか、お伺いをさせていただきます。
#21
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今回の改正の中で、市町村が基本構想を策定をいたしまして、遊休農地がこのぐらいあると、これを、山へ戻すべきもの、あるいは農地として活用すべきものに振り分けまして、農地として活用すべきものについていろいろな措置を講じていくと、こういうことにしているわけでございます。
 ともかく、最初は農地を持っている方に農業上の利用を行ってほしいという指導監督をいたしまして、それでも駄目な場合には知事の裁定による賃借権の設定、こういう措置を講じておりますし、また周辺の農地に非常な迷惑を掛けているような、病害虫が発生するだとか水系がつぶれているだとか、こういう迷惑を掛けているような場合にはその支障になっているものを除去しなさいという命令を掛けれると、こういうことにしているわけでございます。
 私ども、関係者にこの趣旨の徹底を図ることが必要であるというふうに思っておりまして、またその支援策が必要というふうに考えております。十七年度の予算におきまして、耕作放棄地の実態の調査あるいは活用方針の検討のための支援、それから耕作放棄地等の農地情報をインターネット等によりまして集積をし公開をする、それから農業委員会が耕作放棄地の活動に向けて行う濃密指導等を支援する、こういうような事業を仕組んでおりまして、制度的な趣旨と併せまして、実効ある耕作放棄地対策を講じていきたいというふうに考えております。
#22
○松山政司君 最後にもう一点、特定農地貸付法案についてお尋ねをいたします。
 近年、都市に生活する人々の中には、余暇活動の一環として、また安全な食料を調達するために、自ら農作業を行い、その収穫物を自ら食すことのできる市民農園に対するニーズが高まっております。私の地元、福岡でも五十七か所の市民農園が今開設をされております。利用者からは、家族ぐるみで土と自然に触れ合うことができると、あるいは作る喜びと食べる喜びを味わうことができると、大変そういった好評を博しているところでございます。
 今回の特定農地貸付法の改正は、このような都市住民のニーズにこたえるために、全国各地において市民農園の開設を進めて、都市住民による農業体験や農村との交流機会を増やしていくものであると考えます。新たな食料・農業・農村基本計画において、市民農園の開設についてどのように位置付けられているのか、また今後どのように取り組んでいかれるのかを加治屋大臣政務官にお伺いをさせていただきます。
#23
○大臣政務官(加治屋義人君) 市民農園は、都市の方々が手軽に農業や自然に親しめる手段であると思っております。農作業を通じて食や農業に対する理解をより深めていただけるという意味でも非常に重要な施策だと思っております。
 今度の新たな基本計画におきまして、市民農園に関しましては、都市と農村の交流促進や農地の利用機会の拡大の観点から、市民農園の開設要件を緩和するとともに、都市農業の振興の観点から、市民農園における農業体験や交流活動を推進することについて位置付けをしているところでございます。
 これらを推進するために、今回の特定農地貸付法の改正によりましてNPOや農地所有者による市民農園の開設に道を開くほかに、予算措置としましては、平成十七年度からスタートする元気な地域づくり交付金において市民農園の整備、栽培技術指導員の育成などに努めてまいりたいと思っております。
#24
○松山政司君 ありがとうございました。
 終わります。
#25
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 大臣にお尋ねいたしますが、今回のこの農業経営基盤強化促進法の改正、その趣旨の一番は農地の利用集積の促進だと。この利用集積の促進の柱は、要するに集落営農の推進ということであると説明を受けておるんですけれども、そこで私は思いましたけれども、この法律がなくたって、すなわち、この法律がないこれまでも集落営農というのは可能であるし、現実に増えておりますし、存在しておるわけです。集落営農も実際上推進されていると。
 そうすると、現状、集落営農というものがあって推進されているという中で、この法律ができると更に具体的にどういう点が、集落営農が進むようなことになるんでしょうか。どうもこの法律の趣旨が、今あるものをただこれからも続けるようなだけで、ちょっと法律のこの点に関するメリットがよく見えないんですが、説明していただけたらと思いますが。
#26
○国務大臣(島村宜伸君) 確かに、全国規模で見れば集落営農が現実にもうそういう機能しているところもないではありません。しかし、これが全国規模かというと、さにあらずでありまして、どちらかというと従前は、農家それぞれ個々ばらばらに、御自分の考えに基づく農業の言わば業に従事なさる方々が多くて、そういう意味では、例えば耕作機械をそれぞれの家で持って、自分の御都合のいいときだけ農作業をするとか、あるいは御自分たち自身がお互い隣り合わせていても別にそういう連携というものが余り組織的ではなかった。
 それが、昨年の一月から始めていただいた食料・農業・農村基本計画のいろんな検討の中で、言わばあらゆる分野の代表者がいろいろ御検討をいただいた結果、これからの農業の在り方、そして体質の強化のためには、やはりそれぞれ集落営農化して、要するにみんながもっと効率のいい、個々ばらばらでない、そして経営その他管理面においてもしっかりした経営が行われる、言わば連鎖化、協業化を図ることがあるべき姿であると。
 また、最近は国際規律が大変厳しくなって、我が国だけの事情というものが国際的に通用しなくなっておりますから、そういう意味合いからすると、どういう環境になっても我々がきちんと農業の分野でも生き抜いていただく場づくりをするというようなことからこういう考え方に至ったと、こう理解しております。
#27
○小川敏夫君 集落営農を進めるということは私も賛成であります。それぞれの人が、要するに集落で規模を拡大して効率も上げると、作業もしやすいという形で農業経営をやっていこうということは私も大変賛成なんですけれども、要するに私が質問しているのは、今の現行法、この改正案がなくたってできるわけです。
 この改正案ができたからといっても、まあ大臣は言われましたけれども、これまでの状態だと個々の方が合意していく中でなかなかやりにくいような面もあるというような趣旨にちょっと答弁が聞こえたんですけれども、この改正案ができたって、参加する人がみんな賛成しなければ集落営農は成り立たないわけですよね。つまり、嫌な人を組み入れることはできないわけで。ですから、みんなが、参加する人がみんなが話し合って集落営農をやっていきましょうということは、これまでもできた、今の法律でできていると。今回改正案ができたって、そこは変わらないわけですよね。
 そうすると、この法律は一体、この集落営農を促進すると言うんだけれども、この法律ができたら、集落営農の促進について、具体的にどういうことが集落営農の促進に役立つのか、そこが何か私全然、余り中身がないような、この部分に関してはね、中身がないような法律に見えるんですけれども、この法律ができると集落営農の促進が具体的にどういうふうに変わるんですか。できれば大臣がいいですけれども。
#28
○国務大臣(島村宜伸君) 一応、まず私から申し上げます。
 従前の農業というのは、正に自由な中で、それぞれのお考えでいろいろやるということが常識的でありました。例えば、農業に対するいろんな支援策を講ずるといっても、一定の財源の中から、どちらかというとすべての農家になるべく公平公正にというか配るような面があるけれども、例えば私は東京ですが、東京の農家だってピンからキリまであるわけですよ。もう非常に効率のいい、非常に研究心旺盛な、新たな農業、新たな農業へ前進している農家もあって、しかもそれがみんなで今度は勉強会を開いて、より効率的な、よりまた質のいいもの、農作物を作るというので、例えばセロリ日本一が四十年も続いているというような現実があるわけですね。やっぱり、そういう農家と、ただ自分のちょっと片手間に農業をやるというようなこととの差があって私は当然なんだろうと思います。
 例えば、例えばですよ、農家といっても専業農家もあれば一種兼業、二種兼業もあれば自給農家もあるわけですね。これを一緒くたにしてこうしなさいと言ってもこれは無理なわけです。だから、むしろ仕組みとして、担い手がきちんと農業を担当するということに加わっていただいた方には手厚く言わば支援をすると。やはり、体質の強い農家でたらんとする方々に対してはいろんな角度から支援をすると。ある意味ではそういう担い手に重点を置いて集中的に支援をしていこうということの仕組みが従前とは大きく違うところだと、こう思います。
#29
○小川敏夫君 どうも私の質問と余り議論がかみ合っていないような気がするんですけれども。
 農水省の方からいただいたこの法律案に関するペーパー見ますと、集落営農の役割分担等を明確化すると、担い手に対する農地の利用集積目標を明示すると、この二点が集落営農の推進策なんだと、こういうふうになっておると思うんですがね。
 ただ、集落営農の役割分担を明確化する、担い手に対する農地の利用集積目標を明示すると、これをやらないと集落営農にならないわけじゃないですよね。これをやらなくたって、役割分担を明確化するとか利用集積目標を明示しなければ集落営農とは言えないとか、そういうことはないと思うんですよね。この二つのことを別にやらなくたって、集落営農はこれまでも成立していたし、今後も集落営農として成り立っていくわけです。だから、これまでもできるものをこれからもできる、何が変わるのかなという気が、全然分からないんですよね。
 大臣は、努力した農家には厚くこれから補助する、努力しない人は、と言っていたけれども、ちょっとそういう問題じゃなくて、私はこの法律のポイントを聞いているんで。集落営農の促進ということは大賛成なんだけれども、この法律が集落営農の促進するために具体的にどういうことをするのかということが私は分からないというか、むしろないんじゃないかというふうに思うわけです。
 だから、この役割分担の明確化、利用集積目標を明示するというのはいいけれども、これはしたってしなくたって集落営農は集落営農なんですよ。だから、どうもこの法律が集落営農を促進するための具体的中身が何にもない、ただ掛け声だけの集落営農の促進じゃないかというふうにこの法律の中身を思うんですが、どうでしょう。
#30
○副大臣(常田享詳君) 委員御指摘のことでありますけれども、我々としてはもう一方で、担い手に対する経営安定対策というものも見直すということを御提案申し上げているわけであります。
 現状認識でありますけれども、特に水田における農地の集積が立ち後れているということから、集落合意を基礎とした農用地利用規程を充実して集落の農地利用の基本方針や集落の構成員の役割分担を明確化すること等を通じ、集落営農の組織化、法人化等の推進を強化すると。そのことによりまして、先ほど大臣も御答弁されましたように、担い手の育成確保等、それに必要な農地の利用集積を加速化させるということのためにこのたびこの法改正を御提案申し上げているというところであります。
#31
○小川敏夫君 役割分担を明確化して利用集積目標を明示することはいいんだけれども、別にそれは農水省が指導してやればいいじゃないですか。別にこの法律で、まあ入れてもいいですけれども、別に明確化しなくたって、利用集積目標を明示しなくたって、うまくやっていく集落営農はやっていきますよ。
 あれですか、ちょっと今の答弁と先ほどの大臣の答弁をまとめますと、じゃ、役割分担を明確化して利用集積目標を明示したそういう集落営農は優等生だからこれからしっかりと補助していくと、そういうことをしない集落営農は優等生じゃないから補助していかないと、こんな考えがこの根底にあるんですか。
#32
○国務大臣(島村宜伸君) いや、そうではなくて、やっぱり経理を一元化するとか代表者をはっきりして、その代表者を通じていろんなことごとがきちんとそういう管理されると、そういういろんな制約があるわけです。
 この秋に最終的な言わば形が決定をいたしますけれども、少なくともそれまでに万全の、要するにそれぞれの事情にも対応できるようなものにまとめ上げようというのが今我々の置かれている段階でありまして、少なくとも、なるほど集落、一緒にみんながやっているから集落営農だと、それも確かに言葉の上ではおかしくないわけです。ただ、今度は制度としてその仕組みを作るということでありますから、要するにみんなが都合のいいときに集まるのも集落営農、確かに集落営農ですけれども、これは制度上の集落営農でなくて、やはりきちんとして、言わば代表者を決め、経理を一元化し、そして農業その他のいろんな活動についても効率的な農業を営むと、そういう対象としてきちんとした組織になったものに対して我々はある意味では集中的に支援をすると。ただし、ほかの農業は置いていかれるのか、それはやらせてもらえないのかという御疑問がありますが、それはそうじゃなくて、従前どおり自由におやりいただくと。
 ただ、すべてに公平公正にばらまいていたんでは、これはいつまでたっても個々ばらばらの効率の悪い農業をそのまま現存させることになりますから、私は正直言って、これからの農業の在り方としては余り好ましい行き方ではないんではないか、こう思いますね。
#33
○小川敏夫君 そうすると、くどいようですが、農水省が決めた基準に乗ってくる集落営農組織は補助すると。しかし、農水省が決めた基準に乗ってこない、事実上集落営農であっても農水省の決めた基準に乗ってこない集落が集まって営農しているところには補助をしないか、あるいは薄い補助しかしないと。こういうめり張りを付けてこれから農水省が決めた基準に従った集落営農を推進していくと、こういう趣旨なんですか。
#34
○国務大臣(島村宜伸君) 私どもの管理下に置いて、それで我々の目分量で適当な裁量で云々と、そういうことじゃなくて、やはり例えば一つの協同組合なら協同組合をつくるとなれば、当然代表者を決め、経理を一元化し、それで責任の分担を決め、そしていろんな行う行事その他について全部決めるでしょう。
 やはり、そういう形を今度はきちんと制度として確立するということでございまして、従前のものも確かに集落営農じゃなかったのかといえば集落営農もあると思いますよ。ただ、そのときそのときの便宜的な集落であったら我々支援のしようがないわけで、今度はきちんとそういうことに対して、そちらの側でも対応してもらうところにはきちんと我々も対応しましょうと。従前のように、私のところも農家なんだからちゃんとしてちょうだいといっても、要するに御自分の都合だけで農業を営むという人と、そうでなくて、あくまでそういうふうに組織立った動きをしよう、効率的なよりよい農業をやろうと、おのずから差があることは私たち現実によく目にするところでありますが、それらを更に我々は今度は支援をしていこうと、こういうことです。
#35
○小川敏夫君 ですから、農水省が定める基準に合った組織には厚く補助すると、その基準に合わないものについては補助の内容が薄いと。要するに、そういう政策をこれから取っていくということなんですね、大臣の答弁の趣旨は。
#36
○国務大臣(島村宜伸君) まあ、答弁が重なりますが、少なくも経営体としての実体が言わば集落営農をしているという確認ができるということが一番の基本であります。
#37
○小川敏夫君 その手厚く補助していくというのは、具体的にどういうような内容の補助をしていこうという方針なんですか。
#38
○国務大臣(島村宜伸君) 要は、経営安定対策の対象となり得るか否かのその判断の基準になると、こういうことですね。
#39
○小川敏夫君 その経営安定対策の対象となった場合に、経営安定対策としてどういう助成なり補助をするんですか。
#40
○国務大臣(島村宜伸君) これは、諸外国それぞれいろんな農業の支援というのを行っているところですが、我が国においても、例えば麦とか大豆とか、そういうものの言わば経営に対して応分の支援をすると、その場合の対象として、言わば集落営農化して、きちんとこれからの行き方に沿っている方には手厚くすると、こういうことです。
#41
○小川敏夫君 例えば、私ども民主党も、これから基幹作物については直接支払を行って農業をしっかりと支えていこうという提案をしておるわけでして、ですから、大臣がおっしゃられるように、しっかり助成していこうということは総論としては私どもそんなに反対じゃないんですけれどもね。
 そうすると、大臣は直接支払ということを念頭に置いて、直接支払の対象として集落営農組織、きちんとした組織、農水省が定めた基準に従った組織にはそういう直接支払等の助成を行うけれども、そうでないところにはやらないか、あるいは薄い直接支払その他の助成しかしないと、こういう意味なんでしょうかね、大臣が答えておられる趣旨は。そういうふうに私は聞き取れるんですがね。
#42
○国務大臣(島村宜伸君) 現在検討しております新たな経営安定対策につきましては、麦、大豆を含む水田作及び畑作について、農業の構造改革を加速化するとともに、国際規律の強化にも対応し得るよう、幅広い農業者を対象とするのではなくて、意欲と能力のある担い手を対象としていく考えだということが先ほど来申し上げているところです。
 この新たな経営安定対策によりまして、生産の七割から八割程度が担い手により担われるような強靱な農業構造を実現すれば、食料の自給率の向上や食料供給力の強化に資するものと考えているところであります。
#43
○小川敏夫君 重ねて、また前の質問に戻りますけれども、要するに大臣は、農水省が定めるような、代表者がしっかり定まったという様々な農水省が定めるいろんな要件に乗ってきた集落営農組織は厚く助成しようということですから、そうした要件を満たさない、実体は集落営農であっても、農水省が定める基準に乗ってこないものについてはしないか薄い助成しかしないと、要するにそういうことなんですよね。はいか違うかで答えていただければいいんですけれども。
#44
○国務大臣(島村宜伸君) 要するに、御自分の自由勝手に農業を営むことも自由なわけですよ。しかし、従前のようにただ農業をやっているから支援しろといっても、それをやるためには財源、限られた財源をこうばらまく形になりますから、こういうばらまき的な言わば支援というものは国民の理解も私は得られないと、こう思いますし、今までの言わば農業に対するいろんな支援の経験に立って、これからは効率的な農業をしていただくためにこういう制度に変えると、それを、我々が考えたことを言わば農業従事者に押し付けようというのではなくて、これは一年三か月に及ぶ言わば食料・農業・農村基本計画、要するにこれを練っていただく過程で、そこにはあらゆる分野の代表者が集まって御検討いただいた結果ですから、これは私は非常に理を得たものであると、こう思っています。
#45
○小川敏夫君 大臣のお話を聞けば聞くほど、要するに助成する集落営農と、それ以外は助成しないということが、めり張りを付けていくんだというふうに聞こえるんですが、(発言する者あり)そうですというふうにお伺いしました。そうだと言っていただければいいんでね。
 そうであるとすると、ただ、大臣は、これまでが要するにめり張りを付けない、もうすべての生産者にばらまくような助成であったと、そのような反省だけれども、そういうことをやってきた自民党の方たちの政治の人が何の反省もないままばらまきはよくないから変えていくというのも、政策はいいけど、もう少しばらまきをやってきたことについての反省の弁も聞きたいとは思うんですがね。
 ただ、そうしてめり張りを付けるということは、一方で弱者切捨て、つまり集落営農ということでまとまっていける人はいけるかもしれないけれども、それは自分の考えでしたくないという人もいるでしょう、大臣のおっしゃられるようにね。だけど、状況的にできない、集落営農に参加できないような状況下にある農家の人もいると思うんですよね。こうした場合、その助成に差を付けるということは切捨てになってしまうんではないかと、意欲があっても立場が弱い、あるいは様々な条件によって集落営農に参加できない農業者に対しての切捨てになっていきはしないかと私は一つの不安を持っているんですが、いかがでしょうか。
#46
○国務大臣(島村宜伸君) 望ましい農業構造の確立が急がれているわけで、我々は少なくも国際社会で生き抜いていくために、日本の農業の在り方も抜本的に見直さなきゃいけない。
 なるほど、自由民主党が多年にわたり政権を担って農政を中心的にこれを運営してきたわけですから、従前の農政に反省があるかないかといえば、ある面はあるわけです。しかし、これは野党の方々も、はっきり言って、お互いにこれは交渉し、私どもにもいろんな陳情がお見えになりますけれども、やっぱりそれらについては、私は従前、二十二年前にも政務次官やっておりましたけれども、こういうことについてはある意味では一致していた、私はそういうふうにはっきり記憶をしていますね。だから、こういうことに関しては、それぞれの政党がまるっきり違うことを言い抜いたわけでも何でもなくて、例えば私たちが今になってこの集落営農を言わば制度化し、何かの形で支援を強化するようなことをやっても、これに反対する意見が別にあったわけではないわけなんです。
 ところが、これをやっていたんではもう日本の農業、これからは先行きに展望は開けないと。こういう判断の下に、我々も当然そういうことは考えないではありませんが、言わば食料・農業・農村基本計画のいろんな新たな計画を策定するに当たって、皆さんが御検討いただいてこういう案が出てきたと、こういうことでございます。
#47
○小川敏夫君 これまでの農政の在り方を反省して前向きにということは、一般論、総論としては賛成ですけれども、責任を持っておった、政府を支える政党が、野党も一緒だから責任がないかのような話をされても、これは国民は納得できる話じゃないんで、そこのところを議論をしてもしようがないんですけれども。
 要するに、大臣が言っておられる、これから厚く支援していく、助成していくというのは、これは直接支払を念頭に置いているわけですか。
#48
○国務大臣(島村宜伸君) そのとおりであります。
#49
○小川敏夫君 そうすると、さっきも言いましたように、自分の意思で集落営農に参加でき得る状況下にある人が自分の意思で集落営農に参加しないと。参加しなければ助成が少ないと、直接支払が少ないと、あるいはないということも十分認識しながら、しかし参加しないと。それでも差を付けていいのかなという気もするんだけれども。
 自分の意思とは無関係に、所有している農地の地理的な状況とか、そういう様々な状況で集落営農に参加できない、あるいは集落営農の方からそんなところが入ってこられても集落のメリットが何にもないと、川を挟んだ向こう側に一軒だけあるとか、そんなんで何の効果もないから集落営農の方で一緒にやるのは嫌だというようなこともあるかもしれないと。
 そういう自分の意思とは無関係に集落営農に参加できないようなそうした農業者、様々な客観的状況によって参加できない農業者、こういう人たちに対する保護策あるいは直接支払、これを差を付けるということについては、私はどうもまずいんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#50
○国務大臣(島村宜伸君) 御承知のとおり、我が国は中山間地域四二%あるわけですから、それは山あり谷あり、大変にもう表現し切れないような、もう本当に同情に値する地域もあるわけですよ。こういうものを全く見捨てて、切り捨てて、まるっきり一顧だにしないと、そんな考え方では政治は成り立たないわけで、我々もそういうことについては十分配慮をしていきますし、中山間地域に対するいろんな従前からの手厚いあれはこれからも継続するわけですから、一切やめてしまうとは言ってないわけなんで。ただ、言わば産業政策としては、今回新たなものに切り替えていこうということで、そういう例外的なものについては十分配慮するような仕組みを考えるのは当然なんだろうと思います。その際、小規模な農家や兼業農家などについては、地域の話合いと合意に基づいて、例えば担い手となる集落営農の構成員として参画するとか、あるいは農地を担い手に貸し出して、言わば賃料収入を確保するとか、あるいは高付加価値農業を行うなどして営農活動を継続するなどの選択をしていただくことによって、地域農業において一定の役割を担っていただけるものと考えている次第であります。
#51
○小川敏夫君 今後の集落営農の在り方ですけれども、その集落営農がうまくいくかどうか、これは例えば、一つの組織、機関として代表者を決めたからうまくいくかどうかという問題でもないし、あるいはここに書いてある役割分担を明確化したから、あるいは利用集積目標を明示したから、だから実績が上がるかと。明示しなければ、代表者を決めなければ実績が上がらないとかいうものじゃないと思うんですね。ですから、今後そうしたことでめり張りを付けるという場合に、形式的な要件でめり張りを付けるということがないように、もっとしっかり、実際にこの農業に携わっている方を漏れることがないように平等にあるいは公平に私は助成していただきたいと。ですから、まだ直接支払とかそこら辺の、先の議論になるんでしょうけれども、そうした考えを十分念頭に置いていただきたいというふうに思います。
 では、次の質問に行きますけれども、今回、会社が農地をリースすることができるということがまたこの法律にあるわけですけれども、それは逆に言えば、農地の所有者が企業にリースすると。したがって、農地の所有者が自ら農地を耕作しないで、言わば賃料収益を得ると、こういう形の農地を運用するという立場になるわけですね。これは、それがこれからだんだんだんだん広がっていくと思うんですけれども、これはもう、先ほどの松山さんの質問の中にもありましたけれども、もう実際農地というものは自分で耕作するものだという考えが古典的で、もう今の経済情勢に合わないから、もうそれはそういうことが一つの現象として農地を運用するという者が現れても、これはもう構わないし、これから増加することもやむを得ないと、こういう基本認識で大臣はおるわけでしょうか。
#52
○副大臣(常田享詳君) 先ほども議論ございましたけれども、食料は国民生活にとって最も基礎的な物資であります。そして、当然のことながら、我々が生存していくためには一日たりとも欠かすことができないわけであります。そして、それを支える農地は、国民に対する食料の安定供給を確保するために最も必要な基礎的な資源であります。その意味で、公共財的な性格を有するものだと我々は認識しております。
 このため、農地制度は農地を農業の用に、農業のためにきちんと使うことができる者にその権利取得を認めるという考え方が、これはもう基本的な考え方ではないかなと思っております。
 本来、農地の所有者自らが耕作の用に供することが望ましいというのは私も同感であります。しかし、所有者自らが耕作し得ない場合が、高齢化の問題とかいろんな問題で今増えてきているわけでありますから、耕作放棄されるより、もう御案内のとおり全国で耕作放棄地がもうどんどん増えてきているという現実をかんがみるときに、耕作放棄されるよりも、耕作し得る者に賃貸権を設定することにより、農地が最大限有効活用されることが適切であるというふうに考えているわけであります。
 このたびの議論をやりましたときにも、四百七十万ヘクタール、これがどこまで落ちていくんだろうという大変我々は危機感を持ちました。そこの中で、自給率をこれから上げていくということの中で、四百五十万ヘクタールはもう最低限、これは守っていかなければならない最低限の線だという認識に立ってこのたびの御提案を申し上げている、それくらいの大変危機感を持ってこのたびの御提案を申し上げているということを付言しておきたいと思います。
#53
○小川敏夫君 私も、農地をしっかり守っていかなくてはいけないということはもう全面的に賛成なんですけれども、ただ、これからの社会現象として、農地は農地として守っていかなくてはいけない、実際に耕作する農業の現場でなくてはいけないと。これも私は全く賛成なんですけれども、ただ、これからの一つの、そうするとリースを認めるということの現象は、農地の所有者は農業者でなくちゃいけないと、しかし、農業者であったとしても、自ら耕作しないで貸してしまうわけですから、その農地所有者イコール農業者は農業をしないで、ただ単に農地を貸して、そのリース料、賃貸料を得るという、農地という不動産の運用収入によって生業を立てるというか、収入を得るようになるわけです。これは、農地にリースを認める以上当然なんですがね。
 そうすると、この考え方をもっと徹底していくと、農地は農業を行う現場でなくてはいけないと、農業を実際に、つまり耕作する農地でなくてはいけないということが守られさえすれば、所有者はもう農業者じゃなくたっていいと、だれが持っていたって別に変わらないわけですよ。実際に借りている人間、使っている人間が農地としてそれを維持して耕作すればいいんだから。所有者は農業者であったって、農業者じゃない普通の非農業者だって私は構わなくなると思うんですがね、この理論を突き詰めれば。ここはしかし、構わなくなるとは思ってないんでしょう。そうすると、どこで線を引くんですかね。
 私は、もう完全に、これまでの農地の所有と農業との関係がはっきり壊れていくと、壊れるという言い方は別にして、完全に変わっていくというふうに思うんですが、そこら辺の認識はどうなんでしょうか。
#54
○副大臣(常田享詳君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、農地は本来、その所有者が耕作するのが最も、おっしゃるとおりだと思います、私も。しかし、現実的には、一方でどんどんいろんな、遺産相続とかいろんな状況を踏まえながら、どんどん不耕作地が増えていっているということも御理解いただけると思います。
 そういうことの中で、農業というのは他産業に比べて土地から得られる収益が極めて低いと、他産業に比べてですね、土地収益が低い。また、農地を自ら所有して耕作を行い、いわゆるその成果を享受する形態が地代の負担もなく最もふさわしいというふうに考えているわけであります。
 しかしながら、所有者が耕作できない場合には、先ほど申し上げたように、それが最も、所有者が耕作するのが一番ふさわしいんだけれども、できないことがどんどん増えているわけだから、そうなると、先ほど申し上げたように、不耕作地がどんどんどんどん増えていくというこの現実を考えるときに、やはり農地が農業の用にきちんと使われるようにする必要があると。そういうことの中で、借地も含めて農地の流動化を進めていく方向にこのたび転換をしたいと申し上げているわけであります。
 そういうことで、以後、一貫して担い手に対する農地の利用集積を進める。ですから、その所有者に代わって担い手に農地を集積さしていくことで、その農地が不耕作地になったり、先ほど申し上げましたように、四百五十万ヘクタールという、もうぎりぎりの日本の耕作地がこれ以上不耕作地等になっていくことのないように歯止めを掛けておかなければならない。
 したがって、最後にいたしますけれども、所有者とそれから耕作者が違っても、そこの間にきちっと市町村等、そういう公共的なものも入るわけですし、農業委員会等も中に入るわけでありますし、そういうことで、その農地が他のことに転用されるようなことのないようにきちんと歯止めを掛けた上でのことでこのたびのことを計画しているということであります。
#55
○小川敏夫君 とにかく、農地をしっかりと実際に耕作する農地として守っていかなくてはいけないという思いは一緒なんですけれども、とにかくリースなり賃貸借を認めるとなると、農地の所有者は農業者じゃなくてもいいんじゃないかという議論が出てくると思うんですが、ここのところはそこまで思っているんでしょうか。それとも、いや、そこはまだ時期尚早じゃないかと。やはり、実際に自分が耕作しない、リース料、賃貸料の運用収益しか得ない人間であっても、やっぱり農地の所有者は農業者じゃなくちゃいけないと、この一線は崩さないでいくおつもりなんでしょうか。
#56
○副大臣(常田享詳君) くどいようですけれども、先ほど来申し上げておりますように、農地の権利者はあくまで農業者でなければならないと考えております。
#57
○小川敏夫君 そういう考えであればそういう考えとして聞いておきますがね。ただ、さっきも言ったように、もう農地を一つの不動産として、運用収益しか得ないという立場の人が農業者である必然性があるのかという議論はいずれ出てくるとは思うんですが、そのときには農地の在り方についてまた大議論しなくちゃいけないかとは思うんですが、この問題はこの程度にして、次の質問に移ります。
 今回、そして、知事裁定によって農地利用権を設定できるということの規定が盛り込まれました。これまでも売買あるいは賃貸の調停があったわけですけれども、そこでまとまらなければこれはしようがなかったわけですが、今回、まとまらなければ知事が裁定ということで、言わば強制的に利用権を設定してしまうということですが、要するに調停やってもまとまらないということは、要するに手放すのは嫌だし人に貸すのも嫌だというから調停がまとまらないわけですよね。その嫌だという人を、その所有者の意思を反して利用権を強制的に設定してしまうといいますと、これは憲法に保障された私有財産権の保障に大きく関連してくると思うんですが、そことの関係はどのように考えておられるんでしょうか。
#58
○副大臣(常田享詳君) もう委員が御専門の分野でありますけれども、このことにつきましても大変重要なことだと考え、十分法制局とも詰めてきております。
 そういう中で、私有財産権の保障を定めた、今、委員御指摘の憲法第二十九条第二項の規定によりますと、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」というふうにあるわけであります。また、同条第三項の規定によれば、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」というふうにあるわけであります。したがいまして、第二十九条第二項に該当する場合でも、財産権の制限の度合いが強い場合は第三項による正当な補償が必要と解されるというふうに理解しております。
 今回の法改正の知事裁定による特定利用権につきましては、所有者が耕作の用に供すべきという責務を果たさず、かつ引き続き耕作の目的に供する見込みのない農地、すなわち耕作放棄地につき、農地本来の効用の発現という社会公益の増進のため、賃貸期間の上限を五年とし、適正に農地を耕作し得る者に借地権を設定する措置であります。
 このことから、耕作放棄地の発生防止、解消という目的及びその手法も必要かつ合理的なものの範囲であると認識しております。憲法第二十九条第二項の規定との関係において妥当なものであるというふうに理解しております。
#59
○小川敏夫君 今回の裁定による利用権の設定ですが、その前段階で調停があるというわけですけれども、一般的にいわゆる司法の世界で調停といいますと、権利関係がどこに帰属するか分からないという紛争状態があって、その権利関係を言わば妥当なところで調整するのが司法の世界における調停なんですけれども、ここの場合における調停は権利関係の帰属がどこにあるかという問題じゃないわけですよね。権利関係は、農地に、所有者にあるわけですから、それを貸すか貸さないかということの問題ですから、全く司法における一般的な調停とは違って、要するに所有者に対して、あなたは貸してあげなさいということを言わば促すための機関ですよね。
 だから、私は類型的に言えば、これは一つの土地収用、これに類するものだと思うんですね。道路を造るからあなたの土地を買収しますと。この場合には買収じゃないけれども、ここは実際に耕作しなくちゃいけない農地として使うから利用権を設定するという意味で、権利の争いじゃなくて、言わば所有者が持っている権利を制限するという意味で私は土地収用に類するものだと思うんですね。そうすると、私は、憲法上の問題が出てくる。
 今、副大臣が言われたような公益性の問題があると同時に、手続もやはりそれ相当に適正な手続を踏んで進めなくてはいけないと思うんですが、これは調停がまとまらなかったらそこでもう大臣が裁定しちゃうんですか。例えば、土地収用なら土地収用委員会があって、十分本人の弁明も聴いて、しかるべき手順を踏んでから行うわけですけれども、その手続的な面の公正さの担保はいかがなんでしょうか。
#60
○副大臣(常田享詳君) 今の御質問から先にお答えしますと、それは知事であります。
 それから、先ほどの御質問に答弁漏れがありますので追加しておきたいと思います。
 農地所有者にとっては、借地権が強制的に設定され、その農地が使用できなくなることから、補償を行うこととし、近隣の標準小作料相当の借り賃ですね、を設定することとしております。このことをしてちゃんとセットすることで、第二十九条第三項から見ても妥当な措置だと。先ほど第二十九条第二項の答弁いたしましたけれども、第二十九条第三項も、そういう今申し上げたようなことをきちっとすることにしておりますので、妥当であるというふうに解させていただいております。
#61
○小川敏夫君 今のはさっきの質問の補充ですよね。
 私が聞いた目的の公益性のほかに、手続の公正さ、適正さも私は必要だと思うんですが、その点の手続はどうなっているんでしょうか。
#62
○副大臣(常田享詳君) 利用権を設定しようとする場合には、農地の所有者の意見をきちっと聴取するということになっております。
#63
○小川敏夫君 委員会的なものはないんですか。調停が終わったら知事が裁定すると。その裁定の中で所有者から意見を聴取するということが要件だけであって、それ以外に、土地収用委員会に相当するような、自主的に可否を決めるような委員会的なものはないんですね。
#64
○副大臣(常田享詳君) そのような委員会は考えておりません。
#65
○小川敏夫君 耕作放棄地を耕作放棄のままにしておいては農業が衰退してしまう、あるいは地域の実際の耕作者に様々な影響を与えるということももっともなわけですけれども、しかし、調停があっても貸さないと言うにはそれはそれなりの事情があると思うんですね。その方本人の個人的な独特の考え方ということもあるかもしれないけれども、そうではない、様々なケースが考え得ると思うんですね。
 ですから、単に調停がうまくいかなかったから、あるいは耕作していないからだというだけでなくて、やはり実際の所有者の事情というものも十分意見を酌み入れて、それでもなおかつ必要な場合という扱い、すなわち余りにも所有者に過酷なことがないような方向で運用してもらいたいと思うんですが、やはり私はちょっと、この知事が弁明を聴いただけで裁定してしまうというのは手続的に余りにも単純過ぎるんじゃないかと思いますので、もう少し様々な意見を聴いた上で検討できるような、そういう手続的な手順を踏んだ方が私はいいんではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
#66
○副大臣(常田享詳君) 先ほど新たなそういった委員会の立ち上げは考えていないということを申し上げましたが、もう御案内のとおり、このたび、そういう手続を踏んでいく段階で農業委員会に最初から、そして、最後もう一回農業委員会に戻すということで、従来も大変農業委員会の方々に御活躍していただいているわけですけれども、さらに今回、このことにかんがみて、農業委員会にそういった大変重要な役割を担っていただこうと。
 そういう意味で、農業委員会がそれに値するんではないかなと思います。
#67
○小川敏夫君 その値するというのは、じゃ、農業委員会で必ず意見を聴いて検討した上で知事に裁定を求めると、こういうような手続の制度になっておるということですか。それとも、そういうふうにしたいということですか。
#68
○副大臣(常田享詳君) 知事の裁定まで行く途中の段階で農業委員会が各市町村、また農地所有者等の意見をしっかり聴くという、その仕組みの中へきちんとそのことは織り込むことで委員の御心配のようなことがないようにしたいというふうに考えております。
#69
○小川敏夫君 その織り込むことでというのは、既にそういうような手続規定としてなっておるということですね。
#70
○副大臣(常田享詳君) 必要な措置を勧告するということになっております。
 先ほど申し上げましたように、農業委員会が市町村並びに農地所有者等の意見を聴取して、それで、委員が御心配になっているような問題とかそういうことがあれば、知事の裁定が下るところまで行くまでの段階できちっと勧告をすることができるという仕組みになっております。ですから、ざっと行ってしまうということではないということであります。
#71
○小川敏夫君 では、質問をまた次の項目に行きますが、今回の具体的な法律を離れて、より広く、今後の日本の農業を守ると。
 常々、私は東京都の選出ですけれども、消費者だけ良ければいいというのではなくて、消費者のために安くて安全で良質な食料を安定的に供給してほしい、そのためには農業が強くなってほしいという観点から取り組んでおるわけですけれども、どうでしょう、非常に抽象的な基本的なテーマですけれども、大臣、これから我が国の農業を発展させていくためにはどういう政策、どういう心構えが必要だというふうにお考えでしょうか。
#72
○国務大臣(島村宜伸君) 過ぐる三月二十五日、今後の我が国農政の基本方向を定めた新たな食料・農業・農村基本計画を閣議決定したところでありますが、この基本計画におきまして、まず第一に食料自給率の向上に取り組むということ、第二には食の安全と消費者の信頼の確保に努めること、第三に担い手の経営に着目した経営安定対策への転換や担い手への農地の利用集積の促進を図ること、第四に高品質な農産物の輸出などによる攻めの農政の展開に努めることなどの政策が方向付けられたところであります。
 我が国農業を維持発展させるため、この基本計画に示された政策を総合的かつ計画的に推進し、スピード感を持った農政改革を実行してまいる考えであります。
#73
○小川敏夫君 余りにも基本的なテーマ過ぎて、ここで短い時間で議論するということでもありませんので、今の大臣のお考えをお伺いするということにさせていただきますけれども。
 前回のこの委員会で、須賀田局長の答弁の中で、農業高校あるいは農業学校で学んだ人間が卒業しても実際に農業に従事する者が非常に少ないということが議論となったときに、なぜかという質問に対して局長から、農業に魅力がないという答弁がありました。ある意味では、現状は残念ながらそういう状況下であるかもしれませんけれども、それを当たり前、当然のことということではなくて、やはり農業が魅力ある、国民から見て農業に従事することが誇りもあるし魅力があるんだという農業づくりに政府も積極的に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#74
○国務大臣(島村宜伸君) 当然でございまして、我々、都会に住んで便利さを享受していますが、やはり地方を歩くときに一番考えるのは、もし私がこの地域に住む青年だったらどんな気持ちでいるんだろう、これからの農業を担うであろうか、当然そういうことを考えるわけですね。そういうことから考えますと、便利さにおいても、またいろんな意味での展開が可能であるという意味合いにおいても、やはり農村に住む人たちの立場というのはいろいろ我々は考えさせられると、こういうわけです。
 そして同時に、今度は農業を営むことで、この間の羽田議員の御発言じゃありませんが、やっぱり農業も、取り組み方あるいはその成果によってはもう大変にすばらしい成果を生み、生活面でも十二分に潤うと、そういう結果を生んでいる地域もある。これは別に都市、農村を問わないわけです。
 私は、できるだけこの格差を埋めるということと、同時に、我々が常に忘れてはならないのは、人口の言わば密度だけでなくて、それぞれの地域にそれぞれの光が当たる政治というものを実現して、やはり地方に住んでいただくこと自体が地域の維持発展にも効果がありますし、同時に、農業の果たす多面的機能というのは農産物を生産するだけじゃありませんので、それらについても十分に意を用いていくことが我々の務めであると、そう考えます。
#75
○小川敏夫君 さて、今の農業の基本政策でも、食料の自給率、現状四〇%、カロリーベースですね、これを四五%に上げるという目標値になっています。目標を出したのは五年前ですか。しかし、今現在、その目標に届く数字には全く行っていないと。途中過程ですけれども、どうも四五%も行かないんじゃないかと思うんですが、そのこと自体も大変重要なことですけれども、しかし一方、いずれにしても、目標どおり達成したとしても、自給率四五%であれば、国民の食を確保するためには五五%、これを輸入に頼らなくてはいけないわけです。
 私は、今、将来のことを考えた場合に、例えば中国が原油の輸出国から輸入国になってしまったと。日本の人口の十倍以上もいる中国がこれから更に経済がますます発展して大量な食料輸入国になると、あるいは現在の発展途上国あるいは農業輸出国も更に生活レベル、食生活の水準が上がれば輸出余力が減っていくかもしれないし。
 ですから、今後の世界情勢というものは、輸入国はますます輸入が増える、輸出国は輸出国で輸出余力が減っていくのではないかということも十分考えられる中で、これから日本の国民の食を守るためにはこの輸入を安定的に確保するということも私は非常に重要な政策だと思うんですが、この責任も私は当然農水省だと思うんですが、この観点について大臣の御意見はいかがでしょうか。
#76
○国務大臣(島村宜伸君) 世界の人口調査を見ましても、現状が、たしか二〇〇四年の数字で六十四億人、これが二〇五〇年には何と八十九億人、二十五億人増ということです。しかも、それがほとんど発展途上国に占められていて、自給できるという立場の人たちじゃありません。そうなると世界の食料事情というのはかなり逼迫するんであろうと思いますし、特に、今御指摘のあった中国の、輸出国であったはずのものが輸入国になる。
 私、前の大臣のときには、実は米の強敵は中国でございますというふうに専門の人間に聞いておったんですが、それが最近ではそうでなくて、むしろ日本のお米を中国に輸出することができるんではないかと、そんな可能性が見いだせるまでに国際情勢変化しているわけです。
 そういう中で、現状の自給率四〇%というのは大変心配な数字であって、実は四五%を我々目指しているというのは、本当はこれで満足しているわけじゃなくて、先行き、やっぱりせめて六五%、三分の二くらいは自給できるものに持っていかなきゃいけないというようなふうに考えているわけでありますから、決して我々はこれについて楽観視しているわけではありません。
 そういう意味で、やはり有事の際にも我々はきちんと食べていけるという基本を確立すると同時に、その一方では、将来に向かって、やっぱり豊かな食生活というのは人間生活の一番の喜びの根源ですし活力源ですから、やっぱりそれらについては十分責任の省としてこれからに対応していきたいと、こう考えるところであります。
#77
○小川敏夫君 やはり、国民の食を守るためには、今現在、米は、価格面は高いにしても、ほとんど九〇%以上の安定的な自給率にあるわけですけれども、それ以外の基幹作物、麦、大豆、雑穀、菜種、飼料作物という分野におきましては非常に自給率が低い状態にあるわけです。それぞれの作物ごとにいろんな事情があるでしょうけれども、平たく言えば、米で一〇〇%近くの自給率が達成できるんであれば、それ以外の主要穀物についても様々な方策を講じて自給率を飛躍的に高めていただきたいというふうに思っておるわけです。
 私ども民主党は、農業再生プランとして、今申し上げた穀物について直接支払を行って飛躍的に自給率を高めるべきだという政策を打ち出しておるわけですが、やはり私はこの米以外のものについても直接支払、そうしたものを行う策も取って飛躍的に自給率を高めて、そうした将来の食の安定というものを、国民に対する食の安定を確保していただきたいという思いで一杯なんですが、いかがでしょうか。
#78
○副大臣(常田享詳君) 委員と全くその辺りは同じ考えでありまして、いわゆるカロリーベースの自給率だけじゃなくて、もう一つの大きな柱として生産額ベース、当初金額ベースと言っておりましたけれども、生産額ベースでの自給率を設定して、米以外のものもしっかり育てていくということでそういう方針を打ち出したわけであります。
 そういうことの中で、このたびの基本計画では、食料消費や農業生産の諸課題が解決された場合に実現可能な国内生産数量として、平成二十七年度におけるそれぞれの生産努力目標を設定いたしております。米につきましては、御案内のとおり、消費量の減退に歯止めを掛けるなどの対策を講じることにより八百九十一万トンの生産、自給率九六%を設定しております。また、小麦や大豆については、品質、生産性の向上などの課題に重点を置くこととし、近年の最大生産量である小麦八十六万トン、自給率一四%、大豆二十七万トン、食用の自給率として二四%を設定しております。また、飼料作物につきましては、稲発酵粗飼料の作付け拡大や稲わらの利用促進などにより五百二十四万トン、飼料自給率三五%を平成二十七年度の努力目標として設定をしているところであります。
 いずれにいたしましても、これらの目標の早期実現に向けて総合的に頑張っていきたいと思っております。
#79
○小川敏夫君 国民の食を守るために日本の農業、しっかりと強くなっていただきたいと、様々な方策をしっかり講じていただきたいということを述べまして、私の質問を終わります。
#80
○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。小川委員に引き続き、そしてまた先週に引き続き質疑をさせていただきたいと思います。
 これまでの衆参の質疑、参考人をお招きしての質疑、また視察を通しても、多くの方から不安や、本当に規制緩和になっているのかといったような疑問、また、今までも農地の利用促進のための制度、政策を行ってきているはずなのに効果が出ていなかったことへの検証などがまだまだ足りないように私も感じております。
 農業経営基盤強化促進法の中心になっておりますいわゆるリース特区、これを全国展開するのには余りにも拙速過ぎるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
#81
○国務大臣(島村宜伸君) 構造改革特区については、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、いわゆる骨太の方針二〇〇三において、特段の問題が生じていないと判断されたものについては、速やかに全国規模の規制改革につなげることとされているところであります。
 リース特区につきましては、十五年四月に制度が施行された後、昨年十月に特区の関係市町村などに対し調査を行ったところ、弊害は報告されませんでした。このため、構造改革特区推進本部において、リース特区と同様の仕組みで全国展開が決定されたところであります。
 このように、リース特区の全国展開は、現場で調査、検証を行った上で結論を出したものでありまして、制度を仕組むに当たっても、現場からの要請を踏まえ、市町村による区域の設定、協定締結の義務付けなど、弊害を防止するための十分な担保措置を講じており、適切なものであると考えておるところであります。
#82
○羽田雄一郎君 アンケート等を取ったということでございます。また、弊害はなかったという報告を受けているということでございますけれども、リース特区制度を活用し、約二年で全国六十八法人が営農を行っていると言われておりますけれども、まあ二年では安定した農業収入を得ているとは思えませんし、またメリット、デメリットなどの分析をしっかり行えるというような状況ではないのではないかと思っております。
 また、これが効果ありということでこの法案の提出ということになっているのかどうか、疑問に思っておりますので、お答えをいただきたいと思います。
#83
○政府参考人(須賀田菊仁君) このリース特区制度の全国展開に当たって、ちゃんとメリット、デメリットを分析したかというお話でございます。
 まず、私ども一番心配いたしましたのは、一般企業が参入するということで弊害が起こるのではないかということを心配いたしましたけれども、昨年十月に調査したところ、地域ぐるみで行われております土地とか水利用への混乱というのはございませんでした。それから、産業廃棄物の不法投棄みたいなのが生じるんじゃないかという心配もございましたけれども、そういうこともございませんでした。また、いったん入るけれども、すぐ耕作放棄地化するんじゃないかということもございましたけれども、そういう弊害もなくて、すなわちデメリットはございませんでした。
 地元がどういうふうに思っているかということでございます。
 耕作放棄地の解消とかその予防が行われたというようなこと、それから雇用の機会、その地元に雇用の機会が増えたということ、それから都市、農村との交流、これNPO法人も入れますので、都市農村交流が図られたと、むしろプラスの面の評価が得られてございます。
 そういうことで、私ども、このメリット、デメリットを分析をいたしまして、先ほど大臣の答弁にございました、協定なしでもできるかというふうな状況にはなってございませんので、やはりリース協定を結びまして、行政が関与することによって適正な耕作が担保される。協定違反があった場合にはすぐ取り戻すと、こういうような条件をそのままにいたしまして、今回我が方の法律の中で全国展開を図っていくという決断をしたものでございます。
#84
○羽田雄一郎君 一年や二年では農業というのは安定した収入を得ることはできないものでしょうし、先日視察に行かせていただいたワイン特区、これも収穫できるようになるまでに四、五年と、また、いいものを作り出すためには二十年から三十年掛かると言われておりました。ましてや、プロ農家でも作らない、そして作らないでほっておいた農地であります。契約が五年、十年と区切られているのでは、参入者には、まあ真面目に取り組んでもいいものかなと。また、いいものができたら農地を返してくれと言われてしまえばというような不安にもなるという声もございました。しっかりと不安が取り除かれるようなシステムになっているのでしょうか。私には、不安の声がまだまだ大きい中で現状参入されているとしか思えてなりません。
 しかし、そんな中でも結果が出やすい作物等もあります。そういう場合には成功するところもあると思います。参入が成功した場合、地域農業の担い手として農業生産法人、認定農業者へと誘導していくのか、またその場合、参入企業に対してどのような経営支援がなされると考えているのか、お答えいただきたいと思います。
#85
○政府参考人(須賀田菊仁君) 元々は、このリース特区制度は、耕作放棄地を発生することを防止する、あるいは解消するための緊急の措置として私ども仕組んだわけでございます。現状のままほっておきますと耕作放棄地が広がると、そういうことで一定の条件を付けて一般企業にも参入していただくということによって耕作放棄地を解消しようということでございます。
 その安定という点、確かに現在はリース期間が五年あるいは十年というような期間でございますけれども、元々耕作放棄地が発生しているということは、その地域に受け手がいないということでございますので、その状況が続きましたら恐らく更に更新がされて、うまくいけばきちんとした経営に昇華をしていくのではないかというふうに期待をしております。
 そして、現実にどうかということでございます。例えば認定農家、認定農業者として位置付けていくような経営があるかということでございます。これは一に市町村の判断によるわけでございますけれども、将来にわたって効率的かつ安定的な農業経営を営む者として認定するというのが認定農家制度の趣旨でございまして、これに照らして判断がされております。やっぱり事情がちゃんとあるところが認定農家になっているようでございます。
 一例を挙げますと、香川県の小豆島で、内海町でオリーブ生産に参入している食料品の製造会社、これ認定農家になっておりますけれども、これは社長さんが農業者ということでございます。それから、島根県の隠岐島で土建業を営んでいる方が一〇〇%出資をした有限会社がやはり認定農家になって肉用牛経営を行っております。えさの生産と肉用牛経営を行っておりますけれども、これはちゃんと農業に携わっている従業員の方々が農業者と。こういう事情があって、それなら経営安定するだろうということで認定農家になっているようでございまして、私どもとしては、もしそういうことであれば、ちゃんと農業生産法人なりなんなりの経営形態を整えた上で認定農家に昇華をしていただければというふうに思っております。
 どんな支援があるのかということでございます。十七年度に経営構造対策を講じておりますが、その中で農業の常時従事者が三人以上雇用をするという目標があって、二十ヘクタール、中山間地域では十ヘクタールでいいわけでございますけれども、原則二十ヘクタール以上を目指すという、こういう参入法人があれば農業用機械・施設の整備について補助をすると、こういう支援措置を講じているわけでございます。
 なお、参入法人が先ほど言われたような認定農家になりたいというような意思、希望をお持ちの場合には、ちゃんと相談を受けるというようなことも指導していきたいというふうに思っております。
#86
○羽田雄一郎君 農業経営基盤強化促進法ができて十五年ですか、遊休農地や耕作放棄地対策に取り組んできたけれども、なかなか進んでいないというのが現状であります。また、いろいろな別の政策もあったんだろうと思っておりますけれども、農業委員会が農業上の再利用が困難か否か、これを見極めて指導し、勧告を行い、買い入れるというのはなかなか難しかったのかなというふうに思っております。また、現行の特定利用権制度は農協の組合員とか農民の共同利用でなければ対象にならないと、こういうことなど、進まないことに対しての理由というのが幾つかあるんではないかなと思っておりますけれども、今回、要活用農地の判断基準というものをどこで決めるのか、お答えいただきたいと思います。
#87
○政府参考人(須賀田菊仁君) 要活用農地、現状は遊休農地あるいは遊休農地になるおそれがある農地で、将来農業上の再利用を図ることが適当なものを要活用農地にしております。
 これはやはり現場でいろんな自然的、社会的、経済的条件を判断して決める必要があろうかと思っておりまして、法律では市町村の判断で、市町村が作ります基本構想の中で、山へ戻すのが適当か、あるいは要活用農地にするかを判断していただくということにしております。
 一般的に申し上げますと、優良農地の資格のある例えば農用地区域内の農地でございますとか、あるいは集団的に存在している農地の一角を占めるとか、あるいは過去土地改良の対象になった農地とか、こういうもので、かつだれかが耕作の意思があるというような農地は要活用農地として再利用することがふさわしいんじゃないかなというふうに思いますけれども、最終的な判断は市町村にお任せをするということでございます。
#88
○羽田雄一郎君 そこに対して国が関与するということはないということでよろしいでしょうか。
#89
○政府参考人(須賀田菊仁君) 考えておりませんけれども、余りにも何にもしてもらえないと、耕作放棄地がどんどん増えていくというような事態がございましたら、それは優良農地を確保して食料生産の用に供するというのは、これは国の責務でもございますので、そういう場合にはある程度の指導をしていきたいなというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕
#90
○羽田雄一郎君 基本計画では、平成二十七年、四百五十万ヘクタールの農地を確保するということになっているようですけれども、要活用農地の決め方との間には何か関係が出てくるんでしょうか。
#91
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生おっしゃられました基本計画の策定に当たりまして、平成二十七年に四百五十万ヘクタールの農地を確保するというふうにしております。これは、趨勢的に言って、耕作放棄地が恐らく趨勢的には二十六万ヘクタール生じるんではないかというふうに見込んだ上で、いろいろな耕作放棄地対策を講じて再活用等で十九万ヘクタールぐらいは戻したいと、こういうようなことを盛り込んで推定をしているわけでございます。
 耕作放棄地対策といいましても、中山間地域の直接支払でございますとか、あるいは担い手が耕作放棄地を有効活用する、この制度によらなくてもですね、いうこともございますので、直接的に個々の要活用農地の在り方とは関連はさせていないわけでございますけれども、いろいろな政策努力ということを織り込む中の一つとしてこの制度も勘案をされているというふうに考えております。
#92
○羽田雄一郎君 それでは、市町村内の農地を要活用農地等にどのように振り分けをしていくのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
#93
○政府参考人(須賀田菊仁君) まず、遊休農地、市町村が基本構想に位置付けるべき要活用農地などの前提となる耕作放棄地の所在を明らかにするということがございます。まず、そういう客観的に耕作放棄地あるいは耕作放棄地となるおそれがある農地につきまして、耕作の意思があるかどうか、あるいは荒らし作りをされておりますけれども将来はきちっとする意思があるかどうか、それから後継者が不在で近い将来引退するといったようなことがあるかどうか、こういう原因、要因をきちんと把握をいたしまして、先ほど申し上げました、その農地の地形とか位置から見まして、営農条件の悪いのはもう山に戻すしかないなと。そうでないのは、いろいろな方途で、市町村なら市町村、農地保有合理化法人なら農地保有合理化法人等々との相談の上で、この農地はどういう仕組みで再活用したらいいか、あるいは担い手に集積した方がいいというのも出てきましょうし、そうでない、だれもいなければ、特定農業法人か何かが隣の集落にあればそれに頼むこともありましょうし、それでもなければ先ほど言った裁定に向かう手続に行くこともありましょうし、それもなければちゃんと管理しなさいと言うようなこともありましょうし、そういう方策を市町村で判断をして作ってもらいたいというふうに思っている次第でございます。
#94
○羽田雄一郎君 今、地方では平成の大合併ということで合併が進められております。市町村の面積が増えているということでございますし、もちろん管轄する農地も増えているということになります。
 三位一体を掲げて、地方に小さな権限だけ移譲して、そして地方に対する財源はカットしていくと、こういうこの小泉内閣のやり方の中で、農業委員の一人当たりの管轄する農業面積は格段に広がっております。また、農業委員会の財源である交付金も減少するという中で、農業委員会に過大な期待をしているんではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか、お答えいただきたいと思います。
#95
○副大臣(常田享詳君) 今回の農業経営基盤強化促進法改正におきましては、先ほど小川委員のときにもお話しいたしましたけれども、農業委員会の役割というのは非常に重要になってくると思っております。
 農業委員会は、集落合意を基礎とした農地の利用集積や耕作放棄地対策として、市町村の基本構想で明確化される今後農地として活用すべき遊休農地に関する指導の強化をしていくことが求められているわけであります。そういうことで、先ほど申し上げましたように、農業委員会の役割は極めて大きいと認識しております。
 昨年、農業委員会法の改正に際しましては、構造政策の推進という本来担うべき活動への重点化を図るとともに、大規模な農業委員会において総会に代わり法令業務を執行する機関として一つに限り設置されていた農地部会について、市町村合併に伴う農業委員会の管轄区域の拡大等に対応して複数設置できるようにしたところであります。
 国といたしましては、農業委員会における耕作放棄地対策を始めとした効率的、効果的な活動を今後一層支援をしていきたい、そのために、農地情報の電子化事業、農業委員会の活動に協力する農業委員協力員の資質向上を図るための事業、また、農業委員の地区担当制の活用を図ること等を推し進めることにより、農業委員会によるこれまで以上の地域密着型の活動を支援していきたいというふうに考えております。
#96
○羽田雄一郎君 今言われたように、大変重要な役割が担われると思いますので、しっかりとその部分は政府も考えていただきたいと思っております。
 先日の参考人質疑の中でも、しきりにJAの方は、JAとしても取組が全国、地域によってばらつきがあり、しっかりと機能を果たしていなかったというような反省の言葉もありましたけれども、政府として今の体制でこの制度がうまく機能すると本当に考えているんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
#97
○国務大臣(島村宜伸君) 法改正後の制度を実効あるものとするためには、農協や農業委員会など地域の農業団体の主体的な取組が欠かせないことから、これらの団体や関係機関相互において、担い手育成支援の窓口の一元化やあるいは共同事務局化を推進するなど、体制整備を進めていくこととしておるところであります。
 また、本年一月十八日に農林水産省内に地域で考える担い手創成プロジェクトチームを設置いたしまして、農業関係団体から成る組織との連携の下、全国的な運動を展開しております。
 担い手の育成確保、農地の利用集積が着実に進められるよう、農業団体と手を携えて、現場段階にまで地に足の着いたきめ細かい取組に万全を期す所存であります。
#98
○羽田雄一郎君 私は、質問は今日はこれぐらいで終わらせていただきたいと思いますけれども、民主党としてこの法案には反対でありますので、そのことについて少し述べさせていただきたいと思います。
 衆参で今まで議論を重ねてまいりました。今回の法律改正で、株式会社に農地の賃借権を与えたり、利用権を設定したりと、また市民農園を推進し、日本の農業への理解を深めてもらい、農業に親しみ、物の大切さや命の尊さを一般市民の方にも分かっていただくということを考えれば、試みとしてはすばらしいことだと考えます。
 しかし、今試みをしているときかといえば、そうではなくて、日本農業の転換期であり、早急に抜本改革に取り組むときだと考えております。今回提出された農業経営基盤強化促進法については、食料・農業・農村基本法に基づく基本計画の見直しの検討において地域の担い手を明確化し、その担い手に対して施策を集中、重点化するという政策の中から提案されております。これまでも、農政の基本課題として取り組まれてきたはずであり、それにもかかわらずこうした事態に陥ったのは、今までの農業政策が失敗であったということにほかなりません。これに対する反省のないまま法律改正を行っても、期待する効果は上がらず、同じ失敗を繰り返すことになるのではないでしょうか。
 また、農地制度全体の抜本的見直しを行っていないというふうに思っておりまして、現行だと入口規制が厳格であり、事後の適正利用の担保が十分なものとはなっておりません。そのため、農外からの意欲ある者の参入には厳しいのに対し、農業内部では農地が耕作放棄されたり、相続を契機として不在村の土地持ち非農家が見られるなど、バランスの取れていない仕組みとなっております。
   〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕
 民主党の農業再生プランでは、農地制度の参入規制を緩和するけれども、農地所有者の耕作義務の明確化や転用規制の厳格化を図るとなっております。貴重な経営資源である農地をフルに活用するためにはこのことが必要であると考えております。
 今回の法律案の中で、リース特区の全国展開と体系的な耕作放棄地対策の整備については、民主党の農業再生プランで提唱した考え方が盛り込まれたことは評価されるところでありますけれども、農地制度の基本的在り方に踏み込んだ検討結果も示せず、場当たり的な見直し案に終始していることについては残念でならないと思っております。
 また、担い手に対する新たな経営安定対策の具体的姿が明らかでない中、その対象となる担い手を絞り込もうとする政策手法は、農業、農村現場に不安ととまどいをもたらし、担い手の育成確保策としての実効性にも疑問が残ります。
 また、集落での話合いを通じ、集落営農の役割分担や認定農業者への利用集積目標を明確化することとしておりますけれども、導入される経営安定対策の仕組みが示されない中で、その対象については認定農業者や経営主体としての実体を有する集落営農を基本として、あらかじめ集落で明確化すべきというやり方であります。民主党の再生プランでは、認定農業者などの特定の農家だけを対象とするのではなくて、農業に意欲的に取り組んでいる農家すべてを対象とした直接支払制度の導入の必要性を感じているところでございます。食料に安全保障の観点を加えることによってそのことを実現したいと、こういうふうに思っておりますし、国民の皆さんにも理解をしていただけるんだと考えている次第であります。
 食料・農業・農村政策の基本的な使命である食料自給率の向上や多面的機能の発揮は、一部の担い手のみではなく、地域社会のすべての関係者の意欲的な取組によって実現可能となることを肝に銘じて政策を構築すべきだというふうに考えております。
 るる述べてまいりましたけれども、我々民主党は、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案に反対であるということを述べさせていただき、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#99
○委員長(中川義雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#100
○委員長(中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として松井孝治君が選任されました。
    ─────────────
#101
○委員長(中川義雄君) 休憩前に引き続き、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#102
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
 先週に引き続きまして質問をさせていただきます。前回は耕作放棄地解消のその対策について質問をさせていただきまして時間が参りましたので、その続きとして質問を続けさせていただきます。
 まず、農地制度におけます農業委員会の役割ということについてお伺いします。
 午前中の質疑の中にも農業委員会の話が出てまいりました。耕作放棄地の解消に当たりましては、実際に現場で活動する農業委員会の役割というものが非常に重要でございます。
 今回の耕作放棄地対策におきましても、まずは耕作放棄地の所有者に対しまして農業委員会が必要な指導を行うことが前提となっております。また、昨年の農業委員会等に関する法律の改正によりまして、農業委員会の業務は、法令に基づく業務以外の業務について、農地及び経営に関する業務に重点化を図ることとされたところであります。農業委員会が農地の流動化等に果たす役割というのは大変大きいものがございます。
 例えばITを活用して、これからはITを活用して農地情報のデータベース化やマッピング化などの推進によりまして、担い手に効率的に農地を集積するための活動や耕作放棄地を解消するための活動を強化していくことが非常に重要でございます。しかし、現実として一方で、全国の耕作放棄地三十四万ヘクタールのうち、農業委員会による指導対象となったものはこれまで約一千ヘクタールしかないというデータもあります。かつ、活動は地域差もあるということも指摘されております。
 そうした中、今回の改正案によりまして、今後農業委員会に期待されている役割というものはどのようなものか、お伺いをいたします。
#103
○大臣政務官(加治屋義人君) 地域の農業の構造改革には、農業委員会、市町村、JA等の関係機関が一体となって積極的に取組を進めることが大変重要だと考えております。
 具体的には、農業委員会は、担い手に対する農地の利用集積、農地の権利移動に関する許可など、特に農地関係については地域において重要な役割を果たしていただいております。
 今回の農業経営基盤強化促進法改正におきましては、農業委員会は、地域の話合い活動を通じて、小規模農家や兼業農家なども参画できる集落営農の組織化、法人化を促進することや、耕作放棄地対策として新たに市町村が基本構想の中で明確にした今後農地として活用すべき遊休農地に関する指導の強化をしていくことが求められておりまして、谷合先生おっしゃるとおり、農業委員会の役割は大変大きくなっております。
 農林省におきましては、農地情報の電子化事業を実施することによって構造政策を推進する農業委員会の業務効率化をサポートしてまいりたいと、そのように思っております。
#104
○谷合正明君 まだこのデータベース化というもの、またマッピング化というものは全国的には進んでいないというか、実際にはまだそういったものはないというふうにお伺いしております。地域によってはあるんだと承知しておりますが、是非ともこういった活動を推進していただきたいと思っております。
 そこで、今言われた農業委員会の役割でございますけども、農業委員会は、昨年の三位一体改革によりまして、その交付金については人件費の一部を税源移譲することとしたところでございます。
 そこで、今後、農業委員会の交付金の税源移譲により、農業委員会が行う農地の権利移動許可などの法令に基づく業務をしっかり行うことができるのか、担い手への農地の利用集積を加速化する上で支障が生ずることはないのかどうかについて重ねてお伺いをいたします。
#105
○政府参考人(須賀田菊仁君) 昨年の三位一体改革で、農業委員会の交付金、来年度、十八年度税源移譲と、一部を税源移譲ということが決まりました。
 今後のことを考えますと、まず農業委員会の事業に係る経費そのものは基準財政需要額に今算入はされているわけでございます。それから、農業委員会の業務については、農業委員会そのものが法律で必置と、それから業務も法令に基づいて書かれていると。さらに、人件費の一部移譲いたしますけども、国として必要な政策を行う上で、その機能の維持を果たすに必要な額というのは国の交付金に保留をされていると。このようなことを考えますと、できる限りの地方の裁量ということにも配慮しつつも、国の行います政策について現場の指導に支障は生じないというふうに考えております。
 税源移譲後においても農業委員会の業務の実施状況というものを国として的確に把握をいたしまして、必要に応じて指導、助言といったようなことに努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
#106
○谷合正明君 ありがとうございます。
 三位一体改革の影響のほかに、町村合併の影響ということも大変懸念しているわけであります。午前中の質疑の中にもありましたので若干重複しますが、質問いたします。
 私の地元の岡山県でももちろんこれが大分進んでおりまして、昨年の九月三十日時点で七十八市町村あったのが今年の三月三十一日の時点で三十四市町村になっておりまして、一つの市が例えば東京都の面積の四割近い面積というところもありまして、これは全国でもそういうことが起きているんだと思っております。
 合併によりまして、農業委員会、一人当たりのその委員が持つ面積、対象面積というものは非常に大きくなってまいります。現場からは、そのような状況の中できめ細かい対応ができるのかどうか心配だという声を、農家、集落営農、また農業委員会の双方から聞くものでございます。
 農業委員会の活動や組織につきましては平成の大合併に伴う変化に合わせて対応していかなければならないと思いますが、耕作放棄地を多く抱える中山地域で町村合併の影響がどのように出るのか、農業委員会の活動に支障を来すことはないのか、期待されている役割を果たすことができるのかどうかについていろいろ懸念があると思いますが、その点について伺いたいと思います。
#107
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農業委員会の役割そのものは、今後、担い手を育成確保していかないといけない、あるいは増大するであろう耕作放棄地の解消に努めていかなくてはならないというようなことで、役割はますます大きくなってくる。一方で、先生言われましたように、町村合併を始めとして農業委員会の効率化、行政としての効率化が求められていると。役割は大きくなる一方で組織としての効率化が求められておりまして、その間の事情をどのように整合性を持って役割発揮をしていくか、重要な課題というふうに認識をしております。
 私ども、一つは、やっぱり仕事が効率的、効果的になるように補完をしていく必要があるだろうということで、先ほど先生正におっしゃられましたけど、農地情報というのも電子化していく、マッピング等をして仕事の軽減を図る。もう一つは、農業委員のOBの方など農業委員会の活動に協力する農業委員協力員、こういう方に手伝っていただくと、こういうようなことを考えております。またさらに、農業委員の地区担当制、あなたはここ担当だよという責任を持って当たらせる。あるいは、法令業務を行います部会というものを総会に代わって権限を持っている部会というものを複数つくれるようにする。そういうふうな工夫を凝らしながら、ますます大きくなる役割の発揮というものに支障を生じないように努めていきたいというふうに思っております。
#108
○谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。
 それでは、質問の方を、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の方に移らせていただきたいと思います。特に、市民農園について質問をいたしたいと思います。
 まず初めに、都市農業の多面的機能と市民農園ということについて、島村大臣にお伺いしたいと思います。
 関東農政局の都市農業検討会報告の中では、都市農業における多面的機能について次のように評価しております。それは、環境保全機能、防火機能、ゆとりや潤いの提供機能のほか、教育機能を上げる、都市農地は都市住民や学童、児童が最も身近に農業に触れる場所である、市民農園、体験農園、福祉農園等により農業の学習の場としての利活用が可能、そのように評価しております。また、都市部では農家や農地の減少により農業用水路等を共同で維持管理する体制が弱体化してきていると。地方公共団体の支援や地域住民の参加等、施設の維持管理を支える体制の強化が必要であるとしております。遊休化した農地等を活用した市民農園の整備の必要性も指摘しております。
 そこで、都市農業の多面的機能の発揮及びその中におきます市民農園の役割について確認させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#109
○国務大臣(島村宜伸君) 都市農業の持つ多面的機能ということにつきましては、今、谷合委員からいろいろ御紹介がありましたように、正に多面的な機能があるわけでございまして、その御指摘のほかにも、新鮮な農産物の供給とか、あるいは農業体験の場の提供、あるいは災害に備えた避難場所など、オープンスペースを確保する意味でも多面的な役割を果たしているわけであります。
 一方、市民農園は、都市住民が都市農業を実際に体験する場として重要な存在でありまして、私どもの地元にも幾つもございますが、言わば大人だけじゃなくて子供さんがかなり大勢参加して、農業の持つ楽しさ、あるいは作物ができるとそれをみんなで試食して、自分たちの作ったものを食べるという実験的な、体験的なといいましょうか、教育の場としても実効を上げているところであります。
 このため、新しい基本計画におきましても、市民農園の推進をしっかりと位置付けたところでありまして、今後大いに推進していきたいと、こう考えております。
#110
○谷合正明君 どうもありがとうございます。
 子供の参加という話を今していただきましたが、この市民農園、地域によっては希望者が多くてなかなか入れないという話も聞いております。特定農地貸付法では、特定農地貸付けを受ける者の募集及び選考の方法が公平かつ適正なものであることとの要件が必要とされております。しかしながら、首都圏を有する関東地域での市民農園の総区画数に対する応募者数というのは今一・六倍となっているようでございます。都市部を中心に市民農園数が不足している状況にあります。申込み順あるいは抽せんによって利用者を決定しているところでありますので、結果として利用できない方がこれから出てくるんじゃないかと、多く出てくるものと考えられるわけでありますが、今後の都市部における市民農園の整備数、整備目標をどのように考えているのか、まず伺いたいと思います。
#111
○政府参考人(川村秀三郎君) 都市部におきます市民農園の役割というのは非常に大きいわけでございまして、今、大臣の方からも申し上げたとおりでございます。
 私どもも、都市部におきます市民農園の増加ということは非常に大きな課題だと思っておりまして、具体的な目標は、この今回の基本計画の工程表の中にも定めておりますけれども、現在、この平成十五年末で約十一万八千区画がありますけれども、これを二十一年度に十五万区画に持っていきたいと、こういうことで努力をしていきたいと思っておるところでございます。
#112
○谷合正明君 それは全国の数字でありますよね。都市部、済みません。
#113
○政府参考人(川村秀三郎君) 全国では現時点で十五万区画既にございます。ただ、そのうち都市的な地域、都市の周辺等にありますのが十一万八千、約十二万でございます。その十二万を約十五万まで伸ばしていきたいというのが目標でございます。
#114
○谷合正明君 分かりました。
 それで、市民農園なんですけれども、三大都市圏におきましては、自治体が農地を所有者から借りて開設している従来型の市民農園というものがあるわけでありますが、一部によりますと、行き詰まっている場合があると聞きます。例えば、どういうことかというと、農地の所有者に相続が発生した場合に相続税の納税猶予制度が受けられないという問題があると。それに加えて、入園者の技術不足などによる市民農園の中でも耕作放棄などがあると。結果として、管理する農家が面倒を見なきゃいけないという場合を聞きます。また、従来の市民農園では配置される専従職員が必要であることから、行政経費も掛かっております。
 今、東京にはその従来型の市民農園が三万一千九百九十三区画ありまして、一方、農家自らが開設して一般市民に利用してもらう形での農園、農業体験農園が千六百五十二区画ございます。そこでは農園主のきめ細かい指導の下、農業体験を行うということで、結構評判がいいというふうに聞いております。
 そこで、今回の法改正によりましては、地方公共団体や農協以外の者でも市民農園を開設するようにするわけでありますけれども、これにより、農地所有者やNPOなどの多様な主体により特色のある市民農園の開設が促進されると、そのことが期待されております。その促進のための支援というものはいかなるものがあるのか、説明をお願いします。
#115
○政府参考人(川村秀三郎君) 今御質問の中で御指摘がございましたとおり、市民農園もすべてが順調にいっているわけではございませんで、やはり指導員の不足とか、そういうものもあるわけでございます。そしてまた、設備的なものもございますので、今回、開設主体が大きく広がるわけでございますので、特色あるそれこそ市民農園が数多く展開されることを期待しております。
 これらに対しまして、この十七年度からスタートいたします元気な地域づくり交付金というのがございまして、その中でハード的な整備でありますとか、例えば農機具の収納施設、休憩施設、こういったものの整備をする、あるいは先ほど言いましたように、指導をする方が不足しているということもございますので、インストラクターの育成をするといったものに対して支援をしていきたいというふうに思っているところでございます。
#116
○谷合正明君 ありがとうございます。
 そこで、都市部での市民農園の推進に当たりましては、都市計画において都市農地の保全策というものを積極的に位置付けられることが求められているわけであります。社会資本整備審議会の「都市再生ビジョン」では、農地については「環境調整機能を積極的に評価し、持続可能な都市活動に不可欠な地域、豊かな都市生活を支援する地域としてとらえ、農地を都市の重要な政策的資源として位置づけていくことが重要」だと、そのように指摘しております。
 今後、市民農園の整備におきましては都市政策との連携というものが非常に重要と考えますが、その辺りの見解を伺いたいと思います。
#117
○政府参考人(川村秀三郎君) 市民農園は、先ほども申し上げましたとおり、都市的な地域に約八割が存在をしております。そういうことからしましても、都市的な土地利用とこの市民農園の都市利用というものがうまく調和をするということは不可欠でございます。
 市民農園を都市計画法上も位置付けるものとして市民農園整備促進法がございます。この中で、整備運営計画を市町村が認定するといったようなことになっておりますが、その際には、正にその周辺の道路でありますとか下水道等の公共施設との間での調整、支障が生じないといったようなことでの都市計画との調和を図っておりますし、また、農業委員会もこの特定農地貸付けの承認ということでの関与をしておりますけれども、その際にも都市計画部局と連絡調整を図っていくということで、従来からこの都市政策との調和、これには心掛けをしているところでございます。
 今後とも、そういった観点で十分努力をしてまいりたいと思っておるところであります。
#118
○谷合正明君 是非とも、その横断的な、省庁横断的な取組というものを積極的に推進していただきたいと思っております。
 続きまして、都市農業について、農業サイドと教育サイドの連携強化ということについてお伺いしたいわけでありますけれども、食料自給率の向上を図るために、国内農産業の生産拡大とともに国産農産物に対する消費者の理解が進むことというものが非常に重要であります。都市農業が消費者に近接しているということを活用して、都市農業がその拠点となって国民全体に意識改革を及ぼすようなことができれば、それはもうすばらしいなと私は思っております。最近のニュースの中で、価格が高くても国産農産物を、農産品を買いたいという人が大分増えてきたというようなニュースも聞きました。
 そこで、農業サイドと教育サイドの連携強化というのも非常に重要かと私は思っております。農業サイドと教育サイドの連携強化によりまして、学校給食への地元農産物の供給体制の確立というものはできているのか、実態はどうなのか。このため、農家、学校、行政の三者の連携強化を行う必要があると考えますが、農水省としてどのような支援をしているのか、副大臣にお伺いいたします。
#119
○副大臣(常田享詳君) 御指摘の点、大変重要な視点だと考えております。このたびの食料・農業・農村基本計画でも、食料自給率の向上に向けていわゆる地産地消の取組を支援していくということとしております。
 あわせて、農林水産省では、その基本計画を踏まえて、地域において地産地消の実践的な計画を策定して、それに基づき農業者団体や食品産業等の関係者が、特に地元消費者のニーズを把握するための交流や、今御指摘の学校給食における地場産農産物の普及などに取り組むことに支援をしていくということといたしております。
 実は、先般、自給率のお話をしておりましたときに、生産力の問題と消費力の問題があるということの中で、例えば東京、大阪、神奈川は自給率二%、三%なんですね。ですから、ここの東京とか大阪とか神奈川の方たちがもう少し国産の食材を日々生活の中で取り入れていただければ自給率はそれだけでも随分変わってくると、北海道とか秋田とかみんな自給率が一〇〇%超しているわけですから。一番問題な、消費力の問題ではそういったところになると思います。
 そういったことの中で、日本人独特の辛みとか甘みとかいろいろな味覚が、最近学童の味覚が落ちているという話がある中で、日本人独特の味覚にうまみという、これは非常に日本人独特の味覚だということをおっしゃる先生がおられます。ところが、このうまみというのは、小学校の間に身に付けないと生涯身に付かない唯一の味覚だと言われているんですね。
 そういうことからいきますと、やはり小学校の給食に、やはりいい食材を子供たちに提供するということが大切ではないか、特にお米ですけれども。そういうことの中から、全国の小学校の学校給食で米飯給食増えていますけれども、その量を増やす、回数を増やすことばっかりで、本当にいい米を子供たちに食べさしているのかと。やっぱり、子供が小学校のうまみを身に付けるその段階で本当においしい米をしっかり食べさせる、特に大阪、東京、神奈川といった大消費地の子供たちにしっかりうまみを身に付けていただくということは大切だと思っております。
 そういうような点で、各般にわたって先生御指摘の教育と農業との連携強化を図ってまいりたいと思っております。
#120
○谷合正明君 丁寧に説明していただきましてありがとうございます。
 続きまして、都市の特性を踏まえた担い手育成のための方策について質問をさせていただきます。
 農業、農村ということでは農業後継者不足、高齢化等というものが進行しております。非常に大きな問題なんではありますが、都市農業においても事態は後継者不足、高齢化等深刻化しているという現場の声を直接聞きました。しかし、都市農業が消費者に近接していること、異業種や多様な人材との交流が考えられること等を踏まえますと、都市ならではの担い手育成政策というものも考えられると思います。
 農林水産省のある報告の中でも農家女性は生産と家庭の両面で重要な役割を果たしているとされていることからも、女性農業者に対して農業経営の方針決定の権限や経営移譲を与えること、女性農業者を中心とした特産品の開発、販売等の新たな起業等により、都市農業の担い手として女性を積極的に位置付けるための支援措置を講じることが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
#121
○政府参考人(須賀田菊仁君) 本日十一時にプレスリリースしたわけでございますけれども、女性の起業、全国で対前年度約六%増というふうに、このところ女性農業者の起業というものが増加をしております。
 特に都市農業、都市地域、先生正におっしゃられましたように、消費者に近接をしている、それから大きな消費市場が近くにあるというようなことで、最近とみに、生鮮野菜の直売でございますとか、あるいは手作りハム、あるいは焼きたてパン、こういったものの加工販売、それから料理教室、こういった起業が盛んに行われておりまして、都市農業の活性化に大きく貢献しているというふうに思っております。
 実は、私どもの基本計画を論議をいたしましたあの企画部会の中にも、福岡の方でこういう起業、「ぶどう畑」という有限会社をおつくりになって生鮮物を直売をされております新開さんに入っていただいて、論議に参加をしていただいておるわけでございます。私ども、女性のこういう感性を生かした起業、ますます発展の余地ありというふうに思っております。
 ただ、先生も言われましたように、こういう女性の労働の成果というものが正しく評価をされて、そして報われる、さらには、いろいろな地域の中にその声が反映させると、こういったことが非常に重要だろうというふうに思っております。
 そういうことで、まずその起業活動というものを促進するための研修等を実施する、そして融資でございますとか、機械、施設の整備の事業で女性起業を優先的に採択されるような、そういう運用をしたいというふうに思っております。さらに、農協の役員とか農業委員に女性の参画目標といったものを設定して、できるだけ多く女性を登用していただく。で、個々の経営にありましては、家族経営協定といったようなものを結んでいただきまして、ちゃんとした評価、その労働の成果が報われるような政策を推進をしていきたいというふうに思っております。
#122
○谷合正明君 是非お願いしたいと思います。
 女性だけでなく、定年帰農者であるとか若者、そういったこれから新しく農業を始めていきたいと、例えばボランティアでもいい、そういうすそ野が大分広がっておりますので、農業への新規参入の育成確保対策についてしっかりとしてほしいと要望させていただきます。
   〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕
 次に、地域コミュニティーについて、その考え方なんですけれども、それについて質問させていただきます。
 関東農政局が実施した都市農業に関するアンケート調査によりますと、趣味として農作物を作ってみたいと思うかという問いに対しまして、現在作っている及び今後作ってみたいと回答した人は七六%となっておりました。一般住民の農業に対する興味の高さというものが非常にうかがえるわけであります。都市農業の問題が単に農業の生産性を高めるとか販売額を増やすという個別経営の問題にとどまるものでなく、地域全体をどうコミュニティーとして成り立たせていくかという公的、共同的な問題と密接にかかわってきていると思います。
 その意味で、最後に、市民の農民化、農民の市民化という生き方の変化を通じて住民と農業者のつくり出す共生の場としての都市農業を育てることがこれからの方向であると思いますが、その辺りの所感を伺いたいと思います。
#123
○政府参考人(川村秀三郎君) 先ほど来御議論がございますとおり、都市農業というのは、農業体験の場あるいは災害時の避難場所の提供など、いろんな多面的機能の発揮を通じましてその地域全体に大きく貢献をしているわけでございます。そして、昨今では非常に、そういった地域づくりといいますか、に向けまして、農業者の方と都市住民が共同して取組を進めているという事例も数多く見られております。
 私ども、こういう動きをとらえまして、これは非常に望ましいことだと思いますので、先ほども申し上げました大ぐくり化した元気な地域づくり交付金、この中のやはり一つのメニューといたしまして、都市住民あるいはNPOの代表あるいは農業者の代表、こういった方々が都市農業なり地域の振興のためのビジョンを作る、あるいは交流活動、援農ボランティアといったような、その支援体制なり交流活動の取組を企画するといったことにつきまして支援をしてまいりたいと思っております。
 そういう意味で、正に委員が御指摘のあったような今後のトレンドの中で、やはり都市住民と農業者がつくり出す共生の場というのはこの都市農業の場で非常に発揮できるんではないかということで、私どもも鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
#124
○谷合正明君 最後にコメントだけさせていただきます。
 農業ということで、昔は若い人から敬遠される職業の一つでございました。先週の質問の中でも、農高生ですとか農学部の卒業生がどうして農業に進まないのかというような話も質問させていただきました。しかし、近年、中学生男子のなりたい職業の第十九位に農業がランクインされてきていると。十九位がいいか悪いかという判断はあれなんですけれども、若干増えてきているという話を聞いております。一位はサラリーマンだったんですけれども。例えば野球選手とか、中学校の男子であればですね、ということを目標にしております。そういう意味で、にわかに農業というものは非常にこれから目標となり得る仕事なのかなということを非常に思うわけであります。
 かつて農業といえば三Kと。これ、三Kをきつい、汚い、危険というふうにイメージでとらえるのか、あるいは今若い人が、実際の青年農業者が言っていたんですけれども、農業は三Kだと、その三Kというのは価値、感動、可能性だというふうに言っておりました。私は、その農業の三K、新しい三K、価値、感動、可能性というものをしっかりと促進していっていただきたいと、そのことを要望したいと。是非、島村大臣には、子供たち、子供がなりたい職業、農業がトップテンにランクインすることを任期中に是非ともやっていただきたいなということを要望させていただきまして、私からの質問とさせていただきます。
 ありがとうございます。
#125
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 法案の質問の前に、諫早湾の干拓の問題で質問させていただきます。
 福岡高裁が諫早干拓の工事続行を禁止した佐賀地裁の仮処分決定を取り消しました。漁民の皆さんは、一体どれだけ苦しめればいいのかと、我々に死ねと言うのかと、こういうふうに怒りの声を上げています。不当な決定だと私も思います。
 環境悪化と工事との関連性を否定できないと認めておきながら、その実証が不十分という理由というのは極めて問題だと思うんです。これまでもそれを裏付ける膨大な研究をやってきたわけですし、そもそもこの干拓事業と有明海異変の関連について検証に役立つという形で第三者委員会が潮受け堤防の中・長期開門調査を提言していたのに、これを拒否して、そして十分な立証をさぼってきたのは農水省じゃありませんか。それなのに、もっと立証せよという形で漁民にその立証責任を求める、こういう高裁の決定というのは責任を転嫁するものだと私思います。
 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、農水省は決定を受けて早速工事を再開しようとしています。しかし、この高裁の決定というのは、この事業そのものを認めたわけじゃないですよ。言わば、止める根拠が弱いと言っているだけで、国はこの諫早湾の干拓と有明海の漁業被害というのは無関係だというふうに言ってきたわけですけれども、高裁決定はこれを否定できないというふうにしているわけです。それから、国が拒否してきた中・長期の開門調査にしても、実施すべき責務を一般的に負っているんだと、こういうふうに言っているわけですね。
 つまり、この今言った二点、この点で農水省の主張やこの中・長期の開門調査ですね、これをやらないという立場は否定されているわけですよ。まず、この点について、大臣、どのように受け止めておられますか。
#126
○国務大臣(島村宜伸君) 日常、裁判の結果についてはいろんな事例がありますが、これが自分たちの言わば主張に即した結果の場合には、これはすばらしい判決と言うし、自分の意思とはまるっきり違ったものになると、これは大変不当な判決と、こういう声も聞きますが、少なくも法治国家でありますから、私たちもこの九か月間のブランク、何とむなしい気持ちで過ごしたか分かりません。しかし、私は、やがてはこの我々の主張、我々の調査とこの実際にやっている工事が正しいことが認められるという確信に立っておりました。これを今ここでとやかく言う気はありません。
 ただ問題は、中・長期の開門調査、これを実はやるためにはいろんな対策が必要なんですが、十分な対策を講じても予期せぬ被害が生じる可能性が極めて高い、これが、専門的な調査の結果が出ています。それはどういうことかというと、例えば一日に、もし開門をしますと、二回潮の干満があります。その際、一回で六千万トンの言わば水が行き帰りするわけですが、そこでは大変な土砂の吹き上げがあって混乱があるそうですが、ゲートの周辺ではこのあれが一気に集中するものですから、そこでは思わぬ言わば災害あるいは被害が生じかねないと。それが一日二回ということは、これはむしろこの調査自身がかえって被害を受けることにつながりかねないという判断があること。それから、調査に長い年月を必要とし、その成果が全く明らかでない。これらも決して私どもが都合で考えていることでなくて、専門的に御検討いただいた結果、そういうことが示されていると。こういうことから、農林水産省としては、何もしないのではなくて、中・長期開門調査に代えて有明海の再生に向けたいろいろな調査や実地実証などを実施することとしているところであります。
 これらの取組の一環としましては、平成十六年度から貧酸素現象の発生状況調査、あるいは潮流調査、さらには赤潮調査、底質調査等々いろんな調査をして有明海の再生のために取り組んでいるところでありまして、今後も漁業者の方々の意見も踏まえながらこれらの取組を推進し、有明海再生の道筋を明らかにしていきたいと、そう考えるところであります。
#127
○紙智子君 都合じゃないと言いますけれども、私はやっぱり農水省の都合で勝手な言い分だというふうに思うんですよ。
 予期せぬ事態が起こるというふうに言うんですけれども、これも前に一度質問したことありますけれども、開門調査をやった場合に、もしかすると被害が出るかもしれないと言って予測している方向というのも、幾らでもやり方はあるのに、一番激しいといいますか、一番そういう大きな打撃があるかもしれないようなやり方で開門調査をやろうというようなことを出しておいて、それは無理だからということで言っているわけですから、これ自体も非常に問題だと。ほかに幾らでもやりようがあるんだということを研究者の方も提案していたわけですよ。
 やっぱり私、本当に、この今度の高裁の決定の中でも調査研究の必要性は大きいというふうに言っているわけですよね。それなのに、その言っている中身に対してまじめに受け止めようとしないと、これは問題だというふうに思います。やっぱり、司法がその判断をしている、それに対しても傲慢な姿勢でいいんですか。もう一度お願いします。
#128
○国務大臣(島村宜伸君) 私たちは決して傲慢の非難を受けるようなことをしておりません。
 そして、同時に、こういうことを言わばやるということは、どういう方法が一番言わば全体のためにいい結果をもたらすのかという判断に立って、言わば当然のことに司法の示した判断を十分尊重しながら、それに代わってもっとこれの方がより良いと思うものをいろいろ考えて事を行う中に、要するに司法の判断を言わば踏みにじるものではないという自信を持ってこの仕事をしていると、こういうことでございます。
#129
○紙智子君 中・長期の開門調査を否定したのは昨年の五月ですよね、農水省は。それ以来、言わば二回の司法の判断が出されたわけです。佐賀地裁の工事続行禁止というのと今度のこの高裁ですね。高裁の、工事と漁業の因果関係を否定せずに、かつ中・長期の調査を、責務についてうたったと。これらの司法判断に照らしても、これは農水省の言い分にお墨付きが与えられたわけじゃないわけですけれども、それがもう何もなかったかのように同じような言い分を繰り返すというのは、本当に、これ傲慢じゃないと言いますけれども、私は傲慢だと思うんですよ。
 再度、中・長期の調査については検討すべきじゃありませんか。
#130
○国務大臣(島村宜伸君) 私たちが中・長期調査をやるやらないということは、別に傲慢な感覚を土台に全く無視をして掛かっているのではないし、また法律的にそういうものを踏みにじろうとしてもできないことでありまして、十分それらについては検討の上で、今言ったような別の角度から、より良い言わば調査を実施するということで実行しているところであります。
#131
○紙智子君 現地の人たちは本当に納得をしていないし、本当に怒りを強めています。
 漁民の廃業はこの間、本当に相次いできたわけです。私も直接お会いしていろいろお聞きしましたけれども、やっぱり息子と一緒に船に乗っていた人が一緒に乗れなくなったと、出稼ぎに出なくちゃいけなくなったと、いつか船に戻りたいというふうに思っているけれどもそういう希望がなかなか見えてこないと。希望を絶たれて自殺された方も後を絶たないわけですよ。本当に深刻な事態になっているわけです。
 ところが、今回、決定のすぐ後にもう早速、新聞報道を見ましたけれども、もう重機が入っているわけですよ。もうすぐに入っているわけですよ。本当に露骨だと。漁民の皆さんの本当にこの強い思いというのを逆なでするような本当にひどいやり方だというふうに思いますし、やっぱり許されないと思うんですね。この工事の再開をやめて、中・長期の開門調査を是非行うべきだということを改めて強く要求をしたいと思います。
 その上で、次の質問に移らせていただきます。
 農業経営基盤法についてですが、担い手の問題です。
 農水省が今回、農業経営基盤強化法を提出した最大のねらいというのは、いわゆる担い手の育成、そして担い手への農地集積にあると思います。農水省は、二〇一〇年までに担い手に二百八十二万ヘクタールの農地を利用集積することを目標としてきたわけですね。しかし、二〇〇三年度現在の到達は二百二十一万ヘクタールと集積の速度も落ちているわけです。新たな計画に伴って出された構造展望というのがありますけれども、これは約四十万の担い手が生産の大半を担う姿を示しています。
 しかし、この間も農水省は担い手に農地を集積するために様々な枠組みをつくってきているわけですけれども、それでも担い手に農地集積が進まない。一体なぜなのかと。要因についてどこにあるのか分析が必要だと思うんですけれども、その要因の中でも、米を始めとする農産物の価格の下落の影響を一体どう見ているのか、この点について大臣にお聞きします。
#132
○国務大臣(島村宜伸君) 一般に、農業機械など一定の装備を備えている担い手が農地を集積すれば、新たに機械などを購入する必要がないことから、これまでよりは負担が軽減し、結果的に収益率がアップするものになると考えられます。しかしながら、その一方で、農産物価格が低下状況にあれば、この収益率に響くことになり、その分、規模拡大の意欲がそがれることも考えざるを得ません。
 担い手へのアンケートによれば、担い手が農地集積をちゅうちょする理由としては、農産物価格及び農業所得が不安定であることを第一の課題と挙げているところでありまして、このような状況を踏まえ、農林水産省としては、担い手を明確化した上で経営安定対策を講ずることとしており、農地流動化のための制度と相まって、担い手への農地集積に努めてまいる所存であります。
#133
○紙智子君 収入が不安定であるということなど、それから意欲の問題なども挙げられていますけれども、米の価格が下落をして地域農業の担い手と言われる大規模農家の経営が打撃を受けているわけです。経営安定対策がまともに機能しないということが明らかになっているわけです。このままでは、やっぱり現在の担い手さえつぶれてしまうというふうに思うんですね。
 米改革は、需給が均衡してこの価格が安定すると、これ生命線というわけですけれども、二〇〇四年産は作況指数が九八ですね。単年度で見ればこれ需給は均衡しているにもかかわらず、米価は暴落したわけです。頼みの稲作所得基盤確保対策ですね、これは四十一道府県で満額支払われない見込みになっていると。稲得は、価格は下落が激しくて補てん基準価格を大幅に下回るために財源不足になっているためだということですね。大幅下落に対応できないという指摘というのはもう最初からされていたわけですけれども、制度の限界というのは明らかなわけです。
 これでは、幾ら生産調整参加者のメリットといったって、とてもメリットなんて言えるような状況じゃないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
#134
○政府参考人(村上秀徳君) 米の価格の動向でございますけれども、全体で、十六年産米の直近の価格センターの入札結果でございますけれども、全銘柄加重平均で一万五千三百六十八円ということで、比較可能な十四年産に比べますと千二百八十円下回っているという状況でございます。
 ただ、直近、二月から四月にかけましては百二十五円上がっているというような状況で、十五年産米の卸における在庫処理が進んだというようなこともあって若干上向いてきているのではないかというふうに思っております。
 今、委員御指摘の稲得の関係でございますけれども、資金不足、資金の積立不足によって満額補てんされないケースが予想されるわけですけれども、これは、一つは設計の段階で全国的な積立てという形ではなくて都道府県ごとに対策を立てるということで、生産者ごとの積立ての範囲内という形にしておるわけでございます。その中で、基準価格を見ますと、十五年産が不作のためにかなり高騰しておりまして、これが価格として基準価格に反映されている、全国平均でいきますと一万八千円というような水準でございます。
   〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕
 それから、都道府県におきましては、産地づくり交付金へ財源を融通したりしておると。で、生産者拠出金を軽減しているというような道府県もあるというような状況でございまして、単に積立ての範囲内で満額払われないということをもって機能していないということではなくて、これはそういう設計の中で、このような事情の中で一定の機能を果たしているというふうに考えているところでございます。
#135
○紙智子君 今、都道府県が、今度はこういう設計なんかも都道府県がやっているんだという話がありました。それから、十五年産は不作で特別高くなったんだという話もありましたけれども、十五年産、確かに少し上がったかもしれませんけれども、これ当然ですよね、取れなかったわけだから。それで、だけれども、それまでずっと下がっていたわけですから、米の価格は。ほかの年はみんな下がっているわけですから。
 そういう中でこれだけが高いということを理由に挙げるというのもどうかと思いますし、それから、各都道府県で設計していて、例えば一部の県なんかは産地づくり交付金に回しただとかいう話あるけれども、これ北海道と長野ぐらいのものでしょう。あとはそんなことやっていないですよ。それで、結局、初年度で積立不足が生じているということなんだけれども、これは農家の拠出に頼ってやっぱり積立ての範囲内だけで対応しようとするからこういうことになるというふうに思うんです。今この四十一県が今年積立分をすべて使い果たしてしまうわけで、そうしたら、もし来年価格がまた下がった場合に、これまた全額補てんができないような事態が繰り返されることになるんじゃないですか。だから、やっぱりこの仕組み自身が問題あるというように言うわけですよ。
 しかも、稲得だけじゃないんですね。担い手経営安定対策についても、北海道が異常な事態だというのは前に質問しましたけれども、発動される二十八府県の中で、台風や豪雨で収入減が大きい秋田、それから山形、新潟、それから四国、九州など十八県、ここはやっぱり満額補てんがされない見込みになっているわけです。さらに、六月末で売れ残りがある場合は生産目標を減らされるという仕組みがあるために売り急ぎをすると。だから、売り急ぎに拍車が掛けられて価格が下落する、下落を招くと、こういう問題もあるわけですよ。
 だから、このまま放置すれば担い手と言われる大規模農家からつぶれていくということになってしまうと思うんですね。だから、私は、やっぱり制度の欠陥というのは明らかで、この米改革については早急に総点検をして見直しする必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
#136
○政府参考人(村上秀徳君) 農家の確かにいろいろ御心配の向きがあるのを存じ上げておりますけれども、価格について十五年産とやっぱり比較すると相当落ちているという感じを受けるということもございますし、それから、全国ベースでは作況九八でございますけれども、地域によってかなり状況が違うということも考える必要があるというふうに思っております。例えば、不作の県の場合には価格の低下が余り大きくないとか、それから東北、関東などの豊作県の場合は価格の低下の度合いが比較的大きいんですけれども、収量の増によって価格の低下を、所得への影響はかなり補われているというような状況もあるかと思います。
 それから、販売の仕方がかなり変わってきておりまして、いわゆる全国の集荷団体を通じて出荷するほかに、直売と申しまして、それぞれの単協が卸や外食などへ直接売る、あるいは消費者へ売るというようなことで、様々なルートを通じて所得の確保を図っていると。これはある意味では、現在の米政策改革の趣旨に沿った動きではないかというふうに思っております。
 この制度を見直すべきだという御指摘でございますけれども、この稲得にいたしましても、担い手経営安定対策にいたしましても、三年間の対策ということで、対策の安定的な運営という観点、それから仮に過払いが生じた場合には、資金の収支が改善されないまま結果的に生産者が精算を迫られるというようなことに生じてしまうおそれがあるわけでございまして、大豆などの問題でもそういう事態が生じているわけでございます。
 そういうことを考えますと、基本的な仕組み自体を現時点で見直すことは適当ではないんではないかというふうに思っております。
#137
○紙智子君 今いろいろ言われたんですけれども、いずれにしても、現にこういう事態があるわけですから、やっぱり総点検をしてちゃんと見直していただきたいと思うんですよ。
 農協共済総合研究所が専業農家に対して行った調査で、稲作を継続できる米の手取り価格ということで、手取りですよ、これ、一万一千円から一万五千円というのが二六%で最も多くて、あと、一万六千円から二万円が一七%と。合わせると四割ぐらいになるわけですけれども、昨年は生産者への仮渡金が既にもう一万一千円を割る道県が出ているわけです。これでやっぱりまともな経営安定対策がなければ、圧倒的な専業農家が米作りを継続できない、撤退せざるを得ないということになってしまうと思うんですね。
 米改革の仕組みでは、やっぱり米の価格下落というのは避けられない、経営安定対策も機能しないという状況で、この同じ調査ですけれども、将来新たな投資をするために有効な制度というのはどういうものだというふうな質問も同じくしているんですけれども、大体そこでは五五%の方が、手取り価格がある水準を下回ったら政府が差額を補てんする不足払い、これが必要だというように答えているんですね。だから、本当に担い手の経営安定を発展させようと思ったら不足払いを必要とするということだと思うんです。そこのところも是非実態を見て検討していただきたいと思います。
 それから、農地法にかかわっての問題ですが、島村大臣はこの間の審議を通じて、この農地法による耕作者主義は維持するというふうに答弁をされました。そこで、この法案と耕作者主義との関係についてお聞きしたいんですけれども、農地法の規定では、この耕作者主義を体現するのが農作業への常時従事義務で、農地に関する権利取得は自らその農地の耕作に関して農作業に常時従事する者に限定をされ、法人では農民の協同組織としてあることが保持されるようにと要件が定められているわけです。
 今回の法案では、農業生産法人ではない、農業担当役員が一名いればよいと、特定法人と。ここに農地の賃貸借を認めるということですね。そのことは農地法の耕作者主義と矛盾するのは明らかだと思うんです。農地法の根幹である耕作者主義を事実上改変することになるんじゃないでしょうか。
#138
○国務大臣(島村宜伸君) 本法案によるリース特区の全国展開は、あくまでも、農地をきちんと耕作する者に農地の権利取得を認めるという耕作者主義の原則の下で、耕作放棄地などが相当程度存在しており、農地の受け手がいないなどの現状のままでは農地の有効利用が図れない地域において講ずる緊急措置であります。
 また、参入する法人につきましては、市町村との間で適正に農業を行う旨の協定を締結し、協定違反の場合はリース契約を解除する条件の下で、農地がきちんと耕作されることを担保した上で農地の貸付けを受けることとなるものでありまして、したがって、あくまでもリース協定により農業が継続的に行われることを条件としており、耕作者主義と矛盾するものではないと考えておるところであります。
#139
○紙智子君 たとえ耕作放棄地対策であったとしても、やっぱり農業担当役員が一人いればよい特定法人に農地の権利取得を認めれば、やっぱり農業生産法人を特定法人レベルまで緩和しろというふうに必ず要請が出てくると思いますし、リースだったらどこの農地でもこの株式会社一般に権利取得認めろという要求はもう既に出ているわけですよね。今回の法案のように、耕作者主義と矛盾するこの農地の権利取得を認めれば、これらの要求を否定する根拠がなくなってしまうんじゃないですか。
#140
○政府参考人(須賀田菊仁君) このリース特区制度、あくまでも耕作放棄地があり、あるいはそのおそれがあって通常の農地制度では受け手がいないと、こういったところで、さりとてそのまま放置すれば耕作放棄地が広がっていくと、緊急にそこを解消しましょうという緊急措置として導入したわけでございます。
 この参入法人でも、先生の言われますいわゆる耕作者主義、これ三つあると思うんです。すべてを耕作する。常時従事する、二つ目。三つ目が効率的に耕作する。それで、この二番目の常時従事のところは、業務執行役員を一人以上常時従事させなさいよという要件にしているわけです。あとの、すべて耕作しろとか効率的に耕作しろというチェックはこの参入法人だって入れるわけです。その常時従事を若干緩めている。これの代わりにそのほかの措置を入れて、ちゃんとしていない場合には協定違反で解約するぞと、こういうふうになっておりますから、その農地法の精神、その中の緊急措置としての措置だということを勘案して、全体から見ればやはり耕作者主義というものを破壊するものではないというふうに考えております。
#141
○委員長(中川義雄君) 時間ですので、端的にお願いします。
#142
○紙智子君 今いろいろ言われましたけれども、やっぱりこの農地法そのものに手を付けなくても、例外とか特例という形で限りなく農地法を抜け殻にしていく、そういう改正はすべきでないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#143
○委員長(中川義雄君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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